廾部
0畫
キョウ [腫]
手をこまぬく(竦手)
1畫
ジフ [緝]
或は廾に作る
はたち、二十を幷せたる字。
國 牡丹の異名。白居易詩「花開花落二十日、一城之人皆如狂」とあるに本づく。
2畫
①へン·べン [霰]
②ハン [寒]
①かんむり(冕)特に武官用のもの「武─」○をののく(戰)おそれる(懼)戰慄する。漢書、嚴延傳」「吏皆股─」○いそぐ(急)はやし(疾)○てうちにする(手搏)○赤─丈人は蜻蜒 トンボ の異名。
②たのし、たのしむ(樂)詩、小雅「─彼鸒斯」=般。○ 國 辨の略字とするは非。
古の國の名、今の朝鮮の東南部にして、慶尙南道の大部分を據有す。=弁辰。
書物のはしがき、書物のかんむりの義、弁を辨に作るは誤。=序言。
弁は元服の時に一度被る緇布冠、髦は童子の垂髦、元服の禮は、始に緇布冠を加へて垂髦を斂め括り、次に皮弁を加ヘ、次に爵弁を加ヘ、三加の後、始冠の弁と垂髦とを棄て去りて、復用ひず、よりて無用の物に喩ふ。左、昭九「文武成康之建母弟、以蕃屛周、亦其廢隊是爲也、豈如──而因以敝之」
俗 下級の武官。=弁目·武弁。
弁兵に同じ。
3畫
①イ [支]
②イ [寘]
①しりぞく(退)○やむ(已)○なげく(歎)
②異に通ず。
4畫
棄(木部八畫)の古字。
ロウ [送]
○もてあそぶ、手に持ちて慰む(玩)おもちゃ「玩─」○あなどり。あなどる(侮)からかふ「嘲─」「愚─」○たはむる。たはむれ(戲)左、僖九「夷吾弱不好─」○音樂のしらべ(樂曲)「曲─」「淸─」樂を奏する。
同訓異義
モテアソブ 弄·玩·翫の別は玩(玉部四畫)の條を見よ。
あそびたはむる。國語「夷吾之少也、不好──」
巧を用ひすぎる、小刀細工。黃庭堅、拙軒頌「──成拙、爲蛇添足」
鳥の囀ずるをいふ。弄一に哢に作ろ。吭はのど(喉)左思、蜀都賦「雲飛水宿、──淸渠」
筆をもてあそびて書畫をかく。宣和畫譜「則──遊戲」
周代の秦の穆公の女、簫史に適けり、弄玉、簫を吹き鳳鳴をなせば、鳳來りて其の屋に止まる、公爲めに鳳臺を作る。
女子を生むをいふ。瓦は紡塼 イトマキ 詩、小雅、斯干「乃生女子、載寢之地、載衣之裼、載弄之瓦」
○はなをもてあそぶこと。沈佺期詩「啼鳥──疎」○ 國 花合をする。又、はなあはせ。
○玉を空に投げ、手にうけて弄ぶわざ。莊子「巿南宜僚──、而兩家之難解」○蜣蜋 クソムシ の異名。
慰みもてあそぶ。幽明錄「得一大珠徑數寸、明耀絕世、帝甚──」=玩弄。
月をながめ樂む。宋史、周子傳「程顥曰、自再見周茂叔後、吟風──以歸、有吾與點也之意」
私に政權をもてあそぶ。貢師泰詩「縣官出巡防、小吏爭──」
すがたをかざりて媚る。媚態を作す。後漢書、李園傳「胡粉飾貌、搔頭──」
ことをしらべる。
人君のなぐさみものとなる小臣、狎玩の臣。史、藺相如傳「以戲──」
男子を生むをいふ。詩、小雅、斯干「乃生男子、載寢之牀載衣之裳、載弄之璋」璋は玉、德を玉に比せんことを欲す。
晴天に乘じて遊び樂む。蘇軾詩「且看鴉鵲弄新晴」
ふぇをふく。陳陶詩「巫娥──香雨收、江嬪迸瑟魚龍愁」
しゃべる。歐陽修賦「響蟋蟀兮、轉喉──」
おきてをもてあそぶ、法律をまげる。史記「吏士舞文──、刻章僞書」
事實をまげて巧に筆をまはして書く。晉書「汝輩──當置吾何地」=舞文。
5畫
キョ [語]
をさむ(藏)「藏─」又、通じて去に作る。漢書、陳遵傳「性善書、與人尺牘、皆藏去以爲榮」
6畫
エキ ヤク [陌]
俗に奕と混用するは非
ゐご(圍棋)ばくち「博─」
①エン [琰]
②カン [覃]
①おほふ(蓋)○口小に中寬 ヒロ き器の稱。○せまきみち(狹道·隘路)左、襄二五「行及─中」○內に向く。
②ぉほふ。
11畫
奬(大部十一畫)に同じ。
12畫
へイ [霽]
又、?に作る
○やぶる(敗·壞)やぶれきれる「垢─」○つかれる(罷·疲)つからせる「衰─」「困─」「疲─」左、襄二七「以誣道─諸侯」くるしむ(困)○あし(惡·害)「宿─」「時─」「積─」○──は心力をつからして經營する貌。たふる、たふす(仆)「踣─」○さだむ、きめる(斷)○己の物事を謙していふ「─國」「─店」
同訓異義
ヤブル 弊·破·敗·壞·傷·毁等の別は破(石部五畫)の條を見よ。
國家の疲弊せる餘を引き繼ぐ。魏志、文帝紀、注「六國力戰、强秦──」=承敝。
己の家の謙稱。=弊宅。
あしきつひぇ、あしきこと。
己の國の謙稱。=弊邦。
つかれ苦しむ。蕭穎士文「志力──、未堪詣府」=困弊·弊憊。
やぶれたる帚 ハハキ を千金の價ありとす、身の程を知らざる過失に喩ふ。魏文帝文「里語曰、家有──、享之千金、斯不自見之患也」
よからぬくせ。=弊風。
ふるびたるとこ。宋史、舒璘傳「──疏席、總是佳趣、櫛沐風雨、反爲美境」
ふるきわた。世說「法師今日如著──在荊棘中」
あしきまつりごと。=秕政·惡政。
弊害の存する點。竇は穴。
己の國の謙稱。=弊國。
あしきならはし。=弊習·弊俗。
骨折りて經營する貌。莊、逍遙遊「──然以天下爲事」