冫部
0畫
ヒョウ [蒸]
○こほり(冰)○こほる(凍)○ 國 にすゐ(二水)字の扁の名。
3畫
トウ [冬]
○ふゆ、四時の最終、立冬より立春に至る、陰曆の十·十一·十二の三ケ月閒の稱。○つく(盡)をさまる(藏)をはる(終)○ふゆごもり。
ふゆはあたたかにし、なつはすずしくす。子たる者の親に事ふる禮〔曲禮〕定省參看。
村塾にて、冬日農家の閒暇なるときに開くもの。陸游詩「俚儒朱墨開──」注「農十月、乃遣子入學」
冬の時節。=冬期·冬時。
前條に同じ。
とうぐゎん、西瓜 スヰクワ に似たる瓜、煮て食ふ。
○周代の六官の一、土木工作のことを掌る〔周禮〕=司空。○唐代、工部省の異稱。
穀物の類を、冬をさめ貯へる。禮、樂記「春作夏長仁也。秋斂──義也」千字文「秋收──」
二十四氣の一、夏至の反對にて、夜最も長く日最も短し。陽曆の十二月二十二三日頃、此日太陽、赤道以南二十三度半の所に在り。此緯度を──線といひ、此線よりして太陽再び北に向ひて復る。史、律書「氣始于──、周而復生」
冬の日は溫暖にして愛すべし、人の慈惠なるに喩ふ。左、文七「趙衰、冬日之日也、趙盾、夏日之日也」注「────、夏日可畏」
もちのき、常綠樹、葉は卵形をなして光澤あり、夏初細白花開き、球狀赤色の實を結ぶ、皮は黐 トリモチ を造る。女貞 ネズミモチ の一種。
冬の扇と夏の火鉢と、時機に合はざる無用の事物に喩ふ。論衡「作無益之能、納無補之說、猶如以夏進爐、以冬奏扇、亦徒耳」
門を叩く聲。白居易詩「叩門響──」
水は柔なれども冰となれば折ることを得、人の剛柔の性も時によりて異るに喩ふ。文子「────、夏木可結」
動物が冬期地中にとぢこもりて活動せざるをいふ。
4畫
決(水部四畫)の俗字。
コ ゴ [遇]
通じて涸に作る
○こほる(凝結)寒くして閉ぢ凝る。ひゆ(冷)こほる、いつ(凍)○さむし、さむさ(寒)○ 國 さゆ、すみわたる。
きびしきさむさ、冱は閉。左、昭、四「固陰──」
チュウ [東]
沖に同じ
○やはらぐ(和)○むなし、うつろ(空虛)老子「太盈若─」○ふかし(深)○わく(湧)○をさなし、いとけなし(幼稚)書、金縢「惟予─人、弗及知」○ひひる、高く上る。○──は冰を鑿つ聲、又、垂るる貌。
空しきと滿つると。孫覿詩「圖畫表──」
ふかくむなし。阮籍詩「養志在──」=虛冲。
列子の別名〔唐書、藝文志〕
をさなき者が自ら稱する謙辭。字解を見よ。
心を虛しく和げて讓る。柳宗元、箕子碑「──居禮」
虛心無爲にして安くしづかなり。蔡邕、荊州刺史庾侯碑「仗──以臨民、施仁義以接物」
むなしくして深きおもひ。王勃、七夕賦「──自閑、神情如逸」
あっさりして心むなし、淡一に澹に作る。晉書、儒林傳「杜夷淸虛──、與俗異軌」
前條を見よ。
○冰をわるこゑの形容。詩、豳風「二之日鑿冰──」○垂れさがる貌。詩、小雅「鞗革──」
高く天にのぼる。史、淳于髠傳「一蜚──」蜚一に飛に作る。
ぼんやりとしたる貌。七命「──公子、含華隱曜」程子遺書「──無眹、萬象森然已具、未應不是先、已應不是後」
和らぐ。杜甫詩「和氣日──」
ヒョウ [蒸]
俗に氷に作る
○ひ、こほり。○つらら「─柱」○こほる(凍)禮、月令「孟冬水始─」○あぶら(脂)○やづつのふた(矢筩蓋)左、昭二「公徒釋甲執─而踞」
河の神。山海經「──卽河伯也」=馮夷。
高山より流下する冰の川、英語Glacierの譯。
冰釋に同じ。
○こほりの如き淸く美くしきはだへ。莊、逍遙游「藐姑射之山、有神人居焉、肌膚如冰雪」○梅花の形容。黃庭堅詩「寒香寂寂動──」=冰魂。
○梅の形容。竹坡詩話「────淸無汙、水殿風來暗香滿」=冰姿玉骨。○もと美人の形容〔後蜀主孟昶、詞〕
こほりかたまる。後漢書「冰旣解釋、還復凝合」
こほりがとける。渙は散なり。閭丘冲詩「陽升土潤、──川盈」
冰の如く潔白にして光澤ある絹。漢書、地理志「齊俗織作──綺繡純麗之物」紈は素なり。
○月の異名。孔平仲詩「團團──吐淸輝」=冰輪。○人物の潔白なる形容。晉書「衞瓘見樂廣而奇之、曰、此人之──、見之瑩然若披雲霧而覩靑天」
液體が凝りかたまりてこほりとなる、こほる。唐太宗詩「塞外悲風切、交河冰已結」
冰の如くきよし。孔融、衞尉張儉碑「──淵淸、介然特立」=冰淸。
媒介人 ナカウド のことば。書言故事「媒言曰──」冰人參看。
心の極めて潔白なるに喩ふ。杜甫詩「────懸淸秋」
心の極めて淸く明かなるに喩ふ。圓機活法「李延年如────、瑩徹無瑕」
月の異名。陸游詩「醫得──雪魄囘」=冰肌。
冰肌玉骨に同じ。羣芳譜果譜一「梅、袁豐之曰、────、世外佳人、但恨無傾城之笑耳、出桂林記」
ひむろ、冰を藏する室。詩、豳風、毛傳「凌陰──也」
なかうど、媒妁人。晉書、索紞傳「令狐策夢立冰上與冰下人語、紞曰、冰上爲陽、冰下爲陰、陰陽事也、君在冰上與冰下人語、爲陽語陰、媒介事也、君當爲人作媒」とあるに本づく。
しらは。七命「霜鍔水凝、──露潔」
潔白なる心。王昌齡詩「洛陽親友如相問、一片──在玉壺」
こほりの如く疑の解ける義。左、杜預序「渙然──、怡然理順」=冰解。
冰柱 ツララ の異名。類書纂要「簷澑凝于霤下曰──」=銀竹·冰條。
こほりの如くきよし。晉書、衞玠傳「婦公──、女壻玉潤」
潔白なる心。古節婦吟「瑤池古冰雪、爲妾作心肝、死者儻復生、剖與良人看」=冰壼心。
冰雪の如く淸らかにして潔白なる節操。高適詩「奈何───、尙與藁萊羣」
冰づけの魚。淸嘉錄「土人置窖冰、街坊擔賣謂之涼冰、鮮魚肆以護魚謂之──」
艾 ヨモギ の異名。爾雅、釋草、疏「艾一名──、卽今艾蒿也」
冰と炭火と互に相愛す。冰炭相容れずの反對。淮南子「天下莫相憎于膠漆、而莫相愛于冰炭」注「冰得炭則解、水復其性、炭得冰則保其炭、故曰相愛」
冰と炭火とは性質反對にして相容れず、以て君子と小人とは和合し難きに喩ふ。楚辭、七諫「冰炭不可以相竝兮」鹽鐵論「冰炭不同器」
つらら。=冰笋。
水の凍る溫度、攝氏寒暖計の零度、華氏の三十二度。
こほり。禮記「時雪不降、──消釋」
熱を下げる爲めに冰を入れて局部にあてる袋、こほりぶくろ。多くは豚の膀胱 バウクワウ にて造る。
○こほりのかけら。張祐詩「──馬蹄中」○藥の名。=龍腦。
海洋中全く堅冰を結ぶ者。南極に在るを南──、北極のを北──といふ。
月の異名。蘇軾詩「雲峯缺處涌──」
國 ひうをの約、白魚に似て小さく冰の如く潔白なり、秋冬の交、琵琶湖·宇治川にて捕ふ。
冰がとける。張正見詩「雪盡靑山路、──綠水池」
5畫
況(水部五畫)の俗字。
ハン [翰]
通じて泮に作る
とく、冰が釋ける。詩、邶風「士如歸妻、迨冰未泮」
ヤ [馬]
○いる(鑄)金屬をとかし鑄る。○ねりあげる、精鍊する。杜甫詩「陶─賴詩篇」○けす(消·銷)○とける(鎔)いもの(鑄造物)○いものし(鑄匠)「─者」○なまめかしくうつくし(艶麗)「妖─」
○心のとろけるほどあそぶ。朱慶餘詩「閒蹤結客──時」○狎妓をいふ。晉子夜春歌「──步春露、豔覓同心郞」
鍛冶の事を掌る官。周書「──、每月役八千人、造營軍器」
ふきわけ、鑛石より金屬を分析して採る、又、其のこと「採鑛──」莊、大宗師「今大冶鑄金、金踴躍曰、我且必爲鏌鎁、大冶必以爲不祥之金」
かぢや、鍛冶職。名山藏「憲宗紀、───與濬家有連」
なまめきてうつくしき花のあんず。汪元量詩「──夭桃紅勝錦」
いものし、かぢや。=鍛冶 タンヤ 冶匠·鑄匠·冶氏·冶金匠。
冶工に同じ〔考工記〕
前條に同じ。
ゆっだリとしなやかにあるく。後漢書「從容──」
かたちをなまめかしくよそほひかざる。易、繫辭「──誨淫」
たはれを、なまめかしくよそへるをとこ。李白、採蓮曲「岸上誰家遊──、三三五五映垂楊」
①レイ·リヤウ [梗]
②レイ·リヤウ [靑]
①ひややか。熱の反對。○ひゆ、ひえる。○すずし(涼)さむし(寒)さびし(凄)○淸くしてひまあり、閒散なり。杜甫詩「廣文先生官獨─」○さびし。徐彥伯、孤燭歎「切切夜閨─、微微孤燭然」○情薄し「─淡」○あざけりさげしむ「─笑」○きよし、すがすがし(氣淸)梁武帝、淨業賦「心淸─其若水、志皎潔其若雪」
②こほり、こほる(冰)
冷水又はひやし藥を布に浸して疾患の局部をひやす治療法。溫罨法の對。
將にきえんとする光。僧常達詩「燈殘──微」
つめたくしてつややかなり。丘爲、左掖梨花詩「──全欺雪、餘香乍入衣」
さびしきちまた。白居易詩「──閉門無客到」
ひやあせ、恥ぢ又は驚きたる時出るあせ。
情愛のなきめつき。冷淡にして求むる所なき目つき。李羣玉詩「孤臺──無來人」
つめたくなる、熱を失ふ、卻は却の正字。
ひややかにあしらふ、冷淡なる待遇。厚遇の反對。
火のけなきはひ。李商隱詩「十歲裁詩走馬成、──殘燭動離情」轉じて名利の欲なき心に喩ふ。
いやしく閒散なる官職。張籍詩「年長身多病、獨宜作──」=冷宦。
陰曆七月の異名。
體溫が外氣の溫度より低き動物、爬蟲類の屬。轉じて冷酷なる人を罵りていふ。
甚だむごたらし、無慈悲。=苛酷 カコク
十卷、宋の釋惠洪撰す、己の見聞せし所を雜記す、詩話多きに居る。
國 夏時飮食物などをひやし又は腐敗を防ぐ爲めに冰にてひやすくら。
ひや酒。白居易詩「小盞吹醅嘗──」
衞生上、皮膚をつよくする爲めに冷水をあびる。又、皮膚を濕布にてこするを冷水摩擦といふ。
物事にあわてずしてしづかなり。
あざけりわらふ。北史、崔瞻傳「何容讀國士議文直此──」
寒氣のきびしき義。張耒詩「東風──著衣寒」
寒食の節の異名。四民月令「齊人呼寒食、爲──」
○鑛物質を多量に含める泉。溫泉の對。=鑛泉。○浙江省、西湖の近傍、飛來峯下に在る泉の名、白居易に──亭記あり。
○輕妙なる貌。莊、逍遙游「列子御風而行、──善也」一說すずしき貌。○ひややかに思ひやりなし。=冷淡。
○あっさりする。白居易詩「白花──無人愛」○さびしくしづか、又、同情なし。李中詩「──少知音」
我が事は他人の言を待たずして自ら心に知る義。傳燈錄「今蒙指授入處、如人飲水────」
つめたきはらわた、不親切、不熱心。又、其の者。顏氏家訓「楊朱之侶、世謂──」
ひかりのさびしきともしび。蘇軾詩「──殘月照空牀」=寒燈。
○ひややかなると熱きと。○冷淡なると熱心なると。○さびしきと、にぎやかなると。
ひやかしののしる。嘲罵 テウバ する。
冷氣肌膚にしみこむ。司馬光詩「烏皮几穩風侵鬢、白玉樓高───」
ひやめし。陸游詩「──雜砂礫、短褐蒙霜露」
ひやかしたる批評。
人跡の到ること罕 マレ なる地。白居易詩「霅溪殊──」轉じて文字の見ること罕なる者をいふ。
○淸涼 スズシ の貌。東方朔、七諫「下──而來風」○音韻の淸き貌。陸機、文賦「音──而盈耳」
6畫
①レツ [屑]
②レイ [霽]
○さむし(寒氣)○ひややか。詩、小雅「有─氿泉」○ひゆ(冷)○はげし、寒氣嚴し、風はげし。王襃、得賢臣頌「虎嘯而谷風─」烈に通ず。○いさぎよし(潔)
ひややかにしてきよし。東京賦「陰池幽流、玄泉──」
ひややかなるいづみ。韋應物詩「──前堦注」
○風のはげしき貌。左思、雜詩「秋風何──」=栗烈。○寒氣の嚴しき貌。韓愈詩「霜風──摧朝菌」
8畫
コ [遇]
○こほる(凝)○とづ(閉)
こほりとづ。張衡、西京賦「──冱寒」
準(水部十畫)の俗字。
ショウ·ス ソウ·ス [冬]
○こほりつく(凍著)寒氣結びて珠の如き狀をなせるもの、之を霧─といふ。曾鞏、冬夜詩「月淡千門霧─寒」○こほり(冰)つらら(冰柱)
セイ [齊]
淒に通ず
○さむし(寒)○すずし(冷)さびし。陶潛詩「秋日─且厲」○國物すごし。
ものさびしくつめたき雨。蘇軾詩「亂葉和──、投空如散絲」
さむくしてさびし、其は然に似たる助辭。詩、邶風、綠衣「絺兮綌兮、──以風」
さびしきうらみ。王勃詩「他鄕易感增──」
さびしくさわやか。韋應物詩「戶牖己──、晨夜感深情」
すずしき秋の日〔梁元帝纂要〕=凄辰
秋の季節〔梁元帝纂要〕
寒くいたましき貌。詩、鄭風、風雨「風雨──、雞鳴喈喈」
身にしむほどかなし。皮日休詩「君詞亦──」
凄凄に同じ。莊、大宗師「──似秋、暖然似春」=凄其。
すさまじくかなし。李子卿、聽秋蟲賦「志苦者易──」
○すさまじきかぜ。左、昭四「春無──、秋無苦雨」○西南風。呂覽「西南曰──」
きびしくさむし。陸游詩「霜露已──」
ものさびし。李賀詩「──四月闌、千里一時綠」
ものすごくさびし。舒頔詩「且容花鳥伴──」
セイ シヤウ [敬]
○さむし(寒)○ひややか(冷)○すずし(涼)すずしくする、涼氣を致す。曲禮「凡爲人子之禮、冬溫而夏─」
テウ [蕭]
通じて彫に作る
○しぼむ、草木がなえしなびれる。○かれる(枯)物の生氣が衰へる、やつれよわる。牟巘詩「淒其九日至、頗感顏髮─」○そこなふ(損)なかば、そこなはる。說文「半傷也」
しぼみかれる、槁は枯。歐陽修詩「四時悲代謝、萬物惜──」=凋枯·枯槁。
おとろへやつれる。唐書、崔植傳「漢承秦侈縱之餘、海內──」=疲弊。
しぼみかはる、凋零變更の義。李白詩「天地無──、容顏有遷改」
おとろへやむ、瘵は病。吳師道詩「誰當進良謨、淸淨撫──」
しぼみつきる、おとろへつくる。左傳「宮室崇侈、民力──」=彫盡。
しぼみおちる、謝はしりぞき去る。轉じて人の死をいふ。韓愈詩「朋交日──」=凋落·凋零。
しぼみそこなふ。沈約詩「暮質易──」杜甫詩「玉露──楓樹林、巫山巫峽氣蕭森」
つかれたる兵卒。史記「敝甲──、願承下塵」戰國策には凋を鈍に作る。
しぼみ衰へる、おちぶれる。李白詩「朱顏──盡、白髮一何新」=凋零。
凋落に同じ。蘇檢詩「海棠千樹已──」
涼(水部八畫)の俗字。
トウ [送]
○こほる(凝結)禮、月令「孟冬地始─」○こほり(冰)○さむし(寒)○こごゆ。孟、梁惠王「父母─餓、兄弟妻子離散」
ふゆのあめ。陳師道詩「──能妨夢、朝霜故作寒」=寒雨。
ふゆのさむきくも。方干詩「──愁暮色、寒日澹斜暉」
こごえうう。字解を見よ。=凍飢·凍餒。
こごえうう。漢書、項羽傳「天寒大雨、士卒──」=凍餓。
こほりのはりしすずり。僧尙顏詩「──向陽呵」=凍硏。
嚴寒の時、凍えし硯に息を吹きかけてあたためる。天寶遺事「李白撰詔誥時、大寒硯凍、帝勅宮嬪、執牙筆呵之」
凍傷に同じ。
こごえて死す。杜甫詩「朱門酒肉臭、路有──骨」
しもやけ。=凍瘡。
さむくしてひびがきれる。杜甫詩「手脚──皮肉死」=腁胝。
こごえうう。孟、梁惠王「──其妻子」=寒餒。
こほり。=寒冰。
リヨウ ロウ [蒸]
○あつこほり(積冰)○─陰はひむろ(冰室)○おののく(戰栗)漢書、揚雄傳「虎豹之─遽」○こゆ(越歷)わたる(涉)史、始皇紀「─水經地」○をかす、しのぐ、陵に通ず。
ひむろ(冰室)詩、豳風「三之日、納于──」=凌室。
はげしくふるあめ。揚子「震風──」=猛雨。
魏の明帝の建てし高臺、地を去ること二十五丈、誤りて先づ榜を釘す、乃ち籠にて韋誕を盛り、轆轤にて之をつるしあげて書せしむ、旣に下れば鬚髮皓然たりきといふ〔三國、魏志〕
高く世外に超脫する志。漢書、揚雄傳「縹縹有────」史、司馬相如傳「飄飄有凌雲之氣」
唐の太宗、貞觀十七年、勳臣を凌煙閣に畫かしむ。長孫無忌·河閒孝王恭·杜如晦·魏徵·房玄齡·尉遲敬德·李靖·蕭瑀·段志玄·張亮·劉弘基·屈突通·柴紹·殷開山·侯君集·長孫順德·張公謹·程知節·虞世南·劉政會·唐儉·李勣·高士廉·秦叔寶の二十四人〔唐書、太宗紀〕
他を壓して其の上に出る。人をおししのぐ。宋書、恩倖傳「憑藉世資、用相──」=陵駕。
むごくしへたぐ、殘刻。中論「──小國」
こほり。方干詩「陰谿入夏有──」
ひむろ。漢書、高帝紀「未央宮──」注「──、藏冰之室」==凌陰。
ひむろを掌る役人。周禮、天官「──掌冰」
人をしのぎはづかしむ。石崇文「父子見──」
寒水石の異名。
のうぜんかづら、蔓生にして葉は藤の如く花は赭黃色 カバイロ にして形あさがほに似たり。=紫葳·陵苕·女葳·鬼目·勢客。
大空をしのぐ高尙の志。晉書、慕容垂載記「垂猶鷹也、飢則附人、飽便高颺、遇風塵之會、必有────」
美人の步みかたの輕くみやびなる形容。曹植賦「──微步、羅韈生塵」
水仙花の形容。黃庭堅、水仙花詩「────生塵韈、水上盈盈步微月」
しのぎあなどる。晉書、齊王攸傳「使酒數──」=陵侮侵侮。
しのぎきしる。史、灌夫傳「──宗室、侵犯骨肉」=軋轢。
9畫
減(水部九畫)の俗字。
10畫
サウ [陽]
滄とは別
○さむし(寒)○ひややか(冷)
冷やかなる貌。列、湯問「日初出則──涼涼、及其日中、如探湯」
リツ [質]
栗に通ず
○さむし。○─冽は寒き貌。=栗烈。
さむき貌。歐陽修詩「天日每陰翳、風飆多──」
12畫
潔(水部十二畫)の譌字。
シ セイ [支]
○解けてながるるこほり(流冰)風俗通「冰流曰─、冰解曰冸」○こほり(冰)
13畫
リン [寢]
凛は俗字
○さむし(寒)陸機詩「遺涼淸且─」○すさまし(凄)ぞっとする。○つつしむ(敬畏)「─遵」
寒くしてわななく、寒甚だしくして戰栗する。顧淸詩「捫蘿踏雪幾──」
○寒さのはげしき貌。○勢のりりしき貌。懼れてひきしまる貌。書、五子之歌「──若朽索之馭六馬」
あきの季節、秋の氣は肅殺なるが故。楚辭「竊獨悲此──」
身にしみてぞっとする。=竦栗。
俗 上の命令を敬ひて守る。
○寒さの身にしむ貌。潘岳、寡婦賦「寒凄凄以──」=凜然·凛乎。○勢のりりしき貌。
寒さはげしき貌、李白賦「嚴冬慘切、寒氣──」
14畫
ギョウ [蒸]
○こる、こらす、水むすぼれて冰となる。○とどむ、とどまる(止)○なる(成)中庸「苟不至德、至道不─焉」○さだむ、さだまる(定)書、皋陶謨「庶績其─」○かたまる、集合する、かたし(堅)○思をこらす、一心になる、熱中する。鄭谷詩「相顧思皆─」○嚴しく整ふ貌。○國こる「肩が─る」
心を一事にこらす。江淹詩「──方自驚」
こりてむすぼれるけむり。劉鑠詩「──泛城闕」
かたまりあふ〔後漢書、郞顗傳〕=凝固。
陰氣こりて寒さきびし。
火山破裂の際、噴出 フンシユツ せし灰及砂が積りて成りし岩。
國 古、宮中に在りしつぼねの名。=梅壼 ウメツボ
こりかたまる。淮南子「──而不流」
○かたまり合ふ。=凝合。○液體が熱を失ひて固體となる。
こり固まりたるあぶら、轉じて、柔かく滑かなる者の譬にいふ。詩、衞風「膚如──」世說「王右軍見杜弘治歎曰、面如──、眼如點漆」
目をこらして一方をみつめる。霏雪錄「輒瞪目──久之」=凝眺。
かたまりあつまる。鹽鐵論「沙石──地勢無所宜」
むすぼれたる冰。郁離子「夏無烈日、冬不──」
液體及固體の分子閒に存する引力、液體及固體に形象を賦與する力。
一方をみつめる。世說「──不轉」=凝眺。
たまりみづ。陸雲賦「堅不可鑽、淸如──」=止水。
寒水石の異名〔本草〕
凝眺に同じ、睛はひとみ。=凝視。
こりかたまりて動かざる形容。宋史、趙汝談傳「苟得之、──湛然、孰得干之」李咸用、昇天行「三淸宮殿浮晴烟、玉皇據案方──」
○とどまりとどこほる。史、太史公自序「上下無所──」○かかはりなづむ、拘泥 コウデイ する。屈原、漁父辭「聖人不──於物」
水の集りたたへて淸き義、轉じて、心の淸く靜かなるに喩ふ。湛方生詩「吾生幸──」
じっと立ちとまる。朱熹詩「高軒坐──」
目を一方に注ぎてみつめる。劉秉忠詩「樓頭──倚晴暉」=凝視·凝望。
おもひをこらす。王侍常詩「當軒已──、況乃淸江湄」=凝思。
河南省洛陽の古の禁苑中に在り、唐の安祿山、其の部下を此の池邊に宴す、禁苑は卽ち西苑。王維詩「───頭奏管絃」凝畱】 ギヨウリウ とどこほりとどまる。=凝滯。
こほりてさむし。蘇軾詩「風飇助──」