金部
0畫
キン コン [侵]
○かね、かなもの、金·銀·銅·鐵などの鑛物の總稱。漢書、食貨志「─有三等、黃金爲上、白金(銀)爲中、赤金(銅)爲下」○こがね、わぅごん(黃金)○通用貨幣。○やり·かたななどの兵器。中庸「袵─革」○きいろ(黃色)「─波」○堅き物の形容「─城湯池」○貴重なる物の形容「─言」「─科玉條」○美くしき物の形容「─殿玉樓」○金にて造りし樂器、八音の一。○つぐむ、古、噤に通ず。荀、正論「─舌蔽口猶將無益也」○五行の一、方位にては西。季節にては秋とす「─風」○漢代、黃金一斤を一─といふ。又、近世、銀一兩を一─といふ「百─」「千─」○朝代の名、女眞 ヂユルチン の種族、姓は完顏、遼及北宋を滅し、東三省蒙古及支那の北部に據る、十世一百二十年にして元に滅ぼさる。
太陽の異名。韓愈詩「──旣騰翥、六合俄淸新」=金烏。
かじか(河鹿】蛙の一種、體やせて黑く、いぼがあり、溪閒に生じて、其の聲最も淸く愛すべし。=錦襖子。
香爐をいふ。鴨 カモ の形につくる故。徐鉉詩「香煙結霧籠──」
黃金にてかざりし美くしき馬のくら。後漢書、輿服志「象鑣──」
かたなきず。孟郊詩「──非戰痕」=金瘡。
黃鳥 ウグヒス の異名。天寶遺事「明皇於禁苑中、見黄鶯、常呼之爲────」
○黃金にて作りし將軍の印。史、孝武紀「居月餘得四──」○宰相の印。後漢書、百官公卿表「相國丞相皆秦官、──紫綬」
金紫を見よ。
かね、おあし、金子、金錢。
太陽の異名。太陽の中に三足の烏が居るといふ傳說に本づく。韓琮詩「──長飛玉兔走」玉兔は月の異名。
日と月と。禪林類聚「金烏東上人皆貴、玉兔西沈佛祖迷」前條參看。
黃金にてつくりし步搖(步すればゆれうごくかんざしの類)をいふ。曹植、七啓「戴──之熠燿」
金印をいだき、紫綬を垂れる、貴顯の位に昇る義。後漢書、馮衍傳「經顯位、────」金紫を見よ。
金甌にて覆ひたる中にある宰相の姓名、新に宰相を任命するにいふ。唐書、崔琳傳「明皇每命相、皆先書其名、一日書琳等名、覆以金甌、會太子入、帝謂曰、此宰相名、若自意之誰乎、太子曰、非崔琳·盧從愿乎、帝曰、然」
國家の外侮を受けたることなきにいふ。南史、朱异傳「武帝言、我國家猶若金甌無一傷缺」
食物の美なる形容。駱賓王、帝京篇「平臺戚里帶崇墉、────待鳴鐘」
宮人の寵を專らにするにいふ。漢武故事「帝爲膠東王、數歲長公主抱置膝上、問曰、兒欲得婦否、曰欲得、指其女阿嬌好否、笑對曰、若得阿嬌作婦、當作金屋貯之」
慾の爲めには何事をも顧みざる義。列子「昔齊人有欲金者、詰旦衣冠而之巿、適鬻金者之所、因攫其金而去、吏捕得之、問曰、人皆在焉、子攫人之金何、對曰取金之時不見人、徒見金」
暑熱甚だしき形客。楚辭「十日代出、────」莊、逍遙遊「大旱金石流、土山焦」
無用の寶を貴重せざるにいふ。莊、天地「────────、不利貨財、不近貴富、不樂壽、不哀夭、不榮通、不醜窮」
かなやま、黃金の出るあな〔舊唐書、德宗紀〕
○金は戈·刀の屬。革は甲胄の類。共に兵器。中庸「袵──、死而不厭、北方之强也」○戰爭の義とす。次條參看。=干戈·兵革。
戰亂の世。庾信文「當今玉燭調和、旣非────」=兵革之世。
こがねにてかざれるたかどの。鮑照、舞鶴賦「舞飛容于──」
國 かねだか。
○こがねづくりのよろひ。唐會要「戈鋋──、耀照天地」○兵器甲胄。=金革。
こがねにて造りし酒だる。舊唐書、懿宗紀「賜分帛五千匹、──一枚、蓋碗一具、金腰帶一條」
蜜柑の一種。夏時小白花開き、冬黃金色の小さき實を結ぶ。畫繼「植物則檜芝珠蓮──」
○あきの氣。梁簡文帝詩「玉關驅夜雪、──落嚴霜」○ 國 カナケ 鐵の臭氣。
かねばこ、櫃はひつ。=金匱。
金匱中に藏すべき程のすぐれたるはかりごと。漢書、外戚傳「不能深援安危、定────也」
こがねのはこに入れる祕藏のしょもつ。史記、自序「遷爲太史令、紬史記石室────」
たまむし。體六七分、金綠色、背に甲あり六足。= 俗 金蟲。
きんかん(金柑)陸游詩「不酸──種初成、無核枇杷接亦生」
雞の異名。隋書、禮儀志「雞是──」
○こがねと、しろがねと。列子「化人之宮、構以──、絡以珠玉」○通用の貨幣。
○こがねにて飾りしかがみ。晉書、赫連勃勃載記「絡以隋珠、繂以──」○月の異名。杜牧詩「仙桂茂時──曉、洛波飛處玉容高」○明かなる道に喩ふ。劉峻、廣絕交論「聖人握──」
○こがねにて魚形に造り、有位者に佩ばしむる袋。韓愈詩「玉帶懸──」=金魚袋。○魚の名。蘇舜欽詩「沿橋待──」=錦魚·金鯽。
こがねと、たまと。珍重すべきものに喩ふ。詩、小雅「毋──爾言、而有遐心」
君子は金玉を寶として貴ばず。禮、儒行「儒────、而忠信以爲寶」
節操の堅固なる有德の人。宋史、傅堯兪傳「傅侍郞淸直一節、終始不變、────也」
太平にをさまりたる時世。論衡「永平中、黃金出於皖國湖涯、夏之方盛、貢金九牧、皆起盛德爲聖王瑞、────、故有金玉之應」
○金玉の寶が家にみつ。老子「────、莫之能守」○賢者の朝廷に滿つるに喩ふ。
黃金にて作りたる屈曲せる把手 トツテ あるさかづき。東京夢華錄「御宴酒杯、皆───」
黃金にて造りし通用貨幣=金幣。
金貨を本位貨幣とし、他の貨幣を補助貨幣とする制度。我國にては明治三十年三月以後實施す。
黃金のかたまり。
貴ぶべき法律。揚雄、劇秦美新「懿律嘉量、────」
○月の異名。蘇轍詩「浮雲捲盡流──、衣上白露三更寒」=金鏡。○黄金の彈丸 ハジキダマ 西京雜記「韓嫣好彈、嘗以金爲丸、所失者日有十餘、長安爲之語曰、苦饑寒、逐──」張九齡詩「矯矯珍木巓、得無──懼」
こがね造りのかんむり。宋史、天竺國傳「戴──」
こがねにて造りたるゆびわ。晉書、羊祜傳「羊祜年五歲、令乳母取所弄──」
日蝕の一種、太陽の中央の蔽はれて周圍の金環の如く見ゆるもの。=金環蝕。
○うつくしきねま。趙嘏詩「向燈垂玉枕、對月灑──」○金馬門の異稱。江淹賦「──之諸彥、蘭臺之羣英」
○天上に棲むといふ雞。祖庭事苑「人閒本無──之名、以應天上──星故也、天上──鳴、則人閒亦鳴」○桃都山の大桃樹の上に──あり、日出でて鳴けば天下の雞皆鳴く〔淮南子〕
大がねもち。後漢書、郭皇后紀「后弟況遷大鴻臚(中略)豐盛無比、京師號況家、爲──」
○道教にて天帝の居る所。史、封禪書「黄金銀爲宮闕」=黃金闕。○天子の宮闕。岑參詩「──曉鐘開萬戶」○黃金にて飾れる門。
○戒となるたふときことば。洛陽伽藍記「石室之寫──」○かたく誓ひしことば。白居易詩「──自銷鑠」
○さつ、金札。○天子より賜はるかきつけ。黃金の札にかきつけたもの。隋書、堯君素傳「大唐又賜──待以不死」
天子より賜はる詔書。
○漢代天子の護衞を掌る武宫の名、執金吾の略、吾は禦、金革を執りて禦ぎ守る義。王建詩「──除夜進儺名」○我が近衞府に當る「──中將秀秋」
○かねぐら。○政府の金を藏する所「中央──」○貨幣や貴重品を入れて火災盜難を防ぐ箱。=金匱。
○みづどけい。李白詩「銀箭──漏水多」=漏刻。○金製の酒壺。韓翃詩「玉佩迎初夏、──醉老春」
かねと、つづみと。史、吳王濞傳「弓高侯執──見之」
國 なまこに似た海產蟲。=光參。
○言語の貴重なるに喩ふ。夏侯湛、抵疑「──玉音漠然沈默」○口をつぐむ、金は噤と音通。=噤口·金舌。○ 佛 コング 佛のことば。又其の說きし敎。
教令を發する時に、振りて以て衆聽を警動する木鐸をいふ。轉じて學者が位を得て敎を施すに喩ふ。法言「天之道不在仲尼乎、仲尼駕說者也、不在茲儒乎、如將復駕其所説、則莫若使諸儒金口而木舌」
金谷は晉の石崇の别莊の在りし地名(今の河南省洛陽縣の西に在り)崇字は季倫、一日賓客を會して詩を賦し、詩成らざれば罰するに酒三斗を飲ましむ。李白文「如詩不成罰依────」
こがねにて虎の形に造りたるわりふ。元史、兵志「長萬夫者、佩───」
國 西洋の風にならひて結婚後五十年目に行ふ夫婦の祝賀式。
黃金のこな、きんぷん。參同契「──入五內、霧散若風雨」
國 德川時代に幕府の命を受けて金貨を鑄造せし所。
○こがねにて造りたるくさり。北史、赤土國傳「豪富之室、恣意華靡、唯──非王賜、不得服用」○こがねの錠前 ヂヤウマヘ 王涯、宮詞「各將──鎖宮門」
こがねにて造りたるかんざし。白居易詩「鈿合──寄將去」=金鈿。
かたなきず。宋書、武帝紀「寧州嘗獻虎魄枕、光色甚麗、時將北征、以虎魄治──、上大悅、命擣碎、分付諸將」=金瘡·金痍。
前條に同じ。盧仝詩「不堪秋氣入──」
まぐろ。
こがねづくりのかたな。=金飾刀。
○こがねづくりの札。仙人などの文字を書くに用ふるもの。張衡、西京賦「乃爲──錫用此土」○こがねづくりの錫杖 シヤクヂヤウ 孫綽、天台山賦「振──之鈴鈴」○ 國 金錢の調達をくめんする。
○こがねのふだ。雲笈七籤「──七枚」○さつ、紙幣。
黃金にてかざりし寺。杜甫詩「──靑楓外、朱樓白水邊」
山名、江蘇省丹徒縣の西北に在り、舊 モト 江中に在り、今は四周沙漲りて陸に接す、本名は浮玉山、裴頭陀、山を開きて金を得たるを以て──と名づく。
黄金のさかづき。琖は盞に同じ。杜甫詩「誰能載酒開──、喚取佳人舞繡筵」
水仙花の異名。雲麓漫鈔「水仙花、有單葉者、有千葉者、楊承齋云、世以水仙爲────、蓋單葉者、其中眞有一酒琖、深黃而金色」
一百二十五卷、元の脫脫等敕を奉じて撰す、金の世一百十八年閒の事を紀す。
こがねのみみだま。珥は耳璫 ミミカザリ 晉書、禮志「──珠玉銅鐵之物、一不得送」
○黃金のいと。杜陽雜編「──爲流蘇」○金紙を細くよりしもの。
いとよりだひ。
かなりや。雀よりも小さく、羽毛黃色にして其の聲愛すべし。
たまござけ、酒と雞卵とをかきまぜて煮たるもの〔事物異名錄〕
黃金の印と紫の印の綬 ヒモ と。高位の人の佩ぶるもの。轉じて貴顯の義。漢書、百官表「相國丞相皆秦官、金印紫綬」
國 神武天皇、長髓產征伐の時、御弓の末にとまりし黃金色のあやしきとび。
國 前條の故事に本づきて制定せし金鵄の模樣ある勳章、軍功拔羣の者にたまはる。
あきのかぜ。甘子布、光賦「銀河披曀、──送淸」=金風。
金絲を用ひたる美くしきぬひとり。尹廷高詩「──鴛鴦綠錦袍」
○皇族をいふ。六帖「────、帝王之子孫也」○うつくしき雲の形容。古今注「黄帝與蚩尤、戰于涿鹿之野、常有五色雲氣────、止於帝之上」
埃及 エヂプト のピヲミツド。其の構造、金の字に似たる故。
金泥にて記せしふだ。急要なる詔書に用ふ。宋史、岳飛傳「乞令班師、一日奉十二───、飛憤惋泣下」
金屬にて造りたる人の像。賈誼、過秦論「銷鋒鑄鐻、爲──十二」
きんのかんざし。梁簡文詩「──鬢下垂」=金釵。
すぐれたる詩文を稱す。楊萬里詩「────鳴天球」
堅固なる城池。漢書、蒯通傳「必將嬰城固守、皆爲────、不可攻也」
極めて堅固なる城。徐積詩「金城不可破、鐵壁不可奪」=金城湯池。
えにしだ。灌木の一、わぅばいに似て互生し、春末黃花開く。=金雀花·黃馨。
○かねの所有主。漢書、直不疑傳「──覺」○ 國 資本金又費用を出す人、資本主、投資者。
國 かぅやまき、槇 マヰ の一種高野槇、葉は槇よりも細く實ミは松に似たり。
すずむし。花鏡「───似促識、身黑而長」
○黃金の色。溫庭筠詩「日影明滅──鯉」○ 佛 コンジキ 佛身の色。楞嚴經「世尊在大衆中、舒──臂」
こがねのかざり。溫庭筠詩「白馬雜──」=金裝。
かね、おあし、金錢、子は助辭。摭靑雜說「曾失──一包」
菊の異名。本草「菊一名──」=金蘂。
月の沒する處の穴。轉じて月の異名。木華、海賦「大明摭轡於──之穴」
太陽系中の第二游星、二百二十四日、七にて太陽を一周す、地球に近くしてよく光る、よひの明星。詩、小雅「東有啓明」朱注「啓明·長庚皆──也」=太白。
○月の異名。河圖帝覽「月者、金之精也」○太白星。史、天官書、注「太白者西方、金之精」
韲はあへもの、膾はなます、金玉は美味の形容。雲仙雜記「吳都獻松江鱸魚、煬帝曰、所謂────、東南佳味也」
金は鐘、玉は磬、聲は宣 ノブル 振は收 ヲサム なり、八音を合奏するに方り、先づ鐘を擊ちて、其の聲を宣べ、終に特磬を擊ちて、其の韻を收めて、樂を一終す。よりて智德の大成せるに喩ふ。孟、萬章「集大成也者、金聲而玉振之也」
書名、十二卷、淸の馮雲鵬撰す、殷より元に至る金石の圖を揭げて考證す。
八音(一九四頁三段)を見よ。
功德などを鐘鼎碑碣に刻みて後世に傳へる。史、始皇紀「羣臣相與誦皇帝功德、────」
鐘磬を用ふる音樂。左傳「行之以────」
戒めになる善き言。荀、非相「贈人以言、重於金石珠玉」=金言。
詩文の格調のすぐれて立派なるにいふ。晉書、孫綽傳「嘗作天台賦、辭致甚工、初成以示范榮期云、卿試擲地、當作───也」
極めてかたくしてかはらざるまじはり。史、淮陰侯傳「自以爲與漢玉爲───」
鐘鼎(金)碑碣(石)などに銘記する文字。
金を以て舌と爲して口をおほふ。不言の義。荀子「────、猶將無益也」一說に金は噤と音通。
ほとけ。岑參詩「早知淸淨理、常願奉──」
こがねにて造りたるうでわ。朱德潤詩「──紅裳肌體素」
○黄金のぜに。史、平準書「農工商交易之路通、而龜貝──刀布之幣興焉」○ぜに。漢書、西域傳「雖有珠玉不如──」
月の異名、蟾は月中に居るといふ蟾蜍 ヒキガヘル 高啓詩「夢斷──隔煙小」=銀蟾。
かじかの一種。花鏡「背有作黄路者、謂之───、性好坐、而以脰鳴」
菊の一種。高さ四五寸、盞 サカツキ の形せる紅黃又淡黃の花開く。=常春花。
みづひき。山野に自生する多年生草。夏細長線狀の花莖を生じ、赤又は白色の小花を開く。
○樂を奏するに先づ鐘を鳴らすをいふ。周禮、鐘師「掌──」○音樂の義。顏延之詩「達音何用深、識微在──」
鐘を奏する音樂。周禮「凡祭祀鼔其────」
金帛に同じ。唐書、王畯傳「告以禍福、啗以──」
○ 佛 維摩詰の異名。李白詩「──如來是後身」○金錢と米と。後漢書、光武紀「雜用──布帛」○桂花の異名。〔格物叢話〕
かねの類の總稱。
金·銀·銅·鐵などの金屬性の元素。
黃金のさかだる。尊は樽·罇に同じ。李白詩「人生得意須盡歡、莫使──空對月」
こがねにてかざりたるたる。陳子昂詩「銀燭吐靑煙、──對綺筵」=金尊·金罇。
○蛇の一種〔本草〕○電光の形容。陸游詩「百尺──電掣空」
○漢代の貨幣の名、形の刀に似たる故。漢書、食貨志「──龜貝」○こがねづくりのこがたな。又はさみの類。皮日休詩「輕裁鴨綠任──」
金屬裂のさかづき。李德裕詩「無聊然蜜炬、誰復勸──」
堅固なる城池。金城湯池の略。後漢書、光武紀「──失險、車書共道」
○こがねのみみかざり。神仙傳「玉佩──」○後漢の代、宦官の冠の飾。轉して宦官の義とす。
軍中に用ふるどら(刁斗)と、ひゃうしぎと。唐書、段秀實傳「戒候卒、──衞之」
かたき承諾。史、季布傳「得黄金百斤、不如得季布一諾」顧雲文「果踐玉音、不移──」=季諾。
古、武事に關する教令を宣告する時に振りならしし大鈴。周禮、鼓人「以──通鼓」(文事には木鐸を用ふ)
道士が金石を煉りて作れる藥、長生不死の效驗ありといふ。抱朴子「黃金入火、百鍊不銷、埋之畢天不朽、是爲──」
すずりの異名。
○竹莖の黃色の者、廣東省に產す。謝靈運文「北獻氈裘、南貢──」○金音と竹音と。鍾嶸、詩品「詩頌皆被之──」
國 古、武士が誓を固むるしるしとして、刀の刃又鍔 ツバ などを打合はすること。女子は鏡を打合す。
金日磾と張安世と。二人は前漢宣帝に仕へて權勢を振ひし者。轉じて權力ある貴族の義とす。左思詩「──藉舊業、七葉珥漢貂」七葉は七世の榮を恣にせしをいふ。
黃金のはしら。晉書、石季龍載記「起太武殿、漆瓦金鐺銀楹──珠簾玉壁、窮極伎巧」
金粉を膠 ニカハ にときたるもの。書畫をかくに用ふ「紺紙──」白居易詩「鈿軸──誥一通」=金漿。
○漢以後、近侍の武官の冠、黄金の璫 ミミカザリ を附け貂 テン の尾を飾りとす〔晉書、輿服志〕○轉じて貴き近臣の義とす。王維詩「──列上公」
國 徑一寸四分の金色の板の中央に徑三分許の丸を描きし射術のまと。
○こがねと、くろがねと。漢書、五行志「工冶鑄──」○鐵製の刑具。手かせの類。司馬遷、報任安書「嬰──受辱」
○黃金の毛ぬき。杜牧詩「──洗霜鬢」○かんざしの類。續漢書、輿服志「下有珠玉、垂黃──左右各一」
あきのそら。杜甫詩「爽氣──豁·淸談玉露繁」=秋天。
こがねにて造りたるかんざし。劉孝儀文「元妻長髮、無籍于──」=金釵·金簪。
こがねにてかざりたる宮殿。江總詩「羽籥響鐘石、流泉灌──」=金屋。
金玉にてかざりし立派なるごてん。李白詩「玉樓巢翡翠、金殿鎖鴛鴦」
○ひのし。白居易詩「──熨波刀剪紋」○酒を酌むこがねのひしゃく。戰國策「令工人作爲──」
書經の篇名、金を以て緘封する義。書、金縢「公歸、乃納冊于──之匱中」
秋の稱。禮、月令「孟秋之月、盛德在金」
こがねにてかざりたるはこ。魯語「使求得之──如之」
國 一種の料理。栗·豆·慈姑 クワキ 等を餡の衣にくるみしもの。
金子にて租稅を納める。
金代の五っのみやこ。一、上京、會寧府(吉林省內)二、北京、臨潢府(內蒙古巴林)三、南京、遼陽府(奉天所在)四、中京、大定府(直隸省平泉縣内)五、西京、大同府(山西省內)
○月の光。漢書、郊祀志「月穆穆以──、日華耀以宣明」○月光に映じてこがね色に見ゆるなみ。梁武帝詩「──揚素沫」
○こがね色の花。韓愈詩「庭炬折──」=金英。○主に菊花をいふ。
こがねのさかづき、黃金の杯。庚信詩「紅袖捧──」=金盞。
○黃金製のふだ。○ 國 黃金メタル。
鐘·笙の類。梁簡文帝文「──旣動、望蜿蟬之遊龍」
官吏登用試驗に及第せし者の名を揭示する黃金製のふだ、榜一に牓に作る。西京雜記「列榜書人姓名、將相──、其次銀榜、州縣小官竝是鐵榜」
漢代の未央宮中の金馬門と玉堂署と、皆文學の士の出仕する所。轉じて翰林院の異稱とす。歐陽修詩「────三學士」
黃金と絹帛と。史、淮南王傳「行珠玉──、賂諸侯宗室大臣」=金繒。
黃金をうちのばして紙の如く薄くせしもの。宋史、仁宗紀「禁以──飾彿像」
月の異名。李白詩「圓光虧中天、──遂淪沒」
茶褐色にして光ある毛髮。酉洋婦人の髪をいふ。
こがねのひらたき皿と玉のぼんと。みごとなる器具。
漢代未央宮に在り、俊秀の士の待詔の處。三輔黃圖「───宦者署、在未央宮、武帝得大宛馬、以銅鑄象、立於署門、因以爲名、東方朔·主父偃·嚴安·徐樂、皆待詔───」
まつむし。
地紙に金箔 キンパク を貼りし屛風。文獻通考「宋制有───」=金屛。
漆の塗方の一、金箔を一面におきてうすく漆をぬりたるもの。
あきのかぜ、秋は五行の金に配す。歲華紀麗「玉帝規時、──屆序」=秋風·商風。
萬金にもかへがたき貴重品。墨經「凡墨日日用之、一歲纔減半分、如是者萬金不換」
國 こがね又金まさゑにて鍔 ツバ 鞍などの緣ヘ リ を細く覆ひ飾れるもの「───の鞍」
○きんもじ。金泥にてかきし文字。○金石文。
○黃金のこな。李白詩「輕如松花落──」○鉛粉をいふ、婦女の化粧品「南朝──、北地胭脂」○ 國 キンコ 博奕に用ふる一種の賽 サイ
金貨に同じ。後漢書、南匈奴傳「賂遺──、以通舊好」
あきかぜ。王僧孺文「素鍾肇節、──戒序」=金風·商飆·秋飆。
こがねにてかざりしくつわ。隋書、禮志「綴馬勒及兩──之上」
國 黄金づくりの千成瓢簞のうまじるし。豐臣秀吉の所用。
金色と靑色と、美くしき色どり。後漢書、烏桓傳「飾以──」
矢の名。左、莊十一「以───、射南宮長萬」
月の異名。杜甫詩「夜闌接軟語、落月如──」
こがね色の毛。陸龜蒙詩「光寒好照──鹿」
まだけの一種。=金竹。
こがね色のかほ。溫庭筠詩「鐵驄──靑連錢」
金馬門の略語。漢書、揚雄傳「歷──上玉堂」
金錢の融通 ユヅウ かねまはり。
こがね色のつぼみ。陸游詩「宿露滋──、微霜點纈林」
黄金のさかだる。罍は雲雷の模樣ある酒樽。詩、周南「我姑酌彼──、維以不永懷」
したしく固きまじはりに喩ふ。易、繫辭「二人同心其利斷金、同心之言、其臭如蘭」
友人の宿所氏名等をしるす帳面。宣武盛事「戴洪正每得密友、則書於編簡、焚香告祖、號───」前條參看。
錦の類、緯 ヨコ に平金絲 ヒラキンシ を加へて模樣を織出せるもの。
元金に對する利子、利息。
○いしもち。泉州府志「石首魚、俗曰──」○うつくしき魚。
戰國の時は越に屬し、後ち楚に屬す、晉に建康といふ、晉·宋·齊·梁·陳、皆此に都す。所謂六朝の舊都。=秣陵·南京。
かねのちから、金錢の威力。
こがねのすず。隋書、禮儀志「綴以──」
荇菜 アサザ の異名、はなじゅんさい。
天子の御殿にともす燈。唐書、令狐綯傳「綯爲翰林承旨、夜對禁中、燭盡、帝以乘輿金蓮華炬、送還院」
美人のうるはしきあゆみ。南史、齊東昏侯紀「鑿金爲蓮華以帖地、令潘妃行其上、曰、此步步生蓮華也」
國 明治維新の際、華族及士族に從來受けゐた俸祿を公債證書として下附せられしもの。
こがねの椀。五代史、孫晟傳「──玉杯而盛狗屎可乎」
○金剛石の略語。○ 佛 堅固にして破れざる佛果。又、無明を照破する智慧を金剛石に比していふ。○ 國 草履の異名「藁──」「板──」又芝居役者の許に奉公づとめする者。
佛 眞言宗の教理にて智慧の一面より見たる世界觀。胎藏界の對。
佛 護摩壇の四方の柱。
國 普通のものよりも大きく藁 ワラ にて造りし草履。略して金剛ともいふ。
やつで、てんぐのうちは、五加科の灌木の一。葉は掌狀にして甚だ大いに、冬球形の黑實を簇生す。
金剛石の屑粉。
極めて堅き心。
二王(七八頁四段)に同じ。
みがきずな。石橊石 ザクロイシ を細末にしたる赤黑色のすな。河内の金剛山より出づ。
佛具の一。獨鈷·三鈷·五鈷の總稱。
寶石の一。質極めて堅く光澤强く、暗中にても光を發す。ダイヤモンド(英語)=鑽石。
佛 體性·力用·功德等の堅固にしてやぶれざる義、佛身をいふ。
佛 五大明王の一、三面六臂あり、北方を守り、一切可畏夜叉を伏す。
國 金剛善覺の始めし能樂の一派。
佛 怪しき大鳥の名。兩翅の相去ること三百三十六里、快得自在にして、日日に四海に遊び、龍を以て食とすといふ。
佛像をいふ。司空曙詩「百丈──開翠壁」
○陰陽家の祭る神の名、其のゐる方に對して物事をなすを忌む。○五行の金の神〔玉海〕
佛 眞言宗の敎理に本づく世界觀。金剛界と胎藏界との稱。
佛 天竺の靈鷲山の神。梵語の音譯。=宮毘羅·威如王。
菓子の一種、冰蜜に饂飩粉を加へて粒狀に製せしもの。
○ 佛 金輪のある所、卽ち、大地の厚さ一百六十萬由旬の底〔大寶積經〕○ 國 どこまでも。
2畫
①シン [侵]
②シン [沁]
鍼の俗字
①はり、ぬひばり。又醫療用のはり。易、乾卦「各從其類」疏「若磁石引─、琥珀拾芥」○はりの形せるもの「磁─」「秧─」「棘─」○懸─は書法の名。
②さす(刺)○ぬふ(縫)
松·杉などの如く其の葉の針狀を成せる樹木。
針術と灸をすゑると。南史─庾沙彌傳「──、輒以身先試」=鍼灸。
さより(鱵)くちばしが細長く尖る。=針魚。
はりを用ひて病を治療するわざ。南史、魯爽傳「以善──、深被太武賞愛」=鍼術。
國 はり程の小さきことを棒ほどに大げさにいふ。
ぬひばりと、ぬひいとと。裁縫の義とす。白居易詩「獨對多病妻、不能理──」=鍼線。
針のさしてある毛氈の上にすわる。危險の地に居るに喩ふ。蘇軾詩「劍米有危炊、針氈無穩坐」
衣を縫ふ。爾雅「黹、紩也」紩音チツ縫なり。
衣類をぬふ女。白居易詩「因命染人與──」
○醫療のはり。針はかねのはり、砭は石ばり。○轉じて人を戒めて過を匡正する義。世說、言語「往聽黃鸝聲、此俗耳──、詩膓鼓吹」=鍼砭·箴砭。
磁石の針の示す方向。舟の進みゆくみち。=鍼路。
①セゥ [蕭]
②ケゥ [蕭]
①つとむ(勉)○けづる(刓)○まみゆ(見)
②周の康王の名。
①テイ·チャウ [靑]
②テイ [徑]
①くぎ、物を貫き材と村とを堅く結合するかなもの「金─」「銅─」「竹─」晉書、陶侃傳「以所貯竹頭、作─裝船」○矛の名「鈐─」
②くぎうつ、くぎを物にうちつける。
俗 書籍を裝釘する。
くぎのあたま。杜牧、阿房宮賦「──磷磷、多於在庾之粟粒」
フ ホ [麌]
釡は俗字
○かま、まろがなへ、烹飪 ニル の器。古史考「黃帝始作─」○量 マスメ の名、六斗四升、我が五六升位。論、公冶長「與之─」
かまと、かまどと。新序「驊騮騄驥、天下之駿馬也、使之與貍鼬試于──之閒、其疾未必能過貍鼬也」
地名、朝鮮慶尙道の東南角に在りて、絕影島其の口を扼す、商業殷盛なり。
釜にて煮る。付法藏經「──不爛」
鍋の底の煤炱 スス なべずみ、古、藥品とす〔本草〕=釜煤。
かまと、こしきと。孟、滕文公「許子以──爨、以鐵耕乎」
後漢の范冉(字は史雲、萊蕪の長)が、貧にして屢~飯粒を絕ちし故事。後漢書、獨行傳「甑中生塵范史雲、────范萊蕪」
生存すること久しからざるに喩ふ。通鑑、漢順帝紀「廣陵賊張嬰曰、相聚偸生、若魚遊釜中、知其不可久」
なべずみ。本草「──、又名釜底煤」
釜が自ら鳴る神異をいふ。稽神錄「太廟齋郞盧嵩所居──」
少しの粟 モミ 釜は六斗四升、庾は十六斗。魏志、管寧傳「乃分──之儲、以救邑里之命」
かまと足の中の空 ウツロ なるかなへと。史、蔡澤傳「入韓魏、遇奪──于塗」
必死の覺悟にて戰ふをいふ。史、項羽紀「項羽乃悉引兵渡河、皆沈船破釜甑燒盧舍、持三日糧、以示士卒必死無一還心」
3畫
①カゥ·コウ [江]
②コウ·ク [東]
①ひともし、あぶらざら(鐙)○ともしび(燈火)「殘─」「寒─」謝朓詩「蘭─當夜明」缸は俗字。○かりも、かも、車の轂中に在る中空の鐵具。○壁の帶の如く露岀せる横木にうつかなぐ、車釭に似たるが故。漢書、趙皇后傳「壁帶往往爲黃金─」
②やじり(箭鏃)
カン [翰]
○こて(臂鎧)兩腕を被ふ鎧。○弓の兩端にある弦を鉤する具。
コウ [有]
○ちりばむ(鏤)○金銀にて器の緣を飾る。○さわぐ(讙呼)「譁─」=叩。○ 國 ボタン もと葡萄牙語、シャツ·洋服などにぬひつけて上前 ウハマへ と下前 シタマヘ とを連ね合すもの。
サイ [佳]
通音サ
○かんざし、二本足のかんざし、婦人の兩股笄「玉─」「金─」「寶─」曹植詩「頭上金爵─」○松─は松葉。形の似たる故。
かんざしの歧 マタ 白居易詩「梢細同──」
かんざしと、くしと。王建詩「私縫黃帔捨──」
かんざしと、うでわと。唐書、五行志「世俗尙以琉璃爲──」
かんざしのえだ。庾信賦「──多而訝重髻」=釵股。
サン [陷]
おほがま(大鎌)
セン [霰]
○うでわ(臂環)「金─」「玉─」「腕─」古は男女共に用ふ、後世は唯女子のみ用ふ。庾信賦「玉關寄書、章臺畱─」○ 國 クシロ ひぢまき、古、臂に絡 マト ひたる飾物。
テイ·ダイ タイ [霽]
○あしかせ(鐵鉗)鎖 クサリ を以て足に加ふ、古の刑法の一。史、平準書「敢私鑄鐵器煮鹽者─左趾」○くさび(車轄)漢書、揚雄傳「肆玉─而下馳」=軑。
テゥ [嘯]
○つる、鉤 ツリバリ にて魚をつる「漁─」又、其の漁法、つり。○轉じて人をおびきだす、誘ひて之を取るにいふ。○求める「─名」「─礜」 國 ○ ツリ 「─錢」○ ツル 垂れる。
つりばりをおろしてつる。梁昭明太子、陶淵明集序「莊周──於濠」=垂綸。
つりぶね。杜牧詩「千秋──歌明月、萬里沙鷗弄夕陽」
○海中の大龜をつる。列子「渤海之東、有五山焉、帝使巨鼇十五、擧首而戴之、龍伯之國、有大人、一釣而連六鼇、岱輿·員嶠沈于海」○借りて以て豪擧に喩ふ。李白·張祐·王嚴光、俱に──客と稱す、蓋し六合を彌綸し、八荒を呑吐するの意あるをいふ。
魚をつるに用ふる細き竹、つりざを。戴石屛詩「萬事無心一──」
魚をつるいそ。孟浩然詩「──平可坐、苔磴滑難步」
魚つるを生業とする人。又、其の家。王建詩「──竿頭乞活魚」
つりばり。陳師道詩「布網收魚糝、連筒下──」
つりふね。杜甫詩「磨滅餘篇翰、平生一──」=釣船·釣艇。
酒の異名。醉ひて詩思をひき出すが故。蘇軾詩「應呼───、亦號掃愁帚」
魚をつるいと。詩經、箋「綸、──也」
○つりぶね。卒參詩「桑葉隱村戶、蘆花映──」=釣舟。○閩浙地方にて貨物船をいふ、船の形魚に似たり。=刁船。
魚をつるおきな。庾信詩「星精逢漢帝、──値周王」=釣父·釣翁。
○つりをする小高き所。名勝記「──山在東阿縣鎭城東南(中略)麓有釣磯、相傳嚴光釣處」○ 國 ツリダイ 物品を載せてかつぎゆく道具。
つりふね。白居易詩「竹篙撐──、金甲擁樓船」=釣舟。
魚をつるなかま。唐書、隱逸傳「張志和居江湖、自稱烟波──」
魚をつるこども。沈佺期詩「遊魚暼瞥雙──」
つりいと。杜甫詩「遲暮堪帷幄、飄零且──」=釣綸。
つりぶねのとま。胡宿詩「碧葉田田擁──」
たくみ僞りてほまれを得んことを求める。次條參看。
利益を得んことをはかる。管子、法法「釣名之人無賢士焉、──之君無王主焉」
つりいと。杜甫詩「錦里殘丹竈、花溪得──」=釣緡。
4畫
鉛(金部五畫)に同じ。
①キン [軫]
②ギン [文]
①木をきる道具(斫木具)○てをの。=斤。○一說に、かんな(鉋)の類。斧の跡を平かにする具。
②─鍔は器物上の凸凹のある線。凹下の處を─といひ、凸起の處を鍔といふ。
てをのと、のこぎりと。莊、在宥「──制焉、繩墨殺焉、椎鑿決焉」
キン [眞]
○重量 メカタ 三十斤の稱。漢書「以一縷之任、係千─之重」○圓形の陶器を作る囘轉器械につける輪。其の囘轉によりて自由に種種の陶器が製作せられる「陶─」轉じて、天。又、造物者を大─·洪─といひ、又、物事の樞機の義とす「國─」○尊稱の辭。我が國の御の字の用法に近し「─安」「─座」「─鑒」○ひとし(同等)ひとしくす。ととのふ。=均。○音調。大─は宮·商、細─は角·徴·羽。
天下の政權を執る。次條參看。=秉國鈞。
○物を量りて均平を得しむる、宰相をいふ。晉書「中書地在禁近、秉鈞持衡、多承寵仕」=阿衡。○人才をはかりえらぶ。宋書「推鈞懸衡、委之選部」釋無可詩「一遂──薦、今爲長史歸」=銓衡。
天子、駟馬に駕するに、其の馬の毛色が皆齊しく同じきをいふ。史、平準書「自天子不能具──」(國家貧しく天子均色の四馬を具する能はず)=醇駟〔漢書〕
鈞軸に同じく權要の地位に在る者。樞は戶のくるる。韓愈詩「凡此座中人、十九持──」
おもり。鈞は三十斤、石は四鈞卽ち百二十斤。禮記「平權衡、正──」
陶鈞·車轂の轉ずるが如く、事物の變遷するをいふ。淮南子「────、周而復帀」
人物を養成する、鈞を轉じ陶器を造る義。雅琥詩「三千碩士在──」
鈞は物を衡 ハカ り、軸は車を轉ず。以て要路の大臣に喩ふ。呂溫文「大邦──、至則委汝」
力がひとしくして、まさりおとりなし。易林「兩矛相刺、勇力──」
天の中央。上帝の都する所、鈞は平、四方の主たる義。史、趙世家「趙簡子、五日不知人、大夫皆懼、居二日半、簡子寤曰、我之帝所甚樂、與百神遊于──、廣樂九奏萬舞、不類三代之樂」
天上の音樂。前條參看。=鈞天樂。
クヮウ [庚]
○金の聲。○鏗─ カウクワウ は鐘鼓の聲の形容。=鈜鏗。
①ケン [鹽]
②キン [眞]
鈴とは别字
①くさび(車轄)○ぢゃう、かぎ(鏁)○印を押す「─印」「─璽」○韜─ タウケン は兵法の書。又兵法。張說詩「韜─用老臣」○茶─は茶を灸 アブ る具、金鐵を屈して作る。
②矛 ホコ の柄。古、矜に作る。
ぢゃうまへ、かぎ。爾雅序「六藝之──」=關鍵。
くさびを軸にさして車を制する如く自由に制御する。
○矛の柄と弓の袋と。○轉じて兵法又兵書の義とす「──家」=韜鈐。
鉤(金部五畫)の俗字。
サフ·ソフ シフ [合]
○ほこ(戟鋋)「─戟」陸雲文「擧─成雲、下─成雨」=鎩。○ちりばむ(鏤)
けぼり師。
けぼり、象眼。六書故「細鏃金銀爲文、曰──」=鏤刻。
①セゥ [肴]
②セゥ [效]
①とる(取)かすむ(略)略取する。後漢書、公孫瓚傳「攻─郡縣」○うつす(謄寫)ぬきがきする(拔錄)うつし、ぬきがき、通じて抄に作る。
②さつ、しへい(紙幣)儼山外集「─之名、始見金史、時有交─之制」○きって、政府より發行する受取證·證書(官符·憑)「─票」
○宋代、政府より發行せし紙幣。宋史「紹興元年(中略)願得茶鹽香貨──者聽」今、紙幣を鈔票といふは此に本づく。○ぬきがきする。
書物をうつし正す。宋本、滋溪書堂記「作屋三楹、置書數十卷、再傳而吾王父威如先生、又手自──得數百、貯之因名曰滋溪書堂」
稅關。明、宣德より嘉靖中に至るまでに、關內前後、──十二處を設けて貨物の運漕船に課稅せしに始まる。
かすめる。唐創業起居注「招集無賴、=─郡縣之閒」=劫鈔。
書物をうつしとる。晉書、紀瞻傳「瞻性靜默、少交遊、好讀書、或手自──、凡所著述詩賦牋表數十篇」=鈔寫。
うつしものをする小役人。=書手。
かすめぬすむ。後漢書、班勇傳「不爲──則可矣」=剽盜。
かすめうばふ。五代史、盧文進傳「唐兵屯涿郡、歲時饋運、自瓦橋關、至幽州、嚴兵斥候、常苦──」=劫奪·略奪·掠奪。
武力を以てかすめあらす。後漢書「經歲無功、而匈奴==日增」唐書、摩揭陀傳「無城郭、好==、商旅患之」=抄暴。
さつ、紙幣、票は手形。鈔引參看。
かすめとる。後漢書、袁術傳「術在南陽、不修法度、──爲資、百姓患之」=劫略·剽略。
ヂウ [有]
○つまみ、とって(把鼻·印鼻)手にてつまみ持つやぅに器具につけたるもの「印─」「虎─」「龜─」○ 國 ポタン =釦。
ドン [願]
頓に通ず
○にぶし、なまくら。銳の對「利─」○にぶる。にぶらす。陳琳、檄吳文「兵不─鋒」勢が弱くなる。○おろか「魯─」「愚─」「頑─」
九十度以上、百八十度以下の角度。銳角の對。
ばかもの、愚人を罵りていふ。五代史、司空挺傳「張彥之詬王正言曰、──辱我」
銳利ならざるはもの。王襃、聖主得賢臣頌「工人之用──也、勞筋苦骨、終日矻矻」
銳利ならざるかね。荀、性惡「──必將待礱厲、然後利」
佛 人の六根のにぶくおろかなる義。上根の對。指月錄「此是接引──人語」
おろか。淮南子「狡猾──、是非無端」
人の語句をぬすむ詩人を罵りていふ。詩苑類格「詩有三偸、偸語最──」
なまくらがたな、銳利ならざる刀。
足のおそきうま。蘇軾文「用褪墨硯、如騎──」
國 ばかもの。=愚物。
○兵士の氣がにぶり弱る。孫子「其用戰也、勝久則──挫鋒」○にぶく弱き兵卒。○銳利ならざる武器。戰國策「敝甲──」
にぶりやぶれる。唐書、突厥傳「天下無事時、大臣偸處榮逸、戰士離落、兵甲──、車馬刓弱」=鈍弊。
にぶくしてやぶれる。國語「申胥曰、使吾甲兵──、民人離落、而日以憔瘁」
おろかなるしもべ。袁宏道文「家有四──」
性質にぶく心くらし。梅堯臣文「乞天巧之付與、惡心手之──」=頑鈍·闇鈍。
ハ [麻]
○戰に用ふる、ものみぐるま(候車)○まぐは、鉏の屬、五齒ありて土を平かにし穢を除く具。耙は俗字。○かぶらや(鏑)
ハク [陌]
さく(裂)やぶる(破)漢書、藝文志「則苟鉤─析亂而已」
ハン [潸]
○いたがね、おほばんきん(鉼金)○版に同じ。莊、徐無鬼「金─六弢」
フ [虞]
○をの、まさかり(斧)─は大、斧は小。列、說符「人有亡─者」○芻 マグサ を斬る刀。
をのと、まさかりと。禮、王制「諸侯賜弓矢而後征、賜──然後殺」(賜──は一軍の大將として生殺の權を與へらるる義)
次條に同じ。史記「請就──之誅」=斧質。
斧にて腰を斬る刑罰。又、其の刑具、鈇は斧、鑕は鍖 キリダイ 公羊、襄二七「執──」
5畫
ヱツ [月]
まさかり、おほをの(大斧)古、征討の時、威信を示す爲めに天子より主將に授けられしもの「斧─」「鈇─」「節─」書、牧誓「王左杖黃─、右秉白旄」
節鉞の下、幕下といふに同じ。江淹文「竊惟明使君──」
エン [先]
又、鈆に作る
○なまり(黑錫)灰白色にして質軟く、火にとけ易し。○おしろい、鉛の酸化せしもの。曹植、七啓「玄眉弛兮─落」○したがふ(循)古、沿に通ず。
おしろい。曹植賦「芳澤無加、──弗御」=鉛白·鉛粉。
鉛は字を書くに用ひ、黄は雌黃、誤字を塗滅 ヌリケス するに用ふ。よりて文字を校勘する義とす。陶翰詩「終年事──」
なまりと水銀と。道家にてこの二物を以て鼎に入れて丹藥を煉る、之を服すれば長生すといふ。白居易、贈別郭鍊師詩「專心在──」
古、鉛にて槧 フダ に字を書く。よりて文筆の義とす。西京雜記「揚雄、懷鉛提槧、從諸計吏、訪殊方絕俗之語、作方言」杜牧詩「可憐──竟何功」
なまりのおもり。王廙文「弱舌紙薄、──內藏」
なまりのおもりを絲に懸けて垂下せし線。=天垂線·直立線。
鉛筆と、きぬと。翰苑新書「人拾靑紫、家懷──」=紙筆。
おしろいと、まゆずみと。文心雕龍「夫──所以飾容」=粉黛。
なまくらがたな。史、賈誼傳「莫邪爲頓兮、──爲銛」=鈍刀。
○己の微力を謙していふ。後漢書、班超傳「況臣奉大漢之威、而無────之用乎」○力の限りを盡くして、再び用ふべからざるに喩ふ。貞觀政要「君子小過、蓋白玉之微瑕、小人小善、乃鉛刀之一割」
醋酸鉛。
顏料 ヱノグ 又工業用に用ふる赤色の粉末、一名光明丹。
なまりと、駑馬と。自ら才力の卑下なるに喩ふ。南齊書、王融傳「千祀一逢、休明難再、思策──、樂陳涓壒」
おしろいの毒。
なまりの如くにぶし。柳宗元文「自顧──、無以克堪」
おしろい。=白粉·鉛華。
組みあげる活版を紙型に取り、なまりを鑄込みて作る印刷版。=ステロ。
なまりは刀劍に作ることを得ず、物は各用所の異るをいふ。淮南、齊俗「──────、木未可以爲釜」
○鉛粉を用ひて書く筆。東觀漢記「寢則懷──、行則誦讀書」○木軸に黑鉛の細きしんを插入して作りし筆。=木筆。
○ごふん、書畫をかくに用ふる白色の顏料。=胡粉。○おしろい。急就篇「粉謂──·米粉、皆以傅面、取光潔也」=鉛華。
コウ ク [尤]
○おびどめ「帶─」○かぎ、物を引きかけるに用ふるもの。○かく(懸)物を懸る。○隱れたるものを引きかけてつり岀す「─玄」○いたす(致)致し難きものを致す。○取る。易、繫辭「─深致遠」○めぐる(繞)○かがむ(屈)まがる(曲)○とどめる(畱)○くじ。=鬮。○ぶんまはしへ規)「─矩」○ひく(牽引)互に引 ヒツ ぱり合ふ。後漢書、靈帝紀「皆爲─黨下獄」○車の心木。○劍に似て曲れる武器、敵を引きかけて殺すもの。○つりばり。○劒の頭につけたる環。○刈─は禾を刈る鎌。
帶鉤 オビドメ をぬすむ者は殺される、小盜はかへりて嚴刑に處せらるる義。莊、胠篋「────、竊國者爲諸侯、諸侯之門而仁義存焉」
さがしてしらべる。後漢書、陳寵傳「寵性仁矜、及爲理官、──律令條法、溢於甫刑者、除之」=檢校。
けづめのあるつり針は、吞めば順ひ、吐けば逆ふ如く、人を術中に陷れて岀づること能はざらしめ、以て隱情を鉤索するに喩ふ。漢書、趙廣漢傳「尤善爲──、以得事情」
つりばりの如くまがる。杜甫詩「達士如弦直、小人似──」
かぎにてひっかける。論衡「隨而雲起、枳棘──」
おくぶかき義理を引きかけて取る。韓愈、進學解「纂言者、必鉤其玄」
爪の甲の內に曲りて鉤 ツリバリ の如き者。新論「獸之方喙──者、毛羣畏之」=句爪。
○おくぶかき道理をさがしもとめる。○金屬のかぎ。=鐵鉤索。
おさへとどめる、鉤は畱。漢書、鮑宣傳「使吏──丞相掾史」=抑畱。
まがれるえだ。劉勰文「夫樟木盤根、──癭節」
つりばりにつけたるゑ。莊子「──網罟」
車の軸。又、屋の中心の聚る所。杜牧、阿房宮賦「──鬭角、盤盤焉囷囷焉」(鬭角は屋根と屋根とが近く相對して出る)
とげのある章句。奇崛にして讀みにくき文章。韓愈、孟郊墓誌「────、搯擢胃腎」
かぎに引きかけてとる。宋史、邊肅傳「帝以三司──無法、至道初置行帳司、以會財用之數、命肅主之」
曲尺と墨なはと。莊子「匠人曰、我善治木、曲者中鉤、直者中繩」淮南子「譬猶冰炭──、何時而合」
ひっかけてひろひ取る。權德輿文「──纖微、誠有可觀、恐未盡言」
互に相牽引して同じ黨 ナカマ を爲す。後漢書、靈帝紀「皆爲──下獄」
鷓鴣の鳴く聲。唐本草「鷓鴣生江南、形似母雞、鳴云──格磔」林逋詩「草泥行郭索、山木叫──」(郭索は蟹の行く貌)
甚だ高きかけはし、卽ち雲梯。管子「凌山阬、不待──」
すだれをまきてかぎにかける。釋道潛詩「──見疎雲」
取り上げて用ふる。莊子「論先王之道而明周召之迹、一君無所──」
曲れるてすり。李頎詩「苔色上──」=句欄。
ひきつらなる。李白詩「然後天梯石棧相──」=牽連。
まがりつらなる。司馬法「──蟠曲、各有條理」
かま。論衡「山野草茂、──刈斬」
雙鉤法 カゴガキ を以て畫を作る。圖繪寶鑑「張遜善畫竹、作──法、妙絕當世」
カフ [洽]
よろひ(鎧)晉書、載記「貫─上馬」=甲。
キョ [語]
○大いなり。=巨。○つりばり(鉤)○かたきくろがね(剛鐵)○かたし、こはし。○尊者の通稱「─公」○なんぞ(何)いづくんぞ=詎。○にはか。遽に通ず。荀、正論「是豈─知見侮之不爲辱哉」
おほいなるうを。莊子「尋常之溝、──無所還其體」
大いなるかなへ、鑊は足なき大鼎。徐積詩「──大鼎烹牛羊」
身分貴き人。=鉅公。
殷の紂王の米倉の名、其の遺址、直隸省曲周縣の東北に在り、周の武王、紂を亡し其の積粟を散じて民に施す〔書、武成〕
古の名劍の名。荀、性惡「干將莫邪──辟閭、此皆古之良劍也」
○天子の稱。漢書、郊祀志、注「父曰公、天子爲天下父、故曰──」○尊き人。又、其の道にすぐれたる貴き人。李賀詩「云是東京才子文章──」=鉅卿。
大學者。隋書、經籍志「四方鴻生──、負袠自遠而至者、不可勝算」=碩儒。
良弓の名。荀、性惡「繁弱──、古之良弓」
大いなると細きと。汪克寬文「夫物理之不齊、亶──之異宜」=細鉅。
大いに剛 カタ きはがね。史、禮書「宛之──施鑽如蠭蠆」=巨鐵。
大いなる諸侯の國。王十朋詩「駐蹕東南爲──」=大藩·雄藩。
おほくの入費。宋史、食貨志「凡貨財不領于有司者、則有內藏庫、蓋天子之别藏也、縣官有──、左藏之積、不足給、則發內藏佐之」=巨費、大費。
澤の名、禹貢の大野、山東省──縣の北に在り、澤最も廣大、元の末に黃河の決する所となりて遂に涸る。
地名、戰國の趙の邑。今の直隸省平鄕縣、項羽が大に秦の軍を破りし所。
ギョク ゴク [沃]
○たから(寶)○堅き金。
掘(七五七頁四段)に同じ。
荀、正論「─人之墓」
ケン [鹽]
○くびがせ、くびがね、罪人の首にはめるかなわ。古の刑法の一。漢書、高帝紀「自髠─、爲王家奴」○物をはさみ取るもの。○かなばさみ(銸)轉じて勢力を以て人を忌み害する「─忌」○とづ「─口」莊子「口─不敢言」古、箝に通ず。○──は妄行して誠實なき貌。
鉗 カナバサミ の能く物をはさみ取る如く勢力をたのみて他を忌み害する。後漢書、梁冀傳「妻孫壽、性──、能制御冀」=忌刻。
口をとづ。唐書、吳湊傳「顧左右──自安耳」=鉗口。
口をとぢて言はず。後漢書、班超傳「上下──」=箝口。
くびがせと、てがせと。又其の刑具をはめる。柳宗元、童區寄傳「束縛──之」
首がせをかけ、頭をそる。皆罪人のすがた。范成大詩「朝巿有機穽、冠裳或──」=髠鉗。
○くびがせの刑を被りし者。=鉗徒。○ 俗 釘拔、くぎぬき。
罪人をいふ、赭は刑せられて赤衣を著る。宋書、竟陵王傳「田叔──、志在夷戮」
勢力を以て他を抑へつけて自由をさせぬ。易林「執囚束繫、──于吏」
くびがせをはめられて居る罪人ども。漢書、衞靑傳「有一──、相靑曰、貴人也」=鉗子。
ケン [鹽]
○てふつがひ。○はさむ(鉗持)○一種の刑具。鉗(前條)に通ず。
ゲン [銑]
○つる、鼎の兩方の耳に貫きて提ぐるやうにせし金具「金─」「鼎─」易、鼎卦「六五鼎黃耳金─、利貞」○弓づる。古、弦に通ず。○三─ サンゲン は三公をいふ、鼎を天位に比し、其の三足、又は─を三公に比す。
三公の地位。王筠文「妄參──、靦貌槐廷」=鉉台。
三公をいふ。潘岳、西征賦「納旌弓於──」=台鼎·台鉉。
コ [麌]
○─鉧 コボ はひのし。柳宗元に──潭記の文あり、唐宋八家文に出づ、潭は湖南省零陵縣の西三支那里に在り。=鈷?·熨斗。○ 佛 もと印度の護身用の兵器、煩惱を打破する義にて佛具の一とす、把手の兩端に爪あり、其の爪の數によりて獨─·三─·五─の名あり。
サフ ソフ [合]
まはりかぅろ(香毬)巧機 タクミ を施して轉旋するも傾倒せざる香爐。司馬相如賦「金─熏香」
シ [紙]
やのさき(箭頭)=鏃。
シャ シ [麻]
○ほこ、みじかき矛。○ 國 なた、薪などを斬るに用ふる厚刃の刀、彎刀。
セイ シャウ [庚]
○軍中の樂器の一、かね·どら、鐃の類。○鐘の體の正中の處。○伏せおきてたたき鳴らす佛具、ふせがね「敲─」
どらと、つづみと。行軍の時、鉦は以て之を靜め、鼓は以て之を動かす。轉じて兵事の義に用ふ。漢書、東方朔傳「學孫吳兵法·戰陣之具·──之敎」
どらと、すずと。周禮、注「謂──之屬」
ジュツ [質]
○いざなふ(誘)みちびく(導)怵又訹の假字。晉語「子盍入乎、吾請爲子─」○長き針。
①ショ·ソ [魚]
②ソ [虞]
③ショ·ソ [語]
①すき(鋤)くは(鍬)○すく、たがやす、田を耕し治む。漢書「非其種者、─而去之」○誅除する、ころす。韓詩外傳「衆之所誅─也」○─麑 ソケイ は春秋の時の晉の賢人。
②祭に用ふるしきもの。
③─鋙 ソゴ はくひちがふ。
○すきてくさぎる。韓愈詩「至寶非雕琢、神功謝──」=鋤耘·耕耘。○轉じて惡人を誅除する義。漢書、王尊傳「拊循貧弱、──豪強」=誅除。
すき。張耒詩「飢寒不自勤──」
くひちがふ。距 コバ みて相入れざる貎。楚辭、九辨「圓鑿而方枘兮、吾固知其──難人」=齟齬。
チツ [畫]
(糸部五)の古字
俗に、鐵の略字とするは非。
チュ シュ [遇]
○おく(置)○あらがね(鑛物)「─銀」「─銅」
黃金のあらがね。管子、地數「上有丹砂者、其下有──、上有慈石者、其下有鉒銅」
テン デン [先]
○かんざし、造り花のかんざし。庾肩吾詩「誰忍去金─」○こがねのかざり(金華)○あをがひざいく、あをがひ「螺─」唐書、王鉷傳「以寶─爲井幹」
あをがひのくびかざり。白居易詩「──累累佩珊珊」
あをがひ細工の香合。陳鴻、長恨歌傳「定情之夕、授金釵──以固之」
あをがひ細工のこと。溫庭筠詩「──絃斷雁行稀」
こがねのかんざし。唐書、百官志「歲七月獻──、臘月獻口脂」
金華にて飾りし車。元稹詩「──迎妓樂」
かんざし。皮日休詩「──雕鏤費深功」
あをがひざいく。尹廷高詩「──椅子象牙牀」=螺鈿。
ハゥ [效]
○かんな、木の面を平かに削る大工道具。○馬を搔く具。
ハク [藥]
○はく、金屬をのべて薄くなしたるもの「金─」=烏金紙。○白金。
ハツ ハチ [曷]
○僧侣の食器「衣─」「杖─」 國 ○はち。皿の深く大いなるもの。又「植木─」○兜 カブト の頭にかぶさる部分。○あたまのはち。=顱。
僧家の飯器、梵語の鉢多羅。
ハツ バチ [曷]
銅─ ドウバチ は樂器の一、兩片を合せうちならす。もと印度の樂器。=鐃鈸 ネウハチ
ヒ [支]
○おほはり(大針)○つるぎ(劍)史、刺客傳「皆持長─」
ヒ ヒツ [寘]
矛の柄。=柲。
ボ [麌]
又、?に作る
鈷─ コボ は火のし、鈷(前頁四段)を見よ。
リゥ [有]
美なる黃金。
レイ [靑]
唐音リン
○すず、振り動かして音を發せしむる金器。○りん、鉢形、又は鐘形の金器、振り又はうちたたきて音を出すもの。○物のなる聲。通じて令に作る。
すずを引きて知らせる。韓偓、玉堂閒坐詩、自注「禁署嚴密、非本院人、雖有公事、不敢遽入、至於内夫人宣事、亦先──」
書簡文に將帥を稱する敬語〔畱靑日札〕次條參看。
將帥の居る所の地。晉書、羊祜傳「──之下、侍衞者不過數十人」
簷鈴 ノキバニサゲルスズ の聲。薩都剌詩「落日樓臺自──」=鈴聲。
すず。宮殿樓閣などの簷角 ノキノカド に懸ける、風來れば鳴る。嵆康文「──警耳、鐘鼓駭心」=鐸鈴。
聲の震ふ貌。雷などの餘聲。漢書、天文志「丙戌地大動、──然」
6畫
①エウ [蕭]
②テゥ [蕭]
①かま、なべ、小さき釜の柄と口とのあるもの、飮食物を溫めるに用ふ。
②すき(臿)大いなる鋤 スギ ○かる(刈)○けづる(削) 國 ○─子 テウシ は酒を盛りて杯に注ぐ器。轉じて酒甁 トクリ 燗德利 カンドクリ の義とす。
すきと、くはと。馬祖常詩「──每親荷」
カゥ [巧]
○釘─ テイカウ は刀の柄。又、鞍の首などのかなぐ。○はさみ(翦刀)
はさみ。
はさみ。李賀、五粒小松歌「細束龍髯──剪」=翦刀。
カン [咸]
○くつわ、くつばみ、馬の口にふくませ、轡 タヅナ を著けて馬を制する具。○ふくむ(含)物を口にくはへる「─枚」「─環」○うけたまはる、奉ずる「─命」檀弓「─君命而使」○うらむ(憾)漢書、外戚傳「栗姬怒不應、言不遜、景帝心─之」○くらゐ、官吏の位階「官─」○馬─は海神の名〔海賦〕
同訓異義
フクム 銜·含·嗛の别は含(三一三頁一段)の條を見よ。
寃罪をうけて伸理するを得ざる義。李商隱詩「誰瞑──目、寧呑欲絕聲」
哭泣して聲を出さざるをいふ。徐陸文「──呑聲」
口につちくれを含む、古、罪を請ふ禮、後世の負荊の如し。唐書、玄宗紀「天寶末、安祿山反、帝欲禪位大子、楊貴妃──請死、帝意沮乃止」
文と質との兼ね備はるをいふ。文心雕龍「聖文雅麗、固銜華而佩實者也」
銜はくつわ、橛は車の心棒、馬車の馬が暴れてくつわを外し、又は車を覆へして心棒を折るなどの患。司馬相如、上諫擸書「淸道而後行、中道而馳、猶時有────」
○憂を含む。詩經「岀則──、入則靡至」○轉じて父母の憂に丁 アタ る卽ち父母の喪にいふ。
酒をのむ。李適之詩「避賢初罷相、樂聖且──」
口に枚をふくむ。枚は箸の如さもの、口にふくませ兩端に紐をつけて首の後に結びつける、進軍中談話を禁ずるため、又馬の鳴くを防ぐために用ふ。周禮、秋官「──氏掌司囂」
銜は馬のくつわ、尾は馬尾、行路狹くして竝び驅ることを得ず、一騎づつ前後につづきて行く。漢書、匈奴傳「如遇險岨、────」
降伏の禮、璧は贄 ニヘ なり、手を縛せらるるが故に口にふくむ、櫬は棺、輿は荷 ニナフ なり。左、僖六「許男面縛銜璧、大夫衰絰、士輿櫬從之」
命を奉じて出で使する。漢書、孫寶傳「臣幸得──而使、職在刺擧」
くつわ。勒も銜と同じくくつわの義。家語「德法者御民之具、猶御馬者之有──也」
ギン [眞]
○しろがね(白金)○しろがねの如き白色「─河」「─世界」○銀にて造りし貨幣「─貨」○ぜに「賃─」「路─」○銀にて造りし器「─黃」「─靑」○かぎり。荀、成相「守其─」=垠。
香爐をいふ。秦韜玉詩「──無香旋旋添」
しろがねにて作れる美くしきくら。顧野王詩「──俠客至」
しろきかもめ。李紳詩「雪鷺──左右來」
あまの川。江總詩「織女今夕渡──、當見新秋停玉梭」=天河·天漢·銀漢。
あまの河が天上より落ち來る。瀑布の形容。李白詩「飛流直下三千尺、疑是─────」
大雪の形容。白居易詩「連夜江雲黃慘澹、平明山雪白糢糊、──────、、梅嶺花挑一萬株」
銀印と綠綬と。艾はよもぎにて染むる故。後漢書、張奐傳「吾前後仕進、十要──」
○ぎん色のうみ。陸游詩「天如玻璃鍾、倒覆濕──」○道家にて眼の稱。蘇軾詩「凍合玉樓寒起粟、光搖──眩生花」(玉樓は肩)
政府の管理の下に金融をとりあつかふ一種の法人。
○銀づくりのよろひ。唐書、禮樂志「披──執戟而舞」○琵琶などを彈ずるとき爪にかぶせるもの。杜甫詩「──彈箏用」
あまの川。白帖「天河謂之──、亦曰銀河」
○いてふの樹。宣和畫譜「──白頭翁圖」=公孫樹·鴨脚樹。○又、いてふの果實、ぎんなん。劉基詩「──子成邊雁到」=玉果。
○魚の名。身圓くして細く潔白にして鱗なし。=麵條魚。○銀にて飾りし魚袋、唐代五品官以上の佩用とす。劉禹錫詩「初佩──隨仗入」
○燈火の形容。蘇味道詩「火樹──合」(放燈の夜、燈火を樹に懸くるをいふ)○雪の形容。杜甫詩「入巿──亂、傾筐雪片虛」○忍冬花 ニンドウクワ の色の白き者、藥用とす。
ぎんにて造りたる貨幣。漢書、食貨志「──二品」
ぎんのかたまり。
○銀と黃金と。韓非子「隋侯之珠、不飾以──」=金銀。○白色と黃色と。○銀印と金印と。皆高官の佩ぶるもの。漢書、楊僕傳「懷──乘三組」
あまの川。夏竦賦「──之影横秋、帝臺之漿映日」=銀河·銀漢。
ぎんのさかづき。白居易詩「殷勤二曹長、各捧一──」=銀杯。
ぎんのあらがね。魏書、食貨志「長安驪山有──、石得銀七兩」=銀鑛。
ぎんのわ、ゆびわ又腕わなど。詩、邶風、靜女、傳「當御者以──進之」
燈火をいふ。白居易詩「斜背──半下帷」
○銀のすだれかけ。唐太宗、簾詩「彩散──上、文斜桂戶中」○銀のかぎ、巧なる草書の形容。書苑「晉索靖草書絕代、名──蠆尾」
俗 金融の義。
結婚後二十五年目に行ふ夫婦の祝賀式。
しろがねの如き白きすな。梁簡文帝文「畫堂玉砌、碧水──」
ぎんのかんざし。瑯邪代醉編「──猶在」
しろがねづくりのかたな。南史、席闡文傳「梁武帝將起兵、闡文勸仍遣客、私報帝、竝獻───、帝報以金如意」
○銀を產する鑛山。神異經「西南有──」○高く白き波の形容。張繼詩「萬疊──寒浪起」
ぎん色のいと。
あかるく光るともしび。韓愈詩「──未消窗送曙」
ぎんのおかね。子は助辭。=銀貨。
銀印靑綬の略。金紫の對。秦·漢時代、光祿大夫の佩びしもの〔老學庵筆記〕
ぎんのふだ。通鑑節要「元武宗頒行至大──」
雪中のけしきの形容。陳泊詩「眼觀銀色三千界、身到瑤臺十二層」
しろがねのうでわ。劉禹錫詩「──金釵來負水」
ぎんにて造りたる貨幣。後漢書、西域傳「──十當金錢一」
漏刻 ミヅドケイ の目盛をつけたる銀の棒。宋之問詩「莫令──曉爲盡合歡杯」
まっ白きほほひげ。=雪髥。
月の異名。蟾は蟾蜍 ヒキガヘル 月中にゐるといふ。李中思詩「──飛出海東頭」
○ぎん色のへび。本草「──亦名錫蛇」○月光の波にうつりし形容。
○官名。宋史、職官志「──司掌收天下奏狀案牘」○仙人の居るところ。後漢書、張衡傳「盻王母於──兮」
○銀のかたな。張籍詩「斜帶──入黃道」○白く長き魚を形容していふ。蘇軾詩「恣看修網岀──」
ぎんのくみひも、銀モールの類。李德裕詩「鵰起颺──」
白く光るなみ。楊萬里詩「萬頃──半霎開」=銀浪。
ゆふだちの雨の形容。李白詩「白雨映寒山、森森似──」陸游詩「瓦溝淙淙萬──」
月の異名、月中に兔ありといふ故。隋煬帝詩「淸露冷浸──影」
○しろがねのあぶみ。王志堅詩「只敎──露雙弓」○白く光るともしび。=銀燈。
白く光るなみ。徐積詩「蒼天萬里生──」=銀浪。
○ぎんのふだ。宋史、輿服志「符劵唐有──、發驛遣使則門下省給之」○銀製のメタル。
まっしろなるかみ。=白髮。
月の異名。盧仝詩「爛──從海底出、忽來照我茅屋東」=銀蟾。
○酒などを入れる銀製のかめ。杜甫詩「指點──索酒嘗」○うつくしきしるべ。白居易詩「井底引──、欲上絲繩絕」
白く光るなみ。梁武帝詩「──翻綠萍」=銀濤。
白く見える魚。
ぎんのすず。中阿含經「金鈴銀舌、──金舌」
月光のうつれるつゆ。呂令問、金莖賦「晴朝有日兮金鏡相射、淸夜無雲兮、──自圓」=皓露。
銀製の小さき箱。
銀にて造れる椀。吳志、甘寧傳「先以──、酌酒自飮」
あまの川。李賀詩「──曉轉流天東」=銀漢。
キョウ [冬]
○矛刃の下口。○──は物を擊つ貌。
ケイ [靑]
又、刑·鉶に作る
鼎 カナヘ の一種、あつものを盛る兩耳三足の祭器。儀禮、公食大夫禮「宰夫設─」
あつものの五味を和して鉶に盛りしもの。周禮、亨人「祭祀共大羮──」注「大羮不致五味、──加鹽菜矣」
①ケイ [靑]
②ケン [先]
①鐘に似て頸のながきもの。一說に酒器。
②人名。荀、非十二子「是墨翟宋─也」
コウ [尤]
投書を受くる器、腹大に口小にして入るべく出すべからざるやうに造る。漢書、義縱傳「投─購吿言姦」註「─所以受投書也」=缿。
シュ [虞]
○量 メカタ の名。一兩の二十四分の一。○轉じてわづかなるもの、輕小の義とす「錙─」「分─」○にぶし(鈍)「─鈍」淮南、本經「其兵戈─而無刃」 國 ○德川時代の貨幣の名。一分 イチブ の四分の一。○小數の名。一割の百分の一(分ブの十分の一)專ら利率に用ふ。又、朱に作る。
少しづつはかり數ふれば、大なる量に至りて、差違を生ずるをいふ。枚乘文「銖銖而稱之、至石必差、寸寸而度之、至丈必過」
銖をつみ寸をかさねる。細微を積みて大に至る義。侯鯖錄「寒女之絲、────」
こまかに知りわける。遼史、楊績傳「陸下──邪正、升黜分明、天下幸甚」
甚だ少しのめかた。子華子「夫平猶權衡然、加──則移矣」
すこしの惡事。漢書、趙廣漢傳「────、皆知之」
ジュウ [送]
○斧のあな(斧穿)柄を受くる處。○借りて火器の名とす。○こづつ、鐵砲 テツパウ 「小─」「拳─」「鳥─」
小銃をよせかけるだい。
鐵砲を發射する爲めに城や壘の牆壁などに設けたるあな。
小銃にて擊ち殺す刑罰。
小銃にてうつ。
小銃の筒先 ツツサキ につけたる劍。
てっばぅだま。=銃彈·彈丸。
小銃のつつぐち。
てっばぅきず。
鐵砲にてうちころす。
小銃の丸の通る金屬製の筒。
銃身を裝置する木の臺。
てっぱぅだま。=銃丸。
○てっぱぅ。○小銃と大砲と。
小銃にて鳥獸をかり取る。
セン [銑]
○つやがね、金の最も光澤あるもの。○つや、金屬の光澤。○さむき貌。○みづそそぐ(灑)洒の轉音。晉語「─者寒甚矣」○金を以て弓をかざる。○鐘の口の兩角。○─鋧は敵になげうつ小さき鑿 ノミ しゅりけん〔南史、蕭摩訶傳〕○づく、俗に鐵の初めて煉りたるものをいふ、質堅く折れ易し、鍋·釜等の材料とす。
づく鐵にて鑄りしぜに。鍋錢。
づく、字解を見よ。なべがね。=生鐵·鑄鐵。
セン [先]
○はかり(權衡)輕重をはかる器。漢書、王莽傳「攷量以─」○はかる(量·度)物の輕重をはかる、人物をしらべて官を授ける。唐六典「吏部有三─法」○ついづ(次)○木を平かにする器。
人才をはかりてすすめあげる。陳書、世祖紀「隨才──」
才能をしらべかんがへる。宋史、蘇頌傳「今不由──、擢授朝列、不緣御史、薦寘憲臺」
はかりしらべる。魏書、叔孫建傳「羣官上事、先由俊──、然後奏聞」俊は叔孫俊。=銓考。
○はかり。銓は分銅 フンドウ 衡ははかりのさを。抱朴子「──不平、則輕重錯繆」○才能をはかりしらべる。又、其の職。晉書、吳隱之傳「汝若居──、當擧如此輩人」
はかりえらぶ。宋史、眞宗紀「使兩制──」=銓選。
はかりしらべてすべくくる。孫綽文「正身提衡、──百揆」=銓總。
はかりてすべつかさどる。晉書、阮放傳「遷吏部郞、在──之任、甚有稱績」
才能をしらべて順序をついで定める。晉書、羊琇傳「選用多以得意者居先、不盡──之理」
はかりつかさどる。唐書、選擧志「初尙書──七品以上選、侍郞──八品以下選」
才をはかりて、官位についでる。晉書、張駿傳「冒險遠至、宜蒙──」(──局は中華民國の官署の名、文官の任免等を掌る)
才能をはかりしらべて官職をさづける。古、吏部は文官、兵部は武官の──を掌る。揭傒斯詩「君復贊宣政、赤手握──」
はかりすべる。晉書、良吏傳「蒞職者、爲身擇利、──者爲人擇官」
前條に同じ。唐書、宋璟傳「──平允」
善惡をよなげわける。唐書、李迥秀傳「仍領選──、文武稱職」
はかりえらぶ。宋史、儒林傳「文海去取差謬、恐難傳後、盍委館職──、以成一代之書、孝宗以命呂祖謙」=選擇。
人才をしらべはかりてあげもちふる。北齊書、文襄帝紀「釐改前式、──惟在得人」
よしあしをはかりわける。唐書、李義府傳「不復──、人人咨訕」
吏部省の異名。專ら人才を銓選することを掌る故。宋史「在朝廷則當量人才、在──則宜守成法」
えらびわかつ。文心雕龍「括囊雜體、切在──」
とりしらべておぎなふ。北史、齊文宣帝紀「詔郡國修立黌庠、廣?髦俊、敦述儒風、其國子學生、亦依舊──」
はかる。爾雅、注「──輕重」
セン [鹽]
○するどし、とし(銳利)賈誼、過秦論「非─于鉤戟長鎩也」錟に通ず。○すき、鍤の屬。○もり(矠)竹頭 タケノサヰ に鐵の距 ケツメ あり魚に擲ちて捕ふる漁具。
するどし。杜甫、天狗賦「百獸踿蹌以皆從兮、四猛仡──乎其閒」
よくきれるはがね。李觀文「寥廓之勁翮、──之利器」
よくきれるやいば。金厚載文「剸犀莫比其──」
銳利なるほこ。曹植、浮淮賦「浮飛舟之萬艘兮、建干將之──」
するどきほこ。戰國策「强弩在前、──在後」
するどきつりばり。李羣玉詩「須知香餌下、觸口是──」
するどききり。柳宗元詩「截玉──作妙形」
よくきれるかたな。唐書、禮樂志「睿宗時、婆羅門國、獻人倒行以足舞、仰植──、俯身就鋒云云」=利刀。
するどきと、にぶきと。顧況文「不以一割均其──」=銳鈍。
するどきほこ。銛は銳利なり。唐書、高麗傳「城有朱蒙祠、有鎖甲──、妄言前燕世、天所降」=利矛。
刀劍のきれあぢよし。淮南子「服劍者、期于──」=銳利。
チツ [質]
○かま(鎌)禾を刈るに用ふる短き鎌。○かる(穫)○いなぼ(禾穗)(銍にて刈る故にいふ)書、禹貢「二百里納─」
鐵(金部十二畫)の古字。
トウ ドウ [東]
○あかがね(赤金)「紅─」○あかがねに似たる赤色。○あかがねにて造れる貨幣「─臭」「─錢」○銅製の器の簡稱。法言「半通之─」銅印を指す。
あかがねにて造りたるもたひ。齊春秋「以──盛水」
あかがねの水さし、はんざふ。夢溪筆談「於關中得一──」
あかがねの官印。漢書、百官公卿表「秩比六百石以上、皆──墨綬」
樂器の一、銅にてつくる、上下二截とし形、竹筒の如く、本細く末大。= 俗 號筒·吹金。
人類が主として銅器を使用せし時代。石器時代と鐵器時代との中閒。
あかがね。管子「上有磁石者、其下有──」
あかがねのすぢと鐵のあばらと。身體の强健なる形容、觔は筋〔宋濂、秦士錄〕
あかがねにて造りたるかはら。天中記「西域泥婆羅宮中、有七重樓、覆──」
あかがねのあらがね。=銅礦。
あかがねにて造りたるわ。酉陽雜俎「蹄下貫──」
○漏刻 ミツドケイ に同じ。戴叔倫詩「──滴愁更漏長」○ 國 湯のわくやうに他の火器に取りつけたる銅製の壺。
あかがねにて造りたる陣太鼓〔晉書、赫連勃勃載記〕三才圖會「──鑄銅爲之、虛其一面、懸而擊之、南蠻多精此器、其聲聞數里者、蠻人亦以爲珍」
あかがねにて虎の形に造りたるわりふ、右は京師に畱め、左は郡守に與へ、兵を徵發するときの信とす。史、文帝紀「初與郡國守相、爲───·竹使符」
あかがねにて造りたる像。宋書、戴顒傳「鑄丈六──於瓦官寺」
あかがねを出す鑛山。漢代、銅官を置き──を採掘する事を掌らしむ。史、吳王濞傳「吳有豫章郡──」
金錢のにほひ、錢を納れて官を得たる人を嘲りていふ。後漢書、崔寔傳「崔烈入錢五百萬得爲司徒、問其子鈞、曰、吾爲三公、於議者如何(中略)鈞曰、論者嫌其──」
銅器を作る職工。=銅工。
○どら。夢溪筆談「在姑熟王敦城下、土中得一──」=銅鑼。○日に喩ふ。蘇軾詩「樹頭初日挂──」
銅雀臺の瓦にて造りし硯。學範「───、銅雀臺瓦也、以其入水之久故、滋潤發墨」
魏の曹操の築きたる臺の名、尾上に銅製の鳳凰を棲ましむ、故に名づく。爵は雀。魏志、武帝紀「建安十五年冬、太祖乃于鄴作───」=銅雀臺。
銅のさび、綠色の炭酸銅。法苑珠林「欲用──而又無銅」=銅綠·綠靑 ロクシヤウ
あかがねのぜに。史、平準書贊「──識曰半兩」=銅貨。
○洛陽の街の名。洛陽記「洛陽有───、漢鑄銅駝三枚、在宮西四會道相對」=銅街。○ 國 西京二條通を銅駝坊といふ。
あかがねのとひ。銅にて作りし屋の承霤 アマダレウケ 漢書、宣帝紀「金芝九莖、生函德殿──之中」
○あかがねにて造りたるしるしのはしら。後漢書、馬援傳、注「援到交阯、立──、爲漢之極界」=銅標。○あかがねのはしら。史、武帝紀「作柏梁──承露仙人掌之屬」
甚だ勇悍なるを言ふ。龍魚河圖「蚩尤氏兄弟七十二人、皆────」十洲記「聚窟洲有鑿齒長牙────之獸」
あかがねのふだ。宋史、輿服志「皆有──、長七寸五分」
佛 銅にて造りたる樂器。宋祁筆記「今浮屠持──」
どらの類。舊唐書、音樂志「──其圓數寸、隱起若浮漚、貫之以韋皮、相擊以和樂也」=鐃鈸。
銅にて作りし印刷版、硝酸にて銅板に書畫をやきつけて作る。
あかがねにて造りたるたらひ。史、平原君傳「毛遂奉──、而跪進之」=銅槃。
あかがねにて造りたる標。隋書、天文志「祖暅之造八尺──」
銅にて作りし柱、里程、又國境を明かにする爲めに建てるもの。=銅柱。
銅印と墨綬と。陳子昂文「祖襲公侯之瑞、屈居──之班」
どら、紫銅にて皿の如く造れる軍用の鳴り物。東京夢華錄「各設旗鼓──」=銅鉦。
銅靑に同じ〔宋史、輿服志〕
(金部八畫)の俗字。
ボウ ム [尤]
○ほこ、矛(一三三四頁四段)の古字。○つるぎのきっさき(劍端)
メイ [靑]
○しるす(記)○深く心におぼえしるす「感─」「─心」○金石に刻せし文「刀─」「鼎─」「鏡─」○文の一體。文體明辯「鄭康成曰「─者「名也、劉勰云、觀器而正名也「故曰、作器能─、可以爲大夫矣、考諸夏商鼎彝尊卣盤匜之屬、莫不有─、而文多殘缺、獨湯盤見于大學、而大戴禮備載武王諸─、使後人有所取法」「碑─」「墓誌─」○いましめのことば「箴─」「座右─」○葬式に死者の官位姓名を旗にしるせるもの「─旗」=明旌。○ 國 物品の精製せしものの稱「─茶」「─酒」
ふかく心にしるす。李白詩「常恨迫世網、──俱未伸」=銘心。
銘文をきざみつける。又、刻める銘。宋史、宋白傳「泰山有唐明皇──、白摹本以獻」
心に深くしるしいましむ。溫庭筠詩「功庸畱劍舃、──在盤盂」
きもにほりつける。心に深くしるして忘れず。=銘肌鏤骨。
葬送の時、死者の官位姓名等を記せしはた。=明旌·銘旌。
皮膚に銘し、骨髓にきざむ、深く心にしるして忘れず。顏氏家訓「追思平昔之指────」
いさをを金石にほりつけしるす。左傳「作林鐘、而銘魯功焉」
○金石に文字をほりつける。=刻銘。○心に深く記憶する。
墓石にしるす文辭。宋史、盧士宏傳「戒諸子、勿爲──」=誌銘。
ふかく心にしるす。三國志「──立報」=銘肝。
深く恩を感じて忘れざる義。成語考「────、感德難忘」
きざみしるす。王粲文「──金鼎、祚及後聖」
銘旗に同じ。旌ははた。喪具の一。禮、檀弓「銘、明旌也、以死者爲不可别已、故以其旌識之」字解參看。=明旌。
國 よりをかけざる絲にて織りし粗 アラ き絹布、紬 ツムギ に似たるもの。=銘撰。
感じたることを深く心にしるす。江淹文「垂光旣深、──更積」
せにきざみつける。家語「緘其口、而銘其背」
はだへにきざむ。かたく覺えて忘れず。令狐楚文「──鏤骨、不敢殞墜」
死者の功德を記述せしもの。後漢書、种岱傳「昔先賢旣歿、有加贈之典、周禮盛德、有──之文」
7畫
①エイ [霽]
②タイ [泰]
①するどし(利)刃物がよくきれる「─利」鈍の對。○さとし、はやし(疾)「─敏」孟、盡心「其進─者其退速」○くはし(精)よく鍊れてゐる「精─」左、桓十一「我以─師」○きっさき(劍芒)○するどき勢。○とがる(上小下大)○ほそくちひさし、こまかし(細小)左、昭十六「且吾以玉賈罪、不亦─乎」○はもの、きれもの、するどき武器「─兵」「被堅執─」○つよき兵士。○角度の直角より銳く、九十度に及ばざるもの。
②矛 ホコ の屬。書、顧命「一人冕執─」
心をはげましてつとめる。後漢書、朱穆傳「及壯耽學、──講誦」=銳志·銳精。
元氣をやしなひて事機の來るをまつ。晉書、慕容德載記「閉關──」=蓄銳。
するどきくちばし。周禮「──決吻」
直角卽ち九十度より小さき角度。鈍角の對。
するどくしてたけし〔漢書、霍去病傳〕=勁悍·驍悍·彊悍。
するどききしゃう。史、淮陰侯傳「──挫于險塞、糧食竭于內府」
するどき騎兵。
するどく强き兵士。吳志、甘寜傳「自擇選──五千人」
志をはげましてつとめる。歐陽修文「陛下專──、必不自怠」=鋭意。
するどく强き軍隊。羸師の反對。史、蘇秦傳「秦攻楚、齊魏各岀──以佐之」
するどくすすむ。=猛進·勇進。
額がせまくしてとがる。唐書、侯希逸傳「長七尺、豐下──」
するどき大將。=驍將。
精神をはげましてつとめる。=銳意。
强くするどき兵卒。後漢書、吳漢傳「將數萬──擊之」
するどくさとし、かしこし。左、哀十一「子羽──」
○するどき武器。家語「──重甲、齊困于晉」○强くするどき軍隊。戰國策「輕卒──、長驅至國」=鋭卒·銳師。
するどきほこさき。陳琳、武庫賦「淸徑皓刃、苗山──」
するどくつよし。=勁勇·精勇。
するどくよくきれる。田錫、倚天劍賦「太一諍──之符」
ヲク アク [沃]
めっき(鍍金)いかけ、白金にてめっきする。詩、秦風「陰靷─續」
キウ [尤]
鑿 ノミ の屬。詩、豳風「又缺我─」
①ギョ [語]
②ゴ [虞]
①鉏─は相距ぐ貌。又、安からざる貌。鉏(金部五畫)の條を見よ。
②鋘(次條)に通ず。錕─は山の名。
①クヮ [麻]
②ゴ [虞]
①もろはのすき(兩刃臿)
②錕─ コンゴ は夷國の山の名、金を岀す、刀を作れば以て玉を切るべし。=昆吾。
ケフ [葉]
○つるぎ(劍)戰國齊策「彈─歌日、長─歸來乎」○つるぎのみ(刀身)○つか(劍把)莊、說劍「周宋爲鐔、韓魏爲─」○かなばし、鍛冶が熱したる金屬をはさむ具(鐵鉗) 國 ○はさみ、翦刀。○蟹 カニ のはさみ。=螯。
ケン [霰]
○こばち(小盆)○あしなきかなへ、無足の鐺。○玉の鳴る聲。漢書、郊祀志「展詩應律、─玉鳴」○殿中の掃除人、とものみやつこ「─人」中涓の涓に通ず。
食物を煮るなべ。古器評「刁斗如──、而無緣」
ケン [銑]
銑─はなげうちて人を殺傷する小さき鑿、しゅりけん。南史、蕭摩訶傳「遙擲銑─」
サ [歌]
─鑼 サラ はどらの類。一說に酒器。
ザ [箇]
○かま(釜)釜に似て大口の者。杜甫詩「土─冷疎煙」○くじく。史、楚世家「兵─藍田」=挫。
サク ソク [覺]
○あしかせ(足鈐)○あしかせを施す。
シウ [宥]
又、鏽に作る
○さび(鐵生衣)○さびる。鐵が酸化する。
ショ [魚]
通音ジヨ
○すき(鉏)田を耕し草を去る農具「─犂」「荷─」釋名「─、助也、去穢、助苗長也」○すく、たがやす。漢書、兒寬傳「帶經而─」○ねをたやす、除き滅ぼす「誅─」「芟─」
いねを耕しすく。李紳詩「──日當午、汗滴禾下土」
ねだやしにする。根絕する。
○惡草をすき除く。○轉じて惡人をほろぼす。=芟除·誅除。
すきとる。王令詩「好木畱存竟見實、惡草──無容茨」
すきにてかく。齊民要術「亦有──而掩種者」
手を入れてすきをさめる。王建詩「良田少──、蘭焦香亦薄」
すき。杜甫詩「歸來輒擬荷──」
セゥ [蕭]
○とく、とらかす(鑠金)史、始皇紀「收天下兵、聚之咸陽、─以爲鍾鐻」とらける(鎔解)金屬がとける。○つく。つくす(盡)「─沈」○きゆ。けす(釋)消と通ず。○へる、衰へる。○ちる。ちらす(散)「─憂」○除き去る「注─」○貨物の售 ゥ れる義「行─」○ちひさし(小)○けづる(削)○すき(鍤)○づく、生鐵。
銷暑に同じ。皮日休詩「別如一天地、號爲──灣」
つかひへらす。=消耗。
金屬にて造りたるものをとかしけす。舊唐書、宋璟傳「璟請禁斷惡錢、發使分道檢括──之」遼史「不得──金銀器」
○とかしたるかね。淮南子「──在鑪、盜者弗掬」○かねをとかす。=鑠金。○黄金を碎き散らして物を飾る「──紙」○金錢を湯水の如く浪費する「──窩」
金箔をちらしたる紙。花蕊夫人宮詞「擘開五色───、碧鎖窗前學草書」
○金箔をちらしたる美くしきとばり。通鑑長編「於───中、淺斟低唱」○俗に金錢を浪費する花柳の巷の義に用ふ。
金錢を湯水の如く費消する所〔武林舊事〕窩一に鍋に作る。もと杭州西湖の絕景にして春游の人、盛んに金を費すをいふ。今は主に遊廓なぞの惡所にいふ。
けづめをけす。兵を用ひざる義。史、律書「今未能──、願且堅邊設候、結和通使、休寧北陲」
わざはひを除き去る。漢書。孔光傳「──興福、較然甚明」
へらしけづる。=銷磨。
堅きほねもきえてなくなる。讒言の害の甚だしきにいふ。鄒陽、獄中上書「衆口鑠金、積毁──」李商隱詩「昔歎讒──、今傷淚滿膺」
深く心に感動してたましひがきえいる(魂銷)天寶遺事「長安灞陵有橋、迎來送去、皆至此橋、爲離别之地、故時人呼爲──橋」
心を慰めうらみを消すといふ桃。明皇雜錄「禁中千葉桃花盛開、帝與妃子、日夕宴花下、曰、不獨萱草忘憂、此花亦能銷恨」
きえうせる。白居易詩「千歲不肯散、一沃亦──」
おとろへよわる。韓愈文「浮寄孤懸、形勢──」
かねをとかしけす。宋之問詩「黃金忽──、素業坐淪毀」
あつさをけす。白居易詩「能就江樓──否」=銷夏。
樓の名。吳興掌故「湖州───、卽故子城之南樓、後改今名、顏眞卿題額」
へりおとろへる〔禮、樂記、註〕
元氣がおとろへてよわし。史記「精銳──」宋史「西漢之末、士夫阿諛──、遂底于亡」
けしそこなふ。南史、齊武帝諸子傳「自──猶無益」
元氣がきえてなくなる。陸游詩「人事──渺莽中、此身原合付天公」
へらしてなくす。=消磨·銷刻。
金屬を火にてとかす。=鎔解。
きえおちる。曹植詩「初秋涼風發、庭樹微──」
セン エン [先]
○こぼこ(小矛)鐵の柄のある短き矛「戈─」「矛─」○さす(剌)矛にてつきさす。
セン シン [鹽]
○ゑる(彫)きざむ(刻)公羊、定八「─其板」(板は食器の蓋板 フタノイタ 爪を以て之を刻む、後世轉じて板木 ハンギ に刻む義とす)○きり(錐)○するどし(銳)
書物を板木に刻む。字解參看。=刻書。
テイ [迥]
○あらがね、銅·鐵の鑛石。○いたがね(金錠)南史、梁廬陵王傳「嗣子應不慧、見內庫金─問左右、此可食否」○つく(空盡)○やのこみ、箭の足の槀中に入る部分。○疾 ト く走る貌。左、文十七「─而走險、急何能擇」
デフ [葉]
○けぬき(拔髮)=鑷(金部十八畫)○かなばさみ(鐵鉗)
バイ [灰]
一っの大いなる鐶が二小鐶を貫きたるくさり(子母鐶)詩、齊風「盧重─」
バウ [陽]
又、鋩に作る
きっさき(刃端)「鋒─」「劍─」
?(前條)に同じ。
ホ [虞]
俗に、舖に作るは非
○しく(布)つらぬ。つらなる(陳)布きならべる。禮、樂記「─筵席」○門首の環 クワン の金具「金─」「銀─」○あまねし(徧)○やむ(病)詩、大雅「淮夷來─」古、痡に通ず。○黍稷を盛る器。○みせ、商品を陳ねて賣る所(賈肆)○遞─は驛站。
同訓異義
ンク 鋪·布·敷·藉·席·播の别は布(五六四頁二段)の條を見よ。
にしきをつらねる。南史、顏延之傳「君詩若──列繡」
しきのべる。蕭穎士文「──隴抵、震襵關輔」
門上に著けて環を銜 フク むもの。傅毅賦「──炳以焜煌」
しきつらねる。白居易詩「六義互──」=布陳·敷陳。
しきひろげて、ほめたたへる。文心雕龍「頌須────、而以典雅豐縟爲貴」韓愈文「鋪張對天之閎休、揚厲無前之偉績」
驛遞に同じ。金史、世宗紀「朕欲得新茘枝、兵部遂於道路、特設──」
巡查の類。東京夢華錄「──五人、夜閒巡警」=邏卒。
みどりの色をしきのべる。白居易詩「拔靑松直上、──水平流」
ホウ [冬]
○きっさき、ほこさき、兵器の先端の銳利なる處「銳─」「利─」○さきて、軍隊の前列「先─」○物事のするどききっさき「筆─」「論─」「藏─」
敵とほこさきを爭ふ。史、畱侯世家「愼毋與楚──」
兵器をとかし烽火 ノロシ に水かける。兵亂の靜まる義。
ふでのさき。墨池瑣錄「太淡則傷神彩、太濃則滯──」=筆鋒。
鋒刃の如くするどく盛んに起る。荀、王制「嘗試之說、──」
旗の名。庾信文「──朝上、刁斗夜聞」
ほこ。慕容垂文「特出挑戰、──屢交」=戈鋒·戈矛。
ほこさき。=芒刃。
鋒起に同じ。論衡、答佞「權變──」
ほこさき。又、ほこさきがするどし。論衡「等之金也、或爲劍戟、或爲──」
ほこのさき。徐悱詩「要功非汗馬、報効乃──」
刀のほこさきと、やじりと。史、始皇紀「收天下之兵、聚之咸陽、銷──鑄爲金人十二」漢書には鏑を鍉に作る。
ほこささにあぶらす。殺さるる義。庾信賦「沾漬鋒鏑、脂膏原野」
○鋒鋩に同じ。後漢書「──挫縮、厥圖不果」○わづか、微細の事に喩ふ。論衡「──毫釐之事、莫不記載」
○刀のきっさき。趙孟頫詩「牛刀愛惜藏──」○轉じてするどき氣象に喩ふ。孟郊詩「慷慨丈夫志、可以耀──」=鋒芒。
行文の條暢をいふ。文心雕龍「安仁輕敏、故鋒發而韻流」安仁は潘岳。
するどし。宋史、兵志「京師所製軍器、多不──」=銳利·銛利。
ヤ [麻]
釾·鎁·邪に通ず
鏌─ バクヤ は吳の名劍の名。=莫邪。
ヨク [沃]
○ひかき(炭鉤)○あかがねのこな(銅屑)漢書、食貨志「姦或盜摩錢質以取─」
ラゥ [陽]
○─鐺 ラウタウ はくさり(鎖)古の刑具。=琅當。轉じて重くしてあげがたし。六書故「俗以困重不擧爲─鐺」=郎當。○鐘の聲。
〔國字〕
びゃう、釘 クギ の一種、頭大きく、物に打ちこみて之を固め、又かざりとするもの。
8畫
ヱン [阮]
○秤 ハカリ のさら、はかる物をのせる皿。○ 國 かなまり、金屬の椀。
カゥ [陽]
はがね(鍊鐵)きたひて質の强き鐵「─鐵」「精─」「鍊─」列、湯問「鍊─赤刃、用之切玉、如切泥焉」
大理石·花崗石などの中に存する鑛石、硬度高くして金剛石に次ぎ、酸類に侵されず。=剛玉。
大砲の一種、砲身の內筒外部に多くの鋼線をまきつけて砲彈の力を增加せしめたるもの。
はがね。
鋼鐵にて張りたる軍艦。
鋼鐵にてつくれるなは。
印刷器の一、鋼筆を用ひて寫し、一版に一二百張を印すべきもの、一名謄寫版。
①キ [紙]
②キ [支]
①かま、三木足の釜。詩、召南「維─及釜」(釜は足なきかを)○弩を架 カ けて置くもの。張衡、西京賦「武庫禁兵設在蘭─」(蘭は他の兵器を架けるもの)
②鑿の屬。詩、豳風「又缺我─」
キ [支]
鎡─ ジキ はすき(鉏)=鎡基·玆基。
キン [寢]
○にしき、五色を雜ぜ織りたるあやおり「美─」「文─」「紅─」「蜀江─」○あやおりにてしたてたる衣「衣─夜行」○にしきの如く美麗にして鮮明なるもの「─楓」「─鱗」「─霞」「─雲」○廣くほめたたへる詞「─心一「─地」「─藻」
にしきのうはぎ。北史、尉遲迥傳「綠巾──、號曰黄龍兵」
かじか。又、蛙皮をいふ。尙書故實「越人以蝦蟇爲上品、疥者皮最佳、故越人云、不可脫去、此乃───」
○にしきのころも。禮、玉藻「君衣狐白裘、──以裼之」○美くしき衣「──玉食」○──衞の略。次條參看。野獲編「景陵陸武惠炳領──最久」
明代の軍隊の名、天子の宮城を護衞するもの。弇州史料「改設───」
美くしき衣と、おごれる食物と。宋史、李薦傳「薦雖在山林、其文有────氣」
にしきのしとね。元稹詩「大道垂珠箔、當壚踏──」
にしきにてかざれるむしろ。顧況詩「九重天樂降神仙、步舞分行踏──」
○四川省の境に在り、俗に府河と名づく。杜甫詩「──春色來天地」○朝鮮の河の名。羣山港に注ぐ。
荍 ゼニアフヒ の異名。花大さ徑寸、色は淡紫。=芘芣。
○にしきのはた。李賀詩「搖搖──夾城暖」=錦幡·錦旌·錦旆。○ 國 にしきのみはた、天子の御はた。
にしきと、あやおりと〔書、禹貢〕
衣錦歸故鄕の略語、榮達して故鄕に歸る義。書言故事「榮貴還鄕曰──晝繡」=錦還。
にしきのふすま。詩、唐風「角枕粲兮、──爛兮」
錦を衣て鄕に還る義。李白詩「功成衣──」今、尺牘に人の歸鄕を稱するに用ふ。衣錦還鄕參看。
蜀の成都城の一名。錦をつかさどる官を置きし故。華陽國志「成都西城、故───也」杜甫詩「───外柏森森」=錦城。
頭は雞冠に似、羽毛は雉に似たる美くしき鳥、にしきどり。桂海虞衡志「──又名金雞、形如小雉、湖南北亦有之」
國 華族及官吏の功勞ある者を優遇する爲め宮中錦雞の閒に祗候して陛下の御諮詢に奉答せしむる資格。
にしきと、しぼりてそめぬきたる絹と。元好問詩「東崖劫火餘、絢爛開──」
にしきの如く、美くしきにじ。曹植詩「蚌蛤被濱涯、光彩如──」
にしきに織りこみし文字。侍兒小名錄「前秦安南將軍竇滔有寵姬趙陽臺、置之别所、妻蘇氏求而獲焉、苦加撻辱、滔深恨之、滔鎭襄陽、與陽毫之任、絕蘇氏音問、蘇悔恨自傷、因織錦廻文題詩二百餘首、計八百餘字、縱横反覆、皆爲文章、名璇璣圖、遣蒼頭齎至襄陽、滔覽──感其妙絕、因具車徒迎蘇氏」
にしきと、ぬひとりと。=錦繡。
にしきと、ぬひとりと。戰國策「不能出其金玉──、取中卿相之尊者乎」
詩文を善くし容易に佳句を吐くにいふ。蘇軾詩「平生───早歲藜莧腹」=錦心。
詩文の才のうるはしき形容。柳宗元、乞巧文「騈四儷六、────」
蜀の成都の錦官城をいふ。杜甫、贈花卿詩「──絲管日紛紛、半入江風半入雲」錦官城參看。
うるはしき上にうるはしさを加ふ。王安石詩「麗唱仍添錦上花」
○にしきのおび。李白詩「珠袍曳──」○次條の略語。杜甫詩「香聞──羹」
落葉灌木の一、山地に自生す、高さ七八尺、葉形は橢圓にして尖り、緣に鋸齒あり、夏の初、管狀の花開く繁麗にして錦帶を曳く如し。山家淸供「───、又名文官花葉初生、柔脃可羹」
にしきのはだばかま。甘澤謠「見婦人數人、──負罌而汲」
他人の居住地を稱する敬語、貴地。
にしきのとばり。徐陵詩「流蘇──挂香囊」=錦帷·繡帳·綺帳。
にしきにてかざれるごてん。王勃詩「紫閣丹樓紛照耀、壁房──相玲瓏」
詩を入れるにしきのふくろ。唐書、李賀傳「賀小奚奴背古──、遇所得詩、投囊中」=奚囊。
にしきのはた。沈佺期詩「告善雕旌建、收寃──張」
にしきのぢんばおり。又、にしきのうはぎ。南史、魚弘傳「率部曲數百、悉衣──、赫奕滿道」
にしきのほ。大業拾遺記「──綵纜窮極侈靡」書言故事「問人行、曰──何日掛」
にしきのはた。幡一に旛に作る。黃庭内景經「執劍百文舞──」=錦旗。
にしきのよぎ。吳志、蔣欽傳「爲母作──」
にしきの如く美くしきかへで。馬汝驥詩「祠堂列──」
にしきのとばり。世說「石崇作───五十里」=錦帳。
にしきにて飾れるこし。元稹詩「公子文衣護──」
にしきのともづな。韻語陽秋、十三「揚州天下之樂國、隋煬帝不顧天下之重、──牙檣、來遊此都」(牙檣は象牙にて飾れるほばしら)庾信詩「──囘砂磧、蘭橈避荻洲」
地名、四川省成都縣の南。華陽國志「錦江織錦濯其中、則鮮明、故命曰──」後世は成都の泛稱とす。錦官城參看。
美くしき魚。鮑照、芙蓉賦「戲──而夕映、曜繡羽以晨過」=金鱗。
富貴にして故鄕に還る。南史、劉之遴傳「令卿────、盡榮養之理」同、柳慶遠傳「爲雍州剌史、帝餞于新亭、謂曰、卿────、朕無西顧之憂矣」
錦は文衣、褧は襌衣、錦を被て褧を加ふるは、文衣の甚だ著顯なるを惡みて之を蔽ふなり。詩、衞風「碩人其頎、────」(褧は中庸に絅に作る)次條參看。
錦衣の上に褧卽ちうすき單衣を加へる、君子は美德あれども、之を衒 テラ はざる譬。前條參看。中庸「詩曰、衣錦尙絅、惡其文之著也」絅は褧。
功遂げ名成り、富貴を耀 カガヤ かして故鄕にかへる。魏志、張旣傳「旣爲雍州刺史、太祖謂旣曰、還君本州、可謂────矣」
富貴にして故鄕にかへらざれば人に知られざるに喩ふ。前條の反對。漢書、項籍傳「富貴不歸故鄕、如────」史記には錦を繡に作る。
立身出世して故鄕に歸る名譽。歐陽修、相州晝錦堂記「昔人比之────者也」
キョ コ [御]
○のこぎり。○のこぎりにて足をきる刑の名(刖刑)漢書、刑法志「中刑用刀─」韓愈、送李愿歸盤谷序「刀─不加」○のこぎりにてひききる。鶴林玉露「繩─木斷、水滴石穿」
のこぎりのは。李白、師猛贊「──銜霜、鉤爪抱月」=鋸齒。
のこぎりと、のみと。晉書、苻生載記「殺戮無道、常彎弓露刃以見朝臣、錘鉗──、備置左右」
のこぎりのは。論衡「魚之哆脣──者、鱗族畏之」=鋸牙。
おがくづ、のこぎりのくづ。言語のよどみなく出づるに喩ふ。晉書、胡母輔之傳「王澄與人書曰、彥國吐佳言如鋸木屑、霏霏不絕、誠爲後進領袖也」蘇軾詩「高論無窮如──」
クヮン [旱]
○くさび(轄)車轂の端の鐵。=輨。○ 國 たたら、ふいがぅの大いなるもの。
くさび、車の運轉に缺くべからざるもの。よりて樞要、又、咽喉などの義とす。趙岐、孟子序「論語者五經之──、六藝之喉衿也」=輨轄·樞轄。
鉶(金部六畫)に同じ。
ケン クヮン [阮]
金屬がまがる(屈金)呂覽「柔則─、堅則折」
コ [遇]
○ふさぐ、銅鐵を鑄て隙 スキ を塞ぐ(鑄塞)漢書、劉向傳「雖─南山猶有隙」○かたし(堅固)○禁─ キンコ はつなぎとどむ、罪人を一室にとぢこめて自由をさせぬ。又、仕宦の途をふさぎて世に岀ること能はざらしむ。○ぢびゃう(持病)ながき病、痼に通ず。
久しくいえざるやまひ。漢書、賈誼傳「失今不治、必爲──」註「堅久之疾」=痼疾·沈痼。
コン [元]
─鋙 コンゴ は西方の夷國の山の名、其の產する鐵にて劍を作る、其の利以て玉を切るべしといふ。列、殷湯「─鋙之劍」=昆吾之劍。
サゥ [庚]
○かね、どら(鉦)○──は金の聲。又、琴の聲。
○金鐵の聲。後漢書、劉盆子傳「卿所謂鐵中──、傭中佼佼者也」○轉じてすぐれたる人物の義とす。晉洛中諺「洛中──馮惠卿」○琴の聲。孟郊詩「前溪忽調琴、隔林寒──」○投壺の矢のひびき。王禹偁、竹樓記「矢聲──然」
金の聲。潘岳、籍田賦「衝牙──」=錚錚。
前條に同じ。王禹偁詩「──美金錯」鏦一に摐に作る。皮日休詩「暑雨正錚摐」
①サク [藥]
②ソ [遇]
①黃金にてぬりてかざる、めっきする「金─刀」漢書、食貨志「以黃金─其文」○やすり(鑢)○といし、あらと(厲石)玉石を治むるに用ふ。詩、小雅「他山之石、可以爲─」○みだる(亂)○まじる(雜)まじはる(交)「交─」○ななめにゆく(邪行)○そむく、たがふ(乖·舛)○あはぬ、合せず。漢書、五行志「與仲舒─」○あやまる(誤)「─誤」「失─」○かはるがはる、たがひに(迭)中庸「如四時之─行」○─然は敬愼 ツツシム の貌。○─崔 サクサイ は高峻 タカシ の貌。
②おく(置)史、周紀「刑─四十餘年不用」=措。○安んずる。屈原、九章「各有所─焉」○やめる、とどむ(停止)廢する。○ほろぶ(滅)○人名、鼂─ テウソ は漢の政治家。
同訓異義
アヤマル 錯·誤·謬·訛·愆·過·失の别は誤(一八○九頁一段)の條を見よ。○マジハル錯·交·接·雜·混·淆·參·閒·廁·糅の别は交(九一頁三段)の條を見よ。
たがひにかはるがはるめぐる。中庸「辟如四時之──、如日月之代明」
あわておどろく。後漢書、寒朗傳「二人──不能對」
心理學にて外界の事物をまちがへて知覺する。
書物の字句、又は紙數が入りちがふ、簡は竹のふだ、古、用ひて字を寫す。大學、章句「舊本頗有──」
まじへあげる。左傳、序「年有四時、故──以爲所記之名」
いりまじる(交雜)宋玉賦「迥穴──」
あやまる。あやまり。李白詩「流俗多──、豈知玉與珉」=舛誤·錯繆·錯過。
錯誤に同じ。
たかくけはし(高峻)き貌。馬融、廣成頌「隆穹盤囘、嵎峗──」
いりまじる。王襃、洞簫賦「絳脣──」
○まじへてぬひとる。竇融文「其峻潔而可味者、往往──其閒」○兩國の地形の入り雜れる喩。史記「秦韓之地、形如──」
いりまじりたる木のふし。後漢書、虞詡傳「不遇盤根──、何以别利器乎」
みだれそむく、たがひそむく。舊唐書、高祖紀「近代以來、多立寺舍、──隱匿、誘納姦邪」
うやまひ愼 ツツシ む貌。易、離卦「履──」
○いりまじる。○いろいろに組み合せる。易、繫辭「參伍以變、──其數」
○漢の王莽時代の貨幣の名、形刀に似、金泥にて節る。漢書、食貨志「──以黃金錯其文、一刀直五千」○ 俗 玉石を治むる具。=錯。
いりみだれてそばだつ。呂溫文「五色相宣、萬邦──」
まじへつらねる。王粲歌「劍弩──」=錯列。
あやまりみとめる。劉克莊詩「夢囘殘月在、──是天明」=誤認。
あやまりたがふ。漢書、董仲舒傳「陰陽──、氛氣充塞」=錯誤·乖繆。
あやまりたがふ。漢書、元帝紀「陰陽──、風雨不時」唐書、百官志「校書郞、掌校理典籍、刋正──」=錯繆·舛謬。
入りまじる。班固、西都賦「隨侯明月、──其閒」
○いりみだれる。孔安國、尙書序「──磨滅、勿可復知」○ちがひくるふ「精神──」
まじへてちりばむ。梁書、劉之遴傳「金銀──、古鐏二枚」
まじはりもとる。爾雅「赤楝」注「皮理──、好叢生山中」
入りまじりならぶ。魏都賦「均田畫疇、蕃廬──」=錯陳。
まじはりつづく。鹽鐵論「閣道──、足以游觀」
ことばをおく。文詩の字句をえらぶ。左思賦「蓋比物以──、述淸都之閑麗」=措辭。
シ [支]
○六銖(一說に六兩、又、八兩の重さ)○極めて小量の義とす「─銖」「─介」
極めて僅小をいふ。禮、儒行「儒有下上不臣天子、下不事諸侯、愼靜而尙寬、强毅以與人、雖分國如──」
少しの誤もなし。冊府元龜「唐陸贄貞元中、爲相、精於吏事、參酌裁斷、────」
少しの利益をかぞへる。白居易詩「時情變寒暑、世利───」=計較───。
シャウ [陽]
○くはし(精)○ 國 さび。金屬の腐蝕して生ずるもの。=銹。
①ジュン トン [眞]
②タイ [隊]
①鼓に和して鳴らす一種の樂器。周禮、封人「以金─和鼓」
②いしづき(鐏)矛 ホコ の柄の下端。
スヰ [支]
○きり、もんで小さき穴をあける大工道具。○はり(鍼)○きりの如く細小なるもの。○きりの如く細く尖れるもの、毛─は筆の異名。蘆─はあしの初生のもの。○とし(利)○金鏃箭羽の矢「─矢」
きりにてほる〔書苑〕
學を勉め睡氣を催ふせば、自ら錐にて股を刺したる故事。戰國秦策「蘇秦讀書欲睡、引錐自刺其股、血流至足」
金のやじりの矢。淮南、兵略「疾如──」
きりにて大地をさす、見識のせまき喩。莊、秋水「是直用管窺天、用錐指地、不亦小乎」
微力を以て大敵に敵するも、破ること能はざるに喩ふ。荀、議兵「以詐遇齊、譬之猶以錐刀墮泰山也」
わづかなる利益。左、昭六「────、將盡爭之」
錐股を見よ。
才智ある者が其の伎倆をあらはすに足る地位に置かれる喩。史、平原君傳「夫賢士之處世也、譬若錐之處囊中、其末立見」
①セキ·シャク [錫]
②シ [寘]
③セキ·シャク [陌]
①すず、鉛 ナマリ に似て稍堅く銀色を帶びたる金屬。○たまふ「優─」「犒─」詩、大雅「孝子不匱、永─爾類」(孝行の至、能く延きて旁人に及ぶ義)たまもの(賜)○しゃくぢゃう、道士·僧侣などの用ふる杖「巡─」「飛─」「挂─」○─蘭 セイロン は印度洋中の大島、印度半鳥の東南端に在り、氣候炎熱、佛教最も盛んなり、首都を科崙埠 コロンボ といふ。
②あたふ(予)=賜。
③質のこまかなるぬの(細布)
同訓異義
タマフ 錫·賜·貺·賫·給の别は賜(一八七四頁二段)の條を見よ。
錫杖 シヤクヂヤウ のひびき。許渾詩「──空山虎豹驚」
すずを鑄て人の形をつくる、古、以て葬に殉ぜしめたるもの〔顏氏家訓〕
錫杖のひびき、錫杖を見よ。
すずにて造りたるぜに。唐書、食貨志「河東──皆廢」
道士·僧侣などの杖。翻譯名義集「──由振時作錫錫聲也、亦名聲杖」=禪杖。
足をあたたむる器、ゆたんぽ。事物原始「──溫足甁也、俗名湯婆子」
さいはひをさづける。書、洪範「予攸好德、汝則錫之福」=錫祉。
命をたまふ、天帝又、君主より命令を蒙る。左、莊元「來錫桓公命」
字解を見よ。
たまもの。舊唐書、眞臘國傳「貞觀二年、與林邑國俱來朝獻、太宗嘉其陸海疲勞、──甚厚」=賜賚。
①セン [先]
②セン [銑]
①ぜに、かね、通貨「金─」「銅─」「銀─」「緡─」古、泉と通用す。○姓。─起は唐の詩人、大歷十才子の一人。─大昕は淸の嘉定の人、竹汀と號す、羣籍に通ず、著す所、潛硏堂集といふ。○はかり(衡)の名、兩の十分の一、其の制、宋より始まる。○ 國 貨幣の名。圓の百分の一。
②すき(銚)地を剗 ケツ りて草を除く具。詩、周頌「庤乃─鎛」
ぜに、通貨。漢書、食貨志「──六品」=錢刀·錢幣·泉貨。
ぜにざし。漢書、食貨志、注「緡、謂──也」
ぜにと穀物と。轉じて賦稅をいふ。史、陳丞相世家「問天下一歲──出入幾何」
ぜに、たから。莊、徐無鬼「──不積、則貪者憂」
金錢の力を神に喩へていふ。晉書、魯襃傳「傷時之貪鄙、乃隱姓名、而著──論、以剌之」
かねのなる木、妓女をいふ。樂府雜錄「許子和吉州永新倡家女也、開元末、選入宮、卽以永新名之、旣美且慧、善歌、能變新聲(中略)及卒謂其母曰、阿母───倒矣」
ぜに。刀も錢。卓文君、白頭吟「男兒重意氣、何用──爲=錢貨·錢幣。
國 ふろや、錢を取りて入浴させる湯屋。
縣の名、杭州府城の南に在り。もと秦の錢唐縣。唐は其の國號に同じきを以て士を加へて塘と爲す。
ぜにの鑄形 イカタ =錢范。
ぜにさし。韓琦詩「巧工近歲知衆寶、雜以假僞窺──」
ぜにの面の文字。後漢書、光武紀「──有金刀」
ぜに。漢書、食貨志「更造──以瞻用」=錢貨。
ぜにを愛するくせ。晉書、和嶠傳「和嶠家至富、性吝、雖一錢不敢與人、時人曰之──」
兩替店 リヤウガヘヤ =錢莊。
○りょうの一種。南史「梁元帝幸玄州苑、見大黑蛇盤屈於前、衆小龍遶之皆黑色、宮人曰、此非怪也、恐是──、乃取錢數千萬鎭之」○錢にてつくりたる龍。粧樓記「長安妓、上巳結錢爲龍、作──會」
①タン セン [覃]
②セン [鹽]
③エン [琰]
①ながき矛。
②とし、するどし(利)=銛。
③するどき刃、利刃「─戈」
するどきほこ。史、蘇秦傳「──在後」
①ツヰ [支]
②スヰ [寘]
通音スヰ
①はかりのおもり、ふんどう(稱權)「稱─」○八銖の重さ。又十二兩の重さの稱。
②金屬をきたへ成す器、鍛器。莊、大宗師「皆在爐─之閒耳」
テイ·チャウ テン [徑]
○たかつき、熟物 ニタルモノ を神に薦むる足のある祭器。○通貨の銀片「銀─」 國 ○ぢゃう、ぢゃうまへ(鎖)○平たくうすくのべたる藥「─劑 ヂヤウザイ 」
テツ [屑]
○馬の策耑 ムチノサキ につけたる鐵の針。○ 國 しころ(錏)
ヘイ [梗]
鉼は俗字
○おほばん、古の通貨。○金銀を餠 モチ の形に平たくのべたる板(鈑)「─金」○かま(釜)
ライ [隊]
○かんな(鉋)○ 國 もぢり。長き柄のさきに屈曲せる多くの針を植ゑたる武器。つくぼう、そでがらみ。
①ロク [沃]
②ロク [屋]
③リョ [御]
①しるす(記)記載する「登─」「詳─」「著─」「漫─」「輯─」公羊、隱十「春秋─內而略外」○うつす、かきぬく(鈔寫)「抄─」○かきしるせしもの、文書。「記─」○歷史「實─」○品物又、書物の題目をしるせしもの「目─」○あらはす、明かにする、表明する。○とる(采·取)○とりしまる、ただす(檢束)○とりまとめる、すべる(總領)○ついづ(次第)よはひす(齒序)○劍の名。=綠。
②──は凡庸なる貌。又、衆に隨從する貌。=碌碌。
③ゆるしかへりみる(寬省)
かきしるしてたくはへる。漢書、律歷志「叔孫通所撰、與律令同──於理官」
○記錄文簿をつかさどり善惡を舉彈する官の名。晉の時──參軍を置きしに始まる。職官要錄「總錄衆事」齊書、百官志「凡公督府置佐諸曹、有──記室」○昔人、妓を以て觴政を司らしむるを名つけて酒糾といひ、又──といふ〔老學庵筆記〕○ 國 軍法會議、又、宮中御歌所の屬官。
文書をうつししるす。=寫錄。
取調べて申し上げる。北齊書、孝昭帝紀「未蒙追贈者、亦皆──」
姓名を記したる帳簿。後漢書、李膺傳「景顧爲膺門徒、而未有──、故不及于譴」
罪狀を帳簿に記錄してたづねる。魏書、世宗紀「與王公卿士、親臨──」宋史、眞宗紀「──大辟罪人」
采 ト り用ふる。後漢書、袁紹傳「廣羅英雄、棄瑕──」=采取。
○凡庸なる貌。漢書、蕭何·曹參傳贊「當時──、未有奇節」○衆にしたがふ貌。史、平原君傳「公等──、所謂因人成事者也」=碌碌。
ワ [麻]
又、鐚に作る通音ア
しころ(頸鎧)かぶとの後方にたれて首筋をおほふもの「─鍜」
〔國字〕
かざり、金屬を用ひてかざる。又其の裝飾せし金物「─職」
〔國字〕
にえ、刀の燒きに雲形のあやの現はるるもの。又其のあや。
9畫
エフ セフ [葉]
いたがね。銅又鐵などを鎚鍊してうすき葉片とせしもの。
カ [麻]
鍛とは别
しころ(錏)頸鎧。
ガク [藥]
○は(刀刃)「劍─」○劍のきっさき(劍端)漢書、蕭望之傳「底厲鋒─」○刃のわき(刃旁)○はし、きは、はて(端厓)堮に通ず。西京賦「前後無有垠─」○──は高き貌。○ 國 つば。
鑑(金部十四畫)に同じ。
クゥ [歌]
なべ、釜 カマ の類「土─」「銀─」「茶─」
鹽を煎る民〔宋史、食貨志〕
汽機の一部、鍋中に水を盛り、爐中に煤を燃 モヤ し以て水蒸氣を發生し汽機をして運動するを得しむるもの。
クヮウ [陽]
○──·鎗─·鏗─は鐘鼓 カネタイコ の聲の形容。後漢書、馬融傳「──鎗鎗」○樂器の名。文心雕龍「林籟結響、調如竽瑟、泉石激韻、和若球─」○まさかり(鉞)○一種の兵器。劍に似て三刃、柄と共に三尺五寸、虎豹の皮を以て袋とす。
クヮウ [庚]
鏗─ カウクワウ は鐘鼓の相雜る聲。
クヮン ヱン [删]
○周代の貨幣のめかた、六兩の稱。○わ「銅─」=環。
ケツ ケイ [屑]
○きざむ(刻)荀、勸學「─而不舍、金石可鏤」○きる(斷)たつ(絕)○かま(鎌)形鉤の如く、穀を刈るに用ふ。○むごし(刻酷·慘酷)
○錢をけづりて薄くする。後漢書、劉陶傳「願寬──之禁」○むごくする。唐書、魏徵傳「道德之旨未弘、而──之風先搖」=刻薄·慘酷。
ケン [阮]
○かぎ(籥牡·鑰)開閉のしまりをする爲め、じゃうにさしこむ金物「扃─」「關─」「管─」禮、月令「修─閉」閉は鎖筒 ジヤウ ○かなへのみみわ(鉉)鼎を擧ぐる所以の者。=扃。○くさび(車轄)爾雅序「六藝之鈐─」
風琴·洋琴 ビヤノ などの前部に排列する黑白の小盤、高低の音を發するもの。色の白きを白鍵といひ、黑きを黑鍵といふ。
コ [虞]
黍稷を盛る祭器。瑚に通ず。
コウ [尤]
○や(矢)金鏃翦羽の矢。○やじり(鏃)
かねのやじりをつけたる矢〔周禮、矢人、注〕
サフ [洽]
?は俗字
○すき(鍬)地につきさして土を起す農具「畚─」「利─」「荷─」史、河渠書「擧─如雲、決渠爲雨」又、臿·插に作る。○はり(鍼)
錙(金部八畫)の本字。
シン [侵]
又、箴·針に作る
○はり、ぬひばり、衣を縫ふ針「縫─」「鐵─」左、成二「執─織紝」註「執─女工之縫綴者也」○病を治 ナホ すはり。又其の術「─術」○さす、はりさす(刺)○人名。詩、秦風「子車─虎」
やまひを治療するはりと、もぐさと。轉じて箴戒 イマシメ の義とす。袁淑文「以往古爲鏡鑒、以未來爲──」
磁石は能く鐵の鍼を引き、琥珀は能く芥 チリ を拾ふ。よりて人の情性投合するを──相投といふ。王彧詩「──人身豈易投」
針灸(二○三三頁四段)に同じ。
裁縫にすぐれたる人の稱。拾遺記「魏文帝所愛美人薛靈芸、帝改名曰夜來、妙於鍼工、雖處深帷之內、不用燈燭、裁製立成、宮中稱爲──」
たちぬひ、裁縫、又其の人。拾遺記「妙於──」
女工をいふ。楊奐詩「十三巧──、十四婉步趨」=鍼黹。
針術(二○三三頁四段)に同じ。
はりと、きりと。論衡「──所穿、無不暢達」
○はりと、いとと。刺繡に用ふる所の者。喬知之詩「曲房理──」杜甫詩「裁縫滅盡──跡」=針線。○事物の頭緒及び條理に喩ふ。本草綱目に萬方──あり、諸病を以て門を分ち、詳かに治する所の藥を列す、蓋し檢查便利にして、鍼に因りて線を引くが如く、百病千方手に應じて之を得るの意。
鍼術にて病を療治する。
針黹(二○三三頁四段)に同じ。女工をいふ。
はりのさき。唐書、沙陀傳「馳射百步外、──木葉無不中」
磁石盤。瑯琊代醉編「術家──、用水浮鍼、視其所指、以定南北」=羅鍼盤。
はらにはりをさす。自由を得しめざるに喩ふ。唐書、吳武陵傳「徐壓其首、梁薄其翼、魏斮其脛、滑鍼其腹」
○肌膚にさして痛を治するかねの針と、いしばりと。又其の術。漢書、藝文志「周度箴石」注「箴所以刺病也、石謂砭石、卽箴石也、古者攻病則有砭、今其術絕矣」○轉じて箴戒 イマシメ の義に用ふ。范成大詩「時時苦語見──」=針砭·箴砭。
はりのさき。微細に喩ふ。涅槃經「尖頭──、受無量衆」
はりのさき。淮南子「離朱之明、察──於百步之外」
はりと、いとすぢと。說苑「順──者成帷幕」
針路(二○三三頁四段)に同じ。
シャ シ [麻]
こぼこ(短矛)
ショウ [冬]
○あつむ「─美」あつまる(聚)○壺の屬、酒を貯へる大器。孔叢子「堯舜千─」○さかづき(酒器)○あたふ(予)天の賦予する所。杜甫、望嶽詩「造化─神秀」○あたる(當)○かさぬ(重)○古の量 マスメ の名。支那の六斛四斗、又、八斛、又、十斛。○つりがね。古、鐘に通ず。○龍─は竹の一種。又、淚を垂ねる貌。又、老いぼれる貌。=躘踵。
同訓異義
アツマル 鍾·聚·集·纂·輯·萃·輳·醵·攢·屯の别は聚(一五四九頁三段)の條を見よ。
めでいつくしむ心を一人にあつめる、非常に愛する。南史、江總傳「特所──」
三國の魏の人、字は元常、胡昭と竝に劉德升を師とし草書を學ぶ、繇の書「飛鴻戲海、舞鶴游天」が若しと稱す、世に胡肥鍾瘦の目あり。
疫病惡魔を驅る神、巨眼多髯にして、黑き衣冠を著け、拔劍して小鬼を捽する像に描く、唐の明皇(玄宗)が夢中に見る所、吳道子をして其の像を畫かしめしに始まるといふ。五代史「獻──擧鬼圖」(一說に──は考工記の終葵に同じく由來する所久しと)
○今の江蘇省江寧縣の東北に在り、俗に紫金山と稱す、諸葛亮の──龍蟠と稱せしもの是れなり、吳の孫權、其の祖の諱を避けて蔣山と改む、宋代復 マタ ──と名づく。○昆崙の别名。淮南子「譬若──之玉」
春秋時代の楚の人。伯牙の彈琴を聽きて其の妙趣を解し得たりといふ。列、湯問「伯牙鼔琴、志在高山、子期曰、善哉峨峨兮如泰山、志在流水、子期曰、善哉洋洋兮若江河、伯牙所念、子期必得之」
あつむ。釋名「─、─也、上體之所──也」
鍾繇と張芝と、皆善書を以て名あり〔張懷瓘書估〕
方解石が石灰洞內にて冰柱の如く垂下せしもの、つららいし。=鐘乳石·石鍾乳。
あつくいつくしみおもふ。唐書、張薦傳「希烈之母、──幼子、目不絕泣」
うつくしきをあつむ。左、昭二八「子貉早死無後、而天──于是」
六斛四斗の量と六斗の量と、少しばかりの粟 モミ の義。任昉詩「──之秩、散之故舊」
至りてあはれみいつくしむ。范鎭文「生而甚慧、朕所──」
魏の鍾繇と、晉の王羲之と、共に名高き能書家。蘇軾題跋「嘗論──之跡、蕭散簡遠、妙在筆墨之外」
セゥ [蕭]
又、鍫に作る
○すき(鍤)○ 國 くは(鎒)土を掘り起す農具。
すきくは。指月鈔「大衆各備──剗草」
鍬(前條)に同じ。
ソウ [東]
馬頭につくる冠。蔡邕獨斷「金─者馬冠」
タン [翰]
鍜とは别
○きたふ、金屬の質を精鍊する爲めにうちたたく「─冶」「─鍊」晉書、嵇康傳「康好─、每於柳樹下─」○ねる、物事に熟達せしむる。○あらふ(濯)○ほじし(脯)「─脩」=腶。○といし(厲石)
よろひをきたへつくる。史、主父偃傳「今天下──砥劍、矯箭累弦、轉輪運糧、未見休時」
金鐵をきたへる。後漢書、烏桓傳「男子能作弓矢鞍勒、──鐵爲兵器」
○といし(厲石)○石灰〔本草〕
うちきたへし鐵。=鍊鐵。
金屬をきたへて器物を造る。又其の工人、かぬち、かぢ。
○きたへねる。方干詩「文章──猶相似、年齒參差不較多」○轉じて酷吏が色色に構成して人を罪におとす。漢書、路溫舒傳「上奏畏卻、則──而周內之」註「精熟周悉、致之法中也」
チン [侵]
だい、まくらぎ、木を斫る質 ダイ
①テイ [齊]
②シ [支]
③テキ [錫]
①きっさき、ほこさき(鋒)○誓をする時、血を歃 スス る器。
②かぎ(鑰)「鑰─」○さじ(飯匕)=匙。
③やじり(鏃)漢書、項籍傳「銷鋒─」=鏑。
ト [遇]
めっき(滅金)金銀などをとかして物の面にながし著ける。又、其のめっきせしもの。
めっき。極めて簿き黄金を以て銀·銅などの諸器の上に加へかぶせる。李紳詩「假金方用眞金鍍、若是眞金不──」
ぎんめっき。
トウ [尤]
通音チュウ
○─石は自然銅の精しきもの、色黃金の如く、之を燒けば赤くして黑からず。○眞─ シンチユウ は銅十に亞鉛 トタン 三を合せたる金屬。=黃銅。
フウ フク [宥]
口のすぼめる大釜。漢書、匈奴傳、注「─音富、釜之大者也」(一說に大口の釜)
べゥ [蕭]
いかり。鐵にて造り水中に投じて船を止 トド むる具「投─」「拔─」
ボウ [尤]
○かぶと(兜·首鎧)かぶとの鉢「兜─」○かんむりまき(冠卷)
鋣(金部七畫)に同じ。
ヤゥ [陽]
○馬の額の飾とする金具。詩、大雅「鉤膺鏤─」○たてかざり、盾の背後の金の飾。禮、郊特牲「朱干設─、諸侯之僭禮也」
レン [霰]
煉·練と混用す
○ねる(冶金)銅鐵を煎り冶 トカ して精熟せしむ「精─」「鍛─」皇極經世「金百─然後精、人亦如此」○ねりあげたる金屬。○精金。○ねれる(精熟)すべて事物の精熟せるもの「─句」「修─」「─丹」○轉じて酷吏が巧に構成して人を罪に入れるを鍛─といふ。漢書、路溫舒傳「鍛─而周内之」
ねりたるはがね。傅休奕、鬭雞賦「爪似──、目如奔星」
道家にて氣をねる法。五代史、豆盧革傳「服丹砂──以求長生」
句をねりて其の工穩を求める。陸游詩「──未安姑棄置」
體を鍊りて健全ならしめる道家の術。神仙傳「仙家有太陰──之法」
道士の美稱。孔帖「道士修行、德高思精者、謂之──」
ねりてとかす。七命「楚之陽劍、歐冶所營、乃鍊乃鑠」
古、天、西北に足らず、女媧氏五色の石を鍊りて以て之を補ふ〔列子·淮南子〕
道家にて丹藥卽ち長生不死のくすりをねる義。又其のねりし丹藥。晉書、葛洪傳「從祖玄、吳時學道得仙、號曰葛仙公、以其──祕術授弟子鄭隱」=鍊藥·煉丹。
ねりきたへしてつ。=鍛鐵。
颶風の前に吹くかぜ。嶺南志「颶風將發、有微風細雨、先緩後急、謂之──」
ねりみがく、深く道藝をねり精熟する。=練磨·硏磨。
くすりをねり合はす。又、其の藥。李白詩「粲然啓玉齒、授以──說」=煉丹。
10畫
イツ [質]
金貨の目方の名、二十四兩、一說に三十兩、又、二十兩。萬─は極めて多額の黃金の義。晉語「黃金四十─」
エイ ヤゥ [徑]
○金器を磨きて光澤を生ぜしむる器。○みがく(磨)かざる(飾)
カイ [賄]
通音ガイ
○よろひ。戰場に被る衣、皮製のを甲、金屬製のを─といふ。管子、地數「爲劍─」○よろふ、よろひを衣る。○ 佛 忍辱─は袈裟の異名。
よろひ。吳志、諸葛恪傳「解置──不持矛戟」
よろひと、ほこと。杜甫詩「蜀將分旗鼓、羌兵助──」
よろひと、かぶとと。唐書、吐蕃傳「其──精良」=甲胄。
よろひと武器と。晉書、祖逖傳「不給──、使自招募」=甲兵。
武裝したる馬。晉書、王浚傳「──二百五十匹」=鐵馬·帶甲馬。
カゥ [皓]
○なべ、物を溫める鍋。○周の武王の都の名。今の陜西省西安府の地。鄗に通ず。○──は光りかがやく貌。何晏、景福殿賦「故其華表則──鑠鑠」○ 國 しのぎ。刀身の兩側に隆 タカ く通ずる筋「─を削る」(はげしく斬り合ふ義)
カツ [黠]
○くさび(車轄)車の輪を軸にとめる金物。=轄。○─は能く車を制するによりて、轉じて物事のしめくくりの義「桎─」
ケツ [屑]
○きざむ(鐫刻)金銀珠玉を刻みて飾とする。淮南、本經「─金玉」○かま。=鍥。
サ [哿]
又、鏁に作る、鎻は俗字
○くさり、金屬の鐶 ヮ を多く連ねて索狀にせしもの「連─」○かけがね、ぢゃう、開閉のしまりをする金物。說文「鐵─、門鍵也」○轉じて事物の要處の義とす「─鑰」○とづ、とざす、しめる(掩閉)「封─」「閉─」宋史「緘─甚謹」○くさりにてつなぎ、自由を得しめざるもの、罪人の頭にはめる鐵のなは「枷─」○チエーン英語(Chain)のあて字。一マイルの八十分の一、我が十一閒三寸八分餘。
同訓異義
トツ 鎖·閉·闔·杜·閟·關の别は閉(二○七七頁三段)の條を見よ。
くさりを連ねて作りたるよろひ、くさりかたびら。曹植文「──一領」=鎖甲。
國 みなとをとざして外國と通商貿易するを許さず。
くさり。洛陽伽藍記「以銀爲槽、金爲──」
國 國をとざし外國と交際せず「──攘夷」
肩を構成するほね。前は胸骨に接し後は肩胛骨に接す。=琵琶骨。
連鎖 クサリ の文 アヤ を刻めるまど。杜牧詩「多下珠簾閉──」=瑣窗。
かぎ。通鑑、晉明帝紀、注「鑰、關牡也、今謂之──」=鎖鑰。
うれへをとざす。陸游詩「千尋鐵鎖還堪恨、空鎖長江不──」
國 鎖國攘夷の略。國をとざして外國人を追ひ拂ふ。
○ぢゃうと、かぎと。門戶のしまり。韓愈詩「洞門無──、俗客不曾來」○出入の要處の義。宋史、寇準傳「北門──、非準不可」
サイ サツ セツ [卦]
○つるぎ。鐔 ツバ のある鈹 ツルギ ○ほこ、長き矛 ホコ 賈誼、過秦論「非銛於句戟長─也」○そこなふ(殘)顏延之詩「鸞翮有時─」
サゥ [庚]
○なべ(鐺)三足あるなべ。○鏘(金部十一畫)に同じ。鏗─ カウサウ は金石の聲。史、樂書「君子之聽音、非聽其鏗─而已」○長─は米の異名。李賀詩「長─江米熟」○俗に借りて刀槍の槍 ヤリ とす。○銃 ツツ 「火─」
鐘鼓の聲。枚乘賦「──啾喞」
鐘の聲。後漢書、馬融傳「鍠鍠──」=錚鎗。
シ ジ [支]
基 ジキ はくは、田を鋤 ス く農具、耒耜の屬、基は錤の借字にて鋤。孟、公孫丑「雖有─基不如待時」=玆基·鎡錤。
へ ニシカズ 鎡基は田器、時は耕種の時、如何なる利器を抱くも、時勢の來るを待たざれば、功を成すこと能はざる喩。雖有智慧(八七一頁四段)を見よ。
①チン [震]
②チン [眞]
③テン [先]
①しづむ、おす(壓)重きものにて上からおしつける。○おさふ(按)○やすんず(安)撫ナで安んずる。○とどむ(止)○しづまる、をさまる。○おさへ、おし、おもし(重)又、其のもの。○一地方のおさへとなりて守備安撫に任ずるもの「─臺」「藩─」「雄─」「重─」○一州のしづめとなる大山。周禮、夏官「其山─曰會稽」○市集の大いなるもの、人口五萬以上ある巿「漢口─」「景德─」○とこしなへに(長)陳と音通にて久しき義、詩に多く用ふ。○常の字の義と略~同じ、六朝の人の詩に每に用ふ、唐詩には尤も多し。褚亮詩「莫言春稍晚、自有─花開」
②まもる(戍)○寶器「玉─」
③ふさぐ。ふさがる。=塡。
しづめとどめる。北史、薛孝通傳「須預計──以爲後計」=鎭止。
しづめおさへる。晉書、唐彬傳「諸軍已至足以──内外、願無以爲慮」
しづめやすんずる。宋史、呂公著傳「任老成、──百姓、周知百度、無如陳堯佐者」=鎭定。
しづめなぐさむ。後漢書、光武紀「──州郡」
しづめまもる。晉書、孝武紀「──山陵」唐書、劉蕡傳「勇不足以──社稷、而暴足以侵害閭里」=鎭守。
しづめおさへる。後漢書、仲長統傳「當君子困賤之時、跼高天蹐厚地、猶恐有──之禍也」
しづめまもる。宋書、劉勔傳「持節領軍、置佐史、──石頭」
しづめをさむ。晉書「──有方、得將士死力」
しづめふせぐ。賈至文「或謀府冲深、才膺──」=綏禦。
しづめて、據りまもる。吳志、宗室傳「諸孫、或贊興初業、或──邊陲」
帝王の執るたま、四鎭の山の象を以て緣飾とす、四方を安定する義に取る。周禮、玉人「──尺有二寸、天子守之」
國家をしづめ定める。亢倉子「賢可以──、亦可以理國」
國 神靈が其の地に鎭まりまします。
けさん〔徐氏筆精〕=卦算·文鎭。
しづめる。易經、疏「直置一山、已能──」
ぶんちん。文具の一、銅鐵玉石竹等にてつくる、或は禽獸鱗介の形に肖せ、以て紙をしづめて動かざらしむ。=書鎭。
ちかきをしづめる。陸機文「柔遠──」
ふだん、常日、畫閒のながき日をいふ。朱熹詩「──空掩門」=常日。
心をしづめて安寧ならしめる。南史、鄭灼傳「常疏食講授、多苦心熱、若瓜時、輒偃臥、以瓜──、起便讀誦」
○しづめまもる。後漢書、伏湛傳「帝以湛才任宰相、拜爲司直、行大司徒事、車駕每出征伐常畱──、總攝羣司」 國 ○ チンシユ 土地の守護神、うぶすなの神。○寺院のまもり神。
國 ○古、奥羽地方をしづめ守るために設けし軍營。○各軍港に置きて其の海軍區を管轄せしむる府。
國境をしづめまもる。吳志、陸凱傳「夏口要衝、宜選名將、以──之」
しづめやすんず。晉書、劉弘傳「恢宏奥略、──南海」=鎭安·鎭撫。
○新疆省內の縣名。○ 國 九州の古名。元明天皇の和銅十四年、筑紫に──府を置きしに由る〔續日本紀〕
しづまりてしづか。晉書、高嵩傳「吾闇弱、德信不著、不能──羣庶、保固維城」=綏靜。
しづめをさむ。魏志、注「司馬懿所督、皆爲僚屬、名位不殊、素無定分、卒有變急、不相──」
しづめやすんずる。宋書、臨川王道規傳「貞潔純素、潛居硏志、耽情墳籍、亦足──頽競、奬勗浮動」
國 一地方をしづめ守るために置く兵隊。又、其の陣營。今の師團の舊稱。
賊をおさへうつ。魏志、裴潛傳「太祖欲授濳精兵、以──之」
家內安全の祈禱の札、鎭宅靈府は北方を守る神にて龜蛇の象を爲すもの。墨池瑣錄「張東海、名曰能草書、左右纏繞如───篆」
しづめさだめる。=平定·安定·綏定。
しづめすべる。魏志、徐宣傳「今當遠征、而此方未定、宜得淸公大德、以──之乃以宣爲左護軍、畱統諸軍」
しづめ安んずる。左、文十二「──其社稷」
くにざかひをしづめる。舊唐書、盧祖尙傳「卿有安邊之略、爲我──、勿以道遠爲辭」=安邊·綏邊。
鎭(前條)の俗字。
①ツヰ [支]
②タイ [灰]
①おもり(錘)權 ハカリノオモリ なり。○かなづち(金槌)抱朴子「以鐵─鍛、其數千下」○かなづちにて擊つ。古琴疏「以鐵如意─琴而破之」
②きたふ(鍛)
つちと、のみと。西軒客談「每戍鼓鼕鼕而起、乃急施──、以混其聲」
かなづちにてうちころす。金史、宗室亨傳「吾能以──之」
①ドウ [宥]
②カゥ [豪]
①くさぎる、草を除く。=耨。
②くは、田草を除く農具「銚─」○くさぎる。
田草をくさぎりのぞく。淮南、說山「治國者若──、去害苗者而已」
ハク [藥]
○小さき鐘。○すき、くは(田器)鎒の類。○鐘を懸ける橫木。又、其の横木の金華 カネノカザリ
ヘイ [齊]
○くし(櫛)杜甫詩「短髮不勝─」俗に篦に作る。○かねべら、箭鏃 ヤジリ に似たる小刀。涅槃經「有盲人詣醫、醫卽以金─刮其眼膜、使復明」
ヨウ [冬]
○いる(鑄)○いがた(鑄型)漢書、董仲舒傳「上之化下、下之從上、猶金之在─、惟冶者所爲」○とく、とける(銷)金屬が熱せられてとける。
金屬をとかす。又とける。
とかしたるしろがね。劉禹錫詩「層波萬頃如──」
とく。とかす。宋史、趙安易傳「募工鑄大錢百餘進之、極其精好、俄墜殿階皆碎、蓋──盡其精液矣」
金屬をいりとかす。轉じて物事をつくり成す義とす。杜弼文「可以──性靈弘風教」
ぜにをいつぶす。隋書、食貨志「私家多──」
とかしまぜる。
レン [鹽]
又、鐮に作る
かま(鍥)草を刈る彎狀の刃もの「利─」韓愈詩「晴雲如擘絮、新月似磨─」
かまの刃先 ハサキ 春渚紀聞「鎌取馬草歸、──透成金色、或以草然」
國 鎌倉の雅名、源賴朝霸府を此地に創めし故。
かまの如くするどし。黃庭堅文「學此書、好作芒角──」
〔國字〕
かすがひ(銯)兩材を接合せしむる爲めに打ちつける二脚の釘。
11畫
アゥ オウ [豪]
○みなごろし、盡く人を殺す、苦戰して多く殺す。○かまびすし(諠譁)黃庭堅詩「巿聲─午枕」
○俗語にて鏖殺の義。漢書、霍去病傳、註「世俗謂盡死殺人曰──」○俗語にて不潔猥宂の義、齷齪の轉音か。書言故事「俗言齷齪──鄙俚、東坡戲程頤曰、頤可謂──鄙俚叔孫通、聞者笑之」一解に執拗にして氣を生ずるをいふ〔吳下方言考〕
みなごろしにす。
アウ セン []
敵をみなごろしにするまで大いに戰ふ。唐書、王翃傳「引兵三千、與賊──」
カゥ [庚]
○金石の鳴る聲。禮、樂記「鐘聲─」○琴の聲。○つく(撞擊)楚辭、招魂「─鐘搖簴」○彭─は古の仙人。彭祖、─は其の名、姓は籛。
○鏗戛に同じ。禮、樂記、疏「金鐘の聲、──然」○言語の明確なる形容。後漢書、楊政傳「說經──楊子行」
金石又は琴などの聲、戛は轢 スル =鏗鏘。
鏗戛に同じ。白居易詩「繁音急節十二遍、跳珠撼玉何──」
鏗戛に同じ。漢書、刑法志「──鼓舞」註「──、金石之聲」
鏗戛に同じ。禮記「君子之聽音、非聽其──而已也」=鏗鎗。
鏗戛に同じ。論、先進「鼔琴希、──舍瑟而作」
つりがねをつく。楚辭「──搖簴楔梓瑟些」
鏗戛に同じ。鏗鏗を見よ。
ガゥ·ゴウ ゲゥ [號]
やきなべ、食物をいり燒にする器。
ケイ キャウ [敬]
○かがみ(鑑)銅、又玻璃にて作る、物の形をうつし見る具「明─」「銅─」「粧─」「磨─」漢書、韓安國傳「淸水明─、不可以形逃」○てらす(照)○あきらかにす(明)○かんがみる(鑑)明かに察する。漢書、韓安國傳「明─聖法」○めがね。○てほん、模範。○破─は父を食ふといふ獸の名。=破獍。
かがみにうつるかげ。開天遺事「宋璟未第時、於日中覽鏡、──忽成相字」
かんがみいましむ。明かなるいましめ。後漢書、寇恂傳「以前人爲──」=鑑戒·鏡鑒。
他の事を借りてかんがみる。漢書、谷永傳「願陛下追觀夏商周秦所以失之、以──己行、有不合者、臣當伏妄言之失」
かがみばこ。急就篇「──盛鏡之器」=鏡奩。
○かがみ。袁淑文「以往古爲──、以未來爲鍼艾」○てほん。=龜鑑。
かがみいは、鑛物の一種、其の面光りて鑑すべきもの。
かがみにうつりたるはな。庾信詩「日光釵燄動、窗影──搖」
かがみに映りたる花と、水に映りたる月と。目に見ゆるも捕捉し難し、よりて詩歌などの言語を超絕したる妙趣に喩ふ。詩家直說「詩有可解不可解若────、勿泥其迹可也」鏡裏參看。
かがみの如きひかり。唐太宗詩「魄滿桂枝圓、輪虧──缺」
かがみの如く淸くすむ。水經、注「其水澄佇、──而不流」=鏡淸。
かがみの如くすみてしづかなる水。國史補「凡造物由水土、故江東宜紗綾紙者、──之故也」
鏡淨に同じ。蘇軾詩「道人胸中水──、萬象起滅無逃形」
かがみのだい、かがみたて。北史、齊幼主紀「──直千金」
かがみを以て殿壁とする。北史、齊幼主紀「其嬪嬙諸院中、起──·寶殿·玳瑁殿」
○麥と米とをまぜて鏡形に作りしもち〔對類大全〕○ 國 カガミモチ 圓く中高にしたる餅。神にそなへ、又、正月の儀式の飾り物とする、おそなへ。
かがみのめい。玉海「王仁裕進廻文金──」
かがみのおもて。洞天淸錄「久用則鋒乏、光如──、不堪用」
かがみのうち、かがみに物の映ずる所。證道歌「──看形見不難、水中捉月爭拈得」=鏡中。
かがみばこ。後漢書、陰皇后紀「視太后──中物、感動悲涕」=鏡匣。
前條に同じ。急就篇「──疏比、各異工」注「──盛鏡之器、若今之鏡匣也」
サ [哿]
くさり、ぢゃう。=鎖。
サイ [灰]
○まじる(錯)○雜りて文采ある貌。郭璞、江賦「鱗甲─錯」
サン セン [感]
○のみ(小鑿)たがね、金石に書畫をほりつける小さきのみ。○石にゑる(鐫)
シャウ サゥ [陽]
○──は高き貌。又、音樂の聲。玉の聲。○玉又は鈴などの鳴るこゑ「鏗─」
○金石の聲。又、音樂の聲。又、鈴の聲。詩、大雅「八鸞──」=鏘然。○高き貌。後漢書、張衡傳「踰高閣之──」
金石の聲。=鏘鏘。
サン [潸]
○かんな(鉋)木を平かにけづる鐵器。○草を除く器。○けづる。木華、海賦「─臨崖之阜陸」=剗。○そこなひけづる(捐削)○うむ。鮑照賦「─利銅山」=產。○─幣は古の幣名。
銹(金部七畫)に同じ。
ショウ サゥ·ソウ [冬]
○ほこ(矛)小さき矟 ホコ ○つきさす、矛にてつきさす(撞刺)○─錚 サウサウ は金屬の鳴る聲。歐陽修、秋聲賦「鏦鏦錚錚、金鐵皆鳴」
セキ [錫]
をの(斧)まさかり「─柲」=戚。
①セン [霰]
②セン [先]
①くるくると軸を轉じて物を裁 キ る器。
②ろくろ(轆轤)旋盤。囘轉軸に物を取りつけて圓形の器を造る機械。
セン [琰]
── センセン は銳進する貎。太玄經「銳──」又、火炎のもえ上る アガ 貌。太玄經「挫厥──」
ソク ゾク ソウ [屋]
やじり、矢の根。賈誼、過秦論「秦無亡矢遺─之費」=箭頭·矢鏑。
學を修め、智を硏きて有用の器となる喩。家語「子路曰、南山有竹不揉自直、斬而用之、達乎犀甲、如此言之、何學之有、孔子曰、括而羽之、鏃而礪之、其入之不亦深乎」
タゥ [陽]
鐘鼓の聲。詩、邶風「擊鼓其─」傳「─然、擊鼓聲也」
鼓をうつ聲の形容。字解參看。
○鐘鼓の聲。虞世基、講武賦「曳虹旗之正正、振蘷鼓之──」=鏜然。○泛 ヒロ く大聲の形容。五代史「磊磊其事、──其聲」
○波濤·瀑布などすべて大いなる聲の形容。蘇軾、石鐘山記「窽坎──者、魏獻子之歌鐘也」○鐘鼓の盛んなる聲。入蜀記「旗幟精明、金鼓──」
テキ [錫]
○やじり(鏃·矢鋒)○かぶらや。矢の先に蕪 カブラ の球根に似たる中空の球をつけ、其の先に雁股 カリマタ をつけたる矢。之を發すれば鳴る「鳴─」「飛─」「鋒─」匈奴傳「作爲鳴─」=鳴箭。
バク [藥]
─鋣 バクヤ は古の吳國の人の名。又其の作りし名劍の名。說苑「干將──、此至利也」=莫邪·鏌邪·鏌鎁·鏌釾。
ヘゥ [蕭]
○こじり、刀の鞘 サヤ の下端に在るかざりの金物。○しゅりけん、遠方よりなげつけて人を殺傷するに用ふる兵器。=鑣。
鉧(金部五畫)に同じ。
鈷─ コボ はひのし。=鈷鉧。
ホウ [冬]
又、鋒に作る
○ほこさき、きっさき(兵耑)史、東方朔傳「變詐─岀、莫能窮者」○旗の名。
ボウ [尤]
かぶと(首鎧)「兜─」鍪(金部九畫)の訛字。
マン [寒]
又、墁に作る、?は俗字
こて(鐵杇)壁をぬる具「操─」「泥─」=杇。
ほこの一種。揚子方言「戟而無刃、東齊秦晉之閒、謂其大者曰──」
ヨウ [冬]
おほがね(大鐘)書、益稷「笙─以閒」=庸。
リゥ キゥ [尤]
黄金の美なる者、卽ち紫磨金。
レン [先]
○くさり(鎖)○なまりのあらがね(鉛礦)鉛の未だ精煉せざるもの、通じて連に作る。史、貨殖傳「江南岀金錫連」註「鉛未煉者」
くさりにてつなぐ。
くさり。=連鎖。
①ロウ·ル [宥]
②ル [虞]
①ちりばむ、ゑる、金屬又は木などに種種の模樣をほりつける「─刻」「彫─」禮記「管仲─簋朱絃」○ひらく、とほす(疏通)漢書、司馬相如傳「─靈山」○はがね(剛鐵)
②屬─は劍の名。史、吳太伯世家「賜子胥屬─之劍」
象牙をちりばめたるふたもの。
巧に構へたる文句。又、巧に句を構へる。元稹文「雕詞──」
ほりきざめる美くしきひさし。晉書「玄棟──、若騰虹之揚眉」
極めて巧なる細工 サイク に喩ふ。李義府詩「鏤月爲歌扇、裁雲作舞衣」
ゑりきざむ。爾雅「金謂之鏤、木謂之刻」
ちりばめいろどる。庾信詩「交絲結龍鳯、──織雲霞」
山を開きて道を通ずる。漢書、司馬相如傳「鏤靈山」
三月三日の雛人形〔文昌雜錄〕
はだにほりものする。左思賦「雕題之士、──之卒」=文身·鏤膚。
ちりにきざむ。不可能の事、以て勞して功なきに喩ふ。關尹子「言之如吹影、思之如──」
板木に文字などをほる。板は版に通ず。宋史、眞宗紀「召近臣於龍圖閣、觀御製文詞、宰臣請──宣布」=鋟版。
こほりにちりばむ。勞して功なきに喩ふ。鹽鐵論「內無其實而外學其文、若畫脂──、徒費日工耳」
いれずみ、肌膚を刺して、丹靑を涅するをいふ。左思、魏都賦「或魋結而左言、或──而鑽髮」=文身。
12畫
キャウ [養]
○ぜにさし(錢貫)左思、蜀都賦「藏─巨萬」○ 俗 白─は銀錢。
ケツ [屑]
○かけがね(紐)ぢゃう(鎖)莊、胠篋「固扃─」○轉じて樞要の義「─鑰」○舌ある環。=觼。○日旁の氛氣。
シウ シュク [宥]
さび、鐵の上の衣。=銹。
さびてざらざらする。李綱詩「鐵花──蒼蘚痕」
シン·ジン タン [侵]
○劍のつかがしら、つるぎのわがね(劍珥)つば(劍口)刀劍の身とつかとの界にはめて手を保護するわがね「劍─」○兵器の一、劍に似て小なるもの。漢書、韓延壽傳「鑄作刀劍鉤─」
ショウ [冬]
古、鍾と通用す
○かね、つりがね「─鼓」○時を報ずるかね「點─」「午─」「晨─」「晚─」○黃─は陰曆の十二月。夾─は二月。林─は六月。應─は十月の律の名。轉じて各其の月の異名とす。
敎の義理をとり違へて悟るに喩ふ。蘇軾、日喩「生而眇者不識日、問之有目者、或吿之曰、日之狀如銅槃、扣槃而得其聲、他日聞鐘以爲日也」
つりがねと磬と。史、平原君傳「民困兵盡、或剡木爲矛矢、而君器物──自若」
かねと、つづみと。詩、周南「──樂之」
音樂のたのしみ。賈誼文「乏────、勿爲可也」
かねの聲と笙のふえの聲と。周禮「凡祭祀鄕射共其──之樂、燕樂亦如之」
つりがねの聲。禮、樂記「君子聽──、則思武臣」
つりがねと、おほすずと。拾遺記「?澤出精銅、可爲──」
かねと、かなへと。魏志、鍾繇傳、注「以功德、勒名──」=鼎鐘。
時を報ずるかねが鳴りて水時計の水が盡きる、殘年の幾何もなき喩。魏志、田豫傳「年過七十而以居位、譬猶────而夜行不休、是罪人也」
大いなるつりがねと、小さきつりがねと。薛曜詩「──陶匏聲殷地」
俗 時計「──匠」「──鋪」
つりがねのめい。金石錄「天寶三載、明皇撰眞源觀──」
鐘をならして家人をあつめ、鼎 カナヘ を竝べて食ふ。富貴の人の生活をいふ。王勃、滕王閣序「────之家」=擊鐘鼎食〔張衡賦〕
かねつきだぅ、つりがねをかける樓。戴復古詩「老僧相對倚──」
セゥ [蕭]
○なべ。○銚に似て物を溫むる器、刁斗の類「─斗」
ソン サン [願]
いしづき。槍·矛等の柄の下端にはめたる圓錐形の金具(平かなるを鐓といふ)
タイ タン トン [隊]
いしづき、矛などの下端にはめたる平底の金具。鐏(前條)參看。
①ダゥ·ネゥ [肴]
②ダゥ [效]
①ぢんがね、どら(小鉦)陣中にて用ふる小さき銅鑼 ドラ ○奏樂に用ふるねぅばち「─鈸」○さわがし。譊に通ず。
②たわむ。莊、天道「萬物無足以─心者」=撓。
○軍樂。漢鐃歌十八曲あり。○かねを鳴らしうたふ。李白詩「──列騎吹、颯沓引公卿」=鐃吹。
ねぅはちと、ふえと。梁元帝詩「山虛和──、水靜瀉樓船」
軍樂。梁簡文詩「──雜還風」=鐃歌·鼓吹曲。
佛 樂器の名。銅にて作り、形鉢の如く、兩手に一面づつ持ち、相觸れしめて鳴らす。僧史略「初集鳴──、唱佛歌讚」=銅鈸。
①トウ [徑]
②トウ [蒸]
①あぶみ。馬具の一、馬腹の兩側につるして乘者の足をかけるもの「鞍─」
②ひともしざら。○轉じてともしび。白居易詩「蘆荻花中一點─」=燈。○やきもののたかつき(瓦登)「瓦─」=登。
ハツ [曷]
○かま(鎌)兩刃にて木の柄をすげたる鎌、草を刈る具。○かる(刈)
ボク [沃]
づく(生鐵)あらがね。
①レゥ [蕭]
②ラゥ レゥ [號]
①美くしき銀。
②美くしき金。
ワ ア [麻]
○しころ。=錏。○ 國 びた、質の惡しき錢。
13畫
①キョ [語]
②キョ [御]
①かねかけ、鐘鼓を懸ける柎(臺の足)史、始皇紀「收天下兵聚之咸陽銷以爲鍾─」=簴。
②夾鍾に似たる一種の樂器、木を削りて造る。
クヮン [删]
○ゆびわ「指─」○わ、かなわ、「金─」すべて圓き輪郭ありて中に孔ありて貫き繫ぐべきもの。
セン [先]
○ほる(鑿)ゑる(雕刻)ほりつける「雕─」○きる、うがつ(鑽)○しりぞく(謫)官吏が罪過ありて官位を降しさげられる「─級」
官位の等級を下げる。正字通「中外官降級曰──」
かねにほりつける。拾遺記「斫玉──、其刃不卷」
みがきけづる。又、深く善を責める。王安石、進說「磨礱──、泥浸灌養」
鐫喩に同じ。唐書、高沐傳「李師古叛、沐引古今成敗、前後──不能入」
宂官 ムダナヤク をよりわけてしりぞけ去る。揮麈後錄「官曹混亂、宜從──」
官吏が罪ありて位をさげられる。宋史、選擧志「有犯則──」
深く勸め、切にさとす。唐書「令狐楚爲河南尹、解去酷烈、以仁惠──、人人悅喜」
ゑる。張華賦「不屑朱碧之餙助、不煩錐鋒之──」
①タゥ [陽]
②サゥ [庚]
①鋃─ ラウタウ はくさり(鎖)鐶と鐶と相貫きて連條をなしたるもの。○轉じて、重くして容易に擧げ難き貌。六書故「俗以困重不擧爲鋃─」○つづみの聲。=鏜。
②なべ、三足ある鍋「茶─」「破─」「藥─」「鐵─」宋史、太祖紀「鼎─猶有耳」○ 國 こじり(鏢)こて(鏝)
脚のあるかなへ。唐書、武攸褚傳「所賜金銀──野服」
タク [藥]
○おほすず(大鈴)古、命令を發する時に鳴らして衆を警めしもの、銅にて作り、形は今のりんに似たるもの。文敎には木─(金口木舌)武事には金─(金口金舌)を振る。論、八佾「天將以夫子爲木─」○簷 ノキ につるすすず「簷─」=占風鐸。
すず。孟郊詩「冰齒相磨齧、風音酸──」=鈴鐸。
タク ドク [覺]
かね(鉦)の屬、軍中にて大鼓の聲を調節する爲めに鳴らす樂器。周禮「以金─節鼓」
テツ テチ [屑]
銕は古字鉄は誤字
○くろがね(黑金)色黑く質堅く種種の刃物又器具に作る「精─」○かなもの。○─の如く黑き色「─驪」「駟─」○─の如く堅くして屈せざるものに喩ふ「─腸」「─漢」「─石心」○はもの、武器「寸─」「尺─」
鐵にて造れる草鞋。拍案驚奇「踏破──無覓處、得來全不費工夫」
たしかにして動かざる意見。
○よろひ。木蘭歌「朔氣傳金柝寒光照──」=鐵甲。○てつのさび。本草「鐵鏽、釋名──」
てつにて造りたるまさかり。新序「雖有──湯鑊之誅、而不懼也」
○うすき鐵片〔唐書、食貨志〕○ 國 ぶりき。錫を塗りたるうすき鐵板。
鐵を點化して黃金と爲す、前人の語を活用して傑作となす喩。聞見後錄「黃魯直稱、杜老詩如靈丹一粒點鐵成金」
てつのよろひ。周書、武帝紀「白蘭遣使貢犀甲──」=鐵甲。
○鐵製のよろひ。庾信、紇干弘神道碑「太祖以自著──賜公」=鐵衣。○臺灣語にて鰺 アヂ
剛直にして撓まざる男、李遵懿が宋の太祖に襃められたる語〔駭聞錄〕
鐵をよそほひたるいくさぶね。=甲鐵艦。
心の强くして屈せざる御史、宋の錢顗の稱。宋史、錢顗傳「家貧母老、至丐貸親舊以給朝晡、而怡然無謫官之色、蘇軾遺以詩、有烏府先生鐵作肝之句、世因目爲────」
○馬に甲をよろひたる騎兵〔後漢書、公孫瓚傳〕○強悍なる軍馬。宋書、孔覬傳「──連羣、風驅電邁」
てつのうし。中華古今注「陝州有──廟、牛頭在河南、尾在河北、禹以鎭河患、賈至有──頌」蘇軾詩「誰能如──、橫身負黃河」
人文進步上の一時期。最も多く鐵を利用せし時代。銅器時代の次。
てつにて造れるかがみ。九國志「蜀王宗壽得──、晦不可覩」
のこぎり。南越志「鋸魚左右如──」
○てつのあかく熱せしもの。○彈丸の火。
てがたき外城 クルワ 易林「金城──、上下同力」
鐵の足なき大鼎。肉又は魚などを煮るに用ふ。古は罪人を煮殺するにも用ふ。南史、侯景傳「以大──、盛油煎殺之」
てつのくだ「水道──」
雲南省中甸縣の地名。舊唐書、德宗紀「貞元十年三月、南詔異牟尋攻吐蕃、──已東、城壘二十六、擒其王五人」
兵器と兵士のちしほと。
黑鐵と赤血と。兵力によりて國威を張る政略。
てつにてつくりしふだ、古、天子が功臣に賜ひし割符の一。丹にて其の人の功績を記せしもの。史、高帝紀「與功臣剖符作誓、丹書──、金匱石室藏之宗廟」
固きにぎりこぶし、げんこつ。
てつの如くかたし。杜本詩「爲道有心如──」
てつにて造りたるすずり。次條參看。
志を堅くして業を改めざるをいふ。書言故事「桑維翰、或令其改業、維翰鑄鐵硯、以示人曰、硯穿則易他業、卒以進士及第」
鐵づくりの劍。史、范睢傳「楚之──利、而倡優拙」
てつにて作りしかぎあるなは。
建築物の主要部に鐵材を用ひしもの。
てつのくさり、鎖は鏁に同じ。晉書、王濬傳「以──橫截之」
○てつがぅしのまど。○らぅや、獄窗。鐵格子をはめたる故。
てつにて造りたる像。舊唐書、武宗紀「其──委本州、鑄爲農器」
てつにて造れるなべ。談藪「岀酒以──溫之」
鐵にてつくりたるしがらみ、てつやらい。
○てつのきりだい。後漢書、董卓傳「帶──詣闕上書」○星の名。晉書、天文志「──星主誅斬」
船のいかり。畱靑日札「───卽鐵錨、所以矴船」
ひし形の尖りたる鐵、地上に立てて、敵の侵入を防ぐ具、蒺藜はもと草の名。和名はまびし、其の實菱に似たり、故に名づく。六韜「狹路微徑、張───」
志堅くして外物に動かされざるをいふ。蘇軾、與李公擇書「僕本以────待公」
てつのはり。漢書、廣川王越傳「昭平不服、以──鍼之」
てがたきしろ。世說「湯池──無可攻之勢」
○生鐵を水に浸し、久しきを經たるしる、黑色の染料とす〔本草〕○ 國 おはぐろ、かね。
てつにて造りたるたて。楯は盾。梁書、元帝紀「突騎短兵、犀函──、結隊千羣、持戟百萬」
鐵のきねを砥石にて磨 ト ぎて針と爲す、專心業を勤むる喩。唐書「李白、少年學業未成、棄歸、道逢一嫗磨鐵杵、白問之、嫗曰、欲作鍼、白感其言、遂還卒業」
○てつと、いしと。○堅くして變らざる喩。晉書、忠義傳、序「守──之深衷、厲松柏之雅操」
てつの骨のあふぎ。
てつにて造りたる重きふね。九國志「吏云、此猶造──渡海」
鐵のはりがね。
てつにて造りしぜに。陳書、沈炯傳「──十萬」=鐵貨。
てつのやのね。魏志、倭人傳「竹箭或──或骨鏃」
てつにて造れるむち。宋史、衞融傳「元福奮──擊契丹」
汽車·電車などを走らせる鐵の軌道、レール。=鐵路。
たがやさん。熱帶地方に產する木、材質黑褐色にして甚だ堅く貴重の什器を造るに用ふ。天工開物「唯舵桿、必用───」
鐵のくまで。三才圖會「──或四齒或六齒」
鍛冶が用ふるてつの臺、かなとこ。碪は砧 キスタ に同じ。瑯琊代醉編「──鍛金鐵千年不毀」
鐵のつゑ。呂覽「操──以戰」
鐵心石腸に同じ。皮日休、桃花賦序「余嘗慕宋廣平之爲相、貞姿勁質剛態毅狀、疑其鐵腸與石心、不解吐婉媚辭、然覩其文而有梅花賦、淸便富艷得南朝徐庾體、殊不類其爲人也」
てつのはしら。易林「金梁──、十年牢固」
錚錚は金聲、鐵の少しく剛利なるもの。庸常の人より少しく勝れたるに喩ふ。後漢書、劉盆子傳「光武帝謂徐宣曰、卿所謂、────、庸中佼佼者也」
てつにて造りし火箸 ヒバシ 通鑑、五代紀「以──、畫灰爲字」=鐵箸。
てつにて造りたるつち。史、信陵君傳「朱亥袖四十斤──、椎殺晉鄙」=鐵鎚。
○馬のかなぐつ。=蹄鐵·馬蹄鐵。○軍馬の足。
鐵の剌 トゲ ある針金を網の如く張り渡し敵を防ぐもの。
くろがねづくりの、かぶと。張翥詩「行行───、隊隊金駱駝」
鐵にて作りし如意。釋氏要覽「石季倫·王敦皆執───」
鐵製のくまで。=鐵搭。
○よろひたるうま。陸倕、石關銘「──千羣、朱旗萬里」=鎧馬。○風鈴 フウリン の異名。孟昉、八月樂詞「風弄虛簷──」=簷馬。
武器の名、小統。會典「虎尾──、石橊砲」
鐵にて造れる棒。勇力者の揮ふもの。冥祥記「手把──」
てつにて造りたるたてを幕の如く列ねたるもの。史、蘇秦傳「當敵則斬堅甲──」
てつにて造りたる憎の食器。戴叔倫詩「木杯能渡水、──肯降龍」
○ほりもの用の小刀。=刻刀。○ほりもの、彫刻·印刻。○ 國 謄寫版用の筆「──版」
金の太祖の次子兀朮 コツジユツ の兵士の稱。重き鎧を被るが故。宋史、劉錡傳「兵皆重鎧甲、號───」
○鐵製のかめ。貫休詩「深爐燒──」○ テツビン てつにて造りし湯わかし。
てつにて造りたるてがたきとりで。徐積詩「金城不可破、──不可奪」
○公直にして權勢をも畏れざる人を譽めていふ。宋史、趙抃傳「爲殿中侍御史、彈劾不避權倖、京師目爲──御史」○てつのめん。晉書、朱伺傳「夏口之戰、伺用──自衞」○あつかまし。鐵面皮の略。
硯 スズリ の異名。
あつかまし、厚顏にして恥を知らざるものをいふ。北夢瑣言「進士王光遠干索權豪無厭、或遭撻辱、略無改悔、時人云、光遠顏厚如十重鐵甲」
くろがねのもん。蘇軾詩「蒸土爲城鐵作門」
くろうま。禮、月令「仲冬之月、天子駕──」
鐵道に同じ。
鏝(金部十一畫)の俗字。
ライ [灰]
○かめ(甁)○つぼ(壺)○─柚 ライイウ は橘 タチバナ の大いなるもの。本草「最大者謂之香欒、廣雅謂之─柚」
鑞(次頁二段)に同じ。
鎌(金部十畫)に同じ。
14畫
カン [陷]
又、鑒に作る
○かがみ(鏡)物體の象をうつす鏡。左、莊二一「王以后之鞶─予之」○みわける(觀察)○かんがへ、かんがへる(考察)○てらす(照)左、昭二八「光可以─」○みる(觀)うつして觀る。莊子「仲尼曰、人莫─于流水、而─于止水」○いましめ(戒)古今の成敗を觀て法戒と爲すもの、かんがみ「明─」「前─」大學「殷─不遠」監に通ず。○のり(法)てほん(模範)てほんとする「龜─」
かんがみて戒とする。後漢書、梁后紀「后常以列女圖畫、置於左右、以自──」=鑒戒·監戒·鏡戒·法戒。
善惡のみわけする。又めきき。鑑一に鑒に作る。晉書、王充傳「王戎有人倫鑒識、常目山濤、如璞玉渾金、人皆欽其寶、莫知其器」=鑑定。
善惡をめききして定める。=鑑識。
裁判所にて學識技藝ある者をして事物をめききせしむる人、醫師をして犯人に精神病の有無を檢せしむる類。
かがみのめい。大載禮「武王──、見爾前慮爾後」
鑑(前條)に同じ。
鑒は鏡、自ら照しみる鏡を奪はれる。人の本心を喪ふをいふ。左、僖二「是天奪之鑒而益其疾也」
機微をみわける。晉書、載記「苻堅曰、燕實可圖、──識變、惟皇甫眞耳」=鏡機。
智明かにさとし。北史、陸通傳論「──明敏、飾之以溫恭」
かんがみる。宋史、樂志「何以致祥、上天──」
かんがみおもふ。後漢書、楊終傳「──前世、可爲寒心」
クヮク [藥]
おほがなへ。足なき大鼎、肉·魚などを煮る器。又、古かまい○の刑に用ふ「湯─」「斧─」文天祥、正氣歌「鼎─甘如飴」
かまに入れてにる刑。亨は烹。漢書、刑法志「有鑿顚抽脅──之刑」
シュ シウ [遇]
通音チウ
いる。金屬を銷 ト かして型 カタ に流し込みて器物をつくる「改─」「陶─」「鼔─」「鎔─」左、宣三「─鼎象物」
かねをいる。吳越春秋「──象范蠡之形」
いがた。=鎔。
金屬をいて器をつくる。
山の銅を採りて錢を鑄、海水を煮て鹽を造る、鑄山煮海(五四○頁四段)を見よ。
鐵をいてすきをつくる。易林「銷鋒──、縱牛放馬」
人才を養成する義。揚子法言「或問、世言鑄金、金可鑄與、曰、吾聞覿君子者、問──、不問鑄金、或曰、人可鑄歟、曰、孔子鑄顏淵矣」=陶鑄人才。
ぜにをいる。漢書、食貨志「卽多銅山而──」
いると、きたへると。拾遺記「不雨而雷、言其──之聲盛也」
づく、づくてつ。=生鐵·銑鐵。
あかがねをいる。庚信賦「南極則──爲柱」
金をいて貨幣をつくる。管子「湯以莊山之金──」
いりとかす。范仲淹詩「六經方──」=鎔鑄。
鐵(金部十三畫)の古字。
〔國字〕
やり(槍)
15畫
クヮウ [梗]
又、礦に作る
あらがね(金璞)山より掘り岀したるままの金屬にて未だ鎔鍊を經ざる者「─石」「─物」王襃、四子講德論「精鍊藏於─朴」
政府より鑛物の採掘を許されたる區域。
鑛物質を含有するいづみ。
鑛山の採鑛又は製煉などによりて生ずる害毒。
かねほり。採鑛夫·坑夫。
鑛物の地中にあるすぢ道。
鑽(金部十九畫)の俗字。
シツ [質]
古、質に作る
○かなとこ(鐵碪)かぢやが金屬をのせてきたへる臺「砧─」○をの(斧)臺にすゑつけて刃を上に向けたるもの。鈇卽ち上の刃と合せはさみて人又は物を斬る。古、刑を行ふ具の一。公羊、襄二七「執鈇─」
シャク [藥]
○とかす(銷)けす、火にて金屬を銷 ケ す。史、張儀傳「衆口─金」○轉じてひろく消損の義。孟、吿子「仁義禮智、非由外─我也」○とく、とらける。○うつくし(美)「─金」○する(摩)○あきらか(昭)○かがやく(輝)○矍─ クワクシヤク は老いて强壯なる貌。
にかはをとかす。淮南子「以冬──、以夏造冰」
○金をとらかす。周禮「──以爲刃、凝土以爲器」○美くしき金。史、李斯傳「──百鎰」註「──、美也」
光明なる貌。何晏、景福殿賦「故其華表則鎬鎬──」
暑氣の甚だしきにいふ。淮南子「大熱────、火弗爲益其烈」
ヘゥ [蕭]
○くつわ(馬銜)馬の勒 クツバミ の兩端につける鐵のわ。○──は盛んなる貌。詩、衞風「朱幩──」
ラフ ロフ [合]
白─は鉛と錫 スス とを合せたる金屬。
リョ ロ [御]
○やすり(錯刀)骨角·銅鐵を磋 ミガ くに用ふる具。○みがく(磨)する。○みがきをさむ(磨治)
16畫
ロ [虞]
又、爐に作る
○ひどこ(火牀)ひばち(火函·火爐)ゐろり。=爐。○さかみせ(酒肆)史、司馬相如傳「令文君當─」酒賣場、土を累 カサ ねてゐろりの如き形に構造するゆゑの稱。=盧·罏。○かぅろ(香器)
鑄りて作り成す。陶鑄と同義。捶一に錘に作る。劉峻文「雕刻百工、──萬物」
ふいがぅ。淮南子「──埵坊設非、巧冶不能以冶金」
17畫
①サン [咸]
②サン [陷]
○はり、療治に用ふる石の針。史、扁鵲傳「─石橋引」○さす(刺)○きざむ(刻)○すきのは(犂鐵)藥草の根を掘る用具。杜甫詩「長─長─白木柄」○くすりなべ「藥─」
②土をほる具。
ジャウ [陽]
○いがたのなかみ。鑄型 イガタ の空所をつくる爲めに嵌め込むもの。○はめこむ、嵌入する。
いれば。=義齒·種牙。
ハク [藥]
○おほがね(大鐘)○すき(鋤)=鎛。
ヤク [藥]
○ぢゃう。籥に通ず「管─」「關─」「鎖─」「禁─」抱朴子「堅玉─於命門」○とづ(閉)「緘─」○いる(入)淮南子「排閶闔─天門」○事の樞要に喩ふ。
ぢゃうを入れる箱。宋史、河渠志「掌──」
ぢゃうと鍵 カギ と。朝野僉載「牢掌──、賊來索、愼勿與」=鑰牡。
前條に同じ。宋書、戴法興傳「臨死封閉庫藏使家人謹錄──」=牡鑰。
18畫
クヮン [翰]
俗に罐と混用す
○つるべ(釣甁)水を汲む器。 國 ○藥─ ヤクワン は銅又は眞鍮 シンチユウ 製の湯を沸す甁、もと藥をにるに用ふ。○かま。蒸氣機關の釜「汽─」○ クワン ブりキの箱「─詰 クワンツメ 」
デフ [葉]
又、銸に作る
○けぬき、はさみて毛髮を拔き取る器「─子」「銅─」雲仙雜記「王僧虔、晚年惡白髮、一日對客、左右進銅─、僧虔曰、却老先生至矣」○くぎぬき。○はさみとる、けぬきにて毛髮を拔き去る。李商隱詩「羞─鏡中絲」○かんざし(首飾)の類。
けぬきにて髮をぬき去る。司空圖、寓筆詩「年年──到花飄、依舊花繁鬢易彫」
19畫
①サク [藥]
②サウ [號]
①のみ(鏨)木材に穴をあける具「斧─」「槌─」「鋸─」○あなほる、うがつ(穿)「刻─」「刳─」○いれずみ(黥刑)漢書、刑法志「其次用鑽─」註「─、黥刑也」○ひらく(開疏)「開─」「疏─」○つくる、もくろむ(造意)無理に理窟をつける。意を恣にして義理に合ふを求めず。漢書、禮樂志「以意穿─」○──は鮮明なる貌。詩、唐風「白石──」○しらげる、米を舂きて白くする。左、桓二「粢食不─」
②あな(孔)
鑿井を見よ。
ほりひらく。羅鄴詩「古宮荒井曾平後、見說耕人又──」=開鑿。
みぞをほりて田に水をそそぐ。魏志、陳登傳、注「乃巡土地之宜、盡──之利、杭稻豐積」
あなをうがつ。空は孔。新らしき道路を通ずる義。漢書、張騫傳「於是西北國始通於漢矣、然騫──」
うがちほる。論衡「銅錫未採、在衆石之閒、工師──」
あなをうがつ。宋濂詩「──塡金文絢爛」
あなをほりうがつ。獨孤鉉賦「方──于夫子之墻」
あなをほる。後漢書、臺佟傳「佟隱于武安山、──爲居、采藥自業」=穿穴。
鮮明 アザヤカ なる貌。詩、唐風「揚之水、白石──」
かきをうがつ。易林「穿窒──、不直生訟」
ゐどをほる。帝王世紀「帝堯之世、天下太和、百姓無事、有八九十老人、擊壤而歌、歌曰、日出而作、日入而息、──而飮、耕田而食、帝力于我何有哉」
枘(九二一頁四段)の字解を見よ。
かはをほりわる。西京雜記「會稽人、顧翺事母至孝、母好食雕胡飯、導水──自種供養、家近太湖、湖中後生雕胡、無復餘草」
いづみをほる。蘇軾詩「聚糞西垣下、──東垣隈」
ふねに穴をあける。周書、蕭詧傳「乃──沈米、斬纜而歸」
ふさがれるをうがち通ずる。王令詩「耕荒食新收、──復舊貫」
水のみちをうがつ。淮南子「猶抱薪而救火、──而岀水」
きりひらく。水經、注「始皇發民、──此岡」
二割べり。事文類聚「──謂礪米一石、舂得八斗」
前漢の匡衡が家貧しく、鄰舍の壁を鑿ち燈光を引きて書を讀みたる故事。衡、字は稚圭、東海承の人、元帝の時に丞相に至る。西京雜記「匡衡勤學、無燭、鄰舍有燭而不逮、衡乃穿壁引其光而讀之」
しらげたるこめ、白米。
酒器なり。盞 サカヅキ の類、落一に絡に作る。韓愈詩「澤髮解兜鍪、酡顏傾──」
①サン [寒]
②サン [翰]
鑚は俗字
①きる(斬)○あしきる(臏刑)其の臏骨を─去 キリサル する。○やじり(鏃)○ほこ(矛)○たがね·のみの類。○さす(刺)○きりもみする、錐にて穴をあける。○物事の義理を深く究める「硏─」論、子罕「仰之彌高、─之彌堅」○金剛─は金剛石。又其の質の劣れるもの。
②孔 アナ を穿つ器、きり(錐)みつめぎり。
同訓異義
キル 鑽·軒·斫·翦·截·切·伐の别は斬(八三○頁三段)の條を見よ。
聖人の道德の高遠にして仰ぎたふとぶべき義。論、子罕「顏淵喟然歎曰、仰之彌高、鑽之彌堅」柳貫詩「──喩高堅」
因果の相反する喩、必ず無きをいふ。法苑珠林「未見────、種豆得麥」
きりけづる。揭佑民詩「如何百年後、雕鑿加──」
きりみがく。後漢書、鄭康成傳「以書戒子曰、君子之道、──勿替、敬愼威儀、以近有德」江總詩「三寫徧──、六書多補益」=硏鑽。
かたきをきる。深く義理を硏究する。鑽仰參看。
臏刑 アシキリ と黥刑 イレズミ と。晉語「中刑用刀鋸、其次用──」
木に穴をあけて、すりもみて火をとる。論、陽貨「──改火」
金剛石の劣れるもの、雕刻及玻璃を切るに用ふ。=金剛鑽。
古、木を穿ちすりもみて火を取る。關尹子「形之所自生者如──得火」
きりみがく。宋濂文「辛勤──、不爲不久」
義理をきはめあぢはふ。梁元帝文「加以──微言、硏精至道」
僧家にて雞の異名〔東坡志林〕水梭花(一○四二頁一段)參看。
ラ [歌]
どら(鉦)銅にて造りし銅盤、邊に二孔を穿ち、繩を結び、提げて之を擊ち鳴らす「銅─」
ラン [寒]
通じて鸞に作る
天子の馬車の衡につける鈴、鸞鳥の和鳴に象る。轉じて天子の車駕をいふ「─輿」「保─」「陪─」「駐─」李賀詩「隨─鳴玉珂」
鑾輿に同じ。齊書、王慈傳「──紆覽、四時臨閱」
天子の馬車につけたる鈴、鑾は衡、和は軾 ヨコギ に在り。周禮、大馭「以──爲節」=鸞和。
鑾鈴のつきたるはた。王儉文「澄金波而映──」=鑾旗。
天子の馬車。字解參看。班固、西都賦「乘──兮備法駕」=鑾轝·鑾輅·鑾駕。
テン レイ []
天子の車のすず。崔豹、古今注「鸞口銜鈴、故謂之──、今或爲鑾、或爲鸞」
前條に同じ。江總詩「翠渚還──」一に鸞路に作る。禮、月令「孟春乘鸞路」
20畫
クヮク [藥]
おほぐは(大鉏)荒蕪地を開くに用ふ。
大いなるすき。淮南、精神訓「負──」
21畫
ショク チョク [沃]
もと斸に作る
○すき(鉏)○すきにて除き取る、草木の根を誅除する。