人部(イ)
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ジン ニン [眞]
○ひと、にんげん、生民。○たみ、國民。○己以外の人、他人。崔子玉、座右銘「無道─之短、無說己之長」○ひとびと、ひとりびとり。後漢書、魯恭傳「家給─足」○ひとがら、性質。○賢き人、賢才。韓愈、送溫處士序「相爲天子得─於朝庭」○卑き官名、又は職工などの名稱に用ふ。「封─」「虞─」「玊─ キウジン 」○一─ イチジン は天子をいふ。書、呂刑「一─有慶、兆民賴之」
人のわざ。天然·自然に對していふ。高啓詩「天自出巧非人爲」=人工。
ひとかず「──調查」
人家の炊烟、轉じて人家の義。次條に同じ。曹植詩「千里無──」
人家のけむり、轉じて人家の義とす。「──稠密」李白詩「爾來四萬八千歲、不與秦塞通──」=人烟。
○人の住む世界。○ ニンカイ 佛 人閒に同じ。天上界の對。=人閒界。
人の多くあつまれるにいふ。張養浩詩「──誰知我亦鷗」
人倫ののり、人道のおほもと。解嘲「上世之士、──人紀、不生則已」
衆人にすぐれたる人。史、陳餘傳「於此時、不成封侯之業者、非──也」=人傑。
○ひとがら。=人品。○意識明かにして義務責任を解し得る一人前の資格。瘋癲·白痴等はこの──なし。
人と神と。石闕銘「龜筮協從、──響附」
人たる者の履むべきすぢみち。書、伊訓「先王肇修──」
死せし人のたましひ。周禮「天神──地示之禮」
人のふむべき道。禮、禮運「父慈·子孝·兄良·弟弟·夫義·婦聽·長惠·幼順·君仁·臣忠、十者謂之──」
死せし人の用ひし琴の調子さへも合はずなりしことを歎きし故事にて、人の死をいたむ情の甚だしきにいふ。晉書、王徽之傳「王獻之卒、徽之奔喪不哭、直上靈牀、坐取獻之琴彈之、久而不調、嘆曰、嗚呼子敬人琴俱亡、困頓絕、月餘亦卒」=人琴俱亡。
人の住む所。陶潛詩「結廬在──、而無車馬喧」=人界·人寰。
人心の和合。孟、公孫丑「地利不如──」
○太古第三代目の王族。○ ニンワウ 國 神武天皇以後の人の代となりてよりの天皇。其の以前を神代といふの對。
人の世、寰は界。蘇軾詩「赤子視萬類、流萍閱──」=人境。
衆人にすぐれたる人物、人中の傑物。史、高祖紀「此三者(蕭何·張良·韓信)──也」=人豪。
人のうはさ。後漢書、班超傳「內省不疚、何恤──」
人たるの權利。
たみのいへ。蘇洵、論積欠狀「──旣未納足」=民家·民戶。
人のしりへ、人のあと。李白詩「風流豈肯落──」人のあとになる。
○ひとかず。=人員·人數·人頭。○人のくち、世人のうはさ。虛堂錄「千古膾炙──」
人のしわざ。天工の對。陶潛詩「貧居乏──」
はたらきある人、人物。南齊書「子桓品藻──」
人力にてつくる、又、其の物「──石」
人彘 ジンテイ に同じ。漢書、爰盎傳「陛下所以爲愼夫人、適所以禍之、獨不見──乎」
人の行事の是非善惡は、死後、棺の蓋をして初あて定まる。晉書、劉毅傳「丈夫蓋棺事方定」
大病、又は重傷の爲めに、全く知覺を失ひたるをいふ。
正月七日の稱、一日は雞を占ひ、以後六日まで獸畜を占ひ、七日は人を占ふ、故にいふ。事物紀原「東方朔占書曰、歲正月一日占雞、二日占狗、三日占羊、四日占猪、五日占牛、六日占馬、七日占人、八日占穀、皆晴明溫和爲蕃息安泰之候、陰寒慘烈爲疾病衰耗」
身を謹み行を修めて人道の師たるものは得がたきをいふ。通鑑、後漢桓帝紀「魏昭請於郭泰曰、經師易遇、────」經師とは單に經書の講義を爲す師。
○人の欲情より發する心。道心の對。書、大禹謨「──惟危、道心惟微」○人人の心。
人の心は知りがたし。史、淮陰侯傳「蒯通說韓信曰、常山君成安君、二人相與、天下至驩也、然而卒相禽者、患生於多欲、而─────也」
人ごとに、其の心の異なること、顏面の同じからざるが如し。左、襄三一「人心之不同、如其面焉、吾豈敢謂子面如吾面乎」
からだ、肉體。「──生理」=人體。
人の私行などを擧げてそしり責める。
人も神も共にいきどほる。舊唐書、于頔傳「肆行暴虐、────、法令不容」
人の定めたる官位。天爵の對。孟、吿子「公卿大夫、此──也」
きみ、天子。揚雄、解嘲「上說──、下談公卿」=君主·人君。
○人の種類、皮膚·骨格等によりて、黃色──·白色──·銅色──·黑色──·褐色──の五っに分つ。○人のたね、子孫をいふ。法苑珠林「欲令──不絕」
人日(正月七日)に用ふる婦人の首飾 アタマカザソ 荊楚歲時記「人日剪綵爲花勝以相遺、或鏤金簿爲──、取改舊從新之義」
證人の陳述による證據。書類によるを書證といふの對。
人の生き生きしたるかほ色、生色。
おそれて顏色を失ふ。漢書、李廣傳「廣爲匈奴所敗吏士───」
人閒界のめでたきしるし、學德のすぐれたる人、又、長壽の人をいふ。續文獻通考「弘治中、太倉州毛弼年百歲、而孫澄及第、有司爲建──狀元坊」唐書「鄭肅字仁表、嘗以閥閱文章自高、曰、天瑞有五色雲、──有鄭仁表」
人は意氣相投ずる所に感激してはげむ。魏徵詩「─────、功名誰復論」
人は古より一人として死せざるものなし。文天祥、過零丁洋詩「───────、畱取丹心照汗靑」
自己と此の世との關係に就きての觀念、樂天主義·厭世主義など。
人が學問して義理を知れば、處世上色色と苦勞の種となれば、無學の方が卻つて安樂なりとの意。蘇軾詩「───────、姓名粗記可以休」
人生は短くして、七十齡を重ぬる者は、昔より少し。杜甫、曲江詩「朝囘日日典春衣、每日江頭盡醉歸、酒債尋常行處有、───────、穿花蛺蝶深深見、點水蜻蜓款款飛、云云」=古稀。
人生ははかなきものなれば、唯行樂して一生を送るべし。漢書、楊惲傳「─────、須富貴何時」
人閒は勤務するに在るをいふ。書經には人を民に作る。言行錄「蘇頌嘗曰、────、勤則不匱、戶樞不蠧、流水不腐、此其理也」
人の生命の短きを朝露の日出づれば則ち乾くに喩ふ。漢書、蘇武傳「─────、何久自苦如此」
次條に同じ。
人のあしあと。漢書、嚴助傳「與中國異、限以高山、──所絕」=人迹。
朝早く出で行くに、我より先にすでに行きし客ありと見えて板橋の霜に人跡の印するを見る。溫庭筠、商山早行詩「晨起動征鐸、客行悲故鄕、雞聲茅店月、─────」
○人のふむべき道。易、謙卦「──惡盈而好謙」=人倫。○專ら人の往來する道路。車馬道の對。
鼻の下のみぞ。相書「──長一寸、壽一百」
騏驥は千里の馬。衆人にすぐれたる人に喩ふ。南史、徐勉傳「此所謂────、必致千里」
天才、衆人に秀でたるをいふ、獅子は百獸の王、故に喩ふ。釋氏要覽「治禪經後序云、天竺大乘沙門、佛陀斯那、天才特拔、諸國獨步、內外綜傅、莫籍不練、世人咸曰────」=人中騏驥。
人品高遠にして測るべからざる人を稱す。晉書、宋纖傳「不與世交、居于酒泉甫山、不應州郡辟命、太守馬岌歎曰、名可聞、而身不可見、德可仰、而形不可覩、吾今而後知先生────也」
人のねしづまる時、午後十時。一說に、日入りて羣動息む時、卽ち甲夜(午後八時)をいふと。海錄碎事「柳公綽每日與子弟論文、或講求蒞官治家之要、至──鐘鳴、始就寢」
豚の如き人といふ意、彘は牝豕、呂太后、漢の高祖の愛姫、戚夫人の手足を斷ち、眼を去り、耳を煇し、瘖藥を飮ましめて廁中に居らしむ、命じて──といふ〔史、呂后紀〕=人豕。
あたまかずにかけて取り立てる稅。=人口稅。
人と馬と。魏武帝詩「行行日已遠、──同時飢」
繁華にして、人馬の往來しげくつづく貌。釋名「往來不絕、曰絡繹」
衆人の喜び望む所。後漢書、齊武王傳「諸將會議立劉氏、以從──」南史、江淹傳「──所歸」=輿望。
○なりふり、風采。○ひとがら、人格。沈約、奏彈王源文「源雖──庸陋、胄實參華」
人足をいふ。北史「趙郡王謐召近州──」
書名、一卷、──類記二卷、明の劉宗周撰す、古人の嘉言善行を集め、類を分ちて之を錄す、和版あり、劉氏──といふ。
○ひと、人類。晉書劉毅傳「好臧否──」○人の生れつき、性質。○すぐれたる人、人才。○人と物と。晉書、干寶傳「撰集古今神祇靈異、──變化、名爲搜神記」
○人類社界の文明、又、人倫の序。易、賁卦「觀乎──、以化成天下」○人物と文物と。
人のてほん。魏志、劉靖傳「行爲──、經任人師者」
人民を養ひ治める者の義、牧は牛馬などをはなしがひするに喩ふ、人君をいふ。孟、梁惠王「今夫天下之──、未有不嗜殺人者」
たみ、あをひとぐさ。國家に對していふ。周禮、大司徒「知其利害、以阜──」=國民·蒼生。
人のいのち。後漢書、鍾離意傳「愼──、緩刑罰」古詩「嘉賓難再遇、──不可續」
無道にして人情なき者をいふ。史、匈奴傳「夷狄之人、被髮左袵、────」
人の嗜欲。禮、樂記「滅天理而窮──者也」
人の心に兆す種種の慾。前條に同じ。
人の吹奏する鳴物の音、笛の類。天地自然の音響を天籟·地籟といふに對していふ。莊、齊物「地籟則衆竅是已──則比竹是已」比竹は笛。
人の住む村里。法苑珠林「遂擔負母下趣──」
人のふむべき道。漢書、敍傳「窮──該萬方」=人道。
人の形せるやなぎ。三輔故事「漢苑中有柳、狀如人形、號曰──、一日三眠三起」
人の立つ如くに立つ。左傳「豕──而啼」
○人のふむべき道、倫は序。孟、滕文公「──明於上、小民親於下」○人類。
人の力。孟、梁惠王「──不至於此」
國 我國にて創造せし車、支那人稱して東洋車といふ。
ひとのたぐひ、にんげん。(人閒)
生理學、史學などの上より人の身體精神を說明し、人種の發達異同又は衰滅の事歷を硏究する學問。
佛 我と人との分け隔てをし、人を輕んじ我を重んずる心。
國 世人の思ひ入れ、人の氣乘り。
○さんせううを、鯢魚〔山海經〕○海中に住むといふ想像の動物、上半身は女人、下半身は魚の形、之を食へば、人をして老いざらしむといふ。=儒艮。
○人の世、世閒に同じ。韓非、解老「不能免──法令之禍」李白詩「别有天地非──」○ 國 ひと、人類「──の力」
人閒の世に恥づべき事のあるを知らず、破廉恥の人を嘲る辭。歐陽修、與高司諫書「足下猶能以面目見士大夫、出入朝中稱諫官、是足下不復知人閒有羞恥事爾」
人の世渡りのむづかしき義。蘇軾、魚蠻子詩「─────、蹈地出賦租、不如魚蠻子、駕浪浮空虛」
人生は禍福常なきをいふ、元の僧熙晦機の詩句。昔、塞上に近く住める翁の馬、亡げて胡に入り、人皆之を弔す、數月にして、其の馬、胡の駿馬を伴ひ歸る、人皆之を賀す、然るに其の子騎を好み、馬より墮ちて其の髀を折けり、人皆之を弔す、後、胡人塞に入りて戰を交ふるに當り、壯丁これに赴きて死する者十の九、然るに其の子跛たるを以て家に居り、父子相保ちて全きを得たりといふ故事〔淮南、人閒訓〕
人の一生は大約五十年なりとの意。法苑珠林「天壽人閒如五十歲」
○人のかほかたちの樣子、容貌のよしあし。○又、其れによりて人の運命を占ふものを──見 ニンサウミ といふ。=觀相 クワンサウ
○藥草の一、朝鮮の名產、其の根は人の形をなす。=人蓡。○ 國 野菜の一。=胡蘿蔔。
○人のなさけ、人の愛情。又、人の情欲。禮記「──以爲田」○ 國 浮世の情實「──本」
世のつねの人情とたがふ。莊、逍遙遊「大有徑庭、────焉」
國 衆人の中より選び出す。
國 荷物を運び、走り使をなし、又は土工などのてつだひをする勞動者。=人夫。
○ 佛 非道のもの。法華經「阿修羅、迦樓羅、緊那羅、摩喉羅加、───等」○ 國 人でなし、人にして人にあらず、人の無道を罵る語。
國 ○人每に、一人一人に别けて扱ふ。○戶籍に同じ。
人は何とて其の情を隱すことを得んや、隱すことを得ず。論、爲政「子曰、視其所以、觀其所由、察其所安、────、────」
人は饑餓に逼るも、烏喙 ウヅ を食はず、是れ一時空腹を滿たすとも毒に中れば餓死と同じければなり。戰國燕策「人之饑所以不食烏喙者、以爲雖偸充腹、而與死同患也」
人の心情を畫にかきあらはすこと能はざるにいふ。鶴林玉露「繪雪者、不能繪其淸、繪月者、不能繪其明、繪花者、不能繪其馨、繪泉者、不能繪其聲、────────、然則言語文字、固不足以盡道也」
善く人を敎へて倦怠せず。論、述而「子曰、默而識之、學而不厭、────、何有於我哉」
人をおどろかす程の名詩。世說、豪爽「李白登華山落雁峰曰、此處呼吸之氣、想通帝坐、恨不擕謝朓───來、搔首問靑天爾」
人に勝つ、又、一人にて二人を倂す義。論、先進「子曰、求也退故進之、由也──故退之」
人物の賢愚を知りわける。書、皋陶謨「──則哲、能官人、安民則惠、黎民懷之」
君子は人をたふとびて己を卑下す。禮、坊記「君子────、先人而後己」
罪人を刑するには、其の一身に止めて、妻子に及ぼさず、孥は妻子。孟、梁惠王「關巿譏而不征、澤梁無禁、────」史、孝文紀「────、不誅無罪」
人の才能には各得手、不得手あり〔左、定五〕
人衆くして勢力强きときは、其の凶暴一時は天理に勝ちて非を遂ぐることあるをいふ。史、伍子胥傳、─────、天定亦能勝人」
他人の善惡を見て自ら戒む。唐書、魏徵傳「────可明得失」
身分惡しとて、其の言の善きをば棄てず。論、衞靈公「君子不以言擧人、─────」
人と生れながら鳥に及ばずして可ならんや。大學「詩云、緡蠻黃鳥、止于丘隅、子曰、於止知其所止、────────」詩は小雅緜蠻篇。
小人を玩べば、遂に吾が德を失ふに至る。書、旅獒「────玩物喪己」
人は自ら侮りて身を修めず、故に他人に侮らるるに至る。孟、離婁「夫─────────、家必自毁、而後人毀之、國必自伐、而後人伐之、太甲曰、天作孽、猶可違、自作孽、不可活、此之謂也」
人物が秀でて土地が勝れて居る。王勃、滕王閣序「物華天寶、龍光射牛斗之墟、────、徐孺下陳蕃之榻」
名の重んずべきをいふ。五代史、王彥章傳「豹死畱皮、────」
人は愛情に溺れて、其の子の惡を知り得ず。大學「───────、莫知其苗之碩」
人がら、性質。史、司馬相如傳「慕藺相如之──、更名相如」=性格。
人は義によりて取捨する所ある者にして、始めて以て事を爲すべきをいふ〔孟、離婁〕
唐の國子祭酒楊敬之が、項斯の才を愛して、人に逢ふ每に之を稱せし故事、よりて頻りに人の善行を稱贊する義とす。全唐詩話「項斯、字子遷、始末爲聞人、因以卷謁楊敬之、楊苦愛之、贈詩云、幾度見詩詩盡好、及覽標格過於詩、平生不懷藏人善、到處─────、未幾詩達長安、明年擢上第」
人の意にかなふ、人の意に適する。唐書、溫造傳「州刺史張建封聞其名、書幣招禮、造欣然曰、──也、往從之」
人に施しては、恩にきせることなかれといふ義。崔子玉、座右銘「─────、受施愼勿忘」
適は行 ユク なり、女子の嫁するをいふ。儀禮、喪服、注「凡女行於大夫以上曰嫁、行於庶人曰──」
獨立の氣力なく、人にたよりて事をなす。史、平原君傳「毛遂招十九人曰、公等碌碌、所謂────者也」
人の短所をいふべからず、己の長所をほこるべからず〔崔瑗、座右銘〕
獨立して人の力を借らざる義。世說、德行「梁伯鸞少孤、嘗獨止、不與人同食、比舍先炊、已呼伯鸞及熱釜炊、伯鸞曰、童子鴻、────者也、滅竈更燃之」
人の患とする所は、師となりて人を敎ふることを好むにあり、孟子の語〔孟、離婁〕
我が才德を他人に知られざるも、少しも心に憂へず。論、學而「───────、患不知人也」
人の恩惠を受くれば、亦其の人の憂患を引きうけて力を盡すべきをいふ。史、淮陰侯傳「─────────、衣人之衣者、懷人之憂、食人之食者、死人之事」
世の人のてほん。子華子「仲尼、────也」
精神の淸く明かなるに喩ふ。晉書、樂廣傳「此────、見之瑩然、若披雲霧而覩靑天也」
人の爲めに事を謀りて眞心より出でざりしことはなきかと自ら心に省みる。論、學而「曾子曰、吾日三省吾身、───────、與朋友交而不信乎、傳不習乎」
人窮すれば本心に立ちかへる、故に其の言ふことは善し。論、泰伯「曾子曰、鳥之將死、其鳴也哀、────────」
他人の籬 マガキ の下に身を寄する、詩文など先人の眞似 マネ をするに喩ふ。張融集自序「夫文豈有常體、但當以有體爲常、大丈夫當删詩書制禮樂、何至因循寄人籬下」嚴羽文「僕之詩話、非傍人籬壁拾人涕唾得來者」
世人の頭 カシラ 晉書、魏舒傳「文帝深器重之、毎朝會坐罷目送之曰、魏舒堂堂、────也」
人は萬物中にて、最も靈妙なるをいふ。書、泰誓「惟天地者萬物之父母、惟──────」
人は皆喜怒哀樂の情あり、木石の情なきが如くならず。白居易詩「────皆有情、不如不遇傾城色」
己は人に、百倍して勉强すべし。中庸「───────、人十能之、己千之、果能此道矣、雖愚必明、雖柔必强」
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カイ ケ [卦]
○はさまる、閒に居る「─居」左、襄三一「以敝邑褊小、─於大國」○かぎる(限·畫)○たすく(助)詩、豳風「爲此春酒以─眉壽」たすけ(副)○なかうど、ひきあはせ「紹─」孔叢子、難訓「士無─不見」○大いなり。詩、小雅「─爾景福」○よろひ(兵甲)「─胄」又、よろひをかぶる。○よる、たよる(因)左、文六「─人之寵、非勇也」○かたし(堅·確)易、豫卦「─于石」○みさを(節義)孟、盡心「柳下惠不以三公易其─」○ちいさし(小)「─丘」○へだつ(隔)○ひとり(特)○よし(善)○ほとり(側畔)「江─」○やどる(舍)○ひとりだち(孤立)○一─は一夫。○──は明かなる貌。=耿耿。○かふ(蟲類の甲殼)又、甲殼ある蟲。韓愈、應科目時、與人書「非常麟凡─之品彙匹儔也」○あくた。=芥。○ 國 國司官の一。○かひ。=貝。
氣にかける。列、黃帝「雖傷破不用──」=介懷。
心明かにして世俗と相容れざる貌。後漢書、馬援傳「──獨惡是耳」=耿耿·介介然·介然。
貝がら。=甲殼。
○中閒にはさまり居る。左、襄九「──二大國之閒」○孤立してたすけなし。史、張耳·陳餘傳「獨──河北」
心にかける。南史「張質爲無錫令遇劫、生資皆盡、不以──」=介意。
大いなる玉、圭は珪、天子の諸侯を封ずる時、賜はるしるしの玉。詩、大雅「錫爾──以作爾寶」
すけ、輔佐する。=介輔。
○甲胄之士に同じ。漢書、張安世傳「安世薨、贈印綬、送以輕車──」○堅く心に守る所あるの士。=耿介之士。
大いなる幸福。風俗通「邪疾已去、祈──也」=介福。
つき添ひて助ける、介添 カイゾヘ 常袞文「凡所──皆有卓絕之稱」
兵車につける武裝せし四頭立の馬。劉勰新論「干戈戢興、──將動而禽獸應之」
春秋の時の人、晉の文公に從ひて出亡し、各國を歷遊し、十九年を經て文公國に還りて君となる、祿賜及ばず、之推母と緜山に隱る、公之を求むれども得ず、山を焚く、之推竟に死す。
甲胄を著けたる兵士。曲禮「──不拜」=介胄之士。
國 ○介抱する。○切腹の時、傍に附き添ひて、首を切る、又、其の人。
長壽を助くる、人の壽を祝するに用ふ。詩、豳風「爲此春酒、以介眉壽」に本づく。
なかだち、紹介する。禮、聘儀「──而傳命」
自ら節義を守ること石よりも堅し。易、豫卦「六二、介于石」
○しばらくの閒、暫時。孟、盡心「山徑之蹊閒、──用之而成路」○孤立の貌、固く守りて化せざる貌。老子「使我──有知、行於大道、唯施是畏」○物がはさまりて氣にかかる貌。韓愈、送溫處士序「何能無──於懷耶」
國 ○助けて事をなす人。○嫁入りの時につき添ひて、世話する女。
よろひ(甲)とかぶと(兜)と。曲禮「──則有不可犯之色」=甲胄。
蟣はしらみの子、蝨ばしらみ、戰爭の久しきにわたる義〔漢書、嚴安傳〕韓非子「甲胄生蟣蝨、鶿雀處帷幄」
よろひかぶとを著けたる兵士。尉繚子、武議「竭人之力不責禮、故古者────不拜」=介者。
甲殼を有する蟲の總稱。大戴禮「──三百六十而龜爲之長」=甲蟲。
介は大、貴寵の大弟。左、襄二六「寡君之貴──也」
ひとりぼち、孤立して助なし、又、其の人。左傳「養老疾收──」
前條に同じ。梅堯臣詩「自持──輕貨珍」
よろひを著けたるうま、武裝せし軍馬。蘇洵送石昌言引「──數萬騎馳過」
國 ○たすけいだく、保持する○看病する。
應接を掌る者、しやうばんやく、介は客のつき添、擯は主人の方の世話役、共に主客の閒に立ちて取次を爲す者。馬璧文「承迎如──」擯一に儐に作る。
甲胄をつつけたる兵士。禮記「陽門之──死」=介士。
○そばめ、よめいりの時、新婦に付き添ひて世話する女、介添の女。○衆婦の義。禮記「──請于冢婦」
大いなるさいはひ。易經「受玆──于其王母」
心がひがみて俗人と氣が合はぬ。道山淸話「性──、不與人往還」
つき添ひて助ける。=介佐。
○ひとりだち、孤立して助なし。張衡、思玄賦「孑不羣而──」=獨立。○はさまり居る。=介居。
貝類と魚類と。淮南、地形「──者、夏食而冬蟄」
キウ [尤]
○あひて、たぐひ、つれあひ(匹·配偶)逑に通ず。○あだかたき(怨敵·讎敵)史、畱侯世家「張良爲韓報─」○──は傲る貌。詩、小雅「執我──」=敖敖·謷謷。
明人、字は實父、十洲と號す、工 タクミ に人物鳥獸山水樓觀の類を畫く、秀雅鮮麗、皆名筆と稱す。
うらみ。=怨恨 ヱンコン ·仇恨。
怨のある家、又、かたき。漢書、郭解傳「解夜見──」=仇人。
二種以上の異本を引き合せて正す。事類全書「喜藏異書、皆手自──」=讎校·校正。
つれあひ。王襃文「鳴聲相應、──相從」=配偶·匹耦 ヒツグウ
なかたがひ、すきまがある。蘇軾詩「西羌解──」
あだ、うらみ。韓愈詩「一笑釋──」=仇怨。
かたきとしてみる。=敵視。
かたき。=仇敵。
かたき、怨 ウラミ ある人。=仇家。
あだがたき。=讎敵·仇讎。
キン コン [侵]
俗に今と書くは非
○いま(理時·現在·現世)古の對。韓愈、原道「古之爲民者四、─之爲民者六」○けふ「─日」○このとき(此時)○たちまち、すぐに、急にする辭。詩、召南「迨其─兮」
上とは天子の稱、當代の天子。史、太史公自序「作──本紀」=今帝。
今樣 イマヤウ ぶり、詩文などにいふ。古體の對。舊唐書、李商隱傳「自是始爲──章奏」
この時、又今年に同じ。孟、滕文公「──未能、請輕之以待來年」
古韻の對。齊·梁以後の韻書にて四聲に分てる者の稱、特に今日通用の詩韻のみを指していふにあらず。
新に交りし友をいふ、雨は友と音通。杜甫、詩小序「臥病長安旅次、多雨、尋常車馬之客、舊雨來、──不來」范成大詩「人情舊雨非──、老境增年是減年」又、同人の詩に「冷暖舊雨──、是非一波萬波」
このたび、こたび。=今次·今度、今般。
けさ。楊萬里詩「──還差暖」=今朝。
○このつき。=當月。○今、現在てらす月。李白詩「──曾經照古人」
いまとむかしと。=今昔。
前日の自分に對して現在の自分。王炎詩「年光除日又元日、心事──非故吾」
ことし。元稹詩「堯年始──」=今年。
俗 けふ。=今天·今日。
この週。來週の對。
現世の人。次條を見よ。
今の世の人は古代の月は見ず。李白、把酒問月詩「靑天有月來幾時、我今停杯一問之、人攀明月不可得、月行卻與人相隨、皎如飛鏡臨丹闕、綠烟滅盡淸輝發、但見宵從海上來、寧知曉向雲閒沒、白兔搗藥秋復春、嫦娥孤棲與誰隣、───────、今月曾經照古人、古人今人若流水、共看明月皆如此、唯願當歌對酒時、月光長照金尊裡」
いま、今時、このごろ、頃者。=今玆。
このよ、いまの世。白居易詩「──此事不如君」
○今と昔と、現在と過去と。韓愈詩「樂我盛明時、于焉傲──」=今古。○昨夜の義。史、龜策傳「──壬子、宿在牽牛」
今の身の上より過去の境遇をしのび、又は現代と昔時との變遷を感じて歎く。
國 書名、六十卷、源隆國撰す、天竺·震旦 シナ 本朝の三部に分ちて、古今の雜話を集錄せしもの、每條「今は昔」と書出せるによりて名づく、一名、宇治大納言物語。
いまのよ。=現代·今代。
こよひ。徐陵詩「──花燭淚、非是夜迎人」=今夕·今夜。
こよひ。詩、唐風「──何夕、見此良人」=今宵。
今晚は何たる良き夕なるぞといふ義。前條を見よ。
今日は是にして昨日は非なり、今までのあやまちを、今始めて悟れる義。陶潛、歸去來辭「覺今是而昨非」淮南子の「蘧伯玉、行年五十、而知四十九年之非」の語に本づく。
いまのよ。=現代·今世。
けさ。=今朝·今曉。
今上皇帝の略。史、匈奴傳「──卽位」=今上。
けさ。詩、小雅「縶之維之、以永──」=今曉。
俗 けふ。=今日·本日·今兒。
○けふ。禮、文王世子「──安否何如」○このごろ。=目下·現在「──の急務」
今の世の顏囘、賢德ある人を稱す〔晉書、羊祜傳〕
今日勉學せずとも明日があるなどといふ可からず。朱熹、勸學文「─────────、勿謂今年不學有來年、日月逝矣、歲不我延、嗚呼老矣、是誰之愆」
ことし。次條を見よ。=今歲·今玆。
今年の花も落ち盡きて人の顏も衰へ改まる。劉廷芝、代悲白頭翁詩「───────、明年花開復誰在、已見松柏摧爲薪、更聞桑田變成海、古人無復洛城東、今人還對落花風」
今年の花は去年の花の美くしきに同じ。岑參、韋員外家花樹歌「───────、去年人到今年老、始知人老不如花、可惜落花君莫掃」
國 このたび。=今囘·這般·這次。
こよひ。北魏、甄權傳「──始顧」=今夕·今宵。
こよひ。=今宵·今晚。
○これから「古往──」○只今來た。曹植詩「始出嚴霜結、──白露晞」
國 書名、十卷、作者詳かならず、大鏡の後を受けて、後一條天皇より高倉天皇まで、百四十餘年閒の事を記す、一名、續世繼。
現今のはやり、當世風「──歌」=今體。
シフ ジフ [緝]
○とを。=十。○十人、十家。○日常使用する器物。史、五帝紀、註「─物謂常用者其數非一、故曰─」○詩經の雅と頌との十篇を一卷としたるにより、轉じて詩篇の義とす。白居易詩「珠玉傳新─」
井田の法にて十分の一の地租を取るをいふ。孟、滕文公「──去關巿之征」轉じて地租の義とす。
商賈の利、十分の一の利を得るをいふ。史、越世家「候時轉物、逐────」
日用の家具。史、五帝紀「舜作──於壽丘」=什物。
前條に同じ。
十人、又は五人の兵卒組合。禮記「軍旅──、同爵則尙齒」
大切に祕藏する。闞子「宋之愚人得燕石藏之以爲寶、革匱十重、緹巾──」
兵卒十人のかしら。史記「亦各自置千長·百長·──」
十分の二、卽ち二割の利益、商賣の利をいふ。史、蘇秦傳「治產業力工商、逐──、以爲務」
十の中の八九まで。通俗編「漢書宣帝紀、畜產大耗───、丙吉傳、至今───矣」
國 家寶として祕藏する什物。
次條を見よ。
○十人又は百人の兵卒の組合。史、始皇紀「躡足行伍之閒、而崛起──之中」=什百。○十倍百倍の義。孟、滕文公「或相──、或相千萬」
○日用の器。其の數一にあらず、故にいふ。後漢書、周榮傳「贈送──、無不充備」○ 國 祕藏のたからもの。=什寶。
俗 いかに、なに、疑問の辭、小說に用ふる俗語。摭言「韓愈問牛僧孺曰、且以拍板爲──」=恁麽。
ジン ニン [眞]
○いつくしみ、いつくしむ、同情する(愛)○至大至善の道德、人道の極致。論、顏淵「子曰、克己復禮爲─」○あはれみ、あはれむ(憐)○したしみ、したしむ(親)○しのぶ(忍)○ひと。論、雍也「雖仁者吿之曰井有─焉、其從之也」=人。○人情の厚き風俗、醇厚 テアツシ なる風俗。論、里仁「里─爲美」○有德の人。論、學而「汎愛衆而親─」○ひとのこころ。○さね、果實の中の核にて生氣あるもの「杏─」○醫書に手足の痿痺 シビレル するを不─といふ。
いつくしみ。漢書、董仲舒傳「以此見天心之──」=仁惠。
人として仁の德をそこなひやぶる者は之を眞の賊といふ。孟、梁惠王「──────、賊義者謂之殘、殘賊之人謂之一夫」
朋友相共に善を責めて仁德を增進せしむる義。以文會友を見よ。
いつくしみの心と正しき行と。孟、梁惠王「王何必曰利、亦有──而已矣」
人の心に生れながら具ふる四德。孟、公孫丑「惻隱之心、仁之端也、羞惡之心、義之端也、辭讓之心、禮之端也、是非之心、智之端也」孟、吿子「────非由外鑠我也、我固有之也」
人の備ふる五常の道。董仲舒文「夫仁誼禮智信、五常之道、王者所當修飾也、五者修飾、故受天之祐、而享鬼神之靈、德施於方外、延及羣生也」
あはれみ養ふ。漢書「匈奴獨可以威服、不可以──也」
いつくしみありてつよし。
なさけ深き君。易林「開惠觀見──」
仁政に同じ。めぐみを施して敎化する。吳志「務修──」
人を尊びて稱す。後漢書、趙壹傳「壹報皇甫規書曰、實望──昭其懸遲」
いつくしみ。後漢書、王暢傳「敷──之政」=愛惠。
なさけありて手あつし。唐書「──下士」
いつくしみめぐむ。曹植文「侍臣省奏文、陛下體──」=仁愛。
なさけありてやはらか。宋史、高麗傳「高麗、蓋扶餘之別種、性──惡殺、不屠宰」
仁德あるけもの、麒麟をいふ。公羊傳「麟者──也、有王者則至」
仁者に同じ。心の德の全く備はる人。論、衞靈公「志士──無求生以害仁」
仁者のいふ所は、其の利益する所大いなり。左、昭三「───────哉、晏子一言、而齊侯省刑」
めぐみあはれむこころ。孟、離婁「今有──仁聞、而民不被其澤」
大將たるものの身に備ふべき五っの德。宋史、岳飛傳「張俊嘗問用兵之術、飛曰、─────、闕一不可」孫子、始計「將者、知信仁勇嚴也」に本づく。
○なさけ心のある人。○道德の全き人。論、子罕「──不憂」論、憲問「──必有勇」=仁人。
仁者は人を愛す、故に天下に敵なし〔孟、梁惠王〕
仁者は義に安んじて、動き遷らざること山に似たり、故に山を樂む。論、雍也「知者樂水、────、知者動、仁者靜」
なさけふかくしてよわし。史記「孝惠爲人──」
仁德ありていのちながし。漢書、禮樂志「驅一世之民、躋──之域」論、雍也「仁者壽」
○仁の道を行ふてだて。孟、梁惠王「無傷也、是乃──也」○醫術。
あはれみておもひやる。後漢書、張敏傳「寬明而──」
民をめぐむまつりごと。孟、滕文公「──必自經界始」
仁者の心の靜なるをいふ。仁者樂山を見よ。
なさけぶかくしてよし。
民を治むるに仁惠き以てしたしうるほし、義烈を以てとぎみがく。次第に仁義の道に入らしむる義。漢書、董仲舒傳「漸民以仁、摩民以義」=漸仁摩義。
めぐみあはれむ。蔡琰詩「阿母常──」
めぐみいつくしむ道。易林「──隔塞」
めぐみのうるほひ。晉書「甘露者──也」
なさけ深き至善の德。宋史、樂志「禮樂交修、──該洽」
仁道を行ふ上には、師と雖も遜るに及ばず、當とは仁を爲すの時に臨む義。論、衞靈公「子曰、──────」
心に仁德を守るは、人の無上の安宅なるをいふ。孟、萬章「孟子曰、──────、義人之正路也」
○仁德の敎化。唐太宗、述聖賦「流惠澤于瀛表、鼔──于區外」○扇の異名。晉書、文苑傳「袁弘出爲ニ東陽郡、乃祖道於冶亭、時賢皆集、安欲以卒迫試之、臨別執其手、顧就左右、取一扇而授之、曰、聊以贈行、弘應聲答曰、輒當奉揚──慰彼黎庶、時人歎其率而能要焉」
人をいつくしむといふきこえ〔孟、離婁〕仁心參看。
いつくしみふかくして勇氣あり。漢書、辛慶忌傳「質行正直、──得衆心」
風俗の美なる鄕。張衡、思玄賦「匪──、其焉宅兮、匪義迹、其焉追兮」論、里仁「子曰、里仁爲美」に本づく。
佛 佛法守護の二神の稱、左輔を密迹金剛、右弼を那羅延金剛といふ。寺門に此二神を安んじたるを──門といふ。
從(彳部八畫)の本字。
ジヨウ ニヨウ [蒸]
○よる(因)もとのままに從ふ。論、先進「─舊貫如之何」○なほ、かさぬ、かさなる(重)○しきりに(頻)漢書、谷永傳「饑饉─臻」○すなはち。=乃。○──は志を得ざる貌。淮南、精神「──然知盆瓴之足羞也」又、衆き貌。○遠きちすぢの子孫。
同訓異義
シキリニ 仍·頻·連·荐·累·切○仍は以前に變らず、つづきての意にて、連の字に近けれども、閒の切れざる意はなし。詩經「仍執二醜虜一」○頻はたびたびの意、醫書に「頻頻進レ之」の如し。○連は引きつづきて閒の切れざる意。史記「連與レ漢戰」○荐は草の稠シゲれる義より轉用して、助辭とす、洊に同じ、重なり、つづきてと譯す。左傳「不虞荐至」○累はかさねがさねつづく意、累年·累代と熟す。○切は身にしみこむ程、切セチにする義。
代代の義。晉書「──多故」=累代·歷代·累世。
昆孫の子〔爾雅、釋親〕
シヨク ソク [職]
○そばだつ(攲)かたぶく(傾)○ほのか、かすか(幽)○かたはら、そば(旁)側に通ず。○いやし(陋)○うらがへる「反─」魏志、陳思王植慱「瞻望反─」○四聲の中にて平聲を除き、上聲と去聲と入聲とに屬する字。
平聲以外卽ち上·去·入三聲に屬する韻字。平韻の對。
身をそばだてて步く、わきによけて行く。=側行。
絕句の詩の起句の第二字、仄字なるをいふ。平起の對。
ゆふひ、かたぶく日。梁簡文帝詩「──暫畱光」=夕日·斜日·斜陽。
仄韻に同じ。沈約文「上去入爲──」
形がそばだちて先の下に垂れたる冠。漢書、五行志「昌邑王賀、遣治───」
詩の變格、律詩八句すべて第一字を仄字にするをいふ。詩人玉屑「八句──格」
うはさにきく、ほのかに聞く。列子「吾──之試以吿汝」=側聞。
微賤 イヤシ なる身分。漢書、循吏傳「孝宣繇──、而登至尊」=側陋。
フ フウ·フ ボク [遇]
○たふる、ふす(偃·僵)身が倒れる。○たふす、たふれしむ。○斃れ死す。唐書、薛仁貴傳「所射皆應」弦而─」
たふれふす、たふる。元好問詩「旗旆紛──」=偃仆。
たふる。潘尼、西道賦「輸輿顚覆、人馬──」=僵仆。
たふれてねる。
次條に同じ
たふれふす。=顚仆。
たふれる、頓はつまづきたふれる。王充論衡「猶有──之禍」=仆顚·顚倒 テンタウ
たふれふす。
たふれて死ぬ。=斃死。
佛(人部五畫)の古字。
リヨク ロク [職]
○あまり、數の餘。○十分の一。○三分の一。○つとむ(勤)
3畫
イ [紙]
もと?に作る
○もて、もちて、もちひて(用)孟、梁惠王「─羊易之」○なす(爲)論、爲政「視其所─」○まこと(實)○やむ。孟、梁惠王「無─則王乎」=已。○ゆゑ(故·因)詩、衞風「何其久也、必有─也」○おもふ(思)おもんみる、おもへらく(惟·以爲)○して、にして、接續の辭。史、仲尼弟子傳「城高─厚、地廣─深」○上句を承くる辭。書、泰誓「作奇技淫巧、─悅婦人」○と、ともに。韓愈、剝啄行「凡今之人急名─官」=與。○あたふ(與)○とも、つれ。○とる(執)○ひきゐる(率)左、僖二六「凡師能左右之曰─」○にる。=似。
同訓異義
モツテ 以·用○以は國語のでに當る、事レ之以レ禮、葬レ之以レ禮は、事ふるにも禮でつかへる、葬るにも禮で葬るなり。○用は以より意つよし。論語「怨是用希」
このかた。=以來。
これよりほか。以内の對。
このかた。=以降·以來。
これよりのち。以前の對。=爾後。
心から心に傳へる、深奧なる理義は、言語にてあらはし難く、心にて悟るべしとの義。傳燈錄「佛滅後咐法於迦葉────」
これよりかみ。以下の對。
これよりにし。
これよりまへ。以後の對。
これよりひがし。
これよりうち。以外の對。
これよりみなみ。
天子に上奏する。禮、曾子問「有司──曰、古之禮、慈母無服」
これよりきた。
それから、このかた、史、秦紀「自今──」=爾來·以降。
これょりまへ、これよりさき。
おもふには、おもふやうは。以の字一字にても同じ。韓愈、論佛骨表「伏──佛者夷狄之一法耳」
①キツ·コツ [物]
②ゴツ·ゴチ [月]
①いさまし、たけし、さかんなり、勇壯なる貌。○──は高大なる貌。
②舟の動く貌。
○勇壯なる貌。書、秦誓「──勇夫、射御不違」○高大なる貌。詩、大雅「崇墉──」○ ゴツコツ 舟の動く貌、又、安からざる貌。柳宗元詩「巨舟軒昻──還」
たけく勇ましき貌。公羊、宣六「──從乎趙盾而入」
シ ジ [支]
○たふ(任)○かつ(克)○俗に子に通ず。
くはし、いちぶしじゆう。子細の俗用。
昆蟲の孵化して未だ成蟲とならざる者の稱。
シ ジ [紙]
○つかふ、つかへまつる、官職に就く、貴人に奉侍する。○つかへ(仕宦)みやづかへ。○まなぶ(學)○あきらか、あきらむ(察)○事又士に同じ。○ 國 つかまつる、爲す、又、致すの敬語。
仕宦して役所の中に隱れる。紀談「唐暢爲江西從事、不親公牘、人稱──」=吏隱。
國 商品などを買ひ入れる「──帳」
官を辭して退く、辭職する。公羊、宣元「退而──」=致事·挂冠。
官に仕へて吏と爲ることを得る家がら。唐書、韋丹傳「立學官取──子十五人」
官職上の事務と學問と、竝に長じ進む。論、子張「子夏曰、仕而優則學、學而優則仕」
國 なりゆき、事のありさま。「──に因りては」
國 工夫してくみ立てる、小說·脚本 キヤクホン などのすぢがき。=脚色·くみたて。
官職につく。白居易詩「──當作執金吾」俗に宦を官に作るは非なり。
官につかへてすすむ。後漢書、崔駰傳「常以典籍爲業、未遑──之事」
國 古、諸國より徵集して禁中の雜役に使ひし人夫。
宦につかふる道。陳造詩「──決矣息交遊」=官途·仕路。
仕宦の本旨は道を天下に行ふにありて貧しき爲めにあらず。孟、萬章「孟子曰、────也、而有時乎爲貧、娶妻非爲養也、而有時乎爲養」
○債權者に仕拂する義務ある國務大臣又は他の當該官吏が、國庫、又金庫に向ひて發する仕拂方の命今。○債權者に仕拂ふべく債務者に對して裁判所より發する命令。
仕途に同じ。金史「侵尋──」
ジン [震]
軔に通ず
○ひろ、周尺の八尺、一說に七尺、又四尺とす、又、軔に作る。○深さをはかる(度)○たかし(高)ふかし(深)○みつ、牣に通ず。司馬相如、子虛賦「充─其中」
セン [先]
僊に同じ
○輕く擧がる貌。杜甫詩「行遲更覺─」○山に入りて、不老不死の術を修むる法「─術」又、其の術を得たる人、やまびと、せんにん。○ひじり(聖)凡俗を超越せし人。「草─」杜甫詩「自稱臣是酒中─」○うつる(遷)○胎─ タイセン は鶴の異名。
人の死を敬ひていふ、登仙して去るの義。=仙逝。
○宮中のには。沈佺期詩「御柳垂──」掖は宮城の正門の左右の掖門。=宸掖·宮掖。○翰林院の異稱。東軒筆錄「翰林淸要、謂之──」
國 草花の一種、石竹科に屬し、高さ一二尺に達し、秋日、石竹に似たる花開く、山城嵯峨の仙翁寺より出づ、故に名づく。=剪秋羅。
女の仙人。盧照鄰詩「臺前鏡影伴──」=仙女。
せんにん、又、其の家。十洲記「元洲有五芝、服此得長生不死、上多──」
仙人の鍊りたる藥。呂溫、題尋眞觀李寬中秀才書院詩「願君此地攻文字、如鍊─────」
仙人の住する所、俗氣を離れたる幽靜の地をいふ。劉滄詩「蓬萊──海門通」=仙鄕·仙寰 センクワン 仙境。
○鶴の異名〔談苑〕=仙禽。○仙人。唐玄宗詩「──厭人閒」=羽客。○杜鵑 ホトトギス の異名〔柳軒雜識〕
仙人の奏する音樂。白居易詩「──風飄處處聞」
仙人の住める家。=仙府·僊宮。
鶴の異名。鮑照、舞鶴賦「偉胎化之──」=胎仙。
仙人の住む地。又、俗をはなれたる勝地。李中詩「羽人曾許駐──」=仙境·仙寰。
仙人の居る所。周必大詩「康廬第一推──」=僊境·神仙之境。
○仙人のすまゐ。俗氣を脫せし幽淸の室。李白詩「幽簾淸寂若──」○山名、卽ち靈隱山。
仙人のすむ處。又、俗を離れたる住居「遊──」=仙境·仙寰。
桃の異名、桃は西王母の故事、又、武陵桃源·天台山などに植ゑられて仙人と緣深きが故。=仙桃。
國 伊豫宇和島に産する一種の厚くして强きかみの名。=仙過紙。
仙鄕に同じ。陳旅詩「龍虎之山仙所寰、我昔夢寐游其閒」寰は區畫せし場所。
月桂樹をいふ、進士の試驗に及第せしにいふ。黃韜、出京別同年詩「卻說聯臂昇天路、一枝──已攀援」
○神仙の居る所、俗人の到ること能はざる靈境。雲笈七籤「福地第四曰東──、福地第五曰西──」○鼻の異稱〔眞誥〕
螻蛄 ケラ の異名。
仙人に同じ。杜甫詩「少容疑柱史、多術怪──」=仙翁。
仙人の骨相、風采の非凡なる形容。杜甫詩「自是君身有──」
仙人の乘るいかだ、又、堯の時、天を一周せしいかだ、查は楂に同じ。拾遺記「堯時巨查浮西海上、十二年一周天、名貫月查」
才思の凡俗を超絕せるをいふ。詩話總龜「宋景文評唐人詩云、太白──、長吉鬼才」
紫苑 シヲン の異名。=茈菀。
すぐれて靈妙なる草。十洲記「瀛洲生神芝──、長洲有──靈藥」=神草。
仙人の居る山。白居易詩「忽聞海上有──、山在虛無縹渺閒」
○せんにん。李商隱詩「──玉京路」=仙人。○ 俗 女子の容貌の秀美なる者。白居易、長恨歌「其中綽約多──」
容貌秀逸にして仙人の如きをいふ。朱熹詩「──瀟灑出風塵」
仙人のすがた、玉の體質、氣品のすぐれたる美人の形容。古今詩話「────·肌香體輕」
仙人のここる、高尙にして塵俗を超脫せし心。文心雕龍「正始明道、詩雜──」
隱者の著る鶴のけごろも。鄭谷詩「雲霞──挂吟身」
仙人の行ふ神靈の術。朱熹詩「不學飛──」
仙遊に同じ。
仙人の名籍。雲笈七籤「名上──」
舞をまふ貌、仙は僊に同じ。詩小雅「屢舞僊僊」
蝙蝠 カハホリ の異名〔揚子方言〕
佛寺の稱。藝林伐山「佛寺曰僊陀、又曰仁嗣又曰寶坊、又曰香阜、又曰柰園」=金山。
國 陸前國仙臺より産する袴地の名。
もも。酉陽雜俎「──出郴州蘇耽仙壇」=仙果。
國 中仙道の略、近江·美濃·信濃·上野等の諸國を經由する街道。
仙人が煉りて作りし不老不死の藥。眞誥「遂得──升天」=仙藥·神藥·靈丹。
仙人の居所。元結詩「九疑第二峯、其上有──」
枸杞 クコ の異名〔抱朴子〕
天子の儀仗をいふ。岑參詩「玉階──擁千官」
長命を保つといふ珍木。宋史「壽比──」
女の仙人。=仙娥。
○仙人の居所。白居易、春題華陽觀詩「帝子吹簫逐鳯凰、空畱──號華陽、落花何處堪惆悵、頭白宮人掃影堂」○ 國 仙人の居所に比して、上皇の御所、院の御所。轉じて上皇を斥す。
仙人の使役する童子。杜甫詩「有時騎猛虎、虛室使──」
仙は遷、遷りて山に入り、老いて死せざる人。南史、隱逸傳「荊楚之──也」=仙公·仙客。
えな。=胞衣 ハウイ
○霸王樹 サボテン の異名。花鏡「───非草非木、非果蔬、無枝無葉、又幷無花、土中突出一片、與手掌無異、其膚色靑綠、光潤可觀」無花とあれども夏時紅白色の花開く。○仙人が手掌を以て盤を擎げ甘露を承くるやうに作りしもの〔漢書、武帝紀〕=仙掌。○茶の異名。
ちちの異名。=乳汁。
椹 サハラ の異名。
仙人のなかま、淸貴の位に喩ふ。黃庭堅詩「金玉堂中寂寞人、──時得共朝眞」
詩文の特にすぐれたるにいふ。貫休詩「常思李太白、──驅造化」
神仙の通行する時のさきばらひ、轉じて天子の御通行をいふ。
仙人の居所。高適詩「仙宮──有眞仙」
仙人道士の骨相、非凡の風采にいふ。李白、大鵬賦序「有────、可與神遊八極之表」
すぐれてかんばしきかをり。
飮めば仙人となり得らるといふ靈藥〔史、始皇紀〕
○仙人の乘る車。○ 國 上皇の御乘物。
神仙をいふ。鮑照、昇天行「從師入遠嶽、結友事──」朱熹詩「武夷山上有──、山下寒流曲曲淸」
セン [先]
千に通ず
○ち(千=百の十倍。○千人の長、をさ、かしら。○田閒の道。=阡。○──は草しげる貌。=芊芊。
草の盛んなる貌。謝朓詩「遠樹暖阡阡」李善の注に──に作る。=芊芊。
○千百に同じ。漢書、食貨志「亡農夫之苦、有──之得」注「仟謂千錢、伯謂百錢、今俗猶謂百錢爲一伯」○田閒の道をいふ。漢書、食貨志「商君開──」注「──田閒之道也、南北曰仟、東西曰伯」=阡陌。○千人の長と百人の長と。史、陳涉世家「俛仰──之中」
①タ [歌]
②タ·ダ [箇]
佗·它に通ず
①ほか(別·異)○よそ、異りたる所。○別の事、よそごと。孟、梁惠王「王顧左右而言─」○ふたごころ(二心)詩、鄘風「之死矢靡─」○ほかのひと(別人)○たれ(誰)かれ(彼)○方言、人を呼びて─といふ。○よこしま(邪)法言「君子正而不─」
②おふ、おはす。=馱。
自己の利益を犧性にして、他人の爲めに力を盡す。自愛の對。「──主義」
他心に同じ。
○他人の家。詩、唐風、葛生篇、傳「喩婦人外成於──」○ 俗 彼といふ義。杜審言詩「羅敷獨向東方去、謾學──作使君」
國 あの世に行く義、死去する、逝去する、貴人の死にいふ。
他の地に行く。魏書、列女傳「始云──」=他出。
外の技藝。大學「斷斷兮無──」
ほかのえだみち。韓愈詩「通塗無──」
よその土地。古樂府「夢見在我傍、忽覺在──」
他國に來て、舊き知己に出會する、喜ばしきことの一。久旱逢甘雨〔六一頁四段〕を見よ。
○他人の言葉、又、蔭口 カゲグチ 楚語「寧聞──」○ タコン 國 人に話す、外の人に漏らす。
國 ひとにみられる、他人の目に入る。
ほかの事情。離騷「豈其有──兮」
己の國のほかの國。父母之國の對。孟、盡心「去齊接淅而行、去──之道也」=外國·他邦。
外の姊妹の子、をひ。唐書「武帝愛養宮中、異──」
他人に殺される。自殺の對。
他の山から出る粗惡の石も、以て我が玉を磨くに足る如く、不善の人も善人の德器を成すの具たるに喩ふ。詩、小雅「────、可以攻玉」
あだしごころ。檀弓「或敢有──」=二心。
○前日。孟、梁惠王「──君出、則必命有司所之」○後日。孟、滕文公「──求見孟子」
○ふたごころ、あだしごころ。=二心·異志·他志。○ほかの心、異なる存念。
○ 佛 今生以外、諸の世界に生るろ義「──の緣」○ タセイ 來世に生れ出づ。李商隱詩「──未卜此生休」=後生。
外へ出で行く。酉陽雜俎「沙彌道蔭、因──夜歸、中路忽遇虎」
畱守を使ふ。過庭錄「有建章黃生者、問先子所居、以刺投謁、先子昧其人、託以他出」
他の場所。漢書、五行志「風發於──」
おのれと異なる姓。
他鄕の宴席。王勃詩「九月九日望鄕臺、──他鄕送客杯」
ほかの考、別の策。=他圖。
別に他の奇策の端を發すべきものなし。史、信陵君傳「今有難───、而欲赴秦軍、譬如以肉投餒虎、何效之有哉」
心腸の內、他の惡意なし。史、衞綰傳「上以爲廉忠實無他腸」
他の事物を處理する動作。例へば、人を敎ふ、政を行ふの類。自動の對。
他動の意を表はす動詞。自動詞の對。
これより外にはなし。孟、吿子「學問之道──、求其放心而巳矣」
前條に同じ、又、この外の心なし、二心なし。詩、鄘風「之死矢──」
○我よりほかの人。詩、小雅「──有心、予忖度之」○ 國 親類を除きしほかの人。
他人の心を、予は之を善く推測する〔詩、小雅、巧言篇〕孟、梁惠王篇に之を引用す。
貧女の憐むべきをいふ。全唐詩、秦韜玉、貧女詩「蓬門未識綺羅香、擬托良媒益自傷(中略=苦恨年年壓金線、───────」
○前年に同じ。陸游詩「──鼓角楡關路、馬上遙看與此同」○後年。
他心に同じ。
ほかのかた、異る方角。杜甫詩「萬里各──」
とつくに。論、鄕黨「問人於──再拜而送之」=外國。
他人にきかれること、ひとぎき。=外聞。
們はともがら、彼等·彼輩に同じ。
國 己の流義と異る流義。
佛 阿彌陀如來の本願の力。自力 ジリキ の對〔敎行信證〕轉じて他人の助力。
タイ ダイ [隊]
○よ、よよ(時世)○人の一生涯、人の此世に生存する閒。○かはる(替=入りかはる「更─」左、莊八「及瓜而─」○繼ぎて任ずる「擇─」○父子相繼ぐをいふ。○かはるがはる(更)○國名、趙の先。○ 國 しろ。○ね、價。○れう、材料。
同訓異義
カハル 代·變·化·易·替·更等の別は變(言部十六畫)の條を見よ。
他人の印の代りに己の印を捺する。
物品のあたひ。=價金。
人に代りて講義をする。南史、紀少瑜傳「六經博士鮑皦、雅相欽悅、時皦有疾、請少瑜──」
國民に選擧せられ、代表者となりて、帝國議會に出で、立法に參與する人。
國民が代議士を選びて、立法に參與せしむる政體。
郵便局が差出人の委託に依り、其の郵便物を、到著郵便局にて代金と引換に受取人に交付し其の代金を取り立てて差出人に交付するもの。
○ 國 德川時代の地方官、年貢戶籍等の事を掌る。○其の役所を──所といふ。=郡齋。
人に代りていふ。書、說命「夢帝賚予良弼、其代予言」
原吿、又は被吿の代理となりて口をきく者。辯護士の舊稱。
○詩文などを人に代りて作る。○ カハルガハルオコル 入りかはりて出る。孟、滕文公「暴君──」
國 人に代りて神佛に參詣 サンケイ する。
國 主治醫の代理をして病人の病を診察する。=代脈。
入りかはりて辭し去る。淮南、兵略「春秋有──」
他人に代りてつぐなふ。又、損害に對して其の代價を拂ふ。宋史、汝明傳「汝明爲鬻橐中裝、──之」
次第に入りかはる。離騷「春與秋其──」
人に代りて書く。=代筆。
數字の代りに符號文字を用ひて計算する算法。=點竄 テンザン
田より上るみつぎにかふ、年貢米 ネングマイ のかはりに納むる稅。唐書「以布──」
よよ。法苑珠林「──穿鑿」張若虛詩「人生──無窮已」=世世。
年年、場所をかへて耕す田。漢書「歲代處、故曰──」
他人に代りて稅を納める。
みやうだい(名代)=代理人。
代郡の馬邑をいふ、又其の地より產する名馬、代は卽ち冀北。史、蘇秦傳「秦南有巴蜀、北有──」
北方の代郡に產する馬は南方の越の國を慕ひ思はず。李白詩「─────、越禽不戀燕、情性有所習、土風固其然」
故鄕の忘じ難き喩。鹽鐵論「樹木數徙則?、蟲獸徙居則懷、故─────飛鳥翔故巢、莫不哀其生」=胡馬依北風〔古詩〕
人に代りて書く。湧幢小品「會試、沈同和以──中第一名、──者趙鳴陽中第六名、俱吳江人、事發、竝罪除名」
衆人又は或團體に代りて意見をあらはし明かす「──者」
人に代りて事を辦ず。=代理。
代診に同じ。
名詞に代用する詞、人代名詞·指示代名詞の二に分つ。
○ 國 物のあたひ、代金。○ シロモノ 材料、又、賣買する品物、商品。
人にかはりて事を處理 キリモリ する、みやうだい。=代辦。
物のあたひ。=代金。
ヂヤウ [養]
○つはもの、劍戟の總名、兵器。○つゑ、杖に通ず、つゑつく。魏徵詩「─策謁天子」○よる(倚)南史「─義而動」○たのむ(憑)─氣 キヲタノム は使氣 キヲツカフ に同じ。○唐の制にて宮殿の下の兵衞をいふ。儀衞志「朝會之─三衞番上分爲五─皆帶刀」○開─は戰を開く義。
同訓異義
ヨル 仗·依·寄·憑·凭·賴等の別は依(人部六畫)の條を見よ。
フ [遇]
○あたふ(予·畀)さづく(授)わたす「交─」○財貨を支出する。○つく。○よる(寄)よす、たのむ(託)○まつりの名。=祔。○ 國 つき○故にの義「病氣に─缺席」○對しての義「壹圓に─五本」
書物を版にする。=上梓。
言ひ附ける、又、たのみ。法苑珠林「親受──」=囑託。
たのみ、たのむ。諸葛亮、出師表「恐──不效、以傷先帝之明」=委託·寄託。
あたふ、畀は與。書經「──四方」=付與。
火にて焚く、祕密の手紙などを火中に投じて焚く義、丙は火。=付丙丁。
あたふ、さづく。杜甫詩「──後世傳」
①レイ·リヤウ [敬]
②レイ·リヤウ [庚]
③レイ·リヤウ [靑]
○のり、おきて(法律)「律─」「法─」○おほせ、をしへ、いましめ(吿戒·敎戒)孝經、諫爭「子從父之─可謂孝乎」○いひつけ(命)「命─」○をさ、つかさ、一縣の長官「縣─」○よし(善)詩、大雅「─聞─望」○人の親族を稱する敬語「─兄「」─息」
②したがふ(服從)○つかふ(使)孟、梁惠王「便嬖不足使─於前與」○しむ、せしむ(俾)○── レイレイ は犬のくびたまの環 ワ の鳴る音○詩、齊風「盧──」
③鴒に通ず、脊令 セキレイ は鶺鴒に同じ。
同訓異義
シム 令·使·遣·敎·俾○令は使令也と註す、使よりは意重し、命令の義より轉用す。史記に「令二張儀詳去一レ秦」の如し、詳は佯に通ず。○使は令也·役也と註す、人に命令して爲さしむる義。論語「雍也可レ使二南面一」○遣は發也·使レ人也と註す、我より拘束せずして、彼に任す意あり。史記「乃遣三張良往立レ信爲二齊王一」○敎は敎へて爲さしむる義なり。左傳「子敎下寡人和二諸戎狄一以正中諸華上」○俾は使也·從也と註す、使よりは輕し、詩書には多く見ゆれども、後世の散文には用ふること希なり。
人のむすめの敬稱。剪燈新話「今則謹?──、同此歸寧」=令孃。
よきはかりごと。=令謨·令圖。
周代の楚國の上卿。論、公冶長「舊──之政、必以吿新──」令は善、尹は正す義。
人のむすめの敬稱。=令愛。
人のめしつかひの敬稱。
おきて、規則·法律。魏志「著之──」
人の妻の父の敬稱。合璧事類「靑城山爲五嶽之長、故名丈人山、今世呼人婦翁爲──」=令岳·嶽翁。
法令の首章、法令に先後の次第ありて──·令乙·令丙といふ、轉じて廣く政令の義とす。漢書、宣帝紀「──、死者不可復生」宋史、楊時傳「凡元祐之政事、著在──」
人の妻の敬稱。侯鯖錄「東坡再謫惠州、一老擧人年六十九、爲鄰、其妻三十誕子、公與詩曰、──方當而立年、賢夫已近古稀年」=令閨。
よろしきにかなふ威儀。詩、大雅「──令色、小心翼翼」
漢末以後、尙書令の異稱。〔晉書、荀勗傳〕
○己の兄、詩、小雅「此──弟、綽綽有裕」○後世は他人の兄の敬稱。
人の妻の敬稱。=令室。
○よき月。儀禮、冠禮「──吉日」○陰曆の二月の異名。
令正に同じ、眷は家族。
人の父の敬稱、嚴は嚴君、卽ち父。
中書令の尊稱。後魏書「高允爲中書令、文帝重之、不名、呼爲──」
令閨に同じ、閫は門のしきみの內、卽ち家內。=尊閫。
○善き妻。詩、魯頌「魯侯燕喜、──籌母」=良妻。○人の妻の敬稱。=令正。
よきさむらひ。蜀志「龐統荆州──」=善士。
善き子、他人の男の子の美稱。北史、高琳傳「琳母嘗祓禊泗濱、見一石光彩朗潤、遂持以歸、是夜夢人謂曰、夫人向所將來石、是浮磬之精、若能寶持、必生──、俄而有娠生琳」=令息·賢郞·令郞。
○皇后·皇太后の命令〔金史、章宗紀〕=懿旨。○ リヤウシ 國 東宮·三宮·中宮·親王の命令。
人のあねの敬稱。
人の母の敬稱。=令堂·令萱。
よきあとつぎ。黃庭堅文「向見──、眉目明秀」=令緖。
よき日。後漢書、韋玄成傳「卽以──」=吉日。
人の妻の敬稱、室は內室。=令正。
善き人。詩、邶風「母氏聖善、我無──」
めでたき日。任昉文「以令月──肅膺典策」=吉日·佳辰·佳節。
官府より出す命令の書狀、さしがみ「檢事の──」
人のむすめの敬稱。=令愛。
よきほまれ。桓範、薦管寧表「束脩著行、少有──」=令名·令譽。
をはりをよくす。琴賦「又善始而──」=善死。
人のをぢ、又はをば卽ち叔父·叔母の敬稱。
よきあとつぎ、人の相續人の敬稱。=令嗣。
顏色をよくして人の氣に入るやうにする。論、學而「巧言──、鮮矣仁」
人の妻の敬稱、正は政に同じ、家政の義。=令政·相正·令閨·令閤·令室·令夫人。
前條に同じ。
よきむこ、人のむこの敬稱。
よき節日。宋之問詩「──三秋晚、重陽九日歡」=佳節。
俗 他人のむすめの敬稱。=令愛·令孃。
人の男の子の敬稱。=令子·令郞。
人のまごの敬稱。
人の父を呼ぶ敬稱。=令嚴。
俗 人の妻の敬稱、おくさん。
善き北堂の義、人の母の敬稱。=萱堂·令慈。
縣の長官。连文釋義「漢法·縣萬戶以上爲令、以下爲長」
人のむすめの敬稱。=令孃·令愛。
人の妾などの敬稱。
令女は曹文叔の妻の名、夫の死後、其の家之を他に嫁せしめんと欲す、令女耳鼻を斷ちて從はず、遂に其の貞節を全うせし故事〔魏志、諸夏侯曹傳、注〕
己のおとうと、又、他人の弟の敬稱。令兄を見よ。
人の從子 ヲヒ の敬稱。杜甫詩「──才俊茂、二美有何求」
よきはかりごと。=令謨。
善き德行。詩小雅「顯允君子、莫不──」=善德。
善き人望。令聞令望を見よ。
人のをぢ、又はをば、卽ち伯父·伯母の敬稱。
よきてほん、よきのり。
身分ある人の妻の敬稱、古、諸侯の妻をいふ、夫は扶、夫を扶 タス くる義。
よきほまれありて人に慕はる。詩、大雅、卷阿「────、豈弟君子、四方爲綱」
人の母の敬稱。蔡邕文「於其──、受玆義方」
よきはかりごと。=嘉謨·良謨·令猷·令圖。
尙書令と僕射 ボクヤ と〔晉書、殷浩傳〕
○己の妹の稱。左思詩「峨峨──、應期誕生」○人のいもうとの敬稱。
法令は上に其の實なけれぼむなしく行はれず。管子「國不虛重、兵不虛勝、民不虛用、────」
よきほまれ。孝經、諫爭「士有爭友則身不離於──」=令聞·美名。
よきほまれ。=令名·芳譽。
人の男の子の敬稱。古詩「直說太守家、有此──君」=令子·令息。
國 書名、十卷、大寶令を註解せしもの、淸原夏野等勅を奉じて撰す。
同(口部三畫)に同じ。
4畫
イ [支]
○これ、この(是)揚雄、河東賦「─年暮春」○かれ、かの(彼)詩、秦風「所謂─人、在水一方」○ただ、これ(惟·維)發語の辭。儀禮、士冠禮「嘉薦─脯」○聲又は動作を形容する無意味の助字。後漢書、崔寔傳「智士鬱─於下」
蟲の聲。劉禹錫賦「樹槭槭兮蟲──」
蟲の名、ゎらぢむし、おめむし、濕地に生じ、體灰白色橢圓形にして數對の足を有す。詩、豳風「──在室」=鼠婦·蛜蝛。
へつらふ貌。趙壹、窮鳥詩「──北堂上、骯髒倚門邊」一說、呻吟 ウメク の聲。
天下を治平する策をいふ。伊尹は殷の湯王の相、太公は周の文王の相呂尙、共に古の名臣。蘇軾、畱侯論「子房以蓋世之才、不爲──────、而特出於荊軻聶政之計」
○むしあつき貌。何晏賦「感乎溽暑之──」○氣の舒 ノ びざる貌、心が結ばれふさぐ貌。班彪、北征賦「永──其誰愬」=鬱伊·鬱陶。
殷の湯王の相伊尹と、唐虞の際の相皋陶と、共に古の良相。後漢書、班固傳「將軍宜詳唐殷之舉察──之薦令遠近無偏、幽隱畢達」
伊尹は殷の太甲を桐宮に放きて改悟せしめたる良相、漢の霍光は昌邑王賀を廢して孝宣帝を迎へ立てし名臣。後世逆臣が廢立をはかる義に轉用す。晉書、桓溫傳「桓溫陰蓄不臣之志、及枋頭之敗、威名頓挫、郄超勸溫行──之事、以立大威權、溫遂入朝、白太后廢帝」
讀書のこゑ。=咿唔·吾伊。
○地名、唐代に置く、今の新疆哈密縣に在り。○樂曲の名。白居易詩「新敎小玉唱──」
殷の湯王の相伊尹と、周の武王·成王の相、周公旦と、二人共に古の良相。潘岳、西征賦「彼負荷之殊重兮、雖──其有殆」
宋の程顥の弟、名は頤、字は正叔、宋の哲宗に仕へ、晚に龍門伊水の上に居る、學者────と稱す〔宋史、道學傳〕=程伊川。
國 書名、二卷、在原業平の作といへど詳かならず、和歌を主とせる隨筆體の文にして、主として業平一生の行事を記す。
伊尹と太公望と、共に天子を輔佐せし良相。後漢書「──之策、何以加之」=伊呂。
伊尹と傅說と、共に良相。後漢書、崔駰傳「嘉昔人之遘辰兮、美──之選時」
名は海、莘野と號し、別に匯川·雲水伊人·也堂などと號す、孚九は、其の字、淸の吳興の人、南宗畫を善くす、我享保年閒、長崎に來る、淸淡幽秀なる山水を畫きて名あり。
書名、十四卷、宋の朱熹撰す、周茂叔(濂溪先生)以下二程子交游門弟子の言行錄。
伊水と洛水との水が竭きる、國の滅亡する前兆とす。周語「伯陽父曰、昔───而夏亡、河竭而商亡」注「禹都陽城、伊洛所近、商人都衞、河水所經」
○河名、新疆省天山北路に在り。○地名、新疆省に屬す、漢の時の烏孫國の地、西陲の重鎭と爲す。
殷の伊尹と周の呂尙と、二人共に天子を輔佐せし良相。漢書、董仲舒傳「董仲舒有王佐之才、雖──無以加」=伊望。
國 はでやかに飾れるよそほひ、はで、いき。「──者」=豪華·華奢。
カイ ケ [卦]
介に同じ
○大いなり。○よし(善)詩、大雅「─人維藩」○俗に使用人をいふ「小─「」貴─」
①カウ [漾]
②カウ [陽]
①たぐひ、つれあひ(配耦)あひて(匹敵)○すこやか(健)つよし(彊)○ただし、なほし(正直)○あたる(當)=抗。たくらぶ(匹耦)○かくす(藏)○おごる(驕)淮南、齊俗「─行以違俗」
②たかし、高き貌。=閌。○あたる、匹敵する。○正直の貌。
おごりたかぶるおこなひ、驕傲 ケウガウ の行。字解を見よ。
をとこだて、伉は權力を以てつよく人に抵抗する義。漢書、朱博傳「──好交」=任俠。
つよくすこやか、又、其の者。漢書、宣帝紀「選郡國吏三百石──習騎射者皆從軍」
對等の禮を用ひて下らず。莊、漁父「萬乘之主、千乘之君、夫子未嘗不分庭──」=抗禮 カウレイ
つれあひ、伉は敵、儷は對、夫妻の義。左、成十一「不能庇其──」=匹耦·配偶。
キ キ [寘]
○くはだつ、計畫する。○つまだつ、踵 カカト を擧げて望む。漢書、高帝紀「日夜─而望歸」=跂。
くはだておよぶ。唐書、杜甫傳「揚雄·枚皋、可──也」
國 事業をくはだて起す、生産營利を以て目的とする者をいふ。「──家」
かかとを擧げて望む。漢書「天下之士、延頸──爭願自効以輔高明」
望みてうらやみ慕 シタ ふ。北史「鄕曲人士、莫不──焉」
くはだてはかる。=企畫。
くびすをあげてのぞむ。後漢書、袁術傳「非海內──之意也」
①キ·ギ [紙]
②シ [寘]
③キ·ギ [支]
①ゎざ、うでまへ「─能「」─倆」○はたらき(才智)○たくみ(巧藝)○ゎざをぎ(俳優)○女樂をいふ〔唐書、元載傳〕
②○そこなふ(傷害)忮に通ず。○かたむく(傾)
③むつゆび。=跂。○ゆるやか、舒 ノ ぶる貌。詩、小雅「維足──」
たくみ、てゎざ、又、才智 ハタラキ 老子「人多──」=技巧。
はたらき、うでまへ。史、孟嘗君傳「無他──」=技能、才能。
己にうでまへある故、人のするわざを見て、腹かゆくおもふ。潘岳、射雉賦「徒心煩而──」風俗通「高漸離變姓名傭保于人、聞堂上有客擊筑、──不能無出言」高漸離は擊筑の名人、伎一本技に作る。=技癢·伎懩。
○伎能に同じ。陸游詩「天狐──本無多」○智謀あるなり、倆、一に兩に作る。唐書、司空圖傳「伎兩雖多性靈惡」
①キウ·ク [尤]
②ク [遇]
①いこふ(息)○やむ、とどまる(止)○よろこび、さいはひ(慶)周語「以承天─」○うつくし、よし(美·善)書、召誥「惟王受命、無疆惟─」○なだむ、ゆるす(宥)書、呂刑「雖─勿─」○やすむ、やすみ(休暇)○職を辭してやすむ(致仕)杜甫詩「官因老病─」○大いなり「─命」○──はやすし(康)ゆるし、ひろし(寬容)又、其の形容。大學「其心──焉」又、つづまやか(儉約)なる貌。詩、唐風「良士──」一說、道を樂む心。
②あたたむ(溫)○いたむ(痛)なげく(歎)左、昭三「民人痛疾而或燠─之」=咻。
同訓異義
ヤム 休·已·息·輟·止·歇等の别は已(已部)の條を見よ。
心をやすめる。=休神。
よきさいはひ。宋書、武帝紀「時膺──」
やすみいこふ。唐書、崔元綜傳「性恪愼、坐政事堂、束帶終日不──」
めでたきしるしの事實にあらはるる義。唐書「武后以爲──、名曰慶山」=休徵·瑞應。
やすみ。南史、張敬兒傳「每──、輒傭賃自給」=休假·休日。
よろこばし、めでたし。又、其の事。申鑒「咎徵不至而──集之、壽之術也」=嘉祥 カシヤウ
學問を休む。
新聞雜誌等の發行を一時やすむ。
○心を樂易にしてゆたかなる貌。書、秦誓「其心──焉」○儉約なる貌。爾雅、釋訓「──儉也」○美くしく大いなる貌。公羊、文十二「其心──」○退き休む。次條を見よ。
唐の司空圖の亭の名。全唐詩話「司空圖謝病歸中條、結茅屋、命曰───」中條は山の名。
よろこびとわざはひと、咎は天のとがめ。北史「積善餘慶、積惡餘殃、豈非──耶」=禍福·吉凶。
美くしく大いなるいさを。班固文「──顯祥、永永無疆」
やすんじやはらぐ。左傳「一人行善、則百姓──」
會議を休む、會合をやすむ。
立派なるいさを。韓愈與于襄陽書「能垂──」
一時噴火の止みにる火山。
よろこび。王襃文「國祚遐長、臣民──」=嘉慶·祥慶。
やすみいこふ。=休息。
やむ。崔顥詩「直言榮華未──、不覺山崩海將竭」=休止。
しごとをやすむ、又やすみ。
罪人をやすましはなつ。後漢書、虞延傳「除細陽令、每至歲時伏臘、輒──徒繫、各使歸家、竝感其恩德、應期而還」
よきさいはひ。=休禎。
官吏のやすみ、吿は暇。李嶠詩「及此乘──、聊將狎遁肥」=休沐。
やむ、やすむ。易林「兵革──」=休歇。
やすみ休業日。唐書、裴寬傳「會──登樓」
心をやすめる、安心する。=休神。
心をやすめる。=休心·休意。
家にやすみいこふ。史、高祖紀「欲止宮──」
よきさいはひ、祥は福の先づ見はるるもの。書、泰誓「朕夢協朕卜、襲于──」=吉兆·休徵。
俗 離緣狀、みくだり半、俗に妻を出すを休といふが故。
國 或期閒、現在の職務を解除する制度。
よろこびと、憂と。晉語「爲晉──不背本也」=喜憂。
交戰國が互に申し合せて或期閒いくさを中止する。
よきさいはひ。晉書「本支奮百世、──鍾聖躬」
やすみいこふ。詩、周南「南有喬木、不可──」=休憩。
俗 說くことをやめる、話を轉ずる「閑話──」
よきしあはせ、祉は福。後趙錄「佛圖澄謂虎曰國家心存佛理、建寺度僧、當蒙──」虎は石虎。
年老いて官職を辭してやすむ、致は致仕。
興行などのやすみ、又、興行などに出勤せず。
うつくしく行きわたる。李陵文「榮聞──、幸甚幸甚」
よきしるし、休は美。漢書、成帝紀「──嘉應、頌聲竝作」
やすむ。晉書「殆無三日──」
よきさいはひ。後漢書、陳蕃傳「──符瑞、豈遠乎哉」=休祥。
めでたきしるし。全唐詩話「聖人啓運、──必彰」=休徵。
うるはしきとく。史、司馬相如傳「奉至尊之──」=善德·美德。
やすんずる。史、律書「結和通使──北陲」
國 休息し、又宿泊する。「──所」
よきてほん、好き模範。晉書「流──于無窮」
天の善き命令。易經「君子以遏惡揚善、順天──」
對は答なり、君命に答へ、其の意を衆に宣揚する。書、說命「敢對揚天子之休命」=對揚王休〔詩、江漢〕
大いに明か。左、宣三「定王使璀孫滿勞楚子、楚子問鼎之大小輕重焉、對曰、德之──、雖小重也」
官吏の暇を得て休息する義、漢は五日每に、唐は十日每に、一日家に歸り沐浴するを許さる、故にいふ。康熙字典「──言休假也、一曰下沐、一曰旬沐、唐法旬休者一月三旬、遇旬則──、卽十日一洗沐也」
やすみて保養す、又民の力をやすめ養ふ。
老者を安んず。禮記「──勞農」
すぐれてよきいさを。後漢書、和帝紀「薦功以揚──」=休光。
キフ [緝]
○人名、孔─は孔子の孫、字は子思。○──は虛詐 イヅハリ の貌。
①ギヤウ·ガウ [養]
②ギヤウ·ガウ [漾]
③ガウ [陽]
通音カウ
①あふぐ、首を擧げて上に向ふ。○心にしたふ「企─」うやまふ(敬)○おほせ(命)康熙字典「以尊命卑曰─」○毒藥などを飮む。唐書、楊收傳「自作書謝天子卽─鴆死」
②たのむ(恃)上の力をたのむ。史、平準書「衣食─給縣官」まつ(俟)よる(資)
③たかし、又、卬に作る。=昂。
あふぎうやまふ。
あふむきにねる。世說「郝隆七月七日、出日中──」
あふぎて天をみる。易、繫辭「易與天地準、故能彌綸天地之道、仰以觀於天文、俯以察於地理」
高山をあふぐ、止は助字。轉じて聖人を仰ぎ慕ふ義とす。詩、小雅「高山──、景行行止」
あふぎみる。史、孔子世家「衞靈公與孔子語、見蜚雁──之、色不在孔子、孔子遂行」
仰ぎて父母に事へ、俯して妻子をやしなふ。孟、梁惠王「仰足以事父母、俯足以畜妻子」
あふぎて取る。蘇軾詩「學如富賈在博收──俯拾無遺籌」
あふぎみる。=仰視。
あふぎいのる。北史、崔浩傳「父浩疾篤、乃剪爪截髮、夜在庭中──斗極、爲父請命、求以身代」
○あふぎのぞむ。岑參詩「──浮與沈」○心にしたひて恃みとする。孟、離婁「良人者所──終身也」
あふぎながめる。孫綽文「徘徊墟壠、──松林」
仰いで君恩に感ずる。吳越春秋「不勝──俯愧」
首をあげ足をつまだてて切に望む、あこがれ慕ふ。賈島詩「──碧霞仙」
○ 國 大いなる形容、多き義。○おほげさ、おほぎやう。
首を仰ぎて成功を俟マつ。書經「予小子垂拱──」
あふぎ望みてうらやむ。謝惠連、祭古冢文「──古風」
仰向けにたふれる。北夢瑣言「陳抽刀一揮、馬生──」
天をあふぎてなげく「投書──」
○天をあふぐ。史、滑稽傳「淳于髠──大笑、冠纓索絕」○ 國 大いにおどろく。=喫驚。
あふぎしたふ。晉書、陶侃傳「──天恩」
心にやましき所なければ、天帝に對しても愧づることなき義。孟、盡心「─────、俯不怍於地」
ケン [銑]
○わかつ(分)區別する。○物事を數ふに用ふ。康熙字典「俗號物數曰若干─「」物─「」事─」舊唐書「所斷罪、二十─以上爲大、十─以上爲中」○ 國 くだり、くだん、前に記したる事物、證書の結尾に用ふ「仍而如─」
しなじな。=事事·物物。
ことがらの數、事件の數。
國 事の箇條を書き記す帳簿。
ゴ グ [慶]
五に通ず
○いつつ(五)○五人。禮、祭義、注「五人爲─」○くみ、なかま(同級·同列)○まじはる(交)衆と雜處する、なかまとなる。史、淮陰侯傳「生乃與噲等─」○つらなる(行列)○五人組、古、五家相保つ組合。左、襄三十「取我田疇而─之」○古、軍法にて五人を一組とせし稱。左、桓、五「先偏後─」
名は員、父の奢、兄の尙、楚の平王の爲めに殺さる、員吳に奔り吳を導きて楚を伐つ、旣に郢に入る、時に平王已に卒す、乃ち其の墓を掘り、其の尸を出して之を鞭つこと三百す、申包胥曰く、子の仇を報ずること、甚しからずやと、子胥曰く、吾日暮れ途窮る、故に倒行して逆施するなりと、後ち吳王夫差を諫め從はれず、大宰嚭之を讒す、王乃ち子胥に屬鏤の劍を賜ふ、盛るに鴟夷の革を以てし、之を江中に浮ぶ、吳人之を憐み、爲めに祠を江上に立てて胥山といふ。
組合の戶籍〔唐書、秦彥傳〕
○周の制、軍中にて五人組のかしら。○周の制、五家の組合の長。○ 國 軍曹の次に位する下士。
なかま、くみ。=伴侶 ハンリヨ
兵卒五人組の符信 シルシ 〔漢書、馮唐傳〕
シン [寢]
おそる(恐)る貌。
恐るる貌。韓愈、祭鱷魚文「──俔俔爲民吏羞」
①ジン·ニン [侵]
②ジン·ニン [沁]
①あたる(當)はりあふ、抵抗する。左、僖十五「衆怒難─」○たふ(堪)○まこと(誠)恩を以て相信ずる。○あつし(篤)○おふ(負)になふ(擔)○たもつ(保)○ひきうける、保證する。○まがる、ねぢける。=壬。○をとこだて(俠)友道に篤し。詩、邶風「仲氏─只」○いだく(抱)○たつ(立)
②こと(事務)つとめ、やくめ(職責)○もちふる(用)官職を授くる「─賢」まかす(委)ゆだねる。○はらむ=(妊·姙)○きまま、ほしいまま(縱─)
重き荷物を負ふて遠き路を行くものは、如何なる地にても休息する。韓詩外傳「──────────、家貧親老者、不擇官而仕」次條參看。
背に負ふ荷は重くして、行くべき道は遠し。士人の責の重大なるに喩ふ。論、泰伯「士不可以不弘毅、─────、仁以爲己任、不亦重乎、死而後已、不亦遠乎」
きまま、心まかせ。公羊傳疏序「說者疑惑、至有倍經──反傳違戾者」=隨意。
運命の自然にうちまかせる。宋書「有心於避禍、不如無心於──」
務に服すべき期限。
官職に任ずる。皇侃、論語義疏「──得其人也」
をとこだて、相共に信ずるを任と爲し、是非を同くするを俠と爲す。史、季布傳「爲──有名於楚」
任所た同じ。
父兄の廕 オカゲ にて官に任ぜらるる子。漢書、王吉傳「宜明選求賢、除──之令」=蔭子。
人に事をまかせて使ふ。中庸「官盛──、所以勸大臣也」
ねぢけびと。書、舜典「柔遠能邇、惇德允元、而難──、蠻夷率服」=佞人。
うまれつきのまま。修飾を加へず。晉書「──不修威儀」
任地に同じ。
きままにしてしめくくりなし。晉書「嗜酒──、不拘小節」=放縱。
ままよ、さもあらばあれ。元稹詩「眼前仇敵都休問、身外功名一──」=從他·遮莫。
氣ままにして禮法に拘泥せず。晉書、阮咸傳「咸──不拘」
役目をつとむる所、奉職地。周禮、載師「凡──國宅無征」
使役につかる、罷は疲なり。漢書、賈山傳「賦斂重數、百姓──」
つとめ。
人を擧げて官に任ずる。
官に用ふるとやむると。漢書「不勝任也當免」
職をあたへ用ふる。漢書、嚴助傳「惟助與壽王見──」
古の國名、朝鮮の南端に在り、新羅·百濟の閒に介在す、今の慶尙南道の地、神功皇后新羅を攻め日本府を此に置く、後に新羅の爲めに滅ぼさる。
チユウ [送]
○なか、中に通ず。○つぎ、第二番目。○おとうと。○翁─は銅にて鑄りたる人。=銅人。○ 國 なか、人と人との關係「─よし」
孔子の弟子の名、字は子路〔史、仲尼弟子傳〕
夏三ケ月の中の月、陰曆の五月の異名。
○兩者の閒た立ちて世話をする、仲立 ナカダチ なかうど「──業」=中介。
孔子の弟子冉雍の字、德行を以て稱せらる。
中のあに、二番目の兄。=中兄·仲氏。
國 爭の中に入りて和解させる。=居中調停。
古の國名、漢書に中山に作る、今の陝西省涇陽縣の西北に在り。
兄弟中のなかの子。康熙字典「──亦曰中子」
二番目の兄。詩、邶風「伯氏吹壎──吹篪」=仲兄。
秋三ケ月の中の月、陰曆八月。中秋は八月十五日にて義異なり。
春三ケ月の中の月、陰曆二月。=中春·仲陽。
孔子の字。史記に「──弟子傳」あり。
孔子の再生、人の賢を稱していふ。隋書「陳果幼受孝經尙書、一覽成誦、八歲能屬文、十三徧讀諸史、時人皆謂────、年甫十八授監察御史」
孔夫子の門人ども。孟、梁惠王「────、無道桓文之事者」桓文は齊の桓公と晉の文公と。=仲尼之門。
漢の高平の人、少くして學を好み、博く書記に涉り、文辭に富瞻なり、尙書郞となる、論じて時事に及ぶ每に憤發嘆息す、因りて著論し、名づけて昌言といふ、卒する年四十一、著はす所の樂志論、古文眞寶に載す。
冬三ヶ月の中の月、陰曆十一月。=中冬。
國 結婚のなかだちする人。=媒妁 バイシヤク 人·月下冰人。
○父のおとうと、をぢ。釋名「父之弟曰──、仲、中也、位在中也」=叔父。○齊の桓公、管仲を尊びて稱す。
仲春に同じ、陽は春のあたたかき氣。梁武帝纂要「二月爲──」
○音樂の十二律の陰に屬する調子、陰曆四月に配す。○轉じて四月の異名。=中呂。
國 中に使はるる下女、畿內地方にて遊里·料理屋などの婢。
國 他人の閒に立ちて賣買の媒介を爲す者、口入 クチイレ 「──業」
國 己と事を同うする者、くみあひ。=伴侶·同類·夥伴。
①ハウ [陽]
②バウ [養]
彷に同じ
①たたずむ、さまよふ、ぶらぶらあるく、たちもとほる。
②にたり、さもにたり(似)「比─」○ほのか、かすか(幽)見ること審かならず。○ならふ、まなぶ、倣に通ず。
ならふ、まなぶ、まねする。=倣效·模倣。
さまよふ、たちもとほる。史、荊軻傳「──不能去」=彷徨·方皇。
さもにたり、仿佛として相似る、かたどる。晉書「相國之府、──紫宮」
宋代の刊本の行數字畫等其の儘にして重ねて刊行せし書物。
ぼんやりと見ゆる、ほのかなる貌。場雄、甘泉賦「──其若夢」=彷彿·髣髴。
ぶらぶらと遊び行く貌。次條に同じ。楚辭、招魂「──無所倚」=方羊·仿徉。
さまよふ、たちもとほる、仿一に方·彷に作る。淮南、原道「──於山峽之旁」=徙倚。
バツ [月]
○うつ「征─」罪のある者を攻める。○軍を進むるに鐘鼓あるを伐といひ、無きを侵といふ。○いさを(功)左、莊二八「且旌君─」=閥。○うつ(擊)つづみうつ(擊鼓)○木をきる(斫木)○ころす(殺·誅)荀、議兵「堯─驩兜」○うるはし(美)○ほこる、自ら其の功にほこる。書、大禹謨「汝惟不─」誇(言部六畫)參看。○もとる(悖)「─德」○たて(盾)
同訓異義
ウツ 伐·征·討·擊·打·撲·拍·搏·拊·撻·扑·捶·毆○伐は左傳に、罪を聲ナラしてうつを伐といふとあり、征伐と連用すれば、上より下をうつなり、左傳に、師に鐘鼓あるを伐といひ、無きを侵といふとあり。○征は上より下の罪をとがめうつなり。孟子「征者上伐レ下也」○討は罪をいひたてて討つなり。書經「天討二有罪一」以上の三字は、戰ひて敵をうつに用ふ。○擊は手或は物にてつよくうつなり。史記「拔レ劍擊レ柱」北史「以二瓦石一擊二打公門一」又、敵をうち、仇をうつにも用ふ。○打は擊也と註す、用法廣し、又、何の義もなく用ふることあり、打聽·打睡等の如し、猶ほ國語に「うちぎき」「うちふす」といふが如し。○撲は小擊也、ぼとぼとと打ち當る義。「雪撲レ衣」「撲レ螢」の類。○拍は手のひら又は拍板ヒヤウシギの類をうつなり。○搏は拍に同じ、ただ搏は手に力を入れてうつなり。○拊は輕く物に當ててうつなり。書經「搏二拊琴瑟一」○撻は鉦鼓をうつなり。○撻·扑·捶の三字は「むちうつ」と訓む、刑罰の時、杖にてうつなり。○毆な杖にて人をたたくなり。說文「毆捶二擊物一也」
てがらや經歷、又、其の家がら。漢書、車千秋傳「無他材能、又無──功勞」=閥閱。
斧の柄にする木をきる、斧の柄を作る爲めに木を伐る者は、其の執れる斧の柄の寸法を標準とす、以て人の鑑みるべき者は眼前に在るに喩ふ。詩、豳風、伐柯「────、其則不遠」
つづみをうつ。詩、小雅「──淵淵」淵淵は鼓の聲。
○いのちをたちきるをのの義、女色に喩ふ。呂覽、本性「出則以車、入則以輦、務以自佚、命之曰招蹶之機、肥肉厚酒、務以自彊、命之曰爛膓之食、靡曼皎齒、鄭衞之音、務以自樂、命之曰────、三患者、富貴之所致也」○徼幸 マグレザイハヒ を求むるをいふ。韓詩外傳「徼幸者────也」
己の善卽ち所能に矜 ホコ る。論、公冶長「願無──、無施勞」
詩經、魏風の篇名、在位者が功なくして祿を受くるを刺りし詩。
卿大夫以上の貴き家、古時、卿大夫以上は喪祭に冰を鑿ち用ふるを得、故にいふ。大學「────、不畜牛羊」
敵の計畫 ハカリゴト を破りて行はれざらしむる。孫子「上兵──、其次伐交」
木をきる。詩、周南「──丁丁」杜甫詩「──丁丁山更幽」
自ら其の功にほこらず。論、雍也「孟之反──」
①ヒ [紙]
②ヒ [支]
①わかる(離別)詩、王風「有女─離」
②みにくき貌。
①フク·ブク [屋]
②ホク [職]
③フウ·ブ [宥]
①ふす(偃)うつぶく。曲禮「寢毋─」かくす(匿藏)かくる(隱·潛)書、大禹謨「嘉言罔攸─」○かくれたる罪。漢書、趙廣漢傳「發奸摘─如神」○したがふ(服)罪に伏す。左、隱十一「旣─其罪矣」○ふせぜい。戰國策「可以置─」○よる(憑)西京賦「─櫺檻而頫聽」○陰曆六月の節の名、夏至の後の第三庚を初伏、第四庚を中伏、立秋後の初庚を末伏とす、所謂三伏なり、庚は金、金は火を畏る、故に此の極暑中には金氣が伏藏する義。
②はらばふ、匐に通ず。史、范睢傳「膝行蒲─」
③鳥、卵をあたたむ。漢書、五行志「丞相府史家雄雞─子」
同訓異義
フス 伏·俯·仆·俛·臥·偃·僵○伏は起の反、面を地につけうつぶしになる義。禮記「寢毋レ伏」又、屈服の義とす。左傳「旣伏二其罪一矣」○俯は仰の反、うつむく義。禮記「習二其俯仰詘伸一」○仆はたふれ、ふするなり、僵に同じ。○俛は俯に同じ。赤壁賦「問二其姓名一俛而不レ答」○臥は坐の反、橫にねる義。禮記「吾端冕而聽二古樂一則唯恐レ臥」○偃はタフルとも訓む、仆なり、又橫に臥して息ふ義とす、偃息と用ふ。○僵は偃に近し、傾僵はかたぶきたふるるなり。
陽の中に隱れてある陰の義、夏時に霜や雹 ヘウ の降る如きにいふ。國語「天無──地無散陽」
ふせぜいをおく。漢書「出奇──、變詐之兵竝作」
ふせぜい、よろひを著けたる兵を伏せ置く。史、剌客傳「公子光出其──」=伏兵·伏戎。
上古の帝王の名、風姓、聖德あり、日月の明に象る、故に太昊といふ、民に佃漁牧畜を敎へ、犧牲を養ひて庖廚に充つ、故に又、庖犧といふ、始めて八卦を畫し、書契を造る。
つみにしたがひ服す。=伏罪·服罪。
自殺するをいふ。史、豫讓傳「──自殺」
うづくまれるとら。韓詩外傳「楚熊渠子夜行、見寢石以爲──、彎弓而射之、沒金飮羽」
かくれてあらはれざるあだ。管子「──在側」
ひそみかくれてある。
つみにしたがひ服す。左、隱十一「旣伏其罪矣」=伏刑。
にげかくれる。賈誼文「鸞鳳──兮鴟鴞翺翔」
卵を伏せてゐる雌 メス の雞。風俗通「百里奚仕秦、其妻歌曰、百里奚、五羊皮、憶別時、烹──、炊扊扅、令富貴、忘我爲」
盛夏の日。字解を見よ。漢書、東方朔傳「──詔賜從官肉」=三伏。
やいばに伏し、死する。漢書「仰藥──」=伏劍。
ふせぜい。易、同人「九三、──于莽、升其高陵、三歲不興」禍心を伏藏するに喩ふ。
服從に同じ。
濟南の人、秦の博士たり、漢の文帝の時、能く尙書を治むる者を求め、伏生を得たり、年九十餘、老いて行く能はず、乃ち太常掌故晁錯をして其の家に就きて之を受けしめ、二十九篇を得たり、今文尙書これなり。
前條を見よ。
文章の組立上、後に出づる事柄の導火 ミチビ となる語句。
伏して天子に事を申し上げる。齊書、倖臣傳論「──之務旣寢」
ふしてながめる。=俯瞰。
車の下の軸に當る處、とこしばり。考工記、注「古謂之輹、亦謂之轐、漢謂之──、伏於軸上、納於輿底方孔、使輿與軸相鈎連也」
弓隊の伏兵 フセゼイ
ふしかくる、かくれひそむ。史、龜策傳「聖人──、百姓莫行」
ふしをがむ。後漢書、南匈奴傳「單于當──受詔」
ふしてのぞむ。
○漢の武帝の時置きし將軍の名〔漢書、南粵傳〕○後漢の馬援も亦此官に拜す、よりて馬援の稱とす。後漢書、馬援傳「璽書拜援────、南擊交趾」=馬伏波。
法律に服して刑を受ける。漢書「假令僕──受誅」
敵を襲ふ爲めに兵をかくし置く、ふせぜい。史、淮陰侯傳「──從夏陽、以木罌渡軍」
伏兵 フセゼイ を林莽の中にかくす、伏戎を見よ、後世、匪盜 ヌスビト の潛み匿るるにいふ。
明の萬曆四十二年に敕して蜀漢の關羽を封じて三界────と爲す。=監壇。
惡魔の隱れ居る所〔水滸傳〕=魔窟·魔界。
まなつの三伏の日と、陰曆十二月の極寒の日と。後漢書、虞延傳「歲時──、輒休二遣徒繫」
世にかくれたる賢者。藝林伐山故事「鄧艾號伏鸞、陸雲號隱鵠」
地下をかくれ流るる水。錢起詩「藥井通──」
深くひそみかくれたる魚。
かくれてゐる龍と、鳳凰のひなと、未だ世に知られざる大人物に喩ふ。蜀志、諸葛亮傳注「德操曰、儒生俗士、豈識時務、識時務者在乎俊傑、此閒自有────、備問爲誰、曰諸葛孔明·龐士元也」
馬が廏の中に伏す、歷は櫪に通ず、廏のねだ板。漢書、李尋傳「不──不可以趨道」注「──、謂伏槽歷而秣之也」=伏櫪。
前條に同じ「老驥──」
謹みて考へ思ふに、多く奏疏に用ふ。李密、陳情表「──聖朝以孝治天下」
謹みてねがふの意。多く奏疏に用ふ。
國 低くきたなき家。=矮屋 ワイヲク 陋屋·賤家 シヅガヤ
ヨ [魚]
又、妤に作る
うつくし、うるはし(美)倢─は漢の女官の名。=婕妤。
5畫
ヰ [寘]
○くらゐ、ところ(所)其の處ヲる所の地をいふ「方─」「爵─」の如し。○みぶん、天子の身分。史、伯夷傳「堯將遜─、讓於虞舜」人民の身分。中庸「君子素其─而行」○くらゐす、其の所に安んずる。中庸「天地─焉、萬物育焉」○ただし(正)○つらなる(列)○人に對する敬語「各─」○ 國 くらゐ、おもみ、品格。○ばかり「三里─」=程 ホド 許。
位は其の所に安んずる、育は其の生を遂ぐる。中庸「致中和、天地位焉、萬物育焉」に出づ、これ學問の極功にして聖人の能事なり。
くらゐの等級。
くらゐ、爵位名號。吳志「策時年少、雖有──、而士民皆呼爲孫郞」
敍位の旨をしるせるかきつけ。
國 位記を天子にかへし奉る、位ある者が不正の行爲、又は禁錮 キンコ 以上の刑に處せられし時、其の位階を取上げらるる制度。
位の次序。史、陳丞相世家「以絳侯勃爲右丞相、──第一」=位序·席次。
前條に同じ。
國 古、官と位とを連ねて、公文書に書する式。官と位と相當すれば、官を上にす「中納言從三位某」の如し。官位相當せざれば、位を上にして、位高く官卑きは、行 ギヤウ の字を加ふ「正二位行大納言」の如し。官高く位卑きは、守の字を加ふ「從四位守治部卿」の如し。=署銜。
人、又は物の在るべき所。宣和畫譜「本末──有序」
位と俸綠と。又、位に附けるふち。北史「不加──」
國 古、位階に付けて給せられし田地。親王は一品八十町より四品三十町に至る。臣下は正一位八十町より從五位八町に至る、各等差あり。
神位に置きて祭る牌 フダ 朱子語類「如袝祭伯叔、則附於曾祖之傍一邊、在──西邊」=木主·位版·神主。
國 古、朝臣の著用せし禮服のうはぎ。位階によりて色を異にす。
地位と人望と。北史「──隆重、寵遇日甚」
位牌に同じ。
國 古、諸王及三位以上の諸臣の位に付けて給せられし封戶。
國 位のみ有る人の朝廷に出る時の禮服。
其の職責を盡さずして徒に其の位に在るをいふ。論、衞靈公「臧文仲其──者與」
君子は位のなきを患ふることなし。論、里仁「子曰、────患所以立」
其の官位にそなはる、官位に在るとい謙辭。漢書、魏相傳「臣相幸得──」
貴き位に登れば自然に驕りの心の生ずるをいふ。書、周官「────、祿不期侈、恭儉惟德、無載爾僞」
位ひくきに言說を高くして大臣などの政治を彼此といふ。孟、萬章「────罪也」
イウ ウ [宥]
もと右に作る祐に同じ
たすく、たすけ(佐·助)「天─」
たすけて開き導く。孟子「──我後人、咸以正無缺」書、君牙に啓祐に作る。
たすく、たすけ。=祐助。
①イツ·イチ [質]
②テツ·デツ [屑]
①やすし、やすんず、たのしむ(安佚)逸に通ず。○あそぶ、なまける。○あやまち(過失)書、盤庚「惟予一人有─罰」○のがる、かくる(隱遁)ほろぶる、棄てらる、逸に通ず「─書」○うつくし(美)なまめかし「─女」○行列。
②ゆるし、ゆるくす、しまりがない(緩)○たがひに、かはるがはる。史、十二諸侯年表「四國─興」=迭。
きままにあそぶ。論、季氏「樂驕樂、樂──」=逸遊。
民を安んじ勞 ネギラ ふみち。孟、盡心「以──使民、雖勞不怨」
なまめきたる美人。離騷「見有娀之──」
あそびたのしみて狩にふける。離騷「羿淫遊以──兮」
あやまち、つみ。字解を見よ。
○世を遁れし老人。蘇軾詩「伊川──鬢如霜」○老人を安んぜしむ。宋史「設祠祿之官、以──優賢」
あそびたのしむ。=逸樂。
次條に同じ。梁簡父帝賦「追寂圃而消遙、任文林而──」=跌宕。
しまりなし(舒緩)だらしない。漢書、揚雄傳「爲人、簡易──」=跌蕩·軼蕩·佚宕。
①カ [歌]
②カ [哿]
①なに、なんぞ(曷·奚)○いづれ(孰)○いかん、いづくんぞ(安)○いくばく、無何は無幾何に同じ。○なじる、せむ、訶に通ず。
②になふ(荷)おふ(負)たふ(任)
同訓異義
ナニナンゾ 何·曷·胡·盍·那·庸·奚·詎○何は「なにぞ」「いかがぞ」と、疑ひて、問ひただす辭なり。○曷は「なんとして」と譯す、輕く詰る意あり。○胡は曷に同じ、「胡禁不レ止、曷令不レ行」の如し。○盍は何不の合字なり「何ぞ何何せざる」と、かへり訓む。孟子「王欲レ行レ之、則盍レ反二其本一矣」○那は奈何の合字なり、「なんで」と譯す。唐詩「鴻雁那從二北地一來」○庸は何也、また豈也とも註す「いづくんぞ」とも訓む、晉世家「此天所レ置、庸可レ殺乎」また庸何また庸詎とも連用す「庸何傷」「庸詎可乎」の如し。○奚は何也と註す。六書故に「奚·何·胡·曷、一聲之轉、義同」とあり、四字大抵は同意なれども、奚は不思議に思ひ、その根本を推して問ふことを主とす、孟子に「奚不レ去也」とあるが如し。○詎は巨·渠に作る、同音同義なり「未レ知詞也」と註す、史記に「沛公不三先破二關中兵、一公巨能入乎」とあるが如し。
字は平叔、三國の時、魏の宛の人、進の孫、魏の公主に尙す、姿容に美なり、少くして才の秀でたるを以て名を知らる、曹爽引きて散騎侍郞と爲す、侍中尙書に遷り、爵列侯を賜ふ、晏、夏侯玄等と、競ひて淸談をなす、天下の士大夫之を慕ひ、遂に流風を成して復制すべからず、論語集解の著あり。
明の信陽の人、字は仲默、弘治の進士、詩·古文に工なり、李夢陽と共に復古の學を唱へ、天下翕然として之に從ひ、文體一變するに至る。
薯 イモ の一種、多年生蔓草。本草「───有赤白二種、赤者雄、白者雌」
淸の湖南道州の人、字は子貞、蝯叟と號す、道光の進士、編修に官し、書に工にして世の爲めに寶重せらる。
○梁の何遜をいふ、水部員外郞たり、故にいふ。梁書「揚州廨宇有梅盛開、何遜常吟咏其下、後居洛陽、思梅不得、請再任揚州、從之、旣至、適花盛發、大開東閣延文士、嘯傲終日」高啓、梅花詩「自去──無好詠、東風愁寂幾囘開」○何晏をいふ。宋璟賦「儼如傅粉、是謂──」何晏を見よ。
物の粗末なるをいふ。趙宋の時、京師に──あり、賣る所の物虛僞多し、故に名づく。書言故事「物之不精好曰──」
いかに、どのやうに。孟、梁惠王「以五十步笑百步、則──」
まもなし。范成大詩「尊前現在瞢騰醉、飯後──爛漫眠」
何の處。晉書、山簡傳「山公出──往至高陽池」
なんの難きことなし。論、里仁「能以禮讓爲國乎、──」
あながち、それのみに限らずとの義。孟、梁惠王「──曰利」
怪み問ふの辭。禮記「──、我未之前聞也」=何故 ナニユヱ
人にあはす面目なし。漢書、趙苞傳「食祿而避難、殺母以全義、────、立于天下」
カ [歌]
○梵語の「カ」「ガ」の音をあらはすに用ふ。○なすび。=茄。○ 國 とぎ(伴侶)
佛 ○讚美詠歌の義。耶律楚材詩「──誦罷爐薰冷」○妙藥の名。華嚴經「如阿──藥、能滅一切毒」李華文「消大毒者──妙藥」
佛 てら。佛道を修業する處。名義集「僧──、譯爲衆園」=精舍。
佛 熱地に産する木材の心より製せし香の名、沈香の一種、黑く堅きを上品とす。=奇南·伽南·伽蘭香。
コ [麌]
○みつぎ(巿稅)又、ねぶみする、又、あたひ(價)唐書、陸長源傳「高鹽價賤帛─」○うる(賣)論、子罕「─之哉、─之哉、我待賈者也」かふ(買)○あきなひする人。北史、邢巒傳「商─交入」=商賈
同訓異義
ウル 估·賣·售·賈等の別は賣(貝部八畫)の條を見よ。
物のねだん、相場。唐書、陸贄傳「──宜視月平」
あきうど、貨物を敗 ヒサ ぐ者。世說「聞江渚閒──船上、有詠詩聲、甚有情致」
自ら其の術をてらひ賣る。隋書「開皇中、有曹妙連等、皆妙絕管絃、恃其音技──公王之閒、爭相慕尙」
商品に課する稅。晉書「──悉除、巿無二價」
①コウ·ク [宥]
②ク·ゴ [虞]
①短くして甚だ醜 ミニク き貌。○おろか(愚蒙)
②かかはる。=拘。
せむし、くぐせ。列、黃帝「──承蜩」承蜩とは蟬を空に抛ちて巧に之をうける扶。=痀瘻。
サ [箇]
もと左に作る
○たすく(助·輔·貳)周禮、天官「─王均邦國」○たすけ、そへ(副貳)又、其の官「輔─」「王─之才」○すすめる(勸)「─食」○─書 サシヨ は隸書卽ち今の楷書をいふ。魏書、江武傳「亡新居攝時、有六書四曰─書、秦隸書也」
同訓異義
タスク 佐·助·輔·弼·翼等の別は助(力部五畫)の條を見よ。
國 大佐·中佐·少佐の總稱。
縣の屬官〔後漢書、光武紀〕
そへやく、すけ、輔貳の官。唐書「主以郞官、其──皆御史」
そへぐるま。左、成二「鄭周父御──」=副車·貳車。
聖天子をたすけて太平を致す。阮籍、通易論「君子者何也、──扶命、翼敎明法、觀時而行、有道而臣人者也」
佐理に同じ。史、周紀「以佐成王治、皆有令名於天下」
○將軍の幕府中に在りて之をたすくる〔周行先、爲盧中丞請朝覲表〕○ 國 嘉永·安政以來、尊王攘夷の論、囂 カマビス しかりし時、幕府を助くるを主義とせし一派「──黨」
天命を受けて天子となるべき人を輔けて建國の大業を成さしむる士。漢書、李陵傳「佐命立功之士」後漢書二十八將論「咸能感會風雲、奮其智勇、稱爲────」
すけやく、上官をたすくる部下の役人。晉書、庾亮傳「在武昌、諸──殷浩之徒、乘秋夜往共登南樓」=屬官。
政治を助けて國を理 ヲサ むる。吳志、步隲傳「夫賢人君子、所以興隆大化──時務者也」=佐治。
上官を輔佐する屬官。史、禮書「自天子稱號、下至──及宮室官名少所變改」
①サク [藥]
②サ [箇]
①なす、つくる、こしらへる(爲)○書をあらはす「著─」○田をつくる(治田)「耕─」○はたらく、はたらかす(動)○つかふ(使)もちふ(用)○かはる、かへる(變)うごく、うごかす(動)顏色などを變へ動かす。史、蘇秦傳「韓王勃然─色」○はじめつくる(創造)○おこる、たつ(興起)易、乾卦「聖人─而萬物睹」ふるひおこす(振興)「振─」書、康誥「─斯民」○おこす、生ずる。韓愈、潮州剌史謝上表「毒霧瘴氛日夕發─
②しわざ(所爲)○はたらき(作用)○ふるまひ一坐─」「動─」○おく(起)○けづる(剒)○ 國 さく、穀菜類のできばえ「豐─」一不─」○さく、こしらへ、細工。
同訓異義
ナス 作·爲·成·就·濟○作は爲なり、はじめつくる義。○爲は事をするなり。左傳「老夫耄矣、無二能爲一也」○成·就の二字、共に爲したる事をしとぐるなり。小學「德器成就、大異二衆人一」○濟は成なり、なしおほせるなり。書經「必有レ忍也、乃有レ濟」
つくる、つくり設くる。
○著作せし主意。漢書、藝文志「爲之序、言其──」○心を用ひて創作する。法苑珠林「常須──不起攀緣」
○つくる人、文章·詩歌·小說·美術品などを創作する人、又、著作の名人。盧氏雜記「王縉好與人作碑誌、有送潤筆者、誤叩王維門、維曰、大──在那邊」○ イヘヲナス 結婚して家庭をつくる。○財産を蓄へて立派なる家業を立てる。晉書、食貨志─桓帝不能──、曾無私蓄」
十二支の酉の異名。爾雅「太歲在酉、曰──」
國 農作物のできばえ。
歌に曲譜を附ける。
俗 官吏となる。
○おこる。孟、離婁「聞文王──曰盍歸乎來」○ひきおこす=振興。
國 家を作る、普請する。
德川時代に公の營繕普請の事を司る奉行職。
詩文をつくる。又、つくりたる詩文。
○田を耕作する人。冥祥記「在田──」○惡俗を化して新らしき人を作る。詩經「周王壽考、遐不──」轉じて人才を養成する義とす。
○制度を創作する人。禮、樂記「──之謂聖、述者之謂明、明聖者述作之謂也」○著述する人。○ タツモノ 起ちて隱れ去るもの。論、憲問「──七人矣」
著作する人。池北偶談「實本朝一──也」
つくりなす。漢郊祀歌「經緯天地、──四時」
善をなす。書、伊訓「──降之百祥」
國 戰をするについてのはかりごと。
或は爲し或はやむる、事を爲すに常なき義。法言、孝至「有人則作之、無人則輟之、之謂僞、觀人者審其──而已矣」
大工の棟梁 トウリヤウ 會典「修建倉廒、各委官及──姓名、扁刻懸記」
國 耕作して租を納めたる殘餘の得分。
國 耕作する處、田畑。
しごとば、作事場。五代史「隱帝夜聞──鍛甲聲以爲兵至、達旦不寐」
つくりたる品。
いつはりて病氣なりといふ。=假病。
文章をつくる。=屬文。又作りたる文。
國 みのり。稻穗の出來。
○ 國 田畠に植うる植物の總稱。○つくり出せしもの、詩歌·文章·美術品などにいふ。=作品。
俑は偶人、偶人を作りて葬に殉ぜしむ、これ後世人を以て葬に殉ぜしむるの階をなせり。故に惡例をはじむる義とす。孟、梁惠王「孔子曰、始──者、夫無後乎、爲其象人而用之也」
農作の骨折。陸游詩「闢地剪蓬蒿、何曾嘆──」=作苦。
仕事 シゴト につとめる。管子「民非──、毋以致財」
國 詩歌、文章など、手本として示すもの。
國 物を作りし賃。
しごとをする。漢書、高帝紀「不事家人生產──」
國 たちゐふるまひのしかた。
はたらき。傳燈錄「性在──」
國 はたらくことば、今いふ動詞。
如何にといふ意。禪林句集「───、猶言如何」傳燈錄「師曰、未來且置、卽今事───」
國 をかしくもなきに强ひてわらふ。=佯笑 ヤウセウ 乾笑 カンセウ
シ [寘]
又、覗に作る
○うかがふ(偵候·訪問)○ひそかにみる(竊察)○ねらふ(狙)○まつ(待)○ 國 うかがふ、問ひただす、質問する。
同訓異義
ウカガフ 伺·窺·偵·候·狙·瞯○伺は偵なり、察なり、ひそかに探りうかがふなり、覗に同じ。○窺はのぞき見る「管中窺レ豹」の如し、闚に同じ。○偵はひそかにさぐり伺ふ「探偵」「偵察」と熟す。○候はまちをりて様子を望む義「斥候」と熟す。○狙はねらひをつけるなり、「狙擊」と熟す。○瞯は視なり、覘なり、すきまより見るなり、窺に近し、覵に同じ「王使三人瞯二夫子一」の如し。
すきまをつけねらふ。孔叢子「日夜──」=伺隙。
ひそかに樣子をみる。柳宗元文「蟉形決目潛──兮」
乘ずべきのすきまを偵伺 ウカガフ する。漢書「窺閒──」=伺閒。
目上の人の安否を伺ふ。韓愈、送李愿序「──于公卿之門」
うかがひみる、人の擧動をうかがひ探る。北史、蕭琮傳「出入宮掖──內外」=窺察。
辰星の别名〔御覽〕晨一に農に作る。
天の將に明けんとして先づ鳴く鳥、雞の類。陸機詩「譬彼───、揚聲當及旦」
うかがひのぞむ。後漢書「密令太史──之」
かざみ、竿上に鳥を刻みて置き、風の方向を見るもの。宛委餘篇「夏禹作───、卽相竿也見古令注」=相風。
國 上にうかがひて許可せらる。
シ [紙]
──は小なる貌。
小なる貌。詩、小雅「──彼有屋」一解に鱗比 ウロコガナラブ の意。=差差。
シ ジ [紙]
佀は本字
○にる、にす(肖)類する。○つぐ(嗣)○うく(承)○ささぐ(奉)賈鳥詩「今日把─君、誰有不平事」○しめす(示)○たぐふ(類)○擬議して未だ定めざる辭。
つぐ、ひきつぐ、あとをつぐ。詩、周頌「以似以續」
似せて書きうつす。=摹冩。
によりたるもの。王充論衡「事相──、其實非也」=類似。
國 ゑすがた。=肖像 ヒウザウ
一見、是に似て實はしからず。えせ。孟、盡心「惡────、惡莠恐其亂苗也」戰國策「幽莠之幼也似禾、黧牛之黃也似虎(中略)此皆似之而非者也」
似(前條)の古字。
シン [眞]
○のぶ、のばす(舒)易、繫辭「引而─之」○なほくす(直)屈する者をして直からしむ「─寃」○のび、せのび。曲禮、注「志倦則欠─體倦則─也」○ 國 白 マウ す「二─」
同訓異義
伸·申·述·陳等の別は述(辵部五畫)の條を見よ。
せむしを療治してのばす。枚乘─七發「──起躄」
こしをのばして息む。陸游詩「──午飯餘」
無實の罪をのべはらす。=申寃。
ものを待つさま。柳宗元文「仰首──、張目而視曰、庶幾有當路而垂仁者耶」=引吭。
くびを長くのばす。宋史「──就刃」
のびとあくびと。字解を見よ。秦觀文「──乃作」=欠伸。
のびるとちぢむと。蘇軾詩「機牙任──」
ながくのばす。
のばしはる。おしひろむ。
ひそめしまゆをのばす、愁をひらく。漢書「可復──於後」釋曇遷詩「愁眉始得伸」
セイ [庚]
─伀はあはてて行く貌。又、おそる(懼)
①セウ [篠]
②セウ [蕭]
①たすく(介)「─介」紹に通ず。
②宗廟にて父たるものの位置「─穆」昭に通ず。
中に立ちてひき合す。=紹介·价佋。
①タ [歌]
②タ [箇]
③タ [哿]
①ほか、他它に通ず。○かれ(彼)○よこしま(邪)法言、問道「君子正而不─」○おふ(負)背に負ふ。○になふ(荷)馱に通ず。○うるはし(美)○委─ イタ は雍容自得 ユツタリトシテミヅカラタル の貌。詩、鄘風「委委──」一說─佗は支の韻、音イ。
②くはふ(加)
③かうむる(被)史、龜策傳「醮酒─髮」○ 國 わぶ(憂)侘の誤用。○わびる─罪を謝す。○わびし(落莫)
容うるはしくゆったりとせる貌。詩─鄘風「委委──、如山如河」
髮を被ること。史、龜策傳「醮酒──」=被髮。
背にになふ。漢書「以一馬自──」
タン ダン [旱]
○ただ(第·唯)歐陽修、朋黨論「─當退小人之僞朋」○ひとり。○すべて(凡)○いたづらに、ただに(徒)無意味の助辭。劉廷芝詩「─看古來歌舞地」○むなし(空)○ 國 ただし、それとも又、─書は本文の次に書き添へて取りのけ卽ち例外の場合を示す文言。
同訓異義
タダ 但·唯·只·止·徒·弟·啻等の別は唯(口部八畫)の條を見よ。
チユ ヂユ [遇]
通音ヂユウ
○すむ、居處を定めて居る、又、すまひ。○やむ。(止)中止する。李白詩「兩岸猿聲啼不─」○とどまる(畱)去の對。杜甫詩「去─與願違」○たつ(立)射雉賦「淸道而行、擇地而─」をる(居)
住宅に同じ。
俗 止宿する。
すまゐ。=住宅。
佛 佛の戒を心にとどめてまもる。佛遺敎經「汝等比丘已──」
すまひ居る。陶弘景文「築隱居──」
俗 物を食ひ又は言ふことをやめる。
手をやすめる。=止手。
すまひ。蘇舜欽詩「念君──近不遠」=住處。
住持の前解に同じ。
其の寺に住める僧。
すみか、すまゐ。=住家。
○ 佛 一寺の主たる僧。寺中に居住して事務を總べ持する義。老學菴筆記「小院──名臨濟」=住職·主僧。○此の世に住みて佛法を維持する義「──三寶」(三寶は佛·法·僧)
一所にとどまり居る、著は助字。鄭常詩「僧家無──、早晚出東林」
住宅に同じ、邸はやしき。
其の地に住みてゐるひと、士地の人。夢溪筆談「隨州大洪山──李遙殺人」
一定の區域內に居住せるたみ。
書名·二卷、作者未詳、我國王朝時代の小說、中納言兼左衞門督なる人の女が繼母の虐待に遇ひて住吉に落魄せしが、終には立身せし趣向に作りしもの。
チヨ [語]
○たたずむ、立ちどまる、ひさしく立つ(久立)詩、邶風「瞻望不及、─立以泣」○まつ、待ちて居る。
たたずみ見る。李嶠詩「──燕然上、抽毫頌武功」
たちとまりてかへりみる。王勃文「指皇輿而──」
たたずみ思ふ。鮑照賦「望天涯而──、擢雄劍而長歎」
たちとまりてみる。陸機詩「──要遐景、傾耳玩餘聲」
たたずむ、久しく立つ。字解を見よ。
テイ [齊]
又、氐に作る
○ひくし。高·昂の對。○價がやすい。蘇軾詩「不見鱸魚賈自─」○聲がひくし「─聲」○うなだる(俛·俯)○たる、さがる(垂)談藪「黍熟頭─、麥熟頭昂、黍麥俱有所以─昂」
同訓異義
ヒクシ 低·卑·庳矮○低は高の反なり、またひくく垂るる義、低昂と熟す。○卑は高·尊·崇の反なり、地位のひくきに用ふ、用法低よりは狹し。○庫は卑に同じ。○矮はせいのひくきなり、矮人·矮屋の如し。
通常の音律よりひくきもの。
さがる。=下低。
やすね。居家必用「折爲──」
或はひくくなり或は高くなりて定まらず。漢書「奮褏──、頓足起舞」=低昂。
前條に同じ。談藪「王元景大醉、楊道彥曰、何太──」
氣象上の用語、氣壓計が七百六十粍 ミリメ-トル 以下に降りし時の空氣の壓力にして多くは風雨を伴ふ。
聲ひくくうたふ。=低唱。
○立ちもとほる。首をたれてさまよふ貌。史、孔子世家贊「──畱之不能去」畱り戀ふ意あり。楚辭、九章「──夷猶、宿北姑兮」=低佪。○延びやかに廻 メグ る。揚雄、解難「大語叫叫、大道──」
前條に同じ。潘岳賦「嗟──而不思」
ひくくへらす、價をやすくする。
聲ひくくかたる。ささやく。曹松詩「靑蛾──指東方」
聲ひくくうたふ。蘇軾詩「何如──二三杯」=低吟。
ひくき土地。論衡「不得廣岸──不能通流入乎東海」
○かしらをたれる、屈辱する。後漢書、梁鴻傳「無乃欲──就之乎」○頭を垂れて敬禮する。禮記、註「肅拜、拜──也」
國 あたまのはたらきのにぶき子、白癡 ハクチ の兒。
垂れさがるまゆ〔語林〕
はるかに低くさまよふ貌。李商隱詩「恍惚無倪明又暗、──不已斷還連」
ひくくさがる。
やすき利息。
やすき利息。=低利。
ねだんがひくい、價がやすい。
ひくくくぼめる土地。鄭元祐詩「膏腴不論價、──寧望酬」
テン デン [先]
田·畋に通ず
○つくだ(治田·墾田)開墾せし田地。○たつくる(農耕)○他人の田を借りて作る農夫、小作人。宋史、食貨志「訂其主─」○かり(獵)易、繫辭「以─以漁」=畋。
小作人。宋史「以小民役屬者爲──、使之如奴隸」=佃戶。
農具。後漢書「賦與──、使就農業」=田器·佃具。
れふ。禽獸に佃といひ、魚介に漁といふ。易、繫辭「爲罔?以──」罔は網。=畋漁。
農具。唐書「耕牛──」=佃器·田器。
小作人。五代史、周行逢世家「歲時衣靑裙、押──送租入城」=佃客。
田を耕し作る。史、貨殖傳「民雖不──、而足於棗栗矣」
國 小鯊 コハゼ 小蝦 コエビ 蛤のむきみ等を醬油にて煮つめたる食品。江戶時代に隅田川の口なる佃島 ツクダジマ にて創製せしが故。
①テン [鹽]
②テフ [葉]
①うかがふ。=覘。みる(視)○たる、下垂する(俛)○しむる、俗に占に通用す「─據」「─領」
②── テフテフ はささやく、耳語する貌。
耳を垂れる。韓愈、應科目時與人書「俛首──」
佔は視る、畢は簡なり、經義を解せずして唯文字を讀むのみをいふ。禮、學記「今之敎者、呻其──、多其訊、言及于數」
ささやく貌。漢書、匈奴傳「令喋喋而──」=沾沾。一說、輕薄なる貌。
ネイ [徑]
○はたらき、才あり、自ら謙して不─といふ。晉語「夷吾不─」○口才·辯才。論、先進「是故惡夫─者」○ねぢけびと、辯才ありて心正しからず。○へつらふ、おもねる(諛)
新の王莽南郊に哭せし時、これに諂ひ泣きしものは、皆郞官となりし故事に本づきて上の氣に入るやうにつとむるにいふ。西征賦「搜──以拜郞」
心ねぢけてへつらふ。又、其の者。後漢書「──消殄」
辯才ありて、たくみにへつらふ。史、周紀「爲人──」
こびへつらひて寵を得る者。史記に──傳あり。
前條に同じ。南史、恩倖傳序「及明帝世、胡母顥阮佃夫之徒專爲──矣」
佞邪に同じ。=姦佞。
口まへよくへつらふ。列子「──而不中、漫衍而無家」
口まへよくわるがしこし。又、其の者。後漢書、宦者傳「以──進」
こびへつらふことば。宋史、李伉傳「──似忠、姦言似信」
口まへよくして腹がわるい。後漢書、宦者傳論「以──自進」
口まへよく人にこびへつらふはたらき。
辯才ありて、心正しからざる者。論、衞靈公「放鄭聲、遠──」
へつらひて心がよこしま。又、其の者。後漢書、吳良傳「──之人欺諂無狀」
佞人に同じ。論、先進「子路使子羔爲費宰、子曰、賊夫人之子、子路曰、有民人焉、有社稷焉、何必讀書、然後爲學、子曰、是故惡夫──」
冥福を得んとして、佛にこびへつらふ。五代史「莊宗由此又──」
おもねりて口まへよし。潘尼文「不式故訓、而好此──」
上にへつらひて得るふち。又、其の者。亢倉子「巿無邪利、朝無──」
おもねりて人を惑はす。後漢書「欲用──之言爲族滅之計乎」
ハウ ヒヤウ [庚]
○つかひ(使者)○しむ、せしむ(使·令)書、洛誥「─來以圖及獻卜」
①ハク·ヒヤク [陌]
②ハ [禡]
①をさ·かしら(首長)莊、人閒世「匠─不顧、遂行不輟」○─氏は一番の兄。=長兄。○をぢ、父の兄「─父」○をっと。婦人、其の夫を呼ぶ稱。詩、衞風「─也執殳」○五爵の第三位。○馬の神、馬祖、卽ち天駟房星の神、又、其の祭。○みち、ちまた。=陌。○─趙は鳥の名。=伯勞。○方─は州の長。禮、王制「千里之外、設方─」後世は藩司の異稱とす。○歡─は酒の異名。○一藝に長ずる者の稱「詩─」「畫─」
②はたがしら、諸侯の盟主。=霸。五霸もと五─に作る、後世、侯伯の伯と紛るるを恐れ、霸の字を借りて之を別つ。左、成二「五─之霸也、勤而撫之」
○虞舜の世、禮を典 ツカサト りし臣。○殷の孤竹君の子、弟を叔齊といふ、兄弟國を讓りて共に逃る、武王殷を伐つや、夷齊馬を叩へて諫む、武王天下を有するに及び、夷齊周の粟を食ふことを恥ぢて首陽山に隱れ、薇を采りて食ふ、遂に餓ゑて死す〔史、──傳〕莊、騈拇「──死名於首陽之下、盜跖死利於東陵之上」
伯夷の廉潔をいふ。漢書、貢禹傳「朕以生有────·史魚之直、守經據古、不阿當世、孳孳於民俗之所寡」史、蘇秦傳「令有孝如曾參廉如伯夷信如尾生」
微妙なる琴の音が動物を感動せし故事〔荀、勸學〕
眞の知己の死をいふ、伯牙善く琴を鼓し、鍾子期善く之を聽く、鍾子期の死するや、伯牙其の音を聽くものなきを嘆じて、琴を破りきといふ故事に本づく。呂覽「鍾子期死、伯牙破琴絕絃、終身不復鼓琴、以爲無足爲鼓者」
元の人、世祖に仕へ中書左丞相に拜す、裁決流るるが如し、省中咸服して曰く、眞の宰相なりと、自ら將とし、宋を伐ちて之を降す、累遷して太傅に至り、卒して淮南王に封じ、忠武と諡せらる、元史「──深略善斷、將二十萬衆、若將一人、諸帥仰之如神明」
天子が異姓の諸侯を尊び稱する語〔曲禮〕
周公の子、魯に封ぜられ、師を率ゐて淮夷徐戎を伐つ、在位四十六年。
孔子の子、名は鯉、孔子に先だちて死す。
第一の兄。孟、吿子「鄕人長於──、一歲則誰敬」=長兄。
伯兄に同じ。詩、小雅「──吹壎、仲氏吹篪」
五等爵中の第三位。史、吳世家、註「吳、本──也」
○兄と弟と。○父の兄と父の弟と。=伯父叔父。
兄弟をいふ。詩、小雅「伯氏吹壎、仲氏吹篪」
兄弟の順序、長を伯、次を仲、又其の次を叔、末弟を季といふ。
伯仲は兄弟、才の相均しく、殆ど優劣なき義。魏文帝、典論「傅毅之於班固、────耳」
○父の兄、をぢ。釋名「父之兄曰──」○天子が同姓の諸侯を尊稱する語〔曲禮〕
をば、父母の姊、又、伯父の妻。晉書、顧衆傳「事──以孝聞」
韓伯兪、性至孝なり、過ありて、母之を枚てば泣く、母曰く、他日汝を杖ちしに未だ嘗て泣かず、今泣くは何ぞやと、答へて曰く、往者杖たるれば常に痛みぬ、令や痛からず、母の力の衰ふるを知る、是を以て泣くと〔說苑、建本〕
もず。爾雅「鵙、──也」禽經「──似鴝鵒喙黑」=博勞鳥。
○星の名。石氏星經「──天星名、主典天馬」○古、孫陽といふ人、能く馬を相せしを以て名づく、轉じて廣く馬の事に明かなる者の稱とす。韓愈、送溫處士序「──一過冀北之野、馬羣遂空」=博勞。○ 國 バクラウ 馬の事に精しく、又馬の賣買に從事する者。
名馬が伯樂に遇ひて其の價を增したる故事、名君賢相の知遇を受くるに喩ふ。戰國策「蘇代曰、客有謂伯樂曰、臣有駿馬欲賣、比三旦立于巿、人莫與言、願子一顧之、請獻一朝之費、伯樂乃旋視之、去而顧之、一旦而馬價十倍」
もず。=伯勞。
諸侯のはたがしら。史記「四國迭起、更爲──」=霸主。
①ハン·バン [旱]
②ハン·バン [翰]
①とも、ともがら、つゎ(侶)「同─」○つれだつ、ともなふ(相從)○よる(依)はんべる(陪從)
②─奐は閒暇 ヒマ ある貌。詩、大雅「─奐爾遊矣」
つれあひ。王襃文「鳴聲相應、──相從」
正客のおともをしてごちそうになる、轉じて無能の大官をそしりていふ。唐書、盧懷愼傳「開元三年、與姚崇對掌樞密、自以爲吏道不及崇、每事推謀之、時人謂之──宰相」
つきしたがふ、おともする。=陪從。
しやうばん。=接伴·相伴。
國 葬式の列にともなふ僧。
○貴族、又は富豪の子弟の讀書する相手となる義。又其の役。○宋代の官名、宗室の敎育を司る。
なかま、ともから、同伴の人。韓愈詩「我來無──、把酒對南山」=儔侶。
昔時、傳道の爲め、我國に來りし切支丹宗の宣敎師の號、轉じて、切支丹の異稱。
國 古の諸部の長官。
ヒ [支]
○力あり。○おほし(衆)
○力ある貌。詩、魯頌「以車──」○羣り行く貌。
ヒツ [質]
○威儀あり。○みつ(滿)
禮容の貌。詩、小雅「威儀──」=怭怭。
①フツ·ブツ [物]
②ホツ [月]
③ヒツ [質]
仏は古字
○さとる(覺)○ほとけ(釋尊·浮屠)韓愈、論佛骨表「夫─本夷狄之人」○さかふ(逆)もとる(戾)=拂。○ねぢる(捩)曲禮「獻鳥者─其首」○仿─はほのか、さもにたり。掦雄、甘泉賦「仿─其若夢」=彷彿。○佛蘭西 フランス 國の略稱。
②さかんなり、勃·浡に通ず、興起する貌。
③たすく、たすけ。=弼。○ 國 ほとけ、死せし人。○極めて柔和なる人、おひとよし。
心うれへてふさがる貌。文選、注「──、不安貌」=弗鬱。
ほとけのみち。佛道を海の廣きに喩ふ。梁武帝文「同歸──」=法海。
てら。白居易詩「──正岧嶤」=浮屠·梵閣·佛刹。
佛法の學問。石林詩話「晉初爲──者、皆從其師姓」
佛敎をさとり得たる者の眼識。眞山民詩「──共燈明」
ほとけを安置するづし。轉じて寺をいふ。雞林志「龜山有──、林木益邃」
佛法の意義。南史「好莊老玄言、尤善──」
ほとけの經文。晉書、何準傳「唯誦──」
佛の前にそなへる食物。
佛に歸依するによりて得る善き報。隋煬帝、設齋願疏「下度衆生、上求──」=成佛。
佛家の詩、佛を讚美する詩。其の體、多くは四句づつなれば、四句の偈ともいふ。
西紀前五百年頃、印度の釋迦牟尼 シヤカムニ が說き出したるをしへ、因果を說き勸善懲惡き敎へ、さとりを開くを宗旨とするもの。=釋敎·佛道·佛法。
○佛敎のことば〔淨住子〕○ フツゴ 佛蘭西語の略。
佛像をきざむほりものし。=佛師。
唐の韓愈の撰せし文、憲宗皇帝の元和十三年、功德使上言す鳳翔の法門寺の塔に佛骨あり、相傳ふ、三十年に一たび開く、開けば則ち歲豐に人安し、請ふ之れを迎へんと、帝其の言に從ひ、この年、十二月迎へて大內に入れ、畱むること三日、王公士庶奔競贊嘆す、明年愈此の表を上りて佛の信奉するに足らざるを極諫す、帝、表を見て大に怒り、愈を貶して潮州の刺史とせり、文は唐宋八家文讀本に出づ。
佛敎の儀式を用ひて行ふとむらひ、佛式の葬禮。神葬の對。
ほとけのすがた。五代史「詔悉毁天下之銅──」
暖地産の灌木の一、葉は桑に似、花は五瓣、長くして紅色の蕊 シベ あり、朝開きて晚に萎む。=扶桑·朱槿·琉球木槿。
てら。又、佛塔。韋應物詩「──出高枝」=佛閣。
國 てらまゐり。
佛 佛戒を受けたる者の稱。佛を天子とし、其の信者を太子に比していふ〔法華經〕
佛法の祭事、佛に供養する。酉陽雜俎「大作──」=法會·法事。
佛工に同じ。
ほとけを安置するほこら、寺。陸游詩「淸江繞──」
草の名、べんけいさう、ちどめさう、多年生草、高さ一二尺、葉は匙 サジ の頭に似て對生し莖頭に黃花を著く。=佛甲草。
佛敎の儀式。權德輿文「──纓塵?手接足」
佛のやうなるよき心。司空圖詩「理到忘機近──」
佛道の修業者、僧侶。韓愈文「──曰孔子吾師之弟子也」
佛 ほとけの本性、卽ち眞如 シンニヨ の妙理をいふ。佛性論「空是──、──卽大涅槃」
灌佛會 クワンフツヱ に同じ。
佛 釋迦の誕生日、陰曆四月八日。この日灌佛會を行ふ。東京夢華錄「四月八日───、十大禪院、有浴佛齋會」
つくねいも。薯蕷 ヤマノイモ に似て其の根、掌狀をなす。
佛 釋迦の遺骨。法苑珠林「若───椎打不破」=佛沙利。
菩提樹 ボダイジユ の異名。釋迦牟尼 シヤカムニ 佛が此樹下にて正覺を得たりといふが故。
暖地に產する果樹、實は人の手の狀を爲し、香氣多し。香櫞と同種。
佛敎の書。=佛典。
佛に米飯を供へる。
おひとよし、好人物〔空同集〕
ほとけのまへ。代醉編「折花供──」
佛敎の開祖、釋迦牟尼 シヤカムニ 蘇軾詩「今年洗心參──」
佛 如來なり、大覺者の義、ほとけ。大論「秦言知者、知過去·未來·現在·衆生·非衆生·數有常無常等一切諸法、菩提樹下了了覺知、故名──」范成大詩「人言──入三昧」=浮屠·浮圖·佛圖·菩提。
佛のみろ。南史、梁武帝紀「晚乃溺信──」=佛敎。
佛像位牌等を安置する增。
ほとけのちゑ、根本智(先天性)と後得智(後天性)との二あり。
つくねいも。=佛掌薯。
國 怒氣を含み、又、ぶあいけうなる顏つき。
佛のおでし。=僧侶。
佛者が佛を天として、尊崇する稱。
佛敎の經文。=佛經。
佛像を安置する寺。厚德錄「──未甚壞」
佛陀に同じ。=浮屠。
好き著書に、拙き序を附くるをいふ。典籍便覽「歐陽修修五代史、或作序冠其前、王安石曰、佛頭上豈可著糞乎」
佛の冥護を蒙らんとてへつらひつかへる。佞佛(一二四頁一段)を見よ。
世尊のもちたるはち。水經、注「──靑玉也」
釋迦の敎。晉書、武帝紀「帝初奉──、立精舍於殿內」
○ 佛 ほとけ(如來)ほとけの道(敎法)其の道に入る出家(比丘)の三寳。魏書「其始修心則依───之三歸」○鳥の名、鳩に似て小なり、頭は淡黑、羽毛綠色、嘴脚赤し、深山に棲み、其の鳴く聲───といふが如し。=三寶鳥。
國 ほとけをまつれる室。
○ほとけの名。○ 國 御──とは、古、宮中にて陰曆十二月十九日より三日閒、淸涼殿にて行はれし行事。僧に──經を誦み、三世の諸佛の名號を唱へしめて六根の罪障 ザイシヤウ を滅する修法。
──日の略、陰陽家にて、萬事に凶なりと云ふ大惡日、卽ち、正·七月の四·十·十六·二十二·二十八日。二·八月の三·九·十五·二十一·二十七日。三·九月の二·八·十四·二十·二十六日。四·十月の一·七·十三·十九·二十五日。五·十一月の六·十二·十八·二十四·三十日。六·十二月の五·十一·十七二十三·二十九日。
釋迦如來の母、摩耶夫人(摩訶摩耶 マカマヤ )淨飯王の妃をいふ。大集經「生淨飯王家、託生摩耶夫人腹內」
ほとけのみち。=釋門·桑門 サウモン 佛法界。
國 天文十年、葡萄牙 ボルトカル 人の傳へたる大砲の名、ぶらん、ぼるとがる。
佛の通力。
盛んに興る貌。荀、非十二子「──平世之俗起焉」=浡然·勃然。
國 春の七種 ナナクサ の一、初生の圓葉が佛の蓮華座に似たるが故。=雞膓草 カハラケナ
ホ フ [遇]
○あまねし(徧)○しく、布吿する、布に通ず。
ホン [阮]
○おとる(劣)○あらし(麤)=笨。
柩 ヒツギ をかく人夫。通鑑、唐紀「懿宗咸通十二年葬同昌公主賜酒餠餤四十槖駝以飼──」
ヨ [魚]
○われ(我·予)○み(身)○あまる、あまり。周禮、地官「其─聚以待頒賜」=餘。
陰曆四月の異名。爾雅「四月爲余」
われら。=予輩。
前條に同じ。
われら。=予等。
①レイ [靑]
②レイ [庚]
○ひとり(獨)○もてあそぶ(弄)又、君主の弄 モテアソビ となる臣。○─俐 レイリ はさがし(小才·小慧)○音樂師、わざをぎ「─人」黃帝の時、─倫といふ者、音樂を作り、世世樂官となりしが故。
わざをぎ、役者、俳優。蘇軾詩「力盡病騏驥、伎窮老──」
音樂を奏する官。五代史記に──傳あり。=樂官。
樂人をいふ。唐書、百官志「──、謂夜警爲嚴」
○樂人、樂を司る官。字解參看。晉書、戴逵傳「逵對使者破琴曰、戴安道不爲王門──」○たいこもち。=弄臣·幇閒·亡八官。
獨り行く貌。又、志を失ふ貌。魏觀詩「父老匍匐來、形影何──」=零丁·彾?。
さまよふ貌。又、おちぶれる貌。古猛虎行「少年惶且怖、──到他鄕」=竛?。
こさがし。康熙字典「今方言謂黠慧曰──」
黃帝の臣の名、嶰谷の竹を取りて樂律を製せし人。呂覽、古樂「昔黃帝令──作爲律」漢書に泠綸に作る。
6畫
①イ·エ [微]
②イ·エ [尾]
①よる、もたゎる(憑·倚)○たすく(助)互に助け合ふ。左、僖五「輔車相─」○たよる(賴)史、司馬相如傳「其人材足─也」たのむ(恃)○つく(附·就)したがふ(從·循)論、述而「─於仁」○そのまま「─然」○ゐましどころ。○──は樹の茂りて盛んなる貌。一說、枝のしなやかなる貌。○─稀は彷彿 サモニタり に同じ。
②やすし、やすんず(安)○堂上の戶と牖 マド との閒の地。又古、天子が其の所に立てたる屛風にて斧の形を繡せるものを張る、高さ八尺、武威を示す爲め設く。曲禮「天子當─而立」扆に通ず。○たとふ、たとへ(譬喩)禮、學記「不學博─不能安詩」
同訓異義
ヨル 依·倚·憑·凭·賴·據·仗·藉·寄○依はひたと、よりそひて離れざるなり。柳文「草木之生也、依二於土一」○倚は依に近し、物にもたれつくなり「倚レ門」「倚レ樓」の類。○憑はもたれかかるなり。書經「憑二玉几一」○凭は憑に同じ。○賴はたのみとして、よるなり。大學序「獨賴二此編之存一」○據は物のより所とするなり。後漢書、馬援傳「據レ鞍顧眄」○仗は憑倚なり、すがりよるなり。左傳「仗レ信以待レ晉、不二亦可一乎」○藉は身の依る所をいふ、たよりて力にするなり。○寄は寄託·寄寓と用ふ、たよりて就く義。
○枝のしなやかなる貌。詩、小雅「楊柳──」一說、盛んに茂る貌。○離るるに忍びざる意、思ひ慕ふ貌。楚辭、九思「志戀戀兮──」○たどたどしき貌。
たよる、もたれかかる。杜甫詩「顧影無──、甘心守靜專」=依賴·倚賴。
諧 カナ ひ和して相離れず。漢書、禮樂志「五音六律、──響昭」
どつちつかず、依はより從ふ、違はたがひ去る、甲乙何れとも判然と決せざる貌。漢書、谷永傳「展意無所──」
さもにたり、ぼんやりと見える。劉禹錫詩「宋臺梁館尙──」=彷彿。
たよる、よりすがる。書、金縢「我先王亦永有──」=倚賴。
昔のとほり。舊唐書「國號──爲唐」
よりどころ。又、議論のよりどころ。
國 本人の願によりて官を免ず。
よりどころとしてとどまる。周禮、夏官「祭兵于山川」註「山川蓋軍之所──」
よりたのむ。詩、小雅、鄭箋「無不──其母以長大者」
よりなぞらふ。左傳、疏「──舊條」
もとのまま。南史、沈文季傳「──猶有故情」
たよる、たのむ。吳志「陳武仁厚好施、鄕里遠方、多──之」
たよる、よりすがる。鄭谷詩「小生誠淺拙、早歲便──」=依託。
よりたのむ。=依賴·依馮。
よりかかる。
隱微 カスカ なる貌。溫庭筠、美人詩「連娟眉繞山、──腰如杵」
○よりたのむ。曾鞏文「庶使遺民永有──」=倚賴。○ 國 請ふ、たのみ願ふ。
○たよる、よりたのむ。宋史、樂志「民所──」○よりたのむ義より父母の稱とす。○ 國 不公平、偏頗 ヘンバ の義「──贔負 ヒイキ 」
イウ ウ [宥]
○たすく、たすけ(佐·相)すすむ(勸)○貴人に陪食 シヤウバン する。○むくゆ、むくい(報)○たぐひ、ならぶ(耦)姷に通ず。○ゆるやか(寬)ゆるす。管子、法法「文有三─武無一赦」宥に通ず。
酒を勸める。齊東野語「名姬十輩皆衣白、凡首飾衣領皆牡丹、首帶照殿紅一枝、執板奏歌──」=侑酒。
○貴人に侍りて食ふ。禮、玉藻「──不盡食」=陪食。○飮食の興を添へてすすめる。周禮、春官「膳夫、以樂──」
イツ [質]
○つらなる、樂舞の行列にて、行と列との人數皆同じ、天子は八─六十四人、諸侯は六─三十六人、大夫は四─十六人、士は二─四人。論、八佾「八─舞於庭」一說、每列を通じて八人。
カイ·ケ カ [佳]
通音カ
○よし、よろし(好·宜)○うつくし(美)みめよし(好)○このむ(好)老子「─兵者不祥」
同訓異義
ヨシ 佳·善·好·嘉·良等の別は善(口部九畫)の條を見よ。
國 よきたばこ。
國 よきたばこ。=佳葉。
至りて結構なること。
よきさかな、好下物。張養浩詩「安得──錦鯉雙」
めでたき氣、吉祥の氣。佳哉を見よ。
○美人と期して會する。楚辭「與──兮夕張」趙嘏詩「何年征戍客、傳語報──」○よき時節。=佳辰·佳節。
○よきうつは。○立派にして有用なる人物。宋書、謝弘微傳「童幼時、精神端審、時然後言、叔父混見而異之、曰、此兒深中夙敏、方成──、有子如此足矣」
景色のよき處。事の味ある箇所。晉書、顧愷之傳「顧愷之、每食甘蔗、常自尾至本、人或怪之、愷之日、漸入──」=妙境·蔗境。
よき文句。杜甫詩「猥誦──新」
よきつれあひ。=嘉偶·佳對。
よきくだもの。歐陽修詩「虛堂來淸風、──薦濁酒」=佳實。
よきけしき。黃庚詩「北山──勝南山」=好景。
よきことば。柳宗元詩「竟夕聞──」=嘉言·善言。
佳きことばの靡靡として出でて盡きざること、鋸の屑の飛ぶが如きに喩ふ。世說、賞譽「胡毋彥國吐佳言如屑、後進領袖
品格の高き貴公子。史、平原君傳贊「平原君翩翩濁世之───也、然未覩大體」
好き文詩。李白、春夜宴桃李園序「不有──、何伸雅懷」
品行端正なる士。三國志、楊俊傳「咸作──」=名士。
よき詩文。
よき詩。=嘉詩·佳什。
よきむすこと、よきよめと。通鑑、唐紀「朕────今以付卿」舊唐書には好兒好婦に作る。
よき果實。黃庭堅詩「江梅有──」=佳果。
よきわかもの。晉書、王羲之傳「字逸少、深爲從伯敦導所器重、時陳畱阮裕有重名、爲敦主簿、敦嘗謂羲之曰、汝是吾家───、當不減主簿」
よき詩文。=佳篇·佳作。
みめよき女。李延年詩「北方有──、絕世而獨立」=美人。
美人は不仕合の者多し。蘇軾詩「自古佳人多命薄、閉門春盡楊花落」
よき日。又、よき時。王筠詩「命縷應──」=吉辰。
墓地、墓の堅固なるを城に譬へていふ。西京雜記「滕公駕至東都門、馬鳴跼不肯前、以足跑地、久之、滕公使士卒掘馬所跑地、入三尺所、得石槨、有銘曰、──鬱鬱、三千年見白日、吁嗟滕公居此室、滕公曰、嗟乎天也、吾死其卽安此乎、死遂葬焉」滕公は前漢の夏侯嬰なり、博物志には嬰の死後に石棺を得たりとす。
よきさけ。元好問詩、兵廚──惜分?」=美酒·旨酒。
よきおもむき。白居易詩「夜雪有──」
よき名。沈約詩「靈園同──」=嘉稱。
よきむこ。唐書、獨孤郁傳「憲宗歎權德輿乃有──」=快壻。
極めてよし。蘇軾詩「環城三十里、處處皆──」
めでたき日。王維詩「每逢──倍思親」韓愈詩「幽懷適與──會」=良辰·吉辰。
結構なるたべもの。法書要錄「設──」=美饌·玉饌。
よきつれあひ、好き配偶。晉書、簡文鄭太后傳「帝從容謂劉隗曰、鄭氏二妹、可爲求──」=良匹·嘉耦。
心によくかなふ、よきたのしみ。山家淸供「眞──也」
人の美事を多く載せたる傳記。北史、魏收傳「初收在神武、時爲大常少卿修國史、得陽休之助、因謝休之曰、無以謝德、當爲卿作──」
善いかなと歎美する辭。後漢書、光武紀「氣──、鬱鬱葱葱」
よきつれあひ。=佳偶·嘉配。
よきにほひ。=佳香。
甚だうつくし。
よき品。許有壬詩「世傳銅雀亦──、搜抉黃壤今無遺」
よき文章。權德輿詩「支郞有──、新句凌碧雲」
よききこえ、よき名譽。
すぐれたる詩文。李白詩「投贈有──」蘇軾詩「偶然談笑得──」=傑作·名篇。
よき友。韓愈詩「幸玆得──」=良朋·好友。
よきすみ。舊唐書、裴行儉傳「褚遂良非精筆──、未嘗輒書」
よきあぢ。南部煙火記「所謂金虀玉膾、東南──也」
よきほまれ、よき名稱。李商隱詩「──畱渭川」
よき茶。蘇軾詩「從來──似佳人」
よきよる。東坡志林「良月──」=良夜·良宵。
よきしきたり。
容貌、又景色が極めてうつくし。史、龜策傳「或美好──而爲衆人患」
一時に傳誦せらるる盛んなる事。宋史、藝文志に隋唐──一卷あり。
カイ ガイ [灰]
○つねならず(非常)○むせぶ(咽)
①カウ·ケウ [巧]
②カウ·ケウ [肴]
①みめよし、かほよし(美·好)=姣。○よし(好)○すこやか(健)
②まじはる、まじはり(交)とも(友)
好き貌。後漢書、劉盆子傳「卿所謂鐵中錚錚、庸中──者也」
みめよき人、別嬪 ベツピン 詩、陳風、月出「──僚兮」=姣人·美人·佳人。
みめよきわらんべ、美少年。
カン [旱]
又、偘に作る
○つよし(剛)なほし(直)剛直なる貌、一解、和らぎ樂む貌。
剛直にして言を曲げざる貌。=侃侃諤諤。
剛直なる貌。一解、和らぎ樂む貌。論、鄕黨「朝與下大夫言、──如也」
キ [紙]
○かさぬ、かさなる(重累)○もとる(戾)○くすし、ことなり、あやし(奇異)=詭。
あやしく正しからざることば。淮南、齊俗「爭爲──」=詭辯。
キツ キチ [質]
○すこやか(健)さかんなり(壯)詩、小雅「四牡旣─」○ただし(正)
かたぐるしく耳に入り難し、むづかしく讀み難き文の形容。韓愈、進學解「周誥殷盤、────」
キヨウ ク [冬]
○まうく(設)○足す(給)魏志、鍾繇傳「─給資費使得專學」○そなふ、そなへもの(具)晉書、何曾傳「一日之─、以錢二萬爲限」○ささぐ、たてまつる(奉)○すすむ(進)○訊問せられて自ら事情を述ぶる「口─」○共に通ず。○ 國 とも、從者「─待」○ども、複數を表はす「子─」
億は安、乏しき者にほどこして安心せしむ。左、隱十一「一二父兄、不能──」
需用 モトメ に應じて、そなへあてがふ。魏志、鍾繇傳「──資費」供一に共に作る。左、僖四「敢不共給」
現品を所有せざる賣主と物品買入を取りむすぶ約束 ヤクソク
天子へたてまつる膳部 ゼンブ 宋書、彭城王義康傳「皆以上品薦義康、而以次者──上」
みつぎものををさめる。
まつりの用にあてる。漢書、注「羔兔鼃所以──」
裁判所にて事實を述べる。
靈前などに物を供へすすめる。後漢書「──新味」
提供寄託の義、主として辨濟の目的物(金錢又有價證券)を法定又は裁判所の指定せし場所に供託して其の保管に附する行爲。
宴會を開く爲め、種種の設をなし幕を張る。漢書、疏廣傳「設祖道──東都門外」=供張。
○うまき飮食物を供へて親を養ふ。戰國策「得甘脆以養親──備」=奉養。○ 佛 クヤウ 佛又は死者の靈前に物をささげる。法華經「──恭敬、尊重讚嘆」
○供張の具をいふ。史記「張羽旗、設──以禮神君」=共具。○ クグ 國 佛菩薩に供養する物。香華·樂器·幡蓋の類。法華經「於當來世、以諸──、供養奉事」
○天子のおともする。又、其の者。○官名、唐の代、一材一藝ある者內廷に供奉するを得、よりて從官の異稱とす「翰林──」
神佛にすすめ奉つる米。
國 神佛に奉るそなへもの。
國 來客の從者、車夫どもを待たせ置く所。
キョク ケキ [職]
○しづか(靜)さびし(寂)詩、魯頌「閟宮有─」
クヮ [麻]
○おごる。書、畢命「驕淫矜─」=夸。
クヮイ [灰]
佪に同じ
○俳─ ハイクワイ はたちもとほる。漢書、高后紀「俳─往來」=徘徊。
クヮツ [曷]
○あふ、あつまる(會)○いたる(至)○──は力 ツト むる貌。
コウ コン [蒸]
○もとる(戾)○たがふ、很に通ず。
シ ジ [寘]
○はんべる、目上の人のそば近く從ふ、陪側。○さぶらひ、つきそひ「近─」○ 國 さむらひ、武士の稱。○はべる、決定の意を表はす助動詞。
天子のおそばにはべる醫者。史、倉公傳「除爲齊王──」
めうへの人に從ひて酒をのむ。曲禮「──于長者」
天子のおそばにはんべりて護衞する、又、其の武官。宋代に──司あり、侍從武官。晉書「百官及──、莫不散潰」
天子又は東宮にはんべりて書を講ずる。後漢書「詔長樂少府桓郁、──禁中」唐代に──學士を置き、始めて官名とす。
こしもと。
○天子のおそばに仕ふる官。書經「正于──之臣」=侍從。○淸代、御史の通稱とす。
官名、周の柱下史、秦改めて───と爲す、漢之に因る、其の職殿中に給事す、唐改めて御史中丞といふ。
貴人のそばにすわる。孝經「仲尼閒居、曾子──」曲禮「──于先生」
○おそばの書役。史、孟嘗君傳「孟嘗君待客坐語、而屛風後常有──」○轉じて書翰の宛名の脇へ添へる敬語、直接に本人を指さず、其の書役の人まで奉る義。
小閒使の女、こしもと。漢書、袁盎傳「從史盜私盎──」注「侍兒、婢也」=侍婢。
貴人の側にさぶらふ人。
そばづとめの臣。李商隱詩「──最有相如渴、不賜金莖露一杯」
貴人のそばにかしづく者。
侍僮に同じ。
天子のおそば近く仕ふ。李白に溫泉──詩あり。又、其の官。曹唐詩「──皆騎白鳳凰」
長者のそばにはべり食ふ。曲禮「──于長者」
そばめ、めかけ。孟、盡心「食前方丈、──數百人、我得志不爲也」=側室。
○漢の官名、天子の左右に侍し、衆事を贊導し、顧問に應ず。○魏晉以後は門下省の長官。
そばにはんべる女、こしもと。=侍兒·侍婢。
畱りて其の父母に侍する壯丁。唐書「詔十丁以上免二丁、五丁以上免一丁、──老者免徭役」
貴人のそば近くつかふる童。唐書「騎奴──、夾轂竝引」=侍童·侍豎。
侍講に同じ。唐書、百官志「東宮官、──無常員、掌講導經學」
こしもと。于鵠詩「──休梳官様髻」
官名、內閣各省の次官に當る。
そばにはべり立つ。蜀志「皆執刀──終日」
國 鎌倉幕府にありし官署 ヤクシヨ 兵事と警察事務とを司る。其の長官を別當といふ。
①シ [紙]
②シ [寘]
①しむ、せしむ(令)使役の辭。○もし、假定の辭。孟、吿子「─人之所欲莫甚于生」○つかふ(役)論、學而「─民以時」
②つかひ(使者)○つかひす。○ 國 つかふ、用ふる、費す。
同訓異義
シム 使·令·遣·敎·俾の別は令(人部三畫)の條を見よ。
つかふ。周禮、疏「政謂賦稅、役謂──」
國 文法上の語、他を使役して或る動作を爲さしむる意をあらはす助動詞、立たしむ·行かしむの類。
氣にまかせてはやる。── キヲツカフ を見よ。
俗 財力の極めて大いなるをいふ。黃庭堅詩「旣無───、又無封侯骨」
○四方の國國につかはさるる天子の使者の尊稱。後漢書、寇恂傳「──建節、銜命以臨四方」○漢の世、太守を府君、刺史を──といふ。
公使館の略稱。
俗 召使人。
○ゆびをつかふ。漢書「如身之使臂、臂之──」○轉じてさしづする。
君命を帶びて外國に使する臣、今の大使·公使の類。=使節。
宋の代、位相將を兼ぬる者の稱。文獻通考、職官考「宋制以節度使兼中書令或侍中中書門下平章事、皆謂之──、以待勳賢故老及宰相久次罷政者、蓋位兼將相、品極文武之稱」
さかくせわるし。使酒 サケヲツカフ を見よ。
使者の稱。後漢書、李郃傳「二君發京師時、寧知朝廷遣二使耶、二人問何以知之、郃云有二──向益州分野故知之耳」とあるに本づく。錢起詩「極目煙霞外、孤舟一──」
節 テガタ を持ちたる天子のつかひ。周禮、地官注「以王命往來必有節以爲信」
けしかけてつかふ。玉篇「使犬曰嗾」指嗾の誤用。
めしつかひの男、小使。
つかひに行く道。程子詩「──難久駐、囘首羨漁樵」
使者の乘る輕きくるま。王惲詩「九萬鵬搏翼、孤忠駕──」
神の使命を四方に傳へる徒弟、基督 キリスト の十二弟子をいふ。
俗 怒る。
つかひを遣りて訪ふ。後漢書「章和已後、──流通」
つかひのやくめ。又、君より遣はさるる使者。宋史、田景咸傳「性鄙吝、每──至、惟設肉一器」
つかひもちふる。
いひつけて使ふ。孟、梁惠王「便嬖不足──於前與」
用ふるしろ、つかひ料。唐書「吏用丁直爲──」
①シ [紙]
②イ [支]
或は奓に作る
○おごり、おごる(奢)分に過ぎて美麗、又廣大なることを好む。○ほしいまま(恣)○よこしまなるおこなひ。孟、滕文公「放辟邪─」○ひろし(廣)おほいなり(大)○おほし(多)ゆたか(饒·泰)○すこしくはる(微張)○鐘の口などのひろく開く義。
同訓異義
オゴル 侈·倨·驕·奢·傲等の別は奢(大部九畫)を見よ。
おごる、おごり。史記「行暴虐──、國人謗王」
大いなる口。漢書、王莽傳「莽爲人──」
ゆたかに多き貌。左思、蜀都賦「──隆富、卓鄭埓名」
物事の立派なる貌。路史「龍顏──、四目靈光」
おごる。おごり。南史、齊高帝紀「以長──之源、命打破之」=奢侈。
廣大なり。國語「已──哉」
おごる。おごり。管子「儉財用、禁──」
おごりのはじめ。唐書「恐寖啓──、勸帝斥之」
おごりてわがまま。
俗 無駄 ムダ なるつひえ。
おごりてみだら、奢侈にして淫靡。戰國策「淫逸──」
シ [寘]
通じて次、又、?に作る
○たすく、たすけ(助)詩、唐風「人無兄弟、胡不─焉」○ならぶ(比)○かはる(代)たがひに(遞)○およぶ(及)○とし、すばやし(輕疾)漢書、宣帝紀「募─飛射士」
ジ ニ [寘]
○そふ(副貳)○たすく(助)=佽。
シン [眞]
駪に通ず
○馬、羣行して先んぜんとする。○おほし、衆多の貌。
衆き貌。楚辭、招魂「往來──些」=駪駪。
シユン ジユン [震]
○したがひ死す、殉又、徇に通ず。書、伊訓「─于貨色」○しめす、となふ、徇に通ず。漢書、五行志「車裂以─」註「─、行示也」○とし(疾)?に通ず。
シユ [虞]
○─儒はいっすんぼふし、短人。又、うだち、梁上の短柱。
○いっすんぼふし。禮、王制「──百工」○古、短小の人を俳優とせしが故に俳優の義とす。史、孔子世家「優倡──戲而前」○つかばしら、梁上の短柱。淮南、主術「短者以爲──枅櫨」韓愈、進學解「欂櫨──、椳闑扂楔」
小人國。後漢書、東夷傳「至───、人長三四尺」
えびすの言葉の聞き取り難き貌。「──鴃舌」後漢書、南蠻傳「語言──」
タ [禡]
○ほこる(誇)史、韓安國傳「卽欲以─鄙縣」○─傺 タテイ は志を失ふ貌。○ 國 わぶ、心苦しく思ふ。又、閑居する。○わびし、なげかはし。
志を失ふ貌。離騷「忳鬱邑、余──兮」
タク [藥]
○よする、たのむ(寄)=託。○韓─胄は宋人、琦の曾孫、寧宗の卽位するや、─胄定策の功を負みて甚だ專橫なり。
①テウ [蕭]
②エウ [蕭]
①かろし、うすし(偸薄)あさはか。○獨行の貌、行きて勞苦に耐へざる貌。○かりそめ(苟且)○ぬすむ(竊取)周語「─天以爲己力」
②ゆるやか、ゆる乙(緩)のばす。荀、王霜「─其期日而利其巧任」
う、はべのみ巧によそほひて、かるがるし、輕佻佞巧の義。
○行きて勞苦に耐へざる貌。詩、小雅「──公子、行彼周行」○あさはか、輕薄。
かろがろし。唐書、鄭覃傳「文人多──」=輕薄·輕佻。
①トウ [東]
②トウ [董]
③トウ [送]
①おろか(無知)論、泰伯「─而不愿」○おろかなる人。書、顧命「在後之─、敬迓天威」○倥─はをさなし(童蒙)=空同。
②なほし(直)○長大なり。
③まこと、つつしむ(誠愨)
誠なる貌。莊、庚桑楚」翛然而往、──而來」
①ハイ [隊]
②ヒ ハイ [支]
①古、天子、又爵位ある人のおびもの「玉─」天子は白玉、公侯は玄玉、大夫は蒼玉を用ふ。詩、鄭風「雜─以贈之」○おぶ(帶)身に著ける、腰につける。論、鄕黨「去喪無所不─」○持つ、?へる。白虎通」農夫─耒耜、工匠─斧、婦人─鍼縷」○心に畱める「感─」」─服」「荷─」杜甫詩「寸心銘─牢」○玉にて飾りにるおほ帶。=玉帶。○水めぐる、水が縈紆す。
②おびもの。
韋 ナメシガハ は柔かなるもの之を帶びて性急の癖を矯めんとせし西門豹の故事によりて行を愼み、注意の深きにいふ。韓非、說林」西門豹之性急、故──以自緩、董安于之心緩、故佩弦以自急」
恩を蒙る、恩を感ずる。=荷恩。
にほひぶくろ。
かざりにつくる美石。詩經「彼畱之子、貽我──」
唐代、五品以上の官人のおびる魚形の袋の飾。唐書、車服志」中宗初、罷龜袋復給以魚」困學紀聞」──始于唐永徽二年、以李爲鯉也」李は唐の姓、李·鯉音相近し。
おびだま。詩經「將翺將翔、──瓊琚」
古、身におぶる玉の輪。子華子「出則有鸞和、動則有──」佩、俗に珮に作る。=環佩。
弦は急 キビ しく張りたるもの、故に之を帶びて心のゆるやかなるを矯めし故事。前の佩韋を見よ。
佩刀に同じ。
紫の印綬をおぶ。轉じて高官に任ぜらるるをいふ。晉書「被朱──」
印のくみひもをおぶ。唐書「六品以下、去劍──」
みどりの色をおびる。李百藥、笙賦「柳──而辭寒、梅含香而受日」
腰におびるかたな。後漢の代、天子諸侯王公卿百官皆──ありしこと、後漢書、輿服志に見ゆ。武備志、日本考「刀大小長短不同、立名亦異、每人有一長刀、謂之──、其刀上又插一小刀、以便雜用」
○身におびつける、佩用する。○心にとどめて忘れず、服膺する、心に悅服すること佩玉の身に在るが如き義。
印のひもをおぶ。轉じて官途につく義。蔡邕、胡廣黃瓊頌「赫赫三事、七佩其紱」
四百四十四卷、淸の聖祖康熙四十三年翰林の諸臣張玉書以下七十六人、勅を奉じて纂修す、韻によりて、成語を排列し詩家の用に供す、別に韻府拾遺百十二卷ありて合刻す。
四百八十六卷、淸の聖祖の御選、天文·地理以下四百八十六類に分ちて古代より明代に至る詠物の詩を採錄す。
一百卷、淸の康熙帝の御定、論書十卷、論畫八卷、歷代帝王書二卷、同上畫一卷、書家傳二十三卷、畫家傳十四卷、以下收載頗る完備せり。
身に著け用ふる。
ハク ビヤク [陌]
○もも。漢書、食貨志、註「─謂百錢」=百。○をさ、かしら、百人の長。○ちまた、田の東西の界道、陌に通ず。
倂(人部八畫)に同じ。
ボウ [尤]
○ひとし、そろふ(齊·等·均)おなじ。莊、大宗師「畸於人而─於天」○いなむし(食苗蟲)=蟊·蛑。
ヤウ [陽]
○いつはる、いつはり(詐)「詐─」○だます、あざむく(紿)○あらは、うはべをいつはりかざる、陽に通ず。○倘─はたちもとほる、さまよふ。=倘徉。
同訓異義
イツハル 佯·僞·詐·譎·詭等の别は僞(人部十二畫)の條を見よ。
いつはりておほしとなる。洛陽伽藍記「──不預於世事」
きちがひのまねをする、僞りて狂者となる。史、宋世家「箕子被髮──而爲奴」=陽狂。
いつはりて愚なるふりす。荀悅文「寗武子──」
いつはりのことば。韓非子「坐而──」=詐言。
死にたるふりをする〔史、范睢傳〕
たぬきねいり、ねたふりをする。郭璞、幽額贊「觸物則笑、見人──」=陽睡。
うはべだけたふとぶ。史記「項羽、乃──懷王爲義帝」
ことさらに敗れたるふりを裝ふ。史記「秦軍──而走」=佯北。
病氣といつはる。說苑「子胥諫不用、因輒──不行」
敗れたるふりして僞りにげる。史、李牧傳「──不勝」
にせめくら。元稹詩「焉肯自──」
①ライ [灰]
②ライ [隊]
①きたる、きたす、く。○いたる(至)○かへる(還)○およぶ(及)○よぶ(呼)○まねく(招)きたす。○今より後に至る時。論、微子「─者猶可追」○このかた、から、より。韓愈、與孟尙書書「入秋─、眠食何似」○いざ、いざなふ意を表はす爲めに語尾に添へる。史、孟嘗君傳「長鋏歸─乎」○語勢を强める爲めに添へる助辭。莊子「嘗以語我─」○こむぎ、麳に通ず。
②ねぎらふ、來る者の勞をなぐさめる。孟、滕文公「勞之─之」=徠。
訪ひ來りたる者の意中。後漢書、公沙穆傳「──厚矣」
ことのいはれ。白居易詩「續敎啼鳥說──」=由來。
來りあそぶ、遊びに來る。
後の世の子孫。
後の世。唐書「永貽範于──」=來世·後世。
來り援ふ。
來生に生れるいんねん。梁高僧記「永結──」
來年の夏。
來りてよろこびを述べる。
のりものが來る。人が訪ひ來るにいふ敬語。=來車。
佛 佛が現れ來りて人を淨土に迎へる。五會法事讚「觀音勢至自──」
外國より船に乘りて來る。
外より來りし客。張籍詩「公事稀疎──少」
○きたる、格は至、祭に鬼神の至り臨む義。書、益稷「祖考──」=來莅 ライリ ○人又は物の來る義。禮、月令「暴風──」
師の家へ來り學ぶ。往敎の對。
來札に同じ。宋書、吳喜傳「忽獲──」=來書·來信。
前條に同じ。
來りて客儀ある義。書、益稷「簫韶九成、鳳凰──」
林檎 リンゴ の別名。通雅「──、卽林檎也」
諸侯が朝廷になづき來りて貢物を獻上する。詩、商頌「莫敢不──」=來聘。
あつまりの席に來り集る。
來りて見る。
次に來るべき月。
來朝して、貢物をたてまつる。
きたりあだす。
今年の次に來るべき年。禮、月令「百縣爲──、受朔日與諸侯所稅於民、輕重之法、貢職之數」=翌年·來年。
他より來れるてがみ。杜甫詩「會面思──」=來書。
きたる。
來年。呂覽「今玆美禾、──美麥」令玆は今年。
來年の秋。
今より後に來る日。朱熹、勸學文「勿謂今日不學而有──」
敵が不意に攻め寄する。
他人よりのおとづれ。又、其のてがみ。
來りてをかす。
きたりおとづれる。=來訪。
車が來る。又、車にて來る、人の來ることをいふ敬語。=來駕。
○我より後に生れ來る者、後進の者。論、子罕「焉知──之不如今也」○我の方になつき來る者。公羊、隱二「──勿拒、去者勿追」
旣に過ぎたることは如何ともしがたけれども、未來の事はなほ追ひ及びて改むるを得べし。論、微子「往者不可諫、來者猶可追」
先方より送り來れる書狀。=來書。
來年の春。漢書、張敞傳「況至──」
來る、如は助辭。易、離卦「九四、突如其──」
他より來りしてがみ。杜甫詩「各逐萍流轉、──細作行」=來札·來翰。
○のちの世。書、仲虺之誥「予恐──、以台爲口實」=來葉。○ ライセ 佛 未來の世。過去·現在に對していふ、後生。法華經「佛吿舍利弗、汝於──、當得作佛、號曰花光王」
仁者が此地に來りて人民再生の思をなすをいふ、蘇は蘇息。書、仲虺之誥「葛伯仇餉、初征自葛、東征西夷怨、南征北狄怨、曰奚獨後予、攸徂之民、室家相慶曰、徯予后、后來其蘇、民之戴商、厥惟舊哉」
玄孫の子。爾雅「玄孫之子、曰──」往來の親ある義。
訪ひ來りて話をする。
諸侯が朝廷に來りて天子におめみえする、又、歸順する。詩、大雅「王猶允塞、徐方──」
○入朝に同じ。詩、小雅「君子──、何錫予之」○外國の使者の我朝に來る義。
來り集る。詩、魯頌「淮夷──、莫不率從」
來りおとづれる。=來訊。
來客に同じ。禮、月令「季秋之月、鴻雁──」
貢物を獻じて朝廷に來り訪ふ。左、隱七「齊侯使其弟年──」=來享。
小むぎと大むぎと。詩、周頌「貽我──」
來狀にてのさとし。=來示·來敎。
鬼神がきたりて其の場にのぞむ、莅は臨。宋史、寧宗郊祀樂章「穆穆──、洋洋如在」=來格·來臨。
人が我家に來りしことの敬語。=來駕。
過ぎ來しかたの經歷。滄浪詩話「用事不必拘──」=由來。
○四方の夷の國にて、新王の嗣ぎて立ちし時、初めて中國に來りて天子におめみえする禮。詩、商頌「莫敢不──」○夷狄が朝廷になつき來る。書、六禹謨「無怠無荒、四夷──」
ゆきき。=往來。
來り附くも反き去るも其の意に任せる。公羊、隱二、注「王者不治夷狄、錄戎者、來者勿拒、去者勿追」
ロン [元]
○ついづ(敍)○昆─ コンロン はまろし。又、山の名。=崑崙。
レイ [霽]
○たぐひ(比·類)○ためし、しきたり(典─·慣─)○おほむね(槩)みな(皆)○ 國 たとへば、─せば、前のためしを引用するにいふ。
ためしとなれるおきて。
常にきまりたる事の外、原則に對していふ。
つきづき、每月。
書物などの首に附するあらましの注意がき。=凡例。
きまりの時刻。
年年、又は月月のきまりのまつり。
例刻に同じ。
いつものかた。
きまりの日。
ためしとなる證據 シヨウコ
例として出す問題。
ためしとなれる儀式。
としどし。=每年。
7畫
イフ [緝]
いさまし、勇壯なる貌。
耕す者の行く貌。莊、天地「───耕而不顧」
ガ [歌]
○にはか、にはかに、急に、たちまち(忽)○すみやかに(速)○しばらく(須臾)○傾く貌。詩、小雅「側弁之─」=峩。○ 國 にはか、茶番 チヤバン =仁和賀。
しばし、しばらく。晉書、王戎傳「王渾──輒去」=頃刻·暫時·瞬時。
露西亞 ロシヤ 國をいふ(俄魯西 オロシヤ の略)=露國。
にはかに、急に。=卒然。
キウ [尤]
──は冠の飾ある貌。又、恭順なる貌。詩、周頌「載弁──」
キヤウ [漾]
──はあわただしき貌。楚辭、九歎「魂──而南征」又、遠くに行く貌。
キヨク [沃]
○たけひくし(短小)○せまる。局·跼に通ず。
グ ゴ [虞]
──は容貌大いなり。詩、邶風「碩人──」
ケイ [霽]
○かかる、かく。=繫。○しばる(縛)左、僖二五「─輿人以圍商密」○つなぐ(繫)つぐ(繼)○ひく。莊、山木「─履而見魏王」=曳。○ 國 かかり、或る事務に關係する職員「學務─」
同訓異義
カカル 係·繫·系·掛·挂·懸·嬰·麗·罹○係·繫の二字は通用す、つなぎ畱めて置く義。漢書、靈帝紀「台宰重器、國命所レ繫」易の繫辭といふは、文王周公の辭につなぎ續くる意。○系は繫に同じ、ただ繫はつなぎ結ぶ意あれども、系は連也、繼也、胤也、緖也と註し、系譜と用ひて、結ぶ意は無し。○掛は近くに物を釘などにてつり下ぐるなり、俗に掛物カケモノと用ふる如し。○挂は掛に同じ。○懸は遠く又は高く物をかくるなり、深く敵地に攻め入るを、懸軍萬里などといふ。韓文「三子者之命、則懸二乎天一矣」○縣は懸に同じ。○嬰はひきまつはるるなり「嬰二疾病一」の類。○罹は網にかかる義、轉じて病災にかかる義とす。○麗は附なり、べつたりと附く義。易經「日月麗二乎天一」
兩者の互に爭ふ物件、訴訟の目的物。
家をつぐべきちすぢ、あとつぎ。後漢書「──當立」
代數にて積の因數の片一方 カタイツバウ
わな、繩を以て獸の蹄 アシ を引きかけて取るしかけ。
係風捕影 カゼヲツナギカゲヲトラフ を見よ。
○つなぎしばる。孟、梁惠王「殺其父兄、──其子弟」=係纍。○ほだし、妻子眷族のわづらひ。=家累。
前條に同じ。楚辭「詘辱兮──」
①ガウ [庚]
②ケイ [徑]
①ただちに(直)○いそぐ(急)
②わたる、徑に通ず。史、司馬相如傅「─峻赴險」○なほし(直)○かたし(堅)
ケフ [葉]
○をとこだて、又、其の行ある人「任─」○たもつ、もつ(持)○さしはさむ、はさむ、挾に通ず。○ちかづく(近)
をとこだて。後漢書、馬援傳「兄子嚴敦竝喜譏議、而通輕──」王融詩「驅車追──」
をとこぎ。山谷題跋「有秦漢閒──」
をとこだての氣まへ。張華詩「死聞──香」
をとこぎある者。=俠客。
をとこぎに富みて、はげしき氣象。袁淑詩「──良有聞、古來共知然」
①ケン [霰]
②ケン [銑]
①たとへ、たとふ(譬喩)
②しのび(偵察)=諜·細作。○──はうかがひ見る貌。一解、恐懼の貌。
コウ [尤]
○弓を射るまと。○きみ(人君)又、一封土の君「諸─」大名 ダイミヤウ 康熙字典「古者以射選賢、射中者獲封爵、故因謂之諸─」○五等爵の第二位「─爵」○王城を距る五百里の地。○うかがふ。候に通ず。○むかふ(迎)○よし、うつくし(美)○なんぞ(何)○すなはち(乃)○これ、ここに(維·惟·伊)發語の辭。○無意味の助字。兮に通ず。
戰國時代の魏の隱士、年七十にして家貧なり、夷門の監者たり、魏の公子信陵君、趙の爲めに秦を伐たんとして侯生に謀る、生其の客朱亥を薦め、晉鄙を殺し其の兵を率ゐて趙を援け、遂に秦を破りて趙を存す。
侯服に屬する方五百里の地。周禮「方千里曰國畿、其外方五百里曰──」
まと、方十尺なるを侯といひ、四尺なるを鵠といふ。
非常の珍味、よせなべ、ごもくずし。五侯鯖(八二頁二段)を見よ。
侯服と甸服と、近畿の地。
字は朝宗、雪苑と號す、河南商邱の人、明亡びて仕へず、性豪邁不羈、才を負ひ任俠にして氣を使ふ、文を以て一時に雄視す、魏叔子·汪苕文と、淸朝三家と稱せらる、其の文、才氣奔放よく其の人と爲りに似たり。
侯爵と伯爵と、大名たち、諸大名。書經「外有州牧──」
禹貢の五服の第二、王城の周圍を去る五百里より一千里に至るの地、天子の斥侯 セキコウ となりて服事する。禹貢「五百里──」
一封土の主となりて、民を牧 ヤシナフ する大名。家語「率──以見於王」
シ [紙]
○まつ(待)論、鄕黨「不─駕行矣」=竢。○──は衆くして徐行する貌。
①シン [侵]
②シン [寢]
①をかす(漸進)次第に入りこみてかすめる。○けづる(朘削)○やぶる(破)害する、迫まる。○不意に敵をうつ。○すすむ(進)○わざはひ。○みのらず(歲凶)五糓登 ミノ らざるを大─といふ。○やうやく(漸)寖に作る同じ。○やや(稍)
②たけひくし(短小)みにくし、容貌揚 アガ らず。漢書、田蚡傳「貌─而體弱」寢に作る、同じ。
同訓異義
ヲカス 侵·犯·干·冒○侵は漸進也と註す、いつとは無しに、ひそかにをかす意なり、軍に鐘鼓なく、しのびて國を伐つを侵といふ。○犯は獸などの人の田畑をふみあらす如く、むやみに他領にふみ入る意、犯レ上·犯レ顏·犯レ法などと用ふ。○干は求也、犯也、此の方よりかまはずに、犯し入る義、權門などへとり入り仕宦等を求むるを、干請といふ。○冒は說文に「蒙而進也」とあり、何にても首に物を被りて進む義、綿帽子を絮冒といふ、冒レ雪·冒二矢石一などと用ふ、他の姓を稱するを冒レ姓といふ。史記「靑冒レ姓、爲二衞氏一」註に、冒は假稱するを謂ふ、人首の覆冒あるが若しとあり。
漸く進む〔文選、風賦、注〕=侵尋。
をかしそこなふ。左、襄十二、注「──隣國」=侵殘。
國境の地ををかしとる。又、そのとりたる地。揚雄文「歸其──」
侵入して擊つ、敵地にをかし入りて攻擊する。
れふしが魚を捕ふる如く、次第に他人の物ををかしとる。漢書、宣帝紀「詔曰、小吏皆勤事、而奉祿薄、欲無──百姓、難矣」
をかしせめる。
をかしあだする。晉書「邊境數被──」
をかしけづる、=侵蝕。
をかしそこなふ。陳書「山丘變移、陵谷或皆翦伐、莫不──」=侵害。
漸次に進む。史、武帝紀「天子始巡郡縣──於泰山」
をかしはむ。次第に敵國にくひこむ。=蠶食。
をかしみだす。漢書「──百姓」
ひそかにをかしぬすむ。魏收文「蟻攢蚋集、──邊鄙」
妄にをかしてふみにじる。北史、隋煬帝紀「自古以來、賢人君子、墳壟之處、不得──」
をかしうばふ。史記「項王數──漢南道」=侵掠。
をかし入る。書、孔傳「──紂郊疆伐之」
をかす。謝朓詩「三省無──」
をかしあらす。
をかしうつ。史記「神農氏世衰、諸侯相──」
他の國土又は財產ををかす。吳志「各守分土、無相──」
をかしあなどる。曲禮「禮不踰節不──」
犯しむさぼる。漢書「漁奪百姓、──萬民」牟は苗根を食ふ蟲、蛑に同じ、故に喩ふ。
大權ををかし、ないがしろにす。漢書「臣驕──、陰陽失節」
をかしとる。史、五帝紀、注「農相──、舜往畊期年、耕者讓畔」
をかしとる。左、襄、十一「禁──」戰國趙策「──各地」=侵略。
をかししのぐ、侵掠して憑陵する。禮記「諸侯相接以敬讓、則不相──」
①シン [震]
②シン [眞]
①まこと(愨實)まこととす、疑はず。孟、盡心「盡─書則不如無書」○まことに。○あきらか(明)明かにす。左、昭二五「─罪之有無」○きはまる(極)○もちふる(用)○ふたばんどまり。左、莊三「一宿爲舍、再宿爲─」○しるし(驗)老子「其中有─」○わりふ(符契)「印─」つかひ(使者)「─使」訊と通ず。○おもし(重)○まかす(任)○おとづれ「音─」
②のぶ。易、繫辭「往者屈也、來者─也」=伸·申。
同訓異義
マコトニ 信·眞·誠·固·實·良·諒·苟·洵·允。○信は信實と熟す、閒違マチガヒなき義、實よりはやや輕し。「國家之存亡禍福、信有二天命、一非二惟人一也」の如し。○眞はほんまにと譯し、僞之反と註す、うぶのままにて、少しもつくろはざる義、天眞·性眞などと熟す。史、畱侯世家「呂后眞而主矣」○誠は詐の反、眞と同用、眞誠と熟するにても知るべし。孟子「子誠齊人也」○固はもとよりとも訓む、當然之詞と註す「寡固不レ可二以敵一レ衆」の如し。○實は虛の反なり、充滿して闕くるなきにいふ、しかとと譯す。左傳「陳嬀歸二于京師、一實惠后」寔と通じ用ふ。○良はげにもと譯す、善也と註す「良有レ以也」の如し。○諒は彼我の心の相通ずるにいふ、良に略~同じ、亮に同じ。○苟は誠也と註す「苟志二於仁、一則無レ惡矣」の如し。○洵はくりかへし、くりかへしてもその通りの義。詩、王風「洵美且仁」○允はゆるすといふ義、いかにもと譯す、事理のたがはずして、しつくりとかなふを、允當といふ、信也と註す。書經「允執二其中一」
信用していつくしむ。宋史「視諸生如其子弟、諸生亦丨─如其父兄」
水鳥の名、かもめの一種。海物異名記「鷗之别類、羣鳥喈喈隨潮、謂之──」=信鳧。
信ずべき事を世人に傳へ示す。穀梁、桓五「春秋之義、信以──、疑以傳疑」
信ずべき證を取る。漢書、楚元王傳「無所──」
古事の信否を六經に照して考察する、藝は經。史、伯夷傳「夫學者、載籍極博、猶────、詩書雖缺、然虞夏之文可知也」
他人を信じて其の德に歸向する。漢書、韓延壽傳「所──」
神佛をたふとびてたのみすがる。=歸依 キエ
あひづのしるし「──機」=合圖 アヒヅ
まことと、いつはりと。潛夫論「──在性、不在親疏」
信實にして正し。南史、周敷傳「聞敷──、皆往依之」
雁の異名。郝經詩「──乘天運、斷不爲炎涼」
佛 佛を信仰して其の道を悟る。
人民の宗敎を信ずることは其の自由に任せ、政府にて關涉せざるをいふ。
まことを以て交をむすぶ。陸雲文「──民情」
信ずべき言は外面を飾らず、飾れる言は信なし。老子の語。
○信義のあるさむらひ。後漢書、來歙傳「世稱來君叔天下──」 佛 ○出家せずして佛門に入りたる男子の稱。梵摩喩經「爲淸──、守仁不殺、知足不盜」=優婆塞 ウバソク ○ シンジ 佛葬せる男子の法名につくる稱。
二ばん以上のとまり。何遜詩「違鄕已──」信宿參看。
つかひ、使者。司馬相如、諭巴蜀檄「故遣──曉諭百姓」
しるし。史記「受──、齋五日」
誠ありて欺かざる人〔孟子〕
心をこめて神佛を信賴して祈念する。
神佛を信仰するもの、宗敎を信仰する人。梁高僧傳「時有──」=敎徒·信徒。
賞罰を嚴明にし、功ある者は必ず賞し、罪ある者は必ず罰す。後漢書、宣帝紀「孝宣之治、────」
二ばんどまり。左、莊三「凡師一宿爲舍、再宿爲信、過信爲次」詩、豳風「於女──」
てがみ。=書札·書簡。
二ばんどまり。詩、豳風「于女──」=信宿。
信用して事を任せ賴む。
信託の引受其の他依賴を受けて財産の管理を爲す會社。
かもめ。禽經「鷗──也」本草「一種隨潮往來謂之信鳧」=信鷗。
あはうどり、性鈍にして魚を捕ふること能はず、口を開きて魚鷹の墜しし魚を拾ひ食ふ、故に信天 テンニマカス と名づけたりといふ〔五雜俎〕=信天公。
信者に同じ。
豚·魚は共に感覺の鈍きもの、然るに信能くこれに及ぶは信の道の至れるなり。易、中孚「豚魚吉、────也」
佛 ○出家せずして佛門に入りたる婦人の稱。○佛葬したる婦人の法名につくる稱。
信仰するまごころ。=信心。
しるしのふだ、官吏の地方を巡囘する時、?帶する證牌。明律集釋「凡府州縣自上行下、以牌爲信、故曰──」
信用してたよる。=信賴。
まこと、孚は雞の卵を孵化するに必ず期の如くして信を失はざる義。左、莊十「小信未孚、神弗福也」
東北風〔國史補〕
信用してしたがふ。北史、揚乾連傳「少雄武、爲鄕閭──」=信從。
俗 郵便切手。
人に信ぜられて用ひらる。左、宣十二「其君能下人、必能──其民矣」
國 人物を信用して無抵當 ムテイタウ にて金錢を貸す法。
あてにしてたよる、信用してたよる。
地名、戰國の魏の地、今の河南省寧陵縣の地、卽ち魏の公子無忌(──君)の食邑。
シン [眞]
よし(善)わらべ、ちご(童子)童男童女。張衡、東京賦「─子萬童」
シュン [震]
雋·儁·峻と通用す
○とし(敏)智が千人に過ぐるをいふ。○すぐる、ひいづ(秀)○大いなり、たかし(高)○うさぎ=?。
衆人にすぐれて秀でる、又其その者。漢書「招選天下材智士──者寵用之」
すぐれぬきんづ、又、其の者。宋史、姚鉉傳「鉉幼子稱──美秀」
すぐれて賢き人。書、皋陶謨「──在官」
俊傑に同じ。
すぐれたる器量ある人。晉書「庠母輔之見光逸、謂荀邃曰、彼似奇才、便呼上車與談良久、果──」
自ら其の兄を尊ぶ辭。韋玄成詩「茅土之繼、在我──」
すぐれてさとし。又、其の者。陳深詩「空拂畫圖憐──」=秀慧。
才德の衆にすぐれたる人。孟、公孫丑「尊賢使能、──在位」
才智のすぐれたる人、彥は男子の美稱。書、太甲「旁求──、啓迪後人」
すぐれて立派なることば。朱熹詩「──非碌碌」
すぐれたるはたらきある人。
才智が衆人にすぐれて高く明か。又、人品が秀でて高い。晉書、裴楷傳「楷、風神高邁、容儀──」
周代の學制、庶人の子弟中、道德の秀でたる者を三年に一囘選拔して、太學に入れたる其の被選拔者。禮、王制「司徒論選士之秀者而升之學曰──」
才智のすぐれたる者。後漢書、黨錮傳「天下──王叔茂」=俊穎·俊邁·英俊。
性質の秀でて事理に通達する。杜牧、與池州李使君書「足下性──堅明、心正而氣和」
すぐれてさとし、又其の人。陸雲文「實生──」=俊彥。
すぐれてさときわらべ。=神童。
すぐれて大いなるとく。書、堯典「克明──、以親九族」
才德の衆に秀でたる人。髦は毛中の長毛、故に喩ふ。爾雅、注「士中之俊、猶毛中之髦」
すぐれひいづ。宋史、陳宜中傳「少甚貧、而性特──」=英俊。
法律をきびしくする、又、其の法律。公羊、注「梁君隆刑──」=嚴法·峻法。
才智秀でてさとし。
すぐれてさとき辯口。晉書、羊祜傳「辭甚──」
才智すぐれてぬきんづ、邁は超なり。宋史、蕭貫傳「──能文、尙氣槪」=俊秀。
秀でて異なれる民。抱朴子「蒲輪玉帛、以抽丘園之──」
才學衆にすぐる。又、其の者。漢書「擧其──」
シヨ ソ [語]
○つくゑ、祭享の器、牲を載せて薦 スス むるもの。後漢書、馬融傳、注「─載牲之器」○まないた、魚肉を料理する臺。史、項羽紀「如今人方爲刀─我爲魚肉」
俎に盛る中み。史、禮書、注「大饗祫祭先王、以腥魚爲──」
○祭祀に食物を盛る器。論、衞靈公「──之事、則嘗聞之矣」○ひろく禮器の義とす。史、孔子世家「常陳──、設禮容」
セウ [嘯]
○にる(似)○かたどる(像)○みめよし、俗に婦容の美好なるを─といふ。
琴を反 カヘ すこゑ。莊、讓王「孔子──反琴而絃歌」
①ソク [沃]
②サク·ソク [覺]
①せまる(迫)しじまる(蹙)短くなる。唐書、柳宗元傳「長來覺日月益─」ちかづく(近)○せき立てる、うながす「催─」史、陳涉世家「─趙兵亟入關」=趣。○はやし(速)すみやか。潘岳、悼亡賦「聞冬夜之恆長、何此夕一─」○せまし(狹)○きびし(急)きびしくなる。○局─はちいさき貌。○こまやか(密)
②せまる。=齪。
促織に同じ〔埤雅〕
せき立てる。いそがす。新語「懷──者、必有所虧」=催促·督促。
せまりくるしむ。
よそほひをうながす。謝靈運詩「恭承古人意、──返柴荊」=趣裝。
うながしすすめる。
聲しげくつくきね。徐鉉詩「拂砧知露滴、──恐霜飛」
こほろぎ。寒くなる故、はたおりをいそげと鳴く蟲の義。古諺「──鳴、懶婦驚」杜甫詩「──甚微細、哀音何動人」=蟋蟀。
うながして早く成就せしむ「──栽培」
文法上、音と音との閒に挾まりてつまるこゑ。まったくのつの聲の類。
世事にあくせくする。韓愈、進學解「踵常途之──、窺陳編以盜竊」=齷齪 アクサク
うながし、せまる。
手綱をかいくる。
せはしくあゆむ。齊民要術「令──以足躡壠底」
ゾク [沃]
○ならひ、ならはし(風習·習慣)上の化する所を風といひ、下の習ふ所を─といふ。曲禮「入國問─」○いやし、雅 ミヤビヤカ ならず(鄙陋)○つね(凡庸)「凡─」○世の中、世閒、世の人。吳志、虞翻傳「性不協─、多見謗毀」○ 佛 出家せし僧に對して在家の人。宋書、徐湛之傳「世祖命使還─」
いやしくみにくし。
野卑なる調子 テウシ 白居易詩「古琴無──」
俗歌に同じ。
○世の中のゆかり。傳燈錄「──未盡、愼勿相近」=塵緣·世緣。○ 佛 僧とならざる時の緣族。唐高僧傳「釋智興──宋氏」
世の中のはやりうた。=民謠·俚歌·俗曲·俗謠。
○世閒の凡俗なるきゃく。杜甫詩「休怪兒童延──」○李 スモモ の花の異名。三柳軒雜識「李花爲──」
世俗のはやり學問。北史「──鄙習」
よのなか。漢書「浮湛──」=世閒。
俗人のまなこ、平凡なるみかた。集異記「──不識神仙」=俗目。
世俗の忌む所の事をいふ。宋書、王鎭惡傳「鎭惡以五月五日生、家人以──、欲令出繼疏宗、祖猛見奇之曰、此非常兒、昔孟嘗君惡日生而相齊、是兒亦將興吾門、故名之爲鎭惡」
俗臭に同じ。
○俗閒に行はるる歌のふし。=俗調。○俗歌に同じ。
俗了に同じ。
つまらぬいやしきゑ、俗人のよろこぶ畫。名畫記「不可以──傳其意旨」
いやしきこころ。=俗情。
俗閒に使用する言葉。雅言の對、さとびことば。=俗語。
民閒に行はるることはざ。下世話 ゲセワ 魏書、邢巒傳「且──云、耕則問田奴絹則問織婢」=俚諺。
○いやしきことば、野卑なる詞。○日常俗閒にて用ふることば。雅語の對。後漢書、蔡邕傳「其高者頗引經訓風喩之、言下則連偶──、有類俳優」
いやしきほねぐみ。仙骨の對。王貞白詩「念子無──、頻與鶴書招」=凡骨。
世俗の事に通じたる才。=世才。
次條に同じ。
俗了に同じ、煞は助辭、殺に同じ。張船山詩「──汾陽軟脚筵」
見識ひくきつまらぬ人。蜀志「儒生──、豈識時務」
漢字の正しからざる字體。俎を爼、館を舘と書く類。
俗人のみみ。世說、言語「戴仲若(名は顒)春日?雙柑斗酒、人問何之、答曰、往聽黃鸝聲、此──針砭、詩膓鼓吹」──針砭とは、いやしき耳を療治する義。
世の中のうるさきことがら。神仙傳「欒巴少而好道、不修──」=塵事。
世俗のいやしきにほひ、野卑 ヤヒ なる氣分。=俗氣。
世の中のいやしきならはし。
○凡庸の人。老子「──昭昭」○世閒の人人。
世俗のいやしき心。風雅ならざる心。陶潛詩「詩書敦夙好、園林無──」
平凡なる主。呂覽「──虧情」
見識せまく心卑しき學者。論衡「──好長古而短今」
俗儒は時務に暗きをいふ。漢書、元帝紀「且────、好是古非今、使人眩於名實、不知所守、何足委任」
○世人の言ひなれたるよびな、とほり名。○俗名に同じ。
未だ僧とならざる時の姓。唐高僧傳「釋志超、──田」
世俗の人の論說。漢書、刑法志「又因──而論之」
世俗如實の理、忠孝仁義等一切世閒の道をあきらめ悟る義。飜譯名義集「三摩鉢底此云等持、卽方便隨緣止、止於──」
○僧に非ざる人の風體 ヤウス ○風雅 ミヤビ ならざる體。
うきよのちり、世のわづらひ。唐太宗詩「超然離──」=世累。
世人の言ひつたへ。
世の中の俗人とあはず。王貞白詩「古樂知音少、名言───」
世のうるさきおもひ。白居易詩「世緣──消除盡、别是人閒淸淨翁」
俗人のしりぞけるところの人をいふ。揚雄、連珠「明君取士貴拔衆之所遺、忠臣薦善、不廢俗之所排」
衆俗の欲する所は、之を授け與ふる。史、晏子傳「────────、俗之所否、因而去之」
平凡なるともがら。戴復古詩「──衆多吾輩少」=俗流。
俗氣ある人は濟度す可からず。蘇軾、綠筠軒詩「無肉令人瘦、無竹令人俗、人瘦尙可肥、士────」
世のならはしがうるさくわづらはし。左傳、疏「國之將滅、風散──」
平凡なる無趣味の人物。晉書、王戎傳「──已復來敗人意」=俗人。
分かり易き通俗文。
世俗のうるさき氣。冷齋夜話「恨爲──所蔽翳」=俗氣·世塵·俗塵。
世の中のつとめ。杜甫詩「瑣細隘──」=塵務。
佛 出家後の法名に對して、在家の時の名をいふ。
世閒普通の樣式。池北偶談「不惟──」
國 世俗の用事。=俗事。
學問なくしてつまらぬ俗務に從ふ役人。漢書「──之所能爲者、在于刀筆匡篋、而不知大體」
凡俗なるなかま。韓愈詩「──知者誰、指注競嘲傲」=俗輩。
世の中のわづらひ。沈約詩「──從此休」=塵累·世累。
凡俗のものとなしをはる。方岳詩「有梅無雪不精神、有雪無詩──人」
世の中のつまらぬはなし。杜荀鶴詩「洞裏客來無──」
タツ [曷]
○かろし(輕)○てがるにやすし(簡易)淮南、本經「其行─而順情」
①ハウ·ホウ [皓]
②ホ [麌]
①たもつ、もつ(所持·所有)○そだてやしなふ(育養)孟、滕文公「古之人若─赤子」○たのむ(恃)○まもる(守)○いだく(抱)○もり、つきそひ。禮、文王世子「入則有─、出則有師」○なかだち「牙─」○くみあひ。○やすんず(安)○たすく(佑)○全くす「─全」○たふ(任)其の責に任ずる、うけあふ「─證」「─險」周禮、地官、大司徒「令五家爲比、使之相─」○やとはれ人(傭)「庸─」史、欒布傳「窮困賃傭於齊爲酒家─」○趙宋の代、義勇兵の組合の稱。正字通「紹興之閒、詔淮漢閒取戶主之雙丁十戶爲─、五─爲團、團有長」○こじろ(小城)「城─」又、都邑の城。○むつき、褓·緥に通ず。
②たすけ安んず。
まもりたすく。詩、大雅「──命爾」=保佑。
たもちもつ。
たすける、力をそへて助ける。書、召誥、註「格正夏命──之」=保右。
宰相の稱、天下この人に倚りて平を得る義。書、說命「昔先正──、作我先王」=阿衡。
趙宋の代の義勇兵の組の稱。正字通「宋元豐以諸路義勇、改爲──」
やすんじめぐむ。書經「能──于庶民」
保證人〔未信編〕
我が天賦の眞性を保ちて失はざる義。屈原、卜居「寧超然高擧、以──乎」
たもちて全うす。後漢書「夫──一身、孰若──天下乎」
たもちもつ。嵆康文「幸賴大將軍──之耳」=維持。
やすんじさだめる。詩、小雅「天──爾、亦孔之固」
たもちやすんず。李吉甫文「──社稷」
民を」て組を設けて、官馬を飼養せしむる義。文獻通考、兵考「按熙寧五年、所行者戸馬也、元豐七年所行者──也、皆是以官馬責之於民、令其字養、戸馬則是蠲其科賦、──則是蠲其征役」
たみをやすんず。孟、梁惠王「──而王、莫之能禦也」
○生命を長くたもつ「──酒」○上の命令を恃 タノ む。左、僖廿三「保君父之命而享其生祿」
天子の親兵。鑾輿卽ち天子の御車を保護する義。鑾或は鸞に作る、車の上に附ける鈴、鸞鳥の聲に象る。五代史記、王彥章傳「京師秪有──五百騎」
社會の安寧秩序を保つ爲めに設けし規則。
やすんじそだてる、保護養育。=撫育 ブイク
周代の農事を勸むる官。詩、周頌「嗟嗟──」
保護管理の約語、規定又は契約により、他の物を預り保存する。
損害をつぐのふ保證。生命──·火災──の類。
國 三卷、作者未詳、保元元年七月、後白河院と崇德院との御爭につきての戰記。
かばひまもる。書、畢命「成定東周郊境、使有──」=庇護。
金銀、又、公債證書·株券等を其の所有者の請求により、手數料を取りて保管する。
强大國の保護によりて存立せる國。印度の英國に於ける類。
動物が其の常に棲む所の周圍の草木地面等の色に類似せる體色を有する其の色をいふ、敵の目に觸れざるやう自然に進化せしもの。
種族の滅亡を防ぐ爲め、又、害蟲を捕食する益あるが爲めに行政權を以て其の捕獲を禁止せられたる鳥類。
他人の能力を助けて過なからしむる義。保佐人 ホサニン は準禁治産者の財產を管理する人。
互に保護する組合。元好問詩「父兄漸來同──」
○小城ととりでと、保は堡に同じ、障は塞上の要險の處に築きしとりで。左、定十二「且成、孟氏之──也、無成是無孟氏也」○租稅を輕くして民を保んずる政治。史、趙世家「簡子使尹鐸爲晉陽、請曰、以爲繭絲乎、以爲──乎、簡子曰、──哉、尹鐸損其戶數」
刑事未決囚が保證金又他の保證を出して一時歸宅を請ふ時、豫審判事又は裁判所が之を許可する法。
これまでのとほりを守りたもつ「──黨」
衆をあつめて保ち守る。左傳「我敝邑用不敢──」
あかしをする、うけあふ、ひきうける「──人」「──金」
みはりの兵。
大切にたもつ、失はざるやうに維持する「──登記」
風致を添へ、又は水害を禦ぐ等の爲めに政府が其の採伐 サイバツ を禁止し又制限せる森林。
俗 保證書。
かばふ。宋史、楊延昭傳「朕力爲──、以及於此」
かしづき、もりやく。戰國策「不離──之手」
もりやくの女。禮記「其次爲──」=保姆。
○もりやくの女。=保母。○ 國 幼稚園の女敎師。
身體を健かにたもち養ふ。列、力命「壽天不存于──、窮達不繫于智力」=養生。
やとひにん(雇人)=保傭。
前條に同じ。
フ [虞]
○とりこ、とりこにす(虜獲)生擒 イケドリ する。○とる(取)書、湯誓「─厥寶玉」
とりこをかへす。宋史「──歸幣可也」
俘虜と首級と、いけどりと討ち取りし首と〔南史、宋武帝紀〕=俘馘。
敵兵をいけどる。唐書、李光弼傳「──過當」=生擒。
敵を獲て其の左耳を截 キ る。左傳「示之──」
いけどりにすると斬り殺すと。宋史「──甚衆」=擒斬。
とりこ。蘇軾詩「王命獻──」
多くのとりこども、醜は衆。
とりこ。晉書、祖逖傳「幸哉遺黎免──」=俘囚。
ブ [虞]
○あなどる、あなどり(慢·易)史、淮陰侯傳「淮陰少年有─信者」○かろんず(輕)輕蔑する。○しのぐ(陵)左、昭元「不─鰥寡」○もてあそぶ(戲弄)
同訓異義
アナドル 侮·慢·易○侮は人を輕んじなぶる義、慢易なり。孝經「治レ國者、不三敢侮二於鰥寡一」○慢はじだらくにして、何とも思はざる義、暴慢·怠慢と連用す、侮より甚し、相手なくとも放肆にして、じだらくなるは慢なり。○易は心やすくあひしらふなり。
あなどりなれる。=狎侮。
あなどりたはむれる、かろんじてふざける。桂苑叢談「常嗜酒──時輩」
あなどりわらふ。韓愈詩「低頭受──」
あなどりはづかしめる。
あなどりののしる。魏書、高涼王孤傳「見──遂卽去之」
あなどりないがしろにす。史記「殄廢先王明德、──神祇」=輕蔑。
人をあなどりて自らおごりたかぶる。書經「──自賢、反道敗德」
①ベン [霰]
②ベン [先]
③ヒン·ビン [眞]
①やすし(安)○したがふ(順)○いばり(溲)漢書、張安世傳「郞有醉─殿上者」○たより、都合、勝手。荀、議兵「汝所謂─者不─之─也」○たよりよし、都合よし、利あり。○おとづれ(音信)○とし(敏)○すなはち(輒)莊、達生「若乃夫沒人則未嘗見舟而─操之也」○─面は扇の類。
②やすんず(安)くつろぎ休む。○ならふ(習)○──は肥滿 コエフトル せる貌。又、ひとし、平に通ず、又、みやびやか(閒雅)なる貌、又、明かに辯ずる。○へつらひ、へつらふ「─佞」
③やすし。○たよりよし。
同訓異義
スナハチ 便·則·卽·輒·乃·迺の別は則(刀部七畫)を見よ。
おだやかにおちつく、やすらかにしてたよりよし。後漢書爲吏民所──」
短くして袖を小にしたる便利なる衣服。漢書、李陵傳「陵──獨步出營」
たよりよし、易はてがる。急就篇「──於事」=便宜。
便利よし。=便宜。
くそのしる。唐書、郭弘霸傳「弘霸視──卽染指嘗、驗疾輕重」=糞汁。
たくみにへつらふ。新語「──者近亡」
都合よし。漢書、婁敬傳「臣願見上言──」
其の時の見はからひにて事を行ふ。史、蕭相國世家「卽不及奏上、輒────、上來以聞」上は高祖。
大小便をとる器、おまる。=便壺·虎子。
都合よきはかりごと、便利なる謀。史、滑稽傳「所謂奇策──也」
輕くしてうるはし。張翰詩「轉側綺靡、顧眄──」
○雪の輕く飛ぶ貌。雪賦「初──于廊廡、末縈盈於帷席」○あてやかなる貌。南都賦「偠紹──」○舞ふ貌。駱賓王文「──舞袖」
身輕にみやびなる貌。前條に通ず。司馬相如、上林賦「靚粧刻飾、──綽約」
便器に同じ。
○くつろぎて坐する席 ムシロ 漢書、萬石君傳「子孫有過失不誚讓、坐──對案不食」○休息のへや。漢書、張禹傳「禹見之於──」=便房。
自分の勝手のよきことをはかる。韓非子「言曲而──」=利己。
くちまへ善きことば。漢書、藝文志「──巧說」
なれる。後漢書「──山谷」
事に慣れたる人、聖賢を以て自ら居らざる謙辭。禮、表記「唯欲行之浮于名、故自曰──」
國 かはや、てうづば。=雪隱 セツイン
すばやし。淮南子「虎豹──、熊羆多力」=便敏。
○小便する、旋は尿 イバリ ○たちもとほる。博雅「徘徊──也」=徘徊。
よく水になれる、游泳などの巧なる義。隋書「督──者引取其筏」
ちか路、便利よき道路。杜甫詩「──卽長驅」
便利よき土地。漢書、匈奴傳「使韓安國將三十萬衆徼於──」
天子の休息の御殿、便は安くくつろぐ。漢書、武帝紀「──火」
病名の一、よこね。=橫痃。
辯口に巧にして、見聞の實なく心に誠なき者。便辟を見よ。
くつろぎてやすむ部屋、休息べや。潘岳文「憩──以偃息」
つがふのよき方法、てがるなるしかた。
ふんづまり、大便が祕結する、大便の通じが無い。
さとし、すばやし。韓愈、毛穎傳「穎爲人强記而──」=便捷。
○おひて。楊炯詩「香逐──來」=順風。○たより。山谷刀筆「餘須它日──也」
くつろぎて休む時に著るきもの、ふだんぎ。=私服·褻衣 セツイ
こえふとりたる腹。蘇軾詩「十圍──貯天眞」
君にへつらひて、其の氣に入るもの。孟、梁惠王「──不足使令於前與」
便は人の欲する所に順ふ、辟は人の惡む所を避くる義、人の意を迎へてこびへつらふ。又其の人。論、季氏「友──、友善柔、友便佞、損矣」
○肥滿せる貌。漢書、邊韶傳「腹之──、五經之笥」○明かに辯ずる貌。論、鄕黨「其在宗廟朝廷、──云、唯謹爾」○みやびなる貌。韓詩外傳「──閑雅貌」
扇の類。漢書、張敞傳注「師古曰──所以障面、蓋扇之類也、不欲見人、以此自障面則得其便、故曰──」
初學に分り易く作る、又、其の書物。
かってぐち、裏門、便は便利。
一覽するに便利なる書物、一見してはやわかりのする書物。
都合よし、自由にきく。史、范睢傳「手足──、耳目聰明」=便宜。
①ベン·メン [銑]
②フ [麌]
①つとむ。=勉。
②ふす。=俯·頫。
同訓異義
フス 俛·伏·俯·仆·偃、臥等の別は伏(一一六頁四段)の條を見よ。
うつむくと、あふむくと。漢書、晁錯傳「在──之閒耳」=俯仰·頫仰。
得ることの容易なるに喩ふ。漢書、夏侯勝傳「經術苟明、取靑紫、─────耳」靑紫は卿大夫の服。
かうべを垂れる、媚び諂 ヘツラ ふさまを形容していふ。韓愈、應科目時與人書「──帖耳」=頫首。
○せぐくまる。南史「鞠躬──、不敢正行直視」○せむし、脊骨の彎曲する病。唐書、吉頊傳「武懿宗、陋短──」
勤勞する貌。禮、表記「──日有孳孳」
ヨウ ユウ [腫]
死者と共に葬り埋むるひとがに(木偶)孟、梁惠王「孔子曰、始作─者其無後乎、爲其象人而用之也」
善からざる例を始める義、俑は葬に從ふ木偶、終には生きたる人を殉死せしむる端を開くに至る不仁の甚だしきを孔子がいたく惡みたまひし故事。禮、檀弓「孔子謂爲芻靈者善、謂──者、不仁、不殆於用人乎哉」註「中古爲木偶人、謂之俑、則有面、目機發而太似人矣、故孔子惡其不仁、知末流必有以人殉葬者」
リ [紙]
○いやし(鄙俗)漢書、司馬遷傳「質而不─」○たのみ、たのむ(聊賴)○いやしきうた、野人の歌。
ひなうた。韓偓詩「──暴謔何其哤」=俗謠·俚歌。
さとびたるうた。蘇軾詩「不借陽春和──」=野歌·俗歌。
さとびたることば、鄙俗なる言。左思、魏都賦「非鄙俚之言所能具」=俗言·俚語。
さとびたることわざ。韓琦詩「事累載方册、令復著──」=俗諺。
さとびたることば。五代史、王彥章傳「彥章武人不知書、常爲──」=俚言·俚辭。
いやしき人の耳。=俗耳·里耳。
俚語に同じ。
いやしくしてあさはか。宋史、禮志「詞旨──」
さとびていやし。五代史「翔所作皆──語」=鄙俗·野卑。
さとびていやし。=鄙俗。
リ [寘]
さとし、こさかし、伶─は黠慧の義。
リヨ ロ [語]
○とも(朋)つれ、ともがら(儔)たぐひ(類)○ともなふ(伴)友とす。蘇軾、赤壁賦「─魚蝦而友麋塵」
ともなひて行く。陸璣、草木疏「鱗不──」
つれ、ともだち。=儔侶。
〔國字〕
おもかげ、すがた、容貌、弟は兄の面影あるが故。
8畫
①イ [紙]
②キ [支]
①よる、因 チナ む。○よりかかる(憑·依)たのむ(恃)「─勢陵人」○かたはら(側)○かたよる(偏)○調子に合せる。漢書、張釋之傳「愼夫人─瑟而歌」○もつ(持)
②奇に同じ。○かたはもの。=畸。
同訓異義
ヨル 倚·依·寄·憑·凭·賴等の別は依(一二七頁四段)の條を見よ。
かたよりかたぶく。上林賦「磐石振崖、嶔巖──」
よりたのむ。孟郊、黃雀吟「黃雀舞承塵、──主人仁」
あけび。=山女·丁翁。
よりたのむ、たよりにする。=依賴·倚賴。
馬前にて立ちどこるに、七枚の紙に書く程の長文を草したる故事、文才の敏捷なるにいふ。世說、文學「桓宣武北征、袁虎時從、被責免官、會須露布文、喚袁倚馬前令作、手不輟筆、俄得七紙、殊可觀」
馬によりかかりて待つ閒に萬言の文章を作る程のすぐれて敏捷なる天才。李白、上韓荆州書「請試萬言、倚馬可待」
禍と福とは互に相因りて生じ、相潛まり伏する義。老子「禍兮福之所倚、福兮禍之所伏」班固、幽通賦「北叟頗識其──」
母が外出せし子の歸るを待ちわびる情をいふ。戰國齊策「王孫賈年十五、事閔王、王出奔、失王之處、其母曰、女朝出晚來、則吾倚門而望、女暮出而不還、則吾倚閭而望、女今事王、王出走、女不知其處、女尙何歸」
たよる。後漢書、袁安傳「自天子及大臣、皆──之」=依賴。
らんかんにもたれる。=倚闌。
倚門之望に同じ。
父母の喪中に住む假のいほり、中門外の片隅に差掛けて作る。禮、問喪「居於──、哀親之在外也」=倚閭。
たかどのによる。杜甫詩「勳業頻看鏡、行藏獨──」
かたはもの、不具者。莊、天下「南方有──焉」=畸人。
エン [豔]
われ(我)
カ コ [箇]
个に同じ、箇と同義。康熙字典「按個爲後人增加、从个·箇爲正」
取り立てていふ條件、かど「──書 カデウガキ 」
ひとつびとつ。=一一。
己ひとり。社會、又、公衆人に對していふ語「一──」
○倫理學の一派、個人の獨立自由を重んじ、個人を基礎として、一切の行動を規定せんとする主義。○敎育學の一派、個性を發達するを以て敎育の目的とするもの。
個人が特別に有する性質。
かず。
カウ [梗]
○さいはひ(幸)こぼれざいはひ、分に非ずして得るしあはせ「僥─」「佞─」○したしむ(親)へつらふ(佞)
君の寵愛を受けてゐる女、君のおもひもの。=愛妾。
僥倖 マグレサイハヒ の門。舊唐書「武宗記減宂官、──頓塞」
こぼれざいはひ。=僥倖 ゲウカウ
傚(人部十畫)に同じ。
キ [支]
蒙─はおにやらひをする時かぶる面。四目の者を方相、兩目の者を─といふ。荀、非相「仲尼面如蒙─」倛は?·?に通ず。
キヨ コ [御]
○おごる「─傲不遜」○足を投げ出してすわる(箕坐)○さしがね、矩の直きもの。○すこしくまがる(微曲)
同訓異義
オゴル 倨·傲·驕·奢·侈等の别は著(大部九畫)を見よ。
たかぶりあなどる、驕慢不遜。莊子」夫子猶有──之容」魏志、陳羣傳「高才──」
たかぶる氣ぶん。唐書、忠義傳「無──矜色」
臥して思慮なき貌。淮南、覽冥「臥則──、興則眄眄」=居居。
おごりたかぶりて他人をかろんずる。金史、蕭肆傳「憑恃恩倖、──同列」
たかぶりて人をあなどる。韓非、難言「慮事廣肆、則曰草野而──」
倨傲に同じ。漢書、王尊傳「尊爲相、──不臣」
ク [虞]
通音グ
○ともに(偕)みな(皆)○そなはる(具)○ともにす。つれだつ。
同訓異義
トモニ 俱·偕·與·共○俱·偕の二字は、同義にて、共にうちそろひてと譯す、但、偕は、俱よりは意强し、例へば花觀に往くに、始終相攜へて行くは、偕の字、少少前後しても、一所に行き會ふは、俱の字なるが如し。詩衞風「及レ爾偕老」孟子、「父母俱存」○與は黨與の義にて、くみあふ義より、ともにと訓む。易に「立二天之道、一陰與レ陽、立二地之道、一剛與レ柔、立二人之道、一仁與レ義」とある如し。論語「始可二與言一レ詩已矣」○共は公共と熟す、へだて無く、寄り合ひて、事を共にする義な·り「與レ衆共レ之」の如き、與は組み合ふ所を主とし、共は衆人と、共同にする所を主とす。
佛 人の左右の?の上に在りて行爲の善惡を監視するといふ神、右なるは女神にて人の惡業を錄し、左なるは男神にて善業を書きとめるといふ〔無量壽經〕
佛 佛敎八宗の一、法相宗の分派、天親菩薩の俱舍論を所依とする小乘敎、俱舍は梵語、藏と譯す、一切所應の知識を包藏する義。
國 もと英語の音譯、集會所の義。
佛 黑き龍が劍を卷ける圖にて、不動明王の法形を現はしたるもの。
クツ [物]
つよし(强)こわし(梗)梗戾 カウレイ の貌、剛情、いっこく。
がうじやうにして屈せず、屈抑を受けず。宋史、趙鼎傳「檜曰、此老──猶昔」=倔彊。
前條に同じ。五代史「孟知祥──於蜀」
クワン [寒]
とねり、駕を主る小臣。
①ゲイ [齊]
②ゲイ [霽]
③ガイ [佳]
①をさなし(幼弱)幼者。孟、梁惠王「反其旄─」旄は老人。○きは(際)はし(端)かぎり(限)韓愈、南海神廟碑「乾端坤─、軒豁呈露」○わかつ(分)莊、秋水「惡至而─貴賤」○おぎなふ、裨益す。
②僻─は城上のひめがき。=埤堄。○ながしめ、斜視。=睨。
③ほとり、かぎり、きは、はし。=涯。
倪黃を見よ。
倪黃を見よ。
共に元代の畫家、倪瓚、字は元鎭、雲林と號す、無錫の人、博學にして詩畫に工なり、古法を一變し、天眞幽淡を以て宗となす、性潔を好む、人倪迂と稱す。黃公望、字は子久、聰敏絕倫、學は百氏の說に通じ、最も畫山水をよくせり。元の季の四大家と稱せられしは、以上二人と王蒙·吳仲圭となり。
前條を見よ。
ケン [霰]
○うむ、おこたる(懈)禮、儒行「敦行而不─」○つかる(疲)○おごる(倨)
游學に倦み疲れる。史、司馬相如傳「長卿故──、雖貧、其人材足依也」何遜詩「我本──客、心念似懸旌」
あきていやになる。
天子が政務の勤勞にうみていやになる。書、大禹謨「耄期倦于勤」
うみていこふ。陸游詩「──石腰鼓、好擕銅博山」
うみてくるしむ。
うみておこたる。
道の遠きにうむ。李商隱詩「──山向背、望國闕嵯峨」
うみてつかる。
うみつかれる。=倦疲·倦憊。
うみてつかる。=倦憊·倦罷。
始終勤め行ひてらみおこたることなかれと戒むる辭。論、子路「子路問政、子曰、先之勞之、請益、曰──」
コウ [宥]
一に?に作る
○うかがふ(伺)とふ(訪)みる(望)さぐる。○うらなふ(占)考へる。後漢書、郞覬傳「父宗能望氣占─吉凶」○さぶらふ、はんべる(侍)○きざし(兆)しるし(證)○まつ(待)迎へる。陶潛、歸去來辭「稚子─門」○ものみ「斥─」ものみの番所 バンシヨ 後漢書、光武紀「北邊築亭─修烽燧」○邊疆を守る官吏。○賓客を送迎する官吏。○事のありさま(情狀)「火─」「症─」○一年を七十二に分ちたる時節の稱、轉じて時節の義とす「氣─」魏書、律曆志「五日一─」○ 國 さぶらふ、有りといふ敬語、今は書簡文に用ふ。
同訓異義
ウカガフ 候·伺·偵等の别は伺(一二一頁二段)の條を見よ。
かり、時候に應じて來去するが故。
ものみの騎兵、斥候する騎兵。=偵騎。
天象を描きたる天文圖。=渾天儀。
ものみ。周禮「巿有──」注「──、樓可觀望者也」
軍中の斥候。唐書、李悛傳「祿山度河、號令嚴密、──不能知」=詗候。
道路にて賓客を送迎する役人。詩、曹風「彼──兮」=候官。
時計をいふ。帝京景物略「──應時、自擊有節」
時候に應じて出で、又鳴く蟲。柳宗元詩「門掩──秋」
時候に應じて來去する鳥類。秋來る雁、春來る燕の類。
潮のさし來るをうかがひまつ。李嘉祐詩「長安帶酒别、建業──歸」
候は待つ、官に補せられるを待つ義、官職に就く希望、又其の希望ある人を──者といふ「士官──生」
血液の流通をうかがふ、診察する。搜神記「醫至察其容、候其脈」
きげんをうかがふ、みまふ、伺候訪問。唐書、房喬傳「帝命鑿苑垣、以便──」
斥候をつとむる役人。後漢書「──還曰、河水流澌、無船不可濟」
ものみやぐら。周禮、注「次、巿中──也」=候館。
國 手紙に用ふる文體。決定の辭に候といふ語を用ふるが故。=書翰文。
①コウ [東]
②コウ [董]
③コウ [送]
①─侗はおろか、無知なり。=悾。
②─傯はいそがはし、せまる(迫促)
③くるし、困苦。○ 國 ぬかる、ぬかり、油斷して仕損ずる。
○いそがはしき貌。劉基詩「頗怪天地氣、去來何──」○困む貌。楚辭、九歎「愁──於山陸」
童蒙の無知なる貌。法言、學行「──顓蒙」
コン [阮]
─伅は事物の開通せざる貌。又、四凶の一。=混沌。
①サイ [隊]
②ソツ [月]
①そへ(副)そへぐるま(副車)○未だ仕宦せざる子、へやずみ、曹子 ザウシ
②百人の一隊の稱。卒に通じ用ふ。○ 國 せがれ、己の男子を呼ふ稱。
そへぐるま。周禮、夏官「掌王──之政」=副車。
①サウ [陽]
②シヤウ [漾]
①くら、こめぐら(穀藏)圓きを囷といひ方を─といふ。○─卒·─皇は、にはか(急遽)あわつ(遽)○あをし、蒼に通ず。○あをうなばら、滄に通ず。○はらわた、臟に通ず、五─は五臟。
②かなしむ、愴に借用す。
あをうみ。揚雄、甘泉賦「東燭──」=滄海。
うぐひす(鶯)詩、豳風、七月「春日載陽、有鳴──」
米ぐら。字解を見よ。白居易詩「廩祿二百石、歲可盈──」
あわつ、にはか。杜甫詩「──已就長途往」=蒼黃·蒼皇·蒼惶。
あわつる貌。風土記「大雪被南越、犬皆──吠噬」
黃帝の史臣、始めて文字を造りし者。許愼說文序「黃帝之史──初造書契、依類象形故謂之文、其後形聲相益、卽謂之字、著於竹帛謂之書」倉一に蒼に作る。
くら、倉は米ぐら、庫は器械を入るるくら。舊唐書、高祖紀「高祖起義兵、開──以賑窮乏」
漢代の名醫、史記に扁鵲──列傳あり。
くらに貯へたる穀物。後漢書、翟酺傳「──腐而不可食、錢貫朽而不可校」=倉米。
音律の響の形容。宋史「開口吐聲謂之商、其音將將──然」
くらの中のもみ。史、高祖紀「──多非乏」
にはか、あわつ。李陵、答蘇武書「前書──未盡所懷」=倉猝。
くらの中のたくはへ。宋書、劉懷肅傳「衞──以候王師」
○めしつかひ、小使。倉蒼音義通ず、古、賤者靑布を頭にまとひし故。漢書、蕭望之傳「──廬兒」=蒼頭。○倉廩を掌る者。晉書、石崇傳「──八百餘人」
倉は米ぐら、府は錢ぐら。漢書、王式傳「縣官費衆、──空」
くらの中のこめ。晉書、庾翼傳「──一百萬斛」
倉公と扁鵲 ヘンジヤク と、共に古代の名醫。史記に其の傳あり。轉じて名醫の稱とす。
こめぐら。史、文帝紀「發──、以振貧民」注「在邑曰倉、在野曰庾」
人は貧窮すれば已むを得ず、他人の物を盜めども、富有の身となれば、盜むことなければ、自然牢獄は空虛 カラアキ となる。管子「───────、賢人進而姦民退」
人は財產ゆたかにして、始めて禮義作法を知るとの義。管子、牧民「───────、衣食足則知榮辱」
たけ八尺以上の馬。禮、月令「乘鸞輅、駕──」=蒼龍。
悲み憂ふる形容。詩、大雅「──塡兮」=愴怳。
シ [寘]
○物を以て地に插 サシハサ む。=剚。○たつ(立)事を立てる
刃を腹に刺す。史、張耳陳餘傳「且──公之腹中以成其名」
シウ シユ [尤]
脩に通ず
○をさむ(理)○ととなふ(飭)○かざる(飾)「─飾」○正す、ととのへをさむ(整治)大學「先─其身」○ならふ(習)學ぶ。漢書、敍傳「束髮─學」○つつしむ(敬)○そなふ、そなはる(備)○ながし(長)詩、小雅「四牡─廣」○たけ、身の高さ。戰國、齊策「鄒忌─八尺有餘」○前─は古のすぐれたる人。○祭に用ふるさかだる(中尊)卣に通ず。
同訓異義
ヲサム 修·治·理·收·斂·藏·納·御○修は飭なり、葺理なり、屋宅道路を修理する類、あしき所をなほす義。修レ身·修レ道の類にも用ふ。大學「欲レ修二其身一者、先正二其心一」中庸「春秋修二其祖廟一」脩は、脯也と註して、别字なれども、後世は通用す。○治は亂の反、いり亂れたる事の、おちつきてをさまるなり。周禮「治二絲枲一」大學「欲レ治二其國一者、先齊二其家一」○理は玉を治むる義、筋道を正してをさむるなり、理レ髮·訟理の類。禮記「三十而有レ室、始理二男事一」○收は取り入るるなり、收藏·收斂と連用す。○斂はじつとかきあつめて取り込むなり。後漢書「鮑永抗直、朝廷斂レ手避レ之」○藏は見えぬやうに、くらへかくし入るる義。○納はいるるとも訓む、をさむと訓むときは、先方へ入れをさむるなり。○御はもと馬を使ふ義、轉じて下をひきまはし、治むるに用ふ、御二宇內一の如し、馭と同じ、馭二羣臣一の類。
たけたかく立派なり。南史、袁昂傳「容質──、冠絕人倫」
國と國とのよしみををさむ。
よしみををさむ、國と國とのよしみを通ずる。=修交。
學問ををさめならふ。
實地に就きて學生の見聞知識を博める目的にて行ふたび。
長きすそ。拾遺記「長袖──」
長く遠し。登樓賦「路逶迤而──」
みそぎする、三月上巳の節句に水邊にて行ふ祭事。王羲之、蘭亭集序「暮春之初、會於會稽山陰之蘭亭──事也」
成規の學科ををさめたることを證明するために、授けるかきつけ。
歷史を編修する。
禮ををさめて祭る。漢書郊祀志「天子尊事天地、──山川、古今通禮也」
○言語文章ををさめかざりてつやをつける、文辭を潤色してうるはしくする。易、文言「──立其誠、所以居業也」○又其の學問を──學、又、美辭學といふ。
家根、壁などをつくろひなほす。梁書、吳平侯景傳「──城壁」=補葺。
身ををさめ行を正しくす。大學「欲齊其家、先修其身」
たけたかき木。
學藝ををさめて上手になる。
すでに成りし物を更にをさめかざりて文采を增さしむ。論、憲問「行人子羽──之」
○なほし正す。晉書「旣以新律、造二舞、次更──鐘聲」○をさまりてただし。漢書「行義──、柔毅敦厚」
わが身をかへりみてをさめる。易經「君子以恐懼──」
をさめととのへる、行をととのへ正す。後漢書、張堪傳「居處幽室、必自──」
○文書をつくる。=編纂·編修。○史書を編纂する官の名。唐書、百官志「史館──四人、掌修國史」
つくろひなほす。漢書「──故宮」
○人のみちををさむ。○道路をなほす。
ながく延びたる竹。北史、柳弘傳「──夾池」=脩竹。
身ををさめいましむ。後漢書「內自──、外遠疑嫌」
德行を修める。易、蹇卦象傳「山上有水蹇、君子以反身──」
をさまりて、さとし。魏書、高祖紀「經行──、文思遒逸」
ながきひさし。夏侯湛、秋夕哀賦「尋──之飛檐、覽明月之流光」
もとのやうにつくろひなほす。後漢書「詔──西京園陵」
文德ををさめる。國語「先王之訓也、有不享、則──」
冥土 メイド にて文章を掌る役人。三十國春秋「蘇韶卒、後從弟節晝見韶、節因問幽冥事、韶曰、顏囘ト商見爲地下───」文人の死を謂ひて修文と爲すはこの故事に本づく。
よしみををさめる、國と國とのよしみを通ずる。=修好。
たけが長くのびしげる。
道ををさめ德をやしなふ。張養浩文「維人之心、匪惡伊善、由弗──、道乃違叛」
○容儀を修飾する〔禮記〕○女官の名、魏の文帝置く。
つくろひなほす、をさめ正す。後漢書、光武紀「──長安」=修治·修繕。
國 古、宮城の破壞を修繕することを掌る職、をさめつくるつかさ。其の長官を修理太夫といふ。
規定の學科ををさめ終はる、卒業。
○學びたる事をよくねる。○道家にて仙術を修むる道。
○學藝道德を修める。漢書、儒林傳「凡通經術、固當──先王之道」○佛法を行ひ修む。晉書、鳩摩羅什傳「不拘小檢、──者頗疑之」
學問藝術ををさめ習ふ。
國 修驗道を修める人、總髮にて篠懸 スズカケ 袈娑 ケサ 頭巾 トキン を著け、大刀を佩び、金剛杖をつき、法螺 ホラ を吹き、山野に露宿修行す、故に山伏 ヤマブシ ともいふ。
國 佛敎の一派、胎藏界·金剛界の兩部を本とし、加持祈禱を爲し、本地垂跡 ホンチスヰジヤク の說を立てて神にも事ふ、故に兩部神道ともいふ、役小角 エンノセウカク を祖とす。
佛 阿修羅の略、六界の一、其の王、力强くして、能く梵天帝釋と爭ひ鬭ふ、故に慘澹 サンタン たる光景を形容して──場又は──の巷などいふ。大藏法數「宮殿嚴飾、懷猜忌心、常好鬭戰、是名阿──道」
シヤ セキ·シヤク [禡]
○かり、かる(假)「假─」○他よりかりたるもの、おひめ(債)○かす(貸)論、衞靈公「有馬者─人乘之」ゆるす(許)たすく(助)漢書、朱雲傳「─客報仇」○よし(縱)たとひ(縱令)かりに(假)假說の辭。○不─は草履の異名、其の價やすく人に借るを要せざる義。
同訓異義
タトヒ 借令·借使·縱·縱令·假令の别は縱(糸部十一畫)を見よ。
國 賃錢を拂ひてかりて住む家。=借宅·借屋。
借りたる一くぎりの地。
負債を起こす。又、借金の條件。
かりてみる。東都事略「便于──」
かりたる金、おひめ。=負債·借財·借錢·借金。
古人の詩賦、同音の字を借りて對句とする法。劉禹錫詩「談笑有鴻儒、往來無白丁」の如き鴻字を借りて紅字と爲し、以て白字に對するなり。
土地を借る。又、借りたる土地。
かりて用ふる。
借は假なり、假に問ふ、試に問ふ。陶潛詩「──爲誰悲、懷人在九霄」
假設の辭。張九齡、封事「──諸司淸要之職」=假如。
①シヤウ [陽]
②シヤウ [漾]
娼に同じ
①わざをぎ(歌舞·女樂·俳優)史、孔子世家「優─侏儒爲戲而進」○あそびめ、うたひめ。揭傒斯詩「世無劇孟交、不及靑樓─」○みだる(亂)くるふ(狂)猖に通ず。○さかんなり(盛)○みちびく(導)
②となふ、唱に通ず。禮、樂記「壹─而三歎」
わざをぎ、役者。女に倡といひ、男に優といふ。史、范睢傳「楚之鐵劍利而──拙」=娼優。
うたひめ、音曲歌舞を以て酒席の興を助ける女。舊唐書、天竺國傳「百姓殷樂、家有奇樂──」=倡女·藝妓。
甚だしくくるふ。莊、山木「──不知所往」=猖狂。
色の盛んなる貌。陳陶詩「綠衣宛地紅──」
夫婦相和する。關尹子「夫者倡、婦者隨」=唱隨。
さきだちて唱へ出す。=唱道。
さまよふ。司馬光文「逍遙──、惟心所適」=倘佯。
甲となへ乙こたへてよく調和するをいふ。詩、鄭風「倡予和女」=唱和。
シャウ [養]
○─然は忽ち止む貌。莊、在宥「雲將見之─然止」○もし、或は然るの辭。=儻。
同訓異義
モシ 倘·若·如·設等の别は若(艸部五畫)の條を見よ。
さまよふ、たちもとほる。淮南子「──中庭」=徜徉。
シュク [屋]
儵は本字
○たちまち、すみやか(急疾)○犬の疾走する貌。
同訓異義
タチマチ 倏·忽·乍等の別は忽(心部四畫)の條を見よ。
たちまち、すみやか、疾速にして捕捉すべからざる形容。漢書、敍傳「辰──其不再」=儵忽。
極めて短き時閒。謝莊賦「尋瓊宮于──」
たちまちにひらめく。元稹詩「蕭條簾外雨、──案前燈」
倏(前條)の俗字。
①シュク [屋]
②テキ [錫]
①はじめ。詩、大雅「令終有─」はじめて(始)書、胤征「─擾天紀」○おこす、つくる(作)○あつし(厚)○ととのふ(整)張衡、思玄賦「簡元辰而─裝」○はなはだし(甚)○よし(善)
②すぐれる。=倜。
才氣高くすぐれる。史、魯仲連傳「好奇偉──之畫策」=倜儻·卓異。
セフ [葉]
捷·婕に通ず
○すみやか(速)○はやし(疾)とし(利)○たよりよし(便)捷に通ず。○うつくし(美)
漢の女官の名。武帝置く、位上卿に比し、爵列侯に比す。=婕妤。
①セン [霰]
②セイ [敬]
①うるはし、みづみづし(美好)○口もとあいらし。○男子の美稱。
②むこ(壻)○やとふ(雇)○ 國 つらつら(熟)
口わきのあいらしき貌。好き口輔 クチワキ 詩、衞風「巧笑──」兮は助字。
うるはしきよそほひ。吳融詩「柳眉梅額──新」
美好なる貌。杜甫詩「披顏爭──、逸足競駸駸」
①タウ·トウ [皓]
②タウ·トウ [號]
①たふる、たふす(仆)○はげしき動作を表 アラ はすに用ふ。「絕─」「傾─」
②さかさま、さかさまにす。詩、齊風「顚之─之、自公召之」○さかふ(逆)韓非、難言「至言忤于耳而─于心、非賢聖莫能聽」○ 俗 商家の破產をいふ。「─閉」「─欠」
道理に順はずして施行す。史、伍子胥傳「吾日暮塗遠、故倒行而逆施之」
くらの米を盡く出す。宋史「人人皆──以應之」
ほこを味方の方へ向けて攻むる。書、武成「前徒──、攻于後以北」
○夕日。下より上へ返照するが故。蘇軾、潮州韓文公廟碑「滅沒──不可望」○さかさまにうつるかげ。溫庭筠詩「鳥飛天外斜陽盡、人過橋邊──來」
○尊卑の位の顚倒する義。漢書、賈誼傳「天下之勢方──」○次條に同じ。
身體をさかさまにつるされる、困苦の甚だしきをいふ。孟、公孫丑「當今之時、萬乘之國行仁政、民之悅之、猶解──也」
文勢を强める爲めに語をさかさまに置く法、仁鮮矣を鮮矣仁とし、奔走於衣食を衣食於奔走とするの類。
前條に同じ。
身代 シンダイ を失ふ、身代かぎり、破産する。
たふれしぬる、ゆきだふれ。=顚死 テンシ
屣をさかさまに穿つは人を歡迎するの意の忙劇にして情の切なるにいふ。後漢書「蔡邕賓客塡門、聞王燦至門、──迎之曰、此王公之孫、有異才、吾不如也」
たふれたるかき。薛能詩「葵花壓──」
倒さまに立つ、一解植は音チ置に同じ。賈誼、弔屈原文「賢聖逆曳方正──」
草木をいふ、さかさまに地に首して生ずるが故。淮南、原道「──挫傷」
財布 サイフ をさかさまにす、所持金を盡く出す義。陸游詩──猶堪買釣舟」
位置がさかさまになる、顚倒する。莊·繕性「謂之──之民」
さかさまにきる。仇遠詩「──烏巾且醉眠」
くつがへる。くつがへす、逆さまにする。歐陽修詩「子足未及閾、我衣驚──」=顚倒。
さかさまにながる。木華、海賦「吹澇則、百川──」=逆流。
タク [覺]
○あきらか(明)○あらはる、いちじるし(著)○大いなり。詩、大雅「─彼雲漢」
①タン [覃]
②タン [勘]
①しづか(靜)○やすし(恬)やすんず(安)
②蠻夷にて罪を贖ふ貨〔後漢書、南蠻傳〕=賧。
安んじて疑はざる貌。荀、仲尼「──見管仲之能足以託國也」
チ [寘]
○あふ(遇)あたる(當)後漢書、崔寔傳「─戹運之會」○たつ。=植。もつ(持)詩、陳風「─其鷺羽」○あたひ(物價)あたひす、直に通ず。○すつ(捨)おく(措)
同訓異義
アフ 値·遇·逢·遭·合·會等の别は遇(辵部九畫)を見よ。
○であふ。爾雅、注「遇爾相──」=遭遇。○人に知られて優遇せられる、知遇せられる。
①チヤウ [陽]
②タウ·ヂャウ [庚]
③タウ·チャウ [敬]
①くるふ(狂)○たふる(仆)○くるひて道に迷ふ。
②獨立の貌。
③あらし(疎率)○ふみまよふ、道を失ふ。
盲人が手引の人を失ひて途に迷ふ貌。禮、仲尼燕居「治國而無禮、譬猶瞽者無相、──乎其何之」相は盲人のてびき。
テキ チャク [錫]
○高く擧がる貌。○─儻は拘束せられざる貌。
高く擧がる貌。荀、君道「──乃擧太公於州人而用之」
才氣すぐれて高くして拘束せられず、獨立不羈。司馬遷、報任安書「唯──非常之人稱焉」=俶儻。
不羈獨立の貌。荀、彊國「則───其不及遠矣」
ハイ [佳]
○わざをぎ(俳優·藝人·雜戲)○─佪はにちもとほる。=徘徊。○ 國 ざれうた、俳諧歌、又連歌の發句、俳句。
わざをざ、役者。家語「──侏儒戲於前」=優倡·俳倡。
○遊戲の言詞、俳優に類する者をいふ。宋の太尉袁淑、古の文章の、人をして笑はしむる者を取り集め次して──集と名づく。○ 國 狂體に詠ずる和歌、連歌の發句なる五七五の三句の十七字にて成る短歌。=俳句。──を作る人を俳人、俳人の作れる輕妙洒落の文を俳文といひ、又其の趣味を俳味·俳風などといふ。
ざれごと、戲言をいふ。諧噱錄「侯白好──、一日楊素與牛弘退朝、白語之曰、日之夕矣、素曰、以我爲牛羊下來耶」
たはむれ。歐陽修文「如棄正論、求──」
わざをぎ。漢書、枚乘傳「詼笑類──」=俳優。
詩文の遊戲に近きもの、俳優の談話に似たる者をいふ。
ハイ ベ [賄]
通音バイ
○ます、ますます(益加)○そむく(反)禮、緇衣「信以結之、則民不─」=背。○そらんじ讀む、書物にそむきて暗誦する。韓愈、韓滂墓誌「滂讀書─文、功用兼人」=諷。○いやし(俗)論、泰伯「斯遠鄙─矣」
同訓異義
ソムク 倍·叛·畔·背·反等の别は叛(又部七畫)を見よ。
ばいまし。蘇軾詩「公才與曹丕、豈止十──」
倍義 ギニソムク を見よ。
倍は一倍、蓰は五倍。孟、滕文公「或相──、或相什佰」
二倍の利息、非常の高利をいふ。鼂錯、論貴粟「賦斂不時、朝令而暮改、當其有者、半賈而賣、亡者取────」
そむく。=背反。
そらよみ。周禮、注「──曰諷」=背文·背書。
俸給を二倍にする。唐書「乃倍其俸、約不得貪暴」
約束にそむく。史記「已而──、與趙魏合從」
ハウ バウ [養]
○ならふ(傚)まなぶ(學)宣和書譜「學者率模─焉」通じて仿·放に作る。○よる(依)
同訓異義
ナラフ 倣·傚·習·肄·慣·閑の别は傚(人部十畫)の條を見よ。
ならふ、まねる。韓愈、論佛骨表「自朝至暮、轉相──」
①ヒ [紙]
②ヘイ [霽]
①しむ、せしむ(使)○したがふ(從)書、武成「罔不率─」○ます(益)○もつ(持)○つかさ、つかさどる(職)
②─倪 ヘイゲイ はながしめににらむ、斜視する。史、信陵君傳「侯生下見其客朱亥─倪故久立」=睥睨。
同訓異義
シム 俾·令·使·遣·敎の別は令(一○九頁三段)の條を見よ。
ヒ ビ [未]
○やぶる(敗)○そむく(背)史、三王世家「毋─德」
フ [麌]
俛·頫に通ず
○ふす、うつむく(俛)首を垂れる、仰の反對。易、繫辭「仰以觀于天文─以察於地理」○かがむ(屈·曲)○伏しかくれる。禮、月令「季秋之月、蟄蟲咸─」
同訓異義
フス 俯·伏·仆·俛·偃等の别は伏(一一六頁三段)の條を見よ。
高き處より下をみおろす。=下瞰。
うつむきてうかがひみる。中說「烏鵲之巢、可俯而窺也」
うつむきたり、あふぎたり、坐作進退。禮、樂記「執其干戚、習其──詘伸、容貌得莊焉」=俛仰。
心疚 ヤマ しき所なく、仰いで天に對し、俯して地に對しても少しも愧づることなし。孟、盡心「仰不愧於天俯不怍於人」
うなだれる、うつむく。
頭を垂れる。=俛首。
うつむきてをがむ。姚合詩「仰聞天語近、──珮聲連」
うつむきふす、平身低頭する。史、蘇秦傳「──侍取食」
つつしみうつむきてあゆむ。庾闡詩「──朝廣廷」
妻子を養ふ。=俯育。
うつぶしてきく。劉基詩「仰觀河漢流、──鶗鴂吟」=俯聽。
①ヘイ [迥]
②ヘイ [敬]
①ならぶ(相竝)列 ツラナ る。○きそふ(競)賈誼、治安策「高帝與諸侯─起」
②しりぞく。=屛。○あはす。孟子題辭「後爲魯所─」=幷。○ 國 しかし、しかしながら、さりながら。
あはせたもつ、あはせて領有する。
あはせてひとつにする。=合倂。
ならびおこる、競ひたつ。字解を見よ。
かたをならふ。漢書「吾烹人之兄、與其弟、──而事主」
ならびすすむ、一緖 イツシヨ に進む。
同時にあはせ置く。
あはせのむ、悉くあはせる。=倂有。
同時におこる、重り生ずる「──症」
二人の食をあはせて一人に食はしむる。列士傳「羊角哀與左伯桃爲友、俱往仕楚、至梁山、逢雪糧盡、度不兩全、遂──與哀」
あはせ用ふる、共に用ふる。
ヘウ [嘯]
○ちる(散)○わかちあにふ(分畀)○ 國 にはら、又其の數を數ふるに用ふ。
ホウ [宋]
又、奉に作る
ふち、秩祿、扶持 フチ 米、給料。漢書、宣帝紀「小吏勤事而─薄、欲其無侵漁百姓難矣」
職務に對する給料。宋史「歲賜以爲──」
俸給の錢。杜甫詩「──時散弟子盡」
職務に對する報酬の米又は錢、ふち。晉書、山濤傳「祿賜──、散之親故」=俸祿。
俸給ののこり。唐書、馮元淑傳「斥──以給貧窮」
ふち米、官吏に給する扶持米 フチマイ
ふち、俸給。宋太祖詔「──鮮薄、未可責廉」=俸秩。
①モン [願]
②モン [元]
①─渾は肥滿せる貌。
②ともがら(儕·輩)など(等)「我─」「他─」の如く人稱に添へて用ふる。
ラ [哿]
はだか(赤體)=裸·臝。禮、月令「中央土其蟲─」註「人爲─蟲之長」
國人皆赤體 ハダカ にて居る國の名。淮南、說林「西方之──、鳥獸弗辟、與爲一也」
はだか。吳志「日南郡男女──」=裸體。
はだかむし、羽毛鱗介の其の身を蔽ふものなきものをいふ。字解を見よ。
リン [眞]
○たぐひ(類)曲禮「儗人必于其─」○ならぶ、くらぶ(比)○しな、ともがら「等─」漢書、甘延壽傳「絕於等─」○とも、くみ(伍)○ついで(次序)○つね(常)書、洪範「彝─攸敍」○のり(紀)○すぢ(義理)禮、祭統「夫祭有十─焉」○みち(道)中庸「行同─」○えらぶ(擇)
人のふむべき道。=人倫。
身分の次第順序。
人倫の道。
次第。班固文「方之古賢、實有──」
ともがら、なかま。=倫四。
ともがら、同じなかま、同列の人。法華經「其兩足聖尊最勝、无──」
人倫道德の原理。其の學を倫理學·道義學といふ。禮、樂記「樂者通──者也」
ともがら、又人倫。荀子「──不通、仁義不一、不足謂善學」
英國の國都、世界最大の都會たり。
①リャウ [漾]
②キャウ [漾]
①とほし(遠)
②つよし(强)
リヤウ [養]
伎─はたくみ(巧)わざ(伎)
①ヰ [支]
②ワ [歌]
①すなほ、順ふ貌。○─遲は囘りて遠き貌。
②やまと。古、支那人が日本を呼ぶ稱。
囘りて遠き貌。詩、小雅「四牡騑騑、周道──」=倭迤·倭蛇。
古、支那人が我國人をいやしめて呼びし稱。=倭奴·倭鬼。
南北朝頃より足利時代に涉りて、我國の邊民、しばしば支那朝鮮の沿海を掠めたる者を呼びていふ。其の船に八幡大菩薩の旗を立てしが故に、明人呼びて八幡船ともいふ。
古、支那人が日本人を稱していふ。漢書、地理志「樂浪海中有──、分爲百餘國」
支那人が日本國の船をいふ。
古、支那人が我國人をいやしめ呼びし稱。元史、日本傳「日本國在東海之東、古稱──國」=倭虜·倭鬼·倭夷·倭醜。
國 大嘗會又諸社の祭禮の時に舞ふ舞樂、應神帝の時、大和吉野郡國栖 クス の民の始めたるもの。
9畫
アク オク [覺]
○─促はかかはる(拘)=齷齪。○─佺は堯の時の仙人の名、好みて松實を食ひ、能く飛行すといふ〔列仙傳·搜神記〕
心せはしく陶狹くして物に拘る。楚辭、九歎「──談於廊廟兮」=齷齪·局促。
イ エ [尾]
○なく(哭)○なくこゑの餘音。禮、雜記「童子哭不─」
ヰ [尾]
○大いなり、大いにして立派なり。○さかんなり(盛)○くし(奇)
容貌の壯大なる貌。唐書「從晦姿質──、所至以風力聞」
すぐれたる人物。後漢書、黃允傳「卿有絕人之才足成──」=大器。
大いなるいさを。=偉烈·偉績。
さかんなる見もの。蒲道源詩「陰闔陽開增──」=壯觀·大觀。
すぐれたる藝能。晉書、天文志「高才──、與神合契」
大いなる事業。=大業·丕業。
大いなるいさを。=偉烈。
すぐれたるはたらきある人。謝朓文「冠世──」=偉器。
體格が大にして立派である。後漢書、杜詩傳「八子皆──」
すぐれひいでる。=秀偉·傀偉。
すぐれたる大人物、偉は大。魏志、鍾繇傳「此三公者、乃一代之──也」
偉勳に同じ。=偉烈·偉功。
身體又は性格のすぐれたる大人物。宋史、范祖禹傳「其生也、母夢───被金甲入寢室」
勝れて大いなるを歎美する辭。莊、大宗師「──造物、又將奚以女爲」
おほいなるいさを。=偉功·偉勳·偉績。
ウ グ [麌]
踽に通ず
○──は獨り行く貌。列、楊朱「──爾、愼耳目之觀聽」=踽踽。○せぐくまる貌。
せぐくまる貌。漢書、東方朔傳「行步──」註「曲躬貌」
エウ [篠]
○─?はほそきこし(細腰)の貌。○─紹はたをやかにして姿容多し。
エン [阮]
○ふす(臥)たふる、たふす(僵·仆)○なびく、なびかす(靡)なびき伏す。論、顏淵「草上之風必─」○したがふ(服)○いこふ(息)やすむ(休)詩、小雅「或息─在牀」○ふせる、やむ(止)漢書、天文志「天下─兵、百姓安寧」○おごる(驕)○せく、ゐせき。=堰。○かはや(廁)○むぐらもち、又、どぶねずみ、鼹に通ず。
同訓異義
フス 偃·伏·俯·仆·臥等の別は伏(人部四畫)の條を見よ。
○ねたり又、起きたりする、轉じて浮沈する義。韓詩外傳「與時遷徙、與世──」=俯仰。○ひまなるさま。詩、小雅「或棲遲──」
おごりたかぶる。權德輿詩「琴觴恣──」=偃蹇。
戰をやめる、革はかぶと、よろひの類。史、高祖紀「殷事已畢、武王──爲軒」=偃戈·偃武。
戰をやめる、甲はよろひ。=偃兵·偃武。
戰をやめる、戈はほこ。呂頌表「九有──、八方同軌」=偃革·偃武。
うつぶしになりてねる。
ひたひの骨のさま。貴女の骨相の稱。後漢書、梁后紀「此所謂日角──、相之極貴、臣所未嘗見也」
なぎなた。三才圖會「按使刀無如倭子之妙、然其刀法有數、藝高而能識破者、禦之無難、惟關王───、刀勢旣大、其三十六刀法、兵仗遇之無不屈者、刀類中以此爲第一」=關刀。
唐書、李林甫傳「林甫有堂如偃月、號───」林甫此の堂に居りて大臣を中傷構陷する法を思ふ、一名月堂。汪藻詩「巧譖曾遭───」
○おごりたかぶる貌。左、哀、六「彼皆──將棄子之命」○轉じて奇怪なる巖石○形容とす。柳宗元、鈷鉧潭西小邱記「石之突怒──負土而出、爭爲奇狀」○舞ふ貌。楚辭、九歌「靈──兮姣服」靈は巫 ミコ ○高き貌。離騷「望瑤臺之──兮」○物の衆くして盛なる貌。張衡賦「──列於四隅、的歷分於五柱」
人民の敎化に服從すること、草の風になびき伏す如きをいふ。字解を見よ。
でくつかひ。列、湯問「周穆王時、巧人有──者、爲木人能歌舞、此傀儡之始也」=傀儡師。
どぶねずみが河にて水を飮むも腹一ぱいより多くは飮む能はず、人各其の性分に安んずべしとの喩。莊、逍遙游「鷦鷯巢林不過一枝、、───────」
よりかかりてふす。もたれ横はる。=倚伏。
拍子木 ヒヤウシギ をふせて用ひず、盜賊の警戒を要せざるやうに太平の世となる〔鮑照、河淸頌序〕
ゐせき、用水をせきとめし所。用水池、豬は潴に通ず。左、僖二五「規──」
たふれふす。魏書「時有風旌旗皆──」
武器をふせて用ひず。いくさをやめて太平の世となりし義。書、武成「──修文」=偃戈·偃兵·偃甲。
①カ·ケ [馬]
②カ·ゲ [麻]
③カ [禡]
④カク·キヤク [陌]
⑤クワ·グワ [哿]
①かり、一時のまにあはせ「─王」○かる(借)禮、王制「大夫祭器不─」○よる(因)○かす(貸)北史、魏淸河王懌傳「若天─之年繼二南矣」○ゆるす(容)北史、魏世祖紀「大臣犯法無所寬─」○大いなり。○よし(美)=嘉。○かりに、もし、たとひ、假設の辭。史、晏子傳「─令晏子而在、余雖爲之執鞭所忻慕焉」○さいはひ。=嘏。
②はるか、とほし。遐に通ず。
③ひま。=暇。休沐、やすみ。
④いたる(至)易、萃卦「王─有廟」=格。
⑤にせ、うそ、いつはり。眞の反對。
同訓異義
タトヒ 假·假令·假使·縱·縱令等の别は縱(糸部十一畫)を見よ。
貸さんことを請ふ。後漢書「──不稱、常恨之」
眞の黃金に非ざる金屬は、眞の黃金にて滅金 メツキ する。李紳、答章孝標詩「───────、若是眞金不鍍金」(眞才は飾るを用ひざる喩)
婦人の頭の飾に用ふる毛。かづら。周禮、追師、注「副、婦人首飾、三輔謂之──」=假頭。
かりに其の形をよそほふ。
つきやま(築山)皮日休詩「兒僮不許驚幽鳥藥草須敎上──」
養子をいふ〔唐書、王世充傳〕
國 假名に同じ。
○かる。南史、袁峻傳「家貧無書、每從人──、必皆抄寫」○ゆるす、見のがす。蜀志、魏延傳「不──」○六書の一。說文序「──者本無其字、依聲託事、令長是也」
假手 テヲカル を見よ。
こわいろ、似せて出すこゑ。
○かりにまうける。○ タトヒ よしや、假りに設けて說く辭。漢書、賈誼傳「──陛下居齊桓久處」=假令·假如·假若·縱令。
かりに他の人に代りて職務をつとめる。晉書、張茂傳「承先人之餘德──此州、以全性命」
將に絕えなんとする氣息。張說表「──殘生、悲懼轉集」
○かりる。史、主父偃傳「家貧、──無所得」○かす。
かこつける、ことよせる。宋史、寧宗紀「──聲勢竊弄威福」
かりにさだめる。
かづら。晉書、五行志「假髻或名──」
諸船舶が、風波を避け又は臨時の用を足す爲めに假に立ち寄りてとまる。
うたたね。詩、小雅、小弁「心之憂不遑──」
かりの父おや。說苑「呂不韋曰、吾乃皇帝──也」=養父。
ままはは。漢書、衡山王傳「有賊傷后──者」=繼母。
かりにうづめる。後漢書·東夷傳「新死者先──之」
○名號を借りる。後漢書、邳彤傳「卜者王郞──因勢驅集烏合之衆、遂震燕趙之地」○ 國 歷史上の事實を小說脚本に組み立つる時、實名を避けてかりに呼ぶ名。○ ケミヤウ 俗名、通稱。○ カナ 真字の對。いろは(平──)五十音(片──)の二種あり。=假字。
舞伎などのかぶるめん。隋唐佳話「高齊蘭陵王長恭、面類美婦人、乃著──以對敵、勇冠三軍」薛道衡詩「──飾金銀、盛服搖珠玉」
よろしくたのしむ。詩、大雅「──君子」=嘉樂。
かりの王。史、陳涉世家「乃以吳叔爲──、監諸將」同書、淮陰侯傳「願爲──便、漢王曰、大丈夫定諸侯、卽爲眞王耳、何以假爲」
國 書物のとぢかたの一。洋書綴の略式のもの。
○ 國 うたたね、かりね。=假寐。○たびね。=外宿。
よしや。=假設。
よしや。韓愈文「──釋氏能與人爲禍福」=假若。
假令に同じ。
よし、假設に同じ。=假令·假如。
カイ ケイ [佳]
○ともに(俱)○──はつよくさかんなり(强壯)○ととなふ(整)○かなふ、適する。顏延之詩「物謝時旣晏、年往志不─」諧に通す。
同訓異義
トモニ 偕·俱·與·共の别は俱(人部八畫一の條を見よ。
共にかくれる。左傳「能如是乎、與女──」
つよくさかんなる貌。詩、小雅「──士子、朝夕從事」
○ともにおこなはる。易、益卦「凡益之道、與時──」○ともにゆく。詩、秦風、無衣「王于興師、修我甲兵、與子──」
つれあひ、配偶。又つれそふ。易林「安樂富有、二人──」
ともにたつ。詩、秦風「修我矛戟、與子──」
○夫婦の契。生きては共に老い、死しては墓穴を同じくして葬むらる。詩、邶風、擊鼓「死生契闊、與子成說、執子之手、與子偕老」又王風、大車「穀則異室、死則同穴」穀は生。○うみへちま、海綿類に屬せる筒形網狀の蟲。筒中に他の小蟲が寄住するが故に名づく。
衆人と共に樂む。孟、梁惠王「古之人與民──、故能樂也」
侃(人部六畫)に同じ。
剛直の貌。唐書、薛延陀傳「──不干虛譽」=侃侃。
ガン ゲン [諫]
○いつはる(僞)○にせもの(僞物)
クワウ [陽]
徨に同じ
○仿─·傍─はたたずむ、さまよふ。=彷徨。○ひま、いとま(暇)遑に通ず。法言「忠臣孝子、─乎不─」
①ケツ·ゲチ [屑]
②ケツ [月]
③ケイ·ゲイ [霽]
①はやし(疾)すみやか。詩、檜風「匪車─兮」○すこやか(健)たけし(武)
②──は力を用ふる貌。
③いこふ(息)憩に通ず。○ 佛 音ゲ釋氏の詩詞、佛の功德を讚美する頌詩の義、多くは四句を用ふ。傳燈錄「惠忠禪師有安心─」
佛 佛の功德をたたへほむる歌、讚美歌 サンビカ 晉書、鳩摩羅什傳「經中──皆其式也」=梵唄 ボンバイ
力を用ふる貌。莊、天道「──乎揭仁義而行」
①ケン·ゴン [願]
②ケン·ゲン [銑]
①すこやか、身體がぢやうぶである、無病。○つよし、たけし(彊)精力强壯なり。○强くして力あり(伉)倦まず。易、乾卦「天行─、君子以自强不息」
②あぐ(擧)○かたんず(難)○ 國 したたか、ひどく、甚だ。
消化を助くる藥。多くは重炭酸曹達·苦味丁幾などを配合して製す。
すこやか。=康健。
傳染病流行の時などに各人の身體の健否を診斷するをいふ。
すこやか。蘇軾詩「二老風流總──」=健剛。
すこやかなる足。=健步。
まめにくらす。黃庭堅詩「身──且加餐」=好在。
たけくしてはげし。唐書、李華傳「華文辭綿麗、少宏傑氣、穎士──自肆、時謂不及穎士、而華自疑過之」穎士は蕭穎士。
○血氣さかんなるわかもの。洛陽伽藍記「快馬──、不如老嫗吹篪」=壯士「──社」は其の團體。○軍卒の職名。六典「天下諸軍有──」
性險惡にしてあらそひごとを好む、好みて訴訟する。易、訟卦「險而──」
すこやかにして氣分がすぐれる、多く書簡文に用ふ「益御──」
つよくしてすばやし。金史「馳逐擊獸、──如此」
○すこやか、身體が無病。○ 俗 心が惡しき思想に染まず「──分子」
○貪欲の甚だしきをいふ。史記、自序「去──絀聰明」○ 俗 非常にうらやむ。
たけくたたかふ。=健鬭。
多くくらふ、大食、啖は噉·啗に同じ。癸辛雜識「聞卿──、朕欲作小點心相請」=健飯。
たけくたたかふ。後漢書「諸將非不──」=健戰。
非常に忘れっぽい。白居易詩「老來多──、惟不忘相思」=善忘。
字を達者に書く、又達者に詩文を作る。徐陵文「陳琳──、未盡愚懷」岑參詩「雄辭──皆如飛」
たけくつよし。宋史、李光傳「擇其──者、統以土豪」=毅武·剛武。
氣力の强き女。樂府隴西行「──持門戸、亦勝一丈夫」
たっしやにあゆむ。韓偓詩「一點心隨──歸」=健脚。
すこやかにして勇氣あり。宋史「──輕捷」
候(人部八畫)に同じ。
候(人部八畫)に同じ。
ゴウ グ [有]
通音グウ通じて耦に作る
○ならぶ(竝)そろふ(雙·對)禮、郊特牲「鼎俎奇而籩豆─」○ちやう(丁)二にてわりきれる數、凡そ數は雙を─、隻を奇といふ。○あふ、あはす(合)○かなふ(諧)○たぐふ(匹)たぐひ(類)つれあひ(夫妻·伉儷 カウレイ )「配─」○とも(儕輩)漢書、黥布傳「率其曹─亡之江中」○ひとがた、でく(俑)「木─」「土─」○やどる。=寓。○しあはせ。=遇。○たまたま(適然)思ひよらず。列、楊朱「鄰國之治─耳、非子之功也」
同訓異義
タマタマ 偶·會·適○偶は適と略~同じ、但し偶は思ひ設けず、ふと出あひたる意あり。楚策「偶有二金千斤、一進二之左右、一以供二芻秣一」○會は正其時也と註す、をりしもと譯す、唐時代よりの俗語なり。○適はたまたまとも、まさにとも訓む、つまり同義なり、字彙に「適然猶二偶然一」と註す、適は、ちやうど、そこへであひたるなり。書經、註「有苗之至、適當二其時一」
偶吟に同じ。=偶詠。
ふと起りしかんがへ、偶然に發したる感想。
ふと出來たる詩歌。
相對して語る。史、秦紀「有敢──詩書棄巿」
さしむかひてすわる。曲禮「御同於長者、雖貳不辭、──不辭」=對坐。
木石又は金屬などにて作りたる像。漢書「霍去病過焉耆山、得休屠王祭天金人、此中國──之最古者」
偶像を宗敎的客體として崇拜し、之に依りて安慰を求めんとする宗敎。
偶成に同じ。
さしむかひてみる。=對視。
偶然に同じ。
丁 チヤウ の日。奇日の對。
でく、人形。史、殷紀「爲──謂之天神」=偶像。
夫婦さしむかひて居る、同棲 ドウセイ する。春秋繁露「使吏民夫婦皆──」
丁の數、二にてわりきれる數。奇數の對。自虎通「陰數偶」=雙數。
思ひがけなく出來る、偶然に成る。作詩などにいふ。=偶作·偶做。
思ひがけなくして然る義。思ひがけず。列、黃帝「范氏之黨、以爲──」
はからずあたる、まぐれあたり。
つれあひ、夫妻。=配偶。
もやひぶね〔唐書、高麗傳〕
不意におこる、ふと起る。
つれあひ。=配偶。
作(人部五畫)の俗字。
①シ [支]
②サイ [灰]
①──は親切に善を責める、又詳かにすすめはげます(詳勉)
②かしこし。○鬚 ヒゲ 多き貌。詩、齊風「其人美且─」=思。○ 國 しのぶ、思慕する。
互にすすめて善をはげます。論、子路「朋友切切──」
シャ [馬]
撦の俗字
○さく(裂)○ 國 さて、發語の辭。
シヨウ [宋]
儱─は不遇 フシアハセ の貌。=龍鍾·躘踵。
ソウ [董]
傯に同じ
倥─はくるしむ貌、又せはし(忙)き貌。
ソク [職]
○かたはら(旁)ほとり、そば(附近)○そばだつ。○ほのか(仄)いやし(卑)○たふる(仆)○ちぢむ(縮)○かたぶく(傾)○そむく(反)反─は叛黨なり。○いにむ。=惻。○がは。○ひとり、ことに(特)
側面の壓力、堤防は水の──力を防ぐ所以なり。
輕くしてうつくし。舊唐書、溫庭筠傳「能逐弦吹之音、爲──之詞」=側麗。
程近き場所〔舊唐書〕=旁近。
かたよりたる言說。書、蔡仲之命「罔以──改其度」
みみをそばだつ。史、周昌傳「呂后──于東廂聽」=傾耳。
○そばめ、妾。漢書、文帝紀「文帝曰、朕高皇帝──之子也」○古、次男以下の衆子の稱〔左、桓、二〕
おそれ愼みて其の身を安んぜざる義。詩序「遇災而懼、──修行」
○冠の名、一名高山冠。○ ソクチユウ 本文のかたはらに記せる解釋。=側註。
○かたよりてだらしなくすわる。○憂ありて席に安んぜず。說苑─尊賢「文公爲之──而坐」
○いたむ貌。古樂歌「──力力、念君無極」=惻惻。○身にしみて感ずる貌。韓偓詩「──輕寒翦翦風」
かたいき(片息)須臾の閒をいふ。孔叢子「不忘於──」
特に設けたる一っのさかだる〔儀禮、士冠禮〕
耳をそばだてて聽く。曲禮「毋──」顏延之詩「──風薄木、遙睇月開雲」
このてがしは、常綠灌木の一。
身分いやし、微賤なり。史記自序「尙父──卒歸西伯」=側陋。
心よこしまにしてへつらふ。書經「無以巧言令色便辟──」
筆を少しく斜にして書く。山谷題跋「──取姸」
うはさにきく、ほのかにきく。韓愈、與于襄陽書「──、閤下抱不世出之才」=仄聞。
當面ならざる方面。そとがは「──觀」「──攻擊」
○めをそばだつ、敢て正視せざるなり。戰國策「──而視、側耳而聽」○嫉視 ニクミミル なり。漢書「皆──於望之等」望之は蕭望之。
輕くしてうつくし。南史「辭甚──」=側豔。
身分いやしき人。書、堯典「明明揚──」=側微。
テイ チヤウ [靑]
○とどまる、やむ(中止)○さだまる(定)○とどこほる(滯)○やすむ(息)○とどむ、とどまる(止)
同訓異義
トドマル 停·止·畱·駐·遏·逗等の别は止(部首四畫)の條を見よ。
○親しき友を思ふことにいふ。陶潛に──篇四首あり、其の序に「──思親友也」○行く雲をとどむる義にて歌ふ聲の妙なるにいふ。=遏雲。
書物の講義を止める。南史、梁簡文紀「承聖三年九月辛卯、帝於龍光殿述老子義、十月丁卯──、丙子續讀」
生徒が不都合の行を爲したる時、或期閒通學を禁ずる懲罰。
議會の會期中、或期閒議事を中止する處置。
滯りてらちがあかず。隋書、牛弘傳「弘在吏部、其選擧先德行、而後文才、務在審愼、雖致──、有所進用、竝多稱職」
○事を中途にてやめる。唐書、令孤楚傳「所宜──」○ 國 チヤウジ 帝室などに凶事ありし時、鳴物をさしとめる。
禁錮の刑に處せられし者に附加する一種の刑、刑期中公權の行使を差止めらるるもの。
車をとどめる。魏書、高閭傳「大軍──、庶事咸豐」
くるまをとどむ。杜牧、山行詩「──坐愛楓林晚、霜葉紅於二月花」
前條の詩の意を畫題とせしもの。
汽車·電車等が、客を昇降させる爲めに車を止める一定の場所。ステーシヨン。=車站。
手をとどめる。韓愈詩「盃行到君莫──、破除萬事無過酒」
官吏に不都合ありし時、一定の時期閒其の職務を取上げる懲戒處分。
たち畱まりてみる。
とどまりとどこほる。=澁滯。
電流の輸送をとどめる。又、故障によりて電氣の流通がとまる。
舟にてとどまる。白居易詩「提籠復擕榼、遇勝時──」
とどまる。
乘合馬車、又、電車等が客を昇降させる爲めに設けたる場所。
テイ チヤウ [庚]
○うかがふ(伺·候)さぐる(探)○ものみ、まはしもの(閒諜)「游─」「─候」
同訓異義
ウカガフ 偵·伺·窺、候等の别は伺(一二一頁二段)を見よ。
敵情をさぐりうかがふ騎兵、斥候の騎兵。明史「遇──、盡殺之」
敵の樣子をさぐる、又其の者。後漢書、任延傳「遂止罷──戍卒」=偵諜·斥候。
敵の樣子をさぐる。
らかがひさぐる。後漢書、淸河孝王傳「使御者、──得失」=探偵·偵候。
敵のやうすをさぐる。=斥候·探偵。
敵の樣子をさぐりしる。
ものみ。沈約碑文「──不敢東窺」=斥候 セキコウ 偵邏。
みまはりて樣子をさぐる、又其の者。後漢書、南匈奴傳「爲郡縣──耳目」
①トウ·ツ [尤]
②ユ [虞]
①うすし(薄)かろがろし(佻)人情が輕薄なり。論、泰伯「故舊不遺、民則不─」○いやしくもす、かりそめにす(苟且)禮、表記「安肆日─」○ぬすむ(盜)ぬすびと。
②うすし、かろがろし。
一時の安をむさぼる。賈誼新書「夫抱火措之積薪之下而寢其上、火未及燃、因謂之安、──者也」=苟安。
すこしのひまをぬすむ。白居易詩「──意味勝常閒」
かべにあなを穿ちて盜みをする者、こぬすびと。漢書、王莽傳「大者羣盜、小者──、不過二科」=狗盜·竊盜·穿窬之盜。
しまりなくゆるぶ。唐書、陸長源傳「晉有所──、長源輒裁正」
ぬすびと。世說「王子敬徐曰、──、靑氈是吾家舊物、可特置之」=盜兒·竊盜。
人に雇はれ又公職に在りながら私の事をなす。
死すべき時に死せずして徒に生きながらふ。李陵、答蘇武書「豈──之士、而惜死之人哉」=苟活。
俗 脫稅する。
一寸逃れして、事におそれる。賈誼新書「──憚事」
○ぬすむ、又ぬすびと。後漢書「其攻劫者爲上、傷人──者次之」○ 佛 ツトウ ぬすみ、五戒の一。
竊盜 コヌスビト のかしら。漢書、張敞傳「──歸置酒」
人に知れぬやうに泣く。陳後主詩「大婦怨空閨、中婦夜──」
人情うすし。陳子昂表「臣聞、時方──、勸人以孝、時方趨競·勸人有禮」=輕薄。
なまけあなどる。
ひまをぬすみてねむる。白居易詩「甕閒吏部暫──」
ひまをぬすみて手をぬく、なまけてのがれる〔唐書、蕭復傳〕=苟免。
正義によらずして得たる利益。淮南子「──不可以爲行」
ヒョク [屋]
通音フク
○せまる(迫)禮、雜記「君子不僭上、不─下」=逼。○むかばき(行縢)禮、內則「─履著綦」=幅。○はらはる(腹滿)
次條に同じ。杜甫に──行あり。
相迫 セマ る義。司馬相如賦「──泌瀄」=逼側。
①ヘン [先]
②ヘン [霰]
①かたよる(頗)中正ならず。中庸、朱熹章句「不─之謂中」○いやし(鄙)○かたはら(旁側)かたほとり。○かたおち(依怙)不公平。書、洪範「無─無陂、遵王之義」○たぐひ(屬)○なかば(半)半身。○たすけ(佐)○ひとへに。○古、車戰にて二十五乘の稱〔司馬法〕○──はひるがへる貌。=翩翩。○文字の左の畫、へん。旁 ツクリ の對。
②かたよる、正しからず。
かたよりて正しからず。後漢書「司察──」=偏私。
かたおちのいつくしみ、えこひいき。
帝を一方に稱して全國統治の權なきものをいふ。諸葛亮表「王業不──」
車戰二十五乘を偏とす、車兵を以て先だて、卒伍を以て之に次ぐ。左、桓五「────、伍承彌縫」
二字の名の其の一をいふ、諱は名。曲禮「二名不──」
心かたよりてせまし、へんくつ。
かたよりたる意見。宋名臣言行錄「王安石雖有時名、然好執──、不通物情」=僻見。
○半身がしびれて自由ならず、半身不隨の人。管子「聾盲喑啞跛躄──」○俗に恩澤が一方に偏して他方に及ばざるにいふ。
兵士の組合。偏は車戰二十五乘、伍は步卒五人。晉書「習兵敎戰、使──有常」
かたよりたるくに。列、楊朱「殊方──」=偏土·僻地。
袈娑 ケサ の類、左肩より右腋にかけて體の上半部を覆ふ。僧尼の上服、北魏の時に始まりて僧衣の起原をなすもの。
えこひいき、不公平。=偏頗。
父死して母のみ存する、恃は怙恃の恃にて母をいふ。
車戰にて二十五乘、士卒にて五十人をいふ。左傳「彘子以──陷」一說、一部分の兵。全師の對。
心がかたよりてせまし、へんくつ、執は固執。=偏狹。
一方のみを信ずる。北史「苟不──」
一方面の大將。唐書、張孝忠傳「安祿山奏爲──」=偏裨。
かたよりててらす。張蘊古文「大明無──」(大明は太陽)
かたはだをぬぐ。新序「──推車」=偏袒。
かたより傾く。謝靈運、山居賦「勢有──、地闕周員」
かたよる。前秦錄「敎無──」=偏側。
公平ならざるとりきめ、かたよりたる斷定。宋書、蔡興宗傳論「義無──」
佛 かたはだをぬぐ。金剛經註「偏袒右肩、右膝著地」
酒を入れる壺、てうし。韓偓詩「賜酒玉──」
一方の言のみをききて信ずる。漢書、鄒陽傳「──生姦、獨任成亂」
かたよりたる地。=偏國·僻地。
友となるものなき義、つれがない。曹植、雁賦「憐孤雁之──」
中正にして公平なり。書、洪範「────、王道蕩蕩、無黨無偏王道平平」
えこ、不公平。書、洪範「無偏無陂、遵王之義」=偏私·偏頗。
ちんば、びっこ。晉書、紀瞻傳「創旣不差、足復──」
えこひいき。晉書、熊遠傳「無──之失」=偏陂。
一方のみをすてる。陸機文「一氣──、則萬物不得獨成」
めかけ、こしもと。列女傳「身雖尊貴、不妒──」=側室。
一方の將。漢書「韓昌爲──、到隴西、分屯三處」
次條に同じ。
へんと、つくりと。蘇軾詩「强尋──推點畫」=偏旁。
兩親の中いづれか一方を失ふ義。駱賓王、靈泉頌序「幼丁──、早喪慈親」
心がかたよりてひがむ。
かためくら、めっかち。漢書、杜欽傳「少好經書、而目──」=隻眼·一目眇。
ベン メン [霰]
○むかふ(鄕)禮、少儀「尊壺者─其鼻」=面。○そむく(背)
便(人部七畫)の本字。
ヨウ [徑]
○にぶし(鈍)○つきびと、こしもと。=媵。
ワイ [灰]
○いつくしむ(愛)近づく(昵近)羅隱、詠柳詩「相─相倚不勝春」○むつぶ(睦)○よる(倚)
10畫
エウ [蕭]
○つかひ、えだち、徭に通ず、─役は徭役。○つかふ(使)○ななめ(衺)
①カウ [效]
②カウ·コウ [豪]
○ならふ(倣)效に通ず。詩、小雅「君子是則是─」○のっとる(法)「法─」○かたどる(象)○まなぶ(學)
同訓異義
ナラフ 傚·倣·習·肄·慣·習○傚は效に同じ、先例にまねびならふなり。○倣は傚と同義なり、傚也、依也、摹也、想象也、遵行也と註す、放に作る、同じ。○習は重也と註す、その事を幾遍となく、重ねてならひ熟するなり。論語「學而時習レ之」○肄は習なり、藝術を復習するなり。左傳「肄レ業」○慣はならひ、なるるなり。大戴禮「習慣如二自然一」○閑は無骨ならざるやうに、なるるなり。史記「明二於治亂、一閑二於詞令一」
まねす。
ならひかたどる。
カウ·コイ コウ [講]
おろか(無智)
おろか。荀、儒效「愚陋──」
①クヮイ キ [灰]
②クヮイ [賄]
①大いなる貌。○天の貌。○くし、あやし、わざはひ、もののけ、あやしきもの(怪異)
②─儡 クワイライ はあやつり人形、くぐつ(木偶)
大いなる山のくづれかかる貌。世說、容止「山濤曰、嵆叔夜──、若玉山之將頽」
大いなる貌。荀、性惡「──獨立天地之閒而不知」
あやつり人形。列、湯問「周穆王時、巧人有偃師者、爲木人能歌舞、此──之始也」=傀儡子。
人形づかひ、でくまはし。次條に同じ。樂府雜錄「───自昔傳云、起於漢祖在平城、爲冒頓所圍、其城一面、卽冒頓妻閼氏兵、强於三面、陳平訪知閼氏妒忌、卽造木偶人、運機關、舞於陴閒、閼氏望見、謂是生人、慮其城下冒頓必納妓女、遂退軍、後樂家翻爲戲具」
人形づかひ、人形を歌に合せて舞はしむる人。=偃師。
①ケイ [薺]
②ケイ [齊]
①まつ(待)
②つなぐ。=繫。
ケツ [屑]
○すぐる、まさる(勝·優)○ぬきんでる(擢)ひいでる(秀)又其の人。漢、高祖紀「子房·蕭何·韓信三者皆人─也」。とる(執)○おごる(傲)
すぐれておこる。蜀志、楊戲傳「──龍驤」
すぐれたる句。蘇軾詩「我詩無──、萬景驕莫隨」
すぐれて大いなる門觀。陳師道詩「重門──屹相望、表裏山河自一方」
すぐれたる詩文·書畫の類。陸游詩「太古實──、筆落九天上」
衆人の中にて特にぬきんでる。後漢書、徐穉傳「角立──」
すぐれたる人物。淮南、泰族「知過萬人者謂之英、千人者謂之俊、百人者謂之豪、十人者謂之傑」=俊傑。
衆にぬきでて秀でる貌。後漢書、第五種傳「種──自建、在鄕曲、無苞苴之嫌」
ひとりぬきいづ。秦觀文「始皇之英偉──」=傑出。
○勝れたる人物。○すぐれて秀でたる物。
ぬきいでて立つ。陸游詩「三峯──插雲閒」
ケン [豔]
○したがふ(從)つかふ(仕)○おとも、おつき(侍從)
使者の召使人。唐の制、節度大使·副使皆──あり。後世の承差に同じ。
おそばつきの家來。唐書、封常淸傳「奏──三十人」
つき從ふ兵卒。唐書「縱──辱江陵令」=衞兵。
サ [歌]
醉ひて舞ふ貌。詩、小雅「屢舞──」
サウ [庚]
○いやしき者(鄙賤者)ゐなかも。(田舍漢)○いやし(鄙賤)
次條に同じ。
いやしきもの、人を賤みていふ、ゐなかもの。晉陽秋「吳人謂中州人謂傖、陸機呼左思爲──」
サン [旱]
繖に通ず
からかさ、さしがさ、雨を禦ぎ日を蔽ひて卷舒すべきもの。
からかさの柄。耶律楚材詩「──學鑽笛」
ソ [遇]
○むかふ(向)蘇軾、放鶴亭記「暮則─東山而歸」○したがふ(循)
①ハウ·バウ [陽]
②ハウ·バウ [漾]
③ハウ [庚]
①そば、かたはら(側)旁に通ず。○つくり(旁)字畫の右方。○みだりに(妄)
②そふ。○よる(倚·依)よりそふ。○ちかづく(近)李白詩「雲─馬頭生」
③──は已むを得ざる貌。詩、小雅「四牡彭彭、王事──」
同訓異義
ソフ 傍·添·副等の別は添(水部八畫)の條を見よ。
漢字のふりがな。
さまよふ。史記「──不能去」=徘徊·仿偟·彷徨。
春の時令を敍ぶる語。程明道詩「雲淡風輕近午天、────過前川」
かたはらに居てみる、其の事に關係せず「袖手──」
えだ葉のちすぢ。父子の關係を以て續く血統を直系といふの對、兄弟.伯父·叔父·伯母·叔母·姪の類をいふ。
妾をいふ。漢書「王禁好酒色、多娶──」=側室。
○そはのへや。=廂房。○けしやうべや。=裝身房。
かたはらに人なきがごとし、無遠慮のふるまひをいふ〔史、刺客傳〕=旁若無人。
側邊 カタハラ より生ずる。癸辛雜識「甘蔗種之則──」
三角形の一邊と他の二邊を延長せし二線とに觸接する圓輪。
かたはらに居てきく。
本家より別れいでたるちすぢ、別家 ベツケ
ともだち、なかま(朋輩)
ビ [寘]
○そなふ(預辦)そなへ(用意·儀仗·警護)先づあらかじめ具 ソナ へて用を待つ。○そなはる(完全)そろへる。書、周官「官不必─惟其人」○なる(成)○ふせぐ(防)○つぶさに、ことごとく(盡)みな(皆)禮、月令「農事─收」○足る。易、繫辭「易之爲書也、廣大悉─」○足す、補ふ。漢書、禮樂志「補─之」○加へる、數に入れる。史、儒林傳序「文學掌故補郡屬─員」○長き兵器、槍·矛の類。
同訓異義
ソナフ 備·具·供○備は多くの事物の悉くそなはる義。百行備·文武兼備の如し、轉じてあらかじめ用意して、そなへ置く義にも用ふ、備二不虞の如し。○具はもと器具の具なり、事物の全くして缺けざる義に用ふ。○供は用に立つる義、そなへものにするなり。左傳「王祭不レ供」
其の官職にそなはる、官職に在るといふ謙辭。漢書、魏相傳「臣相、幸得──」=充位。
數の中に加へる。史、始皇紀「博士雖七十人特──弗用」
參考にそなへる。
あらかじめそなへて、すくひたすける。左傳「──凶患」
敵をふせぐそなへをする。梁書「修城隍爲──」
そなはる、そろふ。史、司馬相如傳「百官──」=具備。
凶年のそなへ。
凶年にそなへる植物、食ひて害なき草木。
凶年の用意に、平素金穀をたくはへ置く。
十分にそなはる〔魏志、陳思王傳〕=備具。
そなへおく。班彪文「──官屬」
忘れぬ爲めの用意、又、其のかきつけを──錄といふ。
そなへつけの物品、又消費して無くなる物品を消耗 セウマウ 品といふに對して永く保存すべき物品をいふ。
才德の十分に兼ね備はらんことを一人に望む。論、微子「無求備於一人」
①フ [遇]
②フ [虞]
①つきそひ(看護人)もり、かしづき(保護者)○たすけ(輔佐)○つきそふ、つく(附著)かしづく、ちかづく(近)いたる(至)詩、大雅「鳳凰于飛、翽翽其羽、亦─于天」○かきつける(記載·登錄)漢書、高帝紀「蕭何發關中老弱未─者悉詣軍」○えだつ。
②しく(敷)のべる。漢書、文帝紀「─納以言」
かしづき愛する。顏延之文「阿保──」
殷の傅說は、死して天に上り星となりしといふ。莊、大宗師「傅說得之以相武丁、奄有天下乘東維、騎箕尾而比於列星」
地名、今の山西省平陸縣の東に聖人窟あり、殷の時、傅說の版築に從事せし處、史記に傅險に作る。
傅は附く、璣は珠の角あるもの、珥は耳環 ミミダマ 李斯、逐客上書「宛珠之簪、────」
附近に同じ、近づく。仲長統、昌言「宦豎──臥房之內、交錯婦人之閒」
つきそひ。詩經「王命──、遷其私人」
○こじつく、附著會合の意。漢書、袁盎傳「雖不好學亦善──」○一篇の文の首尾完成するをいふ。後漢書、張衡傳「作二京賦、精思──、十年乃成」○つけ合す。列、湯問「──革木膠漆、白黑丹靑之所爲」
字は休奕、晉の北地の人、少くして孤貧、博學にして善く文を屬す、性剛直峻急、人の短を容るること能はず、晉に事へて侍中と爲る、卒する時年六十二、顯貴に至ると雖も著述を廢せず、傅子數十萬言を著す、玄また能く樂府歌章を作る、晉代宗廟朝廷の樂章、多くはその手に成る。
人のたすけとなる。又、其の人。左傳「皆有親?、以相──」
畫に彩色を施す。
淸初の人、少くして異稟あり、堅苦して氣節を持す、書を善くす、趙秋谷推して天下第一と爲す。
書名、一卷、晉の傅玄撰す、儒家類に屬す、言ふ所、治道に切にして儒風を啓く、精意名言少からず。
もりやく、つきそひ。漢書賈誼傳「置──方握其事」
つきそひの女、こしもと、侍女。漢書、王吉傳「爲──所毒」
白粉をつけたる男の義、魏の何晏の故事。世說、容止「何平叔美姿儀、面至白、魏明帝疑其傅粉、正夏月與熱湯餠、旣噉、大汗出、以朱衣自拭、色轉皎然」
11畫
ウ ヲ [麌]
○かがむ(屈)せぐくまる(背曲)左、昭、七「一命而僂、再命而─、三命而俯」○せむし(瘻)
せむし、頸の前に出でて背の高く後に聳えたる病。舊唐書、史思明傳「姿瘦少鬚髮、鳶肩──」=佝僂·痀瘻。
憐み愛する。莊子「以下──人之民」下位に居て在上者の憂に任ずるをいふ。
○せぐくまる。歐陽修、醉翁亭記「──提攜、相往來而不絕」○恭敬の貌。韓愈詩「升階──薦脯酒」○せむし。淮南子「子求行年五十有四、而病──」=傴背。
ガウ ゴウ [號]
○おごる、おごり(倨)=敖。曲禮「敖不可長」ほこる(誇)○あなどる(慢)しのぐ(凌)○たのしむ(樂)あそぶ(遊)○嗷(口部十一畫)に通用す。
同訓異義
オゴル 傲·奢·侈·驕·倨等の别は奢(大部九畫)を見よ。
おごりて人をかろんず〔人物志〕
たかぶりてかどかどし。李白詩「崔生何──、縱酒復談玄」
おごりてしへたげる。高慢にして亂暴〔書、益稷〕=傲暴。
たかぶりおごる。=倨傲·驕倨。
おごりてかたくな。驕傲にして頑固。
おごりて世人をにらみつける。黃庭堅跋「其──萬物、滑稽以玩世、白首不衰」
たかぶりて屈せざる貌、尊大にかまへる。程俱詩「──能消萬古愁」=傲岸。
おごれる骨相。鼠璞「唐人言、李白不能屈身、以腰閒有──」
おごりてもとる、たかぶりて物にさからふ。晉書「王敦內懷不臣、──陵上」
霜の寒きにも屈せず、菊の形容。蘇軾詩「荷盡已無擎雨蓋、菊殘猶有──枝」
多言をいふ。荀、勸學「不問而吿謂之傲、問一而吿二、謂之囋、傲非也、囋非也」傲は嗷に通ず。
たかぶりておごる。北史、崔冏傳「恭儉福之輿、──禍之機」一本、侈を偧に作る。=侈傲·奢傲。
おごりて人をさげすみ見る。舊唐書、音樂志「始皇一統、──百王」
おごりてわがまま。晉書「謙之才學不及父、而──過之」=傲慢。
おごりたかぶる貌。
おごりてあらあらし。管子「驕倨──之人、不可與交」=傲虐。
人におごり高ぶる。唐書「昔禰衡·潘岳矜己──」=傲世。
おごりて人をあなどる。南史「驕狠──、禍之始也」
キン [震]
通じて堇廑に作る
○すこし(少)わづかに(纔)纔に能くする、辛うじて。舊唐書、僖宗紀「克用踰垣─免」○あまる(餘)○ちかし(近)ほとんど。韓愈、張中丞傳後序「城中士卒─萬人」○おとる(劣)
同訓異義
ワヅカ 僅·纔·劣·才·財·裁○僅は少也と註す「ちっとばかり」と譯す。歐文に「學僅僅知二章句一」とあり、又、ちかしと訓み、近と通ず。晉書に「戰所二殺害、一僅二十萬人一」とあり。○纔は纔始と連用す、染色の一入ヒトシホをいふ、幾入も染る、其の初めに、ちょつと藍に入れたる義なり「入レ春纔七日、離レ家已三年」は春に入りて日なほ淺く、やっと七日になりしとなり。○劣は弱也、少也と註す、助辭として「僅僅不レ足之辭」と註す、優の反にて、常なみの所に及ばぬをいふ。○才·財·裁の三字、音義共に纔に通ず。後漢紀「妻子衣食裁足而已」衍義補「上達者財十二耳」近思錄「自二孟子一而後、能將二許大見識一尋求者、才見二此人一」
わづか。漢書、地理志「豫章出黃金然堇堇」注「堇堇少也、堇讀曰僅」
すくなし。
ケイ キャウ [庚]
○かたぶく(偏)一方に偏する、かたよる。○よこしま、斜 ナナメ になる。○そばだつ(攲)○ふす(伏)○うつす(寫)○むなしく(空)○やぶる(圮)○きづつく(傷)○薄らぐ、衰へる。中說「以勢交者、勢─則絕」○まじふ。○つく、つくす(竭盡)陶潛詩「杯盡樽自─」○くつがへる、くつがへす(覆)淮南、原道「持盈而不─」
もたれてたよる。蔡襄文「皇帝寬仁、四國──」
たふれふす。晉書「旄旗儀飾皆──」
車を駐めて車のかさをかたむけ近づきて語る、一見して故人の如く相親むにいふ。家語、致思「孔子之郯、遭程子於塗、──而語、終日甚相親、顧謂子路曰、取束帛以送先生」鄒陽、獄中上梁王書「諺曰、有白頭如新、──如故」
かたむきむかふ、なりゆき=趨勢。
人をかたむけおとしいる。傾覆し陷溺せしむ。宋史「呂惠卿始諂事安石、及勢鈞力敵、則──安石、甚于仇讎」
かたむきくづる。
葵 ヒマハリ の日に向ひ傾く如く、深く心を傾けて慕ふ義。曹植表「葵藿之傾葉太陽、雖不囘光、然向之者誠也」
ゆふ日。謝惠連詩「──無兩旦」=落日。
詭辯を弄して國を傾け危くする人。史、張儀傳贊「此兩人眞────哉」張儀·蘇秦の二人を指す。
心をかたむけておもふ。蘇轍詩「相對輒──」
入りかけのつき。謝惠連詩「房櫳引──」=落月。
かたむけつくす。南史「──財產」=傾盡。
國を亡ぼす妖美なる女。白居易、長恨歌「漢皇重色思──」楊貴妃を指す。
心をかたむけて思ふ。晉書「一座──」
耳をかたむく、注意してよくきく。禮記「──而聽之、不可得而聞也」=側耳。
心をかたむけて其の方に向往する。後漢書「──折節莫不爭赴其庭」
かたよりて正しからず、よこしま。
かたむけそそぐ。蘇軾詩「──五石尊」=傾注。
かたむきそそぐ。廼賢詩「暴雨忽──、淫潦怒奔決」
よこにかたむく。=傾側。
○城をかたむけ亡ぼす、妖美なる女をいふ。漢書、外戚傳「北方有佳人、絕世而獨立、一顧傾人城、再顧傾人國」又、詩、大雅、膽邛「哲夫成城、哲婦──」とあるは智慮ありてさしでかましき女は國を亂るに至るをいふ。○ 國 遊女の稱、おいらん。
かたむく。又志をまげる。道德指歸論「──偃仰、務合當世」
○心をかたむけて感服する、倒は甚だしき義。杜甫詩「志士懷感傷、心胷已──」=心折。○かたむきたふる。南史「江湛爲太子劭所推排、殆於──」○酒を酌み盡す。杜甫詩「蘇侯得數過、懽喜每──」=傾瀉。
心をかたむけてきく、注意してきく。陸龜蒙詩「明發成浩歌、誰能少──」
かたむきおつ。白居易詩「閭閻半?蕩、城堞多──」
かたむきたふる。李德裕文「如君子之中庸、滿則──」
意見を十分に言ひ盡す。韓維詩「高文大論日──」
かうべをかたむく、物を考へるにいふ。白居易詩「閒依小橋立、──時一吟」=傾首。
ふくろの中のものを盡く出しつくす。又、財布をはたく。雲笈七籤「雲篆寶書、──相付」
かたむけやぶる。
かたむけくつがへす。漢書「作爲權詐、以相──」=轉覆。
心をかたむけてしたふ。北史「天子屬目、百寮──」
ぼんをかたむく、又、急に降る大雨の形容。陸游詩「黑雲當空萬馬屯、轉盼白雨如──」
かたむきおつ。晉書「大風之後、廟闕屋瓦、有數枚──」
サイ [卦]
○かり、おひめ(負─·借財)漢書、鼂錯傅「賣田宅鬻子孫以償─」○凡て果すべき責あるにいふ「文─」「書─」通じて責に作る。○かし(貸)「─主」
かしぬし、債權者。束晳賦「──至而相敦、乃取東而償西」=債主。
借金とりをにくみ惡鬼に喩へていふ語。
○借用の證文。○政府·銀行·會社などが、其の債務を證明する爲めに發行する手形「公債證書」「勸業──」の類。
貸主が借主に對して有する權利、その權利を有する人を──者といふ。
かりぬし(借主)=債務者。
かしぬし。後漢書「──日至、詭求不已」=債權者·債家。
かりがね、借金。
金錢などを借りたる人の返濟すべき責務、其の責務ある人を──者といふ。
サイ [灰]
○うながす(促)せきたてる。梁簡文帝、從軍行「將軍號令密、天子璽書─」○せまる(迫)○もよほす。○きざす、發する。孟浩然詩「歲時歸思─」○ 國 開く、設ける「宴を─す」の類。
租稅の上納をうながす。宋史、職官志「獄訟無寃、──不擾、爲治事之最」=催租。
春雨をいふ。陸游詩「催花初過社公雨」
花を開かすつづみ。開元遺事「明皇二月旦游上苑呼高力士取羯鼓臨軒縱擊、奏一曲名春光好、囘顧柳杏、皆已發坼、笑謂妃子曰、得不喚我作天公乎」馬祖常詩「催花羯鼓變新聲」
書面·使者·執達吏·配達證明郵便·公示などを以て催促の意を義務者に吿知する法。
稅の未納をうながす。詩話總龜「忽──人至」
○うながしせまる。古蒿里辭「鬼伯一何──」○追ひかけて相せまる。白居易詩「冬裘夏葛相──、垂老光陰速似飛」
うながししらべる〔蜀志、李嚴傳〕=督促。
せまる、せばまる。陶潛詩「四時相──」=逼迫。
國 古代の歌曲の名、神樂 カグラ 歌の類。もとは馬を牽くに歌ひし俗歌。
人の意識を一點に集注せしめて眠らしむる術。
サウ [巧]
ちひさし(小)柳宗元、梓人傳「傭─宇而處焉」
シャウ [陽]
○いたむ、いたみ(痛·損·悼·戕·害)○そこなふ(損·害)やぶる(破損)○きず。左、僖二二「君子不重─」きずつく(創)○うれふ(憂思)詩、小雅「我心憂─」かなしむ(悲)なげく(嘆)
同訓異義
イタム 傷·悼·痛等の别は焯(心部八畫)を見よ。
きず、けが。=創痍。
禾穀をそこなひやぶる。荀子「楛耕──」
いためそこなふ。
そこなひへる。
傳染性のはげしき熱病、ちゃうちぶすの類。
醫書の名、漢の張機撰す、專ら傷寒の病を論ず、金匱要略と共に漢法醫の重んずる所とす。
かなしみなく。史記「其少女緹縈──」
前事に懲りて深く恐れて後事を警戒するに喩ふ。戰國楚策「────、聞弦音烈而高飛」
なへをそこなふ。晉書「河南潁川、隕霜──」=傷穀。
いたみくやむ。漢書、韓延壽傳「吏聞者自──」
草木がそこなはれかれる〔後漢書〕
穀類をそこなひやぶる。禮、月令「仲夏行冬令、則雹凍──」=傷禾·傷稼。
心をいたましむ。呂覽「費神──」=斷魂·傷神。
いたみなげく。徐陵文「懷此殊才、實可──」=傷悲·悲歎·痛歎。
きずつく。又、きず。
かなしみいたむ。=傷悲。
うれひいたむ。蘇若蘭、?璣圖詩「──懷慕增憂心」
こころをいにむ。戰國策「悲莫痛於──」=傷神。
こころをいたむ。=傷心·傷魂。
生命をきずつく。中說「古者不以死──」
いたみかなしむ。梁武帝詔「彌勞──」
やぶりそこなふ。杜甫詩「大魚──皆垂頭」
なげきいたむ。史、賈誼傳「以自──」=嘆悼。
いたみなげく。隋煬帝文「僧衆無依、實可──」=傷悲·悲歎。
かなしみなく。張衡賦「爲之──、酹於路濱」=傷泣。
心わづらはしくかなしむ。張載詩「我之懷矣心──」
きずあと。齊諧記「一黃雀爲鴟梟、所搏逐──甚多」
いたみかなしむ。詩、召南「未見君子、我心──」
病名。=鼻加答兒。
いたみいきどほる。吳志、張紘傳、注「紘甚──」
戰爭に出てきずつきたる兵士。
やぶりそこなふ。=傷害。
いさぎよき德をそこなひやぶる。孟、離婁「可以取、可以無取、取──」
ショウ [腫]
──は疾き貌。又走る貌。
セン [鹽]
○みな(皆)ことごとく(咸)書、堯典「─曰、於鯀哉」○からざを(連枷)
皆の者にて相談する。南史、蔡凝傳「格以──」=衆議。
セン [先]
仙に同じ
○やまびと(仙人)○──は輕く舞ふ貌。
輕く舞ふ貌。詩、小雅「屢舞──」
仙人に同じ〔史、始皇紀〕
偬(人部九畫)に同じ。
テイ タイ [霽]
○とどまる(止)○侘─ タテイ は志を失ふ貌〔離騷〕
①テン·デン [先]
②テン·デン [霰]
①つたふ(付與·敎授)つたはる。○さづく(授)ゆづる(讓)○しく(布)及ぼす、發布する。孟、公孫丑「德之流行、速於置郵而─命」○つぐ(繼)陸澄、與王儉書「其閒五─、年未爲遠」○のぶ(述)○とく(說)○うつる(轉)○つづく(續)○うつす(移)
②やど、はたごや、うまつぎ(驛遞)○しゅくつぎの車馬。康熙字典「古者以車駕馬乘詣京師謂之─車」○關所を過ぐるわりふ(符)○古人の事迹を傳ふる文の一體。文體明辨「漢司馬遷作史記、創爲列─以紀一人始終(中略)其品有四、一曰史─有正變二體、二曰家─三曰托─四曰假─使作者有考焉」○經書の義解、又、賢人の著書「聖經賢─」○つたへ、いひつたへ、記錄。孟、梁惠王「於─有之」
わが心を他につたへしらす。溫庭筠詩「巫娥──託悲絲」
ろまつぎ、しゅくば。唐書、百官志「駕部掌──」
人より人に傳へてみる。歐陽修詩「新詩何惜爲──」
小說をいふ。後山詩話「──者、唐裴鉶所著小說也」
○人の一代の事がらを記したるもの、一代記。○賢人の書きたる書物を傳といひ事實を紀錄せるものを記といふ。漢書、元后紀「五經──」
古事の疑はしき者は、其の儘に傳へる。傳信を見よ。
指揮官の號令をつたへる騎兵。
しゅくばにて運送に從ふ忙 イソガ しき小やくにんの義、士が自分をいふ謙稱。禮、玉藻「士曰────」
此より彼に傳へてもてあそぶ。晉書「五騎──、稽畱遂久」
をしへをつたへる。皇甫冉詩「慧力堪──、禪功久伏魔」
ことづて。岑參詩「馬上相逢無紙筆、憑君──報平安」=傳言。
次條を見よ。太平御覽「───是秦始皇所刻、其玉出藍田山、是丞相李斯所書、其文曰、受命于天、旣壽永昌、漢高祖定三秦、秦王子嬰獻此璽、及漢高卽位仍佩之、因以相傳、故號曰───」漢書、輿服志「璽皆玉螭虎紐」
帝位に卽く者の讓り受ける印、秦始皇の時作るといふ、始め傳國璽といふ、唐代改めて───と稱す。
ことづて。史、絳侯世家「亞夫乃──、開壁門」=傳語。
つたへならふ。唐書「每鄕給一卷、俾其──」
書名、三卷、明の王守仁(陽明)が門人の問に答へて其の學を傳授せしものを編したる語錄。
古事の信ずべき者は其の儘之を傳へる。史、三代世表「信以傳信、疑以傳疑、故兩言之」
人の肖像を寫して其の精神を傳へる。晉書、顧愷之傳「愷之每畫人、數年不點眼、人問之、答曰、──寫照正在阿堵中」
やどや。去る者、來る者、轉轉相傳へて常主なき義。史、酈食其傳「沛公至高陽──」
しゅくつぎのくるま、驛傳の車。史、游俠傳「條侯乘──、將至河南」
つたへうつす。晉書、左思傳「三都賦成、競相──、洛陽爲之紙貴」
師より業を傳へ受ける。漢書、儒林傳「──者不絕也」
つたへさづく。中庸「孔門──心法」
しゅくつぎの車に乘る、又、しゅくつぎの車馬。左、莊九「公──而歸」康熙字典「古者以車駕馬乘詣京師、謂之傳車」
いひつたへてほめる。魏武帝、短歌行「正而不譎、其德──」
人人相つたへてとなへる。宋史「時人──、以爲勸戒」
國 鳩の一種、故鄕に歸る特性を利用して、軍事通信の用に供す。
諸方に轉寓して寄食する。孟、滕文公「從者數百人、以──于諸侯」
いひつたへ。漢書「下及諸子──、皆充祕府」=口碑。
○うつりしむ、墨つき。夏文彥、論畫「筆墨超凡、──得宜、意趣有餘者謂之妙品」○病氣に感染する、病がうつる。
さいはひを後世につたへる。
つたへてのっとる、祖は法。後漢書「皆專相──」
國 武家より朝廷に申し上げる事を取りつぐ官職。
しゅくつぎにておくる。史記「轞車──」
飧は小飯なり、少し食ひて一時の飢をしのぐ。史、淮陰侯傳「令其裨將──曰、今日破趙會食」
○道をつたへ敎ふ。○古來傳ふる所の道。
基督 キリスト 敎を衆人につたへ廣める者。布敎師·宣敎師·牧師。
物を送り屆ける。春渚紀聞「──其言」
うまつぎば(驛遞)
書籍の注釋。博物志「上代去先師近、解釋經文、皆曰傳、傳師說也、後代去師遠、或失其傳、故謂之注、注下己意也」
しゅくばよりしゅくばへ承け次ぎて送る、遞送·驛遞。
系統をつたふ。又、傳はれる血すぢ。沈約文「守器──、于斯爲重」
佛 法燈を傳ふる義、祖師の法脈を承け傳ふるをいふ。法は暗を照す燈の如し、故に喩ふ。釋氏要覽「自行化彼、則功德彌增、法光不絕、亦名無盡燈」
しゅくつぎのうま。漢書、昭帝紀「頗省乘輿馬及菀馬、以補邊郡三輔──」=驛馬。
國 荷物を運送するに用ふるはしけぶね。しゅくばのはやうまに相當する早き船の義。
四方へつたはりひろがる。宋史、賀鑄傳「所爲詞草、往往──在人口」=流布。
美名を後世にのこす。北史「書名竹帛、──萬古」=流芳。
令を發して出立さす。史、淮陰侯傳「夜半──」
うはさにきく、つたへきく。公羊傳「所──異辭」
聞き傳へたる事には誤もあれば盡くは信じ難し。歐陽修、春秋論下「然則所傳者、皆不可信乎、曰、──────」
聞き傳へよりは自ら實見するの確かなるに如かず。後漢書、馬援傳「──────、視影不如察形」=百聞不如一見。
○軍隊等にて金錢の代用として發行するてがた。=軍票。○會計事務上、金品支出の請求事項を書き出すふだ。
あひづののろし、次第に傳へ知らしむるが故。
命令を發する、ふれを出す。孟、公孫丑「置郵而──」
○つたはりきたる。=渡來。○代代つたへ來る。=相傳。
命令をつたふ、つたへたる命令。
ヘウ ヘウ [蕭]
○かろし(輕)性浮薄なり、身輕便なり、すばやし。○はやし(疾)
○心かろがろしくしてこさがし。後漢書、班固傳「雖輕信與──」○かろくしてこせつく。=輕迫。
すばやくあらあらし。史、高祖紀「項羽爲人、──猾賊」=剽悍。
①マン [諫]
②マン [翰]
①ゆるし、おそし(舒遲)荀、不苟「君子寬而不─」
②けがる、けがす(汚)=漫。
①ヨウ [冬]
②チョウ [冬]
①やとふ、やとはる(雇)やとひにん。後漢書、夏馥傳「變姓爲冶家─」○勞作の賃金。
②ひとし(均)詩、小雅「昊天不─」
やとひつかふ、又、やとはれつかはる。
人にやとはれてたがやす。史、陳涉世家「涉嘗與人──、輟耕之隴上」
やとはれ人。韓非子「──致力而疾耕」=傭徒。
やとはれたる職工。劉禹錫詩「此日──記名姓、因君數到墨池前」
人にやとはれてはたらく。後漢書、侯瑾傳「性篤孝──爲資」=庸作。
やとはれて生活する。五代史、梁太祖紀「與其母──蕭縣人劉崇家」
筆耕して生活する。魏書、劉芳傳「晝則────給、夜則讀誦不寢」=傭書自給。
やとはれて土普請をする。墨子「傅說──於傅巖」
勞作して賃金を得る。史、范睢傳「爲人──」
やとはれびと。荀子「干賞蹈利之兵也──鬻賣之道也」=傭夫。
やとはれ人、保は保證人を立ててやとはるる義。=庸保。
人に雇はれたる男。=雇夫 コフ
請ひてやとひ入れる。=庸聘。
やとはれたるしもべ。開天傳信記「于馬廏中與──雜作」
リク ロク [屋]
○はづかしめ(辱)荀、非相「爲天下大─」○ころす、戮に同じ。
ロウ·ル ロル [尤]
○かがむ(屈)せぐくまる。左、昭七「一命而─、再命而傴、三命而俯」○せむし、くぐせ(痀瘻)莊、達生「痀─承蜩」
背を曲げる、せぐくまる。
かがむ、腰を折る。
せむし。=傴背·背僂·痀瘻。
ゆびをりてかぞへる。荀、儒效「雖有聖人之智、未能──也」=屈指。
英語の音譯、身體の關節の痛む病、りようまち。=風疾。
〔國字〕 はたらく「勞─」
12畫
カン [?]
○たけし、武き貌。○ゆるやか、寬大なる貌。詩、衞風「瑟兮─兮」一解に威嚴の貌。○いかる、撊に通ず。○うかがふ。=瞯。
果斷の貌。
いかる貌。唐書、王叔文傳「──以謂天下無人」=撊然·憪然。
キ [支]
敧に通ず
かたぶく(傾)そばだつ(側)
醉ひて舞ふ貌。詩、小雅「屢舞──」
キ [支]
○よろこび、よろこぶ、喜に通ず。○たのしむ(樂)
①ギ [寘]
②グヮ [歌]
①いつはり、うそ、いつはる(詭詐)○にせ(僞物)眞の對。
②なまり、あやまり。=訛·譌。
同訓異義
イツハル 僞·詐·譎·詭·佯·陽·詳·矯·贋○僞は人爲にて、天眞にあらざるなり、いつはりこしらへたるなり、虛僞·詐僞と用ふ。晉紀「太子有二淳古之風、一而末世多レ僞、恐不レ了二家事一」○詐は詐欺と連用す、欺きだますこと、誠實の反なり。說苑、貴德「巧詐不レ如二拙誠一」○譎は權詐なり、正しからず、詐謀を設けていつはるなり、すべて言行器服などのあやしく異樣なるをいふ、詭に同じ「晉文公譎而不レ正」の如し。○詭は譎に同じく、あやしくして正しからざる義、詭巧·詭變と用ふ。孫子「兵者詭道也」○佯·陽の二字は同音同義、內心は然らずして、うはべをいつはるなり。史記「箕子佯狂爲レ奴」○詳は佯に同じ、後世は用ひず、史記に佯狂を一本詳狂に作る。○矯はよい加減に誣ひていつはる、矯レ詔と用ふ。書經「矯二誣上天一」○贋はにせものなり、眞の反。韓非子「魯以二贋鼎一往」
有名無實の帝位。宋史「建炎四年、豫卽──」=虛位。
正しからざる學。宋寧宗の時、韓侂胄政を秉り己に異る者を除かんと欲し、道學を目して──と爲す、蓋し以爲らく貪黷放肆は人の眞情にして廉潔好修は皆僞なりと、乃ち──の黨を用ふることを禁じ、朱熹の官を削り、蔡元定を貶す、朝廷の正士一空す。
にせ。
うはべばかり君子の風をする人、僞善者。丹鉛總錄「───則旣竊美名、而其流惡無窮矣」
いつはり。柳宗元文「矯笑而──」
いつはりてなく。唐書「過重榮墓、──而祭」
いつはりのとなへ。=僞名。
證人が裁判所にて不實の申立を爲したるつみ。
いつはりかざる。
にせのみことのり。宋史「九月豫下──」
うはべばかりの善。=詐善。
いつはりのさま。戰國策「科條旣備、民多──」
當代の朝延に對して、僭僞の朝を指す。李密、陳情表「臣少事──」
他人の筆蹟ににせてかく。又、その書。
敵をあざむく爲めに擧ぐるのるし。西征賦「擧──、以阻衆」
にせぼん、古人の名を借り、又は古書の體に似せて作りし書。圖畫見聞誌「今所存者多是──」=僞書。
いつはりのな。楚辭、九章「被以不慈之──」
キヨ [魚]
かれ(彼)渠に通ず。
ケウ [蕭]
○たびやどり、かりずまひ(旅寓)○高し、喬に通ず。○人名、周代の鄭の子產の名。
かりずまひ。韋應物詩「──念歸緣」=假寓。
かりずまひ。=旅寓·寄寓·僑居。
たびびと。韓非、亡徵「羇旅──」=僑人·僑民。
たびびと、寄畱人。隋書、食貨志「晉元帝寓居江左、百姓之自拔南奔者謂之──」=寄寓人·僑士。
たびあきうど。
①ゲウ [篠]
②ケウ·ゲウ [蕭]
①さいはひ、もとむ(求)
②僬─は短人 セィヒクキヒト 西南夷の別名。
○こぼれざいはひ。班固、奕旨「優者有不遇、劣者有──」○利を求めて止まざる貌。莊子「幾何──而不喪人之國」=僥幸。
①セン [澘]
②セン [霰]
①しめす、あらはす(表·見)
②そなふ(具)
シウ シュ [宥]
○ちん、賃金。○やとふ(雇)北齊書、虛文偉傳「─二千餘車」やとはる。
僦舍に同じ。
屋舍をかりうける。又、借家ずまひ。
ちん錢を出してふねを借る。
シヤウ ザウ [養]
もと象に作る
○かたち(形─)○ならふ、似せてかたどる(摹倣)荀、議兵「─上之意」
偶像を立てて崇拜せしむる宗敎、佛敎の類。渚宮遺事「自──以來、最爲靈應」
畫像の上の題銘。梁昭明太子文「美終則諡發、圖像則贊興」
造花をいふ。夢梁錄「宋時四司六局中、有果子局、掌───果等」
かたどり似せる。
かたどる。かたち。=象形。
①セウ [蕭]
②セウ [嘯]
①─は明察の貌。○─僥は短人、西南夷の別名。
②はしる、趨走して容止を整へざる貌。
①セン [豔]
②シンソン [沁]
③シン [侵]
僣は別字
①かる(假)なぞらふ(儗)下の者が分を越えて上の者のまねをする「─越」○おごる、おごり(驕)○たがふ(差)
②いつはり、いつはる、讒言 ザンゲン をする。=譖。
③みだる(亂)
分限をこえる。漢書、賈誼傳「諸侯王──、地過古制」=僭上。
分をこえてつけたる帝王の名號。春秋、注「夫差欲霸中國、尊天子、自去其──而稱子」
分をこえて地位をぬすむ。南史、宋武帝紀「姦宄具殲、──亦滅」
分をこえて上のまねをする。唐書「擅自尊大、忽──之嫌」
身分にこえて不相應のおごりをする。
みだりに賞し、みだりに罰す。左、襄、二六「善爲國者賞不僭、而刑不濫」
分をこえて上のまねをする。漢書、食貨志「──亡限」=僭越。
僭號に同じ。
分にすぎてほしいまま。後漢書、皇后紀序「諸侯──、軌制無章」
分にすぎて爵位をぬすむ。蘇軾賦「彼狂莽之──」
分をこえて他ををかす。
下の者がおごりて上の者をあなどる、卑者が尊者をあなどる。左傳「其言──於鬼神」
みだりに分限をこえたる事をする。=僭越。
分をこえてみだらなるおごりをする。周禮、疏「諸侯──無道」
分にこえたるれい。禮記「舞大武乘大路、諸侯之──也」
①セン·ゼン [銑]
②タン·ダン [翰]
①行き動く貌。
②あつし(篤·厚)○すみやか(速·疾)
ソゥ [蒸]
○佛門に入りたる人の稱。魏書、釋老志「─之三歸、若君子之三畏也」隋書、經籍志「佛弟子、男曰桑門、而總曰─、女曰比邱尼、俗人信馮佛法者、男曰優婆塞、女曰優婆夷」=上人·沙門·出家·比丘。○佛道を修めて悟り得たる人の稱。
僧廬に同じ。
僧のころも。綦母潛詩「山頭禪室挂──」
僧侶の居るてら。陸游詩「──疏鐘出林岫」=僧庵。
佛 僧官僧位○高級のもの、官にては僧正·僧都·律師。位にては法師·法眼·法橋の稱。
佛 大衆○義。翻譯名義集「梵語阿──無數也、──大衆也」
僧侶のかぶるづきん。蘇軾詩「潔似──白」
○──邪の略、僧徒をいふ、衆多の僧。一人の僧にもいふ。琅琊代醉篇「──唐言衆僧、史略云、凡四人以上名僧、一人亦稱僧、蓋從衆之名也」○梵語、師子 シシ の異名。
僧の官、僧正·僧錄の類。
てら。王安石詩「午飯投──」=僧房·僧院。
てら。白居易詩「最憐──題橋處」=僧寺。
○僧官の最高のもの。釋氏要覽「蓋以比丘無法、若馬無轡勒、漸染俗風、將乖雅則、故擇有德望者、以法而繩之、令歸乎正、故云──、此以僞秦僧?爲始」○ 國 僧官の第一位、大──·──·權──の三に分つ。
僧のもつ拂子 ホツス 麈は大鹿、其の尾毛を束ねて作る。蘇轍詩「淸談對──」=塵尾。
多くの僧徒。宋書、蕭開傳「自宜悉供──」
こばうず。黃庭堅詩「──手金鑰」=雛僧。
僧侶と俗人と。
國 僧正に次ぐ官、大──·權大──·──·少──·權──の五に分つ、都は統、僧徒をとりしまる職。
ばうずと、あまと、比丘 ビク と比尼丘 ビクニ と。
てら。晉書、羅什傳「不住──」
僧の居るへや。蘇軾詩「──有宿火、手足漸和柔」=僧院·僧廬·僧坊。
肩胛骨 カヒガラボネ を脊柱 セボネ の方にひきつける背筋。
心臟の左心耳と左心室とのへだてを爲す瓣膜、血液の逆流するを防ぐ、二尖瓣。
推敲 スヰカウ を見よ。
僧が足をくみてすわる、ざぜん、禪宗にて行ふ靜坐法。蘇軾詩「終朝危坐學──」=趺坐。
僧尼の守るべきおきて。白居易詩「淸淨依──」
僧のともがら。=僧徒·僧伽。
てら。=僧庵·僧房·僧院。
僧官の名。參玄語錄「元魏以沙門僧顯爲京師統、隋分置十統、唐罷統立兩錄司於京邑謂之──」我國にては、足利義滿の時、始めて──司を置く。
ソン [阮]
○うやうやし、つつしむ(恭敬)撙に通ず。荀、仲尼「恭敬而─」○あつまる(聚)○──はおほし(衆)
タイ クヮイ [灰]
○したがふ(順)○みやびやか(嫺)○長き貌。
テツ [屑]
わるがしこし(狡猾)
トウ ドウ [東]
○わらは(童)未だ元服せざるわかもの。○しもべ、婢妾の總稱。史、貨殖傳「卓王孫家─八百人」○かにくな(頑)○おろか。○無知の貌。○おさなし(幼)○──は竦敬 ウヤウヤシ の貌。
しもべ。後漢書「勅制──」=僮僕。
無知にして暗愚なるもの。國語「──不可使謀」
めしつかひ、あしつかはる。崔浩文「雖有功力不任──」
無知 オロカ なる貌。太玄經「物──未有知」
おそれつつしむ(竦敬)貌。詩、召南「被之──、夙夜在公」
しもべ、丁稚。陶潛、歸去來辭「──懽迎、稚子候門」
しもべ。後漢書「課役──、各得其宜」
フン [問]
○たふる、たふす(僵)左、隱、三「鄭伯之車─于濟」○くつがへりやぶる(覆敗)大學「一言─事」○うごく(動)左、僖十五「張脈─興」
ホク [職]
○しりぞく(屛)○今の雲南·四川·貴州邊に居りし蠻夷。炎徼紀聞「─人在漢爲犍爲郡、在唐爲于矢部蓋南詔東鄙也」
ボク [沃]
○しもべ(奴)禮、禮運「仕于公曰臣、仕于家曰─」○車の御者。論、子路「子適鄭、冉有─」○われ、やつがれ、自己の謙稱。漢書、韋玄成傳「自稱爲─卑辭也」○したがふ(從)○はづかしめ(辱)○ともがら(徒)莊、則陽「仲尼曰、是聖人─也」○つく(附)詩、大雅「君子萬年、景命有─」○かくす(隱)
應對の事多くして擯相(傳命の者)をかふるも說き盡されず。僕は太僕、擯相を掌る。禮、儒行「哀公曰、敢問儒行、孔子對曰、遽數之、不能終其物、悉數之乃畱、─────也」畱は久。
しもべ、馭者。史、管晏傳「今子長八尺、乃爲人──」
しもべ。うまかひ。劉峻、自序文「八歲遇桑梓轉覆、身充──」
僕は隱、區は匿、亡命者をかくまふ、又、其の刑書の名。左、昭、七「文王作──之法」
しもべ。易林「爲人──」
凡庸の小才。又短陋の貌。漢書、息夫躬傳「諸曹以下──不足數」
下男と下女と。=僕婢。
しもべとなりて賃金を受く。左、襄、二七「申鮮虞來奔、──于野」
めしつかひ、しもべ。
下男と下女と。
○しもべ、車を御する者。詩經「召彼──」○馬を掌どる官。周禮「厩一──」
煩 ワヅラハ しく猥 ミダラ なる貌。孟、萬章「鼎肉使己───亟拜也」
秦の射を主る官、唐以後尙書の長官の稱〔後漢書、百官志〕事物紀原「秦官、史始皇本紀有──周靑臣是也、古者重武以善射者掌事、故曰──、──者僕役於射也(中略)漢成帝建始元年初置尙書五人、一人爲──、此蓋其始也、獻帝建安四年、以邵榮爲左──、衞臻爲右──、置左右之始也」
蝸牛 カタツムリ の異名。山海經「靑要之山、是多──蒲盧」=蚹蠃。
しもべ、めしつかひ。
①レウ [蕭]
②レウ [篠]
①とも、ともがら(朋·同官)「同─」通じて寮に作る。○つかへびと(官人)「官─」書、皋陶謨「百─師師」○賤役に服する人、下司。左、昭、七「隸臣─、─臣僕」
②みめよし(美好)詩、陳風「佼人─兮」
同役のとも。曲禮「──稱其弟也」=同僚·僚輩。
あひむこ、兩壻卽ち姊妹の夫が相呼びていふ稱。唐書、蕭嵩傳「娶會稽賀晦女、──陸象先宰相子」
したやく。=屬僚。
したやく。=屬官·屬僚。
僚友に同じ。
13畫
アイ [隊]
○ほのか(彷彿)かすかに見ゆ(微見)○むせぶ(唈)
ほのかに見ゆる貌。禮、祭義「祭之日入室、──必有見乎其位」
オク [職]
○萬の萬倍。=萬萬。○萬の十倍。禮、內則、疏「算法─之數、有大小二數、小數以十爲等、十萬爲─、十─爲兆也、大數以萬爲等、萬至萬、是萬萬爲─也」○多數の義。○やすんず(安)左、昭、二一「心─則樂」○おもんぱかる(料度)論、先進「─則屢中」○むね、臆に通ず。漢書、平都侯相碑「餘悲馮─」○かけもの(賭錢)おもはくしてかける義。
○ 佛 無限に長き時。拾遺記「飱九天之正氣、生于──之內」○ 國 おっくう、ものうく思ふ。
久しく遠き後の世、載は年に同じ。揚雄、長楊賦「規──恢帝業」=億年。
數多き義。易經「高山之嶺、去地──」
おしはかる。後漢書、李通傳論「──微隱」=億度·推測·推量。
億測に同じ。唐書、江夏王道宗傳「不宜輕──、使自猜危」
億は胸、己の胸にて推し計り、決斷する。億一に臆に作る。蘇軾、石鐘山記「事不目見耳聞而臆斷其有無可乎」
極めて高き城。賈誼、過秦論「據────、臨不測之谿、以爲固」
心に計り考へたることが善く當る。論、先進「賜不受命而貨殖焉、億則屢中」同書、憲問「有德者必有言」の注「德不可以──、故必有言」
はかりつくす。逞は盡。左、襄、二五「馮陵我敝邑、不可──」
○數の多き義、兆は十億。戰國策「此兩策相去、有──之數」○轉じて天下の萬民の義とす。晉書、暠周傳「上爲宗廟無窮之計、下收──元元之命」
極めて多くの人民。史、建元以來侯者年表「明天子在上、兼文武席卷四海、內輯────」
カ [禡]
あにひ(直)ねうち(品位)李白、與韓荆州書「一登龍門則聲─十倍」
ねだん、ねうち。
あたひ。
ねだん。北史「牛主陳謝、求還──」=價値。
物のあたひ。=價直。
かけねなし。後漢書、韓康傳「康賣藥於長安三十年、───」=無二賈〔漢書、王莽傳〕
①ギ [支]
②ギ [紙]
①のり、てほん(法則)荀、正論「上者下之─也」○のっとる(法)かたどる(象)ぎやうぎ「容─」「威─」作法、ぎしき「─式」○よし(善)ただし(正)よろし(宜)釋名「─、宜也、得事宜也」○きたる(來)○はかる(度)○あふ(合)○たぐひ、つれあひ(匹·配偶)詩、鄘風「實維我─」○宇宙の大本。康熙字典「兩─天地也、又三─天地人也」
②なぞらふ(擬)
人の模範となるべき立派なる容儀 スガタカタチ 易、漸卦に鴻の羽美くしくして、儀容あるを賢者の禮儀正しきさまに喩へたるに本づく。
儀仗の兵士、儀式に參列せしむる護衞兵。唐書「──甚盛」
儀矩に同じ。蜀志、諸葛亮傳「撫百姓示──」
儀容の整ひて正しき貌。法言、孝至「麟之──、鳳之師師」
のり、法則。北史、高允傳「俯仰之節、粗合──」=儀範·儀法·繩矩。
ただしきをしへ。後漢書、列女傳「少習──、閑於婦道」
威儀に同じ。觀は外觀にあらはるる義。
○○っとる。詩、大雅、文王「──文王、萬邦作孚」○のり。=法式、儀型。
儀則 ノリテホン とすべき品格。北史、崖贍傳「──風德、人之師表」=儀刑。
禮式と作法と。禮儀にて自ら檢束する。晉書、祖逖傳「逖性豁蕩、不修──」
行儀なり。唐書、張嘉貞傳「嘉貞──秀偉、奏對偘偘」
容儀行狀をいふ。史記「──端正者、補博士弟子」
禮儀のしかた、さだめ、法度。詩、周頌「──刑文王之典」=法則。
さだまれるおきて。禮儀制度。元稹文「僭越之人、終乖──」
舜の韶樂の稱していふ。張翥詩「──下鳳凰」=鳳韶。
儀容に同じ。
儀式に用ふるかざりがたな。通鑑、唐紀「別給──」注「──以木爲之、以銀裝之、具刀之儀而已」
儀式に用ふる武器、仗は劍戟の總名。唐書、百官志「掌戎器鹵簿──」
儀仗を帶びて天皇の護衞又は國家の儀式に參列する兵隊。
○天文の事を記せし書物。後漢書、律曆志「參案──」○禮節をいふ。南史、司馬褧傳「撰嘉禮──一百一十二卷」
夏の時、初めて酒を造りし人、よりて酒の異名とす。戰國魏策「昔者帝女令──作酒而美、進之禹、禹飮而甘之、絕旨酒、曰後世必有以酒亡其國者」
まと。又、めあて。韓非子「釋──而妄發、雖中而不巧」=標的。
儀矩に同じ。=儀法。
よきやうにとりはからふ。よきはかりごと。詩、大雅「我──之」=善謀。
官名、儀同三司の略、儀制三司と同じき義、漢殤帝の時、鄧隲車騎將軍と爲り儀三司に同じとあるに本づく。
きまり、おきて。=儀矩。
のり、てほん。晉書、謝安傳「安處家、常以──訓子弟」=儀矩。
禮式に著用するきもの。禮服。
○れいぎのあや、たちゐふるまひのみやびなるさま。○ 俗 公用文。
のり、てほん。史記、自敍「以爲天下──」=法則。
官衙の門戸。明會典「凡新官到任之日、至──前下馬」
禮にかなへるかたち。元稹詩「春草綠茸雪色白、想君騎馬好──」
書名、十七篇。周禮·禮記と合せて三禮といふ。共に十三經に列す。
キャウ [陽]
○たふれる(仆·偃)曹冏、六代論「百足之蟲、至死不─」○にふす、倒す。莊、則陽「推而─之」
たふれふす。汝南先賢傳「大雪積地丈餘、洛陽令至袁安門、無有行路、謂安已死、令人除雪入戸、見安──」
木がたふれて根がぬける。晉書「滹沲汎溢、衝陷山谷、巨松──浮於滹沲」
たふる。戰國策「頭顱──、相望於境」=仆僵。
たふれる、又死す。魏志、臧洪傳「──麾下」
クヮイ [泰]
古、會に借り用ふ
牙─はすあひ、さいとり(仲買人)巿人を會合し、賣買の閒に居る者。
ケイ [梗]
いましむ、いましめ(戒)警に通ず。
いましむ。書、大禹謨「吁戒哉、──無虞」=警戒。
ケウ ゲウ [蕭]
○もとむ(求)○うかがふ(覬)
望むまじきことを求める。=儌倖。
ケン [先]
○さとし、さかし(慧利)○とし、はやし(疾)輕捷なる貌。詩、齊風「揖我謂我─兮」
さかしき貌。=儇然。
こざかしく輕薄なる男、小才子。荀、非相「鄕曲之──」
疾く走る。吳都賦「──坌竝、銜枚無聲」
ケン [琰]
○つづまやか(節約)禮、檀弓「國奢示之以─、國─示之以禮」○すくなし(少)とぼし。○あきたらず。○としみのらず(歲歉)「荒─」北史、韓麒麟傳「年豐多積、歲─出振」○けはし。荀、富國「下疑俗─」=險。○へりくだる貌。
けんやくして手輕にはうむる。魏志、注「戒其子、以──」=薄葬。
つづまやかにしてしはし〔史、貨殖傳〕=儉吝。
つづめてはぶく。宋史「制度務遵──」
へりくだる貌。
儉約にして質素 ヂミ 晉書、華恆傳「廉潔──」
つづまやかなるよきとく。易經「君子以──辟難」
つづまやかにしてうすし。後漢書、周盤傳「居貧養母──不充」
節儉を守るは、德義の恭しきなり、共は恭〔左、莊二四〕
つづまやかにして飾なし、儉約質朴。白居易、策林「人情──、時俗淸和」=儉素。
節儉は廉潔の心を助け養ふをいふ。宋史、范純仁傳「親族有請敎者、純仁曰、惟─────、惟恕可以成德、其人書於坐隅」
つづまやかにする。漢書、平津侯傳「身行──」一節約。
費用をつづまやかにする。白居易文「量入──、亦可自給」
つづまやかにしてをしむ、やぶさか。晉書、義陽王望傳「性──而好取斂」=儉嗇。
シ [寘]
○細かく碎く。○まことなし。悃誠なし。史、高祖紀「救─莫若以忠」
シュン [震]
俊に同じ、雋に通ず
○ことなり(異)○すぐれる(卓特)又、其の人。左、莊十一「得─曰克」
すぐれてまさる。又其の人。韓愈詩「周行多──、議論無瑕疵」=俊秀·卓異 タクイ
すぐれてひいでる、又其の人。後漢書「故九江太守邊讓、英才──」=秀逸·卓逸·儁出。
すぐれたる科第。蘇轍詩「策名──、典我近輔」
すぐれてひいでる、又其の人。韓愈、柳子厚墓誌銘「──廉悍、議論證據令古、出入經史百子」
すぐれたるはたらき、又、其の人。左傳「酆舒有三──」=雋才·俊才。
すぐれて秀でる。北史、韓麒麟傳「若有高明卓爾才具──者、朕亦不拘此例」=儁逸·儁邁。
すぐれて高し。晉書「惟爾──英毅」
すぐれたるほまれ。晉書「風流──、眞後來之秀」=雋譽。
すぐれてぬきんでる。晉書「風鑒澄爽、神淸──」=儁出。
すぐれてよし、又其の人。後漢書「誓六師、搜──」
①セン [先]
②タン [旱]
①なり、ふり、すがた(態)○─佪は進まざる貌、たたずむ貌。
②──は舒閒 シヅカニユルヤカ なる貌。莊、田子方「──然不趨」
①タン [覃]
②タン [勘]
③セン [豔]
①になふ(負·荷)通じて擔に作る。
②もたひ(罃·罌)又二の罃に容るるますめの稱。史、貨殖傳「漿千─」
③にぎはす、助ける。=贍。
○南蠻の八種の一。○郡の名、漢置く、令の廣東省──縣の西に在り。
石は一石、儋は二石、人の之をになふをいふ、すこしのたくはへ。漢書、揚雄傳「無────、晏如也」
ドウ ノウ [冬]
○われ(我)韓愈詩「鱷魚大于船、牙眼怖殺─」○かれ(彼·渠)楊維楨詩「勸─莫上北高峯」○えびす(苗族の一)
ビン [軫]
つとむ(勉)心に欲せざる所を强ひてつとめる。=黽。
①ヘキ [陌]
②ヒ [寘]
①かたよる(偏)○ひがむ「邪─」ひがみてほしいまま。孟、梁惠王「放─邪侈無不爲已」○いやし(鄙·陋)「偏─」○くせ(惡習)=癖。○ゐなか「─地」
②─倪は、ひめがき、城上の女牆。=埤堄。○さく。=避。
とほくかたよる。史記「秦穆公、──不與中國會盟」
僻陬に同じ。
かたすみ、かたほとり。=邊土·邊隅。
かたよりたる見解、中正を失せしかんがへ。=偏見。
一方にかたよりてある、僻地に在る。
ひがみて正しからざる心、次條を見よ。
正しからざる事、ひがごと。申鑒「僻志萌則──作」
偏僻にして道義に依らざる書。世說、黜免「令狐綯曾以舊事訪於溫庭筠、庭筠答曰、事出南華經、非──也、冀相公燮理之暇、時宜覽古、綯甚怒、奏庭筠有才無行、不許登第、遂轗軻終身」
かたよりたる土地、かたるなか。=僻土·僻地·僻境。
めづらしき姓氏。瑯琊代醉編「偶得近時人──錄之」
かたよりて中正ならざる言說。=辟說。
かたゐなか。張說文「遠居──、代爲右族」=避土·僻陬。
前條に同じ。
ひがみもとる。唐書、陸贄傳「──躁妄」
中正ならざる議論。=辟論。
僕(人部十二畫)の本字。
14畫
ギ [紙]
○なぞらふ、擬に通ず、分限を越えて目上の人のまねをする(僭上)たくらぶ、くらぶ(比較)曲禮「─人必于其倫」○うたがひ、うたがふ(疑)○──はしげりて盛んなる貌。漢書、食貨志「故──而盛也」=薿薿。
サイ セイ [佳]
○ともがら(同輩)たぐひ(等類)左、成二「文王猶用衆、況吾─乎」○ともに(俱)相伴ひて。○ひとしく(等)
同じなかま。南史、章詔達傳「恩寵超於──」
同じなかま。隋書、李文博傳「──莫不敬憚焉」
同じなかま。晉書、王濟傳「好以言傷物──以此少之」
ジン [軫]
○みな(皆)ことごとく、すべて。=盡。○たとひ、もし。靈徹詩「相逢─道休官去」─道·─著と連用するも同義。○まま、是認する詞。○まかす(任)ままよ。白居易詩「─君花下醉靑春」○ 國 まま、多く書簡文に用ふ「故に」「に付」の意。○そのまま、現在有るとほり。○氣まま、ほしいまま。
ままよ。劉克莊詩「──人貶駁、喚作嶺南詩」=遮莫。
ジユ [虞]
○學者の稱。法言、君子「通天地人曰─」周禮、天官「四曰─、以道得民」○周公·孔子を宗とせる敎學、又其の學者。○侏─は短人、一寸法師、又は役者、藝人。又梁上の短き柱。=株檽。
儒者に同じ。
儒敎の學派の者、又其の學派、古の九流の一。漢書、藝文志「────蓋自司徒官出、助人君、順陰陽、明敎化者也」
儒道の正しき義理。魏志、李典傳「典好學問貴──」杜甫詩「風流──是吾師」
儒者の品行。禮記に──篇あり、孔子が魯の哀公に對して儒者の行を語りし語を錄す。
孔子を祖とする學問。又、其の學派。史、五帝世家「河閒獻王德、好──」
儒學を以て仕宦するもの。三國志「──非其人、將何以宣明聖道」
儒者のかぶるかんむり。漢書、酈食其傳「諸客──來者、輒解其冠、溺其中」
儒學の書物。楊衡詩「雲居避世客、髮白習──」
孔子を祖とする仁義道德の敎。史記「魯人皆以──、而朱家用俠聞」
人魚 ニンギヨ をいふ哺乳動物にて草を以て食とし海中に棲息す、形海牛と似たり。
儒學を修むるさむらひ。魏志、高堂隆傳「尊──擧逸民」=儒者。
儒學を以て仕ふる臣。劉因詩「濟濟唐開元、──相伯仲」
孔子の學を奉ずる人。史、淮陰侯傳「成安君、──也」=儒生·儒家。
武人にして儒者の風ある者。薛能詩「──不須誇郤穀、未聞詩句解風流」郤穀は春秋の時の晉の元帥、詩書禮樂に通ぜし人。
儒者の道。史、禮書「今上卽位、招致──之士」=儒道。
儒學の書物。
孔子の學を修むる學者。列、周穆王「魯有──、自媒能治之」
儒者の宗師、學者のかしらかぶ。晉書、賀循傳「朝廷嘉其能、令敎育生徒、號爲當世──」
學者のきるきもの。禮記「夫子之服、其──歟」史、叔孫通傳「通──、漢王憎之」
孔子の敎と墨子の敎と。莊、天運「天下大駭、──皆起」
名は儒者と稱すれども、其の行は墨氏の道に合するをいふ。韓愈、送浮屠文暢師序「人固有─────者、問其名則是、校其行則非、可以與之遊乎、如有墨名而儒行者、問其名則非、校其行則是、可以與之遊乎」
學者のいへがら。張說謝脩史表「服道──、策名昌運」=儒家。
孔子の道を奉ずる學者のなかま。史記に──傳あり、任昉文「蔡公──之亞」
孔子の後分れて、子張氏·子思氏·顏氏·孟氏·漆雕氏·仲梁氏·公孫氏·樂正氏の八となる〔韓非、顯學〕
タイ [灰]
しもべ。=臺·輿儓。
ダウ [庚]
○くるしみよわる(困弱)韓愈詩「始知樂名敎、何用苦拘─」○傖─は相呼び合ふ聲。唐書、劉禹錫傳「鼓吹裴囘其聲傖─」
チウ [尤]
通じて疇に作る
○ともがら、たぐひ、なかま、(等類)○たれ(誰)○おほし(衆)○ひとし(同一)
同じともがら。漢書「求之遠近、少有──」=儔侶·儔類·儔倫。
ともがら。韓愈詩「今古無──」=儔匹。
ともがら、たぐひ。杜甫詩「石根靑楓林、猿鳥聚──」=侶儔·儔類。
同じなかま。阮籍詩「自傷非──」
①ヒン [震]
②ヒン [眞]
①賓客を導き主人を相 タスク る人。○賓客又は鬼神に接するに禮を以てする。禮、禮運「山川所以─鬼神也」(省きて賓に作ることもあり)○みちびく(導)たすく(相)○すすむ(進)○つらぬ(陳)詩、小雅「─爾籩豆」○ひそむ(眉蹙)=顰。
②しりぞく。戰國策「六國從親以─秦」=擯。○うやまふ(敬)つつしむ(恭)
ブ ム [麌]
まひ、まふ(樂舞)莊、在宥「鼓歌以─之」=舞。
ボウ [蒸]
○まよふ(迷)○──はくらし(惛)○ 國 はかなし、無常。
15畫
イウ [尤]
○ゆたか(寬裕)餘力あるなり。論、學而「仕而─則學」○おほし(饒)あつし(渥)○やはらぐ(和柔)「─游」○ひろし、ゆるやか(寬)○しとやか(閑舒)○やさし(柔順)○まさる(勝)劣の反對。○たはむれ(遊伎)わざをぎ、やくしや(倡者)藝人。漢書、東方朔傳「朔好詼諧武帝以俳─畜之」たはむる(調戲)左、襄、六「少相狎、長相─」○ゆるやかに、ゆたかに。○あまねし(洽)○のろし。○伊─は佞媚 コビヘツラフ の貌。
同訓異義
マサル 優·勝·愈·賢○優はゆったりとまさる、劣の反、餘力あるなり。○勝は負に對し、かつと訓むにより、人の下とならず、優に之に過ぐる義。通書「實勝善也、名勝恥也」○愈は勝也、賢也、過也と註す、過ぎこしてまさる義。孟子「丹之治レ水也、愈二於禹一」○賢はかしこしと訓むにより勝マサルの義に轉用す。孟子「二子之勇、未レ知二其孰賢一」
あまねく天子の恩澤を被る。詩、小雅「旣優旣渥、旣霑旣足、生我百穀」陳書、章昭達傳「恩寵──、超于儕輩」
もてなしを衆人と異にする。後漢書「旣而選其父兄子弟、事相──」
○やはらぎてのどかなる貌、閑暇自得の意。詩、大雅、卷阿「伴奐爾游矣、──爾休矣」=優閒·優遊。○ぐづぐづする貌、決斷力に乏し。漢書、元帝紀贊「牽制文義──不斷」=優柔。
ゆるやかに和ぐ貌。詩、商頌「敷政──、百祿是遒」
あつくもてなす。後漢書「美其義、特──之」=優待·優貸·寬待。
仁德があまねく十分にゆきわたる。易林「仁德──、思及異域」
ゆったりとして閒暇 ヒマ ある貌。唐書「南陽故人、竝以──自保」
やさしくして心つよし。馬融文「溫直──、孔孟之方也」
優待に同じ。
ゆるやか。後漢書、魏霸劉寬傳贊「臨政亦稱──」
てあつきめぐみ。元載文「──愈深」=深眷·隆眷。
すぐれてあらはれる。晉書張賓載記「任遇──」
てあつし。晉書、魏舒傳「舒薨時年八十二、帝甚傷悼、賵賻──」
○やさしくおとなし。文心雕龍「──以懌懷」○ぐづぐづする、きまりがつかぬ。=優游。
わざをぎ、史、孔子世家「──侏儒、戲而前」=俳優。
てあつくほめすすめる。南史「今區宇寧晏、宜加──」
特別にすぐれる。歐陽修文「寵命──、特加于常品」=優異。
まさるものは勝ち、おとるものは敗る、生存競爭、自然淘汰のさまをいふ。=弱肉强食·適者生存。
他のものよりも勢がすぐれてゐる、つよみがある。
座興を助ける者、たいこもち藝人の類。元稹、論敎本書「──陵亂之聲」
てあつきみことのり、優渥なる詔。唐書、李綱傳「──拜尙書」
ゆったりとおちつく貌。=綽綽 シヤクシヤク
高き官位にうつる、榮轉する。
才智が十分に多し、贍は足る。後漢書、蔡邕傳「有──之智」
他の者をさしおきて先づ手を下し得る權利。
てあつくもてなす。宋史、王嗣宗傳「以文謁王祐、頗見──」=優遇。
特别のもてなしをなすべく規定せし招待券。
學業品行共に優等なる故を以て學校より、特別のあつかひを受け、授業料免除等の特典を與へられたる生徒。
てあつくもてなす。白居易文「弘──之恩」=優遇·優待·優假。
てあつき天子のこたへ、優渥なるお返事。陳書、姚察傳「察累進讓位、──不許」
すぐれ秀でる。唐書、韓琬傳「弟又擧文藝──賢良方正科」=優等。
すぐれたるいつくしみ。漢書、李通傳「帝每──之」
他よりまさる。=優長、優級。
從容として迫らざる義。左、襄·二一「叔向曰、詩曰、────、聊以卒歲」
ゆたかなる返事。南史、虞玩之傳「玩之上表、陳府庫錢帛器械役力、州縣轉多、興用漸廣、慮不支月、朝議──之」=優答。
すぐれてうるはし、品よくうるはし。蔡邕文「器用──、不宜處之宂散」
すぐれてさとし。周書「機神穎悟、文學──」
てあつくしてあまねし。宋史、莎衣道人傳「施予──」
都合よろし。宋史、選擧志「有力者多得──」
人の外形のみ似て其の實なきをいふ。楚の優孟、孫叔敖の衣冠を著けたる故事。史、滑稽傳「優孟卽爲孫叔敖衣冠、抵掌談語、歲餘、像孫叔敖、楚王及左右、不能別也」
寬大にしてゆるす、おほめにみる。北史「──租調」
ゆたか、十分にある。國語「享祀時至而布施──也」
やくしや、伶は樂人。=優倡。
まさりおとり。晉書、陸機傳「定二陸之──」(二陸は陸機と陸雲と)=高下。
てあつくあはれむ。李嘉詩「常時矜禮數、漸老荷──」
○ 佛 三千年にして一たび花開く、この花開くときは金輪王出づといふ想像上の植物、轉じて極めて稀に有る事に喩ふ。法華經「佛吿舍利佛、如是妙法、如───時一現耳」○くさかげろふ蟲の卵。
佛 出家せずして佛弟子となりたる男子を優婆塞(善男子·淸淨士)といひ、女子を優婆夷(善女子·淸淨女)といふ。
シヤウ [陽]
○つぐのふ、あがなふ。○むくゆ(酬)史、藺相如傳「臣觀大王無意─趙城邑故臣復取璧」○つぐのひ(代金·報酬)○かへす(還)
つぐのひきん。
つぐのひかへす。=償還。
つぐのひかへす。=償卻。
○其の責任をつぐのひ果す。唐書「雖死不足──」○ シヤウサイ 借錢をかへす、責は債に通ず。漢書「有下賣田宅、鬻子孫以──者矣」
つぐのひかへす。=償還。
ヘウ [蕭]
○──は人の衆き貌。詩、齊風「汶水滔滔、行人──」○禽獸の多き貌。詩、小雅「──俟俟」
①ライ [賄]
②ギ [尾]
①傀─はでく、くぐつ、人形つかひ(木偶戲)○やぶる(敗壞)淮南、俶眞「孔墨之弟子以仁義敎導于世不免于─其身」
②─然は意の安からざる貌。
16畫
①シン [震]
②シン [眞]
①うら(裏)襯に通ず。
②おや(父母)親に通ず。
儁(人部十三畫)に同じ。
チョ [魚]
○たくはふ、たくはへ(貯·積聚)淮南、主術「二十七年而有九年之─」○まうく、まうけ。○そへ(副)ひかへ。○太子を東─といふ、まうけのきみ〔南史、齊文惠太子傳〕○─與はさまよふ貌。揚雄、羽獵賦「─與乎大浦聊浪乎宇內」=相羊。
同訓異義
タクハフ 儲·貯·蓄の別は蓄(艸部十畫)の條を見ょ。
太子のくらゐ。唐書「不定則敗、況──乎」
淸の宜興の人、字は同人、康熙の擧人、經史に博通す、嘗て唐宋十家の文を選び海內に風行す。
よつぎのきみ、太子。潘尼文「乃漸上京、羽儀──」=儲貳·儲君。
よつぎのきみ、太子〔公羊、僖、五、注〕=皇太子·東宮·春宮·東儲·儲宮·儲嗣·儲貳·儲副。
儲貳に同じ、后は君。王元長、曲水序「──睿哲在躬、妙善居質」
よつぎのきみ、太子。晉書、禮志「太子之禮、同君、所以重──正正嫡」
よつぎのきみ、太子。唐制册皇太子文「建立──、崇嚴國本」
○しもべ、胥はこもの、僕婢。尙書、大傳「憎其人者憎其──」○たくはへ、胥は須用。長楊賦「木擁槍纍爲──」
○たくはふ。周書「營造戎仗、──食糧」○ チヨシ たくはへ。=儲胥。
たくはふ、たくはへ。後漢書「節用──以備凶災」=貯蓄。
よつぎのきみ、太子。後漢書·?暠傳「太子國之──」=儲貳·儲君。
ボウ [蒸]
?に同じ
──はくらし(昏)=儚儚。
ロウ ロウ [宋]
─侗は未だ器を成さず。
不遇の貌、又遺失の貌。=龍鍾·隴種。
17畫
①サン·ザン [咸]
②サン [陷]
①惡しき貌「儖─」○陳列が整はず。左、僖、二二「鼔─可也」(敵陣の整はざるに乘じて擊つをいふ)
②ことばかろし(輕言)○まじへいふ。
さしでぐち。曲禮「長者不及、毋──」
シュク [屋]
○あをぐろし(靑黑色)○たちまちに、倏の本字。楚辭、九歌「─而來兮、忽而逝」○禍毒に罹る。
たちまち=倏忽。
19畫
①ダ·ナ [歌]
②ダ [哿]
①おにやらひ(驅疫)疫鬼を追ひはらふ。論、鄕黨「鄕人─、朝服而立於阼階」○柔順なる貌、一說、盛んなる貌。
②たをやか(娜)○行くに度ある貌、正しきあるきぶり。詩、衞風「佩玉之─」
レイ ライ [霽]
○ならぶ(竝)○たぐひ、なかま(等類)晉書、樂志「越古今而無─」○つれあひ(配偶)「伉─」左、成、十一「鳥獸猶不失─」○騈─ へンレイ は漢魏六朝時代に行はれし文體。=駢四儷六文·四六文。
ともなふ、つれだつ。楚辭九辨「陰陽不可與──」
儷は偶、一對の鹿の皮、元服の祝儀、又婚禮の結納に用ふる。儀禮、士冠禮「主人酬賓束帛──」
20畫
ゲン ゴン [琰]
○おごそか、いかめし(矜莊)詩、陳風「有美一人、碩大且─」嚴に通ず。○うやうやし(恭)つつしむ、うやまふ(敬)曲禮「─若思」○頭を昂ぐ。
おごそかにしてつつしむ、恪は恭敬。禮、祭義「嚴威──、非所以事親也」
おごそかなる貌。韓愈文「──其若思、茫乎其若迷」
おごそかにして犯すべからざる貌。論、子張「望之──、卽之也溫」
タウ [養]
○倜─はすぐれる(卓異)○─蕩は心ひろし(豁達)○もし、もしくは(或然)史、伯夷傳「─所謂天道是耶非耶」俗に倘に作る。○たちまち(儵忽)莊、繕性「物之─來寄也」○いやしくも(苟)○─乎は志を失ふ貌、又明かならざる貌。莊、天地「─乎若行而失道也」
ほしいまま、不羈の貌。關尹子「道茫茫而無知乎、心──而無羈乎」