車部
0畫
シャ·セ キョ·コ [麻]
○くるま、輪の囘轉によりて人又は物をはこぶ具。牛─·馬─·汽─·電─·荷─などの總稱。○囘轉する輪の總稱「滑─」「水─」「紡─」○はどこ、はぐき(牙牀·齦)「輔─」 國 ○ クルム 人力─の略稱。○車輪の如く圓き形せるもの「─座」「─鰕」
武士、兵器を執りて兵車の右にある者、勇者をえらびて之にあてる。公羊、宣二「趙盾之──祁彌明者、國之力士也」=戎右·驂乘。
車をひくむながひ。汝南先賢傳「憲乃當車拔佩刀、以斷──」
晉の車胤の故事。晉書、車胤傳「胤字武子、幼恭勤博覽、貧不常得油、夏月以練囊盛數十螢火、照書讀之、以夜繼日、後官至尙書郞」
くるまのながえ。趙師秀詩「人生苦行役、不定如──」=輈。
天子の御くるま。轉じて行幸中の天子を指す。漢書、高帝紀「──西都長安」=鑾輿·鳳輦。
車上をおほふきぬがさ。漢書、黃霸傳「賜──特高一丈」
くるまと、ふねと。法言「──混混、不捨晝夜」=車船。
おほはまぐり、殼の色紫にして璀璨玉の如し、斑點あり火を以て之を炙 アブ れば則ち開く、肉の味美なり。梅堯臣詩「──與月蛤、寄自海陵郡」=硨螯。
くるまのくさび、車の軸端の鍵 カギ =轄。
くるまのあと。中庸「車同軌、書同文」後漢書、寇榮傳「追臣者極──」
○いくさぐるまと騎馬と。曲禮「前有──、則載飛鴻」○將軍の號、勳功者又寵臣を以て之に任ず。漢の文帝の時置き、唐に至りて廢す。
牛車のながえの端にありて軛 クビキ をしばるもの。韓非子「不如爲──者巧也」
○はまぐりの類の最も大いなる者、殼甚だ厚く、磨きて玉と爲す、七寶の一。渠は車輪、其の大いなるに喩ふ。王粲文「侍君子之宴坐、覽──之妙珍」=硨磲。○古の國名。北史「眞臘國、南接──國、西有朱江國」
車のこしきと、こしきとすれあふ、甚だしく雜沓する形容。戰國、秦策「臨淄之途、───、人肩摩」=轂學。
車にのせ斗升 トマス にてはかる、物の數多くあるにいふ。吳志、吳主傳、注「吳如大夫者幾人、咨曰、聰明特達者、七八十人、如臣輩────、不可勝數」
はこぐるま。隋書、蘇虁傳「爲弩樓──獸圈、一夕而就、帝見而善之」
御車。戰國策「譬如──之引車也」
國 汽車·電車などに在りて、車中の事を掌るもの。
車と文字と。中庸「車同軌、書同文」金主亮詩「萬里──合混同」
車馬の盛んなる形容。後漢書、馬皇后紀「濯龍門外家問起居者、車如流水、馬如游龍」
○車のまへ。許渾詩「──驥病駑駘逸、架上鷹閑鳥雀高」○おほばこ(其の實を──子といふ)=當道·芣苢。
かたくり、春地下莖より二葉を出し、鐘狀の花を著く、根は片栗粉を製す。=山慈姑。
いくさぐるまにて戰ふ〔宋史、兵志〕
馬車の往來する道。晉書、孫晷傳「富春──旣少」
人體を兩車につなぎて左右に引きさく。孔叢子「齊王行──之刑」=車裂。
車のしんぎ。大雨の形容とす。長阿含經「漸降大雨、滴如──」
車のちり。溫庭筠詩「天籟思林嶺、──倦都邑」
車のわだちと馬の足あとと。左、昭十二「昔穆王欲肆其心、周行天下、將皆必有────焉」
停車場、ステーシヨン。
兵車と步卒と。周禮「羣吏撰──」
くるまと、うまと。論、鄕黨「朋友之饋雖──非祭肉不拜」禮記「君賜──、乘以拜賜」
人の將に旅行せんとするけしきあるをいふ。莊、盜跖「孔子說盜跖歸、遇柳下季、季曰、闕然數日不見、─────、得微往見跖耶」
くるまひき、人力車を挽く者。
車と衣服と。書、舜典「──以庸」
くるまのや。陸璣、詩疏「栲、葉似櫟、木皮厚數寸、可爲──」
くるまに乘りてたたかふ兵。左傳「賦──徒卒甲楯之數」
車輪の外周をつつむもの。陸游詩「匡山如香爐、藍水似──」
くるまのとどろく音。韓琦詩「──晴起曲江塵」
國 荷車などにて貨物をはこぶを業とする者。
くるまのわ。後漢書、張綱傳「漢安元年、遣八使、循行風俗、綱獨埋其──于洛陽都亭」(埋とは車を進めざる義)
おほばこ。=車前。
くるま、車は兩輪より成る故にいふ、兩一に輛に作る。宋書、張暢傳「──在後」
前條に同じ。
くるまざき。人體を兩牛車につなぎて左右に引きさく。戰國策「惠王──商君、而秦人不憐」
天子の車。宋史、職官志「太僕寺掌──廐牧之令、國有大禮、供其輦輅屬車」
地方官がはじめて任地に到著する(乘車して行く故)漢書、敍傳「班伯爲定襄太守、定襄聞伯素貴年少、畏其──作威、吏民竦息」
車のわだちの閒の寸法が同じ、天下統一の意。車書を見よ。
貴人に途中にて出遭ひし時、敬ひて道を避ける。後漢書、馮異傳「馮異爲人謙退不伐、行與諸將相逢、輒────」
車のぢくにあぶらさす。夏侯湛、抵疑「──以須放、秣馬以待卻」
車上にて敬禮する、支那の車は前に式(軾)といふ橫木あり、車上にて敬意を表する場合に之に手をかける。
車は水の奔流する如く速かなり。後漢書、明德馬皇后紀「────、馬如游龍」
1畫
アツ [黠]
○きしる、車が輾 キシ る、すれあふ。○轉じて仲がわるくなる、不和になる、勢が相傾く。莊、人閒世「名也者相─也」○古代の刑の一。漢書、匈奴傳「罪小者─、大者死」○軋芴 アツフツ はこまやか(緻密)○─忽 アソコツ は長く遠き貌。漢書、禮樂志「淸風─忽」○軮─は涯際 カギリ なき貌。揚雄、甘泉賦「軮─無垠」
○舟の櫓、又は車·機 ハタ などのきしる音。劉克莊詩「大車小車聲──」=咿軋·鴉軋。○物の羣り生ずる貌。史、律書「乙者言萬物生──也」
いとぐるまの聲。馬祖常詩「繅車──繭抽絲」
きしりこする。宋濂、題詞「六經之作、如不可以──」=磨軋。
○車がきしる、すれあふ。○不和になる、互に反月する。
2畫
キ [紙]
○わだち、車のあと(車轍)車輪のあと。○車の左右兩輪の閒。○ぢくのさき(軸頭)○みち、のり(法)きそく(則)てほん「─範」「儀─」(不─は法度に循はず)○ゆきみち。○したがふ(循)漢書、賈誼傳「諸侯─道」○よこしま、古、宄に通ず。左、成十七「亂在外爲姦、在內爲─」
のり、てほん。史通「宮闕制度、朝廷──」=軌則。
のり、おきて。晉書、孫盛傳「性方嚴有──、雖子孫班白、而庭訓愈峻」魏書、道武帝紀「示──於萬世」
○きまり、法度。唐書、韋述傳「──遂定」○ 國 軌條の規則「──調查會」
○くるまのあと。○前人の正しき行爲のあと。漢書、劉向傳「遵商周之──、循詩人之所刺」
○のり、てほん。晉書、張華傳「抑之以權勢、納之以──」=法度·軌度。○てほんちしてのっとりならふ。左思、吳都賦「四方之所──」
○日月星辰の運行するみち。○電車·汽車の通ずる道、レールを敷きたる道。○正しきみちに循 シタガ ふ。漢書、禮樂志「諸侯──、獄訟衰息」
○くるまのわだちのあと。左思、吳都賦「外則──八達、里閈四出」=軌轍。○前人の遺したるてほん。漢書、敍傳「伏周孔之──」=遺躅·先軌·遺範。
軌道に敷くレール。
○くるまのわだち。水經、注「小隴山巖嶂高嶮、不通──」○轉じて、法則の義とす。○過去の事跡。溫庭筠詩「後塵遵──、前席詠儀刑」
のりきそく。史、始皇紀「皆遵──、和安敦勉」=法則。
のり、てほん。孔安國、尙書序「典謨訓誥誓命之文凡百篇、所以恢宏至道、示人主以──也」=範軌·法式。
從ふべき標準を立てる學問、倫理學·論理學等の類。
法度。左傳「君將納民于──者也」
のり、てほん。張衡、歸田賦「揮翰墨以奮藻、陳三皇之──」=法式。
グン [文]
○いくさ。○つはもの(兵士)○兵士の團隊。○周の兵制、一萬二千五百人の稱。天子は六─、諸侯の大國は三─。○たむろす(屯)陣どる。左、桓六「─於瑕以待之」○たたかひ、戰爭。○宋時代の行政上の區劃、路の管轄に屬するものにて縣の如きもの。
軍隊の醫員。其の長を──總監といふ。
○ぢんや。廬綸詩「亂山臨野渡、落日照──」=陣營。○口に喩ふ。御覽引、養生經「──之中、有甘泉」甘泉は唾。
いくさ。史、蘇秦傳「卽有──」=兵役。
軍隊の士氣をはげます爲め軍事思想を養ふ爲めに作りし歌。
○軍隊の行進。○軍隊の組織。左、昭三「戎馬不駕、卿無──」
軍中に用ふる音樂〔後漢書、禮儀志、注〕韋應物詩「伐鼓──陳」
戰術に關する學問。=兵學。
軍事のめつけ。漢書、王莽傳「設──十有二人」=監軍。
いくさぶね。戰鬬艦·巡洋艦·海防艦·驅逐艦等の總稱。
軍法に同じ。=軍律。
戰爭の事を記錄したる書物。=戰記。
○いくさに用ふるはた。○ 國 聯隊の表彰とする旗、旭日をゑがく、聯隊設立のとき天皇陛下より下賜せられ其の聯隊の生命となるもの。=聯隊旗。
軍中の儀式。北史「陽平王熙、奉詔督十二軍、校閱甚得──、賞賜隆厚」
軍事上の機密。南史、顏竣傳「竣出入臥內、斷決──」
淸の世宗の時、設けたる官署、軍事の機密を掌る、後には內外文武の要務を綜理す、漢の尙書省と同じ。
戰爭に使用する器具。唐書、百官志「──出十」=兵器·戎品·武器。
いくさに關する評議。
軍事行政の施行區域。
軍人に科するしおき。周禮「以五刑糾萬民(中略)二曰──」
いくさのいましめ。晉書、毛穆之傳「近畿無復──」
しゃも、雞の善く鬬ふもの、暹羅 シヤム に產す、故に名づく。
いくさのふれぶみ。馬定國詩「玆來又幾日、──忽四馳」
軍隊のおきて。宋書、孝武帝紀「懼致──、可普加寬」
ぢんだいこ、軍隊の行動をととのへ又、軍氣をはげますためにうつ太鼔。
いくさの手柄 テガラ 史、項羽紀「無──」=武功。
鎭守府所在のみなと。
○交戰中のくに。晉紀總論「籌畫──、嘉謀屢中」○交戰中の地所と戰爭なき平和の內地と。唐書、李元紘傳「是時廢京師職田、議者欲置屯田、元紘曰、──不同、中外制異、內地爲屯、古未有也」
軍備を以て立國の精神とするをいふ。=軍制主義。
國 ○古代鎭守府に屬せしさくゎん。○陸軍下士官の一。
いくさのよそほひ。蘇頲詩「──乘曉發」=戎裝·武裝。
交戰中敵の軍營に赴くつかひ。
いくさの費用。晉書、宣帝紀「內則鎭百姓、外供──」=軍需。
軍中にて謀を定むる者、參謀。蜀志、諸葛亮傳「成都平、以亮爲──將軍」
將軍に附屬する官〔唐書、百官志〕
○兵甲、又、戰利品の類。左、襄二四「齊侯祭社、蒐──」○軍人。楚語「射不過講──」○分捕品(戰利品)と兵器と軍人とをすべていふ。左、隱五「數──」
軍籍に在るもの。將校より兵卒に至るまでの總稱。=軍士。
いくさのかみ、武運を守る神。
一軍の將。詩經、箋「天子以其賢、任爲──」
いくさの襃賞。漢書、陳湯傳「──不踰月」
軍隊の糧食、餉はかれいひ。馮惟建詩「指揮──收夜郞」=兵食·兵糧。
いくさに用ふるもの。唐書、珣瑜傳「──期會爲急」通鑑、唐紀「凡行軍資糧器械可須者、皆謂之──」=軍需。
いくさに入用の金品。十六國春秋「以供──」=軍須。
兵營。漢書、蕭何傳「莫若遣子孫昆弟能勝兵者、悉詣──」
○軍中往復の文書。漢書、息夫躬傳「──交馳而輻輳、羽檄重跡而狎至」○軍事に關する書物。木蘭歌「──十二卷、卷卷有爺名」
軍事を司る官。宋史、楊崇勳傳「性貪鄙、久任──」
一軍の大將。左、宣十二「命爲──」
兵事に關するおきて。晉書、石季龍載記「百姓窮窘、鬻子以充──」五代史、朱珍傳「創立──、選將練兵、甚有法」=兵制。
○軍事上のまつりごと。左傳「百官象物而動、──不戒而備」○戰時中一定の區域內に其の他の司令官が行ふ行政警察
○いくさのいきほひ。晉書、姚泓載記「──彌盛」○ 國 グンゼイ 兵士の羣。
軍中のさわがしきひびき。張衡、東京賦「坐作進退、節以──」
軍人の住所氏名を記したる帳簿。東觀漢紀「按覆──、無一卒虛額者」
國 軍隊を指麾する具、鐵骨にて表に日輪、裏に月輪を畫く。=軍配團扇。
陸海軍中の役員、戰鬬の事に任ぜざるもの、書記·會計·軍醫など。
國 大名の陣を守る重役。=陣代。
兵士のくみ。=隊伍。
いくさに使用するかたな。
○兵士の團隊。唐書、百官志「卒伍──之名數、器械車馬之多少」 國 ○王朝時代、諸國に置きし常備兵。○作戰上、數簡師團を一司令官の下に置く軍隊。
○いくさのものがたり、戰爭のはなし。○ 國 軍書を面白く節をつけて讀みあげ、又いくさばなしをする「──師」
佛 明王の一、南方を守る、一面八臂、忿怒の相をなし、一切の惡魔を降伏すといふ。
佛 水を入れる甁。賈島詩「我有──憑子弟、岳陽江裏汲寒流」
いくさのはかりごと。杜牧詩「玉帳──羅俊彥、絳帷環珮立神仙─」
軍隊の陣取り。漢書、景十三王傳「見天下之輿地及──圖」
軍隊の守備。白居易詩「山河地襟帶、──國藩維」
戰場。宋書、周訪傳「復呵於──之閒」
陣營のうち。漢書、周勃傳「──聞將軍之令、不聞天子之詔」
軍事用のうま。漢書、食貨志「保養──」注「保者、不許其死傷」
國 軍扇に同じ。
いくさのいさを。唐書、郭?瓘傳「開元初錄──」
軍中のおきて。史、司馬穰苴傳「召軍正問──」漢書、高帝紀「蕭何頒律令、韓信申──」=軍紀·軍律。
いくさのそなへ。歐陽修文「課田而實──」
いくさの費用〔後漢書、虞詡傳〕=軍需·軍資。
國 從軍の人足。
○兵器を藏する處。左、成七「晉人以鍾儀歸、囚諸──」○將帥の幕府。柳宗元、江運記「──之幣」
軍人の制服。=戎服·戎衣。
兵士の給料〔蘇軾、再上皇帝書〕
軍用手形、軍隊にて通用する紙幣。
とりで。說文「壘、──也」
軍隊のちゃうめん。漢書、李廣傳「吏治──至明」
いくさのさきて。史、黥布傳「布常爲──」=先鋒。
いくさのはかりごと。王逢詩「元帥統將權、言責在──」
軍事に關するつとめ。
○軍營の門。古、行軍の時、兩旌を樹 タ てて門と爲す。左傳「胥甲趙穿當──、呼曰、云云」○明代より統兵官の尊稱とす。淸代は提督の敬稱。
いくさの費用。漢書、蕭望之傳「不加賦而──給」=軍費。
戰時に臨みて政府が發行する紙幣。
○いくさのかたち、武裝。司馬法「──不入國」○行軍の氣象、紀律。新書「士卒孰練也、──孰整也」
○軍隊に屬する官吏主に文官をいふ。○ 國 軍隊の會計官。
軍法に同じ。
戰爭のはかりごと。=戰略。
○軍隊。○いくさ、戰爭。論、衞靈公「──之事、未之學也」
とりで。杜甫詩「妻孥隔──」=城壘。
軍事上の法令。又軍事上の制規。管子「作內政而寓──焉」
軍事に關する禮式。五禮の一。周禮「大宗伯之職、以──同邦國」
3畫
ゲツ [月]
軌とは別
よこがみ、馬車(小車)の轅 ナガヱ の端に在りて衡 ヨコギ を持するもの。大車に輗といひ、小車に─といふ。論、爲政「小車無─」
①ケン [元]
②ケン [願]
①くるま。古、支那にて大夫以上の乘用車。左、閔二「鶴有乘─者」○轉じてひろく車の通稱とす「朱─」○たかし、車の前が高い(低きを輊といふ)○あがる(擧)「─昂」○のき、ひさし(檐宇)「茅─」轉じて家。○長廊の窗ある者「開─」張衡賦「承倒景而開─」○おばしま(欄版·殿檻)○──は舞ふ貌。又、自得の貌。○─渠·─然は笑ふ貌。○古、諸侯の禮にて樂器を室の三面にかけるをいふ。周禮、春官、小胥「諸侯─縣」(縣は懸)
②大きく切りたる肉片。禮、內則「麋鹿田豕麕、皆有─」○ 國 家を數ふる數詞「三─屋」
たけ高きくるま。北史、崔浩傳「父子竝乘──」
きんり、宮禁をいふ〔史、呂后紀贊〕張九齡詩「──殊淸祕」
黃帝の名〔史、五帝紀〕──の丘(今の河南新鄭縣)に生る、故に氏とす。
軒は軒轅氏、天子の游幸に喩ふ。范曄、樂遊應詔詩「──時未肅」唐高宗銘「道光──、聲流姬迹」
○高くあがる。柳宗元、招海賈文「舟航──兮、下上飄鼓」○元氣の盛んなる貌。吳志、孫堅傳「──自高」
軒は黃帝軒轅氏、岐は岐伯、共に醫學の祖、轉じて醫學·醫術の義とす。帝王世紀「黃帝使岐伯司醫藥」丁復詩「傳家況有──祕」
軒轅と伏羲と。梁元帝賦「俯齱齵於──」
ひれをふるひたてる。前趙錄「有一白魚、頂有一角、──躍鱗」
笑ふ貌。後漢書、薊子訓傳「兒識父母、──笑悅、往欲就之」=軒然。
高くあがる。庾信、周王憲神道碑「儀範淸冷、風神──」
軒轅と顓頊と、皆古の聖德の君。徐陵、與王僧辨書「──比於諸侯、湯武方於兒戲」
高く張りたるたれぎぬ。左思、吳都賦「構流蘇、開──」
ほがらかにうちひらける。韓愈、南海神廟碑「乾端坤倪、──呈露」=開朗。
○舞ふ貌。淮南、道應「──然方迎風而舞」○自得する貌。唐書、孔戣傳「──自得」○高く擧る貌。世說、容止「諸公每朝、朝堂猶暗、惟會稽王來、──如朝霞擧」(霞の中天にあがりたなびくは容止の美なる形容)
飛び擧る貌。吳萊詩「雙鶴覆雨仍──」
たかくひいでる。唐書、嚴挺之傳「姿質──」
飛び擧る貌。楚辭「鸞鳥──而翔飛」=軒騫。
のきと、ひさしと。歐陽修、答吳充秀才書「終日不出於──」
笑ふ貌。天祿外史「韓王──仰笑」
○軒は車の前の高きをいひ、輊は其の下 ヒク きをいふ。詩、小雅「戎車旣安、如輊如軒」○轉じてまされると、おとれると。漢書、馬援傳「居前不能令人輊、居後不能令人軒」
たかくそばだつ。鍾會、孔雀賦「或舒翼──奮迅洪姿、或蹀足踟躕鳴嘯郁咿」=高峙。
たかくすぐれる。唐書、李栖筠傳「莊重寡言、體貌──」
軒は殿堂の前の檐 ノキ の特に高く起るをいふ、天子御座をここに移して貢士を試問せらるる義。義府「人主親試貢士曰臨軒策士、臨軒字、出後漢書、李膺傳」
車と舟と。謝惠連詩「──遡遙路」=舟車。
眉を揚げる、心舒びて眉を展べる。陸游詩「溪潭照影一──」
のき、ひさし。晉書、食貨志「車如流水、馬若飛龍、照映──、光華前載」
たかくしてうちひらける。蘇舜欽文「公襟度──、不屑細務」=軒豁。
國 家ごと。=戶別。
○軒は大夫以上の人の乘用車。冕は貴人のかんむり。漢書、揚雄傳「俄──雜衣裳」○轉じて貴き位。杜甫詩「本無──意」
高官をどろの如くに輕んずる。范仲淹、嚴先生祠堂記「得聖人之淸、────」
ひらきて、からりとする貌。歐陽玄賦「義闥──」=開暢。
のきしたのわたどの。大業雜記「──周匝」
あまだれ。後漢書、禮儀志「前當──、北面跪」=簷澑。
ジン [震]
○くるまのとめぎ、車の輪を止める木。轉じて出發するを發─といふ。○ひろ、八尺をいふ。孟、盡心「掘井九─」=仞。
4畫
ゼン ナン [銑]
輭の俗字
○やはらか(柔)「柔─」「輕─」剛の對。○轉じて意志の柔かに弱き義「─弱」硬の對。○─水 ナンスヰ は鑛物質のまじらぬ水。硬水の對。
膏藥 カウヤク の一種。=油膏。
やはらかなるはだへ。翻譯名義集「柔膚──」
かっけ(脚氣)韓愈、祭十二郞文「比得───、往往而劇」
○豆腐の異名。蘇軾詩「筯上凝脂滑、鐺中──香」=輭玉。○玉 キヨク をいふ。色は白或は淡綠、純潔乳白色を以て貴と爲す、種種の飾品及印章等に用ふ。
堅きものが柔くなる。轉じて强硬なる主張議論をやめて人に屈服する。
やはらかにしてなめらか。齊民要術「津汁──無物能比」=柔滑。
やはらかなるはなびら。蘇軾詩「──猶巒屬車塵」
柔かにして彈力ある骨、關節の閒に附著して調節するもの。轉じて意思弱くして人に屈從するものをいふ。
布を用ひて作り、以て病人を運ぶもの。
かよわし。劉琨詩「咨余──、弗克負荷」
よわくやさし。宋史、孔文仲傳「世方嘉──而惡崢嶸」
やはらかなる毛。元稹詩「有鳥有鳥名爲鳩、毛衣──心性柔」
なまめかしくやさしきこゑ。婦人の聲など。梁?文詩「密體隨流臉、嬌歌逐──」=輭聲。
體內に骨格を有せず體質の柔かなる動物、烏賊 イカ 章魚 タコ の類。
やはらかきちり、主ににぎやかなる花柳界などの事にいふ。許有壬詩「東華足──」
純鐵に百分の一の炭素を含みて質の柔かなるもの。
○手强き主張又反對を爲さざる主義の黨派。○新聞又雜誌などにて艷物 ツヤモノ などを擔當する記者のなかま。
酒を飮む。西淸詩話「南人以飮洒爲──、北人以晝寢爲黑甜」蘇軾詩「三盃──後、一枕黑甜餘」
柔かにしてふとる。文同詩「蓴菜鱸魚正──」
やはらかにしてうまし。白居易詩「──仇家酒、幽閒葛氏妹」
やさしくなまめかし。宣和畫譜「皆非優柔──取悅兒女子者」
○やはらかくそよそよと吹くかぜ。溫庭筠詩「──吹春星斗稀」○げんきのなきやうす。
蒲にて車輪をつつみて柔かにせしもの。白帖「──車、蒲輪安車也」王維詩「頻蒙露板詔、時降──車」後漢書、明帝紀「安車──」=蒲輪·軟車。
ヤク [陌]
くびき。車の轅 ナガヱ の端の橫木、馬の首を扼するもの。=軶。
5畫
アゥ [養]
─軋 アウアツ は車のきしるこゑ(軋聲)又遠く相映ずる貌。又、廣大にして限なき貌。揚雄、甘泉賦「忽─軋而無垠」=坱圠。
①イツ [質]
②テツ [屑]
①すぐ(過)車にて走り過ぎる、後より前にぬけて出る「超─」「馳─」後漢書、馮衍傳「─范蠡之絕迹」○つく(突)をかす(侵)「侵─」○ちる(散)うせる「亡─」「遺─」逸に通ず。○あふる。古、溢に通ず。
②訓義
①に同じ。○わだち、古、轍に通ず。○たがひに。史、封禪書「─興─廢」=迭。
すぐれたるはたらき。漢書、王襃傳「襃有──、上迺徵襃」=逸材。
人の行の廣く世に知られざる事實。史、管晏傳、贊「至其書、世多有之、是以不論、論其──」=逸事。
亡失して今の詩經中に存せざる詩。史、伯夷傳「覩──可異焉」=逸詩。
すぐれたるやうす。傅毅、舞賦「──橫出、瑰姿譎起」
なかまのものよりすぐ。鶡冠子「──超等」
エゥ セゥ·テゥ [蕭]
○をぐるま、立乘の小車。○ものみぐるま、四方をながめる展望車。○馬車。
一馬に駕する輕き車。史、季布傳「朱家乘──之洛陽」注「──謂輕車、一馬車也」
輕快なる宿 シユク つぎのくるま。漢書、平帝紀「駕一封──、遣詣京師」
カ [歌]
○轗─ カンカ は、車行の不利なる義。轉じて志を得ずしてふしあはせの義とす。=埳軻。○周の孟子の名「丘─」(丘は孔子の名)○荆─は戰國時代の刺客。
ク [虞]
くびき(軛)の下に曲れるもの。
コ [虞]
おほぼね(大骨·盤骨)莊、養生主「而況大─乎」
シ [紙]
○ふたまた(歧)○車の軸の端 サキ =轊頭。○いたちぐさ(藥草の一種)=連翹。○字句に添へる無意味の助字。莊、大宗師「許由曰、而奚來爲─」=只。
兩頭あるへび。爾雅「北方有──」=歧頭蛇·枳首蛇·兩頭蛇。
シン [軫]
○くるまの後の橫木。○めぐる(轉)○うごく(動)○もとる(戾)=紾。○いたむ(痛)うれへる「─念」「─懷」○くるま(輅)○──は車、又、すべて物の衆く盛んなる貌。揚雄、羽獵賦「殷殷──」○あぜみち。=畛。○星の名、みつうち、二十八宿の一「─宿」○琴の下に在りて絃を轉ずる用を爲すもの。李白詩「拂─弄瑤琴」○紆─ ウシン は心の隱曲 ムスボレマガル せる貌、かくる(隱)楚辭、惜誦「心鬱結而紆─」又、地形の盤曲 ウネリクホル せる貌。後漢書、馮衍傳「路紆─而多艱」
いたみうれふ。軫は痛。楊維楨、承露盤賦「輪臺悔過、富民──」
車をつづける。史、司馬相如傳「羌夷──」
痛みなげく。陶弘景文「每對月流歎、臨風──」
心を痛める。楚辭、九章「出國門而──」=痛念。
物事の盛んなる貌。史、律書「軫者、言萬物益大而──然」揚雄、羽獵賦「殷殷──」(殷殷は多き貌)=殷軫〔淮南、兵略〕
あはれむ。宋史、張鑑傳「顧此疲羸、尤堪──」=憐憫。
天子の甚だしき御なげき。宋史、楊礪傳「眞宗──、贈兵部尙書」
天子の御こころ。又其の御心を痛める、軫は痛。徐陵文「──過曹、猶感盤飧之惠」
かなしみしたふ。梁元帝文「人祇──、山海含悲」
①ジョウ [腫]
②フ [麌]
①かろきくるま(輕車)
②おす(推)
ヂク [屋]
○しんきしんぼう、車の輪の中心とたりて轂をささへるもの「車─」○まきもの、かけもの。卷物のしん「卷─」「牙─」又、卷物にする。歐陽修、集古錄目序「─而藏之」○卷物の數をかぞへるにいふ。韓愈詩「鄴侯家多書、插架三萬─」○物事の中心。又は樞要の地位「地─」「中─」「樞─」漢書、田千秋傳「當─處中」(當─は國政を執る義)○よこまき(織具)「杼─」○たちもとほりて行かざるにいふ。○病みて行く能はず。詩、衞風「碩人之─」 國 ○ ヂク 俳句·川柳などの選者の句。卷の最後に載せるが故。○筆の柄·草の莖 クキ など。
輩(車部八畫)の俗字。
ハゥ ヒャウ [庚]
○雷の聲。張衡、思玄賦「豐隆─其震霆兮」豐隆は雷神。○鐘鼓の聲。○車の行く聲。
ハツ ハイ [曷]
門出に道祖神を祀る祭の名。詩、大雅「取羝以─」
門出せんとする時のまつり。梁?文帝詩「──逐前師」
ホン [阮]
車上のおほひの篷 トマ 雨水をふせぐもの。=車上篷。
レイ [靑]
○車のはこの閒の橫木、車の箱に取りつけてある格子(車闌)○れんじ。櫺に通ず。○─軒は車の窗。○和鈴ある車。○一種の獵車「─獵車」○車の轄 クサビ の頭につける革。○── レイレイ は獸の名、牛に似て虎文ありといふ〔山海經〕
かりに用ふるくるま。漢書、宣帝紀「太僕以───、奉迎曾孫」=獵車。
6畫
①カク [覺]
②カゥ [效]
①車の箱の左右の板の上に曲り出たるところ、多くは銅にて造る。車中に立つ時につかまるもの。○車の箱、卽ち人の乘る所。○きそふ、あらそふ、古、角に通ず。孟、萬章「魯人獵─」
②ほぼ、おほむね、あらまし(略)「大─」やや。杜甫詩「春寒花─遲」○いちじるし(著)あきらか(明)「─炳」「─然」○ちがひ。○くらぶ(比)「比─ ヒカウ 」=校。
同訓異義
ヤヤ 較·稍·差·良·旋の別は稍(一三八四頁三段)の條を見よ。
著明なる貌。史、剌客傳「立意──、不欺其志」漢書、孔光傳「──甚明」
あきらかにいちじるし。史、伯夷傳「此其尤大彰明──者也」=明顯。
くらべしらべる。唐書、張說傳「永昌中、武后策賢良方正、詔吏部尙書李景諶、糊名──、說所對第一」
いちじるしく明か。漢書、谷永傳「大異──如彼」
キョク [沃]
○ふご、もっこ。土を運ぶ具。漢書、五行志「陳畚─」○大いなる馬車。
①サイ [隊]
②サイ [賄]
③タイ [隊]
①のす、のせる(乘)物を車又舟にのせる「車─」「船─」又物の上にのせる。○こと(事)中庸「上天之─」○助辭、すなはち(則)孟、梁惠王「─戢干戈」○うく(承)○つぐ(續)○たふ(勝)○なす(成)○まうける(設)詩、大雅「淸酒旣─」○はじむ。孟、滕文公「自葛─」はじめ、はじめて(始)詩、豳風「春日─陽」哉に通ず。○おこなふ(行)○みつ(滿)詩、大雅「厥聲─路」○しる(知)○ふみ(文辭)「─籍」○ちかひのかきつけ、盟約の文書。左、哀八「景伯負─」○しるす「記─」「登─」○─籍はしょもつ(典籍)○かざる(飾)淮南、兵略「─以銀錫」
②とし(歲)書、堯典「朕在位七十─」(夏の世にては歲。商は祀。周は年。唐虞卽ち堯舜時代は─といふ)
③いただく。古、戴に通ず。
同訓異義
スナハチ 載·乃·迺·則·卽·便の別は乃(六一頁一段)の條を見よ。
史臣が列國の事を敍述するをいふ。班固に始まる。後漢書、班固傳「固又撰功臣平林新巿公孫述事、作列傳──二十八篇」晉書に十六國を附敍する、亦──といふ。
ふねにのせる。歐陽修詩「築室潁水岸、買書──歸」
さけをもちゆく。漢書、揚雄傳「劉棻嘗從雄學作奇字」又「雄家貧、素耆酒、人希至其門、時有好事者、──肴從游學」王維詩「揚子談經處、淮王──過」
列國盟約の事を記したる文書〔左、襄九〕(單に載ともいふ、字解參看)
のせつむ。=積載。
しょもつ。史、伯夷傳「夫學者──極博、猶考信於六藝」
再拜に同じ。載·再音通ず。曾鞏、寄歐陽舍人書「鞏頓首──」
筆をのせ持ちて書く。曲禮「史──、士載言」
福祉 サイハヒ をうける。易林「──綏厚」
ものをのせる。中庸「博厚所以──也」
かんむりをいただく。詩、周頌「──俅俅」=戴弁。
轜(車部十四畫)の本字。
ショク シキ [職]
古、式に作る
○車の前の橫木、車中にて敬禮する時に撫 ナ でて之に馮 ョ る「馮─」「伏─」○車の橫木に伏して敬禮をなす。淮南子「魏文侯過其閭而─之」=式。○宋の蘇東坡の名。
セン [先]
○はかる(量)古、銓に通ず「─量」○輻 ャ のなき車、卽ち圓き板を車輪とせし車。
チ [寘]
ひくし(低)車の前が重くさがる。軒の對。詩、小雅「如─如軒」
チウ [尤]
○ながえ(轅)小車卽ち兵車·田車·乘車の曲れるながえ(轅は大車のながえ)「文─」「華─」○─張はてづよし。
○てづよき貌。後漢書、董皇后傳「汝今──、怙汝兄邪」董后が何后に謂ふ語、兄は何進。=彊梁。○驚き懼れる貌。劉琨詩序「──困於逆亂」
輧(車部八畫)の俗字。
①ロ [遇]
②ラク·カク [藥]
③ガ [禡]
①大いなる車。論、顏淵「乘殷之─」○玉─は天子の車。○大いなり。天子の服御の物に添へる詞「─馬」「─寢」路に通ず。○ながえしばり(轅縛)
②人力を以て推挽する小車。史、婁敬傳「脫輓─」
③むかふ(迎)左、僖十五「─秦伯」
7畫
①クヮン [旱]
②グヮン [翰]
①まるぎり。
②まろめる、けづる。削りてかどを去る。
①ケイ·キャウ [庚]
②ケイ·キャウ [敬]
①かろし、物のめかたが少し「─車」「─舟」重の對。○轉じてすべて事の甚だしからざるにいふ「─罪」「─寒」「─暖」○うすし(薄)いやし(賤)少し「─微」「─少」○てがる(簡易)○かろきもの。○かろんず、かろくする「─刑」あなどる「─侮」
②かろはづみ、かろがろし「─忽」「─佻」「─浮」○はやし(疾)
かろきほこり。謝朓詩「空濛如瘴霧、散漫似──」
うすぐらし。梁元帝詩「細柳浮──、大樹繞栖烏」
かろんじあなどる。新論「──其足、雖夷路亦躓」=輕侮。
○うすぐもり。蘇舜欽詩「斷雲樓外卷──」○うすきかげ。梁?文帝詩「夜樹有──」
○かよわく、たをやかなる容姿。古詩十九首、注「盈與嬴通、容也」○かろくして滿ち足らへる義。薜蕙詩「鏡裏新粧爭皎潔、筵前垂手學──」
みがるにしてするどき兵卒。戰國策「趙王出──以寇其後」
かろくうごかす。王勃、採蓮曲「桂棹蘭橈下長浦、羅裙玉腕──櫓」
うすけぶり。李白詩「水光浮落照、霞彩淡──」
かろくはやきふね。慢舸の對。晉書、陶輿傳「率──出其上流」=走舸·飛舸。
うすき夕やけ、又朝やけ。=淡霞。
かろがろしくずるし。後漢書、楊終傳「而要結──無行之客」
かろきふね。曹植賦「涉浮濟兮泛──」
かろきふなざを。柳宗元詩「趨淺戢長枻、乘深屛──」
すこしのあせ。謝惠連詩「微芳起兩袖、──染雙題」=薄汗·微汗。
かろがろしくしてきづよし。後漢書、蘇不韋傳「凴闔廬之威、因──之衆、雪怨舊郢」
少しくさむし。少しのさむさ。劉孝綽詩「季秋弦望後、──朝夕殊」
かろくして速かなる戰艦。何承天文「給──百艘」
かるはづみにしていつはる。元史、工惲傳「民情──」=澆詭。
身がるによそほひたる騎兵。史、淮陰侯傳「選──二千人」
かろくしてよきかはごろも。論、雍也「願車馬衣──、與朋友共敝之而無憾」
かろき皮衣と、ゆるき帶と。手輕なるよそほひ。晉書、羊祜傳「在軍常────、身不被甲」
ふうせん(風船)
かろきふすま。張華詩「襟懷擁虛景、──覆空牀」
かろく飛ぶとり。李顒詩「──翔雲漢、游鱗憩中滸」
アルミニョーム。=鋁。
比重四以下の金屬の稱。
かろきもすそ。張翰文「──隨風、飛霧流煙」
○かろくあがる。陸機詩「──乘紫霞」○かるはづみ「──妄動」○高き位地にあがる。張華、上巳篇「高飛舞鳳翼、──攀龍鱗」
かろきからだ。拾遺記「爾非細骨──、那得百琲眞珠」
かろきおきて。=輕刑。
○かろくすみやか。王世貞文「步驟未熟、時見──」○病少しくこころよし。
○つみをかろくす。魏文帝、輕刑詔「廣議──、以惠百姓」韓詩外傳「省事──、則痿不作」○かろきつみ。=輕罪。
かろんずる貌「──視」
かろくあがる。韓愈詩「羇旅感和鳴、囚拘念──」
輕き小舟。古、鷁を舟首に畫く故。張子容詩「──大江浮」
かろがろしくきめる。晉書、郄超傳「但恐此計──、公必務其持重耳」
かろがろしきをとこだて。漢書、趙廣漢傳「閭里──」
へらしてかろくする。漢書、刑法志「其議律令可蠲除──者條奏、惟在便安萬姓而已」=末減。
かろがろしくそそっかし。漢書、孔光傳「──簡誣」
たからをかろんず。鹽鐵論「重義而──」
○かろきつみ。=微罪。○舊刑法にて禁錮又は罰金を課せられしつみ。
うすげしゃう。梁?文帝詩「──薄粉光閭里」左思、嬌女詩「──喜樓邊、臨鏡忘紡績」=淡妝。
身がるのよそほひ。梁書、高祖三十三王傳「──赴南豫州」
かろき舟。周繇詩「初著藍衫從遠嶠、乍辭芸署泊──」
おちつかずしてさわがし。魏志、高貴卿公紀、評「──忿肆、自蹈大禍」
うすきしも。梁?文帝詩「──中夜下、黃葉遠辭枝」
かろがろしくころす。元史、董文炳傳「──一人、則害大計、況屠一縣耶」
死をかろんずる。後漢書、黨錮傳「──重氣、怨惠必讎」
かろがろしくほしいまま。詩經「無易由言、無曰茍矣」箋「無曰苟且、如是、令人無持我舌者、而自──也」
かろんじ視る。=蔑視。
かろくしてはやし。唐書、杜亞傳「方春南民爲競渡戲、亞欲──、乃髤船底」
かろく涼しき風。朱熹詩「疎樹含──」=細颸。
かろきふね、はやふね。魏志、武帝紀「作──、治水軍」
輕く走る舟の迅速に流を下るをいふ。李白詩「兩岸猿聲啼不住、───────」
かろくやはらか。元好問詩「白雲何許來、纖絲弄──」
○みをかろくす。史、畱侯世家「良乃學辟穀導引──」○ひとり身〔丹鉛錄〕=單身。
かろくすみやか。傅休奕賦「──者莫如鷹、猛絕者莫如虎」=輕疾。
かろがろしくすすむ。晉書、張華傳「時大臣皆以爲、未可──、華獨堅執、以爲必克」
○かろくはやきくるま。次條參看。○いくさぐるま。後漢書、輿服志「──、古之戰車也、藏在武庫」
かろき車にてなれたるみちを行く。物事に熟練せるに喩ふ。韓愈、送石處士序「若駟馬駕輕車、就熟路、而王良造父爲之先後也」
うすで、かろききず。=微傷。
かろきわた。溫庭筠詩「南國滿地堆──」
かろくむちうつ。後漢書、崔寔傳「乃定律減笞──、自是之後、笞者得全」
いのちをかろんず。沈約詩「──本非惜」韓愈詩「──學其術、乃在金泉山」
かろがろしくして意志よわし、輕薄脆弱。脆は脃の俗字。晉書、石苞傳「吳人──、終無能爲」
すこしばかり、いささか。=輕微·鮮少。
浮石 カルイシ の異名。
みがるにしてすばやし。宋史、沈作賓傳「──善鬬」=捷疾。
かろきうちは。抱朴子「貢──於堅冰之節」時に合はざれば佳品も無用視せらるる喩。
かろきふね。北齊書、陸法和傳「乘──不介胄、沿流而下」=輕舟·輕帆。
かろがろしくはしる。左傳、注「國君──、羣臣不知其謀」
かろくしてきめあらし。
足をかろくす。かろき足。心書「有──善步、走如奔馬者」
かろくすみやか。晉書、劉暾傳「擧動──、無大臣之節、請免渾官」渾は王渾。
○そそっかしい。=輕率·輕忽。○みがるなる兵。戰國策「──銳兵、長驅至國」
かろがろし。愼重の對。南史、晉安王子懋傳「身是天王、豈可過爾──」=輕忽·輕卒。
かろく細長き小舟、はやふね。李白詩「我來揚都巿、送客囘──」
かろがろしくみだら。劉勰新論「鄭衞之風好淫、故其俗──而忘歸」
やすうけあひ、かろがろしくうけがふ。老子「──必寡信」
かろくあたたかき衣服。孟、梁惠王「──不足於體與」=輕暖。
かろきちり。王維詩「渭城朝雨浥──、客舍靑靑柳色新」=輕埃。
○かろきと、おもきと。韓愈、送殷員外序「豈不眞知──大丈夫哉」○おもさ、めかた。左、宣三「楚子問鼎之大小──焉」○ぜに、物價の──を支配する力ある故。史、貨殖傳「設──九府」
かるはづみ。尉繚子、治本「民有──、則欲心生、爭奪之患起矣」(欲、一に野に作る)=輕窕·浮薄。
かろがろしくいどむ。宋史、劉宰傳「極言──兵端、爲國深害」
輕佻に同じ、窕は佻。左、襄二六「楚師──、易震蕩也」一說、窕は放肆。
かろき小舟。宋書、沈攸之傳「──一萬、截其津要」
かろき法律。
次條に同じ。
かろくやはらか。高騈詩「柳絲──小桃香」=輕軟。
人に望むこと甚だかろく、一善一藝に長ずればそれにて十分なりとして其の人をきびしく責めず〔韓愈、原毀〕
かろくつめにてかく。朱德潤詩「──短刷濕未收」
國 身分いやしき者ども。
口徑十二珊 サンチ 以下の大砲。
かろくはやきふね。南史、齊魚復侯子響傳「──還闕、唯願矜憐」=輕舟。
○かろがろしく德うすし。後漢書、馬援傳「效季良不得、陷爲天下──子」○かろんじうすんずる。漢書、王莽傳「──國家」○かろくうすし。史、平準書「姦或盜、摩錢裏取鎔、錢益──而物貴、則遠方用幣、煩費不省」
かろがろしく德うすき人。沈約詩「洛陽繁華子、長安───」=輕薄子。
かろく浮ぶほ舟。杜甫詩「──好去便、吾道付滄洲」=輕舟。
かろきかはごろもと、こえたるうまと。論、雍也「赤之適齊也、乘肥馬、衣輕裘」杜甫詩「五陵裘馬自──」
すこしばかり。かろくかすか。漢書、食貨志「──易臧」
かろんじあなどる。後漢書、徐防傳「──道術」=輕易·輕蔑·輕慢。
かろがろしくおちつかず。宋史、虞允文傳「論士風之弊、以文章進、必抑其──、以言語進、必黜其巧僞」=輕薄·輕佻·浮薄。
かろく浮べるのがも。鳧は野鴨。吳萊詩「淺水浴──」
そよそよとかろく吹くかぜ。杜甫詩「──生浪遲」=微風·輕颸。
水銀に明礬·鹽を和して製したる藥品、水銀粉。=甘汞。
かろくすばやし。遼史、宋王喜隱傳「──無恒」
一定の生業なく人をおびやかしかすめる。又、其の人。蘇軾、上皇帝書「妄庸──」
そよそよと吹く風。王襃詩「──颯颯涼」
かろんじないがしろにする。蘇軾文「矜己自聖、──臣下」=侮蔑。
○みがる。後漢書、朱雋傳「騎──者、言飛燕」方囘詩「嗜奇不憚歷磊砢、足以目故差──」○てがるで便利「──鐵道」
かろくあゆむ。鮑照詩「──逐芳風、言笑弄丹葩」
かろきけ。曹植詩「觜落──散、嚴距往往傷」
かろんじあなどる。慢はあなどる。顏氏家訓「凌忽長者、──同列」=輕侮。
うすききり。江總詩「翠蓋乘──、金羈照落暉」
いのちをかろんず。曹植文「雄俊之徒、交黨結倫、重氣──」=輕生。
あっさりとして面白し。邊讓、章華賦「美繁手之──兮、喜新聲之彌隆」
かろがろしくしておちつかず。爾雅「江南之氣、躁勁、厥性──」
かろくただよふ。古逸詩「乘槎──著日傍」
かろくつづまやか、人に望むことかろくして多きを求めず。韓愈、原毀「其待人也輕以約」
紗 シヤ の至りて輕く薄きもの〔齊東野語〕老學庵筆記「越州歲貢──紗五匹」=銀條紗。
かろきうすぎぬ。鮑照詩「──含夕煙」
すこしく鳴るかみなり。高適詩「殘雨擁──」陸游詩「──轣轆斷梅初」自注「鄕人謂梅雨有雷、曰斷梅」斷梅はつゆあけ。
○利益をいやしみかろんずる。荀子「許由善卷、重義──」○兵器などの輕くするどき義。桯史「弩極──、能破堅于三百步外」○かろくして便利。陸龜蒙詩「竹襟──籜冠斜」
手にてかろく琵琶の絲をおさへる。白居易、琵琶行「──慢撚撥復挑」
テフ [葉]
俗に輙に作るは非
○わきぎ、車箱の兩傍の上端、前に向ひて反 ソ り出たる者(車耳)○もっぱら(專)○すなはち(卽)史、文帝紀「有不便─弛利民」○たちまち(忽然)○たやすく、容易に。歐陽修、春秋論「旣─加之、又─殺之」○足の疾。○─然は直立して動かざる貌。莊、達生「─然忘吾有四肢形體也」
同訓異義
スナハチ 輒·乃·則·卽·便·迺の別は乃(六一頁一段)の條を見よ。
テン [先]
──は車の聲。左思、魏都賦「振旅──」
フ ホ [麌]
○ほほぼね(頰骨)「─牙」うはあご(上頷)○車のそへぎ、車に重荷を載せたる時、車輪をはさみて强くする材(一說に積荷の落ちざるやうに車の輿の兩傍につける板。又一說に輔は伏兔の合音、伏兔は車の轅の下にはめこみて動かざるやうにするもの)○たすく。たすけ(助·扶·弼)力を添へて事を成さしむ「匡─」「翼─」○そへ(副)○天子を助ける大臣。師·保·疑·丞を四─といふ「台─」「卿─」「宰─」又、小役人(府吏·胥徒)○─然は親しみ附く貌。○帝京に近き地「畿─」鮑照詩「家世宅關─」○三─は郡名、漢の京兆·左馮翊·右扶風。
同訓異義
タスク 輔·助·弼·翼·扶.佐·佑等の別は助(二四七頁三段)の條を見よ。
ほほぼねと、きばと、物の相倚り相助けるに喩ふ。唐書、李正巳傳「與田承嗣·薛嵩·李寶臣·梁崇義、──相倚」=輔車。
たすけて事を行ふ、副使の義。孟、公孫丑「王使蓋大夫王驩爲──」
たすけひろめる。白居易文「──庶績、敢怠旁求」
たすけまもる。吳志、朱治傳「所以供奉──、甚有恩紀」
たすく。又、たすける人。左傳「皆有親暱、以相──」
たすける。唐書、房杜列傳「──彌縫、而藏諸用」=翼贊。
ときをたすける。管子「聖人能──、不能違時」
朋友が互にはげましたすけて德を修養する。論、顏淵「以文會友、以友──」
輪はほほぼね、車は齒牙の下骨、互に助け合ふ義。一說に、輔は車の兩旁に在りて車を夾む木。左、僖、五「諺所謂────、脣亡齒寒者、其虞虢之謂也」
○たすけ匡 タダ す。易、泰卦「──天地之宜」○大臣宰相。南史、王曇首傳「──之才也」=輔弼。
たすく。たすけ。趙抃文「畱爲羽翼、以自──」
たすけて事を成す。晉書、王渾傳「公旦、武王之弟、左右王事、──大事」
三公。書、說命「朝夕納誨、以──德」
たすけみちびく。漢書、敍傳「武陽殷勤、──副君、旣忠且謀、饗玆舊勳」
政をたすけ行ふ。又、たすけをさむ。論衡「禹王天下、伯益──」
○天子の政をたすける。=輔翼·匡弼。○轉じて宰相をいふ。左輔右弼なり。漢書、高惠高后文功臣表「自古帝王之興、曷嘗不建──之臣、所與共成天功者乎」
たすける。崔祐甫文「參謀──、天推大寶」=輯翼。
前條に同じ。禮記「愼其身以──之」=贊翼。
ベン バン [阮]
或は挽に作る
○車を引く、前より牽くを─といひ、後より送るを推といふ。左、襄十四「或─之、或推之」○轉じて人を引き上げ用ふるにもいふ、推薦する「推─」
○柩車 ヒツギグルマ の紼 ヒモ を執りてひく時のうた。薤露·蒿里の類。摯虞文「──因倡和、而爲摧愴之聲」=挽歌。○轉じて人の死を悼 イタ む詩歌。略して輓ともいふ。
近世の義。史、貨殖傳「──世塗民耳目、則幾無行矣」(一說に輓は晚に通じ、季世の義とすれども非)
ひき舟。舟をひく。范成大詩「輓輿如──、絕叫斷雙笮」
くるまをひく。後漢書、江革傳「自在轅中──」
くるまにてはこぶ。漢書、韓安國傳「轉粟──、以爲之備」
○前後より引きすすめる。左、襄十四「或輓之、或推之」○轉じて人を推薦する義。=推輓。
ひく。李白詩「解冠從放蕩、大呼誰──」
車を引きておくる。後漢書、鄧隲傳「但白蓋雙騎、門生──」
てぐるまをひく。詩經、疏「徒行──者與車上御馬者」
死者を哀む詞にて聯句に作り、喪舍に懸くるもの、輓歌の變體。石林燕語「韓康公、得解過省·殿試、皆第三人、後爲相四遷、皆在熙寧中、蘇子容輓云、三登慶歷三人第、四入熙寧四輔中」此を──の始とす。
8畫
カン [感]
轗(車部十三畫)に同じ
─軻 カンカ は車行の利あらざる貌。轉じてふしあはせ(不遇)の義。志を得ざる貌。馮衍賦「非惜身之─軻兮、憐衆美之憔悴」=坎坷·轗軻。
キ [微]
煇に同じ
○かがやく(耀)光を發する。○かがやき、ひかり(光)火の光「光─」「明─」「素─」
かがやきうつる。拾遺記「──一堂」=暉映·映輝。
ひかりかがやく。晏殊、進牡丹歌詩狀「洪惟聖運之會昌、可繼重華之──」=晃耀·炳耀。
かがやく。李白詩「路逢鬬雞者、冠蓋何──」
かがやく。又、かがやく光。易經「剛健篤實、──日新其德」
かがやききらめく。曹植詩「花燭步張、──皎若」=煇煥。
前條に同じ。陳書、蔡景歷傳「雕麗──」
かがやく。雲笈七籖「膚體──目瞳映朗」
かがやきてらす。淮南子「昭昭之光、──四海」
鑛石の一種、褐色又は綠色にして其の結晶は角閃石に似たり。通稱して玉 ギヨク といふ。
①クヮ [哿]
②クヮイ [賄]
①つつ、あぶらつぼ(筩)車軸に油をさすもの。
②めぐらす(廻轉)車輪をまはす。禮、雜記「關轂而─輪」
クヮン [旱]
かりも。車の轂 コシキ の端をおほふ鐵。
ゲイ [齊]
○牛車卽ち大車の轅 ナガヱ の端に在りて軛 クビキ をしばるもの。論、爲政「大車無─」○轅端の橫木、卽ち衡。
コン [阮]
○車のめぐること速かなり。○車轂の齊等 ヒトシ なる貌。
①シ [支]
②シ [寘]
①衣 ホロ あるくるま。○にぐるま。貨物、又、兵糧などを運ぶ車。
②車輻の轂 コシキ に入る部分。
○戰時又は平時に用ふるにぐるま。史、淮南王傳「載以──」=輜重車。○ほろぐるま。後漢書、桓榮傳「榮爲太子少傅、詔賜──」
○輜は衣車。重は重物を載する車、旅人の荷物をいふ。老子「君子終日行、不離──」○軍隊の荷物。史、淮陰侯傳「從閒路絶其──」
食料其の他の軍用品を運送することを掌る兵。
四面に屛障ある婦人用の車。北史「魏聖武皇帝、嘗田山澤、見──自天下、旣至、見美婦人、自稱天女」
輒(前頁二段)の俗字。
テツ [屑]
○やむ(已·歇)○とどむ。とどまる(止)事を爲しはじめて又ちょつとやめる「─耕」「作─」論、微子「耰而不─」
同訓異義
ヤム 輟·已·息·止·歇·罷·弭·寢·休の別は已(五六一頁三段)の條を見よ。
田をたがやすことをやむ。史、陳涉世家「──之壟上」
食物をくひさしにする。漢書、張良傳「王──吐哺罵曰、云云」
主上の御惱、又は大臣の死を悼みたまふあまり、朝政を聽きたまはざる義、廢朝。唐會要「開元十八年十一月、張說薨、──罷元會」
ハイ [隊]
軰は俗字
○おほくの車が列をなす。說文「軍發車百兩爲一─」六書故「車以列分爲─」○ともがら、たぐひ、やから「等─」「同─」「我─」「汝─」○あひて、なかま(等類)吳志、張溫傳「當今無─」○くらぶ(比)ならぶ(班)「─出」○ついで(次)「─行」「先─」「後─」
○前輩·後輩の順序。韓愈文「當時名公、皆折官位──願爲交」○同じなかま。文天祥詩「二三──惟須醉」=同輩。
つづきて多く出る。後漢書、蔡邕傳「名臣──、文武竝興」
なかま、同じともがら。韓愈詩「同時──多士道、天路幽遠難追攀」=流輩·儕輩。
ハゥ [庚]
やぐらぐるま(樓車)敵陣を陷るるに用ふるもの。いくさぐるま(兵車)「─車」「衝─」
バゥ マゥ [養]
は、くるまの輪の外周を包むたが、車牙 クルマノハ
次條に同じ。雍大記「商嶺水流至藍橋、伏流至──、如車輞環湊、落疊嶂入深潭、唐右丞王維別業在焉、卽輞川也」
陝西省藍田縣の地名、唐の詩人王維(摩詰)の別莊あり。唐朝名畫錄「王維畫──圖、山谷鬱盤、雲水飛動、意出塵外、怪生筆端、秦太虛云、余臥病、高符仲携──圖、示予曰、閱此則可以愈病、予甚喜、恍然若與摩詰入──、數日而疾愈」=輞谷。
①ヘイ·ビャウ ヘン [靑]
②ハゥ·ヒャウ [庚]
輧は俗字
①婦人の乘る牛車、四方におほひのあるもの「輜─」
②─輷 ハウクワウ は車馬の聲。=輧訇。
リン [眞]
○わ、車のわ「車─」「蒲─」○くるま。○たて(縱)南北の長さ、廣(東西)の對。周禮、地官、大司徒「周知九州之地域、廣─之數」○めぐる(廻旋)「─轉」まがる(屈曲)かはる(更迭)「─出」「─講」○物のめぐり、外周、外廓「─郭」○まる(圓)圓周、すべて─の如く圓形のもの「日─」「月─」「冰─」○車のわを作る工人「─人」○車をかぞふるにいふ。○─焉は高大なる貌。○ 國 リン 花の大いさ「大─」又、花を數ふるにいふ「梅一─」
くるまと、うまと。鞅は馬のむながひ。陶潛詩「野外罕人事、窮巷寡──」=車馬。
わの如くにぐるぐるめぐる。柳宗元、封建論「──而輻集」=輪轉。
佛 因果應報のまはりあはせ、罪障ある衆生が地獄·餓鬼·畜生·修羅·人閒·天上の六道に旋轉し此處に死し彼處に生じて窮りなきこと、車輪のめぐりて盡きざるが如きをいふ〔心地觀經〕=輪囘。
輪奐に同じ。
順番に講義する。大學衍義序「以次──」
くるまのわと、くさびと。嵆康文「轅軸──、不可一乏於輿也」
まがりくねり〔屈曲盤戾〕たる貌。木のふしこぶのある貌。漢書、鄒陽傳「蟠木根柢、────」
まはりのすぢ、周圍の線。書、武成、疏「謂月之──無光之處一名魄」=輪廓·邊緣。
前條に同じ。隨園詩話「五色流蘇齊著地、三重──欲彌天」
屋宇の壯大美麗なるをいふ。奐はあざやかにして衆多。禮、檀弓「晉獻文子成室、晉大夫發焉、張老曰、美哉輪焉、美哉奐焉」
くるまのわと、こしきと。晉書、輿服志「畫輪車、駕牛、以綵漆畫──、故名畫輪」
太陽。許渾詩「──漸移金殿外、鏡光猶挂玉樓前」
佛 藏經の架、以て旋轉すべきが故。西湖志餘「高麗寺──甚偉」
每年順次に土地をかへて作物を作る。連作の對。=輪種·輪栽。
じゅんまはり、順次。
○くるまの輪を作る官。周禮、考工記「──爲輪」○車を作る工人。淮南子「──斲輪于堂下」=輪匠。
車のわの如くに造りたるうちは、室內にて涼を取る器、一人之を運すれば滿堂涼を生ずといふ。西京雜記「長安巧工丁緩、作七──」
ぐるぐるめぐる。柳宗元、晉問「若輪之旋」
○くるまのわの如きものをつけたるふね。元史、阿朮傳「乘──、順流東走」○汽船、火輪船。
百官が順番に政の得失を奏上する。詒謀錄「宋太祖建龍三年、初定百官──制」=輪班奏對。
西域の地名、漢の時、此地に屯田す、卽ち令の新疆──縣。
車輪ともなり、彈丸ともなる、唯天の付與する所に任する。莊、大宗師「化予之右臂、以爲彈、予因以求時夜、化予之尻以爲輪、以神爲馬、予因而乘之」
かはりばんに當直する。
輪鞅に同じ。車輪と馬蹄と。杜牧詩「眼前迎送不曾休、相續──似水流」
めぐる。淮南子「──而無窮」=廻旋·廻轉。
紙の兩面に同時に、又は二色以上の色に印刷するを得る機械。
佛 佛前に供ふる燈、承塵の上より垂れて其の圓きこと輪の如きが故。陳文帝文「十方世界、若──而明朗」
順番に書を讀む。
林木を順まはりに伐る。
まはり番を定めて事に任ずる。宋史、職官志「詔宰相與參政、──任事」
○かはるがはる番にあたる。遼史、營衞志「每日──千人」○ 國 本願寺の別院をとりしまる役僧。
くるまのや。考工記「──三十、以象日月也」
くるまのわの模樣。異苑「船中有錢、錢皆──」
車のわを造る人と、車の輿 コシ を造る人と。孟、滕文公「子何尊梓匠──、而輕爲仁義者哉」
佛 佛をいふ。轉輪聖王の略。隋煬帝文「帝釋──、旣被付囑」
リャウ [養]
古、兩に作る
車の數をかぞへる數詞、車一乘を一─といふ。
リャウ [陽]
轀─ ヲンリヤウ は臥車。又喪車。窗牖ありて之を閉づれば轀 アタタカ に之を開けば輬 スズシ =轀涼。
①リョウ·ロウ [蒸]
②ロウ [蒸]
①車がきしる(轢)すれあふ。○ふむ(踐)
②─輷 ロウクワウ は車の聲。韓愈詩「─輷掉狂車」
すれあふ。又、踐みつけにする、欺き蔑 ナイガシロ にする。漢書、灌夫傳「──宗室、侵犯骨肉」=陵轢·凌轢·踐踏。
レン [銑]
○てぐるま、人の步して輓 ヒ く車「步─」○特に天子の御車「鳳─」「帝─」「駐─」轉じて京師を─下といふ。又宮中の道を─道といふ。○ひきはこぶ、ひく(輓運)左、莊十一「南宮萬以乘車─其母」○ 國 テゴシ たごし、人の手にてかく輿 コシ
天子の御車のもと、おひざもと。京師の稱。杜牧詩「──唯能憶弟兄」=輦轂下·京師。
天子のゐますみやこ、おひざもと。司馬遷、報任安書「賴先人之緒業、得待罪───、二十餘年矣」=輦下。
てぐるま。漢書、淮南厲王傳、注「──人輓行以載兵器也」
○宮中の道。上林賦「──纚屬」○廣く天子の御車の通るみち。張衡、天象賦「──淸塵而俟駕」=輦路。
器物を軍輸するくるまひき。唐書、李德裕傳「常以盛夏至、地苦瘴毒、──多死」
官名、御輦を引く者。漢書、劉向傳「向以父德任爲──」
天子のみゆきのみち。隨書、音樂志「──千門、王城九軌」=輦道。
9畫
イウ [尤]
○かろし(輕)詩、大雅「德─如毛」○かろきくるま(輕車)
かろきくるま。天子の使臣の乘る輕き車。風俗通序「周秦常以歲八月遣──之使、求異代方言」
かろきくるま。詩、秦風「──鸞鑣」=輕車。
①カツ [曷]
②アツ [曷]
又、轕に作る
①轇─ カウカツ は鋒戟の形。又、馳驅する貌。車馬の喧雜なる貌。
②─轄 アツカツ は轉 コロガ りうごく貌。又、目を搖し舌を吐く貌(史、司馬相如傳〕めぐりゆるぐ貌。
クヮウ [庚]
○車のとどろく聲。=訇·轟。○輘─は大いなる聲の形容。=輘輷。
車のとどろく聲。史、蘇秦傳「──殷殷」=轟轟·轣轆。
輜(車部八畫)の本字。
ジウ [有]
○おほわ(車輞)車輪の外周をつつむもの。○ふむ「─蹈」=蹂。○ためる。揉に通ず、直き者を曲げる。易、說卦「坎爲矯─」
車にてふみにじる。晉書、孫楚傳「──沙漠、南面稱王」
シフ [緝]
緝と通ず
○あつむ。あつまる(集)より合ふ。○書物の材料を集める「編─」「綴─」漢書、藝文志「門人相與─而論篹」○やはらぐ(和)「和─」○顏色がやはらぎてやさしい「─柔」○むつましくする(睦)書、湯誓「─寧爾邦家」○ことばが和ぎてむつましくする。○をさむ(斂)
同訓異義
アツマル 輯·聚·集·纂·萃·輳等は聚(一五四九頁三段)の條を見よ。
やはらげる。詩、大雅「──爾顏」
風がそよそよとやはらぎ吹く聲の貌。束晳詩「──和風」=習習。
あつめてのべついづる。魏志、王粲傳、注「應劭撰述風俗通、又著中漢──、漢官儀及禮儀故事凡十一種、百三十六卷」
○やはらげやすんずる。書、湯誓「俾予一人──爾邦家」=輯安·和輯·緝寧。○やはらぎてやすし。晉書、索襲傳「今四表──、將行鄕射之禮」
やはらぎむつぶ。左、僖十五「羣臣──、甲兵益多」
むつまじくやはらぐ。晉書、謝安傳「盡忠匡翼、終能──」=輯睦。
あつめしるす。收集して錄存する。朱熹、中庸序「凡石氏之所──、僅出於其門人之所記」
①シュ [虞]
②シュ [遇]
通音ユ
①おくる(送)はこぶ(轉運)「運─」「轉─」「委─」○つくす(盡)○十分に心をうちあけて示す「─誠」○いたす(致)物を送りはこぶ。左、僖二「秦於是乎─粟於秦」○まける(負)杜甫詩「家無儋石─百萬」贏の對。○やぶる(?)破損する。
②にもつ、送る所の貨物。○經脈の穴。
まけかちをいふ俗語。元稹詩「如湯探冷熱、似博賭──」=勝負·勝敗·雌雄。
たからをいたす。陳琳文「輿金輦璧、──權門」
みつぎをいたす。遼史、地理志「吳越南唐、航海──」=納貢。
誠を竭 ツク す。晉書、皇甫謐傳「上有明聖之主、下有──之臣」
心中を十分にうちあけて示す。詩經「旣見君子、我心寫兮」傳「──其心也」漢書、趙廣漢傳「皆──心腹」
物を運送する。漢書、鼂錯傳「屯戍之事益省、──之費益寡」=輸送。
國 內國の物產を外國に送り出す。= 俗 出口。
外國へ輸出する物品に課する稅、從價稅·從量稅等の別あり。
ある一定の期閒に於ける輸出品の總價額が輸品の總價額より多きをいふ。
誠の心を致す。范成大詩「香火婢──」=輸實。
租稅ををさめる。顧況詩「願爲南州民、──事鉏犁」
はこびおくる。南史、齊武帝紀「自是令僕以下、竝不──」
軍隊の荷物を運ぶ兵卒「輜重──」
まける。籌は數とり。僧寶傳詩「贏局──卽不問」
○はこび入る。史、李牧傳「巿租皆──幕府、爲士卒費」○ 國 特に外國の物產を內國に買ひ入れる。= 俗 進口。
ある一定の期閒に於ける輸入品の總價額が輸出品の總價額より多きをいふ。
ゆげり(小便)をおくる管、腎臟より通じて膀胱の底に至る、左右各一あり。
物をはこび來る。阿房宮賦「──其閒」
物をかすめ取りて送り來る。左傳「斬刈民力、──其聚」
セン [銑]
ひつぎぐるま(載柩車)禮、雜記「載以─車」
ゼン ナン [銑]
軟の正字
○よわし(弱)「罷─」「羸─」人が柔弱にして力なし。施肩吾詩「酒入四肢紅玉─」○やはらか(柔)「甘─」「柔─」「細─」軟(車部四畫)の字參看。
豆腐をいふ。蘇軾詩「鐺中──香」=軟玉。
柔婉 ヤサシクタヲヤカ なることば〔維摩經〕=軟語。
繁華にして紅塵のみなぎる都會の地を稱す。蘇軾詩「──猶戀屬車塵」
よわし。史、貨殖傳「妻子──」=軟弱。
やさしくこびる(柔媚)聲。梁?文帝詩「嬌歌逐──」=軟聲。
飮酒するをいふ。緗素雜記「南人以飮酒爲──」=軟飽。
半分に少しく足らず、半分弱。强半の對。白居易詩「家醞唯餘──甁」=小半。
和柔 ヤハラカ にして喜ぶべきをいふ。唐書、李泌傳「嚴太苦勁、然蕭──可喜」嚴は嚴挺之、蕭は蕭誠。=軟美。
やはらかに吹くかぜ。溫庭筠詩「──吹春星斗稀」=微風。
輪を蒲にてつつみて乘心地よくしたる車輪。後漢書、明帝紀「安車──」=蒲輪。
ソウ [有]
○車の輻 ャ の轂 コシキ に聚る所。○轉じてあつまる(聚)物事が一所に集まる「輻─」湊に通ず。
同訓異義
アツマル 輳·聚·集·纂·輯·萃·鍾の別は聚(一五四九頁三段)の條を見よ。
車の輻 ャ が轂 コシキ にあつまる。參同契「如輻之──、水之朝宗」
チュン [眞]
○ひつぎぐるま(載柩車)○そり(橇)泥上を行くにはく箕の形せるもの〔書、益稷、注〕
フク [屋]
や、車のや、車の轂 コシキ と輪とをささへる木。老子「三十─共一轂」
熱や光が物體から四方に直射する形を車のやにたとへていふ。
次條に同じ。戰國策「諸侯四通、條達──」
車のやが轂 コシキ に聚る。轉じて物の一所に聚る義とす、輳一に湊に作る。史、張儀傳「四通──」漢書、叔孫通傳「四方──」
フク [屋]
ぢくしばり、車の心棒をしばりつけるもの。=伏兔。
10畫
ヱン [元]
○ながえ(輈)車のかぢぼう、主として大車(牛にひかせる運搬車)にしかけたるもの、車輿の傍より出たる二本の直木。○軒─ ケンヱン は黃帝の氏。又、星の名。○行─ カウヱン は高等官の地方に出張せし時の次舍 ヤドリ の稱(熟語の轅門參看)=行館。
車のながえを攀ぢ、車のわだちに臥して進行を拒む、地方官の去るを惜みて、畱任せんことを請ふ情の切なるをいふ。漢書、侯霸傳「霸爲臨淮太守、被召、百姓────、願畱朞年」
○くるまのながえの下。史、魏其·武安傳「今日廷論、局促效──駒」駒は二歲の馬、力微にして車を引くも動かず、──駒は人の束縛を受けてぐづぐづするに喩ふ。○轉じて人の部下。語林「我輩皆出其──」=門下。
○軍門。古者巡狩田獵、又、戰陣などには車を以て藩 カキ をつくり、其の出入の處は車を仰むけ、轅相向ひて門を表するが故。周禮、掌舍「設車宮──」史、項羽紀「召見諸侯將入──」○轉じて後世は衙署 ヤクシヨ の外門の稱。
車のながえを北に向けて、南の楚にゆく。志と行との相反するに喩ふ。白居易詩「欲望鳳來百獸舞、何異北轅將適楚」戰國策「猶至楚而北行也」に本づく。
ヲン [元]
─輬 ヲンリアウ は臥車、ねながら乘られる車。又、喪車、車に窗ありて閉づれば溫かに、開けば涼し、故に名づく「─涼」「─輬車」
カツ [黠]
又、舝に作る
○くさび、車軸が軸より脫せざるやうに軸の端にさしこむ鍵。○轉じて、物事のとりしまり。又、とりしまる義とす「管─」「統─」「所─」「總─」○車の聲。
投轄(七三一頁三段)を見よ。
コク [屋]
○こしき、車輪の中心の圓木、輻 ャ の湊 アツ まる所にして軸を其の中に貫けるもの。○轉じて車の義「輦─」○推─は人をおしすすめる。史、鄭當時傳「其推─士、常以爲賢于己」○すべる(總)あつめる(聚)○しめくくる。輻を一所に集めるに喩へていふ。史、貨殖傳「綰─其口」
天子のおひざもと。史、司馬相如傳「胡越起於──、而羌夷接軫也豈不殆哉」=輦下·輦轂下·京師。
車のこしきと、こしきとがすれあふ。繁華にして人の羣集する地の形容「肩摩──」史、蘇秦傳「臨淄之塗、車──、人肩摩」
珠玉の地に落つる聲。太平廣記「座上明珠、──而落」
鵂? ミミヅク の異名〔本草綱目〕=轂轆鳥。
①テン [銑]
②デン [銑]
③デン [霰]
①めぐる、まろぶ(半轉)展に通ず。
②きしる(轢)すれあふ。
③水─は、みづぐるま(水車)轉輪して穀を治むるもの。
ねがへりする。輾は半轉、轉は周轉。臥して席に安んぜざる意。詩、周南「悠哉悠哉、──反側」
①ヨ [魚]
②ヨ [御]
①くるまのそこ(車底)車上人ののる所。○轉じて物を載せて行くもの、物事の基礎の義とす。左、僖十一「敬、德之─也」○くるま(車)のりもの「乘─」「車─」「仙─」「神─」「鸞─」「肩─」○車を作る人「─人」○おふ(負)○かく(舁)漢書、嚴助傳「─轎而隃領」○のす(載)○おほし(衆多)「─人」○めしつかひ、こもの。○萬物を載せる大地の稱「─地」「坤─」○權輿 ケンヨ は物事の始、衡を造るは權より始め、車を造るには輿より始むる故(一說に權─は虇蕍 ケンユ の假音、虇蕍は草木の萌芽)
②こし、てごし。兩手にてかくこし(一說に魚韻に入る)=轝。
天子ののりもの。南史、儒林傳「梁武帝、親屈──、釋典于先師先聖」
おほくの人の議論。陳瓘文「咨──于多方」=輿論。
いやしきつかへびと、賤しき臣。任昉、求薦士詔「歷聽九功、物色──」輿臺參看。
戰敗れてしかばねをになひて還る。易、師卦「六三、師或──凶」
地理書、志は誌。=輿地誌。
おほくの軍隊。魯語「敢犒──」
病を扶 タス けて車に登る。後漢書、劉淑傳「桓帝聞淑高名、切責州郡、使──詣京師」
○衆人。左、僖二八「聽──之謀」○車を作る人。韓非、備內「──成輿、則欲人之富貴」○賤しき人〔左、昭四〕
おほくのけらい。左、昭九「虐其──」=衆臣。
くるまに載せたるたきぎ。孟、梁惠王「明足以察秋毫之末、而不見──、則王許之乎、曰否」
棺をこしに載せる、自ら死罪あるを示す。櫬は棺。左、僖六「面縛銜璧、大夫衰絰、士──」=輿棺。
衆人の口に誦する言。左、僖二八「晉文公聽輿人之誦」晉書「訪──於羣小」
身分ひくきめしつかひ、僕隸。左、昭七「王臣公、公臣大夫、大夫臣士、士臣皁、皁臣輿、輿臣隸、隸臣僚、僚臣僕、僕臣臺、馬有圉、牛有牧、以待百事」杜甫詩「越羅及楚練、照燿──軀」
世の中の衆人のうはさ。祁賦「安足救──參差」
大地、全地球。地は萬物を載す、故に喩ふ。淮南、原道「以天爲蓋、以地爲輿」=地輿。
世界地圖。史、三王世家「御史奏───」
世界地圖〔周禮、職方氏、注〕=輿地圖。
かごかき。范成大詩「──挾我如騰狙」
おほくのともがら。摯虞、太康頌「耀武六旬、──不疲」
○かごと馬と。荀、勸學「假──者、非利足也、而致千里」=車馬。○九錫の一〔穀梁傳、注〕
多くの人望。=衆望。
車輿と冠服と。史、平準書「室廬──僭于上」
車輿の通行するを得る橋。孟、離婁「十二月──成」
賤しきめしつかひ。輿臺參看。
天子の御くるま。後漢書、趙溫傳「同──、至長安」
天下の公衆の論。類書纂要「──、輿衆也、謂衆人之議論也」
11畫
ヱイ [霽]
又軎に作る
車のしんぼうのさき。=軸端·軹。
カゥ [肴]
─轕は、戟の形。又、長遠の貌。又雜亂の貌。=膠葛。
サゥ [肴]
やぐらぐるま。兵車の高くして巢を加へ敵を望むべき者。=巢車〔左、成十六〕
①テン [銑]
②テン [霰]
①ころがる、ころぶ(輾)まろぶ。詩、周南「輾─反側」たふれる(仆)○まはる、めぐる(旋)○うごく(動)○うつる(遷徙)かはる(變)○はこぶ(運)「─運」○うたた、いよいよ。
②うつす、かへる(變)史、蘇秦傳「─禍爲福」○ころばす、力を以て物を運轉する。○めぐらす、まはす(以上は他動、銑韻は自動、今は通用す)○道家にて長生不死の丹藥を煉るにいふ。變化の義。白居易詩「河車九─宜精鍊」○車上の衣裝。衣類を入れたる囊。左、襄二四「皆踞─而鼔琴」
場所をうつす。又うつる。=轉徙。
○運行して已まざる義。溫子昇文「天地開闢、陰陽──」○貨物をはこぶ。後漢書、百官志「尉曹主卒徙──事」○──使は唐宋の代、水陸兩路に於ける官物の轉運を掌る官名。
佛 輪廻に同じ、すでに死してまた生じ、生じてまた死す、車輪の廻轉の如き義。心地觀經「有情──生六道、猶如車輪无始終」
ころげおちる。=轉墜。
○二度のよめ入り。再嫁·改嫁。○己の過失を人にぬりつける。
學生が半途にして此校より彼校に轉ずる。
圓き物をころばす、速かにして阻 サマタゲ なき形容。後漢書、馬援傳「謀如湧泉、勢如──」
文字の本來の意義より轉じて更に生ぜし意義。上下の上を主上の上とする類。
こむらがへり〔脚氣論〕
やうつり、やどがへ。=轉宅。
詩の絕句の第三句。起承轉結(一八八七頁三段)を見よ。
うつりかはる。淮南子「──推移」
ことばがうつりなまる。又、其の語。
○たまをころばす。極めて容易なるに喩ふ。文心雕龍「──騁其巧辭」○蜣螂 クソクヒムシ の異名。
入れかへる、おきかへる。
絕句の轉句と結句と。起承轉結(一八八七頁三段)を見よ。
天を轉じ地をうごかす、天下の大變動をいふ。=驚天動地·旋乾轉坤。
くるまを轉ずる。漢、貨殖傳「──百數」注「──謂以車載物而逐利者」
他の新聞雜誌よりうつし取りて載せる。
兵糧をはこぶ。轉は車にて、漕は船にて。史、蕭相國世家「──關中」
接續詞。
あちこちとうつる。=轉移。
またうつしする。またうつし。
兵糧をはこぶ。漢書、高帝紀「丁壯苦軍旅、老弱罷──」
またがり、他人のかりたる物をまたがりする。
○てをめぐらす。蘇軾詩「過眼靑錢──空」○ テンジユ 琵琶などの頭(海老尾)に貫きて絃をまきつける棒。
○やどをかへる。○やうつり。=轉宅。
またたきする、極めて短き閒に喩ふ。葉適詩「援琴固停晷、解甲仍──」=轉眄。
いしをころばす。漢書、劉向傳「用賢則如──、去佞則如拔山」
まろばしたたむ。墨莊漫錄「都無囘互──之勢」
めぐる。又一度めぐる程の僅の閒。漢書、許后傳、注「──言須臾之閒」
あちこちとうつりたたかふ。=轉鬬。
うつりかはる。王粲文「猶秩自百石、──而至於公也」
直達にあらずしてあちこちとはこびおくる。漢書、高帝紀「吏爲衣衾棺斂、──其家」
かぢをめぐらす、舟の方向をかへる。王炎詩「──涉奔湍、支筇入幽塢」
前條に同じ。
またがし、人より借りたる物を他へ貸す。
百官が順番に天子の政治上の問にこたへる。詒謀錄「五日一次、內殿百官──」=輪對。
やどかへ。=轉居。
○漢字の構造の名、六書の一、或る文字の義を轉化して他の義に注ぐ、例へば尺度の度 レ を忖度の度 タク とする如し。○めぐりそそぐ。夏竦、運花漏銘「金龍──、下激衡渠」
其の病に適する地に轉居して治療する。
ころげおちる。=顚墜。
ころげつまづく。=顚跌。
ねがへりする。=輾轉。
○だんだん、いよいよ。うたた。漢書、貢禹傳「後世爭爲奢侈、──益甚」○それからそれへとうつりかはる。
あちこちにうつりたたかふ。史、淮陰侯傳「──逐北、至於滎陽」=轉戰。
大般若經などの大部の經文の要所のみをぬきよみにする。
○他の官に遷る。○任地がかはる。晉書、劉頌傳「──河內」
買ひし物を更に他に賣る。
うつりかはる「有爲──」=變轉。
補缺として他の官に轉ずる〔元史〕
風に吹かれてとぶよもぎ。流浪して居處の定まりなきに喩ふ。曹植詩「──離本根、飄颻隨長風」
佛 法輪を轉ずる、卽ち敎法を說きて衆生の迷を破るをいふ。大藏法數「佛之說法、則能摧碾衆生一切惑業、故名───」
佛 迷を轉じ悟を開く。
轉任と免職と。
ふりかへり見る閒。わづかの閒。異聞錄「蛛之結網也(中略)始爲甚難、至於緯而織之、──可畢」=轉瞬。
ころがりおどる。柳宗元文「崩石之所──、大木之所擢拔」
くりかへてもちふる。=流用。
轉下に同じ。
佛 一切經藏の中に軸にて廻轉するやうに造りたる書棚。白氏文集に「蘇州南禪院────石記」あり。
佛 前條に同じ。=輪藏。
佛 印度の神、其の所有する輪寶の旋轉によりて一切を威伏する、輪に金·銀·銅·鐵の四種あり、威カ各殊り〔俱舍論十二〕
水時計の時刻のうつる至りて僅かの閒。漢書、王莽傳「──之閒、忠良輒建、?紀咸張」
ロク [屋]
○ながえしばり。○轣─·──は車の走る聲の形容。○─轤 ロクロ は井戶の上にありて、釣甁繩をかける滑車。又、圓木を廻轉して重き物を輕く動かす機器。くるまぎ。張籍詩「橫架─轤牽素綆」=鹿盧。
○滑車·旋盤などの稱。字解參看。 國 ○囘轉して圓形の器物を造る機械、ひきもの細工の機械。=絞盤。○傘の骨を集め統べる臼形のもの。
車の行くこゑ。元好問詩「白沙漫漫車──」
12畫
ケゥ ケゥ [蕭]
○こぐるま(小車)○たけごし(竹輿)「─輿」漢書、嚴助傳「輿─而隃嶺」○あげごし。○やまかご「山─」「兜─」通じて橋に作る。
かご。肩輿に同じ。子は助字。默記「周恭帝卽衣白襴、乘──、出居天淸寺」
支那の北方にて旅行用の馬車、一騾又は二騾を以て挽かしむ。車の形、轎に似たるが故。=騾車。
かごかき。龍圖公案「假扮──」=輿丁。
セン [潸]
又、輚に作る
○いくさぐるま(兵車)○臥車。左、成二「逢丑父寢于─車」
テツ [屑]
○わだち、車の輪の碾 キシ り過ぎしあと「車─」「覆─」○轉じて已に過ぎ去りし事がらの跡 アト
車の返らざる義、車を返す時はわだちの迹が絲を結ぶが如き故。管子「車───、士不旋踵」
○車のわだちのあと。曹冏、六代論「觀前軍之傾覆、而不改其──」○車のわだちと、馬の足あとと。左、昭十二「昔穆王欲肆其志、周行天下、將皆必有車轍馬跡焉」○事のあとかた。老子「善行無──、善言無瑕謫」
車にて天下をあまねくめぐる。韓愈、進學解「────、卒老于行」
人の困窮にせまるに喩ふ。莊、外物「莊周家貧、故往貸粟於監河侯、監河侯曰、諾我將得邑金、將貸子三百金、可乎、莊周忿然作色曰、周昨來、有中道而呼者、周顧視、車轍中有鮒魚焉、周問之曰、鮒魚來、子何爲者邪、對曰、我東海之波臣也、君豈有斗升之水而活我哉、周曰、諾我且南遊吳越之王、激西江之水而迎子、可乎、鮒魚忿然作色曰、吾失我常與、我無所處、吾得斗升之水、然活耳、君乃言此、曾不如早索我於枯魚之肆」常與は水。
軍の敗れ潰ゆる狀。左、莊十「吾視其轍亂、望其旗靡、故逐之」
ハン ホン [元]
車のおほひ、蔽屛となりて塵泥をふせぐもの、簟 タカムシロ 又は革にて作る。漢書、景帝紀「二千石車朱兩─」
フン [文]
○─?はいくさぐるま(兵車)○─轀は匈奴の車の名。
リン リン [眞]
○車のきしりとどろく聲。通じて鄰に作る。○きしる(轢)○かどぐち(戶限)「戶─」○殷盛なる貌「殷─」○─囷は象鼻の下垂する貌。張衡賦「垂鼻─囷」
車のきしる聲。楚辭、九歎「乘龍兮──」=鄰鄰·轣轆。
車にてひきにじる。轉じて他のものををかしおさへつける。隋書、何妥傳「太常曹魏祖不識北辰、今復──太史」
13畫
カツ [曷]
又、輵に作る
轇─ カウカツ は馳驅する貌。羽獵賦「縱橫轇─」又、戟 ホコ の形。又、交り加はる貌。
カン [感]
又、輡に作る
─軻 カンカ は車行の利ならざる貌。轉じて、人のふしあはせにいふ。韓愈詩「誠─軻而艱難」=坎坷·輡軻。
車の進まざる貌。轉じて不遇 フシアハセ の義とす。廣韻「轗軻、──也」=輡?。
ギ [紙]
僕人が駕を整へて發するを待つ。
クヮン [諫]
くるまざき。說文「車裂人也」古の酷刑、二車にて人體を兩方にひきさきて殺す。又、其の刑に處する。左、桓十八「齊人─高渠彌」=車裂。
まがりくねりたる險隘の地。管子「凡兵主者、必先審知地圖──之險」
くるまざき。陳書、始興王叔陵傳「險躁奔競、遂行悖逆、──形骸」=車裂·轘裂。
くるまざきの刑。後漢書、宦者呂强傳「疾妬忠良、有趙高之禍、未被──之誅」=車裂。
ゲキ [錫]
○車の轄 クサビ が相擊つ。○─互 ゲキゴ は車などのすれあふ迫隘 ヒマシ の處。周禮、秋官「凡道路舟車─互者、序而行之」
ショク [職]
○まじる(交錯)車の箱の木が縱橫に交りて方格を成す。○氣がむすぼる、氣が堅く塞がる。枚乘、七發「邪氣襲逆、中若結─」
ラン ロン [感]
○輡─ カンラン は車行利ならず。○轉じてふしあはせの義。=轗?。
14畫
カン [豏]
○めしうどぐるま(囚車)罪人をのせる車。上に板を著けて四周すること檻の形の如し。をりぐるま。○──は車のとどろく聲。=檻檻。
○囚人をのせるくるま。漢書、張耳傳「──詣長安」=檻車。○上に楹欄を施して、猛獸を格する車〔釋名〕
クヮウ クヮウ [庚]
又、輷に作る
○とどろく、羣車のきしり行く聲「──」「喧─」又、雷鳴·大砲などの聲の形容「雷─」○ 俗 火藥を爆發せしむる義「─沈」○ 國 トドロク 驚きて胸がどきどきする。
むやみに洒を飮む。劉因詩「──高歌敕勒川」=狂飮。
かまびすしくうちあふ。韓愈詩「衆樂驚作、──融冶」
○かまびすしき聲。韓愈詩「絲竹徒──」○盛大なる貌。文天祥詞「要烈烈──做一場」
甚だしく醉ふ。元好問詩「──春風」千日、愁城從是不能兵」=狂醉·爛醉。
大いにわらふ。幽棲志「宋景濂徜徉梅花閒、──竟日」
俗 艦船を砲擊してしづめる。=爆沈。
ジ [文]
もと輀に作る
ひつぎぐるま(喪車)「─車」
輿に同じ。
のりものかき。しもべ。徐禎卿異林「亟呼家人、設酒勞──」=輿隸。
15畫
ヒ [寘]
通音ビ
○たづな。馬の銜 クツワ にむすびつけて馬を御する索 ナハ (馬韁)「按─」「連─」「停─」「操─」詩、鄭風「執─在手」○ 國 クツワ くつわ、くつばみ(銜)
たづなと、くつわと。淮南子「爵祿者、人臣之──也」
馬韁 タヅナ と銜勒 クツワ と。大戴禮「御民者棄其德法、譬猶御馬、棄──而專以筴御馬、馬必傷、車必敗」
ライ [灰]
─轤 ライロ は連屬して絕えざる貌。揚雄、羽獵賦「繽紛往來、─轤不絕」一說に環轉 メグル の貌。
レキ ラク ラツ [錫]
○きしる(軋)車が地にすれて音を發する、車が踐 フ みにじる。○轉じて人がすれあふ。なかたがひする。欺き壓へつける「軋─」「陵─」「輘─」
しのぎをかす。韓愈、張君墓誌銘「毋侮辱──我事」
16畫
レキ [錫]
─轆 レキロク は車の軌道 ワダチ 又、車のすれあひてきしる聲。
ロ [虞]
○つづきて絕えざる貌。○轆─ ロクロ は井の上の車、水を汲むに用ふ。轆(車部十一畫)を見よ。
20畫
リン [震]
きしる(軋)「─轢」=轔。
車か踐みにじる。司馬相如賦「徒車之所──」=轔轢。