至部
0畫
シ [寘]
○いたる(到)きたる(來)詩、小雅「如川之方─」到著する。○とどく(達)およぶ(及)ゆきつく、此より彼に達する。○きはまる(極)十分の點まで達する。○あつまる(會)○よし(善)○時期の名、とうじ(冬至)は一年中の最も短き日、げし(夏至)は一年中の最も長き日。左傳「凡分─啓閉、必書雲物」○おほいに(大)きはめて、いたりて、甚だ。○いたり、きはみ「─極」孟、離婁「規矩方員之─也」(員は圓)
同訓異義
イタル 至·到·臻·詣·造·格·戾·距·抵·傅·稽·踵·迄·訖·屆○至は至極の義にて、其の處まで來りつく義。詩經「如二川之方至一」○到は至也、彼より此に到著する意、至と通用す、至レ家を到レ家とも書く、されども知至·德至などには到は用ひず。論語「民到二于今一稱レ之」○臻は聚り至る義。詩經「飢饉荐臻」○詣は進也、往也、到也などと註す、造と略~同じ。史、秦紀「乘レ傳詣二長安一」○造は詣也、進也、だんだんと深く進むこと、學問の深く入るを造詣といふ。○格は至也、來也、感通也と註す、至るべき正しき處にいたりとどまる義。書經「舞二干羽于兩階、一七旬有苗格」○戾は思はず、知らずして至り止まる義。詩經「鳶飛戾レ天」○距は向うに、ここ迄と限りありて至るなり。書經「予決二九川、一距二四海一」○抵は當也、至也と註す、至り當るの義「抵レ冬降レ霜」の如し。○傅はべったりと至り付くなり。左傳「傅二于城下一」○稽は至也、詣也、稽首は首が地に至るなり。莊子「大浸稽レ天而不レ溺」○踵は至なり、つづきいたる義。孟子「踵レ門而見二文公一」○迄は至なり。詩經「以迄二于今一」○訖は至なり、迄に通ず。書經「訖二于四海一」○屆は音カイ至り極まるなり。書經「惟德動レ天、無二遠弗一レ屆」
いたりてくらし。荀子「罰其忠、賞其賊、夫是之謂──」
いたりてやすし。邢巨策對「揖讓之敎、末而安上存乎至簡、舞詠之功、淺而移風歸乎──」
いたりて大いなるしわざ。莊子「至言去言、──去爲」
いたり盡くせるかんがへ。漢書、鮑宣傳「惟陛下少留神明、覽五經之文、原聖人之──、深思天地之戒」
いたりて大切なり。
この上なきめぐみ。後漢書、桓譚傳「君臣大義、母子──」
はなはだ親しきまじはり、また其のとも。南史、孔逷傳「好典故學、與王儉──」=石交。
すぐれたる孝行。禮記「──近乎王、至弟近乎霸」=大孝。
きはめてうつくし。又、其の者。愼子「毛嬙西施、天下──者也」
いたりてつよくかたし。孟、公孫丑「其爲氣也、至大──」
至誠の心の他に感通する義。南史、梁武帝紀「──通神」
この上なく和ぐ。諴は和。書、大禹謨「──感神、矧茲有苗」=至和。
十分にいさめる。後漢書、申屠剛傳「忠言──、希得爲用」=極諫·苦諫·熟諫。
いたりてたふとし。淮南子「──不待爵、至富不待財」
○來りてよろこぶ。詩、豳風「饁彼南畞、田畯──」○至りてよろこぶ。
いたりていそぐ。=火急。
極めて大切である。
つまり、結局。杜牧、題桃花夫人廟詩「──息亡緣底事、可憐金谷墜樓人」=究竟。
いたりておろか。
この上もなきねがひ。
この上なきよろこび。景福殿賦「總神靈之貺祐、集華夏之──」
いたりてよきをしへ。禮記「天道──、聖人至德」
いたりていさぎよし。牟巘詩「此物抱──、有似楚兩龔」=至淸。
○いたりてよきことば。申鑒「不聽──則心不固」=至善之言。○要言の義。又、書名、漢の賈山著す。
この上なくかしこし。又、其の人。史、田儋傳」豈非──」
至りてつづまやか。宋史、王安石傳「安石未貴時、名震京師、性不好華腴、自奉──、或衣垢不澣、面垢不洗、世多稱其賢」
甚だけはし。又、其の所。
いたりて公平なり。仲長統、昌言「人主臨之以──、行之以至仁」
この上なくいたりきはまる。嘯賦「乃知長嘯奇妙、蓋亦聲音之──」
最もすぐれたるはたらき。漢書、藝文志「歷譜者、序四時之位、正分至之節、會日月五星之辰、以考寒暑殺生之實、此聖人知命之術也、非天下之──、其孰與焉」─至才。
いたりてすぐれたるかんがへ。張說詩「神功發──」
きたりのぞむ。詩、小雅「君子──、福祿如茨」
いたりてふかきめぐみ。歐陽詹文「別天性之──、去人性之好仇」
いたりて道理に明か。揚雄文「多聞見而識乎道者、──也」
冬至 トウジ の日。易、復卦「先王以──閉關」
老莊學にて道德の至極せる人、聖人といふが如し。莊、逍遙遊「──無己、神人無功、聖人無名」
至りて懇切なる心。晉書、王嘉傳「候之者──、則見之、不──則隱形不見」
きはめてめぐみぶかし。莊子「夫──尙矣」
極めてなさけぶかし。
いたりて神妙。易經「非天下之──、其誰能與于此」
この上なきつつしみ。世說「晉文王稱阮嗣宗──」
この上なきしたしみ。父子兄弟など。盧綸詩「擧目是陳事、滿城無──」=近親。
まごころ。揚雄、答劉歆書「──之所想遘也」
いたりてただし。
いたりてよろし。淮南子「──之是無非、至非之非無是、此眞是非也」=至善。
いたりて善良なる孝悌のうまれつき。北史、魏孝文帝紀「帝幼有──」
いたりてきよし。東方朔、客難「水──則無魚、人至察則無徒」
いたりて知德がすぐれる。又、其の人。中庸「唯天下──、爲能聰明睿知、足以有臨也」
明代に贈りし孔子の尊號。
いたりて誠實、この上もなきまごころ。中庸「唯天下──、爲能盡其性」
まことの心の至りは神明の如く何物にも感通する。中庸「禍福將至、善必先知之、不善必先知之、故────」
至りて微細なる義。漢書、食貨志「古之治天下──至悉也、故其蓄積足恃」=至細。
きはめてちひさし。
この上なくよし。大學「在止於──」
いたりてたふとし、天子又天子の位をいふ。賈誼、過秦論「履──而制六合」
きはめておほいなり。
いたりて善く道理にかなふ〔孝經、序〕
いたりてよきみち。禮、學記「雖有──、弗學不知其善也」
至極せる大道は損減することなし。晉書、皇甫謐傳「────、至德不益」
至極せるちえ。莊子「雖有──、萬人贖之」
きはめてよくをさまる。書經「──馨香、感于神明」呂覽「──之世、其民不好淫學流說」
この上なきちゑ。越絕書「有──之明者、必破庶衆之議」
いたりておもし。
いたりてあしく害あり。參同契「野葛巴豆、草藥中之──者」
いたれる德行。孝經「先王有──要道」
前條に同じ。商君書「論──者、不和於俗、成大功者、不謀於衆」
この上もなきたから。白居易詩「──有本性」
いたりてうつくし。梁?文帝表「佛法之勝事、國家之──」
いたりてかすか。淮南子「──神明、弗能領也」
この上もなきしあはせ。=至幸。
至りて深遠なる義。淮南子「樸至大者無形狀、道──者無度量」
いたりてよきあぢ。春秋繁露「雖有天下之──、弗嚼弗知其旨也」
いたりてふしぎ。七啓「論變化之──」
○いたりてたのし。戴良詩「──固如此、是外徒營營」○ シガク 善美をつくせる音樂。韓詩外傳「詔用干戚、非──也」大戴禮「至賞不費而天下之士說、──無聲而天下之民和」
いたれる道理。張蠙詩「眞身非有像、──本無名」
きはめてさかんなり。七啓「此霸道之──、而雍熙之盛際」
至りてすぐれたる議論。
3畫
チ [寘]
○いたす、至らしむ、來らしむ、招く。○おくる(送)「─書」「送─」○ゆだねる、まかす(委)論、學而「事君─其身」○をさむ(納)官を辭する「─仕」○いどむ(挑戰)「─師」○きはめる(極)深く審かにする「─知」○つくす(盡)論、子張「人未有自─者也、必也親喪乎」○つたへる(傳)「─言」○おもむき、ありさま(趣態)「風─」「景─」「奇─」「深─」○さだめ(制)○むね(歸所)○こまか(緻·密)○はこぶ(運)○つく(就)○至と通ず。世說「西山朝來─有爽氣」○ 國 いたす、爲すの敬語。つかまつる。
わざはひをまねく。道德指歸論「無德無威、謂之──」
己の意志を傳へる。漢書、朱博傳「遣吏存問──」
○とほきをきはめる。易、繫辭「探賾索隱、鈎深──」○遠方の民を從へ來らしむ。
賢者を招き來す。夏侯湛文「崇沖讓以──」=招賢。
わざはひをまねく。北史、王肅傳「堯水湯旱、自定之數、須聖人以濟、未聞由聖以──」
三日閒のものいみ。禮、祭義「──于內、散齊于外、齊之日、思其居處、思其笑語、思其志意、思其所樂、思其所嗜」(齊は古、齋に通ず)
官を君に納め還して隱居する、辭職する。公羊、宣元「退而──」=致政。
死に至らしめる、死なせる。
官を辭してしりぞく。曲禮「大夫七十而──」=致仕。
たたかひをいどむ。左、宣十二「楚許伯御樂伯攝叔爲右、以致晉師」=挑戰。
禮物をさし出して臣下となる、古の仕宦の禮。贄は禮物。
みをいたす。生命を君主にたてまつる。論、學而「事君能致其身」
職をしりぞく。禮記「七十──」晉語「余將──焉」=致仕。
いのりをする。宋史、眞宗紀「都城大雨、壞廬舍、幸啓聖院太平興國寺上淸宮──」
知をきはめつくす。大學「──在格物」王陽明は其の本然の良知を安全ならしむる義とす。
よくをさまるやうにする。史、蔡澤傳「公孫鞅之事孝公也、設刀鋸以禁奸邪、信賞罰以──」
つみにおこなふ。左傳「──於楚、而君又竄之」
刑法にあてる。史、呂不韋傳「賓客辯士、爲遊說者衆、王不忍──」
○さいはひを招き來す。易林「堯舜仁德、養賢──」○古、臣が祭る所あれば其の餘肉を王に進めるをいふ。周禮、春官「凡祭祀──」
たみを招きよせる。周禮「凡國之大事──」
○天命のあらん限り力をつくす。易、困卦「澤無水困、君子以──遂志」○いのちを君主にさし出す。蜀志、龐士元傳贊「──明主、忠情發臆」=授命。○ 國 其の爲めにいのちを失ふ「──傷」=致死。
ねいをきはめ行ふ。禮記「──以治躬則莊敬、莊敬則嚴威」
6畫
セン [霰]
○再び至る、かさなる(重)○しばしば、しきりに。易、坎卦「水─至」=洊·荐。
テツ [屑]
○おゆ。=耋。○たがひに。韓詩外傳「日居月諸、胡─而微」=迭。
7畫
臺(次條)の俗字。
8畫
タイ ダイ [灰]
台は別字
○うてな、土を方形に高く築きて四方を觀望するやうに造りし所、ものみ。後世はものみの建物にもいふ。○みささぎ、つか(陵墓)○こもの、賤役の輩。左、昭七「僕臣─」○草の名、すげ(夫須)用ひて蓑笠と爲す(莎草)詩、小雅「南山有─」○城の門。○中央政府の官省。又、其の高官。中─は尙書省。憲─は御史臺。柏─は都察院。制─は總督。臬─は按察使。○人を尊敬していふ「兄─」「老─」「尊─」○憲─は屬吏が上官を尊稱していふ。○至りて賤しき者、めしつかひ、僕の臣。孟、萬章「─無饋也」○上に物をのせ支ふる具「鏡─」「硯─」○靈─は天子の天文臺。又、心の義。○煙─ エンダイ は山東省の島の名。又、之罘山と名づく。○ 國 ダイ 物事の基礎となるもの「─帳」「─紙」
○尊敬すべき人に對する敬語。○ 國 眞宗にて東本願寺の法主に對する敬稱。
○うてなと、たかどのと。說苑「秦始皇宮室──、連屬層累」○尙書の官をいふ。後漢書、仲長統傳「光武皇帝政不任下、雖置三公、事歸──」○內閣をいふ。蔡邕、陳政疏「綱網弛縱、莫相擧、察公府──、亦復默然」=臺省。
廟堂の上にて大臣皆肅然として畏れる形容。晉書「傅玄爲御史中丞、貴游懾服、────」
御史臺の異稱、宋の代、諫官を兼ぬ、故にいふ。宋史、蔡京傳「──交論其惡、遂致仕」
六朝時代、官軍をいふ。容齋隨筆「晉宋閒謂朝廷禁省爲臺、故稱禁城爲臺城、官軍爲──、使者爲臺使、卿士爲臺官、法令爲臺格」
○尙書をいふ。漢代、尙書を稱して中臺と爲すが故〔宋書〕○御史をいふ〔國史補〕
ものみだい。魏志、高堂隆傳「──是崇、淫樂是好」
御史臺の獄。宋史、張璪傳「蘇軾下──」
偶像を置く座。朱子語類「夫子像設置於椅上、已不是、又復置在──上」
せりふ、芝居にて、俳優の演技に用ふることば。=賓白·科白。
諫官。元史「今──坐譴、公論杜塞、何謂法祖宗耶」
うてな、榭は屋根のあるものみだい。書、泰誓「惟宮室──、陂池侈服、以殘害子爾萬姓」史、劉敬叔孫通傳贊「──之榱、非一木之枝、三代之際、非一士之智」
六朝時代の皇居の稱。今の江蘇江寧縣の北、玄武湖の側に在り。梁京寺記「梁武帝改年號大同、起同泰寺、在──內、窮竭帑藏、造大佛閣七層」
國 正式の茶湯に用ふる茶棚。轉じてひろく茶棚をいふ。
○尙書省の稱。漢代、尙書を中臺と稱す、禁省の中に在り、故にいふ。=中臺。○ひろく內閣の義。魏志、夏侯尙傳、注「在──常多託疾」=臺閣。
監察又は御史の稱、端は端正の義。唐書、百官志「侍御史號──、人稱之曰端公」
國 ○商家の元帳、大福帳。○すべて或る事柄の基本となる帳簿。
國 古の食卓。
○城の門、土を累ねてつくるが故〔古今注〕=城門。○御史臺の門。
すげがさ、臺は莎草。詩、小雅「──緇撮」
しもべ。宋書、思倖傳序「周漢之道、以智役愚、──參差、用成等級」=臺僕。
10畫
シン [眞]
○いたる(至)およぶ(及)詩、邶風「遄─于衞」○あつまる(聚)輻輳する。樂章、天命「百祿咸來─」○おほし(衆)
同訓異義
イタル 臻·至·到·詣·造·格等の別は至(一五九一頁三段)の條を見よ。