片部
0畫
ヘン [霰]
片は俗字
○かたかた、判 ワカ ちし木の右半。爿は左半、かたひら。○きれ「紙─」「木─」物の薄くして平かなる者。○かたかた(偏)一っの物事の半分、かたわれ、ひとつ(單·隻)○はなびら(瓣)「花─」○名─は名刺の俗語。○ ぺンス は英國の銅貨の稱、我が二錢一毛五絲に當る。=邊尼 ぺンニー
一方にのみ降るあめ。岑參詩「江村──外、野寺夕陽邊」
ひときれのくも、わづかの雲。
わづかのかげ。楊萬里詩「方羨冥鴻──寒」
俗 短き書簡。=寸簡。
きれはしのかき物。=斷簡·片書。
かたわれづき。于武陵詩「涼天生──」
かたこと。論、顏淵「──可以折獄者、其由也與」簡單なる言葉にて訟獄を判決する。由は子路。=偏言·一言隻辭。
わづかのことば。陸機、謝表「────、不關其閒」=一言半句。
片言に同じ。=隻語。
すこしのま。=片時·寸時。
かたおもひ。
かみぎれ。宋史、汪若海傳「高宗嘗以──、書若海名」
かたとき、わづかのあひだ。僧淸珙詩「如何三萬六千日、不放心身靜──」
かたこと。柳宗元文「總而括之、立──而不遺」=片言。
片時の義、晌は、まひる、轉じて時刻の義とす。
片簡に同じ。=片函。
すこしの善行。劉孝綽詩「一言白璧輕、──黃金賤」=小善。
片紙。郝經詩「隻字──猶應奇」
かるくひるがへる貌。又、きれぎれなる貌。庾信詩「──紅顏落、雙雙淚眼生」
花崗石 ミカゲイシ に似て岩石中にて成生最も古きもの「───系」
當事者の一方のみが義務を負擔する約束、贈與の約の類。賣買などの約を雙務契約といふの對。
國 國字の一、漢字の偏傍を省略して造りしもの。平假名の對。
山野に自生する宿根草、花と根とは百合に似たり、片栗粉の原料とす。=山慈姑。
國 片月に同じ。
4畫
ハン [潸]
板に通ず
○ふだ(簡牘)いた、木の ワカ 析ちて片を爲すもの。○城を築く時に土を兩方よりはさむ板。○ひがむ(僻)そむく(反)「──」○戶藉。論、鄉黨「式負─者」○一丈。又、八尺の長さ。又、二尺の廣さ。史、趙世家「城不浸者三─」○文書を板木 ハンギ にほる「出─」「─本」○しゃく、笏。後漢書、范滂傳「投─棄官而去」=手版。
神位。宋朝會要「王欽若奉詔製──成、貯以漆匣舁牀」
書物を印刷發行する、版木にほりて世に行ふ。=板行。
國 昔時、大判·小判の總稱、後世は、大判の稱。=判金。
著作物を印刷發行する權利。=著作權。
城ぶしんの具。版は土を挾みて築く板、鍤は土をおこす鋤の類。=板鍤。
○土地と人民と。轉じて領土の義。唐書、楊炎傳「賦不加斂而增人、──不造而得其虛實」=戶口册。○書籍〔管子、修業不息版、注〕
國 明治維新の際、諸大名が其の領土人民を朝廷に還したるをいふ。
○牆板と杵と、土功に用ふる具。漢書、英布傳「項王伐齊、身負──」○板と板との閒に土を入れてきつく。孟、吿子「傅說擧于──之閒」
版は戶籍、圖は地圖、領地の義〔周禮、冢宰、治官職〕
ものをかくふだ。劉禹錫文「其製如──」
はんぎ、ゑりいた、印刷する爲めに書畫をほりつける板。=板木。
版木 ハンギ にほりたる書物。寫本の對。=印本·板本。
5畫
ハン [翰]
判に通ず
○なかば(半)○わかつ(分)
兩半相合して一と成る、夫婦にいふ。儀禮、喪服傳「夫妻──也」
8畫
セン [先]
本、箋に作る、椾に同じ
○かきもの、かきつけ(文書)○君上に奉るかきつけ、上書·上表、後世には天子に表といひ、皇后·太子等に─といふ。文體明辯「─者、表也、識表其情也、字亦作箋」○文書をかきつける紙。又、札の類「書簡─」
召し狀、まはしぶみ。陸龜蒙、書銘「──奏報、離方就圓」
まうしたての書狀〔宋史〕
天子に上る書面、上奏·上表の類。後漢書、胡廣傳「文吏試──」注「周成雜字曰、牋表也、漢雜事曰、凡、羣臣之書通於天子者、四品、一曰章、二曰奏、三曰表、四曰駮議」
ハイ [佳]
○ふだ(札)文字を記して揭げ示す札「門─」○看板 カンバン 「招─」○たて(盾)「竹─」○ゐはい(木主)「位─」○かるた、勝負ごとに用ふる札「骨─」
たてと、かたなと。明史「以摧猺獞之用──者」
ふだ、かんばん。歐陽修詩「京師諸筆工、──自稱述」
前條に同じ。
巿街にある樓門の如きもの。
9畫
牕(片部十一畫)の俗字。
テフ [葉]
○ふだ(札)文書をしるせるふだ(書板)○けいづ「譜─」「玉─」○史編。晉書、辛謐傳「皆顯史─」○うつしぶみ(官府移文)○うったへぶみ、訴狀(訟辭)○ゆかいた(牀板)○ちゃうめん、帳簿「簿─」
官文書。唐書、嚴郢傳「──塡委、章程紊撓」
官府のうつしぶみ、官の照會文書。鶴林玉露「今世臺府、移文屬郡曰牒」
○まはしぶみ(囘章)○うったへぶみ、訴訟に關する文書。=訟狀。○役所の公文書。
トウ チユ ユ [尤]
○廁─はおまる(褻器)史、萬石君傳「取親中裙廁─、身自浣滌」○牆 ツヰヂガキ を築く短き板。
10畫
ハゥ [養]
一音バウ
○かけふだ、がく「題─」「門─」「牌─」榜と通ず。○揭げ示す。
かけふだ、かんばん。
○名剌 ナフダ の類。通鑑綱目集覽「──用紙寬四五寸、書姓名於紙之前邊(中略)凡謁人必先託門者通進之、然後引見也」○天子に謁する時、呈報するかきつけ。歸田錄「曹彬旣平江南囘、詣閤門入見、──稱、奉勅勾當公事囘、其不伐如此」
11畫
イウ [有]
○まど、壁にあけたる窗にて格子をはめしもの「戶─」「甕─」論、公冶長「自─執其手」○ひらく、みちびく(導)誘と音通。詩、大雅「天之─民」○羑に通ず。─里は殷の獄の名。漢書、景十三王傳「文王拘于─里」
窗(穴部七畫)に同じ。
15畫
トク [屋]
○文字をしるす木のふだ(書版·木簡)○かきもの(文書)「文─」「奏─」「案─」「簡─」「篇─」てがみ「尺─」○古代の樂器、筑の類。