角部
0畫
①カク [覺]
②ロク [屋]
①つの(獸角)易、大壯「羝羊觸藩羸其─」○すみ(隅)かど「屋─」「牆─」「稜─」「圭─」○兩線が一點に相合ふところ「銳─」「鈍─」○日─は額の骨。○さき(芒端)「頭─」○つのとる、獸の角をとりて生捕にする。左、襄十四「譬如捕鹿、晉人─之」○くらぶ(較·校)きそふ(競)「─逐」「─力」○─抵 カクテイ は相撲 スマフ に似たる戲の名。○はかる(試)○あげまき、小兒の髮の結び方、髮を左右に分けて角に似たる故「總─」○ます(枡)支那の四升を容れるもの「升─」○さかづき(杯)○軍中にて用ふる樂器の名「銅─」「畫─」「吹─」○五音の一「宮·商·─·徵·羽」管子「凡聽─、如雉登木以鳴、音疾以淸」○すぼし、二十八宿の一「─宿」○支那の貨幣の稱、一元の十分の一、一─は凡我が拾錢位。
②人名、─里 ロクリ 先生は商山四皓の一人、角、訛 アヤマ りて?に作る 國 ○ カク 方形の義。○こぐちの方形なる材木。○將棊の駒の一「─行」○ カド 他人と和合し難き性癖「─が有る」
妓の藝を以て名ある者をいふ、角は藝を校 クラ べる義。靑樓集「連枝秀、姓孫氏、京師──也、酒酣則自起舞」單に角ともいふ「名角」
つのとり、あしとる。左、襄十四「譬如捕鹿、晉人角之、諸戎掎之」
かどのあるづきん、隱者のかぶりもの。晉書、羊祜傳「旣定邊事、當──東路歸故里」高適詩「丘園有──」
つのにて飾れる弓。詩、小雅「騂騂──」
詩、小雅の角弓の章に本づきて、君王の佞人を近づけて、宗族を親まず骨肉相怨むのそしり。魏志、陳思王傳「仁及草木、則行葦之詩作、恩澤衰薄、則角弓之章刺」
牛のつのと、雞のけづめと。
道士の冠。王建、贈王屋道士詩「玳瑁頭簪白──」=道冠。
○はたらきをはかる。漢書、賈誼傳「陛下之與諸公、非親──而臣之也」○ 國 こぐちの方形なる材木。
みみづく。=木莬·鴟鵂。
ちまき。菰葉にて包みて角の如し、故にいふ。風土記「端午烹鶩進筒粽、一名──」=粽子·糉。
俗 娼優の名ある者の稱。色藝をくらべて他より優る義。=名角。
軍中にて用ふるつのぶえのこゑ。杜牧詩「百感中來不自由、──孤起夕陽樓」
火山岩中に在る一種の礦石、褐色又は綠色の長柱狀の結晶を爲す。
ちゑをたたかはす。漢書、仲長統傳「──者皆窮、角力者負」=鬬智。
互にあらそひて逐ひかける、競爭驅逐する。戰國策「駕犀首、而驂馬服、與秦──」
つのにて飾れるまくら。詩、唐風「──粲兮、錦衾爛兮、予美亡此、誰與獨旦」
すまふ、抵は當る、兩兩相當りて力をきそふ。漢書、武帝紀「三年春、作──戲」=角觝·觳抵。
前條に同じ、觝は抵。
つのぶえ、牛角にて造るが故〔唐書、儀衞志〕
二直線が交叉して成るあきの廣さ、圓の周圍を三百六十分したる其の一を一度とす。
○かど立てる帽子。魏書、嚈噠傳「其俗兄弟共一妻、夫無兄弟者、其妻戴一──、若有兄弟者、依其多少之數更加角焉、衣服類加以纓絡、頭皆翦髮、其語與蠕蠕高車及諸胡不同」○ 國 帽子の頂の方形なるもの、大學生の制帽。
眼球の白目 シロメ の皮膜「──炎」
多角形の堡壘。
くまたか。本草「鷹以膺擊、故謂之鷹、其頂有毛角、故曰──」
○ちからをくらべる。ちからくらべ。禮記「講武習射御──」角智參看。○ 國 スマフ 角抵·相撲。
かどだちてつらなる。柳宗元、小邱記「其衝然──而上者、若熊羆之登於山」
城の隅に在るやぐら。城上の譙樓 モノミ 宋史、禮志「御東華門及東西──」
漢の四皓の一。資暇錄「────、角音祿、今多以覺音呼、誤也」
角(前條)の②の誤用。
2畫
①筋(一四一四頁三段)に同じ。淮南、道應「良馬者、可以形容─骨相也」
②俗に斤(八二九頁一段)に通用す「─兩」
4畫
①ケツ キ [屑]
②キ [紙]
①かく。=缺。○うらむ、望む所に滿たずして怨む、不滿足に思ふ。○かかぐ、あばく(抉)「擿─」後漢書、孫寳傳「故欲擿─以揚我惡」
②こひねがふ(冀)
心に滿たざる貌。淮南、繆稱「禹無廢功、無廢財、自視猶──也」
○のぞむ所にみたずして怨む。不平に思ふ。史、荊燕世家「獨此尙──」=怨望。○ キバウ こひねがひのぞむ。史、盧綰傳「爲羣臣──」=冀望。
シ [寘]
觝とは別
○あふ(合)○さかづき。=觶
①ソ [虞]
②ソ [麌]
①あらし、物が精しからず、粗·麤に通ず。
②ほぼ、おほよそ、あらまし(大略)漢書、敍傳「─擧僚職」注「─粗略也、大略也」
5畫
コ [虞]
○さかづき(酒爵)二升(我が一合八勺弱)を容れるものにて古は稜 カド ありしといふ。論、雍也「─不─」○しかく(方形)○かど(稜)史、酷吏傳「破─爲圜」○つか(劍拊)○ふだ、古、文字を書するに用ひし方形の木札。陸機、文賦「或操─以率爾」○のり(法)○ただし(方正)
簡策をとる。轉じて筆を執りて文を作る。字解參看。柳宗元文「宗直善──牘」
繁雜なる法律を省きて簡約にする。觚は方形、雕は彫刻、かどだちたる酷刑を寬にし、嚴密なる規則を删る義。史、酷吏傳「漢興破觚而爲圜、斲雕而爲樸」
觚は鄕飮酒に用ふるさかづき、古は稜ありしが後世は稜なし、名のみありて其の實なきをいふ。論、雍也「───、觚哉觚哉」
古の北荒 キタノハテ の國〔爾雅〕=孤竹。
文字をかきしるす木札。轉じて書物をいふ。柳宗元、陸文通墓表「秉──焦思盧」=簡·簡策·翰札。
殿堂の最も高くとがり出でたるかど。班固、西都賦「上──而棲金爵」=觚稜。
①スヰ·シ [支]
②シ [紙]
①けづの(毛角)○─觿 シケイ はとろき、二十八宿の一、西方の星宿。又、うみがめ、しゃうがくばぅ。後漢書、文苑傳、註「─觿、大龜也」=蟕蠵。
②くちばし(喙)「爪─」「利─」「曲─」「─吻」=嘴。
くちばしと、けづめと。西京賦「羽族以──爲刀鈹」白居易詩「亦有能言鸚、翅碧──紅」
くちばしと、つばさと。南方草木狀「形如飛鶴──」
テイ [薺]
○ふる(觸)=牴。○角─ カクテイ はすまふ。=角抵。
ふれさはる。周禮、注「楅衡所以令不得──人」
ふれておしのける、拒絕する。韓愈、進學解「──異端、攘斥佛老」=拒絕。
6畫
①カイ·ゲ [蟹]
②カイ·ゲ [卦]
①とく、物を剖分 ワケル する。莊、養生主「庖丁─牛」○說き明かす、講義する「─說」一─義」○わく、わかつ(判)○ゆるむ(緩)舒緩なり。○へだつ(閒)○はなす。はなる(離散)ばらばらになる、人心が離散する。漢書、張耳·陳餘傳「恐天下─也」○ぬぐ(脫)○ゆるす(?)漢書、孔光傳「於法無所─」○いひわけする(分疏)○とほる。とほす(達)○けづる(削)○ひらく(開)○結ぼれたるをほどく「─紛」○たひらぐ(和睦)なかなほりする。○樂曲、又、古詩の一節「一─」「二─」○易の卦の名、坎下震上。○しる、さとる(曉)○文の一體。文體明辨「─者釋也、因人有疑、而解亡釋之也、揚雄始作─嘲世遂倣之」○かに。=蟹。○澥に通ず。○蠏に通ず。
②さとる(曉)「曉─」○物が自然に解け散る。○おこたる。=懈。○あふ、─后は邂逅に同じ。=邂。○やくしよ。=廨。○やる(發遣)○發─ ハツカイ は州縣の學德の秀でたる者を都に送り出して試驗を受けさす。轉じてすべて物を送り出す(─餉は兵糧を送る、─犯は犯罪人を護送する類)
ころもをぬぐ。史、淮陰侯傳「漢王──衣我、推食食我、言聽計用」莊子「──槃礴」注「槃礴、箕坐也」=脫衣。
敵のかこみを解く。晉書「王凝之弟獻之、嘗與賓客談議、詞理將屈、道韞遣婢白獻之曰、欲爲小郞──、乃施靑綾步障自蔽、申獻之前議、客不能屈」
解纜に同じ、維は舟を繫 ツナ ぐ索 ナハ 朱熹詩「──春雨外」=開帆。
○おとがひをとく、大いに感服し口を開きて自失せしむる義。漢書、匡衡傳「匡鼎來說詩解人頤」○口を開きて大いに笑ふ。蘇頲詩「京國自携手、同途欣──」=脫頤。
○宋代官吏の赴任に關する公文書〔癸辛雜識〕○ 國 ゲユ 古、國守交替の時、前任者が後任者へ事務引續に關する文書を交附するをいふ。
いかりを解き和げる。家語、舜、南風歌「南風之薰兮、可以解吾民之慍兮」
擧人卽ち鄕試に及第せし者の總ての數。小學、外篇「鐫──以去利誘」(鐫は定)
のどのかわきをなほす。方囘詩「西瓜足──、割裂靑瑤膚」
よろこびわらふ。列、黃帝「五年之後、夫子始一──而笑」
意義をときあかす「論語──」晉書、郭象傳「先是注莊子者數十家、莫能究其旨統、向秀於舊注外、而爲──、妙演奇致、大暢玄風」=釋義。
やくをやめる、解職に同じ。謝靈運詩「──在景平」李善注「──去仕也」龜は金龜。
かはごろもをぬぐ。戰國策「見其寒、──而衣之」=脫裘。
仕宦する、出仕する、幅巾は隱者のかぶりもの、それを解く義。後漢書、韋義傳「詔書逼切、不得已──之郡」=釋褐。
衣のえりをうちひらく、容儀を正さずしてくつろぐ。蘇軾詩「──顧景各箕踞、擊劍賡歌幾擧觥」
いましめをとく、禁止せし事をときてゆるす。後漢書、皇甫嵩傳「解黨禁」
連りたる環を解きたる故事によりて、難き問題を解く義とす。戰國齊策「秦昭王嘗使使者遺后玉連環曰、齊多知解此環不、后以示羣臣、羣臣不知解、后引椎椎破之、謝秦使曰、謹以解矣」
さとる。=曉解。
もめたる事がとける。
鄕試卽ち官吏登用試驗の豫備試驗に首席にて及第せしもの。珠璣藪「鄕試中頭、名曰──、又曰解首·領解·拔解·發解」=解頭。
罪人などをときはなつ。晉書、樂廣傳「廣卽便──」
敵すでに退きて兵のそなへをゆるべる。正字通「敵退稍弛備、曰──」
さとる。淨住子「一切弟子衆、聲聞卽──」=領會。
古言の意義をときあかす。後漢書、何休傳「休作春秋公羊──」=釋詁。
解傭に同じ。
人人離散する。國語「忠臣──」=解體。
言語の通ずる花、美人の稱。天寶遺事「太液池、千葉蓮開、明皇與妃子共賞、指妃子、謂左右曰、何如此───耶」明皇は玄宗、妃子は楊貴妃。
精進おとし。野客叢書「今人久茹素、而其親若隣設酒肴之具以相煖熱、名曰開葷、於理合曰──、此風已見六朝」
ものいみをときやめる。
たびの支度をとりのぞく、休息の義。顏延之賦「──息甲」
○人人がばらばらになりてそむき去る。○分れ離れる。孔安國文「天下學士、逃難──」○會合をやめる。○議會にて任期中の議員の資格をときさる。
とけゆるぶ。漢書、賈山傳「臣恐朝廷之──」=弛解。
事を曉 サト る。杜甫詩「小兒強──」
運算の順序を一定の記號方式によりて記せしもの。
○ときゆるす。管子「是故上必寬裕而有──」=釋放。○やくしょ。商君書「高其──」=廨舍。
○とく、消す。太眞外傳「──春風無限恨、沈香亭北倚欄干」○ときあかし。=解說·解義。
解組に同じ。梁昭明太子文「卽日──去職」
職務をやめさす。=解任。
明かにとき分ける。南史、崔雲恩傳「性朴拙無風采、及解析經理、甚有精致」=分析·剖析。
わけをときあかす。又、其のときあかしの書。史、三王世家「令覽者自通其意而──之」=解釋。
ふねのともづなをとく、出帆する。晉書、紀瞻傳「──棄牛車、一日一夜、行三萬里、得還揚州」=開帆。
租は印綬 インノヒモ それをとくは官を罷むる義。韋應物詩「──傲園林」=解綬·挂冠·致仕。
書物の題目の解說。卽ち著者、卷數、來歷及び內容のときあかし。
○人人はなれ叛く。左傳「四方諸侯、其誰不──」○身體を解きわける、かいぼうする。
人の言ふことを聞く、詩に用ふる語、道は言。李白詩「──澄江淸如練」=聞道·聞說。
人のあざけりを辨解する。揚雄の──といふ文、續文章軌範に載す。=解謿。
筍が生長して皮を落し去る。元稹詩「新篁纔──、寒色已靑葱」
說明してこたへる。又其のこたへ。
はだをぬぐ。晉書、王澄傳論「若乃──登枝、裸形捫鵲、以此謂達、謂之高致、輕薄是效、風流詎及」
結びしひもがとけゆるむ。政治の亂れるに喩ふ。干寶、晉紀總論「名實反錯、天綱──」
書物の意義のときあかし。荀悅文「大司農鄭衆·侍中賈逵、各爲春秋左氏傳作──」=註解。
○さつばりとのぞく。易林「憂患──、喜至慶來」○ときのぞく、やめる。
さしとめたる事をときゆるす。=解禁。
酲 フツカヱヒ をさます。晉書、劉伶傳「天生劉伶、以酒爲名、一飮一斛、五斗──」
州の試驗に、第一等にて及第するをいふ。事文類聚「黃魯直得洪州──赴省試」全唐詩話「京兆──」=解元。
其の職務をやめさせる。=解職。
ゆるしはなす、束縛をときてはなし遣る。=釋放。
ふなで、出帆する。=解船·解纜·開帆。
もつれをとく。史、魯仲連傳「所謂貴於天下之士者、爲人排患釋難──亂、而無取也」
くみたる頭髮をとく。唐書、吐蕃傳「天子爲御延喜樓賜冠帶、皆爭──易服」
○動物の身體を解きて組織をしらべる。○物事を細かに分けしらべる。
ときあかす。=說明。
○いひぬける、まぬかれる。史、老莊傳「雖當世宿學、不能自──也」○職を免ぜられる〔舊唐書、明皇紀〕
しんばいをはらす。悶は懣。白居易詩「秋館淸涼日、書因──看」=遣悶·排悶·散悶·釋悶·消悶。
雇人 ヤトヒニン にひまを出す。=解雇。
ふねのともづなをとく、出帆する。杜甫詩「──獨長吟」=開帆·解維。
佛 僧が夏安居 ゲアンゴ の制を解きて出遊期に入るをいふ、夏解 ゲアキ に同じ。夏は夏安居の略語。歲華紀麗「衆僧──」注「四月八日結夏、至七月十五日解、衆生長養之節、在外恐傷草木蟲類、故九十日安居」
○ 佛 生死の迷苦を脫し得て佛の道を悟る。卽ち無拘·無碍·自在の謂なり。法華經「念彼觀音力、釋然得──」○ カイダツ ときはなしてゆるす〔史、酷吏傳〕
人欲をはなれたる彿道のさとり。法苑珠林「若王入禪、卽入───」
佛 袈裟 ケサ をいふ、────の法衣 ホフエ 袈裟は解脫を求むる佛道修行者の標幟なるが故。
毒けし、藥にて體內の毒をけす「──丸」
ねつさまし、ねつをさます藥。
クヮウ [庚]
もと觵に作る
○さかづき、兕牛 ジギウ の角にて作りし支那量の七升(一說五升)を容れる大杯「兕─」○大いなり、─羊は大羊。○── クワウクワウ は剛直 ツヨクナホシ なる貌。後漢書、郭憲傳「關東──郭子橫」
さかづき。孔平仲詩「左手把其肩、右手進──」
大いなるさかづき。杜牧詩「──一棹百分空、十載靑春不負公」=大白。
勝負を爭ふ杯の數とり。歐陽修、醉翁亭記「──交錯、坐起而喧譁者、衆賓歡也」
甚だしく酒を强ひられる困 クルシミ をいふ。淸異錄「荊南節判單天粹、性耽酒、日延親朋、強以巨杯、多致狼狽、時戲語曰、單家酒筵、乃───也」
觥は大、大飯は盛饌をいふ。越語「──不及壺飧」(飢ゑて虛しく盛饌を待つは粗食の飢を救ふの疾きに及ばす)
ケン [先]
○曲りたる角。○まく(捲)
7畫
キウ [尤]
○角のまがれる貌。詩、小雅「兕觥其─」○弓の健 ツヨ き貌。詩、魯頌「角弓其─」
ソク [屋]
觳─ コクソク は死をおそれる貌。觳(角部十畫)を見よ。
8畫
キ [支]
○ひとつ、かたかた(片隻)漢書、五行志「晉敗秦師、匹馬─輪、無反者」○奇數。莊、天下「─偶」○かたむく(傾攲)牛の角の一は低れ一は仰ぎたるもの。○かたよる。=畸。
琖(一二四六頁二段)に同じ
韓愈文「把─相飮」
9畫
ヒツ ヒチ [質]
○えびすぶえ、羌人の吹く角。○─篥 ヒチリキ は笛に似たる樂器、表七孔、裏一孔、葦の舌を上端にさし入れて縱に吹くもの、もと龜玆に出で支那に入る。唐の九部夷樂に之を用ふ、俗に篳篥に作る。○─發 ヒツハツ は風寒き貌。○泉のわきいづる貌「沸─」
風の寒き貌。詩、豳風「一之日──」
泉の湧き出づる貌。詩、小雅「──檻泉、言采其芹」(言はここに)
10畫
①コク [屋]
②カク·コク [覺]
①つのさかづき。○うすし(薄)○─觫 コクソク は死をおそれる貌。○ます。古、斛に通ず。○一斗二升(一說に三斗)を容れる量器。
②つく(盡)とどまる(止)史、始皇紀「雖監門之養、不─於此」○かわく、潤 ウルホヒ なし、やせる(瘠)「─土」○あぶらいれ。○あしのかふ(足跗)○ひづめ(獸蹄)○くらぶ、きそふ(校)韓非、用人「强弱不─力」=角。
力をくらべる。すまふ。史、李斯傳「二世在甘泉、方作──優俳之觀」=角觝·角抵。
死をおそれる貌。孟、梁惠王「吾不忍其──若無罪而就死地」
うすし、儉約する。唐書、薛苹傳「治身──」
11畫
シャウ [陽]
○さかづき、酒巵 サカヅキ の總名。「羽─」「流─」「壽─」○人にさかづきをさす。人に酒を飮ます。左、襄二三「─曲沃人」(曲沃は地名)○濫─ ランシヤウ はさかづきを泛べる。始めて出る水源の微なるをいふ。家語、三恕「夫江始出於岷山、其源可以濫─」轉じて事の始の義とす。
酒のみながら詩を賦す。王羲之、蘭亭集序「一觴一詠、亦足以暢敍幽情」白居易詩「──歸來賓閣閉」
さかづきのさけ。吳越春秋「──旣升、請稱萬歲」=杯酒。
酒を飮む宴席にて酒を勸めることを掌る。又、其の人。說苑、「魏文侯與大夫飮酒、使公乘不仁爲──、曰飮不嚼者、浮以太白」=觴令·酒令。
さかづきの酒と、豆 タカツキ の肉と。飮食をいふ。禮記「觴酒豆肉、讓而受惡」張衡賦「奉──於國叟」
さかづき、。阮瑀詩「嘉殽設不御、旨酒盈──」
觴政に同じ。楊維楨詩「──嚴行卷白波」
12畫
シ [寘]
○さかづき(酒觴)支那量にて三升入の酒杯。增韻「實曰觴、虛曰─」○つのさかづき。
觥(角部六畫)の本字。
13畫
ショク ソク [沃]
○ふる、ふれさはる。○あたる(抵當)角にてつきあたる「抵─」「觝─」「擊─」易、大壯「羝羊─藩」○をかす(犯)漢書、元帝紀「去禮義、─刑法」○つく(衝)○心に感じ動く。易、繫辭「─類而長之」○けがれ(汚)韓愈詩「不受塵事─」 國 ○ フレル 廣く命令する。○ フレ 政府よりの吿示·命令。
國 服忌·產·月經等のけがれにふれる(神事にあづかることを忌む)
下等動物の觸覺をつかさどるつの、蝸牛 カタツムリ の角の類。
皮膚にふれる硬軟寒熱精粗などのかんじ。=觸感。
○ふれうごく。郭璞文「氣之相應、──而作」○皮膚にふれるかんじ。=觸覺。
いみさくべき言ををかす。晉書、齊王攸傳「攸至性過人、有觸其諱者、輒泫然流涕」
水などがはげしく石にふれあたる。柳宗元、石澗記「交絡之流、──之音、皆在牀下」
ふれうつ。史、封禪書「于是上使驗小方鬭棊、棊自相──」
下等動物の觸覺を掌る手、水母 クラゲ の口のまはりにある手など。
下等動物の觸覺をつかさどる鬚、蜘蛛の口顎にある鬚など。
到る處。岑參詩「春風──到」
敵に接してたたかふ。史、越世家「句踐欲殺妻子、燔寶器、──以死」=接戰。
ふれつく。後漢書、西羌傳「西羌之兵、常在山谷、短于平地、不能持久、而果于──」=抵突·冒突。
ふれうつ。海賦「更相──、飛沫起濤」
あつさにさはる。杜甫詩「──生病根」
物にさはりておこる。
ふれをかす。晉書、王渾傳「敢陳愚見、──天威」
蝸角之爭(一七一九頁一段)を見よ。
目につく、目に見えて感ずる。世說「──見琳琅珠玉」
あみにかかる。白居易詩「魚能深入寧憂釣、鳥解高飛豈──」
16畫
觽(次條)に同じ。
18畫
ケイ キ [齊]
○くじり、つのぎり、童子のおびもの、象牙にて錐 キリ の如く尖らせて作り、ひもなどの結び目をとくに用ふ。詩、衞風「童子佩─」○蠵に同じ。