門部
0畫
モン [元]
○かど、家の外圍に設ける岀入口。一扇(扇はとびら)なるを戶、兩扇なるをーといふ。一說に堂室に在るを戶、垣牆に在るをーといふ「南─」「北─」「朱─」「家─」「里─」「廟─」○いりくち、でぐち。○すべて物事の必ず經由する關鍵の所。老子「衆妙之─」○仕進の路。書、舜典「闢四─」○いへ「家─」「求忠臣必于孝子之─」○いへがら「─閥」「名─」○みうち(家族)「一─」○よつぎ(正嫡)○門戶を守る。公羊、宣六「則無人─焉者」○城門を攻める。左、僖十「諸侯之士─焉」○師のをしへをうけしなかまの人人「同─」「─人」○分類上の區別「部─」○學術上の一分類「專─」○宗教の稱「儒─」「佛─」○大砲を數へる數詞「砲十─」○雁─は郡名。○ 國 モンガマヘ 漢字の構造を示す語。
門番の長。周語「──除門」
國 天子の御生母の稱。
もんばん。南史「軍盡潰、死者五千人、諸──皆走」=監門衞。
門閥に同じ、閲は閥閱。唐書、張九齡傳「卿固素有──哉」
一門の分れ、門族。
敬を以て身を持する喩。大賓は貴客。論、顏淵「仲弓問仁、子曰、──────、使民如承大祭」
道は同一なれども、その見る所を少しく異にする義。揚子法言「吾於荀卿歟、見同門而異戶也」
款は叩く、門を叩きて通ずるを求むる。晏子春秋、雜「前驅──」=款闕。
門を塞ぐ。漢書、王陵傳「謝病免、──」=閉門。
前條に同じ。中庸或問「古語所謂──造車、出門合轍、蓋言其法之同」
家が衰微する。李密、陳情表「──祚薄、晚有兒息」
門を開きて盜人を迎へ入る。自ら好みて災禍をまねくに喩ふ。吳志、吳主傳「張昭曰、────、未可以爲仁也」
○ゐさふらふ、食客。史、信陵君傳「誡──」○でし(弟子)後漢書、承宮傳「過徐盛廬、聽經遂請畱──」=門人。
晉代に始りし官署の名。唐書、百官志「───、侍中二人、正二品、掌出納帝命、相禮儀」
門戶と、門に入るこみちと。雍陶詩「村園──多相似、處處春風枳殼花」
もんのよこぎ。范成大詩「方縑繙史冊、圓魄綴──」
ゐさふらふ、門下の食客。釋常談「孟嘗君有──、詐作雞鳴」
門の隙 スキマ 史、晏嬰傳「晏子爲齊相出、其御之妻、從──、而窺其夫」
門の出入の許可の證たる札。
かどび、葬送の時、門前にて焚く火。顏氏家訓「喪岀之日、門前燃火」
貴人の多く訪ひ來るをいふ。史、陳丞相世家「家乃負郭窮巷、以弊席爲門、然────────」王縉詩「門外時聞長者車」
門外に在る男、其の事に關知することなき者。五燈會元「圓智擧東坡詩、溪聲便是廣長舌、山色豈非淸淨身、曰、若不到此田地、如何有這箇消息、此菴曰、是───耳」=牆外漢。
權勢を失ひて後は來り訪ふ者もなく、羣雀來りあつまる、故にあみを張りて之を捕ふべし。史、汲鄭傳「下邽翟公有言、始翟公爲廷尉、賓客闐門、及廢──────」雀は一に爵に作る。
○門又は關を司る職。周禮、注「──、司門·司關也」○もんと、せきしょと。周禮「──之委積、以待老孤」
門前のこみち。范成大詩「故人能少駐、──久蓬蒿」
宮城の門觀。漢書、五行志「──、號令所由出也」
其の家代代の職業。南史、賀琛傳「琛殊有──」
○もんのしきみ。曲禮「不踐閾」注「閾、──也」○ 國 門戶を閉づる刻限。
○いりくち。易、繫辭、注「天地者、易之──」○いへ。古詩「健婦持──」(持──とは猶ほ治家といふが如し)○いへがら。晉書、王敦傳「我兄老婢耳、──衰矣」○──は人家の私有する所、故に朋黨を結ぶを立──といひ、一家言を立つるを──之見といふ。唐書、韋雲起傳「自作──、附下罔上、爲朋黨」
自ら一家を成す。梁書、王茂傳「茂年數歲、爲大父深所異、常謂親識曰、此吾家之千里駒也、───者、必此兒也」
住居を壯大にして見えをはる。又勢力を張る。
他人に依賴して立身するに喩ふ。書言故事「唐元和中、士人下第多爲詩剌試官、獨章孝標作歸燕詩、上庾承宣侍郞曰、舊壘危巢泥已落、今年故向社前歸、連雲大廈無棲處、更傍誰家門戶飛」(社前は春の社日の前)
時刻をうかがひて門の開閉を掌る官。漢書、蕭望之傳「署小苑東──」
もんのしきみ。梅堯臣詩「看爾十九年、──未嘗履」
○門番。日知錄「──者、守門之人」=閽人。○古、卿大夫の嫡子〔周禮、小宗伯〕
いへがら。晉書、會稽王道子傳「承籍──素有豪氣」=門地·門閥。
○でし。史、孟軻傳「孟軻鄒人也、受業子思之──」=門弟子。○もんばん。傅物異志「──曰、汝已至此、何不求游覽畢而返」=閽人。○ゐさふらふ、門下の客。戰國齊策「郢之登徒、見孟嘗君──」
もんばん。後漢書、孔融傳「融造李膺門、語──」=閽者。
○もんと、かきと。家門をいふ。法言「在夷貂則引之、倚──則麾之」○師の門をいふ。論、子張「夫子之牆數仞、不得其門而入、不見宗廟之美、百官之富」
○もんのとぼそ。○轉じて門戶の義。古樂府「送客亦不遠、足不過──」
○でし。後漢書、袁紹傳「袁氏樹恩四世、──故吏徧於天下」=門人·弟子。○唐代、進土の試驗を司る官吏を先生といひ、及第者自ら──と稱す。
國 ○宇多天皇、剃髮して仁和寺に入らせ給ひ、之を御門の跡と稱す、よりて法親王の住し給ふ寺院の稱とす。○本願寺の俗稱とす。
もんのとびら。漢書、霍光傳「黄門宦者、各持──、王入門閉」
門の前のげたの音。宋、王子端、野堂「雲自知歸鳥自還、一堂足了一生閑、────定佳客、簷外孱顏皆好山」
家門のさいはい。又、家世の義。唐書、柳玭傳「喪亂以來、──衰落」=家祿。
宮中の大小のもん。漢書、金安上傳「霍氏反、安上傳禁──、無內霍氏親屬」
いへがら。晉書、王述傳「司徒王導以──辟述」=門閥。
いへのちすぢ。唐書、柳冲傳「其後──、興替不常」
門內の廣き處。孟浩然詩「──無雜賓、車轍多長者」
人の多く來りあつまる形容。戰國齊策「羣臣進諫、────」
門人に同じ。論、泰伯「曾子有疾、召───曰、啓予足、啓予手」
もんにかける聯。濯纓亭筆記「北京宮闕成、太宗命解縉書──、以古詩書之、曰、日月光天德、山河壯帝居、上大喜、賚賜甚厚」
くるる、戶を開閉する爲めに設けたる機。訓蒙字會「樞、俗呼──」
○でし。後漢書、鄭玄傳「馬融──四百餘人」=門人。○佛教の信徒。册府元龜「唐開元二年、制、百姓家多以僧尼道士爲──、相與往還、妻子無所避忌、甚成敝俗」○もんばん。周禮、司門、注「監門、──」○ 國 ──宗は一向宗の俗稱。
唐人の詩の句。杜甫、絕句「兩箇黃鸝啼翠柳、一行白鷺上靑天、窗含西嶺千秋雪、───────」
賓客を待たしめず、直に應接する。晉書、王渾傳「虛懷綏納、座無空席、────、故江東之士、莫不悅服」
倚門望 イモンノバウ (一四四頁三段)を見よ。
門のかけふだ、もんふだ。=門榜。
我が門前には媚を呈して來り求むる者は甚だ多けれども、我が心は淸くして公平なり。漢書、鄭崇傳「上責崇曰、君門如巿人、何以欲禁切主上、崇對曰、臣門如巿、臣心如水」
いへがら高く人望多し。魏書、韓顯宗傳「朝廷但檢其──」
もんのかけふだ。段成式詩「壁詩傳謝客、──占休公」
いへがら。後漢書、宦者傳論「聲榮無暉於──」唐書、鄭仁表傳「常以──文章自高」
家門の法則。庾肩吾、書品論「子眞俊才、──不墜」=家法·門風。
門のとびら。宋書、符瑞志「水涌出毀──」
○門の上の橫梁 ハリ 轉じて家門の義とす。高啓詩「男兒弧矢壯──」○女子をいふ。長恨歌傳「男不封侯女作妃、君看女卻爲──」
もんのひさし。劉克莊詩「──無人殿未開、白頭散吏久徘徊」
一家の風儀。顏氏家訓「篤學修行、不墜──」=家風。
いへのほまれ、家名。北史、柳遐傳「立身之道、進退有節、子莊、亮直之風、不殞──」
かどふだ、姓名などをかきしるす札。門札·表札。
もんの戶のとざし。漢書、天文志「長安章城門、──自亡」
家に仕ふるやっこ。張籍祭退之詩「──皆逆遣、獨我到寢房」=家僕。
もんのしまり。北史、西秦乞伏氏傳「盜──」=關籥。
前條に同じ。
世が太平にして盜賊の患なきをいふ。史記「子產爲相三年、────、道不拾遺」
もんのうち。李商隱詩「風流大堤上、悵望白──」
かどぐちにうゑたるやなぎ。白居易詩「春色辭──、秋聲到井梧」
むらざとの入口のもん。禮、月令「仲夏之月、──毋閉」
孝子節婦等の善行を其の里の門に表旌する。書、畢命「旌別淑慝、表厥宅里」蔡傳「表異善人之居里、如後世────之類」
門を衛る賤吏、もんばん。莊、秋水「不賤──、貨財弗爭」=門卒。
門に題する對聯。駒陰宂記「鄭唐爲州長、書──云、架有春風筆、門無暮夜金」=門帖。
もんのやぐら。後漢書、董卓傳「遂圍──」
1畫
サン セン [删]
くゎんのき。門をとざす橫の棒、門の橫關。
2畫
セン [琰]
○ひらめく、ちらつく、ちらとみえる(暫見)ひらめかす。李咸用詩「風─雁行疎又密」○ぴかぴかする。○俗に電をいふ。○動く貌。○身を側 ソバダ てて避ける「躱─」
赤き色をひらめかす。孟郊詩「──驚蚴虬」
ひらめきてあきらかなる貌。劉秉忠詩「雲靄──動霓旌」
ひらめきかがやく、光の定まらざる貌。王僧孺文「日流──、風度淸鏘」鑠、一に爍に作る。
○ちらちらとひかりかがやく貌。袁桷詩「繁星──漏沈沈」○動きひらめく貌。杜甫詩「──浪花翻」
たちのこりの紙、一角疊みて紙中に在りて裁ち殘されたるもの〔文房四譜〕
ひらめくいなづま、極めて疾 スミヤ かなる喩。隋書、長孫晟傳「觀其走馬、稱爲──」
3畫
カン [翰]
○里のもん。左、襄三一「高其─閎」=閭。○轉じてさと(邑里)「里─」「同─」「邑─」○かき(垣)○邑をかこむかき。○とづ(閉)
ヘイ [霽]
○とづ、とざす、しめる。開の對「─門」「─鎖」○ぢゃう。禮、月令「修鍵─」(鍵は牡にてかぎ、─は牝にて孔あるぢゃう)○かくる、をさまる(藏─○ゆだめ、ゆみだめ(弓檠)○おほふ。おほはる(掩)○ふさぐ。ふさがる(塞)易、坤卦「天地─」疏「謂二氣不相交通、天地否─」○立秋·立冬をいふ。左、桓五「分至啓─、必書雲物」○幽─は婦人の淫刑。○俗語にて停止の義「─會」
同訓異義
トツ 閉·鎖·闔·杜·閟·關○閉は門をとざすなり。開·啓·闢の反なり。孟子「閉レ門而不レ內」○鎖は錠をおろすこと、とざすと訓む、門戶器物共に用ふ。○闔は兩びらきのとびらなり、轉じてそのとびらを、とざす義とす。○杜は塞也、とぢふさぐ義、杜レ門·杜レ諫·杜二絕言路一などと用ふ。○閟は閉に近し、大切にしめる義あり、廟を閟宮といふ。○關はくゎんの木を入れること。文選「門雖レ設兮常關」
家の小門をとぢる。漢書、韓延壽傳「入臥傳舍、──思過」
わざはひをとぢふさぐ。管子「──在除怨」
よりあひを終ふ。=散會。
○關所をとざす。易、復卦「先王以至日──、商旅不行。○門をとぢて客を謝す、身を隱す。文中子「劉伶古之──人也」=藏身·杜門。
○口をとづ、ものいはず。史、張儀傳「願陳子──、毋復言」○ 國 答が出來ぬ、弱りきる。
家にとぢこもりて、讀書にふける人。楚國先賢傳「孫敬常閉戶讀書、睡則以繩繫頸、懸之梁上、嘗入巿、巿人見之皆曰、────來也」
とざす。杜牧詩「重門──靑山晚、深院垂簾白日長」
戶をとぢて來客をはらふ。南史、王亮傳「屛居──、不通賓客」
○とぢかくれる。淮南、天文「萬物──」○とぢふさぐ、物をしまひこむ。禮、月令、注「築囹圄、此以助天地之──也」
みせをとざす。漢書、王吉傳序「嚴君平、卜筮于成郡巿、裁日閱數人、得百錢、足自養、則──下簾而授老子」
とぢこめとらはれる。沈佺期詩「──斷外事、昧坐半餘期」
いきをとぢる、いきをころす。蘇軾詩「念應掃長物、──默自煖」
とぢふさがる。禮記「天地不通、──而成冬」
敵艦の出入をふさぐために港口等に沈める船。=杜塞船。
冬期になりて蟲類の土中にこもる義。啓蟄の對。左、桓五「凡祀、啓蟄而郊、龍見而雩、始殺而嘗、──而烝」
みせじまひ、商賣をやめる。
こほる。韓非子「冬日之──也不固、則春夏之長草木也不茂」
めをふさぐ。白居易詩「靜念道經深──」
○門をとぢる。漢書、王莽傳「──自守」=杜門。○口をふさぐ。老子「塞其兌、閉其門」注「兌、目也、門、口也」○ 國 德川時代の士人の刑、門をとざして、當人竝に外人の出入を禁ぜしもの。
ふさがりなやむ。後漢書、黨錮傳「其窮困──者、爲求援救、以濟其患」
〔國字〕
つかへ、つかふ、さしさはりがある。故障が生ずる。
4畫
ガ ゲ [禡]
○うつろ(空虛)○さく(開裂)司馬相如、上林賦「谽呀豁─」
カイ [灰]
○ひらく(發)あける、閉ぢたるものをあける。閉の對。○花さく。梁簡文帝詩「桃花含雨─」○とく(解)○のべる(陳說)○さとる。さとらせる、啓發する。禮、學記「君子之敎喩也─而勿達」○はる(張)ひろげる。ひろがる。○はじむ、はじまる(始)「─祖」「─闢」「─會」○とほる(通)豁達。晉書、胡奮傳「性─朗」○おこす。おこる(興)○人文が進む、文明になる「─明」「─化」○新に田畑をつくる「─墾」「─拓」○うごかす、發動する「─車」「─船」○わかす(沸)─水は沸湯。○數、乘根を求める「─平」「─立」○ 國 宴會をとぢる、婚姻の宴席にて閉といふ語を忌みていふ、おひらきにする。
同訓異義
ヒラク 開·闢·啓·發·闡·拓·披·排·拆○開は閉の反、開レ門·開レ口·花開の如し、又口あけの義、天地開闢の類にて、始の字に似たり。○闢は開に同じ、開闢と連用す、辟に作るも同じ、闢レ戶·辟二土地一の類。○啓はものの口をあけるなり、門戶をひらくなり、轉じて人の知らぬことを敎へ導くに用ふ、啓發·啓迪の如し。○發は矢をはなつ義にて、開よりは急にひらくなり、花開は、次第に開くなり、花發は、口をきつてばっと發くなり、發は伏藏したるものを取り出す意あり、發レ蒙·發二倉廩一の類、アバクとも訓む、發二塚基一の類。○闡は開也、明也、大也と註す、暗を開き、明かにするなり。闡レ幽と用ふ。○拓は開拓と連用す、地をひらくなり。○披は兩方へ分け開く意、披レ襟·披レ霧·披レ封の類。○排は手にて推し斥くるなり。史、樊噲傳「排レ闥直入」○拆はやぶりひらく、裂也、開也、解也と註す、坼に同じ。易經「雷雨作而百果草木皆甲拆」
をしへみちびく。晉書、鄭袤傳「旌表孝弟、敬禮賢能、興立庠序、──後進」=訓誘。
許す義、允は肯なり、許なり、從なり。唐書、于頔傳「帝晚務姑息、頔所奏建、無不──」
氣運をひらく。新らしき幸運に向ふ。南史、齊高帝紀論「泰始──、大拯時艱」
座席をまぅける。孟浩然詩「送别登何處、──舊峴山」
ゆるす、許可に同じ。後漢書、梁統傳「統陳便宜、以爲宜重刑罰議者以爲隆刑峻法、非明主急務、統今所定、不宜──」
俗 結冰せる河水が春に至り融解する。
○みなとを開き始める。○港を開きて外國と貿易する。又其の港。= 俗 通商口岸。
講義をはじめる。南史、藏盾傳「大通五年、帝幸同泰寺、──」
あけると、とづると。老子「天門──」=開閉·開鎖。
顏をひらきて笑ふ。李白詩「──酌美酒、樂極忽成醉」
○もとゐをひらく。又、其の人。景福殿賦「雙天地以──」○後世は多く佛寺を創立するにいふ。=開山。
○えりをひらく。杜甫詩「──驅瘴癘、明目掃雲煙」=披襟。○轉じて心をうちあける。
ひらきほる。宋史、食貨志「俟農隙──」
精進 シヤウジン おとし。野客叢書「今人茹素、而親鄰設酒殽以相煖熱、名曰──、於理合曰開素、白居易詩、月終齋滿誰開素」
○人智が開けすすむ。=開明。○文化を啓發する。顧凱之、定命論「建極──樹聲貽則、典防之興、由來尙矣」
佛 開眼に同じ。
ひるやかにうちひらける。謝靈運詩「江山共──、雲日相照媚」
○心ひろくゆたか。晉書、劉遐傳「遐性果毅、便弓馬、──勇壯」=豁達·開朗。○ひろやかにうちひらける。范成大詩「登嶺旣──、入林更淸涼」
俗 榴散彈。
○ひらくと、まくと。鮑照、芙蓉賦「雜衆姿于開卷、閱羣貌于昏明」=卷舒。○書物をひらきて讀む。韓愈詩「──讀且想、千載若相期」宋實錄「太宗曰、朕性喜讀書、頗得其趣、──有益、豈徒然也」
さとす。さとる。後漢書、种暠傳「宣恩遠夷、──殊俗、岷山雜落、皆懷服漢德」=開諭。
俗 官吏が職を去る。
事業をはじめひらく。史、秦紀「爲後世──甚光美」
○もとゐをひらく。又、開國の義とす。班固、東都賦「夫大漢之──也、奮布衣以登帝位」=肇基·開國。○唐の玄宗の年號。
佛 佛道の眞理を悟る。又、佛像落成の時に行ふ式「──供養」楞嚴經「──見明、名爲見外」=開光。
さとる。さとす。宋史、程迥傳「釋訂經史、──後學」
○くちをひらきて、ものいふ。陳與義詩「一笑聊──、千憂不上眉」○言ひだし、口をきる。○飮食する。管子、海王「萬乘之國、人數──千萬也」
○くにをはじめ立つ。吳都賦「有吳之──也、造自太伯、宣於延陵=肇國·建國。○始めて天下を有 タモ つ、淸に──方略(三十二卷)あり、太祖の擧兵より、世祖の入關に至る事を紀す。○外國との交際をはじめる。
荒地をひらく。齊民要術「凡開荒山澤田者、皆七芟艾之、草乾卽放火、至春而──」
ひらくと·とぢると。=開闔。
としのはじめ。後漢書、馮衍傳「──發春兮、百卉含英」=開年。
集會などを開きもよほす。
我より罪を得たる義。戰國策「──於先生」
物を開き務を濟す。晉書、楚隱王瑋傳「瑋性──、能得衆心」杜甫、蜀相詩「兩朝──老臣心」=開物濟務。
○寺をはじめ立てる。又、一宗一派の祖師をいふ「──塔」「──忌」=開基。○ 國 轉じて或物事をはじめる。又、其の人。=元祖。
道路又、川などをひらきうがつ。黃庭堅詩「壯產無惰農、荒榛盡──」
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佛 ぼさつ。明かに眞理に開達する土夫。一說に法を以て衆生を開導する士なるが故。釋氏要覽「經中多呼菩薩、爲──」
貿易を開始する。易林「──作喜、建造利事」
ひらきしめす。後漢書、馬援傳「聚米爲山谷、指畫形勢、──衆軍所從道徑」
みせをひらく。隋書、術藝傳「伯醜亦──賣卜」伯醜は、楊伯醜。
船岀する。天工開物「風息──」=開船。
あきのはじめ。阮籍詩「──兆涼氣、蟋蟀鳴牀帷」=孟秋。
花の開くと、ちると。謝は謝し去る。馬臻詩「──幾年春」=開落。
○朝鮮京畿道の一都巿、京城の西北に在り、高麗王の舊都、多く人參を産す。=松都。○ 國 城をあけわたす、降伏する。
俗 始める、著手する。
はるのはじめ。楚辭、九章「──發歲兮、白日出之悠悠」=初春。
夜あけ。合遺記「雲光──月低河」
俗 にえゆ、沸騰したるあつき湯(湯は吸物 スヒモノ )
○開物成務 カイブツセイム の略。○唐の文宗の年號。
雨がやみてはれわたる。曹怕啓詩「秋雨忽──、乾坤變淸涼」=開晴。
ひらく。詩經、傳「維斧可以──之」
ゆるす。書經「──無辜、亦克用勸」=開放。
あらたにまぅける。後漢書、西域傳「復令──屯田、如永元時事」
まぅしひらく。史、曹相國世家「醉而後去、終莫得──」=啓白。
ふなです、岀帆する。星槎勝覽「自大倉劉家港──」=開舟。
たたかひをはじめる。=開仗。
ひらきひろめる。梁簡文帝大法頌序「廣行利益、──彿寺」
ひらけてゆたかにとほる。沈佺期詩「大業永──、臣道日光輝」
土地をひらく。李嶠文「欲──宅北、更起新第」
ひらく。韓愈詩「脫實自──」=開拆。
事をはじめる。宋史、范純仁傳「不可──」=發端。
ちゑをひらく。淨住子「──生福、不堕惡趣」
ひらきのべる。陳述する。漢書、公孫弘傳「每朝會議、──其端、使人主自擇、不肯面折庭爭」
○開きはる。杜甫詩「卓立天骨森──」○巿を開きて貿易する。古杭夢遊錄「復起──」
佛 廚子 ツシ を開きて中なる佛像を拜ます。舊雜譬喩經「夫人出手──、令人得見」=啓龕·開龕。
ひらき通ずる「鐵道──」
裁判所にて裁判をはじめる。
○ひらきのびる。仲春龍詩「庭草有餘姿、園葵復──」=開張。○ひろげのべる。=展開。
としのはじめ、歲始。庾信、行雨山銘「──寒盡、正月遊春」=開歲·開春。
算術の一料。周髀算經、注「勾股各自乘、倂之爲弦、實──除之卽弦也」
○ゆるしはなす。書經、傳「──無罪之人、必無枉縱、亦能用勸善」○あけはなす。──門戶は鎖國の對にて、各國と締交通商するに喩ふ。
○ひらく。封を切る。漢書「宦官左右──」○智識をひらきみちびく。北史、崔贍傳「朝夕遊處、──幼蒙」=啓發。○ カイホツ 田畑をひらき耕す。開拓·開墾に同じ。
兒童を敎育するに成るべく兒童をして自ら發明せしむる方法。注入主義の對。
俗 ほをかける、船出する、出帆する。
まゆをひらく。愁をとく義。朱弁詩「善謔爲──」
心ひらけてさとし。漢書、文翁傳「──有才」梁書、周捨傳「學問堅明、志行──、劬勞機要、多歷歲年」=通敏。
ひらく。世界のひらけはじめ。揚雄、劇秦美新「配五帝冠三王、──以來、未之聞也」
○漢の制、三公に役所を設けて屬官を置くことを許されたるをいふ。後世將軍も之に準じ、──儀同三司(儀制が三司卽ち三公に同じとの義)といふ。○巡撫·總督などの尊稱。
手紙などの封をひらく。張籍詩「行人臨發又──」
○恢復に同じ。晉書、庾亮傳「亮有──中原之謀」○休職の官吏が其の原 モト の官に復せられしをいふ。
人の未だ知得せざる所を開發し、人の成さんと欲する所を成して之を全くす。易、繫辭「夫易────、冒天下之道、如斯而已者也」
ひらくと、とづると。あけたて。易經、疏「──相循、陰陽遞至」=開闔。
投票の數をしらべるために其の函をひらく。
まなこをひらく。賈島詩「莫居暗室中、──閉目同」
もんをあける、門戶を開く。吳志、吳主傳「──而揖盜、未可以爲仁也」
ふなでする、岀帆する。圖書編「遼河口──」=開船·開帆。
ひらきさとす。元史、安南傳「天使之來、──詔書、使予喜懼交戰於胷中」
○うちひらけてほがらか。陶潛、桃花源記「豁然──」=明朗。○心がうち開けて賢明なり。晉書、胡奮傳「奮性──」
開謝に同じ。
立方根を求むる算法。
○みちをひらく。韓偓詩「百辟斂容──看」○──神は喪禮に用ふる所の偶人。
カゥ [漾]
○盛んなる貌。○─閬 カウラウ は高き門の貌。
①カン·ケン [删]
②カン·ケン [諫]
①あひだ「中─」○あひま「時─」○すきま(隙)「空─」○なか(中央)○うら(裏)○ところ、場所「田─」「坊─」「行─」○いる(容)禮、文王世子「凡侍坐於大司成者、遠近─三席」○分別ある貌。○車のくさびの聲。○ちかごろ(近)このごろ「─者」○やすんず(安)○しづか(闲靜)「幽─」○ゆるやか(寬)○やすむ(息)晉語「可以少─」やすみ(休息)○てすき(無事)孝經、開宗明義「仲尼─居」○あそび(無職)「─民」
②あひ、あひだ。○へだつ(隔)「─歲」へだたり(距離)○ちがひ(差)○ひま、すきま。○なかたがひ(怨隙)○をり、しほ(機會)○かふ。かはる(代)○ひそか(私)後漢書、譙玄傳「─竄歸家」○しのびのもの(俔)うかがふ。○そしる(訾)非難する。孟、離婁「政不足─也」○まじる。まじゆ(混雜)「─色」○たがひに(迭)○あづかる(與)左、莊十「肉食者謀之、又何─焉」○とほざく(遠)○いゆ(瘳)病が少しくなほる。論、子罕「病─曰」○はなる(離)○しばらく、暫時「有─」 國 ○けん、六尺の稱。○ マ へや(室)「明─」
同訓異義
シツカ 閒·闲·靜·寂·?·恬·謐○閒は安なり、忙の反、閒暇·閒居·閒語と用ふ。○閑はひま、しづかと訓す。後世は閒に通用す。韓愈文「投レ閑置レ散」○靜は動または躁の反、さはがず、安息する義。大學「定而後靜、靜而後安」○寂はさびしき義、寂寥と熟す。易經「寂然不レ動」○?は音ケキ人なくして、ひっそりと、しづかなる義。易經「闚二其戶一?其无レ人」○恬は心安らかに靜かなるなり。莊子「以レ恬養レ志」○謐は世の中、をさまりて靜かなるなり。安謐·淸謐と連用す。○ヒソカニ閒·竊·密·私·窃の别は竊(一四○二頁二段)の條を見よ。
定りたる任務なきあたまかず。舊唐書、李固言傳「德宗時、班行多──、豈時乏才邪」
しづかなるくも。杜牧詩「醉鄕無迹似──」
しづかなるその。又、あきたるはたけ。劉基詩「地主多──」
しづかなるかもめ。鄭元祐詩「詩盟從此負──」
すきをねらふ。
ひまの時をみる。
なかが惡し。閒は隙。史、魯世家「君臣──」
○閒は梁 ハリ と梁との閒、架は桁 ケタ と桁との閒。唐書、德宗紀「建中四年、稅屋──、上屋錢二千、中一千、下五百」○轉じて文章の結構宜しきを得たるを家屋の結構に比して──といふ。
しづかにみやびやか。史、司馬相如傳「雍容──甚都」=閑雅。
○ひま、いとま。後漢書、王符傳「其民──、而力有餘」○國が治まりてしづか。孟、公孫丑「今國家──、及是時、明其政刑」○儀容がおちつきてしづか。賈誼、鵩鳥賦「止于坐隅、貌甚──」
しのびあるき。閒隙に投じて微行する。漢書、高帝紀「布與隨何──歸漢」
へだつ。へだたり。陶潛、桃花源記「遂與外人──」
物を區别する。莊、齊物「大知閑閑、小知──」
しづかに詩をつくる。白居易詩「惟有詩魔降未得、每逢月下一──」
すきまの乘ずべきをうかがふ。東京賦「巨猾──、竊弄神器」
○事なくしてしづかに居る。大學「小人──、爲不善」○しづかなるすまひ。=幽棲·幽居。
しづかにいぬ。李白詩「澹然吟高秋、──瞻太淸」
しづかにしてゆるやか。北史、崔彥穆傳「風韻──、器度方雅」
○路がけはしくして行きなやむ貌。漢書、王莽傳「士死傷略盡、馳入宮、──至漸臺」=艱關·崎嶇展轉。○鳥の和ぎなく聲。白居易詩「──鶯語花底滑」○車のくさびの聲。詩、小雅「──車之舝兮」
一年中にて農事のひまな月。忙月の對。後漢書、劉般傳「冬春──、不妨農事」
時を定めてわき岀づる溫泉。
おこり、隔日又は時を定めて熱の起る病。
身閑暇にしてすこやか。陸游詩「造物予閒兼予健」
しづかにかたる。史、信陵君傳「侯生乃屛人──」=閒談。
まはしものとなりてうかがふ。漢書、傳介子傳「常爲匈奴──、遮漢使者」
閒はへだてる。一年づつ閒をおく。漢書、食貨志「──萬餘人」=隔歲。
國 或作物の閒へ他の作物を植ゑ作る「──林」
いりまじる。元稹文「雜亂──、無可奈何」
○中一日をへだてる。=隔日。○ひまな日。=暇日。
ふさぎとめる。左、僖二八「願以──讒慝之口」
○まはしもの。後漢書「遣──閒諜也」○ひまな人。=閑人。
○まはしもの、しのびもの。○ カンシヤ このごろ、單に閒とも書く。
人目をしのびて外に出る。史、張耳傳「趙王──」
宂は散なり。閒散に同じ、職務なくしてひまである。蔡邕、巴郡太守謝版「一章自聞、乞在──」
二種以上の色の配合によりて成る色。閒はまじはる。靑·黃·赤·白·黑の五色の相まじはりて生ずる色。禮記「衣正色、裳──」
あひだくひ。
しづか。陶潛文「少學琴書、偶愛──」
閒接國脫に同じ。
閒に或るものを隔てて其のものに對する。直接の對。
酒·煙草などの如く、其の品の消費者が閒接に負擔する脫。=閒脫。
閒はすきま、其のすきまを指してそしる。論、泰伯「禹、吾無──矣」無──は一點のすきまをさして非議すべき所なしとの義。
氣息を容るる隙なし。事の甚だ急なるにいふ。淮南、原道「時之反側、────」
ぬけみち、人の多く通行せざる道。史、淮陰侯傳「從──萆山而望趙軍」=閒路。
しづかにしてきまま。元稹、上令狐相公詩啓「──無事、遂用力于詩章」=閒放。
心しづかにして欲ずくなし。魏志、阮瑀傳「──寡欲」
たえま、とぎれる。韓愈詩「魂翻眼倒忘處所、赤氣冲融無──」
閑散 ヒマ なる地位。=閑地。
ひまにて手がすく。魏書、皮喜傳「無事──、豈是良將」
しづかに心が安んずる。唐書、白居易傳「言關美刺者、謂之諷諭、詠性情者、謂之──」=閒靜安適。
まはしもの、敵狀を探りて其の主に報ずるもの。史、李牧傳「謹烽火、多──」=細作·諜者。
所有主のなき土地。禮、王制「名山大澤不以封、其餘以爲附庸──」
文法にて感嘆詞(六七九頁一段)に同じ。
兩者の中閒に立ちて雙方の紛議を和解せしむ。史、灌夫傳「賓客──、遂止俱解」=居中調停。
しづかにして氣まま。北史、蕭大圜傳「深信因果、心安──」張謂詩「策馬從此辭、雲山保──」
一髮を容るるすきまもなし。事の甚だ急なるにいふ。枚乘、諫吳王書「其岀不出、────」
しづかにあゆむ。鄭谷詩「獨來新霽後、──澹烟中」
職業なきたみ。周禮、地官「以九職任萬民、九曰──」=遊民·逸民。
みやびやかにうるはし。宋玉賦「體貌──、口多微詞」
○むだばなし。=閑話。○人の居らざる時に惡口をいふ。かげぐち、しりうごと。=後言。
むだのはなしはやめにして。それはさておき、發語の辭、さての義。水滸傳「且把閒話休題、只說正話」=閑話休題。
閒(前條)の俗字。
カン [删]
○ふせぐ(防·禦)易、乾卦「─邪存其誠」○とづ(閉)○おほいなり(大)○ならふ(習)なれる、習熟する。詩、秦風「四馬旣─」○のり(法)規則、法則。論、子張「大德不踰─」○をり、馬屋のしきり(馬闌)○こまよせ(梐枑)○しづか、ひま「─暇」=閒。○──は男女の別なく往來 ユキキ する貌。又、車の動搖 ウゴク する貌。又ひろく大いなる貌。
同訓異義
シヅカ 閑·閒·靜·寂等の別は閒(前頁一段)の條を見よ。○フセグ閑·防·禦·扞等の别は防(阜部四畫)の條を見よ。
しづかにしてやすし。李白詩「何時天狼滅、婦子得──」=安閑。
ひまを得る。蘇軾詩「因病──殊不惡、安心是藥更無方」
○しづかにしとやか。史、司馬相如傳「從車騎、雍容──甚都」(閑一に閒に作る)=嫻雅。○地がしづかにして雅趣あり。
ひま、いとま。=閒暇。
○ひまなる雅人。米芾詩「杜郞──今焉是、謝守風流古所傳」○白き雉子の異名。楊文公談苑「白鷴曰──」
○車の動搖する貌。一說强く盛んなる貌。詩、大雅「臨衝──、崇墉言言」○男女别なく相まじりて往來する貌。詩、魏風「桑者──兮」○廣博 ヒロシ なる貌。莊、齊物「大知──、小知閒閒」
なほざりにうちすてておく。卻は助辭。=閑却。
世を避け閑居して其の志を養ふべし。後漢書、梁竦傳「大丈夫居世、生當封侯、死當廟食、如其不然、──────、詩書足以自娛」
しづかにしてゆるやか。北史、李公緒傳「公緒──不任事、毎被譏訶」
國 一名、よぶこどり、つつどり、くゎくこうどりの轉。=布穀·鳲鳩。
しづかにすわる。史、日者傳「司馬季主──、弟子三四人侍」
しづかにしてひまに遊び居る。韓愈詩「況是儒官飽──」
しづかにしてほしいまま。歐陽修文「詩尤淸淡、──可喜」=閑放。
ひまなる月日、物事にこせつかざる心。=閑歲月。
ならふ。能く熟練する。後漢書、鄭大傳「少爲國將、──軍事、數踐戰場、名振當世」
ひまびと。無用の人。未信編「如有──混擾者、立拿枷儆」=閒人。
よこしまなる心をふせぐ。邪惡を防閑する。易、乾卦「──存其誠」
しづかなるおもむき。沈炯文「矧澹庭之──、具春物之芳華」
しづかにしてよし。遼史、天祚后蕭氏傳「──有儀則」
しづかにしてのびのびする。唐書、呂元膺傳「坐城門、指縱部分、意氣──、人賴以安」=寬舒。
ひまな役。=散官。
しづかにしてきよし。王融文「道場曠謐、禪逕──」
しづかにととのふ。唐書、尙可孤傳「屯扶風、隊伍──」
心靜かにして質素なり。宋書、文九王傳「少而──」
ならひて通達する。後漢書、陽球傳「──故事」=習熟·熟達。
しづかにはなす。韋莊詩「絕倒──坐到明」
○あき地。○轉じて、閑散 ヒマ なる位地の義とす。晉書、郗愔傳「乞──自養」
しづかにしてのびやか。陸龜蒙詩「苦爲飢寒累、未得恣──」
しづかにながめる。岑參詩「──北顧樓、醉眠湖上亭」
しづかにひとりをる。北史、邪邵傳「性好談賞、又不能──」
身を閑散の位置に置く。韓愈、進學解「────、乃分之宜」
のどかにして氣まま。高道素文「官吏讌休、士民──」
しづかなる晚年。沈約文「弋釣泉皐、以慰──」
しづかにたのしむ。晉起居注「從容──」
しづかにしてやはらぐ。陶濳文「始妙密以──」
むだばなし。衞準詩「莫言──是──、往往事從──來」=閒話·閑言語。
それはさておき、むだばなしはやめにして、發語の辭。
クヮウ [庚]
○巷 チマタ の門、小路 コウヂ の入口「閈─」○天上の門。九─は九天の門。漢書、揚雄傳「騰九─」○おほいなり(大)○むなし(虛)○中ひろし(中寬)○ひろくす。韓愈、進學解「─其中、肆其外」○門旁の長き杙 クヒ にて扉 トビラ を止むる者。○─廓 クワウクワク は深く遠し。○──は敦美 アツクウツクシ の貌。太玄經「大圈──」
文辭が富みて麗 ウツ くし。漢書、藝文志「枚乘·司馬相如、下及揚子雲、競爲侈麗──之詞」(閎一に弘に作る)
○大聲の形容。石介、蝦蟇詩「鐘鼓欽欽、雷霆──」○敦 アツ く美くしき貌。字解參看。
遠くふかし。史、司馬穰苴傳「余讀司馬兵法、──深遠」=恢廓。
ひろくとほりて偏狹ならず。晉書、何曾傳「博物洽聞、明識──」=豁達。
みだりに大言してとりとめなし。郭璞、山海經序「世之覽山海經者、皆以其──迂誇多奇怪俶儻之言、莫不疑焉」(閎一に宏に作る)
文を作るに、蘊蓄に富みて用筆の豪放なる義。字解參看。
ひろく物事を覽て知る。史、吳太伯世家「──博物君子」(閎一に宏に作る)
ジュン [震]
○うるふ、曆 ユヨミ の上にて平年より日月數の多き稱、太陽曆にては一日增して三百六十六日となり、太陰曆にては一 ケ 月增して十三 ケ 月となる。又、其の年月「─年」「─月」○轉じてあまり(餘分)又正統ならざる天位「正─」
正統に非ざる天子の位。漢書、王莽傳「紫色?聲、餘分──、聖王之驅除云爾」
古、土人又は爵位ある人、僧侶·婦女子·老幼·癈疾の人に本刑に代へて科せし刑罰。正刑にあらざる義。
うるふづを。書、堯典「以──定四時、成歲」
うるふどし。平年の對。蘇軾詩「園中草木春無數、只有黄楊厄──」
うるふづき。禇翔詩「去歲無霜雪、今年有──」
①ビン·ミン [軫]
②ビン·ミン [眞]
①あはれむ。=憫·愍。○いたむ(傷念)○やむ(病)うれふ(憂)うれひ。疾病死喪などの憂。詩、衞風「覯─旣多」傳「─、病也」○つとむ(勉)○姓。─損は孔子の弟子。
②うれふ(病)○秋のそら。=旻天。
同訓異義
ウレフ 閔·愁·憂·患·恤·愍·悄·病の别は愁(六八一頁四段)の條を見よ。
あはれみなぐさむ。蘇舜欽文「語言煦煦、──兼該」
父母の喪。左、宣十二「寡君少遭──、不能文」
孔子の弟子、名は損、子騫は其の字、早く母を喪ふ、父後妻を娶り、二子を生む、衣するに綿絮を以てし、損を妬みて衣するに蘆花を以てす、父損をして車を御せしむ、體寒 コゴ えて靷を失ふ、父其の故を察知し、後母を出さんと欲す、損曰く、母在れば一子寒え、母去らば三子單ならんと、母聞きて悔い改む。論、先進「德行顏淵·───·冉伯牛·仲弓」
あはれみいたむ。詩經、疏「作是蟋蟀之詩、以──之」
あはれみをしむ。宋玉、九歎、章句「──其師忠而放逐」
うれふる貌。左、昭三二「──焉、如農夫之望歲、懼以待時」
5畫
カ [馬]
○ひらく(開)大いに開く。○大いにさける(大裂)○うつろ(空虛)史、司馬相如傳「谽呀豁─」○─口は大いなる杯。○─砢は相扶持 アヒタスケル する。
カフ コフ [合]
○とづ(閉)○時時開閉して用水又は舟などを通ぜしめる水門。=牐。
うつろに開く貌。劉峻、金華山棲志「路側有絕澗、──庨豁、俯窺木杪」
時時開閉する水門。楊萬里詩「淸遠溪中小──、遮攔溪水不敎流」
鬧(二二七○頁一段)に同じ。
ヒ [寘]
○とづ。とざす(閉)詩、衞風「我思不─」○かくる、隱れて發せず「隱─」○をはる、をふ(終)左、閔二「─其事也」○つつしむ(愼)○かみ(神)○ふかし(深)○かすか(幽)○くらし。
同訓異義
トツ 閟·閉·鎖·杜の别は閉(二○七七頁三段)の條を見よ。
おたまや(靈廟)閟は深くとざす義。詩、魯頌「──有侐、實實枚枚」
前條に同じ。隋書、音樂志「縵樂簡簡、──翼翼」
6畫
①ガイ [隊]
②ガイ [賄]
①とどむ(止)○さまたぐ(礙)○とづ、とざす(閉)外より閉ざす「隔─」○垓·陔に同じ「九─」
②ふさぐ(藏塞)
カク [藥]
○たかどの(樓)二階づくりの家「樓─」「層─」「綺─」「金─」「珠─」ものみ(觀)○かけはし(棧道)○やくしょ(禁省)「內─」「臺─」○內─の略語「─議」「─臣」「─僚」○ごてん(宮殿)「殿─」○くりや(庖廚)○ぜんだな「庋─」「─板」○書物。又、其の他の物をのせ置く棚 タナ ○やめる、とどむ、さしおく「─筆」「停─」=擱。○──は端直なる貌。又、羣言の道を害するにいふ。又、蛙の鳴くこゑ。○邸─は商店〔唐書、裴休傳〕○姓。
内閣に列する國務大臣。
白樂天、春江詩「───────、上樓空望往來船、鶯聲誘引來花下、草色句畱坐水邊云云」
○たかどのの下。漢書、嚴延年傳「免冠頓首──良久」○貴人に對する敬稱。もと閤下(次頁一段)に作る。
○端直なる貌。詩、小雅「約之──」○蛙の鳴く聲。韓愈詩「蛙黽鳴無謂、──祗亂人」=閤閤。
內閣卽ち國務大臣の會議。
○二階作りの廊下。史、始皇紀「周馳爲──、自殿下直抵南山」=複道。○山谷などに作れるかけはし。岑參詩「劍門乘險過、──踏空行」=棧道。
淳化法帖の簡稱。
ふでをさしおく。ものかくことを止める。魏志、王粲傳「皆──不能措手」=擱筆。
そのままにさしおきてゆるす。宋史、黄?傳「──逋負、錢額均等」
○唐代、中書舍人、又給事中をいふ。唐書、楊綰傳「故事舍人年久者爲──」○明代、宰相をいふ。國史補「宰相相呼爲堂老、兩者相呼爲──」○ 國 德川時代の老中職の稱。
內閣より發する命令。
內閣員のなかま。
カフ [合]
○くぐりど、大門の旁の小門。○へや、ねま、房室「閨─」○ごてん、やくしょ(禁省)○ 國 太─ タイカフ は關白の職を子に讓りし者の稱。其の剃髮すれば禪─といふ。
貴人に對する敬稱。漢の公孫弘が東閤(東方の小門)を開きて賢士を延見せし如く、古、三公大臣にはみな閤の設あるが故。因話錄「古者三公開閤、郡守比古諸侯、亦有閤、故世俗書題有──之稱」韓愈與于襄陽書「謹奉書尙書──」(後世は通じて閣下に作る)
蛙のなき聲。陸游詩「遙憐萍靑靑、厭聽蛙──」=閣閣。
關(門部十一畫)の俗字。
ケイ [齊]
○こもん(小門)○宮中の小門(古、金馬門を金─といふの類)○ねや、へや(婦人の房室)「蘭─」「深─」「春─」「空─」轉じて男女の情事。又、婦人のことにいふ「─怨」「─秀」○圭に通ず。禮、儒行「蓽門圭窬」
むすめの子。輟耕錄「宇文公諒、少時嘗館巨室、其──中夜來奔、堅拒不納」
ねやのまど。後漢書、宦者傳序「──房閨之任」
妻が其の夫と别れ居るうらみ。又、其の怨を詠ぜし詩。黄庭堅詩「善吟──斷人腸」
ねどこのうち。史、汲黯傳「汲黯多病、臥───」
おそば近く仕ふる臣、近侍の臣。漢書、司馬遷傳「身直爲────、寧得自引深藏巖穴耶」
ねやのと。孟浩然詩「──綺窗閉、佳人罷縫衣」
女子のゐま。白虎通「婦事夫有四禮焉、雞初鳴、咸盥櫛縰笄總而朝、君臣之道也、惻隱之恩、父子之道也、會計有無、兄弟之道也、──之內、袵席之上、朋友之道也」
賢婦人、才學のすぐれたる婦人。世說、賢媛「顧家婦淸心玉映、自是閨房之秀」
春情をいふ、男女が戀ひ慕ふ心。王琚、美女篇「二八三五──切、褰簾捲幔迎春節」
○宮女のへや。何晏、景福殿賦「靑瑣銀鋪、是爲──」○婦人のねや。徐幹詩「微風起──、落月照階庭」=閨幃·閨闈。
婦人のはたらき。杜甫詩「用盡───、君聽空外音」
いへのうち。北史、鄭道邕傳「撫訓諸弟、──之中、怡怡如也」=家庭。
くぐり、くぐりど、壁を穿ちたる小戶。轉じて貧しき人の居宅をいふ。左、襄十「蓽門──之人」=圭竇·圭窬。
おくむき、後宮。左傳、疏「婦人主──之事」
ねや(内室)漢書、張敞傳「爲婦畫眉、有司以奏、上問之、對曰、臣聞──之內、夫婦之私、有過于畫眉者」
女のをしへ、女の守るべきてほん、婦德。晉書、列女傳「具宣──、有裨陰訓」
○へやの入口の戶。又へやのうち、家庭。禮、樂記「樂在──之內、父子兄弟同聽之、則莫不和親」○家庭の風儀。唐書、李景讓傳「家行修治、──惟謹」
ねやのうち。鮑照詩「出入南──、經過北堂陲」李白、擣衣篇「──佳人年十餘、嚬蛾對影恨離居」=閨中·閨內。
コウ カゥ [送]
一說に鬨の俗字
○たたかふ(鬬)孟、梁惠王「鄒與魯─」○ときのこゑ、たたかふ聲。○里中の道。=衖。
シュク [屋]
○おほし、もろもろ(衆)衆人が門中に在り。○阿─鞞彿は佛の名。
バツ [月]
○いへがら、門地「門─」「名─」○くらゐ。○いさを(功績)「勳─」「功─」通じて伐に作る。○ 國 出身を共にせし者の與黨 ナカマ 「藩─」「學─」
功狀を書して門に揭ぐる榜 フダ 門の左に在るを閥、右に在るを閱といふ。閥は功を積む、閱は經歷。轉じて功績の義。史、功臣年表「太史公曰、古者人臣功有五品、以德立宗廟定社稷曰勳、以言曰勞、用力曰功、明其等曰伐、積日曰閱」=伐閱。
○貴きいへがら。○ 國 藩閥のやから。
ビン [眞]
○支那の東南地方の種族の名、東越の別名。今の福建省地方。周禮、夏官「四夷·八蠻·七─九貉·五戎·六狄」○轉じて福建省の異稱。○國名、五代の十國の一、南唐の爲めに滅ぼさる。
地名、今の福建省は周代の七閩の地、後、越人之に居る、故にいふ、粵は越。=閩越。
郡名、秦代に置く、今の福建省。
7畫
エツ [屑]
○けみす(檢)「校─」○しらべる、あらためる「檢─」「─兵」○よむ「─書」○みる(觀·察)左、襄九「商人─其禍敗之釁」○かぞへる(數)○ふ(經歷)「─歷」「─月」漢書、文帝紀「─天下之義理多矣」○えらぶ(簡)「簡─」○いる(容)いれられる。詩、衞風「我躬不─」○うく(稟)老子「以─衆甫」○てがら。○いへがら(門地)「閥─」閥(前頁)の字解參看。○兵士の訓練を行ふ「─兵」○車馬軍實をあらためる。○すべる(總)陸機賦「世─人以成世、人冉冉而行暮」(衆人を總べて世を成す義)○あたひ(價)折─ セツエツ は品物の價を損して賣る。荀、修身「良賈不爲折─不巿」
つきをすごす。唐書、三宗諸子傳「──拜諫議大夫」
一年を經る。唐書、薛元賞傳「──進工部尙書」
しらべる。舊唐書、王起傳「令宰臣──可否、然後下當司放榜」
しらべためす。後漢書、禰衡傳「曹操聞衡善擊鼓、乃召爲鼓吏、因大會賓客、──音節」
犯罪を檢閱して實情を明かにする。書、呂刑「──其罪」
書を讀むものみ。三國遺錄「魏文帝爲───、讀書千卷者、許登此、凡六人而已」
時世を經歷する。蘇軾詩「──如郵傳」
武事をしらべる。晉書、虞溥傳「專心墳籍、時疆場──、人爭視之、溥未嘗寓目」=講武。
兵を檢閱する。王惲詩「白羽風淸坐──」=閲武。
しらべみる。宋史、盧多遜傳「必通夕──、是以答申皆中」
すぎ去りし事蹟、又經過する。又、履歷。舊唐書、吐蕃傳「亦發兵以助、──三旬」=經歷·更歷。
①コン [阮]
②コン [願]
①しきみ(門限)門のしきみ、戶の内外の限界「門─」○くひ(門中橛)○城郭の門。
②婦女の居所 へヤ
閫外の寄託の義。將軍の任をいふ。李納、授節度使制「膺玆──」次條參看。
將軍の職。史、馮唐傳「上古王者之遣將也、跪而推轂曰、閫以內者、寡人制之、閫以外者、將軍制之」=閫寄。
しきみと、しとねと。轉じて、男女の分にいふ。梁書、高祖丁貴嬪傳「方論婦敎、明章──」
をんなの守るべきのり。婦德。宋史、樂志「內輔先猷、夙昭──」=閫範·閫德·閨範。
しきみのうち。轉じて、都城內の義とす。閫外之任を見よ。
婦德をいふ。任昉文「──斯諒」
○婦德をいふ、女子のてほん。○書名。宋史、藝文志に、呂祖謙の──三卷を著錄す。
①ラゥ [漾]
②ラゥ [陽]
①むなし(空)うつろ(虛)○ひろし(曠)○─風は山名、崑崙山の上に在り。
②高し、門高し。又、高き門。○大いなり。○あきらか、ほがらか。=朗。
仙人の居所〔續仙傳〕宣和畫譜「阮郜作仙女圖、有瑤池──風景」
仙人の居る處。書言故事「崑崙圃、閬風苑、有玉樓十二、玄室九層、左瑤池、右翠水、環以弱水九重、非颷車羽輪蓋不可到」
リョ ロ [魚]
○周の制、二十五家を里 サト となし、其の門を─といふ「門─」「里─」○轉じて二十五家(里)の稱、むらざと(邑里)「鄉─」「邑─」「田─」
里中の門。轉じて、むらざとの賤人。史、李斯傳「斯以──、歷諸侯、入事秦」
むらざと。史、伯夷傳「──之士、欲砥行立名者、非附靑雲之士、安能施于後世哉」
官に仕へずして野に在る人。史、游俠傳序「及若季次原憲、───也」
○さとのもん。=里門·閭門。○むらざと。王庭珪詩「徒乘朱班輪、呵殿嚇──」
むらざとの賤民のなかま。史、司馬相如傳「臣素卑賤、君擢之──之中」
秦代、賦役等を免じて里門の左側に置きし貧民の稱(富者を右に置く)漢書、食貨志「取泰半之賦、發──之戍」
むらざとのまち。歐陽修詩「日落原野晦、天寒──閒」
古代の美女の名〔荀、賦篇〕東方朔、七諫「謂──爲醜惡」=閭姝。
周代の官名、村里の小役人。周禮「──各掌其閭之徵令」
まち、むらざと。元稹文「因其阡陌、制之──」
倚門之望(一四四頁三段)を見よ。
むらざとの入口のもん。漢書、于定國傳「于公謂曰、少高大門閭令容駟馬高蓋車」=里門。
むらざと。又、其の民。史、袁盎傳「盎病免居家、與──浮沈」=閭巷·閭伍。
8畫
①アツ [曷]
②ヨ [御]
③エン [先]
①ふさぐ。ふさがる(壅·塞)「壅─」「擁─」「夭─」「抑─」○とどむ。とどまる(止)○─逢 アツホウ は十干の甲の異名。單─ タンアツ は十二支の卯の異名。爾雅「太歲在甲、曰─逢、太歲在卯、曰單─」
②─與 ヨヨ はゆるやか(客暇)なる貌〔漢書、揚雄傳〕
③─氏 エンシ は、匈奴單于の嫡妻 ホンサイ の稱〔史、匈奴傳〕
ふさがる。吳越春秋「帝堯之時、九州──、四瀆壅閉」=壅塞。
○ 佛 梵語。佛に奉る水。翻譯名義集「阿伽此云水」又、其の水を盛る器。慧林音義「──盛水器也、同盛香水器也」──灌頂 アカクワンヂヤウ は香水を佛道修行者の頂に灌 ソソ ぎて其の修功を證明する作法。○船底にたまる水。=淦。
エン [鹽]
もと奄に作る
○こもの(豎)宦官、男子の去勢せられて後宮に仕ふる者、君主に近侍し、宮門の開閉其の他の雜役に從ふ。○もんばん。○─然はおほひかくす、己の意志を掩ひかくして世にへつらふ。○去勢せし家畜(臺灣語)○─茂は十二支の戌の異名。爾雅「太歲在戌曰─茂」=淹茂·掩茂。
尹は正、宦官のかしら。漢書、敍傳「──之呰」
次條に同じ。後漢書、宦者傳「所與居者、惟──而已」
宮刑にかかりて精氣の閉藏する者。轉じて宦官をいふ。後漢書、宦者傳「中興之初、宦官悉用──」=奄人·宦官·閹奴·寺人。
己の意志をかくして世に媚びる、深く自ら閉藏する貌。孟、盡心「──媚於世也者、是鄕愿也」
閹人に同じ。唐書、顏眞卿傳「李希烈使──等害眞卿」
エン [鹽]
○ちまた(巷)の門、里中の門、小路 コウヂ の門。○ちまた(巷)里中。史、越世家「莊生雖居窮─、然以廉直聞於國」○ 佛 ─魔 エンマ は地獄の大王の名、梵語の─魔羅闍の略。=閻羅·閻摩羅。
淸の山西の太原の人、字は百詩、博學洽聞一世に比なく、考證に長ず、世宗手書して之を招き、常に先生といひて名いはず。著はす所、古文尙書疏證·四書釋地·日知錄補正等あり。康熙四十三年卒す、年六十九。
佛 印度にある木の名。酉陽雜俎「釋氏書言、須彌山南面有──樹」
佛 ○閻扶に同じ。阿含經「須彌山外、所迦羅山北、有大樹、曰──」○閻浮檀金の略。
佛 須彌山の南海中に在る三角形の島洲の名、一に、南瞻部洲ともいふ。=南閻浮提。
佛 閻浮樹の下を流るる河中に生ずるすぐれて善き沙金。法華經「────爲莖、白銀爲葉」檀一に提に作る。江又は海の義。
佛 地獄の王。羣書拾唾「釋氏所謂十王者、一曰秦廣、二曰初江、三曰宋帝、四曰五官、五曰閻羅、六曰變成、七曰泰山、八曰平等、九曰都巿、十曰轉輪、是也」
佛 閻魔に同じ。隋書、韓擒虎傳「生爲上國柱、死作──王」=閻摩羅·琰摩。
佛 閻魔大王の役所。七寶を以て莊嚴すといふ、えんまが惡人の罪科を審判する所、故に廳といふ。=閻魔廳。
佛 地獄の卒。正法念經「───答罪人云、汝本作惡業、爲欲癡所誑、彼時何不悔、今悔何所求」
コン [元]
○もんばん、特に、宮中の門を守る賤者「─人」○門。又、天の門。楚辭「吾令帝─開關兮」(帝─は天門)○轉じて御所 ゴシヨ のもん(宮門)=禁門·宮闕。
宮闕に詣 イタ りて寃を訴へる義〔正字通〕
内廷に奉仕する宦官、もと宮刑に處せられし者を用ひて門番とせし故。寺は待。禮、內則「深宮固門、──守之」=閽侍·寺人·宦寺·閹寺。
前條に同じ。李商隱文「曾干──、獲拜堂皇」
もんばん。周禮、天官「──掌守王宮中門之禁」
もんばん。禮、祭義「──、守門之賤者也」=閽人。
もんばん。羅隱文「中閒輒以所著讒書、上于──」
シャウ [陽]
○天上世界の門。
○天上界の最初の門。淮南、原道「排──、鑰天門」○轉じて宮門の稱。○西の風。又、秋風。史、律書「──風居西方」
ヨク·ヰキ キョク [職]
○しきみ、門の界の横木(門限)「戶─」「門─」「城─」論、鄉黨「行不履─」○轉じて、內外の區限 クギリ 又くぎりをつける。賈至文「喉咽九州、閫─中夏」
9畫
①アン [勘]
②アン [覃]
①くらし(冥)光うすし「幽─」「昏─」暗と通ず。○とづ(閉門)○くらます、おほふ、くらくす。○くもる。くらむ。○おろか(蒙昧)「─愚」○くらがり。○ゆふぐれ(昏時)よる(夜)○日月の蝕。○隱晦 クラシ の貌「─然」
②喪に居るいほり「諒─」○ 國 やみ、暗き夜。又、心がくらむ。
月蝕 ゲツシヨク の時、地の影が蔽ふ所の暗き處〔後漢書、天文志、注〕
人の見ざる暗き室にても惡を爲さざるは愼みの至りなり。正字通「程子曰、學始于不欺闇室」=不愧屋漏。
前條に同じ。世說、德行「長之一生、────」長之は阮長之。
期せずして符合する。陸機、文賦「必所擬之不殊、乃──乎曩篇」=暗合。
道理にくらくしていつはる。後漢書、劉梁傳「明智之所得、──之所失也」
やみうち。世說「王祥嘗在別牀眠、母自往──之」
おろかにしておくびゃう。易、蒙卦、疏「蒙者微昧──之名」
アン セン []
くらくあさはか。張詠文「修辭──、未涉作者之流」=淺闇。
自ら隱晦 クラマス してあらはさざる貌。中庸「君子之道、──而日章」
心くらくしておこたる。陶弘景文「伏願宥以──」
期せずして自ら一致する。世說「老莊正與人意──」=闇合。
くらき貌。枚乘、七發「榛林深澤、煙雲──」
おろか。吳志、步隲傳「受性──、不達道數」
○事理にくらくおろか。易林「──不明、耳聾不聰」=暗昧·闇愚·蒙昧。○くらくして明かならず。論衡「上古久遠、其事──、故經不載」
ヰ [微]
○宮中の大門の傍の小門「禁─」「皇─」○轉じて宮中のおくむき、后妃の居所(後宮)「宮─」禮、雜記「夫人至、入自─門」○奥座敷、內室。束晳詩「眷戀庭─、心不遑安」○試院、卽ち官吏の登用試驗をする所の稱。會試を眷─、鄕試を秋─といふ〔唐國史補〕
イン [眞]
○ふさぐ(塞)○まがる(屈曲)○ついぢ(城門外の副城)○城內の二重門「城─」
クヮツ [曷]
濶は俗字
○とほし(遠)○とほざかる(隔)○ひろし(廣)狹の對。○心が大きく細事にかかはらず。○まばら(疏)あらし「疏─」○てがるし(簡)「簡─」○ゆるやか(寬)ゆるくする、輕く方る。漢書、王莽傳「─其租賦」○そむく(乖)○つとめくるしむ(勤苦)詩、衞風「死生契─」○うとし(疏遠)○久しく相見ず「久─」詩、邶風「吁嗟─兮」○まはりどほし、世事に通ぜず「迂─」
同訓異義
ヒロシ 闊·廣·博·弘·汎·寛の别は廣(五九三頁三段)の條を見よ。
葉のひろき樹木、なら·くぬぎ·かしの類。
ひろきいへ。淮南子「廣廈──、連闥通房、人之所安也」
ひろきむね。孫楚文「其爲相也、疏尾──」
ひろきと、せまきと。史、天官書「大小有差、──有常、水火金木塡星、此五星者天之五佐、爲經緯、見伏有時」=廣狹·寬狹。
ひろきそで。窄袖の對。宋史、韓侂冑傳「朱熹奏其姦、侂胄怒、使優人峩冠──象大儒、戲於上前、熹遂去」=寬袖。
廣き形容。除陵、與宗室書「三條不遠、五達非難、信乃──、遂不蒙問」=豁然。
事情にうとくぬけめあり。論衡「周法──、不可因也」
ひろく大いなり。
心ひろくして小事にかかはらず。後漢書、馬武傳「爲人嗜酒、──敢言」=豁達。
久しく别れて面會せず。王羲之文「──稍久、眷與時長」
おほまたにあるく。安心して自由に動作する。魏文帝、漢文論「得──高談無危懼之心」
はてしもなく廣き貌。南徐州記「京江禹貢北江也、──三十里」
細密 コマカ ならず。蘇軾詩「體勢本──、結束入細麽」
○おほまかにしてゆきとどかず。=疏略。○罪をゆるして見のがす。後漢書、鍾離意傳「改化之本、由近及遠、今宜先淸府內且──遠縣細微之愆」
ケキ [陌]
通音ゲキ
ひっそりとしづか。靜かにして人なし「空─」「幽─」「寥─」易、豐卦「─其无人」疏「闚視其室、─寂无人也」
しんとして物さびしく靜か。韓偓詩「林塘──偏宜夜」字解參看。
しづかなる貌。范成大詩「窮巷閒門本──」
①ケツ [屑]
②ケイ [霽]
①をはる(訖)音樂の一曲が終る「樂─」歌曲一首を一─といふ。漢書、張良傳「歌數─」○やむ(止)○やすむ、いこふ(息)休息する。詩、小雅「俾民心─」○つく(盡)漢書、王莽傳「日─亡儲」○むなし(空)莊、人閒生「瞻彼─者、虛室生白」室は心に喩ふ、心空虛なれば則ち純白なる義。
②やむ(止)
①ト [虞]
②ジャ [麻]
①うてな、城門の臺。詩、鄭風「岀其闉─、有女如荼」○ものみ(城上の重門)○外城の巿里。
②梵語ジ ャ 音の音譯に用ふ。 佛 ─維 ジヤイ は死せし僧侶を火葬する義。=荼毗 ダビ ○ 佛 阿─梨 アジヤリアザリ は僧の師たるべき者。又、僧の稱號。
僧の稱號。翻譯名義集「梵語阿遮梨耶、唐言軌範、今稱──、隋言正行、能糾正弟子行故、亦作黎」=阿闍棃。
ユ [虞]
窺 ウカガ ひ望む。私 ヒソカ に視る。左思、魏都賦「距遠關以闚─」
ラン [寒]
○しきり、ませ、やらい、おばしま、てすり(欄)「─干」○さへぎる(遮)ふせぐ(閑)阻隔 ヘダツ する。戰國策「晉國之去梁也、千里有餘、有河山以─之」○たけなは(酣)まっさかりの時「酒─」「宴─」○おそし(晚)時のおくれたる時、なかばすぎ、をばり(終)つく(盡)「夜─」「歲─」○まばら(稀)○みだりに(妄)○わりふなくして門などを岀入する、無斷 ムダン にてする「─岀」「─入」○かたなかけ。やりかけ、車上の兵架。=蘭。
同訓異義
タケナハ 闌·酣○闌は事の半を過ぎたる義、酒宴などに、人の半は去り、半は畱る頃をいふ、興闌はおもしろき興味の最中を過ぎたるをいふ。○酣は醉の十分なるさま、ひろく事の最中をいふ、興酣·戰酣と用ふ。
君上の駕を遮りて直訴する〔輟耕錄〕=闌轎。
○てすり。李白詩「沈香亭北倚──」=欄干·欄杆。○淚の多く出づる貌。白居易、長恨歌「玉容寂寞淚──」○まぶた(眼眶)〔韻會〕○縱橫に散りみだれる貌。左思、吳都賦「金鎰磊砢、珠琲──」○星の光のあざやかにきらめく貌。古樂府「月沒參橫、北斗──」
衰へる貌。又、散り亂れる貌。李羣玉詩「絲管──歸客盡」=衰落。
制限以外にみだりに出す。史、汲黯傳「──財物于邊關」
てすり。南史、梁蕭正義傳「廣其路、旁施──」=欄干。
南天燭 ナンテン の一名。花曆百詠「──則天竹」=南天竺·闌天竹。
ゆるしを得ずして妄に入るべからざる所に入る。漢書、成帝紀「──尙方掖門」注「無符籍妄入宮曰闌」
色のまだらにして純一ならざる貌。後漢書、南蠻傳「衣裳──、語言侏離」=斕?。
10畫
①カイ [賄]
②カイ [灰]
①ひらく(開·闢)○とく(解)
②あきらか(明)○ゆがけ(決)弓を引くとき、右手の指に纏ふもの。
カフ [合]
○門のとびら(門扉、門扇)○とづ。とざす(閉)しめる。○すべる(總合)すべて、皆擧りて「─家」「─郡」○とま(苫)○なんぞ、なんぞ何何せざると反りて讀む。=盍。○閶─は天上の門〔淮南、原道〕
同訓異義
トヅ 闔·閉·鎖·杜·閟·關の别は閉(門部三畫)の條を見よ。
一家のこらず。=全家·渾家·擧家。
郡內のこらず。漢書、武帝紀「今或至──而不薦一人」
とをとざす。宋史、趙普傳「晚年手不釋卷、歸私第──啓篋、取書讀之竟日」=閉戶。
國內のこらず。=全國·擧國。
とづると、ひらくと。易經「一闔一闢謂之變」=開閉。
もんをとざす。後漢書、盧植傳「──敎授」=闔戶。
居室をいふ、次條に同じ。
○いほり、居室。左、襄十七「吾儕小人、皆有──」晏子春秋には廬を閭に作る。○春秋時代の吳王の名。
ケツ [月]
○宮城の門觀、禁門、二臺を門外に築き樓觀を其の上に設け、中央闕けて岀入の道と爲すもの。○宮城、朝廷。○かく。かけ。はぶく。=缺。○うしなふ(失)あやまつ(過)○きず(過疵)○むなし(虛)とぼし(乏)○すき(空隙)○そなへず(不供)○城の圍を合はさず、少しく缺く。○こぼつ(毀)○のぞく。○うがつ(穿)ほる(掘)左、隱元「─地及泉「○─翟は雉の羽のかざりある古の王后の六服の一。=闕狄。○游─は游軍の闕けたる所を補ふもの。左、宣十二「游─四十乘」○鉅─ キヨケツ は良劍の名〔荀、性惡〕
同訓異義
カク 闕·缺·欠·虧·玷の别は缺(一五一○頁三段)の條を見よ。
かけのこる。漢書、司馬相如傳「今封疆之内、冠帶之倫、咸獲嘉祉、靡有──矣」
定員に不足あること。舊唐書、韋陟傳「──旣少、取士良難」=缺員。
宮中、掖は正門の左右の小門。論衡「發于臺下、讀于──」=禁掖·宸掖。
闕然に同じ。焉は助辭。史、仲尼弟子傳贊「余以弟子名姓文字、悉取論語弟子問、竝次爲篇、疑者──」
宮城にをかし入る。五代史、周太祖德妃董氏傳「年十三、嫁劉進超、契丹──、進超歿于虜中、妃嫠居洛陽」
天子の宮闕の下。轉じて天子。又、朝廷の義とす、敢て斥言せざるなり。史、封禪書「上書──」
宮門のたかどの。洛陽伽藍記「見其──華美」
うたがはしきものは姑く取り除、けておく。論、爲政「多聞──、愼言其餘則寡尤」
天子又は貴人の名の字を書くとき敬意を表する爲めに其の字畫を省きて書く、淸の康熙帝の諱の玄曄の玄を省きて玄と書くの類。
かけてあやまりあり。吳志、周瑜傳「瑜少精意于音樂、雖三爵之後、其有──必知之、知之必顧、時人謠曰、曲有──、周郞顧」
○文章中にて敬意を表する爲め天皇又は貴人の名の上を一二字あけてかく。○文詩中の脫字。
あやまち。五代史、裴皡傳「喜論議、每陳朝廷──、多斥權臣」=過失。
はぶく、とり除きておく。論、子路「君子於其所不知、蓋──」如は助辭。
國 ○古、莊園などの所有主が亡びて其のままになりてゐる所。○德川時代、追放以上の犯罪人に課せし附加刑にて領地財產等を沒收するもの。=籍沒。
おちどのあるまつりごと。阮籍文「朝無──、民無謗言」
國 岀席せず。=缺席。
缺けて全からざる貌。史、封禪書「厥曠遠者、千有餘載、近者數百載、故其儀──堙滅」=闕焉。
そぎ削る。左、成十三「欲──我宮室、傾覆我社稷」=摧毀。
心に安からず思ふものは、そのままにしてさしおく。論、爲政「多見──、愼行其餘、則寡悔」
國 古、武官が行幸·節會などの時に著たる制服。兩腋をぬひ合さず。
朝廷にいたる。漢書、朱買臣傳「重車至長安、──上書、書久不報」
わすれる。宋史、宋太初傳「因筆而簡之、以備──耳」
字句の脫落したる文章。陸機、文賦「收百世之──、採千載之遺韻」
はほん、卷數の不足せる書物。=缺本。
今の山東省曲阜縣內の地。孔子の生地〔曲阜志〕
かきてはぶく。唐書、太宗紀贊「詩書所載、時有──、然三代千有七百餘年、傳七十餘君、其卓然著見於後世者、六七君而已」
○かけもれる。ておち。諸葛亮、出師表「裨補──」○あき、罅隙。
ゲツ ゲチ [屑]
○門のしきみ(門梱·門限)門中に豎てて內外を礙 サヘギ る木「門─」=橛。○轉じて內外のしきり。漢書、馮唐傳「─以內寡人制之」
タフ [合]
○さと、むら(里)○ものみやぐら(門樓)のやね。○─茸 タフジヨウ はいやし(下賤)又にぶし(駑頓)
○みだらにしていやし(猥賤)闒は下、茸は細かなる毛にて豪桀の反對。漢書、司馬遷傳「在──之中」○にぶし(駑頓)不肖 オロカ の人。漢書、賈誼傳「──尊顯兮」
チン [沁]
○うかがふ(覘)○頭を岀す貌。○ 俗 不意に人の席に突入するを─席といふ「─門」○─王は明末の流賊、李自成の稱號。
無賴の義。白頭閑話「都人或十五結黨、橫行街巿閒、號爲──」
頭を出す貌。公羊、哀六「開之則──公子陽生也」
○うかがひ入る。○ 俗 不意にあばれこむ、突き入る。
テン [先]
○みつ(滿)「─門」○──は鼓 ツヅミ の聲。又、羣り行く聲。又、車馬の聲。又、さかんなり(盛)○于─ ウテン は西域の國名。=于寘。
滿ちあふれる。韓詩外傳「精氣──」=充滿。
みつ。左思、吳都賦「冠蓋雲蔭、閭閻──」=闐溢。
○鼓の聲。詩、小雅「振旅──」○羣り行く聲〔爾雅、釋天、注〕○盛んなる貌。博雅「──、盛也」○車馬の聲。蜀都賦「車馬雷駭、轟轟──」○雷の聲。宋玉、九辨「屬雷師之──兮」
もんに滿つる。史、汲鄭傳」始翟公爲廷尉、賓客──」
11畫
キ [支]
窺に同じ
○うかがふ、ちらとのぞく、ひそかにさぐり見る。○いざなふ(誘)
ひそかにすきをうかがふ。劉琨、請北伐表「──閒隙、寇抄相尋」
多くの利益を以て誘ひみちびく。史、剌客傳「愚以爲、誠得天下之勇士、使於秦、────」
うかがひのぞむ。書經、傳「兵法攻城築土爲山、以──城内、謂距堙」
望むまじきものをこひねがひもとめる。後漢書、河閒孝王開傳「謀圖不軌、──神器」=覬覦。
①クヮン·ケン [删]
②ワン [删]
俗に關·関に作る。
○くゎんのき、門をとづる橫木(閂)○せきしょ、せき。國境又は要害の地に設けて通行者の岀入を警める所「玉門─」「居庸─」孟、公孫丑「─巿譏而不征」○港の入口「海─」「江─」○はかのもん(墓門)○しめくくり、物事のとりしまり(要會)○しきり(界限)○とほる(通)つらぬく(貫)つらなる(聯)「─聯」うがつ(穿)いる(入)○とづ、とざす(閉)門をしめる。陶潛、歸去來辭「門雖設而常─」ふさぐ(塞)ふせぐ「─防」○からくり(機械)「機─」○あづかる(與)かかはる「─與」「僕不─焉」○わたる(涉)かかる(係)○よる(由)漢書、董仲舒傳「太學者賢士之所─也」○もとむ(索)○まうす(白)○官文書。主として照會文。○寸口と尺澤との閒。○腹中に呼吸する氣のをさまるところ。○──は鳥のやはらぎ鳴く聲。○閒─はくるしむ貎、崎嶇展轉の貌。
②弓をひく、ひきしぼる(彎)孟、告子「越人─弓而射之」 國 ○せき、力士の首席。又强き力士の敬稱「大─」「─取」○へだて「人目の─」
同訓異義
アヅカル 關·預·與·干○關はたづさはると譯す、氣にかかる意あり。玉露「事關二風敎一」○預は參預と連用し、その事に立ちまじはる義。左傳「毋レ使三婦人預二國事一」○與は預と音義共に同じ。論語「吾不レ與レ祭、如レ不レ祭也」○干はをかすと訓む字なれば、我よりさし岀て、事にかかり合ふ義。干涉と用ふ。
せきしょと、おくと。主要なる場所の義。南史、劉悛詩「三吳國之──」
きにかかる。梁昭明太子文「鵠蓋龍旂、初不──」=關心。
關西。關東を關左といふの對。王粲、從軍詩「相公征──、赫怒震天威」
せきもり、關門を守る役人のかしら。周語「敵國賓至、──以告」=關令·關令尹。
三國時代の蜀の猛將、字は雲長、張飛と共に劉備に事へ、前將軍に拜し、威華夏に振ふ、死して神と爲る、卽ち關帝廟。
門を閉ぢて人と交際せず。江淹、恨賦「敬通見詆、罷歸田里、────、塞門不仕」
ささへとどめる。舊唐書、顏眞卿傳「不許──、所以防壅蔽也」=阻礙。
せきしょのもん。管子「──不開、善否無原」
せきしょにてしらべあらためる。孟、梁惠王「關巿譏而不征」
こころにかける。南史、謝靈運傳「出爲永嘉太守、郡有名山水、靈運素所愛好、肆志遨遊、動經旬日、理人聽訟、不復──」=關意。
鳥の和ぎて鳴く聲。詩、周南「──雎鳩、在河之洲」
關仝と荊浩と、皆宋の名畫工。張羽、米南宮、雲山歌「洪谷之後有──營丘」=荊關。
○かかはる。かかりあひ。=關繫。○ 國 男女が私かに情を通ずる。
とざす。戰國策「秦下兵攻衞陽、晉必──天下之匈」
かかりあふ。=關係。
國境に在るせきしょのもん。後漢書、西域傳「至于宣元之世、遂稱蕃臣、──不閉、羽檄不行」
せきしょを設けて往來する人をあらためる警戒。後漢書、南匈奴傳論「罷────、息兵民之勞」儆は警。
○くゎんぬきと、かぎと。老子「善閉無──、而不可開」○轉じて物事のかなめ、樞要。嵆康、答難養生論「上以周孔爲──」
せきしょに立てたる一里づか。何承天文「界上嚴立──、杜廢閒蹊」
關東に同じ。北史、孫紹傳論「孫紹──之士、又能指論時務」
門のぢゃうまへ。門戶のしまり。韓翃詩「披衣聞客至、──於此開」=關鏁。
くにざかひに在る、せきしょと、とりでと。漢書、賈山傳「築長城、以爲──」
○關所と山山と。木蘭詩「萬里赴戎機、──度若飛」○鄕里の境なる山。轉じてふるさと。徐陵詩「──三五月、客子憶秦川」
せきしょと、いちばと。孟、公孫丑「──譏而不征」
せきしょの役人。儀禮「及境謁──、──問從者幾人、遂以入境」
心にかかる、心配。王維詩「晚年唯好靜、萬事不──」=關意。
せきしょと、わたしばと。漢書、王莽傳「──苛畱」
心にかかる。陸龜蒙詩「酒香偏入夢、花落又──」=關心。
關睢は、詩經、周南の詩の篇名、周の文王の后妃の德を詠ぜしもの、よりて人君夫妻和合の德が天下の人民を化する義とす。張說文「內被螽斯之德、外偃────」
關所に設けたるのろし。齊書、太祖紀「今──無虞、時和歲稔、遠邇同風、華夷慕義」
○函谷關以西の地。卽ち陝西·甘肅二省の地。後漢書、楊震傳「──孔子、楊伯起」=關右。○ 國 近江國逢坂山(一說函根の關)以西の地方。
漢代の諺〔後漢書、虞詡傳〕秦の白起·王翦·漢の李廣·趙充國などの名將は關西より岀で、漢の蕭何·曹參·魏相·丙吉などの名相は皆關東より出づ。
孔子は關東の人、それに對し、楊震は山西の人なるが故に孔子に比して關西といふ。後漢書、楊震傳「震字伯起、弘農華陰人、明經博覽、無不窮究、諸儒爲之語曰────、楊伯起」
せきしょにて取り立てる脫。宋史、米信傳「稱官物以免──」=關稅。
○古、關所にて物品に課する脫。=關征。○輸出入の物品に課する税。=海關稅。
旅人が途中の關所を通ずる如く他人を中に立てて說く。史、梁孝王世家「大臣及袁盎等、有所──于景帝」
○ふし。骨のつがひめ。素問「──中液岀、不得屈伸」○要路に居る人に賄賂を贈りてたのみこむ。國史補「造請權要、謂之──」
かかはりたづさはる。沈約文「精進勤勞、觸事──」=干涉·關係。
あづかりて總べをさむ。魏書、崔浩傳「百家之言、無不──」
せきしょのうち、函谷關より內をいふ。史、高祖紀「悉發──兵、收三河士」
○麾下の士。史、春申君傳「秦楚合而爲一以臨韓、韓必爲關內之侯」○六國時代より漢代にありし爵の名。領地を與へず、祿のみを給す。漢書、百官長「爵十九───」
門戶の開閉に用ふるくゎんぬきと、非常を警戒するひゃうしぎと。易林「──開啓、衿帶解墮」
他より手をまはして人にたのみこむ。關說請託の義。唐書、李德裕傳「──大臣」
關羽と張飛と、共に蜀漢の劉備の勇將。岑參詩「蜀相凌──」李商隱詩「──無命欲何如」
陝西省をいふ。東は函谷關、南は武關、西は散關、北は蕭關にかこまれたる故。史、項羽紀「──阻山河四塞、地肥饒可都以霸」
政府にて發行せし受取證書。楮は紙〔宋史〕
蜀の關羽を神としてまつりし尊稱「──廟」關羽參看。
五代の時の長安の人、善く山水を畫く、好みて秋山寒林の圖を作る、荊浩を師として浩と名を齊 ヒトシ くす。
○函谷關以東の地、河南·山東地方。越絕書「句踐伐吳、霸──」=關左。○山海關以東、奉天·吉林·黑龍江三省を──三省と稱す。○ 國 もと近江國逢坂山以東。後世、相模國箱根山以東、所謂──八州の地。
國 相模·武藏·安房·上總·下總·常陸·上野·下野の八國。=關八州。
○せきしょ。韓愈詩「蜀險豁──、秦師縱橫滑」○關防印の略。
○官府の公文書に奸僞をふせぐ爲めに押す印。明太祖實錄「朕初于文籍、設───記者、本以絕欺蔽防奸僞、特一時權宜爾、果正人君子、焉用是爲」○書畫幅の右肩に押す長方形の印(引首印)
○啓白して天下の政事をあづかり聽かしむ。又、其の職。漢書、霍光傳「諸事皆先──光、然後奏御天子」○ 國 官名、光孝天皇の時、藤原基經始めて──と爲る。
とざし、ぢゃう。宋濂詩「尋鶴陟攲磴、避人下──」
○關所の門。周禮、地官「國凶札、則無──之征、猶幾」○門をとざす。蘇軾詩「畏虎──早、無村得米遲」
くゎんぬぎと、ぢゃうと。新論「口者言語之門戶、舌者門戶之──」=關籥。
かかはりあづかる。晉書、羊祜傳「勢利之求、無所──」=關係。
其の事にわたりて目を通す。後漢書、文苑傳「少好學、多──、而任情不覊」=瀏覽。
せきしょの役人。漢書、終軍傳「──識之」
關尹に同じ。=關令尹。
機軸に同じ。捩一に棙に作る。黄庭堅文四萬八千──子、與君一個鑰匙開」
かかりあふ、關係してつらなる。=聯關。
12畫
①ヰ [紙]
②クヮイ [佳]
①ひらく(開)門を闢 ヒラ く。魯語「─門與之言、皆不踰閾」
②門が斜に開く。司馬光詩「體羸畏風冷、室處門常─」
①カン [勘]
②カン [豏]
①みる(視)○のぞむ(臨)嵆康文「俯─海湄」○魯國の邑の名。
②虎の怒りて吼 ホ える聲「哮─」○虎の怒る貌。詩、大雅「─如虓虎」
○勇敢なる貌。周禮、地官、保氏「敎之以六儀、五曰、軍旅之客」注「軍旅之容、──仰仰」○虎のほえる聲。獨孤及、招北客文「餓虎爭肉、吼怒──」
①キフ [緝]
②タフ [合]
①やすくおちつく(安定)○とづ(闔)○てぼこ(鋋)史、商君傳「持矛而操─戟者」○はこ(函)○たたずむ、住立する貌。
②─茸は、いやし、おとる(猥賤)古、闒に通ず。
○住立 タタズム する貌。管子、小問「──止、瞠然視」○安定 オチツク なる貌。史、匈奴傳「──更始」
あしくおとる(猥賤)任昉文「閭閻──、名敎所絕」
クヮイ キ [隊]
○市の外門。○轉じて巿の義とす「囂─」○みち(道)「闤─」
セン [銑]
○あく、ひらく(開)○あきらか(明)開き明らかにする。○おほいなり(大)○ひろむ。ひろまる(廣)「恢─」「開─」○あらはす。あらはる(顯)「昭─」
同訓異義
ヒラク 闡·開·闢·啓·發·披等の别は開(二○七八頁三段)の條を見よ。
ふかくかくれたるものを開き明らかにす。易、繫辭「夫易彰往而察來、而微顯──」
ひらきのべる。後漢書、班固傳「厥有氏號、紹天──者」
あきらかにしただす。謝靈運文「制規作訓、──修經」
あきらかにしきはめる。宋史·律曆志「蔡元定著律呂新書、朱熹稱其超然遠覽、──精微」
ひらきひろげる。曹毗、樂章「明明蕭祖、──帝祚」
ひらきみちびきて成しとぐ。晉書、文帝紀「惟公嚴虔王度、──大猷」
高僧の尊稱。=開士。
ひらきあきらかにしてすべ治める。荀悅文「──大猷、命立國典」
佛 因果を信ぜずして佛法をそしる。闡底迦の略。=信不具。
ひらきあらはす。
ひらき明らかにする。
明らかにあらはす。晉書、孫楚傳「制禮作樂、──道化」=闡明·宣揚。
13畫
クヮン [删]
○まち(巿)○巿の外門。又巿の垣。○みち(道)
○巿の門。轉じてまち(巿肆)左思、魏都賦「設──以襟帶」○巿の道路。博雅「──、道也」
タツ [曷]
○宮中の小門「禁─」「宮─」「黃─」漢書、樊噲傳「排─直入」○轉じて、宮中。○小さき門。又、門の內。詩、齊風「彼姝者子、在我─兮」
勢よくとびらをおしひらく。漢書、樊噲傳「噲乃──直入」
ヘキ ビャク [陌]
又、辟に作る
○ひらく。ひらける(開·啓)「開─」○よける、さく(避)○しりぞける(屛除)荀、解蔽「是以─耳目之欲」
同訓異義
ヒラク 闢·開·啓·發等の别は開(二○七八頁三段)の條を見よ。
開くと、とづると。林俊詩「楚蜀相犬牙、乾坤互──」=開闔。
田畑をひらきをさむ。柳宗元文「乃闢乃墾、乃宣乃理」=開墾。
邪説をひらきしりぞける。徐陵文「──以律」
田をひらく。舊唐書、王方翼傳「幼與傭保齊力勤作、苦心計功、數年──數十頃」=開田。