曰部
0畫
ヱツ [月]
曰は正字
○いふ(云)いはく、口を開きてものいふ。○斯く言はれてある。孟、滕文公「魯頌─、戎狄是膺」○のたまふ、のたまはく、いふの敬語。○まをす、まをさく。○となふ(稱)○ここに(發端之辭)詩、秦風「我送舅氏、─至渭陽」また─若と連用するも同じ。=聿·粤。
同訓異義
イフ 曰·言·謂·云·道の别は言(部首七畫)の條を見よ。
自ら答へていふ、決してたやすく口にて述べがたし。孟、公孫丑「敢問、何謂浩然之氣、───也」
發語の辭。書、堯典「──稽古帝堯」
2畫
エイ [霽]
○ひく(牽引)引きよせる。○ひきずる。詩、唐風「子有衣裳、弗─弗婁」
同訓異義
ヒク 曳·牽·引·挽·援·延·惹·彈·摟·掣の別は牽(牛部七畫)の條を見よ。
うしをひく。北史、伊馛傳「馛少勇健、走及奔馬善射、力──卻行」=牽牛。
もすそを地にひきずる。鄒陽文「曳長裾、飛廣袖、奮長纓」漢書「飾固陋之心、則何王之門、不可曳長裾乎」
つゑをひく。禮記「孔子蚤作、負手──、消搖于門」
紙筆を手にするも、文を作ること能はざるをいふ。唐書、苗晉卿傳「李林甫爲尙書、以詮事、委晉卿及宋羔、天寶二載、判入等者凡六十四人、以張奭爲第一、御史中丞倚之子、倚新得幸于帝、晉卿欲附之、奭本無學、議者囂然、帝御花蕚樓覆實、奭持紙終日筆不下、人謂之──」
尾をひきずる。莊、秋水「此龜者寧其死爲留骨而貴乎、寧其生而──於塗中乎」
キョク [沃]
○まげる、まがる。直の反對。○かがまる「屈─」「─折」ゆがむ。○よこしま、ねぢけ「邪─」「姦─」○つぶさに、ことわけ「委─」「心─」○かたはし、こわけ。○す(薄)養蠶の器、す(簀)史、周勃世家「勃以織薄─爲生」○えびら。○ふし、音樂のふし「音─」「樂─」○くま(隈)すみ(隅)かたゐなか(僻地)「鄕─」
音樂のふし〔嵆康、琴譜〕
まがれるかげ。史、平津侯傳「未有樹直表而得──者也」
ふしひくし。陸機文「徒悅目而偶俗、固聲高而──」
事實をまけてときあかす。正解の反對。
邪曲の學問を修めて、世俗におもねる。史、儒林傳「轅固之徵也、薛人公孫宏亦徵、側目而視固、固曰、公孫子務正學以言、無曲學以阿世」
つぶさに事情を問ひきはめる、鞠はしらべる。張融、答周顒書「欲必──其辭」
細微なることにつつしむ。宋史「平居無事、小廉──、似可無過」
○小さき技能。元稹詩「──爭工巧」○ 國 さまざまの變りたる藝、かるわざ。
それとなく意味を含ませて說くことば。直言の對。子華子「太古之聖人所以範世訓俗者、有直言者、有──者」
いささかなるきらひ。何承天文「盛明之世、事從簡易、──細忌、皆應蕩除」=細嫌·小嫌。
貧しき中にて道を樂む。論、述而「子曰、飯疏食飲水、曲肱而枕之、樂亦在其中矣」
○鄕曲 カタヰナカ の人。莊子「──不可以語於道者、束於敎也」○心のよこしまなる人。柳宗元、與大學諸生書「繩墨之側、不拒枉材、師儒之席、不拒──」
ねじけてこしま。荀子「志不免于──」=私曲。
こまごまとときつくす。北史、王昕傳「摹擬傖楚、──風制」
をりまげて造りしうてな。李乂詩「──廻廊繞澗幽」
まがれる浦。儲光羲、游湖詩「前溪多──、乘興莫先歸」=曲浦。
のりをまげる。晉書、熊遠傳「姬公不──于天倫」
曲折せる水流に盃を泛べて飲む、三月三日の酒宴。晉の永和九年三月三日、王羲之、文人を會稽山陰の蘭亭にあつめ此の遊を爲す。其の蘭亭集序「此地有崇山峻嶺茂林脩竹、又有淸流激湍、映帶左右、引以爲流觴曲水」
變に乘じ物に應じてつぶさにひとっびとっになす。易、繫辭「範圍天地之化而不過、──萬物、而不遺」
○かねざし。四書大全辨大學序「句股之術、如今木匠──」○直角にまがれる形。王周石詩「卻見長江──流」=矩形。
○をれまがる。○こみいりたることがら。史、李將軍傳「衞靑欲上書報天子失軍──」
一方にかたよりて正しからざる議論。管子「可以──、而不可以廣擧」
よくまがりて後にまったきを得との老子の敎。老子「曲則全」後漢書「老氏──、進道若退」
つぶさにことごとくあたる。荀子「其餘雖──、猶將無益也」
一隅のみを知りて大道に通ぜざる義〔荀子〕
つぶさに通達する。朱熹、大學序「──旁通」
まがれると、なほきと。書經、傳「木可以揉──」=正邪·善惡。
まげて人の說に從ふ。漢書、游俠傳「夜見仇家、仇家──」
音曲のてぅし。白居易、琵琶行「未成──先有情」
まがりくねりたる石段。何景明詩「鉤雲盤──、沿月遡廻溪」
火災を豫防するために煙突をまげ、薪を他へ移す、わざはひを未發に防ぐ義。漢書、霍光傳「曲突徙薪亡恩澤、焦頭爛額爲上客耶」
國 馬を使ひてするげい、きょくのり。
まがりくねりたる密室。枚乘文「縱恣于──隱閒之中」
道理をまげて人をかばふ。宋史「納厚賂、──之」
まがりてうつくしきまゆ。韓愈、送李愿序「──而豐頰、淸聲而便體」
事實をまげて書く。後漢書、臧洪傳「晏嬰不降志于白刃、南史不──以求存」
山東省兗州府の縣名、太古の神農氏及び魯の周公旦の都、又孔子闕里の古地、洙泗兩水其の北を流る、縣城內に孔子の廟庭墳墓あり。
謠物 ウタヒモノ 又音樂の調子の抑揚高低を記したるもの。=樂譜。
よこしまにしてかたよる。
まがれる入江。薛道衡詩「──騰煙霧、深浪駭鯨螭」
まがれる木。說苑「樹──者、惡得直景」
上に向ひてをどる。左傳「──三百」陸龜蒙詩「匹夫能──、萬騎可橫行」
こまかなる禮式。禮記、釋文「──、委曲說禮之事」又、それを記せし禮記の篇名。
椅子の一種。寺院などにて用ふ。
國 へぎ板をまげてまろく造りしいれもの、わげもの。
臾(臼部二畫)の俗字。
3畫
①カウ·キャウ [庚]
②カウ [敬]
?は本字
①かふ、かはる(換·變)あらたまる、あらためる(改)論、子張「其─也人皆仰之」○つぐ(續)○つぐのふ(償)○ふ(經·歷)○すぐ(過)經過する。史、大宛傳「必─匈奴中」○かはるがはる。○夜閒の時刻のかはりめ、一夜を五─に分つ稱、初─は今の午後八時、二─は十時、三─は十二時、四─は午前二時、五─は四時、夜を警むる者が更代して守る義。○漢代の戍卒の稱、卒─·踐─·過─の三品あり、更番にて替代する義。轉じて時刻。
②さらに、また、再び。王之渙詩「─上一層樓」○ますます(益)愈甚だしき義。杜甫詩「─覺良工心獨苦」○ 國 サラ 新らし。─地は舊き建物などの全く無き土地。
同訓異義
アラタム 更·改.革·悛の別は改(攴部三畫)の條を見よ。○カへル更·變·化·易·替·代·遞·渝·換の別は變(言部十六畫)の條を見よ。
○著物をきかへる、ころもがへ。高啓詩「──直夜房」○ 國 女御の次の位の女官。
さらにあらためる、革は改。=更始。
とりかへる。徐寅詩「侯王──恨難勝」=交換。
かはるがはる〔中庸章句序〕=交互。
夜中時刻をしらせる爲めにぅつ大鼓。東軒筆錄「──分明、必有美政也」
かはるがはるおこる。後漢書、桓譚傳「威德──、文武迭用」
舊きものをあらため新らしくはじめる。又、あらたまりてはじまる。禮記「其在天地之中者、莫不──焉」=更新·革新。
世事を經歷する。隋書、李雄傳「吾兒旣少、──未多」
改めてあらたにす。唐書、伏孫伽傳「與天下──」=更始。
死にたる者がさらにいきかへる。拾遺記「仙人寗封、食飛魚而死、二百年──」=蘇生·囘生·再生。
あらためなほす。
改めてうらなふ。禮記、疏「前卜不吉則止、不得因──」
夜のふけゆく時刻、箭は漏刻の矢。薩都刺詩「枕邊漏水催──」
あらためてえらぶ。後漢書、班超傳「吏如班超、何故不遣而──乎」=改選。
事のいとぐちをかへる禮記「君子問──、則起而對」
夜の時を計る器、とけい、籌はかずとり。庾肩吾詩「燒香知夜漏、刻燭驗──」
琴の絲をあらためはる、今までゆるみゐたるもの事を改めおこす「改絃──」
あらためさだめる、改正する。漢書、汲黯傳「──律令」
かはるがはる交代する。易經「剛柔相摩」疏「陽剛而陰柔、故剛柔共相切摩、──變化也」=更迭。
互にいれかはる。詩經、疏「終歲列宿──而見」=交替·更遞。
かはるがはる番にあたる、交代して衞る〔舊唐書、張說傳〕=交番。
僕は擯相、それをあらため代ふるは時刻の永きをいふ。禮、儒行「遽數之不能終其物、悉數之乃留、──未可終也」留は久、擯相が久くして倦み疲れたるにより、之を代へるも、言ひ盡す可からざる義。
三老五更をいふ。潘岳賦「養──以崇年」
時を報ずる漏刻 ミヅドケイ 唐國史補「初惠遠以山中不知──、乃取銅葉製器
國 色色の模樣を押して染めたる金巾。ポルトガル語のあて字。
4畫
忽(心部四畫)に同じ。
書(曰部六畫)の省文。
5畫
ヵツ [曷]
○いづくんぞ(盍)なに、なんぞ(何)○いつか、何の時か。左、昭元「吾子其─歸」○蟲の名、すくもむし、蛇蝎の蝎に同じ。史、范雎·蔡澤傳「先生─鼻巨肩」
同訓異義
ナニ 曷·何·胡·盍·那等の别は何(人部五畫)の條を見よ。
6畫
シヨ [魚]
○かく、しるす、記錄する。論、衞靈公「子張─諸紳」○もじ(文字)六─は、指事·象形·諧聲·會意·轉注·假借。○かきかた(書法)「楷─」「草─」○ふみ、ほん「─籍」「史─」「兵─」「字─」「佛─」○てがみ「─簡」「手─」「雁─」「信─」「返─」「家─」「─札」韓愈、答陳商書「辱惠─、語高而旨深」○戒命、詔敕。○五經の一、虞夏商周の政事を記す。論、爲政「─云、孝乎惟孝」=書經·尙書。
つくゑ。歐陽修文「至哉天下樂、終日在──」
○書法の精神。述書賦「漢王童年、自得──」○ふみのこころ〔史、匈奴傳〕
書齋のとばり。隋煬帝、秦孝王誄「琴臺夜開、──晝閉」=書幃。
書齋のとばり。杜甫詩「高軒當灧澦、潤色靜──」=書帷。
○唐以來の學校の稱。玉海「唐明皇置麗正──、聚文學之士」○讀書するへや。=書齋。○ 國 貴人の家のおもてざしき。
讀書にふける人。晉の皇甫謐の故事。晉書、皇甫謐傳「謐耽玩典籍、忘寢與食、時人謂之──」
書物は幾囘校合するもなほ誤あるをいふ。夢溪筆談「宋宣獻博學、喜藏異書、皆手自仇校、常云、─────、一面掃則一面生、每三四校、猶有脫誤」
書物をいれるへや。李商隱詩「陶令棄官後、仰眠──中」=書樓。
書を學ぶは急流に泝るが如く容易に進み難き喩。蘇軾文「──────、用盡氣力、不離舊處」
何事も實地に就きて硏究せざれば、役に立たざるをいふ。戰國、趙策「諺曰、─────────、以古制今者、不達事之變」
心、外に馳せて道を失ひたる喩。莊、骈拇「臧與穀二人相與牧羊、而俱亡其羊、問臧奚事、則挾策讀書、問穀奚事、則博塞以遊、二人者事業不同、其於亡羊均也」
書物だな。梅堯臣詩「重臘雪花方漫漫、宿廳──自層層」=書棚。
讀書する氣風ある家。傳家寶「無論──子弟與村童、因材敎導」
○文字をかく人。張籍詩「──多呈帖、琴僧與合弦」○木筆 コフシ の異名。三柳軒雜識「木筆爲──」=辛夷。
文字の書き方の學。書道の學問。後漢書、鄧騭傳「敎之以──」
書物を見るまなこ。皮日休詩「──若薄霧、酒腸如漏巵」
てがみ。文心雕龍「符者孚也、徵召防僞、事資中孚、三代玉瑞、漢世金竹、末代從省、易以──矣」=書簡。
てがみ。陸璣、詩疏「蜾蠃取桑蟲負之、于木空中或──筆筒中、七日而化、爲其子」=書翰·書札。
○かきしるす。又、書物。漢書、賈山傳「涉獵──、不能爲醇儒」○かきやく。白居易詩「靑衫──何年去、紅旆將軍昨日歸」
ほんばこ。王安石、勸學文「有卽起書樓、無卽致──」=書笈。
書物を入れたるおひばこ、笈は負ふやうに造りし本箱。神仙傳「有二侍者、一負──、一攜藥笥」=書簏·書笥。
五十八篇、虞夏商周四代の政道を記せるものを孔子の删定せられしもの、五經及び十三經の一。=書·尙書。
文字と繪畫と。唐書、惠文太子範傳「聚──皆世所珍者」
書齋のたれぎぬ。北戸錄「梁簡文答徐摛書曰、特設──、乍置筆牀」=畫帷。
しよもつ、古は卷物とせしによる。南史、臧嚴傳「孤貧勤學、行止──不離手」=書册。
支那太古の文字。易、繫辭「上古結繩而治、後世聖人、易之以──百官以治、萬民以察」
書物ばこ。春秋後語「夜發──數十、得周書陰符而讀之」=書匣·書箱。
書物と、つるぎと、古の書生の常に事とするもの。陳子昂、送别出塞詩「平生聞高義、──百夫雄」
○書物ぐら。宋史、職官志「淳化五年始置──監官」=文庫。○博學の人の稱。北史、公孫茂傳「少好學、博學涉經史、時人稱爲──」
かきやく。漢書、王尊傳「太守奇之、除補──」=書手。
書物を讀むへや。杜牧詩「曾話平生志、──幾見留」歐陽修、東齋記「或曰、齋謂夫閑居平心以養思慮、若於此而齋戒也、故曰齋」=書室。
書物ばこ、ほんばこ。晉書、王祥傳「置──鏡奩之具」=書篋·書笥。
てがみ。李白詩「白雁上林飛、空傳一──」=書簡·書?。
書籍に同じ。禮記「先生──琴瑟」朱熹詩「──埋頭何日了、不如抛卻去尋春」=書卷·書策。
書物を賢るみせ。揚子法言、吾子「好書而不要諸仲尼、──也」=書鋪·書林。
○文字のかきかた。=書法。○屆書·願書などの一定のかきかた。
おとづれ、ふみのたより。晉書、陸機傳「笑語犬曰、我家絕無──、汝能齎書取消息不」
忘れざるやう大帶に書きしるす。論、衛靈公「子張書諸紳」
廿五家を一里とし、里に一社を立て戶口と田數とを書して之を藏む、故に廿五家の地を──といふ。史、孔子世家「楚昭王將以──地封孔子」
書札に同じ。
かきやく、書記の人。唐書「選五品以上子孫工書者爲──」=書佐·書吏。
學問をする人。陸游、緒訓「子弟才分有限、無如之何、但──不絕足矣」
○學問する生徒。後漢書、袁安傳「道逢三──、爲指一處」○ 國 他家に寄食して家事に使用せられ旁ら學問する者。=學僕。
書道にすぐれたる人。梁書、王志傳「嘗謂志爲──」
書きし文字の形、筆のあと、みづぐきのあと。南史、蕭子雲傳「其──雅爲武帝所重」=書蹟·筆跡·手跡。
ほん、しよもつ。晉書、張華傳「雅愛──、嘗徙居載書三十乘」=書册。
かかげしるす。岑參詩「憐君不解說、相憶在──ー」
文字のかきざま。北史、江式傳「──與孔子相類、卽前代之古文矣」=字體。
古、支那にて、竹の札に文字を書きし時、其の竹を削るに用ひし小さき刀。東觀漢紀「建初中、以──賜馬嚴」
文字をかくみち、入木道。
朱砂にて石に書する。隷釋「石經、蔡邕自──、使工鑴刻」
讀書にのみふけりて他事を顧みざる者をそしる語、癡はばかもの、讀書狂。唐書、竇威傳「竇氏子弟皆喜武、獨威尙文、諸兄詆爲──」劉從益詩「蹉跎歲晚坐──」
○書物を包むおほひ。拾遺記「剝樹皮、編以爲──」○書物。張謂詩「不用開──」=書卷·書册。
書物を藏むる棚、博學なれども實用をなさざる者を嘲る語。齊書、陸澄傳「讀易三年、不解文義、欲撰宋畫不成、王儉戲之曰、陸公──也」=書簏。
字をかくふだ。急就篇「竹簡以爲──」
古賢人の著述。後漢書、班超傳「超有口辯、而涉獵──」
○書物が、蟲ばむ。趙抃詩「雨久藏──、風高老屋斜」○ほんのしみ。=蠧魚。
字をかくふだ。又、てがみ。史、匈奴傳「漢遺單于──、以尺一寸」=書簡·書翰。
しよもつだな。皮日休詩「餓烏窺食案、鬬鼠落──」
文字にては十分に其の意の通ぜざる義。易、繫辭「────、言不盡意」
書を見て其の人物を知るべきをいふ。法言、問神「言者心聲也、─────、聲畫形、君子小人見矣」文字を心畫といふは此に本づく。
○文章のかき方。左傳「董狐古之良史也、──不隱」○文字のかき方。唐書、百官志、注「習畫、出禁中──、以授之」
楷書の法と判決文辭との巧拙を見て人を選拔する。唐書、百官志「身言──」
書は己の姓名を記すれば足る、故に深く學ぶを要せずとの義。史、項羽紀「籍曰、─────而已、劍一人敵、不足學、學萬人敵」漢書には名姓を姓名に作る。
文字のかきぶり、書道の流儀。
讀書を好むくせ。高適詩「公才山吏部、──杜荊州」蘇軾詩「閉門憐子成──」=讀書癖。
書物の多くあるところ。史、司馬相如傳「修容乎禮園、翺翔乎──」=書林。
國 てがみ。=書札。
書物の目錄。姚合詩「──記牙籤」
書籍に同じ〔後漢書、戴封傳〕
○書物を多く集めし處。後漢書、和帝紀「帝幸東觀、覽──、閱篇籍」○轉じてほんや。=書肆。
國 かきもの、記錄文書「重要──」
○書物を入れるはこ。范成大詩「凝塵滿──」○多く書を讀みて、其の義に通ぜざるに喩ふ。晉書、劉柳傳「時右丞傅廸、好廣讀書、而不解其義、柳惟讀老子而已、廸每輕之、柳云、卿讀書雖多、而無所解、可謂──矣」=書廚。
7畫
サウ ゾウ [豪]
○なかま、ともがら(輩)「我─」「爾─」史、平準書「分─循行郡國」○たぐひ(偶)○むれ(羣)○おほし(衆)○獄事を治むるつかさ「法─」轉じて廣く事を同くする屬官の義「官─」○兩─は原告と被告と。=兩造。○つぼね、やくしよ。○國名、周の文王の子、─叔振鐸の封ぜられし所、今の山東省─州府の地。
なかま、ともだち。漢書、黥布傳「布率其──、亡之江中爲盜」=同輩。
曹孟德を見よ。
○へや。○ 國 へや住の貴公子。
國 ○つぼね、禁中の用部屋、官人女官等のつめ所。○昔の大學寮の敎場。
漢の沛の人、高祖を佐けて天下を定め、平陽侯に封ぜらる、蕭何に代りて丞相となり、一に何の約束に遵ふ。
君主の其の位に堪へざる者をそしるにいふ。昔、曹國の人、詩經の候人の詩を作りて剌りしに起る。晉書「博擧天下儁德茂材獨行君子、以答────」
英語のあて字、酸化ナトりウム。又炭酸──の略語。
後漢の班昭、字は惠姫、彪の女、班固の妹、曹壽の妻たり。固、漢書を著はし、未だ竟へずして卒す、帝、昭に詔して東觀に就きてこれを踵ぎ成さしむ。數~召して宮に入れ、后妃諸貴人をして師事せしむ、號して───といふ、家は姑と同じ、大家は女の尊稱。
陸軍下士官の一、特務曹長の下、軍曹の上に位す。
佛 禪宗の一派、六祖の弟子行思にはじまる、道元禪師のはじめて本邦に弘めしもの。
ともがら、なかま。南史、臧洪傳「容貌甚偉、──皆敬之」
魏の武帝をいふ、曹は氏、名は操、孟德は其の字、漢の相國曹參の後、操少くして機警、權數あり、任俠放蕩にして行業を治めず、漢に仕へて戰功あり、漢帝操を以て丞相と爲し、冀州牧を領せしめ魏公に封ず、已にして爵を進めて王と爲し、天子の車服を用ひしむ、漢建安二十六年薨ず、年六十六、子曹丕漢の禪を受くるに及び、追尊して太祖武皇帝と諡す。
魏の曹操の幼字を阿瞞といふ、故に曹操を──といふ。蘇軾諾「欲將鞍馬事──」
○曹植と、劉楨と。文心雕龍「揚班之倫、──以下、圖狀山川、影寫雲物」○曹操と、劉備と。辨亡論「──之將、非一世所選」
①バン·マン [願]
②バン·マン [翰]
③バン·マン [旱]
④バン·マン [寒]
①ひろし(廣)ながし(長)○きめこまかく、かろし(輕細)○ひく(引)○うつくし(美)○つく(突)○のぶ(延)○なし(無)
②─衍は極り無し。
③─漶は分別なき貌。
④──は遠き貌。
○かぎ=なし。莊、齊物「因之以──」○分ち布く。揚雄賦「騈交錯而──兮」
長き貌。
うつくしき女。漢書、司馬相如傳「鄭女──」注「曼者言其色理曼澤也」=美姬。
分別なき貌。蘇軾詩「圖書已──」=漫漶。
きめこまかなるほほ。淮南、修務「──皓齒、形夸骨佳」
うつくしく飾れることば。漢書、司馬遷傳「──以自解」
野草の名、しびとばな、てんがいばな、幽靈花、彼岸花。=石蒜。
長きこゑ。列、湯問「韓娥因──哀哭、一里老幼、悲愁垂涕」
音調を長くしてうそぶく。飛燕外傳「悵然──」
長き貌。=曼焉。
かろくあたたか、曼は輕細。枚乘文「衣裳則雜遝──」=輕煖。
佛 梵語、雜色の義。又、輪圓具足の義。=曼荼羅·滿荼羅。○淨土の實相を寫したる圖。
○ 佛 白蓮華の義。法華經「天雨────」○毒草の一種、きちがひなすび。莖葉は茄子 ナスビ に似る。
おりめのこまかききぬ。淮南子「綈綿──、溫煖于身」
なまめきてうるはし。梁昭明太子、七契「與金石而鏗鏘、共絲竹而──」=曼麗。
つやありてきめこまかきはだ。楚辭、天問「平脇──、何以肥之」
ながき貌。離騷「路──其脩遠兮」=漫漫。
とほくみわたす。楚辭「曼余目以流觀兮」
きめこまかく美くしきはだと白き齒と、美人の形容〔韓非、主道〕
きめこまかに柔かにしてうるはし、柔媚にして艷麗。後漢書、杜篤傳「──之容、不悅于目」
8畫
サイ [泰]
最は俗字
○もっとも、いとも、第一、至高にして上なし。○第一にすぐれたるもの。後漢書、崔寔傳「常爲邊─」邊功第一たる義。○官吏の成績のすぐれたる義。殿の反對「殿─」○あつむ(聚)すべて(都·凡)史、絳侯世家「─從高帝」
同訓異義
モツトモ 最·尤○最は最上·最初などと熟す、國語のいとと同じ、又殿最といふは、殿は、軍のしんがり、最はさきがけなり。○尤ははなはだの意、けやけしと譯す、すぐれて異なれるをいふ、韓文に「惟囘鶻於レ唐最親、奉レ職尤謹」とあるにて、最·尤二字の用法を辨知すべし。
もっともかはゆがる、いちばん大切にする。陸龜蒙詩「──笙調聞北里」
もっともした。最上の反對。
もっともよし、韓偓、三月詩「四時──是三月、一去不廻唯少年」
もっとも大いなり。韓愈文「海於天地閒、爲物──」=最大。
國際上通商等に關して最も利益ある條約を締結せる國。
もっとも鄭重なる敬禮法、直立不動の姿にて、手を膝の下までたれ、うやうやしく腰を屈する禮式。
最終に同じ。漢書、張禹傳「──出而尊貴」
國 しにぎは。末期 マツゴ =臨終。
もっともうへ。唐國史補「蘇州進藕、其──者、名曰傷荷藕、或云、葉甘爲蟲所傷」
をはり。
はじめ、一番はじめ。最後の反對。
もっともちひさし。劉向新序「延陵季子昆弟四人、季子──」
○もっともすくなし。○もっともわかし。
國 さきに、まへかた、先刻。
もっともおほし。南史、何思澄傳「東海三何、子朗──」
もっともおほいなり。=最鉅。
○もなか。まんなか(正中)○ 國 モナカ ──の月に似たる菓子の名。
國 ○いまは、もう。○かくなる上は、とても「──詮方なし」
ソウ ゾウ [蒸]
○かつて(經)=嘗。これまでに、過去の事を言ひあらはす辭。=嘗。○すなはち(乃·則)論、學而「─是以爲孝乎」○かさぬ、かさなる「─祖」「─孫」「─城」=層。○あぐ、あがる(擧)○すゑ(末)○橧に同じ。○ます。=增。
同訓異義
カツテ 曾·嘗の別は嘗(口部十一畫)の條を見よ。
まへかたあそぶ。=昔遊。
ましふやす。孟、告子「──其所不能」=增益。
字は子固、宋の建昌南豐の人、孝友を以て聞ゆ、官、中書舍人に至る、文章は歐陽修と名を齊うす、世に南豐先生といふ、唐宋八家の一人。
淸朝の名臣、字は伯涵、滌生と號す、湖南湘鄕の人、道光十八年の進士、官、武英殿大學士に至る、長髮賊を平定して功あり、同治十一年卒す、年六十二。
曾參を見よ。
末の臣、謙辭なり。左、襄十八「──彪將率諸侯以討焉」=末臣。
孔子の門人、名は參、字は子輿、曾點の子、魯の南武城の人、孔子より少きこと四十六歲、志孝道に存す、孔子之に因りて孝經を作る。=曾子。
二階以上かさなりたるしろ、崑崙山、三級あり、上を──といひ太帝の居と爲す。後漢書、張衡傳「登閬風之──兮」=層城。
ひぢぢ、ひいぢぢ、祖父の父。=曾大父·曾祖王父。
ひばば、ひいばば、祖母の母。=曾祖王母。
ひまご、孫の子、曾は重る義。爾雅「孫之子爲──」
かつて陪隨する。蘇軾詩「他日──探禹穴、白頭重見賦南山」
曾參と閔損とに等しき孝行のともがら。二人は孔子の門人共に孝を以て聞ゆ。元稹詩「昔公孝父母、行與曾閔儔」
テイ タイ [霽]
○かはる、かふ(代)「交─」○すつ、すたる、すてらる(廢)○ほろぶ(滅)魯語「令德─矣」○やむ(廢止)晉語「薦可而─不」不は否。
同訓異義
ヵハル 替·變·化·易·代·更·換の别は變(言部十六畫)の條を見よ。
やめおこたる。北夢瑣言「世之干祿、先資名第、旣得之後、鮮不──」
かふ。又、かはる。楊萬里詩「新舊年頭將──」=易換。
前の人にかはるべき人。
すたれおとろふ。=衰替。
9畫
クヮイ ヱ [泰]
○あふ(合)であふ、めぐりあふ、行きあふ「再─」「─者定離」○あつまる(集)よりあふ、一っになる「─合」「集─」○周代諸侯の相見禮「─同」○ちかひ(盟)○あつまりの團體「靑年─」「講習─」○をり(機)「機─」○さとる(理解)「─得」「了─」○一歲の計算、計算。又、其の帳簿。孟、萬章「孔子嘗爲委吏矣、曰─計當而已」○むれ、くみ。○かならず(必)きっと、決定の意。顏氏家訓「人生在世─當有業」○たまたま、ちゃうど。史、司馬遷傳「─東從上來」○ゑ、いろどる、繪に通ず。○ふた(蓋)○かんむりのぬひめ。詩、鄭風「─弁如星」
同訓異義
アフ 會·遇·逢·遭·値·合·晤の别は遇(辵部九畫)の條を見よ。○タマタマ會·偶·適の别は偶(人部九畫)の條を見よ。
陰門と肛門との界、蟻門渡 アリノトワタリ
佛 ○寺院にて行ふ佛事のよりあひ。○日蓮宗にて每年十月十三日祖師日蓮の忌日に行ふ祭。=御命講·御影講。
國 あいさつ、おじぎ。
佛 會ふものが、亦必ず别れることある義。世の無常を觀じたる語。遺敎經「世皆無常、會必有離」
心にさとりしる、がてんする。十國春秋「宋太宗時、或言劉昌言閩語、恐奏對難會、太宗曰、我自──」=會了·領會。
○心にあふ。晉書、陶潛傳「每有──、欣然忘食」=會心。○漢字の構造法の名、六書の一、字と字とを合せて一っの文字を爲すもの、人言を信とし、日月を明とする類。
同志の友を集める。論、顏淵「曾子曰、君子以文──、以友輔仁」
よりあひて酒をのむ。雲笈七籤「顏眞卿爲湖州刺史、與門客──」
多數の人が聚りて書物を講ずる。齊家寶要「──·會食·會茶、擊版如前」
あつまり合ふ。曹植詩「浮沈各異勢、──何時諧」
あつまりて相談する。獨斷「凡表章皆啓封、其有疑事、公卿百官──」=會商。
めぐりあふ。史、孔子世家「以──之禮相見、揖讓而登」
出納を計算する。孟、萬章「孔子嘗爲委吏矣、曰、──當而已矣」
浙江省紹興府城の東南に在り、古、吳王夫差の越王句踐を圍みし所。
戰敗の恥辱、越王句踐の父、吳王闔閭に破らる、句踐因りて闔閭を破る、闔閭の子夫差、又句踐を攻めて之を會稽山に圍む、句踐勢つきて遂に和を乞ふ、之を────といふ、其の後、越王、范蠡を謀臣となし、臥薪嘗膽の苦を積み、遂に又、夫差を敗りて────を雪ぎぬ。史、貨殖傳「句踐十年國富、遂報强吳、刷────」
あふ、面會する、對面する。
さとる。南史、羊元保傳「──多通」=領會·解悟。
はうむりにあつまる。左、隱元「衞侯來──」
あつまる。春渚紀聞「子弟每──」
心によく適ふ。世說「──處不必在遠」
多人數が集りて營利事業をいとなむ法人組織の團體。=俗公司。
會議に同じ、會合して商議する。商ははかる。
よりあつまる、よせあつむ。公羊傳「古者諸侯、必有──之事」漢書、董仲舒傳「入有父子兄弟之親、出有君臣上下之誼、──相遇、則有耆老長幼之施、粲然有文以相接、驩然有恩以相愛、此人之所以貴也」=會集。
あつまり場所。南史、宋武帝紀「至──賜饌」
あつまりて食ふ。蘇軾詩「高堂──羅千夫」=會飯。
あつむ。宋史、顏復傳「令禮官──古今典範爲五禮書」
政の成績を考へる。周禮「──致事」
○よりあひのむしろ、集會の席。○ 國 ──料理の略、茶の湯の懷石風につくりし料理、轉じてひろく上等の料理をいふ。
雙方出合ひてたたかふ。孫子「知戰之地、知戰之日、則可千里而──」
○衆人のよりあひをする家「公──」○耶蘇敎の寺。=敎會。
俗 爲替手形、小切手、支拂命令書。
あつまりて話す。=會話。
あつまりてこまか(密)張華文「──密固、絕際無閒」
寄り合ひてとむらふ。後漢書、周擧傳「令將大夫以下──」
○會は時見卽ち常期なく事あれば來朝する義、同は殷見卽ち衆見の義。詩、小雅、車攻「赤芾金舄、──有繹」○二水合して一となる。書、禹貢「雷夏旣澤、灉沮──」
あつまりて讀書する。
よりあひをするに要する入費。
數を計りて其の稅を賦す。淮南子「財用殫于──」
會合してちかふ。左、昭三「有事而會、不協而盟」
であふ、面會。杜甫詩「焉知二十載、重上君子堂、主稱──難、一擧累十觴」
あつまりたつ。史、張釋之傳「三公九卿盡──」
よくわかる。=了會·領會。
○より合ひてかりをする。○戰爭を申しこむことを婉曲にいふことば。魏武帝遺孫權書「與將軍──於吳」
○むかひ合ひてはなしをする。=對談·對話。○ 國 外國語にてはなす。又、其のはなし。
10畫
ケツ [屑]
○さる(去)○武くして壯んなる貌。仡·桀の借字。詩、衞風「庶士有─」
去ると來ると。漢書、司馬相如傳「囘車──兮」=去來。