矢部

0畫

矢  

シ [紙]

○や(箭)易、繫辭「剡木爲─」○つらぬ、陳列する。○ちかふ(誓)論、雍也「夫子─之曰」○ただし(正)なほし(直)○ほどこす(施)詩、大雅「─其文德」○くそ。屎に通ず。史、廉頗傳「一飯三遺─」馬─は馬冀。○かずとり(投壺の籌)禮、投壺「主人奉─」○嚆─ カウシ は響箭 カブラヤ 古、射る者、必ず先づ嚆─を放ちて遠近を定む、よりて事の始の義とす。

 同訓異義 

チカフ 矢·誓·盟の別は誓(言部七畫)の條を見よ。

【矢笴】 シカ 

やがら。書、禹貢、傳「篠之材中矢之笴、簜之材中于樂之管」

【矢魚】 シギヨ 

矢は陳 ツラス 魚は漁、漁者が漁具を陳ねて魚を捕ふる義。左、隱五「公──于棠」棠は地名。

【矢丸】 シグワン 

やだま、矢と鐵砲のたまと。

【矢言】 シゲン 

ちかひのことば。書、盤庚「出──」=誓言。

【矢壺】 シコ 

やなぐひ、えびら。=矢服·箭壺。

【矢詩】 シシ 

しをのべいふ。詩經「──不多、維以遂歌」注「矢、陳也」

【矢人】 シジン 

やをつくる工人。孟、公孫丑「──惟恐不傷人、函人惟恐傷人」

【矢刃】 シジン 

やと、やいばと。漢書、蘇武傳「路窮絕兮──摧」

【矢石】 シセキ 

やと弩 イシユミ の石と。轉じて戰爭の義とす。史、晉世家「──之難、汗馬之勞」

【蒙矢石 】 シセキヲカウムル 

矢や石を犯す、敵の矢だまを冒して戰ふ。史、貨殖傳「───、不避湯火之難者、爲重賞使也」漢書、叔孫通傳「漢王方───爭天下」

【矢鏃】 シゾク 

やじり、やのね。蜀志、關羽傳「──有毒、毒入于骨」

【矢房】 シバウ 

やづつ。韓愈、畫記「弓服──甲胄之屬」

【矢服】 シフク 

次條に同じ。夢湲筆談「古法以牛革爲──、臥則以爲枕、取其中虛、附地枕之、數里內有人馬聲則皆聞之、蓋虛能納聲也」

【矢箙】 シフク 

ぇびら、矢を盛る具。=矢服。

【注矢】 ヤヲソソグ 

矢を弦につがふ。唐書、張巡傳「弩──外向、救兵不能前」

【矢頃】 ヤゴロ 

 國   ○弓をひきしぼりて矢を放つべき程合。=彀。○矢の達すべき距離。

【矢大祌】 ヤダイジン 

 國  神社の隨身門の左右にある像、隨身 ズヰジン の裝ひせし者。

【矢立】 ヤタテ 

 國   ○古、陣中にてえびらの中に入れて攜へたる硯。○腰に佩びる墨斗 スミツボ 

【矢束】 ヤツカ 

 國  矢の長さ、一束は四本の指を竝べたる長さ、卽ち一握りの長さ。

【矢盡】 ヤツク 

はげしく戰ひて矢がなくなる。後漢書、段熲傳「下馬大戰、至日中刀折──」=矢竭。

2畫

矣  

イ [紙]

○語の終る意。又、斷定の意を表はす助字。現在の場合にては。論、衞靈公「祿在其中─」過去にては。論、微子「至則行─」將來にては。論、里仁「苟志於仁─、無惡也」○語の中に置く助辭、哉と通ず。書、牧誓「逖─西土之人」論、述而「甚─吾衰也」○反問の辭、乎と通ず。論、季氏「則將焉用彼相─」○耳 ノミ の字と通ず。戰國策「則連有赴東海而死─」史記には矣を耳に作る。

3畫

知  

①チ [支]

②チ [寘]

①しる(識)「生─」「學─」心に感じ知る「─覺」○わきまふ(辨別)○おぼゆ(記憶)論、里仁「父母之年、不可不─也」○さとる(覺)孟、盡心「聞而─之」みとむ(認識)○たぐひ(匹)○つかさどる(主)をさめる「─事」左、襄二六「子產其將─政矣」○さとり。○よく(欲)禮、樂記「─誘於外」○しりあひ「相─」ちかづきになる。屈原、九歌「樂莫樂兮新相─」○人となりを知りて優待する「─遇」

②ちゑ。中庸「好學近乎─」=智。

 同訓異義 

ンル 知·識○知は識より重し、知レ人·知レ道といへぱ、心の底より篤と知ることなり、知己·知音と熟す、識レ名·識レ面は、一寸見覺あるまでの意なり、相識と熟す。

【知友】 チイウ 

しりあひ。潛夫論「薄──而厚犬馬」

【知音】 チイン 

琴の音を知る。轉じて己の心を知る親友の義とす。列、湯問「伯牙鼔琴、志在高山、鍾子期曰、峩峩兮若泰山、志在流水、子期曰、洋洋兮如江河、伯牙所念、子期必得之、子期死、伯牙絕絃以無──者」

【廣知】 チヲヒロムクワウチ 

智識をひろむ。黃石六書素「博志切問、所以──」

【舞知】 チヲマハス 

才智をふりまはす。史、張湯傳「──以御人」=弄知。

【知行合一】 チカウガフイツ 

知と行とは、本來同一物にて、知りて行はぎるは知らざるに同じとの明儒王陽明の學說。

【知客】 チカク 

僧徒の賓客を接待することを主る役。禪林寳訓音義「知典賓客、緇白相遇、應對迎請務令整齊」

【知覺】 チカク 

○しりさとる。後漢書、杜詩傳「如有姦人詐僞無由──」○心理學にて感官によりて外界の事物を認識するはたらき。=智覺。

【知己】 チキ 

自分の心をよく知れる眞の友。史、刺客傳「士爲知己者死、女爲悅己者容」韓愈、上張僕射書「將以稱於天下、曰──則未也」

【知幾】 チキキヲシル 

事の幾微 カスカナルキザシ を知る。易、繫辭「子曰、──其神乎」

【知舊】 チキウ 

ふるなじみ。魏志、荀彧傳「謙冲節儉、祿賜散之宗族──、家無餘財」=舊知·故舊。

【知行】 チギヤウ 

 國  領分の地。扶持。

【知遇】 チグウ 

人と爲りを知りてよくあしらふ。南史、南康王曇朗傳「深被──」

【知會】 チクワイ 

 俗  文書又は口頭にて一般に通知する。

【知曉】 チゲウ 

しりてさとる。韓愈、與崔羣書「僕愚陋無所──、然聖人之書、無所不讀」=通曉。

【知言】 チゲン 

道理に明かなることば。左、襄十四「秦伯以爲──」

【知縣】 チケン 

縣の長官、縣知事。=知縣事。

【知縣事】 チケンジ 

縣知事に同じ。雲麓漫鈔「唐制縣令闕、佐官攝令、曰───」

【知事】 チジ 

州縣の長官。唐會要「刺史有故乃闕、但令上佐依次知州事」

【知識】 チシキ 

○ちゑと見識と。○しり居る。維摩經「衆所──」

【知死期】 チシゴ 

陰陽道にて人の生年月曰によりて其の死期を豫知する。

【知悉】 チジツ 

くはしくしる、十分に知り盡す。

【知十】 チジフジフヲシル 

きはめてさときにたとふ。論、公冶長「回也聞一以──」

【知人】 チジン 

知友に同じ。

【知進】 チシンシンヲシル 

すすむことのみを知る。鹽鐵論「知利不知害、──不知退」

【知仁勇】 チジンユウ 

知は道を知る、仁は道を體する、勇は道を强むる。中庸「───三者、天下之達德也」

【知者不言】 チシヤハイハズシルモノハイハズ 

知識あるものは深く藏してみだりに言はず。老子「────、言者不知」

【知者不惑】 チシヤハマドハズ 

知者は理に明かなり、故にまどはず。論、子罕「子曰、────、仁者不憂、勇者不懼」

【知者樂水】 チシヤハミヅヲタノシム 

知者は事理に達して周流し、凝滯せざること水に似たり、故に水を樂む。論、雍也「────、仁者樂山、知者動、仁者靜、知者樂、仁者壽」

【知照】 チセウ 

 俗  先方へかけあふ。=照會。

【知善】 チゼン 

善き事を知る。禮記「愛而知其惡、憎而知其善」

【知足】 チソク 

たることをしる。老子「──者富」

【知道】 チダウ 

○道理をあきらかにさとり知る。禮記「人不學不知道」○ 俗  知る、承知する。

【知得】 チトク 

得ることを知る。易經「──而不知喪」

【知周乎萬物 】 チバンブツニアマネシ 

聖人の智は萬物に周到する。易、擊辭「─────、而道濟天下、故不過」

【知非】 チヒ 

己のあしきをさとり知る。淮南子「蘧伯玉行年五十、而知四十九年之非」

【知府】 チフ 

府の行政を掌る長官。

【知兵】 チヘイヘイヲシル 

善く兵機を曉り知る。史記「兵未戰而先見敗徵、此可謂──矣」

【知母】 チボ 

○ははをしる。儀禮「禽獸──而不知父」○藥草の名、めはじき、多年生草、葉は細長くして叢生す、根を藥用とす。本草「──治諸熱」

【知名】 チメイ 

○なを知る。禮記「男女非有行媒、不相──」=通名。○世に名を知らる。晉書、武陔傳「總角──=馳名。

【知命】 チメイ 

天命を知る。五十歲をいふ。論、爲政「五十而知天命」潘岳、閑居賦「自弱冠、涉乎──之年、八徙官而一進階」

【知了】 チレウ 

十分に知る、知りつくす。

4畫

矧  

シン [軫]

○いはんや、まして(況)○はぐき。曲禮「笑不至─」(はぐきを現はす程に大笑せず)=齗。○ 國  はぐ、矢竹に羽をはめて矢を造る。

 同訓異義 

イハンヤ 矧·況の別は況(水部五畫)の條を見よ。

矦  

侯(人部七畫)に同じ。

5畫

矩  

ク [麌]

○かねざし、さしがね、方形を畫くに用ふるもの「規─準繩」(規は圓を畫くもの、ぶんまはし)禮、經解「規─誠設、不可欺以方圓」○つね(常)○かど(廉)○けた(方)○のり(儀)おきて(法則)「規─」「遺─」論、爲政「七十而從心所欲、不踰─」○地をいふ。

【矩形】 クケイ 

○ますがた。○幾何學にて各の角が直角を爲す四邊形の稱。

【矩繩】 クジヨウ 

さしがねと、すみなはと。法則の義とす。大戴禮「所謂賢人者、行中──」=矩墨。

【矩尺】 クセキ 

かねざし、木工の用ふるもの。=木尺·曲尺·魯般尺。

【矩則】 クソク 

のり、おきて。齊書、武帝紀「三季澆浮、舊章陵替、吉凶奢靡、動違──」=矩度 クド 法則·準則。

【矩度】 クド 

○のり、法則。○動作の紀律。宋史、理宗紀「──有常」

【矩墨】 クボク 

さしがねと、すみなはと。潛夫論「造規繩──、以敎後人」

7畫

?  

規(見部四畫)の本字。

矬  

ザ [歌]

みじかし(短)身の丈 タケ が低い。北史。宋世景傳「形貌─陋、而好藏否人物」

【矬陋】 ザロウ 

たけ低くいやし、字解參看。

短  

タン [旱]

○みじかし。長の對。ひくし。○久しからず。荀、非相「帝舜─」○足らず、乏し、少し、あやまちあり、拙し、鈍し、缺點。○そしる、人の過失を指して譏る。史、屈原傳「上官大夫─屈原於頃襄王」○わかじに(夭折)書、洪範「凶─折」

 同訓異義 

ソシル 短·誹·非·謗·訕·訾·詆·刺·毁·譏·誚の別は誹(言部八畫)の條を見よ。

【短衣】 タンイ 

たけみじかきころも。史、叔孫通傳「服──楚製」

【短衣窄袖】 タンイサクシウ 

みじかきころも、せまきそで、胡人の服。夢漢筆談「中國衣冠、自北齊以來、乃全用胡服、窄袖、緋綠短衣、長靿靴」薩都刺詩「────呼郞君」

【短詠】 タンエイ 

みじかきうた。杜甫詩「長歌──還相酬」

【護短】 タンヲゴス 

短所を庇ひ護る。嵆康、與山巨源絕交書「仲尼不假蓋于子夏、護其短也」

【舍短取長】 タンヲステチヤウヲトル 

あしき所をすて、善き所をとりて宜しきを制する。漢書、藝文志「觀此九家之言、────、則可以通萬方之略矣」

【續短斷長】 タンヲツギチヤウヲタツ 

長短よろしきにかなはしむる義。荀子「禮者────、損有餘、益不足」戰國策「斷長續短、方數千里」

【短歌】 タンカ 

○みじかきうた。摭言「趙牧效李長吉、爲──」○ 國  三十一文字の歌。長歌の對。

【短綆】 タンカウ 

たけの短きつるべなは。荀、榮辱「──不可以汲深井之泉」

【短褐】 タンカツ 

みじかきあらぬののきもの。韓非、五蠧「──不完者、不待文繡」=裋褐。

【短氣】 タンキ 

○きおちする、落瞻して自ら振ふ能はず。王羲之帖「艱疾如此、令人──」○ 國  きみじか、性急。

【短規】 タンキ 

つたなきはかりごと。謝靈運文「硏其淺思、罄其──」

【短期】 タンキ 

みじかき期限。

【短晷】 タンキ 

みじかきひかげ。潘岳、秋興賦「何微陽之──、覺涼夜之方永」

【短計】 タンケイ 

つたなきはかりごと。柳宗元詩「千金奉──、匕首荊卿趨」

【短檠】 タンケイ 

たけのみじかき燈臺。長檠の對。韓愈詩「──二尺便且光」

【短頸】 タンケイ 

みじかきくび。爾雅「鵅、烏?」注「水鳥似?而──」

【短見】 タンケン 

あさはかなかんがへ。呂覽「智所以相過、以其長見與──也」=淺見·淺慮。

【短古】 タンコ 

古詩の句數の少きもの。長古の對。

【短弧】 タンコ 

いさごむし、一に射工、又、水弩と呼ぶ、水邊に居り、人身を射る、これに射られたるものは死すといふ。漢書、五行志「蜮生南越、蜮猶惑也、在水旁能射人、南方謂之──」周禮、疏「──盛暑所生、其狀如鱉」

【短後】 タンゴ 

事を爲すに便するため後をみじかく仕立てたるころも。莊、說劍「──之衣」

【短袴】 タンコ 

みじかきはかま。

【短堠】 タンコウ 

みじかき距離の宿場みち、堠は一里づか。

【短蓑】 タンサ 

たけみじかきみの。田錫詩「──長笛一川秋」

【短才】 タンサイ 

鈍くして足らざる才能。雍陶詩「每憶雲山養──」=鈍才。

【短册】 タンザク 

 國  和歌俳句等を書く細長き紙、縱一尺一寸五分、幅一寸八分。

【短窄】 タンサク 

みじかくしてせまし。王建詩「素釵垂兩髦、──古時衣」

【短札】 タンサツ 

短き書札の義、自ら其の書翰を稱す。書言故事「諸葛亮碑、願奮──、以排羣議」=寸楮·寸簡。

【短醜】 タンシウ 

たけひくくしてみにくし。南史、張融傳「融形貌──、精神淸徹」

【短人】 タンジン 

せいひくき人。漢書、注「朱儒、──也」=僬僥。

【短牆】 タンシヤウ 

たけひくきかき。左傳「吳子門焉、牛臣隱于──以射之」

【短銃】 タンジユウ 

ピストル(英語)=拳銃。

【短縮】 タンシユク 

みじかくちぢめる。

【短楯】 タンジユン 

みじかきたて。楯は盾。宋書、長沙王道憐傳「子義融有質幹、善於用──」

【短世】 タンセイ 

わかじに。晉書、元帝紀「懷帝──、越去王都」=短命·夭折·短折·早世。

【短折】 タンセツ 

前條に同じ。字解參看。

【短淺】 タンセン 

あさはか。韓愈詩「自知──無所補、從事久此穿朝衫」=淺短。

【短促】 タンソク 

せまりちぢまる。

【短刀】 タンタウ 

みじかきかたな、あひくち。南史、侯景傳「戰士皆被短甲、──但低視斫人脛馬足」

【短短】 タンタン 

みじかき貌。李白詩「白日何──、百年苦易滿」

【短長】 タンチヤウ 

○人の短所と長所と。夷堅志「自有旁人說──」○壽命の短きと長きと。書、盤庚「矧乃予制乃──之命」○戰國時代の合縱連衡の說、彼に赴くを短とし、此に歸するを長とする。史、六國表「縱橫長短之說起」

【無短長 】 タンチヤウナシ 

何の長所もなし、短は帶字にて意味なし。史、越世家「以爲殊───」

【短程】 タンテイ 

みじかきみちのり、近距離の道。羅鄴詩「終日長程又──」

【短艇】 タンテイ 

○こぶね。羅鄴詩「漾漾悠悠幾派分、中浮──與鷗羣」○英語のボートの譯。=端艇。

【短亭長亭】 タンテイチヤウテイ 

亭は畱、はたごや、五里に短亭をおき、十里に長亭をおく。白帖「十里一長亭、五里一短亭」

【短笛】 タンテキ 

みじかきふぇ。晉書、律曆志「歌聲淸者、用──短律」

【短筆】 タンヒツ 

拙きふで。南史、王弘之傳「但恨──不足書美誄」=拙筆。

【短評】 タンピヤウ 

みじかく、ちよっとしたる批評。

【短兵】 タンペイ 

短き兵器、刀劍の類。史、匈奴傳「長兵則弓矢、──則刀鋋」

【短兵急】 タンペイキフ 

○刀劍を以て急に攻める。後漢書、光武紀「乘勝輕進、反爲所敗、賊追急、短兵接、光武自投高岸」○ 國  いきもつかず急にせきたてる。

【短兵接戰】 タンペイセツセン 

互に刀劒を用ひ相近づき戰ふ。史、項羽紀「令騎皆下馬步行、持短兵接戰」

【短袂】 タンベイ 

みじかきたもと。又、たもとを短くする。論、鄕黨「褻裘長、短右袂」

【短篇】 タンペン 

みじかき詩文。高啓詩「擧杯邀我賦──」

【短命】 タンメイ 

わかじに。論、雍也「有顏囘者、好學、不幸──死矣」=短世·夭折。

【短籬】 タンリ 

ひくきまがき。蘇軾詩「無限黃花蔟──」

【短慮】 タンリヨ 

○あさはかなるかんがへ。後漢書、袁紹傳「愚佻──、輕進易退」○氣みじか(短氣)

8畫

矮  

ワイ [蟹]

○みじかし。ひくし「─小」「─屋」「─人」○みじかくす、ちぢめる。

 同訓異義 

ヒクシ 矮·低·卑·庳の別は低(人部五畫)の條を見よ。

【矮屋】 ワイヲグ 

ひくきいへ。天寳遺事「丈夫有凌雲之志而拘於下位、若立身──之下、使人擡頭不得」

【矮軀】 ワイク 

ひくきからだ。=短軀。

【矮雞】 ワイケイ 

ちゃぼ。

【矮子看戲】 ワイシカンギ 

たけ短き人が芝居を看る時、人に遮ぎられて十分に見ること能はず、只前方の人の批評を聞きて之に附和す、よりて人の識見なき者に喩ふ。朱子語類「如矮子看戲相似、見人道好、他也道好」=矮人觀場。

【矮人觀場】 ワイジンノクワンヂヤウ 

前條に同じ。

【矮牆】 ワイシヤウ 

ひくきかき。張羽詩「──低貼水、老樹倒懸藤」=短牆·卑牆。

【矮陋】 ワイロウ 

○からだが、ひくくして、みにくし。酉陽雜俎「──機慧」=短陋。○家などがひくくむさぐるし。

12畫

矯  

①ケゥ [篠]

②ケゥ [蕭]

①たむ、ただす(匡正)なほくす(直)曲りしものをまっすぐにためなほす。曲を揉 タ めて直からしむ。○いつはる(詐)詐り稱する「─詔」「─命」かこつける(託)○ほしいまま、みだりに(擅)○つよし(强)中庸「强哉─」いさむ(勇)たけし(武)○あぐ(擧)○とぶ(飛)

②矢が躍り出る。○──は高く擧る貌。

 同訓異義 

イツハル 矯·僞·詐·譎·詭·佯·陽等の別は僞(人部十二畫)の條を見よ。

【矯亢】 ケウカウ 

ことさらに人と違ひて自ら高しとする。秦觀文「晉王衍口不言錢、而指以爲阿堵物、此乃奸人故爲──、盜虛名以暗世也」

【矯革】 ケウカク 

ためなほしてあらためる。後漢書、徐防傳「雖所失或久、差可──」

【矯躩】 ケウクワク 

あがりをどる。杜牧詩「──蛟龍爪尾長」

【矯矯】 ケウケウ 

○たけき貌。詩、魯頌「──虎臣」○高く擧る貌。志の高く超然たる貌。漢書、敍傳「賈生──、弱冠登朝」

【矯激】 ケウゲキ 

つねなみの行にはづれて、はげしい。國史補「詩章則學──于孟郊」

【矯詐】 ケウサ 

ためいつはる。魏書、劉仁之傳「仁之外示長者、内懷──、其對賓客、破牀敝席、麤飯冷菜、衣服故敗」=詭詐。

【矯殺】 ケウサツ 

旨をいつはりて殺す。漢書「羽──卿子冠軍、自尊、罪二也」

【矯矢】 ケウシ 

やをためなほす。淮南子「調弓──未發、而擁柱號矣」

【矯揉】 ケウジウ 

ためあらためる。揉は直き者をためて曲げる。文心雕龍「櫽括情理、──文采」=矯輮。

【矯輮】 ケウジウ 

前條に同じ。易、說卦「坎(中略)爲──」

【矯情】 ケウジヤウ 

ことさらに人情に背きて高異を示す。董仲舒賦「雖──而獲百利兮、復不如正心而歸一善」

【矯首】 ケウシユ 

かしらをあげる。陶濳文「時──而遐觀」=擧頭。

【矯飾】 ケウシヨク 

うはべをいつはりかざる。後漢書、章帝紀「俗吏──外貌、似是而非」

【矯正】 ケウセイ 

ためなほす。南史、劉穆之傳「斟酌時宜、隨方──」

【矯制】 ケウセイセイヲタム 

朝命に假託 カコツケル して事を行ふ。史、汲黯傳「臣謹以便宜持節、發河南倉粟、以振貧民、臣請歸節、伏──之罪」

【矯詔】 ケウセウミコトノリヲタム 

みことのりなりといつはる。漢書、石顯傳「──開宮門」

【矯俗】 ケウゾク 

惡しき風俗をためなほす。後漢書、祭遵傳「──厲化、卓如日月」

【矯託】 ケウタク 

いつはりてかこつける。唐書、傅奕傳「生死壽夭、本諸自然、刑德威福、繫之人主、今其──、皆云由佛」

【矯奪】 ケウダツ 

いつはりてうばひとる。

【矯誣】 ケウブ 

ためいつはる、事實をまげいつはる。書、仲虺之誥「──上天、以布命于下」=詐欺。

【矯風】 ケウフウ 

あしき風俗をためなほす。=矯俗。

【矯命】 ケウメイ 

矯は託、君の命なりといつはりかこつける。戰國策「──以責賜諸民」責は債。

【矯勵】 ケウレイ 

わるきことをあらためて一所懸命にはげむ。晉書、劉琨傳「雖暫自──、而輒復縱逸」

【矯枉】 ケウワウワウヲタム 

まがれる者をためて正しくする。南史、王琨傳「──過正」中庸を得る能はざるをいふ。

矰  

ソウ [蒸]

いぐるみ、矢に生絲をつけて鳥雀を射る獵具。史、老子傳「飛者可以爲─」

【矰繳】 ソウシヤク 

いぐるみ。弋鳥の具。史、畱侯世家「橫絕四海、當可奈何、雖有──、尙安所施」

【矰繳之說】 ソウシヤクノセツ 

いぐるみにて鳥を捕る如く己の利益を目的として人に說く。韓非、五蠧「則遊說之士、孰不爲用────而徼倖其後」

【矰弋】 ソウヨク 

いぐるみ。莊子「鳥高飛、以避──之害」

14畫

矱  

ワク [藥]

○ものさし(尺)○はかる、のり(標準)=彠。