食部
0畫
①ショクジキ [職]
②シ [寘]
③イ [寘]
①くひもの、たべもの、人の口腹を養ふもの「美─」「酒─」○かて「糧─」○しょくじ、─事する「飽─」「大─」○まどはす(蠱惑)管子、君臣「明君在上、便嬖不能─其意」○むしばむ、きずつく。○たがやす(墾耕)○やしなはる(養)○もちふる(用)○いつはり(僞)「─言」○爲す。左、哀元「後雖悔之、不可─已」(後悔しても如何とも爲しがたき義)○祭らる。○かむ、かじる(囓)○くらふ、くふ、はむ(飧·啗)○飮む「─酒」○まつり(祭祀)○くらし、すぎはひ(生計)○ふち、ちぎゃう(秩祿)ふちを受ける「─祿」「─邑」○日月の蝕。春秋、隱三「日有─之」○寒─は二十四氣の一。冬至より一百五日目。○─指は手の第二指。
②くはす、─を以て人に與ふ。詩、小雅「飮之─之」○やしなふ、そだてる、養育する。左、文元「穀也─子」(穀は人名)○動物を飼ふ「─牛」○めし、いひ(飯)論、鄕黨「─不厭精」(飯米は白きほど善し)
③人名。酈─其 レギイキ は漢の高祖に說せし策士。
同訓異義
クラフ 食·喫·吃·啖·噉·啗·哺·餔·茹·飧·餐·饔·咀·嚼○食は物をくらふ義、はむとも訓む。易經「君子以飲食宴樂」飯の義のときは音シ。論語「一簞食、一瓢飲」○喫は現在口に入れてくらふ義、俗語に多し、また飮む義にも用ふ、喫レ茶の如し。杜甫詩「對レ酒不レ能レ喫」○吃はどもりの義なれども、同音なれば、喫に通用す「─水」○啖はたくさんに食ふ。漢書「吉婦取レ棗以啖レ吉」餤に同じ。○噉は音義共に啖に同じ。○啗は啖·噉に同じ、また利を以て人に餌するをも亦啗といふ。史、高帝紀「使二酈生·陸賈往說一レ秦、將二?以一レ利」○哺は食物の口中に在るなり。史記「一飯三吐レ哺」○餔は哺に同じ。○茹は食なり、多くは菜を食ふに用ふ。莊子「不レ飮レ酒、不レ茹レ葷者數月矣」○飧は夕食なり、轉じてざっと少しばかりの食事する義とす、俗に飱に作るは非なり。○餐は飱に通じ用ふ、小飯なり。漢書、韓信傳「令二其裨將傳一レ餐」○饔は熟食なり、朝食をいふ。孟子「甕飧而治」○咀は口に含みて味ふなり、咀嚼と熟す。○嚼はかみ食ふなり、咀と略~同じ、說文にもと噍に作る、齧なり。
日常の食物は一品にとどめておごらず、左、哀元「昔闔廬────、居不重席」禮記「器不刻鏤、────、以與民同利」
古の官名、調劑飮食を掌る〔周禮、天官〕
領地、ちぎゃうしょ。漢書、高帝紀「其有功者、上致之王、次爲列侯、下乃──」=采地。
食用に供する精製せししほ。
食物を讓りて人に食はす。史、淮陰侯傳「──食我」
食物は人民生命の本たる義。文子「食者民之本」とあると同じ。史、酈食其傳「王者以民爲天、民者────」
食事を中途に止める。漢書、張良傳「王──吐哺罵曰」
○客分としてかかへ置く臣。史、平原君傳「士不外索、取于──門下足矣」=門客。○ゐさふらふ、かかりうど。
○物を食ひたく思ふ心もち。=食欲。○氣味を食ふ義。鬼神が供物をめしあがる。詩、大雅、疏「鬼神──謂之──」○空氣を吸ふ。道家養生法の一、今の深呼吸の類。五符經「──常有少容」○ シキ 飯の氣、氣は穀氣。論、鄕黨「肉雖多、不使勝──」
日月の皆旣蝕。春秋「桓公三年秋七月壬辰朔、日有食之旣」
食事の道具、茶碗·皿の類。
幼にして大いなる氣象あるをいふ。尸子「虎豹之駒未成文、有食半之氣」
都會の物價の高きをいふ。戰國策「楚國之食、貴於玉、薪貴於桂、今臣────」=米珠薪桂。
食物と、たからと。飮食物と貨財と。書、洪範「三八政、一曰食、二曰貨」漢書、敍傳「厥初生民、──爲先」=貨食。
食事する位のわづかの時閒。史、孟嘗君傳「出如──、秦追果至關」=一餉·一食頃。
食用に供するいぬ。三才圖會「──猶今之菜牛也」
うそをいふ、いひたる言を履行せず、食は僞。書、湯誓「爾無不信、朕不──」
人口をいふ。東坡集「──猥多、不知所爲」
靑物をくらふ。陸游詩「──終年安賤貧」
めしをくふ。楚辭、九章「心煩憺兮忘──」
○手の第二指、くすりゆび。又、ひとさしゆび。左、宣四、注「五指、巨指·──·將指·無名指·小指」○轉じて人口の義とす。「──衆多」
ひとさしゆびが自然に動く。美味を得る前兆とす。左、宣四「楚人獻黿于鄭靈公(中略)子公之───、以示子家曰、他日我如此、必嘗異味」
○くひもの、かて。玉燭寶典「──者、謂黍秫竝收之也」=食糧。○ゑばを食ふ。六韜「夫魚食其餌、乃牽于緡、人食其祿、乃服從于君」
しょくあたり、くひすぎ。
たべもの。漢書、賈山傳「陛下卽位親自勉以厚天下、損──不聽樂、减外徭」
珍らしき食饌を座の前に一丈四方もつらねる、甚だしき奢をいふ。孟、盡心「────、侍妾數百人、我得志不爲也」
租稅を取立てて食祿とする。漢書、食貨志「縣官當──衣稅而已」
食事をする部屋 ヘヤ
○食物の通過するみち、氣管の後にありて喉 ノド より胃に通ずる。○兵粮を運搬するみち。史、白起傳「秦王聞趙──絶」=糧道·饟道。
ぜん、はんだい。
くらふ〔史、叔孫通傳〕晉書、食貨志「人相──、白骨盈積」
糧食が盡きる。史、項羽紀「項王兵疲──」
食品を列記せしもの、獻立書 コンダテガキ 表異錄「晉何曾有安平公──」
田地のあがりにて生活する。又、ちぎゃうしょ(知行所)國語「大夫食邑、士食田」=領地。
○土地より產出するものを食ひて生活す。左、昭七「封略之內、何非君土、──之毛、誰非君臣」○ ドヲハム 領地をうける。班固文「功成──、德被遐邇」
鳥獸のにくをくらふ。禮記「孔子食于季氏不辭、不食肉而飧」
一食に二品の肉を食はず。齊の晏嬰の節儉なりし故事。史、晏嬰傳「────、妾不衣帛」
食物は人民生存の根本。文子「─────也、民者國之基也、國者君之本也」
さじ。劉弇詩「──驚浮世、鞭梢度寸陰」
食物の代金。=食料。
食物のしな。=食料。
食邑に同じ。
くひぶち。俸一に奉に作る、秩祿なり。晉書、職官志「諸公開府、位從公者、品秩第一、──日五斛」=食祿。
たべもの。史、匈奴傳「得漢──皆去之」=食餌·糧食。
食物として用ふる。又、其の食物。戰國策「使人給其──、無使乏」
たべたく思ふ心。=食氣食慾。
ちからわざにて生活する、工商農など。禮記「──無數」
○食物に供すべき材料。魏書、高恭之傳「其中人功──」○食物の代價。=食費。
○ふち。史、魏世家「──千鍾」=奉祿。○ふちを受ける。史、循吏傳「──者不得與下民爭利」=食俸·俸給。
心が他に放たれてゐる時は、物を食ひても味がわからず。大學「心不在焉視而不見、聽而不聞、──────」
2畫
キ [支]
饑に通ず
○うう、かつゑる(餓)腹がへる。書、舜典「黎民阻─」○うゑ。韓詩外傳「一穀不升、曰歉、二穀不升曰─」○うゑしめる。孟、離婁「稷思天下有─者、由已─之也」○食物が乏し、五穀がみのらず、ききんどし(凶年)爾雅「穀不熟爲─」
同訓異義
ウウ 飢·餒·餓·饉·饑の別は餒(食部七畫)の條を見よ。
うゑる。=饑餓。
腹がうゑ喉がかわく。詩、王風「君子于役、苟無──」
うゑると、こごえると。後漢書、馮異傳「昨日得公孫豆粥、──俱解」=饑寒·寒飢·凍飢。
穀物がみのらず。論、先進「因之以──」=饑饉·歉饉·荒饉。
甚だしくうゑて耐へ難き義。白居易詩「壯者不可耐、──燒其腸」蘇軾詩「──燒腸作牛吼」
うゑくるしむ。後漢書、桓榮傳「莽敗榮抱其經書、與弟子逃匿山谷、雖常──、而講論不輟」
うゑたるやまいぬ。張憲詩「白首──夢裡驚」
凶年と豐年と。漢書、食貨志「世之有──、天之行也」
飢うること甚だしき者は、食物の如何を問ふに遑なし、困窮の民は些少の恩惠にも感ずるに喩ふ。孟、公孫丑「─────、渴者易爲飮」
うゑたるかほいろ。孟、梁惠王「民有──、野有餓莩」
貪婪なる者に喩ふ。魏書、宗室暉傳「再遷侍中、領右將軍、凡在禁中要密之事、暉別奉旨、藏之於櫃、唯暉入乃開、侍中盧昶、亦蒙恩眄、故時人號曰餓虎將軍·────」
孟子の「飢者易爲食」と同義〔傳燈錄〕
シ [寘]
飼に同じ、食に通ず
○かて(糧)○くらはしむ、食を以て人に食はしむ。
飧(次畫)の俗字。
テイ チャウ [徑]
たべものをたくはふ(貯食)
○食殽をつらねて食はず。宋濂詩「偶逢玳筵張、肴核列──」○轉じて徒らに意味なき文詞を排列するに喩ふ。韓愈詩「或如臨食案、肴核分──」
3畫
セン [先]
かゆ(粥)饘(食部十三晝)に同じ。孟、滕文公「─粥之食」
ソン [元]
飡·飱は俗字
○ゆふめし(夕食)又、其の晚餐 ユフゲ をととのへる。孟、滕文公「饔─而治」饔は朝食。○ちゃづけ、しるかけ。○あひのめし(小食)○くらふ(食)「素─」○煮たる食物。=熟食。
タク [藥]
餺─は餠の屬。齊民要術「麥麪堪作餠─」
4畫
①イン·オン [寢]
②イン [沁]
①のむ、酒又水などをのむ。杜甫詩「─如長鯨吸百川」○そそぐ(漱)○のみもの。論、雍也「一瓢─」○かくす。かくる(隱)人に知れざるやうにする。漢書、遊俠傳「─其德「○沒する。曹植、七啓「中必─羽」○こらへる、ふくむ(含受)「─恨」「─聲」○さかもり。
②のます。みづかふ、牛馬に水を飮ます。左、昭二六「─馬于淄」
同訓異義
ノム 飮·吞·咽·嚥の別は吞(三一八頁三段)の條を見よ。
強弓を引きて矢がふかく入りて羽を沒するに至る。曹植、七啓「機不虛發、中必──」
大酒を飮む人。元淮詩「醉盡春風興未闌、──惟恐王盃乾」=酒豪。
願望する所の些少なる義。次條を見よ。
人の性分には定りあるものなれば、各其の分に安んずべきに喩ふ。莊、逍遙遊「偃鼠飮河、不過滿腹」河は黃河。
○酒を飮む具、さかづきの類。周禮「梓人爲──」=酒器。○しびん、溲溺の器。戰國策「殺智伯、漆其頭以爲──」一說、酒杯。
酒を飮みてたのしむ。宋史、梁周翰傳「喜蒱博、惟以──爲務」
○流れて口に入りしなみだを飮む。漢書、賈捐之傳「老母寡婦、──巷哭」○すすりなき、聲を發せずして泣く。
さけのみて笑ひ樂む。唐書、劉伯芻傳「數過友家──」
酒より起るわざはひ。皮日休、酒箴序「不見前世之──耶」=酒禍。
甚だしく過を悔いて自ら新にせんとする義。南史、荀伯玉傳「若許某自新、必吞刀刮腸、────、帝善其答、卽釋之」
うらみを心中に忍びもつ。江淹賦「莫不──而吞聲」郝經詩「──復吞聲」
凱旋して、宗廟に至りて酒を飮み、戰功をしるす、策は冊。左、桓二「反行飲至、舍爵策勳焉、禮也」
物を射て中りたる矢の半を沒する。金史「射之中其背、飲矢之半、僨而死」
匿名の書。飮は隱と音通。後漢書、蔡邕傳「臣一入牢獄、趣以──、情辭何由復聞」
のみもの。夢溪筆談「有司具茶湯──」
さけをのむ。詩經「王在在鎬、豈樂──」
さけをのむところ。雲仙雜記「蘇晉作曲室、爲──」
のむと、たべると。のみくひ。又其の物。禮、禮運「──男女人之大欲存焉、死亡貧苦人之大惡存焉」
酒をのみてゑふ。史、衞將軍傳「以爲漢兵不能至此、──、漢兵夜至、圍右賢王」
のみすする。沈括文「煮煉有節、──有宜」
のみすする。南唐書、黃載傳「──之外、一無所蓄」
飮食物「──正要」は書名、三卷、元の和斯輝撰す。
さかもりして人を見送る。酒食を以て人を送る。詩、邶風「──于禰」
○鳥が水を飮み餌をついばむ。何承天詩「──雖勤苦、不願棲園林」○人が飮食して生活する義とす。杜甫詩「──愧殘生、食薇不敢餘」
のみくひする、啗は啖に同じ。漢書、霍光傳「與從官──」
唐の杜甫の作りし當時名高き酒豪八人(賀知章·汝陽王璡·李適之·崔宗之·蘇晉·李白·張旭·焦遂)の事を詠じたる七言二十二句より成る古詩、唐詩選卷二に出づ。
さけのさかな。類說「下酒物謂之──」=下物。
酒のみともだち。黃庭堅詩「招得鄰丁作──」=酒伴·酒友。
德を隱して顯はさず。又、其の德。漢書、游俠傳「終不伐其能、飮其德」=隱德。
馬に水かふ、馬に水を飲ます。風俗通「漢黃子廉性廉介、每──、輒投錢於水」文選に──長城窟行の古樂府を載す。
くすりをのむ。禮記「君有疾──、臣先嘗之」
酒をのむ分量。五雜俎「以今人──較之」=酒量。
こゑを出さずしてなく。すすりなき。陸雲賦「長歎息而──」=飮泣。
のみもの。飮用の料「──水」
甚だしく酒を飲む形容。杜甫、飮中八仙歌「左相日興費萬錢、───────」
ジン ニン [寢]
又、餁に作る
○よくにる、大いに熟す「烹─」論、鄕黨「失─不食」(失─とは煮過ぎる)○よくにたる食物。
飧(前頁三段)の俗字。
チョク [職]
○ととのふ、整備する。詩、小雅「我車旣─」○ただす。ただし(正)「匡─」○つつしむ(謹)○つとむ(勤)○をさむ。をさまる(治)○いましむ。命令して戒む「戒─」齊語「─其子弟」=敕。
己の身を正しつつしむ。漢書、成帝紀「朕親──、郊祀上帝」
いましめつつしむ。蔡襄文「帝者宗屬、惟是──自守」
謹みてととのへただす。禮記、疏「當敬而又敬、必使──」
いましめはげます、戒勉する。漢書、文翁傳「親自──」=飭勵。
トン ドン [元]
○餛─ コントン は米麥の粉にて製し、中に餡 アン 又は肉を入れたるもの、むしもち。=餫飩。○饂─ ウンドン はめんるゐの一種、うどん。
①ハン [諫]
②ハン [阮]
①めし、いひ。五穀を炊ぎて熟せし常食物「炊─」「米─」「麥─」曲禮「毋摶─」
②くらふ、─をたべる。論、鄕黨「君祭先─」○やしなふ「─牛」くらはす、─をたべさす。史、淮陰候傳「見信飢─信」○めし、食事。
めしと、のみものと。史、趙奢傳「所奉──而進食者、以十數」
めしをもるはち。馬祖常詩「──給香積、袈衲褫華纓」
○めしをまるめる。曲禮「毋──」○ タンバン にぎりめし。
葛仙公が口中の飯を吐けば飛んで蜂となりし故事。事類賦、蜂賦、自注「葛仙公別傳曰、仙公與客對食、客曰、當請先生作一奇戲、食未竟、仙公卽吐口中飯、盡成飛蜂滿屋、或集客身、莫不震肅、但皆不螫、良久、仙公乃張口、蜂飛入中、悉復成飯」
めしと、あつものと。宋史、劉錡傳「出──坐餉戰士」
甯戚が明主に逢はずして賤役に服するを歎じて作りし歌。蒙求「齊桓公夜出近舍、甯戚疾擊其牛角、高歌曰、南山矸白石爛、生不遭堯與舜禪、短布單衣適至骭、從昏飯牛薄夜半、長夜漫漫何時旦、桓公與語、說之、以爲大夫」
俗 料理店。
僧寺中にて飯時に磬を擊ちて僧徒を召すをいふ。沈炯詩「馴烏逐──」
期限に後るるにいふ。摭言「唐王播客揚州木蘭院、隨僧齋餐、僧厭苦、飯後擊鍾、播來則後時矣」
めし。高適詩「所思強──、永願在鄕里」
めしを盛るさじ。飯杓子 シヤモジ
はぶ、毒蛇の一種、琉球に產す。黃色の者を金───といふ。
飯囊に同じ。酒囊──(二○○六頁四段)を見よ。
衆人相竝びて食事する臺。
めしに炊ぎしこめ。吳融詩「──羮菰曉復昏」
俗 ○料理の獻立表。○食時に方錦又は布を以て衣を護するもの。ひざかけ。
ちまき(粽·糉)蘇軾詩「──仍閔楚」
めしぶくろ。無能にして徒らに生活するものを嘲る語。金縷子「禰衡云、荀彧可強與言餘皆酒甕──」=飯袋。
めしばち。張憲詩「胡經函貝葉、──繫椰瓢」
食物をふき出す。大いに笑ふ貌。蘇軾文「失笑──滿案」=噴飯。
めしつぶ。晉書、殷仲堪傳「──落席閒、輒拾以噉之」
飯(前條)の俗字。
ヨ ヲ [御]
○あく、たべあきする(饜)「飽─」「厭─」○さかもり(燕食)○立ちて行ふさかもり(立而饗)○たまふ(賜)「─賜」
同訓異義
アク 飫·飽·饜·厭の別は飽(次頁四段)の條を見よ。
さかもり。漢書、陳遵傳「遵知飮酒──有節」
十分に飽くまで酒食を下賜せられる。左、襄二六「爲之加膳、加膳則──」
聞き飽きる。韓愈文「次其道塗之所經、宜其于山水──而厭見也」
5畫
①イ [支]
②シ [寘]
①あめ(餳)米·麥のもやしと煎りたる秫 モチアハ 又は蒸したる糯 モチゴメ とにて造りしねばりて甘き食品。詩、大雅「堇荼如─」=糖漿(我國にては麥のもやしと蒸したる糯 モチゴメ とにて造る)○あまみ、美 ウマ き食物。
②やしなふ、くらはす(食)晉書、王薈傳「以私米作饘粥、以─餓者」
西戎より出づる甘く淡き味あるしほ。周禮、天官、鹽人「王之膳羞共──」注「鹽之甜者、今戎鹽有焉」=石鹽。
甘きしる。益部方物略、柑贊「碧葉素葩、厥包之珍、丹裏旣披、香液──」
あめのしる。唐書、王重榮傳「帝每岀或獻──、帝駐馬爲嘗」
あめと、はちみつと。禮、內則「棗栗──以甘之」
仁人は飴を得て老人を養ひ、盜跖は飴を得てぢゃうまへをあけるに用ふ。同一の物も用ふる人によりて其の用を異にするに喩ふ。呂覽「仁人之得飴、以養疾侍老也、跖與企得飴以開閉取楗也」淮南子「柳下惠見飴曰、可以養老、盜跖見飴曰、可以黏牡」
祖母が孫を愛する故事。後漢書、明德馬皇后傳「皇后曰、吾爲天下母、而身服大練、食不求甘、欲率下也、吾但當含飴弄孫、不能復關政」含飴とは、年老いて齒なきが故。
シ [紙]
食を嫌ふ。又惡食 マヅキタベモノ 管子、形勢「人─食則不肥」
シ ジ [寘]
○やしなふ。人に食を與へる。○かふ、動物を畜 カ ひ養ふ。=飤。
動物をやしなふ。元史、張立道傳「雖知蠶桑、未得其法、敎之──、收利十倍於舊」=養飼·畜養。
ショク シキ [職]
○かざる、物旣に成りて其の外觀を美くしくする。○ととのふ。○ぬぐふ(拭)○よそほふ(裝)つくろひて好くする「─詞」「文─」○をさむ(修)物事の仕上げをする、物が岀來あがりて文采を加へる。論、憲問「行人子羽修─之」○衣服のへり。詩、鄭風「羔裘豹─」○かざり「裝─」「盛─」「粉─」○守り備へる。飭と通ず。○ 國 かざり、新年に門戶に設けるえんぎ物「松─」
かざれるさかづき。斝は玉爵 タマノサカヅキ 庾信、周宗廟歌「雕禾──、翠羽承樽」
巧みにいつはりかざる。後漢書、黨錮傳序「士之──馳辯以要能釣利者、不期而景從矣」
かざりていつはる。鹽鐵論「世俗──行詐」=作僞。
かざりもてあそぶ。南史、王曇首傳「手不執金玉、婦女亦不得以爲──」
ことばをかざる。飾りたることば。韓非子「則羣臣莫敢──以惛主」
○いつはりかざりたることば。南史、循吏傳「郭祖深封事曰、──利辭、競相推薦」○ことばをかざる。
かざりいつはる、いつはりてうはべをかざる。史、公孫弘傳「誠──欲以釣名」=矯飾。
かざりよそほふ。孟浩然詩「──辭故里」=裝飾。
○ことばをかざりて美くしくする。論衡「非苟調文──、爲奇偉之觀也」=飾辭。○あやまちをかざりてごまかす。=飾口。
漆にてぬりてかざりたる車。尙書大傳「得乘──騈馬」
うはべのみへりくだりてゆづる。南史、王華傳「宋世惟華與南陽劉湛不爲──」
死者を尊榮にする。隋書、豆盧毓傳「加等──」劉禹錫詩「──鄰好重」
かざりつくろふ。晉書、劉曜載記「躬親二郊、──神祠、望秩山川、靡不周及」
すすめてぬき用ふる、奬勵拔擢する。晉書、陶璜傳「聖恩廣厚、猥垂──」
巧に才智をかざる。莊子「──以驚愚」史、汲黯傳「徒懷詐──、以阿人主取容」=弄巧。
あしき事を道理らしくかざりていふ。莊、盜跖「強足以拒敵、辯足以──」史、殷紀「智足以拒諫、言足以──」
ハゥ [巧]
○あく(饜)たる、みつ(滿)腹一っぱいになる。論、學而「君子食無求─」○あかす、あかしむ。○あくまで、心ゆくまで、十分に滿足する。
同訓異義
アク 飽·饜·飫·厭○飽は物を一っぱい食ふ義、ひだるきことなき程に食ふ義にて、いやになるまで過食するにはあらず。轉用して飽レ德·飽二仁義一などと用ふ、論語の「食無レ求レ飽」は腹八分目に食へとの意。○饜はあき滿る程、大食するなり。孟子「饜二酒肉一而後反」○飫は馳走すぎてあき足る意なり。詩經「飲酒之飫」○厭は饜に通用す。左傳「食惏無レ厭」
學問が腹に滿つる。文心雕龍「有──而才餒」
飽くまで飯を食ふ。黃庭堅、子瞻謫海南詩「子瞻謫海南、時宰欲殺之、──惠州飯、細和淵明詩、彭澤千載人、東坡百世師、岀處雖不同、氣味乃相似」
光祿寺卿の異稱。飮膳の事を主 ツカサド るが故。蘇東坡詩、注「世傳京師謂光祿爲──、衞尉爲煖卿、鴻臚爲睡卿、司農爲走卿、宗正爲冷卿」
あくまでくらひ、あたたかにきる。孟、滕文公「────逸居而無敎則近於禽獸」=飽暖。
あくまですする。梅堯臣詩「亦將茶具幷、──時出俗」
食にあき、あたたかに著る。趙朴詩「郡邑豐穰眞可喜、人家──更何憂」事林廣記「──生淫欲、飢寒發善心」=飽食暖衣。
恩德を十分に受ける。詩經、旣醉序「醉酒──、人有士君子之行焉」
あくまでめしを食ふ。杜甫詩「吾輩碌碌──行」
はらにみつる。劉禹錫詩「毰毸──蹲枯枝」=飽食。
あくまで聞きて知る、其の事の世に知れ渡れるをいふ。韓愈、與李拾遺書「勤儉之聲、寛大之政、幽閨婦女、草野小人、皆──而厭道之」
あくまでくらふ、飫も飽。後漢書、劉盆子傳「困餧十餘萬人、皆得──」=饜飫。
物理學にて二物相遇ひて一の現象を成すには、必ず一定の限度あり、此の限度を過ぐれば、又他の變化を生ず、此の限度を──點といふ、空氣中の水蒸氣が一定の限度を過ぐれば、雨滴となるが如し。
ハン [旱]
こごめもち(屑米餠)「五色─」=粄·?。
ヒツ ヘツ [質]
食物のかうばしき貌。苾に通ず、芬香の義。詩、周頌「有─其香」
6畫
カゥ [效]
○あめ(飴)の類。○─餌は屑米 コゴメ の麵を飴に和してつくる食品、一名、粉角。
シ [支]
むしもち、もち米を蒸してつきたるもち(稻餠)周禮、天官、籩人「羞籩之實、糗餌粉─」
ちまき(粽)陸游詩「白白──美」
ジ [紙]
○たべもの、食物の總名「果─」「藥─」○ゑ、ゑば、ゑじき「香─」「好─」淮南子「無─之鉤不可以得魚」○もち、だんご(粉餠)○くらふ(食)後漢書、馬援傳「常─薏苡實」くらはす、ゑばす。○轉じていざなふ、利を以て人を誘ふ。漢書、賈誼傳「五─三表」○こながき(糝食)
食事をする、活計をたてる。戰國策「夜行而晝伏、無以餌其口」=餬口。
ゑばをくらはす。轉じて利を以て人をいざなふ。劉禹錫文「罟張──、不可遁伏」
計を以て敵をいざなふ。魏志、太祖紀「此所以──、如何去之」
飪(食部四畫)に同じ。
ほどよく煮る。北史、趙琰傳「孝心色養、──之節、必親調之」
シャウ [漾]
○かれいひ旅人又は田にて働く人におくる食物、辨當 ベンタウ の類。○兵糧。又、軍用金「餽─」「─道」「轉─」○かれひす(饋)食を送る。孟、滕文公「有童子、以黍肉─」○人に物をおくる。貺に通ず。○食事をする位の短き時閒。韓愈文「雖得一─樂、有如聚飛蚊」
贈りもの。齊書、呂文顯傳「爲舍人、竝見親倖、四方──、歲各數百萬」=饋贈·饋遺。
おくり給する品、饋送供給の品。唐書、和政公主傳「代宗以主貧、詔諸節度──、主一不取」
ひゃうらう(兵糧·軍食)史、高祖紀「鎭國家、撫百姓、給──、不絶糧道、吾不如蕭何」=餽饟·饟饋·糧饋。
兵糧をおくり與ふ。後漢書、蔡茂傳「每所──、計口取足而已」
金錢酒食などを返禮に贈る。唐書、韓滉傳「以金繒相──」
①テン [琰]
②テン [鹽]
①さぐる、おびきだす、ひっかける、鉤 カ け取る。孟、盡心「是以言─之也」
②甛(一二六○頁三段)の古字。
餠(食部八畫)の俗字。
①ヤゥ [養]
②ヤゥ [漾]
①やしなふ、そだてる、成長せしむ「生─」「─育」「愛─」「乳─」「長─」大學「未有學─子而后嫁者也」○十分につくり成す。保全する。孟、公孫丑「我善─吾浩然之氣」○やしなひ。○をさむ(治)孟、盡心「─心莫善於寡欲」○をしふ(敎)禮記「立太傅·少傅以─之」○はぐくむ、ちのます。○子を生む。○かふ(飼畜)○なつく(懷柔)○とる(取)○かくす(隱)○にぎはす(賑)○まかなふ(給)○しもべ(使役者)○まかなひかた(炊夫)「都─」公羊、宣十二「廝役扈─」○かゆし。=癢。○──は心憂ひて定まらざる貌。詩、邶風「中心──」○─氣は酸素の一名。
②身分の卑き者が高き者をやしなふ。下の者が上に供奉する「供─」論、爲政「今之孝者是謂能─、至於犬馬皆能有─」
やまひをやしなふ。養は治。魏書、裴衍傳「──中嶽、鍊石嵩嶺」=養病。
春秋時代の楚の射術の名人、百步はなれて柳の葉を射るに百發百中せしといふ〔漢書、枚乘傳)淮南、說山「楚王有白蝯(中略)使───射之、始調弓矯矢、未發而蝯擁柱號矣」蝯は猨 サル
やしなひそだてる。史、始皇紀「──宗親」=養毓·養視。
自活の道なく又保護者なき老人小兒等を收容して養育する所。
やしなひそだてる、毓は育。梅堯臣、鴨雛詩「有志在──、勿論報德限」=養育。
銳氣をやしなふ。晉書、慕容德載記「靑齊沃壤號曰東秦、旣據之、後閉關──、伺隙而動、此亦二漢之有關中·河南也」
養子に行きし家。
老人をやしなふ。蘇頲文「寶賢重穀、尊儒──」艾は老。
高尙なる志を養ひ保つ。周書、韋夐傳「──不仕」
○道家にて氣力をやしなふ。五代史、前蜀世家「王宗壽以煉丹──自娛」=鍊氣。○浩然の氣をやしなふ。孟、公孫丑「我善養吾浩然之氣」=養性。○酸素の一名。
としよりをいたはりやしなふ。魏志、陳登傳「登年二十五、擧孝廉、除東陽長、──育孤、視民如傷」=養老。
○其の德器を養成する〔三國志、孫休詔〕○我が身を奉養するに入用の器物。禮、王制「祭器未成、不造燕器」注「凡家造祭器爲先、──爲後」=燕器。
魚をやしなふ。齊書、顏歡傳「屋前有池──」
わざはひをやしないつくる。五代史、宦者傳論「緩之則──而益深」
己の德をやしなひ迹をくらまして時機の來るを待つ。詩、周頌「遵養時晦」の略。宋史、邢恕傳「因賓客諭意、使──以待用」
やしなひいかす。白居易詩「屛除俗事盡、──道情全」
はなぐもりの時にふる雨。次條參看。
春のはなぐもり。花品「牡丹開日、多有輕雲微雨、謂之───」
からだをやしなふ。莊、刻意「吐故納新、熊經鳥伸、爲壽而已矣、此道引之士、──之人、彭祖壽考者之所好也」
にはとりを飼ふ。易林「──生雛、畜馬得駒」
賢才を養成する。易經「天地養萬物、聖人──以及萬民」
後日の患となる敵をゆるし置くに喩ふ。史、頃羽紀「漢欲西歸、張良·陳平說曰、漢有天下大半、而諸侯皆附之、楚兵罷疲食盡、此天亡楚之時也、不如因其機而遂取之、今釋弗擊、此所謂──自遺患也」易林「──畜狼、還自賊傷」
敎育學の用語。やしなひまもる。養育看護。
きずの治療をする。北史、西域傳「──一月、復常、又無痕瘢」=治瘡。
かひこをかふ。後漢書、循吏傳「勸令丨─織履、民得利益焉」
やしなひご。他人の子を養ひて己の子とす。後漢書、順帝紀「初聽中官得以──爲後、世襲封爵」=養息。
○父母の志に順ひてたのしましめる。孟、離婁「若曾子、則可謂──也」○志を高尙にする。莊、讓王「──者忘形、養形者忘利」
みみをたのします。史、禮書「鐘皷管絃、所以──也」
やしなひて世話する。後漢書、順陽懷侯嘉傳「南頓君──如子」=養育。
己の本心をやしなひ治める。孟、盡心「──莫善於寡欲」
天より稟けたる吾が本眞の性をやしなふ。陶潛詩「──衡茅下」=養性。
おやをやしなふ。史、聶政傳「可以旦夕得甘毳、以──」
○からだをやしなふ。新論「所以──、亦以傷生也」=攝生。○生命をやしなひて長からしめる。莊、養生主「文惠君曰、善哉、吾聞庖丁之言、得──」
身心を養ふべきことを論ぜし文。晉書、嵆康傳「以爲神仙稟之自然、非積學所得、至於導養得理、則安期·彭祖之倫可及、乃著───」
壽命を養ひて長くする。史、老子傳「以其修道、而──也」
正しき道をやしなふ。易經「蒙以──」疏「能以蒙昧隱默、自──道」
養ひそだてる。呂覽「始生之者天也、──之者人也」
己の性をやしなひて全くする。孟、盡心「存其心、養其性、所以事天也」漢書、梅福傳「福居家、常以讀書──爲專」
靜かなる心をやしなふ。趙師秀詩「──抛書册、淸閒倚杖藜」
生れつきのままのつたなき德をやしなふ。潘岳、閒居賦「終優游以──」
己の素性を養ひて全くする。晉書、王湛傳「──虛庭、同塵下位、雅道雖屈、高風不墜」蒙求「孟軻──」
からだを養ふ。史、禮書「牀第几席所以──也」=養形·養身。
やしなひをさむ。漢書、文帝紀「天生民、爲之置君、以──之」
人の女子を養ひて我が子とする。北齊書、孫騰傳「養貧家子賈氏、以爲──」
德をやしなふ。諸葛亮、誡子書「君子之行、靜以修身、儉以──」
名望をそだて養ひて自ら高尙にする。北史、魏收傳「不──於丘壑、不待價於城巿」
あしきことを增し長ずる。鶡冠子「──長失、以靜爲擾、以安爲危」
やまひをやしなふ。禮、射義「酒者所以養老也、所以──也」=養疴·養痾。
唐の開元時代に設けたる官設の施療病院。宋史「仁宗時、軍興多事、張士遜無所補、諫官韓琦上疏曰、政事府、豈───邪」
○養家のちち、やしないおや。五代史、劉后傳「幸張全義第、酒酣、命后拜全義爲──」=義父·寄父。○ちちをやしなふ。華陽國志「旨酒嘉穀、可以──」
やしなひとなる成分。=營養分。
兵卒をやしなふ。水滸傳、第六十囘「──千日、用在一朝」
なへをそだてる。陸游詩「──先去草、省事在淸心」
○養家のはは。=義母·契母。○母をやしなふ。南史、馮道根傳「家貧傭賃以──」
はちをやしなふ。郁離子「靈丘丈人之──也、園有廬」
やしなひをさめる。漢書、王莽傳「──兆民、奉稱明詔」
めをたのします。史、禮書「刻鏤文章、所以──也」
長きよ。大戴記「時有──」
心憂ひて定まらざる貌。詩、邶風「願言思子、中心──」
としよりをやしなふ。孟、離婁「西伯善──者」後漢書、明帝紀「幸辟雍初行──之禮」
身に奉ずる衣食を少なくする。荀子「──而動罕、則天不能使之全」注「略、減少也、──謂使人衣食不足也」
官吏の廉潔の心を養ふ。又、其の爲めに給する加俸。宋史、職官志「諸路職官、各有職田、所以──也」
○和平の精神を養ふ。後漢書、周磐傳「嗇神──」○背をよせかける具。唐書、李泌傳「嘗取松樛枝以隱背、名曰──」
7畫
が [箇]
○うう、うゑる、飢の一層甚だしきもの「凍─」「寒─」韓非、飾邪「家有常業、雖飢不─」○うやす、うゑしむ。孟、吿子「─其體膚」○うゑ。
同訓異義
ウウ 餓·餒·飢·饉·饑の別は餒(次頁三段)の條を見よ。
佛 三塗又六道(地獄·餓鬼·畜生·修羅·人閒·天上)の一、常に饑餓の苦を受くるを以ていふ。法華經「受地獄畜生餓鬼之苦」
物の味なきに喩ふ。枯髏はされかうべ〔虛堂錄〕
○うゑたるとら。極めて危險なる喩。史、刺客傳「是謂委肉當──之蹊也、禍必不振矣」○轉じて人の貪暴に喩ふ「──將軍」=飢鷹。
うやしてころす。魏志、袁紹傳「孤客窮軍、仰我鼻息、譬之嬰兒在股掌之上、絶其哺乳、立可──」
うゑじに。
うゑたるふくろふのさけぶ聲。南史、曹景宗傳一弦作霹靂聲、箭如───」
うゑたる人。檀弓「昔衞國凶、夫子爲粥與國之──」=餓人。
うゑじにせし人。莩一に殍に作る。孟、梁惠王「民有飢色、野有──」
前條に同じ。皮日休詩「纍纍作──、見之心若摧」
うゑたるおほかみ。後漢書、仲長統傳「使──守庖廚、饑虎牧牢豚」獨孤及詩「三秦千倉空、戰卒如──」
危難なることに喩ふ。晉書、阮种傳「夭百姓之命、塡────」=虎口。
①サン [寒]
②ソン [元]
①のむ(吞)吞みくらふ「加─」「晚─」詩、魏風「彼君子兮、不素─兮」○閒の食事、小食、點心。漢書、韓信傳「令其禆將傳─」=飧。○とる(採)王儉文「─輿誦於丘里」○のみもの、くひもの(飮食物)
②ゆふめし(餔)=飧。
同訓異義
クラフ 餐·食·喫·吃·噉·啗·哺·茹·飧の別は食(部首)の條を見よ。
菊の花をくらふ。楚辭「夕餐秋菊之落英」
霞 モヤ を食ふ、道家にて修煉の術。南史、褚伯玉傳「卻粒之士、──之人、乃可暫致、不宜久羈」顏延年詩「中散不偶世、本自──人」中散は嵆康。
くらふ。漢書、張安世傳「願將軍强──」
天子より臣下に賜はる廚膳料。漢書、高后紀「丞相平言、臣等議列侯、幸得賜──奉邑」
食物又、財物をむさぼる。又、其の者。朱松詩「一官戲人閒、幾何非──」
めしをくらふ。杜審言詩「疆埸及無事、雅歌而──」
はだへをくらふ。元稹詩「夜怯──蜹、朝煩拂面蠅」蜹は略して蚋に作る、蚊 カ なり。
シュン セン [震]
○くひあまし(食之餘)曲禮「─餘不祭」(たべのこりの物は神に供へず)○たべのこりをたべ盡くす。禮、玉藻「日中而─」(朝食ののこりを晝食ふ)○にたる食物(熟食)公羊、昭二五「─饔未就」飧に通ず。
くひのこり。曲禮「──不祭、父不祭子」=餘餕。
ソク サク [屋]
○かなへの中にもりし食物(鼎實)易、鼎卦「鼎折足、覆公─」大臣の職務を全うする能はざる喩。○轉じて三公などの任務を鼎─といふ。傅咸詩「安能任鼎─」
ダイ [賄]
本、餧に作フ
○うう、かつゑる(餓·饑)「貧─」「寒─」「─斃」孟、梁惠王「凍─其妻子」○轉じて浩然の氣の足らざるにいふ。孟、公孫丑「其爲氣也、配義與道、無是─也」○ただる(爛)あざる、魚肉がただれくさる。論、鄕黨「魚─而肉敗不食」
同訓異義
ウウ 餒·餓·飢·饉·饑○餒は餓也、ひだるし。孟子「妻子凍餒」○餓は極めて、ひだるきなり、飢よりは重し。韓非子、飾邪篇「家有二常業、一雖レ飢不レ餓」○飢は食物の乏しくしてううるなり、爾雅に「穀ノ熟セザルヲ飢トイフ」飢饉と連用す。書經「黎民阻レ飢」○饉は不作なり。韓詩外傳に「一穀不レ升曰レ歉、二穀不レ升曰レ飢、三穀不レ升謂二之饉一」○饑は穀の熟せざるなり。論語「歲饑用不レ足」饑饉と熟す、飢渴の飢は几に从ふ、後世は互に通用す。
うゑて身なげする。隋書、儒林傳「或纔登於下士、或──於溝壑、惜矣」=瘠棄。
うゑかつゑる。韋承慶文「朝夕皇皇、惟憂──」
うゑたるさむらひ。孟郊詩「山野多──、巿井無飢人」
うゑてたふれ死す。皮日休文「今之田、貧者不足于耕耨、轉而輸于富者、如勢家亦出屋粟、則途無──之民矣」
トウ [宥]
飣(食部二畫)を見よ。
①ホ·フ [虞]
②ホ·フ [遇]
①くらふ(食)たべる。屈原、漁父「─其糟」(又一に哺に作る)○ゆふげ、申の刻(午後四時頃)の食事。
②にごりあめ、餳 アメ の濁れるもの。○もち(餹餔)○やしなふ、くらはす。食を以て人に食はす。古、哺と通ず。
餔 ユフメシ の時、七っ時、卽ち午後四時〔淮南子〕
くらひすする。徒に食祿をむさぼる義とす。孟、離婁「孟子謂樂正子曰、子之從於子敖來、徒──也」=飮食。
くらひのむ。又、其の物。漢書、揚雄傳「溷漁父之──兮潔沐浴之振衣」
ボツ [月]
○茶の上の浮漚 ウクアワ 薄きを沫といひ、厚きを─といふ〔茶經〕○麪─は、むぎもち。○──は麪類。又餠餌 モチ の類。
ヨ [魚]
○のこり(殘)○はした(零數)「月─」○大略を擧げてはしたを省く時にそへることば「死者萬─」○あまり(賸)○ほか(以外)○すゑ、のち(末後)「雨─」「刑─」○いとま(暇)「三─」○あまた(饒多)○あまる。あます。
同訓異義
アマル 餘·衍·羨、贏·剩·賸○餘は物のたっぷりと、滿ちあまる義。老子「損二有餘一補二不足、一天之道也」○衍は水の溢れるなり、衍文とはあまりて不用の文字をいふ、衍義とは、引きのばして意義を說き廣むるなり。○羨は衍に同じ、餘なり、溢なり、羨餘·充羨と連用す。○贏は生產の餘計のあるをいふ、贏利と連用す。○剩はまだ其の上にといふ意、あまつさへと訓む、物の多くして餘り添はる義なり、剩材·剩貨と連用す。○賸は音ジョウ剩と同じ、益也、餘也と註す。唐書、杜南傳「殘膏賸馥、沾二丐後人一多矣」
なごりのかなしみ。杜甫詩「白鷗元水宿、何事有──」
祖先の惡事によりて子孫にまでも殘るわざはひ。易、文言「積不善之家、必有──」
前代よりのこれる威勢。賈誼、過秦論「──震于殊域」
言外にあまりある心。呂氏童蒙訓「讀古詩十九首、及曹子建諸詩、皆思深遠而有──、言有盡而意無窮」
音聲のたえてなほほそく殘れるひびき。蘇軾、赤壁賦「──嫋嫋、不絶如縷」
歌聲の微妙なるを稱する故事。列、湯問「韓娥東之齊、匱糧、過雍門、鬻歌假食、旣去、而餘音繞梁欐、三日不絶」
○あまれるひびき。○あまれるおもむき。=餘情。
あまれるたくはへ。宋史、道學傳序「無復──」=餘薀。
末流。朱熹文「曲禮少儀弟子職諸篇皆小學之支流──」
死後にまでのこるほまれ。華陽國志「若余者、可少以爲有──矣」
あまり、のこり。漢書、食貨志「逐利之民、畜積──」
明の王陽明(守仁)の學派、陽明は浙江省紹興府餘姚の人なるが故。
ひま。盧琦詩「公事多──、看山到遠村」
のこれるにほひ。又、うつりが。李商隱詩「幽淚欲乾殘菊露、──猶入敗荷風」=餘芳·餘馨·餘薰。
大寒があけて後の寒氣、立春後のさむさ。陸游詩「無賴──開楝花」
ひま、すきま。陶潛詩「虛室有──」
茶の異名。淸異錄「胡嶠飛龍礀飮茶詩云、沾牙舊姓───、破睡須封不夜侯」○餘甘は橄? カンラン の異名、前は苦く後に甘きが故〔臨海異物志〕=諫果。
のこれる日のひかり、ゆふひ。王粲詩「白日半西山、桑梓有──」=夕照·斜陽。
のこりのひびき。朱熹詩「千載畱──、猶疑笙鶴來」
國 宴會などの席にて興を添へるために行ふ演藝など。
のこれる音樂のふし。史、樂書、述贊「洋洋盈耳、咸英──」
なごりのあたたかさ。上官儀詩「池色搖晚空、巖花斂──」
のこれるかをり。蘇軾詩「帳空簟冷發──」=餘香。
のこりのゑひ、未だ十分にさめざる酒のゑひ。陸龜蒙詩「强歌非白紵、聊以送──」
のこりのくやみ。唐書、韓充傳「充歷三鎭、乘機決策、無──、人愛賴之」=後悔。
○あまれるひかり。次條參看。○おかげ、あまりの恩惠。歐陽修、晝錦堂記「海內之民、聞下風而望──」
恩惠を人に推し及ぼす義。史、樗里子甘茂傳「貧人女與富人女會績、貧人女曰、我無以買燭、而子之燭光、幸有餘、子可分我餘光、無損子明、而得一斯便焉」
祖先が善を積みし爲めに其の子孫にのこしたる幸福。易、文言「積善之家有──、積不善之家有餘殃」
あまりのにほひ。齊高帝、塞客吟「欷園琴之孤弄、想庭藿之──」=餘香·餘芳。
古よりのこれるをしへ。戰國策「夫齊覇國之──、而驟勝之遺事也」
滅びし者の子孫。孼は庶子。
○先人ののこしたる功業。漢書、楊惲傳「幸賴先人──、得備宿衞」○本業以外のしごと。蘇轍詩「習氣未消──在、逢人依舊琢詩章」
のちにまで殘れるうらみ。傅休奕詩「塗山有──、詩人詠采葛」
○たからをあます。史、滑稽傳「起而爲吏、身貪鄙者──」○あまれるたから。餘命を見よ。
○本妻腹の長子卽ち嫡子の同母弟。周禮「凡國之大事、致民大、故致──」○大夫の庶子。呂覽「張儀、魏氏──也」○本人以外の人、他のものども。後漢書、禰衡傳「──碌碌不足數」=餘人。
のこれるさいはひ。孫萬壽詩「若人惟傑出、濟世承──」
師と仰ぐべきもの餘りあり。孟、吿子「夫道如大路然、豈難知哉、病不求耳、子歸而求之有──」
あまれるたから。文同詩「──詎可數」=餘財。
ありあまるたくはへ。管子「民毋──者、其禁不必止、衆有遺苞者、其戰不必勝」
のこれるくさみ。南史、到漑傳「到漑尙有──、遂學作貴人、漑祖彥之、初以擔糞自給、故世以爲譏云」
うちもらされて殘れる惡人ども。諸葛亮文「殘類──」
學業を修めたる餘力を以て詩人となる。韓愈詩「多情懷酒伴、─────」
○あまれる日數。○ひま。列、仲尼「請待──」=暇日·閑暇·餘暇。
昔よりのこれるならはし。歷代名畫記「不能捨──」
ほかの人。論、雍也「囘也、其心三月不違仁、其餘則日月至焉而已矣」注「──暫有至仁時、唯囘移時而不變」
のこりのしる。慧遠傳「潄流者、味其──」
もえさし、やけのこり。殘兵に喩ふ。左、成二「請收合──背城借一」
十分にあまれるおもむき。周賀詩「閒坐有──」
くひのこり。王令詩「貪豐不辭多、愛美忘──」=餕餘。
婢僕のともがら。說苑「憎其人者、惡其──」=餘須。
秋までのこれるあつさ。陳基詩「到州日亭午、──秋更虐」=殘暑。
あまり、剩も餘。=餘贏。
のこりのいのち。謝靈運詩「──不歡娛」蘇軾詩「──欲老海南村、帝遣巫陽招我魂」=殘年·餘命·餘年。
たえんとするいき、死に瀕するいのち。隋書、劉炫傳「殆及──、薄言胸臆」=殘喘。
祭りの餘りの肉。陸游詩「──殘壺手自携」
のこしおかれたるさいはひ。白居易詩「中郞──鍾羊祜」
のこれるなかま。後漢書、吳漢傳「追討──」=殘黨·餘類。
衞の彌子瑕が、君の寵を受けたる故事。韓非、說難「昔者彌子瑕、有寵於衞君、與君遊於果園、食桃而甘、不盡、以其半啗君、君曰、愛我哉、忘其口味以啗寡人、及彌子色衰愛弛、得罪於君、君曰、是嘗啗我以餘桃、故彌子之行、未變於初也、愛憎之變也」
先人ののこせるめぐみ。曾鞏、焚告文「獲蒙──、備位于朝」
○あまりの土地。列子「馬蹄之外、可使無──」○あまり、のこり、十分にしてなほあまりあり。莊、養生主「其於遊刃必有──矣」
古人ののこせる事のおもかげ。南史、南唐李氏世家「思追巢許之──、遠慕夷齊之高義」
ふつかゑひ。皮日休詩「冷臥空齋內、──夕未消」
のこりのしづく。蘇軾詩「空堦有──、似與幽人語」=殘滴。
のちにまで殘る害毒。李綱詩「萬騎掠秦闕、──被陳汝」
のこりのにく。晉書、郭舒傳「鄕人盜食舒牛、事覺來謝、舒曰、卿饑所以食牛耳、──可共啖之、世以服其弘量」
秋までのこれるあつさ。孫萬壽詩「高齋屛──、珍簟宿輕寒」=殘暑。
いきのこれるよはひ。石崇、思歸歎「高歌凌雲兮樂──」=殘年·暮年·晚年。
ほかのおもひ。法苑珠林「唯在得戒無──」=他念。
○あまりのなみ。書、禹貢「──入於流沙」○なごり、あまりの影響。左、僖二三「其波及晉國者、君之餘也」
○のこれるかをり。爾雅、翼「蕙雖不及蘭、勝於──」○死後までのこるほまれ。晉書、儒林傳「──遺烈」
字を書きたる紙の末に殘れる空白のところ。
十六歲以上にして、丁年未滿の者。孟、滕文公「──二十五畝」周代、田地を授くる法をいふ。
のこせるさいはひ。後漢書、黃香傳「疏曰、遭値太平、先人──、弱冠卽蒙徵用」=餘慶。
あまりのいきどほり。未だはらしきらざるいきどほり。陸機、白雲賦「盈八紘以──」
餘生に同じ。孫子、九地「吾士無餘財、非惡貨也、無──、非惡壽也」
あまれる勇氣、十二分にある勇氣。左、成二「欲勇者、賈余──」
○ゆるやかにゆたか。孟、公孫丑「豈不綽綽然有──哉」○ありあまる。
芍藥 シヤクヤク の異名。本草「芍藥、一名──」=嬌客。
本より分れし末流。蘇軾詩「──細不數、遠勢競相參」=支流。
あまりのちから、本務以外に、他の事をなし得る力。論、學而「行有──、則以學文」=餘?。
餘黨に同じ。
あまりのよはひ。蘇軾詩「吾儕便歸老、亦足慰──」=餘命·餘年。
○杯の酒などのあまれるしづく。史、滑稽傳「時賜──」○後世、人の恩惠を受くるを「得霑──」といふ。
○先祖ののこせるいさを、又、功德。賈誼、過秦論「奮六世之──」○先人ののこせる不德。漢書、公孫弘傳「弘對策曰、若湯之旱、則桀之──也」=餘毒。
8畫
①ヰ [寘]
②ダイ [賄]
①めし(飯)くひもの(食物)○かふ(飼)くらはす(食)○ゑ、ゑば、動物の飼料。
②うう(飢)漢書、魏相傳「振乏─」○あざる(魚敗)=餒(食部七畫)
カン [陷]
○あん。餠の中に入れる雜味。○ 國 小豆 アヅキ を煮てすりつぶしたるものに砂糖を和したるもの。
クヮン [翰]
舘は俗字
○やかた、たち、やどや(客舍)「旅─」「客─」孟、吿子「可以假─」○やかたにとまる、やどる(寓·舍)又、やどす。孟、萬章「帝─甥於貳室」○官舍·學校の如き建物「學─」「使─」「公─」○廣き庭苑內に設けし休息所。上林賦「離宮別─、彌山跨谷」○みせ「商─」
吳王夫差、宮を硯石山に作り、以て西施を館す、吳人美女を謂ひて娃と爲す、故に宮に名づく、其の遺址、今の江蘇省吳縣の西南靈巖山上に在り。
やかた。後漢書、郭鎭傳「每入官舍、輒更繕修──」
しゅくば(宿驛)をいふ。柳宗元に「──使壁記」の文あり。
貴人の死をいふ。館舍を見よ。
宋代より翰林の別稱。館は昭文館·史館·集賢院。閣は祕閣·龍圖·天章の諸閣、皆經籍圖書等を藏す、其の職に居る者は皆文學侍從の臣なり。館職參看。
翰林學士が詔に應じて作る文章の體。莊重典雅を以て貴しと爲す。書法にも亦此稱あり。
文の華貴にして俗に近き氣分あるをいふ。歸田錄「王安國語予曰、文章須是官樣、豈亦謂有───耶」
やかたを守り賓客の世話をする者。檀弓「孔子之衞、遇舊──之喪」=管人〔儀禮〕
やかた。史、范睢傳「君卒然捐──、是事之不可知者二也」捐──は死する義。略して捐館ともいふ。
宋代朝廷館閣の職。容齋隨筆「國朝館閣之選、皆天下英俊、然必試而後命、一經此職、遂爲名流、其高者曰集賢殿修撰·史官修撰·直龍圖閣·直昭文館·史館集賢院祕閣、次曰集賢祕閣校理、官卑者曰館閣校勘史館檢討、均謂之──」
やしき。唐書、韓滉傳「置──數十于石頭城」
コン [元]
餫に通ず
─飩 コントン はうどん粉にて餡 アン を包みて蒸したるもの、むしもち。食物志「─飩或作渾飩、─飩象其圜形」=渾屯。
飾(食部五畫)に同じ。
セン [銑]
○はなむけ、酒食を設け、又、禮物を贈りて別を送る「飮─」「祖─」「宴─」「郊─」又其の贈物。みおくり、わかれのさかづき(送別會)○はなむけする、みおくる。○すべて送る義とす「─春」書、堯典─寅─納日」
同訓異義
オクル 餞·送·贈·饋·餼·餽·貽·遺等の別は送(一九四五頁二段)の條を見よ。
送別のさかもり。餞は酒食を以て行を送る義。元稹詩「──君置醴、隨俗我餔糟」=祖筵。
春の去るを送る。春の去るを惜みて酒食を具して懽を爲すこと、餞を設けて人を送るに似たる故。崔駰賦「迎夏之首、──之杪」杪は末。
たびだつ人を見送る。北史、宗室傳「齊彭城王浟爲定州刺史、徵爲侍中、有老公數百具饌──、稱其公廉、浟重其意、爲啜一口」=祖送。
わかれを見送る、はなむけする。又、其の贈物。韋應物詩「英豪若雲集、──塞城闉」=送別。
①タン エン [覃]
②タン [感]
③タン [勘]
①すすむ(進)增加する。詩、小雅「亂是用─」
②くらふ。=啖。○うすき餠にて肉を卷きて切りし食物。
③くらはす(啗)利を以ておびきだす。史、趙世家「故以齊─天下」=啖。
①テイ [霽]
②テツ [屑]
まつる、多くの諸神の位を竝べ連ねて祭る。史、武帝紀「其下四方地爲─食」=醊。
ヘイ [梗]
餠は俗字
○もち、むぎこのもち。麥粉をこねて造りしだんご。文選に束皙の─賦あり。○麪をこね合す。○物の一片 ヒトキレ 「─金」○ 國 すべて穀類にて製せしもち。
もちの如く丸き金塊。續明道雜志「火滅視鼎中、爛然──矣」
もちの如く丸き銀塊。水經、注「室前盤石上、羅列十瓮、中悉是──」
もち、だんご。餠は麥粉のもち、餌は米を蒸して作る。宋史、吳元房傳「濟以舟楫、設──以食」=餠餤。
9畫
①ウン [問]
②コン [元]
①兵糧又食物をおくる。左、成五「宣伯─諸穀」
②餛(前頁三段)に通ず。─飩 コントン はむしもち。=餛飩。
エイ アイ アツ [霽]
すゆ、飯がすえて臭 クサ くなる。味が變る。論、鄕黨「食饐而─、魚餒而肉敗不食」
コ [虞]
○かゆ(饘·糜)○かゆをたべる。○人に寄食する、ゐさふらふとなる。左、隱十一「寡人有弟、不能和協、而使─其口於四方」○口すぎする、貧しくくらす。
○寄食する。字解參看。○口すぎする。貧しくくらす。左、昭七「饘于是、鬻于是、以餬余口」
かゆ。北史、吳悉達傳「昆弟同居、四十餘載、雖於儉年──不繼、賓客經過、必傾所有」
コウ [尤]
糇は俗字
ほしいひ、かれいひ(乾糧)乾燥せしめし。
ほしいひのかて。詩、大雅「廼裹──、于槖于囊」
饌(食部十二畫)に同じ。
タゥ [陽]
あめ。飴の固 カタ きもの。本草「膠飴乾枯者曰─」
あめがゆ。唐書「天寶二年諸陵以寒食薦──」鄴中記「寒食三日、作醴酪、煮粳米及麥爲酪、擣杏仁煮作粥」
あめ賣(賣餳者)の吹く竹管 タケブエ 〔周禮、小師、注〕
テツ テン [屑]
むさぼる(貪)食をむさぼる。左、文十八「縉雲氏有不才子、貪於飮食、冒於財賄、天下謂之饕─」註「貪財爲饕、貪食爲─」
フン ホン [文]
米を一度蒸し、更に水を沃ぎて再熟せしめる。又其のめし。詩、大雅「挹彼注玆、可以─饎」
10畫
ウン []
〔國字〕
─飩 ウンドンウドン は麪類 メンルヰ の一。= 俗 麪。
エフ [葉]
○かれいひ、野夫が田畑にてたべるべんたぅの類、田に餉する食(野饋)○かれいひす。かれいひをおくる。詩、豳風「─彼南畝」
カゥ [豪]
こなもち(餌)=糕。
キ [寘]
○おくる(貽)食物又、物品を贈る「恭─」「輸─」孟、公孫丑「王─兼金一百」○かれいひす。=饋。
同訓異義
オクル 餽·送·贈·饋·貽·遺·餼等の別は送(一九四五頁二段)の條を見よ。
歲暮のおくりもの。風土記「蜀風俗、歲晚餽問、謂之──」
食物をおくる。又、其のおくりもの。吳志、劉繇傳「繇長子基、年十四、居繇喪盡禮、故吏──、皆無所受」=餽饟。
前條に同じ。漢書、食貨志「千里負擔──」
キ ケ [未]
○こめ(禾米)又、米をおくる。○食物をおくる。又、其の食物。○いけにへ(生牲)生きて居る牛羊の類「─羊」○おくる芻秣 マグサ
生けるいけにへ、牛羊豕をいふ。春秋、僖三三「──竭矣」(一說に腥を餼といひ、未だ殺さずして牽くべきものを牽といふ)
いけにへのひつじ。論、八佾「子貢欲去告朔之──」
いけにへ。禮記「羣介皆有──、壹食再獻」
タゥ [陽]
あめ(飴)本草「飴卽軟─」通じて糖·餳に作る。
松蕈 マツタケ の異名、味甘きが故〔吳蕈譜〕
ハク [藥]
─飥は餠の類、うんどん。=不托·?飥。
リウ [宥]
○むす(蒸)飯が十分にむせる。○ふかしたる飯。
11畫
キン [震]
○うう、うゑる、穀の實らざるを飢、野菜の凶作を─といふ。一說、五穀中の三穀升 ミノ らざるを─といふ「凶─」「荒─」「歉─」韓詩外傳「一穀不升曰歉、二穀不升曰飢、三穀不升、謂之─」○うゑ。論、先進「因之以飢─」
バン マン [寒]
─頭 マンヂユウ は餠の類、小麥粉に酒を和し、圓形にして蒸したる食物。束晳、餠賦「三春之初、陰陽交至、于時宴享、則─頭宜設」事物紀原「諸葛亮南征、將渡瀘水、土俗殺人首以祭神、亮令以羊豕代取麪畫人頭祭之、─頭名始此」=包子·曼頭·蠻頭。
ヨ ウ·ヲ オウ [御]
あく。=飫。
12畫
①イ エイ [寘]
②エツ イツ [屋]
①すゆ、すえる、飯がむれてくさる、臭くして味が變る。說文「飯傷濕也」論、鄕黨「食─而餲」
②むせぶ。飯がのどに窒 フサ がる。=噎。
キ [寘]
餽に通ず
○おくる(贈·遺)進む。○かれいひをおくる、食物をおくる。孟、萬章「亟─鼎肉」○特に尊き人に食物を進める。周禮、膳夫「掌王之─」○めし(食事)かれいひ。○おくりもの「厚─」論、鄕黨「朋友之─、雖車馬、非祭肉不拜」○そなへもの。
同訓異義
オクル 饋·送·贈·餼·餽·貽·遺等の別は送(一九四五頁三段)の條を見よ。
おくりあてがふ。宋史、眞宗紀「所在量軍儲──、勿調民飛輓」=餉給。
君の食膳を治める者。左、成十「晉侯欲麥、使甸人獻麥、──爲之」=膳夫。
祭祀に熟食を獻ずるをいふ。儀禮に特牲──禮あり。
尊者にすすめる飯食。後漢書、淸河王慶傳「慶母宋貴人、長于人事、供奉長樂宮、身執──、太后憐之」
物を供へて神を祭る。又、其の供へ物。禮記「可以與於──之事乎」
米を送る。晉書、謝玄傳「苻丕吿饑、玄饋丕米二千斛」=餉米。
くすりをおくる。論、鄕黨「康子──、拜而受之」
かてをおくる。孫子「帶甲十萬、──千里」
糧食をはこぶみち。宋史、張亢傳「時麟州──猶未通」=糧道。
キ [微]
○穀物が熟せず。又、其の年「荒─」「─歲」○うう。うゑ。=飢。
同訓異義
ウウ 饑·餒·餓·飢·饉の別は餒(食部七畫)の條を見よ。
うゑる。孟子「朝不食、夕不食、──不能岀門」
うゑこごえる。後漢書、馮異傳「昨得公孫豆粥、──俱解」=飢寒。
うゑて食物に乏し。後漢書、張奮傳「比年不登、人用──、今復久旱、秋稼未立、夫國以民爲本、民以榖爲命、政之急務、憂之重者也」
作物の熟せざる義、凶年。穀物の實らざるを饑といひ、野菜物の出來ざるを饉といふ。論、先進「加之以師旅、因之以──」=飢饉。
うゑてくるしむ。漢書、班超傳「但當收穀堅守、彼──自降、不過數十日決矣」
うゑの爲めに迫られる。陶潛詩「饑來驅我去、不知覓何之」
食に乏しくしてうみつかれる。戰國策「以士卒──、可且休」
うゑて食足らず。嗛一に歉に作る。蕭子良啓「穀價雖和、比室──、縑纊雖賤、騈門躶質」
前條に同じ。また饑饉の義。舊唐書、懿宗紀「內有──、切在慰安」
うゑたる容貌。孟、滕文公「民有──、野有餓莩」=飢色。
うゑる。孟郊、鬭雞聯句「裂血失鳴聲、啄殷甚──」
うゑて腹が鳴る。韓愈詩「婪酣大肚遭一飽、──徹死無由鳴」
うゑると、おぼれると。民の疾苦に喩ふ。楊載詩「不妨山水樂吾樂、豈有──憂民憂」
うゑこごえる。劉得仁詩「吟興忘──、生涯任有無」
うゑると、あくと。北史、馮元興傳「家素貧約、食客恆數十人、同其──」
うゑたる口。劉克莊詩「強鳴──和寒蛩」
うゑつかれる。晉書、宣帝紀「時大修宮室、加之以軍旅、百姓──」
名譽を願ふ心の切なる義。道德指歸論「賤強求貴、貧強、求富、──渴勢、心常載求」
うゑてなやむ。後漢書、桓榮傳「同──、而榮講誦不息」
うゑたるたか。杜甫詩「──未飽肉、側翅隨人飛」
腹がすきて鳴るおと。韓琦詩「詩腸日午轉──」=饑腸。
空腹の狼。仲長統、昌言「──守庖廚、飢虎牧牢豚」
うゑと、えやみと。癘は疫病。唐書、楊炎傳「至德後、天下起兵、因以──」
うゑては飯をくらひ、倦みてはねむる、自然のままにまかせるをいふ。王守仁、答人問道詩「───────、唯此修行玄更玄、說與世人渾不信、卻從身外覓神仙」
平生の心がけ惡しく、飢餓に逼りて後ち、食物を求むるも閒に合はず。盜を捕へて繩をなふといふに同じ。說苑「魯君謂柳下惠曰、─────、渴而穿井」
珠玉金銀は、貴重なれど、饑寒を救ふ能はざるをいふ○漢書、景帝紀「黃金珠玉、────────、以爲幣用、不識其終始」
サン ハン セン [潸]
或は篹に作る
○食物を具ふ、具はれる膳立せし食物(具食)「盛─」「珍─」「華─」「豐─」「淸─」○くらはす、酒食を具へて飮食せしむ。論、先進「有酒食、先生─」
膳立せし食物をすすめる。儀禮「先生將食、弟子──」
膳立に用ふる器。又、膳立する。周禮「供王膳羞飮食──之事」
シ キ [寘]
○酒と食物と。詩、小雅「吉蠲爲─」○きび(黍稷)又、きびを炊ぐ「─爨」儀禮「主婦視─」○─人は炊事を主る官〔周禮〕
ゼゥ ネゥ [蕭]
○ゆたか(豐)おほし(多)物事が十分である「豐─」淮南、修務「沃地之民、多不才者─也」○ます(益)○ゆるす(寬·恕)みのがす。許渾詩「公道世閒惟白髮、貴人頭上不曾─」(白髮は貴人の頭にも用捨なく生ずる)○ゆたかにす。漢書、陳平傳「大王能─人以爵邑」○あつし(厚)○あまる(餘)「餘─」○あく(飽)○富有なり「富─」○寬大なり。○地味がこえる(肥沃)「肥─」「沃─」
同訓異義
ユタカ 饒·豐·裕·寬·優·胖の別は豐(一八四六頁四段)の條を見よ。
ゆたかに多し。易林「得利──」=優饒。
陶器の產地たる江西省浮梁縣景德鎭は舊、饒州府に屬す、其の產する所の瓷器は支那の最たり、號して──といふ。
財がゆたかに多し。史、貨殖傳「七十子之徒、賜最爲──」
ゆたかにあまる。漢書、食貨志「名山大澤、──之臧」後漢書、班超傳「田地廣肥、草木──」=饒侈。
ゆたかに十分足る。漢書、食貨志「及孝武時、國用──、而民不益賦」=饒足·豐給。
ゆたかに足る。論衡「貧人不足、富人──」=富足·饒衍。
しゃべる、多辯。隋書、五行志「齊時謡、盲老公背受大斧、──老母不得語」傳燈錄「二人笑曰、豐干──、久而放之」
ゆたかに足る。後漢書、張讓傳「資産──」
ゆたかに多し。たくさん。戰國策「沃野千里、蓄積──」
十分につちかふ。韓愈詩「松篁遭挫抑、糞壤獲──」
食が豐かにあく。易林「東山之邑、中有肥土、可以──」
ゆたかに富む。漢書、王莽傳「多齎珍寶猛獸、欲視──用怖山東」=富饒·豐富。
土地がゆたかにこえる。晉書、武帝紀「以襄陽淮南──地各立一縣、以居之」(俘虜を居く)=沃饒·肥饒。
13畫
①キャウ [養]
②キャウ [陽]
享に通ず
①もてなす、ねぎらふ。酒食を以て人を勞 ネギラ ふ。○あへ、さかもり、鄕人が集りて飮酒する。もてなし「─應」○うく(受)神が供物をうける「尙來─」○あたる(當)○のむ(飮)くらふ(食)○すすむ(侑)たてまつる(獻)○さけさかな(酒食)○合せ祭る。
②うく(受)神が祭を受納して福を降す。漢書、郊祀歌「闢流離抑不祥、賓百寮山河─」○あたる(當)
もてなしのさかもり。晉書、明帝紀「停──之禮」=享燕。
酒食を以て人をもてなす。
さいはひを受ける。晉書、惠帝紀「豈在予一人獨饗其慶、宗廟社稷、實有賴焉」=受慶。
祖先の靈などに供物をそなへて祭る。唐書、殷盈孫傳「──如宗廟」
王者が祖先の大祭に供物をささげる。禮記「──有樂、而食嘗無樂」
馳走して其の功德に報ずる。又、神を祭りて其の惠に報ずる。晉書、禮志「昭吿神祇、──功德、是以災厲不作、而風雨寒暑以時」
幸を受ける。饗は一に享に作る。晉書「寅畏者所以──、怠傲者所以招患」=享福·受福。
セン [先]
又、?に作る
かゆ(糜)厚きを─といひ希 ウス きを粥といふ。
こきかゆと、うすきかゆと。禮記「婦事舅姑、──酒醴」
こきかゆと、うすきかゆと。字解參看。檀弓「──之食」
タゥ トウ [豪]
○むさぼる(貪)財を貪る。○惡獸の名、古、鐘鼎などに多く其の形を刻みて飾と爲す。轉じて惡人の義とす。
むさぼりてたもち據る。晉書、惠帝紀「詔曰、逆臣孫秀、奉趙王倫、──天位」
○饕は財をむさぼる。餮は飮食をむさぼる。左、文十八「縉雲氏有不才子、貪於飮食、冒於貨賄、天下謂之──」○惡獸の名。一名狍鴞、性貪惏にして人を食ふ。因りて凶人の號とす。
よく深き道士をそしりていふ。淸異錄「近世事仙道者、不務寡欲、多搜黃白術、貪婪無厭、宜謂之───」
むさぼりもとる。蔡邕文「──是黜、英才是烈」
フン ホン [文]
○むす、飯を蒸す。○半蒸しの飯。
ヨウ [冬]
○あさげ、あさめし(朝食)飧の對。孟、滕文公「─飧而治」○にたる食物(熟食)又、食物を料理する「─膳」○殺したるいけにへ。餼の對。
饔は殺したるいけにへ、餼は生けるいけにへ。儀禮、聘禮「君使卿韋弁歸──五牢」
古の官名、割烹の事を掌る。=雍人。
饔人卽ち料理人のかしら。
饔は熟食 ヨクニタルタベモノ 膳は具食 ソナハリタルタヘモノ 漢書、杜欽傳「陛下親二宮之──、致晨昏之定省」
熟食をいふ。朝飯と夕飯と。孟、滕文公「賢者與民竝耕而食、──而治」(朝夕の炊事をしながら政を執る)
14畫
エン [豔]
厭に通ず
○あく(飽)十分に飽き足る。孟、離婁「─酒食而後反」○心に滿足する。孟、梁惠王「不奪不─」
同訓異義
アク 饜·飽·飫·厭の别は飽(食部五畫)の條を見よ。
酒食に飽き足る。孟、離婁「此其爲──之道也」
あく。=厭飽。
食にあき足る。左傳序「饜而飫之」陸游詩「豹胎?──」=厭飫·飽食。
ボウ [東]
食物を器にやまもりに盛りし貌。詩、小雅「有─簋飧」
饌(食部十二畫)の古字。
17畫
サン [咸]
むさぼる(饕)食物を貪る。又、財利を貪る「貪─」「老─」
深く物事に心を寄せたしなむ。譚子「──者、必忘於痛苦、饑窘者、必輕於性命」
美味を見て流すよだれ。陸游詩「麴車未用墮──」
うゑて食を貪り欲する口、吻はくちばし。范成大、河豚詩「朝來里中子、──不待熟」
餉(食部六畫)に同じ。
兵糧をおくるみち。史、吳王濞傳「輕兵絶吳──」=餉道·糧道。