鹵部

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鹵  

ロ [麌]

○しほ(鹽)天生を─といひ、人造を鹽といふ。しほのけ(鹽氣)○鹽氣を含みて耕作に適せざる土地。又、澤「澤─」「斥─」「舄─」「鹹─」○草木の生ぜざる地、不毛の地、やせち、あれち。○かすむ(掠)擄に通ず。○たて、矢をふせぐ大形の楯。櫓に通ず。○─簿 ロボ は天子の車駕の次第。○おろか。魯と通ず「頑─」劉楨詩「小臣信頑─」

【漂鹵】 ロヲタダヨハス 

鹵は盾、戰場にて多く人を殺し流血が盾を漂す。漢書、項籍傳「流血──」=漂杵。

【鹵确】 ロカク 

小石多きやせ地。

【鹵獲】 ロクワク 

敵の軍用品等を分捕 ブンドリ する。又、其の物。

【鹵田】 ロデン 

鹽氣のあるやせ地。蔡邕文「曩之──、化爲甘壤」

【鹵簿】 ロボ 

天子の行列の次第。漢官儀「天子車駕次第、謂之──、兵衞以甲盾居外爲前導、皆著之簿、故曰──」文獻通考「鹵者大盾也、總一部儀仗前連後從、謂之──」=儀仗。

【鹵莽】 ロマウ 

かろがろしくして心を用ひず、事を爲すに粗略なる義。莊、則陽「君爲政焉勿──、治民焉勿滅裂、昔予爲禾、耕而──之、則其實亦──而報予、芸而滅裂之、其實亦滅裂而報予」=莽鹵。

【鹵莽滅裂】 ロマウメツレツ 

事を作 ナ すの粗率なる義。前條參看。

【鹵味】 ロミ 

しほけ。書經、疏「水性本甘、久浸其地、變而爲鹵、──乃鹹」

【鹵掠】 ロリヤク 

人の財物をかすめとる。漢書、高帝紀「所過無得──」=擄掠。

8畫

?  

鹽(本頁二段)に同じ。

9畫

鹹  

カン [咸]

醎は俗字

○しほはゆし、しほけ(鹽味)○にがし(苦)爾雅「─、苦也」

【鹹苦】 カンク 

からくにがし。北史、房豹傳「瀕海水味多──、豹命鑿一井、遂得甘泉、遐邇以爲政化所致」

【鹹湖】 カンコ 

しほ水をふくめる湖。裏海·死海など。=鹹水湖。

【鹹鹺】 カンサ 

祭祀に用ふるしほ。曲禮「鹽曰──」注「大鹹曰鹺」

【鹹壤】 カンジヤウ 

しほけのある土地。楊侃賦「──宜北鄕之羊」=鹹土·鹹地。

【鹹水魚】 カンスヰギヨ 

海に栖むうを。淡水魚の對。曹植文「鹹水之魚、不游於江」

【鹹腥】 カンセイ 

しほはゆくしてなまぐさし。楊萬里詩「金陵江水只──」

【鹹潟】 カンセキ 

しほはま、しほけを含めるひかた。周禮「凡糞種、──用貆」注「潟、鹵也」

【鹹泉】 カンセン 

しほをふくめるいづみ。錄異記「此山直下、有──焉」

【鹹地】 カンチ 

鹹土に同じ。張翥詩「風吹──結陰鹵」

【鹹土】 カンド 

鹽分を含めるつち。後漢書、西南夷傳「地有──、煮以爲鹽」=鹹壤。

【鹹鹵】 カンロ 

しほはま。漢書、河渠志、注「師古曰、引淤濁之水、灌──之田、更令肥美」

10畫

鹺  

サ シ [歌]

大いにしほはゆし、にがし、しほけ厚し。曲禮「鹽曰鹹─」

【鹺使】 サシ 

鹽運使の異稱。

13畫

鹽  

①エン [鹽]

②エン [豔]

塩は俗字

①しほ、海水を煮て製する白色にしてしほからき結晶物。○元素の一、黃褐色にして劇臭ある氣體「─素」

②─に潰 ヒタ す鹽漬 シホヅケ にする。

【鹽引】 エンイン 

稅を納れて鹽を賣ることを許されたる券 カキツケ 宋代の鹽鈔に始まる。

【鹽淹】 エンエン 

しほづけにする。=鹽藏。

【鹽汗】 エンカン 

あせ、白汗はしほはゆし、故にいふ。淮南、精神「──交流、喘息薄喉」

【鹽禁】 エンキン 

民の私に鹽を製することを禁ずる。魏書、甄琛傳「願弛玆──、使沛然遠及、依周禮置川衡之法、使之監導而已」

【鹽化】 エンクワ 

鹽素と化合する。

【鹽官】 エンクワン 

漢代、鹽を產する郡縣に置きて鹽稅を司らしめたる官吏。漢書、王尊傳「補遼西──長」又、後世、政府が鹽を專賣せしめる爲めに置きたる官吏。

【鹽醯】 エンケイ 

しほと、すと。韓愈、李君墓誌銘「五穀三牲、──果蔬、人所常御」

【鹽戶】 エンコ 

しほを製するを業とする家。宋史「產鹽固藉──、鬻鹽實賴鹽商」

【鹽菜】 エンサイ 

しほと靑物と。周禮、亨人、注「大羹不致五味也、鉶羹加──矣」

【鹽竈】 エンサウ 

しほがま、鹽を燒く竈。宋史、食貨志「──乃計二千四百餘所」

【鹽酸】 エンサン 

藥品の一、鹽化水素の水溶液。

【鹽豉】 エンシ 

みそ、納豆 ナツトウ の類、豉は味噌 ミソ 史、貨殖傳「糵麴──千荅」世說「千里蓴羹未下──」

【鹽汁】 エンジフ 

しほのしる。晉書、胡貴嬪傳「帝多內寵、常乘羊車、恣其所之、宮人取竹葉插戶、以──灑地、而引帝車」

【鹽車憾】 エンシヤノウラミ 

良馬が駑馬と同じく鹽を運ぶ車を曳かされるを憾む。俊才の士の不遇を歎くに喩ふ。戰國策「驥之齒至矣、服鹽車而上太行(中略)漉汁灑地、白汗交流、中阪遷延、負轅而不能上」賈誼、弔屈原賦「驥垂兩耳、服鹽車兮、章甫薦屨兮漸不可久」

【鹽水選】 エンスヰセン 

穀物の種子を鹽水につけて精選する法。

【鹽井】 エンセイ 

しほを產するゐど。四川·雲南の兩省に多し。

【鹽稅】 エンゼイ 

食鹽の稅。後漢書、史弼傳「求假──」=鹽賦。

【鹽虀】 エンセイ 

虀は菜を細かに切りて、鹽に混ぜて漬けたるもの。周禮、鹽人、注「凡鹽所和、細切爲虀」歐陽修詩「念子朝夕勤──」

【鹽泉】 エンセン 

しほけをふくめる泉。廣志「湖縣有──、煮則爲鹽」

【鹽素】 エンソ 

元素の一、字解參看。

【鹽池】 エンチ 

しほをつくる池。漢書、平當傳「勃海──、可且勿禁以救民急」

【鹽鐵】 エンテツ 

しほと、てつと、漢の武帝の時、此二品を政府の專賣とす。桓寬、其の非を論ぜし言を集めて──論と名づく。漢書、昭帝紀「罷──榷酤」

【鹽田】 エンデン 

鹽を製する田。宋史、食貨志「福建利路茶戶山園如──、例免方量均稅」

【鹽梅】 エンバイ 

よきほどの味に加減する、あんばいよくする。轉じて、君を輔佐して善政を行はしむる。書、說命「若作和羹、爾惟──」

【鹽賦】 エンブ 

食鹽の稅。南史「陳天嘉二年以國用不足、立煮海──及榷酤科」=鹽稅。

【鹽分】 エンブン 

しほけ(鹽氣)=鹽味。

【鹽米】 エンベイ 

しほと米と。齊書、孝義傳「書數千卷、──數十斛而已」

【鹽冶】 エンヤ 

海水を煮て鹽を製し、鐵山を採掘して、冶金をなす。鹽鐵論「故──之處、大校在依山川近鐵炭」

【鹽鹵】 エンロ 

○しほけ(鹽は人造、鹵は天然產のしほ)○山じぼ。史記「山東食海鹽、山西食──」注「西方鹹地也」

鹼  

①ゲン [鹽]

②カン·ケン [豏]

①しほけ(鹵)地質に含める鹽分。

②しほみづ。○あく。灰に水を和し、濾 コ して得たる液汁、垢穢を去るに用ふ。○ 國  石─ セキケン は曹達 ソーダ に蠟 ラフ を混じて製したる洗料。しゃぼん。

【鹼化】 ケンクワ 

 ラフ と曹達 ソーダ の化合をいふ。