糸部
0畫
①ベキ [錫]
②シ [支]
①ほそいと(細絲)○極めて少しの分量、蠶の吐く一筋を忽とし、十忽を絲とし、五忽を糸とす。○かすか(微幺)
②俗絲(糸部六畫)の略字。
1畫
キウ [有]
糾(糸部二畫)に同じ。
雲がいりみだれて長く廣がる貌、兮は無意味の助字、十八史略、五帝紀に糺を禮に作る、蓋し禮の古字礼に誤りしならんか。
ケイ [霽]
○いとぐち(緒)いとすぢ(細縷)○つなぐ。つながる、かかる(繫)漢書、敍傳「─高頊之玄胄兮」つらなる(連)○つぐ(繼承)○ちすぢ(胤·血統)いへすぢ「世─」「帝─」「先─」○つづきあひ(相聯屬)すぢみち「─統」○山─は山脈の連り續くもの。
同訓異義
カカル 系·係·繫·掛·挂·懸等の别は係(人部七畫)の條を見よ。
ちすぢをひける親族。郁離子「不問其──」
ちすぢをひきたる遠き孫。舊唐書「柳宗元後魏侍中濟陰公之──」
代代のいへすぢを示したるかきもの。=系譜。
○いへすぢ、血族。○物事の順序次第を逐ひて連絡せるすぢみち。
系圖に同じ。宋史、藝文志「錢惟演錢氏慶──一卷」=譜系。
つながりまとふ。つながり。
2畫
キウ [有]
又、糺に作る、紏は俗字
○ただす(正·督)周禮、大司馬一以─邦國」しらべる(察)督察する。左、昭六「─之以故」○をさむ(收)收め合す。○もとる。もとらす(戾)○あつめる、あはす(結合)「─合」後漢書、荀彧傳「收離─散」○よる、なふ、あざなふ、繩を三すぢ合せてなふ。又其の繩。○まとふ、まつはる(繚)亂れてからみつく「紛─」○むすぶ。むすぼる(結)
同訓異義
タダス 糾·正·規·繩·格·匡·董·訂·質の别は正(止部一畫)の條を見よ。
ただししらべる。後漢書、蔡茂傳「時陰氏賓客、在郡界、多犯吏禁、茂輒──無所囘避」=鞠按。
ただしいましむ。周禮「各掌其鄕之民數、而──之」
收 ヲサ めあはす。左、僖二四「──宗族于成周」
まつはる貌。詩、魏風「──葛屨」=繚繚(一解に稀疏 マバラ なる貌)
罪をただしあげる。梁書·徐勉傳「自掌樞憲、多所──」
まつはりむすぼれる。李白詩「枝枝相──」
つみをただししらべる。
もつれみだれる。賈誼、鵩鳥賦「雲蒸雨降兮、──相紛」=糾紛。
たたししらべる。後漢書、皇甫規傳「有司依違、莫肯──」=糾正。
もつれみだれる。宋書、恩倖傳「刑政──、理難遍通、耳目所寄、事歸近習」=紛雜·錯雜。
法を以てただす、繩は正。隋書、劉昉傳「身昵酒徒、家爲逋藪、若不──、何以肅厲」
ただす。晉書、石鑒傳「多所──、朝廷憚之」
つみをただしをさむ。晉書、慕容暐載記「今百姓窮弊、侵賕無已、兵士逋逃、相招爲盜、風頽化替、莫相──」
官吏などの罪をただして申し上げる。宋書、蔡廓傳「高祖以廓剛直不容邪枉、補御史中丞、多所──、百寮震肅」
あはせひきゐる。糾一に糺に作る。南史、祖皓傳「糺率義勇、立可得二三百人」
つみをただす。唐書、元稹傳「許方幅──」
つみをただしてしりぞく。晉書、律歷志「仲尼之撥亂於春秋、說襃貶──」
惡人をただして之を遠ざける、逖は遠。左、僖二八「以綏四國、──王慝」
こもごも相まつはる。史、賈誼傳「威之與德、交若──、且畏且懷、君道正矣」
あやまりをただす。書、冏命「繩愆──、格其非心」
○もつれみだれる。子虛賦「其山則交錯──、上干靑雲」○山川の重りめぐれる貌。李華、弔古戰場文「河水縈帶、羣山──」=糺紛。
繩の如くあざなひまつはる、糾は三合のなは、纆は二合のなは。史、賈誼傳「夫禍之與福兮、何異──」
明かにしらべただす。=糾察。
ただしたづねる。後漢書、蘇章傳「貪暴爲民患、前後監司、畏其勢援、莫敢──」
つみをただしてころす。後漢書、郭伋傳「示以信賞──渠帥、盜賊銷散」
ただしはげます。魏志、傅嘏傳「夫建官均職、淸理名物、所以立本也、循名考實、──成規、所以治末也」
3畫
ウ ク [虞]
○まがる(曲)かがまる(屈)屈曲する「囘─」○めぐる、まとふ、まつはる(縈)「縈─」「盤─」○なは(繩)○心がむすぼれる(鬱結)李白詩「寸心增煩─」
氣がむすぼれる。梵辭、九歎「志──其難解」=鬱紆。
まとひめぐる。黃公度詩「連山帶水自──」
うねりまがりてゆく。周禮「卻行仄行、連行──」
まがる。七發「湟池──」=紆繘·曲折。
心がむすぼれてのびず。馮衍、顯志賦「心怫鬱而──兮」
曲折する義。漢書、揚雄傳「超──之淸澄」
心がむすぼれてかなしむ、軫は隱痛。楚辭、九章「心鬱結而──」
行くことの緩 ユルヤ かなる貌。顧瑛詩「綠楊堤上行──」
まとひめぐる。後漢書、邊讓傳「振弱支而──兮、若綠繁之垂翰」=繚繞。
うねりまがる、紆餘曲折。
まとひつく。虞世南文「其爲狀也、則筋力──、殊文異制」
まがりめぐる。蔡襄詩「山路何──」=盤紆。
○うねりまがる。上林賦「──逶迤、經營乎其內」○才氣が十分にありてゆったりとせる貌。韓愈、進學解「──爲妍、卓犖爲傑」○文章ののびのびして迫らざる貌。蘇洵、上歐陽內翰書「執事之文、──委備」
キ [紙]
○しるす(記·識)すぢみちを立てて記す。韓愈、進學解「─事者必提其要」又、其の記錄。○歷史上特に天皇の事の本末を記せし篇。世家·列傳などの對「本─」○のり(法)みち(道)きまり(極)きまりをつける。晉語「禮以─政」をさむ(治理)○とし(歲)「─元」○一─は十二年。書、畢命「旣歷三─」○いとぐち(緒)○もとゐ(基)○こと(事)○すぢ(經)○あふ(會)○かず、ほど(數)○かなめ(要)○人の姓。─信は漢の高祖の將。○春秋時代の國名、今の山東省に在り。○世─は百年閒の稱。○ 國 日本書紀の略「─記萬葉」(記は古事記)
旅行の行程の記事。蘇軾文「作詩──者、多一時之傑」
名稱、年號。宋史、王覿傳「建中之名、雖取皇極、然重襲前代──、非是」
○國家ののり、おきて。小なるを紀、大なるを綱といふ。書、五子之歌「今失其道、亂其──」=典章法度。○とりしまる、をさめる。齊語「──齊國、裨補先君」
事ををさめる小役人。左、僖、二四「秦伯送衞於晉三千人、實────也」後世、人の僕を稱して紀綱、又、尊紀といふは此に本づく。
十八卷、明の戚繼光撰す、練兵備和の爲めに作る、分ちて十八篇と爲し、篇每に圖あり、其の詞、口語の如く文飾を加へず、其の曉解し易きに取る。
國 日本書紀と古事記との略稱。
終極の義。蕭子良文「如此輪囘、終何──」
○建國の初年。○年代計算の原始とする年、我國にては神武天皇卽位の年。西洋にては耶蘇降誕の年。
國 神武天皇卽位の常日卽ち二月十一日を祝ふ大祭日、三大節の一。
いさをを記する石ぶみ。唐書「距柳谷百里、其處有班超───」
しるす。釋名「紀、記也、──之也」
事實の經過を記する。又、其の文體、──は記·志の别名にして、野史の流なり、古、史官時事を記することを掌りて、耳目の逮ばざる所の者は、往往遺す、是に於て文人學士見聞する所あるに遇へば、手に隨ひて紀錄し、或は以て史官の採擇に備へ、或は以て史籍の遺亡を裨ふ、名同じからずと雖も、其の──たるは一なり〔文體明辯〕
漢の忠臣、項羽、高祖を滎陽に圍む、事急なり、信僞りて高祖となり代りて出で降る、高祖因りて脫するを得たり、羽、信を燒き殺す。
のりついで。史記「天下有道、則不失──」=秩序。
いさををしるす。隋書、音樂志「雲臺表効、司勳──、業竝山河、道固金石」
歷史の一體、本紀·列傳の體裁によりて、人物の行事を中心として記述せしもの。編年體·紀事本末體などに對する稱。
國 古、大學寮四科の一、主に史記·漢書·文選·爾雅等を授ける、其の敎官を紀傳博士といふ。=文學道。
記念の誤用。
○世紀と年月と。左傳「臣小人也、不知──」○歷史。李德林文「史者編年也、故魯號──」
○のり、おきて、規則。左、桓二「百官於是乎畏懼、而不敢犯──」=法令·法度。○軍法。
クヮン グヮン [寒]
白きねりぎぬ。熟絹、粗厚の者を練といひ、輕細の者を─といふ「羅─」「素─」「冰─」「輕─」
しろきねりぎぬと綾ぎぬと。宋書、武帝紀「上淸簡寡欲、後庭無──絲竹之音」=綺紈。
小牛。王融文「──露犬之玩」
しろきかとりぎぬ。歐陽修文「但欲借粉繪圖之掛──」
しろれりのはかま、貴族子弟の服。故に貴族の子を──子といひ輕蔑の意を帶ぶ。漢書、敍傳「出與王許弟子爲羣、在于綺襦──之閒」
白きねりぎぬのうちは。江淹詩「──如團月、出自機中素」
練りたるしろぎぬ。班婕妤詩「新裂齊──、鮮潔如霜雪」=素紈。
しろねりのきぬと細き葛布と。唐書、和政公主傳「諸子不服──」
コウ グ [東]
○くれなゐ、あざやかなる赤色「眞─」「深─」○べにぐさ。○べに。又、べにいろ。○くれなゐのはな。○古、工に通ず「─女」「女─」○功(力部三畫)に通ず。○刺─ シコウ は薔薇 イバラ の一名。
同訓異義
マカシ 紅·赤·丹·絳·緋·殷の别は赤(部首七畫)の條を見よ。
酒の異名。周必大題跋「宜興黃土村、去縣五十五里、東坡與單秀才、步田至焉、地主以酒見餉、謂坡曰、此──也」
○くれなゐのあめ。轉じて花にそそぐ雨。孟郊詩「──花上滴、綠烟柳際垂」○あかき花の散るに喩ふ。黃庭堅詩「自行──亂花閒」蘇軾詩「淨眼見桃花、紛紛隨──」
くれなゐのくも。翼聖記「玉帝所居、常有──擁之」
あかき葉、もみぢ。酉陽雜俎「史生遊華山、有一──、大如掌」
紅葉に詩を題して結婚の媒妁とせし故事、唐の禧宗の時、于祐、御溝に一紅葉を拾ふ、葉上に二句あり、曰く「慇懃謝紅葉、好去到人閒」と、祐乃ち又一葉に「曾聞葉上題紅怨、葉上題詩寄阿誰」と題して上流に放つ、宮女韓夫人これを拾ふ、後に祐と韓夫人と婚を結べり、時に夫人又詩を作りて曰ふ「一聯佳句隨流水、十載幽思滿素懷、今日卻成鸞鳳友、方知紅葉是良媒」と〔太平廣記〕
楓 カデ への異名。杜牧詩「停車坐愛楓林晚、霜葉──二月花」に本づく。
くれなゐのゆふやけ。韋充、餘霞散成綺賦「白日欲落兮、——始生」
赤きかに。嶺表錄異一──殼殷紅色、巨者可以裝爲酒杯也」
あかささげ〔吳端本草〕
くれなゐの色の十分なる義。王安石詩「柳葉鳴蜩綠暗、荷花落日──」
○あかくうつくしきかほ。少年をいふ。劉廷芝詩「此翁白頭眞可憐、伊昔──美少年」○美人の顏をいふ。漢武帝賦「包──而弗明」
あかきにしき。南史、東昏侯紀「帷帳及步障、皆袷以綠──」李白詩「靑黛畫眉──靴」
鯛。=棘鬛魚。
○美人のはだの色の形容〔西京雜記〕○寶玉の名、ルビ─、鋼玉石の一種。
あさひ。吳融詩「有時──見蓬萊」=紅暾。
あかきはちす。張籍詩「桂花半落──垂」=紅蓮·紅荷。
あかきもすそ。轉じて妓女の稱。杜甫詩「越女──濕、燕姬翠黛愁」
○べにはな、越年生草、園圃に栽培し、臙脂 ベニ 及び紅色顏料とす。=紅藍花。○赤き色の花。
赤く塗り飾りたる室、美人のねや。王諲詩「君不見──少女端正時」
あかきにじ。七啓「慷慨則氣成──」
喇嘛敎 ラマケウ の舊敎。
あかきほほ。韓愈詩「白咽──長眉靑」
もみ、紅色の無地の絹。
くれなゐのけしゃう。妝臺記「梳神仙髻、皆──翠眉」
くれなゐのかけはし。陸游詩「翠崖──鬱參差」=朱棧。
べに。袁恕己詩「豔粉──映寶鈿」=臙脂。
くれなゐと、むらさきと、竝に閒色。論、鄕黨「──不以爲褻服」
あかきひ、あさ日。王建詩「蓬萊正殿壓金鼇、──初生碧海濤」=紅旭。
支那の赤十字社。
くれなゐの口びる。美人の口をいふ。=朱脣。
○秋のもみぢせる木。司空圖詩「──謝村秋」○春のあかき花ある樹。歐陽修、遊春詩「──靑山日欲斜」
國 危險を冒して人命を救助せし者に賜はる襃章。
くれなゐ色にうるほふ。酉陽雜俎「忽有一葉大如掌、──可愛、隨流而下」
あかきともしび。開元天寶遺事「楊國忠子弟、每至上元夜、各有千炬──、圍于左右」
あかき花のしべ、蘂は蕊。宋之問詩「靑林暗換葉、──續開花」
美人蕉の一名、花は蘘荷 メウガ に似て色あかし、支那の南方(閩廣)に多し〔嶺南雜記〕
あかし。異苑「水色──、有自然石橋」
あか色の詩などを書く紙。妝臺記「吳絳仙以──進詩」
べにと、まゆずみと。劉勰文「──飾容、欲以爲豔」
あかきもものはな。薛能詩「最憶──竹外斜」
ひをどしのよろひ。
○塵氣日に映じてあか色を爲す。班固、西都賦「──四合、煙雲相連」○うき世の煩はしき俗事。又、熱鬧繁華の事に喩ふ。徐陵詩「──百戲多」
汁の色が赤味を帶びる煎茶。綠茶の對。
はた織るをんな、紅は工。漢書、酈食其傳「──下機」
○酒にゑひて顏が赤くなる。蘇軾詩「──登頰醉檳榔」○女子のつきのもの〔牧樓記〕=月經·月事·天癸。
一名は相思子、支那の嶺南に產す蔓生の木にて幹高さ丈餘、葉は羽狀複葉、秋、小花を開く、花冠は蝶の形を爲す、子は大さ豌豆の知くにして微扁〔廣東新語〕
あかきともしび。王建詩「──一夜剪刀寒」=紅燭。
赤色の躑躅 ツツジ =紅躑躅。
くれなゐのあさひ。=紅旭。
あか色の花。葩は華。何承天詩「──迎春開」=紅花。
あか色の花のさく梅。
くれなゐと、しろと。李白詩「──花開煙雨中」
あか色の琥珀。柳毅傳「錢塘君出──盤」
べにと、おしろいと。杜審言詩「──靑蛾映楚雲、桃花馬上石榴裙」(靑蛾は靑き黛 マユズミ にて畫きし眉)
べにと、おしろいとにてけしゃらする。糚は粧に同じ、妝の俗字。古詩「娥娥───、纖纖出素手」木蘭歌「易却紈綺裳、洗却鉛粉粧」
西洋人をいふ。毛髮赤きが故。次條參看。
和蘭人の異稱、番は蕃 エビス 〔明史〕
あかきあわ。珊瑚鉤詩話「丹砂煉爲黃金、以染筆、入石不去、名曰──」
芍藥 シヤクヤク の異名。謝朓詩「──當階翻」
○くれなゐのうすぎぬ。李白詩「紅羅袖裏分明見」○茘枝 レイシ の異名〔續茘枝譜〕
あか色のらふそく。皮日休詩「夜半醒來──短」
あかね草の異名。史記、注「茜音倩、一名──」
ひごひ。白居易詩「船頭有行竈、炊稻烹──」=赤鯉。
女子のなみだ。麗情集「灼灼(錦城の官妓)以輭綃聚──爲寄」
○あか色のはちす。○ グレン 佛 八寒地獄の一、紅蓮地獄。
朱ぬりのたかどの、富家の女の住居。白居易詩「──富家女、金縷繡羅襦」
活火の上に一點の雪をおけば忽ち解く。道を悟りて胸中に滯礙なきに喩ふ。續近思錄「顏子克己、如──────」
コツ ケツ [月]
○つかぬ(束)○絲が下る。○人の名、叔梁─は孔子の父。○囘─は人種の名、今の外蒙古地方の土人。=囘鶻。
ジン [眞]
○なは(索)絲を合せて繩と爲す。○いと(縷)○印のひも。○針に絲をとほす。禮、內則「衣裳綻裂、─箴請補綴」「補─」「縫─」○つづる(綴)
シュン ジュン [眞]
○のり(法)淮南、精神「以道爲─」○まるうちのひも(圓絛)禮、內則「織紝組─」○したがふ。=循。
チウ [有]
○しりがい(馬緧)○殷の天子の名、暴虐無道にして周の武王に亡ぼさる、夏の桀王と竝稱して桀─といふ。諡法「殘忍捐義曰─」
ヤク [藥]
○つかねる、むすぶ、くくる、たばねる(纏束)「─束」ひきしめる。論、雍也「─之以禮」○つづまやか、つづまやかにす「儉─」奢らず。論、里仁「以─失之者鮮矣」○はぶく、へらす「簡─」「守─」○しめくくり(要會)○くるしむ(窮)くるしみ。論、里仁「不仁者、不可以久處─」○とどまる(止)○あらかじめ期日を定める。又、其の期日。○ちかふ、ちかひ(誓·盟)○あかし(證)○おほむね、ほぼ(大略)「大─」「─略」○なは(繩)○淖─は柔弱 シナヤカ なる貌。○隱─ははっきりせざる貌。
進みて人に說くには、先づ其の人の了得 サトリ し易き所より說き入るべき喩〔易、坎卦〕
やくそくの箇條。
約束してむすぶ。後漢書、李通傳「遂相──定謀」
ことばをつづまやかにしてはぶく。禮、坊記「君子──」
つづまやかにしまる。漢書、杜鄴傳「陛下行不偏之政、每事──非禮不動」=儉約。
おのれの身に奉ずるにうすくする。後漢書「孝文帝──薄賦」
ことばでやくそくする。曲禮「──曰誓、涖牲曰盟」
くるまをそなへる、約は具。戰國策「王爲──、載百金」
國際閒に結ばれたる約束の法文。
甲數が乙數にて割りきれるとき乙を甲の──といふ。
つづまやかに、はぶく。漢書、刑罰志「可蠲除──者」=儉省·省約。
ちかひ。ちかふ。詩經、箋「執其手與之──、示信也」
約言に同じ。
つづまやかにして飾らず。唐書、郝處俊傳「──、土木形骸」
○つかぬ。○とりきめ、ちかひ。史、司馬穰苴傳「臨軍──」
俗 約定書。
やくそくしてきめる。
つづまやかにしていましむ。蘇軾詩「家人自──」
困窮の境遇に居る。人物志「雄悍之人、可與涉難、難與──」=處約。
くるしみ(困窮)の境遇にをる。論、里仁「不仁者不可以久──」
ことばつづまやかにして意通ず。禮記「其言也、───、微而臧」
約束にそむく、爽は違。李商隱文「文侯校獵寧──於虞人」=違約。
ちかひ。ちかふ。楊萬里詩「筆硯工爲崇、湖山苦──」=盟約·約誓。
あらまし、大槪 タイガイ 白居易詩「與君──說杭州」
つづめて論ずる。又、其の論。
4畫
ウン [文]
○みだる、ごたつく(亂·紛)物が衆くして亂れる「紛─」○さかんなり(衆盛)
○衆くして亂れる貌。柳宗元、晉問「師師兟兟、溶溶──」○往來の盛んなる貌。白居易詩「牛馬走──」
カイ ケツ [霽]
髮をむすぶ、ゆふ。
綆(糸部七畫)に同じ。
キフ [緝]
○しな、くらゐ、次第、位次「等─」「勳─」「官─」○だん、きだ(階段)「階─」曲禮「拾─聚足」○しるし、戰場にて獲たる敵の首。秦の時、敵の首一っを得たる者には爵一─をたまふ制なりしに由る「首─」「俘─」後漢書、光武紀「斬首數千─」
しな、わかち。=等級。
數學にて一定の法則によりて增減する數を順次に排列せしもの。
しな、階段。=等級。
①キン [侵]
②キン [沁]
①おび(帶)ひも、衣を結ぶもの(衣系)
②ひとへのよぎ(單被)
クヮウ [庚]
○おほづな(綱維)○ひろし、大いなり(宏)淮南、精神「夫天地之道、至─以大」○はて(極)列、湯問「八─九野之水」○かんむりのひも、冠冕の系 ヒモ 「朱─」○磬をかける繩。
サ [麻]
通音シャ
○しゃ、輕くうすき織物(縠)「素─」「輕─」「窗─」絹の輕細なるもの。古、沙に作る。○轉じて、麻、又木綿のうすき織物をもいふ。 國 ○羅─ ラシヤ は毛織物の一。○更─ サラサ は金巾 カナキン に形模樣を印せしもの。○?─ フクサ はふろしきの上等のもの。又茶の湯のふきん。
しゃのづきん。劉長卿詩「向風長嘯戴──、野鶴由來不可親」
うすぎぬのはかま。白居易詩「淺色縠衫輕似霧、紡花──薄于雲」
しゃのちぢみ。漢書、江充傳「衣──襌衣」
しゃを張りたるまど。喬知之、從軍行「──白雲宿、羅幌月光棲」
しゃのかや。うすもののとばり。陸游詩「酣酣美睡付──」=紗帳。
しゃにて製りたるばうし。杜甫詩「掉頭──仄」
うすぎぬ。畫史「擧人始以──、爲長頂頭巾」
うすぎぬを張りたるかご。白居易詩「耿耿──燭」
宰相となるべき運命の人、唐の李藩、判官たりし時、能く人を相する新羅の僧あり、曰はく、判官は是れ────なり、凡そ宰相たるべき者は冥司必ず潛がに紗籠を以て之を護る、異物の擾す所たるを恐るればなりと、後果して相となりぬ〔原化記〕
①サク [藥]
②サク [陌]
①なは、つな、大なるを─、小なるを繩といふ「大─」「朽─」「繩─」○なふ、なはなふ(絞)なはをあざなひ作る。孟、滕文公「宵爾─綯」○ちる。ちらす(散)「─居」○──は心の安からざる貌。又懼れる貌。○─然は盡くる貌。つくす。又、さびし(寂寞)き貌。又、涕の下る貌。
②もとむ(求)さがす、たづねる(搜)「搜─」「探─」○好き者を擇ぶ。
同訓異義
ツクス 索·盡·殫·竭·罄·旣·殲·悉の别は盡(皿部九畫)の條を見よ。○モトム索·求·干·需·須·要·徼·邀·覓等の别は求(水部二畫)の條を見よ。
○書物の見だし。○さがし出す。易林「愛我嬰女、──不得」
○隱れたる事理をさがし求める。易、繫辭「探?──」○史記の注の名。唐の司馬貞著す。
さがしもとめる〔楚辭〕
散りはなれて居る。禮、檀弓「吾離羣而──、亦已久矣」=散處。
○おそれる貌。易、震卦「震──」疏「心不安之貌」○聲の形容。白居易詩「第一第二絃──」
○涕の下る貌。莊、徐無鬼「──出涕」○盡くる貌。歎逝賦「──已盡」○散らはる貌。晉書、羊祜傳「──俱散」
繩をなふ。詩、豳風「晝爾于茅、宵爾──」
人名。晉書、索紞傳「──字叔徹、明陰陽天文、善術數占候太守陰澹命爲西閣祭酒、紞辭焉、澹以束帛一禮之、月致羊酒」
てつをなはによる。淮南子「桀之力、制觡伸鈎、──歙金」
○ものさびしき貌。郝經詩「塞上詩懷尤──」=寂寞·蕭索·索寞。○神氣の沮喪する貌。王冕詩「──無言面如土」
索莫に同じ。
前條に同じ。方岳詩「太陽無光天──」=索莫。
きずあとをさがす。故らに惡事を摘發する。唐書、魏徵傳「今之刑賞、或由喜怒、或由好惡、好則鑽皮出羽、惡則洗垢──」=求瘢〔趙壹賦〕
くみたるかみ。隋書、突厥傳「──擎羶肉、韋韝獻酒杯」=辮髮。
國 サウメン 小麥粉をこねて絲の如くせし食物。
辮髮の人を輕んじていふ、南北朝時代に南朝の人が北朝の魏の人を指していひし語。
シ [紙]
或は帋に作る
かみ。東觀漢紀「黃門蔡倫、造意用樹皮及敝布魚網作─」
たこ、いかのぼり。獨異志「梁武太淸三年、侯景圍臺城、簡文縛──飛空、吿急於外」= 俗 鷂子。
かみにて造りたるよろひ。唐書、徐商傳「襞紙爲鎧、勁矢不能洞」
樂譜を刻みたる紙を機械にて轉ずれば自ら聲音を發する樂器。
あかりしやぅじ、障紙 シヤウジ 格は格子。靈谷閒抄「室中有穿──出入處」
著作のひろく世に行はるるをいふ。紙貴を見よ。
しみむし、きららむし、全身銀色を帶びて、三っの尾毛を有せる小蟲。=蠧魚·衣魚。
○かみにて造りたるかた。○活字板にて用ふる紙の模型。= 俗 紙版。
かみふだ。南史、齊江夏王鋒傳「好學書、張家無──」
かみのおもて。韓愈詩「字向──皆軒昂」=紙面。
てしょく、しそく、こよりに油をぬりてともすもの。
葬る時、紙にてぜにの形を作り、棺の中に入れるもの、六道錢。唐書、王璵傳「漢以來葬者、皆有瘞錢、後世里俗稍以紙寓錢、爲鬼事」
紙にてはりしまど。白居易詩「──明覺曉」
○かみのとばり。蘇軾詩「困眠得就──暖」○ 國 かみにて製せしかや。
かみ。紙に字を書くを田を耕すに喩ふ。楊萬里詩「只有書生拙、窮年墾──」
○かみのうら。柳宗元詩「──應勞手自題」○文書の背面。轉じて文章の奧そこの義理「眼光──に透る」
かみのはりふだ。
かみでっぱぅ、紙をまるめて彈丸としたる鐵砲、小兒の玩具。雜纂續「又愛又怕、小兒放──」
俗 活字の印刷に用ふる紙型 シケイ
かみと、ふでと。晉書、葛洪傳「伐薪以貿──夜輒寫書」
かみのひろさ。かみはば。
○さつ、通貨の代用をなす紙の手形。=楮幣。○神にささぐるぬさ。梅堯臣詩「竟持──挂廟陬、微風飄揚如喜收」
紙に書きたる書畫。絹本の對。范成大詩「生綃多俗格、──有眞豔」
○かみのおもて。剡溪集「溢生──」=紙上。○ 國 手紙「御──拜見」
かみの價高し、著書のよく行はるるにいふ、晉の左思、三都賦を作る、世人相傳寫して爲めに洛陽の紙價の騰貴したりといふ故事〔晉書、左思傳〕
ジン ヂン [沁]
又、絍に作る
○おる(織)はたを織る。○はたのいと(機縷)
はたおる。北史、蕭大圜傳「侍兒五三、可充──、家僮數四、足代耕耘」=織紝。
①ジユン [眞]
②ジュン [軫]
③トン [元]
①きいと(絲)論、子罕「今也─儉」○もっぱら(專)「精─」「貞─」○みな(皆)○まじりけなし「─粹」「─一」○いつはりなし、自然のままにてかざらず、天眞「─樸」「眞─」詩、大雅「文王之德之─」○よし(善)○うつくし(美)精しく好し。漢書、地理志「冰紈綺繡─麗之物」○大いなり「─嘏」○やまざること。○あつし(篤)「─孝」「忠─」○─如はやはらぐ貌。○一丈五尺の稱。
②へり、ふち、衣服の緣邊。儀禮、士冠禮「服纁裳─衣」
③つかぬ、たばぬ(纏束)「─束」布帛の一端。戰國策「錦繡千─」
まじりけなくもっぱら。晉書、帝紀總論「中林之士、有──之德」
正味のまうけ。=純利。
大いに全き幸福、純全の福。詩、大雅「──爾常矣」=景福。
まごころを以て篤く親に孝行をする、大孝。左、隱元「潁考叔──也、愛其母施及莊公」
極めてまことなり。晉書、許孜傳「性行──」=純誠。
まじりけのなき氣。正易心法「陰陽之──也」
まじりけなき毛色のいけにへ。高唐賦「進──、禱璇室」
まじりけなきこがね。南史、扶南國傳「常遺扶南王──五十人食器形如圖盤」=精金。
まじりけのなきしろがね。
まじりけなくいさぎよし。魏志、管寧傳「胡徵君、外同乎俗、內秉──、心非其好、王公不能屈」=純絜。
純然に同じ。
まじりなきくろ色。詩經、疏「桑葉茂盛而柔軟、則其色──」
まじりなきむらさき色。杜陽雜編「其色──、厚可寸餘、擧之則若鴻毛」
極めてまことなる忠臣、忠純の臣。左、隱四「石碏──也」
もっぱらなるまこと。李白詩「白鷺雖白非──」
眞の學者。後漢書、鄭康成傳「稱爲──」=醇儒·眞儒。
もっぱらにしてまざりけなくよし。漢書、孔光傳「太師光、聖人之後、先師之子、德行──、道術通明」=淳淑。
十分に熟する。蘇軾詩「眞源未──」
もっぱらなるまこと。莊、山木「──常常」
やはらげる貌。論、八佾「始作翕如也、從之──也」注「──、和諧也」
まじりけなし。史、蔡澤傳「名實──、澤流千里」=精粹·醇粹。
○まじりけなく正し。○純正蒙求 ジユンセイモウギウ 三卷、元の胡炳文撰す。○理論のみを主として應用に及ばず「──哲學」
極めて誠實なり。曾鞏詩「論高知峻節、交淡見──」
まじりけなき貌。=純乎。
まごころを以てする忠義。=敦忠。
まごころがありてしんせつ。後漢書、朱穆傳「刻薄稠而──稀」
まっしろ。莊子「機心存于胸中、則──不備」=粹白。
純粹にしてうつくし。=淳美·醇美。
國 詩歌小說等の美文の文學。
手あつくきぢのままにしてかざらず。莊、馬蹄「──不殘、孰爲犧尊」=純朴。
まじりけなきけいろ。
もっぱらにしてうるはし。漢書、楚王囂傳「夫行──而不顯異、則有國者、將何勗焉」=淳茂。
純良忠實なる官吏。三國志、注「王思郤嘉──也」
純益に同じ。
純粹なる理論。
まじめにしてすなほ、純正溫良。元史、成遵傳「得──者九人」
精好にしてはでやか。漢書、地理志「──之物」=精好華麗。
ショ [魚]
通音ジョ
○ゆるむ、ゆるし(緩)舒に通ず。○とく(解)やはらげる「─憂」左、僖二一「─禍也」○とける、やはらぐ、和解する。左、文六「難必─」
ソ ス [遇]
○白色のきぎぬ(生帛·生絹)禮、雜記「純以─」○しろし(白)「─絲」「─衣」むぢ(無色)○きぢ、したぢ、すなほ、かざりなし「質─」「儉─」呂覽、勿躬「不雕其─」○こころざし(志)○むなし、ただに、ただ(空)いたづらに。孟、盡心「不─餐兮」○したぢ(豫備)あらかじめす、前に計畫する。楚語「夫謀必─、見成事焉」○もと、もとゐ、はじめ(本始)○つね(常)「平─」○むかし(故舊)「─交」○現に其の所に在る義。中庸「君子─其位而行」○もとより(元來)史、項羽紀「陳嬰─信謹」○なりたち(性質)○しろ(原料)○まこと(誠)心のぞこ、眞情。鄒陽獄中上書「具情─」○もとむ。中庸「─怪行隱」(一說に索の誤)○ 國 物質のもと。其の以上に分析 ブンセキ すべからざる原質「元─」「水─」「酸─」
同訓異義
モト 素·本·原·舊·故·元·雅·職·主の别は本(木部一畫)の條を見よ。
しらかべ。後漢書、呂强傳「樓閣相接、丹靑──」=白堊。
しろきころも。禮記「大夫士去國、──素裳素冠」陸機詩「京洛多風塵、──化爲緇」=白衣。
もとよりのおもはく。張衡、思玄賦「怨──之不逞」=素志。
白き花。陸龜蒙、白蓮詩「──多蒙別豔歎、此花眞合在瑤池」
もとのおこり。=原因。
しろき色のはね。張華、白鳩篇「白雀呈瑞、──明鮮」=白羽。
しろきからす。班固賦「啓靈篇兮披瑞圖、獲白雉兮效──」
しろきかげ。范榮、殘雪賦「亂──於夜月」
しろきしる。左思、魏都賦「墨井鹽池、玄滋──」
月の異名、白き色の嫦娥の義。羅公遠傳「明皇遊月宮、見──十餘人、皓衣乘白鸞、舞於桂下」=嫦娥。
しろききぬがさ。劉楨詩「輦車飛──、從者盈路傍」
年來のまじはり。杜甫詩「──零落盡、白首淚雙垂」=素故·舊交。
○其の現在の分に應じて正しく行ふ。中庸「君子素其位而行」○ 國 平生のおこなひ「──調查」
しろきかほ、すがほ。李白詩「綠酒洒丹液、靑娥凋──」=素面。
しろきはだへ。又したぢのはだへ。白居易詩「紫籜拆故錦、──擘新玉」
秋の氣。宋史、夏侯嘉正傳「秋之爲神、──淸泚、肅肅翛翛、羣籟四起」=商氣。
しろきひかり。陸機詩「淸露墜──」
しろきたづな。齊喜平中謠「白馬──西南馳」
かざりなきこと。禮記「祥之日鼔──」
しろきたま。左思、吳都賦「紫貝流黃、縹碧──」
もとよりのおもひ。韋應物詩「──出塵意、適有擕手客」
しろき光。月光にいふ。朱熹詩「川谷流──」
淸貧なる官職。南史、江淹傳「我本──、不求富貴」
しろききぬ。成公綏、隸書體「爾乃動纖指、擧弱腕、握──、染玄翰」
もとよりのねがひ。晉書、宋纖傳「今當命終、乞如──」=素望·宿願。
しろきにじ。魏文帝詩「白旄若──」=白虹。
常綠灌木の一、花は苿莉に似て四瓣にして光る。
しろき月のひかり。古樂府「昭昭──明、輝光燭我牀」=皓月·皎月。
しろと、くろと。東都賦「器用陶匏、服尙──」
○しろききぬ。李白詩「牋麻──排數廂」○ 國 白き僧衣。
しろきかとりぎぬ。元稹詩「十匹──功未到」
しろきいさご。李紳詩「──見底空無色」
しろきつめ。李宣古詩「忽揮──畫七絃、蒼崖劈裂逬碎泉」
すがほのままにしてさっぱりとよそほふ。揮麈餘話「安妃──無珠玉、綽約若仙子」
彩色などを施さざるにすがた。張蠙詩「古巖雕──、喬木挂寒燈」
もとよりのこころざし、年來の希望。任昉文「宿心──」=素意·宿志·素望。
白く美くしきは。傅休奕詩「低頭和顏色、──結朱脣」=皓齒。
秋の異名、秋の色は白し、故にいふ。抱朴子「──厲肅殺之氣」=素商。
○平民の人家。=素族。○白ぬりの家。=白堊之室。
きぢ、もとよりの性質。爾雅「──五彩、皆備成章、曰翬」=本質。
○平生よりならふ。五代史、唐明宗家人傳「明宗曰、汝將家子、文章非──、必不能工」○平生のならひ。
○心の潔白なる義。顏延之文「弱不好弄、長實──」○本心。李白詩「──愛美酒」
白木のくるま。史、殷紀「剪瓜斷髮、──白馬」
白きくるまと白き馬と。喪に用ふるもの。轉じて降を乞ふ時に用ふ。史、高祖紀「秦王子嬰────、係頸以組、封皇帝璽符節降軹道旁」
秋の異名。梁元帝纂要「秋曰──、亦曰高商」=素秋·素節。
しろきたなごころ。楊愼詩「金仙──晞金露」
○白く美くしき手。古詩「娥娥紅粉妝、纖纖出──」○ 國 スデ からて。=徒手·赤手。
○何事も爲さずして食ふ。詩、魏風「彼君子兮、不──兮」=素餐。○菜食にして肉なし。漢書「昌邑王典喪不──」=蔬食。○ ソシ 平生の常食物。禮喪服傳「旣練飯──」
しろきはなのしべ。劉孝綽詩「──映華扉」
しらゆき。司馬相如賦「──飄零」=白雪。
○秋の異名。歐陽修詩「──今已屆」=素商·商節。○明かにいさぎよきみさを。喬知之詩「丹心──本無求」=亮節。
白きほほひげ。韋莊詩「──靑骨舊風姿」=白髯·雪髯·霜髯。
月の異名。韓琦詩「露重翻香芰、雲疎點──」
しろきくみひも。檀弓、疏「用──爲纓」
白きかとりぎぬ。鮑照、詠白雪詩「無妨玉顏媚、不奪──鮮」
しろきあし。李白詩「東陽──女、會稽素舸郞」
平民。齊書、高帝紀「吾本布衣──、念不到此」
次條に同じ。
其の職を勤めずして徒に官祿を食む。詩、魏風「彼君子兮、不──兮」=素飱·素食。
國 意義を解くことなく。只文字を讀むのみをいふ。
しろきなみ。水經、注「水深不測、──自激」
もとよりののぞみ。柳宗元文「自視缺然、知其不盈──久矣」=素志。
しろし。淮南子「直立而不撓、──而不汚」
月の異名。宋孝武帝詩「月羽皎──」
しらが。潘岳賦「──颯以垂領」韋應物詩「兩鬢生──」=白髮。
したぢからの貧乏。漢書、揚雄傳「──嗜酒」
平素よりなでいつくしむ。魏志、張範傳「士不──、兵不練習、難以成功」
しろききもの。禮記「日食則天子──、而修六官之職」
すぐれたるかねもち、封土なけれども其の富、封侯に等しき義。史、貨殖傳、注「今有無秩祿之奉、爵邑之入、而樂與之比者、命曰──」
きぢのままにてかざりけなし。漢書、賈誼傳「百姓──、獄訟衰息」=素樸。
前條に同じ。
國 ○無點の漢書、白文の書。○訓點注釋などのなき書物。
○しろきかほ。又すがほ。太眞外傳「自衒美豔、常──朝天」○ 國 スメン 擊劍などの時、めんを被らずしてたたかふ。
いやしきいへすぢ、寒素の族。又、其の者。任昉文「臣──凡流、輪翮無取」
醫學の書の最も古きもの、黃帝と岐伯との問答の語を記す、未だ必ずしも上古に成りしにあらざるも、周秦閒の人の舊聞を傳述せしもの、漢以後の書にあらず、唐の王冰注二十四卷あり。
平常に德を修める。漢書、李尋傳「馬不伏櫪、不可以趨道、士不──、不可以重國」
己の本分に安んずる義。易、履卦「──往、无咎」=素行。
しろきねりぎぬ。唐書、駱賓王傳「張九齡、如輕縑──、實濟時用而窘邊幅」
其の位なくして王たるの德ある人。杜預、左傳序「說者以爲、仲尼自衞反魯、修春秋立──、丘明爲素臣」(素臣は素王の臣)
素袍に同じ。
國 其の人のおひたち。
國 すあぅ、古の平民の服、後世は武家の侍の禮服とす、形直垂の如く上下同色の布にて仕立てる。=素襖。
國 うはぐすりをかけざる陶器。
ダフ ナフ [合]
○いる(入)內に入れる、をさむ(収)取り入れる。出の反對「出─」○うける(受)○いたす(致)曲禮「─女於天子」○をさめ、る、官にさし出す「─稅」「上─」○引き進める。○たてまつる、捧げる(奉·獻)○をさまる。をさめる(藏)書、金縢「乃─册於金縢之匱中」○── ダフダフ は濡ひしめる貌。劉向、九歎「衣──而掩露」 國 ○ ヲサム 仕舞ふ、終へる。○ オサメ はて(最終)「見─ ミオサメ 」「─會 ナフクワキ 」
同訓異義
イル 納·入·內·容の别は入(部首二畫)を見よ。○ヲサム納·修·治·理·收·斂·藏·御の别は修(人部八畫)の條を見よ。
周代結婚の六禮の一、吉トを得て納れる〔禮、昏義〕
國 一年の最終の會合。
○舜の時の官名、上の言を出し、下の言を納れることを掌る〔書、舜典〕○ 國 ナコン 大納言·中納言·少納言の總稱。
物ををさめたてまつる。魏志、陳留王紀「承風嚮慕、遣使──、以明委順」=獻納。
金錢を上納する。又其の金錢。
をさめずみ。=完納。
降服の義。
臣の女をきさきにいる。後漢書「光武擊王郞、至眞定──」
みつぎをいれる。晉書、潘岳傳「方今四海會同、九服──」
死者の遺骨を寺などにをさめる「──堂」
結婚を申し込む時の贈物、采は其の女を采擇する義。禮、昏義、疏「──者、謂采擇之禮用鴈」
ざんげんを信じてきき入れる。漢書、杜欽傳「晉獻被──之謗、申生蒙無罪之辜」
入り日。書、堯典「寅餞──」
うけをさめる。漢書、王尊傳「上初──章言」=受納。
夷人が方物(地方の物產)を貢獻する、職は貢。淮南子「海內賓伏、四夷──」
ぜいををさめる。蘇軾詩「賣牛──坼屋炊、慮淺不及明年饑」
善き言を納れ用ふる。南史、齊豫章王嶷傳「坦懷──」
天子に臣の女を奉る、納は致。曲禮「──於天子」
○ゆひなふ。周代結婚の六禮の一。儀禮、昬禮「──玄纁束帛儷皮如納吉禮」注「徵、成也、使使者納幣以成昏禮」○取り立てる。漢書、王莽傳「以所益──錢千萬、遺與」
物を包容するをいふ。杜甫、野望詩「──乾坤大」
をさめる。=納附。
國 さかもりの終るしるしとして最後に主人にさすさかづき、をさめの杯。
納入に同じ。
ゆひなふ。禮、雜記「──一束」=納徵。
國 出版の際、著者·出版者より政府にをさめる見本。
すずむ。すずみ。徐陵詩「──高樹下」
國 ○年貢類をとり收める所。○寺院にて寺務をとり扱ふ所。又、其の役僧。
國 承知する、得心する。
國 衣服·家具などを入れ置くへや。
タン [感]
○冠のみみふさぎ(瑱)を懸けるひも「衡─」○衾 フスマ の緣飾 ヘリカザリ 儀禮「緇衾頳裏無─」○──は鼓をうつこゑ。
鼓を擊つ聲。孔平仲詩「──有如打雨鼓、星河漫漫參在戶」謝翺詩「武昌城頭鼓──」
ヂウ [有]
通音チウ
○ひも、結ぶに用ふる絲(系)○かかる(係)○むすぶ、ゆふ、つかぬ(結·束)○もとづく(本)莊、人閒世「禹舜之所─也」○むすびめ。○印のつまみ(印鼻)淮南、說林「龜─之璽」=鈕。
チン イン [軫]
牛のはなづな、牛の鼻につけてひく繩。禮、少儀「牛則執─」
ハゥ バゥ [養]
○つむぐ、うむ麻や綿などを引きのばしより合せて絲にする「─績」「夜─」○つむぎたる絲、うみたる麻。○かく(懸)しばる(縛)晉語「獻子執而─于庭之槐」
いとをつむぐ具、輪ありて搖かし轉ずべきもの、故に車といふ。劉詵詩「月色夜夜照──、木綿紡盡白雪紗」
つむぐと、おると。紡績機織。開天遺事「或將照──機杼」
くつわむしの異名。=聒聒兒。
いとをつむぐに用ふるつむ。
いとをつむぐ。漢書、張安世傳「安世尊爲公侯、食邑萬戶、然身衣弋綈、夫人自──」=績紡。
いとまき。詩經、箋「──其所有事於紡績也」
文章を作り學問に通ずることを紡績に比していふ。
つむげるけ。吳均詩「──織野服、縫芰作山衣」
績 ツム ぎたるあさいと。趙孟頫詩「敎女學──、擧足疾且輕」
①ヒ [支]
②ヒ [寘]
②あやまる(錯)あやまり、まちがひ、錯亂する。○いとのふし(類)おりものの絲のふし。
②かざる(飾)白絲にて旗、又は冠のへりをかざる(緣邊)詩、鄘風「素絲─之」
あやまる。あやまり。禮、大傳「五者一物──、民莫得其死」=失誤·誤繆。
あやまりてもれる、疏率謬誤。世說新語に──篇あり。
フ フウ [尤]
白くあざやかなる衣の貌。詩、周頌「絲衣其─」
フン [文]
○みだる(亂)ごたごたともめる、ごたつく「─亂」老子「挫其鋒、解其─」○まぎれる、まがふ「─失」○──はおほし(衆)又、さかんなり(盛)又、動き擾ぐ貌。○むすぼる(結)○ゆるむ(緩)○はたのあし(旒)
同訓異義
ミダル 紛·亂·紊·棼·擾の别は亂(乙部十二畫)の條を見よ。
盛んなる貌。史、司馬相如傳「威武──」
○盛んなる貌。前條に同じ。○亂れる貌。楚辭、九歎「腸──以繚轉兮」○衆く亂れる貌。班固賦「萬騎──」
○盛んなる貌。楚辭、九章「──宜修姱而不醜兮」○亂れる貌。廣韻「──、亂也」
みだれしげる。韋應物詩「潯陽山水多、草木俱──」
絲のもつれを解く。轉じて人の爭を解く義とす。老子「挫其銳、解其紛」
かき亂して改めかへる。紛亂更易。史、汲黯傳「奈何乃取高皇帝約束、──之爲」
みだれふさがる。魏書、廣陽王傳「邊豎構逆、以成──、其所由來、非一朝也」
まじりみだれる。歐陽修詩「簿領朱墨何──」
みだれてやかまし。朱熹詩「茅茨幾時見、自此遺──」=囂紛。
みだれおこる。歐陽修文「異說──」
もつれたる議論。
みだれもつれる。史、孫子傳「解雜亂──者不控拳」=糾紛·糺紛。
紛爭に同じ。宋史、莊文太子傳「吏民──不一、徒見其擾」
○はでではなやか。漢書、食貨志「奇麗──、非其所習」○はなやかにしてにぎやか。=繁華熱鬧。
みだれてかまびすし。吳景奎詩「野人居處絕──」
わづらはしくいそがし。張九齡詩「至邑無──、來人但歡迎」
かまびすし、喧、一に諠に作る。鮑照詩「遯跡避──」=諠紛。
うちはもめ、もつれせめぐ。
赤き花、靑き葉の風にみだれ飄る貌。柳宗元、袁家渴記「────、蓊勃香氣」
みだれる。王漸逵、遊羅浮一賦「倏陰陽之盪割、渺昏曉之──」
みだれあらそふ。徐陵文「流化親朋、善和──=紛爭。
紛擾に同じ。
みだれ、もつれる。錢惟演、春雪詩「纔袞袞而──、更霏霏而交錯」
ごたごたと入りまじる。謝惠連、雪賦「霰淅瀝而先集、雪──而遂多」=錯糅。
まぎれてなくなる。
はでなるおごり。杜牧、阿房宮賦「秦愛──、人亦念其家」
みだれる貌。太玄經「鸞鳳──」=紛然·紛若。
入りまじりてわづらはし。後漢書、延篤傳「枝葉扶疎、榮華──」
みだれる。みだれ。漢書、武帝紀「何紛然其擾也」後漢書、朱浮傳「交易──、百姓不寧」=紛亂·紛騷·騷擾。
もつれまつはる。孫楚詩「吉凶如糾纆、憂喜相──」
みだれたがふ。唐書、蘇安恆傳「鬼神馮怒、陰陽──」
いりみだれて相うつ、拏一に挐に作る。爭亂の義。史、霍去病傳「漢匈奴──」
かまびすし。蘇轍文「叫號──、奔走吿訴」
みだれうごく。蘇轍詩「羣言久──、開卷每驚矍」
ごたごたと混雜する。紛至沓來。齊書、蕭穎胄傳「熊羆之士、十有五萬、征鼓──、雷動荊南」=雜沓。
わづらはしき俗事。
さきみだれたるはな。長笛賦「──爛漫、誠可喜也」
○花の亂れ咲く貌。杜甫詩「此節東籬菊、──爲誰秀」○物のばらばらに亂れる貌。蘇軾詩「誰道茅簷劣容膝、海天風雨看──」
みだれあやまる。道德指歸論「眩耀結構、──是非」
○ごたごたと煩はしき貌。孟、滕文公「何爲──然、與百工交易」○亂れる貌「落花──」=繽紛。○衆く盛なる貌。漢書、禮樂志「羽旄──」
みだれる。みだれ。漢書、述藝文敍傳「羣言──、諸子相騰」=擾亂·殽亂。
ブン [問]
みだる、みだす(亂)
同訓異義
ミダル 紊·亂·棼·紛·擾の别は亂(乙部十二畫)の條を見よ。
みだれすたる。隋書、牛弘傳「昔周德旣衰、舊經──孔子以大聖之才、開素王之業」
みだれくだける。水經、注「廟前有石碑、文字──」
みだる、みだす。
ブン モン [文]
○もやう、かた、あや、織物のあやもやう(織文)轉じて物のしわ(皺)にいふ「波─」「水─」「手─」○ 國 もん、もんどころ。家家に定まれる徽章「定─」「─章」「家─」
あやあるかとりぎぬ。王逢詩「風過細波生──」
國 もんどころ。
5畫
カン コン [勘]
こんいろ。深靑色に赤色を帶びたる色。論、鄕黨「君子不以─緅飾」= 俗 天靑。
手にてなでれば記憶を呼び起すといふ不思議の寳珠、唐の張說が人より贈られしもの〔開元天寶遺事〕=記事珠。
こん色と、くりうめ色と。字解參看。
藍銅鑛の一名。=銅靑石。
あをぐろきひとみ。蘇軾詩「──綠髮初謝事」
くろあをき色。范成大詩「曉霧朝暾──烘」=紺綠。
寺。劉長卿詩「──焚香淨」
寺。沈佺期詩「──澄夕霽、碧殿下秋陰」=紺宇。
鷸 シギ の異名。爾雅、翼「鷸翠鳥也、一名翠鷸、又名──」
顏料 ヱノグ の名、羣靑よりやや色濃し。又、其の色〔魏志、倭人傳〕
こん色のきれ地。魏志、倭人傳「特賜汝──句文錦三匹」
國 そめものや。
ク [虞]
くつかざり、履頭の飾「屨─」「靑─」
くつの緣のかざり〔儀禮、士冠禮〕
ケイ [迥]
ひとへもの、うすぎぬ(襌衣)中庸「衣錦尙─、惡其文之著也」詩經に─を褧に作る、同じ(尙は加ふ)
ゲン [先]
○いとを張りたる樂器の總稱、琴·瑟の類。○樂器に張るつるいと「大─」「小─」「二十五─」「絕─」又、弓の弦と通ず。○琴などをひく「─歌」「夜─」○古、琴瑟の調和するを夫婦の和諧するに喩ふ、故に婦の死するを斷─といひ、續娶するを續─といふ。
琴をひき詩をうたふ。論、陽貨「子之武城、聞──之聲」=弦歌·絃誦。
國 三味線をひく歌ひ女。=藝妓。
こと。後漢書、鍾皓傳「粹慮懿德、非禮不處、悅此詩書、──樂古」
樂器のいとすぢ。又總べて樂器の絲聲に屬するものをいふ。元稹詩「夜半月高──鳴」
琴をひき詩をうたふ。蘇軾詩「──嘗叨孟母隣」=弦誦。
サイ セイ [霽]
○ほそし、ちひさし(小)「短─」○すくなし、わづか(微·少)「些─」「微─」○こまやか、こまかし。○くはし「詳─」「精─」「委─」粗の反對。○かろし(輕)いやし(賤)○せまし(狹)○わづらはし、くだくだし(煩碎)「苛─」「煩─」「繁─」「瑣─」○官位卑 ヒク き人。○性質鄙しき人「─人」
こさめ。梁簡文帝詩「──雜冷風」=微雨。
ほそやかなるこし、美人のこし。後漢書、馬廖傳「楚王好──、宮中多餓死」=纖腰。
こまかき草木のは。=纖葉。
こまかくわづらはし。唐書、崔縱傳「治簡易、蠲略──」=小苛。
ささやかなるきず、小さき缺點。漢書、陳湯傳「論大功者、不錄小過、擧大美者、不疵──」=細疵·微瑕·小瑕。
ちひさきおこなひ。些細なる禮法。書、旅獒「不矜──、終累大德」
こまかにしらべかんがへる。盧照隣詩「高談十二部、──五千文」
こまかきあせ。耿湋詩「──凝衣集、微涼待扇過」
細作に同じ。
こぎく、こまかききくの花。杜甫詩「小驛香醪嫩、重巖──斑」
生物中の最も微小なる黴菌 バイキン
細謹の誤。
こまかにかたし。桐譜「一種文理──而性喜裂、身體有巨刺、謂之刺桐」
微細なるつつしみ。史、項羽紀「大行不顧──」
こまかきと大いなると。韓愈文「幷包畜養、無異──」
國 こまがき道具を作る。
○諸侯の夫人の稱。=小君。○轉じて廣く人の妻の稱。東方朔は戲れて自ら其の妻を稱す。漢書、東方朔傳「割之不多、又何廉也、歸遺──、又何仁也」
こまかなるはな。=小花。
こまかになめらか、女の肌膚など。轉じて女色の義とす。安般守意義「身離──意不妄念」
○ほそきふえ。庾信詩「──調歌曲、長衫敎舞兒」○聲のささやかなるふえ。岑參詩「──雜淸絲」○ほそきくだ。
こまやかにはかる。新論「人有──者、知其必有遐志」
ほそきくき。爾雅、注「──大葉」=纖莖。
○こまかに見る。○ 國 事をくはしく書き記せる書物。
くはしくしらべる。=細查·精查。
些細 ササイ のことがら。賈誼、鵩鳥賦「──蔕芥兮何足論」=小事。
こまかきちりめん。吳師道詩「皺紋縈──」
くはしくしらべる。=細檢。
こまかく生ずるはますげ。
こまかくわづか。史、匈奴傳「薄物──」
かすかなる貌。杜甫詩「爐烟──駐游絲」=輕微。
こまかくくだく。又、こまかくわづらはし。金史、世宗紀「卿等所廉、皆──事、又止錄其惡、而不擧其善」=細瑣·瑣碎·煩碎。
まはしもの。爾雅、釋言、注「左傳謂之諜、今之──也」=細閒·閒者。
ほそきかけはし。
こまかなる文字。
こまかき事がら。南史、何遠傳「以──受鞭罰」=瑣事。
くはしくかんがへる。=精思。
すこしのきず。抱朴子「論珍、則不以──棄巨美」
そよかぜ。賈島詩「高杉韻──」
○いやしきひと。禮、檀弓「君子之愛人也以德、──之愛人也以姑息」=小人、宵人。○官位の卑き人。韓非、說難「與之論──、則以爲鬻權」
○注意深し、めんみつ。○氣がちひさし。=小心。
多年生の草の一種、根を藥用とす。
しめやかに酒を酌む。李商隱詩「華樽許──」朱子詩「──瀲灧新春酒、戲舞斑爛舊綵衣」=小斟·細酌。
くはしくたづねる。宋元詩「遠物那堪贈、佳音欲──」
○こまかき文字。後漢書、光武紀「一札十行、──成文、勤約之風、行于上下」=細字。○こまかく書く。
こまかくかぞへる。珊瑚鉤詩話「王臨川詩云、──落花因坐久、緩尋芳草得歸遲」
こまかくやはらかき獸毛。禮記、疏「虎蜼淺毛──」
ほそくちひさし。=些小·微小。
ほそきしのだけ。倪瓚詩「水影山容黯淡、雲林──蕭疎」=細竹。
○小人の言。史、項羽紀「聽──、欲誅有功之人、此亡秦之續耳」○くはしく說く。杜甫詩「爲君──我未暇」=詳說。
こまかにしてやはらか。輭、俗に軟に作る。拾遺記「有草名濡奸──可縈、海人織以爲席薦」
こまかなる規則。
こまかきと大いなると。史、始皇紀「──盡力、莫敢怠荒」=小大·洪細。
こまかし。諸寺奇物記「──可愛」=緻密。
ほそながし。南方草木狀「水松葉如檜而──」
くはしくよむ。陸游詩「舊書──猶多味」=精讀。
さざなみ。徐陵詩「時從高浪歇、乍逐──移」=小波。
善き馬。唐六典「使司每歲簡──五十匹」李白詩「胡姬十五──駄」=善馬·良馬。
生物の體を組織する微小なる球體。
くはしきしらせ。=詳報。
こまかきまだら。酉陽雜俎「──短脛、鷹內之最」
ほそきまゆ。孫楚、反金入銘「時悅廣額下作──」=纖眉。
○ほそくかすか。○身分の賤しきにいふ。崔顥詩「人生今日得嬌貴、誰道盧姬身──」
こまかに批評する。又、其の批評。林逋詩「劍在慵閒拂、詩難憶──」
かすかなるかぜ。杜甫詩「春臺引──」=微風·細颸。
こまかきうきくさ。孟郊詩「嘗聞誇大言、下顧皆──」
こまやか。又こまかなる粉。貫雲詩「手撚殘霞皆──」
こまかくくはし。=綿密·緻密。
いやしきたみ。史、田蚡傳「通姦猾、侵──」
こまかきつとめ。元史、察罕傳「但總持綱維不屑──」
こわけ、こまかき箇條。晉書、庾亮傳「時王導輔政、務存大綱、不拘──」
こまかきあやもやう。何遜詩「寒流聚──」
くはしく見る。李中詩「圖經宜──」
ほそきながれ。李斯、諫逐客上書「河海不擇──、故能就其深」
地名。今の陝西省咸陽縣の西南の──倉は卽ち漢の周亞夫の兵を屯せし處。柳營(九三五頁二段)參看。三輔黃圖「──觀在長安西北」
ほそき柳と、新らしきがまと。杜甫、哀江頭「江頭宮殿瑣千門、────爲誰綠」
○ちひさきうろこ。蘇軾、赤壁賦「巨口──、狀如松江之鱸」○ちひさきうを。
ほそき絲すぢ。謝朓詩「──竟無識」
ほそきみち。宣和畫譜「幽溪──、屈曲縈帶」=細徑。
こまかに議論する。范成大詩「奇事不勝紀、重遊當──」
こまかくはなしする。元好問詩「──洛陽事、高詠嵩山詩」
サツ [黠]
○まとふ(纏)つかぬ(束)たばねる。○俗に軍隊を屯駐する義、とどまる「─營」「駐─」
シ [紙]
○むらさき、靑と赤との閒色「紅─」「深─」「淺─」論、陽貨「惡─之奪朱也」○むらさき色の衣服「賜─」又は綬章「佩─」○ 國 ムラサキ 草の名、葉は細長くして互生し、靑赤色の花を著け白き實を結ぶ、根よりむらさき色の染料を採る。又、醬油の異名。
○むらさき色の服、人君の服。左傳「──狐裘」○苔の一種、色赤くして紫を帶ぶ。=赤苔。○ シエ むらさき色の袈裟〔釋氏要覽〕
のうぜんかづら。夏秋の閒、赭黃色の花開く、毒あり。陸璣、詩疏「凌霄花、本草謂之──」
紫眉に同じ、宇は眉宇。
れんげさぅ、田野に叢生し、春日紫紅色の花を開く。
むらさきの印綬を垂れ曳く、高位高官に昇る義。晉書、儒林傳論「紆靑──」=佩紫。
山地に自生する草、初秋に傘狀紫色の花を著く。しをに。=女菀。
なすび。南史、蔡撙傳「齋前自種白莧──以爲常餌、詔襃其淸」
むらさき色のかに。蘇軾詩「──鱸魚賤如土、得錢相付何曾數」
仙境に遊びたるおもひ。李白詩「淡蕩滄洲雲、飄颻───」元好問、少林詩「我無玄豹姿、謾有───」
むらさき色の雲氣。豫章記「斗牛之閒、常有──、張華聞雷煥妙象緯、問之、煥曰、寶劍精氣也、在豫章豐城」
赤銅 シヤクドウ の異名。梁武帝詩「龍馬──鞍」
やぶかぅじ、葉は茶に似、實は赤く球狀を成す、ししくはず。
むらさき地のにしき。漢武帝內傳「盛以──之囊」
○支那北京皇城の異稱。○星の紫微垣を以て帝居に比するが故にひろく宮禁を紫禁といふ。李嬌詩「白玉仙輿紫禁來」
王宮をいふ。魏志、文德郭后傳、注「龍飛──、作合聖皇」
茶の異名。蘇軾、謝惠茶詩「空煩赤泥印、遠致───」
あをき竹むら。畫繼「甘露宵零於──」=翠篁。
王宮のとぼそ。王勃、乾元殿頌「──垂耀、黃樞鎭野」
花木の名、すはぅ。本草「──一名紫珠、處處有之、人多種于庭院閒、木似黃荊、葉小無椏、花深紫可愛」
わらび。白居易詩「──行看採」方岳詩「──成拳著雨肥」
神の名、兒女子戲れに其の神を迎へて休咎(吉凶)を問ふ〔劉敬叔、異苑〕
萬里の長城の異名。風俗通「秦築長城、土皆紫色、謂之──、南徼土色丹、謂之丹徼」
多年生草、山野に自生す、根を乾かして紫色の染料とす。=茈草〔爾雅〕
むらさき色のれいし。四皓、採芝歌「曄曄──、可以療饑」
あぢさゐの異名。
○天子のごてん。唐會要「龍朔三年四月、始御──殿聽政」○ 國 古の禁中の正殿ししいでん。又、南殿。
紫色の印のひも。漢書、百官表「相國丞相──金印」
○あをくして赤味を帶びし、たけのこ。蘇軾詩「想見靑衣江畔路、白魚──不論錢」○良き茶の異名。
おほぞら。又、王宮をいふ。南史、朱异傳「升──之丹地、排玉殿之金扉」
○鑛石の一種、──英、又──稜の略。本草「──英生太山山谷」晉書、桓溫傳「眼如──稜」○すずりの異名。
むらさき色の水晶。魏氏春秋「取白石及───五色之石於太行穀城之山」前條參看。
紫のほほひげ、綠のまなこ、夷狄の人を形容せる語。岑參、胡笳歌「君不聞胡笳聲最悲、────胡人吹」
しそ、草の一種、莖は方形紫綠色、紫の花さく、花·葉ともに食用とす。本草「──、一名赤蘇」
赤栗毛のらくだ、極めて美味とす。蘇軾詩「──之峯人莫識、雜以雞豚眞可惜」
王宮の門。又王宮の義。陳書、高祖紀「氣湧靑霄、神飛──」
熱帶地に產する喬木。材質堅く紫色にして上等の器物の製作に用ふ。古今注「栴檀木出扶南、色紫、亦謂之──」
幹に紫黑色の斑ある竹、苦竹の類。=寒竹。
幕府の異名。宋書、符瑞志「鳳凰翔兮於──、余何德兮以感靈」
詔書をいふ、紫泥(紫色の印泥)にて璽書を封ずるに由る。李白詩「聖朝思賈誼、庭降───」
○名刀の光をいなづまに比して形容す。○古の名刀の名。古今注「吳有名劍曰──」
靑銅 カラカネ の異名。
○みやこの巿街。李白詩「高樓對──、甲第連靑山」○京師の郊外の路。劉禹錫詩「──紅塵拂面來」
むらさき色のまだら。
○北斗の北にある星の名、支那の天文學にて天帝の居所となす。轉じて王宮の義に用ふ。晉書、天文志「──垣十五星、在北斗北、一曰──、天帝之座也、天子之常居也」○中書省の異名。=紫薇。
さるすべり。方岳詩「鵑老催紅藥、芸香近──」=百日紅。
唐の開元閒、中書省を改めて───と曰ふ。錦字箋「唐中書省多植紫薇、故號───」(一說に紫微の義に取る)
國 皇后宮職の異名。
中書郞の異稱。白居易詩「獨坐黃昏誰是伴、紫薇花對───」
むらさき色の雲氣。劉楨詩「奮翅凌──」
金の最上品。孔融文「金之優者、名曰──」=璆。
あぢさゐ。韻語陽秋「有山花色紫氣香、穠麗可愛、人莫知其名、白樂天標其名、曰───紀之以詩」
宋の朱子の建てし學堂。方囘、紫陽書院記「紫陽山去歙郡之南門五里而近、故待制侍講贈太師徽國文公先生郡人也、今山與人稱曰紫陽夫子、若洙泗先聖然、此書院之所由作、而名之曰紫陽」
むらさき色の山のもや。杜牧詩「綺席草芊芉、──峯伍伍」
○赤栗毛のうま。楊炯詩「俠客重周遊、金鞭控──」○──馬は漢の橫吹曲の名。古今樂錄「──馬從軍久戍、懷歸而作也」
姦人が正士の態をなして、人をあざむくに喩ふ。論、陽貨「惡紫之奪朱也」
シ [支]
あしぎぬ、太く粗き絲にて織りしきぬ。つむぎの類。唐書、食貨志「丁歲輸綾─二丈」=粗紬。
シン [眞]
○おほおび、高貴の人の衣冠束帶の時につける大帶。論、衞靈公「子張書諸─」○つかぬ(束)○縉─は高貴の人の稱。=高紳。
おほおびをひく。論、鄕黨「加朝服──」
大帶と、しゃくと。文官の裝束。宋史、劉伯正傳「──儼然、聲色不動」
國 ○學德の修養ある上品の人の稱。=君子。○富貴なる人。
國 紳士たる資格ある商人。
おほおび、文官の著くるもの。後漢書、第五倫傳「刻著五臟、書諸──」
シン [軫]
○めぐる。めぐらす(轉)○むすぶ(結)「繆─」○もとる。もとらす(戾)孟、吿子「─其兄之臂」
シュウ シュ [東]
○をはる。をはり。始の對「始─」「歲─」易、繫辭「原始要─」つく(盡)やむ(已)左、僖二四「婦怨無─」きはまる(窮·極)○しぬ(死·歿)「臨─」檀弓「君子曰─、小人曰死」○なる(成)○みつ(充)○つくす、をふ、きはむ、なす。○つひに(竟)書、旅獒「不矜細行、─累大德」○はて(極)すゑ。○方百里の地の稱。○一─は十二年の稱。左、襄九「十二年矣、是謂一─、一星─也」
同訓異義
ヲハル 終·畢·卒·訖·了·闋○終は始と對す、始よりをはりまで續く意あり、終日は朝から晚まで、終身は生れてから死するまでなり。○畢は終と同じ、畢生は一生なり、一から十までことごとく皆すみ盡し終るなり。○卒は其のはてなり、終盡也と註す、卒業と用ふ。○訖は卒に同じ。○了はさっぱりと、埒ラチのあきてすみたるなり。○闋は音ケツ止なり、訖なり、事のをはりたる義。また特に音樂の終りたる義にも用ふ。○ツヒニ終·遂·竟·卒·訖·畢の别は遂(辵部九畫)の條を見よ。
○身のおちつき處。世說、棲逸「浩然有──之志」○轉じて死をいふ、いまは(臨終)の義とす。
をはる、つきる。司馬光詩「還如恩在人、潤澤無──」
をはりのとき。
をはる。をはり。後漢書、陳忠傳「言己不得──於子道」=終盡。
事件のをはり、局は棊 ゴ の勝負。崔塗詩「莫看棋──」=終結·了局。
をはる。をはり。國語「莫知其所──」
終局に同じ。
○其の日のしごとを爲しをはる。○しかけたる仕事をしあげる。=卒業·畢業。
○古より永久に。漢書、溝洫志「──舄鹵兮生稻粱」○古昔。晉書、阮籍傳「商略──」○平常。陸機、陸雲傳贊「言論慷慨、冠乎──」
いちねんぢゅう。白居易詩「──守窮餓、而無嗟嘆聲」
○をはりと、はじめと。荀子「愼終如始、──如一」○始から終まで關係を共にする。
文法の活用言、語尾變化の一、文の終に用ふる形「聞く」「見る」の類。
日出より日沒まで、ひねもす。易、乾卦「君子──乾乾」
終日食事をせず。論、衞靈公「子曰、吾嘗────、終夜不寢、以思、無益、不如學也」
○最後のしらべ。○法律にて此上に上訴の道なき裁判所の審問判決。
一生涯の爲めに立てるはかりごと。管、權修「一年之計、莫如樹穀、十年之計、莫如樹木、────、莫如樹人」
一生路を人に讓るも、其の枉げ失ふ所、百步に過ぎず、遜讓を勸むる語。唐書、朱敬則傳「敬則兄仁軌、字德容、隱居養親、嘗誨子弟曰、────────、終身讓畔、不失一段」
一生涯、一生ををはる。王襃文「誰可與兮──」
○三年の喪をつとめあげる。唐書、崔亮文傳「臥苫──」○喪式の制度。晉書、宣帝紀「預作──於首陽山」
よもすがら。韓愈詩「──處幽室、華燭光爛爛」=終夜。
よもすがら。任昉文「──不寐」=終夜·終宵。
よあけより朝食までの閒。詩、小雅「──采綠、不盈一匊」
世のをはりまで。とこしへ、永久「──の恨」は父母の喪にいふ、斬齊の期あれども、悲痛の情は、此世を終るまでやまざるが故。=窮天。
國 しまひの所「電車の──」
山名。柳宗元文「──西至於隴首、以臨於戎、東至於太華、以距於關」=南山、中南·秦山·秦嶺。
事のをはり。
をはる。をはり。白居易詩「天長地久無──」=終竟。
終日吹くかぜ。詩、邶風「──且暴」
事のをはり。=結末·終尾。
よもすがら。禮記「譬如──有求于幽室之中、非燭何見」=通宵·終宵·竟夕。
父母の奉養を終へる。李密、陳情表「願乞──」(此は祖母に對して孝養を終る義)
をはる。又をはり。=結了。
○物事の最後をつつしみ善くする。次條參看。○父母の葬祭を鄭重にする。論、學而「──追遠」
事の終をつつしむこと、最初の時の如くす。老子「────、則無敗事」
事の終をつつしみ善くする、有終の美をなす。文選、琴賦「又善始而──」
いつまでも世に埋もれては居らず、時を得れば大いに爲すこと有る喩。吳志、周瑜傳「恐蛟龍得雲雨、─────」
セゥ [篠]
○つぐ(繼·續)うけつぐ「繼─」「克─」「遠─」○たすく(助)會見の時に賓主の閒に在りて禮をたすける。○ひき合はせする、とりもつ、又其の事「─介」「介─」
同訓異義
ツグ 紹·續·嗣·纘·接·襲·尋·次·亞·賡の别は續(糸部十五畫)の條を見よ。
くらゐをうけつぐ。鹽鐵論「其子孫──、百代不絕」
とりもち、ひきあはせ。史、魯仲連傳「平原君曰、勝請爲──、而見之於先生」=介紹·媒介。
前の事業を繼ぎて更に之を大いにする、恢は大。
うけつぐ。淨住子、序「子者──爲義」=繼紹·承繼。
地名、浙江省會稽道に屬す、其の地酒を製し、世に名あり「──酒」
前代の事をうけつぎてのべ明かにする。宋史、章惇傳「於是專以──爲國是、凡元祐所革、一切復之」
つぎうける。宋史、樂志「──丕緒、永勵精明」
たえたるをつぎおこす。史記、自序「──立廢、晉人宗之」
紹繼に同じ。蔡邕、太尉李公碑銘「旣文且武、桓桓──」
つづきのぼる。宋史、樂志「祺祥──、海縣斯寧」
つぎおこす。書、盤庚「──先王之大業」
セツ [屑]
或は絏に作る
○きづな、たづな、牛馬をつなぎ牽くなは。○つなぐ、きづなにてつなぐ(繫)「係─」○しばる、束縛する「羈─」獄に繫ぐ。又其のなは「縲─」○ゆだめ(弓?)
ソ [虞]
○くみひも、冠、又は印につけるひも、綬の類。うちひも「朱─」「綵─」「華─」「纂─」○ひもをあみつくる。○かけつなぐ。○くむ、くみたてる、構成する「─成」○ 國 クミ 團體「─合」
冠のくみひも。禮記「玄冠朱──、天子之冠也」
印綬をとく、官を罷める義〔梁書、謝朏傳〕韋應物詩「──傲園林」
くみひも。儀禮「握手玄纁裏著──」
くみひもをあむと布を織ると。=組織。
印形のくみひも。
まるうちのくみひも。又、其のひもをあむ。禮、內則「治絲繭、織絍──」
○絲をくみ、はたをおる。遼史、食貨志「樹桑麻、習──」=組絍。○くみたてる。劉峻文「──仁義、琢磨道德」
くみたてて、なりたたす、組織して成立する。=構成。
印のくみひも。紱は綬。江淹表「謬籍珪金、空貽──」
甲胄をいふ、組甲練甲。唐太宗詩「──輝霞色」
タ ダ [歌]
絲の數。詩、召南「素絲五─」
タイ [賄]
○あざむく(欺·誑)○いつはる(詐)史、高祖紀「乃─爲謁曰」○うたがふ(疑)
チウ [尤]
○つむぎ、眞綿をつむぎたる大絲にて織りしきぬ「繭─」○つむぐ(緝)「─績」○あつむ、つづる(綴)綴り集む。史、太史公自序「─史記金匱石室之書」○をさむ(經)○ひく(抽)抽き出す。
端緒 イトグチ をひき出してたづねる。漢書、谷永傳「燕見──、以求咎怨」
ぬき出して序でる。唐書、韋澳傳「取十道四方志、精加──、題爲處分語」
つむぐ。史、歷書「──日分、率應水德之勝」
つむぎと、どんすと。
チツ [質]
○なは(索)○ぬふ(縫)○いる(納)
チュツ [質]
○ぬふ(紩)ぬひめ(縫會)○しりぞく(退)=黜。○かがむ(屈)荀、非相「緩急嬴─」○足らず。
チョ [語]
○いちび、麻の一種、枲 カラムシ の粗なるもの。詩、陳風「可以漚─」=苧。○いちびにて織りたるあさぬの。書、禹貢「厥貢漆枲絺─」
麻のころも。左、襄二九「子產獻──」
麻布と、ねり絹と〔史、司馬相如傳〕
わた(綿絮)〔史、張釋之傳〕
麻布と、細き葛布と。說苑「具──三百、製將以送之」
バツ [月]
たび(足衣)後漢書、禮儀志「絳袴─」=襪。
ハン [翰]
○きづな、ほだし。牛馬等をつなぐ繩(馬縶)○つなぐ、足をつなぐ、つなぎとどむ、ほだす「羈─」「拘─」「囚─」「系─」
ほだし、世の中のきづな。戴表元詩「馬良遭──」=羈絆·絆羈。
つなぎとどむ。蕭穎士文「越──之常禮」=拘絆。
きず口にはる膏藥 カウヤク
フツ [物]
○つな(索)大いなるなは。詩、小雅「─纚維之」○葬式に棺を引く索 ナハ 曲禮「助葬必執─」○ひざかけ、束帶の時に膝を蔽ふもの。芾に通ず。○印のひも。=紱。
フツ [物]
○印のひも(綬)「璽─」「佩─」=紼。○まとふ(纏)
印綬を帶び冠を著く。轉じて高官の地位。後漢書、鄭康成傳「吾雖無──之緒、頗有讓爵之高」
①ルヰ [支]
②ルヰ [紙]
③ルヰ [寘]
④ラ [哿]
纍に通ず
①しばる(縲)つなぐ(縛結)捕縛する。孟、梁惠王「係─其子弟」○つらぬ(連)
②かさねる。かさなる(重)「重─」「─年」「─卵」ます(增)「增─」本、絫に作る。○しきりに、つづきて「─遷」
③わづらはす。書、旅獒「不矜細行、終─大德」手數をかける。○かかりあひ(關係)わづらひ「世─」「俗─」「塵─」「家─」「繫─」まきぞへ「連─」「係─」○うれへ(憂)戰國秦策「此國─也」
④はだか。=倮。
同訓異義
シキリニ 累·仍·頻·連·荐·切の别は仍(人部二畫)の條を見よ。
あし手まとひの兒女を擕へる。游宦紀聞「──扶櫬」
しとねを幾枚もかさねる。又、其のしとね。家語「南遊於楚、──而坐、列鼎而食」
だいだい。後漢書、耿弇傳「耿氏──以功名自終」=累世·奕葉。
かさなりくははる。
太平の相つづく義。洽は天子の德のあまねきをいふ。班固、東都賦「至於永平之際、重熙而──」
わづらひささはり。淨住子「今欲水行、非舟航不移、二──也」=障礙。
しきりにおこる。漢書·楚元王傳「昔唐虞旣衰而三代迭興、聖帝明王、──相襲、其道甚著」
ご石をかさねる。極めてあやふきに喩ふ。說苑「荀息曰、臣能累十二博棊、加九卵其上、公曰、危哉」
尻馬にのる。世說、任誕「──而返」
すべてを合せたる計算。=總計·累算。
他人の罪にまきぞへとなりて罪せられる。=連坐。
としをかさねる、くる年もくる年も。後漢書、許楊傳「起塘四百餘里、數年乃立、百姓得其便、──大稔」=累年。
歲をかさねる。南史、到漑傳「漑遭母憂、居喪盡禮、服闋、猶蔬食布衣者──」=累歲。
累計に同じ。
ときをかさぬる。王充文「寒不──、則霜不降」
とらはれ、めしうど。
ひをかさねる。後漢書、郭泰傳「──不去」=連日。
みにわづらひをきたす。列子「原憲之寠損生、子貢之殖──」
しきりに上にすすむ。=累遷。
財產の多くなるに從ひて其の稅率の累進する租稅。
累年に同じ。南史、謝莊傳「黃霸莅於潁川──」=歷載。
さかづきをかさねて飮む。陳傅良詩「──以爲歡、班荊以爲儀」
日をかさねてとまる。盧照隣詩「──思方重」
同數を幾っもかさねてかけ合す。
だいだい。後漢書、滇王傳「富及──」=累代·累葉。
夜をかさねる、每夜。韋應物詩「──同燕酌、十舍攜征騎」
いしをつみかさねる、かさねたる石。漢書、韓安國傳「以河爲竟、──爲城」
かさねつむ。高唐賦「交加──、重疊增益」
よきことを、つみかさねる。漢書、劉敬傳「周之先自后稷、堯封之邰、積德──十餘世」=積善。
しきりに高官にうつり進む。漢書、蕭望之傳「──諫大夫丞相司直、歲中三遷官」=累進。
つづけざまにたたかふ。晉書、楊佺期傳「──皆捷」
○先祖代代。○道祖神の名、旅人の道路の安全を守る神。羣碎錄「黃帝子──好遠遊、而死於道、故後人祭之以爲行神」
息をころす。後漢書、任延傳「吏民──」=屛息。
代代。晉書、惠帝紀「焚──之寳」=累世。
每朝〔後漢書、郭泰傳〕=每旦。
かさねたくはへる。梁昭明太子詩「微言絕已久、煩勞多二──」
しきりにあらはす。南史、伏暅傳「時始興內史何遠、──淸績」
身のわづらひとなるもの、ほだし、妻子家屬。漢書、西域傳「募民壯健有──敢徙者」
しきりにめしだす。遼史、蕭蒲離不傳「──皆以疾辭」
代代の天子。晉書、赫連載記「長安──舊都」
○土を積み重ねる。○少しの土。老子「九層之臺、起於──」
幾層もかさなりたるやねのむね。張載詩「──出雲表」
○德のわづらひとなる。又、惡行。莊、庚桑楚「惡欲喜怒哀樂六者──也」○德をかさねつむ。史、周紀「西伯積善──」=積德。
書札を重ねつむ。北史、李諤傳「連篇──、不出月露之形」
としをかさねる。後漢書、陳蕃傳「輔弼先帝、出內──」=積年·累歲·連年。
數ケ國の國語の通譯をかさねて意を通ずる。漢書、平帝紀「重譯」注「道路絕遠、風俗殊隔、故──而後迺通」=重譯。
卵をかさぬる如き危險の甚だしきをいふ。史、范雎傳「秦王之國、危於累卵、得臣則安」
重なる貌。易林「疊疊──」又うち續く貌。=纍纍。
6畫
イン [眞]
○しとね、ざぶとん(座蒲團)漢書、霍光傳「加畫繡─」=茵。○─縕は萬物生成の元氣。又、其の元氣の盛んにあつまる貌。
元氣の盛んなる貌。元氣縕釀。易、繫辭「天地──、萬物化醇」=氤氳。
①カイ [灰]
②カイ [蟹]
①つかぬ(約束)むすぶ。
②かく、つなぐ(挂)○ふとき絲。
①カゥ [巧]
②カゥ [肴]
①くびる(縊)繩にて首くくる「手─」「─殺」○くくる(縛)○なふ、よる(糾)兩繩相交り、之を捩りて緊急ならしめる。爾雅、疏「糾─繩索」○きびし(急切)少しも假借せず。論、泰伯「直而無禮則─」○そしる(刺)○めぐる(繞)
②しぼる、しめる、堅める。○もえぎいろ(蒼黃色)「─衣」 國 ○ シボリ 布帛の面を所所くくり染めて現はしたるかすり「─染」○しぼる、壓搾して液汁を採る「油を─る」「手拭を─る」
くびくくる。左、哀三「若其有罪、──以戮」
葬式に尸を飾るふすま〔禮、檀弓〕
しめころす。
くびれしぬ。漢書「自──者、歲數百千人」
しぼりたるしる。居家必用「──同桂花」
○くびをしめる。=縊首。○ 國 現行の刑罰の一、重罪犯に科す。
斬衰 モフク にしめる帶。儀禮「──者繩帶也」
轆轤 ロクロ の異稱、堅き木又は金屬にて直立の圓筒狀或は鼓形に作り、外に肋木若干條あり、汽力或は槓杆を以て之を轉動し、下に機關ありて之を阻み、自ら退くことなからしめ、以て碇を起し或は舟を曳き上げる等の用に供す。
しめころす。晉書、郤詵傳「有亡命而被購懸者矣、有縛束而──者矣」
カゥ コウ [絳]
○こきあかいろ(大赤·大紅)「淺─」○地名、晉の國都、山西省新─の北に在り。
同訓異義
アカシ 絳·赤·紅·丹·緋·殷の别は赤(部首七畫)の條を見よ。
あかきころも。墨子「楚莊王、鮮冠組纓──、以治其國」
あかきとばり。楚辭「張──以襜襜兮」=絳帳。
あかきくも。庾信、步虛詞「北闕臨玄水、南宮生──」
淸初、常熟の錢謙益の藏書の樓名、火災に罹り、存せず、───書目四卷あり。
あかきはなぶさ。韓愈、榴花詩「可憐此地無車馬、顚倒靑苔落──」
あかき花のうてな。趙師俠詩「──襯輕紅」
血の色したるあせ。梁昭明太子、七契「蹄蹶紅塵、膺流──」
あかきもや。王勃賦「憐曙野之──、愛晴天之碧雲」
あかいろのもすそ。王涯、宮詞「繞樹宮娥著──」
漢の高祖の臣、絳侯周勃と、灌嬰と。前趙錄「劉淵幼而好學(中略)曰吾每觀書傳、嘗鄙隋陸之無武、──之無文」
あかくぬりたる王宮の門觀。文心雕龍「敷奏──、獻替黼扆」
あかきにじ、雨の霽れろ時に出づ。初學記「收──於漢陰」
あかきくちびる。美人の口の形容。鮑照、蕪城賦「蕙心紈質、玉貌──」=朱脣。
赤き下裳。劉禹錫詩「武夫何洸洸、衣紫襲──」
○古の美女の名。庾肩吾、詠美人詩「──及西施、俱是好容儀」次條參看。○珊瑚の異名。韋應物、詠珊瑚詩「──無花葉、非石亦非瓊「
竝に古の美女の名。遊仙窟、註「絳樹者、古美妾也、引司馬相如上林賦、曰、若夫靑琴宓妃之徒、伏儼曰、靑琴神女也」
あかいろのかとりぎぬ。史、田單傳「得千餘牛、衣以──衣」
○あかきとばり。後漢書、馬融傳「常坐高堂施──、前授生徒、後列女樂」○轉じて師の席。又、學者の書齋の義とす。
法帖の名、絳は州の名。法帖譜系「單炳文論──至爲精密」輟耕錄「──者、宋尙書郞潘師旦、以官帖摹刻於家、爲石本、世稱潘駙馬帖、凡二十卷、單炳文謂、淳化帖不多見、其次──最佳」
あかきよぎ。在窮記「隰陽令述祖送四幅──一領」
赤き氣、卽ち虹の類。江淹、赤虹賦「紫霧上河、──下漢」
あかきうすぎぬ。隋書、禮儀志「──襦、白羅裙」
カゥ [敬]
○ぬふ(縫)○ 國 くける、縫目を表にあらはさざるやうにぬふ。
①キフ [緝]
②ケフ [葉]
①そなへる(備)そなふ(供)左、僖十三「敢不共─」○たす。たる(足)品物が十分にある。孟、梁惠王「秋省斂而助不─」○たまふ(賜)○あたふ(與)物を人に與へる。晉書「特─赤幢寶蓋」○たまもの、めぐみ。○てあて、あてがひぶち「月─」「俸─」
②くちまへよし、敏 サト く言ふ、よくしゃべる。言語便捷。論、公冶長「禦人以口─」○ 國 タマフ 動作をあらはす語に添へる敬語。
同訓異義
タマフ 給·賜·錫·貺·賚の別は賜(貝部八畫)の條を見よ。
上より給與を受ける。史、平準書「衣食──縣官」
官より休暇を賜はる、假は暇。元史「每月朔望上弦下弦──四日」=賜暇。
物を與へて兵をねぎらふ。宋史、度宗紀「咸淳五年十二月、以錢二百萬、命京湖帥臣、──襄郢等處水陸戍士」
あてがひすくふ。吳志「傾家──」=給助。
國 ○役所等にて雜用を勤める小使。○飮食の世話をする。又、其の召使。
使役にそなへる。法苑珠林「諸天爲──」
資本を給與する。
物をあたへたまふ。宋史、職官志「鴻臚寺卿、掌四夷朝貢、宴勞──、送迎之事」
官名、秦漢にては一の加官にて殿中の奏事を司る、晉以後正員となり、隋唐以來門下省に屬し、制敕駁正の事を管し、明に至りて侍從規諫の職を掌り兼ねて六部を監察す、淸代は都察院に屬し、御史と同じく諫官たる故、又給諫と稱す。
金品をあたへてたすける。
水を供給する。
十分に足る。後漢書、曹襃傳「澍雨數降、其秋大熟、百姓──」
費用にあてる。唐書、姦臣傳「少孤貧好學、晝採薪──、夜燃葉照書」
物を供給交付する、あたへる、わたす。
あたへたすける。南齊書、武陵昭王傳「又──二人」=給助。
租稅賦役を免除する、復は除。北史「齊人降者、──十五年」
こめをあたふ。宋史、眞宗紀「流民還鄕、家──一斛」=賜米。
○あてがひ養ふこと。○軍隊などにて衣服糧秣其の他の必要品を供給する。
物をあたへる。唐書、杜元穎傳「──不時、戍人寒饑」
扶持米をあてがふ。後漢書、光武紀「命郡國有穀者──」
あてがひ。唐書、食貨志「至德初以用物不足、內外官不──錢、乾元元年給外官半料」
①クヮ クヮイ [麻]
②クヮイ [卦]
①しけいと、繭 マユ の外面より抽 ヒ き出したるままの粗き絲。○しけ絲にて織りし絹、しけいとおり、しけぎぬ。
②かかる(懸)ひっかかる。左、成二「驂─于木而止」=挂。○つながり結ぼる「結─」○とどまる(止)とどこほる(礙)
クヮウ [漾]
○わた(細綿)=纊。○ 國 ヌメ 光澤ありて書畫を書くに用ふるきぬ「─本」
①ケツ·ケチ [屑]
②ケイ [霽]
①むすぶ(締)「締─」「連─」ゆふ、絲繩等をむすぶ、むすぼる。○くくりめ、むすびめ。○ちぎる、約束をむすぶ「要─」「約─」「面─」「交─」○組をつくる「─社」○みのる、果物が實になる。杜甫詩「卑枝低─子」○氣分がふさがる「鬱─」「憂─」○くくる(括)まとふ(纏)○とざす(閉)○まとめる(收)○しばる(縛)つかぬ(束)○つらぬ(連)○かまへる、くみたてる「─構」陶潛詩「─廬在人境」○なす(成)○こりかたまる(凝)「冰─」「─晶」詩、曹風「心如─兮」○したしむ(親)
②もとどり。漢書、陸賈傳「魋─箕踞」=髻。
同訓異義
ムスブ 結·締·掬○結はゆふと譯す、締なり。易、繫辭「上古結レ繩而治」また心のむすぼれて、解けぬ義にも用ふ、鬱結·憂結と連用す。○締はしっかりとむすぶ、結に同じ、結レ交を締レ交とも用ふ、但心の結ぼれるには用ひず。○掬は兩方の掌にすくひ取る義。小爾雅「今俗謂二兩手所一レ奉、爲二一掬一」むすぶと訓みても、結·締とは意義全く異り。
兵舍をつくる。後漢書、何進傳「講武于平樂觀、列步兵騎士數萬人、──爲陣」
冠のひもをむすぶ。左傳「子路曰、君子死、冠不免、──而死」
佛 安居(四八一頁四段)に同じ、夏籠 ゲゴモリ
佛 惡魔を防ぐ爲めに法力にて界を作り、其の中に入らしめず。又、其の所、眞宗の寺院にて本堂內外陣の外の欄は之に象る。
細菌の寄生によりて患部の硬く凝りかたまるもの「──菌」
佛 兩足を組み違へて坐す。法華經「中池生一蓮華、中有一童子、────」
○詩の末の句。むすびの句。藝苑巵言「七言律、不難中二聯、難在發端又──耳」○ 國 ケツク つまり、畢竟、結局。
はなをつける。李端詩「由來得地早、何事──遲」
できばえ。=成果。
わざはひを引き起す。史、蘇秦傳「以有盡之地、而逆無已之求、此所謂巿怨──者也」=構禍。
よしみをむすぶ。公羊傳、注「外未能──諸侯」
神佛に祈願したる日の滿つる義。梁京寺記「──乞本情」
たがひによろこびあふ。任昉詩「──三十載、生死一交情」
口を緘して言はず。蔡邕文「羣下──、莫圖正辭」=緘口·結舌。
○家又は詩文等をくみたてる、しくみ。王延壽、魯靈光殿賦「觀其──、規矩應天」○ 國 みごと、立派。
えんぐみ。後漢書、梁皇后紀「──之際、有命旣集」=結昏·定婚。
○恩を報ずるにいふ。魏武子妾あり、武子病む時、其の子顆に謂ひて曰はく、我、死せば此の妾を嫁せしめよと、病革なる時、又曰はく殺して殉となせと、武子死するに及びて、之を嫁せしむ、秦晉の戰の時に顆一老人の草を結びて杜囘に抗するを見る、囘躓き倒る、遂に之を獲たり、後顆夢に其の老人を見る、曰はく、我は汝の嫁せしめし婦人の父なり、汝先人の治命に從へり、我、故に之に報ぜりと〔左、宣十五〕○草庵をつくる。後漢書「──爲廬」
蓑蟲 ミノムシ の漢名。
かなしみの心がむすぼれる、心がむすぼれうれふ。杜荀鶴詩「嶽色江聲暗──」
二人以上の同志と組合をつくる。又、其の作りし組合。溫庭筠詩「暫對山松如──」
鑛物などの一定固有の形を成すをいふ。又、其の物。
なはを結びて文字にかへし太古の政事。孔安國、尙書序「古者伏羲之王天下也、造書契以代────」
氣が結ぼれる。枚乘文「中若──」=鬱結。
ちかひをむすぶ。陶潛文「欲自往以──」
だまる。漢書、杜欽傳「皆──杜口」=結口·噤口。
文章をくみ立て作る。宋玉、招魂「──至思、蘭芳假些」
○むすびつかぬ、たばねる。○旅行又は出陣の身じたくする。韓愈詩「行行事──」
隊伍をくむ。宋史、兵志「──竝依李靖法、三人爲一小隊、九人爲一中隊」
○字畫のくみたて。○結合ぜし形體。
なかまをむすぶ。張衡、西京賦「輕死重氣、──連羣」
互に心をむすびてたよる。北史、高隆之傳「深沈有志氣、與神武深相──」
○むすびつく。晉書、輿服志「中央兩頭高如山形、貫中以翟尾、而──之也」○ 國 ケツナヤク つまり、究竟·落著·決著。
むすびつくる、むすびしめる。=締結。
こほる。金史、移刺蒲阿傳「槍槊──、如椽」=凝凍。
まじはりたたかふ。戰國策「──於高唐之上」
○心にちかひてたよる。唐書、田弘正傳「弘正不覺自失、乃深相──」○ 國 ユヒナフ 婚約のしるしに男女兩家にてとりかはす禮物。
家を建てる。宋史、李衡傳「定居崑山、──别墅、杖履徜徉」
○支那にては男は二十歲、女は十五歲にして髮をゆひて成人となる、故に其の年ごろをいふ、元服する。史、李將軍傳「廣自請曰、臣──而與匈奴戰」○かみをいふ。
こほりがはる、こほる。
文章の終の文句。
なかまをつくる。天寶遺事「每春時──聯黨」=結黨。
をはり。=結尾。
やくそくをむすぶ。
女の嫁する時、母が帨巾を帶に結びつけてやる。詩、豳風「親結其縭」
美玉の名。史、范雎傳「周有砥砨、宋有──」
かぅらいしば。爾雅、注「一名──、俗謂之鼓箏草」
をはる、すむ、かたづく。
むすびつらぬ。元史、列女傳「母子以裾相──、晝夜號哭」=連結·聯結。
いほりをかまへつくる。陶潛詩「──在人境、而無車馬喧」
○論じつめたる點。○論理にて三段論法の大小二前提より生ずる斷定。
○ 佛 佛道に歸依する。○ ケツエン 事のゆかりをむすびつける。白居易詩「三郡何因此──」
釋迦の死後、諸弟子が佛說をあつめて編纂する〔法華經科註〕
佛 物欲にしばられる。煩惱の異名。无量壽經「煩惱──」
①ケツ [屑]
②ケイ [霽]
①淸し、いさぎよし、古、潔に通ず。○くくる(束·結)○はかる(度)
②ひっさぐ(提)手にて提げる。=挈。
○石にて柱をみがききよめて滑かならしめる〔禮、明堂位〕○轉じて圓轉滑脫の意に用ふ。屈原、ト居「如脂如韋、以──乎」=潔楹。
人を推し度 ハカ りて方正ならしめる恕の道、矩は曲尺、のり。大學「是以君子有──之道也」
神に供へるきよききび。左、桓六「──豐盛」
ケン クヮン [願]
たすき。袖をかかげる紐(襷は國字)
①ケン [霰]
②シュン [眞]
①あや、いろ(文采)「彩─」「華─」○文 アヤ ある貌、あやありて美くし。論、八佾「素以爲─兮」○─練は疾き貌。顏延之、赭白馬賦「─練夐絕」
②まるひも。=紃(糸部三畫)
うつくしくかざる。唐書、馬植傳「植精吏事、以文雅、──其政、淸淨不煩」
○あやありてきらびやか。朱德潤詩「──晴光入座紅」○轉じて詩歌文章の字句が豐富にして遒麗なるにいふ。蘇軾、與姪書「凡文字、少小時、須令氣象崢嶸、采色──、漸老漸熟、乃造平淡」(詩文を作るに初は字句を飾るが漸次老熟するに從ひて平正淡泊の境に至る)
コ [遇]
はかま(脛衣)史、趙世家「夫人置兒─中」=袴。
コウ [蒸]
なは(大索)=緪(糸部九畫)
シ [支]
○いと、蠶 カヒコ の口より吐き出すいと、すぢ、きぬいと「素─」「蠶─」「製─」○轉じてひろく綿·麻·繭 マユ 等を細く引きのばしてよりをかけしもの。○きぬいとをおりたるもの(帛)漢書、公孫弘傳「食不重肉、妾不衣─」又、あみたるもの。○いとを張りたる樂器、八音の一、琴瑟の類。=絃。○いとをとる、いとを紡ぐ。○小數の單位の一、十─を一毫とす。轉じて微細の義とす。○すべて─に似たるもの「蛛─」「遊─」「柳─」○食物の切りて縷を成すもの亦─といふ。韓琦詩「秋老鱠─肥」
きぬいとのくつ。老學庵筆記「惟臨朝服──」=絲履。
いとの如き細雨、こさめ。周彥暉詩「──帶風斜」=微雨。
極めてすこし。唐書、辛雲京傳「治謹于法、下有犯、雖──比、不肯貸」圓通語錄「把斷世界、不漏──」
へちま、瓜の一種、皮の中の海綿狀のすぢは種種の用に供す。
琴と笛と。張說詩「──淸且哀、一曲傾一杯」=絲竹。
きぬいとと、まゆと。禮記「執麻枲治──」
きいとと、あさと。書、禹貢「靑州、厥貢、鹽絺海物、惟錯、岱畎、──」(畎は谷、岱山の谷をいふ)
絲の如きほそきじゅんさい。齊民要術「蓴葉舒長、是名──」
きぬいとと、わたと。孟、滕文公「麻縷──輕重同、則價相若」
いとのこぐち。江淹賦「堆爐炭於片景、控──於一息」
きぬいとにて造りたるなは。宋史、輿服志「貫之以五采──」
いとたけ。ことと、ふえと。絲は琴瑟など、竹は笙笛など。禮、樂記「金石──、樂之器也」漢書、張禹傳「理──筦絃」=管絃·絲管。
琴の異名。桓譚新論「神農氏始削桐爲琴、繩絲爲絃」李白詩「寒苦不忍言、爲君奏──」
きいとにて作りたるほっす。老學庵筆記「第一架六物、曰如意、曰玉斧、曰鶴扇二、曰旛、曰──」
きぬいとと、あさいとと。周禮、考工記「治──以成之、謂之婦功」
絲麻と菅蒯 スゲ とは共に屨を爲るに用ふるもの、屨を爲るには上品の絲麻あるも、下品の菅蒯を棄つべからず。徒に美物のみを貴びて賤物を捨つべからざる喩。左、成九「────────、雖有姬姜、無棄蕉萃」
免絲と女蘿と。詩經「蔦與女蘿」傳「女蘿、免絲、松蘿也」古詩「與君爲新婚、兔絲附松蘿」轉じて婚姻に喩ふ。
天子のみことのり。綸は綬、天子の言は絲の如く細きも、臣下は之を擧ぐること綸の大いなるが如くすとの義。禮、緇衣「王言如絲、其出如綸」に本づく。翰林志「翰林之司、掌──之命」
いとすぢ。南史、張緒傳「枝條甚長、狀苦──」=絲線。
ほそきみち。歐陽修詩「──縈廻細入雲」
紝(糸部四畫)に同じ。
ジュウ [東]
○地の厚く暖かなる毛織物「製─」○ほそぬの(細布)○石─ セキジユウ は鑛物の一、いしわた、績ぎて火浣布と爲す。
厚き毛織物の一種、多く敷物とす。
①ジョ [御]
②ヂョ [御]
①わた(綿)ふるわた(敝綿)「敗─」「弊─」新らしきを綿といひ、故 フル きを─といふ。○わたいれ。○柳の花「柳─」○なづみて決せざる義。○──はことば多くして斷えざる貌。
②味を調理する、味をつける、あんばいする。禮、曲禮「毋─羹」
あつものの味を調へる。曲禮「毋──」
わた。張來詩「幾思狐白易──、羞褫舊服求新裌」
多言にして絕えざること、わたの絲の延びて永く續く如きをいふ。
わたに酒をしたす。後漢書、徐穉傳、注「以綿絮漬酒中、暴乾以裹雞、徑到所赴冢?外、以水漬綿、使有酒氣、釃酒畢則去、不見喪主」後人弔祭文に隻雞──を引くは此に本づく。
わたと、きぬと。史、匈奴傳「高帝歲奉匈奴──酒米食物各有數、約爲昆弟、以和親」
くだくだし。水滸傳、第三囘「話休──」=絮絮·絮聒。
わた。新らしきを緜といひ、故きを絮といふ。姚合詩「舊曆藏深篋、新衣薄──」=絮綿。
わたと、いとと。宋史、食貨志「河南父老、苦劉豫煩苛久矣、賦斂及於──、割剝至於果蔬」
セツ セチ [屑]
○紲(糸部五畫)に同じ。○縲─ ルイセツ は古、罪人をつなぐ黑索 クロナハ =縲紲。
セツ ゼチ [屑]
通音ゼツ
○たつ(截)たちきる(斷)絲を斷ちきる。又永くつづける物事を中斷する「斷─」○ほろぶ(滅)たゆ「─世」○さへぎる(遮)○へだつ(隔)「隔─」遠く離れる「─域」「─塞」○やむ、とどむ(止)「─食」○よこぎる(橫過)「─流」○わたる(度)まっすぐに渡る。○おちいる(陷)○しぬ(死)ころす「─命」○ふさがる(塞)○つく(竭)なくなる、まづし。呂覽、季春「振乏─」○つくす、きはめる(極)○すぐれる、まさる「佳─」○たえて、決して。○はなはだ。史、伍子胥傳「─愛幸之」○詩の一體、律詩の半分卽ち四句より成る詩「─句」「七─」「五─」
同訓異義
タツ 絕·斷·截·裁·製○絕は絲のきれたる義、物のきれてあとの無きをいふ、絕命·絕筆·絕交の如し。論語「在レ陳絕レ糧」○斷は物を二っにたちきること、又物の中たえたることにも用ふ、斷碑·斷橋·斷雲の如し。轉じて決斷の義に用ふ、斷レ獄の如し。○截はきりたつ義、絕と略~同じ、絕句を截句とも書く。○裁·製の二字は共に衣服などをたつことなり。轉じて事をきりもりして決斷するを裁斷·裁決と連用し、天子の詩文などを御製·聖製といふ(製一に制に作る、同じ)○ハナハダ絕·甚·太·泰·酷·孔·已の别は甚(甘部四畫)の條を見よ。
甚だ愛する。陸游詩「──山橫淡靄中」
甚だしく特にすぐれる。後漢書、和熹鄧后紀「姿顏姝麗、──于衆」
遠くへだたれる外國。漢書、武帝紀「詔州郡察吏民有可爲將相使──者」=殊域。
冠のひもをきる。楚の莊王の故事。說苑、復恩「燈燭滅、有引美人之衣者、美人援絕其冠纓」
甚だとほし。張九齡詩「江上行──、林閒偶避喧」
○えんをきる。○電氣が他物につたはらざるやうに遮る。
すぐれてあでやかに美し。又、其の人。李白詩「句踐徵──、楊娥入吳關」
すぐれてよし。蘇軾文「惠酒──」=絕美。
○うみをわたる。梅堯臣詩「蒼鷹──至、不異攫鼠鴟」○遠く陸を離れたる海中。
甚だけはしきがけ。張載、徐行賦「緣阻岑之──」
極めてたくみなり。
まじはりをたつ。戰國策「西生秦患、北絕齊交、則兩國兵必至矣」嵆康に與山巨源──書あり。
○はなはだよし。○絕交に同じ。
中頃たえし學問。
絕谷。李白詩「攀崖渡──」
遠くはなれたる谷。後漢書、梁冀傳「深林──、有若自然、奇禽馴獸、飛走其閒」=絕谷。
きりたちし如きいはほ。吳地記「虎丘山──聳壑」
すぐれたるわざ。班固、答賓戲「逢蒙──於弧矢」
はなはだめづらし。=奇絕。
たちすてる。晉書、江逌傳「──人事、剪茅結宇、耽翫載籍、有終焉之志」=擯棄。
遠く塵世と隔たれる地。陶潛、桃花源記「來此──、不復出」
晉の嵆康が死刑に處せられる時、琴を彈じて廣陵散(琴曲の名)も今に於て絕えぬべしと言ひし故事、風流韻事の復見るべからざるを感慨していふ〔晉書、嵆康傳贊〕
四句より成れる詩、五言、七言の二種あり。金史、劉昂傳「作詩得晚唐體、尤工──」
くさき菜を食はず。杜甫詩「──性不改」
衆にすぐれる。後漢書、隗囂傳「蒼蠅之聲、不過數步、卽託驥尾、得以──」=拔羣·絕倫·超羣·凌羣·出羣。
水路の通ぜざるたまりみづ。韓愈文「是猶航斷港──、以望至於海」
すぐれたるけしき。春渚紀聞「於郡城──處、增廣樓居」
ずぐれたるわざ。唐書、選擧志「──奇技、莫不兼取」=絕技。
大聲にてさけぶ。晉書、袁耽傳「投馬──」
甚だけはし。詩經「終踰──、曾是不易」=絕噞。
○琴の絲をたちきる、伯牙善く琴を鼔し、鍾子期善く聽く、鍾子期死す、伯牙琴を破り、絃を絕つ、おもへらく爲めに鼔するに足るものなしと〔呂覽〕○轉じて親友の死をいふ。
はなはだたかき山。駱賓王詩「薄烟橫──」
後日に又と出ること無し、空前と連用す。宣和畫譜「顧冠于前、張絕于後」
深くけはしきたに。=絕澗·絕壑。
甚だしくかなしみ泣く。晉書、桓石虔傳「古人──、金革弗避」
絕域に同じ。漢書、武帝紀「其令州郡、察吏民有茂材異等可爲將相、及使──者」
こくもつを食はず。淮南子「──不食」=絕粒。
すぐれたるはたらき。又、其の人。後漢書、班固傳「此六子者、皆有殊行──」
遠くかけはなれたる國境のとりで。駱賓王詩「交河浮──、弱水浸流沙」
執著の心なき義。論、子罕「子──、毋意、毋必、毋固、毋我」
祠は祀に通ず、先祖の祭を絕つ、國の亡ぶる義。書經「荒墜其緒、覆宗──」=絕祀。
子孫がたえる。=絕緒。
たえつきる。
すぐれたる詩歌。晉書、謝靈運傳「──高蹤、久無嗣響」
甚だしくけはし。虞世南文「巖磴深阻、盤紆──」
あとつぎが絕える。後漢書、註「──言無後」
○形勢のすぐれたる要地。曾鞏詩「陰負──尤倡佯」○景色のすぐれたる地。○はなはだまさる。韓愈詩「最是一年春好處、──烟柳滿皇都」
○すぐれてよき容色、絕世の佳人。侍兒小名錄「振古──」○物のすぐれて美くしき色。江淹、蓮華賦「蘂金光而──」
食事をやめる。周書、樊深傳「──再宿」陸贄文「昔人有因噎而──、懼溺而自沈者」=斷食。
すぐれてめでたきしるし。唐書、陳希烈傳「陛下德充于內、符應于外、必有──表之」
○絕代に同じ。晉書、安帝紀「鎭軍將軍裕、英略奮發、忠勇──」=冠世。○滅びたる世、後嗣なき家をいふ。論、堯曰「繼──」
○たえてやむ。史、始皇紀「災害──、永偃戎兵」○いきがたえる、死ぬ。
○世俗とはなれる。世事を遺棄する。王襃、得賢臣頌「眇然──離世哉」○凡俗の上に超出する。後漢書、劉陶傳「貞高──」
きれると、つづくと。成公綏賦「若離若合、將絕復續」=斷續。
はなはだ大いなり。
○世に竝びなくすぐれる。杜甫詩「──有佳人、幽居在空谷」○古くかけはなれたる時代〔郭璞、爾雅序〕
他に對立するもののなき義。相對の對。
國 體も命もきはまる、とても逃れられぬ場合。
○ころがる程大いに笑ふ。五代史、晉家人傳「左右皆失笑、帝亦自──」○感心の極たふれる。晉書、衞玠傳「每聞玠言、輒歎息──」○甚だしくかなしみて其の容を失ふ〔隋書、陳孝意傳〕
はなれじま。=孤島。
物の最もはしのところ。=最端。
甚たしくほめる。晉書、劉毅傳「輒──以爲不可能」
たぐひにぬき出てすぐれる。隋煬帝詩「靑骹固──、素羽誠難擬」=絕倫·絕類·絕羣。
○はしること極めて速かにして、塵埃の上に超然たる義。莊、田子方「顏淵問於仲尼曰、夫子步亦步、趨亦趨、夫子奔軼──、而囘瞠若乎後矣」轉じて進德の速なるに喩ふ。○うきよを離れる。=絕俗。
○てつぺん、最上のいただき。王襃詩「檐溜俯危松、山窗臨──」○轉じて極點の義。
最上のいただき。=絕頂。
ひがしのはて。=極東。
たぐひにぬき出てすぐれる。吳均文「貞華照物、而以──見猜」
はなはだすぐれてゐる。韓愈文「滕王閣獨爲第一、有瑰偉──之稱」=特絕。
おもひきる、諦 アキラ める。斷念。
のぞみをたつ。漢書、文帝紀「天下──矣」
甚だしくはるか。王粲賦「楚楚──、山河迥遠」
物がなくなりとぼし。史、平津侯主父傳「曠日持久、糧食──」
○印刷をやめる。○版木が無くなる。又版木を無くしてしまふ。=絕板。
ならぶものなくすぐれる。杜陽雜編「精巧華麗──」
絕佳に同じ。=至美。
○書くことをやめる。杜預、左傳序「──於獲麟之一句」=絕麟。○ 國 生涯の最後に書きし書。
極めてけはしきがけ。世說「桓溫入峽、──天懸」
脈がとまる、死ぬ。
たえてなし。蘇軾文「秦漢以來之所──而僅有」
いのちがたえる、死ぬ。
死に臨みて作る詩歌文章、辭世。漢書、息夫躬傳「著───」=絕命辭。
すぐれてたへなり。北齊書、鄭述祖傳「能鼔琴自造龍吟十弄、云嘗夢人彈琴、寤而寫得、當時以爲──」
たえほろぶ。水經、注「今池林──、略無遺跡矣」
見わたすかぎり。鮑明遠詩「──盡平原」
大海をまっすぐにわたる。宋史、高麗傳「自定海──而東、旣至、國人歡呼出迎」
流を橫ぎりて渡る。爾雅「正──曰亂」
○米穀がなくなる。後漢書、范冉傳「所止單陋、有時──、窮居自若、言貌無改」=絕糧。○米穀を食はず。北史、魏太尉公欽傳「凡人──七日乃死」
人なみよりはるかにすぐれる。漢書、匡衡傳「經學──」
糧米を絕ちて食はず。論、衞靈公「子在陳──、從者病、莫能興」
絕倫に同じ。
すぐれてうるはし。揚雄文「心好沈博──之文」
綫は線に同じ、いとすぢ。細微にして殆ど絕えんとする義。漢書「稍益衰微、──」=不絕如綖·不絕如髮·不絕如帶。
全く無くしてたまにある、非常に少し〔蘇軾、上神宗書〕
タゥ トウ [豪]
○さなだ、ひらうちのひも(扁緒)○うちひも、くみいと。○馬─ バタウ は馬の腹帶。○ 國 ─蟲 デウチユウ はさなだむし。
さなだむし、脊椎動物の腸內に寄生する多節白色のさなだひもに似たる蟲。
テツ [屑]
喪服を著くる時、首と腰とにまきつける麻の帶「衰─」
トウ [宋]
○すぶ。○すべをさめる(總理)書、周官「冢宰掌邦治─百官」○あはす(合)「─一」○はじめ(始)○もと(本)○事のいとぐち、事業のはじあ(業緒)○のり(綱紀)○すぢ、つづきあひ「世─」「系─」「皇─」「大─」「正─」「道─」
すべあつめてひとつにする。漢書、董仲舒傳「下帷發憤、潛心大業、令後學者有所──、爲羣儒首」=一統。
前條に同じ。
子孫のうけつぐべき緒 イトグチ をたれる。孟、梁惠王「君子創業──、爲可繼也」
ちすぢをうけつぐ。漢書、公孫弘傳「──垂業、物鬼變化、天命之符、廢興何如」=承統·繼統。
すべをさむ。晉書、陳騫傳「元勳舊德、──東夏」=統治。
すべをさむ。=統制。
すべあはす。
○政事をすべて監督する。北史、劉仁之傳「曾營城雉、仁之作──」=總監。 國 ○軍隊の演習を統御する人。○韓國保護時代に日本より簡派せし最高官。
すべをさむ。魏志、王淩傳、注「──戎馬、董齊東夏」=總御。
前條に同じ、馭は馬を御する。唐長慶德音「朕──萬邦」
すべくくる、すべまとめる。=綜括·總括。
○すべはかる。○同種類のものを集め、計數によりて、其の狀態を示す法「──學」
天下をすべをさめるわざ。史、自序「維我漢、繼五帝末流、接三代──」
すべまもる。宋史、職官志「宣撫使不常置、宣布威靈、撫綏邊境、及──將帥、督視軍旅之事」
天下をすべ治める。劉基文「惟漢五世、握乾──」
天子のちすぢ。後漢書、丁鴻傳「諸呂握權、──幾移」
すべあつむ。漢書、兒寬傳「──羣元」
すべうく。書經「──先王、修其禮物」
○すべてとりしまる。唐書、高霞寓傳「雖悍而寡謀、──尤非所善」○官名、宋代より始まる、出征軍の司令官、其の總司令長官を都──といふ。
すべひきゐる。唐書、肅宗紀「以──功、遷司徒」=統率。
前條に同じ。
俗 軍の總司令官。
すべをさむ。唐書、兵志「以相──」
一國の元首が國家の平安をはかるに行使する權力。
○すべをさめる。蜀志、杜微傳「猥以空虛、──貴州、德薄任重、慘慘憂慮」=總領。○すべをさめる、かしら、首長、軍の一部曲の長。
ハゥ [庚]
○むぢのきぬ。○つぐ(續)後漢書、班固傳「將─萬嗣」○わた(綿)○ 國 カスリ 飛白。又、其の織物。
ラク [藥]
○まとふ。○くくる(括)しばる(縛)○めぐる。めぐらす(繞)まつはる、からむ「纏─」○つづく、つながる(連屬)「連─」○きづな(絆)「玉─」「金─」○わた(絮)○つむぎ(紬)○すぢみち、いとすぢ「─脈」
くつわむし、絡絲娘を見よ。沈周詩「豆葉風涼──籬」
馬のむながひ。唐太宗、飮馬詩「駿骨飮長涇、奔流灑──」
往來のつづきて絕えざる貌。衞恆、四體書勢「鴻鵠羣游、──遷延」=駱驛·落驛。
絡緯 クツワムシ の異名。爾雅、翼「莎雞以六月、振羽作聲、連夜札札不止、其聲如紡絲之聲、故一名梭雞、一名絡緯今俗人謂之───」=聒聒兒。
蜘蛛の一種、ぢよらぅぐも、全身に黃白黑色の環紋あり、毒甚だし。
しばる。漢書、楊王孫傳「支體──、口含玉石、欲化不得」
おもがひ、馬の鬣 タテガミ の上につける裝飾。杜甫、驄馬行「靑絲──爲君老」=鞅·羈絡。
ルヰ [紙]
○累(糸部五畫)の古字、かさぬ。○一銖の十分の一(十黍のおもさ)轉じて極めて微小の義とす。漢書、律歷志「權輕重者、不失黍─」
7畫
エン [先]
おほひ、冕(禮帽)の上を覆 オホ ふ板にて黑色の布を張りて作る。左、桓二「衡紞紘─」
カゥ [梗]
つるべなは、ゐどなは「汲─」莊、至樂「褚小者、不可以懷大、─短不可汲深」(才の小なる者は重任にたへざる喩)=?。
つるべ繩を下す。劉禹錫文「懸霤──、日中不見」
ケイ キャウ [靑]
○たて、たていと。緯 ヨコイト の對。○たて(縱)○すぢ(系脈)○ちまた(道路)南北を─、東西を緯といふ。○さかひ(區界)「─界」界を分ち定める。周禮、天官「體國─野」○つね、のり(常理·常法)いつも變らぬ道理。孝經、三才「夫孝者天之─也」○ふ、とほる「─過」「─歷」「─驗」「─年」道程にも歲月にも事業にも用ふる。○はかる(度)工事の測量をする。孟、梁惠王「─之營之」○をさむ(治)統治する。左、隱十一「─國家」○くびる(縊)論、憲問「自─於溝瀆」かける(繫)ひき繫ける。史、田單傳「遂─其頸於樹枝」○おる(織)○みちをつく。○よる(由)○したがふ(順)○いとなむ(營)○儒敎にて聖人の著したる書籍「─學」「五─」「明─」「羣─」○ キヤウ 佛說を記せし書籍「梵─」「佛─」○かつて、いままで、曾─と連用するも同じ。○女子の月のもの「月─」「─水」
○たていとと、よこいとと。順序正しくをさめる。左、昭二八「──天地曰文」○地の東西を緯、南北を經といふ〔大戴禮、易本命〕○經度と緯度と。○ 國 イキサツ なりゆきの事情。
とほりよる。王襃詩「末代多僥倖、卿相盡──」
聖人の書を講ずる堂。高啓詩「──葉深秋講散」
○家屋をはかりいとなむ、經始を見よ。○事業をばかりいとなむ。
のびわたる。晉書、何曾傳「──歲月、而無黜罷之期」
天子が經書の講義を聞く席。宋史、哲宗紀「不俟進食、卽御──」
經書の敎をうける。漢書、夏侯勝傳「勝霸旣久繫、霸欲從勝──、勝辭以罪死、霸曰、朝聞道夕死可矣、勝賢其言、遂授之」
經書を攜へながら田をすく。漢書、兒寬傳「寬治尙書、貧無資用、────、息則誦讀」
王羲之が道德經を寫して、鵝に換へたる故事。晉書、王羲之傳「山陰有一道士、養好鵝、羲之往觀焉、意甚悅、固求巿之、道士云、爲寫道德經、當擧羣相贈耳、羲之欣然寫畢、籠鵝而歸」
經書を引きて證據とす。高適詩「匡衡多──」
聖人の書をまきをさめる。北史、鄭道昭傳「碩儒耆德、──而不談」
深く讀書にふける義。班固、答賓戲「徒樂枕經藉書紆體衡門」
常の正しき道をまもる。漢書、貢禹傳「有伯夷之廉、史魚之直、──據古、不阿當世」
さかひ。孟、滕文公「夫仁政必自──始」
孔子の敎を究むる學問。漢書、兒寬傳「見上語──、上說之」=經術·儒學。
○すぢみち。後漢書、卓茂傳「故有──禮義」=紀律·綱紀。○すぢ道を立ててをさめる。淮南子「──山川」○善く生を營む、生活上の世話をする。韓愈、柳子厚墓誌銘「旣往葬子厚、又將──其家」○仲買人。=牙人·牙儈。
書經の意味。漢書、張禹傳「講論──」
とほりすぎる。庾信詩「漢使絕──」=經歷。
○聖人の著したる書物、四書·五經の類。後漢書、劉梁傳「手執──」=經書。○ キヤウウワン 佛敎の書。=佛經。
經術に同じ。史、儒林傳「漢興然後、諸儒始得修其──」
○つねの定りししごと。史、貨殖傳「富無──則貨無常主」○經學の修業。後漢書、鄭康成傳「隱修──、社門不出」
實際にためす。又、それによりて得たる知識。
國家を治める〔晉書、宣帝紀〕次條參看。
ノ國を治めるに要用なるわざ、文章をいふ。魏文帝、典論「文章經國之大業、不朽之盛事」
○國を治め民をすくふ。文中子「皆有──之道」=經世濟民。○ 國 理財の義とす「──學」○つましくする、節儉、儉約。
人類又、國家の財貨に對する關係を硏究する科學。=理財學。
經書と歷史と。方囘詩「──入胷中、丘陵堆重疊」
經書と歷史との本箱、人の博學なるを稱する辭。梁書、許懋傳「永元中轉散騎侍郞兼國子博士、與司馬聚同志友善、僕射江祐雅重之、號爲───」
經書と、歷史と、諸子と、詩文集と。支那の書物の分類法。隋書、經藉志に始まる。
聖人の經書のむね。柳宗元文「儒言──、夙有聞知」
家屋を建てはじむ、經は地を測量する。詩、大雅「──靈臺、經之營之」
○經書を敎ふる敎師。漢書、平帝紀「校學置──一人」○德行なくしてただ經書を授けるのみの敎師(道德を以て人格を養成する者を人師といふの對)通鑑、後漢桓帝紀「魏昭謂郭泰曰、──易遇、人師難遇」○ 國 キヤウジ 昔經文を卷物又折本などにしたてたる人、今は表具屋 ヘウグヤ をいふ「──屋」
各地を經めぐる行商、經は經歷の義〔水滸傳、第二囘〕
一定してかはらず「──費」唐書、食貨志「古之善治其國、而愛養斯民者、必立──簡易之法」
○儒敎の經義に本づきて得來りたる政治上のはたらき。吏治の對。○經學に同じ。漢書、東平思王傳「尊修──」
聖人の書きし書物。史、游俠傳「誦──」
つきやく。=月經。
世を治めること〔莊、齊物論〕
國家を治める制度。又、經理節制の義。宋史、陳傅良傳「於古人──治法尤精」
ほしの名。穀梁傳「恆星者、──也」
聖人の敎の書。晉書、杜預傳「立功之後、從容無事、乃耽思──」=經書·墳籍。
聖人の書の言說。梁武帝文「如是皆是──、不可不信」
へわたる。晉書、涼武昭王傳「吾自立身、不營世利、──累朝、通否任時」=歷涉。
地球の表面に緯線と直交して兩極を連結する想像上の大圏線。
經は聖人の書、傳は賢人の著述。漢書、藝文志「詔光祿大夫劉向、校──」
天下を治める。庾信、擬連珠「────之才、拔山超海之力」
地球を東西に三百六十分せし度。緯度の對。
○人の守るべき平素の道德。孟、盡心「──不囘」囘は邪。○德を常にする、德を守りて變らず〔書、酒誥〕
幾年もすごす、年來。
くにををさめる。書、周官「玆惟三公、論道──、燮理陰陽」=經國。
經書の意義と禮法と。韓愈、送殷員外序「學有──」
つねの費用。史、平準書「不領於天子之──」
兵備ををさめる。左傳「兼弱攻昧、武之善經也、子姑整軍而──乎」阮籍、咏懷詩「才非允文、器非──」
○儒敎の經書の文。○ キヤウモン 佛敎を記したる根本の文。おきゃう。=佛經。
文を縱とし武を橫とする、文武兩道を兼ね備へる。=緯武經文。
田野を經理する。周禮「體國──」
身體のすぢと脈 ミヤク と。
○常の法によりてをさめる。○其のすぢみち。荀、解蔽「道也者治之──也」○經書の義理。後漢書、光武紀「講論──、夜分乃寐」
へめぐる、經來る遊歷する。後漢書、應奉傳「奉少聰明、自爲兒童及長、凡所──、莫不暗記、讀書五行竝下」=跋履。
天下を營みをさめる、絲を理 ヲサ めるに比す。易、屯卦「君子以──」
天下を經營し四方を略有する。左、昭七「天子──、諸侯正封、古之制也」
○久しきを經、遠きを歷る〔書、君奭〕○ふるすぎる過去の事歷。=履歷。
佛經に說くいましめ。梁書、孔休源傳「篤信佛理、遍持──」
佛書を入れるはこ。洛陽伽藍記「──至今猶存」
國 檜·杉等の木材を鉋にて削りし薄片、昔時之に佛經を寫したりといふ、今はさなだ紐に編みて夏帽子を造る。
寺の一切經を藏する書庫。
佛に向ひて唱ふるいのりごと。隋書、眞臘傳「每旦澡洗、以楊枝淨齒、讀誦──」
○佛道ののり。南史、陳後主紀「僧尼道士、挾邪左道、不依──、竝皆禁絕」○ ケイリツ つねののり。葉適詩「每憐莊周齊物論、遣詞曠蕩違──」
ゲキ [陌]
あらきくずぬの。又、其の衣服。詩、周南「爲絺爲─」(絺は精細なる葛布)
①ケン [霰]
②ケン [銑]
①きぬ、けんぷ、蠶絲にて織りし織物。
②わな。=罥。
きぬ張りのうちは。晉書、安帝紀「禁──及樗蒲」
書畫をかく白き絹。歷代名畫記「今之畫人、筆墨混於埃塵、丹靑和其泥滓、徒汙──、豈曰繪畫」
きぬ織物の一、柞蠶の絲にて織りたるもの。=繭紬。
わなのなか〔周禮、秋官注〕
きぬ。魏志、武宣卞皇后傳、注「賜與──」
○きぬと、もめんと。晉書、安平王孚傳「──各五百匹」○ 國 きぬ織物。=絹帛。
きぬ地に書きし書畫。紙本の對。
きぬと、わたと。唐書、地理志「太宗因山川形便、分天下爲十道、一曰關內道、厥賦──布麻、厥貢毛羽革角布席」
シン [侵]
いと、あかきいと(絳綫)「朱─」
ショ ソ [魚]
○紡ぎたる粗き絲。○くずぬの、綌の屬。
女を嫁するに、したくの粗末なるをいふ。後漢書、戴良傳「戴良五女竝賢、每有求姻、輒便許嫁、練裳布被、竹笥木屐、以遣之」蘇軾詩「竹笥與練裙、願時畢婚嫁」
①スヰ [支]
②タ [哿]
①とりてのひも、車中の把、車にのぼりて立つ時、身を安んずる爲めにとりてのぼるひも。論、鄕黨「必正立執─」○轉じてやすし。やすんず(安)論、子張「─之斯來」○しりぞく(卻)軍隊が退く「交─」○──は竝びて行く貌。又、毛の長き貌。又、おだやか(安泰)なる貌。○黍稷を供へて尸を祭る。○かんむりのひも。○はたかざり。
②やすし(安)=妥。○くだす(下)
同訓異義
ヤスシ 綏·安·寧·康·泰·易の别は安(宀部三畫)の條を見よ。
やすんじとどむ。魏書、宇文福傳「──蠻楚」
やすんじなぐさむ。唐書、楊恭仁傳「悉心──由葱嶺以東、皆奉貢贄」=撫慰·循慰。
遠き地方をやすんずる。宋史、喬維岳傳「朝廷寄以──」=定遠。
やすんじをさむ。後漢書、班固傳「──之方、其途不一」=緝御·撫御。
やすんじなつける。唐書、許紹傳「──士庶」
黍稷を供へて尸をまつる。禮、曾子問、疏「謂欲食之時、先減黍稷牢肉、而祭之於豆閒、故曰──」
やすんじ和 ヤハラ げる。後漢書、西域傳「班超留于寘、──諸國」=安集·和集·綏緝。
やすんじやはらげる。後漢書、伏隆傳「招懷──、多來降附」=綏集·緝綏·撫緝·安緝。
○安泰 ヤスラカ なる貌。荀、儒效「──兮其有文章」○ならび行く貌。詩、衞風「有狐──」
民をやすんずる。吳志陸遜傳「敬服王命、──四方」=綏寧·靖綏。
やすんず。左傳「文公恐懼、──諸侯」
やからをやすんず。張衡賦「糾宗──禴祠蒸嘗」
國家をやすんじ定める。後漢書、宣帝紀「朕承至尊、未能──」=安定鎭綏。
やすらか。やすんずる。司馬光詩「疲俗待──」=安綏。
たみをやすんず。張嘉貞詩「有謀當繫醜、無戰且──」
やすんじてなで愛する。吳志、孫瑜傳「虛心──、得其歡心」=撫綏。
邊境の民をやすんず。吳志、薛綜傳「──撫裔、實有其人」=綏遠·鎭邊。
①セゥ [蕭]
②セゥ [肴]
①うすぎぬ(輕縠)「霧─」○きぎぬ「生─」○あやぎぬ。○しろぎぬ。
②ほばしら、帆をかける長木。
うすきしろぎぬ。圖繪寶鑑「每醉揮墨于──粉堵之上」
うすぎぬ。埤雅「相去數丈之閒、如隔──」=縠綃。
白ききぬ。歷代名畫記「古人畫雲未爲臻妙、若能沾濕──、點綴輕粉、縱口吹之、謂之吹雲」
うすぎぬのあや。
チ [支]
ほそ絲の葛布 クズヌノ 又其の衣服「葛─」「縐─」
葛布のとばり〔史、孔子世家〕
葛布と、わたと。轉じて夏と冬との義。張說詩「詩書將變俗、──忽彌年」
絺は葛布の細かなるもの、綌は麤きもの。詩、周南「爲絺爲綌」論、鄕黨「當暑袗──」
絺は精細なるくずぬの、紵はいちび麻にて織りたる布。書、禹貢「厥貢、漆枲──」淮南子「冬日被罽、夏日服──」
チン [軫]
うしのはなづな。=紖。
テイ [霽]
つむぎ、あしぎぬ、粗くしてあつききぬ(厚繒)
あつぎぬを加へたるひぢつき。西京雜記「天子──、冬則加綈錦其上、謂之──」
厚ききぬ、つむぎの類。漢書、王嘉傳「乘輿席、緣──而已」
わたいれのあしぎぬの上衣。史、范雎傳「取一──以賜之」
トウ [宥]
○綿の一片。○俗に繡(糸部十二畫)と同じく用ふ。
統(糸部六畫)の俗字。
繁(糸部十一畫)に同じ。
フツ [物]
○おほづな(大索)禮、緇衣「王言如綸、其出如─」○ひつぎなは、棺を引くなは(棺索)=紼。
①ブン [問]
②ベン [銑]
①喪を發する時に著る服。○ひつぎなは、棺をひくつな。
②かんむり。=冕。
リョ ロ [語]
○無地のきぬおりもの。○ 國 ロ 極めてうすき絹織物。
〔國字〕
○かすり(絣)○かせいと。
8畫
カゥ [陽]
○つな、おほづな(大繩)○あみ(網)の目をすべるおほづな。書、盤庚「若網在─有條而不紊」○轉じて物事をとりしまるのり「─紀」「朝─」又、人の常に守るべき大いなる道「─常」「三─」○すべる、すべ治める。詩、大雅「─紀四方」○くくる、つなぐ(係·維)周禮、馬質「─惡馬」○同類のものの大いなる類別。目の對「─目」○つら、なみ(列行)○貨物若干を一っに結合して運輸するにいふ「茶─」「鹽─」「─運」
大綱を擧ぐれば細目も自ら明かになる、綱目參看。
○おほづな、國家の法度。史、淮陰侯傳「秦之綱絕而維弛」=綱紀。○寺にて事務を管掌する者の稱。酉陽雜俎「其寺──、每日報竹平安」
綱領となる最要の點。葉采、近思錄、序「諸──、悉本朱子舊注」
九十二卷、淸の吳乘權撰す、别に朱國標の編せし明鑑易知錄十五卷あり、今之を合刻して一部と爲す、編年體の歷史にして、通鑑の煩を删り歷代の事實を知り易からしむ、和版あり。
○大づなと小づなと。國家を治めるのり。後漢書、律曆志「巍巍乎若道、天地之──、帝王之壯事」=紀綱·綱維。○國家をすべ治める。絲を治むるもの、之を張るを綱と爲し、之を理 ヲサ むるを紀と爲す。詩、大雅「──四方」
人の守るべき大道、三綱(君爲臣綱、父爲子綱、夫爲婦綱」五常(仁·義·禮·智·信)の咯。宋史、葉味道傳「正──」
のり、おきて。舊唐書、王翃傳「雖不能擧振──、然以謹重知名」
物の大わけと小わけと「通鑑──」詩經、序「擧一綱而萬目張、釋一卷而衆篇明」
すべをさめる。曾鞏文「──天下、軼於漢祖」=綱紀·統治。
おほもと、おほぐくり。晉書、刑法志「不足較擧上下──」
キ [紙]
○あや、あやぎぬ(文繒)もやうのある絹「錦─」其のあやもやうの斜めにして經緯に順はざるもの。りんず(綸子)○もやう、いろつや(文藻·彩色)○うつくし、かざりてたくみなること「─語」○綠─は司馬相如の琴の名。
あやぎぬのころも。史、匈奴傳「繡袷──」
うつくしき雲と、赤きかすみと。江淹賦「乃有綺雲之館、頳霞之臺」
美くしきむしろ。陳子昂詩「金尊對──」=綺席。
うつくしくあてやか。北史、辛德源傳「晚節逾厲、枕籍六經、漁獵百氏、文章──、體調淸華」=綺靡。
うつくしき夕やけ。蕭統、七召「──映水、蛾月昇天」
うるはしきたかどの。謝偃詩「靑樓──已含春」=綺樓。
美くしきてすり。王勃、七夕賦「珠櫳──北風臺、繡戶雕窗南向開」=繡檻。
うつくしきはな。梁簡文帝詩「──非一種」
あやぎぬと、ねりぎぬと。美くしき織物。又、其の衣服。後漢書、王符傳「錦繡──」
うつくしきたかどの。宋書、后妃傳「椒庭──、千門萬戶」
あやぎぬもて飾れるとびら。張憲詞「璚窗──鎖風色」
○巧にかざりたることば。梁武帝文「但所言國美、皆非事實、不無──之過」○ 佛 虛飾の語、十惡の一。
あやあるうすぎぬ。史、孟嘗君傳「今君後宮蹈──、而士不得短褐」
○美くしきからくさもやう。于昭、明堂賦「綷以──、施以丹雘」○ぅつくしき詩文。十六國春秋「苻堅覽而奇之、此文──淸麗、長卿儔也」
○美くしくいりまじる〔何晏、景福殿賦〕○ごたごたにまじる。新論「眞僞──、賢愚雜糅」
美くしき思想。梁簡文帝詩「──曖霞飛」=綺情。
あやぎぬのそで。蔡邕文「──丹裳、躡蹈絲屝」
うつくしきへや。後漢書、仲長統傳「妖童美妾、塡乎──、倡謳妓樂、列乎深堂」
うつくしきぬひもやう。漢書、地理志「其俗彌侈、織作冰紈──純麗之物」
うるはしく色づきたる木。江淹、四時賦「憶上國之──」
美くしきまど。夏侯惠、景福殿賦「仰觀──、周覽菱荷」
面白くあやあるはなし。陸機詩「高談一何綺、蔚若朝霞爛」
うつくしきちまた。王涯、遊春詞「纔見春光生──」
美くしくはでやか。陸機、文賦「詩緣情而──」
あやぎぬのとばり。陶弘景、碑頌「璚函玉檢、──繡巾」
うつくしきゆめ。黃哲詩「梁園生──」
あやぎぬと、うすぎぬと。顏氏家訓「車乘塡街衢、──盈府寺」
あやぎぬ。劉基詩「蹴霞蹈霧碎──」
あやありてうるはし。續齊諧記「衣服──、容貌殊絕」
美くしきたかどの。唐明皇詩「遲步入──」
キ [支]
○履 クツ のひも(履繫)「履─」○もえぎ、靑黑き色、綠色、蒼艾色。女の服の色。詩、鄭風「縞衣─巾」○きはむ。きはまる(極)荀、王霸「目欲─色」
キン [軫]
緊は俗字
○かたし(堅)○ちぢむ(縮)「─縮」○せまる、急ぐ事がら「─急動議」○きびし(急)○まつはる(糾)きびしく絲をまとひあはす。
最も大切なり。政刑大觀「係──事件、卽登簿」
○絃をきびしく張る。傅毅、舞賦「弛──之絃張兮」○必要に迫る事がら。
きびしく、もつれる。楚辭「心──兮傷懷」=糾繚。
きりつめてせまし。圖畫見聞志「其體稠疊、而衣服──」
ひきしまる。ひきしめる。
○極めてきびし。=急切。○甚だ大切なり。○甚だ適切なり。
きびしくつかむ。
きびしく張る、十分に張りつめる。
佛 天龍八部の一、人に似て頭上に角あり、音樂の神。=人非人·疑人·疑神。
かたくしてすきまなし。夢溪筆談「赫連城、──如石、劚之皆火出」
ともづなをかたく結ぶ。陳造詩「──下窗坐」
①ケイ [薺]
②ケイ [徑]
①はたじるし、しるしばた(徽幟信)○ほこのさや(戟衣)=棨。
②肯─は筋肉の結ぶ處。莊、養生主「技經肯─之未嘗」轉じて事理の緊要の處をいふ。
ケン [願]
繾─ ケンケン はねんごろにする、情厚く、つきまとひて離散せざる貌〔詩、大雅〕
①コン [阮]
②コン [元]
①なは(繩)○織りたるおび(帶)後漢書、南匈奴傳「童子佩刀─帶各一」
②緄戎は西域のえびすの名。史、匈奴傳「自隴以西、有綿諸─戎」=混夷。
織りたるおび。字解參看。
サイ [賄]
○あや、いろどり、あやもやう(彩文)「文─」「五─」いろいと(色絲)○あやぎぬ、もやうのある五色のいろどりある織物(五色綢)又、其の衣服。
美くしくいろどれるまく。宋史、禮志「百貨駢巿、競以──」=綵帷。
五色にていろどれる衣服。杜甫詩「遠傳冬筍味、更覺──春」=綵服。
老萊子が年七十にして嬰兒の戲を爲し、五色の衣を著て母を喜ばしたる故事〔高士傳〕曹植詩「伯瑜年七十、綵衣以娛親」(韓伯瑜をいふ)
色絲にてかざりたるまり。李白、宮中行樂詞「素女鳴珠佩、天人弄──」
つくりばな、造花。景龍文館記「出──賜近臣武平一」=綵華。
前條に同じ。
美くしきあやもやうある絹織物。
五色のあやあるかとりぎぬ。劉克莊詩「──百段支女樂」
色絲のなは。吳融詩「──颺輕吹、黃鸝啼落花」
いろいと。白居易詩「──茸茸香拂拂」=綵線。
いろうるし。晉書、輿服志「以──畫輪轂、名曰畫輪車」
つくりばな。初學記「人日剪綵爲──」(人日は、正月七日)=剪綵。
色絲のなは。韋應物詩「──拂花去、輕裘度閣來」=綵索。
五色にてゑがきかざれるふね。宋史、禮志「眞宗東封泰山、所過州府、上御子城門樓、設山車──、載樂」
いろどれる詩箋。賈島詩「抄書上──」
美くしくいろどりしたるいと。=綵絲。
美くしき色のくみひも。晉書、輿服志「皆帶綬、以──爲緹帶」
うつくしき儀仗。沈佺期詩「北闕晴空──來」
いろぎぬのとばり。沈佺期詩「燕姬──芙蓉色」
美くしくいろどれるへや。顏延之賦「周以巖廊、匝以──」
木を架し、綵帛を張りて覆蔽 オホヒ となすもの。通典「隋大業年、外國來朝、煬帝於端門外、列爲戲場、百官──夾道、從昏達旦、縱觀之」
美くしき色のほうわぅ。謝朓詩「──鳴朝陽、玄鶴舞淸商」
美くしくいろどれるかご。蘇軾文「大集金槃──以獻」
いろどれるともづな。隋遺錄「錦帆──、窮極侈靡」
いろどれるあやぎぬ。張渭表「新衣二稱、虹電閒出、──五色、鸞鶴互飛」=文綾·綺綾。
いろどりたるいとすぢ、蘇軾詩「捧箱──看新絲」
美くしき色のはね。朱松詩「翩翩射鴨弓、一笑翻──」
うつくしきうてな。夢華錄「京師七夕、貴家多結──於庭、謂之乞巧樓、里巷與妓館、列之門首、侈靡相尙」
美くしくいろどれるかご。韓愈詩「靑幢紫蓋立童童、細雨浮煙作──」=綵籃。
①サイ [隊]
②スヰ [寘]
①ゑぎぬ、五色のきぬ。史、司馬相如傳「─雲蓋而樹華旗」
②─? スヰサイ はきぎぬ(紈素)のすれあふ聲。籍田賦「綃紈─?」
①シ [支]
②シ [紙]
緇は正字
①くろいろ(黑色)周禮、考工記「七入爲─」染めて七次に至るをいふ。○くろいろのきもの(黑衣)墨染の衣「─衣」○轉じて僧侶、黑色のころもを著るに由る「─徒」
②くろむ、黑色にそめる。論、陽貨「不曰白乎、涅而不─」
○黑色の衣服、古、卿士が家居の時の服。詩、鄭風「──之宜兮、敝予又改爲兮」○すみぞめのころも、僧衣、轉じて僧侶の義とす。
緇林を見よ。
すみぞめのころもを著て、僧となる。高啓詩「──别家人」
僧と道士と。道士は黃冠を著るが故。=僧道。
○くろきと、しろきと。孔叢子「以絲麻加之女工、爲──靑黃、色名雖殊、其質則一」○僧と俗と、素は白色の服、俗人をいふ。梁元帝文「──結轍、華戎延道」
としよりたる僧。劉眘虛詩「山門二──、振錫聞幽聲」
くろきちりによごれる、風塵に奔走して衣服がけがれる。李益詩「少游京洛共──」
黒色に染む。劉鑠詩「伊余久──、復得味苦淡」
僧侶。孟浩然詩「皁蓋依松憩、──擁錫迎」=緇侶·緇流·僧徒。
黑色の衣服。水經「──思玄之士、鹿裘念一之夫」
古、冠禮を行ふ時、初に───を加へ、次に皮弁を加へ、次に爵弁を加ふ、漢代、名を進賢冠と改め、文儒の服と爲す。
くろし。鹽鐵論「縞素不能自分于──」
僧侶。盧綸詩「泯跡在──」=緇徒。
林茂りて黑き帷 トバリ の如きをいふ、孔子が其の下に遊びしによりて、道を講ずる處の稱とす。莊、漁父「孔子遊乎緇帷之林、休坐杏壇之上、弟子讀書、孔子弦歌鼔琴」
くろむと、うすろぐと。論、陽貨「不曰堅乎、磨而不磷、不曰白乎、涅而不緇」李白詩「趙璧無──、燕石非貞眞」
僧侶。任華文「──之澄肇、詞場之沈謝」=緇徒·緇流。
シウ ソウ·ス ス [尤]
○靑と赤との閒色、紫に類する色。論、鄕黨「君子不以紺─飾」=淺絳色。○又、其の絹。
シャク [藥]
○しとやか、しなやか(婉美)○ゆるし、ゆるやか(緩·寬)「寬─」○おほし(多)
あだな。=綽名。
寬大なる貌、兮は助辭。詩、衞風「寬兮──、倚重較兮」
ゆったりとして迫らず、寬裕。詩、小雅「此令兄弟、────」孟、公孫丑「吾進退、豈不綽綽然有餘裕哉」
ゆったりとしたる貌。=綽綽·綽兮。
ゆったりとしとやかなるやうす。心廣くして姿 スガタ 多し。曹植、洛神賦「柔情──、媚於語言」
あだな。水滸傳「──久喚花和尙」=綽號·諢名。
柔かに媚びる貌、柔弱なる貌。舞賦「──閑靡、機迅體輕」綽一に淖に作る。莊、逍遙遊「肌膚若冰雪、淖約若處子」
ジュ [有]
○くみひも(組·絲絛)「組─」○官職のしるしとして佩びる印の環を受くるひも「印─」「璽─」史、蔡澤傳「懷黃金之印、結紫─於要」○ 國 勳章·襃章等を佩用するに用ふるひも。
官職を辭する。魏文帝詔「漢高脫衣以衣韓信、光武──以帶李忠」=挂冠·釋綬。
官に就く義。解綬の反對。顏延之詩「脫巾千里外、──登王畿」=佩綬。
七面鳥。=吐綬鳥。
ズヰ [支]
○かんむりのひも(冠纓)「紫─」「素─」「朱─」○はた、舜の時の旌。○── ズイズイ は長く垂れる貌。杜牧詩「壯髮綠──」○蜩 セミ のくちばし、長くして腹の下に在り。禮、檀弓「范則冠而蟬有─」○ 國 オイカケ 古、武官の冠の左右につけたる菊花を半切せし如き形の飾。ほほすけ。
セキ シャク [錫]
○ほそぬの、細き麻布、通じて裼·錫に作る。○もすその下の緣。
セフ シフ [葉]
○ぬふ(縫)○衣の緣をぬふ。漢書、賈誼傳「─以偏諸」
セン [霰]
○あかね色、茜草 アカネ にて染めたる色、靑赤色。○靑赤色の絹。左、定四「─茷旃旌」
線(糸部九畫)に同じ。
ソウ [宋]
○すぶ、すべをさめる(經理)○すべあつめる(總聚)易、繫辭「錯─其數」○へ、をさ(筬)たていとを通して整へ治める具。
事の本末をすべて明かにす、核一に覈に作る、次條參看。
事の本末をすべあきらかにす。漢書、宣帝紀「信賞必罰、──名實」=綜核。
すべあはせる。=總合。
ひとまとめにすべくくる。唐書、姚思廉傳「推究──爲梁陳二家史、以卒父業」=總括。
すべをさめる。漢書、王莽傳「公開門延士、下及白屋、屢省朝政、──衆治」
すべつくすこと。晉書、祖納傳「五經羣史、多所──」=該悉。
すべあつめる。晉書、虞溥司馬彪傳「咸能──遺文、垂諸不朽」=總緝。
すべると、わけると。蔡邕文「包括無外、──無形」=分合。
すべてにひろくわたる。後漢書、孔融傳「名實相副、──經學」=會通。
つとめをすべをさめる。隋書、百官志「置六官、以──」=總務。
すべをさめる。晉書、陶侃傳「其──微密、皆此類也」=總理。
すべ習ふ。晉書、葛洪傳「兼──醫術」
總(糸部十一畫)に同じ。
タゥ [豪]
○よる、なはなふ。詩、豳風「宵爾索─」○なは(繩索)
①タン サン [勘]
②タン [感]
①白く鮮 アザヤ かなる衣の貌。○つむぐ(紡)
②もえぎ(靑黃色)○ 國 だんだらぞめ。
タン テン [諫]
○ほころぶ、解ける、衣の縫ひ目がとける。○花開く。杜甫詩「紅─雨肥梅」
ほころびやぶる。梅堯臣詩「意在留補綴、恐衣或──」
ほころぶ。禮、內則「衣裳──、紐箴請補綴」
①チウ [尤]
②タゥ [豪]
①まとふ、まつはる(纏)○しばる(縛)たばねる(束)○こまか(緻密)「─密」○織物の稱、紬 ツムギ と通ず。○おくぶかし(奧深)
②つつむ(韜)
俗 吳服店。
性情が緻密にして操行が正直。詩、小雅「──如髮」傳「密直如髮也」
○もつれあふ。詩、唐風「──束薪、三星在天」=纏綿。○まとひつつむ。詩、豳鳳「──牖戶」
①チン [侵]
②シン [侵]
①よし(善)○人名、孫─は三國の吳の丞相。
②─纚 シンシ は衣裳の毛羽の垂れる貌。
①テイ [霽]
②テツ [屑]
①つづる、つらぬ(連)ぬひつらねる(縫聯)「補─」「連─」つぐ、とづ、つぎあはす、あつむ、あつまる(緝)「緝─」「集─」○つづり、とぢ。○つく、むすぶ(結)○へりかざり(緣飾)○はたあし(旒)○しるし(表)
②とどむ(止)禮、樂記「禮者所以─淫也」○まぐ(拘)
學問をうけ授かる。漢書、劉歆傳「往者──之士」=承學。
子音と母音とを合して成る音。
よろひををどす。戰國策「秦──厲兵、效勝于戰場」
文字をつづる。
次條に同じ。任昉文「──遺文、永貽世範」
つづりあつむ。漢書、敍傳「故探撰前記、──所聞」=緝綴·編緝。
乖 ソム き離れざる貌。荀、非十二子「──然」
文をつづる。又、つづりたる文。漢書、劉向傳「自孔子後、──之士衆矣」=著述。
○はたあし、旗のかざり、綴は其のかざりを旗に結びつける義。詩、商頌「爲下國──」○ふきながしの結びつけたるもの。手に持ちて自由になる故、臣が君を自由にする譬に用ふ〔公羊傳、襄十四〕=贅旒。
つづりつらぬ。魏書、崔浩傳「多裁割──、以爲楷模」=連綴。
絣(糸部六畫)に同じ。
バゥ マゥ [養]
網は同字罔は古字
○あみ、魚鳥を捕る具「魚─」「羅─」「擧─」書、盤庚「若─在綱、有條而不紊」○あみす、あみを張りて魚鳥を捕る。○つつみくるむ。○ことごとく取る「─羅」○おきて、刑法「法─」「禁─」「刑─」「天─」漢書、酷吏傳「昔天下之─嘗密矣」○たてよこのななめに行きかふあや。
あやもやうのほりものしたる戶。宋玉、招魂「──朱綴」
あみ。關尹子「聖人師蜂立君臣、師蜘蛛立──」=罔罟。
網卽ち法律が周密にして罪人を逃さず。道德指歸論「隆刑嚴罰、峭直刻深、法察──、慘毒少恩、諸侯畏忌」=網密。
あみの目かあらまか。轉じて法律のぬけめあるに喩ふ。鹽鐵論「──則獸失、法疏則罪漏」
網の中。宋史「前有堅城、後有大河、勁兵四面至、彼或南下、墮吾──矣」=術中。
蜘蛛 クモ の異名。沈約詩「──垂戶織」
あみにてとらへる。張椿文「皆禁──、所以宣皇明而廣慈愛也」
おきて、刑罰。宋書、王僧達傳「居常輕任、尙懼──」
眼球の最も內部に在りて、外界の影象をうつすうすかは。
網の目が細密なる義。薛道衡、老氏碑「魚驚──、鳥亂弓多」轉じて法律の嚴密なる喩。
あみのめ。法律にたとへていふ。世說、言語「亦由陛下──不疎」
○おほあみと、こあみと。莊、山木「然且不免于──機辟之患」=羅網。○轉じてすべてをくるめ取る。史記、自序「──天下放失舊聞」
のこらずくるめこむ。史記、自序「──古今、敍述懲勸」
まうけを獨りにてしめる。劉筠文「──者、罷登壟斷」
大奸人が法律の制裁を逃れるに比す。史、酷吏傳「───────、而吏治烝烝、不至于姦」
國 ○冬期水中に竹又は木を組みならべて魚を捕へるもの。○檜の木又は竹をあみて筵の如くあみしもの。
ヒ [微]
○あか、ひのいろ(赤絳)○赤のねりぎぬ。
同訓異義
アカシ 緋·赤·紅·丹·絳·殷の别は赤(部首七畫)の條を見よ。
ひをどしのよろひ。
あかきうすぎぬ。白居易詩「──燭下水平流」
ひのころも、あかき僧衣。魏書、蠕蠕國傳「詔賜──小口袴褶一具、紫衲大口袴褶一具」
あか色と、みどり色と。又、其の衣服。隋書、禮儀志「五品已上通著紫袍、六品已下兼用──」
ベン メン [先]
緜に同じ
○わた、木綿 モメン のわた、新らしきを─といひ、古く麤きを絮といふ。○まわた、繭から製せしわた。○つらなる、長くつづきて絕えず「連─」○こまか、ほそし「─密」○まとふ、まつはる「纏─」○やはらか(軟弱)○─蠻 メンバン は鳥の聲。
つらなりのぶ。韋應物詩「紆直水分野、──稼盈疇」=連延。
採收せし果實のままのわた。
綿花を硫酸と硝酸との混合液にひたして製したる爆發藥。
つづきわたる。謝靈運、山居賦「跨越山嶺、──田野、或陞或降」
わたをすきこみたるかみ。李商隱詩「半曲新辭寫──」
もめんいと〔韓愈、錢重物輕狀〕
かよわし。唐書、李聽傳「惟南兵──、鄆人素易之」
ほそくやはらかな手。崔珏詩「莫道妝成斷客腸、粉胸──白蓮香」
わた。漢書、匈奴傳「金帛──」
つらなりまとふ。楊萬里詩「海棠──雪荼?」
綿は連綿 ツラナル 蕞は蕝に同じ、茅を剪りて地に立て、それを連ねて尊卑の位次を表す。史、叔孫通傳「與其弟子百餘人、爲──習之」
前條に同じ。
ながく絕えざるなげき。孟郊詩「──空躊躇」
長くつらなる土地。穀梁、文十一「──千里」
四川省の地名。晉書、文帝紀「鄧艾帥萬餘人(中略)破蜀將諸葛瞻於──」
氣息の絕えんとする貌。世說、德行「臨終──」
病が危篤なり。周書「廣旣居喪、更加──」廣は宇文廣。
わたと、きぬと。後漢書、董卓傳「奉獻──」
才力の弱き義。方囘詩「──希儲峙、貪婪恣取求」
年代がはるかにとほし。晉書、天文志「年代──、文籍靡傳」=悠遠。
鳥の鳴く聲。詩、小雅「──黃鳥、止干丘隅」
○わたと、ぬのと。後漢書、濊傳「知種麻養蠶作──」○もめんの織物。
もめんぎもの。=綿衣。
ゆきとどきてこまかし。宣和書譜「宋蕭思話學書于羊欣、下筆──」=周密。
うち續きて絕えざる貌。詩、王風「──葛藟、在河之滸」=緜緜。
ひつじの一種。毛長く角無く、其の毛を毛織物の原料とす。宋史、層檀國傳「蓄有──·山羊·沙牛·水牛·槖駝·馬·犀·象」
わたの中のはり。諷刺の語に喩ふ。通俗編「元曲云、───」
力弱く材うすし。漢書、嚴助傳「越人────、不能陸戰」
こまかにしてうるはし。唐書、李華傳「文詞──少宏傑氣」=緜麗。
ひきつづく。北史、崔仲方傳「出嶺──七百里」
うちつづく、つらなる。李紳詩「江雲續斷草──」=連綿。
ユヰ ヰ [支]
○つな、おほづな(綱)○道德の基礎たるのり、四─は禮·義·廉·恥。○世界の四隅をつなぐ大綱「天柱地─」又、すみ(隅)○すぢ「纖─」○つなぐ(繫)くくる(連結)詩、小雅「縶之─之」○つらねむすぶ(連結)○おもふ(念)發聲の辭。○これ。=惟。○ただ。=唯。○屠─は十二支の巳の異名。
同訓異義
コレ 維·惟·之·此·是·旃·斯·諸·伊·時の别は之(ノ部三畫)の條を見よ。
佛 世尊と同時代の天竺の人の名。翻譯名義集「──羅詰、秦言淨名」=淨名居士·維摩詰。
のり、法度。漢書、司馬遷傳「不以此時引──、盡思慮」=綱維。
ふねをつなぐ。陳子良詩「我行逢日暮、弭棹獨──」=繫舟。
舟のつなと、かいと。漢書「是猶渡江河亡──、中流而遇風」
○これあらたなり、王政の改まる義。詩、大雅「周雖舊邦、其命──」○ 國 明治初年の改革をいふ。
これ城、卽ち城の如く衞りとなる者、嫡子をいふ。詩、大雅「宗子──」
つなぎもつ、もちこたへる。干寶、晉紀總論「賴道德典刑、以──之也」
北斗星の異名〔莊、大宗師〕
終日勉むるも十分にたらず。維は一に惟に作る。書、泰誓「我聞吉人爲善、惟日不足、凶人爲不善、亦惟日不足」詩經「降爾遐福、────」
ヨク·ヰキ イクヨク [職]
○ぬふ(縫)○ぬひめ(縫會)詩、召南「素絲五─」
リゥ ル [有]
緯 ヨコイト の十縷、一說に絲十を綸、綸十を─といふ(一說、綸の倍)
①リン ロン [眞]
②クヮン [删]
①つりいと(釣繳)「垂─」「投─」○ふときいと、絲よりも麤。○おほづな(綱)○つかさどる、をさめる「經─」易、屯卦「君子以經─」○まとひつつむ(纏裹)○靑絲をあみたる印のひも(靑絲綬)○ことのいと(琴絃)○わた(絮)
②─巾 クワンキン は靑絲にて作る巾の名、諸葛孔明の用ひしによりて一名諸葛巾。○ 國 ─子 リンズ 絹織物の一種、綾子のあて字。
天子のみことのり。貢奎詩「增秩覩重典、──播明庭」=絲綸。
天子のみことのり。晉書、儒林傳「尊儒勸學、亟降於──」次條を見よ。
天子の詔は一たび出でて反らざるに喩ふ。禮、緇衣「子曰、王言如絲、其出如綸、王言如綸、其出如綍」天子の言はもと絲の如く細きも、之を出して下に達するときは、其の太きこと綸の如しとの義。漢書、劉向傳「出令如出汗、汗出而不反者也」
みことのり。薛廷珪詩「爾能奉─丨」綸言如汗を見よ。
靑絲のくみひも。江淹表「縹衣──、漢置前制、奇服怪物、周設常刑」
こんぶの異名。本草集解「昆布、又名──」
天子の詔、綍は棺を引く大索 オホナハ 柳宗元文「捧對──、不知所圖」綸言如汗を見よ。
みことのり。=綸旨。
いとと、わたと。魏書、道武帝紀「採諸漏戶、令輸──」
リャウ [養]
○よりあはす(絞)○履二っ。
リョウ [蒸]
○あや、あやぎぬ(文繪)薄く細き織物。○繒─ ソウリヨウ は平かならぢる貌。○ 國 おもてに現はれざる種種の關係、いきさつ。
あやぎぬ。又、其の衣。北史、隋文帝紀「大夫不衣──、而無金玉之飾」元史、后妃傳「其韌密比──」
國 古の皇居の殿名、宜陽殿の左、麗景殿の右、溫明殿の前にあり。
あやぎぬと、白のねりぎぬと。又、其の衣服。後漢書、桓帝紀「婦人衣──者三百餘人」
あやのかとり絹。北史、馮元興傳「徒步上省、以示淸貧、忽遇盜大失──、時人鄙其矯詐」
あやぎぬのうちは。李商隱詩「──喚風閶闔天」
あやぎぬのづきん。北史、魏孝靜帝紀「八十以上、賜──及杖」
白色の絹布、織目はななめにして地質厚く光澤なきもの(龍文と書くは誤)
あやぎぬと、うすぎぬと。張華、輕薄篇「童僕餘梁肉、婢妾蹈──」
リョク ロク [沃]
○みどり、靑と黃との閒色、もえぎ。○みどりいろの布帛。又、其の衣服。○かりやす、草の名、黃─色を染むべきもの、一名淡竹葉。=菉。○結─は寶玉の名。史、范雎傳「宋有結─」○─耳は古の駿馬の名。
あをき色の稻。=綠苗。
みどりのさざなみ。貢奎詩「春洲揚──」
貴賤其の所をかふるに喩ふ。綠は閒色、黃は正色、綠を衣とし、黃を裏とするは、貴賤顛倒なり。詩、邶風「綠兮衣兮、────」
鸚鵡 アウム の異名〔開元天寶遺事〕
靑葉のかげ。白居易詩「眠松愛──」
初夏の綠陰の景は、春花の時にまさる、王安石、初夏卽事の結句。
みどりのたけ。劉憲詩「遶坐薰紅藥、當軒暗──」=綠竹。
さといも。沈約詩「紫茄紛爛漫、──鬱參差」=靑芋。
新綠にふりかかる雨。張問陶詩「四月好天氣、人來──中」
○みどりのくも。鮑照詩「揚芬紫煙上、垂綵──中」○美女の髮の多くして黑き形容。杜牧、阿房宮賦「──擾擾、梳曉鬟也」
みどりいろの木のは。屈原、九歌「秋蘭兮靑靑、──兮紫莖」=翠葉。
あをき色のけむり。李白詩「──滅盡淸輝發」
みどりのはちす葉。李嶠、詠露詩「珠湛──中」
靑きあさざ。王仲旉、南都賦「白蘋──、芡實蓮房」=翠荇。
みどり色のまなこ、外夷の眼。岑參詩「君不聞胡笳聲最悲、紫髯──胡人吹」=碧眼。
みどりのひし。左思、魏都賦「──泛濤而浸潭」
琴の名。傅玄文「楚王有琴、曰繞梁、司馬相如有──、蔡邕有焦尾、皆名器也」
美酒の異名。謝朓詩「嘉魴聊可薦、──方獨持」
みどりのたちばな。本草集解「朱橘小而色赤如火、──紺碧可愛、不待霜後、色味已佳」
綠色柱狀の美石。エメラルドの類。=綠柱石。
みどりのゑんじゅ。沈佺期詩「──開復合、紅塵聚還散」
あをあをとせるたかやぶ。錢起詩「重門深──」
みどりのわげ。鬟は總髻。白居易詩「紅綃帶緩──低」
みどりなるうね。唐球詩「書傍──?嫩玉」
みどり色の谷。岑參詩「瓜田傍──」
黑髮のもとどり。長孫佐輔詩「──靑蛾尙未衰」
あをくして大いなる海がめ。しゃうがくばぅ。
あをばと花と。杜牧詩「千里鶯啼綠映紅」=紅綠。
あをきはますげ。後漢書、馬融傳「樹以蒲柳被以──」
あをきみの。韋莊詩「──人釣季鷹魚」(季鷹魚は鱸 スズキ )
靑きみの、漁者の服。張志和、漁父詞「靑箬笠───、斜風細雨不須歸」
みどりのくさ。劉孝綽詩「況在靑春日、萋萋──滋」
○貧女の住家。富女の室を紅樓といふの對。白居易詩「──貧家女」○ひろく婦女の室のまどをいふ。李商隱詩「秦人昔富家、──聞妙旨」
朱熹の四時讀書樂の詩の句。宋史、道學傳「周惇頤字茂叔、雅有高趣、牕前草不除曰與自家意思一般」とあるに本づく。
みどりのも。嵆康詩「婉彼鴛鴦、戢翼而遊、俯唼──、托身洪流」
名馬の名。史、周紀「造父以善御、幸於周穆王、得──之駟」=騄駬。
荻などの靑く茂りたる洲。唐玄宗詩「初鶯一一鳴紅樹、歸雁雙雙去──」
皇孫のくるま。後漢書、輿服志「皇孫──以從」
晉の石崇の妾の名、孫秀之を奪はんとして得ず、詔を矯めて崇を收めし時、自ら樓下に投じて死す〔晉書、石崇傳〕
みどり色の良き酒。陶潛詩「淸歌散新聲、──開芳顏」
みどり色の印綬〔漢官儀〕
國 孝子順孫節婦義僕、又は實業に功勞ある者に賜はるはぅびのしるし。
みどりの木。王勃、益州淨惠寺碑「──玄藤、網羅丘壑」
草木の茂れる小島。韓翃詩「──晚迥舟」
みどりがこまやか、草の茂る形容。歐陽修、秋聲賦「豐草──而爭茂」
みどりのみづ。劉長卿詩「──瀟湘闊、靑山鄠杜深」
みどりいろ。李白詩「──如芙蓉」
あをきばせを。皮日休詩「空將──葉、來往寄閒詩」
こけの異名。古今注「室空無人行則生苔蘚、或靑或紫、一名──」=苔錢。
あをあをとしたるくさむら。周元範詩「離離朱實──中」
みどり色のさかだる、尊は樽。轉じて美酒。幽怪錄「──翠杓、爲君斟酌」
あをきこけ。古今注「苔或紫或靑、一名──」=蒼蘚·綠苔。
あをきこけ。賈至詩「舊館秋陰生──」=綠蘚。
みどりの姿 スガタ 草木の美くしき形客。方囘、海棠詞「──多慵、紅情不語、動搖人意」
みどりいろのまぅせん。
みどり色のふち。梁簡文帝詩「──倒雲氣」=碧潭。
みどり色のたけ。詩、衞風「瞻彼淇澳、──猗猗」(一說、綠は菉、草の名、王芻の一名)
煎茶にして飮む普通の茶。紅茶の對。
みどりのみぎは。趙師秀詩「薰風滿──」
あをきへた。太眞外傳「宰臣賀表曰、──含霜、芳流綺殿」
唐の僧懷素の庵 イホリ の名。淸異錄「懷素居零陵庵、東郊植芭蕉、亙帶幾數萬、取葉代紙、號其所曰──」
みどり色のひとみ、外夷の眼。唐書、黠戛斯傳「長大赤髮晳面──」
よきさけ。韓翃詩「鱠下玉盤紅縷細、酒開金甕──濃」
みどりのかみ。李白詩「中有──翁、披雲臥松雪」
ろうは、染物又は臭氣止に用小。=硫酸鐵·皁礬。
みどり色の美くしき石。孟郊詩「白玉抽一毫、──已難排」
あをきうきくさ。杜審言詩「淑氣催黃鳥、晴光轉──」=靑蘋。
みどりのうきくさ。梁武帝詩「銀浪翻──」
みどりのなへ。陸游詩「──無際接旁村」
るり色の玉。又、みどり。張衡、南都賦「──紫英」
龜の一種、みのがめ。蘄州志「本州西河井產龜、甲上有綠毛、茸如海苔」
みどりのつるくさ。司空曙詩「──雜紅英」
○みどり色の茶の樹。李嘉祐詩「淺流通野寺、──蓋靑山」○よき色の煎茶。朱慶餘詩「──香醒酒」
○靑く茂れる野原。謝靈運詩「春晚──秀」○唐の裴度の别莊の名。舊唐書、裴度傳「於午橋、創别墅、花木萬株、中起涼臺暑館、名曰──堂」
みどりのやなぎ。王融詩「淇上──稀」=翠楊。
みどりいろのうすぎぬ。歐陽修詩「池面──風卷皺」
あをきつた。郭璞詩「──結高林、蒙籠蓋一山」=碧蘿。
山の名、荊州、當陽縣に在り、前漢の末の亡命者、此の山にこもる、よりて盜賊の異名とす〔漢書、王莽傳〕李涉、遇盜詩「──豪客夜知聞」=白波。
美酒。左思、吳都賦「飛二輕軒而酌──」=綠醽。
みどりのいりえ。儲光羲詩「垂釣──春」
國 古、六位の人の著たる綠の袍。
みどり色の顏料 ヱノグ 無水炭酸と銅との化合物。
①レイ [霽]
②レツ [屑]
①もえぎ(萌黃)○かりやすぞめ、戾草 カリヤス にてそめたる色「綠─」
②麻のみどりいろなるもの。○ 國 セチ 麻いとにて目をあらく織りし布。
もえぎの印のひも。東觀漢紀「復設諸侯王金璽──」
ワン [潸]
○すべる(統)すべくくる。史、貨殖傳「束─穢貉朝鮮眞番之利」○人名。盧─は漢高祖の臣。○つなぐ、かく(繫)連絡する。○つらぬく(貫)○むすぶ、わぐねる。
ひぢにまとふ。繁欽詩「何以致拳拳、──雙金環」
9畫
①ヰ [未]
②ヰ [尾]
①よこいと、織物の橫絲。經 タテイト の對。左、昭二四「嫠不恤其─」ぬき。○よこ(橫)東西の道をいふ。南北の道を經といふの對。○地文にて赤道に平行して地球の表面に引きし假設の線「─度」「北─」「南─」○すぢみち、もと。○おる(織)○未來記「讖─」「圖─」○六經に皆─あり、熟語の緯書參看。○星の名、五─は五星。○絡─ ラクヰ は蟲の名。=莎雞。
②つかぬ(束)
橫すぢと縱すぢと。吳師道詩「修梁雄跨相──」
○未來の事、又吉凶禍福の豫言を記せし書物。○經書の對。禮、王制、疏「去孔子旣遠、──見行於世」易·書·詩·禮·樂·春秋·孝經に各一緯あり、合して七緯といふ。
赤道に平行して橫に引きたる假定線、赤道以北を北緯、以南を南緯といひ、赤道の零度より兩極の九十度に至りて終る。
地球の赤道を基本として橫線にて劃したる南北の距離。經度の對。
武を橫絲とし、文を縱絲として國家を治める。晉書、齊王攸傳「自家刑國、緯武經文」=經文緯武。
①エン [霰]
②エン [先]
一音ネン
①へり、ふち。○衣服のへり、衣服の端にまとひつけたる飾。○すべて物のへり。
②よる、ちなむ(因)「由─」○よる、たよる、したがふ(循·順)孟、梁惠王「─木而求魚」○まとふ(絡)てづるを求める「夤─」○ちなみ、たより、ゆかり、えにし、かかりあひ、人倫の關係、夫婦のえにしなど「世─」「俗─」「塵─」「前─」「良─」「宿─」○ 佛 まはりあはせ、因によりて果を生ずる作用「因─」○褖と通ず「─衣」
同訓異義
ヨリ 緣·自·從·由·因·仍·道の别は自(部首六畫)の條を見よ。
ちなむ。ゆかり。杜甫詩「中原正格鬬、後會何──」
佛 現在の結果を得たる原因、二因の一。大藏法數「謂一切功德善根、資助了因、開發正因之性、故名──」
まつはりめぐる。益部方物志「木或下垂、苒弱──」
ゆかりあるいへ、しんるゐ。緣類。唐書、高僧傳「──在壽陽」
へり、さかひ。後漢書、魯恭傳「郡國螟傷稼、犬牙──不入中牟、河南尹袁安上書言狀、帝異之」
佛 十二因緣の理を觀じてさとる。大藏法數「因觀十二因緣、覺眞諦理、故名──」
○ 佛 社寺等の由來。楞伽經「佛說──」○著者が著書を編成せし由を說くにもいふ。序文の類。○ 國 きざし、吉凶の兆。又めでたきよろこび、いはひ。
ゆかり、えんつづき。
國 和歌の修飾法の一、音韻上又は意味にゆかりある他の語を假りて修飾するもの。
他人の罪によりてまきぞへになる。北史、齊後主紀「諸家──、配流者所在令還」=連坐。
臺灣にて松魚 カツヲ をいふ。
外部のかざりをつける。漢書、公孫弘傳「──以儒術」=文飾。
○僧となりたる因緣ある日。=化緣日。○ 國 神佛の祭日、有緣日の略。
因緣にて定まる所の分 ブン をいふ。沈周詩「知無──難輕入」
勞して功なき喩。字解、竝に木(部首四畫)の條を見よ。
結婚によりて生じたる親類。=緣家。
縕(糸部十畫)を見よ。
カン ケン [咸]
○とづ、ふうをする「封─」○手紙のふうじめ。轉じて手紙の義「華─」○つぐむ、口を閉ぢて言はず、默する「─默」家語「有金人、三─其口」
箱、又は書信の封をひらく。李白詩「況有錦字書、──使人嗟」=披緘·啓緘。
くちをとづ。ものいはず。家語、觀周「有金人焉、三緘其口、而銘其背曰、古之愼言人也」
封じてかたくとざす。宋史、高昌國傳「有勅書樓、藏唐太宗·明皇御札韶勅、──甚謹」=封鎖。
封じたる文書、手紙をいふ。李商隱詩「玉璫──何由達」=封書。
くちびるをとぢてものいはず。隋書、王孝籍傳「風霜侵骨髓、安可齰舌──吞聲飮氣」=緘口。
ふうじたる手紙。范成大詩「口傳好語無──」=封書。
封じおさへる。魏志、鍾會傳「前無彊敵、──衆城、網羅迸逸」
はこを封じる。蘇軾詩「貴人自矜惜、捧玩且──」
封じつつむ。歐陽修、古硯詩「緹襲三四勤──」
とぢてひめかくす。孫過庭書法「設有所會、──已深、遂令學者茫然莫知領要」
とぢる、ふうをする。漢書、宣許后傳「滿一篋──」=封緘。
口をつぐむ。ものいはず。默一に嘿に作る。宋史、張洎傳「儻君父焦勞於上、臣子──於下」=緘口。
クヮイ クヮ·ヲ [佳]
紫靑の閒色の印の紐「靑─」
クヮン [旱]
○ゆるし、ゆるやか。急の對「舒─」「徐─」「閑─」「寬─」嚴 キビシ からず。○おそし(遲)にぶし。○しまりなし、ゆるやか、ゆったり(寬)古詩「出門日以遠、衣帶日以─」ゆるむ。○せまらず。ゆっくりする。孟、滕文公「民事不可─也」
○ゆるやかなると、いそがはしきと。○危急の義、緩は帶說とて意輕し。史、袁盎傳「一旦有──、寧足恃乎」
わざはひをゆるくす。柳宗元文「願以潭上田、貿財以──」
ゆるやかなる貌。陳基詩「聽唱花閒──歌」=徐徐。
其の刑罰を緩くする。周禮「荒政(中略)三曰──」
婉言を以て譬喩などを引きてしづかにもの言ふ。史、魏豹傳「──往說魏豹、能下之、吾以萬戶封若」
死刑をゆるべる。易、中孚「君子以議獄──」
かいをゆるめて舟の進みをおそくする。儲光羲詩「──揮觥欲賦詩」
心ゆるみておこたる。管子「人心之變、有餘則驕、驕則──」
をびをゆるくして安心する。漢書、匈奴傳「邊城守境之民、父兄──、稚子咽哺」
ゆるやかにあゆむ。北齊書、文苑傳「──當車、無事爲貴」=徐步。
ゆるやかにしておこたる。書經、疏「寬弘者、失於──」
コウ [尤]
○繩にて刀劍の把 ツカ をまく。○まきづか、蒯─は麻なはにてつかをまく。○─氏は地名、春秋の周の邑、漢代の縣、今の河南省偃師縣の南に─氏山あり、相傳ふ王子晉、白鶴に乘じて山巓に駐り、手を擧げて時人に謝して去ると。
コウ [蒸]
又、絚に作る
○おほなは(大索)○きびし(急)とし、はやし(疾)
シ [支]
○麻布の目のあらきもの。○─麻 シマ は三ケ月閒の喪服。
シュ ショウ [麌]
ほだす。ほだし(絆)
シフ [緝]
○つむぐ(績)麻をつむぐ(接麻)○あつむ(會聚)「采─」「綴─」あつまる=輯。○ぬふ(縫)衣服の下を縫ふ「─邊」○つづく、つぐ(繼續)○ひかる(光明)大學「於─熙敬止」○やはらぐ(和)○とらふ(搜捕)「─盜」○──は口舌の聲。又、條理ある貌。
ひかりが明かなる貌。緝は明、熙は廣。詩、大雅「穆穆文王、於──敬止」
口舌の聲。詩、小雅「──翩翩、謀欲諧人」
あつめて安んずる。獨孤及、謝表「謹當竭力守官、正身率下、勉勵苦節、──疲人」=靖綏。
つむぐ。詩經、箋「──作衣服」
あつめつづる、文を作る。南史、胡僧祜傳「性好讀書、愛──」
あつまりやはらぐ。蜀志、諸葛亮傳「將相──、未可一朝定也」=緝和·和穆。
あつめやはらぐ。夏侯湛、昆弟誥「──我七子、訓諧我五妹」=緝穆。
シャウ [陽]
あさぎいろ(淺黃色)又、其の織物。
あさぎいろのかとりぎぬ。王安石詩「當時備巡遊、今不在──」
あさを色のきぬ、古人の寫本、多く縑素を用ふ、其の淡黃色に染めしを──といふ。轉じて書物の義。庾信文「緹帙──、受玩無已」次條參看。
あさぎ色の布にて作れる書物おほひ。隋書、經籍志「分爲四部、總括羣書、盛以──、書用緗素」=書衣。
○あさぎ色。又、其の布にて製せし衣服。後漢書、輿服志「賈人──而已」○書物をいふ。范成大詩「──如山畫掩關」
シュウ シュ [尤]
しりがい(馬紂)
ショ [語]
○いとぐち(絲端)○轉じて事のこぐち、はじめ「端─」○しごと、わざ。詩、魯頌「纘大王之─」○のこり(殘)あまり(餘)「─餘」「─風」○たづねきはめる(尋究)「─正」○つづき、つなぎ(系統)○ついづ(序)○ 國 ヲ 絲、又、ひもなど。
前人の事業をうけつぐ。中庸「武王纘大王王季文王之緒」
しごと、事業。史、周紀「武王卽位、修文王──」
○餘りのことば。莊、漁父「孔子曰、曩者先生、有──而去」○轉じて書物のはしがき。=序。
其の本を尋ねてただす。史、張丞相傳「──律歷」
ちすぢ。陸倕文「──莫詳、邑居罕見」
事業のこぐちにつく、成功のいとぐちが開ける。
餘風に同じ〔楚辭、九章〕
用ひたるあまり、のこり。莊、讓王「道之眞以治身、其──以爲國家」=餘事。
本論に入る發端の論說。=敍論。
セツ [屑]
紲(糸部五畫)に同じ
○きづな(絆)○つなぐ(繫)「─馬」
セン [霰]
又、綫に作る
○すぢ、いとすぢ(絲縷)絲麻を以て縷と爲して縫ふに用ふるもの。○ほそ長くして絲の狀をなせるもの。○ 俗 ─索は祕密の事のいとぐちを推求する義。簡稱して─ともいふ、眼─は盜賊を踪跡する義。○數學にて位置と長とありて幅及厚さのなきもの「直─」「垂─」
紐 ヒモ のつきたるはきもの。唐書、車服志「有──、侍兒則著履」
いとみやく。襄陽縣志「崔眞人萬曆朝、應召、詔自簾北────」
香の粉末を用ひて線の如く製せし香料。
縫ひたる針の迹 アト 袁凱詩「縫到鴛鴦處、行行──斜」
いとと、わたと。禮、內則「佩箴管──」
いとすぢ。杜甫詩「危途中縈盤、仰望垂──」=絲縷。
○ほそ長きみち。蘇軾詩「──不容足」○ 國 汽車·電車などの通路。
ソウ [東]
俗に總と混用するは非
○うすぎぬ。○あを、帛の靑色。○絲の數。詩經「素絲五─」
ソウ [東]
○あみ(魚罔)○いと八十すぢの稱、八十縷。
タン ダン [旱]
通音ドン古、段に通ず
○どんす(緞子)絲密 コマカ にして地厚く、表面滑澤 スベスベシテツヤアリ なる絹織物、其の花紋あるものを花─といふ、杭州の產を上品とし杭─といふ、四川省巴縣の產を巴─といふ。○─疋庫 タンヒツコ は淸代、戶部三庫の一、各省輸する所の綢─絹布等を入るるくら。
國 ○どんすの幕、だんだら筋のある幕。○古の下等の芝居のたれ幕。じて下等の芝居。又其の役者の稱。
チ [寘]
○こまかし(細·密)きめがこまか。○くはし(精)物事に念が入りてぬけめなし「工─」「精─」「細─」「詳─」○ぬひおぎなふ(縫補)
○きめがこまやか。蘇軾文「棟楹峻峙、瓦壁──」○こまかにこみ合ふ。水經、注「林木──」=緊密。
テイ [齊]
○むすぶ、結びて解けず。とりきめる。史、始皇紀「合從─交」○むすばる(結)屈原、九章「氣繚轉而自─」○ 國 シム 固く結ぶ。○ シマル とりしまる、警戒する。○ シマリ 「取─」「戶─」
同訓異義
ムスブ 締·結·掬の别は結(糸部六畫)の條を見よ。
夫婦の緣をむすぶ。宋无詩「黃香早──」
家屋を結びくむ。終南十志「資人力之──、後加茅茨」=結架。
まじはりを結ぶ。賈誼、過秦論「合從──、相與爲一」=結交。
しめくくる。約束をむすぶ。江淹、讓官表「──民社」
結びかまふ。王襃、于謹墓碑「于時王業──、國步權輿」
むすびつくる。楊億賦「結合隱邪、──疑似」=構造。
ちかひを結ぶ「──國」
やくそくを結ぶ。又、結びしやくそく。唐書、張孝忠傳「──益堅」
テイ [齊]
○あか色。又、丹黃色。○あかぎぬ、赤帛。○土の色の黃赤のものにもいふ。
漢の文帝の時の孝女、父淳于意罪ありて刑に當す、──身を入れて官婢と爲り父の刑を贖はんと請ふ、帝其の意を悲み爲めに肉刑の法を除く。
あかき裝したる騎兵、赤衣の馬隊。主に罪人を捕へるもの。後漢書、百官志「執金吾一人中二千石、丞一人比千石、──二百人」
ハゥ ホウ [皓]
又、褓に作る
○むつき、うぶき(產衣)小兒の衣被 キモノ 漢書、宣帝紀「在襁─」=襁褓。○ 國 スムツ おしめ。
①ビン コン [眞]
②メン [先]
①いと、つりいと(綸)詩、召南「維絲伊─」○なは(繩)○かうむる、かうむらす(被)○ぜにさし(錢貫)○ぜにさしに貫きたる錢。
②綿に通ず。─蠻 メンバン は鳥の聲。大學「─蠻黃鳥」=綿蠻。
○ぜにさしに貫きたるぜに。漢書、武帝紀「初算──」○漢時代の稅法の名(千錢を一緡にさして一貫とし、一貫每に二十錢を所得稅として收める稅法)
釣絲。謝靈運、山居賦「──不投、罝羅不披」
ベゥ [篠]
通じて眇に作る
○かすか(微)はるか「浩─」○縹─ ヘウベウ は遠く見える貌。=縹眇。
①ヘン [先]
②ヘン [銑]
①あむ、とづ、絲にてとぢる。○ついづ(序次)繩にて次第に竹簡を排列する。○文書をあつめつづる、書物をえらぶ。轉じてとぢぶみ(書籍)漢書、張良傳「出一─書」○つらぬ(連)すべて次第に順ふもの皆─といふ「─列」「─排」○くむ、織る「─蒲」「─竹」○むすぶ(結)○とぢいと。とぢかは。又書物のとぢめ。○かもじ(假髻)
②いとをくむ、くくる、あむ。=辮。
宋代の刑法の一、いれずみせずして地方に流す。吏學指南「宋法不文面而流者、謂之──」
民閒の戶籍に編入せる家、庶人をいふ。漢書、高帝紀「諸將故與帝爲──民」
文書をあみあつめる。陸游文「嘗──、刻本於金陵客舍、今亡矣」
あみついづ。史、孔子世家「上紀唐虞之際、下至秦穆、──其事」
○ととのひて正し。後漢書、祭祀志、注「百禮──而不瀆」=纂修。○文書をあみととのへる。又、國史を編修する官。宋に史館──あり、明代は翰林院に屬し、位、修撰に次ぐ。
文書をあみあつめる、緝は又、輯に作る。南史、劉苞傳「手自──、筐篋盈滿」=編纂。
前條に同じ。
たけをあむ。徐夤詩「織茅──稱貧居」
あみつづる。山谷題跋「──爲藏書」
くみいれる、くみこむ。
歷史の一體、年代順に事實を記述するもの、資治通鑑の類。
齒のうつくしくならびたるをいふ、編は排比の義。漢書、東方朔傳「目若懸珠齒若──」
髮をあみつかぬ。又、其の髮〔史、西南夷傳〕=辮髮。
いかだをあむ。呂周任、泗州記「維舟──以載之」
がまをあむ。任昉文「集螢映雪、──緝柳」
たけのこし。公羊傳、注「竹箯、一名──」=竹?。
○あみつらねる。詩經、傳「──他髮爲之」○庶人の戶籍に編みつらねる義。史、司馬相如傳「──之民」=編戶。○くみならべる。
ベン メン [銑]
○ほそいと(微絲)○かろし(輕)○とほし(遠)はるか(藐)「遐─」「悠─」○思ふ貌「懷─」○─甸 ビルマ は國名。
はるかにおもひやる。世說、棲逸「──人外、三十年矣」
○遙かなる貌。水經、注「高壁──、與霄漢接」○遠く思ふ貌。楚語「──引領南望」
綿(糸部八畫)に同じ。
レン [霰]
○ねる、きぬを灰汁にて煮て熟せしめる。○白のねりぎぬ「素─」○えらぶ(選)「簡─」「選─」○しらべる、けみす(閱)○ねられて成る。○くはしくならす、精熟せしめる「熟─」「訓─」「操─」「諳─」「洗─」○一周忌に著る喪服。又、其の祭。小祥忌。
訓練してつよし。又、其の兵。吳子、圖國「此五者、軍之──也」
精 クハ しくしらべる。晉陽秋「陶侃──庶事」
ねりきはめる。宋書、自敍傳「好書不倦、尤──萬事」
詩文を作るに字句をよくねる。珊瑚鉤詩話「詩以意爲主、又須篇中練句、句中練字、乃爲工」
ねりぎぬのかんむり。禮記「主人深衣──、待于廟」
丹砂をねる。薩都刺詩「分鑪學──」=煉砂。
死後十三ケ月目のまつり、一周忌の祭。禮、曾子問「主人──而不旅」
兵をねる、練は訓練。道德指歸論「選將──、砥礪中兵」
練句練字を見よ。
墨翟が白きねり絲を見て黑くも赤くも染まること、猶ほ人の性の善にも惡にもなると似たるを悲みし故事。說林「墨翟見練絲而悲、爲其可以黃可中以黑也」阮籍詩「楊朱泣岐路、墨子───」
日をえらぶ。謝莊文「──簡辰」=擇日。
よく習ひて詳かに知る。南史、王僧綽傳「好學──朝典」
ねりならふ。晉書、胡母輔之傳「──兵馬」
海軍士官候補生又は水兵機關兵の實地練習に用ふる艦。
ねりて精くする。=練達。
ねりそめる。後漢書、百官表「掌知物賈、主──、作采色」
ねりえらぶ。文心雕龍「綴字屬編、心須──」
なれて通達する。後漢書、胡廣傳「年八十、而心力克壯、──事體」=諸練通達。
佛 寺の異名。梵語、阿蘭若の略。祖庭事苑「──亦云蘭若」
ぬりたるぬの。晉書、王導傳「乃與朝賢、俱制──單衣」
武藝をねりて精くする。=講武。
軍隊を訓練する。崔禹錫詩「──宜雨洗、臥鼓候風涼」
ねりみかく、練習硏磨の略。
〔國字〕
○をどし。鎧のさね(甲葉)を緒又は革にてつづる「緋─」○をどす、をどしをする。
10畫
イ エイ [寘]
○くびる、くくる(絞)○自ら頸をくくりて死ぬ。左、桓十三「莫敖─於荒谷」○人の頸をくくりて殺す。
くびをしめてころす。公羊傳「桓公召而──之」=絞殺。
蟲の名、一名は蜆、長さ寸許、頭赤く身白く、恆に絲を吐き自ら懸る、能く蝶に化す。爾雅「蜆、──」注「小黑蟲赤頭喜自縊、故名──」
エイ ヤゥ [庚]
○めぐる(旋·繞)とりまく「─繞」「廻─」又、めぐらす。○まとふ、からみつく、からまる。詩、周南「葛藟─之」○まがる(曲)まつはる(紆)「紆─」
めぐりまつはる。史通「列行──以相屬」=紆縈。
まとひめぐる。朱熹詩「一川寒碧自──」=縈繞·縈帶。
まつはりむすぼる。吳都賦「苞筍抽節、往往──」
まとひめぐる、とりまく。詩、齊風「水所──」=縈廻·縈繚。
まとひめぐる。蘇轍詩「下枕湖水相──」
○まとへるおび。袁崧、宜都記「大江如──」○まとひめぐる。=縈繞。
まとひめぐる。笙賦「新聲變曲、奇韻橫逸、──歌鼓、網羅鍾律」
まとひいだく。閻隨侯詩「千巖萬壑相──」
まとひめぐる。柳宗元文「縈靑繚白」
めぐりまがる。王安石詩「大江秋正淸、島潊相──」
①ヲン [元]
②ウン [文]
③ウン·ヲン [吻]
緼の正字
①赤と黃との閒色。
②さかんなる貌「紛─」○絪─ インウン は天地の元氣。又、元氣の上りむす貌。
③おくぶかし(淵奧)易、繫辭「乾坤其易之─邪」=蘊。○ふるわた、やれわた(舊絮)○もつれあさ(亂麻)○─袍はどてら。
どてら。韓詩外傳「曾子褐衣──未嘗完」
どてら。ぬのこのわた入。論、子罕「子曰、衣敝──、與衣狐貉者、立而不恥者、其由也與」=縕褚。
どてらのあまぐ、雨衣。北齊書、文苑傳「身衣──、出藝粱稻、歸奉慈親」
カゥ [皓]
○ねりぎぬ(練縑)○こまかききぬ(精繒)しろぎぬ(白繒)○きぎぬ(生絹)○ 國 シマ 色絲を織り込みて筋目を現はしたる模樣。又、其の布帛「縱─」「橫─」
白色の衣服と、もえぎ色の巾と共に周代の賤しき女の服裝。轉じて己の妻の謙稱。詩、鄭風「────、聊樂我員」(員は助字)
しろきはね。張載、扇賦「飄──于淸霄、擬妙姿於白雪」=白羽·素羽。
白ねりぎぬのづきん。晉書、李壽載記「特聽──素帶、居師友之位」
ねりぎぬのもすそ。韓愈詩「──練帨無等差」
しろきくつ。說苑「帶玉劍履──」
○白色の喪服。史、高祖紀「寡人親爲發喪、諸侯皆──」○しろき冠と、しろき紕と。禮、玉藻「縞冠素紕、旣祥之冠也」
吳の季札が鄭の子產に縞帶を與へ、子產は之に報ずるに紵衣を以てせし故事により、友人閒の贈物、又は交際の義に用ふ〔左、襄二九〕宇文逌文「情均──、契比金蘭」
白きねりぎぬの衣。張九齡詩「──紛相送」
しろきねりぎぬ。蘇轍詩「窗中──舒眼界」
ゲキ [陌]
いんのひも(綬)
①ケン [先]
②ケン [霰]
①かく。かかる、たれさがる。=懸(心部十六畫)○つなぐ。つながる(繫)○へだたる(隔絕)遠く離れる。○あらはる。○かけて鳴らす樂器、鐘磬の類。
②あがた。秦の始皇の時に始まりし行政上の區劃、郡又は府に屬す(我國にては郡が縣に屬す)「郡─」「治─」 國 ○あがた、上古は朝廷の御料地、後には縣主 アガタヌシ の支配する土地、中古以後は國主の任國。○ ケン 現今地方行政區劃の一、地方自治體の最上級にあるもの。
はかりをかける、勢力の互に相等しきをいふ。戰國策「不能與齊──矣」
縣の歲出入其の他法律にて委任せられたる事項を議決する機關。
○天子をいふ。漢書、京房傳「事──十餘年」○州縣の吏。漢書、食貨志「其在所之──」
物の盡きて一物もなき義。左、僖二六「室如──、野無靑草」=縣磬·懸罄。
つづみかけに懸けたるつづみ。禮記「廟堂之下、──在西、應鼓在東」
すきをかけて農事を休む。又、かけたるすき。國語「民無──」
車をかける、再び出でざる義。轉じて致仕の義に用ふ。漢書、薛廣德傳「縣其安車、傳子孫」=懸車。
國 縣が幣帛を奉る資格の神社。
襃美 ハウビ をかける。後漢書、桓譚傳「張官置吏、以理萬人、──設罰以别善惡」=懸賞。
縣令の屬官〔史、商君傳〕
勝母の名を忌みて孝行の曾子は其の縣に入らず〔史、魯仲連·鄒陽傳〕
○遠く軍を出す。劉向疏「──萬里之外、揚威昆山之西」○かけたるはたの風に搖く如く、心の安からざるに喩ふ。戰國策「心搖搖如懸旌」懸は縣に同じ。
○縣の行政。○縣廳の所在地。
縣の事務を取扱ふ役所。
縣の政をする役所。後漢書、郭泰傳「給事──」
縣の宿つぎの馬。漢書、賈山傳「省廏馬以賦──」
獸肉をかけて垂れる。史、殷紀「以酒爲池、──爲林」
○縣の長官〔史、商君傳〕○國明治十九年以前の縣の長官。今の縣知事。○縣知事の發する行政上の命令。
神仙の居る山。楚辭「夕余至于──」=玄圃。
ケン コン [鹽]
かとりぎぬ、ふたこぎぬ、あはせたる絲にてかたく織りしきぬ。絹の細密なるもの。漢以後多く贈遺賞賚等に用ふ。亦書畫の用に供す「綵─」「素─」「生─」「熟─」「尺丨」「斷─」
かとりぎぬの著物。漢書「媼爲翁須作單──」
かとりぎぬと、わたと。齊書、陳皇后傳「冬月猶無──」
あやぎぬのあやあるもの。白居易詩「捧授金銀與──」=綵縑。
淺黃のうすぎぬ、書物の表裝に用ふ。轉じて書物の義。駱賓王文「頗遊簡素、少閱──」柳宗元文「具筆札、拂──」
かとりぎぬの白きもの、書畫を書くに用ふ。圖繪寶鑑「略施微染、自然超出──」=素縑。
かとりぎぬ。宋史、豐稷傳「仁宗衾褥用黃絁、服御用──」
きぬと、かみと。陳與義詩「卻寄書林汙──」
コク [屋]
○ちりめん(縮緬)=縐紗「羅─」「細─」「文─」「綺─」○もぢ。○霧─ ムコク はきりの如く細かなるちりめん。
コツ [月]
結─ ケツコツ は心むすぼれて解けず。楚辭「心結─兮折摧」
サイ [賄]
○こと(事)漢書、揚雄傳「上天之─」○ 國 いき、生命「─が切れる」
サイ [灰]
喪服、長さ六寸、廣さ四寸、胷の前に著けるきれ(通じて衰に作る)
①シ [支]
②サ [哿]
①參─ シンシ はふそろひの貌。=參差。
②いさぎよし、鮮潔なる貌。○ 國 ヨル 絲をよる。○ ヨリ よりたる絲。
シウ ス [宥]
通音スウ
○ちぢみ(縮)「羅─」しじら、葛布の細かにしわあるもの。○ちぢむ(縮)ちぢめるあや。
ちぢみのこまかきかたびら。詩、鄘風「蒙彼──、是紲袢也」
シン [震]
又、?に作ろ
○うすあかいろ(淺赤色)又、其の帛。○さしはさむ(插)束帶の時、笏を大帶(紳)にさしはさむ。轉じて高位高官の者「─紳」=搢。○─雲は黃帝の時の官名。
○束帶の時に笏 シヤク を大帶に插む。轉じて公卿の義。縉又搢·薦に作る。漢書、郊祀志「其語不經見、──者弗道」=搢紳·薦紳。○轉じて廣く高位高官の人の稱。
俗 職員錄。
縉(前條)に同じ。
シン [軫]
○こまか(緻·密)物事に綿密なり。○くろし(黑)○くろかみ。=鬒。○うみたるあさいと。
こまか。陸龜蒙、紀錦裙文「非繡非繪、──柔美」
衆くして盛んなる貌。上林賦「周覽泛觀、──軋芴」
心を用ふることが、こまかにしてつつしみぶかし。禮、聘義「溫潤而澤仁也、──以栗知也」南史、孔休源傳「休源累居顯職、──未嘗言禁中事」
ジョク [沃]
○かざり、繁 シゲ く多きいろどり「鮮─」「紛─」「纖─」○しげし、わづらはし、こまか(細)「繁─」
かざれるいろどり。晉書、夏侯湛傳「湛稱弄翰、──彫煥」
しげくいろどれるくみひも。江賦「靑綸競糾、──爭映」
わづらはしき禮儀「繁文──」宋史、李若水傳「有司循常習、故欲加──、非所以靖公議也」
ほそやかにしてうるはし。太眞外傳「綵繒──、一時無比」
セン [先]
うすあか、ももいろ(淺絳色)爾雅「一洗謂之─」又、其のきぬ。
タゥ トウ [豪]
○くみひも。=絛。○つるぎのふくろ(劍衣)=韜。○かくす(藏)
ツヰ [寘]
○おろす、繩にすがりてさがる「下─」左、僖三十「夜─而出」○さげおろしたる繩「懸─」
索をさげて之にすがりてのぼる。左傳「使師夜縋而登」
トウ [蒸]
○とぢる、ふうじる(緘)「金─」「封─」からげる、しばる、束ぬ。○なは(繩)○行─ カウトウ はむかばき、きゃはん(脛衣)○ふくろ(幐)
ハク バク [藥]
○しばる、くくる。○つかぬ(束)つなぐ(繫)○いましむ。○とらへつなぐ、しばりて自由を得しめず「束─」「捕─」「生─」「收─」「繩─」史、淮陰侯傳「有─廣武君而致戲下者、信乃解其─」○いましめ、なはめ「就─」
しばりて手うちにする。後漢書、宋均傳「大怒、收郞──之」
いましめとらふ。呂覽「生縛而擒之」=捕縛·擒縛。
しばりつかぬ。後漢書、鄧訓傳「聞有困疾者、輒拘持──、不與兵刃、使醫藥療之、愈者非一、小大莫不感悅」=束縛·覊束。
ぬすびとをしばる。李商隱詩「入蔡──獻太廟」
かひなをしばる。晉書、佛圖澄傳「長大白皙、以朱絲縛其肘」
しばりつける。魏志、呂布傳、注「以綿纏女身、──馬上、夜自送女出」
ハン [寒]
こぶくろ(小囊)
11畫
①エイ·アイ イ [齊]
②エイ [霽]
①これ(伊·是)○ほこぶくろ(戟衣)○あかぐろき色のきぬ。
②ああ、歎く聲。左、隱元「爾有母遺、─我獨無」
①エゥ [蕭]
②イウ [尤]
③チウ [宥]
①しげし、しげる(茂)書、禹貢「厥草惟─」○ぬく(抽)○したがふ(從)○うごく=搖。○ぶやく、えだち。ぶやくに出る「─役」=徭·傜。○うた、謠(言部十畫)に通ず。○人名、陶に通ず、咎─ カウエウ は人名。=皋陶。
②よる(自·因)易、坤卦「其所─來者漸矣」=由。○すぐ(過)○みち、はかりごと「皇─」=猷。○──は行く貌。=悠悠。
③易のうらかたのことば、卦兆の占辭。左、閔二「成風聞成季之─」
ぶやくに出る。漢書、食貨志「周室旣衰、──橫作」=徭役。
邊境をまもる。又、其の兵。漢書、高帝紀「復勿──」=徭戍。
歌謠と風俗と。漢書、李尋傳「揆山川變動、參人民──」
ぶやくと租稅と。後漢書、景帝紀「減太官、省──」
①エン [銑]
②イン [軫]
①ながし(長)
②ひく(引)○人名、劉─は後漢の光武帝の長兄。
キャウ [養]
○むつき、せおひおび、小兒を背 セナカ に負ふ帶。=襁。○ぜにさし(錢貫·緡)俗に鏹に作る。○ふしいと(纇)○ 國 ムツキ おしめ、おむつ。
相屬 ツツ くこと繦の如きをいふ。漢書、兒寬傳「輸租──不絕」
むつき。史、衞將軍傳「靑子在──中」注「繈長尺二寸、闊八寸、以約小兒于背也」=襁褓·襁緥。
サイ [隊]
又、?に作る
綷─は鮮 アザヤ かなる衣。又、衣のすれるこゑ。
サイ [隊]
いとぐるま、絲をくだに卷きつける車。
①サゥ·ソウ [豪]
②サゥ [皓]
①いとをくる、繭を描 ヒ きて絲を出す。孟、滕文公「夫人蠶─」○冕 カンムリ の繩。
②玉に薦くしきもの、五采の文 アヤ あり。○五采の絲繩。=藻。
繭をひきて絲をとる。李白詩「──憶君頭緒多」
いととりぐるま。蘇軾詩「此身如綫自縈繞、左旋右轉隨──」
玉にしくもの。周禮、春官「──五采五就」
サン [感]
はたあし、旌旗の游「旒─」
シ [紙]
纚に同じ
○かみづつみ(韜髮)髮をつつむ黑き帛。○──は衆多なる貌。宋玉賦「──莘莘」
シュク [屋]
○ちぢまる、ちぢむ、短くなる「伸─」「畏─」「愧─」○したむ、こす。左、僖二八「無以─酒」○たて(縱)檀弓「古者冠─縫」○つかぬ(束)繩にて約束する。○しりぞく(退)「退─」○ただし、なほし(直)事理の直きにもいふ。孟、公孫丑「自反而─」○をさむ(斂)「─手」「─小」○みじかし(短)○ちぢれる。○しかめる(蹙)「─鼻」○みだる(亂)○かく(缺·歉)足らず。 國 ○ チヂミ ちぢみおりの略。○─緬 チリメン
はなすじをしかめろ。呂覽「──而食之」=蹙頞。
節儉する。陸游詩「────勤耕桑」
國 とほめがね、望遠鏡。
うなじをちぢむ。恐れる貌。唐書、徐有功傳「當此時、左右及衞仗、在庭陛者數百人、皆──不敢息、而有功氣定言詳、嶻然不撓」
よろひを束ぬ。戰國策「其──則可」
へる。へらす。晉書、律歷志「從度以盈加──之」=損減。
ちぢまる。ちぢめる。=收縮。
原形より小さくちぢめてうつす。
製圖上原形よりも縮小したる圖を畫く時、其の縮小すべき一定の比例の寸法。
てををさむ、仕事をやめる。韓愈文「巧匠旁觀、──袖閒」=斂手·袖手。
おそれてちぢかまる貌。唐書、吐蕃傳「見中國服飾之美、──愧沮」
ちぢめちひさくする。又ちぢまりてちひさくなる。
ちぢみしりぞく。吳志、呂蒙傳「伺隙襲擊、奇遂──」奇は謝奇。=懦退。
土地をちぢめて、近くする。神仙傳「費長房遇壺公、有神術、能──脈、千里聚在目前、放之復如舊」
地を縮め天を補ふ、天子が天下を改造する義。舊唐書、音樂志「高祖────、重張區宇」
ちぢみ退きて事にたへざる貌、發舒せざる貌。漢書、五行志「當春秋時、侯王率多──不任事」
原形をちぢめてゑがきたる圖。
鼻をしかめて笑ふ、事を厭ふ貌。北史、崔悛傳「素與魏收不協、收後專典國史、悛恐被惡言、乃悅之曰、昔有班固、今則魏子、收縮鼻笑之、憾不釋」
縱にぬふ、たてぬひ。衡縫 ヨコヌヒ の對。禮、檀弓「古者冠──、今也衡縫」
○次條に同じ。○草木が霜枯れる。禮記「草本皆肅」注「謂枝葉──」
ちぢみおそれる。唐書、李愬傳「馬皆──」=縮栗。
國 絹織物の一種、よりのつよき生絲を緯 ヨコ として縮み織にせしきぬ。
①ショウ [宋]
②ショウ [腫]
③ショウ [冬]
④ソウ [董]
通音ジュウ古從に作る
①ゆるぶ、ゆるし(緩)○はなつ(放)ゆるす、ゆるしにがす「─囚」おく(舍·置)○つける「─火」○矢を發する。○ほしいまま(恣·放)「放─」「任─」○ほしいままにす、わがままにふれまふ。○自由にする。○たとひ、よし、よしや、推想する辭。論、子罕「予─不得大葬」(─令·─使とも連用す)
②─臾ははげます、すすめる。=慫慂。
③たて。又、南北をいふ。橫の對。古、從に通ず。○あと、あしあと、古、蹤に通ず。
④──は急ぐ貌。
同訓異義
○タトヒ縱·縱令·假使·借令·借使·譬○縱は、さぅはなけれども、さぅして見たときはなり、ゆるすといふ義より、轉じて助辭と爲す、史記に「縱彼不レ言、籍獨不レ愧二於心一乎」とある如し、通じて從に作る、縱然と書きても同じ、詩に多く用ふ。○縱令はさぅはなけれども、ゆるしてさぅさせて見るなり。○假令·假使·假如·假饒の四者、皆假設之辭と註す、かりにしかせしめばの意なり。○借令·借使·試使·設使·就令·饒使·籍使の七者も亦略~上に同じ。○譬タトへは此物を以て、彼物に比類していふ、下には必ず、ごとしの字を置くなり、喩·況二字に同じ。史、南越傳「成敗之轉、譬若二糾纆一」○ホシイママ縱·橫·放·肆·恣·擅○縱は繩をゆるめとりはなして、自由にするなり、法度などを守らざるにいふ。○横は無理にわがままをするなり、橫行と熟す。孟子「諸侯放恣、處士橫議」○放はしまりなく、推し放つ意、放縱·放逸·放恣などと用ふ、法度などを守らざるにいふ。○肆は思ふままにするなり、放肆と熟す、恣に同じ。○恣はわるきことを氣ままにするなり、橫恣と熟す。衍義「將レ恣二凶欲一」○擅は專なり、一人にてほしいままにするなり、擅レ寵は、わが身ばかり、君寵をうくること、擅場は役者などの、其の座中にて、只一人すぐれたる上手をいふ。○ユルス縱·赦·宥·釋·聽·允·許·放·原·免·與等の别は赦(赤部四畫)の條を見よ。
ほしいまま。晉書、劉琨傳「輒復──」
ほしいままにのむ。杜甫詩「──久拚人共棄」
ほしいままにうたふ。晉書、袁山松傳「善音樂(中略)每因酣醉──之」=放歌。
ほしいままにしておごる。陸龜蒙詩「岑寂且──」=放傲·傲縱。
くつわをゆるめる。傅休奕、良馬賦「──斯逝、攬鞚則止」=弛銜。
ひを放ちてやく。史、五帝紀「──焚廩」漢書、李陵傳「從上風──」=放火。
ほしいままに見る。史、高祖紀「高祖常繇咸陽──秦皇帝」
○兵をはなちてうつ。唐書、高開道傳「稜──破之」○きままにたたく。羯鼓錄「取羯鼓、臨軒──」
○はなちやる。後漢書、班超傳「願得生歸、超──之」○ タトヒ =縱令。
やを放つ。唐書、兵志「──三百步、四發而二中」
ほしいまま。韓非子「士民──于內」
ほしいまま。嵆康文「從容──、遺忘好惡」=放肆·縱恣·肆縱。
らぅに入りてゐる罪人をゆるしはなつ。唐書、太宗紀「──來歸、皆赦之」歐陽修に──論あり。
ほしいままにしておごる。北史、魏景穆十二王傳「以──忘儉」
火を放ちてやく。後漢書、皇甫嵩傳「若因夜──、必大驚亂、出兵擊之、田單之功、可成也」
あしあと。李白詩「譬如雲中鳥、一去無──」=蹤迹。
○矢を發 ハナ つを縱といひ、禽を追ふを送といふ。詩、鄭風「抑罄控忌、抑──忌」○轉じて善く馬を御するを罄控──といふ。
かいを放ちて舟の行くにまかせる。櫂は棹に同じ。張協、七命「──隨風、弭節乘波」=放櫂。
禮儀にかかはらずして我儘なり。莊、天下「──無行」=放蕩。
ほしいままにさぐる。蘇軾詩「自昔懷幽賞、今茲得──」
ほしいままに大言する。晉書、王澄傳「酣燕──、窮權極娛」
思ふままにかたる。權德輿詩「──窮化元」
ほしいままに馬をはしらす。聖主得賢臣頌「──馳騖、忽如影靡」
ほしいまま、ほしいままにやる。金史、趙秉文傳「筆勢──、不拘一律」
氣ままにあゆむ。趙抃詩「──車馬休、擧目蒼翠匝」
すすめそそのかす。漢書、衡山王傳「候星氣者、日夜──王謀反事」=慫慂·慫惥。
私欲を制せずしてほしいままにする。左傳「我實──、而不能自克也」
ほしいままに見る。蘇轍文「欲遊目──究其有無」
たてにつらぬく。又、南北にとほる。東西を橫といふの對。
たてに立てる。たて。沈約文「旣──而橫構」
たてにたちきる。
○たてと、よこと。盧綸詩「川原唯寂寞、歧路各──」○思ふまま。杜甫詩「凌雲健筆意──」○合縱連橫の略、戰國策士の術。魏徵詩「──計不就」=從橫·從衡。
古の九家の一、時勢を審察し人主に游說するもの。蘇秦は合縱を主張し、張儀は連橫を主張す、故にいふ。
どちらにも何等のさはりなし。
急ぎて事に趨く貌。禮、檀弓「喪事欲其───」
たとひ、よしや、假定の助辭。歐陽修文「──河道可復、乞俟豐年、餘力漸次興爲」=假令。
セキ [錫]
○うむ、つむぐ、繭·綿·麻等より絲をひき出す「紡─」詩、陳風「不─其麻」○わざ、しごと(事業)○いさを、てがら(功)「成─」「功─」「勳─」「政─」「治─」「聲─」書、堯典「庶─咸熙」
官吏の良否と功過とをしらべる。書、舜典「三歲──、三考黜陟幽明」
てがら、いさを。唐書、李晟傳「懋昭──、表式儀形」
絲をつむぐをんな。陸游詩「──窺籬牧豎迎」
絲をつむぐ。晉書、吳隱之傳「家人──以供朝夕」=紡績。
文章を作る。韓愈文「種學──、以蓄其有」
てがら、いさを。書、堯典「九載──弗成」
ソウ [董]
○すぶ。○すべて、みな(皆)姚合詩「問我來期─不知」○あつむ(聚)あつめつかぬ(聚束)あつめ合せる、しめる。○ひきゐる、とりしまる(將領)すべをさめる、支配する。論、憲問「百官─己」○むすぶ(結)○かかる(係)○─角はあげまき。○つかぬ(聚束)かみづつみ(束髮)又、其の具。○ふさ(流蘇)○物事がまとまる、おほぐくり(會要)淮南、原道「萬物之─」○──は衆き貌。又、亂るる貌。
同訓異義
スベテ 總·渾·凡·都の别は渾(水部九畫)の條を見よ。
政の大綱をすべくくる。晉書、武帝紀「此朕所以垂拱──、責成于良二千石也」
○あげまき、小兒の髮をすべあつめて頭の兩側に角の形に結ぶもの。詩、齊風「婉兮孌兮、──丱兮」○轉じて小兒の義とす、卽ち男女の未だ冠笄せざる者の稱。
幼時のまじはり。吳志、周瑜傳、注「周公瑾、英俊異才、與孤有────、骨肉之分」
すべての高、そうじめ。仕學大乘「止有通縣──、竝無各里細額」
すべあはす、個個别别の事物を一っにあつめる。=綜合。
事務をすべつかさどる。又、其の官。南史、雷次宗傳「竝以儒學、──諸生」
全體をかんがみ察する。鑒は監·鑑に通ず。齊書、樂志「明君御四海、──盡人靈」
すべをさめる。魏志、武帝紀「終能──皇機、克成洪業者、惟其明略最優也」=統御。
軍隊のこらず。=全軍。
ふさのつきたるほこ。宋書、桂陽王休範傳「練甲照水、──成林」
○すべてあつまりあふ。梁簡文帝文「日中──」○ 國 銀行會社などにて其の全體の社員株主等の會議。
すべくくる。北史、魏太武五王傳「臨淮王孚──古今名妃賢后、凡爲四卷、奏之」=綜括。
すべてとりしまる。又、其の官。事物紀原「晉有都督諸軍事、後周改爲──」
しめだか、總勘定。
國 檢校·勾當·座頭などをすべてとりしまる盲人の官。
すべまもる。韋貫之文「──諸將」
總がかりにてせめうつ。
すべつかさどる。又、其の職。宋史、呂蒙正傳「政尙寬靜、委任僚屬、事多──而已」=總理。
國 日日三度の家庭料理。
動物分類の一部門、鰓 ヱラ が總狀をなすもの、たつのおとしごの類。
悉くあつまり來る。任昉、宣德皇后令「祥光──、休氣四塞」
多くの人の詩文を一っに集めしもの(專ら一人の詩文を集めたるを别集といふの對)文選の類。
すべあつめる。董仲舒文「統理海內、──百僚」
からだぢゅう、そうみ。=全身。
すべあつまる。すべあつめる。易經「參伍以變、錯綜其數」疏「錯謂交錯、綜謂──、交錯──其陰陽之數也」
すべつかさどる。後漢書、百官志、注「掌凡行禮及祭祀、──曹事」
全體をひきくるめたるとなへ。=總名。
すべてのかず。=全數。
すべととのへる。晉紀「宣帝過溫、見父老故舊、讌飮累日、歌曰、肅淸萬里、──八荒」
すべてをひきくるめて說く。
全體にわたる規則。
國 全體の人の代理人、總名代。
のこらず、全部。=全體。
全體をとりしまる長官。=總理。
國 全國の追捕使のとりしまり役。源賴朝に始まる。
全體の事がらをすべる「大──」漢書、百官表「太師·太傅·太保、是爲三公、蓋參天子而議政、無不──」
○すべくくりてとりしまる。又、其の官。漢書、西域傳贊「──城郭三十有六」○一省の長官の名。○ 國 臺灣及朝鮮總督府の長官。
すべつつむ。易經、疏「乾元、──六爻」
菊花のうてなの如く一羣の花を載する蕚の如きもの。
國 昔、男子がさかやきをそらずに全體の髮をはやしたるをいふ、そうがみ。
事をすべ執る。漢書、張禹傳「君其固心致思、──諸事、推以孳孳、無違朕意」
事をすべつかさどる。又、其の職。
全體の事務。又、其の務をすべつかさどる人。
幾個のものを總べて名づける。五經要義「終南、山之──」=總稱。
すべての目次。梅堯臣詩「崇文庫書作──、未暇綴韻酬草萊」
○政權をすべとる。後漢書、光武紀「明愼政體、──權綱」○人心をすべて己に服せしむる。蜀志、諸葛亮傳「──英雄」
すべをさめる。又、其の職。=綜理·統理。
○すべをさめてとりしまる。又、其の人。漢書、魏相傳「厲精爲治、練羣臣、核名實、而相──衆職、甚稱上意」=統領。○ 國 氏の嫡流。又、長男。
一列の人に總て禮する。五分律「──而去」
○すべをさめる。後漢書、馬勤傳「帝益以爲能、尙書衆事、皆令──之」○ 國 盲人のとりしまり役。
全體をすべくくれる論。
チフ [緝]
一音チツ
○とらふ(囚拘·拘執)つなぐ(繫)とらはれる、つながる「拘─」「繫─」左、成九「南冠而─者誰也」○ほだす。ほだし(覊絆)「覊─」
つなぐ。詩、小雅「縶之維之」
①テン [銑]
②ケン [霰]
③セン [霰]
④テン [霰]
①しろ(白色)白くして鮮か。
②きぬ。=絹。
③こまかききぬ。
④つかぬ(束)羽を束ねる、まく(卷)
ハゥ [庚]
○つかぬ(束)兒を束ぬる衣(襁)○つつむ、まく(卷)
傷口又は腫物などにまきつける木綿の布。
①バン·マン [翰]
②バン·メン [寒]
③バン·メン [諫]
①むぢのきぬ(無文繒)○車にもやぅなし。又、すべて文飾なきもの。○─田はうねをつくらざる田。
②むぢのきぬ。
③他の樂に和する雜聲、つれびき。○──は雲などのうねうねとして緩 ユルヤ かなる貌。又、敎化の廣く遠きに喩ふ。尙書、大傳「糺──兮」又、死生を齊うする貌。
雜へ奏する音樂。周禮、春官「敎──燕樂之鐘磬」
無文のかとりぎぬ。北史、文明皇后馮氏傳「后性儉素、不好華飾、躬御──而已」
ビ [支]
○つなぐ。つながる(繫)「拘─」「繫─」○きづな(牛轡)なは「覊─」○ちる。ちらす(散)=靡。
①ビウ [尤]
②ビウ [宥]
③レゥ [篠]
④ボク [屋]
①からむ、まとふ(纏綿)「綢─」
②あやまる。あやまり(誤)「錯─」「紕─」=謬。○いつはる。いつはり(詐)○たがふ、まちがふ(違)「乖─」名と實とたがふ。
③めぐる、まとふ。=繚。
④穆(禾部十一畫)に同じ「昭─」○姓、秦の─公の後。
同訓異義
アヤマル 繆·謬·誤·訛·錯·過·愆·失は誤(言部七畫)の條を見よ。
巧妙なるはかりごと。漢書、韓安國傳「意者有他──可以禽之、則臣不知也」文天祥正氣歌「豈有他──」
いつはりのことば。五代史、漢湘陰公贇傳「吾平生不爲──」繆一本謬に作る。
あやまれる言說。莊子「多辭──、不耕而食、不織而衣」=繆論。
六書の一、繆は綢繆の義、うねり曲りたる篆書、主に印刻に用ふ〔漢書、藝文志〕
あやまりもとる。漢書、劉向傳「朝臣舛午、──乖剌」
まつはりめぐる。漢書、司馬相如傳「──玉綏」
絲のもつれたる貌。王安石詩「凍合髭──」
ヒツ [質]
○ひざかけ(韍·蔽膝)=韠。○冠のぬひめ。
①ヘゥ [篠]
②ヘゥ [蕭]
①そらいろ、はなだいろ(淺靑色)薄きあゐ色(淡靑色)「緗─」「靑─」○もえぎ(靑黃色)○─眇 ヘウベウ は遠く視る貌。
②──は輕く擧る貌。賈誼、鵩鳥賦「鳳──其高逝兮」
はなだ色のかはら。皮日休詩「全吳──十萬戶」
はなだ色のつぼ。范浚詩「──買酒洗春愁」
はなだいろ。曹植詩「石榴植前庭、綠葉搖──」=靑縹。
はなだ色のほんづつみ、帙は書衣。轉じて書卷をいふ。唐太宗、帝京篇「韋編斷復續、──舒還卷」
はなだいろの書物ぶくろ。隋書、經籍志「總括羣書、盛以──、書用緗素」
はるかにひろき貌。木華、海賦「羣仙──」
○前條に同じ。李白詩「參差遠天際、──晴霞外」○高く遠き貌。白居易詩「山在虛無──閒」
はなだ色の玉の類。左思、吳都賦「紫貝流黃、──素玉」
はなだ色のあやぎぬ。魏志、楊阜傳「被──半襃袖」
はなだと、みどりと。隋書、禮儀志「天子以雙綬六采、玄黃白赤──」
①ヘン·ハン [元]
②ハン [寒]
又?に作る
①しげし、蕃に通ず。○おほし(多)詩、小雅「正月─霜」○さかんなり(盛)「─昌」○しばしば、しきり「頻─」○わづらはし(煩)「─文縟禮」いそがし(忙)「─忙」いりまじる(雜)「─蕪」○しげる、ふえる。しげくする。左、昭三「景公─于刑」
②うまのはらおび「─纓」
同訓異義
シゲル 繁·蕃·稠·滋·茂○繁は簡の反なり、多くして文采の入り雜れる義、禮數繁·春色繁の如し、又文采の意なく、只ごたごたと多く雜るにも用ふ、繁雜と熟す。○蕃は艸の茂り盛んなるなり、蕃殖と連用す、繁と通用すれども。文采の意はなし。○稠はしげり密コマヤかなる義、稀の反、人ごみを稠人といひ、草木の茂り合ひてすきま無きを、草木稠といふ。○滋は蕃と似たり、水の物を浸して、潤のひろがる意より、物の增しひろがる義に轉用す、又孳と通用す、孳は畜類の子を生みてふえることなり。○茂は艸のしげるなり、盛んなる意にて、多き意はなし、蕃は衆艸の上にていひ、茂は一艸一木の上にていふ、蕃は艸に限り、茂は木にも通用す、盛んなる意ある故、才德の上にも用ひ、秀才を茂才ともいふ。
しげし、しげる。又、文辭のあやある貌。沈約文「辭翰──」
樹竹のしげれるかげ。歐陽修、醉翁亭記「佳木秀而──」
しげき花。李德裕詩「遙憶紫藤埀、──照潭黛」
しげりさかえる。陶潛詩「卉木──、和風淸穆」
諸侯の馬の飾、繁は馬の腹帶、纓は馬の鞅 ムナガヒ 左、成二「請曲縣──以朝」
しげりたるは。
しげくのびる、さかんにはびこる。=蕃衍。
法律などがわづらはしくやかまし。=煩苛。
しげれるえだ。應瑒賦「燭白日之炎陰承翠碧之──」
せはしきと、ひまなると。
繁多なると簡咯なると。=煩簡。
おほきさいはひ。張昱詩「一人膺大慶、萬宇受──」=繁祉。
○草木しげりて花さく。人の少壯の時に比す。史、呂不韋傳「不以──時樹本、卽色衰愛弛後、雖欲開一言、尙可得哉」○にぎはひさかえる。沈約詩「洛陽──子、長安輕薄兒」
刑罰をしげくす。韓詩外傳「堅甲利兵不足以爲武、高城深池不足以爲固、嚴令──、不足以爲威」=嚴刑。
いそがはし。郭璞、辭尙書表「以無用之才、管──之任」=繁忙·劇繁。
しきりなる琴の音。蔡邕、琴賦「──旣挹、雅韻乃揚」
調子 テウシ のしげくきびしき絲竹。錢起詩「────催獻酬」
わづらはしくこまか。賈誼新書「──是虞、不圖後患、非所以爲安也」=繁碎·煩細。
わづらはしくこまやか。南史、鍾嶸傳「──職事、各有司存」=繁瑣·繁細。
しげくふるしも。詩、小雅「十月──」
しげくいりまじりてわづらはし。隋書、牛弘傳「雖職務──、手不釋卷」
しげくす。しげし。張華文「──族類、乘居匹遊、翩翩然有以自得」
しげくさかんなり。曹植詩「皇嗣繁且熾」
○草木がさかんにしげる。揭傒斯詩「生植日──」○國又家がさかえる。宋書、謝靈運傳「降中葉以──」
良弓の名。荀、性惡「──鉅黍、古之良弓也」
盛暑に同じ。五代史、郭崇韜傳「可使──坐變淸涼」=酷暑。
しげくして多し。宋史、劉綜傳「或地居要津、或戶口──之處、望親加選任」
しげくふえる。孟、滕文公「禽獸──」
○しげくしてつやあり。縟は文采。晉書、文苑傳序「綜採──、杼軸淸英」○くだくだし。繁文縟禮。
さかんなり。李中詩「闔閭興霸日、──復風流」
わづらはしく述べる。墨子「慧者必辯、而不──」
しげくあつまる。宋書、徐廣傳「戰功殷積、報敍難盡、萬機──、固應難速」
しげく多し。後漢書、蔡邕傳「辟歷數發、殆刑誅──之所生也」
花のしげきえだ。方干詩「──壓枝卑」
多きさいはひ。詩經「綏我眉壽、介以──」
さかんにしげる。梁昭明太子詩「藥樹永──」
しげきえだ。趙彥昭詩「──偏是著花遲」
いそがし、多忙。=繁劇。
○おきてをわづらはしくする。史、秦紀贊「秦之盛也、──嚴刑、而天下振、及其衰也、百姓怨望而海內畔矣」○わづらはしきおきて。=苛法。
○煩はしくみだれる。唐玄宗、孝經序「安得不翦其──」○草木がしげり合ふ。
しげくかさなる。秦觀文「增減大篆、去其──」
わづらはしくみだれる。拾遺記「更除其──」
わづらはしきかざり、こみ入れる禮式。轉じて、わづらはしき虛禮儀式の義とす。
つとめがいそがし。=劇務。
しげる。宋書、徐湛之傳「果竹──、花藥成行」
○禮式をわづらはしくす。史、禮書「──飾貌、無益于治」○わづらはしき禮式。=縟禮。
①ホウ [冬]
②ホウ [宋]
①ぬふ、針にて衣をぬふ「裁─」つぎあはす(補合)○とりつくろふ「?─」○ぬひかた、ぬひもの。
②ぬひめ、あはせめ、縫合せし處。○すきま(罅隙)墨客揮犀「有茶生石─閒」
針仕事をする女。
國 昔、天皇·文官及四位以上の武官の著用せし袍、腋 ワキ の下をぬひつけ下に襴 スソ をつけたるもの、まつはしのうへのきぬ。闕腋の對。=縫掖。
ぬひめ、あはせめ。罅はすきま。
ぬひめ。詩、召南、注「緎、裘之──也」=縫會。
裁縫と刺繡 ヌヒトリ と。
絲にてぬふ。陸游詩「蒼頭供井臼、赤脚解──」
ぬふと、はたおると。裁縫と機織と。
ぬひつづる。輟耕錄「鍼工持歸、──旣成、看油所汚」
ぬひつける。儀禮、注「縪謂──於武也」
リ [支]
○にほひぶくろ(香纓)一說に悅巾 テヌグヒ ○つなぐ(繫)○くつかがり、絲を以て履を飾る。
リツ シュツ [質]
○おほづな。○ひつぎなは(紼)棺を穴に下すなは。○ひきづな、竹にて作りし索にて舟をひき、又つなぐもの「挽─」○玉のしきもの、韋 ナメシガハ にて作る「藻─」
ル ロウ·ル [麌]
①いと、いとすぢ(綫)「絲─」孟子「布─之征」○いとすぢの如くに細く長き事物の稱。蘇軾、赤壁賦「不絕如─」○覼─ ラル はくはし、こまかし(委曲)柳宗元文「欲秉筆覼─」○──は連り續く貌。又、細 コマカ き貌。
②褸に通ず、藍─ ランル はつづれ、やぶれごろも(敝衣)左、宣十二「蓽路藍─以啓山林」=襤褸。
細かにわかちとく。唐古今注記序「冰渙──」
細く切りたるなます。陸游詩「喜見──映盤箸」
こまごまとくはしく言ふ。又、其のことば。=縷說。
こまかに陳べる。宋史、天文志「──而申言之」=縷陳。
こまかにわかつ。王諲文「初髣髴而──」
こまかにきる。潘岳、西征賦「雍人──、鸞刀若飛」
縷言に同じ。
いとすぢの如くにつづく。韋承慶賦「單思針懸而──」
縷述に同じ。
○絲すぢの長く續く貌。宋史、食貨志「蠶婦治繭、績麻紡緯、──而積之、寸寸而成之、其勤極矣」○細き貌。蘇軾詩「船頭斫鮮細──」○細くして絕えざる貌。○こまごま、書簡の用語「不盡──」
ルヰ [支]
○しばる、つなぐ(繫)捕縛する、拘囚する。○とりなは、罪人をしばる黑色のなは。
黑き索 ナハ を以て罪人をつなぐ、とらはれ。絏は紲に同じ。論、公冶長「雖在──之中、非其罪也」
レン [先]
○もつる、絲がむすぼる、絲が結びて解けず。○ 國 モツレ ごたごた、もめ(葛藤)
12畫
イツ キツ [質]
つるべなは、汲索(綆)「綆─」「懸─」
カン ケン [諫]
通じて襉に作る
○にしきのあや(錦文)○ 國 繧─ ウンゲン は古の染色の名、後に錦の織物の名とす、宮中の疊の緣 ヘリ などに用ふ。=暈繝。
クワイ ヱ [隊]
○もやぅ、ぬひ、ぬひとり。○ゑ。周禮、考工記「畫─之事、雜五色」=繪。○ゑがく(畫)ぬふ「雕─」○うちひも(紐)○ぬひある布帛。
ゑ。韓愈詩「或錯若──、或繚若篆籒」=繪畫。
ぬひあるきぬ。馬融賦「緣以──、紩以綺文」
いろどりある冠のひも。禮記「緇布冠──、諸侯之冠也」
ゑがきたるかとり。白虎通「自約整──、爲結于前」
クヮイ クヮク [卦]
○そむきたがふ(乖違)○むすびさまたぐ(結礙)○破れる聲にいふ。
ケイ ゼイ [霽]
絲細くして疏 アラ きぬの。
サン [旱]
○きぬがさ、かさ(蓋)「錦─」「羅─」○からかさ。晉書、王導傳「遇雨請以─入」=?·傘。
シウ セゥ [宥]
○ぬひ、ぬひもやぅ。○ぬひとり、五色の備はるぬひもの「刺─」「文─」○ぬひある布帛。○にしき「錦─」
富貴にして故鄕に歸らざれば、則ち人に知られざるの喩〔史、項羽紀〕錦(金部八畫)の條の衣錦夜行を見よ。
めじろ〔常熟縣志〕
○騎馬にて射る遊戲に用ふる錦のまり。又、五色にてくけたるまり〔宋史、樂志〕○てまり花。羣芳譜「──(中略)春月開花、五瓣百花成朶、團圝如毬」○菊の一種。菊譜「──紫花、玉毬白花」
ぬひとりを施したる美くしきたれぎぬ。徐鉉詩「──銀屛香靄閒」
ぬひとりを施せるとびら。徐夤、蜀葵詩「爛漫紅兼紫、飄香入──」=繡戶。
ぬひもやうの虎の如く、綺麗なる文をいふ。世說、賞譽「曹子建七步成章、世目爲──」
ぬひとりせしあやぎぬ。北史、崔光傳「賜光──一百匹」
繡文に同じ。=刺繡。
ぬひとりを職業とする人。
ぬひあるもすそ、裳は腰下を蔽ふ服。詩經「我覯之子、兗衣──」
美くしきけごろも。元史、禮樂志「冠五梁冠、戴龍王面、具──執圭」
ぬひとりしたるとばり。徐陵詩「──羅幃隱燈燭」
にしきのはらわた。美くしき文才にいふ。蘇軾詩「平生錦──、早歲藜莧腹」
うつくしくかざれるはしら。南史、后妃傳「香柏文檉、花梁──」
ぬひあるばぅし。晉書、五行志「魏明帝著──」
うるはしき街。陳暄詩「長安開──、三條向綺門」
ぬいとりにて作りし佛像。舊唐書、蕭瑀傳「嘗賚──像一軀」杜甫、飮中八仙歌「蘇晉長齋──前」
ぬひとり。史、貨殖傳「刺──、不如倚市門」=刺繡。
ぬひとりのついたて。薛逢詩「人倚──閑賞夜」
ぬひを施したるくつ。白居易詩「──嬌行緩」
ぬひとりしたる美くしきすだれ。韓偓詩「碧闌干外──垂、猩色屛風畫折枝」
①ショク·シキ [職]
②シ [寘]
①おる、はたおる「蠶─」「絍─」「紡─」○くみたてる「組─」「羅─」○はた(機)○はたいと。○促─は蟋蟀 コホロギ の異名。
②おりたる綵文。○あやあるきぬ、絲を染めており成したるもの。錦綺の類。○しるし(徽章)○はたじるし、はた(幡)幟に通ず。詩、小雅「─文鳥章」
にしきを織る坊舍。唐書、玄宗紀「焚錦繡珠玉於前殿、廢───」
漢代、宮中にて織物をおるへや。唐代は織染署といふ。
はたをおる、紝も織。禮內則「──組紃」
おり成す。轉じて事をつくり出す。中論「至人踏機握杼、──天地之化」
おりてつくる。劉潜文「雕鏤新奇、──精潔」
○はたおりをんな。=織婦。○織女星の略語。荊楚歲時記「天河之東有──、天帝之子也」次條參看。
星の名、たなばたづめ。晉書、天文志「織女三星、在天紀東端、天女也」杜牧詩「臥看牽牛───」
はたをおる室。晉書、李太后傳「時后爲宮人、在──中、數夢兩龍枕膝、日月入懷、遂生孝武帝」=織室。
ちがやをあみおる。徐夤詩「──編竹稱貧居」
はたをおり、いとをうむ。元經薛氏傳「太妃李氏者、簡文爲會稽王時、使卜人筮之、──中得李氏」
○はたおり女。後漢書、龐參傳「道路行人、農夫──」○たなばたづめ。博物志「遙望宮中多──、見一丈夫牽牛、渚次飲之」=織女·天孫女。
おり出したる模樣。
はたおりと針仕事と。
國 昔、大藏省に屬して織物染物のことをつかさどりし役所。
ゼゥ ネゥ [篠]
又、繞に作る
○めぐる。めぐらす(遶)「圍─」「環─」「紆─」○まとふ。まつはる(纏)「纏─」
同訓異義
メグル 繞·遶·環·行·巡·周·旋·運·囘·循·繚○繞·遶は同字なり、物の周りを離れず、まとひめぐる意、圍繞·纏遶の類。○環はたまきの如くに、とりかこむなり。醉翁亭記「環レ滁皆山也」○行は巡行と連用す、一通りめぐり行くこと、行レ部·行二州郡一の類。○巡は行視也と註し、巡守·巡檢と連用す。○周は帀なり、ぐるりと、一まはりするなり、周囘と連用す、週は俗字。○旋は行·巡·周などとは異り、物のくるくると、幾遍もめぐるなり。旋轉と連用す、旋風は、つむぢ風なり。○運はめぐりて行くこと、日月之運行·四時之運の如し、世運は、時代のうつりかはりて行くことなり。○囘は?に同じ、もと水のうづまき流れる貌なり、旋に近し、腸九廻·溪水廻流の類。○循は巡なり、ついてゆく義。漢書「遣二使者、一循二行郡國、一問三民所二疾苦一」○繚は纏なり、繞なり、めぐらしまとふ義、繚繞と連用す。文選「繚以二周垣一」
こしをとりまく。南史、林邑國傳「男女皆以橫吉貝、──以下」
城郭をめぐる。元稹詩「──烟嵐新雨後」
木をめぐる。魏武帝、短歌行「──三匝無枝可依」
まとひめぐる貌。羅鄴詩「人煙紛──」
めぐる。めぐらす。潜夫論「斷截衆縷、──手腕」
はしらをめぐる。五代史、楚世家「馬希範作九龍殿、以八龍──、自言身一龍也」
歌の聲のすぐれて妙なるにいふ。列、湯問「韓娥東之齊、匱糧過壅門、鬻歌假食、旣去而餘音──欐、三日不絕」
めぐりまとふ。皇甫松、大隱賦「壠畝連延、桑麻──」=繚繞·囘繚。
セン [霰]
蜀錦の名。
セン ゼン [霰]
○をさむ(治·修)○おぎなふ(補)禮、月令「─囹圄」つくろふ(修復)なほして善くする。詩、鄭風「─甲治兵」箋「─之言善也」○あつむ。○そなへる(備)「─兵」○うつす(鈔錄)「─寫」○つよし(勁)
つくろひいとなむ。魏觀詩「力役止──」=營繕。
いくさぶねをつくろふ〔南史、王琳傳〕
つくろひてまったくす。左、襄三一「以敝邑之爲盟主──葺牆」
つくろひつくる。狄仁傑文「修築城池、──兵器」
つくろひなほす。漢書「──干戈」傅亮文「閒剪荊棘、──毀垣」
家屋などをつくらふ。宋史、李壽明傳「──未數月、復其舊」=補葺。
つくろひおぎなふ。唐書、蕭倣傳「南海多穀紙、倣敕諸子、──殘書」=修補。
ソウ [蒸]
○きぬ、帛の總名「─帛」古は帛といひ、漢代は─といふ「好─」「厚─」「縑─」漢書、灌嬰傳「雎陽販─者也」○いぐるみ、矢に絲をつけて鳥を射る。=矰。
あやあるきぬ。沈約、高松賦「拂──而籠丹素」
きぬと、わたと、纊は絮。列子「不待五穀而食、不待──而衣」=繒絮。
かとりぎぬ。宋書、吐谷渾傳「錦組──、見珍殊俗」
いろどれるきぬ。後漢書、彭寵傳「遣使以美女──賂遺匈奴」
いぐるみ。三輔黃圖「具──、以射雁」=矰繳。
きぬと、わたと。白居易詩「──足禦寒、何必錦繡文」
あつききぬ。張伯淳詩「積潤浸──」
平 タヒラ かならざる貌。魯靈光殿賦「鬱隆崛以嶒?、崱──而龍鱗」
①ソン [元]
②ソン [阮]
①──は聚まる貌。
②おさへる(裁抑)=撙。
ハン [元]
○ひもとく。結びしひもを解く。○轉じて書物を開きて讀む。○繽─ ヒンハン は風の旗を吹く貌、ひらひらとひるがへる(翻·飜)
書物をひもときて讀む。
書を開きて義理をきはめる。岑安卿詩「空餘書一卷、焚香日──」
聖人の書をひもときよむ。莊、天道「於是繙十二經、以說老耼」
甲國の文言を取りて、乙國の文言に轉譯する。=翻譯。
レゥ [蕭]
○まとふ。まつはる(纏)○めぐる。めぐらす(繞)「縈─」「繞─」「環─」○もとる。もとらす(紾)
同訓異義
メグル 繚·繞·環·行·巡·周·旋·運·囘·廻·循の別は繞(本畫)を見よ。
まつはりめぐる。党懷英詩「羣峯連娟相──」=縈繚。
めぐれるかき。西京賦「──緜聯、四百餘里」
まつはりもつれる。王襃、洞簫賦「隣囷──、羅鱗捿獵」
○まつはりめぐる。潘岳、射雉賦「周環廻復、──盤辟」=繞繚。○袖の長き貌。南都賦「修袖──而滿庭」
(國字)
─繝 ウンゲンウケン 色と色との閒を、ぼかしたる染色。又其の織物の名。=暈繝。
13畫
エキ ヤク [陌]
○ひく、絲の口を抽き出す。又それに似たる事がらにいふ「縯─」「演─」○たづぬ(尋)其の端緒を引きて之を尋ね窮める、意味を推究する「尋─」「討─」論、子罕「─之爲貴」○生ずる貌。○相續きて絕えざる貌「─如」○をさむ(理)○つらぬ、のべしく(陳布)○ながし(長)○たかし(高)○大いなり。○絡─は往來の絕えざる貌。=駱驛。○──は盛んなる貌。又、相連る貌。一說に善く走る貌。詩、魯頌「以車──」○宗廟卽ち祖先を祭りし正祭の翌日に行ふまつり(殷に肜といひ、周に─といふ)
同訓異義
タヅヌ 繹·尋·討·原の別は尋(寸部九畫)の條を見よ。
善く走る貌。字解參看。
つづき馳せてさわがし。詩、大雅「徐方──」
つづく貌。論、里仁「──也、以成」疏「其音絡繹然、相續不絕」
意味をたづね求める。唐書、李大亮傳「太宗賜荀悅漢紀曰、悅論議深博、極爲政之體、公宜──之」=尋味。
オク [職]
うちひも(絛)屨の緣をからげる飾のひも。
カイ ケ [卦]
○ふるぎ(故衣)○あらひし衣。莊、人閒世「挫鍼治─」
キャウ [陽]
うまのはづな「馬─」陸游詩「鳥出樊籠馬脫─」=韁。
クヮイ ヱ [隊]
又、繢に作る
○ゑ、ぬひ、いろどり、もやう。○ぬふ、五采を會 アツ めて刺繡する。いろどりゑがく(綵畫)「彩─」「粉─」又其のゑがきしもの「─畫」「圖─」○もやう又はぬひある布帛。
畫像。唐書、郭英乂傳「輒壞──」
ゑの道。論、八佾「──後素」(繪をかく時、白粉を最後につけて各色を一層鮮明ならしめる)
ゑ(畫)李嶠文「彫逾──、彩奪華蟲之飾」前條參看。
いろどりたる土人形。蘇舜欽詩「──神靈集、飛潛爪角雄」
ゑづ。宋史、鄭俠傳「──以獻」=圖繪。
ケイ [霽]
係に通ず
○つなぐ(維)つながる。○むすぶ、むすびつける。むすばる。○とらへる。とらはれ(囚拘)「囚─」「收─」「拘─」「捕─」「械─」「逮─」○とどむ(留)○もたる(維持)○しばる(縛)ほだす。ほだし(覊絆)○つらなる(連接)○かく。かかる。=係。○つづく(系·續)○つづきあひ。○ひも、つな。○─辭は易の卦爻につきての說明、十翼の一。
同訓異義
カカル 繫·係·系·掛·挂·麗·罹の別は係(人部七畫)の條を見よ。
つなぎしばる。史、賈誼傳「麒麟可繫而羈、豈曰異夫犬羊」=繫縻·絆羈。
あしをしばる。南史、孝義傳「有燕巢常雙飛來去、後忽孤飛、女感其偏棲、乃以縷──爲誌、後歲此燕果復更來、猶帶前縷」
物をつなぐくさり。轉じて自由を束縛する。=羈絆·束縛。
物をつなぎとめるなは。
つなぎて獄にとらふ。とらはれ人。杜牧詩「我作八品吏、洛中如──」
其の世系を記するもの、譜牒をいふ。荀子「其銘誄──、敬傳其名也」
つなぎしばる。世說「參佐無不被──」
つながりつく。つなぎつける。
かひなにかける。後漢書、祭遵傳「有道士、言豐當爲天子、以五綵囊裹石、繫豐肘云、石中有玉璽、豐信之遂反」
つなぎしばる。周霆震詩「顚仆免──」=羈縶。
こぶねをつなぐ。高啓詩「浣衣江動月、──岸垂花」
○うまやにつなぎて飼ふ馬。孟、萬章「──千駟」○馬をつなぐ。
棚にかかれるふくべ。轉じて、ふくべの棚にかかりて爲すことなきが如く、何事をもなさず、徒に日を過ごすに喩ふ。論、陽貨「吾豈匏瓜也哉、焉能繫而不食」に本づく。薛能詩「三載從戎類──」=匏繫。
舟をつなぎとまる。元稹詩「共將船──、況是月臨江」
つなぎしばる。雲笈七籤「有煩惱、故名爲──、無煩惱、故名爲解脫」=束縛。
つなぎしばる。蘇軾、賀啓「君臣之恩、──之於前」=繫羈。
宮女にして君主の特別なる寵愛を受くるをいふ。晉書「武帝胡貴嬪名芳、鎭軍胡奮女也、帝多簡良家子女、以充內職、自擇美者、以絳紗繫臂」に本づく。=專房之寵。
つなぎまとふ。又、つながりまつはる。韓愈文「凡五藏──甚微」
ともづなをつなぐ、舟をとめる。陸游詩「放翁──水雲鄕」
つなぎとめる、捕縛する。漢書、趙廣漢傳「不敢枉法妄──人」=畱繫。
かかりあひ、身にかかるわづらひ。許月卿詩「高者無──」=係累。
つながりかかる。班嗣文「旣──于世敎矣」
甚だしくこひしたふ。易集解「小人──、必不能矣」
虛心にして趣き向ふ所なきに喩ふ。莊、列禦寇「巧者勞、而知者憂、無能者無所求、飽食而遨遊、汎若不繫之舟、虛而遨遊者也」
ケン [銑]
○まゆ(蠶衣)蠶が口より吐き出して造る纖維性の巢。○わたいれ。○きぬもの(絹)○あかぎれ(足胝)戰國宋策「百舍重─」=趼。○── ケンケン は聲氣の微 ササヤ かなる貌。禮、玉藻「言容──」=綿綿。
まゆから絲をとる。宋史、食貨志「蠶婦──績麻」
かひこを飼ふへや、養蠶室。梅堯臣詩「漢儀后親蠶、採桑來──」
まゆをなしたるかひこ。蘇軾詩「簡編圍繞穿書蠧、窗戶低囘作──」
○きぬいと。=蠶絲。○人民より租稅を取るに、繭の絲をひき出す如く取り盡さざれば止まざる義。史、趙世家「以爲──乎、以爲保障乎」
柞蠶 ヤママユ の絲にて織りし絹。寄園寄所寄「──明初尙未行」=絹紬·絹綢。
前條に同じ、多く山東省に出づ。
牛角の繭の如く栗の如く小さき貌。禮、王制「祭天地之牛、角──」
ケン [銑]
○つなぐ(繫)○まとふ(絡)○めぐる(環)○しめる(絞)
くびをしめる刑。繩を以て繯と爲して絡ひ殺す。=絞刑。
サゥ ソウ [豪]
○くる、絲をくる。=繅。○ 國 絲をくる如くに順におくる「─延べる」
サン [旱]
○うちひも(組)の類。=纂。○つなぐ。
①シャク [藥]
②ケゥ [篠]
①きいと。○いとすぢ(縷)○いぐるみ、矢に絲をつけて鳥を射るしかけのもの(弋射)「矰─」○いぐるみにて射る、弋射する。孟、吿子「思援弓─而射之」
②まとふ(纏)かかはる(拘泥)○をさむ、租を納める「─稅」「─款」○わたす(交)物を原主に還す。
かかはりまつはる。史、太史公自序「名家苛察──」注「──猶纏繞、不通大體也」白居易詩「年事漸蹉跎、世緣方──」
繳はいぐるみ、矰は繳を結びつけたる矢。淮南子「好弋者、先具繳與矰、好魚者、先具罟與罘」
いぐるみの矢と、あみと。狩獵の義。鹽鐵論「古者鳥獸魚鱉、不中殺不食、故──不入於澤、雜毛不取」
ジョウ [蒸]
俗に略して縄に作る
○なは(索)あさなは麻或は絲の兩股以上を總べ合せたるもの。易、繫辭「上古結─而治」○すみなは「準─」大工が物の曲直を計るめやすに使用する具。○轉じて、ただす(正)○なほし(直)○つぐ(繼)詩、大雅「─其祖武」○はかる(度)○のり、きそく(法律)○ほめる(譽)左、莊十四「蔡侯─息嬀」○──は續きて絕えざる貌。又、戒め愼む貌。
同訓異義
タダス 繩·正·規·糾·格·匡·董·訂·質の別は正(止部一畫)の條を見よ。
道にたがへるを正す。晉書、鍾雅傳「雅直法──、百僚皆憚之」=正違。
つなわたり(走繩之伎)劉言史に觀──詩あり。=繩戲。
前條に同じ。晉書、樂志「後漢天子受朝賀、舍利從西來、戲於殿前、以兩大絲繩繫兩柱頭、相去數丈、兩倡女對舞、行於繩上、相逢、切肩而不傾」
過失をただす。書、冏命「匡其不及、繩愆糾謬」
すみなはと、さしがねと、轉じてのり(法則)の義とす。唐書、德宗賢妃韋氏傳「言動有──」東觀餘論「張旭所書、千字文、左馳右騖、而不離──之內」
すみなはのそと、法度のほか。管子「不牧之民、繩之外也」
なはにてつなぐ。儀禮、疏「以雙繩、繫前兩足」
しめくくる。しめくくり。唐書、唐儉傳「爽邁少──、然事親以孝聞」
墨なはに從ひてけづりただす。韓愈文「不煩于──、而自合也」
なは。漢書、西域傳「行者騎步相持、──相引、二千餘里」
ただししらべる。唐書、韓思復傳「遷御史大夫、性恬淡、不喜爲──」=糾察。
なはを張りたるこしかけ。晉書、佛圖澄傳「襄國城塹水源暴竭、澄至故泉源上、坐──、燒安息香、呪願數百言、如此三日、水大至、隍塹皆滿」
のり、きそく、法度。錢珝文「宜正衣冠、立爲──」=準繩。
○おほき貌。老子「──兮不可名」○絕えざる貌。詩、周南「宜爾子孫──」
なはのとぼそ、なはにて戶樞をしばりしもの、貧家の形容。賈誼、過秦論「陳涉、甕牖──之子」
法によりてただす。後漢書、王渙傳「──部郡、風威大行」
のり、きそく。金史、文藝傳「元好問文有──、備衆體」=法度。
ぬすびとをただす。宋史、王曙傳「曙知益州、──以峻法、多致之死、蜀人比之張詠、號前張後王」
ただしをさむ。唐書、太宗皇后長孫氏傳「後廷有被罪者、必助帝怒、請──、俟意解徐爲開治」
すみなはの如くなほし。籍田賦「遐阡──、近陌如矢」
なはにすがる。括異志「鄭道士以──下百餘丈」
のり。薛勝、拔河賦「突──而就強」
正し治める。唐書、王君廓傳「數以法──、猜惑不自安」
なはにてしばる。北史、流求國傳「獄無枷鏁、惟用──」
すみなは、のり。禮、經解「──誠陳、不可欺以曲直」
つなぎまとふ。又、つながりまとふ。晉書、輿服志「朱絲──兩箱」
曲れるを正す。魏志、徐邈傳「爲涼州刺史、彈邪──、州界肅淸」
テン [先]
○ひとへ(襌·涼衣)○まとふ。=纏。
ドウ ダゥ [董]
紛─は善からざる貌。又、其の物の盛んに多き貌。
14畫
クン [文]
うすあか(淺絳色)又、うすあか色の布帛「玄─」「深─」
たそがれ、日のくれがた。楚辭「與──而爲期」=黃昏。
うすあかき色のも。周禮、註「凡冕服、皆玄衣──」
黑みたる赤。晉書、輿服志「皇太子妃金璽龜紐──綬」
ケイ [霽]
継に作るは非
○つぐ(紹)中庸「善─人之志」つづく、つづける(續)○つづき。○うく(受)うけつぐ(承傳)あとを引き受ける。又其の者「後─」○ついで、やがて。孟、公孫丑「─而有師命」
同訓異義
ツグ 繼·續·嗣·紹·纘·接·襲·尋·次·亞·賡の別は續(次畫)の條を見よ。
次第にうけつぐ貌。韓愈、平淮西碑「聖子神孫、──承承」
前人のみちをうけつぐ。晉書、元帝紀「三葉重光、四聖──、惠澤侔於有虞、卜世過于周氏」
夫の繼母。漢李翊夫人碑「──入室、勤養拳拳」
相つづきておこる。後漢書、左雄傳論「孝桓之時、碩德──」
のちぞひ、後妻。=繼室。
うけつぐ。劉崧詩「茂名最樹立、令緒愼──」=繼紹·繼續。
ままこ。
善く前人の志をつぐ。中庸「夫孝者善繼人之志」
あとつぎ。晉書、張駿傳「──闕然」=儲貳·義嗣。
あとつぎ、相續人。=繼貳。
○のちぞひ、後妻。左、昭三「齊侯使晏嬰請──於晉」=繼妻。○後妻をめとる。左、隱元「──以聲子」
うけつぐ。庾信文「絕嗣者、以友子──」
ままおや。蔡邕文「──在堂、按謂繼母也」
つぎうける、うけつぎ。=繼承。
前人のあとをつぎてあきらかにのべる。=紹述。
つづきあひのついで。唐書、經籍志「史類十有三、其十二曰譜系、以紀世族──」
うけつぐ。韓愈、平淮西碑「聖子神孫、繼繼承承」=承繼。
あとをつぐ。=接踵。
あとをつぐ。唐書、桓元範傳「安足──前烈」
うけつぐ。周禮、大司樂、疏「取其──而盡善盡美也」=紹繼。
たえたるをつぐ。禮記「興滅國繼絕世」公羊傳「桓公有存亡──之功」
うけつぐ。禮記「當──長養之」
祖先の遺體をうけつぐ。轉じて位を嗣ぐ義とす。漢書、師丹傳「陛下旣──先帝」
天子のよつぎのきみ、皇太子。漢書、外戚傳「自古受命之王、及繼體守文之君、非獨內德茂也、蓋亦有外戚之助焉」
夜を日につぎて事をつづけ行ふ義。舊唐書、睿宗紀「以燭──」宋史、丁謂傳「以夜──」=繼晷·續晝。
ちすぢをうけつぐ。董仲舒文「因堯之輔佐、繼其統業」
二度めのつれあひ、のちぞひ。=繼室·後妻。
うつくしきことを前人につぎて爲す。舊唐書、于志寜傳「陛下嗣膺寶位、臨統萬方、理宜──軒羲、齊芳湯禹」
のちぞひのをっと。
○ちちにつぐ。詩經、疏「能──、是其美德」○まま父。類書纂要「──不同居」
○前後の步武 アシアト を相接する。禮記「大夫──」○轉じて其の事をうけつぐ義とす。駱賓王詩「──嗣前雄」
ままはは。儀禮、喪服傳「──與同母同」=後母。
ケン [銑]
─綣 ケンケン は人情が厚くしてつきまとふ。むすぶ、つきまとひて離れず。左、昭二五「─綣從公」又、ねんごろ。反覆する。詩、大雅「以謹─綣」
サン [旱]
○あつむ、文書を集め編む「編─」「論─」=攢。○あつまる、むらがる。○赤色のくみひも(組)の類。○つぐ、うけつぐ(繼)漢書、敍傳「─堯之緒」=纘。
同訓異義
アツマル 纂·聚·集·輯·萃·輳·醵·鍾·攢·屯の別は聚(耳部八畫)の條を見よ。
帝堯の遺業をうけつぐ。漢書、敍傳「皇矣漢祖、──之緒」
あつめて次第をつける。朱熹文「──讐正」
文書を集め整へる、編纂撰修。郭翼詩「詔起丘園重──」
次條に同じ。
文書をあつめる。=編輯。
あつめのべる。宋史、張昭傳「藏書數萬卷、尤好──」
うけつぐ。後漢書、樂恢傳「陛下富于春秋、──大業」=紹承。
集めて仕上げる。曹植文「人物未就、軒轅──」
あつめえらぶ。元稹文「──者由詩而下十七」
くみひも、また綬 インノヒモ の類。漢書、景帝紀「雕文刻鏤傷農事者也、錦繡──害女紅者也」
天子が世を繼ぎて朝に臨む。湘山野錄「仁廟初──」
あつめしるす。宋史、趙安易傳「時屬籍未備、奏請──」=集錄·輯錄。
シュ ス [虞]
○うすぎぬ、こまかき絽ロおり、細密の羅。○きぬのいろどり(繒采)○─葛は春秋の鄭の地名、今の河南省長葛縣、周の桓王、鄭を伐ちて此に敗る。
國 絹織物の一種、帶地などに用ふ。漢名、八絲緞。
國 緞子 ドンス の一種、漢名、七絲緞。
ヒン [眞]
○─紛は盛んなる貌。又、亂れる貌。○──は衆き貌。又、亂れる貌。陶弘景賦「鳥迷蘿兮──」
みだれ飛ぶ貌。左思、吳都賦「首冠靈山、大鵬──」
○多く盛んなる貌。家語「旌旗──、下蟠于地」○亂れる貌。文選、思玄賦「思──而不理」○花などの亂れ散る貌。陶潛、桃花源記「落英──」
ヘン ベン [銑]
○あむ(編)くむ。○まじふ(交)くみあはせる「交─」「索─」○くみたるかみ。
くみたるかみ。晉書、西域傳「吐谷渾婦人、以金花爲首飾、──縈後、綴以珠貝」=編髮。
襤(衣部十四畫)に同じ。
〔國字〕
かすり(絣)
15畫
クヮウ [漾]
○わた(綿)新らしきわた(新絮)○わたいれ、綿を縫ひ込みし衣服。
綿を懷 イダ く、君主の恩惠に感じて寒を忘れる。左、宣十二「師人多寒、王巡三軍拊而勉之、三軍之士、皆如──」
わたと、かとりぎぬと。韓愈詩「探湯無所益、何況纊與縑」
ケツ [屑]
○しぼり、處處に染文 ソメモヤウ ある布帛、布帛の所所を絲にてくくりて其の部分を白く染め殘したるもの。○しぼりに染める、しぼる、むすぶ(結)○眼に花 カスミ を生ずるにいふ。孫覿詩「眼─眩紅綠」
①サツ [曷]
②サイ [泰]
①ちりめん。○うすぎぬ(綃)
②縩に同じ、綷─は新らしきうすぎぬの衣のすれ合ふ聲。潘岳賦「綃紈綷─」
纘(糸部十九畫)の俗字。
纖(糸部十七畫)の俗字。
ショク ゾク [沃]
○つぐ、つづく(繼)=賡。○つらなる(連屬)斷えて復 マタ 連なる。○陸─は相繼ぎて絕えず。○繼ぎて來る者。史、項羽紀「是亡秦之─耳」
同訓異義
ツグ 續·繼·嗣·紹·纘·接·襲·尋·次·亜·賡○續は斷の反、斷えたる所をつぎ、又つらなりつづく意なり、續編·續レ絃などと用ふ。晉書「貂不レ足、狗尾續」○繼は斷えたるあとをつぐなり、繼母はまま母なり、繼室は、後妻なり。中庸「夫孝者善繼二人之志一」○嗣はあとつぎなり。書經「罰弗レ及レ嗣」○紹は家をつぎ、德をつぎ、業をつぐに限りて用ふ。韓文「尋二墜緒一而遠紹」○纘は紹に同じ。中庸「纘二大王·王季·文王之緒一」纂に通用す。○接は續と似たり、紙をつぐを、接レ紙といひ、樹をつぐを、接樹といひ、舳と艣のつづくを舳艣接といふ。○襲は因也、重也、受也と註す、下地からあるに、因襲して重ねつぐなり、襲レ位·襲レ祿と用ふ。○尋はおひかけつづく義。左傳「日尋二干戈一」○次は次第に、つぎつぎなり、順次と用ふ。○亞は次に同じ、又つぎにつく義、亞聖の如し。○賡は人の詩歌などを、つぐことの外は用ひず、賡和·賡韻の如し。
再び妻をめとる義、琴瑟のつるの斷れたるをつぐに喩ふ。海內十洲記「煮鳳喙及麟角、合煎作膏、名之爲──膠、此膠能續弓弩已斷之弦」書言故事「再娶曰──」(古、琴瑟を夫婦に喩へしが故)
つづけてかきのせる。=連載。
つづきてでる。又、つぎつぎに現はれる。=頻出。
ひきつづきておこる。=續發。
ひきつづく貌。白居易詩「低眉信手──彈」(信はまかせる)
短きものにつぎ足す。戰國策「斷長──」
夜をひるにつづけて行ふ。魏志、鍾會傳「精鍊名理、以夜──、由是獲聲譽」=繼晝。
○卑きものを以て高きものにつぐに喩ふ。趙王倫の黨皆卿相に登り、奴卒に至るまで爵位を加へ、朝會每に貂蟬坐に盈つ、よりて時人、諺を爲りて「貂不足、狗尾續」といひし故事〔晉書、趙王倫傳〕による。貂は貂 テン の尾にて飾りたる侍中の冠。劉基詩「雄豪竊據皆屠狗、功業輿臺總──」○後世、轉じて他人の未だ終らざりし業をつぎて爲すを謙していふ。
續生に同じ。
正編につづける書物。
テン [先]
○まとふ、めぐらす(繞)まつはる、からむ、からまる「糾─」「縈─」「拘─」「牽─」「─繞」○めぐる(繞)○つかね(束)「─束」○ 國 マトヒ 消防夫の組のめじるし、竿のさきに種種の形の物を取りつけ、其の下に馬簾 バレン などをさげたるもの。
まとひめぐる。白居易詩「燭蛾誰救護、蠶繭自──」
まとふ。雲笈七籤「寶光燿燿、七曜──」
まとひつつむ。後漢書、董卓傳「以布──、倒立于地」陸游詩「人生如春蠶、作繭自──」
まつはる。莊子「睆睆然在──之中」
まとひあつめる。梁簡文帝文「永言──、獨咽丹心」
まとひめぐる。又、足手まとひ。淨住子「生累──、解脫何由」=繚繞。
婦人の足を布帛にてまとひて小ならしめる。輟耕錄「婦人之──、起于近世」
からみつく。
はな、かづけもの。舊唐書、郭子儀傳「出羅錦二百匹、爲子儀──之費」
○まとひしばる。○轉じて足手まとひとなるもの。淨住子「已離妻子無──」=縛纏。
心がまつはりて離れざる貌。潘岳賦「思──於墳塋」=纏緜。
まつはりからむ。太上飛行九神玉經「玉光──、丹輧紫輿」
ボク [屋]
なは(繩索)三っよりのなは。一說に二っよりの索。史、賈誼傳「夫禍之與福兮、何異糾─」
ライ [隊]
○いとのふし(絲節)「結─」○ふしいと、節 フシ のある絲。○もとる(戾)「忿─」○きず(疵)「瑕─」「微─」「疵─」淮南、氾論「明月之珠、不能無─」
①ルヰ [支]
②ルヰ [寘]
①つづく、つなぐ、つながる(係·繫)各箇のものが相連綴する「──」○つづる(綴)とらはる(囚繫)=縲。○かかる(係)○まとふ(纏)めぐる(繞)詩、周南「葛藟─之」○きづな(絆)足手まとひ「係─」○大いなるなは(大索)つるべなは(綆)○──は志を得ざる貌。又、憊れたる貌。又、絕えざる貌。又、重なり積もる貌。
②まきぞへ、延き及ぶ、事か相緣り及ぶ。
獄にとらふ。とらはれ人。左傳「兩釋──、以成其好」=繫囚。
とらはれる。又、牢獄 ヒトヤ 漢書、司馬遷傳「幽于──」
○志を得ざる貌。史、孔子世家「──如喪家之狗」○つかれたる貌。禮、玉藻「喪容──」○相つらなる貌。禮、樂記「──乎端如貫珠」○重なり積もる貌。漢書、石顯傳「印何──」
16畫
纜(糸部廿一畫)の俗字。
ロ [虞]
○ぬのいと。あさいと(布縷)「紡─」○あさぬの。○麻をねる(練)孟、滕文公「妻辟─」○紵の屬、以て布に織る。
17畫
エイ ヤゥ [庚]
○むながひ、馬の胸を蔽ふ革(馬鞅)「絡─」「馬─」「─轡」○ひも、かんむりのひも(冠系)「玉─」「珠─」「冠─」「長─」孟、離婁「滄浪之水淸兮、可以濯我─」
かんむりの紐を以て頭を貫く、あわてて整ふるに及ばさる形容。孟、離婁「被髮──而往救之、則惑也」
冠のひもと大帶と、卿をいふ。顏師古詩「濟濟盛──」
冠のひもと印のひもと。張說詩「城池自縶籠、──爲徽纆」
瓔珞に同じ。北史、林邑國傳「珠璣──」
サン サイ [咸]
○少しく黑き色。○轉じてわづか(僅)わづかに。漢書、鼂錯傳「遠縣─至」=財·裁·才·材。
同訓異義
ワヅカ 纔·僅·劣·才·財·裁の別は僅(人部十一畫)の條を見よ。
ジャウ [陽]
○たすき(絭)○おび(佩帶)○馬のはらおび。○臂をかかぐ。
セン [鹽]
纖は俗字
○ほそし、ちひさし(小)こまかし(微細)○うすぎぬ(羅縠)○こまかきすぢ(細線)○とがる。○しわし(吝嗇)史、貨殖傳「周人旣─」○しなやか、たをやか。○さす(刺)禮、文王世子「其刑罪則─剸」=殲。○──は女の手のほそく美くしき貌。
こまかきほこり。籍田賦「微風生於輕幰、──起於朱輪」=纖塵。
生物體を組織する細きすぢ。
ほそくするどし。唐太宗、十驥敍「耳根──」
すこしのくもり。世說「時天月明淨、都無──」
ほそやかなるこし。元稹詩「媚語嬌不聞、──軟無力」=細腰·楚腰。
ほそきは。蔡珪詩「──斜橫蜀柳條」
ほそくあてやか。舞鶴賦「引圓吭之──、頓修趾之洪姱」
ほそくしてあてやか。陸游詩「何嘗掃──」
すこしのきず。韓愈詩「盲眼鏡淨無──」=纖疵。
極めてすこし、介は芥。戰國齊策「無──之禍者、馮煖之計也」
こまか、すこし、芥は一筋のごみ。後漢書、董扶傳「襃秋毫之善、貶──之惡」=纖介。
こまかくたくみ。古樂府類編序「其末──而不振」
すこし、極めてこまか。杜甫詩「上方重閣晚、百里見──」
ほそく尖れるつの。陸龜蒙詩「何代奇工碾玉英、細髯──盡雕成」
細きと大いなると。周邦彥文「紛飾朴質、稱量──」=鉅細·洪纖。
三日月。杜甫詩「風林──落」=纖魄。
ほそくしてうつくし。魏書、崔浩傳「──潔白、如美婦人」
すこしのあか。宋濂詩「僭亂皆削平、淸淨無──」
こまか。趙孟頫詩「三月蠶始生、──如牛毛」
小兒に同じ。晉書、陸納傳「時會稽王道子、以少年專政、委任羣小、納望闕而歎曰、好家居、──欲撞壞之耶」
ほそきゆび。相鶴經「高頸麤節、洪髀──、相之備者」
すこしのきず。李華文「一日再至、洗其──」
○かよわし。菊譜「俗謂龍腦菊、爲小銀臺、枝幹──、葉靑黃而粗疎」=弱柔。○ほそくやはらか。陸游詩「──玉指破雙柑」
性質の纖弱 カヨハシ なる人。中說「謝莊王融、古之──也、其文悴」
ちひさくよわし。歷代名畫記「謝赫筆路──、不副雅壯之懷」=尫纖。
女子のほそく美くしき手。陸機詩「佳人撫琴瑟、──淸且閑」
こまかくしげる。孟郊詩「竹韻漫蕭屑、草色何──」
やぶさか。史、貨殖傳「其贏得過當、愈於──」=纖悋·吝嗇·慳恡。
こまかくして色どりしげくあつし。張衡、西京賦「故其宮室次舍、采飾──」
○細 コマカ き貌。こせつく。道德指歸論「近習──、務順其君」=瑣細。○ほそく尖りて銳き貌。古詩「兩頭──月初生」
ほそきかたな。孟郊詩「枝枝如──」
こまかきちり。=微塵·纖埃。
ほそきえだ。張華文「──被綠、翠華含英」
三日月。纖は細、魄は月。許飛雲、新月詩「初生──挂南樓」=纖月。
ほそきまゆ。宋徽宗詩「──丹瞼小腰肢」
こまか。後漢書、陳元傳「遺脫──、指爲大尤、抉瑕擿釁、掩其弘美」
ちひさく美くし。東都賦「恥──而不服、賤奇麗而不珍」=細好。
ほそくたへなり。馬融、長笛賦「微風──、若存若亡」
うすぎぬ。元籍詩「被服──衣、左右佩雙璜」
古の良馬の名。荀子「──綠耳、古之良馬也」
やぶさか。文中子「──者義之蠧」
しなやかにしてうるはし。張華詩「被服極──、肴膳盡柔嘉」
纏(糸部十五畫)の俗字。
18畫
スヰ ケイ [支]
○つなぐ。張衡賦「─幽蘭之秋華兮」○ひも(系)
19畫
サン [旱]
纉は俗字
○つぐ。つづく(繼)中庸「武王─太王王季文王之緒」○あつむ。=纂。
同訓異義
ツグ 纘·續·繼·嗣·紹·接·襲·尋·次·亞·賡の別は續(系部十五畫)の條を見よ。
つづく。つぐ。禮記、疏「武王能──父祖之業」=紹繼·繼纘·纘續。
あつめのべる。容齋隨筆「嘗以手帖、論──之要」=纂述。
事業をうけつぐ、纘は繼。詩經「至于文武、纘大王之緒」獨孤及、送孫侍御序「用文學──、而兄弟皆材」
うけつぐ。晉書、禮志序「──其事、竟未成功」=纘繼。
①シ [紙]
②リ []
③リ [支]
④シ []
紙支
①かみづつみ、頭髮をつつむきれ。=縱。○─乎はむらがりゆく(羣行)貌。○つづく(連屬)「─迤」○颯─ サツシ は長き貌。
②つらなる(連)
③かんむりのひも(緌)
④車のかざりの貌。
細長く連る貌。屈原、離騷「索胡繩之──」
タゥ [皓]
○はた、はたぼこ、旄牛 カラウシ の尾にて作りし大旗、秦漢の時、天子の車の飾。漢書、高帝紀「黃屋左─」○轉じて俗に天子の親征軍を大─といふ。○軍中に用ふる大旗。歐陽修、晝錦堂記「高牙大─」○葬式の時、棺側に立てるさしもの。=羽葆幢。
21畫
ラン [勘]
?は俗字
ともづな、舟を維 ツナ ぐ索 ナハ 「錦─」
ともづなを引き上げて出帆する。鮑照詩「──辭帝鄕、揚棹發皇京」=解纜。
ともづなをつなぐ、舟をとめる。陸游詩「放翁──水雲鄕」
ふなでする。江淹詩「──候前侶」=收纜·開船。
ルヰ [支]
しばりなは、くろなは(黑索)=縲。