髟部
0畫
ヘゥ ヒウ [蕭]
○長髮の垂れたる貌。○─鼬 ヘウイウ は羽旄の飛揚する貌。後漢書、馬融傳「羽毛紛其─鼬」○國かみがしら。字畫上の用語。
2畫
髡(次條)の俗字。
3畫
コン [元]
髠は俗字
○かみをそる。○古の刑の名、髮をそり落す刑。又、其の刑に處する。史、季布傳「─鉗季布」○えだをきる。齊民要術「種柳千樹足柴、歲可─二百樹」○人名。淳于─ ジユンウコン は齊の辯士〔孟子、註〕
かみをそり、くびがせを施す。又、其の刑に處せられし罪人。史、張耳傳「皆──爲王家奴」
かみをそられし罪人。周禮、秋官「──使守積」
テイ セキ [霽]
かもじ、いれげ、そへがみ(髲)他人の髮を聚めて、己の髮に添へ加へて多くする。かつら。又、それを入れる。詩、鄘風「鬒髮如雲、不屑─也」
4畫
キウ [尤]
髹の古字
○うるしぬる、漆 ウルシ を以て物を塗る。漢書、趙皇后傳「其中庭彤朱、而殿上─漆」○あかぐろきうるし「─飾」
ゼン [鹽]
髯は俗字
○ひげ。ほほひげ(頰須)「美─」「霜─」「鬚─」漢書、高帝紀「美須─」(頤 アゴ に在るを須 ヒゲ といひ、頰に在るを─といふ)○蒼─叟は松の異名。
明の楊存中髥多くして逢迎を善くすること閹人卽ち宦官に似たり、閹人は髥なし、故に嘲りて有髥の閹人と稱す。癸辛雜識「楊存中人號爲──、以其多髥而善逢迎也」
ひげをやく、然は燃の本字。度量の寬弘なるを、ふ。然鬚(二二六九頁二段)を見よ。
晉の郄超の異稱、髥多くして桓溫の參軍たり、故にいふ〔晉書、郄超傳〕
羊の異名〔古今注〕
蘇軾の異稱。鄭允端、東坡赤壁圖詩「畱得淸風明月在、網魚謀酒付──」
タン [感]
かみの垂れたる貌。詩、鄘風「─彼兩髦」
ハゥ [養]
仿と同じ
─髴 ハウフツ はさも似たり、見ることの定まらざる貌、見て審かならざる貌。楚辭「時──以遙見兮」=彷彿·仿佛。
①バゥ [豪]
②ボウ [尤]
①たれがみ、小兒の髮の垂れて眉にかかれるもの。子が父母に事ふる飾とす。詩、鄘風「髧彼兩─」○ながき毛、毛の中の長毫。○轉じてすぐれる(俊)又、すぐれたる人「才─」「英─」「俊─」「時─」○─丘は前の高き丘。○旄と通ず。○たてがみ(馬鬣)
②西夷の異稱。詩、小雅「如蠻如─」
すぐれたる士。陳後主、寧賢詔「思所以登顯──、式備周行」
髦は毛中の長毫、因りてすぐれたるさむらひの義とす。詩、小雅「烝我──」爾雅、注「士中之俊、猶毛中之髦」=俊士。
才智が衆人にすぐれる。又、其の人。漢書、敍傳「疇咨熙載、──竝作」=俊髦·英髦。
さげがみのこども。周伯琦詩「稼寶豐黃雲、擊壤喧──」
鬢(髟部十四畫)の俗字。
5畫
シ [支]
ひげ、くちひげ、うはひげ、口の上の須 ヒゲ (須は鬚、口の下のひげ)「白─」「霜─」「美─」
ひげ。白居易詩「頷下──半是絲」
口ひげと、かみの毛と。陳師道詩「──難藏老、湖山隱寄身」
口ひげと、まゆと。姚合詩「坐深簷露滴──」
髥(本頁二段)の俗字。
テゥ [蕭]
○うなゐ、たれがみ。男女兒の垂髮 タレガミ 「垂─」○轉じて年の幼き者の稱。陶潛、桃花源記「黃髮垂─」
たれがみのいとけなきとし。北史、柳遐傳「幼而爽邁、神彩嶷然、──便有成人之量、篤好文學、動合規矩」
たれがみのよはひ、いとけなきもの。李揆文「秀發孩笑、惠彰──」
たれがみして齒がぬけ代る、七八歲のこども、齔は毀齒。後漢書、邊讓傳「──夙孤、不盡家訓」=齔髫。俗に髫を齠に作る。庾信、周齊王應神道碑「未逾──、已議論天下事」
たれがみの幼兒、穉は稚。劉克莊詩「高吟雜騷選、序酌逮──」
○幼兒の垂れ髮。○轉じて、幼兒の義。後漢書、伏湛傳「──厲志」
あみたるたれ髮。轉じて幼年の義とす。謝靈運、曇隆法師誄「慧心朗識、發于──」
ハゥ [效]
○鬚の多き貌。○ 國 たぼ、つと、婦人の髮を結びて後方に張り岀すもの。
バゥ [尤]
髦に同じ
西方蠻族の一種、今の雲南姚安縣以南の地に住せし者。書、牧誓「羌─微盧」
ハツ [月]
○かみ、頭上の毛「散─」「白─」「理─」「怒─」「結─」「亂─」○け(毛)けすぢ。○束─ ソクハツ は成童の義。○窮─ キウハツ は北方のはてなる不毛の地、─は毛、草木に喩ふ。
長髮賊をいふ。蕩平──圖記二十二卷は白雲山人の著。
髮黑くして漆の如く、其の光は鑑とすべし。左、昭二八「昔有仍氏生女、黰黑而甚美、光可以鑑、名曰玄妻」
甚だ怒れる形容。史、項羽紀「樊噲(中略)瞋目視項王、頭髮上指、目眦盡裂」に本づく。
かみの毛がぬけてはげる。韓愈詩「我雖未耋老、──骨力羸」
かみのはへぎは。鄭谷詩「年來──未垂白」
淸朝の洪秀全の亂、一名長髮賊。=髮逆。
かみと、はだへと。孝經「身體──、受之父母不敢毀傷、孝之始也」
かみの毛のさき。王規文「鍼鋒於焉止息、──可以翺翔」=髮末。
髮を理むるに、一筋づつ選びて梳る、瑣末の事にとらはれるに喩ふ。莊、庚桑楚「────、數米而炊」
家貧しく書籍を購ふこと能はず、母が其の頭髮を翦り之を賣りて錢を得、書を買ひて子に讀ましたる故事。元史、陳祐傳「祐少好學、家貧、母張氏嘗────使讀之、長遂博通經史」
髮をそりて黑染めの法衣を著ける、僧形となる義。宋史、王旦傳「旦及薨、遺令────以斂」
己の髮を翦りて酒にかへ客をもてなす。晉書、陶侃傳「侃孤貧、孝廉范逵嘗過、侃倉卒無以待賓、母湛氏、乃截髮以易酒、又徹所臥新薦、自剉給其馬、逵過廬江守張蘷稱之、蘷召侃領樅陽令」
つみのおほくしてつぐなひきれざる義。史、范睢傳「擢賈之髮、不足以贖賈之罪」
はげしくいかれる貌。戰國燕策「士皆瞋目、髮盡上、衝冠」駱賓王詩「此地別燕丹、壯士────」
年は老いたれども智計は深し。左、昭三「彼其髮短、而心甚長」
ヒ [支]
─髵 ヒジ は猛獸のたてがみを奮ふ貌。張衡、西京賦「及其猛毅─髵」
ヒ [寘]
かつら、そへがみ、かもじ(髢)「─子」晉書、陶侃傳「侃時倉卒、無以待賓、其母乃截髮、得雙─、易酒肴」
フツ [物]
○髣─ ハウフツ は、さもにたり、髣(前頁二段)を見よ。○婦人の首飾 カミカザリ 歐陽修詩「蓬首不加─」
6畫
キウ [尤]
髤は古字
うるしを物にぬる。うるしぬり。史、貨殖傳「木器─者千枚」
うるしをぬる。=髤漆。
キョク [沃]
○ちぢれがみ。○まげ。髻 モトドリ の餘を曲げて結びしもの。○ 國 丸─ マルマゲ の略語。
①ケイ [霽]
②キツ [質]
①もとどり、たぶさ(總髮)髮を頭上にあつめて束ねたるもの「─子」「高─」○かみ、むすびがみ。
②かまどの神。莊、達生「竈有─」
もとどりのねもと。韓偓詩「──鬆慢玉釵垂」
もとどり、子は助辭。楊維楨詩「新興──換宮粧」
もとどりをくしけづる。陳後主詩「春樓──罷、南陌競相隨」
ジ [支]
○けぶかし、毛の多き貌。○頰 ホホ の毛。=耏。
7畫
サ [麻]
婦人の喪中に結ふ髻にて笄などを用ひず。又、其の髮を結ふ。儀禮、士喪禮「婦人─於室」
サ [麻]
鬖─ サンサ は髮の垂れる貌。一說髮の美くしき貌。又、髮の亂れる貌。
サゥ セゥ [肴]
○けのさき(髮末)○髻 モトドリ の後に垂れるもの。○旌旗 ハタ に垂れたる羽毛。
鬢(次頁三段)の俗字。
8畫
ケン [先]
○まげがみ(髮曲)髮を分けて結ふ。○かみうるはし(髮好)詩、齊風「其人美且─」
ショウ ソウ [冬]
○髮の亂れる貌。○あらし(粗)ゆるし。緊の對。すべて物が虛にして實ならず。又、寬 ユル くして急ならず「粗─」
ソウ サゥ [冬]
○高きもとどり(高髻)○馬のたてがみ(馬鬛)
たてがみ。曹唐詩「欲將──重裁剪、乞借新城利鉸刀」
テイ セキ テキ [霽]
○かもじ(髢)○をさむ(治)のぞく(除)=剔。○そる(剃)髮を剃 ソ り落す。漢書、司馬遷傳「其次─毛髮嬰金鐵受辱」○とく(解)
ホウ [蒸]
─鬙 ホワソウ は髮の亂れる貌、被髮の狀。陸游詩「傍架討尋書散亂、倚屛吟嘯髮─鬙」又、轉じて廣く物の亂れる貌。白居易詩「─鬙雲滿衣」
9畫
コ [虞]
─子 コシ は鬚 ヒゲ の俗稱。─もと胡に作る、胡下 アコ に生ずるが故。=胡子。
①セン [先]
②セン [銑]
①女の鬢の垂れる貌。楚辭「長髮曼─」
②かみをそる。
タ ツヰ キ [哿]
○小兒のきりがみ、生れて三月目の小兒の髮を少しくそりのこし置くもの。禮、內則「翦髮爲─」○かみ美くし。
10畫
キ [支]
○馬のたてがみ(馬鬣)○魚のひれ(魚脊鰭)
シン [軫]
○かみおほし(稠髮)○黑く美くしき髮。左、昭二八「有仍氏生女、─黑而甚美」
くろく美くしきかみ。詩、鄘風「──如雲、不屑髢也」
11畫
サン シン [覃]
○髮のみだれたる貌。○毛の垂れる貌。
髮の亂れる貌。郭璞、江賦「綠苔──乎硏上」
髮の亂れ垂れる貌。東觀餘錄「紅羽──然」
①バン [?]
②バン [寒]
通音マン
①かつら、かもじ。○かみかざり、瓔珞 エウラク の類「華─ ケマン 」
②髮の美くしき貌。○─華 マンゲ は佛書にて茉莉 マツリ 花の異名、鬘 カツラ を飾るべきが故〔翻譯名義集〕
12畫
シュ ス [虞]
本、須に作る
○ひげ、あごひげ、おとがひのひげ、口上の毛は髭、頤下 オトガヒノシタ の毛は─。史記「其人皆深眼多─」○凡そ動物の口の毛をいふ「鼠─」「蝦─」「虎─」○廣くひげの狀をせしもの「─根」「苔─」「梅─」「花─」
ひげあるほほ。周昂詩「坐久淸冰落──」
植物の根の分れて鬚の狀を爲せる者、稻·麥などの根の類。
うはひげと、あごひげと。
あごひげと、ほほひげと。史、高祖紀「爲人隆準而龍顏、美──」
ひげの甚だしく剛 コハ き形容。南史、褚彥囘傳「公────、何無丈夫氣」
上官にこびへつらふ義。宋史、寇準傳「初丁謂岀凖門、至參政、事凖甚謹、嘗會食中書、羹汙凖鬚、謂起徐拂之、凖笑曰、參政、國之大臣、乃爲官長拂鬚邪、謂甚愧之」
ひげのある顏かたち。隋書、牛弘傳「──甚偉」
あごひげと、かみと。漢書、蘇武傳「始以彊壯出、及還──盡白」
○ひげと、まゆと。莊子「水靜則明燭──」○男子をいふ。男子の美は──に在るが故。一說、男子のみ──を存するが故。
ひげ多きかほ。北史、盧曹傳「身長九尺、──甚雄、臂毛逆如猪鬣、力能拔樹」
ひげと、めつきと。晉書、劉牢之傳「牢之面赤紫色、──驚人」
手にてひげを弄び擧げる。朱松詩「百年歌好笑──」
白き鬚を染めて黑くする。漢書、王莽傳「莽染其須髪、進所徵杜陵史氏女爲皇后、備嬪御等百二十人、日夜與方士考驗方術、縱淫樂」
ひげのちりを拂ふ、長官に媚びるをいふ。拂鬚塵を見よ。
ひげをやく。度量の弘きにいふ、然は燃の正字。宋史「韓魏公夜作書、侍兵執燭傍、燭然公鬚以袖揮之、作書如故」=燃鬚。
ソウ [蒸]
○かみがみだれる。鬅(前頁三段)を見よ。○かみがみじかし。
13畫
クヮン [删]
○もとどり、まげ(總髻)白居易詩「窈窕雙─女」○召しつかひの婢女。梅堯臣詩「欲買小─試教之」俗に婢を丫─ アクワン といふ。○山の形と色とに喩ふ。虞集詩「窗中遠黛曉千─」
14畫
ヒン ビン [震]
髩·鬂·鬢は俗字
びん、びんづら(頰髮)耳ぎはのかみの毛「雲─」「雙─」「美─」
びんの毛黑くしてからすの如し。杜牧詩「偸得閒身掠──」=鴉鬢。
びんの兩旁の下垂せし處。王安石、明妃曲「明妃初岀漢宮時、淚濕春風──垂」
鬢髮の白きをしもに喩へていふ。蘇軾詩「──未易掃、眉斧親自伐」=鬢雪。
少年の頃嬉遊に耽りし者が、老いて淡泊なる生活に餘生を送るをいふ。杜枚、題禪院詩「?船一棹百分空、十歲靑春不負公、今日鬢絲禪榻畔、茶烟輕颺落花風」
びんの毛白し。白居易詩「漠漠病眼花、星星愁──」
びんの毛がぬけてはげる。歐陽修詩「莫怪我今雙──」
びんの毛のはえぎは。鄭谷詩「年來──未垂白」
びんの毛がしらがまじりとなる義。韋應物、喜會故人詩「歡笑情如舊、蕭竦鬢已斑」郞士元詩「經秋鬢自斑」
びんの毛。杜甫詩「天涯故人少、更憶──斑」
15畫
レフ [葉]
○たてがみ、馬の領上の毛「黑─」○ひげ(須)長き鬚。左、昭七「使長─者相」○かみ(髮)○ひれ(魚肢)○まつば(松葉)「五─松」○ははきのはし(帚端)禮、少儀「拚席不以─」○剛─ ガウレフ は豕の異名〔曲禮〕