鼻部
0畫
ヒ ビ [寘]
○はな、動物の嗅官、及び呼吸を司る器官。○器物のつまみ(鈕)とって(把)隋書「三命以上、銅印銅─」○獸のはなを穿ちて繩などをとほし繫ぐ。張衡賦「─赤象」○はじめ(始)人類の胚胎する最初に─が先づ形を受けるといふ傳說に本づく「─祖」
はなを以て水をのむ。漢書、賈捐之傳「駱越之人父子同川而浴、相習以──、與禽獸無異」
感冒 カゼヒキ 又、傳染によりて起る病、黏膜はれ脹 フク れて、鼻孔ふさがり、多く水涕 ミヅバナ を分泌す。
いびき。避暑錄「子瞻──如雷」
はなのあな。蘇軾、燒香詩「不是聞思所及、且令──先參」
はなばしら。說文「頞、──也」
はなぢ。太平廣記「──大出」=鼻衄·衄血。
せせらわらひ。劉子翬詩「少年──輕流俗、斂銳收毫今碌碌」
第一のせんぞ、人の始めて生を受くるには、鼻より形を成すといふによる。正字通「人之胚胎、鼻先受形、故謂始祖爲──」揚雄、反離騷「或──於汾陽」
○はないき。元稹詩「──春雷吼」○轉じて他人のきげん、又意向の義とす。後漢書、袁紹傳「孤客窮軍、仰我──」
はなぢ、鼻より血を出す。素問「──、又脾移熱於肝、則爲驚衄」=衄血。
はなのあなふさがる。列子「鼻將窒者、先覺焦朽」
地名。史、五帝紀、注「括地志云、──神在道縣北六十里、故老傳云、舜葬九疑、象來至此、後人立祠、爲──神」
はなしる、洟は鼻液。北史、皇甫玉傳「會道北垂──者」=鼻涕。
蛞蝓 ナメクジ の異名〔正字通〕
はなの端より火を出す、勢の極めて盛んなる形容。南史、曹景宗傳「騎快馬如龍(中略)覺耳後生風、鼻頭出火」=鼻端出火。
はなばしら。=鼻準 ビセツ
自分の鼻を指す、自慢 ジマン する貌。夜談隨錄「自指其鼻曰、我三官保豈畏人者」
2畫
キウ [尤]
はなつまり。かぜひきて鼻が窒 フサ がる。
鼻つまりて、せきが出る。論衡「猶和神仙之藥、以治──」
鼻ふさがりてつまる。漢書、五行志「秋行夏令、民多──」=鼻窒。
鼻つまりてむせぶ。禮、月令「季秋行夏令民多──」= 俗 傷風。
3畫
カン [翰]
○いびき、ねいき(臥息)○はないき(齁)=鼻息。
いびきをかきてねむる。桯史「上諭之曰、江南亦何罪、但天下一家、臥榻之側、豈容他人──耶」
いびき。范成大詩「睡仙吾所慕、行步亦──」
おほいびき。黃庭堅、題東坡字後「爛醉就臥、鼻鼾如雷」
4畫
ヂク [屋]
はなぢ(鼻血)=衄。
5畫
コウ コ [尤]
はないき(鼻息·鼻聲)
はないきの聲の形容。蘇軾詩「鼻息──自成曲」
いびきのこゑ。皮日休詩「深擁竟無言、空成睡──」
いびきをかいて眠る。樂善錄「旣而──」
ハゥ [效]
もがさ(面瘡)=皰。
9畫
アツ [曷]
はなばしら(鼻莖)史、蔡澤傳「魋顏蹙─膝攣」=頞(二一九○頁二段)
10畫
キウ [宥]
かぐ。=嗅。
11畫
サ セ [麻]
ざくろばな、鼻のもがさ(鼻上皰)鼻の上に赤き斑ある病。=酒糟鼻。
ざくろばなの王氏の義。魏書、王慧龍傳「王氏世、齇鼻、江東謂之──、慧龍鼻大、浩曰眞貴種也」浩は崔浩。