身部

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身  

①シン [眞]

②ケン [先]

①み(躬)からだ、身體。轉じて樹の幹。爾雅「樅、松葉柏─」又、刀の身。○みづから(親)われ(我)自分。書、伊訓「檢─若不及」○己の意思言行「修─」「守─」○はらむ(懷孕)詩、大雅「大任有─」○世「前─」「後─」

②身毒 ケンドク は天竺卽ち印度の古稱〔史、西南夷傳〕

【身基】 シンキ 

我が身を立てるもとゐ。左傳「禮身之幹也、敬身之基也」

【身火】 シンクワ 

 佛  人の私慾に喩ふ。梁?文帝文「慧雨微垂、卽滅──」

【身計】 シンケイ 

己の一身上のはかりごと。王禹偁詩「官途多齟齬、──頗悲涼」=身圖。

【身言書判】 シンゲンシヨハン 

唐代、官吏を登用するに此の四事を以てす。身は體貌の豐偉、言は言辭の辯正、書は楷法の遒美、判は文理の優長をいふ。唐書、選擧志「凡擇人之法有四、一曰身、言體貌豐偉、二曰言、言言辭辯正、三曰書、言楷法遒美、四曰判、言文理優長、四事皆可取」

【身後堆金拄北斗 】 シンゴキンヲツイシテホクトヲササフ 

死後金を高く積みて北斗をささへる。白居易詩「───────、不如生前一杯洒」

【身後之諫】 シンゴノイサメ 

死後に君をいさめる。蘇洵、管仲論「吾觀史鰍、以不能進蘧伯玉、而退彌子瑕、故有────」=屍諫。

【身後計】 シンゴノケイ 

死後のはかりごと。朱德潤詩「薰天富貴那足恃、厚祿未爲───」

【身後名】 シンゴノナ 

死後のほまれ。晉書、張翰傳「翰曰、使我有───、不如卽時一杯洒」

【身材】 シンザイ 

からだ、材は幹。傳燈錄「──沒重大」=軀幹·體軀·體幹。

【身上】 シンジヤウ 

○わが一身上のこと。宋書、庚炳之傳「──之亹、旣自藉藉」○ 國    シンシヤウ しんだい、所帶。

【身章】 シンシヤウ 

みのかざり、卽ち衣服。左、閔二「衣身之章也」陸游詩「閑雲野鶴作──」

【身首】 シンシユ 

からだと、くびと。

【身世】 シンセイ 

○この身と、この世と。鮑照詩「君平獨寂寞、──兩相棄」○己の一生涯、生命。溫子昇、常山公主碑「奄辭──、從宓妃於伊洛」

【身全】 シンビンミマツタシ 

からだが無事に全し。孫綽文「匪躬而──、遺功而勳擧」

【身代】 シンダイ 

○人の一生。白居易詩「早年以──、直赴逍遙篇」=身世。○みがはり。朝野僉載「請以──」○しんしゃう、財產。

【身體髮膚受之父母 】 シンタイハツブコレヲフボニウク 

我がからだはすべて父母より受けたるもの。孝經「────────、不敢毀傷、孝之始也」

【身長】 シンチヤウ 

みのたけ、後漢書、光武紀「光武──七尺三寸、美須大口」(須は鬚 ヒゲ 

【身圖】 シント 

身計に同じ。

【身貌】 シンバウ 

すがた、かたち。史、外戚世家「視其──形狀、不足以當人主矣」

【身薄】 シンハク 

徒手にてせまる。枚乘文「毅武孔猛、袒裼──」

【身分】 シンブン 

みぶん、己の位地境遇。宋書、王僧達傳「退省──」

【身謀】 シンボウ 

一身のためにはかる。唐書、許孟容傳「乃臣下──」

【身命】 シンメイ 

からだと、いのちと。漢書、鄭崇傳「以──當國咎」=軀命。

【身力】 シンリヨク 

からだのちから。管子「盡知短長與──之所不至」

【身若不勝衣】 ミイニタヘザルガゴトシ 

○おそれつつしむことの甚だしき形容。韓詩外傳「昔者周公事文王、行無專制、事無由己、─────」○體質の甚だ柔弱なる形容。檀弓「趙文子、退然如不勝衣」

【出身】 ミヲイダス 

○我が身を投げ出だして、國家の爲めに盡す。漢書「郅都曰、已背親而──、固當奉職也」○ 國    シユツシン 身を起す「──地」

【修身】 ミヲヲサムシウシン 

己の身を修め整へる。大學「欲齊其家者、先──」

【傾身】 ミヲカタムクケイシン 

おのれのできるだけの力をつくす。漢書、張湯傳「湯──事之」

【乞身】 ミヲコフ 

君にささげし身を乞ひ下げる、辭職を願ふ。後漢書、李通傳「以病上書──」

【殺身成仁】 ミヲコロシテジンヲナス 

一身をすてて世の爲めに盡す。生命をなげうちて仁の德を全うす。論、衞靈公「子曰、志士仁人、無求生以害仁、有殺身以成仁」

【身脩】 ミヲサマル 

身をさまる、脩は修。大學「心正而后──」

【立身以孝悌爲基】 ミヲタツカウテイヲモツテモトホトス 

一身を立つるは孝と悌とを以て本とする。唐書、柳玭傳「───────、以恭默爲本、以畏怯爲務、以勤儉爲法」

【立身行道】 ミヲタテミチヲオコナフ 

わが身を起して古の道を行ふ。孝經「────、揚名於後世、以顯父母孝之終也」

【脫身】 ミヲダツス 

やっと一身を脫して逃げ去る。史、張耳傳「耳是時乃──游」

【保身】 ミヲタモツ 

己の身をたもち守る。詩、大雅「旣明且哲、以保其身」莊、齊物「可以──、可以全生」

【身重】 ミオモシ 

子をはらむ。詩、大雅「大任有身」傳「──也」

【挺身】 ミヲヌキンズテイシン 

○身をひきて逃る。漢書、劉屈氂傳「──逃」○一身を引き出し進む。蘇軾、畱侯論「──而鬬、此不足爲勇也」(後世は己ひとり勇往奮進する態度をあらはすに用ふ)

【謀身】 ミヲハカル 

わが身のためにはかる。杜甫詩「儒術豈──」劉商詩「謀道不──」

【以身役物】 ミヲモツテモノニエキセラル 

吾が一身を以て、物欲の爲めに使役せらる。淮南子「聖人不以身役物」

【以身殉利】 ミヲセツテリニジユンス 

一命を抛ちて利益を求む。莊、騈拇「小人則────、士則以身殉名、大夫則以身殉家、聖人則以身殉天下」

【忘身】 ミヲワスル 

己の身を忘れて主の爲めに盡す。次條參看。

【忘身忘家忘私】 ミヲワスレイヘヲワスレワタクシヲワスル 

君·國·公の爲め盡すをいふ。漢書、賈誼傳「化成俗定、則爲人臣者、主耳忘身、國耳忘家、公耳忘私」

【漆身爲厲】 ミニウルシシテライトナル 

身體に漆を塗りて癩病人の如く粧ふ。戰國、趙策「豫讓又────、滅鬚去眉、自刑以變其容、爲乞人」

【身代】 ミガハリ 

わが身を以て君父に代り死する。朝野僉載「崔渾至孝、母病祈神、請以──」

【身在江海之上 】 ミハカウカイノウヘニアリ 

わが身は江海の上に在りて閒散なり。莊、讓王「──────、心居魏闕之下」

3畫

躬  

キュウ [東]

躳の俗字

○み(身)「聖─」「賤─」詩、邶風「我─不閱」○みづから、自分。○みづからする、自分で行ふ「實踐─行」詩、小雅「不─不親、庶民不信」

 同訓異義 

ミヅカラ 躬·自·親の別は自(一五八七頁三段)の條を見よ。

【躬稼】 キユウカ 

みづから穀をうゑる。論、憲問「禹稷──、而有天下」=躬耕。

【躬行】 キユウカウ 

みづから行ふ。論、述而「──君子、則吾未之有得」=實踐。

【躬耕】 キユウカウ 

○天子みづから籍田をたがやす。禮記「帥三公九卿、諸侯大夫、──帝籍」○みづから田を耕ず。諸葛亮、出師表「臣本布衣、──於南陽」

【躬圭】 キユウケイ 

人の形を以て瑑飾とせし圭。周禮、春官「伯執──」

【躬儉】 キユウケン 

みづからけんやくする。詩、周南、葛覃、小序「葛覃、后妃之本也、──節用、服澣濯之衣」

【躬桑】 ヤユウサウ 

古、后妃自ら桑を採り蠶を養ふ民に蠶事を勸める爲め。禮記「季春之月、后妃親東鄕──」

【躬率】 キユウソツ 

みづからひきゐる。盧懷愼文「人之所仰在于孝、陛下──此道、爲天下先」

4畫

躭  

耽(一五四五頁三段)の俗字。

躮  

 〔國字〕  

せがれ(倅)己の子の謙稱。

5畫

躰  

體(骨部十三畫)の俗字。

6畫

躱  

タ [哿]

○み(身)みづから。○かはす、身をかはしてにげる「─避」○かくれる(匿)

【躱閃】 タセン 

からだをひらりとかはしてにげる。元典章「避怕──」

【躱避】 タヒ 

前條に同じ。夷堅志「可以出他處──」

7畫

躳  

キュウ [東]

躬の正字

み(身)みづから。

8畫

躶  

ラ [哿]

はだか(袒)史、陳丞相世家「─而佐刺船」=裸(一七五八頁二段)

【躶身】 ラシン 

はだか。史、陳丞相世家「臣──來、不受金、無以爲資」

9畫

躾  

 〔國字〕  

しつけ、禮儀作法を敎へこむ、禮容を整へる。

11畫

軀  

ク [虞]

み(身)からだ、むくろ「體─」「─幹」「微─」「忘─」

【捐軀】 クヲスツエンク 

己の一身をすてる。晉書、卻鑒傳「──九原」=棄軀。

【軀骸】 クガイ 

からだ。蘇舜欽詩「奈何此──、未免混世俗」=軀體。

【軀殼】 クカク 

からだ、精神に對していふ。孔武仲詩「龍死──在」

【軀幹】 クカン 

からだ、身體。杜甫詩「子雖──小、老氣橫九州」

【軀體】 クタイ 

○人體の一部、人體の中央、上は頸と爲し、下は臀と爲し、中に臟腑を具し、頸·胸·腹の三部に分つ。○からだ。後漢書、陳龜傳「臣無文武之才、而忝鷹揚之任、上慙聖明、下懼素餐、雖沒──、無所云補」=身體。

【軀命】 クメイ 

からだと、いのちと。=身命。

12畫

軄  

職(一五五三頁三段)の俗字。

軃  

タ [哿]

○垂れ下 サ がる貌。嚲の俗字。○ 俗  借りて躱避の躱の義とす。

【軃懶】 タラン 

人目をぬすみてなまける。方岳詩「畦丁──欲誰欺」

17畫

軈  

 〔國字〕  

やがて。直ちに、ほどなく、まもなく(無幾)