手部(扌)
0畫
シウ シユ [有]
一音ズ
○て、人體の上肢、臂·肘·肱·腕·掌·指の總稱。○たなごころ、てのひら「唾─」「拍─」「拱─」「束─」○てづから、自分の手でする「─植」「─書」○てに持つ。公羊、莊十三「─劒而從之」○てを加ふ、─にて擊つ。漢書、司馬相如傳「─熊羆」○技藝に長ずる者の稱「名─」「畫─」「老─」○或事をつとめる者の稱「舵─」「技─」○筆の跡。漢書、郊祀志「天子識其─」「─跡」國○て、とりて、器の柄「把─」○組合、仲閒「新─の軍勢」○てだて、術「奧の─」「角力の─」
○つめ印、拇印。○かきはん。=華押。
てした、部下の兵。吳志、大史慈傳「先君──兵數千餘人」
てかせ、罪人の手にはめて自由を束縳する具。=手枷·梏。
てづから頸くくる。韓非子「吏執而問之、則──其夫者也」
てうちにする。史、司馬相如傳「乃使專諸之倫、──此獸」
敬ひ仰ぐ貌。宋史、司馬光傳「衞士望見、以手加額曰、司馬相公也」=額手。
てがみ。老學菴筆記「淳熙末、朝士以小紙高四五寸、闊尺餘、相往來、謂之──」=手翰·書牘。
てがみ。韓愈、再與鄂州柳中丞書「眷惠──還答、益增忻悚」=手簡·手札。
てにてするわざ。史、張安世傳「家童七百人、皆有──作事」=手工·手藝。
○てづからしるす。朱熹文「聞人之善必──」=手書。○ゆびわ。
○てぬぐひ。世說「殷浩語左右、取──」○はんけち。=手帞。
○てづから植う。唐書「兄弟廬墓、──松柏」藝一に蓺に作る。=手蓺·手植。○てわざ。柳宗元、梓人傳「舍其──、專其心智」=手工。
つるぎをてにす。公羊傳「莊公登壇、曹子──而從之」
てまねにてはなしをする。唐朱揆敍小志「生謁一品、問其妾、與之──」=手話。
てにてするわざ、土工·金工·編物·刺繡など。=手藝·手技。
てばこ、てまはりの物を入れる小ばこ、手文庫。會典「灑金──、繫藥乎內」
てがみ。白居易詩「──八行詩一篇」=手翰。
持ちあるきて事を筆記する小さきちゃうめん。手帳 テチヤウ =手帖。
なふだ、官職を記入せし名刺。朱熹、跋伊川先生帖後「──謁謝、爲禮亦恭」
○唐代、人民に其の年齡財產等を申告せしめし法〔唐六典〕○宋代、人民をして其の家族の數、財產などを申吿せしめ、之に課稅せし法〔文獻通考、職役考〕
てならひ。論衡「文吏幼、則筆墨──」=習字。
○てづからかく。又、其かきもの。酉陽雜俎「書跡官楷、──不如也」○てがみ。=手簡。
てに持つあかり、てしょく〔周禮、閽人、注〕
てづから織る。于濆詩「窗下抛梭女、──身無衣」
てぶり。北史、柳諧傳「善鼓琴以新聲──、京師士子、翕然從學」
てづからぬきがきする、手寫する。唐書、柳仲郢傳「仲郢嘗──六經」
天子の自ら書きたまへるみことのり。後漢書、蓋勳傳「帝常──問之、數加賞賜、甚見親信」
○空手にてたたかふ。淮南子「弃于將莫邪、而以──則悖矣」
自ら筆を執りて條陳する。又、其の書。宋史、趙普傳「久未班師、普──諫之」手足 シユソク てあし。兄弟に喩ふ。李華文「誰無兄弟、如足如手」
あぶなくして身を置くの地なき義。論、子路「刑罰不中、則民─────」
身體を毁傷して孝道にそむくことなきを示す。轉じて死する義。論、泰伯「曾子有疾、召門弟子曰、啓予手、啓予足」
腰から二っに斬られる。史、孔子世家「有司加法焉、────」
兄弟のいつくしみ。禮記「骨肉之恩、────」後漢書、袁譚傳「兄弟者左右手也」
臣下の心を盡くして君をまもるに喩ふ。漢書、刑法志「仁人在上、爲下所仰、猶子弟之衞父兄、───────、何可當也」荀子には足を臂に作る。
俗 てぶくろ、手袋。
てのうるほひ、てあか。禮、玉藻「父沒而不能讀父之書、──存焉爾」
生前愛讀せし藏書。
てづから書きて答へる。晉書、陶侃傳「遠近書疏、莫不──、筆翰如流」
てだて、しかた、てだん。事を處置する方法。吳萊詩「酒客心情辟酒兵、茶僧──侵茶品」
棊をかこむ。書言故事「對坐無言、以手著棊、故曰──」世說、巧藝「支道林以圍碁爲──
てのうち。其の手。漢書、酷吏傳「成于──」
手、地に至り、頭其の上に在る敬禮。禮記「不──肅拜」
てづから書きしかきつけ。元史、良吏傳「林興祖以──諭之」
はんけちの類〔後蜀何光遠鑑戒錄〕=手巾。
○てうちにする。孔叢子「骨騰肉飛、──猛獸」=手格。○手にてらち合ふ、今の柔道·拳鬭の類。正字通「──兩人交擊、角勝負也」
笏をいふ、位階ある人の束帶の時に持つ板。文獻通考、王禮考「笏、晉宋以來、謂之──」晉書、溫嶠傳「嶠因僞醉、以──擊鳳幘」=手版。
手迹に同じ〔後漢書、趙壹傳〕
下の者の上をまもるに喩ふ。荀子「下之于上也、若子之事父、弟之事兄、若手臂之扞頭目、而覆胸腹也」
てを動かしてまふ。周禮、注「人舞者──」
てをうつ。裴度文「──目駭兮、載賡歌於大寶」
こてをてにす。韓愈、圬者傳「──衣食三十年」
○大工をいふ。淸異錄「木匠總號運斤之藝、又曰──」○轉じて彫刻師·活版職工などをいふ。
手の作法。禮記「──恭」
てのひらのすぢ。韓非子、詭使「卜筮視──」=手文。
國 手に持ちて敵になげつけて斃す武器。=鋧。
自分の手のはたらき。魏志、常林傳、注「少單貧、自非──、不取之于人」
てづから書きし命令。南史、沈攸之傳「得太后──、曰、國家之事、一以委公」
○うで、かひな。晉書、淳于智傳「智乃以朱書──」○俗にうでまへ、伎倆 ハタラキ の義。
國 ○手をあらふみづ。○轉じて小便 セウベン =小水。
權勢の甚だ盛んなるをいふ。杜甫、麗人行「────勢絶倫、愼莫近前丞相嗔」
手をひっこめる、てだしをせず、おそれつつしむ義。後漢書、鮑永傳「貴戚且──」
手額を見よ。
事の極めて易きをいふ。孟、公孫丑「以齊王由──也」由は猶。
人の手をかる。書、伊訓「天──于我」
手を著ける。傳燈錄「慧藏對馬祖曰、若敎某甲自射、直是無──處」=著手。
○兩手をこまぬく、人を敬ふ貌。曲禮「遭先生于道、趨而進、正立──」○何事もなさず、無爲なる形容。後漢書「天水隴西──自服」
兩手の長きをいふ。蜀志「先主身長七尺五寸、垂手下膝、囘顧自見其耳」
手をつかねて用ひず、てだしをせぬ、轉じて抵抗せず。又、歸順する。晉書、杜預傳「所過城邑、莫不──」
手を下だすといふに同じ。晉書、杜預傅「無復──處也」=下手。
親みを示すために、互に手を握る。史、滑稽傳「──無罰、游目不禁」史、廉頗藺相如傳「燕王私握臣手曰、願結友」
人情の輕薄なる喩。杜甫、貧交行「───────、紛紛輕薄何須數、君不見管鮑貧時交、此道今人棄如土」
國 ○文書に押して後日のあかしとするかたち、おしで、印。もと掌に墨を塗りて押したるが故。轉じて其の文書。=券。○一定の時期に一定の場所にて記入の金額を支拂ふべき有價證券、爲替──·約束──·小切手の三種に分つ。= 俗 匯票。
國 ふみ。=信書·書狀·書簡。
學を勤めて倦まざるをいふ。華陽博議「司馬光童穉不釋卷、裴皞亂離不釋卷」
國 ○德川時代の代官の下役。○商店の召使、番頭と丁稚との中閒の者。○法律にて商業使用人の一、委任せられし事件につきて一切の權能を有する者。
國 賣買の契約を違へざる擔保として對手に交附する金。
甚だしくあやぶみおそれるにいふ。投甕雜筆「元史、憲宗、召趙璧問曰、天下何如而治、對曰、請先誅近侍尤不善者、憲宗不悅、璧退、世祖曰、秀才汝渾身都是膽耶、我亦爲汝握兩把汗也」
己の有に歸するをいふ。白居易詩「白髮生頭速、靑雲──遲」
卽時にほろぶる。史、淮隂侯傳「吾今日死、公亦───矣」
重き物など持ち上げる時、掌に唾をつける。轉じて、勇氣を起して容易に事を爲すにいふ。後漢書、公孫瓚傳、注「始天下兵起、我謂──可決」
患難に處して勇氣のあらはるるをいふ。新論「──────────、處難踐患、而後貞勇出焉」
手の動くままにまかせる、信は任。白居易、琵琶行「低眉──續續彈」
專橫なる臣下の天子を左右して、國政を擅にし官吏の黜陟を爲すをいふ〔後漢書、宦者傳〕
自分で茶を煮る。蘇軾、煎茶歌「君不見昔時李生好客───」
國 てふき。=手巾。
非常に歡ばしきにいふ。禮、樂記「嗟歎之不足、故不知手之舞之、足之蹈之也」孟、離婁「不知足之蹈之手之舞之」
手(前條)に同じ。
字の偏になる時の形。國てへん(手偏)
サイ [灰]
古、材に通ず
○ざえ、はたらき(能力·技能)「吏─」「口─」「天─」論、子罕「旣竭吾─」○はたらきある人、賢人、智者「英─」「秀─」○たち(質性)素質。孟、告子「非天之降─爾殊也」○はじめ(始)晉書、夏侯湛傳「─生魄」○わづかに(纔)晉書、謝混傳「─小富貴、便豫人家事」=財。○はかる、はかり定める、裁に通ず。國○ サイ ますめ、勺の十分の一。○材木の長さ又は容積の單位。○年齡の歲の略字として用ふる。
同訓異義
ワツカ 才·僅·纔·劣·財·裁の別は僅(人部十一畫)の條を見よ。】才有レ餘而識不レ足】サイアマリアリテシキタラズ才氣は餘りあれども、見識は足らず。蘇軾、賈誼論「嗚呼、賈生志大而量小、───────也」
才氣のすぐれたる者。盧照鄰詩「公業負奇志、結交盡──」
はたらきさとし。晉書、潘岳傳「岳少以──見稱」=才敏。
才あるをんな、詩文などに秀でたる女。=閨秀。
はたらきをこころみる。後漢書「自左雄任事、限年──」
はたらきのある性格。杜甫詩「──出尋常」
才智と學問と。漢書、應奉傳「皆有──」
才と學と識と。唐書、劉知幾傳「禮部尙書鄭惟忠嘗問、自古文士多、史才少何耶、對曰、史有三長、───、世罕兼之、故史者少」
國 ○きてんが利く。○かんがへ、くめん。
ちゑ、はたらき、幹は才能。
うでまへ。=伎倆。
はたらきある氣質。史、項羽紀「籍長八尺、力能扛鼎、──過人」
はたらきありて役に立つ。晉書「周浚引譚爲從事、愛其──」
はなやかなる才。顏氏家訓「──不爲妻子所容」
才ありてかしこし。晉書、載記「段豐妻慕容氏有──、善書史、能鼓琴」
ちゑと、わざと。才智技藝。
才智と學業と。蘇軾詩「如君──眞堪用、顧我衰遲不足論」
才のひいでたる人。韋應物詩「明世重──」
才智と文藻と。又、文才の義。宋書、王誕傳「少有──」
○才德の備はれる人。左、文十八「昔高陽氏、有──八人」○ 國 氣がききてじょさいなき人。
才のすぐれたるかんがへ。南史「仲寶少孤貧、篤志好學有──」=才情。
才智がひいでる。晉書「觀朝榮、則敬──之士」
はたらきと、うまれつきと。晉書、賈充傳「充女──令淑」
○後宮の女官(漢代に始まる)杜甫詩「燕趙休矜出佳麗、宮闈不擬選──」○才ある人。=才子。
才思に同じ。世說「──過於所聞」
はたらきと、學術と。北史、燕鳳傳「──俱美」
才がすぐれる。又、其の人。晉書「君性烈而──、其能免乎」
すぐれたるオと美くしき容貌と。晉書、阮籍傳「兵家女有──、未嫁而死」
才智はかりごと。魏志、鍾會傳「及壯有──技藝」
才智さとし。魏志、注「臨淄侯植、以──愛幸」=才穎。
才の淺き義、?もと譾に作る、淺なり。史、李斯傳「能薄而──」=才劣。
心のはたらきが劣る。世說「伯仁爲人、志大而──」
ちゑと、いへがらと。晉書、王恭傳「淸操過人、自負──高華、恆有宰輔之望」
才氣と、ちゑと。漢書、匡衡傳「──有餘」
才のすぐれたるおもむき。晉書、王接傳論「──秀出、見賞知音」=才氣。
ちゑありて事理に明か。白居易詩「內媿非──」
才智のすぐれたる童子。三輔決錄「扶風朱勃、年十二、時號──」
才智と德行と。
國 賣買の周旋をなして口錢を取る。又、其の人。=牙儈·牙保。
ちゑと、はたらきと。史、佞幸傳「非有──、徒以婉佞貴幸」後漢書、班固傳「性寬和容衆、不以──高人」
はたらきと、ほまれと。晉書、陸機傳「負其──、志匡世難」
才の秀でたる者。白帖「李季卿在朝、薦進──」
才能と容貌と。蔡邕別傳「張衡死日、蔡邕母始懷孕、二人──甚類、人云、邕是衡後身」
才のすぐれたる文章。北史「延儁涉獵墳史、頗有──」
うまれつき。魏志、楊俊傅「竝論文帝臨菑──所長」
才氣と、たくみなる辯口と。後漢書、禰衡傳「少有──、而氣尙剛傲、好矯時慢物」
才ありといふほまれ。隋書、薛道衡傳「──益顯」杜甫詩「──四十年、坐客寒無氈」
才智と度量と。晉書、辛恭靖傳「少有器幹、──過人」
ちゑと、はかりごとと。晉書、明帝紀「性至孝有文武──」
ちゑはたらき。晉書、長沙王乂傳「──絶人、虛心下士」
1畫
サツ サチ [黠]
○ぬく(拔)拔き取る。=揠。○ 俗 書札の札、包紮の紮に通用す。
2畫
①テイ·チャウ [梗]
②ダ [馬]
○うつ(擊)たたく(扣)「亂─」「撲─」○まりをける(蹴鞠)○俗語にては種種の義に用ふ「─那裏走」は「向ふ」の義「─糧」「─魚」は「取る」の義「─船」「─車」は舟車を作る義。又、動詞の上に添へる無意味の助字「─睡」「─聽」「─算」○ 國 ダミス 英語の音譯、十二箇一そろひの稱。
同訓異義
ウツ 打·征·伐·討·擊·撲·拍·搏·拊等の別は征(彳部五畫)の條を見よ。
煤掃 ススハラヒ 卽ち年末の大掃除をいふ。淸嘉錄「臘將殘、擇憲書宜掃舍宇日、去庭戶塵穢、或有在二十三日、二十四日及二十七日者、俗呼───」
まりうちの戲。荊楚歲時記「寒食──」=蹴鞠。
あみにて魚を取る。汪元量詩「半揭篷窗看──」
うちこはす。南史「奪取──、亦復不惜」
うつ。葛洪、登涉符籙「岩無故自墮落、──煞人」煞は殺。
うちくだく。晉書、謝石傳「童謠云、誰謂爾堅、石──」
けいさん、かんぢゃう。打は助字。錢塘遺事「賈似道忌害一時任事閫臣、行──法以汙之」
醫師が指頭又は打診器にて胸腹部をたたき、其の音にて病を診察する術。
俗 酒を買ふ。
俗 水を汲む〔歸田錄〕=汲水。
ねむる。打は助字。
俗 旅行の途中にて食事する。又、中途にて休息する。
いねをうつ。陸游詩「──家家趁晚晴」
俗 戰爭。
國 電報を發する。
○かしらをうつ。蘇軾詩「常時低頭誦經史、忽然欠伸屋──」○ テイトウ いしもち(臺灣語)=石首魚。
逆風をいふ。元稹詩「船怕───」
うちやぶる、ぶちこはす。
行脚僧の三衣(大衣·七條·五條の袈娑)を入れたるふろしき包。又、其の包を負ひたる僧。陸游詩「挈榼人沽村巿酒一──僧趁寺樓鐘」
飯の支度をする。歸田錄「役夫餉飯曰──、本作投」
碑文を石ずりにする。張文潛詩「時有遊人──賣」
いでたち、裝飾して形貌を變へる。正字通「今俗以裝飾爲──、演劇者飾其面、謂之扮戲」
うちきず。
はかりしらべる。打は助字。宋史「有爭訟侵冒之處、幷行──」
人をうちたたく〔出曜經〕=毆打。
國 ○金銀貨と紙幣との閒に生ずる價格上の差。○銀行の送金爲替の手數料。
ハイ [卦]
○ほりあばく、發掘。○ぬく(拔)
俗 ぬすびと、竊盜。
ボク [屋]
一に撲に作る
○うつ(打)史、刺客傳「擧筑─秦皇帝不中」すこしうつ。(小擊)○たたく(扣)○つゑ(杖)古、敎育に用ふるしもと。師が弟子をうちて戒めるむち。書、舜典「─作敎刑」=榎楚。
同訓異義
ウツ 扑·征·伐·打·撲·拍等の別は征(彳部五畫)の條を見よ。
むちうつ。儀禮「以──于中庭而已」=鞭撻·笞撻。
ロク [職]
易道にて、筮竹を數へる時に、餘りし筮竹を左手の無名指と小指との閒にはさむ。易、繫辭「歸奇于─」
○〔國字〕はめる(嵌)○しぼる(絞)
3畫
カウ·コウ カウ [江]
○あぐ(擧)兩手にてもちあげる、ささげる。○俗に兩人共に一物を擧ぐるにいふ。
同訓異義
アグ 扛·擧·揚·稱·昻·抗等の別は擧(臼部十一畫)の條を見よ。
もちあげる、さしあげる。
○かなへをもちあげる。力の極めて强きをいふ。史、項羽紀「籍長、八尺餘、力能──」○筆力の强きにいふ。韓愈、贈張籍詩「龍文百斛鼎、筆力可獨扛」
駕籠 カゴ を舁く人夫。拍案驚奇「傭了幾箇──、抬出去殯葬了」
カン [翰]
或は捍に作る
○ふせぐ(拒)とどむ(止)ふせぎまもる「─衞」「─禦」まもり(衞)○もとる(忮)○あたる(抵)物に突きあたる。ふれる(觸)史、游俠傳「時─當世之文罔」○こて(臂衣)○いしづき(矛鐏)=銲。○─格は堅くして入るべからざる貌。禮、學記「發然後禁、則─格而不勝」
同訓異義
フセグ 扞·防·禦·捍·拒·閑の別は防(阜部四畫)の條を見よ。
ふせぎまもる。後漢書、袁紹傳「身自──」=捍衞。
さはりさからふ、堅くして入る可からざる貌。禮、學記「發然後禁、則──而不勝」
ふせぐ。漢書、丙吉傳「吉──大難、不避嚴刑峻法」=捍禦·抵拒。扞禦 カンギヨ ふせぐ。列子「人者爪牙不足以供守衞、肌膚不足以自──」=扞拒。
ふせぎとどめる。漫叟詩話「江漢有滸、以──泛濫」
ふせぎおほふ、おほひ。史、田敬仲完世家「趙之於齊楚──也」=藩屛。
コウ [宥]
○うつ(擊)たたく。孟子「抽矢─輪去其金」=叩。○ひかふ、ひく(牽)馬を牽く。ひきとめる。○物を盡く與へざる義「剋─」「折─」○ 俗 ぼたん(鈕釦)又ぼたんをかける。○ 國 ひかへ、ひかふ(控)「─帳」
同訓異義
タタク 扣·敲·叩·款の別は敲(攴部十畫)の條を見よ。
ふなばたをたたく。又、其の音。岑參詩「夜深聞──」
ひきとめる、おさへとどめる。=牽制·抑制。
ひかへもつ。
ひきさる、差引く。
たづね問ふ。魏了翁、題跋「吾鄕楊君爲問辯曆、以質諸師、此最得爲學之要、後生初學、哆然自是恥于──者、視此亦可以少警矣」=叩問·質問。
①コツ [月]
②キツ [物]
①する(摩)
②奮ひ舞ふ貌。又、よろこぶ(喜)莊、讓王「子路、─然執干而舞」
ゴツ·ゲツ グワツ [月]
一に卼に作る、通じて杌に作る
○うごく、うごかす(動搖)詩、小雅「天之─我、如」不我克」○あやふし、安からず。
扤隉は安からず、隉は臲に同じ、榮懷は榮えて安し。書、秦誓「邦之扤隉、曰由一人、邦之榮懷、亦尙一人之慶」=安危。
サ [麻]
通じて叉に作る
○はさみとる(挾取)○やす、水中の魚鼈を刺して捕ふる漁具。韓愈詩「饞─飽活臠」○ 國 サテ 發語の詞。=偖。
タク [藥]
○ひらく、おす。=拓。○掌を以て物を擧げる。轉じて物をのせる臺「─盤」「茶─子」○不─は餺飩 ウンドン に通ず。五代史、李茂貞傳「一日食不─」=湯餅。○ 俗 託に通じ用ふ、委託を俗に委─と書く。
葉脚卽ち葉柄と莖枝と連接する處に生ずる小さき葉片。
ちゃたく、茶臺。資暇錄「製爲茶──」=茶托。
己の身をよせ置く、棲止する義。孔平仲詩「乾坤是處──安」
物をのせて出す。水滸傳、第三囘「行童──茶來」
身をよせおく。漢書、賈山傳「曾不得聚廬而──焉」
佛 僧侶のゆくゆく俗家より食を乞ふ。僧惟則詩「──船歸粟有餘」
4畫
アク ヤク [陌]
○おさふ、とりひしぐ。=?·搤。○くびき。莊、馬蹄「加之以衡─」=軛。
えりもとをおさふ。周邦彥文「──控咽、屛藩表裏」
たもちよる。樊衡文「──峻嶺、聚徒嘯侶」
とらをとりひしぐ。漢書、李陵傳「力──、射命中」
のどをおさへつける、急所を押へ、死命を制する、咽喉の地を占め守る。晉書、宣帝紀「扼其喉而摏其心」楊浚詩「──兵易守」
いきどほりてうでをにぎりつめる。蜀都賦「劇談戲論、──抵掌」=搤腕。
イョク [職]
通音ヨク
○おさふ(按)壓へつける。○をさむ(治)孟、滕文公「昔者禹─洪水」○ふさぐ(塞)○せまる(逼)○へりくだる(屈下)「─損」○かがまる、かがむ(屈)「屈─」○とどめる(止·遏)○やむ(遏)○うつくし(美)○しりぞく(退)○けなす、おとす(損·貶)○──はつつしむ(愼密)○そも、そもそも、發語の辭。左、昭十三「─齊人不盟」○反語の辭。孟、梁惠王「─王興甲兵」○轉換の辭、亦然の辭。それともまた。論、學而「求之與、─與之與」
おさへとどむ。陳造詩「宿雲忽披靡、羲馭與──」=抑制。
おさへつける。唐書、李德裕傳「否則──、以退仲尼之徒、有是乎」
おさへる。嵆康、琴賦「或徘徊顧慕、擁鬱──」
抑損して恐れつつしむ。書經「維我大王王季、自──」
强くわがままなる者をおさへつける。魏志「──扶弱」扶弱は弱き者をたすける。
おさへてかがむ。
おさへしりぞける。荀悅文「董仲舒推崇孔氏、──百家」
おさへくじく。魏志、倉慈傳「──權右、憮恤貧羸」
おさへとどめる。=抑制。
慾情をおさへ制する。養生論「──忍欲、割棄榮願」
首を屈してさげる。漢書、叔孫通傳「諸侍坐殿上、皆伏──」
おさへつけとめる。=抑遏。
おさへたつ。蘇洵文「韓子之文、如長江大河、魚黿蛟龍、萬怪惶惑、而──蔽掩、不使自露」
○おさへてふさぎとめる。元稹詩「──周遮恐君見」○おさへられて心むすぼる、沈淪鬱悶。杜甫詩「我能拔爾──磊落之奇才」
おごる心をおさへてへりくだる。史、晏嬰傳「其後夫自──」
○おさへてしりぞかしむ。舊唐書「漢明德馬皇后、不能──外戚、令其當朝貴盛」○抑損に同じ〔魏志、武帝紀〕
おさへしりぞく。北史「減削封秩、──勳人」
政府の力にてむりに低價にて米を買ひ上げる。宋史、食貨志「元符以後、有低價──之弊、詔禁止之」
利息をとる爲め政府がむりに人民に金をかしつけ、又人民にわりつけて金を出さしめ、或は夫役に從はしめる〔宋史、神宗紀〕
武道をおさへとどむ。李尤文「──揚文」
おさへしりぞく。漢書、師丹傳「──尊號、虧損孝道」
○琴瑟の音調にいふ。おさへたり、あげたり。蔡邕、琴賦「左手──、右手裴回」○文勢のあげさげ。柳宗元、答韋中立書「抑之欲其奥、揚之欲其明」文章軌範、將字集小序「有──、有頓挫有擒縱」○ほめたり、けなしたりする、襃貶の義。北齊書、甄琛傳「外相──、內實附會」○浮沈 ウキシツミ の義。漢書、叔孫通傳「與時──」
つつしむ貌。詩、小雅「威儀──」=愼密。
强ひてひきとどむ。宋史「有司憚於供賚、──邊方」
おさへつける、勒は馬勒 クツワ にて馬の進退を制するもの。
①ウン [吻]
②ヰン [軫]
①うしなふ(失)戰國策「寡人愚陋守齊國、惟恐夫─之」
②くだす(下)おとす。史、東越傳「不戰而─、利莫大焉」=隕。
①エツ ケツ [屑]
②ケツ [屑]
①くじる、ゑぐる(捾)史、吳世家「─吾眼、置之吳東門」○あばく、かかぐ(挑發)隱れたるものを手にてかき出す。韓愈、進學解「爬羅剔─」○さく(剔)「剔─」
②ゆがけ(縱弦彄)=決。
くじりいだす。
くじりだす。蘇舜欽詩「──雖强成、徒使腸胃沸」=剔抉。
かくれたるものをかかげ出す、精義をさぐり出す。陸龜蒙、甫里先生傳「就中樂春秋、──微旨」
目をゑぐり出す。唐書「爭──擿肝、醢其肉」=抉眼。
於(方部四畫)の俗字。
カゥ [漾]
○あぐ、あがる(擧)「高─」禮、樂記「歌者上如─、下如墜」○あたる(抵·敵)○はりあふ「抵─」同等の位置を保つ「─禮」○たかし(高尙)○ふせぐ(扞·禦)「支─」○ふるふ(振)
同訓異義
アグ 抗·擧·揚·稱·扛·昻等の別は擧(臼部十一畫)の條を見よ。
氣高き行。楚辭、九辨「堯舜之──兮」
互に讓らずしてはりあふ、對抗する、衡は車のくびき、兩車がくびきを相對して互に下らざる義。史、陸賈傳「以區區之越、與天子──」
たかぶれるかほ。柳宗元、答韋中立論師道書「──而爲師」
反對の意見をいひ張る。後漢書、何敞傳「大臣方忠袁任二公正色在上、樂何之徒、──在下」
はりあひふせぐ。齊書、張融傳「融立義無師法、而神解過人、高談鮮能──」
敵に抵抗してふせぐ。晉書、邵李魏郭等傳論「招集義勇、──仇讎」
權威に屈せずをとこだてをなす。漢書「──好交」
はりあひて議論する。北史、盧辯傳「──酬答、守節不撓」=抗論·抗辯。
裁判所の判決に服せずして上級の裁判所に上訴する。
はりあひ爭ふ。
むちをあげて馬を驅る。洛神賦「攬騑轡以──」
文書を上に奉る。倦游錄「歐陽在蔡州、屢──乞致仕」=上書。
くびをあぐ、抗は擧。漢書、朱雲傳「登堂──而請」
こゑをはりあげる。柳宗元文「奇謀高議、左右──」
高く操をまもりて屈せず。隋書「──彌厲」
敵對して戰ふ。
屈せずして正し。北史、柳慶傳「天性──、無所迴避」
まけずにはりあふ。近異錄「則六臂齊擧、奮擊莫能──」
はりあひて議論する。何遜文「竝──以除煩」
はりあひていきどほる。潘岳文「樊──以巵酒咀彘肩以激揚」
意見を書きし書を上に奉る。唐書、房喬傳「寢疾──諫太宗」=上表·上疏。
抗言に同じ。
對等の禮。漢書、貨殖傳「無不分庭與之──」
はりあひてあげつらふ。晉書、孫盛傳「與──者惟盛而已」
ギ [紙]
通じて伎に作る
○たくみ(工·巧)○わざ、てわざ(藝術)「─藝」「奇─」○うでまへ、はたらき(才能)書、秦誓「斷斷兮無他─」
技能を尙びて、器物をいやしみ、賞賜するに吝ならざる義。禮記「─────、則民興藝、貴人而賤祿、則民興讓」
たくみなるわざ。技一に伎に作る。魏志、三少帝紀「詔罷尙方御府百工──靡麗無益之物」
技師の上にありて技術に關する一切の事務を監督する職。
てわざ。國語「──畢給則賢」=技術。
○擊劍をいふ。○拳法卽ち柔術。
專門の技術を有して其の事に任ずる官吏、又は會社員の資格。次條參看。
技師の下役。師·手の音近く、まぎらはしき故、俗にギテといふ。
てわざ。漢書「漢興有倉公、今其──晻昧」=方術·藝術。
はたらき、うでまへ。=才能·伎能。
己のうでまへを施すこと能はずして心にもどかしく思ふ、癢は痒。風俗通「高漸離變姓名傭保于人、聞堂上擊筑、──不能無出言」=伎癢。
うでまへ、はたらき。=伎倆。
クワ [麻]
俗音サウ
○さをさす、ふねをすすむ。=划。○足らざるを補ふ。○尋ねもとめる(尋覓)
①グワン [寒]
②グワン [翰]
①くじく(挫)漢書、司馬相如傳「─士卒之精」へらす(耗)史、平準書「百姓─敝以巧法」
②もてあそぶ。=玩·翫。○もむ、さする(按摩)○まるくけづる(圓削)=园。
ゲツ グワツ [月]
○くじく、をる(折)○うごかす(動)晉語「故不可─也」
拘(手部五畫)の俗字。
①コツ [月]
②ケツ [月]
抇は譌字
①物を牽きて動かし轉ずる。○うがつ(穿)あばく。○さく(裂)○みだる(亂)=滑。
②ほる、あばく。=掘。
サゥ [巧]
○かく(搔)「─頭」○つまむ(搯)爪を以て物を取る。○ 國 ツメル つねる。
サウ セウ [肴]
鈔は本字
○さじにてすくひとる(叉取)○かすめとる(略取)「侵─」後漢書、郭伋傳「匈奴數─郡界」○文書をうつす(謄寫)「手─」○かきぬく、ぬきがき「─錄」「詩─」○量の名、十圭を─と爲し、十─を撮と爲す。○すく(漉)紙をすきて造る。
すこし(些少)の分量。新論「鈞石雖平、不能無──之較」
かみをすく。天工開物「──槽」
かきぬきて集める。又、其の集めたるもの。魏志、武帝紀、注」太祖博覽羣書、特好兵法、──諸家兵法、名曰接要」
○敵の備へなきに乘じてひそかに攻め入る。○古人の文詩を剽竊して己の作とする。
ぬきがきす。事文類聚「梁袁峻──日課五十紙」=鈔寫·抄錄。
○書物をぬきがきする。南史、王筠傳「好──、偶見瞥觀、皆卽疏記、未嘗倩人假手、竝躬自錄」蘇軾詩「白首猶──」○ぬきがきせし書物。
うつしとる、ぬきがきする。掇は拾ひ取る〔唐書、儒學傳〕=抄寫。
財產を官に沒收する。明律「依律──」
ぬきがきぼん。巖棲幽事「───、如古帖不必全帙、皆是斷璧殘珪」
次條に同じ。魏志、武帝紀「賊無輕重、惟以──爲資」
かすめとる。魏志、太祖紀、注「──諸軍」
ぬきがきする。王筠文「躬自──、大小百餘卷」
①サフ [洽]
②キフ [緝]
①をさむ(收)塵などをはらひ取る。曲禮「以箕自鄕─之」鄕は向。○う(獲)○ひく(引)○あぐ(擧)○とる(取)○いたる(至)手をつく、拜して手、地に至る。儀禮、士昏禮「婦拜─地」○はさむ(插)衣服の裾をあげて帶にはさみこむ。詩、周南、傳「─衽曰襭」
②をさむ。○とる、う(獲)○をさめとる(斂取) 國 ○あつかふ。又、あつかひ、待遇する「取─」○こく、しごく「稻を─く」
①シ [紙]
②テイ [薺]
①うつ、側から擊つ。揚雄、解嘲「─穰侯而代之」○やぶる(毀)
②古、抵に通じ用ふ。
撦(手部十二畫)の俗字。
ひきさく(裂開)
ショウ [蒸]
○うく(受)うけ頂く。禮、禮運「─天之祜」うけたまはる。○うけつぐ(繼續)「─統」ささぐ、捧持する。詩、小雅「─筐是將」○とどむ(止)詩、魯頌「則莫我敢─」○たすく、たすけ(佐)=丞。○すくふ、古、拯に通ず。列、黃帝「竝流而─之」○ついで(次第·順序)左、哀十三「子產爭─」註「─貢賦之次也」○ 國 ウケタマハル 聞くの敬語。
同訓異義
ウク 承·受·享·稟の別は受(又部六畫)の條を見よ。
人の氣に入るやぅに機嫌をとる。史、孟荀傳「──觀色爲務」=迎合。承引 シヨウイン うけひく、承知する。魏書、刑罰志「或拷不──、依證而科」
君の寵恩を受ける。杜甫詩「開元之中常引見、──數上南薰殿」承家 シヨウカ 家をうけつぐ。易經「開國──」
○他人のかほ色を見てさからはぬやぅにする。晉書、孝友傳「柔色──、怡怡盡樂」○接見を得る義。漢書「今乃──接辭」
絶句の詩の第二句、第一句卽ち起句の意をうけて敷衍する句の義。
をしへをうく。孔叢子「幸今──」
君主又は父母のよろこびの心をうけたすける。白居易詩「──侍宴無閒暇」
うけつぐ。白虎通「天子──、當知其數」=繼承·承襲。
をしへを受ける。孟子「寡人願安──」
まはし文をうく。晉書「衆以──奮義、推功於謨」
仕事をうけつぐ。
めうへの人の、ごきげんをうかがふ。魏書、楊播傳「──安否」
仰 オホセ をうけたまはる。
○他人の氣に入るやぅにうけ迎ふ。書經「先意──」=承意。○他人の志をうけつぐ。書經「大統未集、予小子其承厥志」
うけつぐ。襲は繼。=承繼。
うけしたがふ、命令に從ひ服する。史、始皇紀「宇縣之內、──聖意」
事業のつづきを受けつぐ。晉書、安平獻王孚傳「陛下──、遠人率貢」=承統。
子孫がつぎつぎにうけつたへる。韓愈文「聖子神孫、繼繼──」
前をうけてつづく。羅隱詩「雁影相──、龍圖共始終」
前からうけつづく。
ゆづりをうける、帝位を讓られてうけ繼ぐ〔陸雲、晉豫章刺史夏府君表〕
うべなふ。=承知。
○うけたまはりて知る。蜀志、費詩傳「──消息慨然永歎」○知遇を受ける。蘇易簡詩「小子最──同輩尋改觀」○ 國 うべなふ、承諾する。
○ごみの落ちざるやぅに座所の上に設くるもの、ちりよけ。三輔決錄「有鳩從──上、飛下几前」○ 國 なげし(長押)鴨居 カモヰ の上に橫にわたす木。
君の寵幸を受ける。王昌齡詩「平陽歌舞新──、簾外春寒賜錦袍」=承恩。
うけつたへる、前者の爲したる通りにうけつたへる。宋史、禮志「典儀曰再拜、贊者──皆再拜」
世をうけつぐ、帝位をつぐ。漢書、公孫卜兒傳贊「孝宣──、纂修洪業」
承知して認諾する、みとめゆるす。諧史「誤斷此獄、宜乎其不──也」=認可。
人員のとぼしきをうけて補ふ、官に任ずといふ謙辭。左、成二「敢吿不敏、攝官──」
命令をうける。後漢書、吳漢傳「躬裨將虜掠、不相──」躬は謝躬。
上の敎化を受ける。家語「舜之爲君也、其政好生而惡殺、是以四海──」
罪人が其の罪に服從する、服罪する。諧史「不──」
太平の世を永く受けつぐ。漢書、食貨志「今累世──、豪富吏民、訾數鉅萬」
次條に同じ。史、高祖紀「漢興──」
國家の疲弊の餘を受けつぐ〔魏志、文帝紀、注〕=承敝。
人の意をうけて氣に入るやぅに事へる。晉書、容超載記「入則盡歡──、出則傾身下士」
命令をうけたまはる。左傳「苟列定矣、敢不──」
漢の武帝が建章宮に建てたる銅盤、甘露を受ける爲めに設く〔漢書、郊祀志〕
ショウ [迥]
○あぐ(上擧)○ぬく(拔)○たすく(助)すくふ(救)財を人に與へる。=拯。
セツ [屑]
○をる、をり取る「─枝」「採─」○くじく(挫)「挫─」「摧─」─りひしぐ、おさへつける。○人の過をせめる「面─」○たつ(斷·截)○さだむ(斷定)是非をわかちきめる。論、顏淵「片言可以─獄者其由也歟」○わかつ「─中」○まげる(曲)意志をまげ屈する。漢書、伍被傳「─節下士」○かがむ(屈)○とどむ(止)○やぶる(毀·敗)破毀する。漢書、高帝紀「─券棄債」借金の證文をやぶりすてる。○わかじに「短─」「夭─」○損をして賣る。○割引する、七─は七掛に割引する。○草木枯れそこなふ。○土をもり上げたる祭場。○木を方形に連ねて牀の如く作りたる葬具、壙に橫たへ亙して上に席を加ふるもの。 國 ○をり、時期·機會。○をり、菓子箱の類。○をり、切に、ひたすら「─入って賴む」
同訓異義
クジク 折·挫の別は挫(手部七畫)の條を見よ。
おとがひをさく。戰國策「刳腹──」
銳き氣をくじく。劉向文「──摧矜」
こしを折る、腰を屈して人を拜する。晉書、隱逸傳「陶潛歎曰、吾不能爲五斗米──事鄕里小兒」
損をして賣る、折は損、閱は兌にて賣なり。荀、修身「良農不爲水旱不耕、良賈不爲──不巿」
膠が堅くなり、折れ易くなる秋の期節、卽ち、秋は膠が固まりて弓が强くなる故、戰爭の好時節とす。匈奴常に此の時を以て軍を出す。漢書、鼂錯傳「欲立威者、始於──」
○頭巾のつのををる。後漢書、郭泰傳「嘗行遇雨、巾一角墊、時人乃故折巾一角以爲林宗巾」○高慢の鼻をくじく。漢書、五鹿充宗傳「五鹿嶽嶽、朱雲折其角」朱雲が五鹿と易を論じて五鹿を屈せしめし故、時人が朱雲の剛力能く鹿の角を折るとしゃれたる故事に本づく。○ 國 骨を折る、むだに力を勞する。又、隨分に「──御大切に」
全紙を二っ切りにして認めたる手紙、短き手紙、簡は竹の札、古、紙に代用す、故にいふ。晉書、宣帝紀「王淩面縛迎帝曰、淩若有罪、公當──召淩、何苦自來耶」
○强く諫むる。漢書、朱雲傳「願賜尙方斬馬劍斷佞臣一人、上問誰、對曰張禹、上怒、御史將雲下、雲攀殿檻、檻折、呼曰、得從龍逢比干遊于地下足矣」○國きびしく吐責する。
脚のまがりたるかなへ。蘇軾詩「───邊煨淡粥」
木を方形につらねて牀の如く作りたる葬具。儀禮「──覆之」
桂 カツラ の枝を折る、科第に登るをいふ、晉の郄詵が己の及第を桂林一枝、崑山片玉に比せし故事。溫庭筠詩「猶喜故人先──、自憐羈客尙飄蓬」
をれたるほこ。杜牧詩「──沈沙鐵半銷」
借用證書をやぶりて返濟を責めず。史、高祖紀「兩家──棄責」責は債。
非常の勤苦を重ぬる。左、定十三「三──知爲良醫」
うったへをさばく。論、顏淵「片言可以──者其由也歟」=斷獄。
骨ををりて身體を勞す。荀子「──絶筋」
くじく。後漢書、竇融傳「外則──羌胡、內則百姓蒙福」=摧挫·挫折。
あんま、枝は肢、一說にえだををる。孟、梁惠王「爲長者──」
人のことばをくじく。大戴禮「不唱流言、不──」
うったへを判決する。北史、楊椿傳「──公正」=折獄。
○敵の衝き來るをくじく。晏子春秋「孔子曰、不出樽俎之閒、而──千里之外、晏子之謂也」○敵と對抗してひけを取らず。蘇洵、送石昌言引「──于口舌之閒」
くじけ屈する、くじきはづかしむ、輕蔑する義。史、項羽紀「──秦吏卒」=摧辱·挫辱。
○己の主持する意を屈ぐる。戰國策「以秦之强、──而下與國、臣恐其害於東周」○ 國 をりふし、ちゃうど其の時、をりから。=折柄。○時季、季節。
かどだちて折れめぐる、還は旋と通ず。禮、玉藻「周還中規、──中矩」=折旋。
足を折る。易經「鼎──覆公餗」鼎の足を折るときは鼎實を覆へす、小人を大臣に任ずれば、重任に堪へずして、國家を覆すに喩ふ。
くじき損する。徐璣詩「橫斜直似安排得、古怪多因──來」
をれたわむ。又、くじけよわる。=屈撓·枉撓。
くじけ敗れる。後漢書、殷穎傳「臣兵累見──」=敗衄。
杖は杖罪、從來の杖數を輕減する法律〔宋史〕
次條に同じ。漢書、貢禹傳「微孔子之言、亡所──」
衷は中、事を取捨折斷して其の中を定める。史、孔子世家「中國言六藝者、──於夫子、可謂至聖矣」=折中。
くじきやぶる、くじけ破れる。
半分にわかつ。太眞外傳「折其半授使者」
舞ふ貌。南都賦「怨西京之──」
○敵をくじきしたがはせる。○ シヤクブク 佛 佛說を說き惡人を折き伏せる。懾受の對。=破邪。
謀がくじける、術策が行はれず。魏志、徐奕傳「汲黯在朝、淮南爲之──」=挫謀。
やぶれてにげる、北は敗。史記「──不救」=敗北。
○元金を損する。○ ヲリホン 國 をり疊みて作りし書册。
客を送りて、水邊に至り、楊柳を折りて、別を爲す時の情景を敍したろ詩、古樂府に───曲あり。
○樂曲の名。李白詩「此夜曲中聞──、何人不起故園情」=折楊柳。○旅人を見送る時、柳を折りて別れし故事。三輔黃圖「霸橋在長安東、跨水作橋、漢人送客、至此橋、──贈別」
國 ○奉書又は鳥の子紙等を二っ折りにせしもの、進物の目錄又刀劍などの鑑定をかきしるすに用ふ。○轉じて刀劍·古書畫·骨董品などの鑑定書。
國 ちゃうど其の時。=折節。
國 和歌の一體、題の假名を每句の首又は尾に詠みこむもの。
國 武家の最も卑しき奉公人。
チゥ [有]
○まろばす、手にて轉ずる。○おさふ(按)○つかぬ、たばぬ。
チヨ シヨ [語]
通音ヂヨ
○のぶ(舒·陳)心に思ふことをうちあける。漢書、王襃傳「─情素」○くむ(挹)○とりだす(取出)○もらす(泄)漢書、劉向傳「一─愚意」○とく(解)○のぞく(除)左、文六「難必─矣」
おもひをのべる。後漢書、殤帝紀「以抒幽隔鬱滯之情」
感情をのべたる詩。敍景詩·敍事詩の對。
①トウ [尤]
②トウ [宥]
①なぐ、なげうつ(擲)「─石」○すてる(棄)やめる、さしおく。魏徵詩「─筆事戎軒」○いる(納)○おくる(贈)「惠─」詩、衞風「─我以木瓜」○たよる(託)たちよる、身をおちつける。後漢書、張儉傳「望門─止」○かなふ(適)あふ(合)「─機」「─合」○おほふ(掩)○はらふ(振)「─袂」
②とどまる(止)杜甫詩「遠─錦江波」=逗。○文の讀みきり、古、句讀の讀に通ず「句─」○酒を再び釀す「─酒」=酘。
國 あみをなげ入れて魚を捕へる。又、其の網。
○物體のかげ。○物體を或點より見たる形の平面圖「──畫法」
來りて敵にくだる。降參する。
新聞·雜誌社などに原稿を送りやる。=寄稿·投書。
客をねんごろに畱むるにいふ、轄は車のくさび、輪をはめて軸頭に插すもの。漢書、陳遵傳「遵嗜酒、每大飮賓客滿堂、輒關門取客車轄投井中、雖有急、終不得去」
兩方の心が相あふ「意氣──」
さををなげる。嵆康文「放櫂──、優游卒歲」
郵便函に手紙を入れる。又、手紙をさし出す。
なやみを與へる。書經「──于朕身」
筆をなげおく。劉楨詩「──長歎息、綺麗不可忘」
身を閑散の地位に置く義、要職に居らざるをいふ。韓愈文「────、乃分之宜」
おくる、おくりよせる。元稹文「律詩以相──」
なげすてる。沈佺期文「予──南裔、承恩北歸」
○機會 ヲリ につけこむ。萬一を僥倖してまうけごとをする。○株券米穀などの相場を利用して取引をする「──業」
金をなげすてる。吳越春秋「乃──水中而去」
戰をやめる。後漢書「──講藝、息馬論道」=休兵·偃武。
遠く竄逐せらるる義。柳宗元詩「一身去國六千里、萬死──十二年」
少しの物を贈りて、厚き返禮を得る。詩、衞風「投我以木瓜、報之以瓊琚」
くびくくり。品字箋「繯、環也、以索爲繯、而自縊、謂之──」
古、宴飮の際、才藝を講論する禮、矢を執り壺中に投ずる勝負ごと。禮、投壺「──之禮、主人奉矢、司射奉中、使人執壺、主人請曰、某有枉矢哨壺、請以樂賓」
しゃくをなげすてる、官をやめる。章懋詩「──遠辭丹鳳闕」=致仕·挂冠。
博奕に用ふるさい。=投·骰子。
立ちよりて足を止める。
○名刺をさし出して面會を求める。梁書「未嘗──邦宰」○名刺をなげすてる、世と交涉を絶つ義。梁武帝文「──解職、以遵歸路」投資 トウシ もとでをおろす、事業のために資本を投ずる。
身なげ。=入水。
官を棄てる義、簪は冠の動かざるやぅに固めるもの。左思、招隱詩「聊欲投吾簪」山堂肆考「梁陶宏景、──高邁」
物理學にて音又、光などの波動が、一の物質內を通過し、他の物質との境界面に到著する義。
とまる。劉向、九歎「平明發兮蒼梧、夕──兮石城」
○文書をなげこむ。魏志「太祖時有──誹謗者」○新聞·雜誌社などへ草稿を送る。又、其の草稿。=投稿。
誠心を以て歸服する義。蘇軾文「不若歸命──控吿於君父」敵に降服するにもいふ。
○いしをなげる。史、王翦傳「──超距」○いしになげつける。漢書、刑法志「以桀詐堯、若卵──」
杼 ハタノヒ をなげすてる、謹愼の人も讒にあふこと數度に及べば、他の疑ひを招くに至る喩。又、君主がたび重なれば遂に讒言を信ずるに至るに喩ふ。史、甘茂傳「昔曾參之處費、魯人有與曾參同姓名者、殺人、人吿其母曰、曾參殺人、其母織自若也、頃之、一人又吿之曰、曾參殺人、其母尙織自若也、頃又一人吿之曰、曾參殺人、其母投杼下機、踰墙而走」
なげうつ。韓愈詩「中盤進橙栗、──傾脯漿」=抛擲。
男女互に相思の情を通ずるにいふ。詩、衞風「投我以木桃、報之以瓊瑤」に本づく。
ふでをなげすつ。魏徵詩「中原還逐鹿、──事戎軒」=擲筆。
たもとをふるふ、奮起する狀。左、宣十四「楚子聞之、──而起」=奮袂。
選擧又は採決などに、選擧せんとする人名又は己の意志を記したる札を箱になげ入れる、いれふだ、入札。
いかりを下し、ふなどまりする。
いのちをすてる。晉書「誓念──以報所受」=授命。
老年に至る義。後漢書「母守寡養孤、苦身──」
つりいとを下す。列子「──沈鉤、手無輕重」
つぶてをなげる。蘇軾詩「須防戲童子、──犯淸泠」
トウ [有]
○─擻 トウソウ は振ひ擧げる貌。又、さっぱりとはらひつくす。王炎詩「─擻胸中三斗塵」○ トソウ 佛 僧が行脚して物を乞ふ。又、其の僧。釋氏要覽「梵語、杜多、華言─擻」=頭陀。
①ハ [馬]
②ハ [麻]
③ハ [禡]
①にぎる(握)にぎり(握)又、握る程の大さ。孟、告子「拱─之桐梓」○とる(執)戰國策「左手─其袖」○もつ(持)○器物の柄、とって「刀─」「劍─」○たば(束)「一─」「菜─」○ 俗 まもる(守)「─門」
②かく(搔)爬に通ず。○ひく(引)○批─ ビハ は樂器。=琵琶。
③ゆづか(弣)弝に通ず。
同訓異義
トル 把·取·執·秉·操·採等の別は取(又部六畫)の條を見よ。
○にぎる。又、ひとにぎり程の量。漢書「其爲物輕微易藏、在于──」○人の操守をいふ。子華子「其平居──」
ともしびをもつ。白居易詩「中宵──行人發」
手にとりてもてあそぶ。陳琳文「讀之喜笑、──無厭」=把弄。
把酒に同じ。=把琖。
矢の的 マト 〔李呈芬、射經〕= 俗 靶子。
そてをとる。史、刺客傳「左手把其袖、右手揕其胸」
器物のとって、斧などの柄。
酒杯をとる。孟浩然詩「──話桑麻」=把琖·把盞。
○とらへる。韓愈文「優恤糧料、嚴加──、如有漏失私糴等、竝準條處」○心を堅く定めて放佚せざる義。吳澄、敬銘「──于中、精神心術、檢束於外、形骸肌骨」
手に物をとりもつ、專ら一手に執り持つ義。白虎通「霸、迫也、把也、迫脅諸侯、──其政」
心理學にて已に經驗せし事を永く意識の中にたもち、隨時に再現し得る心の作用。
一とにぎりの小木。韓詩外傳「────、無合拱之枝」
ひぢをとる、互に親しみあふ義。後漢書、呂布傳「臨別──言誓」世說に「──入林」とあるは同じく隱るるをいふ。
そでをとる、互に親しく相接見する義。梁元帝文「何時──、共披心腹」=握手。
てにとりてもてあそぶ。陸游詩「明年卽八十、日月難──」
ハン [删]
○ひく(挽·援·引)○よづ。=攀。
①フ [虞]
②ホ [虞]
①たすく、たすける(佐·相)論、季氏「顚而不─」力をかして支へる。荀、勸學「蓬生麻中、不─而直」又、助けられる。○まもる(護)支へて保護する。○よる(緣)○幼小なる貌。○かたはら(旁)○─蕖は荷 ハチス ─は芙に通ず。○─桑は木の名。○大風。=?。○手の四指を竝べたる長さ。=膚。
②はらばふ。左、昭二一「─伏而擊之」=匍。○ちかよる(附)
同訓異義
タスク 扶·助·輔·弼·翼·佐等の別は助(力部五畫)の條を見よ。
たすけそだてる「──料」
○神木の名。莊、在宥「雲將東游、過──之枝、而適遭鴻蒙」○暴風。──の二字を反切すれば飆 ヘウ 卽ち暴風となる。莊、逍遙遊「搏──羊角而上者、九萬里」=猋。○勢よくうごきおこる義。淮南子「──而登之」
たすけおこす。司空圖詩「──綠荷承早露」
義によりて相助くる義。漢書「不如更遣長者──而西」=杖義。
たすく。たすけ。魏書、禮志「是以晉室銜──之仁」
藥草の名。本草「狗脊、一名強膂、一名──」
たすけて寐ねしむ。漢書、游俠傳「因畱宿爲侍婢──」
かたぶきたるを、たすけおこす。韓偓詩「一手擬──」
たすけたづさふ。黃鎭成詩「──數百人、夜宿荒山顚」
たすけもつ。蘇軾詩「──老幼相遮攀」
たすけて世話をする、挾は兩方からはさみすける。後漢書、祭祀志、註「兩從者──」
○東海の中にありといふ大いなる神木。山海經「湯谷之上、有──、十日所浴」=扶木。○轉じて、其の神木の在る國。十洲三島記「──在碧海之中、地多林木、葉皆如桑、又有椹樹、長者數千丈、大二千餘圍、樹兩兩同根、偶生更相依倚、是以名爲──」○支那人、日本を斥していふ。王維、送晁監詩「鄕國──外、主人孤島中」○花の名、粵中(支那の南方の地)に產す、葉は桑に似て稍小、大紅·淺紅·黃の三色あり、大なる者は芍藥の如し、佛桑花と相似たり〔嶺南雜記〕
國 三十卷、德川光圀の撰、我國古今の假名文三百十三篇を集む。
たすける。宋書、徐羨之傳「或忠規遠謀、──洪業」=翼贊。
幹より出でたるかたへのえだ。淮南子、人閒「去高木、而巢──
病氣をしひておす。又、やまひを介抱する。晉書「──引見」=扶病。
たすけ立てる。宋濂、龍淵義塾記「宜──而振發之」=扶植。
たすける。漢書、嚴延年傳「摧折豪强、──貧弱」
獸の名。山海經「敷岸山有獸焉、其狀如白鹿而四角、名曰──」
たすける。漢書「──左右、甚有甥舅之恩」=扶助。
たすけたてる、扶持樹立。謝枋得詩「──綱常在此行」
たすけふやす。
手の指を四本竝べるを扶といふ。禮、投壺「籌室中五扶、堂上七扶、庫中九扶」公羊、僖三一「觸石而出、──而合」
助けちかづく。宋書「謝靈運有逸才、每出入、──常數人」
○木の枝の分ち布く貌。繁茂する義。漢書、武五子傳「枝葉──、異姓不得閒也」=扶疏。○よろめく貌。淮南子「援豐條舞──」=槃跚。
○小木の名。詩、鄭風「山有──、隰有荷華」=扶胥。○秦の始皇の長子の名、直諫を好む。
○たすけて介抱する。孟、滕文公「守望相助、疾病相──」=扶護。○ 國 フチ 昔、米にて給與せし士大夫の祿、大抵一人一日四合の割。
節高くして中の實てる竹。山海經「龜山多──」
つゑにたよる。漢書、賈山傳「──而往聽之」
はやて。淮南子「疾風曰──」
はらばふ、字解を見よ。=匍匐·扶服。
○力をいたす。又、はらばふ。禮、檀弓「──救之」=匍匐。
はらばふ、手を地につけて行く。齊書「──道路」=扶服。
やまひの介抱する。又、病をしひておす。劉禹錫詩「爲君──到芳山」=扶疾。
扶桑木。淮南、地形「──在陽州、日之所出」
扶桑の木の上に朝日が昇る、扶桑水は、古、日本に在りきと傳ふ。隋書、音樂志「扶木上朝暾、嵫山沈暮景」
自活する力なき者をたすけやしなふ。
劍の名。吳都賦「──屬鏤」注「按──屬鏤皆劍名」一說あげる。=揚擧。
○佳き氣。韓愈文「氣之所窮盛而不過、必蜿蟺──磅礴而鬱積」○はやて。楚辭「登羊角兮──」=扶搖。
たすけいだく。蘇軾詩「遙知句谿路、老稚相──」
たすける。晉書、孫惠傳「抗辭金門、則蹇諤之言顯、──皇家、則匡主之功著」=匡翼。
○としよりをたすける。漢書「攜幼──以歸聖德」○老人の杖。古雋考略「老人所持杖、曰──」○竹の名、節高く中實す、杖とするによろし、故に名づく。=筇竹。○鳥の名。古今注「──、秃秋也、狀如鶴而大」
藤 フヂ の異名。吳都賦「石帆水松、東風──」
①フン [吻]
②ハン·ヘン [諫]
通音フン
①にぎる(握)○うごかす(動)○まく(撒)かきまぜる(拌和)史、貨殖傳、註「以椒薑─之」○あはす(幷)
②打─は俗語、よそほふ(裝飾)いでたち。
種種の形によそほへるやくしゃ(俳優)傳習錄「若只是那些儀節求得是當、便謂至善、卽如今───、扮得許多溫凊奉養的儀節是當、亦可謂之至善矣」
よそほふ、よそほひ、いでたち。
よそほひかざる、みづくろひする。
ブン [吻]
○ぬぐふ(拭)楚辭、九章「孤子唫而─淚」○する(摩)
①ヘイ [齊]
②ヒ [支]
③ヘツ [屑]
通音ヒ
①うつ、たたく、てにてうつ(手擊)○おす(推)おしひらく、しりぞける(排)○まろばす(轉)○しめす(示)是非を判決して示す「─評」「─判」唐書、李藩傳「制敕有不便者、黃紙後─之」臣の奏文の末尾に天子が敕答を書く。谷響集「帝皇詔答、謂之─者、─之所上表奏尾也」○へら(削)杜甫、胡馬詩「竹─雙耳峻」○賣捌く「─發」
②琵に通ず。─把は琵琶。
③ふれる、さはる(觸擊)抵觸する。史、刺客傳「─其逆鱗」
敵の要害の處を排擊する。史、孫子傳「──擣虛、形格勢禁」亢は吭、咽喉なり、擣虛は敵の空虛にして備なきをうつ義。
うちころす。左、莊十二「宋萬遇仇牧于門、批而殺之」
○臣下よりの上奏に對して君主が決裁許可する、准は準の俗字。○條約の案文を其の當事國の主權者が承認する。
天子が大臣の奏文に意見を書きて答へられる。又、其の答文。朝野類要「執政以上有章奏請則降──、以下則降詔」
詩文などの妙所·要所をしめす爲め其の傍にうつ點。四庫全書總目「──檀弓二卷」
非なる事を擊ち難ずる。漢書、王莽傳「函谷──」注「批謂糾閉之也」
四絃の樂器。批は手を前に推す、把は手を後に引く。風俗通「──近世樂家所作」=琵琶。
○是非をわかち定める。○宰相が臣下の上奏の是非をわかち示す〔通鑑、唐玄宗紀、注〕
事の是非優劣を評論する。しなさだめする。=品評。
ベン [霰]
てをうつ(兩手相擊)喜びて手をうつ「歡─」「─舞」
手をちてよろこぶ。鮑照文「凡在氓隸、莫不──」
手をうつ。鮑照文「──太平」
よろこびて手をうちてまふ。魏志、文帝紀「能言之倫、莫不──」潘岳賦「莫不──乎廣衢」=抃踊。
手をうちて、よろこびをどる。南史、宋高祖紀「億兆──、傾佇維新」=歡欣踴躍。
ホウ ハイ [尤]
通音ホウ
○すくふ(掬)手にて物を掬 スク ふ。○ 國 ナド なんど(等)
掌 テノヒラ にてすくひのむ。禮、禮運「汙尊而──、蕢桴而土鼓」
ひとつかみの土。又、陵墓の義。漢書、張釋之傳「假令愚民取長陵一──、陛下且何以加其法乎」駱賓王文「一抔之土未乾」
5畫
①アウ·エゥ アウ·エゥ [巧]
②ヰク イウ [屋]
①ねぢける、ねぢれる「─戾」「執─」「─强」○くじく(拉)○をる(折)○すねる、心がひがむ。○たがふ(違)韓愈詩「世路終難─」
②おさふ(抑)
ねぢけてがうじゃう。朱子語類「王臨川(安石)天資亦有──處」
やををる。又、折れし矢。尉繚子、制談「──折矛」=折矢。
いかりをおさふ、怒を抑制する。班固、西都賦「乃──而少息」
の二行の音が他の音と合して生ずる熟音。ちゃ、しゅ、きょ、くゎの類。
一定の平仄の式によらざる近體詩、卽ち絶句律詩の變格の一體、杜甫の詩に最も多し「鄭縣亭子澗之濱」の類の如し、三體詩に──の部あり。
アク ヤク [陌]
○とる(把·捉)にぎる(握)○おさふ(抑)「─擊」=扼·搤。
①アフ [洽]
②カフ [洽]
①かきはん(署)さぅな(草名)「花─」「署─」○おす、おさふ(按·壓)○判をおす、捺印する。○あづかる、とらへあづかる(管拘)おさへつける、檢束する「─送」「─收」○ふむ、詩の韻字を用ふる「─韻─
②簾額をいふ。徐陵、玉臺新詠「珠簾以玳瑁爲─」○のり(規律)○よる(相因)○なる(習)漢書、息夫躬傳「羽檄重迹而─至」=狎。○ 國 おす、無理に强ひる「─賣」
詩の韻をふむ。宋史、藝文志「張孟──十卷」
めつけ役をおきたる鄭重なるさかもり、宴席を管理する義。宋史、歐陽修傳「修遷翰林學士、使契丹、其主、命貴臣四人──曰、此非常制以卿名重故耳」=管燕。
官名、天子の護衞兵の長をいふ、衙は儀仗侍衞の義。舊唐書「金吾天子──」
おさへの兵。紀効新書「───二十五名、各用長短器」
かきはんの文字。歸田錄「今俗謂草書名、爲──也」韻會「押、置也、今人言文字押署是也」=花押·華押。
官にて人民の財產をさしおさへる。=沒收。
印をおし名を書く、署名捺印する。韻會「押置也、今入言文字──是也」
罪人を護送する。
國 監獄署の最下級の役人。
百官の位次をとりしまる。又、其の官名。唐書、百官志「朝會監察御史二人──」
國 王朝時代に諸國の亂暴人をとりしまる爲めに派遣せし官吏。
エイ エツ [霽]
ひく(引)=拽。
エウ イウ [篠]
あぐ。臼より物を擧ぐ。詩、大雅「或舂或─」
カイ [蟹]
○て(手)あし(足)○えだ(枝)俗に扙の義とす。○かたる、かどはかす、人を誘ひ出して他に賣る「─騙」「誘─」
かどはかす。
かたり、かどはかし。黃允文、雜纂「暗歡喜、──賺癡人得手」
かたり、かどはかし。=拐兒。
かどはかす、かたりて物をもちにげる。
俗 つゑ。
元の兀术の軍中にて韋索を以て馬隊三人づつを連ね敵に向ふをいふ。宋史、岳飛傳「三人爲聯、號───」
かたり、かどはかす。政刑大觀「強盜竊賊、──犯姦」
①キヨ [語]
②ク [麌]
①ふせぐ(捍·禦)防禦する「扞─」孫子、九地「敵不及─」○ふせぎ、そなへ「右─」「後─」○こばむ、ことわる、きき入れず「─諫」○あたる(抵)○たがふ(違)論、子張「其不可者─之」
②方形。=矩。○方陣、方形の陣。左、桓五「爲右─以當陳人」
同訓異義
フセグ 拒·防·禦·扞·捍·閑の別は防(阜部四畫)の條を見よ。
ふせぐ、ふせぎ。蜀志、先主傳、注「率精兵、──先主于涪」=禦扦。
いさめをこばむ。後漢書、申屠剛傳「──者塞」=距諫。
芙蓉 フヨウ の異名〔本草〕蘇軾に「和陳述古──花詩」あり。
防ぎとめる。=阻止。
ふせぎこばむ。=拒否。
拒絶に同じ。
螳蜋 カマキリ の異稱〔埤雅〕
①キヨ [魚]
②ケフ [葉]
①─摸 キヨバク は持ち去る。○ささぐ(捧)
②もつ(持)○くむ(挹取)○おびやかす(劫)
①ク·コ [虞]
②コウ·ク [尤]
通音コウ抅は俗字
①とどむ(止)手にて止む。○とる、とらふ(執)「執─」とらはる。○まがりさはる(曲礙)かかはる、なづむ、顧みて忌む所多し。史、汲黯傳「不─文法」法律規則などに─泥せず。
②かかふ(擁)曲禮「以袂─而退」○かがむ(曲)=句。○とる(取)曲禮「不然則自下─之」○ひきあつめる(摟聚)○ 國 かかはらずと打消しに用ひて、反對の結果を生じたる意をあらはす。
警察官が現行犯又は嫌疑者を警察署にひき立てつれ行く。=勾引·引致。
かかはりいむ、氣にかけて遠慮し、はばかる。晉書、蔡克傳「服飾詭異、無所──」
とらへてとぢこめる。=拘引監禁。
とらへつなぐ。書經、疏「主──當刑殺者」=拘束、拘鎖。
かかりあひ、なづみひかされる。朱熹詩「煩慮絶──」
かかはる貌。又、屈して伸びざる貌。吳澄詩「丈夫落落志四海、俗士──守一途」
拘畱してくさりでつなぐ。宋史、刑法志「法無──之條」
とらへころす。元史、廉希賢傳「──使者」拘士 コウシ 變通を知らざる士。賈誼、服鳥賦「──繫俗兮」
とらはれる。又、とらはれたる人、卽ち囚人。韓愈詩「早知皆是自──」
めしとらへる。後漢書、包咸傳「遂見──十餘日」
とらへて自由をさせぬ。後漢書、光武紀「──不還」
○とらへつなぐ。=拘繫。○官職に束縳せられて自由を得ず。北史「上知其不願──、以禮發遣」
世俗にからまれなづむ。唐書「眞──之人哉」
とらへきたる、めしとりて來る。後漢書、虞詡傳「內以──防其邪計」=拘引。
物事にかかはりなづむ。融通がきかぬ。桯史「剪剪──、不得卽決」
からみまきつく。杜甫詩「蔓草易──」
とらへつなぐ。世の中のきづな。王禹偁詩「應知驥足暫──」
かかはりつながる。釋德洪詩「此生一寄耳、夢幻相──」=拘束·束縳。
法律に拘泥する。崔寔、政論「俗人──牽古、不達權制」
てすり。古今注「悉爲扶老──」=句闌。
○とらへてとめおく。漢書、匈奴傳「單于亦趣──漢使、以相報復」=勾畱。○法律にて、罪人を拘引して、畱置所に畱め置く。
ひとや、牢獄。又、とらはれ。韓愈詩「守官類──」
禮儀にかかはりて變通の才なし。劉向文「──之人、不足與言事」
○物事にかかはりひきつけられる。揚雄、大玄賦「蕩然肆志、不──兮」○手足のひきつけられて痛む病の名。
ケン カン [鹽]
○脅 オビヤカ し持つ、檢束する。○はさむ。○つぐむ(緘束)箝·鉗と通ず。
口をつぐむ。漢書、鼂錯傳「天下之士──、不敢復言矣」=箝口〔漢書、袁盎傳〕
シン ケン [軫]
○ひきねぢる(引戾)○つく、持ち著く。
いだき持つ。淮南、精神「雖天地覆育、亦不與之──矣」
シユ チユ [麌]
通音チユウ
○ささふ、ささへ(支)「支─」「撐─」○そしる(諷刺)○ふせぐ(距)○さす、旁より指す。○柱に通ず。
おとがひをささへる。戰國策「大冠若箕、脩劍──」
ほほづゑをつく。韓愈詩「人愁方──」
しゃくにてほほづゑをつく、手版を以て頰を拄 ササ へる。蘇軾詩「朝來──看西山」
○杖をつく。魏略「乃託病──」=扶杖。○轉じて杖をいふ。幻影傳「──何在、可擊之」=拐杖。
①セウ [蕭]
②ケウ·ゲウ [蕭]
①まねく、手にて呼ぶ、手を以てするを─、口を以てするを召。○招きて來らしむ「徵─」「嘉─」「─牌」「─禍」○もとめる(求)「─」賢」○ほだす(?)しばる、ひきつなぐ(牽繫)孟、告子「又從而─之」○あづち(埻)○まと(的)○舜の樂「徴─」「角─」○─搖はぶらぶらとさまよふ貌。又、星の名。
②あげる(擧)周語「好盡言、以─人過」○かかげる、かかげあげる(揭)莊、騈拇「有虞氏─仁義以撓天下」
まねき來らしてなぐさめる。後漢書、班超傳「今可遣使──、與共合力」=招撫。
まねきいざなふ。晉書、江統傳「或──安撫、以爲己用」
まねく。北齊書、韓軌傳「韓軌字晉明有俠氣、好酒誕縱、──賓客、一席之費、動至萬錢」
まねきよせて酒をくむ。=招宴。
左思、字は太冲の作、文選に出づ、天下の溷濁を思苦す、故に隱者を招尋し、退きて仕へざらんことを欲するの意を述ぶ。
○招きて來らしめる。趙冬詩「江外多山水、──步馬來」=招邀。○邀 ムカ へ求める。杜甫詩「──恩禮至、崇重力難勝」
○さまよふ貌。揚雄、甘泉賦「徘徊──」=逍遙。○ぶらぶらと動く貌。漢書、禮樂志「體──若永望」○北斗の第七星。淮南、時則「──指寅」
○まねきむかへる。邀は迎、宴會などに招きよぶ。李白詩「灑掃黃金臺、──靑雲客」=招要。
まねきひく。漢書、梁孝王傳「──四方豪傑」=招引。
敵をさとして降參をすすめる。
吉を招き凶を禦ぐ。周禮「掌以時──禬禳之事、以除疾殃」
臣下の諫言を求むる爲めに設くる投書箱。宋史、高錫傳「錫徒步詣───上書」
さしまねく。荀、成相「呂尙──殷民懷」=招致。
わざはひをまねく。張說、獄箴「虐則──、寬則納慶」
よびあつめる。論衡「待士下客、──四方」=招集。
よぶ。册府元龜「令──不得輒傷害」
賢人を招き求める。戰國策「燕昭王卽位、卑身厚幣、以招賢者」
まねきよぶ。蘇軾詩「──明月到芳樽」
○死者のたましひをまねきかへす〔儀禮、士喪禮、注〕○生者の精神を招き復す。史、屈原傳贊「余讀離騷天問──哀郢、悲其志」
國 國家の事に殉死 ジユンシ せし人の靈をまつる神社。今の靖國神社の舊名。
死人にゆくゎんを使はせる牀。
えらびとる。宋史、高宗紀「命──三千人賜名必勝軍」
まねきあつめる。後漢書、馬援傳「──豪傑、曉誘羌戎」=招會。
まねきあつめて安んぜしむる。宋書「──流民」=招緝。
まねく、おとづれる。駱賓王詩「柳外狎──」
支那にて政府所轄の汽船の事を掌る役所、淸朝の同治十一年より始まる。
はづかしめをまねく。大戴禮「言有招禍、行有──」
人を招待する。魏志、張範傳「備禮──」
まねく。詩、邶風「招招舟子」疏「以手曰招、以口曰召」
手にてよぶ貌。前條を見よ。
まねきてもてなす「──狀」=招請。
寺をいふ。梵語、拓鬬提舍の轉訛、四方僧侶の集り住する義。僧史「後魏始光元年、創立伽藍、爲──之境」=拓提。
戰時中、歸順する者を招き、敵する者を討つ官。招降討叛の義〔唐書、百官志〕
まねき來らしむ。史、孟嘗君傳「──任俠姦人」=招來。
俗 請待狀。又、引札、廣告。
かんばん(看板)莊、騈拇「有虞氏招仁義以撓天下也」注「招猶今人言──」
賓客をまねく。林景熙、賓月堂賦「主人擧手──、賓已在西山之西」
招きやすんずる。後漢書、西域傳「千餘人、屯伊吾、以──之」
禮を厚くしてまねく。梁書、武帝紀「上以時──」
官よりまねきめす。辟は召。蔡邕文「前後──使人曉諭」
まねきつのる。又、其のつのられたる兵士。後漢書、光武紀「──猛士」=召募。
人をまねき來らしむ。史、大宛傳「大夏之屬、皆可──而爲外臣」=招致。
まねきて其の心をひきよせる。陸機、辨亡論「長沙桓王、逸才命世、弱冠秀發、──遺老與之述業」
○すずしさをひく。拾遺記「燕昭王時、有黑蚌珠(中略)王嘗懷此珠、當隆暑、體自輕涼、號銷暑──之珠」○扇の異名。
①セキ [陌]
②タク [藥]
①ひろふ(拾)○をる(折)張衡賦「─若華而躊躇」
②ひらく(斥開)ひろげる「開─」○ひろし(廣)○うく(承)○おす(推)手にて物を推しつける。轉じて手にて碑を搨 ス る義「宋─」「明─」=搨。
同訓異義
ヒラク 拓·開·闢·啓·披等の別は開(門部四畫)の條を見よ。
開墾と殖民と「──銀行」=拓地殖民。
寺をいふ。後人誤りて拓を招に作る。杜甫詩「更宿──境、蘭若秋風晚」
土地をひらく。一國の領土を擴張する。唐書、吐蕃傳贊「明皇有逸德、而──太大」=開地。
いしずり、古の碑帖を摹印せし本。法帖譜系「往年──、猶有典刑」=搨本。
○ふしあはせ(不遇)おちぶれる。揚雄、解嘲「何爲官之──也」=落魄。○廣大なる貌〔魏都賦〕
セツ [屑]
○つたなし、へた。巧の反對「迂─」「駑─」○かがむ(屈)○己の謙稱。=愚。○己の物事に添へて謙辭とす「─文」「─妻」
拙吟に同じ。
拙きを匿してあらはさず。世說、輕詆「徐常侍聘齊、時魏收文學、北朝之秀、收錄其文集以示徐、令傳之江左、徐速濟江沈之曰、吾爲魏公──」
つたなきを守りて己の分に安んずる。陶潛詩「開荒南野際、──歸園田」
つたなくおろか。抱朴子「以切磋之至言、爲──」
はとをいふ。巢を營むに拙き故。禽經「拙者莫如鳩、巧者莫如鶻」=拙鳥。
つたなき詩歌。=拙詠。
仕宦の術に拙くして下位に在るをいふ。宋之問詩「以予慚──、期子遇良媒」
つたなきはかりごと。晁補之詩「──安足爲」=拙策。
己の妻の謙稱。水滸傳、第六回「與──一同來」荊はいばらの釵 カンザシ にて貧賤の義。=荊妻·拙妻。
つたなき生業 チリハヒ 史、貨殖傳「田農──也、賣漿小業也」
つたなき職人、へたな大工。孟、盡心「大匠不爲──改廢繩墨」
己の妻の謙稱。李白詩「──好乘鸞」=山妻·荊妻·拙荊。
つたなき出來、己の詩畫などを謙していふ。
つたなきはかりごと。=拙計·拙謀。
道藝は、天才劣れる者も久しく之を修むれば、自然に上達するをいふ。詩人玉屑「東坡詩云、貧家淨掃地、貧女巧梳頭、下士晚聞道、聊以拙自修」
○才能のつたなく劣れる人。漢書、貨殖傳「──不足」○ 國 己の謙稱。=小生。
へた。古詞「微物雖輕、──所作」
つたなけれともまごころあり。說苑、說叢「巧詐不如──」
僧侶が自分をいふ謙稱。=愚僧。
つたなけれどもはやし。孫子、作戰「兵聞──、未覩巧之久也」
辯舌のつたなきをいふ。謝靈運詩「──謝浮名」
業つたなく志弱し。何遜詩「──終難化」
○つたなきふで。東觀餘論「字無鋒穎、若──書」○粗末なるふで。白孔六帖「李繁下獄從吏、求──、著家傳」○己の書きし文字の謙稱。
つたなきはかりごと。=拙計。
つたなくおろか。暢當詩「──難容世」
つたなくおとる。白居易詩「──才何用」=劣薄。
タ タ·ダ [歌]
或は拖に作る
ひく(曳)拕舟 タシウ ふねをひく。漢書、嚴助傳「輿轎而踰嶺、──而入水」
拕(前條)に同じ。
ひく。論、鄕黨「加朝服─紳」
ひく。魏志、注「犬不能行、復令步人──」
比目魚 カレヒ の異名〔嶺表錄〕
むらさきの印綬をひく。高位に登る義。晉書、儒林傳、論「紆靑──、服冕乘軒」
①ダ·ナ [麻]
②ヂヨ [魚]
通音ダ挐に通用す、拿は俗字
①つかむ(攫)つかみ合ふ。○ひく(牽·引)○とらふ(捕)罪人を拘捕する。
②ひきからまる(連引)漢書、嚴安傳「禍─而不解」○もむ(揉)
つかみ合ふ。西京賦「熊虎升而──」
とらへる。=拿捕。
①タク [陌]
②セキ [陌]
一に坼に作る
①ひらく(開)「開─」○さく(裂)われる。易、解卦「百果草木皆甲─」種子の殻皮がさけて芽ぐむ。○こぼつ、やぶる(毀)わかる(判)○とく(解)○上海語、─梢は詐りて財を取る。○─字は占卜の一種。二老堂雜志「謝石善─字」字を分ちて占ふ、松を十八公、貨泉 ゼニ を白水眞人と呼ぶ類。王莽の時に劉字を卯金刀といひしに始まる。
②うつ(擊)
同訓異義
ヒラク 拆·開·闢·辟·啓·發·披等の別は開(門部四畫)の條を見よ。
かひこのすをわかつ。陸游詩「戶戶吳蠶──時」
さく。張融、海賦「鼓怒則九紐──」=坼裂〔後漢書、五行志〕
①タン [旱]
②ケツ [屑]
①はらふ(拂)○うつ(擊)○俗に借りて擔に通用す。
②あぐ、あがる(擧)○かかぐ、揭に通ず。
あがる。楚辭、遠遊「意恣睢以──」=軒擧。
チ [支]
○うつ、むちうつ(擊)=笞。○俗に音 タイ 兩人以上にて共に物を擧ぐる、擡擧の擡と同用。
ヂ デイ [紙]
○ゆびさす(指)(手指物)○とどむ(止)
チゥ [尤]
○ひく(引)引き出す。○ぬく(拔)拔き取る「─矢」○のぞく(除)除き去る。詩、小雅「言─其棘」ばらのとげを除去する。○をさむ(收)○植物の芽を出すをいふ。束晳詩「木以秋零、草以春─」○俗語、全部中に就きて若干を取る義。
同訓異義
ヌク 抽·擢·挺·拔·揠·脫の別は擢(手部十四畫)の條を見よ。
草木のめをぬき出す。又、ぬきでたるめ。茶苑總錄「嫩葉──」
種種の色をとり合はす。四六文の對句を作るにいふ。柳宗元、乞巧文「────啽哢飛走」
つるぎをぬく。=拔劍。
やをぬきとる。詩、鄭風、傳「──以射」
衆人の中よりぬきだしてすすめのぼす。南史「後蒙──」
心理學にて、個個別別の具體的觀念より共通の點をぬき出し、之を總合して一の新らしき觀念とする心のはたらき。具體の對。
文法にて箇箇別別の具象より引き出したる性質をあらはす名詞、例へば美·惡·黑·白などの類。
衆中よりひきぬきてほめる。呂溫文「曾未踰年、忽蒙──」=超奬。
前條に同じ。
ぬき出す、ひき出す。
たけのこが出る。歐陽修詩「新篁──添夏影」
○くじをひく、くじひき。○神佛を祈り?を引きて吉凶を判斷する。幸蜀記「──得逆天者殃四字」
衆中よりぬき用ふる。急就篇「──推擧黑白分」=拔擢·抽拔。
ひきだし、斗は總てますの形せしものにいふ。=抽匣。
俗 手數料。
多くの書物の中から或書を拔き取りてよむ。李頻詩「架書──亂、庭果摘嘗稀」
衆中よりひきぬき用ふる。吳志、陸遜傳「乞普加覆載──之恩」=抽擢。
ひきさく。魏書、子業傳「刳剔支體、──心藏」烈は裂、藏は臟。
チツ [質]
むちうつ(笞擊·撻)左、襄十七「─其不勉者」
①テイ [薺]
②シ [紙]
①おす(推)おしおとす(擠)○ふる(觸)觸れをかす。○さからふ(忤)○あつ、あたる(當)=觝。角─は角觝。○いたる(至)漢書、禮樂志「─冬降霜」○いたす(致)○おくる(歸)○よりたのむ(憑託)○なげうつ(擲)後漢書、禰衡傳「毀以─地」○ふせぐ、こばむ(拒)排して相距ぐ。○大─は大凡の義。史、酷吏傳「大─盡詆以不道」=大槪。
②うつ(擊)漢書、朱博傳「奮髯─几」=扺。
同訓異義
アタル 抵·中·丁·直·方·亭の別は中(五二頁三段)の條を見よ。○イタル抵·至·到·臻·詣·造·格·戾等の別は至(部首六畫)の條を見よ。
はりあふ、てむかふ「──力」
いましめををかす。漢書、匡衡傳「吏民觸法──」
ふれさかふ。漢書、司馬遷傳、贊「甚多疏略或有──」=抵觸。
罪の輕重にしたがひて相當の刑にあてる。史、高祖紀「傷人及盜──」
死に至る。又、死罪に當てる。
たなごころをうつ。勢よく手をうちて話す。戰國趙策「──而談、趙王大悅」抵一に扺に作る。=鼓掌。
○ふれあたる、ふれをかす。周禮、封人、注「福衡所以令不得──人」○兩事互に矛盾するをいふ。
○ひきあて(擔保)しちぐさ。=抵押。○法律にて──權の目的物。
つきあたる。後漢書、臧宮傳「內國憂其──」=唐突。
うちやぶる。後漢書、劉聖公傳「──書案」
おしのける、抵抗し排斥する。
さからひをかす、刑律を觸犯する義。漢書、禮樂志「習俗薄惡、民人──」
デン ネン [鹽]
○ひねる(?)○つまむ「─香」杜甫詩「舍西柔桑葉可─」
香をつまみくゆらす。祖庭事苑「釋氏之作佛事、未下嘗不以──爲先」=燒香。
佛 釋迦、蓮華を拈りて衆に示ししに、衆其の意を解せざりしが、迦葉獨微笑せり、これ其の意を悟りしにて、以心傳心の妙處なり、よりて釋迦は之に佛敎の眞理を授けたる故事。五燈會元「世尊在靈山會上、拈華示衆、是時衆皆寂然、惟迦葉尊者破顏微笑、世尊云、吾有正法眼藏涅槃妙心實相無相微妙法門、不立文字、敎外別傳、付囑摩訶迦葉」
ひねり山す、謀計、又、字句を案出する。楊萬里詩「──老謀開宇宙、本來淸尙只雲泉」
ハイ [卦]
○をがむ、おじぎする、體をかがめて敬意を表する「伏─」「起─」「迎─」「遙─」「跪─」○おじぎ。周禮、春官、太祝「太祝辨九─」○かがむ(屈)かがめ折る。詩、召南「勿翦勿─」○官を授ける。いただく、ありがたく受ける「─恩」○手紙又は談話の時などに敬意を表する爲めに添へる「─觀」「─借」「─呈」
官を授けられる。易林「邀於嘉國、──逢時」
兩手を上下し、又、兩手を推して胸につける禮。唐書、王績傳「性簡放、不喜──」
つつしみてまみえる〔史、袁盎傳〕
めぐみをかたじけなくうける。北史、王晞傳「受爵天朝、──私室」
つつしみてよろこびを申す。通鑑、後梁均王紀「帥羣臣──」
お目にかかる。對面の敬語。=拜眉·拜芝。
をがみてひざまづく。十六國春秋「爾拜爾跪、而不祗命、斯小臣之罪矣」
金錢をあがめ尊む主義。
兩手をこまぬきて禮を爲す。朱松詩「衰病脫──」
つつしんでつぶさに申し陳べる。手紙の尾にかく語。=敬具。
火を神としてをがむ宗敎、波斯 ベルシヤ のゾロアスター敎の類。
官に就く時、君の前に拜す、故に任官の義とす。夢溪筆談「唐制丞郞──、卽籠門謝、今三司副使已上──、則拜舞于階上」
觀るの敬語「寶物──」
禮拜してむかへる。禮記「不敢──、而拜送」
つつしんで申し上げる。手紙の首にかく語、啓は陳述。=拜白·肅啓。
○貴人にまみえる。史、封禪書「敬──焉」○みることの敬稱「貴簡──」
拜顏に同じ。芝は芝眉、人の顏色をいふ敬稱。=拜眉。
たまものをいただく。禮記「君賜車馬、乘以──」
○ことわるの敬語。恭しくじたいする。○わかれ去るの敬語、つつしんで御暇乞をする。
官職を授けられし時に奉る御うけ書。南史、蕭子雲傳「自製──、便有文采」
借るの敬語。
頭を手の邊まで下げる。公羊、宣六「趙盾逡巡北面、再拜稽首」注「頭至地曰稽首、頭至手、曰──」=拜首。
たまものをいただく。禮、玉藻「大夫親賜士、士──」=拜戴。
拜して頭、手に至る。書、益稷「皋陶──稽首颺言」
官をさづけあたへる。漢書、翟方進傳「卽軍中──」
拜してはしる。貴人の前に進み、又は其の家を訪ふにいふ。薩都剌詩「奉觴酌酒前──」
立春を賀する禮。淸嘉錄「立春日爲春朝、士庶交相慶賀、謂之──」
人の文書を讀むにいふ敬語。=拜讀。
つつしみてみことのりをうける。北齊書、宋世良傳「除淸河太守、聲問甚高、齊天祿中、大赦、郡先無一囚、羣吏──而已」
宋の米芾(元章)をいふ。石林燕語「米芾好奇石、知無爲軍、初入州廨、見立石頗奇、喜曰、此足以當吾拜、遂命取袍笏拜之、每呼曰石丈、爲言者所彈、時人呼芾、曰────」
つつしんでいただく。=拜受。
をがみいのる。宋史、列女傳「呂仲洙女名良子、父得疾、女焚香祝天、請以身代、女弟細良、亦相從──」
官にぬき用ひられる。後漢書、蔡邕傳「其未及者、亦復隨輩皆見──」
つつしみてこたへる。唐書「諫者──不暇」
石崇の故事より、貴人に阿 オモネ り事ふるにいふ。晉書「石崇與潘岳、諂事賈謐康成君、每出崇降車路左、望塵而拜」
つつしみてきく。=敬聽。
官に任ず、前官を除きて新官に拜する義。後漢書、第五倫傳「刺史太守以下──京師」
神社の本殿の前面にある建物、參拜を行ふ所。
冬至の日に行ふ賀禮〔淸嘉錄〕
讀むの敬語「貴翰──」=拜誦。
つつしみてをさめる。戰國策「願──之於王」
新年拜賀の禮。熙朝樂事「正月元旦、夙興盥嗽(中略)姻友投箋、互拜謂──」
首を垂れて禮をする、おじぎする。唐書、禮樂志「──伏興之節」
をがみふす。北史、齊孝昭帝紀「唯唯泣──、竟無所言」
こたへるの敬語、つつしんでお答へ申す、手紙の用語。=敬復。
庶物を神としてをがみまつる宗敎。
ぬかづきて兩手をささげて受ける、恭しく受けとる。曾鞏詩「──恩書喜滿顏、馬蹄遙望斗杓還」=拜受。
○おほせをうけたまはる。岑參詩「──宣皇猷」○官に任ぜられる〔南史、歐陽頠傳〕=拜官。
拜顏に同じ。=拜眉。
見るの敬語。=拜觀。
○禮物を受ける。類書纂要「──人禮、曰──」○ 國 貴人よりのたまものをいただく。
おじぎをする。又、其の敬禮。史、孔子世家「將往──」
ハウ [肴]
抛は俗字
○なげうつ(擲)○すつ(棄)
なげすてる。=抛擲。
古、軍中にて投石の用に供へし車。康熙字典「軍中以機發石曰──」=霹靂車。
酒の名、唐人酒に名づくるに皆、春といふ。韓愈詩「百年未滿不得死、且可勤買───」
なげうつ、なげやりにする。白居易詩「洛下田園久──、吳中歌酒莫畱連」
數學にて圓錐曲線の一、平面上の一定點と一定直線とより等距離の諸點を連ねたる曲線、物を斜に抛つ時、其の物が地球の引力に感じて曲り畫く曲線。
ハウ ヒヤウ [庚]
○罪をあばきただす、彈劾する。○しむ、せしむ。=俾·使。○したがふ(隨)
罪をしらべあぐ。劉克莊文「其──也、霜威之凌厲、其吹噓也、春意之發生」=抨彈。
①ハウ·ホウ [皓]
②ハウ [肴]
③掊·捊に同じ。 []
①だく、いだく(懷)かかへる、兩手にてかこむ。○持ちまもる(持守)「─一」「─義」○さしはさむ(挾)○もつ(持)とる(執)○むね、かんがへ「─負」むねにおもふ(胸懷)「懷─」○雲氣が日に向ふ。
②すつ(棄)なげうつ。=抛。○ 國 カカヘル 雇ひ入れる、家來 ケライ にする。○ カカヘ やとひ人、家來。
同訓異義
イダク 抱·擁·懷○抱は手にてかかへ持つ義、抱レ子·合抱之木などと用ふ、懷抱と連用す、物に限らず事にもいふ。禮記「抱レ義而處」○擁はまはりへ兩手を引きまはす義、取り圍む義にも用ふ、擁レ衾は我が身のまはりへ、ふすまを引きまはすをいふ。韓愈詩「雪擁二藍關一馬不レ前」又抱と同じく、かかへる義にも用ふ。史記「帝方擁二戚姬一」○懷はふところへ入れる義、懷レ子は小兒をふところへ入れるなり。又、物を祕藏するにも用ふ。左傳「匹夫無レ罪、懷レ璧其罪」
病にかかりゐる。朱熹詩「──守窮廬」
いだきかこむ「──攻擊」=包圍。
一をいだき守る、道をたもつ。老子「聖人──爲天下式」一說、守約に同じ、一は少の極なり。
○だきあふ。=抱圍。○化學にて異種類の物が物質上の變化なくして一っの物になる。
正しき義理をいだきたもつ。禮記「──而處」
○たまをかかへもつ。劉向、新序「荊王立、和抱其玉、晝夜哭」○轉じて心に智德をいだくに喩ふ。後漢書「──乘龍」
心に思ふ。又、こころざし、かんがへ、抱負。=懷抱。
關は門の開閉をするかんぬき、門番と拍子木を打ちて夜を警むる者と。共に位ひくき役。荀、榮辱「────、而不以爲寡」孟、萬章「────者、皆有常職」
月をいだく。夏侯湛、禊賦「朝春挺葩、夕霞──」
ひざをかかへる。白居易詩」邯鄲驛裏逢冬至、──燈前影伴身」
竹の異名。蘇軾の詩に見ゆ。
飾らざるきぢを保つ。漢書「兆民反本、──懷樸」=抱樸。
住は止、だきとめる。仕學大乘「妻蔡氏──之」
八卷、晉の葛洪撰す、內篇は神仙修煉の事を論じ、外篇は時世の得失、人事の是非を論ず。
自ら刻苦勉厲する義。吳越春秋「目臥則攻之以蓼、足寒則漬之以水、冬常──、夏還握火」
物をいだくと、おふと。後漢書、儒林傳序「四方學士、莫不──墳策、雲會京師」轉じて心にいだくかんがへ。
捧腹の誤。
其の本來の眞性を守りて物欲に煩はされざる義。老子「見素──、少私寡欲」=抱素。
だきかかへてそだてる。管子「傅太后──之」
すきをもつ。陸游詩「──新湖葑、燒畬古廟壖」
ハク ヒヤク [陌]
○うつ(拊·搏)たたく、手のひらを打ち合せて聲を出す「─手」○樂曲の節 フシ 「舞─」「胡笳十八─」○膊に同じ。周禮「饋食之豆、其實豚─」○─賣は競賣 セリウリ
同訓異義
ウツ 拍·搏·打·撲·征·討等の別は征(彳部五畫)の條を見よ。
○音曲の抑揚疾徐の調子を助けそろへる義。國○ ヒヤウシ 義は上に同じ。○ころあひ、はずみ、機會。
てのひらをうつ。葛長庚詩「凭欄──呼」
てをうつ。晉書、藝術傳「我昨夢舍中馬舞數十人向馬──、此何祥也」=鼓掌。
てをうちてほめそやす。
○もろはの刀〔湧幢小品〕○甚だ長ま佩刀〔大雲山房雜記〕
せりうり。= 國 競賣。
ばたばたとうつ貌。鳥の羽音などにいふ。韓愈詩「靑泥掩兩翅、──不得離」
拍子を取る爲め打ち鳴らす板、堅木三片を用ひ、其の二を束ね、一片を以て之を拍ち、以て樂を節するもの〔野記〕元史、禮樂志「──制以木爲板、以繩聯之」
○股をうちたたく。後漢書「──仰天而笑」○佩刀の短きもの〔王晫、兵仗記〕
水をおよぐ。樂善錄「少年恃其善──、解衣赴水」=浮拍·泅水。
①バツ [黠]
②バツ [曷]
③ハイ [泰]
?は俗字
①ぬく(抽)引きぬきて取る。韓愈、送溫處士序「朝取一人焉─其尤」ぬきんづ(擢)「─擢」○うつす(移)易、乾卦「確乎其不可─」○はなる(離)たつ(絶)史、孝武紀「龍髯─」
②めぐる(回)○とし、はやし(疾)○にはか(猝)○ひとりだつ(特立)○やはず(矢末)○のぞく(除)史、淮陰侯傳「─趙幟」○城を攻め落す。攻めて之を擧ぐ「攻─」○やどる(舍止)=茇。
③木が柯 エダ と葉とを生ずる。
同訓異義
ヌク 拔·擢·挺·抽·脫の別は擢(手部十四畫)の條を見よ。
綱引きの遊戲。景龍文館記「中宗幸梨園、命侍臣、爲──之戲、以大麻絙兩頭繫十餘小索、每索數人執之以挽、力弱爲輸」
官吏の無試檢にて採用せらるる義。隨園隨筆「外府不試而貢者、曰──、見國史補、大抵卽免解也」
距は雞のけづめ、角は獸の角、反賊の利器を奪ひ取るに喩ふ。韓愈詩「或拔其角、或脫其距、長驅洋洋、無有齟齬」
にはかにおこる、拔は猝。漢書、陳項傳「──隴畝之中」
人をぬき取る遊戲、距は拒、防禦を侵して捕へる義。漢書、甘延壽傳「投石──、絶于等倫」
羣衆中よりぬき出でてまさる。梁書、劉顯傳「聰明特達、出類──」=冠羣·超羣·拔萃。
つるぎをぬく。呂覽「要離中江──、以刺慶忌」=拔刀。
勇壯なる氣象を形容する。史、項羽紀「項王乃悲歌忼慨、自爲歌曰、力拔山兮氣蓋世、時不利兮騅不逝兮、騅不逝兮、可奈何、虞兮虞兮奈若何」
衆人中よりみとめしる。子華子「──俊良」
衆人中よりぬきすすめる。漢書「閉絶私路、──英雋」
のじゅく、野宿。左、僖十五「秦獲晉侯以歸、大夫反首──從之」注「反首、亂髮下垂也、拔、草也、舍、止也」
ひきあげて官をさづける。曹植文「觀陛下之所──」
ぬきでる。又、衆中よりえりぬく。
多くの聚まれる中より特にぬきんでる、拔は特起、萃は聚。孟、公孫丑「出於其類、拔乎其萃」=出羣。
ぬきえらぶ。唐書、陸贄傳「勞神于──、端拱于委任」
俗人の上にぬき出る。後漢書、仲長統傳「至人能變、達士──」=超俗。
刀をぬく。又、ぬきみ。
衆中よりぬき用ふる。漢書、孔光傳「今復──、備內朝臣」
いかりをあげて船出す。=解纜·開帆。
ねもとをぬく、根源にさかのぼりて正しく處置すろ。原は源。左、昭、九「伯父若裂冠毁冕、────」
疾 スミヤカ に來る。禮、少儀「毋──」
バツ [曷]
通音マツ
○なづ(摩)○ぬる「塗抹」なする、亂れぬるを塗といひ、長く線を引きてけすを─といふ「塗─」「一─」「濃─」杜陽雜編「卽濃筆─之」○けす、はらふ(掃滅)○末に通ず、こな「─茶」「─香」
○粉末にせしかう。=末香。○ 國 しきみの葉と皮とを乾かして細末にせしもの。○かうをたく。=燒香·拈香。
○ぬりけす。釋名「摩挲猶──」○消して無くする。漢書、谷永傳「──災異」=抹摋。
けす、はらふ。韓愈、孟東野墓誌「惟其大翫於辭、而與世──」=抹殺。
すりつける。
ひきちゃ、石臼にてひきて細末にせし茶。
ぬりけす。
①ハン [寒]
②バン ハン [旱]
①すつ(捐棄)なげうつ(揮棄)俗に誤りて?を用ふ。
②わかつ(分·析·割)「─蚌」=判。○わる(割)○俗に調和する義、かきまぜる。
はまぐりをわりて珠を取る。史、龜策傳「鐫石──、跷賣于市、聖人得之、乃爲大寶」
①ヒ [支]
②ヒ [紙]
①ひらく(開·發)史、五帝紀「黃帝─山通道」ひろげる、うちあける。漢書、鄒陽傳「─心腹見情素」○わかつ、分けてやる。左、昭五「─其邑」わかる(分析)○きる、衣服を著る(被)○なびく(靡)○──は長き貌。又、解け亂るる貌。
②さく(裂)史、范雎傳「木實繁者─其枝」○─靡はふるひおそれる。又、ばらばらになる。
同訓異義
ヒラク 披·開·闢·辟·啓·發等の別は開(門部四畫)の條を見よ。
ひらきけみす。唐書、段成式傳「祕閣書籍、──皆遍」=披覽。
國 詩歌の會にて其の作りし詩歌を開きて讀みあげる。
かんの臟を開く。心をうちあける。魏志「感知己而──膽、狥聲名而立節」=披腹心。
披懷に同じ。
胸襟をひらく、心をうちあける。陸機、辯亡論「──虛己」=披襟。
あれ地をひらく。太平廣記「──立舍、便聞絃管之聲」
書物をひらき見る。唐太宗詩「──覽前蹤、撫躬尋旣往」
聖人の經書を開き見る。顧雲文「──閱史、無怠于光陰」
○ひらきゑぐる、かきわける。蘇軾詩「──泥沙收細碎」○隱れたる人の祕密をあばく。漢書、薛宣傳「──其閨門」
開き見る。太平廣記、劉根「發車上──」
書物などをひらきしらべる。北史「──書史」
墨染の僧衣をきる、初めて僧になる。高啓詩「──別家人」
はばり、外科醫療に用ふる平たくして刃のつきし針。=披針。
細長くして尖りし葉の形の稱、柳·桃等の葉の類。=披鍼形。
くるひほしいまま。又、さけやぶれる貌。北齊書、王晞傳「萬一──、求退無地」=狓猖。
ひらきはらふ、草莽を開き國を平げる。劉禹錫、廣禪師碑銘「章武皇帝、──經營凡十四年」
まごころをうちあける。韋應物詩「──謁至尊」=披肝。
僧衣を衣、頭髮を剃 ソ =落す、初めて僧となる義。棠陰比事「──幾年」=披緇剃髮。
ひらきのべる。魏徴文「早挹芳猷、未諧──」
ひらきよむ。南史、張纘傳「晝夜──、殆不輟手」
ながき貌。劉向、九歎「服雲衣之──」=被被。
○草木が風に吹かれて散り亂れる貌。司馬相如賦「應風──、吐芳揚烈」○ひらきなびく、震ひ伏す貌。史、項羽紀「羽大呼馳下、漢軍皆──」
きものをきる。又、著物。北史、李公緒傳「露髻──、略無少長之禮」=被服。
枝葉が風に動きて分れる。博異志「絳衣──露盈盈、淡染胭脂一朶輕」韓愈詩「秋風一──」
ちゃうめんをひらく。北史「或忘其年名者、──以審之」披麻 ヒマ 繪畫の皴法の名、麻の葉を披きたる如き石の皴 シユン 南宗畫家皆之を用ふ。
ひらき見る。北史、周明帝紀「性好典籍、──聖賢餘論」=披見。
○ばらばらにひきはなれる。宋玉、風賦「至其將衰也、被麗──」○枝葉の散り亂れる貌。吳均詩「細葉能──」
心の中を少しも隱さずうちあける「肝膽を──す」上官儀、請致仕表「──丹愚、諒非矯飾」
○ひらきあらはす。後漢書、郞顗傳「──肝瞻」○ 國 ヒロウ 廣く人に發表する、ひろめる。又、ひろめ。
①フ·ホ [麌]
②フ [遇]
③フ [虞]
①なづ、なでやすんずる「慰─」左、宣十二「─而勉之」=撫。○うつ(擊·拍)かるくたたく「─心」「─石」○にぎり(握)○つか、つまみ、刀の柄。○樂器、韋を以てつくり、中に糠を入れる、形鼓の如し。
②つく(附著)手を物につける。
③兪─は人名、黃帝の時の名醫。
同訓異義
ウツ 拊·打·撲·拍·征·討·擊等の別は征(彳部五畫)の條を見よ。
つけ加へる。=附益。
琴をしらべる。琴賦「──安歌、新聲代起」拊循 フジユン なでやすんずる。史、司馬穰苴傳「身自──之」=撫循·慰撫。
擊ちならす。禮記「──玉磬」
○ももをうつ。勇み奮ふ貌。後漢書、陽球傳「──發憤」○ももをうちて喜び勇む貎。莊、在宥「鴻蒙──而雀躍不輟」
①フツ [物]
②ヒツ [質]
一音ホツ
①はらふ、はらひ(除)「除─」○さる(去)はらひ去る。曲禮「進几杖者─之」○ぬぐふ(拭)「拭─」○たつ(絶)○夜が左っぱりと明け放れる「─曉」○ためる(矯)○さかふ(逆)たがふ(違)もとる(戾)そむく(背)大學「─人之性」○斜にかすめて過ぐる「春風─檻」○蠅などを追ひはらふ具。─子 ホツス
②たすく(輔)「─士」=弼。○かぜそよぐ貌。○ 國 ハラフハラヒ 代價を渡す「支─」災厄をはらひ除く「厄─」又追放する「追─ オヒハラフ 」
同訓異義
ハラフ 拂·掃·攘·禳·祓·禊·除·撥の別は掃(手部八畫)の條を見よ。○モトル拂·悖·戾·很の别は悖(心部七畫)の條を見よ。
君主を輔弼 タスケル する賢士。孟、吿子「入則無法家──、出則無敵國外患者國恆亡」
風うごく貌。李賀詩「曉風何──、北斗光闌干」
奮ひ起つ狀。左傳「──從之」
はらひさる、掃除する。曲禮、疏「──塵埃也」
よのあけがた。=拂旦·拂曙。
拂子 ホツス をいふ。古、麈尾を用ひて作りし故。
よのあけがた。張說詩「──攜淸賞、披雲覯綠岑」=拂曉。
○けがれをはらひ去る、ふきさうぢをする。南史、殷景仁傳「便──衣冠」○君主の恩遇を蒙る義。器物を取りて用ひんとする時は、必ず先づ其の塵埃を去るが故。李白詩「一朝君王垂──」
よのあけがた。沈佺期詩「──雞鳴仙衞陳」=拂曉。
國 いれもののそこをはらふ義。轉じて甚だ少く、乏しき義。
はらひすてる。南都賦「──羶腥」
そらを掃ふ、天を摩するほどの甚だ高き形容にいふ。王粲、三輔論「建──之旌、嗚振地之鼓」
かほをはらふ。楚辭「長袂──、善留客只」只は助字。
もとる、さかふ〔馬融、長笛賦〕=乖戾·背戾·悖戾。
はぐまの長毛を束ねて、柄を附けたる佛具。比丘、蚊蝱を患ふ、佛、──を作ることをゆるさる〔釋氏要覽〕=麈尾 シユビ ·拂麈。
①ヘツ [屑]
②ヒ [寘]
①ねぢる(捩)○うちたふす(擊仆)
②うつ、批に通ず。
①ヘン [霰]
②ヘン·ホン [元]
③フン [問]
①うつ、てをうつ(拊手)=抃。○まふ(手舞貌)
②ひるがへる、ひらひらと飛ぶ。ひるがへす。=飜·翻。
③はらふ、塵を掃ふ。ちりとり「─箕」
ちりとり。=糞箕。
ひるがへりとぶ。詩、周頌「──維鳥」=翻飛。
ヘイ [梗]
或は柄に作る
もつ(持)とる、秉に通ず。
ホ フ [虞]
佈に通ず
○さぐりもつ(捫持)○しきちる(布散)「─徧」○のぶ(舒)
ボウ·モ ボ·モ [有]
通音ボ
○おほゆび、おやゆび(大指·將指)○特に足の大指にいふ。莊、騈拇「騈─枝指」
つめばん、つめいん。おやゆびのさきを印章に代用しておしたるもの。
おやゆび。南方草木狀「甘蕉有三子、大如──」=巨指·擘指。
拳をうつ。=拇戰·搳拳。
ラフ [合]
促音ラツ摺に同じ
○くじく、ひしぐ(摧·折)「摧─「○やぶる(敗)○まねく(招)人を邀 ムカ へて同行する、ひきつれて行く。○風の聲。○─薩は前藏の都、達賴喇嘛の居所。
くちたるものをくだく、物事の容易なるに喩ふ。晉書「將軍之擧武昌、若摧枯──」
わきばらをくじく。漢書「范雎──折齒於魏」=折脅。
枯木ををる、事の易きに喩ふ。晉書「鼓行而前、猶──耳」=拉朽。
手にてひしぎころす。左、桓十八、注「拉公幹而殺之」
種族の名。=臘丁·羅甸。
古、羅馬の盛時、拉丁民族の方言、今各國學術上に之を通用す。
6畫
アン [翰]
○おさへる(抑)○くだす(下)手にて抑へて下らしめる「抑─」○よる(據)○とどむ(止)ひきとめる、抑止する。史、周紀「王─兵毋出」○ひかふ(控)○あぐ(擧)○なでる(撫)「─劍」もみさする「─摩」○しらべる(巡察·考驗·糾問)「收─」「考─」「巡─」○かんがへる、通じて案に作る。
書を講說せんとする前に、講義の練習をなす。續通鑑綱目「當講夕前、──其說」
其の地におちつかせる。史、白起傳「趙軍長平、以──上黨民」
琴の緒を撫でる、琴を彈く。宋書、周郞傳「──拭徽」
かたなのつかに手をかけておさへる。史、平原君傳「毛遂──歷階而上」
調べて證據だてる。
按治に同じ。
罪をしらべてころす。吳志、潘濬傳「沙羨長贜穢不修、濬──之、一郡震竦」
しらべ考へる。後漢書、百官志「──奸宄」
○地方の政治風敎等をみまはり調べる役人。宋代に始まる。○ アゼチ 國 同上の事をつかさどる古の官名「───府」
磁石の針を按じかんがへて、船の進路を定むるもの、水先案內。
維新前、琉球にて王子に次げる高官。
罪をしらべをさむ。唐書、兵志「下御史──」
○よきほどに物の順序を定める。○料理のかげん。=鹽梅。
たづなをひかへとめる。史、絳侯世家「天子乃──徐行」
はらをなでさする、あんま。
罪をしらべたづねる。宋史、王欽若傳「就第──、欽若惶恐伏罪」
或數を種種の割合に比例して分つ算法。
兵をとどめて發せず。字解參看。
あんまとり。春秋繁露「有──法、按者以手揑捺病處也、摩者挼搓之也」孟、梁惠王、趙注「──折手節解罷枝也」
血液の循環を診案する。素問「善診者、察色──」
おさへる。蘇軾詩「至平無──」=抑按。
こよみをしらべる。後漢書、律曆志「──而候之」=考曆。
エツ エイ [屑]
本、抴に作る
ひく(曳·引·拖)地をひきずり行く。
身をひく。朱子語類「康節凡事纔覺難、便──退」
捐(手部七畫)の俗字。
カゥ [效]
校に同じ
○くらぶ(比·角)彼と此とをくらべる。○はかる(計·量·度)數をはかる。漢書、賈捐之傳「貫朽不可─」○むくゆ(報)論、泰伯「犯而不─」○かんがふ(撿·考)學者の德行道藝などの優劣をはかり考へる。禮、學記「中年考─」正字通「明末、熹宗ノ諱ヲ避ケテ、校省シテ挍ニ作ル」
同訓異義
ハカル 挍·計·謀·圖·量·度·稱·測·料·忖等の別は計(言部二畫)の條を見よ。
カゥ コウ [皓]
通音ガウ
○かすむ(掠)○うつ(打)罪を白狀さす爲めに打つ。
拷問に同じ。
苦めてきびしく罪をしらべる。=鞫問·按問。
○かすめとる。=奪略。○うちてしらべる。=榜掠。
①カク [陌]
②カク [藥]
①うつ(擊)格に通ず。魏志、任城王傳「手─猛獸」○たたかふ(鬬)○とどむ(止)○あぐ(擧)
②拫─はひく(牽引)
うちころす。後漢書、董宣傳「叱奴下車、因──之」
つかみあふ、くみうちする。唐書、常衮傳「與軍人──」=格鬭。
①キツ ケツ [質]
②カツ [黠]
①はたらく、手と口と共にはたらく。○とる、もつ(挶持)
②する(轢)○せまる(逼)戰國策「句踐終─而殺之」
手と口と共に作す貌、いそがしく働く形容。詩、豳風「予手──」
①キョウ [腫]
②キョウ [宋]
或は省して共に作る
①こまぬく(斂手)兩手の指をくみ合せて敬禮する。論、微子「子路─而立」○とる(執)兩手で合せ持つ。又、それ程の大さ。左、僖三二「爾墓之木─矣」○大いなる璧 タマ 珙に通ず。
②をさむ。○こまぬく。
次條に同じ。挹は揖。
兩手をこまぬきてゑしゃくする。揖は手を胸に著けて敬禮する。宋史、呂端傳「肅然──」=拱挹。
四方の民が天子の德化に歸する義。論、爲政「子曰、爲政以德、譬如北辰居其所、而衆星共之」に本づく、共·拱通ず。宋史「式奬──之志」=拱極。
○兩手の指を合せてこまぬく、人を敬ふ禮。曲禮「遭先生于道、趨而進、正立──」○手を組みゐて何事をもせず。後漢書、公孫述傳「天水隴西、──自服」
兩手もて園む程の大さの木。陳子昻文「宿草滋蔓、──荒涼」
巤の一種、人を見ればこまぬき立つが如くするによりて名づく。關尹子「師──立禮」=禮巤。
拱は兩手にて圍む、把は片手にて握る。孟、吿子「──之桐梓、人苟欲生之、皆知所以養之者」
大いなる玉。左、襄二八「與我其──」=珙璧。
キヨウ キヨク [腫]
てかせ(兩手共一木)周禮、秋官「上罪梏─而桎」
①クワイ·ケ [卦]
②ケイ [齊]
通音ケイ
①かく、かかる(掛·懸)ひっかける「─冠」「懸─」○かぎる(畫)○ささはる(礙)=罫。
②わかつ(別)分ちて明かにする。莊、漁父「─功名」一解にとる(鉤取)
同訓異義
カカル 挂·掛·係·懸·嬰·繫等の別は係(人部七畫)の條を見よ。
錫扙をかく、僧の一處に畱まるにいふ。釋氏要覽「僧止所住處、名──」僧の遊行を飛錫といふの對。
もれる、挂は登記、此を記して彼を漏らす義。周伯琦詩「紀勝猶──」
かんむりをかく、官を退くにいふ。祖鴻勳、與人書「東都有──之臣」=挂冠。
みの、簑。江爲詩「春雨滿──」=雨衣。
かんむりをかく、官を退くにいふ。後漢書、逢萌傳「萌謂友人曰、三網絶矣、不去禍將及人、卽解冠挂東都城門、將家屬浮海、客於遼東」=解冠。
齒牙にかける。史記「何足挂牙齒閒」論ずるに足らざる義。
官の印の紐を懸く、官を退くにいふ。元稹詩「陶君三十七、──出都門」=挂冠。
むしろの帆を揚げる。謝靈運詩「──拾海月」
ほをあぐ。杜甫詩「──遠色外、驚浪滿吳楚」=挂席。
暴雨の旋風 ツムジカゼ を帶ぶるもの。洪覺範詩「己收一霎───」
クワツ [曷]
○くくる「包─」むすぶ(結)しめくくる(約束)○ひきくるめる。ひとまとめにする。賈誼、過秦論「囊─四海」天下を統一する。○とづ(閉)○いたる(至)詩、王風「日之夕矣、牛羊下─」○とりしまる(檢)しらべる。○たづねきはめる(根刷)○はず(矢末)=筈。○あふ(會)あつまる。詩、小雅「德音來─」會合する。=佸。○もとどり、髻に通ず。
括春を見よ。
すべくくる。易經「──否閉、賢人乃隱」
文章又は數學に用ふる符號。()〔〕︷︸「」『』の類。
とばりにて花を護る義。玉麈集「穆宗宮中花開、則以重頂帪、蒙蔽欄檻、置惜春御史掌之、號曰──、雲仙雜記、作括香」
囊の口をとづる。轉じて口を閉ぢて言はず。易、坤卦「六四──、无咎无譽」
しめくくる。
生理學にて環狀の筋の名、兩種の纖維あり、一は寬放の用を爲し、一は收束の用を爲す、膀胱の口、肛門等にあるもの。
①ケツ [屑]
②ケイ [霽]
①ひっさげる(提)「扶─」「─壺」禮、王制「班白者、不提─」かけもつ(懸持)○ととのふ(修整)○手をひきてたすける(相扶持)「左提右─」
②かく(缺)○たつ(絶)○わりふ、契に通ず。○板に書したる文書。
手にて持ちあげる。
ひっさげる瓶に容れる位の智慧、智の小なるに喩ふ。左、昭七「雖有挈瓶之智、守不假器」
①ケン [先]
②ケン [元]
③ケン [阮]
①こぶし、にぎりこぶし、五指を屈して握り固めしもの「空─」「握─」「揮─」○こぶしをにぎる。漢書、鉤弋倢伃傳「兩手皆─」○かがむ(屈)○──はうれふ(憂)又まごころある貌。又、ねんごろ(勤懇)又いとをしむ(愛)又うやうやし(恭)又ささげもつ貌。○やはら、武技の一「─法」武備志「─者卽古之手搏也」
②ちから(力)詩、小雅「無─無勇」
③ゆみ。=弮。○ 國 ケン 手指を種種の形に動かして勝負を決する遊戲。
こぶしをふるふ。王延壽、夢賦「揮手──、雷發電舒」=揮拳。
前條に同じ。書評「歐陽詢書、若草裏蛇驚、雲閒電發、若金剛之瞋目、力士之──」
かがまりて拳 コブシ の如し。莊子「其小枝──、而不中規矩」
○ささげもつ(奉持)貌。中庸「得一善、則──服膺、而弗失之矣」一解、まごころある貌。=悃悃·款款。○ねんごろに至る貌、忠謹の義。漢書、貢禹傳「不勝──、不敢不盡愚心」=惓惓。○人を愛する貌。後漢書、馬皇后紀「違慈母之──乎」
ピストル。=短銃。
こぶしにてうつ。南史、魚復侯子響傳」每入朝、輒忿──車壁」
こぶしほどの大さ。
こぶしにてたたかふ。
やはら、こぶしにて打ち合ふ技。柔術の類。
淸代祕密結社の一、拳又、棒を以て人を擊つ術を練習し、外人及異敎徒に危害を加ふるを目的とする亂賊。=義和團。
技擊を善くし、勇ましく力つよし。詩、小雅「無拳無勇、職爲亂階」管子、小匡「有──股肱力秀出于衆者、有則以吿有司」
榮螺 サザエ の異名。
こぶしの如き大いなるくり。孔平仲詩「──自東越」
こひ慕ふ、攣は戀。石介詩「胸中──蟠蛟螭」=眷戀。
コン [元]
○急に引く。○おす、しりぞく(排擠)
サツ [曷]
○せまる(逼)韓愈詩「漰騰相排─」雪の降る形容。○挨─ アイサツ は推しのけて進む。○ 國 挨─ アイサツ はゑしゃくする、答禮、應對。
シ [紙]
○ゆび「手─」大─は拇─、第二は食─、第三は中─、又、將─、第四は無名─、第五は小─。○さす(斥)ゆびさす、さししめす(示)大學「十手所─」○さしまねく(麾)○おもむき(歸趣)趣旨。孟、告子「言近而─遠者、善言也」○むね、こころばせ(意向)「意─」「要─」漢書、孔光傳「不希─苟合」=旨。
同訓異義
サス 指·刺·倳·螫の別は刺(刀部六畫)の條を見よ。
むね。史、孟子荀卿傳「因發明序其──」=旨意。
鳳仙花 ホウセンクワ の異名。其の花にて指甲を染めるが故。
さしづする。史、淮陰侯傳「雖有舜禹之智、嘿而不言、不如瘖聾之──也」=指麾。
軍隊を指揮する長官。
さしまねく。旌 ハタ の類にてさしづするにいふ〔荀、成相、注〕孫楚、爲石仲容與孫皓書「謀力雲合、──風從」=指揮。
○手指にてゑがきて、懇に示しをしへる。禮、玉藻「凡有──於君前用笏」○ シグワ 指先に墨をつけてゑがく、唐の張璪に創まる。
ゆびわ。南史、阿羅單國傳「獻金剛──」=戒指。
○ゆびさしかへりみる。陳師道詩「句裏江山隨──」○轉じて手に取る如く近く見える義に用ふ「──の閒に在り」○迅速をいふ。張衡賦「──倏忽」
指のつめ。後漢書、戴就傳「以大鍼刺──中」唐書、文藝傳「李賀七歲能辭章通眉長──」
ささヘる。唐書「首尾──」
○ゆびさししめす。漢書、蕭何傳「發蹤──獸處者人也」○さしづする、命令。
文法にて事物をゆびさししめすことば、其·此·彼などの類。
事を指さして人を使ふ。曲禮「六十曰耆、──」
六書の一、其の字の形が直に其の意義を示すもの、上·下·本·旦などの類。
○磁石 ジシヤク のはり。○磁針は常に北を指して方角を示すにより、轉じて、しるべ、敎導の義とす。
たなごころをゆびさす。事の甚だ爲し易き義。禮、仲尼燕居「治國其如指諸掌而已乎」
さし示してをしへさづける。晉書、文帝紀「奇畫──、制勝千里」
おもむき、むね、宗旨意義。孝經序「會五經之──」=旨趣。
ゆびさす。摭言「──貴倖不顧忌」
さしづして使ふ、けしかける。蘇軾詩「北伐犬戎隨──」
をしへみちびく。=敎導。
つまはじき、指を曲げ急に伸ばして物をはじく。轉じて不正の行ある人を忌み嫌ふ義。=擯斥。
それとさしてきめる「──旅館」
○ゆびにて搔 カ く、ひきかく摘一に擿に作る。列、黃帝「──無痟癢」○人の過失又は書物の誤謬などをあばきいだす。北史、王劭傳「──經史謬誤、爲讀書記三十卷」
一一ゆびさし示すこと、點をうつが如し、故にいふ。杜甫、少年行「──銀瓶索洒嘗」
ゆびさき。=指尖。
指南車の方角を知らしむる如く、人ををしへみちびく。張衡、東京賦「予習非而遂迷也、幸見──於吾子」=指針。
上古、方角を指示する機を裝置せし車。宋書、禮志「───、其制如鼓車、設木人於車上、擧手指南、車雖囘轉、所指不移、其始周公所作、以送荒外遠使」古今注には黃帝の創作とす。
ゆびにてかきならす、つめびき。陳孚詩「一絲──春風前」
其の人の名をさす。史、項羽紀「非世所──也」
手にてゆびさし目にて見る。史、陳勝傳「皆──陳勝」
ゆびのはらにあらはるる渦卷、又は彎曲のすぢ「──法」
伺書又願書に對する官の命令「──書」
指は旨に同じ、人の氣に合ふやぅに勉める、迎合する〔漢書、外戚傳〕=希旨。
僅かなる物ををしみて、大事をあやまるをいふ。侍兒小名錄「宋阿恢有妓、曰張耀華、美而有寵、阮佃夫見悅之、頻求于恢、不可得、佃夫怒曰、────、遂諷有司、以公事彈恢坐免」
寒氣嚴しくして指を落す。漢書、高帝紀「會大寒、士卒──者什二三」
ゆびをかがめて數へる。荀、儒效「雖有聖人之智、未能──也」=屈指。
ゆび折り數へる。=僂指。
シフ ジフ [緝]
○ひろふ、とる(掇)○をさむ(收斂)「─收」○ゆごて(射韝)弓を射る時、左の臂に著くる具。○と、とを、十に通用す、官文書、證書類に多く用ふる。
同訓異義
ヒロフ 拾·掇·捃·摭·攈○拾は採り收むる義。漢書「其取二靑紫、一如三俛拾二地芥一」○掇は拾ひ取る義、多くひろふに用ふ。詩經「采二采芣苢、一薄言掇レ之」○捃·摭の二字同じ、多くひろひ集める義。史記「荀卿·孟子·韓非之徒、往往捃二摭春秋之文、一以著レ書」○攈は捃に同じ。
○おちのこれるをひろふ〔史、太史公自序〕○君主の心づかざる過失などをひろひあげて諫める。史、汲黯傳「願出入禁闕──補過」○同上の事を掌る官名。唐書、百官志「補闕──、掌供奉諷諫」
十卷、苻秦の方士、王嘉撰す、伏羲·神農·黃帝以下、晉代に至る遺事を記す。
取り得るの安きをいふ。漢書、夏侯勝傳「其取靑紫如俯拾地芥耳」
階段をひろひて登る。曲禮「──聚足、連步以上」
ひろひをさめる。又、亂れたるものを集めもとの如くに收める。=拾摭。
ひろひあつむ。
たきぎをひろふ。後漢書、承宮傳「爲諸生、──執苦數年、勤學不倦」
ひろひとる。
ひろひとる。袁淑文「──遺餘」=拾掇。
ひろひ取る。王令詩「寒禽冬饑啄地食、──穀種無餘遺」
ひろふ。錄異記「李朓──小石、用爲書鎭」
シン [震]
○きよむ(淸)○ぬぐふ(拭)○かわかす(燥)○ふるふ「─衣」=振。
ショウ [蒸]
通音ジョウ
○すくふ(救濟)たすく(助)左、宣十二「目于眢井而─之」眢井は水の無きゐど。○あぐ(擧)
同訓異義
スクフ 拯·救·援·濟の別は救(攴部七畫)の條を見よ。
たすけすくふ。宋書「馳往──」=救恤。
すくひめぐむ。晉書、孝武帝紀「宜時──救其彫困」
救ひにぎはす。北史、魏宣武紀「以六鎭大飢、開倉──」
すくひいたはる。晉書「隨宜──」
衰へたるをすくふ。北史「遂有匡頽──之志」
シヨク シキ [職]
○ふく、ぬぐふ(揩)巾にて垢を去る「拂─」「抆─」「洗─」○きよめる(淸)
ふききよめる。=拭淸。
ふききよめる。=拭淨。
ぬぐひ去る。韓偓詩「──朝簪待眼明」
めをぬぐひ見る。詳かに觀察する義。漢書、張敞傳「天下莫不──傾耳觀化聽風」
なんだをぬぐふ。=抆淚。
①ソン [元]
②ソン [願]
①よる、すわる、すゑる(据)
②さしはさむ(插)○ 國 こしらへ、こしらへる。製作する。
①ダ [麻]
②ヂョ [魚]
拏に同じ
①もつ(持)○ひく(引)
②ひく(牽)○いり亂れてひっぱる「紛─」○わづらはす(煩)○もつ(持)○のびず「拘─」
つかみあひ。揚雄、羽獵賦「犀兕之抵觸、熊羆之──」
前條又、拏(手部五畫)の俗字。
罪人などをつかまへる。福惠全書、卷二十三「──盜賊逃人」
前條に同じ。
チ イ [紙]
○わかつ、さく(析)○さる(去)○うつ(拍)
チ ヂ [支]
○もつ、とる(執)「把─」「支─」にぎる(握)禮、射義「─弓矢」○まもる(守)「護─」○たもつ(保)「保─」もちこたへる、保存する。○たすける(扶)「匡─」「扶─」○ただす(制)荀、正名「猶引繩墨以─曲直」○住─は寺のあるじの僧。○軍─は水を汲む具。=缾 カメ ○ 國 もつ、負擔「受─」又所有の義「所─」
十分の地位を保ちて失はず。淮南子「孔子見宥巵曰、善哉──者乎」宋史「願陛下──守成、愼終如始」蘇易簡の語。=持滿。
佛 佛の偸盜·邪淫·妄語·殺生·飮酒の五っの戒をとりまもる。法華經「──淸潔、如淨明珠」=持律。
○はかりざををもつ。唐書「天下之勢、猶──」○人才を評量する。杜甫詩「──畱藻鑑」
己の議論を執り守る。宋史、苗授傳「遇事、──不苟合」=持說。
長くもちこたへて變ぜず「──之計」東方朔、答客難「曠日──、積數十年」
手にもてあそぶ。白居易詩「魚中得瑰寶、──何磊砢」
ほこをもつ。又、其の兵士。史、平原君傳「今楚地方五千里、──百萬、此霸王之資也」
つるぎをもつ。說苑「子路──」
佛 四天の一、東方の天國。───王は四天王の一、東方の天國を守り善を賞し惡を罰する佛。
○ものいみを持し守る。唐高僧傳「──布施」○佛の戒律を守りて蔬食する。白居易詩「白日──夜半禪」
國 もってくる。
國 結婚する時、持ちて行くかね。
ただしき道をとり守る。晉書「三人齊位、足相──」
己の意見を固くとり守る。又、其の言論。=持論。
天子より節 テガタ を賜はりて出づる使者。韓愈文「丞相其選宗室四品一人、持節往使君長」
もち行きておくる。陶弘景詩「不堪──君」
永くもちつづける、いつまでもつづく。=永續。
おもおもしくする。後漢書、任隗傳「同心畢力、──處世」
ふでをもつ。魏志、注「握牘──」=執筆·把筆。
永くわづらひて治せざる病氣。=痼疾、宿痾。
佛 自分の居閒にすゑ又は身につけて常に信仰する佛「──堂」
公平にして偏 カタヨ らず。漢書、杜延年傳「議論──、合和朝廷」
○弓を十分ひきしぼる。史、周亞夫傳「彀弓弩──」=引滿。○十分なる地位をたもちこたへる。淮南子「周公可謂能──矣」=持盈。
國 持續して常に服用する藥。
とりまもることかたし。獻帝傳「監軍之計、計在──」
己の固く執り守る議論。漢書、儒林傳「──巧慧、易家不能難」
チツ [質]
○つく(擣)○禾をかる聲。
禾を刈るこゑ。詩、周頌「穫之──」
①テウ [蕭]
②テウ [篠]
③タウ [豪]
①かかぐ(揭)「─燈」○たわむ(撓)○うつ(摷)○すする(歃)○うすし(薄)佻に通ず。○になふ(肩荷)杖を以て物を擔ふ。○とる(取)○えらぶ。○くじる(穿抉)○めぐる(宛轉)
②ひく(引)○もてあそぶ(弄)○いどむ、人の心を興奮さす。史、司馬相如傳「以琴心─之」又、しかける、いざなふ(誘)「─戰」○たはむれる(戲)○ふるふ。=掉。
③─達 タウタツ は輕くはねをどる貌。─は輕儇跳躍の貌、達は放恣。又、往來して相見る。詩、鄭風「─兮達兮」
同訓異義
カカグ 挑·揭·褰○挑ははねあげる。又、かきたてる義、挑レ燈と用ふ。○掲は高くあげる義。文選「揭レ竿爲レ旗」○褰は衣のつまをとる義、褰レ裳·褰レ簾と用ふ。
たたかひをいどむ。左、宣十二「趙旃請──」
かかげなげうつ。梅堯臣詩「蠶月必紡績、絲車必──」
○ともしびの火をかきたてる。盧詢詩「──更惜花」○ テウチン 國 提灯 チヤウチン の別字。
かかげあげる。又、しかける。李昇詩「主人若也勤──」=挑發。
トウ [董]
○かかへひく(擁引)○うごく(動)「─擾」
ハク [陌]
拍の本字
うつ(擊)
弄(廾部四畫)の俗字。
國 かせぐ〔國字〕
國字。
むしる、つかみてちぎり離す、毟る。
7畫
アイ [佳]
○うつ(擊)○おす(推)次を以て相推す。○おしひらく(旁排)○しひてすすむ(强進)○あひちかづく(物相近)○ 俗 身に受ける義「─打」「─罵」○ 國 ─拶 アイサツ はことわり。又、ゑしゃくの義。
○前に在るものをおしのけて進む。葛長庚、鶴林問道篇「昔者天子登封泰山、其時士庶──、獨召一縣尉行轎、而前呼曰、官人來、衆皆靡然」○ 國 答禮·應對などの義。
イフ [緝]
○くむ(抒·酌)「─水」詩、大雅「─彼注兹」○ひく(引)郭璞詩「左─浮丘袖」○こまぬく、揖に通ず「敬─」「拱─」○おさふ(抑)しりぞく(退)荀、在宥「所謂─而損之之道也」わがままを抑へ退ける。
同訓異義
クム 挹·汲·酌·酙の別は汲(水部四畫)の條を見よ。
手にてすくふ。又、くむ。蘇軾詩「盥灑自──」
くむ。潘岳、司空鄭袞誄「所以──洪流、含咀英芳」
おさへてへりくだる。魏志、甄皇后傳、注「后寵愈隆、而彌自──」字解參看。=損挹·抑損。
くみそそぐ。詩、大雅「洞酌彼行潦、挹彼注兹」
古の國名、今の奉天省治の東北及吉林·黑龍江は皆其の地、今の奉天鐵嶺縣の南六十支那里に其の故城址あり。
エン [先]
捐は俗字
○すつ(弃·棄)漢書、竇嬰傳「侯自我得之、自我─之、無所恨」○のぞきさる(除去)○へらす(損)史、吳起傳「─不急之官」○救助の爲め、己の金品を差出す「義─」○官位を得る爲め、金錢を政府に納める「─班」○稅法の名「釐─」「畝─」
金をすてる。後漢書「乃──于野、而遠尋師學」
みをすつ。曹植表「憂國忘家、──濟難」一身をすてて國難をすくふ。
住みしやかたをすてる、貴人の死をいふ。戰國趙策「今奉陽君──舍」
いのちをすてる。潘岳賦「甘──而自引」=捐命。
棄てられて、飢ゑてやせ衰へる。漢書、食貨志「堯禹有九年之水、湯有七年之旱、而國亡──者、以蓄積多而備先具也」
すてて用ひられず。蔡琰詩「流離成鄙賤、常恐復──」
すてわすれる。阮籍詩「吹噓誰以益、江湖相──」
いのちをすてる。漢書、諸葛豐傳「故常願捐一旦之命」=捐生·隕命。
カゥ [巧]
かきみだす、みだる(亂)=攪。後漢書、馬融傳「散毛族、─羽羣」
①カク·コク [覺]
②サク [覺]
①つのとる(角)「掎─」
②さす、つきさす(剌)=簎。
カン [翰]
○ふせぐ。禮、祭法「能─大患則祀之」=扞。ふせぎまもる(衞)○ゆごて(拾)弓を射るに弦のはじき當るを防ぐ爲めに左臂にはめるもの。○たけし(猛烈)史、貨殖傳「民雕─少慮」=悍。
同訓異義
フヒグ 捍·防·禦·拒·閑の別は防(阜部四畫)の條を見よ。
ふせぎまもる。
ふせぎふさぐ、防止する。魏書、常景傳「詔景山中險路之處、悉令──」
ばち、樂器の絃をかきならすもの、捍は弦をはじく義。唐書、禮樂志「楸木爲面、象牙爲──」
國境を防ぎ守る。魏書、薛虎子傳「且耕且守、不妨──」
キョク [沃]
つちふご、舁土 ツチヲカツグ の器。左、襄九「陳畚─、具綆缶」
もっこ。土を運ぶふで。字解參看。=畚挶。
①ク [虞]
②キウ [尤]
③キウ [宥]
①もる、土を梩 モツコ の中に盛 モ る。○かきあつめる(捋)
②細長き貌。詩、周頌「有─其角」
③すくふ。漢書、谷永傳「扶服─之」=救。○とどまる(止)○まもる(護)
同訓異義
スクフ 捄·救·拯·援·濟の別は救(攴部七畫)の條を見よ。
クン [問]
ひろふ、ひろひとる(拾取)=攈。
同訓異義
ヒロフ 捃·拾·掇·摭の別は拾(手部六畫)の條を見よ。
ひろひとる。北史、周世宗紀「─衆書」=拾取·捃摭。
なをとる、つみなをする。說苑「使王子革王子靈共──」
ひろひあつめろ。蘇味道詩「野童來──、田叟去謳吟」
ひろひとる、捃は一に攈·攟に作る。史、十二諸侯年表「──春秋之文、以著書」=攈摭·攟摭·捃採。
①クワン [寒]
②クワン [旱]
③クワツ [黠]
①けづる(刮)する(摩)
②うつ(擊)○する(摩)
③する、けづる。周禮、冬官、註「─摩之工、謂玉工也」=刮。
①ケフ [葉]
②セフ [葉]
①はさむ、さしはさむ、物と物との閒にはさむ。○もつ(夾持)おびる(帶)所持する。○わきばさむ(掖)こわきに抱 カカ へる。○恃 タノ みてほこる。孟、萬章「不─長、不─」貴」○おびやかしもつ(脅持)蜀志、諸葛亮傳「─天子以令諸侯」○たすける(輔)○をさむ(藏)─書は藏書。○まもる(護)○いだく(懷)○あふ(會)
②あまねし。=浹。めぐる(匝)荀、禮論「方皇周─」○十干を日に配して甲の日より數へて次の甲の日に至る迄の十日閒の稱「─旬」
同訓異義
サシハサム 挾·夾·插○挾は物を兩方よりはさむなり。孟子「─二泰山一而超二北海一」○夾は左右持也、夾輔と連用す、挾に通ず。○插はさしこむ義、苗をううるを插秧といひ、本文の行閒に註を入るるを、插註といふにて知るべし。
正しき道を心にいだく。韓詩外傳「鳳象戴德負仁、抱忠──」
富貴をたのみて人にほこる。孟、萬章「不挾長、不──」
ことをかかへたづさへる。江總詩「風流──婦」
わたを身につけ持つ。左、宣十二「楚子伐蕭、申公巫臣曰、師人多寒、王巡三軍、拊而勉之、三軍之士、皆如──」恩惠を悅びて寒をわすれる。
敵をはさみうつ。=夾擊·夾攻。
いさををたのみほこる。陸機、豪士賦序「──震主、自占所難」
策略をいだきもつ。蘇軾文「懷詐──、以欺其君」
秦の始皇の定めし書物を藏することを禁ずる法律。漢の惠帝四年に除く〔漢書、惠帝紀〕
勢威をたのむ。唐書、柳仲郢傳「──肆貪、前帥不能制」
○兩方よりはさみもつ。○心にいだきもつ。史、商君傳贊「以帝王術──浮說」蘇軾、畱侯論「此其所──者甚大」=懷抱。
箸 ハシ 禮記、注「今人或謂箸爲──」
兩方より支へ持つ。晉書、辛靈傳「扶夫人令起、于是兩人──以立」
かかへたすける、輔佐する。後漢書、劉陶傳「宜還本朝、──王室」=夾輔。
十日閒の稱。周禮、天官、大宰「──而斂之」=浹旬。
十日閒。旬は一日から十日まで。=挾日·浹旬。
ゴ [遇]
通じて梧に作る
○ふる、さはる(抵觸)「抵─」○さかふ、さからふ(逆)儀禮、旣夕「若無器、則─而受之」○ささふ(支拄)
コン [阮]
○しめる、うつ、たたく(叩椓)しめたたきて堅くする。○しまる。○ひとし(齊·等)
わらぐつをしめたたきて堅くする。孟、滕文公「皆衣褐、──織席以爲食」
しまりかたまる。詩、大雅、疏「──而密緻」
サ [歌]
莎に通ず
する、すりもむ(摩揉)=挲。
①ザ [箇]
②ザ [歌]
①くじく、くじける(摧)「頓─」をる(折)くだく。○勢力をくじき弱める。史、酷吏傳、註「暴虐以─人」○そこなふ、へらす(損)荀、解蔽「則─其精」○はづかしめる(屈辱)孟、公孫丑「思以一毫─於人」○からむ(搦)○とる(捉)
②おさへる(案)
同訓異義
クジク 挫·折○挫はとりひしぐ、摧なり、挫折·摧挫と連用す。○折は挫なり。史、項羽紀「諸侯吏卒、乘レ勝、輕折二辱秦吏卒一」
次條に同じ。
はりをおさへさす。莊、人閒世「──治繲足餬口」=挫針。
くじききずつく。
くじけ屈する。又、くじきはづかしむ。後漢書「夫人情──、則義節之風損」=屈辱。
くじける。後漢書、馮異傳「虜兵──」=摧折·頓挫。
くじけ敗る(敗北)衂は敗。晉書、宣帝紀「──而反」=挫折。
くじけやぶれる、頓は敗。易林「齟齬──、枯槁腐蠧」=頓挫。
ほこさきをくじく。陸機文「二邦之將、喪氣──」
くじけてにげる、北は敗。杜牧文「戰必──」=挫敗。
①サワ·セウ [肴]
②セウ [蕭]
①えらぶ(選)○かる(芟)草を芟り取る。○かする、かすめる(掠)杜甫詩「花妥鶯─蝶」○はらふ(拂)
②のぞく(除)○動く「掉─」
插(手部九畫)の俗字。
サク ソク [覺]
○とる(搤)にぎる(握)「把─」蜀志、趙雲傳、註「先主─手而別」○からめとる(搦)とらふ(捕)「捕─」
同訓異義
トル 捉·取·執·秉·把·操·捕等の别は取(又部六畫)の條を見よ。
州縣の富人官命を受けて郵遞をあつかふ者。唐書、劉晏傳「初州縣取富人、督漕輓、謂之船頭、主郵遞、謂之──」
手づから結ひかけたる髮をにぎりて起つ、急迫の甚だしきにいふ。淮南子「禹之時、以五音聽治、一饋而十起、一沐而三──」=握髮。
ふでをとりて書く。唐書「──賦詩」=把筆。
とらへる。元稹、捉捕歌「──復──、莫捉狐與兔」
めかくしの遊戲、巾にて目を裹 ツツ み、摸索して人を捉ふる戲。致虛閣雜俎「明皇與玉眞、恒於皎月下、以錦帕、裹目、在方丈內、相捉戲、謂之───」=迷藏〔過庭錄〕
①シン [震]
②シン [眞]
③シン [軫]
①ふるふ(奮)奮ひ起る。○ふるひをののく、震に通ず。○にぎはす、すくふ(救·濟·拯)賑に通ず。孟、滕文公「─德之」○さく(裂)○うごく(動)ふるはせる、震動さす。詩、豳風「六月莎雞─羽」○とし(迅)○ととのふ(整)「─旅」○ひらく(發)「─廩」○をさむ(收)をさめ入れる。中庸「─河海而不洩」○やむ(止)○いにしへ(古)「─古」○鳥のむれ飛ぶ貌。
②──は心あつし(仁厚)詩、周南「──公子」又、さかんなる貌。左、僖五「均服──」
③ひとへぎぬ(襌)衫に通ず。
同訓異義
フルフ 振·奮·震·揮·戰·顫·篩の別は奮(大部十三畫)の條を見よ。
ころもをふるひはらふ。左思、詠史「──千仭岡、濯足萬里流」
○ふるひおどろく。王粲文「禽獸──、魂亡氣奪」=振驚。○浪がわきあがる。晉書、夏統傳「風波──、雲霧杳冥」=震駭。
ふでを揮ふ。宋書、周郞傳「整笏──、已議於帷筵之上」=揮毫。
ほどこしすくふ。漢書、元帝紀「開府庫──」=振卹、賑救。
ふるひひびく。齊書、劉祥傳「──天地」
まづしき者を賑はし助ける、貧民を救助する。周禮、地官「三曰、──」=賑窮·振貧。
ふるひおそれる。史、刺客傳「秦舞陽色變──、羣臣怪之」振一に震に作る。司馬遷、報任安書「猛虎在深山、百獸震恐」
ふるひ驚かす。史、五帝紀「──朕衆」
ふるひうつ。蔡邕、篆勢「揚波──、龍躍鳥震」
こぶしをふりまはす。王延壽賦「揮手──、雷發電舒」
おほむかし。詩、周頌「匪今斯今、──如兹」一說、振は自、古よりの義。
ふるひおこす。又、ふるひおこる。=振作。
にぎはしすくふ、濟は救。魏志、楊俊傳「──貧乏、通共有無」=振救。
ふるひおこる、作は興起。=振興。
志をはげまして惡をさっばりとはらひ去る。蘇轍、北狄論「──磨淬、不自屈服」=刷新。
○下振 サゲフリ 線の端におもりをつけてつるしおき、左右に運動させるもの。○童男女をいふ。史記、注に張衡賦を引きて「──萬童」文選には侲子に作る。
にぎはしほどこす。漢書、原涉傳「──賓客、家無所餘」=振救。
ふるひたちて勢はげし。鮑照、書勢銘「差池燕起、──鴻歸」
○仁厚の貌。詩、周南「宜爾子孫──兮」○盛んなる貌。左、僖五「均服──」
○ふるひおそれてつつしむ。北史、齊神武帝紀「機略嚴明、事無疑滯、于是朝野──」○亂れたる規律などをきびしく改めただす「官紀──」
あはれみめぐむ。南史、吳平侯景傳「會年荒、計口──」=振恤·振救。
ふるひのべて明かにす。柳宗元文「──幽光」
にぎはしかす。漢書、文帝紀「議所以──之」
ふりうごかす。盪は動。=振動。
すずをふり鳴らす、鐸は古、敎令を宣する時振りし大鈴。周禮「司馬──、羣吏作旗」
ふるひうごく。蘇轍詩「海水──魚龍驚」=振動。
聲が天上にまでふるひ響く。家語「子路曰、願得白羽若月、赤羽若日、鐘鼓之音、上振於天、旌旗繽紛、下蟠於地」
國 明治天皇の思召を以て日淸戰役の戰利品及戰爭に關係あるものを陳列したまへる宮城內の建物。
○ふるひうごく。又、ふるひうごかす。史、留侯世家「天下──」=振掉·振盪。○物理學にて物體が一定の路を上下前後に往復する運動。
すくひめぐむ、德は惠施。孟、滕文公「──之」
勢よく筆をふるひて疾書 ハヤガキ する。廣川書跋「張長史時──大呼、以發其鬱怒不平之氣」
貧者をすくひにぎはす。漢書「虛郡國倉廩、以──」=振窮。
武勇をふるひあらはす。國語「──于外」
ふるひおそれる。戰國策「燕王──大王之威」=震怖。
すくひなでやすんずる。晉書「曰陰德陽德、主周急──」
ふるひいきどほる。韓詩外傳「──者、不可勝數」
ふるひ勇む。韋應物詩「──士卒驍」
ふるひあげる。晉書、謝琰傳「宜──仁風、開其自新之路」
にぎはしたまふ。北史、袁翻傳「翻請爲西軍死亡將士擧哀、存而還者、竝加──」=振救。
ふるひをののく。史、司馬穰苴傳「三軍之士皆──」=悚慄。
倉をひらきて救助米を與ふ。振は發。左、文十六「──同食」
振は整、旅は衆、いくさに勝ち兵ををさめ整へて還る。左、隱五「三年而治兵、入而──」
合圖又は事を警告する時にすずをふりならす。又、其のすず。
勇みふるひて勢はげし。范鎭文「威──、氣勃鬱」
鷺 サギ が勢よく羣り飛ぶ。詩、周頌「──于飛、于彼西雝」
國 ○爲替 カハセ 又は手形を出す。○藥を袋に入れ湯に浸して藥氣をだす。又、其の藥。○雙六の采をふりはじめる場所。
セン [先]
○ながし(長)○ひく(引)○のがる(遁)
旋(方部七畫)の俗字。
ソン シユン [願]
○おす(推)○おしひらく(擠·推排)○おしつける、つかむ(掐)左、定八「涉佗─衞侯之手」○おさへる(按)
①ダ タイ [歌]
②キ [支]
①もむ(按揉)兩手にてすりもむ。=捼。
②神に供へる黍稷の屬、供米 クマイ (祭神食)
こする、もむ。楊萬里詩「隔窗偶見負暄蠅、雙脚──弄曉晴」=摩挲。
神に食物を供へて祭る。又、其の食物。儀禮、特牲饋食禮「祝命──」注「──、祭神食也」
テイ チヤウ [迥]
○ぬく(拔)呉語「─鈹搢鐸」ぬきんづ(特拔)すぐれる、まさる「─秀」「英─」○なほくもつ(直持)○ゆるやか(寬)禮、月令「─重囚、益其食」○ひく(引)引き出す「─身」○なほし、ただし(直)まっすぐ。○俗に直立して屈せざる義。○脡に通ず。儀禮、鄕飮酒禮「薦脯五─」○梃に通ず。韓愈文「南牆鉅竹千─」
同訓異義
ヌク 挺·擢·拔·抽·揠·脫の別は擢(手部十四畫)の條を見よ。
すぐれてただしくたしか。唐書「入對──」
すぐれてぬきんでる。又、其の人。晉書「英姿──」=挺特。
つるぎをぬく。戰國策「唐睢──而起」
身をぬきんでてあらそふ。徐陵、與楊僕射書「羣凶──、諸賢戮力」
やりをぬき出す。唐書「躍馬──、剌於萬衆中」
ぬきいですぐれる、卓然として不羣なり。晉書、王承傳論「英姿──、藉甚一時」=特秀。
○身を引きぬく。漢書、劉屈氂傳「──逃、亡其印綬」獨り身を引きて難を逃れる。○自ら衆に先だちて進み出る。蘇軾、留侯論「拔劍而起、──而鬬」
獨りぬきんでてすすむ。
特にぬきんでる。杜甫詩「自謂頗──、立登要路津」
稻の穗がぬき出る。又、其のぬき出でたる穗。潘岳、射雉賦「瞻──之傾掉」
堅く節操を持して屈せず。唐書、杜甫傳論「數嘗寇亂、──無所汙」
衆人にぬきいづる貌。晉書、劉毅傳「方正亮直、──不羣」
身をぬきんでて眞先に進み戰ふ。南史、宗越傅「單身──、衆莫能當」
ただしくなほき(正直)貌。左、襄五「周道──、我心炯炯」
特に衆にぬきんでる。班固表「英資──」
ぬきんでる。宋史、沈遼傳「幼──不羣」=挺秀。
ぬきんでたつ。南史、徐孝嗣傳「孝嗣幼而──」=挺秀·挺特。
デツ ネチ [屑]
通音ネツ?は譌字
○ひねりあつめる(捻聚)土をこねて種種の物を造る。轉じて牽強附會して無根の事を構成する義「─造」○おす(捺)
○土などをこねて物の形をつくる。○轉じて根も葉も無き事實を構成する。
捏(前條)の譌字。
バイ [賄]
むさぼる(貪)楚辭、天問「穆王巧─」
ハツ ハチ [黠]
もと扒に作る
○やぶる(破)○うつ(擊)○わかつ(分)○やっ、數字の八に代用す、主に官文書、證書等に用ふ。○さらひ、禾穀を掊 カ き聚める具「─挹」○ 國 さばく、物を賣りて片づける。又、是非を判斷する。
ハン [元]
○ひるがへる。=翻。○俗に拌又拚に通用す。
①ホ [遇]
②チョク [職]
①をさむ(收斂)
②うつ(打)○國はかゆく、はかどる「進─ シンボシンチヨク 」
①ホ·ブ []
②搏に同じ。 [遇]
①とる(取)とらふ(擒捉)「─魚」○罪人を召しとる、其の所に居る者を追ひ捉へるを逮といひ、亡げて居所の不明の者をたづねて捉へるを─といふ。○巡警(我が巡查の類)一に巡─といひ、略して單に─といふ。
②うちとる(擊取)
同訓異義
トル 捕·取·執·秉·把·操·採·捉等の別は取(又部六畫)の條を見よ。
とらへてしらぶ。漢書「不避貴戚以──」=捕治。
影をとらへる、とらへどてろなきに喩ふ。漢書、郊祀志「求之盪盪、如係風──、終不可得」
魚をとらへる。吳志「司馬自能結網、手以──」
とらへる、いけどる。梅堯臣詩「津頭吏卒雖──、官司直惜儒衣裳」=捕拿。
くぢらをとらへる「──船」
とらへつなぐ。捕縛して獄に繫ぐ。漢書、杜周傳「──豪傑」
とらへきる。
けものをとらへる。
とらへる。唐書、懿宗、登寶位赦書「──未獲」=擒捉。
おさへとる、拿は拏の俗字。=拿捕·捕獲。
罪人をとらへてしらべる。漢書「廣漢使吏──」
とりをとらへる。
にげたる者をとらへる、逃亡せし罪人をとらへる。
とらへてしばる。
風をとらへる、とらへどころなき喩、捕影に同じ。韋應物詩「持索──幾時得」事の證左なきものを──捉影といふ。
とりて、罪人をとらへる役人。
とりこ。=俘虜。
狩りとる。遼史、道宗紀「咸雍六年、禁漢人──」
ホウ フ [尤]
手を以て掬 スク ひ聚 アツ める。抔に通ず。
ベン バン [阮]
輓に通ず
○ひく(引)引き張る「─强」强はつよ弓。○すすむ(進)前からひっぱりて進める「─車」○死者を葬る時、其の棺の繩を牽き送る「─歌」○ 國 ひく、鋸 ノコギリ にて木材をきり割く「木─ コビキ 」○ろくろ鉋 ガンナ にて器物を造る「─物細工」
同訓異義
ヒク 挽·牽·引·援·曳·延·惹等の別は牽(牛部七畫)の條を見よ。
重き物などをひく。禮記、疏「力政、──築作之事」
葬る時に柩の車の紼 ナハ を牽く者のうたふ歌。とむらひうた。晉書、樂志「──出乎漢武帝」古今注「薤露·蒿里二章、李延年今爲二曲、薤露送王公貴人、蒿里送士大夫庶人、使挽柩者歌之、世呼爲──」=輓歌。
强き弓をひく。老學庵筆記「以──、名于秦隴閒」
もとにひきもどす。
ひく、ひっぱる。一統志「舟行──五百人方可渡」
挽歌に同じ。
○車をひく。○死人をのせて引くくるま。=輓車。
强くひきしぼりたる弓を引く。後漢書、梁冀傳「能──」=挽强。
國 ろくろざいく。
ヤ [麻]
揶(手部九畫)に同じ
○もてあそぶ、からかふ(擧手相弄)「─揄」○あざける(嘲)
①ラツ·ラチ [曷]
②レツ [屑]
①とる(取)○指さきにてつまみ取る。詩、周南「采采芣苢、薄言─之」○なでる、する(摩)
②とる(采)
弄(廾部四畫)に同じ。
8畫
エキ [陌]
○わき、わきのした。=腋。史、商君傳「千羊之皮、不如一狐之─」轉じて宮城正門の左右の小門「左右─門」又、宮殿の左右の旁舍、又、轉じて、宮庭「宸─」「禁─」「宮─」「仙─」○やつくち、衣服のわきの下の所「逢─之衣」○わきばさむ(挾持)こわきに抱へる。左、僖三五「─以赴外」○たすける(挾扶)人を善き方に導く。詩、陳風、衡門、序「誘─其君也」前に在りて導くを誘といひ、傍に在りて扶けるを─といふ。
王宮の門。又、王宮のうち。盧藏用文「東西──、備忠讜之美」=宮掖·禁闈。
助けみちびく。=誘掖。
宮中の正殿の傍に在る垣。杜甫詩「花隱──暮」書言故事「前世文士以中書在右、謂爲右曹、又稱西掖、劉公幹詩、誰謂相去遠、隔此西──」
宮城內の官署、卽ち宮內省。唐書、劉祥道傳「──崇峻、王言祕密」=宮省·禁省·禁署。
おくごてん、宮中正殿の旁舍、皇妃宮女の居所。漢書、百官公卿表「武帝更名永巷、曰──」=後庭。
宮城の正門の左右の小門。康熙字典「宮旁舍曰掖庭、殿旁垣曰掖垣、宮闕旁小門曰左右──、皆取肘腋之義」漢書、成帝紀「闌入尙方──」
①エン [琰]
②アン [感]
①おほふ。おほひかくす。○をさむ(斂)さへぎる(遮)○かくす(隱翳)○備へざるに乘じて之を襲ひ取る、不意うちにする。曲禮「大夫不─羣」○なでる(撫)○ぜにうち(意錢)「博─」○とづ(閉)おほひとぢる。南史、袁粲傳「席門常─」○やむ(止)班昭、女誡「室人和則謗─」
②おほふ(覆取)=揜。
おほひかくれる、薆は草盛んなり。魏武帝賦「日──而西移」
おほひかくす、映は隱。李白、大鵬賦「──乎四海之半」=掩翳。
○おほひかくす。東京夢華錄「綵縷相對、繡旆相招、──天日」○おほはれたるかげ。
にほひの盛んなる貌。宋玉、高唐賦「越香──」=馥郁。
○おほふ。又、おほひ。○兵用語、敵彈を防ぐ爲めに塹壕等の上に水平に作る屋根。○ 俗 祕密にしかくす。=掩飾。
書物をおほひて讀むことを止める。李白詩「片言苟會心、──忽而笑」
敵の不意を襲ひうつ。後漢書、虞詡傳「設伏、羗果大奔、──大破之」=掩襲。
敵の攻め來るを遮り掩ひて、みかたを護る「──射擊」
敵の不意に乘じて殺す。金史、石抹卞傳「乘夜──闌子山」
みみをおほふ、聞かざらんとする義。韓愈文「言語纔及、輒──」朱熹文「成書不出姓名以避近名之譏、此與揜耳愉鈴之見何異」自ら欺くに喩ふ。
きずをおほふ、過失を隱す義。謝偃文「誠責躬而咎己、豈藏瑕而──」
敵の不意をうつ。晉書、羊祜傳「祜每與吳人交兵、不爲──之計」=掩擊·掩討。
風が物を吹き靡かす貌。柳宗元文「振動大木、──衆草」=奄冉。
おほひふさぐ。吳越春秋「上天蒼蒼、不可──」=掩閉。
敵の不意を襲ひてうつ。魏志「──逆節、折衝四海」=掩擊。
泣き顏をおほひかくす。離騷「長太息以──兮、哀民生之多艱」
臭氣の耐へ難きにいふ。孟、離婁「西子蒙不潔、則人皆──而過之」
おほひとぢる。後漢書、袁閎傳「母去便自──」=掩塞。
おほひかくす、轉じて見聞の出來ざるやぅにへだてをする。
おほはれかくれる。廣川書跋」覆壓──、故不復得其全文」
目をおほひかくす。後漢書「陳琳曰、諺有──捕雀、微物尙不可欺以得志、況國家大事乎」掩耳盜鈴と同じく自ら欺くに喩ふ。
①エン·セン [豔]
②剡(刀部八畫)に同じ。 []
①のぶ(舒)又、おほふ(蓋)左思、蜀都賦「摛藻─天庭」○かがやく。=燄。
②するどくとがる(銳利)
詞藻を舒べ發する。文辭の典麗なるをいふ。柳顧言詩「──麗繁星」=摛藻。
カフ [洽]
つめにてさす(爪刺)つめにておさへる(爪按)
爪にてかきとる。顏氏家訓「吳郡陸襄父閑、被刑、終身布衣、疏飯薑菜、有切割、皆不忍食、居家憔以──供廚」
カン·ケン ケン [删]
○かたし(固)○あつし(厚)○ひきさる(牽去)=牽。史、鄭世家「─羊以迎」○もつ(持)○うつ(擊)
キ [紙]
○かたかたひく(偏引)かた方を引く。○あしとる。一脚を牽く。漢書、班固敍傳「秦失其鹿、劉季逐而─之」○はなつ(發)班固、西都賦「機不虛─」○したがふ。○ぬく。
後より引き止める。魯語「──晏萊焉」
引きよせて收め取る。詩品「辨彰淸濁、──病利」=攟摭。
つのとり、あしとる、鹿を捕ふるに前のつのをとり、其の後の足をとる。前後相應じて敵に當るにいふ。左、襄十四「譬如捕鹿、晉人角之、諸戎掎之」轉じて兵を駐めて敵を制する義、角一に捔に作る。
キク [屋]
匊に同じ
○すくふ、むすぶ、兩手にてすくふ。左、宣十二「舟中之指、可─也」○轉じて心情の十分に外に見はるるにいふ、すくひ取るべき義「眞情可─」杜子春傳「饑寒之色可─」○左右のたなごころ。○はなれる(離)○一升の量、又、二三合の量、左右の掌に滿つるほどの量。
水中の月をすくひ取る。掬水參看。
一つかみの土くれ。抱朴子「龍門沸騰、非──所遏」
水を兩手にてすくふ。又、すくひたる水。于良史詩「──月在手、弄花香滿衣」
手にていづみをすくふ。徐照詩「遇景因開畫、思茶亦──」
水をすくひもてあそぶ。陸游詩「摘嗅砌下花、──澗底泉」
①キョ [魚]
②キョ [御]
①はたらく、拮─は口と手と共に作す。○手を擧げて持つ。
②よる、據に通ず、しっかりと持つ。漢書、酷吏傳─趙禹─法守正」○てのやまひ(手病)○すぐなるうなじ(直項)がぅじゃう。司馬相如、大人賦「─以驕驁」○ 國 すゑる、現狀の儘にすゑおく。
國 現狀の儘に爲し置く。現狀維持。
①クツ [物]
②コツ [月]
③ケツ [月]
④ゴツ [月]
①ほる(搰)○つく(突)○ひとりぬき出る(特起)=崛。○つくす(盡)
②あぐ(揚)○あな、いはや。窟に通ず。うがつ(穿)
③穴をあける。
④兀に同じ、兀然として動かざる貌。莊、田子方「─若槁木」
ほりひらく。
特にぬき出て起る。=崛起。
かねを地よりほり出す。述異記「使人──」
ほりうがつ。=掘穿。
ゐどをほる。孟子「有爲者、譬若──」
ほりうがつ。=掘鑿。
クワイ ケ [卦]
通音ケイ
○かく、かかる。=挂。ひっかかる、ひっかける。○わかつ(別) 國 ○ カカリ 事務の擔任「戶籍─」又費用「─り負け」又、家屋の構造 カヘマ ○ カカル 手はじめ、著手する「仕事にとり─る」○ カケ かけ賣。
同訓異義
カカル 掛·挂·係·懸·繫等の別は係(人部七畫)の條を見よ。
酸漿 ホホヅキ の異名〔救荒本草〕=姑娘菜·燈籠兒。
官にて制定せし冠をかけてかぶらず、辭職する義。後漢の逢萌が王莽に事ふるを欲せず、冠を東都の城門に掛けて家族をつれて遼東に客となりし故事〔後漢書、逢萌傳〕に本づく。陸游詩「己罷彈冠欲──」(彈冠は冠の塵をはらふ、出仕の用意)=挂冠。
巡行の僧のしばらく止り住する義。飛錫の對。釋氏要覽「今僧止所住處、名──者、凡西天比丘、行必持鍚杖、持錫有二十五威儀、凡至室中、不得著地、必掛於壁牙上、故云──」
俗 掛け時計。
書畫のかけもの。思陵書畫記「唐五代皇朝等名畫──」
①ケン [先]
②ケン·クワン [霰]
①いきほひ(氣勢)「─勇」○いさむ。○こぶし「控─」拳に通ず。○──は力を用ふる貌。
②まく、卷に通ず「席─」○をさむ(收)
手ににぎる。後漢書、張諶傳、注「──猶掌握也」
まきむすぶ。釋名「氣在外──之也」
カを用ひて勞する貌。莊、讓王「──乎后之爲人、葆力之士也」
うすきしゃをまきあげる。蘇軾詩「翠袖──紅映肉」
にぎりこぶし。淮南子「五指之更彈、不若──之一挃」
土を卷く勢を以て重ねて來る、一旦衰へたる勢力を回復して再び襲ひきたる義。捲一に卷に作る。杜牧詩「江東子弟多才俊、────未可知」
かみを辮髮にくむ。
腕力强し。捲は拳。齊語「有──股肱之力」=拳勇。
すだれをまく。王勃、滕王閣詩「珠簾暮捲西山雨」
地面を丈量するに用ふる尺 モノサシ 布革を以て帶の如くに作り、自由に卷舒すべし。= 俗 皮帶尺。
①ケン [元]
②キン [文]
①あぐ(擧)かかぐ、手を以て高くさし擧げる。左、成十六「─公以出於淖」○──は高くそびゆる貌。韓愈詩「虵虺首──」
②ひく(引)=拫。
同訓異義
アグ 掀·擧·揚·稱、扛·昻·颺·抗の別は擧(臼部十一畫)の條を見よ。
ふくれあがる。腫脤して僨起する。淸異錄「一日復作、左腮──」
聲の大いなる義。陸龜蒙詩「海上風雨來、──雜飛電」
あふりあがる。又、あふりあげる。韓愈詩「颶風有時作──」蘇軾詩「風飇助凝冽、幃帳困──」=翻簸。
あがる。吳萊詩「我將呼巨鰲、滄海欲──」
あがりひるがへる。指月錄「大地──無覓處」
まひあがる。朱熹詩「空質麗晴暉、龍鸞共──」
①コウ [送]
②コウ [東]
③カウ [江]
①ひく(引)弓を引く。○ひかへる、引き止める、ひかへて制する「─馬」「提─」○とどむ(止·制)○つぐ(告)告げうったへる。詩、鄘風「─于大邦」○なげる(投)莊、逍遙遊「─於地而已」
②ひく(引)引き去る、のぞく(除)○ひく、弓を引く。
③うつ(打)莊、外物「─其頤」○ 國 ヒカフ ひかへめにする。書きとめ置く、しばらく待つ「─所」○ ヒカ へ原本のうつし(副本)
ひかへおさへる。杜牧詩「──平江十萬家」
のどをしめつける、要所をおさへる義。周邦彥文「扼襟──、屛藩表裏」
○仙人の飛びて天に昇るに喩ふ。孫綽賦「王喬──以冲天」○宿衞近侍の臣の稱、唐の武后──府を置く。天子宿衞の兵を──軍と稱す。
馬をひかへて制使する如くに人の自由を制して治める、御は馭。晉書「善于懷撫、短于──」=控馭。
控御に同じ。庾信詩「──五十州、風行數千里」
ひき止めてふせぐ。宋史、李綱傳「──以扼其衝」
弓を引く。又、其の兵士。漢書、婁敬傳「──四十萬騎」
おさへてとりしまる、操制する。唐書、王忠嗣傳「帶四將印、勁兵重地、──萬里」=控御。
第一審の裁判に對して不服の時、再び裁判を求める爲めに裁判所に訴へ出る義。=控告。
ひき去る、さしひく。俗に扣除とも書く。
たづなをひかへて制する。轡はたづな。呂覽「約審之、而以控其轡」=控馭。
控馭に同じ、勒はくつわ。=控轡·控制。
コク ワク [職]
○まどふ、或·惑に通ず。○くらし(惽)
コン [阮]
○まじふ。=混。○あはす、合同する。王襃、洞簫賦「帶以象牙─其會合」○おこる、おこす(起)振起する。
サイ [賄]
古、采に作る
○とる(取)手に取る「收─」「博─」「訪─」「捃─」○きこる(樵)大なる者を薪といひ、小なる者を─といふ。戰國燕策「芻牧薪─、莫敢闚東門」○えらぶ、擇び取る。○つむ(摘)
同訓異義
トル 採·取·執·秉·把·操·撮·捕·捉の別は取(又部六畫)の條を見よ。
水などをくみとる。水經、注「──河流、醞成芳酎」
はちすをとる。梁書、江革傳「年十七作──詞」
鑛石を地よりほり出す。
ひかりを取る、あかりをとり入れる。又、あかりとり。
あらがねを掘り取る、鑛物を採掘する「──冶金」=採礦。
とり得る。唐書「──刋綴爲五十篇」
議長が議場にて議案の可否をとりきめる。
○つまみとる。謝朓詩「遇君時──、玉座奉金巵」○衣の袵 オクミ をかかげ折りて帶に插み、物を其の中に貯へる。=采擷·採襭。
かねほり〔天工開物〕=採礦夫。
○薪をとり木の實をひろふ。後漢書、江革傳「嘗──以爲養」○ひろひ取る。=採集·採摭。
とりあつめる「植物──」
てにとりてきる。蘇軾詩「窮探到峯背、──黃楊子」
水に入りて眞珠を取る、唐の元稹に──行あり。晉書「合浦郡百姓、惟以──爲業」
ひろひとる、摭は拾。書經、序「──羣言」=捃摭·采摭。
とりてみがく。晉書、戴邈傳「荆璞發──之榮」
とりえらぶ、多くの中よりえり取りて用ふる。
つまみとる。李益詩「──愧芳鮮、奉君歲暮節」
○試驗の答案に點數をつける。○投票又は勝負ごとなどの數をしらべる。
地を掘りて銅をとる。唐書「元和中、歲──二十六萬有奇」
人を引き入れ用ふる。取り上げる。又、うけ入れる。後漢書、郞顗傳「宜──良臣以助聖化」
官名、唐玄宗、諸道───を置き、官人の善績を考課し、三年に一奏せしむ。
林木をもり出す。=伐採。
くすりの草をつみとる。晉書「康嘗──游山澤」=采藥。
○とりもちふる。○人をとり用ふる。=擧用·登用。
財をかすめ取る。晉書、石勒載記「──無所獲、軍中大飢」
○はちすを取る。○樂曲の名。樂府集「樂府江南弄曲、梁武帝製、曲和云、──渚、窈窕舞佳人、曲名取此」
サウ サウ [皓]
もと埽に作る
○はらふ、はく(除)はらひきよめる「灑─」「淨─」○さっぱりとなくなる、全くなくなる。「─地」○なでる(抹)する(刷)杜甫詩「淡─娥眉朝至尊」○すつ(弃)
同訓異義
ハラフ 掃·拂·攘·禳·祓·禊·除·撥○掃は箒にてはくなり、洒掃·掃除などと用ふ、轉じて何にても、一いきにさらりと掃ふに用ふ「十里脩篁翠掃レ天」の類。○拂はぱっぱっと少しづつはらふなり、拂子にて、拂ふやぅにする義。禮記「進二几杖一者拂レ之」○攘は推し除ノけてやる義、盜賊蟲蛇などをはらふに用ふ。○禳はいのりて、はらひのぞく。左傳「有二水旱疾疫、一則禳レ之」○祓は災を除き、福を求むる意、はらひきよめる。國語「祝祓レ社」○禊はみそぎして災をはらふ義、修禊と熟す。○除はよそへかたづけること、除レ惡·除レ草·除レ災などに用ふ、不潔などを除きてさっぱりとする義。○撥ははねかへすこと。書經「撥レ亂反レ正」曲禮「衣毋レ撥」
竹の異名〔竹譜〕
兵用語、海中に敷設せられ又は沈沒せし危險物をとりはらふ作業。
はきて水すすぐ。後漢書、趙孝傳「──待之」李白詩「爲余──石上月」=灑掃·洒掃·掃除。
ははき。書苑「取──沾泥汁、書壁」
はらふ、刷も掃。爾雅、注「抆拭──、皆所以爲潔淸」=掃除·掃拭。
うれひをはらふははき、酒の異名。蘇軾、飮酒詩「應呼釣詩鈎、亦號───」釣詩鈎も酒の異名、詩趣をつり出すつりばり。
はらひぬぐふ。李白詩「──靑玉簟、爲余署金罇」=拂拭·掃除。
ははき。爾雅、注「其形孛孛如──」=掃帚。
はききよめる。李白詩「長嘯萬里風、──胸中憂」
てりてりぱうず、晴を祈るまじなひに紙にて人形を作り、簷 ノキ につるすもの。陔餘叢考「吳俗久雨後、閨閤中有剪紙爲女形、手持一帚、懸簷下、以祈晴、謂之───、按元初、李俊民有───詩、卷袖搴裳手持帚、挂向陰空便搖手、其形可想見也」
○さっぱりとはらふ。○盜賊などを平げほろぼす。○害毒·弊害などを除き去る。晉書、劉琨傳「──仇恥」
榻 コシカケ の塵をはらふ、人を歡迎する義。陸游詩「南臺中丞──見、北門學士倒屣迎」
○地をはらひきよめる。國史補「韋應物立性高傑、鮮食寡欲、所在焚香──而坐」○轉じて全く盡きて殘るものなき義。漢書、魏豹傳、贊「秦滅六國、而上古之遺烈、──而盡矣」
ちりをはらひのぞく。史、信陵君傳「趙王、──自迎」=掃淸·掃刷。
はらひきよめる。滌は水をそそぐ。南史、宋高祖紀「百年榛穢、一朝──」=掃除·掃洒。
はらひほろぼす。殄は滅。=掃滅。
墓參り、墓祭をいふ〔淸通禮〕
はらひほろぼす。元好問詩「溫柔與敦厚、──不復留」=掃殄。
國 昔、宮中の掃除を司る役所、其の長官を掃部頭 カモンノカミ といふ。
シャ [馬]
省して舍に作る
○すつ、すてる(弃·棄·釋)うちゃる。宋書、殷淳傳「愛好文義、未嘗違─」○ 佛 喜─は神佛の事に金品を寄進する。施しすてる。○ 佛 中─は善事を行ひて心に欲望のなき義。傳燈錄「行道布德無所希望、是謂中─」
○いのちをすてる。○ 佛 身をすてて出家する。韓愈文「──施佛」=舍身。
施しすてる。隋煬帝、寶臺經藏願文「──淨財、豈可稱計」
國 物をすてるやぅに安くうる、なげうり。
國 漢文を和讀するために、字の右旁にそへることば。
國 すてられし小兒。=棄子·棄兒。
國 すてぜりふ。かへりがけに言ひ放す惡口。
國 德川時代にみより無き者に惠與せし扶持米。
シャウ [養]
○てのひら、たなごころ(手心)「抵─」「反─」「合─」○つかさどる(主)「分─」「兼─」「典─」書、周官「冢宰─邦治」○つかさどる事。つとめ「職─」○ささぐ(捧持)詩、小雅「王事鞅─」鞅は荷、─は捧げ持つ。荷ひ捧げて走りいそがはしくして容儀を正す暇なきを鞅─といふ。詩、小雅「或王事鞅─」
○掌中ににぎる。漢書、張敞傳「海內之命、斷于──」○ひとにぎり。又、それ程の少許。列、湯問、注「鄒子之所言蓋其──耳」
掌をうちて盛んに談ずる。戰國策「蘇秦見、說趙王于華屋之下、────」
てのひらをかへす、事の極めて易きに喩ふ。說苑、正諫「變所欲爲、易於──」
事の明白にして且つ容易なる義。論、八佾「其如示諸斯乎、指其掌」
○禮樂の故實などをつかさどる官。東方朔、客難「使蘇秦張儀與僕竝生於今之世、曾不得──」○故實慣例。史、龜策傳「因襲──、未遑講試」
てのひらのあと。述異記「其──猶在焉」
手のひら程の大さ。
手の中のたま、人の愛子をいふ。杜甫詩「掌中探見一珠新」
國 宮內省式部職の職員、祭典の事をつかさどる。
つかさどりすべる。唐書「將軍各二人、──北衙禁兵」
手中に取扱ふ、容易に己の思ふ通りにする。孟、公孫丑「治天下、可運之掌上」
掌中に同じ、裡は中。
ジュ [宥]
○さづく、あたへる(予)「天─」「神─」「襃─」○つたへる、敎へる「口─」「傳─」「敎─」「訓─」「指─」わたす(付與)○さづけ、さづかり。史、淮陰侯傳「陛下所謂天─、非人力也」
陰曆九月の異名。ながつき。詩、豳風、七月「七月流火、九月──」
佛 佛門に入りし人に五戒·十戒、具足戒等の戒律を授ける。
○學業を敎へさづける。漢書、董仲舒傳「孝景時爲博士、下帷講誦、弟子傳以久次、相──、或莫見其面」○生產の業をさづける。=授產。
生活する爲めに產業をさづける。
ほうびをあたへる。公羊傳、注「明君見勞──」
爵位をあたへて華族に列せしめる。
授けると受けると、うけわたし。孟、離婁「男女──不親」
殺される、己の首を人にあたへる義。諸葛亮文「擧兵北征、夏侯──」
元代のこよみ、農民に稼穡の時節を授ける義〔元史、曆志〕書經の「敬授人時」の語に本づく。
いのちをなげ出して盡力する。論、憲問「見利思義、見危──」=致命·捐軀。
わたしあたへる「證書──式」
①スヰ [紙]
②タ [哿]
①うつ、むちうつ(以杖擊)「鞭─」「輕─」=棰。○つく(擣)禮、內則「欲乾肉則─而食之」○馬をうつむち「馬─」=箠。
②はかる(揣)物の輕重をはかる。
同訓異義
ウツ 捶·扑·拊·撻·征·伐·討等の別は征(彳部五畫)の條を見よ。
むちうつ。史記「──問之」=捶撻。
むちうちころす。北史、王文同傳「小有遲違者、輒覆面于地、而──之」
むちうつ。漢書、路溫舒傳「──之下、何求而不得」
むちうつ。南史、劉渢傳「奴婢輩──之」=捶撻·捶扑·鞭打。
むちうつ。晉書、樂志「嫂──婢過苦」=鞭撻·笞撻。
むちうちてののしる。釋惠洪詩「往往遭──」
むち。史記「執──以鞭笞天下」=箠策。
むちうつ。魏志、何夔傳「加其──之罰」=敲扑·捶打。
①スヰ [支]
②タイ [灰]
通音スヰ
①おす。○うつる、おしうつる。うつす(遷移)易、繫辭「寒暑相─而歲成焉」○えらぶ(擇)○上としてたふとぶ、奉じいただく「─戴」○すすむ(奬·進)えらびて上に薦める。書、周官「─賢讓能、庶官乃和」○たづねる、究 キハ める(尋繹)「─本」○なじる(窮詰)
②おす、おしおとす(排擠)○おしひらく「─開」○すすむ(進)おし進める。後より送りて前に進める。左、襄十四「或─之、或輓之」輓は前よりひっぱる。○うつす(移)移し去る。○ゆづる(讓)己の有る所を讓りて人に與ふ。史、淮陰侯傳「─食食我」○ゆだぬ(諉)「─辭」○ 國 オシテ 强ひて、たって、敢て。=押。
らつりかはる、おしうつる。屈原、漁父辭「聖人不凝滯於物、而能與世──」
己の責任を他人におしつける、己の義務を他に嫁する。諉は託。
おしたふとぶ。宣和書譜「爲時人所──」=推尙。
おし進める、重んじておしたてる。南史、任昉傳「沈約一代辭宗、深所──」
人を引き立て用ひる。唐書、蕭穎士傳「以──後進爲己任」
次條に同じ、衍は敷衍。
おしひろめる。漢書、外戚傳「不知──聖德述先帝之志」蜀志、諸葛亮傳「──兵法作八陣圖」=敷衍·推衍。
恩愛を人におし及ぼす。孟、梁惠王「故──、足以保四海」
罪を吟味する。宋書「官吏──累三百日獄未具」=推問。
食を推じ衣を解きて人に與ふ、恩惠を施す義。史記「漢王解衣衣我、推食食我」
おしかんがへる。柳宗元文「──千古、無所與讓」
詩句を鍛煉する。湘素雜記「劉公嘉話云、賈島初赴擧京師、一日於驢上得句、云、鳥宿池邊樹、僧敲月下門、始欲著推字、又欲著敲字、煉之未定、遂於驢上吟哦、時時引手作──之勢、時韓愈吏部權京兆、島不覺衝至第三節、左右擁至尹前島具對所得詩句云云、韓立馬良久、謂島曰、作敲字佳矣、遂與竝轡而歸」
罪を十分にとりしらべる。唐書「──詔獄」
罪をしらべる〔宋史、太宗紀〕=推問。
おしきはめる。周書、蘇綽傳「精心悉意、──事源」
罪をしらべる、鞠はただす。=推問。
おしおよぼす。又、おしおよぶ。
おしきはめる。舊唐書、懿宗紀「崔雍情狀可見、宜更──」
すすめあげる。漢書、韓安國傳「所──、皆廉士賢于己者」=推薦。
誠の心を人におし及ぼす。南史「高帝曰、我布衣時、懷珍便──投款、況在今日、寧當有異」
おしうつ。法苑珠林「若是弟子舍利──便破矣」
本をおしたづねる。陸游詩「浩歌陌上君無怪、世譜──自楚狂」=推究。
賢人をおしすすめる。書、周官「──讓能」
人を推したふとびて自らへりくだる。南史、宋彭城王義康傳「與王弘共輔朝政、弘旣多疾、且每事──、自是內外政務一斷之義康」
○車のこしきをおす、人をおしすすめる義。史、魏其武安傳「──趙綰、爲御史大夫」○人を助けて事を成さしめる。史、荊燕世家「──高帝就天下」
○おし考へる。後漢書、劉植傳「斯固原情比迹、所宜──者也」=推考·推量。○おもひやる、想像する。
國 自分から進んでまゐる、參上する。
おしてことわる、辭退する。
やいばをおす。魏志「不能──爲天下報仇」
他人をおしすすめる。吳志「多所──」
おし尊ぶ。唐書、呂溫傳「藻翰精富、一時流輩──」=推尊。
ほめすすめる。杜甫詩「平昔濫──」=推譽。
他人をおしすすめて自らゆづる。史記「先富有、而後──」
人をおしすすめてほめる〔韓愈、何蕃傳〕=推奬。
まごころを人に移し及ぼす。中說「推之以誠、不言而信」
おししりぞける。劉楨詩「四節相──、冬季風且涼」
人を上におしすすめる。晉書「時賢竝相──」=推擧·推輓。
推しえらぶ。
おしはかる。李商隱、進賀狀「驗──則咸如周卜」
すすめたふとぶ。麻九疇詩「畫史──爲第一」=推尙。
上におしいただく。宋史、王彥昇傳「爲衆──」
おしうごかす。王曾賦「縱陰陽之──、我質難移」
人を登用する、推は下より推擧する、擇は上より選拔する。史、淮陰侯傳「不得──爲吏」
おしはかりてしる。=揣知。
罪をおしはかりただす。周禮「──獲實」=推問。
おしおもんずる。又、たふとび重んぜられる。宋書「賈恩少有志行、爲鄕曲所──」=推尊。
次條に同じ。
車を後より推し、前より輓く。轉じて、人をおしすすめる義。左、襄十四「衛君必入、夫二子者、或輓之、或推之、欲無入得乎」=推挽·汲引。
たふとびて心から從ふ。南史、陳武帝紀「明達果斷、爲當時──」
己の分限をおしはかりてそれに安んずる。晉書、王導傳「任眞──、澹如也」=揣分。
天文學の語。日月五星の運行の度數をおしはかりて曆をつくる術。抱朴子「黃帝精──」
もとを究めたづねる。漢書、劉向傳贊「有意其──之也」
十一星の運行を以て、人の運命を推し究める術。困學紀聞「以十一星行歷推人命貴賤、始於唐貞元初、都利術土李彌乾」
罪を取調べる。晉書「其父母尋訪得李氏、──皆符驗」=推治·推究審問。
すすめほめる。鮑欽止文「昨書──、皆過其實、謹避席、不敢當」
未來のことをおしかんがへる。揚雄文「因往以──、雖千世無不可知也」
おしはかる。=推察·推測。
道理を推しきはめる、理によりて推しはかる。
曆をおしはかり定める。漢書、律曆志「──生律」
○次第に廣く論じ及ぼす。○或事理に本づきて更に他の結論におしうつる。
セイ サイ [齊]
棲の俗字
すむ、すみか。謝靈運詩「恣此永幽─」=栖。
①セイ [霽]
②セツ [屑]
①ひく(曳)ひきとどめて自由を得しめず「牽─」「─肘」
②ぬく(拔)「─籤」
同訓異義
ヒク 掣·牽·引·挽·援·曳·延等の別は牽(牛部七畫)の條を見よ。
ひきとめて妨げる。爾雅、釋訓、疏「羣臣小人、無敢我──」
人の肘 ヒヂ をひきて自由をささぬ、人の事に干渉して妨げる義、肘は臂の筋。呂覽、審覽「宓子賤治亶父、恐魯君之聽說人而令己不得行其術也、請吏二人于君、俱至亶父、令之書、子賤從旁時掣搖其肘、書之不善、則子賤爲之怒、吏患而辭、歸報于君、君曰、宓子以此諫寡人之不肖也」に本づく。家語には、亶を單に作る。唐書、陸贄傳「不宜──於內也」
時の極めて短きにいふ。杜甫詩「走過──傾城知」朱熹詩「囘首十年齊──」
ひぢをひきおさへる。宣和畫譜「──者數四」=掣肘。
セフ [葉]
○かち、かつ(尅·勝)「克─」「戰─」○ぶんどりもの、戰利品。左、莊三一「齊侯來獻戎─」○かちじらせ(勝報)「奏─」○かり(獵)○すばやし、とし(速·敏疾)「敏─」○ちかし(近)○つづく(接續)
同訓異義
カツ 捷·勝·克·贏·戡の別は勝(力部十畫)の條を見よ。
すばやくしてたくみ。管子「有大略者、不可責以──」
すばやくしてさかし。周禮、注「鳱鵠是小鳥──者也」=敏慧。
應對がすばやくして窮する所なし。漢書、張釋之傳「豈效此嗇夫喋喋利口──哉」
すばやくしてつよし。北史、眞臘國傳「拳髮垂耳、性氣──」
○捷は速、ちかみち。離騷「夫唯──以窘步」○轉じて或事物に通達し得る簡易なる方法「詩學──」
すばやし。史、殷紀「帝紂資辨──、聞見甚敏」=捷敏。
かちいくさのしらせぶみ。蘇軾詩「──夜到甘泉宮」=捷報。
すみやかに成る。荀子「君子事業──」
擧動のすばやき貌。詩、大雅「征夫──」
はやあし。史、淮陰侯傳「秦失其鹿、天下共逐之、高材──者先得焉」=疾足。
すばやし、さとし。南史、謝莊傳「其──如此」=捷疾。
すばやきましら、猱は猴。甘澤謠「飛走若──登木無有蹶失」
かちいくさのしらせ。澠水燕談「未逾月、而──聞」
すばやし、さとし。劉向新序「聰明──、人之美才也」=機敏·敏捷·警敏。
すみやかにあゆむ。後漢書「──深林、尙苦不密」
ちかみち。=捷徑。
①セフ [葉]
②セフ [洽]
通音セツ
①まじはる(交)○あふ、あはす(合·會)吳語「兩君偃兵─好」○うける(承)史、平凖書「漢興─秦之敝」○招きもてなす、招待する「迎─」「款─」○もつ(持)○つぐ、つづく(續)「隣─」つらねる(連)「連─」曲禮「堂上─武」○ちかづく(近)「近─」○はやし(捷)
②とる(扱)○棺のはねかざり。=翣。
同訓異義
ツグ 接·續·繼·嗣·纘·襲·尋·次·亞·賡の别は續(糸部十五畫)の條を見よ。○マジハル接·交·雜·錯·混·參·閒等の别は交(亠部四畫)の條を見よ。
他人の心にかなふやぅにする。曹植文「承顏色以──」
人を引き入れてもてなす。舊唐書「請於私居──賓客」
さかひがつづく。史記「楚魏與秦──」=接境·接壤。
互によしみをまじへあはす。吳語「兩君偃兵──」
つながりあひて一っになる。又、つぎあはせる。
ちかづく、ちかよる。向秀文「余少與嵆康呂安、居止──」
入夫をいふ。居家必用「───謂以異姓繼寡婦者」
もてなしあしらふ。史、屈原傳「入則與王圖議國事、以出號令、出則──賓客應對諸侯」
人をひき入れて面會する。白虎通「以時──也」=引見·延見。
こしきを接す、車の近く相連るをいふ。漢書、游俠傳「萬章與中書令石顯相善、亦得顯權力門車常──」
手足などのほねの折れたるをつぎあはせる。
にはとこ、山野に自生する灌木、葉は對生して臭氣强し、四月頃小白花を著く。
ひざをつきあはす。陶潛、閑情賦「願──以交言」
○はものをあてる。漢書「爭──于公之腹、以復其怨、而成其功名」○戰をひらく。晉書「大軍相臨、交鋒──」=開仗。
車の前後の橫木の連接する義にて、多くの車の連り行くをいふ。洛陽伽藍記「雲車──、羽蓋成陰」=連軫。
○手をつらねる。戰國策「──俛首欲言而不敢」○ 國 受け取る。=落手。
つぎ木。又、木をつぐ。王冕詩「──濕封泥」=接木·騙樹。
かかとをつづける。轉じて物事の續續と起りて絶えざる義。戰國策「韓魏父子兄弟──而死於秦者世矣」
ちかづきふれる。
幾何學の語、圓の一點に觸れる線。
敵に近づきてたたかふ。庾信文「河橋──、秋水則三日不流」
つながる、つづく。
國 文法上の語、語句又は文章を接續する詞、又·且·及·與の類。
○あしらひもてなす。晉書、胡奮傳「甚見──」○ 佛 人に飮食物を拖す。佛祖統記「法師宗曉鑿義井於城南櫟社、曰法華泉、以飮行者、作亭其上、施湯茗、無問道俗、結屋數楹、創爲──」
近づけて其の言を聽き入れる。後漢書、岑彭傳「光武深──之」
ちかづきつらなる。漢書、地理志「吳越與楚──」=鄰比。
武は跡、後者の足、前者の跡の半をふむ、故に接といふ。曲禮「堂上──、堂下布武」
人に交る、物は人物「處世──」漢書、司馬遷傳「敎以愼于──」
人の脣又は手などに己の脣を當て吸ひて、親愛の意をあらはす交際法。英語キツスの譯語。
木をつぐ、つぎ木。金史、曹望之傳「栽花──」=接樹。
賓客をもてなす。又、其の事をつかさどる人。宋史、李繼昌傳「至境首──」
ひきよせてちかづける。宋書、張敷傳「少有盛名、高祖見而愛之、以爲世子中軍參軍、數見──」
①ソ [遇]
②サク [陌]
一に厝に作る錯に通ず
①おく(置)○あぐ(擧)○なげ置く、投げる。論、子路「民無所─手足」○しきほどこす(施布)○もちふる(用)○やめる、すておく(委置)中庸「學之弗能、弗─也」○まじはる。○ふるまひ「擧─」「失─」○はかり辦ずる「─辦」
②とらへる(追捕)○せまる(迫)=笮。○はさむ。
とりはからふ、處置計畫する。又、とりはからひ。宋史、李植傳「──有方、廷議倚重」
事の始末をつける。=措置。
文詩の詞づかび。=錯辭。
書生をいふ。能く大事を擧措する義。老──は老書生、窮──は貧書生。五雜俎「今人以秀才、爲──」宋史、杜衍傳「某本一──耳」
事をはかりて始末をつける。宋史「親往──」=措止·措辦·厝置。
はかりて處置する。=籌辦。
①ソウ [尤]
②ソウ [有]
①よまはりする。又、よまはり(行夜)左、昭二十「賓將─主人辭」
②うつ(擊)○あさがら(麻幹)一說、たきぎ(薪)
①ソツ シュツ [月]
②サイ [隊]
①もつ(持)とらへる(捉)頭髮を持つ。淮南、氾論「溺則─其髮而拯」○てにもつ(手持)○ぬきとる(拔取)○むかひ當る(交對)抵觸する。晉語「戎夏交─」○する(摩)
②おす(推)
くびすぢをつかむ。漢書、金日磾傳「──投何羅殿下」注「胡頸也、捽其頸、而投殿下也」
頭髪をつかみ手にて擊つ。荀子「詈侮──、捶笞臏脚」
ダ [歌]
○くだく(摧)○する、兩手にて相切摩する。=挼。
タウ [豪]
○えらぶ(擇)○とる(抒)○俗に手さぐりで物を取る義。轉じてする、人の懷中物などをすり取る。
すり、ちぼ。=掏摸。
○手さぐりで他人の物を盜み取る。○すり、きんちゃくきり。=掏兒·攫客。
タウ チャウ [梗]
○ふるひはる(揮張)○ 國 ヂヤウ おきて、規則。
タウ チャウ [庚]
○ふる(觸)手を以て物に觸れる「─撥」○つく(撞)
①タク [覺]
②トク [屋]
通じて椓に作る
①うつ(擊)○なげうつ(擿)
②擊つこゑ。
タツ テツ [曷]
○とる、ひろひとる(拾取)「采─」「拾─」詩、周南「采采芣苢、薄言─之」○かすめとる。史、張儀傳「燒─焚杅君之國」
先人の遺事をひろひあつめる。文獻通考、經籍考「聖宋──一卷」
ひろひとる。=採擷。
○ひろひとる。楊基詩「明朝買魚期再酌、我自──山中薪」=收掇·采掇。○採り集める。宋史、歐陽修傳「周漢以降、金石遺文、斷簡殘編、一切──、成集古錄」=拾掇。
たきぎを拾ひ取る。唐書「灌畦──」
ダツ ナチ [曷]
通音ナツ
○おす、手にて重く按 ォ す「─印」○からめとる(搦捎)○書法の名、微しく右の方に斜に書きさげる字體、卽ち、人·大などの類。
印をおす、はんをつく。又、其のおしたる印形 インギヤウ
佛 地獄。名義集「──迦、或那落迦、此云不可樂」=奈落。
タン [覃]
○さぐる、さがす、手にてさがし求める。○遠くさぐり究める「窮─」易、繫辭「─賾索隱」○うかがふ(伺)「─偵」○おしはかる、推測する。○もとめる(索)たづねもとめる「─勝」「─梅」「幽─」○こころみる(試)「─湯」「試─」
詩を作るに韻字を探りて分ち取る。
さぐりけみす。李羣玉詩「洞宮四百日、玉籍恣──」
軍艦·要塞などに備へ付け、夜中海上を照して敵艦の來襲などを防ぐに用ふるあかり、英語サ─チライト。=探照燈。
敵狀を探偵する騎兵。張籍詩「軍中──暮出城」
さぐりもとめる。孫資文「且於──爲廣」
さぐりきはめる。蘇軾詩「高人固多暇、──亦頗熟」=探討。
○はなをさぐる。皮日休詩「野客正閑移竹遠、幽人多病──稀」○科擧時代、殿試に第三番目に及第せし人の稱〔陔餘叢考〕
さがしえぐる、さがし出す。柳宗元文「──遯隱」
危險の地を冐しさぐる。
さぐりしらべる「南極──」
さぐりもとめる。易、繫辭「探賾索隱、鉤深致遠」
深く隱れたる事をさぐり求める。探索を見よ。
俗 軍事探偵。
さがしたづねる。法書要錄「──源流、志逸肥遁」
勝景をさぐり賞す。梅堯臣詩「在昔──猶可數、深景秀句今得傳」
春のけしきをさぐりもとめる。蘇軾詩「東郊欲──、未見鶯花迹」
唐代、春初に郊外に遊ぶをいふ。天寶遺事「長安士子、春時鬭花、以奇多者爲勝、皆以千金、巿名花植於庭中、正月各乘車馬郊宴、爲────」
よき景色の地を尋ねて遊ぶ。
さぐりはかる。高啓詩「中閒得深泉、──費修綆」
○詩歌の會の席上にて題をさぐりて分ち取る。○ 佛 役僧の名、經典の論議の題を出し又判斷する者。○ 國 鎌倉時代の地方官、其の地の內治を司り、又外寇をふせぐ「筑紫──」
さぐりたづねる。孟浩然詩「──意未窮、廻艇夕陽晚」=探究·探尋。
○熱湯をさぐり試みる。恐れ戒しむる義。論、季氏「孔子曰、見善如不及、見不善如──」○ 國 クガダチ 古、正邪を判する爲め、神に誓ひて熱湯に手を入れしめしこと、邪なる者はただれるといふ。
事のはじめをさぐる。禮記、疏「鄭注云、──知緒」
さぐり知る。
さぐりうかがふ。又、其の人。
國 犯罪人逮捕の顚末を筋書とせし小說又は演劇の類。
うめの花をさがしめづる。陸游詩「僧約溪橋共──」
出來事をさぐりたづねる。又、其の人。
たまごをさぐらるるうれひ。己の住家を襲はるるにいふ。北史、齊孝昭帝紀「鷙鳥捨巢、必有────」
あまねくさぐる。駱賓王詩「林泉恣──、風景暫徘徊」
テウ ダウ [嘯]
通音タウ
○ふるふ(振)左、昭十一「尾大不─」○うごかす(搖)「─舌」「─頭」○ただす(正)整頓する。左、宣十二「─鞅而還」
したをふるひて辯論する。史、淮陰侯傳「伏軾掉三寸舌、下齊七十城」蘇舜欽詩「──滅西寇、畫地收幽燕」
○尾をふるふ。上林賦「揵鰭──、振鱗奮翼」○最後の活動の勢よきにいふ。文章の結尾の力あるにもいふ。孔武仲詩「悠然──波閒去、須信人生不及魚」
むちをふるふ。李白詩「雙雙──行、遊獵向樓蘭」
①デフ·ネフ [葉]
②デツ [屑]
①ひねる(指捻)ねぢる。○よる(搓)「紙─ コヨリ 」○つまむ、ひねる(拈)「─香」○こねる(捏)○一─紅は詞曲の名。○─子、又、─匪は淸の咸豐の時、黨を結びて北方の數省を擾掠せし亂賊。
②おさふ(按)
①ハイ [佳]
②ハイ [卦]
①おす(推)おしひらく「─難」史、樊噲傳「迺─闥直入」○しりぞく(斥)おしのける。「詆─」「─斥」「─悶」○つらぬ、ならべる(列)「─列」○ならび、一─は一列。○おく(安置)○彭─はたて(楯)
②ふいがう、鞴に通ず。
同訓異義
ナラブ 排·竝·倂·幷·騈·比·雙の別は竝(立部五畫)の條を見よ。○ヒラク排·開·闢·辟·啓·發·拓等の別は開(門部四畫)の條を見よ。
おしめぐらす。韓愈詩「力雖能──、雷電怪詞詬」
○一族中にて尊卑屬、又年齡の順によりて排列し、某一某三などと呼ぶ義。柳宗元、與韓愈論史書「十八丈退之侍者」=輩行。○列をなしてならぶ。陳與義詩「──立曉晴」
しりぞけおとしいる。後漢書、陳蕃傳「──忠良」=排擠。
おしのけてきらふ。五代史「內相──」
しりぞけそしる。拾遺記「妙年者爭嫉之、競相──」
おししりぞける。參同契「──衆陰邪、然後立正陽」=擯卻。
そらをおしわける。淮南子「鳥──而飛」
そらをおしわける。魏澹詩「早晚時應至、輕擧一──」
おししりぞけてうつ、排斥駁擊する。漢書「──剝割、而衆理解也」
俗 次男、排三は三男、以下之に準ず。排行參看。
俗 活字を植うる。
そとへおし出す。
おしのけておとしいる。史、酷吏傳「張湯爲廷尉、治淮南獄、──莊助」=排陷。
おしのけしりぞける。後漢書、宦者傳序「竟見──」=擯斥。
無用の廢物を體外へおし出す、汗·屎·尿の類。
排泄を掌る器官。腎臟·尿管など。
勢よくとびらをひらく〔史、項羽紀〕闥は小門。
順序正しくならべおく。梅堯臣詩「──屋角邊」
はらひのぞく。=排去。
おししりぞけそしる。北史、元諧傳「性剛愎好──」=詆排。
おしわけつきあたる。南史、裴之禮傳「武帝設無遮會、儛象驚、──陛衞」
さまたげる者をおしのけて入る。晉書「──羽營」
順序よくならべる。唐會要「篇卷錯亂、卿爲朕──」
おししりぞける。李谿文「西漢則王氏擅朝、──宗室」=排斥·擯斥。
おしひらく。陳書「必──異家」」=排斥。
心のうさをはらひ遣る。杜甫詩「故林歸未得、──强裁詩」
布帛等のへり。宋史、儀衞志「鹵簿旗皆錯采爲之、──以黃紫赤三色」
詩の一體、五言又は七言の對句を八句以上偶數にならべしもの、古は長律といひ、唐以後──といふ。文體明辯「──原於顏延之·謝瞻諸人」
順序よくならべつらねる。
①ハイ [蟹]
②ハク [陌]
①ひらく(開)擺に通ず。○うつ(兩手旁擊)○なげうつ(擲)
②さく、分ちさく。禮、禮運「燔黍─豚」=擘。
開き閉づ、巧に抑揚擒縱する辯論術。鬼谷子、捭闔「──之者、料其情也」
搒(手部十畫)の古字。
ヒ [寘]
あたふ(予)=畀。
ヒョウ [蒸]
やづつ(箭筒)又、其のふた。
①フ·ホ [麌]
②撫(手部十二畫)の古字。 []
①ふせぐ(捍)
②なづ「─循」
①ホウ [尤]
②ホウ·フ [有]
③フ ボク [遇]
①とる(把)地中よりほり取りて出す。漢書、百官志「鹽官─坑而得鹽」○をさむ、あつめる(聚斂)─克は稅を多くむさぼり取る。○ふかし(深)○へす(減)かく。
②うつ(擊)「─擊」○さく。莊、胠篋「─斗折衡」=剖。
③たふす、たふる。史、呂后紀「─兵罷去」兵は武器。=仆·踣。
うつ、うたれる(攻擊)莊、人閒世「自──於世俗」
嚴 キビ しく稅を取り立てる、聚斂する。詩、大雅「曾是──」又、其の事を爲す人。孟、告子「──在位則有讓」讓は責。
あつめひろふ。文心雕龍「──千里、其僞一矣」
ホウ [腫]
○ささぐ、兩手にてうやうやしく物を承ける「承─」「拜─」○すくふ(掬)○俗に奉(大部五畫)に同じく用ふ。
任官の召し狀をささげもつ。親の爲めに志を屈するにいふ。後漢書「毛義家貧、以孝行稱、南陽人張奉慕其名往候之、坐定而府檄適至、以義爲安陽令義──而入、喜動顏色、奉心薄之、後義母亡、遂不仕」
兩手にてささげもつ。杜牧詩「大人親──」
恭しくささげよむ。柳宗元、謝李夷簡書「過蒙存問、──喜懼、浪然涕流」=奉讀。
手にてはらを抱へる、大いに笑ふ貌「──絶倒」俗に抱腹に作るは非。史、日者傳「司馬季主──而大笑」
ボン モン [元]
○なでもつ(撫持)○さぐる、なでる(摸)さする、ひねる。史、高祖紀「漢王傷胷乃─足」
しらみをひねる、蝨は一に虱に作る。晉書、苻堅載記「桓溫入關、王猛被褐而謁之、一面談當世之事、──而言、旁若無人」この故事に本づき甚だ無頓著の義とす。
國 ごたごた、もめ、紛議。=悶著·紛爭。
はらをさする。蘇軾詩「散步逍遙自──」
つたをつかみひく。孟浩然詩「──亦踐苔」
①リャク [藥]
②リャウ [漾]
略に通ず
①かすめる(抄掠)「寇─」「殺─」○他人の物をうばひとる(奪取)「─奪」「侵─」「剽─」「劫─」○かする、すれちがひて過ぎる(拂過)赤壁賦「─予舟而西也」○書法の名、左に出でて鋒の輕からんことを欲するもの。=長撇。
②罪人をむちうつ(搒笞)○うばひ取る。
むちうちて罪を治める。漢書、陳萬年傳「下獄──」=捶治。
罪人をむちうつ。史、張儀傳「──數百不服」
かすめおびやかす。世說「輜重甚盛、戴淵使少年──」
みづの上をかする。杜牧詩「沙上驚鴻──分」
かすめぬすむ。北史、袁翻傳「唯以──爲資」=剽掠。
かすめうばふ。申鑒「暴迫而取之、謂之──」=略奪·奪掠。
他人の美をかすめ取りて己の美と爲す。左傳「己惡而──爲昏」
①レイ [霽]
②レツ [屑]
①ばち、琵琶の撥。梁簡文帝詩「插─擧琵琶」=棙。
②ねづ、ねぢれる(拗)韓愈、送窮文「─手翻羮」もとる、もとらす(紾)戾に通ず。○をる(折)○ 國 ねぢ(螺旋)
かぢをねぢて舟を轉ずる。杜甫詩「牙檣──靑樓遠」
ロン リン [元]
えらぶ(擇)人材を選ぶ「─賢」
人才を選ぶ。唐書「文部始──、終授位」
えらぶ。歐陽詹詩「──期精專」
①ワン [翰]
②ワン [寒]
①うで。史、封禪書「搤─」=腕。
②ねぢる(捩)
9畫
①アク [覺]
②ヲク [屋]
①にぎる、にぎり(搤)もつ(持)「把─」掌中ににぎり持つ、外に在るは持、內に在るは─。○にぎりこぶし(拳)○てのうち(手裡)「掌─」○とばり、幄に通ず。○古の算法の名。○ひとにぎり程の量。
②そなへ、そなふ(具)○─齪はこせこせする貌。=局促。
風月を愛する情の甚だしき義。春宴錄「虞松方春言、────、旦留後日、吞花臥洒、不可過時」
書を手にもつ。齊書、孝義傳「夜讀書隨月光、──升屋」
にぎりこぶし。易林「空手──」
權力をにぎりて自由にする。揚雄、解嘲「旦──爲卿相、夕失勢、則爲匹夫」
心せまくこせつく貌。史、司馬相如傳「委瑣──拘文牽俗」=偓促·握齱·局促。
前に同じ。史、酈食其傳「其將皆──、好苛禮自用、不能聽大度之言」=齷齪。
互にてをにぎりて親愛の情を示す。後漢書「馬援與公孫述少同里閈相善、以爲旣至當──、如平生歡」歐米人にも此の作法あり。
にぎりもつ。後漢書、杜林傳「林前於西州得漆書古文尙書一卷常寶愛之、雖遭艱困、──不離身」
賢者を見るの急なる義、周公の故事〔史、魯世家〕吐哺握髮(三○八頁一段)參看。韓愈文「周公之爲輔相、其急於見賢也、當一食、三吐其哺、方一沐、三握其髮」=捉髮·握沐。
ひぢをにぎる。戴復古詩「新交──行、肝膽猶楚越」
天地の符瑞を握りて天子の位に在る。班固、東都賦「聖皇乃握乾符、闡坤珍」乾符坤珍は天地の符瑞。
あらひ髮を結び了るを待たず、髮をにぎりながら士を見たりし周公の故事によりて、政治に精勵する義。又、賢者を優待する義。世說「昔周公猶──吐食、以接白屋之士、天下歸德」=握髮。
物をにぎるさから。
かひなをにぎる。親む義。晉子夜秋歌「──同遊戲」
アツ [黠]
ぬく、ひきぬく(拔)孟、滕文公「宋人有閔其苗之不長而─之者」苗のしんをひきぬく。
同訓異義
ヌク 揠·擢·挺·拔·抽·脫の別は擢(手部十四畫)の條を見よ。
①イフ [緝]
②シフ [緝]
一音イツ
①ゑしゃくする、兩手を胸にあてる、手をこまぬきて、或は上下にし、或は左右にする禮法、手の上よりして下に極るを長─といふ「拱─」「答─」○轉じてゆづる(遜·讓)の義とす。○すすむ(進)○くむ。王禹偁文「平─江瀨」=挹。
②あつめる、輯に通ず。○あつまる(聚)○あはす(合)
平揖して拜せざるの客、卽ち主人と庭を分ちて抗禮する者。漢書、汲黯傳「夫以大將軍有──、顧不重耶」大將軍は衞靑。
○拱手の禮をなしてへりくだる。論、八佾「子曰、君子無所爭、必也射乎、──而升下而飲」○位を讓りあふにいふ。征誅の對、堯の舜に授け、舜の禹に授くる如きは──なり、湯の桀を放ち、武王の紂を伐ち、兵力を以て國を得たる如きは征誅なり。
へりくだる。宋史、上徽號樂章「──之美、放勳比隆」
あつまる貌。詩、周南「螽斯羽──兮」=輯輯。
エン [霰]
○したやく(官屬)漢書、蕭何傳「爲沛主吏─」正を─といひ、副を屬といふ。○ 國 ジヨウ 丞の音を借用す「常陸大─平國香」
屬官。後漢書、百官志「郡國皆置諸曹──」=丞史。
エン アン [琰]
○おほふ(覆)孟、萬章「從而─之」おほひて一ぱいになる。禮、禮器「豚肩不─豆」=掩。○閉ぢ藏 カク す、おほひ隱す。大學「─其不善而著其善」○くるしみせまる(困迫)禮、表記「篤以不─」○─然は疾く歸る貌。
おほひとる。穀梁傳、注「──衆禽」
①ヱン [元]
②ヱン [霰]
③ヱン [願]
①ひく(引)引─」ひっぱる。孟、離婁「─之以手」○ひきとる(引取)手に取る「─筆」○ぬく(拔)○牽き持つ、すがり攀づる「攀─」中庸「在下位不─上」○刃の直くして上に達するもの。○たすく(扶)すくふ(拯)
②たよる。○たすく、たすけ(救助)「應─」魯語「爲四鄰之─」○まじはる(接)
③ひきもつ(引持)晉語「侏儒不可使─」
同訓異義
タスク 援·助·輔·弼·扶·佐等の別は助(力部五畫)の條を見よ。○ヒク援·牽·引·挽·曳·延·惹·彈·摟·掣の別は牽(牛部七畫)の條を見よ。
○ひく、ひっぱる。後漢書「其有更相──、希附權強者」○證を引く。公羊傳、序「──他經、失其句讀」
あひ應じてたすけあふ。=應援。
すくふ。又、すくひ。後漢書「求──、以濟其患」=救援。
證據を引く。爾雅疏、序「事有隱滯、──徵之」
すくひの軍隊。=援兵。
よぢすがりて榮達を求める。晉語「董叔娶於范氏、曰將以求──也」
たすけまもる。又、たすけ。=援庇。
たすけ。後漢書「招匈奴、迎烏桓、以爲──」=援救。
たすけすくふ。舊唐書「左右──、後得累居郡守」=援救。
たすけかばふ。元稹文「無親黨爲臣──」=援護。
筆をとりてかく。魏志、陳思王植傳「──立成、可觀」
すくひの兵士。=援軍。
すくひの糧食。
すくひのみち、援兵の來るみちすぢ。
①カイ [佳]
②カイ [卦]
③カツ [黠]
①ぬぐふ、する、こする(摩·拭·擦)「淨─」「磨─」
②─排はつよくつく(强突)○つづみの一種「─鼓」
③たたく、うつ。○樂器の名、之を擽 コス りて以て樂を止むるもの。禮、明堂位「拊搏玉磬─擊」=敔。
すりみがく。桂海蟲魚志「──去皮」
カン [潸]
簡に通ず
○えらぶ(選·擇)選拔する「選─」「料─」范益謙、座右誡「凡喫飮食、不可─擇去取」○わかつ(分別)
同訓異義
エラブ 揀·撰·選·譔·擇·簡の別は選(手部十二畫)の條を見よ。
人才をえらぶ。淸會典「欽派──大臣司之」
わかちえらぶ。魏志、袁紹傳「博愛容衆、無所──」=選揀。
キ [微]
○ふる、ふるふ(奮·振)振りまはす「─刀」「─筆」○ふるひあらはす「發─」○うごかす(動)○そそぐ(灑)そそぎすてる。左、僖二三「奉匜沃盥、旣而─之」○つくす(竭)○ふりまきちらす(散)○さしづするはた、さいはい(麾)采配 サイハイ をふる、さしづする「指─」○しるしばた(幡)○─霍は疾き貌。
同訓異義
フルフ 揮·奮·震·振·戰·顫·篩の別は奮(大部十三畫)の條を見よ。
はねうちはをふるひうごかす。曹植詩「──邀淸風」
筆をふるひて書畫をかく、毫は筆。杜甫、飮中八仙歌「──落紙如雲煙」=振筆。
あせをふりそそぐ。戰國齊策「臨淄之途、車轂擊、人肩摩、連衽成幃、擧袂成幕、──成雨」人の甚だ衆き形容。
○疾き貌。陸機、文賦「紛紜──」一說、手を搖かすを揮、手を反へすを霍といふ。○ 俗 輕がるしく財物を散ずる義。
こぶしをふりまはす。
次條に同じ。
筆をふるひ墨をすすぐ。書畫をかく義。宣和畫譜「岑宗旦得酒輒醉、長哦──、以爲眞樂」=揮洒。
勢よく筆をふるひはらひて書畫を書く。陸游、草書歌「忽然──不自知」
ふるひちらす。柳宗元文「論說辨問、貫穿上下──而咸同、幽昏而大明」
ほしいまま(放縱)にふるまふ、一切を指揮して旁に人なきが如きをいふ。又、奮迅なり。莊、田子方「至人者上闚靑天、下潛黃泉、──八極、神氣不變」其の氣度の大いなるをいふ。
筆をふるひ紙をそめる、書畫をかく。唐書、懷素傳「無紙可書、種芭蕉供──」=揮灑。
なみだをふるひ落す。晉書、姚襄載記「莫不北望──」=揮淚。
ふるひすてる。文同詩「郡兵厭寶玉、得此只──」
かきならす。張隨、無絃琴賦「振素手以──」
化學にて、液體が普通の溫度にて氣體となりて飛びちる義「──油」=揮散。
筆をふるひ書をかく。李頎詩「興來灑素壁、──如流星」=揮毫。
たもとをうちふる、勢よくふるまふ形容。阮籍詩「──撫長劍」
むちをふるふ。蔡邕文「不動干戈、──而定」
ふるひあげる。晉書、禮志「立德濟世──仁風」=發揚。
なみだをふりちらす「──斬馬謖」は慈愛の心を割きて軍法に行ふ義。蜀志、諸葛亮傳に見ゆ。
キ [紙]
○はかる(度)はかり知る「測─」「度─」○はかりごと、のり(法)みち(道)孟、離婁「先聖後聖、其─一也」○百─は堯舜時代の官名、宰相の職。書、堯典「納于百─」百事を─度する義。轉じて後世宰相を─といふ「首─」○ 國 人民が黨を結びて上に反抗する擧動「百姓一─」
同訓異義
ハカル 揆·計·謀·圖·量·度·稱·測·料·揣·商等の別は計(言部二畫)の條を見よ。
其の道皆同一なる義。孟、離婁「先聖後聖·其──也」
はかりごと。又、はかりごとを運らす。聖主得賢臣頌「圖事──、則君不用其諫」
はかりついづ。孟子題辭解「包羅天地、──萬類」
みづの深さをはかる。陸機文「臨淵──、而淺深難察」
はかる。曆志「三代之興、皆──天行、考正星次」=揆度。
はかる。書經、傳「──優劣」=測度·度揆。
クワン [翰]
○かふ、とりかへる(交易)「交─」晉書、阮孚傳「嘗以金貂─酒」○あらためかへる「改─」「易─」○かはる、うつりかはる(交替·變移)「物─星移」○あらためる(改)○畔─·叛─は强くほしいまま(恣睢)
同訓異義
カハル 換·變·化·易·替·代·更·渝等の別は變(言部十六畫)の條を見よ。
きものをきかへる。ころもがへ。事文類聚「進士新及第、──、以故衣予人」=更衣。
とりかへる。穀梁傳、注「擅相──」=更換。
王羲之が道德經を書きて鵞と交換せし故事。晉書、王羲之傳「羲之性愛鵞、山陰有一道士、養好鵞、羲之往觀焉、意甚悅、因求巿之、道士云、爲寫道德經、當擧羣相贈耳、羲之欣然寫畢、籠鵞而歸、甚以爲樂、其任率如此」
新らしき空氣を入れかへる。
りゃうがへ。=換錢·兌換。
法律上、罰金·科料等を納めざるかはりとして拘畱に處する。
いひかへる、他の言葉にて言ひあらはす。
古人の詩文の意を取り、其の語を換へて已の作とする。捫蝨新話「文章雖不要蹈襲古人一言一句、然自有奪胎換骨等法、所謂靈丹一粒、點鐵成金也」冷齋夜話「不易其意而造其語、謂之換骨法、規模其意而形容之、謂之奪胎法」
○單位の異なる數量に計算しかへる。○りゃうがへ。
めぅじをとりかへる。=改姓。
りゃうがへ。それを業とする家を錢莊 リヤウガ ヘ ヤ といふ。=換銀·兌銀。
①ケツ [屑]
②ケイ [霽]
①かかぐ、たかくあげる(高擧)賈誼、過秦論「─竿爲旗」○になふ(擔)おふ(負)戰國策「馮煖于是、乘其車、─其劍」○──はながし(長)○しるし(表標)○かかげしらせる(表示)「─示」「表─」○車の疾き貌、偈に通ず。
②かかぐ、からげる。衣をかかげて淺き水を涉 ワタ る。詩、邶風「淺則─」
同訓異義
カカグ 揭·挑·褰の別は挑(手部六畫)の條を見よ。
○さををたてる。賈誼、過秦論「斬木爲兵、──爲旗」倉卒に事を擧げ、僅に竿を揭げて以て號召す。○轉じて後世、亂を倡ふる義と爲す。
掲示してさとす。曉は諭。
新聞雜誌等に詩文などをのせる。
政令をかかげしめす。宋史、食貨志「──不實者、民得自言」=揭帖·揭貼。
次條に同じ。古、帖·貼通ず。通雅「納執政、分令諸房──」
かかげはりだす。宋史、高宗紀「書之屛風、以時──」=揭帖。
看板をかかげる。周伯琦詩「明朝──醉黃封」
をのをかかげる。淮南子「操釣上山、──入淵」物を用ふるに其の所を得ざる喩。
縣の名、漢代に置く、其の故城は今の廣東省──縣の西に在り。
すだれをかかげる。韓偓詩「半身映竹輕聞語、一手──微轉頭」=褰簾。
○いちじるしく明か。○そばだつ貌。張衡、西京賦「豫章珍館、──中峙」
元の人、字は曼磧、翰林に入り侍講學士たり、遼金宋三史を總修す、最も文詩に長ず。
○長き貌。詩、衞風「葭菼──」○高き貌。劉向、九歎「服覺酷以殊俗兮、貌──以巍巍」○疾く驅る貌〔漢書、注〕
①ケン [先]
②ケン [阮]
①あぐ(擧)司馬相如、上林賦「─鰭掉尾」○になふ、肩にて物を持ち擧げる。
②とづ。とざし(閉)○ふさぐ(塞)○まじふ(接)○かたし(難)○せき、水決の口を塞ぐ處に竹を樹 タ て其の中に草と土とを塡めたるもの。漢書、溝洫志「下淇園之竹以爲─」○封界を立てる。
?(手部十一畫)の俗字。
①サク [覺]
②セゥ [蕭]
①人の臂のほそ長くうるはしき貌。
②そげて小さき貌。
サフ [洽]
挿は俗字
○さす、さしはさむ、剌し入れる「亂─」「種─」○になひぼう(擔棒)○すき。=鍤。
同訓異義
サシハサム 插·挾·夾の別は挾(手部七畫)の條を見よ。
稻の苗をうう、田植をする。高適詩「溪水堪垂釣、江田耐──」
兵の召狀に鳥の羽をさす、其の速かならんことを示す。漢書、高帝紀「羽檄徴天下兵」注「邊有警、輒露檄──」
○花をかんざしにさしはさむ。張耒詩「──野婦抱兒至、曳杖老翁扶背行」○いけばな(活花)
ゑをさしはさむ、さしゑ。
○さす。さしはさむ。元稹詩「──頭鬢相誇張」○荷なひ棒にて禾束 イネノタバ をつきさす。急就篇、顏師古注「──禾束」
俗 差し出口する。
さしはさみいれる。
文書の中に圖解する爲めに加ふる繪畫。=插畫。
植物の枝を切り、其の一端を土中に埋めて根を生ぜしめる法。
①シ [紙]
②タン [寒]
①の一音スヰ
①はかる(量度)おしはかる。高さをはかる。孟、告子「不─其本、而齊其末」○さぐる(探)「─知」○さだめる(定)○さぐりこころみる(探試)○のぞく(除)
②聚める貌、まるくあつまる。馬融賦「冬雪─封乎其枝」=摶。
同訓異義
ハカル 揣·計·謀·圖·量·度·料·忖·商等の別は計(言部二畫)の條を見よ。
骨をなでさぐる、相術の一?。劇談錄「開成中、有龍復本者、無目、善聽聲──、言休咎必中」
おしはかる。柳宗元文「退自──、惕然汗流」=忖度。
さぐりてさとる。漢書、翟方進傳「──其指、不敢發言」
○己の心を以て人の心をおしはかる。戰國秦策「蘇秦乃夜發書、陳篋數十、得太公陰符之謀、伏而誦之、簡練以爲──」○轉じて古人の文字を玩索して之に仿效するにもいふ。
笛を手にてなでさする。蘇軾、日喩「他日──以爲日也」
シウ ソウ [尤]
○さがす(索)=搜。○たづねる(討)文義を窮討する。韓愈、進學解「獨旁─而遠紹」○おほくのこころ(衆意)○あつまる(聚)○つよくはやし(勁疾)○やさけび(矢行聲)
①ジウ [尤]
②ジウ [有]
①みだれまじる。史記「百家競列、事跡錯─」○もむ、手にてひねり柔げる。王氏談錄「手自和─」○したがふ(順)やはらげる、柔順ならしめる。詩、大雅「─此萬邦」=柔。
②ためる、木を矯めて屈伸する。易、繫辭「─木爲耒」かがむ(屈)○ 國 モメル ごたごた。○ モム 身體をもみひねる「─療治」
車の輪をためてまるくする。管子「不明於化、而欲變俗易敎、猶朝──而夕欲乘車」
①ジュン [軫]
②ジュン [眞]
①なでる(摩)
②なでて、なぐさめる(安慰)
セツ テフ [屑]
○一っ一っ持ちてかぞへる(持數)易、繫辭「─之以四、以象四時」○はかる(度)
①セツ [屑]
②ケツ [屑]
③カツ [黠]
④ゲキ [錫]
①ふさぐ(塞)○ひねる(撚)○ぬぐひけす(拭滅)
②はかる。荀、非相「不揣長、不─大」=絜。
③うちならす。史、貨殖傳「─鳴琴」=戛。
④うつ、擊に通ず。後漢書、申屠剛傳「捶─牽曳於前」
①セン [銑]
②セン [鹽]
①きる、はさみきる。史、魯世家「周公自─其蚤沈之河」(蚤は爪)=翦。○たつ(斷)○わかつ(分割)○えらぶ(捍リ○しるす(箋識)書翰の末に某─と用ふるは某識といふに同じ。
②しるし(驗)○するどし(銳)○つらぬく(貫)○ 國 そろふ、そろへる。
きりたひらげる。魏書、明亮傳「拓定江表、──蕭衍」
さきわかつ、剽も亦分。史、西南夷傳「西夷後──、分二方」
セン [先]
○うでをまくる、袂 タモト をかかげ臂を出す。○手にて衣を發 ヒラ く、からぐ。蘇軾詩「玉腕半─雲碧袖」○ちぢむ(蹙)
①チン [沁]
②チン [侵]
①ねらひうつ(擬擊)史、荆軻傳「右手持匕首─之、未至身」○さす(刺)
②木を斫る聲。
むねをつく。戰國策「左手把其袖、右手揕其胸」
テイ タイ [霽]
○さしぐし、象骨にてつくりし櫛。詩、鄘風「象之─也」○すつ、すてる(捐·棄)
①テイ·ダイ [齊]
②テイ [薺]
③シ [支]
①さげる、ひっさぐ(挈)詩、大雅「匪面命之、言─其耳」○あぐ(擧)○つづみ、曲りたる木に釣り下げ、馬の髦の上に立つる鼓。○──は行步安らかにしてつまびらか(安諦)なる貌、ゆっくりと行く。詩、魏風「好人──」○攝─は星の名。爾雅「大歲在寅、曰──格」○もつ(持)手にてさげ持つ。○すべ持つ、すべ治める「─督」「─學司」○たすける(扶)○ひきゆく(牽行)ひきつれ行く「左─右挈」○招─は寺。○ 佛 菩─ ボダイ は樹の名、畢鉢羅樹、釋迦牟尼佛の其の樹の下にて佛果を得たりしよりいふ。轉じて正覺正道、佛果の義とす。无量壽經「菩─、正覺佛果異稱」
②たつ(絶)○なげうつ(擲)戰國秦策「以藥囊─荆軻」
③──は鳥の羣り聚まりて飛ぶ貌。詩、小雅「歸飛──」○朱─ シユシ は縣名、四川省に屬す、善き銀を出す、因りて銀を朱─といふ。
たづさへ持つ。高適詩「吹嘘成羽翼、──動芳馨」
議案をもち出す。又、其の議案。
要領をあげる。韓愈、進學解「記事者、必提其要、纂言者、必鉤其玄」=摘要。
たすけてひき用ふる。唐書、許孟容傳「孟容方勁有禮學、每所折衷、咸得其正、好──士」=提拔。
いとけなきこども、提は手をひっさげる、孩は初めて笑ふ年頃。韓愈詩「莫煩相屬和、傳示及──」
おほづなをひっさげる、事の大要を擧げる。宋史「──而衆目張、振領而羣毛理」=提要。
衡は平、兩兩相共に等しき義。韓非子「貴賤不相踰、賢智──而立、治之至也」
地方の學事をすべ司る官名、宋代、提擧學務司を置く、淸末──使と改む、今は廢す。
○もちあげる。=提擧。○もちだす「訴訟──」=提出。
議題をもち出す。又、其の議題。
樂器の名。=胡琴。
○管理の義、宋代、──常平倉·──水利·──茶鹽等の官あり。○轉じてひろく監督官の義に用ふ。
さし出す、もちだす。
地方の刑獄をとりしらべる官、宋代に置く、明淸は──按察使といふ。
持ちささげる。劉師服、聯句「陋質荷斟酌、狹中愧──」
○互に手をひく。曲禮「長者與之──、則兩手奉長者之手」=提挈。○互に相たすける義。孟郊詩「小儒削章句、大賢嘉──」
劍をひっさげうつ。漢書、王莽傳「拔劍四面──」
○手をひきて互にたすけあふ。史、張耳陳餘傳「以兩賢王、左提右挈、而責殺王之罪、滅燕易矣」=扶持。○手にてひっさげる。禮、王制「班白不──」
ひきとどめて制御する。金史、章宗紀「各具以聞長官、常加──」
文書をたづさへる、筆をたづさへる。西京雜記「揚子雲好事、常懷鉛──」
ひっさげ出してしめす。
みをぬきんづ。
事を諭すに詳切なる義。詩、大雅、抑「匪面命之、言提其耳」
○事に先だちてとなへ導く。=提倡。○ 佛 意義を說き示す「碧巖錄──」
もち出す「議案──」
○ひっさげる。○振作する義。韓愈詩「所職事無多、又不自──」○後進の人ををしへ導く。
ひいでぬきんでる貌。
訴訟を提起する。=起訴。
ささげもつ。
かしらをもちあげる、文中にて、天子に關する文字を別行にして上に揭げ出して書くをいふ。名山藏「翁萬達傳、萬達謝疏中、有一人字失──、爲不敬、斥爲民」
軍隊をすべる人「水師──」
ひきぬきて用ふる。寒素を提擧し、淹滯を拔擢する。庾信文「天澤沛然、謬垂──」
ふでをたづさへる。王禹偁詩「──入廣場、辭氣干斗牛」
知行の地、提は擧、大いに其の封疆 サカヒ を擧ぐる義。漢書、刑法志「一同百里、──萬井」
ベゥ [蕭]
○うつしゑがく(摹畫)白─はすみゑ。圖繪寶鑑「白─荷花」○手本に依りて摹寫する。
まきゑ(蒔繪)漆と金銀粉とにて畫く。
ゑがく。鄭玉詩「丹靑花草春──、水墨林泉秋寫成」
ゑがきうつす、にせてゑがく。圖繪寶鑑「──飄逸」=描摹。
ゑがきうつす。周密詞「丹靑自是難──」=描摹。
ヤ [麻]
からかふ。=捓。
からかふ、手をあげて嘲弄する。元稹詩「邯鄲笑匍匐、燕薊受──」=邪揄·捓揄。
ヤゥ [陽]
○あがる、高く飛び擧る「升─」「鷹─」漢高祖、大風歌「大風起兮雲飛─」○おこす(發)○あぐ(擧)○ひらく(披)○あらはす、あらはれる(顯)名高くなる「顯─」○高くする。曲禮「將上堂、聲必─」○盛んになる、勢がよくなる。書、泰誓「我武惟─」○激する。詩、唐風「─之水、白石皓皓」○ほめたたへる(稱說)「稱─」「贊─」「襃─」禮、祭統「稱─其先祖之美」○つぐ(續)書、立政「以─武王之大烈」○をの、まさかり(鉞)詩、大雅「干戈戚─」○まゆ。又、眉の上。○──は自ら足れりとする貌。○禹貢の九州の一、今の江蘇·安徽·浙江·江西·福建は皆古の─州の地。
同訓異義
アグ 揚·擧·稱·扛·昻·颺·抗·掀·翹の別は擧(臼部十一畫)の條を見よ。
かぢをあげ舟きやる。江淹詩「緩步遵汀渚、──泛春蘭」
聲をあげてうたふ。孫楚、登樓賦「舟人鼔枻而──」
揚はあげる、搉は引く、證據を擧げひきて陳べる。漢書、敍傳「──古今」一說、大槪の義、大略をあげる。
聲をはりあげていひふらす。大言壯語する。逸周書「──者寡信」=颺言。
すなを吹きあげる。春秋緯「月離于箕、則風──」
多くの樂を合せ受けんと欲するに喩ふ。蘇軾、綠筠軒詩「可使食無肉、不可居無竹、無肉令人瘦、無竹令人俗、人瘦尙可肥、俗士不可醫、傍人笑此言、似高還似癡、若對此君仍大嚼、世閒那有揚州鶴」注「昔有客、言志、或願爲揚州刺史、或願多財貨、或願騎鶴上異、其一人曰、腰纏十萬貫、騎鶴上揚州、蓋兼三人之欲也」
十三卷、漢の揚雄撰す、論語に擬して作る。
國 柔術の一派、秋山義時はじむ。
○こゑをはりあげる。曲禮「將上堂、聲必揚」○ほまれのあがる義。孔融文「──紫微、垂光虹霓」
あげなげうつ。舊唐書「米至京師、或砂礫糠粃、雜乎其閒、開元初、詔、使──而較其虛實」
揚は眉上の廣きなり、皙は膚の白きなり。詩、鄘風「揚且之皙也」
あふられあがる。呂覽「舟中之人盡──入于河」
あふられあがる。王禹偁詩「糠粃任──」
はたをあげる。沈約詩「推轂二崤岨、──九河陰」
ほをあげる。劉潛詩「──乘浪華」=擧帆。
まゆをあげて見る。列子「──而望之、弗見其形」
志を得る形容。李白文「何惜階前盈尺之地不使白────、激昻靑雲耶」
たもとをあげる。李白詩「──正北辰、開襟攬羣雄」
むちをあげる、勢よく馬をかるにいふ。溫庭筠詩「岸上──烟草迷」
なをあげる。孝經「立身行道、──于後世」
得意なる貌。史、晏子傳「意氣──、甚自得也」
字は子雲、漢の蜀郡成都の人、詞賦に長ず、口吃にして劇談すること能はず。而して沈思を好む、方言·法言·太玄經等の著あり。
高く發揚する。韓愈文「──無前之偉績」
①ユ [虞]
②エウ [蕭]
③イウ·ユ [尤]
④トウ [尤]
①ひく(引)ひきずる(曳)史、貨殖傳「─長袂躡利屣」○─揚はほめそやす。○邪─は手を擧げてからかふ、邪は捓。
②─狄は翟 キジ を畫きたる夫人の服。=褕。
③あぐ(擧)米を臼より出す。詩、大雅「或春或─」
④ひく(引)○たる(垂)
雉子を畫きたる衣、古、三夫人及上公の妻の命服。禮、玉藻「夫人──」=褕狄。
そでを長く引き垂れる。莊、漁夫「披髮──」
引き擧げる、轉じてほめそやす、譽め言ふ。班固、兩都賦序「雍容──、著於後嗣」
10畫
①アク·ヤク [陌]
②エツ [屑]
?·扼と通ず
①とる(捉)もつ(持)捉へ持つ、しめつける。史、劉敬傳「─天下之吭)」急所をおさへる。○にぎる(握)「─腕」史、周本紀「釋弓─劍」○てにみつ(滿手)
②もつ(持)
のどをつかむ、急所をおさふるに喩ふ。解嘲「搤其咽、亢其氣」=搤吭。
のんどをしめつける、要害の地に據りて敵を制する義。史、劉敬傳「今陛下入關而都、案秦之故地、此亦搤天下之吭、而拊其背也」=搤亢。
にぎりてしめころす〔詩、齊風、南山小序、注〕
うでをきびしくにぎる、奮ひて意氣ごむ貌。史、刺客傳「偏袒──而進」=搤捥·扼腕。
エゥ [蕭]
○うごく、うごかす(動)ゆるぐ、ゆるがす「漂─」「蕩─」「震─」○おこる(作)○步─はくびかざり(首飾)○──はおちつかず、託する所なし。又、憂ふる貌。○扶─は暴風。○遙に通ず、消─は逍遙。
同訓異義
ウゴク 搖·動·撼·蕩の別は動(力部九畫)の條を見よ。
ゆらゆらと動かしひく貌。鮑照詩「飂戾長風振、──高帆擧」
○心うれへておちつかざる貌。詩、王風「行邁靡靡、中心──」○舟などのゆらゆらとうごく貌〔歸去來辭〕
うごかしひらく。常袞文「披拂丹草、──靑蘋」
うでく。うごかす。宋史、蘇轍傳「多起邪說、以──在位」
ゆりうごく。范成大詩「竹輿──走婆娑」
ひざを動かす。北史「──吟咏」
小兒を容れて牽き動かし眠らしむる車。戒菴漫筆「古人製小兒睡車、曰──」
楫をうごかす。李華詩「──曙江流、江淸山復重」
ゆらめくはた、心のおちつかざるに喩ふ。白居易詩「年光同激箭、鄕思極──」
ゆれうごく、ゆりうごかす。史、司馬相如傳「隨風澹淡、與波──」=搖動·搖盪。
前條に同じ。盪は震動。
かいをゆり動かして船をやる。常建詩「春風又──」
ゆるぎうごく。北史、韋世康傳「汾絳舊是周齊分界、恐生──」=搖蕩。
人の卑屈にしてこびへつらふこと、狗の如くなるに喩ふ。韓愈文「若俛首帖耳、搖尾而乞憐者、非我志也」
くちびるを動かす、言論する義。宋史、徐徽言傳「汝且爲敵人──作說客耶」
うごかしあげる。うごきあがる。張耀、井賦「靑梧下映、泛珪葉以──」
○水のうごく貌。梁簡文帝賦「江──而生風」○魚などのおよぎ動く貌。溫庭筠詩「游魚自──」
○小兒を容るるたけかご、繩にて空にかけ、ゆり動かして眠らしむ。戒菴漫筆「今眠小兒竹籃、名──」○轉じて故鄕、又は嬰兒時代の義とす。
ろをうごかし舟をやる。徐鉉詩「──過江遲」
ヲン [願]
ゆびにておさへる(指按)
①カク [覺]
②クワク [藥]
①たたく、たたきうつ(敲擊)○はかる、はかりかんがへる(商量)北史、崔孝芬傳「商─古今」○ひく(引)○もっぱらにす、心を專一にする。班固、答賓戲「般輸─巧於斧斤」般輸は人名。○專賣して利を獨占する「─利」榷に通ず。
②てのうらをかへす。=攉。
賣買を監督するところ。宋史、眞宗紀「景德二年置霸州安肅軍──」
攜(手部十八畫)の俗字。
ケン [先]
○とる(取)○ぬく(拔)拔き取る「拔─」=攓。○かかぐ。○ちぢむ(縮)
同訓異義
トル 搴·取·執·秉·把·操·採·撮等の別は取(又部六畫)の條を見よ。
敵にかちて旗をぬき取る。漢書、季布傳贊「身履軍──者數矣」
ぬきとる。釋無可、咏蘭詩「靈均曾──、紉佩挂荷裳」
かかげとる。王冷然、初月賦「──而不盈」
コウ [尤]
構とは別字
○ひく(牽)○─擩は事を解せざる義。
コツ [月]
○ほる(掘)○あばく(發)吳語「狐埋之、而狐─之、是以無成功」○──は力を出してはたらく貌。○にごす(濁)みだす(亂)かきまはす。呂覽、本性「水之性淸、土者─之」
力を用ふる貌。莊、天地「───用力甚多、而見功寡」
サ [歌]
手でもみ碎く「─挼」手にて相摩す。陸游詩「柳細─難似」
①サウ [豪]
②サウ [號]
③サウ [巧]
①かく(手爬)爪にてかく「爬─」○する(摩)なでる(刮)○さわぐ、さわがす、さわがし。騷に通ず。
②つかむ(攫)
③つめ(爪)手足の甲。=蚤。○つめきる。
しらみの爲めにかゆきをかく。易林「亂頭多憂、──生愁」
頭をかく、心おちつかず。思ふ所あり。又、愁あるときなどの動作。詩、邶風「愛而不見、──踟躕」=搔頭。
さわぐ。吳志、陸凱傳「所在──、更爲煩苛」=騷擾。
○あたまをかく。後漢書、李固傳「固獨粉飾貌、──弄姿」○轉じてかんざし(簪)の異名。劉禹錫詩「蜻蜓飛上玉──」=插頭。
かゆきをかく。詩話總龜「詩不著題、如隔靴──」=搔痒。
シ [支]
ささふ、つっぱる、支持する(捂)=榰。
ささへる。唐書、南詔傳「初鳳迦異築柘東城、諸葛亮石刻故在、文曰、碑卽仆爲漢奴、夷畏誓常以石──」=榰梧。
①シウ [尤]
②サウ [巧]
通音サウ
①さがす、さぐる「博─」「窮─」もとむ(索)=?。
②みだる(亂)
○みだれる。韓愈詩「炎風日──」○かきみだす。方岳詩「──平生書五車」=擾亂·攪亂。
さがしたづねる。韓愈詩「雕刻文刀利、──智網恢」
けしきのよき處をさぐる。韓偓詩「──馳魂入杳冥」=探勝。
さぐりしらべる。南史、郭祖深傳「──姦惡、不避強禦」
さがしてとる。梁書、孔休源傳「自漢魏至於齊梁、竝皆──」
さがしもとめる。漢書、西域傳「提掖──、問以所聞」
さがしあつめる。南史、梁安成王秀傳「──經記」
さがして引きたてる。南史、宋高祖紀「──忠烈」
さがしあつめる。隋書、經籍志「後齊遷鄴、頗更──」
さぐりえらぶ。後漢書「太子官屬、宜──令德」
さがしもとめる、討は尋。韓琦詩「求者如麻幾百年、宜乎今日難──」
さがしさぐる。韓維詩「奄有勝跡窮──」=搜索。
隱れたる物事をさがし出して惡しきをのぞく。晁沖之詩「──發淸新」
さがしてかきあつめる。孔平仲詩「撐突盤盂飜、──堂廡汙」
さぐりとふ、人才をさがしたづねる。晉書、山濤傳「甄拔隱屈、──賢才」=尋訪。
さがして取る。宋史、張浚傳「以──豪傑、爲先務」
〔國字〕
音サク。しぼる、おして汁を取る「壓─」「─取」
シウ [尤]
○とる(拘)○つめびき(手彈)樂器を撥弄する「─琵琶」
①シン [震]
②セン [霰]
①はさむ、さしはさむ(插)束帶の時、笏を帶にはさむ。=縉。○ふるふ(振)「─鐸」
②さしはさむ、薦に通ず。
しゃくを大帶にさしはさむ〔禮、內則〕
古、官人が笏を大帶に插むをいふ。轉じて貴顯の人の稱。晉書、輿服志「所謂──之士者、搢笏而垂紳帶也」=縉紳·薦紳。
①シャウ·サウ [陽]
②シャウ·サウ [漾]
③シャウ·サウ [養]
④サウ [庚]
①つく(突)突きあたる。○こばむ(拒)○あつまる(集)とびかすむ(飛掠)莊、逍遙遊「飛─楡枋」
②帆に風を受けてのぼる「棹─」
③かすめ取る、爭ひ取る。○ふれる(觸)○つく(突)
④─攘はみだれる(亂)貌。○攙─は、ははきぼし(彗星)=欃槍。
みだれる貌。漢書、賈誼傳「國制──、非甚有紀」
かすめうばふ。康熙字典「今律法有白晝──」
地を突く。戰國魏策「布衣之怒、亦免冠徒跣、以頭──耳」
帆に風を受けて上る。庾闡賦「艇子──、榜人逸浪」
ソン [阮]
○へる、へらす(減)少くする「加─」「增─」「減─」「虧─」史、呂不韋傳「有能增─一字者、予千金」○おとす(貶)へりくだる「抑─」晉書、平安王孚傳「常自退─」○うしなふ(失)不利益。易、謙卦「滿招─」○そこなふ、やぶる(傷)つかれる。吳志、樓玄傳「勞─聖慮」○易の卦名、兌下艮上。○ 國 そこなふ、しそんじる、しくじる「書き─ ソン ず」
交りて益なき友。論、季氏「損者三友、友便辟、友善柔、友便佞、損矣」
おさへしりぞける、慢心を抑へてへりくだる〔後漢書、光武帝紀〕=抑損。
○へると、ますと、少くすると增し加へると。論、爲政「子曰、殷因於夏禮、所──可知也」=增減·增損。○そんと、まうけと、損失と利益と。
へされそこなはれる。利益をそこなひへらす。
へる、へらす。南史、傅縡傳「貨賄公行、帑藏──」=損失。
そこなひかく。荀悅文「淸節毁傷、公義──」
○おとしへす。史、樂書「君子以謙退爲禮、以──爲樂」○そんをする。=損失·減損·缺損。
そこねうしなふ、そんをする。後漢書、和帝紀「芻藁若有所──」=失損。
そこなひやぶれる。劉禹錫詩「危根易──」
へらしはぶく。後漢書、桓帝紀「詔曰、其輿服制度、有踰侈長飾者、皆宜──」
そこなひへる。阮籍詩「顏色改平常、精神自──」
おとろへやせる。蘇頲文「──相仍、流庸莫返」=瘦損。
食膳の費をへらす。史、平準書「天子乃──」
そこなひやぶれる。隋書、食貨志「每年收積、勿使──」
へらしおとす。唐書「日膳豐鮮無──」
名をおとす、評判のあしくなる義。唐書「急刻少恩、由是──」
おさへしりぞける、おさへてへりくだる。宋書、王僧綽傳「懼其太盛、勸令──」=損挹·抑損·降損。
國 衣服·物品などの貸し賃、即ち使用料「──貸し」
①タイ [灰]
②ツヰ [支]
①なげうつ(擲)法言「─提仁義」
②うつ(擿)槌にて擊つ。唐書、禮樂志「日未明、四刻─一鼔爲一嚴」
手にて其の坐具を擊つ。古詩「阿母得聞之、──便大怒」
せなをたたく。白居易詩「小奴搥我足、小婢搥我背」
タゥ [陽]
○はる(張)○つく(突)=唐。○ふせぐ(抵禦)
つきあたる。=唐突·牴觸。
タゥ [皓]
○つく。=擣。○ 國 かてる、つけ加へる「─ カテ て加へて」
かきまぜる、秩序を紊亂する。=攪亂。
タゥ [豪]
或は掏に作る
○かかぐ。○たたく(叩)○とりいだす。
かかげいだす。韓愈、孟郊墓誌「鉤章棘句、──胃腎」
胸をうちたたく。馬融、長笛賦「──擗摽」
タフ トフ [合]
○うつ(手打)○おかす(冒)○する、うつす(臨摹)しきうつし「摹─」「臨─」○紙墨を用ひて古碑法帖などを摹拓 スリウツス する。石ずりにする。韻會「今用紙墨磨摸古碑帖曰─、有宋─·舊─」
唐代茶商より收めたる稅。唐書、食貨志「茶商所過州縣有重稅、或掠奪舟車、露積雨中、諸道置邸以收稅、謂之───」
いしずり、摹搨せし本。寶章待訪錄「唐太師顏眞卿乞米帖、眞蹟在蘇澥處、士人多有臨──」=拓本。
タフ トフ [合]
又、撘に作る
○うつ(擊)○かく(挂)○つく(附)其の上に附加する義より俗にのる(乘)のす(載)の義とす「─車」「─船」○うつす(摹)梅堯臣詩「韓幹馬本模─時」=搨。○短き衣。林逋詩「中有病夫披白─」
物をつりかけるかぎ。
ふねにのせる。船に積みこむ。搭乘 タフジヨウ 船車にのる。=搭船。
ふねにのる。龍圖公案「可搭我船而去」
チク [屋]
○うごきていたむ(動而痛)身體がひきつけていたむ。漢書、賈誼傳「一二指─、身慮亡聊」○ひきつける(牽制)
ヂャク ヂョク ダク [陌]
○おさへる(按)史、扁鵲傳「─髓腦」○なでる(摩)○とる(捉)江賦「舟子於是─棹」とらへる(捕)舊唐書、代宗紀「切加捉─」○ 國 カラム 捕へてしばる。○─手 カラメテ は城の裏門。追手の對。
テン [先]
○うつ(急擊)○あぐ(揚)○ひく(引)
①ハウ [敬]
②ハウ [庚]
榜に通ず
①おほふ(掩)○ふねをこぐ(進舟)さをさす。
②むちうつ(捶擊)罪人を笞 ムチウ つ「笞─」
せんどう。=榜人·舟人。
罪人をむちうつ。漢書、張耳傳「吏──數千」=笞掠。
罪人をむちうつ。史、李斯傳「──千餘、不勝痛自誣服」
①ヘク [藥]
②フ [遇]
①うつ(拍·拊·手擊)手にてぱちぱちとたたく「拊─」史、李斯傳「彈箏─髀」○もとめもつ(索持)○いたる(至)○とる(取)○くみうちする(挌鬭)左、僖二八「晉侯夢與楚子─」○つかむ(攫)つかみ取る。史、李斯傳「鑠金百鎰、盜跖不─」
②とらへる(捕)○うつ(擊)
同訓異義
ウツ 搏·拊·撻·征·伐·討·擊等の別は征(彳部五畫)の條を見よ。
人の陰影をうつ、事の爲し得べからざる喩。漢書、主父偃傳「匈奴獸聚而鳥散、從之如──」景は影に同じ。
前條に同じ。管子「善者之爲兵也、使敵若據虛、若──」
うちとる。後漢書「貴指縱之功、薄──之賞」
○うつ、たたく、手又は物にてうつ。○ひどくうちこらす。漢書、翟方進傳「方進爲京兆尹、──豪彊、京師畏之」
手にてうち足にてける。論衡「手不能搏、足不能蹶」
うちかむ。陸龜蒙詩「虎豹爭──」=搏噬。
とらを手うちにする。轉じて無謀の勇の義。孟、盡心「晉人有馮婦者、善──、卒爲善士」
手うちにしてころす。左傳「搏而殺之」=挌殺。
召し捕へる。孟子「有故而去、則君──之」
つかみくらふ。曹植文「試之狡兔之捷、以爲──之用」=攫噬。
くみうちしてたたかふ。漢書、李陵傳「虜見漢軍少、直前就營、陵──攻之」=挌鬭。
ももをうちて節を爲す。史、李斯傳「彈箏──」
○うつ。○樂器をいふ、鼓の如くにして小、項に懸け左右の手にて擊つ、單に拊とも稱す。
屋の翼、卽ち屋の切棟 キリムネ の端の兩下して山形を爲す處、俗に破風と書く。
ハン [寒]
○はらふ。○のぞく、はらひ除く。○はこぶ「運─」○うつす(移)=搫。
故事卽ち古き歷史物などを演する芝居。=演戲。
ヘイ ヘツ [齊]
○手を反 カヘ して擊つ。○琴などをひく「摟─」=批。
ラブ [合]
一音ラツ
くじく(摧)公羊、莊元「─幹而殺之」=拉。
11畫
イン [侵]
○やすくやはらぐ。=愔。○ふかくしづか。
安らかに靜かなる貌。淮南、兵略「推其──、擠其揭揭、此謂因勢」
カイ [隊]
○そそぐ(滌)=漑。○ぬぐふ(拭)○あらふ(濯)「濯─」
ガウ [豪]
うつ(擊)
うちころす。公羊、宣二「膳宰熊蹯不執、公怒以斗摮而殺之」
①キウ [尤]
②リウ [尤]
③カウ [肴]
④ダウ [巧]
①くくる、しめる(絞)かたく物をしめくくる。○もとめる(求)張衡、思玄賦「─天道其焉知」
②とる(捋取)
③めぐる(繞)○つかぬ(束)○まとふ(纏)○むすぶ(結)「─結」
④みだる(擾)=撓。
クワ [禡]
ゆたか、ひろし(寬)橫の大いなる貌。左、昭二一「今鐘─矣」
クワク カク [陌]
○うつ(批·打)手のひらにて打つ。○ 國 つかむ(攫)にぎり持つ。
ケン [先]
揅は俗字
とぐ、みがく(磨)きはめる、研究する「─經」=硏。
コウ ク [尤]
○ひっさぐ、かかぐ(提)衣服を手にてかかげもつ。曲禮「─衣趨」隅」○さぐる(探)隱しおきたる物をさがし出す。列、黃帝「以瓦─者巧」
サ [麻]
○とる(取)=抯。○つかむ(撮)
①サイ [灰]
②ザ [箇]
①くだく、くじく(挫)をる(折)物をくじき折る。劉廷之詩「已見松柏─爲薪」他の勢力をとりひしぐ。史、季布傳「能─剛爲柔」○おす、おしおとす(擠)○ひく(挏)○はばむ(沮)そしりはばむ。詩、邶風「室人交徧─我」○おさへる(抑)○ほろぶ─ほろぼす(滅)○かなしむ(悲)心がくじけかなしむ「悲─」司馬光詩「空使寸心─」○しりぞく(退)○いたる(至)
②まぐさ、馬の食料とする細く切りし藁(斬芻)=莝。○まぐさかふ。詩、小雅「─之秣之」
同訓異義
クダク 摧·碎·齏の別は碎(石部八畫)の條を見よ。
心くじけまとふ。柳宗元文「此心未慊、祗益──」
車のながえをくだく。中論「至于覆車而──」
胸をくじく。孫楚文「遂陷首以──」
かなしみてなきむせぶ。王羲之、建安帖「臨紙──」
かれ木をくだく、槁は枯、破り易きに喩ふ。徐積文「戰而北、若──」=摧枯·摧朽。
くだきおとしいれる。挫折し破壞する。南史「軍中多萬鈞神弩、所至無不──」
摧陷は敵兵をくだきやぶる、廓淸はさっぱりと掃ひきよめる。
氣がくじけ心がうごきかなしむ。吳志、孫登傳「權益以──、言則隕涕」
くちたる木をくだく、物の破れ易きに喩ふ。北史「六軍電發、有若──」=摧枯·拉朽。
くだきうつ。陳與義詩「──竟自碎、映空白煙走」=擊摧。
敵の中堅をくじきやぶる。宋史「──陷敵、未嘗妄殺一人」
摧槁に同じ。晉書「將軍之擧武昌、若──拉朽、何所顧慮乎」=摧朽·拉朽·摧枯朽。
くだけうごく。劉孝威詩「不見山巓樹、──下爲薪」
くじく、くだける。剉はきりくだく。蘇轍詩「空記乘峽船、行意被──」=摧折。
くじける。後漢書、馮異傳「異輒──之」=摧剉·摧折。
くだく。魏志、許褚傳「飛石擲之、所値皆──、賊不敢進」=摧折·摧破。
くだけそこなふ。殘はそこなふ。陳後主詩「──枯樹影、零落枯藤陰」=摧折。
くだきそこなふ。郝經詩「羽毛皆──」
くじきはづかしめる。漢書「沒入其車馬、──宰相」=挫辱。
くじける。漢書、賈山傳「雷霆所擊、無不──」=摧挫·撓折·摧破·摧碎·摧拉·摧剉·摧殘。
をれまがる。陳琳文「──棟梁、孤弱漢室」
くじきうばふ。玉海「神臂弓銘、電激星流、敵胆──」
くじきほろぼす、くだきつくす。隋書、音樂志「──侯景、克復河南也」
くじきやぶる。論衡「干將之刀、人不──」
くだきやぶる。後漢書、伏隆傳「莫不──」=摧折。
くづれはがれる。陸游詩「荒寒過吳宮、──觀禹穴」
くだけやぶれる。唐書、韓滉傳「若──、繕之則己、安敢改作、以傷儉德」
くじきなびく。舊唐書、哥舒翰傳「擊之、無不──」
くじきたふす。魏志、注「憑賴天威、──姦凶」
くじけ敗れて逃げる。唐書、李嗣業傳「每戰必爲先鎭、所嚮──」=摧敗·摧破。
心をくだきおさへる。鮑照詩「──多嗟思」
碎けおちる。王粲、羽獵賦「山川于是搖蕩、草木爲之──」
くじきひしぐ。潘尼、火賦「林木──、沙粒竝糜」
わをくだく。新論「車──則無以行、舟無檝則無以濟」
くだけさける。蔡琰詩「慕我獨得歸、哀叫聲──」
舟のともをくだきをる。寰宇記「迅川奔注、溪險石蹙、跳波激射、──碎舳」
サウ シュウ [江]
○つく、たたく(撞)司馬相如、子虛賦「─金鼓、吹鳴籟」○──は聲の大いにしてほがらか(洪亮)なる貌。韓愈詩「曲節初──」
サク [陌]
○かすめる(捎)○木葉の落ちる聲。秋興賦「庭樹─以灑落兮」○はらふ(拂)
木の葉のおちるこゑ。韓愈詩「──疎更隕」=瑟瑟。
①サツ [曷]
②サツ [黠]
摋は俗字
①抹─ははらひけす(掃滅)とりけす。=末殺·抹殺。○ふるひちらす(揮散)○うつ、手を側 ソバダ てて擊つ。
②うつ(擊)淮南、原道「不與物相弊─」
サン [删]
かりのぞく(芟除)禮、禮器「君子之於禮也、有─而播也」
①サン·セン セン·ソン [咸]
②サン·セン [豏]
③サン [勘]
①しなやか、女の手の細き貌。=攕。
②とる(取·執)詩、鄭風「─執子之袪兮」○ほそし(細)○しなやか。
③鼓曲の名。=參。
女の手のほそく好き貌。詩、魏風「──女手、可以縫裳」=纖纖。
シ [寘]
○にへ、物を執りて相見るの禮と爲す、面會の時の禮物。=贄。○とる(執)○いたる(至)○きはむ(極)轉じてまこと、ねんごろの義とす「眞─」「懇─」○すすむ、すすめる(進)いたす(致)「─諂」○やぶる(傷)くだく(折)禮、月令「雪霜大─」○たけし(猛)「─獸」鷙に通ず。○姓、─虞は晉人。
とらへる。つなぎとどむ。韓愈詩「富貴自──、貧賤亦煎焦」
あらあらしきけもの、虎狼の屬。曲禮「前有──、則載豼貅」
ショウ [冬]
○つく(衝·撞)左、文十一「─其喉、以戈殺之」○うつ(擣)
①セウ [篠]
②サウ·セウ [肴]
①とらへうつ(拘擊)
②とる(取)西京賦「─鯤鮞」=鈔·抄。
セキ シャク [陌]
とる、ひろひとる(拾取)「採─」「收─」漢書、司馬遷傳「采經─傳」=拓。
同訓異義
ヒロフ 摭·拾·掇·捃の別は拾(手部六畫)の條を見よ。
ひろひ取る。=採摭·摭采·摭拾·捃摭。
ひろひとる。=採拾·摭採·捃採。
とりぬぐふ。李白詩「──欲贈之、申眉路無梯」
①セフ [葉]
②ラフ·ロフ [合]
①たたむ(疊)折りたたむ。○紙を折りたたみしもの、奏─は上奏文を書きし本。○ひだ。○やぶる(敗)
②をる(折)くじく(挫)=拉。○ 國 する、印刷する。
あふぎ、せんす。=摺疊扇·聚頭扇。
上奏文の天子に直達するもの。= 俗 摺子。
たたむ。文苑彙雋「此乃拆缷──之亭也」
をりでほん。王氏書苑「智永千文、唐粉蠟紙──、內一幅麻紙、是眞迹」
わきばらをくじく。淮南子「──傷幹」
齒をくじく。史、范雎傳「折脇──」
とりひしぐ。庾信文「硎谷──」
セン [先]
さしはさむ(插)俗に扞に作る。
ソウ [董]
惣は俗字
○すぶ、聚め束ねる。=總。○すべて、みな(皆)○おほし(衆)○むすぶ(結)離騷「─余轡乎扶桑」
①タン [寒]
②セン [先]
③テン [銑]
①ひねりあつめる(掜聚)○まろし(圜)手にてまろめる。曲禮「毋─飯」○よる。よりかかる、憑藉。莊、逍遙遊「─扶搖而上者九萬里」一說、搏に作る。
②ほしいままにす(擅)古、專に通ず。○にぎる(握)握り領する。史、田齊世家「─三國之兵」
③たば(把束)
心をもっぱらにする、摶は專。史、始皇紀「──壹志」
團結力の乏しきに喩ふ。蘇軾詩「親友如──、放手還復散」
茗荷 メウガ の異名。=蘘荷。
○きびを、にぎりまろめる。儀禮「──授祝、祝授尸」○黃鳥の異名〔詩、周南、疏〕
やきもの師、埴は黏士 ネバツチ 周禮、考工記「──之工二」摶一に搏に作る。
○めしをまろめる、字解參看。○にぎりめし、むすび。
チ [支]
○しく(布)梁簡文帝文「英名遠─」○ひらく(發)○のぶ(掞·舒)
字句を美くしくのべしく。藻は詞藻。班固、答賓戲「馳辯如濤波、──如春華」
チョ [魚]
○のぶ(舒)○樗に通ず、樗蒱 チヨホ は賭博 バクチ の戲。
テキ タク [鍚]
通音テキ
○あばく(發)他人の惡をあばきあらはす。=擿。○うごかす(動)さわがす(擾)○ひろふ(拓)○つむ、つまむ(手取)「─瓜」說文「─、拓果樹實也」○多くの中よりつまみ取る「─要」「─出」○さす(指)指─は指さし示す。傅毅、舞賦注「指─行列、使整齊也」
多くの中の要所をつまみとる。又、其のかき物。
きずをひろひだす。後漢書、陳元傳「抉瑕──、掩其弘美」
花をつみとる。=摘英。
あばきだす、觖は抉。漢書、孫寶傳「故欲──以揚我惡」=摘抉·摘發·擿發·挑發。
要點をつまみて書き載せる。=摘記。
くさをつみとる。つみくさ。韋應物詩「凌露摘幽草」
つまみはさむ。宋石城樂「──環髻前」
ぬきがき。
ちゃをつむ。僧惠洪詩「──時節亂山閒」
つまみとる。元稹詩「──園蔬美」
花をつみとる。江淹賦「──拾蘂」=摘花。
隱れたる惡をあばき擧げる。後漢書、賈復傳「相監司以──其姦」=擿發·摘觖。
ぬきだしてとふ。唐書、鄭澣傳「試擧諸條、──之」
要點をつまみだしてしるす。=摘記。
①バク [藥]
②ボ·モ [虞]
通音ボ·モ
①さぐる、さがす、さがしもとめる(索)手にて捉る。○つかむ(捫)
②うつす(寫)のっとる「描─」=摹。
なぞらへ、まねる。蘇軾詩「紛紛──俱堪笑」
てさぐりにてさがす。隋唐佳話「暗中──、亦可識」
手にてまねてうつす。後漢書、蔡邕傳「碑始立、其觀視及──者、車騎日千餘兩」摸一本摹に作る。
碑文などをすりうつす。北史、崔浩傳「舒人多──之」
事を瞹昧 アイマイ にして是非を決せざる義。唐書、蘇味道傳「味道爲相、嘗謂人曰、決事不欲明白、誤則有悔、──持兩端可也、故世號──手」棱は四角の木、之を摸す、右すべく、左すべし、故にいふ、俗に稜に作る。一說、蘇味道が國事を問はれたる時には確答せず、唯牀稜 コシカケノカド を撫でるのみ、故にいふと。
前條を見よ。
ヒョク [職]
さく(割)韓非、顯學「不─痤則寖益」痤は癰。
①ヘゥ [篠]
②ヘゥ [蕭]
③ハゥ [肴]
①うつ(擊)左、哀十二「長木之斃、無不─也」=?。○おちる(落)草木が枯れおちる、實が熟して落ちる。○うれひて、むねうつ(拊心)詩、邶風「寤辟有─」
②きっさき(刀末)「─末」○すてる(捐)○さしまねく(麾)孟、萬章「─使者」○高く擧る貌。
③なげうつ。=抛。
うつ。左、哀十二、注「長木斃踣于地、不擇物而後──」
高く擧る貌。管子、侈靡「──若秋雲之遠」
梅が熟し過ぎて落ちる、女子の嫁期のすぎたる義。詩、召南「摽有梅、其實七兮、求我庶士、迨其吉兮」
其の善を表し揭げる。後漢書「海內希風之徒、遂共相──」=標榜。
うつ。淮南子「攫援──、手若蔑蒙不失一絃」
刀のきっさき。僅少の義とす。漢書、王莽傳「──之功、一言之勞」
ボ モ [虞]
通じて摸·模に作る
○のっとる(規)ならふ(倣)「規─」○うつす、手にて書畫などをうつす(手寫)「臨─」「鉤─」「傳─」=摸。
まねびならふ。洞天淸錄集「漸──之、遂得天趣」=摸倣。
原本をまねうつしたる書物。皇朝類苑「今傳樂毅論者、皆──也」=摸本。
手本にまねてうつす。宣和畫譜「故俗畫──、莫克髣髴」=臨摹·摸臨。
まねてうつす。=摸寫。
ホウ [冬]
○ささぐ(奉)捀に通ず。史、龜策傳「─策定數」○ぬふ、針にて衣をぬふ。=縫。○おほひなり(大)莊、盜跖「─衣淺帶」=逢。
マ [歌]
古、磨と通ず
○する、こする(揩)○なでる(撫)「案─」○すりけす(消滅)すりへらす。史、平準書「姦或盜、─錢裏取鎔」○みがく(硏)「硏─」「切─」○とぐ(硏)○せまる(迫)ちかづく(近)「─天」○轉じて殆ど匹敵する「─李杜壘」○揣─ シマ はおしはかる。
佛 梵語、大·多·勝 スグレル の三義あり〔智論〕
名山の巖石上に刻みし碑文。泰山に多し「──碑」=磨崖。
すれ合ひて音を發する。晁補之、新城游北山記「窓閒竹數十竿、相──、聲切切不已」
天地に近づき迫る義。劉基文「於赫龍虎之臺摩乾軋坤、魁羣山而獨尊」
手にてこする、挱はする。韓愈、石鼓歌「誰復著手更──」
する、こする。
○すりみがく、轉じて、人をはげますにいふ。字文之邵文「以禮節廉恥、──臣下」○せまりちかづく。王庭珪詩「劍戟相──」
佛 ○酒をいふ。印度には、穀酒·果酒·藥酒の三種あり。○美地と譯す、忉利に屬する上天の稱〔翻譯名義集〕
頭上をなでる。孟、盡心「墨子兼愛、──放踵、利天下爲之」
天にせまりちかづく。天をこする。李白詩「吾觀──飛、九萬方未已」=摩乾。
佛 作惡業と譯す。旃陀羅族にして卑賤の業を營む男子の通稱。
佛 惡作業と譯す。旃陀羅族にして卑賤の業を營む女子の通稱。
佛 珠の通名、摩尼寶珠の略、龍王の腦中に在りといふ、淸淨なる珠。翻譯名義集「──、圓覺鈔、又云如意、謂意中所須財寶衣服飮食種種之物、此珠悉能出生、令人皆得如意、故名爲寶」=如意珠。
なでさする。蘇軾詩「欲把瘡痍手──」=按摩。
すれあふ。詩疏廣要「牝牡飛鳴、翼相──」
すれてきえる。孔安國、尙書序「錯亂──、弗可復知」=磨滅。
佛 ○摩訶麻耶の略。唐に大術或は大幻と譯す〔西域記〕○──夫人は淨飯王の后、釋迦の母。
○ 佛 華鬘。翻譯名義集「西域結鬘師、多用蘇──華」○百合 ユリ の異名〔本草〕
佛 七寶の一、金翅鳥の口邊より出づる綠色の珠、能く一切の諸毒を避く、世に希有なるを以て寶となす〔智度論〕
佛 印度の神、火星の女神、國を護り兵戈を救ふ大力ありといふ、故に武士·力士等の守り神とす。
○敵壘に接近する。左、宣十二「──而還」○他人の詩文などの古の大家に匹敵するを稱揚していふ「摩李杜壘」
レン [銑]
おふ(負)になふ(擔)擔 ニナ ひて物を運ぶ「─水」
ロウ ル [尤]
○ひく、ひきあつめる(曳聚)孟、吿子「五伯者─諸侯以伐諸侯者也」○ひく(牽)ひっぱる、つれ出す。孟、吿子「踰東家牆而─其處子」
ロク [屋]
ふる(振)うごかす(動)周禮、夏官「三鼔─鐸」
12畫
エイ·アイ イ [霽]
ゑしゃく、ゑしゃくする、手をこまぬき上下して敬意を表する。=揖。
カン ケン [潸]
通じて憪に作る
○たけし(猛)○つよく怒る(勁忿)貌。
ひどくいかる貌。左、昭十八「今執事──授兵登陴」=憪然。
①キ [支]
②ヰ [支]
①さす、さしまねく「─日」=麾。○ふるふ(揮)○さく(裂)
②たすける(佐)
へりくだりしりぞく。王儉、褚淵碑文「功成弗有、固秉──」=謙挹·撝謙。
へりくだる。撝は謙をさしまねき表 アラハ す、一說、謙德を發揮する。易、謙卦「六四、无不利──」=謙遜。
①ケイ [霽]
②ケツ [月]
①かかぐ、衣をかかぐ。禮、內則「不涉不─」=揭。
②ほる(掘)うがつ。杜牧註、孫子序「─其城郭」○とる(把)○うつ(擊)唐書、褚遂良傳「─高昌纓突厥」○なげる(投)
①ケウ [篠]
②ケウ [蕭]
①ほしいまま(擅)○いつはる(詐)かこつける(託)漢書、高五王傳「─制以令天下」=矯制。○强き貌。○せのびする。○手をあぐ(擧手)○たむ(矯)曲 マガリ を正す。漢書「─枉過其正」○まげる、屈曲させる。
②あがる(擧)
○強き貌。荀、臣道「──剛折竭立而無傾側之心」○あがる貌。史、扁鵲傳「舌──而不下」
ゲキ [陌]
○もつ(持)○うつ(擊)史、孫子傳「救鬭者不搏─」
①サツ [曷]
②サイ [泰]
③サン [寒]
①とる、つかむ、つまむ(握)兩指又は三指にてつまむ「把─」又其のつまむ程の少量。中庸「今夫地、一─土之多也」又量名、圭の四倍、一圭は黍六十四粒。○あつめる(聚)○すべてとる(總取)漢書、司馬遷傳「─名法之要」
②もとどり(髻·會撮)
③のりもの(乘載器)尸子「行險以─」○ 國 とる、うつしとる「─影」
同訓異義
トル 撮·取·執·秉·把·操·採·捕·捉等の別は取(又部六畫)の條を見よ。
國 寫眞をとる。
ひとつまみほどの少しの土。字解參看。=撮壤。
つまみてこする。楞嚴經「如以手掌──虚空」
サツ [曷]
○ちらす(散)○まく(攃)まきちらす「─水」○はなつ(放)○なげうつ(擲)
金銀の粉末を、梨子の皮の斑點の如くちらしたる塗物、梨子地。
字畫の名、火を灬と書く時の稱。=連火。
ばらばらにこはす。吳志、潘濬傳、註「出見雉翳、手自──」
まめをまく。陸游詩「風聲如飜濤、雨點如──」
みづをまく「──車」
せんす。=摺疊扇。
ふりまく、ふりかける。
摻(手部十一畫)の俗字。操(手部十三畫)の俗字。
①サン·セン [潸]
②セン [銑]
③サン [旱]
④セン [霰]
①えらぶ、詩文をつくる(述作)或は篹·譔に作る。○のり(則)易、繫辭「體天地之─」○こと(事)○そなふ(具)論、先進「異乎三子者之─」○のぶ(述)
②えらぶ、よりわける。=選。○やる(遣)○もつ(持)曲禮「君子欠伸─杖屨」
③かぞふ(數·計)=算。はかる(計)
④あつむ(集)
同訓異義
エラブ 撰·譔·選·擇·簡·揀○撰は造也と註す、文章を作るには、譔·撰何れにてもよし、撰述と連用す。唐書、百官志「史館修撰、掌レ修二國史一」○譔は善言也と註す、すぐれて善き言を、えらび錄するなり。禮記「古之君子、論二譔其先祖之美、一而明二著之後世一者也」○選はよりすぐること、文選·詩選は、詩文のよきものをよりぬく意なり、撰述には用ひず。論語「選二於衆一擧二皋陶一不仁者遠矣」○擇はよしあしをよること。中庸「擇レ善而固執レ之」○簡は擇よりは一層すぐれて、善き方を取るなり。八家文序「於二賈董班馬之後、一獨簡二此八大家者一」○揀は簡に同じく、又擇の意を兼ぬ、揀擇と連用す。
順序を立ててえらぶ、えらびて編次する。後漢書「──天子至于庶人、冠昏吉凶終始制度」
えらびあつめる、文をえらびて集め錄する。後漢書、班固傳「令班固──其事」
次條に同じ。文獻通考「周公諡法一卷、不著──名氏」
詩文、又、書物などの作者。=撰人·著者。
書物をえらびつくる。晉書、孔衍傳「凡所──、百餘萬言」=著述·著作。
君命により作りて報答する。齊書、陸慧曉傳「──詔草」
撰述に同じ。
えらびさだめる。晉書、張華傳「──官書」
いしぶみの文をえらび作る。聖宋撰遺「近──獲潤筆二百千」
文章をえらびつくる。又、其の文。
こよみをつくる。劉歆文「張蒼──、皆成于帷幕、貢于王門」
えらびしるす、えらび集めて著錄する。南史、王韶之傳「當時詔命表奏輒手自書寫、泰元隆安時、大小悉──」
ジン サン セン [侵]
○とる(取)○つまむ(摘)つまみとる。○ひきさく(撦)
シャ [馬]
俗に扯に作る
○ひらく(開)○さく(裂)
手にてひき裂く。梅堯臣詩「日畏──防嬰孩」=扯裂。
①ショウ [徑]
②タウ [庚]
①たすく、すくふ。=?。
②ふる(觸)=?。
①セイ [齊]
②シ [支]
①ひっさげる(提)○提─は手を携へる。轉じて敎へ導く義〔漢書、賈誼傳、註〕
②さく(析)手にて物を裂く。=斯。
①ゼン [先]
②ジュン [眞]
①くだく(摧)○もむ、もみくだく。
②ぬぐふ(拭)
ソン [阮]
○おさふ(抑)へりくだる、抑損する。○法度にしたがひ、趨 オモム く。○くじく(挫)○──はあつまる貌。甘泉賦「齊總總以──、其相膠葛兮」
節制をなしおさへる。抑損して節制する。曲禮「君子恭敬──、退讓以明禮」
①タ·ダ [哿]
②ヰ キ [紙]
①せまくながく(狹長)して四角を去る。
②すてる(棄)
タウ [庚]
撑は俗字
○つつぱり、ひかへばしら(斜柱)○强ひてささへる(勉强支持)「支─」○あく(飽)○さをさす(棹)舟を行る。朱熹詩「破月衝煙取次─」
ささふ。ささへ。林景熙詩「天地綱常要──」
舟にさをさす。韓琦詩「縱賞緩──」
船にさをさす。楊萬里詩「峽裏──更不行」=棹舟。
はらに飽き足る。蘇軾詩「不願──拄腹文字五千言、但願一甌常及睡足日高時」
ささへつく。杜甫、觀打魚詩「──波濤挺叉入」
撐(前條)の俗字。
タウ ドウ [江]
○つく(突)つきあたる(衝突)○つきうつ(擊·擣)「擊─」「衝─」
同訓異義
ツク 撞·衝·突·搗·擣·舂·搶の別は衝(行部九畫)の條を見よ。
玉突の遊戲。= 俗 彈子。
つきくづす。晉書「欲──之邪」
つくと、うつと。論衡「夫以筳撞鐘、以算擊鼓、不能鳴者、所用──之者小也」
かねをつく。禮、學記「善待問者如──」
うちあたる。韓愈詩「峽山逢颶風、雷電助──」
物をつき擊つ貌。李益詩「仙鐘──迎海日、海中離離三山出」
○つきあたる。○あとさきがそろはず。著は助字。禪林類聚、看經門「須彌山高不見嶺、大海水深不見底、簸土揚塵無處尋、囘頭──自家底」
つきあたる。王起任賦「若乃飛鸞刀以──」
つきいる。漢書、樊噲傳「噲直──」=突入。
しゅもく、鉦をならすに用ふる丁字形のつち〔文獻通考〕
①ダゥ [巧]
②ダゥ [效]
③カゥ [豪]
④ゼゥ [篠]
⑤ゼゥ [嘯]
⑥ゲゥ [蕭]
①うごく、うごかす。○みだす(擾)みだる、みだれ敗れる。左、成二「師徒─敗」
②かく(搔)○つまむ(抓)○かがむ(屈)まがる(曲)「屈─」「折─」正しからず。呂覽、知度「枉辟邪─之人至矣」○ためる、正當にせず(矯)史、酷吏傳「─法治之」○よわし(弱)
③みだる、かきまぜる(攪)
④たわむ(揉)○うごく(動)
⑤めぐる。=繞。
⑥─挑 ゲウテウ はめぐりまとふ(宛轉循環)莊、大宗師「─挑無極」
たわめまげる。=曲撓。
たわめかがむ。秦觀文「不爲利害之所──者、所謂人節也」=屈撓。
情をまげる。後漢書「──則違廢禁典」
くるしめさわがす。後漢書、仲長統傳「──百姓」=擾亂。
くじく。後漢書、袁紹傳「──棟梁、孤弱漢室」=摧折·撓屈。
すぐなるものをたわめ曲げる。荀悅文「──爲曲、斲方爲圓」
みだれやぶれる。字解參看。
みだる。左、成十三「──我同盟」=攪亂。
搭(手部十畫)に同じ。
①タン [寒]
②タン [旱]
①ふる(觸)○はじく、塵を拂ひ去る、彈に通ず。
②ひっさげもつ(提持)○──はいましむ(儆戒)又、つつしむ(敬)
提げ持つ。又、いましめつつしむ貌。太玄經「何福滿肩、提禍──」何は荷。
タン [覃]
さぐる。=探。
テツ [屑]
古、徹に通ず
○すてる(捨)のぞく(除去)論、鄕黨「不─薑食」やめにする、廢する「廢─」「─去」○とりのける「─膳」○ひらく(發)○ぬく(抽)○はぐ、むく(剝)
とりのける。宋史「每至官、有司例設供帳、悉命──」=撤廢。
一度出したるものを取戾す「議案を──す」
神にそなへたる供物 クモツ をさげる。
すてて其の場をしりぞく。
とりのけやめる。
そなへの兵をひきあげる。唐書、囘鶻傳「閉營──、乃縱擊之」=撤兵。
出陣せし兵をひきあげる。
天子年幼なれば、太后簾を垂れて政を聽く、旣に政を天子に歸すを──といふ。垂簾之政參看。
デン ネン [銑]
○ひねる、指にてひねる、ねぢる、よりをかける。○ふみにじる(蹂)○したがふ(從)○とる(執)○琵琶を彈く指の運びかた。白居易詩「輕攏慢─抹復挑」
こより。=捻紙·撚子。
よりいと。=縒絲。
ひねりきる。盧廷讓詩「吟成一箇字、──數莖鬚」
ひねりなでる。葛長庚詩「挑攏──緩復急」
①ハ [箇]
②ハ [哿]
①しく(布)しき及ぼす。徧く施行する「流─」「傳─」「弘─」○まく、たねをまく、うう(種·植)「─種」○あぐ(揚)左、昭四「─於諸侯」○のぶ(舒)○はなつ(放)○すてる(放棄)周語「─其淫心」○ちらす(散)○うつる(遷)のがる(逋)さすらへる。書、大誥「伐殷逋─臣」○唐の州名、今の貴州遵義縣の西。韓愈、柳子厚墓誌銘「劉禹錫當詣─州」
②しく(布)○あふる、ゆりうごかす(搖)論、微子「─鼗武」=簸。○ 國 音バン─州は播麿 ハリマ
同訓異義
シク 播·布·敷·鋪·藉·席の別は布(巾部二畫)の條を見よ。
所を失ひて遠方ににげさすらふ。左、昭二六「不榖、震盪──竄在荊蠻」=播蕩·流離。
すてる。書、泰誓「力行無度、──黎老」
廣く萬物を生ずる。魏徵賦「覽大鈞之──、察草木之殊類」
ひろくつげ知らす。書、盤庚「王──之」=布吿。
まきそそぐ。又、まきちらす。管子「掌上則──」
たねをまく。孟、吿子「今夫麰麥──而耰之」
まきうゑる。南史、陳靈洗傳「性好──、躬勤耕稼」
まきうゑる。國語「周棄──百穀」=播植。
遠方にさすらふ。韋嗣立詩「相逢共──」=流離遷徙。
さすらふ、流浪する。左、襄二五「夏氏之亂、成公──」=播越。
しきあがる。嘯賦「散滯積而──」
①ハク·ボク [覺]
②ボク [屋]
①うつ(擊)たたく「亂─」○うちあふ(相撲)○たふす、たふる(踣)
②つゑ(杖)申鑒「桎梏鞭─、以加小人」=扑。○かすめうつ(拂著)岑參詩「花─玉缸春酒香」○すこしうつ(小擊)○未だ調習せず。荀、臣道「若馭─馬」○ 國 相─ スマフ は角觝。
同訓異義
ウツ 撲·打·拍·搏·拊·征·伐等の別は征(彳部五畫)の條を見よ。
かがみをなげうつ。魏志、夏侯惇傳、注「軍中號惇爲盲、惇惡之、每照鏡恚怒、輒──於地」
ほたるをうちてとる。高觀國詩「──涼夜沈沈月」
つまづく貌。蹉跌する。木蘭辭「雄兔脚──、雌兔眼迷離」
うちころす。唐書「何不──此獠」
うつ。南史「左右失旨者、手加──」=打撲。
うちたひらげる。魏志「遂駐大軍、分兵──」
うち滅ぼす。唐書、李晟傳「賊旣敗、當乘機──」─撲滅。
うちこわす。僧齊巳詩「到頭須──、卻散與他人」
未だ調習 ナラス せざるうま。字解參看。
うちたたく刑罰。後漢書、左雄傳「孝明皇帝始有──、皆非古典」
ふでをなげうつ。韓愈詩「推書──歌慷慨」=擲筆。
錢を貯ふる器、土にて作り、口小にして、入るれば復た出だす可からず、錢滿つれば撲ち毀して之を出だす。堅瓠集「──卽今小兒積受罐、以土爲之、畜錢之具、可入不可出、滿則撲之」
うちほろぼす。又、擊ち消す。書、盤庚「若火之燎于原、不可嚮邇、其猶可──」─撲殄。
散り亂るる貌。成彥雄詩「猧兒睡魔喚不醒、滿窗──銀蟾影」
①ハツ·バチ [曷]
②ヘツ [月]
①のぞく(除)すてる。○をさむ(治)公羊、哀十四「─亂世、反諸正」○ねぢひらく(捩開)○はねひらく、發揚する。曲禮「衣母─」○はなつ(發)○めぐらす(轉)○たゆ(絶)○はらふ(拂)○そる(反)はねかへる「反─」○あぐ(揚)○ばち、絃を鼔する具。白居易詩「曲終收─當心畫」○ひつぎなは(紼)○ひく、かきならす「弄─」
②たて(大楯)史、孔子世家「矛戟劒─」─瞂。
はらひすてる。杜甫詩「妻拏隔軍壘、──不擬道」
のぞき去る。漢書、司馬遷傳「秦──古文、焚滅詩書」
かきのける。崔道融詩「酒醒──殘灰火」
書法の名、燈を挑 カカグ るが如く、急ならず徐ならざる義。鐙は燈火。樓鑰詩「李王深得───、筆力遒勁雄江東」一說、鐙はあぶみ、人の竝びて馬に乘り、鐙の相犯さざる如くする義〔廣川書跋〕
忙しき事を拂ひ除く。楊萬里詩「──也到池亭上、昨日卷荷今盡開」
弓をひき張る貌。張衡、思玄賦「彎威弧之──兮」
亂を平げ除きて治平にかへす。漢書、高帝紀「帝起細微、撥亂世、反之正、平定天下」
すだれをかかげる。白居易詩「香爐峰雪──看」
ブ [麌]
通じて拊に作る
○なでる(摩)なで安んずる、愛しいたはる「愛─」「存─」「綏─」「恩─」魯語「鎭─敝邑」○なぐさめる(慰勉)「慰─」○よりたもつ(據有)○したがふ(循)○もつ(持)○うつ(拍)○よる(據)よりかかる。曲禮「國君─式」○おほふ(掩)○おさへる(按)
なでやすんずる。吳志「孫策命慈、往──之」
やすんじなぐさめる。吳越春秋「修德行惠、──百姓」=綏慰·撫勞·慰撫。
なで安んじてたもつ。榖梁傳、注「臨──之也」
いつくしみやしなふ。後漢書、齊武王傳「──恩愛甚篤」=撫字·撫養。
むねをなでさする。陸機文「──論心、有時而謬」
てすりをなでる。王襃賦「──兮遠望、念君兮不忘」
なでやしなふ。潘岳文「嗟爾母氏劬勞──」=撫育。
ことをひく。王粲詩「獨夜不能寐、攝衣起──」=撫箏。
いたはりてすべ治める、いつくしみ使ふ。宋史、高繼勳傳「性謙有機略、善──士卒」=撫馭。
いつくしみてつかふ。いたはりつかふ。南史、蘭欽傳「善──得人死力」=撫御。
なでをしへる。北史、李賢傳「──諸弟、友愛甚篤」=撫敎。
○軍の總督、太子の稱。左、閔二「太子君行則守、有守則從、從曰──、守曰監國、古之制也」○將軍の名號。魏、司馬師を以て──大將軍と爲す。○明淸の世、巡撫の別稱。
なでをしへる。史記「──萬民而利誨之」
したしみて交をむすぶ。後漢書「──雄傑、懷輯羌虜」
けんをなでる。孟、梁惠王「夫──疾視曰、彼惡敢當我哉、此匹夫之勇、敵一人者也」
琴瑟をかなでる。淮南子「搏琴──」
琴をかなでる。晉書、桓伊傳「──而歌怨詩」=撫琴。
なでいつくしむ、字は愛育。後漢書「穆姜慈愛溫仁、──益隆」=撫育。
なでやすんずる。柳宗元文「統制三軍、──萬人」=撫和·撫輯。
次條に同じ。五代史、韓建傳「──兵民」=安緝。
なでやはらげる。宋史、理宗紀「深入蠻地、──有方」=撫和·撫柔。
心をなでをさめる。宋玉賦「──定氣」
手のひらをうつ。庾信文「陸士衡聞而──、是所甘心、張平子見而陋之、固其宜矣」
やすんじめぐむ。北史、原賀傳「有惠政、善──」=撫卹。
なでしたがへる。=拊循。
車の前のよこぎをなでて據る。王襃文「──歎兮作詩」=撫式。
民をなでやすんずる。書經「──萬方」
○世人をなぐさめ安んずる。莊子「以此進爲而──、則功大名顯」○世を掩ふ。荀、宥坐「勇力──」=蓋世。
したしみちかづく。宋書、袁顗傳「惟賦詩談義而已、不能──諸將」
なでいつくしむ、存は慰め問ふ。後漢書、張純傳「修復祖宗、──萬姓」
なでしづめる。北史「選豪右、爲守令以──之」=鎭撫。
やすんじしづめる。漢書「項梁立韓公子橫陽成、爲韓王、欲以──韓地」=撫鎭。
なでてとりいれる。吳志、步隲傳「承制遣使、宣恩──」
なでやすんずる。晉書「──四海、保有康年」=撫安·撫綏。
なでいだく。宋史、燕王德昭傳「或中夜啼號、必自起──」
なでやしなふ。後漢書「──百姓、同之赤子」=撫育。
なでねぎらふ。後漢書、吳漢傳「車駕親幸──」
なぐさみもてあそぶ。晉書、陶潛傳「陶潛蓄素琴、每有酒輒──」
なでやはらぐ。張衡、東京賦「──戎狄」=撫輯。
國 山野に自生する草、葉は披針狀對生にして淡紅色の花を開く。=洛陽花·瞿麥。
ベツ ヘイ [屑]
又、撆に作る
○はらふ(拂)ひらく(開)わかつ(別)○うつ(擊)○かかぐ(揭)○筆法の名、筆鋒を左にはやくはねる法。○漂─は餘響の少しく騰 アガ る貌。
撇(前條)に同じ。
①ラウ [豪]
②レウ [嘯]
①とる(取)水中に入りて物をとる「漁─」
②とる、鉤 カギ にてひっかけて取る。
うををすくひとる。=漁撈。
水をくぐりて物を取る。元史、食貨志「聽民於楊村直沽口──」
レゥ [蕭]
○をさむ(理)をさめ整へる。○なぶる、いどむ、からかふ(挑弄)○かすめとる、かすむ(掠取)○みだる。=繚。
戰をいどむ。魏志、龐德傳「但持長矛──」=挑戰。
つまみとる。元稹、春詩「──芳情遍、搜求好處終」
みだれあふ貌。元稹詩「鬬雞──驚」=繚亂·紛亂。
をさめととのふ。段玉裁文「理亂謂之──」=整理 俗 料理。
13畫
①カツ [黠]
②エフ [葉]
①けづる(刮)○颯─は屈折する貌。○むちうつ(撻)
②箕の物を掃き入れる處(箕舌)
カン [感]
○うごく、うごかす(搖)ゆるがす「震─」韓愈詩「蚍蜉─大樹」=?。○さわがす、ごたつかせる。宋史、蘇軾傳「元豐舊黨、多起邪說以搖─在位」○心をうごかす、感に通ず。
同訓異義
ウゴク 撼·搖·動·蕩の別は搖(手部十畫)の條を見よ。
ひざをゆりうごかす。韋莊文「陋巷窮時、聊──以書紳」
ゆりうごかす。=搖撼。
うごきたふれる、動搖顚躓。韓愈文「天雪冰寒傷汝、羸饑──險阻、不得少息」
うごかしせまる。巖下放言「排雲雨、──半空」
すずをならす。顧況、彈箜篌歌「一絃一絃如──」
をかを動かし沙を揚げる、墓所の地を相する義、龍は壟に通ず、丘阜をいふ、山陵の形勢に九星を配して吉凶を卜する、其の事を記したる書を撼龍經(一卷)といふ。
キン [侵]
通じて禽に作る
○とりこ、とらはれ(捕虜)「就─」○とらふ(捉)「縛─」とりこにす。いけどる「生─」漢晉春秋「七縱七─」
同訓異義
トリコニス 擒·禽·囚·俘·虜の別は囚(口部二畫)の條を見よ。
とりこにすると、きり殺すと。又、とらへて斬る。宋史、太祖紀「──三十八人」=捕斬。
とりこにすると、ゆるすと。李邕、鬭鴨賦「迭爲──、更相觸搏」
とらふ。爾雅、釋鳥、疏「鳥力小、可──而取之」
賊をとらへる。杜甫詩「射人先射馬、──先擒王」
とらへる。葉適文「皆以錢榖刑獄搏擊──爲職」
いけどりしばる。金剛經鳩異「遂──五六人」=捕縛·縛擒。
キョ コ [御]
通じて据に作る
○よる(依)「依─」よりかかる。○たよる(依託·賴)論、述而「─於德、依於仁」○より保つ「割─」○よりどころ「根─」「典─」「援─」○まもる(拒守)史、趙奢傳「先─北山上者勝」○おく、おさへる(按)○やすんず(安)○ひく(引·援)證を引く「證─」○ 國 よんどころ。よんどころなしは、やむを得ざる義。
同訓異義
ヨル 據·寄·憑·凭·賴·仗·倚等の別は寄(宀部八畫)の條を見よ。
よりたもつ。
正道にしたがひよる。唐書、孫伏伽傳「至誠慷慨──、懇切指朕失無所諱」=仗義。
螢 ホタル の異名。本草「螢火、一名──、一名挾火」
聖人の經書を根據とする。宋書「──審議」
ひざにもたれよる。莊子「左手──、右手持頤」
城にたてこもる。
車のまへの橫木による。莊子「──低頭」
腰掛にもたれよる。唐書「初義琰使高麗、其王──召見」
クワン [删]
つらぬく(貫)きる、主として甲冑をきるにいふ。
甲 ヨロヒ をきる。左、成二「──執兵」
ケイ [庚]
○ささぐ(捧)○あぐ(擧)「提─」○ゆだめ、弓を正しく矯 タ める器。
樹などの高くそびゆる義。宋史、劉永年傳「生四歲、仁宗使賦小山詩、有一柱──之語」
擎(前條)に同じ。
攜(手部十八畫)の俗字。
攜(手部十八畫)の俗字。
ケキ カウ [錫]
通音ゲキ
うつ(擊)莊、至樂「─以馬捶」
ケキ [錫]
通音ゲキ
○うつ(打·撲)たたく(扣)書、益稷「─石拊石」○うちならす「─鼓」「─柝」「戛─」○ころす(殺)せめころす(攻殺)「攻─」「突─」史、高祖紀「急─之勿失」○ふれる(觸)「目─」○あたる、抵觸する「肩摩轂─」○おそふ(襲)○ささふ(支)○くじきおさへる(摧抑)○なじり責める「駁─」漢書、翟方進傳「搏─豪强」○やいば(兵刃)○男のかんなぎ(男巫)=覡。
同訓異義
ウツ 擊·打·撲·征·伐·討等の別は征(彳部五畫)の條を見よ。
宋の司馬光が、幼時羣童と戲れ居りし時、一兒誤りて水甕中に墜ちしかば、直に甕を擊ち破りて、之を救ひたる故事を畫きたる圖〔冷齋夜話〕
てまりをうちなげて優劣を競ふ技。唐書、讓皇帝憲傳「具樂縱飮、──鬭雞爲樂」=打毬。
ことをかなでる。皮日休詩「天籟如──」=鼔琴。
磬をうつ。論、微子「──襄入于海」
劍をつかふわざ、劍術。漢書、司馬相如傳「少時好讀書、學──」
つづみをうつ、進軍の時に鼓をうつ。詩、衞風「──其鏜、踴躍用兵」
うちころす。魏志、許褚傳「──他等」
うちてきりころす。史、高祖紀「乃前拔劍──蛇」=擊殺。
古の遊戲、壤は木にて造り、形履の如し、其の一を地にたて、三四步を去り、他の一壤にて之をうつ。史、五帝紀「帝遊康衢、老人──而歌于路」
二十卷、宋の邵雍の詩集、其の詩俗流に超脫す、寒山拾得より出づといふ。
うちで追ひはらふ。=擊退。
○兩軍が戈矛を以て相攻める。○劍を用ひて人をさし殺す。又、其の術、劍術。晉書、劉聰傳「十五學──、猿臂善射」=擊劍。
ひゃうしをとる。蜀都賦「巴姫彈絃、漢女──」
獸の肉を屠るをいふ。鮮は新殺の肉。晉書、孝友傳「──就養、亹亹忘劬」
賊をうつ。文天祥、正氣歌「或爲──笏、逆豎頭破裂」
うちしりぞける。=擊攘。
ひゃうしぎをうちて、夜まはりする。孟、萬章「抱關──」
○刑罰をほしいままにする。史、范雎傳「涇陽華陽、──無諱」○うちてたちきる。史、仲尼弟子傳「──子路之纓」
筑(樂器の名)をうち鳴らす。戰國策「高漸離──、荊軻和而歌」
敵の軍艦などを大砲にてうちしづめる。=轟沈。
うつ。韓愈詩「文章自娯戲、金石日──」
うちやぶる。漢書、高帝紀「漢王引兵、北──終公」
うつ。宣和畫譜「如畫鷹隼、使人見之、則有──之意、然後爲工」
ほとぎをうつ。史、藺相如傳「秦王爲一──」缶一に缻に作る。
樂器などをうちたたく〔唐書、禮樂志〕=擊搏·擊掊。
擊拊に同じ〔蘇軾、石鼓歌〕
うちほろぼす。史、始皇紀「擧兵──之」=討滅。
ケン [琰]
檢に通用す
○つかぬ(束)しめくくる、とりしまる。○かんがへる(挍)○とどむ、とらへる(拘)○あぐ(擧)○かぎる(局)○さがす(?)○はかりかんがへる。晉書、周顗傳「王導料─中書故事」○めぐりしらべる(巡察)○いがた(模型)
しらべる。
○唐代の官名〔唐書、百官志〕=檢校。○ 國 ケンゲウ 法事を點檢する僧職。○古の盲官の名。
○とりしまる。○警察官が公力を以て一時人の自由を束縛する。
心をしめくくりていましめる。魏志、賈逵傳、注「吿子弟、使各自──」
①サウ·ソウ [豪]
②サウ·ソウ [號]
①とる(把)もつ(持)手にとりて持つ「─刀」○あやつる、はたらかせ使ふ「─舟」
②みさを、堅く執り守る所の志行「貞─」「節─」「松柏─」「歲寒─」○おもむき(風調)南史、袁粲傳「淸整有風─」○琴の曲調 シラベ 「琴─」○ 國 アヤツル 人を程よくあやなす。又、あやつり芝居。
同訓異義
トル 操·取·執·秉·把·採·撮·捕·捉等の別は取(又部六畫)の條を見よ。
みさをと氣韻。宋史、文同傳「同以學名世、──高潔、自號笑笑先生」=操守。
竽は笙の類、それをとる、齊の宣王竽を好む、故に──は君の好に適する傳とす。王安石詩「──入齊人、雅鄭亦復殊」
おこなひ、みさを。南史「──爲鄕里所稱」=操履·素行。
ことをとる。蔡邕文「舅姑若命之鼔琴、必正坐──、而奏曲」
みさをと、わざと。晉書「猶當崇其──、以弘風尙」
みさをがかたい。東方朔文「操愈堅而不衰」
心のしめくくり。南史、孝義何子平傳「幼持──、敦厲名行」
觚は木の方なる札、古、事を記すに用ひしもの、故に筆をとり文を作る義。陸機、文賦「或──以卒爾、或含毫而邈然」
はたらく、仕事をする。後漢書、梁鴻傳「著布衣、──而前」
ふねをあやつる。莊、達生「津人──若神」
かぢをあやつる。後漢書「將軍兄弟──者也」
自ら其の心を持ち守る。孟子「其──也危、其慮患也深」
とりて堅く守ると、すつると。孟、告子「操則存、舍則亡、出入無時、莫知其鄕、惟心之謂與」
品行がすぐれて高し。晉書、羊祜傳「祜執德沖虛、──淸遠、德高而體卑、位優而行恭」=節操。
とりまもる。又、みさを。唐書、裴度傳「神觀邁爽、──堅正」=操持·操韻。
あやつる、操はとる、縱ははなつ、巧に人を使ふ。
書きつけをもつ。陸雲賦「──染翰、思溢情煩」
かぢをあやつる。晉書、夏統傳「──正?、折旋中流」
うつ。宣和畫譜「──之次、忽見浮雲在空」
とりまもる。李商隱詩「李杜──事略齊」=操守·操植。
みさを、植は意志。晉書、袁湛傳「湛少有──」=操守。
たづなをとる。後漢書、靈帝紀「帝駕四驢、躬自──」
ふでをとる。後漢書「陳廷尉宜便──」
ほこをとる。後漢書、鄭太傳「關西諸郡、婦女猶戴戟──挾弓負矢」=執矛·挾矛。
すきを取る。徐積文「有客能──、而捨其良田」
おこなひ。履はふみ行ふ。北史、庾質傳「──貞懿、立言忠鯁」=品行·操行·操守·素行。
兵をねる(調練)=練兵。
あやつり弄ぶ。後漢書、竇武傳「──國權、濁亂海內」
サク ショク·ソク [覺]
○さす、水中の魚などをやすにてつきさして取る。莊、則陽「冬則─鼈於江」=簎。○やす、魚を刺して捕ふる具。
セツ [屑]
かぞへる(數)=揲。
セン [霰]
○もっぱら(專)○ほしいまま、ほしいままにする、わがまま。己の意に任せて事を處置する「專─」「獨─」「─權」○よりたもつ(據有)
同訓異義
ホシイママ 擅·縱·橫·放·肆·恣の別は縱(糸部十一畫)の條を見よ。
ほしいままにはかりさだめる。漢書「漢宗廟之禮、不得──」
思ふままにおびやかす。漢書、高帝紀「──諸侯兵、入關」
權力をほしいままにする。漢書「攝政──、而背宗室」=專權·擅柄。
ほしいままにころす。宋史、仁宗紀「詔獲劫盜者、奏裁毋──」=專殺。
ほしいまま。淮南子「無──之志、無矜伐之色」=專恣·放恣·放肆。
ほしいままにゆるす。隋書、權武傳「酒酣遂──所部內獄囚」
ほしいままに事をとりきめる。陳琳文「──萬機」=獨斷。
獨り其の技に秀でる義。
場中敵なき第一人者、すぐれたるうでまへ。張衡、東京賦「秦政利觜長距、終得──」
朝廷の權をほしいままにする。漢書、成帝紀論「外氏──」=專朝。
ほしいままに兵を出す。五代史「太祖以其──兵挫失國威、遣劉捍、代重師」
うつくしき名をひとりにて占める。宋書、謝靈運傳「標能──、獨映當時」
權力をほしいままにする。道德指歸論「專權──、人之所畏也」=擅權。
命令をほしいままにして節制を受けざる義。三國志「阻兵──、人自封殖」
利益をひとりにてほしいままにする。史、貨殖傳「得丹穴而擅其利數世」=專利。
ほしいまま。擅恣橫暴。
タ [麻]
○うつ(擊)「─擊」「亂─」「連─」○たたく、なぐる。魏志、太祖紀「─婦翁」○參─は鼓を擊つ。
つづみをうつ。岑參詩「軍中置酒夜──、錦筵紅燭月未午」
うちころす。吳志、薛綜傳「──主簿、仍見驅逐」=撲殺。
うつ。魏書、沈文秀傳「文秀曰、二國大臣無相拜之禮、白曜忿之、乃至──」
タク·ヂャク タク [陌]
○えらぶ(選·簡)善きものをよりとる「揀─」「選─」「簡─」「銓─」「掄─」○よりわける(別)孟、梁惠王「則牛羊何─焉」○えらび。
同訓異義
エラブ 擇·撰·選·簡·揀の別は撰(手部十二畫)の條を見よ。
友をえらぶ。大戴禮「上親賢、則下──」=擇交。
○交るべき國をえらぶ。史記「安民之本、在乎──」○交るべき友をえらぶ。白居易詩「乃知──難、須有知人明」
擇言──を見よ。
よき日をえらぶ。史記「──月日」婚嫁喪葬等の日をえらぶにもいふ。
鄕の善惡をえらぶ。荀、勸學「君子居必──、遊必就士」=擇處·擇里。
賢者をえらぶ。左傳「年均──、義均則卜、古之道也」=簡賢。
えらびて遣す。蘇軾文「朝廷──大臣爲蜀人所愛信者」
言語皆法にかなひて選り拔くべきものなし。書、呂刑「罔有擇言在躬」
えらびぬくべき言行。孝經「非法不言、非道不行、口無擇言、身無擇行」無とは言行皆法にかなひて、えり拔くべきものなき義。
たねをえりぬく。說苑「田者──而種之」
居處をえらぶ。說苑「君子居必──、游必擇士」=擇鄕。
善をえらぶ。中庸「──固執之者也」
才能ある者をえらぶ。左傳「子產之從政也、──而使之」
よりぬく。=選拔。
ふでをえらぶ。廣川書跋「余求前人論書、必先──、至于動作皆得如意、非是則未嘗書也」
木をえらぶ。左、哀十一「鳥則──、木豈能擇鳥」臣が主を擇びて仕ふるに喩ふ。新論「鳥有──之性、魚有選潭之情」
よきものをえらぶ。宋書、謝靈運傳「非龜非筮、──選奇、翦榛開徑、尋石覓崖」
近所をえらぶ。景福殿賦「偉孟母之──」=擇里。
佛 三无爲の一。擇力所得の滅といふ義。大藏法數「擇卽揀擇、滅卽寂滅、謂聲聞之人、用智揀擇、遠離見思繫縛、卽證寂滅眞空之理、是名────」
タツ [曷]
○うつ、むちうつ(打)杖·鞭などにてうつ「朴─」「鞭─」「捶─」うたれる。書、說命「若─于巿」○とし(疾速)詩、商頌「─彼殷武」○弣 ユツカ の側の矢をあてがふ處、韋にて作る。
同訓異義
ウツ 撻·拊·扑·捶·征·討·擊等の別は征(彳部五畫)の條を見よ。
むちうちはづかしめる。漢書「未嘗──人」=笞辱。
むちうつ。白虎通「或曰、──之刑也」=笞撻·扑撻。
むちうちつみす。又、其の刑罰。元稹詩「誅求與──、無乃不逡巡」=扑刑。
うちてはづかしめる。周禮「──而罰之」=撻辱。
①タン [覃]
②セン [豔]
③タン [勘]
①かつぐ、になふ、肩にになふ。背にになふは負。○轉じて自分にひきうける「─任」○武─は山名、成都城內の西北隅に在り。蜀志、先主紀「卽皇帝位於成都武─之南」
②かす(假)
③にもつ(荷物左、莊二二「弛于負─」○か、荷物の數。湘山也錄「置宮醪十─爲贄」
○にもつをになふ。管子「負任──」○にもつ。
傷病者を載せて運ぶ具。
本箱をおふ。北史、高允傳「允性好文學、──負書」=負笈。
牽牛星 タナバタ の異名。爾雅、注「今荊楚人呼牽牛星爲──、擔者荷也」
肥桶 コエタゴ を荷ふ男、屎は糞、人をそしりていふ。大藏一覽「文殊普賢是───」=擔糞漢。
擔任に同じ。
責任を負ひて任務を引き受ける。又、其のうけもち。=擔當。
佛 板をになふ者の、一方は見ゆれども他方は見えざる如く、一を知りて、其の二を知らざる者に喩ふ、漢は男〔碧巖錄〕
荷をかつぐ男。唐書、李白傳「見公主──爭道」=擔僕。
になふ。詩經「百祿是荷」箋「謂──天之多福」=負擔·荷負。
肥桶 コエタゴ を荷ふ。南史、到漑傳「以──自給」
ひきあて。抵當の物品。
荷物をになふしもべ。范成大詩「──輿夫盡勞悴」
ハク ヒャク [陌]
○さく(裂)分け割く、つんざく(劈)○弓を張る。康熙字典「弓弩手張曰─」○おやゆび(大指)轉じて一番すぐれたるもの。孟、滕文公「吾必以仲子爲巨─焉」
同訓異義
サク 擘·劈·裂·割·剖·析の別は裂(衣部六畫)の條を見よ。
きりもりして處分する。淮南子「──人事之終始者也」
つんざきつかむ。埤雅「羆遇人、則擘而攫之」
篆刻に用ふる書體、一說大いなる文字。淵鑑類函「顏眞卿請乞御書題放生池碑額表曰、臣今謹據石──大書一本隨表奏進」
おやゆび。爾雅、釋蟲、注「頭大如人──」=拇指·巨指。
紙を裁ちきる。北夢瑣言「羅紹威──起草、下筆成文」=擘箋。
手にていし弓をはる。又、其のいしゆみ。漢書、申屠嘉傳、注「今之弩以手張者、曰──」
はだをつんざく。岑參詩「烈風擘我膚」
春の疾風。風土記「河朔春時、疾風數日、一作三日乃止、曰吹花───」
ひきさく、つんざく。孟郊詩「──少室峰」=劈裂。
ハク [陌]
てごたへ。
射て物にあつる聲。張衡、西京賦「流鏑──」
①ヘキ [陌]
②ヘキ [錫]
①うつ、むねをうつ(拊心)通じて辟に作る。○かがむ、手足を屈折する。莊、馬蹄「摘─爲禮」=擘。
②さく(析)ひらく(開)
むねうちてかなしむ。張協、七命「煢嫠爲之──」=辟摽。
甚だしくかなしみてむねをうち、をどりあがる。孝經、喪親「──哭泣」
撲(手部十二畫)に同じ。
揄(手部九畫)に同じ。
①ヨウ [腫]
②ヨウ [冬]
①いだく、かかへる(抱)○おほふ(蔽)とりかこむ。○もつ(持)「─書」「─帚」○まもる(衞·護)たすける「─立」○くま(曲隈)○かこひ(範圍)○羣りしたがふ(羣從)
②さへぎる(遮)ささへる(障)禮記「女子出門必─蔽其面」○ふさぐ、壅に通ず。
同訓異義
イダク 擁·抱·懷の別は抱(手部五畫)の條を見よ。
ささへとどむ、ふさがる。史、朝鮮傳「又──不通」=壅塞·壅遏。
たすけそだてる、毓は育。漢書、敍傳「──孝昭」
かばひまもる。後漢書、虞延傳」常嬰甲胄、──親族」
たもちまもる。皇甫謐文「──函夏」
しゃくをもつ。唐書「輒紫衣──」
○劍を手にする。○はさみの偏大なる蟹。
とりかこみてたすけまもる。漢書、陳湯傳「郅支怨漢──呼韓邪、而不助己」=擁衞。
ひざをいだく。駱賓王詩「伏枕憂思深、──獨長吟」=抱膝。
木をいだきかこむ。杜甫詩「返照入江翻石壁、歸雲──失山村」
書物をかかへ持つ。蔡邕、楊復傳「──抱籍」=藏書。
多くの書册を藏する。北史、李謐傳「丈夫────、何假南面百城」
はれあがる、木のふしこぶなどにいふ。擁は臃の假借字。莊、逍遙遊「其大本──、而不中繩墨」
ははきをかかへもつ。漢書、高帝紀「太公──迎門卻行」=擁帚。
はしらをいだく。史、齊世家「──而歌」
はたをもつ。晉書、陶侃傳贊「長沙勤王──戎場」
かかへいだく。宋史、燕王德昭傳「太祖命黃門、──出入常從」
○おほひかくす。潛夫論「此奸雄所以逐黨進、而處士所以愈──也」=壅蔽。○さへぎりおほふ。禮、內則「女子出門、必──其面」
たすけ守りておしたてる。
①ライ [灰]
②ライ [隊]
①する(磨)みがく(硏)物を硏磨する。
②石を上よりおとす。=礧。○うつ(擊)莊、至樂「─以馬捶」○ 國 する、すりつぶす「─鉢」
つづみをうつ。=擊鼔。
すりこぎ、れんぎ。
國 れんぎ、擂鉢にて物をすりつぶす木棒。=摺粉木。
國 物をすりくだくに用ふるはち。
ロ [麌]
鹵に通ず
○う(獲)虜に通ず。○かすむ(掠)「─掠」
14畫
①エフ アフ [葉]
②エン [琰]
①おさふ(按)一本の指にて按へる。=擫。
②もつ(持)
擪(前條)に同じ。
指にてふえをおす。南都賦「彈琴──、流風徘徊」
カゥ [梗]
手にてはなをかむ(手捻鼻膿)
カク [藥]
閣の俗字
おく、さしおく。手に持ちし物を下に置く。
ふでをさしおきて書きやめる。=閣筆。
ギ [紙]
○おしはかる(度)推測する。○かたどる(像)○まねる(摹倣)「模─」くらべる(比)「比─」○にる、まがふ(似)漢書、王孫宏傳「侈─於君」○なぞらふ、あてがふ。適用する「倫─」「準─」「─律」「─判」○欲する、爲さんとする勢を示す。
おしはかる、裁度する。易、繫辭「──以成其變化」
經書にまねて作る、擬は模擬。徐陵文「七十之歲、揚雄──、六十之年、平津對策」
古體になぞらへて作る「──文」捫蝨新話「──詩難於近似」
にせてつくる、まねて作る。又、其の作品。
修辭法の一、無情の物を人類にみたてていふ法、竹を「此君」松を「十八公」又「花笑ふ」「鳥歌ふ」の類。
動物學の語、己の身を保護せんために、他物の形態に擬似せしめる、卽ち尺蠖 シヤクトリムシ が樹枝の狀をなせる類。
なぞらへはかる。易、繫辭、疏「──之「而後言」=度擬。
かりにはかりてさだめる。
わりあててとる。羅隱詩「──金錢贈嘉禮」
假定の事實に對して如何に裁判すべきかを決斷する義。
法律を事實にあてはめる。
舉(臼部十一畫)の本字。
サツ [黠]
○さする。○なでる。摩の急なる義「摩─」
①ジュ ズヰ [麌]
②ゼン [先]
①そむ(染)韓愈文「耳─目染、不學以能」
②ひたす(搵)濡に通ず。○もむ。=撋。
セイ サイ [霽]
○おす(推)おしおとす。○おしのける(排)「排─」○おとしいれる(陷)韓愈、柳子厚墓誌銘「反─之又下石焉」○そこなふ(毒)○おつ、おちいる(墜)左、昭十三「小人老而無子、知─于溝壑矣」
人をおとしいれそこなふ。元史「別兒怯不花嘗與阿魯圖謀、──脫脫」
惡意を以て人を罪におとしいれる。唐書、李泌傳「楊炎罪不至死、杞──之」杞は盧杞。
おししりぞける。又、おしひらく。馮子振文「揮斥日月、──煙霞」=排擠。
人をおとしいれおさへつけて、進み登ることを得させぬ。唐書「嘗爲張延賞──、內怨望」
タイ ダイ [灰]
○あぐ、もたぐ、もちあげる(擧)○うごかす(動)
ねだんを高くする。
さしあげる、人物を拔きすすめる。元稹詩「大都只在人──」
文中にて貴人の姓名の上を一字分だけあけて尊敬の意を表する書式。明律附解「第一──、第二──」
①タウ·トウ [皓]
②チウ [尤]
①うつ(擊)○きつく(築)○つく(衝)「─虛」攻擊する。○たたく(敲)○うすつく(舂)米をうすつきしらげる。=搗。○よる(依)
②あつまる(聚)=稠。
同訓異義
ツク 擣·衝·突·搗·撞·舂·搶の別は衝(行部九畫)の條を見よ。
きぬた。又、衣を槌にてうつ。李白、子夜吳歌「長安一片月、萬戶──聲」
敵の備へなきすきまに衝き入る。史、孫武傳「批亢──」
こまかにつきくだく。齊東野語「蔡倫以布、──作紙」
きぬをうちて練る。韓愈詩「砧寒未──」
砧 キスタ にて衣をうつ、碪は砧。陳鴻詩「典盡衣未贖、隣家夜──」
タク [覺]
通音テキ
○ぬく(拔)○ひく(引)○ぬきだす(抽出)拔き出して登用する「拔─」「選─」「超─」樂毅、上書「─之于賓客之中」○ぬきんづ、獨り出づる貌。○あぐ(擧)○そびゆ(聳)高く立つ。班固、西京賦「─雙立之金莖」そばだつ。○さる(去)すつ(徹)
同訓異義
ヌク 擢·挺·拔·抽·揠·脫○擢は同じものの中よりぬき出すなり。戰國策「擢二之乎賓客之中、一而立二之乎羣臣之上一」○挺は自らぬけ出るなり、挺レ身逃亡は、獨り身をぬきて逃るなり。○拔はぬき出すなり、拔レ刺·拔レ羣などと用ふ。易經「確乎不レ可レ拔」○抽は引き出す意なり、抽斗は簞笥のひきだしなり。孟子「抽レ矢扣レ輪」○揠はしんをぬくなり。孟子「宋人有下揠二其苗一而長者上」揠レ刀も同じ。○脫はぬけてはだかになるなり、ぬぐと訓む、蟬脫レ殼の類。
ひきぬきてあげ用ふる。=擧擢。
賢者をぬき出し用ふる。後漢書「──于衆愚之中」
○人にすぐれひいでる。又、其の人。徐勉文「雄州──、弱冠升朝、穿綜百家」○草木の榮え長ずる義。沈演之、頌「──辰畦」
衆中よりぬきだしてほめる。陳書、宣帝紀「戶有增進、卽加──」
順序によらずぬき出して高官を授ける。晉書、左思傳「以能──殿中侍御史」
ぬきいだす。
ぬきあげて官位をのぼす。舊唐書「自古郡守縣令、皆妙選賢德、欲有──、宰相必先試以臨人」=升擢·超擢·擢登。
及第する。北史、柳謇之傳「以明經──」=登第。
ぬきあげて官位をのぼす。後漢書、徐穉傳「若使──三事協亮天工、必能翼宣盛美、增光日月」=擢昇·登擢。
能ある者をぬき用ふる。劉子「昔時人君拔奇于囚虜、──于屠販」
かみの毛をぬく。史、范雎傳「擢賈之髮、以數賈之罪、尙未足也」極めて多きをいふ。
衆中よりぬき出して用ふる。後漢書、公孫述傳「程烏李育以有才幹、皆──之」=選用。
ヒン [震]
○すつ(棄)「─棄」○しりぞく(斥)のけものにする「─斥」○賓客をみちびく(導)=儐。
同訓異義
シリゾク 擯·退·屛·斥·卻·却·黜·貶の別は退(辵部六畫)の條を見よ。
しりぞけさる。桓譚、新論「──窮巷、不交四鄰」
主人と客との閒に立ちて周旋する者。儀禮、士冠禮、注「擯者有司佐禮者、在主人曰擯在客曰介」
しりぞけすつ。崔寔、政論「寡不勝衆、遂見──」=擯斥。
しりぞける、卻は却の本字。漢書、中山靖王傳「宗室──、骨肉冰釋」=擯斥。
賓客の事を司る官、出でて賓客に接するを擯といひ、入りて禮を贊くるを相といふ。周禮、司儀「掌九儀之賓客──之禮」
しりぞけてのけものにする。宋史、王禹偁傳「爲流俗所不容、故屢見──」=排斥·排擯。
しりぞける。謝靈運、曇法師誄「慨然有──榮華、兼濟物我之志」
ラン [感]
一に?·攬に作る
○とる(采)屈原、離騷「夕─洲之宿莽」○つまみもつ(撮持)史、袁盎傳「竝車─轡」○すべもつ(總持)すべくくる。蜀志、諸葛亮傳「罰二十以上皆親─焉」○とりもつ(執持)
手にとる。後漢書、薊子訓傳「母不覺──、乃實兒也」
擥(前條)に同じ。
①ワク [陌]
②クワ クワク [禡]
①にぎる(握)○とる(手取)
②獸を捕るわな(機檻)中庸「驅而納諸罟─陷阱之中」罟はあみ、陷阱はおとしあな。
15畫
クワク [陌]
おしひろめる、小を張りて大ならしむ。
おしひろげて十分に滿たす。孟、公孫丑「知皆擴而充之」仁義禮智の素質は我心に先天的にそなはれるものゆゑ、之をおしひろげて十分に發達せしむるを要する義。
おしひろげる。=擴張。
おしひろげる。=擴大。
攜(手部十八畫)の略字。
ケツ ケチ [屑]
○とる(捋取)つむ、つまみとる「採─」許有壬詩「奚童─滿筐」○はさむ、つまばさむ、衣のおくみを折りかかげて帶にはさみ、其の中に物を入れる。=襭。
香草を採る。劉禹錫詩「何人事──」
サツ [曷]
○まく「─沙」=撒。○ちらす(散)○する(摩)○足にて草を動かす聲。
攢(手部十九畫)の俗字。
①ゼウ [篠]
②ゼウ [蕭]
①みだる、みだす(亂)「紛─」「騷─」○わづらはし(煩)さわがし。○したがふ(順)○すなほ。○なる、ならす(馴)「─龍」「敎─」○やすんず(安)周禮、天官、太宰「以─萬民」
②家に飼ふ動物(家畜)周禮、夏官「豫州其畜宜六─」六─は馬牛羊豕犬雞。=六畜·六牲。
同訓異義
ミダル 擾·亂紊·棼·紛の別は亂(乙部十二畫)の條を見よ。
ならしなつける。韓非子「龍之爲蟲也、可──而騎」
さわぎみだれる貌。漢書「傾側──楚魏之閒」後漢書、盧芳傳「因時──、苟恣縱而已耳」=擾亂。
ごたごたとみだれる貌。國語「唯有諸侯、故──焉」=紛紛·紛擾·紛糾。
みだしうばふ。唐書、逆臣傳「樹壁相望、──梁宋閒」
みだれそむく。詩經、疏「思不出其位、無復──」
みだれやぶれる。王勃詩「晉曆崩坼、衣冠──」
みだれさわぐ。史、項羽紀「門下大驚──」
ソウ [有]
抖─ トソウ はあぐ(擧)又、振ひ動かす。王維詩「抖─辭貧里」又、僧侶の行脚。又、其の僧。釋氏要覽「梵語杜多、華言抖─」=斗藪。
チョ [魚]
通じて摴に作る
○のぶ(舒)班固、答賓戲「獨─意乎宇宙之外」○しく(布)司馬相如、封禪書「─之無窮」○ちる、ちらす(散)○のぼる、のぼす(騰)○なぞらふ(擬)
おもひをのべる。攄は舒。唐太宗、翠微宮詩「──俗塵外、高眺白雲中」=攄意。
テキ チャク [陌]
○なげる(投)なげうつ(抛)「棄─」「投─」「抛─」晉書、孫綽傳「卿試─地、當作金石聲也」=擿。○なげやる、放棄する。○ふるふ(振)酉陽雜俎「吼─而前」○ 國 なぐりうつ「打─ チヤウチヤク 」
金をなげうつ。錢起詩「六義驚摛藻、三臺響──」
なげうちすてる。世說「促而──之」
○ひをかよはし機を織る。于濆詩「窗下──女」○光陰の速なるに喩ふ。雲笈七籤「紅顏三春樹、流年一──」
なげうちころす。金史、紇石烈執中傳「執中方飼鷂、怒──之」
鉢(僧の食器)をなげる。三昧經「菩薩──於空中、自然飛來」
①テキ·ヂャク [陌]
②テキ·チャク [錫]
①なげる(投)なげうつ、なげつける。史、荆軻傳「引匕首以─秦王」=擲。○なげすてる。莊、胠篋「─玉毀珠小盜不起」○かく(搔)○かんざしのあし、みみかき(簪股)○とる(取)つむ。=摘。
②あばく、惡事をあばき出す「發─」「指─」漢書、趙廣漢傳「發姦─伏如神」あぐ、かかぐ(挑發)○いしなげ。
隱れたる惡事をかかげ出す。抉一に觖に作る。漢書「欲──以揚我惡」=擿發·挑發。
隱れたる惡事をあばきだす。後漢書、賈復傳「相監司以──其姦」=摘發·發擿。
裁判するに能く隱れたる罪をあばき出す。字解參看。
ハイ [蟹]
通じて捭に作る
○ひらく(發·開)おしひらく(排)○ふるふ(振)ふるひ動かす「搖─」○ 俗 陳列の義「─布」「─樣」
ふるひうごかす。孔平世詩「草木困──、枯葉半不全」
ひらきひく。顧雲詩「波濤──魚龍殭」
○ひらきのぞく。宣和書譜「李邕──舊習、筆力一新」○身を脫して去る。韓偓詩「──是良圖」
ひらきすてる。世說「望卿──常務」
はらひのぞく。陶潛、飮酒詩「──悠悠談」
とりひしぐ。李陽冰文「得──阻嚼之勢」
ひらきもてあそぶ。韓愈詩「別來揚柳街頭樹、──春風只欲飛」=播弄。
ハク [覺]
○うつ(擊)○?─は射て物に中 アタ る聲。
ハン [删]
○よづ、下から上へつかまりのぼる「躋─」「登─」「仰─」○ひく(扳·引)つかまる。○たすけ(援)すがりつく。
○たよる、勢力ある人をたのみにする。漢書、翟方進傳「欲相──、死而後已」○よぢのぼる。莊、馬蹄「烏鵲之巢、可──而闚」=攀緣。
よぢのぼる、緣は因る。吳融詩「──可到玉峰頭」=攀援。
よぢのぼる。岑參詩「不得日──」=攀登。
よぢのぼる。曹植、九愁賦「願──而無階」=登攀·攀躋。
すぐれたる人にすがる、よぢつく。舊唐書「──明主」
龍につかまり鳳凰につきしたがふ、英主に從ひて功名を立てる、驥尾に附する。漢書「────、竝乘天衢」後漢書「攀龍鱗附鳳翼」龍·鳳は天子に比す。
よぢのぽる、攣は拘牽。=攀援。
車をよぢて慕ふ、吏民が賢明なる長官の去る時などに用ふ。北史、伊婁謙傳「吏人──、行數百里不絶」
ヲイ [隊]
○うつ(擊)急に鼓をうつ。○石をころばす(轉石)
①リャク ラク [藥]
②レキ·リャク [錫]
①うつ(擊)=格。
②うつ(擊)○はらふ(捎)○こえる(超踰)○ 國 こそぐる、くすぐる。
①レフ·ロフ [葉]
②ラフ·ロフ [合]
①わかちもつ(理持)=擖。
②をる(折)○やぶるおと(破壞聲)
16畫
カン ワン [潸]
○しがらみ、やらい(木栅)ませがき。○とらへつなぐ(拘繫)賈誼、服賦「拘士繫俗兮、─如囚拘」
クン [問]
捃·攟に作る
ひろふ(收拾)
ひろひあつめる、摭は取。漢書、刑法志「蕭何──秦法」
①クワク [藥]
②カク [覺]
①てをかへす(反手)韻會「搖手曰揮、反手曰─」
②搉·榷と通ず、はかる(商)「商─」又、利をもっぱらにする(專利)
ケン [先]
○ちぢむ(縮)○衣をかかぐ(摳)淮南、人閒「可─裳而越也」褰に通ず。
ロウ [董]
○はかる(籌)○もつ(持)○つかぬ、くくる(括)○あはす(合)○かすむ(掠)うつ(擊)琵琶の指法。○ 俗 舟を泊する。又、泊せし舟。○をさむ(理)
琴の絃をかすりひねる。白居易、琵琶行「輕攏慢撚抹復挑」
擽(手部十五畫)に同じ。
17畫
エイ [庚]
通じて嬰に作る
○ふる(觸)○せまる(迫)○せまりちかづく(迫近)孟、盡心「虎負嵎、莫之敢─」○ひねる(拈)○みだる(亂)○つながる(繫)むすぶ(結)まとふ(縈)
ケン [先]
○とる(取)○かかぐ「─雲」=搴。
サン セン [咸]
○さす(刺)=鑱。○するどし(銳)○たすく(扶)○ひく(牽挽)○おす(推)○─搶はははきぼし(彗星)
ははきぼし。爾雅、釋天「妖星爲──」=欃槍。
①ジャウ [陽]
②ジャウ ダウ [養]
③ジャウ [漾]
①ぬすむ(竊)他人の物が己の處に來りしをぬすむ。論、子路「其父─羊、而子證之」○はらふ(除)詩、大雅「─之剔之」おひのける。排去する「─夷」○しりぞく(卻)○おす(推)○かかぐ(揎)○衣服などをはらひまくる「─袂」「─臂」
②みだる、みだす「狂─」=擾。
③ゆづる「揖─」=讓。
同訓異義
ススム 攘·盜·賊·竊·偸の別は盜(皿部七畫)の條を見よ。○ハラフ攘·掃·拂·禳·祓·禊·除·撥の別は掃(手部八畫)の條を見よ。
○外夷をはらひ逐ふ。左傳「內修政事、外──狄」○ 國 德川幕府の末、西洋人を追ひ拂ひて交通互巿を絶たんとする主張「尊王──」
はらひしりぞける。=攘斥。
そでをはらふ。曹植詩「──見素手」
ごたごたみだれる、紛錯の貌。史、貨殖傳「天下──、皆爲利往」
はらひしりぞける。韓愈、進學解「詆誹異端、──佛老」
ひそかにぬすむ。權德輿文「損精耗神、──文字」=剽竊。
うちはらふ。莊子「諸侯暴亂、檀相──、以殘民人」
しりぞき避ける。曲禮「君出就車、則僕幷轡授綏、左右──」
うでまくりする、勇み奮ひて起つ形容。孟、盡心「馮婦──下車」馮婦は人名。
たもとをかかぐ。晉書、劉伶傳「嘗醉與俗人相忤、其人──奮拳而往」
セン [鹽]
○ぬぐふ(拭)○──はしなやか、女子の手の好き貌。又、白き貌。=摻摻。
ヨ [魚]
かく(舁)對し擧げる。=舁。
ラン [寒]
通じて闌に作る
○しきり。○さへぎる(遮)「遮─」
18畫
ケイ [齊]
携·?·擕は俗字
○たづさふ、手に持つ「─杖」○ひっさぐ(提)○ひきゆく(牽行)つれる、つらなる(連)○はなる、はなす(離)又、其の物。左、僖七「招─以禮」
幼兒の手をひく。陶潛、歸去來辭「──入室」
手にとりてもてあそぶ。韓愈詩「何人可──」
そむきはなれる、攜は離れる、貳は疑ふ。左傳「我德則睦、否則──」
てをひく。李陵詩「──上河梁」黃庭堅詩「一百八盤──上、至今歸夢繞羊膓」
たづさへおびる、所持する。
たづさへもつ。阮籍詩「王子一何好、猗靡相──」
手をひき又ふところにいだく。南史、袁昻傳「乳媼──匿於廬山」
たづさへたすける。眞德秀詩「願言祝同社、著力相──」
ショウ [腫]
○ぬく(挺)○そばだつ(竦)杜甫詩「─身思狡兔」
①セフ [葉]
②デフ [葉]
通音セツ
①かかぐ(摳)衣の裳 モスソ をひきあげる。論、鄕黨「─齊升堂」ひきもつ(引持)○ととのふ(整飭)をさむ。○たすける(佐)○やしなふ(養)「─生」○引く。顏況文「磁石─鍼、不─鴻毛」○をさむ(收斂)○とらふ(捕)○かはる(代)代理する「─位」左、隱元「不書卽位─也」○おふ(追)せまる(切迫)論、先進「─乎大國之閒」○むすぶ(結)○かる(假)○かぬ(兼)兼務する。論、里仁「官事不─」○すぶ(總)○おそる(恐)
②やすらか(謐)○しづか(靜)
同訓異義
カヌ 攝·兼·該·包の別は兼(八部八畫)の條を見よ。
イきもののみだれたるをととのへる。史、高祖紀「沛公起──謝食其」
かりに君位を攝持す。左、隱元「不書卽位攝也」史記「令於百姓、──行政」
ちぢまる。楚辭「衣──以儲與兮」
かりに政をおこなふ。史記「代成王、──政事」
官を兼務する。左、成二「敢吿不敏、──承乏」
國 攝政と關白と。
國 攝政關白に補せらるる資格ある家柄。九條·二條·一條·鷹司·近衞を五──といふ。
佛 心ををさめて散らさず。遺敎經「常當──在心」
○からだのやしなひにとり入れる。○ 佛 をさめ取る、佛の衆生に對するすぐれしはたらき〔大無量壽經〕
兼務にて乏をうく。黃庭堅文「輒以他吏──」=攝官。
からだをやしなふ。老子「善──者」=養生。
○天子に代りて政を行ふ。又、其の人。史、五帝紀「舜得擧、用事二十年、而堯遂使──」歐陽修文「所謂──者、臣行君事之名也」○ 國 セツシヤウ 古、天子をたすけて政を行ひし大臣。=攝籙。
ふるひおそれる、恐れて志氣を失ふ。漢書、霍去病傳「輜重人衆、──者弗取」
かりに帝位にある義。揚雄、箴「周公──、白雉是獻」=攝位。
いきををさめて心を靜かにする。易林「屛氣──」
國 つのつかさ、難波の離宮を管し、且つ攝津の國を治むる職〔大寶令〕
寅の歲の異稱。爾雅「太歲在寅曰───」
朝官にして他の職を兼ねる。隋書、長孫熾傳「尋以本官、──東宮」
からだをやしなふ。庾信詩「小人乖──、岐路阻逢迎」
他人にかはりて事ををさめ處置する。左傳「士服景伯如楚、叔魚──」
國 籙は符、天子に代りて符を取る義。攝政の異稱。
佛 攝受は苦修練行して、其の心を修攝する義。折伏は順逆二緣に對して、たとひ杖木の難にあふとも、佛法の義を說ききかする義。
やすらかなる(靜謐)貌。漢書、巖助傳「天──、人安其生」
19畫
クン [吻]
とる、ひろふ「─遮」=攈·捃。
①サン [寒]
②サン [旱]
攅は俗字
①あつまる(聚)○むらがる(簇)○おほふ、葬らずして其の柩を掩ふ。宋史、哲宗孟皇后傳「遺命擇地─殯」○えらぶ(擇)
②をる(折)
同訓異義
アツマル 攢·聚·集·纂·輯·萃等の別は聚(耳部八畫)の條を見よ。
あつまりたつ。夏侯湛文「長莖──、柔條列布」
天子の暫く殯 カリモガリ する所の稱。宋史、高宗紀「以孟忠厚、充──總護使」
あつまれる貌。漢咄唶歌「棗下何──、榮華各有時」
むらがりあつまる。李適詩「石林上──、金澗下明滅」
あつまる。江淹、栟櫚賦「──石徑、森蓯山道」
眉を蹙めて舒べす、憂ある狀。楚辭「──向月兮撫雅琴」
あつまりかさなれるみね。駱賓王詩「──銜宿霧」=疊峰。
ほこさきをあつめる。顔延之文「──成林、按鞍爲圍」
むらがりたつ。史、司馬相如傳「──叢倚」
①タン [寒]
②ダン [翰]
①ひらく(開)「─書」○ゆるむ、ゆるし(緩)○ちらす(散)「─錢」
②おさへる(按)
攤錢に同じ。南史「見後閣小兒──」
書物をひらく。世說「「王戎滿牀──」
ぜにうちのあそび(博戲)杜甫詩「白晝──高浪中」=攤賭·攤戲·攤蒱。
飯後のひるね(晝睡)詩人玉屑「東坡謂晨飮爲澆書、李黃門謂午睡爲──」
ビ バ [支]
○やぶれる(弊)○鐘のしゅもくのあたるところ(鐘受擊處)
レイ シ リ [霽]
○をる、くじく(折)○さく(撕)
①レン [先]
②レン [霰]
①かかる、つながる(係)相牽繫して絶えず。○ひく、ひきつながる(牽繫)○きびし(急)
②かがまる(拘牽)○ひきつる「痙─」手足のかがまる病。史、蔡澤傳「蹙齃膝─」○こふ、したふ「拳─」戀に通ず。
手足のまがりて、のびざる病。柳宗元、捕蛇者說「可以已大風──瘻癘、去死肌殺三蟲」
つなぎしばられる。束縛せられる。後漢書、曹襃傳「帝知羣寮──」韓愈詩「──屈吾眞」=拘攣·拘束。
ふたご。戰國策「夫──之相似者、惟其母知之而已」
引きつながりて絶えす、如は助字。易、中孚「九五、有孚、──无咎」
手足まがりて伸びす、ゐざり。陸游詩「──豈不苦、害猶在四支」
こひしたふ貌。漢書、李夫人傳「上所以──顧念我者、乃以平生容貌也」=戀戀·腃睠。
20畫
カウ ケウ [巧]
通音カク
○みだす、みだる(亂·撓)「亂─」詩、小雅「祇─我心」○かきまはす「─拌」
かきみだす。元稹詩「羣動皆──、化作流渾渾」=攪亂。
いりみだれる貌。韓愈詩「──爭附託、無人角雌雄」
かきみだす。郝經詩「──羈思爲停觴」=亂攪。
かきまぜる。
①クワク [藥]
②ワク [陌]
①うちとる(撲取)禮、儒行「鷙蟲─搏」○つかむ「拏─」爪又は指先にて握り取る。
②とる(取)
琴の絃をつかみひく。淮南子「──摽拂」
掏摸 スリ に同じ。
金をつかみかすめる。列、說符「因攫其金而去」
かんざしをつかむ。宋史「有禁卒、白晝攫婦人金釵於巿」
つかむ。卞彬文「探揣──、日不替手」
うでまくりする。蘇軾文「雖余亦得──其傍也」
つかみくらふ。王鰲詩「蹲如虎豹奮──」
他の動物をつかみ殺すたけき鳥。道德指歸論「被道含德、與天地同、則蜂蠆虫蛇、無心施其毒螫、──猛獸、無意加其攫搏」=鷙鳥。
にくをつかむ。戴復古詩「羣鴉──鬬飛鳴」
つかみうつ。禮、儒行「鷙蟲──」疏「以腳取之、謂之攫、以翼擊之謂之搏」
タゥ [養]
○ともがら、黨に通ず。○うつ(擊)搥にて打つ。
21畫
欛(木部二十一畫)の俗字。
①ラ [哿]
②レイ [霽]
①はだか、毛羽なし。
②わかる、わかつ(分判)
毛羽のなき貌。荀、賦論「──兮其狀屢化如神」
ラン [感]
擥に通ず
○とる、手に持つ「收─」六韜「主將之法在務─英雄之心」○すベくくる「總─」
同訓異義
トル 攬·取·秉·把·操·採等の別は取(又部六畫)の條を見よ。
勝れたる景色をつらねおさめる。丁復詩「──目顒顒」=攬勝。
たづなをとる。後漢書、范滂傳「登車──、慨然有澄淸天下之志」=執轡。
ふでをとる。=援筆·執筆。