疒部
0畫
ダク [陌]
○やむ、やまひ(疾)○ 國 やまひだれ。字畫のとなへ。
2畫
テイ チャウ [靑]
かさ「─瘡」形圓くして小、豌豆の如く、多く面部に生ずる危險なるできもの。めんちゃう。
ヒ [紙]
○かしらのできもの「頭瘍」○はげ(禿)○かさぶた(痂)○頭痛む。
3畫
キウ [宥]
○やむ。○久しき病。○やまし、氣がとがめる、心がなやみ苦しむ。詩、小雅「憂心孔─」論、顏淵「內省不─、何憂何懼」○轉じて人の喪に居るを在─といふ。
同訓異義
ヤム 疚·病·疾·痾·痼の別は病(疒部五畫)の條を見よ。
サン セン [諫]
はらいたむ、腰腹疼痛の病。せんき「─氣」せんしゃく「─痛」
大小膓·腰腹などの筋肉のひきつりていたむ病の泛稱。=疝· 俗 小膓氣。
4畫
イゥ [尤]
○いぼ、皮膚に生ずる小さきこぶ(小瘤·贅肉)○むだなものに喩ふ「贅─」
○こぶ(結肉)杜甫詩「於時見──、骨髓幸未枯」○餘計 ムダ なものに喩ふ。=贅疣。
エキ ヤク [陌]
○えやみ、やくびゃう、はやり病(流行病)霍亂·黑死病·赤痢·猩紅熱などの類。漢書、刑法志「諺曰鬻棺者欲歲之─、非憎人欲殺之、利在於人死也」「瘟─」「─癘」○やくびゃう神(癘鬼)
やくびゃう(疫病)あしきはやり病。後漢書、質帝紀「記以──水潦、令人半輸今年田租」
前條に同じ。
カイ [卦]
○ひぜん、しつ(濕瘡)「─癬」「痒─」○おこり、ぎゃく(瘧)又、おこりを病む。
次條に同じ。
ひぜん、──蟲の寄生によりて起る小泡、粟粒の如く、多く手指の閒に生ず、乾濕の二種あり、傳染性を有す。轉じて外患の微なる者に喩ふ。吳語「今王非越是圖、而齊魯以爲憂、夫齊魯譬諸疾、──也」=疥瘡。
かゆきふきでものの病(痒疾)禮、月令「仲冬行春令、民多──」
キ シ [支]
やむ、やまひ(病)詩、小雅「俾我─兮」
チン [震]
○やむ、ねつびゃう(熱病)をやむ。詩、小雅「─如疾首」○ねつびゃう。○うまきもの(美嗜)うまきものは病を生じ易きが故。左、襄二三「美─不如惡石、石猶生我、─之美、其毒滋多」
熱病。轉じて災患に喩ふ。孟、盡心「人之有德慧術知者、恆存乎──」
ハ [麻]
○すぢぶしのやまひ、筋節の病。○かさのあと(瘡痕)=瘢。
5畫
ア [歌]
又、痾に作る
○やむ、やまひ(病)○沈─ チンア 宿─は長くして重き病。
カ [麻]
かさぶた(瘡弇)腫物 シユモツ が癒えて生ずる硬き皮。南史、劉穆之傳「子邕爲太守嗜創─」(この故事によりて嗜好の偏するものを嗜─といふ)
カン [覃]
○ひかんのやまひ、小兒のやまひ。食慾が增して身體のやせる病「脾─」○下─ ゲカン は花柳病の一、陰部に腫物 シユモツ の生ずる病「─瘡」
幼兒の貧血症、食物消化せず、面色灰白となる、營養不良、或は寄生蟲の爲めに發す。
ク [虞]
せむし、くぐせ(曲脊)脊骨の曲 マガ る病。
せむしの人。莊、達生「見───」=痀瘻〔集韻〕
ケン ゲン [先]
○筋肉のひきつるやまひ。○橫─ ワウゲン は花柳病の一、股閒に惡性の腫物 シユモツ の發するもの、よこね。
シ [支]
○きず「小─」○つみ、あやまち(過失)漢書、景十三王傳「吹毛求─」○やまひ(病)○そこなふ(毀)きずつく。○卑─ ヒシ は佞人の貌〔史、日者傳〕
きず、瑕は玉のきず。過失に喩ふ。左、僖七「不汝──」=瑕疵·瑕釁。
きず。又、つみとが。魏志、何虁傳、注「苟有──、刑黜可也、加其捶扑之罰」
わざはひする、たたる。又わざはひ。穀梁傳序「鬼神爲之──」疏「鬼神卽宗廟也、──謂災變也」
シ [紙]
うちて、きずつく(毆傷)
シツ [質]
○やまひ(病)論、爲政「父母唯其─之憂」○えやみ(疫癘)○きず(瑕疵)くるしみ(患苦)○うれふ(患)くるしむ(困·苦)なんぎ。管、小問「牧民者必知其─」○あし(惡)わづらふ、病に罹 カカ る、しんぱい(心配)○はやし、とし、すみやか(速)「─言」○しひたぐ(虐)うらむ(怨)きらふ(嫌)にくむ(惡)論、泰伯「─之已甚」○害毒、人に害を加ふる者。左、宣十五「山藪藏─」毒蛇·猛獸など。○つとむ(力)○おもむく(趨)○蒺に通ず「─黎」○ねたむ。大學「媢─而惡之」=嫉。
同訓異義
ニクム 疾·惡·憎·嫉·妒·媢の別は惡(心部八畫)の條を見よ。○ヤム疾·病·疚·痾·疴·痼の別は病(本畫)の條を見よ。
○惡人を憎む。唐書、孔緯傳「緯方雅、──若讎」若讎とは少しも假借せざる喩。=疾邪。○ シツヲ にくむ。=憎惡·嫌惡。
はげしきあめ。韓詩外傳「越裳氏重九譯而獻白雉于周公曰、吾受命國之黃髮、曰、久矣天之不迅雷──也、海不波溢也、意者中國有聖人、盍往朝之、於是來也」=猛雨。
はやりやまひ(流行病)禮、月令「季春行夏令、則民多──」
にくみうらむ。禮記「不敢──、起敬起孝」
急ぎて爲したる事には善き出來ばえなきに喩ふ。西京雜記「枚皋文章敏疾、長卿制作淹遲、皆盡一時之譽、而長卿溫麗、枚皋有累句、故知─────矣」
人民のくるしみ。苛政に喩ふ。五代史、韓建傳「出入閭里、問其──」=苦痛。
とくかける、早く車馬をかる。=疾馳。
口ばやにものいふ。論、鄕黨「不──、不親指」
はや口にものをいひ、あわてたる顏色をなす。後漢書、劉寬傳「雖在倉卒、未曾────」
とくよぶ。韓愈文「府中不聞急步──」
目を怒らしてにらみみる。孟、梁惠王「撫劍──」
疾は惡、子と卯との兩日にて、惡日とす、殷の紂王は甲子の日に亡び、夏の桀王は乙卯の日に死す、故に王者之を忌む。左、昭九「辰在子卯、謂之──」=惡日。
とくすすむ。魏志、賈逵傳「今──出其不意所謂先人以奪其心也」=急進。
かうべをいたむ、頭痛がする、心配する義。孟、梁惠王「──蹙頞」蹙頞 シユクアツ は顏をしかめて、鼻もとにしわをよせる。
とくはしる。潛夫論「造父──、百步而廢」
はやきと、おそきと。周禮「以敎坐作進退、──疏數之節」
すみやかにたたかふ。五代史、王景仁傳「閉壘示怯、伺梁兵怠、驅馳──」=急戰。
はやくはしる。史、孫臏傳「引兵──」
あしばや。史、淮陰侯傳「秦失其鹿、天下共逐之、於是高材──者、先得焉」
すみやか。白居易詩「人生百年內、──如過隙」
やみいたむ。禮、內則「問衣燠寒──苛癢、而敬抑搔之」史記「──憯怛、未嘗不呼父母也」=疼痛。
ときいかづち。後漢書、仲長統傳「暴風──、不足以方其怒」
とき風と、はげしき雨と。荊楚歲時記「去冬節一百五日、卽有────、謂之寒食」
困難に會ひて堅き節操をあらはすに喩ふ。後漢書、王霸傳「光武謂霸曰、潁川從我者皆逝、而子獨畱努力、─────」
○やまひ。星經「五穀豐、人安吉、無──、天子有令德」○ ヤマヒヘイナり 病が重 オモ る。論、述而「子──」
はやくあゆむ。元稹詩「──無由致」=疾行。
やまひ。姚合詩「伊人同──、所對惟苦藥」
やましきと、かゆきと。荀子「寒暑──」
急に雷鳴して耳をおほふ暇なし。事急にして防ぐ暇なきに喩ふ。六韜、軍勢「──────、迅電不及瞑目」淮南子には掩を塞に作る。
はやりやまひ。魏志、賈逵傳「又有──、于是軍中騷動」=疾疫。
己の過失あるも人の諫をきかざるに喩ふ。周子通書「今人有過、不喜人規、如護疾而忌醫」
①シン [軫]
②チン [震]
①くちびるのかさ(脣瘍)○はしか「麻─」はぅさぅ(疱瘡)小粒狀のふきでものの稱「濕─」「水泡─」
②熱病。=?。○やむ、やまし(病)張衡、思玄賦「思百憂以自─」
皮膚に生ずるやまひ〔陳書、後主紀〕
シヨ ソ [魚]
あしきかさ(惡瘡·久癰)癰 ヨウ の一種、癰は淺くして大いに、─は深くして惡し。史、吳起傳「卒有病─者、起爲吮之」
あしきはれもの。左、襄十九、疏「荀偃病此──潰、遂生創於頭」
セン テン [鹽]
おこり(久瘧)おこりの閒日なしに發するもの。又、其の病に罹る。
ダツ [黠]
きずいたむ(瘡痛)
タン [翰]
胃より起る病、わぅだん「黃─」酒食過度に由りて肝臟を病みて膽汁が血液中に混入する爲め、皮膚·面·目·爪甲·小便皆黃色を帶ぶる病。=黃病。
トウ [冬]
いたむ。いたみ(痛)
同訓異義
イタム 疼·悼·傷·痛·隱·悽·愴·慘·戚·悵·怛·惻の別は悼(心部八畫)の條を見よ。
俗 ひどくかあいがる。=痛愛·酷愛。
いたみてはれる。王獻之文「患面──」
いたむ。いたみ。
ハゥ [效]
○はれやまひ(腫病)○もがさ、はうさう(痘)皮膚殊に顏面に水泡狀のかさを生じ、痘痕を殘す熱性の傳染病。=天然痘。○液汁を含みて水泡狀に腫れあがるできもの、とびひ「水─」
もがさ、天然痘。=痘瘡。
ヒ [支]
罷に通ず
○つかる。後漢書、光武紀「我自樂此、不爲─也」○つかれ、つからす、力を勞する。○とぼし(乏)財盡きて苦む「─弊」○うむ(倦)○やせる(瘦)「─馬」
つかれくるしむ、勩も疲。蘇軾文「方營新居、費用百端、獨力幹辦、尤爲──」
つかれうう。後漢書、來歙傳「兵人──、若招以財穀、則其衆可集」
つかれうむ。東觀漢紀「今日──甚」
つかれくるしむ。晉書、蘇峻傳「道違行速、軍人──」=疲憊。
つかれおこたる。論語「思而不學」注「徒使人精神──」
つかれおこたる。晉書、五行志「犯暑妨農、官私──」
つかれ衰へる。杜甫詩「──竟何人、灑淚巴東峽」
つかれよわる。晉書「苻堅曰、吾精兵若獸、利器如霜、而衂於烏合──之賊、天也」=疲困·困乏。
つかれる、憊も疲。=疲勞。
困窮すれば刑を畏れざるに至るに喩ふ。鹽鐵論「──────、弊民不畏刑法」
つかれよわる。諸葛亮、出師表「今天下三分、益州──」=罷弊。
つかれたふる。三輔黃圖「郵傳者、──于道」
○つかれはてたる人民、疲弊せる民。白居易詩「且顧活──」○ タミヲツカラス 人民を困しめる。左、成十六「──以逞」
つかれる、くたびれる。つかれ。=罷勞。
衰へつかれたる老病。又、其の人。史、平原君傳「臣不幸、有──之疾」
ヘイ ビャウ [敬]
○やまひ(疾)わづらひ「疾─」「─氣」「多─」「臥─」○うれへ、くるしみ(困苦)○うれふ(憂)しんぱいする。左、襄二四「鄭人─之」○うらむ(恨)○くるしむ、なやます、やます、人をくるしめる。人に迷惑をかける。禮、表記「君子不以其所能者─人」○やまひが重くなる。論、述而「子疾─」○はづかしむ(辱)○短所·惡癖·缺點。晉語「舅所─也」
同訓異義
ウレフ 病·愁·憂·患·恤·閔·憫·愍·悄の別は愁(心部九畫)の條を見よ。○ヤム病·疾·疚·痾·疴·痼○病は疾加也と註す、やまひの重りたるなり。論語「子疾病、子路請レ禱」○疾は急にやみつきたるなり。書經「若藥弗二瞑眩、一厥疾弗レ瘳」○疚は久病なり、俗にいふ持病なり。また心に憂ふる義。論語「內省不レ疚」○痾は病の深く根に入りたるなり、宿痾の類。○疴は痾に同じ。○痼は久病なり、久しく固くなりしやまひなり、痼疾·沈痼と用ふ。
ながわづらひ。=久病·宿痾。
病人を治療する所。=醫院。
おふしをやむ。蘇轍詩「虎嘯風吹籟、霜多蟬──」
醫者が診察する病人の家。
病によりて暇 ヒマ を乞ふ。假は暇。白居易詩「──連綿日漸深」
○やまひのもやう。冥祥記「君有──」○ 國 やまひ「──全快」
微生物の病源となるもの。
病骨に同じ。
やまひのもと。=病因·病根。
病氣のからだ。李賀詩「──猶能在、人閒底事無」
○やまひのもと。後漢書、華陀傳「君──深、應當剖腹」=病原。○心にしみ込みたる惡しきならはし、惡習。橫渠語錄「──不去隨所居所接而長」
やみて死す。史、龜策傳「文王──」
やめるからだ、健康ならざる身體。=病軀·病體。
病人に同じ。北魏書、長孫稚傳「危難之日、──先行」
病人のねどこ、やまひのとこ。=病蓐。
病の徵候 シルシ 水滸傳「也來看衙內──」俗に病症と書く。
やまひのとこ。=病褥。
前條に同じ。
やみてよわし。沈遼詩「千里馳書慰──」
やめる出家。白居易詩「暮鐘鳴鳥聚、秋雨──閑」
病骨に同じ。
わづらひてゐる閒。=病閒。
物事の不健全にして常態を失するにいふ。
病氣の原因となる害物。
病者に同じ。荀、法行「良醫之門多──、櫽括之側、多枉木」=病者。
病氣の養生所。類要「唐以祕書監爲宰相──、丞及著作郞爲尙書──」其の職務の閒散にして休養に資するに足るが故。=養病坊。
やめるひと。柳宗元文「兪扁之門、不拒──、繩墨之側、不拒枉材」
よからぬくせ。平陽人物志「好詞工書、皆──也」
やまひがみ。=二豎。
やまひによりて官をやむ。漢書「相如旣──、家居茂陵」
病氣の原因及狀態などの原理「──學」
やみつかれる。=衰羸。
病を其のままに爲し置くは、中等の醫を得るにひとし。庸醫 ヤブイシヤ の病に害あるにいふ〔漢書、藝文志〕
病と稱して命に應ぜず。漢書、楊敞傳「──臥」
病を治める、養生をする。禮、射義「酒者所以──也」
病の治すべからざるにいふ。左、成十「醫至曰、疾不可爲也、在肓之上、膏之下、攻之不可、達之不及、藥不至焉」
○やまひの少しく快きひま。論、子罕「──曰、久矣哉、由之行詐也」=少差。○ ビヤウカン 病氣中。
病氣が危篤に迫る、革は亟 スミヤカ に通ず、俗にカクの音によみてあらたまると訓するは非。禮、檀弓「曾元曰、夫子之──矣、不可以變」
けびゃうをつかふ。說苑「子胥諫不用、因輒──不行」=稱病·詐病。
病氣と稱して君命をことわる。史、魏其傳「──屛居」=移病。
徒に無益の苦勞する。莊、盜跖「丘所謂─────也」
病は飮食をつつしまざるより生ず。傅休奕、口銘「────、禍從口出」
病は少しく愈ゆる時、油斷して養生を怠り、反りて以前より重くなる。愈は癒に同じ。韓詩外傳「官怠於宦成、────」
證(言部十二畫)の俗字。
病の徵驗 シルシ 「病─」
6畫
イ [支]
通じて夷に作る
○きず(創)「瘡─」「金─」○きずつく(傷)史、蒙恬傳「傷─者未瘳」○轉じて戰後の損害·疲弊などに喩ふ。
ヰ [紙]
○きずつく(傷)○うちきず(毆傷)○きずあと(瘢痕)張衡、西京賦「所好生毛羽、所惡成瘡─」
カイ [佳]
おこり(瘧)二日目に一度おこるぎゃく。
クワイ [灰]
もと蚘に作る、俗に蛔に作る
腹の中の長き蟲「─蟲」
コン [元]
○きずあと「瘢─」○あと(迹)すべて物の迹あるもの「墨─」「淚─」「酒─」「苔─「「刀─」
けがれたる罪の跡。獨孤及、賀赦表「洗蕩──、咸使維新」
次條に同じ。
あとかた。摭言「蹙金緣繡、而無──」=痕跡。
シ [紙]
○衆き貌。○ほしいまま、自ら放縱にする貌。
セン [先]
いゆ、病除く、いやす、なほす(瘳)抱朴、用刑「是以灸刺慘痛、而不可止者、以─病也」
同訓異義
イユ 痊·已·愈·瘳·瘥·差·療·醫○痊·已·愈·瘳の四字は共に病のさっばりとなほる義、愈一に瘉·癒に作る。○瘥は少し快き義、差に作る、同じ。魏志「疾小差」以上の五字はいやす、いゆる、共に用ふ。○療は、いやすとのみ訓む。周禮「凡療レ瘍以二五毒一攻レ之一○醫は、くすし、轉用して、いやす義とす。東坡詩「人瘦尙可レ肥、士俗不レ可レ醫」
ヂ [紙]
ぢ、しもがさ(隱瘡)しりのやまひ、肛門のはれいたむ病「─漏」「─核」「─瘡」莊、列禦寇「舐─者得車五乘」─疾を舐りて車を襃美に貰ふ、賤業を爲して多くの利を得る者を嘲る。
ぢの病。肛門內に在るを內痔といひ、外に在るを外痔といふ。
ぢの久しく癒えず、外に腫ハれるもの。王羲之、鷹嘴帖「鷹嘴爪炙入麝香、煎酥酒一盞服之、治──、有驗」
トウ [東]
いたむ(痛)=恫。
①ヤウ [陽]
②ヤウ [養]
①やむ、やまひ(病)○かさ、できもの(瘍)
②かゆし「痛─」「隔靴爬─」=癢。
かゆき病。張載、西銘「──疾痛、擧切吾身」
かゆきかさ。周禮、天官「夏時有──疾」
7畫
ケイ [梗]
筋肉がひきつる。又、其の病。
身體の一部の筋肉が引きつりかがまる。又其の病(重きものは癲癇に至る)
ザ [歌]
○にきび(小腫)○はれもの、できもの、よう(癰)○ねぶと(癤)
シ [寘]
ほくろ、あざ(黑子)=誌·黶子。
セゥ [蕭]
○づつう(頭痛)=首疾。○消と通ず、消渴一に痟渴に作る、今の糖尿病。
トウ ツ [送]
通音ツウ
○いたむ、いたし(疼)やむ(病)○くるしむ(苦)○いたむ(傷悼)かなしむ(悲)しんぱいする。○なやます。○なやみ、いたみ。○いたく、はなはだし(甚)「─快」「─罵」○力の限りを盡す「─飮」「─哭」
同訓異義
イタム 痛·悼·傷·隱·悽·愴·慘·戚·悵·怛·惻·疼の別は悼(心部八畫)の條を見よ。
甚だしく酒を飮む。世說、任誕「──酒、熟讀離騷、便可稱名士」=劇飮
いたむ。唐書、劉浹傳「體常流血、怡然不爲──」
甚だしく心を動かす。晉書、溫嶠傳「骨肉生離、──天地、人皆切齒」
いたみくるしむ。いたみくるしみ。
甚だこころよし。法書苑「吳皇象善行草書、世稱沈著──」
他をひどく詰り責める、甚だしく他の言行などを攻擊する。
はげしくなく。漢書、賈誼傳「方今事勢、可爲──者一、可爲流涕者二、可爲長太息者六」宋史「韓琦讀孫洙策文、嘆曰、──流涕、極論天下事、今之賈誼也」
時勢の非なるを甚だしくなげきし語、長大息は深く歎息する。前條參看。
甚だうらむ、非常に殘念に思ふ。南史「──慟哭久之」=切恨·刻骨恨。
いたみやむ。左傳「民人──、而或噢咻之」
こころをいためる。唐書、劉蕡傳「──泣血」
身體のいたむ處。大唐新語「裴敬彝曰、大人每有──、我卽不安」
甚だしくをしむ。魏文帝文「美志不遂、良可──」
甚だ深切なり、ひしひしと身にしむ、沈痛にして迫切。漢書、楚元王傳「其言多──、發于至誠」
いたみくるしむ。于濆詩「──難共諳」=苦痛。
いたみかなしむ。梁簡文帝文「想卿──之誠」=悼痛。
いたくなげく。
きびしくそしる。史、張湯傳「以深文──諸侯」=峻詆。
いたみなやむ。陳書、姚察傳「曾無──、但西向坐正念、云一切空寂」
甚だしくののしる。世說補「武帝語和嶠曰、我欲先──王武子、然後爵之、嶠曰、武子雋爽、恐不可屈」=極罵。
いたくいきどほる。舊唐書、太宗諸子傳論「父子──、義不圖全」
いたくいしばりする、きびしく戒める義に用ふ。陸游詩「惡石何妨更──」
いたくかゆし、痒は癢。嵆康文「夫口之于甘苦、身之于──、感物而動」=痛癢。
何の感じもなし。利害の關係なきにいふ。傳燈錄「猶未知痛痒」
○いたくかゆし。蜀志、孟光傳「光之指摘──」○心に苦痛を感ずる。晉書、范宏之傳「於下官之身、有何──」
非常につよく論ずる。
トウ [宥]
はぅさぅ、もがさ(疱瘡)豌豆 ヱンドウ 狀の水疱を生ずる熱性の傳染病、胎毒より起るといふ、俗に天花といふ「天然─」「種─」
もがさのあと、あばた、いも。
種痘の原料となる病毒、多く小牛の痘瘡中の濃汁にて製する。
パイ クヮイ [隊]
やむ、やまひ(病)詩、衞風「使我心─」「沈─」「疢─」
ヒ [紙]
○つかへ、癪 シヤク などにて胸がふさがる、腹の內に塊 カタマリ の如きものありていたむ「─塊」久しき瘧 ギヤク の後に起るによりて瘧母ともいふ。○ 俗 惡人「地─」「流─」
ホ [虞]
○やむ(病)やましむ。書、泰誓「毒─四海」○つかる、人疲れて行く能はざる病「瘏─」詩、周南「我僕─矣」
リ [寘]
くだりやまひ(瀉)大便がはげしくくだる「下─」「赤─」「泄─」
8畫
ア [歌]
やまひ(病)ながびくやまひ。潘岳賦「舊─有痊」=疴。
病にかかる。朱熹詩「──坐竟日」=抱痾。
ア [馬]
おふし、おし(瘖)=啞。
ヰ ズヰ [支]
なゆ、しびれる、なえて動作の力なし「陰─」しびれるやまひ「痺─」
たえそこなふ。南史、張融傳「樹邊便起一瘤、如拳大、稍稍長二十餘日、瘤大膿爛、出黃赤汁斗餘、樹爲之──」
肢體がしびれるやまひ。轉じて政が弛びて振はざるに喩ふ。
オ ヨ [御]
○ふるち(積血)○血液の壅滯によりて生ずる病、腦充血·血琳などの類。
キ [寘]
氣定まらず、むなさわぎ(心動)=悸。
クヮン [旱]
○やむ(病)○──は病みつかれ(罷)る貌。詩、小雅「四牡──」又、賢人が志を失ひて憂ふる貌。
ケン [先]
手の屈 カガ まる病。
コ [遇]
錮に通ず
○ながびくやまひ(久病)「沈─」○轉じて或る物事に一心にこりかたまる「─癖」
同訓異義
ヤム 痼·病·疾·痾·疚の別は病(疒部五畫)の條を見よ。
久しくいえざる病。後漢書、光武紀「京師禮泉湧出、飲之者──皆愈」=痼病。
極めて物事にこりかたまるくせ。潘音、反北山嘲詩「煙霞成──、聲價藉巢由」
コン ビン [元]
又、?に作る
やまし、やまひ(病)詩、大雅「多我覯─」
スヰ [寘]
古、悴·顇に通ず、疩は俗字
○やむ(病)うれふ(憂)○つかる(勞)「殄─」「憔─」詩、小雅「僕夫況─」○やぶる(毀)「頽─」
タン []
咳 セキ と共に氣管より出づる粘液、又、其の病。
チ [支]
癡(疒部十四畫)の俗字
○おろか(癡·不慧)「白─」○きず(疵病)
おろかもの、呆は獃の俗字。
おろかもの。=癡漢。
チャウ [漾]
本、脹に作る
○はる(張)○ちゃうまん(脹滿)
チョク [沃]
しもやけ、ゆきやけ(寒瘡·凍瘡)寒氣に中りて皮膚の腫れ又ただれる病。漢書、趙充國傳「手足皸─」
バ [麻]
通音マ、本麻に作る
○しびれる、しびれ。○─疹 マシン は、はしか、一種の傳染性熱病。=麻疹· 俗 痧子。○ 俗 あばた。
しびれ、痹もしびれる。
ヒ ハイ [微]
○ちひさきはれもの(小腫)○ちゆうぶ(中風)又、ふしのいたむやまひ。漢書、賈誼傳「又類辟且病─也」辟は足の病。
ヒ [寘]
痺は別字
○しびれる、しびれ「麻─」「風─」○やまひ(病)○しつのやまひ(濕病)
リン [侵]
俗に淋に作る
○せんき(疝痛)○りんびやう「─病」「─疾」尿道がただれていたみ、小便の通じ難き病氣。
9畫
イン オン [侵]
おふし、おし(啞)言ふこと能はざる病。=喑。
おし。
ものいはず。柳宗元文「用是更樂──、與木石爲徒」=緘默。
おしになるくすり。史、呂后紀「太后斷戚夫人手足、去眼煇耳、飲──、使居廝中、命曰人彘」
おしと、つんぼと。史、淮陰侯傳「吟而不言、不如──之指麾」=聾啞。
カ [麻]
○きず。=瑕。○女のやまひ。○腹にこりを生ずる病。
クヮン [删]
○やむ(病)「恫─」○むなしくす(曠)おろそかにする。書、冏命「─厥官」
ケイ セイ [霽]
くるふ(狂)左、哀十二「國狗之─、無不噬也」
狂犬なり。左、襄十七「國人逐──」
痻(疒部八畫)に同じ。
ショウ [腫]
あしがはれる(足腫)又其の病。號令の下に行はれざるに喩ふ。漢書、賈誼傳「天下之勢、方病大─」足がはれて行きなやむ譬。=?。
ト [虞]
○やむ、やまひ(病)やみつかれる。○馬が疲れて進む能はざる病。
病みつかれる。楚辭、九歎「躬劬勞而──」
やみなやむ。詩、周南「陟彼岨我馬瘏矣、我僕痡矣」
フウ [東]
○づつう(頭風病)○俗に精神病の義とす、きちがひ「─癲」
ヘン [先]
ちゆうぶ(中風·半枯)半身不隨の病。
半身不隨の病(半枯)集韻「公孫綽有──之藥、以起死者」
ヤウ [陽]
○かしらのかさ(頭瘡)ふきでもの、はれもの。癰·疽などの皮膚病の總稱「潰─」「腫─」曲禮「身有─則浴」○きず(傷)
○周代の官名、民の瘍 フキデモノ ある者、皆其の藥を受く〔周禮、天官〕○外科醫の通稱。
①ユ [麌]
②ヨ [語]
又愈·癒に作る
①やむ(病)詩、小雅「胡俾我─」○いゆ、病がなほる(病瘳)漢書、高帝紀「漢王疾─」いやす、なほす。
②まさる(賢)=愈。
同訓異義
イユル 瘉·痊·已·愈·瘥·差·療·醫の別は痊(疒部五畫)の條を見よ。
ユ [麌]
○やむ、賢人の志を失ひて憂病を懷 イダ くにいふ。○囚徒の飢寒によりて死するにいふ。
獄中にて病死する、囚徒の死をいふ。漢書、宣帝紀「──獄中」
ラツ ライ [曷]
○いたむ(痛)○きず(傷)○ひぜん(疥)○ 俗 頭瘡 アタマノデキモノ にて髮が禿 ハゲ るもの。
癃(疒部十二畫)に同じ。
10畫
エイ [霽]
○うづむ、をさむ(埋藏)地中にうめかくす「埋─」「收─」○はか、墓所。
梁の天監十三年、華陽眞逸撰す、其の碑は江蘇省丹徒縣焦山の崔石上に在り、後ち江中に陷落す、淸の康熙中、陳鵬年工を募りて之を出す、華陽眞逸は集古錄に顧況と爲す、或は陶弘景ならんといふ。
玉をうづめる。桓譚新論「修封泰山、──岱宗」注「凡封山則埋玉、祭川則沈璧」
地の神を祭りし供物を地にうめる儀式。
ヲン [元]
えやみ、やくびやう、はやりやまひ(疫病)
急性のわるきはやりやまひ。=溫疫。
ギャク [藥]
おこり、わらはやみ。或は寒く或は熱く、每日一囘、又は隔日に一囘、時を定めて發する病。=閒歇熱。
おこりの神。搜神記「昔顓頊氏有三子死而爲疫鬼、一居江水爲──」韓愈に譴──詩あり。
おこり。禮月令「孟夏之月、寒熱不節、民多──」
久しきおこり病にて腹に塊 カタマリ を生ずるもの〔靈樞經〕
クヮイ [賄]
○やまひ(病)はれてふき出る。○木の瘤 コブ ○山の高峻なる貌。
①サ [歌]
②サイ サ [卦]
①いゆ、いやす(瘉)=差。○やまひ、かるきはやりやまひ(小疫)左、昭十七「札─夭昏」
②いゆ(疾愈)=差。
同訓異義
イユル 瘥·痊·已·愈·瘳·差·療の別は痊(疒部六畫)の條を見よ。
サウ [陽]
又、創に作る
○きず(痍·傷)きりきず「刀─」「金─」○かさ(瘍)できもの(皮膚病)の總稱「痘─」「庖─」○そこなふ(戕)
○きず、刀きず。轉じて人民の疾苦に喩ふ。韓愈詩「天子憫──、將軍禁鹵掠」○轉じて戰爭などにて受けし損害。杜甫詩「必若去──、先應去蝥賊」=創痍。
前條に同じ。張衡賦「所好生毛羽、所惡成──」=瘢痕。
かさと、いぼと。韓愈詩「酸寒何足道、隨事生──」
できもの。後漢書、濟北惠王壽傳「頭不枇沐、體生──」
きずあと。後漢書、馬援傳「吳王好劍客、百姓多──」=瘡痕。
できもの。易林「──疥瘙、孝婦不省」
かさ。神異錄「南方荒中有涕竹、其笋甚美、食之可以止──」
シウ シウ [宥]
通音ソウ
○やす、やせる(瘠)肥の反對「淸─」「老─」「消─」○地味が惡し、瘠薄。葉適詩「田合婦耕」
同訓異義
ヤス 瘦·臞·瘠·毀·羸○瘠はやせほそる。淮南子「堯瘦臞、舜黴黑」○臞は肉少きなり、瘠に近し。史、司馬相如傳「形容甚臞」淸臞·梅臞など多くはよきことに用ふ。○瘠は病みて骨の多く出るなり、瘠馬と用ふ。○毀は喪に居りやせて骨の露はれる義。哀毀·毀瘠と用ふ。○羸は瘦なり、羊は膳に給するを主とす、瘦を以て病と爲す、故に羊に從ふ。淮南子「人羸車敝」
蜂 ハチ の異名〔誠齋雜記〕
文字の細くしてかたき義。杜甫詩「書貴──方通神」
やせる。南史「梁武帝責賀琛曰、朕昔腰過十圍、今之──、裁二尺餘、舊帶猶存、云云」
やせたる松。陸游詩「──無橫枝、蠹竹少全葉」
やせてちひさし。北史、叱羅協傳「形貌──、擧措褊急」
やせる。古今注「雁自河北渡江南、──能高飛、不畏繒繳」
やせる。蘇軾、紅梅詩「細雨浥殘千顆泪、輕寒──一分肌」=瘦削。
やせてながし。夢溪筆談「凡小篆、喜瘦而長」
やせたるかほ。陸游詩「可憐落筆漸健快、其奈──無光輝」
やせたる容貌。樊阜詩「自把梅花比──」
やせつかれる。薛能詩「自惜多情欲──」
セイ セツ [霽]
きゃうふう(驚風)小兒の病、ひきつける病「─瘲」
セキ [陌]
○やす、やせる(瘦)體がやせて細くなる。肥の對。○地味わるし「─薄」○へる(減少)物が乏しくなる。漢書、食貨志「堯有九年之水、湯有七年之旱、而國無捐─者、以畜積多而備先具也」○へす、はぶく(省約)
同訓異義
ヤス 瘠·瘦·臞·毀·羸の別は瘦(本畫)の條を見よ。
やせる。曹植文「雀自言、雀微賤身體些少、肌肉──、所得蓋少」
やせたる土地。沃土の反對。國語「昔聖王之處民也、擇──而處之、勞其民而用之、故長王天下」
病みてやせたるうま。易、說卦「乾爲──」
やせたる土地。魏志、武帝紀「古之葬者、必居──之地」=墝埆。
ソク [職]
○あまりたるにく、あまじし(寄肉)いぼ、こぶ、はなたけ(鼻菌)の類。○あしきにく(惡肉)
テン [先]
○やむ(病)○くるふ(狂)○たふる(倒)たふす(顚)
ハン [寒]
きず(痍)きずあと(瘡痕)「刀─」後漢書、馬援傳「吳王好劍客、百姓多瘡─」
きずと、いぼと。元好問詩「胡爲文字閒、刮垢搜──」
きずあと。後漢書、趙壹傳「所好則鑽皮、出其毛羽、所惡則洗垢、求其──」
ヨウ ヲウ [蒸]
鷹の正字
たか(爽鳩)
癅(疒部十二畫)の俗字。
11畫
エイ [霽]
○しづか(靜)「婉─」○つまびらか(審)○おくふかし(深邃)
キン [文]
やむ、やます(病)つからせる。漢書、文帝紀「─身從事」
サイ [卦]
○やむ、つかれやむ(勞病)「衰─」「凋─」詩、小雅「上帝甚蹈、無自─焉」○癆─ ラウサイ は肺病。
シャウ [漾]
山川に生ずるあしき濕熱の氣「─毒」「─霧」「─煙」又、其の氣に中 アタ りて起る熱病「─癘」「─疫」
支那南方の蠻地の毒氣を含める雨と烟と。嚴羽詩「湘江南去少人行、────白草生」
山川の毒氣を含めるくも。張遠詩「──霾雨獨登樓」
風土の惡しき爲めに起る一種の熱病。晉書、良吏傳「廣州包帶山海、珍異所出、一篋之寶、可資數世、然多──人情憚焉」
毒氣を含むけむり。元稹詩「君避海鯨、驚浪裏、我隨巴蟒──中」
山川のあしき氣。後漢書、楊終傳「南方暑濕、──互生」
瘴毒の氣が凝結して成るもの、始は彈丸の如く、漸くにして車輪の如し、人之に中 アタ れば卽ち病む、支那の嶺南に多く之れあり〔番禺雜記〕
毒氣を含めるきり。蘇軾詩「玉骨那愁──、冰肌自有仙風」
山川の毒氣にあたりておこる熱病。瘴は內病、癘は外病、支那の南方の濕ひて暑き地に多し。南史、任昉傳「寄命──之地」
ショウ シユ [腫]
きゃうふう(驚風)小兒の病「瘛─」
セキ [陌]
○やせる病、瘠の譌字。○ 國 シヤク (癪)
セン [銑]
ひぜん「疥─」=癬。
ゾク [屋]
─蠡 ゾクレイ は皮膚病、ひぜんの類〔左、桓六〕
タイ [泰]
ながち、しらち、婦人病の一、白又赤のおりもののする病。正字通「赤─ ナガチ 白─ シラチ 婦人下部病」
バク [藥]
○やむ(病)○なやむ、くるしむ。○民─は民の苦患するところ。詩、小雅「亂離─矣」
ヘゥ [蕭]
─疽 ヘウソ は指さきの膿み腫れる病。= 俗 蝦眼。
ラ ライ [哿]
通音ルヰ
─癧 ルヰレキ は頸部及び顎下の扁桃腺·淋巴腺などがはれてしこりとなり、膿ゥみくづれる病、ぐりぐり。= 俗 癧串。
チウ レゥ [尤]
○いゆ、病がなほる。いやす(瘉)書、說命「若藥弗瞑眩、厥疾弗─」○へる(損)晉語「於己何─」
①ロウ·ル [宥]
②ル [虞]
①かさ、頸 クビ に生ずる腫物 シユモツ 瘰癧 ルヰレキ の類。
②せむし、くぐせ(曲脊)「痀─」
久しく癒えざる頸の腫物 シユモツ と癩病 ライべウ と。柳宗元、捕蛇者說「可以已大風拘攣──」
12畫
カン [删]
○癲─ テンカン は病名、不意にひきつけて氣絕し、口より泡をだし、暫くにして蘇生する病。=風眩·羊癇風。○かんのやまひ、小兒の病、筋肉ひきつりて氣がいらだつ病、きゃうふう(驚風)○ 國 かん、感情が强きに過ぎる、神經過敏「─積 カンシヤク 」
國 物事に激して氣がいらだつ、かんしゃくもち、神經過敏。
小兒の筋肉のひきつる病。後漢書、王符傳「哺乳多則生──」
國 癇癪を起すくせ。
ガン [咸]
がんのできもの、臟腑に生ずる硬 カタ くして痛む惡性の毒癅「舌─」「胃─」「乳─」「子宮─」
がんの出來もの。
①セゥ [蕭]
②セゥ [嘯]
①憔に同じ。
②やむ(病)○─瘁 セウスヰ はほろびちぢむ(滅縮)漢書、禮樂志「是以纖微─瘁之音作而民思憂」
セン シン [先]
○いたむ(痛)漢書、谷永傳「榜箠─於炮烙」=慘。○やまひ(疾)
①タン [翰]
②タ [箇]
③タ [哿]
④タン [寒]
⑤タン [旱]
①つかれやむ(勞病)○やむ。やます(病)書、畢命「彰善─惡」○わぅだん(黃病)「─熱」○─疽は惡性の腫物 シユモツ のために熱がでる。左、襄十九「荀偃─疽」
②やむ。○つかる(勞)○くるしむ(苦)
③いかる(怒)○つかる(勞)
④手足の關節の病、風疾。○小兒の熱病、猩紅熱の類。
⑤かたし(難)○熱病、瘧 オコリ の一種。
ハイ [隊]
廢に通ず
なほらぬやまひ(固病)「─人」「─痼」
治し難きやまひ。かたは(不具)となる病。禮、禮運「矜寡孤獨──者、有所養」=廢疾。
かたは、不具者。
負傷してかたはになりし兵士、之を收養する所を──院といふ。
ラゥ ロウ [豪]
○いたむ(痛)○藥が反りて毒を致す、藥物中毒。○甚だしく勞して瘦せる病。○肺─ ハイラウ は、らうがい、肺結核 ハイケツカク
リウ ル [尤]
瘤は俗字
こぶ(瘜肉·贅肉)肉の起る疾「疣─」
こぶ。釋名「癅流也、血流聚所生──也」
こぶ。唐書、孫思邈傳「結爲──、陷爲癰疽」=贅癅。
リュウ [東]
又、?に作る
○つかれやむ(罷病)「疫─」○せむし(背疾)老いて病む(老病)「罷─」「老─」「衰─」○小便の通ぜざる病。
腰の曲がりて、背隆 タカ くなるやまひ、せむし。漢書、賈山傳「民雖老羸──、扶杖而往」
レゥ [嘯]
いやす、なほす(癒)病を治む「治─」「醫─」「施─」
同訓異義
イユル 療·痊·已·愈·瘥の別は痊(疒部六畫)の條を見よ。
のどのかわくをいやす。國史補「滌煩──、所謂茶也」
次條に同じ。王融文「──不期於鼎食」
うゑをいやす。四皓、采芝操「曄曄紫芝可以──」=療飢。
病をいやしすくふ。後漢書、廉范傳「抱持棺柩、遂俱沈溺、衆傷其義、鉤求得之、──僅免」
くゎんびゃう(看病)北史、崔季舒傳「縱貧賤廝養、亦爲之──」
病をいやす。北魏書、裴延傳「還京──」=治療·攻療。
病をいやす方法。
前條に同じ。
病をいやす。後漢書、王符傳「凡──者、必知脈之虛實、氣之所結、然後爲之方、故病可愈、而壽可舒」
13畫
ソ [語]
○うれへふさぐやまひ(憂病)○あなを生ずるできもの、瘰癧 ルヰレキ の屬。○ 國 ぺスト 黑死病、鼠より傳染するによりてあて用ふ。
うれへふさぐ。詩、小雅「──以痒」
癉(疒部十二畫)に同じ。
テン デン [霰]
なまづ。皮膚に白·紫などの斑 マダラ を生ずる病「紫─風」「白─風」
ドウ [送]
通音ノウ
○いたむ(痛)○できものがつぶれる(瘡潰)○うみしる(腫血)=膿。
ヘキ [陌]
○くせ、嗜好の一方に偏する病「書─」「詩─」「錢─」「潔─」「惡─」「譽兒─」晉書、杜預傳「臣有左傳─」○やまひ「病─」腹に塊 カタマリ を生ずる病。○飮食の消化せざる病。
久しく治せざる病。李華文「無──疥搔之疾」=痼癖。
くせ。書言故事「性有偏好曰──」=性癖。
わるきくせ。柳宗元文「好辭工書、皆──也、吾不幸早得此二病」
ユ [麌]
いゆ。=瘉。
ヨウ [冬]
癰(疒部十八畫)に同じ。
レイ ライ [霽]
○惡しき瘡を生ずる疾、かったゐ、なり。=癩·厲。○えやみ(疫)はやりやまひ(流行病)「疫─」史、曹相國世家「時病─歸國」○ころす(殺)○はげむ=勵。
はやりやまひ。韓愈文「水旱──之不期、民之豐約懸於州」=疫癘。
えやみ。左、昭四「──不降」注「癘、惡氣也」=疾疫·疾癘。
○えやみ、惡しき流行病。=癘疫。○ ライビヤウ かったゐ。=癩病。
14畫
セイ [蕭]
やむ(病)禮、玉藻「親─色容不盛、此孝子之疏節也」
チ [支]
痴は俗字
○おろか(不慧)あはぅ、智慧にぶし「白─」「狂─」「愚─」晉書、王湛傳「湛有隱德、人皆以爲─」○愛戀して捨てず「書─」佛典に貪·瞋·─を以て三惡業と爲す。
おろかもの、獃は愚。范石湖集に「賣──詞」を載す。
おろかもの、漢は男。北史、齊文宣紀「李集强諫不屈、帝笑曰、天下有如此──」=痴漢。
おろかにしてかたくな。五代史、馮道傳「德光誚之曰、爾是何等老子、對曰、無才無德、──老子」
愚人に對して夢を話す、馬鹿げたることの喩。冷齋夜話「唐李邕作碑、不曉其言、乃書傳曰、大師姓何、何國人、此正所謂─────耳、僧贊寧以傳、編入僧史、又從而解之、此又夢中說夢耳」朱子文集「子貢之明達、性與天道、猶不與聞、此正癡人前說夢過也」
色情にうごかされ迷ふ心。
笑ひて已まざること愚人の狀の如き義。盧仝示添丁詩「父憐母惜摑不得、卻生──令人嗟」
ばかげたるやうす。
嫁に對して愚人と聲啞との如くならざれば、好き姑と言はれず〔宋書、庾炳之傳〕
ばか、おろか。=癡愚·癡獃。
おろかもの。五代史、盧程傳「朕悞相此──、敢辱予九卿」
愚者と、つんばと、おしと。列子「────家豪富、智慧聰明卻受貧」
癰(疒部十八畫)に同じ「頸─」
15畫
セツ セチ [屑]
○小さき瘍 カサ 「痤─」○ねぶと、瘍より輕し。
チョウ [蒸]
腹中のしこり(腹結病)史、扁鵲傳「以此視病、盡見五藏─結」
ヤウ [養]
○かゆし。禮、內則「疾病苛─、而敬抑搔之」=痒。○伎─ ギヤウ は伎倆ありて之を試みること能はず、心にむづがゆく思ふ義。
16畫
クヮク [藥]
─亂 クワクラン は暑氣に中りて甚だしくはきくだしする病。=霍亂。
〔國字〕
○しゃく、さしこみを起して胸腹が痛む「疝─」○憤り慨く氣「─に障る」
ライ [泰]
もと癘に作る
かったる、らいびやう、なりんぼ。惡性の瘡を生じて筋肉の腐る病氣、天刑病。=厲·癘。
レキ [錫]
瘰─ ルヰレキ は惡しき腫物 シユモツ 瘰(疒部十一畫)を見よ。
17畫
イン [吻]
又?に作る
○嗜むこと甚だしくして病を成す「酒─」「烟─」○─疹 インシン は小さきできもの。
エイ [梗]
○くびのこぶ(頸癅)「─腫」○轉じて木のふしこぶ。杜甫詩「長歌敲柳─」
セン [銑]
○たむし「頑─」○ひぜん「疥─」
18畫
ク [虞]
やす(瘠)漢書、司馬相如傳「形容甚─」=臞。
やせつかれる。齊東野語「──如不勝衣」
やす。唐書、李百藥傳「侍父母喪、還鄕徒跣數千里、服雖除、容貌──者累年」=瘦瘠。
やせつかれる。唐書、張巡傳「皆──不能彀」=衰憊。
ヨウ [冬]
○はれもの(腫)よう、あしきかさ(惡瘡)多くぼんのくぼ又は背に發する。=臃。○地名、雍州の雍と通ず。
惡しきできものの血を吸ふ。唐書、孝友傳「張士巖母病癰、土巖爲吮血」
○危險なるできもの。大いにして淺き者を癰と爲し、深きを疽と爲す。後漢書、律歷志「多病──脛腫」○また其の腫物を治する醫師。孟、萬章「孔子於衞主──」
19畫
テン [先]
○くるふ、きちがひ「瘋─」「─狂」○─癇 テンカン は一種の神經病、癇(疒部十二畫)を見よ。
23畫
レン [先]
かがまる、ひきつる。=攣。