皿部
0畫
ベイ [梗]
さら、食物を盛るひらたき鉢、盤盂の屬「器─」
3畫
ウ [虞]
○はち。わん、飮食物を盛る容器「飯─」「盤─」史、滑稽傳「酒一─」=杅。○わん。又、はちの形せしもの「腎─」○田獵 カリ の陣形の名。左、文十「宋公爲右─、鄭伯爲左─」
はちが方形ならば水も亦方形となる、民の善惡は君の善惡によるとの喩。韓非、外儲說「孔子曰、爲人君者猶盂也、民猶水也、────、盂圓水圓」
佛 梵語の音譯、倒懸を救ふの義、盆は食器、陰曆七月十五日百味の飮食を父母及び祖先に具へ僧に布施し、冥土に於ける亡靈の倒まに懸けられたる如き苦を救ふの意。釋氏要覽「行孝順者、亦應奉───」=盂蘭會·盂蘭盆會。
4畫
エイ [庚]
○みっ(充·滿)だんだんに滿つる。○あふれる(溢)易、坎卦「坎不─」○あまる(餘)古、贏に通ず。縮の對。○──は水の一ぱいにみちて流れる貌。又、女の美くしくたをやかなる貌。
同訓異義
ミツ 盈·滿·充·實·塞·塡の別は滿(水部十一畫)の條を見よ。
みちあふれる。後漢書、樊宏傳「常戒其子曰、富貴──未有能終者」
○水の滿つる貌。古詩「──一水閒、脈脈不得語」○女の容貌のしなやかに美くしき貌。枚乘、雜詩「──樓上女、皎皎當窗牖」
みつると、へると。唐書、龜玆傳「歲朔鬭羊馬橐駝七日、觀勝負、以卜歲──」=息耗。
みつると、かくると。易、謙卦、疏「盈者虧、則謙者受益也」裴說詩「一歲幾──」=盈缺。
がごにみつ。鮑照、園葵賦「乃羮乃瀹、堆鼎──」=滿筐。
みつると、むなしきと。易、豐卦「天地──、與時消息」
水の流れるに少しのくぼめる坎 アナ にも一ぱいに滿ちて先 サキ へ先 サキ へと進むをいふ、科は穴、人の學を成すに漸を以て進むべきに喩ふ。孟、離婁「原泉混混不舍晝夜、──而後進、放乎四海」
○貫は鏑、鏑に溢れる弓を十分にひきはるをいふ。莊、田子方「列禦寇爲伯昏無人射、引之──」○罪惡の甚だ多き義、貫は錢ざし、餘り多くしてさしきれざる義〔左、宣五〕=貫盈。
十五夜の滿月。魏志「三五──、淸耀燭夜」
みつると、かくると。盧仝詩「天涯娟娟嫦娥月、三五二八盈又缺」=盈虛。
順序をふみてすすむ。孟、離婁「盈科而後進」盈科參看。
杯にみつ。曹植、正會詩「淸酤──、中坐騰光」
みつると、ちぢむと。史、貨殖傳「進退──、與時變化」
みちつむ。潘岳詩「寢息何時忘、沈憂日──」
みちあまる。唐書、羅藝傳「涿郡號富饒、伐遼兵仗多在、而倉庤──」
みつると、むなしきと。阮籍詩「天時有否泰、人事多──」
十分にみちたる、富貴權勢などの極盛なるにいふ。後漢書「吾門戶殖財日久、──之咎、道家所忌」魏文帝、戒盈賦「悵然懷──之戒」
チュウ [東]
器の內部虛し、むなし(器虛)老子「道─而用之」=忡。
杯(木部四畫)の俗字。熟語は杯の條を見よ。
自ら猜疑心を起して苦む故事、疑心暗鬼を生ずといふに同じ。
ホン ボン [元]
○はち、ほとぎ(盎)酒などをいれる瓦器「瓦─」「浴─」 國 ○ ボン 茶器·食器などをのせる緣のあさき臺。○盂蘭盆の法會の略語。又、陰曆七月の中元の節「─暮 ボンクレ 」
頭に盆を戴けば天を望む能はず、天を望まんには盆を戴くを得ず、事は同時に兼ね行ふ能はざるに喩ふ、司馬遷、報任安書「僕以爲戴盆何以望天」後漢書「第五倫諭諸外戚曰、苦身待士、不如爲國、────、事不兩施」
雨の盛に降る形容。陸游詩「黑雲塞空萬馬屯、轉盼白雨如──」=覆盆。
莊子が妻を失ひし時の故事。莊、至樂「莊子妻死、惠子弔之、莊子則方箕踞────、惠子曰、不哭亦足矣、又────、不亦甚乎、莊子曰、人且偃然寢於巨室、而我噭噭然隨而哭之、自以爲不通乎命、故止也」
盆の中に種種の色にそめたる砂を以て物の形を畫く技。又、其のゑがきし畫。
鉢に花卉を植ゑて自然の景色に擬したる置き物。元人は之を些子景といふ。王鏊、姑蘇志「虎邱人善於盆中植奇花異卉盤松古梅、置之几案、淸雅可愛、謂之──也」
國 はちうゑのうゑき。
盆の中に石砂等をとりあはせて山水の景を造りしもの。又、それに用ふる石。
山嶽又は臺地にて四方を圍まれたる平坦の地「甲府──」
ぼんの如き小さき池。明一統志「有──龍口水注其中」=小池。
酒漿等を容れる土器、缻は缶に同じ。史、廉頗藺相如傳「藺相如前曰、趙王竊聞秦王善爲秦聲、請奉──秦王以相娛樂」
5畫
アゥ [漾]
○はち、ほとぎ(盆)「盆─」─は大腹にして小口。盆は底小にして口寬 ヒロ し。○盛んに見はれる。孟、盡心「─於背」あふれる。○さかんな(盛)る貌。──は和 ヤハラ ぐ貌。杜牧文「春之──、不足爲其和也」又、盛んに盈つる貌。
瓦のこばち。淮南子「狗彘不擇──而食」
盛んにあふれる貌。蘇軾詩「詩詞如醇酒、──薰四肢」=盎盎·盎盎然。
エキ ヤク [陌]
○ます(增)○くはへる(加)長ずる「增─」「─智」○ますます、いよいよ(愈)○すすむ(增進)○ゆたか(饒)「饒─」○おほし(多)○みちあふる(盈滿)○たすく(助)○ためになる、やくにたつ、ききめ。得る所。論、衞靈公「終夜不寢以思、無─」○まぅけ、利得あり。損の反對「損─」「利─」○易の卦の名、震下巽上。○漢代の州名、今の四川·雲南と貴州の北部と。
同訓異義
マスマス 益·增·倍·滋·加○益は今までよりは、增し進むなり、韓文に「聖益聖而愚益愚」とあるが如し。○增は益と略同じ、增し加はるなり、唐詩に「城中增二暮寒一」とある如し。○倍は一倍以上ますなり、增·益は、增すことの多少にかぎらずして用ふ。○滋は浸也、蕃也と註す、水のしみひろがり、草のはびこる義にて、漸次に增し加はるをいふ。史記、酷吏傳「法令滋章、盜賊多有」○加は今まである上に、添へ加はる義、重カサヌル也と註す。
交りて益ある友。論、季氏「益者三友損者三友」
○分量をまし加へることを願ふ。論、雍也「──、曰與之庾」○又一層詳しき敎訓を求める。論、子路「──、曰無倦」
漢代に置きし州名。今の四川省の地。
人の好む所に三の益あるをいふ。論、季氏「────、損者三樂、樂節禮樂、樂道人之善、樂多賢友益矣、樂驕樂、樂佚遊、樂宴樂損矣」
ながいきする。漢書、李尋傳「宜急改元易號、迺得延年──」
○ちゑを增す。葉適詩「書多前──、文古後垂名」○龍眼肉 リユウガンニク の異名。本草「龍眼生南海山谷、一名──」
人生に利益を與へる蟲類の總稱、蠶·珊瑚·蜜峰などの類。
食用·裝飾·害蟲驅除など、すべて人生に利益を與へる鳥類の總稱。
めはじき、越年生草にて藥草の一、產婦之を服すれば益あり、故に名づく。一名茺蔚。
①カフ [合]
②カツ·カチ カイ [曷]
①おほふ(覆)あふ(合)會合する。○なんぞ何何せざると返り讀む、何不の合音字、疑問の反語。論、先進「─各言爾志」古、蓋·葢に通用す。
②鶡に同じ、鳥の名。○─旦は夜鳴きて旦を求める鳥。
朋輩のよりあつまる義。易、豫卦「朋──」注「盍合也、簪疾也」疏「羣朋合聚而疾來也」
ワン [旱]
椀·碗は俗字
わん、こばち(小盂)「酒─」吳志、甘寧傳「以銀─酌酒」
6畫
蓋(艸部十畫)の俗字。
カフ [合]
○さら(皿)はち(盤)○はちのふた(盤覆)又、蓋 フタ のあるはち、組合せて重ねるやうに作りし容器「香─」
クヮイ [灰]
○はち(鉢)○俗にかぶと(首鎧)の義とす。鐵片を以て製す、形帽の如きもの「─甲」
盡(皿部九畫)の俗字。
7畫
①セイ·シャウ [庚]
②セイ·シャウ [敬]
①もりもの、そなへもの、神に供へる爲めに器に在る黍稷、黍稷を粢といひ、器に在るを─といふ「粢─」「犧─」○物をもるうつは、杯·盂など。左傳「旨酒一─」○もる、物を器に受け容れる。○なる。なす(成)○よそほひおごそか(嚴飾)
②さかんなり「全─」「殷─」○みつ(滿)○廣く大いなり。○つよし(彊)○しげる(茂)「茂─」○おほし(多)「─多」「衆─」○長ずる。○とみさかゆ(富榮)「隆─」「昌─」「富─」「豐─」「榮─」○─京は淸朝の舊京の名、今の奉天瀋陽縣治。○ 國 もる、高く積み上げる。又、藥を調合する。
同訓異義
サカンナリ 盛·隆·壯·熾·昌○盛は衰の反、さかり最中なり、上へ上へともり上アガる意あり。○隆は中央高也と註す。汚の反、汚はくぼやかなり。鼻筋の高きを隆準リウセツといひ、天の弓なりに、中央高きを、穹隆といふ(隆一に窿に作る)大學序「宋德隆盛、治敎休明」○壯は雄壯·壯健などと用ふ、氣力たくましく壯なるなり、三十を壯といふも其の故なり。○熾は火の燃えあがる如くに、勢の目立ちて盛んなるなり、熾盛と用ふ。○昌は次第に明らかになるなり。
貴きくらゐ。韓愈、與于襄陽書「──無赫赫之光」=顯位·高爵。
盛旨に同じ。
○盛世のまはり合せ。白居易、上尊號表「啓一千年之──」=昌運。○よき仕合。
盛んなる宴會。王勃、滕王閣序「勝地不常、──難再」=盛宴。
なつのもなか。漢書、五行志「──日長、暑以養物」
壯年の時のさかんなる顏色。鮑照詩「──當少歇、鬢髮先生白」
さかんなる音樂。禮、月令「帝用──」
さかんなるいきほひ。又、氣をさかんにす、えらきけんまく。史、趙世家「左師觸讋願見太后、太后──而胥之入」
盛んなる儀式。高啓詩「扈蹕諸蕃觀──」
さかんなるありさま。
りっばなるおくりもの。
勢さかんにしてつよし、彊は強。唐書「囘鶻──、北邊空虛」
さかんなるくはだて、立派なる事業。
さかんなるいさを。阮籍文「元功──、光光如彼、國土嘉祚、巍巍如此」
さかんなるよりあひ。周伯琦詩「良辰──如雲從」
りっばなるみもの。=壯觀。
今の奉天省の治、淸の太祖遼陽より都を此に遷す、北京に遷都せし後は──を以て陪都と爲す、東三省の一。
さかんなるわざ。杜甫詩「──今如此、傳經固絕倫」
盛んなる會筵。晉書、車武子傳「武子善於賞會、當時每有──、而武子不至、皆云無車公不樂」
美くしく立派に著かざる。=盛飾。
さかんなるむね、かたじけなきおぼしめし〔孔叢子〕=盛指·盛意。
甚だりっぱなることがら。典論「文章經國之大業、不朽之──」
さかんなる旨。晉書、鄭冲傳「抗表致仕、詔曰、高讓彌篤、至意難違、覽其──、俾朕憮然」=盛旨·盛意。
勢のさかんなるとき。又、年わかくさかんなる時。曹植、箜篌引「──不可再」
さかんなり。論衡「德惠──、故瑞繁夥也」
あきのもなか。漢書、李廣傳、注「──馬肥、故令折衡禦難也」
盛典に同じ。
俗 御親切 コシンセツ
さかんなるものは怠る心を生ず、故に必衰の理あり。仁王經「────、實者必虛」
美くしきかほいろ。漢書賈捐之傳「夫後宮──、則賢者隱處」李白詩「──無十年」
さかんなるよそほひ。史、鄒陽傳「──入朝者不以利汚義」
さかんなると、おとろふると。五代史、伶官傳敍「──之理、雖曰天命、豈非人事哉」=隆替。
盛んにして太平の世。沈約文「値銜圖之──」
さかんなるいきほひ。魏志、張遼傳「及其未合、逆擊之折其──以安衆心」
盛んなる酒食。論、鄕黨「有──、必變色而作」
唐詩を初唐·──·中唐·晚唐の四期に分つ。──は其の極盛時代、卽ち開元より大曆に至る閒。滄浪詩話「論詩如論禪、漢魏晉與──第一義也」
さかんなる寵愛。漢書、谷永傳「長堪重任、久享──」
さかんに立派なる儀式。=盛式。
はげしくいかる。國語「寡君不能事疆場之司、使君──、以暴露于敝邑之野」
冬のもなか。雲林異景志「──客至不燃火」=隆冬。
さかんなるとく。易、繫辭「富有之謂大業、日新之謂──」
先人の盛德と、のこれる儀範と。唐書、韋陟傳「宋璟見陟歎曰、────盡在是矣」
德の盛んなる士は、亂世には疏遠にせらる〔說苑〕
さかんなるとし。曹植、敍愁賦「迄──而始立」=壯年。
年わかき時は、再び來らず。陶潛、雜詩「─────、一日難再晨、及時當勉勵、歲月不待人」林寬詩「白日莫空過、靑春不再來」
盛澤(江蘇省吳江縣の地名、多く綢綾を出す)にて織る所の紡綢をいふ。
おごそかなる正裝。中庸「齋明──、以承祭祀」左、宣二「──將朝」
儒紳をいふ。漢書「────、不用於世、此乃秦之所以亡天下也」秦の時、文學を羞ぢ勇武を好む、故にいふ。
さかんなるほまれ。後漢書、黄瓊傳「陽春之曲、和者必寡、──之下、其實難副」
虛名の其の實に過ぎる義。前條參看。
盛んなる典禮。北史、高閭傳「豈可聖明之辰而闕──」
さかんにうるはし。史、禮書「猶云出見紛華──而說」
德のさかんなる王。禮記「虞夏殷周、天下之──也」
タゥ [號]
○ぬすむ(竊)○すべて私 ヒソカ に物を利する義。○ぬすみ。又ぬすびと「─賊」「大─」「竊─」「强─」「寇─」「剽─」
同訓異義
ヌスム 盜·賊·竊·偸·攘○盜は人の物をとるなり、說文に「私利レ物也」とあり。莊子「盜亦有レ道」○賊は人を劫オヒヤカすなり、寇賊·殘賊などと用ふ、物をぬすむに限らず、大小事とも廣くいふ、盜よりはあらくはげし、舜典の「寇賊姦究」の傳に「殺レ人曰レ賊」とあり。○竊は人の目をしのび、こっそりとぬすむ、草竊·竊盜などと用ふ。○偸は人の目をはづすなり、偸レ閒とは、忙しき中より、人目をはづして、閒暇を得るなり、苟且也、佻也と註するにて解すべし。○攘は此方へ來りたるものを、とめて返さぬなり、孟子に「攘二其隣之雞一」とあるは、隣家の雞が、逃げ來りしをぬすみて、返さぬなり。
ぬすびとのかしら。表異錄「──言盜之倡也、竽者五音之長」=盜魁。
ねあせ。外科祕法「──不止」
ぬすみするけらい。大學「與其有聚斂之臣、寧有──」
言行一致せざる學者。唐書、李逢吉傳贊「夫口道先王語、行如巿人、其名曰──」
ぬすみかすめる。唐書、囘紇傳「囘鶻人驍彊、善騎射、喜──」=盜掠。
古の大盜の名。莊、盜跖「柳下季之弟、名曰──、──從卒九千人、横行天下、侵暴諸侯」柳下季は柳下惠。=盜蹠。
ぬすみ。漢書、匡衡傳「上有好利之臣、則下有──之民」=竊盜·攘竊。
山東省泗水縣に在る泉の名。說苑「水名──、孔子不飲、醜其名也」
ぬすびと。周禮、小宰「以糾萬民、以除──」
國 品物を盜まれたる災難。
他の所有の竹木をぬすみてきりとる。
ぬすむ。北史、李崇傳「──軍資」
名(口部三畫)の條を見よ。
女子を嫁するまでには費用多くして家も貧しくなる、故に盜も五人の女子ある家には入らず。後漢書、陳蕃傳「鄙諺曰、───────、以女貧家也」
ぬす人にも亦その道がある。莊子「跖之徒、問於跖曰、────乎、跖曰、何適而無道耶、夫妄意室中之藏、聖也、入先、勇也、出後、義也、知可否、知也、分均仁也、五者不備、而能成大盜者、天下未之有也」
千里の馬の名、駿馬の淺黑色にして小頸なるもの、周穆王八駿の一。穆天子傳「右服──」
ぬすみかすめる。唐書、史憲誠傳「戎人怒、因興──」
ホ [麌]
黍稷を盛るまるき器。=簠。
8畫
蓋(艸部十畫)に同じ。
サン [潸]
琖に同じ
さかづき。又、小さき杯、ちょく「瓦─」「杯─」「酒─」
①ベイ·ミャウ [庚]
②バウ·ミャウ [敬]
①通音メイ②通音マウ
①ちかふ。ちかひ(誓)「─約」「同─」古、神に告げて犧牲を殺し、其の血をすすりて約束を固める。○あきらか(明)○まこと(信)○蒙古にて數部落を合せて一─とす、內蒙古は六─、外蒙古は四─。
②古、孟に通ず。─津 マウシン は河南省の地名。史、周紀「武王東觀兵於─津」=孟津。
同訓異義
チカフ 盟·誓·矢の別は誓(言部七畫)の條を見よ。
したしき交を結びし友。
舊き約束を溫める、尋は燖。寒盟の對。左、哀十二「吳子使太宰嚭請──、公使子貢對曰、盟所以周信也苟有盟焉弗可改也已、若可尋也、亦可寒也」
かもめと交を結ぶ。世外に超然たるにいふ。陸游詩「平湖煙水已──」
約束に背く、渝は變。左、桓元「──無享國」
誓約を守る心をゆるべる。尋盟 メイヲアタタム を見よ。
したしき友の敬稱。
かたきちぎり。京房文「──無差、邦必昌矣」
同盟のかしら〔左、襄二六〕=盟首。
誓約書の首位に署名するもの。=盟主。
ちかひのかきつけ。左傳、注「載在──而藏於司盟之府」
ちかふ、ちかひ。左傳「戮力同心、申之以──、重之以婚姻」
ちかひのには。梁州記「今門外──猶存」
誓約の書を入れおく庫。左、襄十一「夫賞國之典也、藏在──」
ちかふ。ちかひ。史、黥布傳「夫楚兵雖彊、天下負之、以不義之名、以其背──、而殺義帝也」
ロク [屋]
○こす(瀘)水を瀘す。周禮、考工記「淸其灰─之」=漉。○小さきはこ(小匣)化粧道具などを入れる小さきはこ。唐書、李德裕傳「貢脂─妝具」=簏。○つくす(竭)水を去る。○したたる(瀝)
9畫
①カン·ケン [咸]
②カン·ケン [陷]
①上から見おろす、下に臨む「─臨」詩、大雅「天─在下」○しらべる(察)みはりをする「─察」「─督」「─視」○しめす(觀)○かぬ(攝)かね守る「─國」○らぅや、罪人を─禁する所「─獄」
②かんがみる。鏡にててらし見る。=鑑。○めつけ、しらべる者、めつけ役「軍─」○をさ(宰領)○官署「國子─」「欽天─」○宦官、奄人。史、秦紀「因景─求見孝公」○かがみ(鑑)てほん(模範)いましめ「─戒」○明かなる貌。
人をおしこめて自由の行動をさせぬ。
軍隊の目附役 メツケヤク
しらべみる。詩經「──四方、求民之莫」
みまもる。詩經、疏「敎令工匠──其事」
國事を監督する、古、天子諸侯の太子の任とす。轉じて太子の義に用ふ。左、閔二「君行則守、有守則從、從曰撫軍、守曰──、古之制也」
ひとや、らぅや、獄屋 ゴクヤ =牢獄。
しらべる、監察審查。
國 監督して檢查する役。銀行·會社の重役。
目をつけてしらべる。又、其の官。王逸文「──羣下、應對諸侯」
百官の善惡を考へ、賦役·農桑·刑獄·盜賊などを取締る官名〔唐六典〕
州、又郡を監察する官。=憲司。
天子のさかもりを監督する職。詩、小雅、賓之初筵「旣立之監、或佐之史」
法律上の語、法人の財產業務の實況を監查報吿する人。
○めをつけてみる。漢書、韋賢傳「四方羣后、我監我視、威儀車服、唯率是履」=監察。○法律にて、附加刑の一、警察官が主刑を終へたる犯人の轉居を禁じ、日常の行爲を監查する。
史傳の編修を監督する。又、其の官。合璧事類「──國史」
法律の用語、己の主管する物を盜むをいふ。
國子監の學生。國士監は漢の太學、故に亦太學生と稱す。
しもべがしら。漢書、霍光傳「初光愛幸──馮子都」
目をつけてとりしまる。又其の役。後漢書、荀彧傳「上設──之重、下建副貳之任」
罪人を拘 トラ へ置くへや。仕學大乘「照簿點入──」
國子監にて刻せし書物。陸深、金臺記聞「胡致堂論明宗曰、命國子監、以木本印書、又以──爲正」
もんばん。周禮、注「──門徒」韓非、五蠹「雖──之服養、不虧於此矣」=守門者。
國 昔、中務省の屬官、大藏省·內務省などの出納をしらべ、兼ねて倉庫の管鑰を掌りし官。
ジン [軫]
尽は略字
○つく、なくなる。つくす(竭)器の中が空し。○みな(皆)ことごとく(悉)○とどまる(止)きはまる(極)をはる(終)○月が終る、陰曆にて三十日を大─と爲し、二十九日を小─と爲す。○いづれも。○つまびらか(詳)○まかす(任)白易居詩「─君花下醉靑春」○まま、俗に儘に作る。○─道 タトヒ は縱令の俗語。
同訓異義
コトゴトク 盡·悉·殫·單·畢の別は悉(心部七畫)の條を見よ。○ツクス盡·殫·竭·索·罄·旣·殲·悉○盡は器中空也、終也と註す、皆さっぱりと、なくなる義。○殫は殛盡也と註す、獸を皆ころしつくすなり、古は單に作る。轉じて何物にても、全くつくすをいふ。韓文「財粟殫亡」○竭は盡也、敗也と註す、よわりつくるなり。史記太史公自序「神大用則竭」○索は盡也、散也と註す、物のつきてさびしくなりたるなり。書經「牝雞之晨、惟家之索」○罄は器中の空しくなりたるなり、盡に同じくして、用法せまし。○旣は或る限りある物が、そこまで全くつきたるなり、日食皆旣の如し。○殲は、つくすと訓む、人を盡く殺すなり。○悉はことごとくとも、つくすとも訓む、無くし盡すにはあらず、一一殘らずの義、悉皆と連用す。
○十分にいさめる。周語「好──以招人過、怨之本也、唯善人能受──」=極言。○十分に說きつくす。易、繫辭「書不──、言不盡意」
○ひねもす、日出より日沒まで。漢書、高祖紀「今足下──攻、士卒傷者必多」無名氏詩「──問花花不語」=終日。○みそか、月の最終日。
こころをつくす。孟、盡心「盡其心者、知其性也」
心をつくし力をつからす、瘁は病。詩、小雅、北山「或燕燕居息、或──事國」諸葛亮、出師表「鞠躬──、死而後已」
善美を極めつくす。善(口部九畫)を見よ。
忠をつくし、國にむくゆ。宋史、何鑄傳「何鑄引岳飛至庭、詰其反狀、飛袒而示之背、背有舊涅────四大字、深入膚理」
つきてなくなる處。杜甫詩「腸斷春江欲──、杖藜徐步立芳洲」=盡處。
壽命を全うし終はる。莊子「可以全生、可以──」
はかりごとを十分につくす。後漢書、劉輔傳「百僚在位、竭忠──」
死を效 イタ す義。北史、魏彭城王傳「士於布衣、猶爲知己──、況臣託靈先王、誠應竭股肱之力」
ことごとくみる。宋史、鄭獬傳「陛下詔發天下忠義之士、必有極其所韞以獻諸朝、一日萬機、勢未能──」春明退朝錄「棟宇軒厰、──江山之勝」=畢覽·徧覽。
あるたけの力をつくす、ほねをり。杜甫詩「塵中老──、歲晚病傷心」
書經は誤謬もあればことごとく信ずべからざるをいふ。孟、盡心「────────、吾於武成取二三策而已矣」孟子は書經に就きて言ひたるも、廣く書傳の義として見るも可なり。
10畫
ハン バン [寒]
もと槃に作る
○さら、はち、食物をもる容器「杯─」「玉─」「春─」左、僖二三「乃饋─飧」○たのしむ(樂)=般。○大いなる岩。=磐。○わだかまる。=蟠。○たらひ(盥)顏を洗ふ盥。大學「湯之─銘」○まがる(屈曲)めぐる。めぐらす(旋)「─囘」「─旋」「─紆」蘇軾詩「蜀道走千─」○─桓 バンクワン は進まざる貌。又、たちもとほる(便旋)貌。○ 俗 賣買の價格「開─」○ 國 バン 物を載せる臺「碁─」
たのしみあそぶ。書、五子之歌「──無度」=盤樂逸遊。
○飮食物を入れるさらはち。抱朴子「視泰山如彈丸、見滄海如──」○書物の名、黃帝の史、孔甲の作。漢書、藝文志「孔甲──二十六篇」
わだかまりまがる。史、司馬相如傳「其山則──岪鬱」=盤旋·屈曲。
盤互に同じ。漢書、谷永傳「百官──、親疎相錯」
わだかまる。據り守る。杜甫詩「落落──雖得地、冥冥弧高多烈風」
根據地の廣く且つ固きにいふ。全唐詩話「或說王維終南山詩、譏時也、其曰太一近天都、連山接海隅、言勢焰──朝野也」
山路の屈曲せる義。宋書、謝靈運傳「石參差、山──」
まがる○駱賓王文「根柢──、枝幹扶疎」=盤曲。
まはりめぐる。韓愈詩「流水──山百轉」=盤旋。
○進みがたき貌、たちもとほる。易、屯卦「初九──、利居貞」○ぐづぐづして志を決せざる貌〔李密、陳情表〕
○おほむかし。宋元通鑑「孛羅曰、且問、──至今、幾帝幾王」○古の天子の號。述異記「──氏、夫婦陰陽之始也」
互に入り組む、盤曲交互。漢書、劉向傳「宗族──」=盤牙。
地名。明一統志「──在懷慶府濟源縣北二十里、唐李愿歸隱於此」
わだかまりたる根と入り組みたる木節と。事の艱難に喩ふ。後漢書、虞詡傳「詡爲朝歌長、笑曰、不遇────、何以別利器乎」=盤錯。
○入り組みまじはる。說苑「酒食珍味──於前」○盤根錯節の略。劉禹錫文「紛挐──、一瞬而剖」
びっこをひきて行く貌。史、平原君傳「民家有躄者、──行汲」=盤珊。
めぐりてななめなり。歐陽修詩「山勢──隨澗谷」
まとひ、めぐらす。隋書、流求國傳「男女皆以白紵繩、纏髮從頂後──至額」
おほいなるいはほ。事の安固なるに喩ふ。漢書、文帝紀「地犬牙相制、所謂──之宗也」=磐石。
極めて堅固なる義。荀、富國「國安于盤石、壽於旗翼」盤·磐通ず。陸隴其、謙守齋記「視其家、若泰山之固、────」
まがりくねる。白居易詩「誰知中有路、──通巖巓」=盤囘·盤曲·盤盤·曲折。
音樂十二律の一、盤一に般に作る。朱子語類「般涉調、胡樂之名也、般如般若之般」
○めぐりめぐる○=盤囘·盤紆。○めぐりあるく。韓愈、送李愿歸盤谷序「隱者之所──」
○石のわだかまりて平かならざる貌。蘇軾詩「中泠南畔石──」○馬のくら。杜甫詩「白馬金──」○ 國 ハンダ 鉛と純錫との合金、──鑞の略稱、金屬をつなぎあはすに用ふ。
うねうねとまがりたるさか、つづらをり。孟浩然詩「平田出郭少、──入雲長」
曲折する貌。李白、蜀道難「靑泥何──」
ぐるぐるとめぐりてうづまく。郭璞、江賦「──谷轉、凌濤山頽」
11畫
アン [覃]
○食物を盛る器。○俗に借りて庵の字と爲す。古人印章に多く用ふ。=盫。
クヮン [翰]
○たらひ、手を洗ふ盤。○手をあらふ(澡手)「沃─」「櫛─」左、僖二三「奉匜沃─」○そそぐ(沃)
汚れたる耳を洗ひきよむ。許由の故事。後漢書、崔駰傳「或掩目而淵濳、或──而山棲」=洗耳。
てあらふ。牛僧孺文「──朝服、立于祚階之東」
てあらひ口そそぐ。禮記「子事父母、雞初鳴、咸──」
そそぎあらふ。韓愈、元和聖德詩「皇帝儉勤、──陶瓦」=濯盥。
てあらひ、ゆあみす。後漢書、劉寬傳「簡略嗜酒、不好──」
①ロ [虞]
②リョ [魚]
古、鑪·爐·壚·罏·蘆·顱等に通用す
①くろいろ(黑色)書、文侯之命「─弓一、─矢百」○火をもる器。=鑪·爐。○ひとみ(瞳子)○酒を賣る區、土を累ねて作り中に酒瓮を置くもの。=壚。○飯をもるうつは。○摴蒱の采 サイ の目の名、五子皆黑きもの、最勝の采。○轉じて賭博を呼─といふ。○獹に通ず、黑き良犬の名、韓─ カンロ は戰國時代の韓國の良犬の名。○かりいぬ(田犬)○ますがた。=櫨。○頭の骨。=顱。○ほこのぇ、矛戟の柄。○古の國名〔書、牧誓〕○姓、─綰は漢人。○蒲─ ホロ はあし、蘆に通ず、一說にじがばち(土蜂)○壺─ コロ は匏 フクべ の一名。○─胡 ロコ は大いに笑ふ貌。○─布 ルーブル は俄國 ロシア の貨幣の名。
②臚(肉部十六畫)に同じ。○廬に同じ。
○枇杷の異名。彙苑「今廣東呼枇杷、爲──、其葉名無憂扇」○金柑 キンカン の異名。盧は黑、金柑の生ずる時は靑黑色なるが故〔本草綱目〕
黑ぬりのゆみと矢と。書、文侯之命「盧弓一、盧矢百」注「盧、黑也」
笑聲の喉の閒にある義、大笑なり。後漢書、應劭傳「覩之者、掩口──而笑」=胡盧。
唐の濟源の人、玉川子と號す、學を好みて博覽、詩に工なり、嘗て月蝕の詩をつくり元和の逆黨を譏る、韓愈其の工を稱せり、性茶を好む、謝孟諫議(名は簡)惠茶歌あり。盧陸參看。
扁鵲(盧に家す)と兪跗と、共に古の良醫。左思、蜀都賦「神農是嘗、──是料」注「扁鵲、盧人、跗、兪跗」一說に盧氏(古の名醫、列、力命に見ゆ)と兪跗と。
盧仝と陸羽と、共に唐の人、盧仝は玉川子と號す、茶を嗜み、茶歌を作る(古文眞寶に載す)陸羽、字は鴻漸、茶事に精しく、茶經三卷を著す。
12畫
①タゥ [漾]
②タゥ [養]
③タゥ [陽]
①おしうつる(推移)易、繫辭「八卦相─」○あらふ(滌)○うごかす。○舟をうごかし行る。論、憲問「奡─舟」○うごく(動)「震─」○ほしいまま(放)「傲─」○──は大いなる貌。
②あらふ、器をあらふ。又心を洗ひ淸める。漢書、藝文志「─意平心」=蕩。
③つく(突)搪突する、抵禦する。隋書、五行志「提刀向前─」
水のはげしくつきあたる義。柳宗元文「勢峻──益暴」
手を以て船をうごかし移し行る。論、憲問「羿善射、奡──」
あらひうるほす。鮑照、隨恩被原疏「浩澤──、臣亦與焉」
○廣く大いなる貌。揚雄、河東賦「廓──其亡雙」○廣くしてしまりなし、とりとめなし。漢書、郊祀志「求之──、如係風捕景、終不可得」轉じて法度のやぶれくづれる貌〔爾雅、釋訓〕
たひらげほろぼす。漢書、諸侯王表「姍笑三代、──古法」
チウ [尤]
○山の曲れる所、山のくま、山曲。○─厔 チウシツ は陜西省平安府に在る縣名。
13畫
コ [麌]
○しほ(鹽)精製せざる鹽。史、貨殖傳「倚頓用─鹽起」○もろし、堅牢ならず、おろそか。詩、唐風「王事靡─」(王事はおろそかにしてはならぬ)一說に─は閒暇の意。○鹽の出づる池。○かむ、すする(啑)左、僖二八「─其腦」○しばらく(姑)○にはか(倉卒)
器物の堅牢ならざる義。漢書、息夫躬傳「器用──」
15畫
レイ レツ [霽]
○もとる(戾·狠)背く、たがふ(違)漢書「爲人賊─」=戾。○あつかは、たこ(胝)○艾 ヨモギ に似たる草、綠色の染料とす。漢書、百官公卿表「諸侯王金璽─綬」=綟。