日部
0畫
ジツ ニチ [質]
一音ニツ
○ひ(太陽)「旭─」「烈─」「落─」○ひかげ(晷影)詩經「春─遲遲」○ひる(晝)朝から晚まで「晝─」孟、離婁「夜以繼─」○ひとひ(一日)一晝夜、二十四時閒の稱。○ひび、每─。史、司馬相如傳「─往而朝相如」○さきに(曩·往日)○のちのひ(來日)○こよみ(曆數)左、桓十七「天子有─官」○─者は時─を占候 ウラナヒウカガフ する者。○天子の象。○ 國 ひ、天照大御神が─の神なるが故に、天皇の御事を申すに用ふる語「─嗣」
ひかげがうつる。潘岳、笙賦「酒酣徒擾、樂関──」
ひがながい。薩都剌詩「顧茲林塘幽、消此閒──」
曆を掌る官。左、桓十七「天子有日官、諸侯有──」
○日と月と。易、乾卦「與──合其明」○一日又一月。論、雍也「其餘則──至焉而已矣」○つきひ。=光陰。
人の本性の動もすれば私慾の爲めに掩はるるに喩ふ。又、奸臣が君の明を掩ふにも喩ふ〔文子〕淮兩子には蔽を蓋に作る。
公平に恩を施すに喩ふ。禮、孔子閒居「天無私覆、地無私載、──」
日月の天に在るをいふ、麗は附。漢書、武帝紀「────、高明所以表德、山岳題地、柔博所以成功」
道德功業の盛んなるをいふ。史、屈原傳「推此志也、雖與日月爭光可也」
明王は一人の爲めに法を枉ぐべからざる意に喩ふ。古文孝經、三才章、傳「─────────、明王不爲一人枉其法」
歲月の人を待たざるをいふ〔論、陽貨〕
逾は益、邁は行なり、年老いて死期の近づくをいふ。書、秦誓「我心之憂、────若弗云來」
ひ、太陽。日は陽德の母なる義。枚乘文「流覽無窮、歸神──」
ひぐれ、晡は申の刻、今の午後四時。白居易詩「但惜春將晚、寧愁日漸晡」=日餔。
前條に同じ。史、呂后紀「──時、遂擊産」
陽氣が陰氣に蔽はるる義、臣下の勢の强きに喩ふ。後漢書、郞顗傳「──則有地裂」
日出から日沒まで、光陰をいふ。孟、公孫丑「去則極日之力、而後宿哉」宋史、李綱傳「愛惜──」
日日の出來事を書きしるす〔大戴禮〕=日記·日誌。
○日の出づる處。支那人、朝鮮を斥して──といひ、日本を斥して日東といふ。揚雄、東楊賦「東震──」○日の照らす域內、天が下。魏書、李孝伯傳「世祖太武皇帝、英叡自天、籠罩──」
ひがさ、雲氣が太陽をとりまきて環狀を爲す現象。晉書、天文志「白虹貫日、──五重」
ひかげ。周禮「正──以求地中」=日晷。
まひる、正午。柳宗元詩「──獨覺無餘聲、山童隔竹敲茶臼」
ひなみ。又、日のやどり。北齊書、北郊歌「──月紀、方極九州」
つねひごろ、ふだん。=平常。
ひびの記錄。=日記·日誌。
太陽が南方に至る。周禮「──則景短多暑、日北則景長多寒」
まいにち。漢書、賈山傳「──射獵」=每日。
ひぐれ。孟浩然詩「──孤舟何處泊、天涯一望斷人腸」
太陽が北方に至る。周禮「日南則景短多暑、──則景長多寒」
日が入る、日の入り。
ひると、よると。史、秦紀「──哭泣」
ひごとにつかふ。易、繫辭「百姓──而不知」
○ひごろ。來は助語。○日日に來る。董仲舒文「更化則可善治、善治則災害日去、福祿──」○日が出で來る。易、繫辭「日往則月來、月往則──」
ゆふひが入る。鮑照詩「──嶺雲歸」
ひ、太陽。韓愈詩「中夜起下視、溟波銜──」
國 日蓮の始めたる宗旨、法華經一部を所依とすれば、俗に法華宗ともいふ。
ひびの出來事をしるす。又、其の帳面。王氏類苑「王安石旣罷相、悔其執政日無善狀、乃撰神宗──、歸過于上、掠美于己」=日記·日誌。
○日光がうららか。歐陽修文「風恬──」○ 國 ひより。天氣模樣、空もやう。
○ひあし。孟浩然詩「冬至──遲」○一日の行程。禮記「──百里」
額の中央の骨の隆起して日の如き狀を爲す、貴人の相。後漢書、光武帝紀「光武隆準──」隆準 リユウセツ は鼻すぢが通ってゐる。
瑞雲のあらはるるをいふ。宋史、韓琦傳「弱冠擧進士、名在第二、方唱名、太史奏、──────、左右皆賀」
日日出版發行する「──新聞」
ひびの事を書きしるす。又、其の帳面。新序「周舍事趙簡子(中略)曰、願爲諤諤之臣、墨筆操牘、隨君之後、司君之過、而書之、日有記也、月有效也、歲有得也」=日誌·日錄·日曆·日乘。
太陽の通過するみちすぢ。五代史、司天考「黃道者──也」
ひかげ。隋書、天文志「揆測──、求其盈縮」
日を畫きたるはた。杜牧詩「──龍旆想飄揚」
每日役所などへ出てつとめる。
ひびのたのしみ。杜甫、飮中八仙歌「左相──費萬錢」
ひびの仕事のわりあて。陸游詩「老人無──、有興卽題詩」=日程。
ひのひかり。魏書、孝文昭皇后高氏傳「初后、幼曾夢在堂內立、而──自窗中照之、灼灼而熱」
曆を掌る官。左、桓十七「天子有──、諸侯有日御」
泰山の頂上、日出を觀る峯の名。漢官儀「泰山東南山頂、名曰──」
目前の利なきも、久しくして其の益を見るをいふ〔文子、精誠〕莊、庚桑楚「吾日計之而不足、歲計之而有餘、庶幾其聖人乎」
ひぎり、日數の限り。
日の神。參同契「陽神──、陰神月魂」
まひにちまつる。國語「蔡公謀父曰、──月祀、時享歲貢」
太陽のほとり。何遜詩「天末靜波浪、──斂烟霞」=日邊。
いきほひが日日に減ずる。史、屈賈傳「屈原旣死之後、楚日以削」
國 神佛へ每日參詣する。
○ひづけ。南史、劉之遴傳「今本無上書年月──」○日數。○日輪の子。北史、高句麗傳「我是──河伯之外孫」
○每日支給する。宋史「人──錢二百、米二升」=日給。○日本と支那と。
ひびの出來事を記す。又、其の帳面。荀子「王者之功名、不可勝日志也」志は誌に同じ。=日記。
日ながし。淮南子「陽氣勝則──而夜短」注「脩、長也」=日永·日長。
日日にすすむ。謝靈運文「由敎而信、有──之功」
日に月に進步する。
日日に舊習を改めて自ら新にする。易、繫辭「──之謂盛德」
○卜筮家の稱、日の吉凶を卜ふもの。史、日者傳「卜筮占候時日通名──」○さきのひ、昔日。史、高祖紀「──荊王兼有其地」=往日。
○ひびに明かになる。中庸「君子之道、闇然而──」○太陽を畫ける旗。管子、兵法「擧──則晝行」
國 ひのまるのはた、我が國の國旗。=旭日旗。
あつさあたり。
ひので。詩經「羔裘如膏、──有曜」
日本國の天子といふ意。隋書、倭國傳「大業三年、遣使朝貢、其國書曰、─────、致書日沒處天子、無恙、帝不悅」
太陽のいろ。王維詩「泉聲咽奇石、──冷靑松」
日がかたむく。ひぐれ。漢書、薛宣傳「躬有──之勞、而亡佚豫之樂」=日仄。
月が日と地球との閒に來りて日をおほふ義。禮記「──則天子素服、而修六官之職」=日蝕。
前條に同じ。史、天官書「春秋二百四十二年之閒、──三十六」
ひと、ほしと。岳陽樓記「──隱耀、山岳潛形」
菊の異名。藝林伐山「菊有兩種、花大氣香、莖紫者、爲甘菊花、此──也」
日日ぬきがきする。又、其の書名。宋史「所著──一百卷」=日鈔。
ひるよる。王粲、從軍詩「──涼風發、翩翩漂吾舟」=日夜。
國 日給に同じ。
あさ。大戴禮「──就業、而夕自省思、以歿其身」
○日が長い。白居易詩「──晝加餐、夜短朝餘睡」=日永。○年月ながし。晉書、李密傳「臣盡節於陛下之──」
○まひる。又、其の前後。說苑「壯而好學、如──之光」○春分の日。書、堯典、傳「──謂春分之日」
每日する仕事の見つもり。元史「考試以論及經義詞賦、分爲三科、作三──」=日課。
日本國の稱。
日のほとり。李白詩「兩岸靑山相對出、孤帆一片──來」
ひびの給料。白居易詩「爲貧逐──」=日給。
やまと、わが國名。宋史、日本國傳「──國本倭奴國也、自以其國近日所出、故以──爲名」
日本製のすずり。宋景濂集「───銘、夷而華、四海一家、此非文明之化邪」
日本書紀の略稱。次條參看。
三十卷、神代より持統天皇に至る編年史、元正天皇の養老四年、舍人親王撰す。
日出でて三竿卽ち三文程の高さに至る。午前八時頃。南齊書「────、朱黃色赤暈」
終日勞作して、日沒に至りて休む。帝王世紀「────────、鑿井而飮、耕田而食、帝力于我何有哉」
晝夜つづけざまに疾く行く義。史、孫子傳「棄其步軍、與其輕銳、────逐之」=倍道兼行。
時を經ざるにいふ。漢書、王莽傳「人不還踵、────」
年已に老いて期する所なほ遠きに喩ふ。史、伍子胥傳「吾────、故倒行而逆施之」尉繚子「日暮道遠、還有挫氣」
年老いて死に垂んとするをいふ。薄は迫。李密·陳情表「但以劉────、氣息奄奄、人命危淺、朝不慮夕」
盛極まれば必ず衰ふるに喩ふ。史、蔡澤傳「────────、物盛則衰、天地之常數也」
盛んなる者は必ず衰ふるに喩ふ。易、豐卦、彖傳「────────、天地盈虛?與時消息、而況於人乎、況於鬼神乎」
日數を費さずして成就す。詩、大雅、靈臺「庶民攻之、不日成之」
日日月月にうつりかはる。莊子「一晦一明、────、日有所爲、而莫見其功」
日日月月におとるへゆく。六國論「────、以趨於亡」
太陽の光に就き、雲のおほふを望む如く、天子の德を仰ぐをいふ。史、五帝紀「放勳其仁如天、其知如神、就之如日、望之如雲」
日日月月に進步する、就は成る、將は進む義。詩、周頌、敬之「維予小子、不聰敬止、───、學有緝熙于光明」
蜀の地は霧深く日を見ること少きが故に、犬は日を見てほゆ。見識狹き小人が君子の嘉言善行に接して驚き誹るに喩ふ。韓愈文「蜀中山高霧重、見日時少、每至日出、則羣犬疑而吠之」
日日月月におとろへる。貞觀政要「────、以至危亡」
國 武藝又は相撲道にて天下無敵の者に與へる稱。日下は天下、開山は草創、過去現在に類無き義。
朝より暮までせい一っぱいつとめる。孟、公孫丑「去則────、而後宿哉」
日日舊習の惡を去りて自らあらたにす。大學「湯之盤銘曰、苟日新、──────」
終日之を爲すも、爲し盡す能はず。書、泰誓「我聞吉人爲善、惟日不足、凶人爲不善、亦惟日不足」詩、小雅、天保「降爾遐福、維日不足」
國 かつて。=前日。
我が國民固有の精神、我が國民性。=大和心 ヤマトゴコロ 和魂。
1畫
タン [翰]
○あした(朝)「元─」あかつき(曉)「平─」「淸─」「早─」○つとに(早)○──はあきらか(明)又、懇ろに誠ある義。○演劇にて婦女に扮する者、女形 オヤマ ○元─·正─·歲─は正月元日のあさ。
夜の明けるをまつ。書、太甲「先王昧爽丕顯、坐以──」
旦暮に同じ。李嶠文「──交謝」=旦暮。
あした。史、項羽紀「──饗士卒、爲擊破沛公軍」=明朝。
あさばん。白居易詩「──秋風多、衰荷半傾倒」=朝夕·旦昔。
あしたと、ゆふべと、昔は夕。管子「──從事於此」=旦夕。
○あさなあさな、每朝。孟、吿子「──而伐之」○あきらかなる貌。又、ねんごろに誠ある貌。詩、衞風「信誓──」=怛怛。
ひるま(畫閒)孟、吿子「──之所爲、有梏亡之矣」
あさ、あした。宋玉、高唐賦「──視之如言、故爲立廟、號曰朝雲」巫山(五六○頁一段)參看。
あさしほ。鮑照詩「浸淫──廣、瀾漫宿雲滋」
○ 佛 陀那鉢底の略、僧侶に施しをする人。=施主·檀家·檀越·檀那。 國 ○主人をいふ。○をっと、亭主。=良人。○商家のとくいさき。○身分卑き人が上流の人を呼ぶ稱。
○あしたと、ゆふべと。又、あけくれ。顏氏家訓「古人云、千載一聖猶──也」=旦昏。○迫りて急なるにいふ。史、晉世家「君老矣、──之人、曾不能待、而欲弑之」=旦夕。
よあけがた、旦日質明の義。儀禮「宗人曰、──行事、主人曰諾、乃退」=平明。
2畫
キョク [沃]
○あさひ(朝日)「初─」「朝─」「紅─」○日の旦に出づる貌。○あきらか(明)○──はおごれる貌。又、自得の貌。又、鼓動する聲。
旭光に同じ。暉は日光。
日の丸のはた。=日章旗。
○小人志を得ておごれる貌。爾雅「──蹻蹻憍也」○自得の貌。漢書、揚雄傳「嘻嘻──」○鼓動の聲。漢書、揚雄傳「洶洶──」
あさひのひかり。=旭暉。
あさひ、初出の日。詩、邶風「──始旦」
日の出。韋應物詩「開門臨廣陌、──車馬喧」
サウ [皓]
促音サツ
○はやし「─朝」「─旦」○すみやか(速)「大─計」○あした(晨旦)○つとに。○未だ其の時に及ばず「尙─」さきんずる(先)○柞栗の屬。=早。
あけがらす。李白詩「東方日出啼──、城門人開掃落花」=曉鴉。
はやきと、おそきと。元結詩「漫遊無遠近、漫樂無──」=早晚。
はやくひらく。=早發。
朝はやく出立する。書言故事「──曰戴星而出」劉駕、早行詩「馬上續殘夢、馬嘶時復驚」=早發。
はやまなび。
はやおき。=蚤起·晨起·夙起·夙興。
はやくかへる。
いそぐ。=火急·迅急·迅速。
はやまる。莊、齊物「汝亦太──」
幼にして知慧さとし。北史、王紘傳「奇其──」=夙慧。
よあけがた。=拂曉·早旦。
次條に同じ。文中子「──少娉、敎人以偸」
年わかくして結婚する。詩經、疏「文王十五、生武王、武王有兄伯邑者、故知人君──所以重繼嗣」
としわか、わかきよはひ。蘇軾詩「──便懷齊物志」
はやばや。杜甫詩「南楚靑春異、喧寒──分」=匇匇。
はやく降りたるしも。易林「──晚雲、傷禾害稼」
はやくいね、おそくおきる。禮記「孺子────、惟所欲、食無時」
はやくめとる。
○はやくじゅくす。北史、高熲傳「江南土熱、水田──」○ 國 ませる、幼くしておとなぶる。
朝はやく出で行き、日暮れてかへる。墨子「賢者之治邑也、────」
春のはじめ、はつはる。=初春·孟春。
わせのほ。范成大詩「──已垂垂、晚苗猶剪剪」
わかじに。左、昭三「無祿──隕命、寡人失望」=夭死。
はやくおとなぶる。蜀志、諸葛瞻傳「亮與兄瑾書曰、瞻已八歲、聰慧可愛、嫌其──、恐不爲重器」=夙成。
はやく降りたるゆき。
わせ。白居易、春題湖上詩「碧毯線頭抽──、靑羅裙帶展妍蒲」
はやく出世する。少年にして榮達する。呂溫詩「縱使他時能──、定知不作黑頭人」
早朝に同じ。
あさ、つとめて。五燈會元「金果──猿摘去、玉華晚後鳳銜來」=早旦·昧旦·早曉。
あさしほ。陶翰詩「艤棹乘──、潮來如風雨」
はやざきのうめ。唐太宗詩「縈雪臨春岸、參差閒──」
いそぎて申す。漢書「公不──、與俱受戮矣」
○朝早く出發する。=早行。○早くひらく。=早開。
○はやきと、おそきと。=早晏。○おそかれはやかれ、いつか。李白詩「不知楊伯起、──向關西」○あさばん。白居易詩「──驪山有此聲」=旦暮。
はやくすずけだつ。劉禹錫詩「碧梧含──」
すぐに、すみやかに。
シ [紙]
旨は俗字
○うまし(美味)詩、邶風「我有─蓄」うまきもの。論、陽貨「食─不甘」○よし、うつくし(美)うまい。書、說命「王曰─哉」○むね。易、繫辭「其─遠」こころもち「大─」「聖─」「經─」「玄─」「微─」「密─」○こころざし(意·志)
かんがへ、おもむき。易、繫辭、疏「──深遠」=旨趣·意旨。
むね深く遠し。春秋、序「言高則──、辭約則義微」
うまきさかな。劉仔肩詩「──陳海陸」=嘉肴。
うまきくひもの。人の子が、親を養ふ美味。宋史、劉恕傳「家素貧、無以給──」=美味·甘旨。
うまきさげ。詩、小雅、鹿鳴「我有──、以燕樂嘉賓之心」=美酒。
旨き酒、良き肴。韓詩外傳「雖有────、不嘗不知其旨」
むね、おもむき。孝經、序「擧六家之異同、會五經之──」
ジュン [眞]
○とをか(十日)○轉じて十年の義。白居易、呈劉夢得詩「且喜同年滿七─」○あまねし(徧)○ひとし(均)○みつ(滿)漢書、翟方進傳「─歲閒免兩司隸」○ 國 しゅん。野菜鳥魚等の味の最も良き季節。
まる一年、滿一年。字解參看。=滿歲。
十日と、ついたちと。又、十日閒。南史、謝靈運傳「遨遊山水、動盈──」
とをか、十日閒。南史、宋武帝紀「爭之──乃從」
十年。魏志、劉廙傳「修之──、國富民安矣」
十日あまり。史、田齊世家「秦韓之兵毋東──」
3畫
カン [翰]
○ひでり。久しく雨ふらず「久─」「炎─」「枯─」詩、大雅「─旣太甚」○水の對稱「水─」俗に陸路を─道といふ。
ひでりにて作物が實らず、儉は飢饉。北史、魏孝文帝紀「西北州郡──」
雨乞祭。公羊傳「大雩者何、──也」=雩。
ひでりの爲め作物の損害。
陸路をいふ。水路の對。=旱路。
をかぼ、ひでりにも害はれぬいね。齊民要術「──用下田、白土勝黑土」=陸稻。
俗 陸地をいふ。
ひでりのそら。
ひでり。魃はひでりの神。詩、大雅、雲漢「──爲虐、如惔如焚」
ひでりと雨多きと、共に作物に害あり。宋史「雨雪──、軍民皆有給」
陸路。水滸傳第十囘「卻是水路、全無──」=早道。
ひでりには舟を仕入れ、洪水には車を仕入れ置きて價の高くなるを待ちて利を占むるをいふ。史、貨殖傳「故歲在金穰、水毀、木饑、火旱、────────、物之理也」
カン [翰]
○ひぐれ(晚)○日が暮れる(暮)漢書、張湯傳「日─天子忘食」○──は盛んなる貌。
盛んなる貌。王延壽、魯靈光殿賦「皓皓──」
○天子、又、諸侯が政に勤勞しておそく食事する。左、昭二十「楚君大夫、其──乎」○後世は天子に限りていふ「宵衣──」
ク [處]
○あした(朝)○あさひ、日初めて出づ。○大いなり。
4畫
①エキ·ヤク [陌]
②イ [寘]
①かふ、とりかへる(換)「交─」孟、梁惠王「以小─大」これ迄のものをかへる「變─」「改─」易、繫辭「聖人─之以書契」○かはる(變)○ゐもり(守宮)「蜥─」○五經の一、三─は連山·歸藏·周─。○うらなひ、うらなふ。卦爻の象によりて事物の變化を知る占 ウラナヒ の法。又、其の學。○場に同じ。
②やすし。難の反對「容─」「平─」「至─」○てがる「簡─」孟、離婁「事在─而求諸難」○安らか、安全。中庸「君子居─以俟命」○おこたる(怠)○あなどる(慢)かろんず(輕)「慢─」「輕─」○をさむ(治)ととのへる。論、八佾「喪與其─也寧戚」○はぶく(省)○やはらぐ(和)
同訓異義
カハル 易·變·化·替·代·更·遞·渝·換の別は變(言部十六畫)の條を見よ。○ヤスシ易·安·寧·康·泰·綏の別は安(宀部三畫)の條を見よ。
たやすき貌。禮記「知王道之──也」
てがる。易經「──天下之理得矣」=易直·簡易。
佛 彌陀の弘願力によりて佛となる義、他力本願。自力の修行にて佛果を得る難行道の對。毘婆娑論「菩薩求阿毘跋致、有二種道、一者難行道、一者───」
うゑつけやすし。管子「壤地肥饒、則桑麻──也」
てがるにしてなはし。周禮、考工記「取諸──也」
蠑螈 ヰモリ の異名。揚子方言「守宮、秦晉西夏、謂之守宮、其在澤中者、謂之──」
齊の桓公の宦者、專ら庖廚の事を司る。孟、告子「至於味天下期於──」=狄牙。
新しき氣を吸ひかへる。嵆康文「練骸──、染骨柔筋」
臥牀をとりかふ、賢人の死をいふ。曾參が臨終の時、敷きゐたる季孫から貰ひし大夫用の簧を身分に相應せずとて取り易へさせて死せし故事。禮、檀弓「元起──」
時節の順序をかへる。越絕書「四時──、寒暑失常」
うらなひしゃ、八卦見。=占者·ト者。
易のうらかた。
直隷省の順天府と保定府との閒を流れ白河に合する川。秦の始皇を刺さんとて、荊軻、燕の太子丹と别れし處。荊軻、易水歌「風蕭蕭兮──寒、壯士一去又不還」
易理によりて吉凶をわきまへ知る術。宋書、陳瓘傳「通于──、言國家大事、後多驗」
易道にすぐれし人。唐書、楊太經傳「邃於易、人謂之──」
うらなひ。晉書、淳于智傳「智有思義能──」
易にてうらなふ。雲笈七籖「巨君傳季山筮訣、遂善于──」
惡しき風俗を改めかへる。禮記「移風──、天下皆寧」
○易にて判斷する。○ イダン ちぎれやすし。陳後主詩「柯新攀──」
居る所の地位をかへる。孟、離婁「禹稷顏子、──則皆然」
とりかへおく。史、廉頗傳「趙括旣代廉頗、悉更約束、──軍吏」
車のわだちをかへる、施政の方針を改めるに喩ふ。晉書「愛──之勤、而得覆車之軌」
易經を作りし人の憂患ありしをいふ。歐陽修、送楊寘序「────、詩之怨刺」易、繫辭「易之興也、其於中古乎、作易者其有憂患乎」
○易の理。○ イリ をさめやすし。舊唐書「利廣而易求、官少而──」=易治。
カゥ [皓]
○そら(天空)元氣の廣大なる義。○なつのそら(夏天)○おほいなり(大)○さかんなり。
さかんなる貌。爾雅、疏「夏萬物盛壯、其氣──」
○なつのそら。爾雅、釋天「夏爲──」○そら(天空)元氣の廣大なる義。又、天の神。周禮、春官「以禋祀祀──上帝」
カゥ [陽]
○あぐ、あがる(擧)仰ぐ。談藪「黍熟頭低、麥熟頭─」○氣があがり激する「激─」「軒─」○たかし(高)物價があがる。唐書、崔神基傳「物價踴─」○──は馬の行く貌。又、志行の高き貌。○日がのぼる(日升)
同訓異義
アグ 昂·擧·揚·稱·扛·颺·抗·掀の别は擧(臼部十一畫)の條を見よ。
○馬のいさみ行く貌。楚辭、卜居「寧──若千里之駒乎」○轉じて志行のすぐれて高き貌。晉書、嵆紹傳「昨於稠人中、始見嵇紹、──然若野鶴之在雞羣」
たかくそびゆ。高啓詩「無心──上霄漢」
自負 タカブル する貌。韓愈詩「大雞──來、小雞竦而待」=昂昂然。
たかくあがる、物のねだんがあがる。=騰貴·上騰·踴昂。
キン [文]
○ひので(日出)あさ、よあけ。禮、文王世子「天子視學、大─鼓徵」○あきらか(明)
コ [麌]
昈に同じ
○あきらか(明)○あかきあや(赤文)
赤きあや。張衡、西京賦「赫──以弘敞」
コツ ブツ [月]
○ほのぐらし(尙冥)○よあけ(旦明)
よあけ。班固、幽通賦「──寤而仰思兮」
よあけ、爽は明。漢書、郊祀志「──」注「師古曰、謂日尙冥、蓋未明之時也」
昒(前條)に同じ。
よあけ。漢書、司馬相如傳「──闇昧」注「──、早朝也」
コン [元]
或は昬に作る
○くらし(不明)「─暗」「─黑」日がくれてくらくなる。○ひぐれ「黃─」「斂─」○おろか「─愚」「老─」○へる(減)○かはる(代)晝の明に代る。○つとむ(彊)○みだる(亂)○めとる(娶)=婚。○人生れて未だ命名せざる內に死ぬる、古、生れて三 ヶ 月にして命名す。左、昭十九「札瘥夭─」○妻の父。左、昭二五、註「妻父曰─、壻父曰姻」
同訓異義
クラシ 昏·暗·昧·冥·暝·晦の别は暗(日部九畫)の條を見よ。
くれがたのからす。杜甫詩「獨鶴歸何晚、──已滿林」=暮鴉。
くらし。後漢書、范冉傳「吾生於──之世、値乎淫侈之俗」=昏暗。
夫婦のちぎりを結ぶ。白虎通「昏時成禮、故曰昏、婦人因夫而成、故曰因」=婚姻。
くもりてくらし。陳子昂詩「──無晝夜」
年わかくしておろか。隋書、王韶傳「臣昔在──、猶且用心、況逢聖明、敢不罄竭」
心暗くみだれて事をなげやる。書、牧誓「──厥肆祀弗答」
くらし。馬臻、德淸夜泊詩「遠色變──、卸帆依淺沙」=昏闇·昏黑。
たそがれ。韓偓詩「烟月愁──」=黃昏。
タと朝と。杜甫詩「造化鍾神秀、陰陽割──」=朝夕·昏晨。
目くらくしてくるめく。桂海虞衡志「疼痛日──」
日くれてくらし。杜甫詩「秋天漠漠向──」【昏困一 コンコン 目くらみ、氣力つかれる。甲申雜錄「忽──如夢」=昏憊。
くらき貌。孟、盡心「今以其──、使人昭昭」
わかじに、人生れて未だ名を命ぜずして死するを昏といふ、天死を札といふ。柳宗元、興州江運記「飢饉──」字解參看。
心くらくしてほしいまま。元結文「忍行──、獨樂二其身」
あさばん。後漢書、劉平等傳論「廬于里門、──不廢積歲餘」=昏曉·朝夕·昏旦。
ゆふべと、あしたと。楊浚詩「孤舟大江水、水涉無──」=朝夕·昏曉·昏旦。
ひぐれのかねの音。張九成詩「──發林杪」=晚鐘·夕鐘。
うとうととねむる。南史、劉峻傳「從夕達旦、時或──」
正體 シヤウタイ なくゑふ。晉書、劉曜載記「──奔退、馬陷石渠」
昏倒に同じ。
心くらくしておこたる。宋史、宋庠傳「御史言庠──」=昏怠·闇惰。
おこたる。五代史、四夷附錄「世宗南平淮甸、北伐契丹、乘其勝威、擊其──」
めまひしてたふれる。陸龜蒙、吿白蛇文「人老而毛髮皓白、耗眊──、不能記子孫名字」
心昏亂して宮刑を受けし者、椓は陰刑。詩、大雅「蟊賊內訌、──靡共」=奄人。
よると、ひると。杜甫詩「沈吟坐西軒、飮食錯──」=晝夜。
夕には父母の寢所を安定にし、朝はごきげんを伺ふ、子が親に事ふる禮。曲禮「昏定而晨省」
あきらかならぬひとみ。梅堯臣詩「細書刺──」
心くらくしてつかれる、憊は疲。列子「晝則呻吟而卽事、夜則──而熟寐」
智くらくして物忘する。南史、劉顯傳「──不可受策」
目くらし。歐陽修、謝賜漢書表「兩目──」
おひぼれる。又、其の人。宋史、魏咸信傳「年已──」
理にくらくあらあらし。又、其の者。書經「殖有禮、覆──」
つかれてよくねる。顧況文「發當暑之淸吟、滌通宵之──」
くらきひとみ。樓鑰詩「洗我──十年病」=昏瞳。
目くらし。劉基詩「使我一見開──」
くらし。書、益稷、傳「天下民──墊溺、皆困水災」
いれずみ。梁武帝、定律銘「殺傷有法、──有刑」
○くらし。宋史、五行志「山氣遇夜輒──、蛇斃始明」=昏晦。○おろか。=蒙昧·昏愚·闇愚。
くらし、事理に暗し。=昏暓·昏瞢·昏闇。
くらきと、あかるきと。周禮、秋官、注「日入三刻爲昏·不盡三刻爲明」
心くらくしてまよふ。書經「──不恭」
よる。魏志、王朗傳「時帝頗出遊獵或──還宮」
心暗くみだれる。=昏惑。
結婚の儀式。禮、郊特牲「──、萬世之始也」=婚禮。
道理にくらくまどふ。張衡賦「通人闇于好惡兮、豈──而能剖」=昏迷。
コン [元]
○のち、あと(後·子孫)「後─」○あに(兄)「─弟」○あきらか(明)「─明」○おほし(衆)○おなじ(同)「─鳴」○山の名、崑に通ず。─侖は崑崙に同じ。
古、昆吾といふ西戎の國。歐陽修、日本刀歌「──道遠不復通、世傳切玉誰能窮」=混夷。
兄弟をいふ、季は末の弟。徐陵文「孤二三──、方可戴天被此慈恩」
あとつぎ、子孫。蔡邕文「仰邃古燿──」=後昆。
古史考「憂時昆吾氏、作瓦」
昆吾の夷國にて作りたる利刀。黃眉故事「周穆王有───、削鐵如泥」
來孫の于、卽ち玄孫の孫。爾雅「來孫之子爲──」=晜孫。
昆吾の國より出づる利刀は、善く堅き玉をも切る。列、湯問「西戎獻錕鋙之劍、火浣之布、其劍長有咫、練銅赤刃、用之切玉、如切泥焉」錕鋙は昆吾。
うみ。江總詩「玉軸──浪」
多くの蟲類、昆は衆、一說に昆は明、明蟲とは陽に生じて陰に藏 カタ るる義。漢書、成帝紀「草木──、咸得其所」
あにと、おとうと。昆は晜。髙允文「怡怡──、穆穆家庭」=兄弟。
こぶ、海草の名、狹き者を海帶といふ。本草「綸布、一名──、出高麗如捲麻、黃黑色、柔韌可食、今海苔紫菜皆似綸、恐卽是也」
支那の西南夷の地に在る池。漢書、西南夷傳「昆明國、有池方二百里、武帝欲伐昆明、作池象之、以習水戰」
時(日部六畫)の古字。
シャウ [陽]
○さかんなり(盛)「隆─」「盛─」「繁─」○よし、美くし「─言」○あたる(當)○ひのひかり(日光)○もの(物)莊、在宥「百─皆生於土」○うつくし、姣好なる貌。○あやめ、しゃうぶ(菖蒲)=菖。○猖に通ず、─披は亂れる。
同訓異義
サカンナリ 昌·盛·隆·壯·熾の别は盛(皿部七畫)の條を見よ。
さかんなる時運。自居易賦「叶聖人之──、飛而上天」=隆運。
よきことば(美言)一解に理に當ることば。書、皋陶謨「禹拜──」=善言。
さかんなる貌。
しゃうぶの葅 アヘモノ 左、僖三十「王使周公閱來聘、享有──」=昌蒲葅。
さかんなり。說苑「夫毅者國家所以──、士女所以姣好」=昌盛。
さかんなる貌。李商隱詩「春風雖自好、春物太──」
さかんなり。南史、齊高帝紀「子孫當──」=盛昌。
さかゆる當代の朝廷。鮑照文「夙當──、早值恩洽」=熙朝。
しまりなく亂るる。昌一に猖に作る。離騒「何桀紂之──兮、夫唯捷徑以窘步」
さかんに富む。左傳「韓氏其──于晉乎、辭不失舊」=昌富。
さかんにとむ。易林「充滿帝室、家國──」
○國運さかんにして世たひらか。=承平·升平。○孔子の生れし鄕名、山東省曲阜縣の東南に在り。
國 昌平坂學問所の一名、江戶湯島に在り、德川幕府の學問所、元祿三年忍岡より移し、孔子の鄕の名に因みて昌平と改む。=茗黌·聖堂。
しゃうぶの根、藥用とす〔儀禮、公食大夫禮〕說苑「文王好食──」
しゃうぶ、長生の藥とす。韓愈、進學解「訾醫師以──引上年、欲進其豨苓也」=菖陽·昌九·昌羊。
さかえたのしむ。史、匈奴傳「寢兵休卒養馬、世世──」
ショウ [蒸]
升に通ず
○のぼる「上─」あがる(上)日が上 ノボ る。○のぼす、あぐ。○たひらか(平)「─平」
同訓異義
ノボル 昇·升·陞·登·上·騰·臍·陟の別は升(十一部二畫)の條を見よ。
のぼると、くだると。あがりおり。
○官位又地位が進みのほる。=昇任·昇進。○等級がのほる。=昇等。
給料があがる、俸給が增す。=增俸。
藥品の一、鹽化第二水銀。=猛汞。
官位又地位があがる。=昇級。
官位をのぼす。元稹文「文武竝用、必推其才、久次不遷、則有──」
のぼる。孟郊詩「鑿出幽隱端、氣象皆──」
のぼる。水經、注「緇素之士、多泛舟──、取暢山情」
○天に登る。後漢書、虞延傳「延初生時、其上有物、若一匹練、遂上──、占者以爲吉」=升天。○基督敎にて信者の死をいふ。
國 昔、宮中の御殿へのぼる、四位以上及藏人の六位の者には其の資格を與へられる。
世が平かにしてしづか。=升平。
ショク [職]
通音ソク
○かたぶく、日が西に傾く。易、豐卦「日中則─」○ひるすぎ(午後)日が午を過ぐ。
①セキ·シャク [陌]
②サク [藥]
①むかし(古)今の對「在─」「往─」「古─」○きのふ(昨日)又、四五日前。ゆふべ。=タ。○よる(夜·宵)莊、天運「通─不寐矣」○さきに、以前。○ひさし(久)○ほじし(乾肉)
②まじはる(錯)
前代のすぐれたる士。王融詩「端溪慙──、測水謝前修」=前賢·先哲·前彥。
そのむかし。=在昔。
こぞ、去年。左傳「──入陳、今茲入鄭」
むかし。駱賓王詩「──人已沒、今日水猶寒」=古時·往時·昔日。
むかしのうれへ。賀知章詩「送子成今别、令人起──」
○むかし。=昔時。○さきの日、前日。
むかしの人。崔顥、黃鶴樓詩「──已乘白雲去、此地空餘黃鶴樓」=古人。
○むかし、以前、往年。論、泰伯「──吾友嘗從事於斯矣」○きのふ、昨日の義、者は助語。孟、離婁「曰、子來幾日矣、曰──」
夜夜といふに同じ。列、周穆王「精神荒散、──夢爲國君、又──夢爲人僕」=夕夕·每夜。
むかしばなし。顏延之文「琢玉成器、無爽──」
むかし、まへのとし。杜甫詩「──有狂客」=往年·前年。
國 老人のかたくるしく律義一方なる氣風、昔堅氣。
トン [元]
あさひ。=暾。
ハゥ [養]
○あきらか(明)○はじめて(始)○まさに(適)
ハン ヘン [潸]
大いなり。詩、大雅「爾土宇─章」─章は大明の義。
ビン [眞]
──はやはらぐ(和)
やはらぐ貌。史、司馬相如傳「──穆穆、君子之態」
ビン ミン [眞]
○そら(天空)「穹─」「九─」「蒼─」○あきのそら(秋天)○あはれむ(愍)
○秋のそら。草木枯落してあはれなるそらの義。爾雅、釋天「秋爲──」○そら(天空)あはれみめぐむ義。書、大禹謨「日號泣于──于父母」
メイ ミャウ [庚]
朙は篆字
○あきらか(昭)「昭─」「鮮─」○あきらかに。○あかし。○よあけ、夜があける「平─」○あす、あした「─日」○てる、てらす(照)○たふとし(尊)○とほる(通)○そなはる(備)○はじめ。○あきらむ。○いさぎよし(潔)○つまびらか(審)疑なし。○あらはす、あきらかにす。大學「在─明德」○目の精。檀弓「子夏喪其子而喪其─」○かみ、神靈「神─」○賢人。○晝。○現世。幽の對「幽─」○ ミン 朱元璋の建てし王朝の名、十六帝、二百七十八年閒、元の次、淸の前。○啓─ ケイメイ はあけがたに東方にかがやきあらはるる星の名、よあけの明星 ミヤウジヤウ 詩經「東有啓─」○ 國 アク 空 カ うになる、─屋 アキヤ ─樽。
同訓異義
アキラカ 明·昭·灼·皎·晰·炳○明は昏·闇·晦·昧·瞑などの反なり、廣く用ふる字なり、著明·明德·分明と連用す。○昭は明よりは義狹し、多くは道德の上に用ふ。左傳「光二昭先君之令德一」○灼は火の燃え立つ如く明かなるなり。詩經「桃之夭夭、灼灼其華」○皎は白けて淸し。詩經「月出皎兮」○晰は明なり、昭晰·明晰と連用す。○炳は著しく明かなる義、炳若二日星一·其文炳也の如し。
三百三十二卷、目錄四卷、二十四史の一、淸の張廷玉等、世宗の勅を奉じて撰す。
明代の七人の詩人。學山錄「隆萬閒、李于鱗·王世貞·吳國倫·徐中行·宗臣·梁有譽·謝茂蓁、號七才子、見錢謙益所記」
明代に相結びて徒をつくりし十人の詩人。學山錄「李夢陽、與同時者、何景明·徐禎卿·邊貢·顧璘·鄭善夫·陳沂·朱應登·康海·王九思、號十才子、見李夢陽傳」
あけのみゃうじゃう。金星。詩、鄭風「──有爛」=太白星·啓明。
あすのばん。儀禮「厥──爲期于廟門之外」
アルミニウム及びカリウムの硫酸鹽、無色透明の結晶體、醫療又工業上に用ふ。
明礬製造の原料とする硫酸及び礬土の化合物。
次條に同じ。
あきらかなると、くらきと。論衡「──不能竝知」=明暗·明幽。
布にて作りたる淸き衣、齋戒の時に著る。論、鄕黨「齊必有──、布」
易の卦の名、離下坤上、賢人が暗君に遭ひて禍を蒙ることを說く、夷は傷、明にして傷はれる義。易、明夷卦「箕子之──利貞」
○現世と冥土と。韓愈詩「病昧臥牀褥、分知隔──」=幽明。○あかるきと、くらきと。=明暗·明晦。
あきらかにしてまことなり。左、文十八「高陽氏有才子八人、(中略)齊聖廣淵、──篤誠、天下之民、謂之八愷」
あきらかにするどし。唐書、元稹傳「性──、遇事輒擧」
あきらかにしてさとし。宋書、三王傳「幼而──、姿顏美麗」
あきらかにかがやく。晉書、樂志「──參日月、功化侔四時」=明耀。
あかるくかがやく。述異記「帝問方朔、何謂洞穴珠、朔曰、河底有一穴、深數百丈、中有赤蚌、蚌生此珠徑寸、──絕世」
明かにして深遠。晉書、賈克傳「雅量弘高、達見──」=昭遠。
あまの川。歐陽修、秋聲賦「星月皓潔、──在天」=銀河·銀漢·雲漢·天漢。
あかりを取るあな。方鳳詩「天光一道燭扉內、知此──從何穿」
あきらかなるいましめ。韓愈詩「溫存感深惠、琢切奉──」
あきらかにしる。又、あきらかにときあかす。後漢書、胡廣傳「練達事體、──朝章」
あきらかなるしるし。曹植文「伯樂馳千里、明君致太平、任賢使能之──也」
明かにしてたしかなり、明瞭確實。
○あきらかなるかがみ。唐書、魏元忠傳「──所以照、、往事所以知今」=明鏡。○すぐれたる鑑識 メキキ ○心の虛明なるに喩ふ。莊、德充符「鑑明則塵垢不止、止則不明也」
あきらかなるのり。阮瑀文「傳告後代人、以此篇──」
あきらかなるひかり。范成大詩「圓景──倚雲立」
道理をあきらかにす。書經「敦信──、崇德報功」
あきらかにかがやく。鸚鵡賦「合火德之──」
葬式の用具、明とは之を神明にする義。儀禮「旣夕陳──于乘車之西」注「──藏器也」
才智明かにして志氣つよし。唐書、吐蕃傳「性──、用兵有節制」
○眀かなるかがみ。漢書、韓安國傳「淸水──、不可以形逃」=明鑑。○明かにする。漢書、衞姬傳「深說經義、──聖法」
心の本體の虛明なるに喩ふ。莊、德充符「鑑明則塵垢不止、止則不明也」同篇「仲尼曰、人莫鑑於流水、而鑑於止水」
惡人の善人をいむに喩ふ。寃は讎〔二程全書〕
明かにさとし。南史、宋江夏王義恭傳「幼而──、姿貌端麗」
あきらかに暖かなるひかり。元稹詩「曉日初──」
かしこき君主。=明主·明天子。
あきらかなるをしへ。=明敎·明戒。
日光よりとりたる火にて神に供するもの。明水を見よ。
智あきらかにして決斷よし。五代史、周世宗家人傳「爲人、──有大志」
○あきらかにさわやか。蘇軾詩「曉窗──夜堂深」○議論文章などのすぢみちが明かにして氣もちよし。
あきらかなると、くらきと、賢と愚と。梁武帝詩「相去旣路遠、──亦懸殊」=明幽。
あきらかにひかる。又、共のひかり。=明輝。
○聖人の經書をあきらめ知る。○官吏登用試驗の科目。事物紀原「漢始以──射策取人(中略)唐乃置──之科」○ ミヤウギヤウ 國 王朝時代、大學寮にて、經書を修むる科。
あきらかにさとし。禰衡鸚鵡賦「──聰善」
○あきらかなるをしへ。史、蘇秦傳「魏王曰、寡人不肖、未常得聞──」=明訓。○敎をあきらかにす。
あきらかにさとる。南史、孔顗傳「──政事」=明通。
○明かなるつき。張若虛詩「海上──共潮生」○もちづき、滿月。班婕妤、怨歌行「團團似──」
明月を以て燈火に代ふ。唐書、張志和傳「陸羽嘗問、孰爲往來者、對曰、太虛爲室、────、與四海諸公共處、未嘗少别、何有往來」
暗夜にもひかりを發するたま。李斯、諫逐客表「垂────、服太阿之劍」
はっきりといふ、明瞭に斷言する。
あきらかにしてあやあり。蘇軾詩「岡巒蔚囘合、金碧爛──」
あきらかなるしるし。法苑珠林「譬六趣之──」
あきらかにあらはれる。淨住子「洞達三世、了照萬有、卓然──、英聖超羣」
あきらかにさとる。又、さとし。晉書、傅咸傳「風格峻整、復性──」=朗悟。
名位ある者の尊稱。後漢書「孫堅謂張溫一曰、──親帥王師、威振天下」=明侯。
事理に明かなるはたらき。管輅別傳「旣有──、遭朱陽之運、於時名勢赫奕」
くはしくこまか。=詳細。
角のひかるさい。洞冥記「吠勒國貢犀四頭、狀如水兕、角表裏有光、因名──」
うるはしくさっぱりとしたるよそほひ。李羣玉詩「小姑洲北浦雲邊、二女──共儼然」
もかるくしてかわく。左、昭、三、疏「以所居下濕塵埃故、欲更於──之處」
あきらかなる窗と淸きつくゑと。歐陽修、試筆「蘇子美嘗言、────、筆硯紙墨、皆極精良、亦自是人生一樂、然能得此樂者甚稀」
あきらかに知る、明細に視察する。韓非、孤憤「不──、不能燭私」=審察。
あきらか。雲谷雜記「是夕果晴、星斗──」
あきらかにしめす。左傳「──百官」
志をあきらかにす。諸葛亮文「非澹泊、無以──」
あきらかなる旨〔漢書、王襃傳〕=明旨。
兔 ウサギ の異名、眎は視。曲禮「凡祭宗廟之禮、兔曰──」=明視。
をさまれる太平の世。文明の世。曹植、求自試表「志欲自效于──」=昭代·淸時。
さとくひいでる。晉書、王衍傳「神情──、風姿詳雅」
眼力のするどきにいふ。秋毫は細毛、獸毛は秋に至りて微細となる。孟、梁惠王「明足以察秋毫之末」
あきらかにしる。又、明かなる見識。遜逖文「雅才──、敏行能文」
あす、あくるひ。論、衞靈公「──遂行」=翌日。
あきらかに知りつくす。南史、袁樞傳「博學──舊章」
あきらかにならふ。蔡邕文「──易學」
○心あきらかにして誠あり。左、隱三「苟有──、澗谿沼沚之毛、蘋蘩薀藻之菜(中略)可薦於鬼神、可羞於王公」○たしかなるおとづれ。朱熹文「亦不得──、令人懸心耳」
あらたかなるかみ。周禮、司盟「北面詔──」
あきらかにしてまことあり。又、あきらかなる眞理。阮瑀詩「何患處貧苦、但當守──」
あきらかにしてつつしむ。易經「君子以──」
あきらかなるいましめ。高允詩「敬承嘉誨、永佩──」=良箴·明戒。
明智ある人。易經、注「闇者求明、──不諮于闇」
あきらかにあらはす。禮記「聽天下之内治、──婦順」
けがれなくきよし。晉書「火珠皎然──、以瓢取呑之」
あきらかにほめる。又、賞を明かにする。韓非子「先王──以勸之、嚴刑以威之」
賢明なる主君。荀、君道「──急得其人、面闇主急得其勢」
○ひかるたま。蔡邕文「──不瑩、焉發其光」○すぐれたる人に比す。晉書、衞玠傳「與玠同遊、若──之在側、朗然照人」
あきらかなる光を發する珠を闇中に投ず、至寶も人に贈るに道を以てせざれば卻つて怨を招く義。史、鄒陽傳「明月之珠、夜光之璧、以闇投人於道路、人無不按劍相眄者、何則無因而至前也」
老蚌はどぶがひ、子の父に勝るに喩ふ。北齊書、陸卭傳「邢邵謂其父曰、吾以卿老蚌、遂出明珠」
あきらかにしてよし、淑は良。馮衍文「以──之德、秉大使之權」
あきらかにして整ふ。南史、江革傳「爲政──、豪彊憚之」
嚬は憂ひて顏をしかめる、明君は一たび顏をしかめ、一たび笑ふをもみだりにせず、羣臣の己の意を迎へんことを力むるを以てなり。韓非、內儲說「吾聞、明主之愛一嚬一笑、嚬有爲嚬、而笑有爲笑」
あきらかなるあかし。潛夫論「曲木惡直繩、重罰惡──」
あかるきともしび。ともしびをあかるくす。抱朴子「──宵擧、飛蟲羣起」
東方よりふくかぜ。史記「───居東方、衆物盡出也」
神に供ふるみづ。周禮、秋官「取明火於日、取──於月」
公明なる法制。申鑒「王之政(中略)五曰──」
○あきらかにしてきよし。○ ミンシン 明朝と淸朝と。
○あきらかにあらはす。子華子「──善類、而誅鋤醜屬」○喪具の一、死者の名を書く旗。=銘旌。
道あきらかにしてさかんなり。王融詩「幸哉──世、壯矣帝王居」
知德明かにしてさとし。主に天子の智德を稱す。又、其の人。漢書、谷永傳「陛下發──之德」
あきらかにしてうつくし。齊書、樂志「皇烈載挺──」
あきらかなるみことのり。董仲舒文「陛下發德音、下──」
あきらかにしめす。崔瑗、東觀箴「辛尹顧訪、文武──」
あきらかにあざやか。韋應物詩「夏條綠己密、朱蕚綴──」
明月をいふ、蟾はひきがへる、月中に在りといふ。劉基詩「永夜涼風吹碧落、深秋白露洗──」=銀蟾。
目あきらかに耳さとし、才智のすぐれたる義。宋之問文「天高難訴、遠負──」=聰明。
○古、天子巡狩の時、諸侯を朝參せしめし殿堂の名。孟、梁惠王「──者、王者之堂也」○天子が政を聽く所、陽に向ひて建て八窗を開く、故に明といふ〔周禮、考工記〕=朝廷。
○あきらかなるみち。○みちをあきらかにす。漢書、董仲舒傳「眀其道不計其功」
宋儒程顥をいふ。十駕齋養新錄「程伯淳之歿也、文潞公題其墓、曰大宋────程君之墓」
健脚なる駱駝。駝は臥するに腹、地に貼せず、足を屈して明を漏す、故に明駝といふ。木蘭辭「願馳─────、送兒還故鄕」
あきらかに事理に通ずる。漢書、高帝紀「性──好謀能聽」
あくるあさ。張說詩「故歲今宵盡、新年──來」=翌朝·明朝。
あかるくあたたかなり。白居易詩「──眞可愛」
あきらかなる判斷。後漢書、孔奮傳「爲政──、甄善疾非、見有美德、愛之如親」
○あきらかにおさむ。易、說卦傳「聖人南面聽天下、嚮明而治」○あきらかにをさまる。
あきらかなるちゑ。崔駰文「求莫鋣於──」
明暢に同じ。
○音聲があきらかにしてのぶ。宋史、王沔傳「音吐──」○論旨がよくとほる。=明鬯。
あきらか。晉書、王沈傳「功勳──、賞勸隨之」=著明·顯著。
あきらかに證明する。=明證。
あすのあさ。高適詩「霜鬢──又一年」=明旦。
事理にあきらかにしてかしこし。又、其の人。書、說命「知之曰──、──實作則」
理に順ひ事を處して身を全うする。詩、大雅、蒸民「旣明且哲、以保其身」
水が澄んですきとほる。=澄澈·澄明。
俗 明日。
聰明なる天子が朝廷に在す〔史、建元侯者年表序〕韓愈、送董邵南序「爲我謝曰、─────、可以出而仕矣」
墓の側に立つる殿堂。五代史、契丹錄「──若中國陵寢下宮之制」
あきらかなる才器。晉書、山濤傳「君之──、豈當介意耶」
あきらかなるひとみ。元稹詩「醉圓雙媚靨、波溢兩──」
○あきらかなる德行。書、君陳「黍稷非馨、──惟馨」○天ょりうけたるくもりなき本性。大學「大學之道、在明──」
あくるとし、來年。劉廷芝詩「──花開復誰在」
あきらかなるひとみと白き齒と、美人の形容。杜甫、哀江頭「──今何在、血汚遊魂歸不得」
あきらか、はっきり。六韜「──顯問」
夜のあけんとするころ、光明開發の義。詩、小雅「──不寐、有懷二人」
○法律をあきらかにする○あきらかなるのり。莊子「四時有──、而不議」○法律を主とする官吏登用試驗の科目の名。○ ミヤウハフ 國 王朝時代、大學寮にて、律令格式を修めし科。
極めて聰明なるに喩ふ。後漢書、竇融傳「璽書旣至河西、咸驚以爲天子明見萬里之外」
前漢元帝の妃の王昭君、晉の文帝(司馬昭)の諱を避けて昭を明に作る。杜甫詩「羣山萬壑赴荊門、生長──尙有村」
山水の景色があざやかにうつくし。劇談錄「曲江池、花卉環周、烟水──」李成文「春山──、夏木繁陰」=鮮媚。
かすかなるをあきらかにする。禮記「夫禮者君之柄也、所以別嫌──、儐鬼神、考制度、別仁義」
智明かにしてさとし。北齊書、文宣帝紀「內雖──、外若不足」
縣令をいふ。又、我が府縣知事の稱。類書纂要「稱太守縣令、皆曰──」
○法典にあきらかに記しある文言。○休明なる文章。典引「答三靈之蕃祉、展放唐之──」
あらはれきこゆ。國語「今天王旣封殖、越國以──於天下」注「明、顯也」
賢明なる君。辟は君。書、洛誥「周公拜手稽首曰、朕復于──」=明君。
あきらかにわきまふ。中庸「愼思之、──之、篤行之」
あきらかなる辯舌。明かに辯ずる。隋書、李子雄傳「──有器幹、帝甚任之」
あきらかにしてさかんなり。顏延之詩「蓄軫豈──、善遊皆聖仙」
天よりの命令。大學「顧諟天之──」=大命·休命。
あきらかにかがやく。詩、大雅、大明「明明在下、赫赫在上」
あからさま、地は助語。
あかるくなり又くらくなる。杜甫詩「囘首鳳翔縣、旌旗晚──」
あきらかなるめ。又、目を明かにす。管子「聰耳──、不爲愛金財」
目を明かにし膽を張る、畏るる所なく、奮發して事に當るにいふ。唐書、韋思謙傳「丈夫當敢言地須要────以報天子、焉能碌碌保妻子耶」
ほがらか。淮南子「文彩──潤澤」
君は賢明に、臣は忠良。唐書、房杜傳「君臣──、志叶議從」
あきらかにほがらか。
あきらかにしてうるはし。碧雞漫志「春雨始晴、景色──」
あきらかなるみたま。玉海「眞歲星之王氣、赫上帝之──」
はっきり。蘇軾文「應對──如成人」
あきらか。郭熙、山水訓「高遠者──、深遠者細碎」
○かしこききみ。莊子「──之治功蓋天下、而似不自己」○ ミヤウワウ 佛 三寶及び國土人民等を護る天部の神。
ワウ [漾]
○ひかり、うるはし(光美)○ひがさ(日暈)○物の初めて盛んなる義「興─」「─盛」=王。
物事がさかんなり。
5畫
イク ヨク [屋]
○あきらか(明)「焜─」○日の光。○あくるひ(明日)=翌·翼。
日光のあきらかなる貌。傅休奕、紫花賦「渙渙──、而奪人目精」=耀耀。
エイ ヤウ [敬]
○うつる、うつす、てる(照)光の反射。はゆ「照─」「暉─」「炳─」○あきらか(明)○かくれる、かくす(隱)○ひかげ(日陰·影)○未の時、午後二時。
同訓異義
ウツス 映·移·遷·徙の别は移(禾部六畫)の條を見よ。
うつりかがやく。陸佃文「丹樓翠閣、──湖山」
そらにうつる。杜甫詩「衰荷且──」
光線の屈折、又は反射によりて物のかげが生ずる。又、其のかげ。
躑躅花 ツツジ の異名。遵生八牋「───、木名、山躑躅花、類杜鵑稍大」
無花果 イチジユク の異名。
光がうつりてさしかがやく。=映輝。
みづにうつる。謝靈運賦「華──而增光」
雪にうつし照らす。孫氏世錄「孫康家貧、嘗──讀書」
うつりあふ。王羲之、蘭亭集序「有淸流激湍、──左右」
うつりとほる。世說「雖不能休明一世、足以──九原」
互にうつりきらめく。宣和畫譜「以墨之淺深──、亦極形似之妙」
すだれにうつる。
ヲン [元]
いつくしむ、いつくしみ(仁)
ゲン [霰]
ひのひかり(日光)「─曜」
ク [虞]
○あたたむ(溫·暖)=煦。○日出でて暖か。
あたためる。淮南、原道「──覆育」註「昫、溫恤 アタタメメグム 也」=煦嫗。
昏(日部四畫)に同じ。
ナク [藥]
○きのふ(前日)「─日」一宵 ヒトヨ を隔つる義。○さきに(過去)陶潛、歸去來辭「覺今是而─非」
きのふけふ、ちかごろ。=近來·近日。
きのふ。史、灌夫傳「吾──醉」許渾詩「高歌一曲掩明鏡、──少年今白頭」
きのふのあさ。高適詩「靜然顧遺塵、千載如──」
きょねん、こぞ。
きのふのくれ。崔顥詩「──南行楚、今朝北泝河」=昨宵·昨夕。
昔日の非なりし事。歸去來辭「實迷途其未遠、覺今是而──」陸游詩「已築茅茨訟──」自注「余築小軒、以──名之」
昨夜のゆめ。又、過ぎ去りし事がらに喩ふ。陸游詩「化蝶飛時嗟──」
シ [紙]
通音ゼ
○ただし(正)なほし(直)よし(善)非の反對。陶潛、歸去來辭「覺今─而昨非」○この。論、學而「夫子至於─邦也」これ、上を承けて下を結ぶことば。孟、公孫丑「─集義所生」○ここに(此)「於─」
同訓異義
コレ 是·之·此·惟·旃·斯·諸·伊·時の别は之(ノ部三畫)の條を見よ。
善き事を善しとし、惡しき事を惡しとする。荀、脩身「────、謂之知、非是是非、謂之愚」
○よしあし。穀梁傳序「──紛錯」=善惡·臧否。○ 國 ゼヒ 必ず、どうあっても。
善を是とし惡を非とするこころ、善惡を辨別する本性。孟、公孫丑「無────非人也」また「────、智之端也」
是非に惑ひて決し難き意。史、伯夷傳「余甚惑焉、儻所謂天道────」=是歟非歟。
ただし。又、ただす。後漢書、安帝紀「詔五經博士、──文字」
よしとみとめる。又、承知する。
子の賢なるは父の賢なるに由る義。孔叢子、居衞子思曰、有此父、斯有此子、道之常也」一本、此を是に作る。
①シャウ [養]
②チャウ [漾]
①日ながし(日長)○あきらか(明)○かよふ(通)○ひさし(久)○のぶ(舒)
②達する、のぶ。=暢。
シュン [眞]
○はる、四時の第一、立─より立夏に至るまで、陰曆の正月·二月·三月の九十日閒(陽曆の三月·四月·五月)「三─」「九─」「靑─」「陽─」爾雅「─爲靑陽」○男女の情欲。詩、召南「有女懷─、吉士誘之」○よはひ、年齡「─秋鼎盛」○としつき、歲月「三十─」○唐人多く酒に名つく。司空圖、詩品「玉壺買─」○小─は陰曆の十月、こはる。
樂曲の名。唐敎坊記「───、高宗曉聲律、晨坐聞鶯聲、命樂工白明達寫之、遂有此曲」
はるの長閑 ノドカ なるこころ。杜甫詩「碧草違──、沅湘萬里秋」
花ぐもり。常建詩「晴天無纖翳、郊野浮──」
文字の細く曲りてカなきにいふ。晉書、王羲之傳「子雲近世擅名江表、僅得成書、無丈夫之氣、行行如縈春蚓、字字如綰秋蛇」
はるさめ。陸游詩「深巷明朝賣杏花、小樓一夜聽──」
はるのかは。蘇軾詩「竹外桃花三兩枝、──水暖鴨先知」
はるののべ。=春野·東郊。
はるのさむさ。杜甫、人日詩「冰雪鶯難至、──花較遲」
はるのくさ。梁簡文帝文「秋條下葉、──含芳」
○はるのすゑ。○春の時節。=春期。
國 春分の日(三月二十日又は二十一日)に宮中にて歷代の天子のみたまを祭られる大祭。
はるのいのり。論衡「春二月雩、秋八月雩亦、──穀雨、秋祈穀實」
はるのさいはひ。漢書、樂志「惟春之祺」注「祺、福也」=春禧。
はるのたのしみ、陽氣に浮かれて戲れ遊ぶ。
○春の日に織るはた。溫庭筠詩「文君織得──紅」○ 國 いろけ、男女閒の情慾。
春のやはらかきにら。杜甫、贈衞八處士詩「夜雨翦──、新炊閒黃梁」
○皇太子の御殿。又、皇太子。竹書紀年「周穆王九年築──」=儲宮·東宮。○ 國 東の音を借りて トウグウ と讀む、義は同じ。
春のおもしろさ、春のたのしみ。
國 まくらざうし、わらひゑ。
はるのけしき。林下淸錄「──且莫去、留與醉人看」
周代、禮法·祭祀のことを掌る官。周禮「──宗伯、曰禮官之屬」
上巳の節に行ふみそぎ。王維詩「故事修──」
國 木地の見えるやうにうすく黃褐色にぬる漆塗、和泉の漆工春慶の發明せしもの。
はるのあけぼの。
はるのあたたかさ。詩、正義「人遇──、則四體舒泰」=春暖。
春のもの思ひ。王昌齡詩「欲捲朱簾──長」=春愁。
はるのくさ。謝靈運詩「萋萋──生、王孫遊有情」
はるのよそほひ。王士熙詩「海邊候吏促──」
春まゆを作るかひこ、はるこ。
春の山の溫雅なる形容。郭熙、山水訓「春山淡冶而如笑、夏山蒼翠而欲滴」
はるのしごと、農事。書、堯典、傳「──旣起、丁壯就功」
○はると、あきと。禮、學記「──敎以禮樂、冬夏敎以詩書」○孔子の著はしたる魯國の歷史「──左氏傳」○孔子の春秋にしるされてある時代、周の平王より威烈王に至る時期。○としつき、歲月。又、よはひ、年齡。
年老いたる義。新序「先生老矣、───矣、何以敎之」
年わかき義。史、齊悼惠王世家「皇帝───、未能治天下」=春秋長。
年の幼きをいふ。將來の年齒に富む義。後漢書、樂恢傳「陛下───、纂承大業」
年齡が方 マサ に壯なり、鼎は方なり。漢書、賈誼傳「天子────」
春の狩と秋の狩と。左、隱五「臧僖伯曰、春蒐夏苗、秋獮冬狩」
はるのたより、春の來るしらせ、花開き鳥鳴くなどのたより。劉克莊詩「──分明到草廬」
春のをはり。書、堯典、疏「──之日、與立夏之初、時相交也」
春の社日。月令廣義「立春後五戊爲──」
○うはき、いろけ、色情。=春心。○春ののどかなる心をいふ。李羣玉詩「──不可狀、艷艷令人醉」=春意。
はるのはじめ。韓愈文「去歲冬閒、雨雪頗多、今年──、宿麥未滋」=春初。
遠方に在る友の相思ふにいふ。杜甫、春日憶李白詩「渭北春天樹、江東日暮雲、何時一樽酒、重與細論文」渭北は杜甫の居る地、江東は李白の居る地。
○春のたけのこ。蕭琛詩「──方解籜」○美人の指に喩ふ、笋·筍同じ。蘇軾、佳人詞「十指露、──繼長」=春筍。
はるのはじめ。齊書、周顒傳「──早韮、秋末晚菘」=春首。
はるのみづ。陶潛、四時詩「──滿四澤、夏雲多奇峯、秋月揚明輝、冬嶺秀孤松」
はる生ずるなづな。陸游詩「──忽已花、老笋欲成竹」
はるのゆふべ。蘇軾詩「──一刻直千金、花有淸香月有陰」=春夕·春夜。
はるのいづみ。庾闡詩「手澡──潔、日翫陽葩鮮」
春のこけ。蘚は苔。盧照隣詩「──緣巖上」
はるづくりのさけ。孟貫詩「石泉──酒、松火夜煎茶」
春のうしほ。王勃詩「江曠──白、山長曉岫靑」
はるのはな。劉勰、妍論「──含日似笑、秋葉泫露如泣」=春花·春華。
皇太子の御殿。又、皇太子。官僚備要「太子宮曰──」晉書、愍懷太子傳論「繼明宸極、守器──」=東宮·春宮。
はるのにほひある草。梁元帝詩「處處──勤、日日春禽變」
はるのなかば。杜牧、惜春詞「──年已除」
立春の日に、盤に食物を盛る。四時寶鏡「立春日、唐人作春餅生菜號──」
春の冰をわたる、危險の甚だしきに喩ふ。書、君牙「心之憂危、若蹈虎尾涉于春冰」
はるぎ。論、先進「莫春者、──旣成」莫は暮。
二十四氣の一、啓蟄の次に來る氣節、晝夜平分の時なり、三月二十一日頃。周禮、典瑞、註「天子常──朝日、秋分夕月」
春夜のゎむり。孟浩然詩「──不覺曉、處處聞啼鳥」
はるのゆめ。物事のはかなきにいふ。侯鯖錄「內翰昔日富貴、一場──」
はる。晉書、樂志「經──而自喜、遇秋彫而不悅」
天子の行ふはるまつり。礿·禴同じ。禮、王制「天子諸侯宗廟之祭、春曰礿」
はるの氣ののどかなるさま。沈佺期詩「烟景共──」
はるのすゑ。任昉詩「麗景屬──、淸陰澄夏首」=春杪 シユンベウ
各特色ありて棄てがたきにいふ。事文類聚「裴子餘、補鄠縣尉、時同列李朝隱·程行諶、皆以文法著稱、子餘獨以文學知名、或問長史陳崇業三子優劣、崇業曰、───────」也」
はるのながあめ。韓琦詩「咫尺東郊路、──絕未通」
春正月に同じ、王の字は王者の天下なる義を表はす。春秋「隱公元年、────」
セイ シャウ [青]
○ほし「明─」「列─」「景─」「晨─」○ほしの光。○日月等諸天體の總稱「恆─」「衞─」○──は星の如く白き色の點點たる貌「─散」「─羅」○ほとほり、二十八宿の一。○三台─を三公に比するによりて顯要の人に喩ふ「諸─相會」○天文。晉書、鳩摩羅什傳「博覽五明諸論及陰陽─算、莫不畢盡」
星の位置が移りかはる、年月がうつる。王勃、滕王閣詩「物換──幾度秋」
あかりとり。藝林伐山「小者曰──」
夜の陣營。薩都剌詩「露帳旌旗天接水、──鼓角月運山」
遠方へ行く使者の軍、軺は遙なり、四向して遠望する車。張謂詩「──計日赴岷峨、雲樹連天阻笑歌」=使軺。
あまの川。河圖括地象「川德布精、上爲──」=銀河·銀漢·星漢。
○夜未だ明けず星を戴きて行く。魏志、高貴鄕公髦紀「晨夜──、遠致本州、忠節可嘉」○極めて急ぎ行く。風俗通、十反「──電征、數日歸」=星馳。
いそぎてゆく。前條參看。
日月·星辰等、總べて天體に關する事を硏究する學問。=天文學。
あまのがは。魏文帝詩「──西流夜未央」=星河。
○婚姻の期日。七夕の傳說に本づく。書言故事「報成婚日、曰請──」○日曜の休日。
○流星の光。轉じて、事の急なるに喩ふ。李密、陳情表「郡縣逼迫、催臣上道、州司臨門、急於──」○極めて小なる炭火。薛能詩「──爐邊夜坐寒」
ほしのひかり。朱熹詩「微月墮西嶺、爛然衆──」=星輝。
天文を司る官。
ほしのやどり〔史、天官書、注〕=星次·星宿。
遠方に航行する舟、楂はいかだ。宋之問詩「賓至──落、仙來月宇空」=星查。
ほしのひかり。杜荀鶴詩「月華──坐來收」=星采·星芒。
歲星は一年に天を一周し、霜は年毎に降る。轉じてとしつきの義。杜牧集「經幾年、曰幾換──」文天祥詩「干戈歷落五──」
星の分ち布く如く四方に散ずる。蜀志、王平傳「馬謖大敗于街亭、衆盡──」
天文と算數と。梁書、陶弘景傳「尤明陰陽五行風角──」
星のやどり。唐書、曆志「考正──、爲一代之制」=星座。
天子の御つかひ、後漢書、李郃傳に勅使二人を益州に派遣せし時、天象に應じて二使星が益州の分野に向ひしといふ故事に本づく、今の全權公使などにも用ふ。高適詩「──出詞曹」=勅使·欽差大臣。
ほし、辰は日月星のやどり。書、堯典「曆象日月──、敬授人時」
星のやどり。陳後主詩「──雖可望、詎得似人情」=星次。
天文と未來記と。晉書、石季龍載記「禁郡國、不得私學──」
ほしのやどり。漢書、劉向傳「晝誦書傳、夜觀──、或不寤達旦」=星座·辰宿。
天文によりて吉凶を占ふわざ。五代史「周傑恥以──「事人、稱病不起」
ぼつぼつと白き貌。謝靈運詩「戚戚感物歎、──白髮垂」=點點。
いそぎてはしる。潘岳文「羽檄──、鉦鼓日戒」
急を要する宿驛の馬、はやうちの馬。權德輿詩「──指湘江」
星の躔次 ヤドリ 宋史、韓顯符傳「──曉然易辨」=星度。
ほし。斗は北斗。又南斗星。晉書、元帝紀論「馳章獻號、高蓋成陰、──呈祥、金陵表慶」
星辰運行の度合。
ほしの光のほさき。張正見詩「彎孤貫月影、學劍動──」
夜の中にいでたつ。
ほしの如く散布する。後漢書、張衡傳「屯騎羅而──」=星羅·星散。
いそぎてはしる。傅休奕文「電發──」=星馳。
ほしのある夜。潘岳文「昏晨盛夏晝熱又兼──」
ほしの如くつらなる。西都賦「列卒周匝、──雲布」
天文曆法。史、歷書「黃帝考定──」=星曆。
星の如くに列る。陳漣賦「羣圉牧監、──碁布」
早朝に出で行く。呂覽「宓子賤爲單父宰、彈琴不下堂而單父治、巫馬期爲單父宰、戴星出戴星入、而單父亦治」
セゥ [蕭]
○あきらか(日明)「─明」「──」照りかがやきてあかるし。○あきらかにす、著明にする。○あきらかに。論、堯曰「敢─告於上帝」○みる(見)○ひかる(光)○あらはる(顯·著)○廟 オタマヤ の坐次にて太祖の廟を中央に置き、それに次ぎて左に置くもの。右を穆といふ、卽ち─は太祖の子にして、穆の父にあたる、天子は七廟。○姓。
同訓異義
アキラカ 昭·明·灼·皎·晰·炳の別は明(日部四畫)の條を見よ。
くらきをあきらかにす。又、愚かなる心をさとく明かにする。傅毅詩「誰能──、啓我童昧」
明かにかがやく。光明なり。漢書、王莽傳「──章明、以署黃虞之烈焉」
あきらかにこたへる。いちじるしく感應する。顏延之、曲水詩序「晷緯──、山瀆效靈」
漢代、位の最も高き女官の名。漢書、外戚傳「──位視丞相」視は比。
王昭君の略、琴曲に「──怨」あり。
ひかりが天に隨ひてめぐる。詩、大雅、雲漢「倬彼雲漢、──于天」
あきらかなるひかり。漢書、揚雄傳「──振耀」
明かに輝 カガヤ く。宋史、陳王傳「宗祀延洪、史策──」=炳煥。
をしへをあきらかにす。又、明かなるをしへ。蔡邕文「──於辟雍」
あきらかにあらはれる。晉記總論「昔周之興也、后稷生於姜嫄、而天命──」
あきらかなるとくらきと。老子「俗人昭昭、我獨若昏」
あきらかにしめす。張衡文「──萬嗣、永永不朽」=明示。
○あきらかなる貌。韓詩外傳「──乎若日月之光明」○小にしてあきらかなるもの。中庸「天斯──之多也」=耿耿。
古の事實に對し譽ありて光を放つ。劉廙文「在昔旣無堂構──之績、中規不密、明神弗祐」
あきらかなる貌。漢書、董仲舒傳「至德──、施于方外」=昭如·昭昭。
せんぞの功をあらはす。晉書、禮志「──揚禰、封禪爲首」
よみがへる。禮、樂記「蟄蟲──」注「昭、曉也」=囘生·蘇醒。
○よく治まれる御代。崔塗詩「不擬逢──、悠悠過此生」─聖世·聖代·眀時。○現代を頌する辭。褚亮詩「聲華滿──」
あきらかにいちじるし。南史、齊高帝紀「驗往揆今、若斯──」=昭明。
あきらかにして盛んなり。宋史、樂志「皇儀──」懋は茂。
○宗廟の制、中央に太祖の廟あり、左に昭、右に穆あり。昭は一世、穆は二世。禮、王制「天子七廟、三昭三穆、與太祖之廟而七」○族人を次序するにも──の位を以てす。
あきらか。禮、祭義「其氣發楊于上爲──」=昭著。
あきらか。唐高宗、册代王爲皇太子文「器業英遠、風鑒──」
①ヂツ [質]
②デイ [齊]
もと暱に作る
①ちかづく(近)ちかづけなれさす「狎─」「嬖─」○したしむ(親)「親─」○むつぶ(睦)○したしみふかき者。
②亡父のたまや(禰廟)
したしみなれなれしくする交友。陸機賦「──密友」
なれなれしくしたしむ。北史、齊後帝紀「自非寵私──、未嘗交語」
ちかづきたはむれる。宋書、蔡興宗傳「蔡尙書常免──」
したしみちかづく。又、其の者。北齊書、安德王傳「殺其──九人」
親しく心やすし。=入魂 ジユツコン
王室に深きしたしみある諸侯。又、其の國。十六國春秋「晉王明德──、先帝所屬」=親藩。
したしみちかづく。書、泰誓「──罪人」
晝(日部七畫)の省文。
①テツ [屑]
②イツ [質]
①ひかたむく(日昃)午後二時頃、未の時。漢書、游俠傳「至日─皆會」
②逸(辵部八畫)に通ず。
容貌がすぐれてうるはしき貌。昳は逸に通ず、光艷なり。戰國、齊策「鄒忌、修八尺有餘、而形貌──」
バイ [隊]
通音マイ
○くらし(冥·昧·闇)「冥─」屈原、離騷「路幽─以險隘」○くらます。○よあけがたのほのぐらき時、天の將に明けんとして未だ明けざる時「─旦」「─爽」○おろか、事理にくらし(昏愚)「蒙─」「愚─」○をかす(冒)「─死」○むさぼる(貪)○樂の名、東夷の樂。○ 佛 三─は專一·一心などの義。金剛經註「道云眞一、儒云致一、釋云三─」
同訓異義
クうシ 昧·暗·昏·冥·暝·晦の别は暗(日部九畫)の條を見よ。
日の入る處、昧は冥、日入りて天下くらし、故に名づく。書、堯典「宅西曰──」=虞淵。
昧は晦、爽は明、天明けんとして未だ明けぎる時、朝まだき。書、太甲「先王──丕顯、坐以待旦」
上書に用ふる語、昧は冒、死ををかす、言ふ所不當ならば死を以て謝すといふ義。漢書、高祖紀「──再拜、言大王陛下」
おろがなるもの。=愚人。
あさまだき、未明。詩、鄭風「女曰雞鳴、士曰──」=昧爽。
くらし。陶宗儀詩「或雨而或晴、至晚天──」=茫昧。
くらくいやし。廬綸詩「弱齡誠──、遇盛惟求止」
くらし。おろか。權德輿文「疎愚──」=昧蒙·昏昧·愚暗。
意味くらくして明かならず。柳宗元文「吾每爲文章、未嘗敢以昏氣出之、懼其──而雜也」
くらき貌。楚辭、懷沙「日──其將暮」
くらし。おろか。=蒙昧。
バウ [巧]
すばる、二十八宿の一。詩、召南「嘒彼小星、惟參與─」
二星の名。史、天官書「──冀州」漢書、地理志「趙地──之分野」
バツ [曷]
くらし(口中不明)
ヘイ [梗]
昞に同じ
○あきらか(明)=炳。○人名。宋代最後の皇帝。
昺(前條)に同じ。
ホツ ハイ [月]
○ひので(日出)日將に曙ならんとす。○── ホツホツ は日始めて出でて未だ明かならず。楚辭、九思「時──兮旦日」
ヤゥ [陽]
陽の古字
○ひらく(開)○とびあがる(飛揚)○ながし(長)○ひかり(光)○おほし(衆)
6畫
アン [諫]
○そらがきよし(天淸)○くもなし(無雲)○くれる(暮)○あざやかにして盛んなる貌。○おそし(晚)論、子路「何─也」○──はやはらぐ(和柔)○やすし(安)「淸─」「靜─」○たがふ(忒)○姓。─嬰、字は平仲、春秋の時の齊の相。
やはらぐ(和柔)貌。詩、衞風「總角之宴、言笑──」
春秋齊の賢人、名は嬰、字は平仲、齊の靈公·莊公·景公に仕へて相となり、節儉力行を以て齊に重んぜられ、其の名、諸侯に顯る。
極めて節儉なる義。齊の相、晏嬰(字平仲)が一枚の狐裘を三十年閒著用せし故事。檀弓「有若曰、一狐裘三十年、晏子焉知禮」
天子の崩御をいふ、天子は常に晨起 ハヤオキ して朝を視るべし、而るに崩じて出でず、臣子の情、之を死せりとするに忍びず、宮車晏 オソ く駕して出づべしと思ふ義。戰國秦策「秦王老矣、一日──、雖有子異人、不足以結秦」史、范雎傳「宮車一日──、是事之不可知者」=晚駕。
おそくおきる。禮記「孺子早寢──」
やすんじてたのしむ。高適詩「焚香卽──」
八卷、單に晏子ともいふ、晏嬰の言行を錄せしもの、作者未詳。
齊の相晏子(名は嬰)の御者が、晏子の馬を御し意氣揚揚たるを見て、妻去らんことを乞ひしにより、御者自ら恥ぢ其の後大いに抑損せしといふ故事〔史、晏嬰傳〕
時に後れておそくいで來る。金史「──蚤休者訓勵之」
安んじておちつける貌。高適詩「四時常──、百口無饑年」=晏然。
やすらかに淸くをさまる。雲仙雜記「毎生神芝、則天下──」=晏靜。
やすらかなる貌。史、魯仲連傳「梁王安得──而已乎」=晏如·安然。
やすんじいこふ。詩、小雅「嗟爾君子、無恆──」=安息。
あざやかにして盛んなる貌。詩、鄭風「羔裘──、三英粲兮」
やすらかにをさまれる朝廷。杜甫詩「海內久戎服、京師今──」
やすらか。宋書、禮志「方今中外──、政刑淸簡」=安寧。
朝おそくまでねむる。王逢詩「橫草無功日──」
クヮウ [養]
○あきらか(明)○ひかる、ひかり(光)○かがやく、てる(耀)
ひかりかがやく。拾遺記「仙宮則──明粲也」
かがやく。曹植頌「光采──、配彼朝日」
前條に同じ。宋書「榮華相──、光彩曄若神」
小がやく貌。郭璞、鹽池賦「光旰旰以──」
國 日光山の異稱、日光の合字。
光の定まらざる貌。蘇軾詩「朦朧含高峯、──射峭壁」
明かなる貌。潘岳賦「天──以彌高兮」
晃(前條)に同じ。
ケゥ [篠]
或は皎に作る
○あきらか。○月白し。
月の白き貌。楚辭、九歌「夜──兮旣明」=皎皎。
シ ジ [支]
峕は古字
○とき、過ぎ行く月日のひま「─閒」○一年の區分。書、堯典「敬授人─」四─は春·夏·秋·冬。○をり(期)適當の期節。孟、梁惠王「斧斤以─入山林」○其の可に當る。孟、萬章「孔子聖之─者也」○よ(世)年代。漢書、司馬相如傳「朕獨不得與此人同─哉」○辰、一日閒の區分「十二─」○よし(善)○この。孟、梁惠王「─日害喪」○これ(是)書、堯典「黎民於變─雍」○中。○ここに。孟、梁惠王「于─保之」○うかがふ(伺)をりをはかる。論、陽貨「孔子─其亡也、而往拜之」○ねぐら。=塒。○哲學にて無始より無終に亙る長さ、空閒の稱。○文法にて動詞·助動詞の示す過去·現在·未來の稱。
同訓異義
コレ 時·之·此·是·維·惟·旃·斯等の別は之(ノ部三畫)の條を見よ。
其のときをことにす。漢書「勞逸異者、所遇之──也」
○ふるべき時にふるよき雨。禮記「天降──、山川出雲」○ 國 シグレ 秋冬の際に、降りみ降らずみする雨。
敎化の普く及ぶをいふ。草木の好雨を得て發生するに喩ふ。孟、盡心「君子之所以敎者五、有如時雨化之者」成語考「學業感師之造成、曰仰沾────」
其のときのまはりあはせ。班彪賦「諒──之所爲兮、永伊鬱其誰愬」
○梅の異名。○時彥に同じ。
はやりやまひ。=流行病。
このごろ。=目下·現今。
ときの相場。名山藏「有司巿供祀牲犧、但準洪武──」
其の時のはやり。妍論「非苟遠性、隨──也」
法律上、一定の期閒、ある事實の繼續するによりて、權利を生じ、又は消滅する義。
其のときの勢力ある者。晉書、王沈傳「爲──所抑」=時傑。
時局の艱難。顏延之、從行「苦哉遠征人、畢力幹──」=時患·時屯。
其の時の宜しきにかなふ義。漢書、食貨志「動欲慕古、不度──」=時中。
時勢の宜しき所を辨へ知らず。漢書、元帝紀「俗儒────」
じこう。後漢書、明帝紀「務順──、無使煩擾」
はづみ、をり。書、益稷「帝庸作歌曰、勑天之命、惟時惟幾」
をり。時のはづみ。魏徵文「應──以鼔之、總羣策以決之」=機會。
時に應じて鳴くとり。朱熹詩「──悅新陽、潛魚躍輕冰」=時鳥。
其の時の形勢 ナリユキ 時勢の局面。
ときを定めて會合する。周禮、大行人「──以發四方之禁」
其の時世のわづらひ。元結詩「不能救──、諷諭以全意」=時病·時弊·時難·時艱。
時を以て敎ふるをしへ。又、其のときのをしへ。禮、學記「──必有正業」
其の時代に秀でたる人物。獨孤及詩「明主命使臣、皇華得──」=時豪。
其の時代にすぐれたる士。晉書、庾冰傳「廣引──、詢於政道」=時髦。
とき、時節に同じ。高適詩「──何蕭索、鄕心正鬱陶」
限りたるとき。宋書、蕭皇后傳「每旦入朝太后、未嘗失──」
時祀に同じ。檀弓「望墓而爲壇、以──」
とき。齊書、高帝紀「春秋遞運、──之常存」
四時のまつり。呂覽「──盡敬而不祈福也」=時祭。
其のときに起る事がら。史、六國表「表六國──」
をりをり。傳燈錄「心如明鏡臺、──勤拂拭」
其の時節の食物を神前に供へる。韓愈、祭十二郞文「使建中遠具────、告汝十二郞之靈」
○ときと日と。曲禮「卜筮者、先聖王之所以使民信──敬鬼神畏法令也」○ コノヒ 是日に同じ。孟、梁惠王「──害喪」
○ときどき復習する。論、學而「學而──之、不亦說乎」○其の時世のならはせ。=時俗。
其の當時の人。南史、陸慧曉傳「辭竝雅麗、──歎服」
とき。又、とけい。
時計 トケイ
國 淨土宗の一派、一遍上人のはじあしもの。=六時往生宗·遊行派。
ときのほまれ、時人の稱譽。全唐詩話「渥在擧場甚有──」=時譽。
其の時代。荀子「──不同、譽何由生、不得爲政、功安能成」=時代·時序。
當時の流行のよそほひ。白居易詩「───、───、自出城中傳四方」=時世妝。
其の時のまつりごと。靑瑣詩話「極孔孟之淵源、盡──之要道」
ときのなりゆき。戰國策「權藉者、萬物之率也、而──者、百事之長也」
其のとき、其のをり。杜甫詩「落花──又逢君」
ときのならはし。張衡、西京賦「豈──之足慕」
ときと年代と。宋書、禮志「歷晉至宋、──移改」=時世。
當時一般の思想を代表し得べま最も勢力ある思想。
國 ○年代を經たる品物。○歷史上の事實をしくみし芝居の狂言。又は小說。
其のときのありさま。鄭谷詩「──懶隨人上下」
時に隨ひて其の宜しきを得。中庸「君子之中庸也、君子而──」
○時節に應じて鳴く鳥。陸機、悲哉行「──多好音」○ 國 杜鵑 ホトトギス の異名。
ときを示す爲めに揭げる札。王禹偁詩「壁上──催晝夜」
當代の人望。王儉文「貽厥之寄久屬──」
時人の批評。
其の時節の服。檀弓「其斂以──」
○魏晉以後科擧 シケン に用ひし四六騈儷體の文。古文の對。歐陽修文「是時天下學者揚劉之作、號爲──、能者取科第、擅聲名、以誇榮」○ 國 現代に行はるる普通文。
其の當時の弊害。宋史、陳騤傳「騤疏三十條、皆切於──」=時弊。
その時代のあしきならはし。晉書、姚萇載記「省非急之費、以救──」
つとめる。書經「咨禹汝平水土、惟──哉」
其の時のつとめ。蜀志、先主傳、注「儒生俗士、豈識──、識──者在俊傑」
雞が鳴いて夜の時をつげる。又、其の時。莊、齊物「見卵而求──」
時稱に同じ。晉書、傅元傳「以──選入著作」
民やはらぎてやすし。雍は邕。書、堯典「黎民於變──」錢起詩「漢家無事樂──」
○年中の行事。後漢書「百僚師尹、其勉修厥職、順行──」○轉じて時節の義とす。
其のときの論議、時人の評論。魏志、常林傳「──以林節操淸峻、欲致之公輔」
時代の弊を救ふ、時の衰運をひきかへす。唐書、姚崇傳「崇爲──宰相」
時節が違へば、人の行事も亦隨ひて異なり。漢書、東方朔傳「使秦儀與僕竝生於今之世、曾不得掌故、安敢望常侍郞乎、故曰、────」
時節が違へば、風俗も亦隨ひて異なり。宋書、徐羨之傳「一國之事、本之一人、雖世代不同、────、至於主運臣贊、古今一揆」
今はよき時なりと嗟歎する語。史、淮陰侯傳「功者難成而易敗、時者難得而易失也、──時不再來」
時乎に同じ。書、泰誓「──不可失」
よき時節に出合はぬ、運がわるし。史、李將軍廣傳「惜乎子───」
よきをりの逃すべからざるをいふ。戰國策「敵不可易、────」
よきをりの逃すべからざるをいふ。時乎參看。
時世の風に從ひてうきしづみする、世につれる。通鑑、宋紀「志慮忠純、不與時俯仰」=與時浮沈。
シン [震]
晋は俗字
○すすむ(進)「─謁」○さしはさむ(插)○おさふ(抑)○─鼔は長さ六尺六寸ある兩面のつづみ〔周禮、地官〕○王朝の名、司馬炎、魏の禪を受けて建つ、西─東─合せて十五帝、一百五十六年にして宋に禪ろ。○春秋時代の國名、周の成王、其の弟叔虞を唐に封ず、其の子徙りて─に居る、今の山西太原縣の東北に當ろ、後、山西·直隸の兩省に割據し、春秋の末、其の大夫趙·韓·魏三家に分割せらる、故に三─とも稱す。○地名、今の山西省の異稱。○易の卦の名、坤下離上。
晉(前條)の俗字。
シャウ [養]
○まひる(正午)○半─は少しの時閒。=片時·片晌。
曬(日部十九畫)の略字。
朝(月部八畫)の古字、又、
鼂に作る。
7畫
カウ [皓]
又、皓に作る
○ひので(日出)の貌。○しろし(光白)○あきらか(明)
キ [微]
○かわく(乾)詩、秦風「白露未─」○ひので(旦)あける、夜明けんとして光氣升 ノボ る。詩、齊風「東方將─」○さらす(暴)
クヮイ [隊]
○つごもり(月盡)みそか(月終)陰曆の月の最終日、二十九日、或は三十日。○くらし(昏)明、又顯の反對「─明」「顯─」○くらます、かくす「韜─」「隱─」○かすか(微)左、成十四「志而─」○よる(夜)左、昭元「陰陽風雨─明」○きり(霧)○しぼむ(彫盡)江淹詩「寂歷百草─」
同訓異義
クラシ 晦·暗·昏·昧·冥·暝の别は暗(日部九畫)の條を見よ。
くらき貌。莊子「媒媒──、無心而不可與謀、彼何人哉」
くらますと、あらはすと。世に知られざると、知られると。歐陽修、晏元獻公神道碑「其世次──、徙遷不常」=隱顯。
くらましかくす。歐陽修文「爲人剛簡不矜飾、能自──」=韜晦。
つごもりと、ついたちと。莊、逍遙遊「朝菌不知──」
文字の意味明かにとほらず。
己の才智などをくらましかくして人に知らさぬ、愚かなる人の風を裝ふ。隋書、高祖紀「高祖甚懼、深自──」=晦藏·韜晦。
くらし、やみ。又、暗愚。禮記、疏「萬物衰老、取──之義也」
目くらし。又、世みだれてくらやみとなる。荀子「闇乎天下之──也」
名をくらます。錄異記「草服素冠、──匿位、織屨自給」
夜と晝と。字解參看。
をぐらし。冥は暝。漢書、高帝紀「雷電──」=晦暝。
やみよ。十洲記「──卽見此山」
理にくらくなどふ。蔡邕文「藏──之罪」=昏惑。
クヮン [潸]
○あきらかなる貌。=皖。○縣名、廬江郡に屬す。
ケン [霰]
○ひあらはろ(日見)○ひかり(日光)○あきらか(明)
ゴ [遇]
寤に通ず
○あきらか(明)「英─」「神─」○あふ(遇)むかふ(對)面會する「面─」○とく(解)
同訓異義
アフ 晤·遇·逢·遭·値·合·會の別は遇(辵部八畫)の條を見よ。
相面してうちとけてうたふ。詩、陳風「彼美淑姬、可與──」
遇ひてかたる。詩、陳風「彼美淑姬、可與──」=晤語。
相對してうちとけてかたる。詩、陳風「彼美淑姬、可與──」=晤言。
あふ、面會する。謝靈運詩「──無厭歇、聚散成分離」
コン [元]
昆に通ず
○のち(後)○あに(兄)
來孫の子〔爾雅〕
あにと、おとうとと。爾雅「父之──」=昆弟。
シン [眞]
○あした、あさ、しののめ、つと(早旦)「淸─」「霜─」○夜のひきあけ、よあけ(昧爽)○あしたす、雞が夜あけをしらせて鳴く。書、牧誓「牝雞之─、惟家之索」○あきらか(明)○二十八宿の一なる房星の異名。
あさのけぶり、あさがすみ。顏延之、陶徵士誄「──暮靄、春煦秋陰」
あしたのもや。杜甫詩「──朝可餐」
あさはやくゆく。周禮「禦──者、禁宵行者夜遊者」=晨征。
あさはやくおきる。溫庭筠詩「──動征鐸、客行悲故鄕」=晨興·夙起。
あしたの日の光。謝莊、宋明堂歌「──促夕漏」=晨光。
あさひのひかり。宋書、樂志「潔誠夕鑑、端服──」=晨光。
あさのとり。鮑照詩「飢猿莫下食、──不敢飛」
あさ日のひかり。景福殿賦「──內照、流景外延」=晨暉。
朝早く鳴く雞。陳叔達詩「嚴關猶未遂、此夕待──」
あしたのしも。王融詩「亭亭雙月流、朏朏──結」
あさめし。束晳、補亡詩「馨爾夕膳、潔爾──」=晨食。
よあけのかね。杜甫詩「欲覺聞──、令人發深省」
あさはやくかしぐ。史、淮陰侯傳「寄食數月、亭長妻患之、乃──蓐食、食時信往、不爲具食」
あさ早く出で行く、つとにゆく。趙至、與嵆茂齋書「鳴雞戒旦、則飄爾──」=晨往·晨行。
○あけがたのほし。韋應物詩「絲竹促飛觴、夜醼達──」=曉星。○物のすくなきに喩ふ。次條參看。
あけがたの天に星の僅に二三點見ゆるが如く、友人の次第に少くなるにいふ、落落はまばら。劉禹錫文「所謂同年之友、當其盛時、連轡擧鑣(中略)今來落落、如晨星相望」
早朝父母の安否をたづねる。曲禮「昏定而──」
あさ雨がはれる、あさばれ。韋應物詩「──澄景光」=曉霽。
あさ日のひかり。宋孝武帝文「俟玉羊之──」
あした。梅堯臣、觀鬬雞詩「應當激猛毅、豈獨專──」=晨朝。
あさまだき。杜甫詩「──降白露、遙憶舊靑氊」=晨旦·早朝。
あさしほ。番禺記「──下、晚潮上」
あさひ。朱熹詩「千嵐蔽夕陰、百嶂明──」=曉暾·晨曦。
朝早く官舍に入り、夜家に歸る。韓愈、上張僕射書「凡執事之擇於愈者、非爲其能────也」
あさはやく入り、夜おそくいづ。神仙傳「淮南王劉安、毎宴見、談說得失、及獻諸賦頌、────」
牝雞晨の略語、字解參看、婦女子が政に與るにいふ。陸機、愍懷太子誄「如何──、穢我朝聽」
○朝かぜ。潘岳賦「──淒以激泠」○鷂 ハヤブサ の異名。詩、秦風「鴥彼──、鬱彼北林」
あさのつむじかぜ。溫庭筠詩「影亂──急、香多夜雨晴」
あしたと、いふべと。杜甫詩「天台隔三江、風浪無──」=晨昏·朝夕·晨宵。
あけがたのきり。梁簡文帝、梅花賦「雜霏霏之──」=曉霧。
あけがた。淮南子「日出于暘谷、浴于咸池、拂於扶桑、是謂──」=黎明。
もんばん(門番)あしたに門を開くことを掌る者。論、憲問「──曰、奚自」=閫人·閽人。
セイ シャウ [敬]
○あきらか(明)○さかんなり(熾)盛に通ず。
①セツ [屑]
②セイ [霽]
①あきらか(明)「昭─」○てらす(照)
②ほしのひかり(星光)
星のひかる貌。詩、陳風「昏以爲期、明星──」
晢(前條)に同じ。
チウ チュ [宥]
昼は俗字
○ひる、日出より日沒までの稱。夜の對「平─」「淸─」「靜─」左、莊二二「飮桓公酒、樂、公曰、以火繼之、辭曰、臣卜其─、未卜其夜、不敢」○ひるま(日中)まひる(日正中)○齊の邑名。孟子「三宿而後出─」
ひる耕作する。魏書、崔光傳「──夜誦、傭書以養父母」
ひるのあひだ、日中。
富貴にして故鄕にかへるに喩ふ。北史、毛遐傳「明帝改北地郡爲雍州、鴻賓爲刺史、詔曰、此以──榮鄕」宋の韓琦(魏公)──堂を作る。
晝の思が夜の夢となる。列、周穆王「────神形所遇」潛夫論、夢列「晝有所思、夜夢其事」
ひる見る。飛燕外傳「吾──后、不若夜視之美」
ひるま。後漢書、邊韶傳「韶會──假臥」
ひるね。論、公冶長「宰予──」=午睡。
ひると、よると。淮南子「喜怒與──寒暑竝明」
晝はかくれて夜にあるく。元史、張晉亨傳「跋涉險阻、────、僅免于難」戰國策「伍子胥橐載而出昭關、夜行而晝伏」
ひると、よると。論、子罕「逝者如斯夫、不舍──」
花の咲きそろへる形容。李白詩「咸陽三月時、千花───」
ハイ ホツ [隊]
くらし(暗)「晻─」
ベン [阮]
通音バン、或は?に作る
○ゆふべ(タ)「昨─」○くれ、ひぐれ(暮)○おくれる、おそし(後)早の對「早─」史、李斯傳「君何見之─」○すゑ(末)「─春」「─唐」
ゆふぐれのからす。周權詩「流水殘雲帶──」=晚烏。
ゆふぐれのもや。黃庭堅文「吳君惠示文湖州──橫卷、觀之歎息彌日」=夕靄·暮靄·晚煙。
春の末のうぐひす。柳宗元詩「平野春草綠、──啼遠林」
ゆふぐれのからす。歐陽修詩「──藏柳棲殘照」=晚鴉。
ゆふがすみ、ゆふげのけむり。唐太宗詩「──含樹色、棲鳥雜流聲」=暮煙。
なつのすゑ、陰曆の六月。駱賓王詩「荷香銷──、菊氣入淸秋」
おそくうゑたるいね。張翥、喜雨詩「猶及秋田──靑」=晚禾。
天子の崩御をいふ。通鑒、周紀「宮車──」注「晚、晏也、義與晏駕同」晏駕參看。
ゆふやけ、ゆふばえ。沈佺期詩「聖藻垂寒露、仙杯落──」=夕霞。
中年以後に至りて學を修める。陳書、儒林傳「──鑽仰、徒深倚席之歎」=後學。
おくれて持つつぼみ。楊萬里詩「且看桃花──開」
ゆふ方の日のひかり。李嘉祐詩「萬木迎秋序、千峯駐──」=晚照·斜暉·落暉。
おそく暖氣を催す。張廷琰文「秋則早寒、春則──」
おくてのいね。劉長卿詩「黃雀啾啾爭──」=晚稻。
おくれてみのりたるこのみ。李建勳詩「──經秋赤、寒蔬近社靑」
おそ咲きのはな。梁簡文帝文「朝葉與密露共鮮、──與薰風俱落」
ゆふひのひかり。董思恭詩「梁前朝影出、橋上──舒」
○ゆふぐれのけしき。張何、文君濯錦賦「──彌秀、晴江轉春」○夕日の光。
おくれてさとる。蘇軾詩「飛鳶悔前失、黃犬悲──」
年たけて結婚する、中年以後の結婚。早婚の對。
老いたるよはひ。北史、楊侃傳「苟有良田、何憂──」
次條に同じ。蘇軾詩「煮蔬爲──、安識肉與酒」
ばんめし。何景明詩「茗葉松花進──」=晚餉·晚飧。
なつかひこ。許渾詩「籬上靑桑待──」
晚成に同じ。陸機賦「感瑰姿之──」
あきのすゑ、陰曆の九月。盧綸詩「鳴雁飛初夜、羌胡正──」
後進に同じ。唐書、張薦傳「大行一時、──莫不傳記」=晚輩·新進。
ばんめし。陸游詩「野店谿橋供──」=晚餐。
夕方に飮むさけ、ねざけ。白居易詩「朝睡足始起、──醉卽休」
おそくみのる。禮、月令「仲夏之月、行春令、則五穀──」
はるのすゑ。梁元帝纂要「三月曰末春·──」
夕ぐれのかねの音。韋應物詩「蒼茫寒色起、迢遞──鳴」=暮鐘。
おそく食事するときは、空腹の爲めに粗食も肉の如くうまきをいふ。顏斶が善く窮に處せし法。戰國策「─────、安步以當車」
冬枯の時にも變らざるみどり。范質、戒從子杲詩「遲遲澗畔松、鬱鬱含──」
あとから生れたる者の義、同輩に對して己を卑下するの稱。=小生·小弟·拙生·後生。
おそく出來あがる。老子「大方無隅、大器──」
ゆふがたのものさびしさ。孟郊詩「寒竹含──」
ゆふがたにはれる。杜甫詩「湖闊兼雲霧、樓孤屬──」=晚霽。
夕方の雨あがり。宋之問詩「──江天好」=夕霽。
ゆふひ。王勃詩「浦樓低──、鄕路隔風煙」=夕照·夕陽。
○晚年に同じ、節は時。杜甫、遺悶詩「──漸於詩律細」○末時に同じ。史、魏其武安傳「及孝景──」○晚年の節操。楊萬里賦「頗堅──於歲寒」
晚酌のさけ。陸游詩「葅芹薦──」
○唐の晚年。宋史、食貨志「昔──民務稼檣、則增其租」○唐時代の詩を、初唐·盛唐·中唐·──の四に分つ稱。
おくてのいね。劉禹錫詩「場黃堆──、籬碧見冬靑」=晚禾。
ゆふべのながめ、タかたの眺望。岑參詩「山河宜──、雲霧待君開」=晚望。
ゆふしほ。戴叔倫詩「關外逢秋月、天涯過──」=暮潮。
ゆふぐれのふえの音。元好問詩「一聲驚──、數點入秋雲」
ふゆのすゑ、陰曆の十二月。
○夕方に高き處にのぼる。高啓詩「──臨滄觀、測愴懷古情」○おそくみのる○鍾會、菊花賦「早植──、君子德也」
老いたるよはひ、老後のよはひ。高適詩「──學垂綸」=晚歲。
○實を結ぶこと晚き梅。范成大詩「熟透──紅的皪、展開新籜翠扶踈」○おそ咲の梅。早梅の對。
日暮に舟を停めて宿する。孟浩然詩「河橋晚泊船」
日暮れて行く舟のほ。陰鏗詩「天際──孤」
ゆふめし。顧瑛詩「人家溪樹裹、──柁樓前」
ゅふかたのかぜ。陳子昻詩「──吹畫角、春色耀飛旌」
おそくうゑしなへ。范成大詩「早穗已垂垂、──猶翦翦」
ゆふぐれ。轉じて、晚年の義。李尤詩「年歲──時已斜、安得力士翻日車」
ゆふひ。錢起詩「微雨侵──」=夕陽。
日くれがた。杜甫、喜雨詩「──聲不絕、應得夜深聞」
ゆふかたに鳴るかみなり。杜審言詩「日氣含殘雨、雲陰送──」
夕方のすずしさ。杜甫詩「──看洗馬、森木亂鳴蟬」
ホ [虞]
餔に通ず
○さるのとき(申刻)今の午後四時。○ゆふべ、くれがた。白居易詩「朝─頒餅餌」
午後四時すぎ、ななつさがり。
午後四時。淮南、天文訓「日至於悲谷、是謂──」
ゆふかた。宋玉、神女賦「──之後、精神恍愡、若有所喜」=薄暮。
8畫
①アン [感]
②エン [琰]
①くらし(冥)=暗。○ささふ(障)
②──は日に光なし、くらし。
樹木のしげりてくらき貌。王安石詩「峯巒碧參差、木樹青──」
霧たちこめてくらし。離騷「揚雲霓之──矣」
くもりてくらし。姚希孟賦「自──而晃耀、又靉靆而玲瓏」
くらし。漢書「深惟其故而反──」=暗昧。
日に光なき貌。楚辭、九歌「日──而下頽」
ヱン [阮]
ひかげかたむく。
日がくれる。楚辭、哀時命「白日──其將入兮」
キ [紙]
○ひかげ(日景)日の光「日─」「寸─」「短─」韓愈、進學解「焚膏油以繼─」燈光と日光とつづけて晝夜勉强する。○はしらかげ(柱景)表を立てて日を度 ハカ る。○はかる(規)
ひかげ〔史、天官書〕何承天、請改漏刻奏「更增損舊刻、參以──、删定爲經」
とき。梁書、賀琛傳「每見高祖與語、常移──」=光陰·時刻。
①ケイ·キャウ [梗]
②エイ [梗]
①ひかり(光)○さかひ(境)○あきらか(明)○おほひなり(大)○しろし(白)○したふ(慕)○あふぐ(仰)「─慕」「─仰」○かたち(像)○けしき、やうす、おもむき「風─」「勝─」「佳─」「絕─」「好─」「光─」○うはぎ(上衣)○星の名。○うつくし(韶)○南方より吹く風。○─敎は、波斯國にて火を拜する宗敎。=丙敎。
②かげ(物之陰影)「日─」=影。
影が物の形につきまとふ如く附き從ふ。賈誼、過秦論「天下雲會響應、贏糧而──」=響應。
影がさかしまに水中にうつる。杜甫詩「忽風翻而──」
めでたきくも。晉書、天文志「──太平之應」=卿雲·慶雲。
太陽。晉書、律歷志「揆天行而序──」
大いなる道。高明なる德行に喩ふ。詩、小雅「高山仰止、──行止」=大道。
○やうす、ありさま。=景況。○元氣、意氣。○ 國 商賣上の狀況、貨物のさばけぐあひ。
ありさま、やうす。=情況。
あふぎしたふ。金史、熙宗紀「孔子雖無位、其道可尊、使萬世──」景行參看。
○めでたきひかり。又、恩德·榮譽等の義に用ふ。後漢書、郞顗傳「可垂──致休祥上矣」=祥光。○としつき、光陰の義。蘇武詩「願君崇令德、隨時愛──」
とき。謝靈運詩「愛客不告疲、飲讌遺──」
○けしき。=景色。○ エイシヤワ かげと形と。
宋之問詩「岑壑──佳」=風景·景趣·景物·風致。
魏の明帝の時、撰みたるこよみ。景初は其の年號。晉書、武帝紀「改───、爲太始曆」
けしきがすみてきよし。支曇諦、廬山賦「──則巖岫開鏡、風生則芳林流芬」
めでたきほし。史、天官書「天晴而見──」=瑞星·德星。
めでたき星と鳳凰と。賢人に喩ふ。韓愈、與李拾遺書「朝廷之士引頸東望、若────之始見也、爭先覩之以爲快」
○おこなひ、行跡。夏侯湛文「遙遙──、君子攸欽」○蠅の一種。歐陽修、憎蒼蠅賦「尤忌赤頭、號爲──」
おほいなるさいはひ。晉書、樂志「流──顯萬世」=景福。
けしき、致はおもむき。=風致·景趣·景色。
めでたきしるし。謝靈運文「龜筮元謀、符瑞──」=休徵·瑞徵。
螢 ホタル の異名。古今註「螢火、一名耀夜、一名──」
○みなみかぜ。史、律書「南方──夏至至」○西南の風〔淮南、天文訓〕○四時の和風〔爾雅、釋天〕=祥風。
大いなるさいはひ。詩、小雅、小明「神之聽之、介爾──」=景祚·大福。
○けしき。杜審言詩「三春──滋」=風景。○ 國 興 オモムキ を添ふる爲めに賣品に添へて贈呈するもの。=景品。
あふぎしたふ。柳宗元詩「凝情空──」=仰慕。
セイ シャウ [庚]
○ひかり(精光)○あきらか、ぎらぎらと明るく光る。宋之問詩「八月涼風天氣─」○すゐしゃう「水─」晶·精通ず。○結─ ケツシヤウ は純粹なる鑛物が特有する一定の形象。
あきらかにいかる。宋之問詩「──目何在、瀅瑩心欲無」
きらめくひかり。韓愈詩「──蕩相射、旗戟翩以森」=光晶。
あきらかなるひかり。蔣防詩「──浮輕露」
あきらかにひかる貌。韓愈詩「堆金疊玉光──」
きらめき光る貌。歐陽詹、秋月賦「皎皎搖搖、──盈盈」
セイ [庚]
本、夝に作る
○はる、雨やみて雲散ず、空がすみわたる。陰の對「新─」○はれ、うららかなる天氣。陳與義詩「孤松立快─」
はれると、くもると。はれと、くもりと〔白居易、大湖石詩〕=晴曇。
はれと雨ふりと。
空氣の氣壓の高低によりて晴雨を卜し得る器械。=風雨表。
胸中の淸くすきとほる喩。宋史、文同傳「操韻高潔、自號笑笑先生、善詩文篆隸行草飛白、文彥博守成都奇之、致書同曰、與可襟韻灑落、如────、塵埃不到、司馬光蘇軾尤敬重之」與可は文同の字。
あをぞら。方岳詩「三峯倚──」=晴空。
山水の景色の晴雨共に佳なる義。蘇軾、飮湖上初晴復雨詩「水光瀲灧晴方好、山色空濛雨亦奇」
ほがらかなるあさひ。宋仁宗詩「──輝輝禁禦開」
はれたるそら。李白詩「囘溪十六度、碧嶂盡──」=晴天·晴虛。
はれたるけしき。溫庭筠、詠山雞詩「石壑動──、山禽陵翠微」
ほがらかなるはる。鄭谷詩「山城多曉瘴、澤國少──」
はれたるあをぞら。陳慥詩「白塔界──」
はれたる川づら。崔顥詩「──歷歷漢陽樹」
はれたるあした。朱德潤詩「明朝烟雨開──」
はれたるひる。蘇軾詩「玉淵神龍遊、雨雹亂──」
はれたるそら。杜牧詩「欲開未開花、半雨半──」=晴空·晴虛。
晴陰に同じ。
そらがはれてほがらか。世說「天甚──」
はれたる日に山氣の蒸しのぼるもの。鄭谷詩「──染近畿」宣和畫譜「御府所藏、有李成夏景──圖」
そらがはれてのどかなり。白居易詩「──日出天」
セキ [陌]
晳とは别字
あきらか「明─」
セキ [鍚]
あきらか(明)
チ [寘]
通じて知に作る
○ちゑ「才─」「多─」○しる(知)○さとる。○事理に明か、かしこきひと(賢人)患の反對「賢─」○はかりごと。
ちゑ。魏志、王公傳「生五六歲、──所及、有若成人之智」
理解力·推理力を啓發する敎育。
銳利にして決斷ある智力を劍に喩へていふ。維摩經「以───、破煩惱網」
陳の僧、俗姓王氏、會稽の人、永禪師と號す、書を善くし殊に草書に巧なり。
智慧くらべをする。史、項羽紀「漢王謝項王曰、吾寧──、不鬭力」
○かしこきたくみ。史記「豈可以──得哉」=巧智。○わるぢゑ、狡猾。
さとくして物事をみわける。南史、宋高祖紀「聰明有──」
ちゑはたらきある者。王隱、晉書「有──文藻」=才器。
雁 カリ の異稱。抱朴子「──銜蘆以避網」
かしこきはかりごと。晉書、陶侃傳「當以歲月──擒之」
さとし。老子、十八章「大道廢有仁義、──出有大僞」俗に知惠に作る。
智慧ある人も、時勢に伴ひて事を施爲せざれば、功を成すこと能はざる義。孟、公孫丑「齊人有言、曰、────────、雖有鎡基、不如待時」
ちゑすぐれたるはかりごと。晉書、賈模傳「深沈有──」=智算·智謀·智計·智數。
最も奧にある臼齒 ウスバ 人の智識の發達する年頃卽ち二十歲後に生えるもの、おやしらずば。
○ちゑ。宋史、李庭芝傳「──恆出長老之上」=知識。○ 佛 善──は佛道を悟りし名僧。
智と仁と勇との三德。中庸「知仁勇三者、天下之達德也」知は智と同じ。
ちゑある人。戰國策「愚者暗於成事、──見於未萌」商子、更法「──作法而愚者制焉」
前に誤れる計を爲すときは、後に智者ありと雖も其の後を善くして功を成しがたし。孫子、作戰「諸侯乘其弊而起、────────矣」
智者も時には過失あるに喩ふ。史、淮陰侯傳「廣武君曰、臣聞、智者千慮、必有一失、愚者千慮、必有一得」
ちゑある人は事の未だ起らざる前にさとり知る。戰國策「愚者暗於成事、智者見於未萌」
智謀すぐれたる大將。東軒雜錄「魏公曰、──不如福將」
ちゑはかりごと。蜀志、諸葛亮傳「欲信大義于天下而──淺短」
ちゑありて謀に長ず。魏志、文德郭后傳「后有──、時時有所獻納」=智術·智謀。
小智の人、徒に大謀を爲すをいふ。易、繫辭「─────、力小而任重」
ちゑ多き人。史、樗里子傳「滑稽多智、秦人號曰──」
ちゑはたらき。史、馮唐傳「得盡其──」
智は、圓轉活脫にして萬事に應ぜんことを欲し、行は、方正嚴格にして、禮に合せんことを欲す。淮南、主術訓「凡人之論、心欲小而志欲大、───────」
ちゑあるはかりごと。漢書、元后傳「忠信質直、──有餘」=智略·智計·智術·智數·智算。
○才智と辯舌と。○賢き口まへ。=辯智。
ちゑあさし。漢書、孔光傳「臣光────」
ちゑの非凡なるをいふ。淮南、脩務訓「────者謂之英、千人者謂之俊、百人者謂之豪、十人者謂之傑」
智謀と勇氣とをあはせかねる。史記「智勇可謂兼之矣」
ちゑはかりごと。六韜「無──權謀」=智計·智謀。
ちゑあるかんがへ。=知慮。
ちゑのはたらき。魏志、太祖紀「吾任天下之──、以道御之、無所不可」
ホ フ [麌]
○あまねし(徧)「─徧」「─天率土」○ひろし(博)○大いなり。○歐羅巴の國名、─魯西 フロシヤ の略「─佛戰爭」
同訓異義
アマネシ 普·周·徧·遍·洽·浹の别は周(口部五畫)の條を見よ。
ひろくゆきわたる。潘岳賦「偉玄澤之──、嘉植物之竝敷」
あまねきめぐみ。薛逢詩「欲識──無遠近」
あまねし。吳子「大化──」=普浹。
あまねくおよぶ。佛偈「願以此功德、──於一切」=普覃。
禪宗の一派、普化宗の僧、一に、虛無僧 コムソウ といふ、尺八を吹きて托鉢するもの、唐の普化禪師を開祖とす、我國にては、鎌倉時代に法燈國師之を傳ふ。
あまねくあらはる。范成大詩「兜羅世界網、──無邊際」
佛 菩薩の普く衆生を濟度するものの名、常に白象に騎る所を圖す、一に賢首といふ。大日經疏「普是遍一切處義、賢最勝妙善義」
あまねくつぐ。魏書、節閔帝紀「可──令知」=布告。
あまねくほどこす。史、五帝紀「高辛──利物、不於其身」
佛 ○あまねく同志に請ひて共に事を爲す。法苑珠林「一切聖凡、亦皆──」○諸人に寄附を請ひて建築する。轉じて、建築の義。釋氏要覽「佛令鳴犍稚摠集共爲之、此──之始也」
普天率土の略。普天之下參看。
山名、浙江省定海縣の東海中に在り、氣候溫和、風景奇特、西洋人の避暑地たり。=補陀山·補陀落迦。
あまねく及ぶ。常袞文「德音頻降、霈澤──」=普及。
○よのつね。=通常。○一般。特别·專門等の對「──學」○一般に、おしなべて。
國民として必要なる普通學の知識を授ける敎育。初等敎育と中等敎育とをいふ。專門敎育の對。
率は循、濵は涯、天の普く覆ふ所、地の連續せるかぎりの義。詩、小雅「溥天之下、莫非王土、率土之濱、莫非王臣」孟子、萬章篇に引きて溥を普に作る。
次條に同じ。淮南、本經訓「覆露照導、──無私」
あまねくゆきわたる。魏書、孝莊帝紀「內外百寮、──加一級」=普遍·普氾。
あまねくゆきわたる。徧は遍に同じ。=徧普·普汎。
前條に同じ。
あまねくたまふ。梁書、武帝紀「──內外從官軍主左右錢米」
9畫
アン [勘]
闇に通ず
○くらし、明かならず(日無光)「─黑」○おろか(愚)智慧がない「─愚」「迷─」○くらがり、やみ「─夜」○おくぶかし(深奧)○かすかにかくれる(幽隱)○あんに、それとなく、人知れず。○そらんず、諳に通ず「─記」「─算」
同訓異義
クラシ 暗·昏·昧·冥·暝·晦○暗は明の反、日月·燭火·道理·心識のくらきに通用す、闇に同じ。○昏は夕なり、暮るるなり、轉じてくらしと訓む、黃昏はたそがれなり、昏禮も日暮を用ふる故なり、後に昏字を婚に作る。○昧は夜あけなどの、ばっとして暗きをいふ、暗昧·昏昧·患昧などと用ふ。書經「兼レ弱攻レ昧」昧爽は、未明をいふ。○冥はばっとして、つかまへ所なきなり、靑冥·蒼冥は天なり、渺冥は遠く遙かにして、さだかに見えぬなり、佛書に冥途といふも、暗くして、はかり知られぬ意なり。○暝は冥に同じ、後世は分別して用ふ、暝は日のくもりてくらきなり。○晦はつもごりと訓む、まっくらやみなり、明字、顯字の反なり。
うすぐらし。揚雄、甘泉賦「儐──兮、降淸壇」一解、衆くして盛んなる貌。
○深空なる貌。又、幽隱の貌。吳融詩「空門付與悠悠夢、寶帳迎囘──春」○それとなく「──裡」
くらきまど。薛道衡詩「──懸蛛網、空梁落燕泥」
くらき日がさ。王安石詩「殘燈生──、重露集寒條」
どこからとなく來るかをり。許渾詩「高竹動疎翠、早蓮飄──」
梅の香が何處ともなくにほひ來てたそがれの月が出る。林逋、梅花詩「疎影橫斜水淸淺、───────」
暗渠に同じ。=地下溝。
符牒 フテフ を以てする合圖のしるし。又、其の符號。堯山堂外紀「與士人相約爲──」
兩者の言行が期せずして一致する。晉書、山濤傳「濤不學孫吳、而暗與之合」=闇合。
そらんじおぼゆ。後漢書、應奉傳「凡所經履、莫不──」=諳記。
地下を通るみぞ。梅堯臣詩「古寺入深樹、野泉鳴──」=暗溝。
事理に暗くおろか。=愚昧·蒙昧·暗昧·闇愚。
おろかなきみ、暗愚なる君主。明君の對。
○まっくら。=闇黒。○俗に公明正大ならざる義「──面」○世が亂れる「──時代」
世が甚だしく亂れて戰爭のたぇまなき時代。
人知れぬうらみ。白居易詩「別有幽愁──生」
やみうち、ひそかにころす。
むなざん、算盤などを用ひずして心の中にてかんぢゃうする。=暗數。
それとなく示す。又催眠術などにて被術者に與へる一種の豫告。
幽暗にして人なきへや。南史、阮長之傳「一生不侮──」
茉莉 マツリ 花の異名。格物叢話「茉莉花東坡目爲──」
體よわく性おろか。=闇弱。
そらんじて讀む。杜甫詩「羣書萬卷常──」
こころのうちにてかぞへる。方囘詩「──靑梅立樹陰」
かくれいは、水面下にかくれてゐるいは。
○的なくして弓いる。元好問詩「長箭不──」○そらでいひあてる「──圖」
そらにて書きうつす。唐書、虞世南傳「──之、無一字謬」
うすぐろくして鮮かならざる貌。白居易詩「一盞──將何比、淺碧籠裙襯紫巾」
國 やみの中にてとびはねる、人知れず活動する。
やみの中にて手さぐりにて物をさがす。隋唐佳話「許敬宗性輕傲、見人多忘之、或謂其不聰、曰、卿自難識、若遇何劉沈謝、────著亦可識」何は何遜、劉は劉孝綽、沈は沈約、謝は謝朓。
くらきともしび。張耒詩「童子持經守──」
やみよ。宋書、謝景仁傳「兵敗衆散、時已──」
人知れぬなみだ。賈島詩「白鬚相竝出、──兩行分」
あいことば。武備要略「若近賊處欲行──、聽中軍傳遞一人」
ヰ [尾]
煒に同じ
○ひかりの盛んなる貌。○日のひかり。
ひかりの盛んなる貌。曹植文「玄素之──」
ウン [問]
○かさ、ひがさ、つきがさ「日─」「月─」○轉じてぼんやりと、ひがさ·つきがさの如き形したる模樣。韓愈詩「夢覺燈生─」○めまひ、くらむ、船などに醉ふ(眩)「眩─」「船─」
日月のまはりに生ずるかさ。韓非子「日月──於外」=日暈。
ふなゑひ、ふねに醉ふ。
エイ [敬]
映に同じ
○てる。てらす(照)○うつる。うつす。
エツ [月]
○あつさあたり(傷暑·中熱)○──は熱氣の極めて盛んなる貌。
あつけにて死する。漢書、武帝紀「夏大旱、民多──」
熱を病む人。淮南子「武王蔭──于樾下、左擁而右扇之」
カ [禡]
或は假に作る
○ひま、いとま(閑·閒)やすみ、無事閑散の時「休─」「賜─」「官─」「閒─」○ 國 ─乞 イトマゴヒ は別を吿ぐる。=訣別。
ひまにてあそびをる。書、酒誥「不敢自暇自逸」戴表元詩「不許私──」=逸豫·暇豫。
ひまにして無事の日。孟、梁惠王「壯者以──、修其孝弟忠信」
いとま、てすきの時。=餘暇。
ひまにてあそぶ。景福殿賦「鳩經始之黎民、輯農功之──」=暇逸。
キ [微]
又、煇に作る
○ひかる、ひかり(光)「素─」「落─」「晚─」「斜─」○かがやく。
ひかりかがやく。梁簡文帝文「──金鑣、陸離寶勒」
かがやきうつる。晉書、左貴嬪傳「車服──」=耀映。
○日光のかがやく貌。韓愈詩「──簷日暖且鮮」=耀耀。○空の晴れて明かなる貌。江總詩「二月春──」
ひかり。新論「太白──、雞必夜鳴」=光芒。
ひかりがうるはし。唐太宗詩「禁苑春──、花蹊綺樹粧」
ケイ [齊]
睽とは别字
たがふ(違)はなれる。
はなれへだたる。何遜詩「萬里就──」=離隔。
はなれると合ふと。謝靈運賦「究風波之──」=離合。
離れ散ずる。蘇舜欽詩「一旦又──、千里或闊疎」=離散。
ケン [元]
○あたたか(溫)日煖 アタタ か「春─」「負─」○はるのすゑ(春晚)○敍寒─ カンケンヲジヨス は時候の挨拶をのべる。
あたたか。溫庭筠文「言成訓謨、信比──」
時候の挨拶をいふ。南史、蔡撙傳「及其引進、但──而已、此外無復餘言」=寒暄·暄涼。
暖かくのどか。隋書、田德懋傳「春日──、氣力何似」=暖和。
あたたかにして景色がうつくし。張九齡詩「靈境眞幽絕、芳時重──」
あたたか。朱无詩「春寺尋──」=溫暖·暄燠·暄煦。
春のあたたかきかぜ。梁元帝纂要「春風曰──·陽風」
ショ [語]
○あつし、あつさ(熱氣)易、繫辭「日月運行、一寒一─」「炎─」「隆─」「殘─」「避─」○大─·小─は夏の季節。○轉じて夏の義に用ふ。千字文「寒來─往」
あつさのいきほひ。=炎威。
夏の炎天に降る雨。書、君牙「夏──、小民惟曰怨咨、冬祁寒、小民亦惟曰怨咨」
むしあつし。抱朴子「──陰隆、不能消雪山之凍」
あつさにあたる。論衡「盛夏暴行、──而死、熱極爲毒也」
あつさ。淮南子「──多夭、寒氣多壽」
あつき季節。左傳「──多衣、所以示疾」
あつくしてしめる、濕一に溼に作る。禮、月令、疏「腐草此時得──之氣、故爲螢」=暑溽。
むしあつし。徐陵、答族人書「素秋方屆、──稍闌」=溽暑。
國 夏のあつき閒。又、夏の土用十八日閒の稱「──見舞」
夏時に用ふるたかむしろ。蘇轍詩「──臥淸風」
あつし、あつさ。漢書、西域傳「烏弋地──莽平」=炎熱。
なつのひでりがみ、ひでり。范成大詩「──方肆行」
夏の土用暑月三伏の時。水經、注「楊溪水淸泠、甚於大溪、縱──之辰、尙無能澡其津流也」
夏のあつき夜。戴叔倫詩「──宿城南、懷人夢不成」=暑夕、夏夜。
①ダン [旱]
②ケン [元]
①あたたむ、あたたかし「─氣」「春─」「溫─」「飽─」=煖。
②やはらか(柔)なる貌。莊、徐無鬼「有─姝者」
柔懦にして物に逆はざる貌。莊、徐無鬼「有暖姝者、學一先生之言、則────、而私自悅也、自以爲足矣」=暖姝。
あたたかにきる。孟、滕文公「飽食──、逸居而無敎、則近於禽獸」
暖かなる氣のかほり。雲仙雜記「寶雲溪有僧舍、盛冬若客至、則然新火、──一炷、滿室如春」
あたたかさ。張華詩「重衾無──、挾纊如懷冰」
あたたかきひ。陸游、冬晚山房書事詩「凍雲傍水封梅蕚、──烘窗釋硏冰」
春の晴れたる山の色。吳景奎詩「江上數峯浮──」
せきをあたたむ。又、あたたかき席。淮南子「墨子無──、孔子無黔突」無──は東西に奔走して席の暖まる暇なき義。
あたたかし。蘇軾詩「艷歌一曲囘陽春、坐使高堂生──」
家を移して宴を開く、やうつりのさかもり。王建、宮詞「太儀前日──來」=煖房。
あたたかに著、あくまで食ふ。飽食暖衣の略、暖衣參看。
あたたかきかぜ。禮、月令「行春令則──來至」
○ゐろり。東京夢華錄「十月朔、有司進──炭、民閒皆置酒、作──會」=煖爐。○西洋家具の一、ストーブ。
あたたかにやはらぐ。
國 日光をふせぐ爲めに垂れる布帛のとばり、商家にて店の入口に垂れる。
①ビン·ミン [軫]
②ビン·ミン [眞]
①つよし(强)書、康誥「─不畏死」
②もだゆ(悶)=忞。
曼(日部七畫)の俗字。
ヤウ [陽]
○ひので(日出)○あきらか(明)○はれ(晴天)○かわかす(日乾物)書、洪範「曰雨曰─」
日の異名。劉基詩「扶桑未換──彩、腐草猶爭爝火光」=陽烏。
東方の日の出づる所。書、堯典「分命羲仲、宅嵎夷、曰──、寅賓出日」
10畫
カウ [皓]
○あきらか(明白)○しろし(白)=皓。
しろき貌。漢書、司馬相如傳「──白首」=皓然。
カウ [皓]
或は暭に作る
○きよし。○あきらか(晧旰)
顯(頁部十四畫)の古字。
チャウ [漾]
鬯に通ず
○のぶ、のびる(舒)○のびのびする、のどかになる「和─」「舒─」「─適」「酣─」○とほる(通達)易、坤卦「美在其中、而─於四支」○文章言論などの意味がよく通達する「通─」「流─」○みつる(充)長ずる。
同訓異義
ノブ 暢·舒·述·陳·宣·展·申·伸等の别は述(辵部五畫)の條を見よ。
あまねく物にゆきわたる。薛道衡、隋高祖頌「玄功──、不局於形器」
養生の一法。天隱子「手常摩擦、肌膚溫熱、熨去泠氣、謂之──」
陰曆十一月の異名。一陽來復して、陽氣ののび充つる義。暢は充。呂覽、仲冬紀「仲冬之月(中略)命之曰──」
のべついづる。王羲之、蘭亭集序「一觴一詠、亦足以──幽情」=敍暢。
草木がのび長じて其の性を遂げる。唐無名氏、律呂相召賦「草木以之而──、乾坤於焉而交接」=暢茂。
のびて通ずる、のび長ずる。吳越春秋「孰知其非──之兆」
心がのびやかにたのしむ。陸游、居室記「讀書取──性靈、不必終卷」
のび長じて盛んなり。孟、滕文公「草木──、禽獸繁息」=暢遂。
①ベイ·メイ [青]
②ベイ·メイ [徑]
もと冥に作る
①かすか(幽)○くらし(晦)
②よる(夜)
同訓異義
クうシ 暝·暗·昏·昧·晦·冥の别は暗(日部九畫)の條を見よ。
夜のくらきそら。伍喬詩「山磬數聲敲──」
日暮れてやどる。李白詩「──淮陰宿」
をぐらく遠く見ゆる舟のほ。陰鑑詩「天際──孤」
さびしき貌。劉孝綽詩「誰能對雙燕、──守空房」=寂寂。
11畫
暤(日部十畫)に同じ。
カン [旱]
或は熯に作る
○かわく「乾─」「旱─」かわかす(乾)○あつし(熱氣)○さらす(暴·曝)○しぼむ(菸)乾きてしぼむ。詩、王風「─其乾矣」
日光のはげしくあつき貌。沈佺期詩「是時威夏中、──多瘵疾」=熏炙。
はげしき日のあぶり照す貌。鬻子「──然如日之正中也」
ケイ [霽]
○衆くの星のきらめく貌。○小さき星。
ザン [勘]
蹔に作るは非
○しばし、しばらく、不久(須臾)久の反對。○わづかのあひだ、まもなく。○にはかに(卒·猝)─面は猝然面會する。宗欽詩「披襟─面、定交一言」
同訓異義
シバラク 暫·姑·且·少·薄○暫は不レ久也と註す、少しの閒の意なり、暫時と熟す。中庸或問「驚レ世駭レ俗之事、則可レ暫而不レ得レ爲レ常矣」○姑は且也と註す、暫の意はなし、まあと譯す。孟子「姑舍二汝所一レ學而從レ我」○且は姑に近し。○少はすこしの閒といふ義、少時の時を省きたるなり、少閒·少焉と連用しても、しばらくと訓む。○薄は今しばしの義、いささかとも訓む。詩、召南「薄言還歸」○須臾·須斯·少閒·少焉·閒なども亦しばらくと訓む。
しばらくあそぶ。李中詩「絕頂松堂喜──、一宵玄論接浮丘」
しばらく。高啓詩「──握手還分手、暮雨南陵水寺鐘」=少時。
しばしの閒、わかれる。高適、送李少府貶峽中、王少府貶長沙詩「聖代卽今多雨露、────莫躊躇」
しばらく。=暫時。
しばしとどまる、しばらくの閒逗留する。
セツ [屑]
なる(狎嫚)日日狎れちかづく=褻。
なれちかづく侍臣。詩、小雅「曾我──、潛潛日瘁」=侍御。
ヂツ [質]
昵に同じ
○ちかづく(近)○したしむ(親)「親─」詩、小雅「無自─焉」なじむ。
したしみあいする。謝惠連詩「遐川阻──、修渚曠淸容」
○近きにある者をしたしむ。左傳「親親──尊賢、德之大者也」○したしみちかづける。
したしみつく。左傳「是用痛心疾首、──寡人」=暱近。
①バウ [號]
②ボク [屋]
③ホク [覺]
②の通音バク
①あらす、そこなふ(害)○あらし、てあらし「亂─」「猛─」「强─」しへたぐ(虐)あし(惡)孟、告子「凶歲子弟多─」○みだす(亂)又、其の者。○とし、はやし(疾)はげし。詩、邶風「終風且─」○てうちにする、空手にて搏つ(手搏)「─虎」○にはか(猝)
②さらす(曬)日光にあてる(日乾)孟、告子「一日─之」俗に曝に作る。○さらし出す、露出する。李華、弔古戰場文「─骨砂礫」○かわく、かわかす(晞·乾)○あらはす(顯)○あらはる(露)知れる「─露」
③おこる、うごもつ(墳起)
同訓異義
アラハル 暴·見·現·顯·著·形·露·表·彰·旌の別は見(部首七畫)の條を見よ。○ニハカ暴·遽·俄·驟·頓·卒·猝の别は遽(辵部十三畫)の條を見よ。
あらくれてわろし。又、其の者。柳宗元文「偸嗜──者」
亂暴なるいきほひ。
みなぎる。南史、陳後主紀「淮渚──、漂沒舟乘」=怒溢。
むやみに酒をのむ。=牛飮。
甲の暴を除く爲めに乙の暴を以て之に代へる。伯夷·叔齊が周の武王を誹りし辭。史·伯夷傳「────、不知其非矣」
無法にしてあらくきびし。宋史、陳希亮傳「徐州守──、以細過籍民産數十家」=暴酷。
あらあらしきおこなひ。
あらくつよし。史記「令與──之徒同類」
あばれ者、盜賊など。易、繫辭「重門擊柝、以禦──」=暴漢。
あらあらし。顏氏家訓「素──者、欲其觀古人之小心黜己、尊賢容衆」
暴客に同じ。漢はをとこ。
にはかにおこる。杜陽雜編「俄而雲煙──」=暴興。
にはかにたふとし。魏書、王凌傳「當有──者」
自らそこなひすてる。孟、離婁「自暴者、不可與有言也、自棄者、不可與有爲也」
てあらくして理にさからふ。又、其の者。史、高祖紀「誅──遂有天下」
そこなひしへたぐ。書、泰誓「敢行──」鹽鐵論「商紂──、而有孟津之謀」
てあらきふるまひ、亂暴なる擧動。
あらあらしくみだりなることば、亂暴なることば。
にはかにおこる、突然に發生する。吳都賦「凄風──」=暴起。
あらくむごし。宋史「秦人語曰、寧逢乳虎、莫逢玉汝、其──如此」玉汝は韓縝の字。
虎を手打ちにし、黃河をかちわたりす、無謀の冒險をいふ。論、述而「子曰、────、死而無悔者、吾不與也」
てあらくほしいまま。蘇軾詩「古人雖──、作事今世驚」=暴橫。
○あらくはやし。詩經、箋「旣竟日風矣、而又──」○にはかに發したる病。唐書、李勣傳「嘗──」=暴病。
亂暴なる秦國。漢書、陸賈傳「賈曰、皇帝起豐沛討──誅强楚、自天地剖判以來、未始有也」
はげしき下痢 ゲリ
亂暴なるありさま。
むやみにくらふ。=馬食。
暴虐なる政事。
みなぎる。宋史、陳堯佐傳「每汾水──、州民輒憂擾」=暴溢。
あらきかたき。魏書、高閭傳「──輕侵、則設防固以禦之」
あらしほろぼす、殄は絕。書、武成「──天物」
亂暴なるふるまひをするともがら。
あらあらしくいかる。
亂暴なるふるまひ。=暴擧。
物價がにはかにたかくなる、にはかに騰貴する。
にはかに起る貌。荀、富國「貨財──如水源」
あらきかぜ。禮、月令「孟冬行夏令、則國多──」
おほあらし、大風大雨。
にはかにかねもちとなる、にはか分限、なりきん。瑯嬛記「王豐爲穀城令、治民有法、民多──」
あらあらしくないがしろにす。左傳「──其君、而去其親」
あらあらしくほしいままにして人をあなどる。論、泰伯「動容貌、斯遠──矣」
あらあらしき勇氣。
物の價がにはかに下落する。
あらくしてみだりなり。後漢書、襄楷傳「政刑──、災異尤數」
むやみにむさぼる利益。
あばれて物をかすめとる。史、高祖紀「懷王約入秦無──」=暴鈔。
あらあらしく理にもとる。史、伯夷傳「──恣睢」
あらあらしくはげし。唐書、張公素傳「性──、眸子多白」
あらあらしくしてほしいまま。後漢書、馮異傳「今諸將皆壯士、崛起多──」=橫暴。
はだへをあらはしさらす。裴秀文「沾體──」
骨を原野にさらす。左傳「──以逞、不可以爭」
軍隊を日光、雨露にさらす、兵を原野に露營させる。漢書、樊噲傳「──覇上、以待大王」
野ざらしになる。韓詩外傳「召伯──遠野」
ちゑをあらはにす。後漢書、崔駰傳「──耀世、因以干祿」
○めだちてあらはれる。唐書「政績──、善治律今」○知れる、發覺する。後漢書、竇融傳「皆近事──」=顯露。
○あらはる、露は顯。○風日雨露にさらされる。戰國策「終身、──於外」
ボ [遇]
本、莫に作る
○くる、日沒して冥 クラ くなる「朝─」「薄─」史、伍子胥傳「吾日─塗遠」○ひぐれ、ゆふべ(夕)よる(夜)「─夜」○轉じて年の末「歲─」又、年が寄る、老いる「─年」「衰─」屈原、離騷「恐美人之遲─」○おそし(晚)○ 國 クラスクラシ 月日を送る、生計をいとなむ。
ゆふぐれのからす。高適詩「門柳蕭蕭噪──」=晚鴉。
ゆふぐれのもや。杜牧詩「──生深樹、斜陽下小樓」
ゆふぐれのかげ。謝莊詩「夕天霽晚氣、輕霞澄──」
ゆふぐれの鳥。王襃詩「空林鳴──、虛谷應朝鐘」=暮禽·暮鳥。
ゆふぐれのあめ。岑參詩「山驛秋雲泠、江帆──低」
遠く隔たりたる友を思ふ情にいふ。杜甫、春日懷李白詩「渭北春天樹、江東日暮雲、何時一樽酒、重與細論文」=渭樹江雲。
次條に同じ。
ゆふけむり。呂溫詩「鳥聲隔──」
なつのすゑ。=晚夏。
日ぐれに吹く胡笳の聲。劉長卿詩「──吹塞月、曉甲帶朝霜」
ゆふぐれのもや。王昌齡詩「──照新晴」
ゆふかたに吹く角笛のね、角は軍中にて用ふる樂器。劉禹錫詩「岳陽樓頭──絕、蕩漾已過君山東」
ゆふぐれの日かげ。傅亮、感物賦「在西成之──、肅皇命于禁中」
ゆふぐれの鳥。王維詩「──相與還」=暮鳥。
○日暮の景色。杜甫、送李卿詩「──巴蜀僻、春風江漢淸」○老境をいふ。宋史「修途──、カ不逮心」=老景。
日暮に鼓をうち時を報ずる。王貞白、長安道詩「曉鼓人已行、──人未息」
○年のくれ。白居易詩「──風動地、夜寒雪連天」=歲暮。○老年。謝靈運詩「申遠期于──」=暮年。
ひぐれのやま。王勃、滕王閣序「潦水盡而寒潭淸、煙光凝而──紫」
夕暮に思ひかなしむ。劉長卿詩「帝子不可見、秋風來──」=暮情。
老年に同じ。方干詩「──甘衰謝、逢人惜别離」=暮齡。
あきのすゑ。梁元帝纂要「九月曰──」=晚秋。
くれがたの寂しき物おもひ。祖詠詩「悽然多──」
陰曆九月の異名。商の音は秋に屬するが故。梁元帝纂要「九月曰──、亦曰季商」=暮秋。
はるのすゑ。詩、大雅「維暮之春、亦又何求」=莫春·晚春。
くれのかねのね。韋應物詩「秋山起──、楚雨連滄海」=夕鐘·晚鐘。
日ぐれのけしき。柳宗元、始得西山宴游記「蒼然──自遠而至」
ゆふ方のゆき。沈約、桐賦「枝封──、葉映晝虹」
○陰曆十二月の異名〔初學記〕○九月九日(重陽)の異名。白居易詩「──感茱萸」
よるうつきぬた。杜甫、秋興詩「寒衣處處催刀尺、白帝城高急──」
ゆふしほ。劉長卿詩「畫角知秋氣、樓船逐──」
ゆふぐれのそら。杜荀鶴、題新雁詩「──新雁起汀洲、江蓼花疎水國秋」
老いたる年。魏武帝詩「烈士──、壯心不已」宋書、范泰傳「──事佛甚精」=晚年·暮齒·晚節。
日暮に帆をかけて行く舟。李頎、題綦毋校書別業詩「行客──遠、主人庭樹秋」
くれごと、毎夕。宋玉、高唐賦「朝朝──、陽臺之下」
よる。後漢書、楊震傳「──無知者」=莫夜。
暮年に同じ。齊書、劉善明傳「惡色憎聲、──尤甚」=晚年·暮齒。
富貴の人にへつらふ義。杜甫詩「朝扣富兒門、─────」
12畫
エイ·アイ エツ イ [霽]
○かざす、おほふ(翳)○くもる(陰)くらし「陰─」○くもりてかぜふく(陰而風)詩、邶風「終風且─」
日光をおほひ翳 カザ してくらき貌。詩、邶風「──其陰」
くもりて吹くかぜ。爾雅「陰而風爲──」
エフ イフ [葉]
○てる、ひかる、かがやく(光)「赫─」○あきらか(明)○いなびかり(震電)いなづまの閃 ヒラメ く貌。後漢書、張衡傳「列缺─其照夜」列缺は震電。○──は盛 サカ んなる貌。
さかんなる貌。班固、東都賦「鐘鼓鏗鈞、管絃──」
○かがやきて盛んなる貌。漢書、敍傳「世宗──、思弘祖業」=曄然。○ひかりてつやある貌。四皓歌「──紫芝、以可療饑」
盛んなる貌。馬融、長笛賦「奄忽滅沒、──復揚」
キ [未]
○と、ともに(與)左、昭七「─齊平」書、堯典「汝羲─和」○あづかる(與)書、禹貢「朔南─聲敎」○およぶ、および(及)史、始皇紀「東至海、─朝鮮」○いたる(至)○──はたけくいさましき(果毅)貌。禮、玉藻「戎容──」○日頗る見ゆ、あらはる。
ケウ ゲウ [篠]
○あかつき、あけぼの、よあけ(曙)「淸─」○遇ふ。○あきらか(明)○しる(知)さとる(通)「通─」さとす(喩)「─喩」敎へ知らしめる。史、西南夷傳「指─南越」○まうす(白)漢書、元后傳「未─大將軍」○とく(說)○さとし(慧)
同訓異義
サトル 曉·覺·悟·喩·了の別は覺(見部十三畫)の條を見よ。
あけがらす。蘇軾詩「吹笛墮秋葉、讀書隨──」=曉鵶。
あさのもや。徐彥伯詩「靑潭──籠仙蹕」
あけがらす。羅鄴詩「夢斷南窗啼──」=曉鴉·曙鴉·曙烏。
あさの閒のひま。王勃賦「酌丹墀之──、候靑禁之宵餘」
あかつきのもや、あさやけ。皇甫曙詩「朝旦微風吹──、散爲和氣滿家家」
さとり知る、あきらかにしる。左傳「明允篤誠」疏「明者達也、──事務、照見幽微也」
あかつきに鳴る角笛の音。沈佺期詩「將軍聽──、戰馬欲南歸」
あかつきに見る。杜甫詩「──紅濕處、花重錦官城」
朝早くおきる。溫庭筠詩「──動征鐸」=早起·夙興·晨起。
よあけのあかり。蘇頲詩「──雲外洗、晴色雨餘滋」
さとしをしふ。埤雅「故鶴鳴一二、以──之」
あけがたのつき。沈佺期詩「──臨窗近、天河入戶低」
さとる。さとす。列子「窮年不相──」=了解·曉解。
あかつきを報ずるつづみのおと。李咸用詩「──軍容肅」五代史、司天考「顯德元年正月庚寅、有大星墜有聲如雷、牛馬皆逸、京城以爲──、皆伐鼓以應之」=曙鼓。
さとしつぐ。北史、韋珍傳「──悉以酒脯代用」
あさのけしゃう。沈佺期詩「斜光映──」
あかつきのしも。謝靈運詩「──楓葉丹」=晨霜。
あけがたのやま。杜甫詩「鼓角悲荒塞、星河落──」=曉峯·曉嶺。
あかつきのあらか。梁簡文帝詩「──飛銀礫、浮雲暗未開」
さとししめす。魏書「王澄遣人──情禮」=諭示·曉諭
さとりならふ。後漢書「每存憂濟、又──邊事」
あけがたのあかるき色。孟郊、送人詩「──奪明月、征人逐羣動」
あかつきのほし。張嘉貞詩「澤將春雪比、文共──連」=晨星。
あけがたの雨あがり。皇甫曾詩「──心始安、林端見初旭」=晨霽。
あさと、ゆふべと、あさばん。漢書「──號泣」=朝夕·晨夕。
あけがたのゆき。溫庭筠詩「緱嶺參差殘──」
よあけの時刻、よあけを告げるとき。箭は漏刻 ミヅドケイ の壺の中の矢、時刻を示すもの。杜甫詩「五夜漏聲催──」
あきらかに通ずる。南史、沈攸之傳「──吏事、自强不息」=曉暢·曉通·通達。
あけがた。戴良詩「──發東膠、落景次高密」
明かにさとり通ずる、通達する。蜀志、諸葛亮傳「──軍事」=曉達。
あけがたのそら。陳子昂詩「明月隱高樹、長河沒──」
あさひ。劉宰詩「要上扶桑看──」=旭日·朝暾·晨曦。
あさめし。岑參詩「夜眠楚煙濕、──湖山寒」
あきらかにさとす。後漢書「──曲直、退無怨者」=曉喩。
あかつきのかぜ。唐明皇詩「馬色分朝影、雞聲逐──」
あさの讀經のこゑ。陸龜蒙詩「──陽烏當石磬」
よあけのきり。韋應物、對雨詩「颯至池館涼、靄然和──」
さとす。漢書「欲以──衆庶、不亦難乎」=曉譬·曉諭。
○前條に同じ。○ 俗 告示文。
明かにさとる。淨住子「──因緣法」=了解。
あさのつゆ。白居易、荷珠賦「宿雨霽而猶在、──裛而正鮮」
あけがたの水時計(漏刻)の聲が聞える。梁武帝、閶闔篇「期門───」
セン [鹽]
○ひのぼる(日光升)ひので。○─羅 シヤム は國名、亞細亞の東南に位し、緬甸 ビルマ の東、安南の西に在り。
タイ [隊]
○瞹─は明かならざる貌、くらし(暗)○おほふ。○かざす(翳)
タン ドン [覃]
○くもる、雲が天に布 シ く。晴の反對。○くもり。○黑雲の貌。○瞿─ クドン は釋迦の稱。○ 國 クモルクモリ はっきっせぬ、光がぼんやりする、つやが失せる「鏡が─る」
○黒雲の貌。江淹詞「海外陰兮氣──、江上月兮光灼灼」○くもる貌。鮑照賦「望波際兮──」
○多年生草、莖高さ四五尺、夏月花開く、色紅黃にして甚だ美なり、月を經て謝せず、一名、美人蕉。○優──の略稱。
くもりたるそら。晴天の對。
トウ [東]
○ひので(日出)○─曨は日が明かならんとする貌。李商隱詩「鳳池春瀲灧、雞樹曉─曨」轉じて心情の明かになりかかる貌。陸機、文賦「情─曨而彌鮮」
日の明かな兮んとする貌。李商隱詩「海日高──」
トン [元]
あさひ(旭)「朝─」「曉─」「海─」ひので(日始出)楚辭、九歌「─將出兮東方」=旽。
○日光の圓滿なる貌。岑參詩「風暖日──」○火の光の盛んなる貌。唐書、五行志「火精赤──飛來」
レウ [蕭]
瞭とは別
あきらか(明)
レキ リャク [鍚]
歷に通ず
○こよみ、日月星辰の運行を推算して季節、時令を定める法「日─」「新─」「舊─」又其の定めたる法の記錄。○まはりあはせ(運命)「─數」「─命」○年壽、壽命。○年代。漢書、諸侯王表「周過其─、秦不及期」○日月星辰の行度。○としつき(歲月)○日記。○かず(計數)○かたどる(象)「─象」
こよみ、日月が天に行曆して、二十八宿三百六十五度の分紀を生ずる義。素問「上應天光星辰──」
こよみの事をつかさどる役人。=曆正。
○こよみ。事物紀原「物理論曰、疇昔神農正節氣審寒溫、以爲早晚之期、故立──」○こよみにて定められたる日。太上隱者詩「山中無──、寒盡不知年」
○こよみを推し天文を觀る、象は天文を觀察する器。書、堯典「──日月星辰、敬授人時」○日月星辰の稱。易經「──謂日月星辰也」
こよみに關する書。史記、自序「作──第四」=時憲書。
○こよみ。書經「五曰──」○帝王相繼ぐ、まはりあはせ(運命)論、堯曰「天之──、在爾躬」
曆官に同じ。左傳「鳳鳥氏──也」
○としつき、歲月。○こよみにて定めたる一年、太陽曆にては三百六十五日。
こよみのつくりかた。唐書、曆志「──尙矣」
こよみの終。宋祁詩「──無餘日」=歲除。
曆數と天命と、運命の義。文選、辨亡論「──應化而微、王師躡運而發」
13畫
アイ [隊]
○おほふ(覆)日が明かならず。○かざす(翳)おほひかくす「隱─」○晻─は暗 クラ き貌。
くらき(昏昧)貌。晏子春秋「星之昭昭、不如月之──」
情意のこもれる貌。韓非子「明君之行賞也、──如時雨、其行罰也、畏乎如雷霆」
うす暗き貌。沈佺期詩「──淸軒暮、浩思非所任」
おほふ、おほはれてくらし。
あきらかならず、物のまぎらはしきにいふ。晉書、杜預傳「不敢以──之見自取後累」
曦(日部十六畫)の略字。
キャウ·カウ シャウ [養]
○さきに、以前·前日(往·曩)=向·嚮。○むかふ。=向。○あきらか(明)明かにす。莊、秋水「證─古今」
前日の義。呂覽、觀表「──右宰穀臣之觴吾子也」
14畫
エゥ [嘯]
○ひかり、かがやき、ひのひかり(日光)○かがやく、ひかる(燿)○てる(照)○日月星の總稱。日·月と火水木金土の五星とを日にわりあてて呼ぶ稱「日─」「水─」又其の七─日卽ち七日閒を一週閒といふ。○靈─は天をいふ。─靈は日の別稱。
威光をかがやかす。東京賦「三農之隙、──中原」
ひかりかがやく。梁簡文帝詩「雕棨紛──」=炳煜·照曜·晃曜。
光のかがやく貌。顏延之、郊祀歌「遙輿遠駕、──振振」
北斗星。尙書大全「北辰謂──」
のにかがやく。王粲文「揚輝吐火、──蔽澤」
日、太陽。楚辭、天問「角宿未旦、──安藏」
クン [文]
○タ日の光(日入餘光)○赤黃色。○日がくれる。李華、弔古戰場文「風悲日─」○ひぐれ、たそがれ(黃昏)謝靈運詩「夕─嵐氣陰」
ゆふやけ。=晚霞。
たそがれ。南史、朱昇傳「酣飲其中、毎迫──」=黃昏·日暮·曛夕·纁黃〔楚辭〕
日くれてくらし。舊唐書、李渤傳「時已──、不問色目」
ゆふひ。謝靈運詩「夕慮曉月流、朝忌──馳」=夕陽·落暉·斜照。
黃色を帶びたるきり。鮑照詩「──蔽九天」=黃霧。
シヨ [御]
○あけぼの、あかつき(曉)あした(旦)夜のひきあけ「拂─」○あける、夜があける、東方明か。
あけがらす。楊巨源詩「唯有懷鄕客、東飛羨──「=曉烏·曉鴉。
よあけになくうぐひす。李頎、宿香山寺詩「東林──滿、惆悵欲言旋」=朝鶯·曉鶯·晨鶯。
あけがらす。宋之問詩「採花驚──」=曉烏。
あけぼのの日かげ。王襃詩「──初分地、暗色始成光」=曙色。
あさはやく起きて終日の戒をする。管子「──勿─怠」
あけがたの時刻。錢起詩「引滿不辭醉、風來傳──」=曙漏。
あさひ。陳沂詩「天門開──」=朝曦。
○あけぼののひかり。岑參詩「雞鳴紫陌──寒、鶯囀皇州春色闌」=曙色·曙暉·曉光。○ 國 善き物事の來らんとするきざし「平和の──」
あけがたのつき。王維詩「──孤鶯囀、空山五柳春」=曉月。
よあけののち。方干詩「──月華猶冷濕」
あさひ。王襃詩「平湖開──、細柳發新春」=曉日。
よあけのかねのね。李嶠、餞駱四詩「星月懸秋漢、風霜入──」=曉鐘。
あけがたのほし。方干詩「──沒盡提網去」
よあけのゆき。李頎詩「千巖──旌門上」=曉雪。
よあけのかぜ。江淹詩「戾戾──急」=曉風。
よあけのつむじかぜ。劉永之詩「雪色征袍拂──」
よあけののべ。王勃、採蓮賦「憐──之絳氣、愛晴天之碧雲」
暴(日部十一畫)の本字。
ボウ モウ [東]
くらし、日未だ明かならず。
○くらし。蜀志、郤正傳「昔在鴻荒、──肇初」○目がくらし。=曚昧〔蔡邕、瞽師賦〕
日の光未だ明かならず〔集韻〕
15畫
クヮウ [漾]
○あきらか(明)障礙物無くして明かなる貌。後漢書、竇融傳「─如發曚」○ひろし(豁)「開─」「宏─」○むなし(空)「空─」○大いなり。○むなしくす、あける、からにする。孟、離婁「─安宅不居」缺く。むだにする「─日彌久」おろそかにする「─官」「─職」○すたる、すつ(廢)○男子の壯年にして妻なきもの「─夫」○とほし(遠)○ひさし(久)「久─」「─久」
同訓異義
ムナシ 曠·空·虛の別は空(穴部三畫)の條を見よ。
ひろくしてたひらか。唐書、賀知章傳「性──、善談說」
うち開けてひろし。劉歆文「高巒峻阻、臨眺──」
廣大なるめぐみ。鄧潤甫文「宜覃──、徧曁羣品」
ひろきうみ。薛能詩「唯思──無休處」
ひろくして心よし。陸游詩「耳目差──」
ひろき心。又、心をひろくす。杜甫詩「──拂氛翳」
ひろびろしたる貌。史、日者傳「天地──」
ひろく大いなり。白居易詩「──了如空」
官職を怠りてむなしくする。韓愈、諍臣論「冒進之患生、──之刺興」
ひろびろしたるはら。穆天子傳「自西王母之邦、北至于──之野」=曠野。
古を空しくする。前例の無き義。=未曾有·空前。
年月をむなしく過ごす。又、久しき歲月。朱熹詩「──一登歷」=曠年。
心ひろくしてゆったりと自得せる士。李白詩「所貴──懷、朗然合太淸」
ながくもちこたへる。漢書、韓信傳「曠日持久、糧食單竭」
空しく日を過ごして久しきにわたる、事のながびくにいふ。史、刺客傳「太傅之計、────、心惛然、恐不能須臾」
○職務を怠りて空しくす。=曠官。○官職の缺けたるままに置く。北史、薛端傳「設官分職、本康時務、苟非其人、不如──」
曠は空、當世にたぐひなしと自負する程の大いなる度量。晉書、郗超傳「卓犖不羈、有────」
むなしくたゆ、後がなくなる。江淹、傷友人賦「叔世而──」
曠世に同じ、一世を空くしてならぶものなし。陸游、賀壽皇正旦表「以父子之親、而行堯舜──之事」=絕代。
ひろびろしたる貌。後漢書、馬融傳「坰場區宇、恢昭──」黃庭堅詩「人生要得意、壯士多──」
心ひろくして通達する。晉書、張翰傳「時人責其──」
次條に同じ。晉書、王述傳「但──、微不及耳」
心ひろくして淡泊 サツバリ 武少儀文「怡心──、篤志廉直」=曠淡。
むなしくあらして、耕作せざる地。禮記「無──、無游民」漢書、食貨志「朝無廢官、邑無敖民、地無──」
ひろき度量 ハラマヘ 梁肅、墓銘「融融和風、綽綽──」=宏量·廣度。
久しき歲月。束晳文「──累稔、不墮其志」=曠歲。
なむしくすたる。又、すたれたること。宋史、禮志「太宗尙儒雅、勤於政事、修明典章、大抵──擧矣」
心ひろくほしいまま。晉書「向秀曰、嵆意遠而疎、呂心曠而放」=不羈。
ひろきながめ。高適詩「迢遞溟海際、──滄波開」
ひろくとほし。楊炯賦「佇閒庭之──」=茫漠。
曠は空、壯年にして妻なき男。孟、梁惠王「內無怨女、外無──」
ひろくしてあをし。沈亞之、乞巧文「天──以凝暮」
ひろびろしたるのはら。詩、小雅「匪兕匪虎、率彼──」=曠原。
ひろびろとほがらかなり。晉書、張協傳「野──而無塵」
暴(日部十一畫)の俗字。
衣を日光にさらす。項斯詩「船裹誰鳴磬、沙頭自──」
書物のむしほし、土用干 ドヨウボシ 四民月令「七月七日、曝經書及衣裳不蠹」=曬書。
○せなかを日にさらす。南史「小人常日──、此不足爲勞」○せなかを日光にて煖める。蘇軾詩「──談金鑾」
風雨にさらさる。杜甫詩「──墻壁外」=暴露。
16畫
ギ [支]
○日のいろ(日色)○日のひかり(日光)「丹─」「朱─」「赫─」「朝─」「曙─」
日のひかり。韓愈詩「──霽?物、景耀鑠宵祲」
ロウ [東]
○ひので(日出)○くらし、曈─はほのぐらし、日の明かならんとする貌「曚─」
うすぐらき貌。劉孝威詩「──隔淺紗、的的見牀華」
17畫
ダウ ナウ [養]
○さきに、前日。=曏·嚮。○むかし(旣往·前者)○ひさし(久)
さきにたてたるいさを。陸機文「知──之可矜」
曩日に同じ。賈誼、過秦論「非及──之士也」
さきのひ、さきごろ。梁簡文帝文「北冀無山、豈自高于──」=曩時·曩昔。
さきの日、者は助辭。左、襄二四「──志入而已」=曩昔·昔者·前者。
さきの日。思舊賦「追思──遊宴之好、感恩而嘆」
19畫
シ サイ [紙]
俗に省きて晒に作る
さらす(暴)日にて物を乾す。
書物を日にさらす、蟲干。世說「郝隆、七月七日、見富家皆曬衣帛、卽出日中仰臥、人問其故、曰我曬腹中書耳」=曝書。
20畫
タウ [養]
くらし(日不明)