瓦部
0畫
グヮ [馬]
○かはら、土を燒きて造りし板、屋根を葺き又土閒に敷くもの「簷─」「─屋」○すゑもの「─器」○いとまき(紡塼)詩、小雅「載弄之─」○たてのうら(楯脊)左、昭二六「射之中楯─」○ 國 グラム 重量の單位、佛語の音譯、我が二分六厘七毛弱(支那にては克と譯す)
かはらのかめ。杜荀鶴詩「──篷底獨斟時」
かはらのかめ。國史補「澠池道中有車載──塞于隘路」
かはらぶきの家。考工記、匠人「葺屋三分、──四分」
瓦の如くくだけちる。漢書、徐樂傳「天下之患、在於土崩、不在──」
○敗瓦のあつまりは、うまくまとまらず。よりてよりあつまりの兵にいふ。漢書、酈食其傳「說沛公曰、足下起──之卒、收散亂之兵」=烏合。○かどだたずまじはる。禮、儒行「慕賢而容衆、毀方而──」
かはらのくゎん。禮、檀弓「有虞氏──」=陶棺。
かはらのにはとり、形のみにて其の用を爲さざるに喩ふ。金樓子「陶犬無守夜之警、──無司晨之益」
かはらのすずり。唐書、地理志「虢州弘農郡土貢絁──麝地骨皮棃」
すやきのさかづき。梅堯臣詩「呼兒欲自酌、──無完全」
瓦にて造りしさかづき。徐謂詩「樓上張燈倒──」
かはらの製造人。大論「釋迦文佛、先世作──」
○英語の音譯、氣體のもの。又、石炭瓦斯の略。○瓦斯絲織の略。
かはらと、いしと。八王故事「似珠玉在──閒」
かはら、磚も瓦。=瓦甎。
徒に身を全くする義。玉碎の反對。北齊書、元景安傳「大丈夫寧可玉碎、不能──」
かはらのたる。李公昻詩「──滿酒頻頻注」=瓦尊。
かはら製のたかつき。爾雅「木豆謂之豆、竹豆謂之籩、──謂之登」
土燒のほとぎ。李商隱詩「濁酒盈──」
無學の人の誇說して、人を驚かすに喩ふ。又、庸愚の人の位に在るに喩ふ。屈平、卜居「黃鐘毀棄、────、讒人高張、賢士無名」
かはら、甓はしきがはら。蘇舜欽詩「──狼藉滿我前」
かはらのつぎめ。杜牧、阿房宮賦「──參差、多于周身之帛縷」
瓦を擊ち其の文理の分析するを見て吉凶をうらなふ〔風俗通〕杜甫詩「──傳神語」
かはらのさかだる。三體圖「──謂祭紀之大罌也」
かはらにて造りたる釜。家語「魯有儉嗇者、──煮食」
かはらと、こいしと。價値なき物に喩ふ。歷代名畫記「好之則貴於金玉、不好賤於──」
2畫
國字
瓦 グラム の十倍、十瓦(支那にては兙)
3畫
カウ コウ [陽]
もたひ、頸の長き罌 カメ 支那量にて十升を受く。漢書、貨殖傳「醯醬千─」=缸。
國字
瓦 グラム の千倍、千瓦。基 キログラム (支那にては兛)
4畫
ヲウ [送]
もたひ、かめ(甁·罌)=甕。
國字
瓦 グラム の十分の一。デシグラム。
國字
瓦 グラム の千分の一。ミりグラム。
5畫
アゥ [漾]
○ぼん、ほとぎ。=盎。○甕─は大いなる癭 コブ の貌。
レイ リャウ [靑]
○かめ、甁の耳ある者。○かはら(瓦)屋瓦の仰むけにふくもの、其の凹みし所を雨水が流れる。=瓦溝·牝瓦 メガハラ
かめのみづ。史、高祖紀「秦形勝之國、帶河山之險、縣隔千里、持戟百萬、秦得百二焉、地勢便利、其以兵下於諸侯、譬猶居高屋之上建──也」注「瓴盛水甁也、言其向下之勢易也」建は覆す。
かめの水をくつがへす。勢の強きに喩ふ。前條參看。
6畫
シ ジ [支]
又、甆に作る、俗に磁に作る
質堅くきめ緻 コマカ き陶器「花─」「素─」「綠─」
陶器をいふ。江西省景德鎭より產出するもの最も名あり。柳宗元に代人進──表あり。
やきものに用ふる土。=陶土。
甁(瓦部八畫)の俗字。
國字
瓦 グラム の百倍、百瓦。へクトグラム。
7畫
チ [支]
かめ(甁)もたひ。酒を盛る器。聞見錄「古語、借書一─、還書一─」
8畫
ツヰ スヰ [寘]
かめ(甁)もたひ、小さき口の罌 カメ 淮南、氾論「抱─而汲」
ヘイ ビャウ [靑]
瓶は俗字一音ビン
○かめ、もたひ、みか、陶器の小口大腹にして液體を盛るもの、亦金屬を以て作るもあり「土─」「酒─」「銀─」「鐵─」○つるべ(汲器)○こしき(炊器)○はないけ「花─」○ 國 ビン (罎)硝子 ガラス 製のとくり「藥─」
かめ。陸游詩「買薪備雨雪、儲米滿──」
酒を入れるかめ。傳信記「麴生復至、扼腕抵掌、論難鋒起、勢不可當、法善、密以小劍擊之、失墜於階下、化爲──、一座驚懾、遽視其所、乃盈缾醲醴也、咸大笑、飮之、其味甚嘉」麴生は酒の異名。
かめと、はこと、器量の小なるに喩ふ。崔融文「下走之──小才、豈與言于萬一也」
かめ、子は助語。金丹大要序「今之所謂禪者皆琉璃──禪、行也打碎、坐也跌碎」
かめと、錫杖 シヤクヂヤウ と。王氏談餘「滄波泛──、幾月到天朝」
微細なる事を以て巨大の理を推知する譬〔魏書、崔浩傳〕下に「嘗肉一臠、識鑊中之味」とあり。
花甁のなか。陸游詩「牀頭酒甕寒難熟、──梅花夜更香」
ホウ フウ ホ [有]
かめ(甁)小さきもたひ(小甖)ほとぎ(缶)「甌─」「覆─」漢書、揚雄傳「吾恐後人用覆醬─也」
9畫
ケン シン [先]
○すゑ(陶)陶器を作る。○借りて敎化の義とす。漢書、董仲舒傳「夫上之化下、下之從上、猶泥之在鈞、惟─者之所爲」○あきらかにす(明)わかつ、あらはす(表)○軍隊のそなへの名、陣の左右に張れる翼。左、文十「張兩─」○──は小鳥の飛ぶ貌。
陶器師 ヤキモノシ 南畿志「陳沂、琉璃塔記、文皇詔天下、盡──之能者、造五色琉璃」=甄者·陶工。
すゑづくり(陶工)漢書、董仲舒傳「夫上之化下、下之從上、猶泥之在鈞、惟──之所爲」=甄工。
分ちて次第をたてる。文心雕龍「子長繼志、──帝勣」
優劣をわかちてすべをさむ。蜀志「陶冶世俗、──人物」
甄は埴 ネバツチ をこねて陶器を作る。借りて民を敎化する義。何晏、景福殿賦「──國風」=陶甄·薰陶。
人才を明かに別ちてぬき用ふる。晉書、山濤傳「山濤爲冀州刺史、──隱屈、搜訪賢才」=選拔。
明らかにわかちあらはす。後漢書、安帝紀「詔貞婦有節義、賜穀十斛、──門閭、旌顯厥行」
優劣を明かにわかちて去取を定める。元史「──能否、公其黜陟」
あきらか。北史、王頍傳「性識──、精力不倦」
シウ [宥]
○しきがはら、地に敷きならべる平瓦。○いしだたみ、平たき石をしきならべしもの「石─」○井の內側をたたむかはら「井─」○をさむ(治)○かざる(飾)
いしだたみ〔東京夢華錄〕
ヘン [先]
かめ、ほとぎ、小盆。
國字
瓦 グラム の百分の一。センチグラム。
10畫
ケイ [霽]
○はち、ほとぎ。○やぶれたるもたひ。○われる、裂く、陶器がこはれる。揚子法言「甄陶天下者在和、剛則─、柔則坯」
11畫
オウ [尤]
○かめ、小さき甁、小さきぼん(小盆)「瓦─」「金─」「茶─」○古の地名、今の浙江溫州府地方。
胡人、境上に土窖を作りて漢人を伺ふもの。史、匈奴傳「各居其邊爲──」=區脫。
かめ。爾雅「──謂之瓴」
狹小にして小高きはたけ、篝は竹にてあみし籠、米が篝に滿つるは非常なる豐作をいふ。史、滑稽傳「────、汙邪滿車」
セン [先]
又塼に作る
○かはら(瓦)しきがはら(甓)○瓦のいとまき。詩、小雅「載弄之瓦」注「瓦、紡─也」
バウ [庚]
いらか、やねのむね、むながはら(屋棟)「連─」「雲─」
いらかと、むねと。劉孝綽詩「朝猿響──」
12畫
ショウ·ソウ ショウ [徑]
通音ソウ
こしき、せいろう(炊器)土やきの槽、上は大きく下はほそく、釜の上にのせて米などをむすもの「釜─」
あきらめのよきにいふ。後漢の孟敏の故事。後漢書、郭泰傳「孟敏荷甑墮地、不顧而去、郭林宗見而問其意、對曰、甑已破矣、視之何益、林宗以此異之」
極貧にして久しく炊がざる義。次條を見よ。
極めて貧しき形容。後漢書、范冉傳「冉、字史雲、陳留外黃人也(中略)乃結草室而居焉、所止單陋、有時絕粒、窮居自若、言貌無改、閭里歌之曰、甑中生塵范史雲、釜中生魚范萊蕪」萊蕪は地名、嘗て其の地の長たりし故。
こしきの中に坐する。暑熱の甚だしき形容。韓愈詩「五月困暑濕、如坐深甑遭蒸炒」
こしきと、はちと。韓詩外傳「昔者舜──無膻」
ブ ム [麌]
もたひ(小罌)酒を容れる小甁。
13畫
ヲウ ヨウ [送]
○かめ、もたひ。=瓮。○つるべ、井戶の水を汲みあげる甁。○酒を容れるかめ。李斯、諫逐客書「擊─扣缶」○─?は大いなる癭 コブ の貌。
敗甕の口をまどとし、繩を以てとぼそに繫ぐ、貧家の形容。賈誼、過秦論「陳涉────之子、氓隷之人、而遷徙之徒也」=蓬戶甕牖。
甁中に生ずる小さき羽蟲。甕裡醯雞を見よ。
見る所の狹き喩。黃庭堅詩「醯雞守──」甕裡醯雞を見よ。
初めて熟せし酒、甕頭春の簡稱。法書要錄「江東云缸面、猶河北稱──、謂初熟酒也」
前條に同じ。孟浩然詩「已言雞黍熟、復道───」
世閒知らずの小人に喩ふ、醯雞はかめの中の蠛蠓 サジ 莊、田子方「孔子見老聃(中略)出以吿顏囘曰、丘之於道也、其猶醯雞與、微夫子之發吾覆也、吾不知天地之大全也」
タン [覃]
大いなるもたひ(大罌)一石を受く。史、貨殖傳「漿千─」=儋。
ヘキ ハク、ヒャク [錫]
○かはら(甎)しきがはら(甃)晉書、陶潛傳「朝運百─于齋外」○かめ(瓴)○井戶側のいしだたみ。
14畫
アゥ エイ [庚]
かめ、もたひ(罌)酒を盛る甁。
かめを編みて竹筏 タケノイカダ の如くにして水を渡る。曾鞏文「淳化之歲、嘗自七月至九月、雨不止、崇明門外皆浮──以濟」
16畫
ゲン [阮]
○こしき(甑)底のなきこしき。○こしきの如き形せる山。