厂部
0畫
カン [翰]
通音ガン
○きし(岸)がけ(厓)○いはほ(巖)○ 國 がん、雁の略字として用ふ。○がんだれ、字畫上の語。
2畫
①グヮ [哿]
②アク·ヤク [陌]
①きのふし(木節)=枙。○肉なき骨。
②わざはい。=戹。阨に作る同じ、くるしむ(困)あやふし。○ 國 やく、不吉の運生 マハリアハセ 「─年 ヤクドシ 」「─拂」
國 身にまはりあはせたる災難をはらひ除く、又、其の方術。=厄拂。
國 ○他人の難儀をたすける、介抱する。○轉じて、むづかし、難儀、面倒、わづらひ、もてあましもの。○世話になる、ゐさふらふ。
わざはひ。=災厄。
國 人の一生中、災難に罹る可き運命に當るといふ年齡。男の二十五·四十二·六十、女の十九·三十三·三十七など。
厄災に同じ。災厄艱難。易林「踐履──、脫去危患」
國 ○身の災難を拂ひ除く。=厄落。○昔時、大晦日又は節分の夜、厄難を攘ひ除く祓ひことばを唱へて錢を乞ひ步きし者、古の追儺の遺風といふ。
5畫
①シ [紙]
②シ [支]
③テイ [齊]
④チ [寘]
①と、といし(柔石)=砥。○とぐ(礪)砥石にてとぎみがく。○いたす(致)書、旅獒「西旅─貢厥獒」○さだむ(定)書、皋陶謨「朕言惠可─行」
②といし。○とぐ。
③いたる(至)
④いたす(致)
といし。漢書、梅福傳「爵祿束帛者、天下之──」=砥石。
○とぎみがく。○刃物を砥石にてとぎみがきて銳利にする。漢書、蕭望之傳「──鋒鍔」轉じて學問又、節操をはげみつとめる。=砥礪。
6畫
①ガイ [佳]
②ギ [支]
或は崖に作る
①きし、がけ、きりぎし(涯岸)○みづぎは(水畔)○かぎり、きは(際限)○きはだつ、かぎりあり。○まなじり、にらむ。=睚。
②きし。
宋末、陸秀夫が其の主、昺を負ひて海に赴きて死せし所、今の廣東省新會縣の南の海中に在り。=厓門山。
にらみみる。漢書、孔光傳「──莫不誅傷」一度にらまれたる程の少しの怨も必ず復讎する。=厓眦。
大略の義。=崖略。
7畫
ガ [歌]
けはし、さがし。=峨。
コウ [有]
○あつし。薄の反對。○大いなり、多し、重し。○こし(濃)「濃─」○むつまじ(睦)○あつさ、あつみ。○あつくす、ねんごろにす、優待す。
同訓異義
アツシ 厚·篤·敦·淳·醇·渥·腆○厚は薄の反、物の厚薄の厚なり。易經「坤厚以載レ物」又、廣く用ふ、溫厚·情厚なども、輕薄ならず、厚くたのもしき義。大學「其所レ厚者薄、其所レ薄者厚、未二之有一也」○篤は心を用ふること確かにして、專一にかたまりたる義、篤學·篤行などと連用す、轉じて病の重りて、とりつめたるを、病篤といふ。○敦は薄の反なれども、厚の如く物の厚みには用ひず、性行の上のみに用ふ。孟子「聞二柳下惠之風一者、鄙夫寬、薄夫敦」○淳は漓の反にて、醇と通ず、風俗又は性質の厚くしてまざりけなき義。○醇はまざりけなき、良き酒なり、淳に通ず。漢書「黎民醇厚」○渥はうるほひの洽アマネきをいふ、恩の字の意を帶ぶ。○腆は菲の反なり、進物の念の入りたるよき物をいふ、不腆は謙辭にて、自分の進物をいふ。
ねんごろなるこころ。漢書、趙廣漢傳「不忘卿──」=厚情·厚志。
てあつきめぐみ。漢書、宣元六王傳「稱──」=崇恩·洪恩·高恩。
あつかまし、面の皮厚き者は感鈍くして恥を知らずとの意。詩、小雅「巧言如簧、顏之厚矣」孔稚珪、北山移文「豈可使芳杜──、薜茘蒙恥」=鐵面皮。
てあつきよしみ、厚情なる交誼。
てあつき俸給。
てあつきたまもの、人よりの贈物又は禮遇を稱する語〔太平廣記〕=厚賜。
てあつきもてなし。漢書「漢王──之」=寵遇。
てあつきめぐみ。唐明皇文「答人神之──」=深眷。
俗 厚顏。=鐵面皮。
地をいふ。易經「坤厚載物」後漢書、皇后紀贊「坤惟──、陰正乎內」
てあつきほうむり。薄葬の反對。莊子「莊子將死、弟子欲──之」
ねんごろなるこころざし。=厚意。
てあつきたまもの。詩經、疏「受此──也」=厚貺。
ゆたかなるたくはへ。陸游詩「富商豪吏多──」
多くのとりいれ。陳造詩「良匠有妙斲、惰農無──」
てあつくむくゆる。左傳「飲之酒、──之」宋史「──以金帛」=厚報。
あつきくちびる。周禮「──弇口、出目短耳」
たかきうてな。墨子「高臺──」=危榭。
てあつく禮をのべる。唐書「更爲遜言──」
てあつきこころ。=厚意。
てあつくほめる、てあつき襃美。書經「功多有──」=重賞。
濃くしてよき酒。韓非、揚搉「──肥肉、甘口而疾形、曼理皓齒、說情而損精」=醇酒 ジユンシユ
ぢのあつきつむぎ、かとりぎぬ。後漢書、馬廖傳「陛下躬服──」
○民のくらしをてあつくする、帛 キヌ を衣て寒をしのぎ、肉を食ひて體を養ふ類。書、大禹謨「正德利用、──惟和」○身體を大切にする。
てあつきはなむけ。
てあつくみおくる。史、晉世家「──重耳」
てあつくもてなす。宋史「故吾──之」=敬待·禮待·厚遇。
てあつきめぐみ。虞世南詩「鴻施浹幽遠、──潤凋枯」=厚恩。
てあつきふち。北史「高位──、與時終始」=厚祿。
○あつき行。國語「唯──者、能受多福」○あつきめぐみ。德は恩。
てあつくむくゆる、鄭重なる返禮。=厚酬。
外貌は深愛を示して心の底は深くして知り難き義。莊子「孔子曰、凡人心險於山川、難於知天、天猶有春秋冬夏旦暮之期、人者────」
○あつきと、うすきと。淮南子「豈其趨捨──之勢異哉」○濃きと淡 ウス きと。○多きと少きと。
あつきさいはひ。宋史「能保全而享──者、由忠正也」
贈り物をてあつくする、又、てあつき贈り物。
○なさけあつくして飾りけなし。紀異錄「旣飾──之才」○ほほの樹、葉は槲に似て大きく、木蓮 モクレン に似たる白花を著く、其の樹皮を乾して漢藥とす。
うまき食物。列、楊朱「豐屋美服、──姣色」=美味。
腊は亟、味の厚き者は、其の毒すみやかなりとの義、重祿は禍を受くること速かなる喩。周語「高位寔疾顚、─────」
多いなる利得。史記「說之以──」
てあつき扶持 フチ =高祿。
テン [先]
俗に釐の省字として用ふ
○みせ、たな(市鄽)○ 國 りん、一錢の十分の一。
バウ [江]
○大いなり。=庬。○あつし(厚)左、成、十七「民生敦─」○ゆたか(豐)○まじる、まじはる(雜)
廣大なる貌。司馬相如文「湛恩──」=厖洪。
いりまじる、純一ならず。唐書「方今置吏不精、流品──」
形の甚だ大いなる貌。
形又は容積が甚だ大いなり。
毛深きまゆ、老人をいふ。四子講德論「──耆耉之老」
8畫
ゲン グヮン [元]
○はら、地の平かにして廣き處。○もと(本)元と通ず。漢書、董仲舒傳「道之大─出於天」○みなもと。=源。○おこり、はじめ。漢書、食貨志「農漁商賈四者衣食之─」○もとゐ、もとづく(基)○ふたたび(再)かさぬ(重)○たづぬ(尋)本を推し究むる。漢書、薛宣傳「─心定罪」○ゆるす(宥·赦)晉書、潘岳傳「會詔─之」○つつしむ(謹)=愿。○すなほ(直)○よみぢ、又、墓地。禮、檀弓「從先大夫於九─」もと地名より轉訛せしもの。○文體の名、其の本原を推論するを主とす、韓愈に─道·─人などの五─あり、後人之に因りて作る。○姓、─憲は孔子の弟子。
同訓異義
タヅヌ 原·尋·討·繹の別は尋(寸部八畫)の條を見よ。○モト原·本·舊·元·故等の別は本(木部一畫)の條を見よ。
もとの文案、最初の議案。修正案の對。
本と末と。禮、學記「或原也、或委也」
事のおこり。=原因。
罪をゆるす。蔡邕文「雖見──、仰愧先臣、傷肌入骨」=赦免。
物事のおこり、もと。=原由。
もとね、仕入れし時のねだん。玉堂雜字「照依──」
したがき。=草稿。
死罪をゆるしていかす。唐書「──其餘」
罪人などをゆるしてはなちやる。晉書、武帝紀「帝臨聽訟觀錄囚徒多所──」
周の宋人、孔子の弟子、原思なり、人と爲り狷介、居る所ろ蓬樞甕牖、上漏り下濕ふ、匡坐して弦歌す、子貢之に過ぎりて曰く、夫子病めるかと、憲曰く、財なき之を貧といふ、道を學びて行ふこと能はざる之を病といふ、思の如きは貧なり、病にあらざるなりと。杜甫詩「諸生──貧」
もとのままのことば。譯語の對。
訴訟を提起したる人、そにん。被吿に對していふ。水滸傳「──人李吉在這里」
二度目のかひこ。淮南、泰族「──歲再收」=二化蠶。
物理にて元素の分子を構成するもの。
○はじめをたづぬ。易、繫辭「──反終、故知死生之說」○はじめ、おこり「──時代」
したぢの性質、もとの物質。=素質。
高く平かなる地と低く平かなる濕地と。書、禹貢「──底績」
○人智の未だ發達せざる太古の民。○人の性に本づきしたがふ。韓愈に──篇あり。
こころを推したづねる。漢書、薛宣傳「──定罪、探意立情」
罪をゆるす。又、ゆるし。魏書、刑志「不在──之例」=原宥。
もとのありさま、以前の狀態。
事の情實を尋ね究むる。後漢書、邳彤傳論「凡言成事者、以功著易顯、謀幾初者、以理隱難昭、斯固──比迹、所宜推察者也」
もとのいろ、紅·黃·靑の三色の稱、この三色の配合によりて種種の色を現す。
實物の色そのままの寫眞銅版、實物の色を赤·黃·靑の三色に分解して、三個の寫眞をとり、之を銅版に製し三色のインキにて重ねて印刷する。=三色版。
もとの戶籍、本籍。寄留籍の對。又其の所在地を原籍地といふ。
ゆるしすすぐ、罪を宥し汚名を淸める。唐書、柳奭傳「雖被──、而子孫殆盡」
みなもと。孟、離婁「──混混、不舍晝夜」=源泉。
原野と大澤と。家語「鑄劍戟以爲農器、放牛馬于──」
もととなる規則、おほもとのさだめ。
たづねはかる。淮南子「──淑淸之道」
ゆるす、貸は假借。魏志、鍾會傳「有功王室、猶不──」
○もとのみち。○道義の本源をたづねる。淮南子に──篇、韓愈の文に──あり。
天道をたづね究める。
はらのはたけ。左、僖、二八「──每每、舍其舊、而新是謀」
運動又は活動をおこすもと。
はらのほとり。王昌齡詩「白草──望京師」
原は源、水の源に逢ふ。道の根原を知り得る義。孟、離婁「君子深造之以道、欲其自得之也(中略)資之深、則取之左右、逢其原」
○活字を組み合せて直ちに印刷に用ふるもの。紙型版の對。○もとのはん。翻刻、又は縮刷などの對。
原告と被吿と。=兩造。
○もとのままの文。○他國語に譯せざるもとの文章。譯文の對。
原は重なり、已に正廟を立てて更に重ねて廟を立つるをいふ。一說におほもとのおたまや。史、高祖紀「爲高祖──」
○謄寫、又は改作せしものにあらざる最初の帳簿。○もとちゃう、簿記の主要帳簿の一、仕譯の口座を設けて、貸借の記入をなすもの。
○もと、根本。漢書「敎化之──」○もとづく。淮南子「惟達道德者、能──之矣」○もとの書物、もとの文書。謄本に對していふ。
のはら。杜甫詩「始喜──闊」
おほもとの道理。說明·推論·斷定の據りて生ずるもとの道理。
製品のたねとなるもの、加工すべきもとの材料。紡績絲の──は綿、日本酒の──は米の類。
①サク [藥]
②ソ [遇]
①といし(厲石)○みがく(磨)○まじる(混)錯(金部八畫)の古字。
②おく。漢書、賈誼傳「抱火─之積薪之下」註「─、置也」=措。
シ スヰ [支]
或は崒に作る
─?は山のいただき(山巓)
9畫
シ [寘]
廁(广部九畫)に同じ
○かはや。○まじふ(雜)○つぐ、ついづ(次)○そば(側)○きし、ほとり。
10畫
①ケツ [月]
②クツ [物]
①その、それ(其)○みじかし(短)○さげる、たる(垂)=頓。○ほる、あばく。=撅。○のぼせ、神氣逆上のやまひ。
②突─は北方のえびすの名。夏に獯鬻 クンイク 殷に鬼方、周に玁狁 ゲンイン 漢に匈奴、魏に突─、宋に契丹 キツタン といふ。
頭をさげて禮を行ふ、角は額、ぬかづく。漢書、諸侯王表「漢諸侯王、──稽首」
サ [禡]
廈(广部の十畫)の俗字
いへ、はりだしたるいへ(旁屋)
レキ [錫]
歷(止部十二畫)の古字
○ふ、わたる。○こよみ。=暦。○をさむ、をさまる(治)
11畫
キウ [有]
廏(广部十一畫)の俗字
うまや(馬舍)
キン [震]
わづか、わづかに(少)=僅。
12畫
①エン [豔]
②エフ·オフ [葉]
③エン [琰]
④エン [鹽]
⑤アフ·エフ [洽]
⑥イフ·オフ [緝]
⑦アン [感]
①あく(飽)=饜。○たる(足)みつ(滿)史、貨殖傳「不─糟糠」○いとふ。○ふさぐ(塞)○うむ(倦)つかれる(疲)論、述而「學而不─、誨人不倦」○にくむ(惡)○たつ(絕)○すつ(棄)
②おす(壓)○しづむ(鎭)○はらふ(禳)「禁─」○ふす(伏)○おさふ(抑)○つぶす(潰)○あふ、かなふ(合)周語「克─帝心」○そこなふ(損)○あたる(當)○したがふ(從)○おそはる(魘)惡夢。○兩手を引きて胸の前に合せる敬禮法。儀禮、鄉飮酒「賓─介入門」
③かくす(藏)おほふ(掩)○おそふ。=魘。
④やすし(安)=懕。しづか(靜)
⑤おされて伸びす。○のぞむ(臨)
⑥─浥は、うるほふ(濕)
⑦しづみおぼる(沈溺)
同訓異義
アク 厭·飽·飫·饜の別は飽(食部五畫)の條を見よ。
○滿ち足りて勢の盛んなる貌。詩、周頌「──其苗」○安靜なる貌。詩、秦風「──良人、秩秩德音」
○いとひ、うれふ。○ エフクワン おさへつけられるうれひ。潛夫論「棟折榱崩、懼有──」
人世に居るをいとふ。莊、天地「千歲──、去而上僊」
哲學にて人閒の世を苦痛の境界とし、此苦痛を脫するには現世を出離するに在りとなす說。
十分にあきたる、滿足する。=厭飫·饜足 エンソク
あきたる、あきていやになる。易林「可以──」=饜飽。
いとひわづらふ。
國 えぶ、舞樂の初めに舞ふ舞。
食にあく、厭は饜と通ず、轉じて人を疏んずる。楚辭、哀時命「時──而不用兮、且隱伏而遠身」
佛 この世をいとひはなれる。往生要集「一──穢土、二欣求淨土」=出離。
禮式にて厭は兩手を引き胸につける。揖は手を前に推し出す〔儀禮、鄕飮酒禮、注〕
おさへつけふせぐ、抑へ鎭める。宋書、索虜傳「──凶寇」=壓當。
まじなひ。後漢書、淸河孝王慶傳「爲──之術」=禁厭。
○順ひ服する貌。荀、儒效「天下──」○ アンゼン おほひ隱す貌。大學「見君子而后──、揜其不善」
祈禱、まじなひなどして禍をおさへつける。漢書「東游以──之」
おさへつけて鎭める。
うるほふ貌。詩、召南「──行露」=厭邑。
國 あきて倦みたるきもち。
シ [支]
廝に同じ
○しもべ(僕)○わかつ、わかる(分·析)○はなる(離)○薪を取る者。
しもべ、奴隸。=厮徒·厮隸。
厮徒に同じ、豎は童僕。唐書、李素立傳「雖──一閱輒記姓名」
めしつかひ。史、蘇秦傳「──十萬」
こもの、軍中にて薪を取り、又はまかなひなどするしもべ。史、陳餘傳「有丨丨」」
こもの、輿はかごかき。〔漢書、嚴助傳〕
厮徒に同じ〔唐書、史朝義傳〕
13畫
ギ [支]
厜─はけはし(險)又、山の巓 イタダキ
①レイ [霽]
②ライ [泰]
①あらと、麁質の砥。=礪。○とぐ(硏)みがく(磨)○はげし(烈)たけし(猛)おごそか、きびし(嚴)論、子張「聽其言也─」○あやふし(危)○はやし(疾)いそがし(急)○おこる、おこす(興·作)○あがる、あぐ(抗)○ふるふ(奮)はげむ、はげます。=勵。○にくむ(疾)○しへたぐ(虐)暴虐なる人の諡に用ふ。孟、離婁「名之曰幽─」○惡鬼。○がけ、岸の高く危き處。○衣を以て水を涉る、帶より以上を─といふ。詩、衞風「深則─、淺則揭」○あし(惡)みにくし(醜)○やむ(病)やましむ。○えやみ、やくびやう(疫)わざはひ(禍)たたり(祟)左、昭七「子產曰、鬼有所歸、乃不爲─」○禮服に下垂するおほおび。
②かったい。史、范睢傳「漆身爲─」=癩。
怨をまねくいとぐち。詩、大雅、桑柔「誰生──、至今爲梗」梗は病。=禍端。
○行をみがく。魏志「砥節──、秉心不囘」=勵行。○きびしく行ふ。强制して行はしむ。
やまひのおに、やくひやうがみ、又、惡鬼。左、昭、七「今夢黃熊入于寢門、其何──也」
厲は迾、遮る、さへぎりとどめる、轉じてきびしくとどめる義〔周禮、司禮〕=嚴禁。
そこなひしへたげる、吳萊詩「風雷儻有作、──更紛更」
水を涉る。衣を持ちて深き處を涉るを厲、衣をかかげて淺瀨を涉るを揭といふ。詩、邶風「深則厲、淺則揭」轉じて機に臨み變に應じて程よく世を渡る義〔論、憲問〕
はげしくおごそか。柳宗元文「韓安平──端毅、高朗振邁」=厲肅。
志をおこして勉强する。漢書「──竭精」=勵志。
○はげしくはやし。禮、月令「季冬之月、征鳥──」○ ライシツ かったい、癩病。=癩疾。
かたち醜 ミニク き人。莊、天地「厲之人夜半生其子、遽取火而視之、汲汲然唯之恐其似己也」
おごそかにしてつつしむ。禮記「色容──、視容淸明」=嚴肅·厲嚴·峻嚴。
顏色をはげしくして怒る、血相をかへる。晉書「──謂左右」
精出してつとめる。漢書、宣帝紀「──求治」=勵精。
こゑをはげしくす。宋史「──折之曰、懦語沮軍、可斬也」
はげましすすめて人材を振作する。漢書、梅福傳「爵祿束帛者、天下之底石、高祖所以────也」
あらと、きめのあらきといし、(砥はきめの細く柔かなるといし)=礪石。
はげしくせず、猛からず。禮、表記「──而威」
嚴厲なる貌。晉書、周馥傳「馥以東海王越不盡臣節、每言論──、越深憚之」
世の中をすすめはげます。史記「激貪──」
○西北のかぜ。呂覽、注「──、乾氣所生一曰不周風」○あらき大風。○さびしく、さむげに吹く風。=悲風。
武器をとぐ。戰國策「綴甲──」=礪兵。
たみをしへたげなやます。孟子「──而以自養也」=虐民。
硏ぎてするどくする。=厲銳。
厲は癩病の人、亂世にありては王者は往往其の臣下に弑せらる。故に王者は、常に心に憂懼を抱く、厲者の唯~其の形の苦痛なるのみに比ぶれば、王者の苦む所は更に甚だし。故に厲者は王者の不幸を憐むとの謂〔韓非、姦劫弑臣篇〕