走部
0畫
ソウ [宥]
○はしる(趨)かける、早足にて行く「奔─」「疾─」はしらす「─馬」○ゆく(往)○にげる(逃)いくさに負けてにげる、敗北する「逃─」「敗─」「遁─」孟、梁惠王「棄甲曳兵而─」○めしつかひ、小使(奴僕)○地上を走るもの、獸類「飛─」○自稱の謙辭、猶ほ僕といふが如し「─」「下─」「牛馬─」班固、答賓戲「─亦不任廁於彼列」○ 國 ─繞 ソウネウ は字畫上、走字の稱。
同訓異義
ハシル 走·奔·趨○走はかけりゆく義、奔走·飛走と連用す、敗れてにげるにも用ふ。○奔は走よりは更に勢よくかけ出す義、事に趨くに後れんことを恐るる意なり、轉じて結婚に禮の備はるを待たず、父母の家をかけおちするをも奔といふ。○趨は早くこばしりをする義。論語「鯉趨而過レ庭」禮記「遭二先生于道、一趨而進」疾行して直ちに目的の處に至る義より、敬意を帶ぶ。
はやぶね。吳志、周瑜傳「豫備──、各繫大船後、引次俱前」=輕舸。
はしりづかひ。歐陽原功詩「──奉一札」
○江湖の閒に隱居する義。謝靈運詩「范蠡───、梅福入城巿」○ 俗 四方に游食する者をいふ。
よくはしる獵犬。史、句踐世家「狡兔死──烹」
ちりぢりににげる。宋書、武帝紀「彼求戰不得、自然──」=奔散。
にげかくれる。禮記、注「象鳥雀之──也」=奔竄。
はしりづかひ。通典「魏以諸曹──曰鳧鴨、取其迅速」
四方より爭ひおもむく地。又邊境のとりで。左、昭二三「修其土田、險其──、親其民人」
おもむきはしる。韓愈文「佩玉長裾、不利──」
早く走るふね〔三國志〕=快船·走舸。
はしりづかひ。漢書、胡建傳「貧亡車馬、常步與──起居」
生きてはしる肉、無用の人を譏る語。拾遺記「不學者雖存、謂之行尸──爾」
事物の皮相のみをざっと窺ひ觀て、其の底蘊 オクソコ を究めざるに喩ふ。孟郊詩「春風得意馬蹄疾、一日看遍長安花」に本づくか。
まはりどうろう〔荊楚歲時記〕元の郝經、郭天錫、皆───の詩あり。=馬騎燈。
はしりさく。唐書、高祖諸子傳「觀其──則樂」
はしりがき。白居易詩「──操狂詞」
俗 にいふ藪入 ヤブイリ 五雜俎「齊魯人多以正月十六日、遊寺觀、謂之───」(百病を驅除すといふ年中行事)
はやせのなみ。江淹賦「馳湍──、漂沙擊石」
きそひて利益にはしる。魏書、李諧傳「咸爭途以──」=趨利。
翼が不十分にて高く飛ぶこと能はざる鳥類、駝鳥の類。
にげみち。=血路。
走(前條)に同じ。
2畫
①キウ [有]
②キウ [宥]
①──はたけくつよき貌。又、果毅 オモヒキリヨシ の貌。詩、周南「──武夫、公侯干城」又輕く力づよくして才力ある貌。
②─螑 キウキウ は龍などの頭を伸べ低昂して行く貌〔史、司馬相如傳〕
フ [遇]
○おもむく(趨)行く「奔─」「電─」○いたる(至)○向ふ「─義」「嚮─」○死去のしらせ、喪を吿げる。=訃。
同訓異義
オモムク 赴·趨·趣·歸○赴は先方へかけつける義。謝枋得、卻聘書「慷慨赴レ死易、從容就レ義難」また訃に通じて、喪を吿ぐる義とす。○趨はこばしりにはしりゆく義。○趣は一定の所に志して走りゆく義。孟子「趣レ之者如レ歸レ巿」また、おもむきと訓みて、名詞にも用ふ、幽趣·志趣·旨趣·雅趣の如し。○歸はおちつくべき所ヘ向ひゆく義。易經「殊レ塗而同レ歸」
其の場所におもむきたすける。
義の爲めにおもむく。魏志、袁紹傳「輕財──」
ゆきてすくふ。魏志、陳矯傳「未從之國、望風景附、此王業也、太祖乃遣兵──」=赴援。
○死去を吿ぐるを赴といひ、禍福を吿ぐるを吿といふ〔左傳、序〕○死去のしらせ。=訃吿·訃音。
ゆきてうつ。吳志、朱桓傳「桓督領諸將、周旋──、應皆平定」
戰に從ひて敵地にゆく。隋書、于仲文傳「人各一心、何以──」
はしりて國難を救ふ。漢書「士──不愛其死」
任地におもむく。宋史「其──川陜者、給驛券」
3畫
趕(走部七畫)に同じ。
キ [紙]
○おく。おこす(興)おこる「興─」「決─」「鋒─」「迭─」○たつ(立)おきあがる、身をおこす。○おこす、目を覺 サマ さす。目を覺す「喚─」「早─」「睡─」「晨─」○ふるひおこる(奮興)書、益稷「元首─哉」○おこり、はじめ(開始)「─因」「─原」「─事」ひらく(啓發)悟 サト らしむ。論、學而「─予者商也」○人を引き擧げて用ふる「─用」戰國、秦策「─樗里子于國」○建築する。漢書、郊祀志「武帝─建章宮」
同訓異義
タツ 起·建·立·豎·植·樹の别は建(五九九頁三段)の條を見よ。
けむりをおこしたつ。魏志、劉廙傳「──於寒灰之上、生華於已枯之木」
したがきを書きはじめる。=起草。
たつと、ひざまづくと。李孝光詩「白石如白羊、──變化速」
○記事文の義例を立てる。左傳、序「一曰、微而顯、文見於此、而──在彼」○義に仗 ョ りて兵を起す。冊府元龜「後唐莊宗初從太祖──雲中」
○たちゐふるまひ。人の飮食寢興をいふ。書、冏命「出入──、罔有不欽」=動靜·擧止。○轉じてきげん、安否「──佳勝」
天子の左右に居る史官が天子の言行を記するをいふ。
隱者の身の自由なるをいふ。韓愈、送李愿序「────、惟適之安」
書簡の用語、先方の無事を賀する。司馬光、書儀「伏惟某位、尊體────」
詩の第一句。滄浪詩話「──好尤難得」
おきふし。=臥起。
うやまふ心をおこす。禮記諫若不入、──起孝」
しごとをはじめる。=創業。
はじめ、おこり。
土木工事をはじめる。
おきてすわる。王襃、僮約「鼓四──、夜半益芻」白居易詩「──思量更無事、身心安樂復誰知」
○金をかりる。漢書、谷永傳「爲人──、分利受謝」○國家又は自治團體にて公債を募集しはじめる。
詩文のしたがきを書きはじめる。後漢書、百官志、注「一曹有六人、主作文書──」=起稿。
死人を生きかヘらす。吳語「──人而肉白骨也」
死をおこし生にかヘす、よみがヘらせる。
ねどこよりおき出る。
○神佛に誓ひし約束文。=誓詞。○互に取りかはす約束の證書。
事のおこり、はじめ。
約束の證書。法苑珠林「──同行」
詩の第一句を起、第二句を承、第三句を轉、第四句を結とす。結は一に合といふ。范德機詩法「作詩有四法、起耍平直、承要舂容、轉要變化、合要淵永」
うったへをおこす。
ほこりをたたす。左傳、注「曳柴──、詐爲衆走」
おもき物をあげおろしするに用ふる滑車仕掛の機械。
旅立つ。=發程·發軔。
いかりをあげて船出する、ふなで。=拔錨·開帆·解帆·解纜。
國 はじまりの所。=出發點。
○たちゐふるまひ。易林「世祿久長、──安寧」=起居。○うごく。梁昭明太子文「眞理寂然無──相」
立ちてをがむ。漢書、董賢傳「單于乃──、賀漢得賢臣」
よろこびて奮發する貌。漢書、楊惲傳「頓足──」
おきると、ふすと。高くなると低くなると。後漢書、郭后紀「物之興衰、情之──、理有固然矣」
○官吏の喪中に在る者、喪期未だ滿たざるに出仕せしむる義。通鑑、注「──者、起之於苫塊之中、復其位也」○轉じて除服出仕の義とす。
いづると、きゆると。皇甫會詩「寒磬虛空裏、孤雲──閒」
わが氣づかざることを他より注意せられて悟る。論、八佾「──者商也、始可與言詩已矣」
一旦休職·免職となりし人を更に復 マタ 用ふる。
席からたちあがる。指月錄「見代宗來──」
律詩の一二兩句の聯をいふ。文體明辯「近體律詩、一二名──、又名發句三四名二頷聯、五六名頸聯、七八名尾聯、又名落句」
5畫
①ヱツ·ヲチ [月]
②クヮツ [曷]
①こす。ふゆ(踰)「超─」「踰─」通り過ぎる。○すごす、度をすごす。過ぎる、分に過ぎる「僭─」○わたる(度)○ふむ(躐)○つまづく(蹷)○おつ。おとす(墜)「隕─」○うしなふ(失)失墜する。○ちる。ちらす(散)○あがる。あぐ(發揚)○とほし(遠)左、襄十四「─在他竟」○まはりどほし(迂)魯語「─哉臧孫氏之爲政也」○ここに(於)發語の辭。曰·聿·粤に通ず。○瑟の下面の孔。禮、樂記「淸廟之瑟、宋絃而疏─」○春秋時代の國名、今の浙江省紹興縣の地。轉じて浙江省を─省と稱す。=粤。○種族の名、古の江·浙·閩·粤地方に住せしもの。○─裳は古の國名、安南の南部。○布の名「─布」○姓。─石父は史、管晏傳に見ゆ。
②─席 クワツセキ はがまむしろ。左、桓二「大路─席」(路は輅) 國 ○ コス よこす「申し─す」又、遷る「引─」○ コシ 國名、今の三越の地。
同訓異義
コユ 越·超·踰·躐の别は超(本畫)の條を見よ。
順序によらずして上位にすすむ、不次の昇進。=越遷。
つよくして自由に障害物などをとびこえる騎兵、唐代に設けしもの。
こけもも、高山に自生する小灌木、葉橢圓形、花淡紅、小果を結ぶ。
越の國に產するほこ、天子の戎器、棘は戟。禮記「──大弓、天子之戎器也」
衆にこゆ。赭白馬賦「别輩──、絢練夐絕」=超羣·拔羣。
しろうり、もと南越より出づるもの、其の皮白し。
すぐれてつよし。荀子「桀紂筋力──、百人之敵也」
つきをこゆ。月令廣義「積日──」=逾月。
程度をこゆ。釋名「量力而動、不敢──」
權限外の事をする。=僭越。
牢やぶり。=脫獄·脫監。
流浪 ルラウ して遠きに在る。左、昭二十「失守社稷、──草莽」
順序をこえる。漢書、王莾傳「臣以外屬、──備位」宋史、神宗紀「王安石──入對」
あくるひ。列子「──謁見王」=明日·翌日。
越は今の浙江省、秦は陝西省の地方、其の地甚だしく隔絕せり。因りて何等の關係なきに喩ふ。韓愈、諍臣論「視政治得失、─────────、忽焉不加喜戚於其心」
書名、十五卷、撰者未詳、其の文縱橫曼衍、吳越春秋と相類す、而して博麗奧衍は之に過ぐ、原本二十五篇、今五篇を佚す。
さきをこす。吳志、顧雍傳「才照人物、德服衆望、誠非愚臣所可──」
國 順序を經ずして直ちに上官に訴ヘる。
己の職分をこえて他人の事に干涉する罪。莊、逍遙遊「庖人雖不治庖、尸祝不越樽俎而代之矣」
梔子 クチナシ の異名〔本草〕
越と齊との國の美人。七發「越女侍前、齊姬奉後」史、楚世家「左抱鄭姬、右擁越女」
○南方の鳥。次條參看。○孔雀の異名〔本草釋名〕
越の國は南方に在り、故に越の鳥は他國に在りても樹の南の枝に巢を構ふ。故鄕の忘れ難きに喩ふ。古詩「相馬依北風、─────」
○度をこえる。舊唐書明皇紀「熒惑犯房、至心星──而過」○ 國 ヲチド あやまち、過失。
こえわたる。魏志「比年以來復遠遣船──大海、多持貨物、往誘邊民」
としをこす。黃滔詩「纔到人閒便──」=超歲。
まじなひの術、古、越人之を善くせし故。後漢書「趙炳、字公阿、東陽人、能爲──」注「善禁呪也」
己の職を謹み守りて他人の職權を侵すことなき心がけ〔曾鞏、思政堂記、沈德潛評〕左、襄二五「行無越思、如農夫之有畔」より出づ。
順序をこえてみだる。禮記、疏「次序不有──也」
應 マサ に循ふべき禮法に越える。晉書、裴頠傳「昔穆叔不拜──之饗、臣亦不敢聞殊常之詔」
兩端にあたまのあるへび。本草「兩頭蛇、一名───、會稽人言、是越王弩弦所化、故名」
今の廣東省越秀山上に在り、趙佗、山に因りて臺を築く。一統志には「句踐登眺之所、在會稽稷山」
越王が車上にて怒れる蛙に敬禮せし故事。韓非、內儲「越王慮伐吳、欲人之輕死也、出見怒蛙乃爲之式、從者曰奚敬於此、王曰、爲其有氣也」式は軾。
英語の音譯、食物、又、藥物の主要成分を煮つめて少量の容積とせしもの。=精。
ショ ソ [魚]
○たたずむ。○?─ シシヨ は行きなやむ。=趦趄·赼跙。
タン テン [咸]
坐立不動の貌。=跕。
①チン [震]
②チン [眞]
趂は俗字
①ゆきなやむ(?)○おふ(逐)後より之に及ぶ。
②こえふむ(越履)○さわぐ(躁)
同訓異義
オフ 趁·追·逐の别は追(一九四八頁一段)の條を見よ。
あたたかき所をおひあるく。中山詩話「頑童──貪春睡」
行きて進まざる貌。=屯邅。
趁(前條)の俗字。
テゥ [蕭]
○こす、こゆ(越)「─越」こえて前に出る、飛びこえる。孟、梁惠王「挾大山以─北海」○ぬきでる、すぐれる、秀でる「─羣」「─倫」○わたる(渡)○たかし(卓)とほし(遠)○すぎる(過)○をどる(跳)○常格に拘らず、順序によらずして進む「─脫」
同訓異義
コユ 超·越·踰·躐○超は躍りこゆるなり。超乘は、車に飛び乘ることなり。○越は界をふみ越え、又高き墻を飛び越ゆるに通用す、越職は、下官の者が、上官の職務に立入るをいふ。○踰は踰越と連用す、踰レ垣·踰レ月などに用ふ、ひとまたぎに踰ゆるなり、逾に作る、同じ。○躐はこえて進むなり、超に略~同じけれども、躍る意はなし。
ぬけでる、すぐれてまさる。南史、阮孝緖傳「言行──」=超軼。
すぐれてぬきんでる。莊、田子方「夫子──絕塵、而囘瞠若乎後矣」一本奔逸に作る。=超逸。
遠き貌。顏延之詩「──行人遠」
○こえる。魏志、管寧傳「聖敬日躋、──周成」○とびこえる。劇談錄「善──」=超躍。
順序をとびこえて官位がのぼる。=超升·超遷。
常格に過ぎる。晉紀「荀勗守尙書令、詔曰、勗肆力先朝、庸勳──」
をどりこえる。史、王翦傳「方投石──」
衆にぬきんでる。淮南子「同師而──者、必其樂之者也」=超倫·絕羣。
○常よりこえる。法苑珠林「──三乘」○或數量が他の數量に比して多し「輸出──」
人にすぐれてさとし。又、すぐれたるさとり。晉書、鳩摩羅什傳「大師聰明──、天下無二」
年をこす、新年を迎ヘる。=越年。
順次によらずのりこす。張說文「旣立殊常之勳、遂蒙──之命」
常格にとびこえる。晉書、慕容垂載記「蒙──之遇」
とびてはねあがる。張衡賦「八乘騰而──」
順序をこえてさづける。晉書、慕容暐載記「摧鋒陷銳、宜論功──寢而不錄」=挺授。
官位が順序をとびこえて進む。後漢書、韋彪傳「多從郞官、──此位」舊唐書、趙憬傳「今課績高者、不次──」=超遷。
○くるまにとびのる。左、僖三三「秦師過周北門、左右免胄而下、──者三百乘」○誤用してのりこす義。日本外史「高綱則──而過」
○一世にこえすぐれる。魏志、武帝紀「──之傑」○世俗に遠ざかる。朱熹詩「──慕肥遯」=脫俗·超俗。
衆にこえすぐれたるおこなひ。江淹詩「五難旣灑落、──絕塵網」
こえぬきんでる。謝靈運文「不杜其根、于何──」
○高くこえぬきんでる貌。漢書、董仲舒傳「人受命于天、固──異于羣生」○世俗の拘束を脫して心けだかき貌。
山東省諸城縣の北城の上に在り、宋の蘇軾、郡守たりし時、舊臺に因りて建て、秦篆を刻して之を臺中に置く。
政黨に關係せざる內閣。
順序をこえて官をのぼす。漢書、張釋之傳「今陛下以嗇夫口辯、而──之」
世俗より遠くぬきんでる。人物志「──乘高」=脫俗·超世。
すぐれて高くぬきんでる。晉書、孟嘉傳「文辭──、四座歎之」=卓越不羣。
他人をとびこえてぬき用ふる。趙孟頫詩「郞位蒙──、官曹幸接聯」
こえすぐれる。戴良詩「運至終──、道窮姑退藏」
世俗の拘束を受けず、とびはなれてけだかし。劉克莊詩「從今詩律應──、盡吸瀟湘入肺腸」
こえわたる。吳志、孫權傳、注「著鞭以助馬勢、遂得──」=越渡。
なかまをこえる。後漢書、左雄傳「踴躍升騰、──踰匹」=超倫。
とびこえる。劉勰新論「──絕阪」
順序をこえて官につく。張九齡詩「遠圖嘗畫地、──乃登壇」
衆にこえぬきんでる。蘇舜欽詩「恐其立異勳、歘然自──」
身を起してまひ踊る。詩經、疏「數──、僛僛然不能自正也」
凡人よりぬきでる。=超倫。
こえすぐれる。梁書、武帝紀「文質彬彬、──今古」
はるか。李白詩「原野曠──」
なかまにとびぬけてすぐれる。蔡邕文「潁川郡陳若、絕世──」=絕倫·超羣。
6畫
シ [支]
趦は俗字
─趄 シシヨ は、行きて進まざる貌、たちもとほる。張載、劍閣銘「一人荷戟、萬夫─趄」=趦趄·次且。
趨(走部十畫)の俗字。
7畫
カン [旱]
おふ(追逐)=赶。
テゥ [篠]
○はしる(趨)急に走る。○春秋戰國の時、晉の卿、韓─魏の三家、晉を分ち國を立つ。─は今の直隸省の南部、山西省の北部地方。○又晉の時、劉曜·石勒の二人が先後して建てたる國「前─」「後─」○五代の次に起りし宋朝の天子の姓「─宋」
字は翁孫、漢の上邽の人、騎射を善くす、沈勇にして方略あり、武帝の朝、中郞將車騎將軍に拜す、霍光と定冊して宣帝を立つ、また金城に屯して西羌を破り、營平侯に封ぜらる、其の屯田十二便を言ふ、尤も後人の宗とする所となる、卒する年八十六。
字は則平、宋の幽州薊の人、沉厚寡言、太祖に仕へ、累遷して相に拜す、天下の事を以て己の任となす、又太宗に相とし太師に拜す、卒するに及び韓王に追封せられ忠獻と諡す、普初め學術寡し、太祖勸むるに讀書を以てす、是より手に卷を釋てず、私第に歸る每に篋を啓き書を取りて之を讀む、乃ち論語二十篇なり、嘗て太宗に謂つて曰く「臣有論語一部、以半部佐太祖定天下、以半部佐陛下致太平」と。
8畫
①シュ·ス [遇]
②ショク、ソク [沃]
①おもむく、向ふ所を定めて疾く行く、はしる。○おもむき「詩─」「野─」「佳─」○わけ、むね、意味、すぢみちの歸著する所「旨─」「理─」「志─」
②せまる、うながす。=促。○すみやかに(疾)○局─ キヨクソク は蹙小 セマリチヂカマル の貌。
同訓異義
オモムク 趣·赴·趨·歸の别は赴(一八八六頁三段)の條を見よ。
おもむき、意のおもむく所、むね。=趣旨。
○おもむき。目的を定めてそれに向ふ。唐書、陳子昻傳「是──之反也」○こころもち、意向。鄭谷詩「其如──卑」
おもむき、むね。文心雕龍「陳思稱、楊馬之作、趣幽旨深」=趣意·旨趣·指趣。
進むと止まると。歐陽修、石曼卿墓表「──大節」=趨舍。
おもむき、このみ。蔡邕文「由其模範、從其──」
おもむきはしる。列子「──往還」
おもしろみ、おもむき。水心題跋「怪偉伏平易之中、──在言語之外」
急ぎて旅支度 タヒジタク する。漢書、曹參傳「及蕭何卒、參乃趣治行裝」
促織 コホロギ に同じ〔文選、注〕
①タク [覺]
②タウ [效]
①は逴と同じ
①とほし(遠)
②行く。超ゆ。
9畫
趑(本頁一段)の俗字。
10畫
①シュ·ス [虞]
②ショク·ソク [沃]
①音スウの通
①はしる(走)小足に疾 ト く走る、貴人の前を過ぐる時の禮「進─」「拜─」論、子罕「過之必─」○おもむく、歸向する「─利」=趣。
②いそぐ、せまる(迫)うながす。促·趣に通ず。すみやかに(速)漢書、高帝紀「使─銷印」=促。
同訓異義
オモムク 趨·赴·趣·歸の别は赴(一八八六頁三段)の條を見よ。○ハシル趨·走·奔の別は走(一八八五頁四段)の條を見よ。
走りて謁見する。麻不期賦「公侯進退而爲容、卿士俛仰而──」
權勢ある人に取り入る。宋史、李垂傳「焉能────、看人眉睫以冀推輓乎」
他人の家に赴きて祝ふ(參賀)
おもむき。=趣向。
義俠の爲めにおもむく。姚燧文「重諾而──、負氣而尙俠」=赴義。
走り急ぎて出迎へる。
はしりてきそひ爭ふ。宋史、呂祐之傳「純謹長者、不喜──」
朝廷にはしりのぼる。韓愈文「閒道──、變服詭行」
他人の家にまゐる。梅堯臣詩「權門誰解更──」=參趨。
時世をおふ。易經「變通者──者也」
はしりづかひのこもの。皮日休文「──走養」
進むと止まると。史、伯夷傳「巖穴之士、──有時」(進むにも退くにも各~時機がある)=進退·趣舍。
たちゐ、ふるまひ。呂覽「──閑雅、辭令遜敏」
はやあしにて出る。書經「羣公旣皆聽命、相揖──」
世のなりゆき。
はやくはしる。戰國策「不佞寢疾、不能──」
子が父の敎を受ける義。論、季氏「嘗獨立、鯉趨而過庭、曰學詩乎」鯉は孔子の子伯魚。
はしりのぼる。左傳「其右提彌明、知之──」
小足にて疾 ト くはしり行きてをがむ。唐書、元德秀傳「傷足不能──」
貴人の前を疾 ト く走り過ぐる敬禮。左、成十六「見楚子必下免胄而──」
はやくこばしりにはしる。王儉詩「──明月舞瑤裳」
競ひて利を圖る。列子「農赴時、商──」
蟋蟀 コホロギ の異名〔詩經、疏〕=促織。
朝廷の上を行くに小足にて早く走るに及ばざる許可をたまはる、功臣に賜ふ特别の優遇〔漢書〕
11畫
サン [覃]
─? サンタン は驅り走る貌〔吳都賦〕
蹕(一九○四頁一段)に同じ。
12畫
クヮウ [陽]
── クワウクワウ は武 タケ き貌。又、張り設ける貌。張衡、西京賦「洪鐘萬鈞、猛虡──」
ケゥ [蕭]
○すばやし、みがるに善く走る。○すばやく善く木にのぼる。張衡、西京賦「非都盧之輕─、孰能超而究升」(都盧は國名、其の人善く高きに緣 ョ る)○たけし(健)「勇─」○足を擧げる。
すばやくあらあらし。張衡賦「──虓豁、如虎如?」
すばやくたけし。陸游、南唐書「陳誨生數月、──能馳走」=趫捷。
○すばやきはたらき。唐書、姜確傳「太宗選──、衣五色袍」○輕薄にしてすばやき少年。留靑日札「凡輕薄挑達少年曰──」
たけくつよし。唐書、長孫皇后傳「父嵩──曉兵」
身がるにすばや─。後漢書、朱儁傳「輕勇──、軍中號曰飛燕」=捷趫。
足を擧げる。漢書「亡可──待也」(時の速かなるに喩ふ)
たけくして善くはしる。何景明賦「衆──而便捷兮」
13畫
サゥ ソウ [號]
躁(一九○五頁三段)に同じ。
14畫
①ヤク [藥]
②テキ [錫]
①をどる(踊)=躍。
②跳 オド る貌。○書法にて筆鋒の上に出づる者の稱。永字八法(一○四五頁二段)參看。
をどる貌。詩、召南「──阜螽」