丶部
0畫
チユ [麌]
○しるし、きれめにしるす點。○ともし火、燈火の象形。○主宰の主の古字。
2畫
イ [支]
佛書に用ふる伊の字〔涅槃經〕
クワン グワン [寒]
丸は俗字
○たま、はじき弓のたま「彈─」左、宣二「從臺上一彈人而觀其避─也」○すべて小にして圓きものをいふ「─藥」「─泥」○まろくしてころばす玩具。莊、徐無鬼「巿南宜僚弄─」○まろし、まろみ(圜)○まろぶ、まろばす(轉)まるめる。○鳥のたまご。○墨を數ふるにいふ。宋書「月賜隃麋墨一─」轉じて墨の稱「烏─」「松─」○──は易直 スナホ の貌。○ 國 まる(全體)○まる(圓)「日の─」○まる(城郭の內)○まる、まろ。船·刀劍·人などに添へることば「常陸─」「小烏─」「牛若─」○そつくり、そのまま「─裸」「─寢」
○樹のなほき貌。詩、商頌「松柏──」○ 國 マルマル 金錢の隱語。○すべて、全體。
ぐわんやく。=?藥。
どろのかたまり。後漢書、隗囂傳「囂將王元說囂曰、今天水完富、士馬最强、北收西河上郡、東收三輔之地、按秦舊迹、表裏河山、元請以一──、爲大王東封函谷關、此萬世一時也」小數の兵にて大敵を攻め落すをいふ。
ねりてまるめたるくすり。史、倉公傳「卽令更服──」=?劑。
3畫
タン [寒]
○赤色の土、水銀と硫黃と化合して成りし赤色の土。丹砂·朱砂·辰砂。○あか、あけ(朱)○あかし、あかく塗 ヌ る、揚雄、解嘲「朱─其轂」○精鍊せしくすり「金─」不老不死の藥。○まごころ(誠心)赤心にして僞なきをいふ。○牡丹 ボタン は花の名、一名鼠姑。○─麥 ヂンマルク は歐洲の國名。=丁抹。○ 國 赤つち。
同訓異義
アカシ 丹·赤·紅·絳·緋·殷○丹は丹砂の色なり、大赤なり。○赤はきらきらとあかきなり。○紅は桃色なり。○絳は大赤色なり。○緋は深紅色なり。○殷は音アン赤黑色なり、血の古くなりて、黑色を帶びたるをいふ。
赤かべ、あかぬりの壁。蘇轍、杭州龍井院納齋記「臺觀飛湧、──炳煥」
天子の諸侯に對する時、後に立つる赤色の屛風。舊唐書、敬宗紀「李德裕獻──箴六首、上深嘉之」
○赤ぬりのはしら。=丹柱。○はしらをあかくぬる。春秋、莊二三「丹桓宮楹」漢書、貨殖傳「諸侯刻桷──」
書名、明の楊愼撰す、二十七卷、天文·地理·時序·花木等二十六目に分つ。
あかきもや。江淹詩「──蔽陽景、綠泉涌陰渚」
○丹の出づるがけ。丹山を見よ。○赤色のがけ。次條參看。
丹き色のがけと靑き色の石壁との高く美くしきが如く、人品のすぐれて高きをいふ。書言故事「晉、宋纖有遠操、馬岌造焉、纖拒而不見、岌嘆曰、名可聞而身不可見、德可仰而形不可覩、知先生人中之龍也、銘詩石壁、曰、丹崖百丈、靑壁萬尋、奇木蓊鬱、蔚若鄧林、其人如玉、維國之琛、室邇人遠、實勞我心」
○赤きあさひ。○赤き日。梁昭明太子、香爐賦「匿──于西嶺」
晝夜常に明かなる丘 ヲカ 拾遺記「高辛有──之國、獻瑪瑙甕、以盛甘露、帝德所洽、被於殊方也」又「有──千年一燒、黃河千年一淸、至聖之君以爲大瑞」丘一に邱に作る。
極上等の茶。謝宗、茶論「此──、勝烏程之御舞」烏程は吳興の縣名、御舞は酒の名。
まごころ。傅咸表「披露──」=丹誠·丹懇。
丹砂の出る穴。史、貨殖傳「巴寡婦淸其先得──、而擅其利」
まごころ。任昉表「鉅平之懇誠彌固、永昌之──獲申」
丹砂を產する山。水經、注「丹水南有丹崖──、悉頳壁霞擧若紅雲秀天」
赤きべに。拾遺記「諸嬖人欲要寵者、皆以──點頰而後進幸」=燕脂 エンシ
赤きうるしにて塗る。說苑「──不文、白玉不雕、寶珠不飾」
まごころ。謝朓詩「旣秉丹石心、寧流素絲涕」文天祥詩「畱取──照汗靑」=赤心。
忠誠の心がいつまでも明かである。楊繼盛詩「浩氣還二太虛、─────、生前未了事、畱與後人補」
○赤く美くしきくちびる。丘巨源詩「倡樓出素手、歌席動──」=朱脣。○少年の口びる。沈佺期詩「──曾學史、白首不成儒」
辰砂 シンシヤ に同じ。本草綱目「──卽今朱砂」管子「上有──者、下有黃金」=丹沙。
道士が丹砂を燒き化して黃金となす術をいふ。史、封禪書「少君言上曰、祠竈則致物、──────、黃金成、以爲飮食器、則益壽、益壽而海中蓬萊仙者乃可見」
あかつち。詩、邶風「赫如渥赭」疏「其顏色赫然而赤、如厚漬之──」
朱ぬりのかき。楊炯、孔子廟碑「──數仞、吐納雲霞」=丹垣。
石橊 ザクロ の異名〔酉陽雜俎〕
○あかいろ赤色のゑのぐ。博物志「燒──成水銀」○堯 ゲウ の子の名、不肖にして位を繼ぐを得ず。
丹にて赤く書く、容易に消えざるが爲め。漢書、高帝紀「與功臣剖符作誓、──鐵契、金匱石室、藏之宗廟」
○赤と靑とのゑのぐ。○彩色畫。漢書、蘇武傳「雖竹帛所載、──所畫、何以過子卿」客越志「每疑──過實、今觀此景、乃知良工苦心」
○まごころ。唐書、戴至德傳「資啓沃、罄──」=丹心·丹款·赤誠。○ 國 心をこめて精を出す。=丹精·丹念。
國 心をこめて事をする、念を入れる。=丹念·丹誠。
まごころ。丹心を見よ。
道士卽ち方術の士の靈藥を煉る竈 カマド 西溪叢話「松下有廢──、又有茅屋數閒」
仙人の居る所。列仙傳「紫陽眞人周季道遇羨門子、乞長生訣、羨門子曰、名在──石室中、何憂不仙」六帖には石室を玉室に作り、名の上に汝の一字あり。
あかくぬりたる庭、天子の殿階の下をいふ。漢書、百官志「以丹朱漆地、謂之──」張衡、西京賦「靑瑣──」
赤きいただき、鶴をいふ。墨客揮犀「崆峒山廣成子修道所、絕壁有石穴謂之皁鶴祠、鶴頂如丹、毛羽皆黑、日照之、金色燦然」白居易、劉蘇州以鶴遠寄詩「素毛如我鬢、──似君心」
あかきはしら。崔駰、七依「──雕楹、飛閣層樓」=丹楹。
○螢 ホタル の異名。古今注「螢火一名景天、一名燐、一名──、一名夜光、一名宵燭」○鳳凰の異名。魏志、管輅傳、注「文王受命、──銜書」=丹鳳。
臍 ホゾ より一寸下の所。黃庭經「──之中精氣微」
國 丹精に同じ。
丹土に入るものは赤し、人は交はる友によりて、善ともなり惡ともなる喩。家語、六本「──────、漆之所藏者黑、是以君子必愼其所與處者焉」
紅葉したるかへで。杜甫詩「門巷落──」=紅楓·霜楓。
赤き色のこ。唐書、閻立本傳「立本俯伏池左、硏吮──、望坐者、羞悵流汗」
赤く塗りたるきざはし、天子の御所の稱。隋書、薛道衡傳「趨事紫宸、驅馳──」
赤と靑と。陳泰詩「晶熒──飛甍閣」
ふしぎのききめあるねりぐすり。唐書、柳公綽傳「有道士獻──」=靈藥·神藥·仙藥。
螢 ホタル の一名〔古今注〕=丹鳥。
朱色の鮮かなる土、辰砂の類。書、梓材「其塗──」疏「雘、采色、各有靑有朱、──則朱色者」江淹賦「愧金碧之琳琅、慙──之照耀」
4畫
シユ ス [麌]
○きみ(君王)國家の元首。○あるじ、ぬし(家長)○客に應ずる人、客の對。○己の仕ふる人「─人」漢書、蒯通傳「狗各吠非其─」○つかさどる(宰)まもる(守)すぶ(領)○もちぬし、物の所有者。柳宗元文「問其─、曰唐氏之棄地」○つかさ(宰)かしら、をさ(長)「謀─」「盟─」○かみ(神)○神靈のやどるところ、位牌「木─」○もと(宗要)○たふとぶ(上)○意志の向ふ所「─意」「─張」○おもに、もととして、物事の要點。易、繫辭「樞機之發、榮辱之─也」○燈火。○耶蘇敎徒が奉ずる天の神「天─」○公─は天子の女。○ 國 ヌシ 女が男を親み呼ぶ稱。○淵·山などをつかさどる神靈。
主人たる老婦人。
おもなる意味、かんじんなるむね。=主旨。
心を專らにして他に適 ユ かず、宋儒が、敬の字の義を解せし語。論、學而、朱注「敬者────之謂」
おもなる原因。
かなめ、おも、かんじん。
家の主人たるおきな。主人翁を見よ。
君主のめぐみ、又、主人の恩。舊唐書、崔衍傳「貞元中、天下好進奉以結──」
○我が心を主としたる我。○己の利益を主として他を顧みざるかんがへ、利己觀念。
○四方の賓客を掌る官名。史、滑稽傳「以髡爲諸侯──」○主人と客と、轉じて重きものと輕きものと、又、敵と味方と。
かなめなるところ、がんもく。=主要·要領。
○理想に進み行く道ゆき。○自己の執り守る一定の方針。
宗廟の祭器を主 ツカサド るは長子の任なり、よりて長子の稱とす。易、序卦「──莫若長子」に本づく。
○君主、天子。○己の主人を尊びていふ。
主として管理す。
事物を知覺し、思考し、感動する所のもの、われ。客觀の對。
○會計を司る官名。漢書、張蒼傳「爲──四歲」○ 國 軍隊經理部にて會計を司る將校相當官の名。
○國家を統治する最も高くして强き權力にして、全然不可侵のもの。=統治權。○この主權を有する者を──者といふ、我國にては天皇。
つかさ、事物を支配する者。荀、正名「心者、道之──」
主となりてきりもりする。=主宰。
○主として製造せらるる物品、副產物の對、石炭瓦斯を───骸炭 コークス を副產物とする類。○其の地にて產出する主要物產、我國にては生絲·茶の類。
○試驗官。唐書「狀元以下往謝──」○係り官。
主意に同じ。
犯罪の謀主となり、他人を指使して罪を犯さしむる者。
○主となりて事に當る「東宮──」○宋の官名。宋史「中書省錄事三人、──四人」
論理學の命題、又、文章の主となる語。=主語。
○一家のあるじ。賈誼、鵩鳥賦「──將去」賀知章詩「──不相識、偶坐爲林泉」○ 國 己が事ふる人。
宿のあるじ、翁は尊稱。史、范睢傳「願借乘車駟馬於───」
○一家の長、又、主となりて事を行ふ人。韓愈詩「更煩將喜事、來報───」○小說·脚本の中にて主眼となる人物。
惶恐といふ如し、發語敬謝の意、主上に在り、臣下に在りて自然に敬恐する義。史、陳丞相世家「平謝曰、──、陛下不知其駑下、使待罪宰相」一說に羣臣に主たる意、人主を斥していふ。
主として其の事に任ずる者。漢書「上問右丞相勃曰、天下一歲決獄幾何、勃謝不知、天下錢穀一歲出入幾何、勃又謝不知、汙出浹背、媿不能對、亦問左丞相平、平曰、各有──」勃は周勃、平は陳平。
天子を稱する語、人君。韓非、揚權「──用之、其國危亡」杜甫詩「──頃見徵」
軍の總大將。六韜「──之法、在務攬英雄之心」
主となりて言ひ出す、發頭人となりて說きまはる。=首唱。
國 主人と家來と、君と臣と。
天子の膳部を掌る官〔唐書、車服志〕
○目的物となるもの。=本體·本尊。○行爲の本となるもの、客體の對、權利義務の──は人にして客體は物。
治療を司る主任の醫者。
○自分の持論。韓愈、送窮文「各有──、私立名字」○主宰する。莊、天運「天其運乎、地其處乎、日月其爭于所乎、孰──是、孰綱維是」○主として張り持する。宋史、徐中行傳「願安時處順、──世道」
主となりて事を行ふ人。
かしらだちてはたらく人、重要なる人、中心人物、腦は身體中の主要部、故に喩ふ。
主として事に任ずる者、責任を負ひて專ら事にあたる者。
臣は其の主人と生死艱苦を共にする義。韓非子「────、上下相與同憂久矣」越語「范蠡曰、爲人臣者、君憂臣勞、君辱臣死」
新聞·雜誌などの記者の首位に在る者。
○賓客中の主たるもの。○主人と客と。
○あるじ。おやぢ。○妾が夫を稱していふ。戰國策「──大怒而笞之」
○一家をつかさどるをんな。○祭祀に主となるをんな。禮記「非宗子、雖無──可也」
○試驗官。唐書「──歎賞不已」=主司。○ 國 但書·附言等に對して、本文をいふ。○判決文の第一段、判定の結果及び適用する所の法律を記するもの。
本妻·正妻。史、蘇秦傳「妾欲言酒之有藥、則恐其逐──也」妾が妻を稱する語。
帳面 チヤウメン を主 ツカサド る官。漢官儀「──掌縣之簿書」事物紀原「後漢始有──之號、諸郡置之、卽今錄事參軍也、至隋大業中、諸縣始置──、掌勾稽簿籍糾正縣內非違」
主となりて、はかりごとをするもの。=張本。
特に其の行政事務を主宰する官廳、例へば敎育の事は、文部省を───とするが如し。=主務官廳。
主務省の大臣。前條を見よ。
盟の時に主となるもの。劉克莊詩「每歲鶯花要──」=盟主。
國 宮內省の中にある一局、御料の馬匹を司る。
おもなるちから。轉じて本陣·中堅等の義とす。
國 大嘗會 ダイジヤウヱ の時、供御 クゴ の新穀を奉る爲めに豫め占ひ定める國、其の第一を由基 ユキ 第二を──といふ。すきはすすぎ(潔齋)の義。=主紀·次基。
○ 國 古、みつぎもの又は田租米倉などを掌りし官、其の役所を──寮といふ、民部省に屬す。○人名「大石──」
○ 國 古は宮中の御庭の掃除·湯沐·薪油等のことを掌る役所、明治四十年十一月官制改正によりて宮城廳舍及び其の附屬建物の管守竝に警察に關する事務を掌る。
①タン·トン [感]
②セイ·シヤウ [梗]
①物を井中に投ずる音、どんぶり。
②ゐ、ゐど、井(二部二畫)の古字。○ 國 ドンブリ 小形の鉢、又、それに盛りし食物「鰻─」○職人などの腹掛 ハラカケ のかくし。