水部(氵)
0畫
スヰ [紙]
○みづ、酸素と水素との化合して成る液體。○かは(河川)「湘─」「漢─」「易─」○おほみづ(洪水)其の災害。春秋、桓元「秋大─」○北の方位。○橫にたひらか「─平」「─準」○うるほふ(濡)○水を汲む、みづ仕事「薪─」○星の名、八大行星の一、太陽系の第一位に在り。○明─は祭祀に供する水。○─銀は鑛物の一種、一名汞。○風─は陰陽家の語、山脈水流を以て墓地の吉凶に關係ありと爲す說。
みづのくま。山海經、注」木禾穀類也、生黑水之阿可食」
水の壓す力。
かも。急就篇、注」鳧者水中之鳥、今所謂──者也」司空曙詩「高僧靜坐山童逐、走吏喧來──沈」
靑きこけ。張協詩「堂上──生」
水を飮む。禮、喪大記「大夫之喪、主人室老子姓皆食粥、衆士疏食──、妻妾、疏食──、士亦如之」=飲水。
川の南方。草木子「水以北爲陽、南爲陰」
鸕鷀 ウ の夷名。
水上のうんさう、船にて物を運ぶ。漢書、地理志「皆便──」
およぎ、すゐれん。=游泳。
芹 セリ の異名。=水芹。
水邊のふなつぎば。唐書、百官志「──有舟」杜甫詩「微冥──孤」
みづけむり、水上に立つもや。梁簡文帝詩「──浮岸起、遙禽逐霧征」
大水のわざはひ。史、律書「顓頊有共工之陳、以平──」
みづぎは。後漢書、光武帝紀「有赤草生於──」=水厓·水滸。
○みづの上を行く。史、夏本紀「陸行乘車、──乘船」○みづの流れ。韓偓詩「遠田人靜聞──」
みづち。東方朔賦「從──而爲徒兮、與神龍乎休息」
ひしの花の異名。三柳軒雜識「菱花爲──」
水邊のたかどの。李白詩「登樓坐──、吐論多英音」
○みづぎは。=水湄·水涯。○ 國 糊を用ひず水張にしたる絹。
大水と、ひでりと。莊、秋水「春秋不變、──不知」=涔旱。
みづの神。沈炯詩「詔蹕──驚」
みづへび。述異記「──五百年化爲蛟、蛟千年化爲龍」
蓴菜 ジユンサイ の異名。劉禹錫詩「千里──羮」
ふなあそびしてたのしむ。述異記「日與西施爲──」
印度地方に產する牛の一種、體長八尺許、角は半透明にして大きく、彫刻に適す〔漢書、西域傳〕
せり、濕地に生ずる香草、食用とす。爾雅、疏「本草、──一名水英」=紫芹·楚葵。
みづとり。後漢書、馬融傳「──鴻鵠鴛鴦鷗鷖」
みづがね、銀白色の液體金屬、晴雨計·寒暖計等の器械を造るに用ふ。本草綱目「其狀如水似銀、故名──」=汞。
水村に同じ。陸機詩「余固──士、總轡臨淸淵」=水郭·水國。
人の師となるべき人。晉書、樂廣傳「衞瓘見廣而奇之曰、此人之水鏡、見之瑩然若披雲霧、而覩靑天也」
ふなあし、船の水につかる部分。=喫水·吃水。
みぞ。劇談錄「捉驢四足、擲過──數步」=溝渠。
○水晶の異名。山海經「堂庭之山多──」○玻瓈 ハリ の異名〔本草〕○ 國 ミヅタマ 水が小さく球狀をなしたるもの、露·涓滴など。
特別にしたしみの深きに喩ふ。蜀志、諸葛亮傳「先主曰、孤之有孔明、猶魚之有水、願勿復言」
ふないくさ。魏志、張郃傳「司馬宣王治──於荆州」=水師。
地文學にて岩石地質等が水の作用を受けて起す變化。
○みづと、ひと。馬祖常詩「襁褓免──、少長俾知倫」○性の相反するに喩ふ。潛夫論「邪之與正、猶水與火」=冰炭。○勢の盛んなるに喩ふ。蜀志、魏延傳「延以爲至忿、有如──」○一日も無かるべからざる大切なものとする。孟、盡心「民非──不生活」○甚だ危險なるものとする。論、衞靈公「──吾見蹈而死者矣」
近鄰の者とも往來せざる義。漢書、孫寶傳「杜門────」
危險を冒す。韓愈、後十九日復上宰相書「───者之求免于人也」論、衞靈公「水火吾見蹈而死者矣」
少しも交際せず。隋書、趙軌傳「轉齊州别駕、水火不與百姓交」
○うきくさ。本草「萍、一名──、一名水蘚」○次條に同じ。
蓮花 ハスノハナ の異名。古今注「荷花、一名──」=水花。
水中の怪物。木華、海賦「天琛──、鮫人之室」
水のほとりなる城外の村。李紳詩「──津橋晚景澄」=水村·水鄕。
洪水のわざはひ。後漢書、明帝紀「兗豫之人、多被──」=水災·水害。
くひな、水禽の一、長嘴長脚、其の鳴く聲、恰も戶を叩く如く聞ゆ。杜甫詩「──啣魚來去飛」=秧雞。
みなもと。劉長卿詩「過雨看松色、隨山到──」=水原。
かっば(河童·河太郞 カハタラウ )水中の怪物。襄沔記「沔水中有物、如三四歲小兒、甲如鯪鯉、秋曝沙上、膝頭似虎、爪常沒水、名曰──」
みづぜめ、河水をせきて城をみづびたしにする攻城法。
○翡翠 カハセミ の一種〔爾雅〕○獺 カハヲソ の異名〔本草〕
湖沼河など多き土地。孟浩然詩「──無邊際、舟行共使風」
元の施耐菴の著、宋末に成りし宣和遺事に本づき、宋の徽宗の時に起れる、羣盜の事蹟を描寫せしもの、全篇百八十回より成る、三國演義·西遊記、金瓶梅と竝稱して、支那小說の四大奇書といふ。淸の金聖歎の批評本、世に行はる。
水患に同じ〔書、堯典、疏〕
水より放つ光彩。王履貞賦「──旁射、蟬聯下映」
畫風の一種、水にとかしたる繪具を用ひて書く西洋風の畫。
水に住む犀の一種。越語「夫差衣──之甲者」
みづぎは。王禹偁詩「斷岸煙中失、長天──垂」=水涯·水湄·水畔·水邊。
○みづと、くさと。史、匈奴傳「逐──遷徙、毋城郭常處耕田之業」○みづくさ。詩經、箋「魚之依──、猶人之依明王也」
みじんこ(微塵子)溝などの腐水中に生ずる徴蟲、ぼうふりに似て更に小、全身赤し、金魚の餌とす。
みづの中に投げはうむる。齊書、林邑傳「取骨燒灰、投海中──」
みづをけ。
しがらみ。齊書、周山圖傳「造樓櫓立──」
僧家にて魚の異名。東坡志林「僧謂酒爲般若湯、魚爲───、雞爲鑽籬菜、人有爲不義、而文之以美名、與此何異」
水中に生ずる產物。魚介海藻の類。毛詩陸疏廣要「琴高乘魚、浮於河海、──必究」
みづにおぼれてしぬる。禮、祭法「冥勤其官而──」冥は水官。=溺死。
蓮 ハチス の異名〔古今注〕=水且。
○ふないくさ。宋書、孝武紀「於元武湖大閱──」=水軍。○せんどう。宋史、謝景溫傳「逮篙工──」=水手。
艦隊を指揮する長官、水師はふないくさ。=艦隊司令長官。
おもだか、みづぐわゐ。
みづびる。
水面のまんなか、水の中央。晉書、束晳傳「見金人奉──之劍」
みづのかみ。史、始皇紀「──不可見」
○みづぐるま、田に水を注ぎ込む車。=龍骨車·飜車。○水力にて回轉させて動力を起すしかけの車。○輕快なる舟。水馬參看。
みづに臨めるうてな。林泉高致「風雪平遠、絕澗松雪、松軒醉雪、──吟風、皆冬題也」=水亭。
水くだり、はげしきはらくだり。
香の名。香譜「天寶中、漁人獲──、臍香皆麝也、每取以針刺之、香倍肉麝」
○水のほとり。=水邊。○水面。○かはかみ、川の上流。
○水邊の城。唐書、蕭銑傳「破其──、取樓船數千」○ ミヅキ 國 まはりに水をたたへたる城、天智天皇の時、筑紫に築かれたるもの。
寶石の一種、石英の類。本草「水精、一名──、一名水玉」
うつぎ。宋史、王錢俶傳「太宗卽位、俶貢塗金銀香臺龍腦檀香床銀假果───凡數千計」
眼球の角膜の後にある凸形の透明體、光線を屈折せしむるもの。
みづと、こんずと。禮、檀弓「曾子謂子思曰、伋吾執親之喪也、──不入於口者七日」
みづもり。=水準。
せんどう、かこ。蘇軾詩「便合與官充──、此生何止略知津」=篙人·篙師。
舟中に宿する。杜甫に──遣興詩あり。
みづもり。元史、曆志「舊法擇地平衍、設──繩墨、植表其中、以度其中晷」
みづもり。=水準。
蓮 ハス の異名〔古今注〕=水芝·水芸。
水上にすむ。又、其の者。淮南子「──者漁、山處者木」=水居。
みる。海藻の一種、海底の岩に生ずる草。郭璞、江賦「隱靄──」=海松。
みづあらそひのくじ、水論 スヰロン
みづぶくれ。後漢書、律歷志、注「病少氣五疽──」
○みづのいろ。林泉高致「──春綠夏碧、秋靑冬黑」○ 國 ミヅイロ 薄きあをいろ。=淡靑色。
雨又は水流が土石をけづり去り或は崩壞さぜる作用。
古の水を治むる官。左傳「──曰玄冥」
たむらさう。本草「鼠尾、一名烏草、一名──、以穗形命名」
太陽系統に屬する行星中最も小さく、最も太陽に近きもの、八十八日に太陽を一週す。
水の流れるいきほび。齊書、垣崇祖傳「──奔下」
○月の異名。春秋元明苞「太陰──爲月」晉書、天文志「夫日火之精也、月水之精也」○ スヰシヤウ 水晶の異名。
○石蒜科に屬する多年生草花の一、葉は細長肥厚、花は白瓣黃蘂、春初に開きて芳香を放つ。本草「──釋名、金盞銀臺」○水中に在る仙人。天隱子「在天曰天仙、在地曰地仙、在水曰──」
ふないくさ。後漢書、岑彭傳「大司馬習用步騎、不曉──」=舟戰。
うきくさ。本草「萍、一名水花、一名──」
元素の一、無色無味にて最も輕き氣體、酸素と化合して水となる。
どぶねずみ。雲仙雜志「──穴水旁岸隙、似鼠而小、食菱芡魚鰕」
水中に在るやから、魚介の類。晉書、溫嶠傳「其下多怪物、嶠遂燃犀角而照之、須臾見──」南史、何遠傳「車服尤弊素、器物無銅漆、江左──甚賤、遠每食不過乾魚數片而已」
水に沿へるむら。杜牧詩「──山郭酒旗風」=水郭。
水力にてつくからうす。庾信詩「窄渠移──、燒棘起山田」
みづの流るるかたち。元稹詩「山容──使君知」=水容。
蜻蜓 トンボ の異名〔淮南子〕
○ふねのとほるみち、ふなぢ。=水路。○水の流れるみち、溝渠など。後漢書、岑彭傳「絕──」○飮料水を引き込むみち。
みづさは。史、淮陰侯傳「兵法右背山陵、前阻──」
蛭 ヒル の異名。
みづのそこ、みなそこ。杜甫詩「眼花落井──眠」
水邊に構へたるちん。杜審言詩「薜蘿山逕入、荷芰──開」=水榭。
水上のみちのり。杜甫詩「宿槳依農事、郵籤報──」元史、世祖紀「沿黃河計──」
みづとり。春秋、僖十六「六鷁退飛」注「鷁──、高飛遇風而退」=水禽。
なまめかしき歌。明皇雜錄「使中人歌──」
○みづのしづく。=涓滴。○硯の水を入れる具、みづさし。類書纂要「──俗名水礶、又名水注、又曰玉蟾蜍」
みづた、水を注ぎて作る田。朝鮮にて俗に畓の合字を用ふ。旱田·陸田の對。魏志、徐邈傳「廣開──、募貧民佃之」李嘉祐詩「──飛白鷺、夏木囀黃鸝」
みづに臨めるとの。宋史、禮志「射於──、盡歡而罷」
晴れわたりて水もそらも、ひとついろに靑く見える。
水と天と相接して見分け雖き形容、彷彿は髣髴 サモニタリ
水とそらとの閒、卽ち地平線が靑く髮の毛をのばしたる如く見える〔賴襄、天草洋詩〕
河と陸地と。書、舜典「帝曰、咨禹汝、平──惟時懋哉」
いさごむし(蜮)水中に棲み沙を含み人影を射れば人卽ち死すといふ怪物、蜮(虫部八畫)參看。張祜詩「溪行逢──、野店避山魈」=射影·射工。
みぞ。事物紀原「溝渠謂之──」
水を田にそそぎて耕耘する。史、平準書「江南火耕──」
みづのわざはひ。韓非、喩老「是以白圭無──」=水災。
なみ。蘇軾、赤壁賦「──不興」=波浪。
○水上に浮游する小蟲、長き四足を有す、みづくも、みづすまし。韓琦詩「──成羣股脚長」=水黽。○水中に棲む馬に似たる獸。山海經「求如之山、滑水出焉、其中多──、其狀如馬、文臂牛尾、其音如呼」○輕き舟。荊楚歲時記「競渡者、治其舟使輕利、謂之飛鳧、又名水車、又名──」○ 國 馬に乘りて水を泳ぎわたる武藝。
○みづのあわ、うたかた。人生のはかなきに喩ふ。大乘經「身如浮沬(中略)又如──」○むだごと「──に歸す」
みづのほとり。易經、疏「沙是──之地」=水邊。
水馬 ミヅクモ に同じ。本草「──羣遊水上、水涸卽飛、長寸許」
みづの神。山海經「朝陽之谷神曰天吳、是爲──」=水神。
琥珀 コハク の一種。本草「──多無紅、色如淺黃多皺文」
みづのきし。白居易詩「──竹林邊、閒居二十年」=水邊·岸畔·水涯·水湄。
大いなる水ばち。
水上のかすみ。王廷相詩「曦寒生──」
ほさきに墨をふくませて書くふで。ぺン·鉛筆などの對。
川のほとり。左、僖四「昭王之不復、君其問諸──」=水涯·水湄。
かこ、ふなこ。=篙夫·舟人。
○星の名。晉書、天文志「井西南四星曰──、主水之官也」○水神の居處。姚合詩「採玉上山巔、探珠入──」○ 國 水戶藩の異稱。
みづけ。=水氣·濕氣。
○水面の平かなる義。轉じてすべて、物の表面のたひらかなるにいふ。○みづもり。通典「水漕長二尺四寸、兩頭及中閒鑿爲三池(中略)謂之──」=水準。
舟師 フナイクサ 又海軍の兵卒。
○うきくさ、水面に浮きて生ずる水草。歐陽詹詩「身卽飛蓬共──」=水簾。○慈姑 クワヰ の異名〔本草綱目〕
みづちの類(海豹 アザラシ とは異り)張衡、南都賦「追──兮、鞭蝄蜽」=蛟蛇。
水玉の類。山海經「耿山無草水、多──」
河海池沼などに沿うてゐる地。楊巨源、和練秀才楊柳詩「──楊柳綠煙絲、立馬煩君折一枝、唯有春風最相惜、慇懃更向手中吹」
くらげ、海面に浮游する動物の一、形は傘に似、數多の觸手あり。郭璞、江賦「──目蝦」=海月·水月·海舌。
水軍と步兵と。吳志、陸遜傳「舟船機械、──軍資一時略盡」
ゑをかくに用ふる薄ずみ。轉じてすみゑ。鄭谷詩「名畫先求──山」=墨畫。
みづにてまはす石うす。宋史、河渠志「近歲京城外、創置──」
○地中に在る水のすぢみち。後漢書、許楊傳「闻楊曉──、召與議之」=水理。○水のながれ。葛長庚詩「小池──漲春波」=水流。
みづのおもて、水の上面。宋史、河渠志「西湖──、唯務深闊」=水上。
あをみどろ、靑き綿の如くたまり水に浮く藻の名。
ゐせきの口。漢書、召信臣傳「開通溝瀆、起──」=閘門。
みづの上のなみもやう。
川の北方。草木子「水以北爲陽、南爲陰」=水北。
かはやなぎ。古今注「──蒲楊也、枝勁細」
水の災、溺死をいふ。尼·戹同じ。洛陽伽藍記「今日有──」
みづぐすり、水を加へて配合せしくすり。散藥·丸藥等の對。
水をあびる、つめたき水にて身體を洗ふ。=冷水浴。
水中にて爆發して敵の船艦などをくだきしづめる爲めのしかけ、沈設──と發射──とあり「──艇」は敵艦に水雷を發射する船。
あまみづ。曲禮「──降、不獻魚鼈」
水の便利、田圃の灌漑、船舶の往來などに都合よし。史、河渠書「用事者、爭言──」
みづのながれ。=河流。
みづと、くがと、河海と陸地と。李商隱詩「錦鱗與繡羽、──有傷殘」
ひしの異名。武陵記「兩角曰菱、三角·四角曰芰、通謂之──」=菱芰。
みづかさ、水の分量。
いくさぶね。隋書、文帝紀、注「──戰船也」
みづのおすちから。新論「河發崑崙、江起岷山、──盛多」
みづたで。白居易詩「──殘花寂寞紅」
○たき。元好問詩「黄華──天下絕」○うきくさ。本草「水萍、一名──」
國 およぎ、游泳のわざ。
○船の通ふみち。=航路。○水の流れるすぢみち。=水脈。
水邊のたかどの。許渾詩「未知南陌誰家子、夜半吹笙入──」=水閣·水榭。
水が流るれば魚は其の中を行く。時節到れば物の成るに喩ふ。餘冬序錄「東坡與人書、閒及生事不濟、輒自解云、水到渠成、不須預慮、愚謂、────、水到渠成、其意同也、皆事任自然、時至輒濟之意」
人餘りに明察なれげ、畏憚せられて友なきに喩ふ。東方朔、客雖「──────、人至察則無徒」後漢書、班超傳「任尙代爲都護、請敎、超曰、君性嚴急、水淸無大魚、宜蕩佚?易」
水が流れ來りて自然にみぞが出來る。學を積めぼ自ら道の修るに喩ふ。范成大詩「學問根深方帶固、功名水到自渠成」
自然妙得の義、掬(手部八畫)の掬水を見よ。
山水の景色のうつり變るさま。吳融詩「────入富春、一川如畫晚晴新」
冬日の江流の水の減ぜし景。赤壁賦「山高月小、────」
みづをひき入れる。趙嘏詩「掘溝──澆蔬圃、插竹爲籬護藥苗」
國 筆「──の跡」
微微たる力も之を積めば大事を成すに喩ふ。鶴林玉露「一日一錢、千日千錢、繩鋸木斷、────」
小も積れば大と成るに喩ふ。説苑「────、則蛟龍生焉、土積成山、則豫樟生焉、學積成聖、尊顯至焉」
國 昔の時計、水槽の水がしたたり落ちて減少する度合によりて時を知るもの。=漏刻。
水をほめていへる語。孟、離婁「仲尼亟稱於水曰、──·──、何取於水也」
水の四っの德尹子「────、沐浴羣生、通流萬物仁也、揚清激濁、蕩去滓穢義也、柔而難犯、弱而難勝勇也、道江疏河、惡盈流謙智也」
○民の善惡は君の善惡に隨ふに喩ふ。荀、君道「君者槃也、槃圓而水圓、君者盂也、盂方而水方」○ 國 人は善惡の友によりて感化せられる喩〔俚諺〕
國 ○芝居の舞臺に張る細長き慕。○進物をしばる紅白又は黑白のこより。○草花の一種、秋穗肰の紅花をつける。=金線草。
德あれば人自ら歸服するに喩ふ。貞觀政要「林深則鳥棲、─────」淮南子「水廣者魚大、山高者木脩」
君は民によりて立ち、又、民によりて亡ぶるに喩ふ。荀、王制「君者舟也、庶人者水也、水則載舟、水則覆舟」
水が字畫の偏になる時の形、國訓さんずい、三水の義。
1畫
エイ [梗]
○ながし(長)距離が長し周南「江之─矣」時閒がながし「─久」「─遠」書、大禹謨「萬世─賴」○ながくす。書、舜典「歌─言」○とほし(遠)はるか、ひさし(久)
同訓異義
ナガシ 永·長·脩の别は長(部首八畫)の條を見よ。
甚だながき貌、いつまでも。漢書、匡衡傳「──不易」
ながくとほし。書經「我亦不敢寧于上帝命、弗──念天威」
○宮中の長廊下。○轉じて宮女。又、其の居る所。後漢書、宦者傳論「掖庭──之職」○宮女の罪ある者を幽する後宮の獄。漢書、外戚傳「恐其作亂、幽之──」
ながく安らか。博物志「進用忠直、社稷──」
ながくひさし。嵆康文「玩陰陽之變化、得長生之──」=長久。
ながくおもふ。詩、周南「我姑酌彼金罍、維以不──」
ながきわかれ、死别。江淹、别賦「誰能摸暫離之狀、寫──之情者乎」
歌謠をいふ。書、舜典「詩言志、歌永言」に本づく。
いつまでもぢゃうぶである、永久に堅固。
佛 甚だ長き時閒、劫は長時閒の義。沈約文「以寸陰之短晷、馳──之延路」
唐の柳宗元の永州の山水を記せる八篇の文。永州は、今の湖南省永州府、文は唐宋八家文讀本に出づ。
○ながきひ。又、のどかなる春の日。○樂みて日を永くくらす。詩、唐風「且以喜樂、且以──」
永の一字にて運筆の八法を說明するもの、晉の王羲之が衞夫人より授かりし法。衞夫人授王羲之永字八法「側、不貫臥、勒、常患平、努、過直而力敗、趯、當存而勢生、策、仰收暗揭、掠、左岀而鋒輕、啄、倉皇而疾罨、磔趯趞而開撐」事類全書「法苑曰、王逸少工書、十五年中、偏工永字、以其八法之勢、能通一切字也、永字八畫也」逸少は義之の字。
ながいき。束晳文「物極其性、人永其壽」=長壽。
後までながくのこる。詩、周頌「庶幾夙夜、以──譽」
ながく安んずる。書經「弘乃烈祖、律乃有民、──厥位」
ながき世。書經「作賓于王家、與國咸休、──無窮=永代。
ながいき。=長壽·長生。
長くゆく、死する。史、司馬相如傳「拾九天而──」=長逝。
口をつぼめて長くうそぶく。盧思道文「良書濁酒、──長吟」=長嘯。
ながきさいはひ。晉書、樂志「保玆──、與天比崇」=遠祚。
物事がながくつづく。
ながき世。魏武帝文「受賜千金、一朝散之、故──流聲」=永世。
ながくためいきする。詩、大雅「旣順迺宣、而無──」=長歎·長太息。
日のながきひる。楊載詩「鳴琴消──」
一っところにながくすむ。
永遠のはかりごと。書經「愼乃儉德、惟懷──」=長計。
久しくたすける。梁武帝文「方騁遠塗、──庶政」
死する。
ながきよ。李如壁詩「遙遙──思茫茫」
いつまでもの名譽。詩、周頌「在彼無惡、在比無斁、庶幾夙夜、以永終譽」
明の永樂年閒につくりし錢、文に「──通寶」といふ。
冰(冫部四畫)の俗字。
2畫
キ [紙]
いづみ、側面から岀る泉。正面から出る濫 カン の對。爾雅、釋水「側岀─泉、正岀濫泉」
水が湧き出る。又、其の泉。字解參看。後漢書、黃憲傳「郭林宗曰、奉高之器、譬諸──、雖淸而易挹」奉高は袁閬の字。
旁より湧き出づるいづみ。詩、小雅「有洌──」=側出泉。
キウ グ [尤]
○もとむ(覓)さがす、たづねる(索)「探─」「訪─」○こふ(乞)「請─」ねがふ(願望)論、述而「富而可─」○もとめ、ねがひ。○せめる(責)せめもとめる「要─」「追─」論、衛靈公「君子─諸己」○むさほる(貪)論、子罕「不忮不─」○ひとし(等)○球に通ず、流─は琉球。○裘の古字。
同訓異義
モトム 求·索·干·需·須·要·徼·邀·覓·蘄·徵○求は乞也、索也と註す、なき物を、有るやうにほしがり求め、又はさがし求むる義にて、意廣し、求レ友·求二遺書一の類。○索はさがし求むるなり。通鑑「梁主臥二淨居殿、一口苦索レ蜜不レ得、遂殂」○干は犯也、求也、無理に求むるなり、おかすとも訓む。史記「韓信數以レ策干二項羽、一羽不レ用」○需·須の二孛、音義通ず、まつとも訓む、無くてはならぬと、まち求むるなり。赤壁賦「以待二子不時之需一」○要はまちかまへて、ぜひにと求むるなり。孟子「修二其天爵、一以要二人爵一」○徼は要と音義同じ。中庸「小人行レ險以徼レ幸」○邀は、徼と同字「貪レ地邀レ功」○覓はさがし求むるなり、搜索の義、覔は俗字なり。晉書「是猶下欲レ登レ山者、渉二舟航一而覓上レ路」同書「褚裒問二庾亮一曰、孟嘉在レ座、其人何在、亮曰、在レ座、卿自覓」○蘄は祈と音義通ず、ゆくさき、あて無きことを祈り求むる義、秦の蘄年宮は、長年を祈り求むる意。莊子「蘄レ生」○徴は、めすとも訓む、己の方へひきつけもとめる義。
愛をもとむ。左傳「子之愛人傷之而已、其誰敢──於子」
友をもとめる。東方朔賦「飛鳥號其羣兮、鹿鳴求ニ其友」儲光羲詩「同聲旣──、不肖亦懷賢」
きずをもとめる。歐陽修文「善人少過、難爲一二──」=求疵。
ふるきをもとめる。書、盤庚「人惟──、器非──惟新」
刑罰に處せんことを要求する。
こみちをたづねる。趙至文「涉澤──、披榛覓路」
己の志を行はんことを願ひ望む。論、季氏「隱居以求其志、行義以逹其道」
師をもとめる。稽康詩「岩穴多隱逸、輕擧求吾師」
圓運動をなす物體を其の圓心に引きつける力。遠心力の反對。
平面形の線の長さ·面積·體積を算出する。又、其の算法。
全きことを求むるは卻りて毀らるることある義。孟、離婁「有不虞之毁、有────」
○宗敎によりて安心立命をもとめねがふ。○正しき道理をたづねもとめる。
一身の利益のみを貪りて、國家の事には少しも心を用ひざるをそしる語。魏志、呂布張邈臧洪傳「劉備謂許氾曰、君有國士之名、今天下大亂、帝王失所望、君憂國忘家、有救世之意、而君────、言無可采」
ほまれをもとめる。班固文「不狥名以──、不馳騖以要寵」
治療をもとめる。後漢書、華佗傳「有疾者、詣佗──」
シフ ジフ [緝]
○しる(液)「米─」「乳─」「肉─」○つゆ、吸物「啜─」○みぞれ(雨雪雜下)○ 國 シル 味噌しるの略。
しるかす。杜甫詩「新麫來近巿、──宛相俱」
甘き汁をすする、他の力によりて利を得るに喩ふ。史、魏世家「彼勸太子戰攻、欲──者衆」
國 しるこもちの略、あんのしるの中にもちをいれたる食品。
テイ [靑]
○みぎは(水際)水邊の平地、なぎさ(渚)「─曲」「─渚」「沙─」「長─」「煙─」○きし(水岸)○す(洲)
みぎは。祖詠詩「砌分池──」
みぎはのくま。謝靈運詩「──舟已隱」
みぎはのはな。貫休詩「沙鳥似雲鐘外去、──如火雨中開」
みぎはのすな。李嶠詩「開宴坐──」
水際 ミギハ に生ずる草。杜甫、渡江詩「渚花張素錦、──亂靑袍」
水中に土砂の積りて出來たる地す。屈原、九歌「攐──兮杜若」
みぎは、なぎさ。丁椿賦「──錯落、林木依稀」
みぎは。陳子昻詩「出沒同州島、栖泊異──」
みぎはに生へたる籣。范仲淹、岳陽樓記「岸芷──、郁郁靑靑」
みぎはのやなぎ。許棠詩「浪倒長──、風歌遠岸樓」
ハツ [黠]
○波の相激する聲「澎─」○水のながれる貌。
ハン [陷]
○ひろがる、はびこる、水が延ひ漫 ハビコ る。漢書、武帝紀」河水─郡十六」○あまねし(普)「普─」ひろし(博·廣)=汎。○ただよふ、ゆりうごく(搖動)○川の名、漢の高祖、─水の陽に卽位す、今の山東曹縣の北。
動搖して定らざる貌。漢書、賈誼傳「──若不繫之舟」=泛乎。
廣大の義。左思、魏都賦「雜糅紛錯、兼該──」=泛博。
○浮遊して定まらざる貌。楚辭「將──若水中之鳧乎」○水にうかぶ貌。蘇軾詩「光風──初淨水、紅糝離離欲」綴條」=汎汎·泛泛。
水があふれみなぎる。孟、滕文公「水逆行──于中國」
ひろく大體につきて論說する、淮南子に──訓あり。=泛論。
3畫
①ヲ·ウ [虞]
②ヲ·ウ [遇]
③ワ [麻]
又、汚·洿に作る
①けがれ、けがす、けがれる。漢書、昌邑王傳「王行─於庶人」○くぼみ、低き地。○みづたまり、たまりみづ(停水)濁水流れず、濁れる池。左、隱三「潢─行潦之水」○行濁る。○むさぼる(貪)「貪─」「暴君─吏」○はづかしめ(辱)「─辱」○くぼむ(窊下)○くだる(降)衰へる「─隆」○そぐ(殺)○くだれる地泣。○─邪は低き田。○勞役。
②まぐ(曲)意をまげる。孟、公孫丑「─不至」阿其所好」○あらふ、けがれを洗ひ去る(去垢汙)詩、周南「薄─我私」私は平常服 フダンギ
③土地をほりてくぼめる(鑿地)禮、禮運「─尊而抔飮」
同訓異義
ケガル 汙·汚·洿·穢·瀆·黷·嬻·點·浼·涴·衊○汙はたまり水なり、濁水不レ流と註す、轉じて人の行の濁りて、淸からぬをいふ、洿に作る、同じ。書經「舊染汙俗」○汚は汙に同じ。○穢は畑の草だらけにきたなきをいふ、蕪穢·荒穢と連用す、また轉じて穢德·穢行などと用ふ、汚よりは重し。○瀆は慁也、重複也と註す、心やすだてに、無禮に流れる義にて、褻瀆と連用す、黷また嬻に作る、同じ。○點は汙なり、墨にて點をうつ如く、潔白なるものをけがす義、點汚と熟す。○浼は汙なり、物に觸れてけがされる義、泥浼·汗浼などと用ふ。孟子「若」將レ浼焉」○涴は泥の物に著くなり、汙なり、浼に近し。韓愈詩「勿レ使二泥塵涴一」○衊は汙血なり、轉じてけがす義とす。列女傳「糞穢衊レ面」
きたなきみぞ。韓愈詩「二十漸乖張、淸溝映──」
あか、けがれ。儀禮、旣夕、注「湯沐所以洗去──」=垢汙。
生れしままの眞性をけがす。杜甫詩「行高無──」
○けがしはづかしむ。司馬遷、報任安書「──先人」○はづかしめ「蒙──」=恥辱·垢辱。
けがれそまる。邵説文「臣以殃釁、頃遭──、知臣者、或哀其逼切」
あしきならはし。書、胤征「舊染──、咸與維新」
官職を汚しそこなふ。唐書、呂諲傳「詔盡繫羣臣之──者」
けがれにごる。=濁汙。
みづたまり。孟子「壞宮室以爲──」=洿池。
どろ。=淤泥。
○よごれ、しみ。=汙染。○あしきことがら、きず。=瑕疵。
けがし害する。楊蘷原文「崇慕虛誕、──時風」
○けがれたるみぞ。史、莊周傳「我寧遊戲於──之中自快」○小さきみぞ。賈誼、弔屈原賦「彼尋常之──兮、豈能容吞舟之魚」○けがる、けがす。
○血を流してけがす、けがす。漢書、高五王傳「亡益于治道、──宗室」○轉じて人の名譽を傷ける義とす。元史、許有壬傳「竝構浮辭、──有壬」
けがれよごれる。
けがれたる名、不名譽。管子「入者不悅、岀者不譽、──滿天下」
くぼち、ひくき土地。史、滑稽傳「甌窶滿篝、──滿車」
くぼみてゆがむ。唐書、韓琬傳「俗不偸薄、器不──」=苦窳。
田あれて草生ず、一解、汙は低地に水がたまる、萊は高地に草が茂る。詩、小雅「田卒──」注「田廢生草」=荒蕪。
心きたなくむさぼる役人。孟、滕文公「暴君──、必慢其經界」
衰へると盛んなると。庾信詩「馳輪有盈缺、人道亦──」=隆替·盛衰。
○けがる、けがれ。○白居易詩「抖擻──衣、度脫生死輸」○けがす。後漢書、李膺傳「──朝廷」
汙尊は地を鑿ちて樽とす、尊は樽、抔飮は手を以て掬ひて飮む、古代の風俗。禮、禮運「─────」
汙(前條)に同じ。
カウ コウ [江]
○揚子─の稱、西藏 チペツト の山中より發源し、東流して黃海に注ぐ。=大江·長江。○大川の總名「松花─」「鴨綠─」○河·湖などの汎稱「─山勝畫」○ 國 え、いりえ、河海湖水等の陸地に入り込める所。
水上のもや。謝翺詩「野花同楚越、──雜朝曛」
かはの上のみづけむり。徐彥伯詩「妾家越水邊、搖艇入──」=江靄。
いりえにすむかもめ。南越志「──一名海鷗、在漲海中、隨潮上下、常以三月風至、乃還洲嶼、若羣飛至岸、渡海者以此爲候」雍陶詩「初歸山犬翻驚主、久別──卻避人」
○揚子江と黄河と。爾雅「──淮濟爲四瀆」○大いなるかは。莊子「丘山積卑而爲高、──合水而爲大」
勞して效なきに喩ふ。淮南子「今夫儒者不本其所以欲、而禁其所欲、不原其所以樂、而閉其所樂、是猶決江河之源、而障之以手也」
かはと、うみと。書經「沿于──達于淮泗」莊、讓王「身在──之上、心居乎魏闕之下」=河海。
揚子江と、漢水と。孟、滕文公「──以濯之、秋陽以暴之、皜皜乎不可尙已」江漢二水の淸き水にあらひて秋のつよき日にさらす、布をさらすに喩ふ。
かはにのぞめるてすり。杜甫詩「──俯鴛鴦」
かは水にうつるつき。杜甫詩「──去人只數尺、風燈照夜欲三更」
○三江五湖の略、かはと、みづうみと。史、貨殖傳「乘扁舟、浮于──」○轉じて、世閒の義、世の中。陶潛詩「──多賤貧」
民閒の人の氣風。李攀龍、與宗子相書「肅然各有────也」
民閒に居るもの。後漢書、皇甫規傳「上疏曰、────、羣爲盜」
揚子江の左方、卽ち、江南地方、今の江蘇省の地。晉書、王覽傳「奕世多才、興於──」=江東·江表。
かはと、やまと。蘇軾、後赤壁賦「──不可復識矣」=山河。
山水の風景、人の詩情を助くるをいふ。唐書、張說傳「說旣見謫岳州、詩愈悽惋、人謂得────」
かはのまんなか。李嘉祐詩「──澹澹芙蓉花」=水心。
鱏は口、頷下に在る大魚、かぢきの類。爾雅、釋魚、疏「鱏長鼻魚也、重千斤」庚肩吾詩「海鷗時出沒、──乍噞喁」
江邊に在る城の景は、麗はしくして畫の如し。李白詩「─────、山曉望晴空、兩水夾明鏡、雙橋落彩虹」
琥珀の異名。博物志「琥珀、一名──」
○揚子江のみきは〔蘇軾、赤壁賦〕○川のほとり。王勃詩「滕王高閣臨──」=江汀·江湄。
○揚子江のみづ。漢書、呂后紀「──溢、流民四千餘家」○かはのみづ。=河水。
揚子江を上下するふね。杜甫詩「野徑雲俱黑、──火獨明」
かはに沿ふむら。謝朓詩「曖曖──見、離離海樹出」
かはのみぎは。高啓詩「──每恨無舟渡」
えのほとりのちん。王勃詩「──明月帶江流」
揚子江に起るしほのさしひき。劉長卿詩「──通ニ廨舍」
揚子江の東岸、卽ち昔の吳國の地方、楚の項羽が兵を起したる地。杜牧、題烏江亭詩「勝敗兵家事不期、包羞忍恥是男兒、──子弟多才俊、卷土重來未可知」
かはのほとり、頭はほとり。劉長卿詩「猿啼客散暮──」
海琢 イルカ の別稱。= 俗 水猪。
地名、揚子江の南に在り、古の揚州、卽ち楚越地方。杜甫詩「今日──老、他時渭北童」
江南より梅花一枝を友人に贈りし故事。荊州記「陸凱與范華相善、自江南寄梅花一枝、詣長安與曄、幷贈詩曰、折梅逢驛使、寄與隴頭人、江南無所有、聊贈一枝春」
人は境遇によりて性情を變化するに喩ふ。爾雅「江南種橘、江北爲枳」淮南子「故橘樹之江北、則化而爲枳」
かはのほとり。張若虛詩「──何人初見月、江月何年初照人」=江濱·江邊·江頭·江靡。
かはのみぎは、靡は湄、邊なり。史、司馬相如傳「明月珠子、的皪──」的皪はあざやか。=江畔·江頭。
揚子江の源なる岷山のある巴蜀地方。魏志、鄧艾傳「武聲揚于──」
○揚子江の岸。倪瓚詩「結茅依竹住──」○えのほとり。=江畔·江汀。
かはかぜ。梁元帝詩「──當夏淸」
かはの邊 ホトリ のかへで。張繼詩「──漁火對愁眠」
かはの上のもや。韓愈詩「蠻俗生梗瘴癘蒸、──嶺祲昏若凝」=江霧·江靄。
楊子江の左岸地方。吳志、陸遜傳「陛下承運、拓定──」=江左·江東。
○かはのながれ。張九齡詩「花閒直城路、草際曲──」=河流。○揚子江のながれ。蘇軾、後赤壁賦「──有聲、斷岸千尺」
かはべりのたかどの。杜甫、秋興詩「千家山郭靜朝暉、日日──坐翠微」
①カン [翰]
②カン [寒]
①あせ「流─」「─珠」「─液」○あせをかく、あせが出る。○水の廣き貌。波の長き貎。○しみの岀づること。○盜─はねあせ。○泮─は水の廣くして涯なき貌。
②可─ コクカン は突厥の酋長の稱。
あせ、肝腺より分泌する液汁。
水の廣大なる貌。江賦「──沺沺」
文書。又書籍をいふ。古昔、紙の無かりし時、靑竹を火にあぶりて汗を岀させ、靑みを去りたる札に文書をかきしに本づく。黃庭堅詩「今代誰班馬、能書──靑」=殺靑·汗靑。
はぢて顏にあせをかく。韓愈、祭柳子厚文「不善爲斲、血指──、巧匠旁觀、縮手袖閒」
牛に汗かかせ、棟木までとどく、藏書の多きにいふ。柳宗元、陸文通墓表「其爲書、處則充棟宇、出則汗牛馬」
西域地方より出る血の如き汗を岀す駿馬、今のアラビヤ馬。漢書、武帝紀「將軍李廣利斬大宛王首獲───來、作西極天馬之歌」=千里馬。
あせ出でて目くらむ。柳宗元文「赫炎當目──」
あせ、けがれ。王襃、責髯奴文「──流離、汙穢泥土」
○夏衣の一、あせとりの類。談藪「漢王與項籍戰、汗透中單攺──」○ 國 かざみ、中古、宮女·童子等の初夏に用ひしうはぎ。
あせも、汗によりて肌に生ずる瘡。=疿子。
燒酎 セウチウ の異名。氣の極めて烈しき酒〔通俗編〕=燒酒。
はだぎ、はだじゅばん。=襯衣·甲襦。
古、竹を火にてあぶり靑色を殺 ヘラ して文字を書く、故に書籍の義とす。文天祥詩「留取丹心照──」=汗?。
あせながれて、あへぐ。韓琦、苦熱詩「蛟龍竄潭穴、──不敢雨」
皮膚中に在りて汗を分泌し之を體外に排岀する腺。
はぢて背にあせかく。史、陳丞相世家「周勃不能對、汗岀沾背」
○汗血馬の略。徐悱詩「──躍銀鞍」○馬に汗をかかせて驅使する。
馬に汗かかせたるいさを、卽ち戰功。史、蕭相國世家「蕭何末嘗有────」戰國策「里數雖多、不費────」
○遙かに廣き貌。關尹子、九藥「勿以──曰道之廣」○知るべからざる貌。淮南子「吾與──期于九垓之外」○轉じて放浪して檢制なき義。唐書「閨薄──」
はぢてあせが出る。蘇舜欽詩「──如流漿」
キツ [物]
○みづかる(水涸)○ほとんど(幾)詩、大雅「─可小康「○ちかし(近)
コウ [董]
みづかね(水銀)「昇─」「甘─」
サ [禡]
わかる、みなまた(水岐流)
サン セン [諫]
○すなどる。○すくひあみ。○魚の游ぐ貌。
すなどりす。詩、小雅「南有嘉魚、烝然──」一說、魚およぐ。
シ イ [紙]
○とどまる(止)○別れたる水が復 マタ 本流に入る。詩、召南「江有─」○流れ道の無き川。=窮瀆。○かぎり(水涯)○川の名。河南省─水縣の西境に在り。
ジヨ [語]
○なんぢ(爾)そなた、古は女に作る。○川の名。河南省嵩縣の老君山より發し、東南流し─州·許州·光州を經て淮水に注ぐ。
同訓異義
ナンヂ 汝·若·女·爾·乃·迺·而○汝·若は共に我に對する稱、互に通用す、古人若字を讀みて汝と爲す、故に傳記文に、多く若を以て汝と爲すものあり。史、項羽紀「吾翁卽若翁」の若を漢書には汝に作?る、亦證とすべし。○女は汝に同じ。論語「女與レ囘也孰愈」○爾は汝に同じくして輕し。論語「以三吾一日長二乎爾、一毋二吾以一也」○乃は彼なり、そちと譯し、人を指していふ、用法せまし。書經「誕以二爾衆土、一殄二殲乃讎一」また乃公と連用す。○迺は乃に同じ、廼に作るは非なり。○而は爾·汝に近し。左傳「余而所レ嫁婦人之父也」
郡名、漢代に置く、今の河南省汝南縣の地「──月旦」は月旦(八九二頁一段)を見よ。
汝陽王璡が酒を好み、三斗の酒に醉ひて參朝せし故事、汝陽は今の汝南縣。杜甫、飮中八僊歌「───────、道逢麹車口流涎、恨不移封向酒泉」
おまへたち。馬援、戒子弟書「吾愛之重之、願──效之」=爾曹·若曹·汝輩。
おまへたち。隋書、韋世康傳「──以爲云何」=若輩·爾輩。
名將が平常身を以て大敵を防ぐこと汝(君主を斥す)をまもる長城の如くなるに、今之を壞れりと罵る語。宋書、檀道濟傳「道濟立功前朝、威名甚重、太祖寢疾、彭城王義康、慮宮車晏駕、道濟不可復制、於是收道濟及其子、竝於廷尉伏誅、初道濟見收、脫幘投地曰、乃復壞汝萬里之長城」宮車晏駕は天子の崩御。
セキ [陌]
○ゆふしほ、夕に起るしほのさしひき。潮 アサシホ の對。○ひきしほ。潮 アサシホ の對「潮─」「暮─」
①タイ·ダイ [泰]
②タ [歌]
或は汰(次畫)に作る
①みなぎる。○あらふ(洗)○なみ(濤)○よなぐ(淅)○自らほこる(自矜)
②よなぐ(淅)
チ [支]
○いけ、たまりみづ、地を掘りて水をたくはへる所(停水)湖よりは小「─沼」「蓮─」「洿─」○おほり、城のまはりのほり「城─」孟、公孫丑「─非不深也」○棺のかざり。○柩を埋むるあな。○琴瑟の上面。○咸─は黃帝の樂の名。○差─ シチ は鳥の飛ぶ貌。詩、邶風「燕燕于飛、差─其羽」
いけと、そのと。白居易詩「歸來──皆依舊」=池園·池囿。
いけのはす。梁簡文帝詩「林花初墮蒂、──欲吐心」=池蓮。
池に臨めるたかどの。儲光羲詩「月光麗──、野氣浮林園」=池館。
いけす、養魚場。山堂肆考「──池中編竹籬以養魚者」
○わざはひが他の物に及ぶをいふ。呂覽、必己「宋桓司馬有寶珠、抵罪出亡、王使人問珠之所在、曰、投之池中、於是、竭池而求之無得、魚死焉、此言禍福之相及也」○又、火災の義とす。太平廣記「城門失火、禍及池魚」殃及池魚(一○二○頁一段)參看。
いけのうをと、かごのとりと。身の不自由なるに喩ふ。潘岳、秋興賦「譬猶────、有江湖山藪之思」
しろのからぼり。池の水なきを隍といふ。李綱詩「開軒俯吳會、蜂窠繚──」=城池。
いけ、潢は水たまり。張九齡詩「孤鴻海上來、──不敢顧」
池のほとりのうてな、池上の臺榭。劉禹錫詩「──堪臨泛、翛然散鬱陶」=池亭·池臺。
いけと、ぬまと。新序「周文王作靈臺、及爲──、掘地得死人之骨、吏以聞、文王曰、更葬之」
謝靈運が夢中にこの句を得たりといふ故事。南史、謝惠連傳「年十歲能屬文、族兄靈運嘉賞之云、對惠連輒有佳語、嘗於永嘉西堂、思詩竟日不就、忽夢見惠連、卽得池塘生春草、大以爲工」
英雄は久しく屈するものにあらず、時を得ば勢に乘じて必ず爲すあるに喩ふ。吳志、周瑜傳「周瑜上疏曰、劉備以梟雄之姿、而有關羽·張飛熊虎之將、必非久屈爲人用者(中略)恐蛟龍得雲雨、終────也」
池のほとりのちん。白居易詩「活計縱貧長潔淨、──雖小頗幽深」=池榭。
いけのほとり、池のはた。王維詩「凝碧──奏管絃」=池畔·池邊·池上·池濱。
池のほとり。白居易詩「靜掃林下地、閑疏──泉」=池干·池邊。
いけのほとり。三輔黃圖「復遊──、得明珠一雙」
いけのおもを吹くかぜ。楊炯詩「──泛早涼」
いけのほとり。廬多遜詩「太液──月上時、好風吹動萬年枝」賈島詩「鳥宿──樹」=池畔。
いけのおも。白居易詩「低風洗──、斜日坼花心」
いけのはちす。王融詩「──服曉月、幔錦拂朝風」=池荷·池藕。
バウ [陽]
あわただし(悤遽)茫に通ず。
悤遽 アハタダシ の貌。莊、天地「──於夫子之言」
①ハン [陷]
②ヒュフ·フ [東]
③ハフ [洽]
①水に浮 ウカ ぶ貌。○風波のままにただよふ貌。詩、邶風「亦─其流」○かろし(輕)○そそぐ(儷)○ながれる貌。○ひろし、あまねし、普く博し。漢書、谷永傳「永於經書、─爲疏達」
②うかぶ(浮)
③─? ハフセフ は聲の微なる貌。又、波の急なる貌。
同訓異義
ヒロシ 汎·廣?博·闊·弘·寬の别は廣(广部十二畫)の條を見よ。
ひろくあいする。論、學而「──衆」=博愛。
○ひろくわたる。王僧孺文「專心六典、精頤必深、──羣籍、菁華無棄」○うかぶ。儲光羲詩「晦日望淸波、相與期──」
水のあふれる貌。
うみにうかぶ。晉書、謝安傳「安嘗與孫綽等──、風起浪湧」
ひろく取る。文心雕龍「呂氏鑒達而體周、淮南──而文麗」=博採·博收·博取。
あまねくそそぐ。班固賦「雨師──」=徧灑。
ふねをうかべる。=泛舟·汎舶。
ひろくいふとなへ、ひきくるめていふ名。=總名·總稱。
ひろくすべとく、ひきくるめて說明する。=總說。
ひろくわたる。齊書、周顒傳「宮商朱紫、發口成句、──百家、長于佛理」=博涉。
盛んなる貌。揚雄、河東賦「鬱蕭條其幽藹兮、滃──以豐隆」
大船をうかべる。一統志「梁畔有天竺僧自西來、──曹溪口」
○水のひろく流れる貌。一解に疾くして礙 サマタ げざる貌。詩、邶風「二子乘舟、──其景」=泛泛。○水にうかぶ貌。屈原、卜居「將──若水中之鳧乎」
浮けるあわ。虞世南詩「──縈沙嶼、寒澌擁急流」
○水のあふれ流れる貌。孟子、滕文公「洪水横流、──於天下」○ひろくわたる。=博涉。○うきたることば。史、韓非傳「──博文」=浮辭。
涕を流す貌。韓愈詩「報國心皎潔、念時涕──」
事物の全般にわたりて論述する。又、其の論說。=總論·槪論。
恣 ホシイママ に浮ぶ貌。司馬相如、上林賦「──泛濫、隨風澹淡」
4畫
ヰツ [質]
通音イツ
○とし(疾)はやき貌。○きよし(淨)○水が疾 ハヤ くながれる。
はやあしにてあるく、かける。揚子方言「──疾行也」
光明 カガヤク の貌。何晏、景福殿賦「羅疏柱之──」
ウン コン [文]
○めぐりながれる(轉流)○ひろし(沆)○衆くして盛んなる貌。○沸き上る貌。
○水の轉流する貌。杜甫詩「──逆素浪」○沸き流れる貌。王逸、九思「流水兮──」○ひろびろとしたる貌。柳宗元賦「凌洞庭之洋洋兮、泝湘流之──」
①エン イン [銑]
②ヰ [紙]
①流れ行く貌。○兗(几部七畫)に通ず。○川の名、河南省濟源縣王屋山より出づ。書、禹貢「道─水東流爲濟」
②─溶 ヰヨウ は水が谷閒を流れる貌。司馬相如、上林賦「─溶淫鬻」溶は安らかに流れる。
流れ行く貌。漢書、禮樂志「──四塞」
①カウ [飬]
②カウ [陽]
①たまりみづ。○ひろし、大いなり。○漭─ マウカウ は大水。○─瀣 カウガイ は北方夜半の氣。一說に露の氣。一說に海の氣。楚辭、遠遊「餐六氣、而飮─瀣兮」
②わたる(渡)水の流れる貌。
字解を見よ。
水草の廣大なる貌。揚雄、羽獵賦「鴻濛──」
水の深く廣き貌。木華、海賦「浺融──」=沆漾。
①ギ [微]
②ギン [眞]
①の通音キ
①川の名。山東省に在り、江蘇省邳州に至り運河に入る。論、顏淵「浴于─」
②ふち(器の釿)○がけ(崖)漢書、敍傳「張良受書於邳─」○ふえ(大篪)
沂は魯の城南に在る川の名、舞雩は天を祭り雨を祈る處、風は涼む。論、先進「莫春者、春服旣成、冠者五六人、童子六七人、───────、詠而歸」
①キツ カイ [物]
②キ [未]
①ちかし(近)ほとんど。=汔。
②みづけ(水氣)○ゆげ。熱を受けて蒸發する氣。○ 俗 蒸溜水を─水といふ、ラムネの類。○ 國 蒸氣力を借る機の義とす「─車」「─船」
ゆげの膨脹力にて動力を起す仕掛けのきかい。=蒸氣機關。
水を蒸氣に變ずる仕掛のかま。
○ 俗 自動車。○ 國 蒸氣の力によりて軌道の上を運轉するくるま。=火輪車·蒸氣車·火車。
蒸氣の力にて進行する裝置の船。=火輸船·蒸氣船。
汽車·汽船等にてゆげにて吹き鳴らす發聲器。
キフ [緝]
○くむ、水をくみ上げる。莊、至樂「綆短者、不可以─深」○ひく、引き入れる。轉じて人物を引きあげ用ふる。○──は休まざる貌。又、いそがしき貌。
同訓異義
クム 汲·酌·斟·挹○汲は井戶の水をくむなり。○酌は酒をくむなり、斟に同じ。○斟は酒をくみたすなり、斟酌と連用して、うめあはせするなり、ひかえる義に解するは非なり。○挹は酌に同じ、靜かにそっとくむなり。
字は長孺、漢の濮陽の人、性倨にして禮少く、人の過を容れず、景帝の時、太子洗馬となり、嚴を以て憚からる、武帝の時、謁者となり、面折廷諍するを以て、武帝之を憚り、稱して古の社稷の臣に近しと爲す。=汲長孺。
○水を汲み上げる。郭璞、江賦「──沮漳」○轉じて人を引きあげ用ふる。漢書、劉向傳「禹稷與皋陶、傳相──、不爲比周」=引進。
井戶のつるべ繩。隋書、食貨志「城内糧盡、布帛山積、乃以絹爲──、然布以爨」然はもやす。
休まずつとめる貌。漢書、揚雄傳「不──於富貴、不戚戚於貧賤」=孜孜·乾乾。
極めていそがしき貌。論衡「────、何暇著作」
古書を耽讀する義。深き井の水を汲むに喩ふ。韓愈詩「──得修綆」
明季、常熟の人毛晉の藏書閣の名、晉喜みて書を收め、積みて八萬四千冊に至る、經史子集の四部の書、翻雕せざるなし、毛氏の書、天下に盛行す。
つるべなは。左傳、注「綆、──」=汲綆。
みづをくむ。みづくみ。南史「負薪──、幷日而食」
いづみをくむ、谷川の水を汲む。蘇軾詩「──何愛一夫忙」
水くむみち。魏志、張郃傳「郃絕其──、大破之」
汲黯を見よ。
書籍の名、晉の太康二年、汲郡の人不準が、魏の襄王の墓を掘りて得たるものなりといふ。隋書、經籍志「──書幷竹書同異一卷」=逸周書·汲冢周書。
水をくむみち。元史、李恆傳「貫以巨索爲栅、以自固、恆遣斷其──、其勢日迫」=汲道。
クヮウ [庚]
○はやきながれ、はやせ(迅流)=浤。○かちわたり(涉)○泓─は水勢の囘旋 メグル する貌〔江賦〕
ケツ [屑]
决は俗字
○さく、ひらく(開)○きる、堤がきれて水があふれる。堤をきりて水を導く。書、益稷「予─九川、距四海」○齒でくひきる、たつ(斷)○たゆ(絕)○やぶる(破)○きめ、きまり、きめる、さだめる「─定」○わかつ、是非曲直をさばきわける「─獄」○思ひきる「─斷」「─然」○わかる、訣に通ず。漢書、蘇武傳「李陵與蘇武─去」○ゆがけ、弓を射る時、右の手の大指にはめて弦をひく具。○疾 ハヤ き貌「─起」莊、逍遙遊「我─起而飛搶楡枋」○すきま、缺に通ず。史、秦始皇紀「過─隙也」○かならず(必)きっと。
こころをきめる。宋史、呂端傳「太宗曰、端小事糊塗、大事不糊塗、──相之」
あふる。論衡「溝洫──、散在丘墟矣」
鷹 タカ の異名〔天寶遺事〕
思ひきっておこなふ。=斷行。
堤 ツツミ がきれて水がみなぎる如きすさまじき勢。國語「勢之加也、如決河」
ただちにたつ、勢よく急に身をおこす。=蹶起。字解參看。
うたがひをさだめきめる。左傳「卜以──、不疑何卜」
○評議してきめる。漢書「按劍廷叱羣臣、卽日──」○議決せし案。
別れさる。字解參看。
堤がきれて水があふれる。又、腐れたる物がやぶれつひゆ。歐陽修詩「癰瘍暫畜聚、──終當涸」=潰決。
前條に同じ。
すきま、ひま。史、始皇紀「夫人生居世閒也、譬猶騁六驥過──也」=缺隙。
水の流れる貌。王建詩「溫泉──岀宮流」
罪を判決する。淮南子「秦始皇晝──、夜理書」漢書、陳平傳「天下一歲──幾何」=斷罪·斷獄。
はかりごとを決行する。史、高祖紀「──東鄕、爭權天下」
○しあげ、かんぢゃう、總勘定。○會社·銀行などにて年度の半期又は年度末に行ふ收入支出の總計算。
死ぬる覺悟「──隊」=敢死·必死。
志をきめる。易經「持疑猶豫、未敢──」
まなじりをさく、眼をいからす。曹植、鼙舞歌「張目──、髮怒穿冠」
疾くはしる。荘、齊物「麋鹿見之而──」
決はゆがけ、象牙にて作る。拾は皮を以て作る、左臂に著けて弦を遂ぐる具。詩、小雅「──旣佽、弓矢旣調」=抉拾。
心をきめる。=決意·決志。
訴訟を判決する。=決獄。
かちまけの定まるところ、勝負のきまるさかひめ。
たちきる、きりはなす。
○おもひきってする貌。=斷乎。○にはかに、急に。
勝敗を定めるたたかひ。史、項羽紀「願爲諸君──、必三勝之」
選擧の結果數人を得たる時、再び其の中に就きて當選者を決定するをいふ「──投票」
はっきりとこたへる。又、其のこたへ。=確答。
とりきめる。とりきめ。史、淮陰侯傳「憂喜在于容色、成敗在于──」=斷決·決定。
國 後醍醐天皇の中興の時、置かれし裁判訴訟をつかさどる役所の名。
きまりがつく。又、きまり、つまり。=畢竟·結局。
○とりきめる。史、殷紀「──於冢宰」○ ケチヂヤウ 佛 佛の救を固く心に信ずる。圓覺經「生──信」
勝敗を定めるたたかひ。魏書、侯莫陳說傳「欲待明日──」
きりやぶる。晉書、韓友傳「見囊大脹如吹、因──之、更作皮囊二枚」
兎 ウサギ の異名。鼻の下がきれてゐる故。=缺脣。
はらをきる(割腹)戰國策「斷脰──」
訴訟を公平に決する。漢書、杜周傳「客有謂周曰、君爲天下──、不循三尺法、專以人主意指爲獄、獄者固如是乎」
○さきわかつ。戰國策「穰侯使者操王之重、──諸侯」=裁割。○やぶりこはす。史、蔡澤傳「商君──阡陌、以靜生民之業、而一其俗」
ゲン グヮン [元]
川の名、湖南省の大川、貴州より湖南省に入り、─州·常州·常德を經て洞庭湖に入る。
沅水と湘水と。戴叔倫、湘南卽事「──日夜東流去、不爲愁人住少時」
①コ·グ [遇]
②カク [陌]
③カク [藥]
通音ゴ
①とづ(閉)ふさぐ、ふさがる(塞)
②こほる(凍)列、湯問「霜雪交下、川池暴─」かたきこほり(冰結)
③つく(竭)かる。=涸。
陰氣が固くこほり結ぶ。子華子「玄武──」
きびしくこほりとぢてさむし。左、昭四「深山窮谷、固陰──」
サ [麻]
一音シャ砂と混用す
○すな、いさご、まさご、水中のこまかき石。○みぎは、沙のあるはま。詩、小雅「鳧鷖在─」○すなはら「─漠」○よなぐ(淘)「─汰」○する(摩)○極めて細微なる量の稱。十塵を─となし、十─を纖と爲す。○─巿は地名、湖北江陵縣に在り、長江に濱し、水陸の便あり。=沙頭。○梵語シャの音のあて字「─彌」「─門」
すなはまにゐるかもめ。范仲淹文「──翔集、錦鱗游泳」
すなに雜りて產する黃金。元史、地理志「──江、岀──、故云」
すなはまに棲む水鳥。孟浩然詩「──近方識、浦樹遙莫辨」=沙鳥。
さめ(鮫)魚の胎生するもの。
林檎 リンゴ の異名。
洲の上に在る農家。蘇軾詩「時有──祈春蠶」注「謂水中可田者爲沙」
鰕 エヒ の異名〔博物志〕
ごかい、海邊の泥中に棲む細長き赤色の蟲、釣魚の餌とす。
すさき、すなはらの海に突き岀たる所、觜は嘴 クチバシ 李中詩「魚行細浪分──」=沙頭。
すなのす、すはま。李嶠詩「岸花明水樹、川鳥亂──」
毫灣語にてふか。=鱶。
つりがねさう、山野に自生する多年生草、秋、風鈴 フウリン に似たる花を著く、根を藥用とす。つりがねにんじん。
すな地。唐書、李邕傳「膏塗朔邊、骨糞──」=沙土。
鴈 カリ の異名〔禽經〕
すながき、沙を以て地上に書く一種の遊戱。東京夢華錄「元宵百戱、──地謎」
沙汀に同じ。謝靈運詩「哀鴻鳴──、悲猿響山椒」
すなはま。王融、淥水曲「日霽──明、風泉動華燭」
すなと、いしと。又、まさご。
すなはら。杜甫詩「今君渡──」=沙漠。
海參 ナマコ の異名。
○米を淘ュりて沙石を去る。○轉じて善と惡とをえり分ける。吳志、朱據傳「疾貪汙在位、欲──之」○ 國 しらせ、おとづれ。又、うはさ卽ち評判の義。
果樹の一種、材は船を造るべし。山海經「崑崙之丘有木焉、其狀如棠、黄華赤實、其味如李而無核、名曰──、可以禦火、食之使人不溺、爲舟不沈」李白詩「木蘭之枻──舟」
砂糖に同じ。甘蔗 サタウキヒ 等より採る沙狀の甘味料。老學菴筆記「──、中國本無之、唐太宗時外國貢至、自此中國方有──」=蔗糖。
○すなちり。宋書、樂志「秋風揚──、寒露霑衣裳」○極めて少しの量。字解參看。
○すなはら。應璩文「──夷敞、淸風肅穆」=沙漠。○すなはらの戰場。王翰詩「醉臥──君莫笑、古來征戰幾人囘」
支那南方にある蟲、水中に棲み、人の影を見て沙を射る、人若しそれに中るときは、忽ち疾を作すといふ。抱朴子「周穆王南征、一軍皆化、君子爲猿鶴、小人爲──」=蜮·射工·水弩。
臣下がひそかに謀反の相談をする、漢の高祖が功臣二十餘人を封じて他の臣下に及ばざりし時、諸兵士が沙地の上に集りてひそかに語りあへるを高祖が見て張良に問ふ、張良對へて、彼等は論功行賞の事につきて不平を抱き、謀反の相談を爲しつつありといひし故事に本づく〔史、留侯世家〕
うみやなぎ。嶺表錄異「──生於海岸、春吐苗、其心若骨、白而且勁、可爲酒籌、凡欲採者、須輕歩急拔之、不然縮入沙中」
みぎはのすなはら。李中詩「──月冷帆初卸、葦岸風多人未眠」
沙淤に同じ。韓愈文「爛死於──、吾寧樂之」
沙禽に同じ。王禹偁、竹樓記「第見風帆──煙雲竹樹而已」
すなはら。魏志、任城王彰傳「丈夫一爲衞霍、將十萬騎、馳──驅戎狄」
沙漠に同じ。史記·漢書皆──に作る。
杉 スギ の異名〔本草綱目〕
沙と泥と、淤は澱滓濁泥。宋史、河渠志「元祐中于新涇塘置牌、後因──廢毁」=沙泥。
すな、こいし。漢書、霍去病傳「大風起、──擊面」
鹽氣ある沙はま。漢書、匈奴傳「胡地──多、乏水草」同、西域傳「鄯善國、治扞泥城、西北至車師、千八百九十里、地──少田」
すなどけい、すな少しづつ落して時閒を測る器。博物志補「五輪──、北方水善凍、壺漏不下、新安詹希元以沙代水、人以爲古未有也」
佛 梵語、出家して修行未だ熟せざる初心の僧、比丘となるまでの稱。釋氏要覽「此始落髮後之稱謂也、梵音訛也」
佛 梵語、──那の略、勤息·止息などと譯す、僧尼をいふ。釋氏要覽「超過染著名──」瑞應經「──之爲道、舍妻子、捐棄愛欲也」=桑門。
梵語、高遠、又は堅固と譯す、夏冬共に凋まざる意、佛說に釋迦牟尼此の樹下にて涅槃に入る、二本づつ竝び生ず、故に雙樹といふ、沙一に娑に作る。
大風の形容。搜神記「武王時、雍州城南有大樹爲妖、以兵圍伐之、乃有神、────、雷電霹靂、無令得近」
シ [紙]
なぎさ(小渚)水中止息すべき地「洲─」詩、召南「于沼于─」
シン [寢]
ひたす、しむ、しみこむ(滲)
骨にしみこむ。=沁肌骨。
しみこみたるあと。范成大詩「──猶有淚臙脂」
ゼイ [霽]
○水のめぐり流れる內面(水內)○みづのくま「淮─」「洛─」書、堯典「釐降二女于嬀─」嬀水のくま。○小水が大水に入る。○水の北。
タイ [泰]
通音タ汏に同じ
○よなぐ、えらびわける「沙─」「淘─」晉書、孫綽傳「沙之─之、瓦礫在後」○すぐ(過)左、宣四「射王─輈」○にごる(濁)○うるほす(潤)○あらふ(洗濯)○おごる、ほこる。分に過ぎておごる「奢─」
えらぶ。張耒詩「磨君古靑銅、──寄明辨」
水によなげて沙金を採る。韓偓詩「敏手何妨誤──」
おごりてしへたげる。左、襄十四「──己甚」
○よなぐ。庾肩吾詩「從令阿谷麗、停筐不──」○轉じて無用の物をよりわけて去る義とす。=沙汰·淘汰。
身分不相應のおごり。左傳「──故不免」=奢汰。
タフ [合]
○かさなる(重)「重─」まじり合ふ「雜─」「複─」○あふ(合)「合─」「─合」揚雄賦「天與地─」○おかす(冒)むさぼる(貪)「貪─」「─墨」○──はゆるむ(弛緩)おこたる。=泄泄。又、語多き貌。又疾く行く貌。○あふる。○水のよどまずして流れる貌。○─風は風病の名〔史、倉公傳〕○ 國 くつ。=鞜。
かさなり合ふ。江淹賦「山──而爲一」=合沓·重疊。
こみあふ。枚乘文「壁壘重堅、──似軍行」=雜沓·紛雜。
かさなりいたる。齊東野語「値制誥──、自早至晡、凡視二十餘草」
○語多き貌。說文「語多──、若水之流」○ゆるやかなる貌。孟、離婁「泄泄猶──也」○疾く行く貌。漢書、禮樂志「騎──」
ひきしほと、みちしほと相雜り合ふ。劉禹錫詩「滄波不歸成──」
チ シ [支]
泜とは別
○つく(著)○とまる(止)○──は齊へる貌。
ととのへる貌。後漢書、蔡邕傳「──庶類」
①チン·ヂン [侵]
②シン [寢]
③タン [覃]
又、沉に作る
①しづむ、水中に深く沒する。○おぼる(溺)水に身を投げて死する。○酒色にふける「─溺」「─湎」○とどこほる○ふす。○くだる。くだす。○かくす、かくる(隱)○あまみづ、おり(汚泥)○ひかた、水が干て鹽分を含める地。○ふかし(深)○心がおちつきてしっかりする「深─」「─勇」「─重」○九天の一。○── チンチン は盛んなる貌。又深き貌。
②しる。=瀋。○姓、─德潛は淸人、唐宋八家文讀本の撰者。
③── タンタン は宮室の深邃 オクブカジ なる貌。
久しきやまひ。晉書、樂廣傳「豁然意解、──頓愈」=沈痼·痼疾。
しづめおさへられる。陸游文「士抱奇才絕識、──擯癈、不得少出一二」=埋沒。
深きうれへにしづむ。張恊詩「感物多所懷、──結心曲」
氣分がしづみふさがる。韓維詩「端居積幽抱、──久未平」
ひそみかくる。摯虞、孔子贊「河圖──、鳳鳥幽藏」
無實の罪にしづむ。張商英文「雖有──、莫能往愬」
おちつきて考がふかし。北史、趙彥深傳「司徒器度──、有宰臣之量」=沈深。
熱地に產する香木。又、其の木にて製せし香の名、ぢん。飜譯名義集「其心堅者、置水則沈、故曰──」=沈水香。
おちつきて氣づよし。王安石文「爲人──篤實、不苟爲笑語」=沈毅。
十分に酒にゑふ。宣和畫譜「每欲作圖畫、必待──之後」=沈醉。
深くうたがひおもふ、遲疑して深慮する。江淹詩「幻情太浮詭、長思多──」
おちつきてつよし、沈著にして剛毅。魏志、明帝紀、注「明帝天姿秀出、口吃少言、而──好斷」唐書、權懷恩傳「姿狀──、每盛服、妻子不敢仰視」
○おもひにしづむ。古詩「──躑躅」=沈思。○遲疑して決せず。後漢書、隗囂傳「得書、──十餘日」○かすかに口ずさむ。杜甫詩「物微意不淺、感動一──」
國 漆器に畫などを毛刻 ケボリ にして、金粉を入れたるもの、赤地なるを金朱といひ、黑地なるを金黑といふ。=鏤金。
川の神を祭るに玉を水にしづめる禮。又、其の玉。元稹詩「──在弱泥」
美人の形容。莊、齊物「毛嬙麗姬、人之所美也、魚見之深入、鳥見之高飛」宋之問、浣紗篇「鳥驚入松蘿、魚畏沈荷花」
酒に醉ひてくるふ。書經「我用──于酒」
しづみかがむ。魏書、閻元明傳「雖──兵伍、而摻尙彌高」
おちつきてたけし。唐書、李光弼傳「光弼、嚴毅──有大略」
ながく癒えざるやまひ。劉楨詩「余嬰──疾、竄身淸漳濱」=沈痾。
おちつきて、てあつし。晉書、陳騫傳「──有智謀」=沈重·沈著。
おちつきてそねみ深し。北史、王世充傳「──多詭詐」
おもおもしくおちつきてつよし。宋史、宋綬傳「楊億稱其文──淳麗、曰、吾殆不及也」
水に浸されたる竈の中に蛙兒を生ず、人家久しく水中に沈めるにいふ、鼃は蛙。晉語「襄子走晉陽、晉師圍而灌之、────、民無畔意」
ふかくかんがへる。南史、傅縡傳「爲文、未嘗起草、──者無以加焉」
しづめるかす、おり。隋書、音樂志「房俎飾薦、山罍──」=沈澱。
沈重にしてたけし。唐書、李光弼傳「──有守」
船を水中にしづめる。戰國策「積羽──」
深く思にしづむ。白居易詩「莫遣──結成病」
おちつきて質朴。後漢書、杜密傳「密爲人──」
思にしづむ。雲笈七籤「──冥思、人莫知之」=沈思。
漸くにひたす。韓愈文「──醲郁、含英咀華」=漸漬。
落ちつきて慮ふかし。後漢書、鄧禹傳「──有大度」=沈遠。
おちつきて明か。北齊書、北平王貞傳「──寛恕、帝常曰、此兒得我鳳毛」
すぐれたる名香の名。蘇軾詩「──不燒金鴨冷、淡雲籠月照梨花」
心をしづめる。齊書、吳苞傳「──味古、白首彌厲」
水にしづむと、空をかけりとぶと。轉じて魚と鳥と。拾遺記「──之類、自相馴擾」
おちつきて善し。神女賦「性──而不煩」
こき赤色。西京雜記「上林苑有──李」
たまをしづむ。轉じて貴人の死にいふ。東都賦「捐金於山、──于淵」
おもおもしくして心純一なり。晉書、殷浩傳「殷浩體德──、識理淹長」
十分に酒にゑふ。晉書、華嶠傳「性嗜酒、率常──」=酩酊·沈酣。
おちつきておくふかし。唐書、竇威傳「──有器局、貫覧羣言」=深沈。
おちつきてただし。後漢書、任隗傳「以──見重于世」
ひかた、斥は鹽氣ある地。漢書、刑法志「山川──」=斥鹵。
しづか。文心雕龍「子雲──、志隱而味深」=蕭寂。
水雷又は電線などを水中に取りつける。
舟を水にしづめる、必死を期して戰ふをいふ。史、項羽紀「引兵渡河、皆──、破釡甑燒廬舍」
○水底にしづみかくれる。○轉じて心おちつき性やさしくして思にしづむ。書、洪範「──剛克、高明柔克」
しづみふさがる。
しづかにおちつきて妄りに進まず。晉書、束晳傳「性──、不慕榮利」
○しづみとどこほる、物事がはかどらず。○地位がいつまでも進まず。
しづみおぼれる、淖は溺、おとろへる義。楚辭、怨世「世──而難論兮」=衰微。
おちつきて心が靜か。唐書、王珪傳「性──」
落ちつきてよく決斷する。晉書、劉毅傳「剛猛──」
○夜のふけゆく貌。李白詩「月寒天淸夜──」○茂れる貌。謝朓詩「衰柳尙──」○ タンタン 宮殿の奥深き貌〔史、陳涉世家〕
おちつく。法書苑「吳皇象善行草書、世稱──痛快」=沈重。
おちつきておもおもし、深沈にして厚重。陶弘景文「質直居本、──樹志」
○深く心にうれへる。謝靈運詩「眷言懷君子、──切中腸」=深痛。○轉じて文詩の痛切なるものにもいふ。
○濕氣のやまひ(濕疾)左、成六「有──重膇之疾」○しづみおぼれる。盧綸詩「芝木自芳香、泥沙幾──」○物事にふけりおぼれる。後漢書、陳元傳「今論者──所習」○困難に陷る。司馬相如、難蜀父老「拯民于──、奉至尊之休德」
九天中の第八。太玄經「九天、八爲──」
○水中にしづみよどむ。○おり。=沈滓 チンシ
氣沈み衰へて引きただず。權德輿文「──逾月、冠帶未任」
名は銓、淸の吳興の人、善く、花卉鳥獸を畫き、筆法精緻、賦色姸麗、其の妙を極む、享保十六年長崎奉行の聘によりて來り、十八年歸國す。沈の音シンを正しとす。
久しき年、ながねん。杜甫詩「多病──苦無健」=多年。
おちつきてさとし。晉書、涼武昭王傳「性──寛和、美器度」
○しづむと、うくと。○轉じて榮枯盛衰の義とす。儲光羲詩「靜言念終始、安坐看──」=浮沈。
志を得ずして埋もれる。晉書、段灼傳「試用無績、──數年」
深くはかる。忠經「夫忠者在乎──潛運、正國安人」
水にしづめる木。後漢書、西南夷傳「──化爲龍」
しづみ失せる。南史、沈攸之傳「夜嘗風浪、米船──」
しづみあなどる。魏志、三少帝紀「耽淫內寵、──女德」
いびきをかきてよく眠る。李商隱詩「尋芳不覺醉流霞、倚樹──日已斜」=鼾睡。
ふかくよひおぼれる。藝文類聚「──遠路」
酒色におぼれしづむ。書、泰誓「──冒色、敢行暴虐」
おちつきて口をつぐむ。晉書、嵆康傳「──自守、無所言說」
字は休文、南北朝の時、梁の吳興武康の人、博く羣籍に通じ、善く文を屬す、梁に事へて左光祿大夫侍中少傅に至る、天監十二年卒す、約聰明人に過ぐ、墳典を好み、書を聚むること二萬餘卷、著すところ、晉書一百卷あり、また四聲韻譜を撰す、平上去入の四聲を分つことは約より始まる。
おちつきていさまし。漢書、趙充國傳「爲人──有大略」=沈果。
ふさぎしづむ。屈平賦「情──而不達兮、又蔽而莫之白也」=沈屈。
おぼれみだれる。書、胤征「惟時羲和、顚覆厥德──于酒」
李を沈め瓜を淨べてひやす。曹丕文「浮甘瓜於淸泉、沈朱李於寒水」唐書「都人伏天、於風亭水榭、────」
しづむ、おちぶれる。杜甫詩「奮飛超等級、容易失──」=淪落·汨沒。
しづめたるつりいと。抱朴子「飛高繳以下輕鴻、引──以拔潛鱗」
しづかにかんがへる。諸葛亮新書「──可以容衆力」=沈思。
ひっそりとしてさびし。苻載文「春之發舒、秋之──」=寥沈。
沈(前條)に同じ。
チュウ [東]
○わきうごく(涌搖)○むなし(虛)「虛─」○やばらぐ、やはらか(和)○ふかし(深)○ひひる、高くとひあがる(飛而直上)史、滑稽傳「一飛─天」○いとけなし(幼小)「幼─」わらんべ(童)○──はこゑ(聲)の形容。又垂れ飾れる貌。○ 國 おき、湖·海などの岸より遠く隔りたる水面。
やはらぎ、へりくだる。晉書、恭帝紀「雅尙──」=謙退。
沖和之氣に同じ。老子「萬物負隂而抱陽、──以爲和」
心むなし。=虛沖。
列子の異稱。
をさなきもの。書、盤庚「肆予──」傳「沖、童也」
心をむなしくしてへりくだる〔柳宗元、箕子碑〕=沖損·沖退。
いとけなし。梁簡文帝文「吾──寡能」=幼稚。
むなしくしづか。孔安國文「道本──、非有名言」=沖寞。
心をむなしくしてへりくだる、損は卑下。顏氏家訓「謙虛──」=沖讓。
心をむなしくしてへりくだる。左傳、注「謙道──、故飛不速翔」=沖讓·沖損。
○垂れ飾る貌。詩、小雅「鞗革──」○物の聲。詩、豳風「鑿冰──」
高く天に飛びあがる。史、滑稽傳「此鳥不飛則已、一飛──」
おく深くしてしづか。=沖寂。
○おだやかにやはらぐ。晉書、阮瞻傳「神氣──」○調和せる天地の氣。夏侯湛、東方朔畫贊「呼吸──、吐故納新」=沖氣。
天地閒の調和せる元氣。=沖氣。
①トン [阮]
②トン [元]
③トン [願]
①ふさがる、開通せず。○くらし。○渾─ コントン は元氣の未だ判 ワカ れざる貌。又、自然に喩ふ。
②──は水の勢の形容。又ぐるぐるめぐる(轉)
③おろか(愚)=忳。
○水勢の相隨ふ貌。枚乘、七發「──混混、狀如奔馬」○ぐるぐるめぐる貌。孫子、兵勢「渾渾──、形圓而不可敗」○おろかにして分別する所なき貌。老子「我愚人之心也哉──兮」
ハイ [泰]
○さは、草が水中に生ずる「─澤」○行く貌。楚辭、湘君「─吾乘兮桂舟」○盛大なる貌「─乎」○水の流るる貌。○餘裕ある貌。○雨の盛んにふる貌。○多き貌。○はた(旆)○はやし、すみやか(疾)○たふる(偃仆)ぬく(拔)「顚─」○一種の竹「─竹」○地名、漢の高祖の鄉里、今の江蘇省─縣。
多き貌。王襃、洞簫賦「或漫衍而駱驛兮、──競溢」
○姿容俊偉なる貌、高大なる貌。司馬相如、大人賦「──赳螑」○はねくるふ馬。駊騀 ハカ の轉音。張衡、東京賦「齊騰驤而──」=沛芥。
盛大なる貌。文天祥、正氣歌「──塞蒼溟」
漢高祖の未だ帝位に登らざる前の稱、高祖姓は劉、名は邦、兵を沛に起す、衆共に立てて──と爲す。
○大いなる貌。漢書、五行志「──自大」○雨の盛んにふる貌。孟、梁惠王「──下雨」○轉じて惠のあつきにいふ。舊唐書、房喬傳「發──之恩」○感動する貌。漢書、司馬相如傳「──改容」
さは、草の水に生ずる處。孟、滕文公「園囿汙池──多、而禽獸至」
竹の一種。神異經「南方荒中有──、(中略)可以爲大船」
ハウ [陽]
○ならひたるふね(倂船)○滂(水部十畫)に同じ。
盛んに流るる貌。荀、富國「──如河海」
①ブツ [物]
②ビツ [質]
①ふかくかすか(深微)なる貌。
②ひそみかくれる(潛藏)
水の流るる貌。史、司馬相如傳「──漫衍」
深微なる貌。賈誼、鵩鳥賦「──無窮兮」=沕沕穆穆。
フン ブン [文]
川の名。山西省に在り、黃河に注ぐ。
唐の郭子儀をいふ、功を以て爵───を賜ふ。汾陽は山西省の地名。
①ブン·モン [問]
②ビン·ミン [眞]
③ボン·モン [元]
①川の名、山東省に在り。論、公冶長「在─上矣」
②四川省の山の名、岷に通ず。
③けがれ、はぢ、はづかしめ(汙辱)
けがれはづかしめ。一解、暗くして明かならざる貌。屈平、漁父辭「安能以身之察察、受物之──乎」
①ベキ [錫]
②コツ [月]
①川の名、羅水と合して─羅といふ。
②をさむ(治)○みだる、みだす(亂)○しづむ(沒)○通ずる。○波浪の聲。○涌く波。
屈原の沈みたる川の名。一統志「──江名、在湘陰縣北十里、源岀豫章、流經湘陰、分二水、一南流曰汨水、一經古羅城曰羅水、至屈潭復合、故曰──、西流入湘」
水流の速かなる貌。馬融賦「爭湍華縈、──澎濞
○波の聲。木華海賦「浤浤──」○沈みはてる貌。埋沒する。林逋詩「一壑等閒廿──」
しづみかくれる貌。杜甫詩「聲名從此大、──一朝伸」蘇轍、上樞密韓大尉書「恐遂──、故決然捨去」
ヘン·ベン ハン·バン [霰]
もと汳に作る
○川の名、泗川の支流。○─梁は都の名、今の河南省開封府。○─省は河南省の?稱。
北宋の都、今の開封府。宋无詩「北人偏悵望、曾見──來」=汴梁。
汴は河南省開封府。洛は洛陽「──鐵路」
ベン メン [銑]
沔に作るは非
○川の名、漢水の揚子江に入る處をー口といふ、卽ち今の湖北の漢口。○みなぎる(水流滿)詩、小雅「─彼流水」○おぼる、湎に通ず。
ボク モク [屋]
○かみあらふ(濯髮)○漢代、官吏に十日每に家に歸りて沐浴 カミアラヒユアミス せしむ、よりて休暇の義とす「休─」「賜─」沈約詩「晚─臥郊園」やすみ、ひま。○うるほふ(潤澤)又、其のめぐみを受ける「─恩」
雨(部首八畫)の條の────を見よ。
めぐみにうるほふ。許敬宗詩」──空改鬢、將何謝夏成」=浴恩·蒙恩·霑恩。
毛を洗ひたる如くあせをかく。新論「士未戰而震慄、馬未馳而──」
さるがかんむりをかぶる、衣冠のみ美なれども、心は躁急にして人にあらざるに喩ふ、沐猴は獼猴 ビコウ の轉音。史、項羽紀」說者曰、人言、楚人────耳、果然」
かみあらひ、ゆあみする。澡はあらふ。=沐浴。
休日、休沐の日。漢書、孔光傳「──歸休、兄弟妻子燕語、終不及朝省政事」=休沐日。
髮あらひ、くしけづる。唐書、禮樂志「乃──、束髮用組」
かみあらひ、ゆあみす。水經、注「溫水冬夏常熱、其源可燖雞豚、下湯──能治宿疾」
あらひがみ。又、髮を洗ふ。史、倉公傳」──未乾而臥」=濯髮。
○髮を洗ひ、ゆあみする。論、憲問「──而朝」○轉じてめぐみを蒙る義とす。班固文」──玄德」李密、陳情表「──淸化」
つゆをかうむる。任昉文「負笈擔簦、櫛風──」
ボツ [月]
○しづむ(沈)○おぼれる(溺)「覆─」「沈─」○をはる(終)つく、つくす(盡)論、鄕黨「─階趨、翼如也」○つきてなくなる。論、陽貨「舊穀旣─」○すぐ、すごす(過)○ほろぶ。○むさぼる(貪)○かくれる、かくす。○政府が人民の物をとりあげる「─收」 俗 ○なし(無)「─有」○死ぬ。=歿。
同訓異義
ナシ 沒·無·元·兦等の別は無(火部八畫)の條を見よ。
其の理由が無し。=無意味。
かかはりが無し〔傳燈錄〕=無關係。
やがらを埋める。高啓詩「邊城雪埋深──」
畫法の一、線卽ち骨をあらはさずして描く。夢溪筆談「徐熙之子、乃效諸黄之格、更不用墨筆、直以粉色圖之、謂之──圖」
俗 不運、不仕合。
○いっしゃうがい、沒は終、齒は年齡。論、憲問「──無怨言」=沒世·終身。○男子八歲、女子七歲をいふ、齒のぬけかはる年〔柳宗元、童區寄傳〕=毀齒。
人民の物を政府に取り上げる。=沒入。
ひざをうづめる。蘇軾詩「汪汪春泥已──」
文字のなきいしぶみ、沒は無。文字を知らざる者を嘲りていふ、あきめくら。五代史、任圜傳「任圜曰、天下皆知崔協不識文字、而虛有儀表、號───」=無字碑。
水に入るを業とする者、あま、潛水夫〔莊、達生〕蘇軾、日喩「南方多──」=白水郞。
普通の知識なし、常識なし。=非常識。
物の面白みがない。=無趣味。
新聞·雜誌に寄せたる原稿が揭載せられずに仕舞ふ。
○いっしゃうがい、沒は終。論、衞靈公「子曰、君子疾──、而名不稱焉」=沒齒。○永久。大學「此以──不忘也」
族籍を沒收して平民とする。
やじりをうづめる。史、李廣傳「見草中石、以爲虎而射之、中石──、視之石也」
地に沒す、死する。左傳「若寡人得沒于地」江淹文「齎志──、長懷無已」
水におぼれる。説苑「不臨于深淵、何以知──之患」
くびをつきこむ、專ら其の事に熱中する。
○罪ある人民の物を官府に取り上げる。漢書、食貨志「私鑄鐵器、鬻鹽者、釱左趾、──其器物」=沒收。○古、罪人を收めて政府の奴隸として使役する。漢書、刑法志「──爲官婢」
死せし年齡「──不詳」=行年。
みやびなるおもむきがない、ふうりうでない。=無風流·殺風景。
わきまへさとりが乏し、無分別 ムフンべツ 「───漢」
○しづみ溺れる。左、襄二四「晉國壞、則子之家壞、何──也」=沈溺。○うづもれかくれる。法書要錄「書之爲用、施於竹帛、千載不朽、猶愈──而無聞」=埋沒。
爲すことなくして生きながらへんことを欲す。南史、王僧達傳「大丈夫寧當玉碎、安可以沒沒求活哉」
○ほろぶ。魏書、世宗紀「──者、復一房田租」○おちいる。唐律釋文」──、謂中華人──蕃中」
利益をうしなふ。戰國策「──于前、而易患于後也」=失利。
無くなつてしまふ。水滸傳、楔子「驚得下官魂魄都──」
ヨク [沃]
○そそぐ(灌漑)○水をかけて手を洗ふ。○人の心につぎこみて敎へ導く。書、說命「─朕心」○盛 サカ んなり。○みめよし(壯姣)○やはらか、木の葉がわかわかし(柔)詩、小雅「其葉有」─」○土地肥えて穀物よくみのる。又、其の地。○ 國 ─度 ヨード 藥品の名、英語の音譯。
同訓異義
コユ 沃·肥·腴の別は肥(肉部四畫)の條を見よ。○ソソグ沃·注·澆·灌·漑·濺·洒·瀉の别は注(水部五畫)の條を見よ。
土地がこえて平か。肥沃にして平坦。詩、邶風、谷風、疏「平地──之土、宜生草木」
水をそそぎで手を洗ふ。
そそぐ。漢書、王莽傳「──雪除殄滅無餘矣」
日にそそぐ、大海の形容。木華、海賦「蕩雲──」
こえたるとち。潘岳賦「耕東臯之──兮、輸黍稷之餘稅」=沃土·沃地。
○あざやかにしてつやある貌。若は助辭。詩、小雅「我馬維駱、六轡──」○みづみづしくしてつやあり。詩經、衞風「其葉──」
こえて產物多し。王粲詩「軍中多──、人馬皆溢肥」
地のこえたると、やせたると。宋孝武帝、梨花贊「──異壤、舒慘殊時」=肥瘠。
さかづきをそそぎあらふ。儀禮「主人坐取爵、──者西北面」
そそぎあらふ。梅堯臣詩「田野遂焦熬、蒿萊思──」
こえたるはたけ、肥沃なる畠。駱賓王詩「陜西開勝壞、召南分──」
肥えたる田地。論衡「以盤石爲──」=肥田。
こえたる土地。魯語「──之民、不材、淫也」=沃地·沃壤。
土こえてよし。後漢書、西南夷傳「土地──、宜五榖蠶桑」
沃土に住むたみ。山海經「西有沃之國、──是處」
火に水をそそぎて消す。漢書、外戚傳「吏卒以水──」
肥えたる原野が廣く千里もつづく。史、留侯世家「夫關中左殽函、右隴蜀、────」
土地こゆ。華陽國志「土地──」=膏腴·肥沃。
さかんにしてうつくしき貌。詩、衞風「其葉沃若」疏「沃若、──然盛也」
田地をこやすよきながあめ。梅堯臣詩「赤地有焦土、烈野無──」
沃素と銀との化合物、寫眞術に用ふ。
鹽素に似たる一元素。=沃度。
沃度とカりウムとの化合物、醫術又は寫眞術に用ふ。=沃剝·沃化カりウム。
沃度のアルコール溶液。防腐劑·解凝藥として醫療に用ふ、英語ヨヂユームのあて字。
沃度より製せし黄色の結晶粉末。防腐劑に用ふ。
ワゥ [陽]
○水がふかくひろし(深廣)○大いなる貌。○濁りたる池。
字は、苕文、鈍翁と號す、淸の長洲の人、晚に堯峯に居り、因りて自ら號とす、順治十二年の進士、康熙十八年鴻博に擧げられ、編修を授けらる、詩は王新城と名を齊うす、時に汪王と稱す、文は經史に根柢し、淸朝三家の一たり、康熙二十二年卒す、年六十五。
廣く深き貌。司馬相如、難蜀父老「湛恩──」
汪琬を見よ。
○涕の盛んに流るる貌。柳宗元、捕蛇者說「──出涕曰、君將哀而生之乎」○廣く深き貌。淮南、俶眞「──平靜、寂然淸澄」
水の廣大なる貌。唐書、杜甫傳贊「渾涵──、千彚萬狀」=洋洋。
大いにして廣き貌。蘇軾詩「新秋忽已晴、九陌尙──」
淚の多き貌。陳孚詩「可望不可卽、血淚堕──」=汪浪。
淚の多き貌。柳宗元賦「魂恍惘若有亡兮、淚──隕軾」=汪漾。
○水の廣く深き貌。○轉じて度量の廣きに喩ふ。後漢書、黃憲傳「叔度、──若千頃之陂」
5畫
①アゥ [陽]
②エイ [庚]
③アゥ [養]
①──は水がふかくひろし、又、大いなり(宏大)
②雲の起る貌。
③─漭は廣大なる貌。馮衍賦「覽河華之─漭」
○水の深くして廣き貌。詩、小雅「維水──」○流れる貌。杜牧詩「蘭溪春盡碧──」○宏大なる貌。左、襄二九「──乎大風」○ エイエイ 雲の貌。潘岳、射雉賦「天──以垂雲」=英英。
盛んなる貌。漢書、息夫躬傳「玄靈──、將安歸兮」
イウ ユ [尤]
○あぶら(膏)○──は和ぎ謹める貌。又、禾黍などのつやある貌。又、從容として迫らざる貌。又、徐に流れる貌。○雲の盛んに起る貌。
かっぱ。隋書、煬帝紀「帝觀獵遇雨、左右進──」=桐油。
○徐に流れる貌。楚辭、惜賢「──湘江長流汨兮」○和ぎ謹める貌。禮、玉藻「三爵而──以退」○從容として迫らざる貌。孟、公孫丑「──然與之偕」=浩浩。○禾黍の光悅 ツヤツヤシ の貌。束晳、補亡詩「厥草──」
あまぐも。劉孝綽詩「麗景花上鮮、──葉裏盛」
あぶらじみて生ずるかさ。雲仙雜記「墨紋如履皮、磨之有──者、一兩可染三萬筆」
油をぬりたるまくにして、雨濕を防ぐもの。程史「雖風雨亦張──、布沙除地」=油幕。
油が燃えて生ずるすすけむり、それにて墨を作る。東坡集「以──墨二丸見餉」
油紙にて張りし傘、あまがさ〔宋史、儀衞志〕
○あぶらがみ〔瑯邪代醉編〕○あぶらと、かみと。宋史、食貨志「──薪炭」
○進まざる貌。家語「──若將可越而終不可及」○雲の興る貌。孟、梁惠王「天──作雲」
貴人の春日觀花の遊をいふ。開天遺事「長安貴游子弟、每至春時、遊宴供帳于花圃中、隨行載以油幕、或遇陰雨、以幕覆之、盡歡而歸」
油をぬりたるまく。唐書、馬璘傳「璘在軍、守者覆以──」
桃の一種、ずばいもも。
器物を蔽ふに用ふる布。法苑珠林「買取一胡牀及一──」
氣をゆるす。涅槃經「善男子、譬如世閒有諸大衆、滿二十五里、王勅一臣持一油鉢、經由中過、莫令傾覆、若棄一滴當斷汝命、復遣一人拔刀在後、隨而怖之、臣受王敎、盡心堅持經歷」
國 油紙製の座蒲團 ザブトン 又敷物 シキモノ
國 亞麻仁油にてねりたる繪具を以てゑがきし西洋畫。
國 木の名、其の油を絞りて桐油を取り、傘·合羽などに塗る。=罌子桐。
國 ○家の臺所等にわく一種の小昆蟲、全身油色にして、惡臭を放つ。=蜚蠊。○俗に附著 タカ リて妨となる者をりていふ。蚜 アブラムシアリマキ が植物の葉の養液を吸ふが故。
①イツ [質]
②テツ [屑]
①あふる、こぼれる。=溢。○みだら(淫)左、隱三「驕奢淫─」=佚。○ほしいまま(放恣)
②みだら、ほしいまま「─蕩」
豹頭馬尾の獸。一說に、神の名。莊、達生「西北方之下者、則──處之」
①エイ [霽]
②セツ [屑]
洩に通ず
①ちる(散)○──はゆるやかなる貌。又、人衆き貌。
②のぞきさる(除去)おし出す「排─」「歐─」○もる、もらす(漏洩)內部の事情が外部に露顯する「漏─」○おこる、おこす、あぐ、あがる(發越)○あなどる(嫚)「慢─」=渫。
○舒徐 シヅカ なる貌。一解に、鳥が羽を鼓する貌、はばたき。詩、邶風「雄雉于飛、──其羽」○人衆き貌。詩、魏風「桑者──兮」○怠緩悅從の貌、ゆるやか。孟、離婁「──猶沓沓也」
もらしちらす。蕭子良文「塘路崩蕪、湖源──」
雲母 キララ の異名。
いきどほりをもらす。徐產伯賦「張虎牙以──」
次條に同じ。釋名「──言其出漏泄而利也」
腹くだし。北齊書、司馬膺之傳「患──、積年不起」=泄利。
もれあらはれる。苻載、進嘉禾表「上玄與之獻酬、后土爲之──」
ェイ [敬]
およぐ、およぎ、水中をもぐりおよぐ、水中を潛行する、泅は水上を浮びおよぐ「游─」「水─」
ヱツ ケツ [月]
大水の貌。
水勢の激涌する貌。郭璞、江賦「遺濩──」
エン [先]
?は俗字
○そふ、よる、水流又は道路によりしたがふ。書、禹貢、傳「順流而下也」○したがひよる(因)從來の物事に因る。禮、樂記「故明王以相─也」
同訓異義
ソフ 沿、添·副·貳·傍の别は添(水部八畫)の條を見よ。
沿革に同じ。唐書、韋叔夏傳「凡所──、皆叔夏等所裁討」
○海によりそふ。國語「──泝淮、以絕吳路」○うみべ「──州」
うつりかはり、沿は從來のままによりしたがふ、革はさっぱりと改めうつる。柳宗元、陳京行狀「禮家──」=沿改·因革。
きしべ、岸によりそふ。沈佺期詩「淇上風日好、紛紛──多」
昔よりのならはし、因襲する習慣。避暑錄話「五方風俗──、與其家法所從來各異」
ふるきしきたりにより從ふ、襲は因、舊慣に因る。禮、樂記「五帝殊時不相沿樂、三王異世不相襲禮」唐、承華箴「百代──」=因襲。
流にしたがひわたる。裴廸詩「瀨聲喧極浦、──白南津」
みちばた。
ながれに從ひて舟を浮べる。高適詩「──多所宜」
カ ガ [歌]
○川の名、黃河の稱、西域の崑崙山に發源し、甘肅·陝西·山西·河南·直隸·山東を經、渤海に注ぐ、其の水黃濁、故に黃─と名づく。○かは(川)「運─」「名山大─」○あまのがは(天漢)「銀─」
河系を見よ。=流域。
あまのがは。盧綸詩「──凝不流」=天漢·銀河·雲漢。
敵を攻むるに當り、河を渡りて後、舟を燒く、必死を示す義。左、文三「秦伯伐晉、渡河焚舟、取王官、反郊」王官·郊は竝に晉の地名。
○黃河と海と。史、李斯傳「太山不讓土壤、故能成其高、──不擇細流、故能就其深」○かはと海と。禮、學記「三王之祭川也、皆先河而後海」
物の盡くることなきに喩ふ。管子「此所謂用─────」
度量廣くして衆を容るるに喩ふ。河海を見よ。
黃河と五嶽と。文天祥、正氣歌「下則爲──、上則爲日星」
○黃河のほとり、干は崖。詩經「坎坎伐檀兮、寘之河之干兮」○かはのほとり。李商隱詩「車馬遶──」
○かはぎし。孟郊詩「策馬黃──」○ 國 カシ 川のふち。又魚巿場「魚──」
○黄河と漢水と。魏志、明帝紀「九月大雨、伊洛──水溢」○あまのがは。宋之問詩「八月涼風天氣晶、萬里無雲──明」=銀漢。
とりとめなきことば、河漢はあまのがは、遠く天空にあるが故に喩ふ。莊、逍遙遊「吾驚怖其言、猶河漢而無極也」
かはうを、まみづに棲む魚。史、秦始皇紀「──大上」=淡水魚。
腹中のや、まひ。左、宣十二「申叔展曰、有麥麴乎、曰、無、有山鞠窮乎、曰、無、河魚腹疾奈何」
川の本流と支流とを含む全體の稱、其の地域を河域といふ。
河の水をうつしかたぶく。大雨にいふ。管輅别傳「須臾大雨──」元稹詩「安得天上雨、奔渾河海傾」
○黃河のみなもと〔史、大宛傳贊〕○河のみなもと。=水源。
牽牛星の異名。權德輿詩「鵲橋臨片月、──掩輕雲」
かはのほとり、滸は岸上の平地、水を去ること稍遠きもの。詩、王風「在河之滸」
川の海に注ぐところ、かはぐち。孟郊詩「帆影咽──」
黄河の北。書、泰誓「王次于──」=河北。
避暑のさかもり。初學記「光祿大夫劉松北鎭袁紹軍與紹子弟、日共宴飮、常以三伏際、晝夜酣飮、極醉以避一時暑、故河朔有避暑之飲」
國 蛙の一種、多く山閒の溪流に棲み、美音を出して鳴く。=石雞。
川のながれの中央、川の中流。
かはすぢの水のある部分。
○かはのうへ。○かはかみ。○かはのほとり、かはばた。=河邊·河畔·河滸。
めぐみ、おかげ。莊、列禦寇「──九里、澤及三族」
黄河は水常に濁り、千歲に一度淸むといふ、之を俟っとは空漠なる望の謂。左、襄八「周詩有之、曰、俟河之淸、人壽幾何」
太平の世をいふ。鄭錫賦「────、時和歲豐」
かはの神。穆天子傳「得白孤玄狢、以祭──」=河伯。
伏羲の世、黃河より現れたりといふ龍馬(丈八尺以上ある馬)の背に負ひたる圖にて、易の八卦の源となりしもの。易、繫辭「河出圖、洛岀書、聖人則之」
聖代には黃河より河圖を出したるが今は亂世にてかかる奇瑞なしとの歎息、孔子の言〔論、子罕〕
洛書は禹の時に洛水より出たる神龜の背にありし文にて、洪範の基源となりしもの。前條參看。
水中の怪物、かっぱ。形人に類し其の聲小兒の泣聲に似るといふ。=水虎。
人の兄弟のそろひて賢きをほめていふ。唐書、薛收傳「元敬與收及族兄德音齊名、世稱────」
人の妻の嚴悍 キヒシクアラシ なるをいふ、陳慥(字は季常)の妻、河東の柳氏性嚴悍にして妬なり、客至る時、或は詬罵聲を發す、季常佛を好み、常に參禪す、東坡故に禪語を借り詩を作りて之を嘲る、詩中に「龍丘居士亦可憐、談空說有夜不眠、忽聞─────、拄杖落手心忙然」の句あるに本づく。
地名。唐書、地理志「───、蓋古冀州之域、漢河東·太原·上黨·西河·雁門·代郡及鉅鹿·常山·趙國·廣平國之地」
ふぐ、海魚の一、體扁長、鱗なく、顎は嘴狀をなす、肉は美味なれども肝臟と卵巢とに劇毒を含む。蘇軾詩「蔞蒿滿地蘆芽短、正是──欲上時」=河魨·豚魚·鮐。
地名。爾雅「──曰豫州」
地名。唐書、地理志「───、蓋古、豫·兗·靑·徐之域、漢河南·弘農·穎川·汝南·陳留·沛·泰山·濟陰·濟南·東萊·齊山陽·東海·琅邪·北海·千乘·東郡及梁楚魯東平·城陽·淮陽·菑川·高密·泗水等國、曁平原·渤海·九江之境」
アフりカ南部に產する大獸、體長一丈餘、體重六百貫以上、晝は水に潛み、夜出でて作物の害をなす。
蜷 ニナ の異名。
水の神。史、滑稽傳「爲──娶婦」抱朴子「──是華陰人、以八月上庚日渡河溺死、天帝補署爲──」=河宗。
黃河のきし。史、五帝紀「舜耕歷山、漁雷澤、陶──、器皆不苦窳」
慈姑 クワヰ の異名。
地名。唐書、地理志「───、古幽冀二州之境、漢河内、魏渤海·淸河·平原·常山·上谷·涿·漁陽·右北平·遼西·眞定·中山·信都·河閒·廣陽等郡國、又參有東郡·河東·上黨·鉅鹿之地」
目が甚だしくくぼみて上下のまぶたが平かにならず。家語「或謂子貢曰、東門外有一人焉、──隆顙」
○河圖洛書の略語。○黄河と洛水と。
ぎょりう(御柳)爾雅「檉、──」注「今河旁赤莖小楊」
かはにかけたるはし。=河橋。
李陵と蘇武とが匈奴にて別れる時、李陵の作りし五言の詩の初句に「攜手上河梁」とあり、轉じて、送別の詩の意に用ふ〔漢書、李陵傳)
○人を送りて橋の上まで行きてわかれる。○轉じてわかれ、離别の義とす、前條參看。
かはの神。揚雄、河東賦、注「──巨靈也」=河伯。
そば。王楨農書「北方多磨蕎麥爲麵、或作湯餅、謂之──、以供常食、細滑如粉」
國 水草の一、葉は狹心臟形、花は黃色五瓣、觀賞用とす。=川骨·萍蓬草〔本草〕
①カン [覃]
②カン [感]
①こめのしる(米汁)しろみづ、こめかしみづ(潘)○にる(煮)荀、大略「曾子食魚、有餘曰─之」
②─淡はみつ(滿)
キフ [緝]
○なく、聲を立てずに涕 ナミダ を岀す。一解に聲と淚と俱に下るをいふ。○なみだ「垂─」
同訓異義
ナク 泣·鳴·啼·嗁·哭·哢の别は鳴(鳥部三畫)の條を見よ。
感じてなく。范仲淹文「縱使異日授一美衣、對一盛饌尚當──風樹、憂思無窮」=感泣。
なきていさむ。漢書、文三王傳「梁王使人刺殺爰盎及他議臣(中略)丘豹及內史安國皆──」
甚だしくなきかなしむ、涕が盡きて血の出る程なく。檀弓「──三年、未嘗見齒」李陵、答蘇武書「此陵所以仰天椎心而──也」
なきかなしむ。=哭泣。
なきでいのる。宋史、柳約傳「天姓至孝、母病甚、──于天」同、查道傳「事母以孝聞、嘗病思鱖羮、方冬苦寒、巿之不獲、──于河、鑿冰取之、得鱖尺許以饋」
なきなげく。
なみだを流してなく。詩、邶風「瞻望弗及、──如雨」
キャウ カウ [漾]
况は俗字
○たとふ(譬)「比─」莊、知北遊「每下愈─」○まして、いはんや(矧)乎と結びてをやと讀む。易、繫辭「─於鬼神乎」○いよいよ、ますます、ます(益)○ここに(玆)詩、小雅「─也永嘆」○たまふ、たまもの(賜)貺と通ず。○ありさま、やうす(狀態)「老─」「情─」「近─」○來─は他人の來訪をたふとびていふ辭。司馬相如、子虛賦「足下不遠千里、來─齊國」
同訓異義
イハンヤ 況·矧二字同義なり、ましてと譯す、況は字書に、滋也、益也と註す「卿大夫猶然、況宰相乎」「苟慕レ義强レ仁者、皆愛惜焉、矧燕趙之士、出二乎其性一者乎」の如し。
ケイ キャウ [迥]
○さむし(滄·寒)○とほし(遠)=迥。○ふかくひろし(深廣)
詩經、大雅の篇名、遠くくみ取る義。詩、大雅「──彼行潦」
ケツ [屑]
○水、孔より疾く出る。○囘─はよこしま(邪僻)○むなしき貌。
空虛なる貌。楚辭、九辯「──兮天高而氣淸」
ケン ゲン [銑]
○ながれる。○露が光る。謝靈運詩「花上露猶─」○露の垂れる貌。○涕を流す貌。
水の湧きて流るる貌。張衡賦「水──而湧濤」
○涕の流れる貌。吳越春秋「心惙惙兮若割、淚──兮雙懸」=泫然。○露の垂れる貌。謝惠連詩「──露盈條」
淚の流れる貌。檀弓「孔子──流涕」
おつるつゆ。王維詩「──蒼茫濕、沈波澹灔光」
①コ [虞]
②コ [麌]
①うる(賣)論、子罕「求善賈而─諸」○かふ(買)酒を買ふ。論、鄕黨「─酒巿脯」=酤。○大─は海口、卽ち直隸省白河の口、北京天津の咽喉に當る。
②おろそか(略)○物があらくあし(麤惡)○酒をうる者。又、あきうど「屠─」
同訓異義
ウル 沽·賣·售·賈·糶の別は賣(貝部八畫)の條を見よ。○カフ沽·買·酤·巿·賈·貿·糴の別は買(貝部五畫)の條を見よ。
情を矯めて譽を求める。唐書、李渤傳「渤孤操自將、不苟合於世、人咸謂之──」
うりかひ。舒元輿文「雖欲求──、不濁棄其糞土」=沽販。
○買ひたるさけ、字解參看。=巿酒。○賣る酒。白居易詩「靑旗──趁梨花」
ひさぐ。=商賣。
うりかひ、あきなひ。=賣買。
ほまれを賣る、名を衒 テラ ふ。漢書、逸民傳、序「彼雖硜硜、有類──者」=賣名。
シ [寘]
○はなしる、なみだと共に鼻より出る液「涕─」(涕は目より出る液)○川の名、山東省に在り、運河に入る。
魯國にある二川の名、孔子其のほとりにて子弟を敎ふ、故に轉じて、孔子の學を斥す。周伯琦詩「行行望──」=洙泗。
泗水のほとり、孔子は泗上にて敎授す、故に孔門の義とす。晉書、桓彝等傳論「首陽高節、求仁而得仁、──微言、朝聞而夕死」
泗水のほとりに國せる十二の諸侯。戰國策「秦下兵攻衞陽晉、必關扃天下之匈、大王悉起兵以攻宋、不至數月而宋可擧、擧宋而東指、則──────、盡王之有矣」
孔子の門人。史、孔子世家「孔子葬魯城北、────皆服三年」
泗上亭のやくにん。漢書、高帝紀「試吏爲────」
泗水の中より出でて磬に作るべき石。書、禹貢「嶧陽孤桐、────」
シウ [尤]
およぐ。うかぶ。列、說符「人有濱河而居者、習於水、勇於─」
およぐ。泅は水上を浮び行く、泳は水中をもぐり行く。
①シユ [遇]
②チユ [遇]
通音チュウ
①そそぐ(灌)水をかける「灌─」つぐ、水がそそぎ入る。○あつむ(聚)○うつ(擊)○つく(屬)むかふ(意所向)「─意」「─目」○つがふ「─矢」○しるす(記)ときあかす。
②くはしくときあかす。又其のときあかし「─解」「評─」「標─」=註。
同訓異義
ソソグ 注·沃·澆·灌·漑·洒·瀉○注は川の流れそそぐなり、水入を水注といひ、酒をつぐ銚子を注子といふ、何にても一筋につぎうつすをいふ。○沃·澆·灌·漑の四字、略~同じ、草木などに、水をかけそそぐ義。○濺はとばしりの、そそぎかかるなり、故に激也と註す。史記「以二頸血一濺二大王一」○洒は水を庭などにうつなり、洒掃と連用す。詩經「弗レ洒弗レ掃」○瀉は傾也と註す、どっと一時にそそぐなり、注に似たれども、注はゆるゆるそそぐ、瀉は高き處より急にそそぐなり。韓偓詩「捲荷忽被二微風觸、一瀉下淸香露一盃」
氣をつけてまかす。元史、張志明傳「不負朕──」=委注。
きをつける。史、陸賈傳「天下安──相、天下危──將」=留意。
字句の下に書き入れる解釋。晉書、杜預傳「預與賈充等定律令旣成、預爲之──」=注釋。
はかりなぞらふ。唐書、選擧志「今選者衆、請四時──」
ときあかし、本文の閒に入るるを注、本文の下に置くを脚といふ、二行に細書するが故。困學紀聞「日用是根株、文字是──」宋史、陸九淵傳「六經皆我──」
本文の閒に入れたる解釋。訓はよみかた。後漢書、何休傳「──孝經·論語」=注解。
すをつぎこむ。唐書、來俊臣傳「鞫囚不問輕重、皆──於鼻」
目をつけて見つめる。韓愈詩「天陽熙四海、──首不頷」
國 事變などを上へ告げしらせる。又、其のことがら。=申吿·申報。
○つぎこむ。唐書、陸扆傳「扆工屬辭、敏速若──然」○血管中に藥をつぎこむ「皮下──」
そそぐ。論衡「口齒以噍食、孔竅以──」
書物のときあかし。=注解·注訓·註釋。
經書の解釋、疏は注を更にくはしく說きたるもの「十三經──」
つぎこむと、ひかへ置くと。とりはからひ。荀、儒效「──習俗、所以化性也」=措置·處置。
つぎこむ。
○注釋の文。=註文。○ チユウモン 國 あつらへる、あつらへ「──の品」= 俗 定製。
氣をつけてしたふ、意を專らにして仰慕する。呂溫文「其爲物情所──如此」
氣をつけてみる。陶弘景文「非但字字──、乃畫畫抽心」=注視·屬目。
○水を注ぎ淸めて連ね張る繩、出棺後に家の入口に張りて亡鬼の再び家に還らざるやうにするもの〔顏氏家訓〕○ 國 シメナハ しりくめ繩、しめかざり。=標繩·七五三繩。
①ショ·ソ [語]
②ショ·ソ [御]
③ショ·ソ [魚]
①とどむ(止)さへぎりとどめる「─止」○はばむ、勢がなくなる「─喪」○こぼつ(壞)○やぶる(敗)○もる(泄漏)○おどす、恐怖せしめる。禮、儒行「─之以兵」
②しめりけ多き地(下濕地)
③長─は人名。論、微子「長─桀溺、耦而耕」○川の名、陝西省鄜州に在り、洛水に注ぐ。=漆水。
はばみとどめる。=沮止。
はばみそこなふ。
はばみとどめる。唐書、張說傳「畏其擾、──之」
議をはばみとどめる。王襃文「二客雖窒計──何傷」
くじけやぶれる、くづれる。說苑「遇天大雨、子必──」
惡をとどめ善をすすめる。左傳「賞罰無章、何以──」=勸善懲惡。
氣がはばみうしなふ、氣おちする「士氣──」顏延之文「豈識向之夸慢、祗足以成今之──耶」
沮誦と蒼頡との二人、共に文字を造りし者。蒼一に倉に作る。書史「上列──、按史發論」
はばみつく、索は盡。唐書、朱滔傳「滔遂入府、氣──、日邑邑被病」=銷盡。
はばみ止められてちり失せる、阻止せられて退散する。柳宗元文「──遠去」
遮りとめる。=防止。
はばみそしる。唐書、傅奕傳「爲衆──、不得行」
ぬかるみ(漸濕)の地。詩、魏風「彼汾──、言採其莫」
はばめる顏色。元稹文「初除湘東妻有──、因以四韻曉之」
はばみおそれる。唐書、裴胄傳「屹然不──」
氣くじけて心みだれる。晉書、石勒載記「人情──、甲士羸弊」
もれ出る。禮、月令「地氣──、是謂發天地之房」=泄漏。
くじけおそれる、懾は怖。宋史、李寶傳「以一介脫身還朝、無一毫──」=沮惴。
低くして、濕氣多き地。又、水草ある處。禮、王制「山川──」左思、蜀都賦「潛龍蟠于──、應鳴鼔興雨」=沮洳。
さまたげそしる。唐書、陸贄傳「贄孤立一意、爲左右權幸──」
きもをつぶす。鹽鐵論「莫不──挫折遠遁」
はばみくじける、勢を失ひて敗れる。晉書、蘇峻傳「由是義衆──、人懷異計」=挫敗。
はばみとめられてやぶれる。杜篤、論都賦「一人奮戰、三軍──」
はばみそしる。史、平準書「廢格──、窮治之獄用矣」=沮訾。
とどめおさへる。張九齡文「雖有所長、一皆──」
セイ·サイ シ [薺]
○きよし「淸─」○あきらか、あざやか(鮮明)詩、邶風「新臺有─」○汗の出る貌。孟、滕文公「其顙有─」
セイ サイ [薺]
すめるさけ(淸酒)
セゥ [篠]
ぬま、いけ、一說に圓きを池といひ、曲れるを─といふ。
池のどぶの中より發生する燃性の瓦斯 ガス =炭化水素。
ぬまのほとり。孟、梁惠王「王立於──」=沼畔·沼邊。
ぬま、さは。
ぬま。韓詩外傳「──不如川澤、所見博也」字解參看。
ぬまのうきくさ。溫庭筠詩「細響鳴林葉、圓文破──」
セン [先]
○いづみ、みなもと(水源)孟、離婁「原─混混」○ぜに(錢)泉の如く廣く地に流布する義「─布」○立─は瀑布。班固賦「立─落落」=飛泉。
地下、めいど、黃泉の下。周書、晉蕩公護傳「死若有知、冀奉見於──爾」
ぜに。歷代名畫記「不惜──、要藏篋笥」=泉布·泉貝。
いづみのみなもと。荀、富國「財貨渾渾如──、汸汸如河海」=泉原。
泉下の地、黃泉。北史、隋煬帝紀「恩加──、澤及枯骨」=泉路。
○いづみ。詩、小雅「相彼──、載淸載濁」○ 國 庭の池。
いづみの音。王維詩「──咽危石、日色冷靑松」=泉響。
深く泉石卽ち山水を愛する癖習の殆ど療し難き義。世說、言語「田游巖、頻召不出(中略)高宗問、先生比佳否、游巖對曰、臣所謂────、烟霞痼疾」膏肓は不治の病。
ぜに。周禮、天官、外府、注「布、泉也、其藏曰泉、其行曰布、取名於水泉、其流行無不徧」陳造詩「居人禱蠶麥、行客乞──」
巿税をとり立て、又公費にて物品を買ひあげ、更に原價を以て賣り下げる役所〔周禮、地官、泉府〕
泉布に同じ。宋史、蔡京傳「令──所積贏五千萬」=貨幣。
ソ [遇]
溯·遡に同じ
○さかのぼる(逆流而上)左、文十「沿漢─江」○むかふ(向)張衡賦「─洛背河」
川をくだる。泝洄を見よ。
泝は流れに逆ひて上る、沿は流れに順ひて下る。伏挺詩「行舟迷──」
流にさかのぼる。爾雅、釋水「逆流而上曰──、順流而下曰泝游」=遡?。
流にさかのぼる。蜀志、先主紀「將兵──」
タ ダ [歌]
○涕の垂れる貌。○滂─は大雨の貌。詩、小雅「俾滂─矣」○川の名、揚子江の一支流、四川省に在り。○滹─ コダ は直隸省に在る川の名。
涕の流れる貌、若は助字。易、離卦「六五出涕──」=潸然·泫然。
沱(前條)に同じ。
淡─ タンダ は波に隨ふ貌。=潭沲。
タイ [泰]
古、太に通ず
○大いなり。○とほる(通)易、繫辭「天地交─」○なめらか(滑)○はなはだし(甚)はなはだ。詩、大雅「昊天─憮」○ゆたか(豐)○ひろし、ゆるやか(寬)やすし(安)論、子路「君子─而不驕」○おごる、おごり(侈)孟、滕文公「舜受堯之天下、不以爲─」○易の卦の名、乾下坤上。○たる(尊)○丘の名。○西の風。○山の名(岱宗)
同訓異義
ハナハダ 泰·甚·太·酷·絕·孔·已の别は甚(甘部四畫)の條を見よ。○ヤスシ泰·安·寧·康·綏·易の別は安(宀部三畫)の條を見よ。
○やすらか。潛夫論「居纍卵之危、而圖泰山之安」○府の名、漢の泰山郡、今の山東省濟南道に屬す。
天神の最も貴き者。漢書、郊祀志「以太牢祀三一」注「天一、地一、──、──者、天地未分元氣也」=太一。
○五嶽の一、山東省泰安縣の北に在り。廣雅「岱宗謂之──」=岱山·岱泰·東嶽。○妻の父の稱。黄潛筆記「俗呼人婦翁、曰嶽丈、曰──」蓋し泰山に丈人峰あるに由る。
○巖巖は高くけはしき貌。詩、魯頌「────、魯邦所詹」○轉じて人品のするどくつよきに喩ふ。程子語錄「仲尼天地也、顏子和風慶雲也、孟子────之氣象也」
泰山は山の最も尊きもの、梁木 ムナギ は家屋の重要なるもの、よりて其の頽折は一代の尊ぶべき人の死に譬ふ。孔子が「泰山其頽乎、梁木其壞乎、哲人其萎乎」といふ歌をうたひて閒もなく歿せられし故事〔禮、檀弓〕
微力も之を積まば大功をなすに喩ふ、霤は溜、水の滴り。枚乘、諫吳王書「──────、殫極之綆斷幹、水非石之鑽、索非木之鋸、漸靡使之然也」
泰山は小さき土くれをも厭はず包容する放、其の大を成す、人の度量廣く衆を容るるに喩ふ。戰國秦策「──────、故能成其大、河海不撢細流、故能成其深」李斯の語。
俗に鬼を治むる神とす。後漢書、烏桓傳「其俗謂人死則神遊赤山、如中國人死者魂歸岱山也」
泰山と北斗星とは衆人の常に仰ぎ見るもの、故に人の仰ぎ尊ぶものに譬ふ。唐書、韓愈傳「當時學者仰之如────」=泰斗。
泰山が眼前に崩壞するも、顏色變ぜす。蘇洵文「爲將之道、當先治心、─────────」
泰山の重きを以て卵をつぶす、事の甚だ容易なるに喩ふ。晉書、孫惠傳「猛獸吞狐、────」
やすく治まれる時。晉書、劉頌傳「──少、亂日多」=寧日。
氣のはじめ、宇宙の原始、上古をいふ。莊、天地「──有無」=太初。
西洋諸國の稱、泰ははなはだ、卽ち極の義。泰東の對。=太西。
ゆったりとしたる貌。元史、許衡傳「家貧躬耕(中略)處之──」
泰山北斗の略。人を尊びていふ。
にしかぜ。爾雅「西風謂之──」西風は物を成熟せしめて豐かなる義。
世をさまりて靜か〔漢書、食貨志〕=太平。
①チ·ヂ [支]
②チ·ヂ [寘]
一說①はをさむ②はをさまる
①をさむ(理)
②をさむ、政を布きて民をすべをさめる。○こらしをさむ(懲處)罪をこらして處分する「鞠─」「─罪」○ととのふ、整理する「修─」○ただす(正)亂れざるやうにする。○をさまる、ただしくなる。○ならふ(簡習)○とりしらべる、とりしまる(監督)○まつりごと「政─」○政治の才多し。左、莊九「管夷吾─于高傒」○いさを(功績)○みち(道義)○都する。漢書、高帝紀「又─秦中」又其の地。○地方官のやくしょ(政廳)又、其の役所に在りて政務を行ふ。○道家にて靜室の稱。
同訓異義
ヲサム 治·修·理·收·斂·藏·納·御の别は修(人部八畫)の條を見よ。
をさまりてやすらか。漢書、賈誼傳「陳──之策、試詳擇焉」
前漢の賈誼が天下を平治する策略を述べたる文章〔漢書、賈誼傳〕
社會の安寧秩序を破る行爲。
をさめて發育せしむ。漢書、文帝紀「朕下不能──羣生」
國を治める大切なることがら、治國の要道。
其の支配した。=管下。
ふるぎ(故衣)ををさめつくらふ。莊、人閒世「挫鍼──、足以餬口」一說に繲は浣衣 コロモヲアラフ
旅行の準備をする。史、曹相國世家「趣──」
をさまりてやすし。歐陽修文「博求俊乂、以濟──」=治安。
のりををさむ。韓非子「明君守始以知萬物之源、──以知善敗之端」
國をさまりてつよし。韓非、外儲說「──易爲謀、亂弱難爲計」
身ををさむ。禮記「致禮以──」
○接待の準備をなす。史、灌夫傳「將軍昨日幸許過魏其、魏其夫妻──、自旦至今未敢嘗食」○國を治むるに必要なるそなへ、法令。史、酷吏傳「法令者、治之具」
軍ををさむ。吳子「凡制國──、必敎之以禮、勵之以義」
民を治めて善に導く。魏書、李先傳「三皇五帝──之典」
外國に居住しながら、其の在住國の法律に從はずして、自國の法律に支配せらるる特權。
○縣ををさむ。漢書、薛宣傳「宣子惠自知──不稱宣意」○縣知事。
くにををさむ。大學「古之欲明明德于天下者、先治其國」=治邦。
國を治め天下を平かにする、國家を安泰にする。大學「國治而后天下平」
をさまると亂れると。書、益稷「予欲聞六律五聲八音在──、以出納五言」=治亂。
政治を行ふ成績が第一等に居る。唐書、狄兼謨傳「以──擢給事中」
つみをしらべただす。齊書、孔琇之傳「付獄──」
產業ををさめる。史、越王勾踐世家「父子──、居無幾何、致產數千萬」
もつれたる絲ををさめる。左、隱四「猶──而棼之也」
家屋の屋壁などをつくろふ。任昉文「將加──」=繕葺·完葺。
○人ををさむる。孟、滕文公「勞心者──、勞力者治於人」○國を治める人、次條參看。
國を治むる人はあれども、治むる法はなし、法は死物、之を活用するは人に在る意。荀、君道「有亂君無亂國、──────」
民を治める人、政治家。=治人。
政廳のある所。劉禹錫文「孟秋至──、首冬遘疾、拜章入覲」
みづををさめ害を除く。水經、注「王景字仲通、好學多藝、善能──」=治河。
くらしの道を立てる。抱朴子「古人欲達勤誦經、今人欲達勉──」=治產。
○よく治まれる世。魏志、武帝紀、注「太祖常問許子將我何如人、子將不答、固問之、子將曰、子──之能臣、亂世之姦雄、太祖大笑」○其の君主の在位年閒。
政のをさまりたるいさを。蜀志、鄧芝傳「所在淸嚴有──」
船を修理す。漢書、食貨志「築倉──、費直二萬萬餘」
世のをさめかた。任昉文「明練庶務、鑒達──」
治中は中に居て政をすべる者、刺史の參佐、別駕は剌史(地方長官)に隨ひて巡視する時に別の車に乘る資格ある役人。蜀志「龐士元非百里才、使爲────、乃得展其驥足」
をさめさだめる。禮記「王者功成作樂、──制禮」=制定。
いへやしきを建てる、邸宅を造營する〔唐書、裴度傳〕
太宰の職、轉じて、治國の法典。周禮、太宰「曰、──以經邦國、以治官府、以紀萬民」
田をたがやしをさめる。漢書、食貨志「──勤謹則畮益三升、不謹則損亦如之」畮は畝。
內ををさめる。禮記「天子治外、皇后──」
治りたる世にありても亂れん時のことを思ひて、戒愼す。易、繫辭「君子安而不忘危、存而不忘亡、治而不忘亂、是以身安、而國家可保也」
旅行の準備、治は整理、任は行李の擔。孟、滕文公「昔者孔子沒、三年之外、門人──將歸」=治行。
をさめかた。梁書、武帝紀「朕以寡薄、昧于──」=治術。
治國に同じ。
國ををさむる方法。荀、君道「有亂君、無亂國、有治人、無──」
やまひをなほす。漢書、高帝紀、注「歸家──」
賦稅を整理する。論、公冶長「由也千乘之國、可使治其賦也」由は子路。
國家が太平なり。漢書、王嘉傳「記人之功、忽於小過、以致──」
軍隊を操練する。左、隱五「三年而──、入而振旅」
をさめわかつ。韓詩外傳「禮者──之極也」史、樂書「其功大者其樂備、其──者其禮具」
人の未だ病氣に陷らざる前の命令、卽ち平時の命令、結草を見よ。
病氣がなほる、本復する。癒は愈·瘉に同じ。=平癒。
をさまると、みだれると。=治忽。
世の治ると亂れると、興ると亡ぶと。歐陽修、朋黨論「嗟夫────之迹爲人君者可以鑒矣」=治亂存亡。
をさむ、政がをさまる。漢書、趙廣傳「壹切──、威名流聞」
れいををさめ行ふ。劉向、雜言「孔子困于陳蔡之閒七日、──不休」=修禮。
病をなほす。周書、姚僧垣傳「議──之方」=療治。
チュツ [質]
水の流れ岀る貌。
水の流れ出る貌。文子、通原「原流──、沖而不盈」
チョ [語]
○すむ(澄)○あはし(淡)
テイ シ [霽]
川の名、直隸省に在り、槐河(卽ち濟水)に入る。
①デイ [齊]
②デイ [霽]
③テツ [屑]
④デイ [薺]
①どろ(水和土)○ぬかるみ、どぶどろ。○けがす、けがる(汚)易、井卦「井─不食」○よわし。○糊をつけて張る「─窗」○南海に棲むといふ一種の蟲、骨なくしてぐだぐだしてゐる故、大いに酒に醉ふを─醉といふ。○どろの狀をなしたるもの「金─」「朱─」
②なづむ、とどこほる(滯)澁滯する。論、子張「致遠恐─」
③くろむ。=涅。
④──は露のこまやかなる貌。又、柔くして澤 ツヤ ある貌。
どろ。宋史、汪綱傳「使──弗得入河」=淤泥。
でく、土人形。周必大詩「爭騎竹馬弄──」
どろ路をゆく。史、夏本紀「──乘橇」
一たび去りて返らざるに喩ふ。傳燈錄「我見兩箇泥牛鬭入海、直至如今無消息」
○金のこな、唐代、新に及第せし者、家書に──帖字を附けて鄕里に報ず。天寶遺事「新及第以──帖字、附家書爲報、謂之喜信」○轉じて及第の報知を──報といふ。
ぬかるみにてすべる。杜甫、偪仄行「──不敢騎朝天」
いにしへにのみなづむ。宋史、劉几傳「儒者──致詳於形名度數閒、而不知淸濁輕重之用」
すゐぎん。=流汞。
どろのみぞ。韓愈詩「陷身──閒、誰往稟指撝」
どろのつきたるあと。項斯詩「草帶──過鹿羣」
○どろ。劉峻文「魚潛淵下、窟穴──」○沈みて下位に在るに喩ふ。虞世南詩「逢恩借羽儀、失路委──」○輕んじ惜まざるに喩ふ。杜牧賦「用之如──」
でく、土人形。唐書、傅休奕傳「今僧尼十萬刻繪──、以惑天下」=泥塑人。
○どろと、かすと、けがれて淸からざるに喩ふ。歷代名畫記「今之畫人、筆墨混於塵埃、丹靑和其──」○卑下 イヤシクヒクシ に喩ふ。北史、魏長賢傳「士之立身、其路不一、皆奮于──、自致靑雲」
どぢゃう、淡水產の小魚、形うなぎに似て小。
ひる。本草「──生泥中」
ぬかりてしめる。古今註「乾腊不畏──也」
泥塑人に同じ。
首を泥土につける。梁元帝、檄文「任約──於安南、化仁面縛於漢口」=頓首。
泥蟲のぐだぐだしてゐる如くはげしくゑふ。異物志「南海有蟲無骨、名曰泥、在水則活、失水則醉如一堆泥」一說に醉態を泥土に比していふと。陸游詩「──醒常少」
でく、土人形。近思錄「明道先生坐如───」=土偶·泥人·泥像。
どろ。蘇舜欽詩「──沒馬鼻」=泥濘。
石炭の一種、未だ十分に炭化せざるもの。燃料又肥料に用ふ、すくも。
どぶどろの中に淸くさけるはすの花、にごりにしまぬはちす、はきだめの鶴〔維摩經〕
○露の濃かなる貌。詩、小雅「蓼彼蕭斯、零露──」○柔くして澤ある貌。詩、大雅「維葉──」
どろ。宋書、禮志「雖有糜粥、糠粃──相和、半不可飮食」
○どろ、ぬかるみ。後漢書、黃瓊傳「抵金石於沙礫、碎珪璧於──」○賤しき境遇。杜甫詩「霄漢瞻佳士、──任此身」○いやしくつまらぬ義。范仲淹文「──軒冕」
イどろ、ぬかるみ。左思、吳都賦「流汗霡霂、而中逵──」=泥淖·泥潦。
どろの中にひそみわだかまる。班固、答賓戲「──而天飛者、應龍之神也」
こて、さくゎんの用具。
どろ、ぬかるみ。五代史、杜重威傳「兵行──中」
佛 地獄。名義集「文句云、地獄此方名、梵稱──」=泥黎。
どろにしづむ。抱朴子「非漢濱之人、不能料明珠于──之蚌」
①テン [鹽]
②セン·テン [鹽]
③テフ [葉]
①ます、そふ。=添。○淇水の一支流。
②ひたす(漬)うるほす(濡)=霑。○みる(視)うかがふ。=覘。
③自ら整ふる貌。○──はかろくうすし、輕薄 ケイハウ なる貌。
同訓異義
ウルホス 沾·濕·潤·澤·濡·浥の別は濕(水部十四畫)の條を見よ。
輕薄なる貌。一說に自ら整ふ貌。史、魏其傳「──自喜耳、多易、難以爲相持重、遂不用」
うるほひけがる。高僧傳「釋曇始游化關中、足白于面、跣涉泥水、未嘗──、時稱白足和尙」
むねをうるほす。何遜詩「蕩子行未歸、啼粧坐──」
うるほふ、うるほひ。柳貫詩「──時雨足」
餘れる潤を受ける。唐書、杜甫傳「殘膏賸馥、──後人多矣」
○あまねくうるほふ、廣くゆきわたる。南史、杜慧慶傳「威惠──、姦盜不起」○學問が傅くゆきわたる。三國志、胡潛傳「雖學不──、然卓犖强識」=淹博·博洽。
えりをうるほす、衿は襟。家語「反袂拭面、涕泣──」
うるほふ、うるほす。晉書、光逸傳「家貧衣單、──無可代」
うるほひそまる、性質を變化する義。晉書、楊方傳「姿質已良、但──未足耳」
背をぬらす。史、陳丞相世家「汗出──、愧不能對」=霑背。
①ハ [歌]
②ヒ [支]
①なみ、水が湧き流れる。○なみだつ、波が起る。○うるほふ(潤)○うごく、動搖する。莊、外物「其孰不─」○目の光「秋──○奔─は勞役の義。韓愈、論佛骨表「老少奔─、棄其業次」○金─は月光。○物理學にて水面の一點よりして環狀のなみが四周に傳はり廣がる如き現象にいふ「音─」「光─」「電─」
②つつみ「雷─」=陂。
佛 六聚戒の一。大藏法數「梵語───、此言墮、謂犯此罪者、當墮八寒八熱地獄也」
波のうつ如く潤の次第に及ぶ義。左、僖二三「其──晉國者、君之餘也」
いけす。馬融、廣成頌、注「──、池禦也」
なみのいろ。趙渢詩「──湛碧冷無痕」=波色。
波稜菜に同じ〔本草綱目〕
なみま。皮日休詩「──插翠筠」=波閒。
亞細亞 アジア の一國、ぺルシャ。隋遺錄「螺子黛岀──國、每顆値十金」
はうれんさう〔本草綱目〕=波稜菜·菠薐草。
なみのまんなか。白居易詩「月點──一顆珠」=水心。
魚の異稱。莊、外物「莊周顧視、車轍中有鮒魚焉、周問之曰、鮒魚來、子何爲者邪、對曰、我東海之──也」注「──猶曰水官也」
なみが起る。水經、注「濤湧──、雷渀電洩、震天動地」
佛 惡者の義〔法華音義〕=惡魔。
なみだつみづ。傅休奕詩「草上飛霜起、──自生冰」
ゆれうごく。後漢書、公孫述傳「方今四海──、匹夫橫議」
なみ、濤は大波。杜甫詩「天地暗慘忽異色、──萬頃堆琉璃」=波浪。
なみのそこ。岑參詩「漢水天一色、寺樓──看」=水底。
○なみのうごき、波が動く。蔡邕賦「風飄──、若飛若浮」=波搖。○音又は光等の爲めに、空氣又はェーテルが振動を起して上下四方に傳はる狀態。
國 水中に築き岀したるどて、舟つき場とする。=埠頭·馬頭。
次條に同じ。白居易詩「池有──水盡開」
なみのあや、波のもやう。=波文。
なみがわきたつ。後漢書、馮衍傳「風騰──、更相駘藉」
虎の異名〔玉溪編事〕
佛 六聚戒の一、極惡の罪。大藏法數「梵語───、華言棄(中略)故名極惡也」
なみ。晉書、張華傳「光彩照水、──驚沸」韋莊詩「──不知深幾許」
○果の一種。本草「───梵語也、因此果味甘故借用之」○ 佛 生死の境を脫して彼岸に到達する。華嚴經「以───船、於生死流中、不依此岸、不著彼岸、不住中流、而度衆生无有休息」
○なみ、瀾は大波。王維詩「人情反覆似──」○文勢の一段生動するにいふ。杜甫詩「毫髮無遺憾、──獨老成」○ごたごた、平隱ならず「平地に──を生ず」
○水の流れ。○轉じて世の變遷のきはまり無きに喩ふ。莊、應帝王、註「世事──」
はうれんさう、野菜の一。=菠薐草·波菜·波斯草。
①バイ [隊]
②クヮイ [隊]
①ほのぐらし(微明)○地名、古の衞の邑、殷の都の朝歌をいふ、今の河南省淇縣。詩、鄘風「─之鄕矣」
②かほあらふ。=頮。
ハウ [肴]
○あわ、水の上のうたかた(水上浮漚)○──は水の流れる貌。又、水の噴き涌く聲。○さかんなり(盛)
あわと、かげと。世のはかなきに喩ふ。金剛經「一切有爲法、如夢幻──」劉兼詩「彭夀殤齡共兩空、幻緣──夢魂中」幻はまぼろし。
あわと、まぼろしと?世のむなしくはかなきに喩ふ。王禹偁詩「身世喩──」=夢幻。
水の流れる貌。山海經「其源渾渾──」
あわ。葛長庚詞「堪歎人閒事、──風燈、阿誰肯做飛仙」
ハウ ヒャウ [庚]
又、洴に作る
○川の名。○水の勢の盛んなる貌。又、其の聲「漰─」
水勢の盛んなる貌。薩都剌詩「萬古槌地雷、三峽瀉──」
バウ [巧]
○ふち、水のよどみて流のおそき所。○川の名、江蘇省松江府に在り、上─·中─?下─あり、之を三─といふ、太湖より出で吳淞江に注ぐ。
ハク [藥]
○とまる、舟を止める、船が岸に附く、とどまろ、とどむ。○しづか、さっぱり、利慾に迷はず「恬─」「澹─」○うすし(薄)慾うすし。○ふなつき、ふなやどり。○紛─は衆多なる貌。○漂─·飄─はさすらひすむ(流寓)貌。
さっばりとして世事に煩はされざる心。韋應物詩「──遣滯想」
心しづかに欲うすき貌。老子「──其未兆」=泊如。
○心しづかにして無欲なる貌。漢書、揚雄傳「有以自守──也」=泊乎·泊然。○水の廣き貌。漢郊祀歌「──四海之池」
ふねをつける。孟浩然詩「河橋晚──」=泊舟。
心しづかに欲うすき貌。南史、虞茘傳「──靜退」=泊乎·泊如。
バツ [曷]
○あわ「浮─」「泡─」「飛─」○つばき(唾)よだれ(涎)「涎─」○とばしり、みづたま、ゆばな(湯華)○やむ(已)○あせの流れる貌。
ハフ ホフ [洽]
灋は古字
○のり、かた「─式」○おきて(制令·制度)○れいぎ、作法 サハフ 「禮─」○つね(常)○けいばつ(刑罰)○てほん。○かたち(象)○さだめ。○てだて、しかた。○したがふ。○のっとる、てほんとする、手本としてならふ。易、繫辭「崇效天、卑─地」○ 佛 道の義に用ふ「傳─」「說─」「─師」「─燈」○割算の割る方の數、除數。○佛蘭西 フランス の貨幣フランのあて字。○國名、─蘭西 フランス の簡稱「普─戰記」
法律の案文。
法律の精神。蘇軾文「申嚴──、消盜賊于未萌」
朝鮮及臺灣總督府·關東都督府にある裁判所「高等──」
漢の高祖が秦の苛法を除きて、之を三ケ條につづめたる故事。史、高祖紀「與父老約法三章耳、殺人者死、傷人及盜抵罪、餘悉除去秦法、秦人大喜」
私意を以て法律を曲げる。史、酷吏傳「所愛者、──活之」
法律を修めたる學者。漢書、藝文志「──者流、蓋岀于理官」
裁判所、衙は役所。
天子ののりもの。漢書、文帝紀「奉天子──、迎代邸」
てほんいましめ。漢書、劉向傳「數上疏言得失、陳──」
のっとりならふ。詩經、傳「是則是傚、言可──也」
法律·政治·經濟等の原理を硏究する學問。
國家の定めたる命令、おきて、法律上の規定。
はっと、さしとめのおきて。漢書、功臣表「陷──、殞命亡國」=刑法。
正殿をいふ。漢書、鼂錯傳─五帝神聖、處──之中」
○おきての箇條。蕭子良文「心乖理義、行越──」○法律學の學科。
國法によりて通用せしむる貨幣。
○法度にはづれる。=度外。○りくつに合はぬ。=不合理。
裁判官。唐書、百官志「處斷平允、爲──之最」
おきて。後漢書、北海靜王傳「永平中、──頗峻、睦乃謝絕賓客、放心音樂」
○ただしきことば。孝經「非先王之──、不敢言」=法語之言。○揚子──(書名)の略。
法則故事、古よりの正しきしきたり。禮、月令「黼黻文章、必以──」
正しく嚴かに說きさとすことば。論、子罕「────、能無從乎、改之爲貴」
○正しき座。漢書、梅福傳「當戶牖之──、盡平生之愚慮」○敎の道を說く處。王襃文「文帝乃升──、說玄言」
法官に同じ。唐六典「──掌推按欺隱法罰刑獄等事」=法吏·秋官。
のり、てほん。呂覽「夏桀賞罰無方、不循──」=楷式·法度。
法度をよくまもる臣。管子「諂臣貴、而──賤」
人類又は物件の集合體を法律上、個人と同漾に權利義務の主體と見たるもの。
國 司法大臣の異名。
禮式を正して飮むさかもり。史、叔孫通傳「禮畢復置──」注「──者、猶言禮酌、謂不飮之至醉」
法律を以て國を治めるてだて。史、韓非傳「喜刑名──之學」
○おきてのかきもの、法律書。易林「典册──、藏在蘭臺」○習字手夲。=法帖。
おきてを以て正す。晉書、王濟傳「性峻厲、明──之」
法律を掌るやく。齊書、孔稚圭傳「卽便擢用、使處──」
○おきて。=法律。○法律と制度と。禮記「命有司、修──、繕令圄」
國 內閣に直屬して法令の起草、法案の取調修正等を掌る役所。
おきて。又、法律規則。周禮、太宰「──以馭其官」=軌則。
法律を以て國ををさめる。「──國」
しらす、裁判所。
法律にて定める。又、其の事項。
のり、おきて。漢書、賈誼傳「立綱陳紀、輕重同得、後可以爲萬世──」=法則·法式。
法則とすべき習字手本。法帖譜系「黄伯思有──刊誤二卷」=法書。
のり、おきて。又、其の書きもの。
○はっと、のり、きそく。書、大禹謨「儆戒無虞、罔失──」=法則。○ 國 ハツト さしとめ。=禁制。
○制定せられたる正式のきもの。孝經「非先王之──不敢服」=制服。○ ホフフク 僧侣のころも。法華經「剃除鬚髮、而被──」=法衣·袈裟。
諸規則整ひそなはる。管子「名正──、則聖人無事」
はかりのふんどう。=秤錘。
法律のあみ、法律、罪人を捕へてのがさざるを漁獵のあみに比していふ。
法官に同じ、裁判官。
おきてのすぢみち、法律の原理。魏志、明帝紀、注「帝好學多識、特留竟于──」
國家の規定せしおきて、國法。淮南、主術「──度量者、人主之所以執下」
國の法律と命令と。又、おきて「──全書」=律令。
おきて。又、すべての法令に通ずる規則。晉書、刑法志「改舊律、爲刑名──」
○ 佛 佛法のかしら、卽ち釋迦如來。維摩經「──法力超羣」岑參詩「抽簪禮──」○羅馬敎 ローマケウ の主權者。
○ 佛 佛のみちを世にひろめる、印は世に印象する。法華經「我此──、爲欲利益世閒故說」 國 ○第一等の僧位、僧正の官に相當す。○山伏 ヤマブシ の稱、修驗者。
佛法のめぐみを雨の物をうるほすに喩ふ。慈恩傳「引慈雲於西極、注──於東垂」
ころも。=僧衣·法服·袈裟。
○ 佛 佛法を說く爲めに衆を會する。陳書、岑之敬傳「預重雲殿──」法華經「聞其經隨喜、已從──出、至於餘處」○轉じて佛式にて追福を營むにいふ。=法事·佛事。
佛 佛法を說く席。張九齡詩「壁石開精舍、金光照──」
佛法を說くむしろの大有力者。龍は水中の大力者、象は陸上の大力者、故に喩ふ。黃庭堅詩「高居大士是龍象」注「今以負荷大法者、比之龍象、傳燈錄、達磨傳、波羅提、法中龍象」
○ 佛 ほとけの道の世界。金剛經新註「──混然」蘇軾詩「俯仰盡──、逍遙寄人寰」○佛敎徒の社界。=佛門。
佛の道、海は其の廣きに喩ふ。王筠詩「三縛解智門、六塵淸──」
佛 戒名 カイミヤウ の類。謝小娥傳「竟以小娥爲──、不忘本也」=法名。
法燈に同じ。梁簡文帝、重請佛講啓「智林──、人人竝持」
佛のまつり。華嚴經「諸供養中、──最重」
佛法のわざ。謝靈運文「──日茂、隨喜何極」
○ 佛 佛道を悟りたる義。猶ほ盲人の眼を開ける如し、故にいふ。金剛經「如來有──」註「開法自悟名──」○ 國 法印に次ぐ僧位、僧都の官に相當す。
佛 ○佛法上の事がら。梁書、皇后傳「悉以充──」○佛式の追福。又、其のあつまり。=法會。
のりの身、佛法を悟りたる身、佛三身の一、佛の本體にして三千世界にみちわたるもの。涅槃經「離無離有、所謂──」
國 出家せられたる後に親王宣下 センゲ のありし親王の稱。
佛 ○佛敎の主、釋迦をいふ。=法王。○佛敎の一派の長。ほっしゅ「本願寺──」
佛 ○宇宙萬有の眞相。○僧侣のすがた。=僧形。
のりの道。釋氏稽古略「五祖弘忍大師(中略)嘗請于四祖曰、──可得聞乎」
佛 のりのともしび、佛法を以て迷執を破ること、燈火の暗を照すが如し、故に喩ふ。劉孝綽、栖隱寺碑「──永傳、勝因長久」=法炬。
佛敎のおもむき。梁昭明太子詩「已知──樂、復悅玄言清」
法號に同じ。
佛 佛法に入る道、門は門戶の義。舊唐書、蕭瑀傳「梁武窮心于釋氏、?文銳意于──」=佛門。
○ 佛 佛法を信仰してよろこびたのしむ。維摩經、菩薩品「汝等已發道意、有──可以自娛、不應復樂五欲樂也」=法悅。○ 國 なぐさみ、保養。
佛 佛法をいふ、佛の說きたる正法が邪見を破し外道を服することを轉輪聖王の持てる寶輸のよく山岳凸凹をも平かにする威力あるに比す(寶輸は 國 の輪鋒 リンボウ )
僧侣に同じ。梁武帝文「恆沙衆生、皆爲──」
佛 同宗旨の僧侶の互に呼ぶ稱。
佛 佛法の能力。白居易文「──所攝、鮮不歸心」
國 佛門に入られたる太上天皇。
○經文の名、ほけきゃう。南史、徐孝克傳「夜講誦──經」○ 國 日蓮宗の別名。
妙法蓮華經の略、天台宗·日蓮宗の正依經にして、羅什三藏の譯せるもの、分ちて二十八品とす。
○ 佛 佛法を說きて人を濟度 サイド する。華嚴經「興造──、度人不休」○ 國 法眼に次ぐ僧位。
佛 一切萬有の性相を說明し三界唯一心なることを明かにせし宗派、印度の戒賢に始り、我國にては孝德天皇の時、道昭が唐の玄奬より受け來りしもの。
僧侣の通稱。法華經「常修梵行、皆爲──」
○佛寺、又は修驗者の吹き鳴らすほら貝。王勃文「鳴──而再唱」○ 國 其の聲の大いなるによりてうそ大言の義とす「──を吹く」
國 半被の轉訛、勞働者の服、もと武家の中閒 チユウゲン などの著たるもの。
①ハン·ホン [陷]
②ホウ·フ [腫]
①うかぶ(浮)○ひろし。=汎。○浮─は、俗に切實ならざる義とす。
②くつがへす(覆)「─駕」
水があふれる。北史、高隆之傳「起長隄、以防──」=汎溢。
九月九日の節句に菊花を酒に浮べて飮む宴會、重陽の宴。風土記「俗說以重九相會、登山飮菊花酒、謂之登高會、又謂之───」=登高會。
ひろくほしいままに見る。司馬相如賦「於是乎周覽──」
うかべひたす。水經、注「河水盛溢、──瓠子、金隄決壞」
海を渡りて來る外國の使臣。
船を浮べる。唐書、閻立本傳「──春苑池」=汎舟·泛艇。
さかづきを浮ぶ。儲光羲詩「洛東──遊」=流觴。
ひろきとなへ、おしなべていふ。=汎稱。
水がみなぎる。王羲之文「陂湖──、船不能渡」
小舟をうかべる。宋褧詩「晴湖──鷗衝槳、夜邸懸燈馬卸鞍」
端午の節句に菖蒲を酒にうかべて飮むをいふ〔荊楚歲時記〕
ただよふ。江淹詩「參差萬葉下、──百流前」
ひろく見る。梁昭明太子文「歷觀文囿、──辭林」=泛觀。
ひろく全體にわたりて論説する。三國志「──物理」=汎論。
泛は覆、逸氣ありて軌轍に循はざる馬。常軌に從はざる英雄に喩ふ。漢書、武帝紀「夫────、跅弛之士、亦在御之而已」
ハン [翰]
○ちる(散)とく、冰がとける。詩、邶風「迨冰未─」=冸。○わかつ「剖─」=判。○きし。=畔·涯。
水の廣大にして、はてしなき貌。左思、吳都賦「潰渱──、滇?淼漫」
古、諸侯の鄕射を習はす處にして、諸侯の學校。東西門以南は水をめぐらし、以北は水なし、故に泮といふ(天子には辟雍といふ)詩、魯頌「明明魯侯、克明其德、旣作──、淮夷攸服」=頖宮。
冰がとけちろ。易林「冰將──、鳴鴈雍雍」
泮宮の水。詩、魯頌「思樂──」
①ヒ [寘]
②ヒツ [質]
①いづみのはやく流れる貌。
②ながれ。○しむ、にじみ岀る「分─」「─尿」
小便を排出する機官、腎臟·輸尿管·膀胱·尿道の總稱。
①ヒ [未]
②フツ [物]
通音フツ
①わく、にえたぎる、水が熱を受けて煮えたぎる「鼎─」「煮─」
②そそぐ(灑)○わく、泉がわき岀る、噴水する「觱─」○水のはげしくわき立つ聲。一解に怒る貌。
熱きあつものをすすりて、口中を燒きたるに懲りて、泠たきあえものを見ても、恐れて之を吹く。懲戒に過ぎたるをいふ〔唐書、傅奕傳〕=懲羹者吹虀。
ものの煮える音。高啓詩「──還疑灑竹鳴」
波がさか立ちて堤がくづれつひゆ。木華、海賦「?踔湛藻、──渝溢」
湯のたぎりたるかま。文同詩「六月日正卒、大暑若──」
湯がわきあがる。漢書、注「如蜩螗之鳴、湯之──、羮之將熟」
わきたつかゆ。唐書、獨孤及傳「百揆隳刺、如──紛麻」
わき出る水。拾遺記「蓬萊山有──、飮者千歲」=噴水。
わき出るいづみ。齊書、祥瑞志「卽掘深三尺、得──」=湧泉。
夕 ウ わきたるゆ、にえゆ。崑山方鳳夷俗考「倭國女子不淫不妬、訊獄置小石於──、令犯法者探之、云理曲手爛」=熱湯。
水のわくふち。高邁賦「龍吼乎──、魚喁乎湯泉」
○水がわきあがる。詩經「百川──」○轉じて人がさわぎたつ。又議論がやかましくおこる。
炭酸曹達と酒石酸とを調和し、之に淸水をそそぐときは、泡立ちてわく、胃病藥として服用す。
水のにえたつ溫度、攝氏寒暖計の百度。=沸點。
わきてあつくなる。東方朔賦「身被疾而不閒兮、心──其若湯」
わき立つあわ。拾遺記「──流於數十里」
①ビン·ミン [軫]
②ベン·メン [霰]
①ほろぶ(滅)つきる(盡)○──はひろく暗くして分明ならず。○水の流の淸き貌。
②眩─は目の安からざる貌。
ほろびすたる。詩、商頌、譜「夏之篇章旣以──、唯有商頌而已」
ほろびたゆ。魏書、孫惠蔚傳「秦棄學術、禮經──」=泯滅。
ほろびる貌。方孝孺文「其肯──、與庸衆人等乎」
○水の廣く淸き貌。杜甫詩「野日荒荒白、江流──淸」○茫茫としてくらき貌。書、呂刑「民興胥漸、──棼棼」一解に將に滅びんとする貌。又、亂るる貌。
ほろぶ。五代史、一行傳論「──而無聞者」=淪沒·冺滅。
ほろぶ。鍾繇文「生民之命、幾于──」=泯沒·泯絕。
フ [處]
いかだ(小筏)=桴。
リョク ロク [職]
○石がくだける、石が其の脈理に因りて解散する。周禮、考工記「石有時而─」○今人、手書 テガミ を手─といふ、蓋し勒の字の假借、勒は刻、卽ち之を刻識する義。
①レイ [霽]
②テン デツ [銑]
①やぶる、そこなふ(害)陰陽の氣和せずして物を害する。漢書、五行志「惟金─木」文天祥、正氣歌「百─自辟易」○惡氣、妖氛「妖─」「氛─」
②しのぎみだる(陵亂)莊、大宗師「隂陽之氣有─」
惡しきき。庾信賦「──朝浮、妖精夜隕」
わざはひ。柳宗元文「消伏──、贊揚光輝」=妖孽。
レイ リャウ [靑]
○──は淸く涼しき貌。又、音聲の盛んに溢れる貌。又、水又は風の淸らかなる聲。○風が和ぐ。○音樂師。左、成九「問其族、曰─人也」古、伶に通ず。
○きよくひややかなる貌。又、水の淸き貌。風の聲。○輕妙の貌。莊、逍遙遊「列子御風而行、──善也」
おだやかなる風。呂覽、任地「子能使子之野盡爲──乎」=和風。
○水の淸き聲。陸機詩「山溜何──」○風の聲。宋玉、風賦「淸淸──、愈病析酲」○淸く涼しき貌。東方朔、七諫「下──而來風」○音聲の盛んに溢れる貌。陸機、文賦「音──而盈耳」
ひややかにして淸し。韓愈詩「酒味旣──、酒氣又氛氳」
ワゥ [庚]
○水淸き貌「─澄」○水がひくくふかし(下深)○ふち(淵)○─宏は聲の大なる貌。
水の深くたたへる貌。韓愈、藍田縣丞廰壁記「──演迤」演迤は水の廣き貌。
水が深くしてすむ。梁簡文帝詩「雜色崑崙水、──龍首渠」
深き水たまり。柳宗元文「散爲疎林、洄爲淸池寥郭──」
深くみづかさがある。郭璞、江賦「極──而海運」
水深き貌。又、水淸き貌。范成大文「淸泉──、叢桂覆其上」
淚(水部八畫)に同じ。
6畫
①アイ [佳]
②ワ ヰ [麻]
①渥─ アクアイ は川の名、甘肅省に在り。
②くぼむ。又、其の地。=窪。○ふかし(深)○たまり水(渟水)○まがる(曲)
①イ [支]
②テイ [霽]
①はなしる(鼻液)目より岀るは涕、鼻より出るは─。=?。
②なみだ。禮、內則「不敢唾─」=涕。
ヰ [紙]
川の名、河南省より出づ。
①エイ [霽]
②セツ [屑]
或は泄に作る
①──はのびちる(舒散)心ののびのびする貌。又、とび翔 カケ る貌。又、風に順ひ任す貌。
②やむ(歇)左思賦「士怒未─」○もる、もらす(漏泄)○除 ノゾ き去る、さらふ(渫)○へる、へらす(減)左、昭二十「濟其不足、以─其過」
○舒び敬る貌。心がのびのびする。左、隱元「其樂也──」○飛翔する貌。又、浮沈する貌。木華、海賦「翔霧連軒、淫淫──」○風に順ふ貌。海賦「或掣掣──于裸人之國」
祕密なる君命をもらす。左傳「──重刑」注「漏泄君命、罪之重」
もる。もらす。陳書、姚察傳「侍奉機密、未嘗──」=漏洩。
①ヲ [虞]
②コ [麌]
汚·汙に通ず
①くぼみ(窊下)○くぼたまり、たまりみづ、水濁りて流れず。○たまる。○地を掘りてくぼくす。
②ふかし(水深)○はびこる(漫)○そむ。そまる(染)○けがる(穢)
たまり水のいけ、みづたまり。孟、梁惠王「數罟不入──」
ぬかるみ。抱朴子「捐懸黎于──、非夜光不眞也」
カウ コウ [絳]
おほみづ。=洪。
おほみづ。書、大禹謨「帝曰、來禹──儆予」孟、告子「水逆行謂之──、──者洪水也」
大水の貌。孟子「洚水」注「水之逆行、──無涯、故曰洚水也」
カフ ケフ [洽]
○あまねし(徧)廣くゆきわたる「普─」「博─」「浹─」○やはらぐ(和合·和協)「─比」「驩─」「重熙累─」○うるほふ(霑)ひろくしみこむ。書、大禹謨「好生之德、─于民心」○協─は未の歲。
同訓異義
アマネシ 洽·周·普·徧·浹の別は周(口部五畫)の條を見よ。
あまねくあせかく。酉陽雜俎「韓弘在中書、盛暑──寫經」
やはらぎよろこぶ。史、孝文帝紀「施德惠天下、鎭撫諸侯、四夷皆──」=驩洽。
あまねくうるほふ。論衡「霈而雨、物之莖葉根荄、莫不──」=洽浹。
○あまねくひろし、博くゆきわたる。漢書、谷永傳「不能──如劉向父子及揚雄也」○うちとけてしたしむ。=浹洽·洽和。
徧ねくのびる。晉書、文明王皇后傳「履信居順、德行──」漢書、終軍傳「是澤南洽而威北暢也」
ひろくあらはる。蜀志、楊戲傳「初自燕代、則仁聲──」
あまねくひろし。晉書、左思傳「經學──、才章美茂」=博洽。
やはらぎしたしむ。比は親、和協親近の義。詩、小雅「──其鄰」
あまぬし。魏志、文帝紀、注「聖人以德、親比天下、仁恩──」=普洽·周普·洋普。
物事をひろく聞きて知る、見聞博し。漢書、劉向傳贊「博物──、通達古今」=博聞·多聞。
あまねく見る。束晳文「潛郞通微、──深識」=博覽。
心がうちとけてやはらぐ。大載禮「周時德澤──」漢書、董仲舒傳「五帝三王之道、改制作樂、而天下──、百王同之」=浹和。
キ ギ [寘]
○うるほふ(潤)管子、水地「越之水、重濁而─」○そそぐ(漑)水を釜に添へ入れる。○およぶ(及)○にくのしる(肉汁)左、襄二八「以其─饋」
同訓異義
オヨブ 洎·及·逮·迨·曁·覃の別は及(又部二畫)の條を見よ。
外國より舶來せし藥草の名、籣語の音譯、洎は咱 サツ の譌。=番紅花。
キョウ [腫]
○わく(涌)水勢がわきあがる。又、其の聲。○鳴り動く、どよめく、衆人がさわぎ立つ。
水勢はげし。元史、汪德臣傳「嘉陵白水交會、勢──」
○鼓動する聲、どよめきさわぐ。揚雄、羽獵賦「──旭旭」蘇軾賦「息──於羣動」○水の勢。左思、吳都賦「濞焉──」
さわぎて靖 ヤス からず。宋史、河渠志「每將興工、巿肆──」=騷擾。
波の聲。劉詵詩「軒窗怒濤聲──」
波のわきたつ勢。又、其の聲。通·湧同じ。司馬相如、子虛賦「沸乎暴怒、──澎湃」
前條に同じ。吳志、孫權傳、注「見波濤──、歎曰、嗟乎固天所以隔南北也」
わき上る。韓愈詩「君才誠倜儻、時論方──」
キョク ケキ [職]
或は淢に作る
○みぞ(渠)廣さ八尺、深さ八尺ある田閒の用水を引く水道「溝─」○城のほり(城池)○みだる(濫)○やぶる(壞敗)
①クヮイ [灰]
②ヰ [微]
洄は正字
①さかのぼる(逆流而上)「溯─」○水のめぐり流れる貌(旋流)○くらし(幽暗)「─闇」
②── ヰヰ は心くらし(惛)
水のめぐり流れる貌。唐書、柳宗元傳「盪──乎淪漣」
○水の流れる貌。王安石詩「雪乾沙淨水──」○ ヰヰ 心くらき貌。爾雅「──、惛也」
めぐりながれる。盤旋して流れる。宋史、蘇軾傳「──激射、歲敗公私船、不可勝計」=洄流。
①クヮウ [陽]
②クヮウ [漾]
①水が涌きて光る。○──は果毅の貌、たけくいさまし(武)○いかる貌。詩、邶風「有─有潰」
②水の深く廣き貌。=滉。○ほのか、ぼんやり、怳·恍に通ず。
武き貌。又、果毅なる貌。詩、大雅「武夫──」
うっとりして明かならざる貌。司馬相如、大人賦「西望崐崘之軋沕──」=怳惚·恍惚。
○水の深く廣き貌。○轉じて學說などの廣大にしてとりとめなき義とす。史、老莊傳「其言──、自恣以適己」
ただよふ。呂溫、應禮部試「色必洞澈、光無──」
クヮツ [曷]
○いく、生存する「生─」「死─」○いかす(生)死を救ふ。史、項羽紀「項伯殺人、臣─之」之は項伯を斥す。○おふ(生育)くらし(生計)「─計」○勢がつよい、生氣が盛んに動く。○よみがへる(蘇生)○──は水の盛んに流れる聲。○ 國 クワツ 柔術にて氣絕せし者をよみがへらす法「─を入る」
理を見るに明かなる眼力。
いきいきしたる氣、活潑なる生氣。詩經、疏「皆含此當生之──」
けものをいかす。呂覽「夫殺人以──、不亦不仁乎」
詩文の活氣ある句、生動せる字句。滄浪詩話「須參──、勿參死句」
盛んにもゆる火。蘇軾詩「活水還頂──煎」
現に火をふき出してゐる火山。死火山·熄火山等の對。
水の盛んに流れる聲。詩、衞風「河水洋洋、北流──」
くらしむき、すぎはひ、生活の計畫。白居易詩「莫厭家貧──微」=生計。
生きたる芝居、しばゐにて見る如き目ざましき實際の出來事。
文法にてはたらくことば。=作用言·動詞。
いかすと、ころすと。=生殺。
いかすも、ころすも心のままである。勝手にふるまふこと。
活板を見よ。
いきたることば。劉知幾文「王充以聖人──、爲自己死句」
人をいかす、醫術をいふ。廣事類賦「陸宣公晚年家居、尤留心於醫、聞有祕方、必自抄錄曰、此亦──之一術也」
背景は畫にて、畫中の人物は實際の人を用ふる一種のみせもの。
流れ動くみづ。死水の對。朱熹詩「問渠那得淸如許、爲有源頭──來」
圓筒內にはめこみ、自由に出入し得るやうにしたる栓 セン
いきうつし、甚だ相似る、多く詩に用ふる。楊萬里詩「小春──是春時」
おたまじゃくし、蛙の子。爾雅「科斗·──、蝦蟇也」
○盛んに動く。○ 國 或る目的の爲めに奔走する。
映像の活動して見える幻燈。=活動影戲。
まるのみにして變化する能はざる義。大唐新語「有棗强尉張懷慶、好偸名士文章(中略)人謂之諺、曰、活剝王昌齡、生呑郭正一」=生吞活剝。
勢ありて生動する貌。殷邁詩「牕外鳶魚──、牀頭經典交加」
魚のはねをどる如き勢よき貌、地は助字、活と潑潑とは形容詞、もと釋氏の語。中庸、朱注「此一節子思喫緊爲人處、────、讀者其致思焉」
應用の方法、活用法「圓機──」
一字づつの印板を組み合せて文句を構成するやうに造りし印刷板木、其の一字づつの印板を活字といひ、昔は瓦又は木にて造る、今は鉛の合金にて鑄造する。夢溪筆談「慶曆中、有布衣畢昇、爲──、用膠泥刻字」これを──の濫觴とす。=活字板。
前條に同じ。
生氣ありて活動するもの。
いきぼとけ、高德の僧などを稱す。韓邦靖詩「更寵番僧取──」
國 活動寫眞の辯士の略。
備荒貯蓄のことを記せる書。元史「趙?請以宋董煟所編救荒───、頒州縣」=活人書。
勢よくをどる。又、あちこちと活動する。
○いかし用ふる。實用に適するやうにつかふ。○文法にて動詞·形容詞·助動詞の語尾が意味によりて變化する用法。
いきたる魚。白居易詩「萬里無──」
いのちのたすかるみち、免れ出るみち。=血路。
涓(水部七畫)の俗字。
コウ [東]
○おほみづ「─水」=洚。○大いなり。書、大誥「─惟我幼沖人」
大いに飲む。李中詩「──花閒數十場」=豪飮。
大いにしてまろし。法苑珠林「譬如象鼻、──纎長」
大いにしてふかし。遠大にして深厚。大戴禮「──而有謀」=廣深。
大いなるめぐみ。荀勗詩「──普暢、慶及羣臣」=鴻恩·大恩·洪惠。
大業のもとゐ。又、帝王の事業のもと。隋圜丘歌「──惟求、福祚長隆」
大いなるのり。陶弘景、許長史舊館壇碑「永觀前猷、聿遵──」=洪範。
大いなるはかりごと。陸機、辨亡論「──遠略」=大計、大猷。
大いなるひかり。典引「揚玆──」
天。又造化。鈞は陶器を作る轆轤 ロクロ 以て造物者に比す。杜甫詩「八方開壽域、一氣轉──」
大いなるいさを。宋書、武帝紀「自兹迄今、──彌劭─=洪伐·偉勳。
大いなる敎化。後漢書、章帝紀「明君之德、啓迪──、緝熙康乂、光照六幽」晉書、樂志「元首敷──、百僚股肱玆忠良」
ばっとして廣く大いなり。千字文「天地玄黃、宇宙──」
大なる恩惠。晉書、段灼傳「使萬邦欣欣、喜戴──」=洪恩。
大いなる事業、天子の事業。左思、吳都賦「建至德、以創──」=洪基。
廣きはら。漢書、司馬相如傳「乃堙──、決江疏河」=廣原。
おほいなるみなもと。隋書、音樂志「昭哉上德、浚彼──」
大いなるはたらき。蕭琛詩「麗藻若龍雕、──類河瀉」=大才。
大と小と。梁武帝文「求理得情、──必盡」=洪纖。
大いなるこころざし。唐太宗詩「書言揚盛跡、補闕興──」=大志。
水の廣きわたし。魏文帝文「瞻──而懷德」
大いにふる雨。郭璞賦「隆陽映而不焦、──沃而不長」
大學者。公羊傳、序疏「能通一經、曰儒生、博覽羣書、號曰──」=鴻儒·碩儒。
大いなる事業、緒は事業。張敍敬賦「開帝王之──」=洪基。
大いにはれ上る。隋書、李德林傳「丁母艱、勺飮不入口五日、因發熱病、徧體──」艱は喪。
大いなるつりがね、大聲に喩ふ。溫庭筠詩「談柄發──」=巨鐘。
おほみづ。書、堯典「湯湯──方割」=洚水·大水。
大いに酒にゑふ。法苑珠林「飲酒──」=大醉·酩酊。
おほごゑ。蔡邕文「──遠布、華夏同稱」
洪水の作用にて土砂が積みかさなりて成りたる地層。
大いなる川。陸機、弔蔡邕文「彼──之方割、豈一墤之所堙」=大川。
大いなると、小さきと。後漢書、班固傳「鋪觀二代──之度」=細大·巨細·洪細。
高貴のいへすぢ。顏延之文「韜此──、蔑彼名級」
大いなり。舊唐書、江王元祥傳「體質──、腰帶十圍」=鴻大。
水面のひろき貌。
おほなみ。木華、海賦「──瀾汗、萬里無際」=大濤。
大いなるふち。水經、注「──巨浪、縈連江沔」
大いなるちゑ。論衡「佞人直以高才──、考上世人乎」
高貴のちすぢ。潘岳賦「周文公之苗裔、予元舅之──」
大いなるちすぢ、立派なる系統。陸機詩「綿綿──、非爾孰崇」
大いに安し。蔡邕、釋誨「有羲皇之──唐虞之至時」
大いなるいさを、伐は功。晉書、張協傳「沒則勒──于金册」=偉勳·洪勳·丕勳·大功。
○禹の時、洛水より出てたる神龜の背にあらはれしといふ九章の文にて天下を治める大法。書、洪範「天迺錫禹──九疇」九疇は、五行·五事·八政·五紀·皇極·三德·稽疑·庶徵·五福。○大いなるのり。=洪軌。
明の太祖の年號。
大いにおほふ義、天をいふ。轉じて天子の大いなるめぐみ。張九齡詩「──在元元」
大いなるさいはひ。金史、顯宗后傳「社稷之──也」=鴻福·大福·景福。
おほかぜ。袁宏文「──扇海、二溟揚波」飆は旋風 ツムジカゼ
大いなるのり。常景永、橋銘「敷玆景跡、流美──」=洪範·洪軌。
水が大いにして深し。元結賦「海浩淼兮汩──」=鴻溶。
大雨にておほみづが出る。郭璞賦「去秋以來、諸郡竝有暴雨、水皆──」
おほなみ。韋莊文「莫窮其巨派──」=洪濤。
大いなるながれ。許渾詩「──高瀉自天來」
大いなるながあめ。曹毗詩「──彌旬日、翳翳四區昏」
すぐれてひろき度量〔北史、高允傳〕
①サイ·セ サ·シャ [蟹]
②セン [銑]
③ソン [阮]
④セイ·サイ [薺]
⑤サイ·セ [賄]
①そそぐ(滌)水をかけて洗ふ、さっぱりする「瀟─」「─落」灑に通ず。
②うやうやし(肅恭)つつしむ貌「─如」○水ふかし。
③驚く貌「─然」○── ソンソン はさむくをののく(寒慓)
④すすぐ(雪)名譽を恢復する。孟、梁惠王「願比死者一─之」○あらふ(洗)「─濯」
⑤鮮明なる貌。高峻なる貌。詩、邶風「新臺有─」
同訓異義
ソソグ 洒·注·沃·澆·灌·漑·濺·瀉の別は注(水部五畫)の條を見よ。
水をまきてはらひきよめ、尊長者の呼ぶに應じ、問に對 コタ ふ、皆年少者の職。論、子張「子夏之門人小子、當────進退、則可矣」
心をあらふ。莊子「刳形去皮、──去欲、而遊于無人之野」
あらひすすぐ。左、襄二一「在上位者、──其心」
心がさっぱりとする。書言故事「舂陵周茂叔、人品甚高、胷中──、如光風霽月」=灑落。
肅恭 ウヤウヤシクツツシム なる貌。禮、玉藻「君子之飮酒、受一爵、而色──也」
○おどろく貌。史、范睢傳「羣臣無不──變色易容者」○一解に センゼン 敬肅の貌。=洒如 センジヨ
ジ ニ [支]
○溫 ヌル き水、ゆ。○漣─は涕の流れる貌。○にる(煮)
シウ ス [尤]
○す、しま、砂がもりあがりて成りたる島にて、水中居るべき者。詩、關雎「在河之─」なぎさ。○くに、地球上の大陸「五大─」○十─·瀛─は仙人の居る所。
す。鮑照詩「孤雁集──」
なぎさ。杜甫詩「風生──錦帆開」
しま。韋述詩「迢遞望──、逶迤亙津陌」=洲島。
水のほとり。すと、うらと。漵は水浦。高啓、松江亭詩「綿綿──平、莽莽葭菼積」=島漵。
しま。元結、石魚湖上醉歌「山爲樽水爲沼、酒徒歷歷坐──」
沙にて成るなぎさ、す。楊炯文「竹樹在──之外」=洲渚·汀洲。
國 ○砂地、凸凹せるはま。○洲濱臺の略。結婚式に用ふる島臺 シマダイ 蓬萊。○餠菓子の名。
シン [眞]
○つ、わたしば(渡頭)論、微子「問─」○みなと、ふなつき。○きし、がけ(厓)○うるほふ(潤)○しる(液汁)「─液」つば(口中液)○──はあふれる(溢)○天─は地名、直隸省に屬す。○─貼は財を以て人の不足を補ふ、潤益する義。
よだれ〔病源論〕
つば。素問「爲胃行其──」=唾液。
わたしば。驛は陸上のうまつぎばに比していふ。錢起詩「夜火臨──、晨鐘隔浦城」
わたしぶね。張綰、龍樓寺碑銘「彼岸何遠、──絕濟」=津船。
ふなつき、船をつける岸。書、微子「若涉大水其無──」
わたしばのきし。魏志、公孫衍傳、注「周賀浮舟百艘、沈滯──、貿遷有無」=渡頭·津驛·津渡。
わたしばのみち。齊書、李安民傳「絕其──」
わたしもり。莊子「──操舟若神」
多くしてあふれる貌。莊、庚桑楚「其中──乎猶有惡」一說に惡しき貌。又、言の味ある義。
わたしばのきし。于濆詩「巨浸無──」=津涘·津涯。
つばき。=津液·唾液。
ふなつきば。齊書、蕭子良傳「脅遏──、恐喝傳郵」
此方のわたしばより、對岸のわたしばに船にて行く。逮は至り及ぶ。水經、注「世人罕有──者」
わたしばにあるみせ。高啓詩「啇鼓喚──」=梁肆。
わたしば。孟浩然詩「湖平──闊、風止客帆收」
舟渡しを業とするわらべ。張說詩「──夜櫂舟」
わたしば。杜甫詩「休向──問去程」
○わたしのいかだ。韓愈詩「開張篋中寶、自可得──」○轉じててびき、案內の義とす。=津梁。
○わたしと、はしと。後漢書、蓋延傳「北度泗水、破舟檝、壞──、僅而得免」○佛が人を濟度する義とす。世說、言語「庚公見臥佛曰、此子疲於──、於時以爲名言」○事を爲すにたよりとなるもの、はしわたし、案內、階梯などの義とす。○水を渡り陸を行く義より、奔走の意に用ふ。
國 國のすみずみ、到る所。=率土之濱。
シユ ス [虞]
川の名、泗水の支流、山東省に在り。
魯國の二川の名、孔子其のほとりにて弟子を敎ふ、よりて孔子の學の義とす。史、孔子世家「孔子設敎──之上、修詩書禮樂、弟子彌至」=泗洙。
孔子の學、前條を見よ。盧象詩「人歸───、歌盛舞雩風」
シユン ジユン [眞]
○うづまくみづ。○まこと、まことに(信)詩、鄭風「─美且都」○とほし(遠)○ひとし(均)○─涕 シユンテイ はこゑを岀さずして泣く。魯語「無─涕」
同訓異義
マコトニ 洵·信·眞·誠·固·實·允·良·諒·苟の別は信(人部七畫)の條を見よ。
①ジョ [魚]
②ジョ [御]
①川の名、直隸省に在り。
②水にひたり濕ふ(漸濕)又、其の地。詩、魏風「彼汾沮─」
①セン [銑]
②セイ·サイ [薺]
①あらふ、足をあらひすすぐ(洒足)○きよし、いさぎよし(潔)
②すすぐ、きよむ。○たらひの類、みづこぼし(棄水器)儀禮、士冠禮「設─于東榮」○─禮は基督敎 キリストケウ にて信者になる者に施す儀式、今までの罪惡をあらひ去る意にて信者の頭に水を灌ぐもの。=浸禮。
ゐぶくろをすすぎきよむ、改心する義。南史、荀伯玉傳「吞刀刮膓、飮灰──」
あらひてひのしをかける。文同詩「淨若新──」
罪なきを明らかにしてゆるす。唐書、蘇頲傳「騐發其誣、多從──」
きずを淸め去る。唐書、吳武陵傳「滌垢──、以倡四海」
洗兵に同じ。宋史、樂志「覆孟連瀚海、──挽天河」
きもをすすぎきよむ。心をさっぱりと淸める。蘇軾詩「江水洗我肝」=洗心。
目をあらふ。章孝標詩「馬頭漸向揚州郭、爲報時人──看」
あらひけづる。蘇軾詩「豈效世俗人、──求瘢痍」
俗 顏面をあらふ。
さとす。又、さとる。十六國春秋「──矇俗」
さかづきをすすぐ。蘇軾詩「──酌鵞黃」
けがれし事を聞きし耳をあらひきよむ。堯が許由に天下を讓らんとせしを許由聞きて耳を洗ひし故事。七啓「河濱無──之士、喬嶽無巢居之民」
心をあらひきよむ。易、繫辭「聖人以此──、退藏於密」
あらひ淸める。
陰曆七月七日の雨〔田家五行雜占〕
雞冠花 ケイトウクワ の異名。東京夢華錄「十二月街巿盡賣───」
さっぱりとしたる貌。梅堯臣詩「靜坐人已眠、我慮久──」
あらひぬぐひて淸くする。白居易詩「──金杯拂玉徽」
あしをあらふ。梁宣帝賦「馮怪石而爲枕、因滄浪而──」
あらひすすぐ。はぢをすすぐ。後漢書、段熲傳「──百年之逋負、以慰忠將之亡魂」
あらひ去る。唐書、馬總傳「磨治──、其俗一變」
あらひ去る。王鏊詩「一雨終夜鳴、殘暑歸──」
あらふ。東坡集「何時復見一──乎」=洗滌。
竹をすかす、卽ち竹の繁き枝を去りて疎にする。學山錄「唐詩、有──之言(中略)穿沐叢竹、芟其繁亂、不使分其勢、然後枝幹茂擢、俗謂之──」
あらふ。南史、何佟之傳「性好潔、一日之中、──者十餘遍」=洗濯。
洗はあらひて潔を致し、腆は厚きを致す、饗儀を鄭重にする。書、酒誥「厥父母慶、自──、致用酒」
太子の宮の屬官、行列の前驅を掌る、洗は先。漢書、百官表「太子屬官有──」=先馬。
ふでをすすぎ淸む。白孔六帖「白樂天每一詩成、輒洗其筆」
兵器を洗ひてをさめる。戰をやめる義。說苑「散宜生曰、此妖也、武王曰、非也、天──也」杜甫、洗兵馬行「安得壯士挽天河、淨洗甲兵長不用」=洗甲。
髮あらふ、官吏の休暇を賜りて家に歸る義。漢書、萬石君傳「每五日──、歸謁親」
身をあらふ。佛國記「入池──」=沐浴。
セン [霰]
荐·薦に通ず
しきりに、たびたび、相仍 ョ る、ふたたび(再)易、坎卦「水─至」
同訓異義
シキりニ 洊·頻·連·仍·累·切の別は仍(人部二畫)の條を見よ。
しきりに至る年、幾年もつづく。王融、策秀才文「中產闕──之貲」
タウ [豪]
○川の名、蒙古より岀で、甘肅省を經て黃河に入る。○手·顏などをあらふ(盥)きよむ、あらひすすぐ。
あらひきよめる。後漢書、陳元傳「──學者之累惑」=洗濯。
①トウ [送]
②トウ [董]
通音ドウ
①ほら、ほらあな(深穴)うつろ「─穴」「─窟」○ふかし(深)○とくながれる(疾流)○とほる(通)通達する、さとり知る。○ほがらか(朗徹)「─豁」○つらぬく、つきとほす(貫徹)「─胸」○──はまじめでまこと(質愨)○蠻獠 エビス の所在地。唐書、馮盎傳「諸─獠叛」=峒。○─庭は湖名、湖南岳陽縣の西南に在り。
②──は無形の貌。又、すなほ(婉順)なる貌。又、驚きつつしむ貌。
ひろくひらく。宋史、太祖紀「汴景新宮成、御正殿坐、令──諸門」=洞闢。
たに。曹植、七啓「背──、對芳林」=谿壑。
よろひをつらぬく。南史、蔡道恭傳「所中皆──飮羽、一發或貫兩人」
つらぬきうごかす。郭璞、十日讚「謂──天神懸符」
明かにきはめる。元史、張文謙傳「──術數」
道士の居るてら。楊巨源詩「──曾向龍邊宿」=道院。
むねをつらぬきうがつ。司馬相如、子虛賦「──達掖」
ほらあな、いはや。柳宗元、松說「風岀──」=洞穴。
ほがらかにひろし。呂令問賦「公府──、羣木羅生」=洞敞。
つらぬく。吴志、魯肅傳「矢皆──」
明かにうがちさとる。宋史、丁謂傳「圖畫博奕音律、無不──」
ほらあな。揚雄、羽獵賦「入──岀蒼梧」=洞窟。
みとほす、みぬく。=洞察·洞視。
○婦人のへやの出入り口。後漢書、梁冀傳「連房──、柱壁雕鏤、加以銅漆」○ほらあなの口。顧況詩「──谿窗一冥寂」=洞門。
洞見に同じ。
明かにてらす。何承天文「黃暉──、宇宙開朗」
簫 フエ の底なきもの、洞は通、尺八の類。漢書、元帝紀贊「善史書鼔琴瑟、吹──」前赤壁賦「客有吹──者」
うがち通ずる。酉陽雜俎「目可──陰陽」=明澈。
心をうがち見る。周邦彥、汴都賦「寳鑑──、神犀照浦」
湖の名、今の湖南省に在りて、支那第一の大湖。史、吳起傳「昔三苗氏左──右彭蠡」李白詩「──西望楚江分」=九江。
酒の名。蘇軾詩序「安化郡王以黃柑釀酒、謂之────」
洞庭湖は深くとも、之を恃むときは敗北する。左思、魏都賦「劍閣雖嶛、憑之者蹶、非所以深根固蔕也、────────、非所以愛人治國也」
うがちとほす、明かにさとる。白居易詩「淺深皆──、可照腦與肝」
天下の名山勝境、神仙の居る所の稱。仙經に三十六洞天、七十二福地ありといふ。
まじめにまこと、質愨なる貌。禮、祭義「──屬屬然、如不勝」屬屬は專一の貌。
深く奥まりたるへや。沈約詩「凝華入黼帳、淸暉懸──」轉じて婦人のへや。
婦人のへやに燈火がうつくしくかがやく。庚信詩「────明、燕餘雙舞輕」轉じて婚姻の宴の義とす、花一に華に作る。
明かにわける。宋史、趙普傳「賢愚──、玉石殊致」
廣くひらく。三朝聖政錄「太祖修大内旣成、令──諸門」=洞開。
明かにほがらか。雲笈七籖「──幽虛、無毫不彰」
ハイ ヘ [卦]
通音ハ
○わかれる、わける。○わかれまた、えだがほ(水分流)「分─」○學問·宗敎·技藝などのわかれ「學─」「黨─」「流─」「宗─」
わかちひく。金史、禮志序「凡事物名數、支分──、珠貫棊布、井然有序、炳然如丹」
諸方へ手わけしてつかはす。=派差。
手わけして出す「──所」
わかれわかれになる。左思、吳都賦「百川──、歸海而會」
フク [屋]
○めぐりながれる(囘流)「湍─」○かくれながれる(伏流·潛流)○みなと(水泊)「太子─」「魯家─」
めぐりながれる。又、かくれながれる。杜甫詩「──何處入」
①ヤウ [陽]
②シャウ [陽]
①大いなる海「海─」「大─」○おほし(多)○ひろく大いなり(廣大)○──はひろがる、はびこる、充滿する。又、衆多なる貌。盛大なる貌。又、善美なる貌。又、魚がゆったりと尾を搖かす貌。又、ただよふ、歸する所なき貌。○さまよふ、徉と通ず。○外國の稱「東─」「西─」○ 國 西洋「─學」「─食」「─語」
②漢水に入る川の名。
西洋人をいやしみていふ語。
滿ちてあふれる貌。中庸「是以聲名、──乎中國」
○ 俗 支那に在る外國人の大商店。○ 國 西洋に行く。
○西洋風のよそほひ、西洋の服裝。○洋本じたて、洋書の裝釘。
西洋のかさ。= 國 蝙蝠傘 カウモリガサ
國 外國人のめかけとなる女、羅紗綿 ラシヤメン
水みちてながれる。又、其の水流。許敬宗、小池賦「通三徑之──」
俗 金巾 カナキン
あまねく行きわたる。宋書、樂志「天人和同、恩澤──」
國 歐米のおもむき。=洋式·西洋風。
○西洋の書物。=洋書。○西洋本のとぢ方にとぢたる書物、洋裝の書物。
俗 海上。
○水の盛んなる貌。詩、衞風「河水──」○多くある貌。詩、魯頌「萬舞──」○善美なる貌。書、伊訓「聖謨──」○涯 カギ りなき貌。楚辭、大招「西方流沙、漭──只」○歸する所なき貌。楚辭、哀郢「──而爲客」
俗 鴉片 アヘン 支那產の鴉片を土藥といふの對。=洋葯。
ラク [藥]
○川の名、黃河の支流。○──は水の流れ下る貌。○つづく。=絡。○地の名、洛陽をいふ、今の河南省河南府。=雒。○ 國 京都の稱「上─」「─中」
洛陽に同じ。周の武王、殷の民を洛水の濱に遷して──を作り、之を東都といひしに始まる。
牡丹の異名。歐陽修文「──以穀雨爲開候」=洛陽花。
古、支那の帝王の都せし處。五代史、職方考「洛陽.梁·唐·晉·漢·周常以爲都、後唐爲──、晉爲西京、後周因之」=洛陽·洛邑。
洛水にて行ふみそぎ。劉孝威詩「皇儲遵──」
宋の程顥·程頣の性命理氣の學說。雲麓漫抄「紹熙尙程氏曰──」
洛陽をいふ、師は京師。書、洛誥「予淮乙卯朝、至于──」
洛水の神、宓妃をいふ。謝靈運文「招魂定情、──淸思、覃曩日之敷陳、盡古來之姸媚」洛神賦は曹植の作。
禹の時、洛水より出現したる神龜の背に有りしといふ九っの模漾、洪範九疇の根元となりしもの。易、繫辭「河出圖、洛岀書、聖人則之」
文章をつづけて讀む、洛は絡。莊、大宗師「副墨之子、聞諸──之孫」
宋の哲宗の朝に激しく爭ひたる政治上の黨派三っ、洛黨は洛陽の人程伊川の一派、蜀黨は蜀の人蘇東坡の一派(四川の名に因みて川黨ともいふ)朔黨は劉摯の一派〔宋史〕=元祐三黨。
宋の程伊川の黨。洛は洛陽。小學紺珠「元祐三黨、──程頣·賈易等、蜀黨蘇軾·呂陶等、朔黨劉摯等」
程朱の學派の稱。濂洛關閩の條參看。
○古の都の名、洛水の北に在り、故にいふ、洛京參看。史、呂不韋傳「食河南──十萬戶」=洛邑·洛師·洛京·西京。○ 國 京都の異稱。
牡丹の異名。羣芳譜「唐宋時、───冠于天下、故牡丹竟名───」=洛花。
○晉の左思が三都賦を作りし時、豪貴の人爭うて傳寫し、爲めに洛陽の紙の價が高くなりし故事〔晉書、文苑傳〕○轉じて著書の盛んに行はるるにいふ。
水の流れ下る貌。山海經「爰有淫水、其淸──」
リウ ル [尤]
○ながる、ながす、ながれ、流れ行く水「河─」「本─」」支─」「奔─」「濁─」孟、梁惠王「從─下、而忘反」○うかぶ。○根源なし「─言」○のぶ。○およぶ、およぼす(及·覃)しく(布)「─布」○つたはる「─傳」○ひく。○めぐる。禮、仲尼燕居「周─無不徧」○くだる、くだす(下)○うつる、うつり行く。孟、公孫丑德之─行」○かはる。○かたよる。○しまりがなくなる(無節制)禮、樂記「樂勝則─」○はなる、はなつ(放)○ちる。○─離はさすらふ、さまよふ。又困苦する。又鳥の名、梟 フクロウ ○はしる。○とる、えらぶ、もとむ。詩、周南「左右─之」○しまながし、刑罰の一「─罪」「配─」○流刑に處する。周語「乃─主於彘」○しな(品法)「品─」○たぐひ、ともがら「名─」「俗─」「羽─」「緇─」○すぢ。○─求は國名。=琉球。 國 ○りう、りうぎ、特別の方式「山鹿─」「遠州─」○ながれ、子孫。又、其のままやめになること、立ちぎえ。又、質物が約束の期限を經過して質屋の所有となる。
次位に位する人。又、同類。晉書、桓溫傳「孫仲謀、晉宣王之──也」=亞流。
みだらなるはやりうた、淫靡なる流行ぶし〔張衡、七辯〕
晚春にここかしこと飛びうつりて亂れ鳴くうぐひす。張說詩「繞殿──凡幾樹、當蹊亂蝶許多叢」
川のながれに沿へる一帶の土地の區域。
度にすぎて行がみだれる。荀子「士大夫無──之行」
弘く傳へうたふ。晉書、康獻褚皇后傳「謳歌──、播溢無外」
光をながす。西都賦「翡翠火齊、──含英」
うつりかはる。潘岳詩「荏苒冬春謝、寒暑忽──」=變遷。
廣くのべ布く、つたはりはびこる。後漢書、桓帝紀論「五邪嗣虐、──四方」
他方にさすらひてうゑる。說苑「官無腐蠧之藏、國無──之民」
○たなびきうごくもや。舊唐書、劉洎傳「──成彩」○仙人の飮む美酒の名。抱朴子「石曼卿言到天上、仙人但以──一杯與我飲之、輒不飢渴」
○あまねくゆきわたる。孟、公孫丑「德之──、速於置郵而傳命」○はやる、はやり「──病」
あまねくうるほす。漢書、食貨志「王德──、禮樂成焉」=浹洽。
あせを流す、流れる汗。漢書、王莽傳「未嘗不──而慙愧也」
すてられてさまよふ。新序「齊有婦人、極醜無雙、號曰無鹽女、行年三十、無所容入、衒嫁不售、──莫執」
すぎ去り易き光陰。劉希夷詩「相歎惜──」
學問藝術等の特別のかた、流派。
琉球〔柳宗元、嶺南節度饗軍堂記〕北史に──國傳あり。
暑氣の甚だしきにいふ。淮南子「大熱鑠石流金、火弗爲益其烈」
炎暑のはげしきをいふ。莊、逍遙遊「大旱金石流、土山焦而不熱」
流罪に處する。又、其の刑、殛は罪。後漢書、梁統傳「五帝有──權竄之誅」
あたたかき氣をただよはす。李嶠表「杲日──、嚴霜不凋」
他鄕にさすらひすむ。周書、庾信傳「南北──之士、各許還其舊國」=漂寓。
○西に流れ下る火星(火星の正南に在る時は極暑)詩、豳風「七月──、九月授衣」○轉じて陰曆七月の稱。
よりあひがおながれになる。
○過ぎ行く日かげ。李白詩「逝川與──、飄忽不相待」=流年。○波に隨ひて流れる月光。赤壁賦「擊空明兮泝──」
あや、綵。古樂府「大婦織綺羅、中婦織──」
水のながれる池。阮籍、東平賦「──餘溏、洋溢靡之」
それだま。懲毖錄「──中舜臣左肩、血流至踵」=流彈。
國事犯の刑、島地にうつして定役に服せしめざるもの。
世上に流行せる種種の形、卽ち森羅萬象。文天祥、正氣歌「天地有正氣、雜然賦──」
此處彼處とあるきまはりていこふ。陶潛、歸去來辭「策扶老而──」
風にまかせてとぶほたる。王筠詩「──漸收火、絡緯欲催機」
ながれるち。ちをながす。次條參看。
戰死者の甚だ多きをいふ。戰國策「屠四十餘萬之衆────、沸聲如雷」
戰爭がはげしくして流れる血が杵 キネ の如き重きものをもながす。一說に杵は鹵卽ち楯〔孟、盡心〕
根源なきうはさ、ねなしごと。書、金縢「──於國」荀、致士「凡──·流說·流事·流謀·流譽·流愬、不官而衡至者、君子愼之」=蜚語。
流言は智者の前に至りては行はれず。荀、大略「流丸止於甌臾、──────」
流亡せる民の戶口。唐書、殷侑傳「以仁惠爲治、歲中──襁屬而還、」
うはさ、いひふらす。鶡冠子「絕──」元稹詩「──翻波濤」=流言。
すゐぎん。蘇軾詩「白鹿泉頭山月出、寒光潑眼如──」
支那の西方なる大いなるすな原、卽ち戈壁 ゴビ の沙漠。書經「西被于──」
ながしころす。漢書、元帝紀「潁川水出、──人民」
さすらふ。又、其の者。後漢書、虞詡傳「綏聚荒餘、招還──」
胎兒が月滿たずして死んで生れる。=半產·小產。
罪によりて遠地にながす。冊府元龜「管內多──者子孫」
ばらばらとふるあられ。賈至詩「日暮河上雲、蕭蕭若──」=飛霰。
それや。司馬相如文「觸白刃、冒──」=流箭。
人民がいくさなどのために他方にあちこちとうつりさまよふ。劉基詩「維時連年歉、道路多──」
あとかたもなきことがら。荀、致士「流言流說──」注「流者無根源之謂」
冰がとけて流れる。楚辭「──紛兮將來下」=流冰。
水にながされてなくなる。
○他國にさすらふる人。莊、徐無鬼「越之──、去國旬月」○ リウジンルニン 流刑に處せられし人。孟浩然詩「江嶺作──」
ひろくつたへてとなへる。水經、注「役夫──」
陰曆三月三日に曲水に杯を流し、其の杯の己が前に來らぬ中に、詩を作る故事。王羲之、蘭亭集序「此地有崇山峻嶺茂林脩竹、又有淸流激湍、映帶左右、引以爲────」
ながれいづ。
○ながれるみづ。詩、小雅「沔彼──、朝宗于海」○物の速かなるに喩ふ「光陰如──」後漢書、馬皇后傳「車如──、馬如游龍」
音調の高妙なるをいふ。列、湯問「伯牙鼔琴、志在流水、鍾子期曰、善哉洋洋兮若江河」李白詩「愧非───、叨入伯牙絃」
常に運動する者は腐朽せざるに喩ふ。呂覽「────、戶樞不螻」
飛ぶははきぼし。漢書、李尋傳「隕星──」
○よばひぼし。史、樂書「甘泉常有──」○古の寶劍の名、光が流星に似たるが故。古今注「吳有寶劍六、四曰──」揚炯詩「赤土──劍」
ふり上げたる名刀の下○賴襄詩「────逸長蛇」
ながれゆく。詩經、疏「如川之──」
るらぅしてやせおとろへる。又其の者。唐書、白居易傳「乞盡免江淮兩賦、以救──」
ながれもる。陳師道文「──不時、盈溢千里」
うはさ、ねなしごと。呂覽「至治之世、其民不好淫學──」=浮說。
水の流れる如くむさぼりすする。曲禮「毋放飯、毋──」
あまねくうるほふ。崔駰、北巡頌「聖澤──、黎元被德」=流洽。
しきのべる。舊唐書、懿安皇后傳「──陰敎」陰敎は女の敎。
十分にあまりあり。宋史、樂志「遹求厥寧、福祿──」
それや。後漢書、劉表傳「孫堅爲──所中」=流矢。
よだれをながす、深く羨む義。杜甫、飮中八仙歌「道逢麹車口──」
さいはひを廣く及ぼす。廣く及ぶさいはひ。唐書、高郢傳「延福──、永永無窮」
五彩の絲を雜へて旌旗又、幕につけるふさ。張衡、東京賦「飛──之騷殺」晉書、衞恆傳「或縱肆阿那、若──懸羽、靡靡綿綿」
ながれあつまる。白虎通「恩愛相──也」
○世俗のならはし。禮、射義「不從──」○世俗の人。成公綏、嘯賦「愍──未悟、獨超然而先覺」=俗人。
此處彼處とわたり步くぬすびと。明史に──傳あり。=流寇。
ながれめぐる。郭璞賦「川瀆交錯、漁瀾──」
ながれると、とどこほると。韓詩外傳「萬物羣來、無有──、以相通移」
氣體と液體との總稱。
遠く遊びまはる。蜀志、許靖傳「自──以來、與羣士相隨」=遠游·流蕩。
それだま。閩書「張德爲──所斃」=流丸。
すらすらとして滯りなし。南史、徐湛之傳「善尺牘、音辭──」
○ながれかよふ。三國志「血脈──」○貨物が諸方へ送り出される。鹽鐵論「大農開利、百脈萬物──」
なみだをながす。ながれるなみだ。戰國、燕策「──有頃而後言」
ながしめに見る。張衡詩「微眺──」李益詩「斜光動──、此意難自持」=流眄。
世にひろく布きわたる。郭受詩「新詩海內──遍」
極めて迅速なる喩。李白詩「時光疾──」
ながれうごく。梁昭明太子文「生滅──、無有住相」
氣體及液體の總稱。
害をながす。又、其の害毒。六韜「太公曰、夫紂、──諸侯、欺侮羣臣」
過ぎ行くとしつき。杜甫詩「鬱鬱──度」=流光。
美くしき目にてながしめに見る。宋玉賦「望余帷而延視兮、若──之將瀾」
わかれながれる。又、えだ、わかれ。張文宗、水詩「──表靈長」=支流·流儀。
諸葛孔明の發明せし馬の形せる輜重車。蜀志、諸葛亮傳「亮性長于巧思、損益連弩木牛──、皆出其意」
つたはりしく。中論「仁愛普殷、惠澤──」
さかづきをながす。曲水の宴にて流すさかづき。杜牧詩「且環流水醉──」=流觴。
同じなかま。北史、賀若敦傳「顧其──、皆爲大將」王禹偁詩「──多相許」
一定の住居なくさまよふ。又、其の者。禮、射義「夫君臣習禮樂、而以──者、未之有也」漢書、食貨志「農人所以──」=亡命。
芳名を後世に殘す。晉書、桓溫傳「旣不能──後世、不足復遺臭萬載耶」
流罪に處す。書經、傳「故──之幽州」=流竄。
さまよふ。陸游詩「──祁連山」=飄泊。
ながしめに見る。張昱詩「──星光動」=流眄。
あまねし。潘岳詩「害咎蠲消、吉德──」
先人の殘し置きたる美風。孟、公孫丑「其故家遺俗、──善政、猶有存者」
わきてながれ出る。蔡邕文「累葉相繼、六十餘載、火熾──、浸以不振」
ひろくつたはりきこゆ。又つたはるうはさ。高允文「先王之道、光演于明時、郁郁之音、──于四海」
流れるうきくさ。楊炯賦「觸──而欲散」
前より傳はる惡事。晉書、成帝紀論「帝亦克儉于躬、庶能激揚──者也」
ただよふ、さすらへる。晉書、載記「慕容盛、幼而覉賤──」
さすらへる。飄は漂。鸚鵡賦「──萬重」=流浪。
流派によりて別ける。晉書、摯虞傳「撰古文章、類聚區分爲三十卷、名曰──集」=類别。
ながしめに見る。阮籍詩「──顧我旁」=流盼。
流亡に同じ。韓愈文「──四歸、樂生興事」
ながれはしる。晉書、董京傳「末世──、以文代質」
ながれるあわ。淮南子「人莫鑑於──」
一定の居所なく流浪する民、流亡の民。漢書、食貨志「昭帝時、──稍還田野益闢、頗有畜積」
酒にふけりおぼれる。漢書、谷永傳「──媟嫚、溷殽無别」
目をあちこちと移して見る。李白詩「──浦烟夕」
物を諸所にうつしはこぶ。鄒陽文「轉粟──、千里不絕」
融通して用ふる。
故鄕を去り、さすらひて人の爲めに雇はれてはたらく。又、其の人。漢書、昭帝紀、注「──、謂去其本鄕、而行爲人庸作」
前條に同じ。漢書、昭帝紀「民匱于食、──未盡」
おちぶれる。李白文「白隴西布衣、──楚漢」=流浪·落魄·飄零·零落。
處處を見まはす。魏文帝詩「──觀四海、茫茫非所識」
筆法又文詞などの流れ動きて凝滯せざる義。宋史、律歷志「婉約──」
○居所を失ひて諸處にさまよふ。漢書、劉向傳─物故──以十萬數」=流浪。○鳥の名、梟。詩、邶風「瑣兮尾兮、──之子」○寶石の名、琉璃 ルリ に同じ。漢書、西域傳「罽賓國出──」
なみだをながす。魏書、楊椿傳「帝下御座、執椿手──曰、公先帝舊臣」=垂淚·墮淚·流涕。
のびのびとしてうるはし。蘇軾詩「端莊雜──、剛健含婀娜」
○遊行にふけりて家にかへるを忘れる。孟、梁惠王「先王無──之樂、荒亡之行」○ 國 ゐつづけ、遊女屋にとまりて日を送る。
なみだのながれる貌。陸瑜賦「引調奏而涕──」
すっかりとあらはれる、かくさず眞相を示す。
遠地に放ちやる刑。しまながし。五代史、梁大祖紀「赦──以下囚」=流刑·流殛。
佛 人事の轉轉止まざるにいふ。華嚴經「一切衆生界、──生死海」=流離轉變。
世にひろまる。雲笈七籤「四體皆──」南史、沈炯傳「時有文章、隨卽棄毀、不令──」=流傳。
ながれただよふ、あちこちとさすらふ。鮑照詩「──漸冉經三齡」=流離·流飄。
○流水をくむ。○ 國 其の人の流儀をまなぶ。
川をまっすぐによこぎりてわたる、流を絕ちてわたる。
○まけ惜みの强き義に用ふ。孫楚才藻卓絕なり。少き時、王濟に謂ひて、當に石に枕し流れに漱がんと欲すといふべきを誤りて、────といふ。濟其の誤りたるをいへば、枕流は耳を洗ふ所以、漱石は齒を礪 ミガ く所以なりと答へし故事〔晉書、孫楚傳〕○ 國 サスガ 孫楚の答さすがに巧なリといふ意によリて、サスガの宛字 アテジ とす。
國 なるほどと感じうなづく意味を表はすことば。心に思ひし通り果して、本分に違はず。前條を見よ。
國 古の武藝の一、馬を馳せながら鏑矢 カブラヤ を的に中てる競爭の武技。
レツ [屑]
○きよし、水又酒などが淸くすむ「淸─」歐陽修、醉翁亭記「泉香而酒─」○さむし、ひややか。
さむきかぜ。宋玉、高唐賦「──過而增悲哀」
7畫
イフ·オフ エフ·オフ [緝]
○うるほふ。うるほす(濕)「厭─」○ひたる。ひたす(漬潤)
同訓異義
ウルホス 浥·濕·潤·澤·沾·濡の别は濕(水部十四畫)の條を見よ。
①イウ [尤]
②テキ [錫]
①── イウイウ は水の流れる貎。
②── テキテキ はすみやか(速)なる貌。又利を欲する貌。
○速かなる貌。易、頤卦「其欲──」○利を欲する貌〔漢書、敍傳〕○ イウイウ 水の流れる貌〔楚辭、大招〕
カイ [賄]
○うみ、わたつみ(天池)○物事の衆く聚る所の義とす「文─」「學─」「歌吹─」○廣く大いなる形容「─容」「─涵」
船舶の船長以外の乘組員の稱。
海內の國土、宇は?。陳傅良詩「──正無塵、草木亦煥赫」
海上の運漕。元史、食貨志「──自世祖用伯顏之言、歲漕東南粟、由海道以給京師」
海魚の一、えのうを、あかえひ。=鱏。
海潮をとめるせき。元史、良吏傳「豪民瀕──、專商舶以射利」
○海のしほ。史、貨殖傳「吳東有──之饒、章山之銅、三江五湖之利、亦江東一都會也」○地名。漢書、地理志「會稽郡、縣──、故武原鄕、有鹽官」
うみのかもめ。謝靈運詩「──戲春岸、天雞弄和風」
うみべにある小さきみなと。元史、世祖紀「走──」
○みさき、細長く海中につき出たる地。○海のすみ。白居易詩「──天涯徧始休」=海隅。
監の專賣。又、其の鹽。揚維楨詩「亭丁焦頭燒──」
○うみと、やまと。柳宗元、乞巧文「乾坤之量、包含──」○大恩に喩ふ。羅隱詩「恩如──何時報」=海岳。
ひろく人を容れる、涵は容。王僧孺文「陛下──春育」蘇軾、潮州謝上表「天覆羣生、──萬族」=海函·海容。
うみのき。韓愈詩「──昏昏水拍天」張子容詩「──朝成雨、江天晚作霞」
一種の貝の名。嶺表錄異記「──如蚌、中有紅蟹子、小如豆」
○うみの隅 クマ =海阿·海隅。○しま。書經、傳「──謂之島」
うみのくま。書、益稷「帝光天之下、至于──蒼生」=海阿·海陬·海曲。
海上の軍艦及沿海の兵備に關する一切の總稱。陸軍の對。
四海のそと、卽ち外國。詩、商頌「相土烈烈、──有截」
海路による輸出入品に課する稅、海關は開港場にある稅關。
海峽に同じ。
○海上の月。張說詩「──伴行舟」○くらげの異名。海面に浮游する腔腸動物の一。=水月·水母·海舌。
二っの大陸地にはさまれたる海のせまき所、せと。=海門·海頸。
うみがめ。廣雅「──、大一畝、重千鈞」
膃肭臍 ヲツトセイ の異名。
海に近き國。又、海中にある島國。殷堯藩詩「──微茫散曉暾、鬱葱佳氣滿乾坤」
水戰に用ふる舟の名。類說「越人水戰有──」
うみのいかだ。宋之問詩「秋來見──」
うみぎは。吳均詩「白雪浮──、明月落河濱」
せいうち、北海に產する海獸の一、上腭より二本の大いなる牙が下垂する。
うみのも。本草「綸布、一名昆布、東海有之、其葉細者、──也」
いりこ(熬海鼠)海鼠 ナマコ を煮て乾したる食品。
魯國領の港、ウラジホストツク卽ち浦汐 ウラジホ =海參衞。
水蒸氣の作用によりて海邊などの空中に城巿人馬などの現るるをいふ。隋唐遺事「李湛曰、此──蜃樓比爾、豈長久耶」=蜃氣樓。
海上にてする仕事。韓愈、南海神廟碑「且不習──」
○くぢら。海槎餘錄「──乃水族之極大、而變異不測者」=鯨魚。○兵船の名。宋史、虞允文傳「官軍亦以──船、衝敵舟」
うみに住むけもの、獸は哺乳動物をいふ。宋史、五行志「紹興八年、廣西海壖有──如馬、蹄鬣皆丹」
海上の日。曹唐詩「天上鷄鳴──紅、靑腰侍女掃朱宮」
○すなどりを業とする者、あま。述異記「東海有牛魚、其形如牛、──採捕」○海中の怪物、海坊主 ウミバウズ 南史、倭人傳「倭國西南萬里有──、身黑眼白、裸而醜、其肉美」
うみのまんなか。蕭貢、日觀峯詩「洪波萬里兼天湧、一點金烏出──」
うみのかみ。三齊略記「始皇于海中、作石橋、──爲之豎柱」
海魚の一、えらぶうなぎ。
○らみのおもて。=海面。○海の上のそら。=海天。○ふなぢ。=海路·航路。
航海中に起る難船等の損害を償ふ約束を結ぶ保險。
國 海軍大臣の異稱、相は宰相。
海を航して商ふ人。王建詩「草巿迎江貨、津橋稅──」=海賈。
うみの神。楚辭、遠遊「令──舞馮夷」單に若ともいふ。莊、秋水「河伯向若歎」
みるめ、みる、うみまつ、海中の石に生ずる一種の海草。
衞生又娛樂のため夏期海に入りて水をあびる。
海岸に同じ。江淹詩「且汎桂水湖、映月遊──」
海の底の鳴る羲、俗につなみ(海溢)の義とす。楊愼、古今諺「山擡風雨來、──風雨多」
夕しほ。吳子孝詩「──魚龍夜、仙官日月臺」
海月 クラゲ に同じ。
ほたてがひ(帆立貝)本草「車渠一名──、海中大貝、其形如扇」
海上のいくさ。陸戰の對。
なまこ、棘皮動物の一、骨なく鱗なく、背に疣 イボ あり。=沙噀·海蛆。
うみのはて。楊萬里詩「動地驚風起──」=海隅。
海上にて船舶を襲ひてぬすみをするぬすびと。
うみのも。又、のり。南越志「海藻、一名──」
國のうち。戰國策「今欲幷天下、凌萬乘、詘强國、制──、子元元、臣諸侯、非兵不可」=天下。
海中のしま。史、田儋傳「請爲庶人、守──中」左思、魏都賦「洗兵──、刷馬江洲」=海陽。
花樹の一。本草「──花不香、惟蜀之嘉州者有香而木大、有黄──花黄、貼梗──花小而鮮、垂絲──花紛紅向下」
うみをそ、あじか。虞衡志「──生海中、似獺而大、毛著水不濡」
舜の時の十二州の一、海より岱泰、卽ち泰山までの閒の地、古の靑州、今の山東省地方〔書、禹貢〕
こんぶ。流球國志略「───、一名昆布」
○海にそひし地方の街道。○ 國 東海道の略語。山道の對。
うに(雲丹)海產の棘皮動物の一、其の卵巢を雲丹 ウニ といひて食用とす。=海栗。
海の深淺·暗礁 アンセウ の位置·潮流の方向などをしるしたる圖。
うみのそこ。宋史、仁宗紀「登州地震、岠嵎山摧、自是屢震、輒──有聲如雷」述異記「珊瑚樹碧色、生──、一株十枝」
うみのそこに沈めて設けし電信線。=海底電信線。
うみの上のみちのり。海上里程。
○海のとり。○海に棲む一種の大いなる鳥。爾雅「爰居雜縣」疏「爰居──也、大如馬駨一名、雜縣、漢元帝時、琅邪有之」魯語「──曰爰居、止於魯東門之外二日」李白詩「──知天風、竄身魯門東」
○海上のそら。遜逖詩「雲從──去、日就江村隕」○うみと、そらと。
海邊のまちはづれ。孔稚圭、北山移文「張英風于──」
わたつみ。木華、海賦「──邀路、馬銜當蹊」
いるか、海獸の一、形鯨に似て、肉は食用とす。
海上の日の出。周權詩「──紅處謁仙山」
日中に海上より陸地の方に吹き來るかぜ。
○たつのおとしご、海產の小魚の一、其の頭馬に似、直立して游泳す。○にんぎょ、海獸の一、體長丈餘、灰蒼色にして脊鰭なく、肉は食用とす。=儒艮 ジユコン
海外のくに。隋書、樂章「業弘營土、聲被──」
海岸の防備、敵艦の來寇を禦ぐ設備。
梅防の任務にあたる軍艦、喫水淺く防禦力の强きもの。
うみべ、旁は傍。史、天官書「──蜃氣象樓臺」=海濱·海畔。
海中に築きし砲臺。
國 海面よりの高さ。
うみぎし。書、禹貢、傳「碣石──山」=海濱·海堧。
うみのほとり、うみべ。=海邊·海旁·海畔。
うみべ、海水の厓。漢書、龔遂傳「──遐遠、不霑聖化」=海濱·海隅。
うみから吹き來るかぜ。李益詩「天山雪後──寒」
うみより產する物、海產物。書、禹貢「厥貢鹽絺、──惟錯」
海外の土地。書、立政「天下至于──、罔有不服」=海外。
あざらし、北海に產する海獸の一、短小にして蹼 ミヅカキ のある肢を有し、毛は蒼黑にして光澤あり。
海濱に同じ。
はも(鱧)海魚の一、うなぎに似て脊部は黑褐色。=海鰻鱺。
海より得る食物、卽ち魚貝など。齊書、虞悰傳「會稽──、無不畢致」
海中に生ずる一種の下等動物、其の綿狀の骨骼を精製して沐浴醫療等に用ふ。
海峽に同じ。
海の如く廣き心を以て罪をゆるす。=海涵·海函。
のり。南越志「海藻、一名海苔、或曰──」
國 鰕 エビ
國 琵琶 ビハ 三味線の棹の端の後方に曲れる部分の稱、形の似たるが故、えびを。=匙頭。
梅上の里程、一緯の六十分の一、卽ち我十六町五十九閒四尺許、英語ノツトの譯。=浬·節。
哺乳動物の一、歐羅巴 ヨーロツパ 及北米の河邊に生息す、足に蹼 ミヅカキ ありて游泳する。
海水が赤道より極へ(寒流)極より赤道へ(暖流)一定の方向を取りて流れるもの。=潮流。
うみと、くがと。隋書、地理志「蘇州府、川澤沃衍、有──之饒」
なみだつ。蘇軾詩「天外黑風吹──、浙東飛雨過江來」
うみの神。魯靈光殿賦「雜物奇怪、山神──、寫載其狀、託之丹靑」
うみぢ。五代史、吳越世家「由──、入貢京師」
あじか、海獸の一、形海豹 アザラシ に似、體長二閒に至る。本草綱目「──出海島中、入水不濡」=海獺。
海に臨める樓屋。王昌齡詩「南越歸人夢──」李白、明堂賦「誇蓬壺之──、吞岱宗之日觀」
惑星中、太陽より最も遠きもの、百六十八年九箇月にて太陽を一周す。
度量の極めて大いにして行動の自由なる喩。古今詩話「─────、天空任鳥飛」
カウ [皓]
○大水の貌。○大いなり「─歌」「─歎」○ゆたか(饒)多し「─繁」「─博」○ひろし(廣)
大いに酒をのむ。黃庚詩「劇談──不知醉」=鯨飮·豪飮·暢飮。
聲たかくうたふ。劉峻賦「睨浮雲以搔首、臨淸風而──」=浩唱。
○大水の貌。書、舜典「懷山襄陵、──滔天」○廣大の貌。中庸「──其天」
ひろく大いなり、汗は廣。晉書、孫楚傳「三江五湖、──無涯」=浩洋。
○廣大なる貌。=浩洋。○書物の多き貌。文心雕龍、事類「載籍──」
浩然之氣の略。楊繼盛詩「──歸太虛、丹心照千古」
大いにして廣し。沈佺期詩「鬱然懷君子、──將如何」
○長き世。曹唐詩「甲子初開──長」=巨劫。○ 俗 人閒の大いなる災禍、佛家にて一劫中を成住壞空の四階級に分つを以て其の一部の破壞の義を取る。
大聲にてうたふ。陸龜蒙詩「──羲皇言」=浩歌。
水の廣く流れる貌。范仲淹、岳陽樓記「浩浩湯湯、橫無際涯」
ひろき土地。白居易文「宜輟材于──」
大いにしてしげし、穰は盛多、人民の多きをいふ。漢書、張敞傳「長安中──、於三輔尤爲劇」
○水の盛んに流れる形容。○轉じて盛大流行の貌、次條參看。○歸り去らんとする志の盛なるに喩ふ。孟、公孫丑「夫出晝而王不予追、予然後──有歸志」
浩然は盛大流行の貌。天地閒に流行せる正しき元氣。孟、公孫丑「我善養吾────、敢問、何謂────、曰、難言也、其爲氣也、至大至剛、以直養而無害、則塞于天地之閒」
○廣く大いなり。沈約賦「何斯願之──」○志のほしいままなる貌。楚辭、哀時命「志──而傷懷」
甚ださわがし。夢華錄「萬街千巷、盡皆繁盛──」
大いになげく。張九齡詩「──楊朱子、徒然泣路岐」=長大息。
廣くしてうつろなり。漢武內傳「九天──、太上耀靈」
水の廣き貌。水經、注「登高遠望、覩巨海之──」=浩洋。
ひろし。宋史、邵雍傳「汪洋──」
大いにしげし。舊唐書、齊幹傳「舟車輻輳、人庶──」
水の廣き貌、淼は大水。陳山毓、七夕賦「浮三湘之──、溯七澤之潾漪」=淼淼。
大いにしてはるかなる貌。渺は廣遠。宋之問詩「──浸雲根、煙嵐出遠村」=浩洋·浩緲。
廣く遙かなる貌。陳陶詩「十洲隔八海、──不可期」
○大いにして廣し。李白詩「客心不自得、──將何之」○衆多。新論「三軍──、則立表號」
水の廣大なる貌。淮南子「水──而不息」=浩汗·浩蕩·浩淼·浩渺·浩瀁·浩瀚·浩茫。
ひろくただよふ。阮籍賦「漫──而未靜」=浩洋。
水の廣大なる貌。瀁は洋。傅亮文「淵流──、莫測其端」=浩洋。
しげきつゆ。孟雲卿詩「扣船不能寢、──淸衣襟」
クヮウ [庚]
── クワウクワウ は水のわき上る貌。木華、海賦「崩雲屑雨、──汨汨」
クヮン [翰]
○あらふ、垢衣を濯ふ。すすぐ(滌)=澣。○十日の稱、古、十日每に官吏に休暇を賜ひ、沐浴せしめたるに由る「上─」「下─」=澣。
ゐぶくろをあらひ淸む。劉基文「──滌膓、絕去病根」
唐の杜甫の草堂の在る所。老學菴筆記「杜少陵在成都、有兩草堂、一在萬里橋西、一在───北」
成都の俗、毎年四月十九日、杜甫の浣花溪の草堂にて宴集す、此の日を───と名づく〔老學菴筆記〕
天門冬 テンモントウ の異名〔抱朴子〕
すすぐ。唐書、王士眞傳「數表請赦、乃詔、──盡以故地畀之」
あらひそめる。唐書、食貨志「代宗性儉約、身所御衣、必──至再三」
はらわたを洗ふ。史、扁鵲傳「兪跗治病、湔──胃、漱滌五藏」=洗腸·滌膓。
あらひすすぐ。史、萬石君傳「身自──」
あらひねる。本草「可以──衣服」
①ケイ [靑]
②ケイ [徑]
①とほる(通)莊、秋水「─流之大」○川の名、甘肅省に發源し、陜西省に入りて渭水と合す。
②直なる流。
涇渭は共に川の名、今の陜西省に在り、涇水は濁り渭水は淸む、故に淸濁の區别の明かに定まるに喩ふ。詩、邶風「涇以渭濁、湜湜其沚」蘇軾詩「俗裏光塵合、胸中───」
川の名、關中八川の一。書、禹貢「涇屬渭汭」疏「──出安定涇陽縣西岸頭山、東南至馮翊陽陵縣入渭」
ケン [先]
?は俗字
○小さき流れ。○しづく(滴)○細小の義に借り用ふ「─滴」「─埃」○──は小さき水の流れる貌。○えらぶ(擇)○のぞく(除)○いさぎよし(潔)はらひ淸める。
しづくと、ちりと。微少の義。杜甫詩「未有──答聖朝」
前條に同じ、壒は埃。王融、北伐疏「思策鉛駑、樂陳──」
いささか。虞茂詩「從然雖觀海、何以效──」
吉日をえらぶ。左思、魏都賦「涓吉日陟中壇」=涓吉。
○淸くいさぎよし。元史、祭祀志「殊非──之道」○淸くする。沈光、李白酒樓記「以聰明移于月露風雲、使之──」
小流の貌、ちょろちょろと流れる水。家語、觀周「──不壅、終爲江河」
○宮中の掃除を主り、又取次をする人、謁者(取次の者)の類。史、陳勝世家「故──」○宦官をいふ。國語「乃見其──」=中涓·閹人。
水のしたたり。微少の義。徐夤詩「也應──濺窮鱗」
小さきながれ。後漢書、周?傳「──雖寡、浸成江河、爝火雖微、卒能燎野」
サク ソク [覺]
○すこしくうるほふ(小濡)○寒─は人名、夏の時、羿 ゲイ を殺して其の位をうばひし者。
シ [紙]
水のほとり、きし、みぎは(水厓)「涯─」詩、王風「在河之─」
①シン [沁]
②シシ [侵]
①ひたす(漬·涵)水にひたる、しみこむ(漸漬)しづむ(沈·沒)史、趙世家「城不─者三版」○うるほす、うるほふ(潤)○すすむ(漸進)○やや(稍)やうやく。=漸·寖。○みづたまり。○さは(澤)
②漸くにひたす(淫)「浸─」
同訓異義
ヒタス 浸·漸·漬·涵·漚·蘸○浸は水が次第にひたす。史記「城不レ浸者三版」○漸はいつとなく水がひたす、浸なり。詩經「漸二車帷裳一」また漸次の義。○漬は浸なり、染なり、水につかる義。史記「漸二漬於失一レ敎」○涵はうるほし、ひたす、容れ含む、十分にいれひたすなり「涵レ虛混二太淸一」の如し。○漚は水につけて柔かにする義。詩經「東門之池、可二以漚一レ麻」○蘸は音サン、說文に物を以て水に投ずるなり、とあれども水中に入れひたすにあらず、布帛等を水にてしめす義なり。庾信、鏡賦「黛蘸二油檀一」○ヤウヤク浸·寖漸の别は寖(宀部十畫)の條を見よ。
漸くにしみこむ。司馬相如賦「──衍溢」=漸漬。
はだにしみこむ。柳宗元詩「瘴茅葺爲宇、溽暑怕──」
水にひたしそそぐ。莊子「時雨降矣、而猶──、其於澤也、不亦勞乎」
次第次第にひたす。孔融詩「三人成巿虎、──解膠漆」
水がしみこむ如く、次第次第に深く進むざんげん。論、顏淵「────、膚受之愬」
水がひたす。又、ひたせる水「──地」「──家屋」
漸くにひたす。潘尼、安石橊賦「滋味──、馨香流溢─=浸漬。
漸くにひたしそめる。又漸次にうつり化する。杜牧文「君生──仁父之化、溫良柔友」
次第に進み行く貌。論衡「物之生長、無卒成暴起、皆有──」=浸漬·浸潤。
漸次におこたる。宋史、文天祥傳「時理宗在位久、政理──」
しみこむ。楊維楨文「水光山色、──胸次」=滲入。
しみとほる。=渗透。
基督敎徒の行ふ儀式、水を身にそそぎて淸淨を表す。=洗禮。
シン [侵]
○たまりみづ、にはたづみ(潦水)淮南、俶眞「牛蹄之─、無尺之鯉」○ひたす(漬)○ふしづけ、水中に柴を積みて魚を養ひて捕ふるもの。=槮。○雨又は淚の下る貌。
雨を伴ふくも、あまぐも(雨雲)〔呂覽、注〕
おほみづと、ひでりと。淮南子「仰而食之、時有──災害之患」=水旱。
魚の浮沈する貌。曹植賦「見遊魚之──」
○雨の多き貌。杜甫詩「雲氣接崑崙、──寒雨繁」○淚·汗などの盛んに下る貌。羅隱詩「江山魂黯黯、泉客淚──」=潸然·泫然·漣然。○困頓 クルシミツカレル の貌。杜甫詩「行藥病──」○天氣の陰りて晦き貌。黄庭堅詩「雪意──滿面風」
すこしのみづたまり、僅に牛の蹄を容れる義。許有孚詩「吾池不啻──水孰謂蓬瀛敢相擬」字解參看。
こぼれるなみだ。江淹詩「──猶在目」
シュン [震]
○ふかし(深)=濬。○さらふ。井·池·川等の底を深くする。孟、萬章「使─井」○轉じて財貨などを貪りとる。左、襄二四「─我以生」○くむ(抒)くみ取りて出す。○まつ(須)書、皋陶謨「夙夜─明」
同訓異義
フカシ 浚·深·濬·邃の別は深(水部八畫)の條を見よ。
ふかくはやし。洛陽伽藍記「穀水──、注于城下、多壞民家」=急浚。
みづうみをふかくす。ふかきみづうみ。南史、謝靈運傳「奴僮旣衆、義故門生數百、鑿山──、功役無已」
ゐどをさらへて深くする。孟、萬章「使──、岀從而揜之」
ふかくしてあきらか。齊書、樂志「?條夤蔚、瓊源──」
さらへてふかくする。水經、注「不嘗──、而水旱不減」
ほりをふかくす。又、ふかきほり。江淹文「崇壘──」
セイ [霽]
○ぬるきゆ(始溫水)○あく(灰汁)○したむ(漉酒)○すます。
セゥ [蕭]
○きゆ、けす(銷)○つく(盡)ほろぶ(滅)易、泰卦「小人道─」○ちる(散)とける(釋)○へる(耗)「─耗」「─磨」○痟に通ず。○逍に通す。○─石は藥の名。○ 俗 ─夜は晚食。
同訓異義
キユ 消·滅·熄○消は盡なり、また滅なり、きえて亡くなる義、消滅·消亡と連用す。○滅はきえほろぶる義、滅亡と連用す、もと火のきゆる義より、廣く物の盡くるに用ふ。○熄は火のきゆるなり。
うさはらし。=遣悶。
○ゆったりとさまよひあるく、閒暇自如の貌。禮、檀弓「孔子蚤作、負手曳杖、──于門」=逍遙。○觀望する義。後漢書、馮衍傳「陟雍畤而──兮」
夏のあつさをはらひさる゚=銷夏·消暑。
へる。へらす。參同契「藥材不至──」
使用するに隨ひ滅損する品物、薪炭筆墨紙の類。
○のどがかわきて流動物をほしがり、小便の通ぜざる病氣。漢書、司馬相如傳「常有──病」今の糖尿病の類。=消中。○婦人の痲病。
ひまつぶし。
○けしほろぼす。論衡「災害繫于上天、腎名不能──」○借金をかへす。
陰性にして退き守る義に用ふ、否定·陰·裏·退·減などの性をあらはす語。積極の對。
火を消す、火事を防ぎ消す「──器」
火事を消し止める爲めに水道の鐵管にしつらへたる噴水口の栓。
○物が消滅して變化する。周書、蘇綽傳「嗜慾潛以──」○たべし食物がこなれる。○ 國 物事の理をよくかみこなしてゑとくする。=咀嚼 ソシヤク ·理解。
心を奪はれる、氣を失ふ、がっかりする。=銷魂。
くらす、月日を送る。=消日。
きえてやむ。庾信詩「壯情已──、雄圖不復申」
うれへをけしやる。王禹偁文「焚香默坐、──世慮」=遣悶。
消瘠に同じ。元稹詩「自從──一減容光」
きえつきる、索は盡。論衡「夫死精魂──、不復聞人之言」
きえてちる。けして無くす。漢書、李尋傳「──積惡」
日をすごす。曹植、感節賦「──以忘憂」歐陽修文「至於學書不倦、往往可以──」=消光。
きえうせる、無くなる。=消殄·消滅·消盡·消索。
消夏に同じ。=銷夏。
藥品の一種、能く物を消化す。=芒消·硝石·芒硝。
きえてとける。支遁詩「廓矣千載事、──歸空無」
おとろへやせる。後漢書、陳紀傳「積毁──、殆將滅性」=消瘦。
きえとける。禮、月令「時雪不降、冰凍──」
○きえると生ずると、往來する。易、豐卦「天地盈虛、與時──」○轉じておとづれ。晉書、陸機傳「陸機語犬曰、我家絕無書信、汝能齎書取──不」○もやう、ありさま。杜甫詩「因君問──」
けしたひらげる。後漢書、桓帝紀「殘醜──、民和年稔」
きゆると長ずると。さかえると、おとろへると。蘇軾賦「盈虛者如彼、而卒莫──也」=榮枯。
俗 暂時休息の義、消磨停頓の意。趙長卿詞「擺脫風塵、──酸苦」
けしほろぼす、殄は絕なり、盡なり。後漢書、爰延傳「佞惡──、則乾灾可除」
病のどくや黴菌 バイキン をけしたやす。
火災をけしふせぐ。──士は其の仕事をする人、とび。
けしとどむ。後漢書、趙壹傳「抗論當世、──時災」
つひやす。=費消。
物品の消費者に負擔せしむる閒接税、酒·煙草·鹽などの課稅の類。
わざはひをけしはらふ。後漢書、明帝紀「──災譴」
すれへる。けして無くす。歐陽修、豐樂亭記「嚮之憑恃險阻、剗削──」
きえほろぶ。陳琳文「有何不──者哉」=消失·消殄。
セツ [屑]
○川の名、浙江省に在り、杭州を經て錢塘江と稱す。○浙江省の簡稱。○米とぐ、よなぐ(汰)誤りて淅と混用す。
セフ [葉]
○わたる、水をかちわたりする(無舟渡水)「徒─」書、君牙「心之憂危、若蹈虎尾─于春冰」危險の甚だしきに喩ふ。○ひろく通ずる「博─」○ふ、へる(經·歷)枚乘、七發「背秋─冬」○わたし。○かかはる、關係する「干─」「交─」「關─」
同訓異義
ワタル 涉·渡·濟·滿·瀰·亙·竟·徑の别は渡(水部九畫)の條を見よ。
黃河をかちわたりする。左傳「誓曰、所不此報、無能──」
水鳥をいふ、淺水をわたりて小魚を捕食する鶴·鷺などの類「──類」
あきの期を經る。朱熹詩「──未停車」
川をかちわたりする。詩、邶風、傳「以衣──爲厲」
世事を經歷する。韓非子「──如此其汙」
筆を動かす。李昭玘文「據鞍──、擁文墨之紛紜」
わたり經る。鍾會文「好書籍、──衆書」
水を涉り、獸を獵る。羣書をざっとひろく覽るにいふ、博覽して專精ならざる義。漢書、賈山傳「──書記、不能爲醇儒」
セフ [葉]
○うるほふ、うるほす(霑)○とほる(徹)うるほひがとほる。○あまねし(洽·徧)○ひとめぐり(周匝)「─日」「周─」
同訓異義
アマネシ 浹·周·徧·遍·普·洽の别は周(口部五畫)の條を見よ。
水の物をうるほす如くあまねくゆきわたる。漢書、禮樂志「於是敎化──、民用和睦」=和洽。
あまねくやはらぐ。韓愈、新修滕王閣記「人吏──」
あまねくあつまる。述聖賦「踰九澤、而──」
十日閒、甲より癸に至る、一めぐり。楚語「遠不過三月、近不過──」陳琳、客難「西伯營臺、功不──」
十二日閒、子より亥に至る一めぐり。左、成九「──之閒、而楚克其三都」
波のつらなる貌。郭璞、江賦「長波──、峻湍崔嵬」
①セン [先]
②エン [霰]
①よだれ(ロ液)「垂─」○ねばきしる、物の黏液「蝸─」
②迆─ イェン は相連る貌。又、水の流れる貌。=邐迤。
光澤 ツヤ ある貌。漢書、五行志「燕燕尾──」
蛞蝓 ナメクヂ の異稱〔山堂肆考〕
かたつむりなどの黏液が篆文の如きをいふ。馬祖常詩「壁蝸──攲」
非常に飲食せんことを思ふ。杜甫詩「道逢麹車口──」=垂涎。
①ソウ [尤]
②ソク [沃]
①あらふ(澣)手にて洗ふ。
②川の名、山西省に發し、陜西省に至りて黃河に入る「─水」
テイ [薺]
○なみだ「垂─」「流─」「揮─」○なく(泣)淚を出してなく「泣─」○竹の一種「─竹」
なみだ、はなしる。孟郊詩「老泣無──、秋露爲滴瀝」=涕泗。
なみだを流し、しゃくりあげてなく。劉基詩「古道今已矣、感寤空──」
なく。禮記「惟父母之喪、不辟──而見人」=泣涕。
なみだをながす。蘇軾詩「每聞耆舊亡、──聲輒放」
なみだ、涕は目から、泗は鼻から出る汁。詩、陳風「寤寐無爲、──滂沱」=涕洟。
なみだ。南史、梁武帝紀「拜掃山陵、──所洒松草變色」
デツ ネツ [屑]
湼は俗字
○くろつち(黑土在水中)淮南、俶眞「以─染緇則黑於─」○くろくそめる。くろむ。論、陽貨「─而不緇」
くろくそめる。王逸賦「椒英兮──、葈耳兮充房」
齒を黑くそめる。又、其の齒。=染齒。
いれずみ。書經、傳「臣不正君服墨刑、鑿其額涅以墨」
佛 梵語の音譯、安樂、寂滅又は不生不滅と譯す、煩惱、迷妄を脫して真理を證得する義にて、卽ち佛の死をいふ。楞伽經「──者不死不生之地、一切修行所歸依也」
デン [銑]
○─然 ヂンゼン は汗の出づる貌。枚乗、七發「─然汗發」○淟─ テンデン はわるゑひ(惡醉)の貌。又、けがれにごる(垢濁)
①ト [虞]
②ヂヨ [魚]
①みち、田地の用水をひく溝に沿へる道。=塗。○──は露の厚き貌。○─月は陰曆十二月の異稱。
②川の名。=滁。
①トン [元]
②ヰン [眞]
①はく(吐)あげる。○─灘 トンタン は十二支の申 サル の異名。爾雅「太歲在申、曰─灘」
②─粼 ヰンりン は水流の曲折する貌。
バイ [泰]
川水の名。─水は漢魏時代、今の鴨綠江の稱〔史、朝鮮傳〕又、隋唐時代、朝鮮の大同江の稱〔隋書、高麗傳〕
①バイ バン [賄]
②ベン·メン [銑]
①けがす、けがる(汚·洿)孟、公孫丑「爾焉能─我哉」
②── ベンベン は水の流れて平かなる貌。詩、邶風「河水──」
同訓異義
ケガル 浼·汙·汚·洿·穢·瀆·黷等の別は汙(水部三畫)の條を見よ。
ハウ [庚]
○船を納れ置く溝。○ 俗 濱(水部十四畫)の略字とす。
フウ ブ [尤]
通音フ
○うかぶ、うく、うかばしむ。○流に順ふ。○さまよふ「─雲」○あふれる(溢)○さきんず。○すぐ(過)禮、表記「恥名之─於行」○かろし(輕)○うはべ、虛にして實ならざるもの「─言」○むす(蒸)○水上にただよふ。○勝負事にまけて飮ませられる罰杯。說苑、臣術「請─晏子」○一種の竹。○一種の石。○──は雨雪の盛んなる貌。又、衆くして强き貌。○─屠は佛。 國 ○うく。確實ならざること「─いた考」○うかぶ、ゆくりなく思ひ出す「心に─ぶ」○うかる、うかれる。物事に熱中する。○うかさる、無中になる「熱に─される」
かろきほこり。楊烱詩「參差凌倒景、潚灑軼──」
かろきちり。劉禹錫詩「凡禽不敢息、──莫能停」=浮埃。
うきたるかめ。沈與求詩「眼中水怪狀莫名、岀沒沙際如──」
めぐりうかぶ、周流してあそぶ。史、屈原傳「蟬蛻於濁穢、以──塵埃之外」
流浪して行のみだらなる者。史、平準書「摧──幷兼之徒」
○うかべるくも、あてにならざる事に喩ふ。論、述而「不義而富且貴、於我如──」○小人に喩ふ。李白詩「總爲──能蔽日、長安不見使人愁」
浮べる雲の如き不義の富貴をにくむ志。揚雄、答賓戲「仲尼抗────、孟軻養浩然之氣」前條參看。
うきたる世俗のさかえ。王融詩「──未能捨」=虛榮。
水にうかべるかげ。揚雄賦「騰淸霄而軼──兮」
水にうかぶかもめ。埤雅「鳧好沈、鷖好浮、故曰──」
けむりをうかべる。又、うかべるけむり。司空曙詩「孤燈寒照雨、濕竹暗──」
かろがろしくしてあでやか。韓愈詩「──侵天難就看、淸香撲地只遙聞」=浮華。
○うかべるあわ、うたかた。姚合詩「走童驚掣電、飢鳥啄──」○極めてはかなきものに喩ふ。陳陶詩「人閒磊磊──客」
うかびたるあくた。
舟で海にうかぶ。蘇軾詩「潮平風靜日──、縹緲樓臺轉金碧」
著實ならざるたくみ。後漢書、安帝紀「令禁奢侈、無作──之物」
ふなばし。北史、成淹傳「造──、帝賞納之」
さすらへるたびびと。鮑照詩「旅雁方南飛、──未西歸」
舟のなかのすまひ。新唐書、隱逸傳「張志和曰、願爲────、往來苕霅閒」
あだなるたのみ、人生のはかなきをいふ。張華詩「人生若──、年時忽蹉蛇」
○かげらふ。夢溪筆談「野馬則田野閒──耳」○ 國 ウハキ かろがろしくして意志の弱きもの。
酒の上にうくあぶら、蟻は酒膏。張衡、南都賦「──若萍」
そらにうかぶ。蘇軾詩「江─愁心千疊山、──積翠如雲煙」
とりとめもなきうそ。史通「猶時載──、未盡機要」
○はでやかにして大げさなり。韓愈、進學解「春秋謹嚴、左氏──」○とりとめもなく大きくいふ。
かろがろしくはでやか。漢書、司馬相如傳「洿行無節、但有──之辭」
水にうつる月かげ。范仲淹、岳陽樓記「──躍金、靜影沈璧」
かろがろしくへつらひこびて利祿などを爭ひ求める。晉書、賈謐傳「貴遊豪戚及──之徒」
ふなばし、舟をならべて造りしうきばし〔事物紀原〕=浮梁。
水にうかべるつきかげ。范成大詩「楚江──冷征衣」
まぼろしの如くとりとめなし。梁昭明太子文「何得于眞實之中、見此──」
ねなしごと、無根の說。書經「毋胥動以──」
かまびすし。任昉文「雖曰人境、實少──」
あか詩經、疏「耈而凍梨、色如──」
かろがろしくしてさわぐ。避暑錄話「以方嚴重厚、鎭服──」
うき、釣絲につけて、魚の觸れたる知らせとなる小さき木片。雞肋編「釣絲之半、繫以荻梗、謂之──」
ねなしごと。著實ならざることば。鄒陽、獄中上書「兩主二臣、剖心析肝相信、豈移於──哉」=浮辯·浮言。
浮浪人に同じ〔唐書、揚炎傳〕=浮民。
むだごと。漢書、藝文志、注「删去──、取其指要也」
うかびむす。荊州記「遙望白氣、──如煙」
うきよ、定めなき世の中。阮籍、大人先生傳「逍遙──、與道俱成」
定りなき人生。李白文「──若夢」莊、刻意「其生若浮兮、其死若流」史記には流を休に作る。
俗世界を離れたる暫時の淸閑。李涉詩「因過竹院逢僧話、又得─────」
うきよは夢の如くはかなし。李白、春夜宴桃李園序「────、爲懽幾何」
かるいし、火山より噴出せしもの。吳都賦「──若桴」=輕石。
ねなしごと。東方朔、七諫「聽奸臣之──兮」=浮言。
水をわたる。蜀志、許靖傳「──江海、南至交州」
あさはか、輕薄なり。漢書東方朔傳「──行于衆庶」=浮薄。
ふねをうかぶ。庾信文「武侯南征、──於瀘水」=泛舟。
かろがろしくおほざっぱ。南史、梁簡文帝、與湘東王書「近見京師文體、競學──」
かるはづみにしてなまける。朱熹文「輕儇──、反無異于巿人」
○うきしづみ。○轉じて榮枯盛衰の義。○俗に隨ひて上下する。史、游俠傳「與世──、而取榮名哉」=浮湛。
うふび又しづむ。漢書、陳遵傳「我放意自恣、──俗閒」=浮沈。
うんか、稻の害蟲。
うかびおぼれる。吳筠詩「──逐波影、飄揚恣風力」
佛 梵語の音譯、僧侣。又は寺塔、ほとけ。又、佛敎の義とす。韓愈に送──文暢序あり。=浮圖·佛圖·佛陁。
佛 前條に同じ。後漢書、襄楷傳「宮中立黃老──之祠」=浮屠。
ただよひうごく。林逋詩「暗香──月黃昏」
身をうかせてをどる。舞賦「──累跪」
うきぶくろ、游泳の用具。法苑珠林「羅刹海上屢乞──」
かろがろしくしてあらし。國語「驕躁──」
うはき、かるはづみ。聞奇錄「陸龜蒙、才名播海外、然性──」=輕薄·輕佻。
むだづかひ。晉書、宣帝紀「乃勸農桑禁──」=浪費·濫費。
かるはづみではでやか。唐書、杜甫傳贊「唐興詩人承陳隋風流、──相矜」
○雨雪の盛んなる貌。詩、小雅「雨雪──○衆くして彊 ツヨ き貌。詩、大雅「江漢──、武夫滔滔」
○かろがろしき文章。晉書、謝安傳「──妨要」○輕薄なる飾。
うきただよふ。魏、武帝文「流澌──、舟船行難」
うき、暗礁などを知らしむる爲め水上に浮べたるしるし。
○舟遊をいふ。晉書、謝安傳論「嘯詠山林、──江海」=游泛。○事の切實ならざる者をいふ。
まじめならぬ言說。漢書、河閒獻王德傳「所招致率多──」注「言無實用耳」=浮辭。
うかべる木。埤雅「古者觀──、而知爲舟」
うかび又しづむ。歐陽修文「覽星辰之──視日月之隱蔽」=浮沈。
うかべるあわ。埤雅「鼈之所在、其上必有──」
浮浪の民、ごくつぶし。近思錄、注「京師──逾百萬」
其の實に過ぎたるほまれ。李白詩「東山春色綠、歸隱謝──」=浮譽·虛名。
實なきほまれ。种放文「未嘗以一詞達于公侯、以借──」=虛譽·浮名。
さまよふ、住所不定の者。通典「高齊時、無貫之人、不樂州縣編者、爲之──人」
むしてただよへる山の氣。黄庭堅詩「有人半夜出山去、頓覺──?翠空」
うかべる山の氣と、暖き靑き山の色。歐陽修、廬山高詩「欲令────千萬狀、坐臥常對乎軒窗」
浮虛なる利益、うきたる利得。後漢書、逸民傳「飾智巧以逐──」
○うきはし。宋史、太祖紀「曹彬敗江南軍于采石、爲──以濟」○茶の產地。江西省饒州に在り。白居易、琵琶行「前月──買茶去」
かるはづみにしてはでやか。亢倉子「貪濁──之材至」
うかびたはむる。黄庭堅詩「鴛鴦──嬋娟影、白鷺窺魚疑不知」
ホ [虞]
○うら(水濱·海邊)「曲─」「極─」○─口は江蘇省江浦縣の東に在る要津、舊名は浦子口、今開きて啇埠と爲す、津浦鐵道の終點なり。
うらべ。杜甫詩「舟人漁子入──」
ボツ [月]
○さかんにおこる貌。勃に通ず。○にごる(渾)
水のわき出づる貌。晁補之詩「懸流下噴水──、訛言相驚有怪物」
盛んに起る貌。孟、梁惠王「天油然作雲、沛然下雨、則苗──與之矣」=勃然。
ヨウ [腫]
又、湧に作る
○わく、水がわき騰 アガ る。司馬相如、上林賦「洶─澎湃」○盛んにおこる、噴騰する「坌─」「掀─」○ 國 ワク 自然に生ずる「蟲が─く」
水がわきてあふれる。後漢書、陳忠傳「霖雨積時、河水──」
わき上るけむり。張協詩「騰雲似──、密雨如散絲」
盛んにわきたつ。韋莊文「奪造化而電雷──、役鬼神而風雨奔駛」
わきいづ。老學庵筆記「烈焰應手──、以火名軍、尤爲異也」
○わき出づるいづみ。易林「──滑淸」=沸泉·噴泉。○盛んに發生するに喩ふ。後漢書、馬援傳「謀如──、勢如轉規」
ヨク [沃]
○ゆあみ、湯又水にて身を洗ふ、あびる、ゆあみする「沐─」○受ける、被る「─恩」善き方にいふ。禮、儒行「有澡身而─德」○きよむ、淸め治む。○ 國 あぶ、あびる、湯水を頭からかぶる。
ゆかた。孟浩然詩「講席邀談柄、泉堂施──」
溫泉場又は風呂場などにてゆあみをする人、湯治客。
ゆあみに使ふうつは、をけ、たらひなど。
門人共と郊外に遊ぶ樂。沂(水部四畫)の條を見よ。
水をあぶる鳥。劉孝威詩「──飄落毳」
ゆあみしてののち。=浴餘。
ふろをけ、ゆぶね。王安石詩「雲涌──朝自暖」
○旭日 アサヒ が初めて昇り、光が波と上下する。淮南子「日浴於咸池」○轉じて勳功の大いなるに喩ふ「補天──」
ゆどの〔水經、註〕
戰馬をいふ、甲を被りて鐵中に浴する如き故。江淹文「漁陽黑騎、──爲羣」
ゆどの、浴室の立派なるもの。白居易詩「渚宮東面煙波冷、──西頭鐘漏深」
水をあびるわらべ。劉孝威詩「──爭淺岸」
佛 陰曆四月八日の釋迦の誔生日。佛運統志「四月初八是───」=灌佛日·佛生日。
蘭をうかべたる湯に入る。大戴禮「五月五日、蓄蘭爲沐浴」楚辭「──湯兮沐芳華」
①ラウ [漾]
②ラウ [陽]
③ラウ [養]
①なみ(波)「波─」○うごぐ。○なみだつ(跳波)○かろがろし(淨薄)「─信」○ほしいまま(放)「放─」みだり(濫)「─費」○謔─はおどけてつつしまず(不敬)
②──は流れる貌。○滄─は漢水の下流、漢陽に至りて揚子江に合す。○博─は地名、張良が秦始皇を椎擊せし所、河南省に在り。
③孟─ マンラン はおろそか、精要ならざる貌。又冒昧の義。
ぶらぶらとあそぶ。杜牧詩「堪恨王孫──去、落英狼藉始歸來」劉克莊詩「湖海──今已倦、山林獨往未全非」=漫遊。
なみのはげしく立つうみ、ごたごた多き俗界に喩ふ。梁武帝文「救燒灼于火宅、振沈溺于──」
○なみのはな。梁元帝、鴛鴦賦「朝浮兮──、夜集兮江沙」杜甫詩「閃閃──飜」 國 ○ ナニハ 大阪の一名。=浪華·浪速·難波。○ ナミノハナ 食鹽の異名。
みだりなることば。楊萬里詩「丁寧舟人莫──」=妄語·漫語。
○みだらなる男、一定の職なくあちこちと放浪せる男。宋史、李邦彥傳「每綴街巿俚語爲辭曲、人爭傳之、自號李──」=浪人。○道樂 ダウラク むすこ、游蕩の子弟。
○みだらなる士。唐書、元結傳「自稱──」○ 國 らうにんざむらひ、浪人せる武士。
いぬじに、他鄕にさすらひて死する。通鑑、隋紀「王薄作無向遼東──歌」=徒死。
みだらなるこころざし。釋氏通鑑「木食澗飮、──無生」=妄念。
なみうちぎは。徐牧詩「頳尾臨波裹、朱鬚破──」
其の責を盡さずして其の職に在る。孫樵文「大惡大善、雖賤必紀、尸位──、雖貴必黜」=曠職。
あちらこちらと行きて定りなき義。岑參詩「明時不愛璧、──東南游」=浪跡。
みだりにたたかふ。通鑑、唐紀「──爲下策」=徒戰。
みだりに世につたへる、輕率に宣布する。杜甫詩「將詩莫──」
○官職なくして流浪する人。柳宗元、李赤傳「李赤江湖閒──也」 國 ○封建時代に武士又役人が官職から離れておちぶれる。又、其の人。=浪士。○一定の住所無くぶらつきゐる者。=浮浪者。
みだりになげうつ。元稹詩「尺寸皆隨用、釐毫敢──」
むだづかひ。楊萬里詩「賜金眞──、喚取從甘泉」
○涕などの流れる貌。屈原、離騷「霑余襟之──」○ 國 浪人のおちぶれたるありさま「──の身」
みだらなり、おろそか。潘岳、笙賦「罔──以惆悵」=孟浪 マンラン
リ [支]
○泥─は、波斯べ ルシヤ の酋長の名。○俗に英語ノツトの譯語、海里の義、我が十六町五十九閒四尺許。
レイ リ [霽]
又、莅·蒞に作る
○みる(視)○のぞむ(臨)其の場所に至りのぞむ。○──は瀨を下る水の聲。
同訓異義
ノゾム 涖·望·臨の别は望(月部七畫)の條を見よ。
來りのぞむ。詩、小雅「方叔──、其車三千」止は助字。
君として臨みて政を聽く。吳越春秋「太伯三以天下讓、於是季歷──」
くらゐにのぞむ、天下に君臨して政を行ふ。=涖阼·涖政。
レン リ [霰]
水がとくながれる(疾流)「淒─」
8畫
①ア [箇]
②ヱン [阮]
①けがす、けがる、けがれ(汙)韓愈詩「勿使塵埃─」
②─演は水の廻り曲る貌。江賦「洪瀾─演」
同訓異義
ケガル 涴·汙·洿·穢·瀆·黷·點·浼の别は汙(水部三畫)の條を見よ。
游(水部九畫)の俗字。
イン [侵]
?は古字
○みだら、酒色におぼれる。○ほしいまま(放)○むさぼる(貪)○あふる(溢)○すぐ(過)ふける、度にすぎる。書、大禹謨「罔─於樂」○まどはす(惑)孟、滕文公「富貴不能─」○はなはだし(甚)列、黃帝「朕之過─矣」○大いなり。○ひさし(久)○うるほす、うるほふ。○ひたす、ひたる(浸)○よこしま(邪)禮、坊記「刑以防─」○ながる(流移)○──は去ること遠き貌。又、進む貌。又、往來する貌。又、流れる貌。○魚の一種。
みだりがはしき聲。又みだらなる音曲、哇は淫聲。駱賓王文「弘玆雅奏、抑彼──」歐陽修詩「──俗所樂」
大いなる威勢。詩、周頌「旣有──、降福孔夷」
心をほしいままにす。又、みだらなる心。管子「先王之治國也、不──於法之外」
きまりなくみだらにあそぶ。=冶遊。
○なまけて樂にふける。左、隠三「驕奢──、所自邪也」=淫荒。○男女閒のいたづら。漢書、刑法志「男女──」
みだらにしておこたりあそぶ。史、樂書「所以養行義、而防──也」=淫佚·淫荒。
○流れる貌。楚辭、哀郢「涕──其若霰」○增し進む貌。管、內業「──乎與我俱生」○遠く去る貌。高唐賦「洪波──」○往來する貌。揚雄、羽獵賦「──與與」
ながあめ。禮、月令「天多沈陰、──早降」=淫霖·霪雨·久雨。
いなづまのきらめく貌。張衡賦「凌驚雷之砊礚兮、弄狂電之──」
聲音のつらなり絕えざる貌。禮、樂記「咏歎之、──之」
禮儀のみだれたる酒もり。後漢書、邊讓傳「設長夜之──」
あやしくかざれるたくみ。書、泰誓「作奇技──以悅婦人」
○みだらなる行。○猥褻 ワイセツ なるふるまひ。
みだらにしてわるがしこし。班彪、北征賦「憤戎王之──」
○正しからざる音樂。禮、樂記「──慝禮、不接心術」○ インラク みだらなるたのしみ。又、それにふける。史、呂后紀「日飮爲──」
みだらなる學問。呂覽「至治之世、其民不好──流說」
みだらなるたはむれ。書經「惟王──用自絶」
いんらんにして人をしへたぐ。史、殷紀「維王──用自絕」
酒色などの遊にふけりてだらしが無い〔漢書、楊憚傳〕=淫佚·淫亂·淫蕩·淫逸、淫放。
みだらにして不當なる刑罰。左傳「──以逞」唐書、陳子昻傳「明證恤獄、以息──」=濫刑。
みだらなるよこみち。曹植文「履先王之正路、豈──之可遵」=邪徑。
みだりなる不當のめぐみ。申鑒「──·曲意·私怨、此三者、實枉貞道、亂大德」
みだらなる神をまつる。又、其の祭。曲禮「──無福」
まつるまじき神のやしろ。唐書、狄仁傑傳「毁吳楚──」
よこめで見る。曲禮「毋──」
みだらにして正しからざることば。孟、公孫丑「──知其所陷」
みだらなるこころ。周語「神無閒行、民無──」
さけにふける。晉書、劉曜載記「曜少而──、末年尤甚」
平地にあふれるみづ、氾濫せる水。淮南子「女媧氏積蘆灰、以止──」
みだらなる音樂。列女傳「目不視邪色、耳不聽──」
みだらにしてけがらはし。媟は褻。宋史、蔡攸傳「多道巿井──謔浪語、以蠱帝心」
正しからぬ音樂。雅奏の反對。晉書、樂志「──旣興、雅章奔散」=淫聲。
みだらにしておこたる。周禮「去其──與其奇袤之民」
みだらにして盜む。南史、齊高帝紀「贓奸──者、一皆蕩滌洗除」
淫荒に同じ、蕩はほしいまま。
甚だしくふけりおぼれる。中說「吾文章可謂──矣」
むさぼりよこしま。左傳「以懲──」
みだらにして道にさかふ。管子「廢比黨──行食之徒」
みだらにしてほしいまま。阮籍文「好勇則犯上、──則棄親」=淫荒。
みだら。管子「使民母由接於──之地」
むだづかひ、むだなものいり。後漢書、皇后紀「世增──」
みだらにしてはでやか。漢書、王襃傳「議者以爲──不急」
みだらなるみこ。唐書、蘇源明傳「──愚祝、妄有關說」
淫亂にして身持の惡しき女、いたづらもの。
みだらなるならはし。
うきくさ。傳休奕詩「──本無根、非水將何依」
みだらでひがむ。大戴禮「風俗──、百姓荒亡」
みだらなるあそび友だち。書經「凡厥庶民、無有──」
男女媒なくして私に通する。周禮、地官「謂不必六禮備、非──也」
酒色にふけりすさむ。左傳「不式王命、──毁常、王命伐之」
一種の多年生草、根葉を藥用とす。いかりさう(碇草)
ながあめにて漲るおほみづ。宋史、單煦傳「夏秋患于──」元史、河渠志「泄江湖之──、立捍海之橫塘」=霖潦。
○酒色におぼれあそびおこたる。周語「立於──之國」○ 國 甚だしき色好み。
常の度に過ぎてみだらなり。後漢書、梁商傳「刑不──」
ながあめ、霖はながあめ、一說、三日以上降り續く雨。爾雅「久雨謂之淫、淫謂之霖」=霖雨·淫雨。
出でてやまざるなみだ。韓愈詩「中宵倚牆立、──何漸漸」
たたり。左傳「子產曰、匹夫匹婦強死、其魂魄猶能憑依于人、以爲──」
みだらにしていろごとにふける。=淫亂猥褻 インランワイセツ
みだらにしてまどふ。漢書、五行志「將生──篡弒之禍」
①ヰキ [職]
②キョク·ケキ [職]
①はやくながれる(疾流)
②みぞ。史、夏紀「卑宮室、致費于溝─」=洫。
①エキ [陌]
②セキ [陌]
①しる(汁)「─體」「津─」○淫─は音の連りて絕えざる貌。○掖庭 エキテイ の掖に通ず。
②うるほふ。○ひたす(漬)○とく、ちる(解散)
氣體、固體が溫度又は壓力の作用により變じて液體になる。
しる、つゆ。=漿。
水·油の如き流動する物體。氣體·固體と合せて物の三體といふ。
ごてん、宮庭。漢書、王莽傳「──媵未充」=掖庭。
エン [先]
○ふち。水、地より岀でて深くたたへて流れざるもの。○轉じて物の多く聚る所「─藪」○いけ(池)ぬま。○しづか(靜)「─默」○ふかし(深)「塞─」○──は鼓を伐つこゑ。
ふかきこころ。鮑照詩「盛明難重來、──爲誰涸」=淵旨。
○靜深なる貌。中庸「──其淵」○鼓をうつ聲。詩、小雅「伐鼓──、振旅闐闐」
ふかくとほし。頭陁寺碑文「業行淳修、理懷──」
ふかくおちつきて雅量あり。魏志、管寧傳「──高尙、確然不拔」
ふちと、うみと、物の深く大いなるに喩ふ。抱朴子「五經爲道義之──、子書爲增深之河流」
水に習ふもの、ふなびと。張協、七命「──唱淮南之曲」
ふちと、たけと。物の靜かにして動かざるに喩ふ。文心雕龍「──其心、麟鳳其采」
ふかくして、ひろくゆきわたる。魏書、常景傳「詔曰、景藝業該通、文史──」
四百五十卷、淸の張英等、勅を奉じて撰す、天部·歲部·地部·帝王部より、禽獸·草木·魚介等に至る四十五門に分ちて故事成語を彙輯す。
ふかき根柢。裴松之文「道統──神超妙物」
ふかくひろし。沈約文「雖法身常住之奥遠、二諦三假之──、悟道求宗於斯可足」
おくぶかし。蔡邕文「──其深、巍峩其高」=深奥。
みなもと、事物の根元。漢書、成帝紀「儒林之官、四海──」=根原·本原。
おく深き貌。老子「道沖而用之、或不盈、──似萬物之宗」
おくふかきむね。任昉文「仰模──、取則後昆」
○ふちふかし。史、貨殖傳「──而魚生之、山深而獸往之、人富而仁義附焉」○おくぶかし。呂覽「闊大──不可測也」魏志、衞臻傳「明慮──、規略弘遠」
ふかくしてよし、淑は善。魏志、郭嘉傳、注「忠貞──、體通性達」
ふかき水、ふち。書、大誥「予惟小子、若涉──」=淵泉。
おくぶかし。韋承慶文「其深也、如海之停、如淵之邃」
○ふちが深くしてしづか。柳貫詩「──得藏珍」○ふかくしづか。荘、天地「無爲而萬物化、──而百姓定」=沈靜。
ふかきぬま。魏志、管輅傳、注「──之魚、樂其濕濡」
深く明かに知る。齊書、豫章王嶷傳「──殆乎機象」=明察·淵見。
ふかきいづみ。列子「心如──、形如虎」宋書、符瑞志「王者徳至──、則河岀龍圖」
水深くして靜かなる貌。柳宗元、鈷鉧潭西小邱記「──而靜者、與心謀」
ふかくひそむ。揚雄、反離騷「懿神龍之──」
淵は魚の聚る所、藪は獸の聚る所、よりて物の多く聚るに喩ふ。書、武成「爲天下逋逃主萃──」藪一に叢に作る。
前條に同じ。
心ふかく德が充實する。後漢書、章帝紀「聰明──、著在圖纖」
ふかきさは。禮、月令「祈祀四海大川名源──井泉」
ふかくたたへる。魏書、張彝傳「洞庭──、猶藉泉流以增大」
ふかくしてむなし。陸機文「茂德──、天姿玉裕」
淵の中の魚を見透して知るは惡し、隅から隅まで窮むるは宜しからざる喩、古の諺〔韓非、說林、上〕
ふかくしてすむ。千字文「川流不息、──取映」
ふかきはかりごと。南齊書、高祖十二王傳贊「──遠算、意在無遺」=遠圖·淵謀。
ふかし。又、ふかきうつろ。拾遺記「瀛州東有──、有魚長千丈」
奥深きことを歎美することば。漢書、揚雄敍傳「──若人、實好斯文」
ふかくひろし。魏書、李冲傳「器懷──、經度明遠」=淵弘·淵富。
おくふかくとほし。抱朴子「俗人徒覰其外形之粗簡、不能察其精神之──」=淵遠·淵奥。
ふかくしてかすか。抱朴子「欲測──、而不役神」
ふかくゆたか、淵深豐富。何承天文「證譬堅明、文詞──」
深きはかりごと。後漢書、寇恂傳贊「元侯──、乃作司徒、眀啓帝略、肇定秦都」=淵謀。
ふかきはかりごと。張衡、天象賦「獻──于諸侯」=淵謨·淵圖·遠謀。
しづかにして言なし。莊子「──而雷聲」漢書、成帝紀贊「臨朝──、尊嚴若神」
晉の陶淵明の詩の體〔竹坡詩話〕
深くして微妙なり。沈遼、論書詩「──欲飛動、拙惡愧偏擪」=淵微。
ふかきかんがへ。韋慶復文「非大君子──宏謀、則玆樓從何而興也」
ふかし。易林「德義──」
徒に幸福を望まんとするよりは、退きて幸福を得べき素地を作るに若かずとの意〔漢書、禮樂志〕淮南子「臨河而羨魚、不如歸家織網」
魚が深く淵にひそみ隱れる。詩經「魚潛在淵、或在於渚」説文「龍春分登天、秋分──」
亂暴の君が仁者の爲めに人民を驅逐して、これに歸せしむるに喩ふ。孟、離婁「────者獺也、爲叢敺爵者鸇也、爲湯武敺民者桀與紂也」爵は雀。
エン [鹽]
○ひたす(浸·漬)禮、儒行「─之以好樂」○ひさしくとどまる(久留)「─留」○とどこほる(滯)遲し。○やぶる(敗)○─茂は十二子の戌 イヌ =閹茂。○大いなり、被 オホ ひかぶせる。奄(大部五畫)に通ず。
ひろくしてみやびやか、淹博にして高雅。晉書、陸玩傳「器量──、弱冠有美名」=淵雅·博雅。
とどこほりおこたる。齊書、竟陵王子良傳「徒相疑僨、更──」
博く兼ね通ずる。唐書、儒林傳「──經術」=淹通·淹博·淹貫·博通。
久しく留り居る。左、僖三三「吾子──於敝邑」=淹留。
博くきはめる。唐書、王義方傳「──經術、性謇特高自標樹」
博く通ずる。唐書、柳登傳「──羣書、年六十餘、始仕宦」=深通·淹通·淹該。
とどこほる。宋史、職官志「糾其違失、而督其──」
とどこほること一ケ月。唐書、高祖皇后竇氏傳「盡孝、或──不釋衣履」
ひろく大いなり。任昉文「風標秀特、器體──」
永くひさしき年月。薛季宣詩「雪中山更好、──定如何」
淹はとどこほる、卽ち遲、數は速。賈誼、鵩鳥賦「──之度」=淹速·遲速。
一夜を經る、よひごし。唐書、吉溫傳「溫銜其德、故朝廷動靜輒報、不──而知」
久しく他鄕にとどまりてうれへる。左、襄二六「天禍魯國、君──在外」
賢才ありて下位にとどこほる。又、其の人。左傳「詰姦慝、擧──」
ゆるやかにしておそし。西京雜記「枚皋文章捷疾、相如製作──」=淹緩·遲緩。
淹は大いにひたす、通は通達、ひろく通ずる。韋湊碑「體識沈正、量宇──」=博通·淹該。
久しくとどまる。皮日休詩「遇勝卽夷猶、逢幽且──」陸游詩「千金易得一士難、晚途──服愈寒」
久しくとどまる。楚辭、九辨「蹇──而無成」
ヲツ コツ [月]
?に同じ
○水の流れて疾 ハヤ き貌。○水の出づる聲。○水の貌。=淈。
水の疾く流れる貌。江賦「潏湟──」
ガイ ギ [佳]
本、厓に作る
○みぎは(水際)きし、ほとり(水邊)○轉じて窮盡の義とす、かぎり、はて。莊、養生主「吾生也有─、而知也無─」
○水のきし。庾信文「江淮無──之阻、亭壁無藩籬之固」=涯涘。○かぎり。通典「漲海無──」
かぎり。王僧孺文「一旦攀附、遂無──」=涯際。
みぎは。又、かぎり。庾信文「煙霞之──莫尋、江海之波瀾不測」
みぎは。又、かぎり。韓愈、柳子厚墓誌銘「汎濫渟蓄、爲深博無──」
波うちぎは。柳宗元文「爲池環之九里、丘陵林麓距其──」
かぎり、身分相應の程度、本分。曾鞏文「環視其中所有、頗識──」
限りある壽命を以て、限りなき望を抱く。莊、養生主「吾生也有涯、而知也無涯、──────」
カウ [肴]
○まじはる、いりまじる(混)みだる、みだす「玉石混─」○にごる、にごす、かきまぜて濁す「溷─」
同訓異義
マジハル 淆·交·接·雜·錯·混·參·閒·廁の别は交(亠部四畫)の條を見よ。
まじりみだれる。唐書、魏和初傳「十不收一、取舍──」=紛淆·雜亂·錯亂。
カク ゴ [藥]
通音コ
○つく(竭)かる、水が盡きて無くなる。禮、月令「仲秋之月、水始─」○からす、水を乾ホす。
きびしきさむさ。張衡賦「──沍寒」=窮陰。
寒さ強く水がこほる。裴度文「外去──之節、內見發生之理」
水のかわきたるなぎさ。庾信詩「──通沙路、寒渠塞水門」
かれたる川。梁簡文帝文「旅泊冬川、阻玆──」
次條の故事に本づきて困窮の境遇に喩ふ。李商隱文「活枯鱗於──」
車轍中の水たまりに居る鮒。人の急に迫れるに喩ふ。莊、外物「莊周家貧、故往貸粟於監河侯、監河侯曰、諾、我將得邑金、將貸子三百金、可乎、莊周忿然作色曰、周昨來顧視車轍中、有鮒魚焉、周問之曰、鮒魚來、子何爲者邪、對曰、我東海之波臣也、君豈有斗升之水而活我哉、周曰、諾、我且南遊吳越之王、邀西江之水而迎子可乎、鮒魚忿然作色曰、吾失我常與、我無所處、吾得斗升之水然活耳、君乃言此、曾不如早索我於枯魚之肆」=轍鮒之急。
前條の略。庾信詩「──當思水」
カソ [覃]
○ひたす、ひたる(漸漬)「─養」○しづむ(沈)○いる(容)「包─」「海─」函に通ず。
同訓異義
ヒタス 涵·浸·漬·漸·漚の别は浸(水部七畫)の條を見よ。
ひそみかくれる。韓愈文「鱷魚之──卵育於此」=潛伏。
ひたしあたためる、惠を施してやしなふ。宋史、徐禧傳論「深仁厚澤、──生民」=覆育。
ひたしうるほす。元結頌「──天休」=浸漬。
よくかみこなしてあぢはふ。陸龜蒙文「每──義味、獨坐日昃」
いれたくはへる。王炎詩「胸次要──」
みどり色をひたす。朱熹詩「一水方──、千林已變紅」
○ひたし養ふ。陳書、沈炯傳「文帝嗣位、表曰、王者之德、覃及無方、矧彼翔沈、孰非──」=化育。○學識氣質を養成する、涵育。
キ [支]
川の名。河南省に在り。
衞に在る園の名。述異記「衞有──出竹、在淇水之上、詩云、瞻彼淇澳、綠竹猗猗是也」史、河渠書「羣臣從官、皆負薪寘決河、是時東流郡燒草、以故薪柴少而下──之竹、以爲楗」
竹の異名。
クヮイ ヱ [佳]
通音ワイ
川の名。古の四瀆の一、河南省桐柏山より岀で、東流して安徽省に入り瀦して洪澤湖と爲る。
書名、二十一卷、前漢の淮南王劉安撰す、大旨道德に本づく、雜家に入る。
地名、今の江蘇省淸河縣の地、其の故城址は縣南に在り、韓信の封ぜられしは卽ち此。
豌豆 ヱンドウ の異名〔正字通〕
○淮水以南の地にて晉·北魏·隋·南宋·南齊の郡名。又、唐の十道の一、今の湖北の長江以北、漢水以東、及江蘇·安徽の長江以北、淮水以南の地の總稱。○豆腐の異名、淮南厲王安の創製する所なるに由る。山堂肆考「──王安始磨豆爲乳脂、名曰豆腐、自是爲豆腐異稱」
ケイ ギャウ [迥]
○ひろし、大水の貌。○ひく(引)○溟─は自然の氣。又、物事の未だ分れざる混沌たる貌。莊、在宥「大同乎溟─」
コツ [月]
○にごる。にごす(濁)屈原、漁父辭「何不─其波而揚其泥」○みだる(亂)○つく。つくす(盡)○ながれる。○汨に同じ。
決し流れる貌。上林賦「潏潏──」
コツ [月]
○あふ、かなふ(合)○あをぐろき貌。○大いに淸し。
コン [元]
── コンコン は未だ定らざる貌。荀、賦論「──淑淑」
①コン [阮]
②コン [元]
渾に通用す
①まじる、まじはる、まじふ(雜)「─雜」「─淆」○あはす、あふ(合)「─一」「─合」○にごす、にごる。○──は水の盛んに流れる貌。○─沌は元氣の未だ分れざる貌。大きくばっとしたる貌。
②昆に通ず、─夷 コンイ は、西方の夷。=昆夷。○─淪 コンロン は山の名。=崑崙。
同訓異義
マジハル 混·交·接·雜·錯·淆·參·閒·廁·糅の別は交(亠部四畫)の條を見よ。
あはす、多くのものをひとまとめにする。隋書、煬帝紀「漢有天下、車書──」=九合·統一。
前條に同じ。史、張儀傳「經營天下、──諸侯」=混一。
けがれ。韓詩外傳「以己之嚼嚼、受人之──」
まじる、まじふ。抱朴子「眞僞顚倒、玉石──」
まじりあふ。杜牧詩「光塵能──」
あひのこ、人種の異なるものの閒に生れし子。
天地の總名、宇宙、元は元氣。晉書、孝友傳序「大矣哉、孝之爲德也、分──、而立體」
極めて古き時代、創世期。白居易詩「似游華胥國、疑返───」
○水の盛んに流れる貌。孟、離婁「源泉──、不舍晝夜」○濁る貌。王逸、九思「──兮澆鑽」
いりまじる。北魏書、韓顯宗傳「錯居──」=混糅。
いりまじる。陶弘景文「或三品──、冷熱舛錯」=混雜。
入りまじりてなる。又、入れまぜてなす。老子「有物──、先天地生」
淸酒に酒精·水·藥品などを加へて製したる酒。
步兵一旅團に適應の砲·工·騎兵等を加へて編成せし一部隊。
國 電話などの架線がこみあひて電流の混雜を生ずる。
敵味方がいり亂れてたたかふ。
ふろば、浴場。恆言錄「薩天錫善詠物賦詩、如──云、一笑相遇裸形國」=浴室。
みだれにごる。史、儒林傳序「世以──、莫能用」
○一っにあつめる。左思賦「一八方而──、極風釆之異觀」○まじりあひて區别し難し。
松花·黑龍の兩江が吉林同江縣に至りて合流せしものの名。或は松花江の一名とす〔契丹國志〕
○天地の未だ成立せざる前にて、元氣の未だ分れざるありさま。鶡冠子「兩儀未分、其氣──」兩儀は陰陽。○惡獸の名。神異經「崑崙有惡獸、名曰──」
まぜいれる、まぜこむ。
次條に同じ。莊子「古之人在──之中」
ばっとしてとりとめなし。子華子「──之初、是名太初」=混沌。
入りみだれる。抱朴子「其爲政也、或仁而不斷朱紫──」
ばっとしておくぶかし。高妙深遠の義。柳宗元詩「虛無──道乃融」
いりみだれる。雜譬喩經「顚倒──」=混淆錯亂。
いりまじりながれる。上林賦「汨乎──、順阿而下」
○元氣の未だ分れざる貌。列子「氣形質具、而未相離、故曰──」=混沌。○ コンロン 崑崙に同じ。
まざる。まぜる。=混合。
サイ [隊]
焠に通用す
○にらぐ、刀劍を鍛鍊するに燒きて水に入れ、火を滅して鐵の質を堅くする。戰國燕策「以藥─之」又、其の水を貯ふる器、轉じてつとめはげむ義とす「─勵」○そむ(染)○おかす(犯)
つとめはげむ。唐書、許王素節傳「──自彊」=淬勵·奮勉。
前條に同じ。
○とぎみがく。劉勰、新論「越劍性利、非──、而不銛」元稹詩「箭鏃本求利、──良甚難」=礪淬·砥礪·磨鍊·磨淬。○轉じて人の進修に喩ふ。
サン セン [諌]
あらふ(洗)あらひきよめる。
シ [支]
通じて菑に作る
○くろきいろ(黑色)○川の名、山東省の萊蕪縣より出づ。○臨─は戰國の齊の都、今の山東省靑州府臨─縣治。
山東省淄川縣より產する硯、宋の時、最も之を重んず、蘇易簡の硯譜に「天下之硯、靑州紅絲石第一」とあるは卽ち──なり、盛百二に──錄あり。
淄·澠は齊國の二川、齊の桓公の臣、易牙能く味を知り、二川の水の味を辨ず。列、說符「易牙齊大夫、善聞味、辨淄澠二水、但嘗而知之也」
①シン [侵]
②シン [沁]
①ふかし、水が深し。淺の對。おくぶかし(邃)「─山」○ふかくす。○終に近づく、おそし(晚)「春─」○久し。白居易詩「夜─忽夢少年事」ふける「夜─」○こまやか(濃)「─紅」○さらへをさめる(浚治)漢書、溝洫志「治水有決河─川」○かくす(藏)○甚だ、極めて。○一種の衣「─衣」
②ふかさ、ふかみ。周禮、地官「測土─」
同訓異義
フカシ 深·浚·濬·邃○深は淺の反。莊子「綆短者不レ可二以汲一レ深」すべて水に限らず、廣く情思·義理などの深きにも用ふ。許惲詩「貧别覺二情深一」後漢書「才學優深」○浚·濬の二字は共に堀·川をさらへて深くする義「浚レ川」また「濬二畎澮一」の如し、また廣く深の字の義に用ふ、北史に「黃河急浚」と用ひ、また詩に智の深きを「濬哲」といへる如し。○邃は奧深きなり、幽邃·深邃と連用す。
ふかくいつくしむ。禮、祭義「孝子之有──者、必有和氣」
おくぶかし。易、文言、疏「乾坤易之門戶、義理──」=深邃·深長·深遠。
深き天子のめぐみ。後漢書、伏湛傳「蒙恩──、所言誠有益于國、雖死無恨」
深く思ふ。非有先生論「吳王穆然、俛而──」=深思·深念。
ふかきこころ。謝靈運、山居賦「尋台皓之──」=深旨。
甚だしきしんぱい。=大患·大憂。
ふかくかくれる。杜甫、雨詩「萬木雲──、連山雨未開」
深く靜かなる貌。洞天淸錄「軒甍閒雅、悠然遠眺、道路──、儼然深居」蘇軾詩「禪室各──」
深くしげりたる木かげ。韓駒詩「移坐蔭──」
ふかきうらみ。韓愈詩「往者不可悔、孤魂抱──」
○ふかきふち。詩、小雅、小旻「如臨──、如履薄冰」○ふかし。
深奧に同じ。
ふかくさし出たるのき。僧惠洪詩「──雨雪時」=深簷。
おくゆかしくおだやか。杜甫詩「顧視淸高氣──」
ふかくあやしむ。陳基詩「素書──故人稀」
ふかく其の罪をきはめる。齊書、陸澄傳「詔曰、澄表據多謬、不足──、可白衣領職」
○深きうみ。○深さ二百メ─トル以上の海。
おくそこまで、さとる。諸葛亮、與張裔·蔣琬書「──兵意」
ふかきまじはり。晉書、溫嶠傳「嶠與庾亮──」
よふけ。曹伯啓詩「樓鼓辨──」=深夜。
ふかくたがやす。孟、梁惠王「──易耨」
ふかきたに。梁元帝文「──危峭、組織煙霞」
ふかくかんがみる。陳書後主紀「──物情、匡我王度」
ふかくいみはばかる。後漢書、吳漢傳「光武──之」
ふかくまかす。江淹文「旣乖覆業、彌感──」
十分にひゃうぎする。吳越春秋「願王請大夫種、與──」=熟議。
ふかき恨のあるかたき。=深讎。
おくぶかき御殿。=深殿。
おくぶかくしてむなし。南史、袁粲傳「志氣──」
奧ぶかき宮中に居て手をこまぬきて何事も爲さず。史、李斯傳「陛下──禁中」
ふかき岩あな。梁宣帝賦「潛──、而學六通」=幽窟。
こき赤色。=朱。
ふかくおもふ。ふかきおもひ。張衡賦「私湛憂而──兮」=深念。
ふかき城池。
ふかくひろし。劉克莊詩「中洞旣──」
きびしき刑罰。漢書、元帝紀「上失其道、而繩下以──、朕甚痛之」=峻刑·嚴刑·酷刑。
ふかくはかる。ふかき謀計。素書「──遠慮、所以不窮」
ふかきちぎり。王績詩「故人有──」=深交。
甚だうやまふ。甚だしくつつしむ。宋史、張洞傳「遊其門者皆名士、尤──洞」
おくぶかきれま、婦人の室。張正見詩「──久離别」=深窗。
おくぶかし。梁昭明太子文「二諦、理實──、自非虛懷、無以通其弘遠」=幽玄·深奧。
ふかく心の底をかたり合ふ。戰國策「使文王疏呂望而弗與──、是周無天子之德」=深語。
おもおもしく、かたし。史、汲黯傳「守城──、招之不來、麾之不去」
ふかきめぐみ。李商隱詩「披豁慚──、睽離動素誠」=深恩。
おくぶかくしてきびし。宋史、竇儀傳「──之地、當得宿儒處之」金史、王庭筠傳「暮年詩律──、七言長篇尤工險韻」
ふかきつみ。吳越春秋「大王赦其──」
深く重き病。轉じて積習治し難き心の病。宋史、陸九淵傳「朱熹以爲切中學者隱微──之病」
祕密をうちあけて話す。史、呂不韋傳「引與坐──」
○意味がふかくしてあつし。漢書、儒林傳「文章爾雅、訓辭──」○恩が大いにしてあつし。蘇軾詩「詔書惻怛信──」
濃きくれなゐ。杜甫詩「桃花一簇開無主、可愛──閒淺紅」
○ふかきみぞ。○城の下の池をふかく掘る。史、淮陰侯傳「足下──高壘、勿與戰」
肺になるたけ多量の空氣を吸込み又之を吐きだす。
ふかきたに。詩經「高岸爲谷、──爲陵」
甚だむごし、同情が無くして無慈悲。後漢書、光武紀「獄多冤人、用刑──、朕甚愍之」=深酷。
ふかくくろし。秦觀文「龍洞門則大穴也、漸下十數丈、窅然──」
ふかきうらみ。嵆康文「久慍閑居、謂之無歡──」雍陶詩「就中──酒錢無」
根本をしっかりと固くする、根は橫にひろがるね、柢は緃にさすね、柢一に蔕に作る。老子「有國之母、可以長久、是謂────、長生久視之道」
○おくふかきまど。翁卷詩「──難得月、老屋易生風」窗は窓の本字。○おくまりたる婦女のへや「──の處女」=深閨。
○ふかくをさめる。史、老莊傳「良賈──若虛、君子盛德容貌若愚」○ふかくかくれる。淮南子「曾子曰、繫舟水中、鳥聞之而高翔、魚聞之而──」=深潛。
學問の奧義を究めて深く自ら會得する、造はいたる。孟、離婁「君子深造之以道、欲其自得之也」
みやま。左、襄二一「──大澤」
ふかき奧山と、しづかなる谷と。列、黃帝「寢我庭者、不願────」
異常の地は異常の物を生ずる。左、襄二一「深山大澤、實生龍蛇、彼美、余惧其生龍蛇以禍女」
ふかき意。北史、薛冑傳「常歎訓注者不會聖人──」=深意·淵旨·玄旨。
深念に同じ。
濃きむらさき。王建詩「粉光──膩、肉色退紅嬌」
ふかきいつくしみ。隋書、許善心傳「弘──于不殺、濟大忍于無刑」=深眷·深愛。
ふかきはぢ。元結詩「常聞古君子、指以爲──」=深恥。
ふかきいけ。陳陶詩「百寶安可覰、老龍鏁──」
ふかきうれひ。杜甫詩「老去詩篇渾漫興、春來花鳥莫──」
深仇に同じ。
ふかくさとり遠くおもんぱかる。司馬光文「夫唯明智君子、────」=深謀遠慮。
○おくぶかきへや。○囚人をいれる奧ぶかきへや。左傳「晉人執衞侯、歸之於京師、請置諸──」注「──、囚室也」
ふかき貌。高啓詩「行人入村花宛宛、犬吠隔水樹──」
おくぶかきうてな。江逌詩「蟋蟀吟──」
ふかくわびる。蒲道源詩「──諸侯愧不能」
ふかきおもむき。宋史、崔遵度傳「善鼓琴得其──」
ふかくうるほふ、心がおだやか。漢書、揚雄傳「溫純──」
ふかくけはしくしてへだたる。杜甫詩「中夜懷友朋、乾坤此──」
こきみどり、ふかみどり。蘇軾賦「樹林──已生烟」=深綠、深碧。
○土地がおくぶかし。○轉じて學術·議論などの深遠なる義。梁簡文帝文「慧門──、入之者固希」=深奧·深長·深遠。
極めてこきあをいろ。蘇軾詩「梨花淡白柳──」
ふかきおとしあな。徐寅詩「洞壑雙扉入到初、似從──覩高墟」
ふかくさとる、深く反省する。杜甫詩「令人發──」
極めてねんごろ。史、孔子世家「不如見之于行事之──著明也」=懇切。
ふかきいづみ。晉書、顧愷之傳「投魚──放飛鳥」
○ふかいと、あさいと。詩、邶風「深則厲、淺則揭」漢書、宣帝紀「各以恩──報之」○ふかさ。
ふかくひそむ。元稹詩「風高雲遠逝、波駭鯉──」
ふかきくさむら。韓愈詩「──見孤羆」
深く極度に達する。蘇舜欽詩「開軒延與語、指亦有──」
遠くのがれ避ける。晉書、郭瑀傳「遂──絕迹」
おくざしき。陸雲賦「──百室、曾臺千房」=深宮。
甚だしくふける。北史、李義深傳「梁武帝──釋學、集名僧于愛敬·同泰二寺、講涅槃大品經」
ふかくなげく。崔融詩「不輕文擧少、──子雲疲」
ふかきふち。
○ふかきいけ。○城の池を深くする。韓詩外傳「高城──、不足爲固」
ふかくはづ。ふかきはぢ。南史、陶弘景傳「讀書萬餘卷、一事不知爲──」=大恥。
ふかきちゑ。韋應物詩「張侯本忠烈、濟世有──」
次條に同じ。
おちつきておもおもし、湛は沈。=深沈·深重。
あさはかならず、ふかくながし。論語、序說「覺意味──」北史、崔光傳論「學業──」
ふかくやはらぐ。晉書「望之凝秀、接之──」=淵沖。
おちつきておもおもしく物事にさわがず。=深湛·深沈·沈著。
ふかくいたむ。晁冲之詩「風俗移人可──」
ふかきどろ、深きぬかるみ。=深濘。
きびしく、あばきそしる。漢書、王尊傳「飾文──、以愬無罪」
ふかくいかる。史、樂毅傳「我有積怨──于齊」
敵地へ深く攻め入る。史、黥布傳「──敵國」
ふかくおもふ。史、陸賈傳「力不能爭、常燕居──」
おくふかきへや。=深閨。
ふかきくさはら。儲光羲詩「網罟繞──」
まっしろ。袁桷詩「輕朱──鑄顏色、高亞綠樹爭精神」
ふかくしてひろし。韓愈、柳子厚墓誌銘「汎濫渟蓄、爲──無涯涘」
ふかく重き病氣。馬祖常詩「恤隱發──」
深淵と薄冰との略。晉書、石勒載記「如臨──」深淵參看。
おく深くひめる。宋史、蹇序辰傳「踪跡──、包藏禍心」
おくぶかし。南史、齊高祖紀「朕聞至道──、惟人是弘」
ふかくして、さとし。魏書、劉芳傳「才思──、特精經義」
法律をきびしくする。きびしき法律。文は刑法。漢書、張湯傳「湯與趙禹共定諸律令、務在──」=峻文。
ふかき弊害。顏氏家訓「南染吳越、北雜夷虜、皆有──、不可具論」
濃きみどり。名山記「早暮有影、其色──」=深翠。
とりでを厚くして固く守る。漢書、韓信傳「兵易散敗、不如──」
深き謀計。又、ふかくはかる。史、越世家「范蠡事越王勾踐、卽苦身戮力、與勾踐──二十餘年、竟滅吳、報會稽之恥」
ふかくはかりて永遠のことまで考へる。賈誼、過秦論「────、行軍用兵之道」=深慮遠謀。
甚だ黑し、喪に居る哀容をいふ。孟、滕文公「歠粥、面──」
ふかくしてくらし。劉安陳文「地──、而多水險」
○よく味ふ。遯齋閒覽「余嘗──其言、服其精當、而未能行也」○甚だよきあぢ。
かんがへがふかくこまかし、綿密。魏志、荀攸傳「攸──有智防」
ふかくあはれむ。晉書、武帝紀「先帝──黎元」
ふかききり。張融賦「夜滿──、晝密長雲」
ふかく微妙なる理。史、龜策傳「精微──」=玄妙。
くぼきめ。漢書、西域傳「大宛國、其人皆──、多須?」=?は髯。
よふけ。元稹詩「月明──古樓中」=深更。
ふかくしげりたるつた。方千詩「──難透日」
深く茂れるはやし。說苑「芷蘭生於──非爲無人而不香」
深きかんがへ。後漢書、鄧禹傳「非有忠良明智、──遠圖」
ふかくあはれむ。鄭谷詩「顧念梁閒燕、──澗底松」
ふかきいりえ。杜牧文「復引舟於──」
シャウ [漾]
○おほ波。○水勢の貌。
シュク [屋]
○よし(善良)○又、婦人の美德「貞─」「婉─」「─德」○よみす、よしとする、よくす「私─」○ふかし、きよし(湛淸)○すなほ。○はじめ。儀禮「─獻無常數」=俶。
同訓異義
ヨシ 淑·善·好·佳·嘉·哿·美·良·臧·吉の别は善(口部九畫)の條を見よ。
香氣盛んなり。上林賦「芬芳漚鬱、酷烈──」
よきたね、善美なる子孫。陸機文「保乂皇家載生──」
うるはしくやさし。宣和畫譜「工寫人物、纎濃──之態、萃于毫端」=婉淑。
○善良の德ある女。曹植、與楊脩書「蓋有南威之容、乃可以論於──」=淑女·淑姬。○女官の稱。魏志、后妃傳序「──位視御史」
春の溫和なる氣。杜審言詩「──催黃鳥、晴光轉綠蘋」=淑景。
善良にして公平。諸葛亮、出師表「將軍向寵、性行──、曉暢軍事」
女の正しきをしへ。華陽國志「亦有──母師之行者也」
よきをしへ、正しき教化。魏志、公孫淵傳「纂戎祖考、君臨萬民、爲國以禮、──流行」
○善き氣。柳宗元、迎長日賦「──初延、幽陽潛起」=淑氣。○春のよきけしき。杜甫詩「花覆千官──移」=韶景。
やさしくよきすがた。文心雕龍「盼倩生于──」
よきうまれつき。後漢書、禰衡傳「──貞亮、英才卓礫」
よきこころ、善良なる心。陸雲賦「淸塵熠爍、──綢繆」
善くしてまこと。杜甫詩「態濃意遠淑且眞」
善くつつしむ。詩經「溫恭且惠、──其身」=敬愼。
○善人に同じ。善良の德ある人。詩、曹風「──君子、其儀一兮」○命婦の封號、宋の制、尙書以上の命婦は──に封ず、明淸は三品。
よききざし。徐彥伯詩「藻耀凝芳潔、葳蕤獻──」
やさしく善きらまれつき。張衡、七辯「──窈窕、秀色美豔」
○よく治りてきよし。四子講德論「今海內樂業、朝廷──」○ほがらかにして淸し。淮南子「日月──而揚光」=明朗。
善良なるをんな。詩、周南「窈窕──、君子好逑」
善德あるおとうと。魏文帝誄「於惟──、懿矣純良」
善良で賢し。又、其の人。後漢書、皇后傳「明愼聘納、詳求──」元史、后妃傳「──端懿」
正しく善きとく、主として婦入の善美なる德にいふ。易林「顏氏──、未有爵祿」
よきと、あしきと。書、畢命「旌别──、表其宅里」=善惡。
正しき女のてほん。唐書、后妃傳序「──懿行、更爲內助」
女官の稱。事物紀原「魏明帝置──、齊永明中有司奏、──舊擬九棘、以淑爲溫恭之稱、妃爲亞后之名、進同貴妃、加比三司」
すなほにしてうるはし。應瑒文「余心嘉夫──」
なまめきてうつくし。陸雲詩「目想淸慧姿、耳存──音」
○よきほまれ、問は聞。江淹表「──夙孚、令儀早晰」=淑譽·淑聞·善名。○ シユクモン 善く訟を聽く。詩經「──如皋陶」
德すぐれてうるはし。漢書、劉向傳「資質──、道術通明」
女の善德あるほまれ。貞淑のきこえ。晉書、皇妃傳序「陰敎洽于宮闈、──騰于區域」
善良なるつれあひ。潘岳詩「奈何悼──、儀容永潛翳」
よきたましひ。班婕妤賦「承祖考之道德兮、何性命之──」
①ジュン [眞]
②ジュン [軫]
①きよし(淸)雜 マジリ なし「─粹」○すなほ、ありのまま、きぢ(樸)○まこと、あつし(厚)人情厚し。以上の義は醇に通ず。○そそぐ(沃)○大いなり。○しほはゆし(鹹)○兵車の一對。○──は流れ動く貌。
②ひろさ、はば。布帛の幅。=純。
同訓異義
アツシ 淳·厚·篤·敦·醇·渥·腆の别は厚(厂部七畫)の條を見よ。
周代の齊の人、孟子と時を同じくす、博聞强記、滑稽多辯、嘗て諷刺以て齊威王の長夜の飮を止あ、しばしば諸侯に使して屈辱せられず。
まじりけなきよき氣。韓維詩「賦詩多雅言、嗜酒見──」
○すなほになる、淳朴になる。權德輿詩「──洽聲明、殊方均惠養」○宋の太宗の年號。
閣は宋の淳化年閒に成る、太宗、三館の書、及漢の張芝·崔瑗、魏の鍾繇、晉の王羲之·獻之·庾亮·蕭子雲、唐の太宗·明皇·顏眞卿·歐陽詢·柳公權·懷素等の墨跡を選びて其の中に藏す、侍書王著に詔して以上の墨跡及南唐の建業帖を以て禁中に摹刻し、釐して十卷と爲し─────と名づく、淸の乾隆の時、鈎摹して重刻す。
てあつきと、うすきと。淳厚と輕薄と。劉子「風有薄厚、俗有──」=淳漓。
いさぎよし。後漢書、鄭均傳「有──之風、東州稱仁」
蒪菜 ジユンサイ の異名。=蒓菜。
まじりけなくすなほ。中論「人心和平、天下──」=淳朴。
あつくしてふかし。潘岳、西征賦「忠孝──」
流動する貌。莊、則陽「禍福──」
まじりけなし。隋書、經籍志「道者精微──、而無知其體」=醇粹。
かざりけなく、靜か。王績、醉鄕記「醉鄕氏之俗、豈古華胥氏之國乎、何其──也」
あらひきよむ。國語「齊三日、王乃──饗醴」
いさぎよし。後漢書、楊震傳「所在以──稱」=淸白·淳潔。
風俗がてあつくうつくし。=醇美。
すなほにしてかざりなし。=淳樸·淳質。
前條に同じ。朴·樸同義。後漢書、天文志「協神──」
いさぎよくして美し。後漢書、章帝紀「聖德──、劬勞日昃」
あつきと、うすきと、淳は醇に同じ、濃き酒、漓は醨、薄き酒。=醇醨·澆漓·淳澆。
てあつくして善し。物理論「非廉潔──不可信」
しほはゆきあれ地、しほはま。漢書、食貨志の注に淳は盡なり、舄鹵の田、五穀を生ぜざるなりと。左、襄二五「度山林鳩藪澤、辨京陵、表──」註「──埆薄之地」
すなほにしてかざらず。蘇轍詩「老成愼趨好、後生守──」
厚くしてやはらぐ。後漢書、种岱傳「──逹理、敦說詩書」
國 共に王朝時代の學校、足利義滿以來、征夷大將軍を以て其の別當卽ち長官を兼ぬ。
ショウ [冬]
江の名。今、松に作る、江蘇省の太湖より出で上海縣の北に至り、黃浦江と合し、又東して海に入る、吳─口といふ。今商埠たり。
セイ サイ [齊]
○さむし、すずし(寒涼)詩、邶風「─其以風」○雲雨の起る貌。
寒くすずしき貌、其は助字。詩、邶風「絺兮綌兮、──以風」
涼しき秋の日。纂要「春曰遲日、夏曰畏日、秋曰──、冬曰愛日」=秋日。
○寒くすずしき貌。詩、鄭風「風雨──、雞鳴喈喈」=淒然。○雲雨のおこる貌。詩、小雅「有渰──」
寒くすずしき貌。莊、大宗師「──似秋、煖然似春」
すさまじく感ずる、いたみかなしむ。李子卿、聽秋蟲賦「志苦者易──」
すさまじくさむきかぜ。左、昭四「春無──、秋無苦雨」
セイ シャウ [庚]
淸とは别。
○きよし、濁の對、いさぎよし(潔)○すむ(澄)水が淸くすむ。○きよめる。○あきらか(明)くもりなし、しづか(靜)たひらか(平)「─世」○ととのへをさむ(整理)理に當る。○をはる(了結)「─算」○すみざけ。○飮料物の泛稱。○かはや。○目の下。○ シン 朝代の名、世祖福臨、滿州より入りて國を建つ、凡そ十帝二百六十八年、宣統に至りて位を遜り、改めて中華民國を建つ。○──はすずしき貌。風賦「──泠泠」
○いさぎよく和らぐ。成公綏賦「高談──、講道硏精」○ セイエン きよらかなるさかもり、晏は燕。漢書、劉向傳「願賜──之閒、指圖陳狀」=淸宴。
世がよく治まる。夷は平。文天祥、正氣歌「皇路當──、含和吐明庭」=淸平。
よく治まりて人がおそれ服する、淸平にして長服する。唐書、王綝傳「境內──」
次條に同じ。猗は漪。
きよきさざなみ。方蘷詩「分流一潟數百里、直抵絕壑瀦──」=淸漣。
梅花の異名。三餘贅筆「梅花──」
きよらかにしてしづか。唐玄宗詩「尋勝在──」
塵界をはなれてきよくあそぶ。又風流のあそび。范成大詩「瘦笻支脚力、正爾耐──」=雅遊。
前條に同じ。蘇軾詩「南郭──繼顏謝」
よきはかりごと。沈約文「爰始濯纓、──濬發」
きよきひびき。曹植、白鶴賦「聆雅琴之──、記六翮之末流」
きよらかなるあめ。孟郊詩「靜境無濁氛、──零碧雲」
きよらかにしてながし。高允、鹿苑賦「圖之以萬形、綴之以──」
きよくさかえる。水經、注「──峻茂、良多趣味」
きよき月かげ。杜甫詩「陰壑生靈籟、月林散──」
きよきかがやき。傅休奕詩「湯谷發──、九日棲高枝」=淸耀·淸輝·淸暉。
聲がすみて調子が高い。禮、樂記「其聲──以長」
きよきこかげ。蘇軾詩「三更歌吹罷、人影亂──」
きよくしてやさし。北史、溫子昇傳「博覽百家、文章──」
きよくとほし。晉書、王祥傳「理致──、將非以德掩其言乎」
○きよらかなる音聲。左思、招隱詩「非必絲與竹、山水有──」○すめる語音。濁音の對。
きよらかにしてやさし。朱熹詩「動植各生遂、德容自──」
氣のきよくすめるなつ。謝朓詩「時惟──始、雲景曖含芳」
聲きよくうたふ。曹植、洛神賦「馮夷鳴鼓、女媧──」
きよくみやびやか。魏志、徐宣傳「──獨立、不拘世俗」
きよくしてひとりだつ。南史、陸慧曉傳「──正立、不雜交游」
俗氣を離れてたくみなり。顏氏家訓「何遜之詩、實爲──」
鳥の淸らかなる聲。梅堯臣詩「關關哢──、蒨蒨發朱蕤」
きよきかをり。韓偓詩「卷荷忽被微風觸、瀉下──露一杯」
きよくたかし。杜甫詩「諸葛大名垂宇宙、宗臣遺像肅──」
きよくして直し。唐書、趙宗儒傳「少嗜學、履尙──」=淸直。
○黃帝の琴の名〔博物志〕○五音の中、東に當てたる音。列子「雖師曠之──、鄒衍之吹律、無以加之」
梅の異名〔三餘贅筆〕=淸友。
きよくしてつつしむ。魏志、註「雅亮公正、在官──」=淸愼
きよくうるほす。虞集詩「濯餌千日期、冰臚復──」
きよくしづか、他人の閒暇を稱していふ、おひま。漢書、龔遂傳「願賜──之晏、口陳灾異之意」=淸閑。
前條に同じ。嵆康、琴賦「密微微其──」
きよきたにがはのながれ。劉峻文「酌──之毖流」=淸溪。
○きよく明かに觀わける。隋書、高構傳「每稱構有──、所爲文畢、必先以草呈構而後出之」○己の詩文書畫を人に示すに某先生──と書く。
佛 佛家の規約。傳燈錄「百丈山懷海禪師創立──、禪門至今遵之」
きよき日のひかり。謝靈運詩「昏旦變氣候、山水含──」
前條に同じ。
きよきひかり。杜甫詩「故園松桂發、萬里共──」
きよらかにしてけだかし。晉書、殷浩傳論「──雅量、衆議攸歸」=淸操。
きよらかなる音のこと。魏文帝詩「有客從南來、爲我彈──」
心淸くして狂者に似たる者。漢書、武五子傳「──不惠」陸游詩「詩酒──二十年」
きよきかがみ。陳造詩「每臨──笑頭顱」
きよきひびき。嵆康、琴賦「激──以赴會、何絃歌之綢繆」
きよくすみし大ぞら。謝瞻詩「迅商薄──」=淸空·淸霄·淸昊·淸?。
きよらかにしてむなし。魏志、管寧傳「──足以侔古、廉白足以當世」
きよきおもむき。杜甫詩「挂席釣川漲、焉知──終」
きよき歌のふし。謝惠連、雪賦「酌桂酒兮揚──」
淸廉にして貧を甘んずる。吳志、陸抗傳「──自立」
きよらかにやせて山林の氣ある義。劉子暈、梅花詩「玉骨綃裳韻太孤、天敎飛雪伴──」=淸瘦。
淸く明かなる教化。李密、陳情表「逮聖朝、沐浴──」
淸明なる政化の恩澤を蒙むる。晉書、李密傳「自奉聖朝、────」
○貴き家がら。北史、李彪傳「以才拔等、望──」=華族·淸貴。○淸くはなやか。晉書、左貴嬪傳「言及文義、詞對──」○ 國 昔、攝家の次に位し、大臣になり得る家柄。
さっぱりとこころよし。蘇軾詩「曲折虛堂瀉──」
正しくよきをしへ。後漢書、趙嗇傳「覬承──」
○貴人の淸らかなる風采。漢書、鼂錯傳「莫能望陛下──」○月の淸き光。李白詩「明月看欲墮、當窗懸──」
きよくからりとして廣し。後漢書、仲長統傳「欲卜居──以樂其志」
聲がきよくとほりてかまびすし。酉陽雜俎「負金者聲──、其聲在翼也」
みやびやかなる玩品。翰墨志「寘坐右、以爲──」
侍從の官。齊書、張欣泰傳「當處卿以──」
きよきたらひ。又、淸く手をあらふ。謝朓詩「披衣就──、憑軒方秉筆」=潔盥。
淸くしてはるかに遠し。舞鶴賦「鍾浮曠之藻質、抱──之明心」張九齡詩「──江城月、流光萬里同」=明迥。
きよらかなるあかつき。宣和畫譜「僧巨然善畫山水、今御府藏雲嵐──圖三」
西曆千五百五十八年に起りし英吉利の新敎徒。
すめろつき。王融詩「──囘將曙」
いさぎよし。漢書、尹翁歸傳「──自守、語不及私」
きよくしづか。傅休奕、硯賦「加采漆之膠固、含沖德之──」
けだかきことば。晉書、樂廣傳「廣善──、而不長于筆」=淸談。
淸らかなる音の琴、絃は琴の絲。陳子昂、山享宴集序「弄──」
きよきみなもと。吳均詩「濟水有──、桂樹多芳根」
廉潔にしてきびし。魏志、王基傳「出爲安豐太守、爲政──、有威惠」
きよく、あらはれる。蜀志、衞繼傳「歷職──」=淸貴。
きよらかにしてさとし。北史、王晞傳「子良愛其──」
淸廉にして公平。魏志、毛玠傳「少爲縣吏、以──稱」
淸き酒が濟水の如し、極めて多くある義。魏都賦────、濁醪如河」
きよきたましひ。揚雄、甘泉賦「澄心──、儲精垂思」=淸魄。
きよくすぐれる。唐書、尹思貞傳「其政皆以──聞」
○心をきよらかにしてものいみし、酒肉などを用ひず。王維詩「松下──折露葵」=潔齋。○きよらかなるへや。楞嚴經「──淨室也」
きよめすすぐ。孫綽、諫移都洛陽疏「當蕩滌河渭、──舊京」
きよきみさを。晉書、顧和傳「總角有──、族叔滎雅重之曰、此吾家麒麟」=淸節。
心がきよくさわやか。杜陽雜編「飲之神氣──」
きよきしも。羊士諤詩「十畝蒼苔繞畫樓、幾枝紅樹過──」
きよらかなる食物。徐賁詩「或裁文籜製小冠、時尋新笋供──」=淨饌。
きよきみさをある士。史、伯夷傳「擧世混濁──乃見」
水きよきみぎは。謝靈運詩「飛燕躍廣途、鷁首戲──」
○陰曆十二月の臘祭の別稱。獨斷「四代稱臘之别名、夏曰嘉平、殷曰──、周曰大蜡、漢曰臘」○淸くまつる〔元史、禮樂志〕
きよきかほりぐさ。江淹、樂府「此心冀可緩、──在沅湘」
をさまれる世。李陵、答蘇武書「策名──」=淸世·眀時。
きよくしてすぐれる。魏書、元顯和傳「元參軍、風流──、容止閑雅」
氣のすめるあき。殷仲文詩「獨有──日、能使高興盡」
○きよらかにすずしきへや。曹植、七啓「──則中夏含霜」○へやをきよくする。後漢書、張禹傳「淸道而後行、──而後御」
きよらかなることの音。杜甫詩「悲管逐──」=淸琴。
心きよらかにして信あり。晉書、文立傳「文立忠貞──、有思理器幹」
きよきこころ。こころをきよくす。晉書、王凝之妻謝氏傳「──玉映、自是閨房之秀」
きよくして眞正なり。李白詩「右軍本──」
すみてふかし。杜甫詩「背堂資僻遠、在野興──」
きよらかなるあさ。張九齡詩「山川歷歷在──」=淸曉·淸旦。
きよらかにしげる。陸希聲、苦竹徑詩「山前無數碧琅玕、一徑──五月寒」
きよくあたらし。
潔白にしてつつしむ。北史、牛弘傳「鑒賞機悟、──絕倫」
淸廉·謹愼·勤勉の三者は官吏の守るべき道。呂木中、官箴「當官之法、惟有三事、曰淸、曰愼、曰勤」
きよく明か。晉書、孫晷傳「外祖薛兼曰、此兒神明──、志氣貞立、非常童也」
すみて深きみぎは。梁簡文帝詩「欲知情外物、伊洛有──」
きよらかにけだかし。晉書、李重傳「以──見稱」=淸高。
○淸くすめる商の音。七啓「動朱脣發──」○淸く涼しき風。潘岳、悼亡詩「──應秋至」
すみたる聲にてうたふ。陸機詩「名謳激──、榜人縱棹歌」
○きよくしてけがれなし。○よごれのないこと、邪念私心なし。
淸淨無爲の敎と寂滅爲樂の敎と。老莊の道家の敎と、佛教と〔韓愈、原道〕
よみしほめる。蘇軾詩「自昔懷──、今兹得縱探」
○きよらかなるさかもり。○神にささげる酒。宗廟の祭に酒を稱して──といふ。曲禮「凡祭宗廟之禮、酒曰──」
すみたるさけ。周禮、天官「辨三酒之物、一曰事酒、二曰昔酒、三曰──」詩經「──百壼」=澄酒。
きよらかにしづか。後漢書、陳寵傳「訟者日減、郡中──」
心きよくまじりけなし。晉書、荀顗傳「顗──體道」
きよくあつし。何遜詩「所在號──」
まじりけなくあつし。嵆康、琴賦「蘭肴兼御、旨酒──」
きよがき。=淨書。
水きよし。僧觀通詩「亭亭映──」
○淸くすめる水。漢書、韓安國傳「──明鏡、不可以形逃」○ 國 しみづ、きよきわき水。=淸泉。
きよくしてただし。淮南子「水定則──、動則失平」
よく治まれる世。唐書、李源傳「抱此眞節、棄于──」=淸時·明時·治世。
きよらかなる貌。風賦「──泠泠、愈病析酲」
安らけく治まる。北史、賈彝傳「在州五載、──寡事、爲吏人所安」=淸寧。
きよくしづか。中、老子傳「無爲自化、──自正」
庵の名。宋史、皇甫坦傳「召問長生久視之術、帝歎服、書淸靜二字以名其庵」
きよらかなるこゑ。楊衡詩「大方開正位、樂府動──」
そらがすみわたって晴れる。黃鎭成詩「更約秋風──日」=快晴。
水すめるぬま。晉書、南燕載記「蔭修檐、臨──」=淨沼。
きよくしてうるはし。晉書、懷帝紀「天姿──」=淸美。
すみたるそら。揚雄、甘泉賦「騰──而軼浮景兮」=淸空。
○きはめてきよし。杜甫詩「綠雲──歌聲上」○淸貴にして切近。謝朓文「──藩房、寂寥舊蓽」
淸めすすぐ。後漢書、劉虞傳「吾被重恩、未能──國恥」
○すめるいづみ。韓愈、送李愿序「坐茂樹以終日、濯──以自潔」○すずりの異名。
すみてあさし。謝靈運詩「蘋萍泛沈深、菰蒲冒──」
きよくやはらか。蘇軾詩「禪老語──」
淸くして十分に足る。北史、李德林傳「博學多才、詞藻──」
潔白にしてかざりけなし。前涼錄「──敦朴、不好華競」
きれいにさっぱりとする、楚は鮮。白居易詩「──看諧律」
○からだがやせてすらりとしてゐる。杜甫、天狗賦「性剛簡而──」=淸癯。○山がさっぱりとやせて見える。韓愈詩「南山逼冬轉──」
きよくしててがる。南史、齊衡陽王道度傳「居身──」=淸廉率直。
○きよらかなる酒だる。○きよき酒、罇は樽。駱賓王詩「還愁三徑晚、獨對一──」
事無く安らか。晉書、孫楚傳「自兹以降、九野──」=淸寧。
○天子の出行に先だちて道路を淸掃する。司馬相如、長楊賦「且夫──而後行」○轉じて天子の行幸のさきばらひをいふ。漢書、丙吉傳「出逢──」=前驅。
淸平に同じ、蕩は平。後漢書、和帝紀「萬里──」
きよくしてすぐれる。法苑珠林「幼懷雅亮、──不羣」
○すむと、にごると。轉じて世の治亂又は人の善惡などにいふ。○淸音と濁音と。
きよきあさ。列子「齊人有欲金者、──衣冠、而之巿」=淸晨·淸曉。
きよくおちつく。王勃文「以──幽凝、鎭流靖俗」
すめるはやせ。陸機詩「遺芳結飛飇、浮景映──」
心きよくあはし。列仙傳「情頗──、不爲兒戲」
○俗を脫したるはなし。後漢書、鄭太傳「──高論、噓枯吹生」○魏晉人の老莊易などを談ずるをいふ。=淸言。
水のきよきいけ。夏侯湛賦「臨──以遊覽、觀芙蓉之麗華」
きよくはれたるひる。王維詩「是時陽和節、──猶未暄」
俗 決算「──了」は決算が濟む。賬房は帳場 チヤウバ
きよくすむ。=澄淸·淸澂。
いさぎよく正し。晉書、郭奕傳「忠毅──、立德不渝」
世が淸く治まる。後漢書、明帝紀、注「今海內──、萬里一統」
心がきよくただし。晉書、王述傳「──簡貴、不減祖父、但曠淡微不及耳」同書、儒林傳贊「──守道、抗志柴門」
きよくたたへる。王彪之、井賦「澄瀾恬以──、泓冷朗以寥戾」=澄渟。
○當代の王朝の美稱。方干詩「──作獻臣」○ シンテウ 明朝の次にて民國となる以前の朝代の名。
すめるふえの音。傳縡賦「聽──之寥亮」
きよくかなふ。黃鎭成詩「今日稍──、獨出城西邨」
○きよくすすぐ。○祭に用ふる水の稱。曲禮「水曰──」
きよくしてあきらか。書經「視曰明」疏「故心──而審察也」
○淸くすむ、澈は澄。○轉じて心の淸く明かなる義とす。齊書、張融傳「形貌短醜、精神──」
心きよらかにしづか。南史、晉安王子懋傳「諸子中最爲──」=淸靜。
殿屋をきよらかにす。又、きよき宮殿。賈誼、新書「友至則──而待」
きよらかなるたかむしろ。杜甫詩「──疎簾看奕棋」
きよらかにさへづる。何景明賦「協雲簫而──、隨蜺駕以遙旋」
天下が淸く安らか。宋史、禮志「──孚祐」=淸平安寧·淸靖。
すみたるえだながれ。應貞賦「覽舟源之冽泉、眷懸流之──」
きよらかなるこころ。孟郊詩「──多遠聞」
淸廉にして人望ある者。晉書、楊濟傳「帝重兵官、多授貴戚──」
いさぎよし。後漢書、楊震傳「使後世稱爲──吏子孫」高士傳「徑行──」=潔白·淸廉。
きよらかにはるか。沈約文「濬哲淵源、道風──」=淸遠。
きよらかにひいでる。梁書、文學傳「吳均文體──、有古氣、好事者或效之」=淸挺。
よき位階。黃庭堅詩「昨來立──、國士相顧喜」
きよらかにながれる。鮑照詩「泉流信──、原野實甘荼」
きよらかにうるはし。司馬光、永興謝上表「山川──、土地膏腴」蘇軾詩「怪君便爾忘故鄕、稻熟魚肥信──」
きよらかにしてしづかなり。北史、序傳「邊服──」=淸寧。
心きよらかにしてまづし。魏志、華歆傳「歆素──、祿賜以賑施親戚故人、家無擔石之儲」傳燈錄「寧可──自樂、不作濁富多憂」
心きよくさとし。南史、梁宗室推傳「少──、好屬文」王隱、晉書「程咸博學洽通、文藻──」
きよきかぜ。詩、大雅「吉甫作頌、穆如──」蘇軾、赤璧賦「──徐來、水波不興」=淸飆。
きよらかなるさいはひ。耶律楚材詩「秋思盡雅興、三樂歌──」
きよきかをり。轉じて淸く香はしき德行。文賦「咏世德之駿烈、誦先人之──」=淸香·淸馥。
きよらかなる氣。江淹詩「重陽集──」
○きよらかに治まる。=淸夷。○きよらかに治める。庾信文「有──天下之心」
やうすが淸くしてけだかし、丰裁淸峻。柳宗元文「──霜潔、馨德蘭薰」
○周の文王のたまや、淸は淸淨。左、桓二「──茅屋」○文王の德を美 ホ めたる詩篇、詩經に出づ。
きよきかぜ。成公綏、嘯賦「──振乎喬木」
すみたるひとみ。張衡、七辨「靨輔巧笑、──流盼」=明眸·淸目。
○きよらかにして和らぐ。晉書、王濛傳「豈可令涇渭混流、虧──之風」○人の健康がすぐれる、書簡の用語。
心よくしてたけし。後漢書、皇甫規傳「兗州剌史牽顥之──」
よきあぢ。又、さっぱりしたるおもむき。李璟詩「可憐──屬儂家」
心の淸廉なるきこえ。晉書、河閒王顒傳「少有──、輕財愛士」=淸譽。
○きよくあきらか。禮記「──在躬、志氣如神」○淸く明かに治まる。聖賢羣輔錄「海內──」○二十四氣の一、春分の次の氣節。四月五日頃。熙朝樂事「──前兩日、謂之寒食」
春分の後に吹く東南の風。史、律書「───居東南」=熏風。
すみたる海。阮籍賦「聊逍遙于──」
寒素なる家がら。杜甫詩「將軍魏武之子孫、于今爲庶爲──」=寒門。
よく晴れたる夜。魏文帝詩「──延貴客、明燭發高光」=淸宵。
野の作物又は家屋などを拂ひ除け、攻め來る敵をして糧食宿舍の便を得しめざる義。何承天、安邊論「堅壁──以俟其來」
眉上廣くして眼淸し。また揚は眉の上下をもすべていふ。詩、鄭風「有美一人、──婉兮」
きよくつづまやか。宋書、束修之傳「治身──、凡所贈貺、一無所受」
きよきせ。孫楚、蓮花賦「有自然之靈草、育靈沼之──」=淸湍。
きよらかなる音。朱熹詩「天風發──、山月度寒光」
きよくほがらか。晉書、潘岳傳「微雨新晴、六合──」
きよくすみし酒。西京雜記「──旣成、綠瓷旣啓」
きよらかなるながめ。楊萬里詩「八月濺飛雲、──良獨奇」
淸き鈴の音のする天子のみくるま。張九齡詩「一月朔巡狩、羣后陪──」
○淸き風化。晉書、杜弢傳「西州人士、得沐浴于──」○潔白なる人のなかま。唐書、裴樞傳「初全忠佐史李振曰、此等自謂──、宜投諸河永爲濁流、全忠笑而許之」=淸派。
○きよくあきらか。後漢書、朗顗傳「──自然、被褐懷寶」○聲のあきらかなる義。晉書、王襃傳「音聲──、辭氣雅正」
○きよくすずし。法苑珠林「──寂靜、安樂無病」○五臺山の一名。
口內をすずしくするくすり。
○漢代の宮殿の名。○ 國 セイラウテン 昔、天子が朝政を聽かれし御殿の名。
きよらかにすずし。梁武帝、淨業賦「心──其若水」王襃賦「朝露──、而隕其側兮」
きよし、泠は淸。張協、七命「天──而無霞、野曠朗而無塵」
きよくうつくし。南史、謝顥傳「言詞──、儀容端雅」
きよくすぐれたる氣。陸雲賦「含二儀之和氣、稟乾元之──」
うつくしくならぶ。左思、嬌女詩「小字爲織素、口齒自──」
きよし。柳宗元、小石潭記「下見小潭、水尤──」
いさぎよし。けっぱく。史、樂書「正直──而謙者宜歌風」=廉潔。
すめるさざなみ。謝靈運詩「白雲抱幽谷、綠篠媚──」
きよくさえたる音樂のふし。異苑「宮商和暢、──諧密」
○きよらかにして和ぐ。漢書、賈誼傳「海内之氣、──咸理」=淸平。○陰曆の四月一日。歲時記「四月朔爲──節」轉じて四月を──月といふ。○のどやか。謝朓詩「麥候始──」○春の時候がのどかでおだやか。謝靈運詩「首夏猶──」
俗をはなれたるきよきはなし。岑參詩「見君勝服藥、──病能除」
セイ ジャウ [敬]
○いさぎよし(潔)○きよし(無垢)けがれなし「潔─」「明─」○きよくす「─身」○邪惡の念なくして潔白なり。○演劇の脚色の一、粉墨を以て面を塗りて扮演する者、俗に大花面といふ。○淸─は心淸くさっぱりとして煩しからず「六根淸─」
荷 ハス の異稱〔山堂肆考〕
○淸き場所、彌陀の淨土。南史、庚詵傳「上行先生已生彌陀──矣」=淨土·淨界。○寺院。
てら。姚合詩「梵書鈔律干餘紙、──焚香獨受持」=禪院·寺院。
ほとけの戒法。五戒·十戒など。白居易詩「八關──齊銷日、一曲狂歌醉送春」
○淨土に同じ。梁簡文帝、大愛敬寺銘「──無毁、金地永貞」○寺院。又靈地。
きよくぬぐふ。楊萬里詩「──白醭拂黃塵」=淨拭。
きよき机。蘇軾詩「細氈──讀文史、落筆璀璨傳新詩」
淸淨なる頭巾、僧のづきん。陳陶詩「山泉落──」
てら。梁簡文帝詩「慈波流──」=梵宮。
きよきそら。劉孝威詩「平雲斷高岫、長河隔──」
淸淨なるをしへの義、佛敎をいふ。皇甫會詩「──傳荊吳」
慈善のために出す義捐金。又寺への寄附金。
きよくはらふ。王昌齡詩「──陰山無鳥投」
こころをいさぎよくす。春秋繁露「君子平意以──」
きれいに書きうつす。
きよがき。=淸書。
淸き色。張籍詩「──在霜枝」
きよらかにたつ。周敦頤、愛蓮說「不蔓不支、亭亭──」
手あらひみづ。
水のすめるいけ。劉兼詩「蓮披──羣香散」
きよくあらふ。杜甫、洗兵馬詩「安得壯土挽天河、──甲兵常不用」=洗淨。
きよめすすぐ。孟郊詩「──一掬碧、遠消千慮塵」
きよらかなるこしかけ。謝翺詩「──搜涼臥、危欄入醉凭」
淨土に同じ。
佛 三毒五濁の業なき淸淨なる國土。人閒界を穢土といふの對。大藏法數「佛土名──、常淸淨、自然無一切雜穢」=極樂淨土·淨界·淨域·佛土。
眞宗の别稱、淨土宗より分派したるが故。
佛 佛敎の一派、普賢を以て初祖とす、南無阿彌陀佛の名號を念じ、他力本願にて極樂へ往生するを主旨とす、我國にては、法然上人(源空)に始まる。
佛教の學問。劉程之文「集於廬山之般若臺、修────」
かはや、便所。
佛 地獄の閻魔 エンマ の廳にありといふ鏡、亡者生前の所業が盡く映じ現るるといふ。
佛 佛法によりて受ける淸きさいはひ。徐陵文「大傾財寶、同修──」
きよくしてあをし。梅堯臣詩「──如磨銅」
きよきせ。張喬詩「──煙霞吉、寒原草木凋」
○ 佛 一種の美くしき世界。藥師琉璃光如來本願經「東方去此過十兢伽沙等佛土、有世界、名───」○ 國 戲曲のかたり物の稱。又特に義太夫節の稱、もと淨瑠璃姬の事蹟を作りしに始まる、故に名づく。=淨瑠璃。
佛法のはなし。鄭谷詩「幾思聞──、雨後對禪牀」=法話。
①セイ [霽]
②セツ [屑]
①江の名。
②浙に同じ。
セキ [錫]
○とぐ、米をよなぐ。又、其の米。孟、萬章「接─而行」炊ぐ爲めにとぎかけたる米をすくひあげて持ち行く、去ることの急なるにいふ。○──は雨又は風の聲。杜甫詩「朔風鳴──、寒雨下霏霏」
風雨などの聲。字解參看。
○雨霰。又風の聲。謝惠連、雪賦「霰──而先集」=淅淅。○あはれにさびしき貌。李白詩「飛霜早──、綠艶恐休歇」=蕭條·淒涼。
セフ [葉]
汎─は、水の微小なる貌。一に波の急なる聲。
①セン [銑]
②セン [先]
③セン [霰]
①あさし。深の對「淸─」○あさくす。○うすし(薄)○聞くところ少し、智識學問などがあさはか「─學」「─識」○虎の皮の毛のあさきもの。○凡て獸皮の毛のあさきもの。
②──は水の疾く流れる貌。
③そそぐ。=濺。
うすがすみ。何中詩「──須城山、斜橋汶津樹」
すこしくのむ。薛能詩「耽吟乍可妨時務、──無因致宿酲」=淺酌·淺斟。
うすあか色、絳は赤「──山水」
あさき學問、精しからざる學識。=薄學·膚學。
あさはか、淺薄卑近。杜預、春秋序「末有穎子嚴者、雖──亦復名家」
うすき黃色。劉禹錫詩「數樹深紅出──」
あさくせまし。管子「夫國城大而田野──者、其野不足以養其民」
淺はかなるかんがへ。晉書、王豹傳「敢以──、陳寫愚情」=淺識。
うすくれなゐ。杜甫詩「桃花一簇開無主、可愛深紅閒──」=淡紅。
うすぐろし。詩經、傳「陰白雜毛、曰駰」疏「陰──今之泥驄」=淡黑。
あさせのいかだ、庾信詩「──全不動」
あさはかなるちゑ。高適詩「──登一命、孤劍通萬里」
うすむらさき。歐陽修詩「深紅──看雖好、顏色不奈東風吹」
知ること淺し、淺き見識。北史、陽固傳「梁丘寡智、王鮒──」
小さかもり。宋長編「於銷金帳中、──低唱」
こさかもり。白居易詩「玉杯──巡初匝、金管徐吹曲未終」=小酌·淺斟。
水のあさきみぎは。儲光羲詩「──荇花繁」
あさきみづ。劉得仁詩「片雲生石竇、──臥古松」
ほほゑむ。孫瓛、探梅詩「美人──憑雲端」=微笑。
○水の疾く流れる貌。楚辭、九歌「石瀨兮──」○少しづつ。吳融詩「魚網徐徐襞、螺巵──傾」
すくなし。史、刺客傳「臣之所以待之、至──矣」
おびをゆるくむすぶ、閑暇迫らざる貌。李白文「縫衣──、十有五人」
あさはかでおとる。蜀志、諸葛亮傳「智術──、遂用猖獗」=淺劣。
うすじろし。碧雞漫志「或紅、或淺紅、或白、或──」
あさくうすし。後漢書、皇后紀「時俗──、巧僞滋生」
知ること少し、見聞せまし。史、儒林傳「小吏──、不能究宣」=寡聞·尠聞。
うすはなだいろ。あさぎ。李商隱詩「畫圖──松溪水」
あさはかなるはかりごと。左傳「深思而──」
うすげ。管子、注「──之獸、虎豹之屬」
あさせ。儲光羲詩「──寒魚少」
あさくしてはぶく。書經正義序「文義皆──」
あさはかなるかんがへ。
あさみどり。魏彥深詩「新枝含──」
智あさくしておとる。韋應物詩「──見推許、恐爲識者尤」=淺陋·淺短·淺薄。
あさくいやし、陋は劣。漢書、董仲舒傳「此臣──之罪也」=淺劣。
ソウ サウ·ソウ [冬]
○水の流れる貌。又、其の聲。○そそぐ。
水の流れる聲の玉を鳴す如きにいふ、琮は玉聲。韓愈孟郊聯句「竹影金瑣碎、泉音玉──」
水の流れる聲。陸游詩「洗耳石澗聽──」=潺湲。
水の流れる貌。又、其の聲。高適歌「石泉──若風雨」
タ [哿]
又?に作る
○波のよせたたむ貌。○瀢─は沙石が水に隨ふ貌。
唾(口部八畫)に同じ。
タゥ [豪]
○よなぐ、水にてゆりよどませて善きと惡きとをよりわける。○善を取りて惡を去る「─汰」○こめとぐ(淅米)「淨─」○ながれる。ながす。
金をよりわける。許渾詩「洞丁多斲石、蠻女半──」=淘沙。
人の性質及運命は其の生れたる日の干支(宮)にて定まるものとし、之をよなげて吉をとり凶を去り、運命を開くを旨とする教義。
よなぐ、えりすぐる、淘一に洮に作る。後漢書、陳元傳「洮汰學者之累惑」
流れる貌。=滔滔。
よなぎこす、惡を去りて好を取る。輟耕錄「將石子──玩弄」
①ダウ [效]
②シャク [藥]
①どろ(泥)○ぬかる、ぬま、ぬかるみ「─濘」○うるほふ(濡·濕)○やはらぐ(和)○溺る「沈─」
②しなやか、綽に通ず。
ぬかる。ぬかるみ。楊載詩「長衢方──」
どろどろしたるかゆ。陸游詩「食有──猶足飽」=糜鬻 ヒジユク
しなやか(柔弱)なる貌。莊、逍遙遊「肌膚若冰雪、──若處子」=綽約。
タク [覺]
○川の名、直隸省涿州にあり。○─鹿は地名、古、黃帝の都、直隸省宣化府保安州の南に在り。○したたる(流下滴)○うつ(擊)
①タン [感]
②エン [琰]
①あはし、うすし(薄)さっぱりする。濃の對。○水の滿つる貌。○薄き味、粗食。○心がさっぱりして名譽や利慾などの念が薄い「─泊」「恬─」○まみづ「─水」鹹の反對。
②澹─ タンエン は風に隨ふ貌。又、水のひろがりうごく貌。○── エンエン は安らかなる流の平かに滿つる貌。
同訓異義
ウスシ 淡·薄·菲·涼·漓·澆·偸の别は薄(艸部十四畫)の條を見よ。
うすきかすみ。陸游詩「──輕颸入夏初」
うすぐも。蘇軾詩「──籠月照梨花」
うすけぶり。=淡煙。
粗末なる物を食ふ。茹は食。史、叔孫通傳「呂后與陛下、攻苦食啖」啖·淡通ず。
あっさりと上品。隋書、牛弘傳「有──之風、懷曠遠之度」
あっさりしたる交。莊、山木「君子之交淡若水、小人之交甘如醴」禮、表記にも類語あり。
少しづつ食ふ。經鉏堂雜志「每食先──三口」
うすあかと、うすみどりと。李繩詩「────萬山收」
海產の貝の一種、長さ三四寸味美なり、いがひ、にたりがひ。
うすげしゃう、あっさりしたるよそほひ。蘇軾詩「若把西湖比西子、──濃抹總相宜」
さっぱりとして慾なき貌。曾鞏詩「──非外樂、恬然忘世喧」=淡如。
少しのうれへ。杜牧詩「點滴侵寒夢、蕭騷著──」
うすきかゆ。蘇軾詩「折脚鐺中煨──」
あっさりしたる貌。儲光羲詩「何以知君子、交情復──」
まみづ、鹽分を含まざる水「──湖」
まみづ(淡水)卽ち河·池などにすむうを。曹植文「淡水之魚、不入于海」
うすくはれる。楊萬里詩「乍暖柳條無氣力、──花影不分明」
○あっさりしたる貌。又、うすき貌。楊萬里詩「──淸霜薄薄冰」=淡如。○ エンエン 安らかなる流の平かに滿つる貌。宋玉賦「潰──而竝入」
はちく。夢溪筆談「──對苦竹爲文」
あはきと、こきと。=濃淡。
あっさり、色又は味。又心などのきっぱりしてゐる義。=澹泊。
慾少く靜かなる貌、恬靜。文子「非──、無以明德」=淡泊。
たばこ、蘭語の音譯。=淡婆姑·烟草。
前條に同じ。
うすあを。陸游詩「霧收山──、雲漏日微紅」
うすずみ。孔武仲詩「敗毫──任揮灑」
あっさりしたるあぢ、かるき味。厚味の對。
君子の心のさっぱりしたる喩。淡交參看。
①テン [鹽]
②テン [豔]
①そふ、ます(益)つけ加へる。
②味を加へます爲めに添へて食ふもの、酒のさかな、おかず。○ 國 そふ、夫となり又は妻となる、つれそふ、配する。
同訓異義
ソフ 添·副·貳·傍·沿○添は益なり、少しづつ增し加ふるなり。○副はかけがへに添ふるなり、ひかへ、副使·副將·副書などの類。○貳は副に同じ、太子を儲貳といふは、君のかけがへなり。○傍は傍ソバへよりそふ義「沙上鳧雛傍レ母眠」また「傍レ花隨レ柳過二前川一」の如し。○沿はつきしたがひてゆく義、書經の「沿二于江海一」の註に「順レ流而下、曰レ沿」とあり。
つけくはへる、つけたす。=添附·加添。
そへると、かへると。賈氏談錄「飜破舊文、一無──」
文字をそへ又けづりて攺む。法華文句「余二十七於金陵聽受、六十九於圓丘──」=添删 テンサン ·點竄。
前條に同じ、竄は改易。
そへじゃう。又は物にそへて他人の處へやるてがみ。
ましそへる。僧惠洪詩「日暮荒城倚瘦藤、江南春思倍──」
そへつづく。雲笈七籤「修眞之人採新安、故──不絕」
○我子を卑下していふ、賦役の人夫に加ふる義、唐の制、男子二十歲にして役に服す、故にいふ。唐書、盧仝傳「仝生子、名曰──、欲爲國持役也」○轉じて男子を生む義。
添加に同じ。
テン [銑]
○けがれ、よごれ(垢濁)○しづむ(沒)
あかつきにごる。楚辭、遠遊「切──之流俗」注「垢濁也」
テン デン [霰]
又澱に作る
○あさきみづ(淺水)よど、水淺くして流が淵の如くにゆるし。○ 國 ヨドム 言語がすらすらと出ぬ、口ごもる
トウ [東]
凍とは别
○にはかあめ(暴雨)ゆふだち。○瀧─は沾漬 ウルホフ の貌。
にはかあめ。爾雅、注「今江東呼夏月暴雨爲──」
ヒ [微]
○川の名、安徽省の合肥縣に發す、本、肥に作る。○─泉は源同じくして注ぐ所のことなれる泉。詩、邶風「我思─泉」
瀰(水部十七畫)の俗字。
ヒョウ [蒸]
─滂は水の聲。又風の物を擊つ聲。風賦「飄忽─滂」
フウ フ [尤]
○─江は川の名、四川省に發し、嘉陵江に合す。○─陵は地名、重慶府に屬す。
ヘイ ヒ [霽]
○──はおほし(衆)又しげる(茂)○水の聲。○舟の行く貌。
①ヘイ [靑]
②ハウ [庚]
洴は俗字
①わたを水にてさらして白くする。又、其の聲。
②水の聲。
綿をさらして白くする、澼は洗。莊、逍遙遊「世世以──絖爲事」
ベゥ [篠]
ひろくおほいなる水。=渺。
水の廣廣としたる貌。郭璞、江賦「滔天以──」
水の廣くして限りなき貌。沈約、法王寺碑「──洪波」=渺渺·淼茫。
水の大いにはびこる貌。左思、吳都賦「滇渺──」=淼淼。
ヨ オ [御]
○どろ(泥)おり(澱滓)○す(洲)こじま。○あく、飫に通ず。
泥ふさがりたまる。唐書、孟簡傳「州有孟瀆久──」=淤塞。
飽くほど飮食物を下される。馬融、廣成頌「──犒功」=飫賜。
どろ。周敦頤、愛蓮說「出於──而不染」蘇軾詩「──生蓮花」=泥淤。
どふどろがとどこほる。李華頌「百年──爲漻淸」
ヲイ [灰]
川の名、一名拒馬河、直隸省に在り。
リン ロン [眞]
○さざなみ(小波)○しづむ(沒)○ひきゐる(率)○混─は氣形具 ソナハ りて未だ分離せざる貌。
さざなみ、猗·漪同じ。詩、魏風「河水淸且──」=漣漪。
しづみかくれる。劉長卿詩「心鏡常虛明、時人自──」
しづみかくれてすてられる。六一詩話「其詩──、亦可惜」
しづみてのびず。舊唐書、明皇紀「──者、所司具以狀聞」
しづみかくれる。
しづみそこなはる。隋書、音樂志「漢末大亂、樂章──」
ほろぶ。書、微子「今殷其──」
ほろびうしなふ。阮籍賦「遂捐葉而──」
相率ゐてともにほろぶ、胥は相。詩、大雅、抑「無──亡」
しづみふさがる、おちぶれてふしあはせ。任昉文「年世貿遷、孤裔──」
しづみおとろふ。李白詩「延引故鄕人、風義未──」
しづみおぼれる、沈沒する。宋書、武帝紀「王化阻閡、三巴──」
しづみおつ。葉適文「禹箕之道──矣」
ひそみかくれる。參同契「幽潛──、包囊萬物」
おちぶれる。後漢書、方術傳序「以乖忤──」=淪落。
おちぶれる。謝靈運詩「──薄許京」
おちぶれてとしよる、零落老衰する。江淹文「蠲假衰疾、收屛──」=頽淪。
しづむ、おとろへる。江淹文「惜衰宗之──」=淪落。
しづみほろぶ。馬融賦「──潭淵」
おちぶれる。李白詩「家本紫雲山、道風未──」柳宗元文「今乃凋喪──、莫有達者」=零落·流落。
リン [侵]
○水をそそぐ(沃)○ながあめ。=霖。○だらだらと滴る貌「─漓」○病名、りんびゃう、しばゆばり(小便數)=痳。○ 國 さびし(寂)
○あせ。新論「馬未馳而──」○あせながし、禪家にて、夏、汗をながす風呂。
そそぐ。又、絕えざる貌。王襃、洞簫賦「被──其靡靡兮」
羽の生えかかれる貌。海賦「鶴子──」
水の流れこむいけ。王子年拾遺記「穿──廣千步」
高等動物が組織閒に有する無色透明の液、淋巴管により乳糜と合して心臟に入る、其管の會合する所を淋巴腺といふ。英語の音譯。=明汁。
みだれる貌。韓愈詩「──身上衣、顚倒筆下字」
したたる貌。楊億詩「圓荷淸曉露──」=淋漉。
○長き貌。楚辭、哀時命「劍──而縱橫」○大いなる貌。揚雄、羽獵賦「──廓落」
水のしたたる貌。曹植賦「贍玄雲之晻晻兮、聽長空之──」
したたる。盧思道文「雨師止其──」
したたる。北史、齊文宣后李氏傳「流血──、投諸渠水、良久乃蘇」=淋漓。
①リャウ [陽]
②リャウ [漾]
凉は俗字
①うすし(薄)「─德」○すずし(薄寒)「納─」○かなしむ。○風にあたらしむる。○州の名、今の甘肅省。○國名、東晉の時、先後して甘肅の地に分據せし者、國號を─といふ、前·後·北·西·南之を五─といふ。
②たすく(佐)○まこと(信)=諒。 國 ○すずし、淸らかにしてすずし「眼元─し」○すずみ。すずむ(納涼)「タ─」
すずしきけはひ、涼しき趣。孔平仲詩「獨將──伴流螢」
すずしきこかげ。晉書、潘岳傳「冬有溫盧、夏有──」
すずしきあめ。岑參詩「蒼旻霽──、石路無飛塵」
すずしきなつ。黃庭堅詩「詩同二三友、竹軒──晚」
すずしきかぜ。潘岳詩「──自遠集、輕襟隨風吹」
すずしきあき。岑參詩「──八月蕭關道、北風吹斷天山草」
うちは。金史、高汝礪傳「上所御──忽墮案下」
うすきとく。左、莊三二「虢多──」=薄德·菲德。
すだれ。宋褧、秋絃怨「海風吹──、?宇挂壓鉤」
○きたかぜ。爾雅「北風謂之──」○すずしき秋風。禮、月令「孟秋之月──至」高啓詩「──起江海、萬樹盡秋聲、搖落豈堪別、躊躇空復情」
すずみだい。開元遺事「長安富人每至暑伏中、各於林亭内、植畫柱、以錦結爲──、設坐具召名姝、閒坐遞爲避暑會」
輕薄なる貌。孟、盡心「行何爲踽踽──」
リョウ [蒸]
凌とは别
○はす(馳)のる(乘)○ふ(歷)木華、海賦「汎海─山」○をののく、おそる(懼)
①ルヰ [寘]
②レイ [霽]
①なみだ、眼から出る液「涕─」(涕は鼻から出るなみだ)「別─」「血─」「感─」「暗─」「愁─」○なみだを出して泣く、なく。
②疾く流れる貌「漻─」戾と通ず。
なみだの盛んに流れる形容。晉書、顧愷之傳「淚如傾河注海」蘇軾詩「──東注問蒼旻」
鳳仙花 ホウセンカワ の異名〔三柳軒雜識〕
なみだと、あせと。魏書、盧昶傳「本非骨鯁乃大恐怖、──交横」
なみだぐめるまなこ。錢起詩「相思昏若夢、──幾時明」
目の上部より內眥を通じて鼻內に淚を送る小管。
なみだを流したるあと。李白詩「伹見──濕、不知心恨誰」
なみだ。白居易詩「我有雙──、知君穿不得」
まだらの竹。郞士元詩「入楚豈忘看──、泊舟應自愛江楓」=斑竹。
法は私情を以て枉ぐべからず、故に慈愛の心を以て刑を行ふ義、諸葛孔明の將馬謖が街亭の戰に孔明の指揮にそむきて遂に大敗せしかば、孔明も已むを得ず、之を斬りて其の罪を正し、士氣を鼓舞せし故事。蜀志、諸葛亮傳「亮爲政無私、馬謖素爲亮所知、及敗軍流涕斬之、而卹其後」
ロク りョク·ロク [屋]
○こす。=漉。○こしたる水、こしたる酒。○水きよし。張衡、東京賦「─水澹澹」
9畫
アク [覺]
○あつし(厚)てあつし。詩、小雅「旣優旣─」○うつくしく光澤 ツヤ あり。○うるほふ(霑)○うるほす、水にひたす。○─洼は川の名、甘肅省に在り、漢の武帝神馬を水中より得たりといふ川〔史、樂書〕
同訓異義
アツシ 渥·厚·篤·敦·淳·醇·腆の别は厚(厂部七畫)の條を見よ。
あつきめぐみ。揚雄文「數蒙──、拔擢倫比與羣賢」
あつきめぐみ、うるほひ。宋玉賦」常被君之──」
あつきめぐみ。荀勗文「恭承──、庶無怠荒」=厚恩。
○まっかなるあか土。溫庭筠賦「風如吹煙、日如──」○あからがほ。詩經「赫如──」
赤くつやある貌。歐陽修、秋聲賦「宜其──丹者、爲槁木、黝然黑者、爲星星」槁は枯。
あつくうるほふ。あつきめぐみ。王僧孺文「一遇休明、多逢──」
あかくつやある土。詩、秦風「顏如──、其君哉」白居易詩「酡顏己──」
つやありて美くし。
てあつく目をかける。厚く顧みる。庾肩吾文「天人──、增餘論之榮」
濃厚にしてうまきあぢはひ。論衡「甘香──之物、蟲生常多」
しげきつゆ。傅休奕詩「纖雲時髣髴、──沾我裳」
ヰ [未]
○川の名、甘肅省─源縣より出づ、陜西省の大川、洛水と合し黃河に入る。○─城は咸陽。
渭城は唐の王維の陽關三疊の詩をいふ。送別の際、必ず之を唱ふるを例とす。劉禹錫詩「舊人惟有何戡在、更與殷勤───」
遠方の友を思ふ情の切なるにいふ。杜甫、春日懷李白詩「渭北春天樹、江東日暮雲」=暮雲春樹。
渭水の沿岸の多くの竹。史、貨殖傳「─────、其人與千戶侯等」
にごる。渭水は濁るが故。曹伯啓詩「涇淸──源何異、物換星移志未酬」(一說、渭水は淸む)
將帥のはたらき。太公望呂尙が渭水の濱にて魚を釣り居たりし時、文王に聘せられて將相となりし故事。儲光羲詩「超超───、落落山西名」
渭水に釣りしゐたる太公望をいふ。史、范睢傳「臣聞、昔者呂尙之遇文王也、身爲漁父而釣於渭濱」
○渭水のきた。戰國策「呂尙之遇文王也、身爲漁父、而釣於──之濱耳」○舅 ヲヂ をいふ。詩、秦風「我送舅氏、曰至──」に本づく。
①イウ [尤]
②りウ [尤]
遊に通ず
①およぐ(泳)水に浮びゆく、およぎ。○ゆく(行)あそぶ、あそび。=遊。○何事もせずぶらぶらと遊ぶ「─民」「─食」「─手」○物を玩びて、情に適する。論、述而「─於藝」○ほしいまま。○離宮、別墅。○優─は自適せる貌。
②はたあし。左、桓二「盤厲─纓」=旒。○水の流。漢書、項籍傳「必居上─」
同訓異義
オヨグ 游·泳·泅○游は浮び行くなり、ながれ渡りにする義「習レ水善游」の如し。○泳は水中を潛み行くなり。詩經「漢之廣矣、不レ可レ泳思」○泅は水上を浮行するなり。列子「人有二濱レ河而居者、一習二於水、一勇二於泅一」
たなびくくもと、おどろくたつと。巧妙なる書の形容。晉書、王羲之傳「飄若游雲、矯若驚龍」
水をおよぐ。又、およぎ、水練「──術」朱林詩「纖鱗──多」
ほしいままにあそぶ。衍は溢。詩、大雅「昊天曰旦、及爾──」=游肆·游行衍溢·遊衍。
孔子の弟子、子游と子夏と、共に文學に長ず。
天子の出遊。唐書、貴妃楊氏傳「妃每從──、乘馬則力士授轡策」
○他國に出でて學問する。又、其の人。史、荀卿傳「荀卿──於齊」○他國より來りて仕宦を求める者。史、始皇紀「厚招──」
あそびてなれたはむれる。南史、庾詵傳「平生少所──、河東柳惲欲與交、拒而弗納」
他國に說きて離閒の策を行ふ。史、李斯傳「諸侯人來事秦者、大抵爲其主、──於秦耳」
家富みて衣食の憂なきひまびと、卽ち、富貴の家の子弟。史、貨殖傳「────、飾冠劍、連車騎、亦爲富貴容」
あそびたはむれる。傳燈錄「頓然忘筌、得──三昧」
游擊する騎兵隊。隋書、百官志「改舊驍騎、曰雲騎、曰──」
ふるきなじみ、交游せる故舊。後漢書、樊曄傳「與光武少──、徵爲御史」
○とびめぐるとり。王融詩「──暮知返、行人獨未歸」○水禽に同じ「──類」
琴の音の妙なるに魚が浮び出て聽く。荀、勸學「伯牙鼔琴、六馬仰秣、瓠巴鼔瑟、────」
游ぶにも家に居るにも常のきまりがある。管、弟子職「────、必就有德」
遊び樂しむ、虞は娛。漢書、匡衡傳「未有──弋射之宴」=游娛。
游兵の軍隊。宋書、武帝紀「以輕騎爲──」=遊軍。
遠方に出でて官吏となる。陸機詩「──久不歸、山川修且闊」=遊宦。
なぐさみ遊ぶ。南史、徐湛之傳「招集文士、盡──之適」
○藝事に優游する。論、述而「依於仁、游於藝」○ 國 歌舞音曲などの技藝。=遊藝。
漢の時、鄕里をみまはりして盜賊を禁ずる官、徼は巡廻。陸游詩「──無乃闕、鰥寡將誰告」
○一定の任務なく、機を見て出動して敵をうつ「──隊」○官名、漢──將軍を置く、歷代皆之れあり。
游軍。又游兵に同じ、一解に軍車の缺を補ふ爲めの豫備の車。左傳「率──四十乘」
交遊を好みて人の急難をたすけるをとこだて。史、汲黯傳「好學──、任氣節、內行修絜」=任俠。
むだなうはさ、根なしごと。禮、緇衣「故大人不倡──」=游談。
たましひが本體から離れて散じ去る。又、其のたましひ。易、繫辭「──爲變」
ぶらぶらとあそびたのしむ。世說「孔車騎未仕宦時、自稱孔郞、──名山」
他國に流寓せる者、たびびと。漢書、高帝紀「──悲故鄕」
旅人が道に迷ひ、夜より曉にかけて行く。賈島、曉賦「佳人盡飾於晨粧、魏宮鐘動、───────、函谷雞鳴」
○遊說 イウゼイ をする人。又、他國に遊歷する士。史、始皇紀「呂不韋爲相、封十萬戶、號曰文信侯、招致賓客──、欲以幷天下」○遊び食ふの士。管子「──八千人」
志をほしいままにしてたのしむ。宋玉賦「願賜不肖之軀而别離兮、故──乎雲中」
なまけてほしいまま。晉書、孫統傳「統不留心碎務、縱意──」
善き士に就きて交る。荀、勸學「君子居必擇鄕、游必就士」=遊就。
こころをたのします。馮衍文「──乎經書之林」
○手をあそばせて用ひず。儀禮、聘禮、注「受授不──、愼之也」=空手。○仕事をなさず、ぶらぶらと遊ぶ者、あそびにん。晉書、食貨志「鄕無──、邑不廢時」
○あそびて徒らに食ふ。=浮食。○又臣たる職をおこたりて祿をはむ。荀、成相「臣下職莫──」
内治外交等の策を四方の諸侯に說きまはる。戰國時代に蘇秦·張儀等競ひて之を爲す。轉じて是非利害を人人に說き廻る義。史、蘇秦傳「兄弟三人、皆──諸侯、以顯名」=遊說。
まじはり、つきあひ。史、陳丞相世家「齎用益饒、──日廣」
○游說に同じ。戰國策「是以外賓客──之士、無敢盡忠于前者」○うき六る根なしごと。後漢書、仇覽傳「天子修設太學、豈但使人──其中」=游言。
○うかべるちり。洞冥記「風至自拂堦上──」○みだらなる音樂。穀梁傳序「鼔芳風以扇──」一解、惡の煩碎なる者。芳風は正樂。
○出遊の女子。詩、周南、漢廣「漢有──」○あそびめ〔張衡、南都賦〕=倡婦。
敵情をうかがひさぐる者、まはしもの。=諜者·閒諜·細作。
十干の丙の異稱〔史、歷書〕=柔兆〔爾雅〕
かり。田とは田の害を爲す獸を獵る義。書經「文王不敢盤于──」=遊田·游畋。
前條に同じ。畋は狩?。潛夫論「文王──、遇姜尙于渭濱」
? ツバメ の異名〔本草綱目〕
あそびてしまりなし。?史、謝靈運傳「在郡──、不異永嘉」
舟に浮びてあそぶ。新安記「鼓枻──、彌旬忘返」
平常游戲する時などの衣服。左、昭八「──而逆之」
陣列外に在りて形勢を見て、援護する軍勢。史、彭越傳「彭越常往來、爲漢──、擊楚絕其後糧于梁地」=遊兵·游擊兵。
あそびあるく。孫綽文「──三界之表、恣化無窮之境」=遊步。
およぐと、くぐると。淮?子「──者不求沐浴」
一定の職業な?たみ。禮、王制「無曠土、無──」
游說してほめ立てる。漢書、季布傳「使僕──足下名於天下」
天子のあそびたのしみ。?は樂。孟、梁惠王「一游一豫爲諸侯度」度はのり、てほん。
○遊獵に同じ。史、李斯傳「乃入上林齋戒、日──獵」○ 俗 軍艦が防備などの目的にて海上を徘徊する義に用ふ。
巡察の兵、憲兵の類。宋書、柳元景傳「──退走、賊遂薄壘」
あそびたのしむ。=游豫。
あそびて見あるく。夏侯湛賦「臨淸池以──、觀芙蓉之麗華」
あそびあるく。南史、宋少文傳「凡所──、皆圖之於室」=游歷。
本體ならはなれて中ぶらりになる、分離して浮游する。
○水に游泳するたつ。洛神賦「宛若──」○たでの一種なる紅草の異名、游は枝葉の扶疎 マバラ なる貌。詩、鄭風「隰有──」=馬蓼。○形體の夭矯として勇ましき喩。後漢書、馬皇后傳「見外家車如流水、馬如──」
あそびめぐる。世說「凡所──、皆圖之于室」晉書、王獻之傳「──旣畢」
游田に同じ。
①イン [眞]
②エン エツ [先]
①うづもれる(埋沒)しづむ(沈)○おつ(落)
②ふさがる。ふさぐ(塞)左、昭二九「鬱─不育」
湮は塞、鬱は滯、氣が愁ひ結ぼれる。史、買誼傳「已矣國其莫我知、獨──兮其誰語」=鬱湮。
ほろびすたる。=湮替。
ほろびかくれる。晉書、嵆含傳「悼大道之──」
ほろび失せる。唐書、魏徵傳「典章──、徴奏引諸儒、校集祕書」
おとろふ。晉書、劉頌傳「──同于編戶」湮一に堙に作る。
うもれしづむ。劉得仁詩「趨時不圓轉、自古易──」
ほるびうせる。隋煬帝文「經典散逸、憲章──」
ほろびたえる。舊唐書、禮儀志「儒雅旣喪、經籍──」=湮滅。
うづもれやぶる。唐書、李元諒傳「隍堞──」
うづもれてかすかなり。趙岐文「孟子閔悼堯舜湯文周孔之業、將遂──」
しづみほろぶ。後漢書、應劭傳「舊章──」=湮滅。
うせほろびる。謝惠連、祭古冢文「銘誌──、姓字不傳」=堙滅。
ふしあはせ。韓愈詩「余生命之──、曾二鳥之不如」=否塞。
うもれしづむ。鄭谷詩「浮華重發作、雅正甚──」
エキ [陌]
浟─は水の流れ行く貌。
エン [琰]
雲雨の貌。雲が雨を催してむしあつき貌。詩、小雅「有─淒淒」
エン クワン [先]
潺─ センクワンセンエン は水のながれる貌。又、其の聲。
溫(次畫)の俗字。
カイ [佳]
○── カイカイ は衆くの水の流れる貌。詩、小雅「淮水──」=湯湯。○又寒き貌。=淒淒。
①カウ·コウ [講]
②コウ [送]
①みなと、ふなつき、ふなみち(水中行舟道)○水の分流して舟を通ずべきもの。
②─洞 コウトウ は相通ずる貌。長笛賦「─洞坑谷」香─ ホンコン の略稱。
みなと。澳は水のくま。宋史、河渠志「臨大江、無──以容舟檝」=港灣。
みなとの出入口。=港門。
みなと、いりうみ。=港澳。
①カツ·カチ [曷]
②ケツ [屑]
①かわく、のどが乾きて水を欲する。○いそぐ、非常に欲しく思ふ「─望」○楚越の方言、水の反流する者をいふ。
②みづが竭 ツ く、かる「涸─」
甚だしくこのむ。陸游詩「──飡漿美、慵便葛屨輕」
曲筒を作り空氣の力を以て水を引き上ぐる器の名。後漢書「作翻車──、用灑南北郊」注「──爲曲筒、以氣引水上也」
かわきをとめる。世說「前在大梅林、饒子甘酸、可以──」=醫渴。
甚だしく信仰する。法華經、壽量品「心懷戀慕、──於佛」
のどの乾ける駿馬。唐書、徐浩傳「如怒猊抉石、──奔泉」
平生より用意せずば、其の場にのぞみ、あわてて爲すも、閒に合はざるに喩ふ。說苑「譬之、猶────、臨難而鑄兵、雖疾從而不及也」素問「病已成而後藥之、猶渴而掘井、鬭而鑄兵、不亦晚乎」
水を飮みたく思ふ心。轉じて切なる欲望。盧仝詩「轆轤無繩井百尺、──歸去生塵埃」
功を賞せられんことをいそぎ望む。孫楚文「──之士、鋒鏑爭先」
のどのかわける者は如何なる水にても悅びて飮む、ひもじい時のまづいもの無し〔孟、公孫丑〕=渴者甘飮。
旱のために水が涸れる。=涸渴。
わむられぬ。六一詩話「卒章云、挑盡寒燈夢不成、胡旦笑曰、乃一──漢耳」
のどかわくも盜泉といふ惡名の泉の水をのまず。困窮するも不義をなさざる喩。陸機、猛虎行「───────、熱不息惡木之蔭」
かわきて水を欲する如く甚だしくのぞむ。范成大詩「國人──公顏色、爲報褰帷入帝畿」=熱望。
ふすりふで。丹鉛錄「──枮無墨也、在書家爲難、飛白如今篆書──、俗所謂沙筆也」
消渴のやまひ。黃庭堅詩「相如──應須此、莫與文君蹙遠山」
のどかわきてもだゆ。北史、魏咸陽王禧傳「──垂死」
のどかわきて腹下る病。梁書、何點傳「點少時嘗患──」
カン ゲン [豏]
减は俗字
○へる、數が少くなる。へらす(損)增の對。○かろし(輕)すくなし(少)うすし。○へり(損耗)○ひく、數を引き去る。加の對。又其の算法。ひきざん「加─乘除」
同訓異義
へル 減·耗○減は加または增の反、數の少くなる義。○耗は虛なり、息の反、欠カンの生ずる義、衰耗·消耗·耗損と連用す。
ねだんを低くす。又、評判をおとす。晉書、張載傳論「二陸入洛、三張──」
へらしくだす、へらして輕くする。
へる。へらす。唐書、百官志「農桑不勤、倉庫──」
へらす。杜甫詩「一片花飛──春」
相當の罰より輕くする、罪を輕くする。=減等·減輕。
刑罰·租稅などを輕くする。=輕減。
へらしけづる。=削減·減削。
へらしそぐ。又、へる。
つみを輕くす。後漢書、光武紀「其殺奴婢者、不得──」
ことさらにかまどの數をへらして敵に虛弱を示すはかりごと、戰國の時、齊の孫臏の魏の將龎涓をあざむきし策〔史記〕後漢書、虞詡傳「孫臏──而君增之」
へらしけづる。釋名「消、削也、曰──也」=削減·減剋。
みいりがへる。=收入減少。
たべる量を少くする。
へらしはぶく。漢書、元帝紀「有可蠲除──以便萬姓者、條奏、毋有所諱」=減損省略。
みつぎをへらして輕くす。唐書、食貨志「貞元八年、以水災──」=減租。
へりて少し。後漢書、明帝紀「墾田──」=減損。
食物の品數をへらす。晉書、成帝紀「詔太官──」
減稅に同じ。
へりやむ。宋書、庾悅傳「江右區區、戶不盈數十萬、地不踰數千里、而統司鱗次、未獲──」
へる。へらす。易、損卦、疏「損者、──之名」=貶損·減少。
へりて少くなる。南史、王規傳「以門宗貴盛、恆思──」
官位を下げおとす。漢書、諸侯王表「菜食不飮酒、──其官」=降黜。
等級をへらして輕くす。舊唐書、武宗紀「罪遞減一等竝釋放」
ひきざん。=減算。
半分へる。南史、何點傳「訖于三年、衣帶──」
字畫をはぶく。=省筆·略字。
俸給のたかをへらす。增俸の反對。=減給。
キフ [緝]
○水の疾 ハヤ き聲。=潝。○汨─は急に轉ずる貌。
キフ [緝]
あつもののしる(肉汁·羹汁)
①キヨ [魚]
②キヨ [御]
①みぞ(溝)「溝─」○大いなり(巨)○かしら(魁)「─魁」「─帥」○──は家屋が深くして廣き貌。○ひたす(漸)○かれ(彼)○樂章の名。○軒─は笑ふ貌。○芙─は荷 ハチス
②なに、いづくんぞ、なんぞ(豈)何─·寧─と連用するも同じ。史、陸賈傳「何─不若漢」同書、張儀傳「蘇君在、儀寧─能乎」=詎·巨。
同訓異義
ナ二 渠·何·曷·胡·盍·那·庸·奚·詎·巨の别は何(人部五畫)の條を見よ。
みぞと、ゐせきと。唐書、百官志「都水監使者二人、掌川澤津梁──陂池之政」
○家屋の深く廣き貌。詩、秦風「夏屋──」○寬泰ならざる貌。渠は遽に通ず。荀、修身「有法而無志其義、則──然」
わるもののかしら、渠は大、魁は帥。書、胤征「殲厥──、脅從罔治」=渠帥。
しろぜめに用ふる大いなる車。荀子「苟得利而己矣、是──入穴而求利也」──入穴は大を屈して小に就く喩。
ほりぬきのみぞ。慮思道詩「俱臨鄧──」
わるもののかしら。史、司馬相如傳「誅其──」=渠率·魁首。
わるもののかしら、率·帥同じ。史、田叔傳「取其──二十人、各笞五十」=渠帥。
さかもぎ、敵を防ぐ爲めに鐵にてつくれる菱形 ヒシガタ のもの。漢書、鼂錯傳「布──」=鐵蒺藜。
渠魁に同じ。唐書、建成傳「縛其──」=魁長。
さらへ、じょれん。方言「杷、宋魏之閒、謂之──」
俗 彼の義。自稱卽ち我を吾儂といふの對。
彼等に同じ。金史、歡都傳「君相之位、皆──爲之、奈何」
クワウ [陽]
潏─ ケツクワウ は水波の漂ひて疾 ト き貌。又、神の名。
クワウ [庚]
○水浪のとどろく聲、水のさかまく聲。○水と石と相激する聲。
波の激する聲。周光鎬文「──滂湃」=漰湱。
クワク [陌]
漰─ ホウクワク は波の相激する聲。
クワン [翰]
○とく(釋)ちる(散)「─散」○滯る所なくのびる(發暢)○──は水のさかんなる貌。○─爛はつやつやし。又、文章 アヤ ある貌。○易の卦の名、坎下巽上。易、正義「─者散釋之名、大德之人、建功立業、散難釋險、故謂之─」
○ひろく大なり。册府元龜「──之恩、宜及瘡痍之俗」○王者の詔を出す義。汗出でて反らざる如く、詔令發すれば取消すべからず。易經「──其大號」
水の盛んなる貌。詩、鄭風「湊與洧、方──兮」
とけちる貌。老子「──若冰之將釋」
水がとけると、こほると。郭璞賦「──期乎寒暑」
とけちる。蔡邕文「不敢──其意」=散渙。
とけちる貌。杜預、左傳序「──冰釋、怡然理順」=渙兮。
盛んに發する、詔令を發布する。渙は易の卦の名、水の散る如く險難を散開して四方に發布する義。渙を煥に作るは非。柳宗元、賀大赦表「──大號」
盛んにあぐ。晏珠文「分賜宰弼、──古風」
あやある貌。後漢書、延篤傳「──兮其溢目也」
ケキ [鍚]
川の名、河南省濟源縣の西南に在り、黃河に入る。=溴。
コ [虞]
○みづうみ、陸地にて圍まれたる大いなる水、池沼の大いなるもの(大陂)「─沼」「大─」○─廣はもと湖南·湖北·廣東·廣西の總稱。今は─南·─北の總稱。=三楚。
みづうみの南。晉書、明帝紀「微行至於──」
豪氣ありて野に在る人。魏志、陳登傳「劉表與劉備、共論天下人、許汜曰陳元龍、────、豪氣不除」元龍は登の字。
湖州の學校。宋史、胡瑗傳「慶曆中、敎學蘇湖閒、二十餘年、弟子以數千計、是時方尙辭賦、獨──以經義·治事分齋」
俗 湖州に產する絹絲。
湖水の中心。劉禹錫詩「洞庭秋月生──、層波萬頃如鎔金」
○みづうみのほとり。古諺「林中不賣薪、──不鬻魚」=湖畔·湖邊。○湖水の面 オモテ
○みづうみの水。○みづうみ。孟浩然詩「八月──平」
みづうみと、ぬまと。江淹賦「鏡帶──、錦匝池林」
みづうみと、いけと。論衡「──非一、其廣狹同也」
省の名、洞庭湖の南に在り、故に名づく、湘水其の南北を貫き流る、また湘省と稱す、古の三苗の國、禹貢の荆州の域、長沙を省治とす。
みづうみのほとり。李羣玉詩「──春山煙黯黯、雲中遠樹墨離離」=湖邊。
湖州にて製する筆。徽墨と竝稱す。
みづうみのほとり。宋書、符瑞志「──得石函、中有小靑石、刻作皇帝字」=湖畔。
省の名、揚子江に跨り、洞庭湖の北に在り、禹貢の荊州の域、武昌を省治とす。
①コン [元]
②コン [阮]
混に同じ
①にごる(濁)まじる。○くぼし(洿下)○大いなり、物の氣形質具りて未だ分れず、唯ばっとして大いなるさま「─沌」「─淪」○ひとしくおなじ(齊同)ひとまとめ。○すぶ、すべて。
②──は水の盛んに流れる貌。=滾滾。○─敦は開通せざる貌。又、古の凶人の名〔左、文十八〕=混沌·渾沌。
同訓異義
スべテ 渾·凡·總·都○渾は、ひとまとめに打ち混じて分かぬ義。杜詩「渾欲レ不レ勝レ簪」○凡は皆也、およそとも訓む、總體を計へていふ詞、總に近し。通鑑「統舊國五、新國三、凡八大國」○總は總體をいふ、聚束也と註す、もと糸を組合す義より出づ、多くの物を一っにすべ合はせる義。別の字に對す、列子の「居二人民之上、一總二一國之事一」の總を轉用して助辭とす。○都はよせ合せる義、總也、聚也と註す、殘らずあつむるをいふ。曹丕文「頃撰二遺文、一都爲二一集」
まんまろし。元史、曆志「天體──」沈作喆、寓簡「氣質──」
○滿州奉天府の南方を流れて遼河に入る、源を南滿洲の邊疆に發し、東北より西南に向ひて流る、奉天大會戰の前、兩軍此河を挾みて陣し、屢~激戰す。○山西·直隸の桑乾河の一名。
妻。戎昱、苦哉行「身爲最小女、偏得──憐」
いりまじる。司馬光文「賄賂公行、賢愚──」=混淆·錯雜。
ひろくつつみひたす。宋史、蘇軾傳「軾與弟轍師父洵爲文、其體──光芒、雄視百代」
まざりもののあるかね、あらがね。晉書、王戎傳「常目山濤、如璞玉──、人皆欽其寶、莫知名其器」
水勢の相激する貌。張華、七命「溟海──涌其後」
自然の氣。班固賦「──運物、流不處兮」
○盛んに流れる貌。荀、富國「財貨──如泉源」=滾滾。○濁る貌。舊唐書、張蘊古傳「勿──而濁」○朴略にして知り難き貌。揚子法言「虞夏之書──爾」
全身。
濁りてふかし。埤雅「洛以──宜鯉、伊以淸淺宜魴」
○圭角なき貌。○差别なき貌。
ひとまとめにして大いなり。唐書「其論議──、雖古王佐無以加」
にごる。老子「曠兮其若谷、渾兮其若濁」=溷濁。
天體を觀測する器。圓球の表面に日月星辰を描きたるもの。後漢書、張衡傳「盡?璣之正、作───」=天球儀·渾天象。
琵琶に似たる樂器。長安客話「王昭君琵琶壞、使胡人攺作、形小、昭君笑曰、渾不似」とあるに本づく、渾は スべテ と讀む。
すべて見渡すかぎり靑し。周墀、旱辭「──萬里」=一碧。
物がよく融け合ふ。
まどかにしてやはらぐ。元結詩「心混混兮意──」
サ [麻]
○川の名。○をり、かす(滓)
かす、をり、沈澱物。康熙字典「俗以此爲──字」=糟粕。
①シウ [尤]
②セウ [篠]
①いけ(池)「深─」○龍─は瀑布。○──はうれへかなしむ貌。○すずしき貌。○─漻は淸く靜かなり。
②ひくくうるほふ(下濕)せまし(隘)「─隘」○とどこほる(停滯)○あつまる(集)「─戾」○ 國 くて。低くして水草などの生ずる地。
地ひくくしてせまし。左、昭三「子之宅近巿、──囂塵、不可以居」
淸涼なる貌。宋玉、高唐賦「──如風、凄兮如雨」
うれへる貌。春秋繁露、陽尊陰卑「──者悲愁之狀也」=忡忡。
ひくくせまきいへ。揚子法言「──閉門、不有椒房之勢」
氣が凝り集りとどこほりて散ぜざる義。左、昭元「壅閉──」=抑鬱。
①シウ [有]
②シウ [尤]
又、溲に作る
①そそぐ。○ひたす、麫紛を水にひたしてこねる。
②ゆばり(小便)
シャウ [陽]
○川の名、湖南省の大川、瀟水と合し洞庭に注ぐ。()─潭は湖南省の縣名。○─省は湖南省の異稱。○にる(烹)詩、召南「于以─之」
○湘水の神、舜の二妃、娥皇·女英。曹植、九詠「揚激楚兮詠──」李賀詩「水弄──佩」=湘君·湘妃。○轉じて美人の義とす。
湘妃に同じ。史、始皇紀「浮江至湘山祠、逢大風、幾不得渡、上問博土曰、──何神、博士對曰、聞之堯女舜之妻、而葬此、於是始皇大怒(中略)皆伐湘山樹、赭其山」
竹の異名。博物志「堯之二女、舜之二妃、曰湘夫人、舜崩、二妃啼以涕灑竹、竹盡斑」
湘竹にて織りしたかむしろ。韋應物詩「──玲瓏透象牀」
○湘水の南。周禮、職方志、注「衡山在──」○ 國 相模川の南、相模の海岸一帶の地。
○虞舜の二妃、娥皇·女英をいふ。湘中記「舜二妃死爲湘水神、故曰──、琴操有──怨」○斑竹 マダラダケ の異名。湘竹を見よ。
湖南、湘潭縣にて用ふる平 ハカり 湘潭は商務殷盛。又淸の咸豐以來、將卒湘人多し、故に湖南全省及長江沿岸の大商埠、皆──を用ふ。
湘竹のすだれ。趙孟頫詩「──疎織浪紋稀」
ショ [語]
○露の多き貌。○盛んなる貌。詩、小雅「零露─兮」○したむ、酒をしぼりて糟 カス を去る。詩、小雅「有酒─我」=醑。○さらふ(浚)
盛んなる貌。詩、小雅「其葉──」
ショ [語]
○なぎさ、みぎは(水際)「淺─」「湮─」「鳧─」○こじま、す、小さき洲。詩、召南「江有─」
なぎさにこめたるもや。李華詩「──見晨釣、山月聞夜舂」
なぎさのかもめ。張耒詩「晚繫孤舟古岸隈、蒹葭風定──囘」=汀鷗。
みぎは。莊、秋水「兩涘──之閒、不辨牛馬」=渚涯。
みぎは。蜀志、許靖傳「尋循──五千餘里」=汀渚·渚崖。
なぎさに臨める宮殿。今の湖北江陵縣城內の西北隅に在り、春秋の楚の别宮。左傳「王在──」白居易詩「──東面煙波冷」
みぎは。崔顥詩「──鱸魚舟上釣」=渚邊。
ショク [職]
○きよし、すむ、水淸くして底が見える。○正を持する貌。
水澄みて底まで見える貌。一說に正を持する貌。詩、邶風「涇以渭濁、──其沚」
ショク ソク [職]
○はかる、水の深淺をはかる。又、すべて物の廣狹·遠近·高下·大小等を量る。○心にて推し考へる、思ひはかる。○はからる。易、繫辭「不─之謂神」
同訓異義
ハカル 測·計·謀·圖·量·度·稱·料·忖·揣等の別は計(言部二畫)の條を見よ。
日かげをはかる。南史、梁元帝紀「土圭──、仙人承露」北史、秦王俊傳「置渾天儀──表」=度景 タクエイ
海の深淺をはかる具。繩の端に鉛のおもりをつけたるもの。
はかる。隋書、天文志「──日星、分步星度」=測度 ソクタク
量り極める、測量し研究する。宋玉、神女賦「盛矣麗矣、難──矣」
はかりしらべる。齊東野語「留此以備──」
天文氣象をはかる「──所」隋書、天文志「漢初──、乃知五星皆有逆行」
距離をはかるくさり、鋼鐵にてつくる、閒繩 ケンナハ
はかりかぞへる。
はかりしる。孟郊詩「幾人能──」=測知。
時閒をはかる。陸倕文「揆景──」
○はかる。禮記「人藏其心、不可──也」○ ソクド 度數をはかる。
土地の廣狹·高低等をはかる。
地球の形狀·質量及大さ等を硏究する學術。
はかりさだめる。
天文をはかりしらべる。
○神又は人の心をはかる。韋莊詩「天心詎──」=忖度。○物品又は土地河海などの長短高低深淺などをしらべはかる。
①セツ [屑]
②テフ [葉]
①さらふ(除去)水をかへてどぶなどを除き去る「浚─」「開─」きよくす。○ちる(散)○もる。もらす。莊、秋水「尾閭─之」=洩。○やむ(歇)○けがす。けがる。けがれ(汙)王襃、得賢臣頌「去卑辱奧─而升本朝」○あなどる(慢)なる(狎)
②── テフテフ は波の連なる貌。○とほる(通·徹)
セン [先]
○そそぐ(灑)あらふ(澣)○うるほす。
あらひそそぐ。說苑「憂患生于所忽、禍起于細微、汙辱難──、敗事不可復追」=湔洗。
汚名をあらひすすぐ。金史、循吏傳「謀反大逆、皆蒙──、彼獨何罪、幽囚若是」=洗雪。
すすぎあらふ。後漢書、華陀傳「若在腸胃、則斷截──、除去疾穢、旣而縫合、傅以神膏、四五日創愈」=洗濯·湔灑·湔濯。
前條に同じ。徐陵文「復矜遺老、曲賜──」=洗濯。
すすぎあらふ。謝翺詩「稍以自──」=洗滌。
あらひぬぐふ。黃庭堅詩「待余──一牀書」
舊惡をあらひ去る。戰國楚策「君獨無意──僕也」
セン [先]
○こみづ(小水)○畫法にて、水墨を再三そそぐ、繪のくまどり「─刷」「─法」郭熙、林泉高致「擦以水墨、再三而淋之、謂之─」
ソウ [宥]
○みなと(水上人所會)ふなつきば、港は水、─は陸。○あつまる(聚)「輻─」=輳。○はだのきめ、?に通ず。○きそひすすむ(競進)戰國策「士爭─燕」
同訓異義
アツマル 湊·輳·聚·集·萃等の别は聚(耳部八畫)の條を見よ。
一っによせ集める。=綜合。
あつまり、つどふ。=輻湊。
あつまりてあらはれ出る。張融文「自縱橫──」
煩悶があつまる。論衡「草木之中、有巴豆野葛、食之──、頗多殺人」
はだのきめ。文心雕龍、養氣「──無滯」=腠理。
①タウ [陽]
②シャウ [陽]
③タウ [漾]
④ヤウ [陽]
①ゆ(熱水)楚辭、九歌「浴蘭─兮沐芳華」ふろ、溫泉。○煎藥の名に添へていふ語「葛根─」○殷朝初代の天子の名「成─」○はらふ(攘)
②なみのうごく貌。ながれる貌。
③そそぐ。○ほしいまま。蕩に通ず。○盪に通ず。
④─谷 ヤウコク は日の出づる所。司馬相如賦「右以─谷爲界」=暘谷。
水の流れる貌。又、波のうごく貌。詩、大雅「江漢──」范仲淹、岳陽樓記「浩浩──」
患部を湯にてあたためる。溫罨法。史、扁鵲傳「疾之居腠理也、──之所及也」
殷の湯王と夏の禹王と、皆古の聖王。=禹湯。
煎 セン じしる。史、扁鵲傳「上古之時醫有兪跗、病不以──」
熱湯烈火をも避けずして進む。史、貨殖傳「前蒙矢石不避湯火之難者、爲重賞使也」尹文子「民無長幼、臨敵雖湯火不避」
危險の地に立ち入る喩。楊炯文「雖婦人之兵、可以蹈于湯火」
釜で煮られる罪。史、范睢傳「賈有────」賈は須賈。同書、藺相如傳「臣請就湯鑊」
せんじぐすり。唐書、吳湊傳「詔侍醫敦進──」=湯藥。
ゆ。法句喩經「取其──」
いでゆ。潘岳、西征賦「──溫谷」註「──溫湯也」唐書、地理志「更溫泉、曰華淸宮、治──爲池」=湯泉·溫泉。
いでゆ。抱朴子「水主純冷、而有溫谷之──」=溫泉。
國 にえ湯の中につけて物を煮る一種の煮方。
○熱きゆをたたへたるいけ、城の濠 ホり の要害なる義。漢書、食貨志「石城十仞、──百步」○溫泉をいふ。李白詩「──流大川」
國 溫泉に浴して病氣をなほす。
ゆどの。漢武故事「漢成帝、爲趙飛燕、造──」=浴室·浴殿。
殷の湯王の盤 タラヒ の銘、銘は戒辭。大學「────曰、苟日新、日日新、又日新」
ゆたんぽ。陔餘叢考「今人用銅錫器、盛湯置衾中煖脚、爲之───」=湯媼·脚婆。
殷の湯王と周の武王と、共に其の君を放伐して天下を得「──放伐」史、陸賈傳「──逆取而以順守之」
うどん。事物紀原「魏晉之代、世尙食──、今索餠是也」=溫麵。
殷の湯王が野に出でて四面に網を張りし者を見て、其の三面を除かしめしかば、國民其の仁德の禽獸にまで及びしを謳歌せし故事〔呂覽、異用〕杜牧詩「──屬司刑」次條參看。
罪人を寛大にあつかふに喩ふ。史、殷紀「湯出、見野張網四面、祝曰、自上下四方、皆入吾網、湯曰、嘻盡之矣、乃去其三面、祝曰、欲左左、欲右右、不用命、乃入吾網」
物情の各異る所ある喩。淮南、說林「────────、大廈成而燕雀相賀」
沐浴の料に備ふる采地。史、高祖紀「朕自沛公、以誅暴逆、遂有天下、其以沛爲朕───」
せんじぐすり。漢書、袁盎傳「──非陛下口所嘗弗進」=湯劑。
○沸騰する湯の中に手を入れる。論、季氏「孔子曰、見善如不及、見不善如──、吾見其人矣、吾聞其語」○ 國 クカタチ 上古、事の正邪を判ぜんため神に盟はしめ、手にて熱湯の中を探らしめ、傷せざるを正とし、傷するを邪とせし故事。
禍亂を益進長せしむる喩。淮南、原道「────、亂乃逾甚」
事の易きに喩ふ。淮南、兵略「若以水滅火、若以湯沃雪、何往而不遂、何之而不用」
①タン [豏]
②チン [侵]
③セン [鹽]
④タン [覃]
⑤チン [沁]
①たたふ、水がたたへる「─溢」○しづむ(沒)○やすし(安)○── タンタン は露の盛んなる貌。又、水の深き貌。又、まごころある貌。又、あつし、重厚なる貌。○すむ(澄)及、あはし(澹)
②しづむ。=沈。○── チンチン は水流のはげしく怒る聲。
③ひたす(浸)=漸。
④ふける。=耽。○たのしむ(樂)
⑤しづむ(沒)
ふかきおん。史、司馬相如傳「威武紛紜、──汪濊」
ふかくしづか。漢書、匡衡傳「──安舒者、戒于後時、廣心浩大者戒于遺忘」=沈靜。
深くして靜か。唐太宗文「法流──、挹之莫測其源」
○水のたたへたる貌。蘇軾詩「──如古井、終歲不復瀾」○おちつきて靜かなる貌。宋史、趙汝談傳「苟得之、凝然──」
水がたたへみちる貌。吳均詩「──春塘溢」=湛湛。
○露の盛んなる貌。詩、小雅「──露斯」○重厚なる貌。楚辭、九章「忠──而願進兮」○水のふかくたたへたる貌。楚辭、招魂「──江水兮上有楓」
綠色の水をたたへる。王勃、乾元殿頌「霧壇凝紫、河宮──」
おくぶかくくらし。李白詩「誰人測──」=幽玄·深邃。
しげくおくつゆ。潘岳、籍田賦「若──之晞朝陽」湛湛參看。
吳王闔閭の寳劍、湛湛然として黑き義。越絕書「闔閭無道、────、去之入水」
タン [寒]
○はやせ(疾瀨·急流)水のはやくながれる所「奔─」「急─」「激─」○はやし「─駛」「─急」○水が激しくめぐる。
水のながれはやし。史、河渠志「高水──、難以行平地」
水勢たけりてはやし。蘇軾詩「水淸石鑿鑿、──不受篙」
水疾くして堤を壞 ヤブ る。金史、高霖傳「故致──」
流急にしてふかし。傅休奕詩「──激牆隅、門庭若決河」
はやせ、うづまくはやせ。孟、告子「性猶──也、決諸東方則東流、決諸西方則西流」=湍流·湍瀨。
水流急激にしてなみたつ。漢書、溝洫志「令水益──、爲害甚於故」
囘り流れるはやせ。水經、注「盛川多──」
はやせ。准南子「朞年而漁者爭處──」
めぐりて急なるながれ。九章「長瀨──、泝江潭兮」=急流。
急激なるながれ、たきつせ。范純仁詩「畎溜豈敢迫──」
タン [翰]
おほみづ。
水廣き貌。木華、海賦「渺彌──」
ダン [翰]
ゆ(湯)
テイ チャウ [靑]
○とどむ、とどまる(水止)水がたまりて流れず。停と通ず。○みぎは。=汀。
あぶらをたたへし如く深く、すみて碧色をこらす。文徵眀、玉女潭山居記「渟膏湛碧」王勃、乾元殿頌「河宮凝碧」
とどまりひたす。柳貫詩「──就深廣」
水がたたへめぐる、匯は囘、滙は俗字。=停匯。
ふかくたまりたるさはの水。煎茶水記「惡──而喜泉源」
たたへとどこほれるみづ。史、李斯傳「決──、致之海」=止水。
とどこほれるどろ。程晏文「豎子飮之──之汗」
とどまりたまる。韓愈、柳子厚墓誌銘「汎濫──、爲深博無涯涘」
たたへてきよくすむ。孟郊詩「呀靈滀──」
水のたたへる貌。白居易文「夏之夜、吾愛其泉──風泠泠」
ふなどまり。白居易詩「提籠復擕榼、遇勝時──」
テン [鹽]
澶─は安らかに流れる貌。
やすらかに流れる貌。水の平かなる貌。杜牧詩「微漣風定翠──」
ト [遇]
○わたり、わたし、わたしば。王維詩「荒城臨古─」○わたす。わたる(濟)=度。○かよふ(通) 國 ○なりはひ「世─り」「─世」○ ワタス 授ける、及ぼす。○ ワタり 外國より到來「古─ コワタり の珊瑚」又、かけあひ(交涉)
同訓異義
ワタル 渡·濟·涉·瀰·亙·竟·徑○渡は水をわたるなり、わたし場の義にも用ふ。○濟は渡と略~同じ、人を渡すにも用ふ。孔子家語「子產以二所レ乘之輿、一濟二冬涉者一」佛書に「濟二度衆生一」も同義なり。○涉は淺き水をかちわたりするなり。轉じて書物をざっと博く觀るを、涉獵·博涉などといふ。○瀰は徧くゆきわたるなり、終極の義。周禮、注「白虹瀰レ天」○亙は瀰に近し、物のこちらから向うまで、とどきわたるなり。○竟は亙に同じ、虹亙は、虹竟とも書く。○徑はさしわたしなり、直徑と用ふ、一直線にわたるなり。史記「高祖被レ酒、夜徑二澤中一」
海をわたる。李白詩「長風吹月──來、遙勸仙人一杯酒」=渡航。
うみをわたる。梁書、王茂傳「衆號二十萬、──請戰」
晉の五胡の亂に、豫州の刺史祖逖江を渡り、中流にして楫を擊ち、誓ひて吾生きて中原を淸むる能はずして復た濟らんもの、此の江の如きあらんといひし故事。文天祥、正氣歌「或爲───、慷慨呑胡羯」
○天子のおでまし。○ 國 祭禮のみこしが出て旅所 タビシヨ に行く。
わたしば。=津頭·渡頭。
○わたしば。○わたしばを渡る。酉陽雜爼「──者皆壞衣枉妝」
國 ○世をすごす、くらす。○世わたり、くらし。=生業·家業。
わたしをわたる。易林「乘船──、載水逢火」
わたしぶね。居家必用「造橋修路、及造──」
わたしば。張九齡詩「萬井緣津渚、千艘咽──」=津頭·渡口。
國 亞米利加 アメりカ に行く。
外國から此方へわたり來る。
たすかりて甚だ喜ぶに喩ふ。法華經「如子得母渡得船」
①トウ [送]
②トウ [東]
①ちちしる(乳汁)「乳─」穆天子傳「具牛馬之─、以洗天子之足」
②─然はつづみの聲。
ハイ [卦]
○なみうつ、なみもとる。○澎─は水勢の强き貌。又、波の相戾る貌。又、其の聲。=滂湃。
波のこゑ。蘇軾詩「空聽餘瀾鳴──」=浦曆。
ビ [支]
○みづぎは「江─」詩、秦風「在水之─」麋と通ず。詩、小雅「居河之麋」○きし、はま。
①ビン [軫]
②コン [元]
①諡に用ふる字。=閔。
②滑─ カツコン は未だ定まらざる義。○── コンコン は思慮の昏亂 クラクミダレル せる貌。
ヒョク [職]
○ゆどの(浴室)○─然は整肅の貌。○水の驚き涌く貌。○─測 ヒヨクソク は相迫る。
ゆどのにて湯あみす。禮、內則「男女不共──」注「湢、浴室也」
①フウ [東]
②ハン [咸]
①弘くして大いなる聲。○水の聲。
②──は中庸の聲。又、浮ぶ聲。左、襄二九「美哉──乎」
中庸の聲。又、浮ぶ貌。正韻「──、中庸之聲也」
ベゥ [篠]
淼に通ず
ひろし、はるか、大水の貌。
ひろくはるか。韋莊詩「扶桑已在──中」=淼茫·渺渺。
廣くして涯 カギり なき貌。方回詩「曠乎初──、屈曲漸深幽」
渺渺に同じ、瀰は廣遠。木華、海賦「──湠漫」
水廣くして涯 カギり なき貌、かすかに遠し。管、內業「──乎如窮無極」=渺茫·渺漫·杳渺·浩渺·淼茫·淼漫·渺瀰·縹渺·淼淼。
廣くはるかなる貌、漫は廣遠。劉滄詩「白浪連空極──」
廣くはるかなる貌。郭璞賦「溟漭──」=渺湎·淼漫。
ベン メン [霰]
滇─は大水の貌。
ベン メン [銑]
沔に通ず
○おぼれる、酒におぼれる。物事にふける、しづむ。○── ベンベン はながれうつる(流移)貌。漢書、敍傳「風流民化、──紛紛」=泯泯。
ボツ [月]
○滃─は霧の出づる貌。○漰─は水の聲。○─海は直隸省、遼東の海灣。=勃海·渤澥·北海。又、國名、本名は靺鞨、高麗の別種。又、漢の郡名、山東省に在り。
海水の涌きたつ貌。李白詩「海水──、人罹鯨鯢」=浡潏。
①ボン [元]
②フン ホン [問]
①川の名、江西省德化縣卽ち九江縣の西を流れ、揚子江に入る、其の川口を─浦口(─口)といふ。
②水の聲。○みづわく(涌)
わきあがりあふれる。漢書、溝洫志「河水──」
ユ [虞]
○かふ、かはる(變)更攺する。○あふる(溢)「─溢」○州の名、今の四川省重慶府。よりて重慶を─といふ。
同訓異義
カハル 渝·變·化·易·替·代·更·遞·換の別は變(言部十六畫)の條を見よ。
かはりうつる。呂覽「桀乎其心不──」
月をこえる。=逾月·踰月。
かはりおとろへる。高適詩「逢時愧名節、遇坎悲──」
ちかひを變へてそむく。左、桓元「──無享國」
ワ [歌]
通音クワ
○うづまく(旋流)水がぐるぐると囘り流れる。○うづまくみづ、うづ。
○うづまくみづ。魏文帝文「經東園遵──、相洋乎高樹之下」○淮水に入る川の名。
うづまく。游宦紀聞「大海洋中有──處」=渦盤·盤渦·盤旋。
○うづのなか。朱熹、答呂子約書「蘇黃門初不學佛、只因在筠州、陷入此游──」○ 俗 ごたごたのなか「──に投ず」
うづまきの中に身を投ずる。前條參看。
水が盤旋する、渦旋に同じ。宋之問詩「攲雜出漩滑、繚繞避──」
①ワイ [灰]
②ヰ [尾]
①水のくま(水曲)山のくまを隈といふの對。○しづむ(沒)
②─? ヰライ は水波の湧き起る貌。
涌(水部七畫)に同じ。
水がわく。朱熹詩「一水從中來、──知幾折」=湧沸。
わきでる。後漢書、光武紀「中元二年夏、京師醴泉──」=噴出。
わきいづるいづみ。よき考などの出て盡ざる喩。後漢書、馬援傳「謀如──、勢如轉規」
わき立つあわ。陸龜蒙詩「跳花潑半散、──飛旋圓」
10畫
イツ [質]
○あふる、みつ(充·盈)滿ちてこぼれる「充─」「洋─」「盈─」○つらなる(列)=佾。○つつしむ(愼)○ひとすくひ、一手にてすくふ。兩手にてすくふを掬といふの對。○二十四兩の量。=鎰。○しづか(靜)○おごる「驕─」「奢─」○すぐ(過)○おほみづ。
そしりすぎる。溢美溢惡參看。
水滿ちあふれる貌。李賀詩「飛下雌鴛鴦、塘水聲──」
あふれこゆ。晉書、索靖傳「高音翰厲、──流漫」
この上なきよろこび。鮑照、世子誕育表「不勝殊歡──」
あふれやぶる。漢書、溝洫志「河從魏郡以東北、多──」
口にあふれる。張載、瓜賦「嘉味──、鮮類寡儔」
みちてこえる。王粲詩「軍中多沃饒、人馬皆──」
ほめ過ぐると、そしり過ぐると。莊、人閒世「夫兩喜必多溢美之言、兩怒必多溢惡之言」
この上なきあぢはひ。張載詩「芳茶冠六淸、──播九區」
めにあまる。後漢書、延篤傳「渙爛兮其──也」
實に過ぎたるほまれ。蜀志、諸葛瞻傳「是以美聲──、有過其實」=溢美。
餘分の利益。鹽鐵論「禁──、節漏費、──禁則反本」
あふれながれる。唐書、五行志「醴泉坊太平公主第、井水──」
ヲウ [董]
○大水の貌「─然」○─渤 ヲウボツ は雲霧などの盛んにたちのぼる貌。
雲氣。又、大水のさかんなる貌。賈誼、旱雲賦「遙望白雲之蓬勃兮、──澹澹而妄止」
盛んなる貌。又、泉のわき出づる貌。歐陽修、豐樂亭記「中有淸泉、──而仰出」
雲霧の盛んに起る貌。郭璞、江賦「氣──以霧杳」
①ヲン [元]
②ウン·ヲン [問]
温は俗字
①あたたか(煖)「─暖」○あたためる、ぬくめる「─酒」=燖。○いでゆ「─泉」○おだやか(柔)やさし、色和 ヤハラ ぐ。論、季氏「色思─」心がやさし。詩、秦風「─其如玉」○たづねる(尋)「─舊」「─書」○夏の末の風。
②つつむ「─藉」=薀。
おだやかにてやさし。溫克參看。
國 小麥粉にて製せし麫 メン うどん。
あたたかに著る、あたたかなる著物。後漢書、鄧皇后紀「──美飯、乘堅驅良」
おとなしくして大いなる義。後漢書、劉表傳表身長八尺餘、姿貌──」
あたたか、燠は熱。劉峻、廣絕交論「敍──、則寒谷成喧」
柔和なる貌。詩、小雅「──恭人、維德之基」
おだやかにしてみやびやか。南史、王泰傳「及長、通和──、家人不見喜慍之色」
をんどる、朝鮮·滿洲にて室の牀下に穴道を造り火氣を通ずる煖房の裝置。
やさしきかほ。漢書、韓王信傳「以──遜辭、承接上下、無所失意」=和顏悅色。
おだやかにして、つつしむ。管、弟子職「──自虛、所受是極」
やはらぎてあたたか。梁簡文帝文「重衾狐白、──於冬房」=和暖。
あたたかくなめらか。錄異記「李朓偶拾得小石、靑黑平正、──可翫」
やはらぎしたがふ、惠は順。詩、邶風「終溫且惠、淑愼其身」
あたたかき血「──動物」は鳥獸など。
やさしきことば。後漢書、馬皇后紀「假借──、賞以財位」
おだやかにしてつつしむ。李勉文「──者、猶神忿吐息」
やさしくして篤實。後漢書、王暢傳「疾惡嚴刻、務崇──」=溫柔敦厚。
溫泉のわくたに。潘岳、西征賦「南有玄灞素滻、湯井──」
やさしく容るる所ありて善く自ら持する。詩、小雅「人之齊聖、飮酒──」鄭箋「──能溫藉自持」
前に習得したることをあたためさらへ、新しき道理を發明す、溫は燖 アタタム 一說に尋なりと說くは非。論、爲政「子曰、溫故而知新、可以爲師矣」
資治通鑑の異稱、司馬溫公の著作なるが故。
やさしくいつくしむ。漢書、刑法志「──惠和、以效天之生殖長育也」
あたたかくやさしきことば。新論「──一灑、師人挾纊」=溫言。
おとなしくすなほ。禮、經解「──敦厚、詩教也」
○あそび場所。又、いろざと〔飛燕外傳〕=遊里。○ねや、閨房。
あたためたるへや。西京雜記「──在未央宮殿北、武帝所建、溫煖之室、以禦物寒」
さらへる、旣に學びたることをくりかへしてならふ。袁凱詩「朝向春園恣游衍、暝歸雪案同──」暝歸は日が暮れて家に歸る。
あたためさらへる。又、たづぬ。禮記「溫故而知新」疏「言、賢人由學旣能──故事、又能知新事」
おだやかにしてつつしむ。杜收文「飾以──、故處世顯明、無罪悔」
なさけぶかく、やさしき心。
蛇絞石 ダモンセキ の一名。熱して懷中すれば永く身體をあたためる效あり。
さけをあたためる。晉書、羊琇傳「屑炭和作獸形、以──」
溫和にして純粹。漢書、揚雄傳「典謨之篇、雅頌之聲、不──深潤、則不足以揚鴻烈」
おだやかにすなほ。後漢書、宋弘傳「弘少而──」
やさしくすなほなるいろ。白居易詩「白玉慙──、朱繩讓直辭」
あたたかき水。北史、齊宗室趙郡王叡傳「三軍皆飮──」
おだやかにしてまじりけなし。歐陽修詩「堯夫大雅哲、稟德實──」
蘿蔔 ダイコン の異名〔本草〕=萊菔。
あたためると涼しくすると、子が父母に事ふる禮。曲禮「凡爲人子之禮、冬溫而夏凊、昏定而晨省」定は寢どこをとる、省はきげんを伺ふ。北史、薜寘傳「至──之禮、朝夕無違」
なさけふかきみことのり。朱熹詩「側聞──詢耆艾」
いでゆ。晉書、紀瞻傳「今有──、而無寒火」
あたたかにしてやはらか、輭、俗に軟に作る。元稹詩「木綿──當綿衣」
熱帶と寒帶との閒にありて氣候の溫和なる地帶、赤道の南北二十三度半より六十六度半に至る閒の地。
いでゆ。唐書、高祖紀「庚戍幸──、壬子獵于驪山」=溫泉。
君子の德の美くしきに喩ふ。詩、秦風「言念君子、溫其如玉」
あたたかし。又、あたたかさ。=溫燠。
あたたかみ、あたたかさのほどあひ。
あたたかし。水經、注「溫泉水、其水──若湯、能愈百疾、故世謂之溫泉焉」
親切なるおもひ。鮑照詩「──終不渝、藻志遠存追」
あたたかきへや。七啓「──則冬服絺綌、淸室則中夏含霜」
あたたかに著、あくまで食ふ。後漢書、皇后紀「人所以願封候者、欲上奉祭祀、下求──耳」=飽食暖衣。
あたたかにしてこゆ。嵆康詩「──者早終、涼瘦者遲竭」
ふとんをあたたむ。晉書、王延傳「延事親色養、夏則扇枕、冬則以身──」
おだやかにしてさとし。皇甫謐、高士傳「旣通古今、性復──、不恥下問」
夏の末に吹くあたたかきかぜ。禮、月令「季夏之月、──始至」
おだやかにしてゆるやか。南史、江總傳「總性──、尤工五言七言」
唐の詩人溫庭筠と李商隱と。唐書、溫庭筠傳「庭筠少敏悟、工爲辭章、與李商隱皆有名、號──」
溫は和厚、良は易直、恭は莊敬、儉は節制、讓は謙遜なり、五者は孔子の容貌性格を形容す。論、學而「夫子─────、以得之」
おだやかにして美くし。宋史、路振傳「文詞──」
○おだやか。宋史、郭贄傳「性──、頗能延譽時雋」○氣候が暖か。漢書、西域傳「地──田美」
カゥ [皓]
○ながあめ(久雨)○水の貌。○──は水の白光ある貌。上林賦「安翔徐徊、翯乎──」
カフ [合]
にはか、たちまち(忽)
たちまち、多くは人の死を形容す「──長逝」
○たちまち至る水の聲。李賀詩「塘水聲──」○寒き貌·劉崧詩「沙堤十里寒──」
たちまち死す、人の死をいふ。楚辭、九辨「恐──而不得見乎陽春」=溘逝·溘亡·長逝。
溘死に同じ、謝は去。李乂文「形神──、德音如在」
溘死に同じ、逝は死去。
にはかなる貌。=忽然·突然·溘焉。
①キ·ケ [未]
②ケツ [月]
俗に汽と混用するは非
①川の名。
②しほいけ(鹽池)
クワウ [養]
潢·洸に通ず
瀇─ クワウクワウ は水の深くひろき貌。
水の深くびろき貌。劉勰、新論「達者之懷、則──而無涯」=洸瀁·瀇瀁。
①クワツ [黠]
②コツ [月]
①なめらか「柔─」「軟─」○利 ト し、滯らず、すらすらとしてさはりなし。○すべる(澾)足がとめどを失ひてそれる、すべらす。○珠の名。
②みだる(亂)○をさむ(治)○にごる。○── コツコツ は水の流れる貌。
周圍に溝のある軍、此の溝に繩をかけて重き物體を上下する。
なめらかにしてきよし。蘇軾詩「──空棐几」
鑛物の一、粉末にして物に塗れば摩擦を減ず。
つや。雲笈七籤「呼吸中和、──微細」=光澤。
すべりぬける、滯りなく、自由自在「圓轉──」
すべる。皮日休、苦雨詩「蘚地──足」
なめらかなるたかむしろ。劉光祖詞「胡牀──應無價」
なめらかなるいしだん。蘇軾詩「──攀秋蔓、飛橋踏古槎」
ぬめ(絖)帛 キヌ の一種、薄くなめらかにして書畫をかくに適す。=光絹。
やはらぐ。莊子「不足以──、不可入于靈府」
○智多く如何なる難問にあひても滯なく答ふる義、滑は亂、稽は同、辨捷の人、非を言ひて是の若く、是を說きて非の如く、能く同異を亂るをいふ。一說に──は酒器、言が口より出でて章を成す、詞窮り竭きざること、──の酒を吐くがごときをいふと。史、樗里子傳「樗里子──多智」○轉じて諧謔 オドケ の義とす。
水の流れる貌。易林「涌泉──、流行不絕」
ケイ [霽]
谿に同じ
たに(水注川)「澗─」「碧─」「竹─」
谷閒に棲む風流の友。圖繪寳鑑「吳侁不知何許人、作林泉平遠──釣徒、皆有氣象」
たに閒のあめ。岑參詩「滿院池月靜、卷簾──涼」杜牧詩「──灘聲急、巖風樹勢斜」
谷閒にすむ老人。皮日休詩「──無語遠相望」=溪叟。
蓮 ハス の異名〔西溪叢語〕
たに。張協詩「──無人跡、荒楚鬱蕭森」=谿壑。
たにがは。元結詩「種藥老──」
たにあひのほそみち。
たにまのゐなかや。袁易詩「桃花夾岸護──」
たに川のまるきばし。陸游詩「林雀無聲──斷、炊煙不動竹籬斜」
たにのみづ。鄭紹詩「──碧悠悠、猿聲斷客愁」
たに川の音。蘇軾詩「──便是廣長舌、山色寧非淸淨身」
たにのいづみ。溫庭筠詩「片時無事──好、盡日凝眸岳色秋」=澗泉。
菖蒲 アヤメ の異名〔花木志〕
溪に臨めるちん。許渾詩「──四面山」朱熹詩「認取──今日意、四更山月湧波心」
たにのほとり。鶴林玉露「出步──、邂逅園翁──、問桑麻、說秔稻」=溪頭。
たに閒の水藻。謝逸詩「水落──凋」
たに川のせ。陸游詩「風聲雜──、雨氣挾龍腥」
たににのぼるもや。白居易詩「──漠漠樹重重、水檻山牕次第逢」
たにがはのながれ。桐汭志「三峯拱其前、──枕其後」
①ケイ [靑]
②ケイ [庚]
①古の澤の名、河南─澤縣に在り。○極めてすこしの水。韓詩外傳「─澤之水、無呑舟之魚」
②─瀯は波浪の涌きあがる貌。
ゲン [元]
原と通ず
○みなもと、河川の流の發する所「發─」「淵─」「水─」○轉じて物事の根本「根─」「起─」「基─」○──は水のたえまなく流れる貌。轉じて物事のつづく意とす。○ 國 ミナモト 四姓の一、嵯峨天皇に出づる者を嵯峨─氏、淸和天皇の孫經基に出づる者を淸和─氏といふ。
本と末と。禮、學記「或原也或委也」原は源。元稹、樂府「敎化從來有──、必將泳海先泳河」=原委。
本をたづねきはめる。管子「守物之終始、終身不竭、此謂──」
君が正しければ、民も亦正しきに喩ふ。韓詩外傳「君者民之源也、─────、源濁則流濁」
水の流れて絕えざる如く斷えずして來る。孟、萬章「欲常常而見之、故────」
○川水の流れ出るみなもと。孟、離婁「──混混、不舍晝夜」=泉源。○轉じて物事の起原の義とす。○文義の博廣に喩ふ。蘇軾文「吾文如萬斛──、不擇地皆可出」
いづみのみなもと。朱熹、觀書有感詩「半畝方塘一鑑開、天光雲影俱徘徊、問渠那得淸如許、爲有──活水來」
國 ○源氏と平氏と。○源氏は白旗を用ひ、平氏は赤旗を用ひたるが故に紅白の意にいふ「──桃」
國 四十八卷、二條天皇の應保年中より、安德天皇の壽永に至るまで、凡そ二十餘年閒源平盛衰の事を記す、信濃前司行長の作といひ、或は葉室大納言時長の作といふ。
みなもとのながれ。詩譜序「欲知──淸濁之所處、則循其上下而省之」
①コウ [尤]
②コウ [宥]
①みぞ、田の用水、田閒の水道。又、道路の旁の下水道。○谷閒のながれ「─壑」○しろのほり(城塹)「城─」○みぞをほる。○御─は宮城のおほり。○廬─は川の名。廬─曉月は北京八景の一。=桑乾河·渾河。
②おろか(愚)荀、儒效「其愚陋─瞀」
みぞ。林寬詩「霪霖翳日月、窮巷變──」
みぞ。たにま。孟、滕文公「志士不忘在──」
命をうしなふといふ謙辭。史、扁鵲傳「無先生、則棄捐───、長終而不得反」戰國、趙策「及未塡溝壑、而託之」
みぞ、下水。曲禮「門閭──必步」疏「溝、廣深四尺者、渠亦溝也」=溝瀆。
次條に同じ。史、夏紀「卑宮室致費于──」=溝洫。
田閒のみぞ。周禮、考工記「匠人爲──」=溝澮。
田の閒のみぞ、澮は小溝。孟、離婁「七八月之閒、雨集──皆盈」
○溝洫に同じ。楊侃、皇畿賦「屈曲──、高低稻畦」○轉じてゐなかの義。南史、孝義傳論「多發──之中、非出衣簪之下」
みぞと田のうねと。舊唐書、李愬傳「雨水自五月、至七月不止、──潰溢、不可出師」
みぞのみづ。卓文君詩「──東西流」
みぞのどぶどろ。唐書、李敬玄傳「阻──莫能前」
○城のほり。禮、禮運「城郭──以爲固」○みぞと、いけと〔仲長統、樂志論〕
みぞのなか。孟、萬章「若己推而內之──」
窮困してみぞにうづもれ死する。說苑「死則不免爲────」文天祥、正氣歌「分作溝中瘠」
みぞ。易、說卦「坎爲水、爲──、爲隱伏」
自ら首をしめ、みぞに陷りて死す。論、憲問「豈若匹夫匹婦之爲諒、自────、而莫之知也」
①コン クワン [願]
②コン [元]
①にごる(水濁)○みだる(亂)○けがれる(穢)○はづかしむ(辱)漢書、陸賈傳「毋久─女爲也」○かはや(廁)「廁─」「圊─」晉書、左思傳「門庭藩─」○ぶたごや。
②燉─は煩はしく濁る貌。又、むすぼれて熱き貌。
溷廁に同じ。
心がみだれる。釋例「楚之君臣、最多──」
かはや。急就篇「近──者、則被汙染」
きたなきしる。北史、崔鑒傳「以──沃其頭、令曳出」
にごる。屈原、離騷「世──而不分」
かはやのなか。雲仙雜記「投置──」
かはやのかこひ。
けがれたるもの。禮、少儀「君子不食──」
俗 わるくち(惡口)
にごりけがる。王維文「洪波退流、必盪其──」=穢溷。
サゥ [陽]
○─浪は川の名、卽ち漢水。=蒼浪。○うみ(海)あをうなばら「─溟」「─海」○あをあをとして廣し「─茫」○さむし(寒)「─熱」
おほうみ。李祁詩「短策未容歸故里、片帆只欲駕──」=滄溟。
○あをうなばら。李商隱詩「──月明珠有淚、藍田日暖玉生煙」=滄溟。○仙人の居る所。十洲記「──鳥在北海中(中略)水皆蒼色、仙人謂之──」○郡名、今の奉天興東道の地。一說に今の朝鮮の南部。=蒼海〔史記〕
大海中に取り殘されたる眞珠、世に珍らしき寶の義。事文類聚「狄仁傑調汴州參軍、閻立本異其才曰、君可謂────矣」
大海の一粒の粟 モミ にて、殆ど比較の出來ざる極めて微小なる喩。赤壁賦「寄蜉蝣於天地、渺────」
世の變遷に喩ふ。穀梁傳序「孔子覩─、乃喟然而歎」
ひろきみづうみ。丘爲詩「晨趨玉階下、心許──流」
寒き貌。列子「日初出──涼涼」
滄海變じて桑田となる、時勢の甚だしく移りかはる義。神仙傳「麻姑謂王方平曰、自接待以來、見東海三變爲桑田、向到蓬箂、水乃淺於往者、略半也、豈復爲陵乎、方平乃曰、東海行復揚塵耳」
○神仙の居る所、滄浪洲の略。杜甫詩「玄圃──莽空闊」○江湖と同義。朝巿に對していふ。南史、張充傳「飛竿釣渚、濯足──」○ゐなかの水濱。陸雲、泰伯碑「──遁跡、箕山辭位」
さむさと、あつさと。說文、段注「周書、周祝解曰、天地之閒、有──」
あをあをとして廣き貌。柳宗元、招海賈文「──無形兮、往來遽卒」=蒼茫。
あをうなばら。武帝內傳「諸仙玉女、聚居──」=滄海。
漁父の歌、何事も自然のなりゆきに任すべきをいふ。楚辭、漁父「漁父莞爾而笑、鼔枻而去、歌曰、滄浪之水淸兮、可以濯吾纓、滄浪之水濁兮、可以濯吾足」孟子、離婁篇にも引きて吾を我に作る。
サウ シウ [豪]
── サウサウシウシウ は米をとぐ聲。=溲溲·淅。
①シ [紙]
②シ [支]
①かす、おり(澱)沈澱物「沈─」「塵─」「渣─」○けがれ。けがす「垢─」
②くろむ(黑)史、屈原傳「皭然泥而不─者也」
シ [支]
通音ジ
○しげる、しげし(蕃)○おほし(多)左、僖十五「象而後有─」○ふゆ。ふやす。○うゑる、まく(蒔)屈原、離騷「余旣─蘭之九畹兮」○そだつ(生長)書、泰誓「樹德務─」○ます、ますます(益)左、昭元「其虐─甚」─益と二字連用するも同じ。○にごる(濁)にごす、黑くする。左、哀八「何故使吾水─」○しる(液)禮、檀弓「必有草木之─焉」○よきあぢ、うまき食物「─味」「─養」
同訓異義
シゲシ 滋·繁·蕃·稠·茂の別は繁(糸部十一畫)の條を見よ。○マスマス滋·益·增·倍·加の别は益(皿部五畫)の條を見よ。
しげりさかゆ。曹植、喜雨詩「棄之必憔悴、惠之則──」孟郊·韓愈、聯句「嘉植鮮危朽、膏理易──」=繁榮。
しる、やしなひになる汁。司馬相如、封禪書「──滲漉」
うるほひやはらぐ。王襃、洞簫賦「吸至精之──」
さかんなるぜいたく。左傳「宮室──」
ますます、はなはだし。字解參看。
ますます、あきらか。老子「法令──、盜賊多有」=益彰·滋章。
うるほす。王僧孺文「奬道羣有、──萬類」
うるほふ。うるほひ。賈島詩「雨餘──在、風不起塵沙」
しげくふえる。漢書、刑法志「蕭曹爲相、從民之欲、而不擾亂、是以衣食──、刑罰用稀」=滋息。
しげりふえる。秦觀賦「山林鬱其修阻、水土婉而──」=滋殖。
ますますおほし。左傳「信國之寶也、民之所庇也、得原失信、所亡──」
ますますわづらはし。晉書、載記「今律令──」
しげし。華陽國志「聖德廣被、民物──」杜牧詩「柯葉自──」
からだのやしなひになる。補は補益。=滋養。
ひろくはびこる。杜甫詩「山色遠寂寞、江光夕──」
しげりはびこる。左、隱元「無使──、蔓難圖也」
あぢよき物。禮、月令「薄──」
しげる。周伯琦詩「培植將百年、柯葉日──」=繁茂。
そだてやしなふ「──分」葛長庚文「以佛照餘波、而──其根脚」
滋養になるものを膓の中にそそぎ入れて、其の生命をつなぐ。
滋養分多きもの。南齊書、周顒傳「引此──、自汙腸胃」
①シウ [有]
②シウ [尤]
①そそぐ、ひたす、水にて粉麵をこねる。=?。
②──は米をとぐ聲。○そそぐ、ひたす(浸沃)○ゆばり。小便(溺·尿)
しびん、おまる。西京雜記「李廣獵見臥虎射之斷其髑髏以爲枕、示服猛也、鑄銅、象其形爲──、示厭辱之也」=溲甁·尿器·虎子·溺器。
うつぎ、灌木の一、葉は對生、初夏に小白花を著け、黑實を結ぶ。
ゆばり。又小便する(放尿)
溲器に同じ。
ゆばり。後漢書、張湛傳「遺失──」=溲溺。
濕(水部十四畫)の本字。
深(水部八畫)の古字。
シン [眞]
○川の名、二あり、一は河南省に在り、一は湖南省に發して廣東省に入る。○──はさかんな(盛)る貌。又、おほ(衆)き貌。○いたる(至)漢書、王襃傳「萬祥畢─」=臻。○蓁に通ず。
○多き貌。詩、小雅「室家──」○盛んなる貌。班固詩「百穀──」○舒 ノ ぶる貌。太玄經「陽引而進、物出──」
①ジュン [軫]
②セツ [屑]
准·凖は俗字
①みづもり(水平)水平を測る器。○ひとし(均)○めあて(的)「標─」「─的」のり(法)○たひらか(平)○たひらかにす。○のっとる(則)易、繫辭「易與天地─」ならふ(倣)○ただす。○ 俗 准に作り、ゆるす義とす「批准」
②はなばしら(鼻梁)「隆─」
のっとりよる、法則としてしたがふ。=凖據·依準。
のっとり由る。又、よりどころ。=準由·標準。
○平をはかる水もりと、直を爲す墨なはと。孟、萬章「繼之以規矩──、以爲方員平直」規はぶんまはし、矩はさしがね。○轉じて標準の義とす。
のっとるべきのり。=法則。
○はかる、計量する。=料度。○ ジユンド 準則に同じ。
のり、てほん。元史「立言垂敎、萬世──」=法則·法式。
めあて。後漢書、賈彪傳「一言一行、天下以爲──」=標準·準則。
そなへ。宋史、張所傳「以王彥爲都統制、岳飛爲──將」
豫 アラカジ め臨時の支山に備へ置く金錢。
たひらか。漢書「水爲──、王道公正修明」
標準とするためし。
相術家の語、鼻の下部の稱。
ショク [職]
─淢 シヨクヰキ は水波の相つづく貌〔江賦〕
ジョク [沃]
○むしあつし、空氣が濕氣を含みて暑し(溼暑)「蒸─」○あつし(濃厚)禮、儒行「其飮食不─」○うるほす、うるほふ(濕)
むしあつし。禮、月令「土潤──、大雨時行」
しげきつゆ。隋煬帝詩「──方霑衣」
セン [琰]
○水の動く貌。○ながれはやし。
ソ [遇]
○さかのぼる、流に逆ひてのぼる。=遡·泝·?。○轉じて往事を追思する。
流にさからひて上る。詩、秦風「──從之、道阻且長」=遡泂。
○みなもとにさかのぼる。○轉じて事の根本をたづねる「天道──」
タゥ [豪]
○はびこる(漫)水が大いにみなぎる。書、堯典「浩浩─天」○──は、大水の貌。又、流れ行く貌。又、亂れる貌。○おこたる(慢)あなどる。左、昭二六「官不─」○ひがしのかぜ。○あつまる(聚)莊、田子方「─乎前」○ひろし、大いなり。○うごく、うごかす。
○廣大なる貌。詩、大雅「江漢浮浮、武夫──」○水の盛んに流れる貌。詩、齊風「汶水──」○流れ行く貌。轉じて世の風潮を追ひて行く貌。論、微子「──者天下皆是也」○行く貌。東方朔、七諫「年──而日遠兮」
廣く盛んなり。文心雕龍「志不出於──、辭不離於哀思」
大水が天にまではびこる。書、堯典「懷山襄陵、浩浩──」
天にはびこる程の大惡。一解に天をあなどり畏れざる義。漢書、敍傳「咨爾賊臣、篡漢滔天」
あふれのぼる。淮南子「邅廻川谷之閒、──大荒之野」
タゥ [陽]
いけ(池)ぬま(淖)
チ [紙]
川の名、古の泜水、今沙河と稱す、河南省海州に在り。
チク [屋]
○みづあつまる(水聚)○はやし(急)○いきどほりて顏色のむっとしたる貌。
顏色のむっとしたる貌。色の憤起する貌。莊、大宗師「──進我色也」
水のあつまる貌〔木華、海賦〕
チョ ヂョ [魚]
○川の名、安徽省合淝縣の北より出で和·─二州を經て、江蘇省に至り揚子江に入る。○州の名、唐代に置く、卽ち今の安徽省─縣、地─水の陽に當○、山高く水淸く、江淮閒の勝地たり、宋の歐陽修嘗て此州に知たり。
テキ [鍚]
通音デキ
○あらふ、すすぐ(洒)「洗─」「浣─」○はらふ、けがれをはらひ去る「掃─」○きよむ。○したみざけ。○──はあつさ(旱氣)又、暖氣。○牲を養ふ室。
あしき點を去る。瑕は疵 キズ 舊唐書、昭宗紀「──盪垢、咸與維新」=洗瑕。
あらひすすぐ。宋史、樂志「──蠲潔、容儀肅莊」=滌洗·濯漑。
あらひきよめる。沈約、解講疏「──煩襟、棲情正業」
あらふ。北史纖負微愆、應從──」=洗滌·洗濯·滌漑。
けがれをすすぐ。晉書、成公綏傳「心──而無累、志離俗而飄然」
すすぎあらふ。周禮「宰夫職從太宰、眡──」=滌洗。
茶の異名。施肩吾詩「茶爲───」
①デキ ダク [鍚]
②デウ·ネウ [嘯]
①おぼる(水死)○しづむ(沈沒)○たへず。○おぼらす、物事にふけりて心を奪はれる「惑─」
②ゆばり、いばり、小便。=尿。○ゆばりする、放尿。史、范雎傳「醉更─雎」
あいにおぼれる。江淹賦「──靡意、魂飛心離」
水におぼれたる者を救ひあげる。鄧析子「──錘之以石」ますます甚だしくする喩。
人の心をおぼらす音曲。
水に溺れて死する。
佛を迷信する。梁書、武帝紀「武帝、晚溺信佛道」
おぼれしづむ。搜神記「船遠行、──不返」=沈沒。
心を利益にのみ奪はれる。晉書、宣帝紀「貪于近者、則遺遠、溺于利者、則傷名」
しびん。後山詩話「以──畜生魚」=溺皿·溲器·虎子·尿器。
テン [先]
○漢代の夷の國、今の雲南省地方、故に雲南省を一に─省といふ。○──は盛んなる貌。漢書、禮樂志「泛泛──」
トウ [蒸]
○春秋戰國時代の國名、今の山東省兗州府─縣の地。○みづがわきあがる、騰と通ず。○口を張りて說く。
雪の神、巽二(五六二頁四段)を見よ。
江西省南昌府新建縣の西章江門上に在る閣の名。王勃の序と、王緒の賦と、王仲舒·韓愈の記とあり。
①ハウ [陽]
②ハウ·ヒャウ [庚]
通音バウ
①水又は淚の盛んに流れる貌。○水の流れる聲。○淜─は風の物を擊つ聲。○─洋はゆたか、ひろし(饒·廣)
②水の聲。=泙。
○雨の盛んに降る貌。詩、小雅「月麗于畢、俾──矣」月が畢星に附くと大雨になる。○淚の盛んに流れる貌。詩、陳風「寤寐無爲、涕泗──」
ながあめ。恩澤に喩ふ。閭丘均表「──時降」=霖雨。
雨の盛んに降る貌。揚雄、甘泉賦「雲飛揚兮雨──」
水勢の盛んなる貌。李頎、雜興詩「行人夜秉生犀燭、洞照洪深闢──」=澎湃。
水の流れる聲。司馬相如賦「──沆漑」
不平にして氣がふさがる貌。馮衍、顯志賦「氣──而雲披」
水がさかんに湧き流れる。又、其の聲。枚乘、七發「觀其兩旁、則──怫鬱」
ゆたかにひろし、盛大なる貌。漢書、禮樂志「福──、澤汪濊」李白、明堂賦「鴻恩──」
ベイ ミャウ [靑]
通音メイ
○小雨 コサメ がふりてくらし「─濛」○くらし、遠く又深くして薄暗し。○水の色黑き海。又、海の稱。=冥。○水が激しうごく貌。
くらし。又、元氣の未だ分れざる貌。論衡、談天「──濛澒」
大海の中に在る島。顏延之詩「笳鼓震──」
北方の大海。庾信、謝滕王啓「──九萬里、無踰此澤之深」=北溟
南方の大海。李羣玉詩「──道途遠、荊吳雲雪愁」
うすぐらき貌。邢居實賦「秋風颯颯兮、雲──」=冥冥·溟濛。
こさめふりてをぐらし。又、其のこさめ。張昱詩「只因一霎──雨、不得分明看好山」
こさめ、そぼふる雨。太玄經「密雨──」
ベツ メチ [屑]
通音メツ
○ほろぶ、ほろぼす「─亡」「殄─」○きえる、けす(火熄)「─息」「消─」○つく(盡)なくなる。○たゆ、たつ(絕)○しづむ(沒)○死する「寂─爲樂」
ほろぼしなくする。=滅絕。
其の事に就きての證言を防がんために之を殺す〔史、春申君傳〕晉書、后妃傳「后恐事泄致禍、手殺之以──」
佛 つみほろぼし、罪惡を除く。
○ 佛 ごふ(業)が盡きて身體の相形が滅亡する。○甚だしく、やたらに。=滅法。
滅門に同じ。
ほろぼしつくす。又ほろびつきる。=滅絕·絕滅。
父母の喪に遭ひ哀みて生命を滅ぼす、性は生命。孝經「毀不──」
ほろぼしつくす。=滅盡。
國 みだりに、やたらに。
佛 迷の因果を滅盡する修行。
○ 佛 さとりを開きて生死の苦を滅し煩惱 ボンナウ の海を度 ワタ るを得、彿果を得る。法華經「得至於──」=得度。○轉じて死をいふ。酉陽雜爼「一行和尙──矣」
ほろぶ。禮、樂記「國之──、無日矣」=亡滅。
きえうせる、ほろぶ。蘇軾、潮州韓文公廟碑「──倒景不可望」
○ 佛 人閒界の一切の苦を滅す。○ 國 法外に、甚だしく、やたらに。=滅法界·滅相。
ほまれをなくなす。史、剌客傳「奈何畏沒身之誅、終滅賢弟之名」
暗くなったり明くなったりする。=明滅。
陰陽道の──日の略、月に五日ある大凶日、大禍日·狼藉日 ラウジヤクニチ と共に三惡日とす。=滅日。
きれぎれ、はなればなれ、おろそか(末略)「支離──」莊、則陽「治民焉勿──」駱賓王詩「生涯一──、岐路幾徘徊」
①ホ·フ [麌]
②フ [虞]
溥とは別
①大いなり。○ひろし(廣)あまねし「宏─」「周─」=普。
②しく(布·敷)禮、祭義「─之而橫于四海」
あまねし。漢書、匈奴傳「大化神明、鴻恩──」=周洽·普徧。
ひろくのせる。陸雲賦「羨厚德之──兮、嘉豐化之大造」
あまねく助ける、將は助。詩、商頌「我受命──」一解に將は大。溥大に同じ。
大いなり。漢書、朱博傳「漢家至德──、宇內萬里」=溥將。
大いにしてながし。詩經「篤公劉、旣溥旣長」
大いにのびる。宋玉、風賦「夫風者、天地之氣、──而至」
天の地をおほふかぎり。詩、小雅「──之下、莫非王土、率土之濱、莫非王臣」孟子に溥を普に作る。
大いにしてひろし。=廣大。
あまねくおほふ。元結、樂歌「類我聖德兮、──無方」=溥覆。
ひろくおほふ。曹植賦「暢沈陰以──、似明后之垂恩」=溥被。
ヨウ [冬]
○水がさかんなり。○安く流れる貌。○─然は閒暇 イトマ ある貌。○ 俗 とける、とかす、物質が水にまじりて融解する。固體が液狀に化する。鎔に通用す。
固體が液中にとけて雜りたる汁。食鹽水の類。又固體が化して液體になりし者。
とける、物が液中にとける。=鎔解。
他物を溶解するなかだちとなるもの。水·酒精·水銀など。=溶劑。
ただよふ。蘇軾詩「孤帆信──、弄此半篙碧」
○水の盛んに流れる貌。杜牧、阿房宮賦「二川──流入宮牆」二川は、渭水·樊水。○心の廣くゆったりとしたる貌。楚辭、九歎「心──其不可量兮」
①りウ [宥]
②りウ [尤]
又澑に作る
①したたる。○ながれ。○あまだれおち、簷下 ノキシタ の水の滴る處。左、宣三「三進及─」=霤。○したたり、しづく。○ながれる。○ひらく(發)
②流に通ず。○とどまる。=留。 國 ○ タマル 積もりてふえる。○ タマり 多人數の集りひかへる室。○ タメ ごみため。
飮食物が胃中につかへて酸き汁の出る病、胃酸過多症。
蒸溜して液狀になりて器の口からしたたり出る。
たまりみづ。庾肩吾詩「懸門開──、錦石鎭浮橋」
しづく。李鏡遠詩「照庭餘雪盡、映簷──垂」=涓滴。
國 用水などをためて置くいけ。=貯水池。
①レン [鹽]
②デン·ネン [鹽]
③レン [琰]
①中絕えたる小さき水。=濓。
②ねばりつく。=黏。
③ひたす(漬)○──はうすきこほり(薄冰)
ワ [麻]
くぼむ。=窊。
11畫
イ [支]
なみたつ、さざなみ(小波)「漣─」「淪─」「淸─」
さざなみ、瀾は大波。左思、吳都賦「刷盪──」
さざなみ立つ。さざなみ。晉書、衞恆傳「遠而望之、若翔風厲水、淸波──」=漣漪。
イウ [尤]
──は水の流れる貌。詩、衞風「淇水──」
エイ [梗]
川の名、河南省登封縣の北なる嵩山より出で、安徽省に至り淮水に合す。
堯の時、潁水の邊に居りたる隱士許由をいふ。高士傳「許由耕于潁水之陽、堯召爲九州長、由不欲聞之、洗耳於潁水濱、時巢父牽犢欲飮之、見由洗耳曰、汚吾犢口、牽犢上流飮之」
宋の蘇轍の晚年の號。宋史、蘇轍傳「崇寧中致仕、築室於許、號────」
エン [銑]
○水、長く流る。○かよふ(通)○うるほふ(潤)ながれしみこむ。○ひく(引)○ひろめる(廣)「推─」○のぶ(延)ひきのばす。○しく(布)○意義を廣め說く「─說」=衍。○事に先ちて實習する「─習」○行ふ「─奏」「─劇」○涴─は水めぐる(廻曲)貌。
同訓異義
ノブ 演·述·陳·宣·布·展·舒·申·伸·信·暢·延·紓の别は述(辵部五畫)の條を見よ。
ひろくめぐり行はる。遼史、食貨志「兼鑄太平錢、新舊互用、由是國家之錢、──域中」=演迤。
○意義をたづねのべる。中庸、章句序「更互──作爲此書」宣和書譜「講求其說、──頗多」○論理學にて一般の原理より特種の事理を推定する法式。歸納の對。
遊藝を行ふ。=演藝。
○意義をしきのべて說く。潘岳賦「晉──以獻說」○史事に據りて稗官小說の言を雜取して敷衍して文を成すもの。三國──·隋唐──の類。
演劇に同じ。
公衆の前にて遊藝をする、また其の遊藝。=演技。
をしへをのぶ。張正甫文「自騰蘭之──于中土、殆將千歲」
しばゐをする。又しばゐ。=歌舞伎·演戲·演伎。
俗 銃の演習をする。
立てたる式に隨ひ、計算して所要の答を得る。=運算。
古き事蹟を演べる。古文析義「院本雜劇──亦此類」
けいこする。けいこ「實地──」
のべとなふ。洛陽伽藍記「安置佛徒、──大乘數部」
のべうける。舊唐書、韋思謙等傳贊「子子孫孫、──餘慶」
口にて己の意見をのべる。=演說。
○義理をのべひろめてとく。周書、熊安生傳「一一──」○公衆の前にて意見を述べる。=演舌。
のべつくる。宋史、律曆志「擇曆算子弟粗通了者、授──之要」
音樂を行ふ。=奏樂。
演說のだいもく。
演說する者の立つだん。
武藝をけいこする。明、顧其思、攬茝遺言「皇城內、有小敎場、以備──」
ただよふ。阮籍詩「汎汎乘輕舟、──惟所望」
①オウ [宥]
②オウ [尤]
①ひたす(久漬)長き閒、水につける。○─鬱 オウウツ は香氣の盛んなる貌。
②あわ(泡)「浮─」○かもめ。鷗に通ず。列、黃帝「海上之人、有好─鳥者」
カイ ガイ [隊]
○そそぐ(灌·注)流し入れる「灌─」史、河渠書「引漳水─鄴」○すすぐ(滌)「滌─」
同訓異義
ソソグ 漑·注·沃·澆·灌·濺·洒·瀉の别は注(水部五畫)の條を見よ。
水をそそぐ。詩經、疏「流泉所以──」=灌漑。
そそぎひたす。孔臧、楊柳賦「──以時、日引月長」
田に水をそそぐ。漢書、溝洫志「引涇水(中略)──四千五百餘頃」
どろ水がそそぎて肥料をほどこすにあたる義。漢書、溝洫志「涇水一石、其泥數斗、且漑且糞、長我禾黍」注水渟淤泥、可以當糞」
カン [翰]
○あまのがは(天河·銀河)「銀─」「雲─」○川の名、陜西省に發源し湖北省漢口に至り揚子江に入る「─水」○をのこ(男子)「好─」「惡─」○朝代の名、劉邦(高祖)秦を滅し─王と爲り、長安に都す、世に西─と稱す、十二帝二百十三年。劉秀(光武)の中興に及び洛陽に都す、東─と爲す、十三帝百九十六年。劉備(昭烈)國を成都に建つるに及び、魏吳と竝びて三國と稱し、蜀─と爲す、二帝四十二年。又西晉の時、劉淵は山西省に據りて─を立つ。又五代の時、劉知遠のたてたる二世四年閒の─。○種族の名、支那の本部の民。滿·蒙·囘·藏と合して五族と爲す。○─口は地名、湖北省夏口縣の地。○ 國 支那の義「─文」「─土」
漢の高祖をいふ、劉氏、名は邦、字は季、沛の人、寬仁にして大度あり。張蘊古、大寳箴「巍巍蕩蕩、恢──大度」
○支那本土の語言。元史、世祖紀「以蒙古語諭河南、──諭福建」○ 國 漢字にて成り、主として音讀する語、勉強·忍耐·健康·克己など。
人を賤めていふ語。北齊書、魏蘭根傳「顯德怒云、何物──、我與官不肯就」輟畊錄「今人謂賤丈夫爲──」
○漢時代の詩。○ 國 支那の詩、からうた。和歌の對。
朝鮮の京城の一名、漢江の北にある故。
○一百二十卷、後漢の班固撰す、前漢十二代、二百三十餘年の歷史、十二帝紀·八表·十志·七十列傳より成る、史記·後漢書と合せて三史と稱す。=前漢書·西漢書。○ 國 カンシヨ 支那の書物。
○漢時代の書籍。宋書、曆志「遠考唐典、近徵──」○ 國 支那の書物。=漢書。
漢の高祖に仕へし、蕭何·張良·韓信の三人。
○漢の文帝。晉書、范弘之傳「──襲弋綈之服、諸侯猶侈」○漢時代の文。○ 國 支那の文章。國文の對。
ギョ [魚]
○いさり、すなどり。又、其の業を爲す者、れふし。○いさる、侵し取りて擇ぶなし、むさぼり取る「─色」「侵─」
すなどりするおきな。柳宗元詩「──夜傍西巖宿」=漁叟。
れふしの家。=漁戶·漁莊。
すなどりする男のうた、漁父の歌。韓偓詩「牧笛自由隨草遠、──得意扣舷歸」
すなどりすべきいそ。李中詩「亂蘚滑──」
魚を捕ふる器具。陸龜蒙に──詩序あり。黃庚詩「釣翁吹荻煙、童子收──」
いさりび、すなどりする爲めにもやす火。張繼詩「江楓──對愁眠」
すなどりして得る。新序「今日──、食之不盡、賣之不售」
すなどりする人の家。吳萊詩「桑麻夾岸收戰塵、蘆葦成林出──」=漁家。
魚を捕るあみ。朱德潤詩「風帆晝捲瀟湘雨、黃葦堆灘插──」
漁家に同じ、莊はゐなかや。郭翼詩「花閒移艇過──」
漁人の家。李榮春詩「露白────外」
すなどりする人、れふし。劉孝綽詩「釣舟畫釆鷁、──服冰紈」
すなどりのふね。杜荀鶴、秋宿臨江驛詩「──火影寒歸浦、驛路鈴聲夜過山」=漁船。
すなどりを業とする人。=漁夫·漁者。
れふし。列仙傳「唐高宗時、──得靑石」
漁夫のうたふ歌。陸游詩「空濛過釣船、斷續聞──」=漁歌。
あさりとる。宋史、朱貔孫傳「吏加──、貔孫知其弊、悉榜除之」
女色をむさぼる。禮、坊記「好德如好色、諸侯不下──」
人の物をうばひとりて食ふ。漢書、何竝傳「以氣力──閭里」注「謂侵奪取之若漁獵」
水產物の稅。周禮「掌──入于王府」
すなどりする人と、きこりと。王維詩「平明閭巷掃花開、薄暮──乘水入」=樵漁。
漁舟に同じ。
魚を捕へるふせご。陸龜蒙詩「處處倚蠶箔、家家下──」
すなどりするおやぢ。陸龜蒙詩「盡日水濱吟、殷勤謝──」=漁父·漁翁。
魚を捕ふるあみ。韋莊詩「背風開藥竈、向月展──」=漁罟。
れふしの住めるむら。
すなどりする小舟。鄒浩詩「展江涵淸空、春光集──」
すなどりする如くうばひとる。漢書、景帝紀「──百姓、侵牟萬民」
漁舟に同じ。杜甫詩「空濛辨──」
魚をつる。史、齊世家「呂尙以──、奸周西伯」奷は干に通ず。
すなどりする人の吹くふえ。杜牧詩「牛歌──山月上」
漁はすなどり、畋は禽獸をかる。曹植、庖犧贊「罟網──」=畋漁。
れふし、すなどりを業とする者。=漁父·漁者·漁郞·漁叟·漁師。
兩者互に爭ふ閒に、他の第三者が其の利をよこどりする義。鷸 シギ が蚌 ドフガヒ の肉を食はんとして觜 クチバシ を夾まれ、互に相爭ふ閒に、兩者共に漁父に捕はれたる故事〔戰國燕策〕鷸蚌之爭を見よ。
唐の安祿山が叛旗を翻して攻め來るをいふ、漁陽は地名、秦の郡名、今の京兆の東部。白居易、長恨歌「───────、驚破霓裳羽衣曲」
すなどりする人。許渾詩「舊交已變新知少、卻伴──把釣竿」=漁子。
魚をとる、すなどりする、撈は水中の物をすくひとる。
詐りて利を取る〔管子、注〕
クワン [翰]
○漫─は測り知るべからず。又、はっきりせず。○曼─は分別なし。
コ [麌]
○川の名、松江の下流、江蘇省上海縣に在り。=滬瀆。○轉じて、上海 シヤンハイ の一名とす。○えり、竹を海べに列べ立てて魚を捕ふるもの(籪)簄に通ず。
俗 上海の異名。單に滬ともいふ。
コ [麌]
ほとり、みづぎし(水厓)
コ [虞]
─沱 コダ は川の名、山西省に發し、直隸省に入りて海に注ぐ。=呼沱·嘑沱。
コン [願]
○──は水の盛んに流れる貌。=混混·渾渾。○俗に水を煮て沸 ワカ す義とす。○物のころがりて行く貌。
水の盛んに流れる貌。杜甫詩「不盡長江──來」=混混。
サイ [賄]
○ふかし(深)○あざやか(鮮明)○壞 ヤブ れる貌。崔駰、慰志賦「王綱─以陵遲」○折れる貌。○涕の流れる貌。
①サウ ソウ [號]
②サウ [豪]
①こぐ、舟をこぎ進める。○はこぶ(水運)舟にて物を運ぶ「運─」○ふねのかよひぢ、水路。
②衞の邑の名、其の故城の趾は今の河南省滑縣の東二十支那里に在り。
船にて物をはこぶ。隋書、郭衍傳「──四百里、關中賴之、名曰富人渠」
舟の通ふみぞ。史記「發卒數萬人、穿──三歲而通」=漕溝。
漕渠に同じ。王渾詩「灣環護──」
穀物をはこぶ。五代史、羅紹威傳「歲──百萬石」
ものを運ぶふね。陳高詩「下邑供軍食、何時發──」
はこぶ。史、平準書「──山東粟、以給中都官」=轉漕。
①シ [支]
②ライ [灰]
①あわ、口から出す沫(涎沫)○ながる。○こす。
②地の名、斄に通ず。
シ [支]
○ひたす、ひたる(浸)「漸─」○つく、つける。○そむ(染)○獸死す。○ 國 つける(醢)鹽·糠·糟などに菜蔬肉類を詰め浸して味をつける。又其のつけもの「奈良─」「淺─」
同訓異義
ヒタス 漬·浸·漸·涵·漚·蘸の別は浸(水部七畫)の條を見よ。
ひたる。ひたす。南史、孫法宗傳「以血瀝骨、當悉──」=浸漬。
よごれてくろくなる。又よごして黒くする。李遠、題橋賦「危梁蘚剝、──蟲穿」
シ [紙]
○流れる貌。○うるほふ(潤)
シウ [有]
○ゆばり、いばり(溲·小便)○しろみづ、こめしる(淅米汁)
シウ ソウ [有]
○くちすすぐ、うがひす。=嗽。○あらふ(澣)
玉を漱ぐ、瀑布などの水の散る形容。陸士衡詩「山溜何冷冷、飛泉漱鳴玉」
すすぎあらふ。禮記「士以下皆──」
石にくちすすぎ、流に枕す、まけをしみの强きにいふ。晉書、孫楚傳「孫楚字子荊、才藻卓絕、少時欲隱居、謂王濟曰、當云欲枕石潄流、誤云漱石枕?流、濟曰、流非可枕、石非可漱、楚曰、所以枕流、欲洗其耳、所以漱石、欲礪其齒」
すすぎあらふ。李華、隱者贊「富春長往、──淸江」
すすぎあらふ。史、扁鵲倉公傳「湔浣腸胃、──五藏」=洗滌。
①シツ·シチ [質]
②シ [寘]
③セツ [屑]
①うるしの木、落葉喬木の一、全體櫨 ハゼ に似て大きく、秋紅葉して美し、樹幹を傷けて汁を採り、うるしを製す。○うるし。○うるしの如く黑し「─黑」○俗に數字の七に代用す。○川の名、陜西省より出で渭水に入る。
②ぬる、うるしをぬる「─身」
③── ゼヅセツ は祭禮に專ら事を致す容。禮、祭義「濟濟──然」
莊子をいふ。史、老莊傳「莊子者蒙人也、名周、周嘗爲蒙───」
うるしぬりの器物。事物紀原「韓子曰、舜作食器、黑漆其上(中略)唐太宗曰、舜作──、而諫者十七人、則器之布漆、自舜始也」
うるしぬりの瓦。十六國春秋「鄴太武殿皆──金璫、銀楹金柱、珠簾玉壁」
うるしにて描きしゑ、うるしゑ。
ぬしや。後漢書、申屠蟠傳「家貧傭爲──、郭林宗見而奇之」
うるしの如くくろし。楊萬里詩「去年中秋天──、今年中秋月雪白」
うるしまけ、うるしかぶれ。
うるしのしる。蘇軾詩「君家蜂作窠、藏歲添──」
からだにうるしをぬる。戰國策「豫讓乃──爲厲、呑炭爲啞」
黑ぬりの車〔周禮、春官、巾車〕
一人にて二技を併せ修めざる義。淮南子「古之爲車也、────、鑿者不斲」
古、竹簡にうるしを以て書せしをいふ。仇池筆記「孔壁汲冢竹簡科斗皆──」
ひつぎ(棺)漆を塗るが故。〔淸異錄〕
うるしをけ。漢書、律歷志、註「柷狀如──」
黑きひとみ。蘇軾詩「──己照人天上」
①シン [沁]
②シン [侵]
①しむ、にじむ。○したむ、こす。○ながれる貌。
②ひたる。ひたす。=浸。
次第にひたる。海賦「滴瀝──」=漸漬。
もりてかわく。柳宗元賦「九泉焦枯、而四海──兮」
しみてもる。元史、方技張康傳「無陰者陽無以化、甘淡──、皆陽藥」
しみとほる。
しみもる。耶律楚材詩「破船無──、流水不能沈」=滲泄。
したたる。司馬相如、封禪書「滋液──、何生不育」
シン [眞]
きし、みぎは(水厓)詩、王風「在河之─」岸上平かにして下の水の深き所。
シャウ [陽]
○のみもの(飮料)「水─」孟、梁惠王「簞食壺─」○こんず、す(酢)○しろみづ(米汁)又廣く物の汁「腦─」○含─は蚌 ハマグり の異名。
汁多くして顆 ツフ 多きくだもの、葡萄の類。又廣く汁多き果物をいふ。
シャウ [陽]
川の名、山西省より流れ出で、河南·直隸兩省を經て運河に合す。
ジヨ [語]
うら(浦)杜甫詩「舟人漁子入浦─」
セイ [霽]
○みぎは(水涯)○海水の低く陷る處。
セゥ サウ [篠]
湖の名、安徽省合淝縣に在り。後漢書、明帝紀「─湖出黃金」=巢湖。
セキ ジャク [鍚]
寂に同じ
○いさぎよし、きよし(水潔)○しづか、人聲なし「─?」
セン [先]
水めぐる、水がうづまく「囘─」
①セン·ゼン [琰]
②セン [鹽]
③サン·ゼン [咸]
①やぅやく、やや(稍)「─次」○すすむ(進)次第に進む「─進」○きざし(兆)○易の卦の名、艮下巽上。○徐徐と進むこと。
②ひたす(漬)ぬらす。詩、衞風「─車帷裳」○そそぐ、うるほす(濕)○そむ(染)感化する。漢書、董仲舒傳「─民以仁」○──は麥の秀づる貌。
③──は山石がきったって高き貌。又、流れる貌。=巉·嶄。
同訓異義
ススム 漸·進·晉·前·薦·羞·勸·奬の别は進(辵部八畫)の條を見よ。○ヒタス漸·浸·漬·涵·漚·蘸の别は浸(水部七畫)の條を見よ。○ヤウヤク漸·寖·浸の別は寖(宀部十畫)の條を見よ。
次第に加はり增す。
だんだん、次第次第。
次第にしみこむ。史、禮書「況中庸以下、──于失教、被服于成俗乎」
だんだんにすすむ、漸次に進步する。
次第にうるほふ。傅休奕詩「洪澤所──、礫石爲圭章」
次第にそまり習ふ。後漢書、宦者傳「──朝事、頗識典物」=濡染。
○徐徐に進む貌。楊允孚詩「南國鄕音──稀」○麥の秀でる貌〔史、宋微子世家〕○山の石の高く峻 ケハ しき貌。詩、小雅「──之石、維其高矣」○淚の流れる貌。楚辭·九章「涕──兮」
漢の武帝の臺の名。漢書、郊祀志「北沿大池──高二十餘丈、名曰太液」漸とは臺、池中に在りて水に浸さる、故にいふ。
次第に增し加はる。陸游詩「風力──帆力健、艫聲常雜雁聲悲」
次第にあつし。書經、疏「夏須漸寒、冬當──」
水にひたし又は砥 トイシ にてみがく如く次第に善き方に感化する。宋史、石公弼傳「設學校者、要以仁義──」漸民參看。
たみを次第に善に感化する。漢書、董仲舒傳「──以仁、摩民以義」
次第によくなる。晉書、顧愷之傳「每食甘蔗、常自尾至本、人或怪之、愷之曰、────」轉じて、文章又は山水などの次第に面白くなるにいふ。=漸入蔗境。
①ソウ サウ [東]
②ソウ·ス [董]
①水が會する。○──は水の聲。
②──は疾 ハヤ し。甘泉賦「風──」
タフ [合]
○川の名、山東省荏平縣に在り。書、禹貢「浮于濟─」○滀─は水のあつまる貌。
タン [寒]
溥とは別
○露の多き貌。詩、鄭風「零露─兮」○まろし(團)杜甫詩「玉露─淸影」
露多き貌。宋史、樂志「白露──」
チャウ [漾]
○みなぎる、水が滿ちあふれる「怒─」「暴─」易林「水─無船」○轉じて物の擴張する義に用ふ。
水がみなぎる。金史、馬諷傳「每秋潦──、害民田、諷視地高下、疏決之、其患遂息」
南海の别稱。舊唐書、地理志「海豐縣南五十里、卽──、渺漫無際」
水をみなぎらす。みなぎる水。李商隱詩「月澄新──、星見欲消雲」
みなぎるおほなみ。陳子昂詩「蒼茫林岫轉、絡繹──飛」
テイ タイ [霽]
○とどこほる、物事がはかどらず「澁─」「停─」しぶる、とどまる、逗留する「─在」「─留」○こりかたまりて通ぜず(凝)「凝─」○つもる(積)「沈─」○もれる(漏)○ひさし(久)○水がそそぎ散る貌「─沛」
久しくとどまる。張華詩「於今久──」=留滯。
夏時になりても陰氣の滯り伏す義。國語「氣無──、亦無散陽」
とどこほりて久しくとどまる。淹は留。韋莊詩「帝里無成久──、别家三度見新蟾」
痢病 りビヤウ
とどこほりさしつかへる。杜甫詩「秉心識本原、于事少──」
たなざらし、うれのこりの品物。抱朴子「和璧變爲──」
こり固まりて通ぜず。後漢書「守文之徒、──所稟、異端紛紜、互相詭激」=凝滯。
裁判の判決がとどこほる。南史、梁始興王憺傳「曹無留事、下無──」=積案·滯訟。
ながく他所にとどまる。=淹留·滯留。
とどこほりて通ぜざるおもひ。韋應物詩「蔬食遵道侶、泊懹遺──」=滯念。
一方にとどこほりたくはへる。左傳「國無──、亦無困人」
滯獄に同じ。
とりもらしたる穗、滯は漏。詩、小雅「此有──」
とどこほりふさがる。詩經、疏「不使其水壅遏──、常時通流」
こりかたまりて通ぜず。陸象山語錄「凡事莫如此────」
をさめ入れるべき稅金などを期限までにをさめず。=怠納。
とどこほりてはれぬおもひ。陸機詩「戚戚多──」=滯想。
とどこほりしづむ、とどこほりてはかどらず。呂覽「昔陶唐氏之始、陰多──而湛積」=沈滯·滯塞。
とどこほれるつとめ。杜甫詩「柏公鎭夔國、──玆一掃」
とどこほりもだえる心。蘇舜欽詩「觀此巨派注、頗覺──瘳」
テキ [錫]
○したたり、しづく「涓─」「點─」「殘─」「餘─」○したたる、水たまが落ちる。
のきにしたたるしづく。范成大詩「疎疎密密──聲」=簷滴。
みづをしたたらす。したたるみづ。周曇詩「徒言──能穿石、其奈堅貞匪石心」
一滴の水に無數に棲息する微細の動物。原生動物中の鞭毛·纖毛二蟲の總稱。=氈毛蟲。
しづくが續きてしたたる貌。李商隱、祈禱得雨詩「甘膏──是精誠、晝夜如絲一尺盈」
水がしたたる。拾遺記「崑崙山、甘露濛濛似霧、著草木、則──如珠」=瀝滴。
したたるつゆ。羅隱詩「砌竹搖風直、庭花──疎」
バウ マウ [養]
○ひろし、水の廣き貌「渺─」又、原野の遠く廣き貌。司馬相如、上林賦「過乎泱─之埜」○とほし。○ほのぐらし。謝朓詩「晨光復泱─」
廣大なる貌。張衡賦「滄池──」=漭瀁。
水の廣く遠き貌。宋玉、高唐賦「涉──、馳苹苹」
廣大なる貌。家語「使齊楚合戰於──之野」=瀁漭。
バク [藥]
○すなはら「沙─」「磧─」古、幕と通ず。○ひろし(廣莫)廣くしてはてなし。ばっとしてとりとめなし「空─」○きよし(淸)○しげる(茂)○さびし「寂─」=寞。○淡─·恬─はしづかなる貌。○──は布き列る貌。○くらし、ぼんやり「濛─」
ぼんやりとして明かならざる貌。淮南子「聖人內修其本、而不外飾其末、──無爲而無不爲也」
大漠の南、卽ち內蒙古、次條參看。
戈壁 コビ 沙漠の北方の地。=幕北·外蒙古。
○ひろびろとしてはてなき貌。王維詩「──水田飛白鷺」○布き列る貌。陸機詩「街巷紛──」○布き散る貌。謝朓詩「生烟紛──」○暗き貌。杜甫詩「干戈塵──」一解に合ふ貌。○聲なき貌。荀、解蔽「聽──而以爲哅哅」
①バン·マン [翰]
②バン·マン [寒]
澷は俗字
①ひろし、大水の際涯なき貌。嚴維詩「柳塘春水─」○はびこる。○やぶる(敗)○あまねし(徧)○ほしいまま、きまま(放)しまりなし「散─」「汗─」○たひらか。○ちる(散)○ぬる。=墁。○とほし。○──は雲の色の美くしき貌。又、長く遠き貌。○いつはり(欺)○みだりに、そぞろ、あてもなく。
②水の廣大なる貌。○みつ(滿)蘇軾詩「桃李─山總粗俗」○──は夜の長き貌。又、たひらか、とほし。
同訓異義
ミダり 漫·妄·濫·猥の別は妄(女部三畫)の條を見よ
所所をぶらぶらと遊びめぐる。元結詩「──無遠近」
○はてなく廣き貌。張衡賦「布濩──、漭沆洋溢」○しまりなき貌。=汗漫。
○折にふれてそぞろにゑがくゑ。いたづらがきのゑ。又、滑稽風刺の畫。○鳥の名、へらさぎ(篦鷺)
すれやぶれて分明ならざる貌。蘇軾詩「圖書已──」漫一に曼に作る。漢書、揚雄傳「爲其泰曼漶而不司知」
深く考へずに言ふことば、そぞろごと。=漫語·泛言。
漫言に同じ。梁武帝文「不得空作──」
はっきりとせず、ぼんやり。白居易詩「苔壁錦──」=模糊。
みだりなる貌。陸游詩「投老官遊眞──、平生懷抱固超然」
ひろくひたす。書經、疏「滔者、──之名」
廣くして淺し。宋史、河渠志「──沮洳、費工尤多」
何となくそぞろに。
みだりに人をののしる。
そぞろがき。=漫錄·隨筆。
そぞろなる批評。
○際涯なき貌。李白詩「上摩蒼蒼、下覆──」○夜の長き貌。寗戚、飯牛歌「長夜──何時旦」○水流の長き貌。劉長卿詩「春山無限水──」○路の長く遠き貌。楚辭「路──其修遠兮」○雲の色の美くしき貌。尙書、大傳「卿雲爛兮、禮──兮」
すれきえて明かならず。後漢書、禰衡傳「刺字──」=漫漶。
定まりし職業もなくぶらつきてゐる、浮浪。又其の者。蘇軾詩「蕭疎悲白頭、──散窮愁」=散漫放浪。
はるかにして限りなき貌。韓愈、送鄭尙書序「──不見蹤跡」
そぞろがき。=漫筆。
①バン·マン [旱]
②ボン·モン [願]
①みつ、みたす(充·盈)いっぱいになる。○まんまるくなる「圓─」史、日者傳「月─必虧」○あふる(溢)たる(足)○ほころ、おごる。魯語「其─之甚也」○─洲は地名、奉天·吉林·黑龍江三省の總稱。
②もだゆ、わづらふ。=懣。
同訓異義
ミツ 滿·盈·充·實·塞·塡○滿はいっぱいにみつるなり。缺の反、滿月と用ふ。○盈は器にみつる義、滿に同じ、但、だんだんにみちゆく意あり。○充は末末端端までゆきわたりみつるなり、皮膚充實の類。○實は虛の反、中にしかと實の入りたるなり。孟子「倉廩充、府庫實」○塞は塡なり、物につめをして、一っぱいにふさぐ意、實に近し。○塡は足らぬところをうめるなり、闐に作る、同じ。文選「闐レ城溢レ郭」
みちあふれる。漢書、溝洫志「一日之閒、晝減夜增、江河──」
定員にみつ。論衡「其置文吏也、備數──」
十分にみち足る。庾信文「在臣庸劣、久知──」=盈滿。
かご一っぱい、籝は三四斗を容れる竹かご。漢書、韋賢傳「遺子黃金──、不如一經」
十分なるよろこび。
席にみつ。晉書、劉輿傳「賓客──、文案盈几、遠近書記、日有數千」
のきいつぱい。張耒詩「朝日──雞犬靜」
けしの花の大いなるもの。王世懋、花疏「罌粟花最繁華、又有一種、小者曰虞美人、大者曰───」
○十分に滿てるを持ちこたへる。韓詩外傳「子路曰、敢問──有道乎」○弓を十分に引きしぼる。史、李將軍傳「廣乃──毋發」
なみなみと酒をつぎたる杯をひきて飮む。白は杯〔漢書、敍傳〕
○なみなみとつぎし杯を引きて飮む。漢書、敍傳「──擧白」○十分に弓を引きしぼる。漢書、李廣傳、注「注矢於弓弩、而引滿之」=持滿。
たな一っぱい。高騈詩「──薔薇一院香」(一本に滿と一と地を易ふ)
意滿ちて自ら大いなりとしておごる、假は大。書、大禹謨「克勤于邦、克儉于家、不自──」
十分に花が開く。
町ぢゅう。韋莊詩「──楊柳綠絲煙」
ちまたにみつ。元稹詩「妓樂當筵唱、兒童──傳」
惻隱はあはれと思ふ心の深き義、身中に仁愛の心の滿つるをいふ。宋の程顥の語。
身中に春の氣候の如き和氣の滿てるをいふ。程顥の語。
潮汐のみちひ。
きし一っぱい。李遠詩「泉如珠淚侵堦滴、花似紅粧──愁」
灰白色を帶びたる一種の金屬、質硬くしてもろし、英語の音譯。
祝意を表するため軍艦を旗幟電飾などにて美くしくかざりつける。
期限がみちる。
かご一っぱい。王襃詩「秋胡始倚馬、羅敷未──」
むね一っぱい。委宛子「智能──之人、宜在王闕」=充胸。
國 日數を限りて神佛に願だてしたる其の日數がみちる。
○陰曆十五夜の月。張九齡詩「思君如──、夜夜減淸輝」○子をはらみて十ケ月に滿つる〔通俗編〕○子生れて一ケ月に滿つる。北史、節義傳「時式子憲、生始──」張籍詩「幼子初生纔──」
次條に通ず。鶴林玉露「──失色」
○座いっぱいの衆人。全唐詩話「忽發狂言驚──」○人又は物が座にあふれる。鮑照詩「絲竹徒──、憂人不解顏」
十分にのせる。李白詩「多酤新豐醁、──剡溪船」
國 穀物が十分みのる「豐年──」=豐作。
みみにいっぱいになる。漢書、郊祀志「聽其言、洋洋──」
かみ全面。陸游詩「掃塵拾得殘詩稿、──風鴉字半斜」
淸の太祖の時設けたる兵制、一旗の兵數七千五百人、皆各異りたる色の旗を有す。
からだ一っぱい。陸龜蒙詩「覺後不知明月上、──花影倩人扶」
全身に膽力の充ちたる義。蜀志、趙雲傳、注「子龍一身都是膽也」子龍は雲の字。=擧身是膽。
十分に酒をくむ。劉克莊詩「野有黃花且──」=滿酌。
城中に風雨が滿ちて、最早九月九日の節句に近づく、宋の潘大臨此の句を得たる時、忽ち牧稅吏の至るありて折角の興を敗りし故事〔詩話總龜〕
杯に一っぱい酒を酌む。酉陽雜俎「命吏──」=滿斟。
おとしあなにみつ。左傳「至有積骸──、流血丹野」
十分にみち足る。南齊書、張敬兒傳「意知──」
ざしきぢゅう、ざしきいっぱい。老子「金玉──、莫之能守」
桃の一大枝をいふ。米芾畫史「徐熙桃一枝謂之────」
地面いっぱい。
初敍の官吏、初めの一年閒は、試補として全俸を受けず、一年に滿つれば全俸を受くるをいふ。漢書、平帝紀「賜天下民爵一級、吏在位二百石以上、一切──如眞」
ばしょいっぱい。
いっぱいにたくはへる。鄭俠詩「眼前突兀雙玉甁、──玉液淸泠泠」
朝廷に列るすべての人人。=滿朝。
滿廷に同じ。
みちしほ。
そらいっぱい。許渾詩「──風雨下西樓」
天下のこらず、世界ぢゅう。=全世界。
規定の點數にみちる、全點。
物は十分にみつれば缺ける。書、大禹謨「───、謙受益、時乃天道」
きれはばの全體。陸游詩「阿綱學書蚓──、阿綸學詩鶯囀木」
腹いっぱい。莊、逍遙遊「偃鼠飮河不過──」=滿腔。
滿目に同じ、眸はひとみ。
かほ一っぱい。韓愈詩「風霜──無人識」
顏一っぱいに溢れんばかりの喜〔王實甫、麗春曲〕
○目いっぱいにみちる。沈約、與約法師書「音容──、言笑在耳」○みわたすかぎり。王維詩「──望雲山」=極目。
門にみつ。漢書、朱博傳「九卿賓客──、欲仕宦者薦擧」
かごにみつ。宋徽宗詩「桑葉靑靑貯──」
欺き誣ひる。漢書、谷永傳「──誣天」
所定の事柄が結了する。
みち一っぱい。東京夢華錄「五陵年少、──行歌」
ヒウ [尤]
水の流れる貌。
ヒツ [質]
○わく。泉のわき出る貌。=觱。○─弗は盛んなる貌。
①ヘゥ [蕭]
②ヘゥ [嘯]
①ただよふ、さまよふ、ながれうかぶ(浮)「─流」「浮─」書、武成「血流─杵」○うごく。うごかす(動)○劉─ りウヘウ はさむし(寒)又、すずし(涼)○ひるがへる。ひるがへす。=飄。○──は高く飛ぶ貌。○─然は高く遠き貌。○輕き貌。○─疽 ヘウソ はできもの。=瘭疽。○しのぐ(凌駕)
②さらす、水中にて絮 ワタ を擊ちて白くす「─白」史、淮陰侯傳「竟─數十日」
ただよはしうごかす。ただよひうごく。詩經「風雨所──」王安石詩「──五城舟」
さすらひて他鄕にすむ。杜甫詩「伏枕聞别離、疇能忍──」
綿を水にてさらす。黃庭堅詩「短裙──草江寒」
ばらばらと亂れ散るあられ。枚乘、七發「冬則烈風──」
ながれうせる。=流失。
ただよはしひたす。星經「有大水──宮館、萬物不成」
ただよひうるほふ。管子「鄕人雖遇──、而莫之怨也」
たてをただよはす、激戰して流血の多きにいふ。書、武成「血流──、一戎衣、天下大定」
ねなしごと、うきたるはなレ。漢書、敍傳「亡命──、羈旅騁辭」
所定めずただよひめぐる。李賀詩「──弄天影」
○水害にて財產をながされる。南史、齊廢帝紀「蠲遇水資財──者、今年調稅」○所定めずさまよふ。陸游詩「此身──等流槎、又向江村送歲華」=漂泊。
ただよひて岸につく。
食物をたづねて居所をかへる鳥、鶯·啄木鳥の類。
水又は藥品などにてさらして白くす。
さらしこ、石灰と鹽素とにて造る、植物性の物の色ぬきに用ふ。
水にただよふ、所定めずさすらふる義。庾信賦「下亭──、高橋羈旅」杜甫詩「卽今──干戈際」=飄泊·飄蕩。
ただよひうかぶ。
高く飛ぶ貌。史、賈誼傳「鳯──其高逝兮」=飄飄。
絮を水にうちさらす女。史、淮陰侯傳「信至國、召所從食──」
ただよひ沈む。史、西門豹傳「水來──」
あわをただよはす。ただよへるあわ。庾闡、海賦「颺波於萬里之閒、──於扶桑之外」
○所定めずしてさまよふ。蘇軾詩「──二十年、始悟萬緣虛」=漂泊。○風波の爲めに吹き流される。
おちぶれ衰へる。孟郊詩「大雅難具陳、正聲勿──」=飄零。
①ホウ [蒸]
②ハゥ [庚]
①ゐせき。
②水の激して擊つ聲。
水のはげしく擊つ聲。汪克寬賦「驚湍漷潏而──」
水の相擊つ聲。郭璞、江賦「鼓?窟以──」
ミツ [質]
水の疾 ハヤ く流れる貌「─汨」
ヤウ [漾]
○ただよふ(漂流)ただよはす、水の搖動 ユレウゴク する貌「搖─」「蕩─」=瀁。○ながし(長)○川の名、陜西省に在り、漢水の源。
ただよへるみづ。王建詩「沙灣──圖新粉、綠野荒阡暈色繒」一說、始めて山を出たる泉。
みどりの色をただよはす。王勃賦「花鳥縈紅、蘋魚──」=湛碧。
○ただよふ貌。張籍詩「──南澗水」=汎汎。○水の動く貌。溫庭筠詩「花風──吹細光」
り [支]
○しむ、しみこむ(滲)浸染する。○かろし、うすし(薄)「澆─」=醨。○淋─ りンり は雨の聲。又、したたる貌。
同訓異義
ウスシ 漓·薄·澆·菲·偸の别は薄(艸部十三畫)の條を見よ。
①レウ [蕭]
②りウ [尤]
③レキ [錫]
①淸く深し。○流れる。○寂─は高く遠き貌。
②水淸き貌。=劉。
③─然 レキゼン は變化する貌。莊、知北遊「油然─然」
レン [先]
○さざなみ(小波·細波)風、水上を行きて文 アヤ を成す「─猗」「微─」○さめざめと淚を垂れる貌。
さざなみ、さざなみ立つ、猗も漣。詩、魏風「河水淸且──」
淚の垂れる貌。易、屯卦「泣血──」=泫然。
淚がながれおつ。班彪、北征賦「泫──而霑衣」
淚の垂れる貌。詩、衞風「泣涕──」=潸然·泫然。
ロウ ル [宥]
○もる、もらす(泄)水がもれる。○祕密の事が世閒に知れる。○わすれる(遺·忘)○手ぬかり「疎─」「遺─」○室の西北隅、奧まりてくらき處。中庸「尙不愧于屋─」○みづどけい(水時計)底にあなのある壺に水を入れ、中に漏箭卽ち目もりしたる矢をたて、底より水のもれ出る度を示さしめて時刻を計るもの「─刻」「夜─」○あな(穴)すき(隙)○病名「痔─」
雨のもるやぶれや。荀、儒效「彼大儒者雖隱於窮閻──、無置錐之地、而王公不能與之爭名」
水もれてくづれやぶる。班固、奕旨「隄防周起、障塞──、有似夏后治水之勢」
戶籍にもれたる家。通典「魏道武詔採諸──、令輸綸綿」
みづどけいの水を受けるつぼ。蘇軾詩「夜長耿耿添──」
時刻を報ずるつづみ。唐書、百官志「凡夜漏盡、擊──而開」
水時計。續漢書「孔壺爲漏、浮箭爲刻、下漏數刻、以考中星昏明星焉」劉長卿詩「靑瑣幽深──長」
酒のもる杯。大酒の人を稱す。洛陽伽藍記「京師士子見王肅一飮一斗、號爲──」
もれうしなふ。後漢書、律曆志「太初效驗、無所──」
水時計のみづ。李白詩「銀箭金壺──多」
水時計の聲。杜甫詩「五夜──催曉箭」
もれる。もらす。易經、疏「若其不密而──」=漏洩。
前條に同じ。
水のもるふね。吳子「其善將者、如坐──之中伏燒屋之下、使智者不及謀、勇者不及怒」
水時計の壺の中に立てたる目盛りの矢。周禮、疏「漏之箭、晝夜共百刻」
もれおちる。南史、吳喜傳「一見卽寫、無所──」
雨の多きをいふ。華陽國志「牂柯郡上當天井、故多雨潦、今諺云、天無三日晴、又目之爲──」
水時計の水が滴り落ちる。辛棄疾詩「莫向樓頭聽──」
酒·醬油などを德利などに入れるに用ふる牽牛花狀の具、じゃうご。三才圖會「──鈞升皆出入懽伯之器」懽伯は酒の異名。
時刻の知らせに擊つばんぎ。李賀詩「七星挂城聞──」
もれあらはれる、露顯する。後漢書、蔡邕傳「事遂──」=漏泄。
ロク [屋]
○したむ、こす(滲)○つくす(竭)○ 國 スク 紙をすく。=抄。
ワ [麻]
○くぼむ。くぼみ(窊)○牛の蹄の跡のたまり水。
12畫
浩(水部七畫)に同じ。
カン [感]
澹─ タンカン はあらふ(洗滌)
カン ケン [諫]
礀に通ず
○たにみづ、たにがは「幽─」「溪─」山と山とが水を夾 サシハサ む。○川の名、河南澠池縣に出で洛水に入る。
たに川のくま。范椁詩「白日滿──」
たにがは。蘇軾、虎丘寺詩「陰風生──、古木翳潭井」=澗溪。
たにが俗士を棲ましめたるをはづ。孔稚圭、北山移文「林慚無盡、──不歇」
たに川のひびき。梁元帝詩「歌淸隨──、無影向池生」
たにがは。左、隱三「──沼沚之毛」=溪流·澗壑·澗谷。
たにまに現はれるにじ。楊洙詩「行行躡──」
谷閒にある家。盧照隣詩「──無人跡、山窗聽鳥聲」
たに。南史、陶弘景傳「每經──、必坐臥其閒」=澗壑。
たに川のなぎさ。范椁詩「碧草蒙──、靑霞冠雲鬟」
たにの水たまり。釋惠洪詩「春風掃夕陰、雌霓飲──」
たに川のおと。溫庭筠詩「靄盡無林色、喧餘有──」
たにのいづみ。溫庭筠詩「一笈負山藥、兩瓶擕──」
たにがはのそこ。韋應物詩「──束荊薪、歸來煮白石」
たに川のほとり。宋之問詩「羃羃──草、靑靑山下木」=澗邊·澗側·澗隈。
たに川の水の音。溫庭筠詩「──添仙曲、巖花借御香」
たにがはのくま。張羽詩「結屋臨──」=澗阿·澗曲。
キ [支]
川の名、山西蒲州府に至り黃河に入る「─汭」=嬀。
キフ [緝]
○水の疾き聲。水の流れる貌。○──は附和雷同する。詩、小雅「──訿訿」又、善からざる貌。又、職をつつしみ勤めず。
クワイ [隊]
○つひゆ、くづれる(旁決)つぶれる。○もる(漏)漢書、文帝紀「大水─出」○みだる(亂)○ちる(散)ちらす。○戰にまけてばらばらになる。○とぐ(遂)○いかる(怒)○─濩 クワイクワク は水勢の激する貌。
敵の圍を破る。史、項羽紀「願爲諸君──、斬將刈旗」
つひえあふれる。漢書、溝洫志「──橫流」
亂れる貌。詩、大雅「──囘遹」=憒憒。
くづれる。蘇軾文「江河──、百川騰溢」=決潰。
つひえて兵がちりぢりになる。世說「戰敗、軍人──、逃走山澤」
くづれいづ、岸がきれて水があふれでる。漢書、文帝紀「大水──」
勢烈しく、當るべからざるに喩ふ。淮南子「善用兵者、如決潰水於千仭之隄」一說、決潰と連讀す。
くづれはしる、敗れてにげる。=敗北·敗走。
やぶれくづれる。越絕書「夜擧火擊鼓、晝陳詐兵、越師──」
つひえやぶれる。王惲詩「前徒卽倒戈、──如山崩」
洪水の岸をつきやぶる形容。蘇軾、鼂錯論「蓋亦有────可畏之患」
はらをそこなひやぶる。嚴遵、座右銘「嗜慾者──之矛」
ちかひに背く。天祿閣外史「盟以彰信、故──者、春秋惡之」
病名、臟腑內部の組織が缺損して空洞を爲すもの、多ぐは胃璧及大小膓などの處に在り、療治し易からず。
やぶれみだれる。
くづれただれる。南方草木狀「水漬之不──」
くづれさける。
河がきれて水がもれあふれる。後漢書、王景傳「無復有──之患」
①クワウ·ワウ [陽]
②クワウ·ワウ [養]
③クワウ·ワウ [漾]
①いけ、たまりみづ(積水池)○天─は星の名。轉じて皇族の義に用ふ「天─貴胄」○水がひかりわく。=洸。
②水深く廣き貌。=滉。
③紙を染む。又、表具をする「裝─」
すこしのたまり水。左、隱三「──行潦之水、可薦於鬼神」
○水のたまりたる池。洞冥記「女國有──、浴之而孕」○狹き土地に喩ふ。漢書、龔遂傳「故盜弄陛下之兵于──中耳」
深く廣き貌。道德指歸論「冥冥窅窅、──堂堂」=潢瀁。
深く廣き貌。司馬相如、上林賦「然後灝溔──、安翔徐囘」
にはたづみ。韓愈詩「──無根源、朝滿夕已除」=行潦。
①ゲゥ [蕭]
②ガゥ [號]
①うすし(薄)かろがろし。○そそぐ(沃)水をながしかける。
②人の名、寒浞の子。=奡。
同訓異義
ウスシ 澆·薄·菲·涼·漓·偸·淡の別は薄(艸部十三畫)の條を見よ。○ソソグ澆·注·沃·灌·漑·濺·洒·瀉の别は注(水部五畫)の條を見よ。
水をそそぐ。魏志、鄧艾傳「宜開河渠、可以引水──」=澆灌。
風俗の輕薄となりしすゑの世。北史、周武帝紀「運當──、思復古始」
かるがるしくしていつはる。唐書、魏徵傳「三代之後、──日滋、秦任法律、漢雜霸道」
輕薄にしてうそ多し。儀禮、喪服、疏「──漸起」
輕薄にしてまことなし。晉書、禮志「叔代──、王風陵謝」
水をそそぐ。郭璞、江賦「──遠注」
風俗うすくなりておとろへる。王融、策問「氓俗──、法令滋彰」
うすきと厚きと。史、黃霸傳「──散樸」=厚薄。
あさざけ。書堂詩話「東坡謂晨飮爲──」
すゑのよ、澆季の世。史、樂書、注「──爲之、非達禮也」
薄く淺し。淮南子「煩拏──」
そそぎあらふ。後漢書、楊秉傳「──釁穢」
人情うすし。後漢書、朱穆傳「感時──」
世の季。陳書、後主紀「朕君臨區宇屬當──」=澆季。
うすし。皮日休詩「玉液是──、金河乃糟粕」=澆薄。
ケツ [屑]
又絜に作る
○いさぎよし、きよし(淸)「淸─」「皎─」○心が淸廉である「廉─」「─白」○心を修治 ヲサメル する。論、述而「人─已以進」
きれいずき。左、定三「邾莊公、卞急而──」=潔癖。
已の身をいさぎよくす。後漢書、張奐傳「正身──、威化大行」字解參看。
きよくかんばし。戴復古詩「飮食烹炮貴──」
ものいみす。登徒子、好色賦「──俟兮惠音聲」
淸らかなるはこ。雲笈七籤「盛之──、每欲施行、燒香出之」
きれいずきのやまひ。文海披沙「古今──莫如庾炳之·王思徵·米南宮·倪元鎭」
心きよくしてつつしむ。晉書、鄭默傳「以──不染其流」
いさぎよし。神仙傳「沐浴──」=潔淸·淸潔。
淸きみづ。韓琮詩「──空澄鑑」=淸水。
いさぎよし。神女賦「懷貞亮之──兮」=淸潔。
きよく誠なり。鮑照詩「──洗志期暮年」
いさぎよくしてかざりなし。易經「藉用白茅」疏「言以──之道、奉事於上也」
きよきこころ。顏峻詩「神之來思、享此──」
○きよくまっしろ。○心がいさぎよし。漢書、匡衡傳「顯──之士、昭無欲之路」
婦人の能く其の身を守る者。列女傳「魯──者、秋胡子之妻也」=貞婦
潔疾に同じ。
きれいずきのやまひ。澄懷錄「米元章有──」=潔疾。
きよくほがらか。李程石賦「當六合之精爽、澄素輝之──」
いさぎよくして欲少なし、潔白淸廉。舊唐書、殷侑傳「所至以──著稱」=淸廉·廉潔。
①ケツ シュツ·ジュチ [屑]
②イツ [質]
①水がわき出る「浡─」○す(坻)○─露は甘露。
②水の流れる貌「灌─」
流の急なる貌。司馬相如、大人賦「左玄冥而右黔靁兮、前陸離而後──」=瀎潏。
水のわき出る貌。李郢詩「千峯萬瀨水──」
コウ カウ [董]
鴻に通ず
○濛─は元氣の未だ分れざる貌。又、くらくして分明ならざる貌。○みづかね(水銀)=汞。○─溶は水の深く廣き貌。○─洞は相連なる貌。
サン セン [删]
○淚の流れる貌。○雨の降る貌。
淚の流れる貌。詩、小雅「──出涕」=潸然·潸潸·泫然。
○雨の降る貌。貢奎詩「疎林日暮雨──」○淚の流れる貌。元稹詩「分司別兄弟、各各淚──」=潸然·潸焉。
潸焉に同じ。
サン セン [删]
○水の流れる貌。又、其の聲。○轉じて、淚の流れる貌。
水の流れる貌。蔡襄詩「朝棲喬木之蒼莽、夕飲幽澗之──」
○水の流れる貌。又、其の聲。謝靈運詩「乘月弄──」○借りて淚のさめざめと流れる貌。楚辭、九歌「橫流涕兮──」=潸然。
○淺き溪流の流れる貌。又、其の聲。白居易詩「有石白磷磷、有水淸──」○雨のふる音。陳後主詩「簾外雨──」
水のさらさらと流れる貌。麻九疇詩「舍我箏筑、樂彼──」
①シ [支]
②セイ [齊]
①みづがつきる(水索)つく(盡)○ちる、ほろびる「─滅」○──は雪又は雨の聲。又風の聲。
②馬いななく。=嘶。
冰のとけつくる如く、ほろびる「──灰滅」揚子方言「─、─也」
シフ [緝]
又澀に作る
○しぶし。○しぶる、とどこほる「─滯」なめらかならず。○文字の讀み難きもの「奇─」「艱─」○一種の竹。○ 國 シブ 熟せざる靑きしぶ柹の實よりしぼりたる液にて黑褐色の塗料とす。
しぶりむせぶ。禮記「飮而俟」疏「禮食未飱、必前啜飮、以利滑喉中、不令──」
とどこほる。王惲、輓漕篇「必資州縣力、──方可度」
新奇にしてむづかしく讀み難き文體。唐詩紀事「竹馬爲篠驂、月兔爲魄兔、進士效之、謂之徐──」徐は徐彥伯。
澁(前條)に同じ。
シフ [緝]
泉がわき出づ。又、其の聲。
水の沸きあがる聲。文同詩「山雨灑春城、──聲頗急」=湁潗。
ジン [侵]
○きし、みぎは(水涯)「碧─」「江─」○ふち。=潭。○─陽江は江西省九江の一名、白樂天の琵琶行を作りし地。○─江は廣西省潯州府に在る江。=黔江。
ジユ [遇]
○うるほす、うるほふ(濡)よき雨、時雨が百穀を潤ほし生ずる「甘─」「霖─」○そそぐ(注入)注に通ず。
シュク [屋]
○深くして淸し。○はやし(疾)
ジュン [震]
○うるほふ。うるほす。易、繫辭「─之以風雨」うるほひ「河─」「滋─」○まうけ(利益)「利─」○つや(光澤)つやあり。荀、勸學「玉在山而木─」○かざる(飾)「─色」立派 りツパ にする。大學「富─屋、德─身」○うるはし。○人に酬ゆるに財を以てす「─筆」○恩澤 メグミ を施す。
同訓異義
ウルホス 潤·濕·澤·沾·濡·浥の别は濕(水部十四畫)の條を見よ。
○かざりてます。隋書、經籍志「毛公及衞敬仲、又加──」○まうけ。=利益。
潤身を見よ。
○水。說文「水曰──」○物をうるほして低きにくだる。參同契「水流不炎上、火動不──」童漢卿詩「朝宗終到海、──每盈科」
かれたるをうるほす、貧者をめぐむ。吳筠文「皇恩所被、繁枯──」
あまねくうるほふ。易林「五嶽四瀆、──爲德」
うるほひてなめらか。淮南子「夫水所以能成其至德于天下者、以其淖溺──也」
草をうるほす。春秋元命苞「霜以殺木、露以──」
ひろくしてつやのあるひたひ。蔡襄詩「修朣──善應對」=廣顙。
うるほふ。うるほす。墨子「高足以辟──、邊足以圉風雨」
身に光采を附けて立派にする。大學「富潤屋、德──、心廣體胖」
かざりて文采を加へる。論、憲問「東里子產──之」
硯の異名。
つやをつけてかざる。曹植文「使僕──之」宋史、蔡肇傳援筆立就、不加──」=潤色·飾潤。
しめりてむし暑し。禮記、疏「土──則土之膏澤易行、故可糞美之」
○うるほふ。うるほす。○なさけをかける。孟、滕文公「若夫──之、則在君與子矣」○つやをつける。=潤色。
うるほひてあぶらけありてなめらか。宋史、河渠志「朕取淤土親嘗、極爲──」
色澤 ツヤ ありてうつくし。漢書、董仲舒傳「良玉不瑑、資質──、不待刻瑑」
ふでをうるほす、書畫の揮毫料。隋書、鄭譯傳「不得一錢、何以──」
つやありてほがらか。北史、魏楊愔傳「盧郎──、所以比玉」
セキ [陌]
○かた、しほけのある地(鹵地)ひかた、遠淺の海岸にて潮のさしひきによりて隱見するすな地。○ 國 カタ 灣·湖·濱などの稱。
川の口が島又は沙のなだ等にて圍まれて灣をなすもの。
そそぎながれる。水經、注「衆川──、合成一川」
セン [鹽]
潜は俗字譖は譌字
○ひそむ(藏)「龍─」かくれる(隱)○しづむ(沈)○くぐる、水又は物の下をもぐる。○ふかし(深)○まじる(糝)○ふしづけ、柴を水中に積み、魚の息ふ所とする。○ひそめる、心を靜におちつける「─心」○ひそかそに、そっと。
同訓異義
カクル 潛·隱·匿·藏·祕の別は隱(阜部十四畫)の條を見よ。
ひそみかくれる。易、乾卦、程傳「聖人側微、若龍之──」=潛藏。
ひそみかくれる、翳は隱。魏志、管寧傳「抱道懷眞、──海隅」=潛隱·潛藏·潛匿。
○しのびあるき。=微行。○水中をくぐり行く。
しのびのみゆき、內密の御成。
ひそめるみづち。赤壁賦「舞幽壑之──、泣孤舟之嫠婦」
水中をもぐりて航海する一種の軍艦。=潛水艇。
○ひそみしづむ。揚子方言「──沈也、楚郢以南曰涵或曰潛」○うるほふ。晁冲之詩「秀潤──夏木淸、空濛映帶春江綠」
○人知れず心を動かす。陳章賦「雄芒旣表乎──、靈物且悲乎遐棄」○ひそかに氣の感通するにいふ。郭璞、磁石贊「磁石吸鐵、瑇瑁取芥、氣有──、數亦冥會」
ひそみをる。黃石公文「──抱道、以待其時」=隱居。
水中にふかくひそみかくれる魚。傅休奕詩「羅重淵之──、落九天之高禽」
心をおちつけ靜かにして兩手を斂める。裴度賦「必──而玄感、乃粲然而著之」
石などの下にかくれてゐるこほろぎ。張養浩詩「──洩幽話」
ひそみてくらます、才智などをかくして世に知らさず。蔡邕、楊賜碑「──幽閒、不答州郡」=潛藏。
人知れずはかる。晉書、景帝紀「深謀祕策、獨與帝──」
ひそみかくれる。易、乾卦「潛龍勿用、陽氣──」
ひそかにかくれのがる。蹤跡 シヨウセキ をくらます。梁書、沈約傳「年十三而遭家難──」
志をひそめて硏究する。江淹文「──百氏、沈神六經」
潛心に同じ。
ひそかにほどこす。岑參詩「君臣日同德、禎瑞方──」
心を深くひそめる。漢書、董仲舒傳「下帷發憤、──大業」宋史、楊時傳「幼穎異能屬文、稍長──經史」=潛思·沈思。
こころをひそむ。班固、答賓戲「──默記」=潛心·潛思。
ひそみてふかし。韓詩外傳「智慮──、則一之以易諒」
ひそみうるほふ。溫庭筠詩「宿雨香──、春流水暗通」
ひそみかくれると、のぼると。揚子法言「──在己、用之以時」
みづの中にもぐる「──夫」
潛航艇に同じ。
表面にあらはれざる勢力。
あとをひそめかくす。吳筠詩「──依遠岫」
將來天子となるべき人、卽ち皇太子のやしき。元史、姚樞傳「世祖在──」潛龍參看。
○ひそみかくれる。楊炯賦「靈龜──、騰蛇伏藏」李白詩「──遊下邳」○ひそめかくす。晉書、李矩傳「──精勇、見其老弱」
世に知られざる有德者のかくれたる光采。韓愈、答崔立之書「誅奸諛於旣死、發─────」發とは發揮の義。
物のとけて液體となり、又は液體が蒸發する時に要する熱、寒暖計に感ぜざるもの。
ひそみわだかまる。宋史、樂章「──或躍淵」
ひそみねむる、死をいふ、永眠する。古詩「──黃泉下」
ひそみかくれる。李紳詩「碧流──躍龍關」=潛藏。
人知れずはうむる。窆は棺を墓穴に下す。晉書、石勒載記「勒母王氏死、──山谷、莫詳其所」
深くひそめる魚。孫逖詩「還見躍──」
○天子の未だ位に卽かれざる時の稱。易、乾卦「初九──勿用」○世に出でざる大人君子に喩ふ。
潛(前條)の俗字。
セン ゼン [銑]
宛─ エンゼン は水相薄 セマ る。又、めぐる(展轉)
①ソウ ショウ·シユ [東]
②サウ·ソウ [絳]
①そそぐ、小水が大水に入る。○水が會する所、おちあひ。○きし(厓)
②水の聲「─然」=淙。
水の流れる聲。王筠詩「石溜正──」
水の聲。柳宗元文「行其泉於高者、墮之潭、有聲──」
ソン [願]
はく(噴)=噀。
①タン [覃]
②シン·ジン [侵]
通音タン
①ふかし(深)ふかくす。○──は奧深き貌。韓愈詩「──府中居」○水邊。
②ふち(淵)「淸─」「深─」
おくふかし。郭璞、爾雅序「學覽者之──、摛翰者之華苑也」
ふかきふち。馬融、廣成頌「淪滅──、左挈蘷龍、右提蛟鼉」
ふかきたに。鮑照、登大雷岸與妹書「思盡波濤、悲滿──」
ふかき池。蘇軾詩「去如龍出山、雷雨卷──」
○ふちがふかし。張正見詩「綸盡覺──」=深潭。○ふかし、學問などが深し「經術──」
大臣などの官舍。杜甫詩「──邑中甚淳古」字解參看。
ふかくしてうづまく。耿湋詩「險石俯──、跳湍礙沿泝」
瀦(水部十六畫)に同じ。
チョウ [蒸]
もと徵に作る
○すむ、すきとほりてきよし、水靜かにして淸し。○すます、きよむ。○すみざけ、酒の名。○ 國 すます、まじめな顏をする。
きよきさざなみ。徐寅詩「左右──小檻前」
すめるふち。謝靈運、山居賦「瀰瀰平湖、泓泓──」
すみてたかし。陶潛、祭從弟敬遠文「靜月──、溫風始逝、撫杯而言、物久人脆」
きよらかなるひかり。月賦「降──之靄靄」
すみ渡れるそら。常建詩「玄鶴下──」
すみたるみづうみ。李白悲淸秋賦「──練明」
心がすみてさわやか。晉書、陸機傳「風鑒──、神淸俊邁、文藻宏麗」=淸爽。
○心を淸くすます。文賦「罄──以凝思」○しづかにすめる心。
すみてふかし。庾信歌「──其智則厚、昭明其道乃尊」
すみたるさけ。禮、禮運「──在下」
きよくすめる水。潘尼賦「凝霜不足方其潔、──不能喩其淸」
きよくしてただし。晉書、荀覬傳「綜核名實、風俗──」
きよくすむ。きよめる。後漢書、范滂傳「慨然有──天下之志」=澄澈。
はれてすみわたる。又、其のよき天氣。=澄霽。
すめるいづみ。陳子昻詩「乘月弄──」=淸泉。
すみてあざやか。謝靈運詩「雲=相暉映、空水共──」
よりわける、澄は濁を去る、汰は沙石を去る。王筠詩「石溜正潨潺、山泉始──」=沙汰。
すみたるふち。沈佺期詩「碧水──映遠空」
すみてあはし。蕭穎士賦「收神返慮、──靜默」=淸澹。
きよくすむ貌。阮修詩「──綠水、澹澹其波」
すみてとどまりたたへる。水經、注「鹽澤池水──、淵而不流」=渟澄。
淸くすむ、澈も澄。關尹子、九藥「論道者、或曰──」
すみてみどり色の水。李白詩「君去滄江望──」=碧澄。
すみわたりてあきらか。方干詩「一泓瀲灧復──」
きよきなみ。唐明皇詩「雁沼──翠、猨崖落照紅」
水のすめる入江。王勃詩「新月照──」
チヨウ [蒸]
きよし(淸)すむ。=澄
テゥ [蕭]
○うしほ、しほ、海水が一定の時閒を以て滿干する現象、さししほを─、ひきしほを汐といふ、一解に朝のを─、夕のを汐。○さす、色がつく「─紅」○隋の州の名、唐に─陽といふ、今の廣東省─州府。○ 國 うしほ、醬油を用ひず鹽にて味をつけたるつゆ「鯛の─」
あか色を呈する。范成大詩「晚來醉面──」
しほどき、しほのさしひきする時刻。寰宇記「瓊州──不同」=潮信。
うしほのよせたるあと。朱鄴、扶桑賦「海晚而──乍濕」
潮候に同じ、信は兆候。李嘉祐詩「東風──滿、時雨稻秔齊」
うしほ。隋煬帝、樂府「流波將月去、──帶星來」
うしほ、一說に潮はあさしほ、汐はゆふしほ。宋史、河渠志「江口每日──帶沙、塡塞上流」
俗 樟腦。
○うしほ、海水のながれ〔齊書、武帝紀〕○時勢、世の趨勢 ナりユキ
テツ [屑]
○すむ(澄)「澄─」「瑩─」○水盡く。
トウ [東]
○梓─は川の名、四川省に出づ。○─關は陜西省の縣名。又、關名。歷代の要地と爲す。○──は高き貌。
ハゥ [庚]
滂に通ず
水の盛んなる貌。又、水波相擊つ聲。
水波の相擊つ聲。司馬相如、上林賦「沸乎暴怒、洶涌──」澎一に彭に作る。
ハツ [曷]
○水發 ォ こる、水わく。○もる。○水がちる、はねる。○そそぐ。畫斷「以墨─絹」○勢の盛んなる貌「活─」○─剌 ハツラツ は魚の飛びはねる貌。杜甫詩「船尾跳魚─剌鳴」
としわすれ。瑯琊代醉編「淮人歲暮家人宴集、曰──」
魚の勢よくはねる貌。邵說、筌蹄賦「魚──以隨波樂只」
山水を畫く法、唐の王洽に始まる、水墨にて巨點を作る。
字解を見よ。
ハン [寒]
しろみづ(泔·淅米汁)
婚姻を重ねたるよしみ。晉書「楊經、字仲武、潘岳云、藉三葉世親之恩、子之姑、予之伉灑、潘楊之睦、有自來矣」
①ヘイ [霽]
②ヘツ [屑]
①きよし(淸)○水中にて絮 ワタ をうつ。○──は魚の水に游ぶ貌。
②─洌 ヘツレツ は水流の輕くはやき貌。上林賦「橫流逆折、轉騰─洌」
①ラゥ·ロウ [皓]
②ラゥ [號]
③ラゥ [豪]
①ながあめ、雨の大いなる貌。○おほみづ。○たまりみづ、にはたづみ(路上流水)「行─」=澇。
②ひたす。○たまりみづ(積水)
③─倒は老衰の貌。一說におだやかなる貌。
事をなげやりにする、粗率。談徵「無根曰潦、苟簡曰草」
大雨にて水にひたる。宋書、羊弘保傳「十三年東土──、民命棘矣」
にはたづみ。舊唐書、蔣鎭傳「鹽池爲──所入、其味多苦」遼史、道宗紀「以通州──害稼、遣使振之」
○老衰の貌。嵇康、絕交書「足下舊知吾──麤疏不切事情」○蘊藉の貌。北魏書、崔瞻傳「魏天保以後、重史事、謂容止蘊藉者、爲──」
ラゥ ロウ [豪]
○おほなみ(大波)○にはたづみ。潦に通ず。
溜(水部十畫)に同じ。
13畫
①イク [屋]
②アゥ [號]
①水の曲り入りたるきしべ、くま、隈厓。=隩。
②ふかし(深)○國名、─太利 オーストりヤ の略稱、澳一に墺に作る。○─門は港名、本、廣東省香山縣に屬す。今は葡萄牙の領地。=媽港。○ 國 オキ 沖に同じ。
カイ [蟹]
渤─ ボツカイ は海の別名。=勃澥。
カツ [曷]
○?─は水深くして廣き貌。○波の貌。
クワイ [泰]
○みぞ、溝に注ぐこみぞ「溝─」○小さき流。○水の名。
①クワイ [泰]
②ワイ [泰]
③クワツ [曷]
①水の多き貌。
②けがれる「汙─」穢に通ず。○汪─ ワウワイ は水の深く廣き貌。
③── クワツクワツ は罟 アミ の水に入る聲。詩、衛風「施罟──」
①クワン [旱]
②カン [翰]
浣に通ず
①すすぐ、あらふ、衣の垢 アカ を洗ふ。○唐代の制、十日每に官吏に休暇を賜ひ、私宅にて沐浴せしむ。よりて俗に十日閒の稱とす「上─」「中─」「下─」=浣。
②瀚(水部十六畫)に同じ。
衣をあらふ。詩、周南「薄汚我私、薄澣我衣」
すすぎ洗ふ。漢書、萬石君奮傳「身自──」=澣濯·澣灑。
すすぎあらふ。北史、魏孝文帝紀「性儉素、常服──之衣」=澣洒·澣滌。
衣服又は器物をあらひ淸める。=澣濯。
洗濯したるきぬ。禮記「衣其──、醴醆以獻」
かみあらふ。南史、卞彬傳「皮膚澡刷不謹、──失時」
クワン [删]
波がうづまく(波流轉貌)「漩─」
ゲキ [錫]
○はげし、きびし、勢がきつい。○はげむ、はげます、感じ動かす。史、張儀傳「以─其意」○さへぎる(遮)ささふ。○つく(衝)水が物に遮られて勢を增す。孟、吿子「─而行之」○すみやか(疾急)「迅─」「急─」○言論が直くきびしきに過ぐ「─切」○感じ動く。後漢書、蔡邕傳「感─忘身」○そそぐ。○あがる(揚)○おこる(發)○いかる(怒)○色明らか。○─楚は聲の淸かなる義。○ことさらに世俗に違ふ「─詭」
音聲がはげしくして淸くあがる。柳宗元文「羽觴飛翔、匏竹──」
心激して氣の揚るをいふ。唐書、舒元輿傳「得書高其──、出示宰相」
心氣がはげしく奮ひあがる。漢書、王章傳「今疾病困阨、不自──、反涕泣、何鄙也」=奮激·激卬·感慨奮發。
はげしく心を動かす。漢武帝、悼李夫人賦「旣──而心逐兮」
世俗に違ひて異を立つ。後漢書、范冉傳「好違時絕俗、爲──之行」
はげましすすむ。柳宗元、賀赦表「蠲除逋債、政理之源也、襃寵勳賢──之方也」=激勉。
勢つよきや。揚子「般之揮斤、羿之──、君子不言、言必有中也」
甚だはやし。應瑒賦「嗟──而難追、傷往禽之無偶」
甚だしくほめる。李白詩「──搖天筆、承恩賜御衣」
みづを遮りて其の勢をはげしくする。又其のはげしく急なる水。舊唐書「──成比目魚」
はげしく聲をはりあげる。=勵聲。
言論がはげしくせまる。後漢書、陳寵傳「言事者必多──」
はげしくたたかふ。又、其の戰。=血戰·鏖戰。
淸かにしてかなしき聲。楚辭、九歌「宮庭震驚發──些」=激揚淒楚。
大ぬすびと。嵆康、釋私論「──似忠、不可謂無私、此類是而非是也」
惡を除き善を擧ぐるに喩ふ。唐書、王珪傳「至激濁揚淸、疾惡好善、臣於數子、有一日之長」尸子に「水有四德、(中略)揚淸徼濁、蕩去滓穢、義也」とあるに本づく。
はやせ。徐璣詩「湘水幾千里、平沙少──」
はげしく怒る。後漢書、吳漢傳「軍士──、人倍其氣」=盛怒。
○きつくうごく。○はげしく心に感動する。
○なみたたせる。○はげしきなみ。=激浪。
○はげしくおこる。琴苑要錄「援琴歎之、韻聲──、象霹靂之聲」○はげましおこす、奪發させる。
はげしくいかる。後漢書、鄧訓傳「諸羗──、相與解仇結婚」=激怒·勁忿·勁怒。
はげしくいきどほる。家語「孔子曰、陳蔡之閒、吾與二三子、庸知其非──厲志之始于是乎」
はげしくかはる、急激なる變化。
はげます。宋史、燕達傳「卿名位已重、不必親矢石、第──將士可也」=激勵。
はげまされて奮ひあがる。感動して發憤する。後漢書、臧洪傳「辭氣慷慨、聞其言者、無不──」
はげしくあがる。風賦「飄忽淜滂、──煙怒」
あらなみ。=怒濤·激波。
勢はげしきながれ。謝靈運詩「水性本無泡、──遂聚沬」
はげしくさむし。潘岳賦「寒風凄以──」
はげし。南史「性頗──、少威重、有所是非、形於造次」
いたくはげます。唐書、吳兢傳「宋璟等──」=激發。
甚だしくはげし。李白詩「弦聲何──」
きつく言ひ立てる。又、其の議論。=劇論。
サウ ソウ [皓]
○あらふ(洗)すすぎ淸める。○借りて修め潔くする義とす。禮、儒行「儒有─身而浴德」浴德は道德に沐浴する。
洗ひてひのしをかける、轉じて、舊幣を改め去る義。宋祁文「以詩書一敎人、──故俗」
あらひすすぐ。枚乘、七發「──胸中、灑練五藏」=澡洗。
口すすぎ手あらふ。水經、注「唯得飡飮而己、無敢──」
澡濯に同じ。
ゆどの(湯殿)=浴室。
身を洗ひ淸める、字解參看。
あらひすすぐ。莊子「疏瀹而心、──而精神」而は汝。
あらふ。山海經、注「郭璞曰、──可以磢體去垢」
あらひ口すすぐ。魏書「日三──、然後飮食」
あらひきよむ。白居易詩「今朝一──、衰瘦頗有餘」=洗濯·洗滌·澡洒·澡漑·澣濯。
ゆあみし、かみあらふ。唐書、柳公綽傳「居喪毀慕、三年不──」=沐浴。
ゆあみす。晉書、倭人傳「初喪哭泣不食、已葬、擧家入水──」
あらひねる。束晳文「──精神、呼吸淸虛」
①シフ [緝]
②サフ [洽]
①──はやはらぐ(和)詩、小雅「其角──」○─然はすみやか(疾)なる貌。曹植、七啓「─然鳧沒」○水出づ。出づる水。
②はやせ(湍流)
シフ ショク [緝]
滑 ナメラ かならず。=澀。
シン [沁]
又、寖·浸に作る
○やうやく(漸)漢書、成帝紀「─以成俗」○ますます(益)○みづたまり。○ひたす。=浸。
①ジョウ [蒸]
②ビン ベン·メン [軫]
①川の名、山東省臨淄縣の北に在り。左、昭十三「有酒如─」
②─池は縣名、河南省河南府に屬す、藺相如が趙王を相 タス け秦の昭王と會せし所。=黽池。
ゼイ [霽]
○水邊の埋立地。○みぎは(水涯)「海─」
①セン [先]
②タン [翰]
①─淵 センエン は川の名、直隸省濮陽縣の西南に在り。○地の名。
②─漫 タンマン はほしいまま(擅·縱)莊、馬蹄「─漫以爲樂」又、遠き貌。司馬相如、上林賦「案衍─漫」
①タク [陌]
②セキ·シャク [陌]
①さは、水と草との交る所「沛─」○うるほふ、しめる。うるほす。○うるほひ、めぐみ「恩─」「德─」書、畢命「─潤生民」○ふち、秩祿。孟、公孫丑則是干─也」○あらふ(洗濯)○あぶら。○する、もむ、こする。曲禮「共飯不─手」○ふだんぎ(褻衣)詩、秦風「與子同─」○つや「光─」つやをつける。○─宮 タクキユウ は周代に射術を習はせて士を擇びし所〔禮、射義〕
②とく(解)釋に通ず。史、孝武紀「振兵─旅」
同訓異義
ウルホス 澤·濕·潤·沾·濡·浥の别は濕(水部十四畫)の條を見よ。
萬物をうるほすよきあめ。晉書、樂志「──施、化雲布」=慈雨。
苔 コケ の異稱〔述異記〕=重錢。
古、水澤を掌りし官の名。周禮「有山虞──、以掌山澤」
池沼などの多き地。曹松詩「──江山入戰圖」
周の文王の仁澤、死人の枯骨にまで及びし故事。呂覽、異用「周文王使人相地、得死人之骸、吏以聞於文王、文王曰、更葬之、吏曰、此無主矣、文王曰、有天下者、天下之主也、有一國者、一國之主也、今我其主也、遂令吏以衣棺葬之、天下聞之曰、文王賢矣、澤及髊骨、又況於人乎」注「骨有肉曰髊、無曰枯」新序に髊を枯に作る。
國 甚だ多き義。
荷 ハス の異名〔古今注〕=芙蓉。
をもだか、多年生草の一、池澤に生ず、葉は慈姑 クワヰ に似て小、地下の毬莖を藥用とす。=野慈姑。
うるほす、めぐみが普く行きわたる。唐書、武平一傳「戚屬外家、恩洽──」
うるほす、めぐみを施す。書、畢命「道洽政治、──生民」
さはのほとり。史、屈原傳「行吟──」
藥草の名、よろひぐさ〔江淹蓮花賦〕=白芷。
さはに設けて魚を捕るやな。孟、梁惠王「──無禁」禮、王制「獺祭魚、然後虞人入──」
鹽氣あるさはべの地。史、河渠書「注滇閼之水、漑──之地四萬餘頃」
タク ドク [覺]
通音ダク·ヂョク
○にごる。淸の對。にごす。にごり。○けがれ、けがれる、みだれる「溷─」品行惡し。
にごりけがれる、汙は汚。蘇轍文「余方區區、欲磨洗──」
にごりてくらし。曾鞏、多雨詩「陰氣──化爲霧」
にごりけがる。漢書、諸葛豐傳「邪穢──之氣、上感于天、是以災變數見、百姓困乏」
潔白ならざるこころ。論衡「薄能──、遇在衆上」
にごりざけ。朱熹、醉下祝融峯詩「──三杯豪氣發、朗吟飛下祝融峯」=濁醪。
濁りたる酒を一杯飮む。嵆康、與山巨源絕交書「今但願守陋巷敎養子孫、時與親舊敍離闊、陳說平生、────、彈琴一曲、志願畢矣」
にごりたるすゑの世。東方朔、非有先生論「接輿避世、箕子佯狂、皆避──、以全其身者也」=濁代。
にごれると、すめると。元稹詩「一元旣二分──、地居方直天體明」=淸濁。
道德のすたれたる世。晉書、夏統傳「出處遇──、念與屈生同汚共泥」=濁世。
淸廉潔白ならずしてとみ榮える。淸貧の反對。姚崇、木壺誡「與其──、寧比淸貧」
きたなくしてむさぼる。太淸神仙衆經要略「年茂而──愈甚」
にごれるなみ。范仲淹、岳陽樓記「──排空」
にごりざけ。魏都賦「淸酤如濟、──如河」杜甫詩「──有妙理」=濁酒。
にごりたるながれ。轉じて潔白ならざるなかま。歐陽修、朋黨論「此輩淸流、可投──」
にごりけがれる、世のけがれ。史、屈原傳「蟬蛻于──、以浮游塵埃之外」
佛 にごりてけがれたる此の世〔法華經、方便品〕
①タン [感]
②タン [勘]
③タン [覃]
④セン [豔]
①しづか、やすらか(恬靜)○たひらか、さっぱり、あはし、うすし。濃の對「恬─」=淡。○うごく、うごかす(動)○風波に隨ふ貌。
②──は水のゆったりと動搖する貌。○やすらか(安)
③水の貌。○─林は東胡の名。=襜襤。
④たす、たる。贍に通ず。漢書、食貨志「猶不足以─其欲」
あっさりとしてうつくし。劉希夷、孤松篇「──烟雨姿、敷芬陽春陌」
澹然に同じ。漢書、司馬相如傳「泊乎無爲、──自持」
あっさりとしたる貌。北史、後周柳靖傳「性愛閒素、其于名利、──也」=淡如·泊如。
あっさりとしてやすらか。莊子「澹而靜乎」
靜かに安き貌。揚雄、長楊賦「使海內──、永無邊城之菑·金革之患」=澹乎。
風波に隨ふ貌。司馬相如、上林賦「隨風──」
○あっさりしたる貌。魏武帝、樂府「水何──、山島竦峙」○水のゆったりと搖動する貌。宋玉、高唐賦「水──而盤紆兮」○心の動かざる貌。劉向、九歎「情──其若淵」
○心のあっさりとして無慾なる貌。揚雄、長楊賦「人君以玄默爲神、──爲德」○さっぱりとしててがる。晉書、束晳傳「無爲可以解天下之紛、──可以救國家之急」=淡泊。
欲少くレて心がしづか。史、賈誼傳「眞人──兮、獨與道息」=恬漠。
あっさりとしたるあぢ。論衡「大羮必有──」=淡味。
ヂョウ ノウ [冬]
○あつし、こし。淡の對。○色が深し、人の情が厚い、味がこってりしてゐる。○露の多き貌、しげし。
露のおほき貌。詩、小雅「零露──」
こきくも。梁簡文帝詩「──垂畫堂」=密雲。
しげりし木のは。李遠詩「碧梧──覆西廊」=繁葉。
こきけむり。吳均詩「漠漠視──」
こってりとしてあでやか。李白詩「一枝──露凝香、雲雨巫山枉斷膓」=濃豔。
あつきめぐみ。班固、北征頌「弘──降溫澤」=厚恩·湛恩·鴻恩。
こってりとしてゐる。禮儒行、注「其飮食不溽」疏「溽之言欲也、卽──也」
こまやかなるうれひ。許衡詩「別酒無勞勸、──已自醺」=深憂。
こってりしたるよそほひ、厚化粧。白居易詩「飽食──倚柂樓」=濃抹。
甚だしきあつさ。楊億詩「幾程郵驛經──」=酷暑·甚暑·隆暑·烈暑。
よくねむる。吳融詩「何人得──、溪上釣魚舟」
ふかみどり。嚴燿曾詩「有時──瀉滿地」=積翠。
こきまゆずみ。薄黛の反對。蕭子顯、烏棲田「──輕紅點花色」
こきと、うすきと。歐陽修詩「雲容乍──、秋色半晴陰」=厚薄。
こさ。氣體又は液體の分子量の多寡の度あひ。
色をこくぬる、あつげしやう。蘇軾詩「淡妝──兩相宜」兩一に也に作る。
こくする。洞天淸錄「古人晨起、必──墨汁、滿研池中、以供一日之用」
深ききり。=大霧·密霧。
こきにごりざけ。羅隱詩「百盞──成別夢、兩行垂露浣覊愁」=醇醪。
こきつゆ。陳與義詩「──濕丹臉、西風吹綠裳」
テン デン [霰]
○おり、かす(滓)どろ(淤泥)○よどむ。よど(淀)○藍汁の染むべきもの、俗に靛に作る。○ 國 ─江は淀川の異稱。=澱河。
かす、おり。=渣滓。
榖類·葛·甘薯などより製する白き粉末、滋養の效あり。
①フン [文]
②フン [吻]
③ホン [元]
①きし(水厓)ほとり。○大いなるつつみ(大防)
②わく(涌)水がわき出る。
③水をはく。噴に通ず。
ふきだす水、ふきあげ。
わきあがるいづみ。公羊、昭五「──者何、直泉也、直泉者何、涌泉也」
はげしくなみだつ。左思、吳都賦「──沸騰」注「水相激盪、曰──」
ヘキ [鍚]
○あらひさらす(漂)○洴─は絮 ワタ を水にさらして白くする。
漫(水部十一畫)の俗字。
ヨ [御]
又、?に作る
灩─ エンヨ は川の名、四川省蘷州府治の南、瞿唐峽の上流に在り、楚蜀の門戶、舟行危險の所。
リン [寢]
澟は俗字
すずし(淒淸)さむし(寒)
レイ [薺]
○川の名、湖南省に在りて洞庭湖に入る。○隋の州の名、今の湖南省─縣の地。○甘き水の泉。列、湯問「─泉涌」醴に通ず。○──は波の聲。
レイ [靑]
○川の名。○ 國 ミヲ 水の脈、水路、河海の中にて舟の通行する道筋、みを、みよ。
國 みをつくし、水路を示すために水中に打ちこみしくひ。
レン [鹽]
溓に同じ
○うすし(薄)○─溪は地名、湖南省道州の西に在り、宋儒、周惇頤の生地、故に世に─溪先生と稱す。
濂溪の周惇頤(字茂叔)洛陽の程顥(字伯惇、號明道)其の弟程頤(字正叔、號伊川)關中の張載(字子厚、號橫渠)閩中の朱熹(字元晦、號晦庵)等の唱へたる儒敎をいふ。=宋學·道學。
14畫
アイ [泰]
○晻─はくもる(鬱陰)○雲氣の貌。
ヰ [支]
川の名、山東省に在り。
イン [吻]
汨─は水の聲。
エイ ケイ [迥]
又瀠に作る
○瀅─は水のめぐりうづまく貌。○小さき水の貌。
カウ ゴウ [豪]
通音ガウ
○ほり(城下池)=壕。○川の名、安徽省に在り。○─洲は南洋の大陸、─太利亞 オーストラりヤ
しろのまはりのほり。金史、承暉傳「雨潦害稼、決引潦水、納之──」=城隍。
濠·濮は二川の名、莊子濠梁の上に遊び魚の樂み遊ぶを見て樂み、又濮水に釣して楚王の聘に應ぜざりし故事に本づきて、俗を離れて幽棲する高尙の心の義とす。世說、言語「會心處、不必在遠、翳然林木、便自有─也」
濠水に設けたるやな。莊、秋水「莊子與惠子、遊──之上」
①クワク [藥]
②コ [遇]
①雨だれのしたたる貌。○にる(煮)詩、周南「是刈是─」○潰─は水勢の相激する貌。○宮室のおく邃 ブカ き貌。○采色きらめきて定まらざる貌。
②しく(布)○大─ タイゴ は殷の湯王の樂曲の名。
闊(門部九畫)の俗字。
シフ [緝]
通音シツ、又、溼に作る
○うるほふ、しめる、ぬれる。○うるほす、しめす。○うるほひ、しめり「下─」「卑─」○──は牛の物をかむに耳を動かす貌。詩、小雅「其耳──」
同訓異義
ウルホス 濕·潤·澤·沾·濡·浥○濕は乾の反、しめるなり。易經「火就レ燥、水流レ濕」○潤はうるほひなり、つやのある義、澤ツヤなり「河潤二九里一」は、河水のほとり、九里の閒しめるに非ずして、其の邊の草木皆水氣のうるほひを受くるなり「富潤レ屋、德潤レ身」も、皆つやある義。○澤はつやあるなり、潤に近し、潤澤と用ふ。○沾は水のかかりて、しっぽりとぬるること、霑と同字なり。史記「汗出沾レ背」同書「置酒而大雨、陛楯者皆沾寒」○濡は沾と略~同じ。唐書、張旭傳「旭大醉、以レ頭濡レ墨而書」○浥は露などのしめりを帶ぶる義。詩經「厭浥行露」
濕氣をきらひながらひくき地に居る。惡名を嫌ひながら善行を行はず、惡む所を避くるに、其の道を誤るに喩ふ。孟、公孫丑「仁則榮、不仁則辱、今惡辱而居不仁、是猶惡濕而居下也」
しめりけあるみどり。高士談詩「殘紅一抹沈天日、──千重隔?山」
强ひて笑ふ、にがわらひ。北史、尉景傳「何須乾啼──」
地しめりて水がひたす。元稹詩「陰深山有瘴、──草多蝱」
レめりけ。物類相感志「麥得──則爲蛾」
ひぜん、皮膚病の一。=疥癬。
うるほふ。鬼谷子「平地注水、濕者先濡」=濡濕。
うるほふ。うるほす。酉陽雜俎「竈無故自──者、赤蝦蟇名鈎注居之、去則止」
しめりけある土地。元稹詩「──蟲聲澆暗廊」
天氣中に含む水蒸氣の多寡の割合「──計」
濕氣を帶びたるかぜ、しめっぽき風。庾肩吾詩「──含酒氣」
ジユ [虞]
○うるほふ、ぬれる、ひたる(漬)しめる(濕)○ぬらす、ひたす。詩、邶風「不─軌」○めぐみ、うるほひ。○─忍はたへしのぶ(堪忍·含忍)○とどこほる(滯)「─滯」○つや(潤澤)みづみづしくして光澤あり。詩、小雅「六轡如─」○やはらか。○ゆばり(溺·小便)史、倉公傳「不亟治、病必入─腎」○ならふ(習)なれる。
同訓異義
ウルホス 濡·濕·潤·澤·沾·浥の別は濕(前條)を見よ。
仁德にうるほふ。揚雄、劇秦美新文「被風──者、京師沈潛、甸內匝洽」
うるほふ。うるほす。神仙傳「葛玄飮酒一斛、便入泉澗中臥、酒解、乃出身不──」=濕濡。
○うるほひそまる、常に見聞に習ふ義。韓愈文「目濡耳染、不學以能」○うるほしそめる。李商隱詩「──大筆何淋漓」
首まで沈溺する、易の未濟卦の故事に本づき、大醉して本性を失ふ義。晉書、周顗傳「然是亦──之誠也」
うるほふ。うるほす。鮑照詩「霜露迭──、草木互榮落」
十分にうるほふ。桯史「建皇極而融會于偏黨、尊重闈而──于慶施」
とどまる。孟、公孫丑「三宿而後出晝、是何──也」=遲留·遲緩。
うるほへるにく。曲禮「──齒決」
よく侮辱をしのぶ。史、聶政傳「無──之心」
シュン [震]
○さらふ(浚)河を疏して深からしむ。書、堯典「─川」○ふかし(幽深)
同訓異義
フカシ 濬·深·浚·邃の别は深(水部八畫)の條を見よ。
ふかきたに。謝靈運、山居賦「仰眺層峯、俯鏡──」=深谿。
ふかきみなもと。舊唐書、音樂志「肅肅藝祖、滔滔──」
ふかき城のほり。水經、注「有匈奴城、方五里、──三重」
城のほりをふかくしつくらふ。後漢書、班固傳「──城湟」
ふかきふち。謝靈運詩「隨山疏──」=深淵。
深きいけの義にて海をいふ。左思、吳都賦「帶朝夕之──」
智がすぐれてさとし。又、其の人。書、舜典「──文明、溫恭允塞」=深智。
①セイ·サイ [霽]
②セイ·ザイ [齊]
①わたる(渡)史、樂書「─河而西」わたし、わたりば(津頭)○とどむ、やむ(止)○なる。なす(成)「─美」○もちふる、利用する。○ます(益)加へる。左、桓十一「盍請─師于王」○にぎはしすくふ(賙救)易、繫辭「知周乎萬物、而道─天下」○すくふ、たすく(助)易、繫辭「道─天下」○おしのける。=擠。○通ず。
②──は莊敬なる貌、おごそか。又、多くしてさかんなる貌。又、威儀の多き貌。○川の名、河南省─源縣の西、王屋山より發し、黃河に入る。
同訓異義
ワタル 濟·渡·涉·濔·亙·竟·徑の别は渡(水部九畫)の條を見よ。
すくひゆるす。魏志、鄧王冲傳「賴以──者、前後數十」
すくふ。魏書、高允傳「吾在中書時、有陰德、──民命」
教へ導きて善にうつらす。晉書、王坦之傳「聖人所以──」
救ひいかす〔後漢書〕
世の困亂を救ふはたらき。杜甫詩「艱危深仗───」
世をすくふ。後漢書、盧植傳「性剛毅有大節、常懷──志」
國 帝室の保護によりて設けし慈善事業の一、主として貧民の病を治療することを目的とす。
水をわたる。後漢書、張禹傳「難于──」
おぼるる者をすくふ。後漢書、荀彧傳「方時運之屯邅、非雄才無以濟其溺」
佛 衆生をすくひて極樂界に至らしめる。隋書、高帝紀「降大慈、──羣品」
朝鮮の仁川港の異稱。
衰へたるをすくふ。晉書、瑯琊悼王傳「陛下龍飛踐祚、興微──」=拯弊。
たみをたすけすくふ。書經「尙克相予、以濟兆民」許衡詩「身在朝廷思──」
景色の勝れたる山河をわたる道具にて、健脚の義。世說、棲逸「許非徒有勝情、有────」許は許詢。
○美くしき貌。詩、齊風「四驪──」○衆くして盛んなる貌。又、威儀の多き貌。詩、大雅「──多士」
おほく盛んなる賢才。詩、大雅「────、文王以寧」
子孫がよく父祖の業を承けつぎて善き事を成す。左、文十八「世濟其美、不隕其名」
?(水部十六畫)の俗字。
タウ [豪]
○おほなみ(大波)○なみたつ。
おほなみの音。白居易詩「──夜入伍員廟、柳色春藏蘇小家」
おほなみの白く湧き起つ形容。孟浩然詩「驚濤來似雪、一坐凜生寒」
おほなみ(大波)水經、注「漰渀──」=波濤·濤瀾。
かみなりの如き大波のおと。蘇軾詩「──殷白晝」
なみだつはやせ。蘇軾詩「泉流知人意、屈折作──」
おほなみ。陸游詩「此心如古井、無地起──」
なみたついりえ。蘇軾詩「勿謂無人知、古佛臨──」
タク [覺]
○あらふ、すすぐ(滌)けがれをあらひ去る。○きよむ(淸)潔白にする。○──はあきらか(光明)なる貌。詩、大雅「鉤膺──」又、こえてつやつやしき貌。詩、大雅「麀鹿──」一說に嬉み遊ぶ貌。又、山に草木なき貌、はげやま(禿山)の形容。孟、告子「是以如此──也」○櫂 カヂ に通ず。漢書、鄧通傳「─船」
あらひすすぐ。周禮「世婦率宮女而──」
蜀の成都に在る浣花溪の一名。杜甫詩「───邊未滿園」
あまぐも。黃子發文「四方有───、疾者立雨」
あらふ、澣は洗。韓愈、遊靑龍寺詩「猿呼鼯嘯鷓鴣啼、惻耳酸腸難──」=澣濯·濯洗。
手あらふ。蘇轍詩「譬如近膏油、未肯忘──」
みそぎ。劉孝綽詩「薰祓三陽暮、──元巳初」
あらひきよめる。崔祐甫文「可以步而適、可以濯而蠲」=洗淨。
きずをあらひすすぐ。南史、袁昂傳「──蕩穢、入楚遊陳」
陰曆の六月の大雨。周處風土記「六月有大雨、名───」
からだをあらふ。白居易詩「勞者念息肩、熱者思──」
すすぎあらふ。史肅道詩「憶昨三春時、──煙雨後」=洗濯·洗滌·澣濯·滌濯·澡濯·濯澣·濯滌。
足をあらふ。孟、離婁「滄浪之水濁兮、可以濯我足」左思、詠史「振衣千仞岡、──萬里流」
人品の美くしく光潔なる形容。世說、容止「有人歎王恭形茂者、云、──────」
濯洗に同じ。
①デイ [徑]
②デイ [靑]
通音ネイ
①ぬかる、ぬかるみ、どろ(淖)「泥─」「深─」○きよし(淸)○みぞ。
②汀─は小さき水。張協、七命「何異促鱗之游汀─」
どろがつかへる。魏志「濱海洿下、──不通」
ぬかるみ、どろ。韓愈、食蝦蟇詩「跳擲雖云高、意不離──」=泥淖。
どろ深くしておぼれる。蔡邕、述行賦「路阻敗而無軌兮、塗──而難遵」
デイ ビ [薺]
○水滿つ。=瀰。○おほし(衆)○相連りて漸く平かなる貌。
ヒ·ビ ヘイ·ハイ [寘]
○水の聲「滂─」○水暴 ニハ かに至る聲。
ヒン [眞]
○はま、水のほとり、みぎは(水際)「水─」「海─」かぎり、はて「率土之─」○地、水に近し、水にそふ。史、貨殖傳「鄒魯─洙泗」
水のほとり。曹植詩「蚌蛤被──、光彩如錦虹」
しにかかる。=瀕死·垂死。
國 菅に似たる草、花は赤褐色、地下莖の塊は藥用となす。=莎草。
國 はまべの路。
國 ○はまべに羣り居る千鳥。○あとといふ詞に冠する枕詞。
國 長濱縮緬の略、近江國長濱より產するちりめん。
國 はまべに生ずる草の一、花は薔薇に似て香高く藥用とす。=玫瑰。
國 海にそひたる平地。
ボウ [東]
通音モウ
○くらし、うすぐらし「空─」「──」「冥─」○こさめ(微雨)のふる貌。詩、豳風「零雨其─」○こさめ霧などの貌。說文「微雨也」○─鴻 モウコウ は元氣の未だ分れざる貌。春秋命曆序「─鴻萌兆」○─澒は大水。
こさめ。宋之問詩「是日─晴、返景入岩谷」
うすぐらし。劉孝綽、還渡浙江詩「──江煙上、蒼茫沙嶼蕪」=冥漠。
霧などがとぢこめてくらし。鮑照詩「──江上霧」
雨霧などのをぐらき貌。王昌齡詩「玉淸壇上雨──」
ボク [屋]
○川の名、二あり一は山東省─州に在り。一は河南省に在り、春秋時代の「桑閒─上」は卽ちこれ、今は湮 ウヅモ る。○一種の竹。○州の名。
淫亂なる音。禮、樂記「桑閒───、亡國之音也」
①ラン [勘]
②カン [勘]
③カン [豏]
①ひろがる(氾)水がひろがる「氾─」○あふる(溢)物事が度に過ぐ。○うかぶ(泛)「─觴」○ぬすむ(竊)○つく(漬)○みだる、自ら檢束せず。○道にそむく「乖─」論、衞靈公「小人窮斯─矣」○うきたることば(浮辭)○實を失ふ。○まぎらはし「─眞」○みだりに、むやみに「─賞」
②冰を盛る陶器。=鑑。○たらひ(浴器)莊、則陽「同─而浴」
③─泉 カンセン は底より正しく出づる泉。=檻泉。
同訓異義
ミダリ 濫·妄·漫·猥の别は妄(女部三畫)の條を見よ。
禮義の外にあふれでる。漢書、刑法志「饑寒竝至、窮斯──」
濫吹に同じ。梁簡文帝文「──自慙」
隱者に非ずして隱者の頭巾を著く、似て非なる隱者。孔稚圭、北山移文「竊吹草堂、──北岳」
人の賢否を問はずして妄りに用ふる。晉書、劉寔傳「──之法不改、則南郭先生之徒盈于朝矣」
むやみに禽獸などを捕へる。
濫罰に同じ。
みだりにまつる。禮記、疏「若──亦是淫祀」
むやみにつくり出す。=濫製。
みだりにころす。元史、泰定帝紀「往歲征徭廉訪司、劾其──」
みだりにまじる。杜氏通典「用人──至于士流、恥居之」
みだりに賞をあたへる。書經、疏「有德不──、賞必加于賢人」
物事のはじめ。揚子江の如き大川も其の源は只さかづきをうかぶる程の小流なるをいふ。家語、三恕「孔子謂子路曰、夫江始出岷山、其源可以──及至江津、不舫楫、不可以涉」
みだりにいだす。
むだのものをおく。宋史、職官志「員旣──、名益紊雜」
實力なくして、位に居る、無能の者が才能ある如く見せかける。齊の宣王が竽(笛の一種)を好み、樂人三百人をして合奏せしむ、南郭處士其の技なくして其の中に濫入す、宣王死し湣王立ち、一人づつ竽を吹かしめしかば、處士遂に逃れ去りしといふ故事に本づく〔韓非、內儲說〕張正見詩「幸承──末、擊壤自爲歌」=濫竽。
濫造に同じ。
あしきぜに。通鑑「民閒盜鑄──」
みだりに位をのぼせる。宋史、梁顥傳「寧無──枉黜之大耶」
みだりに木をきる。
むやみに發行する「紙幣──」
正しき道によらずしてみだりにつみに行ふ。吳筠詩「──猶如斯」=濫刑。
みだりにつひやす。=宂費·浪費。
みだりに用ふる。
15畫
エイ [徑]
○すむ(水澄)○小さき水「汀─」
カゥ [肴]
─?は水の廣く深き貌。木華、海賦「─?浩汗」
カク [陌]
○水が裂け去る。○──は水の激する聲。韓愈、藍田廳壁記「水──循除鳴」
シツ [質]
○水勢の相擊つ聲。○水の疾く流れる貌。
シン [沁]
○しる(汁)○川の名、奉天省─陽縣の南四里に在り、下流は渾河に人る。
縣の名、淸の太祖、遼陽より都を此に遷し、盛京と稱す、後、奉天府を置き、定めて陪都と爲す、今は開きて商埠と爲す。
①シャ [馬]
②シャ [禡]
潟は别字
①そそぐ「傾─」「一─千里」
②はく(吐)○もらす(泄)くだす。○はらくだし(下痢)○しほつち、鹽氣ある、土(鹵)「─土」
同訓異義
ソソグ 瀉·注·沃·澆·灌·漑·洒の别は注(水部五畫)の條を見よ。
①セン [先]
②セン [霰]
①──は水疾 ハヤ く流れる貌。沈約詩「出浦水──」
②そそぐ。史、藺相如傳「得以頸血─大王矣」大王卽ち秦王を殺すといふ婉語。
同訓異義
ソツグ 濺·注·沃·澆·灌·漑·洒·瀉の别は注(水部五畫)の條を見よ。
とびちる水だま。名山記「激爲飛雨──」
テン [先]
川の名、河南省に在り、洛水に入る。
①トク [屋]
②トウ [宥]
①みぞ(溝)こみぞ、どぶ(小渠)「汙─」論、憲問「自經於溝─」○四─は江·河·淮·濟の四大川の稱。○にごす。にごる(濁)けがす(汚)けがる「褻─」○あなどる(慢)狎れ近づく。禮、少儀「毋─神」○かさなる(重複)○にごり。
②句─は春秋の宋の地名。○くぐりあな。左、襄三十「自墓門之─入」竇に通ず。
同訓異義
ケガル 瀆·汙·汚·穢等の别は汙(水部三畫)の條を見よ。
けがす。けがれる。關氏易傳「無所──、謂之洗心」
官公吏が不都合の行をなして職務をけがしはづかしめる。
なれあなどる。宋史、范師道傳「婦人女子與小人之性同、寵幸大過、則──之心生」=褻慢。
ヘウ ヒウ [蕭]
── ヘウヘウ は雪の盛んにふる貌。詩、小雅「雨雪──」
ベツ [曷]
○ぬる(塗)○ぬぐふ(拭滅)○─潏は水の疾く流れる貌。
①ホク·ボク [屋]
②ハク·ボク [覺]
通音バク
①たき(飛泉·懸泉)「飛─」
②水の沸く貌。又其の聲。○濆─は波浪のわき起つ貌。
たき。孫綽、遊天台山賦「──飛流以界道」=飛泉。
①ヤウ [養]
②ヤウ [漾]
①水がひろくして、はてしなし「沆─」「浩─」「滉─」
②漾(水部十一畫)の古字。
リウ [尤]
○きよし(淸)詩、鄭風「─其淸矣」ふかし(深)○風の疾 ハヤ き貌。楚辭、九歎「秋風─以蕭蕭」○きよくあきらかなる貌。
すずしく吹くかぜ。纂要「涼風曰──」
涼しき貌。馬融、長笛賦「正──以風洌」注「──淸涼貌」
水のみなぎる貌。揚雄、甘泉賦「正──以弘惝兮、指東西之漫漫」
書物などを通じ見る。淮南、原道「──徧照」=劉覽。
○風疾き貌。謝惠連詩「亭亭映江月、──出谷飆」○捷疾 スバヤシ の貌。宋玉、九辨「乘騏驥之──兮」
きよくあきらか。陸機、文賦「賦體物而──」
リョ ロ [御]
○こす(灑)紗又は葛布などにて水をこして滓 カス を去る。○あらふ(洗)すます(澄)
水をこす「──器」
ルヰ [紙]
渨─は水波の湧き起る貌。郭璞、江賦「渨─濆瀑」
ワゥ [養]
─瀁は水の深くして廣き貌。淮南、覽冥「─瀁極望」
16畫
エイ [庚]
○おほうみ(大海)○水の貌。○澤の中。○─洲は海中に在りて仙人の棲めりと傳ふる三神山の一。史、始皇紀「海中有三神山、名曰蓬萊·方丈·─洲」
おほうみ。史、孟軻傳「乃有大──、環其外」
エイ [迥]
濙(水部十四畫)に同じ。
水めぐりながる。朱熹詩「鼓樓巖下水──」=澴瀠。
カイ クワイ [卦]
沆─ カウカイ は北方の夜半の氣。又、露の氣。又、海の氣。東方朔、七諫「含沆─以長生」
カン [翰]
或は澣に作り通じて翰に作る
○混─は水の貌。○浩─は廣大なる貌。○─海は蒙古の沙漠の名、一名は戈壁 ゴヒ =翰海。
廣大なる貌。淮南、要略「浩浩──」
クワク [藥]
○─泋は衆波の聲。○─濩は、采色まばゆくして定らざる貌。
セイ シャウ [敬]
○きよし。淨に通ず。○ 國 トロ 河の水のしづかにたまる所。
セゥ [蕭]
○きよくふかし(淸深)○──は風雨の暴疾 アレテハヤシ なる貌。詩、鄭風「風雨──」○川の名、湖南省に在り、湘水に入る。
さっぱりとしてきよらか。孔稚圭、北山移文「──出塵之姿」
前條に同じ、灑·洒同義。
二川の名、湖南省洞庭湖の南に在り、其の附近は、風光絕佳にして八景の目あり。夢溪筆談「度支員外郞宋迪工畫、尤善爲平遠山水、其得意者、有平沙落雁·遠浦歸帆·山巿晴嵐·江天暮雪·洞庭秋月·──夜雨·煙寺晚鐘·漁村夕照、謂之八景、好事者多傳之」
しづかなり。劉因詩「端居得──」
竹の異名。韓愈·孟郊、城南聯句「──遠輸委」
潛(水部十二畫)の譌字。
チヨ [魚]
又、潴に作る
ぬま、水の停 トドマ る所。みづたまり。
ヒン [眞]
○みぎは(水厓)はま。=濱。○そふ(沿)○せまる(迫)のぞむ「─死」
○うみべ。漢書、貢山傳「江湖之上、──之觀畢至」○海に沿ふ。=沿海。
しにかかる。=濱死、垂死。
ライ [隊]
○せ、水が沙上を流れる、淺きながれ。楚辭、九歌「石─兮淺淺」○はやきながれ(急湍)「迅─」「怒─」「湍─」「急─」
レキ [錫]
○したたる(水下滴)「滴─」したむ。○ながれる、そそぐ。○したたり、しづく「滴─」「餘─」○淅─は雪霰の聲。又、風の聲。○─液は微 スコ しなる水流。張衡、思玄賦「漱飛泉之─液兮」○淸酒。
○ちをそそぎて必ず報ぜんことを盟ふ義。吳越春秋「不滅──之仇、不絕懷毒之怨」○誠の心を開きて相示す義。韓愈詩「刳肝以爲紙、──以書辭」
したたれるしる。
ちゃん、松脂 マツヤニ に油を加へて煉り合せたる塗料。
忠誠の心を盡す、肝瞻を披瀝すう。宋史、倪思傳「誰肯披肝──、觸冒威尊」
はらわたにそそぐ。齊書、何昌寓傳「痛入骨膸──紓憤」
したたる。したたり。海賦「──滲淫、薈蔚雲霧」=滴瀝。
○水の聲。于武陵詩「入戶風泉聲──」○風の聲。逸士傳「許由隱箕山、人遺一瓢、飮訖挂於樹上、風吹──有聲」=淅瀝。
ロ [虞]
川の名、雲南省に出で四川に入りて揚子江に會す。蜀志、諸葛亮傳「五月涉─、深入不毛」
①ロウ リウ [東]
②サウ·ソウ [江]
③ラウロウ [江]
①雨の降る貌。○ひたす(漬)うるほす。
②川の名。○州の名。○─岡 サウカウ は山名、江西省永豐縣沙溪に在り。歐陽修に─岡阡表あり。
③はやせ(奔湍)「奔─」「驚─」○ 國 タキ 瀑布 タキ の義とす。
17畫
エイ [庚]
○──は水の聲。柳宗元、鈷鉧潭西小邱記「──之聲與耳謀」○澴─は水のうづまく貌。
①エイ [迥]
②ベイ [迥]
①─涬は大水の貌。
②─溟は水の甚だ遠き貌。
①サン [豏]
②セン [琰]
─灂は小さき水の聲。又、魚のうきしづみする貌。
ジャウ [陽]
──は露の濃かなる貌。詩、小雅「零露──」=穰穰。又、水の光の開合の貌。
セン [鹽]
○うるほす(洽)ひたす(漬)漸に通ず。○纔かに水ある貌。○ほろぼす。=殲。
①ビ·ミ [支]
②ビ·ミ ベイ [紙]
①渺─ ベウビ は水の曠 ヒロ く遠き貌。木華、海賦「渺─湠漫」
②──は水の流れる貌。詩、邶風「河水──」○水の滿つる貌。詩、邶風「有─濟盈」
ひろがりはびこる。
ヤク [藥]
○にる(煮)○ゆびく。○あらふ(滌)○はやし、流疾し。
ラン [寒]
○なみ、大いなる波「洪─」「狂─」「驚─」○なみたつ。又其の形容。
さざなみ。爾雅「──、水波也」=漣漪·漪瀾。
波の長くうねる貌。木華、海賦「洪濤──、萬里無際」
なみ。孫綽詩「鶯語吟修竹、游鱗戲──」=濤瀾。
おほいなるなみ。新論「懸瀨碧潭、──洶湧」=波瀾。
さざなみのもやう。張融、海賦「──復動、波色還驚」
○淋漓 シタタル たる貌。又、分散する貌〔王襃、洞簫賦〕○物の亂雜なる貌。淮南、覽冥「夏桀之時、主闇晦而不明、道──而不修」
淚の流れる貌。元稹詩「今君爲我千萬彈、烏啼啄啄淚──」
レン [琰]
或は澰に作る
○うかぶ(泛)○みぎは、なみうちぎは(波際)潘岳、西征賦「靑蕃蔚乎翠─」○ひたす。○水のあふれる貌。
水のあふれる貌。又、水の動く貌。木華、海賦「浟湙──、浮天無岸」灩は灧。
なみなみと酒をつぐ。明宣宗詩「力飮何妨───」
水のあふれる貌。又、さざなみの起る貌。楊蘷詩「春江──淸且急」
18畫
クワン [翰]
○そそぐ(漑)水をそそぎかける「浸─」「─漑」○水が流れこむ。莊、秋水「百川─河」=注。○のむ(飮)「賜─」○あつまる、むらがる(聚)○叢生する木「─木」○酒を酌み地にそそぎて神を降して祭る。=祼。○──は誠を盡して相告げる。詩、大雅「老夫──」=款款。又、水流の盛んなる貌。漢書、地理志「方──兮」
同訓異義
ソソグ 灌·注·沃·澆·漑·濺·洒·瀉の别は注(水部五畫)の條を見よ。
河水の灌漑する區域。=流域。
はたけに水をそそぐ。史、齊世家「爲人──」
水をそそぐ。漢書、溝洫志「可各順從其性、毋復──、則百川流行、水道自利」=澆漑。
耕地に水をそそぐ。杜甫詩「方春日荷鉏、薄暮還──」
田畝に水をそそぎて物をうゑつける。郭璞、椒賦「椒之──、實繁有倫」
野菜に水をそそぐ。陸游詩「抱甕何妨日──」
いけに水をそそぎ入れる。韓愈詩「──纔盈五六尺」
佛 諸佛大悲の水を、受戒して彿門に入る者の頂に灌ぎて、佛果を得しむる「結緣──」祕藏記「以到佛果名──」
肛門 コウモン より大腸に藥物を注入する治療法「滋養──」
○そそぐ、ほとばしる。班固、西都賦「源泉──」○水をそそぎかける。=灌漑。
佛 陰曆四月八日の釋迦の誕生日に、其の像に甘露水をそそぐ佛事。南史、劉敬宣傳「四月八日見衆人灌佛」我國にては、推古天皇の朝より始まる。
一根より叢 ムラガ り生ずる木の總稱。詩、周南「黃鳥于飛、集于──」
草木の盛んに生ずる義。柳宗元、龍興寺東丘記「抵丘垤、伏──」
○水をそそぎかける。○善き訓を心につぎこむ。李綱詩「豈無葛稚川、妙論資──」
サク [覺]
○水の小さき聲。○瀺─は游魚の出沒する貌。閒居賦「游鱗瀺─」又、石の水中に出沒する貌。又水の流れる聲。
法(水部五畫)の古字。
ホウ [東]
川の名、陜西省鄠縣の東南終南山に出で、咸陽縣に至りて渭水に入る。書、禹貢「─水攸同」
19畫
灩(水部二十八畫)の俗字。
サイ シャ [蟹]
或は洒に作る
○そそぐ(濺)すすぐ、水をまきそそぐ。○ふるふ(揮)梁書、武帝紀「涕淚所─」○うかぶ(汎)○わかつ(分)ちる(散)わかる、ちらす。○なげうつ(擲)西征賦「─釣投網」○─然は驚く貌。○かぎ(鉤)○大いなる瑟 コト ○──は絕えざる貌。○蕭─は塵垢なき貌。
なみだをながす。何遜詩「已矣將何如、賓馭皆──」=灑淚、揮淚。
絕えざる貌。又、分明なる貌。貴耳錄「先後次序數百言、──可聽」
水をそそぎ帚 ハハキ にて地をはらふ、灑は酒、埽は掃に同じ。詩、大雅「──庭内」
前條に同じ。論、子張「當──應對進退則可矣」
驚く貌。莊、庚桑楚「庚桑子之始來、吾──異之」
ちりをあらひそそぐ。論衡「濕堂不──、卑屋不蔽風」
そそぐ。曹植文「和氣致祥、時雨──、野草萌芽」
陰曆七月六日に降るあめ、牽牛·織女二星の會合を妨ぐる意。荊楚歲時記「七月六日有雨、謂之───、七日雨則云洗車雨」
さっぱりとしたる貌。宋史、張泊傳「風儀──、文采淸麗」=洒落。
①タン [寒]
②ダン [翰]
③タン [覃]
①せ(瀨)はやせ、水淺く石多くして急に流れ、舟行の困難なる所。
②水の奔り流れる貌。
③涒─ トンタン は太歲の申に在る稱。○ 國 ナダ あらうみの航路「遠州─」「播磨─」
はやせのやかましきおと。何中詩「潮生──盡、海近夜涼歸」
前條に同じ。杜甫詩「黃牛峽靜──轉、白馬江寒樹影稀」
ビ [紙]
○水の流れる貌。○滾─は雪霜の貌。淮南、原道「雪霜滾─」
21畫
カゥ [皓]
○ひろし(廣)○大いなり。
たひらかにはてしなくひろ(夷曠)き貌。法言、問神「虞夏之書、渾渾爾、商書──爾」說文「──猶漫漫夷曠也」
ハ [禡]
川の名。陝西省に在り、長安の附近を流れて渭水に入る、一に霸に作る。
長安の東に在る橋の名。三輔黃圖「──在長安東、跨水作橋、漢人送客至此橋折柳贈别」
詩思を構へるに適する場所。全唐詩話「相國鄭綮善詩、或曰、相國近爲新詩否、對曰、詩思在灞橋風雪中、驢子上、此何以得之」
ショク [沃]
──はうやうやし(恭)=屬屬。
22畫
ワン [删]
○いりえ(水曲)海に限らず、すべて水の弓狀 ユミナり に入り込みし所。沈佺期詩「舟險萬重─」○海の入江「膠州─」「廣州─」○銀─は天河 アマノガハ ○ 國 ワン 港の大なるもの「東京─」
いりえのいそ。王逢詩「社酒吹香新燕飛、遊人裙幄占──」
水のめぐれる川のくま。黃庭堅詩「菰蒲鷗鳥樂──」
水の弓狀に入り込む貌。柳宗元、遊宴南池序「零陵城南環以羣山、延以林麓、其崖谷之委會、則泓然爲池、──爲溪」
水が入江になりて陸地に入りこみてゐる。
太西洋中の赤道流の一、墨西其灣より東北流して歐洲の西岸に至りてまた北流するもの。
灣と灣と相對する。李東陽詩「三十六灣───」
23畫
灩(次條)の俗字。
28畫
エン [豔]
又灧に作る灧は俗字
○瀲─ レンエン は水波のただよひうごく貌。又、水の滿つる貌。○─澦堆は、四川省奉節縣の西南に在り、三峽の一なる瞿唐峽の口に橫はる一大巖の名。入蜀記「晩至瞿塘關、關西門正對─澦堆」=淫預堆·猶豫堆。
月の水に映じて光る貌。何遜、望新月詩」的的與沙靜、──逐波輕」
みどりいろをうごかす。故都宮殿記「──魚池」