口部
0畫
コウ ク [有]
○くち、五官の一。○ほとり。○ひとかず、ひと。孟、盡心「八─之家、可以無飢」○しなかず、刀劍などを數ふるにいふ「劍一─」○あな(孔穴)○くちにす、口に出して言ふ。○いりくち、こぐち。○ 俗 出入の要地、港の義に用ふ「出─」「入─」○ クチ 國 はし、はじめ、端緒。○てづる、緣、仕事「─をさがす」○たぐひ、種類「別の─」
口供の調書。開元天寶遺事「咸伏其罪、時號張公──」
くちずさむ。陸游詩「──七字黃庭篇」
くちずさむ「新年──」杜甫、紫宸殿退朝口號、注「──謂隨口號吟」=口占·口吟。
口にて說き、指にて畫く。ねんごろにをしふる義。韓愈、柳子厚墓誌銘「經承子厚────、爲文詞者、悉有法度可觀」
くちのほとり。李商隱詩「──流沫右手胝」=口邊。
俗 江海の各港をいふ「通商──」口は港。
くちつき、ことばつき。=口吻。
口づから其の意義をのべる。唐代、明經科の試驗に──·墨義の兩種あり。
口がどもる。史、韓非傳「非爲人──不能道說而善著書」
ことばがたっしや。給は捷給。論、公冶長「禦人以──、屢憎於人」=口敏。
○口どもりて言語明了ならず。後漢書「──舌言」○口ずさむ。=口哦。
くちがき、罪人が口づから其の罪狀を述べたることを筆記せるもの〔未信篇〕
○ 俗 長城以外をいふ。又、西北邊境の關外をいふ。○ 國 くちに出す、他言する。
口づから謀を申し上げる。史、酈生傳「──天下便事」
器物の口のさしわたし。
くちにていひつける。口頭にて命令する。
口づから授ける祕術。岑參詩「早年好金丹、方士傳──」
會盟の時に、口に歃りたる血が未だ乾かず、會盟後、日猶淺きをいふ。左傳「與大國盟、────、而背之可乎」
くちにて話す通りのことば。文章に綴るを文語といふの對。
くちまへの上手なるはたらき。家語「宰予有──」=辯才。
ざんげん。戰國策「臣之行也、固知將有──」
くちべに。又、口に塗りて凍寒を防ぐ藥品、婦女の化粧品のみにあらず。杜甫詩「──面藥隨恩澤」
○いひぐさ。人の話柄となす。書、仲虺之誥「恐來世以台爲──」台は吾。○只其の言あるのみにて實なきをいふ。左、襄、二二「若不恤其患、而以爲──」○口中の食物。易、頤卦「自求──」○口すぎ、祿食の義。左、襄、二五「豈爲其──、社稷是養」
耳に聞きたることを、そのまま口に言說して、己に益する所なき學問。道聽塗說の學問。みみがくもん。荀、勸學「小人之學也、入乎耳、出乎口、口耳之閒則四寸耳、曷足以美七尺之軀哉」
國 口にて申し上げる。言上 ゴンジヤウ する。
直ちに口づから敎を受ける。史、十二諸侯年表「七十子之徒──其傳指」
くちづからのべる。又其の言葉。
人數をいふ。史、高祖紀「各以其──」
ことば。くちさき。史、畱侯世家「此難以──爭也」
言語の上にて立てたる功。史、廉頗藺相如傳「相如徒以口舌爲勞」
くちずさむ、口中にて隱に其言をのべて人に授くる義。後漢書、陳遵傳「馮几──授書吏」
○口づから天子の命をのべ傳へる。唐書、王起傳「令中使──」○ クセン 國 古、五位以上の官位を授くるに、頭 トウ の辨 ベン が敕旨を取次ぎて傳達せし口頭の宣命 センミヤウ
○人口に賦課する稅。人頭稅。漢書、貢禹傳「算──起武帝」○ 國 賣買の媒 ナガダチ せし手數料。
くちづから譽めすすめる。漢書、黃霸傳「──霸干上、擢霸爲揚州刺史」
つばき。王充論衡「與人談言、──射人」
口を觸れしあとのつや。長く用ひし茶碗の緣などのよごれの類。禮、玉藻「母沒而杯圈不能飮焉、口澤之氣存焉爾」
ことばにて通達する、言ひ渡す。後漢書「──至誠」
口上にてのべる。=口述。
かみつぶし易し、以て事の極めて危く又、容易なるに喩ふ。漢書、王莽傳「以新室之威、而吞胡虜、無異口中蚤蝨」
言論を變改するに喩ふ。雌黃は黃色の顏料 ヱノグ 古の書册は黃紙を用ひ、誤寫ある時は雌黃にて塗り消し、其の上に改め書せし故にいふ。晉書、王衍傳「義理有所不安、隨卽改更、世號────」
くちさきのみにて眞實のなきまじはり。孟郊詩「但結───、肚裏生荊棘 ー 」
いひづたへ。世人の傳說は永久に滅びざること石碑に刻せしが如し、故にいふ。五燈會元「勸君不用鐫頑石、路上行人口似碑」似一に是に作る。
ことばがたくみ。張彥振、指南車賦「詞給而──」
人口に割りつけて取る稅金。漢書、昭帝紀「毋收四年五年──」
飮食をいふ。禮記「先王之制禮樂也、非以極──耳目之欲也」孟、告子「──豈適爲尺寸之膚哉」
くちさき。言語をいふ。舊唐書、李德裕傳「禍福出于胷懷、榮枯生于──」又、ことばつき、口氣。
俗 蒙古をいふ。
口やくそく、ことばの上の約束。
○兵士の糧食。=兵糧。○貧民に給する食物。
國 いさかひ、ことばのあらそひ。=爭論·口舌之爭。
佛 言語より起るすべての惡業。十惡中の妄語·綺語·惡口·兩舌の類。佛家にて身·口·意を以て三業と爲す。
くちづからさづく。漢書、藝文志「──弟子、弟子退而異言」
口づから傳へる。齊家寶要「吾鄕當嘉靖年閒、里中士大夫相拜者、尙不過──」
國 大化の改新後、國民一人每に平均に分與せし田地。
口を閉ぢて物を言はず。史、鼂錯傳「鄧公曰、臣恐天下之士──不敢復言也」=杜口。
口に任かせて出づる。東坡集「跋歐陽公書云、此數十紙、皆文忠公────、縱手而成、初不加意者也」
口を閉ぢて言はず。史、范雎傳「──裹足、莫肯嚮秦耳」=閉口。
杜口に同じ。鹽鐵論「倪大夫、──不言」
口を大きく開きて快く笑ふ。莊、盜跖「人除病疲死喪憂患、其中────者、一月中未過四五日而已矣」
ものをいはさぬ。漢書「猶止兒啼塞其口也」=杜口。
言をつつしむ。癸辛雜識「富鄭公有──如瓶、防意如城之語」
口をつぐみてもの言はず。鉗は箝に同じ。莊子「形解而不欲動、──而不欲言」=箝口 ケンコウ
口がまだちちくさし、其の年少にして經驗乏しきをそしる。史、高祖紀「漢王以韓信擊魏王豹、問酈食其、魏大將誰、對曰、柏直、漢王曰、是────、安能當吾韓信」
人の美をほめたたへて口にて形容し盡されず。史、袁盎傳「稱之皆───」
口によくかなふ。味のよき義。莊子「三皇五帝之禮義法度、其猶柤梨橘柚耶、其味相反而皆可于口」
言ふ所みな善にして、えらびすつべき言なし。孝經「────、身亡擇行」
外面親切なるが如くにして、內心陰險なるに喩ふ。通鑑綱目、唐紀「李林甫爲相、尤忌文學之士、或陽與之善、啗以甘言、而陰陷之、世謂林甫口有蜜腹有劍」
寶鑑、言語「利人之言、暖如緜絮、傷人之語、利如荊棘、一言半句、重値千金、一語傷人、痛如刀割、口是傷人斧、言是割舌刀」
言語の愼むべき戒、禍は口より起るが故。馮道詩「─────、舌是斬身刀、閉口深藏舌、安身處處牢」
甲の口より出でて乙の耳に入る。他に知るものなきをいふ。左、昭、二十「王曰、言出於余口、入於爾耳、誰告建也」
2畫
イウ ウ [宥]
○みぎ。左の反對。○みぎす、右の方に行く。○そば、又、そばに居る侍者。○たすく(助)側 ソバ にゐて輔佐する。書、大甲「左─厥辟」厥辟は其の君、左右は佐佑。○みちびく(導)○かみ(上)○たふとぶ(上·尙)○すすむ。侑に通ず。○つよし(强)
同訓異義
タフトブ 右·尊·貴·崇·上·尙の別は尊(寸部九畫)の條を見よ。
殷の世の太學をいふ、西郊に在り、大夫の老いたる者を養ふ。又、左學は、庶民の老いたる者を養ふ。禮、王制「殷人養國老于──、養庶老于左學」
國 右大臣の異稱。=右槐。
右方の方陣。左拒の對。左傳「爲──以當陳人」
○天子に中軍·左軍·──あること左傳に見ゆ。○晉の王羲之、──將軍たり、よりて羲之を稱していふ「王──」〔晉書、王羲之傳〕
てがた、わりふの右の半分。證書をいふ。次條參看。戰國策「操──而爲公、責德於秦魏之王」=右券。
右のわりふ。てがた、證文の義、古は木片に證文を記し、左右に兩分し、──を債務者に渡し、左券を債權者の方に存し置き、他日相合せて證とせしなり。史、平原君傳「事成、執──以責」=右契。
古の官名。史記正義、論史例「古者帝王──記言、左史記事、言爲尙書、事爲春秋」
一時に二事は成しがたき喩。韓非、功名「────────、兩不能成」
高官をいふ。漢書、循吏傳「馮翊以霸入財爲官、不署──」
貴き家がら。後漢書、郭伋傳「更始新立三輔、連被兵寇、百姓震駭、强宗──、各擁衆保營、莫肯先附」=右族·名門·名族·大姓·貴族。
勢力ある親類。南史、蔡撙傳「臣預爲──且職在納言」
すぐれて勢力あるいへがら。柳氏家訓「余見名門──、莫不由祖先忠孝勤儉以成立之」
國 かきやく、昔、貴人に侍して書記を掌りし役。=祐筆·侍史。
たすけ、たすける。天子の左右に在りて輔佐する。又、其の官名──左輔と對稱す。晉書、潘尼傳「左輔·──·前疑·後丞、一日萬機、業業兢競」
右大臣の唐名。=右相。
武をたふとぶ。尙武に同じ。史、平津侯傳「守成尙文、遭遇──」遭遇とは亂世に遭遇する義。
秦の內史の地。漢の郡名、三輔の一、扶は助、風は化の義。今の西安府以西、鳳翔府に至る地。
文學をたっとび重んずる。宋史、禮志「廣列聖崇儒──之聲」
文武兩道を以て天下を治むる義。潘炎、君臣相遇樂賦「或右文而左武、或先吁而後唱」=左文右武。
鳥の翼を左右に張りたるが如く、其の右方に張りたる陣をいふ。左翼の對。史、李牧傳「多爲奇陳、張左右翼」=右軍。
國 昔、左大臣を輔けて萬機を執行する大臣の名。
國 右へゆき左へゆく、あちらこちらた行きちがふ。
①カ [哿]
②コク [陌]
①べし。決定·想像·命令·可能の意を表はす辭。○又、助字として輕く用ふる。中庸「體物不─遺」○うけがふ(肯)承諾する。○ゆるす「許─」否の反對。○よし、ややよし。論、雍也「─也簡」○かしづき、もり(傅御)禮、內則「擇于諸母與─者」○ばかり、ほど。史、滑稽傳「飮─五六斗」
②─汗 コクカン は突厥の君長。
同訓異義
べシ 可·當·合·應·容·須·宜○可は肯也、許可也と註し、せらるると譯す、可二深歎一は、深く歎ぜらるるなり、不レ可べカラズはせられぬなり、秋聲不レ可レ聞の如し。○當はさうなる筈と譯す、當然の理などの當の義なり、まさに何何すべしと反り訓む。史、淮南王傳「非二大王一當二誰立一者」○合は當と同用。家語「桑穀野木而不レ合レ生レ朝」俗語に多く用ふ。水滸傳に「小子被レ擒之人、理合レ就レ死、何故將軍賓禮相待」○應は料度之辭也と註す、なるべし、であらう、などと譯す、彼の將に然らんとするを度る義。家語「匹夫熒二侮諸侯一者、罪應レ誅」○容は許容の義を含めり、可と略~同じ、不レ容また豈容と連用し、單用することは希なり。○須はすべからく何何すべしとかへり訓む、用也、待也、求也、と註す、かくせよともとむる意あり。戰國策「須二以決一レ事」○宜はよろしく何何すべしとかへり訓む、さうした方がよき故、さうせよと、判斷する意あり、宜レ去は去る方がよき故に、去れとの義なり。
戰に臨みては、宜しく進むべきを認めて進む。左、宣十二「隨武子曰、────、知難而退、軍之善政也」
法度に叶ふ。萬は矩なり。考工記「可規──、謂之國工」
行ふがよろしと決定する。否決の反對。
可人に同じ。世說「桓温經王敦墓下曰、──、──」
取るべきところある人、善き人。蘇軾詩「始信淵明是──」=可兒。
有機鑛物の一名有機物より化成せし鑛物にて燃燒し得るもの、石炭の類。
○爲し得られる。不可能の反對。○ タフベケン 堪へられぬ。許渾詩「──垂白待文王」=可堪·可耐。
よしあし。又、許すべきか否か。=是非。
法律上、幾囘かに分けて辨濟し得る性質の債務。錢米の債務の類。
言行に過不及なく中道に合へるをいふ。論、微子「我則異於是、─────」
○姿やさしく美くし。李白、淸平調「借問漢宮誰得似、──飛燕倚新粧」○憫むべき意。ふびん。莊、庚桑楚「汝欲返性情、而無由入、──哉」
唐代、夷狄の君長の稱。唐書、突厥傳「──猶單于也、妻曰可敦」
可とせず、聽き入れず。左、定十三「趙孟──」
號(虍部七畫)に同じ。俗に号と書く。
①ク [遇]
②コウ·ク [宥]
③コウ·ク [尤]
①くぎり、詩文のひとくぎり、詞絕ゆ、とどまる(止)○まがる、かがまる(屈曲)鉤に通ず。
②あたる(當)俗に勾に作る。─當は任務に當る、辦理の義。○かかはる(拘)○弓を引きしぼる、又、やごろ(彀)
③矩形を對角にそひて折半せしものの稱、直角三角形「─股」○まがる(曲)かがまる。○ 國 發句の略。俳句。
語句を組み立つる法則。蘇軾詩「改更──各蹇喫」=句法。
國 俳句を集めたる書物。
國 三代集中の和歌の七字句一っを取り出して歌の題とするもの。
句のきれめにしるす點。
句讀に同じ〔孔氏雜說〕
句讀に同じ。
よみきり、文中にて文意の切れる處を句といひ、句中にて讀み聲の一寸止まる所を讀といふ。句點は「○」讀點は「、」を用ふ。開天遺事「每與人談論、皆成──」韓愈、師說「彼童子之師、授之書、而習其──者也」=句逗。
詩文の句の組み立てかた。=句格。
まがる。說苑「其卑下──、皆循其理」
さきの曲れるほこ。史、秦始皇紀「──長鎩」=句子戟·鉤戟。
○とりあつかふ、任務を引受けてはからふ。宋史、曹彬傳「江南──公事囘」○ 國 專ら當る義、掌侍 シヤウジ の第一に居る稱「──の內侍」句を勾に作る。○盲官の名、撿校の次、座頭の上。
傾斜の度「山の──」「急──」
○をれ曲りし造り方のてすり、句は鉤。通雅「──甚嚴」=句闌。○後世は專ら妓女俳優の居る處の稱とす。輟耕錄「胡仲彬乃杭州句闌中演說野史者」
事に因りてつなぎとめる。白居易詩「未能抛得杭州去、一半──是此湖
クヮ [馬]
○わかつ、さく。人肉を剔りて其の骨を置く。=咼·剮。
ケウ [嘯]
○さけぶ、なく(泣)さけぶ聲。○──は遠く聞ゆる聲。
さけびよぶ。詩、小雅「或不知──、或慘慘劬勞」
夜中、火の用心と呼びて市中を巡るもの、よまはり。淸嘉錄「殘年永夕有擊柝沿街高唱警防燭小心者、名曰───」
さけびてかまびすし。李白詩「停棹依林巒、驚猿相──」
○わめく。通典「擊鼓拒戰、不得──」○ 佛 ──地獄は八熱地獄の第四、獄卒に責められて泣きさけぶ世界。
かまびすしくさけぶ。韓愈文「提兵──」
○さけぶ聲の形容。柳宗元詩「──覊鴻哀」○遠く聞ゆる聲。揚雄、解難「大語──」
さけびうそぶく。木華、海賦「更相──」
聲を立ててさけぶ貌。漢書、昌邑王傳「遂──號曰」
かまびすし。柳宗元文「狂奔──、以干天刑」=叫聒。
吿天 ヒバリ の異名。雷州府志「──似雀、愈鳴而飛愈高」=雲雀·鷚。
大聲にてさけびののしる。
さけびうる。陳夫人詩「小艇撐來──花」
ケフ []
協(十部六畫)に同じ。
國 かなふ。意の如くなる、能くする「養生不相─」
コ [麌]
○いにしへ。今の反對。三─は上─·中─·下─。○むかし(昔)過去の世。○昔の道、古の事。論、述而「信而好─」○先王又、先祖。禮、祭義「以祀天地山川社稷先─」○ふるし、ひさし(久)時を經ること久し。○ふるめかし、昔のおもかげ、流俗に趨き附かざるにいふ「─道」「─文」○はじめ(始)
同訓異義
フルシ 古·陳·舊の別は陳(阜部八畫)の條を見よ。
○ふるめかしき心もち。蘇軾詩「幽居有──」○いにしへをしのぶ心、懷古の情。李密詩「悵然懷──」
古人の用ひし印〔印文考略〕
ふるめかしくみやび。法書要錄「可謂幽深無際、──有餘」
古人のいましめ。漢書「陛下觀覽──、反覆參考」
古代のかた。古の法式。
○昔の學藝を硏究するを主とする學派。○ 國 伊藤仁齋の學派、宋儒の新しき理氣說に反して、古き經義を硏究するを主とするが故。
七十歲。杜甫、曲江詩「酒債尋常行處有、人生七十古來稀」侯鯖錄「令閤方當而立歲、賢夫已近──年」令閤は人の妻の敬稱。而立歲は三十歲。
昔の正しき義理。唐書、禮樂志「收采──」
國 むかし用ひし貨幣、小判·大判の類。
珍奇の古器の玩賞すべきもの。=古董。
俗 ふるだうぐみせ。骨董店。=古董鋪。
ふるきことわざ。譚苑醍醐「左傳、脣亡齒寒、蓋──也」
古に行はれしことば。蘇軾詩「──多妙字」
昔と、いまと。=今昔。
國 二十卷、我國勅撰和歌集中の最も古きもの、醍醐天皇の延喜五年、紀貫之·紀友則·凡河內躬恒·壬生忠岑等勅を奉じて撰す、略して古今集ともいふ。
國 古くより參りて仕へ居る者、ふるがほ。新參の對。
詩の一體、韻を押すのみにて、必ずしも平仄句數にかかはらず、其の體に、五言·七言又は長短句などあり。
國 三卷、神代より推古天皇に至る事を記す、我國史書の最古のもの、元明天皇の和銅四年、太安麿に詔して、稗田阿禮の口誦する所を記せしめたるもの。
古の人の心。古のままのすなほにしてかざりなき心。古貌を見よ。
魄は粕に同じ、さけがす、今世に傳はる古聖賢の言は、古人のかすばかりにて、大切の滋味なしとの意。莊、天道「桓公讀書於堂上、輪扁斲輪於堂下、釋椎鑿而上、問桓公曰、敢問公之所讀爲何言邪、公曰、聖人之言也、曰、聖人在乎、公曰、已死矣、曰、然則君之所讀者、─────已矣」
年を越したるふるき酒。今年釀造せし酒を新酒といふの對。
ふるめかしきいろ。時代のつきしいろつや「──蒼然」
むかし。杜甫詩「溫溫諸侯門、禮亦如──」=往昔。
むかしの事物のあと。=遺跡·舊趾。
いにしへ。晉書「──智士」
昔時、戰爭のありし場所。唐の李華に弔───文あり。
○いにしへぶり。=古風。○絕句及び律詩以外の詩。
國 ふるきかたな、德川時代以前に造りしかたな。其の以後のを新刀といふの對。
ふるきみち。又古の道。文天祥、正氣歌「──照顏色」
經書の漢唐時代の註釋をいふ。宋以後のを新註といふの對。=古注。
ふるきつか。水經、注「獨頭山南有──陵柏蔚然」=古塚。
○古代に行はれし書物、我國の神典、支那の經書、希臘·羅馬時代の著書の類。○古代の典章。後漢書「建武五年、乃修起大學、稽式──」
○ふるき船わたしば。○ 國 コワタリ ふるく外國よりわたり來りし品物「──珊瑚」
俗 古道具屋。=古玩鋪。
古昔の藥方。朱熹詩「古鏡重磨要──」
昔の人の如き古雅なるかたち、古人の風丰 フウボウ 韓愈詩「孟生江海士、──又古心」
○いにしへぶり、昔のおもむき。唐書、王仲舒傳「穆宗每言、仲舒之文有──」○古體の詩。=古詩。
ふるくなりし昔の品物。=古董·古玩。
○漢の代、周時代の科斗文字をいふ稱。史、儒林傳「孔氏有──尙書」○唐の代、古體の散文をいふ。六朝以來の四六文の對。韓愈、師說「好──」
明の李攀龍·王世貞等が唱へたる文學上の一派、先秦を典則として詩文を作ることを主張せしもの。物徂徠は之に倣ひて更に經義を解する上にも古文辭に通ぜざるべからずと提唱せり。
前集三卷、後集二卷、宋の黃堅編すと傳ふ、七國より宋に至る詩文を錄す、前集は詩を輯め、後集は文を輯む。
七十五卷、淸の姚鼐撰す、論辯·序跋等の十三類に分ち、古文の模範たるべきものを收む、選擇頗る精嚴とす。
四十六卷、五十九篇。漢の魯の共王、孔子の宅を壞ちて壁中ょり得たるもの皆科斗文字、故に────といふ、後儒多く其の僞を議す。
ふるきはか。盧綸詩「一樹繁花對──」
ふるきはか。白居易詩「──何代人、不知姓與名」
ふるき立木。王維詩「──無人逕、深山何處鐘」=老樹。
ふるめかしきおもむき。歐陽修詩「詞嚴意正質非俚、──雖淡淳不薄」
むかしょり。王翰詩「醉臥沙場、君莫笑、──征戰幾人囘」
故事に通じたる老人。ものしりの老人。崔融、表「聽──之謳謠」
わが生れし地、父母の國。=故鄕·故園。
國 いけばなの流儀の一。花枝の自然を尊む一派。
ふるきみささぎ。
むかし。西征賦「──今來、邈矣悠哉」
古の道を愛する。論、述而「子曰、我非生而知之者、──敏以求之者也」
過去を貴び現在をいやしむ。莊子「尊古而卑今、學者之流也」
古の事を鑑 カンガ みて戒となす。唐書、魏徵傳「────、可知興替」
古の義理に據る義。漢書、貢禹傳「守經──、不阿當世」
古の狂者は志願太だ高く、常則に拘束せられざるもの。論、陽貨「───也肆、今之狂也蕩」
コウ [宥]
○たたく、うつ(擊)禮、學記「─之以小者則小鳴、─之以大者則大鳴」○尋ねる、問ふ。○おこす、ひらく(發)啓發する。論、子罕「我─其兩端而竭焉」○ひかふ(控引)史、伯夷傳「─馬而諫」○ぬかづく。
はぎをうつ。論、憲問「以杖叩其脛」
○たたく形容。梅堯臣詩「閉門誰──」○懇に問ふ貌。鄭重懇切の意。朱熹詩「别袙不忍分、──陳苦詞」
宮闕に至りて自ら冤を訴ふる義。
ぬかづく。正字通「稽顙曰──」=叩頭。
ぬかづく、頭を以て地をたたく。罪を謝する時などにする。漢書、朱雲傳「免冠解印綬、──殿下」=叩首·稽顙。
こめつきむし、きくひ蟲の羽化せしもの、體を抑ふれば頭を上下して舂 ウスツ く狀に似たり。ぬかづきむし。
門戶をたたきておとづれる。陶潛、乞食詩「──拙言辭」
シ [支]
○つかさどる(主)其の事を主 ツカサド る。○つかさ(職務)○官署 ヤクシヨ の名、各部の分職をいふ「藩─「」臬─」○まもる(督察)○うかがふ。伺と通ず。
政事の闕失を諫議する官名。宋史、職官志「──凡朝政闕失、大臣至百官、事有違失、皆得諫正」
○古、土地民事を掌る官名。書、舜典「──掌邦土、居四民、時地利」○漢の三公の一。
古、賞典の事を掌る官の名。周禮、夏官「──、掌六卿賞地之法」
國子監の敎官。今の大學敎授の如きもの。=國子──。
唐代、武器財寶等のだしいれを掌る官名〔唐書、百官志〕
古、刑罰盜難などの事を掌る官名。書、周官「──掌邦禁」
周代、牧畜の役人。史、孔子世家「嘗爲───、而畜蕃息」
唐代、米穀の貯藏を司りし官名〔唐書、百官志〕
公明正直を司る義。後世主として裁判官をいふ。詩、鄭風、羔裘「彼其之子、邦之──」
天文を觀測する所。=天文臺。
○周代、敎育を掌る官名。今の文部大臣の如きもの。書、舜典「汝作──、敬敷五敎、在寬」○漢の三公の一。
農事を掌る官名。今の農商務大臣の如きもの。事物紀原「舜爲后稷、秦爲治粟內史、漢景更爲大農令、武帝太初元年、改爲太──」
○古、軍事を掌る官名。書、牧誓「司徒·──·司空」注「──主兵、治軍旅之誓戒」○漢代の三公の一。
古、陳·楚の二國にて刑罪を司りし官名。左、文、十、注「陳·楚名司寇爲──」
國 十省の一、國家の司法行政に關する事務を掌る中央官廳。
周代、天子皇后の衣服の事を掌る官名〔周禮、天官〕
唐代、米ぐらの事を掌る官名。唐書、百官志「──司庫各一人」
京師に在りて盜賊を捕へ非常を警戒する官名。今の我が警視總監の類。
軍艦の甲板上に設けたる一室。交戰中艦長司令官等が此內にて號令する。
○周代俸祿の事を掌る官名〔周禮、地官〕○星の名。史記「文昌宮六曰──」
シ [紙]
○ふびと、事を記錄することを掌る官。○天子の言行を記する官。禮、玉藻「動則左─書之、言則右─書之」○ふみ、歷史。史記以下明史に至るまで二十四─を正─と爲す。○はで、あや、かざりありてうつくし。論、雍也「文勝質則─」
歷史家。
○史書を藏する所。○史書を編纂する所。吳競文「居──」=史館。
歷史を硏究する學問。
明末の忠臣、字は憲之、淸の順治二年淸兵南京城を陷るや、捕へられて殺さる、明末南渡の時、恃む所は、───一人のみ、人或は之を宋の文天祥に比す。
司馬遷の史記と、班固の漢書と。世說「張茂先論──、靡靡可聽」
歷史の文書〔齊書、榮緒傳〕
百三十卷、漢の司馬遷撰す、上は軒轅に始まり、下は漢の武帝に至る、十二本紀·十表·八書·三十世家·七十列傳に分つ。
春秋の衞の大夫、靈公蘧伯玉を用ひずして彌子瑕 ビシカ に任ず、史魚、死して尸を以て諫む、靈公乃ち伯玉を進めて子瑕を退く、孔子之を稱して直哉──と曰ふ。
歷史を編修する官。晉書「司馬談父子皆爲──」=史職。
修史局をいふ。事物紀原「史職肇自黃帝、而倉頡沮誦掌之、周及列國亦有史名、漢武置太史公、漢以後職在祕書、唐太宗始置──、以修國史」
國 歷史上の事實をたねとして脚色せし芝居狂言。世話物劇などの對。
ことがらを記せし文書、記錄。=史册。
國 歷史上の事實の略語。
史事を記する臣。杜甫詩「直筆在──」=史官。
國 平安朝時代に官廳の文書を寫すことを司る役人。
歷史の書、乘は記載の義。孟、離婁「晉之乘」
歷史を編修する官。唐書、蔣乂傳「乂在朝廷、久居──」=史官。
歷史にのこれる事跡。=史跡。
歷史の書。後漢書「班彪才高、而好述作、遂專心──之閒」=史書。
司馬遷良史の才あり、故にいふ。
○歷史のはなし。=史話。○司馬遷の父、太史公司馬談。宋書、謝靈運傳「雖乏相如之筆、庶免──之憤」
周の宣王の時の太史。古文を變じて大篆を作りし人。故に大篆を一に籒文と曰ふ〔法書攷〕
史乘に同じ。南史、劉湛傳「博涉──、諳前代舊典」
歷史を書くには、才學識の三長を備ふべし。唐書、劉知幾傳「禮部尙書鄭惟忠嘗問、自古文士多、史才少何耶、對曰、────、才學識、世罕兼之、故史者少」
編年體と紀傳體と。編年は左傳に始り、紀傳は史記に始る。
歷史をかく筆。晉書「旣登東觀染──」
目錄家、書物を分類して經史子集の四部と爲す、凡そ事を紀するの書、正史·編年史·紀事·本末·別史·雜史·傳記より地理·時令·職官·政書等に至るまで皆──に屬す、一に乙部ともいふ。
歷史の材料。
歷史の評論。文心彫龍「──序注、則師範于覈要」
シ [紙]
○ただ、これのみ(唯·但·止)○詞の終に用ふる助字。詩、小雅「樂─君子」○のみ。耳に同じ。左、襄二七「諸侯歸晉之德─」
同訓異義
タダ 只·唯·惟·止·但·徒·第·啻·翅·直·徑の别は唯(口部八畫)の條を見よ。
現在の義。李白詩「──惟有西江月」
ただ其の事ばかりに專らかかはる義。一向に、ひとすぢに。朱子語錄「──怕人曉不得、故重疊說」
シツ [質]
○しかる(訶)曲禮「尊客之前、不─狗」○責める、ののしる(罵)○いかる(怒)聲。
しかる。しかり。蘇軾文「──不去、啖嚙棗栗」
詩文などの添削を乞ふ謙辭。
しかりせめる、こごとをいふ。=訶責 カシヤク 譴責 ケンセキ
石(部首五畫)の條下を見よ。
大聲にしかる。又、いきまきて舌打する。史、淮陰侯傳「項王、喑啞──、千人皆廢」
①タイ·ダイ [灰]
②イ [支]
俗に臺の略字として用ふるは非
①ほしの名、上─·中─·下─の三星あり、故に三─といふ。轉じて三公の稱、更に轉じて敬意を表する語となる「─安「」─臨「」─端」○はらごもり。=胎。○さめはだ。=鮐。
②われ、わが(予·我)書、說命「以輔─德」○よろこぶ(悅)史、太史公自序「唐堯遜位、虞舜不─」○やしなふ(養)○うしなふ(失)
三公のくらゐ。轉じて宰相の稱。楊巨源詩「心期玉帳親──、魏勃因君說姓名」=台座。
○三公の位。杜甫詩「──翊戴全」=台位。○人の居宅をいふ敬語。
台書に同じ。
三公。台は三台星、周代に三槐を朝廷に植ゑ、これに面して三公の座位を定む、故に三公の義とす。晉書、鄭袤等傳「或以雅望處──」=三槐。
三公の位。鉉は鼎のみみづる。陳書、章昭達傳「初世祖嘗夢昭達升于──」=台鼎。
三公の位。王維詩「久踐中──、終登上將壇」=台位·台席。
天子を輔佐して百官を統べ治める大臣。後漢書、謝弼傳「──重器、國命所繼」=宰相·冢宰·台輔·台弼。
三公の位。孔氏雜說「荀爽自被徵命、至登──、四十五日」
御手紙、人のてがみをいふ敬語。=尊書·台翰·台墨。
三公の位。通鑑、唐敬宗紀「柳公綽曰、奇章公甫離──」注「宰相之位、取象三台、故曰──」
三公。三台星と鼎の三足とに象る。後漢書「位登──」=台鉉。
しみはだ、老人をいふ。最も年老いたる人の背が鮐魚 フグ の斑文に似る故。詩、大雅「黃?──」=駘背。黃耉は白髮の更に黃變するに至る大老。
宰相をいふ、弼は天子を輔弼 タスク する義。宋史「建事兩朝、專升──」=台輔·台宰。
宰相、傅はかしづきたすける。北史「歷事三朝、師訓少主、不出官省、坐致──」=台宰。
俗 他人に對して其の號を問ふときにいふ。
三公、宰相の稱。後漢書「詢謀──」=台宰·台弼。
台書に同じ。
○三公の命令、轉じて目上の人の來意をいふ敬語。御來命。○ 國 皇族の御命令。
○みそなはす、御覽ず、貴人の見ることの敬語。○ 國 古は主に公方の御覽に用ひ、今は主として皇族にいふ「經──」
○天台山の一名。=台嶽·北嶺。○ 國 比叡山の一名。
和らぎよろこぶ貌。=怡怡。
タウ トウ [豪]
○かたじけなくす、謙遜のことば。=忝。○みだりに(濫)「─竊」○むさぼる(貪)=饕。
むさぼりて事を怠る。唐書、李光顏傳「以──開邊釁」
テイ [靑]
○─嚀はねんごろ。○しんせつにいひつける、再三吿げる。
ねんごろ、親切。=丁寧。
①テウ [嘯]
②セウ [嘯]
通言セウ
①めす。○よぶ(呼)○まねく、手を以てするを招といひ、言を以てするを─といふ「─集「」─募」○めし、尊長者よりのまねき。曲禮「父─無諾、唯而起」
②人名。又、地名。○ 國 めす、飮食其の他の事を爲す敬語「─しあがる「」羽織を─す」
召してとりしらべる。
わざわひをまねく。荀子「言有──、行有召辱」=招禍。
めしかへす。
さしがみ、官廳よりのよび出しのかきつけ。
よびよせて對面する。水經、注「李延年女弟、上──之」
歸休せる陸海軍人をよび集める爲めに發する命令、又其の令狀。
めしぶみ、おめし出しの文書。
まねきいたす、めして來らしむ。
めしよせて側に置く。漢書「聞其秀材、──門下」
詩經の篇名。周南·──譜「得聖人之化者、謂之周南、得賢人之化者、謂之──」周は周公、召は召公奭、文王の庶子。
周の召公奭、采を召に食む、故にいふ。詩、召南、甘棠「蔽芾甘棠、勿翦勿伐、──所茇」
兵士又は人夫などを召しあつめる。北史「任其──」=徵發·召集。
任用する爲めにめしよぶ。宣和書譜「吳融祖翕有高世志、不應──」=徵辟。
兵士などをめしつのる、よびあつめる。後漢書、光武紀「──猛士」=募集。
ハ [哿]
○かたし、なし。否定の辭。後漢書、呂布傳「大耳兒最─信」○つひに(遂)後漢書、隗囂傳「帝知其終不爲用、─欲討之」○─羅はさかづき(酒巵)北史、祖珽傳「神武宴僚屬、于坐失金─羅」
ハツ ハチ [曷]
又、吧に作る
喇─ ラツパ は軍中に吹く樂器。=號筒。
レイ リヤウ [徑]
○わかる(分·別)○さきひらく(割開)○ 俗 別に一事を爲すをいふ。○臺灣語、弛 ユル む義に用ふ。
〔國字〕 かます、むしろを綴りたる袋、穀物·石炭などを入れる。
3畫
カク [藥]
おのおの。それぞれに異る。
おのおのがた、みなさま、多くの人を呼ぶ敬語。=諸君。
おのおの、それぞれ。吳志、注「諸英豪、──起兵」
各條に同じ。
おのおのの箇條。
各條に同じ。
おのおののくに、くにぐに「世界──」
めいめい。
各般に同じ。
各地に同じ。
それぞれの地。=各處。
おのおのの箇條。
いろいろ、さまざま。=各種。
ひとっびとっに區别する。五代史「以此比方、豈宜──」
いろいろ、さまざま「各人──」
ひとっびとっ别けて論說する。總論·汎論等の對。
萬物皆同氣同類のもの互に相從ふをいふ。易、文言傳「同聲相應、同氣相求、水流濕、火就燥、雲從龍、風從虎、聖人作而萬物覩、本乎天一者親上、本於地者親下、則────也」
カフ ゴフ [合]
通音ガフ又、ガツ
○あふ、あはす(會)あつまる(集·聚)○つれそふ、配する、あひて(配耦)○おなじ(同)たぐひ(類)○まじはる(交·雜)○やはらぐ(和同)詩、小雅「妻子好─」○こたふ(答)○とづ(閉)開の反對。戰國策「蚌─而箝其口」○はこ「─子「」鈿─」=盒。○量 マスメ の名。一勺の十倍。○べし、副詞として用ふ。韓愈、諫迎佛骨表「豈─更惜身命」=當。○六─は天地四方。○ 國 ガフ 地の面積の稱。一坪の十分の一。
同訓異義
アフ 合·遇·逢·遭·値·會·晤の别は遇(辵部九畫)の條を見ょ。
○こころを合す。漢書、匡衡傳「同心──、庶幾有成」○心にかなふ、氣に入る。陸賈新語「夫子周流天下、無所──」
狩をするにすきまなくとりかこむ。禮記「天子不──」
合せて一っとなる。唐書、地理志「至隋滅陳、天下始合爲一」
○一定の格式に適合する。易林「駕出行狩、──有獲、獻公飮酒」○試驗に及第する。
正義にかなふ。書經「動必──」
多人數相談して事を決定する制度。
小學校の編制法の一、生徒の數少き時、二三級を一っに合せて敎授する法。
二種以上の金屬を合せて造りしかね。眞鍮 シンチユウ 靑銅 カラカネ の類。
さかづきを合せる。婚禮の義。一瓢を二分するを巹といふ、壻と婦と各一片を執りて酒を飮む。禮、昏義「婦至、壻揖婦以入、共牢而食、──而酳、所以合體同尊卑以親之也」酳は酒を飮む。
兩手にてかかへる、又、其の大いさ。韓詩外傳「盈把之木、無──之枝」
定木にあふ、規則にあてはまる。梁武帝文「中規──、分閒下注」=中矩。
俗 仲閒、組合。
相聚りてよろこびの心を合す。禮記「酒食者所二以──也」
あはせあふぎ。班婕妤詩「裁爲───、團團似明月」
ねむの木、高さ二三丈、葉は對生複葉、夜閒葉葉相合して眠るが如し、故に合昏といふ、昏は歡と音通。
あはせかぞふ。周禮、注「──其士之卒伍、閱其兵器」=總計。
はこ、子は助字。正韻「──盛物器」=盒子。
一っの社、又、廟に二人以上の靈をあはせ祭る。=合祭·合食。
無限責任社員と有限責任社員とが、資本を出しあって組織する會社。
かさなる。謝靈運詩「巒隴有──、往來無蹤轍」=重疊。
二人以上力を合せて著述する、又其の著作。
○合幷に同じ。○ 俗 やくそく、契約。
ひとかかへ。老子「──之木、生於毫末」
わりふをあはす。刻漏銘「入神之製、與造化──」
合浦の珠が再び、もとにかへる。孟嘗の故事に本づきて太守の善政を布くにいふ。後漢書、循吏傳「孟嘗字伯周、遷合浦太守、郡不產穀實、而海出珠寶、先時宰守竝多貪穢、詭人採求、不知紀極、珠遂漸徙於交趾郡界、嘗到官、革易前弊、求民病利、曾未踰歲、去珠復還」合浦は廣東省廉州府に在り。
無限責任社員が資本を出しあひて組織する會社。=無限公司。
道理にかなふ。
あふと、わかれると。徐儀詩「枝閒影──」
○人と共に力を合す。後漢書、班超傳「與共──」=戮力·協力。○ 國 ガフリキ 力を合せ添へる義より、めぐみ、ほどこしの義に用ふ。
互にやはらぐ。後漢書「四海──、萬世蒙福」=和合。
國 のこらず、合式一切の義。=一切 イツサイ
尸を同じ穴にうづめる。禮、檀弓「──非古也、自周公以來未之有改」
○二人以上にて一っのものを作る。詩經、箋「子夏毛公──」=合著。○格に合せしよき作品、詩文などの評語。
多人數にて音曲を合せとなふ。
○兩手のひらを合す。佛などを拜する時に行ふ禮。南史、虞愿傳「──便絕」○詩の對句の字の雙方其の義を同うするものを──對といひて忌む。謝玄暉詩「魚戲新荷動、鳥散餘花落」の類。
春秋戰國の時、韓魏·趙·燕·楚·齊の六國同盟して秦に對抗する策を合從といふ、蘇秦の說。又六國を皆秦に服從せしむるを連衡といふ、張儀の說。從は縱、六國の地形は縱に長し。衡は橫、七國の地形は橫に長し、縱に合し橫に連なる義。史、孟軻傳「天下方務於────、以攻伐爲賢」
たたかひ。漢書「于是饗士、旦日──」
種種の樂器を合せ奏する。張衡賦「金石──、妖冶邀會」
一緒 イツシヨ になる、心をあはせる「同心──」
○ 國 和歌·俳句等に評點をつける。○轉じてよしとうなづく、承知する、のみこむ。
國 西班牙 スペイン の外套 グワイタウ の製を移して作りし雨衣。毛布·綿布·桐油紙等にて製す。西班牙語のあて字。=雨衣。
一っになる、あはせる。=合倂·合同。
合幷に同じ。
國 かべどなり「近所──」=近鄰。
美くしきものの二っ合ふにいふ。漢書、律歷志「日月如──、五星如連珠」
二册以上又は二種以上の書物を合せ綴ぢて一卷とせしもの。=合册。
○ 國 つばのなき短刀。=匕首。○話がよくあふ。
國 信號、又喑號などにて我思ふことを他に通じ知らせる方法。=相圖。
キツ キチ [質]
吉は俗字
○よし(善)○さいはひ(幸福·福利)○めでたし。凶の反對。○ついたち(朔日)詩、小雅「二月初─」○つつしむ(謹)○唐の州の名、今の江西省廬陵縣の地。○─林は淸朝の基を肇めし地、古の肅愼國、唐の渤海國、宋の契丹女眞の地、今は省名とす。
同訓異義
ヨシ 吉·善·好·佳·嘉·哿·美·良·臧·淑は善(口部九畫)の條參看。
○住居とするに宜しき地を選ぶ。釋名「宅、擇也、擇吉處而營之」
墓地としてよろしき地をうらなひ定める。歐陽修、瀧岡阡表「惟我皇考崇公、──於瀧岡之六十年、其子修始克表於其阡」
出陣等の凶事に對してよろこびの旅行。漢書、王吉傳「古者、──日五十里」
善き質の銅、善金の義。鼎匜等を作る地金にいふ。韓城鼎銘「堅久──、用作寶尊鼎」
さいはひと、わざはひと。又、善き事と惡しき事と。易經「定天下之──」李義山雜纂「賣田了──」
美くしく珍しき、かはごろも、吉光は獸の名、神馬の類。西京雜記「武帝時西域獻───、入水不濡、上時服此裘以聽朝」
めでたく賀すべきこと。魏書、彭城王傳「毀瘠三年、不參──」
つきのはじめ、月朔 ツイタチ をいふ。論、鄕黨「──必朝服而朝」=吉旦。
吉はよき日がら、蠲は潔。神に事ふるに齋戒して身を淸める。詩、小雅「──爲饎」
めでたきしるし。喜ばしき前兆。
國 よきたより。=吉報·好消息。
よきさむらひ。書、立政「其惟──、用勱相我國家」=良士。
めでたき事がら。禮記「──雖止不怠」祭祀の事をいふ。老子「──尙左、凶事尙右」凶事は喪の事。
よき日がら、事を爲すに幸ある日。儀禮、冠禮「令月──」=吉辰·良辰。
善人に同じ。詩、大雅「藹藹王多──」
よき日。儀禮「令月──、始加元服」=良辰·吉日。
次條に同じ、羊は祥の古字。漢元嘉刀銘「宜侯王大──」
○さいはひ。史、蔡澤傳「聖人所謂──善事者與」=吉瑞。○ キチジヤウ 國 昔の衞士 ヱジ の長。=吉上。
佛 美くしき女のほとけ、帝釋天の女、毘沙門天の妹。=吉祥天。
めでたきしるし。漢書、王莽傳「──累仍」=吉祥·祥瑞。
さいはひ。薛存義文「垂──于當時、演昌期于後嗣」
吉月に同じ。=穀旦。
甲蟲の一種、たまむし、全體、金綠色にして美麗なり。
めでたきまへじらせ。=休徵。
草の名、今の棉花 ワタ 唐書「──草也、緝其花爲布」
よきしらせ、めでたきおとづれ。=吉語。
さいはひ。蔡邕文「享玆──、永守皇極」
めでたきゆめ。詩、小雅「──維何、維熊維羆」
めでたきためし、えんぎのよき前例。=嘉例。
神を祭る禮式〔周禮〕
國 昔の衞士 ヱジ の長。=吉祥。
キツ [質]
○どもり、どもる。史、韓非傳「爲人口─、不能道說」○くらふ。新書、耳痺「越王之窮、至乎─山草」=喫。○受け入るる。○──は笑ふ貌。飛燕外傳「笑──不絕」
同訓異義
ドモル 吃·呐○吃は言のゆきつまる義。史記「口吃不レ能レ言」○呐は吃と略同じ、言のつまりて埒ラチあかざる義。漢書「呐口少レ言」
船脚の水に沈み入る程度。=喫水。
どもり。
おどろく、びっくりする、吃は受け入るる義。=喫驚。
①キヤウ·カウ [漾]
②シヤウ [漾]
鄕·嚮に通用す
①むかふ(對)むく、むき、むかひ、面する。背の反對。○おもむく(趣)おもむき「趣─「」傾─」○まど(窗·牖)○むかし、さき、今より以前。莊、寓言「─也俯、而今也仰」=鄕·嚮。○すくふ(救)○ちかづく(近)「─晨」「─晚」かたむく(傾)
②人の姓、地名。○ 國 むき、むく、適する、相應する。
同訓異義
ムカフ 向·迎·邀·迓·逆·逢○向は目あての方へ、正面に向くなり、嚮·鄕に作る、同じ。○迎は來る人を出迎ふる義。中庸「送レ往迎レ來」○邀は要と音義通ず、遮也、求也と註す、さへぎり待ち受けて迎ふるなり。隋紀「煬帝幸二東都一至二梁郡、一郡人邀レ駕上言」○迓は如何と思ひゆき迎ふるなり、相迎也と註す、此の方から八分迎ふれば先にも一二分は待ち迎ふる義、訝イブカルの字の意あり。○逆は來る道まで出かけて迎ふるなり、もと順逆と連用す、送るは順、迎ふるは逆の意より、むかふと訓む、ハタゴヤを逆旅といふ、逆音ゲキ。○逢は兩方よりひたと行き逢ふ意、逢迎は先方の氣に入るやうに、とりもつをいふ。孟子「逢二君之惡、一其罪大」
さきごろ。列子「──、夫子仰天而嘆」=曩者·嚮者。
俗 先年に同じ。
勢利に走る小人を誚 ソシ る語。開天遺事「張九齡見朝士趨附楊國忠、語人曰、此曹皆────、一旦火燼灰冷、當凍裂肌膚矣」
今よりのち、こののち。=以後·今後。
さきのひ、先日。=曩日·過日·嚮日。
ひまはり、菊科の一年生草、高さ五六尺、黃花を著く、其の花、常に太陽に向ひて傾く。故に人を慕ふ情に喩へて葵心·傾葵などといふ。
上達せんとするこころ、上へ上へと進まんとする心。
むかふと、そむくと。=嚮背。
字は予期、晉の河內人、雅に老莊を好み、莊子に註し、奇趣を發明す、少くして山濤に知られ、嵆康と親み善し、康歿して、思舊賦を作る。
强兵の向ふ所、敵する者無し。諸葛亮、心書「因天之時、就地之勢、依人之利、則────、所擊者萬全矣」=所向無前〔後漢書、岑彭傳〕
①ク ウ [虞]
②キヨ ウ [魚]
①あ、ああ、疑ひ、驚き、怪み、なげく時に發する聲。省して于に作る。○なげく(歎)うれふ(憂)詩、周南「云何─矣」おどろく。
②ふく。=噓。
同訓異義
アア 吁·嗚呼·烏乎·於·於戲·嗟·嗟乎·噫·嘻·唉·惡の别は嗚(口部十畫)の條を見よ。
おどろく貌。又なげく貌。白虎通「臥之詓詓、起之──」
コウ [有]
一音ゴ
○きみ、天王、君主。書、仲虺之誥「徯我─」○きさき。白虎通「商以前ハ皆妃トイフ、周始メテ─ヲ立テ正嫡ヲ王─トイフ、秦漢ニハ皇─トイヒ、漢ニハ祖母ヲ太皇太─ト稱シ、母ヲ皇太─ト稱ス」○諸侯をいふ。書、堯典「班瑞于羣─」○地を司る神。左、昭二九「土正曰─土」=地祇。○のち。大學「知止而─有定」=後。○おくる。
地の神。魏明帝詩「王者布大化、配乾稽──」
宮中の女官の居る所。=後宮。
○古、農事を掌る官の名。書、舜典「棄黎民阻飢、汝──、播時百穀」○轉じて周の先祖の棄の别名。
天をいふ。左、文二「皇皇──」
土の神、社に同じ。左、昭、二九「土正曰──」=地祇。
きさき。詩經、大序「關睢、──之德也」=皇后。
次條に同じ、辟は君。
天子、君主。書經「樹──君公」
①タ [禡]
②タク [陌]
咤に同じ
①しかる(叱)いかる(怒)したうち、叱の稍徐 シヅカ なるもの。○なげく(歎)
②あざける(嘲)
したうちして食ふ。曲禮「毋──」
佛 さまたげ、さはり。正字通「梵書──此言障礙」
弔(弓部一畫)の俗字。
俗に錢一千を稱して一─といふ。
ト [麌]
○はく、ロより出だす。詩、大雅「柔則茹之、剛則─之」○出す、現はす、舒ぶ。○はき出せしもの。
同訓異義
ハク 吐·噴·噀·嘔·喀○吐は吞の反對、一口にはくなり。史、魯世家「周公一飯、三吐レ哺」○噴は勢よく吐くなり、泉噴咽は、泉のふき出るをいふ。○噀は噴に同じ、口よりふき出すなり。○嘔はゑづくことなり、歐と同じ、嘔吐と連用す、すべて次第につづけて吐くをいふ。左傳「吾伏レ弢嘔レ血、鼓音不レ衰」○喀は嘔に同じ、喀血と用ふ。俗に咯に作るは非。
賢人を求むるに急なるをいふ〔李日、與韓荊州書〕=吐捉。次頁の吐哺握髮 トホアクハツ を見よ。
煙をふき出す。梁安寺銘「鳳樓含日、龍臺──」
もどす、はく。一旦食ひしものをはき出す。=嘔吐 オウト
血を吐く。=喀血。
食物を吐き目をくらます。徐兢文「舟中之人、──顚仆」
小灌木の名、もと巴西 ブラジル に產す、高さ尺許、葉橢圓形、對生、花小にして白し、其の根は痰 タン を袪る要藥とす。
はきぐすり、食ひしものをはき出さす藥。
はきくだし。嘔吐 オウト と下痢 ゲリ と。=吐下。
七面鳥の漢名、もと巴峽及閩廣山中に產す。=火雞。
○呼吸 ハクトスフト に同じ。道家にて修煉の術、腹中の惡濁の氣を吐き出し、淸新の氣を吸ひ入れる、今いふ深呼吸の類。莊、刻意「吐故納新」○出すと納るると。陸游詩「三峽束江流、崖谷互──」
にほひをはき出だす。南都賦「含蘭──」
今の西藏、國王棄宗弄贊、印度に通じ、又、唐の太宗と和好し、兩國の文物を採用して勢日に盛んなりしが、唐以後漸く衰へ、淸の世宗以來藩屬國となる。
食事中又は髮を洗ふ時、來賓あれば、口中の食物を吐き、髮を握りて直ちに出迎ふ、周公が賢士を延見するにつとめし故事。韓詩外傳「一沐三握髮、一飯三吐哺、猶恐失天下之士」史、魯世家には握を捉に作る。
俗 つば。=唾。
はきあらはす、うちあけて意中を語る。韓愈、答陳商書「愈敢不──情實」
トウ [有]
○しかる、叱の俗字。○ 國 いんち、英國尺度の單位、我が八分、三八一に當る。
トウ ドウ [東]
又、仝に作る
○おなじ、ひとし(齊)異の反對。○おなじくす、ともにす(共)○なかま、ともがら(輩)○あつまる。詩、大雅「獸之所─」あつむ(聚)○やはらぐ(和)「和─」○たひらぐ(平)○周代、諸侯が天子に會見する禮。周禮、春官、大宗伯「時見曰會、殷見曰─」○古の制、方百里の稱。司馬法「十成爲終、終十爲─」○さかづき、爵の名。○樂器の名、銅にて造る。
惡人も惡事を成し遂ぐる爲めには、互に助け合ふをいふ。史、吳王濞傳「────、同好相畱、同情相成、同欲相趨、同利相死」
おなじきと、ことなると。曲禮「夫禮者所以定親疏、決嫌疑、别──、明是非也」=異同。
○おなじ心。○同じわけ。=同義。○承知、贊成する。
共にあそぶ。淮南子「虎鹿之不──者、力不敵也」
車のわだちの一樣なる義。轉じて形式の一樣なるにいふ。=一律。
互に謹みて公事に奉ずる義、轉じて同僚をいふ。書、皋陶謨「──協恭」
雪ぐも、其の色のどんよりとして一色なる義。詩、小雅、信南山「上天──、雨雪雰雰」
同じねだん。孟、滕文公「巨屨小屨──、人豈爲之哉」
人と共に行く。詩、鄭風「有女──」
好みを同じくする、趣味を共にする。又其の人。史、吳王濞傳「同惡相助、──相畱」
おなじ年齡。年齒 ヨハヒ を庚といふ。墨客揮犀「文彥博、居洛日、年七十八、與和昫·司馬旦·席汝言、爲──會」=同甲。
同じ師につきて學びたる者。漢書、蕭望之傳「望之事同縣后倉、以令詣太常、受業、復事──博士白奇」=同門。
同じ年齡の人の會合。夢溪筆談「文潞公住洛日、年七十八、同時有中散大夫和眗·朝散大夫司馬旦·司封郞中席汝言、皆年七十八、嘗爲───、各賦詩一首」
○天下の車の轍 ワダチ の度を同じくす。天下一統の義。中庸「今天下、車──、書同文、行同倫」○轉じて中國諸侯の義。左、隱、元「天子七月而葬、──畢至、諸侯五月、同盟至」
おなじ意味、おなじわけ。=同意。
同聲相應を見よ。
天下の理、歸する所は同じけれども、其の道は異るをいふ。易、繫辭「天下────、一致而百慮」
同じ家に住する。易、睽卦「二女──、其志不同行」=同房。
仇 カタキ を共にする。詩、秦風「修我戈矛、與子──」
同じ故鄕。=同國·同里。
他人を感化して我と同じからしむ。
同じ業をのす者は、互に相敵視す。俗にいふ商賣がたき。素書「同美相妒、────」
おなじ商賣をするなかまの者。
同等の權利。
樂工は類を同じくして、其の調子を異にす、以て同等の文才ある作家も、體によりて、其の文章に異彩を放つに喩ふ。韓愈、進學解「下逮莊騷太史所錄子雲相如────」
功績と體度とを同一にする義。史、黥布傳「往年殺彭越、前年殺韓信、此三人者────之人也」
おなじ年齡。晉書「侃與敏同郡、又──」=同甲·同庚·同齒。
同じ師につきて學びたる友。丹鉛錄「士子同業曰──」
はらから、兄弟。史、孝文紀「使毋罪之父母妻子──坐之」=同胞。
志を同じくす。又、其の者。國語「同心則──」
主旨を同じくす。指と旨と通ず。淮南子「殊事而──」=同旨。
ともに、同じ時に、いつしょに。
おなじ年齡。=同庚。
利害を同じくする者は知ると知らざるとの别なく、期せずして互に相救ふ。孫子、九地「吳人與越人、相惡也、當其同舟濟而遇風、其相救也如左右手」
國 味方と味方とのはたしあひ。
吾と同じ趣味ある義、同類。黃庭堅詩「與君草木臭味同」
表面は阿比して心を同じくする如く見ゆれども、內心はうちとけざる義。論、子路「子曰、君子和而不同、小人────」
○易の卦の名。易、同人「──于野亨、利涉大川、利君子貞」○同じ志の人。
彼此の差别なく、平等にめぐむ。素書「──相憂、同惡相黨」
○心を同じくす。おなじこころ。又、其の者。易、繫辭、「二人──、其利斷金、──之言、其臭如蘭」○ 國 德川時代に於ける下級の捕吏、與力 ヨリキ の下に屬す。
ともどもに酒をくむ。沈說詩「貰酒婦──」=同醉。
おもひやり、おなじおもひ。恕の字の義。史、吳王濞傳「同惡相助、同好相畱、──相成、同欲相趨、同利相死」
おなじ體質、男と男と、又、女と女との類。
○同じ一っ家に住む、一緒 イツシヨ にくらす。○夫婦の關係を保つ。
おほぜいのつれ。
同等の身分のなかま。左、僖、二三「晉鄭──」
同じ聲は互に相應じ、同じ氣あるものは互に相求む。意見を同じくする者は自然に相合ふにいふ。易、文言「子曰、────────、水流濕、火就燥」
人の性は本來同じけれども、習慣によりて風俗を異にするに至る。荀、勸學「于越夷貊之子、生而同聲、長而異俗、敎使之然也」
坐席を同じくして坐する。史、淳于髠傳「男女──」
同じやから。又、同じ種族。周禮、秋官「凡王之──、有罪不卽巿」
父方のいとこ〔北史、公孫表傳〕=從兄昆弟·同堂兄弟·堂兄弟。
國 つれだちて行く。=同行·同伴。
國 おなじ、前のとほり。=同樣。
流俗に同じうする義。老子「和其光、同其塵」
同じ等級、同じ品位。
○おなじよはひ、おないどし。=同庚·同歲。○おなじ年に進士の試驗に及第せし者。國史補「俱捷謂之──」捷は及第の義。=同年生。
同じ年に進士に及第せし仲閒の者。事文類聚「詢其履歷、乃───」略して同年ともいふ。
同じ年に語ることは出來ず、兩者の大に相隔るをいふ。賈誼、過秦論「比權量力、──────也」史、游俠傳「誠使鄕曲之俠與季次原憲比權量力效功於當世、不同日而論矣」
同儕·同儔に同じ。吳志「鄭泉臨卒時語──」
はらから、兄弟。胞は胞胎 エナ 東方朔、客難「──之徒、無所容居」
袍は長襦 ナガキシタギ なり、朋友は互に困窮を救ひ、袍を貸し與へて之を共にす、よりて朋友の義とす。詩、秦風、無衣「豈曰無衣、與子──」
同時の試驗及第者。
いっしょに伴ひ行く。家語、注「本與叔孫──者也」=同行。
おなじ位次。宋史「尙書侍郞、分治曹事、奏事則──」
同じ人の書きし書畫、同じ筆跡。
艱苦を同じくする者は、互に憐み助ける。吳越春秋「子胥述河上歌曰、────、同憂相救」
天下を一統して用ふる所の文字を同じくす。中庸「今天下、車同軌、書──、行同倫」
國 昔時武家の殿中城中にて諸士の雜役に使はるる剃髮帶刀の人、お坊主。=童坊。
○諸侯相共に盟約を結ぶ。公羊傳「──者何、同欲也」○ 國 くみを結ぶ義「──罷工」
國家と國家とが互に利害を同じくする場合に、利益の共通又は交換を目的として互に相助け合ふことを約束せし國。
賃金の增額を請求するなどの爲めに一同申し合せて業務を休む行爲。ストライキ。
物は類を以て相從ふをいふ。史、伯夷傳「────、同類相求、雲從龍、風從虎、聖人作而萬物覩」
あひでし、同じ師に學びたる友。漢書、儒林傳、註「──同師學者也」=同窗。
おなじたぐひ。なかま。史、伯夷傳「同明相照、──相求」
同僚に同じ。左、文、七「同官爲寮、吾嘗──、敢不盡心乎」
あひやく、同役の者。詩、大雅、板「我雖異事、及爾──」=同寮。
共に位に列する人。史、伍子胥傳贊「況──乎」
メイ ミヤウ [庚]
○な、姓氏及び通稱、事物のとなへ。實の對。○身分·職責等の分限「─分「」─義」○ないふ。○きこえ、ほまれ、名あり、名高し。○眉と眼との閒(目上)○人を數ふるにいふ。○なづく。○文字。○號令。=命。
すぐれたる考案。
官位、官秩。左傳「──不同、禮亦異數」
なだかきいしゃ。漢書、杜延傳「昭帝末、徵天下──」=良醫·國手。
すぐれて景色よき庭園。唐の李格非、洛陽──記を著す。
○名門に同じ。史、甘茂傳「──之子孫」○立論の法式を硏究する學派。公孫龍·惠施等の流。史、太史公自序「──使人儉而善失眞」
○ほまれ。史、鄒陽傳「砥礪──者、不以欲傷行」○よび名、稱呼。荀、賦篇「──不美、與暴爲鄰」○ ミヤウガウ 佛 阿彌陀佛のとなへ。
名聲高き者は、必ず其の名に伴ふ實力を有するをいふ。陳書、姚察傳「太建初、報聘於周、江左耆舊先在關右者、咸相傾慕、沛國劉臻、竊於公館訪漢書疑事十餘條、竝爲剖析、皆有經據、臻謂所親曰、名下定無虛士」
名と官位と。文獻通考、經籍考「書二其──一」
○おもてだつなまへ「──書替」○名と義理と。=名分。
爵位と車服と。左、成、二「唯名與器、不可以假人」
なと、いみなと。連文釋義「生曰名、死曰諱」
なだかきてがら。江淹文「西京上績、東都──」=殊勳。
○すぐれてよき花。李白詩「──傾國兩相歡」牡丹を指していふ。○ 俗 妓女の佳なる者。
十友(二六五頁三段)參看。
牡丹(貴客)梅(淸客)菊(壽客)瑞香(佳客)丁香(素客)蘭(幽客)蓮(靜客)荼蘼(雅客)桂(仙客)薔薇(野客)苿莉(遠客)芍藥(近客)の稱。宋の張景修に始まる、貴一に賞に作る。
畫の名人、又其の筆になりたる繪。名畫記「唐吳道子·鄭虔皆──」
たふとき官位。白居易詩「──老慵求、退身安草野」
姓名と鄕貫 ホンセキ と。棠陰比事「規絕──」
聖人のをしへ。五倫·五常などの如くそれぞれ名を立てて明かにするが故にいふ。晉書、樂廣傳「──之內、自有樂地」
すぐれて立派なることば。晉書、山濤傳「天下──也」
名ある山と、大いなる澤と。禮、王制「────不以封」
古は著書の亡失せんことを恐れ、石函などに入れて、名山に藏せり。史、司馬遷傳「太史公協六經異傳、齊百家雜話、藏之名山、副在京師」
才德のすぐれたる士。禮、月令「聘──、禮賢者」
なふだ。畱靑日札「古者削竹木以書姓名、故曰刺、後以紙書、謂之名紙」=名帖·名片。
前條に同じ。
文法にて事物の名をあらはすことば、家·池·君·臣などの類。=名物字。
なだかき僧、緇は黑色の僧衣。柳宗元詩「願言懷──、東峯旦夕仰」=名僧。
僭して王と稱する。蘇軾、表忠觀碑「天下大亂、豪傑蜂起、方二是時、以數州之地、───者、不可勝數」
○名譽と實功と。孟、吿子「夫子在三卿之中、──未加於上下」○名と實際と。
狀態をいひあらはす、形容する。王令詩「旁摹石刻署二──」
なだかき宰相。漢書「張蒼文學律歷、爲漢──」
すぐれて名ある大將。史、傅靳傳「誅殺──」
技藝のすぐれたる人、名人。北史、崔舒傳「銳意硏精、遂爲──」
○すぐれたる君主。=名君。○ 國 ナヌシ 德川時代江戶の各町又、地方の各村に置きし役人。今の町村長の類。=里正。
勝れて美くしき女。
すぐれてよき酒。陶潛詩序「余偶有──無日不飮、顧影獨盡、忽焉復醉」
なだかき儒者。漢書「──有師傅舊恩、天下任之、多所貢薦」
國 なだかきところ、すぐれたる景色の地。=名勝·勝所·勝區。
○山水の景色のすぐれたる地。北齊書、韓晉明傳「廢人飮美酒對──、安能作刀筆吏披反故紙耶」○名望の勝れたる士。晉書「睿名論素輕、吳人初不附、王導勸用諸──」
○な、となへ。○ほまれ、名譽。漢書、王吉傳「材器──、稍不能及、而祿位彌隆」
○戶籍。漢書、高帝紀「民前或相聚保山澤、不書──」○數字のそへる名詞「三公」「四書」「五經」の類。
一世に名ある賢者。孟、公孫丑「五百年必有王者興、其閒必有──者」
ほまれ、名聞。=名譽。
國 うけつぐ可きみゃうじ。家名。
名譽と節操と。漢書、兩龔傳「二人相友、竝著──」
名高き家がら。漢書、徐樂傳「王公大人、──之後」
名高き家がらの子孫。唐書「綬、旣──、於吏事有方略」
ほまれのばしょ。名を爭ふ所、試驗場など。南唐書「卿早奮──」=試院。
なふだ〔時用雲箋〕=名剌。
なふだ。後漢書「高第者上──、當以次賞進」=名紙·名刺。
人民の所有する田地。漢書、董仲舒傳「限民──以贍不足」
名ある良馬。東觀漢記「有獻──者」
ほまれ高く人望あり。南史「懿、──功業素重」
○名高き筆跡。世說「便成──」○筆の佳なる者。
○すぐれたる品。=妙品·逸品。○官位。=名位。
○土地にある物と其の名と。周禮、大司徒「辨其山林川澤邱陵墳衍原濕之──」○名づくべき品物。名詞の事物。○ 國 其の土地特有の食品。=名產。
ぶんげん、みぶん。人倫の分限「大義──」莊子「易以道陰陽、春秋以道──」=本分。
世閒のきこえ、評判。=名聲·名譽。
すぐれたる書物。又詩文。謝朓、酬德賦「登金華以問道、得石室之──」
○人の名まへを書き載せたる帳面。○ 國 ミヤウブ なふだ。=名刺。
となへ。事物の稱呼。隋書、裴矩傳「諸國山川、未有──」
名高き家がら。柳氏家訓「──右族」=名家·名族。
ほまれ。列、天瑞「矜功能、修──」──名聲。
法律の規定によりて、俸給を受けず、義務として、一定の公務に從事する職員、無給の巿町村長、無給の府縣郡參事會員の類。
名譽と利益と。孟貫詩「世路事──、深山獨結茅」
名望ある人のなかま。北史「恭之、學涉經史、所交皆──儁士」
○名望と物論と。名勝を見よ。○すぐれて善き議論「──卓說」
なだかききみ。
名は其のものの性をいひあらはす義。唯識論「依語聲分位差别、而假建立名句文身、────句詮二差别」
佛 名譽を求めんとする欲。大藏法數「名卽世閒之聲也、謂人因聲名、能顯親榮己、故至貪求樂著、而不知止、是爲──」
ほまれをあぐ。史、伯夷傳「閭巷之士、欲砥行──者」
國 生れたる子に名を附ける人、なづけおや。多くは生後七日目に母方の祖父が命名する。
名の實際より盛なるをいふ。虛名。韓詩外傳「祿過其功者削、────者損」
國 藝人が看板になまへを揭げるを得る資格 シカク
名譽は實際の德ありて、はじめて來るをいふ。莊、逍遙遊「堯讓天下於許由、許由曰、子治天下、天下旣已治也、而我猶代子、吾將爲名乎、─────也、吾將爲賓乎」
リ [寘]
○つかさ(司)人を治むる者「官─」○をさむ(理)
官吏の數。又官吏。後漢書「省減──」
卑き官職に隱れる。宋之問詩「宦遊非──」
官吏たる才幹。北史、裴蘊傳「明辨有──」=吏能。
官吏の處分をいふ、免黜の如き類。漢書「卒從──」
官吏たるに堪ふる才能。=吏能·吏幹。
官吏となりて政を爲す道。唐書、畢誠傳「誠於──尤所長」
官吏の職務。晉書、宣帝紀「帝勤于──、夜以忘寢」
ひくき官吏、小役人。
○官吏たる心得。=吏術。○ リト 朝鮮に行はるる一種の假名、朝鮮語を寫す爲めに漢字の音訓を假りたるもの、新羅の薛聰の創作なりといふ。=吏吐。
官吏のあつかふ政。史記「繁刑嚴誅、──刻深」=政治。
官吏としてのはたらき。北史「琇之有──、仕齊爲吳令」=吏才·吏幹。
支那の中央官廳の一、始は尙書省の一部なりしが明淸にては獨立の一省とし、戶·禮·兵·刑·工の五部と合せて六部といふ。
宋元以後、提擧司、及諸州に置きし官名、盜賊を緝捕し獄囚を防ぎ簿籍を典 ツカサド る。
4畫
イン オン [侵]
○牛鳴く。○ 佛 阿─ アウン は息の出入の稱。
カ [麻]
○口を張る。○むなし(虛)○大いなるくち。○谽─ カンガ は谷の大きくうつろなる貌。
○猛獸の口を張る貌。獨孤及、射虎圖詩「饑虎──立當路」○口を開きて笑ふ貌。韓愈詩「王母聞以笑、衞官助──」
○口をあけてののしる。又、口を開く貌。五代史「劉龔每視殺人、不覺朶頤垂涎──、人以爲眞蛟蜃也」○波濤の吞吐する貌。木華、海賦「猶尙──、餘波獨涌」
カウ [陽]
○のど、のんど(咽喉)=亢·肮·頏。○くび(頸·首)柳宗元文「仰首伸─」○物事の要處。
カウ·コウ コク [號]
通音コク
○つぐ、かたる(語)○しらす(報)上に吿ぐるを─といひ、下に發するを誥といふ。○をしふ(敎)しめす(示)管子、水地「聖人之治於世也、不人─也、不戶說也」○まをす(白·啓)○とふ(問)たづぬ(訪)禮、王制、疏「君每月使人致膳─問存否」○おほす(命)○こふ(請)○やすみ(休暇)史、汲黯傳「黯多病、病且滿三月、上常賜─者數」
假は暇なり、ひまをもらふ。官職を辭する義。葦航紀談「有一卒、患背疽、乞──」=致仕·辭職。
自分の家に歸ることを申上げる義。官吏が休暇を請ふ、又其のやすみび。史、高祖紀「常──之田」
吿朔餼羊の略語。晉書、律歷志「朔有──之文」
人の惡をあばきて官に吿げる。漢書、刑法志「化行天下、──之俗易」=吿發。
古、天子每歲季冬に來歲十二月の曆を諸侯に頒つ、諸侯は之を受けて、先祖の廟に藏め、每月朔日に、羊のいけにへを供へ、廟に吿げて其の月の曆を請ひ受けて、國內に行ふ、魯は文公に至りて此の事すたれて、羊を供ふる習慣のみ殘れり、其のいけにへの羊の義にて、實用の益なき者も、事に害なきものは、之を保存すべしとの義に用ふ。論、八佾「子貢欲去─────、子曰、賜也爾愛其羊、我愛其禮」=吿餼。
吿げ知らす。晉書、天文志「人君有瑕、必露其匿、以──焉」
唐代、官に就く者が上より受くるしるしのかきつけ。辭令書をいふ。唐書、選擧志「主者受旨而奉行焉、謂之奏受、視品及流外則判補、皆給以符、謂之──」事物紀原「誥下令言──者、謂己身美受其吿命也」
祖先の廟にまうでて知らす。禮記「必──」
被害者が其の損害を囘復する爲めに被害地又は加害者所在地の官吏にうつたへ出るをいふ。
公衆に吿げ知らす。
公衆につげ知らす文書。
ひばり。=雲雀·吿天·叫天子·天鷚。
官吏が休暇を賜ひて自宅に在るをいふ。通鑑、唐憲宗紀「軍將皆──」=吿歸。
被害者以外の人が他人の犯罪行爲を官吏に訴へ出る。=吿訐。
病氣の屆出。穆天子傳「盛姬──」
いとまごひ。杜甫詩「相逢難袞袞、──莫怱怱」=辭别。
今の辭令書なり。正字通「唐制、授官之符曰吿身、卽今謂──」
人民につげさとす。喩一に諭に作る。=諭吿。
前條に同じ。
年老いたるを吿げて辭職を乞ふ。左、襄、十六「晉韓獻子──」
①カン [覃]
②カン [勘]
通音ガン
①ふくむ(銜)ロに入れる。○つつむ(包)いれる(容)函に通ず。○いだく(懷)心に思ふ。○しのぶ(忍)左、宣十五「國君─垢」垢は恥。○──は麥などの盛んに秀づる貌。漢書、梁鴻傳「麥──兮先秀」
②古、死者の口にふくましめたる玉。=琀·唅。○ 國 ふくむ、花がつぼむ。○納得 ナツトク する。
同訓異義
フクム 含·銜·嗛○含は口に物をふくむなり。また廣く包み入るる義。傳燈錄「包二含萬物一」○銜は口にくはへるなり、含は、口の內にくくむなり、銜は半ば外に出すなり、詩には含·銜二字通用す、含レ杯は銜レ杯に同じ。○嗛は鳥獸頰、貯レ食也と註す、口內に物をたくはへ居るなり。
花をふくみて榮える。張衡、思玄賦「天地絪縕、百卉──」蘤は花榮なり。
ふくみもつ。孫綽、樽銘「虛以──、文以飾身」
文字の眼目の妙處を咀嚼 カミコナス し、書味を胸中にたくはふる義。韓愈、進學解「沈浸醲郁、────」=咀嚼英華 エイクワヲソシヤクス
古、死人の口に含ましめたる玉。周禮、天官「大宰大喪贊贈玉──」
はきはきとせぬ、模糊として明かなちず。唐書、顏杲卿傳「祿山斷其舌曰、復能罵否、杲卿──而絕」=含糊。
はきはきせず。にえきれず。舊唐書、陸贄傳「朝廷每爲──、未嘗窮究曲直」=糊塗。
はぢをしのぶ。垢は恥。左、宣、十五「國君──、天之道也」
いさごむし、支那の南方に棲むといふ怪物、沙を含みて人の影を射る時は其の人病死すといふ。白居易詩「山無殺霜草、水有───」轉じて小人が陰險なる手段にて人を害するに喩ふ。同詩「含沙射人影、寐病人不知」
はぢらふ、はぢをふくむ。蒲道源詩「晨妝初罷尙──」
おじぎさう、一年生草、葉は羽狀複葉、花は毬形淡紅色、葉に觸るれば兩葉相疊みて下垂す。
かざりを內にふくみたくはふ。易經「──可貞」魏志、管寧傳「──素質、冰潔淵淸」
○ゑがほをつくる。庾信詩「阮籍披衣起、王戎──來」○花の開き初めをいふ。蘇軾詩「野桃──竹籬短、溪柳自搖沙水淸」
雪を口に含む。轉じて山に積れる雪の色の窗に入る形容とす。杜甫詩「窗含西嶺千秋雪、門泊東吳萬里船」
らがひする「──劑」
ゆすらうめ。禮、月令、注「──、櫻桃也」=鸎桃。
ふくみたくはふ、言外に深き意味を含む。韓琦詩「毫端古意多──」=蘊蓄 ウンチク
怒を堪へしのびて居る。戰國策「──之日久矣」
はなのつぼみ。獨孤及詩「──向新陽」
口中にふくみあぢはふ。轉じて事の意味を考へ究める。後漢書「──經籍」
性靈をふくみ有するもの、卽ち人類をいふ。宋書、符瑞志「──獨秀、謂之聖人」
キフ [緝]
○すふ、息を引き入れる。呼の反對。○のむ(飮)○ひく(引)引き込む。詩、小雅「載─其舌」=噏。○こゑ(聲)
○吸ひ込む。○我が味方に引き入れる。
雲の動く貌。劉向、九歎「雲──」
すひとる、すひこむ。
醫療器の一、藥液を蒸發せしめて患者にすひこませる裝置に作れるもの。
或る動物の有する圓狀の器管、之を以て他の物體に附著す、章魚 タコ のいぼの類。
神仙の粒食を絕つ者をいふ。莊、逍遙遊「藐姑射之山、有神人居焉、肌膚若冰雪、淖約若處子不食五穀、────」
すひとりがみ、書きたる文字の乾かぬ時、上より押しつけて墨汁を吸取せしむるきめの粗き紙。
ギン [侵]
通じて唫に作る
○うめく(呻)○なげく、なげき(歎)○ためいきをつく(歎息)ためいき。○うたふ(哦·咏)○どもる(吃)後漢書、梁冀傳「口─舌言」○詩歌「白頭─」「梁甫─」の類。○なく(鳴)「蟬─」「猿─」うそぶく(嘯)○沈─ チンキン は深く思ふ貌。
吟唱に同じ。詩經、譜「人民和樂、謳歌──」
詩歌をうたふ。白居易詩「醉臥獨──」=吟詠·吟諷。
詩を吟ずるこゑ。梅堯臣詩「徒說──如秋蟲」
詩人の擕へるつゑ。詩を考へながらたづさへ曳く杖。=吟杖·吟藜。
こほろぎ。埤雅「蟋蟀隨陰迎陽、一名──」=吟蛬。
前條に同じ。中華古今注「蟋蟀一名──」
吟心に同じ。
月を觀て詩歌を口ずさむ。杜荀鶴詩「溪頭──上漁船」
吟心に同じ。
詩を吟ずる、殺は助字。韋莊詩「夕陽──倚樓人」
詩を考る時にひねる口ひげ、詩人の口ひげ。杜荀鶴詩「──白數莖」
詩歌をつくる心もち。=吟情·吟魂·吟懷·詩情。
詩歌を作る人の會。高駢詩「好與高陽結──」
詩歌をうたふ。元好問詩「遺編──心自足」=吟哦·吟嘯。
吟心に同じ。
詩歌を高らかにうたふ。=吟頌。
詩歌をうたふこゑ。溫庭筠詩「書迹臨湯鼎、──接舜絃」
○吟詠に同じ。宋之問詩「──自安閒」○時世を悲み慨きて發する聲。後漢書「──扼腕」
詩家中の領袖をいふ、壇坫を主持する者。杜牧詩「今代風騷將、誰登李杜壇」轉じて廣く詩人の敬稱とす。
吟筇に同じ。
詩を作り世をあざける。歐陽修詩「我老倦鞍馬、安能事──」
吟哦に同じ。梁書、王筠傳「──常爲口實」
○詩を吟じて其の意を味ふ。僧禪月詩「──不如秋」=吟情。○物の味を十分にあぢはふ。李羣玉、龍山人惠茶詩「持甌默──、搖膝空咨嗟」○ 國 取りしらべる、あらためる。
吟筇に同じ、藜はあかざの杖。
ギン [軫]
○笑ふ貌、口の大いなる貌。司馬相如、上林賦「亡是公─然而笑」○俗に借りて聽の字と爲すは非。○ 國 ぽんど、英語の數量のあて字、我が百二十勽强に當る。
狂(犬部四畫)の古字、呈と異り。
①クワ [歌]
②クワ [麻]
①うごく(動)○かはる(化)○あやまる(謬)
②口開く。
クン [文]
○きみ、天子·主上·元首。○諸侯·公卿·大夫などの領地を有する者の稱。○つかさ、主宰者。史、西南夷傳「西南夷─長以什數」○夫が妻を稱し、又妻妾が夫を稱していふ。○子が父母を稱し、又子孫が祖先を稱していふ。○人を呼ぶ敬稱。○鬼神の尊稱「湘─」○封號「孟嘗─」「春申─」の類。○たっとし(尊)
周の穆王の賢臣の名、穆王命じて、大司徒と爲す、書經に──篇あり。
諸侯の稱。書經「樹后王──」
○列侯の丞相相國たる者の稱〔漢官舊儀〕○諸侯の尊稱。
洞庭湖中にある山の名。水經注「洞庭湖中有──編山、──有石穴、潛通吳之包山、郭景純所謂巴陵地道者也、是山湘君之所遊處故曰──矣」
○才德高き人の稱。論、述而「聖人吾不得而見之矣、得見──者、斯可矣」○在位者の稱。論、顏淵「──之德風、小人之德草、草上之風、必偃」○妻が夫を稱していふ。詩、召南「未見──、憂心忡忡」○竹の異名。詩、衞風「瞻彼淇奧、綠竹猗猗、有斐──」
善人の住居するさとの稱。後漢書「王烈以義行稱鄕里、有爭田者、將質之烈、或半途而反、或望廬而反、所居名爲───」
蓮の異名。周敦頤、愛蓮說「蓮、花之君子者也」
○風俗醇良にして禮儀の正しき國。淮南子「東方有君子之國」我國を指すに似たり。○新羅を指す〔唐書〕
君子は人と爭はず、以て身を全うするをいふ。韓詩外傳「鳥之美羽句喙者、鳥畏之、魚之侈口垂腴者、魚畏之、人之利口贍辭者、人畏之、是以─────、避文士之筆端、避武士之鋒端、避辯士之舌端」
君子たる人の義。論、泰伯「───與、───也」=士君子。
君子の過は日月の蝕の如く、一時其の明を蔽はるるも、本體の德は忽ちにして現はる。論、子張「子貢曰、─────────焉、過也人皆見之、更也人皆仰之」
德ある人のつれあひ。曹植詩「結髮辭嚴親、來爲───」
君子は常人と異りて、特に三っの樂あり。孟、盡心「君子有三樂、而王天下、不與存焉、父母俱存、兄弟無故一樂也、仰不愧於天、俯不怍於人二樂也、得天下英才、而敎育之三樂也」
道を學び、德を修めて治國平天下を目的とする學者。名利の爲めに學ぶ小人儒の對。論、雍也「女爲───、無爲小人儒」
上たる人の德は風の如く、下たる者皆其の風化を受くるをいふ。論、顏淵「子曰、─────、小人之德草、草上之風、必偃」
君子の交は淡泊なること水の如くにして永久變らざる義。莊、山木「───────、小人之交甘若醴」
君子は、人と爭ふことなし。論、八佾「子曰、─────、必也射乎、揖讓而升、下而飮、其爭也君子」
君子は人の見ざる堂奧に在りても、恥づることを爲さず。詩、大雅、抑「相在爾室、尙不愧干屋漏」傳「西北隅謂之屋漏」
器は各其の用に適して相通ずる能はず、成德の士は體備はらざることなし、ひとり一材一藝を爲すのみに非ざるをいふ。孔子の語〔論、爲政〕
治者と被治者とは其の勞する所を異にするをいふ。左、襄、九「知武子曰、────────、先王之制也」
君子は人を誘ひ勸めて、其の善事を成就せしむ。論、顏淵「子曰、君子成人之美、不成人之惡、小人反之」
君子は絕交せし後にも、其の人の惡口をいはず。史、樂毅傳「臣聞、古之────────、忠臣去國、不潔其名」
君子は先づ、友を擇びて交る、故に後悔なきをいふ。文中子「───────、故寡尤」
君子は道に違ふことを憂ふるも、貧乏は憂へず。論、衞靈公「耕也餒在其中矣、學也祿在其中矣、───────」
君主の心の非を正す。孟、離婁「惟大人爲能格君心之非」
一人の君主が統治權を有して一國を治める政體。共和政治を民主政體といふの對。
君主のおそば。禮記「刑人不在──」
人君たるの道。孟子「欲爲君、盡──」
○きみ、かしら、をさ。禮、表記「以敬事其──」○部落のかしら、夷のをさ。=酋長。字解を見よ。
使者となりて、主君の命を辱かしめず。論、·子路「使于四方、────」
君として、其の下に臨む。國語「赫赫楚國、而──之」
一國のきみ。=君主。
上の好む所は下必ず之に傚ふをいふ。決はユガケなり。荀子「─────、楚莊王好細腰、故朝有餓人」
奕は圍碁、奕者は、妄に棊子を下さず、今、臣の妄に君を易置するは、これ君を視ること奕棊に如かざるなり。左、襄二五「寗子──────、其何以免乎、奕者擧奕不定、不勝其耦、而況置君而不定乎、必不免矣」
君が君たる道を失ふ。古文孝經序「君雖──、臣不可以不臣」
主君にしばしば謁見する。一說に屢~諫むる〔論、里仁〕
君は人民のカを須つて國を成す、故に體といふ。禮、緇衣「民以君爲心─────、心安則體安、君泰則臣泰」
君恥辱を受くれば、臣は死を決して其の恥を雪ぐべし。すべて臣は其の君と生死艱苦を共にすべきをいふ。越語「范蠡曰、爲人臣者、君憂臣勞、────」=主辱臣苦。
君と庶人とを舟と水とに喩ふ、助くる者も時には害をなすとの義。荀、王制「─────────、水則載舟、水則覆舟」
ケイ [霽]
ひらく(開)=啓。
よあけの明星。爾雅「天明星謂之──」=啓明。
①ケツ [屑]
②セツ [屑]
①ささやく(小聲)○はやし(疾)
②すする=歠。
①ゴ [虞]
②ギョ·ゴ [魚]
①われ、わが、己に就きて言ふには─といひ、人に因りて言ふには我といふ。孟、公孫丑「我善養─浩然之氣」○自己の存在、自己の意識。陸游詩「草庵寂默我忘─」○ふせぐ(禦)とどむ(止)執金─は官名、金革を執りて非常を禦ぐことを掌る。○ささふ(支)たがふ(違)○子·兄などの字に冠して親む意を表す「─子」「─兄」○伊─は吟哦のこゑ。=咿唔。
②──は親まざる貌。
同訓異義
ワレ 吾·我·予·余は我(戈部三畫)の條を見よ。
讀書のこゑ。黃庭堅詩「南窗讀書聲──」=唔咿·咿唔。
わが兄、友を親み尊びて呼ぶ稱。傅咸詩「──旣鳳翔、王子亦龍飛」
親まざる貌。晉語「暇豫之──、不如烏烏」
あなた、友が相親みて呼ぶ稱。孟、公孫丑「或問乎曾西曰、──與子路孰賢」
われら、われわれ。=吾曹。
われら。=吾儕·吾曹。
五十二卷、東鑑にも作る、撰者詳ならず、高倉天皇の治承四年、源賴朝の伊豆に起りしより、龜山天皇の文永三年に至る、將軍六代八十餘年閒の事を記す。
わが子の俊秀なるを稱す。晉書、顧和傳「總角便有淸操、族叔榮雅重之曰、此────、興吾宗者、必此子也」
年少にして才の優れたるものを稱す。晉書、苻朗載記「朗字元達、堅之從兄子也、幼懷遠操、不屑時榮、堅嘗目之曰、─────也」
わが子の俊秀なるをすぐれたる珠に比していふ。梁書、劉孺傳「七歲能屬文、十四居父喪、毀瘠骨立、宗黨咸異之、叔父瑱攜以之官、常置座側、謂實客曰、此兒─────也」
わがともがら。杜甫詩「客情投異縣、詩態憶──」=吾輩·吾儕。
わが先生。左傳「子產曰、其所善者、吾則行之、其所惡者、吾則改之、是──也」杜甫詩「風流儒雅亦──」
淸閑の樂をいふ。南史、謝譓傳「不妄交接、門無雜賓、有時獨醉曰、────────、對我飮者、唯當明月」
吾曹に同じ。左、宣、十一「──小人」
わがなかま。左、昭、十二「──之士」
わが物となる。杜甫詩「不意靑草湖、扁舟───」
わがともがら。論、先進「子曰、非──也、小子鳴鼓、而攻之可也」
吾吾のなかまにあらず。前條を見よ。
わがとも、親みていふ。論、子張「──張也、爲難能也、然而未仁」
吾曹に同じ。
後漢の馬融が鄭玄の東に去りしを評せし語。後漢書、鄭玄傳「玄事扶風馬融、從質諸疑義、問畢辭歸、融喟然謂門人曰、鄭生今去、────」
程明道が揚時の去るを惜みていふ。宋史、揚時傳「以師禮、見程顥於穎昌、相得甚懽、其歸也、顥目送之曰、────」
わが家の傑出の子。晉書、慕容皝載記「此兒非惟吾門之標秀、乃佐時之良器也」
われは何を以てそれに當らんや、當らず。論、述而「子曰、若聖與仁、則───」
われは失策せりといふ義。禮、檀弓「子夏投其杖而拜曰、───、───、吾離羣而索居、亦已久矣」
ゴ グ [虞]
○大いなり。○かまびすし、やかまし(譁)詩、周頌「不─不敖」○たのしむ、娛に通ず。○國名、周の初、泰伯─に居り、子孫王と稱し、國始めて大、後、越の爲めに滅ぼさる。○三國の時、孫權江南に據り、國を─と號す。○五代の時、楊行密、淮南に據り、江西を兼有して、國を─と稱す。○地名、秦の時、會稽地方に─郡を設けたるによりて、今も江蘇省の異名を─といふ。○おもんぱかる(慮)○ 國 くる、くれる、與ふ、受く。○くれぐれ、念を入る、かならず。○ クレ 唐 カラ と同じく古、支那の異稱とす「─竹 クレタケ 」「─服 クレハトリ 」
吳の美女。李白詩「──與越豔、窈窕誇鉛紅」=吳姬·吳孃。
戰國の時、吳王夫差と、越王句踐と久しく鬬爭せし故事によりて、互に敵意を懷く義とす。
支那の南方、吳の古音にして夙に我國に傳はる。漢音の對。
學識なきつまらぬ者。吳志、江表傳「孫權謂呂蒙及蔣欽、宜學問以自開益、蒙始就學、篤志不倦、魯肅過蒙言議、嘗欲受屈、拊蒙背曰、吾謂弟但有武略耳、今者學識英博、非復────蒙曰、士别三日、卽更刮目相待」阿は發語の辭。
吳の干將の作れる名劍。戰國策「────、肉試則斷牛馬」
吳の地の美女。李白詩「落花踏盡遊何處、笑入──酒肆中」
周の魏の人、善く兵を用ふ、魏に仕へ、武侯と西河に浮びて下り、德に在りて險に在らざるを論ず、魏を去りて楚に適く、楚の悼王その賢を聞きて相となす、吳子一卷を著す。
吳は暑さ烈しき故、牛は月を見て、日なりと思ひて尙ほ喘ぐといふ。よりて畏懼の甚だしきに喩ふ。世說、言語「滿奮畏風、在晉武帝座、北窗作琉璃屛、實密似疎、奮有難色、帝笑問之、奮答曰、臣猶吳牛見月而喘」
故鄕を戀ふる義。戰國策「陳軫曰、王、獨不聞吳人遊楚者乎、楚王甚愛之、病、故使人問之曰、誠病乎、意亦思乎、左右曰、誠思則將──、今軫將爲王──」
火の神。山海經、注「──、祝融弟、亦爲火正也」
○秦の會稽郡の一名。漢に至りて吳·會稽の二郡に分つ。○今の江蘇省吳縣城の一名。
唐の畫人、名は道玄、玄宗の時、召して供奉とす、筆法超絕、畫聖と稱す、又善く佛像を畫く。
浙江省杭縣に在り、春秋の時、吳の南界たりしが故、又、胥山ともいふ、子胥の名に本づく、左、大江を帶び、右、西湖を瞰す。金主亮詩「立馬──第一峯」
一卷、周の吳起撰すと題す、圖國·料敵·治平·論將·應變·勵士の六篇に分つ、秩序井然として紊れず、孫子の奇變窮りなきに及ばざるも、亦善く兵を言ふものといふべし。
吳下の少年の義。晉書、夏統傳「賈充稱統、此──石人木膓也」
○支那の──燒の陶器、靑畫又は赤畫等あり。○靑黑色のゴバルトの細末を、水に溶解せしめて漆器の靑き模樣を畫くに用ふる繪具。
二卷、宋の范成大の著、淳熙中、成大、四川制置使より、召されて舟に乘りて京師卽ち臨安(吳の地)に赴く時の日記。陸放翁の入蜀記に對して一に、出蜀記ともいふ。
前漢の孝景帝の時に、聯合して反せし國國。卽ち、吳·楚·趙·膠西·膠東·菑川·濟南。
元の畫人、字は仲圭、梅花道人と號す、嘉興魏塘の人、詞翰に工なり、尤も善く山水竹木を畫く。
江蘇省吳縣を、古、──とも稱す。春秋の時吳の國都たりしが故。史、項羽紀「避仇於──」
字は幼淸、幼にして穎悟、宋の咸淳の末、進士に擧げられて第せず、元に入り、仕へて翰林學士に至る、學者草廬先生と稱す、臨川郡公に封ぜらる、夙に斯文を以て自ら任ず。
江蘇省吳縣なり、左思に──賦あり。注「──者蘇州是也」
地名。古今注「寘零在吳城之北今謂之──」劉琨、與盧諶書「昔騄驥倚輈于──、長鳴于伯樂、知與不知也」
國 くれはとり、支那の吳の地方より傳來せし織物、又、それに習ひて織りたる織物の總稱。
吳の地より出すあやぎぬ。唐書、韋堅傳「會稽則──、吳郡則方丈綾」
ごろふく、舶來のこわき毛織物の名。もと駱駝の毛にて織りしもの、今は羊毛綿絲等をも用ふ。蘭語のあて字。=吳絽服。
江蘇省蘇州府吳縣に屬す、上海の東北、揚子江と黃浦江との會流點に在り、西曆一千八百九十八年開港場となる。
吳(前條)の俗字。吳志、薛綜傳「無レ口爲レ天、有レ口爲レ─」
コウ ク [有]
ほゆ、牛なく。猛獸の鳴くにいふ「獅子─」
聲をあげてさけぶ。後漢書「卒莫不──」
さけび怒る。岑參文「餓虎爭肉、──闞闞」
①スヰ [支]
②スイ [寘]
①ふく(噓)氣を出す、風ふく。○うそぶく(嘯)○たすく(助)
②はやし、笛類の音樂「鼓─」禮、月令「入學習─」○かぜ(風)「寒─」
ふえをふく。史記「其民無不──鼓瑟」=吹笛。
風吹きおこる、又、風が吹きおこす。李遠詩「秋風──九皋禽」
○いきをふきかける。○人をすすめあげる。隋書、儒林傳「伏惟明尙書公、咳唾足以活枯鱗、──可三用飛窮羽」杜甫詩「願借──送上天」
氣をふきかけてあたためる。白居易詩「──長未已」
○ふえをふく。庾信詩「北閣聞──」○化學にて火を吹きつけるくだ、又、ひふきだけ。
ふぶき。戴暠詩「晚至如──」=風雪。
笛などをふきかなでる。
ふえをふくと琴などをひくと。=吹竹彈絲。轉じて音樂の義とす。
笛を吹く。韓愈文「──彈絲、敲金擊石」
ふえをふく。後漢書、馬融傳「融善鼔琴、好──」
河豚 フグ の異名〔本草綱目〕
セン·エン シユン·ジュン [銑]
○口にてすふ(欶)○ねぶる、なめる(舐)
吳起が部下の兵士の疽のうみをすひとりし故事、よりて大將が厚く士卒をいたはる義とす。史、吳起傳「卒有病疽者、起爲吮之」
へつらひ媚びることの甚だしきにいふ。漢書「文帝病癰、鄧通常爲上嗽吮之」論、陽貨「苟患失之、無所不至矣」の注「小則────」
①テイ [庚]
②テイ [梗]
呈とは别
①あらはる(露)あらはす(見)○しめす(示)表する。晉書、元帝紀「星斗─祥、金陵表異」○とく(解)○ほど、程に通ず。史、始皇紀「以衡石量書、日夜有─、不中─、不得休息」○すすむ(進)「進─」○公牘文の一種、屬吏が長官に對して差出す文の名。
②たくまし。=逞。○こころよし(快)
あらはししめす。
物をさしいだしたてまつる。=進呈。
さしあげる、獻ずる。北周書、宗懍傳「卽日──」=進呈·獻上。
あらはす。むきだしにする。曹植賦「皓質──」
トツ [月]
○どもる、どもり、言の難きなり。=訥。○─喊 トツカン はをめき叫 サケ ぶ。
同訓異義
ドモル 呐·吃の別は吃(口部三畫)を見よ。
大聲にわめく、敵を威す爲めに鬨聲 トキノコヱ を擧げる。福惠全書「更夫鳴鑼──」
口どもる。又、事の進み難きにいふ。括地志「被閒寒戰、形氣──」
どもり、言語に難む貌。漢書、李廣傳「──少言」=訥口。
口どもる。禮、檀弓「其言──然、如不出諸口」=訥訥。
トン テン [元]
通音ドン
○のむ、口に入れる、吐の反對。○あはせつつむ(竝包)己の有とする「倂─」○ほろぼす(滅)○かろんず(輕)ばかにする「─敵」
同訓異義
ノム 吞·飮·咽·嚥○吞は物をかまずに、丸のみにするなり。吞レ刀·吞舟魚の類。○飮は湯水などをのむなり、轉じて飮レ聲·飮レ氣などと用ふ。○咽·嚥の二字は同じ、つばをのむなり、一口づつ、のんどへのみこむなり。
のみこむ。急就篇、注「所以──物也」=吞嚥。
船をのみこむ、航は船。左思、吳都賦「長鯨──、修鯢吐浪」=吞舟。
幼にして氣象のすぐれたるをいふ。杜甫詩「小兒五歲氣吞牛、滿堂貴客皆囘頭」尸子の「虎豹之子、雖未成文、已有食牛之氣」の語に本づく。
ふねをのむほどの大魚。莊、庚桑楚「────、碭而失水、則蟻能苦之」
のみかむ。他國を侵し取る義。魏志、崔琰傳「哲人君子、俄有色斯之志、熊羆壯士、墮于──之用」
○默して聲を發せず。鮑照詩「心非木石豈無感、──躑躅不敢言」○ 俗 怒を忍ぶ。
のむと、はくと、のんだりはいたり。鮑照、登大雷岸與妹書「其中騰波觸天、高浪灌日、──百川、寫泄萬壑」=吐吞。
のみこみはぎとる。人の物を奪ひ取りて我有とする。齊書、孔稚珪傳「──氓物」氓は民。=掠取·奪掠。
ほろぼす。魏書「遂相──、悔何及哉」
ハイ バイ [隊]
○ほゆ。○犬なく。孟、公孫丑「鷄鳴狗─相聞而達乎四境」
ほゆ。柳宗元文「虎豹咆嘯、代狴牢之──」
なくかへる。蘇軾詩「稻涼初──」注「嶺南呼蝦蟇爲蛤」
堯(土部九畫)の熟語を見よ。
日(部首四畫)の熟語參看。
①ハウ [皓]
②ボウ [有]
①保(人部七畫)の古字。
②某(木部五畫)の古字。○おろか(愚)俗に、癡と同義に用ふ。○ 國 あきれる、意外に驚く。
①ヒウ·フ [有]
②ヒ [紙]
①いな、不なり。可の反對。口にて許さざるなり。孟、萬章「─不然也」○いなむ、こばむ(拒)○しからず(不然)あらず。大學「其本亂而末治者─矣」
②よからず(不善)あし(惡)「臧─」○あしき事、けがれし物、ふさがる(塞)ふさがる所。○易の卦の名、坤下乾上。○ 國 いなや、卽時に、直ちに。
あしきめぐりあはせ。張九齡詩「──爭三國」
閉ぢへだたる。漢書「人道不通、則陰陽──」
否泰竝に易の卦の名、否塞の運命も極度に達すれば、泰平にかへる。梁宣帝賦「望否極而反泰、何杳杳而無津」
不可なりと議決する。可決の反對。
あしきと、よきと。白居易詩「朝野分倫序、賢愚定──」=臧否·善惡。
易の二っの卦の名、否は塞、泰は通、否塞と通泰との運命。吳越春秋「時過于期、否終卽泰」潘岳、西征賦「豈地勢之安危、信人事之──」
非とす、然らずとなす。肯定の反對。
うすきとく。又、正しき德にたがふ。書、堯典「──忝帝位」=不德·菲德·薄德。
然らずとみとめる、否なりと認定する。
ホン [願]
通音フン
○噴(口部十二畫)に同じ。○いひつける。
俗 事を衆人に分けていひつける、それぞれ命令する。もと分付に作る。
ブン [吻]
通音フン又脗に作る
○くちさき、くちもと(口邊)轉じて言語の氣をいふ「口─」○物のつき出たる邊端。孔平仲詩「葉走堂階響、雲依殿─浮」
兩方の脣がひったりとあふ。事の相合するに喩ふ。
リン [震]
遴と通ず、俗に悋に作る
○をしむ(惜)○やぶさか(鄙嗇)しぶる、爲すを難んずる。書、仲虺之誥「改過不─」○うらむ(恨)くやむ「悔─」
同訓異義
ヲシム 吝·嗇·惜·愛·慳○吝はしわきなり、吝嗇と連用す。○嗇は物を少しく用ふる義、吝と同じく、しわき義にも用ふれども、嗇は物を妄に費さざる義にて、善き方にも用ふ。老子「治レ人事レ天莫レ如レ嗇」○惜は用法廣し、吝惜·貪惜と用ふればしわき義となり、受惜·寶惜と用ふれば、物を大切に思ひてをしむ義となる。○愛は愛惜と連用す、心にかけて惜む義。論語「爾愛二其羊、一我愛二其禮一」○慳は吝に同じ。
ものをしみする。愛は惜。=吝惜。
をしむ心。陶潛文「曾不──去畱」
ものをしみをしてきたなし。易、說卦「坤爲──」易林「奢淫──、神不所福」=鄙吝。
吝愛に同じ。
リヨ ロ [語]
○せぼね(脊骨)○陰の音律「六─」
唐の開元中に、盧生が邯鄲 カンタン の旅舍にて、道士呂翁の枕を借りて黃梁の飯の炊ける閒に、八十年閒の榮華の夢を見たる故事〔枕中記〕=呂公枕。
字は挺振、明人、翎毛に工なり、閒~山水人物を作る、設色鮮麗、生氣奕奕たり、時に極めて貴重す、詔に應じ制を承くるに、多く意を立て規を進む、孝宗嘗て之を稱して曰く、工に藝事を執りて以て諫むるは──これ有りと〔畫史彙傳〕
書經の周書の篇名、呂侯、周の穆王の司寇たり、贖刑の法を作る、之を──といふ、呂は姓、甫國の侯、故に一に甫刑ともいふ。
漢の單父の人、高祖を微なる時に識り、女を以て之に妻す、卽ち呂后。
呂翁枕に同じ。薩都刺詩「繁華一夢人不知、萬事邯鄲───」
二十六卷、一に呂覽ともいふ、秦の呂不韋撰すと題す、實は其の賓客中智略の士の集むる所ろ、凡そ十二紀·八覽·六論に大别す。
卽ち太公望。周の文正の師となる。
字は伯恭、東萊と號す、早く高第に擢んでられ、一代の宗師たり、著はす所、左氏博議·文集等あり、淳熙八年卒す、年四十五。
呂祖謙を見よ。
周の太公望呂尙と殷の傅說 フエツ と、共に賢人。王逸、九思「──擧兮殷周興」
呂氏春秋の別名。
〔國字〕
フ─ト(複數はヒ─ト)英國の尺度、我が一尺·○○五厘餘。
5畫
アウ [養]
○ふさがる(塞)○かなしむ(悲)○むせぶ(咽)
流の通ぜざる義。魏都賦「山阜猥積而崎嶇、泉流逬集而──」
アク [陌]
なく(喔)=呃。鳥の聲、又は雞の聲。
イウ [尤]
鹿のなくこゑ。
鹿の鳴くこゑ。詩、小雅「──鹿鳴、食野之苹」
なきむせぶ、又、泉のむせび流るる聲の形容。雍陶詩「如恨往來人不見、水聲──出花溪」=幽咽。
鳥獸の鳴きごゑ。張說詩「──鳥獸馴」
エイ [敬]
うた、うたふ(歌)=詠。漢書、東方朔傳「彈琴其中、以─先王之風」
聲を長くして歎息する。=咏歎。
エイ [霽]
くどくどし(多言)
くどくどしき貌。玉篇「──猶沓沓也」
カ [歌]
○しかる。=訶。○いかる(怒)○せむ(責)○いらつ。苛に通ず。○──はわらふ(笑)又笑ふ聲。○ふく、いきを吹きかける(噓氣)
からからと笑ふ貌。傳燈錄「猶有一人、──大笑」
大聲にてしかる。應瑗詩「無用相──」
しかりとめる。韓愈、送李愿歸盤谷序「鬼神守護兮、──不祥」=呵止。
氣をふきかける。韓愈詩「炎帝持祝融、──不相炎」
いきを吹きかけて凍りたる硯をあたたむ。洪希文詩「吟成──冰猶堅」
しかりせめる。鄭俠詩「正直招──」=呵責。
しかりつけて守る。寘侯、題法華臺詞「山鬼善──、千載照層巒」
しかりとどむ。史、李廣傳「覇陵尉醉──廣」=呵禁。
きびしくせめしかる、折檻 セツカン する。魏志、廢帝髦紀「吾數──」=呵譴。
呵呵に同じ。
こほれる筆に息を吹きかけてあたためる。天寶遺事「李白撰詔誥、時大寒硯凍、帝勅宮嬪、執牙筆呵之」=呵筆·呵硯。
しかりののしる。魏志「太祖見檄書、──之」
呵凍に同じ。楊萬里詩「──更成揮」
カ·ケ キョ [麻]
○くちあく、口を張る貌。莊、秋水「公孫龍口─而不合」○あくび。
カイ [灰]
○あざけりわらふ(調笑)杜甫詩「任受衆人─」○わらふ。左思、吳都賦「囅然而─」○──はよろこびたのしむ貌。皇甫湜文「昔民嗷嗷、今民咍咍」
わらふこと。魏志「大──之」
カフ [洽]
○吸ひて飮む。○かまびすし、聲衆し。○噏─は衣の張る貌。
鴨 カモ のなくこゑ。爾雅「鴨鳴──」
①キウ [有]
②カウ [豪]
俗に咎に作るは非
①とが、あやまち(罪過)「罪─」○とがむ、とがめ。○わざはひ(災·凶事)「殃─」やまひ(病)○にくむ、にくみ(惡)仇として惡む。書經序「殷始─周」○あし(凶)休の反對「休─」○舅と通ず、晉の─犯、左傳に舅犯に作る。
②皋と通ず、皋陶、古、─繇に作る。
わざはひ。京房易傳「萬民喜樂、無──」
あやまちをわびる。陳琳文「韓馥懷懼、──歸土」
とがめいましむ。後漢書「人自抑損以塞──、則天道虧滿、鬼神福謙矣」
とがめくい。荀悅文「言出于口、則──及身」
とがめ。蜀志「畏彼──」
①ク·コ췍 [遇]
②ク [虞]
③コゥ·ク [尤]
④コゥ·ク [有]
⑤コゥ·ク [宥]
①あたたむ(溫)
②いきふく(噓吹)=嘔。○よろこぶ(悅)○しかる(呵)
③しはがれ聲。
④ほゆ(吼)
⑤なく。史、殷本紀「有飛雉登鼎耳而─」=雊。
口を開きていきをふく。漢書、王襃傳「──呼吸如喬松」
言葉の順ふ貌。史、東方朔傳「──愉愉」
溫め惠む。淮南子「──覆育、萬物羣生」
①クワ·ワ [歌]
②クワ·ワ [箇]
咊は古字
①やはらぐ、やはらか。○むつぶ(睦)○ととのふ(調)○たひらか、たひらぐ(平)○なかなほりする「─睦」○したがふ(順)○かなふ(諧)○あふ、あはす(會)のどか(長閑)あたたか(溫)○うららか(麗)○宜しき節に叶ふ行爲。○車の軾 コシキ に懸ける鈴。○やまと(日本
②こたふ、應ずる。易、中孚「鳴鶴在陰、其子─之」○調子をあはす。○他人の詩と同韻の字を用ひて詩を作る。○まねをする。○まぜあはす、調合。○合せたる數。
唐の柳仲郢の母韓氏が、熊膽を和して丸藥をつくり仲郢に與へ、其の勤學を助けし故事。小學、外篇善行「公綽妻韓氏、常命粉苦參·黃連·熊膽、和爲丸、賜諸子、每永夜習學、含之以資勤苦」
古の寳玉の名。韓非、卞和「楚人和氏得玉璞楚山中、奉而獻之厲王、厲王使玊人相之、玊人曰、石也、王以和爲誑、而則其左足、及厲王薨武王卽位、和又奉其璞、而獻之武王、武王使玊人相之、又曰、石也、王又以和爲誑、而則其右足、武王薨、文王卽位、和乃抱其璞而哭於楚山之下、三日三夜、淚盡而繼之以血、王聞之使人問其故、和曰、吾非悲刖也、悲夫寶玉而題之以石、貞士而名之以誑、此吾所以悲也、王乃使玊人理其璞而得寶焉、遂命曰────」
璞はあらたま、卞和が楚の厲王に獻じたるもの。和氏之璧參看。戰國策「范雎獻書昭王曰、臣聞周有砥厄、宋有結綠、梁有懸黎、楚有──、此四寶者良工之所失也」
俗 食物などを臺盤と共に持出す義、すこしも隱さず、一切打ちあらはすにいふ。西湖佳話「和槃都托出、閨閤惹風流」
和氏之璧の略語。
やはらぎたのしむ。詩經「鼔瑟鼔琴、──且湛」
車駕の鈴、和は車の軾にかけて鸞と應和す、鸞は鑣 クツワ にかける鈴。詩、小雅「──雝雝」
やはらぎあふ。禮記「人之所以羣居──之理盡矣」=和一·和合。
他人の詩と同韻を用ひて和し作る。珊瑚鉤詩話「前人作詩、未始──、自唐白樂天與元微之爲二浙觀察、往來置郵筒倡和、始依韻、而多至千言、少或百數十言、篇章甚富」
やはらぎよろこぶ。杜摯、笳賦「或溫溫以──、或悽悽以噍殺」=和悅·和豫·和喜。
やはらぎよろこぶ。=和懌。
國民のやわらげる心によりて、自然に豐年などの幸福を招く。漢書「始自天降此、皆────、獲天助也」
國 やまとうた、本邦固有の歌。くにぶり。=國歌。
爭をやめて仲なほりする。春秋、注「莒魯有怨、紀侯旣昏於魯、使大夫盟莒以──之」=和息。
やはらぎととのふ。司馬相如、琴賦「交情通體心──」=和協諧合。
種種の味を調和してあつものを作る義。轉じて人君を輔佐して天下を調理する宰相のこととす。書、說命「若作和羮、爾惟鹽梅」張說詩「位竊和羹重、恩叨醉酒深」
國 本邦固有の文學。漢學·洋學などの對。
○うちとけて互にむつみあふ。管、幼官「畜之以道則民和、養之以德則民合、──故能習、習故能諧」○やはらぎあふ。韓詩外傳「天施地化、陰陽──」○兩家の男女を合せて結婚せしむる。易林「使媒求婦──二姓」
佛 僧家の稱、五人以上を衆といふ。法華經科註「僧伽、此翻───」
男女合意上の姦通。强姦の對。
國 日本と支那と、からやまと。=皇漢。
やはらかなる氣分。禮、祭義「有──者、必有愉色」
陰陽相和げば、其の氣自ら瑞祥を出す〔漢書、劉向傳〕
やはらぎよろこぶ。史、禮書「古者太平、萬民──」=和懌·和悅。
講和の相談。宋史、高宗紀「胡銓上書直諫斥──」
やはらぎつつしむ。南史、王諶傳「諶貞正──、朝廷稱爲善、人多與之厚」
春の日のあたたかなる義。謝靈運、山居賦「承──而芬腴」
國 漢字を本邦のことばに譯して讀むよみ方。
智惠の光を深く隱して顯さざるを和光といひ、世の塵俗の中に混じて居るを同塵といふ。老子「和二其光、同其塵」
やはらぎつつしむ。禮、樂記「是故樂在宗廟之中、君臣上下同聽之、則莫不──、在族長鄕里之中、長幼同聽之、莫不和順、在閨門之內、父子兄弟同聽之、則莫不和親」
うちとけて親しくする、和衷協同の略。左、隱十一「寡人有弟不能──」
やはらぎてこころよし。律呂相召賦「天理不奸、物情──」
やはらぎてへりくだる。易林「──致樂、君子攸同」
わが南北朝時代に九州地方の邊民が屢~支那朝鮮の沿岸に航して奪掠を行ひしものの稱。高麗史「──之侵始此」=倭寇 ワコウ
國 わが國にて創めたる六絃の琴、あづまごと、やまとごと、むつのを。
國 心はやまとだましひを持し、才智は漢學に資るを要すとの義。菅原道眞の語。
國 たまざん、本邦固有の數學、そろばんを用ひてする算術。=珠算。
國 支那の偈頌 ゲシヤウ を本邦の今樣文に譯して謠ふもの、佛の功德を讚美 サンビ する唄 ウタ
國 ○假名 カナ ○我が國にて作りし文字。辻·榊の類。=國字。
他人の作りたる詩意に和して答へる。王禹偁詩「調高誰──」=賡酬。
人とやはらげどもおもねりて從ふことなし。論、子路「子曰、君子────、小人同而不和」
やはらぐ、集もやはらぐ。淮南子「天下寧定、百姓──」=和輯。
やはらぐ。漢書、南粤王趙佗傳「與剖符通使、使──百粤」粤は越の古字。
やはらぎしたしむ。和敬を見よ。
佛 和尙に同じ。大集經「恭敬父母師長──、故得肉髻相」
○よくみのる。左傳「年穀──」○互にむつみ合ふ。=和合。
やわらぎしたがふ。和敬を見よ。
やはらぎてゆるやか。卞蘭賦「匿天威之嚴厲、揚愷悌之──」=和暢。
夫婦の仲よきをいふ。詩、小雅「妻子好合、如鼔瑟琴」
國 本邦にて作。又その物。舶來品の對。
やはらぎあたたか。王逸、九思「風習習兮──」=溫暖。
調子を合せて琴をひく。陸機、鞠歌行「急弦高張思──」
やはらぐ。劉基詩「默默全──」=和輯。
心の底よりやはらぎて共にカをあはす。書、皋陶謨「同寅協恭和衷哉」
やはらぎのどか。晉書、王羲之傳「天朗氣淸、惠風──」
やはらぎととのふ。管子「夫民必知義、然後中正、中正、然後──」
やはらぎかなふ。天竺國記「中天竺其土──」
やはらぎて一致する。禮、月令「孟春天地──、而萬物萌動」
佛 手を合せてをがむ。飜譯名義集「合掌作禮曰──」
○相對買 アヒタイガヒ なり。左、昭十六、正義「上云買諸賈人、則是──、而子產謂之强奪者、韓子以威逼之」○宋代の制、春の乏絕の時に、國庫の錢を民に貸し、夏秋に至りて絹を官に輸せしむるをいふ〔玉壼淸話〕
やはらぎあふ。周禮、注「比謂筮與民──也」=和合。
是非を究めずして人の說に同意する。韓愈、平淮西碑「萬口──」=附和雷同。
○のどかなる春風。杜甫詩「薄衣臨積水、吹面受──」○ 國 我が國ぶり、日本風。支那風·洋風などの對。
國 日本文。漢文又英文などに對して。=國文。
やはらぎておだやか。禮、樂記「耳目聰明、血氣──」=平和。
やはらぎむつぶ。孝經「民用──、上下亡怨」
やはらぐ。曹植賦「仰春風之──兮、聽百鳥之悲鳴」=緝穆·和輯。
民をやはらぐ。左、隱四「臣聞以德──、不聞以亂」
國 我が國にて呼ぶとなへ。漢名の對。
鳥が聲を合して互に鳴く。樂器が互に和ぎて鳴る。詩、周頌「簫管備擧、喤喤厥聲、肅雝──、先祖是聽」
國と國とが戰を息めて講和し相共に締結せし條約。
外國の文を我が國文になほす。又其のなほしたる文。
やはらぎよろこぶ。淮南子「──虛無所以養德」=和懌。
やはらぎよろこぶ。=和懌。
佛 のりの師、敎師の義。僧の尊稱。天台宗にてはクワシヤウ、眞言宗にてはワジヤウ、禪·淨土宗にてはヲシヤウといふ、又、律·眞宗にては和上と書く。
西洋の國名。=荷蘭。
和(前條)の古字。
①ケウ [蕭]
②カウ·ゴウ [豪]
①─然は虛大なる貌。
②怒り叫ぶ聲。○かぜの聲。
①コ [虞]
②カウ·ケウ [肴]
①よぶ(喚)よびよせる「招─」○さけぶ、大聲を發する「歡─」「叫─」「疾─」史、游俠傳「如順風而─」○はくいき(出息)吸の反對。○嗚─ アア は歎息の聲。通じて嗚乎·烏虖に作る。○なげく(歎)
②よぶ。=詨。○ああ、憊 ツカ れて發する聲。禮、檀弓「曾子聞之瞿然曰─」
同訓異義
ヨブ 呼·喚·召○呼は聲をたててよぶなり、呼レ舟·呼レ童の類。○喚は大聲にて急によぶなり、寢入りたる人をよびおこす類。○召は口にても、手にても、手紙にても、よび招くなり。
○相よび相こたふ。傳燈錄「呼山山應如是、六窗俱呼俱應」○互に腹を合せる「東西──」
よびさけぶ。漢書「晝夜──、車騎滿門」
聲をはりあげてしかる。白居易詩「報道前駈少──」
匈奴の王の名。漢書「───單于來朝」略して呼韓ともいふ。張衡賦「───來享」
牛(部首四畫)の條を見よ。
○いき。呼は出る息、吸は入る息。莊子「吹呴──」○極めて短き時閒。晉書「決勝負於一朝、」定成敗于──」○ 國 ぐあひ、調子。
呼吸作用を營む機關の總稱、鼻孔·喉頭·氣管·氣管支·肺臟など。
すふと、はくと。翕は噏。陸機文「爾乃──九陽、抱一含元、引新吐故」=呼吸。
なげく聲、ああ。後漢書「頓踣──、莫不叩心」
さけびさわぐ。
呼びあつめる「不時──」
よびとなふ。さきばらひ。柳宗元文「行──于朝廷而已耶」
國 樣·殿などの敬語をはぶきて、人の姓名を呼ぶ。
國 呼び出す「──狀」
國 盛んに評判せらるるもの。
國 人を呼ぶ時に鳴らす鈴。電氣じかけのを電鈴といふ。= 俗 叫人鐘。
コウ [東]
おほごゑ(大聲)
おほごゑ。荀、解蔽「掩耳而聽者、聽漠漠以爲──」
コ ク [虞]
ちのみ兒のなくこゑ。
みどりごの啼くこゑ。書、益稷「啓──而泣」
①サク·シヤク [陌]
②サ [禡]
①かむ(嚙)くらふ(啖)「啖─」○大いなる聲、うなる。○かまびすし、さけぶ。
②かたるこゑ。○しばらく(暫)
ひなうた。鹽鐵論「鄙夫樂──、而怪韶?」
①シ [紙]
②シ [支]
①そしる(訾)○せむ(苛)しかる(訶)○よわし(弱)○なまける(惰)○かりそめ(苟)
②きず(瑕)=疵。○やまひ(病)
なまける、惰弱なり。史、貨殖傳「楚越之地、地勢饒食、無饑饉之患、以故──偸生、無積聚而多貧」注「──、苟旦墮嬾之謂」
シウ [尤]
○めぐる、めぐらす(繞)めぐり「─囘」=週。○あまねし、ひろく行きわたる(徧)○こまか(密)○そなはる(備)○きびし(嚴)○まこと(忠信)○公平の心にて人と親む。論、爲政「君子─而不比」○すくふ。=賙。にぎはす(賑)論、雍也「─急不繼富」○くま(曲)詩、唐風「生于道─」○いたる(至)「─親」○武王が殷を滅して天下を有せし朝の名、三十八世赧王 タンワウ が秦に亡ぼさるるに至る八百七十餘年閒。○南北朝の時、宇文覺、西魏の禪を受けて號を─と改む、五世二十五年にして隋に亡ぼさる。=北周。○五代の時、郭威が後漢に繼ぎて帝と稱し、國を─と號す、三世十年にして趙匡胤に亡ぼさる。=後周。
同訓異義
アマネシ 周·徧·遍·普·洽·浹○周は徧也、至也、密也と註す、十分にゆきとどく義。易經「知周二乎萬物、一而道濟二天下一」○徧は周と略~同じく、意やや輕し·一わたりあまねきなり、史、蘇秦傳「閉レ戶不レ出、出二其書一徧觀レ之」○遍は徧に同じ。○普は博也、大也、徧也、一めんにあまねくかかる義、溥に作る、同じ。孟子「普天之下、率士之濱」○洽は潤のあまねくしみわたる義。書經「好レ生之德、洽二于民心一」○浹は浹洽と連用す、義は洽に同じ。○メグル周·繞·遶·環·行·巡·旋·運·囘·迴·循·繚の别は繞(糸部十一畫)の條を見よ。
めぐり。=周囘。
あまねく遊びめぐる。=遍歷。
周密なる儀衞。司馬遷、報任安書「奏薄技出入──之中」
周代文王·孔子によりて大成せし易學。又、其の書、卽ち易經。
めぐり。後漢書、西域傳「大秦國所居城邑、──百餘里、城中有五宮、相去各十里、宮室皆以水精爲柱、食器亦然」
ほととぎすの異名。爾雅「子規亦曰望帝、亦曰──」=杜鵑·不如歸。
まはりのふち、めぐり。=周邊。
○大道。周道に同じ、一解に、周の朝廷の列位。詩、周南、卷耳「嗟我懷人、寘彼──」○めぐりゆく。魯靈光殿賦「──數里、仰不見日」
周誥は、書經の大誥·康誥·酒誥·召誥·洛誥。殷盤は、殷の盤庚篇。韓愈、進學解「────、詰屈聱牙」
死後滿一年目の忌日。=一周忌。
遍くもとめさがす。
あまねく給與する。後漢書「賑給鄕閭故人、莫不──」
○とりかこむ。謝靈運文「四山──、雙流逶迤」○まはり。漢書、劉向傳「──五里有餘」=周圍。
めぐりまはる。射雉賦「──廻復、繚繞盤辟」
あまねく見る。後漢書、班固傳「──洽聞」=周覽。
周公と孔子と。晉書、江逌傳「仰味羲農、俯尋──」
名は旦、周の文王の子武王の弟、武王を佐けて天下を定め、又、幼主成王を輔けて、制度禮樂を定め、天下大いに治まる。
南北朝時代の人、梁武帝の天監の初、韻語を以て千字文を作る、一夕にして之を成す、鬚髮爲めに白し。
滿一年。全唐詩話「未──、而爲奸人所殺」=周年。
かこむ、めぐる。劉禹錫詩「山圍故國──在」=周匝。
周の王室。武王より赧王に至る三十八世、八百七十六年閒。
周は至なり、至りてしたしきみうち。書、泰誓「雖有──、不如仁人」=至親。
あまねく十分にゆきわたる。劉無雙傳「詞理哀切、敍述──」
○あわてる、うろたへさわぐ。魯靈光殿賦「俯仰顧眄、東西──」=倉皇·狼狽。○あまねく遊ぶ。楚辭「聊翺遊兮──」=周遊。
星が天をひとまはりする閒、卽ち十二年。=一紀。
周の周公旦と召公奭と、共に成王を輔佐せし人。
○めぐる。戴復古詩「荒池蛙叫噪、破屋燕──」○とりまはす、たちゐふるまひ。禮、內則「進退──愼齊」○ 國 とりもつ、きもいり、世話する「──屋」
圓形に曲りて步むをいふ。禮、玉藻「──中規、折還中矩」=周旋。
あまねくゆきとどく。ぬけめなし「用意──」
○おほぢ、大道。詩、小雅「──倭遲」○周の世の政敎。詩、檜風「顧瞻──」
十分にゆきわたる、こまかにしてぬけめなし。戴復古詩「羅列滿吾前、禮數頗──」=周密。
周濂溪、名は淳頤、字は茂叔。程明道、名は顥、字は伯淳。程伊川、名は頤、字は正叔。張橫渠、名は載、字は子厚。朱晦菴、名は熹、字は元晦。皆宋代道學の大家。=濂洛關閩。
宋の大儒、字は茂叔、濂溪先生と稱す、人品甚だ高く、胸襟灑落なり、神宗帝の熙寧六年に卒す、年五十七。
滿一年〔周書、禮志〕。=周歲。
あまれし。宋史、樂志「降福穰穰、德施──」=洽普·周溥。
前條に同じ、溥は普。宋史、樂志「非稷馨香、厥福──」
まはりのふち。=周緣。
めぐり、袤は長さ。漢書、揚雄傳「──數百里」=周囘。
あまねくゆきわたる。こまがにしてぬけめなし。周到にして細密。漢書、張安世傳「職典樞機、以謹愼──」
めぐりつらなる。晉書、赫連勃勃載記「石郭天池、──千里」
吳の周瑜をいふ、孫策、瑜に建威中郞將を授く、時に年二十四、吳中皆呼びて──と爲す。
○ひろくゆきわたる。易、繫辭「變動不居、──六虛」○天下をあまねくめぐる。史、貨殖傳「富商大賈、──天下」=徧歷。
四十二卷、周官ともいふ、周の周公旦の作と傳ふ、天地春夏秋冬に象りて官制を立て、職掌を記し、天官·地官·春官·夏官·秋官·冬官に分つ、之を六官又、六典と曰ふ。
シウ シユ [有]
通音ジユ
○のろひ、のろふ。○まじない、まじなふ。
まじなひの術にて病を治する水。西湖志餘「辨才往天竺、善持──、飮病者輒愈」
のろふ。=詛呪。
のろひののしる。李義山雜纂「──祖先」
のろひまじなひに唱へる文句 モンク
シン [眞]
○うめく、うなる(唸)○うたふ(吟)○なげく(歎)
うめく。うなる。歎聲を發する。又、詠誦する。莊、列禦冦「──裘氏之地」轉じて苦みて詩などを口ずさむ義。陸游詩「老業──未廢詩」
苦みてうなる。列子「晝則──而卽事、夜則昏憊而熟寢」
シヨ ソ [語]
○かむ、かみくだく、くらふ、翫味する。韓愈、進學解「含英─華」○ふくむ(含)
○かみこなす。司馬相如賦「──菱藕」○轉じて文義を味はひさとる。文心雕龍「傲岸泉石、──文義」=咀噍。
かみこなす。轉じて、書を讀みて意味を究むるにいふ。蘇軾文「採剝其華實、而──其膏味」
かみくらふ。春渚紀聞「聽其──」
ダウ ネウ [肴]
又、詉に作る
かまびすし、やかまし(讙聲)
多言にして止まざる貌。韓愈、言箴「汝不懲耶、而──以害其生耶」
タツ [曷]
咀とは别
○しかる(相呵)○相呼ぶ聲。
テイ [齊]
○しかる(呵)○そしる。=詆。
テフ·セフ テン [葉]
○なめる(嘗)○小さき貌。○ささやく(囁)○くどくどし(多言)
ささやきしゃべる。唐書、姚紹之傳「嶠等數附承嘉耳──」
くどくどし。又ささやく。史、魏其武安侯傳「今日長者爲壽、乃效女兒、──耳語」
小さき貌。唐書、王叔文傳「──小人」
トツ [月]
○しかる(訶)したうち(吒)又其の聲。○やあ、呼び掛ける聲。○おどろきあやしみて發するこゑ。○ 國 はなし。はなす。談話。
○事の急なる義。瞬閒。晉書、石崇傳「爲客作豆粥、──便辦」○しかる(呵吐)王勃文「顧盼可以蕩川岳、──可以降雷雨」
事の意外なるに驚きて發する聲。晉書、殷浩傳「但終日書空、作──怪事四字而已」
驚嘆して發する詞。事類全書「衞夫人書曰、衞有一弟子王逸少、甚能學衞眞書、────」逸少は王羲之の字。
呼び掛けてあやしむ聲。韓愈詩「──識路行勿休、往取將相酬恩讎」
ハウ [肴]
○ほゆ、獸が怒りてほゆ(吼)○いかる(怒)○のむ。=炰。
ほへたける。大聲によばはる。抱朴子「──者不必勇」=哮咆。
○のむ、氣の健かなる貌。左思賦「吞滅──」○暴怒してかまびすしき義。=炰烋。
猛く怒る貌。潘岳、西征賦「何猛氣之──」
ミ [未]
○あぢ、あぢはひ、あぢはふ、意義を味はふ。後漢書、郞顗傳「含─經籍」○うまみ「滋─」おもむき「趣─」「興─」きもち「氣─」わけ「意─」
味感に同じ。
國 己のなかま、我黨。敵の反對。又肩をもつ、加勢する。
味神經によりて飮食物の味を辨知する感覺。
味感を司る器官、舌。
舌の粘膜に密布せる神經にして、味感を同る。
大豆を煮て米又は麥の麴と鹽とを和して釀す。=豉。
國 味淋酒の略言、甘き銘酒の名。=味醂·美淋酎。
少しの味もなきに喩ふ。楞嚴經「當橫陳時、────」
フ [虞]
○ふく、いきふく(噓)○吩─は俗語、それぞれにいひつける義。
フツ ヒツ [物]
○もとる(戾)書、堯典「吁─哉」○たがふ(違)○いな(否)
メイ ミヤウ [敬]
○つかふ(使)せしむる。○のる、みことのり、大を命といひ、小を令といふ。のり、をしへ、をしふ。○政令、吿示、示す、いましめ、いましむ、おほせ、申しつけ、まうしつく。○うん、めぐりあはせ「運─」○いのち「生─」○みち(道)○な、なづく(名)亡─は名籍を脫して逃亡する。○ことば「辭─」○はかる(計)○官服。○ 國 ミコト 古、貴人の名に添へし敬稱。
俗 殺人事件。
矯は、託、上たる者の命に託して言ふ。戰國齊策「──以債賜諸民」
いのちのもと、生命を保つ根元。華嚴經「如人護身先護──」
○まはりあはせ。李頻詩「江山非久適、──未終奇」=運命。○いのち。=壽命。
一世に秀でて名ある人。李陵、答蘇武書「賈誼·亞父之徒、皆信──之才、抱將相之具」
大豪傑をいふ。干寶、晉紀總論「非命世之雄、不能取之矣」
論理學の用語。主たる題目の斷定を言辭にて表示せしもの。
的 マト に正しくあたる。命ずる如くに中る。漢書、李陵傳「力扼虎、射──」
方は逆、王命に逆ふをいふ。書、堯典「方命圮族」
國 いのちの卒 ヲハ りし日の義、每月の其の日に當る日、又每年の當月當日を祥月 シヤウツキ ──といふ。
天より受けたる己の分に安んずる。鮑照文「盪然任性、樂道──」
生命は至りて重けれども、義の爲めにはすてて顧みず。後漢書、朱穆傳「情爲恩使、────」
一命を捨つることの極めて易きに喩ふ〔司馬遷、報任安書〕
人の壽命は天に在りて人力にて奈何ともすべからず。史、高祖紀「命乃在天、雖扁鵲何益」
○大夫の妃の稱〔儀禮、喪服〕 國 ○ ミヤウプ 五位敍爵の官女の稱。五位の妻を外──といふ。○內侍司の雜仕の女官。○稻荷の神の使といふ狐の稱。
古、士大夫の官等を一命より九命に分つ、其の位階相當の服。詩經「服其──、朱芾斯皇」
うんめい。蘇軾詩「窮人──薄」
いのち。玉緒 タマノヲ
人又は物に名を附ける。
いひつけ、さしづ。字解を見よ。
國 長生すれば、はぢをうくることも多しとの義。〔徒然草〕莊子「多男子則多畏、富則多事、壽則多辱、是三者非所以養德也」に本づく。
6畫
アイ [灰]
○かなし、かなしみ、かなしむ、憂ひ思ふ。○あはれ、あはれむ(閔·憐)韓愈、應科目時與人書「─其窮而運轉之」○いつくしむ(愛)○いたむ(傷·痛)○母のなき者「─子」
同訓異義
アハレム 哀·憐·憫·矜·恤の别は憐(心部十二畫)の條を見よ。○カナシム哀·悲の别は悲(心部八畫)の條を見よ。
かなしむ貌。詩、小雅「──父母、生我劬勞「
忌中に著るきもの。=喪服 モフク
かなしき音調。李白詩「垂羅霚縠揚──」
かなしみむせぶ。陸雲文「重惟痛恨、言增──」=哀哽。
哀詩に同じ。
かなしみてむせぶ。南史、晉熙王昶傳「因把姬手、南望慟哭、左右莫不──」=哀咽。
かなしみて泣きさけぶ。于石詩「──墮弓矰」
かなしみおどろく。魏志、注「臨時──、莫不傷痛」
父母の喪などにかなしみてやせ衰へたる形容。世說「王戎雖不備禮、而────」
かなしみなく。蔡邕文「嫠婦之──」=傷泣。
かなしみて詩歌を吟ずる。又其の詩歌。
かなしみあはれむ。ふびんに思ふ。論、子張「如得其情、則──而勿喜」=哀憐·哀憫。
なげきかなしみて切にねがふ。=哀請·歎願。
あはれみて目をかける。杜甫詩「上天囘──」
かなしみなく。=哀泣。
かなしみうらむ。溫嶠文「──自咎、五情摧隕」
かなしみなげく。孫楚詩「追慕先軌、感想──」
○母死して父のみ存する者の稱〔唐開元禮〕○父母の喪中に在る子。卒哭の後は孝子と稱す。
滅亡の時などのあはれなる歷史。又不幸なる身の上ばなし。
死者を傷む文。韻語を用ひて作る。=哀辭。
かなしくあはれなる事を咏じたる詩歌。=哀歌。
文體の名。文體明辨「按、──者、哀死之文也、故或稱文、夫哀之爲言依也、悲依於心、故曰哀、以辭遣哀、故謂之──也、昔漢班固初作梁氏──、後人因之」
管絃の聲の悲壯にして人を感動するをいふ。杜甫詩「酒肉如山又一時、初絃哀絲動豪竹」
哀絲はかなしき音を發する琴、激肉ははげしき歌聲、肉は人口より發する聲。黃景仁詩「────寫懷抱」
かなしむこころ。禮、樂記「其──感者、其聲噍以殺」
かなしみいたむ。=哀悼·哀痛。
かなしきこころ。漢武帝歌「歡樂極兮──多」
あはれみすくふ。吳志「乞降春天之潤、──其急」
かなしみて切に乞ふ。=哀乞·哀願。
天子初めて崩じ國中に布吿するの詔をいふ。
かなしみいたむ、戚は憂ふ。史、萬石君傳「其執喪──甚悼」=哀傷。
かなしみをしむ。人の死をいたむ。=哀悼。
かなしみうつたへる。杜甫詩「見人慘澹若──」
かなしみいたむ。蔡邕文「永懷──」=悲悼·哀惜·哀痛·哀傷。
哀悼に同じ。摯虞文「哀辭之體、以──爲主」
かなしみとぶらふ、くやみ。=哀悼。
あはれなる笛の音。薛道衡詩「寒夜──曲、霜天斷雁聲」
かなしみなげく。梁書「思慕不自堪、晝夜──」=哀哭。
かなしみあはれむ。=哀矜·哀憫·哀憐。
かなしみあはれむ。柳宗元文「伏乞──」=哀矜·哀憐。
かなしみしたふ。南史「父靈瑜居憂以毀卒、元琰時童孺、──盡禮」
かなしみなく。詩、小雅「鴻鴈于飛、──嗷嗷」=悲鳴。
死者をかなしみて、生前の功德をたたへる文詞。晉書、潘岳傳「辭藻絕麗、尤善爲──之文」
あはれみいつくしむ。史、刺客傳「棄所──之交」
①アイ·エ [佳]
②カイ [佳]
③ア·ワ [麻]
①へつらふこゑ(諂聲)○みだらなる聲(淫聲)○はく(吐)孟、滕文公「出而─之「
②ふさがる、氣が暢びず。
③小兒の聲。○みだりがはしき聲。
○わらふ貌。元包經「言唯唯、笑──」○小兒の聲。歐陽修詩「兒曹助噪聲──」
イ [支]
○喔─はしひてわらふ(强笑)つくりわらひ。○─唔は讀書の聲。
○小兒の語を學ぶ聲。蘇軾詩「小兒──語繡帳」○槳 カヂ のきしる聲。韓偓詩「應是石城艇子來、兩槳──過花塢」
○雞などの聲。林景熙賦「天雞──、斗轉河底」○へつらひて强ひて笑ふ。韓愈詩「正言免──」=喔咿。
車や舟の櫓などのきしる音。王芾詩「煙深──車聲響」
○蟲の鳴く貌。劉禹錫詩「樹槭槭兮蟲──」○物の鳴る聲。李賀詩「女垣素月角──」
○鹿の聲。歐陽修詩「──山鹿鳴」=呦呦。○ことばのはっきりせざる貌。韓愈詩「巴語相──」
言語の明かならざる貌。柳宗元詩「──九譯重」=咿嚘。
書を讀む聲。類書纂要「──讀書聲也、不聰慧者、口訥讀書故有此聲」=伊吾·唔咿。
①エン [先]
②イン [眞]
③エン [霰]
④エツ·エチ [屑]
①のど、のんど(喉)轉じて、要所、急所の義とす。
②──はつづみのふし。
③のむ。=嚥。
④ふさがる(塞)新序、雜事「雲霞充─、則奪日月之明」聲がむせびふさがる。漢書、隴頭歌「隴頭流水、鳴聲幽─」○むせび、むせぶ(噎)
のみ下す。=嚥下。
のんど。又、物の急所。戰國秦策「韓天下之──」
鼓の聲のかさなる貌。六書故「淵淵──、其聲不同、淵淵狀鼓聲多而遠、──聲近而疊、味其聲可以知其義」
①ガイ [隊]
②ガイ [灰]
①せき、しはぶき。=欬。
②赤子がわらふ=孩。
みどりご、二三歲の幼兒。嬰兒 ミドリゴ の初めて笑を知る者。史、扁鵲傅「曾不可以吿──之兒」=孩嬰。
せき。正字通「無痰有聲、謂之咳、無聲有痰、謂之嗽」三國志「便苦──、欲臥不安」
○せきと、つばきと。○轉じて長者の言語を敬ひていふ。漢書、宣元六王傳「大王誠賜──」
○せきつばが皆珠玉の如く尊ばる、權勢ある者を形容していふ。趙壹、刺世疾邪賦「勢家多所宜、咳唾自成珠」○詩文の才に富める形容。晉書「江淹謂郭鞏曰、咳唾成珠玉、吐氣作虹霓」李白詩「咳唾落九天、隨風生珠玉」
①カウ·ケウ [肴]
②ガウ [巧]
①──は鳥の聲。
②かむ=。齩。
鳥のさへづるこゑ。禰衡、鸚鵡賦「采采麗容、──好音」
野菜を食ふ。粗食する義。呂氏師友雜誌「汪信民嘗曰、人常咬得菜根、則百事可做」
かみこなす。又、文字を精細に玩味する。竹坡詩話「──三十年」
ガク [藥]
○おどろく(驚)愕と通ず。○つづみうつ。○つば。=鍔。○──は冠の高き貌。又直言して爭ふ貌。諤と通ず。
①ガブ·ゴフ [合]
②サフ [洽]
①魚の多き貌。○魚の口の動く貌。
②口を以て歃飮 ススリノム する。
カン [咸]
○みな(皆)ことごとく(悉)書、堯典「庶績─熙」あまねし(徧)○易の卦の名、艮下兌上。○うごく(感動)○おなじ(同)○すみやか(速)○はやし(疾)○やはらぐ(和)○とづ(閉)=緘。○ひつぎなは(棺束)
同訓異義
ミナ 咸·皆·僉·擧の别は皆(白部四畫)の條を見よ。
ことごとくよろし。詩、商頌「殷受命──、百祿是何」
朝鮮の東北部の地、寒氣嚴烈、土地豐饒なり、分ちて南北二道と爲す、南道の首邑を咸興といひ、北道の首邑を鏡城といふ。咸興は李氏の創業の地。
ことごとくやはらぐ。
ことごとくあつまる。宋史「百神──」
ことごとくやすらか。魏收文「風聲振赫、九域──」
○日の浴する天の池。楚辭「飮余馬於──兮、總余轡乎扶桑」○堯の時の音樂の名〔周禮、春官、大司樂〕=大咸。一說に黃帝の樂。○天の神。楚辭「屬天命而委之──」
みなやすし、寧は治なり、平なり。易經「萬國──」晉書、樂志「品物──、洪基永固」
秦の都。今の陜西省西安府咸陽縣の地。=渭城。
秦の都の咸陽の宮殿が楚の項羽に燒かれて三ケ月閒も火がきえざりしをいふ。曾鞏、虞美人草詩「鴻門玉斗紛如雪、十萬降兵夜流血、───────、霸業已隨煙燼滅」
君臣皆純一の德あるなり。書、咸有一德「惟尹躬曁湯、────。克享天心、受天明命」尹は伊尹、殷の湯王の臣。
①キ チツ [未]
②テツ [屑]
①大いにわらふ貌。○にこやか(莞爾)
②かむ(齧)易經「履虎尾、不─人亨」○くらふ。
①キウ·ク ク [尤]
②ク [遇]
①噢─は痛み念ひて發する聲、人病みてうなる聲。○なげく(歎)○かまびすし、かまびすしくす(讙)孟、滕文公「一齊人傅之、衆楚人─之」
②あたたむ、暖き氣にてぬくめる。=呴。
○いたみなく聲。高適詩「旅雁悲──」○呼吸する聲。蘇軾詩「草中──有寒兔」
クワ [麻]
○くちゆがむ、口もと正しからず。○和に通ず。淮南、說山「─氏之璧」
①ケン·クワン [阮]
②ケン·クワン [元]
①あきらか(著明)威儀容止の著しく目立つ貌。詩、衞風「赫兮─兮」(大學には喧に作る)○なく。○いたむ(痛)○おそる(懼)
②ゆるやか(迂緩)
コウ キヨウ [送]
○衆くの聲、ときの聲。○笑ひて大聲を出す。
たかわらひ。どよめき笑ふ。
どっと聲をあげて笑ふ貌。
一座の衆人、皆笑ふをいふ。因話錄「唐制、御史有臺院·殿院·察院、一人知雜事、名雜端、公堂會食、皆絕笑、左右不可忍、雜端笑、而三院皆笑、遂謂──」
①コウ [有]
②コウ [宥]
①厚く怒れる聲。
②はぢ(恥)そしり(詈)一に詬に作る。
サイ [灰]
○かな、感嘆の意を表はす助語。論、衞靈公「直─史魚」○や·か、疑問の意を表はす助語。韓愈、送高閑上人序「今閑之於草書、有旭之心─」反語の意を表はす助語。論、陽貨「吾豈匏瓜─」○はじむ(始)○はかる=材。
同訓異義
カナ 哉·夫○哉は、きっとと譯す、確斷之辭と註す、賢哉囘也は、誠に誠に賢きことであるかな、顏囘や、との義にて、咏嘆の意、夫·乎二字よりは更に重し、ヤと訓するときは、咏嘆して疑ふ義なり、何哉汝所レ謂達者の如し。○夫は有レ所レ指之辭也と註す、疑の意よりは、咏嘆の方重し、略~乎に同じ、三年之喪、亦已久矣夫、また子之力也夫の如し。
陰曆の月の十六日なり、月が始めて魄を生ずる義。魄は月の輪郭の光なき處。書、康誥「惟三月───」
始めて月が光明を生ずる義。卽ち陰曆の月の三日をいふ。書、武成「厥四月───」
シ [支]
○はかる(謀)事を謀る。○とふ(問)=諮。○なげく、なげき(嗟)○あ、ああ(嘆聲)○これ(此)ここに(玆)
ためいきをつきてなげく。孔叢子「駑驥同轅、伯樂爲之──」=咨歎。
嘆息の貌。韓愈文「父母不蹙蹙、妻子不──」
とひはかる。詩、小雅、皇皇者華「載馳載驅、周爰──」=咨訪。
とひはかろ。詩、小雅「載馳載驅、周爰──」=咨諏。
なげく。唐書、陽惠元傳「帝──不已、璽書慰勞」
とひはかる。吳志「每有大事、必相──」
深く感心してほめる。唐書、李延壽傳「高宗觀之、──直筆、賜其家帛五十段」
同級の官廳閒にて用ふる公文。
シ [紙]
○尺度の名、周尺の八寸。國語「肅愼氏貢楛矢石砮、其長尺有─」○轉じて、短く又、近き義とす。「─尺之書」○ 國 た、手の義、手一ぱいの長さ「八─鏡」
○咫は八寸、尺は十寸。距離の近きにいふ。左、僖、九「天威不違顏──」○簡單、又、短き義。史、淮陰侯傳「發一乘之使、奉──之書」
狹小の地。史、蘇秦傳一舜無────以有天下」
シ [紙]
ねぶる。=舐。
シ シヤ タ [紙]
○口を張る。○おほし(衆)○大いなり、寬大なる貌。○よこしま(邪)
ジ [寘]
○くちさき(口吻)○くちもと(口旁)口と耳との閒。
シン [軫]
○わらひ、わらふ(笑)○ほほえむ(微笑)論、先進「夫子─之」一解に大いに笑ふ。○あざわらふ、そしり笑ふ(嘲笑)
あざわらふ。戴表元詩「童奴──妻子罵」
笑(竹部四畫)の古字、省して、关に作る。
○わらふ。○ 國 さく、花開く。
タ [禡]
○したうちする。=吒。○驚き異 アヤシ む。○ほこる、詫に通ず。○はく(噴)○しかる(叱怒)怒りて聲を發する。漢書、王吉傳「口倦乎叱─」
したうちしてしかる。後漢書、仲長統傳「鞭笞──」=叱咤。
したうちして食ふ。口舌中にて聲を爲す。曲禮「毋──」=吒食。
タウ テウ [豪]
○なく(泣)哭く聲。易、同人「先號─而後笑」○さけぶ(叫)
チウ シユ [宥]
○くちばし(喙)鳥の口。○星の名。=柳。
ビ [紙]
○羊の鳴く聲。○メ─トル、佛蘭西の尺度の名にあてて用ふ、我が曲尺の三尺三寸。=米突。
ヒン ホン [寢]
○しな(物件)○もろもろ(衆庶)もろもろの物。○のり、のっとる(法式·法度)○たち、性質「─質」○たぐひ(類)くらゐ(位)官位の次第。周語「外官不過九─」○しなさだめする「─評」○わかち、區別、等級、秩序。書、舜典「五─不遜」○おなじ、おなじくす(同)○ひとし、ひとしくす(齊)○はかる(量)○ 國 ホン 親王に賜る位、一─より四─まであり。
しながら、ねうち。唐書「其──旣崇、不欲輕以授人=品格。
しなによりて類别する。たぐひ。韓愈文「非常鱗凡介之──匹儔也」=品類·種類。
おこなひ、行狀「──方正」
しながら。ねうち。桂海香志「橄欖香──在黃連楓香之上」=品位。
區别を立ててしらべる。後漢書「──公卿」
人物の高下をめききして定める。=藻鑑。
官位の等級。
畫を評する。倪瓚詩「──評詩也自佳」
しなさだめする。漢書、揚雄傳「稱述──」=品評。
文法上、意義又は形式上より分類したる詞の種類「八──」
品の字の形の如く三方に竝び坐する。葛長庚詩「佳友───」=鼎坐。
しなさだめ、隲は定むる。=品評。
もろもろの民衆。後漢書「──以陛下爲父」
しな、等差。後漢書、何敞傳「明君賜賚、宜有──」
ひとがら。=品質·人品。
階級を立てて制限する、節は等差。
しなさだめして次第する。鄭元祐詩「畫院森森嚴──」
鑒定 メキキ をする、品評する。人物の高下を評隲する。李白、與韓荊州書「今天下以君侯爲文章之司命、人物之權衡、一經──、便作佳士」
おもむき。人品。
くらゐと、ふちと、爵位と俸給と。南史、豫章王綜傳「復其──」=祿位。
のり、法則。=法度。
しなのよしあしの次第。物の等差。
しなさだめする。=批評·品隲·品藻。
○萬づの物體。易、乾卦「──流形」=萬物。○しなもの。=物品。
○物のとなへ、なまへ。=題目。○しなさだめする。魏志、何晏傳、注「常爲名士──」
たぐひ、種類。もろもろの物。王羲之文「仰觀宇宙之大、俯察──之盛」=品彙。
等級のさだめ。書經「問九德──」
國 昔、親王·內親王に賜ひし田。品は位。
國 昔、親王·內親王の階級によりて賜はりし封戶。
國 商品などの賣切れたる義。
①ラク [藥]
②カク [藥]
①いひあらそふ(訟言)=詻。
②雉 キジ のこゑ。○ 國 はく(吐)喀血の喀の字の誤用。
7畫
①アイ [灰]
②キ [支]
①こたふる聲(譍)莊、知北遊「狂屈曰、─吾知之」○驚き問ふ。管、桓公問「禹立諫鼓於朝而備訊─」
②ああ、惡むことば。史、項羽紀「─豎子不足與謀」=誒。○なげきて發することば。
アフ イフ [合]
省して邑に作る
○なげく(嘆息)○むせぶ(嗚咽)○しゃくりなき(歔欷)○嗚─は氣短し。
エン [先]
──は讒言の急なる貌〔後漢書、梁鴻傳〕
①ヱン [先]
②ウン [文]
③ヰン [眞]
通音ヰン
①かず(數)物の數、人の數、轉じて人の義とす「醫─」「職─」○しばしば(屢)○まはり、めぐり(周)「幅─」○まろし。=圓。
②ます(益)○無意味の助語、云に通ず。
③人名。伍─は戰國吳の人。
郞の定員外の官。後世は郞中の下、主事の上に位す。
もののかず。
其の數の中に加へる、員は數。史、平原君傳「毛遂曰、願君卽以遂──而行矣」
しばしば。素問「頭痛──」
一圓の銀貨。員は圓。
海中の仙山、列子「渤海之東有大壑焉、其中有五山、一曰岱輿、二曰──、三曰方壺、四曰瀛洲、五曰蓬萊、仙聖之所往來」
まるき石。孫子「善戰人之勢、如轉──於千仞之山者勢也」=圓石。
苔の異名。古今注「苔、或紫、或靑、一名──、一名綠錢、一名綠蘚」
カ [歌]
歌の古字
○ウた。漢書、藝文志「─永言」うたふ。○こゑ(聲)○あに(兄)酉陽雜俎「帝呼寧王爲大─」
古の陶器の名、窯は陶器を燒くかま。王世貞、宛委餘編「宋時處州張生兄弟皆作窯(中略)──卽謂其兄所作者」格古要論「舊──色靑、濃淡不一、亦有鐵足紫口者、今亦少有」
○ 俗 兄の義。あにき、他人を呼ぶ敬稱。=大哥·阿哥。○古は子が父を稱するにもいふ。
カ カ [哿]
①よし(可)詩、小雅「─矣富人、哀此惸獨」○めでたし(嘉)
②婦人の首のかざりもの、珈に借り用ふ。
ガ [歌]
○うたふ(歌)」吟─」韓愈文「日─其閒」○うなる(吟)
カウ キャウ [梗]
○むせぶ(咽)○ふさがる(塞)悲みて聲がつまる。莊、外物「壅則─」=梗。
淚にむせぶ。古詩、焦仲卿妻詩「──不能語」
ふさがる〔莊、外物〕
かなしみてむせびむすぼる。陸機文「悲慙──」
むせびなきしてうらむ。南史「奄然便歇、帝尤──」
○かなしみて胸ふさがる。北史「──涕泗交流」○道路がふさがる。秦觀文「道途──」=梗塞。
カウ ケウ [肴]
○ほゆ(吼)○さけぶ(叫)○猛獸が怒りほえる。「咆─」「─虎」=虓。
いかりほえる。李白文「喑嗚──、風旋電往」=虓鬫。
さけびほゆ。博物志「師子──奮起」
たけりてかみつく、轉じて賊軍の兵威の猛烈なるにいふ語。唐書「──無前」
病名、肺の內に痰 タン を生じ、呼吸促迫し、其の氣息遠く聞え、目張り皮膚蒼白、時に冷汗あり。
ほゆ。劉楨文「晝藏宵行、俯仰──」=咆哮·哮吼。
①カン [覃]
②カン [勘]
○くちあく、口を開く。○ふくむ、含の俗字。漢書、王襃傳「羹藜─糗」○死者の口にふくます玉。=琀·含。○玉をふくむ。
①キ [尾]
②キ [微]
③キ [寘]
①わらふ(笑)○かなしむ(哀)哀みて泣かざるにいふ。○いたむ(痛)
②なげく、なげく聲。史、十二諸侯年表「紂爲象箸、而箕子─」=欷。○おそる(懼)
③わらふ。○なく(啼)○痛む聲。
ゲン [阮]
とむらふ、災にかかり、又は俘虜となりし者を弔ふ。弔は死者をとむらひ、─は生者を弔ふ。詩、鄘風「歸─衞侯」慰問する「─勞」
ゴ []
吾(口部四畫)に同じ。
─咿は讀書の聲。書言故事「南牕讀書聲──、北牕見月歌竹枝」=吾伊·伊吾。正字通「伊吾、吟哦聲、亦作咿唔」
コク [屋]
○なく(泣)大聲に泣くをーといひ、細聲にて涕 ナミダ あるを泣といふ。「痛─」「號─」禮、檀弓「歌于斯、─于斯」○人の死を悲みて泣きさけぶ禮。
同訓異義
ナク 哭·鳴·啼·嗁·泣·囀·哢の別は鳴(鳥部三畫)の條を見よ。
岐(山部四畫)の條を見よ。
なきさけぶ。禮記「父死不得與于──之哀」
かなしみなくこゑ。
大聲にて泣きなげく。魏書「賈誼──、谷永切諫」
かりもがりをとむらひてなく。禮記「大夫士、──則杖」
衆人がかなしみて泣く。漢書、文帝紀「帝崩遺詔曰、無發民──宮廟中」注「衆哭曰臨」
サ [歌]
そそのかす、誘ひて事を爲さしむる「敎─」
シン [眞]
俗に脣クチビルの字に通用する。
おどろく(驚)
シヨク ソク [沃]
─訾は言を以て媚を求める〔楚辭、卜居〕
①セウ [蕭]
②サウ·セウ [效]
①ちひさし(小)又、壺の口が歪 ユガ む。○──はことばおほし(多言)
②みはり(番兵)ものみ(斥候)轉じて盜賊に備ふる番所「營─」
みはりの戰船、敵艦の動靜を探偵する軍艦。=哨船。
ことば多き貌。揚子法言「禮義──、聖人不取也」
盜賊を防ぐ爲めに巡行する船。正字通「艄、音哨、今俗呼兵卒偵巡者、曰──」
みはりの兵。戰時──を配置せし範圍の外界を──線といふ。
タウ [陽]
○ほら(大言)莊、天下「荒─之言」○ひろし。○むなし(空)○ねなしごと(妄言)○廟中の路、堂下より門に至る徑 コミチ ○どて、つつみ。周語「陂─汚痺、以鍾其美」=塘。○うしなふ(失)○ねなしかづら。ひかげのかづら。詩、鄘風「爰采─矣」○王朝の名、高祖李淵、隋の禪を受け、國を─と名づく。=李唐。○五代の唐の莊宗李存勖、後梁に繼ぎて帝と稱し國を─と名づく。=後唐。○帝堯は陶─氏と稱す。○ 國 から、もろこし、支那をいふ。
字音の一種。唐代の字音。行在の行 アン 普請の請 シン の類。
宋の范祖禹撰す、唐の高祖より昭宣に及ぶまでの史事の大綱を摘み、繫くるに論斷を以てす、初め十二卷、呂祖謙之に註し、分ちて二十四卷とす。
○弓の力の强弱の中を得たる者〔考工記〕○ 國 ゆみの一種。上下のみ曲りて眞中のまっすぐなるもの。
次條を見よ。論、泰伯「──之際於斯爲盛」
唐は帝堯陶唐氏、虞は帝舜有虞氏、仁德あまねくゆきわたり、敎化大いに行はれし治世。晉書「陛下以聖明之德、方隆────」
むろざきの花、時ならざる花。王士禎詩「試燈風裏見──」
古の聖皇、帝嚳の子、陶に封ぜられ、又唐に封ぜらる、故に天下を有つの號を陶唐氏といふ。
唐土に同じ。
國 布の一種、舶來の棧畱縞 サントメジマ の義、棧畱は原產地たる前印度の地名の訛、
國 支那製の紙、長さ五尺幅三尺ばかり主に書畫をかくに用ふ。
むなしきみせ。唐は壁のなき屋、肆は馬をあきなふ地。莊子「是求馬於──也」=空肆。
唐時代の人の作りし詩。李白·杜甫の詩の類。
七卷、明李攀龍(字は于鱗)の編と稱すれども、實は賈人の僞託に出づ、古詩·律·排律·絕句等に分ちて唐代百二十六人の詩を輯む。
國 ○支那人。もろこしびと。○外國人。=異人。
新舊兩書あり。舊唐書は、石晉の劉?等の撰、二百卷。新唐書は宋の歐陽修·宋祁二人の撰、二百二十五卷、兩書竝に二十四史中に列す。
唐·宋の二代の八人の大文章家、明初の朱右に始まる、唐は韓愈(字は退之、號は昌黎)柳宗元(字は子厚、號は柳州)の二人。宋は·歐陽修(字は永叔、號は六一)蘇洵(字は明允、號は老泉)蘇軾(洵の子、字は子瞻、號は東坡)蘇轍(軾の弟、字は子由、號は潁濱)曾鞏(字は子固、號は南豐)王安石(字は介甫、號は半山)の六人。=唐宋八家。
三十卷、淸の沈德潛撰す、唐宋二代の古文家八人の文を集め每篇評點を加へ、初學文を學ぶ者の軌範とす、八家の名は前條を見よ。
ひろき貌〔道德指歸論〕=浩浩。
つつみ。呂覽「──以壅水」=塘堤。
李の一種、郁李 アマナシ なり。詩、召南「何彼穠矣、──之華」
國 舶來の天鵞絨 ビロ丨ド
國 から、もろこし、支那。=唐山·漢土。
○觸れ犯す、つきあたる。晉書、周顗傳「何乃刻畫無鹽、──西施也」=抵觸。○だしぬけ。後漢書、桓帝紀「所──壓溺物故」=卒爾。
唐代、藝能に卓絕せる三人。李白の詩賦·裴旻の劍舞·張旭の草書。
國 支那製の筆。
國 諸外國より舶來せし品物、舶來の雜貨「──店」
一百卷、宋の姚鉉撰す。古賦·詩·頌·贊·表奏書疏·文·論·議·古文·碑·銘·記·箴誡名·書·序·傳銘紀事の十六類に分つ、去取謹嚴、總集中の善本とす。
國 多くは熱帶地方に產し、支那を經て、本邦に渡來せし林木。紫檀·黑檀など。
國 支那製の墨。
國 支那より舶來せし書物。和本·洋本の對。
ねなしかづら〔爾雅〕=女蘿·菟絲。
三十卷、唐の玄宗御撰、李林甫勅を奉じて註す、六典とは三師·三公·三省·九寺·五監·十二衞をいふ。唐代の官制を詳敍して周禮に擬す。
銅七分、鉛三分より成れる合成金。=靑銅·紫銅。
前條に同じ。
國 藻の形の模樣の名、織物·彫刻·陶器などに用ふ。
國 脚のある、支那風の長持。古、物を入れ荷ひ步くに用ふ。
國 ○書體の一、支那人の書風に似たる書體。御家流 オイヘリウ 定家流等を和様 ワヤウ といふの對。○草書と區别して隷書 レイシヨ 篆書 テンシヨ の稱。○すべて支那風の義。
タツ [?]
○嘲─は鳥鳴く。○啁─は鳥の聲の繁く細かなる貌。楚辭、九辯「鵾雞啁─而悲鳴」
テツ [屑]
○あきらか(明)事理に明か。○さとし(敏)○しる(知)○ものしり、賢人、知者。
宇宙閒の根本原理·原則を硏究する學問。形而上學。
すぐれたる士、彥は男子の美稱。蔡邕、誄辭「配彼──、旣隆且昌」
俗 人のあとつぎの美稱。=令嗣。
道理に明らかなる人。詩、大雅、抑「其維──、吿之語言」=哲士。
事理に明かなる大臣。王維詩「謀猷歸──」
○才德の全きひじり。○すぐれたる天子。蔡邕、太尉橋公碑「翼我──」
すぐれて賢き男。次條參看。
さときをんな。詩、大雅、「哲夫成城──傾城」
さかしきはは。陸機文「依依──、旣明且慈」=賢母。
才德すぐれる。宋書「藩王──、四維寧謐」
哲學上の道理。
賢明なるきみ、明哲の君主。詩經「世有──」
バイ [卦]
○佛の功德をほめたたへる歌、頌·讚美歌の類、又、其のうたを唱へる。唐書、王縉傳「王縉佐代宗、作內道場、晝夜梵─」○ 國 うた、俗謠「端─」「長─」
讀經 ドキヤウ の聲。姚廣詩「松關掩──」
佛の功德 クドク をほめたたへる歌。寺塔記「──未畢、滿地現舍利」=梵唄·梵唱。
木の名、僧徒其の葉を用ひて經文を寫す。=貝葉·貝多羅。
ホ [遇]
○口中にふくむ食物。史、魯世家「一飯三吐─」○はぐくむ(育)○やしなふ。食物を他の口中へ入れる。○くらふ、くらはす(食)○かむ(咀嚼)○あぢはふ。
字解、又吐(口部三畫)の條を見よ。
天下の泰平なるを樂むにいふ、哺は口中にある食物。莊、馬蹄「赫胥氏之時、民居不知所爲、行不知所之、含哺而熙、鼔腹而遊」
○ちちをのます。潛夫論「──多則生癇病、富貴盛而致驕疾」=乳哺。○──動物は母の乳を飮みて生育する動物。人及獸類の如き高等の胎生動物。
ボツ [月]
○─囉は軍中の吹器、らっぱの類〔戚繼光、新書〕
ラウ ロウ [豪]
ことばわからず。
言語の解せられざる貌。穆修、殘春病酲詩「風簾窣窣燕──」
リ [寘]
○語の餘聲。○元代、詞曲の助語。 國 ○わい、意味を强むる爲めに語尾に添へる。○まいる。英國の里程、我が十四町四十三閒一尺三寸餘。
①リヤウ [漾]
②テウ·ロウ [陽]
①嗟─は啼き極りて聲なし、或は喨に作る。
②小兒啼きて止まず。
ロウ [送]
○鳥がうたふ(鳥吟)○さへづる(囀)
强ひてわらふ。=乾笑。
鳥がさへづる。左思、蜀都賦「雲飛水宿──淸渠」
8畫
①ア [馬]
②アク [陌]
③ア [麻]
④ア [禡]
①おし、おふし。史、剌客傳「吞炭爲─」=瘂·瘖。
②わらふ(笑)わらふ聲、笑ふ貌。
③─嘔はかたこと。小兒、語を學ぶこゑ。
④ああ、驚きて發する聲。韓非、難「─是非君人者之言也」○烏などの聲。淮南、原道「烏之──」
しゃくりなき。元稹詩「啼兒屢──、勌童時寢興」
○小兒のことば。集韻「──、小兒學言也」○艣の聲。曾幾詩「竹輿響肩艣──」
○笑ひ語る聲。易、震卦「笑言──」○ アア 烏などの鳴く聲。淮南、原道「烏之──、鵲之唶唶」○小兒の語ることば。蘇軾詩「小兒──語繡帳」=啞嘔。
笑ふ貌。揚子法言「──笑曰、須以發策決科」
おし。續雜纂「──做手勢」
おしの學生。
あきれて口もきき得ざる貌。
○人の聲のさわがしき貌。人語嘈雜。范成大詩「──滿船聞魯語」○鳥などのやさしき聲。歐陽修詩「黃鸝顏色已可愛、舌端──如嬌嬰」
體操用具の一、中央くびれて兩端球狀をなせる一對の木製品、音のせざる鈴の義。
アン [感]
○ふくむ(含)○手にて食を進む。○梵呪に用ふる發聲の詞。
①ヰ [紙]
②ヰ [支]
③スヰ [支]
一音ユヰ
①うけこたへ、いらへ、恭しくうけこたへすることば、はい。禮、曲禮「父召無諾、先生召無諾、─而起」
②ただ、ひとり(獨)惟·維に通ず。易、乾卦「其─聖人乎」
③誰に同じ。
同訓異義
タダ 唯·惟·只·止·但·徒·第·啻·翅·直·徑○唯は惟に通ず、こればかりと譯し、專なる辭、又、獨也と註す。大學「惟善以爲レ寶」易「其唯聖人乎」とある如し。○只は唯と略~同じくして、意輕し「此文一出名レ世、只一字未レ安」の如し。○止は只と同じ、つづまり、これに止まるといふ義なり。世說「今夕止可レ談二風月、一不レ宜レ及二公事一」○但は俗にただしと訓む、それはさうなれども、ただしこれはかうと、他を置きて、一っを取る意にて、唯の字の義と異なれり。世說に「入二我室一者但有二淸風、一對二我飮一者、唯當二風月一」とあり、上の句は、我が室には風塵の俗客共は、一切訪ひ來らず、ただ淸風の、音づるるあるのみとの意にて、但の字を用ひ、下の句は我が酒伴は、獨り風月のみなりとの意にて、唯の字を用ひたるなり。○徒は空也と註す、むだにと譯す。史記「家居徒四壁立」徒善·徒法などと熟するにても辨へ知るべし。○第は、なにかなしに、ただかくせよといふ意なり「君第重射、臣能令二君勝一」「陛下第遊二雲夢一」などとある如し。○啻·翅の二字は同じ、不の字か、何の字か、豈·奚等の字の下に置きて、反語となる。○直は、ただちに、ずっとと譯す、他に思ひ?すことなく、まっすぐにといふ意あり、但に近し。孟子「直不二百步一耳、是亦走也」○徑は、ただちにと訓む、てみぢかと譯す、ちかみちの義より轉用す「徑往而卷二蜀漢、一定二三秦一」の如し。
○はいはい、丁寧に返事する。戰國秦策「范睢曰──」○他人の意におもねり順ふ貌。史、趙世家「諸大夫朝、徒聞──、不聞周舍之諤諤」○魚の相隨ひ行く貌。詩、齊風「敝笱在梁、其魚──」
ふたつへんじ一も二もなくうなづく、おもねりつつしみてはいはいと從ふ。
はいはいと應ずる聲。唯は速かにして恭しく、諾は緩かにして慢かなり。曲禮「必愼──」
ただひとつ。無二。
上帝を唯一の實在とする敎義。=一神敎。
國 神道の一派、純粹なる我國の神道、儒佛の敎をまじへざるもの。兩部神道などの對。後土御門帝の時、京都吉田の祠官ト部兼俱に始まる。
佛 天地の閒に於てただ我獨り尊し。傳燈錄「釋迦牟尼佛初生、一手指天、一手指地、周行七步、目顧四方曰、天上天下、────」
哲學にて心を離れて物質なく、天地閒のすべての現象は、唯心の發現なりとの論。唯物論の對。
哲學にて、物質を以て終局の實在とし、精神上のすべての現象も皆物質の作用に外ならずとの說。唯心論の對。
唯心論に同じ。
①カ [禡]
②カウ [肴]
③カウ [豪]
①虎の聲。
②ほゆ、猛獸が吼える。=虓·哮。
③よぶ(呼)=號。
ガイ [佳]
○かみあふ、狗が齧まんと欲する。=?。○ 國 いがみ、言ひ爭ふ「─合」
①キン [侵]
②ギン [侵]
①どもる(吃)口いそがし。○口をとづ、聲を出さず。
②うたふ、吟(口部四畫)の古字。
ケイ [霽]
○ひらく、あける(開)論、泰伯「─予足、─予手」○をしふ(敎)○てびき、みちびく(導)知能をひらき導く。○ひざまづく(跽)詩、小雅「不遑─處」啓は跪、處は居。○さきばらひする、出發する「─行」軍の前を─といひ、後を殿といふ。○まうす、文書にて事を陳述する、又其の上書、手翰。○星の名、あけのみゃうじゃう。○立春·立夏の時候。左、僖五「分至─閉」
同訓異義
ヒラク 啓·開·闢·辟·發·闡·拓·披·排·拆の别は開(門部四畫)の條を見よ。
みちびきたすける、啓發輔導する。書經「──我後人、咸以正罔缺」
たびだちする。詩、大雅、公劉「弓矢斯張、干戈戚揚、爰方──」
佛 ほこらのとびらをひらく。睽車志「人輸百錢、乃爲──」=開帳。
家にひざまつきて安坐する。詩、小雅「王事多難、不遑──」=啓處。
ひらきしめす、うちあけて示す。
上に事を啓する書面。晉書、山濤傳「濤爲吏部尙書、凡用人行政、皆先密啓、然後公奏、擧無失才、時稱山公──」
まうし上げる、書簡文の用語。=啓白。
家にやすらかにひざまつきて居る。詩、小雅、四牡「王事靡盬、不遑──」
陛下に申し上げる。皇后には啓といひ、天子には奏といふ。
二十四氣の一、冬ごもりの蟲がうごきいづる義。三月五日頃。
をしへみちびく。書、太甲「旁求俊彥、──後人」
事を申しあげる、陳べ說く、白も亦まうす。=啓上。
あけの明星。よあけに東方に見ゆる金星の一名。詩、小雅「東有──」=大白星。
蒙昧を啓發す。童蒙 チヱクラキワランベ ををしへ導く。朱子に「易學──」の著あり。=訓蒙。
意を開き辭を達する。智識をひらく。論、述而「子曰、不憤不啓、不悱不發」憤は、心通ぜんことを求めて未だ得ざる意、悱は、口言はんと欲して未だ能はざる貌、啓は其の意を開くを言ひ、發は其の辭を達するを言ふ。
啓は立春、立夏、閉は立秋、立冬。左、僖、五「分至──」
我が心を開きて、君王の心につぎこむ。書、說命「啓乃心、沃朕心」
軍のひだりがはのそなへ。=左陣·左翼隊。
ゴ [遇]
○さかふ(逆)=忤。○あひふる(相觸)○あふ(逢)
①サイ [隊]
②サイ [卦]
①おどろく(驚)○よぶ(嘑)○なむ(嘗)
②くらふ(啗)
①サク·ジャク [陌]
②シャ [禡]
①さけぶ(大聲)口かず多し。史、信陵君傳「晉鄙嚄─宿將」○歎くこゑ。○鳥の聲。
②なげく、又なげく聲。後漢書、光武紀「─曰氣佳哉」
鳥の鳴く聲。爾雅「鵲鳴──」
①サフ·セフ [洽]
②サフ·セフ [合]
①─喋は水鳥が魚を食ふ貌。
②すする(啜)史、呂后紀「始與高帝─血盟」
②サフ [合]
②サフ [洽]
①くらふ(啖)楚辭、九辯「鳧雁皆─夫梁藻兮」
②─喋は水鳥が食物をすすりくらふ。
ついばみくらふ。上林賦「──菁藻、咀嚼菱藕」
①ジ [支]
②アイ [佳]
①へつらふ(諛)おもねる(阿)曲げて從ふ貌。○かまびすし(多言)○嚅─はしひてわらふ(强笑)楚辭、ト居「喔咿嚅─」
②かたこと(片言)○─嘔 アイオウ は小兒のかたこと。荀、富國「拊循之、─嘔之」
シウ シウ [宥]
○うる(賣)賣りて手を去る、賣り出す。○あきなふ(商)○かはれる(買)○もとめられる(求)○行はる、用ひられる。
同訓異義
ウル 售·賣·沽·賈·糶の别は賣(貝部八畫)の條を見よ。
シャウ [陽]
啇と異り
○あきなひ、あきなふ(賣買)あきうど「行─」○あき(秋)秋の風。梁元帝纂要「秋曰素─」○はかる(度量)漢書、趙充國傳「虜必─軍進退」あきらかにす(章)○つよし(强)○つね(常)○はる(張)○くだる(降)○五音の一、金に屬する音、淸くさえて悲を含む音。禮、月令「孟秋之月、其音─」○星の名。=心宿。○王朝の名、一に殷といふ、成湯、夏に代りて天下を有ちし號。○除法にて割りて得たる數。
戰國衞の人少くして刑名の學を好む、秦の孝公を相けて法令を變改し、井田を廢し、阡陌を開き賦稅の法を改む、商に封ぜられて商君と號す、孝公卒して殺さる。
うぐひすの異名。=倉庚·黃鶯。
商店の牌號「伊勢屋」「武藏屋」「何何洋行」などの類。
はかりさだめる、搉は引なり、引き比べて考へさだむ。北史、崔孝芬傳「──古今、閒以嘲謔、聽者忘疲」
覆亡の先例は遠く古代に求めずとも目前に在りとの義〔胡銓、上高宗封事〕=殷鑑。詩、大雅、蕩「殷鑑不遠、在夏后之世」
互に相談して謀る。水滸傳第三囘「眞長老與首座──」
あきなひのありさま。商賣の景氣。
むかでに似たる小蟲の名。やすで、あまびこ。=馬陸·馬蚿。
商鞅を見よ。
大學の分科の一、銀行·保險·外國貿易·頒事·稅關倉庫·交通等の科目に分つ。
商業上の組合。=商社。
商家の大いなるもの、おもに開港場に於ける外國人の商店をいふ。
あきなひのわざ。=商法。
あきうど。估は賈〔北史、邢巒傳〕
あきうど。商は行商、賈は店に居てあきなひす。周禮、天官、大宰、注「行曰商、處曰賈」
あきんどと職人と、又商業と工業と。
貿易の商船の集るみなと。軍港·要港等の對。=商埠。
山の名、陜西省商縣の東に在り、四皓が秦の亂を避けて隱れし處。=商坂·商嶺。
漢の高祖の時商山に隱れし四人の老人。東園公·夏黃公·?里先生·綺里季。四人皆鬚眉皆白し、故に皓といふ。
あき。=金天。
商法にて規定せる合名·合資·株式·株式合資の四種類の會社。
商會に同じ。
商業の稅。夢溪筆談「慶曆中議弛茶鹽之禁、及減──」
あきなひぶね。晉書、陶侃傳「侃爲武昌太守、時山夷多斷江劫掠、侃令諸將詐作──以誘之、劫果至生獲數人斬之、自是水陸肅淸」=商舶。
俗 商業上のかけひき。戰爭に喩へていふ。
はかる、きりもりする。=商量。
みせ、商品を賣る所。=商鋪。
俗 商會、又、會社の重役。
あきうど。左、僖、三三「鄭──弦高將巿于周」=商估。
あきうどの妻。張潮詩「那作───、愁水復愁風」白居易、琵琶行「老大嫁作───」
商業用のおほぶね。鄭俠詩「大矛──滿汀洲」=商船。
かんばん。牌は札。=招牌。
あきなひ、うりかひのわざ。商法·商業。
○あきなひ、商賣の道。=商業。○六法の一、商業上に關して特に規定せし法律。
あきなふ、販はふりうり。酉陽雜俎「不識佛法、不尙──」
商人が賣買する物品。
俗 外國と通商の港。開港場をいふ。
あきかぜ。五音の商を秋に配する故。梁元帝纂要「秋風曰──·素風·激風·高風」=金風。
他人の製品と區别せんがため、特别に用ふる目印「登錄──」
あきかぜ、飆は大風。梁簡文帝詩「景落──靜」=商風·秋風。
あきなひみせ。=商店。
大雨水災のまへじらせ。家語、辯政「齊有一足之鳥、(中略)子曰、此鳥名曰商羊、水祥也(中略)且謠曰、天將大雨、────」
殷の紂王の時の賢人、紂の貶する所と爲る、武王殷に克ちて其の閭に表す。
多年生草の一、やまごばう、根を利水劑とす。
善き程に計らふ。易、兌卦─注「商、──、制裁之謂也=商度 シヤウタク
○はかりごと。蜀志「楊戲──、意在不羣」=計略。○ 俗 商業のかけひき。
たびあきうど。易、復卦「──不行」
シャウ [漾]
一に倡に作る
○となふ、うたふ(歌)吟ずる、歌ひはじめる(發歌)○みちびく(導)てびきする。○先だちて事を爲す、いざなふ(誘)
○うたをうたふ。樂府雜錄「後立──」○小學校にて授くる音樂の學科、又、其の歌。
人に先だちて正しき道をとなへる。後漢書、李通傳「通布衣──、助成大業」
ぅたをぅたふ。蘇米談史「蘇軾自言、有三不如人、不能飮酒著棊──也」=唱歌。
詩文を互にやりとりする、唱はやる、酬はこたへる。李中詩「俗必期康濟、詩誰互──」
さきだちてとなへる。
○ 佛 佛を念じて。南無阿彌陀佛 ナムアミダブツ などの名號をとなへる。=念佛。○ シヤウメイ 姓名を點呼する時に其の聲高く遠きに聞ゆるをいふ。=臚唱。
○彼となへ、此こたふ。互に調子を合せる。○他人の詩に和韻する。詩を互に贈答する。張籍詩「醉後齊吟──詩」
タ ダ [箇]
○つば(口液)○つばきす、つばを吐く。曲禮「讓食不─」○叱りて拒む義「─罵」○にくみて棄てる「─棄」
つばき。=口液·口津。
つばきを入るるつぼ。=唾壺。
つばをはきすつる如く、棄てて顧みず。李商隱詩「──如糞丸」
つばきを入るるつぼ、たんつぼ。世說、豪爽「以如意打──壺口盡缺」──擊碎は慷慨悲憤の狀をいふ。
勇みて著手する義。後漢書、注「我謂──而決」=唾手。
手につばきす、勇みて著手する義。又事の容易なる義。後漢書、公孫瓚傳、注「始天下兵起、我謂──可決」
唾液を分泌する腺、左右の耳下腺·顎下腺·舌下腺より成る。=唾液腺。
つばきを吐きかけてののしる、甚だしく忌みてそしる。陸游文「正人所──也」
人の面につばきをかける、甚だしく辱かしめる義。戰國策「老婦必唾其面」
①タウ·テウ [肴]
②タウ [豪]
③チウ [尤]
①─哳 タウダツ は鳥鳴く。○あざける、たはむる「詼─」嘲·謿に通ず。
②かまびすし。
③─噍 チウセウ は鳥鳴く、又、其の聲。
かまびすし。貢奎詩「祈賽聲──」
鳴く、又其の聲。柳宗元詩「──有餘樂」
蟲のしげく鳴く貌。虞集詩「蛩蜩絕──」
鳥の羣り鳴く聲。禮、三年問「小者至于燕雀、猶有──之頃焉」=啁哳。
①タク [覺]
②タウ [效]
①かまびすし(衆口)○つひばむ、啄と通ず。杜甫詩「雀─江頭黃柳花」
②──は鳥の聲。
①タン [感]
②タン [勘]
①くらふ(食)=噉·啗·餤。○くらはす、利を以て誘ふ。
②かむ(噍)○あはし、あはきもの。史、叔孫通傳「攻苦食─」=淡。
同訓異義
クラフ 啖·食·喫·吃·噉等の别は食(部首九畫)の條を見よ。
かみくらふ。韓愈、雜詩「與汝恣──」
むさぼりくらふ。
むさぼりのむ。
タン [感]
○くらふ、くらはす。=啖·噉。○利を以て誘ふ。史、高帝紀「往說秦將、─以利」
同訓異義
クラフ 啗·食·喫·吃·啖·噉·哺·餔·茹·飱·餐·饔·咀·嚼の别は食(部首九畫)の條を見よ。
テキ チャク [錫]
商とは别
もと(本)
①テツ [屑]
②セツ [屑]
①なく貌。○かまびすし、言多くして止まず。
②すする(吮)なめる(嘗)くらふ。禮、檀弓「─菽飮水」
すすりなく。詩、王風「有女仳離、啜其泣矣」
テン [霰]
うなる(?)
①トク タク [屋]
②チウ [宥]
①ついばむ、鳥が物をつつき食ふ。○嘴にてつつく。○──は物の音をいふ、こつこつ。
②くちばし(嘴)=咮。
○こつこつと鳥の物をついばむ音、轉じて、戶をたたき、又は下駄の音の義。韓愈、剝啄行「剝剝──、有客至門」○雞の聲。韓愈文「──庭中、拾蟲蟻哺之」
次條に同じ。左貴嬪詩「南山有鳥、自名──、饑則啄樹、暮則巢宿」
鳥の名、きつつき。木の幹をつつき蟲をとりて食ふ。=雷公。
①トン [元]
②シュン· [眞]
①いき(口氣)○いつはる、いつはり(誕)○──はおもくおそき貌。
②をしふ、すすむ。○──はくどくどし(多言)=諄諄。
○多言なる貌。莊、胠篋「釋夫恬淡無爲、而悅夫──之意」○ トントン 重く遲き貌。詩、王風「大車──」
ヒ [紙]
俗に圖の略字とするは非
○いやし=鄙。○をしむ(嗇)
ブン モン [問]
○とふ、とひ、たづぬ(訊)ききただす。○みまふ、安否をたづぬ。○おくる(遺)詩、鄭風「雜佩以─之」○いふ(言)○つぐ(告)○めす、めし(聘)○いひつけ(命令)○ほまれ、聞に通ず。
同訓異義
トフ 問·訊·詢·咨·訪·諏○問はとひたづねる、訊なり。書經「好レ問則裕」又、音問の義にも用ふ。○訊は問なり、問ふに言を以てするなり、また告ぐる義にも用ふ。○詢は、はかりとふなり、咨と略~同じ、信實にとひ謀る義。左傳「諮レ親爲レ詢」○咨は諮に同じ、問也、謀也、說文に「謀レ事曰レ咨」とあり。○訪はひろく相談する義、こちらから往きて謀るにいふ、又人を尋ぬるにも用ふ。○諏は事を謀るをいふ、はかるとも訓む。
時候みまひ。=候問。
つみをとひただす。宋史「遣使──」
わたしばの所在を問ふ。論、微子「使子路──焉」轉じて、てびき、入門の義「詩學──」
とひたづねる。僧祇律「禮拜不得如瘂羊、當相──」=訊問·問討。
とひせめる。
問答に同じ。
○とひ、たづねる事がらの題目「試驗──」○未定の事がら、疑問。
問訊に同じ。討は尋 タヅネル
とふと、こたへると。とひと、こたへと。世說「便坐──」=問對。
國 鎌倉時代に訴訟を裁決せし所。執事·寄人 ヨリウド 等の職員を置く、今の裁判所。
問ひわきまふ、辨は判别。易經「君子學以聚之、問以辨之」
春の景色を玩賞する義。杜甫詩「────到野亭」
知らざることを人に問ふことを好めば、心廣くゆたかなり。書、仲虺之誥「────、自用則小」
レイ [霽]
○鶴又雁の鳴く聲。晉書、陸機傳「華亭鶴─」○蟬の聲。陳子昂詩「嘹─白露蟬」
9畫
アク·オク ヲク [覺]
○──は雞の聲。○─咿はしひてわらふ(强笑)へつらひわらふ。又、雞の聲。
にはとりの聲。白居易詩「──雞下樹、輝輝日上梁」
○しひてへつらひ笑ふ。楚辭、ト居「──嚅唲、以事婦人乎」○雞の鳴く聲。韓愈詩「天星牢落雞──」
かまびすしく鳴く。易林「雀行求粒、暮歸──」
①イン·オン [侵]
②イン·オン [沁]
①なく、小兒が泣きて止まず。○聲を失して言ふこと能はず、おし(啞)後漢書、袁閎傳「遂稱夙疾─不能言」○だまる(默)ものいはず。
②しかる、したうちす。
おし。又、口をつぐむ。蘇軾詩「撫掌笑先生、年來效──」
ものいふ能はざる貌。風俗通義「無聲響徒──而已」
大聲にてどなりつける。史、淮陰侯傳「項王、────千人皆廢」
おふしのせみ。韓愈詩「──終不鳴」
ヱウ [蕭]
むしのこゑ(蟲聲)詩、召南「──草蟲」
カイ [隊]
○くち、鳥のくちさき、くちばし(嘴)○ことば(言語)「容─」○短氣なる貌、性急。晉語「余病─」○くるしむ(困)○烏─は烏頭 トリカブト の別名。
獸類をいふ。史、匈奴傳「跂行──蠕動之類」注「以喙而息也」
カイ [佳]
○やはらぐ(和)鳥のやはらぎて鳴く聲。○とし、はやし(疾)詩、邶風「北風其─」○かねのこゑ。詩、小雅「鼓鐘──」
○鳥の聲の和ぎて遠く聞ゆる貌。詩、周南「黃鳥于飛、集于灌木、其鳴──」○鐘の聲。字解を見よ。=鏗鏗。
カク キャク [陌]
咯とは别字
○はく(嘔·吐)「─痰」○又、はくこゑ。
物を吐く聲。列、說符「兩手據地而歐之、不出──然」
口から血を吐く。俗に誤りて咯血に作る。
①カツ·カチ [曷]
②アイ [卦]
①しかる(訶)○大聲にておどしつける(嚇)○大いに呼ぶ。○のむ(飮)「─酒」「─茶」
②聲がしはがれる、しゃがれる。○陰─はむせぶ(噎塞)
やんやとほめはやす。西廂記「──、北人鄕語、稱羨之意」馬臻詩「新腔飜得梨園譜、喜入王孫──聲」
佛 禪宗·律宗の寺にていふ侍童、大聲にて食時を報ずるこしゃう。
さきばらひ。貴人の通行の時、人民を逐拂ひて道を避けしむる。李商隱、雜纂、殺風景の條「松閒──」
どなりつける。大聲にて叱リつける。
①カン [豏]
②カン [咸]
①さけぶ(叫)高聲にて疾呼する、怒りてよばはる、ときのこゑ(鬨聲)「呐─」
②とづ、口をつぐむ。○しかる(呵)
ときのこゑ。=鬨聲·呐喊。
ガン [覃]
ねいびき(鼾聲)○とづ、口をつぐむ。
ねいびき。列、周穆王「眠中──呻呼」
口を閉づる。唐書、楊瑒傳「公卿──唯唯」
①キ [紙]
②キ [寘]
①うれし、よろこぶ(悅)たのしむ(樂)○さいはひ(福)よろこび(悅)吉事。
②よみす(好)詩、小雅「我有嘉賓中心─之」よろこぶ、たのしむ=熹。
同訓異義
ヨロコブ 喜·悅·說·欣·忻·訢·歡·懽·驩·懌·怡·愉·慶·賀·豫○喜は怒·悲·憂三字の反、樂なり、悅なリ、うれしきなり、轉じてこのむともよむ、喜レ酸の類。○悅は說に同じ、うれしく思ひて、中心にて樂み服するなり、悅服と用ふ。○欣·忻·訢の三字、同じ、よろこびて、氣のうきたつさまなり、歡に近し、歡欣と連用す。○歡·懽·驩の三字、同じ、憂·悲の二字に對して用ふ、喜び樂みていさむをいふ。○懌は心にじっとりと、しみこむやうに悅ぶなり、怡悅なり。○怡は和なり、樂なり、顏色にこにことして悅ぶなり。陶憯文「眄二庭柯一以怡レ顏」○愉はよろこびの顏にあらはるるなり。禮記「有二和氣一者、必有二愉色一」○慶はめでたき事なり。易經「積善之家必有二餘慶一」○賀は禮物を贈りて相奉慶するなり。禮記「婚姻不レ賀、人之序也」詩、大雅「四方來賀」○豫は安んじ樂みてよろこぶ、悅なり、悅豫と連用す。
よろこぶ、よろこび。=喜悅。
國 をかしみのあるしばゐ。悲劇の對。
次條に同じ。
佛 三十三天の地居天の上にありて帝釋天の居る天宮。=喜見城。
蜘蛛 クモ の異名。爾雅「蠨蛸長踦」注「蜘蛛長腳者、俗呼爲──」=喜母。
國 七十七歲をいふ。喜の字の草書?が、七十七と讀まるるによる。=喜壽。
よろこぶ心。禮、樂記「其──感者、其聲發以散」
佛 よろこびて、財寶を棄てる、神佛のことに金品を寄附するにいふ。
喜字齡を見よ。
よろこばしきかほいろ。家語「孔子爲魯司寇、攝行相事、有──」
うれしげなるこゑ。楊萬里詩「一番雨過來幽徑、無數飛禽有──」
よろこびてをどる。柳宗元文「無任抃蹈──之至」=抃躍。
よろこびてたのしむ。詩、唐風、「且以──、且以永日」
キ [寘]
○ためいきをつく。○なげく。(歎)
喟然に同じ〔劉向、九歎〕
ためいきをつきて感歎する貌。論、先進「夫子──歎曰、吾與點也」
①ギョウ·グ ゴウ·グ [冬]
②グ [麌]
①魚の口の水面に見ゆるにいふ。あぎとふ「噞─」轉じて上の德を慕ひて爭ひ歸する義とす。○となふ(唱)○よぶ(呼)又互に呼びあふ、又其の聲。莊、齊物論「前者唱于而隨者唱─」
②魚の口の聚りつどふ貌。
○魚のあつまりあぎとふ貌。轉じて衆人の仰ぎ慕ふ義。史、司馬相如傅「延頸擧踵、──然、皆嚮風慕義、欲爲臣妾」○何の爲す所もなく平凡なる貌。史、日者傅「公等──者也、何知長者之道乎」
ク [麌]
○いき(息)呼吸。○ふく(吹)漢書、中山靖王傳「衆─漂山」あたたむ、溫め潤す。=煦。轉じて保護する義。唐書、魏徵傳「護民之勞、─之若子」○しめす(呈示)○──は諂ひて强ひて笑ふ貌。柳宗元文「──趄趄」
①クワウ·ワウ [陽]
②クワウ·キャウ [庚]
①──は小兒の泣く聲。詩、小雅「其泣──」
②──はやはらぐ(調和)詩、周頌「鐘鼓──」又、かまびすし(諠)○いかる(怒)○さきばらひ。○なく。
かまびすし。吳都賦「諠譁──、芬葩蔭映」
○かまびすしき聲。詩、周頌「──厥聲」○小兒の泣く聲。字解を見よ。○音樂の調和せる聲。字解を見よ。
クヮン [翰]
○よぶ(呼)白居易詩「千呼萬─始出來」わめく(叫)○まねく(招)聲をかけてよびよせる。
同訓異義
ヨブ 喚·呼·召の别は呼(口部五畫)の條を見よ。
○よびおこす。○轉じて注意をよび起す。○鳥の名、鷑鳩の異名。五更より鳴きて曙に至りて止むといふ。韓愈詩「──牕前曙、催歸日未西」催歸も鳥の名。
さけぶ。=叫喚。
よびさけぶ。
よびあつめる。=嘯集。
○鳥の名。顧渚山茶記「山中有鳥如鴝鵒、色蒼、每至正二月作聲云春起也、至三四月云春去也、採茶者呼爲報春鳥、又名───」○喚起鳥の别名〔冷齋夜話〕
官署などに呼び出して、訊問 トヒタヅネル する。
①クヮン [翰]
②クヮン·ケン [元]
①いかる(恚)○かなしむ。○强ひて答ふ。
②うれふ(愁)○おそる(恐)○いかる(恚)
ケウ [蕭]
○たかし(高)○木高くして上部がまがる。○おごる、ほしいまま。禮、表記「─而野」驕に通ず。○矛の柄の刃に近き所にありて飾の羽毛をかくるかぎ。○─詰 ケウキツ は意平かならず。
同訓異義
タカシ 喬·高·崇·隆·邵の別は高(部首十畫)の條を見よ。
泰山を指していふ、轉じて廣く高山の義とす。=嶠嶽·峻嶺 シユンレイ
心平かならず。莊、在宥「天下始──卓鷙」
おごりたかぶる心。禮、樂記「齊音敖辟──」=驕志。
たかくそびゆ。謝靈運、山居賦「凌岡上而──、蔭澗下而扶疏」
○高大の松樹。事類賦「美彼──、冒玆霜雪」○人名。次條を見よ。
喬は王子喬、松は赤松子、共に長壽の仙人、よりて長壽の義にいふ。戰國秦策「蔡澤曰、世世稱孤、而有────」
人の家を移すを賀していふ。詩經の語に本づく、喬木の條を見よ。又仕宦して位の進みしにいふ。張籍詩「滿堂虛左待、衆目望──」
○たかき木。詩、小雅「出自幽谷、遷于──」○丈が長く幹太くして木材となる司き樹木の稱。松·柏·檜·杉の類。躑躅·胡枝 ハギ などを灌木 クワンボク といふの對。
ケキ [錫]
通音キツ
○くらふ(食)=吃。○のむ(飮)杜甫詩「對酒不能─」
同訓異義
クラフ 喫·食·啖·啗等の別は食(部首九畫)の條を見よ。
たばこをすふ。=喫烟。
肝要の義。品字箋「恒言要緊謂之──」
おどろく、びっくりする。
○茶を飲む。水滸傳、第三囘「且請員外方丈──」○女子の嫁するをいふ。七修類藁「種茶下子、不可移植、移植則不復生、故女子受聘、謂之──」
衣食餘りあるをいふ。東軒筆錄「宋王曾發解及廷試、皆首冠、劉子儀曰、狀元一生────、曾正色曰、曾平生之志、不在溫飽」
○めしをくらふ。○くちすぎ。五代史、安叔千傳「當與汝一──處」=餬口。
ケン [元]
かまびすし、讙·諠に通ず。拾遺記「惡車轍馬跡之─」
かまびすしくわらふ。元稹詩「滿堂會客齊──」
かまびすし。=喧噪。
○かまびすし。=諠譁·喧噪。○ 國 いさかひ。爭鬬。
かまびすしく相擊つ。又鬨聲 トキノコヱ 李白詩「飛湍瀑流爭──」
やかましくとどろく。歐陽修詩「雷軸遂──」
かまびすし。王維詩「──茅簷下、或坐或復起」
かまびすしく爭ふ。杜甫詩「富貴空囘首、──懶著鞭」
かまびすし。=喧嘩·喧聒·喧呶·喧囂。
かまびすしきと、しづかなると。杜甫詩「──不同科、出處各天機」
かまびすしくみだれる。=喧紛。
かまびすし。柳宗元詩「逍遙屛幽味、淡泊辭──」=喧噪。
かまびすしくさわがし。皮日休詩「鉤楯跨通衢、──當九巿」
うるさくかまびすし。梁簡文帝詩「──是時息、靜坐對重巒」
かまびすしくいひふらす。楊萬里詩「松竹──菊細聞」=諠傳。
やかましく人が一っぱいになる。唐國史補「郡邑爲之──」
かまびすしくいそがし。白居易詩「淸晨臨江望、水禽正──」
かまびすしくみだれる。裴度詩「頃來多謔浪、此夕任──」=喧擾。
①ゲン ②ガン [霰]
③ガン·ゲン [澘]
①唁(口部七畫)に同じ。
②いやし、粗俗なり、容儀を失する。論、先進「由也─」
③すこしくわらふ貌。
喉(次條)の本字。
コウ [尤]
○のど、のんど(咽)のどぶえ。○轉じて要所に喩ふ「天下の咽─」○─舌は宰相をいふ。
○のんどをしめつく。晉書、宣帝紀「扼其喉而摏其心」○要害の地に據りてたもつ。魏志「畫地而守之、扼其喉而不得進」
○要害のよき地、衿は襟。晉書、載記「四塞山河、有──之勢」○鋼要の義。孟子題辭「論語者五經之錧鎋、六藝之──也」
宰相の義。詩、大雅「出納王命、王之──」傳「──、冢宰也」
のどくび、のどの上端。
のんどと、くちばたと。盧仝、新茶歌「一碗──潤、兩碗破孤悶」
①サウ·ソウ [漾]
②サウ·ソウ [陽]
①うしなふ(失)位を失ふ。○ほろぶ(亡)ほろぼす。○死。
②も(忌服)人の死を悲みて、或期閒凶服を著けて、うれひにこもり居る禮。○ひつぎ(柩)曲禮「送─不踰境」
同訓異義
ウシナブ 喪·失·亡の别は失(大部二畫)の條を見よ。
新に死にたる人のある家の犬。家人不幸を悲みて犬に食を與へざる爲めに瘦せ衰ふ。以て瘦せ衰へたる人に喩ふ。家語、入官「纍然若────」
もと、まつりと。禮記「──之用、賓客之交義也」
志をうしなふ。書、旋獒「玩人喪德、玩物──」
うしなふ。=喪亡。
本心をうしなふ。左傳「哀而樂、樂而哀、皆──也」=喪神·失心·失神。
前條に同じ。
とむらひに用ふるくるま。
喪服の代りに普通服の上に佩びる喪中のしるし。和服には左胸に黑布を結びつけ、洋服には左腕に黑布を卷く。
葬式をいとなむ主人公。施主 セシユ
膽をなくする、甚だ懼るる義。唐創業起居注「突厥──、深服帝之能兵、收其所部、不敢南入」
喪失に同じ。
もふく。喪に居る閒、著る麻製の衣服。周禮「──凶器、不入宮」=凶服·斬衰 ザンサイ
死喪と禍亂と。詩經「天降──」
葬式又喪に居る禮法。
喪(前條)に同じ。
シ [寘]
○ただ、ただに(但·止)不·何·奚などと連用す。書、泰誓「不─若自其口出」或は翅に作る。
同訓異義
タダ 啻·翅·唯·只·止·但·徒等の别は唯(口部八畫)の條を見よ。
シウ [尤]
○なく(鳴)小聲にて鳴く。又、其の聲。○鳥又、蟲の鳴く聲。○小兒のこゑ、なげく(歎)
なきさけぶ。柳宗元賦「衆鳥萃而──兮」
聲さわがし〔籍田賦〕
○蟲又は鳥などが小聲にてなく。楚辭、招隱士「蟪蛄鳴兮──」楚辭、離騷「鳴玉鸞之──」○鬼哭の聲。杜甫、兵車行「新鬼煩寃舊鬼哭、天陰雨濕聲──」
○細かに碎けたる聲。王安石詩「幽鳥迎陽語──」○聲が多くして雜る。歐陽修詩「一身但得貶、羣口息──」
ショク シツ [職]
通音ソク
○なく(鳴)○すだく、おほくの小さき聲がやかまし。蟲、又、鳥·鼠などの聲。○ 國 かこつ、歎く。
○はたおりなどの小さき聲のしげき貌。古詩「──復──、木蘭當戶織」一說、歎息の聲。○蟲のなく聲。歐陽修、秋聲賦「四壁蟲聲──」=喞嘖。
俗 みづでっぼう、ポンブ。
セン ゼン [銑]
○あへぐ、いきせく(疾息)いきせく病、せき、ぜんそく。○いびき(鼾聲)○いき、氣息、轉じて生存の義。○ささやく(微言)荀、君道「─而言」
いきがあへぎて苦しむ。素問「因於暑汗、煩則──、靜則多言」
せきむせぶ。李覯詩「顧汝僅毁齒、何力禁──」
あへぎて口を開く。韓駒詩「赤日下照烘朝霞、腹鳴肩擧氣──」
あへぎて汗を流す。蘇舜欽詩「人皆──抱樹立」
あへぐ。劉楨文「獸──于玄景、鳥戢翼于高危」
あへぐ貌。莊、大宗師「俄而子來有病、──然將死」
○あへぐ。李白詩「──餐妙氣、步虛吟眞聲」○せきをせく病。=氣喘·哮喘。
①ゼン [銑]
②ゼン [霰]
①よし(吉·良·佳)惡の反對。○美くし、まさる(優)○おほし(多)○大いなり。○單に通ず。單于。=善于。
②よしとす、是なりとする。○なかよし、親し「友─」史、刺客傳「所─荆卿可使也」○膳と通ず。
同訓異義
ヨシ 善·好·佳·嘉·哿·美·良·臧·吉·淑○善は惡の反、善言·善政と連用す、よみすとも訓む。左傳「君子是以善二魯莊公一」○好は醜惡の反、形のよきなり、轉じて何にても、廣く善きことに用ふ、風日好·好時節の類、よしみとも訓む、結レ好·二姓好の如し。○佳は美なり、好なり、佳人は、美人なり、佳氣·佳境などと用ふ。○嘉は佳に同じ、但、佳辰は、嘉辰に同じけれども、佳景·佳人などには、嘉の字は用ひず、嘉は善·樂の意、佳は好·美の意なればなり、又よみすと訓む、善としてほむる義。○哿は嘉に同じ。○美は醜·惡の反、形のうるはしきなり、美人·美麗·美玉などと用ふ、好に近くして、はなやかなる意あり。○良は善也、賢也と註す、程よくととのひて善きなり、良弓·良工·良器·良馬などと用ふ、又德性の程ょく賢りたるに用ふ、善良·溫良·賢良の類。○臧は否の反、善なり筋道のよきなり。○吉は凶の反、めでたきなり、善人を吉人といふは、善人は、必ず福を受くるにより、めでたき人の意なり。○淑は善なり、淑女·淑人·淑德·淑氣と用ふ、和らぎて善きなり。
よきこころ。漢書、蘇建傳「厚賂單于、答其──」=好意。
よきいしゃ。鶡冠子「扁鵲兄弟三人竝──」=良醫·國手。
よくうたふ、謳は吟なり、歌なり。孟子「王豹處於淇、而河西──」
善行を表彰する。書、畢命「旌别淑慝、表厥宅里、──癉惡、樹之風聲」=章善。
善人を賞し惡人を罰する○公羊傳序疏「春秋者、────之書」
互に善事を責め勸むるは友人の道なり。孟、離婁「───────、父子責善、賊恩之大者」
この上もなく善美なり。論、八佾「子謂韶、盡美矣、又盡善也、謂武、盡美矣、未盡善也」
人一善を作せば、天は之れに多くの幸福を賜ふ。書、伊訓「惟上帝不常、──────、作不善降之百殃」
善事を行ふは人の最大の樂なり。後漢書、東平憲王傳「日者問、王處家何等最樂、王言、────」
易、下象「風雷益、君子以────、有過則改」
よきあたひ。論、子罕「求──而沽諸」=高價。
よき行狀 オコナヒ 曲禮「修身踐言、謂之──、行修言道、禮之質也」
轍は、車輪のあと、迹は足あと、眞の善行は、人に目立つことなきに喩ふ。老子「─────、善言無瑕謫、善計不籌策」
てあつくもてなす。史記「客無所擇、而──之」=善待·厚遇。
佛 善き果報。善根のむくい。
思慮多く感情さとし。詩經「女子──、亦各有行」
よきをしへ。又よくをしふ。禮、學記「──者、使人繼其志」
佛 上手に敎へみちびくてだて。
善言を人に與ふるは、布帛を被らしむるよりも暖かなり。荀、榮辱「與人善言、煖於布帛」
後日の爲めに善き計を爲す。蘇軾詩「──乃萬全」
俗 失敗をとけかへすべき計略、不結果なりし事のあとしまつ。
たくみにせむ。戰國策「秦雖──、不能取六域」
佛 善き果報を受くべき所業。根は果に對していふ。金剛經「種諸──」
琵琶の名手の名、轉じてすぐれたる琵琶師の義とす。白居易詩「曲罷常敎──服」
ゆたかなるとし。管子「牧民者、厚收──、以充倉廩」=豐年。
よく人に媚びて心の誠實ならざるもの。論、季氏「友──」
善良なる心。魯語「思則──生」
人に福を與ふる神。史、始皇紀「──可致」
善く病をみわける。盧碩喩古之冶「醫──則疾不彌漸、工善度則木無棄材」
よきしるし。漢書「成帝時犍爲郡、于水濱、得古磬十六枚、議者以爲──」=吉祥。
よきたね。漢書「雖有──、不能生焉」=良種·嘉種。
よくみのる。唐書、權德輿傳「江淮田一──、則旁資數道」
書に巧みなる人は紙筆を擇ばず。能書筆を擇ばず。後山談叢「──────、妙在心手」
よきまつりごと。孟、盡心「──不如善敎之得民也」
佛 佛の十號の一。瑜伽論「上昇最極永不退還、故名──」
よきこゑ。鹽鐵論「──而不知轉、未可謂能歌也」
よきいさをし。後漢書、崔寔傳「寔之──、母有其助焉」
あつくもてなす。史記「合己者──之、不合己者不能忍見」=厚待·優待·善遇。
佛 德高き僧。遺敎經「求───求善護助」=高僧·名僧·大德。
佛 佛法に歸依 キエ せる男女。=善男信女·善男子善女人。
善に從ふは甚だ難きをいふ。國語「諺曰、────、從惡如崩」
善に從ふの速かなるをいふ〔左、昭、十三〕
善きおこなひの人。家語、六本「與──居、如入芝蘭之室、久而不聞其香、卽與之化矣」周語「惟──能受盡言」
事の成敗は我おこなひの善惡によりて分る。左、僖、二十「────、而由人乎哉」
よくわすれる、甚だしく物わすれする。莊、達生「氣下而不上、則使人──」
善惡の義。左傳「夫人朝夕退而游焉、以議執政之──」
よく舞ふ。本事詩「白尙書、姬人樊素善歌、妓人小蠻──、嘗爲詩曰、櫻桃樊素口、楊柳小蠻腰」
辯口よき義。唐書、崔澄傳「性滑稽──」
よきはかりごと。晉書、武帝紀「明達──、自斷大事」
金玉を寶とせずして、善人を寶とす。大學「楚書曰、楚國無以爲寶、惟────」
よくきくくすり。唐書「──不可離手」=良藥。
よくさとす。禮、學記「和易以思、可謂──矣」
たくみに物をあたへる。淮南子「──者、用約而爲德、善取者、入多而無怨」
たくみに用ふる。左傳「惠恤其民、而──之」
よく鄰國にしたしむ。左、隱、六「親仁──、國之寶也」
よし。=良善。
善良なるともがら。子華子「旌──而誅鋤醜厲者、法之正也」
○よしと歎美することば。左、昭十六「孺子──、吾有望矣」○ ゼンザイ 佛 神佛の示現等に唱へる讚美のことば、ありがたや。○ 國 つぶしあんの汁粉 シルコ
技能に長ずる者は、これに誇りて卻りて禍を受くるに喩ふ。淮南、原道「夫────、善騎者墮、各以其所好、反自爲禍」
質問を受くるに巧なるものをいふ、撞くものの力に應じて鐘の鳴る音に大小の差ある如く、問に應じて適當の答をなす義。禮、學記「───────、叩之以小者、則小鳴、叩之以大者、則大鳴、待其從容、然後盡其聲」
①タン [寒]
②タン [旱]
③ゼン [先]
①ひとへ。複の反對。○ことごとく(盡)周語「夏禹能─平水土」○ひとり(隻·獨)ひとつ。○大いなり。○めぐる、めぐり(周)○ひとへに。
②ゆたか(豐)穀多し。○あつし、あつくす(厚)○まこと、まことにす(誠·信)
③─于は廣大なる貌。
十二支の卯の異名〔爾雅〕
ひとへもの。北史、劉蘭傳「葛巾──」
算數にて基礎となる數の位。
ただひとつ。
はやふね〔通鑑、宋紀〕=輕舸。
○ひとりにて行く。後漢書「帝分遣使者、微服──」=獨行。○叢書に對して、其の中の一部だけを别に出版して世に行ふ義「──本」
運命單薄にしてまづし。後漢書、高彪傳「家傳──」=單貧。
てがる。=簡單。
一人のうまのり。梅堯臣詩「長堤凍柳不堪折、窮臘使君──行」
ひとへのふすま。韋應物詩「──自不暖、霜霰已皚皚」
選擧法の一、投票紙に被選擧人一人を限り記名し、選擧者自身の氏名を記入せざる法。
單一なる短き句。
ひとりですわる。=孤坐·獨坐。
ただ一人の使者。陳書、蕭乾傳「──臨郡」
かた方のいひぶんのみにて證據とならざることば。後漢書、朱浮傳、注「──、謂無正據也」=偏辭。
かたわれにては物の用をなさざるに喩ふ。水滸傳「─────、孤掌豈能鳴」
ひとりみ、ただひとり。宋書、孫法宗傳「──勤苦」
一っの車。史、信陵君傳「今──來代之」
白砂糖六十五匁を蒸澑水三十五匁に溶かしたる液、藥用とす。
一列にならぶ陣立。
ひとすぢにてまじりけなし。複雜の對。=純一。
無條件の承諾。
すくなし。後漢書、南匈奴傳「兵衆──、不足以防內外」
往復ともに同一の線路による一すぢの鐵道。往復二線が别に竝行するを複線といふの對。=單軌。
ただ一刀にて直ちに敵中に斬り込む。轉じて、文章言論などの直ちに本題に說き入るに喩ふ。傳燈錄「靈祐曰、────、則凡聖盡露眞常」
兄弟なき壯丁。齊書「凡──之身、及煢獨、竝蠲今年田租」
小舟、今のボート。通鑑、齊紀「胡諧之等、──逃去」
變化なき調子。
ただひとり、ただひとつ、ひとりもの。韓愈、送窮文「──一身、誰爲朋儔」
一人孤立すれば事成らず、衆力相合すれば、事成るをいふ。北史、吐谷渾傳「阿豺命母弟慕利延曰、汝取一隻箭折之、延卽折之、汝又取十九隻折之、延不能折、阿豺曰、汝曹知否、────────、戮力一心、然後社稷可固也」
少くうすし。古詩「居貧衣──、腸中常苦飢」
僅かに一片の文書にて、不十分なる證據。四庫全書提要、子類、鶡冠子の條「未可以────遽斷其僞」
一人の兵。後漢書、耿恭傳「以──固守孤城」
ひとへの花びら。又其の花。
經濟學にて一種の貨幣を以て本位を定め、他を皆補助貨幣とする制度。
まづしき家。南史「雖──後進、必加善誘」=寒門。
老年にして妻子なきもの。梁武帝韶「凡民有──孤稚不能自存主者、郡縣咸加收養」
元金にのみつける利息。利子にも利息をつけるを複利といふの對。
一列に同じ。武備志、日本考「每戰必──緩步、爲胡蝶陣」
匈奴の酋長の稱。天の廣大なる義に取る〔漢書、匈奴傳〕
タン [感]
──は、ゆたかにあつし(豐厚)漢書、郊祀歌「羣生──」
タン ナン [咸]
○くどくどしく語る(多言)又其の聲。○讀書の聲。○呢─は燕の聲。
○くどくどしく語る。北史、房陵王勇傳「──細語」○讀書の聲。寒山詩「仙書一兩卷、樹下讀──」
テイ [齊]
○なく。穀梁、僖十「麗姬下堂而─」=嗁。○淚を流し聲をあげてなく(哭)○烏·蟲が鳴く。
淚をながしてなく。魏志、袁紹傳、注「憂怖失色、或以──」
血を吐きて鳴く、ほととぎすの啼きごゑの痛切なるをいふ。李山甫詩「斷膓思故國、──濺芳枝」
大聲になく。王建、原上新居詩「春來梨棗盡、──小兒飢」
なきて顰 ヒソ めるまゆ。元稹詩「紅粧少婦斂──」
哲(口部七畫)に同じ。
①テフ [葉]
②タフ [洽]
①かまびすし(喧)しゃべる(利口·多言)○ふむ。史、淮陰侯傳「韓信涉西河虜魏王、禽夏說、新─血閼與」閼與 アツヨ は地名。=蹀。○血の流るる貌。
②ついばむ(啄)ふくむ(含)啑─·唼─は鳧雁の聚り食ふ貌。
ささやく〔易林〕=沾囁·私語。
よどみなくしゃべる貌。漢書、張釋之傳「豈效此嗇夫──利口捷給哉」=呶呶。
聚りてついばみくらふ。劉基詩「眠沙臥竹鳴且翺、──藻荇亂蓬蒿」
①ユ [遇]
②ユ [虞]
諭に同じ
①さとす(曉)=諭。をしふ(敎)敎へて了解せしむ、善に導く、いさむ(諫)○をしへ、さとし。○了解す、さとる(悟)○たとへ、たとふ(譬)
②やはらぐ(和)○よろこぶ(悅)漢書、王襃傳「嘔─受之」
よろこぶ貌。博雅「嘔嘔·──、喜也」
ラツ [曷]
一音ラ
ことばはげし。
管の樂器、軍中にて號令を傳ふるに用ふ。正字通「──軍中吹器、俗呼號筒」
西藏を中心として蒙古及び滿洲地方に行はるる佛敎の一派、唐の代、印度より西藏に入る。首長を達賴喇嘛といふ。
りヤウ ロウ [漾]
ほがらかなる聲。聲の淸く遠きなり「嘹─」=哴。
〔國字〕
くらふ。
10畫
①エキ·アク [陌]
②アイ [卦]
①のど、のんど(咽)史、倉公傳「飮食下─」○笑ふ貌。
②むせぶ(噎)
笑ふ貌。韓詩外傳「疾笑──、威儀固陋」
①ヲ·ウ [虞]
②ヲ [遇]
①ああ(歎辭)烏に通ず。○歌ふ聲。
②なげき、いたむ(歎傷)後漢書、袁安傳「噫─流涕」
同訓異義
アア 嗚呼·烏乎·於戲·於·嗟·吁·噫·嘻·唉·惡。○嗚呼·烏乎·於戲·於は共に皆一音にして歎辭なり、よき事にも、わろき事にも用ふ、烏乎は、嗚呼の古字なり、後世は嗚呼を哀傷に用ひ、於戲を歎美に用ふれども、上代の法にあらず。○嗟は咨嗟咏歎の辭、これはこれはと譯す、善惡ともに用ふ、嗟乎と用ふるも同じ。詩經「嗟我懷レ人」○吁は驚也、疑怪之辭也と註す、噫よりは、意やや輕し。○噫は哀傷痛恨之辭也と註し、また不平之聲と註す。論語「噫斗筲之人何足レ算也」○嘻は歎也と註し、和樂之聲とも註す、されど稀にはただ音を借りて、哀痛に用ひし例なきにしもあらず。史記、趙世家「趙簡子召レ之曰、譆」の註に「痛而呼之言」とあり。譆と嘻とは通音なり。○唉は歎恨して聲を發する辭なり、恨みののしる聲。史記「唉?子不レ足二與謀一」○惡は驚嘆に、少しく怒氣を帶びたる辭なり、惡是何言乎の如し。
○ああ。歎息の聲。書、泰誓「──西土有衆、咸聽朕言」○歎き痛む聲。禮、檀弓「──哀哉尼父」=烏乎·嗚嘑·於乎。
江蘇省丹陽縣の吳の季札のはか。南畿志「季札墓在申巷、孔子表其墓、曰──────────、謂之十字碑、唐殷仲容摹本、宋郡守朱彥刻石」=十字碑。我が楠公の湊川の碑は此に本づく。
歐陽修の五代史記の異稱。每篇論贊の初に嗚呼の二字を揭ぐる故。
からすの鳴く聲。李賀詩「弄月聊──」
つのぶえ(角)の聲。杜牧詩「──江樓角一聲」
なきむせぶ。蔡琰詩「觀者皆歔欷、行路亦──」
うたを歌ふ聲。史、李斯傳「擊甕叩缻彈箏拊髀、而歌呼──快耳目、眞秦之聲也」
ヲツ アツ [月]
○むせぶ(咽)○─噱 ヲツキヤク は大いに笑ひて止まず。魏志、注「鍾繇得書─噱」
吞みてむせぶ。陸龜蒙詩「低頭增歎詫、到口復──」
①カク [藥]
②カウ [肴]
①──はきびしき貌。○きびしく大いなる聲。一說によろこび樂む。○熱に苦む意。
②さけぶ、又、其の聲。莊、則陽「夫吹筦也猶有─也」○はやきこゑ、一說に、笛の聲。
きびしくはげし(嚴厲)き貌。易、家人「家人──」
カク コク [覺]
はく(嘔吐)
カフ [合]
○かまびすし(多言)○──は、かたる(語)○あふ(合)上齒と下齒とがあふ。○すふ(吸)○─然は笑ふこゑ。○噬─は易の卦名、震下離上。
キウ キコウ [宥]
かぐ。=齅。
鼻にてかぐかんじ。=嗅感。
前條に同じ。
五官の一、にほひをかぎ别けるはたらきのある器官。=鼻·嗅覺器。
鼻腔內の粘膜に分布して、嗅覺を司る神經。
烋(火部六畫)の俗字。
ケフ [葉]
○あふ(合)○すふ(吸)
いきをする。梅堯臣詩「──氣甚危」=呼吸。
①ケン [琰]
②ケン [鹽]
③カン [琰]
④ケフ [葉]
①ふくみ、頰の中の食をほほばる處。○足らず、無し、腹に滿たず、穀升 ミノ らず、食盡く。穀梁、襄二四「穀不升、謂之─」歉に通ず。○小さき貌。晉語「──之德」註「──猶小小也」
②へりくだる。=謙。
③ふくむ(銜)うらむ(恨)史、外戚世家「心─之而未發也」
④たる(足·慊)○かなふ(愜)こころよし(快)
○小さき貌。晉語「──之德、不足就也」○へりくだりたる貌。漢書、藝文志「易之──」
へりくだる。漢書、尹翁歸傳「溫良──」=謙退。
快 ココロヨ き貌。滿足する貌。荀、非十二子「──而終日不言」
①サ [禡]
②シゃ [麻]
通音サ
①咄─ トツサ はひといき。晉書、石崇傳「作豆粥、咄─便辦」
②ああ(歎辭)「咨─」「吁─」○なげき、なげく(歎)痛く惜む。○となふ、たたふ(稱)
同訓異義
アア 嗟·嗚呼·吁·惡等の别は嗚(口部十畫)の條を見よ。
其の德をほめうたふ。徐陵詩「遠近──、貴賤顒仰」
ああ、咨嗟咏歎の辭。薩都剌詩「我題此畫三──、百年好醜皆虛無」
なげきおそる。後漢書、梁冀傳「海內──」【嗟嗟一 ササ ○なげくこゑ。ああ。何遜詩「撫絃乏歡娛、臨觴獨──」○海中の怪物の鳴き聲〔水經、河水、注〕
なげく。蘇軾詩「至今三十年、父老猶──」=咨嗟·嗟歎。
感歎してほめる。宋史、王質傳「見其所爲文──之」=嗟稱。
感歎してほめる。李白詩「千金答漂母、萬古共──」=嗟賞。
なげきをしむ。宋史「若此諫官、亦不可得、──久之」
なげきいたむ。潘岳誄「聖王──、寵贈衾襚」=傷悼。
感歎する。漢書「武帝親見視其創、──之」=嗟咨。
なげきあはれむ。魏書、高帝紀「詔曰、百姓嗷然、朕用──」
なげきいきどほる。梁武帝檄「人神怨結、行路──」
感心してしたがふ。後漢書、符融傳「一見──」
ああ來りくらへと無禮なる態度にて與ふる食物。禮、檀弓「予唯不食────、以至於斯也、從而謝焉、終不食而死」
①サ [禡]
②アイ [卦]
①こゑかる、しはがれごゑ、だみごゑ(濁聲)老子「終日號而聲不─、和之至也」○臺灣語にて感歎の「ああ」返事の「唯」の意に用ふ。
②のぼせる、氣逆上す。○泣き極まりて聲立たず。
シ [寘]
○たしなむ、たしむ、たしなみ、殊に好む。○むさぼる(貪)
たしなみこのむ。拾遺記「能去滯慾而離──」=嗜好。
痂はかさぶた、痂を嗜み食ふ。宋書、劉穆之傳「邕嘗詣孟靈休、靈休先患灸瘡、瘡痂落在牀上、因取食之、靈休大驚、痂未落者、悉褫取以飴邕」轉じて嗜好の當を失する者をいふ。
たしなむ。たしなみ。宣和畫譜「平居無所──」
ひしをたしなみ食ふ。芰は菱の四角·三角のもの。國語「屈到──」
このみもてあそぶ。漢書、郭皇后紀「少──、不喜笑謔」
かたよりてすきこのむ。劉基詩「才疎乏世用、──惟書史」
たしなみ好むこころ、たしむ情慾。淮南子「神淸者、──未能亂」
シ [支]
○わらひ、わらふ(笑)○あざわらふ、さげすみ笑ふ(冷笑)
わらひあなどる、易はあなどる。=嗤侮。
はづかしめてあざわらふ。唐書、李義府傳「縉紳共──之」
あざけりわらふ。南史、王琨傳「莫不撫掌──」
わらひののしる。唐書、姚崇傳「無論曲直、均受──」=笑罵。
わらひいやしむ。
わらひあなどる。=嗤易。
シ ジ [寘]
○つぐ(繼)うく、つづく(續)○よつぎ、相續人(後繼者)○ならふ(習)
同訓異義
ツク 嗣·續·繼·紹·纘等は續(糸部十五畫)の條を見よ。
能く前業を繼續するをいふ、聲の相隨ふ如きに喩ふ。宋書「絕唱高蹤、久無──」
先君に嗣ぎて君たる者。左傳「將待──」
前者につぎて盛んにおこる。書經「禹乃──、天乃錫禹洪範九疇」
あとつぎのむすこ。禮記「大夫士之子、不敢自稱曰──某」
あとつぎ。韓愈、柳子厚墓誌銘「是惟子厚之室、旣固旣安、以利其──」
嘗(口部十一畫)の俗字。
ショク [職]
○をしむ(愛惜)やぶさか、しはし(吝)「吝─」○むさぼる(貪)○ひかえめにする。老子「治人事天莫如─」○とりいれ、禾穀を收む。漢書、成帝紀「服田力─」穡に通ず。○─夫は貢物を受けて天子に上ることを司る官。又、天子の動物園などの小吏。又農夫をいふ。
同訓異義
ヲシム 嗇·吝·惜·愛の别は吝(口部四畫)の條を見よ。
タフ [合]
○わする。○解體する貌。
心に懷ふことを忘るる貌。莊、齊物「──似喪其耦」=嗒焉。
啗(口部八畫)の誤字。
テイ [齊]
○なく。後漢書、梁冀傳「愁眉─妝」=啼。○さけぶ(號)
①テン [先]
②シン [眞]
①──は氣の盛んなる貌。又盛んなる聲。=闐闐。
②いかり、いかる、憤怒する。=瞋。
いかる、いかり、憤怒。大藏法數「──者、卽忿怒之心也、謂諸衆生或於違狀境、不順己意心生忿怒也」=瞋恚。
怒りてののしる。馬祖常詩「汝素謹禮法、口未見──」
いかれるかほいろ〔北史、劉庫仁傳〕
11畫
①オウ·ウ [尤]
②オウ·ウ [有]
③ク ウ [虞]
①うた、うたふ。漢書、朱買臣傳「毋歌─道中」謳に通ず。○こゑ(聲)○かたる。○よろこぶ(喜)
②もどす、あげる、はく(吐)
③よろこぶ。
同訓異義
ハク 嘔·吐·噴等の別は吐(口部三畫)の條を見よ。
○小兒の語る聲。○なりものの音のかまびすしき貌。杜牧、阿房宮賦「管絃──、多於巿人之言語」○車の聲。曹鄴詩「手推──車」
きしるおと。陸游詩「艣聲──秋空曉」=咿軋。
○よろこぶ貌。博雅「──喩喩、喜也」。物のこゑ。陸游詩「──啞啞車轉急」○ クク 和ぎ好みする貌。史、淮陰侯傳「項王言語──」
はきたき心地。
ちをはく。後漢書「遂──而斃」=吐血·喀血。
はく、あげる。
カ [麻]
○よし(善·佳)よみす。○うつくし(美)うまし(旨)味うまきもの。○たのしむ(樂)○よろこぶ(喜)禮、禮運「交獻以─魂魄」○よみす、このむ(好)○さいはひ(幸)
同訓異義
ヨシ 嘉·善·好·佳·美·吉等の别は善(口部九畫)の條を見よ。
よみしあいする。後漢書、鄧皇后紀「動有法度、帝深──焉」
めでたきいわなどの穗。拾遺記「炎帝時、神芝發其異色、靈苗擢其──」
國を治むるよきはかりごと。書、君陳「爾有嘉謀──、則入吿爾后于內」=嘉謀·嘉謨。
よき木かげ。蘇軾詩「幽人得──、露坐方獨酌」=美蔭。
めでたきさかもり。水經、注「賓享──、是豆是觴」
よしみ、又、其の會。左傳「唯──聘享三軍之事、於是乎使卿」
よきさかな。詩經「彼有旨酒、又有──」=嘉肴·佳肴。
美くしき草花。詩、小雅「山有──侯栗侯梅」
めでたきけはひ。李商隱文「歡聲雷動、──雲高」=瑞氣。
ほめよろこぶ。又、さいはひ。
いはひごと。めでたき儀式。
よき鳥獸。魏文帝詩「狩人獻──」
よきたまもの、人よりの贈物を敬ひていふ。錢起詩「長跪捧──」=嘉賜·嘉錫。
○鯉に似たる一種の魚。字彙「──鯉質鱒鱗、肌肉甚美、出于沔南之丙穴」○よき魚、魚の美なるもの。
宗廟の祭にそなへるよきたま。禮記「凡祭宗廟之禮、玉曰──」
よきつれあひ。左傳「──曰妃、怨耦曰仇」
よきかをり。王融頌「燈祗開遠照、香宇薦──」
○穗のおほくつきたるめでたき苗。宋書「帝堯在位、朱草生、──秀、甘露潤、醴泉出」○いね。=嘉苗。○周公の作りし書名〔書序〕
めでたきあつまり。風流の會合。晉書、樂志「──置酒」=佳筵·佳會。
よきめぐみ。左傳「致君之──」
よろこびめでたき事。魏志「兆民欣戴、咸樂──」=休慶。
李 スモモ の異名。韋述、兩京記「東都嘉慶坊有李樹其實甘鮮、爲京都之美、故稱嘉慶李」白居易に詠───詩あり。
陰曆三月の異名。昭明太子、七契「陶──而結交遊」=桃月·喜月。
よきことば。書、伊訓「聖謨洋洋、──孔彰」=善言。
よきおきて。宋書、文帝袁皇后傳「魏國方安、──啓策」
○良き穀物。○めでたき穀物。=嘉禾。
よきとし。韋應物詩「山川降──、草木蒙潤滋」=豐年。
よきそなへもの、又よきさかな。吳志、孫登傳「篤養神光、──珍膳」韓愈、祭神文「淸酌──、侑以音聲、以謝神貺」
善き果物の實。黃庭堅詩「紅梅有──」
よき日。又、よき時。王筠詩「長絲表良節、命縷應──」=佳辰·吉日。
めでたきしるし。漢書、宣帝紀「屢獲──、非朕之任」=吉兆·休徵·嘉徵。
よみしてほめすすめる。曾鞏文「──士倫、助成世敎」
よき穀種、詩、大雅「誕降──、維秬維秠」=善種。
よろし。陳琳、鸚鵡賦「有逸姿之令鳥、含──之哀聲」=嘉良。
○よき名。ほまれ。張載賦「垂──于百代、信神人之所悅」=佳稱。○ほめたたへる。
めでたきしるし。春秋、哀、十四、注「麟者仁獸、聖王之──也」=吉兆·嘉祥·吉瑞。
よき黍稷のもりもの。李華含元殿賦「玉燭內融、則──豐備、太陽臨照、而天下文明」
よく治め安んずる。書經「──殷邦」=安和。
人の招を敬ひていふ。潘岳詩「微身輕蟬翼、弱冠忝──」=寵招。
よきいさを。書經「──多于先王」=嘉勳。
よきそなへもの。儀禮、士冠禮「甘醴惟厚、──令芳」
よきそなへものを載せたるつくゑ。宋書、祖廟歌「釀酒具登、──咸薦」
よきさいはひ。隋書、音樂志「允矣──、其升如日」=休祚·嘉祉·嘉福。
○良き野菜。○稻の異名。
よきめぐみ。李華文「人心上感、天降──」=嘉惠。
よきしあはせ。司馬相如文「咸獲──、靡有闕遺矣」
よきさけ。范成大詩「想得村田來歲好、瓦盆──灌愁城」=佳釀·嘉醞。
よきさいはひ。魏收文「──幽祕、一朝紛委」=吉禎·休禎·嘉祉·嘉祚。
義を全うし志を正しくするために世をのがれる。易、遯卦「──貞吉、以正志也」
よみして言又は物を受け入れる。後漢書、朱暉傳「上便宜陳密事、深見──」
よききゃく。詩、小雅、鹿鳴「我有旨酒、以燕樂──之心」=佳賓。
吉事に著るきもの。左傳「以──見、則喪禮未畢」
よきさいはひ。陸機詩「行矣保──」
よきほまれ。左、昭、二二「生有──」=令聞。
はなむしろ(花筵)
陰曆十二月の異名。しはす。史、秦始皇紀「更名臘、曰──」
よきはかりごと〔書、君陳〕=良謨·嘉猷。
めづらしくよき木。郭璞、梧桐贊「桐實──、鳳凰所棲」=珍木·嘉樹。
うまきもの。申鑒「酸鹹甘苦不同──以濟、謂之和羹」=美味·旨食·佳味。
よき名。離騷「錫余以──」=美名。
善きほまれ。國語「令聞──」
よみしたよる。左傳「其先君鬼神、實──之、豈惟寡君」
よし。蔡邕文「時惟──」=嘉淑。
よきためし。=吉例。
五禮卽ち吉·凶·軍·賓·嘉の一にて、婚禮をいふ。又、めでたき禮式。周禮、大宗伯「以──親萬民」
カ [馬]
○おほいなり(壯大)○とほし(遠大)○ながし(長大)○かたし(固)○さいはひ(福)○祭の時、福を主人に致すことば、祝辭。禮、禮運「修其祝─」
カイ [隊]
なげき、なげく(嘆)詩、王風「─其歎矣」愾と通ず。
ガイ [佳]
啀に同じ。──は犬の囓まんとする貌。
カウ [肴]
○大いなり、志大いなり、言大いなり。○おどろく貌。誇りて語る。
○志大いにして言大いなる貌。孟、盡心「其志──然」○雞のなく聲。元稹詩「雞亂響──」=膠膠。○鼠の器物をかむ音。蘇軾、黠鼠賦「──聱聱、聲在槖中」
鳥の鳴くこゑ。蘇軾詩「野鳥──巖花春」
ガウ ゴウ [豪]
又、嗸に作る
○かまびすし(囂)敖·熬に通ず。西京雜記「紛紜翔集、嘈─鳴啼」
○かまびすしく呼ぶ聲。楚辭、九歎「聲──以寂寥兮」○衆人の愁ふる貌。漢書、陳湯傳「下至衆庶、──苦之」○雁の鳴く聲。詩、小雅「鴻雁于飛、哀鳴──」=嗸嗸。
かまびすし。周邦彥文「歌管──」=嘈嗷。
强ひてうったへ出る。徒黨を組みて訴へる。
嗷(前條)に同じ。
やかましく、さわがし。蘇舜欽文「民情──、如昏墊焉」
カツ [黠]
──は鳥の聲〔廣韻〕
キョ コ [魚]
○ふく(吹)氣を吹き出すに急なるを吹といひ、緩きを─といふ。うそぶく。○はく(吐)=呼。○ああ、歎息の聲。○吹─は俗語、稱美する義。=揄揚。○ 國 うそ(虛言)
太息してなげく。阮籍文「──傷氣」
いきをする、いき。莊、天運「孰──是」=呼吸。
○雲などのいづる貌。蘇軾詩「──雲霧出、奕奕龍蛇結」○いびきのこゑ。蘇轍詩「日高鼾睡聲──」
國 うそ、いつはり。=虛言。
あたたかきいきを吹きかけてあたためる。淮南子「卵之化爲雛、非慈雌──覆伏、累日積久、則不能爲雛」
譁(言部十二畫)に同じ。
ケイ [霽]
○聲いそがし、きびし、こごゑ(小聲)○聲やはらぐ。○かすか(微)なる貌。詩、召南「─彼小星」
○聲いそがし。詩、小雅「鳴蜩──」○聲が和らぐ。詩、商頌「──管聲」
ケゥ [蕭]
さけぶ。=叫。
さけぶ。漢書、伍被傳「如使狂夫──於東涯」
ケゥ [嘯]
さけぶ(大呼)
①コ [虞]
②コ [遇]
①よぶ。=呼。さけぶ(叫)○滹(水部十一畫)に同じ。史、蘇秦傳「南有─沱易水」
②したうちしてしかる(咄啐)孟、告子「─爾而與之、行道之人不受」○よぶ、さけぶ。
サウ サウ [豪]
○さわがし(騷)又、其の聲。○かまびすし(喧)
聲のかまびすしき貌。王鑒詩「雲韶何──、靈鼓鳴相和」=嗷嘈。
聲さわがしき貌。白居易、琵琶行「大絃──如急雨」
やかまし、衆くの聲がまじりて别ち難し。枹朴子「管絃──」
つづみの聲。又、やかましき聲。陸機、文賦「務──而妖冶」
むねがやける、胃內醱酵 ヰナイハツカウ
サク [陌]
○大いに呼ぶ、さけぶ(叫)○あらそひ言ふ貌。○かまびすし、多言なり。○なく(鳴)○いたる(至)=賾。○はじめ(初)
○爭ひて口やかましき貌。韻會「──、爭言貌」○口口にやかましくうはさする、稱贊して置かざる貌「好評──」○鳥の聲の形容〔爾雅、釋鳥〕
シャウ ジャウ [陽]
又甞に作る嘗は俗字
○なむ、口に味ふ。○こころみる(試)味ひてためす。○こころみに。○かつて(曾)これまでに。○秋のまつり、新穀を─ ナ むる義。かんなめまつり。爾雅、釋天「秋祭曰─」
同訓異義
カツテ 嘗·曾○嘗はなむる、こころみる、などの義あり、もとからと譯す「俎豆之事、則嘗聞レ之」は、もとから聞きて知りて居るといふ意なり。○曾は字書に、猶ほ嘗の如しとあり、したぢと譯す「不二曾讀一」は、したぢ讀まぬなり、曾は、嘗より意やや重し。
かんなめまつり。今年の新穀をそなへて神をまつる。史、封禪書「四大冢鴻岐吳岳、皆有──」注「以新穀祭之」
こころみる、ためす。孟子「我雖不敏、請──之」
他事を借り、姑く試に之を爲す說をいふ。荀、王制「姦言竝至、────鋒起」
時節の食物の新に出でたる物を嘗む、孟夏麥を嘗め、季秋稻を嘗める類。禮、月令「孟秋之月、農乃登穀、天子──」=新嘗。
にがききもをなめる、復讐せんとして艱苦を忘れざる義。史、越世家「越王句踐反國、乃苦身焦思、置膽於座、坐臥卽仰膽、飮食亦嘗之也」宋史、李綱傳「强敵內侵、中國勢弱、此誠陛下──思報、厲精求治之日」
人におもねりへつらふることの甚だしきにいふ。書言故事「人ノ讒諂恥ナキヲ言ヒテ──之徒トイフ、唐ノ郭弘霸、侍御史トナル、時ニ大夫魏元忠病ム、僚屬省候ス、弘霸獨リ後ル、請ウテ便液ヲ覽、卽チ指ヲ染メテ嘗メ、以テ病ノ輕重ヲ驗ス、賀シテ曰ク、甘キ者ハ病瘉エズ、今味苦シ、當ニ瘉ユべシ、患ナケント、元忠其ノ媚ヲ惡ミ、朝ニ暴語ス」吳越春秋には、越王句踐が入りて吳に臣たりし時、吳王疾あり、范蠡の計を用ひて、吳王の糞を嘗めて其の味の苦酸を知り、疾の瘳ゆることをいひたれば、吳王大に悅び、因りて赦されて歸りし事を載す、弘霸蓋し其の故智に倣ひしか。
ソウ ソク [有]
けしかける、口にて犬をけしかけ使ふ聲。左、宣二「公─夫獒焉」轉じて、そそのかす、煽動敎唆する。北史、宋弁傳「爲人所─」
①ソウ [宥]
②シウ [宥]
③ソク サク [屋]
通音ソウ
①せき、せく(咳)しはぶく、しはぶき。
②くちすすぐ、くちあらふ、本、漱に作る。
③すふ(吮)史、倉公傳「日─三升」
せき。=咳嗽。
うがひぐすり。=含嗽劑。
タン [翰]
なげき、なげく(太息)「永─」=歎。
なげく。何遜詩「臨觴獨──」=咨嗟·嗟嘆。
ヘゥ [蕭]
車の行くこと疾くして節度なし。詩、檜風「匪二車─兮」
マ [麻]
喇─ ラマ 敎は佛敎の一派。喇(口部九畫)を見よ。
12畫
エツ イツ [屑]
むせぶ、むせび(飯塞)つまる(充塞)憂ひて十分に息する能はず。詩、王風「中心如─」
○むせびてはく。蘇軾文「對案頻蹙、擧箸──」○笑ひ語る聲。韓愈文「笑喜──」
むせぶ爲めに食ふことをやむ。小さき障の爲め肝要なる事を止むるに喩ふ。淮南、說林「有以噎死者、而禁天下之食則悖矣」
①ヲ·ウ [遇]
②アク [藥]
①喑─は怒る貌。
②──は鳥のこゑ。
カゥ [豪]
○ほゆ(咆)猛獸がほえる。○さけぶ。莊、庚桑楚「兒子終日─、而嗌不嗄、和之至也」=號。
さけぶ。北史「──泣涕」
①キ [支]
②キ [寘]
①たのしむ(樂)○やはらぐ(和)○ああ(歎辭)○ほめ(贊美)る聲。○なげく(歎息)こゑ。○いたむ(痛)かなしむ(悲)うらむ(恨)○おそ(懼)れて發する聲。○おどろきて怒る時の聲。○わらふ(笑)たはむれ樂みて笑ふ。○──は自得の貌。
②しひてわらふ(强笑)
同訓異義
アア 嘻·嗟·嗚呼·吁等の别は嗚(口部十畫)の條を見よ。
○自得せる貌。揚雄、河東賦「──旭旭」○たはむれ笑ひて樂む聲。易、家人「婦子──、終吝」
强ひて笑ふ。史、魏其武安侯傳「夫怒、因──曰、將軍貴人也」
キ [支]
○くちゆがむ。○いつはり、いつはる。○みにくし(醜)
キ [微]
○すこしくくらふ(小食)司馬相如、大人賦「─瓊華」○なげく(唏)淮南、繆稱「號而哭、─而哀」○口みにくし(口醜)
器(口部十三畫)の俗字。
キフ [緝]
○すふ「─氣」=吸。○をさむ、をさまる(斂)
①クヮイ [卦]
②キ [寘]
①いきづかひ。○なげく(太息)
②喟(口部九畫)に同じ。
太息する貌。晏子、雜篇「──而歎」
ためいきをつく。舞賦「明詩表指、──激昂」
ケゥ [蕭]
おそる(懼)
懼るる聲〔詩、豳風〕
サイ セ [卦]
○一口にくひつくす。曲禮「無─炙」○かむ(囓)○相共に食ふ。孟、滕文公「蠅蚋姑─之」
サウ ショウ·ゾウ [庚]
○巿人の聲、かまびすし(囂)○ 國 味─ ミソ は食品の一。
鐘の聲。司馬相如賦「聲──而似鐘音」
サフ サン [合]
○ふくむ(銜·嗛)○かむ(囓)莊、天運「蚊虻─膚則通昔不寐矣」
シ [紙]
本、觜に作る
○くちばし(鳥喙)○俗に口をいふ。○すべて物の斗出するものをいふ「山─」「沙─」
囑(口部二十一畫)に同じ。
セイ [齊]
○いななく、いばゆ、馬鳴く。○なく(鳴)馬臻詩「─鴻入幽耳」○むせぶ(噎)○こゑ破れる、しはがれる。漢書、王莽傳「大聲而─」
セゥ [嘯]
○ふく、うそぶく、口を蹙 スボ めて聲を出す。○聲を長く引きて詩を歌ふ「長─」○はげしく聲を出してうなる「虎─」
うそぶきうたふ。馬祖常詩「──氣頗雄、攀躋力或弱」
詩歌をうたふ。詩、小雅「──傷懷、念彼碩人」=吟嘯。
よびあつまれるわるもの。王渥詩「築壘防──」
よびあつめる「兇徒──」
よびあつめる義。唐書、北狄室韋傳「逐水草而處、每弋獵、卽相──、事畢去」=嘯集。
①セゥ [嘯]
②セゥ [蕭]
①かむ(囓)かみこなす(嚼)○食ひて生活する者、たみ(生民)
②啁─は鳥の聲。○きびし(急)禮、樂記「其哀心感者、其聲─以殺」
噍は急にしてかなしむ、殺は減り衰ふ。禮、樂記「──之音作、而民思憂」
かみくらふ。司馬相如賦「──芝英兮」=咀嚼。
鳥のこゑ。揚雄賦「──昆鳴、鳧鷖振鷺」
生民なり、食ひて生活する者の義。漢書、高帝紀「襄城無──、所過無不殘滅」
ソン [阮]
○聚り語る。○うはさ(風說)
人の目の前では氣に入るやうに談り合ひ、背後で惡口をいふ〔詩、小雅、十月之交〕
ソン [願]
○ふく、水を噴 ハ く。○沙─ サソン はなまこ。=海鼠。
タウ テウ [肴]
或は調に作る
○あざける、輕蔑 ケイベツ してそしる。あざけり。○たはむれる(戲謔)
あざけりおどける。諧はおどける。韓愈詩「──思逾鮮」=嘲謔·嘲啁。
あざけりたはむれる。からかふ。南史「凡所奏劾、頗雜──」
あざけり笑ふ。陸游詩「祇自取──」=嘲笑。
あざけりたはむれる。謔はおどける。南史「文辭鄙野、多被──」
あざけりたはむれる。詼は戲。蘇軾詩「願君發豪句、──破天慳」=調啁·調諧。
あざけりそしる。陸游詩「風波起平地、兩耳厭──」
あざけりかまびすし。歐陽修詩「下筆點竄皆──」
あざけりわらふ。劉禹錫詩「時時一大笑、此必相──」=嘲哂·嗤笑。
あざけりわらふ。夏侯湛、東方朔贊「陵躒卿相、──豪傑」=嘲嗤。
あざけりわらふ。曾鞏詩「雖無酒禮發──、亦有詩謠恣搜抉」=調笑·嘲哂。
あざけりそしる。樂善錄「──士大夫」
おどけをいふ。おどけ。蜀志、費褘傳「孫權性旣滑稽、──無方」=諧謔·嘲諧·嘲詼·嘲謔。
あざけりののしる。僧惠洪詩「野僧舊不懽、痴坐相──」=嘲詈。
あざけりののしる。韓維詩「衆口沸──」
あざけりもてあそぶ。蘇軾詩「豈不懷歸畏──」
①タン [寒]
②セン [先]
③タ [歌]
④タン [旱]
⑤セン [銑]
⑥タン [翰]
①あへぐ(喘息)○よろこぶ(喜)たのしむ(樂)○おほし(衆多)○閒暇、餘力ある貌。盛んなる貌。
②─咺は迂緩なる貌。又、怒りてむせぶ(噎)
③─喛はなく(泣)○──はおほ(衆)き貌。
④─唌は聲ののびてゆるやか(舒緩)なる貌。○おそれ(慄)をののく。
⑤ゆるやか(寬綽)なる貌。
⑥──は喜び樂むことの盛んなる貌。
○喘息 アヘギテイキスル の貌。詩、小雅「──駱馬」○衆き貌。詩、小雅「戎車──」○よろこびたのしむ貌。詩、大雅「徒御──」○盛んなる貌。又、閒暇、餘力ある貌。詩、大雅「王旅──、如飛如翰」
○迂緩なる貌〔列、力命〕○怒りてむせびなく〔揚子方言〕
啖(口部八畫)に同じ。
くらふ(噍)=啗。
くらふ。後漢書、安帝紀「更相──」
かゆをすする。
ブ [麌]
○はっきりせず。精明ならざる貌。○ 國 さぞ。推量の意を表 アラハ す助辭「─寒からん」
あいまいにしてはつきりとせざる貌。漢書、韓信傳「諸將皆──、陽應曰、諾」
モク [職]
だまる、ものいはず。史、荆軻傳「荆軻─而逃去」=默。
13畫
アイ [泰]
○いき(氣息)あたたかき氣。○ 國 おくび。
①イ [支]
②アイ·エ [卦]
①め、ああ、歎息の聲、痛傷の聲。論、子張「─言游過矣」未だ寤 サト らざる聲。○なげく、なげき。
②おくび、おくびす、食に飽きて息 イキ する。禮、內則「不敢噦─嚏咳」
同訓異義
アア 噫·嗚呼·吁·惡等の别は嗚(口部十畫)の條を見よ。
歎息又は哀痛のこゑ。=噫嘻。
○歎美のこゑ。詩、周頌「──成王」○痛み悲む聲。
驚き怪むこゑ。李白、蜀道難「───危乎高哉」
はっきりと聲を出し得ざる義。蘇軾詩「臨文但──」
むせぶ。氣の舒びざる貌。晁補之詩「玉茗攄──」
○滿ちふさがりてはきいだす氣、風をいふ。莊、齊物「大塊──其名爲風」○おくび。
①イク·チク [屋]
②ク·ウ イウ·ウ [慶]
①かなしむ、かなしみ。
②─咻はうなる、病む聲。
心にかなしむ貌。嵆康、琴賦「含哀──」
①ヱツ·ヲチ [月]
②クヮイ·ケ [泰]
①さくり、しゃくり(逆氣)○ゑづく、吐くに聲のみにて物出でず。
②──は鳥の鳴く聲の形容。又、徐かに行きて節度ある貌。馬につけたる鈴の聲。又、寬くして明かなる貌。
○鳥のこゑ。又、馬につけたる鈴の聲。詩、小雅「君子知止、鸞聲──」○寬くして明かなる貌。詩、小雅「──其冥」
ガク [藥]
○おどろく、おどろき。=愕。○おごそか(嚴)
俗 死去の知らせ。人をして驚かしむるが故、耗は音耗 オトヅレ
嚴肅なる貌。法言、問神「周書───」
俗 人の死を知らす電報。
○驚きて見るゆめ。周禮「二曰──」=愕夢。○ 俗 不祥の夢。
キ [寘]
○うつは、うつはもの、用具の總名「─皿」○はたらき(才能)禮、王制「百工各以其─食之」きりゃう、度量。論、八佾「管仲之─小哉」○うつはにす。其の才能にしたがって使用する「─使」○一っの事に役立つもの。論、爲政「君子不─」○たっとぶ、有用の人として重んずる「朝廷─之」
才能ありとして愛する。吳志「少敏惠有才藝、權──之」
才能ありて衆に秀でる〔梁書、武帝紀〕
才能人品。人の儀表。晉書「風度宏邈、──高雅」
○うつは、道具。漢書「兵法曰、──不利、以其卒予敵也」○ 俗 意思の動作なきものに喩ふ。「──的」
才能のはたらき。
はたらきと、どりゃうと。才識と氣度と。晉書、何充傳「充居宰相、有──」
器物に同じ。
動植物の體を構成して生活作用を司るはたらきあるだうぐ、人體の耳目鼻口の類。
もてあそびもの。歐陽修、日本刀歌「百工五種與之居、至今──皆精巧」=玩具。
いろいろの道具 ダウグ =器具·器物。
人を使ふに、其の才能の長ずる所によりて用ふること猶ほそれぞれの器を用ふる如くする。論、子路「子曰、君子易事而難悅、及其使人也器之」蔡襄詩「豈無人──」
器量と見識と〔晉書、張華傳〕=器局識見。
器量と材質と。南史、柳元景傳「元景寡言語、有──」
うつは、其の數一ならず、故に什といふ。=器物·什器。
其の才器を重んずる。晉書、王羲之傳「深爲從伯敦·導、所──」
さしがね。韻會小補「──曲尺也、梓人用之」
心廣くゆったりとする。北史、楊津傳「少端謹、以──見稱」=度量。
同じ器を二っ備ふるときは、用ふるに、不自由なし。左、哀六「君異於器、不可以二、────、君二多難」
うつはもの。調度 テウド 周禮「貢──」=器什·器具。
人人の才能性質などのもちまへ。魏書、蕭寶夤傳「──定于下、爵位懸于上」
食品を盛るうつは。孟、滕文公「牲殺──、衣服不備、不敢以祭」
○はたらき。王襃、聖主得賢臣頌「夫賢者、國家之──也」○ 國 たくみ、上手。
○はたらきと、どりゃうと。蔡邕、郭有道碑「──弘深」○ 國 みめかたち(容色)
キン キン [沁]
○つぐむ、口を閉ぢる。○ものいはず。
口をつぐみてうめく。揚雄、解嘲「蔡澤雖──、而咲唐擧」
くちをつぐみて言はず。史、日者傳「悵然──不能言」=閉口。
嚴寒の爲めに口のきかれぬ程こごえる。南史、王偃傳「嘗倮偃縛諸庭樹、時天夜雪、──久之」
口をつぐむ。劉向、九歎「口──、而不言」
キャク [藥]
○大いに笑ふ、又其の聲。漢書、敍傳「談笑大─」○嗢─は笑ひて止まず。○くちあく。
大いにわらふ貌。
グ [麌]
○多く相聚る。○笑ふ貌。
笑ふ貌。又、多くあつまる貌。詩、大雅「魴鱮甫甫、麀鹿──」
①クヮイ [卦]
②クヮツ [曷]
①のど、のんど(咽)○──はこころよし(快)又、寬く明かなる貌。詩、小雅「──其正」
②やつれる(噍悴)顏色が衰へる。莊、讓王「顏色腫─」
①ケウ [嘯]
②ケキ·キャク [錫]
①ほゆ(吼)○よぶ(呼)○さけぶ(叫)○── ケウケウ ·─然は哭 ナク する聲。○くち(口)
②くらふ。=喫。○聲はばし(激)
さけびこたふ。曲禮「毋側聽、毋──」
ほえ鳴く。杜甫詩「──來九天」=咆哮。
哀 カナシ み鳴く聲。謝靈運詩「──夜猿啼」=噭噭然。
衆くの聲が雜りてやかまし。韓愈文「高管──」
なく聲。公羊、昭、二四「──而哭」
○泣きさけぶ。漢書「望見延壽車、──楚歌」○小兒のなきて止まざる義。
どなりつける。=喝破。
ゲン [鹽]
あぎとふ(喁)魚が口を水面にあらはして浮ぶ。淮南、主術「水濁則魚─」
魚の口の水上にあらはるる貌。左思、吳都賦「──沈浮」
サウ [號]
さわぐ、さわがし「鵲─」「蟬─」=譟。
音樂の聲が雜り亂れて快からざるもの。
かまびすし。劉基詩「──亂語談」
やかましくみだれ鳴くせみ。趙嘏詩「──聲亂日初曛」
ゼイ [霽]
○かむ(囓)○くらふ(啗)○ついばむ(啄)○およぶ(逮)
かみ食ふ、易の卦の名、離上震下。彖傳「頤中有物、曰──、──而亨」物の頤中にはさまるときは、害を爲す、齧み合はすときは、其の害亡びて亨通するをいふ。
かむ。埤雅「食相──、行無列、飮無順」
ほぞをかむ。ほぞをかまんとして口がとどかず、後悔しても及ばざるに喩ふ。左、莊、六「若不早圖、後君噬齊」齊·臍通ず。
猛獸毒蟲などがかみつくと、さすと〔北齊書、陸法和傳〕
かみくらふ。王令詩「──善人黨」
かみのむ。物を爭ひ奪ふ。柳宗元詩「狐鼠蜂蟻爭──」=吞噬。
①セン [鹽]
②タン [覃]
①ものいふ(言語)○おほくいふ、しゃべる(多言)
②──は煩はしき語。
①チウ·トウ [宥]
②タク·トク [覺]
①くちばし、鳥の口(喙)咮に通ず。○星の名、一名は柳。
②ついばむ(啄)
①ホン [願]
②フン·ホン [問]
通音フン
①はく、ふく、氣を吐く。莊、秋水「─則大者如珠」○鼻を鼔 ナラ す。○しかりつける(叱)
②吹く聲。○しかる(叱)
同訓異義
ハク 噴·吐·嘔等の别は吐(口部三畫)の條を見よ。
煙をふき出す、ふき出すけむり。=噴烟。
火をふき出す「──口」
頂上より、火、又煙をふき出す山。=火山。
はげしく吹きあげる。孟郊詩「谷號相──、石怒爭旋?」
ふきでる。ふきだす。
水をはく。又、ふき出づる水。拾遺記「此魚──爲雲」
浪の白く立つ貌。李白詩「潮似連山──來」
高くふき出す泉水、人工にてもつくる。=飛泉。
くさめ、はなひる。野客叢書「隨筆曰、今人──不止者、必云有人說我、按、詩邶風、寤言不寐、願言則嚔、注、女思我心、則嚔也、今俗人嚔云、人道我、此古之遺語、余觀類要編風篇、正有此說」
ふきあがる。
ふき出す。湧き出す。岑參詩「亂流爭迅湍、──如雷風」
ふきだす。失笑して口中の飯をふき出す。瑣言「東坡云、文與可見予詩云料得淸貧饞太守、渭川千畝在胸中、不覺失笑、──滿案」
聲をあらくしてしかる貌。韓詩外傳「瞋目扼腕、疾言──」
きりふき、霧を吹き出す器械。
ヨウ [冬]
雍·雝通ずに
○鳥の聲。=嗈。○──は鳥の和ぎ鳴く聲。又民の和ぎ服する義。
〔國字〕
はなし(說話)
〔國字〕
とん。英國の量目、我が二百七十一貫、九百五十匁强。
14畫
アイ [卦]
喝(口部九畫)に同じ。
カウ ケウ [肴]
○さけび、よぶ(叫呼)○なる(鳴)
かぶらや、鳴り響く矢、又、古は、かぶらやを發して、戰を始むるを例とす、故に事の始をいふ、をこり。莊、在宥「焉知曾史之不爲桀跖──也」
カク カ [陌]
通じて赫に作る通音カク
○いかる(怒)又、怒りて發する聲。莊、秋水「鴟得腐鼠、鵷雛過之、仰而視之曰、─」○しかる(呵)叱りて拒む。○おどす「威─」○わらひごゑ(笑聲)
からからと笑ふこゑ。雪占古諺「正月三日、田公笑──」
あらあらしくいかる。=赫怒。
クヮク ワク [陌]
○よぶ(喚)大いに喚ぶ。○かまびすし、多言。○大いに笑ふ。○ああ、大いに驚きて歎息する聲。史、外戚世家「武帝下車泣曰、─大姊何藏之深也」
猿が鳴き嘯く聲。傅玄賦「或──而?斷」
口やかましき貌。史、信陵君傳「晉鄙──宿將」一解に嚄は大いに笑ふ、唶は大いに呼ぶ。
大聲を發してどなりつける、又、多言の貌。柳宗元文「跳浮──」
ジュ [虞]
○囁─はかまびすし(多言)又、言はんと欲して復 マタ 縮む貌。韓愈、送李愿序「口將言而囁─」=嚅囁。○つぐむ(噤)
强ひて笑ふ貌。楚辭「將哫訾慄斯喔咿──以事婦人乎」
①セイ [霽]
②カイ [佳]
①なむ(嘗)祭の肉をなめる。○まつり、まつる(祭)
②── カイカイ は衆くの聲。班彪、北征賦「鵾雞鳴以──」
哀 カナシ み怨む聲。趙抃詩「肩書手劍出門去、──肯復兒女如」
切りたる肉を食ふ。韓愈文「夫外慕徙業者、皆不造其室、不嚌其胾者也」
タフ タイ [合]
すする(歠)曲禮「無─羹」─羹とは其の菜をかまずして之をすすり吞む義。
ネイ [靑]
ねんごろ(懇)寧に通ず。叮─はねんごろに囑 タノ む辭。=丁寧。
ヒ [寘]
○はないき、喘息の聲。○ 國 かか、かかあ(妻·女房)
ラン [勘]
○むさぼる。○食ふ貌。
15畫
イウ [尤]
○咿─啞は辭の未だ定らざる貌。○むせぶ(咽)○咿─はなげく(歎)韓愈詩「佇立久咿─」
ガウ [巧]
かむ(咬)骨を囓む。=齩。
ギン ゴン [眞]
○語るこゑ。○おろか(愚)○言ふこと誠なし。書、堯典「父頑母─」左、僖二四「口不道忠信之言、爲─」
おしにて言ふこと能はず。國語「──不可使言」
言忠信ならずして爭を好む。書、堯典「帝曰、吁、──、可乎」
シツ [質]
咇─ ヒツシツ は聲出づる貌。又、言多き貌。
①テイ [霽]
②チ [寘]
①くさめ、くさめす、はなひる(噴鼻)詩、邶風「願言則─」
②ささはる。礙 ササ はりて行かれず、本、疐に作る。
ハク ホク [覺]
○いかる聲、いかる。○─然は杖を投げるこゑ。荘、知北遊「─然放杖而笑」
①ビ [寘]
②ボク·モク [職]
①いつはる(詐言)あざむく(欺)
②── ボクボク は自得せざる貌。不滿なる貌。史、賈誼傳「于嗟──兮、生之無故」
16畫
エン [霰]
又咽に作る
○のど、のんど(咽)○のむ(吞)吞みこむ。
のみくだす、のみこむ。
タン [勘]
くらふ、くらはす(啖)=啗。
キャウ カウ [漾]
○むかふ、むく。=向。○さきに(曩)○うく(享受)もてなしを受ける。漢書、宣帝紀「上帝嘉─」○まど(牖)○ひびく。漢書、賈山傳「天下─應」=響。○もてなす。=饗。
同訓異義
サキニ 嚮·鄕·向·往○嚮·鄕·向は三字同じ、昔也と註す、さき程と譯す。○往は往日の義なり。
嚮は響に通ず、響の聲に應ずるが如く、遠に應じて起る。字解を見よ。後漢書、劉聖公傳「海內豪傑、翕然──」
○日にむかふ。左傳、注「葵傾葉──、以蔽其根」=向日。○さきごろ。=曩日·向者。
さきに。列子「侍御猶──之人、所坐猶──之處」
○次條に同じ。○行軍に道路の險易などを偵察する者。孫子「不用──者、不知地利」
みち案內。又、案內者。=鄕導。
むかふと、そむくと。
むかひおもむく。漢書、敍傳「從諫如順流、趣時如──」
一心に任用する。宋史、選擧志「仁宗亦──之」
キョ [魚]
なく(嗷)
ヒ [紙]
或は噽に作る
○大いなり。○人名、春秋の時、吳に太宰─あり。
ヒン [眞]
ひそむ、顏をしかめる、心に憂ふる時、又悅ばざる時に眉を蹙む。韓非、內儲「明主之愛一─一笑、─有爲─、而笑有爲笑」
ロウ [東]
のど、のんど(喉)爾雅「亢、鳥─」
17畫
アウ [庚]
○なく、鳥が互に相和して鳴く。○咿─はことば明瞭ならず。楊萬里賦「兒女咿─」
鳥が相和して鳴く貌。詩、小雅「伐木丁丁、鳥鳴──」
鳥の鳴くこゑ。傅休奕詩「──·──聲正悲」
鳥が相和して鳴く。歐陽修詩「日暖衆鳥皆──」嚶嚶を見よ。
キ [支]
○口中のこゑ。○嗚─ アア は、驚歎の聲。
①ゲン·ゴン [鹽]
②ゲン [豏]
①おごそか。○いかめし(威)威ありて犯し難し。○からくきびし(苛酷)寬の反對。○つよし(毅)○敎命急なり。○はげし(烈)甚だし「─冬」「─寒」○ただし(正)○たっとし、たっとぶ(尊)○はばかる、おそる。孟、公孫丑「無─諸侯」○つつしむ、つつしみ(敬)○いましむ、敵の侵入などを警戒して備へる(戒嚴)
②儼に同じ。○ 國 いつくし、うつくし。
きびしくたけだけし。禮、祭義「──儼格非所以事親也」
きびし。むごし。晉書「魏法──」=嚴酷·苛酷·峻酷。
車の用意を急がせる。曹植詩「僕夫早──、吾將遠行遊」
嚴格なる家にはてあらくわがままなる奴僕なし。韓非、顯學「─────、慈母有敗子」
きびしくしてつつしむ。後漢書「先見──之色」=嚴愨。
おごそかにしてただし。=嚴正·嚴重·儼格。
おごそかにしてつつしむ、愨は謹。唐書「爲人──、以威肅聞」=嚴恪。
はげしくさむし。董仲舒文「款冬花於──」=極寒。
おごそかにして志つよし。唐書「光弼、──沈果、有大略」
きびしくさしとめる、きびしき禁令。宋書「空立──」
ひとや、牢獄。古、棘にて囚人を圍み逃亡を防ぎしが故。
○父の敬稱。易、下彖傳「家人有──焉、父母之謂也」=嚴父。○嚴父は チチヲゲンニス 父を尊ぶ。孝經、聖治「嚴父莫大乎配天」
おごそかなるをしへ。盧師道文「高祖每加──」
きびしきおきて。徐陵表「其宜屛錮用寘──」=苛法。
きびしき仕置。晉書「處以──」=嚴罰·嚴科。
きびしくいましむ。又、きびしき警戒。齊書、東昏侯紀「陳顯達至都、宮城──」=戒嚴。
おごそかにしてきよし。王儉文「聖心過恭、寧在──」
きびしくして殘忍 ムゴシ 晉書「以──立功」=嚴苛·嚴酷。
おごそかにしてきびし。漢書、郅都傳「畏罪自重、而都獨先──」=嚴苛。
はげしきしも。楚辭、九辯「秋旣先戒以白露兮、冬又申之以──」
○師を尊ぶ。禮、學記「凡學之道、──爲難」○きびしき先生。
おごそかに整ふ。史、日者傳「顏色──、未曾見齒而笑也」
ぞっとする程おごそか。宋濂詩「──五刑布秋肅」=森嚴。
おごそかなるおや。司馬光詩「疇昔侍──」
おごそかにしてつつしむ。管子「人主者溫良寬厚、則民愛之、整齊──、則民畏之」=矜莊·肅莊·齊莊。
劉璋の將、嚴顏をいふ。文天祥、正氣歌「爲───頭」魏志「嚴顏爲劉璋守江州、劉備遣張飛襲取巴蜀之地獲顏、飛呵曰、何不早降、顏曰、卿等無狀、侵奪我州、我州但有斷頭將軍、而無降將軍、飛將斬之、顏自若、飛壯而釋之」
おごそか。宋史、吳廷祚傳「治家──」=厲肅·嚴重·嚴莊。
おごそかにしてきびし。史、酷吏傳「吏務爲──」
顏色をおごそかにする、威嚴ある顏色。亢倉子「高冠──」
きびしくただし。
交戰國の何れにも援助又は防礙をせず、嚴しく局外中立を守る義。
きびし。孔融文「明詔──、敕州郡」=峻嚴·峻切。
おごそかにおもおもしき貌。威ありて犯し難きさま。
おごそかなる祖父。宋書「不可謂──嚴父、義一也」
國 きびしく申し吿げる、嚴重に布吿する、又、其のたっし。
國 きびしくかけあふ、强梗に談判する。
○威ありておもおもし。後漢書、袁安傳「安爲人──有威」○はばかりおもんず。史、游俠傳「諸侯以此──之」○ ゲンヂユウ 國 きびし、いかめし、ぬけめなし。
きびしき日を限られたる官吏の旅。杜甫、送長孫判官詩「天子憂涼州──須到早」
おごそかなる朝廷。後漢書「欲使──必加濫罰」
嚴寒に同じ。
○きびしくつみす。○きびしき刑罰。=嚴刑·峻刑。
きびしきおきて。史記「──而刻刑」=苛法·峻法。
きびしくしてさとし。宋史、薛奎傳「爲政──、擊斷無所貸」
○父。宋書「奉之如──」=嚴君。○父をうやまふ。孝經「孝莫大于──」
人名。唐書「──挺之子也、拜劍南西川節度使」廼賢、投贈趙祭酒詩「何蕃獨重陽司業、──深憐杜拾遺」
きびしくたけし。漢書、蕭育傳「育爲人──尙威」
ぬけめなくこまか〔後漢書、郞顗傳〕
きびしくいひつける。又、其の命令。史、趙世家「進受──」
おどそかにして明か。漢書「徵爲河南尹、政稱──」
きびしくはげし。唐書「所守──、僚吏畏之」=嚴峻。
コク [沃]
○いそぎてつげる(急吿)○人名「帝─高辛氏」
タ [哿]
○ひろし(廣)あつし(厚)○埀れ下る貌。岑參詩「柳─鶯嬌花復殷」
①テン [寒]
②ラン [旱]
①ことばくだくだしくしてわからず「─哰」
②しふ(誣言)=讕。
18畫
①クヮン [翰]
②タン [翰]
③クヮン [寒]
①よぶ、わめく。=喚。
②めす(召)
③かまびすし(囂)き貌。
かまびすし(喧囂)き貌。荀、非十二子「世俗之溝猶瞀儒、──然不知其所非也」
かまびすしくよぶ〔後漢書、禮儀志〕=叫囂。
ケウ ガウ [蕭]
又嚻に作る通音ガウ
○かまびすし、やかまし(喧譁)○さわがし(騷)○わづらはし。○おほし(衆)○──は自得して欲なき貌、己の分に安んじて他を願はざる貌。又、おほき(衆多)貌。又、憂ひ歎く貌。
○聲のかまびすしき貌。詩、小雅「聽我──」=嗸嗸。○自得して欲なき貌。孟、盡心「人知之亦──、人不知亦──」○歎き憂ふる貌。又、衆多なる貌。詩、小雅「讒口──」=敖敖。
やかましく奔競して榮達を求める。北史「──無親、優游獨逝」
かまびすし。韓愈詩「──所不及、何異山中閒」
かまびすし。謝靈運詩「王子愛淸淨、區中實──」
囂囂に同じ。
やかましく塵多し。うるさきまちなかのけがれ。左、昭三「公欲更晏子之宅、曰、子之宅近巿、湫隘──、不可以居」
かまびすしくみちふさがる。孟郊詩「漢棧罷──」
衆人がやかましくそしる。王融文「緣淺寡虞、致貽──」
かまびすしくわづらはし。李白詩「再得洗──」
かまびすしく、みだれる。朱异詩「兼以隔──」=囂然·囂煩。
囂(前條)に同じ。
サフ ソフ [合]
○はやし、舞を助くる聲。○ 國 はやし。歌に合せて調子をとる鳴りもの。又歌無くして樂器のみにて奏する音樂。○はやす、言ひ立てる、評判する。
シャク [藥]
○かむ(齧)○かみ碎 クダ く「咀─」○くらふ(食)○あぢはふ、翫味す、意味を了解する。
あぢをかみ分ける。蘇軾詩「嗅香──本非别」
甚だ味なき義。楞嚴經「味如──」
セフ ゼフ [葉]
○呫─はささやく、ひそびそばなし(耳語)史、魏其武安侯傳「乃效兒女呫─耳語」○口動く。○かまびすし(喧)○ひそかにののしる(私罵)
言ひかけて口をつぐむ貌。韓愈、送李愿序「口將言、而──」
テン [霰]
○さへづる(鳥鳴)庾信、春賦「新年鳥聲千種─」○ひびき(韻)聲の轉ずるてぅし。
19畫
ゲイ [霽]
○たはごと(戲言)○うはごと(譫言)夢中のとりとめなき言。○ねごと(睡語)
ねごと、たはごと。拾遺記「呂蒙常在孫策座上酣醉、忽臥、夢中誦周易一部、俄而驚起、衆皆言、呂蒙──通周易」
①サツ [曷]
②サン [翰]
①嘈─はつづみのおと。又、聲多し。
②たすく。=贊·讚。○言はずともすむことを無理にいふ。荀、勸學「問一而告二、謂之─」
①サン·ザン [咸]
②セン [琰]
③サン·セン [陷]
饞に同じ
①くちばし(喙)○すする(啜)
②なむ(嘗)○すこしくくらふ(小食)
③あぢはふ(味)○なむ。
ダウ ナウ [陽]
○ふくろ、小を橐といひ、大を─といふ。一解に底あるを─といひ、底なきを橐といふ。○ぜにいれ、財布。賀知章詩「─中自有錢」○ふくろにす、ふくろに容れる。○つつむ(括)
ふくろの中の金を盡く出す。雲笈七籤「雲篆寶書、──相付」
甚だ易きに喩ふ。五代史、南唐世家「李穀曰、中國用吾爲相、取江南、如探囊中之物耳」
ふくるにいれて口をくくる、のこらず包み取る。賈誼、過秦論「有席卷天下、包擧宇內、──四海之意」
晉の車胤の故事。螢雪を見よ。
韓信が萬餘の土囊を以て川の上流を塞ぎ、敵の川を渡らんとするを待ちて、之を決し、大に敵兵を破りし計〔史、淮陰侯傳〕
底ある囊 フクロ と、底なき槖 フクロ と。詩、大雅「于槖于囊、思戢用光」
○さいふのなか。字解參看。○ふくろのなか。次條參看。
賢才は錐の囊中に在る如く忽ちに其の才鋒をあらはすに喩ふ。史、平原君傳「平原君曰、夫賢士之處世、譬若錐之處囊中、其末立見」
事の甚だ容易なるに喩ふ。前の如探囊を見よ。
財布の中に一文の錢もなし。
ありたけのちゑをしぼる。晉書、慕容垂載記「垂笑曰、吾計決矣、且吾投老、────足以剋之、不復畱逆賊以累子孫也」
テン [銑]
わらふ、笑ふ貌。
笑ふ貌。莊、達生「齊桓公──而笑」
ラ [歌]
○歌の調を助くるこゑ。○小兒の語。
12畫
艱(艮部十一畫)の古字。
1畫
齧(齒部六畫)に同じ。
かむ(噬)後漢書、孔融傳「猶昆蟲之相─」
ンョク ゾク [沃]
俗に嘱に作る
○つける、たのむ(付託)○いひつける。
○たのみまかす。抱朴子「不爲利欲動、不爲──屈」=屬託。○ 國 一時雇ひ入れて事務を委せ賴む、又其のたのまれし人。
いひつける。朱熹詩「更得南湖新──、歸來端的有餘師」