血部
0畫
ケツ ケチ [屑]
○ち、ちしほ、のり、心臟より出でて體內の脈管に循環する赤き液體「─液」○そむ(染)○うれふる色。○ちぬる、血を塗りつける「─刃」○血を分けたる閒柄「─統」「─族」「─胤」○あかね(地血)=茜。○强く盛んにしていきいきしたるにいふ「─氣」「熱─」○─食 ケツシヨク は牲 イケニヘ を殺し─を取リて神を祀 マツ る。
血統に同じ。胤は血つづき。
ちしる、動物の體內に滿ちて、營養をつかさどる液。
體內に於ける血液の循環。──器は心臟と血管と。
はやりぎ。論、述而「少之時──未定、戒之在色」
血液の一成分、赤血球と白血球とあり。=血輪。
俗 貧血症。
ちのかたまり。
體內の血の通ふくだ。=血脈。
ちのつきたるあと。棠陰比事「滌去其墨、卽見──」
○いけにへを殺し血を取りてまつる。周禮、春官「以──祭社稷五祀五嶽」○ 國 チマツリ 出陣の時、いけにへを殺して軍神を祭る。又、其の敵とする者を殺して見せしめにする。
かほいろ、顏色。=血色。
刀の刃に刻みたる細きみぞ、ちながし。
いけにへをそなへてまつる。舊唐書「君人者、常宜──、況自有其臣乎」=血食。
ちすぢ。後漢書、張綱傳「去順效逆、非忠也、身絕──、非孝也」註「凡祭皆用牲、故曰──」=血統·血胤。
水晶の赤くして血の如きもの、珍貴にして得易からず。
濃くして透明なる水樣液、血液の成分をなすもの。
ちにて書く。又、其の文字。
○ちのいろ。○かほいろ。=血相。○赤色。白居易詩「──羅裙翻酒汚」
毛血ある牲 イケニヘ をすすめて神を祭る。左、莊、六「抑社稷實不──君焉取餘」(不血食は國の亡ぶる義)
國の亡ぶるをいふ。前條參看。
血液より析出する帶黃色の澄める液。
國 徵兵の義務をいふ。
ちなまぐさし。
血まみれになりてたたかふ、身命をなげうちて劇烈に戰ふ。五代史、張承業傳「大王父子、與梁──三十年、本欲雪家國之仇、而復唐之社稷」
同じ先祖より出でたる親類。=血屬。
血をわけたる親族。昨夢錄「某山門有庵、──在焉」=血族。
ちの滴りたるあと。陸游詩「袖中出劍秋水流、──斑斑新報仇」
血をわけたるつづきあひ。=血緣·血胤。
ちとにくと。蘇舜欽詩「況我有──、又生名利區」
琥珀 コハク の深紅色のもの。
○血液の通ふ脈管。呂覽「──欲其通也、筋骨欲其固也」=血管。○ちすぢ。梁書、劉杳傳「訪査──所因」○ 佛 ケチミヤク 佛法の奧義を傳へる義。=法脈·傳統。
身體に血脈が通ずる如く文章などの一篇の連絡あるに譬ふ。大學蒙引「────者、人之四肢百骸、雖各爲一體、然惟血與脈、則實相貫通」
血便をくだす傳染病。=赤痢。
淋病の尿に血液を含むもの。
血球に同じ。
ちのなみだ。白居易文「極言是非、──盈襟」
敵の圍を切りぬけてやっと逃げ出づるみち。韓愈、城南聯句「羽空顚雉鷃、──迸狐麖」
戰場に赴くをいふ、喋は蹀に通ず、履 フム なり。戰鬬のはげしきさま。史、淮陰侯傳「新──閼與」(閼與は地名)
○血にて血を洗へば益けがる、惡事を處分する爲めに更に惡を爲すに喩ふ。唐書、源休傳「汝國已殺突董等、吾又殺汝、猶以血洗血、汚益甚爾」○ 國 血を分けたる親類が互に相爭ふにいふ。
戰死者多く、流血の盛んなるをいふ。書、武成「前徒倒戈、攻于後以北、────」
3畫
クヮウ [陽]
ち(血)左、僖十五「士刲羊亦無─也」(羊をさき殺して血の出ざるは不吉の兆)
卹(二八二頁一段)の誤字。
4畫
ヂク [屋]
○はなぢ、鼻の穴の粘膜より出る血。又、はなぢが出る。○くじく(挫)「挫─」「沮─」「折─」○やぶる(敗北)「敗─」「奔─」曹植、求自試表「師徒小─」
はなぢ(鼻血)=衄。
衄(前條)の俗字。
①ハイ [灰]
②フ [尤]
①くさりてこりかたまりたるち(敗惡凝聚の血)
②蚍衃 ヒフ は草の名、こあふひ(荍)
5畫
キン [震]
ちぬる。牲血 イケニヘノチ を以て器に塗る。禮、樂記「車甲─而藏之府庫」=釁(酉部十八畫)
6畫
カク [陌]
○はく(喀)血をはく(嘔血)楚語「吾伏弢─血」(弢は弓袋)○咳 セキ と共に血を吐く。
ジ [寘]
○ちぬる(釁)○ちまつり(血祭)○耳の血。
シュウ シュ [送]
?の俗字
○おほし(多)○もろもろ、多くの人。論、衞靈公「─惡之必察焉、─好之必察焉」○人數をいふ。○ 佛 僧をいふ。
多くの人のうらみ。
おほくの人の議論。唐書禮樂志「博採──」
帝國議會の一部、一般の人民より選擧せられし者を議員とする。=下院。
おほくのばかもの。
おほきと、すくなきと。吳志、孫韶傳「權問諸屯要害遠近、人馬──、魏將姓名、盡具識之、所問咸對」=多寡。
茅茹は茅 カヤ の根の相連る如く互にひきあふ、多くの賢人が相共に朝廷に進み出て仕へる。易、否卦「初六拔茅茹」に本づく。
多くの人のざんげん。周語「衆心成城、──鑠金」
衆人のざんげんの恐るべきに喩ふ。史、鄒陽傳「────、積毁銷骨」
衆人の心一致すれば、城の如く堅固なる義。衆口參看。
もろもろのたみ。上林賦「務在獨樂、不顧──」=庶民億兆。
大ぜいの人の中にてはぢしめる。
○世の中の一切の人。禮、祭義「──必死、死必歸土」○ 佛 シユジヤウ あらゆる人人。釋氏要覽「衆共生世、故名──」法華經「一切──」
多くの小人。漢書、劉向傳「──在位而從邪議」
少しのものも衆くあつまれば多くなる。漢書、董仲舒傳「────、積小致鉅」
おほぜいのなか、多人數の中。
多くの僧侶。=衆僧·大衆。
衆人と好む所を同くすれば、何事にても成らざるなし。三略「───────與衆同惡靡不傾」
多くの花。=羣芳·羣葩·百花。
おほくの人のうはさ。
おほくすぐれたる自然のことわり。老子「玄之又玄──之門」
おほくの人のめ。張籍詩「滿堂虛左待、──望喬遷」
太陽をいふ。漢書、李尋傳「日者────」
多くのよこしまなるもの。淮南子「聖人無思慮、無設儲、來者弗迎、去者弗將、人雖東西南北、獨立中央、故處──之中、不失其直」=羣枉。
9畫
カク キャク [陌]
俗に咯に作る
○はく(嘔)血を吐く。=衉。○氣を吐く。○吒 ンカ る貌。
15畫
ベツ バツ [屑]
○けがれたるち、汚血。○けがす。けがれる(汚)○はづかしめる、恥をかかす「汚─」○はなぢ(鼻血)
同訓異義
ケガル 衊·汙·汚·洿·穢·瀆等の別は汙(一○四七頁一段)の條を見よ。
18畫
キョク [職]
いたむ(傷·痛)書、酒誥「民罔不─傷心」