氏部

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氏  

①シ·ジ [紙]

②シ [支]

①うぢ、苗字、姓より別れ岀でたるもの。今は姓と同義に用ふ。○人の稱呼に添ふる詞「舅─「「母─」○婦人の姓の下に添ふる詞。儀禮、士昏禮「祝告婦之姓曰、某─來歸」歸は嫁。○古、朝又國の名の下に添へて呼びし語「伏羲─」「塗山─」○世襲の官職の下に添へる語「太史─」「職方─」

②月氏は、一に、月支に作る、漢代、西域の國名、大宛の西に在り。大月─·小月─に別る。○閼─ エンシ は匈奴單于 ゼンウ の后 キサキ の名。史、淮陰侯傳「上乃使人厚遺閼─」 國   ○うぢ。いへがらの名「藤原─」「橘─「「平─」○人の姓名の下に添へる敬稱。

【氏神】 ウヂガミ 

 國   ○氏の祖神、藤原氏は其の祖、天兒屋命。平氏は恒武天皇を──とする類。○產土神 ウブスナ 己が產地の鎭守の神。

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氐  

①テイ·タイ [薺]

②テイ·タイ [齊]

①いたる(至)○もと(本=○大─はおほむね、おほよそ(大凡)=抵。

②たる、ひくし。=低。○うつむく(俛)○いやし(賤)○古、巴蜀附近に住みし西戎の一部落「─羌」○とも、二十八宿の一。○邸に通ず。

【氐首】 テイシユ 

かしらをたれる。漢書、食貨志「封君皆──仰給」=俯首·低首。

【氐賤】 テイセン 

ひくし、價がやすし。漢書、食貨志「其價──」

民  

ミン [眞]

○たみ、一般の人「─衆」「臣─」「國─」○官位などの身分なき者「庶─」○先─は上古の君。禮、坊記「先─有言」

【民彝】 ミンイ 

人の秉り守る所の常の性、卽ち、父子あれば慈孝の心ある如きの類、人のまもるべきつねのみち。詩、大雅、烝民「天生烝民、有物有則、民之秉彝、好此懿德」柳貫詩「下以開──」

【民有】 ミンイウ 

 國  たみの所有。官有·國有の對「──地」

【民謠】 ミンエウ 

民閒のはやりうた。王禹偁詩「若有──起、當歌帝澤春」=俚謠。

【民隱】 ミンヲンミンイン 

人民のくるしみ、隱は痛。張衡、東京賦「勤恤──、而除其眚」=民瘼。

【民家】 ミンカ 

たみのいへ。=民屋·民戶。

【民閒】 ミンカン 

人民のあひだ。漢書「乃求楚懷王孫心在──、爲人牧羊、立以爲楚懷王「=在野。

【民業】 ミンゲフ 

たみの營む事業。官業の對。宋書「王度無騫、──斯植矣」

【民權】 ミンケン 

政治上に於ける人民の權利。

【民戶】 ミンコ 

民家に同じ。

【民事】 ミンジ 

法律にて私權に關する裁判事件。

【民師】 ミンシ 

たみのてほん、師は師表。漢書、景帝紀「夫吏者民之師也」=民表。

【民時】 ミンジ 

農時をいふ。漢書「務省繇役、毋奪──」=人時。

【民人】 ミンジン 

人民に同じ、平民をいふ。論、先進「子路曰、有──焉、有社稷焉、何必讀書、然後爲學」

【民心】 ミンシン 

人民のおもはく。=民意。

【民心無常】 ミンシンツネナシ 

人民の心は常に一定せず、政の得失によりて善ともなり、惡ともなる。書、蔡仲之命「皇天無親、惟德是輔、────、惟惠之懷」

【民情】 ミンジヤウ 

人民のこころ、下民のありさま。趙?詩「公庭無事洽──」

【民衆】 ミンシユウ 

たみくさ、人民。=民庶。

【民主政治】 ミンシスセイヂ 

一國の主權が人民にある政體。君主政治の對。=共和政治。

【民庶】 ミンシヨ 

たみ、人民。後漢書、周擧傳「河伯以水爲城國、魚鼈爲──」曹毗、請雨文「──拊心而嚬蹙、縉紳不期而同嘆」=庶民·蒼生。

【民政】 ミンセイ 

人民の安寧幸福を計る爲めの政務。

【民政部】 ミンセイブ 

 國  臺灣總督府及關東都督府の一部局、行政·司法の事務を掌る。

【民聲】 ミンセイ 

人民のこゑ、國民の輿論 ヨロン 

【民籍】 ミンセキ 

○人民の戶籍。=戶口簿。○人民の國籍。

【民設】 ミンセツ 

人民の力にて設置する。=私設。

【民選】 ミンセン 

人民が適任者をえらびだす。官選の對「──議員」

【民俗】 ミンゾク 

人民のならはし。禮記「君民者、章好以示──」=民風。

【民則】 ミンソク 

衆民の從ひ守るべき法。書經「弘敎五典、式和──」

【民族】 ミンゾク 

人類の種族。

【民賊】 ミンゾク 

たみの害をなすわるもの。孟、告子「今之所謂良臣、古之所謂──也」

【民團】 ミンダン 

○地方人民が團結訓練して盜賊を防ぐ組合。○ 國  外國の一定の區域に往する本國人民を以て組織する法人團。

【民度】 ミンド 

人民の智識又は貧富の程度。

【民德】 ミントク 

たみの德義。論、學而「曾子曰、愼終追遠、──歸厚矣」

【民望】 ミンバウ 

○たみのねがひ、人民の希望。漢書、陳勝傳「迺詐稱公子扶蘇項燕、從──也」○民の仰ぎ望む義。曹植、七啓「──如草、我澤如春」=人望。○人民のてほん。孟、離婁「寇至則先去以爲──」=民表。

【民瘼】 ミンバク 

たみのくるしみ。瘼は病。宋史、魏了翁傳「戢吏姦、詢──」=民隱。

【民法】 ミンパフ 

私權を規定したる法律。

【民部】 ミンブ 

官名、人事戶籍の事などを掌る。後周に始り、隋は度支を改めて──と爲し、唐は──を改めて戶部と爲す〔通典〕北魏書、程駿傳「祖父肇呂光──尙書」

【民部省】 ミンプシヤウ 

 國  王朝時代の八省の一、土地·人民·租稅等のことを掌る。

【民風】 ミンプウ 

人民のならはし。禮、王制「命太師、陳詩以觀──」=民俗。

【民兵】 ミンペイ 

人民の自ら編制する兵。玉海「凡軍有四、四曰──」

【民表】 ミンペウ 

たみの則るてほん、民の師表。漢書、文帝紀「廉吏、民之表也」

【民母】 ミンボ 

父の正妻。漢書「──之子、皆奴畜之」注「──嫡母也」

【民約說】 ミンヤクセツ 

國家は人民の契約によりて成るといふ說、佛蘭西のルツソーの首唱。

【民力】 ミンリヨク 

たみのちから。孟、梁惠王「文王以──爲臺爲沼」

【民力休養】 ミンリヨクキウヤウ 

人民の勞をいたはり租税をかろくして其の力をいこひ養はす。

【料民】 タミヲハカル 

人民の口數を料る。周語「──于太原」

【視民如傷】 タミヲミルコトキズツクルガゴトシ 

ふかく民を恤 アハレ み愛するをいふ。孟、離婁「文王────」左傳「國之興也、────、是其福也」

【勞民】 タミヲラウスラウミン 

人民をいたはりつかふ。論、子張「君子信而後勞其民」

【民草】 タミグサ 

 國  人民、あをひとぐさ。=民庶·蒼生·黔首。

【與民同樂】 タミトタノシミヲオナジクス 

王者は人民と樂を共同にする。孟、梁惠王「此無他、────也、今王與百姓同樂則王矣」

【民之司命】 タミノシメイ 

五榖をいふ、命のつかさの義。管子「五穀食米、────也」

【樂民之樂者民亦樂其樂 】 タミノタノシミヲタノシムモノハタミモマタソノタノシミヲタノシム 

王者が國民と共に樂む。孟、梁惠王「──────────、憂民之憂者、民亦憂其憂」=與民同樂。

【恤民之羸 】 タミノルヰヲアハレム 

人民の疲れ瘦せたるをあはれむ。國語「夫闔閭口不貪嘉味、耳不樂逸聲、目不淫於色、身不懷於安、朝夕勤志、────、是故得民以濟其志」

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氓  

バウ [庚]

○たみ(庶民)「野─」「耕─」詩、衞風「─之蚩蚩、抱布貿絲」=甿。○他より歸化せし民、故に亡民に从ふ。

【氓俗】 バウゾク 

○たみのならはし。=民俗。○たみくさ、人民。韓愈詩「──爭相先」