黍部
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ショ [語]
○きび、もちきび、五穀の一、禾の黏 ネバル するもの、蘆に似て高さ丈餘に至り、秋、穗を生じ、實を結ぶ、實は赤·黃·黑の數種あり(黍はもちきび、稷はうるちきび)○古、─の粒を單位として、物の輕重を量りしより、最少の重さの稱とす、百─を一銖とす。○角─ カクシヨ はちまき(茅卷)黏米を裹 ツツ みて之を作る、楚の俗、五月五日に汨羅の水に投じて屈原を祭る。=粽。
きび。白虎通「涼風至、──乾」=禾黍。
きび。淮南子「食芻豢、飯──」
もちきびと、うるちきびと。書、君陳「──非馨、明德惟馨」
もちきびと、いねと。韋莊詩「早霧濃於雨、田深──低」
もちきびにて作りし酒。陸游詩「──新壓野雞肥」
トシ恩に浴せんと望むことの切なる喩。晉語「子餘使公子賦黍苗曰、重耳之卬君也、若黍苗之卬陰雨也」もと詩、小雅「芃芃黍苗、陰雨膏之」より出づ。卬は仰。
蚊の異名〔中華古今注〕
國滅びて宗廟宮室の墟の空しくきび畑となりしなげき。詩、王風、黍離「彼黍離離、彼稷之苗」(離離は穗の垂れる貌)
量の極めて少なきをいふ。十黍を絫とし、十絫を銖とす。漢書、律歷志「權輕重者、不失──」(少しの閒違 マチガヒ もなし)
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レイ リ [齊]
○くろし(黑)書、堯典「─民」傳「─黑也、─民黑髮之人」=黧。○ころほひ、ころ「─明」=邌。○おほし、もろもろ(衆)詩經「羣─百姓」○藜に同じ「蒺─」○瓈に同じ。梁四公記「賣碧頗─鏡」
豆腐 トウフ の異名。陸游詩「洗鬴煮──」自注「──蜀人以名豆腐」
もろもろのたみ、元は善、人は皆善なるものの義(一說に黎は黑、元は首なり、黔首に同じ)漢書、郊祀志「每擧其禮、助者懽悅、大路所歷、──不知」
黎民中の賢者。書、益稷「至于海隅蒼生、萬邦──、共惟帝臣」
うすぐろし。荀子「顏色──、而不失其所」
黎民に同じ。周興嗣、千字文「愛育──」
もろもろのたみ。韓詩外傳「──歡樂、衍盈方外」=庶黎。
黎庶に同じ。曹植文「流餘祚于──」=黎元。
もろもろのたみ(衆民)黎は衆。一說、黎は黑、庶民は冠を著けずして黑髮をあらはすが故。書、堯典「──於變時雍」=黎首。
あけがた。黎は比 コロホヒ 明くる頃。一說に黎は天の色の黑 クラ き義。史、高祖紀「──圍宛城三帀」
老人をいふ。國語「今王播棄──」注「黎、凍梨 シミ 壽徵也」古、黎、梨通ず、老人の面色凍梨の如きなり。
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デン ネン [鹽]
粘は俗字
○つく(相著)ねばりつく。戰國策「膠漆至─也」○ねばらす。○ねばる。○ねばり、ねばり氣のあるもの、粥 カユ 糊 ノリ 黐 モチ 膠 ニカハ など。
心理學の名詞、古、希臘人、冷性の人を稱していふ、其の人黏膜液に富むが故にいふ、この質の人は容易に物に感動せずといふ。
ねばりつく。周禮、注「謂泥不──輻也」釋名「念、黏也、意相親、愛心──、不能忘也」
ねばつち、地質學の語。韓愈詩「土脈膏且黏」
地質學にて黏土が凝結して成れる岩石中炭質を含むもの、故に多くは灰色又は黑色を爲す、石版·硯·碁子などを製するに適す。
生理學にて內腔の表面を掩蔽する薄き膜、色紅にして滑潤なり。肋膜·胸膜など。
物理學にて兩種の物體、其の表面の小部分が互に相吸引する力をいふ。=點著力。
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チ [支]
もち、とりもち、主として鳥を捕るに用ふるねばりけある物、冬靑 モチノキ の樹皮をつきて製す。
鳥を捕ふるに用ふるもち。陸游詩「劒南作客歲再淹、正如病翼遭──」
細葉冬靑 ホソハノモチノキ の異名、其の樹皮にてとりもちを製するが故。