羽部

0畫

?  

ウ [麌]

羽は俗字

○は、はね。○鳥のつばさ(翅)又、鳥の長き毛。○飛蟲の翅「蟬─」○鳥のながき毛のつきたるままの皮。○鳥類の汎稱「─族」王襃詩「空林鳴暮─」○雉の尾にて作りし翳 カザシ 舞樂の具「干─」又、其のかざしを執りて舞ふこと。○たすけとなるもの、左右輔佐の義「─翼」○五音の一「宮商角徵チ─」○山名、舜が鯀を殛せし處、山東省蓬萊縣の東南三十支那里に在り。○星の名。○人の姓。

【羽衣】 ウイ 

鳥のはごろも。漢書、郊祀志「衣──、立白茅上」

【羽客】 ウカク 

羽の生ぜし仙人。庾信、卭竹杖賦「待──以相貽」=羽人·羽流。

【羽翮飛肉】 ウカクニクヲトパス 

至輕のものも多く集まれば至重のものを動かすに喩ふ。漢書、中山王傳「叢輕折軸、────」

【羽翰】 ウカン 

はね。何遜詩「無因生──、千里暫排空」

【羽簳】 ウカン 

矢ぱねと矢がらと。黃庭堅詩「包貢遺──」

【羽旗】 ウキ 

はねをつけたるはた。宋玉賦「駕駟馬建──」

【羽儀】 ウギ 

○鴻の鳥は其の進退が優美にして儀表となる義。易、漸卦「鴻漸于陸、其羽可用爲儀」○轉じて立派なる儀容を正して朝廷に出仕する義とす。韓愈、燕喜亭記「吾知其去是而──於天朝也不遠矣」

【羽騎】 ウキ 

羽林卽ち近衞の騎兵。崔駰、東巡頌「三軍霆激、──火烈」

【羽化】 ウクワ 

○はねが生ずる。搜神記「木蠧生蟲、──爲蝶」○羽がはえて仙人となる。晉書、許邁傳「徧遊名山、後莫測所終、好道者、皆謂之──」

【羽化侶】 ウクワノリヨ 

仙人のなかま。凌敬詩「方追───、從此得玄珠」

【羽形】 ウケイ 

鳥のはねのかたち。=羽狀。

【羽檄】 ウゲキ 

至急を示す爲めに、鳥羽をつけたる廻文。史、陳豨傳「吾以──、徵天下之兵、未有至者」=羽書。

【羽士】 ウシ 

道士の別稱。=羽人·羽客。

【羽翅】 ウシ 

はねと、つばさと。杜甫詩「安得如鳥有──、託身白雲歸故鄕」

【羽人】 ウジン 

はねの生ぜし仙人。山海經「有──之國、不死之民」=羽客。飛仙。

【羽觴】 ウシヤウ 

さかづき、雀の形にて、頭尾翼あるもの。班婕妤賦「酌──兮銷憂」

【羽書】 ウシヨ 

至急を示す爲めに、鳥羽をつけたる檄文。杜甫詩「直北關山金鼓振、征西車馬──遲」=羽檄·飛檄。

【羽書之警】 ウシヨノケイ 

いくさの警報。楊億文「疆埸無────」

【羽旌】 ウセイ 

羽をつけたるはた。蕭子顯詩「邐迤因臺榭、參差憩──」

【羽扇】 ウセン 

はうちは。語林「捉白──、指揮三軍」

【羽族】 ウゾク 

鳥類。曹植文「不容毛羣、斥逐──」=羽屬。

【羽屬】 ウゾク 

前條に同じ。

【羽隊】 ウタイ 

矢を負へる兵士の一隊。

【羽蟲】 ウチユウ 

鳥類、蟲は動物の義。關尹子「──盛者、毛蟲不育」

【羽旆】 ウハイ 

頭にはねをつけたるはた。沈約詩「──拂南廛」

【羽旄】 ウバウ 

鳥羽にて飾れるはたぼこ。孟、梁惠王「──之美」

【羽舞】 ウブ 

舞樂の名。周禮、地官「舞師敎──」

【羽毛】 ウマウ 

○鳥のはねと、獸毛と。書、禹貢「其貢──齒革」○はねのつきたる鳥のかは。禮記「衣──」

【羽籥】 ウヤク 

舞の名。禮記「秋冬學──」=籥舞。

【羽翼】 ウヨク 

はねと、つばさと。轉じて、たすけとなる義。六韜「王者帥師、必有股肱──、以成神威」呂覽「三士──之也」

【羽流】 ウリウ 

仙人のなかま。又、道士をいふ。米芾、西園雅集圖記「高僧──之輩」

【羽林】 ウリン 

○星の名。漢書、天文志「虛危南有衆星、曰──天軍」○轉じて天子の宿衞をいふ、羽翼の疾く擊ち、林木の多きに喩ふ。漢書、武帝紀「初置──騎、取從軍死事之子孫、養──官、敎以五兵、號──孤兒」

【羽林兒】 ウリンジ 

近衞兵。岑參詩「鳴弓擐甲───」

【羽鱗】 ウリン 

鳥と魚と。=鳥魚。

【羽翎】 ウレイ 

はね。僧惠洪詩「朅來湘西塢、倦鶴整──」

【羽獵】 ウレフ 

狩獵をいふ、人君の狩には羽(矢)を負ふ者從ふ、故にいふ。漢書、揚雄傳「其十二月──」

3畫

羿  

ゲイ [霽]

○いて(射師)○夏の時、有窮國の君の名、射を善くし、夏后相の位を篡ふ、其の善射を恃みて民事を修せず、寒浞の爲めに殺さる。

4畫

翁  

ヲウ [東]

通音オウ

○おきな、男の老人「老─」「田─」「漁─」○ちち(父)おやぢ。史、項羽紀「吾─卽若─」○老人の尊稱。○飛ぶ貌。○鳥ののどげ(頸毛)○人の姓。○碧─は天をいふ。○信天─はあはっどり。○ 國    オキナ 謠曲の假面。又、其れをかぶりて舞ふ曲。

【翁媼】 ヲウアウ 

おきなと、おうなと。陳造詩「──嗚嗚社酒香」

【翁主】 ヲウシユ 

諸王又は諸侯の女の國人に嫁せし者〔史、大宛傳〕

【翁仲】 ヲウチユウ 

秦の南海の巨人阮──をいふ。轉じて後世石又は銅にて造れる偶像の稱。魏志「明帝景初二年、鑄銅人二、列於司馬門外、號曰──」

【翁方綱】 ヲウハウカウ 

淸の乾隆の進士、覃溪と號す、金石譜錄書畫詞章に精通し、書法尤も一時に冠絕す。

翅  

①シ [寘]

②キ [支]

翄に同じ

①つばさ(翼)鳥類又は昆蟲類のつばさ。○魚の鰭 ヒレ 俗に沙魚 フカ の鰭を魚─といふ。○ただ、ただに。孟、告子「奚─食重」(なんぞただに食の重きのみならん)=啻。

②つばさ。

 同訓異義 

タダ 翅·唯·惟·只·止·伹·徒·第·啻·直·徑の別は唯(口部八畫)の條を見よ。

【翅翼】 シヨク 

つばさ。漢書、翟方進傳「見不善者、誅之若鷹鸇之逐鳥爵也、──雖傷不避也」=翼翅·翅翮·羽翼。

【翅翎】 シレイ 

はね。韓愈詩「路遠──短」

翠  

翠(羽部八畫)に同じ。

翂  

フン [文]

翁·?に同じ

──は飛ぶこと高からざる貌。又、飛ぶことおそき貌。又、羽翼のこゑ。

5畫

習  

シフ [緝]

○ならふ、學ぶ、雛鳥が數~飛びて飛ぶことをならふ「學─」「曉─」「誦─」「溫─」禮、月令「鷹乃學─」論、學而「學而時─之」○なる。ならす「─熟」「調─」○なれしたしむ「近─」○つむ(積)かさぬ(重)○ならはし、ならひ「─俗」「─慣」「積─」「染─」○よる(因)○──はやはらぎのぶる(和舒)貌。

 同訓異義 

ナラフ 習·傚·倣·肄·慣·閑の別は傚(人部十畫)の條を見よ。

【習肄】 シフイ 

ならふ、ならす、肄も習。史、叔孫通傳「令羣臣──」=肄習。

【習學】 シフガク 

くりかへしまなぶ。=復習·學習。

【習合神道】 シフガフシンダウ 

 國  神·儒·佛の三敎の敎理を折衷したる神道の一派。

【習坎】 シフカン 

重なれる險阻、坎は穴、險の義〔易、坎卦〕

【習氣】 シフキ 

くせ、ならはし。華嚴經「斷除一切煩惱──」

【習貫】 シフクワン 

ならはし。貫は慣に同じ。漢書、賈誼傳「少成若天性、──如自然」

【習慣】 シフクワン 

前條に同じ。

【習慣性】 シフクワンセイ 

靜止又は運動の狀態を永久に繼續する性質。=慣性。

【習業】 シフゲフ 

わざをならふ。漢書、禮樂志「皆選有道德之人、朝夕──、以敎國子」

【習字】 シフジ 

文字をかきならふ、てならひ。

【習習】 シフシフ 

春風の和ぎ舒 ノブ る貌。詩、邶風「──谷風、以陰以雨」

【習親】 シフシン 

なれちかづく。韓非子「伊尹身執鼎俎、爲庖宰、昵近──」

【習授】 シフジユ 

ならひさづかる。元史、巙巙傳「侍經筵、勸帝務學、帝輒就之──」

【習熟】 シウジユク 

ならひなれる。ならす。穡苑別錄「大抵采茶、亦須──」=習練·熟習。

【習誦】 シフシヨウ 

ならひよむ。漢書、張良傳「有一父老、出一編書、乃太公兵法、良異之常──」=誦習。

【習性】 シフセイ 

ならはし、習慣となりし性。北史、儒林傳「帝王子孫、──驕逸」

【習染】 シフセン 

くせ、くせになる。庾肩吾詩「──迷畫甁」=染習·習癖。

【習俗】 シフゾク 

ならはせ。戰國趙策「常民溺於──、學者沈於所聞」=風俗。

【習得】 シフトク 

ならひ覺える。

【習復】 シフフク 

ならひかへす、さらへる。國語「士朝而受業、晝而講貫、夕而──、夜而計過、無憾而後卽安」=復習。

【習兵】 シフ 

 イ 兵をならす、軍隊のてぅれん。周禮、注「古者因田──、閱其軍徒之數」

【習癖】 シフヘヰ 

くせ、ならはし。=習氣。

【習流】 シフリウ 

ふないくさの兵士、水戰に習ふ者。史、越世家「勾踐發──二千人伐吳」=水師。

【習禮】 シフレイ 

○禮儀作法になれてゐる。○禮儀作法をけいこする。史、孔子世家「與弟子、──大樹下」

【習練】 シフレン 

習熟に同じ。=練習。

【習與性成】 ナラヒセイトナル 

ならはしは第二の性質となる。書、太甲「伊尹曰、茲乃不義、────」

翐  

チツ [質]

──は飛ぶこと遲き貌。莊、山木「翂翂──」

翍  

ヒ [支]

○はねを張る貌。○ひらく。=披。

翊  

ヨク イフ [職]

翼に通ず

○つつしむ(敬)又其の貌「──」○たすく(輔·佐·扶)「匡─」「輔─」○飛ぶ貌。○左馮─は郡名、漢代に置く。

【翊贊】 ヨクサン 

たすける。唐書、薜稷傳「帝以──功、每召入宮中、與決事」=翼贊·輔助。

【翊戴】 ヨクタイ 

君主として崇び、たすけいただく。晉書、閻鼎傳「懷──秦王之計」=翼戴。

【翊翊】 ヨクヨク 

うやうやしく敬む貌。漢書、禮樂志「共──合所思」=翼翼。

翌  

ヨク [職]

あくるひ(明日)「─朝」=翊·翼。

【翌日】 ヨクジツ 

明日なり。漢書、武帝紀「──親登嵩高」=翼日。

翎  

レイ りャウ [靑]

○はね(鳥羽)「綵─」○やのはね(箭羽)○淸朝にて有功者に賞賜する冠の飾とする羽「花─」「藍─」

【翎毛】 レイマウ 

鳥のつばさと、獸の毛。鳥獸の義。畫譜「精於花竹──」=毛翎。

翏  

レゥ リク [嘯]

○高く飛ぶ。○──は遠くより吹き來る風の聲。莊、齊物「──乎」

6畫

翕  

キフ [緝]

○あふ。あはす(合)詩、小雅「兄弟旣─」○あつむ。あつまる(聚)又聚る貌「─然」○ひく(引)○をさむ(收)をさまる(斂)とづ(閉)○さかんなり(盛)○おこる(起)○─忽 キフコツ は疾 ハヤ き貌。左思、吳都賦「神化─忽」

【翕赫】 キフカク 

さかんなる貌。後漢書、陳忠傳「使者所過、威權──、震動郡縣」

【翕霍】 キフクワク 

或は合ひ或は開く形容。揚雄、甘泉賦「翕赫曶霍」

【翕協】 キフケフ 

よくかなふ。舊唐書、音樂志「六鐘──、六變成八佾、徜徉八風生」

【翕忽】 キフコツ 

 ハヤ き貌。字解を見よ。

【翕習】 キフシフ 

○威の盛んなる貌。劉希夷詩「軍容何──」○風ふく貌。鄭曼季詩「淸風──、扇彼蘭茝」=習習。○舒緩 ユルヤカ なる貌。左思賦「──容裔」(音樂の形容)

【翕受】 キフジユ 

あはせうける。參同契、注「坤爲地、能──天氣」

【翕如】 キフジヨ 

よくととのひ合ふ貌。論、八佾「始作──也、從之純如也」

【翕然】 キフゼン 

あつまり合ふ貌。晉書、王衍傳「朝野──」

【翕定】 キフテイ 

あつまりさだまる。周書、明帝紀「九州──、景福在民」=戢定。

【翕闢】 キフヘキ 

とづると、ひらくと。易、繫辭「夫坤、其靜也翕、其動也闢」

【翕翼】 キフヨク 

つばさををさむ。王襃賦「飛鳥──、泉魚奮躍」

翔  

シャウ [陽]

○かける、飛びめぐる(囘飛)「囘─」「翺─」論、鄕黨「─而後集」○──はつつしむ(莊敬)貌。○やすらか、安舒の貌。○かへりみる(廻顧)○拱 コマヌ きたる手を張りて行く。曲禮「室中不─」

【翔泳】 シヤウエイ 

飛鳥と游魚と。舊唐書「深仁洽──」(仁德があまねく鳥魚にまでも及ぶ)

【翔翺】 シヤウカウ 

とびかける。杜甫詩「鵬路見──」=翺翔。

【翔貴】 シヤウキ 

物價が高くなりて下がらず。漢書、食貨志「穀價──」=騰貴。

【翔虯】 シヤウキウ 

とびかけるみづち。庾闡詩「──凌九霄」

【翔禽】 シヤウキン 

そらをかけるとり。謝萬詩「──撫翰遊」

【翔空】 シヤウクウ 

そらをかける。駱賓王詩「幽禽釋網便──」=翔天。

【翔翔】 シヤウシヤウ 

莊敬なる貌。禮、玉藻「朝廷濟濟──」

【翔隼】 シヤウジユン 

空をかけまはるはやぶさ。潘岳、秋興賦「野有歸燕、隰有──」

【翔天】 シヤウテンテンニカケル 

そらをかけりとぶ。阮籍、東平賦「深林茂樹蓊鬱參差、羣鳥──、百獸交馳」=翔空。

【翔畋】 シヤウデン 

はせめぐりて狩る。穆天子傳「六師之人、──于曠原、得獲無疆、鳥獸絕羣」

【翔舞】 シヤウブ 

かけりまふ。史、夏紀「鳥獸──、簫韶九成」

【翔佯】 シヤウヤウ 

さまよふ、たちもとほる。魏明帝詩「──於階際、景星一何明」

【翔陽】 シヤウヤウ 

太陽の異稱、日中に烏あるが故。木華、海賦「──逸駭於扶桑之津」

7畫

翛  

①セゥ [蕭]

②イウ [有]

③シュク イク [屋]

①── セワセウ は鳥の羽がやぶれる。詩、豳風「予尾──」

②─然 イウゼン は疾き貌。莊、大宗師「─然而往」

③飛ぶことはやき貌。=倏。

8畫

翣  

サフ セフ [洽]

○おにがしら(纛)○うちは(大扇)=箑。○はねにて扇の形に作りし棺の兩旁に置くかざり。

翠  

スヰ [寘]

○翡─ ヒスヰ はかはせみ(靑羽雀·鷸)翡は雄、─は雌。又、玉の名「─玉」○みどり、もえぎ(靑黃色)「蒼─」「靑─」「松─」劉長卿詩「郭外遠山─」○ひたれ(鳥の尾の肉)

【翠靄】 スヰアイ 

みどりのもや。王筠詩「遙峯凝──」

【翠隂】 スヰイン 

靑葉のかげ。馬戴詩「初日照楊柳、玉樓含──」=翠蔭·綠陰。

【翠筠】 スヰイン 

靑く茂りたる竹。楊巨源詩「──入疎柳」=翠竹。

【翠羽】 スヰウ 

かはせみのはね。漢書、江都易王非子建傳「犀甲──」

【翠雨】 スヰウ 

靑葉にふりかかるあめ。文徵明詩「──滴深篠」

【翠雲】 スヰウン 

みどりのくも。後漢書、馮衍傳「乘──而相佯」

【翠樾】 スヰヱツ 

○みどりの木かげ。孔武仲詩「──連雲日易西」○みどりのなみき。韓維詩「荊扉帶──」

【翠葉】 スヰエフ 

みどりのは。王儉、竹賦「──與飛雪爭采、貞柯與曾冰競鮮」

【翠煙】 スヰエン 

みどりのけむり。本草「龍涎惟入諸香、焚之則──浮空」

【翠柯】 スヰカ 

みどりの枝。

【翠蛾】 スヰガ 

美人の美くしき眉に喩ふ。蛾は蛾眉〔乾淳歷時記〕

【翠霞】 スヰカ 

靑きもや。雲笈七籤「秀葉翳──」

【翠荇】 スヰカウ 

あをあをしたるあさざ。郭元超、水藻賦「雜靑蓮與──、偶杜若與江蘺」=綠荇。

【翠萼】 スヰガク 

みどりの花のうてな。王筠、蜀葵花賦「疏莖密葉、──丹華」

【翠空】 スヰクウ 

あをぞら。唐太宗、出獵詩「驚禽散──」=碧空·翠霄。

【翠華】 スヰクワ 

翡翠 カハセミ の羽にて飾りたる天子の旗。司馬相如、上林賦「建──之旗、樹靈鼉之鼓」

【翠光】 スヰクワウ 

かはせみの羽のひかり。楊巨源詩「一點──去」

【翠篁】 スヰクワウ 

あをくしげれる竹やぶ。

【翠鬟】 スヰクワン 

○みどりのわげ。美人の髮の形容。高蟾詩「──丹臉豈勝愁」○轉じて靑き山に喩ふ「──如拭」

【翠莖】 スヰケイスヰカウ 

あをきくき。左思、吳都賦「綠葉──、冒霜停雪」=綠莖。

【翠溪】 スヰケイ 

翠谿に同じ。

【翠髻】 スヰケイ 

みどりのもとどり。美人の髮の形容。顧瑛、宮詞「寶雀玉蟬簪──」=翠鬟。

【翠谿】 スヰケイ 

あをみだちたる谷川。郭元超賦「──皛以淪漣」

【翠翹】 スヰゲウ 

かはせみの羽にて作りし婦人の首飾、かんざしの類。一說、かはせみの尾の上の長毛を翹といふ、其の形に作りしもの。李商隱詩「旁有墮釵雙──」

【翠筧】 スヰケン 

靑竹のかけひ。陸游詩「──分泉自徧村」

【翠巘】 スヰケン 

みどり色の險 ケハ しき山。聞見後錄「層峯──、畢效奇於前」

【翠梧】 スヰゴ 

あをぎり。杜甫詩「得食翻蒼竹、棲枝把──」=碧梧。

【翠釵】 スヰサイ 

みどり色のかんざし。幽怪錄「明旦拾得──數隻」

【翠嶂】 スヰシヤウ 

みどり色の連山。蘇舜欽詩「──環合封白雲」

【翠松】 スヰシヨウ 

みどりいろのまつ。=蒼松。

【翠色】 スヰシヨク 

みどりいろ。

【翠霄】 スヰセウ 

あをぞら。丁復詩「──深處想瓊樓」=翠空·碧空。

【翠蕉】 スヰセウ 

あをきばせを。楊萬里詩「──自搖扇」=綠蕉。

【翠篠】 スヰゼウ 

みどりのしのだけ。梁?文帝詩「隔簾陰──、映水含珠榴」

【翠扇】 スヰセン 

みどり色のうちは。李商隱詩「荷翻──水堂虛」

【翠苔】 スヰタイ 

あをきこけ。徐寅詩「筇杖巖邊剔──」=蒼苔·碧苔·蒼蘚。

【翠黛】 スヰタイ 

○みどりなるまゆずみ。杜甫詩「燕姬──愁」○靑き山の形容。彥周詩話「煙波山色──橫」

【翠疇】 スヰチウ 

靑き苗のはたけ。歐陽修詩「李徑陰森接──」

【翠竹】 スヰチク 

みどりのたけ。洛陽伽藍記「靑松──、羅生其旁」=綠竹。

【翠帳】 スヰチヤウ 

みどりのとばり。婦人のねやにいふ「──紅閨」謝朓賦「開──之影藹」

【翠天】 スヰテン 

あをぞら。=靑空·蒼天·蒼空。

【翠波】 スヰハ 

あをきなみ。皮日休詩「其中生──」=碧波。

【翠髮】 スヰハツ 

みどりのかみ。王勃、采蓮賦「──娥眉、赬脣皓齒」

【翠微】 スヰビ 

○山の八合目。爾雅「山未及上、曰──」疏「一說山氣靑縹色、故曰──也」○山のみどりのもや。杜甫詩「衫裛──潤、馬銜靑草嘶」

【翠屛】 スヰヘイ 

みどりの屛風。山の連れる形容。廬山後錄「淸輝閣對廬阜、如靑天──」

【翠壁】 スヰヘキ 

靑く苔むしたる山のがけ。九華山錄「獨秀巖──橫峙可愛」

【翠鳳】 スヰホウ 

かはせみと鳳凰と、天子の旗の飾とす。李斯、諫逐客上書「建──之旗、樹靈鱓之鼓」

【翠幔】 スヰマン 

みどり色のまどかけ。顧野王詩「窗開──卷」

【翠蔓】 スヰマン 

みどりのつるくさ。蘇軾詩「長松度──」=靑蔓。

【翠楊】 スヰヤウ 

あをあをとしたるかはやなぎ。=綠楊。

【翠浪】 スヰラウ 

みどり色のなみ。孟郊詩「晴湖瀉峯嶂、──多萍蘚」=碧浪·蒼波。

【翠嵐】 スヰラン 

みどり色の山の氣。鄭谷詩「──迎步興何長」

【翠巒】 スヰラン 

みどり色のみね。江淹賦「跨金峯與──」

【翠柳】 スヰリウ 

あをあをとしげれるやなぎ。杜甫詩「兩箇黃鸝鳴──、一行白鷺上靑天」=綠柳。

【翠綠】 スヰリヨク 

みどりいろ。=綠翠。

【翠簾】 スヰレン 

あをすだれ。元稹詩「桐花垂在──前」

【翠瀲】 スヰレン 

みどり色のみぎは。西征賦「華蓮爛於綠沼、靑蕃蔚乎──」注「瀲、波際也」

【翠輅】 スヰロ 

皇后の乘るくるま。隋書、禮儀志「皇后之車十二等、四曰──以從皇帝見賓客」

【翠樓】 スヰロウ 

○あをくぬりたるたかどの。江淹、楚詞「日華粲于芳閣、月波披于──」○遊女屋の義。=靑樓·翠館。

翟  

①テキ [錫]

②タク [覺]

①尾の長き雉 キジ 又、其のはね、舞ふ者の執る具。詩、邶風「右手秉─」○えびす、野蠻人。=狄。○きじの羽にて飾れる衣。○きじの羽にて飾れる車。○羽舞を敎ふる者。○人名、墨─は周代の宋の人、墨子を著す。

②やまどり。=鸐。

【翟公書門】 テキコウモンニシヨス 

下邽の翟公の廷尉たりし時、賓客、先を爭うて御機嫌伺に來りしが、退官せし後は來り訪ふ者なし、後ちまた廷尉に拜命せし時、客訪はんと欲す、翟公乃ち其の門に「一死一生迺知交情、一貧一富迺知交態、一貴一賤交情迺見」と大書せしといふ故事〔史、汲鄭傳〕

【翟輅】 テキロ 

皇后の乘るくるま。隋書、禮儀志「皇后之車十二等、三曰──」

翡  

ヒ [未]

かはせみ(赤羽雀)又、かはせみの雄(翠は雌にて靑羽雀)

【翡翠】 ヒスヰ 

○かはせみ、水邊に棲む小鳥の一、總身靑黃色、雄は胸前及翼後に赤色の毛ありて美くし。漢書、賈山傳「飾以──」=魚狗·翠雀·翠鷸。○寶石の一、雲南省に出づ。=翠玉。

9畫

翬  

キ [微]

○大いに飛ぶ。○疾く飛ぶ羽おと。爾雅、釋鳥「鷹隼醜其飛也─」○雉の屬、五色の備はれる美くしき鳥。

【翬翬】 キキ 

はやく飛ぶ羽おと。爾雅、注「鼓翅丨─然疾」

【翬飛】 キヒ 

宮室の美麗宏壯なる形容。詩、小雅「如─斯飛」袁裒詩「──勢欲翩」

翫  

グヮン [翰]

○もてあそぶ。=玩。○弄びなぐさむ(慰)○むさぼる(貪)左傳「─歲而愒日」=忨。○すきめでる(愛)よろこぶ(悅)○おもちゃ(玩具)

 同訓異義 

モテアソブ 翫·玩·弄の別は玩(玉部四畫)の條を見よ。

【翫愒】 グワンカイ 

むさぼる、翫·愒同義。字解參看。

【翫瀆】 グワントク 

もてあそびけがす。=玩瀆。

【翫讀】 グワンドク 

十分に味ひてよむ。=玩讀。

【翫物】 グワンブツ 

おもちゃ。=玩具·玩物·翫弄品。

【翫味】 グワンミ 

十分に味ひさとる「熟讀──」=玩味。

【翫弄品】 グワンロウヒン 

翫物に同じ。

翥  

ショ [御]

とびあがる(飛擧)楚辭「鸞鳥軒─而翔飛」

翦  

セン [銑]

剪は俗字

○きる、たつ(斷)詩、召南「勿─勿伐」○はさみきる、そろへて斷つ(齊斷)○そぐ(殺)○けづる(削)○はさみ「─刀」○きりさる、のぞく(去)○ほろぼす(滅)○つくす(盡)○あさし(淺)○──は短く淺き貌。又、佞人の貌。又、善く辯ずる貌。莊、在宥「佞人之心、──者」

 同訓異義 

キル 翦·斬·斫·截·鑽·切·伐の別は斬(斤部七畫)の條を見よ。

【翦裁】 センサイ 

○布帛などをきりたつ。=翦截·裁翦·翦斷。○轉じて花の美くしきにいふ。徐凝詩「珠蘂瓊花鬭──」

【翦綵】 センサイ 

あやぎぬをたちきりて衣をつくる。李白詩「吳刀──縫舞衣」

【翦取】 センシユ 

きりとる。

【翦截】 センセツ 

きりたつ。白居易詩「──五言兼用鉞」=翦裁。

【翦翦】 センセン 

○佞 ヘツラ ひおもねる貌。莊、在宥「佞人之心──者、又奚足以語至道」○短く淺き貌。韓偓詩「側側輕寒──風、小梅飄雪杏花紅」

【翦刀】 センタウ 

はさみ(鋏刀)=剪刀。

【翦斷】 センダン 

きりたつ。=翦裁。

【翦除】 センヂヨ 

きりのぞく。張養浩詩「荊棘胸中有──」=剗除。

【翦定】 センテイ 

きりさだめる。唐書、關播傳「奉詔平賊、有如不受命、臣請發州兵、──之、帝曰善」

【翦屠】 セント 

きりほふる。李華、弔古戰場文「馮陵殺氣、以相──」

【翦破】 センバ 

きりやぶる。裴說詩「囘刀──澄江色」

【翦伐】 センバツ 

○木をきる。字解參看。○うちほろぼす。蘇舜欽詩「醜類易──」

【翦滅】 センメツ 

きりほろぼす。左、宣十二「余姑──此、而後朝食」

【翦餘】 センヨ 

きりはし。

翩  

ヘン [先]

一に翩に作る

○ひるがへる(反)○はやくとぶ(疾飛)○──は輕くあがる貌。又、自得の貌。又、往來する貌。又、才の美なる貌。又、宮闕の顯盛なる貌。又、行きて息 ャ まざる貌。又、動搖する貌、そはそはしておちつかざる貌。

【翩翻】 ヘンハン 

ひるがへり飛ぶ貌。張衡、西京賦「衆鳥──」王昌齡詩「庭前有孤鶴、飲啄常──」

【翩翩】 ヘンペン 

○鳥の疾く飛ぶ貌。詩、小雅「──者鵻」○輕く擧る貌。易、泰卦「──不富、以其鄰不戒以孚」○輕く往來する貌。詩、小雅「緝緝──」○宮闕の顯盛なる貌。後漢書、班固傳「──巍巍」○自得の貌。張華文「──然有以自樂也」○才智の美なる貌。又風流文采の貌。史、平原君傳「──濁世之佳公子也」

10畫

翮  

①カク [陌]

②レキ [錫]

①はねのくき(羽莖)はねのもと(羽本)「羽─」「飛─」「逸─」

②鼎の一種、空足の鼎。=鬲·?。

翰  

カン [翰]

○やまどり(天雞)雉の一種。○とぶ、高く飛ぶ。太玄經「龍─于天」○ながし(長)○はね(羽)○もと、みき(幹)○しろうま(白色馬)○まっしろ(純白)○ふで(筆)古、鳥の羽にて筆を造りし故「筆─」「柔─」劉公幹詩「投─長歎息」○ふみ、てがみ(文書)「書─」「尺─」「手─」○文書を司る官「─林」「內─」○みき、古、幹に通ず、もと。詩、大雅「維周之─」

【翰苑】 カンヱン 

○翰林に同じ。宋史、蕭服傳「文辭勁麗、宜居──」○──集(二十二卷)は唐の陸贄(宣公)の文集。

【染翰】 カンヲソム 

字を書く、翰は筆。潘岳、秋興賦序「──操紙、慨然而賦」

【投翰】 カンヲトウズ 

ふでをなげだす。劉楨詩「──長歎息」=投筆·抛筆。

【翰音】 カンオン 

○高く飛びて鳴く。虛名の實に過ぐるに喩ふ。易中孚「──登于天、貞凶」○雞の異名、翰は長、雞肥ゆれば其の鳴く聲長し、故にいふ〔曲禮〕

【弄翰】 カンヲロウスロウカン 

筆をもてあそびて書畫などをかく。宣和畫譜「則──游戲」=弄筆。

【翰藻】 カンサウ 

詩文をいふ。唐書、李百藥傳「──沈鬱、詩尤其所長」

【翰札】 カンサツ 

てがみ。晉書、何遵傳「性旣輕物、──簡傲」=札翰·簡札·筆札。

【翰池】 カンチ 

すみつぼ。駱賓王文「截碧蒲于──」=墨池。

【翰長】 カンチヤウ 

○翰林院の長官。盧肇詩「御筆親批──銜、夜開金殿送瑤緘」○ 國  書記官長の稱。

【翰飛】 カンピ 

たかく飛ぶ。=高飛。

【翰墨】 カンボク 

○筆墨の義。轉じて文學の義に用ふ。唐書、李賀傳「辭尙奇詭、所得皆驚邁、絕去──畦逕」○──全書(十二卷)は明の王宇、尺牘を作る者の爲めに撰す。

【翰林】 カンリン 

○ふみのはやし。揚雄、長楊賦序「聊因筆墨之成文章、故藉──以爲主人、子墨爲客卿以諷」=翰苑·詞壇·文苑。○唐玄宗以後官名となる。夢溪筆談「──院在禁中」

【翰林學士】 カンリンガクシ 

唐代の官名、詔勅を草することを掌る。事物紀原「唐太宗時、名儒時時召以草制、待詔、常於北門、候進止、號北門學士、明皇改曰翰林待詔、開元二十六年、乃爲────」

翯  

コク カク [沃]

○鳥の肥えて澤 ツヤ ある貌。○鳥の羽のきよくしろき(潔白)貌。○水の白くひかる貌。

【翯翯】 カクカクコクコク 

鳥の肥えてつやある貌。又、鳥の羽の潔白なる貌。詩、大雅「麀鹿濯濯、白鳥──」

【翯乎】 カクココクコ 

水の白く光る貌。史、司馬相如傳「──滈滈」

11畫

翳  

エイ [霽]

○かざしの羽、舞ふ時に執る具。○かざす。○しりぞく(屛)周語「而─其人也」○ほろぼす(滅)○めのほし。目がかすむ。梅堯臣詩「忽然生─無藥瘳」○ささふ(障)○おほふ。おほひ(掩)「蔽─」「掩─」○くもり(暗)かくす(隱)「隱─」「淪─」○かげ(蔭)「陰─」「雲─」○きぬがさ(華蓋)○はたぼこ(羽葆幢)○こくたん(烏文木)○たちがれ、木が自然に枯死する。又其の木。詩、大雅「其葘其─」○五色の美くしき鳥、鳳凰の類。

【翳翳】 エイエイ 

かげりて明かならざる貌。陶潛、歸去來辭「景──以將入」=隱隱。

【翳朽】 エイキウ 

木がたちがれてくさる。柳宗元、石渠記「欖去──、決疏土石」

【翳桑】 エイサウ 

桑の木のこんもりと茂れるところ。左、宣二「舍于──」

【翳日】 エイジツ 

日光をおほふ。晉書「嗽水作霧──」=蔽日。

【翳昧】 エイマイ 

おほはれてくらし。馬融賦「列宿爲之──」

【翳薈】 エイワイ 

草木の繁茂する貌。謝禮運賦「修竹葳蕤以──、灌木森沈以蒙茂」=薈翳。

12畫

翺  

ガゥ [豪]

通音カゥ

○とぶ、かける(翔)とびまはる。あそぶ(敖遊)○─翔はさまよふ(彷徉)又、得意にふるまふ。

【翺翺】 カウカウ 

飛ぶ貌。何景明詩「鬱鬱雙鳳闕、──飛雲閒」

【翺翔】 カウシヤウ 

○かけりまはる、鳥の飛びて翼を上下するを翺、翼を張りて動かざるを翔といふ。淮南、覽冥「──四海之外」○さまよふ。詩、鄭風「河上乎──」○得意にふるまふ「──於廟堂」

翹  

ケゥ ゲゥ [蕭]

○あぐ、あげる(擧)「─尾」「─首」○くはだつ(企)○つまだてる「─足」○茂り盛んなり。○──はおほし(衆)又高くぬき出る貌。又、遠き貌。又、危き貌。○鳥の尾の長毛。○婦人の首飾「翠─」梁?文帝詩「寶髻珊瑚─」○おこす。おこる(起)○かく(懸)心にかける。

 同訓異義 

アグ 翹·擧·揚·稱·扛·昂·颺·抗·掀の別は擧(臼部十一畫)の條を見よ。

【翹遙】 ゲウエウ 

輕く擧る貌。南都賦「──遷延」

【翹企】 ゲウキ 

足をつまだてて待つ。十六國春秋「──遐方」=翹望。

【翹關】 ゲウクワン 

くゎんぬきをあぐ。力の强きにいふ。蘇軾詩「──負重非無力、十年不入紛華域」

【翹翹】 ゲウゲウ 

○高き貌。一說に衆き貌。詩、周南「──錯薪、言刈其楚」○あやふき貌。詩、豳風「予室──、風雨所漂搖」○遠き貌。又、長き貌。左、莊二二「──車乘、招我以弓」

【翹思】 ゲウシ 

心にかけて思ふ、翹は懸。曹植、雜詩「──慕遠人」

【翹趾】 ゲウシ 

あしをあぐ。鮑照賦「斂雙翮于水裔、翹孤趾于林隈」

【翹秀】 ゲウシウ 

高くすぐれる。宋史、熊克傳「克、幼而──、旣長好學、善屬文」

【翹袖】 ゲウシウ 

そでをあげる。西京雜記「漢高祖戚夫人、能爲──折腰之舞」

【翹首】 ゲウシユ 

くびをあげて切に望み待つ。韓愈詩「──望太平」

【翹瞻】 ゲウセン 

つまだてあふぐ。徐陵、勸進梁元帝表「率土──、蒼生何望」=仰瞻。

【翹楚】 ゲウソ 

翹は高、楚は雜薪中に於て最も高きもの、故に衆にすぐれたる義とす。詩、周南「翹翹錯薪、言苅其楚」より出づ。春秋、序「實爲──」

【翹足】 ゲウソク 

足をつまだてて待つ。史、商君傳「可──而待」=翹企。

【翹望】 ゲウバウ 

首をのばして切にのぞみまつ。翹首參看。

【翹翼】 ゲウヨク 

つばさをあぐ。漢書、翟方進傳「見不善者誅之、若鷹鸇之逐鳥爵也、──雖傷不避也」

翻  

ヘン ハン [元]

一音ホン反·飜と通用す

○ひるがへる。ひるがへす(反覆)○物事がかはる、ひっくりかへる「─覆」○鳥が飛ぶ。○甲國の語を乙國の語に轉改する「─譯」

【翻案】 ハンアン 

前人の詩文の作意をさらりと翻して新しくする。唐詩の「鳥啼山更幽」を王安石が「一鳥不啼山更幽」とせし如し。

【翻雲覆雨】 ハンウンフクウ 

人情の反覆定りなきに喩ふ。杜甫、貧交行「翻手作雲覆手雨、紛紛輕薄何須數」

【翻焉】 ハンエン 

ひるがへる貌。丘巨源文「攀龍附鱗、──雲翔」=翻然。

【翻翔】 ハンシヤウ 

ひるがへりてとぶ。魏文帝詩「飛鳥──舞」

【翻然】 ハンゼン 

ひるがへる貌。=翻焉。

【翻濤】 ハンタウホンタウ 

ひるがへるなみ。王維詩「偃臥磐石上、──沃我躬」

【翻白草】 ハンバクサウ 

うらじろ(裏白)

【翻覆】 ハンブクホンブク 

うらうへにかはる。李白詩「世道有──」=反覆。

【翻空】 ホンクウ 

そらにひるがへる。許郴詩「──雁連接」

【翻刻】 ホンコクハンコク 

原版の通りに再び刻する。

【翻車】 ホンシヤ 

みづぐるま。劉孝威詩「飛輪搏羽扇、──引落潮」=龍骨車。

【翻車魚】 ホンシヤギヨ 

溫帶の海中に產す。體は卵形を爲し、皮膚粗糙にして革の如し、まんぼう。

【翻天】 ホンテンハンテン 

そらにひるがへる。蘇軾詩「花浪──雪相激」

【翻譯】 ホンヤク 

甲國の語を乙國の語に轉じ改む。隋書、經籍志「漢桓帝時、有安息國沙門安靜、齎經至洛、──最爲通解」

【翻譯名義集】 ホンヤクメイギシフ 

二十卷、宋の姑蘇景德寺の僧、法雲撰す、六十四目に分ち、梵語を解釋す、佛經を讀む者の好參考書たり。

【翻弄】 ホンロウ 

思ふままにもてあそぶ、てだまにとる。

翼  

ヨク [職]

○鳥のつぱさ(翅)又、蟲類のはね「蟬─」○魚の腮 エラ の左右にある鬣。○たすく(助)たすけ(輔佐)親鳥がつばさを以て雛 ヒナ をかばふ義に取る。翊に通ず「輔─」「扶─」「贊─」「匡─」「羽─」○おほひそだてる(覆)○のき(屋の四阿)○とぶ(飛)○あがる(翹)○うつくし(美)○やはらぐ(和)○あす(明日)翌に通ず。○星の名。たすき、二十八宿の一。○左右の部隊。史、李牧傳「張左右─」○──は壯健なる貌。又、整飭せる貌。又、しげる(蕃)貌。又、衆き貌。又、つつしむ、うやうやし(恭·敬)詩、小雅「有嚴有─」又ならふ(閑)

 同訓異義 

タスク 翼·助·輔·弼·扶·佐·佑·援·贊·裨·資·介の別は助(力部五畫)の條を見よ。

【斂翼】 ヨクヲヲサム 

鳥がつばさををさめて憩ふ、飛ぶことをやめてねぐらに入る。白居易詩「夕雀俄──」=戢翼。

【鼔翼】 ヨクヲコス 

はばたきする。南史、南嶽鄧先生傳「──鳴舞」=拊翼。

【翼贊】 ヨクサン 

天子を輔佐する。蜀志、董允傳「──王室」=翊贊·贊翼。

【翼日】 ヨクジツ 

あくるひ。書、武成「──癸巳」=翌日·明日。

【翼軫】 ヨクシン 

二十八宿中の二星、楚の分野に當る。王勃、滕王閣詩序「南昌故郡、洪都新府、星分──、地接衡廬」衡廬は衡山と廬山と。

【翼手類】 ヨクシユルヰ 

兩肢に膜が有りて、つばさの形したる獸類、蝙蝠 カハホリ の類。

【翼如】 ヨクジヨ 

○拱 コマヌ きたる兩臂を張ること、鳥の翼をのべたる如くする。論、鄕黨「趨進──也」○つつしむ貌。=翼翼。

【翼善】 ヨクゼン 

善き事をたすけなさしめる。王融頌「──開賢敷敎義」

【翼然】 ヨクゼン 

鳥の翼を張りたる如く左右に張れる貌。歐陽修文「有亭──臨於泉上者、醉翁亭也」

【翼戴】 ヨクタイ 

主君をたすけていただく。左、昭九「──天子、而加之以共」共は恭。

【翼戴功臣】 ヨクタイコウシン 

宋代功勞ある臣下に授けし名譽の稱號〔歐陽修、隴岡阡表〕

【無翼而飛】 ヨクナクシテトブ 

人の名聲の廣く揚るをいふ。管子「────者、聲也」

【翼覆嘔煦】 ヨクフオウク 

つばさにておほひ息を吹きかけてあたためる。轉じて人を愛撫するにいふ。

【翼輔】 ヨクホ 

たすけ。又たすける。=輔佐·輔翼。

【翼翼】 ヨクヨク 

○壯健なる貌。詩、小雅「四麒──」○ととのふ(整飭)貌。詩、小雅「疆場──」○飛び上る貌。王粲賦「──飛鸞」○うやうやしき貌。詩、大雅「維此文王、小心──」○なれて暇ある貌。詩、小雅「四牡──」○和ぐ貌。屈原、離騷「高翺翔之──」○盛んに茂る貌。詩、小雅「我黍──」

【翼卵】 ヨクラン 

おほひそだてる。何夢桂詩「羣鷇偃下風、擧受──恩」

13畫

翽  

クヮイ [泰]

──は羽ばたきする聲。一說におほし(衆多)詩、大雅「鳳凰于飛、──其羽」

翾  

ケン [先]

○はやし(急·疾)=儇。○小しく飛ぶ。

【翾翾】 ケンケン 

初めて起ちてすこしく飛ぶ貌。韓詩外傳「──十步之雀、喔咿而笑之」

【翾飛】 ケンピ 

すこしくとぶ。楚辭、九歌「──兮翠曾」

14畫

耀  

エゥ [嘯]

曜に同じ

かがやく、ひかる。ひかり。かがやかす「光─」「炳─」「炫─」「衒─」「照─」「榮─」

【耀耀】 エウエウ 

かがやく貌。儲光羲詩「──金虎符」

【燿價】 エウカ 

あたひを高くする。晉書、秃髮利鹿孤戴記「振纓雲閣、──連城」

【耀電】 エウデン 

ひらめくいなづま。吳越春秋「頭巨若車輪、目若──」

【耀德】 エウトク 

とくをかがやかす。周語「先王──、不觀兵」

翿  

タゥ [號]

○かざしのはね(翳)○はたぼこ(羽葆幢)