魚部
0畫
ギョ ゴ [魚]
○うを、いを、鱗 ウロコ や鰭 ヒレ のある水族「池─」「海─」「大─」「生─」「枯─」易、中孚「豚─吉」○官吏の身に佩びる魚の形せるおびもの。金史、輿服志「親王佩玉─、一品至四品佩金─、以下佩銀─」遼史、興宗紀「緋衣銀─」○われ。吾に通ず。列、黃帝「姬─語女」(姬は居)○獸の名。其の皮は以て物を飾るべし「丨服」○兩目の白き馬。詩、魯頌「有驔有─」○蠹─ トギヨ は衣帛、又書紙中に生ずる小蟲、しみ。
魚苗の稍大いなる者。
鯨·鰯などの魚類より採りしあぶら。雞肋編「食──頗腥氣」
うをの腸。爾雅「魚枕謂之丁、魚腸謂之乙」一說、魚の腮の骨、形乙字に似たりと。
魚や鹽の多くあつまるむら地。陸游、雜詩「海上───、烟中雞犬聲」
うををすなどり、しほを煮る仲閒。孟、吿子「膠鬲擧於────」
うををすなどり、しほを製する利益。史、齊太公世家「通商工之業、便────、而人民多歸齊」
俗 さかな問屋牙は仲買、口入の義。=魚牙子。
うをと、えびと。赤壁賦「侶──而友麋鹿」=魚蝦。
うをと、かひと、魚類と貝類と。
うをと、かにと。北史、魏宗室傳「秋冬獵雉兔、春夏捕──」
うをのしほから。禮、內則「麋膚──」
○うをのめ。王維詩「鰲身映天黑、──射波紅」○玉に似て非なる者。東方朔、七諫「貫──與珠璣」=魚目。○湯の沸きて泡の立つ形容。李羣玉詩「灘聲起──、滿鼎漂淸霞」=蟹眼。
てがみ。戴復古詩「天邊──幾浮沈」=書札。帛書(五六六頁三段)參看。
羣れるうをが亂れちる。甚だしく敗れて亂れ走る形容。隋書、楊素傳「兵刃蹔交、鳥散──」
魚を串に貫きたる如く、引き連りて進む。魏志、鄧艾傳「將土皆攀木緣崖、──而進」
魚の形せし黃銅製の水雷、水雷艇より發射して敵艦を爆沈するに用ふ。=魚雷。
魚獸の皮にて飾れる諸侯の夫人の車。左、閔三「齊侯歸夫人──」
紙の異名。韓愈詩「書饒罄──」
れふしの家、魚を捕ふる人の家。蟹譜「錢氏閒置──蟹戶」=魚家·漁家。
○河豚の類。はりせんぼん。○翡翠 カハセミ の異名。=魚狗。○しゃちほこ。頭は虎に似て背に刺 トゲ あり、勇猛の狀を爲す想像上の魚。=鯱。
翡翠 カハセミ の異名〔本草綱目〕
魚のいけす。
ふかのひれ、沙魚の鰭 ヒレ 食品とす。
うをのこ。杜甫詩「細雨──出、微風燕子斜」=魚子·魚苗。
外貌は龍の如くいかめしけれども、實質は魚なり。事の是に似て非なるに喩ふ。抱朴子「────、似是而非、遭水而喜、見獺卽悲」
鮫魚 サメ の鬚 ヒゲ 古、用ひて竹を飾り以て笏を製す。禮、玉藻「笏、天子以球玉、諸侯以象、大夫以──文竹」
○うをと、みづと。君臣の相得るに喩ふ。蜀志、諸葛亮傳「先主曰、孤之有孔明、猶魚之有水也」=水魚之交。○夫婦の關係にもいふ。管、小問「詩有之、浩浩者水、育育者魚、未有室家」
君臣相得て親む。前條參看。杜甫詩「稍令社稷安、自契───」
君臣の深きちぎり。劉備と諸葛亮との故事。岑參詩「感通君臣分、義激───」魚水參看。
生魚の膾 ナマス 南越筆記「粵俗嗜──、以鱸以鱮云云」粵は越。
漁家に課する稅。=魚賦·魚課·魚租。
なまぐさし。うをの臭氣。李綱詩「江村合巿厭──」
うをと野菜と。韓維詩「提攜上樽酒、饌不過──」
うををすなどる四っ手あみ。杜甫詩「野食待──」
魚類に同じ。
魚の形の袋にて、官吏の佩ぶる物。舊唐書、輿服志「咸亨三年五月、五品以上賜新魚袋、竝飾以銀」
うをのむれ。陸龜蒙詩「鳥行沈莽蒼、──破泓澄」=魚羣。
魚がくさる。論、鄕黨「──而肉敗不食」=魚爛。
○うをのはらわた。爾雅「魚枕謂之丁、──謂之乙、魚尾謂之丙」(丁·乙·丙とはこの三字の篆書の形に似たるが故)○古の寶劍の名。吳の闔廬が用ひて王僚を弑せし者。
うをと、とりと。嵆康、絶交書「游山澤、觀──、心甚樂之」
國 魚田樂 ウヲデンガク の略、魚に味噌をつけて炙 アブ りたる料理。
○魚とにくと。魚と獸肉と。○魚や肉をきる如く斬り殺される義。史、項羽紀「樊噲曰、如今人方爲刀俎、我爲──、何辭」史、張儀傳「毋爲秦所──也」
魚と肉との如くに斬り殺される。前條參看。
○ ウヲコユ 魚がこえふとる。歐陽修、醉翁亭記「溪深而──」○ 國 さかなごえ、鯡 ニシン 鰯 イワシ などにて製せし肥料。
えびら。魚獸の皮を張りてつくりし箙。詩、小雅「四牡翼翼、象弭──」
水中に溺死する、水死する。屈原、懷沙賦「寧赴常流而葬乎江魚之腹中耳」
○魚と米と。晉書、劉超傳「超家貧、妻子不贍、帝手詔襃之、賜以──、超辭不受」白居易詩「何況江頭──賤、紅鱠黃橙香稻飯」○魚を米に代へて食ふ。田澄詩「地富魚爲米、山芳桂是樵」
池に養ふ魚兒、蔬穀の苗に比していふ。癸辛雜識「江州等處水澤産──、地主至夏皆取之、出售以此爲利」=魚秧。
うをと、すっぽんと。中庸「黿鼉蛟龍──生焉」
うをを捕ふるあみ。詩、邶風「──之設、鴻則離之」=魚罔·漁網。
魚を捕らへんとして網を張りたるに鴻がかかる。求むる所の物を得ずして、反りて求めざる者を得たる喩。詩、邶風「魚網之設、鴻則離之、燕婉之求、得此戚施」(燕婉は美人、戚施は醜惡の人)
魚の目と燕山の石と、皆珠に似て非なるもの。虛僞の眞を亂るに喩ふ。韓詩外傳「白骨類象、魚目似珠」韓愈文「裹燕石而履玄圃、帶魚目而游漲海、祇取誹耳」(玄圃·漲海は珠玉の多く出づる處)
魚がはねおどる。詩、大雅「鳶飛戾天──于淵」
うをの形せる錠 ヂヤウ 芝田錄「門鑰必以魚者、取其不瞑目守夜之義」
みさご。元史、順帝紀「俄有──羣飛啄食之」=睢鳩。
魚形水雷に同じ。
うをくさる。國家の內部より潰亂するに喩ふ。公羊、僖十九「──而亡」荀悅、列侯傳「百姓一亂、則──土崩、莫之匡救」
隊形の圓くして少しく長き陣法、羣魚の附麗して進むが如き義。左、桓五「爲──之陳、先偏後伍、伍承彌縫」
○うをのうろこ。呂覽「山雲草莽、水雲──」○うろこの如く相次ぎて竝ぶ。史、淮陰侯傳「雲合霧集、──雜遝、熛至風起」○陣だての形の一。漢書、陳湯傳「夾門爲──陣」
魚の鱗を比べたるが如く、又、鶴の翼を張りたるが如き陣形゜唐太宗文「躬擐甲冑、親當矢石、夕對魚鱗之陣、朝臨鶴翼之圍」
川の水を堰 セ きて魚を捕ふるやな。孟浩然詩「水落──淺、天寒夢澤深」
魚と龍と。周禮、大司徒、注「鱗物、──之屬」
水中に棲む冷血動物、多くは角質の鱗 ウロコ を有し、鰭 ヒレ と體筋とにて游泳し、鰓 エラ にて呼吸し鰾 ウキブクロ にて體重を加減して浮沈す。=魚族。
うろこの如くに相次ぎてならぶ。後漢書、袁紹傳贊「──漢軸、雲屯冀馬」
筌は竹にて作れる捕魚の具、すでに魚を得て仕舞へば最早筌に用は無し。學問が成就すれば書籍は不用となる如くすべて事物の本を得れば末をば忘るるも可なりとの義。莊、外物「筌者所以在魚、─────」傳燈錄「得意而忘言、悟理而遺敎、亦猶─────、得兔而忘蹄」
魚を烹る。韓詩外傳「──煩則碎、治民煩則散」
驅逐するに、其の方法を誤れるに喩ふ。以肉去蟻(一五五七頁一段)を見よ。
池の魚がたはむれて、新らしく生ぜし蓮の葉がゆれうごく。謝朓、游東園詩「遠樹瞹芊芊、生煙紛漠漠、─────、鳥散餘花落」
人は利のために生命を失ふに喩ふ。晉書、段灼傳「臣聞──────、勇夫死於重報」
生存すと雖も久しからざるに喩ふ。通鑑、漢順帝紀「愚人相聚偸生、─────、知其不可久」
魚は水に乘りて行く、物は各恃む所あるに喩ふ。說苑「───、鳥乘風、草木乘於時」
1畫
アツ [黠]
ぎぎ、げばち(??·黃顙魚)
2畫
タゥ トウ [豪]
鱴─はたちうを、えつ、だつ。=鮆魚。
〔國字〕
ゑり、水中に箔 ス を竝べ立てて魚を入れて捕ふる仕かけ。=簄·魚箔。
4畫
カイ [卦]
かれひ。=比目魚。
①グヮン [旱]
②ゲン [元]
①─斷 ゲンダン はまろくかどなし、圭角なき貌。莊、天下「不免於─斷」
②おほうみがめ。=黿·大鼈。
ケフ [葉]
ほしうを、ひもの(枯魚)めざし、竹を以て魚を貫きて乾したるもの。
サ [麻]
○さめ(鮫魚)○はぜ。=鯊。
ダフ ナフ [合]
さんせぅうを(鯢)兩棲動物の一。益部方物志「─魚、出溪谷及雅江、有足能緣木、其聲如兒啼」
トン [元]
本、豚に作る
河─ カトン はふぐ。=河豚。
ハゥ [陽]
をしきうを。本草「─魚一名鯿魚、小頭縮項、穹脊闊腹、扁身細鱗、其色靑白、腹內有肋、味最肥美」
をしきうをの尾はもと白し、而るに其の赤きは勞するの甚だしきなり。以て人の勞苦の甚だしきに喩ふ。詩、周南「────、王室如燬」
國 一種の海魚、背部は淡黑色、腹部は白色、體側に樺色の斑點を有す、肉は白く味淡く美なり。=竹麥魚。
ハン [潸]
かれひ。=比目魚·版魚。
ロ [麌]
○おろか、にぶし「─鈍」「愚─」論、先進「參也─」○すなほ(樸直)「朴─」「椎─」○國の名。周武王、其の弟周公旦を封ぜし國にて曲阜に都す、後、楚に滅ぼさる。今の山東省兗州府地方。
魯と衞との政事の能く相似たるをいふ、孔子の語〔論、子路〕
魯の國に產する薄く細かなるしろ絹。漢書、韓安國傳「彊弩之末力、不能入──」注「縞、素也、曲阜之地、俗善作之、尤爲輕細、故以取喩」
魯と魚とは、字形相似たるに因りて誤る、形の似たる文字を誤るにいふ。抱朴子「諺曰、書三寫、魯爲魚、虛爲虎」=焉馬之誤。
葚ミの少き一種の桑。王楨農書「荊桑多葚、──少葚」
魯の國より岀だす、よくきれる小刀。周禮「鄭之刀、宋之斤、魯之削、吳越之劍、遷乎其地、而弗能爲良、地氣然也」削は書刀、古、未だ紙あらざりし時、小刀にて木を削りて書す。
魯酒は味の薄き酒、人の爲めに意外の禍を蒙るをいふ。莊、胠篋「───────、聖人生而大盜起」釋文「許愼注淮南云、楚會諸侯、魯趙俱獻酒於楚王、魯酒薄而趙酒厚、楚之主酒更求酒於趙、趙不與、吏怒、乃以趙厚酒、易魯薄酒奏之、楚王以趙酒薄、故圍邯鄲」
孔子をいふ。蘇軾詩「空餘──乘桴意」叟は長老の稱。
下の故事に本づきて、人の女色を好まざる者をいふ。詩、小雅、巷伯篇、毛傳「魯有男子、獨處于室、鄰人?婦又獨處于室、夜暴風雨至、而室壞、婦人趨而託之、男子閉戶而不納(中略)婦人曰、子何不若柳下惠然(中略)男子曰、柳下惠固可、吾固不可、吾得以吾不可學柳下惠之可、孔子曰、欲學柳下惠者、末有似於是也」
戰國の時の齊の辯士、秦軍の趙の邯鄲を圍むや、魏、新垣衍をして趙に說き秦を帝とせんとす、仲連、衍を見て曰く、彼れ若し帝とならば、連、東海を蹈んで死せんのみと、秦軍これを聞きて卻く。史、魯仲連傳「───者、齊人也、好奇偉俶儻之畫策、而不肯仕宦任職、好持高節」左思、詠史詩「吾慕───、談笑卻秦軍」
おろかにしてにぶし。晉書·皇甫謐傳「豈我居不擇隣、敎有所闕、何爾──之甚也」=愚鈍·癡鈍。
魯般は周代、機械を作るに巧なりし人、雲梯は雲までも逹する梯子 ハシゴ にて攻城の具。淮南、脩務「楚欲攻宋、墨子聞而悼之、見楚王曰、臣見大王之必傷義而不得宋、王曰、公輸天下巧士、作爲雲梯之械、設以攻宋、曷爲弗取、墨子曰、令公輸般設攻、臣請守之、於是公輸般設攻宋之械、墨子設守宋之備、九攻而墨子九卻之、弗能入、乃偃兵不攻、公輸、魯般也」
おろかにして飾なし。朴は樸。杜陽雜編「──未嘗嫻人臣禮」
天日を招きかへしたる故事、勢力の盛んなるにいふ。淮南、覽冥「魯陽公與韓構難、戰酣方暮、援戈而麾之、日爲之反三舍」魯陽は今の河南省魯山縣の治。
後漢の王延壽の作、漢の景帝程姬の子恭王餘の立てたる魯靈光殿の賦、文選賦類に載す。世說、汰侈「劉威碩在蜀、車服飮食、號爲侈靡、侍妾數十、能爲聲樂、悉敎誦讀─────」
論語に齊論·古論·──の三種あり、──は魯人の傳へしもの、後世論語の異名とす。何晏、論語集解序「安昌侯張禹、本受──、兼講齊說、善者從之、號曰張侯論、爲世所貴」宇文虛中、時習齋詩「──二萬二千字、悟入從初一句中」
鰤(魚部十畫)に同じ。
國かます。海魚の一、觜尖りて鋒の如く、身圓く肥えて長し、多く乾魚 ヒモノ とす。=梭魚。
鱸(魚部十六畫)の俗字。
〔國字〕
なまづ(鮎)
5畫
イウ イク エゥ [有]
○だぼはぜ。○黃─はかじか(杜父魚)の類。
イウ [尤]
はえ。=鮂。
カフ [洽]
─鰈 カフタフ は鱗の多く竝べる貌。又、裝飾の重なれる貌。潘岳、笙賦「─鰈參差」
サ [馬]
○すし、つけうを(鮨)魚を鹽、又糟につけたるもの、おしずし。痷魚·糟魚の類。○ 國 すし、煮たる野菜·魚などを雜へたる飯に酢 ス を加へしもの。
シウ [尤]
はや、はえ(鯈)=鮋。
セイ シ [薺]
たちのうを(刀魚)えつ、身狹く薄くして頭長く恰も刀形をなせる一種の魚。=鱭。
セイ シャウ [靑]
○なまぐさし(魚臭)○ 國 さけ(鮭)
タ ダ [歌]
○沙を吹く小魚、すなふき、鯊 ハゼ の類。本草圖經「─魚生湖畔土窟中」○人名。論、雍也「祝─之佞」
タイ イ [灰]
○ふぐ(河豚)海魚の一、腹白くふくれて大いなり、背に帶黃靑黑色の斑點あり。=河豚。○としより、老人。皮膚にふぐの斑點に似たるしみを生ずるが故「耇─」
老人の稱。人老ゆれば、背に鮐 フグ の如きしみを生ずるが故。釋名「九十曰──、背有鮐文也」鮐一に、台に作る。詩、魯頌「黃髮台背」
デン ネン [鹽]
○なまづ(鯰·鮧)淡水魚の一、體圓くして長く、頭扁にして大、背黑く、腹白く、口邊に長き鬚あり。○ 國 あゆ(年魚)淡水魚の一、味尤も美なり。=香魚。
ハゥ [巧]
○くさりうを、ひらきうを、しほうを。○姓。齊語「─叔牙、齊大夫」○ 國 あはび(蚫)=石決明。
ひものを賣るみせ。小人などの集れる所に喩ふ。家語、六本「與不善人居、如入────、久而不聞其臭、亦與之化矣」(惡人と交るときは知らず識らず惡に化せらるるに喩ふ)
劉宋の詩人鮑照(字は明遠)臨海王の子瑱の荊州を治めし時、照其の參軍たり、故にいふ。詩は謝靈運と名を齊うし鮑謝と竝稱す。杜甫詩「俊逸───」
ひものをうるみせ。鮑魚之肆の略。轉じて、くさき所の義。抱朴子「俗儒沈淪──、困于詭辯」
鮑參軍を見よ。
ヒツ [質]
○ます(鱒)○むつ、かはむつ(石鮅魚)
フ ホ [遇]
○ふな、淡水魚の一、形鯉に似たり。=鯽魚。○人名、孔─は秦の時の人、孔子九世の孫、孔叢子を著す。
ヘイ [庚]
ひらめ、海魚の一、體扁平にして菱形をなし、右側は白く、左側は灰黑色にして兩眼あり、比目魚 カレヒ の類。
〔國字〕
このしろ。=鰶(魚部十一畫)
6畫
イ テイ [支]
○おほなまづ(大鮎)○鱁─ チクイ は魚のはらわたのしほから(鹽藏の魚腸)
ヰ イウ [尾]
しび、まぐろ(金鎗魚)海産の大魚、口は頷下に在り、大なる者は六七尺、背は蒼黑色、腹は銀白色なり。詩、衞風「鱣─發發」
カゥ [肴]
○さめ、海魚の一、體は圓錐形にして厚き皮あり、尾鰭は刃の如く銳く、能く人を傷く、鰭 ヒレ と肉とは食用とし、皮は乾して物を磨く料とし、又、刀のつかなどを卷くに用ふ。=沙魚。○みづち。蛟に通ず「─龍」
さめの皮のよろひ。左思、吳都賦「扈帶──」
水中に居るといふ怪しき人、海人 アマ の類。述異記「南海中有──、水居如魚、不廢機織、其眼能泣、泣則成珠」木華、海賦「其垠則有天琛·水怪·──之室」
クヮイ [灰]
○鮎 ナマヅ に似て大いなる一種の淡水魚、長き者は三四尺に至る、色は靑白背に肉鬐あり、鱗なし、膾と爲すべし。○ 國 はえ(鯈)
①ケイ [齊]
②カイ [佳]
①ふぐ(河豚)王充論衡「─肝死人」○ 國 さけ、しゃけ、河海の閒に產する魚、形鱒 マス に似て鱗細く、秋、河にさかのぼりて卵を産す、肉は淡紅色にして脂肪多し。
②調理せし魚菜の總稱「─菜」
①シ [支]
②キ [支]
①しび(鮪)○魚のししびしほ(魚醬)
②つけうを、魚のすし(鮓)
ジ ジュク [支]
○はららご、魚の子の未だ魚とならざるもの、魚のたまご。○魚の名。呂覽、本味「魚之美者、洞庭之?、東海之─」
鯗(魚部八畫)の俗字。
①セン [先]
②セン [銑]
①あざやか、はなやか(華)あきらか(明)「─明」「澄─」いさぎよし(潔)○なまうを(生魚)○鳥獸の新に殺したる者「─肉」「肥─」儀禮、士昏禮「腊必用─」○よし(善)みめよし(好)○なま(生)○あらた、あたらし「新─」○─卑 センヒ は後漢の時の東胡の國名。今の黑龍江の南、吉林の西北境。○朝─ テウセン は國の名。風俗通「武王封箕子於──」
②すくなし(少·寡)=尟·尠。論、學而「巧言令色、─矣仁」○まれなり(罕)○とぼし(乏)○つく(盡)
同訓異義
スクナシ 鮮·少·寡·尠·尟の別は少(五二二頁三段)の條を見よ。
あざやかなるころも。漢書、婁敬傳「虞將軍欲與──」
元の漁陽の人、字は伯機、酒を嗜み、驁放にして詩を吟ず、字を作るに奇態横生、行草を善くす、趙文敏極めて之を推重す。
あざやかなるくも。陸機詩「和風飛淸響、──垂薄陰」
あざやかにかがやく。陳書、高祖紀「有龍見于水濱、高五丈許、五采──、軍民觀者數萬人」
あざやかにうつくし。瑯嬛記「天寶十三年宮中下紅雨、色若桃花、太眞喜甚、命宮人各以椀杓承之、用染衣裙、天然──」
あざやかにしてうつくし。曹植、飛龍篇「忽逢二龍、顏色──」
あたらしきさかな。摯虞賦「羨──之柔嘉」
あきらかなるひかり。文同詩「──散淸滴」
あたらしきうを、新鮮なる魚。儀禮、聘禮「──鮮腊」
あたらしくうつくしきはな。陳子昂詩「細景猶含綠、──未吐紅」
あざやかにしてはなやか。隋書、陸瓊傳「性謙儉、車馬衣服、不尙──」
あたらしきなます。梅堯臣詩「魚穿楊柳誇──」
あたらしきちしほ「──淋漓」杜牧詩「曉日殷──」
あざやかにいさぎよし。曹植文「衣裳──」
善き原野の地。詩、大雅「度其──、居岐之陽」
うつくしきよそほひ。秦觀詩「──耀淥酒」
あたらしきいけにへ。宋史、禮志「取──而祭廟俎所以昭敎德也」
あざやかにしてあたらし。韓愈詩「是時山水秋、光景何──」=新鮮。
あざやかにきよし。書經、疏「以其新殺──、故名爲鮮」
あざやかにひかる。梁洽文「表裏洞徹、上下──」
うつくしく立派なる車と、勢たくましき馬と。後漢書、第五倫傳「蜀地肥饒、人吏富實、掾史家貲多至千萬、皆────、以財貨自達」
あざやかなる色。謝靈運詩「朽貌改──、悴容變柔顏」
新に殺したる鳥獸の肉食。書、益稷、傳「鳥獸新殺曰鮮」
あざやかなるかざり。魏武帝文「孤不好──」
あざやかに盛んなり。詩經、疏「──者爲雄、雄曰虹、闇者爲雌、雌曰蜺」
あたらしくしてなまぐさし。論衡「──猶少壯、燋熟猶衰老也」
すくなし。=尠少·些少。
あざやかにしげく盛んなり。楊載詩「桃李角──」
鮮は善、腆は厚、自ら尊大にする。蘇軾、畱侯論「倨傲──而深折之」
あざやかに白し。黃汝良賦「皎精明而澄澈、皓──而含章」=純白。
あたらしくしてこえたる肉。黃庭堅詩「煩公遣騎割──」
古、支那の北方に住みし夷族、魏の祖先にして黃帝軒轅氏より出づ。後漢書、鮮卑傳「──依──山、故因號焉」
○筆力があざやかにしてやさしくうつくし。法書要錄「筆力──、紙墨淸新」○景色があざやかにしておだやかに美くし。劉長卿詩「此行季春月、時物正──」
うつくしききもの。劉基詩「郭北有宕子、──明春閨」=鮮衣。
うつくしきもやぅ。魏文帝文「冬則羅紈綺縠、衣疊──」
あざやかなるけ。齊書、庾易傳「終歲──之衣、馳騁日月之車、得保自耕之祿」
○はなやかにうつくし。聞見後錄「王陽車馬極──」○あざやかにはっきりする。溫庭筠詩「微風和暖日──」○明かにしてまぎらはしからず「旗幟──」
あたらしきこひ。七發「薄耆之炙、──之鱠」
あざやかにうるはし。南史、何敬容傳「白晳美鬚、性矜莊、衣冠──」
たぐひ少し。揚子法言「顏淵以退爲進、天下──焉」
すくなきこと、嘆息する辭。潘岳、籍田賦「昔者明王以孝治天下、其或繼之者、──希矣」
物の少きを極言する辭。論、學而「巧言令色──仁」
ハゥ ヘイ [梗]
○みごひ、淡水に産す、形鯉に似て體圓く色白し、味鯉より劣り、小骨多し、一名、さい。=白魚。○ 國 あみ。
〔國字〕
─鱇 アンカウ は海魚の一、頭は扁圓にして、肉厚く腹大いにして尾細長く、形琵琶に似たり、口は甚だ大きく、口上に釣絲を垂れたる如き兩鬚あり、背は淡褐色にして腹は稍白し、肉は冬春を美なりとす。=琵琶魚·華臍魚。
〔國字〕
○まて(竹蟶)海產の介の一種。○こち(鯒)=牛尾魚。
〔國字〕
おほぼら、とど、鯔 ボラ の十分に成長せしもの。
7畫
イゥ チウ テゥ [尤]
はえ、香魚に似たる川魚。莊、秋水「─魚出游」=鰷·鮠·參條魚。
カゥ [梗]
○魚のほね。=骾。○魚骨が喉 ノド にたつ。○ふさがる。=梗。○轉じて正直にして直言し、人にへつらはず。後漢書、來歙傳「骨─可任」註「骨─喩正直」
はばからずして正言する。唐書、岑虞傳贊「文本才猷、世南──」
剛直にしてつよし。唐書、盧景亮傳「書數上、──無所囘」
○正しき言論。後漢書、任隗傳「──直議、無所囘隱」=讜言。○はばからずして正しくいふ。又、其の言。晉書、王恭傳「王恭──時政、有昔賢之風」=直言。
剛直なる人。皮日休詩「──殘形知幾秋」=骨鯁。
剛直にしてただし。唐書、蕭倣傳「倣、以──爲權近所忌」=鯁直。
剛直にして誠實。唐書、薛逢傳「持論──、以謀略高自標顯」
つよくただし。北史、李文傳「性貞介──、好學不倦」=梗直。
剛直なる輔佐の人。輔は助なり、弼なり。魏志、高堂隆傳「從命奔走、惟恐不勝、是則具臣、非──也」
剛直にしてはげし。魏書、李順傳「性──、敢直言」
剛直なる議論。宋史、范純仁傳「豈惟尊德尙齒、昭示寵優、庶幾──嘉謀、日聞忠吿」=讜論。
クヮン コン [潸]
或は鯶に作る
あめ、あめのうを。淡水魚の一、形長く四五寸許、背は暗蒼色にして黑色の斑點あり、腹は銀白色なり。靑─·白─の二あり、白きもの味美なり。=草魚·鯶魚。
コン [阮]
○おほうを(大魚)○人名。夏の禹王の父。書、堯典「於─哉」
サ [麻]
○はぜ、河海の閒に棲む小魚、形細長くして圓く、口ひろく鰓 アゴ 大きく、常に口を張りて沙を吹く、背は褐色にして黑き斑紋あり。=蝦虎魚。○ 俗 さめ(鮫)沙魚二字を誤り合して一字とせしなり。=沙魚。
鯊(前條)に同じ。
サゥ·セゥ セゥ [肴]
○馬の鞭 ムチ に似たる一種の淡水魚、尾に兩歧あり〔本草〕○國たこ(蛸)章魚 タコ の形が蠨蛸 ササガニ に似たるによりて之を蛸といひ、更に訛 アヤマ りて─に作りしならん。=章魚。
テイ [齊]
おほなまづ(大鮎)=鮧。
テフ [葉]
○たなご(靑衣魚)○しほびきうを(鹽漬魚)漢書、貨殖傳「─鮑千鈞」一說、鹽を用ひずしてすぼしにしたる魚。
フ [虞]
いるか(江豚)の別名(海に在るを海豚といふ)「─?」太平御覽「魏武帝、四時食制曰、─?魚、黑色、大如百斤豬、黃肥不可食、出淮及五湖」
ベン メン [銑]
○にべ(鯼)海魚の一、長さ一尺餘、背は銀灰色にして黑き斑點あり、腹は淡黃色、其の鰾 ウキブクロ は鰾膠 ニベニカハ の原料とす。=黃花魚。○いしもち、にべの未だ十分に成長せざるもの。=石首魚。
リ [紙]
○こひ、鮒に似たる淡水魚、緋·黑·黃の三種あり、口邊に鬚あり、脇鱗皆三十六、每鱗に小黑點あり。=六六鱗。○てがみ、書札の義とす。熟語の鯉素を見よ。
陰曆九月の風。提要錄「九月───」李賀詩「門外流水江陵道、───起芙蓉老」
手紙をいふ。鯉魚尺素の略。古詩「客從遠方來、饋我雙鯉魚、呼童烹鯉魚、中有尺素書長跪讀素書、書中意何如、上有加飧飯、下有長相憶」とあるに本づく孔範、樂府「雁封歸飛斷、──還流絶」=雙魚·雙鯉。
こひのせなか。郝經、石榴詩「衝風倒影──搖、金瀾滉瀁靑環徧」
こひと、ふなと。急就篇「──·蟹·鱓」注「鯉卽今之鯉魚、鮒今鱝鯉也、亦呼爲鯽」
〔國字〕
鰊─はかずのこ、鯡 ニシン のはららごを乾したるもの。=靑魚鮞。
〔國字〕
うぐひ、淡水魚の一、形は鯇 アメノウヲ に似て鱗 ウロコ 細く、鰭やや赤く、長さ六七寸、あかはら、=石斑魚。
〔國字〕
すばしり(洲走)鯔 ボラ の二寸許なる者の稱、いなの若き者。
〔國字〕
こち、海魚の一、形は魴鮄 ハウボウ に似、頭大きく、口は橫に闊く、尾尖り、背は灰色にして腹は黃白なり。=牛尾魚。
〔國字〕
あさり(蜊の誤用)
8畫
エキ [陌]
○魚の名。○ 國 するめ、烏賊 イカ を割き開きて乾したるもの。
ケイ キャウ [庚]
通音ゲイ
○くぢら、海產の大獸、體長さ數丈、鱗毛なく、頭上の孔より高く水を吹き上げて呼吸す、種類多し、肉及皮は食用とし、油は蠟燭·香油等を製すべし。○又特に雄くぢらをいふ。鯢 メクヂラ の對。
多量に酒をのむ。杜甫、飮中八仙歌「左相日興費萬錢、飮如長鯨吸百川」
鐘 ツリガネ の聲。張衡、西京賦「發鯨魚鏗華鐘」注「海中有大魚名鯨、海島亦有大獸、名蒲牢、蒲牢畏鯨魚、鯨魚一擊蒲牢、輒大鳴吼、凡鐘欲令聲大、故作蒲牢于上所以擊之者、爲鯨魚、鐘有篆刻文、故曰華鐘也」
くぢらと、わにと。鄭俠詩「高論寫胸懷、千弩射──」
くぢら。杜甫、短歌行「豫章翻風白日動、──跋浪滄溟開」
○鯨はをくぢら、鯢はめくぢら、猛惡にして小魚を吞食す。よりて弱國を吞食する不義の人に喩ふ。左、宣十二「取其──而封之以爲大戮、於是乎、有京觀」○轉じて殺さるる義とす。李陵、答蘇武書「妻子無辜、竝爲──」
○くぢらがほえる。林寬詩「波翻夜作電、──晝爲雷」○つりがねの音、鯨音を見よ。陸游詩「劫火不能壞鴻鐘、雷震──聲隆隆」
共に海中の大なる動物。楊炎、杜公碑「──躍波、戮而爲醢」鯤鵬(本頁二段)參看。
くぢらのひげ、纖惟性の角質より成り、形櫛の齒の如し、上顎より生じて長き者は丈餘に至る、色黑く、柔軟にして折れ難し、種種の工藝品と爲す。
くぢらと、海中のおほかめと、鱓は鼉。楚辭「──今幽潛」
くぢらと、みづちと。薛道衡詩「曲池騰煙霧、深浪駭──」
くぢらの如くにのむ。強者が弱者を倂吞するにいふ。舊唐書、蕭銑等傳論「小則鼠竊狗偸、大則──虎據」
○おほなみ。劉禹錫詩「日浴──萬頃金」=鯨濤。○俗にときのこゑに喩ふ。祖庭事苑「鯨常以五月就岸、生數萬子、至八月、鼓波成雷、噴水成雨」より岀づ。
國 ものさしの一種、其の一尺は曲尺 カネザシ の一尺二寸に當る、布帛を度 ハカ るに用ふ、初、鯨鬚 クヂラヒゲ にて作り、今は多く竹にて作る。
ゲイ [齊]
○めくぢら(雌鯨)○轉じて小國を吞食する不義の人に喩ふ。鯨─(前頁)參看。○こざかな(小魚)「─鰌」○さんせぅうを(山椒魚)溪流中に棲む兩棲動物、四足長尾、大いなる者は長四五尺に至る。本草「─生山溪中、似鮎 ナマヅ 有四足長尾能上樹」=王鮪。
小兒の齒。轉じて幼兒の義。柳宗元文「邑吏嗇夫、鮐背──」=兒齒。
コン [元]
○はららご、魚の子(鮞)魯語「魚禁─鮞」○想像上の大魚。─鵬を見よ。
莊子が假託せし大魚と、大鳥と、以て至大の物に喩ふ。莊、逍遙遊「北冥有魚、其名爲鯤、鯤之大不知其幾千里也、化而爲鳥、其名爲鵬、鵬之大不知其幾千里也」=鵬鯤。
シ [支]
○ぼら、なよし、形圓く長く、頭平たくして短く、背は蒼黑色にして腹は白し、初め淡水に産し、長じて海に棲む。○いな、ぼらの小なる者。
シャウ [養]
俗に鮝に作る
ひもの、ほしうを(魚腊)=乾魚。
①セイ·シャウ [庚]
②セイ [靑]
①?に通ず。魚又、鳥獸の肉などを雜ぜて煮たる料理、よせなべの類「五侯─」(八二頁二段)參看。
②にしん(鯡)=靑魚。○ 國 さば、海魚の一、長さ尺許、背に靑黑色の線紋あり、腹は銀白色。=靑花魚。
ソウ·ス シウ セン [尤]
○ひらきうを(膊魚)○みごひ(白魚)○ざこ(雜小魚)○小人の貌。○自己の謙稱。
○いやしき小人を形容していふ。史、項羽紀「沛公曰、──敎我、距關無納諸侯、秦地可盡王也」○轉じて、自己の謙稱とす。趙孟頫詩「──小技眞榮遇」
テゥ [蕭]
たひ、海魚中の最も美味なる者、形扁圓にして、齒·鰭·鱗共に剛く、全體淡紅色を呈し、水を離るれば、赤色に變ず。=紅魚·棘鬣魚·銅盆魚。
ヒ [未]
○魚の子。○ 國 にしん(鰊)海魚の一、鰯に似て大いなり、其の鮞 ハララゴ を數子 カズノコ といふ。=靑魚。
リョウ [蒸]
○こひ(鯉)○─鯉 リヨウリ は爪哇·蘇門答臘 スマトラ などの熱地に產する獸の名、長さ三尺餘、全身角質の鱗甲を被る。せんざんかふ(穿山甲)
〔國字〕
どぢゃう。池沼に棲む小魚、形、鰻 ウナギ に似て小なり。=泥鰌。
〔國字〕
○しゃちほこ。伊勢の海にありといふ魚に似たる海獸の名、其の形を模して宮殿又は城などの棟の兩端につける飾物とす。=魚虎。○海獸の一種、さかまたの一名。
〔國字〕
なまづ(鮎)
9畫
エン [阮]
なまづ(鮎)の類。詩、小雅「魚麗于罶、─鯉」
カ [麻]
○えび(海老)節足動物の一、形細長く、甲殼を被り、八足と長き二對の觸角とを有す「魚─」=蝦·沙虹。○めくぢら(鯢)
ガク [藥]
わに。=鱷(魚部十六畫)
クヲウ [陽]
○鱣(魚部十三畫)と義同じ。○ 國 ひがひ。近江の琵琶湖に産する魚、形はぜに似たり、明治天皇が此魚を好まれたるによりて皇魚に從ひ此字を造る。
①サイ [灰]
②シ [紙]
①あぎと、えら、魚類の呼吸器、頭部頰 ホホ の中に在りて深紅色、櫛の齒の狀を爲す。
②── シシ はおそれる貌。
おそれる貌。漢書、刑法志「──常恐天下之一合、而共軋己也」=葸葸。
シウ [尤]
○どぢゃう。=鰌。 國 ○いなだ、ぶりの幼期の稱。○かじか、溪流の石の閒に棲む小魚、形はぜに似、背うす黑く腹は淺黃色。ごり。=杜父魚。
シウ [尤]
又、鰍に作る
○どぢゃう。鰻に似て小なる魚、田沼などに產す「泥─」○くぢら「海─」○海─ カイシウ は兵船の名、形の鯨に似たるが故。宋史、虞允文傳「官軍以海─船、衝敵軍」
シュン [眞]
○海魚の一。○ 國 さはら。形、鯖 サバ に似て長さ三尺に至る。=馬鮫魚。
セキ ショク [陌]
ふな(鮒)淡水魚、鯉に似て口に觸鬚なし。
ソウ [東]
いしもち、にべ(石首魚)
タフ テフ [合]
かれひ。ひらめに似たる海魚。=比目魚·板魚·王餘魚。
朝鮮の異稱。東海に鰈魚を產するによりて名づく。漢書、郊祀志「東海致比目之魚、西海致比翼之鳥」注「比目魚、其名謂之鰈、比翼鳥其名謂之鶼」=槿域·雞林。
朝鮮の近海をいふ。前條を見よ。
○比目魚と、比翼の鳥と。鰈域參看。上官儀文「東鰈西鶼、日月波屬」○轉じて伉儷 フウフノナカ の厚き者に喩ふ。
テイ シ [齊]
○なまづ(大鮎)其の皮を以て冠を作る「─冠」○ 國 ひしこ、鰯に似て小なり。
フク ハク [屋]
○とこぶし。石決明 アハヒ の類にして小なるもの。一說、あはび。○ 國 ふぐ(河豚)字音を借りて用ふ。
○あはびの類、俗に鮑魚に作る。後漢書、伏隆傳「詣闕上言獻──」注「鰒似蛤偏著石」(石決明)○とこぶし。
ヘン ハン [先]
をしきうを(折敷魚)琶琶湖に産す、身平たく薄く長さ三四寸。=鯾·魴魚。
レン [霰]
○一種の魚の名。○ 國 にしん(鯡)=靑魚。
10畫
エゥ [蕭]
○文─ ブンエウ はとびのうを(飛魚)海魚の一、體長さ尺許、形圓長、左右の鰭、鳥翼の如く、時時水を離れて飛ぶ。○えひ、あかえひ(鱏)
キ [支]
ひれ。魚類の脊、胸腹に附著せる翼狀のもの、游泳のはたらきをなす「修─」「鼔─」
動物學の名詞、哺乳類中の一種、其の特徵は體の形、紡錘狀を爲し、四肢は短くして闊 ヒロ く、各五趾あり、趾閒に蹼あり、鰭の如し、游泳すること便捷なり、膃肭·海豹など之に屬す。
クヮン [删]
○一種の大魚。詩、齊風「其魚魴─」○やもを、妻なき男、─は矜 キン の假字、憐むべき者の義。「貧─」書、堯典「有─在下、曰虞舜」○やむ(病)=瘝。○愁悒してねむる能はざる貌。
老いて妻なくして獨り居る。鰥は、釋名に「愁悒不寐、目恆鰥鰥然、故鰥字從魚、魚目恆不閉」とあり。北里志「──僑寓」
鰥は老いて妻なきもの、寡は老いて夫なきもの、孤は幼くして父なきもの、獨は老いて子なきもの。孟、梁惠王「老而無妻曰鰥、老而無夫曰寡、幼而無父曰孤、老而無子曰獨、此四者天下之窮民而無吿者」史、司馬相如傳「恤鰥寡、存孤獨」
目がさめて寐られぬ貌。李商隱詩「羈緒──夜景侵」
妻なくして獨りをる。司馬相如賦「──獨居、室宇遼郭」=鰥居。
老いて妻なきもの。詩經、序「國無──也」
やもをと、やもめと。老いて妻なき者と、をっとなき女子と。柳宗元文「用重典以威姦暴、鋪太和以惠──」
ケン カン [鹽]
かれひ(鰈·比目魚)
サ [馬]
つけうを(藏魚)=鯗。
シ [支]
○老魚。一說、毒ある魚。=魳。○ 國 ぶり。いなだの成長せし者、體肥えて尾狹小、背は淡蒼色、長さ三尺餘に至る者あり。
ジ [支]
魴に似たる魚、形扁にして長く、大いなる者は三尺許、色白くして銀の如く肉中に細刺あり、脂肪多く味美なり、每年夏初、揚子江に産す、水を離るれば卽ち死す、最も餒敗し易し。本草「─魚罥網而不動、護其鱗也」
トウ [蒸]
をこぜ、海魚の一、形、鱖に似て、體二三寸、頭、大きくして、とげ多し。=魚。
音未詳。
○馬鮫 サハラ に似たる小魚。○ 國 いわし(鰯)うるめいわし。
〔國字〕
いわし、海產の小魚、形細長く、四五寸、背は蒼黑色、腹は銀白色、水を離るれば直ちに死す、故に弱に從ふ。=鰮。
〔國字〕
一種の海魚、はたはた。=鱩。
11畫
ガウ [豪]
鼇(二三三七頁二段)の俗字。
ケン [先]
○鮦の大いなるもの。○ 國 かつを(松魚)體肥大にして長さ二尺許、背は蒼黑色、腹は灰白色、肉を乾して脯としたるを─節 カツヲフシ といふ。=??魚。
サウ [豪]
○なまぐさし。鱢の譌字。○ 國 あぢ、海魚の一、長楕圓形、背は蒼くして微に赤色を帶び、體側に一條の刺線あり。=竹筴魚。
シャウ [陽]
たこ。閩書「─魚、一名望潮魚」=章魚。
ショウ ヨウ [冬]
鰱 タナゴ に似て黑き色の魚の名。
セイ [霽]
このしろ、海魚の一、背は蒼靑色にして蒼黑色の斑點あり、當歲なるを江─魚 コハダ といふ。鮗 コノシロ は國字。
セン [先]
魚の大いなる者の稱。呂覽「魚之美者、洞庭之─」
チク [屋]
─鮧 チクイ はしほから。魚のはらわたを鹽づけとせしもの。又、魚胞 ウヲノウキフクロ =魚脬。
テゥ·デゥ セゥ [蕭]
はえ(鯈)「白─」本草「─魚、長僅數寸、形狹而扁、狀如柳葉、鱗細而整、潔白可愛、性好羣遊」
バン マン [寒]
うなぎ、淡水魚の一、細長くして圓筒狀をなす、粘滑にして鱗無く、背は黑く腹は白黃色なり。本草「─鱺似鱓而腹大」
うなぎ、字解を見よ。
ヘゥ [篠]
○うをのふえ、うきぶくろ、魚の腹中にある氣囊、其の張縮によりて自由に浮沈する。=魚脬·魚胞。○─膠 ヘウカウ はにべ、魚のうきぶくろを煮て膠 ニカハ とせしもの。=魚膠。
レン [先]
たなご(鱮)淡水に產する小魚「白─」
〔國字〕
鮟─ アンカウ は海魚の一、鮟(魚部六畫)を見よ。
〔國字〕
たら。海魚の一、長さ三尺許、口大きく、鱗細く、背は淡黑色、微に黃を帶ぶ、肉は雪の如く白し。=大口魚。
12畫
ケイ ケツ [霽]
巨口にして細鱗、背鰭に刺 トゲ ありて甚だ硬し、色微黃にして黑斑あり。張志和詩「西塞山前白鷺飛、桃花流水─魚肥」
ジン [侵]
○えひ(鰩)殊に電─ シビレエヒ にいふ。○頷下に口のある一種の魚、かぢき。
シュク シウ [屋]
ほしうを(乾魚)
①セン·ゼン [銑]
②タ·ダ [歌]
①うみへび、形蛇に似たる海魚、鱗無く粘滑にして、泥中に棲む。淮南、覽冥「蛇─著泥」=鱔。
②鼉(二三三七頁三段)に同じ。史記、自序「黿─與處」○國ごまめ、ひしこをすぼしにせしもの、たつくり(田作)
鱓(前條)に同じ。
ソン セン [阮]
ます、あかめうを(赤目魚)鮭 サケ の一種、形やや小にして、肉の色は鮭よりも赤し、河海の閒に棲み、夏河にさかのぼりて卵を産む。
リン [眞]
○うろこ(魚甲)いろこ、うろくづ、魚の身を保護するもの。○うろこを有する動物。特に、魚類の總名「羽毛─介」「潛─」「常─」「枯─」「細─」○六六─は鯉の異名。○九九─は龍の異名。
魚類。孫綽、望海賦「──萬殊、甲產無方」
魚類と鳥類と。南史、宗測傳「性同──、愛止山壑」
魚類と貝類と。淮南子「──者、夏食而冬蟄」
○うろこと、かふらと。左傳、疏「──不足以爲器用」○魚貝類。劉禹錫詩「蘆葦晚風起、秋江──至」○鱗の狀をなす堅きかふら。鮫 サメ 瑇瑁 タイマイ の甲の類。○心に城府 ヘダテ あるに喩ふ。蜀志、陳震傳「腹中有──、鄕黨以爲不可近」
うろこと、ひれと。水經、注「──首尾」
魚のむれ。眞誥「玄淵浩汗、則──競赴」
魚のうろこの如くかまへ竝ぶ。庾闡文「靈巖霞蔚、石室──」
てがみ(書札)をいふ、鱗は魚、鴻は雁。古詩に「呼童烹鯉魚、中有尺素書」とあると、漢書、蘇武傳「繫帛書於雁足」の故事とに本づく。李甲詞「又還問──、試重尋消息」=雁魚。
うろこの如くつづきならぶ。鮑照詩「京城十二衢、飛甍如──」=鱗比。
うろこの如く多く列りあつまる。羣集するに喩ふ。漢書、劉向傳「子弟──於朝」=鱗萃。
前條に同じ。華陽國志「文翁爲蜀守、學徒──、蜀學比于齊魯」
魚のうろこの如きいしだたみ。東京夢華錄「華綵──」
魚のうろこの如くつづく。孔叢子「趙魏與之──、而强弱不敵」
うろこある動物。家語、執轡「──三百有六十、而龍爲之長」=鱗物。
魚のうろこの如くにならぶ。何晏、景福殿賦「星居宿陳、綺錯──」=鱗次。
うろこの如くしきならぶ。胡瑱、大閱賦「玄甲──、長戈岳立」
龍蛇の類。周禮、地官「二曰川澤、其動物宜──」
龍のうろこの如きあや。南史、齊高帝紀「高帝姿表英異、龍顙鐘聲、長七尺五寸、──徧其體」
畫家、蟲魚鳥獸を謂ふ。花卉と竝稱す。
うろこの如くつづきつらなる。羽獵賦「──布列」=鱗比。
魚のうろこの如きさざなみ。馬融、長笛賦「波瀾──」
○水紋のうろこの狀をなせる形容。蘇軾詩「曲池流水細──」○うろこの如く鮮かに麗はしき貌。鮑昭詩「──夕雲起」
すっぽん、鼈(二三三七頁四段)に同じ。
〔國字〕
きす、形、かますに似たる海魚の一、體圓くして長く、頭尖る。=鼠頭魚。
〔國字〕
ゑそ、海魚の一、形かますに似て平たく、上吻 クチバシ の長さ寸許、尾長し、かまぼこと爲すによろし。
13畫
ゲン [琰]
通音ケン
─喁 ケンギヨウ は魚の口の動く貌。=噞喁。
コウ ヨク アク [宥]
○かぶとがに、蟹の一種。○俗に虹の稱。農政全書「東─晴、西─雨」
ショウ ヨウ [蒸]
○ちひさきうを(小魚)○うをのはららご、魚の子の未だ魚と成らざる者。
①テン タン [先]
②セン [銑]
①鱏 カヂキ に似たる大魚、口は頷下に在り、鱗なくして甲あり、肉の黃なるにより江東にては黃魚と稱す。漢書、賈誼傳「横江湖之─鯨」
②うみへび。=鱓。○うなぎ。
次條に同じ。易略例序「鼔篋──」注「學校也、鱣堂之類」
楊震の故事に本づきて講堂の稱とす。後漢書、楊震傳「有冠雀啣三鱣魚、飛集講堂前、都講取魚進曰、蛇鱣者卿大夫服之象也、數三者、法三台也、先生自此升矣」=鱣序。
レイ [薺]
○うなぎ。=鱺。○やつめうなぎ。=烏魚·七星魚。○ 國 はも(海鰻)海魚の一、鰻 ウナギ に似て背鰭が尾に連る。
膾(一五八一頁三段)に同じ。
しらうを。膾殘魚(一五八一頁三段)を見よ。
鰥(魚部十畫)に同じ。
〔國字〕
はたはた、海魚の一、長さ尺許、背は淡褐色、腹は銀白色、雷鳴の時に羣り出づ。=雷魚·鰰。
14畫
シャウ [陽]
ぎぎ、黃頰魚の異名、なまづに似て、溪流に棲む、腹背皆黑くして鱗 ウロコ なく、力つよくして飛び躍る。詩、小雅「魚麗于罶─鯊」
ショ [語]
たなご(鰱)池沼に棲む小魚、形鮒 フナ に似て口小、腹は白色にして微に紅を帶ぶ。詩、齊風「其魚魴─」
15畫
シン [侵]
さより、海魚の一、形細長く、下顎は突出して鳥の觜 クチバシ の如く、背は淡黑にして腹は銀白色。=針魚·針鮆魚。
シャウ [養]
○鯗(魚部八畫)に同じ。○ 國 ふか、暖帶の海洋に棲む大魚、長さ二三丈に至る、性猛くして、羣魚を襲ふ。
レフ [葉]
○魚の名。○ 國 からすみ、ぼら又、さはら·めなだのはららごを乾し堅めたる食品。酒の下物 サカナ の最も佳なるもの、からすみとは形の唐墨に似たるが故。=鮞脯。
16畫
ガク [藥]
又、鰐に作る
わに、四足長尾の大いなる蟲、長さ二三丈に至る。熱帶地方の河邊に棲む、背に鱗甲ありて甚だ堅硬なり、性猛惡にして、人畜を襲ふ。=鰐魚。
わに。唐書、韓愈傳「愈至潮、問民疾苦、皆曰、惡溪有──、食民畜産、且盡、民以是窮」
廣東省潮安縣城の東北に在る地名、又、惡溪と名づく、唐代鱷魚ありて民を害す、韓愈文を作りて之を驅る、是によりて潮州鱷魚の患なし。鱷魚文は韓昌黎全集に載す。
ロ [虞]
すずき、せいごの成長して二尺餘に及びしもの、口巨 オホ いにして、鱗細く、背は淡蒼色にして黑點あり、河海の閒に棲む、吳の松江(今の江蘇省吳淞江)の產最も名高し「碧─」「銀─」「玉花─」「松江─」
すずき。晉書、張翰傳「張翰字季鷹、齊王冋辟爲東曹掾、翰因秋風起、思吳中菰菜蓴羮──鱠曰、人生貴得適志、何能羈宦數千里以要名爵乎、遂命駕歸、俄而冋敗、人謂之見機」鄭谷詩「秋風不敢憶──」
次條に同じ。前條參看。李白、秋下荊門詩「此行不爲二───、自愛名山入剡中」
すずきの臠肉 ナマス 膾一に鱠に作る。前條を見よ。
19畫
レイ [齊]
うなぎ「鰻─」