斗部
0畫
トウ [有]
通音ト
○ますめ(量目名)とます、十升ます。○ます、量器の總稱゜史、李斯傳「平─斛度量」○少しの量。沈佺期詩「筲─愧相貽」○ひしゃく、酒を酌む桮杓「玉─」の南北に在る星宿 ホシノヤドリ の名「南─」「北─」○たちまち(忽)韓愈詩「─覺霜毛一半加」○ますの隅の如くかどだちて峻 ケハシ き狀「─入」○どら。○ひつき(二十八宿の一)○科─はおたまじゃくし(蝦蟆子)○熨─はひのし。○刁─はどら。
よりかかりなきこしかけ。
ますかき、とかき。=槪。
たちまちおばゆ。韓愈詩「吟君詩罷看雙鬢、──霜毛一半加」
二十八宿中の斗星と箕星と。
北斗星と牽牛星と。晉書、張華傳「初吳之未滅也、──之閒、常有紫氣」赤壁賦「徘徊於──之閒」
柱上のますがた、梁棟を拱持する所以の者〔爾雅〕=枓棋。
時計、もと雞の形を作りて時刻をしらしめたるに起る。
量の名、ます。斛は十斗。管子「衡石也──也」
○斗は一斗ます、筲は一斗二升を入れる竹器。○轉じて人の器量の小なるにいふ。論、子路「──之人、何足算也」
一斗ます程のへや、極めでせまきへや。黃中堅詩「──何來豹脚蚊、殷如雷鼓聚如雲」
少しばかりの惠に命がたすかる。莊、外物「我東海之波臣也、君豈有斗升之水而活我哉」
一斗のさけ。世說、言語「戴仲若(名は顒)春日擕雙柑──、人問何之、答曰往聽黃鸝聲、此俗耳鍼砭、詩膓鼓吹」
突き出る。
ますと、はかりと。淮南子「令官巿、同度量、鈞衡石、角──、端權槩」
けはしくそばだつ。水經、注「二壁爭高、──相亂」
一日に一斗餘を稟けて之を食む少祿の者、賤吏の稱。戰國策「邑中自──以上、至尉內史及王左右」
山勢ますの隅の如く急に角だちて突き入る、斗入を見よ。
北斗星の折れ曲れる如く、蛇のうねり行く如き狀。柳宗元、小石潭記「潭西南而望、────、明滅可見」
さつぱりとはらふ。皮日休詩「百緣──無塵土」=抖擻。
一斗ますほどの大いさ。蜀志、姜維傳、注「維死時見剖、膽如──」晉書、周顗傳「取金印如──」
一斗ます程の大いなるきも、廣き度胸。胡曾文「推葛亮之心、負姜維之──」斗大を見よ。
ちひさきとばり。釋名「小帳曰──」
すこしのたくはへ。左思詩「內顧無──」
どら。蘇軾文「弓弩──」=刁斗。
十升を盛る器。史、商君傳「平──權衡丈尺行之」
北斗星以南の第一人の義。唐書、狄仁傑傳「藺仁基曰、狄公之賢、北斗以南一人而已矣」=天下一人。
とますの曲れる如く、かどだちて入る。史、封禪書「成山──海」注「謂斗絕曲人海」
一斗のこめ。史、廉頗藺相如傳「一飯、──肉十斤」
北斗星の杓子形の柄に當る星、卽ち第五より第七に至る三星。鶡冠子「──指東、而天下知春」=斗杓。
斗柄に同じ〔晉書、天文志〕
○斗ますにてはかる。○轉じて斗升にて量る程多くある義。吳志、吳主傳「孫權遺趙咨使魏」注「咨博聞多識、應對辯捷、魏文帝善之曰、吳如大夫者幾人、咨曰、聰明特達者八九十人、如臣之比、車載──、不可勝數」
わづかの兵粮。戰國策「不費──、不煩一兵」
すこしのふち。歐陽修詩「試問塵埃勒──」
6畫
レゥ [嘯]
○はかる(量)○かんがへはかる(度)おしはかる(推測)史、李斯傳「君侯自─、能孰與蒙恬」○かず、かぞふ(數)升目を數へはかる。○はかり、ますめ。史、孔子世家「嘗爲季氏吏、─量平」○をさむ(理)○なでる(挦)莊、盜跖「─虎頭、編虎須」○小さきふりつづみ(小鼗)○しろ、たね(材質)「資─」「材─」○てあて、あてがひ(給與品)「給─」「食─」
同訓異義
ハカル 料·計·謀·圖·量·度·稱·權·測等の別は計(言部二畫)の條を見よ。
はかりえらぶ。韓愈詩「婦嬬恣──」=料簡。
○はかりえらぶ。蔡邕文「沙汰虛宂、──貞實」=料揀·料檢。○ レウケン 國 かんがへ、意見、又は宥恕 ユルス の義。=了簡。
春風の寒き貌。蘇軾詩「漸覺東風──寒」
はかりかんがへる。=忖度。
國 使用に供する土地「御──」
おしはかる。杜甫詩「蒼天變化誰──」
○事をはかりをさめる、きりもりする。晉書、王徽之傳「桓沖謂曰、卿在府日久、比當相──」○ 國 食物をにたきする、割烹。又、其の食品。
ますにてはかる、ますめ。轉じて會計の義。史、孔子世家「嘗爲季氏吏、──平「
ちからをはかる。史、仲尼弟子傳「勾踐頓首再拜曰、孤嘗不──、以與吳戰、困於會稽、痛入于骨髓」
7畫
コク [屋]
○量目の名、斗の十倍(一石)○ます、ますめ。史、李斯傳「平斗─度量」○石─·木─は竝に藥の名。
①シヤ [麻]
②ヤ [麻]
①ななめ、はすかひ「橫─」○かたむく、さか「傾─」○正しからず。○よこさま(横)陸游詩「日淡風─江上路」○狹─は花柳の巷、いろざと。古樂府「長安有狹─、道狹不容車」
②谷の名、陝西省漢中府に在る、終南山の谷。西口を襃、東口な─といふ「襃─」○ 國 ななめならずと打ち消しに用ひておほかたならず、甚だしき義とす。
ななめにふるあめ、はすかひにふる雨。林逋詩「細風──不堪聽」
ななめなるかげ。王僧孺詩「翠枝結──、綠水散圓文」
ななめにまつはる。梁簡文帝詩「北窗向朝鏡、錦帳復──」
天の河。謝朓詩「玉繩隱高樹、──耿層臺」
ななめにかたむく。杜甫詩「舟楫任──」=傾攲·傾斜。
ゆふ日のひかり。徐陵詩「岸烟起黃色、岸水帶──」=晚暉·タ暉·斜照·斜曛。
ななめにうかがふ。向子諲詩「──秋水長、軟語春鶯近」
ななめによる。
斜暉に同じ、曛はいりひ。=夕曛。
ななめにうがつ。北戶錄「──一溪」
ななめなるこみち。元行恭詩「草深──沒、水盡曲池空」
ななめにかたぶく。溫庭筠詩「千巖萬壑應惆悵、流水──出武關」=傾斜。
ななめにかたむくつき。子夜歌「涼風開窗寢、──垂光照」
いろざと、狹斜の巷の略。長安の大道の裹なるななめにせまき遊里より出づ。=遊里·遊郭。
ななめにさしはこむ。白居易詩「水邊──一漁竿」
○ななめに見る。何遜文「托──于遺簪」○やぶにらみ「──眼」=斜眼。
ゆふひ。虞世南詩「綠野明──、靑山淡晚煙」=夕日·夕陽·斜陽·斜照·斜曛。
ななめにさしたるかんざし。沈約詩「──映秋水、開鏡比春妝」
○正しからざる貌。杜牧詩「整整復──、隨旗簇晚沙」○雨雪などのよこにふる貌。劉克莊詩「曉風細細雨──」
ななめに立つ。梁簡文帝文「石砌危橫、崖階──」
ななめに見る。劉峻詩「前望蒼龍門、──白鶴館」=斜窺·斜視。
ななめに相向ふ。
ななめにそびゆ。孫覿詩「樓高──酒旗風」
斜柱狀をなして多量に曹達を含める長石。=曹達長石。
よこ目にちらりとみる。張炎詞「倚銀屛──」
ななめにふうじる。唐代、請謁によりて官に除する時の辭令書に用ふる。唐書、選擧志「中宗時、韋后及太平安樂公主等用事、於側門降墨敕──授官、號──官」
ななめにして水平ならざる平面。
ゆふひ。杜牧詩「暮靄生深樹、──下小樓」=タ陽·斜照。
ななめなるわたどの。唐太宗詩「──連綺閣」
8畫
カ [馬]
斚は俗字
獻酬の禮に用ふるたまのさかづき(玉爵)狀は尊彝の如く兩方耳あり夏に醆といひ、殷に─といひ、周に爵といふ「玉─」「壽─」「瓊─」
9畫
シン [侵]
○くむ(勺)くみとる(酌取)「─酒」「共─」「淺─」○ます(益)○はかる(計)○物事をほどよくはかる「─酌」
同訓異義
クム 斟·酌·汲·挹の别は汲(水部四畫)の條を見よ。
ためらひ、うたがふ(遲疑)後漢書、馮衍傳「志──而不澹」
くみはかる、事を量りて理に中 アタ る。又、取りて行ふ。周語「耆艾修之、而後王──焉」=參酌。
10畫
カク [覺]
はかる(量)=角·較。
①ワツ [曷]
②クヮン [旱]
①の通音アツ
①ひしゃくのえ(蠡柄)○車の輪。○めぐる、めぐらす(轉·旋)
②つかさどる(主領)漢書「─在縣官」幹に通ず。
めぐり行く。張華詩「大儀──」=旋轉運行。
めぐる、めぐらす。轉圓の義、事を程よくとりもつ。蘇轍、祭司馬丞相文「一二卿士、代天──、事棼如絲、衆比如櫛、治亂之機、閒不容髮」=周旋。
めぐりながれる。賈誼賦「──而遷兮、或推而還」斡は轉。