刀部(刂)
0畫
タウ トウ [豪]
○かたな(兵)○はもの(刃)○刀の形をなせる古錢の名、黃帝始めて首山の銅を鑄て造る。○刀の形せる小船。詩、衞風「誰謂河廣、曾不容─」
川幅の極めて狹くして小船をも容れず。字解を見よ。
罪人などを斬りて刀の利鈍をためす。北史「安德王延宗以囚──驗其利鈍」
庖丁を使ふ。戰國韓策「聶政曰、嗟乎、政乃巿井之人、──以屠」
刀劍を拔き放つ。五代史「──逐之」
激戰の狀をいふ。後漢書、段熲傳「下馬大戰、至日中、────、虜亦引退」
かたなかけ。
かたなと、のこぎりと、刀は割く(勢をさく)刑、鋸は足きる(刖)刑に用ふる刑具、轉じて刑罰の義とす。司馬遷、報任安書「奈何令──之餘薦天下豪傑哉」韓愈、送李愿歸盤谷序「──不加、理亂不知」
皆人を刑する具、鼎鑊は人を煮るかま。蘇軾、畱侯論「當韓之亡秦之方盛也、以────待天下之士」
かたなのひかり。崔國輔詩「──照塞月、陣色明如晝」
故鄕に歸るをいふ、還の字の隱語なり。李陵の匈奴に在るや、漢の使者、陵に向ひて漢に還歸せんことを勸めんと欲するも、單于の前にて私語するを得ず、乃ち屢~其の──を循 ナ で其の足を握り、陰に漢に還らんことを諭せし故事、環と還とは同音なるが故なり〔漢書、李陵傳〕高適詩「王程應未盡、且莫顧──」
○藥を盛るさじ。剃刀に似て其の端に圭 タマ の如き形せる中窪の所ありて其の中に藥を容る〔池北偶談〕=藥匙。○轉じて、醫術の義とす「──家」
かたなと、ほこと。蜀志、諸葛亮傳、注「棄其──、更疎巾單衣、折節學問」
かたな。史、春申君傳「──室以珠玉飾之」
かたなのきずあと。蔡琰詩「砂場白骨兮、──箭瘢」=刀瘢。
かたなと、やりと。白居易、琵琶行「銀瓶乍破水漿进、鐵騎突出──鳴」
次條に同じ。北史、權武傳「殺傷甚多、──皆折」
刀と長さ一丈八尺あるほこと。晉書、苻生載記「性耐──、不堪鞭捶」
酷刑をいふ。宋史、劉鋹傳「作燒煮剝剔────之刑」
○老母の稱。婦卽ち媍の古字たる負の字を誤りて二分し、更に轉訛せしものか〔書言字考〕○ 國 トジ 主婦、又年たけたる婦人の稱。
かたなのさや。宋史、蕭服傳「視其──、不與刃合」=刀鞘。
かたな。刀のは。莊、養生主「──若新發于硎」
かたなかぢ。北史、司馬悅傳「召州内──示之」=刀工。
微小の利に喩ふ。陳子昻詩「務光讓天下、商賈競──」
かたなのさや。盧照隣詩「翠羽裝──」
剪刀 ハサミ と、ものさしと、裁縫の用具。杜甫詩「寒衣處處催──」
かたなのみね。北齊書「以柔鐵爲──」=刀背。
かたなのきっさき。
ぜに、通貨。刀は人に利ある義、泉は到る處にあまねく流通する義。=刀布。
はうちやうと、まないたと。因りて危險なる場所の義とす。史、項羽記「如今人方爲──、我爲魚肉」
還るといふ隱語。古詩「何當大──」──に環あり、環と還と音通ずるが故。=刀環。
かたなのつか。班固文「令賜固──曰、此大將軍少小時所服」
刀のつか。刀劍の柄。=刀把·刀柄。
かたなのみね。南史、梁邵陵王綸傳「賊以──毆其髀」
かたなきず。盧弼詩「朔風吹雪透──」
文字を書記するのみの小役人。古、紙なかりし時、文字を竹簡に記し、誤あれば刀にて之を削り去る。史、蕭相國世家「于秦時爲───、錄錄未有奇節」
刀も布も、竝に錢。刀は其の人に利あるに取り、布は其の廣く流布するに取りて名づく。史、平凖書「──之幣」
○かたな、はもの。史、豫讓傳「內持──曰、欲爲智伯報讎」○軍事の稱。
かたなのつか〔丹鉛錄〕
刀の形せるぜに。管子「黃金──、民之通施也」
刀を以てひたひを刻み、これにいれ墨する刑。周語「有斧鉞──之民」=黥刑。
刀(前條)に同じ。
國 立刀 リツタウ 字の旁 ツクリ の名。
テウ [蕭]
○─斗は、銅にて造り一斗の量を入る、晝は炊具とし、夜は陣の警戒の爲めに擊つ、卽ち鐎 ナベ と銅鑼 ドラ とを兼ねたる古の軍用の具。漢書、李廣傳「不擊─斗自衞」○──は風止まんと欲して微しく動く貌、そよぐ貌。莊、齊物「而獨不見之調調之──乎」
1畫
ジン ニン [震]
俗に、刄に作るは非
○やいば、兵器の銳利の處「刀─」○やいばす、きる、きりころす「自─」
かたなきず。周禮、注「金瘍──也」=刃傷。
はもののきっさき。
やいばを以て人をきずつける。=刃創。
2畫
ガイ [隊]
通音カイ俗に苅に作る
○かる(芟)草又は稻をかる。○たつ(絕)○ころす(殺)金史、吾札忽傳「斫─甚多」○とる(取)○農具、鎌の屬。
いねをかる。周賀詩「楊柳已寒色、楚田方──」
刈は草をかり、穫は穀をかる。又、單に糓をかりをさむる義とす。
シャウ サウ [陽]
きず、きずつく。=創。
①セツ·セチ [屑]
②セイ·サイ [霽]
①きる、刀を以て之を斷つ。○きざむ(刻)○さく(割)○みがく、骨角の類をみがきあげる。○せまる(迫)○しきりに。○いそぐ(急)○まこと(愨實)ねんごろ(懇到)○たしかに(確實)○おさへる(按)史、扁鵲傳「不待─脈」○かなめ(要)○とじきみ(門限)○かへし。=反。字音を示すために、或字の發聲と或字の聲韻と相磨して一の音を生ずる法。
②みぎり。砌に通ず。○おほし(衆)○一切は大凡なり。
同訓異義
キル 切·斬·斫·翦·截·伐等の別は斬(斤部七畫)の條を見よ。
同訓異義
シキりニ 切·仍·頻·連·荐等の別は仍(人部二畫)の條を見よ。
適切にして肝要、かなめ。
治療のため筋骨を斷ち、又きりひらき施術する。
きびしくいさむ。史、主父偃傳「明主不惡──」=直言極諫。
古の名刀の名。銳利にして玉をも切斷する義。列、湯問「周穆王征西戎、西戎獻昆吾之劍、鍊鋼赤刃、用之──如切泥」
昆吾刀をいふ。前條を見よ。蘇軾詩「君才有如───、見之凜凜寒生毛」
骨角を治むる者は旣に切りて又之を瑳 ミガ く、玉石を治むる者は旣に琢ち、又之を磨きて益ミ其の精を求む、以て學德を修めて深く練習を積むに喩ふ。詩、衞風「瞻彼淇澳、菉竹猗猗、有斐君子、如切如瑳、如琢如磨」瑳一に磋に作る。大學「如切如磋道學也、如琢如磨、自修也」
切切偲偲を見よ。
實際によくあてはまる。適切にあてはまる。=剴切 ガイセツ
齒をくひしばり、腕をにぎる。甚だしく憤るさま。史、張儀傳「樊於期偏袒扼腕而進曰、此臣之日夜切齒腐心也」扼一に搤に作る。
○ねんごろなる貌。論、子路「朋友──偲偲」=懇到。○細かにして急なる貌。白居易詩「小絃──如私語」○憂ひ思ふ貌。家語「──而哀」○急にせまる貌。黃庚詩「歸心──望刀頭」○再三告げ誡むる辭、公用文の結尾に多く之を用ふ。
切切は懇到 ネンゴロ の貌。偲偲は互に善を責め勵ます貌。論、子路「朋友────、兄弟怡怡」
さしせまる。後漢書、張奐傳「州期──、郡縣惶懼」=切迫。
きりたつ、きり離す。
たしかに理に當る。李之儀題跋「善論難、劇談──」
ねんごろにして正し。漢書「──之言、明主所欲急聞」
しきりにのぞむ、甚だ欲する。=懇望 コンバウ
國 はらをきって自殺する。=割腹 カツプク 屠腹 トフク
みがきて益を得る。唐書、陸贄傳「──之益、不盡矣」=切磨·硏磨·琢磨。
玉をみがき攻 ヲサ める、轉じて、朋友互に相勵まし合ふ義とす。宋史、李侗傳「羣居終日、交相──」切瑳琢磨を見よ。
切瑳に同じ。劘は削なり、切なり。劉禹錫、砥石賦「──下上」
醫師が病人のみやくをおさへ診察する。字解を見よ。=脈診。
實際にあてはまる適切なる質問。論、子張「博學而篤志、──而近思」
甚だはげし。後漢書「言甚──、坐免官」
すこしもはばからずして議論する。眞德秀文「危言──」
國 金錢の代用をなすふだ、一種の證券「郵便──」「商品──」=票·劵。
國 耶蘇 ヤソ 天主敎の稱。轉じて魔法、魔法づかひの義にもいふ。西班牙 スベイン 語の轉訛。
①フン·ブン [文]
②フン·ブン [問]
一音ブ
①わかつ、合の反對。わく(別)○わかる(別)○さく(裂)○わる(判·割)○くばる(賦)あたへる(與)○ほどこす(施)○なかば(半)荀、仲尼篇「以齊之─奉之、而不足」○あまねし(徧)○へだつ(隔)しきる、かぎる(限)○尺度の單位。一寸の十分の一。○時刻の稱、一時閒の六十分の一。○角度の稱、一度の六十分の一。○二十四氣の一、春又は秋の半にあたり、晝夜平分の時「春─」「秋─」○──はみだるる貌、紛に通ず。
②わかち(區別)○ひとし(均)○もちまへ(性質)○ちから(器量)○みち(名分)みぶん、本分。○つとめ(職責)諸葛亮、出師表「此臣所以報先帝、而忠陛下之職─也」○しな(等差)○ 國 ぶ。古の錢にて一分 イチフ は一兩の四分の一。轉じて今の二十五錢の稱。
同訓異義
ワカツ 分·別·判·頒·班·析·訣○分は合の反對、物を別別にわける義。易經「物以レ羣分」又、施也、與也と註す。孟子「分レ人以レ財、謂二之惠一」○別は辨別と連用す。彼は彼、此は此と、區別して混ぜざる義。分の字に、異の字の意を帶びたり。孟子「夫婦有レ別」○判は分に斷の意を兼ぬ、判斷·判決と連用す。晉書「逆順於レ玆判矣」○頒は分ち賜ふ義。明史「帝頒二佛典於塞外一」○班は頒と音義通ず。禮記「班二諸兄弟之貧者一」○析はもと斤にて木をわる義なり、それより筋道をわかつに用ふ、析レ理·析レ義と用ふ。○訣は永く別るる義、永訣と連用す。史記「與二其母一訣」
田うゑ、秧は稻の苗 ナヘ 蘇軾詩「──及初夏」=插秧。
一分 イチブ の光陰、僅かの時閒。晉書、陶侃傳「大禹聖者、乃惜寸陰、至於衆人、當惜──」
互に韻字を分ちて詩を作る。白居易詩「素壁聯題──句」
自分の分限だけを守る。文子、自然「廉者可令──、不可令進取」
分ちし界、又、界を分ける。吳志、注「各保──、無求細益而已」
○ときわける、解剖する。後漢書、馬皇后紀「──趣理、各得其情」○理化學にて或物體が電氣·熱·空氣等の作用にて成分を變じ、わかれわかれの物質となる現象。
手を分けて書物を校正する。權德輿文「──祕府弘文之書」
一分一毫、極めて些細なる義。晉成伯陽、市賦「談二智於尺寸之閒窺窬於──之際」
わかつ、わけて取る。
わかれ、えだ、又二っにわかれる、またになる。=分岐。
えりをわかつ、人と別れる。羅鄴詩「折枝──十載餘」=分袂·分手。
分袂に同じ、袪はたもと。盧思道詩「──俄易慘」
生物の體內の組織閒に行はるる分業作用。
學校にて各學科に分れて獨立せる科目「──大學」
業務の受持を分けてわりつける。又、分けたる業務の受持。
○身のほどほどをはづれる、過分。魏志「不務──之賞」=非分。○程度の外に出る。=十二分。
わけて支配する、わけて管轄する。=分管。
前條に同じ。
一っの家すぢから分れたるいへ、しんや、別家。本家の對。
○天の將に明けんとするをいふ。樊晦賦「霽光──、出虛竇以雙飛」○さっぱりと明か。洞天淸錄「古器款識、必細如髮、匀整──、大小深淺如一」=淸晰。
各其の長ずる所に隨ひ、業を分ちて之に服する義、一物を生產するに二人以上の人が手を分ちて完成するかせぎかた。=分功。
○上下尊卑の別、身のほど、身ぶん。北史、陸侯傳「臣蒞以威嚴、欲使知──」○ 國 善きぶんざい、ぶげん「──者」
政權を各機關に分配する。集權の對「地方──」
各人、力を分ちて事に任じ、以て生產事業を成す義。=分業。
年越 トシコシ の夜に相聚りて宴を開くをいふ。風土記「除夜祭先竣事、長幼聚飮、祝頌而散、謂之──」
けぢめ。みぶん、分限。史、儒林傳「明天人之──」
○わかれちる、ちりぢりになる。史、歷書「子弟──」=離散。○分けちりて無くなる「家資──」
物理學にて物體を構成する最も小さきつぶ。
春分·秋分·夏至·冬至をいふ。左、僖五「──啓閉、必書雲物」=二至二分。
○ 佛 佛菩薩 ボサツ 等が種種の形に身を變じて現はれる權化 ゴンゲ 傳燈錄「──千百億」○身をわける、神出鬼沒する義。淸異錄「梁將葛從周、每臨陣、東西南北忽焉如神、晉人稱爲──術」○身ふたつになる、子を生む。=分娩。
事を分けてつかさどる、分擔。後漢書「──乘輿服物」
人とわかれる、別離する。江淹、別賦「──而銜淚」=分攜·分袂。
分袂に同じ。杜甫詩「直到綿州始──」=分手。
一分一銖の義、極めて少しの分量、わづかの利益。銖は兩の二十四分の一。史、大宛傳「善市賈、爭──」=錙銖 シシユ
書體の一。=八分 ハツブン
地文學にて反對の方向に流れる二っの川流の分界線、屋根の棟の如くに山脈がこの界線を成すを以て、一に分水嶺ともいふ。=分水線。
前條に同じ。
一分一寸の義、わづか、些少。史、蘇秦傳「臣東周之鄙人也、無有──之功」=寸分。
○紛れたる者を一一わかち解く。通鑑、梁太祖紀「帝命冠彥卿──」○物體を構成する諸の元素に分解する。
いひわけする、又、いひわけ。賓退錄「世俗謂自辯解曰──」=辯解·分理。
軍隊にて、一小隊を四分せるものの稱「──長」
わかちになふ、業務又は責任の一部分を引き受ける。=分掌。
分け與ふる地、敵の領土を奪ひて功勞ある將士に分ち賜はる土地。史、項羽紀「未有──」
對等の禮を以て相見る義。亢は抗。莊子「萬乘之主、千乘之君、未嘗不────」
わけて支配する。舊唐書「諸韋子姪──之」
はかりのおもり。=秤錘·法馬。
人數にわりつけて取り立てる稅。=人頭稅。
身の分限に安んじて外物に誘はれざる義。蘇軾詩「胡不安其分、但聽物所誘」
○わかれ。山河の分るるもの。李商隱詩「湓浦應──」○流儀·學說などの別に分れ出でたるもの。
くばりわかつ。
人の譏 ソシリ を吾身にも分けて引受る。國語「敢不──乎」
しるがしみでる、體內の液汁がにじみだす。=滲漏 シンロウ ·浸出。
分ちて處處にしく、分れ廣まる「動物──圖」
人に物を分け與ふる。漢書、原涉傳「──諸客」
わかちくばる、わりつける。
たもとをわかつ。人と別れる。謝惠連詩「飮饌野亭館、──澄湖陰」=分手·分襟。
一分一秒、極めて少時閒の義。
○けじめ。=差別·區別。○ 國 わきまへ、かんがへ(思慮)
國 人の思慮の最も成熟して物事に迷はぬ年ごろ、四十歲前後。
子をうむ。=分免·分身。
○手分けして罪人を捕ふ。舊唐書「遣使──而瘞之」○ ブンドリ 國 戰場にて敵の物を分ち取る行爲、又、其の物「──品」=鹵獲。
○古、王者が地を分ちて諸侯を封ずる義。○蜜蜂の一っの巢に二っの王の生ぜし時、老王が羣蜂を率ゐて分家し、別に新しき巢を構へるはたらき。
わかれくづれる。論、季氏「邦──離析、而不能守」=瓦解。
はっきりとわかる。史、始皇紀「貴賤──」
類書をいふ。舊唐書、杜佑傳「開元末、劉秩撰───三十五卷、號曰政典、佑加以開元禮樂、號曰通典」
戰國の時、天文家が支那全土を天の二十八宿に配當して區別したる稱。其の──に星變ある時は、其の國に災ありといふ。周語「歲之所在、則我有周之──屬是也」
いひわけする。鄭氏家範「子孫受長上訶責、不論是非、但當俯首默受、母得──」=分疏。
わかれはなれる。又、わけはなす。
えだながれ。漢書「河水──繞城下」=枝流。
分も厘も皆小數、厘は釐の略字、すこしばかり。=些少。
○身のほど、みぶん。宋史、高皇后傳「──旣過、辭之」=分限。○めかた·ますめ·容積·かさ。
てわけしてかすめ取る。唐書「──定州」
驟雨 ユフダチ をいふ。埤雅「俗五月雨、曰之───、又曰隔轍雨、言夏雨多至、龍各分域、雨暘往往隔一轍而異也」
たぐひによりて區別する。書經、序「別生──」=類別。
わかちさく。わかれさける。賈誼文「宰割天下、──河山」
3畫
カン [寒]
○けづる(削)○きる(斫)栞に通ず。書、禹貢「隨山─木」○きざむ、ゑる(刻·彫)王儉、褚淵碑「─玄石以表德」○書物を出版する。
書物を版にして世に行ふ。=印行·上梓 ジヤウシ
刊定に同じ。
文字などの誤を削り正す。宋史、藝文志に劉攽漢書──四卷あり。
いしにほりつける。
不用の文字を削り、誤を正し定める。陳書、姚察傳「別寫一本、有疑悉令──」=刊校。
きをきる。字解を見よ。=栞木。
セン [霰]
刊とは別字
きる(切)
板木をけづりあらためる。後漢書、鄭康成傳「括囊大典、網羅衆家、删裁繁蕪──漏失、學者略知所歸」
切(刀部二畫)の譌字。
4畫
①グヮン [寒]
②ゲン·グヮン [元]
○けづる(削)削りて廉隅 カド を去る。楚辭、九章「─方以爲圓」=园。○ひとしくす(齊)○すれつぶれる。史、淮陰侯傳「印─弊忍不能予」
けづりみがく、蘇舜欽詩「器成必──」
すれつぶれる。又、凋 シボ み敝 ヤブ れる。唐書「今水潦爲災、民力──」
ケイ ギャウ [靑]
もと刑に作る
○のり(法律)○つね(常法)「典─」○のつとる(法)孝經、「德敎加於百姓、─於四海」○なる(成)禮、學記「敎之不─、其此之由乎」○ころす(殺·戮)○くびはぬ(剄)「自─」○つみ(罪)○しおき(處罰)罰の總名。舊刑律、死·流·徒·杖·笞を五─と爲す。○つみす、罪に行ふ。○祭に羹 アツモノ を盛るうつは、鉶に通ず。史、太史公自序「啜土─」○かたち、形に通ず。
民、法を犯さず、刑廢して用ひざる義。史記「成康之際、天下安寧、──四十餘年不用」
罪人をしおきする道具。笞杖枷鎖など。
おきてのさだめ。刑罰の條項。唐高僧傳「淸愼不鑑──」
刑法を掌る官吏、司法官。庾信詩「獬豸飾──」=秋官。
人を罪する法と仁義道德の敎と、刑罰と敎育と。荀悅文「安平之世、則──竝用」
刑せらるるつみ。南史「──無輕重、悉原之」
○刑法を以て論ずべき犯罪事件。○刑事巡查の略語。犯罪人を偵察逮捕するを專務とす。
刑を受けて身體を傷つけられし者。
刑法の條文。左傳「鄭人鑄──」
罪人をさばくまつりごと、詩、關睢序「國史明乎得失之迹、傷人倫之廢、哀──之苛」
しおき。讁は謫に同じ、罪なり〔後漢書、朱穆傳〕=刑戮。
刑罰を加へてこらす。晉書、傅咸傳「──小人、義責君子」
刑罰の法則。罪人をつみするおきて。=刑法。
つみびと。史、孫子傳「孫臏以──陰見說齊使」=囚人。
刑罰は重きに失せんよりは寧ろ寬に失するを可とする意。新語「設刑者不厭輕、爲德者不厭重」
刑罰を設くる所以は、惡人を懲らして再び惡事を犯し、刑罰を蒙らざるやうにするを期す〔書、大禹謨〕
刑罰は大夫の人の身には加へず、士大夫の面目を重んじ、且其の節義を奬勵せんが爲めなり。司馬遷、報任少卿書「傳曰、─────、此言士節不可不勉勵也」
つみと、ばつと。刑法罰則。論、子路「──不中」
○罪人を處分するおきて。陸機文「除──之煩」=刑典。○國六法の一、一般國民の犯罪行爲の上に適用すべき處罰法。
刀を鑄るいかた、刑は型、范は範。荀、彊國「──正金錫美」
○刑罰を掌る官署の名。唐書「──尙書一人、侍郞一人、掌律令刑法徒隸按覆讞禁之政」事物紀原「唐虞之士師、周禮司寇、皆──之任也、光武謂之賊曹、爲尙書職、後周始有──大夫、則──自宇文周始也」○ 國 ギヤウフ 古の八省の一、今の司法省に當る。
つみ。世說「皋陶造──之制」=刑戮。
刑罰のさだめ。罪人の刑に觸るるは鳥の網にかかるが如し、故に喩ふ。北史「──太密、命有司案律、務求厥中」=法網。
法律學の類。刑は形の義、其の名を以て實を責め、毫も恕する所なきなり。史、韓非傳「喜刑名法術之學」
○刑に處せられ餘命をたもつ者。宦者を稱す。漢書、蓋寬饒傳「以──爲周召、以法律爲詩書」○廣く前科者をいふ。=赦徒。
刑法を以て罪人を罰する。又其の刑罰。論、公冶長「邦無道、免於──」
刑罰法律なり。=刑法。
①ゲツ [月]
②ガツ [曷]
①あしきる(斷足)あしの筋をたちきる刑。=剕。
②たつ(絕)
罪ありて足の筋をたちきられる、又其の者。史、孫吳傳述贊「孫臏──籌策龐涓」=刖足。
古、足をきるつみ。漢書、刑法志「──五百」
罪によりて足の筋を斷たれしもの。周禮、秋官、掌戮「墨者使守門、劓者使守關、宮者使守內、──使守囿、髠者使守積」
刖脚に同じ。漢書、註「刖其右足」=刖跟。
ブン [吻]
通音フン
○はぬ、くびはぬ(剄)檀弓「不至者─其人」○刀もて首を斷ちて自殺するを自─といふ。
生死を共にし、たとひ頸を刎ねらるるとも心を變へざる程親しきまじはり。史、廉頗藺相如傳「廉頗肉袒負荊、至門謝罪曰、鄙賤之人、不知將軍寬之至此、卒相與驩爲────」
リ レイ·ライ [支]
俗に州の變體として用ふるは非
さく(割)
レツ [屑]
○わかつ、わかる(分解)○つらなる、つらぬ(陳·連)○ならぶ(竝)○くらゐ(位·位次)○ついで(行次·席次)○わかち。○つら、ならび、くみ(隊伍)組に入る、仲閒 ナカマ になる。○しく(布)○たのどて(小塍)
同訓異義
ツラヌ 列·連·聯·羅等の別は連(辵部七畫)の條を見よ。
ならべしるす。
つよき多くの國國、强大なる列國。
いなびかり。漢書、揚雄傳「辟歷──、吐火施鞭」=電光·天閃。
多くの大名。一人にあらず、故に列といふ。史、高祖紀「六年論功與諸──、剖符行封」=諸侯。
○ならびたつ衆くの國國。「──干涉」○地つづきの國、鄰接せる國。淮南子「韓晉──也」
仙人の住めりといふ山。山海經「───在海河洲中」=藐姑射之山。
竝び坐する。後漢書、劉盆子傳「公卿皆──殿上」
衆くの士類。荀子「被文學、服禮義、爲天子──」
八卷、一に沖虛眞經といふ、鄭人列禦冠撰す、天瑞·黃帝·周穆王·仲尼·湯問·方命·楊朱·說符の八篇より成る、其の說、略老子と同じ。
ついで、次第、順序。漢書「以君有累世之美、故踰──」
つらなれる店屋 ミセヤ 史記「──販物」
汽車の機關車·客車·貨車の連絡して進み行くもの。
空につらなれる多くの星宿。=列星。
ならぶ。又ならべついづる。宋史「鸞旌──、雞戟分行」
ならべてうゑる。陸游詩「──園林多美果、飽鉏畦壠富嘉蔬」
世世、代代。=歷代·歷世。
つらなれるほし。蘇軾、潮州韓文公廟碑「申呂自嶽降、傅說爲──」
代代の天子。蔡邕、獨斷「言已故前帝、歷擧先朝諸帝、則曰──、曰祖宗」
つらなりて其の席に在る義。王勃詩「──俯春泉」
つらなれるやしき、又、甲第をつらね建つ「史記、自如騶衍淳于髠之徒七十六人、皆賜──爲上大夫」
つらなれる多くの島。
ならびそばだつ。左思、魏都賦「三臺──而崢嶸」
七卷、漢の劉向撰す、母儀·賢明·仁智·貞愼·節義·辯通·嬖孽の七目に分つ、續傳一卷、作者明かならず、今合刻して一書とす。
史書中に於いて羣臣の事蹟を列敍せるもの。本紀·世家等に對する名。史、太史公自序「作七十──」
土地を分ちて諸侯を封ずる、又、其の多くの封土。漢書「方制海內、非爲天子、──分疆、非爲諸侯、皆以爲民也」
つらなれるまゆ、明かなる喩。戰國策「吾信汝也、猶──也」
つらなりならぶ。梁昭明太子文「鏤華形以──」=羅列。
5畫
ケフ コフ [葉]
○おびやかす(剽)○うばふ(奪取)かすめる(掠)○とどむ(禁持)畏れて惡事を爲さしめず。荀、修身「─之以師友」
刦(前條)の俗字。
サン [删]
又、删に作る
○けづる(削)○のぞく(削除)理に合はざる不要の文字を除き去る。古、書籍は竹のふだを編みて作り、字を除去するには刀を以て削り去る、故にいふ。漢書、律歷志「─其僞辭、取正義、著於篇」○さだめる(定)取捨して選定する。
字句をけづりあらたむ。晉書「──舊文、撰定晉禮」
字句をけづりあらためる。=删改。
文字をけづり去る。周書考「孔子──之餘」=删省。
古、詩三千餘首あり、孔子之を删りて三百五篇とせしをいふ〔史記〕
字句又、文章を削り去りて修飾する。=删正·删定·删補。
惡をさりて善をとる。王安石詩「新文待──」=删補。
文辭をけづり又修飾する。宋史、樂志「樂章累朝多──」=删改潤色。
不要の語句をけづり去り必要のことを記しのべる。=删撰。
文字をけづり正す。=删修。
文字をけづりはぶく。後漢書、桓郁傳「──、定成十二萬言」
語句を削りて程よく節略する。伊洛淵源錄附錄「其他浮辭多合──」=删省。
文字文章の不要のものを除き去りて撰び定める。=删定。
けづりきる。劉寬夫文「──成功、蘩蕪立盡」
けづりて除き去る。=删省。
删修に同じ。
不要の字句をけづり必要の字句を增し加へる。=删拾·删削增補。
シヨ [魚]
○はじめ(始)○はじめて。○もと(本原)莊、繕性「復其─」○はじまり、おこり(端緒)ふるごと(故事)檀弓「夫魯有─」○まへかた(以前·舊)左、隱元「遂爲母子如─」○うひ、はつ。
同訓異義
ハジメ 初·始·肇·創·剙·昉·首·甫。○初は最初の義、後に對していふ、傳記文にて事のはじめをいふには初を用ひ、事のはじまりをいふには始を用ふ。左傳「初鄭武公娶二于申一」○始は事のはじまりをいふ、終の反なり。孟子「始作レ俑者、其無レ後乎」○肇は開けかかる始なり。大雅「后稷肇祀レ○創は創始の意、新に爲し始むる義。詩傳「時秦君始有二車馬、一故國人創見而誇二美之一」○剙は創に同じ、創業を剙業とも書く、刱の俗字。○昉は日の初めて出る意。通鑑「三皇之號、昉二於周禮一」○首は頭首の義、一番がけにの意。○甫は始也と註す、大きくなることの始めなり。後漢書「甫從二博士、一爲二刺史一」
○未だ仕宦せざる前の衣服。李白詩「久辭榮祿遂──」=初服。○ 國 ウブギ 生れたる子に初めて著せる衣服。=產衣。
國 はじめに思ひ込みし心、最初の一心。
なつのはじめ。陰曆四月の異名。=孟夏。
易の卦の最下段の稱。
初夜に同じ。
三十卷、唐の玄宗、諸王が學に從ふを以て、徐堅に命じて、部門を分ちて經史文章の要典故事を類纂せしめたるもの。
○易の卦にて、陽爻の初の稱。○月の第九日目。
あさひ、でたての太陽。白居易詩「蓮豔開──」=初日。
みかづき(三日月)書譜「纖纖乎似──之出天涯」=新月·彎月·初魄。
陰曆の七八日頃の弓張月。庾肩吾詩「──値早秋」
月のはじめの第三日目。白居易詩「可憐九月──夜」
俗 初囘、第一囘。
思ひ立ちし最初の志望、初一念。曹植、黃初六年令「修吾往業、守吾──」
○あきのはじめ。曹植詩「──涼氣發、庭樹微銷落」○陰曆七月の異名。=孟秋。
日の初めて出たるをいふ。曹植賦「其始進也、皓若──照屋梁」
○本心に同じ。吳融詩「麋鹿愧──」○ 國 無經驗、うぶ。又、ならひたて、初學。
つきはじめの十日。=上旬·上浣·上澣。
はるのはじめ。陰曆の正月の異名。梁元帝纂要「孟春曰上春·──」=早春。
初代のせんぞ、又達磨 ダルマ 蘇軾詩「更把安心向──」
詩體を論ずる者、唐代を初·盛·中·晚の四に分ち、唐初より開元の初に至るまでを一期とし、──と名づく、王勃·駱賓王·楊炯·盧照鄰·沈佺期·宋之問等最も著る。
かどで、轉じて物事の初めにいふ。翠雨軒詩話「甌北詩、一彈指頃盛衰殊、曾記──便棄繻」=發程。
ふゆのはじめ。陰曆十月の異名。=孟冬。
初めての節の義、誕生日をいふ。離騷「皇覽揆余初度兮、肇錫余以嘉名」=生日。
初めて罪を犯す。再犯·三犯の對。
あるき出したる初の一あしの義。轉じて物事のてはじめ。=入門。
佛 初めて佛道に入らんとする發心。宜律師感應記「從───、乃至成佛」
午後八時。古、一夜を五更に分けし、最初の時刻、戍の刻。更とは更代して夜を守る義。=甲夜·初更。
國 四十歲の稱。
はじめてのすずしさ、秋のはじめ。劉鑠詩「昊天淸且高、秋風發──」=早涼·新涼。
國 二月初の午の日、この日稻荷神社の祭を行ふ。
國 陰曆正月の異名。=初花月。
前條に同じ。
國 正月二日の夜みるゆめ。
ハン [翰]
○わかる、わかつ(分)辨別する。○さだむ、さばく、決斷する、是非曲直を決斷する。又、さばき、裁決。○わかれちる(離散)○なかば(半)○かたわれ(片)配耦 ツレアヒ 者の一方、夫、又は婦。○つかさ。○大官の人が小官を兼ねるにいふ、宋代、宰相が樞密院に─となる類。○ 國 ハン 印形。○ バン 紙などの大さ。○古の金貨の稱「大─」「小─」
同訓異義
ワカツ 判·分·別·頒·析等の別は分(刀部二畫)の條を見よ。
かきはん。宋史、陳恕傳「躬至恕第、請──」
國 古の金貨の大判·小判の稱。
○官名、唐代に置く、節度·觀察諸使皆──ありて僚屬たり。○ 國 裁判官。○古の官名。次官の下、主典の上に位する。はうぐわん。○檢非違使 ケビヰシ の尉 ジヨウ の異稱。
さばき。淸律輯註「制斷其事曰判、論其罪曰決」
○訴訟を斷定し、犯罪を糺明する。唐書、百官志「決斷不滯、與奪合經、爲──之最」○ 國 裁判官の稱、支那の推事に同じ。
曲直をわかちさだめる、さばき。後漢書「其有爭訟、輒求──」=斷定。
はっきりと·あきらかなり。=瞭然。
物事の是非、善惡をわかちさだめる。北齊書、許惇傳「以能──、見知時人」
國 金錢物品等を送り屆けし時、受取人より、領收の證印を取り置く帳簿。
國 官吏の最下級、大臣又は府縣知事之を任免す。奏任官の下。
あきらかにわかる。
訴訟事件を判決せし先例。=判決例。
ヘツ [屑]
通音べツ
○わかる、わかつ(分別)○とく(解)はなす、はなれる(分離)○わかち(區別)へだて。小學、明倫「右明夫婦之─」○わかれる、わかれ(別離·分岐)○わきまふ(辨)○よそ、ほか(他)べつに。
同訓異義
ワカツ 別·分·判·頒·班·析等の別は分(刀部二畫)の條を見よ。
かはり、ちがひ。
刺史が州を巡察するときに隨ひ行く官。別に駕して行くが故。事物紀原「唐六典曰、後漢、州置──、歷代皆有之」
他の箇條。別の事項。
○名目 トナヘ を異にす。書、君奭、疏「保衡伊尹一人也、異時而──」○人すでに名ありて別に一の名を立つるをいふ、單に號ともいふ。=別字。
國 功臣を祭る社格、官幣社及國幣社の中閒に位するもの。
國 外のこと。=他事·餘事。
家族が分れて別の家に住居する。
國 本家より分れ出たる家。しんや。=分家。
しもやしき。業は莊に同じく田園の義。南史、謝靈運傳「修營──、傍山帶江、盡幽居之美」=別墅。
別天地に同じ。
離別の時のかなしき心。羅鄴詩「巴山慘──、巴水徹荊門」
國 取りわけての懇意 コンイ 特別のしたしみ。=昵懇 ヂツコン 入魂 ジユツコン
特別の才思。嚴滄浪詩話「詩有──、非關書也」
としわすれの酒もり、歲末の酒宴。蘇軾、饋歲詩序「蜀中値歲晚問遺謂之饋歲、酒食相邀爲──」=分歲。
他の紙。吳志、注「──言、足下不死、孤不得安」
わかれのかなしみ。崔顥詩「不作書相問、誰能慰──」=離愁。
一人每の詩文集〔隋書、經籍志〕
ほかの人。宋書、謝晦傳「或用──」=他人·餘人。
他の將校。他所に在る將。漢書、高帝紀「項梁盡召──」
特別のおもむき、特殊の意趣。嚴滄浪詩話「詩有──、非關理也」
ほかのところ。北魏書「引之──」=他所。
離別の感情。獨孤及文「尊酒可以慰──」
しもやしき。晉書、謝安傳「圍碁賭──」
○ 國 古、檢非違使 ケビヰシ 藏人所 クラウドドコロ 院廏·淳和奬學院·大歌所·政所 マンドコロ 侍所 サムラヒドコロ 等の長官。職別に專當する義。○僧官の一。○現制にて親王家の執事の長官。○院廏の──より轉じて俗に乘馬の口とり、うまかひ。=馬丁。
本宅の外に設けたる家。晉書、裴楷傳「嘗營──」しもやしき。=別第·別莊·別邸·別業·別墅。
國 とりわけ、ことさら。=特別·格別·格段。
別宅に同じ。
しもやしき。別に置く第宅〔唐書、韋嗣立傳〕=別墅·別邸·別宅。
國 變りし事情。=異變。
俗界を離れたる土地。李白詩「桃花流水杳然去、別有天地非人閒」=別乾坤。
ほかのみち、異なる方面。「──支出」
國 本隊の外に在りて別に行動し、本隊を援助する軍隊。=游軍。
ほかの流派。北史「同源──」
○妾をいふ。世說「謝太傅劉夫人性妒、不令公有──」=別室。○べつのへや。
○ 國 わけて善き品物。○うつくしき女、別嬪。=美人。
國 みめよき女。=別品。
異名に同じ。史、五帝紀、注「族者、氏之別名也」
わかれる。わかれ。楚辭、九歌「悲莫悲兮新──」=離別。
わかれのなみだ。杜甫詩「天涯春秋催遲暮、──遙添錦水波」
リ [寘]
○とし(銛)するどし(銳)鈍の反對。○はやし(疾)物事がすらすらと通りてとどこほらず。孟、盡心「惡─口」○よし(吉)よろし(宜)易、賁卦「─有攸往」○つがふよし(便宜)○こころよし(快)○なめらか(滑)○とほる、とほす(通)○したがふ(順)○物の功用「水─」「地─」の類。○いきほひ、ちから「權─」「─器」○かち(戰勝)○まうけ(潤益)まうける。中庸「或─而行之」○益を他に及ぼす「─國」「─民」○元金より生ずる利子 リシ ○とみ(富)○むさぼる(貪)禮、坊記「先財而後禮、則民─」
するどし。人物志「以推讓爲──」=銳利。
○まうけ。=利得·潤益。○ リヤク 佛 神佛のめぐみ。=冥利 ミヤウリ 冥加 ミヤウガ
利益を見ては義に合 カナ ふや否やを思ひ考へて、取ると否とを決する。論、憲問「子曰、────、見危授命」
利益を貪り取る。史、平準書「富商大賈、無所牟大利」
はやふね。盧思道文「輕舠──、便習者多」=走舸·輕舸·快走船。
都合の善きと惡しきと。周語「明──之鄕」=得失·利病。
利益をひとりじめにする。沈亞之文「──大登」=壟斷。
するどきまなこ、太陽の異名とす。陸機、演連珠「──臨雲」
○するどき刃物 ハモノ すぐれたる才器に喩ふ。後漢書、虞詡傳「不遇盤根錯節、何以別──乎」韓愈送董邵南序「懷抱──」
○利兵に同じ。戰國策「堅箭──」○ 國 元金に對する利息、又、利益金。
するどきほこ。杜牧文「以──舂喉」
利益の出づるもと。蘇轍、收蜜詩「慚愧野花知──」
するどきつるぎ。公羊、宣六「子之劍、蓋──也」
○辯舌がすぐれて巧 タク みなり。論、陽貨「惡──覆邦家者」○ 國 かしこし。=伶俐。
己の幸福を全うするを以て人生の目的とする說。利他主義の反對。
佛 利口のたち、利發なる性根。法華經「正見邪見、──鈍根」
するどきつめ。葉顒詩「──排空怒且雄」
國 公債證書、又は債權の利子を受け取る時、切斷して利子の受取の證となすもの。
借したる元金に對して生ずる報酬の金、利息に同じ。=利錢。
するどきくちばし。孫楚詩「──入人肉」
佛 衆生を利益する。法苑珠林「逐要──無過見佛」
利益に同じ。北史、姚氏婦楊氏傳「親姻皆求──」=潤益。
利益を積みて、次第に金がふえる。
するどききり。皮日休詩「枿觜利如錐」
よく口をきく。參同契「發辯──」=利口。
貸金又預金の元金に對し其の幾分に相當する割合の金を收むるをいふ。息は利子の子と同じく子息の繁殖するに比す。北史、劉騰傳「歲入──以巨萬計」
するどきやじり。李華、弔古戰場文「──入骨、驚沙入面」
佛 他人を利益する。淨土論「應知由自利故則能──、非是不能自利而能──也」
他人の幸福を全うするを以て人生の最善の目的とする說。墨子の兼愛說の類。
己に都合よきやうに人をみちびき出す。史、孫子傳「善戰者、因其勢而──之」
身分がよくなる。立身する。孟、離婁「人之所以求富貴──者」
まうけ。易林「君子萬年、動有──」=利益·潤益。
するどきと、にぶきと。吳志、注「兵有──、戰無百勝」
賁は孟賁、諸は專諸、共に古の勇者。人の利を求むるときは、皆、孟賁·專諸の如き勇氣を發して、少しも畏るることなき義〔韓非、內儲說〕
益を得ること一倍する。白居易、策林「應疾而化速、──而功兼」
利は天より降り來ることなし。鹽鐵論「─────、不從地出」
するどきはもの。孟、梁惠王「堅甲──」
利と害と。後漢書、羊續傳「候民──」=利害。
都合よろし。賈誼文「因利乘便、宰割天下、分裂河山」=便利。
するどきほこ。韓詩外傳「莫邪之──」
○物の用ひ方を良くする。書、大禹謨「正德──、厚生惟和」○巧に應用する。
利用とは工の器を作り商の貨を運する類、厚生とは、帛を衣、肉を食ひ、飢ゑず寒 コゴ えざる類をいふ。前條參看。
むさぼりほしがる心。抱朴子「不爲──動」
利息の元金に對するわりあひ。
ふちのもうけ、又、ふちを得るを利する。禮記「事君三違而不出竟、則──也」
6畫
クヮツ [黠]
○けづる(削)○する(刷)こする(擦摩)韓愈、進學解「─垢磨光」
物をこすりみがきて滑澤 ツヤヤカ ならしむる。周禮、冬官「──之工」=刮磨。
目をこすり拭うて明かに見る。吳志、呂蒙傳、注「蒙曰、士別三日、卽當──相待」
ケイ [齊]
○さく、わる(割)割きて取る。戰國齊策「─魏之東野」○さす(刺)易、歸妹「士─羊無血」
刑(刀部四畫)の本字。
ケン [願]
劵とは別字
○てがた、わりふ(契)古、木ふだに契約の事項を書き、兩分して各一を雙方に保存し、後日の證とせしもの。史、孟嘗君傳「合─焚之」○きつぷ·きつて·印紙·證文の類「郵─」「有價證─」
借用證書を破り棄てる、券は金錢貸借の證書なり、卽ち債權を棄つる義、古は竹簡に字を書す、故に折るといふ。史、高祖紀「兩家──棄責」責は債。
約束てがた。わりふ。=要契。
約束のかきつけ、證文 シヨウモン 史、孟甞君傳「貧窮者、悉燔──以捐之」
證書のおもてに記入してある金だか。
ちぎる。=契約。
コ コウ·ク [虞]
○さく(剖·割)書、泰誓「─剔孕婦」○わかつ(剖)○ほふる(屠)○ゑぐる、くりぬく、うつろにする。易、繫辭「─木爲舟」
からだをきりさく。宋史「或斷斬──」
動物をほふりて肉を解く。漢書、王莽傳「與巧屠共──之」=刳剔。
はらをさく、割腹。戰國策「──折頤、首身分離」
コク [職]
○きざむ。呂覽、察今「─舟求劍」ほる、ゑる(彫)ちりばむ(鏤)○けづる(削)○さく(割)○はぐ(剝)○いたむ(痛)○そこなふ(害)○むごし(殘忍)○深字の義あり、故に度に過ぐる者皆之を─といふ、「忌─」「苛─」の類。○漏─ ミヅドケイ の時閒の度。轉じて時閒の義とす。「卽─」
深く意思をくるしめる。莊、刻意「──尙行」唐書、張九齡傳「必──修飾、而刑政自淸」=苦心。
彫刻したる印。又、印をきざみほる。
ただいま。=卽時·卽刻·目下。
むごくきびし。史、嚴延年傳「用刑──」=峻刻。
ほねをりくるしむ。宋史、孔文仲傳「──問學號博洽」
きざみゑがく。=彫繪。
定められたる時刻。
頑固にして時勢に通ぜざるに喩ふ。齊書、顧歡傳「──沙門、守株道士」刻舟參看。
鳥部の鵠(七畫)字の條を見よ。
人の顏面を雕刻するに、最初、鼻はなるべく大にすべく、目はなるべく小にすべし、鼻は凸起したれば、一度小にすれば再び大にすることを得ず、目は凹みたれば、一度大にすれば再び小にすることを得ざればなり、因りて事を爲すには其の初に當りて適當の方法を考へ失敗することなきやうにすべきに喩ふ〔韓非、說林〕
文字をほりきざむ。又、其の文字。
舟の進み行くを知らずして、ふなばたに目じるしのすぢをつけて、落したる劍を索める義。事物に拘泥 コウデイ して變通を知らざる頑固の人を嘲りていふ。舟字の條、──求劍を見よ。
期日を限定する。宋史、張浚傳「──決戰」
むごし、苛刻にして深く責める。漢書、曹參傳「言文──」=慘刻·刻急。
蠟燭 ラフソク にきだをきざみて時閒のたつを驗する。南史、王泰傳「泰每預朝宴、──賦詩文、不加點」
きざみけづる〔李東陽、石鼓歌〕
いれずみ。書、呂刑、傳「刻其顙而涅之曰墨刑」=黥。
むごくして情薄し。史、商君傳「商君者、天資──人也」
きびしきおきて。陸賈文「深刑──、朝夕切切、而後行哉」=峻法·苛法·嚴法。
後世に傳へん爲めに石に彫りつける、珉は玉に次ぐ美石。柳宗元、韓君墓誌「載刻玆珉」=刻石。
木をきざむ。漢書、路溫舒傳「──爲吏、期不對」
版に刻 キザ みたる書物、出版せし本、すりまき。寫本の對。=刊本·板本。
銘の文をきざむ。又、きざみたる銘。宋史「泰山有唐明皇刻銘」
しのぎおかす、刻剝凌轢の義、刑を用ふることのきびしきをいふ。史、酷吏傳序「──宋室、侵辱功臣」
嚴しくしていさぎよし。漢書、朱建傳「──剛直」
水どけい。周禮「挈壺氏掌──」=漏刻。
きざみゑる。禮記「器不──」=鏤刻。
秋の景色のさっぱりとしたるをいふ。峭刻呈露、淸爽秀麗の義。歐陽修、豐樂亭記「掇幽芳、而蔭喬木、風霜冰雪、────、四時之景、無不可愛」
サツ セツ [黠]
○する、こする(刮·摩)○はらふ(拂)ぬぐふ(拭)拭ひ除く。漢書、梁懷王揖傳「爲宗室、─汙亂之恥」○きよむ(淸)○はけ(刷子)はけにて板を押す、印刷する。
はねを撫でつくろふ。梁簡文帝、詠單鳧詩「──向沙洲」
書物を版にすりて世に行ふ。印刷發行。=印行。
俗 齒磨粉。=牙粉。
俗 齒磨やうじ。
ふきはらふ。掃除して淸める。
害を除き去りて事を新にする。=革新。
拭ひ淸むる。蔡襄詩「廢滯振拔、垢瑕──」=刷新。
はぢをすすぎ淸める。漢書「欲──改行」
こすり去る。五代史「──其皮膚」
國 はけ。=刷子。
サツ セチ [黠]
通音セツ
○はしら、旛 ハタ を建つる柱 ハシラ ○てら(僧寺)僧徒が一法を得れば旛を建てて遠方に吿げ知らせたるによりて旛柱の義より轉じて僧寺の稱とす「古─」○たふ(寺塔)佛家にて舍利 シヤリ を藏する石塔。○─摩 セツマ は梵語、くに(國土)をいふ。○─那は極めて短き時閒。
佛 おに、惡鬼羅刹 ラセツ なり。羅刹は梵語、鬼と譯す、人を食ふ鬼にて毘沙門 ビシヤモン に奉仕すといふ。
佛 印度四姓の第二位にある王統、武力を以て土地·人民を領し政治を行ふ、略して刹利といふ。
佛 極めて短き時閒。俱舍論「時之極少者名──」
刹帝利に同じ。
①シ [寘]
②セキ [陌]
刺とは別字
①さす。○さし殺す。○そこなふ(傷)○とげ(棘)はり(鍼)のぎ(芒)○ほこさき(鋒)淮南、氾論「修戟無─」○魚骨の細き者。○なふだ「名─」○そしる(譏)○せむ(責)罪をたづねしらべる。周禮、秋官「司─掌三─」○とる(取)○のぞく(除)○かる(剗)
②さす。孟、梁惠王「─人而殺之」やいばす(刃)○ぬひとり「─繡」俗にシ音に讀む。○さをさす(棹·撐)史、陳平世家「平乃─船而去」○うかがふ(偵伺)
同訓異義
サス 剌·螫·指·倳○刺はとげ又は針にてさすなり。綱目「霍光驂乘、上憚レ之、若レ有二芒刺在一レ背」また人をさし殺すにも用ふ。○倳は刀を插しこむ義。倳レ刃と用ふ、剚に同じ。○指はゆびにてさし示すなり。○螫は毒蟲のさす義。○ソシル刺·誹·非·謗·訕·詆·譏·誚·短·訾·毁等の別は誹(言部八畫)の條を見よ。
名刺を出し取次を請ひて面會する。=謁見。
名刺 ナフダ をさし出して面會を來むる。異苑「──、字不可識」
前條に同じ。梁書、處士諸葛璩傳「璩安貧守道、悅禮敦詩、未嘗投刺邦宰、曳裾府寺」
次條に同じ。
人をそしりておごり高ぶる。北史「好飮酒、頗涉──」=刺敖。
そしる。
偵察して之を擧發する義。漢書、蓋寬饒傳「稱意──、無所廻避」
薔薇 イバラ の異名〔本草綱目〕
○さし突く、心を感動せしめてはげます。○肉體にぴりぴりと刺す如き感覺を與ふる「──性食物」
はげます。興奮さす、刺戟して感激せしむ。
さしうつ。
苦學をいふ。戰國秦策「讀書欲睡、引錐自刺其股」
いばらの異名。花譜「薔薇一名刺紅」
やうすをうかがふ。漢書、燕王旦傳「燕王旦遣幸臣、之長安問禮儀、陰──朝廷事」=伺候·刺探。
○治療法の一。韓非子「聞古扁鵲之治病也、以刀──」○恨 ウラミ の甚だしきをいふ。聞見前錄「哲宗卽位、退元豐大臣於散地、皆銜怨──」○寒氣の甚だしきをいふ。戴復古詩「──淸寒氣自豪」
草を刈る賤しきけらい、平民が君主に對して卑下する稱。儀禮、士相見禮「庶人則曰────」=草莽之臣。
さしころす。史、刺客傳「聶政──俠累」
漢唐時代の州の長官。漢書、百官志「孝武帝始置──十三人」=太守。
ぬひとり。又、ぬひとりする。史、貨殖傳「──文、不如倚巿門」
ぬひとりの職工。論衡「牛刀可以割雞、雞刀難以屠牛、刺繡之師、能縫帷裳、納縷之工、不能識錦」
さすと、きると。
いれずみ。淸異鈔「力者張幹──左手曰、生不怕京兆尹、右曰死不畏閻羅王」=刺文。
蝟 ハリネズミ の異名。=刺螺。
世事に役せられていそがはし。晉書、潘岳傳「──不得休」
刀にてさし、笞 ムチ にて擊つ。史、張耳陳餘傳「──身無可擊者」
針にて體を刺し、又やきがねをあててやく。又其の治療法。
そしると、ほめると。=美刺·毁譽襃貶 キヨハウヘン
いれずみ、ほりもの。=文身·刺靑·刺皮。
動脈を針にてさして血を取る、痣 アザ を去る療治などに行ふ法。
暗殺を爲す者。史記に──傳あり。
くどくどと言多き貌。管子、白心「孰能棄──、爲愕愕乎」
ジ [寘]
みみきる(斷耳)又、其の刑。古の肉刑の一。書、康誥、傳「劓─刑之小者」
①シヤウ·サウ [漾]
②シヤウ·サウ [陽]
①はじめ、はじむ(始)創に通ず。
②きずつく、やぶる、そこなふ(傷)
はじめ起こす。魏志、武帝紀、注「是以──大業」=創造。
セイ [霽]
○つくる(造)程よくしたてる(裁)晉語「故能治事以─百物」○さだめ(成法·規則)○さだむ、規則を立てる。○おきて、のり(法律)○ただす(正)○さばく、斷ずる「裁─」○しめくくる(檢)「節─」○とどむ(禁止)○をさむ(御)○つかさどる(主)呂覽「以吿─兵者」○天子の命令、みことのり(詔勅)○しな(等級)○ほど(程度)○ほしいままにす(恣)もっぱらにす(擅)○かたち、かた(形式)
天子に代りて政を行ふ。史、呂后紀「今太后──王昆弟諸呂、無所不可」
天子の詔なりと詐る。漢書、高五王傳「──以令天下」=矯制。
八股文をいふ、制藝又經義文ともいふ。制科に用ふる文體。
おさへとどむ。=禁制·制止。
おさへつけて自由にをさむる。史記「──海內」=制馭。
前條に同じ。馭は御者が馬をつかふに比していふ。
制科に同じ。唐書、選擧志「唐制取士之科、其天子自詔者曰──、所以待非常之才焉」
俗 淸代、總督の異稱。
天子親ら詔して擧人を試驗する〔唐書、選擧志〕=制擧。
つくり定める。=制定。
制義に同じ。
おさへかぎる。一定の限度を立てて越ゆることなからしむ。=節制。
不善を止むる爲めのこらしめにして、法律によるものと、社會の習慣規定などによるものとあり。
考へつくる。又、其作られたる制度文物など。羯鼔錄「──曲調」
天子が親ら策問する義。
國 禁止の箇條を揭示するたてふだ。
胃酸の過度に生ずるを止める鹽基性の藥。
おさへとどむる。=禁制。
天子のつかひ。唐律釋文「天子所使、謂──」=勅使。
制詔に同じ。漢書、呂后紀、注「天子之言、一曰──、二曰詔書、──者、謂爲制度之命也」
みことのり、天子の命令。史、秦紀「命爲制、令爲詔」
程よく制限する。孝經、諸侯「──謹度」=節制。
歷代通行の圜錢 アナアキセン 我が圓廓方孔の寬永通寶の類。
俗 明淸時代、總督の敬稱。
佛 不動明王の右脇なる侍者、頭に天衣をまとひ、左手に三鈷 サンコ を持し、右手に金剛杖をつく。=勢多迦。
つくりさだめる。後漢書「──禮樂」=制決。
國家のさだめ。政治上のきめ。易經「節以──、不傷財、不害民」
○服裝を制定する。管子「度爵而──」○規定の服裝。
禮儀をさだめつくる。晉書「王者功成作樂、治定──」
タウ トウ [號]
○いたる(至)○ゆきとどく(達)及ぶ。○極まり至る、十分にゆきとどく「懇─」「周─」
同訓異義
イタル 到·至·臻·詣·造·格·抵等の別は至(部首六畫)の條を見よ。
いたるところ、行き到るところどころ。高適詩「江山──堪乘興、楊柳靑靑那足悲」
○つまり。畢竟。○そこまで。吳澄詩「心如淸水──潔」=徹底。○ 國 とても。
つまるところ、とどのつまり。盡頭に窮り到る義。羅隱詩「浮世──須適性、男兒何必盡成功」=至竟·畢竟·到底。
國 其の時、又其の地にいたりとどく。
國 其の地にいたりつく。
○其の時又は其所に至る。岑參詩「──逢歲酒」○ 國 人より物を贈られる。
7畫
ケイ [迥]
くびきる、刀を以て首を刎ねる。史、淮南王傳「令從者魏敬─之」
コク [職]
通じて克に作る尅は俗字
○かつ(克·勝)「金─木」「木─土」の類。○たふ、あたふ、よくす(能)○ころす(殺)○けづる(削)○きびし(嚴酷)○かならずす(必)堅く約する。後漢書、鍾離意傳「─期俱至」○きざむ、刻に通ず。
こころをくるしめる。李商隱文「平生忽忽不樂、始──事佛」=刻意。
きびし。莊、人閒世「──太甚、則必有不肖之心應之」=剋覈。
堅く期日を限り定める。字解を見よ。
きる。徐陵文「──無算、縲禽無貲」
敵をほろぼしつくす。晉書「創啓鴻基──强楚」
○しひて己に從はしむ。拾遺記「武帝好微行、而尙──」○克伐に同じ、克は勝つ、伐は矜 ホコ る。論、憲問「克伐怨欲不行焉、可以爲仁矣」
國の亂に克ちて、常狀に復するをいふ。晉書、王導傳「當共戮力王室、──神州」=克復。
私慾に克ちて事をつとめはげむ。北史「深自──」=剋勵。
剋勉に同じ。顏氏家訓「不能──」
ザ [箇]
○きる(斫·斬)○こまかくきざむ(細切)○折り傷く。○かど(芒角)をけづり去る。
戰にまける、剉は挫に通ず。後漢書「偏城獲全、虜兵──」=挫折。
①サク [藥]
②セウ [嘯]
①けづる(删·刮·削)○きざむ(刻)○おかす(小侵)○かく、へす。○きる(斫)○よわむ(弱)○よわる(弱)○こがたな、古、紙筆のなかりし時、竹簡に字を刻せし書刀。○わかつ(分·割)○うばふ、うばはれる(奪)○のぞく(除)けす、抹殺する。
②かたなのさや。=鞘。○きびし。=峭·陗。
草藁をけづりけす。北史、李孝伯傳「孝伯切諫、削滅草藁」唐書、戴胄傳「奏已卽──、外莫知」
けづりへらす。漢中士女志「患諸侯强大、建議──」
けづる。文同詩「巧者强──」
詩文をけづりなほす。=删正 サンセイ
刀にてけづり成したる如く聳え立つ。山海經「太華之山、──而四方、高千仞、廣十里」一說、削は陗、陗峻 セウシユン の義。
官吏が免職せられる。職員錄より其の名を削られる。=落職。
けづりへらす。晉書「先自──也」=削減。
けづりてうばひ取る。晉書「──威權」
官位などをけづり貶 オト す。
けづりのぞく、とりのける。=刪去。
○かみをけづる、かみを剃 ソ る。髮を去る。=剃髮。○髮をそりて僧になる、出家する。宋史、王旦傳「──被緇」緇は墨染の僧衣。=落飾。
けづりたちたるかべ。曾元一文「──堊色、石紋墨縷」
①セン·ゼン [先]
②セン [銑]
①まへ。後の對。○さき(先)○さきんず、さきだつ(先)○あらかじめ、未だ然らざる時。中庸「至誠之道可以─知」○すすむ(進)○もと、むかし(故)○今まで、過去「─非」「─因」○みちびく、みちびき(導)
②そろへてきる(齊斷)俗に剪に作る。○あさぐろきいろ(淺黑色)○ 國 まへ。○人目に觸れる「人─」○わりあて「三人─」○貴女の名に添へる稱。「玉藻─」○平等以下の交に人を呼びて「お─」といひ、貴人に對しては音讀して「御ゼン」といふ。
あの世からのゆかり、前生のいんねん。釋貫休詩「渾似有──」=宿緣·前緣。
前生のいんねん。蘇軾文「此殆世俗之所謂──者」=前因。
さきばらひ。韓愈、送李愿歸磐谷序「武夫──、從者塞途」
まへの箇條。
人よりさきに道理をさとり得たる者〔吳都賦〕=先覺。
朝代の名。後漢の對。漢の高祖より孺子嬰に至るまで。=西漢。
まへの世の紀事。謝靈運賦「國史以載──、家傳以申世模」
○以前の記錄「考尋──」○前にしるす「──の條項」
疑は官名、古、天子の左右前後に侍する輔佐の臣四人あり、疑は其の前に侍するを以て──といふ。張蘊古、大寶箴「諍臣司直、敢告──」禮、文王世子「虞夏商周有師保、有疑丞」疏「古者天子必有四隣、前曰疑、後曰丞、左曰輔、右曰弼」
國 まへばらひ、さきに拂ふ代價。又、賃金·まへきん。
進むと退くと。吳子、治兵「──有節、左右應麾」=進退。
前代の賢人の遺せるてほん。蔡邕、司空文烈侯楊公碑「乃及伊公、克光──」
天子の行列のさきのり、又前蹕 サキバラヒ 周禮、大僕「王出入則自馭而──」
まへかたのいさを。左傳「復修舊德、以追念──」=前功·前勞。
かつて犯したるつみとが、「──者」
○前にいひたる言。論、陽貨「──戲之耳」○古人のいひのこしたる言。易、大畜、象「君子以多識──往行以畜其德」
前時のかしこき人。隋書、王貞傳「──後聖、代爲師祖」=先賢·前哲。
國 前に書きあらはしたる箇條。=前記。
過ぎ去りしむかし。=往古。
古よりいまだなし。
先の妻。晉書「賈充──李氏坐徙、後妻郭氏、李以大赦得還、詔充置左右夫人」=前室。
○うゑごみ。下學集「──前水」○ 國 ゼンザイ 草木をうゑたるざしきの庭。又、其の草木。
前世德を修めたる賢人、古の君子。楚辭、離騷「謇吾法夫──兮」=先哲。
前日行ひし事を忘れざるは、後事を處置するによき參考となる義。史、始皇紀「野諺曰、─────────也、是以君子爲國、觀之上古、驗之當世、參以人事、察盛衰之理、審權勢之宜」
○ 佛 前世に在りし時のからだ。白居易詩「閑思往事似──」○ 國 變革せざる以前の事物。
佛 まへの世のからだ。今生 コンジヤウ の對。雲笈七籤「汝──與南極尊神、同在禪黎世界」
國 まへがり、一定の期日後に受け取る可き賃金·報酬等を其の期日前に借用する融通法。
前車の傾覆を見て、後車は警戒して、亦覆へらんことを恐れるをいふ、前人の失敗を見て、後人の戒とすべきに喩ふ。漢書、賈誼傳「鄙諺曰、──────、秦氏所以亟絕者、其轍迹可見、然而不避、是後車又將覆也」
先人の遺し置きたる事業のいとぐち。楚辭、天問「纂就──」遺業·先業。
○むかし。後漢書、周擧傳「昔在──、求賢如渴、封墓軾閭、以光賢哲」=前代。○ ゼンセ 佛 三世の一、現世のまへの世。=前生。
○一世紀(西曆にて百年を一世紀とす)まへの世。○前世界の義。
現在の世界の狀態にならざりし以前の世。=舊世界。
皇太子の異稱。漢書、五行志「星傳曰、心、大星、天王也、其──太子、後星庶子也」
まへの世のひじり。班固、東都賦「六籍所不能談、──靡得而言焉」=先聖。
軍隊の宿營する時、前方に設けて敵兵の警戒に當る隊をいふ「──線」
さきがけの隊伍、軍の先頭に進むくみ。後漢書、光武紀、註「南陽爲──、河內爲後隊」=前鋒·先鋒。
事の起らざる前に豫め知る。中庸「至誠之道、可以──」=豫知·逆睹 ゲキト
前以て定まる。中庸「言──則不跲、事──則不困」
前途に同じ。樂善錄「每以──祈禱」
前途の多望なるをいふ。南楚新聞「魏公崔相鉉之子也、爲童兒時、隨父訪韓滉、指架上鷹命詠之、遂命牋筆、略無佇思、滉歎曰、此兒可謂────也」
論理學の語、三段論法にて議論の基礎となる命題(大──)又後に起すべき議論の伏線となすまへおき(小──)
事の起るまへじらせ。韓駒詩「那知此相遇、乾鵲果──」
前代の賢者。左、成、八「賴──以免也」=先哲·前賢。
正殿の前にある殿舍。史、始皇紀「先作──阿房」
まへに在る軍人。書、武成「──倒戈」
ゆく先のみち。將來。夢溪筆談「吳僧持一寶鑑、來云、齋戒照之、當見──吉凶」=前程·前路。
人に先きだちて登る。さきがけする。後漢書「精兵八百、强弩千張、以爲──」=先登。
すすみつく。魏志「馬超負其力、陰欲──」
去りて又重ねて來る者の稱。劉禹錫、再遊玄都觀詩「種桃道士歸何處、────今又來」蓋し劉晨·阮肇重ねて天台に到るの故事を用ふ。
以前の失敗。楚語「使復其位、以無忘──」
我より先に進める賢人。宋史、田畫傳「議論慷慨有──風」=先輩·先覺·先進·先達。
茅は春秋の楚國の旌旗、前に敵あれば旌旗を揭げて之を後軍に報ず、今の斥候なり。左、宣十二「軍行、右轅左追蓐、──慮無、中權、後勁」
老いたる狼が前は胡(のどの下に垂れたる皮肉)を跋 フ み、後は尾につまづく、進退谷まる喩とす〔詩、豳風、狼跋、註〕跋(足部五畫)の條の跋胡を見よ。
俗 午前。
前になしたる惡事。崔湜詩「事往覺──」=先非·昨非。
天子の行幸のさきども。道路を警戒し行人をとどむるもの、さきばらひ。=前驅。
再嫁せし者、其の先の夫をいふ。辛延年詩「男兒愛後婦、女子重──」=先夫。
これまでにきく。又、其の事がら。禮、檀弓「我未之──也」
いくさのさきがけ。史、黥布傳「爲楚軍──」=先鋒·前隊。
纔に禍を脫れて又禍に逢ふに喩ふ。成語考「禍去禍又至、曰前門拒虎後門進狼」
前日にたてたる功勳。司馬光詩「廟鼎刻──」=前功·前勳。
前時の賢良なる人。張衡、思玄賦「尙──之遺風兮」=先哲·先賢。
○文章のはじめの一部を省く、前文省略。○ 國 書翰文に時候見舞などの冒頭 バウトウ を省く時に用ふる書きだしの語「──御免」
事の起らざるまへにおもんぱかる。戰國策「──不定、後者有大患、將奈之何」
まへからのためし。南史「魯有靈光殿、漢之──也」=先例·古例。
まへの世の人のいさを。書經「公劉克篤──」=餘烈。
詩の七言律·五言律、共に第三第四の句を──といひ、第五第六の句を後聯といふ。
まへの代の帝王。大學「於戲──不忘」
狼が前に進まんとすれば、その胡(のどの下の垂れたる肉)をふみ、後に退かんとすれば、その尾につまづく如く、進退に窮するに喩ふ。韓愈、進學解「────、動輒得咎」跋胡 バツコ を見よ。
ソク [職]
○のり(法)天理、制度、禮法。○てほん(模範)○のっとる、てほんとして傚 ナラ ふ。○つね(常)○條字の如く事を列擧する時に用ふ「格言三─」○夷─は十二律の一にて七月の律の名。○すなはち、上文を受けて下文を起す接續詞、而る後。論、學而「行有餘力─以學文」又、至りては、於いては。論、憲問「仁─吾不知也」又、若し然らば。論、學而「過─勿憚改」
同訓異義
スナハチ 則·乃·卽·便·輒等の別は乃(ノ部一畫)の條を見よ。
のっとりならふ〔左傳〕
國 太政大臣の異稱。天子の師範にして天下の儀刑たる人なれば最も其の人を精選するを要す。大寶令「有德之撰、無其人則闕」とあるに本づく。
姓は武、名は瞾、はじめ唐の太宗の才人なりしが、後、高宗の后となりて政權を專にす、高宗崩じて中宗立つに及び、遂に中宗を廢して其の弟睿宗を立て、更に睿宗を廢して、自ら帝位に卽き、則天皇帝と稱し、國を周と號す、在位十六年、中宗位に復して、后を廢す、尋で卒せり、年八十一、著はす所臣軌二卷あり。
のり、てほん。宋史「虞允文、言動有──」=法度。
テイ タイ [霽]
かみをそる、髮を去る。
かみそり。段成式詩、起就夕陽磨──」
頭をそりて佛道に入る、剃髮得度の義。舊唐書「妄爲──、託號出家」
かみをそる。魏書、房崇吉傳「──爲沙門」=剃頭·削髮·薙髮。
ラツ [曷]
刺とは別字
○もとる(戾)そむく(乖)「乖─」たがふ(差)ひがむ(僻)○はづ(恥)○物の聲の形容に用ふる。──は風の聲、撥─は弓を張る聲。跋─は魚の躍る聲。○外國語のラ音に借用す「亞─比亞」
風の聲。李商隱詩「去程風──、別夜漏丁丁」
8畫
エン [琰]
○けづる(削)易、繫辭「─木爲矢」○きる(斬)荀、彊國「─其脛」○するどし(銳利)○ほこさき(鋒)○──は光り輝く貌。離騷「皇──其揚靈兮」又身を起す〔禮、玉藻〕
地名、浙江省に在り、曹娥江の上流なり、王子猷雪夜に戴逵を訪ひし所、一名戴溪。
周代の人、二十四孝の一、其の父母牝鹿の乳を求む、乃ち牡鹿の皮を被り、羣鹿中に交り、漸く之れを得たりといふ。
剡溪より產する紙。=竹紙。
すばやき手なみ、するどき手わざ。漢書、賈誼傳「──以衝仇人之胸」
カウ [陽]
通音ガウ
○こはし。柔の反對。易、乾卦「大哉乾乎、─健中正」○かたし(堅固)○つよし(勁)○奇日 ハンノヒ をいふ。○まさに、詩に用ふる俗語、適然 タマタマシカル の意「─逢」「─過」の類。─道·─地と連用するも義同じ。
たけくするどし。晉書、赫連勃勃載記「朕宗族子孫、──如鐵」
かたくつよき性質を摧きて、柔和となす。史、季布傳「能────」
てづよし。北史、游肇傳「宣武嘉其──」=强梗。
剛直にして屈せず、前條に同じ。晉書、謝邈傳「性──二無所屈撓、頗有理識」
たけくしてつよし〔左思賦〕=剛鷙。
たけく勇ましき氣。禮記「──不怒」
かたくしてつよし。剛は勁直にして欲なし、毅は堅忍。論、子路「子曰、──木訥近仁」=木强。
かたくしてつよし〔漢書、王莽傳〕曾鞏詩「──必死仁義王」=剛梗。
鋼玉石の異稱。
心つよくしておもひきりよし。後漢書、楊政傳「其──任情、皆如此也」=剛決。
志かたくおもひきりよし。唐書「──犯上」=剛果。
すこやかにしてつよし。易、乾卦「大哉乾乎、──中正純粹精也」
剛直にして正言して憚らず。北史、李諤傳「務存大體、不尙嚴猛、由是無──之譽、而潛有匡正之志」
剛直にして屈せざる義。魏志、桓階傳「──少黨」
つよくしてきびし。舊唐書「皆以──操下」
柊 ヒヒラギ の異名。
心がつよくしてせつかち。=剛褊。
つよくしてたけし。晉書、虞潭傳「──之鳥來集破賊必矣」
かたきと、やはらかなると。易、繫辭「──相摩、八卦相盪」
十干のうちの甲·丙·戊·庚·壬にあたる陽の日。他の五日を柔日といふの對。曲禮「外事以──」外事とは出征狩獵など。
意志固く私欲にうち克つ人。論、公冶長「吾未見剛者」
俗 剛來に同じ。
志つよくしておもひきりよし。漢書「酺雖儒者性──」=剛決。
心つよく物に屈せず。南史、弘正傳「誹諧似優、──似直」
志かたくしてただし。後漢書「倫雖──、然常疾俗吏苛刻」
漢代、官吏が佩びたる飾の具、剛はつよし、卯は國姓の劉の字を折 ワカ てば卯金刀となるによる〔漢書、王莽傳〕
つよくしてさとし。元史、阿沙不花傳「廉直──、憂國如憂家」
つよくいさまし。漢書、地理志「周末有子路·夏育、民人慕之、故其俗──、上氣力」
道家にて高き處の風をいふ。抱朴子「去地四千里、風力猛壯、有──世界」
がうじやうにしてもとる、剛慢很愎の義。左、宣十二「──不仁、未肯用命」=剛戾。
心つよくして急 セツカチ なり、褊は惼に通ず。魏志、呂布傳「卓性剛而褊」唐書、崔元翰傳「性──不能取容於時、孤特自恃」
剛健にして明辯なり。北史、李彪傳「──之才、頗堪時用」
つよくしてたけし。三國論「高祖有果銳──之氣」
俗 只今來る、剛は助字。
國 つよく大いなる力。○修驗者の伴ふ奴 ヤツコ 轉じて高山の靈場に登る者を案內する人足をいふ。
强情にして理にもとる。史、秦紀「始皇爲人天性──自用」=剛愎。
がうじやうにしてもとり、自ら才智を用ひて人の說を容れず。前條を見よ。
こはくしてはげし。後漢書「肆情──、成其不撓之威」
豕の異名〔曲禮〕
つよくして威嚴あり。後漢書、王允傳「允性──疾惡」
キ [支]
○きざむ(鏤)彫刻する。○ほりものに用ふるまがり刀。
彫刻用の曲刀と、曲り鑿 ノミ と。楚辭、哀時命「握──、而不用兮」轉じて、彫刻の義とす。
はんほり、彫刻師。
①ケイ、キヤウ [庚]
②リヤウ りヤク [漾]
①いれずみ、面上に施す墨刑。=黥。
②他人の物をかすめとる(鈔取)うばひとる(奪取)=掠。
①サン·セン [澘]
②サン·セン [諫]
③セン [銑]
①けづる(削)剷に通ず。○たひらげる(平)戰國策「─而類、破吾家」
②をさむ(治)平にし治める。韓愈詩「活計以鋤─」
③かる(刈)除き去る。蘇軾詩「賊壘何足─」
けがれたるものを削り去る。白居易詩「新園聊──」
シ [寘]
○さす、さしこむ。○刀を插む。史、張耳陳餘傳「敢─刃公之腹中」刺し殺す義。通じて倳に作る。
同訓異義
サス 剚·倳·指·螫の別は刺(刀部六畫)の條を見よ。
刱(刀部六畫)の俗字。
テキ [錫]
○とく、骨又は肉を解く、解剖する。○のぞく(除)物を選びて惡しき者を除き去る「─除」「─出」
ほりくじる、ほじくり出す。韓愈、進學解「爬羅──、刮垢磨光」賢者を求め出して登用する形容。
たち切る。詩、大雅、疏「攘去之、──之者」
①テツ [屑]
②タツ [曷]
①けづる(刊)商子、定分「有敢─定法令者死」○さす(刺)兵器にて刺す。史、張耳陳餘傳「刺─無可擊者」○さく(割)割き取る。漢書、賈誼傳「盜者─寢戶之簾」
②けづりさる(削去)
けづりて定める。字解を見よ。
ハク [覺]
○はぐ(褫)衣服を脫がせる「─奪」むく、皮を除き去る。○牲 イケニ ヘを殺して骨肉を解く。○おつ、おとす(落)擊ちおとす。○そこなふ(傷害)○けづる(削)○さく(割·裂)○易の卦の名、坤下艮上。轉じて運命の吉ならざるにいふ。○──又、─啄は人の足音、一說、戶を叩く音。
はげかける。韓愈文「斷裂在地、其文──」
碑面などが古くなりてはげ缺ける、缺損する。蝕はむしばみし如く見える。老學庵筆記「漢隸歲久、風雨──、故其字無復鋒鋩」
鳥獸などの皮を剝ぎ肉を去り、防腐劑を塗りて、これを原形の如く縫ひあはせて標本用などにせし者。
こつこつと敲く音の形容。足音又は訪問者の戶を叩く音の形容。韓愈、──行「剝剝啄啄、有客至門」輟耕錄「門無──、松影參差」
はがしおつる。荀子「不──、不砥礪」=剝落。
はぎとる、奪ひ取る。元稹詩「患在于──之不已」=褫奪 チダツ
困窮の極、一身を容るるの地なきをいふ、家の屋根までも盡くはぎ落す義。易、剝卦「君子得輿、小人──」
二字共に易の卦、剝卦は一陽、五陰の上に在り、卽ち陰が長じて陽が消するの象。復卦は震下坤上にて一陽が五陰の下に在り、卽ち陽氣が漸く將に盛んならんとするの象、亂世の極、治世となる如く乘除消長の理にいふ。宋史、程元鳳傳「極論世運──之機、及人主所當法天者、理宗覽」之曰、有古遺直風」
稅を重くして民を苦しめる。
はげおつる。李邕賦「苔蘚──、雨露淋漓」
ヒ [未]
あしきる、古の五刑の一、膝蓋骨を切り去る刑。=?·刖。
足きりの罪。書、呂刑「──之屬五百」
足きりのつみ〔書經〕=剕罰。
①ホウ·フ [有]
②フ [麌]
○わる(割)わかつ(判·中分)○わかる(分)さく(拆)○やぶる(破)
同訓異義
サク 剖·裂·割·析等の別は裂(衣部六畫)の條を見よ。
理非曲直をわかち定める、判斷する。隋書、裴政傳「簿案盈几、──如流」=裁決。
わかちさく、解決する。南史、姚察傳「劉臻於公館、訪漢書疑事十餘條、竝爲──、皆有經據」
是非曲直をわかち定める。南史、北休源傳「──如流」=斷獄·判決。
たけをわる、又、わり竹。史記「──有朱書」
さけやぶる。さきやぶる。蔡邕疏「肝腦流離、白骨──」
わかれ開く。韓非、解老「自天地之──、以至于今」=開闢。
割符 ワリフ を二分し、其の一を持ちて信となす。史、高祖紀「──封功臣」
はらをたちわる。晉書「岐伯──以蠲膓」
わかれる。成公綏賦「淸濁──、玄黃判離」
わかちさく、分割する。漢書、諸侯王表「──疆土、立二等之爵」
ワン [寒]
○ゑぐる(抉)刀にてゑぐり取る。○けづる(削)韓愈詩「有洞若神─、有巖若天劃」○ゑる(雕)
からだの肉をゑぐり取る。聶夷中詩「二月賣新詩、五月糶新穀、醫得眼前瘡、剜卻心頭肉」この詩に本づきて眼前の急を救ひて其の後を顧みるに暇あらざるを──醫瘡といふ。
9畫
クワ [馬]
咼又、冎に作る
肉をけづりて骨を置く。
クヮク [陌]
物の破ぶるる聲。
シヨウ ジヨウ [徑]
剰は俗字
○あまる、あまり(餘)○ながし(長)おほし(過多)○あまっさへ、おまけに。
同訓異義
アマル 剩·餘·衍·賸等の別は餘(食部七畫)の條を見よ。
事の過ぎて後、尙殘るかなしみ。李嬌詩「莫聽西秦奏、箏箏有──」=餘哀。
あまりたる人數。玉海「初置──、以處退兵」
つり錢。又、あまれる金。=剩餘金。
むだぐち。傳燈錄「浮杯無──」=贅言。
あまり「──金」=餘剩。
翦(羽部九畫)の俗字。
①フク [屋]
②ヒョク [職]
③ヒウ·フ [宥]
通音フク
①わかつ(判)○わる(割)○さく(裂)
②さく(析)切りわける。曲禮「爲天子削瓜者─之」
③そふ、つきそふ。○たすく(佐·助)○かなふ(稱)適合する。○そへ(貳)たすけ(輔·佐)○つまびらか(審)○うつし(謄寫本·副本)すべてそへの者、正の對「─使」「─將」「─車」○古、后·夫人の首飾、髮を編みて作る「─笄」
同訓異義
ソフ 副·添·貳·傍·沿の別は添(水部八畫)の條を見よ。
總監につきそひて之を輔佐する官。唐書、裴寂傳「歷侍御史晉陽宮──」
長官に直屬して軍事上の庶務を掌る武官。
そへて申す。添へ書き。=追白·追啓·二伸。
古、貴夫人の髮かざり、步搖 カンザシ の類。詩、?風「──六珈」
本業のあひまにする仕事、耕作のかたはら養鷄·養豚を爲す類。
主產物に附隨して生ずる物品。石炭瓦斯を製造する時生ずる骸炭 コ─クス の類。
藥が其の目的たるはたらきに附隨して生ずる別の作用。
そへのつかひ、正使につきそひの使者。唐代、節度使·觀察使·團練使など皆──あり。
そへ、つきそひ。書經傳「──三公」
國 動詞·形容詞又は他の副詞につきそひて其の意味を限定することば。
そへぐるま。史、畱侯世家「良擊秦皇帝博浪沙中、誤中──」
主將の副たるもの、次將。
皇太子の稱。後漢書「儲君──」
勅語の御名御璽に關係大臣が姓名をそへがきする。
副車に同じ。
國 飯にそへて食ふ食物、おかず。
正本のひかへ。正本のうつし。唐書、百官志「使先驗──」
10畫
ガイ カイ [灰]
○する(摩)○きる(切)○うごく(動)○かま(大鎌)○─切は切近の義。切に事理に中 アタ る。
よくあてはまる。唐書、魏徵傳「凡二百餘奏、無不──當帝心者」=適切·切近。
剛(刀部八畫)に同じ。
カツ [曷]
○さく(裂)刀を以て裂く。○たつ(截)きる(切)截り取る。○わる、やぶる(破)○わかつ(分)杜甫詩「陰陽─昏曉」わかる(分)○そこなふ(損·害)書、堯典「洪水方─」○わざはひ(災害)書、大誥「天降─于我家」○ 國 わり、率 ワリアヒ の義。一─は十分の一。○わる、數を除する「─算」
同訓異義
サク 割·裂·剖·析·劈等の別は裂(衣部六畫)の條を見よ。
殘り惜しき心をさきて去る。徐堅詩「皇恩睠下人、──遠和親」
地をさき取りて據る。漢書敍傳「席卷三秦、──河山」
地をさきゆづる。
さきあたへる。阮瑀文「割授江南、不屬本州」
いけにへを料理する。禮、樂記「天子袒而割牲」
座を別にする、同席せず。六帖「魏管寧與華歆同學(中略)寧──曰、子非我友也」
數學にて圓周と交りて二っの交叉點を生ずる直線。
肉をさきてにる。料理する。孟、萬章「伊尹以──、要湯有諸」
國 はらをきる。=切腹。
國 ぶあひ、=率。○彼此を比較して、くらべて「──に高い」
國 引き合せて證據とする爲め一の印を二枚の紙にかけて押すをいふ。わりはん。
國 小さくわりたる石、土臺下又、道普請などに用ふ。
國 本文の下に二行に記するかきいれ。=註脚。
國 定價の幾分を引きさげる。=減價。
國 古、木片に文字を記して二っにわり、一片を止め一片を授け、他日合せて證とするもの。=符節·符契·勘合。
へ 國 わけまへ、配當額。又分擔して支拂ふ一人あてのたか。
國 剩餘金 アマリノカネ を出金者にわりあてて返す。
①シヤウ·サウ [陽]
②シヤウ·サウ [漾]
①きず。漢書、曹參傳「身被七十─」きずつく(刃傷)○できもの、かさ。曲禮「頭有─則沐」=瘡。○はじむ、始める(始)造る。=刱。
②いたむ(傷)○こりる、こらす(懲)
同訓異義
ハジム 創·初·始·肇·刱·昉·首·甫の別は初(刀部五畫)の條を見よ。
きずつく(傷)=創痍。
かたなきず。きりきず。=金創·創夷。
かたなぎずが未だ治せず、戰亂の餘毒の未だ除かれざるにいふ。漢書、季布傳「秦以事胡、陳勝等起、今────」
あたらしきおもひつき、新意匠。
次條に同じ。漢書、馮奉世傳「羌虜破散──、亡逃出塞」
いたみこりる。漢書、匈奴傳「人民──戰鬬」
事業を起す、國の基を建てる。孟、梁惠王「君子──垂統」
創業は國の基をはじめ立てる、守文は其の成りたるを守りて永く之を維持する。唐書、房玄齡傳「帝嘗問────孰難、玄齡曰、方時草昧、羣雄競逐、攻破乃降、戰勝乃剋、創業則難、魏徵曰、王者之興、天授人與、旣得天下、則安于驕逸、守文爲難、帝曰、玄齡從我定天下、見創業之難、徵與我安天下、見守文之不爲易、然創業之不易、旣往矣、守文之難、方與公等愼之」
はじめてみ出す、新に發明せし意見、新らしきかんがへ。史、司馬相如傳「應期紹至、不特──」
はじめたつ。=創立。
はじめて作る。=剙造·創制。
はじめつくる、新たに書物を著す。又其の著作物。=新作。
はじめ、はじまり。
きずつく。きず。=瘡傷。
はじめて造る、つくり出す。管子「──天下、等列諸侯」=創造·刱造。
書名、舊約聖書の首卷、主として天地開闢、萬物を創造せし事を記す。
はじめてまうくる。=新設。
はじめておく。名畫記「漢武──祕閣、以聚圖書」=創設·創建。
始めさだむ。魏志、註「──王業」
事業のいとぐちをはじめる。魏書「皇道開符、乾業──」=創業。
きずつけそこなふ。後漢書「數爲羌所──」
はじめたつ。はじめ起す。南史「軍國器械、多所──」=創建。
タク [覺]
きる(斫)=?。
タフ トフ [合]
劄とは別字
○かぎ(鉤)○かま(鎌)
11畫
サン セン [澘]
けづる(削平)=剗。鏟と通ず。
かりとる。柳宗元文「──穢草、伐去惡木」
かりのぞく。郝經詩「──撤藩垣」
①セウ [篠]
②サウ [效]
③セウ [肴]
①たつ(絕)○ころす(殺)
②とる(取)○かすめとる(略取)
③ぬきとる。
①セン タン [銑]
②セン [先]
①きる(截)たつ(裁)
②ほしいまま。荀、榮辱「好─行也」もっぱら。漢書、蕭何傳「上以是─屬任何關中事」=專。
專ら己の考にてきめる。唐書、杜佑傳「軍興餽漕、佑得──」=專決。
①ヘウ [嘯]
②ヘウ [篠]
①おびやかす、おどす(刧)史、酷吏傳「攻─爲羣盜」○はぐ(剝)○きる(截)○かろし(輕)○はげし(烈)○あらし(悍)○とし、すばやし(急疾)○さす(刺)
②すゑ(末)標に通ず。
○輕疾 スバヤシ の貌。○漢の武官の名。史、衞將軍驃騎傳「幸爲天子侍中、善騎射、再從大將軍受詔與壯士爲──校尉」=票姚。
あらあらしくしてずるし。又、其の者。晉書「招聚──」
すばやくあらあらし。漢書地理志「患其──」=僄悍·慓悍。
○かろがろし。漢書、傳贊「夫荊楚──好作亂、自古記之矣」○ 國 ヘウキン 氣がるにして突飛なる義。
おびやかすこと。=脅迫。
おびやかしせめる。史、游俠傳「──不休」
すばやし。爾雅「厥性──」=勁捷。
かすめぬすむ。他人の詩文を盜みてわがものとするにいふ。事文類聚「能詩亦──」=剽賊。
剽竊に同じ。韓愈、樊宗師墓銘「惟古於詞必己出、降而不能乃──」
おびやかしぬすむ。=剽賊·剽掠。
おびやかしてうばふ。唐書「寧常──草閒、求活哉」=刧奪·剽掠。
○おびやかし擊つ。攻擊する。史、莊周傳「指事類情、──儒墨」○はげおつ。蘇轍詩「文字──因風雨」
おびやかしてかすめる。唐書「山賊──、戶口流敗」=剽奪·奪掠。
12畫
クヮク [陌]
○さく、わる(割)韓愈詩「有巖類天─」○かぎる、錐刀を以てすぢをつけて分つ、畫に通じ用ふ。○末の尖りし刀(錐刀)
ケツ ケイ·ケ [月]
○ほりものに用ふるこがたな(刻刀)曲れる鑿 ノミ 漢書、揚雄傳「棄其剞─」○ほる、ゑる、彫刻する。又、其の技。傅毅、琴賦「施公輸之剞─」
13畫
クヮイ クヮツ [泰]
たつ(斷)
死刑を執行する者、くびきり。
ケイ [霽]
○さく(割)○そこなふ(傷害)禮、聘義「君子比德于玉、廉而不─義也」○曹─は春秋時代の魯の人。
ケキ [陌]
通音ゲキ
○はなはだし(甚)○はげし、いそがし(煩忙)「繁─」○ます(增)○なやむ(艱)○たはむれ、しばゐ「戲─」○たはむる(遊戲)○さかんなり(盛)
しばゐ場。=劇場。
甚だしく酒を飲む〔北史、元行恭傳〕=痛飮。
はげしきあめ。韓愈、徐偃王廟碑「州無怪風──」=甚雨。
芝居のなかま。=梨園·劇界。
劇園に同じ。
はげしきあだ。强暴なる寇盜。唐書「秦王數平──、功冠天下」
やくしゃ、俳優。
はなはだし。=太甚。
はげしき地震。
急にはげしきやまひ。
はげしきあつさ。陸游詩「劍南無──」=甚暑·隆暑·盛暑·酷暑。
いそがはしきつとめ。張說文「叨──、責大憂深」=劇務。
おほぬすびと〔宋史、岳飛傳〕=大盜·劇盜。
おほぬすびと。宋史「招──曹成」=强盜。
芝居の道、演劇に關する事がら。
急ぎてはげしく話す。漢書、揚雄傳「口吃不能──」
しばゐのぶたい。
繁華にして重要なる地。權德輿文「是邦爲東關──」
芝居 シバヰ 小屋 コヤ 演劇場。=劇院。
國 劇界の通人の略、演劇の道にくはしき人。
はげしくうごく。又、はげしき動作。
三方に通ずるみち〔爾雅、釋宮〕
いそがはし。宋史「以吏事進、多任──」=繁劇。
國 演劇 シバヰ の批評 シナサダメ
いそがはしきつとめ。北史「不能處──」
急ぎて問ふ。
はげしきききめを有し、多量に服用するときは中毒するくすり。=劇劑。
勢つよきえびす。=强虜。
はげし、きびし。
はげしく辯論する、激切なる論辯。元史、元明善傳「初在江西金陵、每與虞集──、以相切劘」
ケン [豔]
劒は古字、俗に劔に作る
○つるぎ、たち、腰に帶ぶる兵器。事物紀原「管子、昔葛天盧之山發而出金、蚩尤受而制之、以爲─鎧矛戟、此─甲之始也」○つるぎにて殺す。潘岳、馬敦誄序「手─父讎」○劍を使ふ術「學─」
つるぎのつかに手をかけなでる、將に劍を拔かんとする狀。史、平原君傳「毛遂──、歷階而上」
兵革の事を止めて農業に就かしむる。漢書、循吏傳「龔遂爲渤海太守、見齊俗奢侈好末技不田作、廼躬奉以儉約、勸民務農桑、民有帶持刀劍者、使────、賣刀買犢、吏民皆富貴」
爪にて劍をはじく。史、孟嘗君傳「馮驩彈其劍而歌」
ただ一劍をつゑつくのみにして外に餘資なき義。史、淮陰侯傳「──從之」
劍術に達したる人。後漢書、馬援傳「傳曰、吳王好──、百姓多創瘢、楚王好細腰、宮中多餓死」=劍士。
長安より至る蜀の道に當る大劍·小劍二山の要害、閣道相通ずるが故。水經注「小劍戍、北去大劍三十里、連山絕險、飛閣相通、故謂之──也」
晉の張載の作、文選に載す。
刀劍を入るる箱。白居易詩「──塵埃滿、籠禽日月長」
劍と劍とが相うちて散る火花。李賀、走馬引「朝嫌──淨、暮嫌劍光冷」
つるぎのひかり。唐節愍太子廟樂章「──揮作電、旗影列成虹」
つるぎと、ほこと。國語「美金以鑄──」
つるぎにつきたるち。戎昱詩「日暮歸來看──、將軍遺恨殺人多」
つるぎのつか。邢居實賦「歎覊旅之無友兮、彈──而浩歌」=劍把。
蜀の劍閣に架したるかけはし。王勃、九成宮頌序「前趨──、玉壘千尋」
劍客に同じ。莊、說劍「昔趙文王喜劍、──夾門而客三千餘人」
○帝位のしるしとして天子の所持するつるぎと、たまと。李白詩「──傳無窮」○ 國 三種の神器中の、天叢雲劍と八尺瓊曲玉と。
つるぎのは。孟郊、寒溪詩「──凍不割、弓弦彊難彈」
つるぎをつかふわざ。唐書、賈至傳「弧矢絕倫、──無前」=劍法。
つるぎと、たてと。史、項羽紀「持──步走」
前條に同じ。新書「叢戰之道、利用──」
國 劍術の道。=劍術。
八十五卷、宋の陸游撰す、游、蜀に在ること十年、其の風土を樂む、故に一生作る所ろ、總べて名つくるに劍南を以てす。
刃の上に伏して自殺する。史、豫讓傳「──自殺」
つるぎをつゑつく。=杖劍。
つるぎのつか。=劍鋏·劍欛。
劍鋒に同じ。柳宗元詩「海畔尖山似──、秋來處處割愁膓」
國 ○紋所の名、菱形の四隅を劍先の形に尖らせたるもの。○攝津伊丹に產する名酒の名。
つるぎのまひ。史、項羽紀「軍中無以爲樂、請以──」
つるぎのきっさき。楊炯詩「──生赤電、馬足起黃塵」=劍鋩。
劍閣に同じ。天寶傳信記「上幸蜀囘車駕次──、門左右巖壁峭絕、上謂侍臣曰、──天險若此、自古及今、敗亡相繼、豈非在德不在險乎」
セウ [篠]
○きる(截)○たつ(絕)
きりつくす。漢書、王莽傳「將百萬之師、征伐──之矣」
ヘキ ハク [錫]
○つんざく(裂)○やぶる(破)○わる(割)○わかつ(分)
さきひらく。=擘開。
俗 薪 マキ
わりくだく。曹松詩「──琅玕意有餘」
事の一番はじめ「──第一」
リウ [尤]
○まさかり(鉞)斧の屬。○ころす(殺)○つらぬ(陳)○のぶ(陳)○そこなふ(殘)○漢の姓「─邦」「─秀」
字は夢得、唐の中山の人、柳宗元と同時に、進士に擢んでられ、博學鴻詞の科に登り、詩文に工なり、會昌二年卒す、白居易推して詞豪と爲す。
明の靑田の人、字は伯溫、經學に深く、文章を善くす、明の太祖を輔けて遂に天下を定む、太祖人に謂て曰く、伯溫は、吾が張子房なりと、呼ぶに老先生を以てす、郁離子·覆瓿集等の著あり。
前漢の學者、字は子政、漢の宗室なり、人と爲り誠忠にして、屢~諫を上る、列女傳·新序·洪範五行傳·說苑等の著あり。
南朝の宋(姓は劉氏)の別稱、以て趙宋に別つなり。
三國時代の蜀の主、字は玄德、關羽·張飛と相善し、備、兵を起すや、二人從ふ、諸葛亮の言を用ひて、天下三分の計を定め、遂に帝號を稱す、昭烈皇帝これなり、成都に都す、在位三年にして崩ず。
劉禹錫を見よ。
めぐらしみる(囘覽)あまねくみる、劉は陳なり、瀏に同じ。淮南、原道「──徧照」
晉の劉伶字は伯倫、最も酒を好み、酒德頌を作る。世說、任誕「劉伶病酒渴甚、從婦求酒、婦捐酒毀器、涕泣諫曰、君飮太過、非攝生之道、必宜斷之、伶曰、甚善、我不能自禁、唯當祝鬼神自誓斷之耳、便可具酒肉、婦曰、敬聞命、供酒肉於神前、請伶祝誓、伶跪祝而曰、天生劉伶、以酒爲名、一飮一斛、五斗解酲、婦人之言、愼不可聽、便引酒進肉、隗然已醉矣」
14畫
ギ [寘]
○さく(割)○はなきる、古の五刑の一。
はなきりのつみ。書、呂刑「──之屬千」=劓罪。
はなきりのつみ。=劓刑。
劍(刀部十三畫)の古字。
①シ [支]
②セイ·ザイ [霽]
通音ザイ
①そろへきる(齊截)○質─はてがた、わりふ(券書)大を質といひ、小を─といふ。
②まぜあはす(調合)○まぜあはせたる製藥、まぜあはせたる味。
15畫
シツ [質]
わりふ(券)通じて質に作る。
17畫
サン ザン [咸]
○うがつ(鑿)○ゑる(彫)きざむ(刻)韓愈詩「造化何以當鐫─」
19畫
①サン [寒]
②セン [銑]
①そる(剃)髮をそる。○きる(切)○へらす(減)
②きる。=翦。漢書、嚴助傳「─髮文身之民也」=翦髮。
マ ビ [哿]
○けづる(削)○わかつ(分)○きる(切)する(剴)切─はみがく。=切瑳·磋磨。