言部
0畫
①ゲン·ゴン [元]
②ギン [眞]
①こと、ことば。周禮、大司樂、註「發端曰─、答述曰語」史、商君傳「貌─華也、至─實也、苦─藥也、甘言疾也」○いふ、ものいふ、宣 ノ べる、心に思ふことを、ことばに發表する。論、鄕黨「食不語、寢不─」○字、又は句。一─ イチゲン は一句。論、爲政「一─以蔽之、曰、思無邪」又は一字。揚雄、解嘲「獨說四十餘萬─」○いふこころ、さぅいふわけは。○はかりごと(謀)○われ、わが(我)爾雅、釋詁「─、我也」○いひつけ(命令)○ここに、無意味の助字、詩經に多く用ふ。孟、公孫丑「詩云、永─配命」○── ゲンゲン は高大なる貌。
②古、誾(言部十畫)に通ず、── ギンギン は和ぎ敬む貌。=誾誾。
同訓異義
イフ 言·謂·曰·云·道○言·謂の二字は義略~同じ、言は心に思ふ所を、口に述ぶるなり、言論·言說などと熟す。謂は、報也、吿也と註す、人に對して言ふなり「子謂二顏淵一曰」の如し。又人に對して言ふにあらずして、其の人を評して言ふにも用ふ「子謂二子賤一」の如し、又謂は、おもへらくとも訓む、心に思ふことは、必ず口にあらはるればなり。○曰·云の二字は義略~同じ、正字通にも「云與レ曰、音別義同、凡經史、曰通作レ云」とあり、但し云は、意稍輕く、曰は稍重し、云の字、文の終におきて誰氏云との如く結ぶことあり、これは誰が此の如く云へりとの意なり、かかる所に、曰の字を用ふることなし。○道は言と同じ、ただ言は、多く實用にして重く、道は虛用にして輕し、孟子に「道二性善、一言必稱二堯舜一」また「非二先王之法言、一不二敢道一」の如し。
聞きて心地よき言。左傳「幣重而──誘我也、不如無往」國語「言之大甘、其中必苦、譖在中矣」
○心に思ふことをいふ。陸雲文「區區至心、謹復言意」○ことばと心と。
ことば。左傳「子之──、又焉用盟」
知言(一三三七頁二段)を見よ。
立言(一四○三頁一段)を見よ。
いつはりをいふ、前言を履行せず。書、湯誓「余不──」
ものいふこゑ。南史、宋長沙王道憐傳「道憐素無才能、──甚楚」=語音。
人の言論のみを聞きて、其の人を取る。史、仲尼弟子傳「────、失之宰予、以貌取人、失之子羽」
一言の下に。傳燈錄「師於──感悟」
ことばと、おこなひと。易、繫辭「──君子之樞機、樞機之發、榮辱之主也」戶の開閉は樞 クルル に由る、機は弩の引き金、弩の張弛するは、機に由る、因りて事の肝要なるに喩ふ。
言ふ所と行ふ所と相そむきて一致せず。淮南子「言與行相悖、情與貌相反」=口行相反〔荀子〕
一人の嘉言善行を記せしもの、行述の類、朱熹に「宋名臣───」の著あり。
ことばを輕輕しく出すときは、後日の憂を招く。法言「─────、行輕則招辜、貌輕則招辱、好輕則招淫」
ことばにてたはむれる。北齊書、司馬子如傳「性滑稽、不治檢裁、──穢褻、識者非之」
口に出して言はざる所、言文にいひあらはしたる以外。
君德又は政事の失を諫むる官。正字通「──、諫官也」=諫官·言職。
○高大なる貌。一解に將に壞れんとする貌。詩、大雅「崇墉──」○ ギンギン 和ぎ敬む貌。禮、玉藻「二爵而──斯」=誾誾。
面會してはなしする。南史、張敷傳「道中可得──」=晤言。
○ことば。周禮、大司樂、註「發端曰言、答述曰語」○孔門四科の一。論、先進「──宰我·子貢」
言語の性質·發達·構造などを究むる科學。=博言學。
○ 佛 ことばに述ぶべきやうもなき奧深き眞理。瓔珞經「────、心行所滅」○ 國 以ての外のこと、いふにたへぬ。
ことばのついで。魏志、注「邵因從容──微激之」邵は令狐邵。=語次。
○己の志をのべる。書、舜典「詩──、歌永言」○轉じて詩をいふ。
ことば。吳質文「威儀虧替、──漏渫」=言詞。
國 ことばのしち、後日のしょうことなる約束のことば。
上に申しあげる。宋史、顏師伯傳「詳考政最、以時──」=上奏。
諫言をするやく、諫官の職〔韓愈、爭臣論〕=諫議大夫·言官。
ことばの上のちかひ。左傳「──未就、景公卽世」
ことばに味ある義。搴新錄「笑?──、足添腹笥」
ものいひ且つわらふ。詩、衞風「總角之宴、──晏晏」(晏晏は和柔の貌)
○言論をなすべき責任、諫官などの任。孟、公孫丑「有──者、不得其言則去」○ 國 言說せし責任。
言語のわき出づること泉の如き義。晉書、文苑傳序「──會于九流、文律諧于六變」(會于九流とは九流の說に合する博辯弘辭をいふ)陸機賦「──流於脣齒」
ことばのりくつ、言語文字の末に拘 トラ はれる義、筌は筌蹄の筌にて魚笱なり、一に荃に作る。滄浪詩話「不涉理路、不落──者上也」
○ことば、詮は事理をのべ明かにする。張說詩「聲眞不世識、心醉豈──」○前條に同じ。朱熹詩「不涉──不落空」
面會して話す。何承天書「末緣──、聊以代面」=晤談。
はなし。禮記「禮節者仁之貌也、──者仁之文也」
言談の多きに喩ふ。晉書「裴頠字逸民、樂廣嘗與頠淸言、欲以理服之、而頠辭語豐博、廣笑而不言、時人謂頠爲─────」
言葉は卑近にして意味は深遠なり、指は旨。孟、盡心「─────者、善言也」
ことばと、ふるまひと。北史、劉炫傳「記──於麟閣」
曾て聞きたる言の耳に存じて忘れざる義。左、文七「晉穆嬴曰、今君雖終、────」
言は易く行は難し、故に言ふことは遲鈍にして、行ふことは敏疾にす。論、里仁「子曰、君子欲訥於言、而敏於行」
言語に文章 カザリ なきは之を行ふこと遠大ならず。孔子の語〔左、襄二五〕
ことばと、かたちと。後漢書、范冉傳「窮居自若、──無改」
言語は心の聲にあらはれたるもの。揚子法言「────、書、心畫也」
ことばは我が身の文章、卽ち身の飾。左、僖二四「────也、身將隱、焉用文之、是求顯也」
辯舌の巧なるをいふ。史、殷紀「帝紂資辯捷疾(中略)智足以拒諫、─────」莊、盜跖「强足以拒敵、辯足以飾非
言語と文章と「──一致」
言語と文章とを同一にする、文語と口語と同じくする。
議論と、文法卽ち法律とがきびしくひどし。史、曹相國世家「參代何爲相國、吏之────、欲務聲名者、輒斥去之」
いひあかす、公言する。=聲明。
道理にもとりたる言を人に加ふれば、人も亦道理に戾りたる言を我に加へる。大學「是故─────────、貨悖而入者、亦悖而出」
上に建言するみち。後漢書、袁紹傳「杜絕──」陸游詩「近聞下詔通──」
議論をいふ。後漢書、符融傳「李膺風性高簡、每見融、輒絕他賓客、聽其──」
2畫
クヮウ [庚]
○大いなるこゑの形容「匉─」○鐘鼔の聲。○いかりさけぶ聲。
大いなる濤 ナミ の聲。又鐘鼓の聲。枚乘文「──匈磕」=隱訇。
雷の聲。何晏賦「聲──其若震」
水のはげしく流れる聲の形容。史、司馬相如傳「砰磅──」
大風の勢の盛んなる貌。韓愈詩「颶起最可畏、──簸陵丘」
大いなるこゑの貌。楊炯文「文貍赤豹、電策雷車、隱隱中道、──太虛」=訇然。
大いなる聲。韓愈詩「──震動如雷霆」
ケイ [霽]
○かぞふ(算·數)數をかぞへる「合─」○算術·數學。禮、內則「學書─」○かんぢゃう、決算「會─」「月─」「歲─」○はかる(謀)みつもる。○はかりごと(策)「奇─」「長─」「妙─」「謀─」「祕─」○決算の帳簿「─簿」「─帳」 國 ○ ハカラフ 處置する。○ バカリ 其ればかり、其れだけ。
同訓異義
ハカル 計·謀·圖·量·度·稱·權·測·料·忖·揣·商·揆·略·策·籌·算·挍·議·畫·程·詮·衡·諏·詢○計は物の數をかぞへるなり、總計は數の總じめなり、心計は、胸算用なり。轉じて謀計の義に用ふ。三國志「言行計從」○謀は心に慮るなり、人と相談してはかるに用ふ。韓文「謀二於所親一」又、はかりごとと名詞にしても用ふ。○圖は、はかると訓むときは、料度·計量等の義なり。はかりごとと訓むときは、謀略の義、雄圖·後圖·壯圖の類。○量は、ますなり、轉じて分量をつもり見る意、商量·量度·測量などと用ふ、名詞としては識量·度量·酒量などと用ふ。○度は、ものさしのときは、音ド轉じて大度·遠度などと用ふ。また、はかると訓むときは音タク尺度にて、長短を度る如く、心につもり見る意、料度·量度などと用ふ。左傳「不レ度レ德、不レ量レ力」○稱は、はかりなり、はかりにかけて、輕重を知るやうに、釣合ょくする義。世說「劉眞長爲稱レ藥、荀令則量レ水」○權は稱錘ハカりノオモりなり、物の輕重をかけて見るやうに、さしひき見はからふなり。轉じて權謀·權變などと用ふ。○測は水の淺深をはかるなり。轉じて奧底のはかり知られぬ義とす、推測·測量などと用ふ。歐文「少忤二權要、一其禍不レ測」○料は、ますめを數ふる義。轉じてどれ程と、心にはかりつもるに用ふ。史、蘇秦傳「外料二其敵之强弱、一內度二其士卒賢不肖一」○忖は先方の心を推量するなり。詩經「他人有レ心、吾忖二度之一」○揣は量也と註し「度レ高曰レ揣」とも註す、又手にてさぐりはかる義あり、これ程であらんかと、頭を傾けて思案する意。孟子「不レ揣二其本、一而齊二其末一」○商は商量·商略などと用ふ、彼此をつもりはかるなり。世說「商二較人物一」○揆は度に同じ、一っのかたに合ふか、合はぬかをはかるなり、揆度と用ふ。○略は田地の境を計畫する義、きりもりするに用ふ、はかりごとと訓するときは、軍略·霸王略などと用ふ。○策は、はかりごとと訓むときは、籌策·策略などと用ふ。はかると訓むときは、蓍策にてかくすれば善、かくすれば惡と、一っ一っにはかるなり。孫子「策レ之知二得失之計一」○籌は數とりなり。轉用してはかりごとの義に用ふ、籌策·勝籌などと用ふ。史記「運二籌帷幄之中一」○算はさんぎなり。轉じて謀略の義に用ふ、勝算·廟算の類。○挍は比較してはかり見るなり、校に作る同じ。唐書「校レ功爭レ能」○議は事の宜しきを評定するなり。曲禮「公事不二私議一」○畫は圖に近し、もと線を引きて、此の通りがよからんと、差圖する意。史、魯仲連傳「爲レ秦畫二長平之事一」○程はこれ程と限量を立つるなり。禮、儒行篇「引二重鼎一不レ程二其力一」○詮ははかりにて物をかける如く、品位の高下を精しく品評して分つをいふ、詮評·品銓と連用す、吏部の官を銓官といふは、人材を選びて官を銓授することを掌るによる。晉書「文帝數~與銓論」○衡ははかりのさをなり。轉じて左右を見合せ、公平にはかる義とす。漢書「衡平也、所三以任レ權而均レ物平二輕重一也」○諏は聚りて事を相談する義、說文に「聚謀也」とあり。○詢はとひ謀る義。詩、小雅「周爰咨詢」
會計を掌る役人。魏書、高祖紀「孝秀──、而對多不實」
はかりくらべる〔唐書、竇懷眞傳〕=計較。
○はかる。三國志、孫堅傳「夜馳見袁紹、畫地──」=計校·商量。○爭論する。漢書、注「相與──也」
俗 經濟學。
はかりごと。又、はかり相談する。史、張儀傳「願大王審定──」
はかりごと。史、陳丞相世家「誠臣──有可采者、願大王用之」=謀慮。
はかりごと、事前に謀りて勝を制するもの。吳志、呂蒙傳「引見諸將、問以──」
○かぞへはかる。○國家の會計。史、平準書「桑弘羊以──用事」
國家のはかりごとを爲す臣。孔叢子「子高謂魏王曰、臣入魏國、見君之二──焉、張叔謀有餘、范咸智不足」=謀臣。
○はかりごと。北史、沮渠蒙遜傳「有勇略多──」=計畫。○數をかぞへる。
國家の會計を司る役所、宋代の制、三司(鹽鐵·度支·戸部)を總べたる役所、其の會計の府たるが故〔蘇軾、上神宗書〕
計簿に同じ。漢書、張蒼傳「明習天下圖書──」
春秋の越の人、名は硏、范蠡の師、蠡すでに會稽の恥を雪ぎ、歎じて曰く、──の策─あり、越其の五を用ひて志を得たり、今吾之を家に用ひんと欲すと、乃ち陶に之 ュ きて產を治め、富巨萬に至る。
かぞへはかる。詩經、疏「亦助之──」
かぞへはかりておく。宋史、蔣偕傳「──陝西錢糧」
○戶籍簿。漢書、武帝紀「受郡國計」注「計若今之諸州──也」後漢書、光武紀「遣使奉計」注「計謂人庶名簿、若今──」○會計の帳簿。
はかりごと。=計畫。
會計を記したる帳面。漢書、宣帝紀「上──、具文而已、務爲欺謾、以避其課」=計籍。
はかりごと。=計略·謀計。
會計を司る官吏。又其の會計簿を朝廷に上 タテマツ る官吏。漢書、朱買臣傳「買臣隨──爲卒」
はかりごと。後漢書、杜詩傳「詩善於──」北齊書、段韶傳「長於──」=謀略·謀慮。
はかりごと。元史、皇后册文「贊畫──」
數へはかる。=計量·計較。
①テイ [靑]
②テイ [徑]
①はかる、公平に議する。說文「平議也」○くらべあはす。
②はかる(校)○とどこほる(逗遛)○ただす(正)「─正」「校─」「增─」○定める、結ぶ「─盟」「─交」
同訓異義
タダス 訂·正·規·繩·糾·格·匡·董·質の別は正(一○○八頁二段)の條を見よ。
まじはりを定める。=締交。
あやまりを正し定める。譌は訛。淸の胡鳴玉の著に──雜錄(十卷)あり。
文章のあやまりを改め正す。晉書、荀崧傳「其書諸所發明、或左氏·公羊所不載、亦足有所──」
やくそくを結ぶ。=締盟。
フ [遇]
古、赴に作る
○つぐ(吿)人の死去を知らせる。○つげ、しらせ(報)死去の報知「─音」「─報」「奔─」「傳─」柳宗元文「捧─哀號」○いたる(至)
死去のしらせ。左、隱七「凡諸侯同盟、薨則赴以名」古は、訃·赴·報の三字通用す。
死去の知らせ。喪を人に吿げる、古は訃を赴に作る。=訃報。
3畫
①イ [友]
②タ [歌]
③タン [諫]
本、詑に作る又、?に作る
①──は自ら滿足して他人の言を用ひざる貌。
②あざむく(欺)「─謾」=詑。
③ほしいまま(放誕)「慢─」=誕。
自ら其の智を足れりとして、善言を好まざる貌。孟、吿子「──之聲音顏色、拒人於千里之外」
カゥ コウ [江]
○うちわもめ「內─」○みだる(亂)○やぶる(敗)つひゆ(潰)
キ [寘]
○しるす(錄·識)一一分別してしるす。かく(書)「筆─」「籍─」「書─」「追─」○おぼゆ(覺)「彊─」「諳─」「─問」「─誦」○かきもの(文書)「─錄」「舊─」○すべて事物を記載する書物。禮─·史─の類。○經籍をいふ。新序「子臧曰、前─有云、聖達節、次守節、下失節」○しるし(文符)「─號」○印章「鈐─」宋史「鑄銅─給之」○一種の文體、事實をありのままにしるすもの。文體明辯「金石例云、─者紀事之文也、禹貢顧命、乃─之祖、而─之名、則昉於戴─·學─諸篇」○ 國 古事記の略稱「─紀萬葉」紀は日本書紀。
心におぼえて忘れず。南齊書、沈攸之傳「史漢事多所──」關尹子「昔遊再到、──宛然」
ことばを書きつける。漢書、藝文志「左史──、右史記事」
しるしのせる。=載錄。
事實をしるす。又、其の文章。記言參看。
記錄を掌る屬官。今の書記、又祕書官の類。後漢書、百官志「──令史、主上表章報書記」續事始「幕府皆有──、掌章表書記文檄」
手にて摩 ナ でれば、記憶を呼び起すといふ不思議なる寶珠。開元天寶遺事「張說爲宰相、有人惠說一珠、紺色有光、名曰───、或有闕忘之事、則以手持弄此珠、便覺心神開悟、事無巨細、一無所忘、說祕爲至寶」
おぼえる、取は助字。曹伯啓詩「──平生作盛談」=記得。
詩書をおぼえそらんずる。記憶諳誦。宋史、選擧志「今諸科專──、非取士之意」
かずとり。僧祇律「少年比丘不解時事、日月黑白、聽用算子──等」
ものをおぼえる力、記憶力。避暑錄話「人之學術、皆可勉強、惟──各有分量」
記憶力なし。朱子語類「陳烈先生苦無記性」
俗 はっきりと記憶する。
かきのせたる帳面。漢書、尹翁歸傳「治東海、明察郡中賢不肖及姦邪罪名、盡知之、縣縣各有──」=簿籍。
歷史傳記。後漢書、盧植傳「校中書五經──、補續漢記」
おぼえ、得は助字。劉禹錫詩「曾隨織女度天河、──雲閒第一歌」=記取。
かたみ、物をとどめて後のおもひでにする(俗に紀念と書くは非)遊仙窟「破愁成笑、遂喚奴曲琴、取想思枕、留與十娘、以爲──」=遺念。
しるせし文章、佛家にて文を作るを莂といふ、未來にて受くべき果報の豫言を記せし文。梁簡文帝文「已於恆河佛所、經受──」
姓名をしるす「──投票」=署名。
徒 イタヅ らに古書を記誦し學者の問を待つのみにて、心に得るところなき學問。禮、學記「────、不足以爲人師」
書きしるす。又、其の文書。後漢書、班彪傳「──時功、作楚漢春秋九篇」
キツ [物]
○やむ、とどむ(止)穀梁、僖九「毋─糴」○つくす。ことごとく(盡)○すむ、をはる(終·了)付─は渡しずみ、收─は受取ずみ。○いたる、およぶ(至)漢書、成帝紀「─今不改」=迄。○つひに(竟)漢書、王莽傳「劉歆─不告」
①ク [麌]
②コ [虞]
①ほこる(誇)○── クク は大いなる貌。詩、大雅「川澤──」
②さけぶ(叫)○かまびすし。
ケツ [月]
○あばく(發)「告─」「─揚」○人の陰私 カクレタルワタクシ をあばきてまのあたり責める。論、陽貨「惡─以爲直者」○そしる(誹)「詆─」
人の陰私をあばきあらはす。漢書、外戚傳「──幽昧之過」
クン [問]
○をしふ(敎誨)說文「說敎也」○みちびく(導)「─導」○いましむ(誡)○したがふ(順)書、康誥「皇天用─厥道」○をしへ(敎)いましめ(戒)「敎─」「─誥」「戒─」「遺─」「家─」「庭─」「明─」「儀─」「聖─」○古言の法則とすべきもの「古─」「大─」「經─」「─典」○とく、よむ、字義を解釋す。○わけ、よみ(解釋)「─詁」「─釋」○ 國 よみ、漢字にあてたる國語「和─」
同訓異義
ヲシフ 訓·敎·誨の別は敎(八○九頁三段)の條を見よ。
をしへ導く。晉書、王延傳「農蠶之暇、──宗族、侃侃不倦」=開誘·誨誘。
○をしへそだてる。=敎育。○兒童の感情意思を鍛練して、道德的品性を陶冶すること。管理·敎授の對。
訓誡に同じ。
よみ方と意義の說明と。史記、集解序「列異同、兼述──」
をしへいましむ、誡は警。=訓戒·敎誡。
訓は敎へ導く文、誥は會同の文。孔安國、尙書序「典謨──誓命之文凡百篇」
をしへただす。家語「口不吐──之言」
文字のよみと意義と。
をしへみちびきて善に化せしむ。晉書、禮志「古之聖王、躬耕帝籍、以供郊廟之粢盛、且以──天下」=敎化。
をしふ。又、をしへ。舊唐書、王友貞傳「──子弟、如嚴君焉」=敎誨。
古語の解釋。漢書、劉歆傳「學者傳──而已」=訓詁·詁訓。
古文の字句の意義を解きあかす。漢書、揚雄傳「少而好學、不爲章句──」=訓故。
いましめつげる。書經「古之人猶胥──」
をしへしめす、さとし。
をしへいましめのことば。左傳「綏之以德、加之以──」
をしへはげます。蘇頲詩「師儒昔──、仲季時童孩」
をしへさづく。魏書、索敞傳「篤勤──、肅而有禮、京師大族、貴遊之子、皆敬憚威嚴」=誨授。
兵卒を訓練する。晉書、羊祜傳「繕甲──、廣爲戎備」
○をしへみちびく。北史、明山賓傳「累居學官、有──之益」=訓迪。○ 國 小學敎員の資格の名。
敎へみちびく、迪はみちびく。王安石、周禮義序「──在位」=敎訓啓迪。
古先王、聖賢の書。左傳「吿之──」陶潛文「言合──、行合世範」
國 漢文の送り假名と返り點と。
國 漢字又漢文を和讀する。
てほんとすべきをしへ。陸雲文「內修──、外陶氓俗」
童蒙ををしへさとす。書、伊訓「具訓于蒙士」疏「蒙、謂蒙稚、卑小之稱」小學、明倫篇、小序「述此篇以──士」
をしへさとす。魏志、趙儼傳「使儼幷參三軍、每事──、遂相親睦」=訓諭。
をしへさとす。又、其のをしへ。=訓喩。
軍隊の訓練。王融詩「治兵聞魯策、──見周篇」
上官が下官に對して、事務の方針などに關して下す命令。
をしへならす。唐書、郝廷玉傳「吾處兵閒久、今始識──法」=敎練。
サン セン [諫]
○そしる(謗)論、陽貨「惡居下流而─上者」○そしり、そしることば(毀語)
同訓異義
ソシル 訕·誹·非·謗·訾·詆·刺·毀·譏·誚·短の別は誹(言部八畫)の條を見よ。
上の位に在る者をそしる。字解參看。
そしりわらふ。唐書、韓愈傳「愈獨喟然、引聖爭四海之惑、雖蒙──、跲而復奮」=譏笑·非笑。
そしる。北史、賈彝傳「坐──繫獄」=誹謗·誹譏·毀謗。
シン [震]
通音ジン
○とふ(問)「─問」たづぬ(尋)○上より下に問ひただす。公羊、僖十「君嘗─臣矣」○ことば(辭)○つぐ(告)○いさむ(諫)○せむ、とがめる(讓)○罪をしらべる「鞫─」○おとづれ(音信)「音─」○をさむ(治)禮、樂記「─疾以雅」(疾は舞ふ者の疾)
同訓異義
トフ 訊·問·詢·咨·訪·諏の別は問(三三八頁三段)の條を見よ。
きびしくとひただす。史、張湯傳「──論報」後漢書、鄧隲傳「罪無申證、獄不──」=鞫訊。
たづねしらべる。北史、源賀傳「時武邑姦人石華、吿沙門道可與賀謀反、有司以聞、文成曰、賀保無此、乃精加──、華果引誣」=訊問檢察。
罪人をとりしらべる。文獻通考、刑考「卽加──」=問訊。
ジン ニン [震]
○かたし(難)はばかる。論、顏淵「仁者其言也─」○しのぶ(忍)○ことば鈍 ニブ し。○いつくしむ(仁)
タゥ トウ [皓]
○うつ(伐)兵力を以てせめる「征─」「─伐」「追─」「奮─」○をさむ(治)罪あるを治めて惡を絕たしむ。左、宣十二「其君無日不─國人而訓之」○ころす(誅)○せむ、しかる(訶)○のぞく(除)○もとむ(求)さぐる(探)たづぬ(尋)きはめる(究)「尋─」「探─」「─論」陸機、文賦「或沿波而─源」
同訓異義
ウツ 討·伐·征·擊·打·撲·拍·搏·拊等の別は伐(一一六頁一段)の條を見よ。○タヅヌ討·尋·原·繹の別は尋(五一八頁一段)の條を見よ。
たづねしらべる。唐書、王珪傳「珪孫燾、數從高醫遊、遂窮其術、因以所學、作書號外臺祕要、──精明、世寶焉」=尋繹。
互に相談する。議論をたたかはす。
物の理をたづねきはめる。唐書、韓愈傳「──儒術、以興典憲」=硏習。
唐の武后の時の官名、其の職守、招討使と略~同じ、地方の變亂によりて中央政府より臨時に派遣するもの〔唐書、高力士傳〕
根本をさがしたづねる。陸機、文賦「或沿波而──」=探源。
しらべたづねる。
春色を尋ねる。陸龜蒙文「闔閭城北有賣花翁、──之士、往往造焉」=尋春。
そむく者をうつ。左、宣二「亡不越竟、反不──」
たづねはかる。柳宗元、答蕭纂求爲師書「擧以見投、爲賜甚大、俯用──、不自謂宜」
うちはらふ。後漢書、攀準傳「準輒將兵──」
國 德川幕府をうつ「尊王──」
罪あるものをうちただす。史、十二諸侯年表「挾王室之義、以──」
俗 乞丐 コジキ をいふ。陳造詩「──充腸上岳陽」
うちて敵をとらへる。舊唐書、蘇定方傳「膽氣絕倫、年十餘歲、隨父──、先登陷陣」
うちほろぼす。=擊滅。
たづねきはめて練習する。北史、李業興傳「博涉百家、圖緯風角、天文占候、無不──」
○至當の道理をたづねきはめる。論、憲問「世叔──之」○衆人集りて議論をたたかはす。
タク [藥]
○よす、よせる(寄)「─身」○よる(憑依)たよる。○まかせる(委任·信任)「委─」たのむ(賴)「付─」○たのみ「依─」「請─」「寄─」漢書「以防請─」○かりずまひ(寄寓)○かこつける、寓言、ほのめかす「假─」後漢書、姜肱傳「─以他辭、終不言盜」○不─ フタク は麪餅、うどんの類。=餺飩。
こころをよせる。陸機詩「寄情在玉階、──惟團扇」
交情を以て相結託して友となる。李白詩「──從劇孟」
ゆだねまかす、次條參看。晉書、張華傳「帝問華、誰可──者」=寄託。
先君の遺孤を託し、諸侯の國政をゆだねる。論、泰伯「可以託六尺之孤、可以寄百里之命、臨大節而不可奪也、君子人歟、君子人也」
やまひにかこつける。嵆康、司馬相如贊「──避官、蔑此卿相」=稱疾〔史、項羽紀〕
やどをかる。莊子「假道于仁、──于義」=寄託。
寄居 カリズマヒ に同じ。漢書「聚廬而──」
寄食に同じ。管子「有百乘之守、而無尺壤之用、是謂──之君」
身の蹤跡 アトカタ を寄せ託する。陸機文「──黃老、辭世絕粒」
神佛のおつげ。=神託。
蒙古語にて國老をいふ〔元史、塔本傳〕
たのみまかす。諸葛亮、出師表「恐──不效、以傷先帝之明」=付託·委託·委任。
人にたよりて重を取る。舊唐書「──權幸」
事にかこつけて己の意を寄せる。阮籍詩「寓辭類──」
○人の幕下となる。託附といふに同じ。後漢書、趙壹傳「壹以公卿中、非陟無足以──者、乃日往到門」陟は羊陟。○他人の姓名に僞託する。
或事にことよせてさとす。曹植、七啓「假靈龜以──、寧掉尾於塗中」
4畫
イウ [尤]
とが、つみ、あやまち。詩、國風「俾無─兮」=尤。
エゥ [蕭]
○わざはひ(災)○ことば巧みにいふ。あやしきことば。漢書、文帝紀「除─言之辠」=妖。
あやし。荀、非十二子「──狡猾之人」=妖怪。
ガ ゲ [禡]
○むかふ、人を出迎へる、相迎へる。=迓。○迎へて勞 ネギラ ふ。○いぶかる、うたがふ(疑)あやしむ(怪)「怪─」「驚─」唐書、李勣傳「使至高祖─無表」
君命を以て客をむかへねぎらふ。儀禮、聘禮「──於館」
グヮ [歌]
通音クヮもと譌に作る
○あやまる。あやまり(舛·謬)文字言語のあやまり「─字」○いつはる(僞)いつはり「─言」○なまる。なまり(鄙語)○あやしきいひふらし(妖言)○かはる(化)○うごく(動)=吪。○ 俗 ─頭は過失の端 イトグチ の義にて財物を詐取するをいふ。又其のもの。
同訓異義
アヤマル 訛·誤·謬·錯·愆·過·失の別は誤(言部七畫)の條を見よ。
なまれることば。秦觀詩「癡兒踏吳歌、婭?足──」=訛語。
○僞りのことば、ねなしごと(流言)詩、小雅「民之──、寧莫之懲」=僞言。○なまれることば。=譌言。
あやまりたがふ。隋書、禮儀志「世載遐邈、風流──」=謬舛·舛訛。
あやまりつたへる。
あやまり。五代史、宦者傳敍「雜以──」=誤謬。
①キン ギン [文]
③キ [支]
①よろこぶ(喜)=欣。たのしむ(樂)
②──は和 ヤハラ ぎつつしむ貌。漢書、石奮傳「僮僕──如也」=誾誾。
③むす(蒸)禮、樂記「天地─合、陰陽相得」(和氣の交感するをいふ)
同訓異義
ヨロコブ 訢·欣·喜·悅·歡等の別は喜(三三九頁四段)の條を見よ。
よろこぶ貌。賈山、至言「天下───、曰將興堯舜之道三王之功矣」
よろこぶ貌。孟、盡心「終身──、樂而忘天下」=欣然·欣欣。
よろこびて推しいただく、悅服して推戴する。訢一に欣に作る。史、周紀「庶民不忍、──武王」
①キョ·コ [語]
②コ [麌]
①ゆるす。○きく(聽)○したがふ(從)其の言に聽き從ふ「聽─」孟、梁惠王「則王─之乎」○まかす(任)○うべなふ(諾)「─諾」○くみす(與)公羊、文九「─夷狄者」○なだむ(宥)罪過をゆるす。○よしとす「─可」ゆるし。○すすむ(進)○まこととす、信ずる。○あてにす(期)孟、公孫丑「管仲·晏子之功可復─乎」うけあひて任ずる。○ほど、ばかり(程度)「幾─」「少─」○この(此)かく(斯)蘇軾詩「明朝門外泥一尺、始悟三更雨如─」○ところ(所)がり、もと(場所)晉書「山公出何─」○國名、周の一諸侯、今の河南開封府─昌縣の地。○姓。─由は堯の時の高士。
②丨─ ココ 邪─ ヤコ は衆人が一齊に力を用ふる時のかけごゑ、きやり。
同訓異義
ユルス 許·赦·宥·釋·聽·允·放·縱·原·免等の別は赦(一八八四頁二段)の條を見よ。
堯の世の高士、堯が天下を讓らんとしたるを拒絕して箕山に隱る。高士傳「──隱箕山、以手捧水飮之、人遺一瓢、得以取飮、飮訖掛於樹上、風吹歷歷作聲、尙以爲煩、遂去之」
○長上の者が目下の者の願をゆるす。世說「世尊默然、則爲──」○政府が人民の願意を聞きとどける。=免許·允許·裁許。
いひなづけ、夫婦約束。曲禮「女子──、笄而字」
元の河內の人、字は平仲、魯齋と號す、程朱の書を得、慨然として斯道を以て自ら任ず、世祖の至元十八年卒す、年七十三。
身をすてて國の爲めにつくす。孔稚圭詩「本持──志、況復武德彰」
唐の人、字は用晦、詩に工なり、別墅丁卯橋に在り、故に詩集を丁卯集と名づく。
許と史との兩姓、竝に漢の外戚、宣帝の時、共に貴顯にして事を用ふ。
後漢の汝南の人、字は叔重、性惇篤、少くして博く經籍を學ぶ、馬融、常に之を推重す、時人語して曰く、五經無雙許叔重と、說文解字十四篇を作り六書の義を推究す、後世小學(說文の學)を言ふ者、皆之を宗とす。
あまた、甚だ多し。范成大詩「忽與鄕曲齒、方驚年──」
うけがふ、うべなふ。公羊傳「管子顧曰、君──、桓公曰諾、曹子請盟」=許容。
ゆるすと、ゆるさざると。=諾否。
ゆるす。
衆人の力を共にするこゑ。詩、小雅「伐木──」=邪許。
前條に同じ。淮南、道應「今夫擧大木者、前呼邪許、後亦應之、此擧重勸力之歌也」=邪許 ヤコ
キョウ [冬]
○あらそう(訟)みだる(亂)みだれ。詩、小雅「降此鞠─」○やかましくさわぐ、衆語の狀。=詾。
やかましくさわぎ立つ。晉書、劉毅傳「天下──只爭品位」=匈匈·恟恟·洶洶·詾詾。
ケツ [屑]
○わかつ。わかれる、わかれ(別)人と永くわかれる「永─」「─別」史、吳起傳「與其母─」又、しにわかれ(死別)○たゆ。たつ(絕)○決と通ず。引決は又引─に作る。○いとまごひす(辭)○おくぎ、おくのて、よき方法「祕─」「妙─」「神─」列、說符「衞人有善數者、以─喩其子」魏書、釋老志「大禹聞長生之─」
同訓異義
ワカツ 訣·分·別·判等の別は分(二二三頁四段)の條を見よ。
祕術の義。魏書、釋老志「銷鍊金丹雲英八石玉漿之法、皆有──」=要訣。
ながきわかれ。又其のいとまごひ。後漢書、雷義傳「今子遠適千里、會面無期、故輕行相候、以展──」=決別。
聲音が淸く厲 ハゲ しくして決斷ある如き義。潘岳賦「──悄切、又何磬折」
サゥ ベゥ [肴]
○みだる(擾)○はやし(疾)○すばやし(敏捷)○かろがろし(輕躁)○わるがしこし(獪)「─輕」○たかし(高)○─婧はしなやか、細腰の貌。張衡、思玄賦「舒─婧之纖腰」一解に姿 スガタ の媚 コ ぶる貌。
①ショウ [宋]
②ヨウ [冬]
①うったふ、うったへ(訴)「訴─」「健─」論、顏淵「必也使無─乎」○あらそふ(爭)曲直を法廷にて爭ふ。又、廣く是非を辯論する「聚─」○せむ(責)自ら反省する。論、公冶長「吾未見能見其過而內自─者也」○おほやけ(公)史、呂后紀「未敢─言誅之」註「─公也、猶明言也」○易の卦の名、坎下乾上。
②いる。容と通ず。
同訓異義
ウツタフ 訟·訴·愬·獄の別は訴(言部五畫)の條を見よ。
うったへを聽きて裁判する。論、顏淵「子曰、──吾猶人也、必也使無訟乎」
兄弟がうったへせめぐ。魏書、夏侯夬傳「──徹于公庭」=鬩訟。
うったふ。うったへ。孟、萬章「朝覲──者、不之益而之啓」=獄訟。
俗 人を敎唆して訟を興さしむる者。
うったへ。=訴訟。
うったへを聽く役所、裁判所。李白詩「──垂桃李」=訟廷·法廷。
訴訟入費。
セツ [屑]
○まうく。まうけ。○おく(置)○つらぬ(陳)施 シ き陳ねる「陳─」「施─」易、繫辭「聖人─卦觀象」○たてる(立)「建─」「─立」「─官」○おほいなり(大)○たとひ、もし。假設の辭。史、魏其傳「─百歲後」─使 タトヒ とも連用す、義は同じ。
もくろみ、建築などのみつもり。
防備を要害の地にまうける。易經「王公──以守其國」
說帨を見よ。
はかりまうける。規畫施行。朱熹詩「廟謨參──」=施設。
いろどる、畫に彩色を施す。考工記「──之工、謂之畫」揮麈錄「李思訓──山水」
おとし穴をまうける、計を以て人を陷るに喩ふ。家語「是謂爲民──而陷之」
女子を生むをいふ。禮、內則「子生、男子設弧于門左、女子──于門右」弧は弓、帨は人に事ふるの佩巾。この二物を以て男女の表とす。轉じて女子の生日を──又帨辰といふ。
まうけおく。後漢書、劉瑜傳「惟陛下──七臣、以廣諫道」
まうけはる、施設する。韓愈文「──擧措」
まうけさだめる。
すべて法律上の權利關係を設定する行爲。
まうけそなへる。又、其のそなへ。史、孝文紀「是以──不息」
ふせぜいを設け置く。漢書、藝文志「自春秋、至于戰國、出奇──、變詐之兵竝作」
問題をまうけて問ふ。=設題。
まうけたてる。
○命令を設ける。新論「懸敎──、以示人者法也」○たとひ。=設使。
師を待つ禮の厚きをいふ、醴は甘酒。漢書、楚元王傳「元王以穆生白生申公爲中大夫、穆生不嗜酒、元王每置酒、常爲穆生設醴、及王戊(元王孫)卽位、常設、後忘設焉、穆生退、曰、可以逝矣、醴酒不設、王之意怠、不去、楚人將鉗我於市、稱疾臥」醴酒不設は敬禮の漸く衰ふるをいふ。
文體の名、文選に──あり、東方朔の答客難、揚雄の解嘲等の篇、皆假說して問答を爲す、故に名つく。
トツ [月]
或は呐に作る
○どもる(吃)おそくにぶし(遲鈍)「木─」「拙─」○しゃべられず、口おもくして辯ずるを得ず「─辯」說文「言難也」老子「大巧若拙、大辯若─」
ことばは遲鈍にして行ふことは敏捷 サトクスミヤカ にする。論、里仁「子曰、君子欲訥於言而敏於行」
どもる、言ふこと難し。史、李將軍傳「廣──少言」晉書、左思傳「口訥而辭藻壯麗」=呐口·訥言·訥澁。
言語どもりしぶる、言ふこと難し。南史、齊東昏侯紀「性──少言」
どもる。柳宗元文「拔去──、納以工言」=訥口。
口がどもりて正直。南史、郭祖深傳「上封事曰、飾口利辭、競相推屬、──守信、坐見埋沒」
いふこと能はざる貌。=呐呐。
空言を謹みて實行をさとくする。訥言敏行を見よ。
にぶくつたなき辯舌。=訥口。
ハゥ [漾]
○とふ、たづねる、人をたづね問ふ、おとづれる「來─」「歷─」○まみゆ(謁見)○ききただす。○はかる(謀·議)汎 ヒロ く人に就きて相談する「詢─」「咨─」○さがし求める(索)「採─」○まさに。古、方に通ず。漢書、高五王傳「─以呂氏故幾亂天下」
同訓異義
トフ 訪·問·訊·詢·咨·諏の別は問(三三八頁三段)の條を見よ。
とひてなぐさめる。張華、車馬客行「論今無新喜、淸晨相──」
音樂の事を問ひたづねる。家語「孔子至周、問禮於老聃、──於萇弘」
たづねはかる。戰國策「趙武靈王曰、循計之事、佚而不累、──之行、窮而不憂」=諮議。
たづねもとむ。宋史、李道傳「雖不及登朱熹之門、而──所嘗從學者」
古跡を探りたづねる。李曰詩「──登峴首」
たづねてあつめ取る。北史、煬帝紀「咸宜──」=採訪·搜訪。
就きてとひただす。北史、序傳「李琰之少機警、善談論、經史百家、無不悉覽、朝廷疑事、多所──」=就質。
たづねさがす、おとづれる。黃庭堅詩「必有人材備──」=尋訪。
晉の王徽之、山陰に居る、雪夜月色淸朗、忽ち戴逵(安道)の剡溪に在るを憶ひ、小舟に乘じて之を訪ひ、門に至りて返り「乘興而來、興盡而返、何必見戴」といひし故事〔世說〕李商隱詩「虛乘──船」
○たづねとふ。左傳「朝以聽政、晝以──」○おとづれる。
5畫
①イ [支]
②タイ [賄]
①おくる、物品を人に贈る(遺)左、昭六「叔向使人─子產書」=貽。○のこす(遺)つたへる(傳)子孫にのこし傳へる。詩、大雅「─厥孫謀」○あざむく(相欺)
②あざむく(欺)列、黃帝「狎侮欺─」古、紿に通ず。
同訓異義
アザムク 詒·紿·欺·瞞·誑の別は欺(一○○○頁三段)の條を見よ。
訑(言部三畫)に同じ。
訑(言部三畫)に同じ。
エイ セイ [霽]
──はことばおほし(多言)=泄泄。
カ [歌]
通じて呵に作る
○せむ(責·誚·譴)○しかる、大言して怒る、とがむ(咎)「譏─」「詆─」
しかりそしる。=譏訶·詆訶。
しかりなじる。唐書、則天皇后傳「凡言變、吏不得──、雖耘夫蕘子、必親延見」=譴詰。
しかりてとめる。=呵止〔史、李廣傳〕
しかりはづかしむ。晉書、陶侃傳「切勵──」
しかりそしる。北史、何妥傳「更相──」=詆訶。
しかる。陸龜蒙詩「而我正萎痿、安能致──」
しかりののしる。魏書、劉昶傳「──童僕、音雜夷夏」
キョ [語]
○なに、なんぞ、なんすれぞ(何)あに(豈)反語の辭。宋書、沈約自序「若馳一介四方、─不響應」(一介は一人の使者)又、巨·渠に作る。又、庸─とも連用す。莊、大宗師「庸─知吾所謂天之非人乎」○とどまる(止)○いたる(至)
同訓異義
ナニ 詎·何·曷·胡等の別は何(一一八頁四段)の條を見よ。
いくばく。北史、盧玄傳「樂爲之者、──人也」
①クツ [物]
②チュツ [質]
①かがむ。史、管晏傳「君子─於不知己而信於知己者」(信は伸)=屈。○まがる(曲)まげる(枉曲)をる(折)○ちぢむ(縮)○ことばつまる(辭塞)○やむ(止)つく(盡)○絕え止む貌。○充─ ジユウクツ は喜びて節を失ふ貌。禮、儒行「不充─於富貴」
②しりぞく(貶下)戰國策「彼公仲者、秦勢能─之」=黜。
ゆびををりてかぞへる。漢書、陳湯傳「──計其日」=屈指。
かがむと、のびると。禮、樂記「習其俯仰──」=屈伸·屈信·倔信·伸縮。
しりぞけ罪す。詘は黜。易林「──不伸、道無良人」
ケイ [迥]
○うかがふ(伺·覘)さぐる(探)さぐりを入れる、候伺 ウカガフ するところある義「窺─」「覘─」「─邏」○まはしもの(反閒)
うかがひさぐる(刺探)唐書、竇參傳「參無學術、不能稽古立事、惟樹親黨、多所──、四方畏之」
コ [麌]
○よむ、とく。○よみ、現代の語にて古語を解釋せしもの「訓─」「釋─」「解─」通じて故に作る。
古書の解釋「詩周南、關睢──傳」=故訓。
浙江杭縣西湖の上に在り、淸の嘉慶の時、阮元、浙江巡撫たりし時、創建す、經史の疑義及小學·天文·地理·算法を以て士に課し、其の文の尤も雅なる者を刻して────集といふ、多く人才を出す。
詬(言部六畫)に同じ。
サ [禡]
○いつはる(僞)○あざむく(欺)晉書、刑法志「背信藏巧、謂之─」說苑、貴德「巧─不如拙誠」○いつはり、うそ(虛言)
同訓異義
イツハル 詐·僞·譎·詭·佯·陽·矯の別は僞(一六六頁四段)の條を見よ。
人、我をあざむかざるに、我よりあざむくならんかとむかへて疑ふ。論、憲問「不──、不億不信」
いつはりたくむ。晉書、安平獻王傳「夫攻者、借人之力以爲功、且當──、不可力爭也」
あざむきだます。韓非子「智者不得──」=欺詐。
うそ、いつはり。管子「不強民以其所惡、則──不生」
いっはりてきちがひになる。晉書、公孫永傳「歲餘──」
わるがしこし。揚子方言「凡小兒多詐而獪」
いつはり。劉向、戰國策序「秦孝公捐禮讓而貴爭戰、棄仁義、而用──」=譎詐·詐欺·詭譎。
機智をいふ。荀子「不循舊法、而好──」
いつはりのことば。鶡冠子「──者狙物者也」
詐病に同じ。後漢書、鄧禹傳「鄧康──而言不遜、太后大怒、遂免康官」
いつはりのてだて。=詐數·詭術。
姓名·官位などをいつはりとなへる。
いつはりのはかりごと。唐書、秦瓊傳「世充多──=詐術·詐謀。
久しく雨ふる閒に、一時しばらく、空がはれる。李覿詩「天雨還有──時」
人前をつくろひて善人らしくする。後漢書、張湛傳「湛在鄕黨、詳言正色、人或謂湛爲詐、湛聞笑曰、我誠詐也、人皆詐惡、我獨──、不亦可乎」=僞善。
いつはり、でたらめ。胡銓、上高宗封事「惟務──」=虛誕。
うはべだけの忠義。漢書、張湯傳「臣固愚忠、若張湯乃──」
いつはり。郭璞文「妖蠱──」
やまひなりといつはる、さくべぅ。史、孝文紀「吳王──不朝、就賜几杖」=稱病·詐疾。
あざむく、かたり。政刑大觀「──財物者」
いつはりのはかりごと。史、淮陰侯傳「常稱義兵、不用──奇計」
いつはりと暴力と。史、秦紀「先──、而後仁義」
いつはりのてだてをたくむ。=作詐。
シ [紙]
○そしる(詆·謗·毀)他人のわるくちをいふ。曲禮「不苟─」○にくむ(惡)管子、形勢「─食者不肥體」○みだりなり、ほしいまま(恣)○──は職務を怠る。詩、小雅「翕翕──」訿訿。○おもふ(思)禮、少儀「不─重器」○かぎる(限)○やまひ(病)○なんぞ(何)○はかる(量)升 マス にてはかる。商子、懇令「─粟而稅」○ああ、あ。=咨。○たから(財)もとで、古、貲に通ず。漢書、司馬相如傳「以─爲郞」
同訓異義
ソシル 訾·誹·非·謗·訕·詆·剌·譏·誚の別は誹(言部八畫)の條を見よ。
そしる。唐書、李宗閔傳「李訓·鄭注、始用事、疾德裕共──之」=詆毀·毀短·疵短。
やまひ。管子、入國「歲凶、庸人──」注「訾、疾也、厲、病也」=疾病。
訾(前條)に同じ。
シ [支]
○つぐ(吿)禮、曾子問「其─于賓曰」○いふ(言)○ことば(言語·文章)「文─」「祝─」「─賦」「博學宏─」史、儒林傳「是時天子方好文─」辭と通ず。○韻文の一種。詩の變體「─曲」唐に始まる、古樂府の變體せしもの。○─臣は翰林の官。
詩文にすぐれたる人。詞伯參看。=詞宗·詞伯。
○ことばのひびき。言談の風韻。齊書、周顒傳「每賓友會同、──如流、聽者忘倦」○韻書をいふ、詞家の用ひて詞を作るに供するもの。
詩文を作る人。張子容詩「凌雲──語、廻雪舞人嬌」=詞人·詩客。
詩文の學。劇談錄「曩者仰卿材器、今日覩卿──」
詞章に同じ。南史、王儉傳「虞正爲中書舍人、甚嫻──」
ことばのあや、立派なる詩文。杜甫詩「──傾後輩、風雅藹孤騫」=文藻·詞藻。
詩文の友に對する敬稱。
詩文などのわざ。宋史、孫何傳「何樂名敎、勤接士類、後進之有──者、必爲稱揚」=文藝。
詩文のわざ。宋史、査道傳「未冠以──稱」
文詞の出でて窮らざるを水源に喩へていふ。林甫詩「──倒流三峽水」
ことばのあや。宋書、顏延之傳「延之與陳郡謝靈運、俱以──齊名」
詞林に同じ。高適詩「星使出──」
○ことばのあや。又詩文の才。=文藻。○書名、四卷、淸の彭孫遹撰す、皆詞調を論ずる語、唐宋より淸初に至るまで、各其の雋句名篇を拈り、長短を品題す。
詩文を作る人。舊唐書、張九齡傳「張說常謂人曰、後來──稱首也」
詩文。韓愈、柳子厚墓誌銘「務記覽爲──」=辭章·詞翰。
ことば。搜神記「常以──過人、同輩莫不畏憚」
詩文の大家。=詞伯。
書名、三十四卷、淸の朱彝尊撰す、宋金元の詞、凡五百餘家を錄す、採摭繁富にして鑒別精審なり。
詞場に同じ。
ことばのおもむき。言論の韻致。世說「陸士衡入洛、見一少年、玄妙有──、士衡心服其能」
詩文などを作る處。又詩人文士のなかま。王勃、益州夫子廟碑「虛舟猶泛、乘學海之波瀾、直轡高驅、踐──之閫閾」趙嘏詩「莫將芸閣輕科第、須作──第一人」=文壇。
詩文を善くする人の敬稱。宋之問詩「書乃墨場絕、文稱──雄」=詞宗。
ことばのうへ。許敬宗文「理超──、意生文外」=言外。
辯說。唐書、李泌傳「──注射、坐人皆屈」
文章言論のするどくして當るべからざるに喩ふ。庾信文「水湧──、風飛文雅」
文詞の格律、ことばの規則。劉長卿詩「金石懸──」
○詩文などのあつまり、林は多くある形容。梁昭明太子、答晉安王書「殽核文史、漁獵──」=文林·文苑。○翰林の別稱。殿閣詞林記「洪武初、建翰林院於皇城內、扁之曰──」
詞調の源流、作家の得失を評論するの書、其の體裁は略~詩話に同じ「淸毛奇齡──」の類。
シン [軫]
○みる(視)脈を視る、病狀を察する「─病」「往─」「求─」「善─」○かんがへしらべる(驗)○うらなふ(占)夢を占ふ。莊、人閒世「匠石覺而─其夢」
脈をうかがひて病狀を知る。北齊書「馬嗣明精醫術、爲人──、一年前知其生死」=視病·診察。
病性をうかがひ見わける。南史、張融傳「徐文伯子雄、亦傳家業、尤工──」
脈搏 ミヤクハク をみて病狀を察する、切も診と同意。史、倉公傳「─切其脈」=診察·候脈。
病性を見きはめる「──書」「──學」
やまひの容態をみる。史記「──知人死生」
脈を察しみる。史、扁鵲傳「特以──爲名耳」
ゆめをはんだんする。字解參看。=占夢。
診察と療治と。
呪(三二五頁一段)に同じ。
ジュツ [質]
又、怵に作る
いざなふ(誘)いざなはる。利害の爲めに誘はれる。漢書、韓安國傳「─邪臣浮說」
ショ·ソ ス·ソ [御]
○のろふ(呪)神に祈りて怨ある人に禍を下させる「─祝」○のろひ。又、のろふことば「呪─」○ちかふ、大事に盟といひ、小事に─といふ。○うらみそしる(怨謗)「謗─」
ちかふ、誓約する。書經「以覆──」字解參看。
のろひののしる〔書經〕
セイ シャウ [庚]
○いさむ(諫)戰國齊策「士尉以─靖郭君」○俗に證據の證(言部十二畫)に代用す。晉書、范寗傳「皆有典─」
①セゥ [嘯]
②セゥ [蕭]
①みことのり、古はひろく上より下に吿ぐるにいひ、秦漢以後は專ら天子の命令に限りて用ふ「─書」「─敕」「手─」「聖─」「明─」○文體の名、卽ち詔敕の文。文體明辯「夫─者昭也、告也、古之詔詞皆用散文、故能深厚爾雅、感動乎人、六朝而下、文尙偶儷、而詔亦用之」○つぐ(告)をしふ(敎)明かに告げ敎へる。莊、盜跖「爲人父者必能─其子」註「敎也」○みちびく(導)○南─ ナンセウ は南方の野蠻國、其の長を─といひ、六─あり〔唐書、南蠻傳〕
②擯─ ヒンセウ は賓と主との紹介 トリモチ をなすもの、應接がかり。禮、禮器「禮有擯─」紹に通ず。○みちびく(誘)
つぐ。禮記「所以──於天地之閒也」
みことのり。容齋三策「法令之書、其別有四、敕令格式是也、神宗聖訓曰、禁於未然之謂敕、禁於已然之謂令、設於此以待彼之至謂之格、設於此使彼效之謂之式」
天子のみことのり。古、黃紙を用ひし故。南史、王韶之傳「几諸──、皆其辭也」
漢代に天子の詔を奉じて罪人を鞠 ギンミ する義。又、其の獄舍。漢書、成帝紀、註「凡詔所繫治、皆爲──」
詔勅の文。周書、王襃傳「凡大──、令襃具草」
みことのりのむね。李商隱詩「鳳凰傳──、獬豸冠朝端」=敕旨。
みことのりのかきつけ。文心雕龍「漢命有三品、三曰、──、詔吿也」
みことのり。北史、張須陀傳「歲饑、須陀將開倉賑給官屬、咸曰、須待──、須陀曰、如待報至、當委溝壑、吾若以此獲罪、無所恨、先開倉而後狀、帝嘉而不責」=詔書。
みことのりの箇條 カデウ 舊唐書、憲宗紀「奉我──、恤隱爲心」
みことのりのかきつけ。後漢書、竇武傳「召尙書官屬、使作──」=詔書。
みことのりしてさとす。五代史、後蜀世家「明宗──不許」=敕諭。
○みことのり、天子の命令。○上より下に告げる文、天子の言を詔といひ、皇后·太子のを令といふ〔文選、注〕
ソ [遇]
愬に同じ
○うつたふ、上へ申し出て曲直の判決を乞ふ、己の寃罪をうつたへる「上─」「告─」「直─」「哀─」「陳─」「─寃」うつたへ(訟)○そしる、ざんげん(譖·毀)そしりて吿げる、讒言する。左、成十六「郤讐─公於晉侯」
同訓異義
ウツタフ 訴·愬·訟·獄○訴は吿也、訟也、寃枉を吿げ訴ふる義。史記「王有二德義、一故來吿訴」○愬は訴に同じ、論語の「膚受之愬」の註に、己の寃を愬ふるなりとあり。○訟は爭也、曲直を官に爭ふ義、言に从ひ、公に从ふ、公の場所にて言ひ爭ふなり。○獄は對決するなり。論語「片言以折レ獄、其由也與」
裁判所にうつたへ得べき權利。
○うつたへねがふ。○法律にて、行政官廳の不當處分にて權利及び利益を侵害せられし時、之を其の上級官廳に訴へ出づるをいふ。
うつたへのかきつけ〔宋書、竟陵王誕傳〕=訴牒·訴訟狀。
うつたへ。後漢書、陳寵傳「──日百數」
うつたへ出るかきつけ。弘簡錄「湖田有水旱、卽有──、按圖示之蠲可否」=訴狀。
うつたへ出し人。太平廣記「案牘分明、──不遠」
呶(三二五頁二段)に同じ。
①テン [鹽]
②タン·テン [咸]
①たくみに言ふ(巧言)
②ことばおほし(多言)○たはむる(謔)○─喃 テンナン はくだくだしくかたる。元稹詩「蛛懸絲繚繞、鵲報語─喃」
巧に言ふ貌。王安石詩「擧世徒──」
チュ [遇]
もと、注に作る通音チュウ
○文字の意味を明かにする(訓釋)○ときあかす、解釋する「頭─」「旁─」「標─」「─疏」晉書、向秀傳「始秀欲─莊子、嵆康曰、此書詎須─」○かきしるす、物を記する。穀梁、昭十一「一事─於志、所以惡楚子也」(志は誌)○のぶ(述)
ときあかし。=注解〔後漢書、儒林傳〕
ときあかし。=注解·注釋。
書物に解釋をほどこす。秦系詩「──不向時流說」
本文の閒に註して意味をときあかす。又、其の解釋。疏は註を更に解說せしもの「十三經──」
テイ [薺]
○そしる(毀)「譏─」「面─」「毀─」「排─」○しかる(訶)しかりとがめる。蘇軾、韓文公廟碑「作書─佛譏君王」○はづかしめる(辱)「─挫」○しふ(誣)「─欺」「誣─」○あばく(訐)史、汲黯傳「刀筆吏、專深文巧─、陷人于罪」
同訓異義
ソシル 詆·誹·謗·訕·訾·毀·誚·刺の别は誹(言部八畫)の條を見よ。
そしりとがめる。何遜詩「披文極──、析理窮章句」=訶詆。
そしる。漢書、枚乘傳「故其賦有──東方朔」=訾毀。
いつはりしひる。漢書、哀帝紀「除誹謗──法」
そしる。宋書、顏延之傳「──朝士」
人の陰私をそしりあばく。唐書、權萬紀傳「萬紀等未聞大禮、──彈射、皆不實」=非訐。
そしる。漢書、揚雄傳「大抵──聖人」=謗訾·毀訾。
そしりはづかしむ。宋史、朱子傳「排擯──、必使無所容其身而後已」
せめそしる。唐書、張薦傳「下筆輒成、浮艷少理致、其論著、率──蕪穢」
そしりあなどる。文心雕龍「東方·枚皋、餔糟啜醨、無所匡正、而──媟弄」=訶詆侮嫚。
ヒ [寘]
○かたよる(偏陂)ねぢける(佞邪)平正ならず「險─」「傾─」=陂。○へつらふ(諂)○辯論する。
ねぢけたるおこなひ。孟、滕文公「正人心、息邪說、距──、放淫辭」
一方にかたよりたることば、不正の言。孟、公孫丑「──知其所蔽」
ヘイ ヒャウ [庚]
○しなさだめ(論定)物事の是非優劣につきて論定する。あげつらふ、しなさだめする、事物の是非を平かに定める「品─」「批─」「論─」「公─」「妄─」「史─」「詩─」後漢書、許劭傳「好覈論鄕黨人物、每月輒更其品題、故汝南俗有月旦─焉」○たひらかにはかる(平議)
○品物のねぶみ。○物のよしあしを品さだめする。
○相談してきめる。後漢書、東夷傳「──乃殺之」○公平に是非を論ずる。
はかりさだめる、評議して決定する。魏書、唐和傳「──獄訟、不加捶楚」=評定。
批評のことば。
前條に同じ。
詩文を批評し、且つ解釋する。=批評註釋。
公平にはかりえらぶ。袁桷詩「凄涼塵土姿、朗鑑勞──」
品定めしてさだめる。晉書、傅休奕傳「──得失、各爲區例」=評決。
批評と註釋と。=評注。
評決に同じ。
○詩文などの妙處眼目などに施す、○◎などの點。○生徒の試驗の答案に施す點數。
國 ○世閒のうはさ。○批評して判斷する。
しなさだめする。元史、竇默傳「爲人樂易、平居未嘗──人物、與久居、溫然儒者也」=品評。
批評を集めしもの「史記──」
是非得失を品評し論ずる。隋書、楊异傳「──得失」=論評。
我が講談の類。揚州畫舫錄「──盛於江南」=說書。
リ [寘]
○ののしる、惡口をいふ「怨─」書、無逸「小人怨汝─汝」○あてこすりして惡口をいふ「罵─」(罵は直言してののしる)
ののしりはづかしめる。魏志、袁煥傳「呂布欲使煥作書──劉備煥不可」
ののしる。韻會「正斥曰罵、旁及曰詈」漢書、賈誼傳「司寇小吏、──而榜笞之」=罵詈。
①レイ·リャウ [靑]
②レイ [敬]
①うる(賣)
②てらひ賣る(衒賣)己の物をほこりて人に賣りつける。
ばかを賣る札 フダ 卽ち拙き文を名文らしくてらひて恥をさらすにいふ。顏氏家訓、文章「無才思、自謂淸華、流布醜拙亦已衆矣、江南號爲──」
6畫
エイ [敬]
或は咏に作る
○うたふ(歌)○聲を永くひきて詩歌をうたふ「吟─」「朗─」「誦─」「一觴一─」○烏が鳴く。○うた(詩歌)「遺─」「高─」又、詩歌を作る。 國 ○ながむ、見渡す、眺望する。○よむ、和歌を作る。
うたふ。元稹詩「開卷恣──、望雲閑徙倚」
○うたをよむ。又、其のよみたる詩歌。李白、春夜宴桃李園序「吾人──、獨慚康樂」○ 國 巡禮、又は淨土宗の信者が節をつけ聲を引きてうたふ短き讚美歌「御──」
郊外の風景をながめ詩を吟じつつ歸る、風流を樂む意。論、先進「莫春者春服旣成、冠者五六人、童子六七人、浴乎沂、風乎舞雩、詠而歸」朱熹詩「舞雩──春花香」=歸詠。
おもひをうたふ、懷抱せる事を物に託して詩歌に述べる。又、其の詩歌。晉の阮籍に──詩あり。溫庭筠詩「他時──作、猶得比南金」
國 歌のしたがき。=歌稿。
歷史のことがらを詩に作る。又、其の詩歌。文選に魏の王粲の──詩あり。
國 詩歌を作りて貴人又神などにたてまつる。
次條に同じ。
女子の才あるを稱す。晉書、列女傳「謝安嘗內集、俄而雪驟下、安曰、何所似也安兄子朗曰、撒鹽空中差可擬、道韞曰、未若柳絮因風起」兄は謝安の兄謝奕、道韞は奕の女、王凝之の妻。=柳絮之才。
次條に同じ。
うたひほめる。韓愈、聽琴詩序「想舞雩之──」=詠嘆。
禽獸蟲魚花月草木などの物名を題として詩歌をつくる。又、其の詩歌「佩文齋──詩選」
カイ [灰]
通音ガイ
○そなはる。そなふ(備)すべて十分に備はる「─備」かぬ(兼)あまねく兼ねそなはる「兼─」○みな(皆)ことごとく(盡)○あたる(當)「─當」よろし(宜)○借りてその(其)指定の義とす「─省」「─案」「─校」「─處」
同訓異義
カヌ 該·兼·攝·包の別は兼(二○五頁四段)の條を見よ。
かねてひろくわたる。晉書、藝術傳「──典墳、硏精數術」=該博。
ひろくかねきはめる。陳書、儒林傳「覃心釋典經論、靡不──」=兼究。
ひろくかねさとる。宣和畫譜「徐知常、建陽人也、能詩、善屬文、凡道儒典敎、與夫制作、無不──」
ひろくしりつくす。北史、袁翻傳「唐虞以上、事難──」
ひろくわたる。玉海「乙夜觀書、無不──」=博覽。
かねそなはりて十分に足る。南史、賀琛傳「往復從容、義理──」=淵博。
あたる、よくあてはまる。
ひろくわたり通ずる。北史「學業──」=該曉·博通·兼通。
ひろくかね通ずる。搜神記「經書靡不──」=該洽·博學多識。
ひろくそなはりてさとし。唐書、薛收傳「收道衡子也、爲書檄露布、或馬上占辭、──如素構」
カゥ カゥ·ケゥ [肴]
叫·嗃に同じ
さけぶ、よぶ。北史、爾朱世隆傳「忽聞局上─然有聲」
ガク [陌]
通音カク
○いひあらそふ(論訟)○── カクカク は辭氣の厲 ハゲ しき貌。墨、親士「支苟者──」○敎令の嚴なる貌。禮、玉藻「戎容曁曁、言容──」=嚴猛。
キ [紙]
○あざむく(欺)いつはる(詐)いつはり「─辭」「虛─」○せむ(責)漢書、京房傳「臣出守郡、自─效功」註「自以爲憂責也」○たがふ(違)もとる(戾)漢書、董仲舒傳「有所─於天之理歟」○そしる(毀)○あやし(怪)ことなり(異)異樣に怪しき貌「卓─」「奇─」○みだり(妄·謾)○かはる(變)「譎─」○正しからず「─遇」
同訓異義
イツハル 僞·詭·詐·譎·佯·陽·矯等の別は僞(一六六頁四段)の條を見よ。
あやしくふしぎ。後漢書、王充傳「充好論說、始若──、終有理實」=詭怪。
馬が羈束を受けざる義、詭銜はくつわを吐き出す、竊轡はたづなをかむ〔莊、馬蹄〕之を制すること愈甚だしければ、抗拒すること愈力 ツト むるに喩ふ。
せめもとめる。後漢書、陳重傳「有同署郞、負息錢數十萬、責主日至、──無已、重乃密以錢代還」=誅求。
正しき馳驅の道に由らずして禽と遇ふ。正理公道を踐まずして世に容れられ富貴を得る。孟、滕文公「爲之──、一朝而獲十」
ふしぎ、あやし。後漢書、西域傳「論神迹──、則理絕人區、感驗明顯、則事出天外」=奇怪·神怪·譎詭·詭異。
あやしくめづらしきかたち。宣和畫譜「好畫古僻人物、──殊狀、格雖高古、意務新奇」=異形。
いつはりのはかりごと。晉書、羊祜傳「吳石城守、去襄陽七百餘里、每爲邊害、祐患之、竟以──、令吳罷守」=詭謀·詭策。
いつはりためる。王勃、福會寺碑「痛迷生之──、悲正覺之陵夷」
言行が常度を失ひてはげし、中正を失する。南史、張融傳「文辭──、獨與衆異」=矯激·激詭。
あやしくかはる。班固、東都賦「瑰異──、粲爛炳煥」=詭怪·譎詭·奇怪。
いつはりのことば、うそ。=詭辭。
いつはり。隋書、王世充傳「沈猜多──」=譎詐。
詭計に同じ。=詭謀。
實を以てせざるいつはりのことば。穀梁、文六「──而出」=詭言。
ふしぎなるかたち。南史、康絢傳「或人頭魚身、或龍形馬首、殊類──、不可勝言」=奇狀·詭形。
あやしきいろ。木華、海賦「翻動成雷、擾翰爲林、更相叫嘯、──殊音」
是非を問はずして、妄に人にしたがふ。詩、大雅「無縱──、以謹無良」
いつはりの言說。史、自序「能設──、解患于圍城」
いつはりて人をまどはすみち。孫子「兵者──也、故能而示之不能」
いつはりてまぬかる。唐書、宇文融傳「──繇賦」
いつはりてうばふ。魏志、鍾繇傳、注「旣有秦昭章臺之觀、而無藺生──之誑」
でたらめ。宋史、樂黄目傳「論者嗤其──」=虛誕。
あやしく異る。柳宗元文「長樂·未央·建章·昭陽之隆麗──」
いつはり。唐書、李德裕傳「是嘗敬宗時、以──出入禁中」
あやしくしてひめかくす。順宗實錄「交遊蹤跡──、莫有知其端者」
あやまり。晉書、禮志「篇章焚散、去聖彌遠、喪制──、固其宜矣」
○人をまどはす、いつはりのことば。史、屈原傳「設──於懷王之寵姬鄭袖」○理非をまげて人をまどはす辯論、──學派は西曆紀元前五世紀頃希臘に行はれたる學派。
いつはりてかはる。唐書、則天武后傳「有權數、──不窮」
詭計に同じ。
いつはりみだる。文心雕龍「相如憑風、──愈甚」
珍らしくうるはし。潛夫論「辭語者以信順爲本、以──爲末」
まどはす。西征賦「履犬戎之侵地、疾幽后之──」
キツ [質]
○なじる、せむ、せめとふ、罪を責め問ふ「窮─」「難─」「面─」○をさむ(治)書、立政「─爾戎兵」○いましむ(禁)周禮、大宰「五曰、刑典以─邦國」○つつしむ(謹)○かがむ(屈曲)○─朝 ヰツテウ はあくるあさ。一說に喆(哲の古字)の誤用とす、哲は明。 國 ○ ツメ はて、かぎり「橋─」入れる「鑵─」「箱─」○ ツマル 迫る「年がおし─る」窮する、こまる「辭が─る」○ ツム 「煮─む」
とひきはめる。劉向文「訊獄──其詞」=究詰·窮詰。
まがりくねる。韓愈詩「──思增繞」=屈曲。
○かがまりてのびす。易林「其旨──、不能解脫」○字の勢が曲折する〔晉書、衞恆傳〕
詰一に佶に作る。佶屈贅牙(一二九頁四段)を見よ。
かがまりてのびず。王逸賦「思哽噎兮──」=詰屈。
詰旦に同じ。梁昭明太子詩「淸宵出望園、──屆鍾嶺」
なじりせむ。漢書、賈山傳「章下──」
あくるあさ(明朝)北史、齊德安延王宗傳「──還攻東門克之」=詰朝·詰晨。
あくるあさ。左、僖二七「──相見」說文長箋に本、喆朝に作る、喆は古の哲の字、借用して明の義とす、故に明朝を喆朝とす、今俗に誤りて詰に作る。
なじりとふ。漢書、王嘉傳「吏──嘉」=詰責。
キャウ [漾]
○あやまる(謬)○あざむく(誑)
キョウ [腫]
○かまびすし(喧·衆言)○さわがし(騷)
さわがし。五代史、四夷兀欲傳「聚而謀者──」=匈匈·恟恟。
ク [麌]
○ほこる(誇)大言をはく「誇─」○やはらぐ(和)○あまねし(普)禮、禮器「德發揚、─萬物」○おほいなり(大)○敏 サト くして勇まし。はっきりとして氣のききたる言ひかた。禮、少儀「會同主─」○ことばづかひが明かで盛んなり。
大言する貌。一解に嫵と通ず、媚びへつらふ貌。韓愈、柳子厚墓誌銘「酒食遊戲、相徵逐、──強笑語、以相取下」漢書、張敞傳、注「北方人謂嫵好爲詡」
クヮ コ [歌]
通じて夸に作る
○ほこる、大言をはきてたかぶる「浮─」「矜─」杜甫詩「賜書─父老」○ほこり、自慢 ジマン ○ふとくあらし(粗大)漢書、外戚傳「妾─布服、糲食」
同訓異義
ホコル 誇·矜·伐○誇は大言するなり、夸に同じ。○矜は自ら賢とするなり。書經「汝惟不レ矜、天下莫二與レ汝爭一レ能」○伐は自ら其の功を稱するなり。易經「勞而不レ伐」
ほこりてかがやかし示す。=夸耀。
ほこりてきそふ。後漢書、梁冀傳「冀大起第舍、而壽亦對街爲宅、殫極土木、互相──」
ほこりてらふ。文中子「不爲──、若愚似鄙、今人以爲恥、我則不恥也」
ほこりしめす。後漢書、鄭衆傳「當揚漢和親、──鄰敵」
ほこりて大げさにいふ。
ほこるかほいろ、自負する顏色。
多きにほこる。韓愈文「讀書以爲學、纘言以爲文、非以──而鬭靡也」
○事實より大げさにいふ。=夸大·誇張。○じまんしてゐばる。
事實より大げさにいひ立てる。列、天瑞「──於世」=誇大。
クヮイ·ヱ クヮ [卦]
通音ワ
○はなし、ものがたり「談─」「情─」「閑─」「嘉─」「佳─」「對─」○はなす、かたる、つげる(吿言)○よきことば(善言)左、文六「著之─言」
○はなし。=談話。○善きことば。字解參看。
はなしのついで。
ものがたる。又、ものがたり。四子講德論「──于公卿之門」=談話。
はなしのいとぐち。言談の端緒。陸游詩「不用殷勤擧──」
次條に同じ。鶴林玉露「今日到湖南、又成閑──」
はなしのたね、欛は柄、談話の資料。羅湖野錄「飜身跳擲百千般、冷地看他成──」=話柄。
はなしのたね。=談柄。
クヮイ [灰]
○たはむる、おどけ(戲謔)ふざける。○あざける(嘲)「─笑」○そしる(謗)○たはむる、からかふ(調戲)
おどけたはむれる。漢書、敍傳「東方贍辭、──倡優」=滑稽·諧謔·戲謔。
あざけりわらふ。漢書、枚乘傳「枚皋──類俳倡」
次條に同じ啁·嘲音義同じ。蜀志、馬忠傳「──大笑、忿怒不形於色」
たはむれあざける。宋史、梅堯臣傳「──譏刺、託于詩、晚益工」
たはむれごと。韓愈詩「寄詩雜──」司馬光詩「狂詩寄一笑、聊用當──」=俳詼·詼謔。
クヮイ ケ [卦]
○あやまる(誤)○あざむく(欺)他人をあざむきて惡しき方へみちびく。漢書、王莽傳「臣莽當受─上誤朝之罪」
○人をあざむきあやまらす。史、孝文紀「背德反上、──吏民、爲大逆」○官吏が事に因りて譴責せらるるにいふ。詿通じて罣に作る。=罣誤。
民をあざむきみだす。史、吳王濞傳「──天下」
クヮゥ [陽]
又、謊に作る
○ねごと(寢言)うはごと(夢言)○みだりなることば(妄言)○だます(誑)○ぼける(忽)
ケイ [霽]
○いたる(至)「前─」「馳─」史、秦紀「代王乘傳─長安」○ゆく(往)○すすむ(進)○造─ ザウケイ は學藝などの進み到るところ「造─甚深」○ 國 マウヅ 神社佛寺にまゐる「參─」
同訓異義
イタル 詣·至·到·臻·造等の別は至(一五九一頁三段)の條を見よ。
天子の宮闕にいたる。漢書、朱買臣傳「──上書、書久不報」
人をとひたづねる。劉基詩「──謁朱亥、虛左上侯嬴」
コウ ク [宥]
又、訽に作る
○はぢ(恥辱)屈原、離騷「忍尤而攘─」はづかしむ(辱)○ののしる(罵)「嘲─」「誼─」○いかる(怒)唐書、劉文靜傳「君雅─曰、反人欲殺我耳」
同訓異義
ハヅ 詬·恥·辱·忝·愧·慙等の別は恥(六五九頁四段)の條を見よ。
ののしりそしる。黄庭堅詩「謾言來──」
そしる。郝經詩「事幾或一失、千載貽──」=毀訾。
ののしりしかる。宋史、黃申傳「衆捽蹴──曰、爲爾不順將累我輩」
はづかしめる。五代史、延煦傳「宦者專政事、每──路航」
ののしりいかる。元稹詩「不勞生──」
ののしる。魏書、高遵傳「逼民家求絲縑、不滿意、則──不去」
そしりはづかしむ。禮、儒行「常以儒相──」=詬厲·恥辱。
はづかしめののしる。魏書、趙修傳「修之葬父也、道路嬉戲、殆無戚容(中略)從者噂?喧譁、──無節」=詬罵。
詬病に同じ〔莊、人閒世〕
察(五○八頁一段)に同じ。
シ [支]
○からうた、文の聲韻ありて歌詠すべきもの、古は四言の句多し、詩經に載する─の如し、漸く變じて樂府長短句となる、魏晉以後は五七言多し、五言は蘇武と李陵との贈答の─に起り、七言は漢の武帝の柏梁至の─に始まるといふ、唐に至りて─學大に盛んにして古體·近體に分る、古體は卽ち樂府の體に傚ひ、近體は卽ち律詩及絕句なり、古詩と今體との二あり、志を述ぶる詞章「新─」「惡─」「─歌」「─集」毛詩序「在心爲志、發言爲─」○經書の名、孔子が取捨選定せし古代の詩三百十一篇を收む。中庸「─曰、衣錦尙絅」=詩經·毛詩·葩經。○六─は風·雅·頌·賦·比·興。
○詩の韻字「──含英」○詩の音調風韻。白居易詩「──淸鏘玉不如」
詩歌。圖繪寶鑑「顧況字逋翁、好──善畫山水」
うた。孔叢子「天子巡狩、命史采──、以觀其風」唐書、鄭綮傳「每以──託諷」
詩を作るおきな。徐積詩「──兩眼看浮雲」
自分の作りし詩を祭る、其の苦心を慰める意。唐書、賈島傳「島苦吟、常以歲除之夜取一年所作詩、以酒脯祭之、曰、吾勞精神、以此補之」
詩人。楊巨源、城東早春「──淸景在新春、柳嫩鵞黃色未勻」=詩客。
詩人のすぐれたるもの。唐書、劉禹錫詩「禹錫善詩、晚節尤精、白居易以詩自名者、嘗推爲──」=詩伯·詩宗。
詩のしたがき。=詩草。
詩才に富める人の稱。書言故事「詩人才多號───、高仁裕著詩萬首、號───」=詩窖。
詩を作る人。姜?詩「城南──今岑寂」=詩人·詩家·騷人。
○詩を作る法則。○詩の品格。捫蝨新語「蘇黃輩出、然後──極于高古」
詩を思ふ人の眼力。范成大詩「道眼巳空──在、梅花欲動雪花稀」
五經の一、古、采詩の官ありて、四方の詩を采り集め、政治の得失を知る參考とせしもの、もと三千餘首ありし中にて、孔子删りて三百十五篇とす、古は單に詩と稱す、毛亨(大毛公)毛萇(小毛公)の學を傳ふ、故に毛詩とも稱す。
詩のおもしろみ。杜甫詩「東閣官梅動──」=詩趣。
詩を作る課程。劉詵詩「──書程應不減、東風早送錦衣還」
詩人のよりあひ。孟郊詩「昔遊──滿、今遊──空」=吟社。
詩を集めたる書物。杜甫詩「──長畱天地閒」
國 詩のかたち、詩の形式。
詩のことば。漢書、禮樂志「其威儀足以充國、音聲足以動耳、──足以感心」
詩の趣に富める地。白居易詩「境牽吟詠眞──、興入笙歌好醉鄕」
詩を作る材料。唐子西語錄「收拾──、以備用」=詩料·詩資。
作るべき詩を作らずにある詩の負債。白居易詩「顧我酒狂久、負君──多」
詩のしたがき。=詩稿。
詩を以て時事を述ぶるもの。唐書、杜甫傳「甫善陳時事、剴切精深、至千言不少衰、時號──」
詩を作るかんがへ。北夢瑣言「鄭綮曰、吾──在灞橋風雪中驢子背上」
もと、詩十篇の義。轉じて詩篇の義とす。宋史、張洎傳「賜近臣──」
詩をあつめたる書物。
詩歌に巧みなる人。揚子法言「──之賦、麗以則」=詩家·詩客。
作りし詩の語が、偶然後日に起りし事の前兆をなせるをいふ。南史、侯景傳「初簡文寒食詩云、雪花無有蒂、冰鏡不安臺、又詠月云、飛輪了無轍、明鏡不安、臺、後人以爲──」
詩を作りさけを飲む。又詩と酒と。南史、袁粲傳「粲負才尙氣、雖位任隆重、不以事務經懷、獨步園林、──自適」
詩酒を樂みて互に往來する、徵は招く、逐は出向く。
詩に作るべきおもむき。風流なるおもむき〔孟郊·韓愈城南聯句〕=詩興。
○詩經と書經と。左、僖二七「說禮樂而敦──」○作詩と文字と。
詩經·書經を讀みて仁義を養成せし氣。蘇軾詩「腹有詩書氣自華」
古今第一人の詩人、杜甫を稱す。楊升菴文「李白神於詩、杜甫聖於詩」
詩のぬきがき。隋書、經籍志「梁有雜──一卷」=詩鈔。
前條に同じ。
○詩才の特にすぐれたる大家。=詩聖。○李白をいふ。滄浪詩話「太白仙才、長吉鬼才」○作詩に耽りて世外に超然たるもの。牛僧孺詩「──有劉白」
○詩をかくかみ。薛濤箋の類。○書名、漢の鄭玄が毛詩に注せしもの、箋は其の意義を表識する義。
○詩の大家。=詩伯。○詩經專門の大家。漢書、儒林傳「博士江公世爲魯──」
詩を作る僧。草木子「某──也、遂命漁翁詩」
詩の體。詩人玉屑、卷一「守法度曰詩、載始末曰引、體如行書曰行、放情曰歌、兼之曰歌行、悲如蛩螿曰吟、通乎俚俗曰謠、委曲盡情曰曲」
詩を作るなかま。劉仙倫詩「卻憐南澗──豪」
詩を作るこころ。=詩情·詩思。
鶯の聲をいふ、戴顒の故事。世說、言語「戴仲若、春日擕雙柑斗酒、人問何之、答曰、往聽黃鸝聲、此俗耳針砭、────」仲若名は顒。
詩句中に巧に實景を寫し出せるを稱する語。東坡志林「味摩詰之詩、────、畫中有詩」摩詰は唐の王維の字。
國 詩の情趣ありて美感を動かす形容。
詩を作るによきあひて。白居易詩「別來少遇新──、老去難逢舊飮徒」
詩を入れる竹のつつ。唐語林「白居易爲杭州刺史、與吳興守錢徽·吳郡守李穰酬唱、多以竹筒盛詩往來、謂之──」
作りたる詩を容れるふくろ。唐書、李賀傳「李賀有古錦囊、則得句納其中」陸游詩「古錦──覓句忙」
詩をよみて心を引き立てる。論語、泰伯「───、立於禮、成於樂」
詩作は天才ありて必ずしも學問の、淺深のみによらずとの意。滄浪詩話「────、非關書也、詩有別趣、非關理也」
○詩を書きたる木の板。王安石詩「當挂廟壁爲──」○上下平韻三十字を一枚每に記したる紙の札、韻字を分けて詩を作るに用ふ〔考槃餘事〕=韻籤。
詩の大家。晉陽秋「張植謂、陸機兄弟文章藻麗、語人曰、二陸乃今之──也」杜甫詩「平公今──、秀發吾所羨」=詩宗·詩豪。
詩は己の意志を述べるもの。書、舜典「───、歌永言、聲依永、律和聲」
○詩の品格。=詩格。○書名、三卷、梁の鍾嶸撰す。漢魏晉代の古詩を批評せしもの。
詩と賦と、共に韻文。
詩賦と文章と。
作詩を嗜む性癖 クセ 梁書、簡文帝紀「七歲有──、長而不倦」
詩の篇章。元稹詩「李杜──敵、蘇張筆力勻」
○作詩の念を生ぜしむる一種のふしぎなる力。白居易詩「惟有──降未得、每逢風月一閒吟」○詩が魔道に墮つ、野鄙にして正しからざる詩想。滄浪詩話「學詩者、當以漢魏晉盛唐爲師、不作開元天寶以下人物、若自退屈、卽有下劣──、入其肺腑之閒」
詩を作るなかま。=吟社。
詩體の名、樂府の變じたるもの、詞の異名。蜀中詩話「唐人長短句、詩之餘也、始於李太白、太白以草堂名集、故謂之草堂──」文體明辯「──者古樂府之流別、而後世歌曲之濫觴也」=詞曲·塡詞。
○詩のながれ。班固賦序「賦者、古詩之流也」○詩人。杜甫詩「樽前失──」
詩の規則、又、格調。杜甫、遣悶詩「晚節漸於──細」
詩を作るなかま。白居易詩「醉思──有同年」=詩友。
子が父の敎を受くるにいふ。伯魚が父の孔子より詩と禮との學ぶべき所以を聞きし故事に本づく〔論、季氏〕
詩を作る資料。楊萬里、過太湖石塘詩「松江是物皆──、蘭槳穿湖卽水仙」
詩につきての說話。
書名、前集·後集共に九十八卷、宋の阮閱撰す、漢魏以來北宋に至るまでの詩話を集む。
シ [寘]
○こころみる、ためす。こころみ、ためし(驗)「考─」「─驗」○もちふる(用)論、子罕「吾不─、故藝」○こころみに。
ためしに航海する。=試船。
かきぞめ。=試筆。
金銀をすりつけて、其の眞贋を判つに用ふる黑色緻密の石。轉じて、物の力をためす材料となるもの。
ためしに鑛山などをほる。
○試驗をつかさどる官吏。=考官。○みならひの官吏〔通考〕=試補。
官吏登用試驗の答案。宋史、選擧志「凡發解擧人合格──姓名、類申禮部」
學業を試みためす。=試驗。
つるぎの銳鈍又は其の使用法をためしこころみる。孟、滕文公「好馳馬──」
こころみしらべる。
理化學の實驗に用ふる ガラス 管の容器。
國 ためしにつくる。=試植。
兒の性質を試みる。顏氏家訓「江南俗兒生一期、爲製新衣、盥浴裝飾、男則用弓矢紙筆、女則用刀尺鍼縷及珍寶物玩、置之兒前、觀其所取、以驗貪廉智愚、謂之──」=試晬。
試驗に用ふるかみ。舊唐書、苗晉卿傳「手持──、竟日不下一字、時謂之曳白」
○新穀を試み食ふ。孟浩然詩「授衣同──」=嘗新。○茶の名。西溪叢話「建州茶有十綱、第一名曰──」
ためしにうゑる。
橋のわたりぞめ。玉堂叢話「金水河橋成、詔簡有德者──」
ふねの運轉をためす。魏志、杜畿傳「帝幸許昌、畿居守、受詔作御樓船、於陶河──」
こころみさぐる。後漢書、應劭傳「中興初、有應嫗者、生四子而寡、見神光照社、──之、乃得黃金、自是諸子宦學竝有才名」
かきぞめ。=試毫。
みならひの官吏。
ためしに問ふ、試驗して問ふ。
こころみに用ふる。曾鞏詩「丈夫──何時遭」
シ チ [紙]
○わかる(離別)○─臺は別館、はなれざしき。說文「周景王作洛陽─臺」
シウ [尤]
こたふ。こたへ、いらへ(答)=酬(二○一○頁二段)
こたへる、返答する。北史、劉芳傳「──論難」=酬答。
シン セン [眞]
○おほし(衆多)○和ぎ集る貌。
おほき貌。又、やはらぎ集る貌。詩、周南「螽斯羽──兮」=詵詵如。
①シャウ [陽]
②ヤゥ [陽]
①つまびらか(審)くはし「─審」「精─」語が備はる。孟、萬章「其─不可得聞也」○つまびらかにする、つまびらかに議する。○あきらか(諦)○つくす(悉)ことごとく(盡)漢書、武帝紀「─延天下方聞之士」○めでたし、よし(善)古、祥に通ず。左、成十六「─以事神」
②いつはる(詐)史、殷紀「箕子─狂爲奴」古、佯に通ず。
つまびらかにそらんず。賈島詩「星名未──」
物事にくはしくして處置の善く平かに當る義。沈約、授蕭惠休右僕射詔「才學淹通、識裁──」=該允。
善くしづかにしてみやびやか。晉書、王衍傳「神情明秀、風姿──」=安詳溫雅。
詳密にしらべる。=詳覈。
つまびらかにしてたしか、詳細にして明確。唐書、盧從愿傳「升退──」
くはしくしらべる。陳書、傅緯傳「隨理──」=詳榷。
○よくはかりかんがへる。漢書、翟方進傳「君其熟念──、塞絕姦原」○よくかんがへたる謀計 ハカリゴト
善くおちつきてうつくし。陶潛、閒情賦「神情嫵媚、擧止──」
つまびらかにくはし。=委細。
つまびらかにかんがへる。史、淮陰侯傳「願足下──之」
つまびらかにつくす。北史、房玄謙傳「四方縣遠、難可──」
つまびらか。論衡「聖賢下筆造文、用意──」=審詳。
くはしくのべる。=詳陳·詳說。
くはしくしてただし。禮記、序「章句──、微稍繁廣」
くはしく說き明かす。孟、離婁「博學而──之、將以反說約也」
つまびらかにえらぶ。王植文「謹勵愚蒙、盡思──」
つまびらかにえらぶ。後漢書、和帝紀「詔有司、──郞官、寬博有謀、才任典城者三十人」
あきらかにとりさばく。宋書、孝武紀「當悉──、庶無留獄」=審斷·精斷。
つまびらか。唐書、權德輿傳「德輿知禮部三歲、甄品──」
くはしき傳記。
くはしきしらせ。=細報。
くはしくさとし。周書、柳機傳「機弟弘、占對──、見稱於時」
とりさばきが明かにして公平。漢書、孔光傳「左遷廷尉、久典尙書、練法令、號稱──」
○くはしくこまか。後漢書、左雄傳「陰陽──」○思慮がこまやかにゆきとどく。唐書、楊愼矜傳「性──、出納雖尋尺、皆自按省」
○くはしくあきらか。○くはしくあきらかにする。
つまびらかにみる。後漢書、樊準傳「──羣言」
つまびらかなると、あらまかなると。孔穎達、春秋序「辭有──」=精粗。
つまびらかにはかり考へる。王微文「至於規矩細行、難可──」
つまびらかに習ふ。北史、叱羅協傳「歷事二京、──故事」=審練·精練。
つまびらかにかきしるす。公羊傳、注「──其禮」
くはしくあげつらふ。賈公彥、儀禮序「──可否」
ジュン [眞]
○とふ(咨)禮、坊記「─于芻蕘」○はかる(謀)相談する「細─」「諮─」書、舜典「─事考言」○まこと(信)=洵。
同訓異義
トフ 詢·問·訊·咨·訪·諏の别は問(三三八頁二段)の條を見よ。○ハカル詢·計·謀·圖·量·度·測·料·忖·揣等の别は計(一七八七頁一段)の條を見よ。
たづねしらべる。唐書、裴休傳「休分遣官、──其弊」
たづねしらべる。元史、耶律楚材傳「燕多劇賊、楚材──、得其姓名、盡捕下獄」=稽訪。
とひはがる。國語「文王詢于八虞、而咨于二虢」=咨詢。
とひはかる。晉書、張重華傳「當虛己引納、──政事」
とひはかる。又、はかりごとをとふ。書經「朕志先定、──僉同、鬼神其依、龜筮協從」=咨謀。
セン [先]
○そなふ。そなはる(具)○つぶさに事理を說きあかす。又、其のことば「言─」○事の眞理。杜甫詩「衣褐向眞─」○えらびたることば(擇言)○さとす(解喩)○たひらか(平)○のり(則) 國 ○ セン かひ、しるし「─なし」○ セン つまり、つまる所「─ずる所」
はかりしらべる。白居易詩「──天下事」
其の義理をつまびらかに說き明かす。吳起春秋「惟夫子銓此義也」
とりしらべはかる。くはしくとりしらべる。
ときあかす。又、ときあかしのことば。顏師古、策賢良問「厥意如何、佇聞──」=詮解·訓解。
ときあかし、事實によりて解說する。孝經、疏「前儒──、各擅一家」
事理を明かにして議論する。晉書、武陔傳「文帝數與──」
①セン [鹽]
②タン [勘]
①いたる(至)詩、魯頌「魯邦所─」○──はことばおほし、多言の貌。○みる。瞻に通ず。○─事 センジ は秦の官名、皇后·太子の家事を掌る(─は省なり、給なり、事を省み給する義)○占に通ず、─尹は占卜の長官。○蟾に通ず。─諸はひきがへる。=蟾蜍。
②たる(足)呂覽、適音「不充則不─」
多言なる貌。莊、齊物「大言炎炎、小言──」
タ [禡]
或は咤に作る
○ほこる(誇)「誇─」○あざむく(誑)大言を吐きて人を驚かす。唐書、史思明傳「思明─曰、朝義怯、不能成我事」○訝 イブカ る、驚き異 アヤシ む「─異」「驚─」○ 國 ワピワブ 謝罪する。
チュ [虞]
通音チュウ
○罪人を殺す「族─」禮、月令「詰─暴慢」○つみ。つみする(罰)○やぶる、きずつく(傷)○うつ(討·伐)兵力にて罪人をせめうつ「天─」○せむ(責)とがめる。論、雍也「於予與何─」○のぞく、きりばらふ、翦除する「─鋤」「─茅」○ほろぼす(滅)○罪が其の血族にまで及ぶ。
うちたひらげる、夷は平。
責めしかる。韓維詩「尙畏官長來──」=譴訶。
きびしくせめて貨財をむさぼり取る。左、襄三一「──無時、是以不敢寧居」=苛責。
つみしころす。吳志、陸抗傳「從容列位、而竝旋受──、或圮族替祀、或投棄荒裔」
ころすと、ゆるすと。晉書、劉頌傳「此爲政──之準式也」
惡を責め、善をほめる。周禮、大宰「三歲則大計羣吏之治、而──之」後漢書、陳忠傳「選擧──、一由尙書」
○すきのぞきて、ねをたやす。楚辭、卜居「寧──草茅、以力耕乎」○わるものを殺しつくす。子華子「──醜厲」
つみあるものを殺す、翦はきる。後漢書、襄楷傳「其所──、皆合人望」
わる者をせめておひはらふ。漢書、董仲舒傳「堯舜──亂臣、務求賢聖、是以衆聖輔德、賢能佐職、敎化大行、天下和洽」
つみを正してうちほろぼす。隋書、高祖紀「以上天之靈、助戡定之力、便可出師授律、應機──」=誅滅。
つみしはなつ。書經「桀縱惡自棄故──」
かやをきりて屋をつくる。杜甫詩「傍此煙霞茅可誅」誅鋤參看。
罪人をせめうつ。又うちころす。史、律書「刑罰不可損于國、──不可偃于天下」
責めて罰する。周禮「犯禁者、執而──之」
ころしたふす。蔡邕、朱公叔諡議「──食暴、糾戢貴黨」
罪ある者をせめほろぼす。
○つみし殺す。史、始皇紀「遂興師旅、──無道」=殄戮。○責めて罪に行ふ。周禮、秋官、訝士「──暴客者」
①チゥ [篠]
②テゥ [嘯]
①いどむ、微言を以ていざなふ。說文「相呼誘也」史、吳王濞傳「使中大夫應高─膠西王」○もてあそぶ(弄)○たはむる(戲)○噭─ クウテウ は聲の淸らかにして暢びる貌。楚辭、九思「聲噭─兮淸和」
②にはか(卒然)淮南、兵略「雖─合刃于天下、誰敢在其上者」○ 國 アツラヘ 注文して作らす。又、其の品物。
諛(言部九畫)の俗字。
ルヰ [紙]
○しのびごと、─は累、死者の生前の功德を累列して之を稱する。左、哀十六「孔丘卒、公─之」又、其の文詞「哀─」「─辭」周禮、春官、大祝「作六辭以通上下親疎遠近、六曰─」○神に禱り福を求める詞。論、述而「─曰、禱爾于上下神祇」
死者を哀 カナシ みて誄辭を作る。晉書、郄超傳「及死之日、貴賤操筆──者四十餘人」
7畫
イウ [有]
○いざなふ、さそふ。○ひきすすむ(引進)○をしへみちびく(敎導)「開─」論、子罕「夫子循循然善─人」相勸むる「勸─」○そそのかす(唆)おびきだす。○まどはす(惑)言を以て人を惑はす。淮南、主術「秦穆公以女樂─之」
さそふ、いざなふ。後漢書、張興傳「──東羌、與共盟詛」
みちびきたすける、誘導裨益。後漢書、孔融傳「好士、喜──後進」=誘掖。
みちびきたすける、掖は傍に在りてたすける。詩、陳風、衡門篇、序「──其君」=誘益·匡導扶益。
いつはりてかどはかす。
てきをおびき出す騎兵。史、李將軍傳「廣從百騎、張左右翼、匈奴有千騎、見廣以爲──、皆驚上山陣」
すすめをしへる。曾鞏文「──學者」=誘敎。
みちびきすすめる。唐書、陽嶠傳「遷國子司業、嶠資謹飭好學、喜──後生」
みちびきをしへる。集仙錄「每欲──後進」=誘誨。
いざなひ出してころす。左傳「曲沃伯誘晉小子侯、殺之」
○いざなひすすめる。史、禮書「──以仁義、束縛以刑罰」○いざなひて引きあげ用ふる。晉書、張華傳「性好人物、──不倦」
いざなひみちびく。吳志、士燮傳「──益州豪姓雍闓等」=誘誨。
さそひいだす、おびきよせる。漢書、武帝紀「──單于」
心をみちびきて善をなさしむ。左、僖二八「天誘其衷」
てきの兵をおびき出す。左傳「毀其軍以──」
ことさらに敗れたる風をして敵兵をおびき出す兵。漢書、趙充國傳「此皆驍騎難制、又恐其爲──也」
他に心をひかされる。淮南子「使耳目精明、而無──」
いざなひまどはす。淮南子「天下莫易于爲善、適情辭餘、無所──」
カイ [卦]
又、戒に作る
○いましむ(警敕)注意して謹む。易、繫辭「小懲而大─」○いましめ(敎令·戒吿)「家─」「箴─」荀、强國「發─布令而敵退、是主威也」○つぐ(吿)○いひつけ(命)
同訓異義
イマシム 誡·戒·警·儆·箴·敕の别は戒(七一○頁三段)の條を見よ。
いましめをしへる。魏志、趙王幹傳「賜幹璽書、──之」
いましめ、はげます。北史、蕭琮傳「璽書──之」
カゥ·キャウ ケイ [庚]
○たしか(確)○あらし(觕)○──は死に趨く貌。
①カゥ·コウ [號]
②コク [沃]
①つぐ(吿)上より下にさとし吿げる。易、姤卦「后以施命、─四方」又其のことば。書經の「大─」「康─」の類。周禮、春官「大祝作六辭以通天下親疏遠近、三曰─」○さとす(諭)をしふ(敎)いましむ(戒)○ちかひ、いましめ、をしへ、つげ。○唐以後、一品より、五品官に至る官吏を任命する辭令書「制─」「─命」「─授」
②つぐ(吿)
つげいましむ。蔡邕文「讀符策──之詔」
明淸時代、五品官以上を任ずる時に授ける辭令〔續通考〕
キ イ [支]
又、唉に作る
○ああ、あ、歎息の聲、厭惡の聲。然諾の聲。○しふ(强)又、たのしむ(娛)「─笑」○─詒は懈倦 オコタリウム の貌。
キ [寘]
○いましむ(誡)○つぐ(吿)○まこと(信)
誼(言部八畫)に同じ。
キャウ [漾]
又誆に作る
○たぶらかす。○かたる、あざむく(欺)「欺─」曲禮「幼子常視無─」(視は示)○まどはす(惑)
同訓異義
アザムク 誑·欺瞞·詒·紿の别は欺(一○○○頁三段)の條を見よ。
たぶらかしいざなふ。晉書、孫恩傳「浮狹有小才、──百姓、愚者敬之如神、皆竭財產、進子女、以求福慶」
たぶらかしほこる。潛夫論「彊蔽疵瑕、以相──」
實なき大言。白居易、樂府「徐福文成多──、上元太一虛祈禱」=虛誕·荒誕。
たぶらかしまどはす。後漢書、皇甫嵩傳「轉相──」
①ギョ·ゴ [語]
②ギョ·ゴ [御]
①かたる、はなす「私─」「耳─」「笑─」「低─」○とく(說)論ずる。人と議論をする、答へ述べる(言は自ら言ふ)家語「孔子之郯、遭程子于塗、傾蓋而─、終日」○ことば(言辭)もんく「古─」○ことわざ(諺言)穀梁傳「─曰、脣亡則齒寒」○鳥蟲の鳴き聲「鳥─」「鶯─」「馬─」○論語の略稱「─孟」○動作にて意を示す、手─は琴を彈ずる義。目─は目じらせして意を通ずる。
②をしへる、敎戒する。○つげる(吿)言を以て人に吿げる、いひきかせる。論、陽貨「居吾─汝」
ことばの意味。
多くのことばを分類して集めたるもの「──别記」
言語を習ふ。陶潛詩「弱子戲我側、──未成音」
ことずてする、傳言する。鮑照詩「──後生子」
ことばづかひのきそく。
○外國語の學問。○言語學。
語根に同じ。
○ものの言ひやう。口つき。=辭氣。○ことばのいきほひ。=語勢。
ことば、言語。
ことばのおこりしもと「──學」
讀書せざる人は言語にも味がなし。黃庭堅文「人不讀書、則塵俗生其閒、照鏡、則面目可憎、對人、則────」
動詞の語尾を去りたる部分。語尾參看。=語幹。
はなしのついで。史、黥布傳「從容──、譽赫長者也」
ことばのかず。
ことばのいきほひ。
はなしごゑ。=語音。
ことばが外にもれる。史、韓非傳「說難曰、夫事以密成、語以泄敗」
○ことばのをはり。○ 國 文法にて一語のをはりにて語根以下の稱、卽ち學ぶのぶ、進むのむの類。
ことばがつまりて答ふる能はず。漢書、袁盎傳「其後──」
ことばの上の缺點。黃庭堅、題跋「或言子瞻不當目伯時爲前身畫師、流俗人不領、便是──」=語弊。
ことばの上の缺點。誤解を招き易きいひかた。=語病。
論語と孟子と。程氏遺書「初學入德之門無如大學、其他莫如──」=論孟。
國 いひまはし。
宋明の儒者の語又は僧侶の語を集錄せし書「龐蘊──」「上蔡──」
かなしみて語ること能はざる義。王臺卿、陌上桑辭「鬱鬱陌上桑、盈盈道傍女、送君上河梁、拭淚───」
クヮイ [隊]
○をしふ。をしへ(敎)「敎─」「訓─」「慈─」「高─」「母─」○さとしみちびく(敎導)易、繫辭「慢藏誨盜、冶容─淫」
同訓異義
ヲシフ 誨·敎·訓の别は敎(八○九頁二段)の條を見よ。
をしへみちびく。晉書、唐彬傳「兼修學校、──無倦」
をしへそだてる。吳志、步隲傳「──門生、手不釋書」
をしへのことば。書、洛誥「拜手稽首──」
をしへしめす。後漢書、隗囂傳「以天命反覆──、終不從、于是進兵虜之、以狥百姓」=敎示·曉示。
をしへさづける。蔡邕文「以歐陽尙書·京氏易──」=敎授。
財物の所藏をゆるかせにすれば盜をみちびき、女子の容姿をなまめかしくすれば淫をみちびく義。字解參看。
をしへさとす。顏氏家訓「不如寡妻之──」=敎誨·訓誨。
ケフ [葉]
○うそつく(妄語)○しゃべる(多言)
ゴ [遇]
○あやまる、まちがへる。あやまり(謬)あやまち「過─」「舛─」「錯─」「謬─」「脫─」吳志、周瑜傳「瑜精音樂、雖三爵後、其閒缺─、知之必顧、故時人謠曰、曲有─、周朗顧」○まどふ。まどはす(惑)悞に通ず。
同訓異義
アヤマル 誤·謬·訛·錯·愆·過·失○誤は氣づかずして、しそこなふなり、誤字はかき損じの字なり。漢書「誤持二同舍郞金一去」○謬は狂者之妄言也と註す、繆に作る、同じ、もと織物の絲すぢの違ひたるなり、紕繆と連用す、それより筋道のゆき違ひたるに用ふ、謬見と熟す。漢書「差以二毫釐、一謬以二千里一」○訛は譌と音義同じ、いつとなくあやまり違ふ義、訛字·訛言と用ふ、誤字とは、犬を大と誤る如きをいひ、訛字とは步を歩と書く類をいふ。○錯はやすりの類、齒の入り違ひたるより、轉用して、彼此入りちがふに用ふ。家禮序「錯二認金根、一爲二金銀一者」○愆はあやまちと訓む、心得違ひなり、罪愆と連用す。書經「繩レ愆糾レ謬」○過は惡心なく、誤りて犯したるをいふ。論語「過則勿レ憚レ改」○失は過失·失火と熟す、失レ手はあやまりて取りおとす義。
あやまれるかんがへ、考へちがひ。
あやまりてつまづく。杜甫詩「當時歷塊誤一蹶」
ちがひ、あやまり。
あやまりてころす。元史、答里麻傳「有牧童、持鐵連結、擊野雀、──同牧者繫獄」
かんぢゃうちがひ。
あやまれる文字。
事を害する。晉書、愍帝紀「愍帝將出降、歎曰、誤我事者、麴索二公也」麴允と索綝との二人。
うつしあやまり。
○あやまりて書く。○誤字ある書物。世說、文學「邢子才有書甚多、不甚讎校、嘗謂──思之、更是一適」
活字のうゑあやまり。
文字をあやまり、又はおとす。誤字と脫字と。=脫誤。
まちがへておく。史、外戚世家「宦者忘之、──其籍代伍中」
あやまりつたへる。=誤報。
あやまりてみとめる。認は識。司馬光、晚暉亭詩「醉立斜陽頭似雪、往來──白公家」=錯認。
あやまりのしらせ。王逢詩「──迎鑾出禁宮、階前草是雁來紅」
あやまり。吳志、韋耀傳「懼有──、數數省讀」=差謬·謬誤。
ききあやまり。
まどはす。まどふ。司馬光文「不可改成法、復從弊俗──後生」
シ [寘]
○しるす(記)かきつける。○心におぼえる、記憶する。唐書、褚亮傳「圖史一經目輒─于心」○しるし(標記)荆楚歲時記「以血點衣以爲─」○ふみ(文書)事實をしるせし文章「墓─」「碑─」「地─」「名山─」志に通ず。○あざ(黑子)南齊書、江祏傳「高宗胛上有赤─」古、痣に通ず。
①ショウ·ジュ [宋]
②訟(言部四畫)に通ず。 []
①となふ(唱)唱へ讀む「讀─」「精─」ふしをつけてよむ。○うたふ(歌)讀みて音節あるもの「諷─」「─詠」禮、文王世子「春─夏弦」○そらんじよむ「背─」「暗─」「記─」○言ふ、說く、はなす、論ずる「稱─」○うらみそしる(怨謗)左、襄四「國人─之」
②うったふ、あらそふ(爭)
同訓異義
ヨム 誦·讀·念·諷の別は讀(一八三九頁一段)の條を見よ。
詩歌をそらんじうたふ。南史、袁豹傳「好學博聞、善談雅俗、每商較古今、兼以──、聽者忘疲」
戒となるべき詩歌をうたひて人をいちめる。國語「使工──於朝」
○聖人の經書を讀む。唐書、呂才傳「子方毅、七歲能──」○ シヨウキヤウ 佛の經文を誦讀す。張蠙、宿山寺詩「好是潺湲水、房房伴──」=讀經。
おほやけにいふ(公言)漢書「未敢──誅之」=訟言。
いさををときたてる。史記「羣臣──、請刻于石」=頌功。
詩をそらんじよむ。禮記「──三百、不足以一獻」
そらんじならふ。史、儒林傳「兒寛行常帶經、止息則──之」
道士などが經文を唱へて祈る。關尹子「有──者、有事神者」
○よむと、說きあかすと。韓非、難言、註「──舊事也」○經書をよみて解說する。荀子「──而不陵不犯、可以爲師」
そらんじよむ。漢書、王襃傳「太子喜襃所爲甘泉及洞簫頌、令後宮貴人左右、皆──之」=讀誦·諷讀。
よみて其の意味をかんがへあぢはふ。晉書、文苑傳「袁宏、作北征賦、王珣──久之、謂伏滔曰、當今文章之美、故當共推此生」
セイ ジャウ [庚]
○まこと(眞實)まごころ(信)心術·言行などの純一にしていつはりなき義。易、乾卦「閑邪存其─」○まことにす、まことの道を實行する。中庸「誠者天之道也、─之者人之道也」註「─者眞實無妄之謂」○まことに、げに、眞に、實に。孟、公孫丑「子─齊人也」○つまびらかに(審)
同訓異義
マコトニ 誠·信·眞·固·實·允·良·諒·洵の别は信(一三七頁二段)の條を見よ。
○まごころ。○心をまことにす。大學「欲正其心者、先誠其意」
二十卷、明の劉基の詩文集、其の詩は沈著にして頓宕、自ら一家を成し、高啓に次ぐべし、文も亦宋濂の亞なり。
二心なく純一にしてまことなり。心志專固。史、貨殖傳「皆──之所致也」
まことのこころ、慤も誠。檀弓「忠信──之心」
まことの心の神人を動す義。南史、劉歊傳「奉母孝、母疾、夢歊進藥、及翌日、轉有閒、效其──如此」
まことと、いつはりと。何晏賦「察俗化之──」
おそれかしこまる、臣民が天子に上る書に用ふる辭。韓愈、潮州謝上表「臣某────、頓首頓首」
まことの心。蜀志、鄧艾傳「君之──、乃當爾耶」
○まごころありてつつしみうやまふ。南史、謝弘微傳「晨夕瞻奉、盡其──」○程朱學にて存誠と居敬と。
まごころ。陶弘景、論書啓「伏願聖慈、照錄──」=丹慊。
まごころありてつつしむ。隋煬帝、秦孝王誄「爰自聖童、天性──」
まごころにしてねんごろ。北史、列女傳論「蓋有質逾寒松、心踰匪石、或忠壯──、或文采可稱」=忠懇。
百三十卷。宋の楊萬里の詩文集、其の詩、粗厲頽唐と雖も、才思健拔誦すべし。
まことにしてかざりなし。漢書、郊祀志「言奉天之道、貴以──、大得民心也」
○まことにしてまじめ。唐書、韓思復傳「持此──、以答譴咎」○まことに、眞に。後漢書、郭太傳「賈子厚──凶德、然洗心向善」
まごころ。淮南子「──可以懷遠」
まごころ、まこと。禮記「身致其──、──之謂盡、盡之謂敬」
まことのこころあつし。唐書、郭子儀傳「事上──、臨下寬厚」藎は忠愛の厚く進む義。
まことの心。=眞情。
まごころありて親切。=忠切。
まことのみち。漢書、孔光傳「書曰、天棐忱辭、言有──天輔之也」
○こころからつくす忠義。○まごころを込めたるしんせつ。
まことにしてただし。北史、趙綽傳「上以綽有──之心、每引入閤中、評論得失」
誠心をこめていのる。宋史、魏丕傳「丕刺襄州、境内久旱、丕以──之二夕、雨霑足」
こころよりしたがふ。孟、公孫丑「以德服人者、中心悅而──也」
まごころありて操がはげし。又、其の人。魏書、景穆十二王傳「高祖曰、朕思追禮先賢、標揚忠懿比干嵆紹、皆是古之──」
セイ ゼイ [霽]
○ちかふ、ちぎる、信を約す「宣─」「信─」「約─」曲禮「約信曰─」○ちかひ、ちぎり(約束)○神佛につげて信義を守る。○男女の私約。詩、國風「信─旦旦」○衆人をいましめつつしましむ(戒謹)又其のことば「牧─」「泰─」「秦─」○いひつけ、命令して戒む。左、閔二「─軍旅」○文體の名。文體明辯「─者誓衆之詞也」○ちかって、必ず、確實に。
同訓異義
チカフ 誓·盟·矢○誓は言葉にてちがはぬ樣に約束するなり、誓書·誓言の如し。○盟は牲を殺し、血をすすり、神にちかふなり、誓よりは重し、春秋左傳には、盟の字多し、書經には、誓の字多し、後世人心の疑心深くなりたる證なり。○矢は矢の眞直に向うへゆく如く、何時までもかはらぬ義。
君が臣にちかふと、吿ぐると、書經の泰誓·酒誥の類。孔穎達、尙書正義序「湯武革命而──興」
ちかひを立ててねがふ。ぐゎんかけ。法華經「我本立──」=立誓。
ちかひのことば。書、湯誓「女不從──」
約束の證文。=誓約書。
出兵の時に將士に誡めちかふ。書經「禹乃會羣后、誓于師、曰、濟濟有衆、咸聽朕命」
國 誓文に同じ。
ちかひのことば。正字通「宋元豐以後、神前──曰誓狀」=誓言。
土地の神に誓ひを立てる。禮記「君親──、以習軍旅」
ちかひのかきつけ〔文獻通考、四裔考〕
ちかひのかきつけ。舊唐書「令立──於明堂」=誓書。
父母の墓前にてちかふ。晉書、王羲之傳「王述爲揚州刺史、檢察會稽、羲之稱病去郡、於父母墓前自誓、朝廷以其誓苦、亦不復徵之」後人、官を去りて歸隱するに、每にこの故事を用ふ。
君上の臣下に對するちかひと命令と。孔安國、尙書序「典謨訓誥──之文、凡百篇」
ちかひ。=誓約。
ちかふ。又、ちかひ。蜀志、彭羕傳「昔每與龐統、共相──、庶托足下末蹤、盡心于主公之業」=契約·盟約。
セゥ [嘯]
譙の古字
○せむ(責讓)「責─」「詆─」「謗─」書、金縢「王亦未敢─公」しかりとがめる。○そしる。○せめ。
同訓異義
ソシル 誚·誹·謗·訕·詆·刺·譏等の别は誹(一八一八頁一段)の條を見よ。
せむ、讓も責。漢書、黥布傳「項王數使使者──召布」=譴責。
①セツ [屑]
②エツ [屑]
③ゼイ [霽]
④タツ [曷]
①とく(解釋)意旨を釋明する。○のぶ(述)意思を述べる。又其の言語文章「新─」「邪─」「異─」○いふ(言·道)談 カタ る「陳─」「演─」「稱─」○ちかひのことば、誓約の言。詩、邶風「死生契闊、與子成─」○いのる、のろふ。いのり、鬼神にねがひ求める。○文體の名「師─」「愛蓮─」文體明辯「─、解也、述也、解釋義理而以己意、述之也」
②よろこぶ(懌)古、悅に通ず。論、學而「不亦─乎」○心から服する。○人名。
③ときすすめる、人に說きて己の意見に從はしむ「游─」孟、盡心「─大人則藐之」○やどる(舍)とまる。詩、召南「召伯所─」稅に同じ。駕を稅く。
④去る、ぬぐ。古、脫に通ず。易、蒙卦「用─桎梏」○ゆるす(赦)
同訓異義
ヨロコブ 說·喜·悅·欣·歡·怡等の別は喜(三三九頁四段)の條を見よ。
義理を說く。漢書、禮樂志「今學者不能昭見、但推士禮以及天子、──又頗謬異」=釋義。
周易の篇名、孔子の作りし十翼の一、八卦の德業變化及法象を說きしもの。
經書を講說する。後漢書、楊政傳「善──書、京師爲之語曰、──鏗鏗楊子行」子行は楊政の字。
宗敎上のはなし。=法話。
○宋代の官名、天子の側に侍して經書を進講する者。=侍講。○はなし家、講談師〔夷堅志〕
かたる。淮南子「──者游於辯、修行者競於往」=談說。
ときさとす。
○いひひらきする、ときつくす。白玉蟾詞「?散家風淸虛、活計與君──」○他人の意見主張を說きやぶる。
○道家にて其の道の話をする。道藏大上經「末世道士、講經──」○ 佛 佛敎を說く。維摩經「廣爲──」
○郛は郭 クルワ 衆說皆其の郭內にある義。法言、問神「大哉天地之爲萬物郭、五經之爲衆──」○書名、百二十卷、明の陶宗儀の原本に、郁文博、及び淸の陶珽の增補せし一大叢書。
ゆめをはなす。轉じて言語の昏憒なるに喩ふ。冷齋夜話「此正所謂癡人──耳」
ときあかす。ときあかし。
說文解字の略、三十卷、漢の許愼撰す、六書卽ち指事·象形·形聲·會意·轉注·假借の義を推究して甚だ精し、淸の段玉裁之に注す。
ときさとす。
鈴の如き小さき聲、小說をいふ。法言、吾子「好書而不要諸仲尼、書肆也、好說而不見諸仲尼、──也」注「鈴以喩小聲、猶小說不合大雅」
はなし、ものがたり。=話說。
書名、二十卷、漢の劉向撰す、軼事 イツジ の法戒と爲すべき者を錄す、其の著新序と體例を同くす。
ときすすめする辯者、游說の人。史、酈食其傳「常爲──」
戰國の時、韓の韓非の作りし文、游說は難し、先づ人主の意を知りて說するを祕訣とすべき旨を述ぶ。
心に滿足してよろこぶ。漢書、鮑宣傳「衆庶翕然莫不──」=喜悅·欣喜、歡喜。
よろこびなつきて心服する。司馬法「諸侯──、海內來服」=悅服。
よろこびたのしむ。漢書、禮樂志「因先王之樂、以敎化百姓、──其俗」=悅樂。
タン [旱]
○あざむく(欺)「欺─」「怪─」「虛─」「荒─」史、扁鵲傳「先生得無─之乎」○いつはる(詐)○うそ、そらごと、妄りに大言を吐く。○ほしいまま(縱)わがまま「放─」○ひろし(闊)詩、邶風「何─之節兮」○おほいなり(大)おほいに。書、大禹謨「─敷文德」○うむ。うまる(生)「─日」降─は天子の生るる義。○そだつ(育)○ここに、發語の辭。詩、大雅「─寘之隘巷」
あざむく。漢書、藝文志「──怪迂之文、彌以益多」=欺誕。
方士などのとりとめなきいつはりごと。唐書、張宿傳「出入邸中、──敢言」方岳詩「黃冠──謹勿信」
いつはりてとりとめなし。楊維楨文「佛老氏之──、奚啻霄壤之殊塗」
とりとめなく大いなることば。孫楚文「放此──」
實なきでたらめ。後漢書「束名實者、以柱下爲──」
次條に同じ。唐書、德宗紀「上──、不納于中外之貢」= 俗 壽辰。
うまれたる日。閒中古今錄「世稱生辰、曰──」=生日·誕日·華誕。
國 の大いなる法典。漢書、敍傳「贊國之──」注「誕、大也、謂憲章之大者」
うまれる、出産。後漢書、虞美人傳「──聖皇」
とりしまりなくほしいまま。梁書、謝幾卿傳「二人意思相得、竝肆情──」=恣縱·誕放。
でたらめ、まことならず。王令詩「仙書虛荒喜──」=妄誕。
大いにほしいまま。唐書、賀知章傳「知章、晚節尤──、遨嬉里巷、自號四明狂客」
大いにしき施こす。書、舜典「帝乃──文德、舞干羽于兩階」
みだりに大言して實なし。史、龜策傳「人或忠信、不如──」=誕妄·放誕。
大いにあたりうける、膺は當。書經「──天命、以撫方夏」
ニン [震]
○みとむ、見つける。○事物をはっきりと辨 ワキマヘ へ識る。後漢書、卓茂傳「時嘗出行、有人─其馬」「─識」「誤─」「妄─」○ゆるす(允許)「承─」「公─」 國 ○ シタタム 手紙を書く。又、飯をたべる。○ ミトメ みとめ印の略。實印の對。
みとめてゆるす「──狀」=許可·認許。
認容に同じ。
○みとめ知る。○心が內界及び外界の對象を感知又は意識する作用。其の硏究を認識論といふ。
苟且 カリソメ にせざる義。元史、王克敬傳「臨事不──、豈盡忠之道乎」
佛 妄見を以て眞覺と爲すに喩ふ〔楞嚴經〕=認賊作子。
みとめる、承知する。
みとめてきめる。
みとめる。劉禹錫詩「莫言堆案無餘事、──詩人在此閒」
みとめてゆるす。=認可。
ブ [虞]
通音フ
○しふ、有を無といひ、無を有といふ、あざむく(欺罔)いつはる(詐)「─妄」「矯─」「欺─」易、繫辭「─善之人、其辭游」○けがす(衊)○そしる(謗)「讒─」○まぐ(狂)罪なき人を罪におとす。周語「其刑矯─」
罪なきものをしひてひきだす。宋書、沈約自序「妄自──」
いつはりてみだら。柳宗元、非國語序「左氏國語、其文閎深傑異、固世之所耽嗜而不已也、而其說──、不槩于聖」
しひけがす。史、田叔傳「吾非敢有語言也、願少卿無相──也」
罪なき者をしひて罪におとす。晉書、賈充傳「賈謐爲常侍、侍講東宮、太子意有不悅、謐深患之、遂與后成謀、──太子」=讒陷·枉陷。
あざむきいつはる。荀子「妄人者、門庭之閒、猶可──」
しひごと、なきことをある如くいつはりいふ。
無實の事をしひいつはりてつげる。漢書、宣帝紀「朕惟耆老之人、髮齒墮落、血氣衰微、亦亡暴虐之心、自今以來、諸年八十以上、非──殺傷人、佗皆勿坐」
罪をしひてころす。唐書、魏?傳「──參軍衡方厚」
しひそしる。許棠詩「──遭遐謫、明君卽自知」
いつはりのうはさ、ねなしごと。=誣言。
いつはりけがす。後漢書、宦者傳論「大考鉤黨、轉相──」=誣汙。
事實のなきことをある如くいひてうったへる。=讒訴。
しひそしる。唐書、武元衡傳「王承宗上疏、請赦吳元濟、使人白事中書、悖慢不恭、元衡叱去、承宗怨、數上章──」
無きことをしひてうそをいふ。=誣罔。
しひそしる。北史、崔光傳「光少有大度、喜怒不見于色、有下毀惡之者、必善言以報、雖見──、終不自申」=誣詆。
其の罪なきに已むを得ず服して刑をうける。史、李斯傳「趙高、治斯、榜掠千餘、不勝痛、自──」
いつはりしひて人の名節をけがす。唐書、來俊臣傳「陰嘯不逞百輩、使飛語──公卿」
いつはる。漢書、薛宣·朱博傳「事發見詰、遂陷──」
罪なき人をしひて罪におとす。荀悅、王商論「無罪猶見──、而況敢有罪乎」唐書、李邕傳「復坐──且得罪」=矯誣。
ホツ フツ ハイ [月]
○みだる(亂)○まどふ、まどはす(惑)○さかふ(逆)○そむく(乖)○もとる。=悖。
もとる。漢書、外戚傳「長書有──」長は淳于長。=悖慢。
8畫
キ [支]
はかる(謨·謀)
ギ [寘]
又、?に作る、義に同じ
○よし、義に通ず、みち、制裁の宜しきに合ふをいふ「仁─」「古─」「禮─」○はかる、議に通ず。○したしみ、よしみ「情─」「交─」「高─」
鞠(革部八畫)に同じ。
ギン [眞]
── ギンギン はやはらぎ悅びて諍ふ。一說に和ぎ敬 ツツシ む貌。論、鄉黨「朝與上大夫言、──如也」
クツ [物]
○かがむ。淮南、氾論「─寸而伸尺、聖人爲之」=屈·詘。○─詭 クツキ は非常にあやしく異る。左思、吳都賦「─詭之殊事」
クヮ [箇]
○わりあて、みつぎもの(租稅)舊唐書、職官志「凡賦人之制有四、一曰租、二曰調、三曰役、四曰─」○租稅をわりあてる「賦─」「─稅」○仕事をそれぞれわりあてる。又、其の仕事。○ほど(程)わりあてたるきまり「─程」「日─」「學─」○こころみる(試)○こころみ(考科·試驗)○ついづ(序)○はかる(議)○官省中の事務の一部分「─長」
○仕事をわりあててつかふ。後漢書、樊宏傳「──童隸、各得其宜」○課稅と繇役 ブヤク と。隋書、高祖紀「詔以河南八州水、免其──」
はかりしらべる。史、匈奴傳「──人畜計」
わりあてたるしごと。
仕事をわりあててためす。魏志、明帝紀「博士──」
わりあてて嚴しく催促する。蕭子良文「嚴期兼夜、──新稅」
○わりあてたるしごとの程度。唐書、百官志「勳賜贓贖、徒役──、逋欠之物」○物品に課する稅。物の貴賤によりて定める。元史、世祖紀「諸路──、歲銀五萬錠、恐疲民力、宜減十分之一」
稅金の收入〔曾鞏、會計錄序〕
稅金〔蘇軾、論積欠狀〕
愆(六八一頁一段)に同じ。
①サゥ [敬]
②サゥ [庚]
①いさむ(諫)いさめ正 タダ す。○とどむ(止)其の失を救ひ止む。漢書、王襃傳「諫─卽見聽」
②うったふ(訟)「爭─」○あらそふ。=爭。
人と爭ひて勝たんとする氣。韓詩外傳「有──者勿與論」
いさめあらそふ忠臣。=爭臣。
うったふ。うったへ。後漢書、劉聖公傳「平理──」
シン [寢]
○深く諫める。○おもふ(念)○はかる(謀)○つぐ(吿)思ふことを述べて吿げる。左、閔二「昔辛伯─周桓公」
シュ·ス [虞]
○はかる(謀)聚りて謀る。○とふ(咨)政事を問ふ「咨─」左、襄四「咨事爲─」
同訓異義
トフ 諏·問·訊·詢·咨·訪の别は問(三三八頁二段)の條を見よ。○ハカル諏·計·謀、圖·量·揆等の別は計(一七八七頁一段)の條を見よ。
とひはかる。唐書、張建封傳「軍中事多所──」=咨訪·詢訪·咨問。
事をとひはかる。獨孤及詩「委輸資外府、──寄賢良」=咨謀。
シュク [屋]
あやし、いつはる(詭異)
いつはりて正しからず。莊、德充符「彼且蘄以──幻怪之名聞」
シュン [眞]
通音ジュン
○── ジユンジユン はねんごろ(誠懇)又忠謹なる貌。くりかへして敎へさとす貌。○いたる(至)○あつし(厚)○たすく(佐)
○ねんごろに敎へる貌。敎へて倦まざる貌。詩、大雅「誨爾──」○忠謹なる貌。後漢書、卓茂傳「勞心──、視民如子」
スヰ [支]
○たれ、なにがし、たれか、姓名を尋ね問ふときに用ふる疑問代名詞。又、不明の人の代名詞、いづれ(孰)○發語の助字。詩、陳風「─昔然矣」
同訓異義
タレカ 誰·孰·疇○誰は人を指す辭。孟子「夫誰與レ王敵」○孰はどのやうなものがと問ふ辭なり、いづれとも訓む、また誰と同じく人をも指す。論語「女與レ囘孰愈」○疇は誰也と註す、もと類也、衆也などの義を兼ぬれば多くの類を以て分れたるものを指すなり。說命「疇敢不レ祗二若王之休命一」
○誰ぞと其の姓名を詰問する。賈誼、過秦論「信臣精卒、陳利兵而──」=誰呵。○たれ、姓名の明かならざる者。莊、應帝王「不知其──」=何人 ナンピト 阿誰。
きのふ、先日。誰は發語の辭。詩、陳風「──然矣」=疇昔。
唐の韓愈の過鴻溝詩の句、曰く「龍疲虎困割川原、億萬蒼生性命存、───────、眞成一擲賭乾坤」
烏の雌雄は相似てわかちがたし、故に是非のわかち難きに喩ふ。詩、小雅、正月「具曰予聖、──────」
何人にても皆兄弟あるをいふ。陶潛、祭程氏妹文「────、人亦同生、嗟我與爾、特百常情」次條參看。
何人にも皆夫婦ある義。李華、弔古戰場文「蒼蒼烝民、誰無父母、提攜捧負、畏其不壽、誰無兄弟、如足如手、────、如賓如友、生也何恩、殺之何咎」
天下の人は誰も皆父母あるをいふ。詩、小雅「嗟我兄弟、邦人諸友、莫肯念亂、────」前條參看。
何人も家を出るには必ず戶に由る、道は猶ほ戶の如くなるに何故に人は斯の道に由らざるかと歎ぜし語。論、雍也「子曰、──────、何莫由斯道也」
誰一人として我の心中を知れる者なし。楚辭「吁嗟嘿嘿兮、誰知吾之廉貞」
人を誰詞 トガメル する義。歐陽修詩「有敢下筆知──」
スヰ サイ [寘]
○せむ(讓)吳語「吳王還自伐齊、─申胥」○ののしる(罵)○そしる(誚·詬)○つぐ(吿)○とふ(問)○いさむ(諫)
せめののしる。漢書、賈誼傳「母取箕帚、立而──」注「誶猶罵也」
ののしる。柳宗元、與大學諸生書「有凌傲長上、而──有司者」
セイ シャウ [梗]
宋音シン
○こふ(乞)「奏─」「懇─」もとむ(求)○とふ、問ひたづねる義の敬語。曲禮「─業則起、─益則起」○つぐ(吿)○いのる(祈)「祈─」○うく(受)○ねがふ(願)○召す、人を招く「─客」○おめにかかる、謁見する。漢書、張湯傳「造─諸公」○漢代諸侯が、秋、天子に參內するにいふ。史、吳王濞傳「使人爲秋─」○ 國 ウク 受け取る「─書」引き受ける「─負」「─合」
同訓異義
コフ 請·丐·乞の别は丐(四一頁三段)の條を見よ。
○すでに敎を受けて更に其の上の敎を請ふ義。論、子路「──、曰無倦」○給與品などを增し加へられんことをねがふ。論、雍也「──、曰、與之庾」(庾は十六斗)
○貴人に面會をこふ。○權力ある人にたのみ入る〔左、隱十一〕=請託。
官吏などがいとまをねがふ、假は暇。隋書、陸彥師傳「遇疾──還鄴」=請暇。
前條に同じ。
こひもとむ。後漢書、卓茂傳「不當乘威力強──耳」
こひねがふ。又其のねがひ「──書」
罪をまつへや。漢書、賈誼傳「造──而請辠耳」
○神に祈らむことをこふ。論、述而「子路──」○こひいのる。後漢書、質帝紀「詔郡國、有名山大澤能興雲雨者、二千石長吏、各絜齊──、竭誠盡禮」
權力ある人にこひもとめる、たのみ入る。又、其のたのみ。漢書、何武傳「欲除吏、先爲科例、以防──」
俗 招待狀、案內狀。
○官吏に任ぜられんことをねがふ。五代史、雜傳「盧光稠獨以虔·韶二州、請命于京師」○辭職をねがふ。後漢書、隗囂傳「夫以二子之賢、勒銘兩國、猶削跡歸愆、──乞身」
退隱をねがふ。=吿老。
セン [銑]
○よきことば(善言)○たはむる(謔)○──はたくみにいふ(巧言)劉向、九歎「讒人──」又、へつらふことば(諂言)後漢書、樊準傳「習──之辭」
タク [覺]
○そしる(毀)○しこづ(譖)○うったふ(訴)そしり訴へる。○せむ(責)
タフ [合]
○そらごと(妄語)○── タフタフ はことばおほし(多言)荀、正名「愚者之言、──然而沸」=沓沓。
タン [覃]
又、譚に作る通音ダン
○ものがたる(語)はなす(話)「面─」「對─」「縱─」「閑─」「劇─」○はなし、言論、ものがたり「─話」「史─」「文─」「政─」「快─」「農─」「講─」「街─」公羊、閔二「魯人至今以爲美─」○手─は圍碁。○淸─は玄虛の言談、卽ち老子·莊子の主義者のはなし。
かたりうたふ。南史、王延之傳「獨處齋內、雖于弟亦不妄前、時時見親舊、未嘗及世事、從容──而已」
ものがたりするばしょ。梁書、昭明太子傳「書幌空張、──罷設」舊唐書、姚班傳「講席──、務盡忠規之道」
はなし相手の客。晉書、韓康伯傳「簡文帝居藩、初作相、與王濛竝爲──」
國 はなしあふ、相談する。=談商。
○義理をかたる。南史、張裕傳「顏──飮酒、喧嘩不絕」(顏は顏延之)○ 佛 說敎。=法話。
はなししてたはむる。魏志、王肅傳、注「賈洪好學、特精于春秋左傳、善能──」
互にはなしあふ。南史、劉湛傳「不爲文章、不喜──」
○虛無の理をかたる。孟浩然詩「──對樵叟」○ 佛 佛敎のはなし。蘇軾詩「誰似龍邱居士賢、──說有夜不眠」(佛敎に有と空との二宗あり)
明白にいはず、暗暗の中に人の急所をつく如きはなしぶり。史、滑稽傳「────、亦可以解紛」
ものがたる。淮南子「──而不稱師是通也」
はなしのついで。梅堯臣詩「晚雲──改」=言次·話次。
相談する、商ははかる。
談語の時に手に執るほっす。黃庭堅詩「每來捉──」
はなしのたすけ、はなしのたね。漢書、王充傳、注「祕玩以爲──」
はなしのいとぐち、話頭。梁昭明太子文「追憶──、皆爲悲端」
ものがたりしてわらふ。孟、吿子「越人關弓而射之、則己──而道之」
はなしする。漢書、淮南王傳「每宴見、──得失」
言談を善くして世の宗とする所たる者。晉書、阮修傳「王衍當時──」
○談論廣博にして、つきざるをいふ。晉書「斐頠辭語豐博、時人謂頠爲言談之林藪」○書名。宋史、藝文志「陽松玠八代──二卷」
前條に同じ。宋の陳師道の著に后山──あり。
天象を談ずるが如く、龍を雕刻するが如く、辯論の宏博藻麗なるをいふ。史、孟荀傳「談天衍、雕龍奭」(衍は鄒衍、奭は鄒奭、共に周代の人)
はなし。南史、賀革傳「子徽美風儀、能──」=談諭·言論。
談論すること易からざるをいふ。漢書、東方朔傳「吳王曰、可以談矣、先生曰、於戲可乎哉、可乎哉、────」
國 かけあひ。=交涉。
談話の時、手に執る拂子 ホツス 轉じてはなしのたね。傳燈錄「棲雲寺大朗法師、每談論、手執松枝、以爲──」=話柄·談欛。
ものがたる。ものがたり。五代史、任圜傳「爲人明敏善──」
言論の勢のするどき義。蘇軾詩「賓主──敵兩都」
はなしのついで。=談次·話次。
理を談ずる。主に老莊の學理を談ずるにいふ。晉書、殷仲湛傳「其──與韓康伯齊名、士咸愛慕之」
かたり論ずる。後漢書、郭太傳「博通墳籍、善──」=辯論·言論。
ものがたる。ものがたり。石崇詩「文藻譬春花、──猶蘭芳」=言論。
ヂ ヰ [寘]
○ゆだぬ(委)○わづらはす(累)漢書、胡建傳「執事不─上」○かかる(係)○まかす、たのむ、たよる(託)漢書、賈誼傳「尙有可─者」○ことよせる、かこつける。
ツヰ [寘]
○かさなる(重累)○わづらはす。○わづらはし(煩累)うるさし「─諉」
①テゥ [蕭]
②テゥ [嘯]
③チウ [尤]
①ととのふ(和合)「和─」○あはす。あふ、かなふ(適)やはらぐ(和)○てぅしがそろふ、音樂のてぅしがととのふ。○したがふ(順)「順─」ならふ(習)○ならす「─馴」○まもる、もりたてる「─護」○あざける(嘲)世說「王丞相每─之」からかふ(嘲笑)たはむる(啁)○あざむく(欺)○──は木の枝葉のうごく貌。○姓。○官名。
②もとむ、をさむ、ととのふ。○めしだす、徵發する。○官職をうつす。うつる(遷)轉任する。漢書、張釋之傳「十年不得─」(長く其の地位に沈滯して居る)○はかる(度)かぞへはかる(算)「─度」漢書鼂錯傳「─立城邑」○つき、みつぎもの(賦課)戶稅「租庸─」○ふし、しらべ、音樂のてぅし、音律「聲─」「格─」「同─」「曲─」○やうす、おもむき(韻致)「雅─」「風─」「才─」○うた(詩章)
③あした、古、朝に通ず。詩、周南「惄如─飢」 國 ○ シラベル 「─查」「取─」吟味する。○ トトノフ 物を買ふ。
同訓異義
トトノフ 調·整·齊·勻○調はよく和合する義、調和と連用す、調二五味一·調レ羮は、皆鹽梅アンバイをよくする義。音調は、音樂のしらべにて、去聲なり。○整は齊なり、物を束ねて又少し擊ちて、正しくそろへる意、整理·修整·齊整などと用ふ。梁武紀「整レ衣危坐」○齊は整なり、偏頗なく、平等に正しきなり、出入なく、一樣にそろふこと、綠樹齊は、參差の反にて、樹木が高低なく、そろひたるなり。○勻は物のまんべんにむらの無きなり、均に通用す、杜甫の麗人行に「肌理細膩骨肉勻」とあるは、骨肉の完全に發育せる意なり。
ゐぶくろのはたらきをととのへる。名醫別錄「陳廩米、──止洩」
國 印形をおす。=押印·捺印。
布帛のみつぎものと夫役 ブヤク と。後漢書、光武紀「時兵革旣息、天下少事、文書──、務從簡寡」
國 藥をもりあはせる。=調劑。
あざけりたはむる。左、襄六「少相狎、長相優」注「狎、親習也、優、──也」
ことをしらべる。鄭谷詩「窗下──鳴遠水、簾前睡鶴背秋燈」
おどけたはむる。孫楚文「──之巨觀也」=調戲。
琴をしらべる。謝朓詩「淸吹要碧玉、──命綠珠」
たすけまもる。史、畱侯世家「煩公幸卒──太子」=保護·營護。
みつぎもの。又それを獻上する。
○事實をしらべもとめる。漢書、王莽傳、注「以求事物之實情、曰──」=考察。○ 國 しらべる。
くすりを調合する。
國 ○音樂のふし、子は助字。○物事のぐあひ、ほど。
馬をならしてためす。齊書、長沙王晃傳「每遠州獻駿馬、上輒令晃于華林中──之」
ことをしらべる。晉書、傅咸傳「且膠柱、不可以──、況乎官人而可以限乎」=調琴。
ならす。詩經、疏「諸馬皆須──也」
○周代の官、人民の爭鬭を和解することを掌る。○轉じて仲裁人。=調停人。
國 注文通りにこしらへて差出す。
鳥獸をならす。史、秦紀「──鳥獸」
國 警察署などにてとりしらべたる事を記したる書類。
國 物品をしらべ作る。
からかひわらふ。李白詩「──二千石、日暮岸幘歸」=調弄·戲謔。
物事を程よくととのへる「物價──」白居易詩「藥餌自──、膳羞必甘馨」
からだをととのへ養ふ。沈遼詩「衰齡易生倦、幽巖就──」=攝生。
ととのへやはらぐ。顏舒、刻漏銘「罷衣裳之顚倒、配皇極而──」=調理·調和。
選ばれて上官に榮轉する。韓愈、薦侯喜狀「愈從──」
○ととのへ通ずる。阮籍、樂論「陰陽──、和氣均通」○ 國 注文通りの品をととのへて送る。=調進。
やはらぎのぶ。書經、疏「樂之感人、使二和易──、若樂音合度、則言必得理」=調達。
なかなほりをさせる。閒に居て和解させる。宋史、蘇轍傳論「不主──」
かなへの食物をほどよく料理する。宰相の國家を治むるに喩ふ。杜甫詩「調和鼎鼐新」
風のそよぎて樹上の枝葉の搖動するにいふ。董其昌詩「──聞爽籟」次條參看。
枝葉の動搖する貌。莊、齊物「而獨不見之──之刁刁乎」
○區畫の義。離騷「和──、以自娛」○ テウタク ほどよくはかる。蜀志、諸葛亮傳「臣身在外、別無──」○ 國 テウド 手廻りの道具、武家にては、弓矢の稱。
馬をならすことを業とする人。法苑珠林「汝前世作───、或作調象師、象馬難制、汝以鐵針刺脚」
國 古、みつぎものとして官に納めたる布、たづくり、てづくり。
佛 ○心·口·意の三業を調和して諸惡を制伏する。法華經「──其心、乃敎大智」○祈禱によりて惡魔を降伏させる。
食物の味を程よくととのへる。鶡冠子「──董色正聲」
○物事をととのへをさめる。徐陵、陳公九錫文「──陰陽」=調和·燮理。○食物を料理する。
國 兵士を訓練する。
○からかふ。宣和畫譜「作──語以戲」=嘲弄·諧戲。○樂器をかきならす。方干詩「幾年──七條絲」
○天下の政をととのへやはらげる。漢書、丙吉傳「三公典──陰陽」元稹詩「──中外無兵戎」○音樂の調子がよくととのふ。賈誼新書「倡和相應而──」○味がよくととのふ。王建詩「金鼎──天膳美」
テン [琰]
謟とは别
○へつらふ(諛)易、繫辭「君子上交不─」へつらひ、おもねる(佞)「讒─」「姦─」○屈ししたがふ(卑屈)
たくみにへつらふ。史、張丞相傳「隨世俗浮沈而見謂──」=佞巧。
へつらひいつはる。唐書、百官志「居官──貪濁有狀爲下下」
上にへつらひ人をにくむ。陳書、江總傳「羣小──作威」
强ひてへつらひわらふ。孟、滕文公「脅肩──、病於夏畦」
へつらふ。=諂諛·阿諛。
こびへつらふ。史、平準書「公卿大夫、多──取容矣」
へつらふことなし。論、學而「貧而──、富而無驕」
バゥ マゥ [養]
しふ(誣)「誣─」罔に通ず。
ヒ ビ [尾]
○そしる(謗·非議)古、非に通ず「腹─」「怨─」○そしり。非難。
同訓異義
ソシル 誹·非·謗·訕·訾·詆·刺·毀·譏·誚·短○誹は人の非をさしてそしるなり、非に通甪す、漢書の腹誹の註に「口不レ言、心非レ之也」とあり。○非は誹に同じ。○謗はかげ口をいひ、人をそしるなり、誹謗と連用す、誹謗之木は、失政あらば、書きしるして諫むる爲め、宮門にたてたる柱なり、人の事を惡しくつげあげたる書を謗書といふ。戰國策「文侯示二之謗書一篋一」○訕は毀語なり、わるくいひなすなり、謗に近し、訕謗と連用す。○訾は相毀曰レ訾と註す、本、疵に作る、疵を見つけ出して非難するなり。禮記「毋レ訾二衣服成器一」訿に作る、同じ。○詆は苛也、訶也、訐也、辱也と註す、ひどく叱りつけて詆るなり。漢書「極二其醜詆一」○刺は美の反、美はほむるなり、さすとも訓む、先方の心に、何となく針にてさされる如く、感ぜしむるやう刺ソシるなり、風刺は、とほまはしにそしりて先方にそれと感ぜしむるをいふ。○毀は譽の反、人を毀ちやぶる如く、ひどくそしるなり。○譏は先方のおちどをとがめそしるなり。詩譜序「刺レ過譏レ失、所三以匡二救其惡一」○誚は譏に近し、讓也、責也と註す、人をしかりとがむるなり、誚讓と連用す。○短は人の短所をそしるなり。史記「短二屈原於頃襄王一」
そしり。そしる。=非毀、誹謗。
人をそしるかきもの。後漢書、馮緄傳「中官相黨、遂共──誣緄」
そしり。そしる。史、高祖紀「──者族」
木を橋上に立て政治の過失をそしる言を書せしめて反省せし故事。淮南、主術「堯置敢諫之鼓、舜立────」
そしりと、ほまれと。晏子「──爲類、聲響相應」=毀譽。
①リャウ [漾]
②リャウ [陽]
①まこと(誠·信)うそをいはぬ。亮に通ず。論、季氏「友直友─、友多聞」○まことに(信)詩、小雅「─不我知」○さとる、おもひやる(寬恕)人を恕する「原─」○あきらかにす、照察する「─察」○小いさき義理を固く執り守る(小信)論、憲問「豈若匹夫匹婦之爲─也」
②よし(良)○─闇 リヤウアン は喪に居るへや。
同訓異義
マコトニ 諒·信·眞·成·實·允·良の别は信(一三七頁二段)の條を見よ。
次條に同じ。論、憲問「高宗──三年不言」
天子喪に在るの室。又、其の喪に在る閒の稱、諒は信、闇は默の義。後漢書、和熹鄧皇后紀「──旣終」=亮陰·諒陰。
おもひやり察する。韓愈文「惟吾子──焉」
おもひやりてゆるす。
信實は不十分なるも、言談は十分に餘りあり。漢書、杜鄴傳贊「可謂諒不足而談有餘者」
①ロン [元]
②リン [眞]
①はかる(議)○ついづ(序)淮南、修務「惟聖人─之」○とく(說)○よしあしを批評する「評─」○のぶ(述)物事の理、又、己の志を述べ明かにす。○ときあかす(解釋)○あげつらふ、互に論じ合ふ。○をさむ(理)○かたる(語)○意見、主旨「公─」「定─」「正─」「輿─」○えらぶ(撰)○さばく、罪を決する。史記「乃捕─之」○文の一體「過秦─」「縱囚─」文體明辯「─者議也、劉勰云、─者倫也、彌綸羣言而研一理者也」○論語の略稱「─孟」
②すぢみち(條理)禮、王制「凡制五刑、必卽天─」=倫。
あげつらひたづねる。唐書、郗士美傳「相與──」
論じて解きあかす。後漢書、延篤傳「──經傳、多所駮正、後儒服虔等以爲折中」
三十卷、漢の王充撰す、善を勸め邪を黜くるの言多く、世敎に裨あり。
議論を好む人、議論家。
義理を論じきはめる。世說「隱几安坐、讀書──自若」
事を論じはかる。史、平原君傳「毛遂比至楚、與十九人──」=議論。
是非を論じきはめる。北齊書、文宣帝紀「可令羣官更加──」
事の曲直を論じて人をたすける。唐書、馬植傳「援故事──」
論じなじる、いひこめる。
論じおよぼす。
議論のよりどころ。
○論ずるほどのねうちなし。○議論の範圍外。
論じきめる。=論斷。
己の意見を述べて官に申したてる。後漢書、孔融傳「曹操疑其──漸廣」=建議·論議建曰。
二十卷、四書の一、孔子が弟子及び時人に應答し、又、弟子相與に言へる語を記す。
てがらの大小をとりしらべる「──行賞」史、蕭相國世家「──行封」
○檢事が被吿の罪を論定して求刑する。○事を論じつげる。
是非を論じあらそふ。
前條に同じ。
時事問題などに就きての策略を論ぜし文章。
○功德を論じほめる。○史傳の記述の末に作者の論評を加へしもの。史記は太史公曰と稱し、班固の漢書には贊と稱し、荀悅の漢紀には論と稱し、其の他、評といひ、議といひ、詮といひ、述といひ、史官の撰する所は史臣曰と稱す、名稱は種種にして同じからざれども、統べて之を──といふ。
議論をするもの。=論者·論客。
議論の要旨。
己の意見に從ひて論定して次第する。史、儒林傳「孔子閔王道廢而邪道興、于是──詩書、修起禮樂」
論士に同じ。
是非曲直を論じ證明する。
あげつらひとく。王襃、得賢臣頌「千載一會、──無疑」
議論して撰述する。唐書、姚璹傳「以──勞、准祕書郞」
議論をたたかはす。
論じえらぶ。篹は撰。漢書、藝文志「門人相與、輯而──、故謂之論語」=論撰。
是非を論じきはめる。北史、齊文宣帝紀「羣官可更──新令」=論究·討論。
議論をたたかはす場所。又は其の社會。
論じきめる。=論決。
論じあらはす、著述する。漢書、叔孫通傳「漢諸儀法、皆所──也」=著作。
議論してさだめる。禮記「──然後官之」=論決。
言論の篤實なる義。論、先進「──是與、君子者乎、色莊者乎」
議論して非難する。漢書、公孫賀傳贊「極其──」
論難に同じ。顏師古文「衆說──、互執所見」
議論をする方法、論理の法則。
○是非を論じわかつ。=論決。○ 國 いひあひ、いひあらそふ、爭論、口論。
議論をかきし文章。=議論文。
兵事を談論する。李白詩「莊周空說劍、墨翟恥──」論辨 ロンベン ○事理を論じわかつ。禮記「──然後使之」○文體の一、淸の姚鼐の古文辭類纂に──類あり。=論說。
意見をのべて論ずる。元史、??傳「遇事英發、掀髯──、法家拂士、不能過之」
議論のほこさき。
論語と孟子と〔大學章句〕
思想の法則に基きて、物事を正しく論述する法を硏究する科學。
其の是非をならべ論ずる。司馬遷、報任安書「仰首伸眉、──是非」
〔國字〕
ぢゃう、上の命令。
9畫
アン [覃]
○そらんず(背誦)「─記」そらよみす「─誦」○つくす(悉)○しる(知)○十分に聞きて知る(熟聞)「熟─」「詳─」○ねる(練)○さとる(曉)○ふ(歷)
くはしくそらんじ知る「韓愈、與柳中丞書〕=諳悉。
そらんじおばえる。唐書、姚察傳「無不──」
十分にきはめそらんずる。晉書、王隱傳「博學多聞、受父遺業、西都舊事、多所──」
そらんじさとる。南史、宗元饒傳「性公平善持法、──故事、明練政體」
むなざん。=暗算。
そらんじ知る。陳書、姚察傳「──內典」
ことごとく十分に覺えつくす。北史、刁桑傳「皆所──」
そらんじよむ。=暗誦〔蜀志〕
十分になれおぼえる。晉書、刁協傳「久在中朝、──舊事」=熟習。
ヰ [未]
○いふ(言)つげる(吿)かたる(語)とく(說)はなしする。論、子張「周公─魯公曰」○となふ(稱)○おもふ(思)おもへらく、以─と連用するも同じ。○いはれ(理由)さういふわけ。孟、梁惠王「所謂故國者、非有喬木之─也、有世臣之─也」○となへ、いひ「稱─」○となへる、名づける。孟、滕文公「此之─大丈夫也」○うはさをする、評論する。論、公冶長「子─子賤」○おもはく(思念)○つとむ(勤)詩、小雅「遐不─矣」○所謂 イフトコロイハユル は世閒にて言ふ所のの意。○何─ イカン は如何。戰國魏策「毋─天下何」
同訓異義
イフ 謂·言·日·云·道の别は言(一七ハ五頁一段)の條を見よ。
①エツ [月]
②アイ [泰]
①なふだ(名刺)人に面會する時にさし出すもの「上─」○轉じてめみえする、貴人に面會する「拜─」「伏─」「入─」「迎─」「─見」○まゐる(詣)至りて吿げる。○まうす(白)申し上げる。○こふ(請)
②くもる(藹)
名刺を出してめみえを乞ふ。後漢書、李南傳「特──」
まみえる。後漢書、卓茂傳「茂詣河陽、──光武」
謁見を請ふ爲め差し出すなふだ。事文類聚「彥博方坐廳事、閱──、置案上不問」=名刺。
宮中にて賓客の吿請の事を掌り、又、四方に使する官の名。漢書、百官公卿表「──掌賓」
カイ [佳]
○かなふ、あふ(合)○ととのふ、やはらぐ(和)調和する「和─」書、舜典「八音克─」○をどけ(謔)たはむる(戲)「─謔」「詼─」「俳─」「嘲─」○たひらか(平)物の價を平かに論じきめる。後漢書、宦者張讓傳「─價然後得去」○齊─は古の怪しき事を記せる小說の書。莊、逍遙遊「齊─者志怪者也」
やはらぎてうちくつろぐ。詼諧和易。唐書、陸長源傳「好──、無威儀、而淸白自將」
やはらぎかなふ。唐書、李嗣眞傳「金石──、將有大慶、在唐室子孫乎」
ねだんを論じととのへる。後漢書、宦者傳「皆先至西園──」
たはむれたのしむ。王安石詩「便脫巾屨相──」
おどけ、だうけ、謔は戲言。晉書、顧愷之傳「愷之好──、人多愛狎之」
○やはらぎかなふ。周禮、地官「調人掌司萬民之難而──之」○音律がよくととのふ。舊唐書、裴知古傳「金石──」
やはらぎかなふ。沈遼詩「簫竽合古律、宮羽自──」
○おどけ、じゃうだん〔漢書、東方朔傳〕○うちとけてかたる。=歡談。
調子のよくととのふ義。金史、樂志「禮容旣莊、樂亦──」
やはらぎあつまる。南史、徐勉傳「中外──、人無閒言、先物後己、然後可貴」
やはらぎてよし。王義慶詩「暄景轉──、草木日滋長」
漢字の構造上の稱、六書の一。江·河の如く扁は意を示し、旁は音を示す類〔周禮、注〕=形聲。
やはらぎのびる。南史、褚彥囘傳「宮商旣調、風神──」
したしくなれる。又其の人。唐書、吳兢傳「兢少勵志、貫知經史、方直寡──」=親狎。
やはらぐ。魏書、閻元明傳「昆弟雍和、尊卑──、安貧樂道、白首同歸」=諧和·和穆·雍穆。
ガク [藥]
又、咢·鄂に作る
ただしくいふ(直言)忌み憚 ハバカ らずして正しく言ふ「侃─」「謇─」
直言する貌。史、商君傳「千人之諾諾、不如一士之──」=咢咢·鄂鄂。
カン [咸]
○まこと(誠)誠の物に感通する義。書、大禹謨「至─感神」○やはらぐ(和)
カン [諫]
○いさむ。忠吿する「直─」「諷─」「切─」「極─」いさめ。○ただす(正)さとす。
諫官のやくしょ。司馬光に──題名記あり。周必大文「明道元年、復置──」=諫垣。
前條に同じ。舊唐書、元稹傳「旣居──、不欲碌碌自滯」
君主の過失を諫める官。事物紀原「秦置諫大夫、後漢光武增爲────」=諫官。
橄欖 カンラン の異名。彙苑「橄欖味苦澁、食久方囘甘、故名──」
天子の過失をいさめる官。韓愈文「願辱太守薦、得免諫諍官」=諫議大夫。
いさめて善行をすすめる。漢書、谷永傳「因天變、而切──、上納用之」
いさめることば。北周書、馮景傳「景有──」
古、君を諫めんとする者をして、打ちて其の意を通ぜしむる爲めに宮門に置きたる鼓。管子、桓公問「禹立──於朝」淮南、主術「堯置敢諫之鼓、舜立誹謗之木」
いさめあらさふ。=諫諍。
前條に同じ〔漢書、王襃傳〕
いさめとどめる。諸葛亮文「數有──」
天子をいさめる文を書きつける紙。自氏長慶集「僕爲諫官、月請──、詩云、月慚──二百張、歲愧俸錢三十萬」
君主をいさめる書。岑參詩「聖朝無闕事、自覺──稀」
君主をいさめるつかさ。司馬光文「臣備位──三年有半」=諫官。
いさめただす。漢書、鮑宣傳「唐林數上疏──、有忠直節」
いさめとく。史、淳于髠傳「博聞彊記、學無所主、其──慕晏嬰之爲人也」
いさめる爲めの上書。李中詩「──縱横上、危言果敢陳」
人のいさめに從ふ。漢書、梅福傳「昔高祖納善若不及、──若轉圜」圜は圓き球。
人の諫に從ふこと盤上にまろき球を轉ばす如く、少しも逆はず。前條參看。
いさめたすける。書經「剝喪元良、賊虐──」
いさめさとす。魏志、曹爽傳「或時以──不納、涕而起」=諫諭。
キ [未]
○いむ(忌)「忌─」いみ。○さく(避)きらふ「避─」○かくす(隱)其の事を隱蔽して言はず「隱─」○おそれる(畏)史、范睢傳「擊斷無─」○いみな、死者の生前の本名、生に名といひ、死に─といふ。○不─ フキ は死をいふ(死は人の忌み避くること能はざるものなるが故)史、商君傳「公叔病、如有不可─、將奈社稷何」=不可諱。
同訓異義
イム 諱·忌の别は忌(六三六頁三段)の條を見よ。
いみかくす。北史、楊昱傳「卿有所聞、愼勿──」
○いみおそれる。宋史、石介傳「當時無所──」=忌諱。○いみ、陰陽道などにて、いみきらふこと。後漢書、郭鎭傳「不恤──」
なをいふを忌む。孟、盡心「──不諱姓、姓所同也、名所獨也」
クヮウ [陽]
語る聲、大いなる聲。=喤。
①ケン [阮]
②ケン [元]
①わする(忘)諼に通ず。
②わする(忘)大學「有斐君子、終不可─兮」○かまびすし(嘩)=喧。
さわぎおどろく。晉書、惠羊皇后傳「百姓──」
かまびすしくあらそふ。顧況詩「終歲無──」
かまびすしくさわぐ。史、叔孫通傳「無敢──失禮者」=呼譟。
かまびすしくよばはる。後漢書、姚期傳「──滿道」=喧呼。
かまびすしくののしる。五代史、李愚傳「兩人遂相──、乃俱罷」
かまびすしくさわぐ。南史、褚彥囘傳「郡中──」
やかましくさけぶ。劉峻文「酒酣耳熱、屢舞──」=喧呶·號呶。
かまびすしくつたはる、やかましくうはさする。=喧傳。
ケン [元]
○いつはる(詐)「詐─」あざむく(欺)○わする(忘)詩、衞風「終不可─兮」=諠。○わすれぐさ。=萱·蘐。
わすれぐさ。詩、衞風「焉得──、言樹之背」注「諼·忘也、──合歡、食之令人忘憂者」=忘憂草。
①ゲン [霰]
②ガン [翰]
②ことわざ(俚言·俗言)世俗に言ひ傳ふるさとびたる語「里─」「俚─」「俗─」「鄙─」左、昭元「─所謂老將至而耄及之者」=喭。○─文 オンモン は朝鮮の俗用文字、其の字、子母連結すること、略~西藏文及梵文に似たり、字母二十八字あり、後減じて二十五字と爲す、士大夫の漢文を用ふる外は通俗皆此を用ふ。=喭文。
②畔─ ハンガン はたけくつよし(剛猛)○叛諺 ヘンガン は恭しからず、禮容なし。
ゴン [願]
通音コン
たはむれをいふ、じゃうだんをいふ。又、其のたはむれごと(戲言)
あだな〔水滸傳〕=綽名·綽號。
シ [紙]
○つまびらか(審·諦)○ただし(正)○この。書、太甲「先王、顧─天之明命」=是。
シ [寘]
笑ふ貌の謚とは别
○おくりな。死者に贈る名、卽ち生前の行迹によりて命ず「美─」「賜─」說文「行之迹也」周禮、春官、大史、疏「賜─之制、實始於周也」○おくりなす、おくり名をつける。
おくりな。晉書、禮志「登封泰山者、七十有四家、其──可知者、十有四焉」
文體の名。文體明辯「天子崩、則臣下制諡子南郊、明受之於天也、諸侯薨、則太子赴吿于天子、明受之於君也、蓋子不得議父、臣不得議君、故受之於天於君(中略)故歷代以來有帝后──·臣僚美惡──、傳於令、而其體有四、一曰──、二训改議、三曰駁議、四训答駁議、觀其往復論辯豈得已哉、不過欲歸於是非之公而已」
○おくり名をつける法。周書、諡法解「遂敍──、諡者行之迹、號者功之表」容齋續筆「今世傳周公──、故自文王武王以來、始有諡、周之政尙文、斯可驗矣」○書名、四卷、宋の蘇洵撰す。
シ [支]
咨に同じ
○はかる(謀)貴き人が卑き人に相談する。○とふ(問)「─問」
同訓異義
トフ 諮·問·詢·訪等の别は問(三三八頁三段)の條を見よ。
政府の諮問に應じて是非を議する。淸末、各省に──局を置く。
とひもとむ。何承天文「──雅旨、來答周至」
上より下にはかり問ふ。=諮問。
事をはかり命をうける。後漢書、明德馬皇后紀「后時年十歲、幹理家事、勅制僮御、內外──、事同成人」
とひはかる。後漢書、趙典傳「朝廷每有災異疑議、輒──之」=諮詢·咨諏。
シ [紙]
──然は懼 オソ れる貎。荀、議兵「──然常恐天下之一合而軋己也」
シン ジン [侵]
○まこと(信·誠)書、咸有一德「天難─命靡常」=忱·愖。○まことに、げに(實)屈原、九章「─荏弱而難持」
ショ [魚]
○もろもろ(衆)物事の多くあること「─君」「─事」○これ、之於の合字。論、衞靈公「君子求─己小人求─人」○之乎の合字にて疑辭とす。孟、梁惠王「武王伐紂有─」(別に乎を添へることもあり。史、殷本紀「信有─乎」の如し)○つけもの(菹)「桃─」「梅─」○や、字句に添へる無意味の助字。詩、邶風「日居月─」○─葛 シヨカツ は複姓「──亮」
同訓異義
コレ 諸·之·此·是·維·斯等の別は之(六二頁四段)の條を見よ。
各種の稅金。又夫役 ブヤク 唐書、食貨志「耗七者、──皆免」
○多くの家。諫王經「──內外」○多くの流派。
中國內の諸侯の國國、夏は大。四方の夷狄に對していふ。論、八佾「夷狄之有君、不如──之無」
諸葛孔明のかぶりし冠、一名綸中〔三才圖會〕
蔓菁 カブラ の異名、諸葛亮至る所に蔓菁をうゑて軍食と爲したるが故〔劉禹錫、嘉話錄〕
字は孔明、瑯琊陽都の人、隆中に隱れ、自ら管仲·樂毅に比す、劉備の三顧に逢ひて出で仕へ、遂に水魚の交をなし、備のために死力をつくし、成都を平げて蜀の地を定め、備をして漢業を興さしむ、劉備卒し、遣詔を奉じて、後主を輔け大衆を悉して斜谷より五丈原に據り、魏の司馬懿と對戰中、病みて陣中に卒す、年五十四、忠武と諡せらる。
母方の多くのをぢ。詩、小雅「旣有肥牡、以速──」
佛 諸行は一切萬物をいふ、萬物は皆うつりかはりて、しばらくも常往せず、人生の常なきにいふ〔涅槃經〕傳燈錄「世尊說無常偈曰、────、是生滅法、生滅滅己、寂滅爲樂」弘法大師のいろは歌は此語の意を和譯せしなり。
みなさん。=各位·諸彥。
○多くのすぐれたる士、彥は男子の美稱。謝靈運文「昆弟友朋、二三──」○衆くの人に對していふ敬稱。=諸君。
○もろもろの賢人。=羣賢·衆賢。○衆人に對する敬語。=諸彥·諸君。
多くの大名 ダイミヤウ 論、憲問「桓公九合──」
列國より選拔せし材能衆にすぐれたる士。左傳「皆────也」
おほくの兄。杜甫詩「謀拙愧──」
もろもろの士。史、魏其·武安傳「──在已之左」
○おのおのがた、君等。先生長者が目したの者に對して呼ぶ第二人稱。○周代の官名、諸侯の世子の事を掌る。○多くの子類の書。次條を見よ。
すべての子類の書物。漢書、藝文志、注「諸子百八十九家、係合賈生以後諸家言之、言百家擧成數也」
おほくのつかさ。左傳「訓──以德」=百官·庶僚。
いろいろの事がら〔史、李斯傳〕
多くの人人。梁書、劉顯傳「──莫能識」=衆人。
○もろもろの方面。韓愈、停擧選狀「今年──擧選」○いろいろの品物。太平廣記「──假借什物」
學生。史、叔孫通傳「臣願徵魯──、與臣弟子、共起朝儀」
○いろいろの方面。又、場所。○いろいろの技藝の道。
佛 もろもろの天上界。又、そこに住する佛。
二っ以上の單位の名數を以て表はされたる數。
各地方。晉書、何劭傳「每──貢獻」
國 いろいろ。=百般。
父方の多くのをぢ、父の衆兄弟、卽ち伯父·叔父·季父の總稱。詩、小雅「旣有肥羜、以速──」
國 宮內省の一局、陵墓に關する事を掌る。
○もろもろの王。○ 國 親王の宣下 センゲ なき皇子·皇孫の稱。
我身に責めもとめる。論、衞靈公「君子───、小人求諸人」
紳は大帶、上流の人は前に垂る、之を紳に書するは忘れざるやうにする。論、衞靈公「子張───」
往は過去にて旣に語られたるをいひ、來は未來にて未だ語られざるをいふ、一を聞きて二を知るの謂。孔子の語〔論、學而〕
ショ [語]
○しる(知)○さとし(哲)才智ある稱。○いつはる(詐)「詐─」
ダク [藥]
○こたふ(答)はいはいと應答する、ゆっくりとへんじする。禮、玉藻「父命呼、唯而不─」(唯は早くこたへる、へんじの緩急は敬意の多少による)こたへ。○ゆるす、言を以て人に許す、うけあふ「許─」「承─」「然─」○うなづく、うべなふ、承知する。論、顏淵「子路不宿─」(うけあひたる事は猶豫せずしてすぐ實行する)
うけがふ。諾は應ずること緩かにして慢る、唯は速にして恭し。蘇軾詩「心知其非口──」=唯諾。
ひたすらにはいはいと人の言に從ふ貌。史、商君傳「千人之──、不如一士之諤諤」
うけがふと、うけがはざると。
ダン ナン [旱]
又、喃に作る
○かまびすし(聒語)○── ナンナン は多言する貌。韓愈詩「論詩說賦相──」=喋喋。
テイ タイ [霽]
○あきらか(明)○つまびらか(審)「審─」○あきらむ、明かにする、審かにしらべる。關尹子「─毫末者不見天地之大」○まこと(誠)○ 佛 佛道のさとり、眞言の義「眞─」「俗─」○ 國 アキラム あきらめる、思ひきる、斷念する。
明かにみる。=諦視。
つまびらかにょくかんがへる。魏志、杜畿傳「畿治河東、民有相吿者、畿親見爲陳大義、遣令歸──之」
あきらかにみる。魏志明帝紀「君──之、勿誤也」=諦觀。
つまびらかにきく。白居易詩「凝視──殊不足」
あきらかにはかる。列子「王──之」
テフ [葉]
○さぐる、うかがふ(伺)敵のやうすを探 サグ りて密に味方にしらせる。左、哀元「使女艾─澆」○まはしもの(細作)軍中の反閒 マハンモノ 卽ち敵國の人となりて其の軍中に入り閒隙を伺ひ、反 カヘ りて其の主に報ずるもの「閒─」「偵─」左、宣八「晉人獲秦─」○──はことばおほし。=喋喋。○文字を記したるふだ、牒に通ず「譜─」「─記」
まはしもの。=反閒·細作。
まはしもの。=諜者。
しのびもの、まはしもの。周禮「巡邦國、搏──」
敵情をさぐり知る。
ことば多き貌。史、張釋之傳「豈斆此嗇夫──利口捷給哉」(漢書には喋喋に作る)
敵のやうすを探りて味方に知らす。宋史、理宗紀「遣蠟書──邊事」
フウ [送]
○そらんず(誦)そらでよむ「吟─」「背─」漢書、藝文志「─書九千字以上」○ほのめかす、正言せずして、とほまはしにいふ、それとなくいさめる。古、風に通ず。○たとふ(譬喩)
あてこするこころ。
詩歌をそらでうたふ。晉書、應詹傳「優遊──、無所標明」
それとなくとほまはしにいさむ。家語、辨政「孔子曰、忠臣之諫君有五義、一曰譎諫、二曰戇諫、三曰降諫、四曰直諫、五曰──」
とほまはしに諫め正す。張衡、東京賦の風規 ナラハシ とは異り。
それとなくさとしすすめる。後漢書、班固傳「造構文辭、終以──」=風勸。
それとなくそしる、あてこすりてそしる「──畫」文心雕龍「詩人──」
そらんじかく。漢書、藝文志「太史試學童、能──九千字以上、乃得爲吏」
そらでふしをつけてよむ。周禮、春官、大司樂、註「倍文曰諷、以聲節之曰誦」晉書、阮瞻傳「──遺言、不若親承音旨」
詩歌を吟じうそぶく。晉書、王徽之傳「時吳中一士大夫家、有好竹欲觀之、便出坐輿、造竹下、──良久」
そらんじよむ。北史、蘇威傳「恐禍及己、逃入山、以──爲娱」=諷誦。
そらんじ讀みてあぢはふ。劉長卿詩「夫君多述作、而我嘗──」=諷誦玩味。
ヘン [先]
○へつらふ(佞)便佞の便に通ず。○たくみにいひまはす(便巧言)「─言」
ボウ ム [尤]
○はかる(計)時に先だちて度 ハカ る、おもんぱかる(慮)易、訟卦「君子以作事─始」○いとなみ求める(營求)○とふ(問)人と相談する。○はかりごと、たくらみ(術策·計略·策略)「計─」「智─」「嘉─」
同訓異義
ハカル 謀·計·圖·量·度·稱·權·測·料·忖·策·畫等の别は計(一七八七頁一段)の條を見よ。
はかりかんがへる。詩經「載謀載惟」
はかりごと、猷は道にかなへるはかりごと。書、君陳「斯謀斯猷、惟我后之德」=謀計。
相談してはかる。はかりごと。漢書、韋賢傳「孝宣卽位、賢以與──」
はかりごと。後漢書、馬援傳「具言──」=計畫。
はかりごと。書經、疏「自有──之言」=計謀·謀略。
いつはりのはかりごと。漢書、文帝紀「漢大臣皆故高帝將·習兵事多──」=詐謀。
はかりごとがよい。詩經「──不從、不臧覆用」
あらかじめはかりて人を殺す。
とひはかる。曹植文「仰其聖以──」
巧にはかりごとをめぐらす臣。史、淮陰侯傳「敵國破──亡」
はかりごとに長けたる武將。隋書、賀若弼傳「楊素是猛將、非──」
はかりごとを定むるかしら、參謀長、主謀者。左、昭九「專棄──」
生計の道をはかる。楊萬里詩「萬方口業拙──」
○謀叛に同じ。○君主を弑逆すること。
國 にせばんを押す、僞印。
○むほん、君に背きてあだする。又、君に背くことをはかる。=謀反。○ 國 ムホン 王朝時代の罪名、國に背き僞朝に從ふ罪。
はかりごとがもれる。戰國策「蘇秦曰、──者事無功、計不決者名不成」
はかりごと。晉書、刑法志「二人對議謂之謀、攻惡謂之略」唐書、薛逢傳「持論鯁切、以──高自標顯」=謀計·計略·策略。
はかりかんがへる。漢書、蕭望之傳「──之士」=計慮。
はかりごとがきまる。唐書、李光弼傳「用兵──而後戰、能以少覆衆」
男子事をなすに婦人に謀れば、外にもるる恐あり、故に之を譏る。左、桓十六「桓公曰、────、宜其死也」
ユ [遇]
○さとす、敎へ吿げて悟らせる「敎─」「開─」「說─」「曉─」「詔─」○さとし(曉)○さとる、さとり(悟)○あきらか(明)○たとへ。たとふ、他の物に比べていふ(譬)漢書、賈誼傳「誼追傷屈原、因以自─」=喩。○いさむ(諫)○つぐ(吿)○官より下民へさとしきかせる。○上─は天子のみことのり。
さとしをしへる。漢書、賈誼傳「太子之善、在于早──與選左右」
○さとしつぐ。○文體の名。文體明辯「按、字書云、諭、曉也、吿、命也、以上敕下之詞、商周之書、未有此體、至春秋內外傳、始載周天子──諸侯及列國往來相告之詞、然皆仁人傳言、不假書翰、故今不錄」
さとししめす。=諭告。
○むねをいひきかす。○淸代、天子のみことのり。=上諭。
○道德をさとし敎へる。○唐代、太子の侍從。事物紀原「唐龍朔三年、初置太子左右──、蓋取文王世子敎之以事、而諭諸德之義」
ユ [虞]
?は俗字
へつらふ。へつらひ(諂)人の氣に入るやうに媚び順ふ「諂─」「阿─」「面─」史、叔孫通傳「先生何言之─也」
こびへつらひてよろこばす。金史、侫幸傳「小人侫夫、爭進──」
こびてわらふ。韓愈詩「左右供諂譽、親交獻──」
へつらひのことば。鹽鐵論「富貴多──」=諛辭。
へつらひのことば。劉向、九歎「卽聽夫讒人之──」=諛言·諂言。
こびへつらふ。戰國策「羣臣相妬以功、──用事」=諛媚。
へつらひこびる。唐書、安祿山傳「百計──、多出金諧結左右」=阿媚。
死者にこびて墓誌などを作りて稱揚する。唐書、韓愈傳「劉乂者、持愈金數斤去曰、此諛墓中人得耳、不若與劉君爲壽」蓋し韓愈が人の金を受けて墓誌を作るを刺れるなり。
10畫
エゥ [蕭]
○うたふ、樂器に合さずに歌ふ、徒歌。詩、魏風「我歌且─」傳「曲合樂曰歌、徒歌曰─」○はやりうた「俗─」「童─」「俚─」=繇。○うはさ、ねなしごと、風說「─言」「─傳」○そしる(毀)○ 國 ウタヒ 猿樂の能に合せてうたふ歌詞「─曲」
同訓異義
ウタフ 謠·歌·謳の别は歌(一○○三頁一段)の條を見よ。
うたふ。晉書、江統傳「關中土沃物豐、厥田上上、黍稷之饒、畝號一鍾、百姓──、其殷實帝王之都、每以爲居」
うた。晉書、樂志「凡樂章古辭、今之存者、竝漢世街陌──、江南可採蓮·烏生十五子·白頭吟之屬也」=謳謠。
はやりうた。史、始皇紀「始皇聞──、而問其故」
國 うたひ。字解參看。
世閒のうはさ、虛構の言、虛に憑 ヨ りて造言する。傳聞の未だ實ならざる者。三國志「──遠聞」=謠傳·流言。
うたふ。元結詩「請達──聲、願公且躊躇」
世閒の風俗。史、貨殖傳「人民──、山東食海鹽、山西食鹽鹵」=繇俗〔漢書、李尋傳〕
そしる(譖毁)楚辭「──謂余以善淫」
謠言に同じ。
エキ [陌]
諡とは别字
笑ふ貎。
歌(一○○三頁一段)に同じ。
①カゥ·コウ [講]
②コウ [宥]
①ゐきらかにす(明)物事の意味を說きあかす(解釋)「─書」「─經」○あげつらふ(論)○ならふ(習)稽古 ケイコ する「─習」「─學」左、隱五「─事也」○きはむ(究)○はかる(謀)もくろむ。左、襄五「─事不令」○なかなほりする(和解)「─和」史、甘茂傳「秦與魏─罷兵」=媾。
②なかなほりをする、和解する。○ 國 コウ 神佛の信者があつまり結ぶ團體「─中」「富士─」又、金錢の融通のための會合「賴母子─」
講筵に同じ。漢書、董仲舒傳「下帷講誦、三年不窺園」とある故事に本づく。
きはめたづねる。唐書、李勉傳「──政事」=講究尋繹。
講義する席。南史、孫瑒傳「每造──、時有抗論、法侶莫不傾心」姚合詩「紫殿──鄰御座」=講席·講帷·講壇。
○なかなほりする。史、項羽紀「業已──」=媾解·講和。○書物を說きあかす。=解釋。
學問を硏究する。互に疑を析 ワカ ちて義理の精當を求める。禮記「──以耨之」
文書又は學說の意義を說き明かす。又、其の說き明かしの書物。會要「先讀經文通熟、然後按文──」=解義·釋義。
ときあかし論ずる。後漢書、章帝紀「諸儒會白虎觀、──五經異同」
しらべもとめる。宋史、陳襄傳「以──民閒利病爲急」(病は弊)
事物の理をかんがへきはめて善を盡すことを求める。宋史、食貨志「神宗──方田利弊」
業をならふ。貫は慣、習ふ。國語「士朝而受業、畫而──」=講習。
聖人の書を講說する。晉書、職官志「洗馬八人、職如謁者祕書、掌圖籍、釋奠──、則掌其事」
學藝をみがき究める。權德輿文「──于蓬茨之下」
古の道をとく。柳宗元文「言道──、窮文辭以爲師」
國 講筵に同じ。大學敎授が擔任する學科目の爲め定められし地位。
○僧官の名、佛敎を講ずることを掌る。 國 ○學術の講義をする人。○歌合などに歌を讀み上げる人。
きはめこころみる。詩經、疏「如此長壽、相與──氣力、奇其老而不衰也」
講じならふ。易、下象「麗澤兌、君子以朋友──」=講貫。
書物の意味を說明する。南唐書「升堂──」=解釋。
ときあかしてさづける。漢書、夏侯勝傳「勝每──、謂諸生、曰、士病不明經術」
國 宮中歌の御會に、發聲に次ぎて第二句より同音に吟唱する職。
書物の意義をきはめ讀む。史、儒林傳「董仲舒、廣川人也、以治春秋、孝景時、爲博士、下帷──、弟子以次相受業、或莫見其面、蓋三年不觀於舍園、其精如此」=講讀。
○書物を講義する席。世說「在──」=講筵。○師に送る書簡文の宛名の脇に用ふる敬語。=函丈。
ときあかす。又、ときあかし。文同詩「君能爲我再──」
書物を講義する室。後漢書、明帝紀「親御──、命皇太子諸王說經」
道を說き究める。宋史、李燔傳「居家──」
○義理を解きあかして話をする。○ 國 軍談實錄などを巧みに話す。=講釋。
講義する席。=講筵。
國 神佛の信者の組合。又、其のなかま。
書物を說き明かし讀む。宋史、黃裳傳「爲人簡易端純、每──、隨事納忠」
よくととのひたる形容、調和整齊。漢書、曹參傳「蕭何爲法、────」史記には講を顜に作る、互に通ず。
武術をならふ、武事を講習する。禮、月令「命將帥──」
義理を講究しあかす。
軍隊の操練をする。旅は師旅、兵五百人の稱。王粲、羽獵賦「因時隙之餘日、陳苗狩而──」
義理をときあかし論ずる。後漢書、光武紀「──經理、夜分乃寐」
和睦する、兩國が仲なほりする。唐書、張說傳「──以休息」(講和とかへり讀むは非)=媾和。
學術上のはなし。
①カク·コク [覺]
②カゥ [肴]
①──は禍を樂み虐を助くる貌。
②さけぶ(叫)疾呼する。管子、侈靡、註「雖有─躁之人亦皆恬靜」=嗃。
キャク [藥]
通音ギャク
○たはむる、じゃうだんをいふ、おどける、たはむれ(戲)おどけ(調戲)「諧─」「笑─」「戲─」「調─」「嘲─」詩、衞風「善戲─兮、不爲謔兮」○── キヤクキヤク は盛んにして烈しき貌〔爾雅、疏〕又、喜び樂む貌。詩、大雅「天之方虐、無然──」
たはむれる。梅堯臣詩「酒半時──」=謔浪。
おどけわらふ。顧瑛詩「談玄味妙理、──雜微諷」=詼笑·笑謔。
たはむれる。たはむれ(謔は戲言、浪は放蕩)詩、邶風「──笑敖、中心是悼」
クヮク [陌]
─然 クワクゼン は速 スミヤ かなる貌。莊、養生主「動力甚微、─然已解」
①ケイ [薺]
②ケイ [齊]
①─詬 ケイコウ ははづかしむ(恥辱)又、ののしりて辱 ハヅカ しめる。
②─髁 ケイラ は正しからざる貌。莊、天下「─髁無任、而笑天下之尙賢」
①ケン [鹽]
②ケン [琰]
或は嗛に作る
①へりくだる(讓)卑下 ヒゲ する。己を屈して人に下る「卑─」「恭─」○うやまふ(敬)○つつしむ(謹)○うたがひ、きらひ。=嫌。○易の卦の名、艮下坤上。
②あきたる(足)安靜の貌。こころよし(快)大學「此之謂自─」=慊。
へりくだる。北史、于謹傳「謹有智謀、善于事上、名位雖重、愈存──」=謙退·謙損·損挹。
へりくだりてつつしむ。=謙愼·恭謹。
へりくだり、己をむなしうしてわだかまりなし。晉書、周訪傳「智勇過人、性──、未嘗論功伐」=謙沖。
へりくだる。晉書、愍懷太子傳「賈謐甚有寵於中宮、而有不順之色、若一旦交構、大事去矣、宜深自──以防其變」
へりくだりてやはらぐ。宋史、陳瓘傳「──、不與物競」
へりくだりて更に光明なり。易經「謙尊而光」疏「謂尊者有謙而更光明也」
へりくだりつつしむ。左傳、注「存──、序殷勤也」
へりくだりうやまふ貌、卑遜の貌。易、謙卦「──君子、用涉大川」
へりくだりて誠實。唐書、董晉傳「──儉簡、事多循仍、故軍粗安」=謙愨。
へりくだりて己に克つ。蔡邕文「雅性──、不吝于利欲」
へりくだれることば。後漢書「深執──、言無功德」
へりくだりてやさし。唐書、肅宗皇后傳「后性──」
へりくだりつつしむ。張九齡文「所致休徵必加──」=謙謹·謙敬。
へりくだりゆづる。卑遜の貌。史、淮陰侯傳「假令韓信學道──不伐己功、不矜其能、庶幾哉、于漢家勳、可以比周召太公之徒、後世血食」=謙遜·嗛讓·退讓。
へりくだりしたがふ。晉書、楊駿傳「公握大權、輔弱主、當仰思古人至公至誠──之道」=恭順。
へりくだりて人をおもひやる。孔文仲文「天資──、思得深謀至計以補所未照也」
へりくだりていふとなへ。左傳「與不穀同好」注「孤寡·不穀、諸侯──」
へりくだりてゆづる。巽は遜。韓愈、答田僕射書「位望益尊、──滋甚」=謙遜。
へりくだりてたかぶらず。晉書、嵆紹傳「今大事始定、宜省起造之煩、深思──之理」=退損。
へりくだる。漢書、東方朔傳「臣聞、──靜愨、天表之應」=謙巽·謙讓。
へりくだりしりぞく。漢書、王莽傳「深執──」=謙遜。
へりくだり己をむなしうす。晉書、姚興載記「殷湯夏禹、德冠百王、然猶順守──、未居췍崇極」=謙虛。
へりくだりつつしむ。唐書、路巖傳「循循──、若不在勢位者」
へりくだる德。史記、自序「景公──、熒惑退行」
へりくだりてだまって居る。=謙抑寡默。
へりくだりてつづまやか。漢書、成許后傳「──爲右」
へりくだりて心ゆるやか、裕は容なり、寬なり。元史、后妃傳「雍肅惠慈、──靜淑」
へりくだりて己の身をおさへる。=謙下·損抑。
へりくだりて心いさぎよし。北史、游明根傳「──不競」=廉謙。
ケン [銑]
通じて蹇に作る
○まこと(忠)○ただしくいふ(正言)直言する。○どもる(吃)口どもり下言ひ難し。○なやむ(難)○ああ。感歎の發語辭。屈原、九歌「─吾法夫前修兮」
次條に同じ。後漢書「──之操、華首彌固」
直言しておもねらず。忠直なる義。魏志、高堂隆傳「──足以勵一物」=蹇愕。
○忠貞にして直言する貌。後漢書、魯丕傳「廣納──、以開四聰」○艱難の甚だしき貌。晉書、王豹傳「王臣──」=蹇蹇〔易、蹇卦〕
直言して正し。北史、徐紇傳「紇性浮動、慕權利、外似──、內實諂諛」
シャ [禡]
○たつ(絕)ことわる、拒絕する「固─」「─絕」○しりぞく(退)辭する。史、汲黯傳「─不受」○さる(去)辭し去る。○おとろふ(衰)○しぼむ(凋)しぼみおちる「花─」「凋─」「開─」○つぐ(吿)辭 コトバ を以て相吿ぐ、○れいをのべる「鳴─」「感─」「深─」「慙─」○あやまる、わびる「─罪」「陳─」「─過」史、項紀「旦日不可不蚤自來─項王」○ゆるす(聽)○やくをひく(致仕)(─病は病氣をいひたてて官を辭する)正韻「致仕曰─」○うてな、榭に通ず。○─豹 シヤヘウ は子規 ホトトギス の異名。
晉の陽夏の人、字は安石、少くして重名あり、徵辟皆就かず、東山に隱居し、妓を以て相從ふ、人爲めに語して曰く「安石不出、如蒼生何」と、年四十餘、始めて出でて桓溫の司馬となり、累官して太保に至り、卒して太傅を贈らる、世に謝太傅と稱す。
○お禮のこころもち。○わびをする心。
受けたるめぐみの禮をのべる。後漢書、禮儀志「養三老五更之儀、明日皆詣關──、以見禮遇」
謝禮に同じ。
お禮の金。
晉の人、十歲にして能く文を屬す、族兄靈運之を嘉賞す、云ふ篇章ある每に、惠連に對すれば輒ち佳句を得と、靈運嘗て永嘉の西堂に於て詩を思ふ、竟日就らず、忽、夢に惠連を見る、卽ち池塘生春艸の句を得、甚だ以て工と爲す、常にいふ此れ神助あり、吾が語にあらざるなりと、年三十七にして卒す。
ことわりて去らしむ。方干詩「有客姑──」
晉の謝安の王羲之と同じく遊びし丘。江蘇省、江寧縣城の北隅に在り。金陵圖經「謝安石住半山、有墩、曰───」
晉の謝靈運が木屐を著けて山に登りし故事。世說、任誕「常著木屐上山、則去前齒、下山、去其後齒」柳宗元、馬退山茅亭記「────齒不及」
己のつみをわびる。史、廉頗·藺相如傳「至門──(中略)卒相與驩、爲刎頸之交」
お禮のことば。又謝罪のことば。
衰退せしあつさ。蕭琮詩「夕風淒──、夜氣應新秋」
ことわる。史、儒林傳「──賓客」
南北朝の南齊の人、字は玄暉、學を好み美名あり、文章淸麗、草隸を善くし、五言の詩に長ず、宣城の太守たり、故に世に謝宣城と稱す。
字は君直、疊山と號す、宋の信州の人、人と爲り豪爽、性直言を好み、忠義を以て自ら任ず、德祐の初め、信州に知たり、元の兵と戰ひて利あらず、山中に入る、拘せられて元の都に到り、絕食して死す、其の編する所の文章軌範は大いに世に行はる。
病氣といひたててことわる。戰國策「應侯因──、請歸相印」
恩遇を受けたるに因りて、上書して自ら敢て當らざるを陳ぶるをいふ。又其の上書。東觀漢記「和熹鄧后遜位、手書──、深陳不足以奉宗廟克小君之位」後世、臣下が升擢又は賞賜あれば皆──を進む、其の詞皆騈偶を用ふ。=謝章。
子規 ホトトギス の異名。禽經「子規啼苦、則倒懸於樹、自呼曰──」=杜宇·杜鵑。
宋の上蔡の人、字は顯道、程門の高弟にして、上蔡學派の祖なり、論語說を著す。
世話になりし禮。=謝儀。
晉の謝玄の孫、上虞に家す、少くして學を好み、羣籍を博覽す、文章は江左第一たり、宋に仕へ永嘉の太守と爲り、祖父の封爵を襲ぐ、故に世に謝康樂と稱す、玄曾て康樂縣公に封ぜられたるが故。
シュク [屋]
通音ショク
○たつ(起)おきあがる。○─然は衣服を斂 ヲサ めととのへる貎。後漢書、蔡邕傳「公子─然斂袂而興」○──は高くぬきんでる(峻挺)又、松風の聲。
峻 タカ く挺 スキ んづる貌。世說新語「世目李元禮、──如勁松下風」一說に、松風の聲。元禮は李膺の字。
セゥ [篠]
○いざなふ、さそふ(誘)○ちいさし(小)─說は小說。○すくなし(少)禮、學記「足以─聞、不足以動衆」
タゥ トウ [豪]
又、慆に作る諂とは别
うたがふ(疑)左、昭二六「天道不─、不貳其命」(天道は信ずべきをいふ)
トウ [蒸]
○うつす(寫)原本のままに寫す(移書)「─寫」「─本」○つたへうつす(傳鈔)
同訓異義
ウツス 謄·寫·摹·描の别は寫(五一一頁一段)の條を見よ。
黃紙を以て詔書を謄寫する。淸會典「恩詔下、各省督撫──恭鐫、頒所屬州縣衞宣布」
かきうつす「──版」=傳鈔·謄錄。
原本のうつし。山谷題跋「借來未──」
うつししるす。元史、選擧志「──試卷」
ハゥ [漾]
通音バゥ
そしる。そしり、惡しさまにいふ(誹毀)「誹─」「讒─」「怨─」「誣─」史、孝文紀「朝有進善之旌、誹─之木」
同訓異義
ソシル 謗·誹·非·訕·訾·詆·刺·毀·譏·誚·短の别は誹(一八一八頁一段)の條を見よ。
そしりうらむ。韓非子「管仲以公而國人──」=訾怨·怨謗。
そしる。そしり。文天祥詩「──平生無不有」=毀謗。
そしる。そしり。漢書、司馬遷傳「負下未易居、下流多──」
そしりて讒言する。蘇軾詩「愼勿怨──、乃我得道資」=讒謗。
そしりてあざけりわらふ。意林「有絕羣之節、必嬰──之患」=嘲嗤。
そしる。そしり。韓非子「子產開畝樹桑、鄭人──、民智之不足用、亦明矣」=毁訾。
そしりはばむ。唐書、竇參傳「宦侍──不已」
人をそしれる手紙。戰國、秦策「樂羊反而語功、文侯示之──一篋」
そしる。そしり。曹爽文「下使愚臣免于──」
そしりあざける。王安石詩「──出異己、傳載因疎略」
そしりにくむ。左、昭元「民無──」
そしりののしる。魏書、李業興傳「性豪俠、重意氣、與其好合、傾身無吝、若有相乖忤、便卽疵毀、乃至聲色加以──」=詬罵。
そしりしりぞける。陳師道詩「謗禪排道不須同」
そしりと、ほまれと。國語「古之王者、考百事于朝、問──于路」=毀譽。
そしり論ずる。孔平仲文「斧鉞不足以禁──」
バゥ ハク [皓]
いたむこゑ、寃痛の聲「─怨」
ビツ [質]
通音ヒツ
○しづか(寂·靜)「靜─」○やすらか(安·寧)「安─」「恬─」漢武内傳「內外寂─」○つつしむ(愼)
やすらかに靜かなる貌。魏志、東夷傳「海表──」
ひっそりと靜かなる貌、沈寂の貌。李賀詩「──厭夏光」
ベイ [霽]
通音メイ
なぞ、なぞなぞ(隱)別の意味を隱し藏して人をして迷はしめることば。
11畫
イ [支]
○門堂臺榭の別に出でたる者。○─門 イモン は別に建てたる門。晉書、劉曜傳「─門且空」又、冰室 ヒムロ の門。張衡、東京賦「─門曲榭、邪沮城洫」
①オウ·ウ [尤]
②ク·コ [虞]
①うた「樵─」「歌─」○うたふ(歌)「善─」衆人が聲をひとしくして歌ふ(齊歌)○すうた、樂器を用ひずしてうたふ。徒歌。○嘔と通ず、唲─は小兒の語聲。
②あたたむ(煦)○於─は化せんと欲する貌。又、歌ひて樂む貌。
同訓異義
ウタフ 謳·歌·謠の别は歌(一○○三頁一段)の條を見よ。
歌をうたふ。黃滔詩「夜聽──銷塵夢」
うた。うたふ。唐明皇詩「藩鎭──滿、行宮雨露深」
天子の功德をしたひてよろこびうたふ。孟、萬章「──者不──堯之子、而──舜」
○謳歌に同じ。漢書、敍傳「民皆──思漢」○歌をうたふ。蘇軾、潮州韓文公廟碑「──下招遣巫陽」
うたふ。開元天寶遺事「美姿色、善──」
はやりうた。李嶠詩「登原采──、俯谷求才術」=謠誦。
①ガゥ [豪]
②ガゥ [號]
①そしる(誹)○── ガウガウ はそしる聲がやかまし。又、悲む聲が止まざる貌。衆人の愁ふる聲。=嗸嗸。○わづらはし。○いつはる(詐)○大いなる貌。○みだりにいふ(妄語)たはごと(譃)○不肖 オロカ の人のことばの煩はしき義。○はなはだし(甚)
②おごる。唐書、周墀傳「宿將暴─不循令者、墀命鞭其背」=傲。
○人の話言を聽かずして妄語する貌。楚辭、九思「令尹兮──」○愁ふる聲の多き貌。又そしる聲のやかましき貌。漢書、食貨志「天下──然、陷刑者衆」
大いなる貌。莊、德充符「──大哉、獨成其天」
そしる。呂覽、懷寵「──先王、排訾舊典」=詆毀。
謷(前條)に同じ。
キン [吻]
○つつしむ(愼)物事に注意する「愼─」易、乾卦「庸行之─」○つつしみ。○うやうやしくす(敬)「敬─」「恭─」「恪─」「醇─」うやうやしくかしこむ。○おもんず(重)○いましむ(戒敕)詩、大雅「以─無良」○嚴 キビ しく禁ずる。荀、王制「─盜賊」
同訓異義
ツツシム 謹·愼·敬·恭·肅·恪○謹は一筋に念を入るる義、こまかに、ぬけめなきなり、細謹·謹信と用ふ。○愼は內ばにして、用心する義、敬に近けれども、大事に用心するのみにてあがめる意はなし。○敬は事をうやまひ、大切にするなり、禮記の註に「貌ニ在ルヲ恭トナシ、心ニ在ルヲ敬トナス」とあり。曲禮「修レ己以レ敬」○恭は行儀正しく、つつしむこと、容貌のつつしみは恭なり、心のつつしみは敬なり。禮記「手容恭」○肅はつつしみのきびしくして、ひきしまる意あり、厲肅·嚴肅と用ふ。○恪は敬なり、つつしみて、まちがひの無き義、恪勤と用ふ。詩經「溫恭朝夕、執レ事有レ恪」
つつしみて心かたし。宋史、王顯傳「性──不好狎」
つつしみて職務に忠實なり。=恪謹·虔恪。
つつしみて誠實。爾雅、疏「──者人皆愛之」=謹愿。
書翰の後に書して敬意を表する語。胡鳴玉、訂譌雜錄「夢溪筆談云、前世風俗、卑者致書於所尊、尊者伹批紙尾答之曰反、故人謂之批反、如官司批狀·詔書批答之類、故紙尾多作敬空字、自謂不敢抗敵、但空紙尾以待批反耳」=敬空。
謹みぶかくして缺點なし。唐書、孝友傳「履操──」
つつしみて申し上げる、書狀の首に用ふる語。=敬白·肅啓·拜啓。
つつしみうやまふ。新語「夫道莫大于無爲、行莫大于──」
つつしみて申し上げる、書狀の結尾語。=謹白。
つつしみて誠實。韓愈、董晉行狀「天子以爲──、賜緋魚袋」=謹愨。
○つつしみておごそか。○文章などの字句のきびしくねりたる義。韓愈、進學解「春秋──」
つつしみぶかくしてあつし。後漢書、光武紀「──者、亦復爲之」
つつしみ深くしてこまやか。古畫品錄「精微──」
つつしみてただし。後漢書、吳漢傳「在朝廷斤斤──、形于體貌」
身をつつしむ。素書「潔莫潔于──、吉莫吉于知足」
つつしみぶかくして心があきらか。唐書、長孫無忌傳「性──」
○つつしむ。諸葛亮、出師表「先帝知臣──」○ 國 德川時代に士分以上に科したる閏刑、門戶をとざして白晝出入を禁ぜしもの。
つつしみてたてまつる、書狀の結尾語。
謹みて狀す、人の行狀傳記などを記するときに用ふる語。
つつしみうやまふ。史、司馬相如傳「王吉愈益──」北史、李穆傳「小心──、未嘗懈怠」=謹嚴·恭肅·恪肅。
つつしみて心正し。北史、李燦傳「性──涉書史」
つつしみて天子に申し上げる。
つつしみてうけがふ。史、項羽紀「張良曰、──」
つつしみて人の言を聽く。管子、山權數「──其言」=敬聽·肅聽。
つつしみぶかく正し。
つつしみいましむ。漢書、孝元皇后傳「不如御史大夫音──、敢以死保之」=謹愼。
つつしむ。飭は整備なり。南史、程文季傳「臨事──、御下嚴制」=敬飭。
つつしみて兄や姉によくしたがふ。唐書、李元素傳「奉長姉──」
つつしみて行を守る。孝經「制節──、滿而不溢」
つつしみて心あつし。南史、王琨傳「少──、爲從伯司徒謐所愛」
つつしみて事を行ふにさとし。後漢書、宦者傳「鄭衆爲人、──有心幾」=敬敏·恪敏·恭敏。
つつしみぶかくしてかざりなし。杜牧文「風俗──、法令明具」
つつしみぶかくして手ぬかりなし。漢書、史丹傳「貌若儻蕩不備、然心甚──」
つつしみ深くいさぎよし。唐書、王翃傳「翃性謙柔歷山南東道節度使、代宗目爲純臣、世稱──」
ク コ [虞]
─輿 グヨ はきやりうた。類篇「─輿擧重勸力歌也」=輿謣〔呂覽、淫辭〕
①ケイ [迥]
②ケイ [徑]
①しはぶき、せきばらひ。
②かたりわらふ(言笑)
○せきばらひ。莊、徐無鬼、註「輕曰謦、重曰欬」轉じて貴人に面會するを──に接すといふ。=謦咳、○言笑の義。
呼(三二三頁一段)の古字。
詛(言部五畫)に同じ。
譾(言部十五畫)に同じ。
タク チャク [陌]
一音テキ又讁に通ず
○せむ(責)とがめる(咎)譴責する。左、成十七「國子─我」○つみす(罪)罰する。○官職を降し黜 シリソ ける「貶─」又、遠方へ流す「遷─」○とがめ、つみ(罪過)○怪しく變りたる雲氣。左、昭三一「日始有─」
○とがめによりて官位をさげ、遠方へ遷される。甲甲雜記「將引用嶺南──人」=左遷·遷謫。○仙家にて墮落 ダラク の義に用ふ。高啓詩「何年──在人閒」
とがめ、わざはひ。後漢書、鄭典傳「往年已來、──連見」
罪によりて遠方へながされてをる。元稹詩「我是玉皇香案吏、──猶得住蓬萊」
罪を蒙りて邊境へまもりの兵としてやられる。漢書、武帝紀「發──、屯五原」
罪を得てながされ居る所。=配所。
○天上界より人閒界にながされたる仙人。李白をほめていふ。唐書、李白傳「賀知章見其文嘆曰、子──人也」○蘇軾をいふ〔澠水燕談錄〕
せめあばく。謫は過を責める。發は惡を訐 アバ く。列子「窮年不相──」
バン·マン バン [寒]
通音マン
○あざむく(欺)いつはる。又、其のこと「欺─」晉書、刑法志「違忠欺上謂之─」○あなどる(侮)=慢。○なる(媟)○けがす(汚)○おこたる(惰)「惰─」○ゆるやか(緩)=慢。○ひろし、とりとめなし(汗漫)「誕─」○そしる(毀)
あなどる。謾一に慢に作る。史、張耳傳「高祖箕倨詈、甚──之」
あざむく。史、始皇紀「懾伏──、以取容」=欺謾。
そぞろに詩を吟ずる。元結詩「甚醉或漫歌、甚閒亦──」=漫吟。
いつはりのはなし。でたらめをいふ。聞見後錄「光(司馬溫公)年五六歲、弄靑胡桃、女兄欲爲脫其皮不得、女兄去、一婢以湯脫之、女兄復來問、光曰、自脫也、先公適見、訶止之曰、小子何得──、光自是不敢──」=漫言·妄語·誑言。
上下を欺き蔽ふをいふ。錢塘遺事「賈似道當國、陳藏一作雪詞譏之云、沒靶沒鼻、霎時閒做出────」
あなどりくらます。宋史、食貨志「無賴子弟、──尊長、錢不入家」
ビウ [宥]
通じて繆に作る
○あやまる、まちがふ。あやまり、まちがひ(誤)「舛─」「訛─」「誤─」「─誤」書、冏命「蠅愆糾─、格其非心」○たがふ(差)「差─」「錯─」漢書、司馬遷傳「差以毫釐、─以千里」○みだる(亂)○あざむく(欺)いつはる(詐)
同訓異義
アヤマル 謬·誤·訛·錯·愆·過·失の别は誤(言部七畫)の條を見よ。
いつはり誤りてとりとめなし。莊、天下「──之說、荒唐之言」─謬妄無稽。
あやまるはかりごと。=謬算。
あやまりいつはる。方言「──、詐也」
まちがへるかんがへ。
あやまり。新語「──出于口、則亂及萬里之外」=誤謬·舛繆。
まちがひ、あやまり。蘇軾詩「我衰臨政多──、羨君精采如秋鶚」=錯謬。
あやまれる計算。あやまれるはかりごと。唐書、舒元輿傳「詭謀──」=謬計。
字畫ただしからざる文字。北史、李鉉傳「鉉以文字多乖謬、遂覽說文倉雅删正──、名曰字辨」=誤字。
あやまりたがふ。唐書、元載傳「文武官功狀多──」=訛舛·錯舛·乖舛。
人をみあやまりて上にすめる。北史、袁翻傳「責其──、罰其僞薄、如此則擧人不得挾其私、受任不得孤其擧」
あやまれるうはさ。=誤傳·訛傳。
あやまりたがふ。韓維詩「有詔講──」
年老いて智識くらし。晉書、馬隆傳「年老──、不宜服戎」=昬耄。
あやまりみだる。冥通記「勃然曰、何以──」
あやまりもとる。道德指歸論「稟陰陽之──者爲小人、故兇詐姦邪」=謬戾·悖謬·乖戾。
あやまりと、おちと。郭璞、方言序「演其未及、摘其──」
あやまれる議論〔漢書、刑法志〕
ボ ム [虞]
○はかる(議)一事一計をはかるは謀、汎く議 ハカ りて其の謀を定むるは─。はかりごと(謀·計策)「宏─」「皇─」「聖─」「廟─」「淵─」周禮、秋官、大行人「以陳天下之─」○なし(無)南唐書、黨與傳「越人─信」注「─信、無信也」=莫。
國家の大計。又、後王の戒となるべきをしへ。書經の大禹謨·皋陶謨·伊訓の類「典──誥」
12畫
キ [微]
○そしる。左、隱元「稱鄭伯、─失敎也」そしり(誹·誚)「刺─」「羣─」○とがめる(詰問)しらべる(呵察)吟味する。孟、梁惠王「關巿─而不征」○うかがふ(伺)○せむ(譴)○きらふ(嫌)○いさめる(諫)微言を以て諫める。
同訓異義
ソシル 譏·誹·非·謗·訕·訾·詆·刺·毀·誚·短の别は誹(言部八畫)の條を見よ。
○しらべる(察)周禮「宮正譏其出入」注「──其衣服持操及疏數者」○次條に同じ。
そしる。蜀志、孟光傳「光好公羊春秋、而──左氏」
そしる、非難する。漢書、楊惲傳「用此爲──」
そしりきらはる。楞嚴經「誹謗比丘、罵詈徒衆、訐露人惡、不避──」
しらべせめる。又、──使は其の官名。金史、百官志「──使、掌──姦僞」
そしりしこづ。蘇軾詩「世事漸艱吾欲去、永隨二子脫──」
そしる。そしり。漢書、劉向傳「顯訟宗室、──王氏」=刺譏。
人の長短をそしりはかる。=誹譏揣摩。
せめそしる。宋史、孫全照傳「全照知兵、以嚴毅整衆、中書初進擬嚴州刺史、上曰(中略)今擬此州、似涉──、乃改焉」=詆誚·誹誚·謗誚。
そしる。唐書、崔昭度傳「數上書、──朝政」
そしりののしる。孔平仲文「武而文、──舌若刀」
そしりしりぞける。韓愈、唐故相權公墓碑「──權倖」
そしる。南史、顏延之傳「橫興──、詆毁朝士」
そしりて非難する。舊唐書、陸贄傳「互相──」
とほまはしにそしる。韓愈文「皆穎脫含──」
①キ [支]
②噫に同じ。 []
①ああ、あ(噫)莊、齊物「─、善哉技」○痛み恨みて之を呼ぶ聲。○愁へ恨みて發する聲。嘻に通ず。○懼れて發する聲。○──は熱し。
②恨む聲。
ク コ [虞]
○いつはる(詐)○うそつく、たはこと(妄言)一說に虛の俗字。
クヮ ケ [麻]
又、嘩に作る
かまびすし、やかまし(喧·讙)「紛─」「諠─」「讙─」
衆人がかまびすしく呼ぶ。吳越春秋「三軍──、以振其旅」
かまびすしくさわぐ。宋史、狄棐傳「士卒──趣府門、棐不能治」=讙譟·喧譟。
かまびすしくさわぎわらふ。柳宗元文「輒──之、以爲狂人」
かまびすしくさわぐ。唐書、姦臣傳「李懷光謀反、因暴言盧杞等罪惡、士議──」=囂譁·喧沸。
訛(言部四畫)に同じ。
ケイ [霽]
○したがふ(順)○あきらか、智謀多し。
ケゥ [蕭]
○ただす(糾)人の罪を發 アバ く「糾─」○ことばおほし(多言)
ケツ [屑]
○いつはる(權詐)あざむく(欺)たくらみてだます、權謀を用ふる「邪─」「狡─」「險─」「權─」「詭─」論、憲問「晉文公─而不正、齊桓公正而不─」註「詐也」○いつはり(詭)たくらみ。○とほまはしにいふ「─諫」○紆─ ウケツ は曲折 マガル
同訓異義
イツハル 譎·僞·詐·詭·佯·陽·詳·矯·贋の別は僞(一六六頁四段)の條を見よ。
直言せずしてとほまはしにいさめる。詩、周南、關睢序「主文而──、言之者無罪、聞之者足以戒、故曰風」
いつはりあざむく。=譎詐·譎詭·詐僞。
○いつはりあざむく〔舊唐書、鄭畋傳〕=譎詐。○物體の奇異なるにいふ。史、司馬相如傳「奇物──、俶儻窮變」
わるがしこし。田況詩「巿人──亦射利」
いつはりてあやしむべきものがたり。文心雕龍「康囘傾地、夷羿彈日、木夫九首、土伯三目、────也」
人をあざむくはかりごと。=譎謀。
いつはりのはかりごと。蜀志、秦宓傳「戰國之──」=權譎。
いつはる。魏書、劉仁之傳「仁之外示長者、內懷──」=詭詐。
あやしくして正しからず。蔡邕、隸勢「心亂目眩、奇姿──」
いつはりのはかりごと。後漢書、王渙傳「又能以──、發擿姦伏、京師稱歎以爲渙有神算」
いつはり。唐書、裴延齡傳「極論延齡──不可任」
いつはりのはかりごと。史記、自序「漢旣──、禽信於陳」=詐謀。
あざむきしふる。
いつはりのはかりごと。人物志「權在──、失左依違」=譎謀。
①シキ [職]
②シ [寘]
①しる(知)物事をさとり知る「博─」○みわける、みとめる「─認」○みわけ、さとり。○かんがへ「見─」「學─」「器─」「達─」○相─はしりあひ(知人)○佛絕對不滅なる人性の根原。法華經、註「─是託胎、一分氣息」
②しるす(記)志·誌と通ず。○おぼゆ(記憶)論、衞靈公「女以予爲多學而─之者與」○のす(記錄)○あらはす(表)○はたじるし。=幟。○めじるし(目標)「標─」○しるし、おぼえ(記號)○鐘鼎などにきざみたる凹刻の字「款─」=陰文(凸刻卽ち陽文を款といふ)○轉じて廣く器物·書籍等の題字をいふ。
同訓異義
シル 識·知の别は知(一三三六頁四段)の條を見よ。
心理學にて意識の及ぶ範圍。=覺域·識野。
見識ふかし。釋惠洪詩「懷高──不可屈、功成囘首破甑墮」
韓荊州を識るといふ義。初めてすぐれたる人に面會するにいふ。李白、與韓荊州書「白聞天下談士言曰、生不用封萬戶侯、但願一──荊州」
事物の善惡を明かに見わける。陳書、徐敬成傳「以──知名」=鑒識。
果報の道理をさとる。徐陵文「識因──、不以爲愆」
識韓に同じ。
さとし。三十六天內音「第三十綠梵自然──」=識悟。
見識と才藝と。南史、謝擧傳「梁武帝訪擧於覽覽日、──過臣甚遠、惟飲酒不及於臣、帝大悅」覽は謝擧の兄。
見識と學業と。任昉文「──深通」
かんがへ、すぐれたる意見。梁溪漫志「滿腹都是──」=見識。
事理をよくわきまへさとろ。蜀志、費褘傳「──過人」
おもひ。法苑珠林「佛言、學不必多、行之爲上、多學不行、徒喪──、有何益哉」
しりつくす。南史、孝義傳「郭原平、每出賣物、裁求半價、邑人皆共──、輒加本價與之」=知悉。
物事をよく悟り知れる賢人。
見識ありて事理に通達す。晉書、李雄載記「雄美容貌、少以烈氣聞、每周旋鄕里、──之士、皆器重之」
字を識る。唐書、張弘靖傳「而輩挽兩石弓、不如識一丁字」續世說に丁を个に作る、个·丁と字形相似て誤る、後に又誤りて丁を以て字の義とす。
見識と度量と。南史、陸玠傳「弘雅有──、好學善屬文」
みとめる。吳志、鍾離牧傳「種稻二十餘畝、臨熱、縣民有──之、牧曰、本以田荒故墾之耳、遂以稻與縣人」=認識。
人物を見わけてぬきあげる。唐書、石雄傳「爲李德裕所──」=識擢。
見分ける。意見を以て分别する。魏志「誠非愚臣所能──」=鑑別。
顏を見知る。師友談記「李文正嘗言、士人當使王公聞名多而──少」
見識と度量と。晉書、裴楷傳「明悟有──、弱冠知名」=識度。
思はず知らず。詩、大雅「────、順帝之則」
①シン [沁]
②セン [豔]
①そしる、しこづ(讒)○うったふ(愬)誣 シ ひてうったへる(讒訴)「誣─」「構─」公羊、莊元「夫人─公於齊侯」
②いつはる(不信)僭に通ず。
そしる。そしり。唐書、皇甫無逸傳「帝勞曰、比多──」=毀譖。
そしりいつはる、うそをつきて人のわるくちを言ふ。
人をそしりしこづ言。魏書、斛斯椿傳「──旣行、因相恐動」
あしざまにそしる。短もそしる。唐書、李峴傳「爲要近──、遂失恩」=毀短·讒短。
ショウ [徑]
○あかす(明)あかしをたてる。論、子路「其父攘羊而子─之」○しょうこ、しるし(驗·徵)あかし「─據」「明─」○つぐ(吿)○疾病の證候 ヨウダイ 俗に症に作る。○ 佛 さとる「─得」「─入」「─菩提」
證據 シヨウコ をあげる。後漢書、明德馬皇后紀「時楚獄連年不斷、囚相──、坐繫者甚衆、后乘閒言及、惻然、帝感悟之、多所降宥」北史、邢邵傳「每公卿會議、事關典故、迢援筆立成、──該洽」
因をあきらかにす。司空圖詩「峯北幽亭願──」
佛 修行の因によりて得たる悟りの果(果は佛の妙道)煩惱を斷滅して眞理を證する。
てがた、證文。
○言語を以て或る事實を證明する。○證人の述べたることば。
あかし、しるし。後漢書、張衡傳「采前世成事以爲──」白虎通「揆星辰之──」=徵驗。
あかし、よりどころ。後漢書、繆彤傳「彤獨──其事」よりどころを明かにす。韓愈、柳子厚墓誌銘「議論──古今」
○當時左右にありて、其の事を見て證するもの、卽ち、證人。史、五宗世家「請逮勃所與奸諸──」○しょうこ、左はわりふの左片、卽ち我方にとめ置きて他日のあかしとするもの。=左驗。
しらべてあきらかにす。後漢書、皇后紀「陛下曾不──、遂伏其辜」=檢審。
證據となるかきつけ、證文。
しょうことなるべきあとかた。
歌の名。冷齋夜話「景德初、西土有異僧、到都下、閱永嘉───、卽作禮頂戴久之」
しょうこに立つ人。北齊書、循吏傳「諸──莫不灑泣」
しょうこと、たとへと。何承天文「──堅明、文辭淵富」
しょうこ、よりどころ。=證據。
證據として渡す札。
○あかし、よりどころ。○あかしを立てて明かにする。禮華嚴文「如經所說、願悉──」
證劵に同じ。=證書。
①セゥ [嘯]
②セゥ [蕭]
①せむ(責·讓)=誚。とがめる、しかる(呵)
②ものみ、やぐら、城門の上のものみ(城樓)「麗─」○──は鳥の羽のやぶれ(瘁敝)たる貌。
せめしかる。史、衞綰傳「及景帝立、歲餘不──綰」=譙讓·責讓。
ことばにてせめる。史、高祖紀「因──項羽」史、黥布傳「子孫有過失、不──」
鳥の羽のやぶれたる貌。詩、豳風「予羽──」
しかりてしりぞける。唐書、魏徵傳「時上封事者衆、或不切事、帝厭之、欲加──」=責黜·譴黜。
遠きを望み敵を候ふ爲めに城門の上にたてたるたかどの(美麗なるを麗譙といふ)史、陳涉世家「戰──中」
城上に建てて遠望すべきものみの高樓 タカドノ 〔康熙字典〕=城樓·麗譙。俗鼓樓。
セン [先]
○をしふ(敎)○よきこと(善言)よく言ふ、ほめたたへる、稱說する。禮、祭統「論─其先祖之美」○のぶ(述)えらぶ。=撰·篹。
同訓異義
エラフ 譔·撰·擇·選·簡·揀の别は撰(七八三頁三段)の條を見よ。
タイ [隊]
○うらむ(怨)○にくむ(惡)孟、萬章「凡民罔不─」憝に通ず。
ダゥ ネゥ [肴]
○恚 イカ り呼ぶ。○かたる(語)○あらそふ(爭)○聲高くさわぐ(噪)
○恚り呼ぶ聲。後漢書、儒林傳「雄所謂──之學、各習其師」○爭ひさわぐ聲。法言「──者天下皆訟也」
談(言部八畫)に同じ。
南唐泉州の人、字は景升、幼にして聰敏、仙術を好み、終南山に入り、後、南岳に居り丹を煉る、相傳ふ、丹成り、水に入りて濡れず、火に入りて灼けず、靑城山に入りて仙し去る、亦紫霄眞人と稱す、化書を著す。
嘲(三五二頁三段)に同じ。
13畫
アイ [泰]
──は臣の心力を盡す貌。又、おほ(衆多)き貌。詩、大雅「──王多吉士」=濟濟。
エキ ヤク [陌]
○つたへる、四夷の言を傳へる、他國の言を自國の語になほして其の意を通ずる「通─」「翻─」「重─」「漢─」周禮、秋官「象胥」疏「北方曰─者、─卽易、謂換易言語使相解也」○わけをとく(解·釋)經義を解く「詳─」○ 國 わけ、いはれ理由。
つうべんの役。漢書、百官公卿表「典客名大鴻臚、屬官、有行人──」
飜譯したることば。顧況詩「滄波仗忠信、──辨謳謠」
飜譯 ホンヤク せし書物。
オウ [徑]
○こたふ、言を以て對ふ。應に通ず。蘇軾詩「車馬敲門定不─」○こたへ(答言·應答)
ギ [寘]
○はかる(謀)相談する、はかりて事の宜しきをきめる(評定)「評─」「謀─」「集─」曲禮「公事不私─」○あげつらふ(論)「─論」「審─」又其の論說「公─」「正─」「朝─」○えらぶ(擇)○そしる(誹·謗)そしりて彼此と批評する。論、季氏「天下有道則庶人不─」○周代の制にて刑罰を斟酌する「八─」○文の一體、事の可否を論定する「奏─」「駁─」文體明辯「─者宜也、周爰諮謀、以審事宜也」
同訓異義
ハカル 議·計·謀·圖·量·商·畫·詮等の别は計(言部二畫)の條を見よ。
議會に提出すべき原案。
國 帝國議會の略稱。又之を開設する議事堂。
○事を決議する合議制の機關。○ 國 帝國議會の略稱。=議院。
評議して定める。漢書、酷吏傳「按劍廷吐羣臣、卽日──」=議定。
つみを論じしらべる。晉書、顧和傳「贓汙百萬、付法──、百僚憚之」
其の日の議事の順序を豫め定めたるもの。
國 昔、武家よりの奏聞を天皇に奏上することを掌りし公卿の職名。
○評議すべき問題、議案の題目。○詩文などの題を相談してきめる。葉夢得文「帝命吾儕、作來歲狀元賦、當──」
相談してはかる。書經、傳「凡制事必以古義、──終始」
議會のかしら、議員を統率し議事を整理し又其の議會を代表する者。
評議して決定する。漢書、呂后紀「──奏之」
相談して定めたる覺書。
事をはかり定める。蜀志、許靖傳「周毖爲吏部尙書、與靖共──、進退天下之士、沙汰穢濁」=謀議。
禮のことを議す。禮記「毋輕──」
相談がすむ。
各意見を論じあふ。韓愈文「──平正、有經據」
互に議論をたたかはす。
議論の勢の盛んなる形容。
ケイ キャウ [梗]
○いましめ。いましむ(戒·敕)氣をつける、用心する。○おこす(起)○つつしむ(敬·肅)○そなへ(防禦)軍事上のそなへ。左傳「且雖諸侯相見、軍衞不徹─也」○まもり(守備)「─備」「嚴─」○非常のしらせ「邊─」「─報」○すばやし、さとし「敏─」魏志、太祖紀「太祖少機─」○さきばらひ(喝道)行幸の時、道をいましめ行人を避けしむる。漢書、梁孝王傳「出稱─、入言?」?は蹕に同じ。
同訓異義
イマシム 警·戒·誡·儆·箴·敕の别は戒(七一○頁四段)の條を見よ。
非常をいましめまもる。漢書、譙玄傳「──不備、則患生非常」=警護。
いましめる、用心する。警は一に儆に作る。書、大禹謨「儆戒無虞」
軍用語、敵狀を偵察する爲めに步哨兵を各要地に置く、其の所在の線の稱。
いましめつげる。宋史、賈昌朝傳「近年寺觀屢災、此殆天示──、可勿繕治以示畏天愛人之意」
軍中にて吹くつのぶえ。晉の桓溫、軍中にて夜──を吹く、御史中丞、司馬恬、大不敬と奏劾す、當時は唯天子のみ鼓角を用ふるを得、宋代は天下の郡邑竝に皆──を用ふるを得〔通攷〕
いましめさとる。眞德秀文「一念──、船到彼岸」
いましめおこす。周禮、注「呼旦以──百官、使夙興」
○急變をいましめ其の用意する。○かはりごと、急に起りし變事。高士傳「雖有──、與人不語」
短くしてすぐれたる句。本事詩「崔曙作明堂火珠詩、續帖云、夜來雙月滿、曙後一星孤、當時以爲──」
萬一をいましめ用心する。
いましめおそれる。易經、注「錯然者、──之貌」=戒懼。
警察事務を司る官吏、警視。警部。巡查など。=警吏。警察官。
さとし。南史、王融傳「融少而神明──」=警悟。
非常をいましめて防ぎ守る。=警衞。警護。
さとし。南史、鮑泉傳「性甚──」=警敏。
非常をしらす爲めにつづみうつ。又、其のつづみ。韓非子「楚厲王有警爲鼓、以與百姓爲戒」
人を警め動すに足る奇拔なることば。宋史、李肅傳「十歲爲詩、往往有──」
非常をいましめまもる。=警衞。
馬をいましめて走らせる爲めうつ鞭 ムチ 轉じて文中にて全篇を活躍せしむるに足る王要の短き句。馬は警策によりて益~駿となる、因りて文の片言によりて益~明かとなるに喩ふ。陸機、文賦「立片言以居要、乃一篇之──」
國家及人民の安寧幸福を害する者を除くことを掌る行政機關。
國 高等官の警察官吏。
國 警視廳の長官、內務大臣の指揮を受けて東京府下の警察·消防·衞生事務などを管理し又檢事と同じく犯罪を檢索する職權を有す。
國 皇宮を守る警官。
非常をしらせるかね。
世人をいましめる。
ねむりをさまさせる。轉じて世人の迷をさまさす。
さとくすばやし。=警敏。
眠を戒むるため熟睡すれば傾くやうに造りし圓木の枕。吳越備史「武肅王在軍、未嘗睡、末年用圓木作枕、熟睡則攲名──」宋の司馬光も亦之を用ふ。
暴風雨又、すべて非常のしらせ。
文章のすぐれて奇拔なる義。唐書、李程傳「造語──、士流推之」
いましめ引き起こす。蘇軾、答張文潛書「──憒憒者」
萬一をいましめて用心する。=警戒守備。
行幸の時、道をいましめ通行どめをする、蹕は行人を止むる義。漢書、文三王傳「從千乘萬騎、出稱警、入言蹕、擬於天子」(蹕一に?に作る)
前條に同じ。
すぐれてさとし。=敏警。警捷。
國 內務省の一局、行政警察·高等警察·圖書出版、著作權等の事を掌る。
夜まはりをする、又よまはり。舊唐書、嚴挺之傳「誰何──、伐鼓通神、以備非常」
いましめめぐる。元史、鄭溫傳「統四千人、──釣魚山」=巡警·巡邏。
警官に同じ。
いましめはげます。唐書、張建封傳「帝又使左右以所持鞭賜之曰、卿節誼歲寒弗渝、故用此爲況、建封又賦詩以自──」=誡勵。
すぐれて奇拔なる議論。桯史「嘗于文席閒、時發──」
ケゥ [嘯]
○おほいにさけぶ(大呼)○痛く呼ぶ。○あばく(訐)「─者」
ケン [先]
○さかし(慧)○ちゑ(智力)智多し。○しゃべる(多言)
サゥ [號]
噪に同じ
○みだる(擾)羣り呼びてさわぐ「鼓─」「狂─」「聚─」「諠─」左、文十三「魏人─而還」○かまびすし(聒)
ジョウ [蒸]
○ほまれ。ほむ(譽)○──は言語の質朴 スナホ なる貌。
セン ケン [鹽]
○かたましきことば(姦言)○かたよる(詖)○わるがしこくしてへつらふ。又、其の人(佞人)
セン タフ [鹽]
○ことばおほし(多言)○たはごと、うはごと、病みてうはごとをいふ(病中妄語)本草綱目、序例「心病─妄煩亂」
うはごと。素問、熱論「不欲食、──」=譫語。
たはごと、うはごと。
ヒ [寘]
本、辟に作る
○たとへ。○たとふ(比喩)彼の事を假りて此の事を說き明す。論、雍也「能近取─」○さとす(諭)さとる(曉)後漢書、鮑永傳「言之者雖戒、而聞之者未─」
たとへ。王逸、楚辭章句「離騷之文、依詩取興、引類──」
たとへてさとす。又たとへ。
たとへ。後漢書、西南夷傳「言語多好──」
フ [麌]
○しるす(籍錄)○つづく。つづき(屬)しく(布)事物のつづき合を順序を逐ひて布列する。又、其の書物「系─」「家─」「年─」「羣芳─」○系圖 ケイヅ をつくる。次第を立てて記錄する。史、三代世表「自殷以前、諸侯不可得而─」○音樂の曲節をしるしたるもの「樂─」「音─」
系圖の記錄。史記、自序「──不明、有司靡踵」
音樂のふし。=樂譜·樂曲。
けいづ(系圖)易林、序「歷代名臣──」唐書、經籍志「──以統世俗繼序」
事實の順序を正して記したる文書。史記、自序「取之──」=譜系。
國 ○祖先以來、數代引き續きて其の君家に仕へし者。=世臣。○家譜代代の義。=譜第。
○けいづ。晉書、杜預傳「又參考衆家──、爲之釋例」=譜系。○しんるゐ、血屬。宋元通鑑「壽陽公主之──也」
譜系に同じ。
○譜系に同じ。北史、高德正傳「親表──四十餘卷」○子部の圖譜の書。四庫全書總目に器用·食譜·草木鳥獸蟲魚の三門に分つ。
14畫
カゥ ゴウ [豪]
さけぶ(號)莊、齊物「阧者─者」
ギョク [職]
齊敬 モノイミシツツシム の貌。史、龜策傳「齋戒以待─然」
ケン [霰]
○せむ(責)とがめる「─責」「呵─」しかる(呵·怒)○せめ、とがめ。○つみ(罪)「大─」「罪─」北史「臣有大─、則造室請死」
同訓異義
セム 譴·攻·責·讓·數の别は攻(八○三頁三段)の條を見よ。
次條に同じ。=呵譴。
とがめしかる。漢書、薛宣傳「?吏民過失、──及微細」=譴呵。
とが、あやまち。北史、高允傳「魏初法嚴、朝士多見杖罰、允歷事五帝、出入三省、五十餘年、初無──」
○災害を下してとがめいましめる。詩經、疏「天之爲災、所以──」○其の罪をとがめ吿げる。
せめてはづかしむ。南史、王弘傳「將加榮爵于人?、每先呵責──之、然後施行」
過失をとがめせめる。唐書、魏徵傳「帝幸洛陽、次昭仁宮、多所──」
つみする。つみとがめ。韓愈詩「前年遭──、探歷得邂逅」
つみをせめて官位を下す。晉書、陳壽傳「壽獨不爲之屈、由是屢被──」唐書、選擧志「小加──、大正刑典」=責黜。
せめいかる、とがめておこる。詩、小雅「豈不懷歸、畏此──」
あやまちをせめて罪に行ふ。北史、蘭陵王傳「嘗入朝而出、僕從盡散、唯有一人、王獨還、無所──」
コ [遇]
通音ゴ
○まもる(守)「守─」○たすける(助)すくふ(救)「救─」史、蕭相國世家「高祖爲布衣時、何數以吏事、─高祖」○擁 イダ きて全うす、かばふ(掩蔽)「保─」「庇─」「擁─」
つきそひてまもる。又、其の者。演繁露「四校之外、不專以──爲義也」
とがめまもる。袁桷、七觀「五岳贊襄、百靈──」=呵護。
軍隊の名、親兵、我が近衞兵の類。漢書、百官公卿表「──都尉秦官、元壽元年、更名司寇、元始元年、更名──」
喪を治むる家にて家長若くは親戚の能く事を幹する者一人を以て喪事を主持せしむるをいふ〔司馬光、書儀〕發主を護して哀を盡し禮を盡すことを得しめるため。
まもりがたな。
外國人が支那內地を旅行する時、支那政府より下付する旅行免狀。
罪人などを護り送る。
○其の性の短所をまもりたすけて、强ふるに難きを以てせず。嵆康文「仲尼不假蓋於子夏、護其短也」○自ら過失を諱む。魏書、游雅傳「性──、因以爲嫌」
まもりたもつ、神佛の加護。唐書、劉禹錫傳「其詩在處、應有神物──」
まもりふだ。=護身符。
はか穴をまもる。宋史、王琪傳「琪卒、葬於眞州、詔眞·揚二州、發卒護其窆、蓋異數也」
佛法をまもりて外敎にあたる。皇甫曾詩「──護身惟振錫、石榻雲溪深寂寂」
佛 智慧の火にて煩惱 ボンナウ の薪を燒きはらふ義にて火を燒きて佛に祈り、一切惡事の根本を燒滅する。大日經疏、十五「──是燒義也、由──能燒除諸業」
前條の護摩を修する密壇にして中央に火爐あり。檀木·乳木といふ長短二種の薪木を用ひて法を行ふ。
○英語の音譯、熱帶地方に產するゴムの木の液より製せし彈力性に富みたるもの。= 俗 橡皮。○セルロイドの俗稱、植物の纖維素にて製したる一種の物質。
俗 衞兵をいふ、保護の責に任ずるが故。
チウ [尤]
○あざむく(欺)たぶらかす(誑)○はかる(度)後漢書、虞詡傳「以詡─之、知其無能爲也」註「─當作籌」=籌。○言を以て答へる。=詶。
あざむきいつはる、ほらをふく。書、無逸「民無或胥──爲幻」=欺謾。
ヨ [御]
○ほまれ、よききこえ(美名)「名─」「令─」○ほめる、たたへる(稱)「稱─」「毀─」莊、盜跖「好面─人者、亦好背而毀之」○ほめすぎる、人の善を揚げて其の實に過ぐる(過美)○たのしむ(樂)詩、小雅「是以有─處兮」古、豫に通ず。
同訓異義
ホム 譽·襃·美·頌·賞の别は襃(一七六三頁二段)の條を見よ。
己の子をほめるくせ、唐の王勃の父福畤の故事。唐書王勃傳「武子有馬癖、君有───」
ほめたたへる。王安石文「以文學、爲一時賢士大夫──」
ほまれ、名譽人望。唐書、馬植傳「──在當時諸公右」
名譽ある俊才の士。詩、大雅「古之人無斁、──斯士」
よきほまれ。=名譽令聞。
15畫
讚(言部十九畫)の俗字。
讖(言部十七畫)の俗字。
セン [銑]
又、謭に作る
あさし、あさはか(淺)史、李斯傳「能薄而材─」
才淺くしておとる。
タク チャク [陌]
謫(言部十一畫)に同じ
○せむ(責)詩、邶風「室人交徧─我」○とがむ(咎)○つみとが(罪過)「刑─」○つみす(罪)「遷─」「竄─」
①トク·ドク [屋]
②トウ [宥]
①よむ、書を誦する。又、よみ。
②文章のくぎり、句中の小點、よみきり「句─」增韻「凡經書成文、語絕處謂之句、語未絕而點分之、以便誦詠謂之─」─は通じて投に作る「句投」
同訓異義
ヨム 讀·誦·念·諷○讀は書に對してよむなり。韓文「吾少時讀二醉鄕記一」○誦は書に背きてそらんじよむなり、背誦と熟す。○念は讀と誦とに通じて用ふ、念書と熟す。○諷はふしをつけてよむなり、吟諷·諷誦と熟す。
○畫中の詩趣を味ひ評する、畫を鑑賞する。藩師隨詩「──論詩日往還」○──錄は書名、四卷、淸の周亮工撰す、明末淸初の畫家凡七十六人の畫品竝に其の生平の梗槪を記す。
議案の審查討議、其の條文を朗讀する必ず三度を經、三──といふ。
經書を讀む。漢書、翟方進傳「織屨以給、方進──博士、受春秋」
百三十卷、淸の顧祖禹撰す、正史に據りて地理を考訂し、山川の形勢險要、古今用兵、攻守成敗の跡、皆折衷する所ろあり。
人の心中をさとる「──術」
書を讀む。杜甫詩「──破萬卷、下筆如有神
十二卷、淸の唐彪撰す、讀書作文の心得を述べて初學に便す。
讀書するには、眼にて見、口にて讀み、心にて會得すべきをいふ。朱熹の語。訓學齋規「余謂讀書有三到、心到·眼到·口到、三到之中、心到最急」
學者をいふ。宋史、太祖紀「太祖謂竇儀曰、作相須───」
書を讀みて解し難き所は姑く置きて强ひて解せんことを求めず〔陶潛、五柳先生傳〕
書を讀みて古人を友とす。孟、萬章「天下之善士、斯友天下之善士、以友天下之善士爲未足、又尙論古之人、頌其詩、讀其書、不知其人、可乎、是以論其世也、是尙友也」
學問好きの子孫をいふ。明史、方孝孺傳「殺孝孺、────絕矣」
心、外に馳せて道を失ひたる喩。莊、騈拇「臧與穀二人相與牧羊、而俱亡其羊、問臧奚事、則挾筴讀書、問穀奚事、則博塞以遊、二人者事業不同、其於亡羊均也」
幾度も讀書すれば、通じ難き義理も自ら明かになる。魏略「董遇曰、───────」
萬卷の書を讀みて後、始めて筆蹟が神に通ずる如く立派になる。蘇軾詩「退筆如山未足珍、───────」
書名、十一卷、續錄十二卷、明の薛瑄(字は德溫)撰す、明代の醇儒瑄を以て首と爲す、この書錄するところ、皆躬行心得の言にして、一も門戶を詬爭するの語なし。
よむ。漢書、兒寬傳「休息輒──」=誦讀。
四時ごとに其の政令を民閒に讀みきかせる布令〔歐陽修、禮樂志論〕
多くの書物を讀みやぶる、讀みつくす。杜甫詩「讀書破萬卷、下筆如有神」
○周代の制にて正月に州民を集めて法令を讀み聞かせる儀式〔蘇軾、策略五〕○ 國 ドクハフ 新入兵に言ひ渡す規則。
法律を習ふ。蘇軾詩「讀書萬卷不──、致君堯舜知無術」
親の喪に居る。禮記「未葬讀葬禮、旣葬讀祭禮」古人親の喪中には業を輟 ャ めて唯禮書の喪祭に關する者を讀む、故に居喪を稱して──といふ。
十たび讀むよりも一度うつす方が益多し。鶴林玉露「高宗親灑宸翰、遍寫九經、又嘗御書漢光武紀、賜執政徐俯曰、卿勸朕讀光武紀、朕思───────」
16畫
ヱイ [霽]
又躛に作る
○いつはる(詐)うそをつく。○いつはり、うそ。左、哀二四「是─言也」○ねごと(寐語)
エン [霰]
もと燕に作る
○かたりあふ(相語)集りて話をする。○さかもり。さかもりする、集りて酒を飮む(會飮)=醼。
さかもりして飲む。讌一に燕に作る。=燕飮·醼飮。
さかもりしてたはむれる。晉書、劉聰載記「與宮人──、或三日不醒」
さかもりのよりあひ。後漢書、樊準傳「每──、而論難衎衎」=宴會·醼會。
うちとけてかたる。南史、謝朓傳「從容──」
うちくつろぎ、語り合ひてすわる。戰國策「孟嘗君──」
諤(言部九畫)に同じ。
シウ [尤]
又讐に作る
○あだ、かたき(仇敵)「仇─」「私─」「敵─」「復─」「報─」「恩─」詩、邶風「反以我爲─」疏「─者、至怨之稱」○むくゆ(報)酬に通ず。○つぐのふ(償)價をはらふ。史、高祖紀「高祖每酤留飲酒、─數倍」○こたへる(對答)報ずる。詩、大雅「無言不─」○たぐひ(匹·儔)○ひとし(等)同じ。漢書、霍光傳「皆─有功」○あたる(當)○しるし(應驗)史、封禪書「其方盡多不─」○くらぶ、ただす、兩書を讀み合せて字句の誤を正す「校─」
二人相對して書の誤を校正する、其の誤を發見するにつとむるさま、仇怨ある者に似たり、故にいふ。後漢書、鄧皇后紀「詣東觀、──傳記」=校讎。
あだかたき。=仇讎·讎敵。
應接する。戰國策「屬之──」=酬酢。
あだとしてころす。唐書、張琇傳「傳相──、遂無已時」
よしあしを見くらべてただす。唐書、韋處厚傳「性嗜學、家書──至萬卷」
あだ。=仇敵·仇讎。
てらしあはせてしらべる。唐書、谷那律傳「仕爲祕書省正字、──圖書、多所刊定」
讎(前條)に同じ。
テン [琰]
へつらふ。へつらひ(諛)「佞─」=諂。
セフ [葉]
○おそる(懼)おそれて氣を失ふ「震─」慴に通ず。○いむ(忌)ねたむ。淮南、氾論「因其資以─之」
同訓異義
オソル 讋·恐·懼·畏·怖·怕·惶·怯·慴の别は恐(六五五頁四段)の條を見よ。
おそれてしたがふ。=讋服。
おそれしたがふ。漢書、項籍傳「諸將──」注「讋、失氣也」
ヘン [霰]
○かはる(化·易)○かふ(更)○うつす。うつる(轉)○あらたむ。あらたまる(改)うつり改まる。○うごく。うごかす(動)禮、檀弓「夫子之疾病矣、不可以變」○わざはひ(災異)平常とかはりし事、非常の事「災─」「天─地異」○權道、經に反して道に合する義、はがりごと(權略)方便、臨機の手段。文中子「非君子不可以語─」○みだれ(亂)「事─」○うつりかはり(轉化)○も(死喪)穀梁、昭十五「有─以聞」○ふしぎ(奇異)○もののけ(妖怪)後漢書「又多見怪─」
同訓異義
カハル 變·化·易·替·代·更·遞·渝·換○變はうつりかはる意、變化と用ふれども「變者化之漸、化者變之成」と註すれば、義やや異れり。○化は、かはりきりたるなり「腐草化爲レ螢」の類。○易は一物の變ずるにも、他物のふり變るにも用ふ。孟子「以レ小易レ大」漢書「欲レ易二太子一」○替は彼と此となり代るなり、惡しき者と善き者とのかはる意あり、人を初は優待して、終は薄遇するを意替といふ。○代は俗にいふ名代の義なり、同じやうなるものが、なり代るなり。孟子「暴君代作」世を代といふも、父と子となりかはる故なり。○更は改也、代也と註す、物を新に代ふるなり、更レ衣、更レ僕の?。○遞は互にあちもこちも變るなり、驛遞の?。○渝は變に同じ、約束をかふるを、渝レ盟といひ、染色のうすらぎわろくなるを、色渝といふ、用法せまし。○換は彼と此と交換するなり、壹錢銅貨の背に「以二百枚、一換二壹圓一」とあるが如し。宋詩「三公不レ換此江山」
かはりうつる。=變遷。
ふしぎなることがら。書經、疏「遭遇──、則正其事、而異自消也」=天變地異。
かへる。かはる〔後漢書、左雄傳〕=變改·變更。
かはりあらたまる。かへあらためる。變換改易。史、禮書「少所──」=變更·變易。
かへあらためる。
常のきまりとかはれる格式 カタ 正格の對「──動詞」
○あらたまりかはる。易、乾卦「乾道──」○ 佛 ヘンゲ 一切法は如幻如化にして、實事にあらず、因緣に從ひて假に存するのみなるが故に、種種にかはる。法華經「神通──、不可思議」○ 國 もののけ、妖怪の義。
まぼろしの如く忽ちにかはる。
かはりたるできごと。漢書、楊惲傳「遭遇──」=事變·變事。
佛 ○佛菩薩を指していふ、佛菩薩の本相は唯一にして卽ち法身なり、されども其の現する所の相は種種にして同じからず、これを──といふ。○淨土又地獄の種種の變化したる相。又、其の畫圖。瑞應經「見西方──」
形をかへつくる。=改造。
災難にあひ又は自害して死ぬ。=横死。
○今までの心をかへる。史、張儀傳「乃且願──易慮、割地謝前過」○氣がかはる、心がはり。
平常とかはりたるありさま。
佛 女子が未來にて佛となる爲めに其の性を變じて男子となる。
かはりだね。動植物が其の同種類中に在りて普通よりかはれるもの。
○物の色がかはる。劉禹錫詩「雨晴催──」○驚き又、怒りて顏色をかへる。
かはりおとろへる。楚辭、九辯「悲哉、秋之爲氣也、草木搖落而──」
うまれかはる。
これまでの持說をかへる。
○みさををかへる。淮南子「不爲秦楚──、不爲胡越改容」○これまでの主義をかへる。漢書、朱雲傳「年四十乃──、從博士白子友受易」=折節。
うつりかはる。=變轉。
定まれる規則に外れてゐる。正則の對。
○いろいろに形をかへる。金壺記「隨手生姿、入神──」○普通とかはれるすがた。
國 普通の平假名とかはれる形の假名。以??の類。
おきかへる改めてかへ置く。孟、盡心「諸侯危社稷則──」
悲壯なる音樂のふし。七音の一。史、刺客傳「高漸離擊筑、荊軻和而歌、爲────」
變に應じてよく通達する。易、繫辭「化而裁之存乎通、推而行之存乎變、──者趨時者也」
かはれる調子。又、調子をかへる。
うつりかはる。易、繫辭「生生之謂易」疏「陰陽──、後生次於前生」
かはりうごく。かへうごかす。韓愈、送高閑上人序「故旭之書──、猶鬼神不可端倪」
かはりたる事のしらせ。非常のできごとの報知。
法律をかへる、惡しき政法を改める「──自强策」
名をかへる。史、貨殖傳「范蠡旣雪會稽之恥、乃乘扁舟浮于江湖、──易姓適齊」
○國のみだれ、いくさ、兵亂。○かへみだす。書經「乃──先王之正刑」
17畫
イン [吻]
なぞ、かくしことば(庾語)呂覽、重言「好─」隱に通ず。劉向新序「齊宣王發隱書而讀之」
サン [咸]
通音ザン
○そしる(譖)他の善をにくみ能を忌みてそしり傷ける「─言」○へつらふ(佞)莊、漁父「好言人之惡謂之─」しこづ(誣)○つげぐち、好みて人の惡をいふ。○よこしま(邪)
ざんげんをおそる。詩經、序「采葛──也」
人をたくみにそしる。韓愈、遠遊聯句「德風變──、仁氣銷戈矛」
ざんげんして人と人との仲をさく。晉書、劉元海載記「──因之而進」
人をざんげんして罪におとす。後漢書、來歷傳「──大尉楊震」
そしりきずつく。漢書、馮衍傳「論功當封、以──故、賞不行」=毀讒·讚毀。
ざんげんしてそしる。詩、小雅「豈弟君子、無信──」=讒說。
好みて人の惡口をいふ、ざんげん。後漢書、劉陶傳「國命出于──」=讒舌。
人をざんげんして罪におとす。李康、運命論「──不能離其交」
そしりねたむ。宋史、陳東傳「邦彥等、──無所不至」
よこしまにして人をざんげんする。漢書、劉向傳「養不斷之慮者、來──之口」
人をそしる口。王禹偁詩「──簸南箕」=讒口。
人を惡しくそしる。魏書、楊固傳「天疾──、汝其至矣、無妄之禍、行將及矣」鄭還古詩「──能令骨肉離」
ざんげんして人を訴へる。漢書、劉向傳「勉强以從王事、則反見憎──」
ざんげんして天子に申し上げる。
しひあばく。唐書、趙憬傳「遭奄人──」
ざんげんしへつらふ。禮記「──之民、有比黨而危之者」
人をざんげんする惡しき心あるもの。左、僖二八「閒執──之口」
ざんげんしてへつらふ〔韓愈、上宰相書〕
しひそしる。そしり。權德輿文「竟以──獲罪」
無實の事をいひたててそしる。歐陽修詩「──不須辨、亦止百年閒」
讒言の進むべきみち。唐書、武平一傳「斥姦人、塞──」
シン [沁]
讖は俗字
しるし(驗)未來の吉凶禍福の前兆。又、其の豫言、未來記「圖─」「符─」
未來の驗を言ふ義。又、未來記。晉書、武帝紀「泰始三年十二月、禁星氣──之學」
未來のことを書きしるせしもの、未來記。漢書、王莾傳「好天文──」後漢書、光武紀「──曰、劉秀發兵捕不道、卯金修德爲天子」
未來の事を言ふ。揮塵餘話「張步湲中有石、里人號曰團石、有──云、團石圓、山狀元、團石仰、出宰相」=預言。
未來の事を知る一種のみち。晉書、藝術傳「漢武雅好神仙、世祖尤耽──」
未來の事をしるせし文書。張衡、駁圖讖疏「立言于前、有徵于後、故智者貴焉、謂之──」=讖記。
未來を知る術。唐書、則天皇后傳「冶銅匭爲一室(中略)西曰申寃、受抑枉所欲言、北曰通玄、受──祕策」
ジャウ [漾]
○ゆづる。○あたへる(予)授ける「─與」「─位」○ゆづり。○へりくだる(謙)「謙─」「退─」「遜─」○ことわる、辭退する。○せむ(責)辭にて責める、なじる(詰問)「責─」左、僖五「公使─之」○手を平衡に擧げて行ふ禮。
同訓異義
セム 讓·攻·責·數·譴の别は攻(八○三頁三段)の條を見よ。
くらゐをゆづる。淮南子「公子札不以有國爲尊、故──」
ゑしゃくしてゆづる。
せめしかる。南史、鄭鮮之傳「范泰嘗衆中──鮮之」
くらゐをゆづる。=禪讓。
田の界を讓る。古、仁德の君、世に出づれば、民其の化を受けて、互に畔をゆづる、黃帝·舜·文王の時、皆これあり。讓路參看。
自己の主張、又は利益をまげて、相手方にゆづる。
ゆづりあたふ。說苑「夫賞賜──者、人之所好也」
行くみちを人にゆづる。魏志、弁辰國傳「其俗行者相逢、皆住──」唐書、朱敬則傳「兄仁軌常誨子弟曰、終身──不枉百步、終身讓畔、不失一段」
ラン [寒]
○しふ(誣)春秋繁露「則是非之情不可以相─已」○くちばしる、口がすべる(逸言)「─言」唐書、張亮傳「亮─辭曰、囚等畏死見誣耳」○滿─ マンラン は欺罔 アザムキシフル 漢書、谷永傳「滿─誣天」
18畫
クヮン [寒]
○かまびすし、やかまし(諠譁)「叫─」○よろこぶ(喜)檀弓「書云、三年不言、言乃─」命令の布くところ人心喜悅する。=歡。
よろこびうたふ。柳宗元文「野夫──、欽聖信神」
かまびすし。荀、彊國「百姓──」=讙嗷·諠譁。
かまびすし。說苑「雞豚──、則奪鐘鼔之音」
かまびすし。白居易詩「芳草供枕藉、亂鶯助──」=喧譁·讙囂。
ふまびすし。禮、樂記、注「聞──則人意動作」
大聲を發する。又、かまびすし。劉峻文「譊譊──、異端斯起」
かまびすし。韓愈文「莫敢有──叫號於城郭者」=諠呶。
19畫
囈(三五九頁一段)に同じ。
サン [諫]
讃は俗字
○ほむ、ほめる(稱美)人の美を稱する「賞─」「─歎」「稱─」○ほめことば「─辭」○たすく(佐)孔安國、尙書序「─易道以黜八索」贊に通ず。○佛經中の歌頌の詞。寺塔記「明─未畢、滿地現舍利」○あきらか(明)○文の一體「畫─」贊に通ず。
ほめたたへる。=稱讚、嗟稱。
感心してほめたたへる。稱美すること甚だし。隋煬帝文「忍師──、惟唱希有」=讚歎。
前條に同じ。
ほめたたへる。=讚美。
耶蘇敎にて神の德をたたへほめる歌。
20畫
ゲツ ゲン [屑]
○はかる、罪を議す(評獄)すでに決定せし罪獄の疑はしきものをば更に評議して公平にする。漢書、景帝紀「於人心不厭者輒─之」○とふ(問)○まぅす(白)禮、文王世子「獄成、有司─于公」○──は正直の貌。石介文「立朝──」
訴訟を審理せし記錄。
タゥ [養]
○ただしきことば(直言·正言)「忠─」○よきことば(善言·美言)
ただしき議論。唐書、李泌傳「泌好縱橫大言、時時──、能寤移人主」=正議。
ただしくよきことば。漢書、敍傳「吾久不見班生、今日復聞──」=善言。
ただしきことば。又、善き言。典引「旣感羣后之──」=讜言。
ただし。李吉甫文「逋債咸已、──必容」=正直。
正しき議論。宋史、蘇軾傳「忠規──、挺挺大節、羣臣莫出其右」=讜議·正論·正議。
22畫
トク ドク [屋]
○そしる(謗)左、昭元「民無謗─」注「─、誹也」○うらむ(怨)痛み怨む「怨─」○にくむ(惡)にくみ言ふ。