方部
0畫
ハウ [陽]
○しかく(四角)ましかく。○轉じてただし(正)「─正」「端─」○かた、むき、方角「─位」「四─」「他─」○むかふ(向)向ふ所、行くさき。論、里仁「遊必有─」○みち(道)禮、樂記「樂行而民鄕─」○てだて(法術)○義の宜しきなり「義─」○ことがら。○しな、種類。孟、離婁「立賢無─」○あや(文)○いた(板)四角の板。中庸「布在─策」○いかだ(泭·筏)いかだす、筏に乘りてわたる。詩、周南「漢之廣不可─」○ひとし(齊)○いま(今)○まさに(且)○くらぶ(比)「比─」論、公冶長「子貢─人」○わかつ(别)區別する。史、五帝紀「民神雜糅、不可─物」物は名狀する義。○かたはら(旁)○ならぶ(竝·倂)「─軌」○さかふ(逆)孟、梁惠王「─」命虐民」○あたる(當)○まさに、いま「─今」○ちゃうど、恰も。○たもつ(有)○おほいなり。○くに(國)○神仙の術。○醫術。○仿に同じ。 國 ○かた、仕樣「書き─」○人を指して呼ぶ尊稱「殿─」
同訓異義
アタル 方·中·當·丁·直の別は中(─部三畫)の條を見よ。○マサ二方·正·政·適·的·祇·多·將の别は正(止部一畫)の條を見よ。
方法の工夫。=考案。
方角位置。朱子語錄「孤虛以──言、如俗言某方利某方不利之類」
方圓に同じ、員は圓の古字。
四角と、まると。孟、離婁「規矩──之至也」=方員。
鉤は曲、繩は直、兩者の性相異なりて合はざるに喩ふ〔楚辭〕
ながえをならぶ。西京賦「冠帶交錯、──接軫」
かどだちたるものを削りてまどかなるものとす。圜は圓。楚辭、九章「────兮、常度未替」
ふねをならべる。曾鞏詩「魚鹽──集」
○車を竝べて行く。後漢書「臨洮道險、車不得──」○匹敵する。劉峻文「遒文麗藻、──曹王」
ただしくしてみやび。北史、婁昭傳「昭──正直、有大度深謀」=端雅。
ただしきみさを。元經傳「何充器局──、有萬夫之望」
鑛物の一、石灰質にして、碎きても常に斜方體をなし、光線を二重に屈折する特質を有するもの。
普くゆきわたる。書經「──た下、至于海表、罔有不服」
むき、向ふ所の方角。=方嚮。
進み行く方角、むき。歐陽修詩「行迷──但看日」=方向。
明人、字は希直、宋濂に從ひて學び、文を善くす、書室を名づけて正學といふ、惠帝の時、翰林學士となり、侍講に任ぜらる、燕王位を簒ふに及び、孝孺をして卽位の詔を草せしむ、從はず、遂に殺さる、時に年四十六。
東西南北等のむき。=方位。
道士の稱。太玄經「大開帷幕、以引──」=方士。
四角なるひたひ。唐書、太平公主傳「太平公主、則天皇后所生、──廣頤、多陰謀」=方顙。
○醫術。晉書、張華傳「華於圖緯──之書、莫不詳覽」○醫藥の書。漢書、藝文志「侍醫李柱國、校──」
わだちを竝ぶ、兩車竝行する。史、蘇秦傳「車不得──」
國 こつぶきん、德川時代の貨幣の一、一朱金·二朱金など。
かねざし(曲尺)玉篇「圜曰規、方曰矩」
○よすてびと。方は道、斯の道に由らざる人。後世主ら佛敎徒を指す。莊、大宗師「孔子曰、彼遊於方之外、而丘遊於方之內者也」○中國の方域外、卽ち、夷狄の地。楚辭「覽──之荒忽兮」
儒敎以外の敎、佛敎の稱。眞德秀文「雖早從方外之學、而跬步不忘君父」
世俗の外のともがら、僧などの稱。僧皎然詩「逍遙───、荏苒府中情」
中國の方域外に在る土地。漢書、嚴助傳「越方外之地、劗髮文身之民也」
さまよふ。荀、禮論「──周浹、曲得其次序、是聖人也」=仿偟·彷徨。
四角なる倉庫。說文「圓謂之囷、方謂之京」
方略に同じ。
○ただしくしていさぎよし、方正潔白。後漢書、王丹傳「資性──、疾惡强豪」○紙の異名。
四角なるほほ。梁書、太宗紀「──豐下、鬚鬢如畫」
一地方に行はるる土語。漢の揚雄方言を著す。王維詩「因人見風俗、入境聞──」=土語。
しめくくりありてただしきおこなひ。北史、裴駿傳「弱冠通涉經史、──有禮度、鄕里宗敬焉」
ただしくしておごそか。晉書、王雅傳「王恭風神簡貴、志氣──」=端嚴·方峻。
○神仙の住むといふ島。列、湯問「渤海之東有大壑焉、其中有五山焉、一曰岱輿、二曰員嶠、三曰──、四曰瀛州、五曰蓬萊」○腹圓くして口の四角なるつぼ。
こしきをならべる。魏文帝賦「列翠星陳、戎車──」=方轅。
ただいま。魏志、齊王傳「詔曰、──百姓不足、而御府多作金銀」
くすりの調合。又、調合せし藥。唐書「虛著──、終無益於世」=藥方。
古の神に像りて疫を逐ふ者。四目なるを──といひ、兩目なるを倛といふ、送葬にも亦之を用ふ〔周禮〕
四角なるひたひ。五代史、東漢世家「郭無爲棣州人、──烏喙、好學多聞」=方額。
しょもつ。陸倕文「布在──」=方策。
しょもつ。方は木の版、策は竹簡。中庸「文武之政、布在──」=方册。
○古の樂人の用ひしかんむり。後漢書、輿服志「───、制似進賢、前高七寸、後高三寸、纓長八寸、似進賢冠、五采縠爲之、祠宗廟、天子八佾、四時五行、樂人服之、冠衣各如其行方之色」○唐宋時代は隱士の冠とす。
○仙術を行ふ人、方術の士、道士〔史、始皇紀〕○周代の官名。裁判官の類、采地の獄を司る者。
○ただしきこころざし。○一地方の事柄を記したる書。皇甫謐文「其鳥獸草木、則驗之──」
ふねをならべる。史、蘇秦傳「──而下」
かた、一定の形式。
○人と己とを引きくらべる。論、憲問「子貢──」○ カタウド 國 一味同心の者の稱。
○羅針盤の方位をさししめす針。=指鍼。○めざす一定の目的「敎育の──」
ただしくしてつつしむ。北史、李孝伯傳「性──忠孝」=貞愼。
四方の神と土地の神と。詩經「祈年孔夙、──不莫」箋「祈豐年甚早、祭四方與社、又不晚」
四角なるとこ。南史、賀革傳「革有六尺──」
方士のわざ、長生不死の法。又、卜筮·占驗星相など。史、始皇紀「召文學──之土甚衆」=仙術。
心ただしく志たかし。唐書、楊於陵傳「器量──、進止有常度、節操堅明、始終不失其正」
○方術の書。又、醫書。唐書、李聽傳「聽好──」○四方の文書。漢書、張蒼傳「秦時爲御史、主柱下──」
月より水をとる鏡。晉書、天文志「──可以取水于月」
○一寸四方の面積。漢書、食貨志「黃金──而重一斤」○心をいふ。列、仲尼「吾見子之心矣、──之地虛矣、幾聖人也」
比較の標準を失ふときは、至卑のものも至高のものより高き事あるにいふ。岑樓は樓の高く銳くして山に似たるもの。孟、吿子「不揣其本而齊其末、──────────」
○一寸四方程の士地。唐書、員半千傳「陛下何惜玉陛───、不使臣披露肝膽乎」○心をいふ。方寸を見よ。
ただし。漢書、董仲舒傳「陛下擧賢良──之士」
枘は柄、鑿は穴、四角の柄に圓き穴の義。物の相合はざる喩。史、孟軻傳「持方枘、欲內圓鑿、其能入乎」=圓鑿方枘。
四角にまがる。尸子「水圓折者有珠、──者有玉」
四角なるいしずゑ。元稹詩「──荊山採、修椽郢匠鉤」
地方の風俗。宋書「可分遣大使、巡省──」
くにのうち。史、孝文紀「──安寧」=國內。
四角なるゆか。宋書、長沙景王道憐傳「自非三署不得上──」
方形のぢんだて。陳は陣。國語「以萬人爲──」
○一丈四方。孟、盡心「食前──、侍妾數百人、我得志不爲也」○維摩の室方一丈ありしによりて寺院の正寢の稱。釋氏要覽「──蓋寺院之正寢也、唐顯慶年中、敕王玄策往西域、至毗耶黎城東北四里許、維摩居士宅、示疾之室遺趾、疊石爲之、玄策躬以手板縱橫量之、得十笏、故號──」○轉じて僧の稱。○神仙の住むといふ海島の名〔史、封禪書〕
方正にしておもおもし。後漢書、牟融傳「擧動──、甚得大臣節」=端重。
ただしくなほし。晉書、郭琦傳「琦少──有雅量」
數學の名。──式は代數學にて同價の兩式から未知數を索め出す算法。算經「九章名義、八曰、──」
四角な底の器に圓きふた。物の相合はざるに喩ふ。顏氏家訓「使疎薄之人而節量親厚之恩、猶─────、必不合矣」=圓蓋方底·圓鑿方枘。
田圃の縱橫を等分の長さにする義。通典「宋熙寧五年、修──」=均田。
宋の王安石のはじめし新法、東西南北各千步を一方田とし、地味によりて租稅を五等に分つ制〔宋史、王安石傳〕
地方のくに、一地方。書經、疏「盡貢其──所生之物」
十月の異名。杜甫詩「──變所爲」=初冬。
四角なるひとみ。拾遺記「有父老五人、──握靑筠杖」
あまだひ、額骨隆起して稍方形をなす海魚の名。
僧をいふ。金華子「──且多、其中必有妙通易道者」
周代、一地方の諸侯の上に立つ大諸侯。次條參看。
周代に諸侯の上に位して一方を支配せし官。禮、王制「千里之外設方伯、五國以爲屬、屬有長、十國以爲連、連有帥」
しかた、事を行ふ條理 スヂミチ 韓愈文「相原隰之宣、指授──」
たづなを竝べる。晉書、劉聰載記「佞人──、竝后載馳」
○其の地方に產する物。書、旅獒「無有遠邇、畢獻──」○方は別、物は名、多くの物を各别に分ち名つける。史、五帝紀「民神雜糅、不可──」
多くの物、混亂して别け名づくべからず。前條參看。
道ただしく智ひろし。漢書、儒林傳「詳延天下──之士」注「方、道也、聞、博聞也」
○ 佛 便宜にしたがひて人を導く方法。大藏法數「方謂方法、便謂便宜、猶善巧也」維摩經「以無量──、饒益衆生」○てだて、臨機の處置。
手さげぶくろ。衣巾·篦鑑·香藥·詞册などを入れるもの。淸異錄「唐季王侯、競作───、重錦爲之」
王命にさからふ。書、堯典「僉曰於鯀哉、帝曰吁咈哉、──圮族」
○一方面の地。後漢書、馬融傳「──重寄」○四角ばりたるかほ。後漢書、高獲傳「爲人尼首──」
一方面を引きうける大將の任務。名臣言行錄「自謂當───、不敢辭」
○勞苦の貌。左、哀十七「衡流而──」○さまよふ。=彷徉。
地をいふ、輿は物を載する義。宋玉賦「方地爲輿、圓天爲蓋」=坤輿。
たてよこ各一里の面積、一里四方。
はかりごと。漢書、霍去病傳「顧──如何耳、不至學古兵法」
ただしくしていさぎよし。韓詩外傳「──而好義」=方潔·方正廉潔。
4畫
①ヲ [虞]
②ヨ·オ [魚]
①ああ、歎息。又、感歎の詞。書、堯典「─鯀哉」又、─戲·─乎と連用す。大學「─戲前王不忘」=烏。
②に。論、學而「敏─事而愼─言」=乎·于。○にて、おいて「─是」○より、比較をあらはす。戰國策「使趙重─九鼎大呂」=于·乎。○ゆく(往)○かはる(代)○ここに(此)○おける、兩者の關係比較をあらはす詞。韓愈、送高閑上人序「秋之─奕、伯倫之─酒」○お。○よる(依)○難きこと多き貌。
同訓異義
アア 於·於戲·嗚呼·烏乎·嗟·吁等の别は嗚(口部十畫)の條の嗚呼を見よ。○二於·于·乎·諸○於·于·乎·諸の四字は、共に、にと譯し、漢文の反る所に置く字なり、於は輕く、于は重し、于は下にかかり、於は上下にかかる、孟子に「吾聞下出二於幽谷、一遷二于喬木一者、上未レ聞下下二喬木、一而入二於幽谷一者上」とあるが如し。○于は主として下に在る字に係る、於は體と用とを兼ぬれども、于は體のみに係る、論語に「友二于兄弟、一施二於有政一」とあるが如し、春秋に「戰二于密一」「會二于宋一」など、大抵地名には、于を用ひたり、論語に「入二于海一」「入二于河一」の類も、于の字、體に屬するを知るべし、于はここにと譯す、在の字の義あるによる。○乎は咏歎の意を含めり、主として上の字にかかる。論語「浴二乎沂、一風二乎舞雩一咏而歸」○諸は之乎の二合字なり。論語に「子張書二諸紳一」とある如し。
かなしみむすぼれる、煩悶愁苦する。史、刺客傳「大呼天者三、卒──悲哀、而死政之旁」政は聶政。
越の國、於は發語。春秋、定十四「五月──敗吳于攜李」注「──、越國也」=于越。
○ああ、感歎の辭。詩、周頌「──前王不忘」=於乎。○歎息の聲。東方朔、非有先生論「──可乎」
ああ、感歎の辭。詩、大雅「──小子、未知臧否」=嗚呼·於皇。
虎の異名、楚國の方言。左、宣四「楚人謂乳?、謂虎──」隋書「──神龜、儼列西北」
ああ、感歎の辭。詩經「──武王、無競維烈」=於戲。
旁(方部六畫)に同じ。
5畫
①イウ [尤]
②リウ [尤]
①はたのながれ、旗の垂れさがる所、はたあし。=游。
②冕の飾、垂れたる玉。=旒(方部九畫)
はたあしのあるはた。後漢書、輿服志「建其──」
①シ シ·セ [支]
③イ シ [寘]
①ほどこす、しく「普─」○まうく(設)○わかつ(賦)○つく(著)○もちふる(用)○くはふ(加)○はる(張)○つらねしめす。○──は進み難き貌。又、喜悅の貌。○ゆるむ、弛と通す。○かふ(易)○すつ(捨)
②いさを、てがら(功勞)○めぐみあたふ(惠與)○ほどこす「布─」
③うつる(移)詩、周南「─于中谷」○およぶ(及)「博─」詩、大雅「─于子孫」○ひく、のぶ(延)
④すつ(捨)○かふ(易)
ほどこし爲す、しわざ。韓愈詩「浮屠西來何──、擾擾四海爭奔馳」
○政をおこなふ。史蕭相國世家「便宜──」○ セギヤウ 僧侶·貧者などに金品をほどこし與ふ。大法句經「雖復──、爲身招患」
ほどこしいたす。漢書「進士不得──、斥逐又非其愆」
萬物をそだてる。淮南子「天地之──也、嘔之而生、吹之而落」
あみをはる。摯虞文「──設網、人用不匱」
くつわをつける。陸游詩「赤手騎鯨不──」
○進みがたき貌。詩、王風「彼留子嗟、將其來──」○ シシイイ 自得の貌。又、喜悅の貌。孟、離婁「──自外來」
ほどこしすくふ。後漢書、馬援傳「凡殖財産、貴其能──也」
からだにはりをする。宋史、王克明傳「魏安行妻風痿、十年不起、克明──、而步履如初」
○恩德を布く、舍も施と同義。左、昭十三「──不倦」=施捨。○旅客の荷物をおろす所、はたご。國語「縣無──」○與ふると與へざると。國語「聖人之──也議之」
見えがくれに跡をつけゆく。孟、離婁「蚤起──良人之所之」
政令をしく。書經、傳「蹈行先王光大之道、──于我童子」=行政。
しきまうける。史、孫子吳起傳論「吳起兵法世多有、故弗論、論其行事所──者」
あみをしく。元稹詩「雪中方睹桂、木上莫──」=施罟。
そへがみを加へる。莊子「秃而──、病而求醫」
しきのべる。白居易詩「平生賞心事、──十未一」
ほどこすことひろし。淮南子「德之所施者博、則感之所行者遠」
おきてを布く。周禮「──於官府」
大帶をつける。儀禮「庶母及門內──」
僧寺に施す品物。魏書、任城王澄傳「──動至萬計」
はどこす。吳志、魯肅傳「家富于財、性好──」=惠與。
ほどこしおこなふ。史、封禪書「各乖異難──」=施爲。
佛 無緣の亡者の靈を弔ひて讀經供養する。
佛 ○佛又は僧に物を施す人。=檀那。○葬式·法事などの供養をなす主。釋氏要覽「梵語陀那鉢底、唐言──」
無料にて治療する。
6畫
キ [微]
○すずあるはた。爾雅、釋天「有鈴曰─」「大─」○のぼり龍と、くだり龍とを畫きし赤色のはた「龍─」
旗竿ばさみ。
はた。日月を畫けるを常といひ、交龍を畫けるを旂といふ。〔周禮〕謝朓文「銘彼──、勒斯鐘鼎」
旂は龍を描けるはた。旐は龜蛇を描けるはた。詩、小雅「出車彭彭、──央央」
セン [先]
或は?に作る
○はた、曲柄のはた、士衆を招くに用ふ。孟、萬章「庶人以─」○けおりもの「─毛」=氈。○あらはす(表)○これ、之·焉二字の合音。詩、魏風「上愼─哉」○─蒙は十干の乙〔爾雅〕
同訓異義
コレ 旃·之·此·是·維·斯·諸·伊の别は之(ノ部三畫)の條を見よ。
毛おり物のしとね。淮南子「席──傅旄象」
けおりのころも。史、匈奴傳「被──」
はた。班固、南巡頌「運天官之法駕、建日月之──」
印度·交趾等の熱帶の地に產する香木〔晉書、穆帝紀〕=栴檀·檀香。
佛 殺者と譯し、四姓中の下位なるもの、狩獵·漁撈などに從事す。
あらはす。說文「──士衆」=旌表。
けおりものの毛。漢書、蘇武傳「齧雪與──竝咽之」=氊毛。
勉めよと、勵ます語。高適詩「行矣各──、吾當挹餘烈」
ハイ [泰]
斾は俗字
○はた(旗)種種の色の帛にてつくりし旗「大─」「錦─」○旗の總稱。詩、小雅「白─央央」○──は長き貌。又、旗の垂れ下る貌。又、飛び揚る貌。
軍旗を後にかへす、軍隊をひきかへす。顏延之、請立渾天儀表「大軍──、潭儀在路」=反旆。
はた。詩、小雅「蕭蕭馬鳴、悠悠──」
○旗の垂れ下る貌。又、飛び揚る貌。詩、小雅「胡不──」○長き貌。詩、大雅「荏菽──」
①バウ [豪]
②バウ [號]
①氂牛 カラウシ 又、其の尾。○はたぼこ(幢)氂牛の尾を竿頭につけたる旗「干─」「羽─」
②麕の毛ながし。○おいぼれ「老─」耄に通ず。
旄ははたほこ、鉞はまさかり。皆天子の命を受けたる大將のもつもの。書、牧誓「左杖黃鉞、右秉白旄」
丘の前方高く後方低きもの。爾雅「前高──、後高陵丘」
かららし。山海經「潘侯之山有獸焉、其狀如牛、而四節生毛、名曰──」=氂牛。
老人と小兒と。孟、梁惠王「反其──」=老幼。
①ハウ·バウ [陽]
②ハウ·バウ [漾]
③ハウ [庚]
旁は俗字
①ほとり(邊)○わき、かたはら(側)「路─」○かたよる(偏頗)○つくり、漢字の右方の稱「偏─」以上は傍に通ず。○大いなり。○ひろし(廣)○あまねし。○─礴は、まじる(混同)又、ひろがる。
②よる(依)莊、齊物「─日月」○─午は交り橫はる。又、分れ布く。
③──は馬の馳驅して息まざる貌。又、馬の盛んなる貌。○ 國 カタガタ ついで、兼ねて。
ひろく考證する。杜牧文「尙宜──曲釋、亹亹繹繹」=旁搜·博引。
○あまねくゆきわたる。易、繫辭「──而不流」○橫書き。史、大宛傳「畫革──、以爲書記」
あまねくきはめる。南史、齊太祖紀「昔我祖宗英叡、──幽明、末葉不造、仍多世故」
あまねくもとめる。書、太甲「──俊彥、啓廸後人」=旁招。
身を利害の外に置く旁觀者の判斷は公平にして、當局者の心の卻りて迷ふをいふ。鹽鐵論「從旁議者易是、其當局則亂」唐書、元澹傳「當局者迷、旁觀者審」
わかれたるちすぢ。直系の對。
○往來の繁きをいふ。交り橫はる義。一縱一橫をいふ。漢書、霍光傳「使者──」○轉じて事の煩雜なるをいふ。
妾 ソバメ 漢書、元后傳「多取──」=側室。
わきに出でたるえだ。酉陽雜俎「山有寶玉、木──皆下垂」
四方にひびく。東京賦「撞洪鐘、伐靈鼓、──八鄙」
かたはらの小屋。史、高祖紀「高祖適從──來」
人を人とも思はざる振舞をなす。史、刺客傳「高漸離擊筑、荊軻和而歌於巿中相樂也、已而相泣、────」
あまねくうるほふ。潘尼文「和氣四充、惠澤──」
あまねくてらす。漢書「明哲煌煌、──無疆」
あまねくみる。蘇軾文「延英──、念故老之不來」
旁引に同じ。韓愈、進學解「獨──而遠紹」
あまねくすべあつめる。晉書「加以──廣深、博聞彊識」
君のそば近きところ。又、侍臣。漢書、孝元皇后傳「內媚事──」=近習·近臣。
廣がりはびこる、唐は廣。長笛賦「騈田──」
あまねくのぶ。史、始皇紀「武威──、振動四極、禽滅六王」
本文の側に書き入れする。又、其の註釋文。=旁注。
つぶさに盡くす。易、文言「六爻發揮、──情也」
たて(盾)蘇軾詩「長刀擔──」
馳せて息 ャ まざる貌。詩、鄭風「駟介──」
ひろく下に被りおよぶ。漢書、司馬相如傳「大漢之德、──四塞」
混同して一にする。又、みちひろがる。莊、逍遙遊「之人也、之德也、將──萬物以爲一」=旁薄·磅礴。
廣くかたはらをみる。潘岳賦「瞬悍目以──」
リヨ ロ [語]
○たび(客)「商─」○たびびと、たびす、─行する。○おほし(衆)○もろもろ(衆)○ならぶ(陳列)左、莊二六「庭實─百」○ついづ(序)順序を立てて竝べる。○ともにす(俱)禮、樂記「進─退─」○よろひのさね。○やままつり(祭山)論、八佾「季氏─於泰山」○えびすのをさ、西戎の長。○軍兵五百人の稱。轉じて廣く軍隊の稱「軍─」「師─」「禁─」○振─は衆を整へてかへる。○播種に因らずして生ずる。○易の卦の名、艮下離上。
たびごろも。崔湜詩「淸霜換──」=客衣·征衣。
たび。たびす。
旅行免狀に同じ。
海外へ旅行する者に對し外務大臣より下附する許可證。=旅行券·旅券。
○西旅に產する犬の一種。○書經の篇名。書、旅獒序「西旅底貢厥獒、太保乃作──」
たびびと。易林「路多枳棘、步刺我足、不利──」=旅人·羈客·客子·遊子。
たびのかり、遠方へ飛び行く鴈。何遜詩「霜洲──渡、朔飆吹宿莽」=征雁。
やどや、たびのやどり。元稹詩「──雖堪託、官僚自可憑」=旅次。
やどや、旅人宿。高適、除夜詩「──寒燈獨不眠、客心何事轉悽然」=旅舍·旅亭·客館·旅次·旅宿·旅寓·逆旅旅店。
たびぢにてやすむ。李白詩「醉來脫寶劍、──高堂眠」
旅行免狀に同じ。=旅行券。
たび人のこころ。杜甫詩「空山獨夜──驚」=旅情·客心·旅思。
たびじたく。
たびのやどり。杜甫詩「老夫轉不樂、──兼百憂」
たびのかなしきおもひ。駱賓王詩「靑陸芳春斷、黃沙──催」=客心·客愁·旅愁·旅魂。
たびのうれへ。杜甫詩「日出淸江望、暄和散──」=客愁·羈愁·旅思。
旅客に同じ〔易、旅卦〕
旅館に同じ。
衆と共に進退する。王禹偁、待漏院記「有無毀無譽、────、竊位而苟祿、備員而全身者、亦無所取焉」禮、樂記「今夫古樂、進旅退旅」
旅館に同じ。
たびごころ。楊愼詩「坡老──昌歜酒、雍陶鄕思米囊花」
旅は道、樹は屛、道に設けたる屛。禮、郊特牲「臺門而──」
○旅館に同じ。張籍詩「──今已遠」○たびのやどり。=旅次。
他鄕にてくらす。戴復古詩「──思鄕味、砧聲起客愁」
たびにてかしぐ。陸游詩「──雜沙土、得飽何暇擇」
禾の種を播かずして生へたるもの。後漢書、光武紀「野穀──、麻尗尤盛」
むれをなしてすすむ。易林「蒼鸞羣行、相得──」
二個聯隊の兵にて編成せし軍隊。
やどや。=客亭·客舍·逆旅·旅館。
たびの道のり。
やどや。項斯詩「──開偏早、鄕帆去未收」=旅館。
たびのみち、たびぢ。劉滄詩「──誰見客靑眼」=客途。
竝びつらなりてをがむ。宋書「見者皆──」
たびのこころ。李商隱詩「歸期無雁報──有猿侵」=旅思·客心·旅情。
おほくの品をならべる、百品をならべる。左、宣十四「庭實──、奉之以玉帛」
たびやどりす、ふなどまり。博異志「欣此──、接奉不得鄭重耳、恨恨而別」
ろぎん。路用 ロヨウ
せぼねのちから、旅は膂。一解、旅は衆、衆力の義。詩、小雅「──方剛、經營四方」
國 諸國を廻り步きて商賣する者。=行商人。
國 でかせぎ。他國へ行きてかねまうけをする。
國 ○道中馬のかひばを盛るかご。又、たぴの荷物を容れるかご。○はたごやの略。=旅館·旅人宿。
7畫
旖(方部十畫)の略字。
セイ シャウ [庚]
○はた(旗)旗竿の上に旄 カラウシ の尾をつけ、之に析きたる鳥羽をつけたる旗。○旗の總名。「旆─」○あらはす(表示)賢人·孝子義僕などを表彰する「─忠」「─義」「─賢」「表─」○しるす(識別)表識して明かにする「─別」
同訓異義
アラハル 旌·見·現·顯·著·形·暴·露·表.彰の別は見(部首七畫)の條を見よ。
あらはし引き上ぐ。宋書、戴顒傳「前太尉參軍戴顒、辟士韋元、秉操幽遁、守志不渝、宜加──以弘止退」
はたと、きぬがさと。齊書、宗室遙昌傳「──飄颻、遠涉淮泗」
はたざを。常建詩「落日──懸」
あらはしえらぶ。韋曜、博奕論「博選良材、──髦俊」
はたの總稱。廣雅「凡旗之名雖異、──爲之總稱」
はた。漢書、梁孝王傳「賜天子──」=旌麾。
はた、麾はさしづばた。江總詩「北窗命簫鼓、南館列──」=旌旗。
はた。王安石詩「夾砌陳──、褰簾進佩環」
あらはしかかぐ。又、しるし(表揭)丁謂賦「志轅門而──」
賢人をあらはす。後漢書、胡廣傳「德以──、爵以建事」
あらはす。後漢書、公孫述傳「忠節志義之士、竝蒙──」=旌表。
はたと、つづみと。晉書、輿服志「陳乘輿車輦──於其殿庭」
善行又は功績をあらはしほむ。宋書、孝武帝紀「──茂異」=旌襃。
あらはして次第をついで定む。孫綽文「國無違民、而賢善之流、必見──矣」
使者の持ちゆく旗じるし。周禮「執──以宣布于四方」王昌齡詩「前驅引──、千里陣雲匝」
あらはしてぬき用ふる。北齊書、辛術傳「未蒙──」
あらはしめでる。後漢書、朱穆傳「守死善道、宜蒙──」
はた。隋煬帝文「──飄颻而從風」
はた。宋書、鄧琬傳「──掩雲、舳艫咽海」=旌旗·旆旌。
はた、さしづばた。杜甫詩「漢苑入──」=旌旗。
あらはしほむ。=旌賞。
善行を賞めあらはす。南史、邵榮傳「八世同居、──門閭」
あらはして善人と惡人とをわかつ。書、畢命「──淑慝、表厥宅里」
賢才を明かにして能吏に任ず。晉書、山濤傳「搜訪賢才、──三十餘人皆顯名當時」
死者の名をしるせるはた、銘旗。後漢書、趙咨傳「表以──之儀」
祭祀宴會などの時に設くるはたにてつくりたる門。周禮、天官「爲帷宮設──」
あらはしかかぐ。王昻文「垂──之期、崇奬激之道」
いさををあらはす。庾信文「崇德──、興亡繼絕」
功勞をあらはす。元史、順帝紀「右丞相脫脫、治河功成、宜有異數以旌其勞」
善行の人の名を里門にかきあらはす。唐書、張逈秀傳「所居堂、産芝草、犬乳鄰貓、中宗以爲孝感、旌其閭」
あらはししるす。顏延之文「光昭茂緒、──舊勳」
旌(前條)に同じ。
はた。梁簡文帝詩「風急──斷、塗長鎧馬疲」=旌旗。
①セン [先]
②セン [霰]
①めぐる、めぐらす、まはる、まはす「轉─」○かへる、かへす(反)還に通ず。○まとふ(遶)○まろし(圓)○りゅうづ(鐘懸)○ゆばり(小便)左、定三「夷射姑─焉」夷射姑は人名。○やや(差)○しばらく(俄頃之閒)○また、かへって。史、始皇紀「─遂之瑯邪」○璇に通ず「─璣」○便─ ベンセン はたちもとほる。=徘徊。
②めぐる、まとふ(繞)僧用晦詩「東郊十里香塵─」
同訓異義
カへル 旋·歸·還·反·返·復·囘の別は歸(止部十四畫)の條を見よ。○メグル旋·繞·遶·環·行·巡·周·囘等の别は繞(糸部十二畫)の條を見よ。○ヤヤ旋·稍·差·較·良の別は稍(禾部七畫)の條を見よ。
めぐらす。めぐる。陸游詩「上天何蒼蒼、四序浩──」=斡旋。
ふかくうづまくふち。淮南子「湍瀨──」
めぐりかへる。古詩「客行雖云樂、不如早──」
めぐりまがる。淮南子「能進退履繩而──中規」
いくさをかへす。=還軍·旋師。
うづまき。袁桷詩「敎民風偃草、撫俗水──」=盤渦。
植物分類法にて、花又蕾の螺旋狀に卷く植物の總稱、朝顏の類。
旋轉に同じ。=旋廻。
めぐらす。めぐる。班婕妤、擣素賦「或──而紆鬱」
天地を囘轉する義。威武を振ひ國家を平定するにいふ。韓愈、潮州謝上表「陛下卽位以來、躬聽斷、旋乾轉坤、天戈所麾、莫不寧順」
かへりきたる。曹植文「今我──、素雪云飛」
いくさをかへす。=還師·旋軍。
くびすをめぐらす、暫時の義。史、吳起傳「其父不──、遂死於敵」
うづまくいづみ。水經、注「昭山下有──、深不可測」
まはる、めぐる。北史「雲表見二一大鳥射之、正中、其頸狀如車輪──而下、乃鵰也」=旋囘。
はたをめぐらす、軍をかへす義。顏延之表「大軍──、渾儀在路」=反旆。
めぐりかへる。詩經「旣不我嘉、不能──」
陶器をつくるろくろ。
めぐりさける。裴度文「神魚鼓舞而──」
馬をひきかへす、轡はたづな。
つむじかぜ。高適詩「一日千里如──」=旋飇。
文詞を從橫自在に作る才筆。方鎭編年「田承嗣簽治文案如流水、吏人相謂曰、世罕有此───」
草花の名、をぐるま。
つむじかぜ。宋褧、朝元宮白牡丹詩「瑤圃廓落崑崙高、霓旌豹節凌──」=旋風。
つむじ、うづまきたるけ。聞見後錄「碧雲霞廏馬也、莊憲太后、臨朝以賜荊王、王惡其──」
めぐるあわ。李泌詩「──飜成碧玉池」
國 和歌の一體、上の句も下の句も五七七の三句より成る、本かと思へば末となり、末かと思へば本た旋 カヘ るが故に名つく。
①ゾク [屋]
②ンウ [宥]
①やから、みうち、ともがら(類·屬)「宗─」「親─」「疏─」「戚─」「皇─」「貴─」三─は、父·子·孫。九─は上高祖に至り、下玄孫に至る稱。○一人の罪の爲めに父母妻子までも罪する。又、其の刑。書、泰誓「罪人以─」○たぐゐ(類)「水─」「羽─」○むらがる(叢)あつまる(聚)○物事の交錯して結ぼれる所。莊、養生主「每至於─、吾見其難爲」○やじり(矢鋒)=鏃。○周代にて百家の稱。○うぢ(姓氏)
②けしかける。=嗾。○あつまる。=蔟。○ふし、音樂の節奏。=奏。○太─は正月の律の名。=太簇。
むこ、又はよめの家族。張華文「隆禮崇親戚、旁施協──」=姻類。
みうちを合せて殺す。五代史、司空頲傳「以爲通書於梁、莊宗──之」
○親類のこども。漢書「嚴助、會稽吳人嚴夫子子也、或言族家子也」○兄弟の子、姪 ヲヒ
國 人民の身分のとなへ。華族·士族·平民の區別のとなへ。
むらがりおふ。族は叢なり。爾雅「木──爲灌」
○同姓と異姓と。書、呂刑「王曰、嗚呼敬之哉、官伯──」注「族、同族、姓、異姓也」○同じやから。晉書、諸葛恢傳「王導嘗與恢戲爭──」
族稱と本籍と。
一人の罪によりて一族を誅する。
氏族と門望 イヘガラ と。南史、周敷傳「倚敷──、深求交結」
一族のけいづ、氏族の系譜。南史、賈希鏡傳「──合百帙、七百餘卷」
○親族のわかち。周禮「掌三族之别」○種類によりて分つ。道德指歸論「物以──」=類别。
鶉の異名。淸異錄「鶉捕之者、多論網而獲、故雌雄羣子、同被鼎俎、世人文其名、爲──」
罪ありて一族をほろぼす。
同じやから。史、春申君傳「──離散」
ヂ [紙]
○旖─ イヂ は旌旗の風に從ふ貌。又、しなやかなる貌。又、雲のたなびく貌。又、盛んなる貌。
旒(方部九畫)に同じ。
8畫
テゥ [篠]
○はた、龜蛇を畫きし旗「玄武─」○帛の長さ八尺ある旗。
9畫
セゥ [肴]
はたあし。旌旗の旒。漢書、揚雄傳「建光耀之長─兮」
リウ ル [尤]
或は斿·旈に作る
○はたあし、旌旗の垂れ下る者、ふきながし。禮記「龍旂九─」○かんむりのたれ、冕 カンムリ の前後に垂るる玉のかざり「冕─」
たれのあるはた。潘岳文「敢託──、爰作斯誄」
十二のふきながしのあるはた。高唐賦、注「──、謂建太常十二旒」
はたあし。杜甫詩「忠貞負寃恨、宮闕深──」
ふきながしありて、長さ八尺あるはた。張說詩「──飛行樹、帷宮宿野煙」
絲にて玉を貫きて前後にたれたる貴人のかんむり。隋書、樂辭「穆穆──、蘊誠畢敬」
10畫
イ [支]
○─旎 イヂ は旌旗の風に從ふ貌。しなやか。史、司馬相如傳「─旎從風」○盛んなる貌。宋玉、九辯「紛─旎乎都房」○雲のたなびく貌。漢書、揚雄傳「乘雲蜺之─旎兮」
キ [支]
○はた。古は熊虎を畫き、大將の建てしもの、衆と其の下に期するもの。周禮、大司徒「以─致萬民」後は廣くはたの總名とす「牙─」「義─」○しるし(表標)左、閔二「佩衷之─也」さし物は中心を示す目標の義。○東北の星宿。○二十八宿の一。=箕。○淸朝の軍隊の稱「滿州八─」
はたもと、大將の旗の下の義、大將に直屬する兵。後漢書、耿弇傳「──衆尙十餘萬」=麾下。
はたと、きぬがさと。潘岳、關中詩「──相望、偏師作援」
はたざを。幸蜀記「有羣鴉泊於──上、其鳴甚哀」
司令長官の坐乘せる軍艦。
はた。劉攽詩「風霆齊命令、龍虎會──」
かぢきまぐろの異名、長さ丈餘、口端銳く尖りて角狀を爲し、船の舵木を穿つことありといふ。
いくさばた。宋書、武帝紀「──首塗則八表響震、偏師先路則多壘雲徹」
はたぼこ。韓愈詩「晶光蕩相射、──翩以森」
軍用のはたと、つづみと。史、淮陰侯傳「信建大將之──」
互に軍勢を張り合ふ。轉じて伎倆をくらべる。管輅别傳「太守單子春、欲試輅之才辯、謂輅曰、吾欲自與卿────」
はた、幟は旗じるし。史、高祖紀「──皆赤」
はたじるし。禮、月令「以爲──、以别貴賤等級之度」晉書、禮志「諸侯覲天子、各建其──」
○はたもち。○軍旗を捧持する者、聯隊附の少尉が之をつとめる。
○はたいろ、はたじるし。○ 國 ハタイロ 軍の勢。
はた。宋之問詩「和風吹鼓角、佳氣動──」=旌旗。
キ タウ []
はた。唐書、張仲武傳「獲馬牛橐駝──、不可計」=旌纛。
酒屋、料理店、旗を立ててしるしとするが故。史、三代世表「會──下」集異記「開元中、詩人王昌齡·高適·王之渙齊名、一日天寒微雪、三詩人共詣──貰酒小飮」
はた。唐書、禮樂志「咸通閒藩鎭、稍復舞破陣樂、然舞者衣畫甲、執──、纔十人而已」
軍旗がたふる、敗軍にいふ。呂覽「賢主之擧也、豈必──將斃、而乃知勝敗哉」
國 昔時、一地方のさむらひの長。轉じて仲閒の首領 カシラ
國 德川時代將軍直參の士にて目見え百俵以上萬石以下の者、旗下の士。
14畫
ヘン [元]
○はた(旗)幅の下に垂れ下れるしるしばた。○はたじるし。○旌旗の總名。後漢書、禮儀志「建靑─」○──は飛揚する貌。石鼓文「左驂──」
はた。蘇軾詩「天風吹──」
15畫
クヮイ [泰]
○はた(旃)大將のさしづばた。左、桓五「─動而鼓」=麾。○いしゆみ、石を發して敵をうつしかけの車。
スヰ [寘]
はた。全き羽を旌の上に繫ぐもの。
16畫
ヨ [魚]
○はた、鳥隼 ハヤブサ を畫きし旗、其の勇健に象 カタド る。州里にて建つる所「干─」○あがる(揚)詩、小雅「髮則有─」
はた。曾鞏詩「君子往守東南圻、──綵錯如翔翬」