肉部(月)

0畫

肉  

①ジク·ニク [屋]

②ジウ [宥]

通音ニク宍は古字

①み、にく、しし「筋─」「肌─」「髀─」「骨─」○きりみ、ししむら。○からだ(身體)「─刑」○鳥獸蟲魚の體の食用に供せられる部分。又、特に獸のにく「粱─」○果實野菜などの皮に包まれたるやはらかき部分。

②こゆ(肥滿)○─好は音の洪 オホ いにして美くしきにいふ。○孔のある錢。又、璧の外環 ソトワ  國  にく、印にくの略。=印泥。又牛にくの略。又からだの太さ「中─」又物の厚み。

【肉緣】 ニクエン 

ちつづき。=血統·肉親。

【以肉去蟻】 ニクヲモツテアリヲサル 

驅逐するに、其の方法を誤れるに喩ふ。韓非、外儲說「────、蟻愈多、以魚驅蠅、蠅愈至」

【以肉委餓虎 】 ニクヲモツテガコニヰス 

いぬ死にして何の益なきに喩ふ。史、張耳陳餘傳「今必俱死、如以肉委餓虎、何益」

【肉好】 ニクカウ 

○肥滿をいふ。一解に音の洪美をいふ。禮、樂記「寬裕──順成和動之音作、而民慈愛」○物の圓形にして中に孔 アナ ある者、其の外を肉といひ、中を好といふ。爾雅「肉倍好、謂之璧」註「肉、邊也、好、孔也」

【肉殽】 ニクカウ 

骨のつきたるにく。詩經、疏「對──、故云菜殽」

【肉羮】 ニクカウ 

肉のあつもの。

【肉角】 ニクカク 

○肉につつまれたるつの。孔叢子「麕身而──」○麒麟の異名。後漢書、班彪傳「──馴毛」

【肉眼】 ニクガン 

○眼鏡の力を借らざる人のまなこ。○俗人のまなこ。張羽詩「──紛紛爭醜好」○凡夫の眼。天眼通の對。涅槃經「天眼通非礙、──礙非通」

【肉几】 ニクキ 

まないた。

【肉杏】 ニクキヤウ 

あんずの異名。農書「北方──甚佳」

【肉腐出蟲】 ニククサリテムシヲイダス 

事は根本が壞 ヤブ れて然る後に禍害の生ずるに喩ふ。荀、勸學「────、魚枯生蠧」

【肉果】 ニククワ 

肉豆蔻 ニクヅク の異名。

【肉塊】 ニククワイ 

肉のかたまり。

【肉冠】 ニククワン 

雞のとさか。=雞冠。

【肉刑】 ニクケイ 

肢體を傷くる刑。いれずみ·はなきりの類。漢書、刑法志「造參夷之誅、增加──」史、孝文紀「法有──三」註「黥·劓二、左右趾合一、凡三」

【肉桂】 ニクケイ 

暖地に生ずる常綠喬木、根の皮は味辛甘、藥用とす、廣西·安南等に多し、廣西桂平縣に產するものを潯桂といひ、安南に產するものを安桂又、邊桂といふ。

【肉棗】 ニクサウ 

茱萸の異名。本草「山茱萸、一名蜀酸棗、一名──」

【肉山】 ニクザン 

○肥えたるからだ。黃庭堅詩「六月火雲蒸──」○肉の多き形容。次條を見よ。

【肉山脯林】 ニクザンホリン 

肉の多きを形容す、脯は乾肉 ホジシ 帝王世紀「夏桀爲────殷紂爲酒池肉林」

【肉肆】 ニクシ 

肉を賣るみせ(肉屋)=肉店。

【肉汁】 ニクジフ 

○鳥獸のにくを煮たるしる。班固文「衆人之逐世利、如靑蠅之赴──也」○肉を煮出したるしる、そっぷ。

【肉親】 ニクシン 

血肉を分ちたる親子兄弟など。=血族。

【肉障】 ニクシヤウ 

女子をならべて屛風に代へたる故事。開元遺事「楊國忠、冬月選婢妾肥大者、行列于前、令遮風、謂之──亦謂肉陣」=肉屛風。

【肉醬】 ニクシヤウ 

ししびしほ。周禮、注「醓醢、──也」

【肉蓯蓉】 ニクシヨウヨウ 

寄生植物の一、富士山などの高山に生ず、莖は肉質を爲す、長さ尺餘、短柱狀、藥用として補益の效あり。

【肉色】 ニクシヨク 

○肉の色。○肌膚 ハダ の色。○ ニクイロ 皮膚の色に似たる色。

【肉食者】 ニクシヨクシヤ 

厚き祿を食む者、卽ち大夫以上の者。左、莊十「曹劌曰、───鄙、未能遠謀」

【肉聲】 ニクセイ 

人の口より出づる聲。絲竹の聲などの對。

【肉體】 ニクタイ 

なまみのからだ、肉身。靈魂精神に對してからだをいふ。

【肉臺盤】 ニクダイバン 

宴會に衆妓をして器を執りて侍らしむるにいふ。肉屛風を見よ。

【肉袒】 ニクタン 

上衣をぬぎて肉體を表はす。謝罪の禮。左、宣三「鄭伯──、牽羊以逆」

【肉彈】 ニクダン 

 國  肉の彈丸、敵壘にをどりこむ身を彈丸に喩へていふ。

【肉池】 ニクチ 

 國  印肉いれ。

【肉陣】 ニクヂン 

肉障を見よ。

【肉豆蔻】 ニクヅク 

ししづく、南洋諸島に產す、其の果實は香味甚だ烈し、香料又藥用とす。

【肉薄】 ニクハク 

飛道具を用ひずして敵に近くせまる、薄は迫〔元史、郝經傳〕

【肉筆】 ニクヒツ 

 國  印刷にせざる書きしままの書畫。=眞筆。

【肉屛風】 ニクビヤウブ 

妓女に圍まれて風をふせぐにいふ。書言故事「唐楊國忠家富、凡有客設酒、令妓女各執其事、號肉臺盤、冬月令妓女圍之號───」=肉障。

【肉片】 ニクヘン 

肉のひときれ。

【不知肉味 】 ニクミヲシラズ 

心一事に專らにして、他に移らざるをいふ。論、述而「子在齊聞韶三月、────」

【肉慾】 ニクヨク 

男女の肉體上の私慾。=性慾。

【肉籬】 ニクリ 

人をかきとして敵をふせぐ。唐書「傅奕曰、周齊每戰、驅夏人爲──」

月  

肉(前條)に同じ。

○漢字の偏旁となる時の字體、中の二畫左右に連る、日月の月とは別。○ 國    ニクツキ 字畫上のとなへ。

2畫

肌  

キ [支]

はだ、はだへのにく(膚肉)「冰─」「玉─」「雪─」「細─」

【肌液】 キエキ 

あせ。嵆康文「──肉汙、踧笮便出」=汗漿。

【肌膏】 キカウ 

はだのあぶら。郝經詩「──坐銷鑠、節鉞漫熒煌」

【肌骨】 キコツ 

はだと、ほねと。歐陽修、秋聲賦「其氣慄列、砭人──」

【銘肌鏤骨】 キニメイシホネニルス 

はだや骨にきざみつける。深く心に記して忘れざる義〔顏氏家訓〕

【肌膚】 キフ 

はだへ。莊、逍遙遊「──若冰雪」=膚肌。

【肌理】 キリ 

はだのきめ。杜甫詩「──細膩骨肉匀」

肋  

ロク [職]

あばらぼね(脅骨)胸を圍みて肺や心臟をまもる椽 タルキ 形の骨。

【肋骨】 ロクコツ 

○あばらぼね、胸旁の骨。○西洋風の軍服の胸部につける肋骨狀のかざり。

【肋膜】 ロクマク 

あばら骨の內にありて肺をおほへるまく「──炎」

肎  

肯(肉部四畫)の古字。

3畫

肜  

イウ [東]

祭の翌日に行ふ祭「─祭」書、高宗肜日、傳「祭之明日又祭也」

肛  

カゥ·コウ コウ [江]

○しりのあな(肛門)大腸の下端「脫─」○胮─はふくれて大いなる(脹大)貌。韓愈詩「形軀頓胮─」

【肛門】 カウモン 

しりのあな。史、倉公傳、注「──重十二兩」

肝  

カン [寒]

○きも、かんのざぅ「─臟」○轉じてまごころ(心衷)しんからのこころ「─膽」「心─」「肺─」「忠─」「鐵─」○かなめ「─要」「─腎」

【肝胃】 カンヰ 

きもと、ゐと。又こころ。蘇軾詩「山城亦何有、一笑潟──」

【肝要】 カンエウ 

かなめ。=樞要·肝心·肝腎。

【裂肝碎首】 カンヲサキカウベヲクダク 

禍害の甚だしき義〔蘇軾、始皇論〕

【析肝】 カンヲサク 

腹を割って見せる、まごころを示す義。史、鄒陽傳「剖心──相信」=披肝。

【披肝】 カンヲヒラク 

まごころをうちあける。後漢書、朗顗傳「披露肝膽、書不擇言」

【肝膈】 カンカク 

肝臟と、むなおちと。轉じて心の中。蘇軾詩「縈洄成曲沼、淸澈見──」

【肝懷】 カンクワイ 

こころ。陸雲文「存想其人痛切──」

【肝臟】 カンザウ 

五臟の一、膽汁を釀して膽囊に送る器官。南史、張興世傳「袁凱曰、賊據人──裏、云何得活」

【肝心】 カンシン 

肝要に同じ。=肝腎。

【肝腎】 カンジン 

○肝臟と腎臟と、轉じて心をいふ。陳與義詩「揚雄平生學、──困雕鐫」○物事の主要なるに喩ふ。=肝要。

【肝膽相照】 カンタンアヒテラス 

互に心を示して隱す所なし。韓愈、柳子厚墓誌銘「握手出肝膽相示」

【披肝膽 】 カンタンヲヒラク 

まごころをうちあける。漢書、路溫舒傳「───、決大計」=披肝。

【肝膽傾】 カンタンカタムク 

まごころをかたむけつくす。曾鞏詩「江湖一見十年舊、談笑相逢───」

【肝膽楚越】 カンタンモソヱツナリ 

物は見方によりて肝膽の如く密接せるものも、楚越の如くに遠く隔たる。莊、德充符「自其異者視之、────也、自其同者視之、萬物皆一也」

【肝腦塗地】 カンナウチニマミル 

慘殺 ムゴクコロス せられて肝臟や腦が地にまみれる。史、劉敬傳「使天下之民────、父子暴骨中野」

【銘肝】 カンニメイスメイカン 

心に刻みて忘れず。

【肝肺】 カンハイ 

○かんの臟と、はいの臟と。○轉じてまごころ。杜甫詩「戀闕勞──」=肺肝。

【肝油】 カンユ 

動物の肝臟から採りし油、藥用とす。

【肝膋】 カンレウ 

○かんのあぶら、膋は腸の閒の脂 アブラ 唐書、禮樂志「諸大祀、取──、燔于爐」○古の八珍の一。周禮、天官、膳夫「珍用八物」註「珍、謂淳熬·淳母·炮豚·炮?·擣珍·漬·熬·──也」

肓  

クヮウ [陽]

むなさき。心臟の上、橫膈膜の下の局部、古代の醫者が藥力の及ばざる所とせし所。說文「心上鬲下也」左、成十「居─之上膏之下」「病入膏─」

肖  

①セゥ [嘯]

②セゥ [蕭]

①にる(似)骨肉が似る「不─」「克─」書、說命「說築傅巖之野、惟─」○かたどる(象)のっとる(法)○ちひさし(小)

②おとろふ(衰微)○うしなふ(失散)○ 國  あやかる。

【肖像】 セウザウ 

にすがた、其の人に似せて作れる畫像乂は偶像。=肖象。

【肖似】 セウジ 

にる。范成大詩「我家鴟夷子、竹帛照吳越、雲仍無──、頫首愧前哲」

肘  

チウ [有]

○ひぢ、うでの關節 フシ (臂は中部の彎曲せる所、─は其の外側)○ひぢを取りてとどめる「掣─」後漢書、孔融傳「欲命駕、數數被─」○尺度の稱、一─は二尺(一說に、一尺五寸)

【肘腋】 チウエキ 

○ひぢと、わきのしたと。○轉じて己に切近せる地に喩ふ。晉書、江統傳「宼發心腹、害起──」

【肘胯】 チウコ 

ひぢと、またと。蘇軾詩「或飛入吾車、偪仄入──」

【肘臂】 チウヒ 

ひぢ。字解參看。

【肘腕】 チウワン 

ひぢと、かひなと。

【引肘】 ヒヂヲヒク 

かひなをひく。晉書、宣帝紀「引弩將射帝、孫謙止之曰、事未可知、三注三止、皆引其肘、不得發」=掣肘。

【掣肘】 ヒヂヲヒク 

前條に同じ。聞見後錄「自櫽括日之所行與所言、相──矛盾者多矣」

肚  

ト [麌]

○はら(腹)○ 俗  ゐ(胃)

【肚皮裏】 トヒリ 

腹の中、心の中。

4畫

肬  

イウ [尤]

又、疣に作る

○いぼ、皮肉の餘分に隆起せしもの(肉瘤)=贅。○轉じて宂物 ムダナモノ の義に喩ふ。

【肬贅】 イウゼイ 

いぼと、こぶと。むだなものに喩ふ。荀、宥坐「今學曾未如──、則具然欲爲人師」=贅肬。

育  

イク [屋]

或は毓に作る

○やしなふ(養)そだつ、子を養ひて善をなさしむ「敎─」「薰─」「化─」詩、小雅「長我─我」○おひたつ、生長する、生を遂げる。中庸「萬物─焉」○うむ、うまる。易、漸卦「孕婦不─」○をさなし(幼稚)詩、衞風「昔─恐─鞠」

【育育】 イクイク 

活潑 イキイキスル なる貌。管子「浩浩者水、──者魚」

【育英】 イクエイ 

英才を敎育する。孟、盡心「得天下之英才而敎育之、三樂也」=毓英。

【育嬰堂】 イクエイダウ 

棄兒 ステゴ を養育する所。=育兒院。

【育鞠】 イクキク 

やしなひそだつ。鞠はそだてる。晉書、四夷傳論「開──之新降」=育養·鞠育。

【育蘖】 イクゲツ 

そだてたる、めばえ。蔡邕賦「因本心以誕節兮、凝──之綠英」

【育兒】 イクジ 

こをそだつ。

【育兒院】 イクジヰン 

孤兒·貧兒等を敎養する所。

【育成】 イクセイ 

やしなひそだつ。高允、祭岱宗文「吞吐風雲、──萬品」

【育德】 イクトク 

德を養ひ長ぜしむ。易、蒙卦「君子以果行──」

【育養】 イクヤウ 

そだてやしなふ。諸葛亮、答杜微書「──民物、竝治甲兵」=育鞠。

【育孕】 イクヨウ 

子をはらむ。魏書、崔光傳「乞停李獄、以俟──」

肴  

カゥ [肴]

殽に同じ、或は餚に作る

○さかな、啖 クラ ふ肉、穀物以外の副食物。魚と肉との熟して食ふもの「酒─」「嘉─」「珍─」○ 國    サカナ 魚類のおかず。

【肴蔬】 カウソ 

さかなと、野菜と。蘇軾詩「洗爵對妻孥、──無厚薄」=肴蔌。

【肴蔌】 カウソク 

前條に同じ。荊楚歲時記「歲暮家家具──以迎新年」

肮  

カゥ [陽]

のど、のどぶえ(喉嚨)史、劉敬傳「搤其─、拊其背」古、亢に通ず。

肸  

キツ ケツ [質]

○─蠁 キツキヤウ は蚊の如き濕生の小蟲が衆く羣り起つ貌。轉じてさかんに興る貌。左思、蜀都賦「景福─蠁而興作」○人名、佛─は戰國時代の晉の人。

【肸肸】 キツキツ 

笑ふ貌。戴表元詩「洗杯問勞苦、天女笑──」

肣  

キン [侵]

をさむ。をさまる(斂)

肩  

①ケン [先]

②コン [元]

①かた(髆)軀幹の上部の左右、頸項の下の兩臂と相連なる處、臂本。○轉じてたふ、こらへる(任·勝·克)書、盤庚「朕不─好貨」○─は荷を擔ふところ、故に負擔の義とす。左、襄二「鄭子駟請息─於晉」○まかす。○三歲の獸。詩、齊風「竝驅從兩─兮」

②── コンコン はやせて小なる貌。一說に、直なる貌。莊、德充符「其脰──」

【肩胛骨】 ケンカフコツ 

かひがらぼね、背部の上面、肩の兩側にある三角形の骨。= 俗  飯匙骨。

【肩章】 ケンシヤウ 

軍人官吏等の制服につける肩じるし。

【肩隨】 ケンズヰ 

年長者にしたがひて步むに肩を竝べて稍退きて行く。曲禮「五年以長、則──之」

【肩摩轂擊】 ケンマコクゲキ 

肩と肩とすれあひ、車の轂 コシキ と轂とがうち合ふ、往來のこみ合ふ形容。戰國齊策「臨淄之途車轂擊、人肩摩、連衽成幃、擧袂成幕揮汗成雨」

【肩輿】 ケンヨ 

二人にて肩にかつぐかご。菽園雜記「古稱──·腰輿·板輿·筍輿·兜子、卽今轎也」蘇軾詩「──任所適、遇勝輒留連」

【息肩】 カタヲイコフ 

荷をおろして肩をやすめる。轉じて己の仕事を休む。左、襄二「鄭子駟請──於晉」

【脅肩】 カタヲソビヤカス 

○肩をそばだて體をすくませる、こびる形容。孟、滕文公「──諂笑」○懼れつつしむさま。史、吳王濞傳「──累足、猶惧不見釋」

【比肩】 カタヲヒスヒケン 

○かたをならべる。比肩(一○三三頁一段)を見よ。○つづきておこる。韓非、難勢「是──隨踵而生也」

股  

コ [麌]

○もも、あし、また(大腿)膝以上を─、以下を脛 スネ といふ。又、上下を通じて─といふ。○またの一方。轉じて物事の一部分、一─は。兵の一支隊。合─は合資して商業を營む。─本は資本。─分はかぶ、又株券。○體をたすける大切なる部分なるにより、轉じて重要の臣に喩ふ「─肱」○車上の轂に近き部分。○磬の上の大いなる部分。○直角三角形の直角をなす長き方の邊「句─弦」

【股肱之臣】 ココウノシン 

最も賴みとする輔佐の臣。書、皋陶謨「帝曰、臣作朕股肱耳目」左、昭九「君之輔佐、是謂股肱」

【股掌】 コシヤウ 

ももと、てのひらと。視ること小兒の如く、操縱することの極めて易きに喩ふ。吳語「玩吳國於──之上、以得其志」

【股掌之臣】 コシヤウノシン 

股肱之臣に同じ。戰國魏策「王曰、需寡人之────也」

【股主】 コシユ 

 俗  株主。

【股戰】 コセン 

おそれて足がわななく。史、齊悼惠王世家「──而栗、恐不能言」=股栗。

【股腓】 コヒ 

もも。蔡邕文「艮兌感其──」

【股分】 コブン 

 俗  株式組織に於ける資本を幾株かに分ちしもの。

【股本】 コホン 

 俗  株式組織に係る營業の資本。

【股栗】 コリツ 

おそれて足がふるへる。史、酷吏傳「餘皆──」=股戰·股弁。

【股慄】 コリツ 

おそれて足がふるへる。漢書、郅都傳「誅瞯氏首惡、餘皆──」=股栗。

【割股啖腹】 モモヲサキテハラニクラハス 

己の股の肉を割きて腹に食はしむ、畢竟己の損となるに喩ふ。貞觀政要「若損百姓、以奉其身、猶割股以啖腹、腹飽而身斃」

【刺股讀書】 モモヲサシテシヨヲヨム 

蘇秦、書を讀みて睡らんと欲すれば錐を引きて自らその股を刺し、血流れて足に至りしといふ故事。戰國秦策「讀書欲睡、引錐自刺其股、血流至足」

肯  

①コウ [迴]

②カイ [賄]

又、有肎に作る通音コウ

①あへて。○がへんず、うけがふ、ききいれる、ゆるす。認可する。詩、衞風「惠然─來」

②骨に著ける肉。

 同訓異義 

アへテ 肯·敢の別は敢(攴部八畫)の條を見よ。

【肯可】 コウカ 

ゆるす。ゆるし。歐陽修文「未嘗有所──」

【肯構肯堂】 コウカウコウダウ 

父が業をはじめて子が能くこれを繼ぐにいふ。書、大誥「若考作室、旣底法、厥子乃弗肯堂、矧肯構」

【肯綮】 コウケイカイケイ 

○肯は骨につく肉、綮は筋骨の結合せる所。莊、養生主「技經──之未嘗、而況大軱乎」○轉じて事の急所、又、要所に喩ふ。

【肯首】 コウシユ 

うなづく。=首肯。

【肯諾】 コウダク 

うけがふ。=承諾。

【肯定】 コウテイ 

然りと定める。否定の對。

肱  

コウ [蒸]

○ひぢ(臂幹)臂の第二節、肘より腕に至るまで。○轉じてたのみとするものに喩ふ「股─」

【肱膂】 コウリヨ 

ひぢと、せぼねと。最もたのみとすべきものに喩ふ。唐書、宦者傳「肅宗稍稍、任以──事」=心膂·腹心。

【折肱】 ヒヂヲヲル 

三折肱(三六頁一段)を見よ。

【曲肱】 ヒヂヲマグキヨクコウ 

次條を見よ。

【枕肱】 ヒヂヲマクラニス 

ひぢまくらで假寐 ウタタネ する。論、述而「曲肱而枕之」=枕臂。

【橫肱】 ヒヂヲヨコタフ 

肱をよこたへる。禮記「室中不翔、竝坐不──」

肢  

シ [支]

通じて支に作る

○人のてあし(手足)四─は兩手兩足。○獸の足。鳥の翼及び足にもいふ。

【肢解】 シカイ 

支解(七九九頁二段)に同じ。

【肢骨】 シコツ 

手足の骨。

【肢體】 シタイ 

からだ。=身體·體軀。

?  

シャ [禡]

きりにく「臠─」

肫  

ジュン [眞]

○──はねんごろ(懇誠)なる貌。中庸「──其仁」=忳忳。○腊 ホジシ 卽ち乾肉の全きもの。儀禮、士昏禮「─脾不升」○ 俗  家禽の胃。

肭  

①ヂク [屋]

②トツ [月]

①縮─は陰曆の朔日 ツイタチ に月の東方に見ゆるにいふ。

②膃─ ヲツトツ は肥えたる貌。又、海獸の名、をっとせい(海狗)膃─臍は其の獸の腎と臍とを連ねて取れるもの、滋補の藥とす。

肺  

ハイ [隊]

○はいのざぅ、五臟の一、呼吸する所以の者。○こころの中(心衷)「─腑」「─肝」○──は草木の盛んに茂る貌。詩、陳風「其葉──」○─附は至りて親しき義。

【肺炎】 ハイエン 

肺に炎症を起す病、初は惡寒發熱を覺え、甚だしきは胸部痛み、咳嗽頻發、咯痰血色或は鐵鏽色を帶び、音聲低くして續かず、傳染性を有す。

【肺肝】 ハイカン 

○はい臟と、かん臟と。○轉じて眞心 マゴコロ の義とす。大學「如見其──然」

【肺懷】 ハイクワイ 

まごころ。惠洪詩「臨事見──」=肺肝。

【肺活量】 ハイクワツリヤウ 

肺臟に空氣を入るるすべての分量。

【肺結核】 ハイケツカク 

結核性の肺病。=肺勞·勞咳。

【肺肺】 ハイハイ 

盛んに茂る貌。詩、陳風「東門之楊、其葉──」

【肺附】 ハイフ 

至りて親しき親類。漢書、劉向傳「臣幸得託──」

【肺腑】 ハイフ 

○肺腑の相附く如く至りて親しきもの、骨肉といふが如し。史、魏其田蚡傳「蚡以──爲京師相」=肺附。○心の中。=心腹。

【肺勞】 ハイラウ 

肺結核の俗稱、勞一に癆に作る。=勞症·勞咳。

肧  

ハイ [灰]

胚の本字

物の未だ形をなさざる者。婦の孕みて一月なるを─、三月なるを胎といふ。

肪  

ハゥ [陽]

○あぶら「脂─」動物の體內の油質の凝結せるもの。○こえる(肥)

【肪膩】 ハウヂ 

肌があぶらじみてなめらか。袁尊尼、聽彈琵琶賦「皓齒素腕、玉瑩──」

肥  

ヒ [微]

○こゆ(多肉)肌肉の豐滿なる義。瘠の反對。○ゆたか(饒·裕)さかんなり(盛)厚し。○こえしむ。こやす。○こえたる良馬。漢書、食貨志「乘堅策─」○こえたる肉「─甘」○地味の良きにいふ(沃土)○こえ、こやし「─料」○源おなじくして落口の異なる流。水の出づる所の同じくして歸する所の異なるもの。

 同訓異義 

コユ 肥·腴·沃○肥は肉多きなり、こえふとる義。轉じて田肥·家肥·國肥などと用ふ。○腴は腹の下のあぶらぎりて肥えたるなり。轉じて肥田を膏腴といふ。○沃は土地の水がかりよくして、肥えたるをいふ、沃壤と熟す。

【肥衍】 ヒエン 

こえてひろく、たひらかなる地。唐書、歐陽詹傳「閩越地──、有山泉」蘇舜欽、昇陽殿故址詩「瓦礫雖費犁、土壤頗──」

【肥佼】 ヒカウ 

こえてみめよし、佼は姣。論衡「面狀──、亦一相也」

【肥甘】 ヒカン 

こえてうまきにく。孟、梁惠王「爲──不足于口與」=美味。

【肥牛】 ヒギウ 

こえたるうし。史記「乃多釀酒、買──」

【肥强】 ヒキヤウ 

こえてつよし、强く盛んなり。晉書、江統傳「族類蕃息、旣恃其──」=肥勁。

【肥勁】 ヒケイ 

こえてつよし。論衡「使黃帝廢事修道、則心意調和、形體──」

【肥潔】 ヒケツ 

こえてきよらか。春秋繁露「性貴──、而不貪其大也」

【肥國】 ヒコククニヲコヤス 

國をこやす。史、楚世家「裂楚之地足以──、詘楚之名、足以尊主」

【肥壯】 ヒサウ 

こえてさかんなり。南史、宋建安王休仁傳「形體竝──」

【肥豕】 ヒシ 

こえたるゐのこ。汲冢周書「──必烹、甘泉必竭、直木必伐」

【肥辭】 ヒジ 

ゆたかにかざれることば。文心雕龍「瘠義──、繁雜失統」

【肥醜】 ヒシウ 

こえてみにくし。後漢書、逸民傳「孟氏有女、狀──而黑、力擧石臼」

【肥壤】 ヒジヤウ 

こえたる土。易林「膏澤──、農人豐敞」=膏壤·沃壤。

【肥筍】 ヒジユン 

肥えたるたけのこ。梅堯臣詩「水邊苦竹抽──、石上老蕨拳紫茸」

【肥脆】 ヒゼイ 

肉がこえてやはらか。北戶錄「──偏堪爲炙」

【肥饒】 ヒゼウ 

こえたるよき地。史、項羽紀「地──、可都以霸」=肥沃肥腴。

【肥瘠】 ヒセキ 

○からだのこえたると、やせたると。韓愈、爭臣論「視政之得失、若越人視秦人之──」○地のこえたると、やせたると。書、禹貢「田之高下──」

【肥碩】 ヒセキ 

こえて大いなり、碩は大。唐書、職官志「牧養──、蕃息孳多、爲牧官之最」=豐碩。

【肥泉】 ヒセン 

○水源同じくして、落口の異る流〔爾雅、釋水〕○周代、衞國の水の名。詩、衞風「我思──」

【肥牷】 ヒセン 

こえふとりたるいけにへ。袁裒聯句「酒盧橫短甕、屠几斫──」

【肥鮮】 ヒセン 

こえたる生魚、又は肉類。北史、裴俠傳「──不食」

【肥瘦】 ヒソウ 

こえたると、やせたると。南史「短長──、皆有比擬」=肥瘠。

【肥息】 ヒソク 

こえてそだつ。史、平準書「牧羊歲餘、羊──」

【肥大】 ヒダイ 

こえて大いなり。管子「形體──、羽毛豐茂」

【肥體】 ヒタイ 

こえたるからだ〔管子〕

【肥張】 ヒチヤウ 

こえてふとる。=肥滿。

【肥甜】 ヒテン 

こえてうまし。梁?文帝文「陳晨鳧之美味、薦雋鷰之──」=肥甘。

【肥土】 ヒド 

こえたる土地。瘠土の反對。=肥壤·沃土。

【肥腯】 ヒトン 

こえたる豚の肉。左、桓六「博碩──」=腯肥。

【肥遯】 ヒトン 

肥は饒裕 ユタカ 遯は遁、心がゆつたりとして世を逃れかくる。易、遯卦「──无不利」=高隱。

【肥肉】 ヒニク 

こえてふとりたる鳥獸のにく。孟、梁惠王「庖有──、廏有肥馬」

【肥肉厚酒】 ヒニクコウシユ 

こえてうまき肉と、よき酒と。呂覽、本性「────、務以自彊、命之曰爛腸之食」

【肥馬】 ヒバ 

こえてたくましきうま。論、雍也「乘──衣輕裘」

【望肥馬塵 】 ヒバノチリヲノゾム 

富貴の人に追從するをいふ。杜甫詩「朝扣富兒門、暮隨肥馬塵」

【肥白】 ヒハク 

體がこえてしろし。史、張丞相傳「解衣伏質、身長大──如瓠」

【肥胖】 ヒハン 

こえふとる、胖は大「──病」

【肥美】 ヒビ 

こえてうつくし。賈誼、過秦論「不愛珍器重寶──之地、以致天下之士」

【肥牡】 ヒボヒボウ 

こえたるをすの畜類。詩、小雅「旣有──、以速諸舅」

【肥脯】 ヒホ 

こえたる乾肉。束皙賦「受饒在于──、得力在于美酒」

【肥笨】 ヒホン 

こえふとりて粗俗なり、笨は麤〔晉書、羊曼傳〕

【肥滿】 ヒマン 

こえふとる。=肥張。

【肥腴】 ヒユ 

肥饒に同じ。

【肥沃】 ヒヨク 

こゆ。論衡「──墝埆、土地之本性也」=肥饒·沃饒。

【肥料】 ヒレウ 

こやしの料となるもの。

5畫

胃  

ヰ [未]

○ゐ、ゐぶくろ(穀府)食物を受けて消化する器官。○こころ(心衷)「心─」「肝─」○星の名、こきへ、二十八宿の一、西方に在り、倉廪を主る。

【胃液】 ヰエキ 

ゐより分泌する消化液、透明にして水の如し、酸性を帶ぶ、一名胃酸。

【胃炎】 ヰエン 

胃加答兒の異稱、急性·慢性の二あり。

【洗胃】 ヰヲアラフセンヰ 

心を改める義。南史、齊荀伯玉傳「若許某自新、必吞刀刮腸、飮灰──」

【胃加答兒】 ヰカタル 

前條に同じ。

【胃癌】 ヰガン 

ゐに惡症のできもの卽ち癌腫を發する病。

【胃潰瘍】 ヰクワイヤウ 

 國  胃の內の粘膜が腐爛 クサレタダレル して起る病。=胃癰。

【胃擴張】 ヰクワクチヤウ 

胃ぶくろの筋肉の收縮力が弱りてひろがる病。

【胃痙攣】 ヰケイレン 

胃がひきつけていたむ。

【胃酸】 ヰサン 

胃液に同じ「──過多症」

【胃弱】 ヰジヤク 

ゐの消化力のよわる病。

【胃腺】 ヰセン 

胃壁內に在りて胃液を分泌する腺。

【胃腸】 ヰチヤウ 

ゐと、ちゃうと。=腸胃。

【胃病】 ヰビヤウ 

ゐのやまひ。

【胃癰】 ヰヨウ 

胃潰瘍に同じ。

胤  

イン [震]

○たね、ちすぢ(血統)子孫「後─」「天─」「帝─」「皇─」○つぐ(繼·嗣)子孫が父祖の後を承け續ぐ。書、洛誥「予乃─保、大相東土」○ならふ(習)○國名。書、胤征「─侯命掌六師」

【胤裔】 インエイ 

子孫。=後裔。

胛  

カフ [洽]

かひがらぼね、肩部に在りて鎖骨と上膊部とに接して關節をなす骨「肩─」「─骨」後漢書、張宗傳「中矛貫─」

胠  

キョ コ [魚]

○ひらく、あける(開·發)莊、胠篋「─篋探囊」○さる(去)○軍隊の右のそなへ、軍の右翼「右─」(左翼を啓といふ)

胊  

ク キョク [虞]

○まがれるほじし(屈脯)乾肉の屈 マガ れるもの。○とほし(遠)○── クク は屈曲の貌。

胡  

コ [虞]

廣東音ウ

○獸類の頷 アゴ 又、のどの皮肉のたれ下がれるもの。詩、豳風「狼跋其─」○くび(頸)○としより(老)「─考」○いのちながし(壽)○ほこのくび(戈頸)鋒の曲りて旁出する者。○なに、なんぞ、いづくんぞ(何)─爲はなんすれぞ、─如はいかん。○はるか(遐)とほし(遠)「─福」○おほいなり(大)○のり。=糊。○東北のえびすの名(北狄)轉じてひろく野蠻人、又、外國人を輕蔑していふ。○彫─はまこものみ(菰米)○盧─は笑聲ののどの閒にあるにいふ。○祭器、瑚に同じ。○─粉 ゴフン はおしろい。○俗にでたらめ(謬妄)をいふにいふ。意に任せて妄りに爲す「─說」「─閙」

 同訓異義 

ナニ 胡·何·曷·盍·那·庸·奚·詎·巨の別は何(人部五畫)の條を見よ。

【胡安國】 コアンコク 

字は康侯、宋の紹興中の進士、風度凝遠、物表に蕭然たり、嘗て曰ふ、浮世の利名は眞に蠛蠓の前を過ぐるが如きなりと、著すところ春秋傳あり、文定と諡し、孔子の廟に從祀す。

【胡爲】 コヰ 

なんすれぞ、疑問の詞。杜甫詩「帶甲滿天地、──君遠行」

【胡越一家】 コヱツイツカ 

胡は北狄、越は南夷、四海皆一となるをいふ。通鑑綱目、唐紀「────、古未有也」

【胡越意】 コヱツノイ 

胡は北狄、越は南夷、相距ること極めて遠し、故に疏遠の意に喩ふ。書言故事「永懷共濟心、莫起───」

【胡瑗】 コヱン 

字は翼之、宋の海陵の人、仕へて蘇湖二州の敎授となる、經義·治事二齋を立て、明體適用の學を倡ふ、其の門より出づる者、皆循循として雅飭す、後に太學に居る、四方之に歸し、庠舍容るる能はず、世に安定先生と稱す。

【胡笳】 コカ 

蘆葉を捲きて吹く笛、北方の胡人の吹くもの。岑參詩「君不聞──聲最悲、紫髥綠顏胡人吹」=悲笳。

【胡笳十八拍】 コカジフハチハク 

後漢の蔡邕の女蔡琰(文姬)亂離に際して虜となり、胡王の婦となり、兒を生む、後、曹操に購はれて歸る、乃ち其の閒の事實を賦し─────を作る〔樂府詩集〕

【胡考】 コカウ 

ながいき。詩、周頌「──之寧」

【胡樂】 コカク 

○えびすの音樂。○外國の音樂を輕蔑していふ。

【吞胡羯 】 コカツヲノム 

北方のえびすを一口に吞む、之を全滅せんとする志をいふ、羯は匈奴の一種族。文天祥、正氣歌「或爲渡江楫、慷慨───」

【胡騎】 コキ 

北のえびすの騎兵。晉書、劉琨傳「琨在晉陽、嘗爲──所圍」

【胡簋】 コキ 

宗廟の祭に用ふる器。左、哀十一「仲尼曰、──之事、則嘗學之矣」=瑚簋·簠簋。

【胡琴】 コキン 

胡人の琴。獨異記「東市有賣──者」

【胡弓】 コキユウ 

もと胡人の造りし樂器の名、形三味線に似、馬の尾を張りたる小弓にて絃をすり鳴らす。=鼓弓。

【胡瓜】 コクワ 

きうり。齊民要術「收──、候色黃則摘」=黃瓜。

【胡元】 コゲン 

元朝、北の夷(胡)より起りしが故。

【胡言亂說】 コゲンランセツ 

わけの分らぬ言說。

【胡耉】 ココウ 

としより(老人)耉は壽。左、僖二二「雖及──、獲則取之、何有於二毛」=胡考。

【胡沙】 コサ 

○蒙古地方の沙漠。○鮫 サメ の異稱、あゐざめ〔本草綱目〕

【胡坐】 コザ 

あぐら。=箕踞。

【胡臭】 コシウ 

わきが(腋臭)

【胡枝花】 コシクワ 

 ハギ の漢名。=胡枝子。

【胡人】 コジン 

北方のえびす。=北狄。

【胡牀】 コシヤウ 

椅子の類、不用の時はたたみ置くやうに造る(牀几)晉書、庾亮傳「亮便據──、與諸賢士談詠竟夕」

【胡壽】 コジユ 

いのちながし。

【胡思亂量】 コシランリヤウ 

無益の思量をいふ。朱熹文「宜於日用之閒、稍立課程、不要如此────、過卻日子也」=胡思亂想。

【胡荽】 コスヰ 

こにし、こえんどろ、香草の一、實を藥用とす。

【胡椒】 コセウ 

熱地に產する香木、其の實を香味料とす、さんせぅの類。酉陽雜俎「──出摩伽陁國」

【胡椒八百斛】 コセウハツピヤクコク 

甚だしく賄賂をむさぼるにいふ。書言故事「元載受賄、後事敗、有司籍其家、鍾乳五百兩、─────」鍾は鐘。

【胡說】 コセツ 

でたらめの議論。

【胡銓】 コセン 

字は邦衡、澹菴と號す、宋の廬陵の人、高宗に仕へて樞密院編修となる、紹興八年宰臣秦檜、策を決して和を主とす、銓乃ち封事(文章軌範に載す)を上り、秦檜·孫近·王倫を斬らんと請ふ、檜、銓を以て狂妄凶悖と爲し、名を除きて昭州に編管す、卒して忠簡と諡す。

【胡髯】 コゼン 

のどにはえたるひげ。酉陽雜俎「五百歲燕、生──」

【胡髯郎】 コゼンラウ 

羊の異名〔述異記〕

【胡孫】 コソン 

さるの異名、其の形胡人に似たる故。廣雅「猴、一名狙、一名王孫、一名──」=猢孫。

【胡頽子】 コタイシ 

ぐみ。

【胡桃】 コタウ 

くるみ、落葉喬木、核を取りて其の種子を食ふ。博物志「漢張騫使西域、還而得、故名、亦稱核桃」

【胡竹】 コチク 

笛の名、もと胡國の竹にて造る。

【胡塵】 コヂン 

えびすが攻めて來るさわぎ。

【胡蝶】 コテフ 

てふてふ、昆蟲類の一。=蝴蝶。

【胡蝶之夢】 コテフノユメ 

莊子、夢に胡蝶に化し、樂みて彼我の別を忘れたる故事。莊、齊物論「莊周夢爲胡蝶、栩栩然胡蝶也、自喩適志與、不知周也、俄然覺、則蘧蘧然周也、不知周之夢爲胡蝶與、────爲周與」

【胡天】 コテン 

北のえびすの國のそら。

【胡同】 コトウホトン 

北方の支那人、巷 チマク を衚衕といふ、元人、詩に入るる者あり、──は其の省字。

【胡馬依北風 】 コバホクフウニヨル 

胡馬は北狄の馬、故鄕の忘れがたきに喩ふ。古詩「─────、越鳥巢南枝」

【胡服】 コフク 

北方のえびすのきもの。

【胡福】 コフク 

遠く大いなるさいはひ。儀禮「眉壽萬年、永受──」=景福·遐福。

【胡粉】 ゴフン 

ゑのぐに用ふる白きこ。又おしろい。抱朴子、論僊「愚人乃不信黃丹及──、乃化鉛所作」

【胡蜂】 コホウ 

くまばち。

【胡麻】 ゴマ 

穀類の一、莖方にして葉は圓くして銳し、秋白花を著く、節每に角を結び長さ寸許、四稜·六稜·七八稜ありて同じからず、子は黑白二種あり、壓して油を製すべし、相傳ふ、漢の張騫、其の種を西域に得たり、故に──と名づく。=脂麻·芝麻·油麻。

【胡麻飯】 ゴマハン 

ごまを炊ぎたる飯。抱朴子「胡麻一名方莖、服餌不老、仙家所食」續齊諧記「有一杯流出、中有───屑」

【胡蘿蔔】 コラフク 

にんじん、食用とす(人參は藥草にて全く別なり)

【胡虜】 コリヨ 

北方のえびす。=羌虜·北狄。

【胡盧】 コロ 

○口をおほひて笑ふ。一說に笑聲の喉の閒に在るをいふ。孔叢子「──大笑」=盧胡。○ゆふがほ。=葫蘆。

【胡籙】 コロク 

やなぐひ、矢を入れて負ふ器。韻會「──、箭室也」=胡錄。

【胡黃連】 コワウレン 

せんぶり、藥草の一種、味甚だ苦し、千度ふり出してもなほ苦き義。

【胡散】 ウサン 

あやしい、疑はし。=胡亂 ウロン 

【胡亂】 ウロン 

○みだり。劉氏鴻書「五胡亂華、漢人避兵者、凡事皆倉卒、不能完備、相率──」○あやしくうたがはし。=胡散。

胔  

①シ [寘]

②シ [支]

①鳥獸の殘骨。又腐りたる肉。肉のつきたる骨「─骼」禮、月令「掩骼埋─」=骴。

②みづわた(水腸)○─蠵 シケイ はうみがめ。左思賦「摸蝳蝐捫─蠵」

【胔芥】 シカイ 

みづわた。淮南、說山「海水雖大、不受──」

胑  

シ [支]

肢に同じ

てあし(手足)

胏  

シ [紙]

ほじし(脯)脯の骨ある者。

胗  

シン [軫]

かさ(創)=疹。

胥  

ショ [魚]

○あひ(相)公羊傳「─命者何、相命也」○みな(皆)ともに(與)○たすく(助)○まつ(待)史、廉頗傳「─後命邯鄲」べし(須)史、倉公傳「─與公往見之」○みる(視)○てふ(胡蝶)○こもの、小役人。○詩句に用ふる意味なき助字。詩、小雅「君子樂─」○象─はつうべん(通譯官)○蟹─は蟹醢 カニノシホカラ 〔周禮、天官、庖人〕

【胥宇】 シヨウ 

胥は相、相共に居る、同棲の義。詩經「爰及姜女、聿來──」潘尼、東武館賦「慕古公之──、羨孟母之審隣」(一說に胥は視)

【胥匡】 シヨキヤウ 

相互にただす。書、太甲「民非后、罔克──以生」

【胥徒】 シヨト 

こやくにん。周禮「治官之屬、府史──」=胥吏。

【胥靡】 シヨビ 

刑徒、胥は相、靡は繫、鐵鎖にて相繫ぐ刑。又、其の人。史、殷紀「傅說爲──、築傅險」=刑徒。

【胥吏】 シヨリ 

市の小役人。周禮、注「──肆長、市中給繇役者」=胥徒。

?  

ショ [魚]

うじ、肉の中に在る蠅の生みたる蟲。=?。

胙  

ソ サク [遇]

○ひもろぎ(祭肉)神に供へし肉にて祭の後にて分配するもの「祭─」「福─」「致─」「歸─」○むくゆ(報)功績に報ずる。左、隱八「─之土而命之氏」○くらゐ(位)○さいはひ(福)さいはひす。周語「天地所─」

【胙俎】 ソシヨ 

ひもろぎを載せたるまないた。周禮、天官「賓客食則徹王之──」

胎  

タイ [灰]

○はらごもる。はらごもり(懷妊)動物が未だ生れずして母の腹中に居る「─兒」博雅「人三月而─」○子ぶくろ(子宮)○はらのこ「─兒」はらみ女。○はじめ、もと、きざし「胚─」「禍─」○すべて物に包まれ生じてはらごもりの狀をなせるもの「珠─」○竹─ チクタイ は筍 タケノコ の異名。

【胎衣】 タイイ 

えな(胞衣)=胎包·胞胎。

【胎甲】 タイカフ 

胎中をいふ。夢溪筆談「物之處──、莫不倒生」

【胎禽】 タイキン 

鶴の異名。陳蒙詩「誰共悠游物外心、相親惟有一──」=胎仙。

【胎誨】 タイクワイ 

胎敎に同じ。魏文帝文「周成王體上聖之休氣、稟賢妣之──」

【胎敎】 タイケウ 

子の胎中にあるうち姙婦が志行を正しくして、自然に胎中の兒に良感化を及ぼすこと。列女傳「文王生而明聖、君子曰、太任能──」

【胎兒】 タイジ 

はらごもりのこ。

【胎生】 タイセイ 

母の胎內にて適當に發育を遂げて生れるもの。哺乳動物は皆是れなり。卵生の對。史、樂書「──者不殰」殰は流產。

【胎仙】 タイセン 

鶴の異名。黃庭經「琴心三疊舞──」=胎禽。

【胎息】 タイソク 

腹の中にて深呼吸する、道家修鍊の一法。後漢書、方術傳「王眞年且百歲、視之似未五十者、自云、能行──胎食之方」注「漢武內傳曰、習閉氣而吞之、名曰──、習嗽舌下泉而咽之、名曰胎食」抱朴子「──而已、得──者、能不以鼻口噓吸、如在胞胎之中、則道成矣」

【胎毒】 タイドク 

小兒が父母より受けて生れし遺傳の毒。

【胎內】 タイナイ 

はらのうち。=胎中·胎甲。

【胎內竇】 タイナイトウ 

 國  富士山などの靈山に於て人のくぐれるやうになりし自然の洞門、たいないくぐり。

【胎髮】 タイハツ 

うぶがみ、うぶげ。

【胎盤】 タイバン 

えな(胞衣)胎兒と母體とを結び著けるもの。

【胎孕】 タイヨウ 

はらむ。書經、疏「產生爲乳、──爲化」=姙娠。

胆  

膽(肉部十三畫)の俗字。

胝  

チ [支]

○あかがり、あかぎれ(龜手)○たこ、摩擦によりて手足の皮の厚くなりしもの「腁─」

胄  

チウ [宥]

甲胄の胄(冂部七畫)とは別

○よつぎ、あとつぎ(嗣子)そうりゃう(嫡長)○ちすぢ(後裔)すゑ「裔─」「名─」「貴─」「支─」「末─」

【胄裔】 チウエイ 

ちすぢ、子孫。裔は衣服のすそ、轉じて末の義とす。左傳「吳、周之──也」=後胤·裔胄。

【胄子】 チウシ 

天子より卿大夫に至るまでのあとつぎの子。書、舜典「敎──」(貴族の子弟を華胄といふは此に本づく)

胅  

テツ [屑]

○はる(腫)○婦が孕 ハラ みて二 ケ 月目。○ゐさらひのにく(連脽肉)

胈  

ハイ ハツ [泰]

○股の上の小さき毛、にこげ。莊、天下「腓無─」勞動してももの毛がすりきれる。○白き肉。

背  

ハイ [隊]

○せ、せなか、胸部の反面。○うしろ、うら、すべて物の後面の稱。○うしろむく、そむく、せなかをむける(違反·孤負)=倍。○轉じてみすてる(棄)世を去る、死する。李密、陳情表「慈父見─」○堂の北。古、堂を南に面して建つる定めなりしが故。詩、衞風「焉得諼草、言樹之─」

 同訓異義 

ソムク 背·叛·畔·倍·反·負·乖の別は叛(又部七畫)の條を見よ。

【背向】 ハイカウハイキヤウ 

そむくと從ふと。漢書、藝文志「形勢者、雷動風擧、後發而先至、離合──、變化無常、以形疾制敵者也」=向背。

【背逆】 ハイギヤク 

そむきさかふ。列子「不知──、不知向順」

【背譎】 ハイケツ 

そむきいつはる。淮南子「君臣乖心、則──見于天」

【背城借一】 ハイジヤウシヤクイツシロニソムキイツヲカル 

最後の死を決して戰ふ義。左、成二「請收合餘燼、────」餘燼はもえさし、殘兵に喩ふ。

【背書】 ハイシヨ 

そらよみ。齊家寶要「每月工夫、先考德、次──講書」=諳誦。

【背誦】 ハイシヨウ 

そらよみ。楊基詩「九齡六經已畢讀、掩卷──無掣肘」=倍文·背書。

【背水之陣】 ハイスヰノヂン 

水を背にして陣すれば、退くときは水に溺る、故に決死して進み敵を破らんと期す、韓信が背水の陣を用ひて趙を破りし故事〔史、淮陰侯傳〕尉繚子、天官「背水陣爲絕地、向阪陣爲廢軍」

【背誓】 ハイセイ 

ちかひにそむく。曹植文「張陳──」

【背馳】 ハイチ 

彼と此と反對にそむく。曹植詩「今我唯困蒙、羣士所──」

【背叛】 ハイハン 

そむく。漢書、賈誼傳「下無──之心、上無誅伐之志」=背反·離叛·乖叛。

【背風】 ハイフウ 

おひかぜ。又風にそむく。庾信詩「烏巢喜──」

【背面】 ハイメン 

○顏をそむける。李商隱詩「十五泣春風、──鞦韆下」○うしろの方。=反面。

【背戾】 ハイレイ 

そむきもとる。晁氏客語「韓文公詩(中略)雖近不褻狎、雖遠不──、該于理多矣」=叛戾。

胚  

ハイ [灰]

肧は正字

○はらごもり、みごもり。○婦が孕みて一箇月目の稱。○動物にては卵黃の上面にある眼點、卽ち孵化して雛となる部分、植物にては種子の內部に在りて二枚の厚き子葉を具へるもの、卽ち植物の起原となる部分。○轉じて物事のはじめ(原始)

【胚渾】 ハイコン 

もののめばえ。晁補之詩「明朝好天色、萬象開──」

【胚珠】 ハイシユ 

種子が子房內に在りて未だ果實を成さざる小球形の白色軟質のもの。他日成熟して種子となるもの。

【胚胎】 ハイタイ 

はらむ。轉じて物事のはじめに喩ふ。本草綱目「──將兆」

【胚乳】 ハイニユウ 

植物の胚の周圍にある粉狀物質にして營養に資するもの。

【胚孕】 ハイヨウ 

はらむ。=懷胎·妊娠·妊孕。

胞  

ハゥ [肴]

○えな(胞衣)胎兒 ハラゴモリノコ を蔽へる肉膜。=胎衣。○はら、母の體內、同─は同父母の生む所の兄弟姉妹。○生物體を組織する原形質の細粒。

【胞衣】 ハウイ 

えな。南史「王敬則母爲女巫、嘗謂人云、敬則生時、──紫色、應得鳴鼓角」=胎衣·胎盤。

【胞子】 ハウシ 

○隱花植物の子囊中に在る粉狀の生殖器官。○原生動物の個體の分れて成れる小體。

【胞胎】 ハウタイ 

えな。生神章經「人之受生於──之中、三元育養、九氣結形」

胖  

①ハン [翰]

②ハン [寒]

①牲の半體 カタミ  ○脇側のうすき肉。

②大いなり、ゆたか(安舒)大學「心廣體─」

胕  

腑(肉部八畫)に同じ。

6畫

胭  

エン [先]

○のど、のんど(喉·嗌)=咽。○─脂はべに。

【胭脂】 エンシ 

べに、顏料 ヱノグ の一、江蘇·廣東より出づる者を佳と爲す。紅藍花又は蘇木を以て製す。廣韻「──與燕脂同」=燕支。

胲  

カイ ガイ [灰]

○足の大指。○そなはる(備)

胻  

カゥ [梗]

はぎ(脛端)

胸  

キョウ [冬]

もと匈に作る

○むね(膺)頸の下、腹の上の部分。○こころ、おもひ「─襟」「心─」「─次」○廣く人身のむねに似たる部分。

【胸宇】 キヨウウ 

むね。王十朋詩「一朝出干祿、得失戰──」=胸中·胸次。

【胸腋】 キヤウエキ 

むねと、わきのしたと。西征賦「分身首于鋒刃、洞──以流矢」

【胸臆】 キヨウオク 

むねのうち。唐書、禮儀志「百家縱──之說、五禮無著定之文」

【胸膈】 キヨウカク 

むねと腹との閒。轉じて心の中の義とす。蘇舜欽詩「余生性闊疎、逢人出──」

【胸襟】 キヨウキン 

むねのうち、心中、襟 エリ は胸に當る、故にいふ。劉伶詩「聞此消──」=胸懷。

【胸懷】 キヨウクワイ 

おもひ。胸に懷ふところ。曹冏、六代論「姦情散於──、逆謀消於脣吻」=胸襟。

【胸廓】 キヨウクワク 

胸の大さ、胸のひろさ。=胸郭。

【胸腔】 キヨウコウ 

むねの內部。

【胸骨】 キヨウコツ 

むねの骨。

【胸算】 キヨウサン 

むなざんよう、心の中のはかりごと。

【胸次】 キヨウジ 

むねのうち。莊、田子方「喜怒哀樂、不入於──」=胸中。

【胸情】 キヨウジヤウ 

こころ。宋書、謝靈運傳論「直擧──、非謗詩史」

【胸中】 キヨウチユウ 

○むねのうち。莊、天地「機心存乎──、則純白不備」○おもはく。

【胸中自有數萬甲兵 】 キヨウチユウオノヅカラスウマンノカフヘイアリ 

大いなる智略に富むに喩ふ。宋史「范仲淹領延安、閱兵選將、日夕訓練、又戒諸將、養兵蓄銳毋輕重、夏人聞之相戒曰、毋以延州爲意、今小范老子、────────、不比大范老子可欺也」小范は、范仲淹、大范は、范雍。老子は知州の稱。

【胸中無宿物 】 キヨウチユウシユクブツナシ 

心の中に少しもわだかまりなし。世說「庾赤玉─────」

【胸中有成竹 】 キヨウチユウセイチクアリ 

竹を畫くに先ちて胸中にすでに出來上りたる竹あり、而る後に筆を下す義〔蘇軾、篔簹谷偃竹記〕晁補之詩「與可畫竹時、─────」與可は、文與可。

【胸中正則眸子瞭】 キヨウチユウタダシケレバボウシアキラカ 

心正しければ目のひとみも明かになる〔孟、離婁〕

【胸中生塵】 キヨウチユウチリヲシヤウズ 

人を慕ひ想ふこと久しくして、逢ふ能はざるをいふ。盧仝詩「轆轤無繩井百尺、渴心歸去生塵埃」朱熹詩「十年不共賦陽春、正有胸中萬斛塵」

【胸中鱗甲】 キヨウチユウノリンカフ 

心甚だ險にして人と爭ふをいふ。鱗甲は甲胄。蜀志、陳震傳「李平胸中有鱗甲」

【胸痛】 キヨウツウ 

むねのいたみ。

【胸圖】 キヨウト 

むねの中のかんがへ。=胸算。

【胸府】 キヨウフ 

こころ。晉書、王凝之妻謝氏傳「始遇此士、聽其所問、殊開人──」

【胸腹】 キヨウフク 

○むねと、はらと。○轉じて地勢の形容にいふ。戰國策「韓天下之咽喉、魏天下之──」

【胸壁】 キヨウヘキ 

○內臟をまもる胸部の外壁。○又、胸ほどの高さの城壁。=胸牆。

【胸膜】 キヨウマク 

肋骨のうらをおほふまく。

【胸裡】 キヨウリ 

胸中に同じ。=胸裏。

胷  

胸(前條)に同じ。

胱  

クヮウ [陽]

膀─ バウクワウ はせぅべんぶくろ。

脅  

①ケフ [葉]

②キフ [緝]

又脇に作る

①わき。=脇。○あばら、わきばら、胸の兩旁、肋骨のある處。○かたはら(旁側)○をさむ(收斂)○おびやかす、威力を以て人をおどす。○せむ(責)誅求する。

②そびやかす「─肩」

【脅威】 ケフヰ 

脅嚇に同じ。=威脅。

【脅嚇】 ケウカク 

おびやかしおどす。

【脅喝】 ケフカツ 

前條に同じ「──取財」

【脅肩】 ケフケン 

かたをそびやかす。孟、滕文公「──諂笑、病于夏畦」──諂笑は諂ひ媚びる狀をいふ。

【脅弱】 ケフジヤク 

よわきものをおびやかす。禮記「强者──、衆者暴寡」

【脅從】 ケフジユウ 

威力を以て迫られて惡人に從ひくみす。書、胤征「殲厥渠魁、──罔治」

【脅制】 ケフセイ 

おびやかしおさへつける。却掃編「──州縣、無所不至」

【脅息】 ケフソク 

○恐るること甚だしくして、氣ををさめていきす。宋玉、高唐賦「股戰──」注「──縮氣也」○ 國  ひぢかけ。

【脅奪】 ケフダツ 

おびやかしうばふ。後漢書、伏皇后紀「以刃──之」

【脅痛】 ケフツウ 

病名、卽ち肋膜炎。

【脅迫】 ケフハク 

勢力を以ておどしせまる。後漢書申屠蟠傳「爲董卓所──、僅以身免」

【脅逼】 ケフヒヨク 

おびやかしせまる。李賀詩「仗劍明秋水、兇威屢──」=脅追。

脇  

脅(前條)に同じ。

胯  

コ クヮ [遇]

通じて跨に作る

また、兩股の閒。

【胯下】 コカ 

またのした。史、淮陰侯傳「不能死、出我──」

脂  

シ [支]

○あぶら、肉のあぶら「─肪」「凝─」膏の凝コるもの。○あぶらづく、あぶらを塗りて滑 ナメラ かにする。あぶらさす「─車」詩、衞風「載─載舝」○こゆ(肥)○やに、樹木·煙草などより分泌する粘液。○燕─ エンシ はべに(紅)婦人の化粧品「口─」「脣─」○竊─ セツシ は鳥の名、いかるが。=桑扈。

【脂韋】 シヰ 

あぶらと、なめしがはと。共に柔滑なるもの、以て人の卑劣にして世俗にこひへつらふに喩ふ。楚辭「將突梯滑稽、如脂如韋、以潔楹乎」韓愈詩「行行正直愼──」

【脂膏】 シカウ 

生物のあぶら。爾雅、釋鳥、注「俗謂之靑雀、觜曲食肉、好盜──」

【脂膠】 シカウ 

あぶらと、にかはと。周邦彥、汴都賦「金角丹漆、──竹木」

【脂轄】 シカツ 

車のくさびにあぶらさす、將に出で行かんとする用意。左、襄三一「巾車──」

【脂車】 シシヤクルマニアブラサス 

車(部首七畫)の條を見よ。

【脂腺】 シセン 

皮膚にありて脂肪を分泌する腺。=脂肪腺·皮脂腺。

【脂澤】 シタク 

○あぶらぎりてつやあり。列子「膚色──」○化粧用のあぶら。李嶠、謝賜口脂表「造六宮之──」

【脂膩】 シヂ 

あぶらあか。朱德潤詩「日光射波──浮」

【脂那】 シナ 

支那に同じ〔翻譯名義集〕

【脂肪】 シバウ 

動物の皮下及び筋肉の組織中に在るあぶら。それを分泌する腺を──腺といふ。

【脂粉】 シフン 

べにと、おしろいと。史、佞幸傳「傅──」

【脂粉塘】 シフンタウ 

地名。誠齋雜記「吳故宮有香水溪、乃西施浴處、人呼爲───」

【脂粉氣】 シフンノキ 

べにおしろいの氣、柔弱にして豪爽の氣の乏しきにいふ。捫蝨新語「林邦翰論詩云、梨花一枝春帶雨、句雖佳、不免有───」

【脂麻】 シマ 

ごまの異名、以て油を製するが故。本草「胡麻、一名──」=芝麻。

【畫脂鏤冰】 アブラニヱガキコホリニチリバム 

勞して功なきに喩ふ。鹽鐵論「內無其質、而外學其文、若畫脂鏤冰、費日損功」

胾  

シ [寘]

きりにく、きりみ(切肉)「大─」「臠─」

【胾羹】 シカウ 

きり肉のあつもの。詩、魯頌「毛炰──」

胹  

ジ [支]

○ただらかす(爛)○十分に煮る(煮熟)左、宣二「宰夫─熊蹯不熟」

脆  

ゼイ [霽]

脃の俗字

○もろし、堅からず、こはれ易し。○よわし(弱)○かろし(輕)○柔かにしてうまき肉。○音響が淸越なり。白居易詩「且聽淸─好詩篇」

【脆核】 ゼイカク 

やはらかなるさね。葛長庚詩「──虛中未有仁」

【脆怯】 ゼイケフ 

懦弱 ヨワシ にしてやくに立たぬ。宋史、夏國傳「得漢人勇者爲前軍、若──無他技者、遷河外耕作」=懦弱。

【脆弱】 ゼイジヤク 

人體又は器物がもろくしてよわし。魏志、齊王紀、注「吳楚之民、──寡能、英才大賢、不出其土」

【脆斷】 ゼイダン 

もろくたちきれる。王建詩「水寒手澁絲──」

【脆軟】 ゼイナン 

やはらか。=柔輭。

【脆破】 ゼイハ 

もろくやぶれる。司馬光詩「衣不離身成──」

【脆薄】 ゼイハク 

○もろくしてうすし。元稹詩「──河冰安可越」○心がかるがるし、脆は輕。後漢書、許荊傳「風俗──」=輕薄。

【脆美】 ゼイビ 

肉がやはらかくうまし。

【脆膜】 ゼイマク 

もろきまく。陳泰詩「初疑──輕無力」

【脆味】 ゼイミ 

やはらかくうまきあぢはひ。韓非子「香美──、厚酒肥肉」

脃  

脆(前條)の本字。

脊  

セキ [陌]

○せ、せなか、せぼね「─骨」諸の骨の幹となりて、全體を支ふる者、共に二十四節あり。○すぢ、すぢみち(理)詩、小雅「有倫有─」○すべて、せぼねの如く中央高く兩旁低きもの「屋─」「嶺─」「刀─」史、張儀傳「必折天下之─」○山─は岡。

【脊骨】 セキコツ 

せぼね。北史、漕國傳「蔥嶺山有順天神者、祠前有一魚、──有孔、中通馬騎出入」

【脊髓】 セキズヰ 

脊椎骨の後方の突起せる部分中にある灰白色の質、腦に聯絡して神經中樞を爲す。

【脊柱】 セキチユウ 

せぼね、脊椎骨二十四枚連接して柱狀を成すもの。=脊梁。

【脊椎】 セキツヰ 

二十四枚の骨、相連りて脊骨をくみ立てる椎形 ツチガタ の骨。=脊椎骨。

【脊梁】 セキリヤウ 

せぼね。脊骨は諸骨の幹にして屋の梁あるが如し、故に名づく。=脊柱。

【脊令】 セキレイ 

鶺鴒に同じ。詩、小雅「──在原、兄弟急難」

朓  

テゥ [嘯]

○祭の名。○まつりの肉。

胴  

トウ [送]

通音ドウ

○だいちゃう(大腸)○身體の幹部卽ち軀幹をいふ。○ 國    ドウ 樂器其の他の物の中腹の部分「太鼓の─」「船の─の閒」

能  

①ドウ·ノウ [蒸]

②タイ [隊]

①けものの名、熊の屬、足は鹿に似て、骨節强く力ありといふ。○轉じてよく(善)よくす、爲し得る、たふ、任に勝へる、あたふ。孟、梁惠王「不爲也、非不─也」○はたらき、事を爲し得る力「才─」○わざ「藝─」○才藝にたける。又、其の人。孟子「尊賢使─」○ 國  のう、舞樂の一「─樂」

②たふ。漢書、鼂錯傳「胡貊之人、性─寒」耐に通ず。

 同訓異義 

ヨク 能·克·善·喜·好の別は克(儿部五畫)の條を見よ。

【有能有不能 】 ノウアリフノウアリ 

天才の能くする者と能くせざる者とあり。左、定五「人各─────」

【能樂】 ノウガク 

 國  謠曲に合せて行ふ歌舞の一種。

【能幹】 ノウカン 

はたらき。後漢書、循吏傳「孟嘗淸行出俗、──絕羣」=才幹。

【能狂言】 ノウキヤウゲン 

 國  能樂の閒に行ふ狂言。

【能官】 ノウクワン 

才能のある官吏。宋史、劉敞傳「帝曰、吳充──、馮京亦無他、中書惡其太直、不相容耳」

【能化】 ノウゲ 

 佛  能く人を敎化する義。佛。又、僧の師をいふ。弟子を所化といふの對。

【能劇】 ノウゲキ 

 國  能狂言に同じ。

【能言鳥】 ノウゲンテウ 

鸚鵡 アウム の異名。漢書、武帝紀「南越獻馴象───」

【能士】 ノウシ 

才能ある士。荀、王霸「足以容天下之──」戰國策「不遺賢者之後、不掩──之迹」

【能事】 ノウジ 

○よく爲すべきわざ。易、繫辭「引而伸之、觸類而長之、天下之──畢矣」○事の特に長ずる者。杜甫詩「──不受相逼迫」

【能臣】 ノウシン 

はたらきあるけらい。三國志、注「許劭謂曹操曰、子治世之──、亂世之姦雄」=良臣。

【能者】 ノウシヤ 

才能ある者。左傳「以勸──」

【能書】 ノウシヨ 

○てかき。王肯堂筆塵「──不擇筆、浪語也」=能筆。○ 國    ノウガキ 藥などの功能のかきつけ。

【能仁】 ノウニン 

 佛  釋迦の異名。祖庭事苑「梵云釋迦、此言──」

【能筆】 ノウヒツ 

てかき。=能書。

【能品】 ノウヒン 

藝事の規矩を失はずして、形似を得たる作品(能品の上は妙品、妙品の上は神品)〔輟耕錄〕

【能文】 ノウブン 

文を巧に作る。

【能辯】 ノウベン 

たくみなる辯舌。

【能名】 ノウメイ 

才能を以て名ある義。晉書、陶侃傳「廬江太守張夒、召爲督郵、領樅陽令、有──」

【能吏】 ノウリ 

はたらきある官吏、才能ある吏〔漢書、蕭望之傳〕=良吏·能官。

【能率】 ノウリツ 

或仕事を爲して得る所の效果の割合。

【能力】 ノウリヨク 

○事を爲し得る力。柳宗元文「命有好醜、匪汝──」○法律にて完全に私權を行使し得る資格。○哲學にて精神のはたらき。○ 國    ノウリキ てら男、寺の下僕。

脈  

バク ミャク [陌]

脉は俗字

○みゃく、ちのすぢ、血液のめぐるみちすぢ(血管)全身に分布し、血の流行をして循環窮らざらしむ、血を發送する者を動─といひ、血を廻らす者を靜─といふ「─管」「血─」「動─」「靜─」○みち、すぢみち、つづき「山─」「水─」「地─」○すぢだってつづく(連絡)「─理」○みゃく、血管の鼓動にて病狀を察する。又其の鼓動「─搏」○葉のすぢ「平行─」「網─」

【案脈】 ミヤクヲアンズ 

みゃくを視て病を察する。漢書、何武傳「朕使侍醫伍宏等內侍──」=診脈。

【脈管】 ミヤククワン 

血液のめぐる管 クダ =血管。

【脈息】 ミヤクソク 

人體の兩腕の處の動脈の跳るをいふ、其の遲速を驗して呼息の表準と爲すが故。

【脈搏】 ミヤクハク 

みゃくがうつ。うつみやく。=脈息。

【脈脈】 ミヤクミヤク 

○絕えざる貌。溫庭筠詩「花情羞──、柳意悵微微」○互に情を含みて相視る貌。古詩「盈盈一水閒、──不得語」辛棄疾詞「──此情誰訴」

【脈絡】 ミヤクラク 

すぢみち、つづき。中庸、序「支分節解、──貫通」

【脈理】 ミヤクリ 

つづけるすぢみち。吳越春秋「山川──、金玉所在」

脉  

脈(前條)の俗字。

胼  

腁(肉部八畫)に同じ。

?  

腴(肉部九畫)の俗字。

7畫

脚  

キャク カク [藥]

腳は正字

○すね(脛)○あし、膝の下「老─」「醉─」=腳。○物の下部「山─」○足の形に似たる者「註─」○足ありて行く如く見えるもの「雲─」「雨─」○たちば、身の置きどころ「失─」○行─ アンギヤ は僧の諸國を巡りあるくもの。

【脚下】 キヤクカ 

あしもと。轉じて目下の義。=現今·眼前。

【脚氣】 キヤクキカクケ 

足のしびれ、又、はれるやまひ。柳宗元文「僕居南中九年、增──病」=厥疾〔素問〕

【脚跟】 キヤクコン 

くびす。爾雅、疏「踵、──也」

【脚踏實地 】 キヤクジツチヲフム 

事を爲すの切實なる義。邵伯溫、聞見錄「司馬溫公問康節曰、某何如人、曰、君實────人也」

【脚蹤】 キヤクシヨウ 

あしあと。=足跡。

【脚色】 キヤクシヨク 

○出仕する時の履歷書。朝野類要「初入仕、必具鄕貫戶頭三代名銜、家口年歲(中略)謂之──」○芝居のすぢがき。桃花扇傳奇、凡例「──所以分別君子小人」

【脚踏車】 キヤクタフシヤ 

 俗  自轉車。

【脚婆】 キヤクバ 

あしぬくめ、ゆたんぼの類。黃庭堅詩「千金買──」注「煖足甁也」

【脚本】 キヤクホン 

芝居のすぢがき。

【脚力】 キヤクリヨク 

○あしのちから。蘇軾詩「──盡時山更好、莫將有限趁無窮」○ひきゃく(脚夫)文書を傳遞する人。酉陽雜俎「元和末、鹽城──張儼、遞牒入京」

【脚爐】 キヤウロ 

こたつ。

【脚絆】 キヤハン 

 國  はばき。=脛衣。

脛  

ケイ [徑]

○はぎ、すね、膝より踵 カカト に至る骨「瘦─」「赤─」「─骨」=小腿。○──は直き貌。漢書、楊惲傳「事何容易、──者未必全也」

【脛衣】 ケイイ 

絝なり、はかまの類。說文「絝、──也」= 俗  套褲。

【脛巾】 ケイキン 

はばき、きゃはん。=行纏。

【脛股】 ケイコ 

はぎと、ももと。宋史、占城國傳「戴金花冠、七寶裝纓絡爲飾、──皆露、躡革履無襪」

脞  

サ ザ [哿]

○こまかし。○細くきりたるにく(切肉)○叢─は細かくくだくだしくして大略なし。書、益稷「元首叢─哉」

朘  

①サイ [灰]

②セン [先]

①赤子 アカコ の陰(生殖器)

②ちぢむ(縮)○へる(減)やせる。漢書、董仲舒傳「民日削月─」

脩  

①シウ [尤]

②イウ [有]

①ほじし(脯)割きて乾したる肉「束─」古、束─を執りて贄と爲す、故に敎ふる者、弟子の報酬を謂ひて束─といふ。○をさむ(治)修に通ず、熟語は修の字の條參看。○つつしむ(敬)○ならふ(習)○はらふ(掃除)○そなふ(備)○をさまる。○ながし(長)「─竹」「─遠」ながさ。○ひさし(久)○かわく。かわかす(乾)詩、王風「暵其─矣」○──はととのへる(整齊)貌。

②漆ぬりの尊 タル 卣に通ず。

 同訓異義 

ナガシ 脩·長·永の別は長(部首八畫)の條を見よ。

【脩遠】 シウヱン 

路のりとほし。屈原、離騷「路漫漫、其──兮」=遼遠。

【脩纖】 シウセン 

ながくしてほそし。王安石詩「盤根雖巨壯、其末乃──」

【脩熊】 シウタイ 

つつしみたるやうす。楚辭「姱容──」

【脩短】 シウタン 

長短に同じ。潘岳、西征賦「生有──之命、位有通塞之遇」

【脩竹】 シウチク 

ながきたけ。東京賦「永安離宮、──冬靑」

【脩脯】 シウホ 

ほじし。韓琦詩「直疑萬類繁、盡欲變──」

【脩睦】 シウボク 

むつまじくする。禮、禮運「講信──、謂之人利」

【脩蟒】 シウマウ 

長きをろち。蘇軾詩「徑轉如──、坡垂似伏鼇」

【脩路】 シウロ 

長く遠きみち〔史、屈原傳〕

脤  

シン [軫]

ひもろぎ(祭肉)社を祭るに用ふるなまの肉(熟したるは膰)

脣  

シン [眞]

唇は俗字

くちびる、口のふち、口緣、齒の垣となるもの「朱─」「丹─」「絳─」「厚─」「缺─」

【搖脣鼔舌】 シンヲウゴカシシタヲコス 

妄に人を是非する義。莊、盜跖「作言造語、妄稱文武、────、擅生是非」

【反脣】 シンヲハンス 

不平の貌。史、平準書「微──」

【脣形科】 シンケイクワ 

植物分類部門の一、其の花冠がくちびるの狀をなす草木。

【脣如激丹 】 シンゲキタンノゴトシ 

くちびる、丹朱をそそげるが如し。莊、盜跖「────、齒如齊貝」

【脣脂】 シンシ 

口べに。釋名「──以丹作之、象脣赤也」

【脣齒之國】 シンシノクニ 

利害の關係最も密なる國。左、僖五「晉侯復假道於虞以伐虢、宮之奇諫曰、虢虞之表也、虢亡虞必從之、諺所謂輔車相依、脣亡齒寒者、其虞虢之謂也」

【脣頭】 シントウ 

くちびるのさき。=脣邊。

【脣亡則齒寒】 クチビルホホロベバハサムシ 

脣は齒をおほふもの、脣なくば齒寒し、相隣れる一國が亡べば他の一國も亦危しとの喩。戰國策「趙之於齊楚也、隱蔽也、猶齒之有脣也、─────、今日亡趙、則明日及齊楚」

脫  

①ダツ [曷]

②エツ [屑]

③タイ [泰]

①ぬぐ、衣服をぬぐ「─衣」○ぬける、とく、はづす、はづれる(解)○はなる。はなす(離)○まぬかる(免)○はぶく、おろそか、おほよそ(疏略)○わする(遺)おつ。おとす、ぬかす「─字」「─落」○おち、あやまり。○もし、假に設けて說く辭、或は然る辭。吳子、勵士「─其不勝、取笑諸侯」(─若と連用するも同じ)○─然は病の除く貌。

②もぬけ、ぬけがら、蟲が新に皮をぬけて出る。

③── タイタイ はのびやか(舒遲)なる貌。又、よろこぶ貌。

 同訓異義 

ヌク 脫·擢·挺·拔·抽·揠の別は擢(手部十四畫)の條を見よ。

【脫衣】 ダツイ 

ころもをぬぐ。齊語「──就功、首戴茅蒲、身衣襏襫」

【脫易】 ダツイ 

事をおろそかにしてのがる。宋史、周湛傳「爲人──、少威儀」

【脫營】 ダツエイ 

軍人が其の兵營よりにげて出る。

【脫捐】 ダツエン 

ぬけすたる。唐書、令狐德棻傳「近代無正史、梁陳齊、文籍可據、至周隋事多──」

【脫解】 ダツカイ 

ぬぎとく。漢書、張耳陳餘傳「──印綬與耳」

【脫稿】 ダツカウ 

詩文などのしたがきが出來上る。

【脫殼】 ダツカク 

 ヒナ が孵 カヘ りて卵からぬけでる。

【脫監】 ダツカン 

らぅやぶり。明律「凡犯罪、──越獄、加二等」──は門より出づる者。越獄は牆を踰えて出づる者。

【脫歸】 ダツキ 

にげてかへる、ぬけてもどる。左傳「齊侯見之畏其衆也、乃──」注「脫不張旗幟」こそこそとにげかへる。

【脫裘】 ダツキウ 

かはごろもをぬぐ。陸游詩「亦不須──去換酒」

【脫卻】 ダツキヤク 

ぬぎすてる。

【脫去】 ダツキヨ 

○のがれさる、にげる。○ぬきすてる。

【脫句】 ダツク 

ぬけおちたる文句。

【脫化】 ダツクワ 

もぬけて形をかへる、舊來の形式をかへる。

【脫禍】 ダツクワ 

わざはひをのがれる。漢書、外戚傳「太后心安、君等幸──矣」=免禍。

【脫肩】 ダツケン 

はだぬぐ。薛能詩「羅衫半──」

【脫劍】 ダツケン 

帶びたる劍を解き去る。賈至詩「──升明堂、郁郁被慶雲」

【脫袴】 ダツコ 

はかまをぬぐ。陸游詩「小市提壺酤濁酒、東陂──插靑秧」

【脫誤】 ダツゴ 

文字のおちたると、あやまれると。司馬光文「所寫多──、因刊正、使復其舊」=脫謬。

【脫肛】 ダツコウ 

肛門內の筋肉が外部へ脫け出る病。外科祕法「治──、梁塵鼠糞、燒煙於桶內、令坐其上、薰之數徧」

【脫獄】 ダツゴク 

らぅやぶり、破獄。=脫監。

【脫灑】 ダツサイ 

俗氣をはなれてさっぱりする。王冕詩「上人──無滯留」=灑脫。

【脫字】 ダツジ 

字をぬかす。かきおとしたる字。

【脫屣】 ダツシ 

ざうりをぬぎすつ。をしげもなく物を棄つるに喩ふ。漢書、郊祀志「視妻子如──耳」=脫躧。

【脫躧】 ダツシ 

わらぐつをぬぎすつ、前條に同じ。史、孝武紀「嗟乎吾誠·得如黃帝、吾視去妻子、如──耳」

【脫身】 ダツシン 

己の身をぬきて出る。史、張耳傳「乃──游」=抽身。

【脫脂綿】 ダツシメン 

あぶら氣をぬきて消毒せしわた。外科治療に用ふ。

【脫出】 ダツシユツ 

ぬけでる、又ぬけだす。

【脫稅】 ダツゼイ 

いつはりて納稅をのがれる。

【脫然】 ダツゼン 

○病のさっぱりと除く貌。公羊、昭十九「樂正子春之視疾也、復加一飯、則──愈」○ タイゼン ゆるやかなる貌。又、喜ぶ貌。淮南、精神「──喜矣」

【脫線】 ダツセン 

 國   ○汽車·電車などが線路をはづれる。○轉じて言行が常軌をはなれる。

【脫疽】 ダツソ 

手足の端のくさる病。

【脫走】 ダツソウ 

にげはしる。易林「得──」=逃走。

【脫罾】 ダツソウ 

あみをぬけいづ。陸游詩「斷雁寒依渚、强魚健──」

【脫俗】 ダツゾク 

俗氣をはなれる。幕府燕談錄「范文正嘗爲人作墓銘、以示尹師魯、師魯言其──」=脫塵。

【脫粟飯】 ダツゾクハン 

もみを去りしのみにて精 シラ げざる玄米のめし。史、平津侯傳「弘爲人意忌、外寬內深、食一肉脫粟之飯」

【脫胎】 ダツタイ 

他の作意をとりて其の形式をかふる義。參同契「作丹之時、──入口、功成之後、──出殼」換骨脫胎(七七○頁三段)參看。

【脫退】 ダツタイ 

ひきしりぞく。又逃れ退く。

【脫刀】 ダツタウ 

 カタナ を腰からとりはづす。=脫劍。

【脫黨】 ダツタウ 

なかまをぬけ出る。

【脫脫】 ダツダツ 

○元の人、字は大用、順宗の至正元年中書右丞相となる、博く經史に通じ、宋史·遼史·金史等を撰す。=托克托。○ タイタイ 字解を見よ。

【脫塵】 ダツヂン 

うきよをはなれる。=脫俗·出塵。

【脫兔】 ダツト 

にげはしるうさぎ、勢の疾きに喩ふ。次條參看。

【脫兔之勢】 ダツトノイキホヒ 

兔のにげ出でたる如く迅速なる勢。孫子、九地「始如處女、敵人開戶、後如脫兔、敵不及拒」

【脫難】 ダツナン 

なんぎをのがれる、兵亂をのがれる。孝子傳「──還家、見母再拜號泣」

【脫帽】 ダツバウ 

帽子をぬぐ。陸游詩「新年──始微霜」

【脫剝】 ダツハク 

ぬけはがれる。王令詩「──虎豹皮、假借堯舜趨」

【脫藩】 ダツパン 

 國  德川幕府時代に武士が其藩をのがれ出て他の領地へ行くこと。

【脫謬】 ダツビウ 

ぬけたると、あやまりたると。晉書、秦王柬傳「一省、便摘──」=脫誤。

【脫毛】 ダツマウ 

けがぬける。又、ぬけたる毛。

【脫網】 ダツマウ 

あみをぬけ出る。晉書、慕容垂載記「──之鯨、豈罟所制」

【脫落】 ダツラク 

○ぬけおつ。杜陽雜俎「羽毛──」○すてさる。晉書、韓伯傳「崇尙莊老、──名敎」

【脫離】 ダツリ 

ぬけはなれる。

【脫略】 ダツリヤク 

○かろんじおろそかにする。王昌齡詩「儒者輕王侯、──當世務」○事をはぶく。

【脫路】 ダツロ 

にげみち。=逃路。

【脫漏】 ダツロウ 

ぬけもれる。杜甫詩「小魚──不可紀」

脡  

テイ チャウ [迥]

○細長く伸びたるほじし(脯)○なほし(直)

【脡脡】 テイテイ 

 ナホ き貌。儀禮、少牢饋食禮、疏「脡者、取──然直」

【脡脯】 テイホ 

細長きほじし、公羊、昭二五「與四──」

脰  

トウ [宥]

くび、うなじ(頸項)史、田單傳「自奮絕─而死」

脢  

バイ [灰]

せのにく(背肉)脊の側の肉。

脬  

ハゥ ヘゥ [肴]

ゆばりぶくろ(膀胱)= 俗  尿脬。

脗  

フン [吻]

あふ(合)=吻(口部四畫)

【脗合】 フンガフ 

ひったりとあふ〔莊、齊物〕=吻合。

脕  

ベン [願]

うるはし、つやよし(肥澤)集韻「愉色必有─容」

【脕顏】 ベンガン 

つやありてうるはしきかほ〔楚辭、遠遊〕

脯  

ホ [麌]

○ほじし(乾肉)「脡─」「束─」論、鄕黨「沽酒市─不食」○ 俗  果實の乾したるものをもいふ。○ほじしにする、酷刑に處する。呂覽、行論「殺鬼侯而─之」

【脯醢】 ホカイ 

○ほじしと、しほからと。禮記「大夫聘禮以──」○古の極めて慘酷なる刑。史、魯仲連傳「曷爲與人俱稱王、卒就──之地」

【脯斮】 ホサク 

きりさいなむ。任昉文「卿士懷──之痛」

【脯資】 ホシ 

ほじしと糧食と。左、僖三三「──餼牽竭矣」(餼は生肉、牽は牛羊豕)後世借りて旅費の義とす。

【脯脩】 ホシウ 

ほじし。禮記「執椇榛──棗栗」=脩脯。

【脯糒】 ホビ 

ほじしと、ほしいひと。陸機賦「進──而誰嘗」

脟  

レン [銑]

○きりにく。=臠。○さく(割)「─割」

8畫

腋  

エキ セキ [陌]

○わき、わきのした。○わきの下の皮。史、商君傳「千羊之皮、不如一狐之─」

【腋芽】 エキガ 

植物の葉腋に生する芽葉と枝莖との閒に發するところの芽。

【腋汗】 エキカン 

おそれ又恥ぢてわきの下にあせかく。東觀餘論「使觀者──毛聳、不寒而粟」

【腋閒】 エキカン 

わきのした。惠洪詩「拂拂淸風產──」

【腋氣】 エキキ 

わきが。典籍便覽「──一名狐臭又名猪狗臭」=腋臭·慍羝。

【腋臭】 エキシウ 

わきが。=孤臭。

腔  

カゥ コウ [江]

○から、內部の空 カラ なること、腹の中、滿─は腹一ぱい。○かこひ。○わきばら。○ほじし。○歌のふし、歌の調子「─調」黃庭堅詩「秀句入新─」○語音をいふ「京─」「土─」「秦─」○からだ(骨體)

【腔子裏】 カウシリ 

からだの中、心の所在をいふ。程子遺書「心要在───」

【腔腸】 カウチヤウ 

くらげ等の動物の體腔にて營養をつかさどるところ「──動物」

腒  

キョ [魚]

雉のほじし「雉─」

腎  

ジン [軫]

○じんのざぅ、五臟の一、下腹部の兩傍に在りて泌尿を掌る器官。○轉じてかなめ「肝─」

【腎虛】 ジンキヨ 

精氣の盡きる病。

【腎候】 ジンコウ 

耳の異名。白虎通「耳者、腎之候」

【腎臟】 ジンザウ 

じんのざぅ。=內腎。字解を見よ。

【腎腸】 ジンチヤウ 

じんざぅと、ちゃうと。轉じてまごころ。書、盤庚「今予其敷心腹──」

?  

ショク [職]

○一尺二寸の長さのほじし。○ねばる(黏)

脽  

スヰ シウ [支]

○しり(尻·臀)○しりぼね、尻の骨(髖)

腊  

セキ [陌]

○ほじし(乾肉)薑 シヤウガ 桂皮などをまぜてほし固めたる肉。ひもの。○ひさし(久)○きはまる(極)

【腊魚】 セキギヨ 

しほびきの魚、ひもの。

【腊毒】 セキドク 

甚だしき毒。潘尼、乘輿箴「厚味──、豐屋生灾」

【腊肉】 セキニク 

ほじし。易、噬嗑「噬──遇毒、小吝、无咎」

脺  

セツ セイ [屑]

やはらかにして破れ易し、もろし。=脃。

腅  

タン [勘]

○にく(肉)○はだへ(肌膚)○さかな(肴)

脹  

チャウ [漾]

○はれる、ふくれる「膨─」腹が滿つる「痞─」○ 俗  皮膚が浮腫 ハレル する。

【脹滿】 チヤウマン 

○はらがはる。梅堯臣詩「飲水徒──、渴喉殊未蠲○腹のふくれるやまひ(腹水)

腄  

ツヰ [支]

○足のたこ(跟?)○きずのあとの厚き皮。

腆  

テン [銑]

○あつし(厚)酒食を厚くそなへる。書、酒誥「自洗─、致用酒」註「洗以致其潔、─以致其厚」おほし(多)○よし(善)「加─」禮、郊特牲「辭無不─」○いたる(至)○ひさし(久)

 同訓異義 

アツシ 腆·厚·篤·敦·淳·醇·渥の別は厚(厂部八畫)の條を見よ。

【腆贈】 テンソウ 

てあつきおくりもの(己の贈物を謙─て不腆といふの對)陶潛詩「──竟莫酬」

腓  

ヒ [微]

○こむら、ふくらはぎ、脛の後面のふくれたる肉。= 俗  腿肚。○さく(避)よける。詩、小雅「君子所依、小人所─」○やむ(病)かはる(變)詩、小雅「百卉具─」

【腓骨】 ヒコツ 

脛骨の後に有る骨。

脾  

ヒ [支]

ひのざぅ、五臟の一、胃の左下部に在りて食物の消化を助ける器官「─臟」

【脾胃虛】 ヒヰキヨ 

病名、胃弱 ヰジヤク の別名。

【脾疳】 ヒカン 

小兒の腹のみふくれて體の瘦せる病。

?  

脾(前條)の俗字。

腐  

フ [麌]

○くさる、肉がくさる。○物がくちる(朽爛)「─草」○やぶれてくさくなる(臭敗)ただれる(爛)○くさらす、ただらす。○くさりて役に立たず「─儒」ふるくさし(陳舊)○男子の勢を去る刑。=宮刑。○豆─ トウフ は食品の名。漢の淮南王劉安に始まる。=黎祁〔天祿識餘〕

【腐芥】 フカイ 

くさりたるあくた。吳志、虞翻傳「虎珀不取──、磁石不受曲鍼」(虎珀は琥珀 コハク 

【腐朽】 フキウ 

くさりくちる。蘇軾詩「癡人畏老死、──同草木」=朽腐。

【腐刑】 フケイ 

男子の勢を割く刑、其の創の腐臭なるが故にいふ。一說に腐木の實を生ぜざるに比すと。司馬遷、報任安書「最下──極矣」=宮刑。

【腐渣】 フサ 

○くされるかす。○豆腐のから、きらず、卯の花、雪花菜。

【腐草】 フサウ 

くさりたるくさ。禮、月令「季夏之月、──爲螢」

【腐索】 フサク 

くさりたる繩。淮南子「以──御奔馬」=朽索。

【腐史】 フシ 

史記の異稱。其の著者司馬遷が腐刑に處せられたるが故。

【腐心】 フシン 

恨みて心を煩はしくるしめる。史、刺客傳「日夜、切齒──」

【腐儒】 フジユ 

陳腐にして用に立たぬ學者。史、季布傳「爲天下安用──」=迂儒。

【腐蝕】 フシヨク 

くさりて蟲ばむ。=腐敗·腐蠧。

【腐井】 フセイ 

水のくさりたるゐど。楚辭、九歎「淹芳芷于──兮」

【腐鼠】 フソ 

くさりしねずみ。輕く賤しき物に喩ふ。莊子「鴟得──」後漢書、竇憲傳「國家棄憲、如孤雛──耳」

【腐腸之藥】 フチヤウノヤク 

うまき食物や酒。枚乘、七發「皓齒娥眉、命曰伐性之斧、甘脆肥濃、命曰────」

【腐敗】 フハイ 

くさる。漢書、食貨志「太倉之粟、陳陳相因、充溢露積於外、──不可食」=腐爛。

【腐木】 フボク 

くさりたる木。漢書、劉輔傳「──不可以爲柱」

【腐爛】 フラン 

くされただれる。漢書、陳萬年傳「自絞死者、歲數百千人、久者蟲出──」

腑  

フ [麌]

本、府に作る

○はらわた「臟─」膽胃·大腸·小腸·膀胱·三焦を六─といふ〔金匱論〕○こころ(心衷)心のそこ。○至りて親しきものに喩ふ。史、惠景閒侯者年表「諸侯子弟若肺─」

【腑臟】 フザウ 

はらわた。抱朴、至理「破積聚於──」=臟腑·五臟六腑。

腁  

ヘン [先]

又、胼に作る

○─胝 ヘンチ はたこ、摩擦によりて手足などの皮が固まり厚くなる。あかぎれ、手足に出來るひびわれ。○かたし(固)

【腁胝】 ヘンチヘンテイ 

ひび、あかぎれ、手に腁といひ、足に胝といふ。一說に骨に近きの皮が壓迫せられて硬 カタ くなるをいふ、たこ。莊、讓王「手足──」

腂  

ルヰ [紙]

皮起る。

腕  

ワン [翰]

○うで。○てくび、臂の下端、掌のつけ根の所。○かひな、肘 ヒヂ と、てくびとの閒。○ 國  手─ シユワン ははたらき、うでまへ(技倆)

【扼腕】 ワンヲヤクスヤクワン 

うでをおさへる、憤る時の狀「切齒──」=搤捥·搤腕。

【腕骨】 ワンコツ 

手くびを組み立てる八枚の小骨。

【腕釧】 ワンセン 

うでわ〔全唐詩話〕

【腕白】 ワンパク 

小兒の亂暴なるもの「──小僧」

【腕力】 ワンリヨク 

うでのちから。范成大詩「强裁尺素答相思、兩日眵昏──疲」

9畫

腛  

アク [覺]

 アブラ 厚し「─脂」

腰  

エゥ [蕭]

又、?に作る、古要に通ず

○こし、身體の脊柱の下部と骨盤の上部とを結びつける大關節の名、又腹部と臀部との閒、屈伸を主るもの。○こしにす、こしに著ける、帶びる「─劍」「─刀」○要害の地勢に喩ふ。戰國、魏策「梁者山東之─也」○山の麓に近き所「山─」○ 國    コシ 刀を數ふるにいふ。

【腰圍】 エウヰ 

こしのまはり。腰の周圍。陸游詩「瘦損──擬未工」

【腰下】 エウカ 

こしの邊。李白詩「寧知草閒人、──有龍泉」

【腰閒】 エウカン 

こしのまはり。李白詩「流星白羽──插、劍花秋蓮光出匣」

【腰衱】 エウキフ 

婦人の裙帶 モスソノオビ をいふ。杜甫詩「珠壓──穩稱身」

【腰劍】 エウケン 

けんをこしに帶びる。又、其の劍。陸游詩「負琴──成三友」=腰刀。

【腰鼓】 エウコ 

つづみ。文獻通考「──之制、大者瓦、小者木、皆廣首纖腹」=細腰鼓。

【腰斬】 エウザン 

腰と胴とを斬りはなす刑。=要斬。

【腰肢】 エウシ 

腰幹に同じ。庾肩吾詩「本自細──」

【腰肢輭】 エウシヤハラカ 

こしがやはらか、柳永贈妓詞「英英妙舞───」

【腰繩】 エウジヨウ 

こしなは、罪人の腰をしばるなは。唐高僧傳「以──繫之」

【腰帶】 エウタイ 

○革の大帶〔身章撮要〕=盤帶。○骨盤の一名。○ コシオビ   國  女のおびひも。

【腰刀】 エウタウ 

こしに差すかたな〔北魏書、傅豎眼傳〕

【腰椎】 エウツヰ 

腰部の脊椎骨。

【腰纏】 エウテン 

○腰にまきつける。殷芸小說「願──十萬貫、騎鶴上楊州」○轉じてどうまき、財布。

【腰髀】 エウヒ 

こしと、ももと。說苑「寡人有──之病」

【腰輿】 ヨウヨ 

長柄のかご、前後數人各手を以て腰の邊の高さにかき行くもの。通鑑、梁紀「──扇繖等之物」

【屬腰領 】 エウリヤウヲシヨクス 

腰斬と頭斬との刑を免かれる。管子「幸以獲生、以───、臣之祿也」腰一に要に作る。

【腰膂】 エウリヨ 

こしと、せぼねと。蘇軾文「老病入──」

【折腰】 コシヲヲルセツエウ 

こしをかがむ、人に下るにいふ。晉書、隱逸傳「吾不能爲五斗米──事鄕里小兒」

?  

腰(前條)に同じ。

腭  

齶(齒部九畫)に同じ。

腳  

脚(肉部七畫)に同じ。

腱  

ケン [元]

すぢのさき(筋頭)すぢのつけね。又、筋の大いなるもの。

腮  

顋(頁部九畫)の俗字。

腫  

ショウ シュ [腫]

○ふくれる、はれる(脹)むくむ「掀─」漢書、五行志「公閉門而泣之、目盡─」○はれもの、できもの(癰)○擁─は木のふしこぶ。莊、逍遙遊「其大木擁─而不中規矩」

【腫物】 シユモツ 

 國  はれもの、できもの。

【腫瘍】 シヨウヤウ 

はれもの、できもの(腫物)周禮、天官「瘍醫掌──潰瘍金瘍折瘍之祝藥劀殺之齊」

腥  

セイ シャウ [靑]

○なま(生肉)論、鄕黨「君賜─必熟而薦之」○なまぐさし、魚の臭。禮、月令「仲秋之月、其臭─」○なまぐさきもの。○あぶら(膏)○けがれ(汙穢)

【分腥】 セイヲワカツ 

なまの肉を分配する。說苑「晉文侯、問政于舅犯、舅犯對曰、分熟不如──、──不如分地」

【腥魚】 セイギヨ 

なまのうを。禮記「大饗之禮、尙玄酒而俎──」

【腥血】 セイケツ 

なまぐさきち。黃庭堅詩「合浦譙門──沸、晉興城下白骨荒」

【腥臊】 セイサウ 

○なまぐさくけがらはし。史、晉世家「犯肉──何足食」(犯は咎犯)○惡しくけがらはし。周語「其政──」

【腥臭】 セイシウ 

なまぐさきにほひ。

【腥汁】 セイジフ 

なまぐさきしる。范成大詩「火攻憚穢臭、手拍嫌──」

【腥水】 セイスヰ 

なまぐさきみづ。范成大詩「──留灌末利、結香旋熏素馨」

【腥膻】 セイセン 

なまぐさきけもの。又其れを食ふ外國人をののしりていふ。(膻は羶に同じ、羊臭)=羶腥。

【腥膩】 セイチ 

なまぐさくしてあぶらじむ。張籍詩「瘴衣常──」

【腥德】 セイトク 

けがれたる德。中論「辜罪昭著、──發聞」=穢德。

【腥風】 セイフウ 

なまぐさきかぜ。又、殺伐の氣。韓愈詩「──遠更飄」

【腥聞】 セイブン 

けがれたるきこえ。書、酒誥「──在上」紂の腥穢の德が上、天に聞ゆるをいふ。

【腥穢】 セイワイ 

なまぐさくけがれる。王憚詩「滔天──思一掃」

腠  

ソウ [宥]

○はだへ(皮膚)○はだへのきめ(肉理·膚理)

【腠理】 ソウリ 

はだのきめ、皮膚の閒 スキマ 史、扁鵲傳「君有疾、在──」素問「寒則──閉」=膚理。

腦  

ダゥ ノウ [皓]

通音ナゥ

○なぅみそ、あたまのしん(頭髓)「─髓」「─病」頭蓋中にある灰白色の物質。人の精神·思慮の出づる所。○しん(草木の髓)○あたま、頭蓋骨。○精力、精神のはたらき。○馬─ メナウ は鑛石の一。=瑪瑙。○樟─ シヤウナウ は藥の名、樟木 クスノキ より製す。

【腦溢血】 ナウイツケツ 

腦の血管の破れる病。=卒中·中風·腦出血。

【腦蓋】 ナウガイ 

なぅをつつむはち。

【腦神經】 ナウシンケイ 

大腦の底面及び延髓より發する十二對の運動及び知覺神經の稱。

【腦震蕩】 ナウシンタウ 

打擊等によりて腦がふるひうごかされて知覺を失ふ病(蕩は盪)

【腦漿】 ナウシヤウ 

なぅみそ、腦の粘液。

【腦充血】 ナウジユウケツ 

逆上 ノボセル して血液の腦に滿つる病。

【腦出血】 ナウシユツケツ 

腦溢血に同じ。

【腦髓】 ナウズヰ 

頭蓋骨中に在る灰白色の物質。精神のはたらきをするもの。大腦·小腦·中腦·延髓の總稱。

【腦天】 ナウテン 

 國  いただき、てっぺん。=腦顚。

【腦貧血】 ナウヒンケツ 

腦の血液の少くなる病。

【腦膜炎】 ナウマクエン 

腦の膜に炎症をおこす病、小兒に多し=驚風 キヤウフウ 

【腦裏】 ナウリ 

こころのうち。=腦中。

【腦漏】 ナウロウ 

病名、鼻孔より臭惡の膿 ウミ をもらす、鼻加答兒 ビカタル を患ふるによりて起る。

腶  

タン [翰]

薑桂を加へたるほじし(乾肉)

【腶脯】 タンホ 

薑桂を加へしほじし。左、哀十一「進稻醴粱糗──焉」(腶、亦鍛に作る)=腶脩。

腸  

チャウ [陽]

膓は俗字

○はらわた、六腑の一、胃より肛門 コウモン に至る細長き管にて食物が其の中を通過しつつ消化する、大─·小─に分る。○こころ(心衷)「心─」「中─」「剛─」「鐵心石─」○羊─は山阪の名、山西省大行山に在り、阪路屈折多し。史、趙世家「羊─之西」轉じて廣くつづらをりの險阪の義とす。○無─公子は蟹の異名。

【腸胃】 チヤウヰ 

はらわたと、ゐと。史、扁鵲傳「湔洗──、潄滌五臟、鍊精易形」=胃腸。

【腸加答兒】 チヤウカタル 

病名、腸の中の粘膜の炎腫する病、急性·慢性の二種あり。

【腸腎】 チヤウジン 

はらわたと、じんざぅと。轉じて心の義とす。李嶠文「洗貪慾之──、開盲聾之耳目」

【腸斷】 チヤウダン 

はらわたがちぎれる、甚だしくかなしむ形容。江淹、別賦「行子──、百感悽惻」=斷腸。

【腸窒扶斯】 チヤウチブス 

腸のいたむ傳染病。=傷寒。

【腸肚】 チヤウト 

はら、心の中。葉顒詩「風霜面目松柏操、鐵石──冰玉肌」

【腸肥腦滿】 チヤウヒナウマン 

血氣が盛んにして知識の少きに喩ふ。北齊書、琅邪王傳「琅邪王年少、────、輕爲擧措」

【腸腹】 チヤウフク 

はら。淮南子「肥肌膚、充──、供嗜欲、養性之末也」

?  

テフ セフ [葉]

薄く切りたる肉。=聶。

腯  

トツ トン [月]

こゆ、ふとる(肥)牛羊に肥といひ、豕に─といふ「豐─」左、桓六「牲牷肥─」

【腯肥】 トツヒ 

豚の異名〔曲禮〕

腝  

ドン [願]

やはらか(嫩弱)

腜  

バイ [灰]

○はらむ、婦人が始めて孕む(胎)○── バイバイ は肥えたる貌。又、美くしき貌。左思、魏都賦「──坰野」

腷  

ヒョク [職]

○むねふさがる、氣がむすぼれる、意が泄モれず。○──は雞のはばたきする聲。古詩「──膊膊雞初鳴」又、冰のわれさける聲。古詩「──膊膊春冰裂」=愊膊。

【腷臆】 ヒヨクオク 

胸ふさがりて氣の泄れざる貌。魏武帝、哀策「舒盛德而咏思、遂──以涖事」=愊憶。

腹  

フク [屋]

○はら、胸部の下にありて內臟をつつむ部分「滿─」「鼓─」○こころ(心衷)○氣が合ひてたのみとする「─心」○生みたる母體「同─」「異─」「遺─」○いだく(懷抱)詩、小雅「出入─我」○まへ、前面「─背受敵」○すべて人のはらに似たるもの「山─」

【腹案】 フクアン 

心の中のかんがへ。

【腹胃】 フクヰ 

はらのなか。韓非子「惡臭而傷害──」

【腹腔】 フクカウ 

腹の內の臟器をかこめるうつろ。

【腹稿】 フクカウ 

胸の中にて文章を組み立てる。唐書、王勃傳「勃屬文、初不精思、先磨墨數升、引被覆面臥、及寤援筆成文、不易一字、時人謂勃爲──」=腹藁。

【腹藏】 フクザウ 

 國  腹の中に隱して語らず、遠慮して思ふことを言はず。

【腹笥空虛】 フクシクウキヨ 

腹中の本籍がからである、無學の喩。楊億詩「講學情田埆、談經腹笥虛」

【腹疾】 フクシツ 

はらのいたむ病。くだりはら(泄瀉)左傳「河魚──奈何」南史、吳明徹傳「遏肥水灌城之中、苦濕多──、手足皆腫、死者十六七」

【腹心】 フクシン 

己と心を同じくして賴みとする人。詩、周南「赳赳武夫、公侯──」

【布腹心 】 フクシンヲシク 

心をうちあけて告げる。左、宣十二「非所敢望也、敢───」

【披腹心 】 フクシンヲヒラク 

まごころをひらく。史、淮陰侯傳「臣願───、輸肝膽、效愚計、恐足下不能用也」

【腹心疾】 フクシンノヤマヒ 

はらの中の重き病。史、商鞅傳「秦之與魏、譬若人之有───、非魏幷秦、秦卽幷魏」

【腹足類】 フクソクルヰ 

軟體動物の一分類の名、多くは上に介殼を有し、腹面は筋肉質の足をなすもの、にし·あはびなどの類。

【腹脹】 フクチヤウ 

はらのふくれる病。南史、張融傳「腹脹而黃、衆醫不能療」=水脹。

【腹中之書】 フクチユウノシヨ 

腹の中にたくはへたる書。世說、排調「郝隆七月七日、見富豪皆曬曝衣帛乃出日中仰臥、人問其故、曰我曝腹中書也」

【腹痛】 フクツウ 

はらいたむ。魏武帝、祭橋太尉文「車過三步、──勿怪」

【腹背】 フクハイ 

○はらと、せと。○まへと、うしろと。晉書、慕容超載記「──擊之、上策也」

【腹非之法】 フクヒノハフ 

次條に同じ〔漢書、食貨志〕

【腹誹之法】 フイヒノハフ 

口は言はざれども、心に非としてそしる者を罰する法。史、平準書「顏異當九卿見令不便、不入言而腹誹論死、自是之後、有────」

【腹壁】 フクヘキ 

腹腔の側壁。

【腹膜】 フクマク 

腹腔內の臟器を支へ持つ膜「──炎」

【鼓腹】 ハラヲコスコフク 

はらつづみをうつ。莊、馬蹄「含哺而熙、──而遊」

【剖腹藏珠】 ハラヲサキテタマヲヲサム 

財を愛して己の身を害する義。唐書、太宗紀「太宗曰、西域賈胡得美珠、剖腹而藏之、愛珠而不愛其身也」

【腹便便】 ハラベンベン 

はらのふくれたる貌。後漢書、邊韶傳「韶曰、腹之便便、五經之笥」笥は書物箱。

腴  

ユ [虞]

?は俗字

○こゆ、下腹部が肥える。○又其のこえてやはらかにあぶらののりたる肉「鮮─」○うつくし、地味の肥えて美くしきにいふ「肥─」「沃─」漢書、地理志「九州膏─」○道の美くしきにいふ。班固、答賓戲「味道之─」○こやす、こえしむ。

腲  

ワイ [賄]

─腇 ワイタイ はのびやか(舒遲)なる貌〔王襃、洞簫賦〕

腺  

 〔國字〕  

せん。分泌作用を營む體內の器官「汗─」「乳─」

10畫

膉  

エキ [陌]

くびのにく(脰肉)

膃  

ヲッ [月]

─肭 ヲツトツ は北海に產する海獸の名、鰭 ヒレ ありて、毛は黑褐色にして柔軟なり、一名海狗。

【膃肭臍】 オツトセイ 

膃肭の陰莖及び睪丸の臍 ホソ と連接せるものを、斷じて取りて滋養藥とせしもの。正字通「海狗腎曰───」

膏  

①カゥ·コウ [豪]

②カゥ·コウ [號]

①あぶら、肉のあぶら、脂肪。○火を點ずるあぶら(燈油)○こえる(肥)ふとる。○うるほひ(潤澤)めぐみ(恩澤)○くちべに(脣脂)○あぶらぐすり「─藥」「軟─」○あまし(甘)「─露」美くし。○なめらかにしてつやよし(滑澤)○むねのした(心下)左、成十「居肓之上─之下」○味よく滑か。

②あぶらす、油を塗りてなめらかにす。韓愈、送李愿序「─吾車兮」○うるほす(潤)詩、曹風「芃芃黍苗、陰雨─之」

【膏雨】 カウウ 

時に應じて百穀をうるほす好きあめ。左、襄十九「小國之仰大國也、如百穀之仰──也」

【膏汗】 カウカン 

あぶらと、あせと。異苑「滿奮豐肥、每至暑夏、輒──流溢」

【膏火】 カウクワ 

あぶらのひ。蘇軾詩「十年讀易費──、盡日吟詩愁肺肝」=燈火。

【膏肓】 カウクワウ 

膏は心の下の微脂、肓は鬲の上の薄膜、針藥の力の及ばざる所。後漢書、鄭康成傳「鍼──、起癈疾」二豎(七七頁二段)を見よ。

【膏血】 カウケツ 

○あぶらと、ちと。唐書、陸贄傳「農桑廢于追呼、──竭于笞捶」○租稅を嚴しくとり立てる義。宋史、王禹偁傳「竭生民──」

【膏臊】 カウサウ 

あぶら、臊はぶた·犬などのあぶら〔周禮、天官、庖人〕

【膏壤】 カウジヤウ 

こえたるよき土地。史、貨殖傳「──沃野千里」=膏腴之地。

【膏潤】 カウジユン 

よきうるほひ。王僧孺、禮佛文「條風祥雨、──相屬」

【膏澤】 カウタク 

めぐみにうるほふ。又めぐみ。孟、離婁「諫行言聽、──下于民」班固、西都賦「──洽於黎庶」=恩澤。

【膏渟】 カウテイ 

淵などが、あぶらの溜 タマ りし如く靜か。柳宗元文「黛蓄──、來若白虹、沈沈無聲」

【膏田】 カウデン 

膏腴なる田地。蕭子良文「──沃野」

【膏肪】 カウバウ 

あぶのかたまり。陸游詩「土如──水如乳」

【膏物】 カウブツ 

樹理 モクメ の白き植物、楊柳の屬。周禮、地官「其植物宜──」

【膏味】 カウミ 

うまきあぢ。=美味·旨味。

【膏沐】 カウモク 

口べにと、髮のあらひ粉と。詩、曹風「豈無──、誰適爲容」說苑「言人之善澤於──、言人之惡痛於矛戟」

【膏霂】 カウモク 

よきうるほひの細雨 コサメ 轉じて恩澤に喩ふ。顧鼎臣賦「──濆于原隰」

【膏藥】 カウヤク 

あぶらぐすり。後漢書、段翳傳「爲合──」

【焚膏油 】 カウユヲタク 

燈火をもやす。韓愈、進學解「───以繼晷、常矻矻以窮年」

【膏腴之地】 カウユノチ 

こえたる土地。戰國策「韓魏支分方城────、以薄鄭」=膏壤。

【膏粱】 カウリヤウ 

肥えたる肉と、美くしき粟と。うまき食物の義。孟、告子「詩云、旣醉以酒、旣飽以德、言乎飽仁義也、所以不願人之──之味也」

【膏粱子弟】 カウリヤウシテイ 

富貴の家の子弟。天香樓偶得「今人謂富貴家曰────、言伹知飽食、不諳他務也」

【厭膏粱 】 カウリヤウニアク 

贅澤を盡して美味にあく。東坡志林、雪堂記「───者、與之糟糠、則必有忿詞」

【膏粱之性】 カウリヤウノセイ 

肥肉美穀を食ふ驕奢なる者の性。晉語「────、難正也」

【膏露】 カウロ 

萬物をうるほすよきつゆ、膏は甘。禮、禮運「天降──、地出醴泉」=甘露。

膈  

カク [陌]

通じて鬲に作る

○心 ムネ と脾との閒「胸─」○むねのうち(胸中)蘇軾詩「淸徹見胸─」○鐘を懸ける木。=鐘格。

【膈膜】 カクマク 

胸腔と腹腔との閒に在りて二腔を區別する者、人の呼吸はこの膜の一張一縮に由る。

?  

カク クヮク [藥]

肉のあつもの(肉羹)

膄  

シウ [宥]

やす、やせる(臞)=瘦。

膆  

ソ [遇]

禽獸の喉 ノンド の食を受ける處。潘岳、射雉賦「裂─破胔」=嗉。

腿  

タイ [賄]

○はぎ(脛)と股 モモ との總稱。股は大─、脛は小─「下─」○脛と股との後の肉。

膇  

ツヰ [寘]

足がはれる(足腫)脚氣の類。左、成六「有沈溺重─之疾」

膀  

ハゥ バゥ [陽]

─胱 バウクワウ は小便ぶくろ、腎臟より出る尿をたくはへる囊。周禮、天官、疏「─胱爲精液之府」

【膀胱炎】 バウクワウエン 

膀胱の內の粘膜が炎症を發する病、急性·慢性の別あり。

膊  

ハク [藥]

○ほじし(脯)うすく切りたる乾肉。○はりつけ(磔)罪人をはりつけにする。左、成二「殺而─之乎城上」○かた(肩)「臂─」○厚─は厚く切りたる肉。○──は雞のはばたきする聲。陸游詩「──庭樹雞初鳴」腷(肉部九畫)參看。=腷腷·腷膊。

膍  

ヒ ヘイ [支]

はらわた、五臟の總稱、牛羊麋鹿などの反芻類の胃。=百葉。

膂  

リョ ロ [語]

又、膐に作る

○せぼね(脊骨)「筋─」「背─」○筋肉のちから。○轉じてたのみとするものに喩ふ。書、君牙「作股肱心─」

【膂力】 リヨリヨク 

せぼね(脊梁骨)のちから。晉書、吾產傳「手格猛獸、──絕羣」=旅力。

膐  

膂(前條)に同じ。

膋  

レゥ [蕭]

 ハラワタ の閒のあぶら(腸脂)「肝─」詩、小雅「取其血─」

11畫

膠  

①カゥ·ケゥ [肴]

②カゥ [豪]

①にかは、牛の皮、魚の膘 ウキブクロ などを煮つめて作る、物を接合するに用ふ。周禮、考工記「─心厚施」○轉じてすべて物の黏 ネバル するもの「樹─」○にかはす、にかはをつけて接ぐ「─柱」○かたし(固)詩、小雅「德音孔─」○ねばりつく(黏合)杜甫詩「舌在口已─」○つく、附著する。○舟を淺瀨にのりあげる。莊、逍遙遊「置杯焉則─」○ただす(糾)○東─は周代の學舍の名。禮、王制「養國老於東─」=東序。○州の名、山東省に在り、灣外に靑島あり。○──は雞の聲。又、和ぐ貌。又、動きみだれる貌。○姓。─鬲は殷の賢人。

②もとる(戾)「─戾」「─加」

【膠飴】 カウイ 

水あめ〔釋名〕(乾枯せしものは餳)

【膠加】 カウカ 

もとる(戾)楚辭、九辯「何況一國之事兮、亦多端而──」=膠葛。

【膠膠】 カウカウ 

○やはらぐ貌。又、雞の聲。詩、鄭風「風雨蕭蕭、雞鳴──」=喈喈·嘐嘐。○うごきみだれる(動撓)貌。莊、天道「堯曰、然則──擾擾乎」

【膠葛】 カウカツ 

○もとる、いりみだれる。史、司馬相如傳「雜遝──以方馳」=膠輵·交加。○上の淸き氣〔漢書、揚雄傳〕

【膠化】 カウクワ 

物の化して膠の如くなるをいふ。

【膠固】 カウコ 

○にかはにてつけたる如くかたし。曹冏文「諸侯彊大、磐石──」=牢固。○こりかたまりて融通がきかぬ、固陋にして變通の才に乏し。江淹文「非臣──、所宜膺荷」

【膠西】 カウサイ 

地名、漢の──王の國、今の山東膠縣·高密等の地。

【膠州灣】 カウシウワン 

黃海の海灣、山東省膠縣の南、勞山の角に在り、灣の東に勞山港あり、港口に靑島あり。膠濟鐵路の起點地。

【膠瑟】 カウシツ 

膠柱鼓瑟の略。柱(九三四頁一段)參看。沈約文「守株──、難與適變」

【膠漆】 カウシツ 

○にかはと、うるしと。古詩「以膠投漆中、誰能別離此」○轉じて交情の堅きに喩ふ。後漢書、雷義傳「──自謂堅、不如雷與陳」杜甫、憶昔詩「天下朋友皆──」

【膠漆至黏】 カウシツシデン 

にかはと、うるしとの極めてねばる義、黏は粘に同じ。戰國策「夫────也、而不能合遠、鴻毛至輕也、而不能自擧」

【膠庠】 カウシヤウ 

○周の學舍の名。禮、王制「養國老於東膠、養庶老於虞庠」○轉じてひろく學舍の稱とす。

【膠續】 カウゾク 

○にかはにてつく。博物志「武帝射于甘泉宮、帝弓弦絕、西使請以──之」○後世は續娶卽ち再娶の義に用ふ。=續絃。

【膠著】 カウチヤク 

しっかりとかたまりつく。易林「──未通、不出牛欄」

【膠柱】 カウチユウ 

柱(木部五畫)の條を見よ。

【膠粘】 カウデン 

にかはがねばる。粘は黏に同じ。歐陽修詩「篇章久不作、意思如──」

【膠戾】 カウレイ 

もとる、戾、文選に盭に作る。上林賦「宛潬──、踰波趨浥」=邪曲。

【膠盭】 カウレイ 

前條に同じ。

膝  

シツ シチ [質]

ひざ。股 モモ と脛 ハギ との相接する關節部にして以て屈伸すべき所。

【膝下】 シツカ 

○父母のひざもと。唐書、高宗紀「願得奉至尊居──」○子が父母に對する尊稱。

【膝蓋骨】 シツガイコツ 

ひざのさら。=膝頭骨。

【膝行】 シツカウ 

ひざを地にすりつけながら行く、甚だしく畏れる形容。史、項羽紀「無不──而前、莫敢仰視」

【膝席】 シツセキ 

ひざを以て席上に跪 ヒザマツ く義。史、灌夫傳「餘半──」身は起つと雖も膝はなほ席に據るをいふ。

【膝臏】 シツヒン 

ひざのさら。急就篇「股脚──脛爲柱」

【膝癢搔背】 シツヤウサウハイ 

ひざのかゆきに背 セナカ をかく。議論などの理に當らざる喩。鹽鐵論「議論無所係、如────」

【容膝】 ヒザヲイルヨウシツ 

僅にひざを入れる程の小さき室 ヘヤ 高士傳「結駟連騎、所安不過──」

【促膝】 ヒザヲウナガス 

前へだんだんに進み出る。魏書、李騫傳「或──以持肩」=前膝。

【傾膝】 ヒザヲカタムクケイシツ 

ひざをくづす。晉書、劉輿傳「應機辦畫、──酬接」

【屈膝】 ヒザヲクツス 

ひざをかがめる。人の下となる。胡銓、上高宗封事「陛下一──」

膞  

①セン [銑]

②シュン [眞]

③セン [先]

①きりにく(臠)

②股のほね。

③陶器を作る用具。考工記「器中─」

膣  

チツ [質]

○肉が生ずる。○女子生殖器の一、陰門より子宮に達する道。=腟·生殖口。

膓  

腸(肉部九畫)の俗字。

膜  

①バク·マク [藥]

②ボ [虞]

①まく、うすかは、あまかは、動物の體內の器官を包むうす皮「眼─」「耳─」○轉じて薄衣 ウスカハ の果實內に在るものをもいふ。李商隱詩「榴─輕明榴子鮮」○なでる(撫)

②─拜 ボハイモハイ は兩手をあげ地に伏して拜する。長跪して拜する。穆天子傳「乃─拜而受」

【膜外】 バクグワイ 

度外に同じ。魏了翁詩「榮進付──、寡欲自日休」

【膜拜】 ボハイ 

長跪して拜する。字解參看。

【膜唄】 ボバイ 

手を合せ佛を拜して歌をうたふ。唐書「三公士人、奔走──」

【膜翅類】 マクシルヰ 

昆蟲類の一分類名、羽が膜質にして脈のあるもの、蜂·蟻など。

膚  

フ [虞]

○はだ、はだへ「皮─」「肌─」「髮─」身體の表皮、詩、衞風「─如凝脂」轉じて物の表面。○うすし、うはつらばかりにして淺し。淺薄「─淺」「─泛」○うつくし(美)「─敏」○おほいなり(大)「─公」○つく(傅)○ぶたのにく(豕肉)○きりみ(切肉)○四本の指をならべたる長さ(扶の借字)

【膚引】 フイン 

あちこちとうはべをはぎとりて己の說のたすけとする。

【膚學】 フガク 

淺薄なる學問。謝靈運文「淺思──」=淺學。

【膚合】 フガフ 

せまく小さききれぎれの雲の集り合ふ義。公羊、僖三一「觸石而出、膚寸而合、不崇朝而徧雨乎天下、者、惟太山爾」潘尼賦「雲──而仰浮」

【膚汗】 フカン 

はだへにあせをかく。王襃文「胸喘──、人極馬倦」

【膚肌】 フキ 

はだへ。蘇軾詩「世閒苦樂知有幾、今我幸免霑──」=肌膚。

【膚廓】 フクワク 

言語文章の大いにして理に當らざるもの。膚は膚淺。

【膚見】 フケン 

あさはかなかんがへ、皮膚之見の略〔南齊書、陸澄傳〕

【膚公】 フコウ 

大いなるいさを、公は功。詩、小雅「以奏──」=大功。

【膚受】 フジユ 

うはべだけ受け傳へる、なまものじり。張衡、東京賦「末學──」

【膚受之愬】 フジユノソ 

はだへに受くる如き利害の身に切なるうったへ。論、顏淵「子曰、浸潤之譖、────、不行焉、可謂明也已矣」

【膚寸】 フスン 

わづかの長さ、膚は手指四本をならべたる長さ、寸は一本の指を按ずる。戰國策「齊人伐楚戰勝、──之地無得者、形弗能有也」膚合を見よ。=扶寸。

【膚淺】 フセン 

あさはか。晉書、荀崧傳「元帝詔曰、穀梁──、不足置博士」=淺薄。

【膚孱】 フセン 

淺はかにして堅固ならず。宋祁文「識局庸淺、術學──」

【膚撓目逃】 フダウモクタウ 

はだへが刺されてたわみ、おそれてまともに見得ず。勇氣の無き形容。孟、公孫丑「不膚撓、不目逃」に出づ。

【鏤膚】 フニヱル 

入れ墨する。左思、魏都賦「或──而鑽髮」=文身。

【膚敏】 フビン 

容貌大いにして才すぐれてさとし。詩、大雅「殷士──」

【膚理】 フリ 

はだのきめ。荀、榮辱「骨體──、辨寒暑疾養」=肌理。

【膚如凝脂 】 ハダヘギヨウシノゴトシ 

はだへの白く美くしきにいふ。詩、衞風「手如柔荑、────」

【膚不生毛】 ハダヘケヲシヤウゼズ 

はだへの毛がすり切れるほど勞役を勤むる。司馬相如、難蜀父老「身親其勞、躬?胝無胈、────」

膟  

リツ シュツ [質]

─膋は、血祭に供ふる肉。一說に、はらわたの閒のあぶら。

膢  

リョ·ロ リウ·ル [魚]

○飲食の神の祭。○臘日の祭事。○立秋の日に天子出獵し還りて宗廟を祭ること。

【膢獵】 リヨレフ 

狩の祭の名。韓非、五蠧「山居而谷汲者、──而買水」

12畫

膮  

ケゥ キウ [篠]

○ぶたのあつもの(豕肉羹)○かぐはし(香)

?  

シウ [尤]

ほしうを(乾魚)=鱐。

膬  

脆(肉部六畫)に同じ。

膲  

セゥ [蕭]

通じて焦に作る

三─ サンセウ は六腑の一、みのわた、水穀の通ずる所にして氣の終始する所といふ、上中下に分つ。=三焦。

膳  

セン ゼン [霰]

○そなへ供する食物。調理の善く具 ソナ はれる食物。○くらふ(食)禮、文王世子「食下問所─」註「問所食」○くらふ肉。くらふ物。いけにへの肉。 國   ○ ゼン 飮食物をのせる臺。○めし、ごはん。○茶碗に盛りし飯を數へる稱。○箸 ハシ 一對の稱。

【減膳】 ゼンヲゲンズ 

次條に同じ。晉書、成帝紀「咸康二年三月旱、詔太官──」

【損膳】 ゼンヲソンス 

天子が常の膳數を減損して儉約する義。賈山、至言「損食膳、不聽樂」史、平準書「天子乃──、解乘輿駟、出御府禁藏、以贍之」=減膳。

【膳宰】 ゼンサイ 

食膳を主宰する役、卽ち膳夫の長〔左、昭九〕

【膳羞】 ゼンシウ 

牲肉と、うまき食物と。次條を見よ。

【膳夫】 ゼンフ 

周代、宮中の食膳を司るもの。周禮、天官「──掌王之食飮膳羞」註「膳、牲肉也」

【膳府】 ゼンフ 

庖廚の用に供する物を掌る處。韋莊詩「八珍羅──」

【膳部】 ゼンブ 

○料理人。○晉代の官名、宮廷の料理を掌る。○ 國  料理したる食物。=饗膳。

【膳服】 ゼンブク 

飮食物と衣服と。周禮「關市之賦、以待王之──」

膩  

ヂ [寘]

○こゆ「肥─」「羶─」○あぶらじむ、あぶらあか「垢─」「脂─」「肪─」杜牧、阿房宮賦「渭流漲─、棄脂水也」○なめらか(滑)きめがよい「細─」「柔─」「潤─」

【膩滑】 ヂクワツ 

あぶらけありてなめらか。北史、斛律光傳「牀下有二物、如黑猪、從地出走、其穴──」元稹詩「錦江──峩眉秀、幻出文君與薛濤」

【膩染】 ヂセン 

あぶらじむ。丁復、寶鴨曲「指痕──羅紋細」

【膩粉】 ヂフン 

なめらかなるおしろい。白居易、木蘭花詩「紫房日照臙脂拆、素豔風吹──開」

【膩理】 ヂリ 

なめらかにしてきめよし。宋玉、招魂「靡顏─理」

膨  

ハゥ [庚]

通音バゥ

はる、ふくれる(脹)

【膨脝】 バウカウ 

はらふくれる(大腹)韓愈、石鼎聯句「豕腹脹──」=彭亨·漲大。

【膨大】 バウダイ 

ふくれて大いなり。

【膨脹】 バウチヤウ 

ふくれる、物の容積が擴大する、無形の物にも亦借用す。

膰  

ハン [元]

ひもろぎ、煮たる宗廟の祭肉、祭餘の熟肉。史、孔子世家「致─乎大夫」

【膰肉】 ハンニク 

宗廟の祭に供ふる熟したる肉、ひもろぎ。孟、告子「從而祭、──不至、不稅冕而行」

膴  

①ブ [虞]

②フ [麌]

通音ブ

①ほねなきほじし(無骨腊)○のり(法)

②あつし(厚)○──は肥えてうつくし。○骨なきほじし。

【膴仕】 ブシ 

厚き祿にて仕宦する。又、其の官。詩、小雅「瑣瑣姻亞、則無──」

【膴膴】 ブブ 

土地こえて美くしき貌。詩、大雅「周原──、堇荼如飴」

13畫

臆  

オク [職]

○むね(胸)「胸─」胸の肉。○こころ、おもひ(意)史、賈誼傳「請以─對」(漢書には意に作る)○─愊は怒りて氣が滿つる。○ 國  おくする、おぢる「─病」

【臆決】 オクケツ 

おしはかりて定める。唐書、啖助傳贊「馮私──」=臆斷。

【臆見】 オクケン 

自分一人のかんがへ。

【臆出】 オクシユツ 

己の心にてあて推量して說き出す。歐陽修、春秋論「非其──」

【臆說】 オクセツ 

しかとしたる證なき、あてすゐりやうの議論。富弼、辨邪正論「伹且欲證臣狂瞽、非──焉」

【臆測】 オクソク 

己の心にておしはかる。後漢書、李通傳論「──隱微」=臆度。

【臆度】 オクタク 

おしはかる。蘇軾詩「世事仍──」=億度。

【臆斷】 オクダン 

己の胸にて推しはかりてとりきめる。蘇軾、石鐘山記「事不目見耳聞而──其有無可乎」=臆決。

【臆判】 オクハン 

あて推量にてはんだんする。唐書、黎幹傳「本末駮舛、──自私」

【臆病】 オクビヤウ 

 國  勇氣がない、小膽。=怯。

【臆面】 オクメン 

 國  氣後れしたるやうす。

臄  

キャク カク [藥]

○うはあご(口上)○切りたる肉「脾─」

膾  

クヮイ [泰]

なます、細く切りたるなまの肉「鮮─」「縷─」「鱸─」」金虀玉─」論、鄕黨「─不厭細」

【膾殘魚】 クワイザンギヨ 

白魚 シラウヲ の異名、河海の閒に生ずる小魚。皮日休詩「分明數得───」

【膾炙】 クワイシヤクワイセキ 

○肉のなますと、あぶりものと、二者は人の同じく嗜むもの。孟、盡心「──與羊棗孰美、孟子曰、──哉」○轉じて詩文などの人人の口にいひ傳へて賞める義。宣和書譜「──人口」

【膾截】 クワイセツ 

なますとしてきる。晉書、孔坦傳「由俎上肉、任人──」

臉  

ケン [琰]

○目の下、頰 ホホ の上に當る部分。○轉じて顏面の義とす「笑─」「玉─」「粧─」

臊  

サゥ ソウ [豪]

なまぐさし(腥)豕又犬のあぶら。又、其のにほひ「羶─」

【臊惡】 サウアク 

なまぐさくしてあし。禮記、疏「其肉──」

【臊腥】 サウセイ 

なまぐさし。元稹詩「狐惑意顚倒、──不復聞」=腥臊。

【臊聲】 サウセイ 

けがれて惡しきひやぅばん。北史、抱老壽傳「──布於朝野」=腥聞。

【臊陀】 サウダ 

 佛  鸚鵡 アウム の異名〔本草〕=隴客。

臅  

ショク [沃]

─膏 シヨクカウ はむねの中のあぶら(臆中膏)〔禮、內則〕

膸  

スヰ [紙]

通音ズヰ

骨中のしん、骨中の脂 アブラ 「骨─」

臇  

セン [銑]

あつもの(?)汁の少きあつもの。

膻  

①タン [旱]

②セン [先]

①はだをぬぐ、省きて、胆に作る。=襢。○─中 タンチユウ は心臟の下にある鬲膜。

②なまぐさし、羊の臭氣。=羶。○轉じて惡の義。列、周穆王「王之嬪御、─惡而不可親」

膽  

タン [感]

○きも、六腑の一、肝臟の右に在りて、消化液の─汁を分泌する器官。○きもだま、決斷力、勇氣の出づる所「─力」「─勇」「大─」○こころ(心衷)「心─」「忠─」○拭ひ治む、ふきとる。禮、內則「桃曰─之」(桃の毛をぬぐひとる)○龍─ リンダウ は草の名、秋日、紫又は白色の花開く。

【奪膽】 タンヲウバハル 

氣力をうばはる。梁武帝文「武夫喪魄、義夫──」

【嘗膽】 タンヲナム 

艱苦を忍び仇を報いんとするにいふ〔史、越世家〕嘗膽(三五○頁四段)を見よ。

【破膽】 タンヲヤブル 

きもをつぶす、大いに驚き怖れる。漢書、賈誼傳「大諸侯之有異心者、──而不敢謀」膽寒參看。

【膽氣】 タンキ 

物に臆せざる氣力。五代史、翟光鄴傳「倜儻有──」

【膽寒】 タンサムン 

甚だしく驚き懼れる。宋史「韓琦與范仲淹、在兵閒最久、名重一時、朝廷倚以爲重、天下稱爲韓范、邊人謠曰、軍中有一韓西賊聞之心──、軍中有一范、西賊聞之、驚破膽」

【膽汁】 タンジフ 

食物を消化するため、きもより出づるしる。孔平仲詩「倉皇面深墨、嘔噦皆──」

【膽汁質】 タンジフシツ 

人の氣質の一、忍耐力强く、思慮に富み、意志の堅固なる性質。

【膽如升】 タンシヨウノゴトシ 

きもの大いなる形容。南史、侯景傳「刻析心腹、破出肝腸、見其膽、乃如升焉」

【膽大心小】 タンダイシンセウ 

きもは大いにして、心を用ふることは細密にする。唐書、隱逸傳「孫思邈曰、膽欲大而心欲小、智欲圓而行欲方」

【膽智】 タンチ 

膽力と才智と。後漢書、度尙傳「鄕邦稱其──」

【膽掉股慄】 タンテウコリツ 

きもがふるへ、ももがふるへる、非常におそれる狀。

【膽如斗】 タントノゴトシ 

きもの大いなる形容。三國志、姜維傳、注「維死時見剖、膽如斗大」

【膽囊】 タンナウ 

肝臟にて分泌せし膽汁をためるふくろ。

【膽礬】 タンバン 

藥品の名。=硫酸銅。

【膽甁】 タンヘイ 

長頸大腹にして懸けたる膽の形に似たるかめ。陳傅良、水仙花詩「掇花寘──、吾今得吾師」

【膽大於身 】 タンミヨリモダイナリ 

きもの大いなる形容。唐書「臣觀其膽、乃大於身、鼻息所衝、上拂雲漢」

【膽破】 タンヤブル 

大いに驚き懼れるにいふ。陳琳文「──衆散、不鼓而敗」

【膽勇】 タンユウ 

物に臆せざる勇氣。南史、曹景宗傳「以──聞、頗愛史書」

【膽略】 リンリヤク 

大膽にして謀略あり。梁書、鄱陽王世子嗣傳「性驍果、有──」

【膽力】 タンリヨク 

きもだま。物に臆せざる勇氣。吳志、朱績傳「以──稱」

膿  

ドウ ノウ [冬]

○うみ、腫物 デキモノ などのうみて出るきたなき汁。○ただれる(爛)

【膿血】 ノウケツ 

うみち。

【膿死】 ノウシ 

ただれしぬ。齊民要術「水稻苗長七八寸、陳草復起、以鐮浸水芟之、草悉──」

【膿汁】 ノウジフ 

うみしる。

【膿團】 ノウダン 

うみのかたまり、無用 ヤクニタタス の義。庚申外史「禿堅謂老的沙曰、今上──不可輔、小婦孩兒、亦非國器」

【膿包】 ノウハウ 

前條に同じ。

臀  

トン ドン [元]

○しり、ゐしき、ゐさらひ、?─は尻のあな。○物のそこ(底)

臋  

臋(前條)に同じ。

臂  

ヒ [寘]

○ひぢ、肘より腕に至る閒、手の上部。○弩の柄。○半─ ハンビ は袖を半分短くしたる衣服。

【臂胛】 ヒカフ 

ひぢと、兩かたの閒と。南史、戴顒傳「宋世子鑄丈六銅像于瓦官寺、旣成、面恨瘦、工人不能改、乃迎顒看之、顒曰、非面瘦、乃──肥耳」

【臂環】 ヒクワン 

うでわ。通俗文「──謂之釧」=手釧。

【臀使】 ヒシ 

ひぢの指を使ふ如く、意の如く人を使ふ。漢書、賈誼傳「令海內之勢、如身之使臂、臂之使指、莫不制從」

【臂頭】 ヒトウ 

ひぢ。ひぢのさき。

【把臂】 ヒヂヲトル 

互にひぢをとりあふ、親み愛するさま。後漢書「臨別──言誓」=握臂。

【攘臂】 ヒヂヲハラフ 

勇氣を鼓する狀。孟、盡心「馮婦──下車」=奮臂。

【尅臂】 ヒヂニコクス 

ひぢにきざむ、固く約束する。列、湯問「──以誓」

【如臂使指】 ヒヂノユビヲツカフガゴトシ 

何事もすべて意の如くなるに喩ふ。臂使を見よ。

臃  

ヨウ [冬]

はれもの、しゅもつ(腫)

【臃腫】 ヨウシユ 

○はれもの、できもの。集韻「──肉起也」○轉じて、木などのふしこぶ。莊、逍遙遊「吾有大樹、人謂之樗、其大本──而不中繩墨」○又轉じて人の拙笨にして無用なる者に喩ふ。

膺  

ヨウ [蒸]

○むね(胷)中庸「得一善則拳拳服─而弗失之矣」○あたる(當)うける(受)引き受ける。書、武成「誕─天命、以撫方夏」○うまのはらおび(馬帶)○ちかづく(親)○うつ(擊)征伐する。孟、滕文公「戎狄是─」

【膺受】 ヨウジユ 

あたりうける。書經「惟予一人、──多福」

【膺選】 ヨウセン 

えらびにあたる。晉書、穆章何皇后傳「以名家──、立爲皇后」

【膺懲】 ヨウチヨウ 

夷狄をうちこらす。詩、魯頌「戎狄是膺、荊舒是懲」

?  

癰(疒部十八畫)に同じ。

【?腫】 ヨウシヨウ 

一種のはれもの、よう。史、倉公傳「後五日當──」

臈  

臘(肉部十五畫)の俗字。

14畫

臐  

クン [文]

ひつじのあつもの(羊?)

臍  

セイ サイ [齊]

○へそ、ほぞ、ほぞの緒のとれたるあとにて腹の中央に在り、古、齊に作る。○果物や瓜のへた(蔕)「瓜─」○すべて、へその狀に似たるもの。磑─·磨─は石うすのへそ。○膃肭─ ヲツトセイ は海狗の腎。

【臍帶】 セイタイ 

へそのを、胎兒の臍と母體とを結びつける膠質の白き肉管。=臍蔕。

【固臍】 ホソヲカタム 

 國  決心をする、覺悟をする。

【噬臍】 ホソヲカム 

へそをかむ。及ぶべからざる喩。左、莊六「若不早圖、後君噬齊」齊は臍。

臑  

①ダゥ [豪]

②ジ [支]

①かひな、ひぢ(上臂)肩より肘に至る閒。○ひぢの節。

②にる(煮)枚乘、七發「熊蹯之─」ただる(熟爛)=胹。○ 國    スネ (脛)

【臑骨】 ダウコツ 

かひなのほね。

【臑羔】 ジカウ 

烹たる小羊のにく。徐幹文「蒸豚──」

臏  

ヒン [軫]

○ひざがしらのほね、ひざのさら(膝蓋骨)「膝─」○はぎのほね(脛骨)○あしきる刑、古、脛 ハギ の骨を割斷する刑罰。=刖。

【臏脚】 ヒンキヤク 

あしをきる刑。又、其の刑に處せられる。司馬遷、報任安書「孫子──、兵法修列」

【絕臏】 ヒンヲクツゼツヒン 

重き物をもちあげて脛 ハギ の骨をたちきる。史、秦紀「王與孟說擧鼎──」

15畫

?  

殰(歹部十五畫)の古字。

?  

ハク ボク [覺]

はる(腫)肉が腫れ起る。

臘  

ラフ·ロフ レフ [合]

臈は俗字

○冬至の後、第三の戌の日に百神を合せまつる。又、其の祭「─祭」=蜡祭。○─祭は年末に行ふ、故に陰曆十二月の異名とす「─月」「窮─」○とし(年)○僧の得度以後の年數を數ふるにいふ。太平廣紀「我生五十有七矣、僧─方十二」元稹詩「七十八年三十─」三十─は僧となりし年數。○もろは(兩刃)○眞─は南蠻の國名。○─丁 ラテン は古代、意大利·羅馬附近の民族の稱。=拉丁。

【臘月】 ラフゲツ 

陰曆十二月の異名。この月に百神を臘祭 アハセマツル するが故。唐書、歷志「以十二月爲──、建寅月爲一月」字解參看。

【臘鼓】 ラウコ 

臘祭にうつつづみ。荊楚歲時記「十二月八日爲臘日、諺語、──鳴、春草生、村人竝擊細腰鼓、作金剛力士逐疫」

【臘祭】 ラフサイ 

陰曆十二月のまつり。禮、月令、疏「──之時、暫出田臘以取禽」

【臘日】 ラフジツ 

冬至より後の三度目の戌の日。又、十二月八日の稱。杜甫詩「──前年暖尙遙、今年──凍全消」

【臘梅】 ラフバイ 

からうめ、なんきん梅、灌木の一、冬の末に淡黃色の花開く、臘月に開きて梅花の香あり、故に名づく。=蠟梅。

【臘八粥】 ラフハチシユク 

臘祭の日にたべるかゆ。天中記「宋時東京十二月初八日、都城諸大寺、送七寶五味粥謂之───」

【臘半】 フフハン 

陰曆十二月の半ば。耶律楚材詩「畱得晚瓜過──」

【臘尾】 フフビ 

年末。張船山、梅花詩「──春頭放幾枝」字解參看。

16畫

臙  

エン [先]

もと燕に作る

○のど、のんど(咽·喉)○─脂 エンシ はべに、化粧用の紅色の顏料 ヱノグ 古は丹に脂をまぜて作る。=胭脂·燕支。

【臙脂虎】 エンシコ 

べにをつけたるとら、悍婦をいふ〔淸異錄〕

【臙脂井】 エンシセイ 

景陽井の異名、臺城の内に在り、陳後主、張麗華·孔貴嬪と共に其の中に投じて隋兵を避けしところ、闌 テスリ に石脈あり、帛を以て之を拭へば臙脂の痕を見るといふ。一名は辱井〔南畿志〕

臛  

カク [沃]

○肉のあつもの「羹─」○いぶす、ふすぶ(燻)

【臛目】 カクモク 

馬糞にてふすべて目くらにする。史、刺客傳「臛其目使擊筑」

臚  

リヨ ロ [魚]

○ならぶ、つらぬ(陳)つらなる「─列」史、六國表「─於郊祀」○ついづ(敍)○つたふ、上の語を下に傳へる「─傳」○かは(皮)はだへ(膚)

【臚言】 ロゲン 

世上にいひつたへる言。晉語「聽──於市」

【臚句】 ロコウ 

通譯官、上の語を下に傳ふるを臚、下の語を上に吿ぐるを句といふ。史、叔孫通傳「大行設九賓──傳」

【臚唱】 ロシヤウ 

殿上にて名を唱へて呼び入れる。方囘詩「──曾叨殿上傳」

【臚情】 ロジヤウ 

陳情に同じ。張衡賦「卽歧趾而──」臚は陳。

【臚陳】 ロチン 

つらぬ、陳列する。

【臚傳】 ロデン 

○上の語を傳へ吿げる。莊子「大儒──曰、東方作矣」○殿上にて名を唱へよぶ〔夢溪筆談〕=臚唱。

【臚列】 ロレツ 

つらねならべる。張衡賦「九賓重、臚人列」=陳列·羅列。

17畫

臝  

ラ [哿]

又、裸に作る

○はだか(裸體)○はだをぬぐ(袒)はだかになる。左、昭三一「童子─而轉以歌」○─物は淺毛の獸、虎·豹の屬。周禮、地官「其動物宜─物」○蓏 ウリ に通ず。○瓜─は栝樓 カラスウリ 

18畫

臞  

ク [虞]

○やす(瘠)史、司馬相如傳「形容甚─」○へる(耗)

 同訓異義 

ヤス 臞·瘦·瘠·毀·羸の別は瘦(疒部十畫)の條を見よ。

臟  

サゥ ザゥ [漾]

はらわた「心─」「肺─」心·肺·肝·腎·脾を五─といふ。

【臟腑】 ザウフ 

○五臟と六腑と。はらわた。晉書、佛圖澄傳「嘗齋時平旦至流水側、從腹孔中、引出五臟六腑洗之」○轉じて胸懷 ココロ に喩ふ。明周憲王有燉詩「年來偏覺心腸熱、老去祗餘──明」

19畫

臠  

レン [銑]

○きりみ、細かに切りたる肉(大を胾といひ、小を─といふ)○魚腹をさきたるもの。○やす(瘠)○─卷は伸びざる貌。○ 國    ミソナハス 見るの敬語(一說に矕の誤用)

【臠殺】 レンサツ 

きりさいなみてころす。宋史、忠義傳「趙汝曏、宣城人、善射、城破被執、先斷其兩臂、而後──之」

【臠肉】 レンニク 

きりみ。魏書、鄭義傳「性嗇吝民有禮餉者、皆不與杯酒──、西門受羊酒、東門酤賣之」