黹部
0畫
チ [紙]
○ぬふ、さす、縫紩す。轉じて女工を鍼─といふ。○ぬひもの、裁縫せし衣服。ぬひとり(刺繡)
5畫
フツ [物]
○ひざかけ(蔽膝)韋 ナメシガハ にて作りしまへだれ(韋韠)禮服を著くる時、膝を覆ふもの。○ぬひ、あや。○半靑半黑、兩の己の字の相背ける模樣を施したる古代の禮服の名。周禮、司服、註疏「─取臣民背惡向善、亦取合離之義、去就之理」一說、兩弓字相背ける形をぬひとりせし禮服。又其のぬひもやう。黼の斧形に對して─に弓形を附す。
兩己相背ける模樣ある祭服。詩、秦風「君子至止、──繡裳」
黻衣を被る貴顯の士の列位。張載、確論「軒冕──之士」
兩己相背ける模樣。爾雅、注「黼文如斧、──如兩己相背」
ひざかけと、かんむりと。竝に祭服。論、泰伯「惡衣服、而致美乎──」
7畫
フ ホ [麌]
○あや、ぬひ。○半黑半白の斧の形を背中合せにぬひとりしたる祭服。又、其のぬひもやう。考工記「白與黑謂之─」
斧の模樣をぬひとりせし禮服。漢書、韋賢傳「肅肅我祖、國自豕韋、──朱紱、四牡龍旂」
次條に同じ。禮、明堂位「昔者周公朝諸侯於明堂之位、天子負──南鄕而立」
斧を畫きたる赤き絹地の屛風、古、天子の諸侯に對する時、之を御座の背に立てしもの。斧は威を示す所以、柄なきは之を用ひざるの意。書、顧命「狄設──」=黼依。
天子の御座。前條を見よ。費宏賦「前──而造膝兮、聽玉音之雍雍」袁桷詩「香擁衮龍開──」
斧の形と唐草の模樣と。新論「夫樟木盤根鉤枝(中略)匠者採焉、製爲殿堂、以丹漆、畫爲──、則百辟卿士、莫不顧盻仰視」
斧の形をぬひとりにしたるもの。漢書、禮樂志「──周張、承神至尊」
斧の形のぬひあるとばり。司馬相如賦「芳香芬烈、──高張」
○古、天子の大禮服の裳のぬひとりの名、黼は白と黑とにて斧の形を縫ひ、黻は黑と靑とにて兩の己の字の相背きたる模樣を繡ふ。禮、月令「──文章、必以法故」○轉じて文章に喩ふ。北齊書、文苑傳「摛──於生知、問珪璋於先覺」
黼は斧の形をぬひとりせし禮服、冕は禮冠。後漢書、鮑昱傳「時郡學久廢、其子德乃修起橫舍、備俎豆、──行禮奏樂、又尊饗國老、宴會諸儒一