骨部
0畫
コツ コチ [月]
○ほね、動物の肉中に在りて體を支持する堅牢なる物質「─骼」「肌─」「筋─」「骸─」○ほねがら、ほねぐみ「─相」「仙─」○かばね、むくろ、からだ「病─」○きはみ(極致)○ひとがら(風度)人の品格「風─」○氣だて、意氣剛直にして妄りに人に屈せざる氣象「俠─」「氣─」○物事をくみ立てて支持する者「扇─」○文の體格。李白詩「蓬萊文章建安─」○死人に喩ふ。晉書「下無怨─、上無怨人」 國 ○こつ、火葬して後に殘る白骨。○調子·呼吸「─を覺える」
すぢばりてこはし。古畫品錄「用筆──、甚有師法」
剛直にして君主の過失を直諫する。又其の人。晉書、崔洪傳「──不同於物」骾一に鯁に作る(次條參看)=剛骾。
剛直なるけらひ。鯁は魚骨、直言の受け難きこと骨の喉にとどまるが如きに喩ふ。史、剌客傳「方今吳外困於楚、而內空無────、是無如我何」韓愈、爭臣論「朝廷有直言────」
ほねぐみ。吳融詩「──凌秋聳」=骨骼·骨法。
前條に同じ。衆くの骨を聯ねて成るもの、人類の如く肉の內に在るものを內──といひ、甲殼動物の如く肉の外に在るものを外──といふ。
ほねぐみ。世說「韓康伯雖無──、然亦膚立」
兩骨の相接するところのふし。其の活動すべき者を動關節といひ、活動する能はざる者を定關節といふ。
にんさぅ、人の體格狀貌「──學」酉陽雜俎「君──無道氣」
ほねがまへ。曹植文「奇服曠世、──應圖」
かなめ、要點。
骨を構成する原質、堅き石灰類と柔き膠類とより成る。
○ほねまでゑはしめる。唐書、王廢皇傳「帝閒行至囚所、惻然傷之、武后促詔剔其手足、反接投釀甕中、曰、令二嫗──」○後世は借りて沈醉の義に用ふ。蘇軾、老饕賦「各眼灧于秋水、咸──于春醪」
○ほねと其の心と。又、骨の心 シン 韓非、喩老「在──、司命之所屬」○心のしんそこ。史、鄒陽傳「德淪于──」○事の要點、眼目。文心雕龍「極文章之──」
骨のつがひ。=骨關節。
火葬せし骨を納める堂。=納骨堂。
獸骨を蒸燒にせし炭。=獸炭。
○古道具、古物。霏雪錄「──乃方言、初無定義、東坡嘗作──羹、晦庵先生語類、只作汨董」一說に古銅の音轉なりといふ。=古玩·古董。○零雜 ゴタゴタトコマカ の義、魚肉などをごたごたと雜ぜ煮たるを──羮、又、──飯といふ。
ごもくめし。董其昌、骨董說「向有人、以食品雜烹之、名曰骨薰羮、雜埋飯中蒸之、名───」
○ほねと、にくと。○轉じて兄弟親族の義。史、鼂錯傳「別疏人──」
父子兄弟が互に相爭ひて殺しあふ。
親族兄弟の中をさきて不和ならしむ。晉書、王豹傳「小子────、何不銅駞下打殺」
血をわけたる身うち、肉と骨との離るべからざる親族。卽ち、親子兄弟など。呂覽「父母之於子也、子之於父母也、此之謂────」
かるた。正字通「牙牌今戲具、俗傳、宣和二年設、高宗時、詔頒行天下、謂之──、如博塞·格五之類」
○ほねぐみ、骨格。宋玉、神女賦「──多奇」=骨格。○筆力を指していふ。唐會要「太宗嘗謂朝臣曰、吾臨古人書、殊不學其形勢、惟在求其──」
脊柱の下端と腰部の骨とにて成る大いなる骨。軀幹の下部に在りて形盤の如きもの。
動物の骨を碎きて粉としたる肥料。=骨粉。
骨の外面をおほふ強靭にして白色の纖維質の薄膜。血管及び神經を含みて骨を養ふの用を爲す「──炎」
やせてほねばかりが立つ。後漢書、韋彪傳「父母卒、哀毁──」
書畫などの筆のちから。南齊書、張融傳「卿書殊有──」
後世に傳はる文章あらば、身は死すとも名は朽ちず。白居易詩「龍門原上土、─────」
非常に力を勞する。荀、脩身「──絶筋」
兵粮が乏しくして死體の骨をたき、己の子は人情として殺すこと能はざる故に、他人の子と取りかへて之を食ふ。史、平原君傳「邯鄲之民、────而食、可謂急矣」左、宣十五「敬邑易子而食、析骸以爨」
甚だしきうらみ。楓窗小牘「────、豈送面可消」
死して原野に骨をさらす。又、其のさらせし骨。左、襄九「──以逞」
勇者の躍り勇みて進む形容。吳越春秋「慶忌之勇、萬人莫當、────、拊膝而行百里」
深く心に記憶する。後漢書、鄧騭傳「刻骨定分、有死無二」吳志、周魴傳「銘心立報、永矢無貳」
3畫
ヰ [紙]
骫に同じ
○まぐ、まげる(曲)漢書、淮南厲王傳「─天下正法」○まがる、蟠曲する。楚辭、招隱士「林木茂─」○あつむ。あつまる(鍾)
文勢の紆曲 マガリクネル せる貌。又、邪曲せる貌。漢書、枚乘傳「其文──」
骪(前條)に同じ。
カン [翰]
すね、はぎ(脛骨)膝の下、脛の上「衣至─袖至腕」
4畫
カゥ [養]
─髒 カウサウ は體が胖 ユタ かにやすらか。唐韻「─髒、體盤也」注「盤、安舒也」又、たかぶる貌。高亢婞直の貌。趙壹詩「─髒倚門邊」=抗髒。
トウ [尤]
さい、すごろくのさい、正方六面形につくりし小さき賭具 バクチダウグ 一より六までの數を記す、塗るに紅黑二色を以てす、故に色子ともいふ。溫庭筠詩「玲瓏─子安紅豆」
すごろくのさい(博陸釆)子は助字。五代史、吳越世家「董昌素愚、不能決事、臨民訟、以──擲之、而勝者爲直」=博子。
5畫
シ サイ [支]
胔に同じ
○死人の骨のなほ肉ある者。周禮、秋官、蜡氏「掌除─」○鳥獸の殘骸。說文「鳥獸殘骨、骴骴可惡也」
ハク ハゥ ホク [覺]
─箭 ハウセン は骨のやじり(骨鏃)をつけたる矢。通鑑「乃更以─箭射其臍」
ヒ [寘]
骪骳(本頁二段)を見よ。
體(次頁四段)の俗字。
6畫
カイ ガイ [佳]
○ほね(骨)「筋─」○からだ、かばね、むくろ、形體の總稱「形─」「衰─」白居易詩「病─渾似木」○枯れ朽ちたるほね。左、宣十五「析─以爨」○はぎぼね(脛骨)
かばね。唐書、文藝傳「巡身首分裂、將士──不掩、宜ド於睢陽相擇高原、起大冡招魂而葬、旌善之義也」
からだの骨と、すぢと。歐陽修詩「嗟子學雖勞、徒自苦──」=筋骸。
かばね。又、からだ。史、淮陰侯傳「暴──於中野」漢書、趙充國傳「充國乞──」
仕宦中は其の身を君に捧げしものにて、己の有にあらず、故に辭職を求むるを───といふ。前條參看。史、項羽紀「范增大怒曰、天下事大定矣、君王自爲之、願賜骸骨歸卒伍」歐陽修詩「何時乞殘骸」=乞身·乞骸。
瓦斯 ガス を取りたる後の石炭、コークス。高熱燃料とす。
カゥ [肴]
○はぎ、あしくび、脛骨の足に近くして細き處。○あしくびの狀をなせるものの稱。○ひざした(膝下)
カク [陌]
○ほね、されぼね(枯骨)禮、月令「掩─薶胔」禽獸の骨。○人類全體の骨「骨─」「筋─」
クヮ [禡]
○こしぼね(腰骨)○また(股閒)=胯·跨。
7畫
カゥ [梗]
○食ひし骨の咽の中に畱まるにいふ。○轉じて人のかどだちて流俗に從はざる義とす「骨─之臣」晉書、崔洪傳「骨─不同於物」=鯁。
直言して人の惡をあばく。唐書、牛僧孺傳「條指失政、其言──、不避宰相」
ヘイ [薺]
もも(股)=?·髀。
8畫
①クヮ [箇]
②クヮ [馬]
①ひざのほね(膝骨)○もものほね(髀骨)
②謑─ ケイクワ は正しからざる貌。莊、天下「謑─無任」(謑も同義)
ヒ ヘイ [紙]
○もも(股)○股の骨。漢書、賈誼傳「至於髖─之所」
ももをうちたたく、喜び勇む貌。後漢書、張奐傳「所以──仰天而笑者也」
前條に同じ。莊、在宥「鴻蒙──而雀躍不輟」
前條に同じ。李斯、諫逐客書「彈箏──」
英雄が久しく馬に乘りて戰場に出ごず、股の肉のみ肥えて功業の成らざるを歎くにいふ(常に馬に跨りて戰場を驅馳する時は髀肉がやせるものなるが故)蜀志、先主傳「劉備曰、常時身不離鞍、髀肉皆消、今不復騎、髀裏肉生、日月如流、老將至、功業不建、是以悲耳」
髀(前條)に同じ。
ヘン [先]
一枚あばら、肋骨が連合して一となる(幷脅·騈脅)
一枚あばら。晉語「聞其──、欲觀其狀」=騈脅。
10畫
ハク [藥]
かたのほね、かひがね、かひがらぼね(肩甲·肩胛)=膊。
11畫
ロウ ル [尤]
されかうべ「髑─」
12畫
カゥ ケゥ [肴]
○白骨の貌。莊、至樂「莊子之楚、見空髑髏─然有形」○骨の鏃 ヤジリ 骲と通ず。
13畫
サゥ [養]
抗─ カウサウ は體胖 ユタカ なる貌。又、たかぶりて屈せざる貌。後漢書、趙壹傳「抗─倚門邊」=骯髒。
スヰ ズヰ [紙]
○骨中の心に在る脂 アブラ の如きもの「腦─」「骨─」「脊─」○植物の莖幹の中心にある柔かなる部分。○すべて物事の中心たる要所「神─」○物事の精華。李咸用詩「筆下滴滴文章─」
○なうみそ。沈約、內典序「或役鬼神之功、或質──之力」○轉じて首要の義に用ふ。隋書、藝文志「周易──二卷、易腦經二卷、鄭氏撰」
テイ タイ [薺]
躰は俗字体は別字
○からだ「身─」「父母之遺─」○てあし(四肢)論、微子「四─不勤」○もと、物事のどだい「本─」○もの「物─」「液─」○もちまへ(本性)○すがた(容姿)○かたちづくる(成形)○かたち、なり、すがた、さま(形狀)「形─」○のっとる(法)○のり(道法)○ことわり(理)○おこなひ(行爲)○おこなふ(行)淮南、氾論「聖人以身─之」○よる(依)○わかつ、きまりよくわける。周禮、天官「─國經野」○むすぶ(結)○まじはる(接)○そだつ(生)したしむ(親)禮、學記「就賢─遠」○察する「─察」「─恤」○うらかた(兆象)詩、衞風「─無咎言」○かた、きまり、一定の格式「─裁」「文─」「詩─」「政─」「國─」○いけにへ「牲─」○子孫、血統。○ついで(順序)○禮する「─貌」○一─は一律の義。史、黥布傳「同功一─之人也」
身體を强健にする爲めの敎育。德育·智育の對。
○物事の大切なるところ、切實にして簡要なる義。書、畢命「政貴有恆、辭尙──」○大體と綱要と。荀悅文「通達──、以述漢紀」
上下尊卑等、凡て容體の宜しきを得る。禮記「官得其體、政事得其施」疏「體者容體、謂設官分職各得其尊卑之體」
全體をそなへる。孟、公孫丑「冉牛·閔子·顏淵則──而微」(聖人たる全體の德を具へてゐれど人物が小いさし)
からだの溫度「──表」
古の酷刑、四體卽ち手足をきりはなす。史、荆軻傳「──軻以徇」
實際に身に行ふ。後漢書、註「──猶躬行也」
○からだ、ほねぐみ、肉づきなどのやうす。硏北雜志「李邕得其氣、而失于──」○詩文の體製。
からだ、身體。
よく其の眞義を體しさとる(參悟)=體察領會。
死刑以外に、人體に加へる刑罰。笞 ムチウツ 黥 イレズミ など。=體罰。
別別にはなれたる物を一まとめにして、秩序正しく組み立てしもの。
文法にて名詞其の他すべて語尾の變化せざる語。用言の對。
からだがうみつかれる。韋曜文「神迷──、人事曠而不修」
てほん。又、のっとる、法を取る。文心雕龍「楚辭者──於三代、而風雅於戰國」
都城と邑里とを地わりして營む。體は分 ワケル 國は城中、經は里數を定める。周禮、天官「────、設官分職、以爲民極」
○ありさま。かたち。又、文詞の格式、卽ち體制と翦裁と。鄧文原詩「上下漢唐觀──、古今李杜擅雄豪」=體製。○みえ、體面。
身體を動かして體育の發達をはかる學科。
身を其の人の地位におきて詳しく其の心を察し知る。體諒して其の心曲を洞燭する。北史、薛聰傳「帝欲進以名位、輒苦讓不受、帝亦雅相──」
○からだ(身體)晉書、南陽王保傳「──豐偉、嘗自稱重八百斤」○性質。東坡題跋「先朝──恭儉、在位四十有二年、宮室苑囿無所益」
己の身を假に其の人の境遇に置きて察しあはれむ。
詩文の體裁。詩、周頌、譜疏「比於商頌、──又異」=體製·體裁。
ほねぐみ。又、詩文などの體。製一に制に作る。滄浪詩話「詩之法有五、一曰──」圖畫見聞錄「崔白工畫花竹翎毛、──淸贍、作用疏通」=體格·體裁。
すがた。かたち。續詩話「曲盡梅之──」
なりふり、すがた。左傳、疏「和者──寬簡、無物乖事也」
心にふかく認識して實踐躬行する。
○かたち。形體と、相貌と。宋玉賦「玉爲人──閑麗、口多微辭」○禮容をなして敬意を表する。漢書、賈誼傳「──大臣而厲其節」=禮貌。
からだ、肉體。禮記「──則降、知氣在上」
體刑に同じ。
てほん。圖畫見聞錄「證近代之師承、合當時之──」=模範。
からだと、はだへと。又、からだ。孟、吿子「餓其──、空乏其身」
みえ、面目、ていさい(體裁)
事物の本體と其の作用 ハタラキ と。華嚴經疏「──一源、顯微無閒」
からだのめかた、身體の重量。
己の身を其の地位に置きておもひやる。=體恤。
トク ドク [屋]
されかうべ、雨風にさらされ肉の全くおちて白骨となりしかしら。莊、至樂「見空─髏髐然有形」
されかうべ。廣雅「顙顱謂──」
14畫
ヒン [震]
○ひざさら(膝蓋骨)=臏。○あしきる。古の刑法、膝蓋骨をきり去る刑。漢書、刑法志「─罰之屬五百」
15畫
①クヮン [寒]
②コン [元]
①もものうへ、こしぼね、軀幹の下部に在りて兩股の端に連接する者(髀上骨)=臗。
②しり、ゐさらひ(臀)
18畫
ケン [先]
ほほぼね(輔骨)=顴。