山部
0畫
サン セン [删]
やま、地の高起せるもの。峯·嶺·岳·丘·阜·岡等の總稱「丘─」「靑─」「火─」「秃─」「名─」「玉─」
山の曲り入りたるくま。嵆康詩「採薇──、散髮巖岫」
やまのもや。戎昱詩「──生朝雨、江烟作夕嵐」
やまざくら。沈約詩「──發欲然」然は火がもえる。
○やまのきた。郊祀志「山南曰陽、山北爲陰」○地名。世說「王子猷居──夜大雪、忽憶戴安道、時戴在剡、卽便夜乘小船就之」
やまのああ。許渾詩「溪雲初起日沈閣、──欲來風滿樓」山家にて雨の降らんとする前には、風が二階に滿つ、すべて、事の發せんとする前に、徵候のあらはるるに喩ふ。
○山中に在るいへ。=山房·山宅。○ 國 ヤマガ やまおくに在る家「──育ち」
○ゐなかのつまらぬうた。白居易、琵琶行「豈無──與村笛、嘔啞啁哳難爲聽」○ふなうた、舟人のうたふ歌。=水調。
ひなうた。姑蘇志、風俗篇「────亦成音節、其俗可謂美矣」
山と、うみと、洪大なる喩とす。曹植、求自試表「冀以塵露之微、補益──、螢燭末光、增暉日月」
山や海より產する珍らしくうまき食品。盛饌をいふ。=山珍海錯。
人を仰ぎ慕ふ、高山を仰ぎ望むに喩ふ。詩、小雅「高山仰止、景行行止」に出づ。
山に產せしさかな、わらび·筍など。歐陽修文「──野蔌、雜然而前陳者、太守宴也」
山河が襟や帶の如くめぐりかこむ。又、其の要勝の地。王勃、滕王閣序「襟三江而帶五湖」白居易詩「山河地襟帶、軍鎭國藩維」
○山中に住む人。王維詩「花落家僮未掃、鳥啼──猶眠」=山人。○つつじの異名。花譜「躑躅爲──」
兩山の谷あひ。=谿澗。
やまがへる。本草「──在山石中藏蟄、似蝦蟇而大、黃色能吞氣、飮風露」
やまでら、龕は塔なり、また塔下の室をいふ、佛を安んずるところ。沈炯詩「石座應朝講、──擬夜禪」
やまのかみ。皮日休詩「勢能擒土伯、醜可駭──」
國 わさび。溪邊の砂中に生ずる多年生草、葉は錢葵 ゼニアフヒ に似、地下莖は辛味芳香あり。=山萮菜。
山のふもと。張耒詩「扁舟横江來、──繫吾纜」=山足。
かくれて山中に住む。謝靈運に──賦あり。
國 蔓草の一、どぶくりゃら、根を藥用とす。=土茯苓。
古、山林のことを司る官。周禮、地官「──、掌山林之政令」
虎 トヲ の異名。說文「虎、山獸之君」
山に居るもののけ。宋之問詩「巨石潛──」=山魅。
やまみち。山中のこみち。=山蹊。
山閒のこみち。顏延之詩「謁帝蒼──」
山經は山岳の大系を記せし書、地志は地理書。宋史、劉敞傳「學問淹博、自佛老卜筮天文方藥、────、皆究知大略」
やまかご。
天子の萬歲を祝する義。漢書、武帝紀「登嵩高、御史乗屬在廟旁、吏卒咸聞呼萬歲者三」=嵩呼。
世を遁れて山中にすむ人。莊子「此────、非世之人、枯槁赴淵者之所好也」=山林之士。
○ふもと。庾信、明月山銘「風生石洞、雲出──」=山脚·山足·山麓。○相術家の語、鼻梁をいふ。
己の妻を人に向ひていふ時の謙稱。杜甫詩「理生那免俗、方法報──」=荊妻。
山中の居室、山中の書齋。徐陵詩「竹密──冷」
やまにあるいへ、山中の別墅。梁昭明太子詩「棲烏猶未翔、命駕岀──」=山房。
山魈に同じ。
高さ四五尺の落葉灌木。果實は食用に供す。=山樝子。
山がむらさき色をする。王勃、滕王閣序「潦水盡而寒潭淸、煙光凝而暮──」
山水の風景の美くしき形容。
山を買ふ費用、隱居の準備にいふ。南史、王秀之傳「吾──已足矣、豈可久畱以妨賢路」
山中の池。杜甫詩「南有龍兮在──、古木巃嵸枝相樛」
俗事をすてて山に隱れ居る人、やまびと。唐書、李泌傳「著黃者聖人、著白者──」
祭禮の時のだしぐるま。通鑑、玄宗紀「以──陸船、載樂往來」注「──者、車上施棚閣、加以綵繪、爲山林之狀」
やまの惡氣。王冑詩「五嶺常炎鬱、百越多──」
出るといふ隱語。古詩「藁砧今何在、山上又有山」
國 小鳥の一種。やまがら、形はほほじろに似て性さとく、種種の藝をおぼえる。
をながどり。鵲 力ササギ に似て、頭上に白き冠毛あり、くちばしは赤く、尾は白くして長し。爾雅、疏「──、說文云、知來事鳥也」
むぎぐわゐ。又、かたくり〔片栗〕
山中に居る。淮南子「蛟龍水居、虎豹──、天地之性也」=山居。
○やまと、みづと。南史、王弘之傳「有佳──、弘之又依岩築室」謝靈運傳「出爲永嘉太守、郡有名──」○山水の畫。唐書、李思訓傳「思訓善畫、世所謂李將軍──者」
やまにすむ。何氏語林「鳳凰不憎──、蛟龍不羞泥蟠」=山栖。
山のぬし。山の神。抱朴子「──一曰岐、一曰超空、一曰岐、一曰飛龍、呼其名、不敢爲害」=山魈。
山の如くつみかさなる。後漢書、崔駰傳「處士──、學者川流」
○山のいただき。宋史、張俊傳「俊遣步兵、從閒道直趍──、殺伏奪險」=山頂。○芸香科に屬する木の名。=蜀椒。
國 深山の溪流に棲み、形ゐもりに似て醜く、肉は食用とす。=鯢魚。
山中のばけもの。南唐記「山閒有木客、形骸皆人也、但鳥爪耳、巢於高樹、伐樹必害人、一曰山臊」
やまと、かはと。詩、小雅「──悠遠」
山や川のよきけしき。陶弘景文「────、古來共談」
山のこけ。陸龜蒙、山僧詩「──幾重生草履」
やまのすみ。又、やまおく。張說詩「登降閩──」=山隅·山阿。
山と大いなる澤と。一說、山の林藪あるもの。左、宣十四「──藏疾、川澤納汙」盧諶詩「大雅含弘、量包──」
やまのふもと。詩、大雅、傳「麓、──也」=山脚。
山にこもれる賊。旅人等に害を加へる者。南史、謝靈運傳「伐木開徑、直至臨海、從者數百人、臨海太守王琇驚駭、謂爲──、徐知是靈運乃安」
やまざと。蘇軾詩「江南雪不到、霜露滿──」
谷閒などにかけたる水車のうす。岑參詩「野爐風自爇、──水能春」
山より成りたる島。魏志、倭人傳「倭人在帶方東南大海之中、依──爲國邑」
字は巨源、晉の河內懷の人、器量不羣、少くして阮籍と竹林の友たり、武帝の朝、吏部尙書となる、人物を甄拔するに、各題目を爲す、時に山公啓事と稱す。
やまと、さはと。易經「天地定位、──通氣」
べにゆり、ひめゆり。仙遊志「──花一葉百蕊、狀如繡毬」=紅百合。
山の如く高くそばだつ。李君房、白獸樽賦「樽則雲飛而──、獸乃白質而黑章」
やままゆのつむぎ。王禹偁詩「野蠶自成繭、繰密爲──」
每州名山の大なろものを、其の州の鎭として、地德を安んずる義。周禮「東南曰揚州、其──曰會稽」
山海の珍味、盛饌をいふ。韋應物詩「────棄藩籬」
○隱居して學業を敎授する人の稱。荊湘近事「五代蔣維東、隱居衡岳、受業者、號爲──」○校長の義〔元史、選擧志〕
やまのいただき。舊唐書、明皇紀「東封泰山(中略)禮畢、羣臣稱萬歲、傳呼自──至嶽下、震動山谷」
山中に隱れ居れど、國家の大事の諮詢に預るもの。南史、陶弘景傳「武帝每有大事、無不諮詢、月中常有數信、時人謂爲────」
私心を破るの難きに喩ふ。陽明全書「──────────、區區翦除鼠竊、何足爲異」
山中に住めば日月の移るをも知らず。唐、太上隱者詩「─────、寒盡不知年」
鼻ばしら、鼻が顏に在るを、築山の庭にあるに比していふ。論語摘輔像「子貢──斗繞」庾信、齊主碑「珠角擅奇、──表德」
○山にすむ鳥。=山禽。○ ヤマドり 國 雉に似たる鳥。=山雉·山雞。
山頂に同じ。華山記「──有池、生千葉蓮華、服之羽化、因曰華山」=山顚。
泰山北斗の略語。文天祥文「──之望、彌久而彌穹」泰山北斗を見よ。
○狒狒 ヒヒ の異名。爾雅「狒狒如人、被髮迅走、食人」○神の名。述異記「南康有神、曰──、形如人、長二丈餘、黑色赤目黃髮」
山東よりは宰相を出し、山西よりは將校を出す、土地によりて出す所の人材の相違あるをいふ。漢書、趙充國辛慶忌傳贊「秦漢以來、────────」
函谷關以東の諸侯、戰國時代の齊·楚·燕·韓·魏·趙の六國をいふ。
山中に在る家。溫庭筠詩「──霜氣晴、一宿遂平生」=山家·山莊。
大砲の一種、山地の戰に用ふるもの。野砲より小にして輕便なり。
ぢんちゃうげ。三柳軒雜識「──爲幽客」楊萬里詩「露酣月色蒼茫外、梅與──伯仲閒」=七里香。
やまのこだま。山のばけもの。錢起詩「金鏡逃──、霜風破嶂雲」
山のなれしか。陳陶詩「野鶴思蓬闕、──憶廟堂」
山と、をかと、阜は土山の石なきをいふ。詩經「如山如阜、如岡如陵」孫綽、天台山賦「融而爲川瀆、結而爲──」
山の頂と麓との閒、山の半腹。廬山記「水岀──、挂流三四百丈」=山半。
天子のかんむり。荀子「天子──」
山家に住むばば、やまうば。章孝標、諸葛武侯廟詩「木牛零落陣圖殘、──燒錢古柏寒」
祭禮の時などに出す山ほこ。夢華錄「元宵大內前、絞縛──、結綵山、山上皆盡神仙故事、置燈燭數萬」
やまあさ(薜)江均詩「緣澗採──」
ぶな(橅)深山に生ずる落葉喬木、實を炒りて食ふ。
山の中に住む人民。申鑒「──樸、巿民頑」
やまつづき。朱子語錄「冀都是天地中閒、──從雲中發來」
○ 佛 寺の前の樓門。寺にはすべて山號あるに由る。○ 國 比叡山延曆寺の別稱。
○山と野と。宋書、謝靈運傳「敍──草木水石穀稼之事」○ゐなか、やまが。元結詩「──性所安」
やまのみなみ。=山南。
笛聲を聞き懷舊の念を發せし故事。晉書、向秀傳「秀經山陽舊廬、隣人有吹笛者、發聲寥亮、秀乃作思舊賦」
薯蕷 ヤマノイモ の異名。
山葵 ワサビ の漢名。
けはしき山路を登る輿 コシ 文翔鳳、登石山記「以──登」=山轎。
やまかぜの音。鮑照詩「野風振──、朋鳥夜驚離」
やまなし。杜甫詩「──結小紅」=山梨。
山の中。王康琚詩「放神靑雲外、絕迹窮──」=山中。
勉めて止まざるときは如何なる難事をも成し遂ぐるに喩ふ。說苑「泰山之澑穿石、水非石之鑽也、而漸靡使之然」
くりの稍小さきもの、しばぐり。蘇轍詩「──滿藍兼白黑、村醪入口半酸甜」
山とはやしと。周禮、地官大司徒「辨其──川澤丘陵墳衍原隰之名物」注「積石曰山、竹木曰林」荀子「川淵者魚龍之居也、──者鳥獸之居也」
國 農商務省の一局、森林原野に關することを掌る。
歐陽修の釋祕演詩集序の語、豪傑の士の賤役に甘んじて山林巿井の閒に伏する者をいふ。史記に「樊噲以屠狗爲事」「灌嬰雎陽販繒者也」とある類。
山林にかくれをる士。漢書、王吉傳贊「────、往而不能反、朝廷之士、入而不能出、二者各有所短」張華詩「隱士託山林、遯世以保眞」
○やまと、をかと。史、淮陰侯傳「兵法右倍──、前左水澤」○みささぎ、天子の墓。
天子のかくれたまふをいふ。戰國、素策「王之春秋高、一日───、太子用事」
蜥蝪 トカゲ の異名〔本草綱目〕
やまのかみ、山のぬし。陳造詩「──建飛雨、淨洗綺羅塵」
誓を立つる時の語。泰山が礪 トイシ の如く平かに、黃河が帶の如く細くなるとも變らざる義。史、高祖功臣年表「封爵之誓曰、使河如帶泰山如厲、國以永寧、爰及苗裔」厲·礪通ず。
やまのふもとのもり、山下の林。杜甫詩「亭午下──」
山のくま。曹植詩「涉澗之濱、緣山之隈」=山曲·山阿。
國 近江國坂本の日吉神社。
國 ゐのししの肉の異稱。
山居の幽靜なること、太古の時代の如し。唐庚詩「─────、日長如小年」
節操の高くして人に仰がるる形容。范仲淹、嚴先生祠堂記「先生之風、────」
遠く隔りたる義。許渾詩「────無消息」
聲が山や谷にひびきわたる。後赤壁賦「────、風起水湧」
山海の產物の多く出づるをいふ。史、吳王濞傳「卽山鑄錢、煮海水爲鹽」
決して得べからざるに喩ふ〔易林〕=緣木求魚〔孟子〕
國 事蕷 シヨヨ の和名。
山の極めて峻險なる形容。李白、送友人入蜀詩「見說蠶叢路、崎嶇不易行、──────────、云云」
國 ○山の神。やまづみ。○聲が山にあたりて起る反響。こだま。
國 蛭の一種、くさびる、深山の樹木の枝葉にかくれ、人畜來れば落ち來りて血を吸ふもの。
國 山野に伏して神佛の道を修行する者。=修驗者 ンユゲンジヤ
國 比叡山延曆寺の僧。=山徒。
國 祭禮の時、みこしの上に立てるほこ形の飾り。=山棚。
國 蠶に似たる蟲、楢·樫等の葉を食ひ、淡黃色のまゆを結ぶ。まゆより絹絲をとる。=山蠶·野蠶。
2畫
セン [先]
やまびと(仙人)山に入りて長生する義。=仙。
3畫
キ [紙]
はげやま(禿山)山に草木なし。詩、魏風「陟彼─兮」
ギツ [物]
通音キツ
○山の高くそばだ(峙)つ貌「─立」けはし(嶮)たかし(高)○たけくさかんなる貌。
獨りそびえ立つ貌。蘇舜欽詩「烽臺──百丈起」
きりぎしのそばだてる貌。南都賦「嶔巇──」
はげ山のたかき貌。元結詩「山──兮水淪漣」
高くそびゆる貌。江賦「虎牙嵥豎以──」
○山のそびえたつ貌。○獨立して屈せざる貌。=毅然。
山が高くそびえたつ。薩都刺詩「雙崖──幾千仞」
國 ○たしかに、しかと。○かならず(必)
コツ ゴツ [月]
○はげやま(禿山)の貌。○たかくけはし「嶤─」
4畫
力 [麻]
通音ガ
うつろ、谷中の大空なる貌。=谺。
キ ギ [支]
通じて歧に作る
○ふたまたにわかる「分─」○ふたまた、えだみち。列、說符「亡羊者曰、─之中、又有─、不知所之」○たかし(高)けはし(峻)詩、大雅「克─克嶷」○山の名、陜西省─山縣に在り、周の太王邠より徙りて此の山下に居る。
すぐれ秀でる。張說文「性實──」
幼くしてすぐれぬきんでる。峻茂の貌。詩、大雅「克岐克嶷」晉書、簡文帝紀「帝幼而──」
あしをそばだてる。張衡賦「心猶豫而狐疑兮、卽──而臚情」
西周をいふ、其の初、岐山の下に國せしが故。書傳「西土──之政」
○岐路に同じ、塗は途。○まぎらはしき條理。
岐はわかれ路、練は白きいと、岐路に哭し、白絲を見て泣くは、其の本同じくして末の異るを悲む。淮南、說林「楊子見岐路、而哭之、爲其可以南可以北、墨子見練絲、而泣之、爲其可以黃可以黑」
岐山の陽に在りし石鼓。歐陽修集古錄「石鼓文、在岐陽、初不見稱於世、至唐人始盛稱之、而韋應物以爲周之文王之鼓、至宣王刻詩爾、韓退之直以爲宣王之鼓、在今鳳翔孔子廟中」
えだみち。列、說符「隣人曰、多──」=岐塗。
キフ [緝]
○山の高き貌。○あやふし(危)
山の高く聳ゆる貌。朱松詩「九州眼一槩、餘子眞瑣瑣、嶽立培塿中、喜此高──」
○あやふき貌。孟、萬章「天下殆哉、──乎」○高き貌。屈平賦「高余冠之──兮」
たかくけはし。楊系賦「勢──以山峙」=岌峨·嶷岌。
山の高くあやふき貌。張衡、西京賦「狀嵬峩以──」
グヮン [寒]
○けはし(嶮)たかし(高)○巑─は山の銳く尖りたる貌。
①シン [侵]
②ギン [寢]
①みね、山の小にして高きもの「遙─」「嶺─」「碧─」「危─」「尖─」○さがし(阻)けはし(峻)「峻─」
②きし(岸)がけ(崖)莊、徐無鬼「未始離於─」
山の高くして林の茂れる處。大學、朱注「丘隅、──之處」=岑翳。
たかき貌。東方朔、七諫「世沈淖而難論兮、俗──而嵾嵯」
髙くけはしきいはほ。江淹賦「峰──而蔽日、樹靜瞑而臨泉」
高くけはしきいはほ。管子「山陵──、淵泉閎流」
山のけはしき貌。司馬相如、子虛賦「──參差、日月蔽虧」
頭の痛める貌。漢書、外戚傳「我頭──也、藥中得無有毒」
唐の南陽の人、天寶中の進士、出でて嘉州の刺史たり、退きて杜陵山中に居り、蜀に客死す、詩調最も高く、高適と名を齊うして高岑と竝稱す。=岑嘉州。
高きみね。=高峯。
高きたかどの。孟、吿子「方寸之木、可使高於──」一解に山の頂の銳き者、樓は塿に通ず。
セツ [屑]
やまのくま(山曲)の高き處。
タ [禡]
みつまたのみち(三分路)
岷(山部五畫)に同じ。
フン ブン [文]
さがし(阻)たかし(高)
山の高き貌〔揚雄、蜀都賦〕
5畫
アゥ [養]
○ふもと(麓·山足)○おくふかし(深邃)左思、魏都賦「山林幽─」
力ウ コウ [陽]
崗は俗字
○をか(小山)○やまのせ(山脊)詩、周南「陟彼高─」又、山脊の廣く平かなる處。○崑─ コン力ウ は崑崙山。
をか、阜は土山。夏侯湛賦「搜陵危險、覓歷──」=丘阜。
をかと、やまと。西京賦「華嶽峨峨、──參差」=丘山。
をか、岡は小、陵は大。詩、小雅「如岡如陵」
嶽(山部十四畫)の古字。
山の崇大なる者一五─」
湖南省の北部、洞庭湖の東岸に在りて湖南の要地たり、多く茶を輸岀す。岳陽樓は府城の西門の樓をいふ、洞庭湖を下瞰し、風景絕勝なり、宋の范仲淹の記あり。
字は鵬擧、相州湯陰の人、少より氣節を負ひ、左氏春秋·孫吳の兵法を好み、盡忠報國を以て自ら任ず、金人、入寇するや募に應じて起ち、屢强敵を破り、未だ嘗て一敗せず、奸臣秦檜の和を主とするを難じ、紹興十一年竟に檜の爲めに構陷せられて獄中に殺さる、年三十九、後鄂王に追封し、武穆と諡し、後改めて忠武と諡す、浙江省杭縣西湖の上に岳王の墳あり。
岳飛を見よ。
四岳と十二牧と。史、伯夷傳「舜禹之閒、──咸薦」
岳州府を見よ。
力フ [洽]
○山の旁 カタハラ ○はざま、兩山の閒。○ 國 みさき、山の海中に突き岀たるもの。
ガン [翰]
○きし、きりぎし、厓 ガケ 峻 グハシ くして水深し「海─」「對─」「峭─」「斷─」○かぎり。○きざはし(殿階)○ひとや、宿驛に在る獄屋。詩、小雅「宜─宜獄」=犴。○かどかどし、廉稜あり。○額をあらはす「─幘」○魁─はすぐれてぬきでる(雄傑)○傲─はおごりて物に屈せず。
きしのくま、岸の入りこみし所。
からだが大きくたくまし。=魁傑。
ひとや、鄕亭に在るを岸、朝廷に在るを獄といふ。字解參看。
頭巾をぬぎて頭を露 ァラ はす。禮法を簡略する義。後漢書、馬援傳「帝──見援」
岸に生ひたるよろひぐさ。香氣多し。范仲淹、岳陽樓記「──汀蘭、郁郁靑靑」
きしべに生ずるをぎ。徐陵詩「野燎村田黑、秋江──黃」
きしのほとり。きしべ。=岸上=岸畔·岸邊。
きしのほとり。宋史、河渠志「治──」=崖畔。
きしべ、岸のほとり。姚合詩「嵩山晴色來城裏、洛水寒光岀──」=岸畔。
嵒(山部九畫)の俗字。又、巖(山部二十畫)の俗字と
して用ふ。
國 子をはらみし女の肌にしめるはら帶、姙娠後五箇月目に結ぶ。はらおび、結肌帶 ユハダオビ の訛。
國 菌の一種、深山の巖石に生じ、形きくらげに似て食用とす。
國 ○岩屋 イハヤ の戶。○天の岩戶の略語「──神樂」
國 山中の石閒に生ずる多年生草、莖なくして檜の葉に似たる葉を叢生す。=卷柏。
キヨ コ [語]
○おほやま(大山)○いたる(至)○さる(去)
ケツ [屑]
やまのあな(山穴)
コ [麌]
しげやま、山に草木あるもの。詩、魏風「陟彼─兮」
コウ [有]
─嶁は山の名、湖南省衡州府に在る衡山のみねの名、禹王の廟あり。韓愈詩「──山尖神禹碑、字靑石赤形模奇」
サク [藥]
─?は山の高き貌。又、山の名。
岝(前條)に同じ。
シウ [宥]
○山のほらあな。爾雅「山有穴爲─」○いはあな(巖穴)○やま(山)謝朓詩「牕中列遠─」「層─」「巖─」
縣名、盛京省鳳凰縣に屬す、美石を產す。
山の穴より起る雲。陶濳、歸去來辭「雲無心以岀岫」杜甫詩「落落出──、渾渾倚天石」
ショ ソ [魚]
○いしやま(石山)の土を戴けるもの。詩、周南「陟彼─矣」=砠。○そば、けはしき山みち。曹植、九愁賦「踐蹊隧之危─」
けはしく高し。沈約、右僕射范雲墓銘「北京──」
タイ [隊]
山の名。泰山なの、五嶽中の東嶽、山東省泰安府の北に在り。
泰山と華山と。李俊民詩「勢將凌──」
泰山に同じ。劉義恭詩「金牒封梁甫、玉簡禪──」=太山。
泰山の別名、五嶽の長、故に宗といふ。風俗通「東方泰山、尊曰──、岱者長也」=太山。
テゥ [蕭]
山の高き貌。
山の高き貌。曹植、九愁賦「踐蹊隧之危阻、登──之高岑」
山の高き貌。張衡、西京賦「狀亭亭以──」
ビン ミン [眞]
?に同じ
○山の名、四川·甘肅兩省の境に在り「─山」一に汶に作る。
四川省の境に在り、岷山の北より發源し、南流して成都·眉山、犍爲等を經、宜賓縣に至りて江に入る。
フツ [物]
○やまみち(山脅道)○山の高くけはしき貌。
特起せる貌。王延壽、魯靈光殿賦「下──以璀錯」
山のたかくしてかさなれる貌。司馬相如、子虛賦「其山則盤紆──」
6畫
ガク [陌]
或は?に作る
○山の高く大いなる貌。○岝─は山の齊しからざる貌。嵆康、琴賦「岝─嶇崯」
山の高く大いなる貌。楚辭、九思「山峊兮──」
ケン [先]
山の名。陜西省に在り、古、吳嶽と名づく。
シュン [眞]
通音ジュン
嶙─は山崖の重深 カサナりテフカシ の貌。又、山の起伏せる貌。又、ふしきだ(節級)ある貌。
ヂ [紙]
○そばだつ(屹立)そびゆ(聳)「列─」「峻─」「竦─」「特─」「聳─」「棊─」「對─」○京─はたかきをか(高丘)○そなふ(共·具)つむ(積)「積─」「儲─」詩、大雅「以─其粮」
そなへ積む。宋史「河北路、商賈貿遷、芻粟──」
そばだつ。吳志、孫權傳、注「吳魏──、誰將平一海內者乎」
トウ [東]
通音ドウ
○蠻人の居る所の名。○崆─は山の名、崆(山部八畫)を見よ。
西南地方の山閒に住む苗族。桂海虞衡志「蠻弩諸──及西南諸蠻、其造作略同」
峒蠻の壯丁を募りて兵とせし者。宋史「團結以禦戎、爲──」
リ [紙]
○さかみち(坂路)○つらなる、つづく(連)山が長く連りつづく。
○さかみち、あがりさがりの道。甘泉賦「登降──」○山の卑く長くつづける貌。法言「觀東嶽、而知衆山之──也」=邐迤。
ロツ [月]
嵂に通ず
○きし(岸)がけ(崖)○たかくけはし(高峻)「─崒」
〔國字〕 たうげ、山路の、の
ぼりはてたる處、手向 タムケ の義、そこにて神に手向すればいふ。=嶺。
7畫
ガ [歌]
一に峩に作る
○嵯─は山高くけはし。○冠などのいかめしく盛んなる貌。○─眉山の簡稱「三─」
○山の高くけはしき貌。列、湯問「伯牙鼔琴、志在髙山、鍾子期曰、善哉──兮若泰山」=嵯峨·巍峨。○儀容のいかめしく盛んなる貌。詩、大雅「奉璋──、髦士攸宜」
四川省嘉定府峨眉縣に在り、大峨·中峨·小峨の三峰に分る。名山記「兩山相對、如蛾眉故名」李白、峨眉山月歌「───月半輪秋、影入平羌江水流、夜發淸溪向三峽、思君不見下渝州」
峨(前條)に同じ。
カウ [庚]
けはし(險)=嶸·?。
力フ [洽]
通音ケフ
○はざま、たにあひ。兩山の閒。○山、水を夾む。○地文學上にて海水に挾まれる狹き陸地を地─といひ、陸地に挾まれる狹き海を海─といふ。○巫─は四川省の巫山をいふ。
谷閒のあめ。杜甫、晚晴詩「江虹明遠飲、──落餘飛」
はざま、山と山との閒。
たに。=谿谷、峽谿。
○たにあひ、兩山の閒。杜甫詩「──都似火、江上只空雷」=峽閒。○ 國 甲斐の國の異稱。
力ン ゴン [覃]
○大いなる谷。○むなし(空)=谽。
キン コン [眞]
嶙─·─嶙は山の連なる貌。
ケン [銑]
山の名、湖北省襄陽府に在り。一名─首山。
晉の羊祜の碑。晉書、羊祜傳「自有宇宙、便有此山、由來賢達勝士登此遠望、如我與卿者多矣、皆湮滅無聞、使人悲傷、如百歲後有知、魂魄猶應登此也、祜卒、襄陽百姓、於峴山祜平生游憩之所、建碑立廟、歲時饗祭焉、望其碑、者、莫不流涕、杜預因名爲墮淚碑」
ジン [眞]
神の名、狀狗の如く、角ありて身に五采の文ありといふ。莊、達生「丘有─」
シュン スン [震]
○たかし(高)けはし(嶮)「阻─」「幽─」「峭─」「高─」「崇─」「險─」「絕─」○きびし(嚴·急)史、酷吏傳「吏務爲嚴─」○おほいなり(大)大學「克明─德」
高きのき。又、のきを高くす。書、五子之歌「──彫牆」
けはしきがけ。西都賦「超洞壑、越──」
高き木のみき。淮南子「山無──、林無柘梓」
けはしきいはほ。潘岳詩「幽谷茂纖葛、──敷榮條」
けはしきえだ道。蜀都賦「羲和假道──」
○きびし、性嚴しくして人を容るる能はず。晉書、傅休奕傳「天性──、不能有所容」=峻嚴。○水の流が甚だはやし、湍セが急なり。柳宗元文「──多坻石、大舟不可入也」
きびしくこばむ、嚴しく拒絕する。
たかきこと甚だし。唐書「志行──、不自衒賈」
きびしきおきて。薛登、論選擧疏「降明制、頒──」=嚴科·峻法。
きびしきしをき。史、商君傳「殘傷民以──」=嚴刑。
はげしくつよし。宣和書譜「筆力──」
たかく大いなる石ぶみ。陶弘景文「表玆──」
志高くしてきよし。韓偓詩「南朝──推弘景」
けはしくしてせまし。張載文「山崢嶸以──、仰靑天其如帶」
高く廣きはら。國語「高山──、不生草木松柏之地、其土不肥」
たかくけはし。西京賦「修路──」
おごそかにきびし。=嚴峻。
ふかくけはしきたに。劉勰文「臨──者、必欲窮墟」
きびしくむごし。宋書「風俗──、强弱相陵」=嚴刻·峻酷·峻嚴。
きびしくむごし〔宋史、李繼和傳〕=峻刻·嚴酷·嚴峻。
ぬきんでひいでる。沈佺期詩「諸嶺皆──、中峯特美好」
けはしきみね。劉勰文「不登──、不知天之高」
高き爵位。江淹文「超居上禮、邈乘──」
たかくそびゆ。水經、注「高峯霞擧、──層雲」
高きいしだたみ。李庾文「白闥朱軒、崇基──」
おごそかにしてととのふ。宋史、朱京傳「風神──、見者憚之、目爲眞御史」
○山がけづりし如くに高し。漢書「領水之山──、漂石破舟」=峭峻。○寒さがきびしい。=料峭。
きびしくはげし、嚴厲にして迫切なり。魏書、陳奇傳「夢無善徵、但時命──、不敢不赴」=峻烈。
けはしくしてをれまがる。余靖文「行二十里有梅嶺、山嶺──」
非常にけはし。=絕峻。
けはし。甘泉賦「高巒──、臨眺廣衍」=嶮阻·阻峻。
けはしくかさなる。白敏中文「──孤危、高無有倫」
はげしきはやせ。宋之問詩「吼沫跳急浪、合流環──」=激湍。
高き官位。歐陽修、謝表「道愧師儒、乃忝春宮之──」=峻爵。
高くして直し、崇高にして正直。易林「嵩高岱宗、──且神」
たかくそびえたるやしき。元稹詩「──儼相望」
高くぬきんでる〔張協文〕=挺拔。
きびしく、しひてあばく。漢書、李延年傳「深吏爲──」=深詆。
すぐれてぬきんでる。柳宗元文「軌行──、器宇弘大」=峻挺。
大いなる德。大學「克明──」
きびしきおきて。漢書、丙吉傳「不避嚴刑──」=峻科。
けはしきさか。漢書、文帝紀「帝馳下──」=嶮坂·急坂。
けはしきみね。南史「湘州城南、臨水有──」
きびしくしてこまか。魏志、楊阜傳「法禁──」=嚴密。
重き命令、君主の大命。
たかくしげる。屈平賦「冀枝葉之──」
はげしきくすり。吳師道詩「伐病宜──」=劇藥。
きびしくはげし。晉書、王濟傳「主者處事或不當、濟性──明法繩之」=峻刻嚴厲·峻烈。
けはしきみね。王羲之、蘭亭集序「此地有崇山──茂林修竹」
峻切に同じ。
たかきたかどの。李尤文「周閣廻匝、──臨門」=危樓。
たかきつか。張衡賦「刊藂林鑿盤石、超──構大槨」
深刻なる議論。杜牧文「閑夜永日、三五相聚、危言──」
セゥ [嘯]
通じて陗に作る
○高くけはし(嶮)さがし(峻)「─絕」「奇─」「峻─」「巉─」○心がきびし(急)はげし(嚴厲)「刻─」「嚴─」にはか(猝)。
けはしくきりたちたるがけ。陸游詩「山斷──立、江空翠靄生」
けはしくたかし。
性のきびしく剛直にして屈せざる義。唐書、李翺傳「性──、論議無所屈」
きびしくうすらざむし。峭は料峭。徐積詩「淸明前後──多」
性質きびしくするどし。性、孤僻にして急し。吳志「性──、喜怒快意」
きびしきしおき、又刑をきびしくする。韓詩外傳「吳起──而車裂、商鞅峻法而支解」=峻刑·峭法。
きびしくあばく。沈光、李白酒樓記「李白旣以──矯時之狀不得大用」
きびしき貌。韓愈文「──其言、若不接其情也」
きびしくして殘忍 ムゴシ 宋史「能涵養士氣、而無矯勵──之習」
けはしき山。=峻山。
おごそかにしてきびし。森は嚴。=森嚴。
けはし。漢書「領水之山──、漂石破舟」
おごそかにして正しくととのふ。唐書「風采──、天子器之」=峻整。
甚だしくけはし。
氣象きびしくして直し。漢書、鼂錯傳「錯爲人、──刻深」=嚴急。
高くぬきんでる。遒勁にして俗を絕つ、用筆を評する語。圖繪寶鑑「──而秀、絢麗而雅」
おきてをきびしくす。又、其のおきて。淮南子「夫──刻誅者、非霸王之業也」=苛法·峻法。
けはしきさかみち。新論「下──而不跌墜者、愼于大也、跨阜垤而好顚蹷者、輕于小也」=峻坂。
かべの如く、けはしくそばだつ。又、其の山の形容。劍門山記「──中斷、兩崖相嶔、如門斯闢、如劍斯植」
きびしくはげし。鋒鋩のはげしく外に露 アラハ るるをいふ。論語集註「廉謂稜角──」
タウ [皓]
別に嶋、島に作る
○しま、海中に山ありて依り止るべき者。海中の小陸地。水上に出るを─といひ、水上に出でざるを礁といふ「海─」「孤─」「絕─」○はまべ(海曲)「─夷」
しまぐに、四方に海を環 メグ らす國。
國 島廳の長官、府縣知事のさしづをうけて島を支配する官名。
島の樹木。宋務光詩「天波混莫分、──遙難識」
しまのうらわ。狄遵度、白雲詩「烟蘿自翳薈、──徒縈曲」
しま、島は大、嶼は小。丘爲詩「春潮平──、殘雨隔虹霓」
しまのなか。史、田儋傳「與其徒屬五百餘人、入海、居──」
國 女の髮の結方、しまだわげ。
國 臺の上に松竹梅、翁姥鶴龜などを配合せし飾物、婚禮の時に用ふ、蓬萊島を象りしが故。
國 古の刑罰の一、罪人を遠き島に放ち、本土に歸ることを得ざらしむる刑、轉じて遠國に放逐するにもいふ。=遠島·流罪。
佛 寬永十四年、耶蘇敎徒が島原に據りて起したる亂。=天草騷動。
國 しまのをさ。今の島司の類。
ダウ [豪]
山の名。山東省靑州府臨淄縣の南に在り。詩、齊風「遭我乎─之閒兮」
ホウ フ [冬]
○みね、たうげ(山巓)○やま(山嶽)山の直上して銳きもの「奇─」「危─」「峻─」「秀─」「疊─」「攢─」「絕─」
山のがけ。張種文「──刻削、窮造化之瑰詭」
つづきたるみね。李白詩「──亦冥密」
みねのとがりたる所。杜甫詩「華岳──見秋隼」
みねのいただき。元稹詩「攀蘿極──、遊目到江濆」
みねの上。皮日休詩「──孤冢爲雲穴」=峯頂。
山のかさなり連れるもの。戴叔倫詩「──入海靑」
峯(前條)に同じ。
ヨク [沃]
○たに(谷)○嘉─關は甘肅省に在り、古、西域の使臣、漢に入るの門戶たり。
8畫
エン [鹽]
山の名。
日の入る所の山の名。山海經「鳥鼠同穴山西南曰──、下有虞泉、日所入處」楚辭「望──而勿迫」
①ガイ [佳]
②ギ [支]
①は厓に通ず
①水のほとり(水垠)○がけ、きりぎし(岸)「懸─」「絕─」○さかひ(境)かぎり(限)物事のさかひ、はて「端─」莊子「其來無跡、其往無─」○─山は廣東省新會縣の南に在り、宋朝覆滅の地。
②崕に同じ。
きはだちて人とことにする。崖岸にして衆と異にする。宋史、呂祖謙傳「心平氣和、不立──、一時英偉卓犖之士、皆歸心焉」
水邊のきりぎし(水崖)轉じて、かどだちて、人と相和せざる義とす、いっこく。舊唐書、鄭羣傳「天性和樂、不爲──嶄絕之行」康熙字典「不和物曰──、宋張詠、性剛介、自號乖崖」
けはしき山。湯顯祖賦「籌策高于──」
がけの木。僧道潛詩「玲瓏辨──、宛轉照庭柯」
がけあな。宋史、秦檜傳「檜陰險如──、深阻竟叵測」
きしべ。郭遐叔詩「譬彼造化抗無──」
きりぎし。始興記「──千仞、猿狖不能攀」
○峻しき崖にあるはちみつ。本草「──在高山巖石閒、色靑、昧小酸」○楊梅 ヤマモモ の異名。南方草木狀「楊梅靑時極酸、旣紅味如──」
あらまし。莊子「夫道難言、爲汝言其──」注「崖、邊際也、略、粗略也」
力ウ [肴]
殽に通ず
○山の名、河南省に在り、古、險要の地。○河の名、河南省盤─山より岀づ。
崤山と函谷關と、共に河南省に在りて險要の地とす。賈誼、過秦論「秦孝公據──之固」
岡(山部五畫)の俗字。
①キ [支]
②キ [紙]
﨑は俗字
①けはし、さがし(嶮)埼·碕に通ず「嶔─」「崛─」○─嶇は山路平かならさる貌。
②あやふし(危)○山のけはしき貌。○安からざる貌。○ 國 さき(岬)陸地の海中に突き出たる所。
けはしき貌。
けはしきみね。杜甫詩「小園背高岡、挽葛上──」
山路のけはしき貌。張衡、南都賦「下蒙蘢而──」轉じて世渡りの困難なる義とす。宋史、文天祥傳論「天祥──嶺海、兵敗身執」
ギ [支]
通音ガイ
○石の危き貌。○崖(本畫)に同じ。
ギン ゴン [侵]
○たかくけはし(高險)「嶔─」「崎─」○けはしき峯。杜甫詩「挽葛上崎─」
高くけはしき貌。楚辭「狀貌──峨峨」=碒碒·岑崟。
クツ コツ [物]
○山の高くそばだつ(特起)貌。揚雄、甘泉賦「洪臺─其獨出兮」○たかし、けはし「嵬─」
そばだち起る。=勃起。
山のけはしき貌。上林賦、注「──、斗絕也」
起り立つ貌。
クヮ [麻]
華に通じ作る
山の名。四嶽の一、陜西省華縣の南に在り。白虎通「西嶽爲─山」
コウ [東]
○たかし(高)けはし(阻)○─峒は山の名、甘肅省平涼府に在り。=空同·空桐。
コン [元]
崑に同じ
─崘は山の名、西藏に在り、美玉を產す「─岡」=昆侖·崑崙。
崑崙山の異名。書、胤征「火炎──、玉石俱焚」炎は燃ゆ、人の善惡を擇ばずして之を誅戮するに喩ふ。
崑崙山より出づる名玉中の一片玉、士林中の第一人といふ義。晉書、郤詵傳「臣擧賢良對策、爲天下第一、猶桂林之一枝、─────」
茄子 ナスビ の異名〔酉陽雜俎〕
崐(前條)に同じ。
サイ [灰]
○たかく大いなり(高大)○山のいただき(山巓)
○山高くしてけはし。楚辭、初放「高山──兮」○功業の高大なる貌。傅玄、樂府「我皇敍羣材、洪烈何──」
○土山の石を戴く者。詩、周南「陟彼──、我馬虺隤」一說、石の土を戴く者〔爾雅〕○高くして大いなり。何晏、景福殿賦「高甍──」
高大の貌。詩、齊風「南山──」
唐の崔垂休、四たび朝に入りて宰相となりし故事。唐書「垂休素厚朱全忠、委心結之、四拜宰相、世謂───」
たかし。張衡賦「隆崛──」=崔巍。
唐代四人の文章家。唐書、杜審言傳「少與李嶠·崔融、蘇味道、爲文章四友、世號────」
サウ [庚]
○山がたかくけはし(高嶮)「峻─」「嶢─」○雲を凌ぐほどの高山。
○けはしき貌。孟郊詩「太行路──」○深く險しき貌。蜀都賦「經三峽之──」○轉じて歲月の積み重なる貌。高啓詩「中年漸怯歲──」
山の高くけはしき貌〔集韻〕
サウ [庚]
たかし(高)けはし、さがし(峻)=崢。
シュウ [東]
通音スウ
○たかし(高)「隆─」「─山峻嶺」○たふとし(貴)「─高」○たふとぶ(尊)「欽─」「敦─」あがむ(敬)「─敬」○たかさ(高度)たかめる(高)○おこる、おこす(興)○あつめる(聚)左、隱六「見惡如農夫之務去草焉、芟夷薀─之」○ます(益)厚くする、かさねる(重)○をはる(終)詩、衞風「曾不─朝」○みつ、みたす(充)「─酒」もる(盛)
同訓異義
タカシ 崇·高·隆·喬·邵の別は高(部首十畫)の條を見よ。○タフトブ崇·尊·貴·上·尙·右の別は尊(寸部九畫)の條を見よ。
尊き位〔晉書、文帝紀〕=高位·崇班。
たふとくしてとほし。晉書、苻堅妾張氏傳「天道──」=崇邈。
樂器のかざり、鐘磬を懸くる處。詩、周頌「──樹羽」
高く大いなる家屋。應瑒賦「仰──而長息」=高廈。
たかきがけ。高允詩「控鶴──巓」
たふとくたかし。易經「──莫大乎富貴」
高きいはほ。晉書、張忠傳「其居依──幽谷、鑿池爲窟室」
たかきよろこび。李尤、漏刻銘「懸象著明、序以──」
たかきをか。束晳詩「瞻彼──、其林藹藹」
高くして廣く大いなり。韋應物詩「精舍何──」
たかき門。鮑照詩「吳江深無底、楚關有──」
あがめうやまふ。漢書、刑法志「故制禮以──、作刑以明威也」=尊敬。
儉約を貴ぶ。隋書、柳昻傳「戒奢──、率先百辟」=尙儉。
たふとくおごそか。裴士淹文「紫禁──、彤庭奥密」
あがめまつる。柳宗元、箕子碑「大明宣昭、──式孚」
あがめつかへる。禮、祭統「──宗庿社稷、則子孫順孝」
たかくひいでる。陳子昻文「景山──、北對嵩邙」
あがめたふとぶ。
けだかきこころ。王僧達詩「──符遠迹、淸氣溢素襟」
あがめすすめる、奬は勸なり、譽なり、厲なり。宋史、理宗紀「以示──之意」
たかき貌。揚雄、甘泉賦「──圈丘」
さけを一ばいに盛モる。儀禮、鄉飲酒禮「再拜──」
天子の稱。初學記「白虎通曰、天子曰──、言崇高也」
高くしておく深し。唐書「陛下厭──」=崇邈。
おほむかし。張華詩「永思慮──」
たかきうてな。班固、西都賦「承以──閒館」
曉より朝食時までの閒。詩、衞風「誰謂宋遠、曾不──=終朝。
特別にすぐれててあつし。吳志、孫霸傳「寵愛──」
たふとびをがむ。齊書、百官志「臨軒──」
高く遠し、けだかくおくぶかし。張華、列文先生誄「抗行──、游心大順」
たふとき位。盧懷愼詩「無因酬大德、空此愧──」=崇位。
文學をたふとぶ。魏志、明帝紀「置──觀、徵善屬文者以充之」
禮をたふとぶ。禮記「敦厚以──」
高くしてうつくし。晉書、紀瞻傳「館宇──」
高きたかどの。李濯賦「建──于闕下、聳飛閣于城隅」=峻樓·危樓。
シュウ スウ [東]
○大いにして高くそばだつ山。○たかし(高)○五嶽の中嶽なる嵩山の嵩と通じ用ふ。韓愈詩「三月─少步、躑躅紅千層」崧少は嵩山の少室。
山の高き貌。詩、大雅「──維嶽」
けはしき貌。=崧高。
シュツ ソツ [質]
けはしくして高し(危高)「嵂─」「崷─」「巉─」「崔─」「嶃─」山峯の頭の巉巖あるなり、爾雅「─者厜?」
けはしく高き貌。吳融賦「巉乎──、赫曦乎、翕赩乎」
山のけはしく高き貌。張祜詩「兩峯高──」=危峻。
けはしき貌。沈約文「其爲狀也、則巍峩──、喬枝拂日」
セフ [葉]
─嶪は山高くして形勝なる貌。張衡、西京賦「嵳峩─嶪」
ホウ [蒸]
○山がくつれる。詩、小雅「如南山之壽、不騫不─」○くづれる(壞)「土─」「分─」やぶる(毀)物事が原形を失ふ。論、陽貨「三年不爲樂、樂必─」○かくる、みまかる(殂落)天子の死をいふ。山のくづれるに比す。 國 ○くづす、字畫を省 ハブ く「草書に─す」○亂して惡しくす「髮を─す「膝を─す」○細かくする「百圓札を十圓札に─す」
同訓異義
クヅル 崩·壞·頽·隤○崩は高き山、又は巖·岸などの、一時にくづるるなり、轉じて天子の死をいふ。○壞は壁などの、次第に少しづつ、くづれ破るるなり。○頽は墜なり、じりじりと、下へうなだるるなり、頽齡とは、年老いさらぼへる意、日西頽は、日の入相になれるなり、頽然醉は、醉ひたる貌の、威儀もなくなりたるさまなり、隤に作るも同じ。
くづれみだるる雲。封希顏賦「萬仞──、千巖落石」
頭を地につける。孟子「若崩厥角」注「百姓歸周、若崩厥角」=稽首。
天子のおかくれ。=登遐·崩殂。
くづれつひえる。=頽潰·崩壞。
國 よそほひがくづれ失せる、皇后·女院などの死をいふ。
天子のおかくれ。諸葛亮、出師表「先帝創業未半、而中道──」=崩御。
くづれおちる。論衡「──于坑谷之閒矣」
くづれおちる。
婦人病の一、こしけ、白帶下·赤帶下など。
ライ [灰]
四川省に在る山の名、岷山の東北に在り、山に九折阪あり。
リョウ [蒸]
山高くけはし(峻)
たかくかさなる。徐陵銘「萬拱──」
山の高くけはしき貌。沈約、鍾山詩「──起靑嶂」
ロン [元]
山の名。=崙。崐を見よ。
崘(前條)に同じ。
9畫
アイ ワイ [佳]
○たかし(高)けはし(險)○海參─は露領の地名、浦潮の一名。
けはしき貌。楚辭、九章「軫石──」=崴巍。
イ [紙]
峛─は山卑くして長き貌。峛(山部六畫)を見よ。
ガク [藥]
一に?に作る
○がけ(崖)きし(岸)「峻─」「峭─」郭璞、江賦「碕嶺爲之嵒─」○たかし(高)けはし(峻)
崿(前條)に同じ。
力ツ [曷]
○特に一っ立つ山、そびゆ。○いしぶみ、碣に通ず。
①カン [覃]
②ガン [感]
①─巖はけはしくして平かならざる貌。
②─崿は山のけはしき貌。左思、魏都賦「恆碣─崿于靑霄」
けはしく平かならざる貌。莊、在宥「太山──之下」
力ン サン [咸]
○山の深き貌。○ふかきたに(深谷)ほら「空─」「巖─」○山の開き張れる貌。○けはし(峻)「嶄─」○はめこむ、ざぅがん(象眼)「鑲─」
山の開き張れる貌。集韻「──深谷」
象眼。又、うあ木細工をする職人。
うつろ。朱熹詩「竅石何──」
山のほら。武元衡詩「集旅布──、驅馬歷層澗」
山のけはしき貌。白居易詩「──嵩山峭」
山の開き張りし貌。揚雄、甘泉賦、注「──開張也」
うろ、あな。杜甫詩「竹竿接──」
ガン [咸]
又、嵓に作る、俗に、岩に作る
○いはほ、巖に通ず「翠─」○けはし、さがし(嶮)
いはほの連れるがけ。郭璞、江賦「碕嶺爲之──」
嵒(前條)に同じ。
グ [虞]
通音グウ
○やまのくま(山曲)隅と通ず。○山の重なりて高き貌。
日の岀る處。書、堯典「宅──曰暘谷」
負は依なり、虎が山曲の險に依る、轉じて英雄が一方に割據して勢の盛んなる譬とす。孟、盡心「有衆逐虎、虎──、莫之敢攖」
ケイ [齊]
?に从ふ、俗に禾に从ひて嵆に作るは非
○山の名。河南省亳州に在り。○姓「─康」
晉の人、竹林の七賢の一、字は叔夜、性遠邁にして不羣なり、琴を彈じて自ら樂む、老莊の學を好み、養生篇を著す。
晉の惠帝の時、嵆紹、侍中たり、帝已に蒙塵し、軍衞皆潰散す、紹、身を以て御輦を捍ぐ、飛矢雨集し、遂に害に遇ふ、血、帝の衣に濺ぐ、左右之を浣はんと請ふ、帝曰く、これ嵆侍中の血なり、之を去るなかれと。文天祥、正氣歌「爲嚴將軍頭、爲────」
前條を見よ。
ゲン [銑]
─峭は高くけはしき貌。
サイ [賄]
○こども(子)○ 俗 細─は外國人の僕役をいふ。
シゥ [尤]
─崒 シウシユツ は山長くして高き貌。西都賦「巖峻─崒」
ショク [職]
○山の大いなる貌。○嶄─は山連る貌。○齊しからず(參差)
ビ [支]
峨─は山の名、蜀の嘉定府に在り。=峨眉。
ラン [覃]
○山氣のあをあをと蒸し潤ほへるもの「烟─」「翠─」「夕─」「晴─」○ 國 あらし(暴風雨)
國 山城の嵐山の別稱。
むしうるほへる山の氣。謝靈運詩「夕嚑──陰」
山氣の蒸してひかりある義。鄭谷詩「──蓮嶽迫、酒味菊花濃」
山の氣のみどりいろなる義。白居易詩「三十六峯晴、雲銷──生」
リツ [質]
○高く峻 ケハ しき貌。○高く大いなる貌。
山の高くけはしき貌。司馬相如、子虛賦「其山則盤紆岪鬱、隆崇──」
10畫
クヮイ グヮイ [灰]
○高く大いなる貌「磊─」○高くして平かならざる貌。○崔─は石山の上に土あるもの。詩、周南「陟彼崔─」
○高くそびゆる貌。儲光羲詩「──宮殿明」○醉ひて山の頽れんとするに似たるをいふ。歐陽修詩「賓歡正喧譁、翁醉已──」=傀俄。
高く大いなる貌。揚雄、甘泉賦「前殿──」
高くそびゆる貌。王灣詩「百仞登──」
高大なる貌。左思賦「其山澤則──嶢屼」
すぐれてたかし。郭璞、江賦「巫廬──而比嶠」
高くそびゆる貌。古豔歌「南山石──」
嵬は狂險の行をなし、瑣は姦細の行を爲す者をいふ。荀子「朱象者天下之嵬、一時之瑣也」朱は堯の子丹朱、象は舜の弟。
嵬(前條)に同じ。
サ [歌]
○山けはし(峻)○─峨は山石のけはしく齊しからざる貌。衞恆、論書「山岳─峨而連岡」=嵳峩·嵯嵯。
嵯(前條)に同じ。
シ [支]
○さがし、けはし(峻險)○崦─は山の名、日の入る處。崦(山部八畫)を見よ。
シュウ スウ [東]
○たかし(高)○山の名、五嶽の中嶽、河南省河南府登封縣の北に在り。 國 ○かさ(分量·容積)○かさむ、かさばる。
嵩山の雲と秦山の樹と、遠く隔りたるにいふ。李商隱詩「────久離居、雙鯉迢迢一紙書」
嵩山をいふ。爾雅「──爲中嶽」漢書、武帝紀「翌日親登──」=嵩丘·崧高·嵩嶽。
嵩山と衡山と。徐陵文「財輕篻籜、義重──」=衡嵩。
嵩山に同じ。宋之問詩「賴有──山、高枕長在目」
嵩山と華山と。張載、劍閣銘「高踰──」=華嵩。
臣民が君主の萬歲を唱ふる義。漢書、武帝紀「朕用事華山、至中嶽、親登嵩高、御史乘屬、在廟旁、吏卒咸聞呼萬歲者三」張昱詩「千人魚貫振──」=山呼
たかき山のほら。抱朴子「慕伊川於──」
たかくしてけはし。
嵩山と岱(泰)山と。後漢書「猶塵加──霧集淮海」
タウ [陽]
─? タウバウ は山石廣大なる貌。又、山の貌。南都賦「─?嶚剌」
ヨウ [腫]
○山の名。○─嵷 ヨウシヨウ は山峯の上下衆多の貌。甘泉賦「臨高衍之─嵷兮」
11畫
ク [虞]
○けはし(險)山路平かならず「崎─」「嶔─」○なやむ、あやふし。
山のけはしき貌。范蔚宗詩「遵渚攀蒙密、隨山上──」=嶔嶇。
サン ゼン [咸]
通音ザン
○高くけはし、巉に通ず。○山がするどくとがる(銳尖)
嶃(前條)に同じ。
俗に斬新の斬に誤用す。
山がとがりてするどし。上林賦「──嵾嵳」=巉巖。
けはしき貌。江淹賦「刻劃──兮、雲山而碧峯」
高くしてけはしき貌。鮑照詩「──類虎牙、巑岏象熊耳」
一だん高くぬけいでたる貌。韓愈、柳子厚墓誌銘「──見頭角、衆謂柳氏有子矣」
サン [潸]
?─は山の屈曲せる貌。東方朔、七諫「望高山之?─」
サン シン [侵]
─嵳は齊しからざる貌。=?嵯·參差。
シャウ [漾]
○高くけはしきみね(峻峯)○山峯の連りて屛障の如き者「連─」「列─」「嶺─」「複─」「層─」沈約詩「山─遠重疊」
シャウ [陽]
○たかし(髙)○── シヤウシヤウ は水、山に激する聲。西都賦「揚波濤於碣石、激神嶽之──」
ソウ ショウ [東]
○山の高峻なる貌「巃─」○嵱(山部十畫)を見よ。
嵷(前條)に同じ。
島(山部七畫)に同じ。
島(山部七畫)に同じ。
ロウ ル [有]
岣─は五嶽中の衡山の峯の名。韓愈詩「岣─山尖神禹碑、字靑石赤形模奇」岣(山部五畫)を見よ。
12畫
キン ケン [侵]
○山がそびえたつ(聳立)○──は口をひらきはる(開張)
けはしきいはほ。公羊傳「殽之──、是文王之所辟風雨者也」
山のけはしき貌。王延壽賦「生深山茂林、處嶄巖之──」=嶔巇。
山のけはしくそびゆる貌。張衡、南都賦「岝??嵬、──屹囓」
山の髙くそびえたつ貌。張衡、思玄賦「慕歷阪之──」
口を開き張れる貌。釋名「開張其口──然」
けはしき貌。陳亮詩「出門畏──」=嶇嶔。
巖石のけはしくそびゆろ貌。柳宗元、鈷鉧潭西小邱記「──相累、而下者若牛馬之飲於溪」
ケゥ [嘯]
○やまみち(山逕)○山銳くして高し「峻─」○山の名。列、湯問「渤海之東、其中有五山焉、二曰員─」
やまみち。王勃、九成宮頌「廻麾──、逗蹕山樞」
ゲゥ [蕭]
○たかし(高)「岧─」○嶕─は山高き貌。
たかくけはしき貌。李白詩「──汪公栅、突兀陳焦墓」
山の高くそばだつ貌。沈約、郊居賦「──山峙」
山高き貌。漢書、揚雄傳「直──以造天」=嶢屼。
皇居のたかき門。宋史「天仗囘──、皇輿入應門」
山の高くさがしき貌。吳都賦「嵬巍──」
たかき貌。張衡賦「蹈玉階之──」=嶢崝。
セゥ [蕭]
○─嶢 セウゲウ は山の高き貌。○いただき(巓)椒に通ず。
山の至りて高き貌。漢書、揚雄傳「泰山之高、不──則不能浮滃雲而散歊蒸」
ソウ [蒸]
凌─は山のけはしき貌。何遜詩「絕壁駕凌─」
ソン シュン [元]
○山高し。○けはし(峻)
山のけはしく秀づる貌〔甘泉賦〕=峻秀。
ダ [哿]
山の狹くして長き者。詩、周頌「─山喬嶽」
トウ [徑]
○さかみち、のぼりみち。蘇軾詩「上山絕梯─」磴に通ず。○あふぐ(仰)
ハ [歌]
─冢は山の名。二あり、一は陝西省に在り、漢水の源。一は甘肅省に在り。又、漢水に入る。
リン [眞]
○山がたかく深し。○山にだんだん(節級)のある貌。
山にだんだんありて聳ゆる貌。又、山の重りて深き貌〔甘泉賦〕陸游詩「山自木落增──」
レゥ [蕭]
嶚に同じ
山高くしてまつはる「─刺」
13畫
澳(水部十三畫)に同じ。
みなと。明朝の頃、作りし字。
エキ [陌]
○つらなりつづける山。爾雅「屬者─」繹と通ず。○鄒─山は山東兗州府に在り。=嶧山·鄒山。
力イ ゲ [蟹]
○たにあひ(山澗閒)○崑崙山の北に在る谷の名、黃帝が伶倫に命じて─谷の竹を取りて十二律筩を作らしめしこと、漢書、律歷志に見ゆ。嶰一に解に作る。
カツ [曷]
たかし(高)けはし(峻)
山石髙峻の貌(張衡、南都賦〕
ギ [支]
?に同じ本、?に作る
岌─·崎─は山の高くけはしき貌。
ゲフ [葉]
嶫に同じ
岌─は山高く壯んなる貌。
山の高くけはしき貌。景福殿賦「峨峨──」=嶫嶫。
ケン [琰]
○けはし(峻)險に通ず。○たかくさがし(高峻)「峻─」
けはしくしてせまし。離騷「路幽昧以──」
けはしくあし。
けはし。郭璞、江賦「壯天地之──」
危くけはし。劉峻、廣絕交書「世路──」嶮一に險に作る。
山の高くさがしき貌。嵆康、琴賦「丹崖──」
けはし。=險峻。
けはしくしてなやむ、阻は難。又、其の所。=嶮難·嶮峻。
嶮岨に同じ。
けはしきみち。=嶮坂。
サイ [賄]
○さがし(險)○さがしくして齊しからざる貌「─嵬」
スヰ []
巂(隹部十畫)に同じ。
14畫
ガク [覺]
岳は古字
○たけ(大山)山の高くして尊き者「喬─」「河─」五─は華山·泰山·嵩山·恆山·衡山〔爾雅〕○──はかどかどしくいかめしき貌。長き角の貌。
妻の父の稱、泰山に丈人峯あり、丈人は長老の稱なるが故。歸田錄「今人呼妻父爲嶽公以泰山有丈人峯、妻母曰泰水、不知出何書也」
貴き人の誕生をいふ。詩、大雅「維──神、生甫及申」
かどだちていかめしき貌。漢書、朱雲傳「五鹿──、朱雲折其角」
山のかみ。韓愈詩「──嶪峩」=嶽神。
嶽翁を見よ。
山の神。獄降を見よ。詩經、箋「當──之意、而福興其子孫」
高き山の色。杜荀鶴詩「月華星彩坐來收、──江聲暗結愁」
高き山の雪。張喬詩「河冰天際白、──眼前明」
妻の父。黃溍筆記「俗呼人之婦翁、曰──、曰泰山」=嶽翁。
妻の父〔類書纂要〕=嶽公·嶽翁。
四岳十二牧をいふ。後世の公卿諸侯の如きもの。史、伯夷傳「舜禹之閒、──咸薦」=岳牧。
○華山の上に在るはちす。華山記「山頂有池、生千葉蓮花、服之羽化、因曰華山」轉じて華山の異名とす。杜甫詩「雲斷──臨大路」○ 國 富士山の異名。=蓮嶽。
①ギ [支]
②ギョク [職]
①九─は山の名、湖南省に在り、虞舜の陵あり、九峯形相似たり、望みて之を疑ふ、故に名づく。=九疑。
②さとし、小兒の知あるなり「英─」「明─」詩、大雅「克岐克─」○たかし(高)「岌─」「嶤─」「嵬─」
高き貌。杜甫賦「洞宮儷以──」=岌嶷。
○德の高き貌。史、帝嚳紀「其色郁郁、其德──」○小兒の知ある義。詩、大雅「克岐克嶷」箋「嶷、識也、其貌──然、有所識別也」
高くぬきいでたる貌。杜甫詩「──大賢後、復見秀骨淸」
高くぬきんで立つ。儀禮「婦──于席西」
クヮウ エイ [庚]
○崢─は山の甚だ高き貌。漢書、西域傳「臨崢─不測之深」○歲月の積み重なる貌。高啓詩「淸世莫嗟人寂寞、中年漸怯歲崢─」
ショ [語]
しま、こじま(海の中の洲)上に山石あるもの。島は大、─は小。
レイ リャウ [梗]
○みね、山頂の道路を通ずべきもの、領は衣のえり、故に山頂の義とす「峻─」「疊─」「複─」「危─」○やまみち(山道)さか(阪)○やまつづき(山脈)○通じて領に作る。漢書、嚴助傳「踰領」
みねにかかるくも。柳宗元詩「凝情江月落、屬思──飛」
みね。蘇軾詩「小巢依──」
たぅげの上。陶弘景詩「山中何所有、──多白雲」=嶺頂·嶺頭。
山頂の木。張九齡詩「月明看──、風靜聽溪流」
16畫
ロウ [東]
─嵸 ロウシヨウ は山の峻 ケハ しき貌。司馬相如、上林賦「崇山矗矗、─嵸崔嵬」又雲氣の滃鬱 サカンニオコル たる義。楚辭、招隱士「嵐─嵸兮石嵳峩」
17畫
①キ [支]
②キ [寘]
①たかし(高)○大いなり。○小山かあつまり列る。
②獨立して高き貌。
高大なる貌。王延壽、魯靈光殿賦「──穹崇」
高大にして獨り立てる貌。莊、天下「──有餘」魯靈光殿賦序「──獨存」
キ ギ [支]
○嶔─ キンギ は山が相對してあやふくけはし「險─」「嶔─」○すきま(罅隙)
すきまをねらひ擊つ、他人の虛に乘ずる。鬼谷子に──篇あり。
ケン [銑]
─嵼 ケンサン は山の屈曲せる貌。盧思道賦「入雲宮之─嵼、登仙觀之岧嶤」=蹇產。
サン [咸]
通音ザン
たかし(高)きりたちてけはし(險絕)さがし(峻)
きりぎし。がけ。
けはしく高き貌。又、其のいはほ。宋玉、高唐賦「登──而下望兮」
山高くして銳し。韓維詩「西游秦函谷、崆峒上──」
高く峻 ケハ しき貌。岑參、劍門詩「凜凜三伏寒、──五丁迹」
18畫
ギ [微]
通じて魏に作る
高く大いなる貌「崔─」
山の髙大なる貌。
高犬なる貌。論、泰伯「──乎唯天爲大、唯堯則之」
○山の高大なる貌、轉じて人物のすぐれて秀でたる貌。○獨立せる貌。
19畫
サン [寒]
?は俗字
─岏 サングワン は銳くとがりたる山(銳山)楚辭、九歎「登─岏以長企兮」
テン [先]
又、顚に作る
やまのいただき、山の頂上「山─」「巖─」
ラン [寒]
○まるきみね(圜峯)楚辭、九章「登石─以遠望兮」「重─」「層─」「岡─」「峯─」○山小にして銳し。○山がめぐりつらなる(山紆囘綿連)
20畫
ガン [咸]
嵒に通じ用ふ岩は俗字
○いはほ(大石)「崇─」「斷─」○いはや(石窟)○けはし(險)けはしくして要害よき地。左、隱元「制、─邑也」制は地名。○きし(岸)がけ(崖)○──は高く峻 ケハ しき貌。
岩石の閒にすめるさる。許渾詩「果隨──落、槎帶水禽流」=巖猿。
要害のよきむら。字解參看。
木犀 モクセイ の異名。西溪叢話「木犀爲──」
いはほと、たにと。宋書、隱逸傳「──閒遠、水石淸華」
眼光の甚だしく光る貌。晉書、王戎傳「戎眼爛爛如────」=巖電。
いはほのたに。艮嶽記「──洞穴、亭閣樓觀、喬木茂草、或高或下」
石のかさなりて高く峻しき貌。詩、小雅「節彼南山、維石──」
人品の高潔にして、衆に傑出せる形容。晉書、王衍傳「王敦曰、夷甫處衆中、如珠玉在瓦石閒、顧愷之作畫贊、亦稱衍曰、────────」
世を逃れていはあなに住み、水邊に遊びて樂む。史、蔡澤傳「退而────」
いはや。薛據詩「弱年好棲隱、鍊葯在──」葯は藥。
いはほにさく花。宋之問詩「水禽泛容與、──飛的皪」
巖石に依りて作りたろ戶。杜甫詩「瑞芝產廟柱、好鳥鳴──」=巖戶·巖扉。
木犀 モクセイ の異名。唐高宗、九日詩「砌蘭窺半影、──發全香」
いはあな。史、伯夷傳「──之士、趨舍有時」轉じて──之士の略語とす。後漢書、章帝紀「以──爲先、勿取浮華」
世を遁れて山中に住む高士。前條參看。
いはね。皮日休詩「廚蓋──數斗泉」
いはほのきは。水經注「魏土地記曰、梁山北有龍門山、大禹所鑿通、孟津河口、廣八十步、──鐫跡、遺功尙存」
いはのほらあな。閭丘冲、招隱詩「嗟哉──士、歸來從所欽」
石垣 イシガキ の將にくづれんとする其の下。孟、盡心「知命者、不立乎────」
世を逃れて岩穴の閒に隱れ居る。史、貨殖傳「無──奇士之行、而長貧賤、好語仁義亦足羞也」=巖居。
次條に同じ。宋之問詩「余本──客、悠哉慕玉京」
岩屋の中に住む。禽經「山鳥──、原鳥地處」=巖栖。
岩屋に棲む隱者のなかま。韋莊詩「欲結───」
いはほ。漢書、王吉等傳序「耕於──之下、名震於京師」
いはほより出づる水。周明帝詩「嶺松千仞直、──百丈飛」
山のいはほのいただき。白居易詩「誰知中有路、盤折通──」
いはほのほらあな。皮日休、茶笋詩「裒然三五寸、生必依──」
いはあな。元好問詩「遙遙金門寺、寶焰出──」
いはやのとびら、巖穴の士の住む家の戶。白居易詩「眼看過半百、早晚掃──」=巖戶·巖扃。
けはしくきり立ちしいはほ。博物志「天門山有大──、直上數千仞」
高くいかめしきわたどの、朝廷の義とす。漢書、董仲舒傳「虞舜之時、遊於──之上、垂拱無爲、而天下太平」
岩から落つるしづく。劉禹錫詩「幽響滴──、晴芳飄野叢」
巖(前條)に同じ。
ケン [阮]
○けはしきやま。甑 コシキ に似たる山「絕─」「疊─」「層─」○みね(山峯)詩、大雅「陟則在─、復降在原」
山のけはしき貌。謝靈運詩「連嶂連──靑翠杳深沈」=巘崎。