色部

0畫

色  

ショク シキ [職]

○いろ、五─は靑·黃·赤·白·黑「采─」○いろどり。いろどる「彩─」○かほいろ「顏─」論、季氏「─思溫」○きざし、やうす、ようだい、おももち。景象。莊子「車馬有行─」○おだやか(溫潤)なるやうすをする。詩、魯頒「載─載笑」○男女閒の慾情「女─」「─情」論、季氏「少之時、血氣未定、戒之在─」○けしき「景─」○つや(光澤)○けしきだつ、顏色をかへて怒る。左、昭十九「室於怒、市於─」○くさ(種)物の種類、俗に一種を一─といふ。梅堯臣詩「其贈幾何多、六─十五餠」○─然は驚く貌。○物─は形貌をゑがきて求める。

【色樂】 シヨクガク 

女色と音樂と。李斯、諫逐客上書「是所重者在乎──珠玉、而所輕者在乎民人也」

【色荒】 シヨククワウ 

女色に迷ふ。女色に荒淫する。書、五子之歌「內作──、外作禽荒」

【色藝】 シヨクゲイ 

姿色と技藝と。輟耕錄「妓妾之以──取憐、妬寵于主家者、亦曰、我之富與貴、有以感動其中耳」

【色訣】 シヨクケツ 

さいしきの法。酉陽雜俎「周長史善畫、得──」=設色法。

【色莊】 シヨクサウ 

外貌のみおごそかにまじめなるをいふ。論、先進「論篤是與、君子者乎、──者乎」=色厲。

【色色】 シヨクシヨク 

いろいろ。唐書、選擧志「敦厚浮薄、──有之」=種種。

【色然】 シヨクゼン 

驚きて顏色を變ずる貌。公羊、哀六「──而駭」

【色澤】 シヨクタク 

いろつや。淮南子「鍾山之玉、炊以爐炭、三日三夜、而──不變」=光澤。

【色長】 シヨクチヤウ 

樂工の長〔宋史〕=色頭。

【色聽】 シヨクテイ 

罪人の顏色をみて曲直を判斷する。周禮、小司寇「以五聲、聽獄訟、求民情、一曰辭聽、二曰──、三曰氣聽、四曰耳聽、五曰目聽」

【色貌】 シヨクバウ 

かほいろと、かたちと。三水小牘「九霞之衣、──甚峻」

【色目】 シヨクモク 

元代、欽察 キブチヤク 唐古 トルコ ·囘囘等の諸人種を呼びていふ。

【色養】 シヨクヤウ 

親の顏色を見て其の欲する所を察して孝養する。一說に愉悅 ヨロコバシ の顏色を以て父母を孝養する。晉書、潘岳傳「尙何能違膝下──、而屑屑從斗筲之後乎」

【色厲】 シヨクレイイロハゲシ 

顏色はげしく威嚴あり。論、陽貨「──而內荏、譬諸小人、其猶穿窬之盜也與」(內荏は內心は柔弱)

【色界】 シキカイ 

 佛  欲天の上にある世界、貪慾は薄きも尙ほ色(物質)に梁著する境界。

【色彩】 シキサイ 

○いろ、つや。○いろどり、彩色。

【色相】 シキサウ 

肉眼にて見得る形相。楞嚴經「離諸──、無分別性」

【色紙】 シキシ 

 國  歌·俳諧等をかく四角の料紙。

【色身】 シキシン 

 佛  色相ある身體、印ち肉體。

【色情】 シキジヤウ 

男女閒の慾情。=性慾·色慾。

【色素】 シキソ 

生物の皮下に在りて生物に特有の色を與へる小球體。

【色卽是空】 シギソクゼクウ 

 佛  物質其のまま空無なりとの意。般若心經「色不異空、空不異色、────、空卽是色」

【色言】 シキマウ 

色を見わけることのできざる疾。視覺中の色彩感覺を失ひて、白·黑を除く外の色を辨ずる能はざる病。

【色慾】 シキヨク 

男女閒の慾情。=色情。

【色料】 シキレウ 

○ゑのぐ。=顏料。○染料。

【色動】 イロウゴク 

驚き又怒りて顏色が變る。

【動色】 イロヲウゴカスドウシヨク 

顏色をかへる。後漢書、班固傳「君臣──、左右相趨、濟濟翼翼峩峩如也」

【漁色】 イロヲギヨスギヨシヨク 

女色をむさぼる。漁色(一一三八頁一段)を見よ。

【察色】 イロヲサツスサツシヨク 

顏色をよくみる。韓非子「先意承旨、觀貌──」

【色衰愛弛】 イロオトロアイユルブ 

へ容色が衰へて寵愛が薄くなる。韓非、說難「彌子────、得罪於君」

【作色】 イロヲナス 

怒りて顏色をかへる。史、蘇秦傳「韓王勃然──」

【望色】 イロヲノゾム 

かほいろを見る。史、扁鵲傳「不待切脈、──聽聲」

【以色交】 イロヲモツテマジハル 

美貌を以て交る。戰國策「───者、華落而愛渝、以財交者、財盡而交絕」

【怡色】 イロヲヨロコバズ 

顏色をやはらげる。禮、內則「下氣──、柔聲以諫」

【色難】 イロカタシ 

子が顏色を和げて親に事ふるの難き義〔論、爲政〕(一說に親の顏色を察して之に順ふことはむづかし)

【色若死灰 】 イロシクワイノゴトシ 

生きたる色なきに喩ふ。莊子「日茫然無見、────」

5畫

艴  

ボツ フツ [月]

○氣色を盛んにす。呂覽「─然充盈、手足矜者兵革之色也」=勃。○顏色いかる。

【艴然】 フツゼン 

○怒れる顏色の貌、むっとする。孟、公孫丑「曾西──不悅」○ ボツゼン 氣色を盛んにする貌、字解を見よ。=勃如。

13畫

艶  

艷(次條)の俗字。

18畫

艷  

エン [艶]

又、豔に作る

○なまめかし、あてやか、はなやかに美くし、肥えてうつくし。○いろめく、媚をふくむ。○つや、いろつや(光彩)○うらやむ(歆羨)「歆─」○ 國  男女閒の情事「─聞」「─書」

【艷艷】 エンエン 

つややかなる貌。韓愈詩「攲眠聽新詩、屋角月──」=豔豔。

【艷歌】 エンカ 

あだめきたるうた。梁武帝詩「朱口發──」

【艷妓】 エンギ 

なまめきて美くしきうたひめ。白居易詩「花低羞──」

【艷杏】 エンキヤウ 

うつくしき花のあんず。陳造、出郭詩「夭桃──雖已過、郁李金沙猶未謝」

【艷花】 エンクワ 

あでやかなるはな。杜荀鶴詩「──雖少不勞栽」

【艷語】 エンゴ 

なまめがしきことば。盧思道詩「深情出──、密意滿橫眸」

【艷妝】 エンサウ 

なまめかしく美くしきよそほひ。陳陶詩「春臺──蓮一枝」

【艷姿】 エンシ 

つやつやしく美くしきすがた。吳志、華覈傳「──者、不待文綺以致愛」

【艷賞】 エンンヤウ 

うらやみほめる。

【艷書】 エンシヨ 

 國  いろぶみ。懸想文 ケサウブミ 

【艷色】 エンシヨク 

つややかに美くしきかほいろ。陶潛文「表傾城之──、期有德于傳聞」

【艷羨】 エンセン 

うらやむ。

【艷葩】 エンハ 

うつくしき花。趙奕詩「錯落傾香釀、玻璃插──」

【艷美】 エンビ 

つやつやしくうつくし。金史、張仲軻傳「宋有劉貴妃者、姿質──」

【艷福】 エンフク 

 國  女に愛せられるしあはせ。

【艷粉】 エンフン 

つやのあるおしろい。蕭愨詩「小衫飄霧縠、──拂輕紅」張正見詩「──驚飛蝶、紅粧映落花」

【艷聞】 エンブン 

 國  なまめきたるうはさ。

【艷冶】 エンヤ 

なまめかし。庾肩吾詩「少婦多──、花鈿繫石橊」

【艷陽】 エンヤウ 

はなやかなる春の末。張九齡詩「還遇──時」

【艷蕾】 エンライ 

うつくしきつぼみ。翁卷詩「纔看──破春晴、又見飛花點點輕」

【艷麗】 エンレイ 

はなやかにして美くし。南史、張貴嬪傳「共賦新詩、互相贈答、采其尤──者、以爲曲調、被以新聲」