尢部(尣·兀)
0畫
ワゥ [陽]
本、尣に作る、今、尩に作る
○まがれるすね(曲脛)○くぐせ、せむし(僂)○せひくし(短小)
1畫
イウ [尤]
○もっとも(最)はなはだ(甚)けやけし(異)第一等にすぐれし者。韓愈、送溫處士序「拔其─」○とがめ、とがむ(咎)論、憲問「不怨天、不─人」○あやまち(過失)○うらむ(怨)○あやし(怪)○蚩─は黃帝の臣。 國 ○もっとも、至極其の通り。○但し、とはいへ。
同訓異義
モツトモ 尤·最の別は最(曰部八畫)の條を見よ。
はなはだすぐれる。漢書「治行──」
とがめと、くやみと。論、爲政「言寡尤、行寡悔」漢書「淺爲──、深作敦害」
とがめはづかしめる。倪瓚詩「視氓如豵、寧避──」=恥辱。
この上もなくすぐれてゐること〔晉書、石勒載記〕
すぐれていちぢるし。後漢書「功効──」
尤は異なり、人の最もすぐれたる者、後世は美女の義とす。左、昭二八「夫有──足以移人」
人の非をとぶめなから、己も亦これをなす。左、僖二四「────、罪又甚焉」
人の惡事を見て之にならふ。左、莊二十「原伯曰、──其亦將有咎」前條參看。
4畫
①バウ [江]
②ボウ [東]
通じて厖に作る
①むくいぬ、犬の毛多きもの。詩、召南「無使─也吠」○むくむくと大いなり。○まじはる、まじる(紛雜)
②─茸 ボウシヨウ は毛などのみだる(亂)る貌。左、僖五「狐裘─茸、吾誰適從」
むくいぬ。=尨狗。
毛などの入りまじる貌。
むくむくと大いなり。
毛などの亂るる貌。字解參看。
ワゥ [陽]
尢に同じ。尫は俗字
○まがれるすね(曲脛)○せむし、くぐせ(傴僂)○よわし(弱)「─羸」
よわくしておろか。
かよわし。唐書「──不能騎」
かよわくして病む。晉書、山濤傳「少──、形甚短小、而聰敏過人」
弱くしてつかれる。晉書、皇甫謐傳「臣以──、迷于道趣、因疾抽簪、散髮林阜」
よらくしてつかれる。韓愈「文人固有──而壽考」
かよわくいやし。晉書、山濤傳「允自以──不肯行」
尢·尩の俗字。
7畫
尢(部首)に同じ。
9畫
シウ ジュ [宥]
○つく(卽)つきしたがふ(從)「去─」「暱─」○なる(成)「成─」をはる、をはり(終)○よく(能)○たとひ、よしや(假令)假設の辭。韓愈、送孟東野序「─其能鳴者」「─使」「─令」も同じ。○すなはち(卽)○のぼる(上)後漢書、皇甫規傳「急使軍─道」
同訓異義
タトヒ 就令·縱·縱然·假令等の別は縱(糸部十一畫)の條を見よ。○ツク就·附·付·著·卽等の別は附(阜部五畫)の條を見よ。
各其の本位につく、己の席につく。晉書「公主以下乃──」=就班。
往きて醫者の治療を受ける。三國志、華佗傳「家人車載、欲往──、佗駐車往視」
はじめて學に就く。北史、韋師傳「初──、始讀孝經」
正しき道に從ひ死す。義に赴きて死す。宋史「先我──矣」
往きて敎を受ける。李庾賦「──九年」
業に從ふ。魏書「擔笈負書、千里──」
其の事に任ずる。圖畫見聞誌「經數月再召之、昉乃──」昉は周昉。
近づきて見る。後漢書、馬皇后紀「后常衣大練裙、不加緣、朔望諸姬主朝請、望見后袍衣疏麤反以爲綺縠、──乃笑、后辭曰、此繒特宜染色、故用之耳」
學が次第に進む。就は成、將は進。日就月將の略。詩、周頌、敬之「日就月將、學有緝熙于光明」
○業につく、緒は業。詩經「不畱不處、三事──」○事が咯出來かかる義。
つとめにつく。宋書、謝靈運傳「乃岀──」
しとねに就く、ねる。
死する。國語「先人──」=卽世。
有道の人に就きて其の是非を正す。論、學而「就有道而正焉」後世詩文の添削を乞ふを──といふは此に本づく。
一句の中に對語あるをいふ。詩人玉屑「──、又曰當句有對、如少陵、小院廻廊春寂寂、浴鳧飛鷺晚悠悠、李嘉祐、孤雲獨鳥川光暮、萬井千山海氣秋、是也」=就句對。
臥する。韓愈詩「昏昏還──」
官をやめて私邸にかへる。後漢書「復以列侯──」
任務に就く。=就職。
あしうどとなる。晉書「束身──、不敢顧望」
死をいふ、死して棺の中に入る。左、僖二三「我二十五年矣、又如是而嫁、則──焉」
ねむりにつく。
左右に侍して奉養する。唐書、李光弼傳「吾淹軍中、不得──、爲不孝子、尙何言哉」
召されて吏となる。後漢書、王龔傳「黄憲雖不屈、陳蕃遂──」
多くのなかにてとりわけ、殊に。杜荀鶴詩「──偏愛石」
ショウ [腫]
すねがはれる、多く下濕の地に生ずる疾、脚氣 カツケ 病の類。詩、小雅「旣微且─」=尰·瘇。