网部
0畫
バゥ マゥ [養]
又、罒··罓·罒に作る
○あみ。網の古字。○ 國 アミガシラ 字畫の冠 カンムリ となる時の稱。
网(前條)に同じ。
3畫
カン [旱]
又、?·?に作る
○まれ、まばら(希少)たま。論、子罕「子─言利」○あみ(網罟)○はた(旌旗)「旌─」
同訓異義
マレ 罕·稀·希·少○罕は至りて少きなり、たまたまなり。○稀はまばらなり、疏なり、稠の反なり。曹操詩「月明星稀、烏鵲南飛」○希は稀に通ず、希有はたまに有るをいふ。○少は多の反、數の少き義、行人少の如し。
はた。史、周紀「百夫荷──」
なかまが少し、儔は侶。春秋正義序「劉炫聰惠辯博、固亦──、而探賾鉤深、未能致遠」=寡儔。
天子の儀仗。晉書、天文志「昻畢閒、爲天街、天子出、旌頭──以前驅、此其義也」
あみ。後漢書、馬融傳「──合部」
バゥ マゥ [養]
○あみ、獸を捕へるあみ(羅網)=網。○罪人を捕へるあみ、卽ち法律「天─」「文─」○あみをかける、あみす、網にて取る、羅致する。○轉じて法律にて處罰する。孟、梁惠王「─民而可爲也」○むすぶ、つなぐ。○しふ(誣)道理になきことを無理におしつける「誣─」「欺─」言ひまげる。論、雍也「不可─也」○正しき道を行はず。論、雍也「─之生也、幸而免」○なし(無)書、湯誓「─有攸赦」なかれ。○なみす。○無知なる貌。喪心の貌。うっとりする。○憂ふる貌。○─兩 マウリヤウ は水の神。左、宣三「魑魅─兩」=魍魎。又、極めてうすきかげ、景 カゲ の外の微陰 ウスヰカゲ 莊、齊物「─兩問景」
同訓異義
ナシ 罔·無·靡·无·亡·莫·勿·毋·沒·微の別は無(火部八畫)の條を見よ。
きはまりなき父母の恩。詩、小雅「欲報之德、旻天罔極」に本づく。
あみ。易、繫辭「結繩而爲──、以佃以漁」釋文「取獸曰罔、取魚曰罟」
おろかなる貌。心のうっとりせる貌。張衡、東京賦「罔──若酲」=罔罔·惘然。
心のうっとりせる貌。前條參看。
字解を見よ。
4畫
フウ フ [尤]
○うさぎあみ(兔罟)○かさぬ(復)○─罳 フシ は宮門外に在る屛。木を鏤 チリバ めて之をつくる、其の中疏通にして透明なり、靑瑣の類。漢書、文帝紀「未央宮東闕─罳災」罘は復、罳は思、人臣事を請はんとする者、此に至りて重ねて思ふ義。○之─ チーフウ は山名、山東省文登縣の東北に在り、一名煙臺、淸の同治元年開きて商埠と爲す、=芝罘。
車上に張りたる兔あみ。司馬相如、子虛賦「──彌山」
5畫
カゥ [陽]
天─は北斗星の異名。
コ [麌]
○あみ(罔)の總名「數─」「漁─」「鳥─」「罔─」○うさぎあみ「兔─」○うをあみ(魚罔)○おきて、刑律。詩、小雅「畏此罪─」「天─」○あみす、あみにてとる。
あみと、わなと、おとし穴と、共に鳥獸を捕へるしかけ。中庸「驅而納諸────之中」
漁夫。王維詩「──盪槳向臨圻」
あみ。淮南子「好漁者、先具罟與罘」
あみ。陳書、王固傳「魏人以南人嗜魚、大設──、固以佛法咒之、遂一鱗不獲」=罔罟。
コ [虞]
うをあみ(魚罟)
シャ ショ [麻]
又、?に作る
あみ(罔)うさぎあみ(兔罟)詩、召南「肅肅兔─」
獸を捕へるあみ。禮、月令「田獵──、羅網畢翳」
鳥獸を捕へるあみ。淮南子「豺未祭獸、──不得布于野」=罦罝。
罝(前條)に同じ。
シュ [遇]
○うをあみ(魚罟)○こあみ(小網)
魚を捕へる小あみ。張衡、西京賦「設──」=魚罟。
ビン ミン [眞]
○つる(釣)○あみ、うさぎあみ。○ 國 ワナ 繩を輪にして鳥獸の足をかけて捕へるしかけ。=係蹄。轉じて人を欺く惡計。
うさぎあみ。左思、吳都賦「──連網」
6畫
クヮイ·ケ ケイ·ケ [卦]
○かく、かかる(挂)○ささへる。ささはる(礙)「─礙」
官吏が過失によりて譴責を受ける。=註誤。
7畫
①ケン [銑]
②ケン [先]
又、羂に作る
①かく(挂)「掛─」つなぐ(係取)
②わがぬ(綰)
フ フウ [虞]
あみ、車上に設けて鳥を捕へるあみ(翻車網)詩、王風「雉離于─」
ラゥ [漾]
莽─は廣大なる貌。左思賦「相與騰躍乎莽─之野」
8畫
エン アフ エフ [琰]
通音アン
○あみ、上より覆ひかぶせて魚を捕へる網。=撒網。○おほひかぶせる(掩覆)○あみす(罔)網にて魚を捕る。玉篇「以罔魚也」
さいしきしたる繪。丹鉛總錄「畫家有──、雜彩色畫也」
炎症を消し、充血を去る爲めに冷水又は溫水の濕布を以て、患部を覆ひてひやし又は溫める治療法「冷──」「溫──」
カイ ケ [蟹]
通音ケイ
○め、博局 ゴバン の方目の線。○わく、すべて格子 カウシ 形に畫せし線「方─」○ 國 ケイ 文字の行閒の界線。又、其の線のある紙「─紙」
國 けいのひきてある紙。
棊局 ゴバン の目のうち。桓譚、新論「使──死棊皆生」
サイ [賄]
通音ザイ辠は古字
○つみ、とが、とがめ、法を犯す「犯─」「治─」「死─」「重─」「輕─」「無─」書、大禹謨「─疑惟輕」○不都合「謝─」○わざはひ(殃害)左、桓十「懷璧有─」○つみす、つみにあてる、刑にあてる「─人」○しおき、刑罰。○ 國 つみ。人から怨まれる如きしうち「─を作る」
つみ。蘇軾詩「我生涉憂患、常恐長──」
犯罪に對する裁判の目やす書。
罪を構成する原因。梁武帝文「今佛弟子、酣酒嗜肉、不畏──、不畏苦果」
自らを咎め責める。左、莊十一「禹湯──、其興也浡焉、桀紂罪人、其亡也忽焉」白居易詩「遂下──詔、殷勤制萬邦」
つみとが。書經、傳「非我──」=罪過。
つみあやまち。北史、李順傳「蒙遜數與順游宴、頗有悖言、恐順泄之、以金寶納順懷中、故蒙遜──得不聞」=過釁。
しおき、刑の科條。後漢書、郭躬傳「平其──」=罪條。
つみあやまち。史、信陵君傳「自言──」=罪咎。
つみあやまち。詩經「庶無──、以迨于今」
犯罪の張本人、首惡。
つみとが。後漢書、張酺傳「竇氏雖伏厥辜、而──未著」
つみ、とがめ。歐陽修詩「何時乞殘骸、萬一免──」
つみ。後漢書、丁鴻傳「部署之吏、無所畏憚、縱行非法、不服──」
佛 罪になる所業、煩惱によりて生ずる罪惡の業因。
とらはれ人、めしうど。
つみと、やまひと。わざはひ(災難)〔書、盤庚〕
つみのたち、犯罪の性質。
○つみを犯したるひと、犯罪人。書經「──斯得」○ひとを刑に行ふ。孟子「──不孥」罪己參看。
罪を犯したる次第、ありさま。犯罪の情狀。
佛 極樂往生のさはりになる罪業。梁武帝文「凡噉肉者、是大──」
犯罪を明かにするしょうこ。
つみを犯したるあとかた。
罪人の姓名を記したる簿籍。
つみを犯すきだはし。鹽鐵論「爲民──也」
つみ、とが。北史、高謙之傳「咸共讚毀、橫受──」
つみ、とが。
犯罪の名目。後漢書、明帝紀「明奏──」
つみ。左、莊二二「免于──、弛于負擔、君之惠也」
つみありて官の奴となりし者。周禮「──百有二十人」
罪を身にもつ。後漢書、蔡邕傳「──懷瑕」
つみを論じしらべる。晉書、顧和傳「贜汙百萬、付法──、百僚憚之」
我より罪を得る義。戰國策「──於先生」
官職に在ることを謙していふ、何時過失によりて罰せられるか測られずとの義。史、季布傳「臣無功竊寵、──河東」
つみをゆるす。易、解卦「君子以赦過──」
罪大いにして死すとも猶ゆるし容るるに足らず。孟、離妻「此所謂率土地、而食人肉、─────」漢書、王莽傳「罪不容誅」
相當の刑に處する。史、趙世家「而今乃──」
つみにかかる。說苑、奉使「王曰、何坐、曰坐盜」
たしかならざる罪は輕く處分する〔書、大禹謨〕
シン リン [侵]
ふしづけ(涔)柴を水中に積みて魚を聚めて捕へるしかけ。=?。
タゥ タク [效]
○竹を編み上を窄くし底を闊くし、中に香餌を置き、旁に口あり、水中に立て魚を入れて捕へるかご「籠─」○こむ(籠)入れ包む。司空圖詩「荷塘烟─小齋虛」
チ [寘]
○おく。○たつ、たてる(立)呂覽、恃君「莫如─天子」○そなへまぅける(設)「─酒」○さしおく、ゆるす(赦·釋)史、吳王濞傳「無有所─」○すつ(廢·棄)周語「是以小怨─大德也」○とどまる(停留)「姑─」○やすんず、すゑつける「安─」○しゅくば(驛站)「─郵」○しゅくばのうま(驛馬)
しゅくば、置も驛。孟、公孫丑「德之流行、速於──而傳命」
置は驛、郵は早馬 ハヤウマ 傳達の極めて迅速なるに喩ふ。前條參看。
法律の科條を置く。魏志、曹仁傳「嚴整奉法令、常──于左右、案以從事」
おきかへる。
人の臣となる時に、物を君に獻ずる義、贄はにへ。呂覽、執一「今日──爲臣」
ことばのつかひやう。漢書、周勃傳「勃恐不知──」
さかもりする。さかもり(酒宴)史、高祖紀「高祖──前殿」
さかんなるさかもりする。漢書、高帝紀「漢王遂入彭城、收羽美人貨賂、────」
錐を立てる程の少しの地。莊、盜跖「堯舜有天下、子孫無────」=立錐之地。
置郵に同じ。袁桷詩「下足表──」=驛傳。
ヨク ヰキ [職]
こあみ、魚を捕へる小網。詩、豳風「九─之魚」
9畫
シ [支]
罘─ フシ はめかくしの屛、あみまど。罘(网部四畫)を見よ。
ショ [御]
○やくわり、てわけ、てわけする。史、項羽紀「部─吳中豪傑」○しるし。しるす(表記)字を題する「大─」「─簽」○名をかく「─名」「連─」かきはんする。○やくしょ(公廨)「官─」「府─」「治─」「公─」「禁─」○つかさどる、暫く事務をあつかふ「─理」
名をかきしるす。=署名。
秦の八體書の一、多く題額に用ふ。今は傳を失ふ。
それぞれ官職に任ずる。隋書、王仁恭傳「劉武周──百官」
官署の長官「警察──」史、馮唐傳「唐以孝著、爲中郞──」
せなかにしるす。北史、綦連猛傳「自署名于背」
てわけ、やくわり。=部署。
名をしるす。北史、魏收傳「總監之、──而已」
官職の缺員ありし時に暫く他の官吏を以て其の事務を代理せしめる。
ヘツ バチ [月]
通音バツ罸は俗字
○つみ、とが「刑─」「科─」「懲─」○つみす、法律規則に背きし者を罪にあてる、處分する「誅─」「必─」「賞─」○ばち、罪惡の報「天─」
罪することをのちにする。禮記「先賞而──」
罪の贖として出さすぜに。漢書、張釋之傳「此人犯蹕、當──」=罰鍰。
つみする、殛も罰。書、多方「我乃其大──之」=殛罰。
○古、君臣燕飮の時、禮を失せし者を罰し、飮ますに酒を以てする義。詩經、箋「兕觥──也」○後世勝負に負けたる者に飮ます酒。陳造詩「低喚茶甌充──」
處分してせめる。後漢書、東夷傳「山川各有部界、不得妄相干涉、邑落有相侵犯者、輒相──」=責罰。
罪過を處分する規則。
勝負にまけたるものに飲ます酒。=罰爵。
官吏の懲罰處分として俸給の全部若くは一部を納めしめるをいふ。隨園隨筆「唐元和五年、房式有不法事、──召還」
10畫
バ [禡]
○ののしる(詈)惡口をいふ「怒─」「唾─」「捶─」「笞─」「笑─」「惡─」「嘲─」史、留侯世家「高祖輕士善─」○ののしりごと、惡口。
同訓異義
ノノシル 罵·詈○罵は惡言を以て人に加ふる義。史記「輕レ士善罵」○詈は音り罵よりは輕し、韻會に「正斥曰レ罵、旁及曰レ詈」とあり。書經「小人怨レ汝詈レ汝」
ののしりそしる。韓愈詩「翁媼所──」
座中の客をののしる。史、田蚡傳「劾灌夫──不敬」蘇軾詩「難邀──灌將軍」=罵座。
ののしりはづかしめる〔漢書、翟方進傳〕=詬罵。
甚だしくののしる。
ののしり惡口を極める。全唐詩話「士子豪氣──、遊諸侯門」
ののしる。史、魏豹傳「漢王──諸侯羣臣、如罵奴耳」=詈罵。
①ハイ ハ [蟹]
②ヒ [支]
①やむ(已)事を中止する、廢する「廢─」○やすむ、休止する。論、子罕「欲─不能」○官を免する「─免」職を去る。○まかる(退歸)退き去る。
②つかれる。=疲。○にぶし(駑)
同訓異義
ヤム 罷·已·息·輟·止·歇·弭·休の別は已(五六一頁三段)を見よ。
仕事をやめてやすむ。史、孫子傳「將軍──就舍」
官をやめる、職を去る。李白詩「黃覇初臨郡、陶濳未──」
罷工に同じ。
職をやめてやりかへす。後漢書、陸康傳「發民繕修城郭、康至皆──、百姓大悅」
仕事をやめる。=罷業。
やめはぶく。罷は廢。漢書、翼奉傳「──不急之用、振救困貧」
やめしりぞく。魏志、明帝紀「皆──之」
やめしりぞける。漢書、武帝紀「──百家、表章六經」
職務をやめらる。舊唐書、睿宗紀「至是竝令──」
稻の風に搖れ動く貌。蘇軾詩「翠浪舞翻紅──」=?稏。
うみつかれる。東觀漢紀「今日──甚」
前條に同じ。勌は倦。漢書、嚴助傳「士卒──」
○つかれたる士卒。齊語「──無伍、罷女無家」○才能の劣りし人。
○つかれて弱し。金史「老幼──」○怠りて振作せず。漢書「坐──不勝任者」
疲れて鈍き馬。轉じて役にたたぬ鈍才の義とす。漢書、司馬遷傳「僕雖──、亦嘗側聞長者之遺風矣」
つかれなやむ。汲冢周書「問──之故、政事之失」=疲病。
つかれやぶれる。賈誼、過秦論「人民──」=罷弊。
つかれる。漢書、公孫弘傳「以爲──中國、以奉無用之地」=罷敝·疲弊·羸弊。
つかれたるたみ〔周禮、大司冦〕
體つかれ年老ゆ。漢書、劉歆傳「學者──」注「罷讀曰疲」
つかれる。左傳「民不──、君無怨讟、政有經矣」=疲勞。
次條に同じ。
せむし、腰曲りて背高き病。史、平原君傳「臣不幸有──之病」=罷?·背疾。
11畫
ヰ ウツ [未]
○こあみ。○鳥を捕へるあみ。
小さきとりあみ。禮、王制「鳩化爲鷹、然後設──」
罧(网部八畫)に同じ。
ヒツ [質]
○うさぎあみ「?─」○さであみ、長き柄をつけたる小あみ。
リ [支]
○うれひ。うれふ(憂)詩、王風「逢此百─」○かかる「─病」○かうむる(被)あふ(遭)
同訓異義
カカル 罹·係·掛·挂·懸·嬰·繫·系·麗の別は係(人部七畫)の條を見よ。
わざはひにかかる。=罹厄。
やまひにかかる。
わざはひにかかる。
12畫
ケイ [霽]
○けおりもの、まぅせん、氍毹 クユ の屬。○うをあみ(魚網)
國名。漢書、西域傳「──、地平溫和、有目宿雜草奇木檀櫰梓竹漆」
ショウ トウ [冬]
車上に張りて鳥を捕へる網(幡車罔)
ソウ [蒸]
○よつであみ、方形の網の四隅を竹にて張り柄をつけたるもの、少時、水に沈め、急に引上げて魚をとる具「漁─」「扳─」○あみす、よつで網にて魚を捕る。漢書、陳勝傳「置人所─魚腹中」
よつであみと、うへと。莊子「鉤餌網罟──之智」
13畫
ケン [銑]
○わな(係蹄)繩又は網などを張り獸類の脚に係けて捕らへるもの。○わなに係け捕らへる、わなす。○くくる(縊)
14畫
ヒ [支]
しぐま、大熊、毛は黃白色、多力なり、人に遇へば人の如くに立ちて之を攫 ツカ む、俗に人熊といふ。詩、小雅「維熊維─」
ベキ [錫]
冪(冖部十四畫)に同じ
○おほふ。春渚紀聞「皆以靑帛─之」おほひ(覆)○ふきん、食物を蓋 オホ ふきれ「巾─」○づきん(頭巾)「─羅」
等しき數の相乘積。
①ラ リ [歌]
②ラ [箇]
①あみ、とりあみ「雀─」爾雅「島罟謂之─」○あみす、あみにてとる。又、網にて取る如くすべて殘さず取る「網─」○つらぬ。つらなる「─列」「星─」○かかる(罹)漢書、于定國傳「─文法者、于公所決、皆不恨」○うすぎぬ、うすもの「輕─」○絡 マト ひ組む、絡ひ包む。○叵─酒器「金叵─」○新─は國名、後ち朝鮮に幷せらる。○暹─ ヤム は亞細亞の國名。○─馬 ローマ は古の西洋の國名、今の伊太利の地。○ 佛 閻─ エンラ は鬼の王、えんま。
②めぐる。=邏。
同訓異義
ツラヌ 羅·連·聯·列·陳·綿の別は連(辵部七畫)の條を見よ。
うすぎぬの衣服。後漢書、邊章傳「──飄颻、組綺繽紛」
うすぎぬのたれぎぬ。說苑「居則廣廈邃房、下──來淸風」
うすぎぬのたれぎぬ。盧照隣詩「──翠被鬱金香」=羅帷。
うすぎぬの冠のひも。繁欽詩「何以結恩情、美玉綴──」
佛 阿羅漢の略、十分に佛道を悟り得たる者。大藏法數「梵語阿──、華言無學、謂其生死已盡無法可學」
まき(槇)常綠喬木、いぬまき。
あすはひのき、あすならう、俗に檜葉 ヒバ といふ、常綠喬木、扁柏の類、建築又は器具の用材とす。
うすぎぬと、あやぎぬと。魏志、夏侯尙傳「皆得服綾錦──紈素金銀飾鏤之物」=羅綾。
うすぎぬのゑり。白居易詩「──蕙帶竹皮巾」
うすぎぬのもすそ。王勃詩「──玉腕搖輕櫓」
美服を著る者は、必ず粗服を著る時あり、榮華の永くつづかざるにいふ、蒯は菅 スゲ 淮南子「有榮華者必有憔悴、────────」
あみ。杜甫詩「豈無濟時策、終竟畏──」法律に喩ふ。
うすぎぬ、ろ(絽)晉書、石崇傳「蘊蘭麝被──」
うすぎぬのかさ。貴耳集「中原數頂黃──」
うすぎぬのそで。喬知之、倡女行「昨宵綺帳迎韓壽、今朝──引潘郞」
じしゃく、磁石。=羅盤·羅經·羅鍼盤。
毛織物の名、葡萄牙語の音譯。明史槪「賜大紅紵絲──一」
うすぎぬのもすそ。晉子夜歌「──易飄颺」
すずめをあみにてとる。唐書、張巡傳「睢陽食盡、至──掘鼠、煮鎧弩以食」蘇軾詩「門前可──、感子煩屢叩」
あみにて取る、轉じて人才をあつめ取るにもいふ。唐書、杜祐傳「──俊乂」
うすぎぬの短衣。史、滑稽傳「──襟解、微聞薌澤」
罪なき者を法網の中に入れて罪を織り成す。舊唐書、來俊臣傳「令其告事、共爲──」
ならびつらなれるほし。李白詩「十月到幽州、戈鋋若──」
○ 佛 人を食ふといふ、黑身綠眼赤髮の惡鬼の名。觀佛經「獄卒──手提鐵叉、逆刺其眼」○淸の聖祖の初、黑龍江を攻掠する民族を稱す、卽ち今の露西亞 ロシア 人なり。
うすぎぬのうちは。墨莊漫錄「江南李後主、嘗於黃──上書賜宮人慶奴」
今の廣西省馬平縣の東に在り、池上に廟あり、唐の刺史柳宗元を祀る、韓愈に──廟碑の文あり。
鳥をあみにて取る如く、招きて來たらしむ。韓愈、送溫處士序「以禮爲羅、羅而致之幕下」
つらなりそばだつ。陳琳文「百將──、千部列陳」=列峙。
つらなりならぶ。韓愈詩「光芒相照燭、南北爭──」=羅列。
うすぎぬのとばり。庾信、蕩子賦「紗窗獨掩、──長垂」
ならびつらなる。荊州圖記「──相望」
佛 十たび息する時閒。法苑珠林「六十刹那爲一息、十息爲一──」
つらなりかこみてをがむ。環りて拜する。唐書、薛仁貴傳「突厥相視失色下馬──、遁去」
うすぎぬのまく。陸機詩「邃宇列綺窓、蘭室接──」
つらなりしく。晉書、庾亮傳「遣諸軍、──江沔」=羅敷。
廣東省增城縣にある山の名、晉の葛洪が仙術を修めたる所にて梅の名所。元和志「山之西、有浮山、蓋蓬萊之一阜、浮海而至、與羅山竝體、故曰──」
趙師雄が羅浮山の梅林に遊びし時梅の精なる少女にあひし故事〔柳宗元、龍城錄〕=羅浮仙。
○古の美人の名、趙の邯鄲の女、王仁の妻となる、趙王、其の操を奪はんとせし時、箏を彈じて其の夫あることを明かにして之を拒む、其の詞に曰ふ「使君自有婦、──自有夫、東方千餘騎、夫壻居上頭」〔古今注〕○羅布に同じ。
つらなりまふ。古郊祀歌「千童──成八溢」
○うすぎぬのあや。李羣玉詩「沅水──海燕囘」=羅紋。○硯の異名、蘇軾に萬石君──傳あり。
うすぎぬのたもと。李邕、春賦「玉顏景照、──風飜」
うすぎぬのたび。曹植、洛神賦「凌波微步、──生塵」
○とりあみ。禮、月令「罝罘──」=羅罔。○佛前莊嚴の具。法華經「眞珠──、張設於其上」
うすぎぬのあや。北史、流求傳「男子用鳥羽爲冠、裝以珠貝、飾以赤毛、婦人以──白布爲帽、其形方正」=羅文。
くるめこむ。李白詩「──四季閒、綿微無一隙」
つらなりたつ。杜甫詩「諸峯──似兒孫」
うすぎぬと、あや絹と。玉海「河北則──紬紗鳳翮葦席」
ならびつらなる。韓愈文「──而進」=陳列。
17畫
キ [支]
覉は俗字
○たび、たびずまひ(旅寓)○たびびと(旅客)「孤─」左、昭十三「爲─終身」
たびのやどり。=旅寓。
たびのうさ。陳子良詩「故鄕千里外、何以慰──」=客愁·旅愁。
旅にいでとどこほる。權德輿文「族屬──于江南者衆」
旅中のからだ。盧仝詩「海月護──、到曉點孤光」
たびする、たびずまひ。たびずまひする。又、其の人。周禮「野鄙之委積、以待──」=旅客。
寄寓して客分たるけらい。左、莊二二「齊侯使敬仲爲卿、辭曰、────(中略)免於罪戾、弛於負擔、君之惠也」
19畫
キ [支]
覊は俗字
○きづな、馬のおもがい(馬絡頭)○つなぐ、束縛する「繫─」ひく(牽)牽制して自由にさせぬ、ほだす(絆)とりしまる、檢束する「不─」「牽─」○あしてまとひ(繫累)○もとどり(髻)○たび、たびびと。=羇(前條)
むながい。ほだし。白居易詩「山林少──、世路多艱阻」
束縛せられてえだちに就く。陶潛詩「遙遙從──」
たびびと。溫庭筠詩「自憐──尙飄蓬」=旅客。
つなぐ、きづな。貢奎詩「邇來閑身落──」=繫羈。
しめくくる、しめくくり。北史、劉弘傳「少好學有──」
つなぎひく。後漢書、申屠蟠傳「彼豈樂──哉」=牽羈·拘牽。
ひとりたび、又ひとりつながれる。杜甫詩「骨肉滿眼身──」
縛りててがせをはめる、身を束縛する義とす。蘇軾詩「翛然脫──」
たびのものおもひ。孫萬壽詩「──雖多緒、俱是一傷情」=旅恨·客恨。
たびのこころ。戴叔倫詩「──愁似絕、不復待猿吟」=客心。
ほだしつながれる。白居易詩「上無魯戈憂、下無──牽」
たびのかなしみ。謝靈運詩「念君客遊──盈」=羈愁·旅思·客心。
つなぐ、きづな。左、僖二四「臣負──、從君巡於天下」絏は紲、たづな、君の馬の口を執る義にて臣事するといふ謙辭。
君の爲めに賤役を執る義、羈は馬のきづな紲(一に絏に作る)はたづな。前條參看。
しばる、つなぐ。後漢書、張升傳「任情不羈」注「不羈、謂超絕等倫、不可──也」=羈絆·束縛·拘束。
たびまくら、たびね。陸游詩「──不成寐、羸驂曉出城」=客枕·旅枕。
旅人が故鄕を思ふ心に喩ふ。陶潛詩「─────、池魚思故淵」
賤役に從ふ義、靮は馬韁 タヅナ 檀弓「如皆守社稷、則孰───而從」
舟にてたびやどりする。盧思道文「──水鄕」=旅泊。
つなぎしばる。袁凱詩「雞犬遭──、妻孥厭苦辛」
つなにてつなぐ、きづな。魏志、夏侯玄傳「分疆畫界、各守土境、則非重纍──之體也」
つなぐ、束縛する、縻は牛の紲 タヅナ 漢書、司馬相如傳「天子之於夷狄也、其義──勿絕而已」
他國より寄寓して臣たるもの。羈·羇通ず。戰國策「臣────也」
ほだし。柳宗元、懲咎賦「際窮冬而止居兮、──棼以縈纏」
ほだし、束縛する。謝靈運詩「單民易周章、窘身就──」=羈絆。