夊部
0畫
スヰ·サイ シ [支]
綏(糸部七畫)の古字
○行くこと遲き貌。又、安く行く。
7畫
①カ·ゲ [禡]
②カ·ゲ [馬]
①なつ、四季の第二位、陰曆の四·五·六の三ケ月閒。○なつのあつさ。○大いなり、大いにす。
②支那にて本國の稱、世界の中央にあるすぐれたる大國の義、中國、中華。○朝代の名、禹王より桀王に至るまで十七主、四百五十八年閒、卽ち我紀元前千五百七十一年より九百十三年に至るまで。○大いなり。○大いなる家。又大いなる俎。○靑·黃·赤·白·黑の五色。○こひさぎ(榎)
古の勇士の名、能く生牛尾を拔く。
なつのあめ。皎然詩「前林──歇、爲我生涼風」
夏の世の開國の君、舜の讓を受けて天子と爲る、姓は姒氏。
なつのくも。陶濳詩「春水滿四澤、──多奇峯」宣和書譜「釋懷素觀──隨風、頓悟筆意、自謂得草書三昧」
○大いなるいへ。楚辭、大招「──廣大」=大廈·夏室。○盛んに食饌を設け、禮物の大いに具る義。詩、秦風「于我乎、──渠渠」=大具。
おほうみ。呂覽「禹北至人正之國──之窮」=大海。
周代六官の一、軍政を掌る官。周禮、序「羲叔爲──、是司馬也」
宋の畫人、字は禹玉、寧宗の朝、畫院に待詔たり、金帶を賜ふ、院人中、畫山水は范寬を學び、李唐より以下其の右に出づる者無し〔杭州志〕
夏日の炎天に田を耕す、甚だ辛苦する義。孟、滕文公「脅肩諂笑、病于──」
夏の末世の暴君桀王をいふ。轉じて殷の暴君紂王と共に暴君の義とす「桀紂」
春秋經に、夏五月の月の字缺けて──とあるによりて陰曆五月の稱とす〔春秋、桓十四〕
○地名、今の湖北省武昌縣の西、黃鵠山上に在り、三國の時、吳、──城を築く。○縣名、卽ち令の漢口鎭、江漢二水の要衝に據り、通商極めて盛んなり。
夏の代をいふ、禹、始め夏伯に封ぜらる、故に國號を夏といふ、后は、揖讓を以て君に受くるが故の美稱。論、八佾「───以松」
野生の多年生草、莖方にして高七八寸、葉は長卵形にして端尖る、莖葉皆毛あり、夏初淡紫色穗狀の花開く、夏至の後枯る故に名つく、莖葉皆藥用とす。
なつの山。臥遊錄、郭熙記「春山淡冶而如笑、──蒼翠而如滴」
なつのころ、夏の時節。說文「──、萬物皆丁實」=夏日·夏期。
なつのひ、なつ。轉じて畏るべき人物に喩ふ。左、文七「趙衰冬日之日也。趙盾──之日也」
夏の代に用ひし曆法 コヨミ 書、咸有一德「爰革──」=夏曆。
鐘乳石の異名。=石乳。
陰曆五月五日。=端午節。
學校にて怠慢なる生徒を懲らすに用ふるむち、夏は榎 ヒサギ 楚は荊 イバラ なり。禮、學記「──二物、收其威也」
夏の代の獄の名。轉じて獄屋の義とす。史、夏紀「桀召湯囚之──」
夏の蟲は冰を知らず、以て人の識見の狹小なるに喩ふ。莊、秋水「────────者、篤於時也、曲士不可以語於道者、束於敎也」
五色の羽を具ふるきじ、翟は雉。書、禹貢「羽畎──」羽畎は羽山の谷。
なつのそら、なつの日。韋應物詩「岸幘偃東齋、──淸曉露」=夏日·夏時。
夏用ふるたかむしろ。隋煬帝詩「──蔭修竹」別賦「──靑兮晝不暮、冬缸凝兮夜何長」
陰曆四月の異名。=仲呂。
なつのよる。王昌齡詩「──如涼秋」=夏夕。
なつまつり。礿は禴に同じ。禮、明堂位「──秋嘗冬蒸春社」=夏祭·夏祀。
夏の火鉢と冬のあふぎと、無用の事物に喩ふ。論衡「作無益之能、納無補之說、猶如以夏進爐以冬奏扇、亦徒耳」
二十四氣の一、冬至の反對にて日の最も長き時、六月二十一日頃。春秋繁露「──之後、萬物茂盛」
赤道より北緯二十三度半の所にある假定の線。太陽が此線上に來る日を夏至といひ、之より再び南に歸る、故に囘歸線ともいふ。
11畫
ケイ [敬]
はるか。=迥。とほし。
はるかへだたる貌。赭白馬賦「絢練──」=懸隔。
はるかなる貌。王維文「碣石館前、──鳥逝」
12畫
キ [支]
○もののけ、木石の怪。○──は敬ひ懼るる貌。書、大禹謨「──齊慄」○舜の臣の名、典樂の官たり。