巾部
0畫
キン [眞]
○てぬぐひ(帨·佩巾)「手─」ふきん(拭布)「布─」○えりまき、づきん(頭巾)「葛─」「縞─」「綸─」「僧─」「角─」○おほふ(羃)衣を以て車に被せる「─車」○つつしむ(謹)○かざる(飾)○おりもの(布帛) 國 ○ ハバ 幅の略字として用ふ。○ チキリ 古の婦人の冠。
女のかみかざり、一說に婦人の喪中にかぶる冠。轉じて婦人の義。晉書、宣帝紀「遺帝──婦人之飾」
きぬばりのおひ。武帝內傳「──中有一卷書」
きぬばりの小さきはこ。元稹詩「僮兒拂──」
小形の書物。齊の衡陽王鈞、手づから五經を細書して巾箱の中に置きたる故事に本づく。事物紀原「南史、齊衡陽王鈞傳、鈞嘗親手細書五經、部爲一卷置巾箱中、侍讀賀玠曰、殿下家有墳素、復何細書別藏巾箱、鈞曰、巾箱中檢閱旣易、且更手寫、則永不忘矣、睹王聞之、爭效爲巾箱、今謂籍之細書小本者、爲巾箱、始於此也」
づきん、かしらづつみ、冠の類。北史、隋煬帝紀「武官平──袴褶」
きぬのあふぎ。潘岳賦「覽──以舒悲」
きぬばりのはこ。續竹譜「方竹生嶺外、大者如──、小者如界方」=巾笈·巾箱。
人の妻となることを謙していふ、巾は手拭、櫛はくし。共に婦人が夫に事ふるに執る所のもの。左、僖二二「寡君使婢子侍執巾櫛」
○布帛にておほひかざれる車。陶濳文「或命──、或棹孤舟」○車官の長〔周禮、巾車〕
國 金錢をいれる袋。=荷包。
づきん。南史、梁豫章王綜傳「著烏絲──」=裘帽。
手拭にてふきたるなみだ。白居易詩「──滴成冰」
1畫
サフ ソフ [合]
匝は俗字
○めぐる、めぐり(周)一周を一─といふ。○あまねし(徧)「周─」
フツ [物]
まへだれ、ひざかけ、芾に通ず。
2畫
シ [紙]
○いち、賣買交易する所「─街」「─井」「夜─」「花─」○人家の多きまち「城─」「都─」○うる(賣)史、項羽紀「以─於齊」○かふ(買)あきなふ(商)うりかひ、取りひき「互─」○あきなひ(商業)○ねだん(價値)○ 國 行政上の自治團體、人口二萬五千以上ありて內務大臣の指定せし地「─町村」
同訓異義
力フ 市·買·沽·賈等の別は買(貝部五書)の條を見よ。
世を逃れて市中に隱れゐる人。晉書、劉粲傳「隱之爲道、朝亦可隱、市亦可隱、隱初在我、不在於物」王康琚詩「小隱隱陵藪、大隱隱市朝」
行政上の地方自治團體たる市が商業をいとなむ「──電車」
うらみを買ひ求める、人にうらまるる義。戰國策「所謂──而買禍者也」
恩を賣る、おんをきせる。唐書、裴耀卿傳「我知其不──也」
○うりねだん、次條を見よ。○ シコ あきうど。唐書「招財納賄、若──」=商賈。
うりねだん。價もと賈に作る。孟、滕文公「──不二、國中無僞」=市估。
まち。白居易詩「──塵不到」=街衢。
國 まちなかでするたたかひ。=巷戰。
商賣の景氣、商業の情況。
市街の區域、まちの區劃「──改正」
さいとり、市人を會合し寶買の中介を爲して利を得るもの。=牙儈。
一人が市に虎ありと言ふとも、之を信ずる者はなし、二人が言へば半信半疑、三人まで言へば、終に之を信ずるに至る、無根の讒言も之を言ふ者多ければ人を惑はすに至るに喩ふ。戰國策「市無虎明矣、然而三人言成虎」淮南、說山「三人成──」
國 市參事會員を以て組織し市の事務を取り扱ふ合議制の會。
みせ。商店〔漢書、食貨志〕=市廛。
まち。井の在る所にて市を成す、故にいふ。國語「處工就官府、處商就──、處農就田野」
城下に居る庶民をいふ。孟、萬章「在國曰────、在野曰草莽之臣」
町に居る賤民。舊唐書、李密傳「樊噲───、蕭何刀筆吏」
まち中のつまらぬ者、素町人。史、刺客傳「政乃────」政は聶政といふ刺客。
市租に同じ。宋史、扈蒙傳「掌大名──」=市稅。
市の區域·構成·機關·權限等に關する規定。
市民より取立てる租稅。史、李牧傳「──皆輸幕府、爲士卒費」=市征。
一市の長。史、太史公自序「無澤爲漢──」=市魁。
○あきなひをするばしょ。○ イチバ 國 物品を賣買するために、商人が一定の日時に集りてあきなひする場所。
利によりて結ぶまじはり。史、廉頗傳「天下以市道交、君有勢、我則從君、君無勢則去」
○朝廷をいふ、市は帶說なり。論、憲問「吾力猶能肆諸──」○まち、又市井 マチ と朝廷と。
米を買ひ入れる。宋史「連歲大稔、命使置場、增價──、自是率以爲常」
まちや。文同詩「西岡頗幽僻、愛此遠──」
かふ、市も買。史、武安侯傳「治宅甲諸第、田園極膏腴、而──郡縣器物、相屬於道」
商船〔唐書、盧奐傳〕
買ひたるほじし、脯は乾肉。論、鄕黨「沽酒──不食」
市中に居る民。申鑒「山民樸、──玩、處也」
まちのもん。史、貨殖傳「刺繡文不如倚──」
まち。魏志、華歆傳「無不游行──」
國 かみおろし·口よせなどの法を行ふ女。=巫女。
先を爭ひて至るをいふ。孟子「仁人也、不可失也、從之者、───也」
國 碁盤目の交互に色をかへたる布帛の紋樣 モヤウ
國 昔、婦人用の中高のぬりがさ。
ホ フ [遇]
○ぬの、植物の纖維 センヰ にて織りたるもの「綿─」「麻─」○織物の總稱「毛─」○しく(施·陳列)廣く行きわたる「流─」「遍─」○のべひろげる、敷衍する「宣─」○ぜに(錢)「泉─」詩、衞風「抱─貿絲」○ちらす(分散)「散─」「碁─」
同訓異義
ンク 布·敷·鋪·藉·席·播○布は一面に廣くしく義、流布·宣布·布列と熟す。○敷は布に同じ、布レ政を敷レ政とも書く。書經「弘敷二五典一」○鋪はならべしく義、布に近し、蒲團などを敷くにも用ふ。禮記「鋪二筵席、一陳二尊俎一」陳ね布く義より轉じて賈肆ミセヤの義に用ふ、舖は俗字。○藉は草を下にしく義より、廣く下地のしきものにする義とす。易經「藉以二白茅、一愼之至也」○席はむしろ·しとねの義、轉じてしきものにする義とす、藉に近し。○播はひろく施き及ぼす義、傳播·弘播と用ふ、又、たねまきの義にも用ふ。詩經「始播二百穀一」
○官位なき人、古は無官の庶人は布を衣る、故にいふ。史、田單傳「王蠋──也」○ 國 ホイ 狩衣 カリキヌ の無紋のものをいふ。六位以下の人の服なれば、轉じて六位以下の官人の稱。
布の衣をきて、なめしがはの帶を締めたる貧賤の士。漢書、賈山傳「──────、修身於內、成名於外」
いやしき身分。史、魯仲連傳贊「多其在────、蕩然肆志不詘于諸侯」
庶人のをとこだて。史記「────、靡得而聞矣」
平民的に交る友、身分地位に關せずして交る友をいふ。史、范雎傳「願與君爲────」=布衣之交。
のべひろめる。
のべひろめる。阮籍文「庖羲氏──六十四卦之變」=敷演。
ごいしを盤面にしきならべる。吳子「敎士如──」
○ぬののきれ。宋書、禮志「去元冠、加以──一 ○ 國 物品を拭ひふくきれ。=拭布。
ぬのの夜具。漢書、敍傳「──疏食、以儉飭身」
ぜに。漢書、食貨志「──十品」=布泉。
畫工が紙幅の廣狹にしたがひて風景を配置する。宣和畫譜「──致思、不盈咫尺、而萬里可論」
○をしへをひろめる。牛弘、明堂議「弘風──、作範於後」○宗敎をしき弘めろ。=宣敎。
廣くふれしめす。史、匈奴傳「──天下、使明知之」
鳲鳩 フフドリ の異名。杜甫詩「──處處催春種」
○人に物を施す。周語「亨祀時至、──優裕」○ フセ 佛 一切衆生の爲めに、惜まず物を施しめぐむ。又、其の金品。法界次第「檀那秦言──」
まつりごとをしき行ふ。詩經「──優優、百祿是遒」=施政。
明淸時代各省の行政事務を管せし長官、總督巡撫に直屬す、正三品官。
明かに天下にしき示す。書、伊訓「惟我商王、──聖武」
しきまうくる「──水雷」
ぜに。周書、武帝紀「更鑄錢文曰──」藏するに泉といひ、通行するに布といふ。=泉布·布錢。
國 一般に廣く知らしめる、ふれる。又、其のふれ。=布令。
くばりおく。しきならべる。左傳、疏「相離者、──使相遠也」
しきならべる。=羅布。
陣勢を排列する。唐書、赫廷玉傳「用臨淮王遺法──」
しきのぶ。張協賦「和風穆以──」
もめんを布といひ、きぬを帛といふ。
ぬののほ。晉書、顧愷之傳「行人安穩、──無恙」
もめんのふとん、儉樸の義。史記「公孫弘、以漢相、──、食不重味、爲天下先」
廣くしきおほふ。馬融、長笛賦「氣噴勃以──兮」
ぬのと、よりいとと。古、年貢として徵收す。孟、盡心「──之征」征は稅。
命令法令等をひろく一般に示す。又、其の命令など。周語「──陳辭而又不至」
國 海藻の一、海中の石に叢生す、長さ二三寸、多くの枝に分る、乾かして薄き板の如く製し、煮て糊を作り、又は髮を洗ふ料とす。=鹿角菜。
○梁朝の僧、號は長汀子、體肥え腹便便たり、常に杖を以て布の袋を擔ふ、彌勒菩薩 ミロクボサツ の化身といふ。七福神の一。○ フタイ ぬののふくろ。隋書、食貨志「進乾薑、以──貯之」=布囊。
國 竹の一種、ごさんちく、幹短く節多く、杖などにつくる。=佛面竹。
3畫
ハン [咸]
通じて颿に作る
○ほ、舟上の幔 マク 「布─」「錦─」「蒲─」「征─」「雲─」「揚─」○轉じて船の義とす「歸─」○ほをあげる。韓愈詩「無因─江水」
ほかげ。李嶠詩「岸迴──疾、風逆鼓聲遲」
ほばしら。=帆檣。
ほばしら。吳志、孫和傳、注「有鵲巢於──」=舟桅。
ほのむしろ。木華、海賦「維長綃、挂──」
帆前船に同じ。
ほもめん、粗造にして堅く厚き布。
國 ほをあげて進むふね。=帆船。
國 貝の一種、北海に產す、介殼の一片はふくれ、他の一片は平たし、平たき方を上に開きて帆とし、風に隨ひて水に浮び行く、肉は美味なり。=海扇。
國 帆をあげて風の力にて進む船。=帆船。
4畫
キ ケ [微]
○まれ(罕)=稀。すくなし(少·寡)殆ど無し。論、季氏「十世─不失」○こひねがふ(冀)のぞむ(仰望)○とどまる(止·閒歇 シバラクヤム )○まばら、あらし(疎)○聲無し、形無し。○─臘 ギリシヤ の略稱「─土戰爭」
國訓異義
マレ 希·罕·少の別は罕(网部三畫)の條を見よ。
○奥ぶかき道理。老子「視之不見、名曰夷、聽之不聞、名曰希」に本づく。○靈芝の異名。
人の意をむかへて氣に入るやぅにする。莊子「──道言、謂之諂」=希指。
極めてまれに有る、めづらし。漢書、王莽傳「千歲──」=稀有。
鳥獸の毛がすくなくしてあらたまりかはる。書、堯典「厥民因、鳥獸──」
こひねがひのぞむ。吳子「下無──之望」=希覬。
こひねがひのぞむ。覬は望。册府元龜「不應復有分外──」=希望
こひねがひもとめる、こひねがふ。=希望。
國 あやし、ふしぎ。
まれなり。漢書、禮樂志「──不講」
賢人たらんことを希望する。周濂溪文「聖希天、賢希聖、士──」
古人を以て自ら期する。嵆康詩「抗心──、任其所尙」
次條に同じ。
人の意をむかへる。人の氣に入るやうに迎合する。指は旨。漢書、孔光傳「上有所問、據經法、以心所安而對、不──苟合」=希旨。
○世にまれなる珍らしきもの。歐陽修詩「家藏有此──珍」○世におもねりて俗に殉 シタガ ふ。莊子「──而行、比周而友」
聖人たらんことをねがふ。希賢を見よ。
すくなし。書、堯典、傳「夏時鳥獸毛羽、──改易」=稀少。
○世にまれなり。高適詩「誰謂行路難、猥當──珍」=希世·稀世。○ 國 キタイ ふしぎ、奇異。
くはだて。=企圖·計畫。
こひねがひのぞむ、のぞみ。=冀望。
すくなきけ。漢書「鳥獸──、其性能暑」
耶蘇舊敎の一派。
紙(糸部四畫)に同じ。
ハ [禡]
○とばり(帳)○ふろしき。○かしらづつみ、頭巾の類。蘇軾詩「絳─蒙頭讀道書」
5畫
シウ [有]
通昔サウ
○ははき、塵を掃ふ具、箒の正字「敝─」曲禮「凡爲長者糞之禮、必加─于箕上」○はく(掃)はらひ淸める。○王─はははきぎ。爾雅、註「王─似藜其樹可爲掃」
チツ [質]
○ふみづつみ(書衣)「書─」「卷─」「縹─」○こぶくろ(小囊)古の書は皆卷子 マキモノ にて囊を以て之を盛る。○轉じて書物の義「梵─」
書物を開きて讀む。=開卷。
テフ デフ [葉]
○かきもの(帛書署)○陣中の吿示文「軍─」○てがみ(書翰)「乞米─」○石ずり。轉じて手本「法─」「臨─」○牀の前のとばり(帷)○つく(著)○したがふ(服)○さだむ、さだまる(定)「妥─」○ふだ、進士の試驗に問題を記せし札、轉じて進士の試驗。唐書、選擧志「記─括」○ 國 でふ、紙又は海苔などを一括したる稱。
黃色のはりがみをする、唐代の制、詔勅に改正を要する所あれば、勅書と同じ色の黃紙の附箋をせしをいふ〔石林燕語〕
○帖は經中の文字を拔き記して問題とせし紙札、それに對して一經の文を總括して答案を作るをいふ〔唐書、選擧志〕一說、經書の文に所所紙をはりつけて隱したる文字をあてしめて學力を試みる法。=帖試。○淸朝にて科擧應試の文をいふ。
帖括を見よ。
ちゃうめん。金史「六品以下、則具──以進」=帳簿。
耳を垂れて馴れ伏する。韓愈文「俛首──、搖尾乞憐」=帖伏」
帖括を見よ。
おちつきて安んずる貌。晉書、劉琨傳「羣情──矣」
やすんじおちつく。宋史、張詠傳「氣遂──」=安堵。
やすくおちつく。李賀詩「空光──水如天」=妥帖。
はりつける。南史「剪紙方寸、──舅枕」=帖附。
○物のゆったりと垂れさがる貌。釋名「牀前帷曰帖、言──而垂也」○おちつきて定まる貌。杜牧詩「壇宇寬──」=帖然。
帖著に同じ。
馴れ伏する。薛季宣詩「請君懸之政事堂、坐令──犬與羊」
從順なる義。王安石文「後遂──、皆爲用」=帖伏。
①ド [虞]
②タウ [養]
通音ド
①こ(子)つまこ(妻子)「妻─」=孥。○とりのを(鳥尾)左、襄二八「以害鳥─」
②かねぐら(金庫)「府─」「公─」「禁─」
くら。唐書、張文瓘傳「養廏馬萬匹、──寖虛」
貨財ををさむるくら。宋史「選富家子弟、掌──」
貨財ををさむるくら。後漢書、桓帝紀「嘉禾生大司農──」=帑庫。
かねぐらと米ぐらと。唐書、王虔休傳「性恪敏、節用度、旣沒、所部──、皆可支數歲」
ハク [陌]
○きぬ(絹)○にしき(錦)○ぬさ「幣──禮物に用ふるきぬ。○かとり(縑)古、文字を書くに用ふ。轉じて書册·記錄の義とす。後漢書、鄧后紀「必書功於竹─」(竹は竹簡 タケフダ )
うすぎぬに書きし文字。又、其のきぬ。漢書、蘇武傳「天子射上林中、得雁、足有係──」
バツ [黠]
○てぬぐひ(巾)かしらづつみ(幧頭)づきん(頭巾)○おび(帶)○たび(足衣)
づきんをかぶる。
①バツ [黠]
②ハ ハク [禡]
①はちまき(抹額)古の軍容「─首」
②はらまき(腹卷)「─腹」
はちまき。韓愈詩「以錦纏股、以紅──」
づきんの類。=幞頭。
ヒ [寘]
○もすそ、すそ(帬)○そでなしばおり(褙子)○ 國 むしのたれぎぬ、苧麻 カラムシ の布にて製す、上古の婦人が、外岀の時、笠の四檐にさげて身を被ひし布。
ヘイ [霽]
○衣やぶる、やぶれたる衣(敗衣)敝の古字。○いやし(鄙小)
レン ロン [鹽]
酒屋のはた(酒旗)古時、酒店の招牌 カンバン は旗を懸けて望子 メアテ とす「酒─」鄭谷詩「靑─認酒家」
6畫
エキ [陌]
○ちいさきまく(小幕)○上に在る帳 トバリ
ケン [霰]
○底のあるふくろ(囊)○たすき。
①シュツ [質]
②スヰ [寘]
①の通音ソツ
①ひきゐる(率)易、師卦「長子─師」○したがふ(循·遵)禮、王制「命鄕簡不─敎者以吿」○あつまる(聚)○てぬぐひ(佩巾)
②をさ(主)かしら(統領)しゃうぐん(軍之主帥)「元─」「將─」「酋─」「主─」「渠─」○ 國 ソチソツ 太宰府の長官。
みちびき先だつ。晉書、禮樂志「躬稼穡之艱難、以──天下」=率先。
テイ タイ [霽]
○みかど、きみ(天皇·天子)「皇─」○あまつかみ「上─」「天─」○神の貴き者「白─」「赤─」○あきらか(諦)大いなり。
天子のはかりごと。猷は謀。後漢書「──顯丕」=皇猷·聖猷·帝謨。
天子と嫁娶の緣を結びし家がら〔宋史、錢端禮傳〕=帝戚。
天子のちすぢ。蔡邕文「姜肱出自──」=皇胤·皇統。
天皇のゐます御所、掖は宮城の正門の左右の掖門をいふ〔宋書、陳貴妃傳〕=皇城·宮庭·禁庭·禁掖。
天子の天下を治めらるるおほづな。晉樂章「讚武文、建──」=帝紘。
天子のうまや。閑は馬を繫ぐをり。蘇軾詩「看賜飛龍出──」
天子の領地。杜審言詩「朋遊滿──」=邦畿·王畿。
○天帝のみやこ。莊、天地「乘彼白雲、至於──」○天子の鄕里。後漢書、劉隆傳「南陽──多近親」
虹 ニジ の異稱〔白虎通〕
紘はおほづな、帝綱に同じ。班固、答賓戲「廓──、恢皇綱」
天子のゐますみやこ。白居易詩「歌謠滿──」=帝都·帝城。
天子のちすぢ。庾信文「──極於輿圖」=皇統·帝胤。
天子の事業。陸機文「齊民免干戈之患、戎馬無晨服之虞、而──固矣」=帝緒。
○皇帝の統御する國。共和政治の國などの對。○ 國 天皇の治め給ふ我が大日本國、すめらみくに。=皇國。
○立憲帝國に於て立法に協贊する合議體の名。○ 國 我が帝國の國會。衆議·貴族兩院より成る。
國土國權の擴張を計る主義。
○天帝の宮門。張衡賦「叫──、使開扉兮」=天閽·天門。○轉じて天子の宮門。
○天帝のゐます所。○たかみくら、天子のゐまし給ふ所。=玉座。
天子。又、神のみこ。王維詩「桂尊迎──」
天子の師傅。=帝傅。
天子の御家。=皇室。
天子の臣。論、堯曰「──不蔽、簡在帝心」
帝王の宮殿。李商隱詩「淪謫千年別──」
帝京に同じ〔漢書、陳咸傳〕=帝都。
天子の師。史、畱侯世家「張良從上入關、遂道引不食、曰、今以三寸舌爲───、封萬戶侯、是布衣之極也」=帝傅。
天子の事業。王襃文「攘卻西戎、始開──」=帝業。
○天子ののり。王勃詩「爰述──、大蒐王道」○皇帝となりて天下を制御する。又、天子となりて政令を布く。又、其の制度。
天子のむこ、公主卽ち皇女を娶りし者。北史、楊素傳「以──之重」
天子の親類 ミウチ 唐書「世爲──、不亦貴乎」=帝姻。
天子のみくらる。=帝位·皇祚。
天帝又は天子の定められたるのり。詩經「不識不知、順帝之則」
○天子が國を治め民を安んずるみち。=帝綱。○理想上最善とする政治、王道·霸道の對。史、商君傳「吾說公以──」
天子のゐます所。唐書「東都、乃──、公當守之」=宮城。
天より降したまふさいはひ、祉は福。詩經「旣受──、施于子孫」
天子のよつぎ。謝朓賦「君奉筆于──」=皇太子·東儲·春宮·東宮。
天子のゐますみやこ。李白詩「日本晁卿辭──」=帝城·帝京。
天子のはかりごと。北齊書、儒林傳贊「──雜霸、儒風未純」=帝猷。
四卷、唐の太宗親ら撰して太子に賜ふ所、帝王たる者の模範とすべき事を記す。
宰相。陸游詩「天爲明時生──」
帝圖に同じ、謨は謀。法言「皋陶以其智、爲──」
溥は徧 アマネシ 將は助くる、天子の命を受けて、諸侯が徧く祭祀を助くる義。宋史、樂志「隆化洋洋、────」詩、商頌「我受命溥將、自天降康」とあるに本づく。
天子の軍隊。陸雲頌「公徒旣振、──凱入」
天子のみささぎ。
帝王の恩德。康衢謠「──何有於我哉」洪大なる天子の御恩をかうむりながら、其の餘りに大なるを以てそれに氣づかざるなり。
てんし。杜甫詩「氣衡星象表、詞感──尊」
天子が德を以て天下を平定せんとする軍隊。戰國策「────、取用不過三萬、而天下服矣」
佛 天笠の神。須彌山上、忉利天 タウリテン の中央に居る、三十三天の主、其の居を喜見城といふ。=帝釋天。
ハク [陌]
○かしらづつみ(幧頭)○はちまき。=帕。
7畫
クン [文]
○もすそ(下裳)すそ(裾)=裙·?。○中─ははだぎ(襯衣)
シ [支]
○人を敎へ導く人、人の模範 テホン となる人「百世之─」○先生とする。○のり(法)ならふ(效)○おほし(衆)もろもろ(諸)○をさ(長)○官の名「太─」「龍─」「少─」○いくさ、周代の軍制にて二千五百人の隊、五─を軍(一萬二千五百人)とす「王─」「六─」「舟─」「班─」○易の卦の名、坎下坤上。○神の稱「雨─」「雲─」○職業「醫─」○しし(師子)=獅子。○京─は天子の都する所。
師と仰ぐべき友。漢書「唯以同郡荀淑陳寔、爲──」○先生と友人と。
周の太師の尹氏。詩、小雅、節南山「赫赫──、民具爾瞻」
軍隊を引き還す。書、大禹謨「──振旅」
軍隊をねぎらひなぐさめる。左、僖二六「齊孝公伐我北鄙、使展喜──」我とは魯國。
先生より受けし恩。
先生の家。世說「從──受書還」
軍隊のあゆみ、軍隊の進行。詩經、疏「──三十里」
のり、てほん。唐書、劉褘之傳「卿家忠孝、朕子賴以──」=師範·師法。
師曠は晉の樂師、能く音をききわけし人、聰は耳さとし。孟、離婁「────、不以六律、不能正五音」
先生のをしへ。詩經、箋「尊重──也」
敎師が嚴格なれば、自然に其の傳ふる道も尊くなる。禮、學記「師嚴然後道尊」
古を以て法とす、古道をたふとびてのっとる。史記「事不──、而能長久者非所聞也」
いくさのまつり。禮、王制、注「禡、──也」
○周代の官名〔周禮〕○女師。詩、葛覃「言告──」
師としてつかへる。左傳「孟懿子與南宮敬叔、──仲尼」
相師としてのっとる。書、皋陶謨「俊乂在官、百僚──」傳「──相師法」
○先生は己のたすけとなるが故に資といふ〔穀梁傳、注〕○ 佛 師匠と弟子と。
佛 佛者があらゆる迫害を畏れずして說法するをいふ。獅子が吼ゆれば、百獸おそるるに喩ふ。師は獅に同じ。法華經「以大誓願、而───」
古の國名、今の印度の錫蘭 セイロン 島。宋書「──元嘉五年奉表」
佛菩薩の坐する所の座の稱、佛は人中の師子と爲すが故〔翻譯名義集〕
○てほんとする人。王筠文「一代──、四海推崇」○技藝を敎ふる人。
師よりをしへを承ける。黃庭堅詩「我學無──、坎井可窺底」
敎師と生徒と。名山藏李時勉傳「廷臣歸老之榮、──相與之厚、以爲盛事」=師弟·生師。
俗 軍艦。
師とし祖としてあがめのっとる。宋書、謝靈運傳論「異軌同奔、遞相──」
○先生としてたふとぶ。○先生。
國 軍隊編制上の名稱、步兵二旅團·騎兵及野戰砲兵各一聯隊·工兵及輜重兵各一大隊より成る。
大臣又大將を拜命するには。唐書「四登──」
國 寺僧と、檀家と。
先生又は目上の人、尊者。=先生長者。
女の巫 ミコ 又、男の巫をもいふ。輟耕錄「女巫曰──、都下及江南謂男覡、亦曰──」
師と弟子と、先生と門人と。
師は兵士の調練 テウレン 田は田獵 力リ 共に武藝を練習する禮法。
先生よりつたへ授けられる。=師承。
いくさ、軍勢 グンゼイ 蜀志「──勤瘁、不遑寧居」
君主を敎へ輔佐する。又、其の職。左、襄三十「──其君」
國 陰曆十二月の異稱。=極月·季冬·臘月。
のり、てほん。漢書、魏相傳「相明ニ易經、有──」=師範·師矩。
○てほん、師法模範。又、其の人。北史、楊播傳論「恭德愼行、爲ニ世──」=師表。○ 國 劍道·柔道などの先生。
○先生と、ちちと。○先生を父として尊ぶ稱。
○太師と太傅と、共に皆帝王を輔佐する大官。○道ををしへ導くもりやく。漢書、疏廣傳「父子竝爲──」
てほん。又、其の人。史、太史公自序「國有豎相良將、民之──也」=師範。
てほん、師表模範。三國志、注、邴原別傳「誠學者之──也」=師表·師範。
五百人の軍隊を旅とし、五旅卽ち二千五百人を師とす。論、先進「加之以──、因之以饑饉」
ゼイ エツ [霽]
てぬぐひ(佩巾)
セキ [陌]
○むしろ(莞·蒲·竹等にて織りたる敷物)ござ「筍─」「枕─」「茵─」○すわり場所「筵─」「座─」「─次」「酒─」「末─」○しく(藉)敷物をしく。○とる(資)よる(因)漢書、劉向傳「呂產·呂祿─太后之寵」○やすんず(安)○つらぬ(陳)
孔子が四方に奔走して其の座席の暖たまる暇なきをいふ。韓愈、爭臣論「孔────」
熱心に人の話を聞きて次第に坐席を進める。史、賈生傳「孝文帝因感鬼神事、而問鬼神之本、賈生因具道所以然之狀、至夜半、文帝──」
酒宴の席をはづす。本事詩「連飛十數觥、不勝其困、──而去」
むしろを門とす、貧家の形容。史、陳丞相世家「平家乃負郭窮巷、以弊席爲門、然門外多長者轍」=席門。
むしろを卷く如く、かた端よりまき收める。賈誼、過秦論「──天下、苞擧宇內」
すわるべき座席の順序。=座次·席順。
珍は善、上古の聖人の美くしき道をならべつらねる。一說、儒者の學德を席上の珍に喩へていふ。禮、儒行「儒有ニ────以待聘」=席珍。
國 よせ、講談·落語などの諸藝を演じて人をよせ集める所。=寄席。
○席次のすゑ、末席。儀禮「──坐啐酒」注「啐亦嘗也」○己のすわり場所を謙していふ。
むしろにて作りたる貧家の門。宋書、袁粲傳「──常掩、三逕裁通」
國 席をかり入るるために拂ふかね。=閒代 マダイ
8畫
ヰ [支]
とばり(帳)たれぎぬ(幔)ひきまく、四方に引きまはしたる幕「絳─」「羅─」「絺─」「簾─」「講─」
帷も幄も幕の類。よりて陣營又は謀臣の義とす。漢書、高帝紀「運籌──之中、決ニ勝千里之外」=帷幕。
とばりを垂れおろす、塾を開きて諸生を敎ふる。漢書、董仲舒傳「爲博士、──講誦、三年不窺園」
まく、たれぎぬ。鮑照詩「徘徊──中」
○出仕又は祭祀の時の服、下の裳は正幅を用ひて帷 ドンチヤウ の如くす、故にいふ〔論、鄕黨〕○婦人の車のひきまく。詩、衞風「車漸──」=車帷。
帷はとばり、婢妾の居る所、牆はかき、臣隸の居る所、卽ちはしたものの義にて、人主たる者が近侍の臣妾に制し抑へられるをいふ。漢書、鄒陽傳「今人主沈諂諛之辭、牽────」
天子の奥御殿。闥は宮殿中の小門。
とばり、幕府の義、將軍の陣營。史、高祖紀「運籌策──之中、決勝千里之外、吾不如子房」=帷幄·幃帳。
とばりの中、ねやのうち。宋書、后妃傳贊「愛止──、權無外授」=閨房。
○まく。周禮、天官、注「在旁曰帷、在上曰幕」○帷幄に同じく陣營の義とす。
閨門の亂るる義。薄はすだれ、皆內外を蔽ふもの、閨房の義とす。漢書、賈誼傳「坐汚穢淫亂男女亡別者、不曰汚穢、曰帷薄不修」=閨房不肅。
たれたる幕のおほひ。南史、羊侃傳「盛設──、列女樂」
たれぎぬ、まく。後漢書、臧洪傳「盛陳──、大會諸將」
たれまくと、すだれと。南史、梁元帝徐妃傳「妃嫁夕、雪霰交下、──皆白」
國 麻、又、葛にて織りし夏衣。又、其の布。
シャウ ジャウ [陽]
○つね(恆)平生、ふだん、いつも「日─」「平─」とこしなへ(永遠)○のり(典·法)「國─」常に行ふべきみち、萬世不易の道「五─」○ひさし(久)○もすそ(裳)○こうめ(常棣)=棠棣。○尋の二倍の長さ卽ち、一丈六尺。○なみ、普通、凡庸「尋─」「異─」「非─」○つねに、とこしなへに。○かつて、古、嘗と通ず。○西方の神。○日月を畫ける天子の御旗「大─」○─山は直隸省に在る山名。=恆山。
同訓異義
ツネニ 常·恒·雅·每·庸·彝○常はあけくれと譯す、平常の義。漢書「常尊顯以示レ之」○恒はいつもかはらざる義。孟子「人恒過、然後能改」○雅は素なり、平素の義、かねがねなり、もとよりとも訓む、下地からの義。論語「子所二雅言、一詩書執禮」○每は其のたび每にの義、每レ年·每レ人などと用ふ。○庸は尋常なり、常に近し、庸行は目に立たぬ常體の行をいふ。○彝は定りたる常法をいふに用ふるとき、常と同じ。
常に定まれる人數。唐書、百官志「職有常守、而位有──也」
常にすこやか。王羲之文「知ニ體氣──、此大慶也」
常に定まりたる格式、一定のきまり。宋書「皆依──」
つねののり。=常度。
つねののり。北史「是百王之──、爲政之所先」=常道。
つねののり。=常度。
定まれる人のみち。左傳、疏「天以ニ光明爲──」
永久に守るべきのり。漢書、董仲舒傳「天地之──、古今之通誼」
常に定まれるしごと。宋史「臣有常職、民有──、物有常形」
のり、常に守るべきおきて。書經「先王克謹天戒、人臣克有──」
かはらざるつねのみさを、終始一貫せる操守。素書「上無──」
つねの產業。宋史「役人必用ニ鄕戶、爲其有──則自重」=恆產。
つねなみのはかりごと、平凡なる謀計。歐陽修、王彥章畫像記「拘牽──」
常山の蛇は、首尾相應じ、左右前後相救ふといふ。以て陣勢に喩ふ。孫子、九地「善用兵者、譬如率然、率然者常山之蛇也、擊其首則尾至、擊其尾、則首至、擊其中、則首尾俱至」轉じて文章の首尾相照應するに喩ふ。
常に定まれるまつり。唐書「凡歲之──、二十有二」
平生の食物。杜甫詩「敕廚倍──、杯盤頗狼籍」
○つねののり。管子「國有──、故法不隱」=常法。○一定の格式。=常格。
國 普通の人の有する理解力。
通常の犯罪。國事犯以外のつみ。
いつものくせ、平生の習癖。
あたりまへの人、尋常の人。=凡人。
つねに。孟、萬章「欲──而見之、故源源而來」
佛 佛の眞身の常住の處。天台觀無量壽經、疏「───者、常卽法身、寂卽解脫、光卽般若」
さだまれるきまり、常に定まれる標準。後漢書「輕殊死之刑、自是以後、著爲──」
一定の職業。孟、萬章「抱關擊柝者、皆有──、以食於上」
○一定せるかず。儀禮、聘禮「燕與羞無──」○自然のさだめ、一定の運命。
つねのいきほひ。唐書「一勝一負、兵家之──」
平常心が昏昧 クラシ ならずして、知識の明かなる義、惺は醒に通ず。上蔡語錄「敬是───法」
つねにまうけ置く。=常置。
食事の平常よりすすむ義、身の健かになりたるをいふ。閒居賦「常膳載加、舊疴有痊」
常に一定せるやぅす。平常の狀態。後漢書「舞無──、鼓無常節」
いつものありふれたるしかた、つきなみ。
常に定まりてかはらざる道。老子「道可道非──」
つねに設けおく。=常設。
さだまれるやくめ、一定の官職。=常職。
○ 佛 常にとどまりて何時もかはらず、永久に變ぜず〔法華經〕○僧の一寺に定住して遊方せざるをいふ。
官吏の登用試驗に應ずる通常の人人〔蘇軾、上神宗書〕
○永久に變らざるのり。史、屈原傳「──未替」=常規·常紀。○平常の熊度。後漢書、吳漢傳「或多惶懼、失其──」
あたりまへのみち、普通の仕事。韓愈、進學解「踵──之促促」
常に定まれるのり。一定の法律。國語「棄──、以從其私」
通常一般の位次。齊書、高祖紀「禮絕──、寵冠羣辟」
○平時にそなへある兵。○現役及び豫備兵の總稱。
○ふだんぎ、平生に著る衣服。蘇軾詩「幅巾──儼不動」○韋弁の服。
きまりたるぶんげん。梁書「汝等自有──」=定分。
古、米價の平均を得しめん爲め、官にて設けし倉、價賤しき時に買ひ入れて農を利し、價貴き時に賣りて民を利する法〔漢書、食貨志〕
一定のおきて。いつも變らぬ刑法。魏書、刑罰志「國有──」
平常受くる俸給。晉書、簡文帝紀「羣僚──、竝皆寡約」
さまよひあるく。漢書、禮樂志「雙飛──」=逍遙。
國 夜どほしつけておくあかり、ありあけの燈。
平生たえずつかふ。
なみなみのなかま。江淹詩「高步超──」
ありふれたる魚類。凡庸の人に喩ふ。韓愈、應科目時與人書「蓋非──凡介之品彙匹儔也」=凡鱗。
草木の葉の一年中みどりなる義、常磐 トキハ 「──灌木」
常のならはし、慣例。北齊書「オ高不依──」
定りなき義。書經「民心──、惟惠之懷」=無常。
國 草木の葉が年中その綠色をかへざる義「──木」=常綠。
國 淨瑠璃節の一派、延享の頃、───文字大夫の創めしもの。
國 野生の撫子 ナデシコ の異名。=瞿麥。
國 永久のくらやみ。轉じて長き閒の世のみだれ。
國 ○往來の出來ざる遠き國土。=絕域。○遠き不變不死の國。○よみぢ、夜見 ヨミ の國、卽ち人の死後往く所。=黃泉。
國 昔、正月十四日常陸國の鹿島神社の祭に男女の綠を占ふに用ひし苧の帶、其の占を帶占 オビウラ といふ。
タイ [泰]
○おび(紳)「衣─」「冠─」「韋─」「博─」「襟─」「緩─」○おぶ、おびをしめる、はく(佩)「─劍」○おびの如くめぐらす「─山」○含む、夾み雜ゆ。杜甫詩「頗─顦顇色」○隨へ行く「─領」「─同」○へび(蛇)○すぢ(筋)○へた。=蔕。○地球上の區域「寒─」「熱─」○あたり(邊)地の長遠なる者を槪括していふ「長江一─○婦人病の名「白─下」「赤─下」
おびのまはり。列女傳「憂感、──減尺」
こしけ。婦人病の一種。
婦人科專門醫〔史、扁鵲傳〕
うみをひかへる。水經、注「負山──」
鎧 ヨロヒ を著けたる兵士。史、蘇秦傳「燕之地方二千餘里、──數十萬」=甲士。
勳章を帶びる「──者」
經書を携へ持つ。漢書、兒寬傳「──而鋤」
刀劍を身におびる。王維詩「──遊淮陰」=佩劍·帶刀。
おびがね、かけ合せて帶を締める金具。史、齊世家「射中小白──」
おほおびと、しゃくと。文官の朝服。宋史、韓世忠傳「授世忠太尉賜──」
笑を帶びる、ゑがほをつくる。李白詩「名花傾國兩相歡、常得君王──看」
○帶劍に同じ。○ タテワキタチワキ 國 たちはきの音便、古、東宮に仕へたる護衞の士。
いっしよにつれ行く、同伴する。=同行。
地名。漢書、地理志「樂浪郡、縣──」楊師道、望海詩「雷擊驅遼水、鵬飛出──」
分數を帶びたる數、整數のはしたのあるもの。
山厲河帶の略、功臣の家を永久に絕たずといふちかひ。史、高祖功臣年表「封爵之誓曰、使黃河如帶、泰山若厲、國以永存」泰山が厲卽ち砥石の如く平かになりてもの義。
國 劍を帶びるとき其の紐を結びつけるたあ鞘につけし鐶 クワン =佩金。
國 女の帶のとけざるやうに帶の上に締めるひも。
チャウ [漾]
通じて張に作り俗に賬に作る
○とばり、たれぎぬ(帷)「錦─」「翠─」「綺─」○ちゃうめん(計簿)「─簿」
まく。神仙傳「靑縑──、下鋪白氊」=帳帷。
國 帳面上の勘定、收入支岀の帳面上の計算。
送別の宴、祖道の酒もり、供張飲錢。李白詩「──與君別」=帳餞·餞別。
國 帳簿の終、決算の結果、差引勘定。
とばりのうち。史、項羽紀「卽其──、斬宋義頭」=帳裏。
國 商家にて帳面の記入又は會計を取扱ふ所。會計室。
まく。大業雜記「幷載兵器──」=帳幄。
ちゃうあん。計算簿。
とばりと、まくと。市肆記「──茵褥、多用錦綺」
國 ちゃうづら、帳簿のおもて、轉じて帳簿の義。
ヘイ [梗]
○おほふ(覆·蔽)○たれぬの(帷)とばり(帳·幄)
とばり、旁に在るを帲といひ、上に在るを幪といふ。法言「然後知夏屋爲──」
帽(巾部九畫)の俗字。
9畫
アク [覺]
○とばり(帳)○たれぎぬ(幬)○陣營の幕。三禮圖「上下四旁悉周曰─」
たれぎぬ。魏志「坐則侍──、行則從華輦」=帷幄·幄帳。
○たれぎぬを張りて設けたる坐席。魏志、甄皇后傳「望──悲喜、感動左右」○ アクノザ 國 幄舍に同じ。
國 神事·祭事などを行ふ爲め庭上に幕を引きまはして設けられる假屋、假設の祭殿。=幄座。
とばり。南史、何憲傳「謀議──」
陳中のとばり。左、昭十三「子產以──九張行」注「──軍旅之帳」=幄張。
ヰ キ [微]
○ふくろ(囊)にほひぶくろ(香囊)楚辭、離騷「蘇糞壤以爲─兮」蘇は取 トル ○ひとへのとばり(單帳)「書─」「風─」「羅─」帷に通ず。
とばり。蜀志、劉巴傳、注「運籌策於──之中、吾不如子初遠矣」=幃帳。
とばり。史、文帝紀「所幸愼夫人、令──不得文繡」=帷帳。
とばり、びやうぶ。潘岳詩「──無髣髴、翰墨有餘跡」=帷屛。
とばり。白居易詩「草鋪地茵褥、雲卷天──」
コン [元]
ふんどし、こしまき(腰布)=褌。
タウ [敬]
○畫繒 ヱギヌ を張る。=?。○轉じて書畫の一幅を一─といふ。
バウ モウ [號]
冒は古字、帽·帽は俗字
かぶりもの「落─」「紗─」「烏─」今は專ら頭に戴くものの通稱、おもに西洋風のかぶりものをいふ、ばぅし。
ばぅしのふち。李商隱詩「舊主江邊側──」
○頭にかぶるもの、子は助語。宋史、輿服志「皇帝服──」 國 ○女のかぶりもの「綿──」○しやっぽ、西洋風のかぶりもの。
國 ○すだれの上邊に横に引く幕の如きもの。○紋所の名。窠紋、もっかう。
①フク [屋]
②ヒョク [職]
通音フク
①はば、布帛又、すべて物の面積の廣さ「─員」「半─」「全─」○ふち、へり(緣)「邊─」○きれ(布帛)○かけもの。又、かけものを數ふる稱「三─對」
②むかばき(行縢)○ 國 はば、はぶりの義。
ひろさ、次條に同じ。
はば、めぐり、隕け員·圓に通ず。詩、商頌「──旣長」=幅員。
一はばのきれにて作りし頭巾、隱士などの用ふるもの。後漢書、鮑永傳「永悉罷兵、但──與諸將及同心客百餘人詣河內」
ベキ [錫]
巾にて物をおほふ。おほひ(覆)=冪。
雲などのおほへる貌。吳融詩「紫閣髙翻雲──」
ホウ [庚]
たすくる(補助)=幫。
○兩者の閒をとりもちたすける者。黃允文雜纂「子弟窮後邀──」○ 國 酒閒をとりもち遊興をたすける者、たいこもち。=亡八官。
俗 辯護 べンゴ する。
たすける。
10畫
ベキ [錫]
○とばり(幔)すだれ(簾)○おほふ(覆)かほかくし(覆面)十八史略卷一「夫差曰、吾無以見子胥、爲─冒 ベキボウ 以死」冒は帽。
死者の面をかくす帛 キヌ 儀禮、士喪禮「──用緇」注「──覆面者也」=幎冒。
クヮウ [養]
○たれぎぬ(帷幔)とばり(几帳)「書─」「珠─」「文─」○おほひ(覆)ほろ(被布)今は馬車·人力車などの雨よけ。○─子は俗に酒帘 サカヤノハタ をいふ。
11畫
キ [微]
○はた(幡)○さしもの、のぼり(幟)○しるし、徽に通ず。
クヮク [陌]
○婦人のかみかざり、首飾。晉書、宣帝紀「諸葛亮數挑戰、帝不岀、因遺帝巾─婦人之飾」一說に婦人の喪冠。○轉じて巾─を婦人の義に用ふ。
サク シャク [陌]
かしらづつみ(覆髻)髮を包む巾、頭巾。
①シン サン [侵]
②サン [咸]
①衣裳。又、毛羽の垂るる貌。
②はたあし(斿)
①バク·マク [藥]
②バン·マン [翰]
①まく、とばり(帷)たれぬの(帳)「帷─」「簾─」○將軍の軍政を行ふ所「─府」轉じて將軍の義「─下」○轉じて軍略又は參謀の義とす。○まとふ(絡)○おほふ(覆)○こて、すねあて(臂脛衣)兵具の一。史、蘇秦傳「當戰則斬堅甲鐵─」○演劇登場必ず─を開く、故にすべて事の開始を開─といふ。○すなはら(沙地)古、漠に通ず。
②ぬめ、錢の背面の平かにして文なき處。○ 國 マク 芝居のひときり。
將軍を輔佐する參謀官。=幕士·幕客·幕僚。
將軍の陣營。
極めて危き喩、下の巢幕燕を見よ。元史、外夷傳「鼎魚──、亡在旦夕」
○幕府の下、卽ち將軍のひざもと、大將の麾下。轉じて、將軍の稱。左傳「宵攻鄭師、取蠭旗于子姚之──」○ 國 マクシタ 相撲の幕內の力士の次に位する力士。
幕論に同じ。
幕は漠、朔は北、沙漠の北の義、戈壁 ゴビ 沙漠以北の地。漢書、敍傳「龍荒──、莫不來庭」=幕北。
はたもと、將軍のけらい。
志氣の壯大なるをいふ。劉伶、酒德頌「有大人先生、以天地爲一朝、萬期爲須臾、日月爲扃牖、八荒爲庭衢、行無轍跡、居無室廬、幕天席地、縱意所如」
極めて危くして安からざる喩。左、襄二九「夫子之在此也、猶燕之巢于幕上」=幕燕。
入幕之賓の略語、祕密の謀にあづかる人、幕府の賓客として禮遇せらるる者。黃滔詩「──徵岀紫微郞」
○大將軍の本營、一定の所なく隨處に幕を以て府とするが故。史、李將軍傳「大將軍使長史急責廣、之──、對簿」○ 國 武家の政を行ふ所「德川──」
幕朔に同じ。史、句奴傳「以精兵待於──」
國 德川幕府のすゑつかた、幕府の末路。
○將軍を輔佐する參謀官。宋史「藩鎭──勿得任臺官」=幕友。○ 國 陸海軍の司令官·總督等に屬して參謀事務に參與する將校。
幕府の人人の主張、幕府の評議。=幕議。
國 角力 スマウ 道にて力士の上級に列する資格、昔、上覽相撲に幕の內に伺候するを得る上級力士の稱。
バン マン [翰]
○まく(幕)とばり(帳)「羅─」「帷─」○おほふ(覆)
まく、とばり。司馬相如、長門賦「張羅綺之──兮」
ひきまく。名畫錄「以──遮蔽、不令相見」
12畫
サン [旱]
○きぬがさ(絹蓋)晉書、輿服志「功曹吏─扇騎從」=繖·傘。○かさ(蓋)
シ [寘]
○のぼり、はた(幡)「彩─」「旌─」○めじるし(標)「標─」しるしばた(旛)史、高祖紀「旗─皆赤」○しるし、はたじるし(記號)後漢書、虞詡傳「以采綖縫其裾爲─」志に通ず。
①タウ·ドウ [江]
②タウ·ドウ [絳]
①はた、旌旗の屬。
②后妃の車のたれぎぬ、ほろ。
○おほはれて明かならざる貌。元稹詩「殘燈無焰影──」○羽毛布帛などの垂れたる貌。張衡、東京賦「樹羽──」
○はた。後漢書、禮儀志「單衣持──」○佛堂に飾る旗。法華經「一塔一廟各千──」=幢旛。
ハン ホン [元]
○はた、のぼり(幟)「龍─」○かへる(反)ひるがへる。=翻。
はたざを。宋書、武帝紀「──亦折斷」
はた〔史、天官書〕
ひるがへる貌。さらりとかはる貌。孟、萬章「旣而──改」=翻然。
はたじるし、葆は鳥羽をつけたるはた。西京雜記「如撞鐘磬、如飛──」
○ひるがへる貌。詩、小雅「──瓠葉」=翻翻。○威儀を失ふ貌。詩、小雅「威儀──、舍其坐遷」=翩翩。
ヘイ [霽]
○ぬさ、しで、神にささぐる禮物の帛「─帛」にぎて、みてぐら、天子に奉る禮物。○賓客に贈るつかひもの「重─」○たから(財用)管、國蓄「以珠玉爲上─、黃金爲中─、刀布爲下─」○ぜに(錢)「貨─」「造─」○ 國 ごへい、ゆふしで。
みつぎもの。周禮、九貢の一。注「──、玉馬皮帛也」=貢物。
國家にて規定する貨幣の制度。
國 ごへいぬさ。
○神にささぐるぬさ。○天子に奉り、又、賓客に贈る禮物の帛。
おくりもの(禮物)國語「使下臣奉其──」
禮物を贈りて賢者を招く。孟、萬章「湯使人以──之」
ボク [沃]
襆に通ず
○かしらづつみ(帊)○はちまき(帕)づきん(頭巾)
づきん。廣韻「──周武帝所製、裁幅巾、出四腳、以──、乃名焉」
13畫
セウ サウ [蕭]
○かみづつみ(斂髮之巾)「─頭」○はちまき(絡頭)
フン [文]
古、馬のくつわにまとひて汗を扇ぐもの。詩、衞風「朱─鑣鑣」
幔(巾部十一畫)の俗字。
14畫
①チウ [尤]
②タウ [號]
①とばり(襌帳)「羅─」「絳─」○かや「蚊─」○くるまおほひ(車帷)○こしきがは(轂革)
②おほふ(覆)中庸「辟如天地之無不持載、無不覆─」
かや。南史「夏日無──、而夜臥未嘗有蚊蚋」=蚊幬。
①ボウ·モウ [東]
②ボウ·モウ [董]
①おほふ、おほひ(覆)
②──は茂り盛んなる貌。
茂り盛んなる貌。詩、大雅「麻麥──」
幇(巾部九畫)に同じ。
15畫
チュ [虞]
○とばり(帳)「紗─」○かや「蚊─」
ベツ バツ [屑]
○おほひ(覆)○よぎ(襌被)○車のおほひ、てすりかけ、車の覆式。
16畫
ケン [阮]
ほろ、車上の幔。熱を禦ぐ爲めに設く。倉頡篇「帛張車上爲─」
17畫
タゥ [敬]
○畫繒 ヱギヌ を開張する。又、其のゑぎぬ。黃庭堅詩「畫岀西樓一─秋」=幀。○英語、パノラマの譯語。