囗部
0畫
○圍(口部九畫)の古字。○國(口部八畫)の古字。○くにがまヘ、字畫上の稱。
國
2畫
因(口部三畫)の俗字。
シ [寘]
一に肆に作る
○よつ、二を倍せし數。○よたび(四囘)○よも(四方)論、顏淵「─海之內、皆兄弟也」○易にて陰の數。
あづまや。阿は簷 ノキ 周禮、冬官「殷人──重屋」注「若今四柱屋」
佛 六道の中の四惡道、苦ありて樂のなき所、卽ち、地獄·餓鬼·畜生·修羅。
四方のゑびす。東夷·西戎·南蠻·北狄〔禮、王制〕九夷·八狄·七戎·六蠻〔爾雅〕孟、梁惠王「蒞中國、而撫──也」
四方をかこむ。又、めぐり。程子詩「春入遙山碧──」
○國家を維持するに必要なる四っのおほづな、禮·義·廉·恥の稱。管、牧民「──不張、國迺滅亡」○四方のすみ、乾(西北)坤(西南)艮(東北)巽(東南)〔紺珠〕
○雪中に咲く四種の花卉、玉梅·臘梅 ラフバイ 水仙·山茶花 ツバキ ○四種の文房具、筆·墨·紙·硯の稱。
孔子の廟に配し祀る四賢人、顏子·曾子·子思·孟子。=四配。
佛 行·住·坐·臥の四っの作法。釋氏要覽「經律中皆以行住坐臥、名───、其他動止皆四所攝」
律詩をいふ。律詩は四韻を押するが故。韓愈文「首爲────、歌其事」
四方の遠きはて。裔は衣の裾 スソ 故に末の義とす。左、文十八「投諸──以禦螭魅」
易の四種。紺珠「──、有天地自然之易、有伏羲之易、有文王周公之易、有孔子之易」
四方の遠く隔りたる地。後漢書、張酺傳「作色大言、怨讓使臣、不可以示──」
喉音·脣音·顎音·舌音。
佛 父母·衆生·國王·三寳(佛·法·僧(の──。又、國王·父母·師長·檀越(施主)の──〔釋氏要覽〕
傲は長ずべからず、欲は縱にすべからず、志は滿たすべからず、樂は極むべからずといふ四っのいましめ。曲禮「敖不可長、欲不可從、志不可滿、樂不可極」
○四方のうみ。○天下の義。書、禹貢「──會同」○四方のゑびす。博物志「七戎六蠻九夷八狄、形類不同、總而言之、謂之──、言皆近于海也」
互に道を以て交れば、天下の人は皆兄弟の如しといふ義。論、顏淵「四海之內、皆兄弟也」
天下泰平の象。楊萬里文「六合塵淸、────」
天子をいふ。宋史「陛下爲────、當以致治爲念」
○人の行ふべき四っの道、孝·悌·忠·信。○女の四っのおこなひ、婦德·婦言·婦容·婦功〔曹大家、女誡〕
東·西·南·北の稱。=四方·四表。
夜閒を五更に分ちし其の第四、午前二時。伏知道詩「──星漢低、落月與雲齊」=丁夜。
都城外の四方の郊野。禮記「──多壘」
漢の高祖の時、商山に隱れし四人の老人、東園公·綺里季·夏黃公·?里 ロクリ 先生、鬚眉皆白し、故に皓といふ。=商山四皓。
○四本の直線にて圍みし形、方形、正方形。○四方のすみ。=四隅。
○堯の代の四方諸侯の長官。書、堯典「帝曰、咨──」○次條に同じ。
四方に峙てる大山。泰山(東嶽)華山(西嶽)衡山(南嶽)恆山(北嶽)=四岳。これに中央の嵩山(中嶽)を加ヘて五嶽といふ。
聾·昧·頑·嚚の稱。左、僖、二四「耳不聽五聲之和爲聾、目不别五色之章爲昩、心不則德義之經爲頑、口不道忠信之言爲嚚、狄皆則之、──具矣」
山·澤·林·川の事を掌る官名〔禮記〕
春·夏·秋·冬。張蠙詩「──多花木、窮冬亦不凋」=四時。
溫(春)熱(夏)冷(秋)寒(冬)をいふ、又、四季に同じ。
規(ぶんまはし、圓を作る器)矩(さしがね、方を作る器)準(みづもり、平を作る器)繩(すみなは、直を作る器)
四方のくにざかひ。周禮「野廬氏掌達國道路至于──」=四境。
四方のきんじよ。=四鄰。
四方のさかひ。孟、梁惠王「──之内不治、則如之何」=四竟·四畿。
あはれむべき四種の民。孟、梁惠王「老而無妻曰鰥、老而無夫曰寡、幼而無父曰孤、老而無子曰獨、此四者天下之窮民、而無吿者」
堯の代の四惡人、共工·驩兜·三苗·鯀 コン の稱〔書、堯典〕左、文·十八「舜臣堯、賓于四門、流──族渾敦·窮奇·檮杌·饕餮、投諸四裔、以禦魑魅」
四方の極遠 ハテ の國。爾雅、釋地「東至於泰遠、西至於邠國、南至於濮鉛、北至於祝栗、謂之──」=四表·四至。
佛 生·老·病·死の人生の四っのくるしみ〔法華經科註〕之に愛别離苦·怨憎會苦 ヲンゾウヱク 求不得苦·五陰盛苦を合せて八苦といふ。
前條を見よ。
四方のおほぞら。徐孝克詩「上宰明──」=太空。
よすみ。淮南子「經營──」
蘭·菊·梅·竹を氣高き君子に喩へていふ。
孔門の四種の學科。德行·言語·政事·文學。論、先進「德行、顏淵·閔子騫·冉伯牛·仲弓、言語、宰我·子貢、政事、冉有·季路、文學、子游·子夏」朱注「程子曰──乃從夫子於陳蔡者爾」
四方の國のはて。漢書、賈誼傳「──鄕風、百姓素朴」爾雅「四方昏荒之國」=四裔。
○政治家の四っの患ふべきこと。後漢書、荀悅傳「致政之術、先屛──、一曰僞、二曰私、三曰放、四曰奢」○人生の四っのうれへ。法苑珠林「──謂生老病死也」=四苦。
處世上の四っの計畫。月令廣義「一日之計在晨、一年之計在春、一生之計在勤、一家之計在身」又「一年之計在春、一日之計在寅、一家之計在和、一身之計在勤」
琴·碁·書·畫。
○詩·書·禮·樂の四っのをしへ。禮、王制「樂正崇四術、立──」○文·行·忠·信の四っのをしへ。論、述而「子以四敎、文行忠信」○女の四っの敎、婦德·婦言·婦容·婦巧。四行を見よ。○ 佛 藏敎·通敎·别敎·圓敎「──三密」
○唐初の四文豪、王勃·楊烱·盧照隣·駱賓王〔唐晝、王勃傳〕○元の柳貫·虞集·揭傒斯·黃溍を儒林──といふ(解酲語)○明の四文豪。明史「邊貢與李夢陽·何景明·徐禎卿、竝稱──」
王陽明が道を學ぶ心得として門人に授けし四句のをしへ「無善無惡心之體·有善有惡意之動·知善知惡是良知·爲善去惡是格物」
唐の玄宗、兩都に各、書四部を聚め、皆甲(經)乙(史)丙(子)丁(集)を以て號とし、經史子集の四庫を列す〔唐書、藝文志〕淸の乾隆三十七年、敕を奉じて、──全書總目を撰す。
四庫を見よ。
よもを見まはす。杜甫詩「下馬古戰場、──但茫然」
佛 世界の成立より滅亡に至る四っの大いなる時期。成劫·住劫·壞劫·空劫。〔大藏法數〕
四方にみだれちる、あちこちに飛び去る。
兩手兩足、支は肢。易、文言「君子黃中通理、正位居體、美在其中、而暢於──、發於事業、美之至也」=四體。
四極に同じ。
兩手兩足。轉じて、身體の義とす。荀子「如──之從心」=四支·四體。
○正月元旦をいふ。史、天官書、注「──謂正月旦、歲之始、時之始、日之始、月之始」○詩の四體。詩經、序「是謂──、詩之至也」疏「──者、風也、小雅也、大雅也、頌也」
春夏秋冬。易、文言「與──合其序」=四季。
四時の山の色の形容。郭熙、山水訓「眞山之煙嵐、四時不同、春山淡冶而如笑、夏山蒼翠而欲滴、秋山明淨而如粧、冬山慘淡而如睡」
人の功成り名遂ぐれば、退くべきに喩ふ。史、范雎·蔡澤傳「蔡澤曰、吁、君何見之晚也、夫────────」
○前漢の時行はれたる四種の詩經、齊詩·魯詩·韓詩·毛詩。今は毛詩のみ存す〔紺珠〕○詩經の中にある詩の四體。二南·國風·雅·頌。=四始。
四方の星宿の形を、動物に擬して名づく。禮、曲禮「行前朱鳥(南)而後玄武(北)左靑龍(東)而右白虎(西)」=四神。
四七は二十八なり、前漢の高祖より後漢の光武に至るまで二百二十八年、卽ち、四七之際なり、漢は火德、故に火を主とす。後漢書、光武紀「同舍生彊華自關中奉赤伏符曰、劉秀發兵捕不道、四夷雲集、龍鬬野、───────」
佛 人の死後の日數を七日を以て累算し、第七囘卽ち七七四十九日目(此の閒死者の靈其の家に畱るといふ)=七七日。
天の四方の星の象、靑龍(東)朱雀(南)玄武(北)白虎(西)「──相應」=四獸。
視·聽·言·動の四っのいましめ。程頤の作りし文の名。小學外篇に出づ。
佛 胎生·卵生·濕生·化生。法苑珠林「此方他方、──慈父」
易の語、老陽·少陽·老陰·少陰〔易、繫辭上〕
數學にて四以下のはしたを切り捨て、五以上のはしたを繰り上げて算入する法。
比丘 ビク 比丘尼 ビクニ 優婆塞 ウバソク 優婆夷 ウバイ の稱。
四種は、摩呵·三昩耶·達磨·羯磨、三密は身·口·意の三っに祕密神妙の悟ある義。
術は道、先王の詩書禮樂の四道をいふ。禮、王制「樂正崇──、立四敎、順先王、詩書禮樂以造士、春秋敎以禮樂、冬夏敎以詩書」
大學·中庸·論語·孟子の稱。宋の程顥·程頤二子に始まる。=四子書。
三十六卷、明の永樂中翰林學士胡廣等勅を奉じて撰す。
春夏秋冬の次序。北齊書·大亨歌「分──、綴三光」
○ 國 古の官名四っ、左京職·右京職·大膳職·修理職。○室町時代所司の職にありし四氏、山名·一色·細川·畠山。
○次條に同じ。漢書「方今──晏然」○四方に垂れる。詩經「八月在宇」音義「屋──爲宇」
國の四方のはて。陲は邊。=四裔·四境。
井田を四っ合せたるものにて、邑の稱。周禮「──爲邑」
○印度國民の四階級、婆羅門·刹帝利 クシヤトリヤ 毗舍 バイシヤ 首陀 ス─ドラ ○四っのかばね。源氏·平氏·藤原氏·橘氏。
音韻の四種、平聲·上聲·去聲·入聲。東晉以後、文詞聲調を以て相尙 タフト ぶ、齊の周顒始めて──切韻を作る。
官吏の四っの善き行。舊唐書、職官志「凡考課法有──、一曰德義有聞、二曰淸愼明著、三曰公平可稱、四曰恪勤匪懈」
四方に敵を受けて戰ふ國。史、燕世家「趙────也、其民習兵、不可伐」
加·減·乘·除の四っの算法。
四方みな山河に塞がれて要害よきくに。戰國策「齊南有太山、東有瑯琊西有淸河、北有渤海、此所謂────也」史、蘇秦傳「秦────、被山帶渭、此天府也」
佛 明らめ審にすべき四事、苦(生老病の數)集(骨肉財物の聚集)滅(寂滅止息)道(道を懷ひて修行す)大藏法數「──者、諦卽審實之義、謂聲聞之人、用析空觀、諦審苦集滅道之法、一一不虛、是名藏敎生滅──」
兩手兩足。からだ。論、微子「──不勤、五穀不分」禮記「──旣正、膚革充盈、人之肥也」=四肢。
國 古、大學寮に置きし四っの分科、紀傳(歷史及詩文)明經(經義)明法(律令格式)算道(算術)
國 崇神天皇の朝に全國四道に派遣せし鎭撫使、大彥命(北陸)武淳河别 タケヌカハワケ (東海)吉備津彥(西海)丹波道主命(丹波)
○ 佛 四大種の略。四っの大元素、地·水·火·風。釋氏六帖「──地水火風、亦名大種」○道·天·地·王の稱。老子「道大·天大·地大·王亦大、域中有──而王處一焉」
明代小說の奇書四種。水滸傳·三國演義·西遊記·金瓶梅。
虞舜と夏·殷·周三代の世との倂稱。禮、學記「記曰、三王──唯其師、其此之謂乎」
四方にとどく。すみずみまでゆきわたる。禮記「──而不悖」=四暢。
仁·義·禮·智の道のこぐち。孟、公孫丑「惻隱之心、仁之端也、羞惡之心、義之端也、恭敬之心、禮之端也、是非之心智之端也、人之有是──也、猶其有四體也」
後漢の楊震、東萊の太守となり、昌邑を經、もと擧げし所の茂才王密謁見し、夜に至り金十斤を震に遺る、震曰く、故人君を知る、君故人を知らざるは何ぞやと、密曰く、暮夜知る者なしと、震曰く、天知る、神知る、我知る、子知る、何ぞ知るものなしと謂はんと、密愧ぢて出づ〔後漢書、楊震傳〕
○四方の藩鎭。杜甫詩「──富精銳」○四っの重大なる名山、鎭は地德をしづめる義。揚州の會稽山·靑州の沂山·幽州の醫無閭山·冀州の霍山〔周禮、大司樂、注〕
老人の杖につきての制度、五十は家に杖つき、六十は鄕に杖つき、七十は國に杖つき、八十は朝に杖つくこことを得〔禮、王制〕
仲春、仲夏·仲秋·仲冬。
諸方へ往來すべき便利善き地。史、酈食其傳「陳畱天下之衝、────之郊也」
道の四方八方に通ずる便利の地。子華子、問黨「齊之爲國也、其塗所出、────、遊士之所湊也」
四羽の鳥が其の母に别るといふ故事にて、母子相别るるにいふ。家語、顏囘「桓山之鳥、生四子焉、羽翼旣成將分于四海、其母悲鳴而送之」
國 ○後嵯峨天皇より始まりし築山法の一派。○圓山應擧の門人松村吳春より始まりし畫法の一派。=四條派。
四時の天。爾雅「春爲蒼天、夏爲昊天、秋爲旻天、冬爲上天」
○ 佛 東西南北を守る帝釋の外臣、東方持國天、西方廣目天、南方增長天、北方多聞天」法華文句「───者、帝釋外臣如武將也」 國 ○一將の部下に屬する勇士四人の稱「賴光───」○或る技藝に秀でたる四人の稱「和歌の───」「弓馬の───」
ちすぢの親疎によりて第四等にあたる親族、高祖父·高祖母·從祖父姑(祖父の兄弟)從祖伯叔父姑(祖父の兄弟の子)夫の兄弟姉妹·兄弟の妻妾·再從兄弟姉妹·外祖父·外祖母·舅(母の兄弟)姨(母の姉妹)兄弟姉妹の孫·從父兄弟の子·外甥·外姪·曾孫·孫の妻。
○乾の四德、元·亨·利·貞〔易·乾卦〕○婦人の四っの德、言(辭令)德(貞順)功(絲麻)容(婉娩)〔禮、昏義〕
四っの大河。江(岷山より出づ)河(崑崙山より出づ)淮水(桐柏山より出づ)濟水(王屋山より出づ)をいふ、瀆はみぞ、川の義。禮、王制「──視諸侯」爾雅「江淮河濟爲──」
孔子の廟に配する四人、卽ち、顏子(右)子思(右)曾子(左)孟子(左)=四侑 シイウ
○東西南北の國國。書、大禹謨「──風動、惟乃之休」○四方の外國。論、子路「子曰、行己有恥、使於──、不辱君命、可謂士矣」=四表·四向。
幹の四角なるたけ。
○男子生れて四方に遠遊する志ある義。魏志、荀攸傳「天下方有事、而劉表坐保江漢之閒、其無────可知」○ シハウノシ 海內四方の記錄、周禮「令掌────」
國 三大節の一。正月元旦の午前四時に、天子が淸涼殿の東の庭に於て天地四方及山陵を禮拜して、其の年の災厄をはらひ寶祚 ハウソ を祈りたまふ儀式。
前後左右、又、東西南北の稱。黃溍詩「靑山環──」
筆·墨·紙·硯。明一統志「──堂在徽州府治、以郡出文房──爲義」
良辰·美景·賞心·樂事。王勃、滕王閣序「──具、二難幷」
四方のゐなか。張華詩「囂聲振──」
四百四種のやまひ。五臟に各八十一の病ありとし、四百五より死を除きし數。千金方「────、同時俱發」
支那全國の稱。圖書編「裁省天下────縣官」
國 銅に其の四分の一の銀を合せたる合金。=朧銀 ロウギン
ちりぢりに分れさける。天下の大いに亂るる義。史、張儀傳「天下────」
修身治國の上に於ける四っの不殺。崔瑗、座右銘「無以嗜慾、殺身、無以貨財殺身、無以政事殺民、無以學術殺天下」
孔子が顏囘に敎へたる爲してはならぬ四っの誡。論、顏淵「非禮勿視、非禮勿聽、非禮勿言、非禮勿動」朱熹詩「顏生躬──、曾子日三省」
四方のそと。書、堯典「光被──、格于上下」
高祖·曾祖·祖·父のたまや。禮記「以其祖配之、而立──」
家のまはりのかべ。史、司馬相如傳「家居徒──立」──立は、壁ばがりの貧しき家の義。
あたり。又、四方のまはり。張詠詩「官舍──多種竹」
君主の左右前後に侍して輔佐する四っの官、左輔·右弼·前疑·後丞。禮、文王世子「設──及三公」漢書、孔光傳「入稱──、出備三公」=四近。
馬車に駕する四頭のをうま。詩、小雅「──騤騤」箋「──者人君所乘駕」
四時の孟月、孟春·孟夏·孟秋·孟冬。
人民の四階級、士·農·工·商。書、舜典「司空掌邦土、居──、時地利」
四方みな敵に圍まれたるをいふ。史、項羽紀「項王軍壁垓下、兵少食盡、漢軍及諸侯兵、圍之數重、夜聞漢軍四面皆楚歌、項王乃大驚曰、漢皆已得楚乎、是何楚人多也」
四方より攻め寄せらるる義。史、畱侯世家「雒陽雖有此固、其中小、不過數百里、田地薄、────、非用武之國也」
廣く事物を見聞する義。書、舜典「詢于四岳、闢四門、──────」
四方の門。書、舜典「賓于─、──穆穆」
唐代庶人を入學せしむる爲めに國子學卽ち大學の四方の門側に建てし學舍、其の敎官を四門博士といふ。唐書、選擧志「有文辭史學者、入───、爲俊士」
前條を見よ。
四方の郊外。漢書、息夫躬傳「邊境雷動、──風起」阮籍詩「登高臨──」
四方のとなり。又、四方の鄰國。禮、檀弓「與──交」
坐·作·進·退の四っの規律、古代兵法の語。
冠(元服)婚·喪·祭の四大禮〔文中子)
四っの神靈なる動物。禮、禮運「麟鳳龜龍、謂之──」
國 縱三尺六寸、橫二尺四寸の西洋紙。又これを三十二に裁ちたる大いさの書物の型。縱六寸、橫四寸あるが故。
四字六字の句より成れる文章、六朝の頃盛んに行はる、四六騈儷の文。十駕齋養新錄「騈儷之文、宋人或謂之四六」=騈四儷六。
シウ [尤]
○とらはれ、めしうど、つみびと(罪人)とりこ(俘虜)○とらふ(拘)とりこにす、つなぐ(繫)牢獄に繫ぐ。○罪を裁判したる辭。書、康誥「丕蔽要─」=獄辭。
同訓異義
トリコニス 囚·俘·虜·禽○囚はとらへて牢に入れ置くなり、囚徒と用ふ。○俘は軍にてとりことせし人なり、軍所レ獲也と註す。○虜はいけどりにせし人なり。史記、註「生得曰レ虜、斬レ首曰レ獲」○禽は擒に作る同じ、戰に勝ちて敵をとらへ、手ごめにする義。孫子「小敵之堅、大敵之禽也」
囚人の罪を定むる。書、多方「──殄戮多罪、亦克用勸」
罪人をしらべる。漢書、何武傳「行部──」同書、雋不疑傳「行縣錄囚徒」
囚人に課する仕事。=懲役。
とらはれて牢につながれる。易林「身加檻纜、──束縛」=囚縛。
ひとや。=牢獄·監獄。
ひとやにつながれる、桎はあしかせ。沈佺期詩「昆弟兩三人、相次俱──」
とらはれびと。=罪人。
頭髮をくしけづらざること囚人の如く、面をあらはさざること喪に居るが如し、王安石の情を矯め俗に戾 モト るをそしる語。蘇洵文「────而談詩書」
とらはれびと。
とらへしばる。李綱詩「更遇韓彭辱──」=囚繫。
とらはれて牢につながれる。鄭俠詩「重負遭──」=囚繫。
とりこ、とらはれ。=囚虜。
とりこ。=囚俘·俘虜。
3畫
イン [眞]
囙は俗字
○よる(仍·依·襲)もとのままに從ふ。論、爲政「殷─夏禮」○ちなむ、ちなみ「─緣」○ゆかり(緣)○依り親む。論、學而「─不失其親」○就く。たよる、たのむ(託)孟、公孫丑「時子─陳子以吿孟子」○たより(便宜)○よりて、ちなみて。○そこで、さうして。○おこり、もとづく、由る「原─」○わけ(理由)○姻に通ず。
同訓異義
ヨリ 因·自·從·由·緣·仍等の别は自(部首六畫)の條を見よ。
互にたよりあふ貌。王昌齡詩「寒獸相──」
事のおこり。=原因·由來·原由。
○ 佛 ゆかり、いんねん、今生ぜし事に對する以前の關係。果報の對。名義集「尼陁那、此云──」○つて、機會。史、田叔傳「未有──」
私意を用ひずして、自然のままにまかせる。史、老子傳贊「老子所貴道、虛無──、變化于無爲」
○ 佛 因緣と果報と、過去の因緣より生ぜる現在の果報。現在の因緣より生ずる未來の果報。華嚴經「擧果知因、譬如蓮花方其吐花、而果具蘂中」○哲學にて原因と結果と。○ 國 惡しき運命 マハリアハセ 惡因のむくい。
佛 善因には善果、惡因には惡果あり、因と果と互に相應じてたがはざるをいふ。法華經、方便品「如是因、如是緣、如是果、如是報」
○ 佛 因緣となる惡事。劉禹錫文「佛以大慈救諸苦、廣起──、故劫濁而益專」○ 國 いっこく、かたくな·頑固。
數學にて多くの數を順次に乘じて得たる積に對して、其の乘じたる數をいふ。=因數。
ならはし。これまでのしきたりにより從ふ。劉歆、移太常博士書「仲尼之道又絕、法度無所──」
舊習を守り、ぐづぐづして遷らず。漢書、循吏傳「──守職、無所改作」
數學にて乘積を生ずるもとの二數。=因子。
五明の一、印度に起りし論理學、宗(斷案)因(小前提)喩(大前提)の三支作法によりて事物を究む。大論「──考定正邪、硏覈眞僞」
①クヮイ·ヱ [灰]
②クヮイ·ヱ [隊]
囘は正字、囬は俗字
①めぐり(周圍)「周─」○めぐる、めぐらす「─轉」○かへす、かへる(返)もとにもどる。○よこしま(邪曲)「私─」「姦─」詩、小雅「其德不─」○ひがむ(僻)○かがむ(屈)○たがふ(違)○たび(度數)俗に一次を一─といふ。○小說などにて一篇を一─といふ。
②とほまはり「迂─」「紆─」○さく(避)忌み避ける。「避─」
同訓異義
カヘル 回·歸·還·反等の别は歸(止部十四畫)の條を見よ。○メグル回·繞·遶·環·巡·周等の别は繞(糸部十二畫)の條を見よ。
めぐりうつる。張衡文「精魂──」
諸處を遊覽する客の爲めに出す汽車又は電車。
めぐりまはる。沈約詩「桂舟旣容與、綠浦復──」=紆回。
商人が物品を交易する。〔通鑑綱目〕=貿易。
道がまがりくねりて遠し、迂回にして遼遠。史、李將軍傳「東道少──」
かへしあらためる。南史、孝義傳「執志終無──」
諸方の港をめぐり航する。=廻航。
ふりかへりてみる。王維詩「──射鵰處、千里暮雲平」=回顧。
○いみさける。唐書「上言無──」=回避。○ 佛 人の死後めぐり來る忌日「七──」=年忌·年回。
赤道の南北、各緯度二十三度二十八分の所に引きたる假定の線、太陽が一年に一回此閒を往復してもとにもどるが故。北の線を夏至線、南を冬至線といふ。
一定の時閒を置きて熱の高下する熱病、マラリア熱·閒歇熱 カンケツネツ
春分より次の春分に至る閒の時日。=太陽年。
○光明ある貌。張衡賦「焱──其揚靈」○亞剌比亞のマホメツトの開きし宗敎。=回敎。
毒草、きつねのぼたんの異名。
○ふりかへり見る。=追想·回看。○ふりかへりて思ふ。=回想·追懷。
次條を見よ。
西域の部落の名、魏の時に高車部、隋の世に韋紇又は回紇といふ。唐書、回鶻傳「建中元年、請易回紇、曰──」
昔のことをおもひまはす。=回思·追想·回顧。
貨物を舟にて運び送る。
國 荷主と海運業者との閒に立ちて、荷物の運漕を取扱ふ營業者。
とりもどす。
びろうど。=天鵞絨。
よこしま。史記「──不正」邪一に衺に作る。=邪曲。
鳥がとびかける。傅休奕詩「雙魚自踴躍、兩鳥時──」湘中記「衡山有懸泉、滴瀝巖閒、聲泠泠如絃、有白鶴、──其上」
ふりかへりて見る。=回頭。
○春にたちもどる。○病がなほる。
書信 テガミ の返事。夢溪筆談「使人不肯去、須責──」
よみがへる「起死──」=蘇生。
めぐりまとふ。北史、隱逸傳「馮亮性淸靜、後隱居嵩山卒、焚燎之日、有素霧蓊鬱──其傍、自地屬天、彌朝不絕」回亦廻に作る。
舞容の輕妙なる形容。曹植、洛神賦「飄飄兮若流風之回雪」
まげたわめる、事實を曲げる。
かへりごと、返事。
君主の心を挽き回す。轉じて國勢を挽回する。唐書、張玄素傳「魏徵歎曰、張公論事、有──之力、可謂仁人之言、其利博哉」
まはる、まはす、めぐる、めぐらす。
かうべをめぐらすこと、頭をふりかへす。=回首。
○よける、忌みて避ける。漢書、蓋寬饒傳「無所──」○法律上の語、訴訟事件にて、判事又は書記が嫌疑を招く事情ありし時、さけて其の審理に關係せざる義。
天子の御かへり。蹕は道路を警戒するさきばらひ。行營雜錄「急──見之」
かへる、もとどほりになる。陶潛詩「──遂無窮」
つむじかぜ。曹植詩「何意──擧」=旋風 センブウ
つむじ。爾雅「──在膺」
めぐれる廊下。沈與求詩「──迤迤穿危嶠」
一っの物を衆人が順送りにまはして見る。又其のこと。
まがれるてすり。揭傒斯詩「蓬萊宮闕赤──」
めぐりまとふ。魏都賦「山林幽映、川澤──」
こよみがひとめぐりする、新年になる義。=改曆。
火の神。轉じて、火災の義。左、昭十八「子產禳火于玄冥──」玄冥は水の神。
佛 ○己が功德を他にめぐらし向はしむ。讀經、念佛によりて亡者の冥福を祈る。止觀「回衆善向菩提」○──院は寺の名。唐書、后妃傳「乞署此爲──院」
回(前條)の本字。
シン シ [震]
をどり、ひよめき、小兒の頭上の微に動く所、頭會の腦蓋、頂門。
4畫
淵(水部八畫)の古字。
クヮ グヮ [歌]
○をとり、生鳥を繫ぎ置きて他の鳥を誘ひ來 キタ す(鳥媒)○かはる(化)
うまれそだつ。元包經「羣類──、庶物生植」
をとり。
回(口部三畫)の俗字、一說に、面の古字。
グヮン [寒]
へる、つぶれる、角の磨滅するにいふ。=刓。
ケイ キャウ [梗]
○あきらか(明)窗のあかり。○ひかる(光)
ひかりかがやく貌。韓愈詩「蟲鳴室幽幽、月吐牕──」=烱烱。
國(口部八畫)の俗字。
コツ [月]
俗に物の完きを─圇 コツリン といふ。=渾侖。
コン [願]
○くるしむ、くるしみ、くるしめられる(苦)○なやむ(艱)○つかる(瘁)倦み極りて力乏し。○こまる、きはまる(窮)生活に窮する。通ぜず。○みだれ、みだる(亂)論、子罕「不爲酒─」○うれふ(憂愁)○易の卦の名、坎下兌上。
さとり惡しく心に困みて學問する。論、季氏「困而學之、又其次也」
二十卷、宋の王應麟の撰、經史子集の考證を剳記す、援據精博にして、宋人考證の書の上乘とす。
くるしみせまる。莊子「處窮閭阨巷、──織屨」=困窮。
くるしむ、こまり入る。卻は却の正字。
こまり苦む。貧になやむ。論、堯曰「四海──、天祿永終」
こまりくるしむ。書經、傳「民咨嗟憂愁、病水──」
くるしみてまづし。文中子「姚義困於窶、房玄齡曰、傷哉窶」
つかれてねる。蘇軾詩「同遊──九曲嶺、褰衣獨到吳王臺」
くるしみて貧しく物がつきてなくなる。後漢書、順烈梁后紀「賦斂煩數、官民──」
くるしみてつまづく。=困躓。
人に逼られてくるしむ獸。次條を見よ。
くるしむときはけものすら戰ふ。困獸は二字熟語としても讀む。左、定、四「──、況國相乎」=窮鼠齧猫。
くるしみせまる。金史「賊初──、且無降意」=困窮。
くるしみてとぼし。史記「軍亦有天幸、未嘗──也」=困乏·困竭。
くるしみつかれる。蕭子良文「民庶彫流、日有──」=困頓。
くるしみ飢ゑる、貧しくして食に乏し。
くるしみつまづく、困窮して挫折する。唐書、杜牧傳「牧──不自振」=困蹶。
なやむ。なやみ。束晳賦「嬰六極之──」
十二支の子の異名〔爾雅〕
つかれくるしむ。困難挫壞なり。燕翼貽謀錄「──風塵、潦倒場屋」=困殆·困憊·困倦。
○まづしくこまること、貧乏。○爲し難し、むづかしくこまる。
くるしみつかれる。=困頓。
貧しくしてとぼし。詩經、箋「──于資財、則賙贍之」=困竭。
ふしあはせ、不運。風俗通「時有──」
くるしみつかれる。歸田錄「財用匱乏、公私──」=困頓。
○わざはひ、災難。○くるしむ、難儀する。=困阨。
なんぎ、くるしみ。史、范睢·蔡澤傳「二子不──、惡能激乎」=困厄。
くるしみてまづし。史、晉世家「晉文公古所謂明君也、亡居外十九年、至──」
なんぎくるしみ。隘は阨。=困阨。
くるしみてものうし。癸辛雜識「病酒而──」
①サウ·ソウ [江]
②ソウ [東]
俗に窓に作る
①まど(牕)牆に在るを牖、屋に在るを─といふ。
②けむりだし(竈突)
5畫
キン·コン キン·ゴン [眞]
○こめぐら(米廩)圓きを─、方なるを倉といふ。○輪─はまがりくねる貌。漢書、鄒陽傳「蟠木根柢輪─離奇」
くらに貯へたる米を盡く出す。韓愈文「倒廩──」=倒囷。
前條に同じ、有りたけの財產をもち出す義。宋史、趙良淳傳「人皆──以應之」
くるくるまはる貌杜牧、阿房宮賦「鉤心鬬角盤盤焉、──焉」
こめぐら。次條に同じ。禮記「修──」
こめぐら。梅堯臣詩「──見餘積」
コ [遇]
○かたし(堅)ぢゃうぶ。○いやし(陋)○かたくな、一を執りて通ぜず。孟、告子「─哉高叟之爲詩也」○かたまる、かたくなる。晉語「國以可─」○かたむ(警備)○かため(險要·守備)要害よし、城郭が完くして堅し。論、季氏「─而近於費」○もと、もとより、まことに、いふまでもなし。○甚だしく、切に「─請」「─辭」○病久しく治せず、痼·錮に通ず。
同訓異義
モト 固·本·原·元·故等の別は本(木部一畫)の條を見よ。
もとよりある。孟、吿子「仁義禮智、非由外鑠我也、我──之也」
文法上の用語、其の人其の事物のみが特に有する名ことば。孔丘·泰山の類。人·山等を普通名詞といふの對。
てづよくいさめる。左傳「──不聽」
もとよりいふまでもなくくるしむ。論、衞靈公「君子──」一解に固く困窮を守りて天命に安んずる義。
かたくふせぐ。漢書、劉歆傳「深閉──」韓愈、遺少室李拾遺書「卽可爲之時、自藏深山、牢關而──、卽與仁義者異守矣」
固體に同じ。
かたくむすびあふ。東京賦「洪恩素蓄、民心──」
堅固なるとりで。史、禮書「──不樹、機變不張」
再び辭する。かたくことわる。書、大禹謨「禹拜稽首──」
久しく瘉えざるやまひ。後漢書、皇甫規傳「臣素有──、恐犬馬齒窮不報大恩」=痼疾·宿痾。
己の意見を固く執りて下らず。禮記「誠之者、擇善而──之者也」
かたくまもる。庾信賦「霸上屯軍、鴻門──」
しきりに願ふ、切に請ふ。
强く固まりて一定の體形を有する物。液體·氣體の對。=固形體。
かたくもちこたへる。固く維持する。=固守。
かたくつく、かたまりつきて離れず。
かたまる、定まりて動かず、永く保存すべきもの。
經濟學にて生產のもとでとなり幾囘となく使用せられ、漸次に減りゆくもの、貨幣等の流動資本に對して機械·船舶などをいふ。
ぢゃうぶにしてかたし。=牢固。
かたくなにして心いやし。司馬相如、上林賦「鄙人──、不知忌諱」=鄙陋·頑固。
レイ リャウ [靑]
○ひとや(牢獄)○をり(檻)
ひとや、らぅや。囹は領、圄は禦。囚徒を領錄して禁禦する義。禮、月令「命有司省──」管子、五輔「倉廩實而──空」
前條に同じ。
6畫
イウ [宥]
○その(苑)藩 カキ あるを園、牆あるを─といふ。○限られたる區域(範圍)禽獸を放ちがひにする爲めに垣にて圍みし所、動物園。○かかはる、見識のせまき義。
同訓異義
ソノ 囿·園·苑等の別は園(口部十畫)の條を見よ。
とりけものを飼ふその。張衡賦「豢馴獸於──」=苑囿。
○禁中の動物園を守る官。周禮「──掌囿游之獸禁、牧百獸」○後世、花木を種植する者の通稱とす。十國春秋雞狗坊卒長傳「善種子母蔗、灌蒔有法、繁植蔓衍、遂爲湖南──冠」
國(口部八畫)の古字、唐の則天武后の作。
7畫
カン [覃]
函(凵部六畫)の本字
おとがひ(口下)
ギョ ゴ [語]
圉と通ず
○とどむ(止)○ふせぐ(禦)○とらふ(囚)左、宣四「─伯嬴于轑陽」○ひとや(獄)
ひとやがからになる、罪を犯す者なき義。王襃文「周公躬吐握之勞、故有──之隆」=囹圄空虛。
ひとや。北齊書「階庭簡靜、──空虛」=囹圄。
①ユン [願]
②クヮン [諫]
①かはや(廁)=溷。
②家に畜ふ犬豕の類。=豢。
ホ [麌]
○はた、その、菜をううるはた、果樹をううるその(園)○はたけつくり。論、子路「吾不如老─」○ところ(場所)禮記「孔子射于矍相之─」
その、圃は果蔬をうゑるその、囿は動物園の類。又、禁苑をいふ。後漢書、靈帝紀「始置──署、以宦者爲令」
はたけつくりのおやぢ。類苑「──、倚鋤睥睨」=老圃。
はたけのうね。元結詩「築塘列──、引流灌時蔬」
はたけつくり。=圃丁·圃人。
8畫
①ギョ·ゴ [語]
②ギョ [御]
①うまかひ(馬丁)うまをかふ。○うまや(廏)まき(牧)馬を養ふ所。○國のはて(邊陲)左、隱十一「亦聊以固我─也」○ひとや(獄)=圄。○とどむ(止)ふせぐ(捍)○──は困みて舒びざる貌。○樂器の名。=敔。
②とどむ(止)禦と通ず、ふせぐ(捍)莊、繕性「其來也不可─」
くるしみて未だ舒びざる貌。孟、萬章「始舍之──焉、少則洋洋焉」
うまかひの長官。周禮、夏官「──掌敎圉人養馬」
馬をかふことを掌る官。周禮、夏官「──掌養馬芻牧之事」
とらはれつながれる。蘇軾文「刳胎殺無罪、親族遭──」
①ケン [霰]
②ケン [先]
③ケン [阮]
①をり(檻)動物を入れて畜ふ闌 ヲリ ○ひとや(牢)
②木を屈げて巵 サカヅキ と爲す、さかづき。又、ぼんの類。=棬。
③をり、ひとや。○めぐる(轉)○わ、まる「─點」
わ、まる。=圈圓。
をり。淮南、主術「養虎豹犀象者、爲之──、供其嗜慾」=圈牢。
かぎられたるくぎりのそと。=範圍外。
圓の中心。=圓心。
○鳥けものを捕へるわな。○勢力範圍の義。
詩文などの妙所·要所を示す爲めに、其の傍にうつ圓き點。
かぎられたるくぎりのうち。=範圍內。
字の四聲を示す爲め、隅に附する半圓。平聲は左下、上聲は左上、去聲は右上、入聲は右下。
獸をいれおくをり。曹植文「此徒──之養物、非臣之志也」
コク [職]
○くに(邦)一政體の下に屬する土地人民「建─」「─體」○地理上又は行政上の區劃。○一國の首都。孟、離婁「徧─中、無與立談者」○諸侯の封土。○ふるさと(故鄕)廬僎詩「去─三巴遠」○一─中にて特にすぐれたる者の義「─工」「─色」
くにの威光。後漢書「宣明──、而兵隨其後」
國家の所有「──林」=官有。
國家のなりゆき。一國の運命。
國家のめぐみ。柳宗元、獻平淮夷雅表「思報──獨惟文章」
○一定の土地と統治組織とを有する人類のあつまり。○くに、統治權の主體。書、立政「其惟吉士、用勱相我──」
國家の性質·組織·成立等を硏究する學問。
國家のみだれたる時に、忠臣の節始めてあらはるる義。老子「六親不和有孝慈、───────」
其の生存する國家の安寧富强を圖るを以て目的とする主義。
國家の重任を負ふ相將をいふ。漢書「內行篤有威重、位歷將相、────臣也」
○忠君愛國の意を表す時、又は國の慶事等の際に歌ふ特定の歌曲。我が君が代の類。○ 國 やまとうた。=和歌。
くにざかひ。漢書「廼定──」=國境。
國と國とのまじはり、國際。史記「重幣輕使、秦楚之閒、將爲──也」
○すぐれたる香氣。○轉じて、蘭の異名。左、宣三「以蘭有──、人服媚之如是」
國家を治むるおほづな。晉書「覽其大當以總──」=國維。
國の名稱。詩經、譜「自契至湯、雖則八遷而──不改」
先帝崩御の日に相當する年年の忌日、大祭日の一。
國家ののり。國家の秩序規律。後漢書「善人、國之紀也」
國家を維持するもとゐ。左傳「仲尼謂子產、於是行也、是以爲──矣」=國本。
すぐれたる碁の名人。文苑英華「杜牧送──王逢詩」あり。
其の國のめじるしとなるやうに制定せしはた。我が日の丸の旗の類。
すぐれたる治國の才ある者。史、晉世家「從者皆──」
事の輕重をはかりて平かにする、國權又は國政の義とす。詩、小雅「尹氏大師、秉國之均」=國鈞。
前條に同じ。白居易詩「爲問三丞相、如何秉──」=國權。
國の法律にてとめたる事がら。國のはっと。
くにざかひ。蜀志「折衝外禦、鎭保──」=國界。
すぐれて猛き狗。左傳「長木之斃、無不摽也、──之瘈、無不噬也」
一國のきみ。左、宣十五「──含垢」
くにのひかり。國語「季文子曰、吾聞以德榮爲──」晉書、衞瓘張華傳「忠爲令德、學乃──」=國光。
國民より選擧せられし議員が──議事堂に集りて、國政を議する機關。
くにの光、國家の盛んなる德のかがやき。易、觀卦「六四觀國之光、利用賓于王」
○星の名。史記「──星、大而赤、狀類南極」○其の國の天皇。
國政をとる高官。左傳「──、君之貳也」=大臣。
國民の信奉すべく定めたるをしへ。又宗敎。
國のおきて、國家の根本法規。後漢書、曹襃傳「撰定──」=憲法。
國政の威力。漢書、五行志「襄公時、天下諸侯之大夫皆執──」=國鈞。
國家の財產を統一して收支保管する所。大藏。
○國國の固有のことば。○書名、二十一卷、左丘明の撰と傳ふ、春秋の世の八國の事を記す、卽ち周語·魯語·齊語·晉語·鄭語·楚語·吳語·越語に分つ、左氏傳に對して春秋外傳ともいふ。○ 國 やまとことば、我が國のことば。
一國にすぐれたる良工。周禮、輪人「謂之──」註「國之名工」
國家が財政の都合上、借り入れる金、政府の負債、國民より募るを內──又內債といひ、外國より募るを外──又外債といふ。
國と國とのつきあひ。=國交。
國家と國家との關係につきて規定せし法規。其の政府と政府との閒に關するものを國際公法。國民と他の國民との閒に關するものを國際私法といふ。
國家に大功勞ありし人を弔ふ爲めに、國家の費用にて營む葬式。
皇女の夫、國壻に同じ。魏書「庫仁以──恃寵」
戰國策の略稱。
才德の一國を蓋ふ名士。史、刺客傳「豫讓曰、至於智伯──遇我、我故──報之」
國士として厚く待遇せられし恩。魏徵詩「深懷───」
一國中に雙びなき士。史、淮陰侯傳「蕭何曰、諸將易得耳、至如信者、────」
公卿大夫の子弟。周禮、大司徒「以三德、敎──」
天子の都城內に置き、貴族及び國中の俊才を敎育する所。事物紀原「晉武帝咸寧四年初立───」=國學·國子監。
前條に同じ。
國子學の校長。古、會合饗宴に、尊長が先づ酒を地に供へて神を祭る、故に轉じて長官の義とす。
國子學の敎授。
○一國內の出來事を記錄する史官。詩序「──明乎得失之迹」○一國の歷史。○ 國 日本歷史。
國 昔、全國に配置せし地方官、其の長官を守 カミ 又國守といひ、介 スケ 掾 ジヨウ 目 サクワン の屬官あり。
○其の國の通用文字。外國字に對していふ。元禮典「至元八年、頒行──」○ 國 我が國にて造りし漢字體の文字。峠·畠·杣などの類。
くにの記錄。晉書、袁宏傳「余以暇日、常覽──」=國史。
くにのまつりごと。史記「入則與王圖議──」=國政。
政治上の犯罪、時の政府の施政に不平を懷きて犯したる罪。
○國民の模範とす可き人。○天子の師。○ 佛 天子に佛敎を傳へたる禪僧に賜はる稱號。他宗の大師に同じ。
君主のよつぎ·まうけのきみ。後漢書「哀平短祚、──三絕」=太子·國儲·儲君。
○其の國固有のうた。○ 國 やまとうた。=和歌·國歌。
國家を表章する印。
國のかたき·國民の公敵。=國仇。
くにのありさま。
一國の政治を輔佐する宰相。岑參詩「攝政朝章重、持衡──崇」
國都にある學校。唐會要「豈有──、遂無圖繪」
國事に殉死せしもの。楚辭、九歌、注「孟郊有弔──詩」
○すぐれたる名醫。國を醫する手の義。晉語「上醫醫國、其次救人、固醫官也」の語より出づ。○國中にてすぐれたる名人。裴說、詠碁詩「人心無算處、──有輸時」
○一國の君主。○皇帝の貶稱。五代史、南唐世家「皇帝恭問江南──」江南──は南唐李後主、自ら號を降して稱す。○天子をいふ。李陵書「故欲如前書之言報恩于──耳」
國 古、地方の國國に配置世し國司の長守、單に守ともいふ。
○政府と政府との閒に贈答するてがみ。文體明辯「按、──者、鄰國相遺之書也」○ 國 わが國固有の書物。=皇典。
○國中にてすぐれたる美人。左傳「驪姬者──也」○牡丹の異名。王建詩「──朝酣酒、天香夜染衣」
くにのはぢ。國民の恥辱。=國恥。
くにのめでたきしるし、國家の吉兆。舒元輿、鄂政記「公德如卿雲景星、所出必爲──」
其の國固有の長所美風を保存する義。
輿論の是とする所の方針。國家の大計。新序、雜事「寡人未得所以爲──也」
くにののり、成は式。詩經「誰秉──、不自爲政」
國家の政事。孟、公孫丑「行乎──如彼其久」
直接に國庫に納める稅金、中央官廳の費用にあつるもの、地租·所得稅の類。町村稅·地方稅などの對。
天子のむこ、天子の女を娶りたる者。宣和畫譜「家世貴顯、又身爲──」=國甥。
臺灣語にてあゆ。=香魚。
一個人が國家に附屬する名籍 ミヤウセキ
くにのならはし。孟、吿子「變──」
國家にあだをなすもの。尉繚子「將自千人以上、有戰而北、守而降、離地逃衆、命曰──」
國の成りたち。くにがら。漢書、成帝紀「儒林之官、四海淵源、宜皆明於古今、溫故知新、通達──、故謂之博士」
國のはぢ。禮記「──足以興之」=國辱。
國家のしづめ、國家の重鎭。徐彥伯詩「大信天下寶、維賢國之鎭」
國君のよつぎ。漢書、疏廣傳「太子──副君」=太子·皇儲·儲君。
國家が撰定せし敎科用圖書、全國の初等敎育程度を一定する目的を以て·文部省にて編輯す。
他國又は他の朝代に對して當代の朝廷の義とす。舊唐書、禮儀志「高祖神堯皇帝、──首祚」=聖朝。
○其の國の儀式。○國の法典。=國法。○ 國 わが國固有の書物。=皇典。
くに。漢書、王莽傳「──人民」
國が安らかに治まる。華嚴經「天下太平、────」
くにのいりめ、國家の用度。梁武帝詔「──多乏」=國用。
國の財寶を納めおく府庫。帑は貨幣を藏するくら。=國庫。轉じて國家の財產の義。
國家に害毒を流す者、蠧は木のしんを食ふ蟲。白居易詩「誓心除──」=國賊。
太子の稱。晉語「夫太子國之棟也」
くにのなんぎ〔魏志、武帝紀〕
○くにのたからとなるもの。左、隱、六「仁親善隣、國之寶也」○ 國 古社寺の建造物及藏品中製作の優れる物、又、特別の由緒ある物などの、國家のたからとして政府より保護を與へあるもの。
國家を治むる法令。周禮、內史「執──」
國家又は君主を代表して來りし賓客、國家の優待を受くるもの。
くにのならはし。又、くにぶり歌。詩經の──に本づく。張九齡詩「陳詩問──」
○その國固有の文章。○ 國 わが國固有の文。=和文。
國士人民を支配する權力。後漢書、陳元傳「王莽專操──、以偸天下」=國權。
國政また國權に同じ、國の平均を秉る義。史、絳侯世家「君後三歲而侯、侯八歲爲將相、持──」
國 神社の格式にて官幣社の次に位するもの。內務省より年年幣帛を捧ぐ、大·中·小の三級に分つ。
○皇后の稱、萬民を子とする義。後漢書、鄧后傳「帝曰、皇后之尊、與朕同體、承宗廟、母天下、豈易哉」北魏書、張普惠傳「命之爲──」○天子の御はは。=皇太后。
國家の運命、多くは惡しき方にいふ。詩、大雅「於乎有哀、──斯頻」
○立國の根本。南史「人爲──」=國基。○太子をいふ。宋史「寧宗以──未立、命選太祖十世孫年十五以上者、敎育宮中」
たみ、人民。
國家の繼續する命脈。潛夫論「是以身常安、而──永」
國家のつとめ。政治。梁武帝詔「獄訟稍簡、──少閑」
くにのまつりごと。論、季氏「陪臣執──、三世希不失矣」
國のつひえ。禮記「冢宰制──、必于歲之杪」=國費。
○卿大夫の致仕せるもの。左、僖、二七「──皆賀」○ 國 藩主を輔くる大臣。=家老。
國家の利益。孫子「夫兵久而──者、未之有也」
國中の善良なる士。張九齡文「愼擇軍佐、敷求──」
くにの富力。又、兵力。唐書「度支多遷延、以困──」
國を思ふ心深し。漢紀「欲使親民如子──如家」
人君が位に居る義。書、無逸「中宗之──、七十有五年」
私利の爲めに國を他に與ふる。史、晉世家「鄭人或賣其國於秦」史、蘇秦傳「左右──、反覆之臣也」
都巿と鄕邑とを地わりして營む。周禮「────、設官分職、以爲民極」
始めて國を建つる。書、酒誥「乃穆考文王、──在西土」
國家を守る驍勇なる武臣をいふ。漢書、李廣傳「廣上書自陳、上報曰、將軍者、────也」
司直は、公直を司る義、後世は專ら司法官の稱とす。詩、鄭風「彼其之子、邦之司直」漢書、蓋寬饒傳贊「蓋寬饒爲司臣、正色立於朝、雖詩所謂────無以加也」
國家亂るる時は良相を得たしと思ふ。史、魏世家「家貧則思良妻、──────」
國は亡びたれども自然の山河のみは依然として存す。杜甫詩「─────、城春草木深」
セイ [庚]
○かはや(廁)○まじる(雜)
かはや、雪隱。蜀志、注「營壘井竈──」=圊廁·廁所。
かはや。涅槃經「大小──、無不備足」
リン [眞]
囫─ コツリン は物の完き貌。=渾侖。
9畫
ヰ [微]
○かこむ、かこふ、かこまれる。○かこひ、かこみ。○めぐる(繞)○敵をかこみて攻める。又敵にとりまかれる。莊、胠篋「魯酒薄而邯鄲─」○まもる、まもり。=衞。○まはり(周囘)○五寸のまるさ、一說に、ひとかかへ(一抱)
ごをうつ。韓愈詩「──鬬白黑」
かこひ。めぐりのかき。
かこみめぐる。張說詩「衆山皆──」
ひとかかへある大木。陶潛詩「──空自凋」
10畫
ヱン ヲン [先]
員は古字?は省文
○まる(丸)まるし、まどか(圜)方の對。○まろくす、まろむ、圭角 カド なく全き義、滿ちて豐かなり「─通」「─滿」○めぐる、めぐり(周)○貨幣の單位、百錢を─と爲す。○完く成る、了る「─婚」「─成」○ 國 あたり「關東一─」
同訓異義
マロシ 圓·團·丸○圓は方の對、まんまろきなり、形體に限らず、義理の上にも廣く用ふ、圓滿·圓熟と熟す、古は圜また員に作る。韓非子「左手畫レ圓、右手畫レ方、不レ能二兩全一」○團は圓なり、まろくあつめる義、疑團は疑のかたまりなり、團欒は車坐クルマザなり。小學「及レ至レ接レ人、則渾是一團和氣」○丸は彈丸なり、丸藥などの如く、まんまろく、ころげるものなり。
月の異名。曹植詩「──光未滿、衆星燦以繁」
まろき貌。徐陵文「明月──似班姬之扇」=團團。
まろきをか。天を祭る壇。禮記「祀天──、祀地方丘」
佛 釋迦·菩薩等の頭上に現はるる圓形の常光、後光 ゴクワウ 觀无量壽經「頂有──而各百千由旬」
なだらかにして滯なし。類書纂要「──不拘執也」文章軌範、獲麟解、謝枋得評「人能熟讀是等文字、筆便──、便能生議論」
まろくおだやかにしてかどだたず。蘇軾詩「鴟夷讓──」
まどかなるつき。李洞詩「一年十二度──、十一囘圓不在家」=滿月。
まろきと、かけたると。韋應物詩「華月屢──、君還浩無期」
相合はざる貌。傳燈錄「若將有限心識作無限中用、如將方木逗圓孔」=圓鑿方枘。
まどゐ。車座に坐す。晉書、阮籍傳「大盆盛酒、──相酌」
國 藁·藺などを編みてまろく平たく作りし敷物。=圓草褥。
圓座に同じ。
まろき穴に入るるに四角なる栓を以てす、相合はざるにいふ。史、孟軻傳「持方枘欲內圓鑿、其能入乎」
圓形の周圍。圓心より同一距離にある點のつながり。
數學上の語。圓の直徑と圓周との比。普通に三奇零一四一六と定める。
圓形の中心。圓周の各點より同一距離に在る點。
佛 僧侶の死をいふ。圓滿具足して寂滅する義。
おだやかにして十分に熟練する。圖繪寶鑑「古人筆法──、用意精到」
まるぎりのさきの如くに圓く尖れる形。圓を底とし點を頂とす。
○まろきあたま。○薙髮せる僧をいふ。蘇頲詩「──圖松石」
竹の異名〔淸異錄〕
○まろくころげる。晉書、王述傳「述性急爲累、嘗食雞子、以筯刺之不得、便大怒擲地、雞子──不止、便下牀以屐齒踏之」○自在にめぐりて滯 トドコホ らず。
まろきあたま。=圓頂。
まろきあたま、四角なるあし。人閒をいふ。淮南、人閒「頭之圓也象天、足之方也象地」=方趾圓顱。
佛 圓滿頓速に成佛する法の義、法華 ホツケ の妙法をいふ。轉じて法華宗の異名を──宗といふ。
宋の司馬光、まろき木にて枕を作り、少しく眠れば枕まろびて覺め、起きて書を讀む〔范太史集〕轉じて苦學の義とす。
○みちわたる。南史、梁武帝紀「有神光、──壇上」○まろくたらひて缺くる所なし。
ゆめの吉凶を判斷する。正字通「占夢以決吉凶、曰──」
○あまねくほどこす。長編「公家之費、敷於民閒者、謂之──」○なだらかにして滯なし。符載銘「靈以境生、境因──」
まろきかさ。儲光羲詩「──覆我首」
まろきあたま。南史「方趾──、萬不遺一」
國 圓山應擧の畫の流派。
ヱン ヲン [元]
○はたけ、果樹をううるその、垣のあるは─、無きは苑。○そののかき(樊)詩、鄭風「將仲子兮、無踰我─」○みささぎ(帝陵)はか(墓)禮、曾子問「葬于─」○別墅 シモヤシキ 遊息の處の名。
同訓異義
ソノハタケ 園·圃·苑·囿·場○園は果を植うるその、周圍に藩カキあり、又廣く菜または花·藥草を植うるにもいふ、花園·藥園等と熟す。漢書「漢董仲舒、三年不レ窺レ園」轉じて寢園は帝王のみささぎ。○圃は音ホ、はたけ、その、野菜を植うるその、周禮の註には、果蓏を樹うとあれば、必ずしも野菜のみに限らざるなり、蔬圃·菊圃·藥圃等と熟す。周禮「園圃毓二草木一」轉じて區域ある場所、文圃は文學を修むる場所をいふ。○苑は音ヱン菀に通じ用ふ、その、鳥獸を養ふ所以なり、周禮の疏に、古は之を囿といひ、漢には之を苑といふと、師古曰く、鳥獸を養ふを苑といふ、苑に垣あるを囿といふ、苑囿は廣き地面を要すれば、天子諸侯の力ならでは設け得難し、漢の上林苑·宜春苑·梁の孝王の東苑、文王の靈囿の如きを見ても知るべし。春秋成十八年「築二鹿囿一」の註に、墻を築きて鹿苑と爲すとあり、花あるそのを花苑といひ、多く萬物を蓄へ用を待つ義より轉じて說苑·字苑等の書名となり、物の集りたる一區域の場所の義より、文苑·藝苑等と連用す。○囿は音イウ、訓その、苑の周圍に垣あるをいふ、前の苑の解を參看せよ。漢書、高帝紀「故秦苑囿園池、皆令二民得一レ田レ之」轉じて、文囿は、文藝の社會、禮囿は、禮を講ずる場所。○場は音ヂャウ塲は俗字(場は音エキ田の畔界をいふ、别字なり)訓、には·ば、禾を收むるはたけ、稻のこなしば。
はたけ。連文釋義「藩有ルヲ園ト曰ヒ、墻有ルヲ囿ト曰フ」孟、滕文公「──汙池沛澤多而禽獸至」=園圃。
國 廣き庭園に多くの客を招き模擬飮食店·演藝場などを設けてもてなしをする一種の宴會。
その。庾信詩「──足芳菲」
花卉·樹木等を栽培する技。
みささぎに在るおたまや。後漢書、祭祀志「漢諸陵皆有──、承秦所爲也」=寢園·園廟。
はたけのやさい。後漢書、吳祐傳「自免歸家、不復仕、躬灌──、以經書敎授」=園菜。
そのと、いけと。史、王翦傳「請美田宅──」甚衆」
にはつくり。陸游詩「──刈霜稻、村女賣秋茶」=橐駝 タクダ 畦丁。
庭に設けたるちん、園內の四阿 アヅマヤ 宋史、李昉傳「昉所居、有──别墅之勝、多召故人親友、宴樂其中」
園寢に同じ。漢書、蘇武傳「詔武奉一太牢謁武帝──」=園陵。
その、はたけ。周禮、冢宰「──毓草木」洛陽名園記「洛人云、──之勝、不能相兼者六」=園囿。
その、はやし。宋書、樂志「雉子游原澤、幼懷耿介心、飮啄雖勤苦、不願棲──」
國 その、には。
11畫
ダン [寒]
一音トンドン
○まどか、まろし。=圓。○まろめる。○あつまる、聚合す。○あつまり(聚合體)かたまり、よりあひ「觀光─」○軍隊の組、又、其の稱「旅─」○──は露の多き貌。
同訓異義
マロシ 團·圓·丸の别は圓(口部十畫)の條を見よ。
○まろし。元稹詩「──靑玉疉」○轉じて圓滿にまとまる義。長く續く小說などのをはりの意に用ふ「大──」○家族のむつましき義。白居易詩「家居雖濩落、眷屬幸──」
鼈 スツボン の異名。
まるきつき、滿月。江淹詩「紈扇如──」
人人あつまりて組合をむすぶ。金史、廬庸傳「──兵士爲備」
くるまざにすわる。まどゐ。文獻經籍考「──飮酒以爲樂」=圓坐·團欒。
かためたる上品の茶。歸田錄「茶之品、莫貴於龍鳳、謂之──、凡八餠重一斤」
穀類の粉をこねまるめて造る食品「黍──」白獺髓「賣──者」
くみあひをつくる。又、組合。=團體。
うちは。王昌齡詩「旦將──暫徘徊」
あつまり、團結したる組。
○まろき貌。班婕妤詩「裁爲合歡扇、──似明月」○露の盛んに多き貌。謝惠連詩「──滿葉露」
○官名、一軍團の長。○國團體の長。
北淸事件(我が明治三十三年)を起したる支那の賊徒の稱。義和團匪徒。
次條に同じ。圝は欒の正字。
○まどゐ。陸游詩「堪笑此翁幽獨慣、卻嫌兒女話──」=團坐。○まろし(圓)陸羽詩「披書寓直月──」○だんごにまるめる。又、團子。范成大詩「撚粉──意」
人民を編制して敎練する義、以て鄕士を防ぎ衞る。
官名、唐代に置く、大なる者は十州を領するに至る、竝に團練副使を置く、後、刺史をして悉く───を帶びしむ。
ト ヅ [虞]
圗は俗字、啚は别字
○はかる(度·謀·計)相談する。質 タダ し問ふ。○はかりごと(策略)○土地山川などの形狀を畫きたるもの、ゑ(繪)○ゑかく(畫)○國土。○河─ カト は伏羲の世、黃河より現出せしといふ龍馬の背に負へる八卦のゑづ。
同訓異義
ハカル 圖·計·謀·量·度等の别は計(言部二畫)の條を見よ。
ゑもやうのしたがき、圖畫の意匠。
圖畫を按檢して、駿馬を求めんとするも得ること難し、因りて眞を失ふに喩ふ。藝林伐山「伯樂知其子之愚、但轉怒爲笑曰、此馬好跳、不堪御也、所謂────也」
ゑとき、繪圖をそへて說明する。
ゑがく。又、繪畫。漢書「詔──于甘泉宮」
ゑがく。又、繪圖。宣和畫譜「周昉生平──甚多」
五卷、元の夏文彥の撰、上古以來、宋金元に至る畫人を論評せしもの。
ゑかき。淮南、氾論「夫──好畫鬼魅、而憎圖狗馬」=畫工。
繪の餘白に書き入れる評語、又は詩歌。畫讚〔唐書、蔣乂傳〕
ゑづ。ゑづのおもて。
ゑづのかた。繪圖の樣式。北史、宇文忻傳「爲明堂──、奏之」
河圖と緯書と、皆未來の事、又占術に關する事を記せし書。後漢書、張衡傳「中興之後、儒者爭學──」
はかりて議論する、相談する。韓愈文「丞相公卿士大夫勞于──」
未來の吉凶を記したる書、未來記。後漢書、光武紀「以──說光武」
はん、印章。行廚集「印章曰──」
○書物。晉書、天文志「東壁二星、主文章、天下──之祕府也」○河圖洛書の略。易、繫辭「河出圖、洛出書、聖人則之」○私印をいふ〔印文考略〕
多くの書物を集めて衆人に見さす所。=書籍館。
國 古、中務省に屬し、圖書の收集保管·國史の修撰等を掌る所。今は宮內省に屬し、圖書の收集保管·皇室皇族に關する記錄等を掌る。
○土地の圖面と人民金穀の籍と。史、張儀傳「據九鼎按──、挾天子以令于天下」○書籍。魏書、安豐王延明傳「鳩集──萬有餘卷」=圖書。
偉業を成さんとするくはだて。莊、逍遙遊「有鳥焉·其名爲鵬、背若泰山、翼若垂天之雲、搏扶搖、羊角而上者九萬里、絕雲氣負靑天、然後圖南、且適南冥也」
圖(前條)の俗字。
13畫
①クワン [删]
②ヱン [先]
①めぐる(繞)かこむ(圍)
②圓(口部十畫)に同じ。
四方よりとりかこみてみる。賈誼、治安策「天下──而起」
めぐる。めぐらす。爾雅「其角多節、慼慼──者爲?羊」=圍繞。
めぐりてながれる。家語「──九千里」=環流。
天子が冬至に天を祭る處。周禮「──」疏「土之高者爲丘、圜者象天圜也」=天壇。
圓き穴に四角なるせん、物事の相合はざる形容。楚辭、九辨「圜鑿而方枘兮、吾固知其鉏鋙而難入」=圓鑿方枘·圓孔方木。
圜土に同じ。漢書、司馬遷傳「幽于──之中」=牢獄·囹圄。
ひとや。まろく圍みたる牢獄。周禮、地官「以──納之」=圜牆。
まろきと四角なると。又、其の器。王粲詩「嘉肴充──、旨酒盈金罍」=圓方。
19畫
ラン [寒]
まどか(圓)欒(木部十九畫)の正字。