巛部
0畫
川(次條)の本字。
セン [先]
○かは、流水の通稱、江水·淮水·河水·漢水の類をすべて─といふ「大─」「晴─」「支─」書、益稷「予決九─距四海」(河は特に黃河をいふ)○四川省の略稱。
繖形科に屬する藥草、四川省(蜀)に出づるを上品とす、故に名づく。おんなかづら〔本草綱目〕=芎藭。
○かはのほと。論、子罕「子在──曰、逝者如斯夫」○ カハカミ 國 川の上流をいふ。
國 狂句の一種にて、滑稽諷刺の意をふくむ、寶曆·明和頃に綠亭──の盛に批點せし故の稱。
川の水がすむ。鮑照詩「霞輝兮澗朗、日靜兮──」
佛 川に溺れて死せし者の靈を安んずる爲めに、かはべにて供養讀經する佛祭。
國 翡翠 ヒスヰ をいふ。=魚狗。
國 かはべに生ずる竹、水の增減によりて起き伏しの定まらざるもの、故に遊女の身の上に譬ふ。
3畫
シウ ス [尤]
○しま(島)水中居るべき所、洲に通ず。○くに(國)古、高山大川に因りて區域を分ち九─と爲す、後に十二─と爲す、古の一─は今の一省の如し。○むらざと(邑里)周代、二千五百家ある部落の稱。轉じてゐなか、地方の義とす。○あつまる(聚)
一州一郡。又、地方の義。
一州一縣。又、地方の義。
土地の風俗。=里俗。
あつまり居る。齊語「羣萃而──」注「州、聚也」
州の長官、我が府縣知事の類、舜の時に始まる。牧は人民を養ふ義〔事物紀原〕
むらざと。州は二千五百家、里は二十五家ある處。論、衞靈公「言不忠信、行不篤敬、雖──行乎哉」
州に設けたるこめぐら。州は周時代、二千五百家ある處の稱。魏書、張昭傳「時年穀不登、──虛罄、民多菜色」
4畫
ジュン [眞]
○めぐる。○みまはる(視行)「─視」○あまねし(徧)○逡─はあとしさり(卻退)の貌。
同訓異義
メグル 巡·繞·環·周等は繞(糸部十二畫)の條を見よ。
國國をめぐりてしらべる。唐書、靖恭太子琬傳「詔親──隴右」=巡視·巡檢。
各地をめぐりあそぶ。=周遊·囘遊。
みまはりてしりべる。=巡按。
めぐりあるく。
天子が各國をめぐりみゆきする。唐書「中書門下、慮──所過囚」
船にて各地をのりまはる。
めぐりあるく。=巡廻·巡行。
めぐる、みまはる。
○めぐりていましめる。周巡して警察する義。○我が巡查の類。
國 各地をめぐり演藝などを興行 コウギヤウ する。巡囘して興業する義。
○各地をめぐりてしらべる。=巡按。○支那にて警察事務を掌る官吏。
國 警部の下に在りて人民を保護し盜賊などをいましめ捕ふる役人。=警官·邏卒·巡捕。
めぐりて視察する。北史、魏文帝紀「遣侍臣──、開倉賑恤」=巡按。
國 昔、諸國をめぐりて風俗及政治の善惡を視察せし臨時の職名。
みまはる。=巡按、巡察。
佛 僧の各地をめぐりて敎をひろめる義、錫は僧のつく杖。
天子の諸國をめぐりて視察する義。書、舜典「五載一──」=巡狩。
天子が諸國をめぐりて視察する。孟、梁惠王「天子適諸侯曰──、──巡所守也」東都賦、注「──者何、巡者循也、狩牧也」=巡守。
めぐりて視察する。魏志、明帝紀「車駕──洛陽界秋稼」=巡視·巡察。
めぐりゆきて人心をやすんずる。文選「──黎烝」
國 諸方をめぐりて神社佛閣を拜む。
○めぐりて人民をなでやすんずる。晉書、劉頌傳「咸寧中、詔──荊揚」○明以後、官名となり、各省に置く。淸朝にては、總督の次に位し、一省の民治兵制の事を司る。
俗 巡查をいふ「──局」は我が警察署。=巡警。
軍艦の一種、海を乘りまはりて敵の形勢をうかがふもの。
みまはりしらべる。
みまはる、めぐりて見物する。
國 諸國の靈場をめぐりて佛ををがむ修業。又、其の人。=順禮。
8畫
サゥ [肴]
○す、木の上の鳥栖 トりノス 「故─」○すくふ、すをつくる。莊、逍遙遊「鷦鷯─林不過一枝」轉じて盜賊などのすみか「─窟」「賊─」○─車は上にやぐらありて遠望すべき車。左傳「楚子登─車、以望晉軍」=轈。
巢父と許由と、竝に堯の時の高士。漢書「堯舜在上、下有──」=巢許。
鳥の栖の如く木を構へて其の上にすむ。唐書、室韋傳「苦飛蚊、則──而以處」
巢由に同じ。杜甫詩「──山林志」
すみか。かくれが。南史、謝瀹傳「君──在何處」
樹上に巢を構へて住みし有巢氏時代と、ひらちにて火を取りし燧人氏時代との太古時代をいふ。張九齡文「──之前、寂寥無紀、書契而後、炳煥可觀」
古の隱者の名、許由と竝稱す。堯、天下を以て讓る、辭して受けず。潛夫論「伯夷採薇而不恨、──木棲而自願」高士傳「──者堯時隱人也、山居不營世利、以樹爲巢、而隱其上、故時人號曰──」
國 すにこもり居る「鶴の──」
國 鳥のひなが生長して、巢をはなれ去る。=巢起·岀窩。