石部
0畫
セキ シャク [陌]
○いし、山の骨「岩─」「怪─」「奇─」「金─」○おもり、はかり。○いしぶみ(碑碣)呂覽、求人「故功績勒乎金─」○いしばべ、石の鍼(砭)○古、石にて作れる樂器、八音の一。書、益稷「擊─拊─」=磬 ケイ ○古、戰に用ひし投げいし「矢─」○ますめ、一斗の十倍。○めかた、百二十斤の稱、三十斤を鈞と爲し、四鈞を─と爲す。書、五子之歌「關─和鈞」○堅きものの形容に用ふる「心如鐵─」○やくに立たず、無用の義とす「─田」「─女」○くすり「藥─」○人の姓、─顯は漢の濟南の人。○ 國 コク 十斗、斛の音を借りて讀む。=斛。
ひとつば、山地に自生する隱花植物の一。
石氏の女、嫁して尤郞の婦となる、尤遠く出でて歸らず、妻之を憶ひ、病みて死するに臨み、歎じて曰く、吾其の行を阻むる能はざりしを恨む、今より凡そ商賈の遠行する者あれば、吾當に大風を起し、天下の婦人の爲めに、之を阻むべしと、自後商旅船を發して、打頭の風に値へば、曰く、これ───なりと〔江湖紀聞〕
石版にて印刷する「──本」
○磬の音。書、益稷、疏「石、磬也(中略)──屬角、最難諧和」○廣く石のひびき。王廷士詩「靑鳥忽來過、貽我金──」
水晶·燧石 ヒウチイシ ·瑪瑙 メナウ などの總稱。
石造の垣。西域記「周峙──」
石にて築きしゐせき。
甘きしほ〔周禮、鹽人〕=飴鹽。
雨ふる兆とす。湘州記「零陵山有石燕、遇雨則飛如生、雨止則還爲石」
石人に同じ。
○石づくりの家屋。○ イシヤ 國 石を賣るみせ。又石を用ひて細工する職人。=石工·石匠。
いしのわれめ。韋應物詩「山中淸景多、──寒泉潔」=石隙。
いしだん。白居易詩「──桂柱竹編牆」=石磴。
かたきまじはり。史、蘇秦傳「此所謂棄仇讐而得──者也」
いしばし、飛び石をわたる橋。
礦石の一、含水硫酸カルシウム。
收斂の吏。明一統志「石壕在河南府陜州城東七十里、唐杜甫有───詩」
いしのかど。張憲詩「樹聲呼出月、──礙囘雲」
石の多くあるたに川。
石の五輪塔、龕は塔。
五代の晉の勇士の名、後世其の名を石にほりて守護神とす。墨莊漫錄「───、鎭百鬼、壓災殃」
石のいそ。韓愈、送區冊序「坐──投竿而漁」
石うす。後漢書、梁鴻傳「孟氏有女肥黑而醜、力擧──」
いしだん。=石階·石磴。
硯の異名。文房四譜、卽墨侯傳「───、字居默」
漢代の皇室の二っの圖書室の名。汪克寬、文宣閣賦「思昔────徒以貯簡編之糟粕」
小兒の特に優れたるを譽めていふ。陳書、徐陵傳「陵字孝穆、母臧氏、嘗夢五色雲化而爲鳳、集左肩上、己而誕陵焉、時寶誌上人者、世稱其有道、陵年數歲、家人擕以候之、寶誌手摩其頂曰、天上───也」=天上麒麟兒〔杜甫詩〕
いはや。佛國記「新城山有──南向、佛本于此坐禪」
いしを擊ちて出す火。事の極めて速かなるに喩ふ。新論「人之短生、猶如──炯然以過」
いしばい。酸化カルシウム。後漢書、楊?傳「以排囊盛──於車上」
いしくれ、石のかたまり。
石にて造れる棺の外のはこ。檀弓「自爲──三年而不成」=石槨。
前條に同じ。
ところてん、海藻の一、長さ三四寸紅色を帶ぶ。又其れにて製したる食品。= 俗 洋菜。
石の如く堅くして畫策に富む臣。漢書、匈奴傳「奇譎之士、────甚衆」
石のこみち。杜牧詩「遠上寒山──斜、白雲生處有人家」
前條に同じ。
石に刻みたる經書、後漢の靈帝の時、蔡邕が朝命を奉じ始めて五經を石に刻して大學に立てしもの。後漢書、蔡邕傳、注「講堂前──四部」
石にてつくりし磬といふ樂器。
かじか(河鹿)蛙の一種、淸き谷川にすみ、美聲を發して鳴く。
○いしばし。三齊略記「始皇作──」=石梁。○ シヤクケウ 國 能樂の曲名。
鮑 アハビ の漢名。
しゃぼん(佛語)
いしや。曲禮「天子之六工、曰土工·金工·──·木工·獸工·草工」=石匠。
いしぼり。新論「太山之有──凡千八百餘處」
周の宣王岐陽に蒐狩して、其の功を鼓の形の石に刻せし文字、初め陳倉野中に散在せしが、唐の鄭餘慶之を鳳翔府、孔子廟に遷し、元の季、燕京國子監に移せりといふ。古文眞寶前集に韓愈·蘇軾の石鼓歌あり。
家屋橋梁碑碣等の材料として使用する石。
石造の肖像。南史、阮孝緒傳「供養──、先有損壞、心欲補之、罄心敬禮、經一夜忽然完復、衆竝異之」
曼珠沙華(八八八頁二段)の一名。
國 茶の湯及び生花の一派、片桐石見守貞昌のはじめしもの。
○墓道などに立つる石の人形。=石翁仲。○無智にして碩石の如き人。史、灌夫傳「帝寧能爲──邪」帝は武帝。
五代の後晉の別稱、石敬塘を祖とするが故。
石工に同じ。
○石のねだい。南史、宋武帝紀「帝素有熱病、坐臥常須冷物、後有人獻──、寢之、極以爲佳、乃嘆曰、木牀且費、而況石耶、卽令毀之」○石のゆか。西京雜記「中有──石屛風」○鐘乳石の下より出づるもの。本草「──、一名乳牀、一名石笋、生鐘乳室中、鐘乳水滴下、凝積生、如笋狀、久漸與上乳相接爲柱也」
水石の上に叢生する一種の深綠色の草。本草「──生水石閒」=石菖蒲。
いしもち。明一統志「──魚在南海、頭中有小石故名」
いしわた。元史、阿合馬傳「出──、織爲布、火不能然」(然は燃の正字)=石綿。
岩石の尖りて立てるをたけのこに比していふ。高虁詩「──倒垂僅離地」=石笋。
石のひだ。又、其れを畫く筆法。
山の名。明一統志「───在九江府湖口縣、蘇軾嘗游此」
礦石の一、炭酸石灰を含める水が巖隙より滴下し曰久しくして凝積し纍纍として下垂すること鐘の乳の如きもの藥用とす、鐘一に鍾に作る。唐書、高季輔傳「帝賜鍾乳一劑、曰、而進藥石之言、朕以藥石相報」
顏料 ヱノグ の一種、支那の南海に產す、色靑翠、久しくして變ぜず、畫家多く之を用ふ。江淹文「山吐──」
石のいしずゑ。
石墨の類、眉を畫くに用ふ。劉長卿詩「殘妝添──、艶舞落金鈿」
○墓石。=墓碑。○石造の五輪塔。
いしのこしかけ。戴叔倫詩「挂衲雲林淨、翻經──涼」
古代繁茂したる植物が地下に埋沒して炭化したる黑色の石、燃料に用ふ。隋書、王劭傳「今溫酒及炙肉、用──」=煤炭。
無色長針狀の結晶體、十五六倍の水に溶解す、防腐劑、又は、消毒藥として使用す、殺菌力最も強し。
石田に同じ。晉書、索靖傳「行見姑臧城南──」
山野に自生する草、夏月花開く、花色種種あり、瓣の先が齒牙狀に分裂す、からなでしこ。
石をたふとびて稱す。石林燕語「米芾知無爲軍、初入州廨見立石頗奇、卽命袍笏拜之、每呼曰──」
石の如き堅きはらわた。意志の強きに喩ふ。范成大文「雖君子之──兮、固將狥乎巿虎」=鐵心。
はこねぐさ、栽培用植物の一、高さ六七寸、葉は銀杏に似て小さし。
うまずめ、子をうまざる女。蘇軾詩「──無兒焦穀槁」
耕しがたき田地。左、哀十一「得志于齊、猶獲──也」
いしだん。後漢書、梁冀傳「飛梁──、陵跨水道」
石鐘乳に同じ。庾信詩「──滴窗前」
墓前などに立てる石のうま。漢書、霍去病傳、注「霍去病冢前有石人馬」
石にて作りたるふだ。神異經「東北有鬼星石室三百戶、其一門──題曰鬼門」=石榜。
みづごけの異名。爾雅、注「水苔也、一名──」
意外に奇拔なる事にいふ。李賀詩「女媧煉石補天處、────逗秋雨」
石材の面に文字繪畫等を寫し、其れを原版として印刷する印板。
○石筆にて文字をかくやうに作りし石の板。○屋根を葺くに用ふる石の板、スレート。
かははぜ。
いしぶみ。後漢書、儒林傳「靈帝乃詔諸儒、正定五經、刊於──」
蠟石を筆の形に作りて石盤に文字などを書くに用ふるもの。
石にて造りしをの、太古石器時代に用ひしもの。
雕刻物·石碑などの石の臺。舊唐書、禮儀志「去壇二步、其下──、入地數尺」
○石女に同じ。太玄經、註「求室而得──」○望夫石。白居易に「蜀路──詩」あり。
いしぼとけ。宋史、王賓傳「掘地得數──及石碣」
いしを愛するくせ。雲林石譜「臨江士人、魯子明有──」
いしのきれ。白居易詩「──鐫題四首詩」
いしばり、昔醫療に用ひし石造のはり。
石ずりの本。米芾、寶章待訪錄「以──見寄」
鑛石の一、黑色にして鉛光を有す、主に鉛筆のしんに造る。=黑鉛。
石のひきうす。魏志、明帝紀、注「以繩連──壓其衝車」
岩石の門の聳立せるもの。袁宏道、姑蘇遊記「──尤奇、兩石突起如門、下臨絕壑」
せきたんあぶら、炭素と水素との化合物にして點火又燃料に供す、くさぅづ。本草「石腦油、釋名──」
かまきりの異名。爾雅、注「蟷蜋有斧蟲、江東呼爲──」
石づくりのらぅか。
ざくろ。曹植詩「──植前庭、綠葉搖縹靑」=安石橊。
いしのはし。水經、注「有──亦謂爲──水」
○石の龍の形をなせるもの。張鼐賦「──噴沬而蜿蜒」○蜥蝪 トカゲ の異名。
たがらし、たぜり、水田に生ずる雜草の一、葉は掌狀黃綠色、五瓣の黃花をつける。
こいし、いしころ。
石のくぼみて水のたまるもの。柳宗元、石渠記「有──、菖蒲被之」
石楠花に同じ。
高山に生ずる灌木の名、しゃくなげ、葉は長橢圓形、花は紅白色、枝頭に簇り咲く。=石南草。
石が能く人の言を爲す。左傳「──于晉、晉侯問于師曠曰、石何故言、對曰、石不能言、何馮焉」
石を虎と見誤り、之を射て矢が深く根もとまでとほりたりといふ故事。韓詩外傳「楚熊渠子、夜行、見寢石以爲伏虎、射之沒金飮羽、視之石也、因後射石、矢摧無跡」史、李廣傳「李廣爲北平太守、嘗出獵、見草中石、以爲虎也、射之中石沒矢、視之石也、他日再射、終不入矣」
黃初平、仙術を得て、白石を羊に化せしめたる故事。神仙傳「黃初平、丹溪人、年十五、家使牧羊、有道士、見其良謹、將至金華山石室中、四十餘年、其兄初起行山尋索、歷年不得、後見巿中一道士、曰、金華山中、有一牧羊兒、是卿弟無疑、初起卽隨去、相見語畢、問羊安在、曰、近在山東耳、往視之、但見白石、初平叱曰、羊起、於是白石皆變爲羊數萬頭」
○古の仙人の術。列仙傳「許遜、南昌人、晉初爲旌陽令、────、以足逋賦」○文字を改竄して名作とするに喩ふ。=點鐵成金。
石を尊敬して之を拜せし故事。石丈を見よ。
內に學德あるものは、自ら外に發して文をなすに喩ふ。陸機、文賦「──────、水懷珠而川媚」一本に暉を潤に作る。
國 ○槍·長刀などの柄の本をつつむ金具。○刀劍のこじり。=鏢。
まけをしみの强きにいふ。晉書「孫楚字子荊、才藻卓絕、少時欲隱居、謂王濟曰、當云欲枕石漱流、誤云漱石枕流、濟曰、流非可枕、石非可漱、楚曰、所以枕流、欲洗其耳、所以漱石、欲礪其齒」
いしにふれあたる。公羊、僖三一「泰山之雲、──而出、膚寸而合」
石よりも堅く確かなり、人の志操の固き形容。易、豫卦「六二───、不終日、貞吉」
2畫
テイ [徑]
いかりいし(鎭舟石)=碇。
いかりの石。唐書、楊瑒傳「事益于人、書名史氏足矣、若碑頌者、徒遺後人作──耳」
3畫
カン [翰]
○山の石の貌。○石の淨き貌。
①カゥ·コウ [江]
②カゥ [送]
①水中のとびいし、いしばし(石橋)=杠。
②かたし、愨實なる貌。莊、人閒世「德厚信─」
コツ [月]
つかれる、ほねをりはたらく。
勉めてやまざる貌。又、勞 ツカ れ極る貌。漢書、王襃傳「勞筋苦骨、終日──」=兀兀·孜孜·汲汲·乾乾。
ゴツ [月]
硉─ ロツゴツ は石崖の穩かならざる貌。又、沙石の水に隨ふ貌。=硉兀。
セキ [陌]
鑛石の一、一に硅素といひ、化學の原素の一、褐色粉狀又は針狀·板狀等に結晶し、廣く土中に含有せらる、石英などと化合せしめて玻璃を製造する原料とす。
4畫
カゥ [陽]
─磕 カウカイ は雷などの聲。張衡、思玄賦「凌驚雷之─磕兮」
カン コン [感]
きる(斫)
ケキ クヮク [錫]
骨と皮との離れる聲の形。
骨と皮と相離れる聲。莊、養生主「──嚮然奏刀騞然」
硏(石部六畫)の俗字。
サ [麻]
通音シャ通じて沙に作る
すな、いさご(沙)岩石が細かく碎けて小粒になりしもの「丹─」「辰─」「硃─」
國 甘味料の一、甘蔗の莖より取る。=沙糖。
河中の砂礫中に在りて黃金を含める砂粒。又砂粒狀の黃金。=沙金。
すな、こいし。漢書、高祖紀「大風從西北起、折木發屋、揚──晝晦」
砂中に浴する、沙漠中の鳥類·駱駝など皆これを爲す。
國 小石·砂の雜りたるもの=砂石。
こいし。杜甫詩「朔風飄胡雁、慘澹帶──」
大風の形容。搜神記「武王時、雍州城南有大樹、爲妖、以兵圍代之、乃有神、────、雷電霹靂、無令得近」
セイ サイ [霽]
○きざはしの下のいしだたみ(階甃)「苔─」「甃─」「幽─」みぎり。○ 國 ミギリ をり(節)ころ(頃)其の時「嚴寒の─」
フ [虞]
玞·夫に同じ
碔─ ブフ は玉に次ぐ一種の美石。=武夫·珷玞。
ヘイ [齊]
通音ヒ
原素の一「─素」又其れを含む一種の礦物、はげしき毒あり。「─石」「─霜」
5畫
①アイ [卦]
②アク [陌]
砥─ シアイ は寶玉の名〔史、范睢傳〕
サイ [卦]
とりで(壘)敵をふせぐ爲めに築きたる小城「─柵」宋史、楊存忠傳「拔─遁去」=塞。
シ テイ [紙]
○といし(磨石)あをと、刃物をとぐに用ふる石にてきめの細かきもの「─礪」(礪はあらと)○たひらか(平)なる者に喩ふ。詩、小雅「周道如─」(孟子萬章には底に作る、古、相通ず)○ひとし(均)○とぐ、みがく(磨)○─砨 シアイ は周の寳玉の名〔史、范睢傳〕
たひらかにして直きに喩ふ。詩、小雅「周道如砥、其直如矢」
行をはげまし心を高くする。魏書、儒林傳「于是人多──、儒林轉興」
といし。淮南子「──不利、而可以利金」
山の名、黃河の中に在り、砥一に底に作る。激流の中に屹立して少しも動かず、よりて亂世に在りて毅然として節を守る者に喩ふ「中流──」
平かなる貌。字解參看。
といしの如くたひらか。魏都賦「長庭──、鍾簴夾陳」
といしを以てみがく。鄭亞文「──周鉞、水淬鄭刀」
○とぎみがく。禮、儒行「──廉隅一」○といし(礪はあらと)山海經「崦嵫之山、其中多──」
とぎきたへる。潘尼、火賦「──兵械、整飭軍容」
シヨ ソ [魚]
いしやま、土山の石を載くもの。詩、周南「陟彼─矣」=岨。
チン [侵]
或は碪に作る
○きぬた、衣を擣つに用ふる石の臺。庾信詩「秋─調急節」○草を擣つに用ふる石。古樂府「藁─今何在」
きりだい、古、人を殺すに用ふ、伏して斧を受ける臺。歐陽修、乞致仕第二表「將再干於冕旒、宜先伏於──」=椹質。
きぬたのきね。儲光羲詩「秋山響──」
きぬたのこゑ。韓翃詩「──近報漢宮秋」
きりだいと、をの(斧鉞)と、人を戮する具。韓愈詩「解脫攣索、夾以──」
ド [麌]
いしのやのね(石鏃)國語「肅愼氏貢楛矢·石─長尺有咫」
ハ [箇]
○やぶる、物事がこはれる(敗·懷)○戰にまける。又、敵をくじきやぶる「摧─」「擊─」「殄─」陽明全書「─山中賊易、─心中賊難」○ひらく(坼)さく(裂)「─裂」わる(剖)「剖─」つんざく(劈)○文義を解析 トキソカツ する「─題」○つくす(盡)「看─」「讀─」「踏─」
同訓異義
ヤブル 破·敗·壞·傷·毁·隳·斁·敝·弊·圯○破は、わる、われるなり。又、裂なり。破レ竹·破レ甕·破レ卵·傘破の類。○敗は成または勝の反、物のつぶれる義、急に物をわりやぶるは、破なり。いつとはなしに、つぶれやぶれるは、敗なり、肉敗は、肉の腐敗したるなり、破レ軍は急に討ち破るなり、敗レ軍は漸くに敗りたるなり。○壞はくづれ毁ソコナはれるなり、やぶるとも訓む、破壞·敗壞·崩壞などと用ふ。崩は、山など高き物のくづれるなり、壞は、高平の別なく、廣く物のくづれ、そこなはれるをいふ、壞亂と熟す。衍義「父母不レ嚴、則家政壞」○傷はきずつきやぶれるなり。孟子「矢人惟恐レ不レ傷レ人、函人惟恐レ傷レ人」また憂傷は、心をきずつける程に憂ふるなり。○毀は缺也、小兒齒毀·印毀の類、傷毀と運用す。○隳は毀と音義同じ。墮に作るも同じ。○斁はやぶれつぶれるなり、敗に近し。韓文「三綱淪而九法斁」○敝·弊は二字同じ、完の反、衣服のふるびやぶれる義。敝帚·敝衣の類なり、轉じて疲弊·凋弊·困弊などと用ふ。○圮は音ヒ、やぶり覆る義、岸のかけくづれる意なり。書經「方レ命圮レ族」(圯は音イ土橋にて別字なり)
やぶれや、あばらや。韓愈詩「玉川先生洛陽裏、──數閒而已矣」
國 佛のいましめを破る。末法燈明記「若有戒法、可有──、旣无戒法、由破何戒而有──」
なみはづれ、先例をやぶる。=例外。
顏色を和げて笑ふ。五燈會元「世尊在靈山會上、拈華示衆、是時衆皆寂然、惟迦葉尊者、──微笑」
○やぶりこはす。やぶれこはれる。管子「張軍而不能戰、圍邑而不能攻、得地而不能實、三者見一焉、則可──也」○上級裁判所にて原裁判の判決を不當として取消す義。
やぶりすてる。
義理をやぶりそこなふ。左、隱三「淫──」
やぶれたるふすま。陸游詩「兀兀過遙夜、悠悠擁──」
○夫婦の離別にいふ。神異經「昔有夫婦、相別──、各執其半、後其妻與人通、鏡化鵲飛、至夫前、後人鑄鏡、背爲鵲形、自此始也」○かたわれづき、まろくなき月。古詩「──飛上天」
やぶりすてる、卻は助字。唐書、羅藝傳「數──之」
北斗の第七星にて劍に象るもの、此劍先の方に向ひて事をなす者は必ず失敗するといふ。隋蕭結、五行大義黃帝斗圖「一名貪狼、二名巨門、三名祿存、四名文曲、五名廉貞、六名武曲、七名破軍、又金神在斗居───」
○瓜の字を二分すれば二個の八の字となる、因りて女の十六歲を破瓜の年といふ。孫綽詩「碧玉──時、郞爲情顚倒」○八八六十四にて、男子の六十四歲の義とす。呂洞賓詩「功成當在──年」
つちくれを破る、暴雨の農作を害するをいふ。鹽鐵論「太平之時、雨不──」
○やぶれつひゆ。魏志、武帝紀、注「乘聖朝之威(中略)遂大──」○洪水などにて堤がきれる。=決潰。
くだきやぶる。又、くだけやぶれる。淨住子「無所──」
○確實なる眞理又は善惡の標準等の存在を否定する見解。=破壞說。○他の計畫をうちこはす意見。
天の初めて明ける義、しののめ。楊萬里詩「昨來風日較暄些、──來遊特地佳」
やぶれたるはかま。蘇軾、禽言詩「溪邊布穀兒、勸我脫──」=弊袴。
らぅやぶり、罪人がらぅやをやぶりてにげる。=脫獄·破牢。
やぶりくだく。史、義縱傳「盡──其家」=破摧·碎破。
やぶりくだく。又やぶれくだける。=破碎·破壞。
やぶりちらす。漢書、魏相傳「損奪其勸、──陰謀、以固萬世之基、全功臣之世」
財產をつぶす、身代限。李白詩「子房未虎嘯、──不爲家」
病の名、きず口より一種の黴菌が入りて起す惡性の病。
佛 邪道を打ちやぶりて正法をあらはす。
○船が暴風などのためにこはれる。=難船·難破船。○やぶれたる船。晉書、武帝紀「前殿地陷數丈、中有──」
俗 散財する。
やぶる。又やぶれる。
○文の起首に於て題意を剖析するをいふ。六一詩話「梅聖兪賦河豚詩、云、春洲生荻芽、春岸飛楊花、(中略)知詩者謂、──兩句、已道盡河豚佳處」○八股文の首二句をいふ。
○書の一體。書斷「王獻之變右軍行書、號曰───」○ 俗 俗書の楷法に合せざるもの。
やぶれほころびる、事業がやぶれて立ち行かず。
國 相談がをり合はず、談判が破裂する。
おどろきおそれる。韓非、存韓「趙氏──、荊人狐疑」
竹を破るに、其の端に刃を加ふれば、數節の後は、容易に裂くるが如く、勢猛烈にして敵するものなきに喩ふ。晉書、杜預傳「今兵威已振、譬如破竹、數節之後、皆迎刃而解」
蘿蔔 ダイコン の異名〔農書〕
敵陣をうちやぶる。庾信又「河橋之役、先登──」
唐の太宗秦王たりし時、劉武周を征して功あり、軍中にて秦王破陣樂を作る、卽位に及びて、宴會必ずこれを奏す〔唐書、禮樂志〕=七德舞。
やぶれ落ちる。張耒詩「簷瓦──無復全」
泣くことをやめる。劉琨、答盧諶書「──爲笑」悲を轉じて喜とする義。
○まとをやぶる、射て的に中 ァ てる。晉書、謝尙傳「卿若──、當以鼓吹相賞、尙應聲中之」=貫的。○轉じて言の理に中たる者に喩ふ。
天荒は天地未開の時の混沌たるさま、之をやぶり開く義にて、率先して人の未だ爲さざる所を爲すにいふ。北夢瑣言「荊州每歲解送擧人、多不成名、號曰天荒、至劉蛻舍人以荊解及第、爲破天荒」
國 家の兩側面の屋根の切棟 キリムネ が下り山形をなす所。=搏風。
釜(金部二畫)の條を見よ。
かけ、こはれたるかたはし。
やぶれほろぶ。やぶりほろぼす。漢書、王莽傳「皆──之」
師が其の弟子を棄てて師弟の關係を絕つ。又宗派から信徒を除名する。
約束をやぶりて履行せず。=背約。
なみをやぶる。南史、宗愨傳「愨年少、叔父問其所志、愨曰、願乘長風破萬里浪」
ごろつき。咸淳臨安志「近今臨安府、收捕───、編置外州」
人倫の道をやぶる。=不倫。
○やぶれさける。○ 國 談判がやぶれる。
はぢしらず。
盜賊詐僞姦通等すべて私慾よりして生ぜし犯罪。國事犯等の對。
ハゥ []
礮の俗字
○いしはじき、いしゆみ、古代の武器の一、彈機にて石塊をはじき飛ばして敵を攻めるもの。○おぼづつ「大─」
てつぽうのけむり。=砲煙。
大砲をうちだすときに發する火ばな。又うちだす砲丸。
大砲のたま。=砲彈。
○銃砲を製する工人。○砲兵と工兵と。
大砲の發射を司る兵。
大砲を發射する方法。
砲臺に同じ。墩は小高き土地。
ハゥ ビャウ [庚]
○大いなる聲。○石の落ちる聲。
盛んなる貌。漢書、禮樂志「休嘉──溢四方」
雷の如く盛んなる聲。羽獵賦「──聲若雷霆」
大いなる聲。沈炯賦「其水則──瀄迫、或寬或疾」
石の落ちる聲。列、湯問「──聞之如雷霆之聲」
波のうちあふ貌。胡天游詩「須臾萬里霖、──動簷瓦」
鼓の聲。陸機、鼓吹賦「鼓──以輕投」
石の落つる聲。又水流の激しく怒る聲。司馬相如、上林賦「──訇礚」
珉(玉部五畫、一)に同じ。
ヘン [鹽]
○いしばり(石鍼)「針─」「鍼─」○石ばりす、石針にて病を治す。○轉じて人の性行をためなほす、いましめる、過失を規諫する。又其の箴規のことば。范成大詩「時時苦語見鍼─」
いしばりと、やいとと。病を治する法。史、倉公傳「法不當──」=鍼灸。
愚にいしばりす、おろかなるものをいましめる義。伊洛淵源錄「橫渠初書其室之左、曰──、右曰訂頑」
①ラ [哿]
②カ [歌]
①磊─ ライラ は衆くの小石の積み重なれる貌。上林賦「水玉磊─」又、人の性體の卓特 スグレル なる貌。世說「其人磊─而英多」○── ララ はとどろきひびく聲。顧雲詩「轟轟──雷車轉」
②玉に次ぐ石。=珂。
6畫
ケイ ギャウ [靑]
といし(砥石)莊、養生主「刀刃若新發於─」(とぎたての如くするどし)
①ゲン [先]
②ゲン [霰]
通音ケン研は俗字
①とぐ、みがく。○きはむ(究)物事の理を攻究する。
②すずりいし、墨を磨する具「筆─」=貌。
硯のふた。升庵集「東坡──銘曰、硏猶有蓋」=硯蓋。
きはめしらべる。後漢書、蘇竟傳「──異同」=考究。
しらべくらべる、校は較。牛弘文「──是非、定其去就」
學問をみがく。
しらべかんがへて明かにする。張衡、東京賦「溫故知新、──是非」
みがきもとめる。晉書、阮瞻傳「瞻讀書、不甚──」=硏尋。
みがききはめる。元史、鐵木兒塔識傳「伊洛諸儒之書、深所──」
みがききはめる。陳亮、答朱子書「──義理之精微」
みがきをさめる。張羽詩「經史左右相──」=硏究。
みがききはめる、鑽は錐にて穴をあける如く深くきはめたづねる。樓鑰詩「尙友更從游、問學加──」=鑽硏。
すずりばこ。淸異錄「歐陽通善書、修飾文具、號──、曰紫方館」=硯匣。
十分にしらべる。北齊書、魏收傳「帝以魏史未行、詔收更加──、收奉詔、頗有改正」=究審。
きはめてつまびらかにす。後漢書、盧植傳「學好──、不守章句」
みがきすます。眞誥「淨理注情、──虛鏡」
文士は、文筆を以て生活を爲す、故に田地に喩へていふ。蘇軾詩「我生無田食破硏」=硯田。
みがきてうるはし。南史、王筠傳「作辭必──」=麗靡
硏は硯、硯を愛するくせ。五雜俎「蔡氏可謂世有──矣」
几案を南方に向けて置く時は、人は硯の北に坐す、故におそばといふ義にて書狀の宛名 アテナ の脇付とす。天祿識餘「段成式書云、杯宴之餘、常居──、几案面南、人坐硏之北也」=硯北。
きはめみがく。歐陽修詩「宦學三十年、六經老──」
○墨をする。梁武帝文「──墨以騰文」○みがききはめる。=硏鑽。
きはめてしらべみる。晉書、徐廣傳「百家術數、無不──」
みがききたへる。方干、畫竹詩「流傳千古譽、──十年情」
國 刀劍等の刃物をとぐ職人。
シュ ス [虞]
○しゆ(朱)礦石の一、赤きすな、赤色の顏料とし、又固めて朱墨を造る、辰砂·丹砂·銀砂·酸化水銀「─砂」○あか色。
水銀の原料とするもの。參同契、注「燒竭──、竟無所得」
淸朝の制、內外の奏章、悉く皇帝の親しく硃筆 シユフデ を以て批示するをいふ「──諭旨」=硃諭·上諭。
ラク [藥]
○山上の大いなる石。○磥─は壯大なる貌。○磊─は石の貌。○──は石の堅くして相入れざる貌。
ロツ [月]
─矹 ロツコツ は石崖の穩かならざる貌。又、沙石の水に隨ふ貌。=硉兀。
7畫
カゥ キャウ [庚]
──はかたぐるしき小人の貌。又、磬石のこゑ。
○磬石のこゑ。史、樂書「石聲──、以立別」○かたぐるしき小人の貌。論、子路「──然小人哉」○鄙賤 イヤシ の貌。論、憲問「鄙哉──乎」
ガゥ [敬]
通音カウ
○かたし、こはし(堅牢)つよし(剛强)「强─」「堅─」杜甫詩「書貴瘦─方通神」○生─ セイカウ は未だ十分に熟せざる義。
へぅ(雹)をいふ。軒渠錄「紹興十七年五月初、臨安大雨雹、太學屋瓦皆碎、學官申朝廷修、不可言雹、稱爲──也」=硬頭雨。
氣づよくして人に屈せざる男、硬骨の男子。
金屬質の貨幣。紙幣などの對。
唐紙の名。蘇軾詩「──小字臨黃庭」
かたきほね。轉じて、剛強にして人に屈せざる義。全唐詩話「──殘形知幾秋、屍骸終是不風流」
文章などがかたくしてしぶる、生硬晦澀。流暢の對。
多量の炭酸石灰·硫酸石灰等を含有する水。軟水の對。
かたきたち。宋无詩「──辭斤鑿」
鑛物のかたさの度あひ。=堅度。
俗 無烟炭。=硬炭。
國 まじめに正しき文學。小說などを軟文學といふの對。
魚類の一部門、軟骨及硬骨の二部、若くは全部硬骨を具へ、鱗は表面に琺瑯質を被り光澤あり、てふざめの類。
カク [覺]
○磽─ カウカク は石の多きやせ地。=墝埆。○堅く正し、たしか(確)後漢書、崔寔傳「指切時要、言辯而─」○きそふ(競)くらぶ。漢書、李廣傳「數與虜─」=角。
カク [陌]
礐─ カクカク は水石に激して峻險にして平かならざる貌。
クヮウ [庚]
石の落つる聲。
石の落つるこゑ。潘岳、藉田賦「鼓?──、以硏礚」
ケン [霰]
○すずり、すずりいし、文房具の一、磨墨の具、通常、石を以てつくる「石─」「陶─」「鐵─」周武王、硯銘「石墨相著而黑」=硏。○筆─はふでとすずりと。轉じて讀書作文の義。
すずりのふた。南史、梁武帝紀「盤龍火爐、鳳翔──」=硏蓋。
すずりに造るべき材料。怡情小品「其下多──」
人と同學するをいふ。漢書「宣帝少時、與彭祖───」=共硏席一〔晉書、劉弘傳〕
書名、四卷、宋の高似孫撰す、一卷は端硯を說き、二卷は歙硯を說き、各附するに詩文を以てす、原 モト は硯の圖あり、今は佚す、三卷は諸硯品を說き、四卷は諸硯に關する詩文を載す。
すずりの水のたまるところ。葉平巖詩「點點楊花入──」
すずりの水さし、水注。釋皎然詩「──穿池小」
すずりを田に喩へて稱す。唐庚詩「──無惡歲、酒國有長春」=硏田。
すずりの向ふに立てる衝立 ツイタテ の如きもの。洞天淸錄「自東坡山谷、始作──、旣勒銘於硯、又刻於屛」=硏屛。
學者文人の名宛の脇付にする語。硏北(一三四七頁三段)を見よ。
書名一卷、淸の余懷撰す、硯に關する事を隨筆し、年代の次なし。
シャ [麻]
印度に產する玉に次ぐ寶石、しゃこ。
○七寳の一、玉につぐ寳石。=車渠。○蛤類の最大なる者、其の長徑三尺許、殼甚だ厚く、白色にして光澤あり、磨きて裝飾用とす。
セゥ [蕭]
○無色の結晶體をなす礦物の一種、熱帶地方に產し、火を點ずれば紫焰を發して燃ゆ、火藥·硝子などの原料とす「─石」「芒─」○火藥「─烟」「煙─」
○火藥のけむり。○鐵砲のけむり「──彈雨」=砲煙。
窒素と酸素との化合物、腐蝕性を有する無色の液體。
硝酸にて銀をとかして得る無色板狀の結晶物、寫眞術·醫療等に用ふ。
ガラス。=玻璃。
字解を見よ。
くゎやく(火藥)ぇんせう(煙硝)「彈丸──」
ラゥ [陽]
○──は石の相擊つこゑ。○雷─·磅─は大いなる聲の形容。
石の相うつこゑ。又、雷の響。王逸賦「雷霆兮──」
○石の相擊つこゑ。司馬相如、子虛賦「礧石相擊、──礚礚」○堅き貌〔博雅〕
りウ ル [尤]
ゆわぅ、火山の地に產する黃色の礦物、火を點ずれば靑焰を發して燃ぇ、劇臭を放つ、藥又は工藝品の原料とす。=硫黃。
硫黃と銀との化合物、黑色の粉末狀をなす、銀器が硫黄の氣にふれて黑くなるは───を生ずるに由る。
硫黃と水素とが化合せし無色惡臭の氣體。
無色油狀の液、酸性强くして金と白金との外、殆どすべての金屬を溶解し、水に混ずれば多量の熱を發す、又吸濕性强く諸種の物を乾燥するに用ふ、醫療及工業上の用途多し。
銅を硫酸と共に熱して得たる鮮靑色の結晶物、銅山にては自然に產し、染色術·鍍銅 ドウメツキ 等に用ふ。=膽礬·石膽。
字解を見よ。
國字
はざま(峽)たにあひ。
8畫
礙(石部十四畫(の俗字。
①キ [支]
②キ [紙]
①まがれるきし(曲岸)○ながきほとり(長邊)○いしばし(石矼)
②石の貌。楚辭「嶔崟─礒」
棊(木部八畫)に同じ。
ギン [侵]
?─ キンギン は深く險しくして連り延ぶる貌。
サイ [隊]
○くだく、細かに破る一粉─」「破─」「細─」○くじく「─敵」「摧─」「擊─」○くだける、こまか。○こな、くづ(瑣屑)くだけたるきれ(細片)○くだくだし「煩─」「瑣─」「零─」晉書「孔明言敎何─」
同訓異義
クダク 碎·摧·齏○碎は細に破ヮるなり。史記「臣頭與レ璧俱碎二於柱一」○摧は摧破·摧折と連用す、折りひしぐ義。世說「寧爲二蘭摧、一不レ爲二蕭敷艾榮一」○齏はこなごなに碎く義、齏粉と熟す、韲に同じ。
くだきたる金。詩文の字句の美なるに喩ふ。晉書、謝安傳「桓溫嘗以謝安石所作簡文帝諡議、示坐賓曰、此安石──也」
小さき銀貨。拍案驚奇「取出──、付與王生」
くだくだしくいそかし。魏書、術藝傳「蔣少遊、有文藻而不得伸其用、恒以剞劂繩尺──、徙倚園湖城殿之側」=繁劇。
○くだけて、こまかなる義。○煩はしく細かなる義。黃庭堅詩「春蛙夏蜩更嘈雜土蚓、壁蟫何──」
こまかなる貌。五燈會元「再三瑣瑣──」
くだくだしきことば。漢書、劉歆傳「分文析字、煩言──」
身をこなにしてはたらく。禪林類纂「粉骨──、難報此德」
くだけたるいし。拾遺記「方丈山有細石、去石十里、視人物之影如鏡焉、──片片、皆能照人」
○こはれる。○くだきやぶる。
かけ。=破片。
くだくだしきつとめ、瑣碎の事務。晉書、劉毅傳「不宜勞以──」=雜務。
くだけさける。續漢書「虞詡使燒石以水灌之、石──、因鐫去焉」=碎破·摧裂。
シャク サク [藥]
○つつしむ(敬)○人の名、石─ セキサク は春秋時代の衞の大夫。
タイ [隊]
からうす、ふみうす、米穀などを入れてうすつく具。桓譚新論「宓犧制杵臼之利、後世加巧借身、踐─而利十倍」「山─」「水─」「舂─」
からうすのおと。陸游詩「荒堤經雨多牛跡、村舍無人有──」
ツヰ [寘]
○つく(擣)○しづむ(鎭)呂覽「─之以石」
テイ [霽]
○いかり(鎭舟石)舟を停めるに用ふる石のおもり。唐書「蕃舶泊步、有下─稅」=矴。○いかりをおろす「─泊」
碇を下して船をとめる。=碇宿。
ハ [歌]
やじり(矢鏃)と爲すべき石。
ハゥ [庚]
○聲の形容。○─沙 ハウシヤ は礦物の一、多くは火山附近の地中に產す、黃白二種あり、玻璃 カラス 狀を爲し、冶金に用ふ。○─酸 ハウサン は藥品の一、無色にして鱗片狀を爲す、防腐性洗滌藥に用ふ。
つづみのこゑ。魏文帝賦「伐靈鼓之──兮、建長旗之飃颻」
石の擊ちあふ聲。張華詩「八音──秦、肴俎從橫陳」
ヒ [支]
○たていし(豎石)古、宗廟に立てて牲 イケニヘ を繫ぎし柱狀の石。禮、祭義「君牽牲旣入廟門麗於─」後人、其の上に功德を記せしによりていしぶみの起原となる。○古、棺を穴に下す時、其の繂 ナハ をしばりつけたる石。○いしぶみ「石─」「苔─」「斷─」「殘─」「墓─」「神道─」初學記「─以悲往事也、今宮室·廟屋·墓隧之碣、鐫文於石皆曰─」
○いしぶみのうら。文體明辨「凡碑、面曰陽、背曰陰、──文者、爲文而刻之碑背也」○碑背に書く文、又其の文體。=碑陰文。
いしぶみ。四角なるを碑、圓きを碣といふ〔揚雄、羽獵賦〕文心雕龍「自漢以來、──雲起」
いしぶみにかく文章の一體。=碑文。
いしぶみなどの搨本 スリモノ
石に文をほりつける。
いしぶみと、かけふだと。周書、藝術傳「趙文深、少學楷隸、雅有鍾王之則、筆勢可觀、當時──、惟文深及冀儁而已」宣和書譜「米芾書、寸紙數字、人爭售之、以爲珍玩、至於請求──、戶外之屨常滿」
碑誌の類。圖畫見聞誌「柳公權、耽書學、不能治生、爲勳戚家書──、問遺歲時鉅萬」
いしぶみにかく文章の一體。=碑誌。
いしぶみのおもて。任昉文「──蕪滅、丘樹荒毁」
姓名鄕貫性行などを記して墓所に建つるもの。後漢書、郭泰傳「吾爲──一多矣、皆有慚德、唯郭有道無愧色耳」
ブ [麌]
珷(玉部八畫)に同じ。
石の玉に似たる者。司馬光賦「──亂玉」=碔砆·武夫。
リン [侵]
── リンリン は深き貌。張衡賦「漂通川之──」
ロク [沃]
○石の靑き色。○──は人に隨從する貌。又、小さき石の貌。少き貌。○ 俗 人事の繁雜なるを忙─といひ、辛勤するを勞─といふ。
銅に生ずる綠色のさび。唐書、地理志「江南道宣城郡、土貢──、一作綠」=綠靑。
○人に隨從する貌。又、凡庸なる貌。史、酷吏傳「九喞──奉其官」=錄錄。○少き貌。老子「不欲──如玉」○車の聲。賈島詩「──復──、百年雙輾轂」=轆轆。
盌(皿部五畫)の俗字。
わん。=椀。
9畫
①ガン [感]
②チン [侵]
①─? ガンガク は山の形。左思賦「恆碣─?於靑霄」
②砧(石部五畫)に同じ。
ガン [咸]
○けはし(險)○いは。=巖。
ケツ [屑]
○石の特立せる貌、たちいし。張衡賦「若雙─之相望」○いしぶみ、方なるを碑といひ、圓なるを─といふ「碑─」「墓─」「神道─」○─石 ケツセキ は山の名。漢書、武帝紀「東巡至─石」
セキ [陌]
○大いなり。大學「莫知其苗之─」○みつ(充實)○壯 サカン なる貌。
大學者。後漢書、儒林傳「夫書理無二義、歸有宗、而──之徒、莫之或徙或通、人鄙其固焉」=碩儒。
おほいなる果物の一っ殘りてある義。君子の道の決して亡びざるに喩ふ〔易、剝卦〕
大いなるはかりごと。=大計。
德たかき人、賢士。五代史「前後左右者、日益親、則忠臣──日益疎」=賢士。
○大いなる德ある人、大人君子。又其の德ある隱士。詩、衛風「考槃在澗、──之寬」○美人。詩、衞風「──其頎」
大學者。後漢書、荀淑傳「南遯漢濱十餘年、以著述爲事、遂稱爲──」=大儒·鴻儒。
おほねずみ、詩經の篇名。
德の大いなる貌。詩、陳風「有美一人、──且儼」
相貌が立派で美德ありて朋比の行なき義。詩、唐風「彼其之子、────」
大いなる德。又其の人。
賢良なる輔佐の臣。韓愈詩「天錫皇帝、厖臣──」
おほいなるはかりごと。于邵文「宏略泉深、──雲蓄」=碩畫。
おほいにしてしげる。轉じて子孫が繁榮する。漢書、敍傳「公族蕃滋、支葉──」
德たかき老人、大人君子。揚雄、封事「耆儒──、抱其書而遠遊」
大いなる器量。孫綽、郗鑒碑「至德──、天實挺生之」=大器·大度。
ゼン [銑]
玉に次ぐ美石。司馬相如、子虛賦「─石碔砆」
タゥ [漾]
○あやある石(文石)○芒─ バウタウ は江蘇省徐州府に在る山の名。漢書、高帝紀「隱芒─山澤閒」○ほしいまま(蕩)○はねあがる。莊、庚桑楚「呑舟之魚、─而失水」
瑙(玉部九畫)に同じ。
珉(玉部六畫)に同じ。
ヘキ [陌]
○あをく美くしき石「─玉」山海經「高山多靑─」○あをみどり(深靑色)「─草」「─潭」「紺─」「深─」「─空」「─落」
あをき色のさざなみ。李賀詩「金塘閒水搖──」=碧漣·綠漪。
あをぞら。陳樵詩「──星囘夜漫漫」=碧落·碧霄。
みどりの雲。江淹詩「日暮──合、佳人殊未來」
みどりのは。李白詩「春光掃地盡、──成黃泥」=綠葉。
蓮の葉などのあをくまろきをいふ。韓愈詩「荷折──傾」
あをうなばら。薛道衡詩「駕黿臨──、控驥踐瑤池」=滄海。
淵などの水があをあをとたたへて油の如くに見える形容。
泰山の神の女、卽ち東嶽大帝の女〔山東考古錄〕
あをきめ。高僧傳「達摩眼紺靑色、稱──胡僧」
國 あをき目のえびす、西洋人をあざけりいふことば。
あをぞら。江總詩「起樓侵──、初曰照紅妝」=碧霄·碧虛。
みどりのたに。韋應物詩「崎嶇緣──、蒼翠踐苔蘚」
あをみどり色のいは。張祜詩「──千仭漲波痕」
あをぞら。吳均、詠雲詩「飄飄上──、藹藹隱靑林」=碧空。
竹 タケ の異名〔淸異錄〕
○あをく美くしき玉。拾遺記「馭黃金──之車」○靑天、又淸流などの形容。柳宗元詩「破額山前──流」
あをぞら。隋煬帝詩「──霜華淨、朱殿暖日光」=碧漢。
靑色のかはら。杜甫詩「──朱甍照城郭」=琉璃瓦。
あをいろのたまき。蘇軾詩「東海如──、西北卷登萊」
みどりの水の流れるたに。張籍詩「夜到──裏、無人秋月明」
靑みを帶びたる濃きち。鄭元祐詩「孤忠旣足明丹心、三年猶須化──」
あをぎり「──修竹」杜甫詩「──棲老鳳凰枝」
みどりのも。杜甫、早行詩「──非不茂、高帆終日征」
靑き山。李白詩「問余何意栖──、笑而不答心自閑」
あをきなぎさ。隋書、虞綽傳「踐素砂步──」
あをみどり色のしきがはら。李胄、冰井賦「──熒熒、淸光炯炯」
みどりいろの木。韓愈、石鼔歌「珊瑚──交枝柯」
みどり色の水。梁昭明太子詩「桂檝蘭橈浮──、江花玉面兩相似」
銅に生ずる靑色のゑのぐ、ろくしゃう。齊書、李珪之傳「──一千二百斤、供御畫」=碌靑。
あをぞら。五燈會元「──雲外、石笋横空」=碧空。
あをあをとしたるしのだけ。武元衡詩「曙煙深──、香露濕紅蕖」
あをきこけ。李商隱詩「白石巖扉──滋」=綠蘚·蒼蘚·蒼苔。
碧蘚に同じ。和凝詩「渚蓮香老──肥」
○あをき色の桃の實。又、仙人の食ふ果、仙果。尹喜内傳「老子西遊省太眞王母、共食──紫棃」○桃花の重瓣 ヤエ にして實を結ばざるもの。羣芳譜「千葉桃一名──」
あをきふち、潭正音は シン 新論「懸瀨──、瀾波洶湧、魚龍之所安也、人入而畏」
野菜などの靑くしげれるはたけ。=靑疇·綠疇。
靑く見えるうしほ。
あをぞら。王羲之、蘭亭集詩「仰視──際俯瞰綠水濱」=靑天·碧漢。
水の靑みてよどみたるところ。徐彥伯詩「──紅涔崿嶂閒」=碧澱。
あをきなみ。李白、送林公遊衡岳序「振五樓之金策、浮三湘之──」=碧浪。
碧虛に同じ、旻は主に秋の天をいへども、廣く天の義にも用ふ。=蒼旻·碧天。
みどりのつるぐさ。范成大詩「──凌霜臥軟沙」=翠蔓。
あをきつた。杜甫詩「──長似帶、錦石小如錢」
あをぞら。白居易、長恨歌「上窮──下黃泉、兩處茫茫皆不見」=碧宇·碧漢。
みどり色のなみ。李羣玉詩「日泛仙舟醉──」=碧浪。
みどりのながれ。喬知之詩「下有──水、上有丹桂香」
ふかみどり色。張碧詩「千條──輕拖水」=碧翠。
あをあをしたるあし。趙孟頫詩「──幹始長、柔桑葉已空」
すずき。張耒詩「蓴菜──秋正美」
みどりいろのたかどの。鮑照詩「──含夜月、紫殿爭朝光」趙嘏詩「弄玉已歸蕭史去、──紅樹倚斜陽」=翠樓。
ワイ [灰]
石の平かならざる貌。
10畫
カイ [泰]
通音ガイ
○石の相擊つ聲「砰─」「硠─」「硼─」=礚。○鼓の聲。揚雄賦「登長平兮雷鼓─」○─頭は叩頭に同じ、跪拜なり。夷堅志「深悼前非、─頭謝罪」
①ガイ ギ [隊]
②グヮイ [灰]
①ひきうす(磨)上下二っの石が擦り合ひて物を粉碎する具「碾─」「茶─」正字通「古、公輸般作─、晉王戎有水─、今俗謂之磨」陸游詩「小─落雪花」
②──は高くつむ(崇積)又、かたし(堅)
茶うすをひく。陸游詩「小樓有月聽吹笛、深院無風看──」
○高く積む貌漢書、禮樂志「──卽卽」(卽卽は充實)○堅き貌。張衡、思玄賦「行積冰之──」○刀刃の銳利なる貌。枚乘、七發「白刃──」
カク [覺]
碻に同じ
○かたし(堅·固)しっかりして動かず、たしか、すべて事の眞實なるもの「─乎」「─然」「正─」「─實」「的─」「詳─」○つよし(剛)
たしかにいふ。又たしかなることば。
○しっかりとして移らざる貌。易、乾卦、文言「──其不可拔」○堅き貌。莊、應帝王「──能其事」
かたし。柳宗元文「當其時而──自守」
しっかりして變らぬ志。隋書、楊素傳「建累世之勳、一心之──」
たしかなる貌。梁簡文帝文「──之志、亦何易得」=確乎。
かたく執りて讓らず、兩方にて剛情をはりあふ、不和。
たしかにまこと。
たしかにしんずる。又、たしかなる信念。
かたくまもる。=固守·堅守。
たしかなるしょうこ。
確論に同じ。
○たしかなる貌漢書「──秉志」=確乎。○剛 ツヨ き貌。易、繫辭「夫乾──、示人易矣」
たしかな返事。
しっかりときまる。又、しっかりときめる「──審判」
たしかにみとめる、たしかに承認する。
たしかなるしらせ。
たしかにうけあふ、確實なる保證。
しっかりたてる。又、しっかりとたつ。
たしかなる議論。=確說。
確(前條)に同じ。
カツ [黠]
碣─ ケツカツ は目を搖かし舌を吐く。又、盛んに怒る。
クヮイ [賄]
─磊 クワイライ は衆くの石の平かならざる貌。=磊磈·磈磥。
谿(谷部十畫)に同じ。
サ [歌]
みがく(磨治)おもに象牙などをみがくにいふ。轉じて物事をはげみきはめるにもいふ「切─琢磨」(切は玉をみがく)=瑳。
みがく。馬融、樗蒲賦「馬則玄犀烏牙、是磋是礱」=斲礱。
ジ [支]
○─石 ジジヤク は鐵を吸引し、又南北を指す性質を有する石。又方角を示す器、指針を─鐵鑛にて造る。=羅針盤。○俗に借りて瓷器 イシヤキノセトモノ の瓷に通用す「─器」
磁石の南北を指し、又鐵を引く作用。
いしやきの陶器、磁州より多く出づ、故にいふ。五雜俎「今俗語窰器、謂之──者、蓋河南磁州窰最多、故相沿名之」一說に磁は瓷の借字。
磁石の陰陽の兩端。
磁石のはり、羅針盤の指針。
じしゃく。論衡「──引鍼」=磁鐵。
磁器のさかづき。
せともののはち。耶律楚材詩「纍纍山果盈──」
磁氣の作用の強さ。
①タイ ツヰ [灰]
②ツヰ [寘]
①聚まれる石。○石を投げ下す。
②うつ(擣)=硾。
タク [陌]
○さく、張る、ひらく(開)○古、罪人を殺して其の體をひきさく刑、くるまざき。=車裂·轘裂。○尸を張り市にさらす刑、はりつけ。○神に供へる性 イケニへ を殺し裂く。○書法にて、字畫の右にさがれるものの稱、今は之を捺といふ。○──は物のこゑ。又、鳥の聲。○ 國 ハリツケ 地上に立てたる十字架にしばりつけて槍にて突き殺す刑。
刑の名、はりつけ。漢書、刑法志「景帝中二年、改磔、曰棄巿」注「謂張其尸也」
○物のこゑ。旌異記「庖人方治膳、忽鼎釜──有聲、頃之所烹肉、悉化爲蝴蝶」蘇轍、除日詩「爆竹聲──」○鳥の聲。蘇軾詩「春山──鳴春禽」
テン シン [先]
○石の落ちるこゑ。○いしずゑ、柱下の石。班固賦「雕玉─居楹」
石の落ちる聲。公羊、僖十六「聞其──、視之則石、察之則五」
デン [霰]
通音テン
○きしる。=輾。○土地などをならすに用ふる具、圓輪又は圓柱狀をなす。○うす、ひきうす、いしうす、上下の二石を磨り合せて物を粉碎する具「─磑」
バ メ [馬]
○瑪(玉部十畫)に同じ。○はかりのおもり。=法馬。○─頭は渡し場。又、ふなつき。○ 國 ヤード 英國の尺度の音譯、凡そ我が三尺位。
ハゥ [陽]
○砰─は石の落ちる聲。○─礴 ハウハク はひろがりはびこる貌。○─磄は山の名。拾遺記「扶桑東五萬里、有─磄山」 國 ○ ボンド 英語の音譯、めかたの稱、我が百二十一?と、九十九?とに當る二種あり。=封度。○貨幣の名、我が九圓七十六錢餘に當る。
雷霆の聲の形容。張衡、西京賦「──象乎天威」
○まぜ合せて一っにする。混同する。莊、道遙遊「將──萬物以爲一」○みちふさがる、はびこりふさがる。陸機詩「──立四極、穹隆放蒼天」韓愈文「──而鬱積」=旁薄·旁礴。
ハン バン [寒]
盤に通ず
○おほいし(大石)○─礴 バンハク は廣大なる貌。郭璞、江賦「荆門闕竦而─礴」又、兩足を前に出して箕の如くに坐する、箕踞。莊、田子方「解衣──」=槃礴。○─牙 ハンガ は相連り結ぶ。後漢書、滕撫傳「盜賊羣起、─牙連歲」
進み難き貌、磐·盤通ず。易經「──利居貞」
大いなる石。韓非、顯學「──千里、不可謂富」
大石のうごかざるが如く安し。荀、富國「仁人用國、則國安于磐石、壽於旗翼」
容易に移すべからざる磐石よりも安し。前條參看。
そばだつ。魏志、管寧傳「寶石負圖、狀象靈龜、宅於川西、嶷然──」
砒(石部四畫)に同じ。
ライ [賄]
又、礌·磥に作る
○衆くの石の貌。○石のかさなりて大いなる貌。○志の大いなる貌。
○いしのかたまり。陸游詩「翦闢荊榛盡、鉏犁──無」○轉じて胸中の平かならざるに喩ふ。世說、任誕「阮籍胸中──、故須酒澆之」=壘塊。
高大なる貌。韓愈詩「隆樓傑閣──高」
○石のかさなる貌。司馬相如、上林賦「水玉──」○才情の奇特なる貌。世說「孫楚云、其人──而英多」
○衆くの石の貌。楚辭「石──兮葛蔓蔓」○志大いにして細事にかかはらざる貌。晉書、石勒載記「大丈夫行事、當──落落如日月皎然」一本、礌礌に作る、同じ。
磊落を重ねていふ、志の大いなる貌。前條參看。
○志大いにして細事にかかはらざる貌。韓愈文「──奇偉之人」=礌落。○果實の多くかさなりてみのる貌。潘岳、閒居賦「石橊蒲桃之珍、──蔓衍乎其側」蒲桃は葡萄。
レン [鹽]
○といし、あらと(厲石)○赤き色。○心を苦しめて求める。廉と通ず。
刻苦して仁を求める。韓詩外傳「仁道有四、磏爲下、傳曰、仁磏則其德不厚」
11畫
イン オン [吻]
雷の轟くこゑ。何晏賦「聲訇─其如震」=殷。
ケイ [徑]
○玉又は石にて折れ曲りたる矩形に造り懸けて鳴らす樂器、八音の一「玉─」「淸─」「梵─」書、禹貢「泗濱浮─」○今は僧寺にて用ふる銅を以て鉢盂の形に造り擊ちて聲を發せしむるものを亦─といふ。○くびる(縊)くびり殺す。○馬をはす(騁)馬をはせて曲折せしむること─の如くする。○つく。罄に通ず。魯語「室如縣─」左傳には─を罄に作る。
馬を馭する法、馬を馳するを磬といひ、馬を止 トド むるを控といふ。詩、鄭風「抑──忌」忌は助辭。
磬と、つりがねと。張喬詩「雅韻──遠、眞風樓殿淸」
身を磬の如くに曲げて禮をする。曲禮「立則──垂佩」
サイ [灰]
山の高く峻しき貌。=崔。
山の高くけはしき貌。嵆康、琴賦「──岑嵓」
①サン·ゼン [豏]
②サン ぜン [咸]
又、?に作る
①高峻なる貌。
②─嵒は山の險しき貌。
セキ [陌]
○かはら、水邊の石原。○すなはら(沙漠)杜甫、送人從軍詩「今君渡沙─、累月斷人煙」
かはらのすな。謝靈運賦「面艽野兮悲橋梓、遡急流兮苦──」=沙磧。
淺き水の中の沙石。司馬相如、上林賦「下──之坻」
かはらの小石。張衡賦「僵禽斃獸、爛若──」
いしはらのみち。許棠詩「──雖多阻、行人不廢吟」
セン [先]
かはら。=甎。
俗 煉瓦造りの家屋。
れんぐゎのかべ。吳郡諸山錄「因山壘基、──十餘里」
①バ·マ [歌]
②バ·マ [箇]
①みがく、石を治める。轉じて物事をきはめみがく「鍊─」「琢─」「硏─」○する、こする(摩擦)摩に通ず。○すれきえる(滅)「─滅」○かたし(艱阻)「─折」「─難」
②いしうす、ひきうす(石磑)「水─」「茶─」
ひきうす。
唐の元結の大唐中興頌を顏眞卿が書して、浯溪の崖石を磨きて刻みしもの〔墨池編〕
○宋代の中世、──院を置きて內外の官吏の能否淸濁を考ふ、後ち審官院と改む、勘は校勘。=考績。○科擧時代に、人を派して鄕會の試卷を覆核せしをいふ。
みがききはめる。輟耕錄「今之鞫獄者、不欲硏窮──」
かがみをみがく。陸游詩「粉綿──不忍照」
ひかりをみがく。韓愈、進學解「爬羅剔抉、刮垢──」
みがきする。梅堯臣詩「塵事盡──」
みがきとぐ。韓愈詩「才調眞可惜、朱丹在──」
刀劍などをみがきにらぐ。韓愈詩「法吏多少年、──出圭角」=礪淬。
すりくだく。又、すれ碎ける。
すれあふ。又こする。
ひきうす。品字箋「磑、今──也」子は助辭。
琢磨 ミガク 矯揉 タメル して善に遷り面目を革 アラタ める義。歐陽修、吉州學記「敎學之法、本於人性、────、使趨於善」
至りて堅き者はみがけども薄ろがず、至りて白き者は染むるも黑まず。君子の外物の爲めに心を變ぜざるに喩ふ。論、陽貨「不曰堅乎、磨而不磷、不曰白乎、涅而不緇」
ひきうす、石臼。晉書、天文志「譬之于蟻行──之上」
みがく。張耒詩「球然瑚璉質、──爭璀璨」
あらたまをみがく。梅堯臣詩「──鐫美辭」
すりきえる。司馬遷、報任安書「古者富貴而名──、不可勝記」
みがく、礪はあらとにてとぐ。書經、傳「鍛鍊戈矛、──鋒刃」
とぎみがく。枚乘、諫吳王書「──砥礪、不見其損、有時而盡」
磊(石部十畫)に同じ。
12畫
カゥ [肴]
かたくして地味あしき地、石多き瘠地 ヤセチ 孟、告子「地有肥─」=墝。
石多きやせ地。正韻「──石地」=磽埆。
やせてせまし。漢書、景帝紀「郡國或──、無所農桑」
石多くしてやせたる土地。陸游詩「──財三畝、勤劬賴兩奴」=磽确瘠薄。
やせたる土地。梁肅文「化──爲膏腴者、不知幾千萬畝」
澗(水部十二畫)に通ず。
①カゥ [梗]
②クヮウ [陽]
①あらがね、銅鐵の樸石 アラガネ 俗に礦·鑛に作る。
②黄石の名、硫黃 ユワウ の類「硫─」
キ [微]
○いそ、かはら、水の中の磧 カハラ 水の石に激する所。又、其の近傍の地「石─」「苔─」「釣─」「漁─」○ふれる(觸)水が岩にあたりて激する。孟、告子「是不可─也」
國 海岸の岩石に固著し巾著狀の口邊に多數の觸手ある小蟲。
キ [紙]
そこなひやぶる「破─」=毀。
キヨ コ [尤]
又、?に作る
硨─ シヤコ は寶石の一。又、蛤の屬の大いなるもの。
サフ [合]
─礏 サフガフ は山の高き貌。史、司馬相如傳「嵯峨─礏」=?嶫。
セゥ [蕭]
かくれいは。俗に海洋中、石の水面に隱現する者をいふ「暗─」=嶕。
テイ [齊]
○繒を染むるに用ふる黑き石。○人の名、金日─は漢武帝の時の人、もと匈奴休屠王の子。
テン [豔]
?─ シンテン はいなびかり(電光)
トウ [徑]
○さかみち(阪路)石のある阪路、いしだん「石─」「苔─」「蘚─」○いしばし(石橋)「縣─」
石のかけはし。韓愈詩「歲窮寒氣驕、冰雪滑──」
石だんのみち。陸龜蒙詩「淸晨躋──、便是孱顏始」
①ハシ [寒]
②ハ [歌]
①─溪は太公の釣せし河、今の陜西省寶雞縣の東南に在り。北流して渭水に入る。
②やのねいし。=碆(石部八畫)
①リン [眞]
②ラゥ [庚]
③リン [震]
①──は水の石閒を流れる貌。=粼粼。又、玉石の光澤のかがやく貌。
②砰─ ヘウラウ は高峻 ケハシ の貌。史、司馬相如傳「徑入雷室之砰─鬱律兮」
③うすらぐ、石がすりへらされて薄くなる。論、陽貨「磨而不─」○雲母 キララ の別名。○こいし(石礫)
かたきをする。蕭子良文「屠羊駔馬、未足磷其堅」
○玉石の色澤のかがやく貌。司馬相如、上林賦「──爛爛、采色澔汗」○淸き水が石閒を流れる貌。宋之問詩「碎石水──」=粼粼。
レキ リャク [錫]
○石の小さき貌。○つなとり。古、葬式の時、棺の綍 ナハ を執る者。又、其の人名を記する帳簿。○─室は春秋時代の燕の宮殿の名。史、樂毅傳「故鼎反乎─室」戰國策には歷室に作る、俗に磨室に作るは誤。
13畫
カク [陌]
きびし(深刻)むごし(慘酷)覈に通ず。史、韓非傳「引繩墨、切事情、明是非、其極慘─少恩」
①カク·コク [覺]
②レキ ラク [錫]
①山に大石多きをいふ。
②─硞 レキコク は水の石に激する聲。又、水の石に激し嶮峻にして平かならざる貌。
ギ [紙]
○いはほ(巖)○碕─は石の貌。楚辭「嶔崟碕─」○ 國 いそ(磯)
シヨ·ソ ソ [語]
○いしずゑ、どだい石、柱下の石「柱─」「斷─」淮南、說林「山雲蒸而柱─潤」○轉じて物事のもとゐの義「基─」
いしずゑがうるほへば雨が降る。事の生ずる必ず前兆あるに喩ふ。蘇洵、辨姦論「月暈而風、────、人人知之」礎柱參看。
いしずゑの材料に用ふる木石など。
いしずゑ。史、安息國傳、注「大秦、一名黎鞬、南州志云、大家屋舍、以珊瑚爲柱、琉璃爲牆壁、水精爲──」
いしずゑと、はしらと。易、乾卦、疏「同氣相求者、若天欲雨而──潤是也」
タゥ [漾]
○そこ(底)○ 國 はたと、平手にてうつ音。又、事の行きつまるさま。
ヘキ [錫]
いかづち。張衡賦「─礰激而增響」=霹。
①ライ [隊]
②ライ [賄]
①ころばす、石を推して高きより下す。=礧。
②衆くの石の貌。=磊。
大いなる石。轉じて心胸のひろく大いなるにいふ。陸游詩「買洒不澆胸──、憂時空覺膽輪囷」
心の高明正大なる貌。晉書、石勒載記「大丈夫行事、當────如日月」=磊磊落落。
大いなるこゑ。蔡襄詩「角牙騰觸聲──」
14畫
ガイ ゲ [隊]
又、硋に作る、碍は俗字
○とどむ(止)ささはる。ささふ「障─」法言、問道「聖人之治天下─諸以禮樂」○ふせぐ(距)さまたぐ(妨)じゃまをする「妨─」○へだつ(阻)「阻─」○かぎる(限)○さまたげ、ささへ。
目ざはりになる。又其のもの。杜牧之詩「譬如匠見木、──皆不棄」俗に見ることを欲せざるものをいふ。
外物をささへて入らしめず「──性」
ささへられてとどこほる。梁簡文帝文「若見明於──、幸求救於盲膏」=滯礙。
磕(石部十畫)に同じ。
ヨ [語]
砒素を含める一種の毒石。亦毒砂ともいふ「─石」
15畫
カゥ [梗]
もと磺に作る
あらがね、未だ人工を加へざる金銀銅鐵などの璞石。=鑛。
シツ [質]
いしずゑ、柱下の石。戰國策「以鍊銅爲柱─」
ヘン バン [元]
○硫酸を含める一種の礦物、明─ ミヤウバン 膽─ タンパン 綠─ ロウハ ○特に明─ ミヤウバン の稱、染色藥用等に用ふる白色又は透明にして酸味を有する固體「─水」○山─ サンバン は花の名、ぢんちゃうげ、瑞香の屬。
どうさがみ。=熟紙。
みゃうばん、藥料又は染料に用ふる石、六角形の結晶體〔本草〕=明礬石。
山水を畫く法、山の上に小石塊の堆を成せるものの稱〔輟耕錄〕
①ライ [賄]
②ライ [灰]
③ライ [隊]
④ルヰ [紙]
①おほいし(大石)○石の貌。
②うつ(擊)
③かさなる(重)○礌(石部十三畫)に同じ、石を推して、高所よりおとす、まろばす、石が轉 マロ び突く。司馬相如、子虛賦「─石相擊」○傀儡 デク の儡に同じ「魁─子」
④山の貌。
石の大いなる貌。杜甫詩「水淸石──」
ライ [賄]
○つか(小封)○─空は小さき穴。莊、秋水「─空之在大澤」
レイ [霽]
○と、あらと、きめのあらきといし(磨石)(砥はきめの細密なるといし)○とぐ、みがく(硏磨)─ アラト にて物をみがく「磨─」「淬─」書、費誓「─乃鋒刃」=厲。○はげむ「砥─」「勉─」
おこなひをみがく。蔡邕文「砥節──、直道正辭」
ほこをとぎみがく、戰の準備をする。舊唐書、劉仁軌傳「──秣馬、擊其不意、彼旣無備、何攻不尅」
みがきにらぐ。吳澄詩「猗歟際休明、光垢勇──」=淬礪·磨淬。
といし。書、禹貢「──砮丹」傳「砥細于礪、皆磨石也」
といし、あらとにする石。山海經「陰山多──」
レキ [錫]
こいし(小石)沙よりは大いなるもの「砂─」「瓦─」「磧─」
小石のあるす。唐太宗詩「獸忙投密樹、鴻驚起──」
こいし。韓詩外傳「泰山不讓──」
16畫
ハゥ [效]
○砲の正字、いしはじき、機を以て石を發するもの(機石)古の攻戰の具。○元の世始めて火藥を用ひて─を造る、てつぱぅ「火─」
大砲のつつぐち。
大砲にてうつ。=砲擊。
火礮を置くもの、土石を用ひて築造し、以て守禦と爲すもの。=砲臺。
○いしはじきに用ふる石。○てつぱぅのたま。
レキ [錫]
礔─ ヘキレキ は霹靂に同じ。
ロウ [東]
○すりうす(磨穀)米穀の殼 カラ をとりさる臼。○みがく、とぐ(磨)「磨─」「斲─」「磋─」晉語「斲其椽而─之」
みがくと、きると。孟郊詩「殷勤相勸勉、左右加──」
みがく。韓愈文「──乎事業、而奮發乎文章」=磨礱。
みがきとぐ。荀、性惡「鈍金必待──而後利」=礱礪。
17畫
セン [豔]
─磹 センテン はいなびかり(電光)
ハク [藥]
○旁─·磅─はまじる(混同)貌。又、廣くおほふ(廣被)又みちふさがる(充塞)莊、逍遙遊「旁─萬物」○槃─ バンパク は兩足を出して坐する。莊、田子方「解衣槃─」=箕坐。
19畫
磨(石部十一畫)の本字。