韋部
0畫
ヰ [微]
○なめしがは(柔皮)皮の毛を去りしは革、革を熟治 ナメス せしは─。=熟皮。○なめしがはの如く柔か。屈原、卜居「如脂如─」(佞諛 コビへツラフ を脂─といふは此に本づく)○そむく(相背)=違。○依─はやはらぎて乖 ソム かず、諧和して相乖離せず。○かこひ。圍に通ず。漢書、成帝紀「大風拔甘泉畤中大木十─以上」
韋弦之佩を見よ。
唐の長安京兆の人、玄宗に仕へ、蘇州の刺史となり、惠政多し、韋蘇州と稱す、性高潔常に地を掃ひ香を焚きて靜坐す、詩は其の人の如し、世に王孟韋柳と稱す。
○なめしがはと、つくりがはと。○なめしがは。漢書、注「以──爲夾兜」
長安の地名、唐時、韋氏此に居る、故に名つく、樊川第一の名勝の地。杜甫詩「──花無賴」韋杜參看。
字は少翁、漢人韋賢の子、元帝の朝、相に拜し侯に封ぜらる、父子俱に明經を以て相に至る。漢書、韋賢傳「少子玄成字少翁、好學修父業、尤謙遜下士、復以明經歷位至丞相、故鄒魯諺曰、遺子黃金滿籯、不如一經」
韋はなめしがはにて柔かなるもの、弦は弓づるにてきびしきもの、之を身に帶びて己の氣質を變じ、身を修むる戒とす。韓非、觀行「西門豹性急、故佩韋以自緩、董安于性緩、故佩弦以自急」=佩韋·佩弦。
かはのゆがけ。李陵文「──毳幙、以禦風雨」
なめし皮の袴をはき、布の衣を著る、貧士のさま。後漢書、祭遵傳「遵爲人廉約、克己奉公、賞賜盡與士卒、家無私財、身衣韋袴布衣、夫人裳不加緣、帝以是重焉」
字は端己、唐末の京兆杜陵の人、乾寧元年の進士、中原多故なるを以て王建に蜀に依り、掌書記となる、建の帝を稱するに及び、其の相と爲る、性疎曠、小節に拘らず、著すところ浣花集十卷補遺一卷あり、其の詩音節頗る高亮、且つ詞に工なり。
なめしがはの如くやはらか、軟弱にして人にさからはず。唐書、關播傳「盧杞雅知播──可制、因從容言、播材任宰相」
ひとへのなめしがはのおび、貧賤の人の用ふる飾なきおび。漢書、賈山傳「布衣──之士、修身於內、成名於外」
佛 佛法守護の神、八大將軍の一、武裝して金剛杵を捧ぐ、魔王、佛舍利を奪ひて逃ぐ、此神追躡して之を取りかへす、故に俗に疾く走る者に喩ふ。=韋天將軍。
唐の時、韋氏·杜氏、世世望族たり、韋氏居る所を韋曲といひ、杜氏居る所を杜曲といふ。皆長安咸寧縣の南に在り。辛氏三秦記「城南──、去天尺五」とあるは其の極めて高貴なる形容。
韋帶布衣の略、貧陋の服裝。司馬相如、報文君書「五色有燦而不掩──」
古の書物は竹簡をなめしがはにて綴づ、其の韋 ナメシガハ が幾度もたちきれるは、書を讀むことの甚だ頻繁なるにいふ。史、孔子世家「孔子晚而喜易(中略)讀易────」
3畫
ジン [震]
又、靭に作る
しなやか。柔かにして固し「柔─」「强─」
靭帶(二一七二頁二段)に同じ。
5畫
バイ キ バツ [隊]
○あかねぞめのかは。○─韐 バツカフ は茜 アカネ 染の韋のひざかけ。詩、小雅「─韐有奭」○─樂は東夷の樂の名。韤に同じ。
あかねぞめのなめし皮にて造りたる戎服のひざかけ。左、成十六「有──之跗注、君子也」(跗注は袴の類)
ヒ ヘイ ヘツ [寘]
ゆみだめ、ゆだめ、竹にて作る(弓檠)
フツ [物]
○ひざかけ(韠)韋にて作りし蔽膝 ヒザカケ にて古の祭服に用ふ。ちと巿に作り、或は芾·紱·黻に作る。○くみひも(組)「璽─」
6畫
カフ [洽]
韎─ バツカフ は韋の蔽膝。韎(本頁一段)を見よ。
8畫
カン [寒]
○ゐげた(井の垣)○國名、戰國時代の諸侯。今の河南省の中部、及山西省澤潞地方の地、後、秦に滅ぼさる。○もと朝鮮南部の地、卽ち古の三─の地、李氏に至りて朝鮮の總稱とす。○姓「─愈」「─琦」
古の歌伎の名。列、湯問「昔──東之齊、匱糧、過雍門、鬻歌假食、旣去、而餘音繞梁欐、三日不絕」
韓愈の文は汪洋として海の如く、蘇軾の文は波瀾ありて潮の如しとの評語。丹鉛錄「李耆卿評文云、韓如海、柳如泉、歐如瀾、蘇如潮」
唐の玄宗の臣、善く人物を寫し、尤も鞍馬に巧なり、帝詔して陳閎を以て師とせしむ、幹從はずして曰く、臣には自ら師あり、陛下の內廏の馬は、皆臣の師なりと。
宋代の賢相、字は稚圭、相州の人、范仲淹と竝稱せられ、名一時に重し、仁宗の朝、相となり、治績大いに顯はる、魏國公に封ぜらる、神宗の熙寧八年殁す、忠獻と諡せられ、後、魏王に追封せらる。=韓魏公。
韓氏と魏氏と、春秋時代、晉の六卿中の富める者。轉じて富貴の家の稱とす。孟、盡心「附之以──之家、如其自視欿然、則過人遠矣」
漢の高祖の功臣、蕭何·張良と合せて三傑と稱せらる、攻城野戰の功最も高く、楚王に封ぜらる、後、叛を告ぐるものあり、淮陰侯に貶せられ、高祖の十一年、呂后の爲めに殺さる。
唐の韓愈と、杜甫と。捫蝨新語「韓以文爲詩、杜以詩爲文、世傳以爲戲、然文中要自有詩、詩中要自有文、亦相生法也」
漢代の孝子、韓伯愈性至孝なり、時に過ありて、母之を杖てば、則ち大いに泣く、母曰く、他日汝を杖ちしに、汝悅びて之を受けしが、今日汝を杖つに何爲ぞ悲泣すると、伯愈曰く、往者杖を受けしに、常に痛めり、因りて以て母の康健なるを知れり、今や痛まず、母の力の衰ふるを知る、是を以て悲泣すと〔漢書〕愈、一に兪に作る。
北宋の名臣、韓琦·范仲淹·歐陽修·富弼の四人。
戰國の時の韓の公子、刑名法術の學を喜む、李斯と共に荀卿に學ぶ、後、秦に使して拘へられ、李斯の爲めに毒殺せらる。次條參看。
書名、二十卷、周の韓非撰す、もと韓子と稱す、宋以後、非の字を加へて韓愈(文公)と别つ、其の說、刑名を主とす。
唐の韓愈の文。舊唐書、韓愈傳「當時作者甚衆、無以過之、故世稱──焉」
字は退之、唐の鄧州南陽の人、其の文深く本原を探り、閎深奧衍、後世の宗とする所たり、卒して文と諡し、昌黎伯に追封せらる、韓昌黎文集五十卷あり。
唐代の文學者、韓愈·柳宗元·李白·杜甫の四人。韓·柳は文に長じ、李·杜は詩に長ず。
戰國時代の韓國の俊犬の名。戰國秦策「以秦卒之勇、車騎之多以當諸侯、譬猶驅──而搏蹇兔也」
韓盧は韓國より出づる黑毛の猛犬、蹇兔はあしなへのうさぎ。至强を以て至弱をうつ喩。前條參看。
チャウ [漾]
○ゆみぶくろ(弓衣)「弓─」○弓袋に入れる。つつむ(韜)詩、小雅「言─其弓」=弢。
9畫
ヰ [尾]
幃に通ず
よし(是·善)左、隱十一「犯五不─」
韙(前條)に同じ。
ウン [問]
かはつく、つづみつくり、皮を攻 ヲサ める工人「─人」=?。
セフ [葉]
或は弽に作る
ゆがけ(射決)弓を射る時、右の巨指にはめるなめし皮製の袋。詩、衞風「童子佩─」
10畫
①チン [元]
②ウン·オン [吻]
①つつむ(裹)○かきいろ、赤と黃との閒色。○ゆみぶくろ(韣)
②をさむ、かくす(藏)「─藏」論、子罕「有美玉於斯、─匵而藏諸、求善賈而沽諸」
材智あれども世人に知られざる義。字解の②の例を見よ。駱賓王文「懷材──、兼濟之道未弘」
玉をつつみ藏 カク す。陸機、文賦「石──而山暉、水懷珠而川媚」(一本に暉を潤に作る)
ひつにをさめおく。才を抱きて用ひられざる喩。張衡賦「且──而待價」櫝は匵、字解の②の例を見よ。
前條に同じ。
コウ [尤]
鞲に同じ
ゆがけ(射決·韘)ひぢあて(臂捍)「射─」「臂─」
①タゥ [豪]
②タゥ [號]
①ふくろ、ゆみぶくろ(弓衣)○つるぎぶくろ(劍衣)○つつむ(裹)○をさむ(藏)○兵法の祕訣「六─三略」弢に通ず。
②ゆごて(臂衣)
才德をつつみかくす。劉勰、新論「能──其質、故致全性也」=韜晦。
光をつつみかくす。晉書、隱逸傳「漱流而激其淸、寢巢而韜其耀」=韜光。
すぐれたる才能をつつみかくす。抱朴子「應侯──於溺簀」
○弓を袋に藏めて用ひず。○ゆみぶくろ(弓衣)
○才德をつつみくらます。唐書、宣帝紀「愈事──」五色線「李泌年九歲、賦長歌、傳寫者莫不稱賞、張九齡見而獨戒之曰、早得美名、必有所折、宜自──」=韜藏。○うすぐらし。宋書、張充傳「霖霞──、涼暑未平」
○光を藏 カク して外にあらはさず。孔融詩「美玉──」○轉じて才德をかくして人に知らしめず。晉書、慕容垂載記「但時來之運未至、故──俟奮耳」=韜晦。
弓袋と、矛の柄と。古、兵法の書に、六韜と、玉鈐篇とあり。故に轉じて兵法の義とす。張說詩「禮樂逢明主、──用老臣」(兵法家を韜鈐家といふ)
才德をくらましかくす。歐陽修、仲君文集序「──掩抑、久伏而不顯」=韜晦。
日光をつつみかくす。陸游詩「薄雲──不成晴」
つつみかくす。かくれひそむ。張仲甫、雷賦「或殷轔而鼓作、或滅沒而──」=韜藏。
筆を藏 ヲサ めて用ひず、書くことをやめる。晉書、王接傳「識智之士、鉗口──」=弢筆。
上表の文をつつむ。唐書、李懷光傳「以蠟──」
かほをつつみかくす。後漢書、姜肱傳「肱與徐穉俱徵不至、桓帝乃下彭城、使畫工圖其形狀、肱臥于幽闇、以被──、言感眩疾、不欲出風、工竟不得見之」
○兵法の書、六韜と三略と。○轉じて兵略の義とす。崔日用詩「廟謀能允迪、──又縱橫」
ハイ [卦]
ふいがう、火を吹きて熾 サカ んならしめる韋囊 ナメシガハノフクロ =鞴。
11畫
ヒツ [質]
ひざかけ、韋 ナメシガハ の蔽膝 ヒザカケ 古、朝服に用ふ。=鞸·韍。
12畫
ヰ [尾]
あきらか、さかんなり、華の盛んなる貌。光明ある貌。
盛んに明かなる貌。張華、感婚詩「──衆親盛、於我猶若常」=煒煒。
華の盛んなる貌。又、光明ある貌。詩、小雅「常棣之華、鄂不──」
ひかりかがやく貌。曄一に燁に作る。曹植詩「車服齊整設、──耀天精」
13畫
トク シヨク [屋]
?に同じ
ゆみぶくろ、ゆぶくろ(韜)禮、少儀「弓則以左手、屈─執拊」=弓衣。
15畫
べツ [月]
韈の正字
たび(足衣)左、哀二五「褚師聲子─而登席」(古、君に見えるには─を解くを禮とす)=襪。
才の短きに喩ふ。太平廣記、嘲誚「僞蜀韓昭、仕王氏爲禮部尙書麗文殿大學士、粗有文章、至於琴棊書算射法、悉皆涉獵、以此承恩於後主、朝士李台瑕曰、韓八座之藝、如析──、無一條長」瑣言にも出づ。=襪線。