辛部

0畫

辛  

シン [眞]

○からし、五味の一、古、葵·藋·薤·葱·韭を五─といふ。○あたらし(新)○かのと、十干の第八位。爾雅「太歲在─、曰重光」○からみ、からき味。○かなしみいたむ(悲傷)「悲─」「酸─」○むごし、くるし(苦)「艱─」○細─ サイシン は藥草の名、瘧を癒やす、其の根細くして味辛し、故に名つく。=少辛。 國   ○ カラシ からみのある一種の野菜、芥子。○ カラク からうじて、やつと。

【辛夷】 シンイ 

こぶし、落葉する喬木、其の花の初めて出づる時、尖りて筆の如し、故に木筆ともいふ、春初、花開く。白居易詩「北村尋古柏、南宅訪──」

【辛夷塢】 シンイヲ 

こぶしを植ゑたるつつみ、唐の王維の輞川の別墅に在り。

【辛芥】 シンカイ 

からしな。方言「蕪菁小者謂之──」

【辛艱】 シンカン 

くるしみなやむ。高啓詩「登高不知已幾里、伹怪力盡愁──」=艱辛。

【辛勤】 シンキン 

からきつとめ。韓愈詩「──三十年」

【辛苦】 シンク 

○くるしみ。くるしむ。史、吳太伯世家「句踐爲人能──」○からみと、にがみと。書、洪範、正義「──之味入口、猶困阨之事在身」

【辛酸】 シンサン 

くるしみ。阮籍詩「感慨懷──」=辛楚·酸辛。

【辛螫】 シンセキ 

蜂などにさされる。轉じて甚だしき苦の義。詩經「自求──」

【辛楚】 シンソ 

いたみくるしむ。楚は人を笞 ムチウ つしもと。陸機詩「俯仰悲林薄、慷慨含──」=辛酸。

【辛毒】 シンドク 

くるしみ。詩經、疏「言才薄莫之藩援、則自得──」=辛苦。

【辛抱】 シンバウ 

 國  こらへしのぶ。=忍耐。

【辛盤】 シンバン 

五──の略、元旦に葱·蒜·韭·蓼·蒿芥を雜和 マゼアハス して之を食ふ、名つけて五──といふ、迎新の意に取る〔風土記〕五臟の氣を通じ健康を保つといふ。

【辛椿】 ンンチユン 

またたび、灌木の一。=木天蓼。

【辛味】 シンミ 

からきあぢはひ、からみ。

【辛辣】 シンラツ 

○ひりりとからし。酉陽雜俎「形似漢椒、至──」○甚だきびし。=辛烈。

【辛烈】 シンレツ 

甚だきびし。=辛辣。

【辛勞】 シンコウ 

なんぎ、くるしみ。=辛苦。

?  

ケン [先]

つみ(辠)

5畫

辜  

コ [虞]

○つみ(罪)とが「無─」「罪─」書、大禹謨「其殺不─、寧失不經」○はりつけ(磔)神を祭るに牲 イケニヘ をはりつけにする。○さまたぐ(障)○かならず(必)漢書、律歷志「陽氣洗物、─絜之」○そむく、俗に、孤と音通。○─月は陰曆十一月の別名〔爾雅〕

【辜較】 コカウ 

あらまし、大略。梗槪の韓音。孝經「蓋天子之孝也」注「蓋者──之辭也」

【辜榷】 コカク 

辜は障、他人の商賣をさまたげて利益を獨占する、榷は獨占(一說に辜較の轉音、大略·大槪の義。物事を總括する意によりて、財利を獨占する義とす)

【辜負】 コフ 

俗に孤負 ソムク と同じく用ふ。白居易詩「猶有一般──事、不將歌舞管弦來」

6畫

辠  

罪(一五一三頁四段)の古字。

辞  

辭(辛部十二畫)の俗字。

辟  

①ヘキ [陌]

②ヘキ [錫]

③ヒ [寘]

④ヘイ [霽]

⑤ハク [陌]

①きみ(君)天子諸侯の通稱。○のり(法律)○あきらか(明)明かにする。禮、祭統「對揚以─之」○めす(徵)在野の賢才を召し出す「徵─」晉書、王襃傳「三徵七─」○あめ、天の敬稱。詩、大雅「蕩蕩上帝、下民之─」

②よこしま(邪)「非─」○つみ、つみす(刑)「八─」○かたむく(傾)○かたよる(偏)僻に通ず。○むねうつ。古、擗に通ず、悲のあまり胸をたたく。詩、邶風「寤─有摽」○そばだつ(側)○のぞく(除)○うすし、かろし。○はげます(勵)○地をひらく。開墾する。孟、吿子「─土地」闢に通ず。○しりぞける(退)○びっこ、古、躄に通ず。○古、霹に通ず、─歷 ヘキレキ は雷の聲。

③さく、よける。禮、儒行「內稱不─親、外擧不─怨」=避。○たとへば。中庸「─如行遠」=譬。

④にらむ、疾視する。=睥。

⑤さく(裂)=擘。○うすくきる(聶切)

 同訓異義 

ヒラク 辟·開·闢·啓·發·披等の別は開(門部四畫)の條を見よ。

【辟引】 ヘキイン 

召し出して引き進める。梁書、楊公則傳「所──皆州郡著姓」

【辟易】 ヘキエキ 

開き退きて舊處を易へる。退避する。史、項羽紀「人馬俱驚、──數里」

【辟擧】 ヘキキヨ 

召し出して採用する。宋史「崇寧五年罷──、復元豐選法」

【辟公】 ヘキコウ 

諸侯。詩、周頌「相維──、天子穆穆」

【辟穀】 ヘキコク 

穀物を食ふことをさけ廢する。史、畱侯世家「乃學──、導引輕身」

【辟邪】 ヘキジヤ 

○邪穢 アシキケガレ を除き去る。博物志「白犬白雞、可以──」○獸の名、漢人其の形を刻みて印鈕·帶鉤などの飾と爲す、之を佩ぶれば邪惡を避く。

【辟瘴藥】 ヘキシヤウヤク 

瘴毒の氣をはらふくすり。宋史、眞宗紀「大中祥符二年九月、遣使賜戎瀘軍民───」

【辟書】 ヘキシヨ 

めしぶみ、官よりの召出し狀。裴子野碑「玉帛賁于丘園、──交乎塗路」

【辟召】 ヘキセウ 

官よりの召し出し。後漢書、鄭均傳「常稱病、不應州郡──」=徵辟。

【辟除】 ヘキヂヨ 

○召し出して官に任ずる。○はらひきよめる。管子、心術「館不──、貴人不舍」

【辟聘】 ヘキヘイ 

在野の賢人をめし出す。陸龜蒙詩「龐公樂幽隱、──無所就」

【辟命】 ヘキメイ 

君主よりのお召し。後漢書、賈逵傳「隱居敎授、不應──」

【辟踊】 ヘキヨウ 

悲むこと甚だしく、むねをうちて跳る。禮記「──哀之至也」

【辟雍】 ヘキヨウ 

天子の學宮、大射に禮を行ふ處、形圓くして四面水を以て之を環らす。辟は明、雍は和、人をして明達諧和ならしむる義(一說に雍は澤、辟は壁、水を環らすこと壁の如く、以て觀る者を節すと)禮、王制「大學在郊、天子曰──、諸侯曰頖宮」=辟廱。

【辟歷】 ヘキレキ 

はげしきかみなり。史、天官書「──夜明」=霹靂。

【辟纑】 ヘキロ 

練りたる麻を績 ゥ む。孟、滕文公「彼身織屨、妻──以易之也」

【辟陋】 ヘキロウ 

かたゐなかの地にて風俗いやし。荀子「──之國」=僻陋。

【辟王】 ヘキワウ 

きみ、君王。詩、大雅「濟濟──、左右趣之」

【辟睨】 ヘイゲイ 

にらむ。史、灌夫傳「──兩宮閒」=睥睨·俾倪。

【辟寒香】 ヒカンカウ 

寒き氣をさけ除くといふ香の名。述異記「唐同昌公主、有───、外國所貢、大寒焚之、煖氣洪然、人皆減衣」

【辟寒丸】 ヒカングワン 

寒き氣を避けるといふ丸藥。宋?眞宗紀「賜從官───」

【辟寒犀】 ヒカンサイ 

寒き氣を避けるといふ木の名。開元遺事「開元二年冬、交趾國進犀一株、色黃如金、使者請以金盤置殿中、溫然有暖氣襲人、上問其故、使者對曰、此───也、文帝時、本國曾進一株、直至今日、上甚悅、厚賜之」

【辟禍】 ヒクワクワヲサク 

わざはひをよける。禮記「君子愼以──」

【辟人】 ヒジンヒトヲサク 

此君を避けて彼君に就く義、人を擇びて事ふるにいふ。論、微子「而與其從──之士也、豈若從辟世之士哉」

【辟世】 ヒセイヨヲサク 

世をさけ隱れる、辟は避。論、憲問「賢者──、其次辟地、其次辟色、其次辟言」

7畫

辣  

ラツ [曷]

又、辢に作る

○からし、甚だ辛し。○きびし、むごし「辛─」「酷─」

【辣韮】 ラツキヤウ 

葉は葱に似て細く、其の球根は鹽漬として食すべし。=薤。

【辣手】 ラツシユ 

 俗  事を辦ずるに猛烈なる者の稱。

【辣腕】 ラツワン 

すごきうでまへ。=辣手。

辢  

辣(前條)に同じ。一說に辣の正字。

8畫

辤  

辭(辛部十二畫)に同じ。

9畫

?  

セツ [屑]

つみ(罪)通じて薛に作る。

辨  

ベン [諫]

○わかつ(判別)區別する「分─」「─別」「論─」易、乾卦「問以─之」○わかち、わきまへ。○わきまふ(識別)考へわきまへる「明─」「精─」「審─」中庸「有弗─、─之弗明弗措也」○かはる。かふ(變)○ただす(正)○わかち(區別)○そなふ、辦に通ず。○分明にしてうたがひなし。○明かに察する。○井地の數。 國   ○古の辨官の略「─內侍」○かへす(還)「─償」「─濟」

【辨校】 ベンカウ 

わきまへかんがへる。集異記「燕昭王墓前斑貍、變作書生、詣張華、論及文章、──聲實」

【辨覈】 ベンカク 

是非をわかち明かにする。何承天文「──同異」

【辨姦論】 ベンカンロン 

宋の蘇洵の作、唐宋八家文讀本に載す。張文定、老蘇墓表「安石亦願交於先生、先生曰、吾知其人矣、是不近人情者、鮮不爲天下患、安石母死、士大夫皆往弔、先生獨不往、作───」安石は王安石。

【辨詰】 ベンキツ 

 タダ しなじる。北史、柳彧傳「──事狀」

【辨訛】 ベンクワ 

あやまりを明かにす。曾鞏文「正謬──、公爲耳目」

【辨括】 ベンケワツ 

善惡をわきまへてすべくくる。齊書、東昏侯紀「──選序、訪搜貧屈」

【辨官】 ベンクワン 

 國  王朝時代、太政官に屬する判官。左大辨·左中辨·左少辨·右大辨·右中辨·右少辨に分ち、八省の事務を分管す。

【辨吿】 ベンコク 

事理をわけてさとし吿げる。漢書、高帝紀「吏以文法敎訓──、勿笞辱」注「──者、分別義理以曉喩之」

【辨濟】 ベンサイ 

 國  借金をかへす。=返濟·還淸。

【辨財天】 ベンサイテン 

 佛  辯才天(一九三五頁三段)の訛。

【辨士】 ベンシ 

辯說に巧みなる人。史、范睢·蔡澤傳「范睢·蔡澤、世所謂一切──」=辯士。

【辨志】 ベンシココロザシヲベンズ 

其の志の向ふ所を辨別する。禮、學記「一年視離經──」

【辨章】 ベンシヤウ 

平章に同じ、平和章明の義。班固文「惇睦──之化洽」

【辨償】 ベンシヤウ 

 國  つぐのひかへす。

【辨訟】 ベンシヨウ 

うったへをききわける。禮記「分爭──、非禮不決」

【辨證】 ベンシヨウ 

直覺又は經驗によらずして、槪念を分析して事理を研き究める。

【辨色】 ベンシヨク 

物の黑白を見わける。劉禹錫詩「庭晚初──、林秋微有聲」

【辨析】 ベンセキ 

理否を分ちきめる。南史、王儉傳「──未嘗壅滯」

【辨說】 ベンセツ 

是非をわかちとく。

【辨當】 ベンタウ 

 國  外出の先にて食ふため器に入れて攜ふる食物、弁當とも書く。=行廚。

【辨天】 ベンテン 

辨才天(一九三五頁三段)の略。

【辨白】 ベンパク 

わかちて明かにする、判別明顯なり。文心雕龍「世之作者、或好煩文博採、深沈其旨者、或離言──、分毫析釐者」

【辨駮】 ベンバク 

他の說の理非を分ちてあらそひうつ。辨難駁擊。唐書、王世充傳「人或──、世充以口舌緣飾」

【辨法】 ベンパフ 

法をわきまふ。周禮「凡──者攷焉、不信者刑之」

【辨別】 ベンベツ 

わきまへわかつ、見わける。易經、疏「用愼爲德、──衆物」

【辨明】 ベンメイ 

是非をわかち明かにする。

【辨理】 ベンリ 

事務をとりはからひ、をさめる。柳宗元文「逋租匿役、期月──」=辦理。

【辨理公使】 ベンリコウシ 

或特別の事項につき全權を有する公使、特命全權公使の次に位す。

【辨惑】 ベンワク 

人のまどひをわきまへさとす。元の謝應芳──編四卷を著し吳の俗の鬼神を信ずる惑を辨正す。

辧  

辨(前條)に同じ。

辦  

ベン [諫]

○そなふ(具)とりはからふ、處理する。漢書、韓信傳「臣多多益─」○ 俗  科罪 ツミトが をいふ「重─」「罰─」○つとむ(力)物事に力を盡して周旋する。又其の人「總─」「會─」史、項羽紀「項梁常爲主─」

【辦嚴】 ベンゲン 

旅支度 タビジタク をする。漢の明帝の諱を避け裝を改めて嚴と爲す。後漢書、陳紀傳「紀見禍亂、不復──、卽時之郡」=治裝。

12畫

辭  

シ ジ [支]

又、辤に作る。辞は俗字

○ことば(言語)「片─」「卑─」「異─」「諛─」「一言半─」言の文を成すもの「言─」○ふみ(文章)「文─」易、乾卦「修─立其誠」○うったへのことば(訟辭)○ことわる(謝)應ぜず「固─」○ゆづる、卻 シリゾ けて受けず「─讓」中庸「爵祿可─也」○せめる(責讓)左、昭九「─于晉」○つげる(吿)○いとまごひ、別を吿げて去る「─行」○文體の一、情深くして歌ふべきもの。古文眞寶、辭類、注「詩變而爲騷、騷變而爲─」

【辭彙】 ジヰ 

ことばをあつめたる書。=辭典·辭書。

【卑辭重幣】 ジヲヒククシヘイヲオモクス 

言葉をひくくし贈物をあつくして賢者を招き、又は强國に事ふる。史記「齊懼必────以事秦」同、魏世家「卑禮厚幣以招賢者」

【辭氣】 ジキ 

ことばと聲氣と。論、泰伯「出──、斯遠鄙倍矣」

【辭義】 ジギ 

ことばの意義。詩經、疏「──皆亡、無以知其篇第之處」

【辭決】 ジケツ 

次條に同じ〔史、信陵君傳〕

【辭訣】 ジケツ 

わかれのことばをのべる、いとまごひする。後漢書、公孫瓚傳「力戰不敵、乃與士卒──」

【辭言】 ジゲン 

ことば。後漢書「──嫺雅」

【辭藻】 ジサウ 

あやあることば。詩文の華采。南史、?文帝紀「博綜羣書、──艷發、當時號爲宮體」=詞藻。

【辭指】 ジシ 

ことばの趣旨。魏志、鍾會傳「推寵固讓、──款實」=辭旨·辭趣。

【辭謝】 ジシヤ 

ことわる。史、呂后紀「大臣相與共陰使人召代王、代王使人──」

【辭狀】 ジジヤウ 

はなしの次第。吳志、顧雍傳「雍和顏色、問其──」

【辭章】 ジシヤウ 

文章詩賦。後漢書、蔡邕傳「少博學、好──」=詞章。

【辭讓】 ジジヤウ 

へりくだりことわりて人にゆづる。禮記「長者問、不──而對、非禮也」

【辭讓之心】 ジジヤウノココロ 

自らことわりて人にゆづる心。孟、公孫丑「────、禮之端也」

【辭趣】 ジシユ 

文辭の意趣。蕭子良文「──翩翩、足有才藻」

【辭書】 ジシヨ 

辭典に同じ。

【辭色】 ジシヨク 

ことばと、かほいろと。言辭容色。晉書、祖逖傳「──壯烈、衆皆慨歎」

【辭職】 ジシヨク 

役をやめる。梁書「襄父終此官、因──」=辭任·退職。

【辭世】 ジセイ 

○この世を去りて死する。○ 國  死に臨みて作る詩歌。=絕命詞。

【辭宗】 ジソウ 

辭章の宗師。後漢書、列女傳「學窮道奧、文爲──」=詞宗·文宗。

【辭退】 ジタイ 

○へりくだりて辭し退く。晉書、華譚傳「實宜──」○ことわりて身をひく。

【辭致】 ジチ 

もののいひぶりと態度 ヤウス と。晉書、嵆康傳「共談音律、──淸辨、因索素琴彈之、而爲廣陵散」

【辭典】 ジテン 

字引。=辭書·字典。

【辭吐】 ジト 

ことば。北史、景穆十二王傳「──傲然、若無所覩」=談吐。

【辭任】 ジニン 

やくをやめる。=辭職。

【辭貌】 ジバウ 

ことばと、かたちと。後漢書、馬融傳「爲人美──、有俊才」

【辭避】 ジヒ 

ことわりてにげる。宋史、劉保勳傳「吾受君命、未嘗──」

【辭病】 ジビヤウ 

病氣なりといひたててことわる。後漢書、郭丹傳「──不就」

【辭賦】 ジフ 

詩の變體なる辭と賦と。史、司馬相如傳「景帝不好──」

【辭服】 ジフク 

恐れ入る、罪を謝する。

【辭柄】 ジヘイ 

物いひのたね、いひぐさ。

【辭表】 ジヘウ 

辭職を乞ふ上書。

【辭別】 ジベツ 

いとまごひする。=訣別·吿別。

【辭辯】 ジベン 

ことば。程子、程伯淳行狀「先生不飾──、獨以誠意、感動人主」

【辭命】 ジメイ 

一國の使者としてのことば。孟、公孫丑「諸侯雖有善其──而至者、不受也」

【辭老】 ジラウ 

年老いて官を辭せんことを請ふ。史、高祖紀「及其見疑乃怒──、願賜骸骨歸卒伍」=吿老。

【辭林】 ジリン 

ことばの聚る所文章に熟達する義。陳書、周弘正傳「藝業通備、──義府」

【辭令】 ジレイ 

○ことばづかひ。人と應對することば。史、屈原傳「明於治亂、嫺於──」○ 國  官職に任ずるかきつけ。

【辭達而已矣】 コトバハタツセンノミ 

文辭は意思を通じ得ば十分なり、必ずしも富麗を以て工となさず。論、衞靈公「子曰、─────」

13畫

辮  

ベン [銑]

○あむ(編)くむ(交織)○まとふ(繆)(一四九七頁四段)の辮を見よ。

14畫

辯  

①ベン [銑]

②ヘン [霰]

③ヘイ [庚]

①わかつ(別)易、履卦「君子以─上下定民志」わかる(判)○つまびらか(詳審)周禮、天官「惟王建國、─方正位」○あきらか(明)○いひあらそふ「口─」「論─」「爭─」○をさむ(治)○ただす(正)○とく(說)○さとす(諭)○たくみにいふ、言說に巧なり(巧言)「大─」「巧─」「俊─」「雄─」○文體の一、論議して是非を決斷するを主とす「桐葉封弟─」「諱─」文體明辯「─、判別也、其字從言或從刂、蓋執其言行之是非眞僞、而以大義斷之也」

②あまねし、徧に通ず。禮、樂記「其治─者、其禮具」

③ひとし(平均)平に通ず。

【好辯】 ベンヲコノム 

議論を好む。孟、滕文公「予豈──哉」

【以辯飾知】 ベンヲモツテチヲカザル 

巧なる辯舌を以て、其の智の足らざる所をかざる。莊、繕性「古之存身者、不以辯飾知」

【辯解】 ベンカイ 

いひひらき、いひわけ。唐書、諸公主傳「帝有所怒、必伺顏色、後──」=辯疏。

【辯巧】 ベンカウ 

くちまへがたくみなり。晉書、裴頠傳「──之文可悅、似象之言足惑」

【辯給】 ベンキフ 

辯曰が十分に足りて巧なり。北史、辛術傳「楊愔風流──、取士失於浮華、惟術性尙貞明、取士以才以器」=辯捷。

【辯慧】 ベンケイ 

くちまへたくみにさとし。漢書、息夫躬傳「──則破正道、深刻則傷恩惠」

【辯譎】 ベンケツ 

正しからざる辯舌。錄異記「以──相高尙」=詭辯。

【辯護】 ベンゴ 

辯舌にて分疏 イヒワケ して庇護 カバフ する。漢書、貢禹傳「以王命──生家」

【辯護士】 ベンゴシ 

 國  法庭にて他人の爲めに辯論して其の利益をはかるもの。= 俗  律師。

【辯口】 ベンコウ 

能く言ふはたらき。史、范睢傳「齊襄王聞睢──」=辯舌。

【辯才】 ベンサイ 

○言說の巧なるはたらき。李白詩「粲然有──」○辯舌と才智と。

【辯才天】 ベイザイテン 

印度の女神、梵天の妃なり、辯說才智に富み、無量の福德を與へ又音曲に長ずといふ、我國にては七福神の一とす。=辯天·大辯功德天·妙音天·妙音樂天。

【辯士】 ベンシ 

○辯舌に巧なる人〔莊、天道〕○ 國  演說講話などする人。又、活動寫眞の說明者。

【辯辭】 ベンジ 

たくみなることば。史、仲尼弟子傳「宰予利口──」

【辯釋】 ベンシヤク 

說きあかす。晉書、儒林傳「徐邈議論精密、觸類──、問則有對」

【辯舌】 ベンゼツ 

辯口に同じ。

【辯捷】 ベンセフ 

くちまへよくさとし、資辯捷給。梁書、蕭珍傳論「朗悟──、諳究朝典」

【辯贍】 ベンセン 

口才が巧にして義理が十分に足る。晉書、王羲之傳「羲之年十三知名、及長──以骨鯁稱」

【辯疏】 ベンソ 

辯解に同じ。=辯明。

【辯智】 ベンチ 

○事理をわきまへしる。道德指歸論「上義之君、──聰明」○くちまへよくさとし。戰國策「欲決霸王之名、不如備兩周──之士」

【辯天】 ベンテン 

辯才天の略。其の條參看。

【辯難】 ベンナン 

あらそひて論難する。後漢書、曹襃傳「襃父充拜侍中、作章句──」文章軌範、王字集小序「──攻擊之文」

【辯佞】 ベンネイ 

くちまへ巧にしてこびへつらふ。晉書、夏侯湛傳「嘔喁──」

【辯妄】 ベンバウベンマウ 

他人の妄りなる論を辯し明かにす。

【辯駁】 ベンハク 

他人の言論の非なる點をあらそひ擊つ、辯難攻擊。=辯難。

【辯足以飾非】 ベンハモツテヒヲカザルニタル 

辯舌たくみにして己の非をも飾り得る。莊、盜跖「強足以拒敵、─────」

【辯辯】 ベンベン 

よくすぢみちを立てて明かに論ずる。史、孔子世家「──言、唯謹爾」=便便。

【辯明】 ベンメイ 

辯解に同じ。

【辯論】 ベンロン 

いひあらそふ。禮記「司馬──官材」