乙部
0畫
イツ イチ [質]
通音オツ
○きのと、十干の第二位、五行の木に當る。爾雅、釋天「太歲在─曰旃蒙」○甲に對して、第二位又は次の義とす。○かがまる(屈)○とどまる、とどむ(止)○をはり(終)○文書の讀みどまりの所につけるくぎりのしるし。史、東方朔傳「朔初上書、人主從上方讀之、止輒─其處」○名の代りに用ふ、なにがし(某)史、萬石君傳「奮長子建、次子甲、次子─」○魚のはらわた(魚膓)一說に魚の腮骨 アゴノホネ 共に─字形に曲れるもの。禮、內則「魚去─」○虎の兩脇の胸の皮下にある三寸許の─字形のもの。○ひとつ、一に通ず「不─」○つばめ(燕)もと?の字、形と音と似たるによりて通用す。
○出で難き貌、苦み思ふをいふ。陸機賦「思──而若抽」=??·軋軋。○ イチチチ ひとつびとつ。王羲之、十七帖「不復──」=一一。
つばめ。戴表元詩「茅簷四月──來」=乙鳥。
しもやしき、别邸。晉書、楊軻傳「命舍之于永昌──」
燕の異名、もと?字、形音似たるによりて通用す。本草「燕一名──」=乙禽。
擧人をいふ。進士を甲榜といふの對。
午後十時、漢以後、一夜を甲乙丙丁戊の五夜に分つ。漢舊儀「晝漏盡、夜漏起、省中黃門持五夜、五夜者甲夜(午後八時)──(十時)丙夜(十二時)丁夜(午前二時)戊夜(四時)」陳孚詩「幸承──君王問」=二更。
乙夜は午後十時、天子の讀書をいふ。杜陽雜編「文宗視朝後卽閱羣書、謂左右曰、若不甲夜視事乙夜觀書、何以爲人君邪」=乙覽。
乙夜之覽の略。
○試驗の科目の第二等。甲科の次。唐書、韓休傳「與趙冬羲俱──」○後世俗に擧人をいふ。進士を甲科といふの對。
第二等に位するもの、甲種の次「──程度」
歷史類の書をいふ。丙部(五一頁四段)を見よ。
國 末の子。
國 海中にありといふ龍宮 リユウグウ の女神。
國 少女、又、末に生れたる女。
イツ·イチ アツ [質]
又、?に作る
つばめ(玄鳥)=燕。
1畫
①キウ·ク [有]
②キウ [尤]
①ここのつ。○ここのたび(九囘)書、益稷「簫韶─成」○數のきはまり、數の終り。素問「天地之至數、始於一終於─焉」○周易にて老陽(陽の極數)をあらはす字「初─」「─二」○おほし(多)─國·─山等の─は、必ずしも實數のみにあらず。○きはむ(究)○ひさし(久)○──は古の算法の名。
②あつまる(聚)鳩に通ず。○あはす、糾に通ず。論、憲問「─合諸侯」
九種のえびす。後漢書、東夷傳「夷九種、畎夷·于夷·方夷·黃夷·白夷·赤夷·元夷·風夷·陽夷也、一曰、玄莬·樂浪·高驪·蒲飾·鳧更·索家·東屠·倭人·天鄙也」
おほくのえびす。書、旅獒「惟克商、遂通道于────」=八蠻九貊。
九州に同じ、有は其の地を撫有する義。詩、商頌「奄有──」
國土のかぎり。王勃詩「伊我祖德、思濟──」=九垠。
○きはめてふかきふち、九重のふち。○九っのふち。列、黃帝「鯢旋之潘爲淵、止水之潘爲淵、流水之潘爲淵、濫水之潘爲淵、沃水之潘爲淵、沈水之潘爲淵、雍水之潘爲淵、汧水之潘爲淵、肥水之潘爲淵、是謂──焉」
○夏の九十日。蕭統、六月啓「三伏漸終、──將謝」=九暑。○周の九っの大いなる樂歌、夏は大。周禮「鐘師以鐘鼓奏─丨」
○洞庭湖の舊名。沅·漸·元·辰·敍·酉·澧 レイ 資·湘の九川が同じく合するが故。書、禹貢、蔡傳「──卽今之洞庭也」○ キウキヤン 縣名、明代、──府を置く、江西省に屬す、九南鐵路の起點たり、通商港にして貿易甚だ盛んなり、輸出品は、茶紙を以て大宗とす。
幾重にもなりしふかきさは。詩、小雅「鶴鳴──、聲聞于天」
あつめあはす、九は糾に同じ。論、憲問「桓公──諸侯、不以兵車、管仲之力也」=糾合。
街路の四方八方に通ずるもの、四通八達のちまた。何遜詩「長安──上、靑槐蔭道植」
周代の制、畿內を千里四方とし、其の四圍を上下左右各五百里每に一畿として區劃し、侯畿·甸畿·男畿·采畿·衞畿·蠻畿·夷畿·鎭畿·蕃畿とせし稱〔周禮、夏官大司馬〕=九服。
○古、算術の一法、九は數の極、其の九倍は最大數の義、よりて名づく、後世の九章算法に同じ。韓詩外傳「東野有以──見者」○ クク 乘法の「二二が四」の類「──八十一」にて終るが故。
九州卽ち支那全土の地理書の名、今は傳はらず、丘は聚なり。孔安國、尙書序「九州之志謂之──、言九州所有皆聚此書也」三墳五典(三四頁三段)參看。
湖南省寧遠縣の南六十支那里に在る山名、九峯竝び聳え、山形相似たるによりて名づく。史舜紀「葬於江南九疑是爲零陵」=九嶷山。
九匹の牛の毛の中の一本の毛、大多數中の極少數に喩ふ。漢書、司馬遷傳「假令僕伏法受誅、若九牛亡一毛」
天地のはて。爾雅「九天之際曰──」=天垠·九垓。
○孤卿大夫と公侯伯子男との位、外朝をいふ。禮、王制「史以獄成吿于正、正聽之、正以獄成吿于大司寇、大司寇聽之棘木之下」注「左九棘孤卿大夫位焉、右九棘公侯伯子男位焉」○九卿の位。
○心膓の廻轉するほど憂悶する義。司馬遷、報任安書、「腸一日而九廻」○川などの屈曲多き形容。柳宗元詩「江流曲似───」
○古、國家の政を執りし九っの大官。司空·后稷·司徒·士·共工·虞·秩宗·典樂·納言をいふ、司空は百揆 モロモロノツカサ を總ぶ、今の總理大臣、后稷は農政を掌り、司徒は五敎を敷き、士は訟獄を理め、共工は百工の職事を供給し、虞は山澤の事を掌り、秩宗は宗廟百神を祀ることを掌り、典樂は音樂舞蹈の事を掌り、納言は帝命を出納するの官にして、下言を聽きて上に納れ、上言を受けて下に宣ぶるものなり〔書、舜典〕○ 國 鳥の名、大さ鵯 ヒヨドリ の如く、性怜悧にして人語をまねす。=秦吉了。
周の九っの刑法、墨刑 イレズミ 劓刑 ハナキリ 剕刑 アシヰリ 宮刑·大辟(死刑)流刑·贖刑(科料)鞭刑(笞刑の一)朴刑(笞刑の二)左、昭六「周有亂政、而作──」
九人の大臣、時代によりて名異る、周は、少師·少保·少傅(以上三孤)冢宰·司徒·宗伯·司馬·司寇·司空(以上六卿)秦漢は、大常·光祿勳·大鴻臚·大司農·衞尉·太僕·廷尉·宗正·少府。宋は大常·光祿勳·衞尉·太僕·廷尉·宗正·大鴻臚·大司農·少府。禮、王制「天子三公──二十七大夫、八十一元士」
○周禮·儀禮·禮記·左傳·公羊傳·穀梁傳·易經·書經·詩經〔初學記〕○一說に易·詩·書·禮記·春秋·孝經·論語·孟子·周禮。○天下を治むる九っの道。中庸「凡爲天下國家有──、曰修身也、尊賢也、親親也、敬大臣也、體羣臣也、子庶民也、來百工也、柔遠人也、懷諸侯也」
九經に深く通ぜるをいふ。舊唐書、谷那律傳「貞觀中累補國子博士黃門侍郞、褚遂良稱爲───」
人體に備はる九っのあな。口·兩眼·兩耳·兩鼻孔(以上陽竅)兩便孔(陰竅)をいふ〔周禮、天官、疾醫〕=九穴。
九竅に同じ。
菊の節句、卽ち重陽の節をいふ。續齊諧記「汝南桓景隨費長房遊學累年、長房謂之曰、汝家當有災厄、急宜去、令家人各作絳囊、盛茱萸以繫臂登高山、飮菊酒、此禍可消、景如言、擧家登高、夕還見雞犬牛羊一時暴死、長房聞之曰、代之矣」王勃詩「────望鄕臺」
墓地をいふ、京は原に通ず、よみぢ。禮、檀弓「是全要領以從先大夫於──」=九原。
戰國時代の晉の卿大夫の墓のある地名、轉じて墓地又はよみぢ(黃泉)の義とす。黃庭堅賦「顧瞻──兮、豈其可作」=九京。
九人の賢人。明一統志「──祠在河南府嵩縣治北、──宋周敦頤·程顥·程頤·邵雍·張載·司馬光·呂祖謙·朱子、元許衡」同書「──祠在吉安府學明倫堂、祀宋歐陽修·楊邦乂·胡銓·楊萬里·周必大·胡夢昱·歐陽珣·歐陽守道·文天祥」
古の饗禮、主客九たび酒を獻酬するをいふ。周禮、大行人「饗禮──」注「──者主酌獻賓、賓酢主人、主人酬賓、酬後更八獻、是爲──」
易の卦にて、下より數へて五っ目の陽爻。
天子の位、九は陽の數、九五は易の卦にて天子の位。易、乾卦「九五飛龍在天、利見大人」謝觀賦「寧勞百二之勢、足居────」
九種の功績 テガラ 水·火·金·木·土·穀(以上を六府といひ、民を養ふ基)正德·利用·厚生(以上を三事といひ、善政の本)書、大禹謨「──維敍」左、文七「六府三事、謂之──」
石決明 アハビ の異名。明一統志「惠州府土產───」本草「石決明一名───」
○戰國の九國。紺珠「齊·楚·燕·趙·韓·魏·宋·衞·中山」○九州に同じ。
黍 キビ 稷 モチキビ 秫 モチアハ 稻·麻·大豆·小豆·大麥·小麥〔周禮、太宰、注〕
九年目に出逢ふ義、載は歲なり。杜甫詩「九載一相逢、百年能幾何」
易卦にて、下より數へて三っ目の陽爻。
○九っの山、會稽·泰山·王屋·首山·太華·岐山·太行·羊膓·孟門〔呂覽·淮南子〕會稽·衡山·華山·沂山·岱山·嶽山·醫無閭·霍山·恆山〔職方氏、九州山鎭〕○多くの山。○九州の名山。書、禹貢「──刊旅」
易卦にて、下より數へて二っ目の陽爻。
君子の平生思ふ所九あるをいふ。論、季氏「君子有──、視思明、聽思聰、色思溫、貌思恭、言思忠、事思敬、疑思問、忿思難、見得思義」
殆ど死せんとして僅に助かりし義、極めて危きをいふ。
○九っの國、冀·兗·靑·徐·荊·揚·豫·梁·雍の稱〔書、禹貢〕=九土·九國。○ 國 西海道九ケ國の稱。
秋の九十日。王勃詩「──良會少、千里故人稀」
九仞の山を築くに、一簣 ヒトツノモツコ の土を缺けば、其の功を完成する能はず、以て積年の勞も一失の爲めに敗るるに喩ふ。書、旅獒「夙夜罔或不勤、不矜細行、終累大德、爲山九仞、功虧一簣」
○虞舜の世、天子の冕服の模樣は十二章なりしが、周に至りて其の中の日月星辰を旂に升せ、冕服は──とす。周禮、春官、司服注「古天子冕服十二章、至周以日月星辰畫於旌旗、而冕服──、一曰龍、二曰山、三曰華蟲、四曰火、五曰宗彝、皆畫以爲繢、六曰藻、七曰粉米、八曰黼、九曰黻、皆絺以爲繡」○古の算法の名。後漢書、鄭康傳、注「──算術周公作也」=九數。
大功ある者を優禮して特に賜はる九っの品、一に車馬、二に衣服、三に樂器(一に樂則)四に朱戶、五に納陛、六に虎賁、七に鈇鉞、八に弓矢、九に秬鬯(祭に用ふる酒)〔漢書、武帝紀注〕
春の九十日。曹植詩「自期三年歸、今已歷──」=靑春·陽春。
夏の九十日の閒の暑をいふ。管子「──乃至」=九夏。
○堯の九佐。紺珠「舜爲司徒、契爲司馬、禹爲司空、后稷爲田疇、夔爲樂正、倕爲工師、伯夷爲秩宗、皋陶爲大理、益掌敺禽」○ 國 三宮職·中宮職·春宮職·左右京職、大繕職·修理職。
○音樂の一曲終るを一成といふ。周禮、春官「九奏乃終、謂之──」=九奏。○九層に同じ。宋文帝詩「層樓跨──」
○九曜に同じ。○北斗をいふ=九魁。
九代以前の仇を討つ。漢書、匈奴傳「昔齊襄公─────、春秋大之」
おほぞら。孫綽、原憲贊「志逸──、身安陋術」=九天·雲霄·碧霄。
曲折多き阪みち、つづらをりの山路、又、其の阪の名、四川省に在り。漢書、王尊傳「尊遷益州剌史、先是王陽爲刺史、行部至邛郲───、歎曰、奉先人遺體、奈何數乘此險、後以病去、及尊爲刺史、至其阪、問吏曰、此非王陽所畏道邪、曰是、尊叱其馭曰、驅之、王陽爲孝子、王尊爲忠臣」=羊腸阪。
九たび官職が進む。韓愈、上張僕射書「日受千金之賜、一歲──其官」
九層の高き臺も其の始めは極めて少しの土を積み上げて成る、事は細より大に至るに喩ふ。老子、第六十四章「────────、千里之行、始於足下」
○高祖·曾祖·祖父·父·己·子·孫·曾孫·玄孫の稱〔書、堯典〕○父族四、母族三、妻族二をいふ。左、桓六「親其──」注「──、謂外祖父·外祖母·從母子·及妻父·妻母·姑之子·姉妹之子·女子之子·幷己之同族皆外親有服、而異族者也」
前條の前解に同じ〔太玄經〕
極めて低き處。九天の對。孫子、軍形「善守者、藏於──之下、善攻者動於九天之上」
箕子が武王の問に答へたる天下を治める九種の大法。五行(水·火·木·金·土)五事(貌·言·視·聽·思)八政(食·貨·祀·司空·司徒·司寇·賓·師)五紀(歲·月·日·星辰·曆數)皇極·三德(正直·剛克·柔克)稽疑(雨·霽·蒙·驛·克·貞·悔)庶徵(雨·暘·燠·寒·風·時)五福(壽·富·康寧·德·考終命)〔書、洪範〕=九法。
ここのへ、王城の門は──に作る。楚辭、九辯「豈不鬱陶而思君兮、君之門以──」
歷代の制度を記する九種の書、通典·通志·文獻通考の三通に、皇朝文獻通考·皇朝通典·皇朝通志·續通志·續通典·續文獻通考を加へたる二千二百三十七卷。
九鼎は禹の世に鑄りたる鼎、夏·殷·周の三代傳へて寶とす、大呂は周廟の大鐘、其の音大呂に合す、以て貴重のものに喩ふ。史、平原君傳「毛先生一至楚、使趙重於────」
○九方の天。呂覽、有始「天有九野、中央曰鈞天、東方曰蒼天、東北方曰變天、北方曰玄天、西北方曰幽天、西方曰顥天(淮南、天文訓には顥を昊に作る)西南方曰朱天、南方曰炎天、東南方曰陽天」太玄經「一中天、二羨天、三從天、四更天、五睟天、六廣天、七咸天·八沈天、九成天」=九霄·九旻、九野。○天の最も高き處。九地の對、九地を見よ。
冬の九十日。劉峻文「──有隙、三餘暇時」
人の行ふべき九っの德。書、皋陶謨「行有──、(中略)寬而栗·柔而立·愿而恭·亂而敬·擾而毅·直而溫·簡而廉·剛而塞·彊而義」栗はおごそか、愿はまこと、亂はをさめる、擾は順、毅は果斷塞は充實、彊は屈せず。
○禮拜の九っの形式。稽首·頓首·空首·振動·吉拜·凶拜·奇拜·襃拜·肅拜。周禮、春官「太視辯──」○幾度もおじぎする。
都城の大道凡そ九條あるをいふ、漢の長安城中八街──あること三輔黃圖に見ゆ。楊巨源詩「──華軒爭道路」
古の善く馬を相せし人、秦の穆公の爲めに良馬を求めて之を得たり。列、說符「伯樂曰、臣之子皆下才也、臣有所與───、其相馬、非臣之比也」
九疇に同じ。韓愈、與孟尙書一書「聖賢之道不明、則三綱淪而──斁」=九?。
○太平の世に出づといふ、尾の九っに分れたる狐。宋書、符瑞志「漢章帝元和中、───見郡國」○奸佞なる人に比す。商輅續綱目「宋眞宗以陳彭年參知政事、彭年敏給强記、尤好刑名之學、性奸諂、時號───」
天子の九種の賓客。史、叔孫通傳「大行設──」注「──則周禮九儀也、謂公侯伯子男孤卿大夫士也」
愚人をいふ。愛日齋叢抄「陳無己云、世人以癡爲──謂其精神不足也」
周代の制、侯服·甸服·男服·采服·衞服·蠻服·夷服·鎭服·蕃服の稱、服は天子に服從する義。〔周禮、職方氏〕=九畿。
○九は九州、牧は牧民の官、九州の長官をいふ。左、宣三「夏之方有德也、遠方圖物貢金、──鑄鼎象物」=九采。○九州。羅隱詩「──土田周制在」
極めて遠きをいふ。莊、逍遙遊に鵬の大を形容して「搏扶搖而上者───」とあるに本づく。楊載、雪軒詩「上下───、洗淨無纖埃」
○九州に同じ。後漢書、馮衍傳「疆理──」○九天をいふ。九天(六八頁三段)參看。
○日をいふ。後漢書、仲長統傳「沆瀣當餐、──代燭」○日の出る處をいふ。楚辭「踵──兮戲蕩」
九っの學派。儒家者流五十三家·道家者流三十七家·陰陽家者流二十一家·法家者流十二家·名家者流十家·墨家者流六家·縱橫家者流十二家·雜家者流二十家·農家者流九家、以上に小說家者流を加へて十家とす〔漢書、藝文志〕
前後九っの玉索を垂れたる冠。宋史「───、親王中書門下奉祀則服之」
木犀 モクセイ の異名。
○日曜·月曜·火曜·水曜木曜·金曜·土曜·計都·羅睺の九星の稱。○ 國 紋所の名、一っの大星の外を八っの小星の繞れる形。
三ケ月九十日閒ののどけき春景色。陳陶詩「────在何處、古人今人畱不住」
○ 佛 極樂往生の等級、上中下の三品ありて、其の各に又上中下の别あり。「──淨土」「──蓮臺」○ キウホン 九卿をいふ。周語「外官不過──」○官吏の九等の階級。魏志、陳羣傳「制──官人之法、羣所建也」
2畫
①キツ [物]
②キ [未]
通音コツ
①こふ、もとめる(要求)=匄。○こひ、ねがひ。張羽詩「安得金丹從汝─」○こじきする、こじき、こつじき。
②物を人にあたふ(與)晉書、謝安傳「以墅─汝」
同訓異義
コフ 乞·丐·請の别は丐(四一頁三段)を見よ。
いとまを請ひて休息する、假は暇の古字。盧綸詩「──依山宅蹉跎屬歲周」
○こじき。=乞人·乞匄。○求め乞ふ。陳琳文「曹操父嵩──擕養、因贓假位」
前條に同じ。
乞身に同じ。歐陽修詩「何時乞殘骸」=乞骸骨
陰曆七月七日の夕、卽ち七夕に牽牛·織女の二星を祭るに、女兒五色の絲を捧げて手藝の上達を禱るをいふ、我國にて──奠とて、天平勝寶七年始めて淸涼殿の庭にて行はる。荊楚歲時記「七夕、婦女以綵縷一穿七孔針、或以金銀鍮石爲鍼、陳瓜果於庭中以──」
陰曆七月七日の夕、牽牛·織女の二星を祭り、裁縫の上達を禱る儀、ほしまつり。前條參看。
たなばたを祭るたな。東京歲時記「七夕家家錦綵、結爲───」
東京夢華錄「唐時京師七夕、貴家多結綵樓于庭、謂之───」
老人に善言の敎を乞ふ。禮、內則「凡養老五帝憲、三王有──」有は又。
佛 僧の別稱、梵語の比丘は其の義──と爲す、上は諸佛に法を乞ひて惠命を資益し、下は施主に食を乞ひて色身を資益するが故。
乞丐に同じ。列、黃帝「路遇──馬醫」=乞人。
こじき。孟、告子「蹴爾而與之、──不屑也」=乞兒。
辭職を乞ふ、仕ふる者は身を委 ユダ ねて君に事ふ、故に致仕を──といふ。後漢書「以病上書──」=乞骸骨。
求めて借る。曹唐詩「──新城利鉸刀」=乞貸。
こじき。戰國晉策「豫讓自刑以變其容、爲───而往乞」=乞人·乞丐。
求めて借る、貣は貸、貸の音 タイ の時はかす。漢書、韓王信傳「旦暮──蠻夷」=乞貸·乞借。
法帖の名、唐の顏眞卿の書。王偁詩「學寫顏公乞米書」
ヤ [馬]
○なり、決定の辭、句○終に置く。論、泰伯「君子人與、君子人─」○上を結ぶ辭。論、學而「亦不可行─」○下を起す辭。論、學而「夫子至於是邦─」○か·や、疑問の辭。孟、梁惠王「寡人之民、不加多何─」○や、呼びかけに用ふ。論、先進「囘─其庶乎」○語勢を强める爲めに用ふる助字。論、子路「必─狂狷乎」○かな(哉)詠歎の辭。左、成二「惜─不如多與之邑」○また、發語の辭、多く詩又は俗語に用ふ、亦よりは輕し。杜甫詩「靑袍─自公」
同訓異義
マタ 也·又·復·亦などの别は又(部首二畫)の條を見よ。
○斷定の最もつよき意。○ ナランヤ 反語を表はすに用ふ。
○贊歎の意。○ ナランヤ 疑問の意、又、反語を表はすに用ふ。
也は發語。岑參詩「也知鄕信日應疎」
といふの義。論、學而「孝弟──其爲仁之本與」
6畫
亂(乙部十二畫)の俗字。
7畫
ジユ 二ユ [麌]
通音二ユウ
○ち、ちち、ちぶさ。○ちちしる「─汁」○石灰質を含める水滴の凝りたるもの「石鐘─」○ちちをのます。○人又鳥獸が子を生む、子が生まる。○鳥が卵を伏せる「雞─」○やはらか(柔)○やしなふ、そだつ(育)○いつくしむ(字)○母親。唐書、韓思彥傳「兄弟共─而生」○哺─類 ホニユウルヰ は乳をのませてそだてる動物類。○馬─ バ ユウ は葡萄の異名。
うば、めのと。唐書、元德秀傳「兄子、襁褓喪親、無資得──、德秀自乳之」=乳母·乳嫗。
○乳の疾を治する醫者。漢書、霍光傳「──淳于衍」○產科醫の一名〔書敍指南〕
乳媼に同じ。古今詩話「頭童齒豁、敢辭──之譏」
凝固 コリカタマル せし樹脂 キノヤニ 又、其の樹の名、常綠喬木、紅海の沿岸に產す、葉は羽狀複葉、小白花開く、其の樹幹より──を浸出す、薰香の料とす。
くねんぼ、九年母、香橘。浙江、永嘉等の縣に出づ。太眞外傳「開元末、江陵進──橘」
乳房に生ずる惡性の腫物 ハレモノ 乳腺がはれて硬 カタ くなる病。
牛乳をしぼり取る爲めに飼ふ牛。
子を乳育する虎は平時よりも暴し、以て甚だ猛暴なる者に喩ふ。漢書、寗成傳「寧見乳虎、無値寗成之怒、其暴如此」
ちのみご、=嬰兒。
子もちの牝牛 メウシ 宣和畫譜「──放牧」
ちのみば、ぬけかはらざる前の幼兒の齒。齊民要術「相法、一歲上下生──各二」=乳牙。
ちちくさし、經驗に乏しき者を嘲りていふ。史、高祖紀「漢王以韓信擊魏王豹、問酈食其、魏大將誰、對曰柏直、漢王曰、是口尙──、安當吾韓信」
小兒に乳をのます人。宋書、劉懷敬傳「無由得──」=乳母·乳媼。
鐘乳石をいふ。
乳房の中に在りて乳汁を分泌する腺。
子に乳をのます牝豚 メブタ 荀、榮辱「──不觸虎、乳狗不遠遊、不忘其親也」
○ちぶさの尖端に突起せるもの、乳腺の總べてあつまる處。○舌の面に在る微小なる突起。
ちぶさ、嬭房 ジバウ
くすりをねり又、粉にするに用ふる小形のすりばち、陶器又玻璃 ガラス にて造る。それに用ふるすりこぎを乳棒といふ。
○食物が胃內にて消化液の作用を受けて白色乳狀液に化せし者。○牛酪の一名。水經、注「長者女以金鉢盛──上佛」
うば。史、張蒼傳「蒼之免相後、老口中無齒食乳、女子爲──、妻妾以百數、常孕者不復幸、蒼年百餘歲而卒」=乳嫗·乳媼·嬭母。
乳鉢を見よ。
佛 ちぎ、護摩 ゴマ に燒く木。
をさな名、幼名、小兒の時の名。剪燈新話「生言其父姓名爵里及己──」=小字。
ちちをのませてそだてる。後漢書「母自──」
ちちのできもの、乳腺炎の一名、分娩後數日惡寒發熱して乳房紅く腫れて痛を覺ゆるもの、急に治せざれば化膿す。
牛·羊の乳にて製したる食品。晉書、天錫傳「乳酪養性、人無妬心」
國 同じ乳母 ウバ に育てられし小兒ども。=阿嬭兒 アジジ
8畫
乾(次條)の俗字。
10畫
①ケン [先]
②カン [寒]
①易の卦の名、純陽の卦。○いぬゐ、方角にて戍と亥との閒(西北)易、繫辭「─西北之卦也」○そら(天)○天子に關することに用ふ「─綱」「─德」○すすむ(進)行きて息まず。○すこやか(健)易、本義「─健也」○つよし(堅)かたし(固)○つとむ(勤)
②かわく(燥)かわかす、ひる、水が涸れる。晉書、范汪傳「冬月沔漢─涸」ほす。○とぼし、缺乏する。華功武、義兵行「供給軍需民力─」○うはべだけ、表面だけつくらふ。北史、尉景傳「何顧─啼濕哭」○連─ レンケン は馬の飾。顧況詩「金鞍玉勒錦連─」○桑乾 サウカン は河の名、卽ち濕水。
天を維持する大づな、天の成り立つ大本 オホモト 李義府詩「飛聲總地絡、載化撫──」
日をいふ。元史「月之道循右行、明同貞於──」
天のまるきをいふ。易經「乾爲天爲圓」阮籍、通易論「──坤方、女柔男剛」
天地の局面を囘轉する、天下の亂を平定する義。韓愈、潮州謝上表「陛下卽位以來、躬聽斷、────、天戈所麾、莫不寧順」
健かにして物に屈せざる德。歐陽修表「奮發──、嗣承天統」
天ののり、帝王のおほづな、君主の大權。晉書、華譚傳「聖人之臨天下也、祖──以流化、順谷風以興仁」=帝綱·皇綱·王綱。
帝王の事業のもとゐ。晉書、載記慕容德疏「闡崇──」
五代梁の太祖の年號。
天の道、乾は天、元は大。易、乾彖傳「大哉──、萬物資始」
進みて止まざる貌。易、乾卦「君子終日──、夕惕若」
○易の二っの卦の名、轉じて○天と地と。易、說卦「乾爲天」「坤爲地」韓愈詩「浩蕩──合」○陽と陰と。○いぬゐ(西北)とひつじさる(西南)と。
亂を定めて天下の秋序をただす。杜甫、洗兵馬行「二三豪俊爲時出、────濟時了、東走無復憶鱸魚、南飛各有安巢鳥」
天地に滿てる淸き氣。僧貫休詩「乾坤有淸氣、散入詩人脾」
書名、十四卷、明偶桓撰す、金宋の末より明初に至るまでの詩を集む、去取極めて苟もせず。
こぶん、手下。畱靑日札「──門生布滿天下」
乾闥婆城に同じ。
朱熹(字は元晦)張栻(字は敬夫)呂祖謙(字は伯恭)
○易に所謂至健の德をいふ、又天の道の義。易、乾卦彖傳「──變化、各正性命」○宋の孝宗の年號。
乾は天にして陽に配す、故に男を成すといふ。易、繫辭「────、坤道成女」
佛 水蒸氣の作用にて山川城閣などが空中に幻出するもの、俗に海中の蜃 ハマグリ が氣を吐くに由るといふ。智度論「可眼見無有實、名────」=海巿·蜃氣樓 シンキロウ
天子が自ら政を裁決する。
天地のはて、倪も端。韓愈、南海神廟碑「────、軒豁呈露」
天竺に同じ。傳燈錄「東堂不折桂、南華不學仙、卻來──寺、披衣效坐禪」
天の圖、天象をいふ。舊唐書、禮儀志「仰則──」
○乾乾の德の義、健かにして進みて息まざる德。易林「扶陽之政、以保──、終無患惑」○天子の德。○宋の太祖の年號。
淸の高宗の年號。
天の神、又、陽の精氣。曹植、漢二祖優劣論「世祖體──之休德、稟貞和之純精」
からゑづき。法苑珠林「推胷──」
もぐさ、ほしたるよもぎ。灸術に用ふ。齊民要術「取──雜藏之」
川や池の水がかれる、字解を見よ。
しやうがの乾したるもの、藥用とす。
どもること。沈适詩「猶有當年──兒」
魚の乾したる者、ひもの。
かわきて水氣がなくなる。
熱帶地方にて、一年內に二囘現るる乾燥する季節。
のどがかわく、口を極めて說く。說苑「──燋脣、仰天而歎」
○かわく。○おもしろみなし、無趣味。
砲創 テツパウキズ の療法、洗滌せず、ただ拂拭して繃帶を施す療法。
かささぎが鳴くときは遠行の客が歸り來るしるしなりといふ俗說。西京雜記「陸賈曰、───────、蜘蛛集而百事嘉、故乾鵲噪則餧之、蜘蛛集則放之」鵲は性濕をにくみて乾をよろこぶ、故に乾鵲といふ、此の俗說によりて喜鵲ともいふ。
うはべをよそほひて强て笑ふ。能改齋漫錄「世言笑之不情者爲──、按宋范曄謀逆、就刑於巿、妻來別罵曄曰、身固不足塞罪、奈何枉殺子孫、曄──而已」
皮膚病の名、ひぜん、一種の病菌の寄生して起るもの。
石碑の文字を打ちて紙に寫し取るに用ふる墨、松烟に蠟 ラフ を和して製す。
かれたるたけ。金光明經「卽以──刺頭」=枯竹。
うはべのみ悲みて泣く、そらなき。字解を見よ。
みづ氣無き電池、レクランセイ電池の藥液を石膏末等に浸して造りたるもの。
ほじし。
たねいた、寫眞に用ふる感光液を塗りし硝子板。=乾片。
ほしいひ。後漢書「吳郡徐相常食──」
ほしいひ〔唐書、郝處俊傳〕=乾飯。
食用植物のほしたるもの、干瓢 カンぺウ 椎茸の類。
國 夕顏の實の白く柔かき部分のみを、長く薄く裂きて干したるもの。=干瓢。
水を干ホし竭 ツク す如く、財利をきびしく民より取りて己の有とする義。史、酷吏傳「張湯始爲小吏──」一說に利を得るを乾といひ、利を失ふを沒といふ。
湯水を用ひずしてゆあみする、夜臥する時、兩手にて身體をこする一種の養生法。雲笈七籤「夜臥時、常以兩手揩摩身體、名曰──」
牛乳を精製して、乾しさらしたる食品。唐書、地理志「茂州通化郡貢──」
ほしたる食料、ほしいひの類。又飮料に對してすべての食物。
12畫
ラン [翰]
乱は俗字
○みだる、みだす、みだれ(紊)治まらず、秩序が立たず「─世」「─邦」○安からず。楚辭、大招、章句「憂思煩─」きまらぬ、事の未だ定らざる辭。檀弓「夫婦方─」○たたかひ、兵寇、左、文七「兵作於內爲─」○心惑ふ、思ひ煩ふ。鮑照、採菱歌「春思─如麻」○をさむ(治·理)○河の流を正しく橫ぎり渡る。書、禹貢「─於河」○淫する、淫行 ミダラナルオコナヒ 「淫─」姦する。史、黥布傳「王疑其與─」○まじふ、まじはる(混雜)○音樂の卒章。論、泰伯「師摰之始、關雎之─」○霍─ カクラン は病名、暑氣にあたりて吐瀉する病。
あちらこちらにみだれ飛ぶからす。
みだれしげれるあし。張羽詩「野燒時明──閒」
みだれたる雲。
刑罰に喩ふ。後漢書、崔寔傳「政論曰、蓋爲國之法、有似理身、平則爲養、疾則攻焉、夫刑罰者、─────也、德敎者、興平之粱肉也」
撥亂反正 ハツヲンハンセイ を見よ。
階は梯、みだれるきざはし。詩、小雅「無拳無勇職爲──」=禍梯·亂梯。
國 急に物價のあがりさがりの甚だしきにいふ、暴騰に次ぐに暴落を以てする類。
みだらなるおこなひ、亂暴なるふるまひ。
謀叛、むほん。
しきりにみだれ鳴くこほろぎ。范成大詩「行行──響」
國 列を正さずに打ち込みしくひ。「──逆茂木」
みだれたる後、戰爭後。亂前の對。=亂餘。
みだれるくに。荀、君道「有亂君無──、有治人無治法」
不公平なる裁判。周禮、秋官「四方有──」
みだれまじる、秩序立たず。=混雜·濫雜。
みだれて峙つ山山。杜荀鶴詩「遊人不可見、春入──靑」
順次をみだす。
歌の終に於て、一篇の大旨を撮 アツ めていふ辭〔史、屈原傳、懷沙賦、注〕
心が亂れる、氣がくるふ。左、昭二「爾有──無厭」
○天下をよく治むる臣。書、泰誓「予有──十人」十人は、周公旦·召公奭·太公望·畢公·榮公·大顚·閎夭·散宜生·南宮适·文母。○君を弑する臣。次條參看。
君を弑する臣と、父を害する子と。孟、滕文公「孔子成春秋、而────懼」
摹倣 マネル の巧にして眞物と别ち難きをいふ。南史「小人幾欲──」
やたらに撞く鐘。馬戴詩「──嘶馬急、殘日半帆紅」
みだれたる世、騷亂の世。詩、周南、關雎序「治世之音、安以樂、其政和、──之音、怨以怒、其政乖、亡國之音、哀以思、其民困」
騷亂の世の英雄。後漢書、許劭傳「曹操微時、常卑辭厚禮求爲己目、劭鄙其人曰、君則淸平之姦賊、─────也、操大悅而去」
國 ○行幸の時、著御を報ずる爲めに奏する音樂。○警蹕 ケイヒツ 卽ちさきばらひの聲。○舞樂の始に吹き立てる笛、又、笛·鐘·太鼓を合せ奏する。
風俗をみだす。史記「鄙儒小拘、如莊周等、又滑稽──」
世をみだすわるもの。
みだれたたく、むやみに打つ。林寬詩「樵童──金吾鼓」
めつたうち、みだりに鼓をうつ。汪元量詩「鞞鼓──裂巖谷」
○蕪雜なる詩文、己の詩文の謙辭。歐陽修、與梅聖兪簡「──一兩首、在謝丈處、可略與臧否之」○ ミチヲミダル 邪說を以て道理をみだる。漢書、張禹傳「新學小生、──悞人、宜無信用」
手あたり次第に書物などをぬき取る。韓愈、張中丞傳後序「──他帙以試」
とりみだしたる書帙。=亂書。
亂階に同じ。越語「毋曠其衆以爲──」
みだれたる調子。
國 古、戰國時代に敵を襲ふ爲めに抱へ置きし盜賊の輩。
すぢみちをわきまへず、あばれまはる。
みだれてはなつ、鐵砲·弓矢などをむやみに發射する。
みだりにつみす。書經「──無罪」=濫罰。
かみをみだす。みだれがみ。五代史「──如蓬」=蓬髮。
國 みだれがき、順序もなくしだらなく書きつける「──御免」
○順序も無くみだれまふ、梁簡文帝、箏賦「鴛鴦七十二、──未成行」○ 國 古、五節 ゴセチ の舞の後などに、殿上人等が今樣歌をうたひてまひし舞、又、能の舞の閒に舞ふもの、らつぶ。
國みだれて民疲弊す。魏志、注「──之後、百姓凋盡」
みだれたるあさ、世の亂れたるに喩ふ。
黨を結びて社會の安寧秩序をみだす人。
みだれて筋道が立たず。=亂雜。
人將に死せんとして神志昏亂せし時の遺囑をいふ。未だ病にかからざる時の命令を治命といふの對。左、宣十五「疾病則亂、吾從其治也」
みだれたるすぢみち。
世がみだれてはなればなれになる。
○流を正しく橫ぎりてわたる。爾雅「水正絕流曰亂」○水がみだれ流れる。李嘉祐詩「春塘水──」
人倫にはづれたるおこなひ、男女の關係にいふ。世說、方正「王丞相初在江左、欲結援吳人、請婚陸大尉、對曰、培塿無松柏、薰蕕不同器、玩雖不才、義不爲──之始」
みだれたるいとすぢ。