匚部
0畫
ハウ [陽]
匸とは別
はこ(筐)一斗の量を容るる方形のはこ。
3畫
イ [支]
手を洗ふために水を注ぐ器、沃盥の器、把手は中空にして柄となり、又水を注ぐ口となるもの。左、僖二三「奉─沃盥」
サウ [合]
帀の俗字又、迊に作る
めぐる(周)史、高祖紀「圍宛城三─」めぐり。
4畫
①キヤウ [陽]
②ワウ [陽]
①ただす(正)ただしをさめる。論、憲問「一─天下」○ただし(方正)○すくふ(救)ただしすくふ。孝經、事君「─救其惡」○たすく(輔)ただしたすける。漢書、宣帝紀「─朕之不逮」○めしびつ(飯器)○はこ(筥)○おそる(恐)=恇。○まがる、斜に曲る。○まぶち。史、淮南王安傳「淚滿─橫流」=眶。
②くぐせ(廢疾)尩に通ず。
同訓異義
タダス 匡·正·規·繩·糾·格·董·訂·質の別は正(止部一畫)の條を見よ。
ただして益する。晉中興書「性剛悍、志在──」=匡補。
前漢の──、學を勤め燭なし、隣舍に燭あれども逮ばず、衡乃ち壁を穿ち、其の光を引きて之を讀む、邑の大姓文不識、家富みて書多きに名あり、衡乃ち其れが爲めに客作して、償を求めず、書を得て遍く之を讀まんことを願ふ、主人感歎して資給するに書を以てし、遂に大學を成す〔西京雜記〕
惡をただしいさめる。
ただしすくひて惡事をとめる。孝經、事君「將順其美、──其惡」
おそれる、匡は恇。禮、禮器「衆不──」=恐懼。
正しくためなほす。蜀志「無能──」
たすけまもる。隋書、高祖紀「──得免」=匡持。
ただしくすわる。韓詩外傳「原憲──而弦歌」=正坐。
ただしすくひて善に導く。羅隱詩「太平──術」=匡拯·匡救。
君を助けて天下を定めたるいさを〔晉書、山濤傳〕
○廬山の別稱。南史、劉慧斐傳「游於──遇處士張孝秀、相得甚歡、遂有終焉之志」○四川省に在る山名、一名大──。杜甫、懷李白詩「──讀書處、頭白好歸來」
時弊をすくひただす。唐太宗詩「提劍鬱──」
ねどこ。淮南子「心有憂者、──袵席弗能安也」=臥牀·方牀。
ただしすくふ。晉書「實賴有晉──之德」=匡濟·匡救。
ただす、ただしくする。左傳「安靖楚國、──王室」=救正。
ただしまもる。資治通鑑「當深自──」
輔けきだめる。晉書、王戎傳「──大業」
ただしたすける〔後漢書、左雄傳〕
國勢の傾覆せんとするを正し救ひて恢復する。晉書「今孤當──帝祚、豈可猥居極位」
ただしおぎなふ。=匡益。
ただしたすく。晉書「內外盡──之規」=翼贊。
○廬山の別稱、殷周の際、匡裕といふ仙人、廬を結びて居りしによりて名づく〔後漢書、郡國志〕白居易、廬山草堂記「──奇秀甲天下山」
シヤウ [漾]
○たくみ、だいく、今は廣く百工の通稱とす「銅─」「鐵─」「畫─」○さいく、製作。○もくろみ、考案「意─」
かんがへ、心のたくみ。許孟容、穆公集序「屬詞──、必本于道」=意匠。
大工の家、又、大工。淸會典「各省皆有──」
○匠人に同じ。韓愈、進學解「夫大木爲杗、細木爲桷、欂櫨侏儒、椳闑扂楔、各得其宜、施以成室者、──之工也」
周代の官名、百工の事を監督する職。
大工 ダイク 木を攻 ヲサ むるの工人〔周禮、考工記〕
匠石は、古の善く斲る工人の名、斧斤を運らして物を斲るに、毫釐を誤らず。よりて技藝の微妙を究むるものを稱するに用ふ。莊、徐無鬼「郢人堊漫其鼻端、若蠅翼。使匠石斲之、匠石運斤成風、聽而斲之、盡堊而鼻不傷、郢人立不失容」
大工のかしら、棟梁。莊、人閒世「見櫟社樹、其大蔽牛(中略)──不顧、遂行不輟、(中略)曰、已矣、勿言之矣、散木也」
5畫
カフ [洽]
柙に通ず
はこ(箱·匱·筥)大なる者を箱といひ、小なる者を─といふ。杜甫詩「平生白羽扇、零落蛟龍─」
8畫
①ヒ [尾]
②ヒ [微]
③フン [文]
①はこ、かたみ(篋)方形の竹器。=篚。○あらず。=非。○あし(惡)「─徒」○あやある貌。詩、衞風「有─君子」=斐。
②──は車馬の行くに文 アヤ ある貌。禮、少儀「車馬之美、──翼翼」又、馬の行きて止まらざる貌。=騑騑。
③わかつ(分)くばる(配)周禮、天官、大宰「八曰─頒之式」(羣臣に賜を分つ儀式)
夷(大部三畫)の條を見よ。
一身の利害をかへりみずして、君の爲めにつくす忠節。易、蹇卦「王臣蹇蹇、匪躬之故」韓愈、諍臣論「居無用之地、而致────」
堅くして動かすべからざる心。詩、邶風「我心匪石、不可轉也、我心匪席、不可卷也」晉書、王導傳「實賴元宰、固懷────」
世を害するわるもの、惡人。=匪徒·兇徒。
わるものども。=匪類。
匪徒に同じ。
9畫
キ [紙]
○はこ(匣)唐書、百官志「鑄銅─四」○はこにす、はこに入れる。
11畫
クヮイ [賄]
滙は俗字
○めぐる(囘)水流の廻旋する義。○衆くの水が會合する。蘇轍詩「洶湧衆流─」○ 俗 貨幣の甲地より支出して、乙地にて受取るを─といふ。爲替。
俗 爲替 カハセ ──單は爲替手形。
俗 爲替料。
俗 爲替券。
12畫
キ [寘]
○大いなるはこ(匣)ひつ。史、太史公自序「石室金─之書」=櫃。六書故「大ナル者ヲ─ト爲シ、次ヲ匣ト爲シ、小ヲ匵ト爲ス」○とぼし(乏)つく(竭)詩、大雅「孝子不─」○もっこ、簣と通ず。
とぼしくくるしむ。=貧窮。
とぼしくしてつく。國語「官不易方、而財不──」
とぼしくつく。=匱竭。
とぼし。鹽鐵論「昔禹水湯旱、百姓──」
かてを食ひつくす。
レン [鹽]
匳(次條)に同じ、?は俗字。
13畫
レン [鹽]
本、籢に作る
○かがみばこ、くしげ(鏡匣)「鏡─」けしゃう道具を入れるはこ「粉─」「粧─」○かうばこ。香を盛る器「香─」
15畫
トク [屋]
○ひつ(匱)=櫝。○はこ(函)○小さき棺。漢書、楊王孫傳「昔帝堯之葬也、窾木爲─」