貝部
0畫
バイ [泰]
○かひ、水中の介蟲類、石灰質の殼 カラ を有する頭足動物。○かひがら(介殼)○ほらがひ。○うるはしき錦の名。書、禹貢「其篚織─」○かざる(飾)○たから(貨幣)古、介殼を用ひて通貨とす。史、平準書「農工商、交易之路通、而龜─金錢刀布之幣興焉」○梖(九五○頁一段)に同じ。貝多樹。佛敎徒、其の葉を以て經を寫す。○州の名、今の直隸省淸河縣の地。
○貝多葉に同じ。○印度にて佛經を寫すにより、轉じて佛書をいふ。鄭剛中、山齋賦「問迷塗於──、窺奧義於羲經」貝多葉參看。
かひがら。=介殼。
西伯利亞 シベリヤ にある大湖、水淸く魚多く、汽船の運輸甚だ便なり、漢代、匈奴、蘇武を北海上に置き、羊を牧せしむ、北海は卽ちこの湖。=拜喀勒湖·白海。
かひがらの文 アヤ の如き美くしきにしき。詩、小雅「萋兮斐兮、或是──」
かひの貨幣。漢書、食貨志「是爲──五品」
紫のかひがらにて飾れる宮にて河伯の居る所、俗にいふ龍宮の類。楚辭「紫──兮朱宮」王襃、四瀆祠碑銘「靈祠嶽立、──雲浮」
○たからがひ、子は助字。○爵の名、淸代、宗室及蒙古外藩に授く、親王の子を貝勒、貝勒の子を──といふ。○元代、雲南省地方にて通用せし海の貝の貨幣。
寺にて鳴らす法螺の貝と、つりがねと。
印度の多羅樹の葉。佛經を寫すに用ふ、貝多羅葉の略。舊唐書、墮裟登國傳「亦有文字、書之於───」=貝葉。
佛經、又佛書をいふ、もと貝多葉に寫したる故。酉陽雜俎「──一卷、皆錄釋典中事」
藥草の一、ははぐり、編笠百合。=蝱·莔。
○滿洲語、多羅──の略、部長の義にて、淸國皇族の稱、親王の子、位、郡王の下、貝子の上に在り。○貝にて飾りし馬のくつわ。儀禮、旣夕「纓轡──」
2畫
員(三三○頁四段)に同じ。
テイ チャウ [庚]
○ただし(正)易、乾卦「元享利─」疏「─、正也」○さだまる(定)心が正しく定まりて惑はず。書、太甲「一人元良、萬邦以─」○女がみさをを守る「─操」○心を淸くして自ら守る「忠─」「─潔」○ト ウラナ ひて問ふ。○易のうらなひの內卦、卦の下三爻をいふ。外卦を悔といふの對。書、洪範「曰─曰悔」○女─は木の名、ねずみもち。=冬靑。
ただしきをまもる。雪賦「白玉雖白、空──兮」
四時綠なる葉。喬知之詩「天花多艷姿、寒竹有──」
みさをただしくして、しとやか。晉書、列女傳「──有志節」
ただしく堅固なるみさを。梁?文帝文「儒術弘長、志履──」
ただしくしてたしか。陳書、宣帝紀「詔曰、我心──、堅誓蒼昊」
ただしくしてまことなり。風俗通「言其天下蒙化皆貴──也」
○貞は楨、牆の兩頭の立木、幹は根幹、猶ほ屋宇の棟梁の如し。莊、列禦寇「以仲尼爲──、國其有瘳乎」○建築用の材料。書、費誓「峙乃楨幹」
心ただしく才能をくらましてあらはさず。舊唐書、崔從傳「少以──恭謙自處」
志ただしくしてかたし。舊唐書、高宗紀「字文孝伯、忠亮存心、──表志」
ただしくして誠あり、正道を固く守る。易、乾卦、文言「──足以幹事」
ただしくしてさかんなり。顏延之、楊給事誄「──之氣、勇烈之志」
ただしきみさを。晉書、張天錫傳「覩松竹、則思──之賢
正しき人。董仲舒、士不遇賦「──耿介而自束」
ただしくして堅固なるこころざし。袁桷、垂綸亭辭「保──以遂初兮、考銘言于耆叟」
ただしくしてひいでる。陶潛詩「懷此──姿、卓爲霜下傑」
正しくまめやか。魏志、荀彧傳、注「性──、文愍篤誠、保家之主也」
正義を守る人。抱朴子「不改操於得失、不傾志於可欲者、──也」
みさを正しき臣、忠正の臣。說苑「守文奉法、辭祿讓賜、不受贈賄、此──也」
ただしくしてまこと。李白詩「燕石非──」
ただしくつつしむ。晉書、山濤傳「初濤布衣家貧、及居榮貴、──儉約」
みさをただしく心善良なり。後漢書、匡衡傳「能致其──不貳其操」
ただしくしてまごころあり。韋曜、博奕論「孝友之行立、──之名彰也」
ただしくしてあつし。韋應物詩「爲文頗瓌麗、稟度自──」
志固くしてただし。魏志、管寧傳「淸儉足以激濁、──足以矯時」
女德ただしくしてしとやか。曹昭、女誡「幽閑──、守節整齊、行己有恥、動靜有法、是謂婦德」
○石の堅固なる者。尙書故實「謝太傅墓碑、但樹──、初無文字」○轉じて墓碑をいふ。=貞珉。
○夫死して再嫁せず、みさををかたく守る〔庾信、爾朱氏墓誌銘〕。=貞操·貞烈。○堅貞なる德操。張衡賦「伊中情之信脩兮、慕古人之──」
ただしくして心が專一なり。劉歆、遂初賦「彼屈原之──兮、卒放沈於湘淵」
みさを正しきをんな。史、田單傳「王蠋曰、忠臣不事二君、──不更二夫」=貞婦·烈女。
地名。三齊略記「秦時有女子、化入石、在岩穴中、昌黎作───詩」
しっかりとしてただし。後漢書、吳延史傳論「仁柔用情、多乏──」
正しき道を守りて、のがれかくれる。晉書隱逸傳贊「探幽──」
みさをただし。柳宗元文「英風超倫、孤厲──」=端方。
ただしくして潔白。後漢書、第五倫傳「在位以──稱」
かたくして美くしき石、石碑に用ふ。轉じて石碑の義。汪道會、墨賦「鐫鏤──、點畫斷楮」
ただしくしてさとし。魏書、游明根傳「風度淸幹、志尙──」
みさを正しきをんな。禮記「孝子弟弟──」=貞女。
石の名。寰字記「僰道有───、相傳時有貞婦、夫歿無子、事姑甚孝、抑而嫁、不從、身沒、所居室有一大石湧出、後人號爲───」
○女貞 ネズミモチ の一名〔山海經〕○木の堅固なる者。晉、顧凱之詩「疾風知勁草、嚴霜識──」
心ただしくまことあり、亮は諒。諸葛亮、出師表「──死節之臣」
みさををかたく守る。杜甫、八哀詩「好學尙──」=貞節。
ただしくしていさぎよし。漢書、翼奉傳「公正──」晉書、石苞傳「夫──之士、未必經濟世務」
十卷、唐の吳兢撰す、太宗と羣臣と政事を論ぜし語を君道·政體以下すべて四十門に分ちて類編す、和版あり。貞觀は太宗の年號。
フウ ブ [有]
通音フ
○おふ、背にになふ(荷·擔)「─薪」「荷─」詩、大雅「是任是─」○うしろにする、そむく(背)「─山」○たがふ(違)○よる(依)たよる。左、襄十八「─其衆庶」○うく(受)ひきうける。○うしなふ(失)○わすれる(忘)─德 トクニソムク は恩を忘れる義。李陵、答蘇武書「陵雖孤恩、漢亦─德」○おひめ「─債」○うれふ(憂)○はづ(愧)○やぶる、まける。まけ(敗)「勝─」孫子、謀攻「一勝一─」○せめ、ひきうけ、責任。○たのむ(恃)「─勇」「─氣」「自─」たのみ。○老母(老婦人)の稱。○代數學にて消極性の數、マイナス。正の對。○──は愧づることの甚だしき義。
同訓異義
ソムク 負·叛·畔·倍·背·反·乖の别は叛(二九四頁四段)の條を見よ。○タノム負·恃·怙·賴·憑○負は後にたよりとするものある義、自負と用ふ。史記「武安負レ貴而好レ權」○恃は、あてにして、たのむ。史記「書曰、恃レ德者昌、恃レ力者亡」○怙は、かたく、あてにしてたのむ。詩、小雅「無レ父何怙、無レ母何恃」○賴はたよりとする。書經「萬世永賴」○憑は依也、託也と註す、先方へもたれかかる、憑レ几の憑の意なり。伯夷傳「衆庶憑レ生」
戾は屛風の類、柄のなき斧を畫くは設けて用ひざる義、故に斧扆ともいふ、王者は之を坐背に備へて南面す。淮南子「──而朝諸侯」
おひになふ、父祖の業をうけつぐ義。左、昭七「其父析薪、其子弗克──」
いきほひあるをたのむ。五代史、周太祖紀「爲人──、好使酒」
地位のたふときをたのむ。史、魏其·武安傳贊「武安、──而好權」
遊學するにいふ、笈は書箱。漢書、蘇章傳「──追師、不遠千里」
物を負載して步行になやむ。戰國策「驥服鹽車而上太行外阪、遷延──而不能上」
山曲の險をたのみて依る。孟、盡心「有衆逐虎、虎──、莫之敢攖」
城に近くして、よくこえたる田。史、蘇秦傳「使吾有洛陽───二頃、吾豈能佩六國相印乎」
ふかく罪を謝する意、荊は杖、杖を受けんことを願ふ義。史、廉頗·藺相如傳「肉袒──、因賓客、至藺相如門、謝罪」
ひなたぼこり、古、宋の田夫が春日ひなたぼこりしてこの快味を君に獻じたしといひし故事。列、楊朱「負日之暄、人無知者」杜甫傳「凜冽倦玄冬、──嗜飛閣」=曝背。
つるぎをおふ、劍を帶ぶるに上長くして之を拔くに室 サヤ を出でず、故に之を背に推して、負ふが如くし、拔き易からしむる義。史、刺客傳「王──、──遂拔以擊荊軻」
地の險固なるをたのむ。周禮「以九伐之法正邦國(中略)──不服則侵之」=負險。
自己の材能あるをたのみにする。漢書、季布·欒布傳贊「彼自負其材、受辱不羞」=負才。
次條に同じ。漢書、鄧通傳「通家尙──數鉅萬」
おひめ、借金。漢書、淮陽王傳「──數百萬」
意志にたがふ。史、蘇秦傳「蘇代求見燕王曰、臣東周之鄙人也、至于邯戰、所見者絀于所聞於東周、臣竊負其志也」
病を稱する謙辭(薪を負ひたるつかれによりて病む義。一說に病みて薪を負ふこと能はず)曲禮「君使士射、不能則辭以疾、言曰、某有────」=采薪之憂。
いやしきつまらぬうまれつき。後漢書、袁紹傳「臣以────、拔于陪隸之中」
きずをうける、けがする「──兵」
すずめだか。爾雅「鷣、──」
てを背にのせる。禮、檀弓「孔子蚤作、──曳杖、消搖于門」
おひめのみつぎもの。未納の租稅。韓愈文「民業有經、公無──」
志高く、世閒の俗人にそむきて、そしられるわづらひ。漢書、孝武紀「士或有────、而立功名」
荷物をせおふと、首にのせると、苦役する義。孟、梁惠王「頒白者、不──于道路」
○荷物をせおふと、肩にになふと。左、莊二二「敬仲辭齊侯曰、免于罪戾、弛于──、君之惠也」○身に引き受ける。左、莊二二「不閑於──」=負荷。
背におほひもつ。埤雅「鄭云、蒲盧取桑蟲之子、而──而去」
たのみにす。韓愈、送李愿序「妒寵而──、爭妍而取憐」
○いしゆみを負ふ、征伐に從ふをいふ。逸周書「武王伐紂、散宜生·閎夭──前驅」○亭長の别稱。風俗通「亭長者、一亭之長也、舊名──」
まけやぶれる。隋書、樊子蓋傳「在軍持重、未嘗──」
○國の地圖。又、戶籍簿を背に負ふ。又其の者(版は板)論、鄕黨「式──者」○蟲の名。=蝜蝂。
物を負ひて賣り行く。曲禮「夫禮者、自卑而尊人、雖──者、必有尊也」
そむく、たがふ。後漢書「有高人之行、──于世」
甚だしくはづる貌。後漢書、張步傳「──無可言者」注「負、愧也」
米を背におふ。家語、致思「子路嘗曰、昔者由也事二親之時、常食藜藿之實、爲親──百里之外」
重き物などをおひ、又炊事の役に服する者。史、張儀傳「而廝徒──、在其中矣」
己の力をたのみにする。後漢書「强者──、弱者惶惑」
3畫
①イ·シ [寘]
②イ [支]
①のぶ、ひく(延)○かさなる(重)次第に重なる。
②うつる(移)
コウ ク [送]
○みつぐ、たてまつる(獻)「朝─」「入─」「來─」○みつぎもの、朝廷にたてまつる地方の産物「─賦」○すすむ(進·薦)賢者を朝廷に薦 スス める「─士」「─生」○つげる(吿)易、繫辭「六爻之義易以─」○夏の時代の稅法。孟、滕文公「夏后氏五十而─」○姓、─禹は漢人、字は少翁、明經高行を以て徵されて博士と爲る。
州縣より薦めし貢士を試驗する所。宋史、選擧志「知貢擧宋白等、定──故事」
みつぎもの、御は天子の御用品。後漢書、袁紹傳「驕心轉盛、──稀簡」
州都より人材を選拔して薦める。舊唐書、選擧志「遂移──于禮部」
○みつをものをたてまつる。後漢書、光武紀「遣使──」○世の中の爲めに力をつくす。
○才學ありて政府に推薦せられし人。禮、尙書大傳「古者諸侯之於天子、三年一──」○ 國 維新の際、諸藩より選拔して政府へ薦めし人才。
貢士を試驗する。又其の試驗。
薦擧 センキヨ せられし學者をいふ、科擧時代に生員の學行優れる者、擧げて以て入仕せしむ、副貢·拔貢·優貢·歲貢·恩貢等の名あり、之を五貢といひ、總稱して──といふ。
夏の代、各戶に田五十畝をさづけ、內五畝の所得を稅とする法。孟、滕文公「夏后氏五十而貢」
みつぎものと賦稅と〔書、禹貢、傳〕
みつぎもの。
物を朝廷に獻ずる。後漢書、班超傳「日之所入、莫不化向、大小欣欣、──不絕」=貢獻。
サイ ザイ [灰]
○たから、かね、金穀及すべての有價物「資─」「家─」「貨─」禮、坊記「先─而後禮、則民利」(利とは貪る義)○わづか(纔)才に通ず。○たつ、きりもりする「─成」古、裁に通ず。○はたらき(才能)孟、盡心「有達─者」才·材に通ず。
同訓異義
ワヅカ 財·僅·纔·劣·才·裁の别は僅(一六二頁一段)の條を見よ。
たからを得る命運。拾遺記「人生──有限、不得盈溢」
たからをつみ貯へる。顏氏家訓「諺云、──千萬、不如薄藝隨身」
財產をわける。任昉、奏彈劉整文「薛包──、取其老弱一」
國 金錢取引に關する社會。=經濟界。
貨財によりて交る。戰國策「以色交者、華落而愛渝、以──者、財盡而交絕」
たから。=貨財、財幣。
たから、錢穀をいふ。周禮「以九賦斂──」
財貨の出づるもと。荀、富國「財貨渾渾如泉源」=財本。
しんだい、資産。後漢書、齊武王縯傳「悉推──與諸弟」
量 ハカ りてきり取る。漢書、竇嬰傳「所賜金陳廊廡下、軍士過、輒令──爲用」=裁取。
きりもりしてつくる。易、繫辭「──天地之道、輔相天地之宜、以左右民」=裁成〔漢書、律曆志〕
國家又は會社などの經濟に關する事柄。轉じて廣く個人の金融。
人類及國家の財に關する事を硏究する科學。=理財學。
金錢上の勢力。拾遺記「曾不恃其戚里、矜其──」
法律にて、人格ある財産の集合團「──法人」
かねぐら、財物を入れる庫、帑はくら。
ぜにいれ、財布。
財物に臨まば義に合ふや否やを考へて苟も得んことを欲する勿れ。曲禮「─────、臨難毋苟免」
たからもの、金銀珠玉など。漢書、橋玄傳「不得贖以──」
金錢と布帛と。通典「漢置尙書郞四人、其一人主──委輸」
國 ぜにいれ。=財囊。
財貨と貢賦と。書、禹貢「底愼──」
たからもの。史、周紀「欲得──」
たから。=財貨。
財貨を生産すベき本源。=財源。
もとで(資本)つひえ。大學「務──者、必自小人矣」
金錢を得んとする慾望。魏志、華歆傳「歆淡于──」
まうけ、金錢上の利益。晉書、崔游傳「自少及長、口未嘗語及──」
金錢を引き受け得る力。白居易文「──不足」
トク [職]
○かる(借)「乞─」說文「從人求物也」○たがふ。=忒。
4畫
クヮ [箇]
○たから(財)金錢「通─」「金─」「錢─」又すべての有價物「─物」「財─」○まひなふ(賂)たからを贈る、賄賂 ワイロ をつかふ。孟、公孫丑「無處而餽之、是─之也」○うる(賣)
かねと布帛と。周禮、天官「太宰之職、以九職任萬民、六曰、商賈、阜通──」注「金玉曰貨、布帛曰賄」=財帛。
たから。=財貨。
財產に同じ。唐書、殷侑傳「幼有志於學、不治──、長通經術、以講道、爲娛」
かねと同じやうに視る、それによりて利を得んとする義。柳宗元、童區寄傳「──之」
汽車の貨物を送る列車。
かねをまうけてふやす。論、先進「賜不受命、而──焉」
ぜに。王莽錢幣を稱して──と曰ふ〔漢書〕
うりかひ。後漢書、孟嘗傳「遷合浦太守、郡不産穀實、而海出珠寶、與交趾比境、常通商販、──糧食」
財貨をむさぼる。蘇轍、乞誅?呂惠卿狀「──無厭」
たから。史、項羽紀「燒秦宮室、三月不滅、收其──婦女而東」
たから、しなもの。漢書、食貨志「盡籠天下之──」
政府にて發行するかね、通貨。硬貨と紙幣とあり。後漢書、光武紀「初王莽亂後、──雜用布帛金粟、是歲始行五銖錢」
不正にて入りたる財貨は、亦不正にて出づる。大學「言悖而出者、亦悖而入、─────────」
たから。書、仲虺之誥「不邇聲色、不殖──」=財利·財貨。
まひなひ。司馬遷、報任安書「家貧──不足以自贖」=賄賂。
①クヮン [翰]
②ワン [删]
①ぬく、つらぬく。○つらぬき統 ス べる。論、里仁「吾道一以─之」○つきとほす。とほる(通)○うがつ(穿)○かさぬ(累)○あつ。あたる(中)○ならふ(習)慣に通ず、ならはし(習慣)孟、滕文公「我不─與小人乘」○ぜにさし、さし(緡)穴あき錢をとほすなは。○にんべつ(名籍)「鄕─」「─籍」○すぢ、すぢみち(條理)左傳序「經之條─、心出於傳」○こと(事)論、先進「仍舊─」○十分に極まる、極量「罪惡─盈」○千錢を一─といふ。金史「興定元年二月、初用貞元通寶、凡一貫、當貞裕寶券千─」
②ひく(挽)「─弓」=彎。 國 ○ クワン 古の通貨の單位、錢一千文の稱、德川時代には九百六十文、今は金十錢。○重量の單位、千?の稱。○昔、武士の知行高の換算に用ひたる單位、十石に當る。
罪がみちわたる。書、泰誓「商罪──、天命誅之」
事をつづけておこなふ。漢書、谷永傳「以次──、固執無違」
唐の僧、字は德隱、蘭溪の人、詩を善くし書畫に工、吳越王錢鏐の爲めに重んぜられ、後、蜀に入り、王建、之を禮遇す、號して寶月禪師と爲す、嘗て句あり「一甁一鉢垂垂老、萬水千山得得來」人又稱して得得和尙と爲す、卒する年八十一、禪月集あり、世に行はる。
皇后の異稱、魚は陰の物、婦人の象、貫は宮中の衆婦をつらぬき統ぶる義。易、剝卦「──以宮人寵、無不利」に本づく。
ぜにざしがくさりて錢の數をかぞへることが出來ぬ。史、平準書「漢興七十餘年之閒、京師之綫、累巨萬、──────」
いかだの名、査は槎。轉じて舟楫の義とす。拾遺記「堯登位三十年、有巨査浮於西海、査上有光、夜明晝滅、常浮繞四海、十二年一周、周而復始、名曰───」
○日をつらぬく、日光を遮り蔽ふ。史、鄒陽傳「白虹──、太子畏之」○日を積む。荀子「若夫──而治詳」
次條を見よ。
紀昌がしらみを射ぬきたる故事、虱一に蝨に作る、弓術に巧なるをいふ。列、湯問「紀昌以氂懸虱於牖(中略)以燕角之弧·朔蓬之簳、射之貫虱之心」
ならひなれる。梁武帝文「經史文藝、多所──」=慣習。
○かしらだつ人の稱。孝經、註「顏囘·閔子者孔門三千人弟子──」○ 國 藏人頭の異稱。○ 佛 一宗·一山の管長の稱。=貫主。
○緒にてたまをつらぬく。聲音の美妙なる形容。禮、樂記「纍纍乎、端如──」○珠數 ジユズ 玉泉子「手持──、閉目以誦經」=念珠。
佛 比叡山(天台宗)の山門の座主の稱。=貫首。
うまれ故鄕、本籍地。=鄕貫。
つらぬきうがつ、博く學問に通ずる義。漢書、司馬遷傳「──經傳」
貫籍に同じ。
文章をいふ。李漢、韓昌黎集序「文者────也、不深於斯道、有至焉者、不也」
條理 スヂミチ がつらぬきとほる。朱熹、中庸序「此書之旨、支分節解、脈絡──」=通貫·貫徹。
つらぬきとほす。金史、完顏京傳「幸不──、得不成禍」
なれあなどりてけがす。左傳「──鬼神、慢棄刑法」
其の地をとほりぬけて流れる。
ゆみを十分に引きしぼる。史、伍子胥傳「──執矢、嚮使者」=彎弓。
①セキ·シャク [陌]
②サイ [卦]
①せむ(讓)責めとがめる。○なじり問ふ「問─」「詰─」非としてせめる。○とがむ、しかる「叱─」「譴─」○そしる(刺)○せまる(催)「督─」○當然爲すべきことを其の人に責め求める「─善」○つとめ「─任」「塞─」○貸したる金を收め取る。
②おひめ「─主 サイシユ 」=債。
同訓異義
セム 責·攻·譴·讓·數の別は攻(八○三頁三段)の條を見よ。
債權者をいふ。後漢書「──日至、詭求無已」=債主。
自ら己の身のあやまちをせめる。春秋胡傳「引咎──、服其罪則可矣」
貢 ミツギモノ をきびしく催促する。課は租課。宋史、食貨志「土壤瘠埆、不宜種藝者、不須──」
せめることば、誚讓の言。左傳「西鄰──、不可償也」
せめののしる、せめしかる。陸龜蒙詩「朝朝貰薪米、往往逢──」
せめとがめる。
人に責むるに成績を以てする。淮南子「人主之術、──而不勞」
せめとがめる。南史、荀伯玉傳「數往候之、備加──、云若許某自新、必呑刀刮腸、飮灰洗胃」=誚讓·責讓。
人に善き行をすすめて爲さしむ。孟、離婁「──朋友之道也、父子責善、賊恩之大者」
せめいかる。魏志、杜畿傳「鄕邑父老、自相──、曰有君如此、奈何不從其敎」
能くし難きの事を責め望む。孟、離婁「──於君、謂之恭、陳善閑邪謂之敬」
せめ、ひきうけて爲すべき當然のつとめ。莊、天道「帝王聖人休焉、休則虛、虛則實、實者倫矣、虛則靜、靜則動、動則得矣、靜則無爲、無爲也、則任事者責矣」
施政の成績に對して責任を負ひて進退を決する內閣。
せめののしる。魏書「爾朱兆乃隔水──」
人に責むるに難んずる所を以てして相怨む。史記「衡山王·淮南王、兄弟相──禮節閒」
豫審判事が豫審中に、拘畱となりし刑事被吿人を、何時にても召喚に應ぜしむべき保證を爲さしめて、其の親戚故舊に預ける義。
納稅をせめ立てる。唐書、高崇文傳「──尤急一=責課。
せめとふ、とがめる。後漢書、馬援傳「乘驛──援」
せめふさぎ、己の責任を果す。韓詩外傳「卞莊子曰、前與母處、是以戰而北也、今母歿矣、請──」
タン トン [覃]
○むさぼる、物を欲する「慳─」「─欲」○むさぼり。
同訓異義
ムサボル 貪·婪·牟·饕○貪は物を欲するなり、離騷の「衆皆競進、以貪婪兮」の註に「財ヲ愛スルヲ貪トイヒ、食ヲ愛スルヲ婪トイフ」とあり。○婪は貪なり、强欲の義。○牟は取なり、利をむさぼり取る。史記「富商大賈、無レ所レ牟二大利一」○饕は音タゥ飲食を貪り嗜む義、また財を貪るにも用ふ、饕餮と連用す。左、文十八「貪二於飮食、一冒二於貨賄、一天下之民、謂二之饕餮一」
むさぼりこのむ。左傳「──不祥」
欲ふかくしてあし。詩經、箋「鳥之──者也」
むさぼりて心けがる、官吏が賄賂をむさぼるなどにいふ。漢書、馮奉世傳「素行──」
むさぼりておろか。獨孤及、大雲寺鐘銘「聆其音者、──遷善、聾盲知方」
よくが深くしてつよし。史、自序「蘇子能存諸侯、約從以抑──」
慾ふかくしてせりあひむさぼる。晉書「窘弊之餘、人懷──」
むさぼりて人をいぢめる。
たからをむさぼる。左傳「──棄命、亦君所惡也」
むさぼりみだる。後漢書、薛宣傳「有司明愼選擧、進柔良、退──、順時令、理寃獄」
佛 欲界·色界·無色界の一切順情の境に執著して起るいろいろの見。貪は五鈍使(貪·瞋·癡·慢·疑)とて五っの邪惡なる心的作用の一。
むさぼりてほしいまま。宋史、仁宗紀「──耄昏、以弛爲寬、以苛爲察」
生命をむさぼる。淮南子「或──而死、或輕死而得生」
むさぼりをしむ。後漢書、光武紀「諸將皆──財貨」
支那の廣州に在る泉、之を飮めば貪欲の心を生ずといふ。晉書、吳隱之傳「古人云此水、一歃懷千金、試使夷齊飮、終當不易心」
むさぼりて、よわし。愞一に懦に作る。陳高詩「首陽餓仁賢、至今激──」
むさぼりて心けがる。世說「王含作盧江郡、──狼藉」=貪墨。
欲ふかくしてむごし。法訓「──者難爲惠」
欲ふかくして道にもとる。人物志「──之性、勝則彊猛爲禍梯」
慾ふかくむさぼる。左、昭三二「──之民」
むさぼりて心いやし。詩、魏風、伐檀序「在位──無功而受祿」
欲ふかきひと。史、伯夷傳「語曰、──徇財、烈士徇名」(徇財とはかねの爲めに一命をすてる)
敵の土地貨財をむさぼる兵。漢書、魏相傳「利人土地貨寶者、謂之──、兵貪者敗」
よく深くして心せまく急なり。北史、高閭傳「──矜慢」
官吏の利をむさぼりて心のけがるをいふ。左、昭十四「貪以敗官爲墨」
慾深くしてほしひままにあなどる。北史、李順傳「祖勳、性──」
慾ふかくむさぼる。張衡、東京賦「進明德而崇業、滌饕餮之──」=貪欲。
食をむさぼるおほかみ。耶律楚材詩「更驅虎豹逐──」
むさぼる。貪は金錢、婪は食物をむさぼる。離騷「衆皆競進以──」
前條に同じ。左、昭二八「──無饜」
むさぼりて賄賂などを取る官吏。=汙吏。
むさぼりてけち、次條參看。
むさぼりてやぶさか。南史、何敬容傳「晉宋以來、宰相以文義自逸、敬容獨勤庶務──、爲時所嗤鄙」=貪吝。
むさぼりもとる。大學「一人──、一國作亂」
むさぼると心淸く欲少きと。貪欲と淸廉と。
慾ふかくして心が其の方にひかれる。
むさぼりていやし。猥は鄙。宋史、王旭傳「官隣邑者、多──」
むさぼりて心がまがる。九思「──兮黨比、貞良兮?獨」
むさぼりてほしいまま。宋史、高宗紀「鎭江都統制劉寶、以專悍──罷」
ハン [願]
○あきなふ、ひさぐ、やすく買ひて高く賣る。說文「買賤賣貴者」○ふりうり「負─」「─鹽」あきなひ。
きぬをうる。史、灌嬰傳「睢陽──者也」
○物をやすく買ひて高く賣る。漢書、貢禹傳「巿井勿得──」注「賤買貴賣言販」○ 國 賣りさばく「──所」
珍寶をひさぐ老人。張籍詩「農夫稅多長辛苦、棄業去爲───」
ほてふり、行商人。周禮、地官、司巿「夕巿、夕時而巿、──販婦爲主」
行商する女。前條參看。
あきなふ。魏書、崔寬傳「──來往、家產豐富、而百姓樂之」
物品のはけくち。
ヒン ビン [眞]
○まづし、とぼし。富の對。財産が乏し「淸─」「赤─」書、洪範「六極、四曰─」傳「困於財」○轉じて才學などの少きにもいふ。文心雕龍「才富而學─」○まづしきもの、びんばふにん。
同訓異義
マヅシ 貧·窶○貧は財なきなり。詩、邶風「終窶且貧」○窶はやつやつし、貧の甚だしくして禮を備ふること無きなり、貧陋をいふ。○匱·乏の二字は竝にとぼしと訓む、貧の類なり。
まづしきむら、貧乏人の集まれる村。=寒村。
まづしくとぼし。耗は又秏に作る。漢書、刑法志「徵發煩數、百姓──」=空耗。
杜甫の詩。曰く「翻手作雲覆手雨、紛紛輕薄何須數、君不見管鮑貧時交、此道今人棄如土」
まづしき男。陽明文錄「──作事、大難、富人豈知之」
まづしくくるしむ。禮、月令「賜──」=貧苦。
まづしくくるしむ〔史、淮南王傳〕=貧窮。
まづしくしてやつれる。晉書、劉寔傳「少──、杖策徒行」詩、邶風「終窶且貧、莫知我艱」=貧陋。
まづしきをとこやもめ。鰥は六十にして妻なき者。魏書、高祖紀「太和十三年、出宮人以賜北鎭人──無妻者」=窮鰥。
體內の血液少し、又其の病「──症」多血の對。
びんばふ人の住むちまた、貧民窟。
まづしきくに。富國の對。漢書、景十三王傳「以母微亡寵故王卑濕──」
まづしくくるしむ。史、管晏傳「管仲──、嘗欺鮑叔」=貧苦·貧窮。
まづしき人相。
まづしき人。禮記「──不以貨財爲禮」=貧人·貧民。
○まづしくしてよわし。史、周紀「賑──萌隸」○ 國 やつれてみすぼらし。
まづしき人、貧しき書生。
まづしくしていやし。中庸「素──行乎──」=賤貧。
人情の輕薄なるをいふ。曹攄、感舊詩「富貴他人合、─────」
貧賤の時の交友は、いつまでも忘るべからず。後漢書、宋弘傳「───────、糟糠之妻不下堂」
如何に貧賤に至るも志を變ぜず。孟、滕文公「富貴不能淫、─────、威武不能屈、此之謂大丈夫」
まづしき僧。太平廣記「睿陵之側、有──居之」
まづしきむら。=貧邑·寒村。
まづしくしてうゑる。晉書、天文志「盛饘粥、以給──」=窮餒·困餒。
僧又、道士の謙稱。石林燕語「晉宋閒佛敎初行、未有僧稱、通曰道人、自稱則曰──」世說、言語「竺法深在?文坐、劉尹問、──何以遊朱門、答曰、君自見其朱門、──如遊蓬戶」
貧しくして道を樂む。論、學而「───、富而好禮」
貧窮に安んじて樂む。後漢書、蔡邕傳「──樂賤、與世無營」陶潛詩「──守賤者、自古有黔婁」
まづし。後漢書、郭巨傳「──不能供」
まづし。後漢書「袁氏──、每就上求錢、皇后贍之」
士は道を講ずるのみにて、利を計らず、故に貧しきは其の常なり。列、天瑞「─────也、死者人之終也、處常得終、當何憂哉」
まづしくかすか。何遜詩「宗派已孤狹、財產又──」
まづしきものと、やめるものと。南史「開倉振救──不能自立者」
まづしきと、とめると。
赤貧をいふ。杜甫詩「已訴徵求───、正思戎馬淚盈巾」=貧徹骨。
國 貧巷に同じ。
まづしくくるしむ。晉書、卞壺傳「廉潔儉素、居甚──」
まづしくしていやし。宋書、徐堪之傳「初高祖微時、──過甚」=貧窶。
5畫
イ [支]
通じて詒に作る
○のこす(遺)のこる。○おくる(贈)
同訓異義
オクル 貽·送·贈·饋·餽等の別は送(辵部六畫)の條を見よ。○ノコル貽·殘·遺·剩の别は殘(一○二二頁四段)の條を見よ。
わざはひをのこす。晉書、慕容瑋載記「尸祿──、負乘招悔」
をしへを子孫にのこす。又、其のをしへ。權德輿文「萬石──、根於孝友」=詒訓。
孫をいふ。又、子孫に遺す謀の義。詩、大雅「──孫謀、以燕翼子」より出でたる歇後の辭。南史、到漑傳「得無──之力乎」
てほんをのこす。陸雲文「憲章令典、──萬世」=貽則。
父祖が子孫にのこせるはかりごと。蔡襄詩「──寶訓明」貽厥參看。
カ ガ [箇]
○よろこぶ。よろこび(慶)禮物を以て相奉慶する「慶─」「─喜」「朝─」詩、大雅「四方來─」○いはふ。いはひ(祝)○になふ(擔)
同訓異義
ヨロコブ 賀·喜·悅·欣·歡·怡·懌·慶等の別は喜(三三九頁四段)の條を見よ。
いはひのさかもりの席。
いはひのことば。=賀詞。
いはひのてがみ。
ほめたたへる。又、其のことば。
字は季眞、唐の永興の人、玄宗の時、禮部侍郞と爲り、集賢學士を兼ぬ、晚節放誕、四明狂客と號す、天寶の初、乞ひて田里に歸り道士となる、詔して鏡湖剡川の一曲を賜ふ、肅宗の太子たりし時、曾て祕書監を授けらる、世に賀監と稱す。
朝廷又、國家に慶事ありし時、臣民より奉るよろこびの文書。南史、垣崇祖傳「高帝卽位、方鎭皆有──」=賀箋。
キ [未]
又、?に作る
○たふとし(尊)賤の反對。○たふとき位、たかし(高)位高し「高─」「富─」「尊─」價高し「騰─」晉書、文苑傳「洛陽爲之紙─」○尊稱の接頭語「─姓」「─國」「─意」○たふとぶ(尙)重んずる。中庸「賤貨而─德」○ねがふ(欲)戰國、魏策「─合於秦以伐齊也」○省名、貴陽府に治す。
同訓異義
タフトフ 貴·尊·崇·上·尙·右の别は尊(五一八頁三段)の條を見よ。
王公貴族の子苐、貴遊は上流。周禮、地官「凡國之────學焉」
身分貴くして要路に居る。又、其の人。晉書、杜預傳「預在鎭、數餉遺洛中──」=權要。
とほきをたふとぶ。漢書、揚雄傳「凡人賤近而──」
身分の貴きことを鼻にかける。孟、萬章「不挾長、不──、不挾兄弟而友」
他人の召使。又使者を敬稱す。
貴公子に同じ、介は大。劉伯倫、酒德頌「有────搢紳處士」
人の弟の敬稱。介は大。左、襄二六「寡君之───也」=令弟。
たふとびて寵愛する。史、佞幸傳「以外戚──」=貴寵。
おとし、人の齡をいふ敬稱。=尊庚。
○たふとき客。桂海志「有──則設老酒冬酢」○牡丹の異名(花譜)
貴き在上の人をたふとぶ。孟、萬章「用下敬上、謂之──、用上敬下、謂之尊賢」
正義をたふとぶ。穀梁傳「春秋──」
貴くして君に親み近づく。又、其の人。唐書、權萬紀傳「不阿──」
價のたかき金屬。白金·金、銀の類。
○たまをたふとぶ。禮記「敢問君子──、而賤珉者何也」○たふとき玉。
○たからをたふとぶ。逸周書「賤食──、是不知政」○たふときたから。
貴顯の稱。王僧虔、技錄「短歌行仰瞻一曲、魏文製此辭、以撫箏和歌、歌者云、──彈箏」貴官は卽ち魏文帝。
賢者をたふとぶ。荀子「──者霸、敬賢者存」
位たふとくあらはれる。又、其の人。南史、臧燾傳「雖外戚──、而彌自沖約、茅屋蔬餐、不改其舊」
貴き家のわかもの、きんだち。=貴介公子。
たふとき國。國語「其──之賓至、則以班加一等益虔」
高き位。左、僖二三「有大功而無──」=貴官。
○あねの敬稱。西京雜記「今日佳辰、──懋膺洪冊」○女の友の敬稱。
おヘんじ。=貴答。
聞く所を重んじて見る所を輕んずる。張衡賦「若客所謂末學膚受、貴耳而賤目者也」顏氏家訓「世人多蔽、────」
○たふとき人。漢書、高帝紀「欲奇此女與──」○漢代、女官の名。後漢書、皇后紀「──金印紫綬」光武帝置く、皇后の次位。
位高き臣。漢書、五行志「木者少陽、──卿大夫之象也」
○爵位をたふとぶ。禮記「夏后氏──而尙齒」○貴き爵位。又、其の人。
たふときたま。抱朴子「──出乎賤蚌」
位高くしていのち長し。易林「隆我福祉、──無極」
御手紙。=貴簡·尊翰·華墨。
位たかく家盛んなり。史、蔡澤傳「祿位──」
貴き人君などの親類。孟、萬章「有──之卿」
○たふときと、いやしきと。中庸「序爵、所以辨──也」=尊卑。○價高きと、やすきと。=高低。
他人の子の敬稱。=令息·令郞。
たふときやから。晉書、列女傳「連姻──、將來庶有大益」
二院制度の國家の上院。貴族·勳功者·多額納稅者を以て組織す。衆議院の對。
少數の貴族が國家の主權を握る政體。
ほこる。諸葛亮文「廖立生自──、臧否羣士」=尊大。
御宅。他人の家の敬稱。錢塘志「──何所」
○高き地位。南史、張弘策傳「不以──自高」=尊位。○他人の居住地の敬稱、御地。=錦地。
貴顯の家の子孫。唐書、王龜傳「性高簡博知書傳、無──氣」=華胄。
○身分の高きをんな。貴婦人。○女子に對する敬語。
たふときしるし。史、外戚世家「薄姬曰、昨暮夜、妾夢蒼龍據吾腹、高帝曰、此──也、吾爲汝、遂成之、一幸生男、是爲代王」
位高くしてめで愛せられる。國語「尊──賞功勞」=貴幸。
自ら重んじ惜みてみだりに進まず、籍は惜〔韓愈、柳宗元墓誌銘〕
時の相場より高く米を賣り出す。北史、盧濳傳「──其米」
時の相場より高く米を買ふ。越絕書「──粟稾」
人の鄕里をたふとびていふ。三國志「蜀卓氏寡女、亡奔司馬相如、──風俗、何以乃爾乎」孫權が張裔に問ひし語。
德行をたふとぶ。禮記「昔者有虞氏──而尙齒」=尙德。
高く買ふ。晉書、載記「──其畚」
高く賣りつける。漢書、景帝紀「賤買──」
唐代の女官の名。唐書、百官志「內官──惠妃·麗妃·華妃各一人、正一品、掌佐皇后論婦禮於內」
たふとき客。魏書、崔道固傳「我賤不足以報──」
女官の名。魏志、后妃傳「文帝增──淑媛·修容·順成·良人、──夫人位次皇后」
たふとき婦人。=貴女。
○財寶多きを貴ぶ。禮記「殷人──而尙齒」○位高く財寶多し。史記「執珪──」=富貴。
はかりごとをたふとぶ。趙充國、屯田疏「是以──而賤戰」
○たふときいへがら。南史、張纘傳「不爲──屈意、人士翕然稱之」=權門·尊門。○人の家の尊稱。古詩「謝家來──」
物品を貯へ置き其の價の高くなるをまちて賣る。漢書、食貨志「以防──者」
○老人を尊びて稱す。○としよりをたふとぶ。禮記「貴有德、貴貴、──敬長慈幼」
キャウ [養]
○たまふ(賜)あたふ(與)詩、小雅「中心─之」○たまもの、人よりの贈品の敬稱「厚─」「嘉─」「惠─」儀禮、昏禮「吾子有惠─室某也」
同訓異義
タマフ 貺·賜·錫·賚·給の别は賜(一八七四頁二段)の條を見よ。
衒(一七四○頁二段)に同じ。
シ [支]
○たから、しんだい(財貨·財產)「家─」「傾─」○輕き罰をば、たからを出して自ら贖 アガナ ふ「─錢」○はかる(量)數へる。
しんだい。後漢書、欒巴傳「遷豫章太守、郡土多山川鬼怪、小人常破──以祈禱」=財產。
金錢の出入をかきつける帳簿。唐書、牛僧孺傳「悉收──、校計出入」
たからを出して郞官となる。又、其の人。史、司馬相如傳「以貲爲郞」轉じて廣く貲を納れて官となる者をいふ。
數へきれざる程多くある。晉書、傅休奕傳「不得其人、一日則所損──、況積日乎」=無算。
ジ ニ [寘]
○ふたっ、金穀などの數字に用ふ。=二。○そふ(副)そへ、ひかへ「副─」「儲─」「─車」○つぐ。○かさぬ(重)曲禮「雖─不辭」(殽膳を重ねる、二の膳)ます(益)○ふたたび(再)○うたがふ(疑)書、大禹謨「任賢勿─」○そむく、兩方に屬する「─臣」左、隱二「命西鄙北鄙─於己」○ならぶ(竝)たぐひ(匹敵)左、哀十七「君之─也」○ふたごころ。○はなれる(離)左、襄二四「諸侯─」○わかつ(分)
同訓異義
ソフ 貳·添·副·傍·沿の别は添(一一一四頁三段)の條を見よ。
三公の副官。少師·少傅·少保。書、周官「──弘化」
離宮。孟、萬章「帝館甥于──」=副宮。
ふたごころ。詩、大雅「無貳爾心」
臣節を全うせずして二君に仕ふる者。──傳は乾隆四十一年の敕撰、明の遺臣の淸朝に降附せし者の傳をあつむ。
そへぐるま。禮、少儀「乘──則式」=副車。
二品以上の食物。禮記「食不──」
セイ [霽]
○おぎのる(賒)現金を拂はずに借りて物を買ふ、かけがひ「─酒」○ゆるす(恕·赦)「─死」○ 國 モラフ 物を贈られる「─物」助力を受ける「助けて─ふ」
酒をかけ買する〔史、高祖紀〕=賒酒。
①タイ [隊]
②トク [職]
①かす、金品を用立てる「─與」「─假」かし。○ほどこす(施與)○ゆるす(寬)おほめに見る「寬─」「恩─」「優─」
②たがふ(忒)「差─」○かる(借)
ほどこしすくふ。蔡邕文「公開倉廩以──」
常の法律より輕くする。唐書、王世充傳「乃陰結豪傑、有繫獄者、皆撓法──、以樹私恩」
借債をいふ、子は利子を生ずるが故。周禮、注「稱責、謂──」
かけにてかふ。黃庭堅詩「深念煩鄕里、忍窮禁──」
かしかり。南史、王藻傳「諸主聚集、惟論夫族、更相扇誘、不可──」
ほどこしにぎはす。後漢書、朗顗傳「陛下誠宜廣被恩澤、──元元」
官、又は其の學校より學費を貸與して學ばしむる學生。
かす、かしあたへる。
チョ [語]
又、著に作る
○たくはふ、藏 ヲサ め置く、積みて備へる「積─」「滿─」○たくはへ。
同訓異義
タクハフ 貯·蓄·儲の别は蓄(一六六七頁四段)の條を見よ。
金をたくはへる。錄異記「──多則草木焦枯」
こくもつをたくはへる。越絕書「多──富百姓」
たくはへをさめる。
たくはへつむ。たくはへ。法苑珠林「廣蓄田財、過分──」=積貯·積著。
財寶などをたくはへあつめる。魏書、王朗傳、注「兵旣久屯、不務營佃、不修器械、無有──」
たくはへのもみ。公羊、僖三「無──」
たくはへる。
米をたくはへる。唐書、李大亮傳「大亮卒、惟──五斛、布三十端」
萬年筆。=俗自來墨水筆。
十分にたくはへ滿つる。王惲詩「淸氣──詩人脾」
かてをたくはへる。吳地記「胥門南有儲城、越王──處」
テフ [葉]
○つく(依附)附益する、其の足らざるを補ふ。○安んじおちつく(安置妥適)「─服」「─然」「妥─」○切近する。事が相密合する「─切」○ねばりつく(黏置)はりつける「招─」「揭─」○借金のかたにおく、物を質におく「典─」○戲劇 シパヰ の脚色の名、元曲に─旦の名あり(正旦の對)明代の傳奇に省して─と爲す。○ 國 テフ 藥の包 ツツミ を數へる數詞。
○唐代、詔敕を改めるにいふ、詔敕は黃紙に記す、故に之を改むるときは、同じく黄紙をはりつける。石林燕語「唐制降敕、有所更改、以紙貼之、謂之──、蓋敕書用黃紙則貼者亦黃紙也」○政府又は君主に奉る文書の大要を黃紙にしたためて其の文書の末にはりつけるもの。
書吏 カキヤク の助手。金史「禁用──」=貼寫。
まをとこ〔雞助篇〕=姦夫·私夫。
試驗の一法、經書中の一行を示し前後を掩ひて之を通讀せしむるもの。=帖試·帖括。
はりつけ用ふる「印紙──」
バイ [蟹]
○かふ(市)金錢を出して物品を求める。說文「出物曰賣、入物曰─」○求める、受ける「─禍」「─怒」
同訓異義
カフ 買·沽·酤·巿·賈·貿·糶○買はかひて、あきなひする、大買する義。○沽は、うるとも、かふとも訓む、小買する義。○酤は沽に同じ。○巿は店にあるものをかふなり。論語「沽酒、巿脯不レ食」○賈は價を出して物を受け、あきなひするなり。韓非子「長袖善舞、多錢善賈」また、うるとも訓む。論語「求二善價一賈レ諸」○貿は物と物とを交換するなり。呂覽「男女貿レ功」○糴は音テキかひよねと訓む。米を買ひ入れる義。
わざはひを受ける。戰國策「所謂巿怨而──者也」
資を納れて官を求める。後漢書、崔寔傳「崔公冀州名士、豈肯──」
涓人の死馬の骨を五百金にて買ひたる故事、賢人を求むるに急なるにいふ。戰國、燕策「古之人君、有以千金使涓人求千里馬者、馬已死、買其骨五百金而歸」
隱退せんが爲めに山をかふ。雲溪友議「匡廬載符山人、遣三尺童子、齎數幅文書、乞──錢百萬」溫庭筠詩「誰言有策堪經世、自是無錢可──」世說「未聞巢由、──而隱」
○かひ取る。○ 國 金錢又は他の利を啗 クラ はせて人を我が味方にする。
賣買。張羽詩「一紙千金爭──」
うれひを求め招く。鄭谷詩「買花不得──來」
漢の朱買臣の妻、夫の貧乏を恥ぢて自ら去る、後、買臣會稽の太守となるに及び其の妻自ら縊れて死せし故事〔漢書、朱買臣傳〕
買ひ取る。西域記「──此處、與造斯寺」
酒を買ふ。司空圖詩品「玉壺──、賞雨茅屋」
酒食の費用。承平舊纂「進士不第者、親知供酒肉費號───」
酒を買ひてゑひを求める。李白詩「託交從劇孟、──入新豐」
○人にわらはれる。○妓に狎るるをいふ。劉禹錫詩「猶自經營──金」
俗 洋行·銀行等にて交易の媒介を爲す人をいふ。
名譽を求める。南史、虞寄傳「吾豈──求仕者乎」江淹賦「寧歸骨於松柏、不──於城巿」
ほまれを求める。王巖叟文「賣朝廷之恩、以──」=沽名。
鄰を擇びて居る義。南史「宋季雅罷南康郡、巿宅居呂僧珍宅側、僧珍問買宅價、曰、一千一百萬、怪其貴、季雅曰、一百萬買宅、千萬──」
①ヒ [未]
②フツ [物]
①つひやす、つかふ(使用)金品をつかひへらす、財を散ずる。○へらす(耗損)「─力」「─心」○つひえ、いりめ、ものいり「入─」「─用」「私─」「官─」「歲─」「經常─」○むだ(宂)「─句」「辭─」○道の用の廣大なる羲。○姓。─褘は三國の蜀の人、董允と名を齊うす。
②もとる。○道の功用廣し。
費は聖人の道の功用の廣く大いなる義、隱は其の至小至細なる義。中庸「君子之道、費而隱」
つかひへらす。又、つひえ。漢書、黃霸傳「公私──、皆出於民」
むだな文句。梁武帝文「遊詞──、無取於實錄」
つかひちらす。魏書、李平傳「有司繩以──之條、免其官」=耗散。
日をむだにつひやす。易林「任非其人、──無功」
心を用ひへらす。杜甫詩「──姑息是一役、肥肉大洒徒相要」=費神。
つかひつひやす。=消費。
後漢の汝南の人、壺公に從ひて仙を學ぶ〔後漢書、方術傳〕
金品のつかひみち。
費用の細目、いりめのくちわけ。
いりめ、つひえ。史、禮書「孰知夫輕──之所以養財也」
精力を耗費する。故に爲し難きの事を──と謂ふ。
②ヒ [寘]
②フン [文]
③フン·ホン [吻]
④フン [問]
⑤ホン [元]
①かざる(飾)あや、かざり(文飾)光明の貌。易、賁卦「山下有火─」○易の卦の名、離下艮上。
②おほいなり(大)「─鼓」
③わきたつ(湧起)穀梁、僖十「覆酒於地、而地─」○いきどほる。=憤。
④やぶる(覆敗)「─軍」=僨。
⑤いさむ。又、勇士。○はしる、古、奔に通ず。○人名「虎─」「孟─」
人の己の家に訪ひ來ることの敬稱。賁は飾、光彩を添ふる義。詩、小雅「皎皎白駒、賁然來思」思は助字。
人の來ることの敬稱。御來臨。前條參看。=賁來·光臨。
やぶれいくさ。禮、射義「──之將」=敗軍。
大いなるつづみ。詩、大雅「──維鏞」=鼖鼓。
孟賁·夏育の二人、共に古の勇士。戰國策「烏獲之力而死、──之勇而死」
ヘン [琰]
○おとす。おつ(失墜)○しりぞける(謫)官位をしりぞける「─官」「─秩」○へらす(減損)○そしる(刺)襃の對「襃─」
同訓異義
シりゾク 貶·退·屛·斥·卻·黜·擯の别は退(辵部六畫)の條を見よ。
官位をおとししりぞける。後漢書、陳球傳「順朝無──之文」=貶退。
稱謂の名號を引き下げる。史、衞世家「更──曰侯、嗣君五年、更──曰君」
官をしりぞけおとす。後漢書、馬嚴傳「選擧不實、曾無──、是使臣下得作威福也」
へらしそぐ。蘇軾、再上皇帝書「──軍分」
くらゐをおとす。孟、吿子「一不朝、則貶其爵」
おとししりぞける。柳宗元文「凡吾之──亦幸矣」=貶黜。
官をおとしてせめる。左傳、注「不待──、而自明也」
へらす、おとす。周禮、秋官「刑罰國事、有所──」
官をおとししりぞける。漢書、魏相傳「考案郡國守相、多所──」=貶降。
官位をおとして遠方へ流す。=貶流·配流。
おとしうばふ。晉書、庾純傳「敢以私議──公論」
官をおとししりぞける。漢書、韋元成傳「自傷──父爵」=貶斥。
おとす。蘇軾文「輒──令一錢不直」
貶謫に同じ。
官をおとししりぞけて罪する。晉書、苻堅傳「費廣無成實、宜──」
ボウ [宥]
○かふ、かへる、賈 アキナヒ を爲して品物をとりかへる(交換)「─易」○かはる。昭明太子文「炎涼始─、觸興自高」○うる(巿)かふ(買)詩、衞風「抱布─絲」あきなふ(商)○──は目のかすみて明かならざる貌。
同訓異義
カフ 貿·買·沽·酤·巿·賈·糴の别は買(一八六七頁四段)の條を見よ。
各地の產物を取り換へてあきなひする。史、貨殖傳「以物相──」今は外國との物品の取引に用ふ。
赤道の南北三十度以內の海上に生ずる恒風。風向きが一定して貿易船の航行に便なるが故。
互にほねをりを、とりかへる。亢倉子「男子不織而衣、婦人不耕而食、男女──、相資爲業」
くびを易へ取らんとする程のかたき。不共戴天といふに同じ。戰國策「甘茂與樗里子、────也」
品物を交换してあきなひする。晉書、苻堅載記「自長安至諸州、皆夾路樹槐柳、二十里一亭、四十里一驛、旅行者取給于途、工商──于道」
目の明かならざる貌。檀弓「有餓者、蒙袂輯屨、──然來」=瞢瞢。
名を求める。淮南子「公孫龍粲於辭而──」=沾名·買名。
6畫
クヮイ [賄]
通音ワイ
○たから(財貨)「財─」財帛の總名。○おくる(贈)財を人に贈る。左、文十二「厚─之」○利益を得んが爲めに密に物を贈る、まひなふ。又其の贈物、袖のした「─賂」「收─」「贈─」○ 國 マカナヒ 食事のしたく。又、其の所。又其の人。○ マカナフ 食事をとりつくらふ。
まひなひ、義に合はざるたからを人に贈る。春秋胡傳「──公行、上下離析」
①コ [麌]
②カ [禡]
①かふ(買)もとむ(求)物をあがなひ求める。○轉じて廣く求める、まねく、來す「─怨」「─禍」「─害」○うる(巿·售)○あきうど(商人)「商─」「富─」史、老子傳「良─深藏而若虛」行きて賣るを商といひ、處 ヲ りて賣るを─といふ。○しろもの(商品)○あきなふ。あきなひ。
②あたへ(直)論、子罕「求善─而沽諸」=價。○姓、─誼は漢の洛陽の人。
同訓異義
ウル 賈·賣·沽·售·糶の别は賣(貝部八畫)の條を見よ。○カフ賈·買·沽·酤·巿·貿·糴の別は買(貝部五畫)の條を見よ。
佛 四梵天の一、雲笈七籤「四梵天元始曰常融天·王降天·梵度天·──天」
人よりうらみを受ける。國語「以寵──、不可謂德」
自らわざはひをまねく。左、桓十「匹夫無罪、懷璧其罪、吾焉用此、其以──也」
口錢をとるあきうど、さいとり。朱松文「惟勢利之狥、乃無以異於──之交」
えひすのあきうど。後漢書、馬援傳「馬伏波類西域──、到一處輒止、以是失利」
商人をいやしめていふ。漢書、張良傳「其將屠者子、──易動以利」
商船。漢書「蠻夷──轉送致之」=賈舶。
あきなひぶね。周邦彥文「越舲吳艚、官艘──」=商舶·賈船。
漢の洛陽の人、少にして穎悟、年二十、孝文帝に召されて博士となり、一歲中に太中大夫に至る、誼、正朔を改め禮樂を起さんことを請ひ、大臣の忌む所となり、長沙王の大傅に貶せらる、後、梁の懷王の大傅に拜せらる、年、三十三にして卒す、新書·賈長沙集の著あり、治安策·過秦論の文最も著る、世に賈太傅と稱し、又年少にして秀才なるを以て賈生と稱す。
漢の潁川の人、書記を涉獵す、孝文の時上書して治亂の道を言ふ、秦を借りて喩となし、名つけて至言といふ。
賈誼を見よ。
字は浪仙、唐の范陽の人、初め僧となり、無本と號せしが、其の詩を善くするを以て、韓愈の知る所ろとなり、還俗して長江の主簿となる、時に賈長江と稱す。
漢の賈誼、晁錯のともがら。經國の材ある人の仲閒の義。隋書、李德林傳「經國大體、是賈生·晁錯之儔」
賈誼と董仲舒と、竝に漢の能文者。周伯琦詩「詞懷──雄」
善き價の出づるを待つ、賈は價。時機を待つに喩ふ。論、子罕「我──者也」=待價。
シ [支]
○たすく(助)たすけ「師─」○あたふ(給)戰國、秦策「王─臣萬金」○とる(取)易、乾卦「萬物─始」○もちふる(用)○よる(託)○もたらす(齎)○はかる(謀)○よりどころ(託所)○たから(貨)「─財」○いりめ(費用)「嫁─」「學─」「軍─」○もと、たね(材料)○もとで「─本」○もとでとする。莊、逍遙遊「─章甫適諸越」○みぶん(身分)くらゐ(地位)「─格」○うまれつき(性質)「天─」「英─」
同訓異義
タスク 資·助·輔·弼·翼·扶·佐·佑·援·贊·裨·介の别は助(二四七頁三段)の條を見よ。○トル資·取·執·秉·把·操·採等の别は取(二九三頁二段)の條を見よ。
父祖の功德の蔭 オカゲ にて其の子孫の授けられたる官。通鑑、胡三省、注「資蔭謂隨資品得蔭其子若孫及曾孫」=蔭補。
○身分又、地位。唐書、選擧志「用循──、無問能否」○其の事物につきての要件。
たすけあたへる。魏志、鄧艾傳「怜其家貧、──甚厚」
○たから。=貲財。○うまれつき、財は材〔漢書、鼂錯傳〕
女の嫁入などの仕度。
しんだい。=財産。
取りてはじまる。易、乾卦「大哉乾元、萬物──」
うまれつき。後漢書、吳良傳「──敦固、公方廉恪」=資性。
とりてもちふる。南史、蔡廓傳「有所──、皆就典者一請焉」
取り用ひて生ずる。易、坤卦「至哉坤元、萬物──」
うまれつき。漢書、霍光傳「止進有常處、郞僕射竊視之、不失尺寸、其──端正如此」=資質。
宮殿の名、宋の眞宗、龍圖閣を建て、閣の東序を以て──殿と爲す、王欽若、參政を罷む、眞宗特に──殿學士を置きて之を寵す、班、翰林學士の下に在り、欽若悅ばず、眞宗欽若を以て──殿大學士と爲す、班、翰林學士承旨の上に在り、後、宰相の職を罷むる、多く此官を授く。
よめいりの支度をととのへておくる。晉書、紀瞻傳「──同于所生」
國家を治めるたすけとする。唐書、陸贄傳「上書言、治或生亂、亂或──、有以無難而亡、有以多難而興」
二百九十四卷、宋の司馬光撰す、周の威烈王より五代に至る事實を編次す。
金穀の類。北史、獨孤羅傳「爲買田宅、遺以──」
たくはへ。晉書、簡文帝紀「詔、今──漸豐、可籌量增俸」
家資 イヘカラ と名望と。秦觀、制策「王者用人之要術、惟──而已」=資格名望。
うまれつき、たち。晉書、賀循傳「陸機薦循疏曰、謹條──、乞蒙簡察」
ろぎん、旅費、斧はをの、古、旅行の時、携へて荊棘をきりはらふ用に供す。易、旅卦「得其──」=川資。
辯舌がすぐれてはやく氣がきく〔史、殷紀〕
もとで「──金」「──家」釋名「取爲──也」
入用の金品。
基 モトヰ となる力。又、もとで。魏志、鍾會傳「蜀國小民疲、──單弱」
もと、たね。=原料·材料。
資格と經歷と。張九齡文「──淺者、更佇良能」
ソク ゾク [職]
○ぬすむ(盜)ぬすびと。○そこなふ(殘·害)論、先進「─夫人之子」やぶる(敗)ころす(殺)書、舜典「怙終─刑」○おびやかす(刧)○しへたぐ(虐)○害惡をなす者。○國家を亂すもの、不忠不孝の者「邦─」「亂臣─子」○外國より攻め來るあだ、外寇。○苗の節 フシ を食ふ害蟲。詩、小雅「去其螟螣、及其蟊─」
同訓異義
ヌスム 賊·盜·竊·偸·攘の别は盜(一三一一頁三段)の條を見よ。
唐の段秀實が笏を以て反臣朱泚の額を擊ちし故事。唐書「德宗時、段秀實爲涇原節度使、以忤楊炎、罷爲司農卿、(中略)朱泚召秀實及源林等、議僭號事、秀實勃然起執林腕奪其象笏、奮前唾泚面、大罵曰、狂賊、吾恨不斬汝萬段、豈從汝反邪、因以笏擊泚中其額、濺血灑地、泚匍匐脫走、秀實知事不成、大呼謂泚黨曰、我不同汝反、何不我殺、衆前殺之、後諡忠烈」文天祥、正氣歌「或爲───」
其の部下をとりこにするには、先づ其の渠魁をとりこにすべしとの義。杜甫、前出塞詩「射人先射馬、─────」
そこなふ。劉楨、爲袁紹上書「──忠德、扇動奸黨」
正しき道をそこなふ。孟、梁惠王「──者、謂之殘」
そこなひしへたぐ。書經「──諫輔」
賊のかしら。=賊首。
賊のすみか。唐書、杜牧傳「必覆──」
○大不孝の子。孟、滕文公「孔子成春秋而亂臣──懼」○むほん人、反逆の徒。
不忠の臣、むほんする臣。=叛臣·逆臣。
賊のやうす、賊の形勢。
○賊のくび。宋史、曹瑋傳「──巳擲庭下矣」○賊のかしら。=賊魁。
ぬすびと。春秋、注「反與小人、造──之計」=盜賊。
賊のなかま、むほん人のともがら。
僧を罵りていふ。閱耕餘錄「今人罵僧、輒云──、按梁荀濟表云、朝夕敬妖怪之胡鬼、曲躬供貪淫之──、則此語自六朝時、巳有之」
盜賊に物をうばひとられるわざはひ。
寇賊に便利を與へる。兵は兵器。荀、大略「非其人而敎之、齎盜糧、───也」=藉寇兵〔李斯、諫逐客書〕
ぬすびと。=盜賊。
賊軍のとりで。
チン [沁]
○やとふ。やとはる(傭)「舂─」史、范雎傳「臣爲人庸─」○かす。○やとはれ、やとひ。○ちんせん、やとひ人にやる報酬「─金」「僕─」○ 國 代價、報酬「家─」「運─」
やとひ人に渡す錢。=賃錢。
賃錢を受けてはたらく。漢書、兒寬傳「時行──、帶經而鋤」
ちん錢を出して人を雇ふ。敖陶孫詩「月粟供──」
賃錢をもらひて字をうつす。南史、庾震傳「喪親、貧無以葬、──以營事」=傭書。
人にやとはれてうすをつく。後漢書、梁鴻傳「爲人──」
賃銀に同じ。
ロ [遇]
○おくりもの、財を以て人に與へる。○まひなひ、賴み入るる事ありて私 ヒソカ に物を贈る、賄─ ワイロ を贈る。○おくる(遺)まひなふ。○たから(貨財)
まひなふ。又其の物。
まひなひの金品。宋史、方技傳「爲轉運小吏、不受──」=賄謝。
7畫
キウ [尤]
まひなひ(賄賂)財を以て法を枉げる、贓を受ける。史、滑稽傳「又恐受─枉法」
まひなひ。漢書、王莽傳「郡縣賦斂、遞相──、白黑紛然」=賄賂。
①シン [軫]
②シン [震]
①にぎはふ、にぎやか「殷─」○とむ(富)繁昌する、財に豐かなり。
②あたふ(給)○めぐむ、ほどこす、にぎはす。振に通ず。○たす(贍)○ 國 にぎやか、さわがし、陽氣である。
同訓異義
ニギハス 賑·贍賙○賑は貧しきものを救ひめぐむ、振と通ず。史記「虛二郡國倉廩、一以賑二貧民一」○賙は不自由なきやうに給し與へる義。類函「出二倉見穀、一以贍二貧乏者一」○賙は周くゆきわたるやうに給する、贍なり。家訓「賙レ窮卹レ匱」
にぎはしすくふ。=振救·賑濟。
にぎはしあたへる。後漢書、第五訪傳「開倉──」
にぎはしまもる。後漢書、安帝紀「其務崇仁恕、──寡獨」
にぎはしすくふ、財を以て災害荒凶を救ふ。=賑救。
財物をにぎはしたまふ。後漢書、安帝紀「──貧人」=施與。
にぎはしめぐむ、ほどこす。沈約文「詳加──」=賑卹。
にぎはし足す。後漢書、郞顗傳「稟卹貧人、──孤寡」
賑濟に備へる田地、貴州に之れあり〔淸會典〕
シャ [麻]
○おぎのる、現金を拂はずして物をかふ、かけがひ、かりて買ふ「─酒」=貰。○かす、かけうり。○とほし(遠)はるか(遙)杜甫詩「爲農去國─」ながし(長)久し。○おそし(遲緩)梁?文詩「珠簾夕漏─」○おごる。おごり。後漢書、仲長統傳「楚楚衣服戒窮─」=奢。
はるか。嵆康文「宅之吉凶、其報──」
かす。周禮、地官、注「民無貨、則──而予之」
かす。漢書、食貨志「夫周禮有──、樂語有五均」
①ヒン [眞]
②ヒン [震]
賔は俗字
①まらうど、うやまふべき客人「上─」「貴─」「衆─」「嘉─」「來─」論、顏淵「出門如見大─」○みちびく(導)來客を案內してもてなす、接待する。書、舜典「─於四門」○したがふ(從·服)外國人が服從して來朝する「─服」○蕤─ スヰヒン は十二律の一。轉じて陰曆五月の異名〔禮、月令〕
②すつ(棄)しりぞく(卻)古、擯に通ず。
賓客の位地。
客來るも己の家に歸りし如く安心が出來る。左、襄三一「────、無寧葘患」
お客分として引き入れもてなされる。=賓待。
客をもてなす席。溫庭筠詩「──得佳客、侯印有光輝」
○きゃく、來客。論、公冶長「可使與──言也」○官名、太子の輔導の役「太子──」「東宮──」
賓客の居る所。許渾詩「──有魚爲客久、鄕書無雁到家遲」
外國人が從ひ來りてみつぎ物を奉る。韓愈、後上宰相書「九夷八彎之在荒服之外者、皆已──」
周代、士人を採用する法、鄕飮酒の禮を以て賓客として擧ぐる、興は擧。周禮、地官「以鄕三物敎萬民、而──之」
賓客を請待するところ。宋史、禮志「諸王納妃、親迎前一日、主人設──、如常儀」
大名より客分として待遇せらるるもの。孟、公孫丑、注「孟子之於齊、處──之位」賓辭】 ヒンジ 論理學にて命題の主辭の意義を表はす語。文法上の客語に同じ。
お客と主人と。孟、萬章「迭爲──」=主客。
來り從ふ。史、五帝紀「諸侯皆來──」=賓服。
賓待に同じ。宋史、徐國長公主傳「夫黨數千人、──皆盡禮」
お客としてあひしらふ。南史、駱文牙傳「知非常人、──甚厚」=賓接。
佛 白頭長眉の相ある羅漢、佛敕を受けて涅槃に入らず、天竺摩利支山に往して、末世の供に應じ大福田となるといふ〔雜阿含經、又、梵?經〕=賓頭盧頗羅墮。
せりふ〔西河詞話〕=科白。
來りてしたがふ。禮、樂記「暴民不作、諸侯──」
まらうど、來賓。孔武仲詩「時邀──敍野史」
賓客をもてなす儀式。禮記「──每進以讓」
賓(前條)の俗字。
8畫
カゥ [庚]
○つぐ(續)○歌をつぎうたふ。─揚は─歌揚言にて連續して歌言する義。揚は颺。
同訓異義
ツグ 賡·續·繼·嗣·紹·纘·接·襲·尋·次·亞の别は續(一五○七頁二段)の條を見よ。
人と詩歌をつぎうたふ。書、益稷「乃賡載歌」
人と詩を贈答する。張耒詩「賴有西隣詩句好、──終日自忘機」=酬賡。
ケン [先]
贒は古字
○かしこし、才智がすぐれる、善行がある「─能」易、鼎卦「大亨以養聖─」○かしこしとする。論、學而「─賢易色」○かしこき人「擧─」「先─」「名─」「尙─」「遺─」「竹林七─」○よし(善)○まさる、すぐれる(勝)論、子張「子貢─於仲尼」○他の語に冠して敬稱とす「─兄」「─郞」
同訓異義
マサル 賢·優·勝·愈の别は優(一七四頁三段)の條を見よ。
かしこきとも。論、季氏「樂多──益矣」
かしこくすぐれたる者。漢書、袁盎傳「陛下從代來、每朝郞官上書疏、未嘗不止輦受其言、欲以致天下──士大夫日聞所不聞以益聖」
賢才を愛する。宋之問、梁王挽詞「──惟報國」
賢人を賢人としてたつとびうやまふ。論、學而「──易色」
賢人たらんことをのぞむ。通書「士──、賢希聖、聖希天」
賢人をねたむ。史、高祖紀「項羽──嫉能、所以失天下也」
賢人を見て、己も亦それと等しくならんことを思ふ。論、里仁「子曰、────焉、見不賢而內省也」
かしこくすぐれたる者。蘇軾詩「獨能容我眞──」
かしこきと、おろかなると。干寶、晉紀總論「──咸懷、小大畢力」=賢不肖。
かしこききみ。墨、親士「雖有──、不愛無功之臣」=賢主。
朋友などに對して用ふる敬稱。
かしこくすぐれたる者。彥は美士。晉書、嵆含傳「華池豐屋、廣延──」=俊彥·英彥。
すぐれたるはたらき。又、其の人。書經「任官惟──、左右惟其人」
かしこきをひ。王維詩「寧親爲令子、似舅卽──」
かしこきみさを。漢書、張湯傳「湯客田甲、有──」
○かしこきひと。易經「可久則賢人之德、可大則──之業」=賢者。○濁酒の異名。聖賢(一五四七頁二段)參看。
かしこき臣。漢書、司馬遷傳「責以古──之義」
かしこき宰相。史、曹相國世家「參以黃老術、相齊九年、齊國安集、大稱──」史、自序「國有──良將、民之師表也」=良相·名相。
賢人は中庸に過ぎて、高尙の行を爲す。中庸「子曰、道之不行也、我知之矣、知者過之、愚者不及也、道之不明也、我知之矣、────、不肖者不及也」
かしこききみ。呂覽「──勞求人、而佚于治事」
佛敎の一派、華嚴は諸經の王たり、唐杜順和尙經に依りて觀を立つ、是を初祖と爲す、其の道を繼ぐ者、雲華智儼·賢首法藏、搜玄·探玄等の記を作り、淸涼國師、華嚴疏鈔を作り、奧義大いに明かなり、一名華嚴宗又法界宗と名つく。
かしこくして善し。白居易詩「韋門女淸貴、裴氏甥──」
才のすぐれたる者。漢書、文帝紀「延登──」
○かしこくすぐれる。○賢人と聖人と。孟、公孫丑「──之君、六七作」
國 古、紫宸殿內にある障子、東西各四閒に支那の三代より唐代までの賢聖名臣三十人の像をゑがきしもの。
ちゑありてかしこし。韓非子「──未足以服衆」
かしこきおとうと。史、聶政傳「妾其奈何、畏歿身之誅、終滅──之名」
かしこくさとし。又、其の人。高適詩「世情薄疵賤、夫子懷──」
賢妻に同じ。宋史、孟后傳「宣仁太后語帝曰、得───、非細事也」
人の才德のすぐれたるを贊歎する辭。論、雍也「──囘也」
己にまさりたる者にゆづる。荀子「人臣輕職業、──而安隨其後」
德あるものと才智あるものと。漢書、董仲舒傳「──佐職」
すぐれて賢き士。李曄詩「左右環列俱──」
女官の名。唐書、百官志「內官有──、正一品」
かしこきつま。女德のすぐれたる女。羣談採餘「許允所誅、門生走入告其婦、婦正在機中、神色怡然曰、蛋知爾耳、阮氏之達、吾以爲非──也」
かしこきはは。詩經、疏「文王所以得聖、由其──所生」
かしこき輔佐の大臣。後漢書、梁商傳「梁商稱爲──」
かしこくあきらか。王襃、聖主得賢臣頌「故世必有聖智之君、而後有──之臣」
人のむすこの敬稱。世說補「寇萊公七歲詠華山詩、其師謂其父曰、──聲口不凡」=令郞·令息。
賢才あるが爲めにかへりて勞苦する義。孟、萬章「此莫非王事、我獨──也」
○かしこくして養良。周禮「二曰友行、以尊──」○──方正は漢唐以後、官吏登用試驗の科目の名(漢の文帝の時に始まる)事物紀原「漢唐逮今取士之制、有──方正·茂才·異等六科、謂之制擧」
京師竝に各省に皆之れあり、官吏の民に功德ある者每年春秋に祭を致す〔淸會典〕
賢者の爲めに仕宦の路を避けて讓る。史、萬石君傳「願歸丞相印、乞骸骨歸避賢者路」
賢者の仕進のさまたげを爲す。說苑「臣爲令尹、處士不升、妨羣賢路」
かしこき王。孟、盡心「古之──、好賢而忘勢」
國 宮中に於て神鏡を奉安し宗祖をまつりたまふ所。=內侍所 ナイシドコロ
贊(貝部十二畫)の省字。
シ [寘]
○たまふ(錫)貴人より物を與へられる「賞─」「寵─」「恩─」「特─」○あたふ(予)○めぐむ。めぐみ(惠)論、憲問「民到于今受其─」○ほどこす(施)○たまもの、下される物品、下されもの。
同訓異義
タマフ 賜·錫·贶·賚·給○賜は拜領する義。孟子「尊者賜レ之者義乎」また其の物をいふ。左傳「將レ拜二君賜一」○錫は賜に同じ、賞賜なり。易經「永錫二爾類一」○貺は、くだしたまふ。また其の物をいふ、厚貺は、てあつき、たまもの。唐書「當二公事一而受二私貺一邪」○賚は說文に、賜也、爾雅に與也。また其の品物をいふ。書、說命「夢帝賚二與良弼一」論語「周有二大賚、一善人是富」○給は供給する義、閒に合せて乏しきことなきやうにする義。左傳「敢不二供給一」
休暇をたまはる、假は暇。南史、謝靈運傳「靈運表陳疾、──東歸」=賜暇·給假。
休暇をたまはる。=賜假。
名稱をたまはる。史、趙世家「趙使趙奢將擊秦、大破秦軍閼與下、──爲馬服君」=錫號。
たまはりしかね。又金をたまはる。
まみえることをゆるされる。魏書、太祖紀「諸士大夫、詣軍門者、無少長、皆引入──」
物をたまひてつかはす。北史、西域車師國傳「天子降念、──甚厚」
おくりなを君よりたまはる。周禮「小喪──」注「小喪、卿大夫也」
朝廷よりたまはりし書物。漢書、敍傳「班彪家有──、內足於財」
古、朝廷より功臣に賜ひし田地。
物をたまはる。又、其の物、下されもの。
乾肉 ホジシ をたまふ。呂賢「更賜之脯二束」
朝廷より人民に會聚して酒を飮み樂しむことを許す。又、官より飮食物をたまはる〔漢書、文帝紀〕唐書、太宗紀「王者──推恩、與衆共樂、所以表升平之盛事、契億兆之歡心」
たまもの。儲光羲詩「公卿時見賞、──難具紀」
シウ [尤]
○めぐむ。○たまふ(給)たす(贍)○すくふ(救)にぎはす(賑)賑卹する。周禮、地官、大司徒「五黨爲州、使之相─」古、周に通ず。
にぎはしめぐむ。卹は恤。金史、雷淵傳「其友商衡、每爲之辯、且──焉」=卹贍。
にぎはし足す。北史、隋煬帝紀「雖有侍養之名、曾無──之實、明加檢校、使得存養」=賑贍。
①シツ·シチ [質]
②チ [寘]
③シ [寘]
①もの「物─」「形─」○からだ(體)○もと(本·主)物のどだい「本─」「素─」論、衞靈公「君子義以爲─」○ただす(正)是非をきはめる。中庸「─諸鬼神而無疑」○なほし(直)○よし(善)○さだむ(定)○たひらぐ(平)○なす(成)曲禮「疑事無─」○こたふ(對)○とふ(問)○うまれつき「性─」禮、禮器「增美─」○もちまへ。○すなほ(樸淳)かざりなし。文の對「─素」「─朴」○まこと(信·實)まごころ(誠)○くびきりだい(斫櫍)史、范雎傳「不當以當椹─」鑕に通ず。○てがた(證券·券契)周禮、地官、質人「大巿曰─、小巿曰劑」○まと(標的)十尺を侯、四尺を鵠、二尺を正、四寸を─となす。荀、勸學「─的張而弓矢至焉」○にぎり(弓跗)○ちかひ(盟約)左、哀二十「先主與吳王有─」
②しち、抵當物。又、人じち。
③にへ、君主、又は師に差出す禮物。=贄。
同訓異義
タダス 質·正·規·繩·糾·格·匡·董·訂の别は正(一○○八頁二段)の條を見よ。
てがた、證書。左傳「由──」注「──、券契也」
質實なる行。史、萬石君傳「雖齊魯諸儒──皆自以爲不及也」
かざりけなくまこと。後漢書、第五倫傳「性──少文」
義理を質問する。漢書、劉歆傳「質問大義」
うたがひをただし問ふ。漢書「張竦居貧無賓客、時時好事者、從之──問事、論道經書而已」=問疑。
あづかり證文、質は其の大なるもの、劑は其の小なるもの。周禮「以──結信、而止訟」
かざりけなくまこと。
かざりけなくまこと。淮南子「太淸之始也、和順以寂漠、──而素樸」
ただしせめる。後漢書、皇甫嵩傳「直前──、責以大義、叩頭流涕」=質責。
是非をただす。後漢書、崔瑗傳「從侍中賈逵、──大義」
爭を正して公平にする。詩、大雅「虞芮質厥成」
うまれつき。齊民要術「──有强弱」=性質·資性。
せめただす。史、汲黯傳「黯數──湯于上前」
ぢみにてかざりなし。南史、劉善明傳「──不好聲色」
ぢみにてまっすぐ。質樸正直。論、顏淵「──而好義」
弓のまと。荀、勸學「──張而弓矢至焉」(物は類を以て集るをいふ)
かざりけなけれどもいやしからず〔漢書、司馬遷傳贊〕
抵當物件。夷堅志「姻戚從假──」
資質が禮文より勝てば野鄙 イヤシ となる。論、雍也「─────、文勝質則史」
かざりなし。漢書、地理志「天水隴西數郡、民俗──、不恥寇盜」=質朴。
かざりなし。後漢書、何休傳「休爲人、──訥口」=質樸·素朴·樸素。
質朴に同じ。漢書、夏侯勝傳「──守正」
夜あけがた、質は正。儀禮、冠禮「──行事」=正旦·黎明。
ただしとふ。陸游詩「穉子挾書勤──」
質朴にして禮文 アヤカザリ なし。避暑錄話「狀極──、而博學純至」=樸野。
贄 ニヘ を差出して君に仕へる。晉語「──爲臣」(一說に質音シツ身體をいふ、君に臣事して己のからだをまかせる義)
ひとじち。史、秦紀「莊襄王爲秦──于趙」
シャウ [養]
○ほめる、人の功、又、善行をほめる「襃─」「恩─」「激─」○たまふ(賜)ほめて物品を賜ふ。あたふ(與)おくる(貽)物を贈る。柳宗元、送薛存義序「─以酒肉」○すすめる(勸)○よみす(嘉)○もてあそぶ(玩)めでたのしむ「─玩」「─鑑」陶潛詩「奇文共欣─」○たまもの、はぅび、ほめて賜はりし物。
同訓異義
ホム 賞·襃·譽·美·頌の别は襃(一七六三頁二段)の條を見よ。
人物·書畫·骨董などをめききしめでる。宋史、劉溫叟傳「立朝有德望、精──」=賞鑑。
前條に同じ。鑑定賞翫〔格古要論〕=賞識鑑别。
てがらをほめる。後漢書、光武紀「襃德──」
國 內閣に屬する一局、勳章位記等の事を掌る。
ほめてもてあそぶ。晉書、紀瞻傳「園池竹木、有足──焉」=賞翫。
善をほめ惡を罰する。左傳「不失──」=賞罰。
賢者をほめすすめる。荀子「──使能」
てがらをほめる。韓非子「爵祿所以──也」
ほめはやす。=賞讚。
前條に同じ。
ほめことば。=賞辭·讚辭。
功勞善行をほめて金品·官位などをたまふ。周禮、小宗伯「掌衣服車旗宮室之──」=賞錫。
景色をめでる心。心意が歡び樂む。謝靈運、擬魏太子鄴中集詩序「天下良辰美景──樂事、四者難幷」
第一等の賞を受ける者。韓非、難「高赫爲──」
ほめて物をたまはる。北史、景穆十二王傳「有所──、咸出薄少」=賞賜。
次條に同じ。
感心してほめはやす。唐書、杜元穎傳「敏文辭、憲宗特所──」=賞嘆。
襃美 ハウビ にたまはる金品。隋書、元諧傳「宜隆──」
國 明治維新の際、國家に功勞ありし者に賞賜せられし秩祿。
めたる。優等者に與ふる徽章。
賞與は務めて重くする。說苑「明君之制、───、罰從輕」
賞罰當を失ひて條理なし。左傳「────、何以沮勸」
賞は卽時に之を行ふべし、遷延すべからず、民の善行を奬勵する爲めなり〔漢書、翟方進傳〕もと司馬法に出づ。
ほめたたへる。南史、柳惲傳一深見──」
ほめてあぢはふ。南史、謝覽傳「自此仍被──」
ほめあげる、ほめはやす。=稱揚。
ほめて物を與へる。又、其の物。
ほめる。韓非子「──厚而信者、下輕死」
ほめもてあそぶ。李白詩「──終日夕」
セン [霰]
○いやし。貴の對「貴─」○ひくし(低)身分卑 ヒク し、等級が低し「卑─」「貧─」「微─」○やすし(廉)ねだんやすし。○いやしきもの。○いやしむ、さげすむ「輕─」「─易」○自ら謙する辭「─子」
同訓異義
イヤシ 賤·卑·陋·俚·鄙·野·固○賤は貴字の反、位の卑きなり。又價の少きにも用ふ。漢書「糴甚貴傷レ民、甚賤傷レ農」○卑は尊の反、卑下と連用す、卑幼とは、年幼ワカく席の下ヒクきをいふ。○陋は下品なること、陋巷とは、行きづまりの裏店ウラダナをいふ。○俚·鄙·野の三字は田舍らしく、いやしきなり、俚は雅の反、鄙は都の反、野は朝の反なればなり。史記「質而不レ俚」左傳「肉食者鄙」論語「質勝二於文一則野」○固は、かたくなにしていやしきなり、固陋と熟す、位などには用ひず、學識などの上に用ふ。
いやしみあなどる。漢書、翟方進傳「輕慢宰相、──上卿」
いやしきいへ。又其のいへがら。
ねだんをやすくする。唐書、食貨志「米賤則少府加估而糴、貴則──而糶」
次條に同じ。
○いやしきわざ。江淹文「豫三五──之末」○己の技藝を謙していふ。
いやしみすてる。易林「刺刖髠劓、人所──」
近き者をいやしむ。魏文帝、典論「常人貴遠──、向聲背實」=輕近。
いやしきからだ。鮑照詩「連翩感孤立、契闊傷──」=賤軀。
いやしきからだ。李陵詩「欲因晨風發、送子以──」
たからを貴ばず。禮記「──而貴德」
いやしき生業。
藝娼妓·淫賣婦の類。=醜業婦。
いやしき職工〔孟、滕文公〕
自己の謙稱。杜甫詩「大人試靜聽、──請具陳」=小子。
つまらぬ俗事、己の事を謙していふ。司馬遷、報任安書「又迫──」
いやしきうまれつき。後漢書、范冉傳「以──故自絕豪友耳」
○いやしきけらい。○君主に對していふ臣下の謙稱。
いやしむべき儒者。荀、非十二子「正其衣冠、齊其顏色、嗛然而終日不言、是子夏氏之──也」
ひくき官職。文心雕龍「況班馬之──、潘岳之下位哉」
○いやしきめしつかひの女。又そばめ。左傳「鄭文公有──」○妻が夫に對する謙稱〔後漢書、鄧皇后紀〕
己の子を謙していふ。戰國、趙策「老臣──、舒祺最少」
いやしきやから。宋書、恩倖傳「劉毅所云、下品無高門、上品無──者也」
自己の妻を謙していふ。奇効醫述「──患一病、已經兩月餘」
いやしきをとこ。孟、公孫丑「征商自此───始」
安く買ひ入れて高く賣る。史、呂不韋傳「────、家累千金」
やすくかふ。漢書、景帝紀「──貴賣」後漢書、和帝紀、注「貧人旣計釜甑以爲資財、懼于役重多、卽賣之以避科稅、豪富之家乘──、故得其饒利」
いやしくかすか。閻朝隱詩「菲形陋質雖──、皇王顧遇長光輝」
いやしくまづし。盧綸詩「遂性在耕稼、所交惟──」=貧賤。
いやしきとりこ。李密、陳情表「今臣亡國──、至微至陋」
いやしめあなどる。北史、牛弘傳「恃才矜貴、──朝臣、唯見弘未嘗不改容自肅」=輕蔑·卑侮·輕侮。
ものをいやしむ。管子「聖人上德而下功、尊道而──」
いやしきしもべ。傅咸、禁奢書「今──、乘輕驅肥」
いやしくをとる。漢書、酈食其傳「豎儒」注「言其──如僮豎」
いやしくおとる。漢書、董仲舒傳「此臣──之罪也」
ソウ [冬]
─布は南蠻人のみつぎもの(貢賦)〔後漢書、南蠻傳〕
バイ メ [卦]
一音マイ
○うる、ひさぐ、あきなふ「商─」「叫─」○てらふ、求める「─名」「衒─」○あざむく(欺)史、范雎傳「自知見─」○みかたの內情を敵に通ずる「─國」
同訓異義
ウル 賣·沽售·賈·糶○賣はあきなひうりなり、ひろく用ふ、買の對なり。○沽はうる、かふ、兩用字なり、小賣小買なり、賣は大うりなり。○售は賣去レ手也と註す、陸放翁の老學菴筆記に「紙肆作二手簡、一賣也甚售」とあり、賣·售二字の別を知るべし。○賈はみせうりする義、行きて賣るを商といひ、坐して賣るを賈といふ。○糶は音テウうりよねと訓む、糴カヒヨネの反なり、買ひ置きたる米をうり出す義。左傳「晉閉二之糶一」
しほをうる。晉書、食貨志「鹽者食之急也、縣官可自──、武帝時、施行之、名曰均輸」
金を取りて官を授ける。
うり手形。晉書、盧循傳「按──而取之」
己の私利の爲めに國を敵人に與へる。史、蘇秦傳「左右──、反覆之臣也」
婚娶の時、女の家に贈る資 タカラ 史通「山東士人尙門閥、嫁娶必多取資、謂之──」
こんずを賣る家。史、信陵君傳「薜公藏于───」
娼妓·淫賣婦の類。南宋巿肆記「靚裝迎門、爭姸賣笑」
餳は米を煮て作るあめ、飴屋が笛を吹きて賣り行くそら、寒食の節の天氣をいふ。宋祁、寒食詩「簫聲吹暖───」
うりかひ。史、平準書「民──之」
文章を作り其の報酬にて生活する。杜甫詩「本──爲活、翻令室倒懸」
うらなひをして生計を立てる。後漢書、姜肱傳「──給食」
名をてらひ賣る。莊、天地「子非獨絃哀歌、以──聲於天下者乎」
○藥をうる。後漢書·張覇傳「家貧──給食」○うりぐすり。
てらひもてあそぶ。後漢書、楊震傳「──威福」
あきなひする僧。又、こびへつらふ僧をいふ。 マメス は宋音。
バイ [灰]
つぐのふ(辨償)
損失をつぐのふ款項。戰勝國の戰費を戰敗國より賠償する類。
他人に蒙らしめたる損害をつぐのふ。
フ [遇]
○みつぎ、とりたて、わりつけて取る、みつぎもの、ねんぐ(年貢)「田─」「─稅」「貢─」「租─」○しく(布)○わかつ(頒)○あたふ(給予)○さづける(授)○うける(稟受)○はかる(量)○ぶやく。○兵、古は田─によりて兵を出したる故「兵─」○軍隊にてつかふ食物金錢。軍費。論、公冶長「可使治其─也」○詩の一體、六義の一、其の事をありのままに敷き陳べる。文體明辯「按詩有六義、其二曰、─、所謂─者、敷陳其事而直言之也」○詩を作る。又、詩を誦する「─詩」○韻文の一體「阿房宮─」「赤壁─」文選、兩都賦序「─者古詩之流也」○貢士。
詩をつくる。南史、何點傳「招攜勝侶及名德桑門、淸言──、優游自得」=吟詠。
みつぎものと、ぶやくと。舊唐書、突厥傳「使內郡黎庶各安其業、擇其宰輔、輕其──」=賦役。
ぶやく(夫役)韓愈詩「齊民逃──」=賦徭。
ねんぐをわりつけてとる。
詩をつくる。赤壁賦「橫槊──、固一世之雄也」
人にわりつけてにぎはしめぐむ。後漢書「帝疑──有虛」
うまれつき。=賦命·賦稟。
わりつけて取り立てるみつぎもの。史、田敬仲世家「其收──於民、以小斗受之、其粟予民以大斗」=賦租。
みつぎもの。蘇軾詩「人閒行路難、踏地出──」=租賦·賦稅。
租稅として取り立てるもみ。孟、離婁「──倍他日」
うまれつき。梅堯臣詩「竊常恃──、平直如勁箭」=稟賦·賦性。
うまれつき。溫庭筠詩「──知前定」=賦性·賦命。
うまれつき。蘇軾、乞常州居往表「──奇窮」
わりつけて與へる。
みつぎもの。周禮「凡邦之──取具焉」=賦租。
租稅をとりたてる。方言、註「──所以擾動民也」
ライ [隊]
又、?に作る
○たまふ(賜)あたふ(予)「寵─」「賜─」「恩─」○たまもの。論、堯曰「周有大─」
たまふ。たまもの。
前條に同じ。唐書、岑文本傳「旣任職久、──豐饒」
たまふ、あたへる。
賚(前條)に同じ。
9畫
貴(貝部五畫)の本字。
ジン [震]
又、贐に作る
○おくりもの。○はなむけ、行に贈る財幣。○たから(財貨)
ト [麌]
○かく、かけをする。晉書、謝安傳「安與兄子玄、圍棊─別墅」○かけ、かけもの。○かけごと「─博」
かけごとのあそび。齊書、虞愿傳「圍碁依品──」=博戲。
ばくち。北史、魏任城王澄傳「往復──、遂至極歡、際夜乃罷」
書の優劣を爭ふ。南史、王僧虔傳「高祖素善書、篤好不已、與僧虔──曰、誰爲第一、對曰、臣書第一、陛下亦第一、帝笑曰、卿可謂善自爲謀」
物をかけて弓を射り勝負を爭ふ。魏書、楊播傳「上巳設宴──」
ばくちば。=賭坊。
ばくちする場所。水滸傳「開──」=賭場。
ばくち。=博奕·樗蒱。
ボウ [送]
○おくる、死者をとぶらふために車馬を贈る(車馬を贈るを─といひ、貨財を賻といふ)「贈─」○喪を助けて物を贈る。又、其の物。春秋、隱元「天王使宰咺來歸惠公仲子之─」
同訓異義
オクル 賵·送·贈·饋·歸·遺等の别は送(一九四五頁二段)の條を見よ。
車馬衣服などを死者におくる。穀梁、元「乘馬日賵、衣衾曰襚」晉書、王導傳「──之禮」
死者に物を贈りて弔ふ。唐書、曹王臬傳「淮西平、乃請護喪歸東都、帝走中人──」
ライ [泰]
頼に作るは非
○よる、たよる(依)「依─」「倚─」○たのむ(恃)よりたのむ。書、禹貢「萬世永─」○たのみ、たより(憑藉)「憑─」孟、吿子「富歲子弟多─」(一說に─は善)○う(得)まぅけ(贏·利)○さいはひに。○亡─ ブライ はならずもの。又詐りてずるし。=無賴。○─鄉は老子の出生地、─一に厲に作る、河南省の苦縣に在り。○ 國 タノム 請ふ、願ふ、ことづける。
同訓異義
タノム 賴·負·恃·怙·憑の别は負(一八五八頁四段)の條を見よ。○ヨル賴·寄·憑·凭·據·仗·倚·依·藉の別は寄(四九九頁一段)の條を見よ。
國 電報の文をしたためて發信をたのむ用紙。=電報用紙。
10畫
コウ [宥]
○あがなふ(買)財を以て買ひ求める「─求」○賞をかけて募 ツノ り求める。漢書、高祖紀「乃多以金─豨將」(豨は陳豨)○はかる(謀議)古、講(一八二五頁四段)に通ず「─和」
かひて、物をかふ人。
あがなひもとめる。漢書、季布傳「高祖──布千金」(懸賞して人を捕へる)
あがなひ得たり。陳書、沈炯傳「王僧辨素聞其名、於軍中──之」
書物などを買ひてよむ。
物を買ひ入れる。
あがなふ「──力」
賞を懸けてとらへる〔魏志、呂布傳、注〕
賞をかけて尋ね問ふ。史、刺客傳「──莫知誰子」
サイ [隊]
○れいまつり(報祭)神佛にお禮參りする「─神」○勝を誇 ホコ りあふ。○優劣を比べて勝負をする「─馬」○雙六 スゴロク 又は賭博 バクチ に用ふる立方形の具、六面に一から六までの數を記せしもの。=骰子。
神佛におまゐりする人。=賽人。
○儀仗簫鼓雜戲などを具して神を迎ふるをいふ。陸游詩「鄰家賽神會」○ 俗 博覽會をいふ。
神に報祭する。お禮祭。陸游詩「到家更約西鄰女、明日河橋看──」
農事終りて田の神を報祭する、秋社 アキノシヤニチ の祭〔事物紀原〕=蜡。
參詣して神佛に奉る錢。
國 やぶいりに閻魔にまゐる日。
金をかけてする競馬 ケイバ
サク シャク [陌]
頥は俗字
○おくぶかし。○幽深 すクブカシ にして見がたき道理「精─」「奧─」易、繫辭「聖人有以見天下之─」
タン レン [陷]
○すかす、あざむく(欺)だまして物を高く賣りつける。○すかさる、商人にだまされて高く買ふ。すべてあざむかれる「被─」○ 國 すかす、やさしき言葉をかけて子供をなぐさめる。
フ [遇]
おくる(贈)死者の家族をとぶらひて金品を贈る、財を以て喪儀を助ける。又、其の金品。香奠 カウデン の類「弔─」「賞─」「贈─」
同訓異義
オクル 賻·送·贈·饋·歸·遺·賵等の别は送(一九四五頁二段)の條を見よ。
かぅでん(香奠)
死者に品物を贈りて祭る。後漢書、馮勒傳「後追加賞賜──」
死者ある家に物をおくりてとむらひをたすける。後漢書「爲護喪事、──甚豐」=助賻。
死者に贈る貨財と衣衾と。張仲素、碑文「追念舊勳、──加等」
死者の家に物を贈る。漢書、敍傳「──甚厚」白虎通「貨財曰賻、車馬曰賵」=賵賻。
貴人より贈られし喪儀を助ける爲めのおくり物、かぅでん。宋史、交阯國傳「──甚厚」
ヨウ ショウ [徑]
俗に剩に作る
○あまる(餘)あまり。物が增し加はる。○轉じてむだ(贅)「贅─」
同訓異義
アマル 賸·餘·衍·羨·贏·剩の别は餘(食部七畫)の條を見よ。
むだごと。聞見後錄「韓忠獻公曾祖無官、以忠獻貴、贈太保、無可書、李邦直追作神道碑、至三百餘言、其文無一──、世尤以爲難也」=贅辭。
あまりのにほひ。唐書、杜甫傳「殘膏──沾丐後人多矣」
11畫
賾(貝部十畫)の俗字。
シ [寘]
又、摯に作る、質に通ず
にへ、みやげもの、古、會見の時に其の身分に應じ、執りて贈りし禮物。左、莊二四「男─大者玉帛、小者禽鳥、以章物也、女─榛栗棗脩、以吿虔也」
○人の相ま見ゆるとき、にへを執りて敬意を表するをいふ〔儀禮、士相見禮〕○轉じて束脩を修め、門人となるにいふ。
ゼイ [霽]
○むだ、用にたたぬ。○むだな物。○しち。しちいれ(質)○こぶ(剩肉)懸肉が體に著く(附肉)「附─」「疣─」○つく(屬)○むこ、いりむこ(女壻)「─壻」又、いりむことなる。漢書、賈誼傳「家貧子壯則出─」○ことば煩 ワヅラハ し。
贅は剩肉 コブ 疣は癭瘤 イボ 無用のものに喩ふ。莊、騈栂「附贅縣疣、山乎性哉、而侈於性」
無用のことば、むだぐち。法言、問神「書不經非書也、言不經非言也、言書不經、多多贅矣」=贅辭。
いりむこ、養子。漢書、嚴助傳、注「──者、謂令子出就婦家、爲贅壻耳」
むこ。史、滑稽傳「淳于髠齊──」
國 おごり「──品」=奢侈。
無用の文句。=贅語。
むだぐち、無用の辯論。=贅言。
こぶある木。
贅は屬、旒は旗の垂るるもの、繫屬せる旒は下の爲めに執りて動かさる。轉じて君主が臣下の爲めに動かされて危きに喩ふ。公羊、襄、十六「君若──然」
こぶ。王禹偁詩「身世喩泡幻、衣冠如──」
12畫
イン [眞]
うつくし、美好なる貌。
贗(貝部十五畫)の譌字。
サン [翰]
賛は俗字
○ほめる、ほめたたへる、人の善を稱述する辭「賞─」「襃─」「─揚」讚に通ず。○たすく(助·佐)助力する「翊─」「參─」「─理」中庸「─天地之化育」○すすむ(進)漢書、東方朔傳「朔自─曰」○あきらかにする(明)○みちびく(導)周語「內史─之」○會見の禮を相 タス ける人。○つぐる(吿)○ひかふ(控)○まみゆ(見)○とく(說)文の一體「傳─」「論─」「畫─」文體明辯「─、稱美也、字本作讚、昔漢司馬相如初─荆軻、其詞雖亡、而後人祖之」
同訓異義
タスク 贊·助·輔·弼·翼·扶·佐·佑·援等の别は助(二四七頁三段)の條を見よ。
助けはかる。元史、楊果傳「隨宜──、民賴以安」
たすけてとりきめる。元史、和尙傳「──機務、精練明敏」
ほめことば。=讚辭·賞辭。
君德をたすけて其の治を成す。書、皋陶謨「思曰贊──哉」柳宗元文「嚴──之禮、賜與有加」
ほめあらはす。隋煬帝文「功德圓滿、遠難──」
たすけて成す。=贊襄·贊翼。
ほめたたへる。=稱贊·稱讚。
同意してたすけ成す。
官名、唐、──大夫を置く、東宮の官と爲す、詹事府に屬し、侍從·翼贊を掌る、諫議大夫に比す。歷代之に因る、但 タタ ──と稱す。
次條に同じ。
かんしんしてほめる。=歎賞·贊嘆。
他人の說に同意してたすける。=贊成。
贊成と不贊成と。
人の善事をたすけ成す。晉書、衞恆傳「故竭愚思、以贊其美、愧不足廁前賢之作」=讚美。
唐代、縣丞の異稱。又贊公ともいふ〔容齋四筆〕
ほめあげる。後漢書、孔融傳「融與禰衡、更相──」
たすける。魏志、邢顒傳「竝──其美」=贊助·翼贊·輔翼。
ソウ ゾウ [徑]
○おくる、物をおくり與へる「寄─」「分─」詩、鄭風「維佩以─之」○つかはす、送與す。○言を以て人に貽 オク る「─序」「─言」檀弓「子路去魯、謂顏淵曰、何以─我」○死後に官位を追賜す「追─」「─位」○おくりもの、つかひもの。
同訓異義
オクル 贈·送·饋·遺·貽等の别は送(一九四五頁二段)の條を見よ。
人の死後に位を贈る。又、其の贈られし位。
人に物をおくる。又、其のおくりもの。
正しき言を以て人におくりはげます。說苑「子路將行、辭於仲尼、曰、贈汝以車乎、以言乎」
詩をおくる。又、其の詩。杜甫詩「呼兒檢──」
おくりたまはる。吳志、朱治傳「饗宴──、恩敬特隆」
别に臨み文を作りて送るもの。=送序。
はなむけをおくる。國語「賓禮──、視其上從之」
おくると、こたへると。又、禮物のやりとりをする。
喪をたすける爲めのおくりもの。北史、盧光傳「周武帝、少嘗受業於光、故──有加」
○見送る。馬戴詩「年年御溝柳、──雨霏霏」=送别。○ ベツニオクル 人の旅立つ時に文詩又は物品をはなむけとして贈る。
○しんもつ。左、僖三二「齊國莊子來聘、自郊勞、至于──、禮成而加之以敏」○ 國 まひなひをおくる。
タン [感]
○てつけ、さきぎん。物を買ひて先づ價を入れる。○はりぎぬ、書物の卷首の帖綾(玉池)「錦─」
13畫
エイ [庚]
○あまる。あます(餘)「餘─」「豐─」○あまり、のこり(殘餘)○うく(受)收容する。左、襄三一「─諸侯」○つつむ(包·裹)莊、胠篋「─糧而趨之」○になふ(負擔)漢書、刑法志「─三日之糧」○ゆるむ(緩)○のびる、進む。縮の對。○とく(解)○みつ(盈)○あふる(溢)○まぅけ(利得)まぅける。左、昭元「賈而欲─」○すぐ(過)○かち(勝利)輸 マケル の對「輸─」
同訓異義
アマル 贏·餘·衍·羨·剩·賸の别は餘(食部七畫)の條を見よ。○カツ贏·勝·克·捷·戡の別は勝(二五二頁四段)の條を見よ。
あまると、ちぢまると。絀は屈。荀、非相「緩急──」=屈伸·贏縮。
のびると、ちぢまると。又、進むと退くと。淮南、本經「──卷舒、淪于不測」
餘りあるたくはへ。唐書、百官志「藏貨──之準、悉以咨之」=餘儲。
まぅけ、これだけは利得となれりとの義、詩に用ふる語。杜牧詩「十年一覺楊州夢、──靑樓薄倖名」蘇軾詩「──兒童語音好、一年強半在城中」
あまり。=餘贏。
まぅけ、商賣してあまし得たる利益。左、昭元、註「商賈求──
セン [豔]
○たる(足·給)孟、梁惠王「此惟救死而恐不─」十分である、ゆたか、富む「富─」○たす、すくふ、にぎはす(賙)「賑─」「收─」○やすし(安)澹と通ず。
同訓異義
ニギハス 贍·賑·賙の别は賑(貝部七畫)の條を見よ。
ゆたかにして、すぐれる。南史、王道規傳「鮑照文辭──、嘗作古樂府、文甚遒麗」
にぎはしあたへる。晉書、羊祜傳「祿俸所資、皆以──九族、賞賜軍士」
にぎはしかばひまもろ。吳志、朱桓傳「性輕財好義、愛養吏士、──六親、俸祿產業、皆與共分」
たすけにぎはす。北史、高允傳「散財竭產、以相──」=賑贍。
にぎはしめぐむ。南史、梁武帝紀「──各有差」=?贍。
十分に足りてさとし。唐書、封敖傳「屬辭──、不爲奇澁之語、切而理勝」
とみてゆたか。晉書、王接傳「常謂、左氏辭義──」=富贍。
ゆたか。後漢書、杜篤傳「肇十有二、是爲──」
ゆたかにしてうるはし。南史、蕭洽傳「辭甚──」=姸贍。
14畫
賢(貝部八畫)の古字。
サゥ [陽]
通音ザゥ通じて臧に作る
○不正の道を以て得たる物品を藏しおく。又、其の物品「─品」○竊盜 ヌスミ して得る所の物「─物」○賄賂 マヒナヒ を受ける(納賄)「姦─」
官吏の官物を盜むありさま。晉書、呂公載記「──狼藉」
まひなひを貪る奸吏。蠧は木のしんを食ふ害蟲、故に喩ふ。
まひなひ又は他の不正の手段卽ち竊盜などして得たる品物。=贓物。
罪を犯して得たる財物。前條參看。=贓品。
不正の財を貪る吏、まひなひを取る役人〔後漢書、桓帝紀〕
ジン [震]
又、賮に作る
○はなむけ、旅立つ人に贈る品物、せんべつ(餞別)○おくる、はなむけす、せんべつの品物を贈る。
同訓異義
オクル 贐·送·贈·饋·歸·貽·遺等の別は送(一九四五頁二段)の條を見よ。
はなむけの品を贈る。次條參看。
たび立ちの人にはなむけする。孟、公孫丑「予將有遠行、行者必以贐、辭曰、餽贐、予何爲不受」
はなむけとして贈る金品。成語考「送行之禮、謂之──」
はなむけ。餞も贐と同義。
はなむけする。又、其の品物。梁書、梁公則傳「──無一所取」
ヒ [寘]
○─? ヒキ はさかんに力を用ふる貌。又、大いなる龜、鼇の屬。○ 國 ─屓 ヒイキ は力を添へ引き立てる義。
○さかんに力を用ふる貌。張衡、西京賦「巨靈──」=贔屓。○大いなる龜、蟕蠵の屬。本草「──大龜、好負重、今石碑下龜趺、象其形」
○いかる。水經、注「河神──」○水はげしく流る。水經、注「縣流千丈、渾洪──」
15畫
ガン [諫]
贋は俗字
にせ、にせもの(僞物)韓愈詩「居然見眞─」
にせてつくる。又、にせもの。=僞造·贗作。
前條に同じ。
にせのさつ、贗造紙幣。
○にせのかなへ。韓非子「齊伐魯、索讒鼎、魯以其贗往」○轉じて廣く僞託の物の義とす。
にせの天子。南史、戴法興傳「廢帝未親萬幾、凡詔敕施爲、悉決法興之手、尙書中、事無大小、專斷之、廢帝年巳漸長、欲有所爲、法興每相禁制、道路之言、謂法興爲眞天子、帝爲───」
にせもの。=僞物。
にせの書畫。竹坡詩話「公可無疑、此──耳」
ショク [沃]
○あがなふ「厚─」○かふ(貿易)物を以て物を買ふ。○財を納 イ れて罪をまぬかれる「─罪」
金錢を出して刑を免る。又、其の刑。書、舜典「金作──」傳「誤而入刑、出金以贖罪」
金錢を出して罪を免る。蔡邕表「丙辰詔書、以一月俸──」
トク [屋]
○卵いまだ孵化せずして敗 クサ る。○獸が胎內にて死して獸とならず。
17畫
①コウ カゥ·コウ [送]
②カン [感]
①おろか。=戇。○たまふ。たまもの(賜)○古、貢に通ず、子─は孔子の弟子の子貢。
②江西省に在る州名。轉じて江西省の簡稱。