艸部(卄)
0畫
サゥ ソウ [皓]
字畫の冠になる時は卄に作る
○くさ、草の古字。○ 國 くさかんむり、卄に作る。=草冠 サウカウ
艸(前條)に同じ。
2畫
①ガイ [泰]
②ゲイ [霽]
通音ガイ
①よもぎ(醫草)山野に自生する一種の草、葉は菊に似て五っに裂け、裏は白くして毛を生ず。○もぐさ、よもぎの葉を乾かして纖維を採りて製す、灸治に用ひ、又印肉を製するに用ふ「灼─」「陳─」○としより(老人)「耆─」「老─」(其の頭髮がよもぎの如く蒼白なる故)禮、曲禮「五十曰─、服官政」○うつくし(美好)「幼─」孟、萬章「知好色、則慕少─」○うつくしき女。○やむ(止)○つく。つくす(盡)左、哀二「憂未─也」○やしなふ(養)詩、小雅「保─爾後」○むくゆ(報)周語「樹于有禮、─人必豐」○あをじろ、よもぎいろ。
②かる、刈り入れる。穀梁、莊、二八「一年不─而百姓飢」くさぎる(芟·穫)刈り除く。○をさむ。をさまる(治)「─安」乂に通ず。
をさまりてやすし。漢書、郊祀志「天下──」=乂安·治安。
人の灸をすゑるを見て、己も亦もぐさをやきて苦を分つ。宋史、太祖紀「帝性孝友、太宗嘗病亟、帝往視之、親爲灼艾、太宗覺痛、帝亦取艾自灸」
口の吃 ドモル なるをいふ。魏の將鄧艾の故事。期期艾艾(八九八頁四段)參看。
をさめやすんず。歐陽修文「經紀厥績、──萬里」=艾安。
よもぎ。爾雅、疏「艾、一名冰臺、卽今──也」=蓬蒿。
よもぎもち。遼史、禮志「五月重五日(中略)進──」
五月五日の節句に、よもぎを以って虎の形を作り、頭に戴く、荊楚の風俗。潛確類書「五月五日、採艾爲人、懸門戶上、又以艾爲虎形、或翦綵爲小虎、帖以艾葉、內人爭相戴之」
みどりの印のひも。漢官儀「二千石以上、銀印綠綬、亦曰──」
よもぎの一種。つまらぬものに喩ふ。劉基詩「江蘺澤蘭成──」=艾蒿。
陰曆五月五日の節句。=端午節。
雉などを射る時、獵者が身を隱すかこひ。杜甫詩「春場鋪──」=雉翳。
五十歲、髮が蒼白色にして艾の如し、故にいふ。曲禮「五十曰─、服官政」
五十歲。曲禮「五十曰艾、服官政」に出づ、王襃文「年踰──」
よもぎもち。宋史、高麗傳「上巳月以靑艾染餠、爲盤羞之冠」=艾餻。
五十歲以上の老人。鹽鐵論「五十以上曰──」
キウ [尤]
○しとね(獸蓐)○へんぴ、くにのはて(遠荒)遠く離れたるゐなか。
あれはてたるゐなか。詩、小雅「我征徂西、至于──」=遠荒。
ジョウ [蒸]
ふるね(陳根)より再び生じたる草。唐書、裴延齡傳「得陂─數百頃」
3畫
①ウ [遇]
②ク [虞]
①いも、さといも(蹲鴟)「綠─」「紫─」「野─」「水─」
②大いなり。詩、小雅「君子攸─」
かしらいも〔後漢書、馬融傳〕=芋魁·芋頭。
いものおや、かしらいも。漢書、翟方進傳「羹──」=芋渠。
いもと、まめと。史、項羽紀「歲飢民貧、士卒食──、軍無見糧」
かしらいも〔本草集解〕=芋魁。
さといもと、くりと。杜甫詩「園收──未全貧」
キ [未]
○おこる(勃)さかんなり。○─歙 キキフ は林の木のふるひうごく(鼓動)こゑ。
おこる貌。司馬相如、上林賦「──興道而遷義、刑措而不用」=勃然。
キ [紙]
○もちあは、粟よりも粘り氣多し。詩、大雅「維?維─」=白粱粟。○ちさ、野菜の名。詩、小雅「薄言采─」=苦菜。
ちさ、ちさな。=萵苣。
キュウ [東]
─藭 キユウキユウ はをんなかづら、香草の一、莖の高さ一二尺、葉は芹に似て分裂す、秋、五瓣黃白色の小花を著く、根は藥用とす。=川芎(四川省の產を佳とする故)
クヮン グヮン [寒]
─蘭 グワンラン はががいも、山野に自生する蔓草、葉は尖りたる橢圓形をなし、夏、紫色五瓣の小花を著く。=蘿藦。
シャク [藥]
一に勺に作る
─藥 シヤクヤク は牡丹に似たる草花の名、根を藥用とす、えびすぐさ。詩、衞風「贈之以─藥」三柳軒雜識「─藥爲嬌客」=勺藥。
セゥ [篠]
ひめはぎ(遠志)
セン [先]
○──はしげる(茂)貌。又、草の盛んなる貌。又、碧 アヲ き貌「葱─」「靑─」○樹木の相雜はれる貌。
草木のしげれる貌。陳子昂詩「──何靑靑」
○草の茂りて盛んなる貌。謝朓詩「遠樹暖──」○碧 アヲ き貌。潘岳賦「碧色肅其──」
草の深く茂れる貌、茂密の貌。陸機賦「淸麗──」陸游詩「柳邊烟掩苒、堤上草──」
草木の蕃衍 シゲル する貌。謝靈運詩「孤岸竦秀、長洲──」
①バゥ [陽]
②クヮウ [陽]
?は本字
①のぎ、稻麥などの實のさきの針の如き剛き毛「稻─」「麥─」○ひかり(光線)「光─」○草の名、多年生草の一、茅 カヤ の類。○草木のとげ「─剌」○さき、ほ、はし(草端)○ほさき、ほこさき「鋒─」鋩に通ず。○──はつかれ倦みたる貌。又、廣大の貌。又、ぼんやりとしたる貌。○邙に通ず「北─」○茫に通ず。○ 國 すすき(薄)
②とりとめなし「─芴」=荒·怳。
わらぐつ。陳師道詩「竹杖──取次行」=草鞋·芒屩。
のぎの尖りてするどきさき。李遘詩「渾渾氣甚和、璞玉無──」
○星の光ののぎの如きもの。晉陽秋「有星赤而──、自東北西南流、投于亮營」○かど。梁武帝、與陶弘景論書書「運筆邪則無──」=稜角。
わらぐつ。筆叢「六朝前、率草爲履、古稱──、賤者之服」晉書、劉惔傳「家貧織──、以爲養」=芒履。
星のひかりのさき。楊繼盛詩「德星──動天臺」
恐れ忌みて心の安からざるに喩ふ。漢書、霍光傳「宣帝謁見高廟、大將軍光從驂乘、上內嚴憚之、若有芒刺在背」
刀劍などのきっさき。漢書、賈誼傳「──不頓」=鋒刃。
○二十四氣の一、陽曆六月五日頃、麥を刈り稻を植ゑるに宜し。孝經緯「小滿後十五日、斗指丙爲──」○轉じて稻と麥と〔周禮、地官、注〕
消石の異名、硫酸ナトりウム。本草「消石、一名──」=芒硝。
前條に同じ。
○疲れ倦みたる貌。孟、公孫丑「──然歸」○廣き貌。又、遠き貌。左、襄四「──禹跡、畫爲九州」=茫茫。○目くらみてぼんやりとする貌。司馬相如、上林賦「──恍惚」○多き貌。束晳、補亡詩「──其稼」
かや、ちがや〔房千里、投荒記〕
ひろくむなしき貌。柳宗元文「其言本儒術、則迂廻──、而不知其適」=茫洋·渺茫。
わらぐつ。孟浩然詩「手持白羽扇、脚步靑──」=草履。
芒(前條)の本字。
ホウ フウ [東]
○草木の盛んに生長する貌にいふ。○小獸の貌。又、尾の長き貌。詩、小雅「有─者狐、率彼幽草」
草の盛んに長ずる貌。詩、衞風「──其麥」
4畫
ウン [文]
○一種の香草、初夏の頃、黃花を著く、書物の中に入れて蟲を防ぐ、故に讀書の所を─窗、藏書の所を─臺·─閣などといふ。○くさぎる、草を去る。論、陽貨「植其杖而─」古、耘に通ず。○──は盛んなる貌。又、多き貌。
○盛んなる貌。又、物の多き貌。老子「物──各復歸其根」○一說に花の黃色なる形容。詩、小雅「──其黃矣」
かをりぐさ、へんるうだ、多年生草の一、藥用とす、又書中に插みて蟲害を除く。禮記、注「書房每以──草、辟蠧魚」=七里香。
植物の分類名の一、へんるうだ科。蜜柑·柚·橙などの類。
藏書のたかどの。香譜「魚豢典略云、芸香辟紙魚蠧、故藏書臺稱芸臺、亦曰──·芸署」=芸局。
芸は極めて黃なる貌。轉じて草木の凋零の狀を──といふ。梁武帝詩「陰蟲自慘烈、庭草亦──」
讀書の室。馮延登詩「──盡日無人到、坐見玄雲吐翠微」=書齋。
芸草と杜若と、共に香草。景福殿賦「──充庭」
藏書のへや。芸閣を見よ。
漢代祕書を藏するうてなを蘭臺といひ、又──といふ。芸閣を見よ。=芸署。
芸草を入れたる書帙。轉じて廣く書物の義とす。梁寅、蒙山賦「坐紫苔兮綠綺奏、蔭蒼松兮──舒」=芸編·書卷。
くさぎる男。後漢書、陳實傳「──牧豎」=耘夫·農夫。
書物をいふ。袁桷詩「──不檢蛛絲冪、班馬專門萬古香」
ガ ゲ [麻]
○め、草木のめ「萌─」「芳─」「嫰─」「發─」「吐─」○おこり、きざし、もと、事の端緖。江統賦「消姦宄於未─」○めざす、めぐむ、めを出す。○鑛物の苗の如くあらはるるものにもいふ。寶藏論「銀─生銀坑內、狀如亂絲、紅色者上、卽赤銀也」
草木の初めて發生せし子葉をいふ。韓維詩「卽看春風撼──」
カイ ケ [卦]
○からしな(辛菜)「辛─」蔬菜類の一種、春十字形の花を著け、粟粒の如き實を結ぶ、味甚だからし。○からし、からしな○實を粉末にしたる香味料。又、藥用品。○からしなは賤しくして實極めて小なり、故に物の小にして賤しき者をいふ「土─」○纖─は微細なる貌。○あくた、ごみ「腐─」「塵─」「草─」
からしな。又、其の實。粉末にして香味料とす。其の實極めて小なるが故に轉じて極小の喩とす。維摩經「以須彌之高廣、內──中、無所增減」
書名、四卷、淸の王安節編す、李漁の序あり、歷代の山水の名家の畫法を彚採し、初學の楷式 テホン と爲す。
からしねり。皮膚に刺戟を與ふる爲めに貼る。
あくたの如くけなして視る。孟、離婁「君之視臣如草芥、則臣視君如宼讐」に本づく。
○小さきあくたが舟の如く浮きてゐる。莊、逍遙遊覆杯水於坳堂之上、則芥爲之舟置杯焉、則膠、水淺而舟大也」○轉じて小舟の義とす。唐太宗、小池賦「泛──而已沈」
からし。耶律楚材詩「──差辛類桂薑」=芥粉。
からしなの初めて生ずるもの。蘇軾詩「秋來霜露滿東園、蘆菔生皃芥有孫」
些細なるもの。又、些細なる心のささわり(礙滯)蘇軾詩「一洗──胸」=蔕芥。
あくたと、ちりと。=塵芥。
キ [寘]
ひし(菱)の一種、實に尖角ある水草「菱─」四角なるを─といひ、兩角を菱といふ。楚語「屈到嗜─」
ひしと、はちすと。大業雜記「池沼之內、冬月亦剪綵爲──」
キフ [緝]
○かぶとぎく、とりかぶと(堇草·鳥頭)○白─ ビヤクキフ は藥草の一、高さ一二尺、花は通常紅紫色、稀に白色のものあり、觀賞用とし、又根を藥用とす。しらん(紫蘭)=白及·白給。○くさの名、皮にて紙を製す。=紙芨。
キン [文]
せり(水英·楚葵)水澤中に生ずる一種の香草、夏日小白花を著く、葉は羽狀複葉を爲し互生す、嫩葉は食用とす「水─」「香─」呂覽「野人美─、願獻之至尊」
物を人に贈る謙辭。字解參看。=獻芹。
せり。詩、小雅、疏「我王使人于此水中采中其──、以爲菹以待諸侯」=楚葵。
せりと、もと。蘇轍詩「泮水生──」詩經、魯頌、泮水篇の「采芹采藻」の義より進士の志願者に比していふ。
せりのひたしもの〔周禮、醢人〕
キン ゴン [侵]
○蔓草 ツルクサ の名、葉は竹の如く鹽氣ある濕地に生ず、其の實は牛馬が喜び食ふ。詩、小雅「呦呦鹿鳴、食野之─」○黃─は藥草。
クワ ケ [麻]
芲は俗字もと華に作る
○はな、草木のはな。○洛陽の人は單に牡丹 ボタン を─といふ。○もやぅ、あや(文象)○はなさく。○すべて花の形せるもの「火─」「─押」「浪─」「燭─」瑞─は雪の異名。○天─は天然痘 ハウサウ (種─は種痘)○藝妓の異名。─娘の略。○錢を數ふるに五文を一─と爲す〔俗呼小錄〕○眼がかすむ。杜甫詩「眼─落井水底眠」○つかひへらす、費す、消耗する「─消」「─費」 國 ○はな。櫻の花「─見」又、梅の花。又、佛にたむけるしきみなど。○藝人などにあたへる祝儀。=纏頭。○はなあはせ又はなくじの略。美くしきこと、はなやかなること、華美「─形役者」「─嫁」
かきはん、押は字を變體に書くをいふ、花は其の形によりていふ。古今原始「──之巧、始于韋涉」=華押·花字·花書。
○美くしくはでなるきもの。○棉花の子ミを去りしもの。
はな。西京雜記「柱壁皆畫雲氣──山靈水怪」=花葩。
次條に同じ。
はなのしとね。開元天寶遺事「吾自有──」=花茵。
はなぶさ、はな。=華英。
はなのかげ。六一詩話「風暖鳥聲碎、日高──重」
はなと、はと。晉書、石勒載記「家園中生人參、──甚茂、悉成人狀」
はなぞの。李嶠、露詩「滴瀝明──、葳蕤泫竹叢」=花園。
○盛んにして華美なる酒宴。○ 國 ハナノエン はなみのさかもり。
はなぞの。李適詩「──四望錦屛開」=花苑。
結晶せし食鹽、其の大いなるを印鹽といふ〔齊民要術〕
花のした。白居易詩「──忘歸因美景、尊前勸酒是春風」=花底。
風雅の心なきをいふ。李義山、雜纂「殺風景、一曰、────」
はなの多き所。元稹詩「琉璃──淨」=花海。
はなのうみ、一面の花ざかり。陸游詩「燕宮最盛號──」
いろざと。=狹斜。
花の萼及瓣の總稱。
はなのかをり。王勃詩「蘭氣添新酌、──染別衣」=花氣。
はなをつくる柄。=花柄。
みかげいし。=花崗岩。
とくい。=顧客·花主·華客。
六十歲の稱。唐詩紀事「今謂年屆六十、曰──」=華甲。
文蛤 ハマグリ の異名。本草「文蛤、名──」
つぼみ〔酉陽雜俎〕=花莟·花蕾。
はなの如き美くしきかほ。白居易詩「雲鬢──金步搖」
くさばな。南史、徐勉傳「聚石移果、雜以──」=花草。
はなのにほひ。宋之問詩「露裛千──、泉和萬籟聲」=花香。
はなのさく時期。蘇軾詩「且銜杯酒問──」=花時。
花のもやうあるにしき。宋史、外國傳「雍熙元年、大食國人、來獻──」
紅梅の異名。
はなび。經國雄略「梨花之製、捲紙爲筒、如元宵之戲玩──之類」=煙火。
○梅の異名。百花のさきがけの義。古詩「不是──、誰是──」摭言「王文正公嘗賦梅花詩云、雪中未論和羹事、且占百花頭上魁」○水──は蓮の異名〔田家雜占〕○蘭の異名〔王貴學、蘭譜〕○ 國 オイラン 遊女、娼妓。
○美くしく飾りしかんむり〔眞言經〕○花被の內側の部分。
梅の異名。
俗 新婦が婚禮の日に乘るかご。
○はなと月と。李白詩「更憐──夜、宮女笑藏鉤」○花に照る月。王勃詩「我塘──下、別是一家春」
言の實なきもの、浮華なることば。朱子語類「巧言卽今所謂──巧語」
晉の潘岳河陽の令となり、桃李を種ゑしより人號して河陽一縣花といひし故事。李白詩「河陽花爲縣」轉じて後世縣治の美稱とす。王維詩「別路經──、還鄕入錦城」
美くしきかほ。元稹詩「凝翠暈蛾眉、輕紅拂──」
○古の美人のあだな。五代史、淑妃王氏傳「王氏邠州餠家子也、有美色、號───」○轉じて美人の義とす。徐積詩「君不見東家女子───、十六未嫁便悲憂」
うゑきや、花を賣るを業とする者。牡丹譜「洛花散於人閒、──始盛」
古、善く花をうゑし人の稱。花木錄「魏夫人弟子善種花、號──、故春圃則祀──」
○はなかんざし。唐書、車服志「──九樹」=花鈿。○花樹を接 ッ ぐ時に用ふる嫰枝 ヤハラカキエダ 〔牡丹八書〕
こじき、乞食。五雜俎「京師謂乞食爲──、不知何取義」
はなのいち。成都古今記「正月燈市、二月──」
花の雄蘂の葯 ヤク を支ヘる柄。
春の花の開くこと。劉克莊詩「──匆匆了」
はなのさく時節。許渾詩「雪夜書千卷、──酒一尊」
花見酒。前條參看。
○花のしん、しべ。○美人の心。
開花のしらせ、花の消息。歲時記「冬至至夏至、有二十四番──風、始梅花、終楝花」二十四番花信風(七六頁四段)參看。
花の開かんとするを報ずる風。前條參看。
○はなを司るかみ。月令廣義「女夷爲──、乃魏夫人之弟子、花姑亦爲──」○花の精神。畫品「徐熙畫花傳──」=花魂。
はなのさけるあした。畫舫約「──月夕、如乘彩霞而登碧落」
○はなびら、はなの開くを人のくちびるに喩へていふ。○美人のくちびる。
○妓を挾みて酒を飮むをいふ。呂巖歌「色是藥、酒是祿、酒色之中無拘束、只因──誤長生、飮酒帶花神鬼哭」○酒の花を以て釀成せしもの。宋史、三佛齊國傳「有──椰子酒·檳榔酒·蜜酒、皆非麴糵所釀、飮之亦醉」
花を賞する木。=花木·芳樹。
梅の異名。
はなのあるところ。劇談錄「直造──、異香芬馥」
○うつくしきらふそく、ゑらふそく。歸田錄「鄧州花蠟燭名著天下、雖京師不能造」○轉じて結婚の宴にいふ。庾信詩「洞房──明」=華燭。
はなのしべ。孟浩然詩「物華皆可玩、──四時芳」=花蘂。
前條に同じ。李商隱詩「蝶銜──蜂銜粉」
はなが開く。沈攸之詩「──鶯歌詠」=花開。
花あるこずゑ。開元天寶遺事「紉紅絲爲繩、密綴金鈴、繫於──之上」
花木奇石を運搬する多くの舟の一つながり。宋史、朱勔傳「徽宗頗垂意花石、勔取湘中珍異以進、舳艫相銜于淮汴、號───」
海棠 カイダウ の異名。花中神仙參看。
はなもやうある詩箋。玉海「以草書書龍鳳──及紈扇、賜王公近臣」=花牋。
はなの如くうつくしきまぅせん。梁簡文帝、對燭賦「雲母窗中合──」
はなの開けるむら〔李時勉、北京賦〕
はなのえだ。石林燕語「──不踰萬數」=花枝。
花柄の先端のふくれたる所。
はなと、竹と。蘇軾、獨樂園詩「──秀而野」
花を著くる莖、花梗の莖。=花莖。
藝娼妓なと。輟耕錄「娼婦曰──、達且又謂草娘」梅堯臣詩「──十四能歌舞」
雌蘂 メシベ の柄。
蓮をいふ。周敦頤、愛蓮說「菊、花之隱逸者也、牡丹、花之富貴者也、蓮、花之君子者也」
草木の花を品して十友に比せしもの。三餘贅筆「宋曾端伯以十花爲十友、各爲之詞、荼?韻友、茉莉雅友、瑞香殊友、荷花淨友、巖桂仙友、海棠名友、菊花佳友、芍藥豔友、梅花淸友、梔子禪友」
海棠 カイダウ の異名。羣芳譜「海棠有色無香、故唐相賈耽著花譜、以爲────」=花仙。
花卉と鳥類と。洞天淸錄「崔白作──、必先作圏線勁利如鐵絲塡以衆彩、逼眞如生」
男女の閒をなかだちするつかひ。唐書、呂向傳「帝歲遣使、采擇天下姝好、內之後宮、號───」
紹興酒の最上のもの。酒罎の外に彩畫を用ふるが故。
○陰曆二月十五日の稱。提要錄「二月十五爲──、高麗以是日爲上元節、今吳俗以二月十二爲──」○はなの咲けるあした。白居易詩「春江──秋月夜」=花晨。
○はなのあしたと、つきのゆふべと。春朝秋夜の樂しき時をいふ。舊唐書、羅威傳「每────、與賓佐賦咏甚有情致」=花晨月夕。○轉じて二月十五日を花朝、八月十五日を月夕といふ〔提要錄〕
花か空一ぱいに滿ち開く。趙翼詩「酒海──共擘箋」
そらには花、地には月かげ、春の花月の夜のけしきをいふ。
はなのかんざし。舊唐書、輿服志「花釵翟衣靑質、第一品──九樹」=花釵。
○木槿 ムクゲ の異名〔本草綱目〕○古の羯鼓に巧みなりし人の名。楊妃外傳「汝陽王璡、小名──、尤善羯鼓」
○花の初めて生ぜしもの。孟郊詩「零落小──」○茶の異名。劉禹錫詩「欲知──淸泠味」
美くしくかざれるふね。宋史、太祖紀「吳越國、進銀裝──」
美くしきかほかたち。白居易詩「雪膚──參差是」=花容。
花の蘂 シベ を保護する部分卽ち萼及花冠の總稱。
花の品類。宋史、藝文志に僧仲林の──一卷あり。春渚記聞「歷數──白而香者、十花八九也、至於菊則白者輒無香」
四季の花を時節の順序によりて記し。又、ゑがきたる書。海棠記「唐相賈耽著百──」
さらさうめ。
雄蘂の上につきたる粉。司空曙詩「柳絲遮綠浪、──落靑苔」
くゎびん、はないけ。世範「取──水飮之」
はなの咲けるこずゑ。高道素、上元賦「柳梢露浥、──星稀」=華杪·花梢。
はなびら。元稹詩「等閑弄水浮──」
はなびら。羣芳譜「剪秋羅、一名漢宮秋色、深紅、──分數岐、八月閒開」
はなばたけ。洛陽伽藍記「林泉題詩、──折藕」=花囿。
花樹に同じ。
○花もやうあるとばり。可止詩「雪消春力展、──洞門垂」○花の盛んに開きて幕を引きし如く見ゆる形容。
髮のかざり。又、瓔珞 エウラク の類〔大寶積經〕
花が白く明か。歲華紀麗「日和而柳暗──」
花顏に同じ。劉禹錫詩「──丫頭十三四」
囘鶻の異稱、──山堡あるによる。杜甫詩「──騰絕漠」
はなもやう。淸異錄「有古柘、嘗因狂風、發其一根、解爲器具、──甚奇」=花文·花樣。
はなもやう。東京夢華錄「七夕以瓜雕刻成──、謂之花瓜」=花紋。
もやぅが同一ならず、文章の他と同じからざるにいふ。書言故事「時文別格、謂花樣不同」
俗 さらさ(更紗)
○花の如き美くしきすがた。○轉じて美人のすがた。虛谷閒抄「皆──綽約、釵鈿照耀」=花顏·花貌。
はなのつぼみ。陸游詩「晨露每看──坼、夕陽頻見樹陰移」
はなのみやこ、洛は支那周代の都、洛陽。=華洛。
○花と柳と。王勃詩「──一園春」○遊女。又、いろざと、狹斜の巷。李白詩「昔在長安醉──、五侯七貴同杯酒」=妓院。
黴毒 バイドク 痳病 リンビヤウ 等の總稱。
はなのはやし。劉孝綽詩「山林惜春暮、旭旦坐──」
熱地に產する木。嶺南志「──性堅、紫赤色似紫檀」
花上のつゆ。天寶遺事「貴妃宿酒初消、苦肺熱、晨遊後花苑、吸──以潤肺」
牡丹の異名。歐陽修、牡丹記「人謂牡丹──、今姚黃眞可爲王、而魏紫乃后也」
はなは物いふこと出來ず。歐陽修詩「────惟解笑
落花をしとねとする。天寶遺事「學士許愼與親友宴花圃中、聚落花鋪坐曰、吾自有花裀、何消坐具」
花の枝を插みて、かんざしとする。宋史、禮志「淳熙二年太上皇帝聖壽、文武百僚竝──赴文德殿、從駕至德壽宮行慶壽禮」
花を比較して優劣を定める。天寶遺事「長安士女春時──、戴插以多奇花者爲勝、皆用千金、市名花植中庭、以備春時鬬」
唐人の句。王維、田園樂詩「桃紅復含宿雨、柳綠更帶朝煙、──────、鳥啼山客猶眠」
寒氣が花を引きしめて開かしめず。歐陽修詩「霽色初含柳、餘寒尙──」
宋人の句。程顥詩「雲淡風輕近午天、───────、時人不識予心樂、將謂偸閑學少年」
甚だしく花を賞し酒を愛する。雲仙雜記「虞松方春以謂、握月擔風、且留後日、────、不可過時」
人事の意の如くならざるに喩ふ。于武陵詩「─────、人生足別離」
花の開きしより花の落つるまでは、纔に二十日の閒なるをいふ。白居易、牡丹詩「───────、一城之人皆若狂」牡丹の和名をはつかぐさといふは此に本づく。
花(前條)の俗字。
ケン [琰]
みづぶき、おにばす、水草、葉は大いにして荷 ハス の如く、皺 シワ 多く水面に浮ぶ、實は芒刺あり、其の中に米あり、食ふべし。
おにばすのみ。聶奉先、續本事詩「京師──最盛于會靈觀之凝祥池」=雞頭。
ゲン グヮン [元]
又、杬に作る
さつまふぢ、ふぢもどき(魚毒)葉はぼけに似、春日、紫色四瓣の花さく、其の葉を擣きて汁を出し水に投ずれば魚死す。
ふぢもどき。急就篇、注「──、一名魚毒、漁者煮之、以投水中、魚則死而流出、故以爲名」=芫花。
サン セン [咸]
○かる、草を刈る。○くさかりがま、草を刈る大鎌。齊語「耒耜枷─」
惡草をかりのぞく。轉じて世の害惡を除く〔蜀志、蔣琬傳〕
草を刈り盡くす。删除する義。左、隱六「如農夫之務去草焉、──蘊崇之」
しげれる草をかり除く。班固、答賓戲「灑掃羣穢、夷險──」
草をかり木をきる。元稹、古社詩「王人議──、怪見不敢前」
かりすく。曾鞏詩「昔來諫官對天子、何穢不欲親──」=誅鋤。
あしきをけづりて正す。芟は删。宋史「載加──」=删正。
草を刈る如く敵をうちたひらぐ。王粲、爲劉荊州與袁尙書「勒整六師、──暴逆」
かりのぞく。=芟鋤。
かりのぞく。李氏刊誤、春則掃除枯朽、秋則──蘩蕪」
シ [支]
○れいし「靈─」ひじりだけ、さいはひだけ、古來瑞草·神草として稱せらる。○くさびら(菌)○きぬがさ(小蓋) 國 ○ シバ 路傍等に叢生する小雜草の稱。○小さき蔓草にて、葉は披針形、長き地下莖を有す、庭園等に一面にうゑる。=結縷草。
芝眉に同じ、宇は眉宇。
れいし、菌はきのこ。唐書、柳宗元傳「雖朽枿敗腐不能生植、猶足蒸出──以爲瑞物」化書「陰陽相搏、不根而生──、燥濕相育、不母而生蝤蠐」
さいはひだけ、ひじりだけ。王充論衡「土氣和故──生」=靈芝·芝菌。
歌の名。漢の孝武帝の時、甘泉宮內に九莖連葉の靈芝を生ず、よりて歌を作らしめ──歌と名づく。班固、兩都賦序「白麟赤鴈、──寶鼎之歌、薦于宗廟」
人の顏色をたたへ稱す。帝王世紀「呂望──」唐書、卓行傳「元德秀、字紫芝、質厚少緣飾、房琯每見德秀、歎息曰、見紫芝眉宇、使人名利之心都盡」=紫宇。
れいしと、蘭草と。一說に芝は芷の誤。家語、六本「與善人居、如入──之室、久而不聞其香、與之俱化矣」轉じて善人才子に喩ふ〔晉書、謝安傳〕
人才の多く一門より出づるに喩ふ。晉書、謝安傳「安嘗戒約子姪、因曰、子第亦何預人事、而正欲使其佳、諸人莫有言者、謝玄答曰、譬如芝蘭玉樹、欲使其生於庭堦耳」
君子の逆境に處して節を高くするに比す。家語、在厄「──────、不以無人而不芳、君子修道立德、不爲困窮而敗節」
山の名。之罘に同じ。
シ [紙]
よろひぐさ、水に生ずる一種の香草、夏時淡黃色の花を著け根は藥用とす。范仲淹、岳陽樓記「岸─汀蘭」=白芷·澤芬。
シン [侵]
ほそゐ、藺 ヰ の一種、葉細長く三四尺に至る、編みて席を造り、又葉心の髓を燈心に用ふ、とうしんぐさ(燈心草)
ジョウ [徑]
くさ、剪らざる草。
ス [虞]
通音スウ蒭は俗字
○まぐさ。○まぐさを與へて飼ふ。○くさかり、草を刈る人「─蕘者」○わら(藁)○まこも。○草を食ふ動物、牛·馬·羊の類。○苾─は梵語の僧。
芻 マクサ を運載し、糧食を轉送する。漢書、嚴安傳「使蒙恬將兵以北攻强胡、辟地進境、戍于北河、────、以隨其後」
芻は草を食ふ畜類、牛羊の屬、豢は穀を食ふ畜類、犬豕の屬。孟、吿子「理義之悅我心、猶──之悅我口」
賤者の言。舊唐書、李絳傳「不廢──、則端士賢臣必當自効」
わらを結びてつくりたるいぬ、祭に用ひ、祭終れば之を棄つ、故に用あれば用ひ、用なければ棄つるに喩ふ。老子「聖人不仁、以百姓爲──」
わらと、たきぎと。禮記「米三十車、禾三十車、──倍禾、皆陳于外」
まぐさと、豆と。魏書、盧昶傳「甘彼──、以辱君父乎」
次條に同じ。
くさかりと、きこりと、微賤の者の義。詩、大雅「先民有言、詢于──」
くさかり、きこりに問ふ、下問をはぢざる義。前條參看。
まぐさと、もみと。宋史、太祖紀「籍其錢帛──來上」
馬を飼ふまぐさと、米と。左、僖二九「公在會、饋之──、禮也」
まぐさ。周書、王思政傳「營田農、積──」
まぐさと、兵糧と〔五代史、唐臣劉延朗傳〕
草を束ねて人形となし死者の從衞と爲して葬むる者。禮、檀弓、注「──、束草爲人形以爲死者之從」
①ゼイ [霽]
②ゼツ [屑]
①みづぎは(水涯)=汭。○──は草の生ずる貌。又、小さき貌。○夏殷周時代の國名、今の山西省─城縣の地。
②── ゼツセツ は夷の一族。=蠕蠕·柔然。
草の初めて生じて小さき貌。本草、注「其葉──短小」
①チョ [語]
②ショ [語]
①みくり(三稜草)○からむし。=苧。
②くぬぎ(栩·櫟)又、其の實、どんぐり。莊、齊物「狙公賦─」=杼。○─栗は小栗。
①トン [元]
②チュン [眞]
①木の始めて生ずる貌。
②おろか、無知の貌。莊、齊物「聖人愚─」
ハ [麻]
○─蕉はばせぅ。○はな、葩に通ず。
熱地に生ずる植物の一、高さ十數尺、莖はやはらかにして草の如く、葉は長大にして莖頂にむらがり生ず、莖の纖維をつむぎて、芭蕉布を織る。南方草木狀「甘蕉一名──或曰芭苴、莖解散如絲、可紡績爲絺綌、名蕉葛」張說詩「戲問──葉、何愁心不開」=甘蕉·芭苴。
ハゥ [陽]
○かをり、にほひ草のよきにほひ。引伸してひろく物のよき香をいふ。儀禮「嘉薦令─」○かんばし、かをる。○にほひよき草(香草)○ほまれ「─名」聲譽の美くしきをいふ。晉書「流─後世」○賢者、能士。○他人の事物を敬していふ「─志」「─墨」「─翰」
はなの下のほこり。孟郊詩「朝朝沒脚走──」
○はるのおもむき。溫庭筠詩「池塘──濕」○人の深切なる心。=芳志。
蘭 ラン の異名。
よきはかりごと。謝朓、酬德賦「結德言而爲佩、帶──而爲服」
にほひが盛んなり。宋史、樂志「嘉薦──」=芬郁。
かをりよきしとね。抱朴子「藉翠蘭之──、漱流霞之澄液」
よきかをりする花のかげ。孫逖詩「歌舞向──」
よきかをりのしる。書斷、序「流──於筆端、忽飛騰而光赫」=芬液。
かんばしくうつくし。白居易詩「衆目悅──、松獨守其貞」
芳名を後の代までのこす。晉書、桓溫傳「不能流芳後世、不足復遺臭萬載邪」通鑑綱目に後を百に作る。
かんばしき草木の芽、特にかをりある茶の芽にいふ。徐世隆詩「牛膝藥靈斟美醞、兔豪盞淨啜──」
○よきにほひ。秦嘉詩「──去垢穢、素琴有淸聲」○よろひぐさの異名。本草「白芷、一名──」
かんばしき花のさけるのべ。王勃詩「──花柳遍、何處不宜春」
かんばしきあせ。王僧孺詩「──似蘭湯、彫金辟龍燭」
芳札に同じ、翰は手紙。
おかほ。=尊顏·尊容·芝眉。
かんばしきくさ。潘岳賦「仰蔭嘉木、俯藉──」
年わかき女子のよはひ、紀は歲。
よきにほひ。晉書、樂志「蘭風發──、蓋世同其芬=香氣·馨氣。
前人の立てたる善き規則。史、樂毅傳、索隱述贊「──不渝」
かをりよき菊。後漢書、胡廣傳、注「菊水出穰縣、──被涯、水極甘香、太尉胡廣所患風疾、休沐南歸、恒飮此水、後疾遂瘳」=芬菊·香菊。
かをりよきむくげ。謝朓賦「籬插──、門拂長楊」
かんばしきはな。梁簡文帝文「折此──、擧茲輕袖」=香花。
にほひよきはな。趙冬曦詩「爽塏三秦地、──二月初」=芳花。
にほひよきかつら。李白詩「空摧──色、不屈古松姿」
花のかぐはしき春のけしき。
かをりよきくさ。蕙は蘭の一種。孟郊詩「春色捨──、秋風遶枯莖」
よきかをり。謝惠連、塘上行「霑渥雲雨潤、葳蕤吐──」=芬馨。
春の時節。鮑照詩「──猶自可、日夜望君歸」
かをりよきくさ。杜牧詩「──復──、斷腸又斷腸」=香草。
他人の書簡の敬稱。梁書、劉孝綽傳「遲還──」=芳翰·芳墨。
他人の深切なるこころざし。=芳情。
かんばしき花のえだ。楚辭「折──與華瓊」
かんばしくひいでる。稚川外篇「紫芝──、不限于斥鹵之壤」
かんばしき花のさける洲 ス 鄭愔詩「不覺──暮、菱歌處處聞」
よきかをりを含めるそで。陸機詩「馥馥──揮、泠泠纖指彈」=香袖。
芳志に同じ。
かんばしき春の時節、辰は時。李嶠詩「早聞年欲至、剪綵學──」
芳志に同じ。
にほひ高きがま。華陽國志「園有──香茗」
花のさける木。李華詩「──無人花自落、春山一路鳥空啼」
かんばしきはる。崔知賢詩「今夜啓城闉、結伴戲──」
かんばしくうるほふ。文賦「傾羣言之瀝液、漱六藝之──」
かんばしくよき酒。張率詩「對酒誠可樂、此酒復──」
かんばしきさんせぅ。楚辭「折──以自處」
春の時節。唐太宗詩「鳴笳凝樂館、眺聽歡──」
かんばしくしてやはらか。輭は俗は軟に作る。徐陵碑「加以五鹽具足、七菜──」
あたらしき魚。傅毅、七激「酌旨酒、割──」
よき供物 クモツ を載せたるつくゑ。宋史、郊祀樂章「乃迎──以薦高明」
花のさけるくさむら。劉憲詩「蝶礙──舞不前」
よき酒だる。又、善き酒。晉書、阮籍傳「嵆阮竹林之會、劉畢──之友」=芳尊。
かをりよきさけ。=芳醇。
前人の善き行跡。史、萬石君傳、索隱述贊「敏行訥言、俱嗣──」
はるのあした。李百藥詩「少年不歡樂、何以盡──」=春曙。
はなかんさし。庾肩吾詩「──繫石橊」=花鈿。
かをりある花のつぼみ。元好問詩「──一破不更合」
にほひあるちがや。拾遺記「夢一童女授以──一莖」
花のよきにほひ。又、香ある草の繁生する貌。庾肩吾詩「春日生──」
かんばし。陸龜蒙詩「椒蘭任──」
かんばしくにほふ。王翰詩「交葉長靑葱、餘英吐──」=馥郁。
かんばし。王襃賦「披華裳兮──」=芬芳·芳郁。
人の手紙の敬稱。=芳札·芳翰。
よきあぢはひ。酉陽雜俎「觴酒之──」=芳旨。
○かんばしきほまれ。=名譽·令名·令聞。○おなまへ、尊名。
かをりよき茶。陸希聲詩「半坡──露華鮮」
かをりよき濁酒。李商隱詩「一醆──不得嘗」
よきにほひのらん。說苑「十步之內、必有──」
かをりよきあまざけ。洛陽伽藍記「──盈罍、佳賓滿席」
○かんばしきいさを。晉書、溫嶠傳「俾──奮乎百世、休風流于萬祀」○はげしき香氣。
かんばしくしげれるくさむら。沈約詩「帳殿臨春籞、帷宮繞──」=芳叢。
①バゥ·モウ [號]
②バゥ·モウ [豪]
①草がはびこる。○ぬく、とる、野菜をえらびて拔き取る。○菜を雜へたる肉羮。
②くさ(草)柳宗元詩「野蔬盈傾篋、頗雜池沼─」
野菜と肉とをまぜたるあつもの。禮記「──菽麥」疏「芼者用菜、雜肉爲羹」
①ヒ ハイ [未]
②フツ [物]
③ヒツ [質]
①蔽─は小なる貌。詩、召南「蔽─甘棠」
②しげる(草木茂盛)
③ひざかけ、まへだれ「朱─」=韍·韠。
①ヒ [支]
②ヒ [寘]
①くさ(草)○しげる。
②かげ(廕)おほふ。=庇。
フ [虞]
─蓉 フヨウ は蓮 ハチス の異名。爾雅、疏「江東人呼荷華爲─蓉」=芙蕖。又、灌木の一、葉は掌狀、秋の末に槿花 ムクゲ に似たる紅又は白き美花を著ける、もくふよう(木芙蓉)
蓮花の異名。爾雅「荷、──(中略)其花菡萏、其實蓮」
字解を見よ。
古の寶劍の名。越絶書「薛燭說劍云、揚其華、如芙蓉始出」盧昭隣詩「相邀俠客───」
ほらあなの名。淸一統志「───在福建閩侯縣北六十里、洞口可丈許、游人秉炬以入、紆廻十餘里、莫窮其際、洞內有五代僧義存所闢開山堂、石牀·石鼓·石盆猶存」
美人の姿に喩ふ。李白詩「美人出南國、灼灼───」
○蓮花に似たる峯をいふ。荊州記「衡山一峯名芙蓉」文海披沙「───在衡山、芙蓉嶺在婺源」○ 國 富士山の異名。=蓮嶽。
フウ フ [尤]
─苢 フイ はおほばこ、一年生草の一、葉は長卵形、平行脈を有し、地上に叢り生ず、花は穂狀綠黃色にして長き梗あり。
おほばこ。詩、周南「采采──」=馬舄·車前·當道·蝦蟆衣。
前條に同じ。
フン [文]
○かをる、かうばし、草が初めて生じて香の分ち布くをいふ「芳─」「奇─」「淸─」○かをり、にほひ、か、花草の香氣。○よきほまれ(芳名)晉書、王彝傳贊「揚─千載之上」○草が初めて生じて香がわかれ布く。○おほし(衆多)紛と通ず。漢書、禮樂志「─哉茫茫」○泯─ ビンフン は亂れる貌。○─然は墳起 ウゴモツ する貌。○はびこる。
にほひの盛んなる貎。梁昭明太子詩「名香晚──」
盛んににほふ。枚乘文「衆芳──」
よきにほひ。張率詩一從風衣起發──」
はなやかにかがやく。史、商君傳「有功者顯榮、無功者、雖富無所──」
かをり。蘇武詩「──良夜發」
土壤の高くもちあがる貌。管子、地員「──者灰」
佛 白蓮華。=妙好華。
かをりよし。書經「治之至者、──香氣、動於神明」
たばこぼん。
花草のよきにほひ。蘇軾詩「草木變──」
かんばし。荀子「椒蘭──、所以養鼻也」=苾芬。
花香の盛なる貌。左思吳都賦「光色炫晃、──盻蠁」拾遺記「洞庭山有靈洞、異香──、泉石明朗」
○香ふ貌。詩、大雅「旨酒欣欣、燔炙──」=芬郁·芬馥。○亂るる。逸周書「汝無泯泯──、厚顏忍醜」注「泯芬、亂也」
○强き香氣〔司馬相如、美人賦〕○かんばしきいさを〔晉書〕
①ブツ [物]
②コツ [月]
①こまか(緻密)○菜の名、蒿に似て葉厚く毛あり。=菲。
②─然·─乎ははっきりせぬ貌。荀、正名「愚者之言、─然而粗」=惚。
5畫
イ [紙]
○薏─ ヨクイ はずずだま、藥草の一。又、蓮の實。○芣─はおほばこ。=芣苣。
薏苡の實。=苡仁。
前條に同じ。
エイ [庚]
○はな、草木の華。詩、鄭風「顏如舜─」○はなぶさ(蕚)はなしべ(蕋)「落─」「殘─」「繁─」「丹─」○は(葉)楚辭「夕餐秋菊之落─」○物事の秀でて美くしき所。韓愈、進學解「含─咀華」(文章の妙味を咀嚼する)○かざりあること、羽にて矛を飾る、矛を飾りし羽根。詩、小雅「二矛重─」○才能のすぐれたる人、賢才の絕異なる稱「─才」「俊─」「豪─」○國名、英吉利 イギリス の簡稱。○玄─は冬の稱。○雲─は雲母 キララ ○美くしき石の名。=瑛。○──は雲の貌。又、美くしき貌。又、和ぎて盛んなる貌。
すぐれてえらし。又、其の人。晉書、陳頵傳「詩稱維岳降神、生甫及申、夫──大賢、多出于山澤」=秀偉·俊偉。
すぐれたるはかりごと。晉書、宣帝紀「雄略內斷、──外決」=芳猷。
○雲の貌。又、輕く明かなる貌。詩、小雅「──白雲、露彼菅茅」○和ぎて盛んなる貌「呂覽、古樂「其音──」○美くしき貌。晉書、荀闓傳「京中──荀道明」
かしこくすぐれる。晉書、李暠傳贊「武昭──、忠勇霸世」
はなやかなるひかり。夏侯湛、扺疑「鳳栖五朞、龍蟠六年、──秃落、羽儀摧殘」
すぐれてうつくし。張纘、蕭子顯墓誌「閒澹動于容止、──發于流盻」
すぐれて遠大なり。北史、來護兒傳「雄略秀出、志氣──、常慨然有立功名之意」
すぐれて賢き人。袁術文「今世事紛擾、復有瓦解之勢矣、誠──有爲之時也」
すぐれたるきりゃう。許衡詩「雄名與──、一口傾九州」
すぐれてえらき人。李白詩「時淸不及──人、三尺童兒重廉藺」=英傑·英雄豪傑。
すぐれて異り。五代史、周世宗紀「壯而器貌──」=英特。
すぐれたる氣象。舊唐書、穆寧等傳論「──動人」
すぐれたるのり。江淹文「遠牽雄範、近覽──」
すぐれてつよし。唐書、承天皇帝倓傳「──有才略、善騎射」
すぐれてよし。齊太廟樂歌「妙感崇深、──彌亮」
すぐれてたかし。南史、蔡撙傳「風骨梗正、氣調──、當朝無所屈讓」
すぐれてたけく、おもひきりよし。晉書、西戎視羆傳「性──有雄略」=英毅·英斷。
○はなやかなるひかり。禮、樂記「和順積中、而──發外」○詩文などのすぐれて味あるにいふ。詩品「咀嚼──、厭飫膏澤」○ほまれ、名譽。漢書、敍傳「浮──、湛道德」○はな。
舜の二妃、娥皇と女英と。列女傳「有虞妃者、帝堯之女也、長娥皇、次女英」蘇軾詩「歷舜九疑弔──」
すぐれたる人物。荀子「其窮也俗儒笑之、其通也──化之」
すぐれてぬきんでたる人。晉書、溫羨傳「衣冠斯盛、──如林」=英俊·英賢。
すぐれてあやあり。晉書、孫楚傳「負──之姿、超然出類」
すぐれてかしこし。後漢書、馬援傳「兄子嚴、能通左氏春秋、因覽百家羣言、遂交結──、京師大人咸器異之」=俊賢。
すぐれてさとし。舊唐書、肅宗紀「上仁愛──、得之天然」
すぐれたる骨相。李白、贈僧行融詩「行融亦俊發、吾知有──」
すぐれたる人のたましひ。賈彥璋詩「茂績當年擧、──此地銷」=英靈。
すぐれたるはたらき。又、其の人。孟、盡心「得天下──、而敎育之」
秀でてさかんなり。徐密詩「平生──節」
風采がすぐれてけだかし。晉書、王濟傳「風姿──、氣蓋一時」=俊爽。
すぐれたる詩文。文心雕龍「高祖大風·鴻鵠之歌、亦天縱之──也」=傑作。
すぐれたるはかりごと、算一に筭に作る。宋書、劉粹傳「故知──所苞、先勝而後戰也」=英略·妙算。
英乂に同じ。高郢文「曹劌者何、魯國──」
すぐれたるすがた。杜甫、丹靑引「──颯爽來酣戰」
すぐれたるうまれつき。班固、薦謝夷吾表「厥土塗泥、而──挺特、奇偉秀出」=英稟。
すぐれてひいでる。吳志「弘雅之素、──之德、文章之采」=俊秀·挺秀。
すぐれたる將軍。=名將。
すぐれたる君主。=名君·明君·賢君。
○ずぐれてよき妃。漢雜事祕辛「爰求──、共臨海內」○八十一御女の一〔北史、后妃傳〕
衆にぬきんでたる人。淮南、泰族「智過萬人者謂之英、千人者謂之俊、百人者謂之豪、十人者謂之傑」
すぐれたるほまれ。後漢書、崔寔傳「大人少有──」=英名·英聲。
才智すぐれてほしいまま。宋書、武帝紀「命世──、藏器待時」
すぐれて事理にあきらか。又、其の人。宋明帝、皇業頌「祚福啓──」=明聖·叡聖。
すぐれたるほまれ。庾信文「八風竝唱、未足頌其──」=英名·英譽·英稱。
藤花が美くしく水を照す。李德裕、詠藤花詩「遙憶紫藤垂、繁英照潭黛」英照皇太后の諡號は此句に本づくと仄聞す、蓋し藤原氏に因みたるならん。
すぐれたる家すぢ。孫顯世文「奕奕──、盛德豐祀」=名族。
すぐれてまさる。吳志、孫策傳、注「有周瑜者、與策同年、亦──夙成」
おもひきって決斷する。晉書、安帝紀「忠武──、誠冠終古」=果斷。
すぐれてぬきでる。任昉文「伏惟聖武──、略不世出」
すぐれてさとし。左思、魏都賦「──雄豪、佐命帝室」=英俊。
すぐれたるはかりごと。北齊書、文宣帝紀「──猛槩、抑揚千古」=英略·雄圖。
ひとりすぐれてぬきでる。魏收文「以富有之資、運──之氣」
にほひよき花。梁簡文帝文「飮三芝之淳露、食六草之──」
すぐれたるわか者、髦は少年の髮形。王韶之詩「美哉玆土、世載──」=英俊。
すぐれてぬきんでる。南史、江總傳「神采──」蘇軾詩「先生早貴重、廟論推──」=秀拔·俊拔·穎拔。
才智がすぐれてわき生ずる。南史、梁元帝紀「天才──」
すぐれたるのり。晉書、禮志「蕩近世之流弊、創千齡之──」
すぐれたるうまれつき。黃庭堅、養浩堂銘「三子承學、皆有──」=英資。
すぐれてたけし。晉書、何無忌傳贊「安城──、繼玆忠烈」
すぐれたる敎化。孔穉圭、北山移文「張──于海甸、馳妙譽于浙右」
傑出せる人物。晉書、桓溫傳「生未期、溫嶠見之曰、此兒有奇骨、可試使啼、及聞其聲曰、眞──也」
すぐれたる辯說。陸龜蒙詩「劉生吐──」
すぐれたる輔佐の大臣。晉書、刑法志「──翼贊、遒邈伊周」
すぐれたるはかりごと。陳書、高祖紀「──雄算、電掃風行」=英圖·英略·雄謨。
すぐれたるはかりごと。錢珝文「光承丕構實耀──」=英圖·英略。
才智がぬきんですぐれる。宋史、邵雍傳「高明──、迥出千古」
すぐれたるほまれ。李紳詩「公子播──」=英聲·英稱。
すぐれてあきらか。=英達。
才のすぐれたるわかもの。潘岳賦「終童山東之──、賈生洛陽之才子」
秀でてすぐれる。晉書、裴頠傳「才德──、足以興隆國嗣」=秀茂·雋茂。
すぐれたる人物。魏志「太祖謂劉備曰、天下──、惟使君與操耳」
英雄が策略を設けて人を欺く。李攀龍、唐詩選序「太白(李白)縱橫、往往彊弩之末、閒雜長語、────耳」
すぐれたるほまれ。=英名·英聲·芳譽。
すぐれてあきらか。梁書、文學傳「觀眸表其韶慧、視色見其──」=秀朗。
すぐれたるはかりごと。晉書、安帝紀「──奮發、忠勇絕世」=英圖。
すぐれてうるはし。陳子昂文「何雲木之──、而池館之崇幽」
○すぐれたる人。英華麗秀の氣の鍾りて生ぜし人。隋書、李德林傳「目送之曰、此河朔之──也」○すぐれたる人の靈魂。=英魂。
①ヱン·ヲン [阮]
②ウツ [物]
①その、かこひを設けて禽獸を畜ふ所(古、囿といひ、漢に─といふ)○草木を植うるはたけ「禁─」「宮─」「御─」「藥─」「舊─」「廢─」○物事のあつまりたる一かこひの所「文─」「藝─」○木がしげる、菀に通ず。
②ふさがる、積もる、屈 カガ まる「─結 ウツケツ 」鬱(鬯部十九畫)に同じ。
禽獸を畜ふその。史、高祖紀「諸故秦──園池、皆令人得田之」=園囿·囿苑。
そのの內のいけす。金史、太宗紀「在位十三年、宮室──、無所增益」
そののはな。儲光羲詩「──落池水」=園花。
そのの樹木。宋之問詩「河堤柳新翠、──花先發」
そのと、ぬまと。晉書、江逌傳「遊豫不以──」=苑池。
氣がふさがる。詩、小雅「我心──」=鬱結。
カ [歌]
○ちいさき草(小草)○こまかし(細)わづらはし、政が煩し「細─」「小─」○きびし、からし(嚴酷)「─酷」「嚴─」「殘─」「慘─」「暴─」○おもし(重)「─疾」○かゆし(疥)「─癢」○せむ(譴)せめとがめる。訶·呵に通ず。○ねたむ(妎)嫉妬をいふ。○みだる。みだす(擾)さわがす。周語「─我邊鄙」○いかる(怒)
きびしきわざはひ。亢食子「凶氣不入身、無──」
くるしきえだち。周權詩「猶傳鬼神風雨夕、知是當時苦──」
きびしくからし。宋史、王嗣宗傳「爲政──、盜賊羣起」=刻急·嚴急。
きびしきいましめ、むごき禁制。漢書、宣帝紀「今郡國二千石、或擅爲──」
くるしめしへたぐ。禮記、注「言君不──、臣無姦心、則刑可以措矣」=苛酷。
きびしくもとめる。
甚だやかましくきびし。宋史、劉瑾傳「御下──少縱舍、好面折人短、以故多致訾怨」
むでたらし。漢書、成帝紀「毋行──」
きびしくむごし。後漢書、王常傳「政令──、積失百姓之心」=苛刻·殘酷。
くだくだしくこまか。後漢書、宣秉傳「務擧大綱、簡略──、百僚敬之」=煩苛·苛碎。
きびしくくだくだし。晉書、文帝紀「蠲除──、不奪農時」=苛細·煩瑣。
きびしく人のをちどをしらべる。莊子「君子不爲──」
むごくそこなふ。後漢書、袁紹傳「細政──、科防互設」吳志、孫權傳「性──、用法深刻」
きびしくしてそこなふ。管子「主者人之所仰而生也、能寬裕純厚而不──、則民人附」
おもきやまひ。苛は重。素問「──不生」=重病。
きびしきとりたて、征は徵稅。=苛稅。
きびしきまつりごと、煩苛なる政令。禮、檀弓「──猛於虎也」
からきとりたて。=苛征。
白色の結晶物、水酸化カルウム。
むごくせめる。
わづらはしくみだる。宋史、齊恢傳「恢居鄕里、恂恂稱君子、臨政府、明白簡約、不──、所至人愛之」
甚だきびし。後漢書、章帝紀「帝素知人厭明帝──、事從寬厚」
きびしくおもし。唐書「斂取──」
からし。唐書、循吏傳序「錮廢酷吏、懲無良、羣臣化之、革──之風」
きびしくあらし。漢書、平帝紀「惟──吏、多拘繫犯法者」=嚴暴。
わづらはしきおきて。史、高祖紀「父老苦秦──久矣」
むごくわづらはし。古雁門太守行「敕吏正獄、不得──」
むごき批評。劉克莊文「苛於評而謙於敎」=酷評。
きびしくみだら。文化雕龍「銓評昭整、──不作矣」
むごくきびしき役人。漢書、鮑宣傳「──繇役、失農桑時」=酷吏。
きびしく人を引きとどむる。漢書、成帝紀「勿──」
きびしきいひつけ。嚴酷なる政令。=苛法·酷法。
むごくはげし。晉書、文帝紀「式遏寇虐、──不作」
くだくだしき禮式。史、酈食其傳「皆握齱好──、自用不能聽大度之言」
カ [麻]
○なす、なすび、野菜の一、夏秋のころ卵形濃紫色の實を結ぶ。本草「─一名落蘇」=茄子。○はすのくき(荷莖)爾雅「荷、芙蕖、其莖─」○はちす、荷に通ず。
カン [覃]
かんざぅ(甘草)藥用とす。一名靈通。王十朋詩「閒庭勝蒔─」
キョ [語]
○たいまつ、葦を束ねて燒くもの。後漢書、皇甫規傳「束─乘城」=炬。○萵─ ワキヨ はちさな。
胡麻 ゴマ の異名。曹唐詩「喫盡溪頭──花」
①コ·ク [麌]
②コ [遇]
①にがな(苦菜)一名は荼。○藥草の名。=大苦。○にがし。又、にがきあぢ「鹹─」甘の對。○くるしむ、事の耐へ難きもの。○つとむ(勤)せまる(急)まづし(貧)「貧─」○ねんごろ、深切「─諫」杜甫詩「不用憑欄─囘首」○なやます。○うれふ(患)○くるしみ、くるしむこと「艱─」「辛─」「窮─」「困─」○こころよし(快)○いたむ(悵)○あらし、もろし、器がもろく損じ易し。=楛。○月の色がさえきる。李華、弔古戰場文「月色─兮霜白」
②くるしむ(困)○─船 コセン は俗語、船にゑふ。
同訓異義
ネンゴロ 苦·懇·慇·懃·丁寧·款の別は懇(七○一頁一段)の條を見よ。
ながあめ。人の患苦する所なるが故。左、昭四「春無淒風、秋無──」=霖雨·淫雨·淫霖。
くるしきしごと。史、楚世家「國人──」
心をくるしむ。白居易詩「君是旅人猶──」=苦心。
苦海に同じ。法苑珠林「少習周孔之文典、晚慕黃老之玄言、俱是未越──、猶淪火宅」
○苦の多き世、苦惱の世界。○ クガイ 遊女の境遇。
くるしみ多き世の中。海は物の多く聚る義。方登嶧詩「──終無岸、愁城豈易攻」=苦界·苦河。
くるしみてまなぶ。李商隱詩「縣頭曾──、折臂反成」醫」
ひどく喉がかわきてくるしむ。孔平仲詩「──須漿解」
○きびしきさむさ。杜甫詩「蠻夷長老怨──」○さむさにくるしむ。陸機詩「劇哉行役人、慊慊恆──」
ねんごろにいさむ。晉書、王坦之傳「坦之非而──之」
くるしみなやむ。
不快なるかほいろ。李白詩「戍客望邊色、思歸多──」
くるしみて詩を作る。徐夤詩「絡緯牀頭和──」
極めてつらき修行、主に佛道にいふ。通鑑、唐紀「衣食居處、一如──沙門」=難行。
くるしきまはりあはせ。
くるしめしへたぐ。
くるしきおもひ。劉禹錫文「相思之──、膠結贅聚」
くるしみなやむ。善恭敬經「更得無量無邊──之法」=苦痛。
形體をくるしめる。呂覽「天下之賢主、豈必──愁慮哉」
ふゆのつき。
くるしきわざ、煩惱の業緣。淨住子「衆等此生、由於身意、造諸──」
聞きて心に苦しく感ずる言、耳に逆ふ諫言の類。戰國秦策「──藥也、甘言疾也」=苦語·逆耳之言。
前條に同じ。劉孝綽文「──輭言、隨方弘訓」
茶の異名。十國春秋「皮光業、性嗜茗、嘗作詩、以茗爲───」
くるしむ。くるしみ。李陵詩「遠處天一隅、──獨零丁」=困苦。
くるしみうらむ。杜甫詩「艱難──繁霜鬢、潦倒新亭濁酒杯」
にがな。禮、月令「孟夏之月、──秀」
ていれきの一名、芹に似て辛き草。齊民要術「歲欲旱──先生」注「葶藶也」
きびしくいさめあらそふ。唐書、崔玄亮傳「──、反覆數百言、俯伏流涕、帝感悟」=苦諫。
くるしみてしぬ。
むごくつかふ。=虐使。
心をくるしめる。淮南子「以知慮爲治者、──而無功」=苦慮。
○くるしむ。くるしみ。杜甫詩「與子俱白頭、役役常──」=辛苦。○にがくからき一種の草の名。山海經「陽華之山、其草多──」注「──可以已瘧」
みをくるしめる。列子「苦其身、憔其心」
多年生草の一、山野に自生す、葉は羽狀複葉にして互生す、夏、黃花を開き、長穗を成す、細長の莢を結ぶ、小豆の如し、根を藥用とす、疥癬 ヒゼン を治す。
國 不平を言ひたてる。
ねんごろにゆづる。北史、薛聰傳「帝欲進以名位、輒──不受」
俗 麥酒、ビール。
にがな。鮑照詩「鳧雛掇──、黃鳥銜櫻梅」
にがわらひ。
逆境に在りて節義を守る〔易、節卦〕
くるしみたたかふ。苦しき戰。李白詩「──竟不侯、當年頗惆悵」
くるしみ。杜荀鶴詩「燭共寒酸影、蛩添──吟」朱熹詩「十年──得失裏、醉醒夢覺今超然」=苦痛。
にがきへた。古詩「甘瓜抱──」
にがもも。東方朔文「斬伐橘柚兮、列樹──」注「──惡木」
まだけ。孟浩然詩「歲月靑松老、風霜──疎」
にがきちゃ。爾雅、注「今呼早采者爲茶、晚取者爲茗、一名荈、蜀名之──」=苦茗。
心中のくるしみ、心のせつなさ。
苦の中に樂あるの意。大寶積經「心如吞鉤、苦中作樂想故」
くるしみ。韓非、解老「──雜於腸胃之閒」=痛苦·苦楚。
にがきと、あまきと。韓愈、苦寒詩「草木不復抽、百味失──」=苦甘。
白色の粉藥 コゲスリ 酸化マグネシウム。
○にがな。詩、邶風「誰謂荼苦、其甘如薺」○茶をいふ〔茶經〕=檟。
くるしみてのぼる。元稹詩「魚貫終何益、龍門在──」
くるしみたたかふ。くるしきたたかひ。隋書、陳稜傳「──不息」
くるしみなんぎ。魏志、凉茂傳「曹公憂國家之危敗、愍百姓之──、率義兵、爲天下誅殘賊」=辛毒·荼毒。
くるしみなやむ。法華經「老死憂悲──」=懊惱。
國 己の身をくる」めて、敵をあざむくはかりごと。
くるしきあつさ。白居易詩「不堪逢──」
ひさご。國語「叔嚮曰、──不材、於人共濟而已」
きはだ。李賀詩「頭上無幅巾、──已染衣」
にがきあぢはひ。
藥品の名、橙皮·龍腦·酒精等を以て製す、多く健胃劑として用ふ。
にがき茶。=苦茶。
くるしみもだえる。
麤惡にしてもろし、窳はいびつ、ゆがむ。陶器の燒け損じたるにいふ。史、五帝紀「陶河濱、河濱器皆不──」
○くるしみつかれる。莊子「苦心勞形、以危其眞」=勞苦。○しんぱい(心配)
くるしみと、たのしみと。史、越世家「臣聞句踐食不重味、與百姓同──、此人不死、必爲國患」=憂樂。
苦と樂とのさかひ。溫子昇、定國寺碑「竝馳于────、皆入於生死之門」
にがみあるすもも。晉書、王戎傳「樹在道邊、而多子、必──也」
しんぱい。范泰詩「華髮飄悴容、──悽懷抱」=苦心。
○くるしみつとむ。江淹文「安能精意──、求身後之名哉」○ クーリー 支那音、支那の下等の勞動者。
思ひわづらひて出づるなみだ。虞炎詩「思君一歎息、──應言垂」
あふちの木。何夢桂詩「風吹──結輕寒」
車にゑふ。次條參看。
ふねにゑふ。西溪叢語「今人不善乘船、謂之──、猶北人謂之苦車」=暈船。
あしきと、よきと。麤惡なると精良なると。周禮、考工記「辨其──」=功苦。
コ [虞]
まこも、一名彫胡。=菰。
まこもの實、古、六穀の一。=菰米。
コウ ク [有]
○かりそめ、ちょつと、まにあはせ、いささか(聊)論、子路「─合矣」○まことに(誠)論、里仁「─志於仁矣」○ただ(但)もし(若)○かりそめにも、いやしくも。
同訓異義
マコトニ 苟·信·眞·誠·固·實·允·良·諒·洵の別は信(一三七頁二段)の條を見よ。
一時の安をむさぼる。後漢書、西羌傳「朝議憚兵力之損、情存──」=偸安·苟且偸安。
○みだりに他人の氣に合ふやうにする。史、孟子荀卿傳「此豈有意阿世俗──而已哉」=苟同。○いささか聚り合ふ。苟完を見よ。
○かりそめ、苟且簡略の義。莊子「遊逍遙之墟、食──之田、立於不貸之圃」○禮法などを簡略にする。漢書、董仲舒傳「自恣──」
かりそめにいきながらへる。司馬遷文「故每攘臂忍辱、輒復──」=苟存。
いささかまったし。論、子路「子謂衞公子荊、善居室、始有、曰、苟合矣、少有曰、──矣、富有曰、苟美矣」
かりそめなることば。後漢書、郞顗傳「有違臣言者、臣當受──之罪」
かりそめに進みて利祿を求める。楚辭「或偸合而──兮、或隱居而深藏」
かりそめに、なほざり。漢書、宣帝紀「品式備具、上下相安、莫有──之意也」
かりそめに生命を全くする。諸葛亮、出師表「──性命於亂世」
一時の安をぬすみていきながらへる。晉書、劉毅傳「志竭愚忠、靦然──」
かりそめに他人の說に同意する。韓詩外傳「偸合──、以持祿養交、是謂國賊也」=苟合。
一時の安をぬすむ。宋史、魏了翁傳「風俗──、邊備廢弛」
當 マサ に得べからざる者を得る義。曲禮「臨財母──」
○一時罪をまぬかれて得意でゐる。論、爲政「民免而無恥」に出づ。後漢書「法防繁多、則──之行興」○己の爲すべき務を怠りて恥と思はず。曲禮「臨難母──」
みだりに人の氣に入るやうにする。荀子「偸合──」
務を怠りて俸祿をいやしくもぬすむ。馬祖常詩「──亦可羞、吾將反蓬蓽」
サツ セツ [黠]
○草木が初めてめぐむ、草の初めて生ずる貌。詩、召南「彼─者葭」○めばえ(萌芽)○動物の生長する貌。孟、萬章「牛羊─壯長而已矣」
草のはじめて生ずる貌。蔡珪詩「──靑蒲芽」
①シ [紙]
②サイ [佳]
①むらさきさぅ、野草の一種、葉は細長く互生し、根は綠紫色にして紫色の染料とす。○はじかみ、しゃうが。○─葳 シヰ はのうぜんかづら。蔓生にして葉互生、花五瓣漏斗狀赤色、夏秋の交に開く。=紫葳·凌霄花。
②─胡 サイコ は藥草の名、山中に自生す、其の根を柴胡といふ。
①ジャク·ニャク [藥]
②ジャ·ニャ [馬]
①もし、もしくは、萬一、假定の辭。○ごとし(如)孟、離婁「─合符節」○かくの如し。論、公冶長「君子哉─人」○すなはち(乃)○したがふ(順)孟、萬章「瞽瞍亦允─」○なんぢ(汝·爾)史、項羽紀「─不趣降漢、漢今虜─」○──は物のたれ下れる貌。○わたつみ、海の神「海─」莊、秋水「向─而嘆」○形容詞の下に添べる助字、如に同じ「瞳─」「自─」○しく(如)韓愈、師說「彼與彼年相─也」○水の名。○赤奮─は十二支の丑の異名。○杜─ トジヤク は香草やぶめぅが(俗にかきつばたに宛つるは誤)
②かわける草。○梵語の音譯、般─ ハンニヤ ほ智慧の義。又、蘭─ ランニヤ は寺。○ 國 ワカシ (幼弱)「老─」「─者」「─芽」
同訓異義
ゴトシ 若·如·猶·由○若は如と通用すれども、意輕し。○如は同也と註す、やうなと譯す「君子之交、淡如レ水」は、君子の交の淡きことは、水のやうなといふ義なり。又、似也と註す、不レ如とよむときは、似ざるなり「不レ如二丘之好一レ學也」の如し。○猶はなほ何何の如しと、かへりて訓む字にて、似也と註す、譬を引きて、大抵これと似よりたりとの意なり「譬猶下居二高屋之上一建中瓴水上也」の如し、猶如二字を連用する例もあり「其爲二建成一謀猶如レ此、況庸人乎」の如し。○由は猶と音義ともに通ず。孟子「民之歸レ之、由二水之就一レ下、沛然誰能禦レ之」○ナンヂ若·汝·女·爾·乃·迺·而の別は汝(一○四九頁四段)の條を見よ。○モシ若·如·設·設若·設使·儻·脫·或○若は、もしくはと訓むときは、或と同義なり、若くは何、若くは何といふときは接續詞となる、もしと訓むときは、如に同じ。孟子「若夫成功則天也」○如は若に同じ、假說之辭、或は未定之辭などと註す、無き事を設けて、是の如きことが、假にありとせばの義。論語「如有二王者、一必世而後仁」○設は假設之辭と註す、柳文に「設有下不幸王以二桐葉一戲中婦寺、上亦將二擧而從一レ之乎」とあるが如し。○設若·設使と二字連用すれば、もしとも、たとへとも訓む、設と、略~同義なり。○儻は、ふとさぅなればなり、或然之辭と註す、俗語に萬一といふが如し、倘は儻の俗字なり。○脫は儻に同じ、俗語に多く用ふ。○或は、あるひはとも、もしくはとも、あらばとも譯す、迷也、疑也とも、未必之辭とも註す、どちらともきまらぬ辭なり。易經「或出或處」
如何に同じ〔方言藻〕
いかほど(幾許)そこばく、定まらざる數、干は一十に從ふ、一の如く十の如しの意。墨子、天志「攻國覆軍、殺將──人」=如干·若箇。
いかほど、そこばく。演繁露「──猶言幾何枚」=若干。○いづれ、沈佺期詩「京華──邊」
なんぢら。楚國先賢傳「──敬聽吾言」=若輩。
某某といふ意。左、襄十二「夫婦所生───、妾婦之子───」
長く垂れ下がれる貌。漢書、石顯傳「印何纍纍·綬──耶」
○なんぢら。宋史、伊穀傳「不司屈──、必當從吾死耳」=若曹。○ 國 わかもの、靑年。=弱輩。
なんぢのちち〔史、伍子胥傳〕
古、日の入る處をいふ〔山海經〕李白詩「西海栽──、東溟植扶桑」
山の名、漢の武帝、東越を擊ちし時、兵を分ちて此に出づ、浙江省紹興縣の南に在り、下に溪あり、──溪といふ、卽ち西施が紗を浣ひし處〔會稽志〕=若耶。
果木の名。廣雅「──、石榴也」=若留。
どのやうに、いかほど。左傳「秦伯謂子會曰、──而戰」=奈何。
①ショ·ソ [魚]
②サ [麻]
③サ [馬]
①しく(藉)履の中に草をしく。又、其の草。漢書、賈誼傳「冠雖敝不以─履」○つつむ(包)○つつみ、つと「苞─」○實のあるあさ(子麻)○色黯 クロ し。○巴─は芭蕉。
②かる(枯)○草木の枯れ落ちて水上に漂ふもの。○水中に浮く枯草。
③土─は肥料にするあくた(糞草)莊、讓王「其土─以治天下」○おぎなふ。韓愈、進學解「補─罅漏」
喪中に用ふる黑き色の竹のつゑ。禮、喪服小記「──竹也」淮南子「衰絰──、哭踊有節、所以飾哀也」
喪の時首と腰とにつけるきれ、實のある麻にてつくる〔儀禮、喪服傳〕
あさにておりし粗布。莊、讓王「──之衣、而自飯牛」
實を生ずる麻。夢溪筆談「有實爲──、無實爲枲」
セン [鹽]
○とま、菅茅などにて編みし席 ムシロ 家や舟の屋根を覆ふに用ふ。○こも、とまむしろの敷物、忌中に喪主の敷きて寢るもの。儀禮、喪服傳「居倚廬、寢─」○覆ふ、草にて屋を覆ふ。
セン [先]
莞に似たる一種の草、編みて席 ムシロ とす「─席」
ゼン [琰]
○草の盛んに茂る貌。○荏─ ニンゼン は時ののびのびになる貌。=荏苒·侵尋。
○次條に同じ。○遷延 ノビノビニナル の貌。陸雲文「時去──」
草の盛んに茂る貌。陳詡詩「因風初──、覆岸欲離離」=苒荏。
タイ [灰]
こけ(蘚)木石又濕地の面に生ずる微細なる下等植物○總稱「靑─」「綠─」「碧─」「─蘚」「海─」
こけの總稱。本草「──之類有五(中略)在牆曰垣衣、在地曰地衣」
こけのむしろ。顧況詩「屋古布──」
こけのむしろ。
こけむしたるきざはし。梁簡文帝詩「──沒故綦」
こけむしたるいそ。趙蝦詩「宅邊秋水浸──、日日持竿去不歸」
こけのはな。李山甫詩「──千點遍松陰」
こけむせるこみち。盧綸詩「──綠無塵」
こけむしたるいしぶみ。宋濂詩「──猶蛟虯」
こけのあと。劉禹錫、陋室銘「──上階綠、草色入簾靑」
水苔にて製せし紙。負暄雜錄「──以水苔爲之、名側理紙、隋薛道衡有──詩」
こけむしたるしきがはら。權德輿詩「──桐花落、山窗桂樹薰」
同志の友をいふ。郭璞、贈溫嶠詩「人亦有言、松竹有林、及爾臭味、異苔同岑」とあるに本づく。
ひげの如く長きこけ。范成大、梅譜「又有──、垂于枝閒」
こけのいろ。王維詩「坐看蒼──、欲上人衣來」
こけむしたるいしだたみ。冷朝陽詩「秋色生──、泉聲入梵宮」
こけむしたるいづみ。宋之問詩「夜絃響松月、朝楫弄──」
苔紙を以て小箋とせしもの。國史補「紙則有越之剡藤──、蜀之魚子十色箋」
ぜにの形したるこけ。劉孝威詩「素壁點──」
こけ。羣芳譜「空庭幽室陰翳無人行、則生──」=蘚苔。
こけむしたるいしだん。孟浩然詩「釣磯平可坐、──滑難步」
梅の根幹にこけの著きたるもの。乾淳起居注「──有二種、宜興張公洞者、苔蘚甚厚、花極香、一種出越土、苔如綠絲、長尺餘」
こけむしたるいしぶみ。張正見詩「山雨濕──」
チョ [語]
通じて紵に作る
○からむし、麻の一種、葉は楮 カウゾ に似て裏白く、高四五尺に至る、皮の纖維を絲につむぐ、まを「桑─」「麻─」○ 國 を、麻又はからむしの皮の纖維をより合せて絲·繩に製するもの。
山名、浙江省諸曁縣の南五里に在り、西施の居りし所、下は浣江に臨む、江中に浣紗石あり、西施紗を此に浣 アラ ふ。=苧蘿。
テゥ [蕭]
○のゑんどう、野生の豌豆。○──は高き貌。張衡賦「狀亭亭以──」○のうぜんかづら。詩、小雅「─之華、芸其黃矣」=陵苕·紫葳·凌霄花。○葦華 アシスハナ 取リて帚 ハハキ と爲す「─帚」
水の名、一名苕水、東苕·西苕の二源あり。吳興縣城中に至り、兩溪合して一となり、太湖に入る、岸を夾みて苕花 アシノハナ 多し、秋時水上に飄散すること飛雪の如しといふ。
高き貌。水經、注「虎牢臨河──孤上」
デツ [屑]
○疲 ツカレ る貌「衰─」○わする(忘)
つかれる貌。一說に、忘れる貌。莊、齊物「──疲役而不知其所歸」
トウ [冬]
○苣─ キヨトウ は冬生ずる一種の草。○ 國 ふき、宿根野草の一、食用とす。=蕗·款冬。
バイ [賄]
○くさいちご(覆盆草)○蛇─ ヘビイチゴ は覆盆草に似て毒あり。
ハゥ ヘゥ [肴]
○つと、つつみ、つつむ(包)「─苴」○もと(本)木の棍。○あぶらがや、莖、堅韌にして履を織るべし、卽ち今の蓆草「─茅」○むらがる、しげる。○草木が叢 ムラガ り生ずる。○ 國 ツト わらにて包みしもの、轉じてみやげ、みやげもの「家─ イヘヅト 」
しげりたるいばら。詩經「肅肅鴇羽、集于──」
つつむ。莊子「充滿天地、──六極」
桑の木の根、苞は本。易、否卦「其亡其亡、繫于──」轉じて根本の牢固なる義とす。
○おくりもの、苞はつと、苴はわらを下にしく。曲禮「凡以弓劎──簞笥問人者」○轉じて、賄賂の義とす。說苑、君道「──行耶、宮室營耶、女謁盛耶」
稻を害する蟲の名、蝶類の幼蟲、長さ寸餘、體の色は淡綠、老ゆれは雜色に變ず、頭は大に頸は細く、白絲を吐き稻葉を捲合して其の中に潛居し、夜出でて稻葉を蝕む。
天をつつむ。器量の大いなるにいふ。崔寔文「陛下以──之大、承前聖之迹」
多くのものをつつみひっくるめる、羅は網。柳宗元、陸先生墓表「──旁魄」旁魄は旁礴。
バウ [肴]
○かや、ちがや(菅)「菅─」「叢─」白─·黃─·靑─·菁─の數種あり、白─は屋根を葺き、黃─は索 ナハ になひ、靑─は染料となし、菁─は祭の時に酒を縮 シタ むに用ふ。○ 國 ち、ちがや、山野に自生する宿根草の一、高三四尺、すすきの如く叢生し、夏、白きわたある穗を出す。
かやぶきのいほり。五代史、馮道傳「爲一──、不設牀席」=茅廬。
かやのまど。曹植文「蓬戶──、原憲之宅也、陋巷簞飄、顏子之居也」
かやぶきやねののき。張繼詩「──日午雞鳴」=茆檐。
○かやぶきの家。左、桓二「淸廟──、大路越席」宋書、裴松之傳「起──數閒、妻子恒苦饑寒」○己の家の謙稱。王維詩「終南有──、前對終南山」=茅舍。
草茅を刈り除く。屈原、卜居「寧誅草茅以力耕乎」杜甫歌「倚江柟樹艸堂前、故老相傳二百年、──卜居總爲此、五月髣髴聞寒蟬」
つばな。本草「──氣味甘溫無毒」=茅針。
かやぶきののき。又、其の家。周朴詩「松店──向水開」=茅舍·茅簷。
字は順甫、鹿門と號す、明の歸安の人、嘉靖十七年の進士、古文を善くし、唐宋八家文鈔を撰し、世に行はる、又好んで兵を談ず、神宗の萬曆二十九年卒す。
にごりざけ、うすき惡酒、──は燃えても直ちに消ゆ、以て薄酒の醒め易きに喩ふ。韓駒詩「慣飮──諳苦硬」
かやぶきのへや。齊書、劉善明傳「質素不好聲色、所居──斧木而已」
ちりがみ。
○ふくろふの一種。爾雅「──、怪鴟」注「似鷹而白」○古の逸詩 ナクナリタルシ の名、無禮の者を刺 ソシ りしもの。左傳「使工爲之誦──」
あかぞめのくさ。爾雅「茹藘──」あかね(茜草)
ふきたる屋根のかやを切りそろへず、宮殿の粗末なるにいふ。漢書、司馬遷傳「堂高三尺、土堦三等、────、采椽不斲」
かやぶきやねの粗末なるいへ。後漢書、班固傳「客居杜陵、──土階」南史、孔惇之傳「──蓬戶、庭草蕪徑、惟牀上有數帙書」=茆室。
つばな。本草「──、茅初生苗也、氣味甘平無毒」
○かやぶきのいへ。蜀志、秦宓傳「稱疾臥在── ○己の家の謙稱。=茅屋。
社をいふ。茅土參看。
かやにて酒をしたむ。蘇軾詩「社酒期──」
茹は茅の根の相ひきつらなれる貌、君子の相ひき連りて朝に立つにいふ、同類相牽引する義。易、泰卦「拔茅連茹」
かやを以て旌 ハタ と爲すもの。祭祀に之を執りて神を導く。公羊傳「鄭伯肉袒、左執──、右執鸞刀、以逆楚子」
かやを束ねて之を列ね、以て位次を表する者。晉語「楚爲荊蠻、置──」
欲の爲めに心がおほはる。孟、盡心「──子之心矣」
かやぶきのいへ。溫庭筠詩「──對薇蕨、爐煖一裘輕」
かやにてなひたるなは。神仙傳「以──懸之」
ひぐらし、蟬の一種、秋の末、旦暮に鳴く〔爾雅〕
かやぶき屋根のみせ、ゐなかの茶店。溫庭筠、商山早行詩「雞聲──月、人跡板橋霜」
諸侯を封ずるにいふ、漢の時、天子諸侯を封ずるに、其の方色(東は靑、西は白、南は赤、北は黑、中央は黃)の土を白茅に包みて賜ひしに本づく。蔡邕、獨斷「天子大社以所封之方色、苴以白茅授之、使之歸國以立社、謂之茅社」李陵、答蘇武書「足下當享──之薦、受千乘之賞」
ゐなかや、かやぶきのかきねにてとりまきし家。
かやぶきのむね。杜甫詩「──蓋一牀、淸池有餘花」
しげれるかや。柳宗元、始得西山宴遊記「斫榛莽焚──」
竹の皮にて作りたる笠。農夫の雨具 アマグ 齊語「首戴──、身衣襏襫」=萌蒲·簦笠。
門の名。說苑「立於──之內」
しばぐり。本草「──似板栗而細、其樹雖小、然葉與栗不殊」
かやぶきやねのいほり。張九齡詩「亂雲堆裏結──、已共紅塵迹漸疎一=茅庵。
茅坤を見よ。
バゥ [巧]
○ぬなは、じゅんさい(蓴菜)水草の一、莖は細長く、葉は橢圓形、水上に浮ぶ嫰芽を食用とす。詩、魯頌「薄采其─」=鳧葵。○かや。=茅。
①バッ [曷]
②ハイ [泰]
①草の根。○やどる、とまる(舍)露宿 ノジユク する。詩、召南「召伯所─」○こゆ「─涉」跋に通ず。
②のうぜんかづら(苕)の白き華のもの。
のじゅくする。草中に止舍する義。周禮、夏官、大司馬「仲夏敎──」=草舍·露營。
バツ マチ [曷]
通音マツ
─莉 マツリ は暖地に生ずる常綠灌木の名、もと波斯より支那に移植す、夏時、枝端に五瓣の白花を著く、香氣愛すべし、素馨の一種。戴復古詩「香薰─莉毬」=末利。
ハン [豏]
○はち(蠭)禮、檀弓「─則冠而蟬有緌」○いがた(鑄器)のり「矩─」「軌─」古、範に通ず。○人の姓「─增」「─仲淹」
字は蔚宗、劉宋の順陽の人、博學にして文を善くす、文帝の元嘉二十二年反を謀りて誅に伏す、年四十八、著はす所、後漢書九十卷あり。
字は正能、石湖と號す、宋の吳縣の人、紹興二十四年の進士、文を善くし、尤も詩に工なり、紹熙四年卒す、年六十八、著すところ石湖集·吳船錄あり。
後漢の高士。後漢書列傳七十一に范冉字は史雲、好んで時に違ひ俗を絕ち、激詭の行を爲す、桓帝の時、萊蕪の長と爲る、母の憂に遭ひ、官に到らず、世を遁れ、鹿車を推し、妻子を載せ、捃拾して自ら資す、或は客廬に寓息し、或は樹陰に依宿す、此の如きこと十餘年、乃ち草室を結びて居る、時ありて粒を絕つ、窮居自若たり、閭里之を歌ひて曰ふ「甑中生塵范史雲、釜中生魚范萊蕪」と。
項羽の謀臣、居巢の人、年七十、羽を輔け、諸侯に霸たらしむ、羽之を用ふることを終へず、增、憤りて仕を辭し、疽、背に發して死す、蘇軾に范增論あり、文章軌範に出づ。
字は希文、宋の吳縣の人、大中祥符の閒、進士に及第し、慨然として當世に志あり、嘗て曰く、士は當に天下の憂に先ちて憂ひ、天下の樂に後れて樂むべしと、仁宗の時、右司諫となり、時政を極論す、數州に歷任し、至る所、惠政あり、龍圖學士を以て延州に知たり、西賊怖れ服す。召されて樞密副使に拜し、參知政事に進む、未だ施す所を竟へず、皇祐四年卒す、文正と諡す。
かねをとかして、いがたに入れる。唐書、百官志「少府監掌冶署、掌──金銀銅鐵」
春秋の楚の人、越王勾踐を佐けて、吳を滅し、會稽の恥を雪ぐ、幾もなく相を辭し、徒屬と共に齊に入り、鴟夷子皮と變名し、又、陶に居りて陶朱公と稱し、巨萬の富を致す。
ヒツ [質]
○かぅばし、かをり。かをる(馨香)「芬─」「芳─」大戴禮「與君子遊、─乎入芝蘭之室」○─芻 ヒツシユ は比丘、卽ち僧侶、もとは印度の草の名、柔かにして風の吹くままになびく、因りて物に拘らざる出家に比す。釋氏要覽「─芻西天草名、具五德、故將喩出家人」
かぅばしき貌。詩、大雅「──芬芬」=苾芬。
かうばし。詩經「──孝祀」
香氣の盛んなる貌。司馬相如賦「晻曖──」
ビン ミン [眞]
○たけのかは(竹膚)○おほし、衆多の貌。
衆多なる貌。揚雄、太玄經「人──而處乎中」
フ [虞]
○莖は葛 クズ に似、葉は圓くして毛ある一種の草、一名、鬼目草。○姓。─堅は晉の時、前秦の主。
①フツ [物]
②ホツ [月]
①草が深くしげる。○ふさがる(塞)國語「道─不可行也」○をさむ(治)草を刈りとる。詩、大雅「─厥豐草」○さいはひ(幸福)○つよくさかんなり(强盛)○婦人のくびかざり(首飾)かんざしの類。易、旣濟「婦喪其─」○婦人用の車の前後の障にて自ら蔽ひ隱すもの、一說に車の後の戶。詩、衞風「翟─以朝」○ひつぎなは、柩を引くもの。左、宣八「用葛─」紼に通ず。
②─然 ホツゼン はいきをする貌。莊、人閒世「獸死不擇音、氣息─然」
○强く盛んなる貌。詩、小雅「臨衝──」臨衝は兵車。○草の茂る貌。
さいはひ。詩、大雅「爾受命長矣、──爾康矣」=福祿。
いきをする貌。字解參看。
①ヘイ·ヒャウ [庚]
②ハウ·ヒャウ [庚]
①よもぎ、蒿の一種。詩、小雅「呦呦鹿鳴、食野之─」=白蒿·藾蒿。○うきくさ。=萍。○──は草の貌。○─果は林檎 リンゴ
②─縈 ハウユイ はめぐる(廻旋)馬融賦「爭湍─縈」
草の貌。宋玉賦「涉漭漭、馳──」
ベゥ メゥ [蕭]
○なへ、禾の初生のもの。又、廣く栽培する草木の初生のもの「禾─」「麥─」「良─」○ちすぢ、たね(胤·子孫)○もろもろ(衆庶)○夏の獵、苗稼の爲めに害を除くを目的とするによりていふ。○種族の名「三─」「─族」「有─」雲南·貴州兩省に多く住む。
遠き子孫、胤はたね。後漢書、樊宏陰識等傳贊「恂恂──、傳龜襲紫」=苗裔。
遠き子孫、裔は衣のすそ、故に喩ふ。離騷「帝高陽之──兮」=末裔·苗末。
いねのなへ。歐陽修文「貲財盡于私室、──盡于農田」
なへのしん。春秋、隱五、注「蟲食──、爲災」
遠きちすぢ。後漢書、寇恂傳「功臣──」=苗胤·苗裔。
○ちすぢ。蜀志、諸葛亮傳「大王劉氏──紹世而起」○支那の南方に住む蠻族。=苗民。
三苗の民。史、夏本紀、注「爲人饕餮淫逸無理名曰──」=苗族。
地中に在る鑛物などのつづき。金史、食貨志「大定十六年遣使分路、訪察銅鑛──」
ボウ モ [宥]
○しげる、しげし、草木が豐かに盛んなり「繁─」「豐─」「秀─」○うつくし(美)○材德の秀でて美くしき義「─才」「─德」「俊─」「淑─」○ゆたか(豐)さかんなり(盛)○つとむ(勉)周語「─正其德」古、懋に通ず。○閹─は十二支の戍の異名。
同訓異義
シゲル 茂·繁·蕃·稠·滋の別は繁(一四九八頁三段)の條を見よ。
美くしく盛んなるはかりごと。王韶之、宗廟登歌「思我──、如玉如金」=芳猷·令猷。
しげれるこかげ。詩經、疏「行人之欲息於──、似諸侯願朝於有德」
しげれるなみ木。又、其のこかげ。馮子振、十八公賦「儼如對于──」
秀でて美くしきおこなひ。楚辭「夫維聖哲、以──兮」
さかんなるいさを。晉書、元帝紀「──格於皇天、淸暉光於四海」
賢良方正の科をいふ。揮麈錄「張咸應──」
さかんなるわざ。陸雲賦「俊德──、邦家之產」
官吏登用試驗の科目の名、後漢の世、光武帝(劉秀)の諱を避けて、秀才を──といふ。後漢書「義後擧──、讓於重、不應命」義は雷義、重は陳重。
才能のすぐれたるもの。漢書、董仲舒傳「州郡擧──孝廉、皆自仲舒發之」孝廉は孝悌淸廉。
府縣の知事の尊稱。李白詩「天子思──」
しげれるくさ。陸雲賦「燔──以爲田」
才德すぐれたる人。漢書、朱邑傳「明主游心太古、廣延──」
すぐれひいでる。唐書、王丘傳「其奬用如孫逖·張鏡微·張晉明·王泠然、皆一時──」
しげれる木。白居易詩「倦鳥歸──、涸魚返淸源」
しげりたるまつ。世說、言語「臣所須者──淸泉、山中不乏」
しげくうゑる。陸雲賦「芳條達蔭、靈根──」
さかんに生長する。宋史、樂志「物性──、民俗阜昌」
しげり生ずる。
さかんなり。西京雜記「杜子夏墓前、種松柏樹五株、至今──」=盛茂。
しげれるえだ。宣和畫譜「──勁節、吟風瀉露、拂雲節月」梢は木末 コズヱ
しげれるしのだけ。梁簡文帝文「有?娟之──、寄江上而叢生」
盛んにすぐれたる事迹。晉書、文苑傳「嘉聲──、陳諸列傳」=茂跡。
生ひしげりたるたけ。北史、楊愔傳「宅內有──」
しげりそだつ。呂覽「集於樹木、與爲──」
しげれるき。鹽鐵論「──之下無豐草、大塊之閒無美苗」
しげりたるはやし。王羲之、蘭亭集序「此地有崇山峻嶺、──修竹」
漢の武帝の陵の名。陝西省興平縣の東北に在り、司馬相如病みて此に家居せり。
ボク モク [屋]
─蓿はうまごやし、原野に自生し、葉は互生複葉、春末葉閒に小黃花開く、肥料、又、かひばとす。
うまごやし。史、大宛傳「馬嗜──、漢使取其實來」=目宿。
ホン [阮]
─?は草のむらがり生ずる貌。
リフ [緝]
○をり(圂)豕類を畜ふかこひ。○藥草の名。=白芷。
レイ リャウ [青]
○をなもみ、みみなぐさ(卷耳)菜の一、高三四尺、葉は卵形、周圍に鋸齒狀のきざみあり、夏、白色の花を著く。=葈耳。○かんざぅ、一種の藥草。○おつ「─落」=零。○茯─ ブクリヤウ は漢藥の名、和名まつほど。○豨─ キレイ は菌の一種、和名はぎほど、藥用とす。=豬苓。
みみなぐさ。爾雅「菤耳、──也」
苓は零、猪糞、通は馬糞。王安石詩「人閒榮願付──」
6畫
イン [眞]
又、裀に作る
○しとね、しきもの(蓐)主として車中に敷く重席 アハセノシキモノ 班固、西都賦「乘─步輦」○─芋 インウ はみやましきみ。○─陳 インチン はねずみよもぎ。莖葉共に藥用とす、冬を經て死せず、舊苗に因りて生ず、故に亦因陳とも書く、陳は又一に蔯に作る。杜甫詩「─蔯春藕香」
しとね。魏志、衞覬傳「──不緣飾、器物無丹漆」=牀褥·席褥。
前條に同じ。
しとね。潘岳、舞賦「陳──而設坐兮」
もうせんのしとね。國史補「韋陟有疾房大尉使子弟問之、延入臥內、行步悉藉──、房氏子弟襪而後登、侍婢皆笑」
カイ [灰]
ね、草の根。漢書、禮樂志「靑陽開動、根─以遂」
カゥ ギャウ [梗]
あさざ、はなじゅんさい、水草の一、葉は心臟形にて夏時黃花を著く、わかばを食用とす。
あさざ。詩、周南「參差──、左右流之」=莕菜·接余。
①カゥ·ケゥ [肴]
②ケキ [錫]
①うまぜり、水澤中に生ずる一種の草。○まぐさ、乾きたる芻 マグサ 書、費誓「峙乃芻─」○なは。竹、又、葦をなひたる絚 ナハ 後漢書、溝洫志「搴長─兮湛美玉」
②ゆだめ(弓檠)
カゥ [江]
─蘺 カウリ は川芎 センキユウ の苗。=蘼蕪。
クヮイ [灰]
─香はうゐきゃう、宿根草、葉は互生して細きこと絲の如し、莖と共に白色を帶びて香氣あり、夏時、枝上每に小黃花羣り開くこと傘の如し、實を藥用とす。
クヮウ [陽]
○ある(蕪)草が地を掩ふ。あれち「─蕪地」○果物穀類がみのらず「─歲」韓詩外傳「四穀不升曰─」○やぶる(敗)すつ。すたる(廢)○みだる(亂)○むなし(空)○すさむ、おぼる、迷ひ亂る。○おほふ(掩·蒙)詩、周南「葛藟─之」○くらし、心がうっとりとする。=慌。○かたほとり、國のはて、えびす(邊裔)賈誼、過秦論「倂呑八─」○大いなり。又、大いにする。○─唐 クワウタウ はとりとめなし。○ 國 アラシ 亂暴。
ふけりあそぶ。
酒色にすさみみだる。司馬相如、上林賦「奢侈相勝、──相越」
とほきはて。後漢書、杜篤傳「信威于征伐、展武乎──」=遐裔·邊裔。
あれたる宿場 シユクバ 林景熙詩「──臺州路、秋高酒易醒」
とほくはなれたる地。北史、齊武成帝紀「神武方招──」
遠方のものと雖も、之を包容して懷ける。易、泰卦「九二、──、用馮河、不遐遺」
遠き夷などをなつける。晉書、涼武昭王傳論「──弭暴、開國化家」
甚だしくとほし。北史、突厥傳「皇王舊迹、北至幽都──之表」=荒遠。
あれたるきざはし。杜甫詩「──生草茅」
あれたる郊外○陸龜蒙詩「身閒惟愛靜、籬外是──」
あれはてて、みだれる。晉書、杜曾傳「永嘉之亂、荊州──」=蕪梗。
やぶりすてる。書經「無──朕命」
ききんにてうゑる。後漢書、鄧騭傳「人士──」
ききん。周書、友叔才傳「隋末──」
あれくづれる。曹植、歸思賦「經平常之舊居、感──而莫振」
うすぐらし、黯淡たる貌。杜甫詩「野日──白」
あらあらし。北史、趙昶傳「氐俗──、昶威懷以禮」
あれたるはたけ。王安石詩「籬落──草自生」=荒疇。
あれたるこみち。韋應物詩「風雪積深夜、園田掩──」=荒徑。
雞の時ならぬ時に鳴くもの。晉書、祖逖傳「中夜聞──鳴」
くづれかける。陸機文「亡秦廢學、制度──」
すたれたるしごと。申鑒「國無游民、野無──」
あれたる野はら。晁補之詩「停舟傍河滸、囘顧盡──」=荒野。
○うっとりする。楚辭「意──而流蕩兮」○空漠なる義。唐書、蘇頲傳「古稱荒服、取──之義」
ききんどし、果穀の熟せざる凶年。盧綸詩「可憐──靑山下、惟有松枝可寄君」
あれたるくさ。韋應物詩「繁霜疑有雪、──似無人」
あれそこなはる。晉書、張光傳「綏撫──、百姓悅服」
すさみてほしいまま。史、李斯傳「儉節仁義之人立於朝、則──之樂輟矣」
國 惡人を罰する神の名。
あれはてたるはやし。蘇軾詩「故山桃李伴──」
さけにすさむ。晉書、慕容皝載記「──縱獵、不復設備」
甚だしく酒にゑふ。梁武帝文「勿謂爾貴長夜──」
あれたる國のはて〔柳宗元、寄許京兆書〕=荒邊。
凶年に備へる政。周禮、地官「大司徒之職、以──十有二、聚萬民」
土地があれてやせる。蘇軾、答張文潛書「──斥鹵」
すさびてあさはか。李德裕狀「臣學慚──、久病衰羸」
すさみおこたる。書、泰誓「狎侮五常、──弗敬」
とりとめなきことば。莊、天下「謬悠之說、────、無端崖之辭」
たのしみにすさみふける。雲笈七籤「淫聲哀音、怡心悅耳、以致──之惑」
とりとめなきことば、でたらめ。李白、大獵賦「晒穆王之──、歌白雲之西母」=虛誕。
あれたる土地。東坡集「得──數十畝」
あれたるいけ。謝朓詩「──秋草徧」
あれたるはたけ。曹植文「棄而不耕、故爲──」
荒れ棄たれる。宋書、禮志「詩書──、頌聲寂寞」
あれすたる。魏略「鍾繇上書自劾曰、久病淹滯、衆職──」=荒廢。
あれやぶれる。晉書、張光傳「漢中──」=荒壞。
あれすたれる。禮記、疏「田無主則──、故用人爲主」
田獵飮酒などの樂に耽 フケ る。孟、梁惠王「先王無流連之樂、──之行」=荒湎。
あれはてる。左思賦「伊洛榛曠、崤函──」
支那九州の外の最も遠く隔りたる地、王畿を離るる二干里より二千五百里に至るの地。五服(八六頁二段)を見よ。
あれおとろへる。富弼詩「幽居近銅駝、──仍湫底」
すさみおぼれる、湎は溺 オボ る。舊唐書、李密傳「──於酒、俾晝作夜」=荒亡。
かたよりて遠くはなれたる地。曾鞏、送江任序「──側境」=邊荒·荒陬。
ききんにくるしめる民。後漢書、文苑傳「被水年饑、乃分秦祿及所得賞賜、班贍貧者、于是豐富之家、各出義穀、助官稟、貸──、獲全」
あれたるのはら。杜甫詩「地卑──大、天遠暮江遲」=荒原。
あれはてたるかき。高啓詩「棄在──荊棘邊」
あれはててさびし。蘇軾詩「──廢圃秋、寂歷幽花晚」
あれたるしほはま。唐書、李大亮傳「臣遠在──」
あれはてたるみち。王粲詩「悠悠涉──、靡靡我心愁」
あれたるたかどの。岑參詩「──荒井閑空山」
あれけがれる。晉書、馮跋載記「今疆宇無虞、百姓寧業、而田畝──、有司不隨時督察」=荒蕪·蕪穢。
すさみまどふ。司馬光文「襄王之心自──」
クヮツ [曷]
─蔞 クワツロウ はきからすうり、根は澱粉を製すべし、天花粉といふ。=瓜蔞。
ケイ [庚]
荆は正字
○いばら、うばら(茨)「─棘」「柴─」○にんじんぼく(楚木)○しもと、笞刑に用ふる杖。○己の妻の謙稱、後漢の梁鴻の妻孟光がいばらのかんざしをさしたる故事に本づく「─妻」「拙─」○支那の古の九州の一、今の湖南·湖北兩省竝に廣東の北部、貴州·四川·廣西の東部を奄有す。
謝罪の意を表する爲めに背にしもとを負ふ。むちうたんことを望むなり。史、廉頗傳「肉袒──」
荊草を數き、途中で相遇ふ。左、襄二六「楚伍擧與聲子相善、聲子如晉、遇之鄭郊、──相與食」
戰國時代の衞の人、燕の太子丹これを客とし、荊卿と稱す、軻、丹の爲めに秦に入り、秦王を刺さんとし、成らずして殺さる〔史、刺客傳〕
字は浩然、五代の畫人、經史に博通す、太行の洪谷に隱れ、自ら洪谷子と號す、山水樹石を畫きて以て自ら適す〔五代名畫補遺〕
にんじんぼくと、くこと。杜甫詩「漢家山東二百州、千村萬落生──」
○いばら。東征賦「睹蒲城之丘墟兮、生──之榛榛」○讒賊の人に喩ふ。楚辭「──聚而成林」
五代の荊浩と宋の關仝と、共に名畫工。梅堯臣詩「山水樹石硬、──藝能至」
己の妻の謙稱。荊布を見よ。=荊婦。
○うばらと、しばと。○しばの戶。高叔嗣詩「歸臥守──」=柴門。
荊布を見よ。
春秋時代、楚國の陣法。左、莊四「楚武王──授師孑焉」
いばらと、はしばみと。雜木ばやしをいふ。吳儆、浮丘仙賦「攀──陟堆埼、臨絕壁、俯淸溪」
一卷、梁の宗懍撰す、楚國の土俗三十六事を述ぶ、漢魏叢書中に收む。
いばらの赤き實のかんざし、木綿のもすそ、己の妻の謙稱。皇甫謐、列女傳「後漢梁鴻之妻孟光、肥醜而黑、力擧石臼、德行甚高擇對不嫁、年三十、父母問其故、曰、欲節操如梁鴻者、鴻遂娶之、常荊釵布裙、每進食、擧案齊眉」
荊妻に同じ。
卞和が荊山にて得たるあらたま。潘岳、籍田賦「似夜光之剖──兮、若茂松之依山巓也」=荊璧·荊山之璞。
ケウ [蕭]
こあふひ、ぜにあふひ。葵の一種、莖は直立し高三四尺、花は一寸餘、淡紫色にして瓣に深紫色の線紋あり。=荆葵·錦葵花。
コン [願]
毛─ マウゴン はきんぼうげ(金鳳花)原野に自生する毒草の一、葉は掌狀にして莖に細毛密生す、春時五瓣の小黃花を著く。
サゥ ソウ [皓]
別に艸に作る
○くさ「豐─」「水─」「蔓─」「腐─」「春─」「香─」「芳─」「毒─」○のはら。○あらし、そまつ(粗)「─具」○はじめ(創初)はじむ(始)「─創」○いやし(鄙)「─野」○轉じて在野の稱「─茅」「─澤」○おこす(起)○しばし(造次)○詩文のしたがき「─稿」「諫─」したがきを書き起す。後漢書、陳寵傳「蕭何─律」○書體の名、行書を更にくづしたるもの「眞行─」○──はうれへる貌。又、いそぐ、いそがはし。=匇匇、又、てがる(苟簡)あらまし。○くさかる。禮、祭統「未發秋政、則民弗敢─也」○─斗は櫟實 ドングリ ○醫─はもぐさの異名。=艾。
次條に同じ。
わらぐつ。張詠詩「雲居山客草爲鞵」=草鞋。
わらじせん、行脚僧の旅費〔傳燈錄〕
詩文のしたがき。=草藁。
くさぶきのいほり。朱熹詩「暮入千峯裏、寒棲一──」
○隱者の服。張芸叟詩話「梅聖兪詩、如深山道人、──葛屨、王公大人、見之不覺屈膝」○轉じて隱者の稱。景雲詩「潚灑塵埃外、扁舟一──」
くさぶきのやね。陶潛詩「方宅十餘畝、──八九閒」=草堂。
くさと、あくたと。轉じてつまらぬ物に喩ふ。孟、離婁「視天下悅而歸己、猶──也」
詩文のしたがき。史、屈原傳「屈平屬──未定」=草稿·草案。
草野のあひだ、民閒。李白詩「余亦──人、頗懷拯物情」
民閒に於て生活することを求む。晉書、周顗傳「吾備位大臣、豈可復草閒求活哉」
くさぶきのくら。宋史、李肅之傳「結──、以儲庾粟之暴露者」
わらぐつ。漢書、卜式傳「布衣──而牧羊」=草履。
わらぐつ。晉書、孫晷傳「有一老父、縕袍──」=草履。
粗末なる膳部。戰國、齊策「願寄食門下、左右食以──」注「草、不精也、具饌食」=粗食。
くさばな〔史、李斯傳〕
わらぐつ。杜荀鶴詩「山衣──染莓苔」
檄文を起草する。南史、蔡景歷詩「武帝將討王僧辯、召令──、景歷援筆立成」
○くさのねと、きのかはと。金史、食貨志「山東行省僕敬安貞言、泗州被災、道殣相望、所食者────而已」○漢法の醫藥の原料。
○いそがはし。杜甫詩「聞君適萬里、取別何──」=匆匆。○心を勞する貌。詩、小雅「勞人──」
○粗略につくりはじめる。漢書、恩澤侯表「庶事──、日不暇給」○文書のしたがきを作る。論憲問「裨諶──之」
わらぐつ。杜荀鶴詩「──無塵心地閒、靜隨猨鳥過寒暄」
○手習をならふ冊子。○日記·物語などを書きつける冊子。=草紙。
のじゅく。周禮、注「軍有──之法」
つまらぬゐなかのまち。范成大詩「遠尋──沽新酒」
いそがはし。春秋、疏「──猶造次、造次倉卒、皆迫促不暇之意」
國 ○手習をけいこする帳。○隨筆·日記·物語などの類。=草子·册子。
草はらに生ずるひる、やまびる。本草「生深山草中者、爲──」
もぐさの異名。本草「艾、一名───」=醫草。
のじゅく。何承天、安邊論「櫛風沐雨、不以爲勞、露宿──、惟其常性」
はたはた〔爾雅〕
のじゅく。宋書、孫法宗傳「單身勤苦、霜行──」=露宿。
書體の一、字畫を略して繚糾せること草の如くする。說文序「漢興有──」晉書、索靖傳「靖與尙書令衞瓘俱以善──知名」
くさぶきのあばらや。曹植詩「劇哉邊海民、寄身於──」=荒墅·村墅。
くさのいろ。劉禹錫、陋室銘「苔痕上階綠、──入簾靑」
くさのしとね。阿含經「沙門皆──爲牀」=草褥。
草を常食とする哺乳動物、馬·牛·羊の類。肉食動物の對。
草書を巧にかく人。又、特に唐の張旭を稱す。杜甫詩「張旭三杯──傳」
ちょろぎ、野菜の一、莖は二三尺、花は淡紫色、根は蠶に似る。
こぬすびと、草野の竊盜。書、微子「殷罔不小大、好──姦宄」
やさい、あをもの。後漢書、茅容傳「自以──、與客同飯」=菜蔬。
くさむら。=草莽。
こぬすびと。又、亂民〔唐書、僖宗紀〕=草竊。
あわただしい。=怱卒·倉卒。
かやぶきのいへ。古人の隱居して自ら樂む者多く──を營む、杜甫の浣花──、白居易の廬山──の類。孔稚圭、北山移文「鍾山之英、──之靈」
在野の義。史記「原憲亡在──中」左思詩「何世無奇才、遺之在──」=草莽。
○いなご。詩、召南「喓喓──」注「蝗屬」○草閒に棲むすべての蟲類。
草を刈りたひらげる。韓愈文「──而禽獮之、盡根株痛斷乃止」=芟夷。
未だ開墾せざる田。漢書「屬縣──」注「──謂荒田未耕墾也」
くさぶきのやどや。吳鎭詩「──月初冷、村原迂更長」
はずゑ、草葉の上。杜甫詩「富貴何如──露」──露は久しきを持し難きに喩ふ。
くさと、ちがやと。轉じて在野の義「──之臣」唐書、馬周傳「由一介──、言大下事」=草莽。
民閒に居りて國政を痛論する。李覯、袁州學記「────者、折首而不悔」
草書の勢の形容。東坡志林「眞生行、行生草、眞如立、行如行、───」
草の風になびく如くなびきしたがふ。閒居賦「訓若風行、應如──」
野人 ヰナカモノ のきもの。禮、郊特牲「野夫黃冠、黃冠──也」
○したがき、草稿の底本〔晉書、傅祗傳〕=草案。○くさ、莖の質の柔かき植物。木本の對。
詔の文を草する、唐の制、黃麻紙を用ひて詔を寫すが故〔舊唐書、韋弘景傳〕=草詔。
世の開けはじめにて未だ冥昧の時をいふ。易、屯卦「天造──、宜建侯而不寧」
仕宦せずして草野 ヰナカ に在る者。孟、萬章「在國曰市井之臣、在野曰────」=草茅之臣。
草と木と。易、坤卦、文言「百穀──麗乎土」
秋の末に、草木の葉が黃ばみおちる。禮、月令「季秋之月、────、鴻雁來賓」
草木が春に當りて奮ひて芽を出す義。莊、外物「────、言乘陽氣、奮出而不可遏也」
次條に同じ。唐書「古來賢豪、不遭與運、埋光鏟采、與草木俱腐者、可勝咜哉」
くさきと共にくちはてる。世に聞ゆることなくして死する。後漢書、朱穆傳「彼與草木俱朽、此與金石相傾」
敵を畏るるの餘り、全山の草木皆敵兵と見ゆるをいふ。晉書、苻堅載記「堅登城、望八公山、草木皆類人形、顧謂苻融曰、此勍敵也、何謂兵少乎」
○いやし。史、韓非傳「──而倨侮」○民閒、在野の義。杜預文「布行於──、著德於閭閻」
あれはてたる地。史、越世家「文身斷髮、披──而邑居焉」
わらぐつ、わら製のはきもの。五色線「或乘柴車、或躡──」=草屨。
草書と、隸書(楷書)と〔書斷〕
くさぶきのいへ。戴表元詩「夢覺依然一──」
くさの上のつゆ。王粲詩「──沾我衣」
くさのいほり。諸葛亮、前出師表「三顧臣於──之中」
結草(一四六八頁三段)を見よ。
甲を懲して乙を警むるにいふ。開元遺事「王魯爲當塗宰、黷貨爲務、會部民連狀、訴主簿貪賄、魯卽判曰、汝雖打草、吾已蛇驚」
國 つかれ。つかる、疲勞。
シ [支]
○いばら、うばら、刺 トゲ ある小灌木の總稱。○かや、屋根を葺くに用ふ「茅─」○ふく、茅 カヤ にて屋根を葺く。莊、讓王「環堵之室─以生草」くさぶき。○あつむ(聚)つむ(積)詩、小雅「曾孫之稼、如─如梁」○はまびし(蒺藜)地に布き生ずる一種の蔓草、夏時黃花を著け、三稜ある實を結ぶ。
いばら。ゐなかの義。後漢書、仲長統傳「淸潔之士、徒自苦于──之閒」=棘茨。
慈姑 クワヰ の異名〔本草綱目〕
○草をやねにふく。柳宗元文「築室──、爲圃于湘之西」○いばらと、くさと。宋書、樂志「──穢堂階」
いばらのかきね〔周禮、圉師〕一說、はまびしのかき。詩、鄘風「牆有茨」
禾稼の積むが如く多きをいふ。茨は屋蓋、梁は橋梁、其の高大なるに喩ふ。詩、小雅「曾孫之稼、────」
シ [紙]
よろひぐさ。川芎 ヲンナカヅラ に類する一種の香草。一說に、川芎の苗。=白芷·蘼蕪·芎藭。
よろひぐさ。禮、內則「佩帨──」
シ [支]
○ます、ますます(益)滋に通ず。漢書「賦斂─重」○むしろ、わらのむしろ(蓐席)○ここに、これ、この(此)玆(一二三一頁三段)と混用せしなり。○とし(年)「今─」「來─」とき(時)
同訓異義
ココニ 茲·爰の別は爰(一一九九頁一段)の條を見よ。
かやうである。陶潛詩「寒暑有代謝、人道每──」
ジン ニン [寢]
○やはらか(柔)論、陽貨「色厲而內─」○そらまめ(大豆)○え、紫蘇 シソ の一種、實をしぼりて油せ採る。○─苒 ジンゼン は、ながびく。
よわし。禮記疏「小人顏色嚴厲、而心內──爲佞」=柔軟怯弱。
歲月のだんだんに延びる(漸進)貌。張華、勵志詩「=歟月歟、──代謝」=侵尋。
○やはらかなる貌。詩、大雅「──柔木」○歲月がながびく。=荏苒。
シュ [虞]
○─茰 シユユ は、かははじかみ、葉は橢圓形にして厚く、黃綠の小花を開く、實は簇生す、九月九日(重陽)に高山に上りて此の實を頭に插めば邪氣を拂ふといふ〔續齊諧記〕風土記「九月九日折─茰房、插頭可辟惡氣」○ 國 グミ 灌木の一、枝細長く叢生し、葉は橢圓形、赤く小さき實を結ぶ。=胡頽子。
ジュウ [東]
─蔚はめはじき。=益母草 ヤクモサウ
ジュウ [東]
○─菽 ジユウシユク は大豆の一種。列、力命「進其─菽」○─葵 ジユウキ は、からあふひ、葵の一種。
ジュン [眞]
○人の姓、─況(荀卿)は春秋戰國の趙の人、孟子の性善說に對して性惡說を唱ふ。○草の名。山海經「靑要之山有草焉、黃華赤實、名曰─草」
書名、二十卷、周の荀況撰す、大旨、周孔の敎を明かにし禮を崇び學を勸むるに在り、唐の楊倞の註あり。
人の良兄弟多きをいふ。後漢書、荀淑傳「有子八人、儉·緄·靖·燾·汪·爽·肅·專竝有名稱、時人謂之八龍」
ジョ ジュ [魚]
○草の根のひき連なる貌。又、其の根。易、泰卦「拔茅連─」○くらふ(食)主として野菜を食ふにいふ。孟、盡心「飯糗─草」○うく(受)○すする(啜)○飮食を貪る。○かる(枯)○くさる(臭敗)「─魚」○はかる(度)詩、邶風「不可以─」○やはらか(柔)○な(菜)菜の總名。枚乘文「白露之─」○うでる、ゆびきな、ひたしもの。○かふ(飼)○─藘 ジヨリヨ はあかねぐさ(茜)詩、鄭風「─藘在阪」=蒨草。
同訓異義
クラフ 茹·食·喫·吃·噉·啗·哺·飧等の別は食(部首九畫)の條を見よ。
心にかなしみをいだく。梁簡文帝文「咀痛──」
くさりたるうを。呂覽「以──驅蠅、蠅愈至而不能禁」=臭魚。
臭菜をくらふ。莊、人閒世「囘之家貧、不飮酒不──者數月矣」
野菜をくらふ。後漢書、羊陟傳「常食乾飯──」
くさをくらふ。淮南子「古者民──飮水」
○野菜と、豆と。後漢書、陳蕃傳「靑徐炎旱、五穀損傷、民物流遷──不足」○豆をくらふ。
なまぐさきものを食ふ。拾遺記「變──之食」
菜食して肉なき義。東谷所見「──、謂之齋戒」
上古飮食の道未だ備らず、ただ禽獸を獵取して生食せしをいふ。禮記「未有火化、食草木之實、鳥獸之肉、飮其血、茹其毛」
①ジョウ [冬]
②ジョウ [腫]
①しげる、しげし、草の盛んに生ひ茂る貌。○蒙─·尨─は草や毛の散り亂 ミダレ る貌。○細きものの入りまじること。○あつまる(聚)○鹿─ ロクジヨウ は藥名、鹿のふくろづのを陰乾 カゲボシ にせしもの。
②おす(推)次ぐ。漢書、司馬遷傳「僕又─以蠶室、重爲天下觀笑」○草の生ずる貌。○闒─は細き毛。猥賤なる者に喩ふ。○ 國 たけ、きのこ。又、たけの如く生えるもの「鼻─」
草の盛んにしげれる貌。令狐楚詞「細髯緣額綠──」
刺繡 ヌイトリ に用ふる絨線〔元史、輿服志〕
セン [霰]
又、蒨に作る
○あかね、あかねぐさ、蔓草の一、莖は方形にして中空、外に細き剌 トゲ あり、夏時小白花を著け黑き實を結ぶ、根は赤色の染料とす。=茅蒐·地血·過山龍。○あか(絳色)高啓詩「踏席舞裙─」
セン [先]
○かをりぐさ(香草)○ふしづけ(魚笱)柴を水中に積みて魚を捕ふる者。莊、外物「─者所以在魚、得魚而忘─」筌に通ず。○ほそぬの(細布)=絟。
かをりぐさの名。離騷「──化而爲茅矣」
君主に喩ふ。任昉文「使──有寄」
名香の名。洞冥記「招仙閣上、燒───、其氣三月不絕」
セン [霰]
○かさねて(重)かさねがさね、しきりに。左、僖十三「晉─饑」○くさ(草)○むしろ(席)薦に通ず。
同訓異義
シキりニ 荐·仍·頻·連·累·切の別は仍(一○四頁一段)の條を見よ。
しきりに至る。晉書、食貨志「兵革屢興、荒饉──」
荐は草、野蠻人が水草を逐ひて移住する義。左、襄四「戎狄──」
しきりにかさなる。柳宗元文「痛毒──、振古所無」=頻仍。
蠶食なり。左、定四「吳爲封豕長蛇、──上國」
しばしばおとづれる。
タ サ [麻]
通音チャ或は?に作る
○ちゃ(茗)「摘─」「名─」「新─」○茶の葉を煎じたる汁「煎─」「烹─」○古、聘禮 ツノヲムカヘルレイ に多く─を用ふ、故に受聘を受─といふ。天中記「凡種─樹必下子、移植則不生、故聘婦必以─爲禮」○山─花はつばき。○─梅はさざんくゎ。
ちゃを煮るけむり。林逋詩「霏霏──出松梢」
茶商の執る所の特許券をいふ。鹽商の鹽引あるが如し、宋代より起る。
茶を煮るけむり。杜牧詩「今日鬢絲禪榻畔、──輕颺落花風」
茶の湯の會。=茗宴。
茶をわかす小さき甁、朱慶餘詩「閑來尋古畫、未廢執──」
茶の良否を品評する。歸田集「病後──」
ちゃうす、磑はひきうす。陸游詩「──細香供隱儿、松風幽韻入哦詩」=茶臼。
茶のよきにほひ。元稹詩「夢覺──熟」
政府が茶を專賣して利を占める。王安石、轉運劉君墓誌銘「朝廷弛──」
茶道に同じ。
茶の葉。皮日休詩「──經雨展」茶槍參看。
茶の湯に關する儀式。
茶碗をふくふきん。ちゃぶきん。
ちゃうす。柳宗元、夏晝詩「日午夢覺無餘聲、山童隔竹敲──」=茶磑。
ちゃを煮てすすむ。方岳詩「山泉與佛結──」
煎茶の道具。雲溪友議「烹茶所用之具、陸羽所造者、凡二十四事」=茶器。
ちゃと、くだものと。晉書、陸納傳「所設惟──而已」
前條に同じ。
茶の稅金。宋史、程之邵傳「得──四百萬緡」=茶征·茶租。
書名、三卷、唐の陸羽撰す、茶事を說くこと備はれり。
茶商の家。元史「以──消乏爲名、轉賣與新興之戶」
茶を入れるつぼ。明史槪「恭妃遣內使持金──遺其私家」
茶の芽。貢茶錄「茶芽數品(中略)一芽帶一葉者、號一槍一旗、次曰中芽、乃一芽帶兩葉者、號一槍兩旗」
茶をわかすなべ、馬戴詩「別有一條投澗水、竹筒斜引入──」=茶鍋·茶鼎。
茶を貿易する市場。宋史「置──、交易者必由市」
○茶に關するしごと。品茶要錄「──起於驚蟄前」○茶道〔皮日休、茶經序〕
茶の湯に用ふるさじ。蔡君謨、茶錄「──要重擊拂有力」
ちゃがら、茶の煎じかす。
ちゃみせ。聞見前錄「范魯公一日坐封丘巷──、中有人貌怪陋」=茶店。
○茶を採る人。茶經「籝一曰籃、一曰籠(中略)──負以採茶」○ 國 チヤジン 茶道を好む人。轉じてものずき、畸人の義とす。
唐の陸羽を尊びて稱す。唐書、陸羽傳「時鬻茶者至陶羽形、置煬突閒、祀爲──」
茶の汁にて煑たるかゆ。傅咸文「聞南方有蜀嫗、作──賣之」
○茶の種類〔宋史、食貨志〕○茶のいろ。岑參詩「甌香──嫩」○ちゃいろ。梅堯臣詩「來衣──袍、歸變椹色服」
俗 餠餌の類〔松漠紀聞〕
茶托に同じ。
茶代。古杭夢遊錄「多下──」
○茶の湯。夢溪筆談「無──、渴則飮硯水」○ 國 チヤノユ 抹茶を點する會合、茶會。=茗醼。
茶のみばなし。方岳詩「──略無塵土雜」=茗話。
○茶をうるみせ。=茶肆。○ちゃや、かけぢゃや。=茶亭。
つのざし。本草「蜚蠊、一名──」=香娘子。
ほいろ。茶錄「──編竹爲之、納火其下、去茶尺許、常溫溫然、所以養茶色香味也」
さざんくゎ。草花譜「──花開十一月中、正諸花凋落之後」
ちゃや。米芾、畫史「──酒店」=茶肆。
茶博士の略。西湖志錄「王希範西湖贈沈──詩云云」
茶を賣る人。轉じて茶道に通ずる人〔封氏聞見錄〕=茶博。
ちゃうす。明一統志「──、以石門山石爲之」
ちゃ。五代史、楚世家「馬殷始修貢京師、然歲貢不過所產──而已」(茶は新茶、茗はばんちゃ)
茶を煎る處。升菴外集「僧寺茗所曰──、寮小窗也」
茶を煮るゐろり。陸游詩「──烟起知高興」=茶壚。
ちゃみせのたかどの。戴復古詩「艤舟楊柳下、一笑上──」
茶畑。白居易詩「架巖結茅宇、斲壁開──」=茶圃。
黑みがかりたる茶色〔字彚、注〕=黃黑色。
茶の道具。宋史、禮志「賜──名果」=茶具。
茶の湯の會。=茶宴·茗醼。
茶を賣る人。
茶の湯のへや、數寄屋 スキヤ
茶のあきうど。唐書、食貨志「──所過州縣有重稅」
○ちゃははき。抺茶をかきまはす具。大觀茶論「──、以觔竹老者爲之」=茶筅子。○ 國 チヤセン 髻 モトドリ を長く──の形に結ぶもの。
茶碗をのせる小さき臺。=茶船。
茶を飮むに用ふる椀。戴叔倫詩「老衲供──」=茶碗。
タフ [合]
○あたる(當)ひきうける。○こたふ、むくゆ(報)洛誥「奉─天命」答(一四一六頁一段)に通ず。○厚き貌。○あづき(小豆)○ますめの名。史、貨殖傳「千─」合に通ず。
①テイ [齊]
②イ [支]
①つばな、茅 チ の初生のもの。夏時、白く柔かき穗を出す。詩、衞風「手如柔─」○いぬびえ。=稊。○めぐむ、のぶ。
②かる(刈)「芟─」
いぬびえと、ひえと、草の穀に似て食ふべきもの。孟、告子「苟爲不熟、不如──」
トウ [東]
─蒿 トウカウ は、しゅんぎく、野菜の一、葉は羽狀にして互生し、香氣あり、冬春の閒之を食ふ、花は野菊に似て黃又は白色。
①ハイ ヘツ [隊]
②ハイ [泰]
③茇(前畫)の①に同じ []
①草がしげる。しげみ。
②はたあし、古、旆に通ず。○── ハイハイ は、ととのひて法度あを貌。詩、魯頌「其旂──」
③草の根。
バゥ [陽]
○とほし(遠)ひろし(廣)遠くして廣し、はるか。○──·滄─·渺─は水の遠くつづける貌。又、廣大なる貌。○─然はぼんやりしたる貌、とりとめなき貌。莊子「─然自失」
ぼんやりする、うっとりする。韓愈詩「──使人愁」
ぼんやりしたる貌。氣を喪 ウシナ ふ貌。莊子「子貢──自失」=惘然。
○廣く遠き貌。左、哀四「──禹跡、畫爲九州」○つかれ倦む貌。孟、公孫丑「──然歸」=芒芒。
ばっとしてはっきりと分らぬ。=眇漠。
ばっとしてはるかなり。
ばっとして知りがたし、昧は暗。陶潛詩「天道幽且遠、鬼神──然」=冥茫。
芒洋(一六一五頁一段)に同じ。
ヒツ [質]
○一種の草。○俗に筆と同じく用ふるは非。
①フ [虞]
②クヮ [麻]
①はな(華)さかゆ「華─」
②皇─ クワウクワ は古の歌曲の名。莊、天地「大聲不入于里耳、折楊皇─、則嗑然而笑」
フク [屋]
─苓 ブクリヤウ は松の根に寄生するきのこの類、形圓く、皮は黑くして皺あり、藥用とす、まつほど。
ベイ ミャウ [迴]
通音メイ
○ちゃ、特にばんちゃ、晚く採りし茶(茶は新茶)「苦─」「芳─」「佳─」「啜─」○茶の芽。○─邈は高き貌。
茶の湯の會。=茗醼。
茶ばたけ。=茶園·茗圃。
茶の湯の會。=茗讌·茗宴。
○茶をのむ。洛陽伽藍記「專習──」○茶。同書「菰蒲爲飯、──爲漿」
茶のかをり。=茶香。
茶の道具。舒元輿文「几案筆硯、簾幌茵榻、果籩──、皆新作也」=茗具·茶器。
茗器に同じ。袁桷詩「拾薪供──」
茶と、くだものと。汪藻詩「──話疇昔」=茶果。
茶を賣るみせ。=茶肆。
茶を煮出したるしる。洛陽伽藍記「渴飮──」
茶のき。李咸用詩「匡山──朝陽徧」
ちゃがゆ、茶の煮汁にて煮たるかゆ。茶錄「吳人採茶、煮之名──」
茶のゆの巧拙をあらそふ。雲仙雜記「建人謂鬭茶爲──」
ちゃみせ。說苑「中衢下馬入──、呼衆共啜」
茶の煮汁にて煮たるかゆ。王維詩「無個──難御暑」=茗粥。
ちゃばたけ。孟郊詩「菱湖有餘翠、──無荒疇」=茶園。
茶を飮む椀。蘇軾詩「──仍霑講舌乾」=茗椀。
一種の香氣ある草、食用に供す。=蘘荷。
ユ [虞]
茱─ シユユ はかははじかみ。茱(本畫)を見よ。
リ レイ [寘]
○─枝 レイシ は閩廣地方に產する木、高さ三丈許、葉の狀は箭鏃の如くにして平滑、其の果は龍眼に似て、肉は白くして甘き汁多し。○薜─ ヘイレイ は香草の名、まさきのかづら。
果物の名。茘枝の果實。韓愈、羅池廟碑「──丹兮蕉黃」
形のれいしに似たるみかん。橘錄「───多出於橫陽」
茘枝の實のあかく熟せるをいふ。蘇軾、潮州韓文公廟碑「於餐──與蕉黃」
レツ [屑]
あしのほのははき、邪氣を掃ふに用ふる。左、襄二九「乃使巫以桃─先祓殯」
7畫
イウ [有]
○はぐさ、稻に似たる惡草、一名狗尾草。孟、盡心「惡─恐其亂苗也」○轉じて善に似て實は惡なるものに喩ふ。みにくし(醜)
みにくきことば、醜惡の言。詩、小雅「好言自口、──自口」
エン [霰]
○つづぐ(續)「蔓─」○ 國 むしろ、筵の字の誤用。
①カ [歌]
②カ [哿]
①はす(蓮)の葉(實を蓮といひ、根を藕といふ)「池─」「碧─」「衰─」「枯─」又、廣くはちすの義に用ふ。
②になふ(擔)肩に承 ゥ けて擔ふ。論、憲問「有─蕢而過孔氏之門者」○に、になふ物。○ひき受ける「負─」任ずる。張衡賦「─天下之重任」○人より受けたる恩をありがたく感ずる「感─」「拜─」○からし、わづらはし「─禮」苛に通ず。○──は怨 ウラ み怒る聲。○薄─ ハクカ は藥草、香氣高し。○ 國 荷物を數ふるにいふ「薪一─」
はちすのは。高適、漁父歌「筍皮笠子──衣、心無所營守釣磯」
はすの葉のさかづき、葉の中心に穴をあけ、莖より吸ひて飮む。留靑日札「───一名象鼻杯、刺葉心而飮其莖也」
はすの葉を細かに切り、まぜて烹たる飯。通鑑、梁敬帝紀「人人以───、混以鴨肉數臠」
畫家が石の皴を畫く法、荷葉は蓮の葉、披麻は麻の葉を披きたる如き狀〔芥子園畫傳〕
めぐみをうけ負ふ。蘇轍文「生則──、而死無所怨」
怨みいかる聲。南史、梁武帝紀「疾久口苦、索蜜不得、再曰──、遂崩」
はすの花のかをり。梁元帝文「花飛拂袖、──入衣」=荷氣。
はちすと、ひしと。杜審言詩「薜蘿山徑入、──水亭開」=芰荷。
はすの花のかをり。韋應物詩「微風送──、坐客散塵纓」=荷香。
はちすの花。王延壽、靈光殿賦「圜淵方井、反植──」=芙蕖·芙蓉。
くはをになふ。周砥詩「──穿雲得茯苓、作糜從此謝膻腥」
陰曆六月二十四日を觀蓮節と爲し、亦────と名づく〔吳郡記〕
めぐみをになふ。北史、高允傳「沙門道登過高遵、遵以道登──於孝文、多奉以貨、深託仗之」
鍬 スキ をになふ。晉書、劉伶傳「嘗乘鹿車、攜一壺酒、使人──而隨之、謂曰、死便埋我」
すきをになふ。陶潛詩「晨興理荒穢、帶月──歸」=荷鍤。
はすの葉を錢に比していふ。杜甫詩「點溪荷葉疊靑錢」釋名「嫩者──」
○になふ、肩にするを荷といひ、背にするを擔といふ。謝承、後漢書「許荊字子張、家貧爲吏、無有船車、休假常單步──」○ 國 力を添へる、加勢する。
はすの葉が枯れてなくなる。蘇軾詩「──已無擎雨蓋、菊殘猶有傲霜枝」
○はすの葉にてつつむ。高啓詩「小舟送餉──飯、遠旆招沽竹醞醅」○つつみ、囊の類をいふ。
物を肩にになふ。轉じて事を引き受ける。詩經、疏「能──天之美譽也」=負荷。
はすの葉におくつゆ。孟浩然詩「欲知臨池久、──漸成珠」=荷珠。
國 荷送人は荷を擔保として銀行より金を受取り、荷受人は金を銀行に拂ひて荷を受出す手續に由る爲替手形。
國 擕帶品。=行李。
ガ [歌]
つのよもぎ、蒿 ヨモギ の一種、濕地に生ず、わかばを食用とす。詩、小雅「菁菁者─」=蘿蒿·莪蒿。
カゥ キャウ [庚]
通音ケイ
○くき、草本植物のみき、地上に延びるものと地中を這ふものとあり「細─」「紫─」「修─」○ささへばしら(支柱)○つか(劍夾)○物の柄。又は細き物を數ふるに用ふ。杜甫詩「數─白髮那抛得」
カン [感]
通音ガン
つぼみ(蕾)花の將に開かんとするもの。
キン グン [軫]
ささも、やなぎも。葉大にして莖長き一種の藻。=牛藻·聚藻。
キョ [語]
○いも(芋)○周代の國名、今の山東省─縣。
①クヮン [澘]
②クヮン [寒]
①─爾はにっこりと笑ふ貌、ほほゑむ。
②ゐ、まるがま(蔥蒲)濕地に生ずる一種の草、葉は針狀長さ四五尺に至り、中にずゐを含む、織りて席 ムシロ につくる。=苻蘺·莞蒲。○ゐむしろ。
ゐむしろ〔周禮〕
微笑 ホホヱム する貌。論、陽貨「夫子──而笑曰、割雞焉用牛刀」
ゐむしろと、たかむしろと。詩、小雅「上莞下簟、乃安斯寢」王維、苦熱詩「──不可近、絺綌再三濯」
○ゐと、がまと。汲冢周書「樹之以竹葦──」=蒲莞。○まるがま。
ケフ [葉]
○さや(包)豆類の實を包める殼 カラ =豆角。○錢の名、形が楡 ニレ の實のさやに似たる故に名づく。漢書、食貨志「令民鑄─錢」○蓂─ メイケフ は堯の時の瑞草の名。○皂─樹 サウケフジユ は樹の名、さいかち。
ケン [霰]
○ひゆ、草の名、長尺餘、葉は卵圓形、秋黃白色穗狀の花開く、わかばを食用とす。○─陸 ケンリク はやまごばぅ、利水劑に用ふ。=商陸。
①サ [歌]
②スヰ [支]
③サ [麻]
①はますげ(香附子)海邊に生ずる草の名、赤褐色の花さく、地下莖を藥用とす。○─車は漢時代の西域の國名、今の新疆省─車縣の地。
②挼─ ダスヰ は手にてこする、もむ(切摩)
②─雞 サケイ ははたおりむし。
はたおりむし。蟋蟀の屬。詩、幽風「六月──振羽」
ザ [箇]
○きざみわら(斫藁)細かに切りしわら、馬糧に用ふ。○輕小なる義。
きざみわらと豆とをまぜたるもの、馬の食料。史、范睢傳「置──其前」
シン [眞]
○ながし(長)詩、小雅「魚在在藻、有─其尾」○──は衆多なる貌。班固、東都賦「俎豆──」○細─ サイシン は藥草の名、柔莖細根、味極めて辛し、葉は心臟形にして三瓣の花開く。
ジン ニン [軫]
─冬 ニントウ は藥草、すひかづら。
シャウ サゥ [陽]
俗に庄に作るは非
○おごそか(嚴)行儀作法が嚴重なり「齊─」「矜─」「嚴─」論、爲政「臨之以─則敬」ただし(正)「端─」「肅─」莊、天下「不可與─語」おもおもし(重)○草の盛んなる貌。○さかんなり(盛)○盛んにかざる。○城市外に設けたる一區劃の地。○ゐなかや(田舍)「村─」「溪─」○六方に達する道「康─」○しもやしき「別─」「山─」○みせ(店肆)「衣─」「茶─」「錢─」○臺灣の行政區劃の一、社よりは小、町よりは大なり。○─周は周代の哲學者。○ 國 ─園の略稱。
佛 衣服·宮殿等を立派に飾りたてておごそか〔無量壽經〕
國 莊園の所有者の命を受けて、其の地の事務を司る者。
○しもやしき、別莊。語林「李夫人曰、子弟成長、盍置──」○ 國 シヤウヱン 中古、皇子大臣などに賜ひし田園。
おでそかにつつしむ。禮記「致禮以治躬則──、──則嚴威」
おごそかにしてきよし。魏書、高遵傳「形貌──、音氣雄暢」
正しきことば。莊、天下「以天下爲沈濁不可與──」
莊周、叟は長老の稱。白居易詩「大抵宗──」
さかんなる貌。管子、小問「──乎何其士也」
莊周の莊子と屈原の離騷と。韓愈、進學解「下逮──太史所錄」
おごそかに正しきさむらひ。唐書、白居易傳贊「杜牧謂、纖豔不逞、非──雅人所爲」
書名、十卷、周の莊周著す、要旨、老子に本づく。一名、南華眞經。
戰國の蒙の人、漆園の吏と爲る、其の學窺はざる所なし、書十餘萬言を著す、率ね寓言なり、其の要旨老子に本づく、楚の威王其の賢を聞き迎へて相と爲さんとす、辭して就かず。
莊子が夢に蝴蝶となり、覺めて後、周が蝴蝶となりしか、蝴蝶が周となりしかを知らずとて、我と外物とはもと、同一なる理を述ぶ〔莊、齊物〕
きはめて長壽なるにいふ。莊、逍遙遊「上古有大椿者、以八干歲爲春、八千歲爲秋」とあるに本づく。薩都刺詩「惟期母壽──踰」
おごそかにしておもおもし。=嚴重。
莊周と老聠と。又、其の著書卽ち莊子と老子と。宋史、王昭素傳「昭素、博通九經兼究──」
おごそかにしておそるべき義。書經、疏「──謂矜莊嚴慄也」
莊子と列子との二書。白居易文「──寓言、風騷比興」=列莊。
シュウ ジユ [東]
又、茺に作る
─蔚は藥草の一、かこさぅ(夏枯草)めはじき、やくも(益母)=野天麻。
スヰ [支]
こにし、こえんどろ(胡荽)香草の一。
テイ [青]
○くき(草莖)漢書、東方朔傳「以─衝鐘」○はり、うつばり(屋梁)
テキ [錫]
をぎ、蘆 アシ の類、多く水邊に生じ、葦よりも節短し「蘆─」「枯─」
をぎのはな。韋應物詩「想子今何處、扁舟隱──」
をぎの生ずるす。庾信詩「錦纜廻沙磧、蘭橈避──」
をぎのたけのこ。歐陽修詩「──時魚方有味」
をぎを筆に代用せしもの。南史、陶弘景傳「恆以荻爲筆、畫灰中學書」
をぎと、あしと。張含詩「兩人相見──邊」
宋の歐陽修、少時家貧し、荻を筆に代へ地面に畫して習字せし故事〔宋史、歐陽修傳〕荻筆參看。
ト タ [虞]
○のげし、莖ば中空にして折れば白くして苦き汁を出す。花は春夏の交に開く、黃にして菊に似たり、けしあざみ、にがな(苦菜)○をぎのほ(萑苕)○あれたるくさ(穢草)○つばな(茅秀)詩、鄭風「有女如─」○害惡、くるしみ「─毒」○いつはる(僭)○古、茶に同じ。○あしのほ(芀)
にがなと、なづなと。善人と惡人とに喩ふ。楚辭、九章「──不同畝兮」
にがなの毒。害毒に喩ふ。書、湯誥「罹其凶害、弗忍──」
蔓生の灌木の名、香氣多し。益部方物記「蜀──多白而黃者時時有之、伹香減於白花」=酴醿。
佛 梵語、火葬をいふ、闍鼻多 ジヤビタ の略、火化と譯す。翻譯名義集「天竺第九祖入滅、衆以栴檀香油、屠維眞體、屠維卽──燒化也」=荼毗。
ト [麌]
─蘅 トカウ はかんあふひ、葵の屬、冬時花開く。
トウ ヅ [宥]
○まめ(菽)豆の俗字。○─蔻 ヅ は其の實を藥用とす、龍眼子に似て尖る。=草豆蔻。
バイ [灰]
通音マイ
○きいちご(葥)山野自生の灌木、莖に刺 トゲ 多く葉は楓 カヘデ に似たり、簇粒狀黃色の實を結ぶ。=懸鉤子(苺はくさいちご)○こけ(苔)「─苔」○──は草の美くしくあをあをしたる貌。
こけ。杜甫詩「隨意坐──」
○草のあをあをしたる貌。左思、魏都賦「蘭渚──」○田の美くしき貌。庾信詩「原野自──」
バゥ [庚]
ははぐり(貝母)花葉共に菲に似て根は圓く白くして小貝の形をなせる一種の草。
①バク·マク [藥]
②バク [陌]
③ボ [遇]
③は暮に通ず
①なし(無)否定する辭。孟、梁惠王「晉國─强焉」○むなし(虛)ひろし「廣─」○なかれ(勿)魏志、鐘會傳「─多飮酒」○くらし(闇)○つとむ(勉)○さだまる(定)詩、大雅「求民之─」○はかる(謨)詩、小雅「聖人─之」○やむ。やます。古、瘼に通ず。○けづる(削)○──は草木の密に茂る貌。又、風塵の起る貌。○うすかは、膜に通ず。○おほいなり(大)○まく。古、幕に通ず。○遮─ サモアラバアレ はままよ。=任他。
②──はしづか(靜)なる貌。又、きよし(淨)
③くれ。=暮「─春」「歲─」○な、菜の一種。詩、魏風「言采其─」(言はここに)
同訓異義
ナシ 莫·無·靡·无·罔·亡·勿·母·沒·微の別は無(一一七六頁四段)の條を見よ。
古の歌曲の名。杜甫、短歌行「王郞酒酣拔劍斫地歌──」
古の楚の官名、位令尹に次ぐ〔左傳〕
互に氣の合へる友。莊、大宗師「四人相視而笑、莫逆于心、遂相與爲友」
金陵(南京)に在る湖水。古、歌謠を善くせし女子莫愁の舊居なりと傳ふ。三餘偶筆「今金陵有───、在西城南」
有るべきことなからんや、卽ち必ず無しとはいはれず、半信半疑の語。宋史、岳飛傳「秦檜曰、其事體莫須有、韓世忠曰、───三、字、何以服天下」
この上なく大いなり。孝經「父母生之、續──焉」=最大。
○茂密なる貌。詩、周南「維葉──」○靜かなる貌。詩、小雅「君婦──」○塵埃 チリホコリ の貌。漢書、揚雄傳「──紛紛、山谷爲之風猋」
將軍の營所、莫は暮。史、廉頗藺相如傳「市租皆輸入──」=幕府。
古の名劍の名。戰國策「雖干將──、非得人力、則不能割劌」=鏌鋣。
世俗の人が賢人を愚なりとするに喩ふ。賈誼、弔屈原文「────兮、鉛刀爲銛」銛は利。
はるの末。論、先進「──者春服旣成」=晚春·暮春。
よる。易、夬卦「──有戎」=暮夜。
西班牙語なりといふ。
①フ [虞]
②ヘゥ [篠]
①葦 アシ の莖の中にある白きうすかは。○轉じて至りて薄きものに喩ふ。漢書、中山靖王傳「非有葭─之親、鴻毛之重」
②うゑじに(餓死)殍に通ず。孟、梁惠王「野有餓─」○めあさ(麻母)
フ ホ [麌]
萐─は堯の時生ぜし瑞草。
フ [虞]
はちすのは(荷葉)
ベツ [屑]
○わりふ(符)わかつ。=別。○うつしうう(移蒔)○佛家にて、作文の稱「記─」
①ラゥ [陽]
②ラゥ [漾]
①藏─は牛馬の芻 マグサク とする草の名。
②─宕 ラウタウ ははしりどころ、をめきぐさ、毒草の名。=天仙子。○ 國 たばこ(煙草)
リ [寘]
茉─ マツリ は花卉の一。茉(一六三二頁一段)を見よ。
リ [寘]
のぞむ(臨)其の場に出席する。其の位に卽く。=蒞·涖。
同訓異義
ノゾム 莅·望·臨·眺の別は望(八九七頁二段)の條を見よ。
くらゐにのぞむ。=臨位。
其のことにのぞむ。書、周官「不學牆面、──惟煩」
職務にのぞむ。姚合詩「──才微薄、歸山路未通」
其の場所にのぞみてちかふ。春秋「公子友如齊──」
其の所又其の事にのぞむ。詩經、疏「──其政」
8畫
①アン エン [覃]
②アン [勘]
①─閭はくさよもぎの一種。○─羅は一種の果。謝靈運、山居賦「希─羅之芳園」○いほり。=庵·葊。
②─藹はおほふ(翳薈)
①ヰ [支]
②ヰ [紙]
①しをる、草木が衰へしぼむ。○おとろへつかる、衰弱する。○やむ(病)檀弓「哲人其─乎」なゆ、支へる力なし。
②─蕤 ヰスヰ は藥草の名、ゑみぐさ。=葳蕤。
しをれたるなへ。陸雲賦「──竦而振穎兮」
なえちぢむ。
つかれうう。魏書、薛眞度傳「民人──、無以濟之」
なへしぼむ。
しぼみおちる。晉書、五行志「儀仗生華如蓮華、五六日而──」
①ヱン·ヲン [阮]
②ウツ [物]
①しげる、しげし、草木の茂盛の貌。○しげれる草木。○紫─ シヲン は花卉の一、秋時、淡紫色の花開く、おにのしこぐさ。○その。苑に通ず。
②積み重なる。古、蘊に通ず「─熱」
むすぼる。埤雅「凡物發而成暢茂、積而成──」=鬱結。
つもれるあつさ。素問「五藏──」=積熱。
①ヱン [先]
②ヨ [魚]
①たばこ(淡巴菰)=煙草。
②しをる(萎)「─邑」
カン [感]
─萏 カンタン ははすの花。又、蓮花の蕾の將に開かんとするもの。爾雅「荷、芙蕖、其華─萏」
キ [支]
○まめがら(豆莖)豆の實を取りしあとの莖枝。曹植詩「煮豆然豆─」(然ほ燃の正字)○荻 ヲギ に似たる一種の草。古、箙 エビラ を編む料とす。
まめがら。潘岳賦「木石匱竭、──空虛」
萁草にて編みたるえびら。服は箙。漢書、五行志「檿弧──」
ギ [支]
本、宜に作る
─莮草は、わすれぐさ。=宜男草·鹿?。
キク [屋]
古、鞠に作る
花卉の一。艾 ヨモギ の屬、花は香氣多し「芳─」「細─」「寒─」「黃─」「叢─」「東籬─」=節華·延壽客·霜下傑。
菊の花葉を食ふ。離騷「朝飮木蘭之墜露、夕餐秋菊之落英」
東籬の下にある菊の花を採る。陶潛、飮酒詩「結廬在人境、而無車馬喧、問君何能爾、心遠地自偏、─────、悠然見南山、山氣日夕佳、飛鳥相與還、此中有眞意、欲辯已忘言」
菊の花と葉とを黍米に入れて釀し來年の陰曆九月九日に、不祥を祓ふために飮む酒。西京雜記「菊華舒時、幷采莖葉、雜黍米釀之、至來年九月九日始熟、就飮焉、故謂之───」=菊酒·菊花酒。
國 菊花の模樣ある、最高の勳章、大勳位の人に賜はる。
陰曆九月の候。張船山詩「家山也有───」
陰暦九月の異名〔事物異名錄〕
○南陽の酈縣(今の河南省內鄕縣の西北五十支那里に在り)の甘谷の上に大菊あり、人其の谷の水をいふ。次條參看。=菊潭。○ 國 流水に菊花を配せし紋所。楠木氏の紋。
菊のしづくをのむ。風俗通「南陽酈縣有甘谷、谷中水甘美、云其山有大菊、水從山上流下、得其滋液、谷中有三十餘家、悉飮此水、上壽百二三十、其中百餘、下七十八十者、名之大夭」
菊の花を入れたるまくら。澄懷錄「秋采甘菊花、貯以布囊、作枕用、能淸頭目、去邪穢」
①キン [軫]
②キン [眞]
①きのこ、たけ(地蕈)「松─」「異─」「采─」○極めて細微なる下等植物、他物に寄生して醱酵 ハツカウ 又は疾病の媒を爲す「黴─ バイキン 」○たけのこ(竹筍)箘と通ず。○朝─はむくげ(槿)「朝─」○芝─ シキン は靈芝。
②─桂は薰草。一說に竹に似たる植物。
菌の頭かさの形に似るが故。
菌傘の下面にあるひだ。
きのこ、たけ(蕈もきのこ)
菌類の毒。
きのこ類の總稱。
①キン [吻]
②キン·ゴン [震]
①すみれ、原野に自生する草、春時紫又は白の小花を著く。=紫花地丁。
②とりかぶと、かぶとぎく(烏喙)毒草の一。蘇洵、高祖論「猶醫者之視─也」=烏頭 ウヅ ○──は少き貌(─は毒あれども少用すれば藥となる、故に僅の字─に从ふ)
少し。漢書、地理志「豫章出黃金、然──」=僅僅。
とりかぶとと、にがなと。詩、大雅「周原膴膴、──如飴」(一說堇は、蔬の類、一名旱芹)
①クヮ·ゲ [麻]
②クヮ·ゲ [禡]
花の古字
①はな。○はなさく(開花)禮、月令「桃始─」○つや、いろ(光澤)○はなやか、美くしくかがやく(鮮美)ひかり(光輝)「光─」○いろどり、もやう(彩色)○かざり(修飾)○白粉 オシロイ 「鉛─」「亞鉛─」○さかゆる、盛んなり「榮─」○內にみちて外に發するもの。○たちゐ、ふるまひ(容貌)○名望「─名」○文德。○れいぎ、文事。○禮文盛んなる地、支那人自國を稱していふ「─夏」「中─」○髮白し「─首」○外形、虛飾、外觀の美「─奢」「去─就實」
②五嶽の一、?に通ず、陝西省─陰縣の南十支那里に在り。=西嶽。○かば。=樺。
かきはん。花押を見よ。
ひかりかがやく。南都賦、注「──、光耀也」
かがやきてさかえる。易林「春桃萌生、萬物──」
うるはしくゆたか。唐書、懿安皇后郭氏傳「帝亦豪矜、朝夕供御、務──侈大、稱后意」
はなやかにしてやさし。晉書、李重傳「雖文慚──、而理歸切要」唐書、崔融傳「爲文──、當時未有輩者」
立派なる家。史、平原君傳「歃血於──之下」一說に宮殿の名。
華ははなやか、夏は大、支那人自國を誇稱していふ。蜀志、關羽傳「威震──」
華の字を分てば六十一となる、よりて六十一歲の義とす。范成大詩「祝我剩周──子、謝人深勸玉東西」
人の書簡を稱す。劉禹錫文「每奉──、賜之哀言」=華墨·華箋。
はなやかにかざる。北史、周武帝紀「帝衣布袍、寢布被、無金寶之飾、諸宮殿──者皆撤毀之」
美くしき衣服、裾はもすそ。李賀、高軒過「──織翠靑如葱」
うつくし、美好なり。禮、檀弓「華而睆、大夫之簀與」注「華、畫也、睆、明貌」
美くしきやかた。劉楨詩「──寄流波」=花館。
白華を水にひたして菅となせば、白茅にて之を束ぬ、二物微なりと雖も、相待ちて用を爲す。夫婦の離るべからざるに喩ふ。詩、小雅「白華兮白茅東兮、之子之違、俾我獨兮」
うつくしきみやこ。張鏡賦「覩夫天官之羅布、故作則於──」=華洛。
徒にうはべを飾れることば。晉書「──虛也、至言實也」
貴人の乘る美くしき車。
天子の御衣。穀梁傳序「一字之襃寵、踰──之贈、一言之貶辱、過市朝之撻」
はなやかなるいろどり。南史、庾杲之傳「杲之美容質、善言笑(中略)杲之爲蟬冕所映、彌有──」=華彩。
はでやかによそほふ。晉子夜歌「輕袖拂──、窈窕登高臺」=姸粧。
はでやかにおごる。晉書、何曾傳「性奢豪、務在──」隋書、楊素傳「第宅──、制擬宮禁」=華奢。
美くしきことば。南史、崔慰祖傳「口吃無──」
華は詞章、實は操行、二者相かなひて全人たるを得〔南史、齊衡陽王鈞傳〕
はなやかなるおごり。=紛奢·侈奢·豪奢。
しらがあたま。後漢書、陳蕃傳「蹇諤之操、──彌固」=華顚·白首。
○はなやかなるともしび。韓愈詩「終宵處幽室、──光爛爛」○結婚の宴にいふ。花燭參看。
黃帝が夢に華胥の國に遊びし故事によりて吉き夢。又は單に夢の義に用ふ。列、黃帝「黃帝憂天下不治(中略)晝寢而夢、遊於華胥氏之國、其國無帥長、自然而已、其民無嗜欲、自然而已、不知樂生、不知惡死、故無夭殤、不知親己、不知疎物、故無愛憎、乘空如履實、寢虛若處牀(中略)黃帝旣寤、悟然自得曰、今知至道不可以情求矣、又二十有八年、天下大治、幾若華胥氏之國、而帝登假」
美くしくゑがけるたるき〔張衡、西京賦〕
はなのしべ〔南都賦〕=花蘂。
華山と蒿山と。轉じて高大なる喩とす。北史、魏薛孝通傳「微臣信慶渥、何以答──」=嵩華。
唐の時、驪山(陝西省臨潼縣の南)の離宮の名。唐書「開元五年、置溫泉宮於驪山、天寶六載、改爲───」
○美くしき料紙。杜甫詩「佳句染──」○人の手簡を稱す。=華翰·華墨。
美くしき模樣のある毛布。
文章のはなやかにして意味のゆたかなる義。周書、薛寘傳「中書監盧柔、學業優深、文藻──」
○貴族。柳宗元文「公以令望、顯於──」○ 國 公侯伯子男の爵ある者の稱。士族の上に位す。
古の名醫の名。魏志、方伎傳「──字元化」
美くしく大いなり。唐書、姚崇傳「以館局──、不敢居」
○浮虛。逸周書「心氣──者、其聲流散」○ 俗 人の誕生日をいふ。
貴族の子孫。晉書、石季龍載記「衣冠──、宜蒙優免、從之」
美くしき車の轅 ナガエ 轉じて美くしき車の義とす。盧?詩「出入陪──」
雉子の異名。書、益稷「日·月·星·辰·山·龍·──作會」
尊く光榮ある地位。後漢書、崔琦傳「赫赫外戚、──煌煌」
美くしきたかむしろ。晉子夜四時歌「反覆──上」
老人のあたま。又、老人。朱松詩「可是太平無象、溪橋醉舞──」
はなやかにして美くし、睆は美好。禮、檀弓「童子曰、───、大夫之簀與」
はなのみにで、みなし。行其の言に反するに喩ふ。左、文五「陽處父────、怨之所聚也」
少年。魏書、王叡傳「漸風敎於──」
佛 今世にてうけるむくい。來世に受ける報を果報と、ふの對。
はでやかに美くし。論、皇侃義疏「祭祀之服、大──也」
美くしくはでである〔韓愈、許公碑〕=姸靡·奢靡。
○墓所の前に立てる門。搜神記「司空張華曰、世說燕惠王塚前有──、本已經千年」○ 國 神社の前に立てる鳥居 トリヰ
はなやかなるくつわ。韓愈詩「上宰嚴祀事、淸塗振──」=花鑣。
美くしくかざれる辯論。北史、柳肅傳「時論稱其──」
きれいなみせ。立派なる商店。
華の封人が堯を祝するに、壽·富·多男子の三を以てせし故事、よりて人を祝するに用ふ。莊、天地「堯觀乎華、華封人曰、嘻聖人、請祝聖人、使聖人壽、堯曰辭、使聖人富、堯曰辭、使聖人多男子、堯曰辭」
人の手簡を稱す。=華翰·華箋。
花のさき亂れて長く續きたるを幕に比していふ。又、美くしきまく。嵆康詩「光燈吐耀──長舒」
美くしきほまれ。後漢書、周黨傳「釣采──、庶幾三公之位」
隱者のづきん。梁の陶弘景が自ら華陽隱居と號して、此頭巾を著けしによりて名づく。王禹偁、黃州竹樓記「戴───、手執周易一卷」
○衣食の美くしく豐かなる義。宋史、王安石傳「性不好──、自奉至儉」○貴族。唐書「凡三世有令僕者、曰──」
うつくしきすがた。虞世南、史略「洗面作──」
美くしきみやこ。=花洛·華京。
周の穆王の八駿馬の一、よりて良馬の義とす。淮南子「──綠耳、一日而至千里、然其使之搏兔不如豺狼」
はなやかにうるはし。素書「宮室則願──、姬嬪則願美豔」=華美。
佛 佛敎の一派。馬鳴菩薩の創始。華嚴經を所依とす。
もと西域婦女の首飾、今、佛像の頂、又、佛前の裝具として用ふ。守護國界經「以種種寶、用作──、而爲莊嚴」=花鬘。
草花の一、葉は牡丹に似、春時、紅紫色總狀の花さく。=荷包牡丹。
花のもやうあるあやぎぬ。
落ちし花は、ふたたび枝にのぼらす。陸機賦「時無重至、────」
クヮ [哿]
本、果に作る
○このみ、くだもの(果實)○ 國 ─子 クワシ 茶うけとして食ふもの、古は果實を用ひ、今は主として澱粉などに砂糖を和して製す「茶─」
クヮン [删]
○かや、ちがや、すげ、すが、茅 カヤ の一種、萱に似て裏に硬きすぢあり、笠又蓑を作る。○ちがやにて編みたるとま(苫)
すげと、あしと。禮、少儀、注「苞苴、謂束──以裹魚肉也」
わらぐつ。淮南子「必有──跐踦、短褐不完者」
十二卷、菅原道眞の詩文集、第一卷より第六卷までは詩、餘は文を載す、其の太宰府に貶せられし以後の詩文は菅家後草一卷に收む。
かやの一種。本草「──只生山上、似白茅而長、入秋抽莖開花成穗、如荻花」
ケン [銑]
─耳はをなもみ。=卷耳。
コ [虞]
○まこも(苽·蔣)水草の一、菖蒲 シヤウブ に似て高さ四五尺、春末、白色の薹 タウ を生ず、之を─菜又茭白といふ、夏秋の閒、花開き實を結ぶ、之を─米·胡─、又、雕胡米といふ、食ふべし。○淡巴─ タンバコ はたばこ。○蘑─は茵 キノコ の一種(─一に菇に作る)
まこもの實。字解を見よ。儲光羲詩「夏來──飯、秋至菊花酒」
まこもと、がまと。畫墁錄「──魚稻、采取不貲」
まこもと、あしと。史、司馬相如傳「蓮藕──」
コン [元]
○香草の一、かをりぐさ。○ 國 ─蒻 コンニヤク は植物の名。又、其の根塊にて製したる食品。─は蒟の俗用。
サイ [隊]
○な(蔬)あをもの、やさい、葉莖又は根を食用に供する草の總稱「野─」「蔬─」○おかず、酒又は飯の副食物、俗に肴饌をいふ。○うゑて顏色の靑くなるにいふ「─色」
菜圃に同じ。詩、齊風、東方未明「折柳樊圃」注「圃、──也」
やさいのさかな。爾雅、疏「筍、竹萌也、可以爲──」
やさいのあつもの。新序「夫子陳蔡之厄、豆飯──、不足以接餒」=蔬羹。
春の末の水の名。宋史、河渠志「春末蕪菁華開、謂之───」
やさいばたけ〔漢書、食貨志〕=菜圃·菜園。
やさいのね。聞見錄「汪信民言、人咬得──、則百事可做」
二卷、明の洪自誠(還初道人)著す、語錄體の書にして、天理人情に本づき、德行を尙び、名利を輕んじ、文雅風流の意多し。
なつのつけもの。南史、宗愨傳「設粟飰──」
人の飢ゑて靑くなりたるかほ色。禮、王制「雖有凶旱水溢、民無──」
やさいのみを食ふ。肉食の對。漢書、王莽傳「聞公──憂民深矣」
○ことさらに野菜類のみを食ひて肉食を爲さざる人。○貧しき食事を爲す人。梁武帝勅「率土未寧、───衆」
やさい、あをもの。晉書、王湛傳「命取──、對而食之」=蔬菜。
そまつなるめし。蘇轍詩「每慙──分齋鉢、時乞香泉洗病身」=蔬飯。
野菜ばたけ。蘇軾詩「──漸疎花漠漠」=菜園。
葘(艸部九畫)に同じ。
シウ [尤]
○むらがる、草があつまり生ずる(草叢生)○しとね。○好き箭。左、宣十二「射以─」
シャウ サゥ [陽]
通じて昌に作る
○しゃうぶ、さぅぶ、あやめぐさ、水邊に生ずる香草、葉は劍の如くにして深綠色、根を藥用とす「─蒲」「─蒲酒」○あやめぐさの一種、葉は淡綠色。濃紫色又白色の花を著ける、はなしゃうぶ。=溪蓀。
香草の一、單に菖ともいふ。南方草木狀「番禺澗中生──、一寸九節」=昌蒲·昌陽。
しゃうぶざけ。歲時記「端午以菖蒲、或縷或屑泛酒」
シュウ [東]
通音スウ
たぅな、葉は蕪菁 カブラ に似て靑白し「晚─」=白菜·黃芽菜。
シュク [屋]
まめ、豆類の總稱。
まめのしほづけ。譚子「有懼──若蝤蠐者、有愛鮑魚若鳳膏者」
豆を食ひ、水を飮み、貧しく暮す中にて善く父母を孝養するよろこび。禮、檀弓「孔子曰、啜菽飮水盡其歡、斯之謂孝」
まめ。易林「旦樹──、暮成藿羹」
まめと、むぎと。左、成十八「周子有兄、而無慧、不能辨──」
豆と麥とさへも別つ能はず。至愚者をいふ、不慧の至なり、菽は大豆。前條參看。
①シヨ·ソ [魚]
②シャ [麻]
①つけもの、かぅのもの、酢菜「菜─」「芹─」「瓜─」○肉を鹽づけにする。漢書、刑法志「─其骨肉於市」
②草の生ひ茂れる澤。孟、滕文公「驅蛇龍而放之─」
酢又は鹽につけたる菜と、ししびしほと。轉じて、誅戮の義とす。漢書、吳王濞傳「至于窮國、敢請──之罪」
①スヰ [寘]
②サイ [隊]
①あつまる、むらがる(羣)あつむ(聚)「會─」「叢─」「拔─」○草の貌。○顦顇の顇と通ず。荀子「勞苦煩─而無功」○易の卦の名、坤下兌上。
②─蔡 サイサイ は衣服のすれあふ聲。=??。
同訓異義
アツマル 萃·聚·集·纂·輯·輳等の別は聚(一五四九頁三段)の條を見よ。
あつめる。あつまる〔易經〕
あつまる貌〔揚雄、長楊賦〕=萃如。
よきものをあつめる。
羣聚中よりぬき出る。孟、公孫丑「出於其類、拔於其萃」
①スヰ [支]
②クヮン [寒]
①藥草の名、めはじき、やくも(益母)○草の多き貌。
②をぎ(薍)荻の長大なるもの。○─蘭 クワンラン は淚の流れる貌。漢書、息夫躬傳「涕泣流兮─蘭」=闌干。
セイ サイ [齊]
○草の盛んなる貌、しげし。○雲の行く貌。○力を盡くす貌。○─斐は文章相錯はる貌。○つつしむ貌。うやうやし。詩、周頌「有─有苴」
○草の盛んなる貌。詩、周南「維葉──」○雲の行く貌。詩、小雅「有渰──」(渰は雨氣)○力を盡くす貌。爾雅「藹藹──、臣盡力也」
文章の相錯はれる貌。詩、小雅「萋兮斐兮、成是貝錦」
①セイ [庚]
②セイ [青]
①かぶ、かぶらな「蕪─」○にらばな(韭華)○うるはし。○茅 カヤ の一種、たまほ「─茅」物を包むに用ふ。
②──は草木の茂り盛んなる貌。
人材を敎育する義。詩、小雅、菁菁者莪篇、序「菁菁者莪、樂育材也」菁菁參看。
うるはしきはなぶさ。物事の純粹なるもの。舊唐書、薛戎傳「論語者、六經之──也」=精華·精粹。
うきぐさの一種。上林賦「唼喋──、咀嚼菱藕」
茂りて盛んなる貌。詩、小雅「──者莪、在彼中阿、旣見君子、樂且有儀」此詩は人材を長育することを樂む意を述ぶ、よりて菁莪は育英の義とす。
タゥ [漾]
莨─ ラウタウ は一種の毒草、はしりどころ、おにしるぐさ。
タゥ ドウ [豪]
蒲─ ブダウ は蔓生の果樹。=葡萄。
タン [感]
菡─ カンタン は、はちす。又、はちすの將に開かんとする者。詩、陳風「彼澤之陂有蒲菡─」=芙蓉·芙蕖。又、葩華の貌にいふ、はなやか。杜甫賦「雲菡─以張蓋」
タン [感]
○をぎ、葦の小なるもの。=荻。○をぎの葉の如く靑白き色。詩、王風「毳衣如─」
チャウ [陽]
○いららぐさ(羊桃)花實ともに形桃に似て味甚だにがし、夾竹桃の類。○人の姓、─弘は周の太史。○烏─は北天竺の國名。
いららぐさ、灌木の名、花葉實皆桃に似、實は苦 ニガ く食ふべからず。詩、檜風「隰有──」
テキ [錫]
はすのみ(蓮實)王延壽賦「綠房紫─」
①ト·ツ [遇]
②ト [虞]
①─絲 トシ はねなしかづら、蔓草の一、夏の末、白色微紅の小花開く。○うさぎ、兔に通ず。
②於─ オト は虎(楚國の方言)
魯國の邑名。泰山梁父縣の南に在り、隱公の隱居せし所、轉じて隱棲の地の義とす。左、隱十一「隱公曰、使營──、吾將老焉」蘇軾詩「一林叢竹吾──」
からすうりの類。爾雅、疏「──、一名蔩、苗及實似土瓜、土瓜者卽王瓜也」
ふきの異名。本草「款冬、一名──」
ハ [歌]
─薐菜ははうれんさぅ、野菜の一、もと西域の頗陵國の產、唐代、支那に移植す。葉扁平、花穗狀、初夏の頃開く、莖の根部は色あかく甘味あり。=菠菜。
バゥ マゥ [養]
莾は俗字
○くさ(草)雜草「草─」「林─」「穢─」○大いなり。○草の深き貌「深─」○くさむら、くさはら。易、同人「伏戎于─」○─蒼はひろき郊野。又、其の色。○宿─は冬生じて枯死せざる草。○あらし、そそっかし(粗率)「鹵─」
一種の毒草、常綠灌木の一、葉は柳に似たり。山海經「朝歌之山有草、名曰──、可以毒魚」
ひろびろとしたるのはらの色。莊、逍遙遊「適──者、三飡而反、腹猶果然」
草原の廣き貌。班彪、北征賦「野蕭條以──、迥千里而無家」
はるかにして、はてしがない。顧況詩「晨裝凌──、夜泊記招搖」
○草深き貌。楚辭、天問「陶陶孟夏兮、草木──」○のはらのひろく連なれる貌。漢書、註「──、平野貌」=莽蕩。
バゥ ミャウ [庚]
萠は俗字
○きざす、もゆ。○ひこばえ、草木のめばえ「─芽」○おこり、物事のはじめ、きざし。○たがやす(耕)○たみ(民)古、氓に通ず。○のぎ(芒)○─乎は動かざる貌。莊、應帝王「─乎不震不正」=牢乎。
次條に同じ、牙·芽通ず。漢書「霍氏有事──」
○めばえ。禮、月令「仲春之月、安──」=發芽。○始まる。漢書、劉向傳「詩始──」
芽ばえと、ひこばえと。物の發生する義。孟、吿子「雨露之所潤、非無──之生」
くさのめがもえいづる。蔡珪詩「百卉已──」
多く生ずる。說文敍「飾僞──」
きざし。晉書、孫楚傳「見機而作、周易所貴、小不事大、春秋所誅、此乃吉凶之──、榮辱所由生也」
めざす。禮、月令「天地和同、草木──」
小民をいふ。後漢書「皆剝割──、競恣奢欲」=氓黎。
萌は民、隸はけらい。戰國策「施及──」=氓隸。
①ヒ [尾]
②ヒ [微]
①うすし(薄)「─薄」うすくする。論、泰伯「─飮食」○蕪菁に似て紫赤色の花さく菜。○わらぐつ、ざぅり(草履)=屝。
②草の茂れる貌。花のうるはしき貌。○──はかぅばし(香)き貌。又、美くしき貌。又、高下の定まらざる貌。又、亂雜なる貌。
同訓異義
ウスシ 菲·薄·涼·漓·澆·偸·淡の別は薄(一六八三頁四段)の條を見よ。
うすき謝禮。故事成語考「自謙禮薄、曰──」=薄謝。
うすき才能。
にぶきたち。唐太廟樂章「顧惟──、忝位椒宮」
粗末なる食物。梁武帝文「──薄衣、請至孤始」=惡食·粗食·疏食。
うすき德〔梁書、武帝紀〕=薄德·寡德。
○うすし。禮記、疏「君子不以貧窶──廢禮」○うすくする。諸葛亮、出師表「妄自──」德をうすくし輕んずる。
○草の茂れる貌。又花の美くしき貌。左思、吳都賦「曄曄──」○かぅばしき貌。司馬相如、上林賦「郁郁──」○みだれ雜 マジ る貌。太玄經「白黑──」○高下の定まらざる貌。後漢書、梁鴻傳「志──于升降」
①ヒ [支]
②ヘイ [霽]
①─薢 ヒカイ は、ところ、野生の蔓草、葉は心臟形にして山の芋に以て大いに、根は鬚多くして苦 ニガ し、藥用とす。=野老·黃薢。
②おほふ。漢書、韓信傳「─山而望趙軍」=蔽。
フク [職]
又、服·蔔に作る
萊─ ライフク ·蘆─ ロフク はだいこん、すずしろ。=來服·蘿蔔。
ヘイ ヒャウ [靑]
○うきくさ、水草の一、葉はかたばみに似、花は四瓣にして白く、水面に浮びて生ずる。又廣く浮草の義とす「浮─」「細─」「漂─」「流─」○靑─は古の名劍の名。
處處にさすらひて一定の住所なき義。許渾詩「客路隨──、鄕園失薜蘿」
縣の名、三國の吳にて置く、故城は今の江西──縣の東に在り、縣の境に石炭鑛あり。
うきくさの如く處處にさすらひ住む。高士傳「段干木自晉──於西河」
うきくさ。吳均文「冬溫而──育」
うきくさの如くさまよへるみ。劉滄詩「──不定逐波瀾」
うきくさの跡、あちらこちらとさまよひて、一處に定住せざる喩。王禹偁詩「十年滄海寄──」=萍跡。
四方に流寓して一處に定住せざるにいふ。故事成語考「來往無憑、則曰萍蹤靡定」
旅にて偶然出逢ひたるにいふ。王勃、滕王閣序「────、盡是他鄕之客」
次條に同じ。黃公度詩「王孫緣底事、──久他鄕」
うきくさのあと。又、其の如く處處に移り行く。牟融詩「十年飄泊如──、一度登臨一悵神」=萍迹·萍蹤。
うきくさの如くあちらこちらと、さまよふ。前定錄「沈氏尋亦──」=飄泊。
うきくさの浮く如く處處にさすらふ。王棨、貧賦「先生跡似──、家如磬懸」
うきくさ。孟郊詩「──一浪草、菰蒲片池榮」
うきくさの如くただよふ。羅隱詩「六年悲梗斷、兩地各──」
ボ [虞]
○一種の香草。○ 佛 ─提 ボダイ はさとり(悟道)正覺の義。
佛 ○梵語、菩提薩埵の略。佛道にて衆生を成就する義、佛に亞ぐ位置。金剛經註「──者梵語、唐言道心衆生、亦云覺有情」○國古、朝廷より种又高僧に與へられし稱號。
人の慈愛を形容する語。金剛怒目の對〔談藪〕
芍藥 シヤクヤク の異名。
佛 梵語の音譯、佛道のさとり、佛道の至極なる者。无量壽經注「──正覺、佛果異稱、聞法爲種、發心爲芽」
○ 佛 印度の迦耶山の麓に產する名木の名。西域記「佛坐其下成等正覺、因而謂之───焉」○ 國 しなの木、葉は心臟形、五瓣の小白花開く。
ホウ [董]
── ホウホウ は草木の茂り盛んなる貌。詩、大雅「──萋萋」
ライ [灰]
○あかざ。=藜。○ある(荒)○草を除く。○おひしげれる雜草、くさむら、耕作せざる廢田、あれち。○─菔 ライフク はだいこん。埤雅「─菔能制麪毒」=蘿蔔。
老萊子が五色の衣を著て、老親の心を慰めたりといふ、其の衣。初學記「孝子傳曰、老萊子至孝、奉二親、行年七十、著五綵斒斕衣」孟浩然詩「明朝拜嘉慶、須著老──」=萊綵。
老萊子の妻、夫を諫めて出仕せざらしめ、善く淸貧に安んず〔列女傳〕
古の孝子、老萊子の略稱。萊衣參看。
いやしくしてかよわし。沈約文「臣以──、幼無秀業」
萊妻に同じ。陶潛文「鄰靡二仲、室無──」
○雜草のしげれるあれ地。○縣名、漢代に置く、山東省泰安府に屬す。
リョウ [蒸]
蔆に同じ
ひし。水草の一、葉四出して水面に浮ぶ、夏時、小白花を著け、黑くして稜角ある實を結ぶ、其の二角なるを─、四角又三角なるを芰といふ、食用に供す。
ひしのは。儲光羲詩「濁水──肥、淸水──鮮」
ひしと、はちすと。杜甫詩「──枯柳隨風波」
ひしを采る者のうたふ歌。李白詩「舊苑荒臺楊柳新、──淸唱不勝春」=菱唱。
ひしと、あさざと。王維詩「漾漾汎──、澄澄映葭葦」
ひし。字解參看。列子「夏日則食──、冬日則食橡栗」
ひしの實と、はすの根と。說苑「冬處於山林食杼栗、夏處於洲澤食──」
○ひしの花。三柳軒雜識「──爲水客」○鏡の異名。飛燕外傳「七尺──鏡一奩」庾信、鏡賦「照壁而──自生」=菱華。
ひしと、もと。李羣玉、野鴨詩「雲披──地、任汝作羣飛」
ひしをとる者のうたふ歌。羅隱詩「中流──泊何處」=菱歌。
ひしの實の中に在るこめ、食ふべし。南史、魚弘傳「采菱作──飯」
ひしのつる。王維詩「──弱難定、楊花輕易飛」
リョク ロク [沃]
○かりやす(王芻)葉は竹に似て細く薄し、染料とす。=綠·菉竹·藎草·淡竹葉。○しるす。錄に通ず。
9畫
菴(一六四六頁三段)の古字。
ヰ [尾]
○あし、水邊に生ずる宿根草、葭の大いなるもの、高さ丈餘、秋末に穗狀の花を著く「蘆─」「蒲─」「枯─」○一─は一っの小さき舟。赤壁賦「縱一─之所如」
あしをあむ。南方草木狀「南人──爲筏」
依るところ堅固ならざれば其の身も安からざるに喩ふ。荀、勸學「南方有鳥焉、名曰蒙鳩、以羽爲巢、而編之以髮、繫之葦苕、風至苕折、卵破子死、巢非不完也、所繫者然也」
あしにて作れるつな。五代史、義兒傳「以──維大艦、爲浮梁、莊宗大喜、解衣賜之」=葦索。
柴車に同じ。後漢書「袁忠爲沛相、乘──到官、以淸亮稱」
あしにてあみたるむしろ。禮、雜記「──以爲屋、蒲席以爲帷裳」
あしの生えたるみぎは。李建勳詩「斜日──凝立處、遠波微颺翠如苔」
○あしと、がまと〔周禮、澤虞〕○柔かにして韌きに喩ふ。楊維楨、焦仲卿妻樂府「君如磐石、妾如──」
あしにて作りたるふえ。古の樂器。禮、明堂位「土鼓簣桴──、伊耆氏之樂也」
あし。大戴禮「葦未秀者爲蘆」=蘆葦。
ヰ [微]
○─蕤 ヰスヰ は花又は葉のさかんなる貌。又、草の名、ゑみぐさ、あまどころ。葉は卵形、花は管狀、根莖より澱粉を採る。=玉竹·萎蕤。○茈─ シヰ はのうぜんかづら。茈(一六二八頁三段)參看。
○花又は葉の盛んなる貌。東方朔、七諫「上──而防露兮」=威蕤。○あまどころ、字解參看。
ウン オン [文]
──は盛んなる貌。又、かんばしき貌。
エゥ [蕭]
○山野に自生する花卉の一、根を藥用とす、ひめはぎ(遠志)○草の盛んなる貌。
①エフ [葉]
②セフ [葉]
①草木のは「竹─」「枝─」「紅─」「翠─」○かみ、ふだ、頁。○ひら、まい(枚)紙數をかぞへるにいふ。○すゑ、わかれ(支末)○よ(世代)「中─」「末─」「累─」○はの如く薄きもの「鐵─」「甲─」○ 國 ─書 ハガキ = 俗 明信片。
②春秋時代の楚國の邑名、今の河南省南陽府─縣。
葉と莖との閒。
葉を食用とする菜類。根菜の對。
骨牌 カルタ 宋史、昌公主傳「好爲───」
葉の莖幹に排列して生ずる狀態、互生·對生·輪生等の別あり。
葉脚の左右にある子葉。
葉の葉脈以外の部分。
葉片の下端なる細長き柄。
葉の廣く開展せる部分。
葉片に分布するすぢ。
葉肉中に含有せる綠色の物質。
是に似て非なるをいふ。又、名を好みて、實を好まざるに喩ふ。莊子「葉公子高之好龍、雕文畫之、於是天龍聞而示之、窺頭於牖、拖尾於堂、葉公見之、五色無主、是葉公非好龍也、好其似龍非龍也」
おちばの上をあるく。王勃詩「──下淸溪」
カ [麻]
○あし、葦の未だ秀でざる者、よし(蘆)「蒹─」○ふえ、あしぶえ。謝靈運詩「鳴─戾朱宮」笳に通ず。
あし。漢書、李陵傳「抵大澤──中」=葦蘆。
あしの中にある薄き膜、轉じて至って薄き親族。漢書、中山靖王傳「今羣臣非有──之親、鴻毛之重」
あし。周書、太祖紀「偃戈於──中、聞鼓聲而起」=蘆葦。
①芥(一六一五頁三段)に同じ。②薊(一六八一頁一段)に同じ。
蓋(一六六三頁三段)に同じ。
ガク [藥]
古、鄂に作る
はなぶさ、はなのうてな、花被の外側の部分、葉質のもの「紅─」「素─」「萬─」
カツ カチ [曷]
○くず、くずかづら、山野に自生する蔓草の一、葉は三裂し、裏は稍白色を帶ぶ、秋、帶紫紅色の脣形花を著く、莖の纖維にて布を織りかたびらに作る、根よりくず粉を製す。○かたびら、くずぬの。○─天氏は太古の帝號、無爲にして化せしといふ。○古の國名「─伯」○瓜─は親族の緣つづき。
くずぬのにて製したるかたびら。史記、自序「夏日──、冬日鹿裘」
○夏きる葛衣 クズカタビラ と冬きる皮衣 カハゴロモ と。○轉じて夏冬、一年閒の義とす。=裘葛。
くずぬのにて製りたる頭巾。宋書、陶潛傳「値其酒熟、取頭上──漉酒」
晉の人、字は稚川、抱朴子と號す、神仙道術を好みて、その祕奧を得たり、羅浮山に入りて丹を煉り、山に在ること七年、抱朴子を著し、年八十一にして卒す、
古代未だ喪禮を知らざりし時、葛にて尸體をつつみて溝の中へ棄てたるをいふ〔曾鞏、禮閣新儀目錄序〕
くずぬののじゅばん。隋書、袁充傅「冬初尙衣──」
詩經、周南の篇名。后妃、葛を采りて絺綌を成すの事を賦す、已に貴くして能く勤め、已に富みて能く儉し、已に長じて敬、師傅に弛べず、已に嫁して孝、父母に衰へず、故に小序に以て后妃の本と爲す。
くずにて製りたるほそぬの。莊子「夏日衣──」
くずにて製したるひも。喪の時首と腰とにつくるもの。禮、少儀「──而麻帶」
○葛も藤も共に蔓草。邪曲のことに喩ふ。出曜經「其有衆生墮愛網者、必敗正道、猶如──纏樹樹枯」○今、紛爭 モメ 悶著 モツレ の義に用ふ、ごたごた。
○かづら。詩、周南「南有樛木、──纍之」○轉じて一身の煩累となる困難に喩ふ〔易、困卦〕
浙江省杭縣西湖の北に在り、相傳ふ晉の葛洪の丹を鍊りし處なりと、南宋の賈似道、第を此に築く。
つづら〔宋史、日本傳〕
キ [支]
○あふひ、花卉の一、花は五瓣にて木槿 モクゲ に似、日に向かひて傾く。○蒲─ ビラウ は常綠喬木、熱地に產す、葉は椶櫚に似て扇 ウチハ 又、笠に製すべし。○山─はわさび。○鳧─は蓴菜 ジユンサイ ○はかる(度)詩、小雅「天子─之」古、揆に通ず。○ 國 紋所の名。
葵傾を見よ。藿は豆の葉。江淹詩「況我───、松柏眼前橫」
ひまはりの花が日に向かひ傾く。轉じて君主又は長上の德を仰ぎ慕ふ義とす。魏志、陳思王傳「若葵藿之傾葉、太陽雖不爲之囘光、然向之者誠也」
前條を見よ。宋書、彭城王傳「敢抱──傾陽之心」
蒲葵 ビラウ の葉にて製したる團扇 ウチハ 晉書、謝安傳「有蒲葵扇五萬」范成大詩「驅以──風」=蒲葵扇。
クン コン [文]
○味の辛 カラ きな。又、臭氣ある菜。○俗になまぐさきものにいふ。○くさし、からし。○薰、又、熏に同じ、─粥は匈奴の別名。=熏粥·獯鬻。
ねぎ·にんにくの如きくさき野菜。爾雅、疏「蒜、說文云、──也」
野菜のくさきものと、からきものと、佛家は戒めて食はず。宋史、顧忻傳「以母病、──不入口者十載」
くさき野菜と酒と。齋 モノイミ には此の二者を用ひず「不許──入山門」莊、養生主「顏囘曰、囘之家貧、唯不飮酒、不茹葷者數月矣」
くさき野菜と、なまぐさき肉と。白居易詩「以地淸淨故、獻奠無──」
臭菜と生肉と、なまぐさきもの。
クヮツ [曷]
獨─ ドククワツ は一種の藥草、ししうど。
ケン クヮン [元]
○くゎんざぅ、わすれぐさ。宿根草の一、莖長二尺許、葉は菖蒲 アヤメ に似、花は紅黃色六瓣。=宜男草·忘憂草。○ 國 かや。葦 アシ に似たる一種の宿根草、秋葦に似たる花を著く。
古、母は北堂に居り、其の庭に萱草をうう、よりて、母親の稱とす。詩、衞風「焉得諼草、言樹之背」(諼は萱、背は北堂)葉夢得詩「白髮──上」=北堂。
コ [虞]
○おほひる、にんにく(大蒜)葷菜の一、葉は細長く、臭氣甚だし。○─蘆 コロ はふくべ。東軒筆錄「堪笑翰林陶學士、年年依樣畫─蘆」
サイ [佳]
─胡 サイコ はの ゼ り。=柴胡。
サゥ [漾]
○はぅむる、かくす(藏)尸 シカバネ を土中に埋めをさめる「土─」「火─」「合─」「改─」「埋─」「厚─」「薄─」「會─」「歸─」「斂─」○轉じて土中に埋める如くをさめて見えなくする。楚辭、漁父賦「寧赴常流而─乎江魚腹中耳」○はぅむり「冠婚─祭」
はうむる儀式。=葬式·葬禮。
美人を瘞 ウヅ めし所。玉溪編事「深深葬玉、鬱鬱埋香」
葬式に必要の道具。
尸を埋めるあな。=墓穴·壙穴。
はうむりと、まつりと。
葬儀に同じ。
のべのおくり。後漢書、陳忠傳「令得──」=送葬。
葬儀に同じ。
①シ [支]
②サイ [灰]
③シ [寘]
又、菑に作る
①あれち、あれたる田、耕さざる田。○開きて一年目の新田。○あれちをひらく。
②わざはひ、?に通ず。詩、大雅「無─無害」
③さく(剖·裂)○たちがわ、木が立ち枯になる。
わざはひ、沴は惡氣、饑饉惡疫などの災。曾鞏、救葘記「──之行」
あれ地をひらく。易、无妄「不耕獲、不──」
シ [紙]
おそれる(畏懼)論、泰伯「愼而無禮則─」
シウ [尤]
○よもぎ、くさよもぎ(蕭)○ひさぎ。漢書、食貨志「山居千章之─」古、楸に通ず。○ 國 はぎ、山野自生の灌木、幹叢生し、高四五尺、葉は一柄に三小葉を著け、秋、紫紅色又は白色の小花を簇生す。=胡枝子。
シフ [緝]
○ふく、茅 カヤ などにて屋根を覆 オホ ふ。つくろふ(修補)おほふ(覆)「完─」「修─」「補─」「繕─」左、襄三一「─牆」○かさなる(累)
をさめつくろふ。魏書、源子恭傳「緣期發旨、卽加──」=修繕。
かやにて屋根をふく。南史、呂僧珍傳「取檀溪材竹、裝爲船艦、葺之以茅、竝立辦」白居易詩「──爲我廬、編蓬爲我門」
ジン [寢]
又、椹に作る
くはのみ(桑實)
菹(艸部八畫)に同じ。
ししびしほ。又其の刑。李陵文「韓彭──」韓信·彭越二人が──の刑に處せらる。
ころす。後漢書、二十八將傳論「信越終見──」
①スヰ [支]
②シュン [震]
①薑 ハジカミ の一種。
②大いなり。しげる(茂)
ソ [遇]
○くわゐ(水芋)○しく(藉)唐書、李揆傳「─枕經史」
①ソウ [東]
②サゥ·ソウ [江]
蔥は古字
①ねぎ、蔬菜の一、葉は筒狀中空、花はくすだま狀をなし、黑胡麻に似たる實を結ぶ、莖葉共に臭氣あり。= 俗 葱白。禮、內則「膾春用─」○あをし、あを(蒼)○──は氣の通達する貌。○─嶺は西域に在る山の名。
②─靈はにぐるま(輜車)
あを色の佩びだま。詩經、疏「赤芾──」
國 天子の輦輿の屋根の中央にねぎの花の形の飾あるもの。
みどりいろ。岳陽風土記「層巒疊嶂、望之極──」=蒼翠。
○あをあをとしげる。沈約詩「林薄杳──」=蒼蒼。○ねぎの葉。本草「葱初生曰葱、針葉曰──」
○草木のあをあをとしげる貌。李白詩「日出瞻佳氣、──繞聖君」○氣の通達して佳なる貌。後漢書、光武紀「氣佳哉、鬱鬱──然」
藍色の最も淺きもの〔禮記、盎齊、注〕
あをし。王叡詩「色包──盡琅玕」
西域に在る山の名、其の山脈の東して新疆に入る者を崑崙山といひ、天山といふ。西河舊事「──在敦煌西八千里、其山高大、上悉生葱、故名」
佛敎。葱嶺は印度地方に在る山の名、釋迦此の山にて修業せしが故。
衣服などを載するにぐるま(輜車)の名。左、定九「載──、寢于其中而逃」
靑くしげる貌。郭璞賦「潛薈──」
蔕(艸部十一畫)に同じ。
班固、答賓戲「上無所─、下無所根」
①チョ [御]
②チャク [藥]
③チョ [魚]
①あらはる(明顯)明かに知れる、名高くなる「─名」○あらはす(表·見)あきらかにする、廣く知らせる。○しるす(圖錄)○のべる(紀述)書物をえらぶ、文書に書きのせる「新─」「雜─」○あきらか、いちじるし、特にめだちて知れる。○おもふ(思)○たくはへ。たくはふ。貯に通ず。○門屛の閒。○くらゐ(位次)朝廷の席次。左、昭十二「若不廢君命、則固有─矣」
②つく、きる、俗に着に作る。○きもの(被服)○ひらく(開)「─花」○をる(處)○つく(附)漢書、賈誼傳「厪如黑子之─面」○殷の時のさかだる。○きまりがつく「落─」○おく(置)棋子 ゴイシ を下し置く。又、其の棋子「勝─」「敗─」○動作をあらはす助字「逢─」「說─」○土著 ドチヤク は其の地に田宅常居ある人。○執─ シフチヤク は心が物に繫がれる。○沈─ チンチヤク はおちつきて輕躁ならず。
③─雍は十干の戊の異名。○ 國 衣服を數ふるにいふ「和服三─」
同訓異義
アラハル 著·見·現·顯·形·暴·露·表·彰·旌の別は見(部首七畫)の條を見よ。○ツク著·附·付·就·卽·傅·粘の別は附(阜部四畫)の條を見よ。
文章を著はし作る。論衡「──者爲文儒、說經者爲世儒」
著作物を複製又は飜譯し若くは興行する權利。=版權。
朝廷の著作を掌る官。事物紀原「魏明帝太和中、始置───」
書物をあらはしたる人。=著作者。
文書を著はす。班固、答賓戲「以──爲業」
○書をあらはす。史、老子傳「關令尹喜曰、子將隱矣、彊爲我──」○あらはしたる書。
名高きいへがら。後漢書、張衡傳「世爲──」
いさををあらはす。晉書、侯史光傳「歷官──、文理奏議、皆有條理」
文書を著はしえらぶ。宋史、杜鎬傳「士大夫有所──、多訪以古事、雖晚輩卑品請益、應答無倦」
いちじるしく大いなり。
名高きはなし。
名をあらはす。又、名高し。晉書、郄超傳「沙門支遁以淸談──于時」=馳名·顯名。
いちじるし。易、繫辭「懸象──、莫大乎日月」
書を著し又飜譯する。
○あらはししるす、姓名を帳簿に記する。後漢書、張興傳「弟子自遠至者、──且萬人」○書物をあらはす。=撰錄。
○こころをつける、工夫する。歐陽修詩「誰知──弄新音」○氣をつける。=畱意。
岸につく。吳志、吾粲傳「漂沒──」
めをつける。蘇軾詩「塗車芻靈皆假設、──細看君勿誤」=著目。
國 陛下又殿下のおつき。
はなをつく。趙產昭詩「繁條偏是──遲」
考をつける、おもひつき。=著意。
おちつきてまじめ。膚泛の反對。
國 到著したる手紙又電報。
てをつける、事を爲しはじめる。晉書、杜預傳「兵威已振、譬如破竹、數節之後、皆迎刃而解、無復──處也」
いろどりする「──山水」劉勳詩「船行──屛風裏、人在廻文錦字中」=設色。
國 席につく、其の座につく。
國 懷姙五箇月目に腹帶(いはたおび)をしめる。又、其の式。
目的の場所につく。=到著。
發射せし彈丸が先方に達する「──距離」
次第に、一步一步に。
○きものをきる。又、きもの。晉書、杜皇后傳「天公織女、死爲之──」○ 國 他人の金品をひそかに我がものとする。
おしろいのこをつける。宋玉賦「──則太白、施朱則太赤」=傅粉 フフン
○むちをあてる。高適詩「──驅駟馬、操刃解全牛」○人に先だちて事をする。=著先鞭。
著眼に同じ。
きものをきる。搜神記「好五色衣服、裁制──」
おちつく。朱子語錄「分合各有──」=歸宿。
テイ [青]
─藶 テイレキ は芹に似たる水草、食用とす。いぬなづな。
①トウ [董]
②ショウ·シュ [腫]
①ただす(監督)みはりする「─正」「─理」○佛寺內の衆僧竝に一切の法務を監督する「前─」「後─」○はかる、とりしまる。又、其の人「紳─」「商─」○かくす(深藏)○骨─ コツトウ は古道具、種種の食品をまぜて烹たるものを骨─羹、又、骨─飯といふに本づく。一說に鶻突の轉、鶻突は糊塗に同じく物の分明ならざる義。○骨─飯はごもくめし。○振─は兩手を相擊ちて拜む。○はすのね、れんこん(藕根)
②みじかし(短)
同訓異義
タダス 董·正·規·繩·糾·格·匡·訂·質の別は正(一○○八頁二段)を見よ。
字は玄宰、明の華亭の人。萬歷十七年の進士。官禮部尙書に至る、書畫に精し、崇禎九年卒す、年八十三。
宋の巧畫者、董源(字は北苑)と釋巨然と、竝に山水を善くす。
直筆してはばかる所なきをいふ、董狐は晉の史官。左、宣二「趙穿攻靈公於桃園、宣子未出山而復、太史書曰、趙盾弑其君、以示於朝、宣子曰、不然、對曰、子爲正卿、亡不越竟、反不討賊、非子而誰(中略)孔子曰、董狐古之良史也、書法不隱」
俗 公司卽ち會社の取締役。
ただす。後漢書、岑晊傳「慨然有──天下之志」=督正。
漢の廣川の人、少くして春秋を修め、每に帷を下して講說す、武帝の時、賢良方正に擧げられ、大に用ひられて江都の相となる、後に公孫弘の嫉む所となり、斥けられて膠西王の相となる、竟に病を以て免れ、著述を以て業とす、仲舒、學淵源あり、正誼明道を以て主とす、漢の醇儒たり、著すところ、春秋繁露あり。
ただしとりしまる。吳志、孫皎傳「二者尙不能知、安可──在遠禦寇濟難乎」
ただしをさむ。
ハ [麻]
はな(華)「丹─」「奇─」「春─」「豔─」「含─」
くさ花。王安石詩「山路──繁」
詩經の異名。韓愈、進學解「詩正而葩」とあるに本づく。
ハゥ ホウ [皓]
○つつむ、かくす(藏)○な(菜)○草の盛んなる貌、しげる、おどろ、草木の叢生する貌。○大いなり「─大」○さしもの(纛)はねかざり「羽─」○むつぎ、褓に通ず。史、畱侯世家「在襁─之中」○たから。史、畱侯世家「果見穀城山下黃石、取而─祠之」寶に通ず。○とりで「─塞」堡に通ず。○やすし。やすんず(安)○たひらか(平)○ひこばえ(孼苗)
光を藏 カク す、ちゑをおほひかくす。莊、齊物「注焉而不滿、酌焉而不竭、而不知其所由來、此之謂──」
とりで〔史、匈奴傳〕
其の本眞の性を保つ。莊子「可以──、可以全生」
草のしげれる貌。博雅「──、茂也」
バン マン [願]
俗に万に作る
○よろづ。○千の十倍、轉じて多數の義とす、あまた「─國」「千紫─紅」○蜂の異名。○殷の湯王の創めし舞樂の名。=千歲舞。○萬に一っも、決して。史、淮陰侯傳「─不失一」○千─は丁寧にする辭「──珍重」
極めてやすらか。魏志、武帝紀「諸君之諫、──之計」=萬全。
總てのもの。子華子「太初肧胎──」=萬物。
多くの價、鎰は二十兩、又二十四兩。戰國策「當秦之隆、黃金──爲用」
萬代に同じ、葉は世。晉書、武帝紀「見土地之廣、謂──而無虞」
多くの世俗のゆかり。傳燈錄「皆息──、心如枯木」
數の甚だ多きにいふ。漢書、禮樂志「經營──、咸遂厥字」
おほくのたに。晉書、顧愷之傳「千巖競秀、──爭流」
おほくのかんじ。謝靈運詩「千念集日夜、──盈朝昏」
おほくのまつりごと、幾は萬事の幾微を謹む義。書、皋陶謨「兢兢業業、一日二日──」=萬機。
おほくのかね。史、平準書「富商大賈、財或累──、而不佐國家之急」
萬金にもかへず。墨經「凡墨日日用之、一歲纔減半寸、萬金不換」
○萬物の化育する義。漢書、京房傳「古帝王以功擧賢、則──成、瑞應著」○色色にかはる。列子「千變──、惟意所適」
おほくのはな。宋伯仁詩「──新種小亭臺」=千花·羣芳。
原野又は水面などの極めて廣きをいふ。岑參詩「澄湖──深見底、淸冰一片光照人」
○おほむかし。魏書「高祖創定九流、軌儀──」宋史、陳亮傳「推倒一世之智勇、開拓──之心胸」○永久、いつまでも。杜甫詩「不廢江河──流」=千秋·萬世。
○多くの人の口。胡銓、上高宗封事「──一談」○多くの人。吳志「部曲──、妻子盡識之」
萬邦に同じ〔易、乾卦〕
暑の甚だしきにいふ。僧巒、苦熱行「日輪當午凝不去、───────」
一萬戶の封地を有する諸侯。史、李廣傳「如令子當高帝時、───豈足道哉」
○古、祝賀の辭として上下、一般に用ひしが、唐末より、專ら天子の壽を祝するに用ふ。漢書、武帝紀「吏卒咸聞呼──者」○ 國 マンサイ 新年に烏帽子 ヱボシ 直垂 ヒタタレ を著て民家を舞ひあるく者。
○舞樂の名。通典「鳥歌───、武太后所造也」○ 國 マンザイラク 古、正月五日に宮中にて行はれたる舞樂。又、踏歌 タウカ の異稱。
○天子の死後をいふ。史、高祖紀「───吾魂魄、猶樂思沛」=百歲後。○臣下の死後にも用ふ。漢書、翟方進傳「萬歲之期近、愼朝暮」
國 天皇御卽位の時祝意を表してたてるはた。
もろもろのくさ。杜甫詩「──千花動凝碧」
萬が萬まで死ぬべき危き場合。史、張耳陳餘傳「出──不顧一生之計」
必死を期するにいふ。史、張耳陳餘傳「將軍瞋目張膽、出萬死不顧一生之計」
よろづのこと。禮記「百官得其宜、──得其理」
何事も休止する〔宋史、荊南高氏世家〕
いろいろの美くしきはな。朱熹詩「等閒識得東風面、────總是春」
甚だ高き義、仞は八尺。又、四尺。唐書、王勃傳「孤峯絕岸、壁立──」
○いくへにもわびる。○厚く御禮をいふ。=多謝·深謝。
種種のかたち有樣。唐書、杜甫傳「渾涵汪茫、千彚──、兼古今而有之」=千態。
あまたのめでたき事。聖主得賢臣頌「遐夷貢獻、──畢至」
いろいろのもの。萬物のかたち。淮南、俶眞「四時未分、──未生」
あらゆるさしさはり、多くの故障。
さまざまのちがひ。王羲之、蘭亭集序「趣舍──、靜躁不同」
いのちながし。詩、小雅「樂只君子、──無期」
人の長壽を祝する語〔詩、小雅〕
北京の西に在り、山麓の湖を昆明池といふ、湖畔の園を頤和園といふ。
支那の天子の誕生日。=聖誕·天長節。
多くの人。─有衆·衆庶。
よろづのいとぐち、萬端の義。列、周穆王「擾擾──起矣」
兵車萬乘を出す國の君、卽ち天子。孟、公孫丑「不受於褐寬博、亦不受於────」
おほくのふち、一鍾は六斛四斗。鄭炎詩「終居天下宰、食此───」
おほくのともしび。王珪詩「──當樓寶扇開」
多くの川。張喬詩「北闕東堂路、千山──入」
○もろもろのつかさ。書、咸有一德「俾──咸曰大哉王言」○天下の萬民。漢書、谷永傳「益選溫良上德之士、以親──」
一百四十六卷、附氏族博考十四卷、明の凌迪知編す、上古より明の中葉までの、上、帝王より、下、士庶に至る略傳を、二十一史の列傳·通志等より抄出し、四聲一百六韻を以て姓を分ち類編す、和版あり。
天子のちすぢが永久にかはらず續く。=萬葉一統。
永世くちざるわざ。賈誼、過秦論「自以爲關中之固、金城千里、子孫帝王、────也」
後世まで殘る大いなるいさを。漢書、蕭何傳「奈何以一旦之功、加────哉」
永世かはることなし。荀、正論「萬世不能易也」=萬代不易·百世不易。
いつまでも削り去るべからず。揚雄、酈商銘「金紫襃表、────」=萬世不磨。
數の多き義。范仲淹、岳陽樓記「氣象──」=千萬。
十分に全し、少しもておちなし。史、淮南王傳「聖人萬擧──」
決してあやまちなきはかりごと。北史、祖珽傳「今宜命皇太子早踐大位以定君臣、若事成、中宮少主皆德君、此───也」
おほくのやから。陶潛詩「──各有託、孤雲何無依」
多くの兵士。
あまたのえだ。=萬枝。
いろいろのさま。吳融詩「──千端一瞬中」=萬狀。
よろづのかたち。禮記、疏「物雖──、皆同一履」
○いろいろのいとぐち。あらゆることがら。史、禮書「人道經緯、──規矩、無所不貫」○色色のてだて、史、信陵君傳「賓客辯士、說王──」=萬方。
王城をいふ、雉は牆の長さ三丈、高さ一丈なるをいふ。班固、西都賦「建金城之──」
いくへにもかさなる。李白詩「輕舟已過──山」=萬疊。
決して少しも違はざる義。史、淮陰侯傳「貴賤在於骨法、憂喜在於容色、成敗在於決斷、以此參之、────」
靈芝 レイシ をいふ。抱朴子「───令人不老、延年九千」
おもと。
○すべての病にききめがある。○なんでもできるはたらき。
おほくのえだがは。李建勳詩「──爭流雨過時」
○四方のくにぐに。書、湯誥「嗟爾──有衆」○種種に力を用ふる。史、周紀「襃似不好笑、幽王欲其笑、──故不笑」
おほくのくにぐに。書、堯典「協和──」=萬國。
あまた、色色に異る。褚載詩「一宿郵亭事──」=千般。
○非常なる多數。○決して、とても。韓愈文「況──無此理」
○おほくのさいはひ。詩、小雅「和鸞雝雝、──攸同」○ 國 人の健康を祝するに用ふる語。
よろづのもの。易、乾卦、彖傳「大哉乾元、──資始」
萬物皆同等なり。莊子「────、孰短孰長」
萬物の中にて最も靈智あるもの卽ち人。書、泰誓「惟人────」
天下の萬事は皆我が性分內に具備する。孟、盡心「孟子曰、──────矣、反身而誠、樂莫大焉」
天下萬人が仰ぎ慕ふ。易、繫辭「君子知微知彰、知柔知剛、────」
いろいろにかはる。韓詩外傳「千擧──、其道一也」=萬化。
よろづのたみ。易、謙卦「勞謙君子──服也」
多くのかみなり。瀑布·大砲などの大いなる聲の形容「──轟」
萬物の音響。常建詩「──此俱寂、唯聞鍾磬音」
京師より遠く離れたる地の諸侯。後漢書、班超傳「燕頷虎頭、飛而食肉、───之相也」
天下統一して萬里の遠方まで風俗を同じくす。漢書、終軍傳「天下爲一、萬里同風」=百代同風。
地方官の職。魏文帝文「授之以────、任之以一方之事」
萬里の遠きもとなりの如し。曹植詩「丈夫志四海、萬里猶比隣」
萬里の長城の遙に天に接する形容。汪遵、長城詩「焉知─────、不及堯階三尺高」
○多くの綠の葉の中に、唯一っの赤き花あるにいふ。王安石、石榴詩「───────、動人春色不須多」○轉じて多くの平凡なる物の中に一っのすぐれたる物あるに喩ふ。
おほくのたぐひ。後漢書、杜篤傳「蠢生──、城池百尺」
よろづのかみ。史記、自序「──罔不禋祀」
明の神宗の年號。
萬に一っ、萬分の一。後漢書、鄧騭傳「本非臣等所能──」
甚だ重し、鈞は三十斤。至言「──之所壓、無不糜滅」
多く下るなみだ。李白詩「願借九江流、添成───」=千行淚。
多くの書物。李嘉祐詩「──長開帙、千峯不閉門」=萬帙。
甚だ多くの分量。杜甫詩「──之舟行若風」=萬石。
極めて永き時閒、劫は佛家にて世をいふ。李白詩「蒼穹浩茫茫、──太極長」
甚だ高く、又、深し、尋は一ひろ。嵆康、琴賦「丹崖嶮巇、靑壁──」
多くのやまひ〔黃庭內景經、注敍〕
多くの中にて一っ。莊子「其存之國也、無────」
多くのわかち「千差──」
多くの目、衆くの人が視る。
小灌木の一、葉は茶に似、花は繖狀、冬紅色球狀の小實を結ぶ。
フク [屋]
蔓生の野菜、莖赤く葉大きく、根は形指の如く色白くして、食用とす。
①フン·ボン [文]
②ホン·ボン [元]
①─蒕は盛んなる貌。
②覆─子はなついちご。
ホ ブ [虞]
○─萄 ブダウ は蔓生、果木の一、葉は蔦 ツタ に似て大きく、球形の漿果を叢生す。廣志「─萄有黃白黑三種」=蒲陶·馬乳·黑水晶。○歐洲の國名、─萄牙 ポルトガル の簡稱。
葡萄にて釀したる酒。王翰詩「葡萄美酒夜光杯、欲飮琵琶馬上催」
①ホウ [冬]
②ホウ [宋]
①かぶ、かぶら(蔓菁·蕪菁)
②菰 マコモ の根の盤結せしもの。
葑はかぶら、菲は大根、此二物は根莖皆食ふべ─と雖も、其の根は時に美惡あり、其の根の惡を以て其の莖の美を捨つべからず、以て人の惡しき行あるにより他の美を捨つべからざにる喩ふ〔詩、邶風〕此詩に本づきてすべて一節の取るべきある者を葑菲といふ。
菰の根が年久しく積みて田となりしもの。宋史、蘇軾傳「取西湖──三十里、爲長堤」
ボツ [月]
蓊─は香氣の盛んなる貌。
①ヤク [藥]
②テキ [錫]
①藥(艸部十五畫)の略字。○よろひぐさ(白芷)の葉。○植物の生殖器、雄蕊の先端に在りて花粉を藏するもの。
②まとふ(纏)
ラク [藥]
○おつ、おつる「零─」「枯─」「萎─」「凋─」草木の花又葉が散る。しぼむ、かる。○くだる、さがる。○へる(減)散りて少くなる。史、鄭當時傳「賓客益─」○すてる。すたる(廢)やぶる(壞)莊、天地「無─吾事」○ぬける(脫)「脫ー」うしなふ(失)○しぬる、殁する。○手に入る、歸す「─手」○おちぶれる、さすらふ「淪─」「─魄」○はぐ(剝)○やめる、しりぞける「─職」○おちしむ、おとす「振─」「擺─」○──は相入れざる貌。又、志大いにしてすぐれたる貌。又、まばら(稀疏)なる貌。○宮室の成りたるとき行ふ祭。左、昭七「楚子成章華之臺、願與諸侯─之」○できあがる「─成」○はじむ。はじめ(始)○まがき、かき、かこひ「籬─」○むら、さと「村─」「聚─」「部─」「里─」「邑─」○まとふ、絡に通ず。○新に成りたる鐘に豭豬の血をぬる。○大荒─は十二支の巳の異名。
同訓異義
オツル 落·墮·墜·零·隕○落は何にても上から下へ落つるなり。草木黃落·落第の如し。○墮は毀也、おちくづれるなり。史記「士卒墮レ指」○墜はくづれ落つるなり「墜落」○零はこぼれ落つるなり。詩經「靈雨旣零」○隕は眞直にずんと落つるなり。左傳「星隕如レ雨」
國 おとしだね、貴人の私生兒。
おちたるはな。楚辭「飧秋菊之──」一說におちたる葉。
おちば。陸機賦序「──俟微風以隕、而風之力蓋寡」=墜葉。
からまつ、日光松、富士松。山中に自生する落葉樹。茶筌狀の葉は冬期落葉す。
座敷びらき、新築落成の祝宴。
日暮水邊の景をいふ、落霞は低くたなびくかすみ、一說に、飛蛾、鶩はあひる。王勃、滕王閣序「───────、秋水共長天一色」
空より洲に飛び下るかり。
華山の一峯。雲仙雜記「李白登華山───曰、此山最高、呼吸之氣、想通帝座矣、恨不攜謝朓驚人詩來、搔首問靑天耳」
入り日のひかり。劉長卿詩「囘首川長共──」=落日。
五七言律詩の七八の兩句〔滄浪詩話〕
ちるはな。=落英。
おちたる花は再び枝に上ること難し。一度去りし婦は再び復歸し難きに喩ふ。五燈會元「─────、破鏡不重照」
風景の自然にあやあるにいふ。朱熹詩「好鳥枝頭亦朋友、───────」
なんきんまめ。典籍便覽「───藤蔓、莖葉似扁豆」
花を吹きおとす風。劉廷芝詩「今人還對───」
春の末、花の落つる頃。杜甫詩「正是江南好風景、────又逢君」
書畫に作者の名を記し、又は雅印をおす、落成款識の略。又其の印。
入りかかりし月。戴叔倫詩「高樓邀──、疊鼓送殘更」
友を思ふ情の切なるにいふ。杜甫、夢李白詩「落月滿屋梁、猶疑照顏色」
兵士がなかまからはづれる。又足弱き者が同伴者に離れて後になる。
人におくれる。李白詩「風流豈肯落人後」
○話の結局のところ。方洲雜言「及──莫不絕倒」○ 國 おとしばなし。
散りおちるあかき花。=落花。
おもひつき。=著想。
うめもどき(梅擬)高さ一丈許、夏淡赤色五瓣の小花をつけ、冬紅色の實を結ぶ。
ものさびし〔顏氏家訓〕=落莫。
入札せし物件が我が手に入る。
書きおとしたる文字。=脫字。
ゆふひ。杜甫詩「──照大旗、馬鳴風蕭蕭」
おとしつくす。おちてつきる。李白詩「楊花──子規啼」
國 しろがおちる、城陷。
國 うけとる。落手。
○手に入る。杜甫詩「豈意靑草湖、扁舟落吾手」○受け取る。=落掌。
國 嘲弄滑稽などの意を寓し路傍等に落しておく狂歌。
國 ○門又壁などにいたづらがきをする。又、其の書畫。○ ラクシヨ 嘲弄又諷刺の意を寓して書き、人通り多き所に立ておく匿名の文書。
髮をそりて佛門に入る、出家する。慈恩傳「夙慙行業、旣蒙──」=落髮。
役をやめる。潛硏堂文集「──則爲罷免」=罷職。
宮室ができあがる、落は其の成りたる祭の義。劉克莊詩「故國難歸去新巢甫──」
古の名高き樓名。金陵地記「吳嘉禾元年、於桂林苑落星山起三重樓、名曰──樓」韋莊詩「──樓上吹殘角」
ゆふひ。梁簡文帝詩「密房寒日晚、──度空窗」=落日·落暉。
○戶籍簿に脫けおちたるもの。大學、衍義補「唐穆宗方荒宴、軍士──者衆、皆聚山澤爲盜」○ 國 みうけ、遊女などの名簿より名を除きて身を退く。
えらびにもれる。
茄子の異名。本草「茄子名──」
試驗に及第せず。唐詩記事「──者、至省門散去」
ものさびし〔晉樂府、懊憹歌〕=落寞。
氣が大いなり。拓落の俗用。北史、楊素傳「少──有大志」
ぬけおちる。=脫落。
力をおとす。文同詩「職事有出入、長抱──驚」唐書、溫造傳「今日膽落溫御史矣」
此地上に生れ出る。陶潛詩「──爲兄弟、何必骨肉親」
國 書物の紙がぬけて不足する。=脫簡。
事がきまりておちつく。朱子語類「卻有一個──」
ひきしほ。劉長卿詩「──廻野艇」=退潮。
うまよりおつ。南史「義宣大懼、──仍便步地」宋書、沈懷文傳「託疾──」
笛曲の名。李白詩「黃鶴樓中吹玉笛、江上五月───」
九月九日の節句、晉の桓溫が九月九日龍山に宴せし時、風至りて孟嘉の帽を吹き落ししかば、溫人をして文を作り、嘉を嘲らしめしに嘉の之に答へし文甚だ美なりきとの故事に本づく。歲華紀麗「授衣之月、────」
をちぶれる。陳書、杜稜傳「少──不爲當世知」=落魄·落托。
さびし、落は冷落、莫は薄。韓愈、送楊少尹序「不──否」=寂莫。
さびし。釋辨才詩「披雲同──、步月共徘徊」=落莫。
おちぶれる。史、酈生傳「好讀書、家貧──、無以爲衣食業」=落泊·落托·流落。
髮をそりて僧となる。北史、魏宗室河南王傳「自──爲沙門」=剃髮。
ほをおろす。湛方生詩「──修江渚」
筆を下して書く。杜甫詩「閱書百紙盡、──四座驚」
畫家の妙技をいふ。吳錄「曹不典善畫、權使畫屛風、誤落筆點素、因就以作蠅、旣進御、權以爲眞蠅、擧手彈之」
秋になりて葉のおちたる木、冬がれの木。杜甫詩「古城──疎、荒戍密寒雲」
國 いのちをおとす、殁する。
かみなりがおちる。又、其の雷。
○相入れざる貌。老子「碌碌如玉、──如石」○志の大いにしてすぐれたる貌。晉書、石勒載記「大丈夫行事、當礌礌──如日月皎然」○さびしき貌。左思、詠史詩「──窮巷士」○まばらなる貌。劉禹錫詩、序「今來──、如晨星之相望」
心の大いにして淸きをいふ。晉書、王澄傳「衍曰、誠不如卿────然也」
なみだをおとす。魏文帝詩「妻子牽衣袂、──霑懷抱」
リツ リチ [質]
むぐら、蔓生の雜草の一、莖には密生せる細き刺 トゲ あり、葉は節の周圍に輪生す。=猪殃殃。
むぐら。本草「──、莖有細刺、善勒人膚」
ワ [歌]
─苣 ワキヨ は、ちさ、野菜の一、ちしゃ。
10畫
①ヲウ [東]
②ヲウ [董]
①たぅ(薹)草花の莖のこまかき葉がむらがり出づるもの「─薹」
②草木の盛んに茂る貌。
草が茂る。文同詩「──藏萬穴」=蓊穢。
草木が茂りて蔽ふ、蔭蔽の貌。漢書、司馬相如傳「觀衆樹之──兮」
さかんなる貌。張華賦「朱夏當陽、──蕭森」
草木の盛んにしげれる貌。張衡賦「晻暖──、含芬吐芳」=蓊鬱·薈蔚。
○草木の盛んなる貌。左思、蜀都賦「松柏──於山峯」=蓊蔚。○轉じて雲などのさかんなる貌。魏文帝賦「瞻玄雲之──、仰沈陰之杳冥」=鬱蓊·蓊蔚。
草木の盛んなる貌。韓愈賦「樹──其相樛」
茂り盛んなる貌。左思賦「──蕭瑟」
物の盛んなる貌。關尹子「我之與物、──蔚然、在大化中、性一而已」
盛んなる貌。張隨、雲從龍賦「觸幽石、而──其色」
草木のしげれる貌。孫子「軍旁有險阻潢井蒹葭林木──者、必謹覆索之、此伏姦之所也」
①カイ [泰]
②カフ [合]
又、葢に作る、盖は俗字、通音ガイ
①おほふ。おほひ(覆)おほひかくす(掩藏)書、蔡仲之命「爾尙─前人之愆」○ふた、容器の口のおほひ。○かさ、きぬがさ、車の上に立てる傘「車─」○からかさ(傘)嵆康文「仲尼不假─于子夏」○けだし、おしはかることば、推量の辭、疑ふ辭。孟、滕文公「─上世嘗有不葬其親者」○なんぞ(曷)戰國、秦策「─可忽乎哉」○略擧 ホボアゲル する辭。孝經「─天子之孝也」○とま(茅苫)○くはふ(加·尙)
②なんぞ何何せざると讀む、何不の合音、盍に通ず。孟、梁惠王「─亦反其本矣」○齊の地名。孟、公孫丑「─大夫王驩」
蓋棺事定(九五四頁一段)を見よ。
かたちをおほふ。漢書、伍被傳「男子疾耕、不足子糧餽、女子紈績、不足於──」
行を勵まし善を爲して罪惡をおほひきよめる。字解參看。今は功を以て罪を贖ふ義とす。
天地。韓愈詩「威風挾惠氣、──兩劘拂」
一世をおほひ壓するほどにすぐれる。史、項羽紀「項王乃悲歌忼慨、自爲詩曰力拔山兮氣──」
けだし然らん、推定の辭。必然の對。=或然。
世俗のほだし、俗累をいふ。王筠、答釋法雲書「滌彼──」
おほひ、ふた。儀禮「簠有──」
かぶりがさ。晉書、天文志「周髀者卽蓋天之說也、其言、天似──、地法覆槃」
カゥ [豪]
○よもぎ、くさよもぎ、艾の類「靑─」「白─」「牡─」「蔞─」「茵陳─」○焄─は氣の蒸し上 ノボ る貌。禮、祭義「焄─悽愴」○つかる(耗)疲勞する。楚語「使民─焉」○ちりにまみれるにいふ。○みだる(亂)憂ひ視る。○蓬─は卑賤に喩ふ。李白詩「我輩豈是蓬─人」
よもぎにて作りたる箭、邪氣をはらふといふ。後漢書「桑弧──、以射菟首」
よもぎのゆか。高士傳「茅居──、守道不仕」
候鳥 ワタリドリ の一、黃雀より小、色靑黑、嘴も亦黑色、胸腹は淡黃、あをじ。=草雀。
蒿は亂、目を亂して視る。一說によもぎは塵にまみれ易し、故に君子眼を塵中にくらくするに喩ふ、憂ひ視る義。莊、騈拇「今之君子──、而憂世之患」
あれくさ。又、草のしげれる所。吳師道詩「不妨歸臥守──」
○墓地の名。○葬式の時うたふ歌。搜神記「──歌曰、──誰家地、聚斂魂魄無賢愚、鬼伯一何催促、人命不得少踟躊」=挽歌·輓歌。
よもぎと、あかざと。韓愈詩「樹以松與柏、不宜閒──」
草ぶかきいほり、自己の家の謙稱。東方湖文「何必深山之中、──之下」
ク [麌]
─蒻 クジヤク はこんにゃく、宿根草の一、高さ二尺許、夏紫褐色の花を著く、球狀の地下莖を食用とす。蜀都賦「其圃則有─蒻茱茰瓜疇芋區」
クヮイ [卦]
○菅 スゲ の屬、あぶらがや。莖の高さ四尺許、秋、茶褐色の小花を著く、莖の纖維を織物とす。左、成九「雖有綠麻、無棄菅─」絲麻は美物、徒に美物を恃みて賤物を捨つべからざる喩。○姓、─通は楚漢の時の說士、韓信。其の計を用ひて齊の地を定む。
ケン [鹽]
ひめよし(薕)をぎ(荻)
をぎ。詩、秦風「──蒼蒼、白露爲霜」
サ サイ [歌]
又、簑に作る
○みの(草衣)雨をふせぐ外衣「短─」「烟─雨笠」詩、小雅「何─何笠」○おほふ(覆)○華蘂の下垂せる貌。
みの。江爲詩「何時洞庭上、春雨滿──」
華蘂の下垂せる貌。張衡、南都賦「敷華蕊之──」
みのと、かさと。列子「吾君方將被──、而立乎畎畝之中」
サ [箇]
いつはる(詐)曲禮「介者不拜、爲其拜而─拜」(容節を失ふをいふ)
①サゥ [陽]
②サゥ [養]
①は倉に通ず
①あを、草のあを色、深靑色 コキアヲイロ ○しげる(茂)○──は物の老いたる貌。又、髮の班白 シラガマジリ の貌。又、草木の靑く茂る貌。又、晴れたる天の色。○─黃·─卒は急遽 アワテル の貌(─は倉に同じ)
②莽─は草木の靑靑したる貌。近郊の色。莊、逍遙遊「適莽─者三飡而反」
あをきもや。白居易詩「姑蘇臺榭倚──」
あをうなばら。=滄海·蒼溟。
うぐひす。呂覽「──鳴」=倉庚·黃鳥·搏黍·黃離。
あをぞら。梁書、武帝紀「日月無徧照、何由訴──」=碧漢·昊蒼。
天をいふ。李白賦「廓區宇以立極、綴──之頽綱」=蒼天。
年老いて衰へたるかほ色。歐陽修、醉翁亭記「──白髮、頹乎其中者、大守醉也。
あをぞら、穹は天の穹窿 ユミナリ の狀をいふ。李白詩「──浩然茫、萬劫太極長」=蒼空。
あをきたま。禮記「衣靑衣、服──」
天をいふ。陳子昂詩「──神功被」
雲の形容。杜甫詩「天上浮雲如白衣、須臾忽變爲──」
あをぞら。李白詩「靑山映輦道、碧樹搖──」=蒼天·蒼穹·蒼旻。
あをあをとしたる檜樹。郭祥正詩「淮南亭子有──」
あわてる。杜甫詩「──已就長途往、邂逅無端出餞遲」=蒼皇·倉黃。
○あわてる貌。漢書、郊祀志「──若飛鳥」=倉黃·蒼皇。○あを色又は黃色に反覆して定らざるにいふ。孔稚圭、北山移文「終始參差、──反覆」
松の異名。王安石詩「歲晚──聊自保」
黃帝の臣、鳥跡を見て文字を作る、蒼一に倉に作る。許愼、說文序「黃帝之史──初造書契、依類象形、故謂之文、其後形聲相益、卽謂之字、著於竹帛、謂之書」
あをぞら、天。梁書、朱?傳「聖明御守、上應──、北土遺黎、誰不慕仰」
○縣の名、今の廣西省──道の治、開きて商埠と爲す。○山の名、舜帝を其の下に葬る、一名九疑、今の湖南省寧遠縣に在り。檀弓「舜葬於──之野」
あをぐろし。劉禹錫詩「洞門──煙霧生」
○物の老いたる貌。詩、秦風「蒹葭──、白露爲霜」○髮の白くなりかけたる貌。韓愈、祭十二郞文「視茫茫而髮──」○草木のあをく茂れる貌。曹植詩「山樹鬱──」○天の青き色。莊、逍遙遊「天之──、其正色耶」
あをく茂れるすぎ。僧惠洪詩「千木──俱合抱」
みどりと、むらさきと。毛滂詩「遠岫分──」
はやぶさ。說苑「要離刺王子慶忌──擊於臺上」趙壹、窮鳥賦「前見───後見驅者」
あをきまつ。張說詩「──虎徑深」
あをし。揮麈後錄「北岸萬竹──蓊鬱、仰不見明」
あをひとぐさ、百姓、草木の蒼蒼然として衆きに喩ふ。書、益稷「至于海隅──」晉書「安石不出、如天下──何」=黎民·萬民·蒼氓·蒼民。
○あをき貌。白居易詩「秋陰和曙色、萬木蒼──」○日暮のうす暗き貌「暮色──」○ふるびたる色の形容「古色──」
あをあをしたるこけ。蘇頲詩「臥石鋪──」=綠蘚·碧苔。
松の異名。高僧傳「晉僧法潛、隱剡山、或問勝友爲誰、乃指松曰、此───也」
あわただし。唐書、韋述傳「──犇逼、能存國史」=倉卒·倉皇·蒼黃。
あをあをとしたるこけ。杜甫詩「先生早賦歸去來、石田茅屋荒──」=翠苔·蒼蘚。
あをきたけ。戴昺詩「──颭風涼意足、碧梧留雨夜聲多」
をけら、野生の藥草、秋、薊 アザミ に似たる白花を著く、根を藥用として濕氣を拂ふの效あり。本草「──服之可成仙」
鷹の異名。楚辭「──羣飛」
○あをぞら。詩、王風「悠悠──」=蒼空·蒼穹。○春の天。爾雅「春爲──、夏爲昊天、秋爲旻天、冬爲上天」
○靑き頭巾 ヅキン にて頭をつつむ兵卒。戰國魏策「──二十萬、奮擊二十萬、廝徒十萬」○しもべ。漢書、鮑鮑宣傳「──廬兒、皆用致富」
あをあをとしたるふぢ。朱熹詩「寒泉下碧澗、古木垂──」
あをじろし。劉克莊詩「髮因時事欲──」=蒼白。
あをあをとしてひろき貌。潘岳、哀永逝文「視天日兮──、面邑里兮蕭散」
もろもろのたみ。羅隱頌「爰啓霸圖、奠妥──」=蒼生·蒼民。
○あをぞら。孟郊詩「濁水無白日、淸流鑒──」=蒼天。○秋のそら。
あをあをとしげれるくさ。又、其の場所。儲光羲、登秦嶺作「九逵合──、五陵遙瞳朦」
あをきあや。山海經「──而白首、音如鸞雞」
○あをあをとしてとほし。韓詩外傳「齊桓公問于管仲曰、王者何貴、曰貴天、桓公仰而視天、管仲曰、所謂天、非──之天也、王者以百姓爲天、百姓與之則安、非之則危」○草木のあをあをとしげれる貌。蘇轍、黃樓賦「山川開闔、──千里」
蒼生に同じ。庾肩吾詩「小乘開治道、大覺拯──」
蒼海に同じ(溟は海)=滄溟。
あをばへ。人を讒言する小人に喩ふ。詩、齊風「匪雞則鳴、──之聲」歐陽修、憎──賦あり。
○しらたか、羽毛蒼白色を帶ぶ。戰國策「──擊于殿上」○しらたかは鷙鳥なるが故に酷吏に喩ふ。史、酷吏傳「漢郅都用法嚴酷、尤不避貴戚、列侯宗室見之、側目而視、號曰──」
頭髮の衰ふる貌。白居易詩「病來鬚鬢轉──」=蒼蒼。
○東方七宿の星の名〔三輔黃圖〕=靑龍。○老松の形容。李山甫詩「地聳──勢抱雲」
ごゐさぎ、水禽の一、形鷺に似、背は蒼灰色、魚蛙などを捕へ食ふ。
サク [覺]
植物の種子を包める殻 カラ 熟せし後破裂して種子を吐き出す種類のものを─果といふ、朝顏·百合の類。
サン [翰]
にんにく、おほびる、宿根草にして葷菜の一種、葉は細長く、花は葱に似て、根は球狀をなし、甚だ臭し。
シ [支]
○めどぎ、草の一種、一根より數十莖を叢生し、三葉づつ集著す、高さ四五尺、夏日、淡紫又は紅·白の花開く、めどはぎ、其の莖をうらなひに用ふ。○轉じてうらなひに用ふる五十本の竹の棒。=筮竹。
うらなひ、龜は龜の甲を灼 ャ きてうらなふ。中庸「見于──、動乎四體」=卜筮·蓍蔡。
蓍龜に同じ、蔡は地名、大龜を出すが故。楚辭「──兮踊躍」
うらなひに用ふるめどぎ。劉禹錫詩「菱花照後容雖改、──占來命已通」
①シ·ジ [寘]
②シ·ジ [支]
①うう、移し植う。晉書、姚萇載記「─樹一根以旌戰功」 國 ○ マク 種を地に下す、播種する。又、粉末を散らし落す「─繪」
②─蘿 シラ は、茴香 ウヰキヤウ の一種。
俗 田植 タウヱ =分秧。
野菜などを移しうゑる。唐書、百官志「司苑·典苑·掌苑各二人、掌園苑──蔬果」=藝植·種植。
國 漆と金銀粉とにて畫を作る技。來集之倘湖樵書「日本所附貢、有金銀──硯」=泥金畫漆·描金。
シゥ [尤]
○あつむ(聚)「─集」○しらべる(簡閱)左、襄二四「─軍實」○かくす(隱)左、文十八「服讒─慝」○茅蒐 バウシウ はあかね(茜)=地血。○かる。かり、春の田獵、人衆を聚める義、苗は夏、獼は秋、狩は冬のかり。左、隱五「春─夏苗、秋獮冬狩」註「─、索擇取不孕者、苗、爲苗除害也、獮、殺也、以殺爲名、順秋氣也、狩、圍守也、冬物畢成、獲則取之、無所擇也」
えらびもとめる。字解參看。=搜索。
あつむ。=蒐輯。
しらべえらぶ。宋史、李植傳「──强壯、以重軍勢、度地險阨以保居民」=揀選。
聚めしらべる、討は討究。
かり。かりをする。周禮「遂以──」
かりする。元稹詩「──想渭津」=蒐田。
春と夏とのかり。左、隱五「春蒐夏苗」
あつめおぎなふ。宋史、職官志「──闕軼」
聚め取る、羅は網。=蒐輯。
春のかり。何承天詩「──宣其號令」
兵士を訓練する。唐書、突厥傳「戰士離落、兵甲鈍弊、車馬刓弱、天下雜然盜發、則疾驅以戰、是謂宿敗之師、此不──之過」
シツ [質]
─藜は、はまびし(濱菱)海濱の沙地に生ずる蔓草の一、藥用とす、夏、葉の閒に五瓣の小黃花開き、三角又は四角のとげある實を結ぶ。後世鐵又木にて此の實の形を作り敵の進路を禦ぐに用ひる「鐵─藜」
シン [眞]
○しげし、草の盛んに茂る貌「深─」○くさむら。○木の叢生する貌。榛に通ず。○おほし、多く積み聚まる貌。
○盛んにしげる貌。詩、周南「桃之夭夭、其葉──」○積みあつまる貌。楚辭、招魂「蝮蛇──」
草木がさかんにしげる。
ジャク ニャク [藥]
○がまのめ、わかきがま。○がまのしきもの「─席」○蒟─ コンニヤク は根を食用とする草。=褐腐。
蓴(艸部十一畫)に通ず。
ショウ [蒸]
烝に通ず通音ジョウ
○おほし、もろもろ(衆)「─民」○むす、あつし(熱)○火氣又は水氣がむしのぼる。○ふかす、湯氣をあてて食物を煮る。○ほそきたきぎ(細薪)詩、小雅「以薪以─」箋「麤曰薪、細曰─」○をがら、あさがら、古、用ひて燭とす。○──は善き方へ進む貌。又、純一の貌。○冬の祭の名。=烝。
むしあつくして氣が結ぼる。蘇軾詩「風從南來非雨候、且爲疲人洗──」=鬱蒸。
むしひたす。江賦「川流之所歸湊、雲霧之所──」
ゆげ、蒸發せし氣體。淮南子「草木之發若──、禽獸之歸若流泉」
むし暑くしてしめる。南方草木狀「可禦──之氣」
もろもろのたみ。漢書、武帝紀「何以佐朕燭幽隱、勸元元厲──」=蒸民·黎庶。
むしあつし。北史、崔浩傳「南土下濕、夏月──、非行師之時」=溽暑。
進む貌、向上する。又、純一の貌。書、堯典「克諧以孝、──又不格姦」今本、烝烝に作る。
むしあつし。蘇軾詩「澤國梅雨餘、衰年困──」=溽暑。
むしかしぐ。韓愈詩「如坐深甑遭──」
むされて水氣がのぼる。元稹詩「雲雷暗交構、川澤方──」=蒸發。
むしあつし。詩經、疏「延──之服」
むしやきにする。齊民要術「──美於常魚」
むしにる。張耒詩「──氣味元不改、今晨一食如南北」
液體又は固體が氣體となりて發散する。=蒸騰。
むす。李綱詩「疑在爐冶遭──」
饅頭 マンヂユウ 〔名義考〕=籠餠。
もろもろの人民、たみぐさ。列、仲尼「立我──」=烝民·民庶·衆庶·品庶。
茶の芽をむす。項斯詩「──氣從茅舍出」
液體を蒸發せしめ、其の氣を冷して又、液體となしてまざり物を去る「──水」
むす。宋濂詩「今年度庾嶺、熱氣甚──」
むしたるくり。魏志、鍾繇傳、注「美玉白如截肪、黑譬純漆、赤擬雞冠、黄侔──」
あかざをむす。王維詩「──炊黍餉東葘」
國 ゆげにてむしふかす具。=蒸桶。
ジョク [沃]
○しきぐさ、しきわら(馬の藉草)○しきもの、しとね(茵席)「牀─」「茵─」「臥─」褥に通ず。○ふるき草のめばえがしげく生ずる。○こも、むしろ(薦席)○產─は產室のしとね。
婦人の產蓐に臨む醫師。夢溪筆談「有一──、適在其家」=產科醫。
うみづき、臨月〔儒門事親〕
久しき病人が牀蓐に在りて皮膚が壓せられて生ずる壞疽 クヅレタルデキモノ
秋の神。禮、月令「孟秋之月、其帝少昊、其神──」
早朝ねどこの上に在りて食事する。左、文七「秣馬──、潛師夜起」
とりあげばば、產婆。宋史「──不能收、易七人始娩」
セキ [陌]
○おほいなり(大)詩、鄭風「緇衣之─兮」○むしろ、しきもの「茵─」六韜「坐以文綺之─」席に通ず。
むしろを下げたる戶。梁昭明太子文「──幽人、蓬門下客」
座に敷くむしろ。因りて人の下に居るに喩ふ。韓非子「出則爲扞蔽、入則爲──」
セン [霰]
○あかね(茜)赤色の染料とす。=茅蒐。○草のさかんなる貌。=芊。○──はあざやか(鮮明)なる貌「妍─」
草などのしげれる貌。水心題跋「葱秀──」
○鮮明なる貌。束晳詩「──士子、涅而不渝」○草の盛んにしげる貌。=芊芊。
ソ [魚]
○茅 カヤ に似たる一種の草。又其の草にて織りしあらごも、祭祀に用ふ。○一種の菜。
ソン [元]
又、荃に作る
○香草の名。○溪─ ケイソン ははなあやめ、菖の一種(花菖蒲)=水菖蒲。
タゥ [陽]
─蒙は、ねなしかづら。=女蘿·唐蒙。
ダフ ナフ [合]
一種の香草、葉は栟櫚に似て小。=山檳榔。
①チク [屋]
②キク [屋]
又、稸·畜に作る
①たくはふ(畜)「儲─」「積─」「渟─」○あつむ(聚)○つむ、(積)○やしなふ(養)○をさむ。をさまる(藏)たくはへ。○やしなふもの。○冬の用にたくはへる菜。
②冬のあをもの(冬菜)
同訓異義
タクハフ 蓄·貯·儲○蓄はすこしづつよせ集めておくことなり、蓄積と連用す。禮記「子婦無二私蓄一」○貯は入用だけ收藏して置くなり、蓄は用ひずにおくなり、貯は用ひつつ、品切のせぬやぅにするなり。○儲は、かはりにたくはへて置くなり、太子を東儲といふも、この義に本づく。漢書「家無二儋石之儲一」
やしなひそだつ。毓は育。獨孤及詩「雄威──時乃宣」
○つもるうらみ。漢書、賈誼傳「──宿禍、孰視而不定」○心にうらみをたくはへる。
音聲をたくはへ、必要の時に發せしむる機械。=蘇音機·畱聲機。
火種をたくはへる。淮南子「以其所修而游不用之鄕、辟猶樹荷山上、──井中」
金錢をたくはふ。貯金。
つもるおもひ。嘯賦「舒──之悱憤、奮久結之纏綿」
つみたくはへる。詩、邶風、箋「──美菜」
事に怠る。漢書、息夫躬傳「丞相王嘉健而──、不可用」
○つみたくはへる。=畜積。○ チクシ たくはへ。管子「──自多、用兵自強」=貯蓄。
聚めると散らすと。崔融文「──雲霧」=聚散。
多量の電氣を蓄へる機器、レイデン瓶·集電器の類。
つもるおもひ。柳宗元詩「踊躍殘魂、奮揚──」
かみの毛をのばしたくはへる。
こめをたくはへる。五代史、劉?傳「將軍──、將療飢乎、將破敵乎」=貯米。
ちからをたくはへ養ふ。晉語「──一紀、可以遠矣」註「蓄、養也」
ハゥ バゥ [飬]
牛─はごばぅ、菜蔬の一、葉は芋に似、根は長さ二三尺、色黑く一種の香氣あり。
ヘイ [齊]
通音ヒ
─麻 ヒマ はたぅごま、藥草の一、高さ五六尺、中空にして節あり、葉は掌狀に分裂し、夏秋の交、黃綠色の花を著く、實より─麻子油 ヒマシユ を製す、下劑に用ふ。
ベイ ミャウ [青]
通音メイ
─莢 メイケフ は堯の時生じたりといふ瑞草 メデタキクサ の名。月の一日より十五日まで日每に一莢を生じ十六日より晦日まで日每に一莢を落す、之によりて曆を作りしといふ。玉篇「曆得其分度、則─莢生于階」=曆莢。
ホ ブ [虞]
○がま、水草の一、莖の高さ四五尺、葉は細長く、夏日、矛形茶褐色の花を著く、葉にて席を織る「菰─」「深─」○がまのむしろ。○かばやなぎ「─柳」○くさぶきのまるやね。○古、蒱(次條)に通ず。○はらばふ「─伏」匍に通ず。○─萄 ブダウ は葡萄に同じ。○─盧 ホロ は蟲の名。=細腰蜂。○菖─ シヤウブ は水草の一、菖(一六五○頁二段)を見よ。
がまと、あしと。晉書、食貨志「良田變生──」=葦蒲。
がまにて作りたるむしろ。周禮「諸侯祭祀席──」=蒲席。
がまにてふける屋根。唐書、楊於陵傳「敎民陶瓦易──、以絕火患」
檳榔 ビンラウ の一名、葉にて扇 ウチハ を製す「──扇」李商隱詩「何人書破──扇、記著南塘種樹時」
陰曆五月の異名。蒲節參看。
たんぽぽ、野草の一、春末菊花に似たる黃又は白の花開く。=黃花地丁。
がま。華陽國志「陂池出──」
がまむしろ。禮、雜記「──以爲裳」
陰曆五月五日の菖蒲の節句。書言故事「端午卽爲──、」
がま、又、蒲葵にて造りたるうちは。本草「──」釋名「方言曰、自關而東、謂之箑、自關而西、謂之扇、東人多以蒲、爲之、嶺南以蒲葵爲之」
がまむしろ。釋名「靑齊閒人、謂──爲蒲席」=蒲席。
がまむしろにて造りたる鞍。唐書、李密傳「以──乘牛、挂漢書一帙角上行且讀」
○がまにて作りたるしきもの、圓座 ヱンザ の類。歐陽詹詩「草席──不掃塵、松閒石上似無人」○國 フトン しとね、被衾。
ばくち、樗蒲 チヨボ と博奕と。
がまにて織りたるほ。劉駕詩「──出浦去、但見浦邊樹」
帝舜の都、今の山西省永濟縣の地。一名虞都城。
はふ、はらばふ。史、淮陰侯傳「俛出袴下──」=匍匐·扶匐·蒲服。
前條に同じ。史、蘇秦傳「委蛇──、以面掩地」
がまにて造りたる書物。漢書、路溫舒傳「取澤中蒲、截以爲牒、編用寫書」=蒲牒。
がまのむち、打ちてもいたくなし。後漢書、劉寬傳「吏人有過、但用──罰之、示辱而已」
かはやなぎ。古今注「蒲柳生水邊、葉似靑楊、曰──」
鐘 ツリガネ の異名。班固、西都賦、注「海中有大魚、曰黥、又有獸名──、──素畏鯨、鯨魚擊──、輒大鳴、凡鐘欲令聲大者、作──於上、所以撞之者、爲黥魚」
○かはやなぎ。爾雅「楊、──」=水楊。○身體のかよわきに喩ふ。晉書、顧愷之傳「松柏之姿、經霜猶茂、──常質、望秋先零」
動搖をふせぐ爲めがまにてつつめる車輪。漢書、武帝紀「安車──、束帛加璧、徵魯申公」
がまと、あしと。盧は蘆、生じ易く成長速かなるもの、政治の行はれ易きに喩ふ。一說に蜾蠃 ジカバチ をいふ。=土蜂·細腰蜂。中庸「夫政也者、──也」
葡萄に同じ〔史、大宛傳〕
ホ ブ [虞]
○摴─ チヨボ はばくち、ばくえき(博奕)博物志「老子入胡作摴─」=蒱戲。○がま、蒲に通ず。
ボウ モウ [東]
○くらし(闇)「冥─」○こども、をさなきもの(幼者)「童─」「幼─」「啓─」おろかなるもの(愚人)「愚─」○あざむく(欺)左、僖二四「上下相─」○かぅむる、かぅぶる、うける(受)「─恩」「─命」○らる、せらる(被)○つつむ(裹)おほふ(覆)○をかす(冒)進みて事をひきうける。柳宗元、箕子碑「正─難」○おほひたるもの、かぶりたるもの、おほひかくす。左、昭十三「以幕─之」○あらはれず。○自己の謙稱。張衡、西京賦「─竊惑焉」○女蘿 サルヲガセ の別名。○易の卦の名、坎下艮上。○山東省に在る山の名。○蒙古の略稱「滿─」
おほひかぶさる。唐書、孟郊傳「林薄──、下有積水」=蔭翳·掩翳。
いとけなくおろか。傅咸文「太甲成王年在──、故有伊周之事」=蒙稚。
物の上に覆へる巾 キレ を發き、落葉を振ふ。事の甚だ容易なるに喩ふ。史、汲黯傳「至說丞相弘、如發蒙振落耳」弘は公孫弘。
おにやらひをする時に、かぶるめん。荀、仲尼「仲尼之面如──」=方相神。
三卷、石晉の李瀚著す、經史中より古人の事蹟の互に類似せるものを屬對せしめ、四字句の韻語を以て標題とし記誦に便す(純正──三卷は元の胡炳文著す)
鷦鷯 ミソサザイ の異名。荀、勸學「南方有鳥焉、名曰──」
おほひしげれるいばら。詩經「葛生──」
元朝の舊號。堯山堂外紀「北狄稱銀曰──、元之先號──者、因女直號金、乃以銀號其國也」
おろかにして、かたくな。顏延之文「末臣──、側聞至訓」=蒙陋。
つみをかうむる。漢書、成帝紀「日月不光、百姓──、朕甚閔焉」=逢辜。
智の開けざる人、蒙昧の士。書、伊訓「具訓于──」
死を冒す。漢書、賈山傳「忠臣之所以──而竭知也」
耳をおほひて聞かず。國語「今子聞而棄之、猶──」
みだれる貌。詩、邶風「狐裘──」注「──、亂貌」=蒙茸。
○草のみだれ生ずる貌。謝朓詩「霜畦紛綺錯、秋町鬱──」○物のみだれる貌。史、晉世家「狐裘──」=尨茸·蒙戎。○亂れ走る貌。
いくさぶね。吳志、周瑜傳「取──鬭艦數十艘、實以薪草膏油」=艨艟。
くらき(昏闇)貌。顏氏家訓「及有大事議得失、──張口、如坐雲霧」
毛織物をかぶる。宋史、雷有終傳「賊築月城以自固、爲藥矢、中者立死、有終令卒──秉燧以入」
蒙縣の長老、莊子の異稱。岑參詩「──悲藏壑、殷宗惜濟川」=蒙莊。
天子は常に道を淸めて後に啓行す、出奔せらるる時は、其の暇なし、故に變ありて外に遁るを── チリヲカウムル といふ。左、僖二四「天子──于外、敢不奔問官守」
秦の始皇帝の武將、兵三十萬を率ゐて、北、長城を築き、威匈奴に振ふ、恬始めて筆を造る、枯木を管と爲し、鹿毛を柱と爲し、羊毛を被と爲す〔博物志〕
おろか。易林「耋老──、不見東西」
大いなり。杜牧詩「流品極──」
かうむる。易林「──恩澤、長大成就」
冠の如き帽。宋書「帽名猶冠也、義取于──其首、其本纚也」
さいはひをうける。後漢書、鄧后紀「嘗聞活千人者、子孫有封(中略)天道可信、家必──」
おほひかぶせる。柳貫詩「鈎簾竟擬見西山、雲亦何心故──」
おろかにして道理にくらし。晉書、阮种傳「臣誠──、所以爲罪」=愚昧·昏昧、頑昧。
○盛んなる貌。楚辭「微霜降之──」○くらし(暗)楚辭「雲──而蔽之」
童蒙を敎育する。易、蒙卦「蒙以養正、聖功也」に本づく。
蔓草などの一面にからみ被ひて枝葉がつらなり動く〔柳宗元、小石潭記〕
ヨウ [冬]
○芙─ フヨウ ははちす。文海披沙「──蓮花也、一名荷、一名芙蕖」又、灌木の名、きはちす、葉は掌に似、秋日、紅又白色の花をつける。=木蓮·木芙蓉。○阿──は阿片の異名。
ラ [哿]
○草の實、地に在る瓜の類。木の實を果といふの對「果─」「蔬─」○核なきくだもの。
莅(一六四六頁二段)に同じ。
11畫
①ヰ [未]
②ウツ [物]
①をとこよもぎ(牡蒿)詩、小雅「匪莪伊─」○草木の盛んに茂る貌「─然」「蓊─」「芊─」○くさむら(榛叢)かげ(蔭翳)「陰─」○あきらか(明)○つや、文彩の美くしくこまやかなる貌「炳─」「粲─」「煥─」
②州の名、直隸省に屬す。○こんもりとしげる、鬱(鬯部十九畫)に通ず。
多く盛んなる貌。拾遺記「卿雲──于叢薄」
さかんにおこる。
樹木の茂りたる小島。吳筠詩「──非一狀」
○しげれる貌。歐陽修、醉翁亭記「望之──而深秀者」○盛んなる貌〔史、天官〕
○草木の盛んに茂る貌。詩、曹風「薈兮蔚兮」○雲の盛んにおこる貌。張正見、石賦「上雲興而──」
盛んなる貌。王惲文「──開萬世之萊」
深きあゐ色。韓駒詩「水色天光共──」次條參看。
濃きあゐ色のそら、蔚は鬱。杜甫詩「上有───、垂光抱瓊室」=碧空·碧落·蒼空。
①イン [沁]
②イン [侵]
本、陰に作り、又、廕に作る
①かげ、ひかげ(日景)草、又は木のかげ「樹─」「美─」「涼─」「茂─」「綠─」○おほふ、かばふ、かざす。○しげる(繁茂)○たすく。おかげ「庇─」曾鞏文「仰祈眞─」○父祖の功によりて官に敍するにいふ「父─」「恩─」
②かげ。○かくす、さへぎる、かざす。○しげる(繁茂)
樹木の盛んにしげる貌。符載賦「含桃朱杏、灼爍──」
しげりおほふ。班固賦「茂樹──、芳草披隄」
しげりあふ。韓愈詩「夏炎百木盛、──增埋覆」
おほひかくす。王筠詩「重重相──」
父祖の蔭によりて得たる官。通鑑、後漢桓帝紀、注「蔭、庇也、今人謂憑藉世資得官者、爲──、蓋取木爲喩、能蔭庇其本根也」蔭補參看。
父祖の功勳によりて官を得る人。=蔭生。
器物に漆をぬりたる時、日光、又、風にあてざる爲めに入れ置く室。史、滑稽傳「優?曰、易爲漆耳、顧難爲──」
蔭子に同じ。先代の餘蔭 オカゲ に藉 ョ る義。=廕生。
おほひかくす。西京雜記「上枝──數十畝」
父祖の功勳によりて、官に補せらるる義。唐書、李德裕傳「德裕、吉甫子也、卓犖有大節、不喜與諸生試、有司以──校書郞」
樹の茂りたるかげに休む。宣和畫譜「訪名園、──、坐石臨水、翛然終日」
キ [寘]
いたる(至)左、隱六「猶懼不─」
①キウ [尤]
②ク [虞]
①烏─はをぎ。
②あたたむ。太玄經「陽─萬物」=昫·煦。
クン [文]
葷に同じ
─蒿 クンカウ は氣の蒸し出づる貌。
クヮイ [隊]
筓 カウガイ なき緇布冠。
ゲイ [霽]
○うう(種)植ゑ付ける、うゑつけ。=藝。○わざ「材─」「術─」古、藝(一六八八頁四段)に通ず。
コウ ク [宥]
又蔲に作る
荳─ ヅク は熱地に生ずる草、草荳─·肉荳─·白荳─の三種あり、實は龍眼肉 リユウガンニク に似て皮殼厚く、味甚だ辛くして香しく、藥用とす。=豆蔻。
コク [屋]
石─ セキコク は藥草いはぐすり、いはどくさ「─菜」
コン [阮]
つちかふ。土を苗の根にかける。左、昭元「是穮是─」
①サイ [泰]
②サツ [曷]
①ごみ、あくた(草芥)○占卜するに其の甲を燒きて占ひし大龜─(地名)より出づるが故。論、公冶長「臧文仲居─」○周代の國名、今の河南省上─、新─等の地。
②はなつ(放)左、昭元「─蔡叔」○ころす、殺と音通。
蔡倫を見よ。
宋の人、字は君謨、天聖の進士、吏事に精しく、文章を善くし、小楷草書は當時の第一と爲す。
字は伯喈、後漢の陳留の人、性至孝、博學にして能文、六經の文字を較正し親 ミヅ から碑に書し、之を太學門外に置く。
字は敬仲、古より書契多くは編むに竹簡を以てす、其の縑帛を用ふる者は、之を紙といふ、縑は貴くして、簡は重し、竝に便ならず、倫、乃ち造意して樹膚麻頭及び敝布魚網を用ひて、以て紙を爲くる、和帝其の能を嘉 ヨミ す、是れより天下從ひ用ひざる無し、咸 ミナ 蔡侯紙と稱す〔後漢書、蔡倫傳〕
①サン [咸]
②セン [鹽]
①かる(芟)草を刈る。
②──は麥のひいづる貌。箕子歌「麥秀──」(史、微子世家には漸漸に作る)
かりのぞく。漢書、賈誼傳「──不義諸侯、而虛其國」
シ [紙]
五倍の數。孟、滕文公「或相倍─」
①シン [侵]
②サン [覃]
①にんじん、藥草の一。=葠·人參。
②垂 タレ る貌。
シャ [禡]
通音ショ
○さたぅきび「甘─」暖地產の禾本草、莖は竹に似て中實し、甘き汁を含む、砂糖を製すべし。○轉じてうまし、佳 ョ し「─境」
さたぅきびのくき。
談話·文章又は景色などの次第に面白くなる所の義。晉書、顧愷之傳「每食甘蔗、常自尾至本、人或怪之、愷之曰、漸入佳境」とあるに本づく。
白砂糖〔熙朝樂事〕=白糖·糖霜。
甘蔗にて製せしさたう〔砂糖〕
①シャウ [陽]
②シャウ [養]
①まこも(菰)
②山の名、江蘇省江寧縣の東北に在り。=鍾山。
シャウ [陽]
○─藋はおほあかざ。○─蔞はしろよもぎ。=蔞蒿。○─?はやまごばぅ、陰地に生ずる草の名、根を利水劑とす。=商陸。
シュク ソク [屋]
苜─ モクシユク はうまごやし。苜(一六三四頁一段)を見よ。
ジュン [眞]
又、蒓に作る
水草の一、池沼に生ず、葉は橢圓形にて滑か、食用とす。じゅんさい、ぬなは。=水葵。
じゅんさいのあつものと、鱸魚のなますと、晉の張翰が之を味はんとして官を辭して歸鄕せし故事。晉書、張翰傳「因秋風起、思吳中菰菜蓴羹鱸魚膾、曰、人生貴得適意、何爲羈宦數千里、以要名爵乎、遂命駕歸」
水草の名、ぬなは。陶振、汾湖賦「春水桃花之鱖、秋風──之鱸」
じゆんさいの絲の如く細きもの。陸龜蒙賦「──兮欲縈千里」=絲蓴。
蓴羹鱸膾を見よ。
①ショ·ソ [魚]
②ショ·ソ [御]
①な、あをもの(野菜)「美─」「園─」「野─」もと疏に作る。○あらし、そまつ、疏·疎·麤に通ず。○嘉─は稻の異名。
②つぶ(粒)莊、天道「鼠壤有餘─」=糈。
野菜と果物と。南史、梁武帝紀「天監十六年、冬十月、宗廟薦羞、始用──」
あをもの。南史、張齊傳「糧食──、行者皆取給焉」=菜蔬。
○粗末なる飯。論、述而「飯──飮水」=疏食·疏飯。○ ソシヨク 菜食に同じ。
菜と豆と。蘇軾詩「幽人無一事、午飯飽──」
野菜と、たけのこと。次條參看。
常に蔬菜又、筍などを食ひ居る氣、僧侶の氣味をいふ。蘇軾、贈詩僧道通詩「語帶煙霞從古少、氣含蔬筍到公無」
あをもの、野菜。陳造詩「嗟此玉食品、納我──腸」
祭に供へる粗末なる物。宋書、江夷傳「遺命薄斂──、務存儉約」=薄奠。
粗末なるめし。唐書、宗室傳「──水飮、席地以瞑」=蔬食·蔬食。
野菜ばたけ。周書、蕭大圜傳「──居前、坐簷而看灌甽」=蔬畦。
野菜と茶と。李羣玉詩「淸晨潔──」
野菜と、うりの類と。唐書、流鬼傳「粟似莠而小、無──他穀」
野菜と玄米と。又粗末なる玄米のめし。北史、張湛傳「湛兄銑、性至孝、母憂、哀毀過人、服制雖除、而──勿改」
セイ スヰ [霽]
ははきぐさ、夏秋の頃、小白花開く、束ねて帚 ハハキ に造る。
セツ サツ [屑]
○茶 チヤ の別名。茶經「三曰─、四曰茗」○──はかぅばし(香)
セン [霰]
─蕧はをぐるまさぅ。
①ソウ [董]
②ショウ [冬]
①草木の茂れる貌。○すげぐさ「葑─」
②肉─蓉 ニクシヨウヨウ は菌 キノコ の一、全體黃褐色、藥用とす、きもらたけ。
葱(艸部九畫)の古字。
①ソク [屋]
②ソウ [宥]
①な、あをもの、野菜類の總名「蔬─」「肴─」「山肴野─」詩、大雅「其─維何、維筍及蒲」○──はいやし、やつやつし(窶陋)詩、小雅「──方有穀」又、風の聲の强き貌。鮑照、蕪城賦「──風威、孤蓬自振」○落花の貌。元稹詞「風動落花紅──」
②あをもの。又、なのさかな。
○やつやつしき貌。字解を見よ。○風の强く吹く貌。字解を見よ。
①ゾク [屋]
②ソウ [宥]
①す(巢)○まぶし(蠶蓐)十分に成長したるかひこを入れて繭をつくらすもの。○あつまる(聚)むらがる。=簇。
②太─ タイソウ は十二律の一。禮、月令「律中太─」轉じて正月の異名。=太簇。
タイ [灰]
めはじき(茺蔚)やくもさぅ(益母草)初夏花開く、藥草の一。詩、王風「中谷有─」
①テイ·タイ [霰]
②タイ [泰]
又、蒂に作る
①へた、ほぞ、果實が枝又莖と結びつく所。○うてな(花の託處)
②ね、もと、草木の根「根─」老子「深根固─」○小さきとげ(小鯁)轉じてわづかのさわり(細故)=?。
小さきとげと、あくたと、微細なるさわり、滯礙と音義通ず。賈誼、服鳥賦「細故──、何足以疑」
前條に同じ。
チク [屋]
しのねぐさ、しぶくさ、濕地に生ずる惡菜、夏日花を著け實を結ぶ、根は赤黃色。=羊蹄·牛舌菜。
テゥ [篠]
つた。寄生性の蔓草、葉は掌狀に分裂し、秋日紅葉して美くし「─蘿」詩、小雅「─與女蘿、施于松柏」(此語に本づきて兄弟親戚の纏綿依附するに比して─蘿といふ)
テゥ デゥ [嘯]
あじか、藁 ワラ 又、竹にて作り、土を運ぶ具。論、微子「丈人以杖荷─」
テキ [錫]
── テキテキ は旱氣の甚だしき貌。詩、大雅「旱旣太甚、──山川」
①バン·マン [願]
②バン·マン [寒]
①つる、つるくさ、かづら(木本を藤といひ、草本を─といふ)○のぶ(延長)はびこる、ひろがる。左、隱元「無使滋─」まとふ、からむ(纏繞)
②─菁 マンセイ はかぶら。=蕪菁·諸葛菜。
互にひき連なる。元史、烏古孫澤傳「使者旁午、隨地置獄、枝連──」
つるくさがのびひろがる。廣延。謝靈運詩「松蔦歡──」=蔓衍。
○はびこりひろがる。漢書·鼂錯傳「土山丘陵、──相屬」○言語の多きにいふ。蔡邕文「繁多而──、非所謂理約而達也」
つるくさ。詩、鄭風「野有──、零露溥兮」
はびこれる草と、さびしきけぶりと、あれはてし古跡などの荒れはてたるさま。吳融詩「曾從建業城邊過、────鎖六朝」=寒烟荒草。
事は微細の中に處置せざれば、增長して後は如何ともすべからざるに喩ふ。左、隱元「姜氏何厭之有、不如早爲之所無使滋蔓蔓難圖也、──────、況君之寵弟乎」
つるを出してはえる。南方草木狀「鶴草──、其花麴塵色淺紫」
かぶら。=蕪菁。
つまらぬむだばなし。傳堯兪文「枝詞──」
からみまとふ。陸游詩「弱松困──、何日見磊砢」
はびこりひろがる貌。又、長く久しき貌。漢書、樂志「──日茂」
つた。梅堯臣詩「牽纏如──」
ヒツ ヒチ [質]
○いばら(荆)=篳(一四二九頁四段)○まめ(豆)
いばらにて造りたるもん、貧者の居宅。禮、儒行「──圭窬」=篳門。
菔(艸部八畫)に同じ。
だいこんと、ゆふがほと、粗食の義。唐書、柳玭傳「夕食惟齕──而已」
ヘイ ヒャウ [青]
○うきくさ(浮草)=萍。○─翳は雨の神(雨師)
ベツ [屑]
○なみす、ないがしろにす、かろんず(輕)「輕─」「侮─」「陵─」○すつ(棄)周語「不─民功」○けづる(削)○こまか(微小)法言「視日月、而知衆星之─也」○くはし(精微)○なし(無)否定の辭。左、襄二九「─以加於此矣」○目勞 ツカ れてくらし。○ほろぶ、滅に通ず。
あなどりすてる。國語「不共神祇、而──五則」
見くだす、ないがしろにする。=輕視。
かろんじて無きが如くする。北史、張彝傳「非其意者、視之──」
○いやしみ輕んず。魏書「吐渾正直有操行、性不苟合、趨舍不與己同者、視之──也」○滅ぶる。漢書、東方朔傳「其流風遺書──也」
飛び揚 アガ る。史記「──踊躍」
①ホウ [有]
②ホ [麌]
①しとみ、ひよけ、日光をふせぐための戶。○おほひ(覆)光明をおほひ障 サヘギ るもの。○くらし(暗)
②古の曆法の名稱、七十二歲を一─といふ。
ホウ [東]
○よもぎ(蒿)艾の一種、莖は一尺許、葉は柳に似て鋸齒あり、小白花を著く、秋に至り根が枯れて拔け、風にふかれてとぶ、故に飛─ともいふ。○轉じて轉轉して處を定めざるにいふ。○物のみだれるにいふ「─髮」○─萊は仙人の居る海島の名。○こも、まこも(菰)○──は風の起る貌。又、盛んなる貌。○─勃は氣の出る貌。
よもぎの屋根のいほり。盧綸詩「南北與山隣、──庇一身」=蓬廬·蓬戶。
よもぎにて葺 フ きたる軒 ノキ 魏書、宗欽傳「端拱──、歎慨如何」
蓬萊と瀛洲と。方文を合せて三神山といふ。拾遺記「歷──而超碧海」
よもぎなどのしげみ。三輔決錄「隱身不仕、所居──沒人」
蓬萊に同じ。十洲記「──、蓬萊山是也」
神仙の住めりといふ海島。拾遺記「三壺海中三山也、一曰方壺、則方丈也、二曰、──則蓬萊也、三曰、瀛壺、則瀛洲也」=蓬萊。
よもぎを編みて作りたる戶、敗甕 ヤブレダルカメ の口を以てしたるまど、貧家の形容。禮、儒行「儒有一畝之宮、環堵之室、蓽門圭竇、────」
よもぎにて作りたる矢、邪をはらふといふ。禮、內則「射人以桑弧──六、射天地四方」桑蓬之志(九四二頁三段)參看。
よもぎと、いばらと。
よもぎの屋根のいへ、いぶせきへや。列子「居則──、出則徒行」=蓬庵。
こせこせしていやしく小さき心。莊、逍遙遊「夫子猶有蓬之心也夫」注「蓬非直達者也」音義「蓬者短不暢、曲士之謂」
草ぶきのつまらぬいへ。陳陶詩「矻矻──下、慕君麒麟閣」
硼砂に同じ〔本草〕夷堅志「汪友良誤香一骨、梗于咽中、百計不下、恍惚夢一朱衣人曰、惟──最妙、遂取一塊、含化嚥汁、脫然而失」
髮の亂れたるかしら。晉書、王徽之傳「──散帶、不綜府事」=蓬頭。
仙人の住めりといふ海島。劉長卿詩「──如在眼、羽人那可逢」=蓬丘·蓬萊山。
蓬飄に同じ。呂溫詩「──星霜改」=蓬徙·轉蓬。
よもぎの如くに髮のみだれたるかしら。莊、說劍「皆──突鬢」=蓬首。
みだれたる頭髮と、あかつきたる顏と。魏書、封軌傳「何必────然後爲賢」
みだれたるかみ。晉書、阮孚傳「──飮酒、不以王務嬰心」
蓬戶と蓽門と、貧賤人の住家。晉書「──有藻梲之樂」蓬戶甕牖を見よ。
よもぎの風に飄る如く、所を定めずあちこちと移る。錢起詩「黎氓久厭──苦」=蓬轉·飄蓬。
○盛んにしげれる貌。詩、小雅「維柞之枝、其葉──」○風の吹き起る貌。莊、秋水「蛇謂風曰、今日──起於北海」
雲氣の盛んなる貌。賈誼、白雲賦「遙望白雲之──」=蓬孛。
よもぎを編みてしつらへたる門、貧家又、隱者の居をいふ。杜甫詩「──今始爲君開」=蓬戶。
神仙の栖めりといふ海島。漢書、郊祀志「使人入海求──·方丈·瀛洲、此三神山者相傳在渤海中」=蓬丘·蓬壺。
相隔るの遠きにいふ。太平廣記「蓬乘隔弱水、三十萬里、非飛仙、無以到」
よもぎにて作りたるかぶりがさ。釋利登詩「短蓑──種荒田」
頭に物を戴き、兩手にて之を扶持して行く義。一說に、累は轉じ行く貌にて、蓬の風に從ひ轉轉して移るが如きをいふと。史、老子傳「君子得其時、則駕、不得其時、則──而行」
よもぎにてふけるいほり。劉向、雅琴賦「潛坐──之中、巖石之下」=蓬庵·蓬室。
不善人も善人と交はれば自然に善に化するに喩ふ〔荀、勸學〕
ミツ [質]
はすのね(蓮根)
ラ ルヰ [歌]
ふご。土を盛る籠。=蘲。
リョウ [蒸]
通じて菱に作る
ひし。三角·四角のものは芰、兩角のものは─。呂覽「夏食─、冬食橡栗」
○ひしのはな。三柳軒雜識「──爲水客」○鏡の異名。駱賓王、王昭君詩「古鏡──暗、愁眉柳葉顰」
①レゥ [篠]
②リク [屋]
①たで、濕地に生ずる草、秋穗狀淡紅色の花開く葉は味甚だ辛 カラ し。
②──は草の長大なる貌。詩、小雅「──者莪」
たでのはな。方干詩「蟬噪──發、禽來山果香」
たでのはな。韋莊詩「來時楚岸楊花白、去日隋堤──紅」
俚諺の「たで食ふ蟲もすきずき」といふ意。鶴林玉露「冰蠶不知寒、火鼠不知熱、─────、蝍蛆不知臭」左思、魏都賦「蓼蟲忘辛」
たでと、うきくさと。盛恩、焦山賦「萑葦被渚、──拂涯」
孝子、親を養はんとして、養ふことを得ざる哀を詠ぜし詩。詩、小雅「蓼蓼者莪、匪莪伊蒿、哀哀父母、生我劬勞」
レン [先]
○はす、はちす(荷·芙蓉·芙蕖)水草の一、葉は大いにして傘狀をなし、夏、紅又白色の美花開く「白─」「紅─」「池─」周敦頤、愛蓮說「─花之君子者也」○はすのみ「─房」
はすのは。史、龜策傳「龜千歲乃游──之上」
はすと、あさざと。洛陽名園記「苗帥園(中略)有池、宜──」
○山の名。曹之謙詩「──三峯對、松林一逕通」=蓮峯。○ 國 富士山の異名、山頂の八峯、八葉蓮花に似たる故。=蓮岳·蓮峯·芙蓉峯。
てら。楊巨源詩「方尋──去」=淨境。
蓮花の形に作りし手燭 テシヨク 翰苑新書「唐令狐綯爲翰林學士夜對禁中、時燭盡、上勅以金蓮華炬、送綯還院」=蓮燭·華燭。
はすのね。史、司馬相如傳「──菰蘆」
れんけ、はすの花。=蓮華·荷華。
容貌の極めてうるはしきをいふ。唐書、楊再思傳「張昌宗以恣貌倖、再思每曰、人言六郞似蓮花非也、正謂─────耳」
世の俗塵にけがされざるに喩ふ。法華經「不染世閒法、─────」
はちすの形せる水時計。飜譯名義集「廬山遠公之門、有僧慧要者、患山中無刻漏、乃於水上立十二葉芙蕖、因波而輪、以定十二時、晷景無差、今曰遠公───、是也」
はすのはな。梁元帝、采蓮賦「──亂臉色、荷葉雜衣香」=蓮花·荷華。
國 野草の一、晚春紅紫色の花開く。=紫雲英。
山の名。華山記「華山頂上有───、山有千葉蓮花、服之羽化」
法華經の別名。酉陽雜俎「三萬──三十春、半生不踏院門塵」
櫻草、原野に自生す葉は卵狀、春日紅紫白等の花開く、櫻花に似たり。
はすのね。周霆震詩「文園近日眞消渴、莫種──引恨長」=蓮藕。
蓮華の形に作りたる佛像の座。王勃詩「──神容儼」=蓮華座·蓮臺。
れんげの上に坐せる佛像。馮有經詩「──畱唐代、苔碑識漢官」
はすの實。古樂府、子夜夏歌「乘月采芙蓉、夜夜得──」=蓮實·蓮的。
はすを採るふね。蕭子範詩「水鳥銜魚上、──拂芰歸」溫庭筠詩「皎鏡芳塘菡萏秋、此來重見採──」
東晉の慧遠、廬山の東林寺に住し、賢士劉遺民·宋炳·雷次宗等を招きて社を結び、西方の淨業を修す、北院に多く白蓮を植ゑて白蓮社と稱せし故事に本づく。事は蓮社高賢傳に詳かなり。
蓮炬に同じ。周昂詩「天街──照修廊」
はす池。方干詩「細雨──晚、疎蟬橘岸秋」=蓮池。
はすのはな。蔡邕賦「色如──、肌如凝蜜」=蓮花。
はちすの實の外包。楊炯詩「──若箇實、竹節幾竿虛」
蓮府に同じ、幕は幕府。李商隱詩「下客依──、明公念竹林」
大臣のやしきの稱。晉の王儉の故事。南史、庾杲之傳「蕭緬與儉書曰、盛府元僚、實難其選、庾景行泛綠水依芙容、何其麗也、時人以儉府爲蓮花池」盧綸詩「羣鶴棲──、諸戎拜柳營」=蓮幕。
美人のしなやかにあゆむ形容。南史、齊東昏侯紀「鑿金爲蓮華以帖地、令潘妃行其上曰、此步步生蓮華也」孔平仲詩「雲鬟應節低、──隨歌轉」
①ロウ·ル [尤]
②リウ·ル [有]
①しろよもぎ、葉は艾に似て食用とす。
②─翼 リウセフ は棺の車の羽飾 ハネカザリ
しろよもぎ。蘇軾詩「──滿地蘆芽短」
12畫
ヰ [紙]
又、薳に作る
○楚の地名。○姓。
イウ [尤]
○臭氣 クサミ ある野草の一、莖方にして高さ三四尺、葉は卵形、秋月紫碧色の花開く。○轉じてくさみ(臭氣)又、惡人などの義とす。左、僖四「一薰一─、十年尙猶有臭」
惡しきかをりと善きかをりと。善惡の義とす。韓愈詩「今我及數子、固無蕕與薰」=薰蕕。
蔭(艸部十一畫)の俗字。
ウン [文]
─薹 ウンダイ はあぶらな、なたね、葉は濃綠大形、春日黃花を著け、長き莢に包まれたる實を結ぶ、實より油をしぼる。=芸薹·薹芥·油菜。
萼(艸部九畫)に同じ。
カン [删]
ふぢばかま、野草の一、花は淡紫色にして管狀を爲し、葉は細長くして光る。香氣淸くして遠し、故に古人刈りて之を佩ぶ。詩、鄭風「士與女、方秉─兮」=蘭草。
①キ [寘]
②クヮイ [卦]
①あじか、土などを運ぶかご、竹、又は藁 ワラ にて作る。論、憲問「有荷─而過孔氏之門者」
②つちくれ(土塊)=凷。
土くれにて造りしばちと鼓と、太古の音樂の簡朴なりしをいふ〔禮、禮運〕
キョ [魚]
芙─ フキヨ は、はちす、はす、荷花の別名「紅─」「荷─」韋應物詩「紅─綠萍芳意多」蓮(艸部十一畫)を見よ。
キョク [職]
顚─はてんもんどう(天門冬)の一名。
クヮン [旱]
─冬 クワントウ はふき。=款冬。
ケイ [霽]
かをりぐさ。蘭の類。爾雅翼「一幹一花而香有餘者蘭、一幹數花而香不足者─」「芳─」「蘭─」
かをりぐさのはたけ。王勃、春思賦「──蘭臯行可望、何爲悠悠坐惆悵」
かをりぐさのかをり。梁元帝詩「高欄來──」=薰香。
かをりぐさ。南方草木狀「──一名薰草、氣如蘼蕪、可以止癘」廣志「──綠葉紫花、魏武爲香燒之」
香草の名。芷はよろひぐさ。東方朔、七諫「聯──以爲佩兮、過鮑肆而失香」
美人の美くしき心。鮑照蕪城賦「東都妙姬、?國麗人、──紈質、玉貌絳脣」
香草の名、若は杜若 ヤフミヤウガ 〔張衡、南都賦〕
かんばしき香を込めたるへや。陳後主詔「──桂棟、咸使維新」
かをりぐさ。阮?賦「濯纓醴泉、被服──」
ケウ [蕭]
○─麥 ケウバク は、そば。莖赤色を帶び葉三角形、夏小白花さき、三稜黑色の實を結ぶ、食用とす。白居易詩「─麥鋪花白」○藥草の一、其の根辛く苦し、はやひとぐさ。=大戟。
ケツ [月]
わらび、山野に自生する羊齒?の草、初生の拳狀を爲す者を食用とす。詩、召南「言采其─」=山菜。
わらびと、たけのこと。釋淸珙詩「黃土坡邊多──」
わらびと、ぜんまいと。詩經「山有──、隰有杞桋」=薇蕨。
わらび、其の初生のもの鼈脚 スツボンノアシ に似たるが故〔爾雅、疏〕=蕨虌。
①サイ [泰]
②セツ [屑]
①聚まれる貌。○小さき貌「─爾」
②蕝(本畫)に同じ。漢書、叔孫通傳「爲綿─野外」
ちひさき貌。左、昭七「──國」
あつまる貌。潘岳、西征賦「──于城隅者、百不處一」
ジン [寢]
きのこ、たけ、くさびら(地菌)「地─」
シュン [震]
○むくげ、はちす(木槿)「朱─」「朝─」詩、鄭風「顏如舜華」=舜。○ 國 あさがほ(牽牛花)
スヰ [支]
○やはらか(柔)○草木の花又は葉の垂れさがる貌。○垂れたる花。○葳─ ヰスヰ は宿根草の一、あまどころ。=萎蕤。○冠又は旗などにつける垂れたる飾「冠─」=緌。
十二律の一、陰曆五月に配す、よりて又五月の異名とす。禮、月令「仲夏之月、律中──」
ズヰ [紙]
蘂に同じ蕋は俗字
○しべ、花の生殖機官、雌雄の二より成る、多くは花心に在りて鬚狀をなす。○はな(花)又、花の未だ開かざる者、つぼみ。
蕊(前條)の俗字。
セゥ [蕭]
○芭─ バセウ は暖地に生ずる草の名。單に─ともいふ「綠─」「敗─」芭(一六二○頁四段)を見よ。○たきぎ(薪)列、穆王「覆之以─」○ごみ、あくた(草芥)○やつれる、顦に通ず「─萃」
○芭蕉の葉。唐書、南蠻傳「有撲子蠻無食器、以──藉之」○底の淺き小杯の名。東坡志林「吾少時、望見酒杯而醉、今亦能飮三──矣」
端溪硯の名、其の石痕純白にして大片を成す者〔廣東新語〕
蕉布に同じ。左思、吳都賦「──竹越」
芭蕉布。白居易詩「魚笋朝飡飽、──暑服輕」=蕉布。
やつれていやしき人。左、成九「雖有姬姜、無棄──」=憔悴·顦悴。
ばせぅの纖維にて織りし布。後漢書、王符傳、注「南越志曰、──之品有三、有──、有竹子布、又有葛子布、雖精麤之殊、皆同出而異名」
人閒の得失の夢の如くはかなきをいふ。昔、鄭人、鹿を殺し芭蕉の葉にて掩ひて藏し置き、後に他人に取り去られ、卻って之を夢なりとしてあきらめし故事。列、周穆王「鄭人有薪於野者、遇駭鹿、御而擊之、斃之、恐人見之也、遽而藏諸隍中、覆之以蕉、不勝其喜、俄而遺其所藏之處、遂以爲夢焉、順塗而詠其事、傍人有聞者、用其言而取之、旣歸吿其室人曰、向薪者、夢得鹿、而不知其處、吾今得之、彼直眞夢者矣、室人曰、若將是夢、見薪者之得鹿邪、詎有薪者邪、今眞得鹿、是若之夢眞邪、夫曰、吾據得鹿、何用知彼夢我夢邪」
ゼゥ [蕭]
○しば、たきぎ(草薪)草の燃料とすべきもの。○しばかり、きこり。○きこる人、しばかる人。詩、大雅「先民有言、詞于芻─」○きのこがんぴ、落葉小灌木の一、高さ三四尺、葉は橢圓形にして端尖る、秋、黃花をつく、山地に自生す、皮は製紙の料とす(本草綱目に草部に入るるは非)
しば刈るこども。洪邁文「──牧豎」
セツ [屑]
朝會にちがやをつかね、位次を表するに用ふるもの「綿─」晉語「楚爲荆蠻、置茅─」=蕞。
ソン [阮]
○あつまる、むらがる(聚叢)○むらがるくさ。
あつまりむらがる貌。左思、魏都賦「嘉穎合穗以──」
タウ [養]
○あらひのぞく、はらふ、はらひのぞく「掃─」禮、昏義「─天下之陰事」たひらぐ(平)「─平」「─定」○うつる。うつす(播)○うごく(動)震ひ動く。左、莊四「余心─」うごかす。左、僖三「乘舟於囿─公」○まどはす(惑)禮記「─上心」○──は水勢のおほいなる貌。又、廣く大いなる貌。又、おだやか。論、述而「君子坦──」○ゆるやか(緩)○ほしいまま、わがまま(放縱)論、陽貨「今之狂也─」○酒色におぼれる「放─」○やすし(平易)○やぶる(壞)後漢書「宮室焚─」すたる(法度廢壞)○空しく無くなる。○さは(水澤)ぬま(湖沼)「蓮─」○駘─ タイタウ は和らぎてのどか。謝朓詩「春物方駘─」○跌─は縱橫 ホシイママ 後漢書、孔融傳「放言跌─」
同訓異義
ウゴク 蕩·動·搖·撼の別は動(二五一頁四段)の條を見よ。
しまりなくほしいまま。=蕩逸·放佚。
前條に同じ。
○うごく。うごかす。于石詩「──水中月、水定光復圓」蘇軾、海市詩「──浮世生萬象、豈有貝闕藏珠宮」=搖蕩。○うごかす。左、成十三「來──我邊疆」
大いにおそれる。史、龜策傳「百僚──、皆曰、龜策能言」=振恐。
寇賦をはらひ平げしいさを。李商隱詩「雲臺高議正紛紛、誰定當時───」
酒色に溺れるをのこ。古詩「昔爲倡家女、今爲──婦」
心を惑はしとらかす。
のこらずつかひはたす。
かぢをうごかす。王禹偁詩「舟子斜──、牧童倒騎牛」
さすらひ分れうつる。書、盤庚「今我民用──離居、罔有定極」=離散。
ふねをうごかす。史、齊世家「桓公與夫人蔡姬戲船中、蔡姬習水──」注「蕩、搖也」=蕩舟。
そそぎのぞく。抱朴子「──積埃、革邪反正」
○廣大なる貌。論、泰伯「──乎民無能名焉」○平易なる貌。楚辭「路──其無人兮」○おだやかなる貌。論、述而「君子坦──」○水勢の大いなる貌。書、堯典「──懷山襄陵」○法度のやぶれたる貌。詩、大雅「──上帝」
ほろぶ。徐陵、勸進梁元帝表「梟獍虔劉、宗社──」=湮墜。
はらひさだめる。後漢書、賈琮傳「歲閒──、百姓以安」=蕩平·平定。
あらひきよめる。史、樂書「萬民咸──邪穢」
あそびめ、藝娼妓の類。簡文帝詩「倡樓復──」=淫婦·娼婦。
やぶれしづむ。晉書、五行志「五郡大水、稻稼──、黎庶饑饉」
うできて互にすれあふ。杜甫、魏將軍歌「欃槍熒惑不敢動、翠蕤雲旓相──」
ただよふ、水が動く貌。孫逖詩「仙翁何時還、綠水空──」
タン [覃]
通音ジン
─麻 ジンマ はいらぐさ、いたいたぐさ、高二三尺、葉はからむしに似て葉莖共に刺 ハリ あり。纖維にて線を製す。
①ヂョ [魚]
②ジョ [魚]
①ねばりつく(黏著)史、張釋之傳「─漆其閒」
②─藘 ジヨリヨ はあかねぐさ。=茹藘。
テイ タイ [齊]
稗 ヒエ の一種、いぬくろびえ。=稊。
テン [銑]
○そなふ(備)○いましむ(敕)○已にをはる(結了)左、文十七「以─陳事」
ハン [元]
通音バン
○しげる(草茂)「─蕪」しげし=繁。○ふゆ、ふえる(息)「─息」○まがき(籬落)古、藩に通ず。○えびす、野蠻、又、外國の義とす。古、番に通ず。○吐─ トバン は國名、今の西藏の地。
同訓異義
シゲル 蕃·繁·稠·滋·茂の別は繁(一四九八頁三段)の條を見よ。
しげくあつし。唐書、李光顏傳「賜與──」
えびす。=蠻夷·番夷。
○しげりひろがる。詩、唐風「椒聊之實、──盈升」○轉じて子孫の多く盛んなるにいふ〔北史、于謹傳〕=繁衍。
外國人。唐書、百官志、凡──至鴻臚、訊其國山川風土、爲圖奏之」
ふせぎまもる。漢書、賈誼傳「陛下所以爲──、及皇太子之所恃者、唯淮陽·代二國耳」
蕃は蔽、翰は幹、國家の守護の義。詩、大雅「維申及甫、爲周之翰、四國于蕃」=藩翰。
野蠻人の住める土地。=蠻地。
えびすのくに。周禮「九州之外、謂之──」注「九州之外、夷服·鎭服·蕃服也」
支那にて西洋料理の義。蕃はえびす。=番菜。
しげりふえる。漢書、儒林傳「武帝立五經博士、百有餘年、傳業寖盛、支葉──」=蕃息。
野蠻人のかしら。宋史、李參傳「──藥家作亂、討平之」=酋長·酋帥·蠻酋。
たぅがらし。蕃椒參看。
野蠻國のかみ。酉陽雜俎「佛敎內西座──、甚古質」
野蠻人の組合、又部落。
さかんなり。左、閔二「吉孰大焉、其必──」=繁昌。
夷狄のやぅす。李約詩「遊軍藏漢幟、降騎說──」
夏后氏の良弓の名。司馬相如賦「彎──、滿白羽」=繁弱。
しげりみのる。史、滑稽傳「五穀──、穰穰滿家」
國 外國の書物「──調所」
さつまいも。閩小記「──萬曆中、閩人得之外國、瘠土砂礫之地、皆可種」=甘薯。
しげりふえる。淮南子「羣生遂長、五穀──」
前條に同じ。國語「財用──、于是乎始」
たぅがらし(唐辛)葉は細長く、夏白色の小花開き實は熟すれば赤く、味甚だからし、なんばんがらし。=蕃莘·番椒。
えびすのならはし。
しげくふえる。史孔子世家「嘗爲司樴吏、而畜──」
えびすの住める土地。=蕃境。
たぅなす、南瓜 カホチヤ の別名。
さかえてさかんなり。宋史、樂志「百物──、四方順成」=蕃昌·殷阜·繁阜。
草木がしげる。廡は豐茂。書經「庶草──」
藩籬となりて蔽ひふせぐ。左、僖二四「封建親戚、以──周」=藩屛。
國 上古歸化せし人の後裔。神別·皇別の對。
未だ開けざる民。=蠻民·蕃人。
臺灣總督府の一部局、生蕃に關する事を司る。
しげる。蘇軾詩「──爭新春」=繁茂。
まがき。=藩籬。
あかきたてがみ。禮記、注「──、赤鬣也」
ブ ム [虞]
○ある、雜草が生ひしげる。陶潛、歸去來辭「田園將─」○しげる(茂)○生ひしげれる雜草「榛─」○雜草の生ひしげれる地、あれち。○のがる(逋)○ごたごたとみだれる、文辭が亂雜「繁─」唐書、馬周傳「擧要刪─」○湖の名。又、縣名、安徽省に在り、淸の光緖二年開きて商埠とす。○─菁 ブセイ は野菜の一、かぶら。=蔓菁。○ 國 かぶら。
繁雜なる聲。宋書「雖淸辭麗曲、時發乎篇、而──累氣、固亦多矣」
あれはてて、みだれる。晉書、宗室傳論「王室多難、中原──」=荒梗。
草がみだれしげる。元稹詩「鉛鈍丁寧淬、──輾轉耕」=荒蕪。
あれはててむなし。北史、李元忠傳「葛巾擁被、對壺獨酌、庭室──」
あれたるこみち。南史、孔淳之傳「茅室蓬戶、庭草──、唯牀上有數帙書」=荒徑。
みだれていりまじる。盧藏用、陳子昂別傳「常恨國史──」
蕪雜なることば。
かぶら。詩、邶風、疏「葑、──、幽州人或謂之芥」=蔓菁。
粗雜にして理にそむく。晉書、王隱傳「隱雖好著述、而文辭鄙拙、──不倫」
亂雜にして淺薄 アサハカ 盧照隣、雙槿賦序「學涉──、文多瞽陋」=荒淺。
草の荒れ茂る貌。李白詩「──蕙草暮、颯爾涼風吹」
あれすたる。遼史、食貨志「田園──者、則給牛種以助之」
茂れる貌。謝朓賦「上──兮蔭景」
雜草が茂りて掩ひかくす。南史、梁元帝紀「庭草──、令鞭去之」
あれてくらし。陳子昻文「其城池霸業、迹已──矣」
あれしげる。陶翰詩「南國久──、我來空鬱陶」
粗俗なり。宋史、李之純傳「以爲──之言、不治」
地名、今の直隸省饒陽縣の東北に在り、馮異が光武帝に豆粥を進めし所。
あれけがれる。史、司馬相如傳「墳墓──而不修兮」屈原、離騷「哀衆草之──」=蕪薉·荒穢·荒廢。
フン [文]
○あさのみ(麻子)○草木の實多し。詩、周南「有─其實」
①ヘイ [霽]
②フツ [物]
③ヘツ [屑]
①おほふ(掩)かぶせかくす(隱)「掩─」「蒙─」ふさぐ(塞)○つつむ、ひっくるめる。論、爲政「一言以─之」○あつ(當)○かざす(翳)晉書「西風塵起、擧扇自─曰、元規塵汚人」○くらます。○ささへる(障隔)史、項羽紀「項伯亦拔劍起舞、常以身翼─沛公」○ふせぎ、ささへ(障)おほひ「藩─」○かき、ついたて(屛風)○事に通ぜず(壅)理に明らかならず。○さだむ、きめる、決斷する「─罪」「─獄」○─芾 ヘイヒ は小さき貌。又、かすかなる貌。一說におほひ茂る貌。○すごろくのさい(博箸)
②車上の風塵をふせぐおほひ。
③わかつ(別)○うつ(擊)○はらふ(拂)史、刺客傳「跪而─席」
おほひかくす。史、范睢傳「有能者不敢──」=隱蔽。
さへぎりかくす。蘇洵文「抑遏──、不使自露」=掩蔽。
おほひふせぐ。通典「身不──、手無寸刃」=扞蔽·蔽捍。
草木茂りて日光が缺けて見えず。梁昭明太子詩「層峯鬱──」
牛をおほひかくす程の大木。莊、人閒世「匠石之齊、至乎曲轅、見櫟社樹、其大蔽牛、絜之百圍」
おほひかばふ。五代史、吳越世家「常──之」=庇護·擁護。
おほひさへぎる。宋史、蘇緘傳「以睢陽──江淮」
君主の聰明をおほひかくす。鶡冠子「違下──、使事兩乖」
おほひふさぐ。宋史、劉敞傳「勸帝收攬威權、無使聰明──」=蔽壅。
おほひかくす。史、武帝紀「唯──者罪之」=陰蔽·蔽隱。
小さき貌。一說に、蔽ひ茂る貌。詩、召南「──甘棠」
他人の善行をおほひかくす。管子「羣臣朋黨、──揚惡」
目をおほひかくす。張薀古、大寶箴「雖冕旒──、而視于未形」
のをおほふ。後漢書、光武紀「旗幟──、埃塵連天」
すがたをかくす。李尤文「輪以代步、屛以──」
おほひふさぐ。東方朔賦「懷沙礫以自沈兮、不忍見君之──」=壅蔽。
せきをはらふ。史、剌客傳「卻行爲導、跪而──」
ホウ [東]
─? ホウジヨウ は草の亂れる貌〔潘岳、射雉賦〕
リ レイ [支]
藜に通ず
蒺─ シツレイ ははまびし。易、困卦「據于蒺─」蒺(一六六六頁三段)を見よ。
ロ ル [遇]
○つるむらさき、蔓草の一、葉は圓く尖り、夏の末穗狀花をつけ圓き實を結ぶ、實を紫色の染料とす。○かんざぅ(甘草)○ 國 ふき。苳(一六三○頁四段)を見よ。
13畫
アイ [隊]
○かをる、かぅばし(香)○─薱 アイタイ ·蓊─は草木の盛んなる貌。張衡賦「鬱蓊─薱」
イク オク [屋]
蘡─ ニイイク は野葡萄、えびづる。
①ヲン [元]
②ウン·ヲン [吻]
①みづくさ、も(藻)金魚の好みて卵をうみつける水草。左、隱三「蘋蘩─藻之菜」=聚藻。
②つむ(積)つみかさねる。=蘊(一六九二頁二段)
みづくさ○左、隱三「澗溪沼沚之毛、蘋蘩──之菜」
つみたくはへる。詩經、序「──在心、謂之爲志」
高く積みあげる。左、隱六「爲國家一者、見惡如農夫之務去草焉、芟夷──之、絕其本根」=蘊崇。
つみたくはへる。左傳「蓄而弗治將薀、──民將生心」=蘊蓄。
カイ [卦]
おほにら、らっきゃうは辣韮 ラツキウ の轉音、葱 ネギ に似たる葷菜。=鴻薈。
篆書の一體。書苑菁華「殷湯時、仙人務光作倒薤書、今之──篆是也」
葬を送る時に歌ふ歌。搜神記「薤上露何易晞、露晞明朝更復落、人死一去何時歸」初學記「挽歌辭有──·蒿里二章、出田橫門人、橫自殺、門人傷之、悲歌、言人如薤上露、易晞滅也、亦謂人死精魂歸於蒿里、故有二章、至李延年、乃分爲二曲、薤露送王公貴人、蒿里送士大夫庶人、使挽者歌之」
カイ [佳]
萆─ ヒカイ はところ。萆(一六五二頁三段)を見よ。
カゥ [皓]
○ひもの、ほしうを(鮑魚)○凡 スベ て物の乾したるもの。
カゥ [豪]
くさぎる。田の草を拔き去る。詩、周頌「以─荼蓼」
キャウ カゥ [陽]
○かをり(香氣)史、滑稽傳「微聞─澤」香に通ず。○かぅばしき物、香料。○米穀の氣。曲禮「黍曰─合、粱曰─萁」○穀物。
キャウ [陽]
しゃうが、はじかみ。野菜の一、根は掌狀にして味辛くして香氣あり。
はじかみと肉桂 ニクケイ と共に古くなる程、味辛くなる、よりて老いて益剛直なる人に喩ふ。宋史、晏敦復傳「────、到老愈辣」
薑は口喉を爽 サハヤ かにし毒を解くの功あり、故に孔子食する每に薑を取り除かずして食はれし故事〔論、鄕黨〕
クヮ [歌]
寬大なる貌。詩、衞風「碩人之─」一說、饑うる意。
グヮン [諫]
をぎ(荻)「葭─」
ケイ [霽]
○あざみ、野草の一、大小二種あり、葉莖共に刺 トゲ あり。○周代の一諸侯の國。今の京兆大興縣の西南。
①コウ [蒸]
②クヮウ [庚]
①みまかる、をはる(卒)貴人の死をいふ、現今我國にては皇族、又は三位以上の人の死にいふ。
②──は多く集る貌。又、疾 ハヤ き貌。
貴人の死をいふ。字解參看。
○衆多なる貌。詩、周南「螽斯羽──兮、宜爾子孫繩繩兮」○はやき貌。詩、大雅「度之──」
シ [寘]
○たがらし(堇)○─然は寬舒 ユルヤカ なる貌。=肆然。
シフ [緝]
藥草の一、どくだみ。濕地に生ず、莖は七八寸、葉は心臟形白色四瓣の花開く、臭氣甚だし。葉根を藥用とす「─菜」
今の浙江省紹興縣の東北に在り、蕺を產す、越王句踐采りて之を食ふ、晉の王羲之の宅此に在り。
明の劉宗周の學を講ぜし所、一時從ひて遊ぶ者を蕺山學派と稱す。
シン [眞]
○たきぎ、まき、燃料にする木。しば(柴)雜草。○きこり、しばかり。○─水は俸給、簡稱して─ともいふ「─金」○采─之憂は士人の病ある謙辭。
極めて物價の高きにいふ。戰國策「楚國食貴於玉、薪貴於桂」
たきぎと、しばと。楚辭「折芳枝與璚華兮、樹根棘與──」
たきぎ。又それを採る者。戰國策「芻牧──、莫敢闚東門」注「大者薪、小者採」
たきぎと、まめと。梅堯臣詩「行歌樂暮節、──甘自刈」
まきと水と、共に生活上必要のもの。轉じて俸給又は食費の義とす。=薪金。
たきぎを採り、水をくむほねをり。陶潛文「遣此力、則汝────」力は僕。
たきぎ。漢書、食貨志「必持──、輕重相分」
たきぎと、まくさと。舊唐書「家貧無燈燭、晝採──」
たきぎと、すみと。
しば、たきぎ。孟、離婁「無寓人於我室、毀傷其──」
かがりび。禮、月令「共郊廟及百祀之──」共は供。
害をのぞかんとして能はざるのみならず、卻りて其の害を大ならしむる。戰國策、魏策「以地事秦、譬猶抱薪救火」
薪を擔ひ行きつつ讀書する。漢書、朱買臣傳「買臣家貧、好讀書、常芟薪樵、賣以給食、擔束薪、行行且誦書」
シン [侵]
通じて參·蔘に作る
藥草の一、根は人の形を成す、朝鮮に產するものを上品とす。にんじん。=人薓·人蔘·神草·地精。
①ショク [職]
②シャウ [陽]
①みづたで(澤蓼)
②─薇 シヤウビ はばら、いばら、灌木の一、高さ四五尺、枝に刺あり、花は香多し、觀賞用とす。
○いばらの花のつゆ。雲仙雜記「柳宗元、得韓愈所寄詩、先以───灌手、然後發讀」○美酒の名。老學庵筆記「壽皇時、禁中供御酒、名───」
ショク [沃]
─葵 シヨクキ はたちあふひ。=蜀葵。
セゥ [蕭]
○よもぎ(艾蒿)○ものさびし(寂寥)「─條」「─寂」○ふかくしづか(深靜)○──は風のものさびしく吹く聲。又、馬の鳴く聲。○さわがしく勞動する貌。いそがしくつかれる。○男女相愛する者の稱「─郞」「─娘」○つつしむ、肅に通ず。○姓「─何」「─衍」
沛の豐の人、漢の高祖に從ひて關に入るに及び、獨り先づ秦の律令及び圖書を收めて之を藏す、漢楚の雄を爭ふや、何常に關中を守り、餽餉を轉給し、軍中乏しきことなからしむ、天下旣に定り功第一を以て酇侯に封ぜらる、開國の名相たり。
さっぱりと淸き貌。南史「俄而漁父至、神韻──」=瀟灑。
漢の高祖の功臣、蕭何と曹參と。漢書、丙吉傳「高祖開基、──爲冠」
ものさびし。羅隱詩「紫菊馨香覆楚醪、奠君江畔雨──」=蕭條、
ものさびし。江淹、恨賦「秋日──、浮雲無光」
ものさびしく吹く風のこゑ。陳後主詩「季冬初陽始、寒氣尙──」
しづかにしてひまである。唐書、裴度傳「治第東都、野服──」=蕭閒。
春秋の時、好みて蕭を吹き鳳鳴をなす道士の名、乘龍(六五頁二段)を見よ。
梁の武帝、佛を信し寺を造りて、其の姓蕭を寺に名づけしより、寺の通稱となす。南史、任孝恭傳「少從──雲法師、讀經論、明佛理」
ものさびしき貌。宋玉、九辨「悲哉秋之爲氣也──兮、草木搖落而變衰」
さびしき秋のあした。殷仲文詩「哲匠感──」=秋晨。
○ものさびし。張九齡詩「江城何寂歷、秋樹亦──」○樹木の多き貌。潘岳、射雉賦「──繁茂」
內より起る憂をいふ、內亂、蕭牆は君臣會見する所に立てる屛、蕭は肅 ツツシム 卽ち肅敬の心を生ずる義。論、季氏「吾恐、季孫之憂不在顓臾、而在蕭牆之內也」
さびしくおとろへる。李商隱表「班超覽鏡、不覺──」
○ものさびしき貌。史、剌客傳「風──兮易水寒」○馬の鳴く聲。詩、小雅「──馬鳴」
ものさびし。世說「門庭──」=蕭索·蕭條·幽寂·靜寂。
○ものさびしき貌。晉書、陶潛傳「環堵──、不蔽風日」○さわがしくいそがはしき貌。史、平準書「江淮之閒、──煩費矣」
さびしくまばら。又、錯落として淸致ある貌。杜甫詩「束薪已零落、瓠葉轉──」
ものさびし。班固、西都賦「原野──」=蕭索·蕭騷。
愛する男子の稱。又、夫 ヲツト 全唐詩話「侯門一入深如海、從此──是路人」
さびしきはやし。劉伶詩「蚊蚋歸豐草、枯葉散──」
セツ [屑]
○よもぎ(蒿)○はますげ(莎)海濱に生ずる草の一、葉は細長く花は赤褐色、穗狀をなす、地下莖を藥用とす。=香附子。○ 國 の名、戰國の時、齊に滅ぼさる、齊、田嬰を封ぜし地、今の山東省、滕縣の西南の─城は其の故地。
善く劍を鑑定せし人。越絕書「越王句踐有寶劍五、聞於天下、客有相劍者、名──、王召問之」
薛文淸を見よ。
唐代の名妓の名、もと長安の良家の女、流落して蜀中に在り、詩を善くす、蜀の浣花溪の水にて十色箋を造る、──箋·浣花箋といふ。
名は瑄、字は德溫、敬軒と號す、明の山西の人、永樂十九年の進士、禮部左侍郞兼翰林院學士に至りて致仕す、諡して文淸といふ、學躬行を貴び、明朝理學の宗たり、讀書錄を著す。
古、善く刀劍を鑑定せし薛燭と、寶玉を發見せし卞和と、よりて鑑賞の才の秀でたるにいふ。李白、與韓荊州書「庶靑萍結綠長價於──之門」
①セン [霰]
②シン [震]
①すすむ、物品を進上する。○人を推しすすめる、擧げ進める「推─」「─擧」「稱─」「襃─」孟、萬章「諸侯能─人於天下」○こも、しとね、むしろ(褥席)「新─」「蒲─」○しく(藉)敷物とする。○くさよもぎ。○こまかきくさ(細草)○深く茂れるくさ。○まぐさ、獸の食ふ所の草。莊、齊物「麋鹿食─」○そなへもの(供物)「嘉─」○受封、敍官。○しきりに(荐·仍)詩經「饑饉─臻」かさねて(重)たびたび。
②身分のある人。古、搢·縉に通ず。
同訓異義
ススム 薦·進·晉·前·羞·漸·勸·奬の別は進(辵部八畫)の條を見よ。
人材をすすめ擧げる。後漢書、馮衍傳「王莽時、諸公多──之者、衍辭不肯仕」=推擧。
薦は供物 クモツ を進める、祼は鬱鬯の酒をささげ終りて地にそそぎて神の降臨を祈る〔韓愈、南海神廟碑〕
脊柱の下端にして、骨盤を形成する骨。
祭のそなへもの。周禮、籩人「──之事」
時節に出づる新らしき物をそなへて祭る。通禮「歲逢令節薦新物」
人をすすめ擧げる封章。歐陽修詩「況子多才兼美行、──期卽達承明」
しきもの。風俗通「汝南應融聞之、歸取衣車、厚其──」
いけにへをすすむ。禮記「士──用特豚」
すすめぬき擧げる。湘山野錄「蒙二公──、不數年竝升于臺閣」=薦拔。
人をすすめて仕宦せしめる。北史、蘇綽傳「凡所──、皆至大官」
寢に侍する。宋玉賦「夢見一婦人曰(中略)聞君游高唐、願薦枕席」
人才をぬき擧ぐ。舊唐書、陳叔達傳「江南名士、薄遊長安者、多爲──」=薦擢·進拔。
李北海の文を歐陽詢(率更)の書せし饒州の薦福寺の碑〔墨客揮犀〕
人物を君主にすすめて申し上げる〔韓愈、後十九日再上宰相書〕
人才をほめてすすめ擧げる。漢書、賈捐之傳「更相──、欲得大位」
人の性行を論じて、すすめ擧げる。范仲淹文「其庶僚中、有高才異行、多所──」=論薦。
身分ある人の稱、薦は縉。史、五帝紀「──先生難言之」=縉紳。
タツ [曷]
おほばこ。=馬舄·車前。
タン セン [感]
○─棘は木の名。○─蔔 センフク は花の名、香多し。萬花谷「宰相杜悰建─蔔館、花形六出、器用之屬、亦皆象之」古人の題詠多く─蔔を以て梔子花 クチナシ と爲すに似たり。陸龜蒙詩「─蔔冠諸香」
テイ チ [霽]
○なぐ、草を芟 カ りたふす「芟─」「剷─」○のぞく、きる(伐除)○俗に髮をそる義とす。=鬀。
なぎなた。=眉尖刀。
かみをそる。=剃髮。
ハク [藥]
○うすし、あつみが少し「─冰」「─板」厚の反對。○すくなし、分量が少し(少·微)「─情」「德─」○せまし(狹)○あはし(淡)味がうすし。莊、胠篋「魯酒─而邯鄲圍」○かろし(輕)○いやし(賤)史、鄭當時傳「年少官─」○土地がやせて收穫少し。○きらふ(嫌)○うすんずる、輕 カロ んずる。○亳に通ず。○いささか(聊)詩、周南「─澣吾衣」○つとむ(勉)○いたる(至)至りとどく。書、禹貢「外─四海」○かぅむる(被)○せまる(迫)「─暮」「─午」○をかす(侵)○ちかづく(近)「肉─」○つく(附著)史、蘇秦傳「心搖搖如懸旌、而無所終─」○あつまる(集)○しばらく(少時)○すだれ(簾)曲禮「帷─之外不趨」○す、まぶし(簇)「蠶─」十分に成長したるかひこを入れて繭をつくらせるもの。○くさむら「林─」「叢─」○おほふ(掩)○姓。○──は馬を疾く驅 カケ らす聲。又、廣大なる貌。薄は博に通ず。○─荷 ハクカ は藥草の一。○─櫨 ハクロ はつかばしら。○ 國 すすき、茅 チ に似て、長さ四五尺、秋、穗狀の白花を著く、尾花 ヲバナ といふ。
同訓異義
イササカ 薄·聊の別は聊(一五四六頁一段)の條を見よ。○ウスシ薄·菲·涼·漓·澆·偸·淡○薄は厚の反、分ブのうすきなり。轉じて德のうすきにも用ふ、薄德·薄俗の如し。○菲は野菜の粗末なるものなり。轉じて菲薄の義に用ふ。論語「菲二飮食一而致二孝乎鬼神一」○涼は薄と同義、涼德は、薄德に同じ、涼薄と連用す。左傳「虢多二涼德一」○漓は醨に通ず、醇の反にて、薄き酒なり。轉じて人情世態のうすきに用ふ。○澆は、うすしと訓む、次第にうすくなる義、漓に同じ。後漢書「澆レ淳散レ樸」○偸は苟且なり。又、薄なり、佻なり、人情·風俗などの次第にかはりてうすらぐをいふ。○淡は、あはしとも訓む、濃の反なり、色又は味のうすきなり。○セマル薄·逼·迫·蹙の別は逼(辵部九畫)の條を見よ。
粗末なるころも。梁武帝文「菲食──、請自孤始」
うすぐもり。陸機詩「和風飛淸響、鮮雲垂──」
うすぐも。何遜詩「──巖際出、初月波中上」
うすき月がさ。張祜詩「歷歷華星遠、霏霏──縈」
薄命に同じ。
うすけむり。諸葛穎詩「──淨遙色、高樹肅淸陰」
藥草の一、高さ二三尺、葉は卵形、淡紫色の小花を著く、莖葉共に香氣多し、蒸澑して──油を製す。
輕薄なる行。十八史略、春秋戰國魏「吳起殘忍──人也」
ふしあはせ。杜牧詩「十年一覺揚州夢、贏得靑樓──名」=薄幸·薄福。
うすきねりぎぬ〔淮南子〕
淺薄なる學問。後漢書、楊秉傳「又以──充在講勸」
少しばかりのつまらぬわざ。司馬遷、報任安書「使得奉──」=小技。
少しばかりの謝禮。=寸志·薄謝。
てうすきそなへもの。束晳文「敬薦──、魂兮來食」=薄奠。
すこしの給料。=薄俸·薄祿。
うすきふすま。張籍詩「遠漏微更疎、──中夜涼」
養蠶の具、葦 アシ にて作りしす。史記「以織──爲生」= 俗 蠶簾。
そまつなる肴饌。司馬相如賦「修──而自設兮」
粗末なるもてなし。優待の反對。=薄待。
地位ひくき官吏〔南史、顧越傳〕蔡襄詩「世事勞勞──身」=冷官。
せまりて見る。左傳「欲觀其裸浴、薄而觀之」
かろき刑罰。重刑の反對。國語「──用鞕扑」
すこしの田わざ。劉克莊文「杜曲桑麻、粗有先人之──」
ふしあはせ。魏武帝詩「自惜身──」=薄福。
はたらき少し。陸游詩「──施畎畝、樸學敎兒童」=菲材。
うすくしてこまか。蔡邕文「帛必──、衣必輕暖」
粗末なるはぅむり。厚葬の反對。南史、王微傳「遺令──、不設轜旐鼓挽之屬」=儉葬。
うすきしも。沈佺期詩「──沾上路、殘雪繞離宮」
少しばかりのとり入れ。范成大詩「去年──飯不足」
意志弱くして實行する力乏しき義。
薄儀に同じ。
人情うすし。雪齋廣錄「欲憑酉去雁、寄與──看」
○うすくよわし。○ 國 たしかならず、不確實「證據──」
うすきさけ。
うすきかゆ。
すこしくあつし。初夏の氣候。僧妙嚴詩「虛窗停──、獨坐擁餘淸」
日月の光のうすきと、かけると。史、天官書「他星逆行、日月──、皆以爲占」注「日月無光曰薄、虧毀爲蝕」
うすくもろし。=脆薄。
輕薄なる風俗。漢書、元帝紀「──去禮義、觸刑法」
やせたるはたけ。蜀志、諸葛亮傳「成都有桑八百株、──十五頃」
うすきとく。左傳「齊桓公存三亡國、以屬諸侯、義士猶曰──」=菲德·涼德。
○廣大なる貌。荀子「──之地、不得履之」○疾く馬を驅る聲の形容。詩、齊風「載驅──」○うすき貌。蘇軾詩「──酒勝茶湯、麤麤布勝無裳」
刑罰をかろくす。吳越春秋「越王歸國、緩邢──」
うすかは。百緣經「──覆上」
うすくつけたるまゆずみ。飛燕外傳「合德爲──、號遠山黛」
うすでほり。詩、小雅「戰戰兢兢、如臨深淵、如履──」
危險の甚だしきに喩ふ。前條參看。
人情うすきをとこ。孟、盡心「聞柳下惠之風者、鄙夫敦、──寬」
ふしあはせ。北史、李諧傳「我──託劉氏爲女」=薄幸·薄祜·薄命。
ひぐれ、暮に迫る義。廣雅「日將落、曰──」
すこしのふち、薄給。陸龜蒙詩「不嫌請──」=薄祿。
らすかは。
らすききり。沈約文「朝吐輕煙──」
ふしあはせ。列、力命「北宮子、厚於德、薄於命、汝厚於命、薄於德」王昌齡詩「眞成──久尋思、夢見君王覺後疑」=薄福。
○少しの利益宋无詩「爲貪──故輕生」○少しの利息。
うすきさけ。李洞詩「一盞──酒、數枝零落梅」
梁上の短き柱、ますがた。薄は欂。柏梁臺詩「桂枅──相支持」
うすくいやし。漢書、鄒陽傳「竊自──不敢道也」
すこしのふち。秦觀詩「──養親甘旨少」
ビ [微]
○ぜんまい、山野に自生する草、若葉は卷きて白毛を被る、食用とす。○紫─ シビ はさるすべり、樹身光滑にして花は六瓣、紫紅色、又、白色、六月頃、花開き、開謝接續して八九月に至る、唐代、之を中書省に植う、故に開元元年、中書省を改めて紫─省と名づく。=百日紅。○薔─ シヤウビ は、いばら。薔(本畫)を見よ。
中書省の異名、唐代紫薇花を中書省に植ゑ、開元元年、改めて紫薇省と稱せしに由る(明淸は布政司を──といふ)=薇省。
やぶれがさ。一種の草の名。水經、注「錫義山、山高谷深、多生──草、其草有風不偃、無風獨搖」
ぜんまいと、わらびと。孟郊詩「野策藤竹輕、山蔬──新」
薇垣に同じ。
香草の名。廣志「──香草、魏武帝以藏衣中」=蘪蕪。
ヘイ [霽]
─茘 ヘイレイ は、蔓草の一、まさきのかづら、葉厚くして圓く、饅頭狀の實を結ぶ、木饅頭。離騷「貫─茘之落蘂」=杜贊。
○かづら。齊書、宗測傳「量腹而進松朮、度形而衣──」○轉じて隱者の服をいふ。
ベツ [屑]
○ほそし(細)○蔑に同じ。
ヨ [御]
薯─ シヨヨ はやまのいも。薯(次畫)を見よ。杜甫詩「充腸多薯─」=山藥。
ヨウ [冬]
○あつまる。あつむ(萃)○野菜の名、莖は柔かに葉は菠薐 ハウレンサウ に似、秋、白花開く。=空心菜。
①ヨク [職]
②イ [寘]
○はすの實の中のみ。爾雅「荷其實蓮、其中的、的中─」注「中心苦者也」○─苡 ヨクイ は藥草の一、ずずだま。後漢書、馬援傳「援在交阯、嘗餌─苡實、用能輕身省慾、以勝瘴氣、南土─苡實大、援欲以爲種、軍還、載之一車(中略)及卒後、有上書譖之者、以爲前所載還、皆明珠文犀、帝益怒」
ライ [賄]
つぼみ。花の將に綻 ホコロ びんとするもの「蓓─」「珠─」
①レン [鹽]
②ケン [鹽]
①やぶからし、蔓草の一。=蘞。
②豨─は藥草、めなもみ。
レン [鹽]
萑 ヨシ の類、細くして高きもの、すだれよし、ひめよし。
ロウ [蒸]
菠─草 ハロウサウ ははうれんさぅ。菠(艸部八畫)を見よ。
ワイ ヱ [泰]
通音クヮイ
○くさむら(榛叢)「榛─」「叢─」○草木が盛んに茂る「蓊─」○さかんなり、雲霧が興る。○さへぎる(障)○蘆─ ロクワイ は藥草、熱地に產し、葉大いにして尖り、肉質にして鋸齒あり、穗狀の花開く。
○草木の盛んにしげる貌陸游詩「靜岸葛巾穿──」○雲の興る貌。詩、曹風「薈兮蔚兮、南山朝隮」=蔚薈。
盛んにしげる貌。李質、艮嶽賦「卽崇山之奧區、翳──其蒼蒼」
おほひしげる。韋夏侯文「芟──、而松桂出」=翳薈。
穢(一三九二頁二段)に同じ。
14畫
①ヰ [紙]
②ヱン·ヲン [阮]
①姓、─子馮は、春秋の楚の大夫。
②─? ヱンシ は藥草、ひめはぎ。=遠志。
カゥ コウ [皓]
稾に同じ
○わら。○したがき(稿本)○かる(枯)=槁。
京師にあるえびすの居畱地。漢書、陳湯傳「斬郅支及名王以下、縣頭──」=稾街。
わらにんぎゃう。鶴林玉露「夜縛──數千、衣以甲胄、持旂幟戈矛、儼立成行」
わら。易林「黍稷茂盛、多穫──」
妻が其の夫を稱していふ、品字箋に、砧は杵砧石なり、美石を碔夫と名づく、故に藁砧を借りて以て夫に喩ふ、一說に藁砧は農家の搗草石なり、藁砧の切音は天とす、婦人は夫を以て天とす、故に夫の字の隱語とす。古樂府「──今何在、山上更有山、何當大刀頭、破鏡飛上天」
ギ ギョク [紙]
── ギギ は禾穀の茂れる貌。詩、小雅「或耘或耔、黍稷──」
クン [文]
○かをりぐさ、香草の一、蘭の類。葉は細長く對生し、赤花黑實をつく、古人之をおびて惡氣をふせぐ、故に佩蘭ともいふ。=蕙草。○かをり(香氣)「麝─」「餘─」「蘭─」○かをる、にほふ。○やく(灼)くすべる、たく、熏に通ず。○香氣に近づきてうつりかがする。轉じて善人に親みて善に化する「─化」○─然は溫和なる貌。莊子「─然慈仁」又、耳目の明かなる貌。○いさを、勳に通ず。○─育 クンイク はえひずの名、─は獯に通ず。=獯鬻。
薰は香草、蕕は臭草、善人と惡人と一處に居るべからざるに喩ふ。世說「培塿無松柏、─────」
○善に化するやうにをしへそだてる。○えびすの名。字解參看。
權勢の盛んなる義。張九齡詩「玆邦稱貴近、與世常──」=薰灼。
德を以て人を感化する。
○ふすべやく。○勢のさかんなるにいふ。唐書、王鉷傳「天子使者、賜遺相望、權勢──」=熏灼·薰赫。
宮刑に處せられし者、胥は他人の罪にまきぞへとなりて罪せらるる義。史、索隱序贊「鳴呼史遷──以刑」
香氣がしみこむ。轉じて善にうつりそましむ。程子、論經筵事疏「使之──成性」
火にて物を薰し、又、土をこねて陶器を造るが如く人才を敎育する義。宋史、道學傳「善敎其子弟者、必延名德之士、使與之處、以──成性」
かぅばし。庾闡文「道雋──、鮮不玉折」
才ある者は、其の才をつつみ晦ます能なずして卻つて其の身を害ふに喩ふ。漢書、龔勝傳「─────、膏以明自銷」
溫和なる夏のかぜ。史、五帝紀「南風之薰兮、可以解吾民之慍兮」=南薰。
香を衣に薰し髮を洗ひて身をきよめる。齊語「三薰而三沐之」
乳香に同じ、くんろく。五代史「日焚龍腦──諸香數斤」=熏陸香。
①サゥ·ザゥ [陽]
②サゥ·ザゥ [漾]
①をさむ。をさまる。○たくはふ(貯·畜)「祕─」「珍─」「收─」「畜─」○かくす。かくる「潛─」「韜─」「退─」○たくはへおく物。
②くら、物品を收めて居く所。○はらわた「五─」古、臟に通ず。○國名、西藏 チベツト の略。
同訓異義
ヲサム 藏·修·治·理·收·斂·納·御の別は修(一四七頁三段)の條を見よ。○カクル藏·隱·潛·匿·祕の別は隱(阜部十四畫)の條を見よ。
惡人をかくす。左傳「盜賊──爲凶德」
はたらきをかくす。李紳文「發諭開蒙、──匿聖」
一切藏經の略。=一切經。
書畫等を所藏する、藏·弆同義。漢書、陳遵傳「皆──以爲榮」
かくれのがれる。魏志、司馬朗傳「郊境之內、民不安業、捐棄居產、流亡──、此朗之所以於邑也」=伏竄。
舟ををさめ入る。莊、太宗師「──于壑、藏山于澤、謂之固矣」
をさめたくはへる。蘇軾詩「片紙隻字皆──」
藏修は常に學問を心に藏 ヲサ め修習して怠らず、游息は正課以外の休息の時にも亦心を學問に存する義。禮、樂記「君子之於學也、藏焉、修焉、游焉、息焉」
惡をかくす。顏氏家訓「含垢──、尊賢容衆」
國 大藏大臣の略稱。
春色を收めたくはへるつつみ。長編「刁約作───日遊其中」蘇軾詩「───裏鶯花閙、仁壽橋邊日月長」
所藏の書物。唐書、藝文志「──之盛、莫過于開元」=藏本。
拙劣をかくして人に示さず。劉餗文「徐陵聘齊、魏收錄其文遺陵、陵過江沈之曰、吾與魏公──」
ちゑをかくしてあらはさず。文子「臣下──而不用」
をさめたくはへる。吳萊詩「富豪僅──、官府更急糧」
ちゃをたくはへる。茶錄「──宜蒻葉、而畏香藥」
かくす。かくる。史、酈生傳「乃深自──」
肉體を埋むる地。魄は魂に對して肉體をいふ。
次條に同じ。
其の書物の板木を所藏する。=藏板。
かくす。晉書、王悅傳「尋掘地得錢百萬、意甚惡之、一皆──」=隱閉。
書法の語、字を書くに筆端を藏して露 アラハ さざる義。書訣「用筆如印泥畫沙、貴──也」
藏書に同じ。
龜の異名、頭尾兩手兩足を甲の中に藏するが故。雜阿含經「有龜被野干所得、──不出、野干怒而去、佛吿諸比丘、汝當如龜──、自藏六根、魔不得便」
佛 菩薩の一、忿怒降魔の相を現し、右足を揚げ、右手に三鈷を持つ。
國 殿上に近侍して、機密の文書及び諸訴を掌り、小事を奏宣する職。
サツ サチ [曷]
○すくふ(濟)○菩─ ボサツ は佛語、菩は普、─は濟、普く衆生を濟ふの義。菩(艸部八畫)を見よ。
佛 佛に亞ぐ位置、卽ち大勇猛心を以て菩提卽ち佛道を求め、大慈悲を以て衆生を濟ふ人。=菩薩。
元の雁門の人、字は天錫、詩文に工なり、雁門集の著あり。
ジ [紙]
華のさかんなるにいふ。
シン ジン [震]
○あつし、まこと(篤)すすむ(進)誠意を以て進みて忠を盡す「忠─」「誠─」○もえさし。=燼。○かりやす、草の一種、黃色の染料とす。=黃草。
忠愛の情篤く進みて已まざる臣。詩、大雅「王之──、無念爾祖」
①シャ [禡]
②セキ·ジャク [陌]
古、藉に通ず
①しく、草を物の下にしく。易、大過「─以白茅」○しきもの(席)○たすく(助)○かる。=借。かす。○かこつける、口實とする「─口」よる(依託)○たより、たすく。○なぐさむ、いたはる「慰─」○おだやか「醞─」○もし、たとへ「─使」賈誼、過秦論「─使子嬰有庸主之材」=借使。○すすむ(侑)
②みだれる(亂雜)「狼─」○ふむ(蹈)ふみにじる「蹈─」○人の姓。○なは(繩)○つなぐ(繫)○─田 セキデン は天子の親ら耕したまふ田地〔漢書、文帝紀〕
同訓異義
シク 藉·布·敷·鋪·席·播の別は布(五六四頁二段)の條を見よ。○ヨル藉·依·寄·憑·凭·賴·據·仗·倚の別は依(一二七頁四段)の條を見よ。○タトヒ藉使·縱·縱令·假令·借令等の別は縱(一四九五頁一段)の條を見よ。
口實を設けていひわけする。左、成二「晉人曰、苟有以──而復于寡君、君之惠也」
くさをしきものとす。吳志、朱據傳「──待罪」
てをかる。他人の手を借りて我が用をなす。左、昭十六「敢不──以拜」=借手。
評判たかし。漢書、陸賈傳「游漢廷公卿閒、名聲──」=籍甚。
○亂雜なる貌。漢書、劉屈釐傳「事──如此、何可祕也」○かまびすしく語る。漢書、江都易王傳「國中口語──」=籍籍。
①ショ [語]
②ヨ [御]
①美くしき貌。詩、小雅「釃酒有─」
②藷─ シヨヨ はやまのいも。薯(次條)を見よ。
ショ [御]
○─蕷 シヨヨ はやをのいも、蔓草の一、葉は心臟形、夏淡紅色の花をつく、根莖の長さ數尺に至り、食用とす。=藷藇。○甘─ カンシヨ はさつまいも。=甘藷·番藷。
セイ ザイ [薺]
なづな、野草の一、初生のものは甘味あり、我國にて七草の一とす、春、四瓣白色の小花を著く「甘─」詩、邶風「誰謂荼苦、其甘如─」
叢(二九五頁二段)の俗字。
タイ [灰]
○すげ、菅の類、高さ三四尺、夏、長き穗の花さく、葉を乾して笠などに作る。通じて臺に作る。=莎草。○蕓─ ウンダイ はあぶらな、蕓(艸部十二畫)を見よ。=油菜。○たぅ、野菜類の花莖の立ち出るもの。薹心。
タイ [隊]
薆─ アイタイ は草木の盛んに茂る貌。
①ベゥ [篠]
②バク [覺]
通音バク
①小さき貌。○かろんず、さげすむ(輕視)「─視」孟、盡心「說大人則─之」○視る容の好き貌。
②遠く離れたる貌。邈に通ず。○──は美くしき貌。又、人の敎を注意して聞かざる貌。○むらさきさぅ、紫色の染料とす。=茈草。
かろんじ視る。孟、盡心「說大人則藐之、勿視其巍巍然」=蔑視。
小弱なるみなしご、孤は父なき者の稱。諸は助字。左、僖九「以是───、辱在大夫、其若之何」=藐孤。
はるかに離れて遠し。
遠くしてはるか。馬融賦「──勿罔、寥豁鬱泱」
○仙人の栖めりといふ山、藐は遠く隔たれる貌。莊、逍遙遊「─────、有神人居焉、肌膚若冰雪、淖約若處子」○ 國 ハコヤノヤマ 上皇。又、法皇の宮の敬稱。=仙洞。
遠くして及ぶべからざる貌。漢書、嚴助傳「──甚慙」
○美くしき貌。詩、大雅「寢廟旣成、旣成──」○敎の心に入らざる貌。詩、大雅「誨爾諄諄、聽我──」
ヘン [銑]
─豆はいんげんまめ。=扁豆·蛾眉豆·沿籬豆。
埋(三八五頁四段)に同じ。
ラン [覃]
○あゐ、蓼 タデ に似たる草、靑色の染料とす。荀、勸學「學不可以已、靑出於─而靑於─」(此語に本づき弟子の師より優るを出─といふ)詩、小雅「終朝采─」○あゐいろ、靑よりは濃く、紺よりは淡 ウス し。○ぼろ。=襤。○蔚─は天の靑き色。○伽─ ガラン は寺の異稱。略して單に─ともいふ「精─」○洎夫─ サフラン は藥草の一。
あゐいろのころも。衫は小襦。圖畫見聞志「昔吳道士、畫鍾馗、衣──、鞹一足、眇一目、腰笏巾首而蓬髮」
○あゐいろの印綬、綬は官印の紐 ヒモ 齊已詩「──乍稱新學士、白衫初脫舊神仙」○ 國 ──襃章 ランジユハウシヤウ は公共の利益を興したる功勞者に賜はる襃章。
陝西省に在る川の名。杜甫詩「──遠從千澗落」=灞水。
山名、名玉を產す、陝西省西安府藍田縣に在り。班固、西都賦「陸海珍藏、──美玉」
○賢父が賢子を生みしを譽めていふ。吳志、諸葛恪傳「恪少有才名、發藻岐嶷、辯論應機、莫與爲對、孫權見而奇之、謂其父瑾曰、────、眞不虛也」○容貌の美なるをいふ。宋書、謝莊傳「莊韶令美容儀、太祖見而異之曰、藍田出玉、豈虛也哉」
あゐだま。本草集解「波斯靑黛、亦是外國──花」=藍靑。
あゐいろの內衣。本草「逸史云、唐高祖時、鍾馗應擧不第、觸階而死、後明皇夢有小鬼、盜玉笛、一大鬼破帽──、捉鬼啖之、上問之、對曰、臣終南山進士鍾馗也、蒙賜袍帶之葬、誓除天下虛耗之鬼、乃命吳道士、圖象傳之天下」
最後に飮む酒杯、藍は婪に通ず、貪なり、最後は得る所多きが故。仇池筆記「蘇鶚云、以酒巡匝爲婪尾、一作藍尾」
あをくみどり。李元陽文「遂行二里許、見一石山、──如染」
原據とすべき書。居易錄「今修一統志、似當以舊通志爲──」=原本。
あをきかほいろ。郝經、唐十臣像歌「盧杞──不敢望」
ぼろ、やぶれごろも(敝衣)左、宣十二「蓽路──、以啓山林」=襤褸。
15畫
キュウ [東]
芎─ キユウキユウ は藥草の一、莖葉共に香氣高し、根を藥用とす、せんきゅう、をんなかづら。=川芎。
ゲイ [霽]
○わざ(才能)「道─」「武─」「學─」「絕─」「工─」「經─」六─は禮·樂·射·御·書·數。○文「─文」「文─」文の德。○きはまり、はて(極)(臬の轉音)晉語「貪欲無─」○まと、めあて(的)のり(準)左、文六「陳之─極」○わかつ(分)○うう(種·植)「種─」「耕─」孟子「樹─五穀」=蓺。○聖人の著したる書。經に通ず。上林賦「游于六─之圃」
同訓異義
ウウ 藝·種·植·栽·樹の別は種(一三八七頁一段)の條を見よ。
藝林に同じ。韓愈賦「朝馳騖乎書林、夕翺翔乎──」
てわざ。謝靈運文「家畜金繒、才練──」=技藝。
うたひめ、げいしゃ(藝者)=校書·妓女。
まめをうう。戴良詩「結廬在西市、──仍種菜」
學術技藝。顏延之文「輔以──、會以文辭」
技藝と學術と。後漢書、安帝紀「校定東觀五經、諸子傳記、百家──」
うゑつける。王維詩「──老丘園」=種藝。
○文德ある祖先。書、堯典「歸格于──、用特」=文祖。○轉じて太祖の通稱〔日知錄〕
藝術を學ぶ。論、述而「依於仁、───」
國 種種の游藝を以て業とするもの。
藝術と技能と。史、龜策傳「──之路」
學術と技藝と。後漢書、禰衡傳「英才卓礫、初涉──」
書名、百卷、唐の歐陽詢、敕を奉じて撰す、凡そ四十八門に分ち、事實を前に居き、詩文を後に列す、諸類書中に在りて體例最も善し。
○典籍の薈萃する所。魏書、常爽傳「頃因暇日、屬意──」=藝苑。○學藝の仲閒。
ゴウ グ [有]
通音グウ
○はすのね(蓮根)蓮の地下莖、食ふべし。○はす、はちす(芙蕖)「─花」
はすのはな。張籍詩「夜月紅柑樹、秋風白──」=荷花。
はすの根。北史、羊敦傳「采──食之」=蓮根。
○はすよりひき出すいと。朱超、采蓮曲「摘除蓮上葉、拖出藕中絲」○裙 モスソ の名。李賀詩「粉霞紅綬──裙」
表面は斷絕するも中心は連續する、情意の未だ絕えざるに喩ふ。孟郊詩「妾心藕中絲、雖斷猶連牽」
俗 蓮根よりとれる澱粉「西湖──」
ソウ [有]
○さは、草木生ひ茂りて鳥獸などを養ふ大いなる澤「─澤」「林─」「山─」「幽─」○轉じて物事の多く集り歸する所「淵─」○草野の義、在野。湛方生詩「辭朝歸─」○ 國 ヤブ たかむら、竹林。
草木の叢生せる大いなる澤。史、司馬相如傳「鷦明巳翔乎寥廓、而羅者猶視乎──」
ゾク [沃]
おもだか、水草の一、葉は、箭狀三尖、夏、三瓣の白花開く。=澤瀉·牛脣草。
トウ [蒸]
○かづら(藟)すべて蔓生植物の卷鬚をいふ「葛─」「亂─」「瓜─」○ふぢ、蔓生の落葉木本、四五月の頃、淡紫、又、白色穗狀の花開きて下垂す「紫─」「白─」○ 國 四姓の一なる藤原氏の略稱「源·平·─·橘」
ふぢだな。杜甫詩「露裛思──、烟霏想桂叢」
紙の一種。梅堯臣詩「袖銜──書、題字遠已認」廣輿記「由拳山左餘杭、旁有由拳村、出──」
ふぢかづらのゆか。白居易詩「六尺白──、一莖靑竹杖」
ふぢかづらがまつはる。杜甫詩「缺籬將棘拒、倒石賴──」=藤繞。
ふぢかづら。崔顥詩「靑翠滿寒山、──覆冬沼」
ハン [元]
古、蕃に通ず
○かき、まがき(籬)易、大壯「羝羊觸─」○さかひ(域)○おほひ(屛)○封建時代に王室のおほひ(屛)となる諸侯。又、節度使などの稱。○轉じて諸侯の國「─王」「─邸」「親─」漢書、明帝紀「東平王蒼、罷歸─」○─司 ハンシ は明以後、各省の布政司の異稱。○まもる(守護)左傳「貨以─身、子何愛焉」○車のおほひ。=轓。
藩屛に同じ、藩は蔽、翰は幹、國家の屛蔽楨幹たる義。詩、大雅「价人維藩、大師維垣、大邦維屛、大宗雜翰」
明代、布政司を藩といひ、按察使を臬といふ、藩は藩屛、臬は法、準限の義〔雜事大全〕
王室の藩屛となる國卽ち諸侯の國。漢書、異姓諸侯王表「──大者、夸州兼郡」
かはや(廁)晉書、左思傳「構思十年、門庭──皆著筆紙」
明淸時代、布政使の異稱。
おほひのある車。漢書「司馬陳蒙、劾奏陳遵乘──入閭巷」注「車之有屛蔽者」
かこひ、まがき。晉書、庾袞傳「峻險阨、杜蹊徑、修壁塢、樹──」=藩屛·屛障。
國 大名に召聘せられて其の藩の敎育、又政務の顧問たる學者。
天子の一門なる大名。徐陵文「足下宗枝──、德譽早隆」
其の藩の主君の祖先。
唐代の地方官卽ち節度使。唐明皇詩「──謳歌滿、行宮雨露深」
大名のやしき。
諸侯。宋史、李綱傳「朝廷者根本也、──者枝葉也、根本固則枝葉蕃」
國 勢力ある藩の出身者が結合して政府の要路を占め他藩の人を排斥するにいふ。
○諸侯又藩鎭の役所。聞見前錄「王懿恪拱辰、熙寧初、拜宣徽使、遍歷──」○ 國 背、大名が江戶に置きしやしき。
屬國。北史「常朝貢雖稱──、誠節未盡」
九服の一、王城を去ること五千支那里の地。=蕃服。
○まがき、かこひ。又、車のおほひ。周禮、春官、巾車「漆車──」○諸侯の稱、天子の守護となるべきもの。左、僖二四「封建親戚、以──周」=藩翰·藩蔽。
前條に同じ。揚雄、徐州牧箴「實列──、侯衞東方」
王室の守護となる者、諸侯などの稱。史、禮書「諸侯──、臣子一例、古今之制也」魏志、彭城王據傳「王以懿親之重、處──之位」
諸侯の家臣の長、家老。
まがき。晉書、褚裒傳「物各有所施、榱椽之材、不合以爲──也」=籬落·藩籬。
○まがき、柴竹を編みてつくり宮室の屛蔽と爲すもの。左傳、疏「封立親戚、以爲──、屛蔽周室」○範圍の義。史通「馮衍·許劭不足窺班范之──」班范は班固と范曄と。
見識のせまき小人に喩ふ、鷃は小鳥、ふなしうづら。宋玉、答楚王問「鳳上擊九千里、絕雲霓、負靑天、翺翔乎杳冥之上、夫────、豈能與之料天地之高哉」鳳は鵬に通ず。
其の藩にて主唱する議論。
①ヘゥ [篠]
②ヘゥ [蕭]
①あぶらがや(蒯)用ひて席に作る。
②いちご(莓)
マ [箇]
蘿─ ラマ はががいも。
ヤク [藥]
俗に葯に作る
○くすり「醫─」「─石」病を治する草の總名。又、草木金石禽獸蟲魚の類、すべて病を治するに效あるもの。○他の物に力を及ぼす作用あるもの「火─」「炸─」○どく、身體を害するもの「仰─而死」○いやす(療)くすりを飮みて病をなほす。詩、大雅「不可救─」○俗に鴉片の稱とす、支那產のを土─、外國產のを洋─といふ。○芍─ シヤタヤク は牡丹に似たる花卉の名。略して單に─ともいふ「紅─」
藥草を植ゑたるはたけ。舊唐書、職官志「──師以時種蒔收采」
くすり代。杜甫詩「遠尋畱──」
くすりと、もぐさと。呂覽、跋「余臥疾京師、喜得此書、──之閒、手自校之」
藥物をなかるはかり。
藥品の性質又其の製造法等を硏究する科學。=藥物學·調劑學。
くすりのにほひ。李賀詩「宵寒──濃」
くすりばこ。陸游詩「蓍囊──每隨身」
火藥を裝塡したる金製の筒。
くすりばこ。五代史、伶官傳「自負蓍囊──」=藥笈·藥笥。
藥を調合するへや。
いましめになることば、藥石之言の略。史、商君傳「苦言藥也、甘言疾也」
くすりの材料〔魏志、趙儼傳、注〕避暑雜錄「過江後、難得──、每記素問、勞佚有常、飮食有節、似勝服藥也」
調合せしくすり。史、孝武帝紀「事化丹砂諸──爲黃金矣」
國 醫師の處方に據りて藥劑を調合する者。
○くすりに用ふるくさ。朱慶餘詩「資身唯──、敎子但詩書」○芍藥 シヤクヤク
くすりなべ。陸游詩「山童睡熟靑燈暗、自撥殘爐候──」
藥草をほり採るすき。陸游詩「正令不遇亦何慊、──丹爐老靑嶂」
くすりばこ。神仙傳「有二侍者、一負書笈、一攜──」=藥篋。
○唐の李靖の字。○醫師をいふ。○ 佛 轉じて如來の名。衆生の病患を救ひ、法藥を與へて无明の舊痾を治する義。大寶積經「譬如──持藥囊、自身病不能療治」
くすりを賣るみせ。紺珠集「徐儉樂道、隱於──中、家植海棠、結巢其上、引客登木而飮」=藥店·藥鋪。
くすりと、滋養物と。爾雅、翼「枯犀之角能辟邪惡、寧心神、散風熱、良於──」
くすりざけ。又、毒酒。史、蘇秦傳「吾巳作──待之」
くすりの材料。吳融詩「──玉苗匀」
注射器の一名。
くすりの性質。庾信、小園賦「問葛洪之──、訪京房之卜林」
○病を治する方藥 クスリ と砭 イシバリ と。祖庭事苑「夫攻病曰藥、劫藥曰石、古以砭石爲針也」○轉じて人を戒むる言に喩ふ。左、襄二三「孟孫之惡我、──也」
人を戒めて、其の非を改めしむることば。唐書、高馮傳「上書言得失、辭誠切至、帝賜鐘乳一劑曰、而進────、朕以藥石相報」
藥の調合を記せし書附。=處方箋。
くすりを入れるふくろ。=藥囊。
○煎じたる藥。張籍詩「公疾浸日加、孺人視──」○ 國 藥を入れたる浴湯。
○くすりなべ。=藥鐺。○道家にて丹藥を煉るなべ。范成大詩「雞犬爾何知、偶?──餘」=丹鼎。
くすりぶくろ。戰國策「侍醫夏無且以其所奉──、提荊軻」
くすりのもりかた。後漢書、百官志「太醫藥丞主──」
くすりの品類。元結、菊圃記「在──是良藥、爲蔬菜是佳蔬」
くすり。杜甫詩「多病所須惟──」=藥材·藥品。
藥性及び內外科の處方を硏究する學科。=處方學·本草學。
藥草のなへ。高適詩「秋韮何靑靑、──數百畦」
藥草を植ゑたるはたけ。王維詩「荷鋤修──、散帙曝農書」=藥園·藥苑。
毒藥をつけたる乾肉 ホジシ 穀梁傳「驪姬以酖爲酒、──以毒」
くすりや、賣藥店。=藥肆。
○藥のあぢ。○藥の品類。○山椒·胡椒などすべて食物に添へて食ふ香料。
藥園の欄 テスリ 又、芍藥の畑のかこひ。王維詩「──花徑衡門裏」
くすりを飮みて體を養ふ。顏延之、自陳表「乞解所職、隨就──」
くすりのききめ。雲笈七籤「凡一切五辛、皆害於──」
國 醫者へ支拂ふ藥價と謝禮と。
○藥材に同じ。○藥代。=藥價。
くすりを煎るゐろり。白居易詩「──有火丹應伏、雲碓無人水自春」
必用の人物といふ義。唐書、元行沖傳「行沖謂狄仁傑曰(中略)脯腊膎胰以供滋膳、參朮芝桂以防疾疢、門下充爲旨味者多矣、願以小人備一藥石、可乎、仁傑曰、君正吾────、不可一日無也」
藥師如來。維摩經「佛吿天帝、過去無量阿僧祗劫時、此有佛號、曰──」
國 銅又は眞鍮にて作りしゆわかし。もと藥を煮るに用ひしもの。
國 藥を粉にする金製舟形の具。
リヨ ロ [魚]
茹─ ジヨリヨ はあかね。茜(一六四○頁一段)を兒よ。詩、鄭風「茹─在阪」=茜·地血。
ルヰ [紙]
○かづら(藤)唐書「攀─而上」○あまちゃ(巨苽)詩、周南「葛─纍之」
レイ [齊]
○あかざ、葉は卵形にして緣に鋸齒狀のきざみあり、若葉を食用とす、莖の大にして生長せし者を杖とす。○蒺─ シツレイ ははまびし。【羹藜含糗者不足與論大牢之滋味】 レイヲカウニシキウヲフクムモノハトモニタイラウノジミヲロンズルニタラズ 鄙人は與に天下の大事を論じ難きに喩ふ。王襃、聖主得賢臣頌「夫荷旃被毳者、難與道純緜之麗密、──」
あかざの杖をつく。杜甫詩「明日看雲還──」=曳藜。
あかざの葉のあつもの。家語「絕糧七日、無道所通、──不充」
あかざと、まめのはと、粗食の義。韓非、五蠧「糲粢之食、──之羹」
あかざと、わらびと。程俱詩「定非肉食姿、賦分在──」
あかざのつゑ。漢書、劉向傳「有老人、黃衣植靑──」
あかざの杖と、なめし皮の帶と。極めて質素なる義。陳書、宣帝紀「湯禹爲君、────」
16畫
アイ [泰]
通じて靄に作る
○さかんなり、しげく多し。樹が繁茂する「晻─」「幽─」「蓊─」「黝─」○おほし。○おだやか、和げる氣「─然可親」「其言─如」
○賢士多くして容儀の盛んなる貌。詩、大雅「──王多吉士」=濟濟。○草木の繁茂する貌。束晳、補亡詩「其林──」○香ふ貌。楚辭、九歎「懷椒聊之──兮」○月光の微闇 ウスグラシ なる貌。司馬相如、長門賦「望中庭之──兮」○力を盡す貌。爾雅、釋訓「──萋萋臣盡力也」○おだやかなる貌「和氣──」
草木がしげりあふ。張華、歸田賦「育草木之──、因地勢之丘墟」=蔚藹。
新鮮なる貌。陸龜蒙、野蔬詩「凌風──初攜籠」
○さかんなる貌。○氣のやはらぎておだやかなる貌。
①ウン ヲン [昒]
②ウン ヲン [文]
①は薀に通ず
①つむ(積)○つみたくはへる(蓄積)をさむ(藏)○あつむ(聚)をさまる(藏)○つつむ(韞)○おく(深奧)「精─」「底─」○も(海藻)○うらむ、怨に通ず。○むしあつし(鬱熱)詩、大雅「─隆蟲蟲」○おほき貌。又、あつまりしげれる貌。
②おだやか。溫和「─藉」=醞。○陰に通ず、五─ ゴウン は佛語、色·受·行·相·識。=五陰。
學問などのおくそこ。宋史、理宗紀「發揮聖賢──、有補治道」
○あつまる貌。傅休奕賦「葉萋萋兮翠靑、英──而金黃」○むし熱き貌。詩、大雅「蘊隆蟲蟲」注「──而暑、隆隆而雷」
わざをつつみかくす。蘇頲文「識遠心明、懷才──」
思が積もりて解けず。詩、檜風「我心──兮」注「──、思之不可解也」
まことをつつむ。謝靈運詩「──誰爲傳」
やさしくおだやか。史、酷吏傳「少──」=縕藉·溫藉。
つみあつめる。蘊一本蘊に作る。左、隱六「見惡如農夫之務去草焉、芟夷──之絕其本根」=積聚。
むしあつし。劉克莊賦「値驕陽之──、拜溫詔以如春」
純一なる德をつみたくはへる。陳子昂、墓誌銘「稟柔成性、──含章」
物を積みたくはへる。左、昭二五「──民將生心」=蓄積。
いかりをつむ。後漢書、卓茂傳論「以此遂不得升進、志意──、乃隱居著書」
甚だしくむしあつし、蟲蟲は熱氣の貌。詩、大雅「旱旣太甚、────」
カゥ [庚]
杜─ トカウ はかんあふひ、葵に似て香あり。=杜衡·馬蹄香。
キ [支]
○もとむ(求)莊、齊物「子惡乎知夫死者不悔其始之─生乎」通じて祈に作る。○くつわ(馬銜)○蛇牀 ハマニンジン に似たる一種の香草。
クヮク [藥]
○まめのは(豆葉)「藜─」○かをりぐさ「─香」
(四八○頁三段)に出づ。
萱(一六五五頁三段)に同じ。
ゴ [遇]
さかふ、さかしま(逆)莊、寓言「不敢─立」
サゥ [皓]
○も、水草の總稱「海─」「蘋─」詩、召南「于以采─」○もをゑがきし模樣 モヤウ 又、もをゑがく。論、公冶長「山節─梲」○あや(文章)かざり、あやある詩歌文章の辭「文─」「才─」「辭─」「詞─」陸機、文賦序「故作文賦以述先王之盛─」○めきき(鑒別)「品─」「─鑑」
うつくしくかがやく。張餘慶賦「綵幣──」
文雅に同じ。黃汝良文「文人學士、──芬芳」
もと、あさざと。宣和畫譜「──魚圖一」
あやある文詞。王勃、採蓮賦「何平叔之符彩、潘安仁之──」
鑑識 メキキ 職官分紀「所選士七十二人、多至公卿、人服其──」=藻鏡。
水藻と、火燄と、古人其の形を繡して服飾と爲す。書、益稷「──粉米」
次條に同じ。史、平準書「緣以──爲皮幣、直四十萬」
さいしき、文采。梁元帝文「義若聯環、文同──」=藻繢·畫藻。
あやあるはね。陸機詩「金雀垂──、瓊佩結瑤璠」
あやかざり。江總文「煙霞舒卷、五色成其──」
詩文の才。魏書、邢臧傳「幼孤、早立操尙、博學有──」
○容貌を美くしくかざる。晉書、嵆康傳「美詞氣、有風儀、而土木形骸、不自──」=修飾。○文詞をかざる〔文心雕龍〕
からくさを畫ける天井。風俗通「今殿作天井、井者東井之象也、藻水中之物、皆所以厭火也」
梲(梁上の短柱)卽ちうだちに水草をゑがきて飾る。天子の宗廟の飾。字解參看。
五彩の儀仗。宋史、樂志「──星陳、睟容金鑄」
ゑがけるむなぎ。王珪詩「──臨流啓」
もと、うきくさと。梁武帝詩「舟楫互容與、──相推移」
からくさのあやもやぅ。禮記「藻梲畫侏儒柱、爲──也」
水草の總稱、大別して綠色藻·褐色藻·紅色藻の三とす。
かざりてとぎみがく、修飾砥礪。南史、江夷傳「夷少自──、爲後進之美」
ショ [御]
薯(艸部十四畫)に通じ用ふ。─藇 シヨヨ はやまのいも。
ズヰ [紙]
しべ(花の內心)「花─」「金─」「麗─」=蕊(一六七七頁一段)
ソ ス [虞]
又蘓に作る
○よみがへる、いきかへる、死して更に生ずる。○いこふ(息)困苦をのがれて休息する。孟、梁惠王「后來其─」(后は君主)○とる(取)くさをかる、草を刈り取る。史、淮陰侯傳「樵─後炊」○くさ(草)○流─ リウソ はふさ。○──は氣の索 ッ くる貌。又、恐懼 オソレル して安んぜざる貌。又、躁ぎ動く貌。○熱帶地に產する木の名、すはふ、絳色 アカイロ の染料とす。=蘇木·蘇枋。○扶─ フソ は小木の名。○紫─ シソ は草の名、葉莖皆紫色、芳香あり、食用とす。○姑─ コソ は春秋の時、吳の臺の名、江蘇省に在り。○姓。三─ サンソ は宋の文人─洵と其の子の─軾─轍と。
落葉喬木、波斯國に產す、葉は掌狀を爲し、分裂す、長柄ありて五生す、樹皮中より膠を取る、これを───と爲し、以て藥に入る、蟲を殺すべし。
よみがへる。搜神記「晉武帝世、河閒郡有男女、私許配適、尋而男從軍不歸、女家更欲適之、女不願行、父母逼之去、尋病死、其男戍還、至冢哭之、女卽──」
蘇軾の築きし西湖の隄。升菴外集「東坡先生在杭州(中略)取葑田、積之湖中爲長隄、以通南北、則葑田去而行者便矣、隄成、杭人名之曰───」
戰國の時の縱橫家、洛陽の人、秦の惠王に說きて用ひられず、往きて燕·趙に說きて六國の合縱を策し、同盟して秦を拒がしめ、自ら六國に幷せ相たり、後、縱約は張儀の爲めに破らる。
字は明允、老泉と號す、宋の眉州眉山の人、年二十七、始めて發憤して書を讀む、遂に六經百家の說に通じ、筆を下せば頃刻にして數千言を成す、至和中、二子軾·轍を携へ京に到る、翰林學士歐陽修、その文を見て之を愛し、以て賈誼も過ぎずと爲す、治平三年殁す、年五十八、著すところ、蘇老泉先生全集あり。
字は子瞻、父洵四方に遊學す、母程氏親ら授くるに書を以てす、弱冠にして博く經史に通じ、文を屬すること日に數千言なり大理評事簽書に除す、軾爲る所ろの詩、忌諱に觸れ死に處せられんとす、神宗之を憐み、黃州團練副使を以て安置す、室を東坡に築き、自ら東坡居士と號す、哲宗の時、召還せられ、翰林學士·兵部尙書に累官す、卒する年六十、大師を贈り、文忠と諡す、著すところ東坡全集一百十五卷あり、軾の文、縱橫奔放、百世に雄視す、詩も亦飄逸にして不羣なり、兼て書畫に工なり。
よみがへる。=囘生·更生·蘇活。
錢塘の名妓の名。轉じて廣く藝妓の稱とす。吳地記「嘉興縣前有晉波───墓」=蘇小。
氣のつくる貌。又、恐れて安んぜざる貌。又、躁ぎ動く貌。易、震卦「震──」
苦をのがれていこひやすむ。書經「后來其蘇」傳「待我君來、其可──」宋史、陳良傳「陸興初與金人約和、天下忻然、幸得──」
蘇軾(東坡)をいふ。長とは洵の長男にて轍の兄なるが故。
蘇秦は六國の君に游說し、合從して秦に當らしむ。張儀は六國を連ねて秦に事へしむ。二人共に辯舌に長ず、よりて策士などの雄辯を稱していふ。杜甫詩「卻假───、高談周宋鐔」
字は子由、蘇洵の第二子にして軾の弟なり、年十九、父兄に隨ひ京師に至り、兄弟同じく進士の科に登り、歷進して尙書右丞と爲り、門下侍郞に遷る、徽宗位に卽き、出でて永州·岳州に知たり、崇寧中致仕し、室を許に築き、潁濱遺老と號し、また欒城と號す、政和二年歿す、年七十四、文定と諡す、著す所ろ、老子解·古史·詩傳·春秋傳·欒城集あり、轍、性安祥高潔、文その人と爲りに似たり。
國 觀賞用植物の一、梢頭に羽狀の葉を叢生す、性鐵氣を好む。=鳯尾蕉。
蘇軾を見よ。
字は子卿、漢の杜陵の人、武帝以て匈奴に使せしむ、至れば卽ち單于、之を降さんと欲す、武從はず、乃ち武を窖中に幽して、飮食を給せず、天雪ふる、武雪と氈毛とを併せ嚙みて、之を咽む、數日を經て死せず、匈奴以て神なりとす、乃ち武を北海上に徙して、羝を牧せしめて曰く、羝乳せば歸らしめんと、昭帝位に卽きて、武始めて還ることを得たり、匈奴に留ること十九年、始め往きしとき强壯なりしも、還るに及びて、鬢髮盡く白し、宣帝立ちて爵關內侯を賜ふ、年八十餘にして卒す、形を麒麟閣に圖せしむ。
蘇枋に同じ。
佛 梵語、須彌山 シユミセン の音譯。飜譯名義集「───、西域記云、唐云妙高、舊曰須彌」
聲のすぐれたるうそぶき、晉の孫登の故事。晉書、阮籍傳「籍嘗於蘇門山遇孫登、與商略終古、及栖神道氣之術、登皆不應、因長嘯而退、至半嶺聞其聲若鸞鳳之音響乎巖谷、乃登之嘯也」
蘇洵を見よ。
次條に同じ。
熱地に產する喬木黃花を著く、材は楊弓などに作り、其の削屑は赤紫色の染料とす。南方草木狀「──出九眞、南人以染絳」=蘇方·蘇芳·蘇木。
タク [藥]
○おちば、かれは。詩、豳風「十月隕─」○竹の皮。=籜。
ドク [屋]
─活 ドククワツ はししうど。=獨活。
バゥ [陽]
つとむ(勉)書、洛誥「汝乃是不─」
ヒン [眞]
うきくさの一、根は泥中に蔓延し、葉は四枚に分れ、田字の狀を成す、夏日、四瓣の小白花開く、萍の大いなる者、かたばみも、かつみ。詩、召南「于以采─」=田字草。
うきくさのはな。柳宗元詩「春風無限瀟湘意、欲采──不自由」
かたばみもと、もと。みづくさ。張九齡詩「──生南澗」=藻蘋。
うきくさと、しろよもぎと。左、隱三「苟有明信、澗溪沼沚之毛、──薀藻之菜(中略)可薦于鬼神、可羞于王侯」
うきくさの上を吹く風。吳樹珠詩「──蓼雨晚蕭蕭」
うきくさ。沈約、郊居賦「其水草、則──芡芰」
うきくさの上。宋玉、風賦「夫風生于地、起于靑蘋之末」陸贄賦「桂華不定、多因──之風」
磨の如くに讀む
─菇 マコ は菌類の一、わが椎茸に似たり、多く吉林に產す、而して寧古塔の產を以て美味とす〔吉林志〕=蘑菰。
ライ [泰]
○かげになる、おほふ(蔭)○くさよもぎ、蒿の屬。
ラゥ [皓]
かわかしたる梅實。
リン [震]
○ゐ、莞の屬、水田に生ずる草、葉は線狀を爲す、織りて席と爲す。=燈心草。○姓、─相如は戰國の時の趙の上卿。○─石 リセキ は城上の雷石、人に投ずべきもの。漢書鼂錯傳「具─石」
レキ [錫]
葶─ テキレ はいぬなづな、形芹に似て味はわさびに似たり、食用とす。
ロ [虞]
○あし、よし、葦の未だ秀でざる者「岸─」「碧─」「蒲─」○─菔 ロフ はだいこん。=蘿蔔·萊菔。○葫─ コロ はふくべ(瓠)○─薈 ロクワイ は藥草の一、薈(艸部十三畫)を見よ。
あし。常建詩「夜寒宿──、曉色明西林」
あしのめ。芽一に牙に作る。蘇軾詩「蔞蒿滿地──短、正是河豚欲上時」=蘆錐。
あしの生えたるきし。杜牧詩「煙影侵──、潮痕在竹扉」
あしの洲に下れるかり。陳造詩「聞道崔公作──、端如莊叟玩儵魚」
あしのはな。江總詩「──霜外白、楓葉水前丹」
あしのはひ。淮南子「女媧積──、以止淫水」
あしの穗のわたの如きもの。孝子傳「閔子騫、事親孝、後母生二子、衣之絮、衣騫以────」=蘆絮。
あしの葉を卷きたるふえ。李益詩「不知何處吹──、一夜征人盡望鄕」=蘆笛·胡笳。
あしのあるす。張九齡詩「別筵鋪柳岸、征棹入──」
あしかび、あしの根に生ずる筍に似たるもの。張籍詩「南塘水深──齊」=蘆錐·蘆牙。
あしのめばえ、尖りて錐 キリ に似る故。元稹詩「冰消田地──短、春入枝條柳眼低」=蘆牙。
鍾乳石の異名。
あしの穂の雪の如く白きをいふ。王良臣詩「風雁飛來更瀟灑、一枝──印波心」
あしの中の人。吳越春秋「伍子胥奔吳、至江、漁父渡之、見子胥有飢色、曰、爲子取餉、子胥乃潛身深葦中、有頃父來、呼之曰、───、───、豈非窮士乎」
あしの生えたるみぎは。周權詩「雁落──月未生」=蘆渚。
あしと、をぎと。司空曙詩「──湘江水、蕭蕭萬里秋」
あしぶえ。袁桷詩「我郞南來得小婦、──聲聲吹鷓鴣」=蘆笳·胡笳。
あしにて編みしかき。陸游詩「──蓬戶臥衰翁」
だいこん。=蘿蔔。一說に薺 ナヅナ の根。
①ロウ [東]
②ロウ [董]
①いぬたで、おほけたで(馬蓼)○草木のしげりおほふ貌「蒙─」
②─茸 ロウジヨウ はあつまれる貌。
聚まれる貌。司馬相如、大人賦「攢羅列聚、叢以──兮」
あつまりあふ。淮南、俶眞「繽紛──」注「──、聚會也」
17畫
アゥ [庚]
─薁 アウイク はえびづる、のぶだぅ、野生の蔓草、葡萄 ブダウ の一種、實は小にして酸味を帶ぶ〔本草〕=蘡舌·山葡萄·野葡萄。
ヰ [紙]
はな(花)華が榮える「花─」「紅─」「珍─」「落─」
エイ [霽]
しげる、おほふ、草木の盛んに茂る貌。
しげりおほふ。孫子「蒹葭林木──」=翳薈。
?(四○八頁一段)の俗字。
菊(一六四七頁一段)に同じ。
シャウ [陽]
○─蘼 シヤウビ はすべるぐさ、てんもんどう。○治─ チシヤウ はからよもぎ、菊の異名。○薔に同じ。
キョ [御]
○── キヨキヨ は形ある貌。又、自得の貌。○─然 キヨゼ は驚く貌。=瞿然。○─廬 キヨロ ははたごや。莊、天運「仁義先王之─廬也、止可以一宿、而不下以久處」=傳舍。○─麥 キヨバ はなでしこ。=瞿麥。
形ある貌。又、自得の貌。莊、齊物「昔者莊周夢爲胡蝶、栩栩然胡蝶也、俄而覺、則───周也」
瞿麥 クバク に同じ、なでしこ。
名は瑗、伯玉は字、衞の賢大夫、靈公に仕ふ、孔子衞に至りし時、其の家を主とす。淮南、原道「───年五十、而有四十九年非」
ゲツ [屑]
櫱に同じ
○きりかぶ、木を斫 キ り倒したるあとのかぶ。○ひこばへ、きりかぶより生ぜししんめ「由─」「萌─」
ジャウ [陽]
─荷 ジヤウカ はめぅが(茗荷)薑 シヤウガ に似たる菜、高二三尺、根より鱗狀の苞ある白花を生ず。
セン [銑]
こけ(苔)陰地に生ずる苔の一種「苔─」「蒼─」「綠─」=垣衣。
こけの生えたるがけ。
苔のはへたるきし。方干詩「──和纖草、松泉濺淺沙」
こけのはな。喩鳧詩「氣濛蛛網檻、聲疊──堦」
こけのあと。可止、哭賈島詩「暮雨滴碑字、年年添──」=蘚斑·蘚瘢。
こけの生えたるかき。李建勳、新竹詩「迴去侵花地、斜來破──」=蘚垣。
こけ。孟郊詩「古衣如──」=苔蘚。
こけの生えたる石段。陸游詩「──高攀不計程」
こけの石上に生じて斑を成すもの。胡儼賦「掃──而求古跡兮」
檗(九九二頁一段)の俗字。
ハン [元]
しろよもぎ(皤蒿)春生ず、食ふべし「蘋─」詩、周南「于以采─」
はこべ。=蘩蔞·蘩?。
ビ [支]
─蕪 ビブ は香草の一、をんなかづらのなへ、芎藭の苗。=薇蕪。
ラン [寒]
○香草の一、葉は細長く平行脈を具へ、根より叢生す、春日黃綠色の花開く、一莖一花にして香多きものは─、一莖數花にして、香少きものは蕙。琴操「─爲王者香」秋、花開くものを建─といふ、福建省に產するが故。○木─ モクラン は喬木の一、あららぎ、いちゐ、其の材は緻密にして紅色を帶ぶ。=杜蘭。○玉─ ギヨクラン は花の名、花は九瓣にして色白く微碧、春開く。○かたなかけ、やりかけ(兵架)○横に通ずる血脈。○姓。○まだら、斕に通ず。○─省は尙書省。─臺は御史臺の異稱。○─若 ランニヤ は佛寺。○和─ オランダ 國の略稱「─學」「─書」○可─ コーラン は囘敎の經典。
らんのはな。魏文帝文「俯折──、仰結桂枝」
木蘭 アララギ にて造りたるかぢ。屈原、九歌「桂棹兮──」=蘭槳·蘭櫂。
美くしき奧御殿。又太子の宮廷。郭正一詩「桂宮初服冕、──早升笄」
らんをうゑたるはたけ。離騷「旣滋蘭之九畹兮、又樹蕙之百畝」=蘭圃。
らんと、よもぎと。君子(蘭)と小人(艾)とに喩ふ。任昉文「火炎崑岡、神嶽崩潰、──同燼、玉石俱碎」
心を同くするまじはり、蘭の香の美くしきに比す。易、繫辭「二人同心、其利斷金、同心之言、其臭如蘭」李嶠詩「──聚北堂」=蘭契。
よき香の油。楚辭、招魂「──明燭、華容備些」
良友をいふ。浩虛舟賦「──方來、蕙生斯至」
國 和蘭 オランダ 國の學問。
らんのかをり。張正見詩「風移──入、月逐桂香來」=蘭香。
らんと、きくと。李綱、秋色賦「惟──之芬芳與松筠之茂密」
らんのよきかをり。駱賓王文「常山王之玉潤金聲、博望侯之──桂馥」=蘭芬·蘭馥。
蘭交に同じ。
らんをうゑたる園のこみち。韋應物詩「晴蝶飄──、遊蜂遶花心」
らんをうゑたるはたけ。徐賁詩「水鶴晴時行麥隴、園蜂暖處識──」=蘭圃。
○皇妃の御ねま、班固の西都賦「後宮則掖庭、椒房、后妃之室、蘭林、蕙草、披香發越」とあるに本づく。後漢書、后妃傳贊「班政──、宣禮椒房」=蘭省。○婦人の美くしきねや。王勃詩「自有──數十重、安知楡塞三千里」=蘭房·香閨。
かをりぐさ。蕙も蘭の一種。字解參看。後漢書、趙壹傳「被褐懷金玉、──化爲芻」
互に氣味の相投ずることば、駱賓王文「挹──於斷金、効蓬心於匪石」蘭交參看。
和蘭 オランダ 國の言語。
らんがくだけ玉が折れる、名士又は佳人などの死をいふ。世說、言語「毛伯成旣負其才氣、嘗稱、寧爲────、不作蕭敷艾榮」
文章の美くしきに喩ふ。謝靈運詩「淸辭灑──」
蘭も芷も皆香草、轉じて賢人美女などに喩ふ。後漢書、馮衍傳「播──于中庭兮」說苑「鮑魚──不同篋而藏」
木蘭 アララギ にて造りたる美くしきふね。薛士隆詩「桂枻──兮、泝洄翺翔」
氣味の相投ずるをいふ。倪謙文「心孚氣以──兮、結新盟于歲寒」
らんと、きくとのかをり。漢武帝、秋風辭「蘭有秀兮菊有芳」
蘭香の室、善人の居所にいふ。王融、善友奬勸篇頌「──改蓬心、栴崖變伊草」
佛 ○西竺にて人を譽める語。朱子語錄「王導爲相、只周旋人過一生、嘗坐客二十許人、逐一稱讚、獨不及西僧、徐謂僧曰、──」○てら。=蘭若。
國 奈良の東大寺正倉院御藏の名香、聖武天皇の命名、此三字中に東大寺の三字を含む。
名香の名。晉書、石崇傅「崇婢妾數十人、皆蘊──、被羅縠」
○尙書省の異名。白居易詩「──花時錦帳下、廬山雨夜草庵中」○皇妃の御ねま。=蘭閨。
木蘭にて造りたるかぢ。李嶠詩「萍葉沾──、林花拂桂旗」=蘭橈。
國 和蘭 オランダ 語の書物。
美くしき蠟燭。陳樵文「秉──以命客、慕西園之夜遊」=蘭燈。
○らんと、ばせをと。善きものと、あしきものとに喩ふ。釋無可詩「猿鶴同枝宿、──夾道生」○だんどくさぅ。=曇華。
蘭槳に同じ。梁簡文帝詩「桂檝──浮碧水」
蘭の芳香と、石の堅質と、節操の高きに喩ふ。三國志、注「生有──之姿」
らんのくさむら。楊巨源詩「會看春露濕──」
○楚王の宮殿の名。宋玉、風賦「楚襄王遊于──之宮」○後漢の世の官名。後漢書、百官志「──令史六百石」注「掌奏及印工文書」○漢代の帝室の文庫。後漢書、王允傳「悉收斂──石室圖書以從」○御史臺の異名。
らんの香を入れて沸したるふろ。歲華紀麗「大戴禮云、午日以──沐浴」
木蘭にて造りし船のかい。隋煬帝詩「泛泛輕搖──穩、沈沈寒影上仙宮」=蘭枻。
國 金魚の一種、體短くして圓く、頭廣くてし短く、脊鰭なし。
唐の太宗が王羲之の書せし蘭亭帖を愛し、遺命して共に棺中に入れて葬らしめたる故事〔書斷〕
晉の穆帝の永和九年春三月三日に、當時の名士四十一人、會稽山陰の蘭亭(浙江省紹興縣の西南二十七支那里に在り)に會し、曲水に觴を流して、禊事を修め、皆詩を賦し、王羲之これが序を作る。孟浩然詩「不及───、空吟祓禊詩」
らんのはたけ。張協賦「停輿蕙渚、稅駕──」=蘭苑·蘭畹·蘭疇。
美くしき燈籠 トウロウ 齊書、謝超宗傳「堂宇留光、──有時不照」=蘭釭。
てら、寺院。阿──の略。釋氏要覽「梵言阿──、唐言無諍」杜甫詩「──山高處、煙霞障幾重」
蘭と梅と。瑯嬛記「管夫人性嗜──、下筆精妙、不讓水仙」
蘭の芳ばしき香。宋書、樂志「濟濟多士、同玆──」=蘭芬。
○淸くかんばしきへや。阮籍詩「仙者四五人、逍遙宴──」○婦人の美くしきねや。劉孝綽詩「日暗人聲靜、微步出──」
らんのかをり。魏都賦「信陵君之名若──」=蘭香·蘭芳·蘭馨。
蘭を栽ゑたるはたけ。舊唐書、音樂志「桂筵開玉俎、──薦瓊芳」
蘭陵(江蘇省武進縣)にて造りたるよきさけ。李白詩「────鬱金香、玉椀盛來琥珀光」
舞樂の名、北齊の───長恭が五百騎を率ゐて周の師を金墉城下に擊破せし狀を象る。蘭陵は春秋時代楚の邑、今の山東省嶧縣の東の地。=羅陵王·陵王。
らんのつゆ。陳普賦「荷風──沐我以芳馨」
レン [鹽]
○蔓草の一、やぶからし、びんばふかづら。葉は五六裂し、夏四瓣の淡紅色の小粒花をむらがりつく、根莖を藥用とす。=薟。○白─ ハクレン は藥草、やまかがみ。
18畫
ゲゥ [蕭]
連─ レンゲウ はいたちぐさ、枝は蔓狀を爲し、春日、黃花を著く。=連翹·旱蓮子。
ホウ [東]
かぶら(蕪靑)=葑。
19畫
サン セン [陷]
ひたす、物を以て水に沾す、影が水にうつる。庾信賦「黛─油檀」
セイ サイ [青]
又、?に作る
○なます。細かに切る、あへもの、種種の味を合せ調へたる料理。○鹽づけの菜。
素食をいふ。朱松詩「讀書有味──好」
ビ [支]
○てんもんどう「薔─」○─蕪 ビブ は川藭 ヲンナカヅラ のなへ。古詩「上山采─蕪」
ラ [歌]
○つた、かづら「女─」「蔦─」「綠─」○つのよもぎ(莪蒿)○─蔔 ラフク はすずしろ、だいこん。=萊菔·蘆菔。○海─ カイラ は海の藻。
さるをがせ。=女蘿·松蘿。
つたのしげりたるこみち。林逋詩「片月通──、幽雲在石牀」
つたにかかれる月。沈佺期詩「夕臥深山──春」
つたかづらのからめるのき。孟浩然詩「苔澗春泉滿、──夜月閑」
つたのからめるまど。宋无詩「──月自縣」
つたかづらのからめる竹やぶ。方干詩「蘚榭莎亭──陰」
つたのからみたる石だんのみち。姚鵠詩「──靜攀雲共通」
だいこん。=蘿蔔·蘆菔·萊菔。
前條に同じ。
ががいも。山野に自生する宿根蔓草、葉は先端の尖れる橢圓形にして對生し、夏、紫色の小花さく、莖·葉共に白汁を出す、實の長さ二三寸、長毛を有す、採りて綿の代用とす。
つたかづら。盧綸詩「松高──輕、中有石牀平」
リ [支]
○まがき、かき、かこひ(藩)=籬。○川芎 センキウ のなへ。=江蘺·蘼蕪。
ルヰ [紙]
かづら。=藟。
1畫
①ルヰ [支]
②ラ [歌]
①かづら、草木の蔓。
②ふご、もっこ、土を運ぶかご。孟、滕文公「反─梩而掩之」(梩ももっこ)
虀(本頁一段)に同じ。